ここは楽しい地獄の風景。
覇鬼・絶鬼・眠鬼の三人は人間には及びもつかない過激なスキンシップで戯れていた。
#250 お兄ちゃん!と呼びたい の巻
授業中の居眠りで楽しい夢を見て寝ぼけた眠鬼は、人間の5倍はある力でぬ〜べ〜を締め上げる。
妖力をなくして地獄に帰れない眠鬼は、左手に実兄の覇鬼を封じたぬ〜べ〜を「お兄ちゃん」と呼んで
人間界に住み着いていた。夢に見たことで、眠鬼は久しぶりに楽しかった兄達との生活を思い出していた。
今日も仲のいい克也と愛美の兄妹。鬼の手で愛美の頭の中を覗いて人間の兄弟の日常を垣間見た
眠鬼は怪しい、笑みを浮かべてぬ〜べ〜に近づくと強引に街へと連れ出した。
高額のドレスをねだったり、食事をねだってペットショップの動物を食べようとしたり、はたまたヤクザに
ケンカをふっかけて相手を半殺しにしたうえで助けを求めるなど、眠鬼は街中を荒らしまわりながら
ぬ〜べ〜に無理難題を求めた。どうやら克也と愛美の関係をなぞっているつもりのようだ。
夜になって二人は学校の宿直室に戻ってきた。眠鬼は宿直室で暮らしており、ぬ〜べ〜も監視役として
ここ暫く一緒に暮らしているのだ。部屋に戻っても眠鬼の不気味な笑みは止まらない。
ぬ〜べ〜を強引にチャンネル争いに巻き込んだかと思うと、今度はぬ〜べ〜の為に手料理を作り出した。
しかし地獄の料理はとても人間の食べられるような物ではなく、ぬ〜べ〜はちゃぶ台をひっくり返した。
料理を拒否された眠鬼は気分を害し、人間の妹らしくしろと言うぬ〜べ〜に「そうしてるじゃない」と反発し
暴力に訴えた。対するぬ〜べ〜も鬼の手の封印を解いて応戦、最強の兄妹ゲンカが繰り広げられた。
自分の事をわかってくれないぬ〜べ〜に「お前はお兄ちゃんじゃない」と言って眠鬼は部屋を出て行った。
心配したぬ〜べ〜が捜していると、眠鬼は公園の遊具で眠っていた。涙を流して「お兄ちゃん…」と
寝言を言いながら。これを見たぬ〜べ〜は、一度に二人の兄と別れる事になった眠鬼が寂しかった事を
理解し、自分にも責任があると思い至った。一人っ子のぬ〜べ〜はなかなか気付いてやれなかったのだ。
ぬ〜べ〜は眠鬼を背負って宿直室に帰る。その後、深夜の宿直室になんともいえない悲鳴が響いた。
翌朝眠鬼が目を覚ますと、料理を平らげてダウンしているぬ〜べ〜の姿があった。眠鬼は喜んだ。
そこまではよかったのだが、眠鬼の料理はぬ〜べ〜の体に異常を来たしていた。
ぬ〜べ〜は怒り、教室で再び兄妹ゲンカを繰り広げる。
はたで見ている生徒たちの目にはこの二人がよく似て映った。
「なんかもう、本当の兄弟みたいね。」