1 :
1:
前スレまさかの容量オーバー
性懲りもなく再スタート
書きたい方はご自由に
2 :
ξξξξ:2007/04/26(木) 17:41:53 ID:XNpgtvGV BE:356334473-2BP(7670)
. \
ウ \___\ | / /
ル ,/ \ | _ / ___/
ヴ / \ | \ 読 や
ァ /____. \ │ /' \ み っ
リ / \ │. / \ に と
ン は / \ | / / き つ
で \ rt0ハ |. /. / た い
し い / j r-、! / の た
た / / / ゝノ \ か レ
w ・ / / Oi ヽ,..-──- く'`ヽ \ ? ス
w 〈 ,' Y' rd' 、t V \ を
w \─ / l ,/ rvォi' i ── \
r─── ` ,' ヾ. ' __j_ l ;;! /
\. / /i ヾ ゝ- ハ / /\
\/ ま i ゝ ヾ ', \/ / \/
ムヒ. / さ , ` l ,/
月ヒ. に l / `ヽ \
/ l l ヽ l , '" i \
一日千秋の思い出待っていました。
(ちょっと大袈裟かなw)
続きを頼みます。
『邪光』
聖帝軍の本格的な侵攻・侵略の報せが帝都に届いた…
暗闇…ジャコウは彷徨っていた。光がない。大きな恐怖を感じている。あてどなく逃げ回っている。
何から逃げているのかジャコウにも分からない。
そのとき暗闇を引き裂く強い光!それは十字型に輝き、ジャコウの暗闇に慣れた目を焼き焦がした。
ジャコウは目を押さえて苦しみもがいた。
すると、突然に手が現れジャコウの首を掴み力まかせに身体を持ち上げ、強い力でその首を締め上げた。
(い、息が…)
巨大な人影、赤く光る目…それを見たとき、ジャコウは夢から覚めた。
「はっ!ゆ、夢か…く、暗い、暗いからだあ!」
マイクを手にすると、感情を抑えることが出来ずに叫んでいた。
「暗いぞ〜!働かんか〜!早く明るくせねば全員ぶち殺すぞ〜!」
ハアハア…やがて光が強くなりジャコウの寝室を明るく照らし始めた。ようやくジャコウは冷静さを取り戻した。
「あ、あの影は…十字の閃光は…南斗…南斗…あのラオウを倒した南斗の聖帝か…」
バロナのエリアを壊滅させた南斗の拳士も結局発見されないまま。
その他にも元斗の将軍ソリアと引き分けるほどの男もいる。
そして何より南斗を統べる、悪の帝王と恐れられるサウザー。
元斗皇拳最強のファルコもジャコウが天帝を幽閉しているからこそ嫌々従っているのだ。
もし混乱の最中に天帝の居場所が知られたら、ファルコは間違いなく自分を殺す。
ジャコウは不安と恐怖で今にも狂いだしかねなかった。
『アイン』
予想通りだった。元バスク支配下のエリアからは、いくらかのの民が脱出を開始している。
もはや民の"脱獄"を止める司刑隊もいない。中は混乱の後、閑散としてるに違いなかった。
聖帝軍が現れれば、まず間違いなくこのエリアが最初の戦場になる。だが都民たちにも行くアテはない。
しばらくは離れて成り行きを見守るのが賢明…か。ん?あいつは。
俺は改造車のソファから飛び下りると、そいつ、賞金稼ぎ仲間のシダの元へ駆け寄った。
「シダ!おい!」 「!?あ、お前アイン、生きてたか?」
シダの顔は元々やつれていたが今日はまた特にひどかった。ここ数日のエリア内の様子を物語っている。
「ひでえ顔だな…何があったんだ?」
「あ?何言ってる。情報が命のハンターが知らないのか?」
「何をだ?」知らないふりで少し情報を探ろうとした。
「何って…あきれるね。聖帝だよ聖帝。悪名高き聖帝がこっちに向かってんだよ」
シダ…こいつは話好きな奴だ。ほっとけば何でも話すだろう。
腕はそこそこあるが一流のハンターになれないのは、このおしゃべりな性格だ。いつも獲物を横取りされていた。
「このエリアは聖帝との喧嘩に使われるからな。あと何日かすれば帝都の将軍がここを拠点にやり合うらしいぜ」
そんなことは聞くまでもない。俺が欲しいのは金になる話だ。混乱に紛れて何か稼ぎになるものを探している。
情報、軍の配置を聖帝に売るか。いや俺はハンター。ハンターにもちっぽけな誇りはある。
誇り…誰かに話しても笑われるだけだ。もしくは恐れられる。ハンターなど所詮は力だけの、能のないチンピラと変わりない。
アスカが成長したとき、俺は(生きていればだが)ハンターであるいうことを胸張って言えるだろうか。
以前はそんなこと考えもしなかった。誰かのために生きる。そんなことが俺の人生に起こるなんて思いもしなかった。
『レイとシン』
レイは荷物をまとめ終えたところだった。レイの背中を心配げに見つめるアイリ。
「じゃあ行って来る」
レイがドアを開けたときだった。「待て、俺も行こう」
奥の部屋から現れたのは、まだ青ざめた顔のシンだった。傷もまだまだ癒えてはいない。
「無理だ、その身体では、死ぬぞ」とレイはきつい視線を向けた。
「自分の身ぐらいは守れる」と言うシンだったが、それは怪しかった。だがレイもシンの性格はよく知っている。
「好きにしろ。だが俺はお前を助けんぞ。足手まといなら置いて行く」
シンは負傷でボロボロの身体を不自然に動かし歩きだした。
「シンさん、まだ無理です。兄さん、シンさんを止めて」 純粋にシンの身を心配してのアイリの言葉だった。
恐ろしい殺戮集団のリーダー…
アイリ自身も自ら眼を閉ざし、心を棄てた過去がある。暴力や殺戮への忌避感は人一倍だった。
だが自分が実際に見たシンという男は、気難しく繊細ではあるが、決して邪悪なようには思えなかった。
そしてシンが持つ拭えないような悲しみを何とはなしに感じ取っていた。
「よせアイリ。人の意見を聞く男じゃない。シン、来るなら早く来い」
シンは気遣うアイリの肩に手を掛け、眼で謝意を表すと家の外に出て行った。
一人残されたアイリ。だが今のアイリは強い。孤独に耐える力を得ている。戦う強さを身に着けていた。
シンが触れた肩…温かく優しかった。
街の外、荒野…
レイの早い歩きにもシンは痛み身体を引きずって、懸命にそのペースについていた。
レイはなぜ帝都を目指すのか自分でもよく分からなかった。シンが以前言った言葉、「義の星が疼く」…
「シン、さっきも言ったが俺はお前を助けないし、ついて来れないなら置いて行く。いいな」
シンは少しだけ笑って言った。
「いや、お前は俺を助けるし、置いて行ったりはしない。お前は義星の男だ」
本来レイの歩くスピードはもっと早い。シンは気付いていた。
7 :
マロン名無しさん:2007/04/26(木) 23:50:02 ID:wrv1+AnL
【男女7人★物語】
「南斗六星って、易者の六角形か八角形のボードに、北斗七星と一緒に載ってますよね」。
「十字形でもないし。十字形なのは南半球じゃなきゃ見えないし、それを南斗六星とは言わない。南十字星よ」。
「じゃあ、あいつらって何習ってたの?」
「いちおう、三斗は源流が同じだし、北斗はインドの原始宗教系だから・・・」。
「北伝仏教の経路で三斗が発祥した以上、南伝仏教にも似たようなのが附随していたんだろうな」。
「インドネシア系だと思う。だいたい、サウザーとかユダとかユリア、ハーン、バズ、ギルって西欧の人名だよな」。
「ユダも、日本でいう小早川とか津田みたいな感じなんだろうな」
「曲剣の投擲を主力にしてる奴いるじゃん、南斗。あれ、アボリジニーの猟に似てないか」?
「岐路は、インドシナだのの南洋から、いつ、どうやって、北伝仏教圏にあいつらが来たかにある」。
「旧世界の事はともかく、今、本物の南斗六星がどこで何をしているのか、だ」。
「我ら北斗七聖のように・・・誰かの領村か山奥で普通に働いているか、それとも・・・」
「途絶えてても、わからないと思う。でも、海の向こうには居そうな気がする」。
「海内に居なければ、サウザーも、天帝と総督も、各地の鬼畜も、誰も斃せない」。
「これも定めか・・・・・・」
「そういえば上平ってどうしてる?」
「和明か・・・ギリギリでシェルターには入れたと思うけど・・・・・・どうしてるんだろうな」。
「それで、我らの頂点が裏日本から戻るのはいつだ?」
「正直、向こうに留まって欲しい。できれば、サヴァの奥地から行けるらしい辺境国とかにすっこんでいて欲しい」。
「結果だけ比べたら、あいつが一番、人氏にを引き起こしてる。名実ともに、歩く氏跳星だよな・・・」。
皆さん、「エボリューション・ワールド」は北斗世界と似た点が多くて面白いですよ。
それと過去レスの「リアル北斗の拳」と題したヨウツベですが、元斗でも行けると思います。
衝撃波によっては、南斗も可。
8 :
マロン名無しさん:2007/04/27(金) 00:06:41 ID:ukDyYpuU
>>1 主(1)さん乙です。
前のスレ要領いっぱいになって書き込めなくなってしまいましたね(^^;)
1さんの作品読みました!本当さすがって感じです。
次回どうなるんだ?っていつもワクワクさせてもらってます。
自分の書いてる
【鉄の処女】
もまだ今のところ、批判?はないようなので、続きをまた書かせていただきます。ではm(__)m また楽しい作品待っています(^^)v
9 :
1:2007/04/27(金) 01:03:12 ID:???
>>3 ありがとうございます。テンション下がらないように気をつけます。
>>8 アイアンメイデンさんもありがとうございます。ご自由にご自分の世界を書き込んで下さい。
了解です(^^)v
11 :
マロン名無しさん:2007/04/27(金) 08:46:14 ID:O0lvJ8E0
【西暦2200年】
東グランドクロス帝国の寒村。核汚染の土壌が育んだ怪生物と、野に棲む変異した人間が増加し、組織的な動きをし始めた。
どうやら、彼ら(無性生殖をしたり、土から生えてきたりするのも居るけれど)をまとめ上げている個体が居るらしい。
人里を離れては生きていけない変異人類は「有害者」と呼称され、自助が不可能な者は淘汰されるのが普通であった。
そんな中、東グランドクロス帝国の都から使者が訪れる。この寒村に住む勇者が、サウザー12世の召集を受けたのだ。
「ついにあいつらとブッツカル日が来るんだな・・・」この山奥一帯でも右に出る者が居ない剣闘の名手、齢23のリュウキチは
座禅の姿勢で着座しながら、膝をパシッと叩いた。快諾の意図は、この心地よい音で充分伝わった。
そして羊皮紙の召集令状にリュウキチの署名を得た聖帝内政隊員は文箱にそれを納めると同時に、上座から村長が村の衆に指示を出す。
リュウキチが上洛するのは5日後、そして出立は次の日の出と同時だ。準備のため、にわかに慌ただしくなる中で、脚を崩すリュウキチに
内政隊員が問い掛ける。この隊員はこの村の出身だし、従者2名のうち1名もこの村の牧童である。
「お前の剣術だけじゃ、今まで何度氏んでるかわからん思う。しかも帝は、俺らを特殊部隊扱いで運用する気だ。皆、呼んだ方が良いぞ。わかるよな」。
産まず牝の自分と名実共に契ってくれたリュウキチと離れるわけにいかないMu(ミュウ)。農作業と獣や怪物の脅威に耐える期間が長すぎたというソウドも
牧童に代わって従者となり、一行は一路、帝都グランドクロス東区へと旅立った。朝焼けとレーリー現象、明けの明星、風や木々のざわめき、鳥の鳴き声が
一行を祝福しているのかどうかは・・・南半球に隠れている聖星座のみぞ知る。欠乏症と老化以外なら大抵が癒せる上に結界のようなものを創れる「赤紫光の」ミュウ、
人間同士の生活競争や生存競争に無敗の「上級都民」メンタス、山岳を自在に行き来する偉丈夫ソウド、そして勇者リュウキチの伝説が始まった。
【全員で好き勝手に続き等を創作しましょう】
12 :
マロン名無しさん:2007/04/27(金) 08:51:13 ID:O0lvJ8E0
【現代北斗】
北海道の上磯町と大野町が、光帝バランに切り取られた模様。
ラオウのパチモンにしては、現代国家を相手によく健闘してますよね。
そのうち、ムツゴロウ王国のように、東京23区内に市国を構えに来るかもね。
バラン様の前では、南米に小国規模の土地買うばっかしの某宗教団体がコウケツ未満の何かに見えます。
以上、拳法ウォッチング部通信掛が御伝えしました。
13 :
マロン名無しさん:2007/04/27(金) 09:01:28 ID:O0lvJ8E0
『エニグマ・スレの光帝』
探険に適した廃墟…に見えてシュウたちのレジスタンスが潜む拠点の一つ…
「シュウ様〜!」と部下の美神が走って来る。シュウよりも年上の立派な中年をこれほど焦らせる事態…。
「…こんなものが!」と呼吸乱れたまま美神は告げた。
美神が手にしていたのは剥がしてきた張り紙だった。
「シュウ様、見て下さい」と言ったあと美神は自分を恥じた。シュウは(表向きは)盲目…
とは言っても、シュウの言動にそれを感じさせるものは、ほとんどない。
シュウは足下の石を避けて歩くことさえする。美神には、まさにバブル期の霊能力者にしか思えなかった。
「こう書いてあります。日本語だけ…読みます」、美神はここで深呼吸した。
急いで走ったことによる息切れと前夜の不摂生、そして内容の深刻さを示している。呼吸とかを頑張る。
「聖帝食糧庫から精白米と小豆が各1俵紛失しました。藍染のツナギを着た部外者の目撃報告多数。
名乗り出た者には餅1kgと5000ジュドルをご家族に進呈の上、ご本人には新しく清潔な衣料と清酒1献差し上げる…」
美神が、どうしますか?という顔を向けているのがシュウには感じられた。
サウザーがまた何か企んでいるのだ。サウザーは近代プロパガンダの基礎中の基礎だけを知り尽くしている。
なぜこんなことになったのかは、シュウには分からなかった。
問題はそれではない。サウザーが廟を完成させたときには人材不足。それが問題であった。
(連夜の交尾による)肝臓への負担と、痛風の恐怖、この二つがサウザーのまともな頭の働きを抑制していた。
だが既に南斗にとって史上最大の強敵であった拳王はいない。
北斗の軍も急に動きが滞ってしまっていた。ケンシロウがさらに北にあるサヴァに旅立っていることをシュウだけは知らない。
サウザーは北斗神拳伝承者ケンシロウを待ち続けていたが、それは叶わなかったのだ。
14 :
マロン名無しさん:2007/04/27(金) 09:07:29 ID:O0lvJ8E0
『工期遅延の聖帝』(貼紙の原因・エピソードT)
「これが聖極輪だ・・・。そう・・・。ケツや膝を足より外側に出さないで・・・。そう・・・」。
「初歩の組技、とはいっても古流薙刀より激しいぞ。できるか?」「はい!」
「ねぇちゃん、ばててんじゃねーぞッ!もう20本!」「いけるいける!!そぉー!!」
清冽な青春の日々。これが流出北斗神拳。
そして、淡い恋心・・・。ああん、だめっ。身分が違うし、わたしは巫女。いけない・・・・・・。
「きゃーーー!!!!」「あッ、待てッ!!」
逃げた生贄を追うモヒの一団。生贄がオウガイ・ルームのある一角に逃げ込もうとした矢先、六聖の伝衝系網目状アタックがその身を
石材もろとも、穿つ。ボロクズの肉塊と化して転げ墜ちて来る生贄。「はぁー、危なかったぜお師さん」。
表の世界で、六聖はしばしば鹿西と隠語で記される。だがもう、そんなこの世の秘儀でさえ、石畳で昏倒しているボロクズには関係の無いこと。
それの容態を確認すると、顔を左右に振るモヒ官。彼の唯一の上着でもあるゼッケンは、なぜか緑色の太くて均質な十字形の紋章を戴く。
「やっぱし急ごしらえはだめだな・・・誰かいないかな・・・お師さん、俺はどうすれば・・・・・・」
『聖帝軍』
聖帝軍の本体五千を指揮するのは、元五車星・海のリハク。
暗黒時代の幕開け…リハクはそう確信している。非情の帝王サウザーが支配する世界、加えて愛娘トウを失った悲しさ。
ラオウに思いを寄せていたトウは、ラオウの死と共に自ら命を絶った。
絶望の淵にいたリハクであるが、サウザーから直々に五千の兵を預かると血がたぎってくるのを抑えられなかった。
(この老骨にまだ熱き血は流れていたか)
リハクは眠っていた能力、即ち軍師としての才を発揮するに相応しい場所を得た。
行進する聖帝軍本体の陣形にもそれが現れている。
この時代でも未だ高性能な狙撃銃が残っている可能性はある。遠距離狙撃ではサウザーとて暗殺されないとは言い切れない。
最大の組織、聖帝軍も実質はサウザーという一人の人間を軸に形造らているにすぎない。
天帝側がサウザーの暗殺に賭けて来る可能性は十分にありうる。
かと言ってサウザーは影武者などの身代わりを拒否する。
ならば、とリハクは陣形を拡げ、サウザーを中心とした巨大な円を形成した。
半径1kmに及ぶ陣形。サウザーの狙撃には最低でも1kmを超える距離が必要になる。事実上はほぼ成功不可になる。
もしミサイルでも撃ち込まれたら?念には念である。
その巨大な円型陣形の外に百名ほどの優秀且つ信用の置けるモヒ官を配置し、異常の発見に全力を注がせている。
やむを得ず狭い道しかなく陣形を崩さねばならないときも、先遣モヒ官たちが事前に徹底した調査を行なった。
もちろん基本的には陣形を維持できるよう、多少の遠回りをしてでも広く見渡せる進路を選んだ。
五千の兵がいても陣形が広範囲に及ぶため、兵の密度は薄くなる。だが守るべき主は最強の超人サウザー。
これでは暗殺などできよう筈はない。リハクの目をもってしてもスキはなかった。全くなかった。
16 :
マロン名無しさん:2007/04/27(金) 17:39:13 ID:IO67WoIu
有機物の理として「気」の存在する世界なので、地脈の一種として「気」脈、空気中の原子の作用としての「気」、等をイメージしてみました。
それら+核の炎、ということで。また、覇王がどうとかやってて天文現象がそれに連動するぐらいなので、メインキャラたちの戦いも作用していると設定しましょう。
ファンタジーRPGみたいな感じで面白く御創りください。アミバ流北斗神拳とか「有害者」の公国が出来ているとか、西側の聖帝とか皆様各自、
夢をお広げになってくださいませ。本編に登場した拳法も、バラバラに伝承されている方が楽しいですよ。
催眠術の流派の秘奥義が、フタを開けてみたら北斗虚無指弾だったり。まぁ、本編にも西洋風の衣裳とか、剣+盾というドラクエ・スタイルのモブも登場しておりましたが。
17 :
マロン名無しさん:2007/04/27(金) 17:47:04 ID:IO67WoIu
ミュウの子孫たちが使う「治癒魔法」も、体形だてて伝えられている科学知識に基づいて
「気」を使用するもの、というメカニズムにすると面白そうです。単純な特殊能力じゃなくてですね。
習えば誰でも身に付くような、でもこの時代では切実な知識を、魔法の一部とするのです。
ソードワールドだと、ソーサラーのレベルはそのまんまセージのレベルと同じように使えますよね。あんな感じもありますよね。
18 :
1です:2007/04/27(金) 19:40:32 ID:???
もし全面核戦争が起こったら…
人類は絶滅。
もし天変地異が起こったら…
食料不足、疫病に加え、核施設や原発から汚染物質が漏れ出す。
やはり人類は絶滅。
まさに北斗の拳とはファンタジー世界。
そもそも"気"なるものは存在しているようですが、
身にまとう・波動拳にするなどは現実的ではありません。
そして真空波も現実には起こり得ない現象。
多分私が妄想を書いて来た中でも、真空波という言葉は使ってないと思います。
衝撃波という言葉は使ってますが実際には、あるものが音速を超えたときに発生するものなので、
妄想伝においてはあくまで衝撃の波という扱いにしています。
もっとも…北斗キャラなら音速は超えそうですが。
私の世界観では魔法のような回復手段は登場しないでしょう。
原作ケンシロウの回復力は、まさに魔法のようですが。
あげくのはてに滝を逆流させてますし。
あそこまではやりません。ラオウの剛掌波が限界です。
そんな妄想にお付き合い下さいませm(_ _)m
19 :
1ですが:2007/04/27(金) 22:09:28 ID:???
強さ議論に誤爆してしまいました
かなり恥ずかしいです
21 :
1です:2007/04/27(金) 23:24:46 ID:???
ところが私は携帯からなのでバックアップしてません。
ただ内容はほとんど意味がないので流して下さっても…
馳星周の書き方をパクリで書いたものですし。
誤爆は本当に恥ずかしいですね。あのスレはハードなマニアが多いので。
叩かれているでしょうから、しばらく強さ議論スレは見ません。
22 :
マロン名無しさん:2007/04/28(土) 11:27:56 ID:WnNDbRDe
>>18 1様のは199X年式なので大丈夫かと存じますw
回復魔法といっても、癒しの掌みたいなんじゃなく、止血とか患部除去や、何かの活性化なんかを
イメージしております。単純な特殊能力にしたんじゃ、北斗妄想伝らしき面白みはうせますから。
元斗を源流に持つ術士の繊細さや的確な迅速さ、知識、そういったものとグラフィカルな「気」が
同時に働き、戦闘中にだって癒しの力が発動する。そういうのをイメージしております。
23 :
マロン名無しさん:2007/04/28(土) 11:33:39 ID:WnNDbRDe
真空波と伝衝波の違い、なかなか味わい深いですね。
作中でレイが真空波と称していましたが、リアルでも牛追い鞭の先端を音速だと思ってる馬鹿はたまに居ます。
あれは、先端が肉眼で視認不可なのと鞭がしなって凄い音が出ているだけなのですが、
ヘタにカマイタチの原理を科学知識として知っていると、そういう勘違いをするものです。
拙作の、「伊豆の島でトランシーバーを使うオウガイ」みたいな面白さが原作のレイにもあったんですね。
あれを聞いたやつらも、奥義の伝衝のことを真空波なのかな、とか思ってしまいそうだしw
それはそうと、「気」の微弱なものの実在、は興味あります。本当ですか?観測機械の作用でマニアックなものだから
素人には分からないとか、力の入れようが素人には分からないから気功技に見える格闘技とか、
そういうのとは別のものなのでしょうか。むっちゃ知りたいです。圧拳ですか?
サウザー伝面白いです。続き楽しみにしてますよ。
主とか言ってる奴は巣へ帰れ。
1945年、広島と長崎は核の炎に包まれた。
戦に敗れた日本は荒廃し、出征兵達の復員が終わらぬ中、
暴虐非道な第三国人や不良米兵が跋扈し、弱き者達は虐げられるままであった。
しかし、過酷な地獄の中で希望ある未来を求めて立ち向かった男がいた。男の名は中野。
後に不遷流柔術の師でもあった祖父の宗姓を受け継ぐ事となる義和門拳の継承者である。
『現場のモヒたち』
聖帝軍本体より数kmを進む先遣隊…
廃墟の隅々まで罠や伏兵の有無を確認中であった。地雷類もないとは言えない。
仕掛けられていたにしても聖帝本人に被害が及ぶことはまずない。誰よりも危険なのは彼ら先遣隊員たちである。
しかしながら聖帝先遣隊と言えば聖帝軍の中でも、言わば選りすぐりのエリート部隊である。
そしてここにいるモヒたちは、さらに上級職、特別先遣隊であった。
彼らも同様に、モヒカンで鋭い目をしているが彼らには生活上の優越権も与えられており、
特に妻子を持つ隊員にとっては比較的安泰と言える暮らしが確保できていた。
もちろんその分、現場では常に危険がつきまとっている。
双眼鏡を覗く隊員モヒが二つの人影を発見した。
太陽の照り付ける荒野、その二人は頭から布を被り会話する様子もなく、ただ歩き続けている。
片方の男は怪我をしているのが、その仕草で分かる。…だが、帝都の工作員かも知れない。
そのモヒ、イワータは二人の観察を続けた。すると健常な方の男が、こちらを見たのだ。
(こちらに気がつく筈はない…休息にこの廃墟を選んだ、のか?)すでにその二人は方向を変えこちらに向かい始めている。
イワータは特別先遣隊隊長シーカーに報告するために立ち上がり、物陰から移動した。もちろん目立たぬようにだ。
レンズが日光を反射して、こちらの存在がばれないようにも気をつけていた。
『シーカー』
シーカーは変態である。性癖が異常である。人を傷つけることが好きなわりに性行為ではドMである。
これ以上を述べるのは割くが彼が正真正銘の変態であることは隊員モヒたち全ての知るところである。
変態でもシーカーの能力は高い。強健で優れた戦闘能力も有している。
嗅覚、聴覚も優れ、特に視角である。両目に常時装備している、その奇妙なゴーグル。
かつての世界のスターライトゴーグルに似た形状である。遠くも近くも見えるのだ。
余談が続いたが、続いたついでながら隊員たちも彼の本物の目を見たことはない。
「シーカー隊長」とイワータは押し殺した声でシーカーに謎の二人組のことを報告した。
シーカーは常に興奮気味である。怒るという意味の興奮ではなく、いわゆる躁状態のようにハイテンションなのである。
「シャハハハ、隠れて様子を見て、殺すか」 舌が異様に長いため滑舌は良くない。
「身を潜めるように伝えろ」と不気味に笑う。
イワータは内心では疲れていた。能力が高くても変態……しかし今は力が正義の時代。
シーカーは垂れるヨダレを拭いながら隠れるために歩き出した。
腰に着けたこれまた奇妙な飾りは獣の尾のつもりなのだろうか。
長身を極端に前屈みにして歩く姿、その奇妙なゴーグル。まさに変態だった。
だが流石にシーカーである。いつの間にか気配さえも感じられなくなっていた。
イワータは他の隊員たちにシーカーの命令を伝えると、彼も建物の陰に隠れた。
『変態シーカー』
二人…シンとレイが先遣隊の潜む廃墟に到着した。
理由…レイは先ほど、監視されるような視線を感じたのだ。
その勘は当たっていた。このガラクタばかりの廃墟に複数の気配を感じる。
エリートぞろいの特別先遣隊も南斗の将二人とは比較にならない。レイは頭に被った布を取り、雑に畳んだ。
シンは頭から布を被ったままだ。痛む身体を休めるため適当な瓦礫に腰を下ろした。
当然シンも気配を感じている。だが殺気よりも緊張のようなものを強く感じた。
「おい、お前ら隠れても無駄だ。出て来い」
敵かどうかは分からない。だが、まずそれを確かめたかった。ただの野党ならそれでいい。見逃してやる。
もっとも、野党であれば、彼らの方がたった二人のレイとシンを見逃しはしないであろうが。
レイたちの上方、斜めに倒れたビルの壁面、シーカーが張り付いていた。
シーカーは変態である。ホモセクシャルではないが美形なレイを見て、彼の暗い欲望が疼きだした。
レイの澄ましたクールな顔を痛みで歪ませたかった。その痛みに苦しんだままの顔で逆に痛めつけられたかった。
シーカーは変態なのである。だが今は能力さえあれば変態を隠すことはない。シーカーはこの素晴らしい時代に感謝していた。
ポタッ…ボタタと思わずヨダレが地面に落ちた。
「おい!そこで何してる。降りて来い、変態野郎」
変態野郎…その言葉にシーカーは怒らなかった。むしろ興奮を覚えた。残酷な害意が彼を満たした。すぐにそれは殺意に変わる。
シーカーはトカゲのように壁を這って降りて来るとレイの前に飛び下りた。
他人を虐げる暗黒の悦び。ヨダレは止まらなかった。股間は痛いほどに膨張している。
レイも目の前の変態には正直なところ、引き気味だった。
30 :
空想伝:2007/04/29(日) 04:44:37 ID:???
【鉄の処女17】
ケン【シン!!正気か!】
シン【正気も何もない。ユリアを渡せば、貴様の命を奪うのだけは勘弁してやると言ってるまでの話よ】
ケンシロウはシンの豹変ぶりに戸惑っていた。
時間にして2、3分の時が流れる…
シン【返事がないようだなぁ…なら力ずくで奪うまでの事。】
ケン【狂ったか!シン!!】
シン【北斗神拳伝承者になれなかった貴様など敵ではないわーーっ!!】
シンが怒鳴りあげ鬼のような形相でケンシロウに飛び掛かる。躊躇していたケンシロウも飛び掛かるシン目がけて向かい撃った。
シン【南斗獄鷲拳】
空中で交錯する二人が地面に足をついた瞬間
ケンシロウの苦痛に満ちた叫び声と同時に彼の四枝から大量の血液が大量に吹き出し地面に倒れるケンシロウ。
31 :
空想伝:2007/04/29(日) 04:50:25 ID:JWeovRvx
大量の血液が大量に×
血液が大量に◎
でした(汗)
誤字なども幾つかあるかもしれませんが、大目に見てください。すいません(^^;)
32 :
空想伝:2007/04/29(日) 05:59:29 ID:???
【鉄の処女18】
【不快感】
涙を流しながら倒れたケンシロウに走り寄りケンシロウにおおいかぶさり号泣するユリア。
ユリア【ケン……ケン】
それを見ていたシンもまたケンシロウに歩み寄った。
シン【貴様ではオレに勝つとはできん!】
ケンシロウを見下すシン。
泣いているユリアにシンは【微笑】を浮かべながら、問いかける。
シン【ユリアァ…ケンシロウなど忘れ、今日からは俺の女になれ。】
血を流しながら倒れ苦しむケンシロウに泣きながら寄り添うユリアにシンの言葉など一片のかけら程も耳には入ってはいなかった。
ただユリアは必死にケンシロウに寄り添っている
その時、シンは自分の問いを無視したユリア…。愛し合う二人の様子が嫉ましくなり、無性に腹立たしく思えてきた瞬間でもあったのだ。
【ユリア】
シン。
そぅ…彼もまた一人の人間にして男…決して神などと呼べるものではない。
自分の好きな女が、目の前で他の愛する男を必死で助けようとする姿。
ユリアの愛を、一身に受けるケンシロウに【嫉妬】【怒り】【憎しみ】
と言う感情がさらに自身の体を駆け巡った!
何をしているわけでもないのに、胸の奥が締めつけられる思い。
胃がくすぐったいとも、痛痒いとも言えない…煮えくり返るようなこの不快感。
理由もなくシンの脳裏にほんの一瞬細い閃光が走った。
33 :
マロン名無しさん:2007/04/29(日) 06:01:50 ID:6HQC3bij
仕事で残業代もでない!
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私はそんな時、偶然、あるHPからこのビジネスに出会いました
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34 :
空想伝:2007/04/29(日) 07:37:37 ID:???
【鉄の処女19】
シンの命令で子分達数人がユリアを抑えつけ倒れてるケンシロウの両腕を肩に回し無理矢理起き上がらせる。
頭の中で何かが吹っ切れたようなシンは何くわぬ表情をし、無言で一本…二本と自分の指をケンシロウの胸に突き刺した。
指がケンシロウの胸にめり込む度に苦痛な表情を浮かべ「ぐぅぅぉ…」と声にならない声をあげる。
同時に目の前で自分の愛する男性の苦しむ姿をみるユリアも泣きながら
やめてぇーッ」と半狂乱になり訴えた。
しかしシンはやめない。
シンの指が勢いよく、一気に4本ケンシロウの腹部を突き刺す!
血だらけ男の目はカッと見開き断末魔の叫びをあげ最後に、「ユリア…生きろ」と言い残し全身から力が抜けたように、うなだれたのだった…。
ユリアもまた正気を失い
[イィィャヤァァァーッ!!」
と叫び、涙を流す。
これぐらいではシンの気持ちはおさまらなかった。
ユリアの目の前で憎いケンシロウを処刑しなければ、この気持ちは晴れない。
冷酷な殺人鬼と化したシンが力が抜け、首を下に向く男の顎を片手で持ち上げる。
シン【ユリア!お前の愛する男の最後をその目でしかと見届けよ】
そう言うと「死ねーいケンシロウ!!」と叫び、もう片方の腕を手刀と化し勢いよくケンシロウの喉めがけ振りかざした。
ユリア【お願いッやめてー】
と叫ぶが今度は逆にユリアの声がシンにの耳には入っていなかった。
35 :
空想伝:2007/04/29(日) 08:12:31 ID:???
【鉄の処女20】
シン自身の築き上げた巨大組織サザンクロスの街には今、雨が降っている。
シンが昔の事を振り返ってからどれ位時間が経過したのか、外は暗くなり雨も夕方に比べると勢いが強くなっていた。
生暖かい風がシンの体を優しく触れてくる…
トントン…
シンのいる居間のドアをノックする音が聞こえる。
シンが、ドアの向こう側でノックする者に「なんだ」と言うと、身長2メートルは越える太った大男が入ってきた…
ハート『‥もぅ今日は雨も強くなり、外も暗いので労働者達の仕事は今日は上がりと言う事でよろしいかな?シン様。』
シン『………ぁぁ…そうしてくれ。』
ハートに告げると、ハートは笑顔でシンのいる部屋を後にする。
シンは「ユリア…。」とまたひとり事を呟く。
強い雨の降るサザンクロスの街をシンはしばらく眺め、玉座に戻り横の小さいテーブルに置いてあるグラスに入った飲みかけの白ワインを飲むわけでもなく唇にグラスをあて、昔の回想の続きをはじめるのだった。
1さん、ちゃんと読んでるよ。がんがれ
37 :
空想伝:2007/04/29(日) 08:54:14 ID:???
【鉄の処女21】
ケンシロウの喉、目がけたシンの手刀の動きが一瞬止まると同時にシンの体に痛みが走った。
シンの手の平に小さな鉄のが刺さっている。
シン【クッ…誰だッ】
と声を高くするシン。
シンのいる位置から50メートル近く離れた場所に十数人の男達が立っていた。
その中の中心にいる一人の男が口を開いた。
男【そこまでだ…シン】
シン【!?…トキ…貴様!】
トキをはじめとする、十数人の男がシンに近づいてくる。
シンの目の前に来るとトキは
【語らずともお前が今何をしようとしているか位は目を見ればわかる…さぁ…‥ケンシロウとユリアを返してもらおう。】
シン『なぁにイィ〜!!』
対峙するシンとトキ。
シン『核で死の灰を吸い込んだ貴様に俺が倒せると?』
トキ『ならば試してみるがいい』
シンはわかってい。
トキ……奴は強い。核で死の灰を浴び病にかかるが、その拳は今だ衰えを知らぬ。
俺とは流派は違えど、北斗神拳の過酷な修業を完遂し北斗神拳伝承者になった男。
38 :
マロン名無しさん:2007/04/29(日) 09:13:41 ID:JWeovRvx
すいませんm(__)m
鉄の処女書いてる者ですが、もしお読みになってくださる方がいたらすいません…。
自分の書いてる分を今ざっと読み返したら【誤字】が幾つか目立ちました。
シンの手に鉄の刺さっていた×
シンの手に鉄の「矢」がささっていた◎
誤字がかなり目立ち恥ずかしくなりましたので書き込みはしばらく自粛してロムに専念することに致します。すいませんでした(>_<)
1さんと同じくメイデンさんも楽しんでいたので残念です。また気が向いたら続きお願いします。待ってます。
>>38 楽しみにしているので、近いうちの書き込みお願いします。
41 :
1:2007/04/29(日) 15:18:51 ID:???
誤字脱字なんて私も恥ずかしいくらいやってますよ。
そもそも誤字脱字よりも恥ずかしいのは妄想です……………
42 :
メイデン:2007/04/29(日) 17:32:18 ID:???
>>39 >>40 >>41の1さん。
ありがとうございます。
そう言っていただけると本当に助かります。
これからは、きちんと自分の書いた文を書き込む前に読み直すと言う形を取らせていただきます。
本当に申し訳ありませんでしたm(__)m
読んでいただいた、皆様のお言葉に甘えてもう一度続けさせていただきますm(__)m
駄作な文体をきちんと矯正いたしましので、ゆっくりペースではありますが、お付き合いください。
ありがとうございました。
『…』
レイと変態男の戦いなど見る意味もない。シーカーの長い舌が切り取られてボタッと落ちた。
少しの間、その舌はまるでトカゲの尾のようにのたうっていた。
シーカーは口を押さえながら、その切り取られた舌と同じように、のたうちまわっていた。
シンはシーカーのベルトバックルの紋章に気がついた。サウザーの偵察隊であることを知った。
だが、シンは一向に気にする様子はない。
それどころか、もしシンがシーカーとやり合っていたら、確実にシーカーは物言わぬ肉塊になっている。
シーカーの舌を一瞬で切り取る技を見ていた他の先遣隊員は、それが南斗聖拳であると確信した。
シンの方も立ち上がり、頭に被っていた布を取った。
その顔を見て隊員たちは隠れるのをやめた。無駄だからだ。平謝りを通すしかない。
何を謝るのだろう。こちらはただ罠の有無を調べていただけだったが。
「サウザーの軍だと」とレイの顔つきが変わる。悪の帝王、レイはシンがサウザーの配下になっていることを知らない。
「よせ。お前ではサウザーには勝てない。どうあがいてもな」
プライドに障ったが事実であることは否めない。
「レイ…行け」 「何?シンお前はどうする気だ」 「…」
「そうかなるほどな……今のお前は負傷している。だが、もし今度会えば、そのときは敵…かも知れんな」
「これのことを」と包帯に巻かれた身体を示し「感謝する」
「感謝するならアイリにしろ」と背を向け立ち去ろうとしたが、
「いや、妹には近付くな」とそれを捨て台詞にレイは去って行った。歩く早さはさっきまでよりもずっと早かった。
44 :
空想伝:2007/04/29(日) 19:11:34 ID:???
【鉄の処女22】
【北斗神拳伝承者トキ】
トキは無言でシンの前に立ち彼の顔を険しい表情で、ただ黙ってみつめている。
トキと動向していた一人の男がシンの子分達からとっさにケンシロウを解放し抱き寄せる。
男『おいッッ!!ケンシロウしっかりしろッ!』
ケンシロウは閉じていた目を少し開き「兄さん…ユリアを…。」
虫の息でケンシロウが言う。
ユリア【ジャギ…ケンが】
ユリアの一言でジャギもこの状況がどんなものなのか、把握できたようだ。
ジャギが「もう大丈夫だからな!!ケンシロウツ!」と声をかけ、優しい眼でみつめ、虫の息のケンシロウをトキの弟子と思われる男にそっと渡す。
ジャギ【おいッ!シン!てめえッ!何て事しやがる】
シンは近くにいるジャギを軽く見下したような目で
シン【フッフッ…トキの犬か】
と言い放ち薄ら笑いの笑みを浮かべている。
シンの一言にジャギが怒りを露にする。
ジャギ【なにぃ〜】
トキがジャギの胸に手を置き「よせ…気にするな」と言いジャギを少しなだめるがジャギのシンを睨み付ける眼は収まっていない。
ジャギの善人化笑ったw
46 :
メイデン:2007/04/29(日) 20:26:18 ID:???
ジャギの善人化…
本当に笑ってしまいますね(^o^;
この設定ではジャギも認めるトキが北斗伝承者…
と言うことなので、こうなってしまいましたw
と、言っても全て妄想の世界なのですが(汗)
ジャギの悪人ぶりをその分シンに注ぎますので、スローペースではありますが、お付き合いくださいm(__)mでは、またゆっくり続きを書かさせていただきます。
余談ですが1さんの作品に誤字などありませんよ(^^)
1さんの作品毎回楽しみに読ませてもらってます。
『覇者』
シンは先遣隊と共に聖帝軍本体に帰還した。…徒歩である。目立つ行動ができないのでやむを得なかった。
広く陣取ったサウザーの行軍。シンはサウザーの訪れを待った。やがて玉座付きのバイクが視界に入った。
いつもサウザーの座りポーズは変わりない。その左右、馬上の男、リハクとそしてシュウ。
なぜシュウがいる?だが今更シュウに話すことなどない。
サウザーが上級モヒ官に手で合図を送ると、上級モヒ官は「全軍!止まれ〜い!」と声を張り上げた。
巨大な陣形のままに行進を続けているサウザーの軍勢である。
ポイントごとに配属された士官モヒが、止まれの声を末端までリレーのように伝えてゆく。
すぐにサウザーの軍五千のモヒたちが起立の姿勢をとり、直立不動で待機していた。
シンの方を振り向く者もいない。全モヒが真っ直ぐに前方を見据えている。
もはや荒くれ者をまとめただけの集団ではない。彼らは軍人であった。
サウザーの持つ権力…まさしくそれは覇者のものだった。
「どうした?ローンイーグル」 記録官がサウザーの言葉を記す。
「何やら傷を負っているようだが」 いつもの座りポーズとセットの不敵な王の笑み。
「ちょっと事故にあってな」 しかしその帝王を前にもシンの態度には、へつらうどころか畏れの気持ちさえも見えない。
サウザーはそんなシンを今では気に入っていた。帝王の器量の大きさである。
「しばらくここで休んでいるがいい。世話係りも与えよう。そうすれば明日にも、遅くとも明後日には現れるだろう」
「何が現れるんだ?」 「貴様を慕っている連中だ。貴様を心配で仕方ない輩がサザンクロスを後にしている」
「何?サザンクロスから…」
「奴らはこの聖帝よりも貴様…キングに仕えたいようだ」
サウザーは行軍を再開した。シュウはシンに何かを言いたそうであったが、結局一瞥しただけだった。
世話係りを拒否したシンに五千の軍勢が残したもの、食料と水、そして夥しい足跡と砂埃だけだった。
48 :
空想伝:2007/04/29(日) 22:02:22 ID:???
【鉄の処女23】
ヒートアップしてるジャギとは逆にトキは静かにシンと向かい合っている。
側ではトキの弟子と思われる男たちがケンシロウに今できる最大の応急処置を施していた…。
ユリアはケンシロウを泣きながら見守り‥
シンの連れている子分達十数人の表情はトキの出現により少し動揺を隠せずにいる様子。
「チッ…」ジャギが舌打ちを打つと向かい合うシンとトキから離れ、ユリアに近づき
「心配すんなぁ、ユリアァ…この程度でケンシロウは死なんからもう泣くのはよせ……。」
と一言ユリアに激励の言葉と蒼い色のハンカチを手渡した。
トキがシンに対して「これ位にしておけ‥」と言い放つと同時にシンはトキが放つ異質な雰囲気を肌で感じていた…
シンも拳法家にして、一つの流派の頂点にまで登りつめた男。
向かい合う男の異様に放たれる殺気を肌で感じないはずはない‥
シンもそのトキの放つ雰囲気に臆する事はなかったが少し考えた……
今この場所で殺り合えば自分が火を見るのは明らか。
北斗神拳の使い手二人相手に見習いと言えど北斗神拳を学ぶ拳法家達。
自分の方と言えば町のゴロツキ共。
明らかにシンにとっては不利な状況。
それはトキもわかっていた。
ジャギはユリアを心配そうな眼で見つめていた…
>>47 文も上手だし、キャラもちゃんと掴んでて、話も面白いです
>>48 ジャギが好きになりそうw
50 :
空想伝:2007/04/30(月) 01:00:43 ID:???
【鉄の処女24】
目の前にいるトキにシンが口を開いた。
シン【トキ…今日の所は引きあげるとしよう!‥…だがなッ!ユリア!!…俺はまだお前をあきらめたわけではない!!】
シンの暴言にトキは何も語る事はなかった。
シンは悪魔のような気味の悪い笑みを浮かべ
「ケンシロオォ‥首を洗って待っていろ!!」
と最後に言葉を残し、彼はトキ達の前から姿を消したのだった………
………あれから2年近くの月日が経過した…
唇にあてていたグラスの中に半分ほど残っている、ぬるくなった白ワインをシンは一気に飲み干す。
一息つき、玉座から立ち上がり居間の奥にある全身がうつる、等身大程ある大きな鏡の前に立ち自分の姿を鏡に晒してみた。
気のせいではなかった‥…。
こんな事は今さら思う事でもないが、明らかに2年前の自分とは鏡に写る自分の顔つきが変わっていると言うこと。
『キング』
次の日…朝を越え、昼になり、ついには陽も傾きはじめていた。
シンの性格上、じっと一ヶ所に止どまるのは困難だったが、受けた傷がある。この際とばかりに彼は回復に努めた。
そうしていると、遠くから砂煙が上がるのが見え、それがバギーであることが確認できた。
侍女たちまでもが同行していた。女たちは慣れた手つきでシンの汚れた服を脱がし包帯をとる。
次いで手際よくシンの身体を清拭した。元看護士のモヒが包帯を換え、新たに巻き直す。
侍女たちが新しい服をシンに着せてゆく。キングの色、紫の上下。最後に白いマント。もちろん血の十字架の紋章。
駆けつけたのは30人ほどしかいなかった。そのうちに侍女が三人…
キング組織は既に聖帝勢力に吸収されている。聖帝領内の特別自治区サザンクロス。
だがここに来ているモヒたちのことはよく覚えている。
拳王軍との戦いを前に、あの絶対的に不利な状況でも、いや絶望的な状況でもシンを信じた男たちだった。
着替え終わったシンの姿は神々しかった。
サウザーに言わせれば帝王とは帝王になるべく生まれて来る。
シンは生まれながらにキングなのだ。一人で荒野を行く、そんな男ではない。
バギーに乗り込み立ち上がると、
「行くぞ!」と声をあげた。
モヒたちもそれに応じて声を張る。
「ヒャッハー」 「オラッハー」 侍女たちまでもが手を振り上げていた。
「開戦」
高い壁を利用しての落石攻撃や火矢、聖帝軍も攻めあぐねていた。
リュウガとシュレンの両将軍も合流し聖帝軍は七千を越えている。
軍師リハクは敵拠点であるエリアを包囲しているが、わざと逃げ道を与えてある。
追い詰めすぎれば、何よりも強力な死兵と化す可能性がある。
リハクも軍師として燃える思いで戦況を見守っている。彼としても、できるだけ犠牲は少なくしたかった。
まだ今後も帝都にまで攻め上がるのである。だが今の彼は昔とは違う。冷静な戦力判断のためだけではない。
兵士たちの命を重んじていた。かつてしていたように、将棋の駒のように見なす感覚が無くなっている。
年をとり丸くなったのか、あるいは人としての円熟か、なんであれリハクの軍師としての手腕は陰りを見せていた。
「リハクよ」 「は!」とサウザーの前で片膝と右拳をつき、リハクは険しい軍人の目を向けた。
「ぬるい!」 「は?しかし下手に突撃させては犠牲が多…」「下らん!こんな戦いなど所詮は足止めに過ぎぬ」
サウザーが立ち上がった。マントが波打つように翻る。
「兵を一点に集め、一気に押し込めろ!包囲などは聖帝の戦いではない!前進し、制圧しろ!
そうなれば敵兵も押し寄せる数に圧倒されよう」
「しかし被害が…」「下らんと言っている!」またもやサウザーはリハクの言葉を遮った。
「無駄に長引かせれば、それだけ犠牲も増えよう。攻めろ!ただ攻めろ!
やつらに示せ!この聖帝には足止めの時間稼ぎさえもすること叶わぬとな!」
「は…わかりました」 「リハクよ、老いたな。昔の貴様なら俺に言われるまでもなく、兵を突撃させていたであろう」
リハクは自分の老いを確かに感じていた。久しぶりに熱くたぎった血は錯覚に過ぎなかったのか。
錯覚ではないにしろ、温度は低くなっていたのだ。
53 :
空想伝:2007/04/30(月) 02:27:11 ID:???
【鉄の処女25】
力と暴力が支配する時代で今や一国の王とも謡われる日本一の巨大組織
『KING』
全国に散らばる兵の数を全て合わせれば1万を越えるとまで言われる兵隊達の数。
…そしてシンの王国サザンクロスを築き上げる奴隷達を従え、若くして一国の【王】にまで成り上がった男シン…‥
そんな栄華を極めた男だが鏡に映る姿はその築き上げた繁栄とは裏腹に、その顔は決して幸福とは言えない面持ちをしていた。
血色が悪く白くなった顔。眼の下には黒い【クマ】がはっきりと浮かび上がっている。それに感情ない冷たい瞳!
全身からはどことなく悲壮感を漂わせる雰囲気をかもし出していた。
だが本来、彼の容姿は決して悪いものではない‥女性受けする、きれながな瞳…スーッと通った見事な鼻筋と高い鼻。女性のような美しい髪質。どことなく中世的で気高い容姿。
のはずなのだが略奪‥殺戮…一家族惨殺。公開処刑など…人々に恐怖を植え付ける残虐な行為を幾度となく繰り返すたび……。
彼自身の王国が繁栄するのに【比例】し彼の顔付きは徐々に悲壮感が増していくのであった…
『紫光』
状況が一変した。ついに城壁を乗り越えた聖帝軍兵士がエリア内で暴れ始めている。
ソリアはそれを、郡都の庁舎最上階から黙って見下ろしていた。
こうなっては敵兵の侵入を防ぐ手立てはない。すぐにもここに押し寄せて来よう。
ソリアは目を閉じた…
片目はファルコとの戦いで失っている。恨む気持ちはないが拳士としての劣等感は消えないままだった。
だが伝承者以来と言われる金色の闘気をまとう男ファルコ。闘気の色は生涯変わらない。
ソリアは自分の命も今度こそ尽きると覚悟している。ファルコを支える…そのために自分は子供を作らなかった。
ファルコに捧げたのだ。そのことに後悔など微塵もない。そんなソリアに付き従ってくれた兵たちも…全滅が近い。
逃げろと命令した。彼らは初めてソリアの命令を聞かなかった。
防備の施された帝都で戦うことではなく、このちっぽけなエリアでの戦いを選んだ理由…
最期は帝都の将軍としてでなく、一個の拳士として戦いたかったから。その申し手をファルコは快く受け入れてくれた。
最後の握手、抱擁は熱かった。
最期を飾る男…シュレンは来ているのだろうか。
部屋の外が騒がしくなる。怒号、部下たちの叫び。ドアが蹴破られた。
「うらあ!」と聖帝軍兵士が襲いかかって来る!
紫の閃光!モヒたちは一瞬にして引き裂かれた。その切り口からは蒸気が出ている。
紫…高貴な色でもあり信仰心を表す色でもある。
孤高の将軍ソリアの最後の戦いが始まった。
55 :
1:2007/04/30(月) 03:02:28 ID:???
アイアンメイデンさん燃えてますね。
私もシン厨(他にユダとサウザー厨)なのでうれしいです。
私の多少美化したシンでなくリアルなシンもいいですね。
ま、リアルでも決して真悪人ではないですし、一途な愛と不器用な上に力があるための暴走、シンは魅力的なキャラクターですね。
訂正
>>54 ×伝承者以来と言われる金色の…
○創始者(または初代伝承者)以来と言われる金色の…
良スレですね
楽しみです
58 :
空想伝:2007/04/30(月) 03:39:48 ID:???
【鉄の処女26】
鏡に映る自分の姿に死臭がする事など彼自身が一番良くわかっていた。
だが…ここまで来たらもう止める事など出来ない事も彼は重々承知している。
これも全て愛するユリアの気を引きたいがためにしてきた行為。
ユリアも一国を築き上げ、王になった今のオレを見れば必ず気が変わるだろうと…
女は富や権力に弱い…と無理に自分自身に暗示をかける。シンは狂ったような微笑を浮かべながらニヤリと笑った…
シン『フッフッフッフフフ…ユリアァァ〜…待っていろ。必ずお前をみつけだして今度こそケンシロウから奪い獲ってやるからな…フッハッハッハッハッハッハッハ!』
高笑いをするシンの前にある鏡に映る彼の姿は冷酷な悪魔のそれを晒し出していた…
「キングーー」ノックなしでシンの居間にモヒ三人が若い男女の両手を後ろ手に拘束し入ってくる。
どうした?とシンがモヒの一人に声をかけた。
「ハイッ!こいつ等このサザンクロスから脱走しようとしてたんで捕まえて、今ここにつれてきやした!どうします?キングッ!!」と一人のモヒがシンに詰め寄った。
無言で男を睨み付けるシン
男『……お…お願いです助けてください…もぅこんな奴隷生活はまっぴらだ』
男の隣で女は黙って泣いていた…。
『帝王の横顔』
目が見えないながらもシュウにははっきりと感じ取れた。
強引な突撃により多大の犠牲を払ったが、聖帝軍は城壁を見事に攻略した。中から門を開き、さらに兵士たちがなだれ込む。
その光景をサウザーは不敵な笑みのまま、動ぜずに眺めている。
多大の犠牲……シュウは思い知らされた。そして理解した。
自分を、レジスタンスとして小さな反抗を続けている自分をあっさりと赦したワケを。
兵士たちは自分の意思に関わらず、命令どおりに進み、そして死んで行く。
南斗白鷺拳を極めたシュウも個人としては絶大な力を持つ。だが…否応なくこれほどの人間を動かすことは出来ない。
聖帝…圧倒的な権力に加え、個としても最強の戦士。
サウザーにとってシュウのレジスタンスなどは、結局のところシュウを中心にした雑魚の集まりに過ぎなかったのだ。
さらに端的に言えばシュウ一人の抵抗だったのだ。サウザーは力でシュウを屈伏させるのではなく、
シュウ自身の心から敗北を認めさせたかったのだ。それに気付いたシュウは同時に認めざるを得なかった。
サウザーは圧倒的に帝王、圧倒的に勝者だった。北斗神拳伝承者ケンシロウに賭けた思いも淡い夢に過ぎなかった…のか?
サウザーは正面を見たままでシュウに振り向きもしない。だがシュウには分かる。
その横顔は語っている…「これが生まれついての帝王なのだ。貴様らは皆、それ以外の下郎にすぎぬ」
シュウは馬上で力なく息を吐き出すと眉間にシワを寄せた。仁星は何も変えることが出来なかった。
60 :
メイデン:2007/04/30(月) 04:14:05 ID:???
>>55 1さん。お疲れです!!
今日はなぜか頑張っちゃってます。
確かに今自分の持つシンと1さんの持つシンが時々重なってますね(^^;)
自分1さんの描くシンとっても好きですよ。
個人的におそらくあの姿が本来のシンだと思います。シンは真の悪人ではないと思っています。
自分のは1巻の頃の残虐なシンなのかもですね!
その辺はちょっとうまく言えないですけど…(汗)
自分も同じくサウザー、ユダは大好きです。
1さんのサウザーマジ最高ですよ!
続き本当に楽しみにしてます。
ソリアはどうなる?
それでは続きを書かせていただきますm(__)m
61 :
空想伝:2007/04/30(月) 05:37:24 ID:???
【鉄の処女27】
サザンクロスを脱走しようとして捕らえられた若い二人の恋人と思われるうちの男の方がシンに逃がしてくれと必死な形相をして訴えかける。
毎日拘束された奴隷としての過酷な生活に嫌気がさして【自由】を求めようとした若い二人の男女…ただそれだけの事だった。
シンは冷酷にも一言「できんな…」と男と女に言い放った。
その冷たいシンの言葉に男の頭には血が上りシンに吠えた…。
両手を拘束されても気の強い若い男
男『お前達は人間なんかぢゃない!鬼畜以下の存在だ!悪魔め』
と言い放つと同時にモヒ達に軽く肩を掴まれていた手を振りほどき、目の前にいるシンのさらに近くまで詰め寄った。モヒ達が「コラァ」と言い、もう一度捕まえようとするとシンは「待て。」とモヒ達に小さな声で促す…。
男はシンの目の前まで近づく。
会話をすれば相手に自分の鼻の息があたる位の超至近距離!
もう少しでシンの鼻と男の鼻が触れそうな位の距離で男はシンの眼をじっとそらさず睨み付けていたのだった。
62 :
空想伝:2007/04/30(月) 07:02:20 ID:???
【鉄の処女29】
両手首を縄で拘束されても何一つ臆する事なくシンの眼をじっと睨み付ける勇気ある若者だった。
モヒ達三人も女の肩を掴むのを一旦やめ、向かい合うシンと若い男の異様な光景に釘付けになっていた…
若い男の息がシンの口元にあたる…
男はシンに「オレの命はどうなっても構わない…だ…だから…だからせめて彼女の命だけは奪わないでくれ…頼む」
愛する女を守ろうとする若い男の言葉と瞳に涙を浮かべるも、ぐっとこらえる強い男の【眼】はシンの心の急所を獲ていた…
男の言葉と本気の眼がシンの心の的を貫いた瞬間でもあった。シンの心に不快感と言う心にのみ伝わる痛みが体を襲う。
シンは必死で目の前の男に気取られぬよう平静を装う。
彼の放つ言葉はなぜか【真】に迫るものがあった。
彼氏である男の言葉を耳にした女はそれを聞き‥イャァ…。と言い今度は声を出し、泣きはじめた。
まわりで聞いていた荒んだ心のモヒ達も微妙にその言葉が胸を打った瞬間だった。
不快感が襲うも必死で平静を装うシン。
時間にして1分弱…男の目の前で今日は不思議な一日と思い始めるシンであった…
63 :
メイデン:2007/04/30(月) 07:36:25 ID:???
↑
【鉄の処女28】の間違いです。
サウザーがカッコイイ!
最近外伝やってますが、個人的に1さんの小説をサウザー伝として
見たいです
65 :
マロン名無しさん:2007/04/30(月) 12:10:17 ID:TvQDupWJ
西暦2200年の続きを創作して、1さんとメイデンさんへの謝意にかえようぜ。
お前ら、ROMるだけでしまいなのか?
拙作のキャラクター「ミュウ」の魔法発動についてですが、フリーゲームの「闇の花」に似ていると思います。
特殊能力だったら、体術(アッパー)でも回復魔法でも何でも、発動は1ターン後なんです。
元斗を源流に持つ術士の魔法発動も、あんな感じのをイメージしております。
こういうタイミング、ジュウケイとかでも共通すると思います。
そういった溜めが無いのも有ります。高いレベルと強い技になると即時発動で、この辺りは
南斗聖拳の光線技に近いように思います。ゲームの方も是非、一度プレイしてみては。
「モンスターガルド」も面白いですよ。
『ソリア』
明日は生きていない……ならば今日、何を気にすることがあろうか。
元斗皇拳の闘気量は南斗聖拳の比ではない。闘気の爆発的放出を連続するなら身体・内臓が損なわれる。
ソリアは多数の聖帝兵を前にパワーを抑えようとした。
だが見渡せば倒れているのはソリアの部下たちばかり。ソリアに殉じた忠節なる戦士たちの屍。
一転、ソリアは一撃一撃の拳、技に己の持つ全てを乗せた。体力、気力、怒り、悲しみ、殺気、時間、愛憎…そして命を。
聖帝兵が着込む簡素な防具も盾もソリアの闘気の前に、まるでその意味をなさない。
ッバザン!!「ぶあら!」「ちゅべ!」
「さあ!聖帝の兵士たちよ、この紫の光を操る元斗皇拳のソリア!止めてみい!」
モヒたちも、ある程度は闘気についての知識を持っている。闘気は無尽蔵に使えるわけではない。
ソリア相手に勝ち目はないはずだ。だが勇猛なモヒたちはソリアが気を練り込む瞬間を狙う。
ソリアが一瞬でモヒたちを切り刻み、血と糞尿の悪臭が漂う。加えて焦げ付く匂い。ソリアが呼吸を調える。
「今だ!」とモヒたちが一斉に飛び掛かる!ある者は槍、ある者は剣で…無駄であった。
紫の膜に阻まれモヒたちはソリアに近付けなかった。直後モヒたちは、ソリアの手がさらに強く紫に光ったのを見た。
モヒ士官「くっ、だめだ!手に負えん。引け!引け〜!」
殺気立ったモヒたちで賑わう庁舎のエントランス…カッと紫光が閃く。モヒたちではどうにもならない。
モヒたちは恐慌状態で逃げ始めた。
ソリアを遠巻きに見、囲みながらも、手出しは出来ない。
「どけい!うぬらでは俺を倒せは」と力を込め、「せん!」 ブワ〜と闘気に圧せられモヒたちの顔肉が押される。
逃げ帰るわけにも行かないモヒたち…頼みの綱はサウザーの決断だけである。
『黒の拳士』
サウザーも異変に気が付いた。兵たちがエリアに突入出来なくなっている。
「フフフ…いよいよ出て来たか」 ついに目にすることになる元斗皇拳。そしてこの侵略が終われば、もう見ることはない。
既に開かれた門からモヒたちが後退りしながら、おずおずと出て来る。背後のサウザーを気にしている。
しかしいくらサウザーを恐れていても、この目の前の怪物には全く歯が立たない。
(聖帝様…早うしてや!こんなん敵うわけないやん!無駄に兵殺してもいいん!?はよ!はよ!聖帝はん!?)
ついにソリアが姿を見せた。門に立ち大声でサウザーに呼び掛ける。
「我が名は帝都三将の一人にして元斗の拳士!紫光のソリア!侵略者聖帝よ!貴様の覇道、ここにて止どめてやろう!」
「フフ、小生意気な…よかろう」と立ち上がりかけたとき、「お待ちを、聖帝様」
黒い鎧、黒いマント、黒ずくめの男…シュレンは右膝と拳を地に付け高い玉座のサウザーに、横やや後方から話しかけた。
「何だ?」とサウザーは不機嫌そうな顔を向けたが、シュレンの言いたいことは読めた。
「んなるほど…以前に貴様がやり合った元斗の拳士、奴か」
「はい。どうか…ここは私に」暗い声、暗い目、氷将シュレン。
「よかろう」とサウザーは不敵な笑みを浮かべ、また遠くのソリアに目を移す。そのままで、
「シュレン…この聖帝の覇道の宴に、興を添えよ」
シュレンは無言でただ頭を下げた。
上級モヒ官「転進!転進!」 サウザーの前では"退却"とは言えないのだ。無論、後退も同様。
(うわあ、助かるでえ。ほんまたのんますわあ、聖帝はん。あと少しでチビるとこですわ)
と内心泣きたい気持ちを隠してモヒたちは一時退却を始めた。
退却した聖帝兵が起こした砂埃の向こう、再戦を約束した黒ずくめの拳士、シュレンがこちらに歩いていた。
68 :
マロン名無しさん:2007/05/01(火) 16:50:18 ID:SRyQhZpJ
西暦2200年の続きを創作して、1さんとメイデンさんへの謝意にかえようぜ。
お前ら、ROMるだけでしまいなのか?
拙作のキャラクター「ミュウ」の魔法発動についてですが、フリーゲームの「闇の花」に似ていると思います。
特殊能力だったら、体術(アッパー)でも回復魔法でも何でも、発動は1ターン後なんです。
元斗を源流に持つ術士の魔法発動も、あんな感じのをイメージしております。
こういうタイミング、ジュウケイとかでも共通すると思います。
そういった溜めが無いのも有ります。高いレベルと強い技になると即時発動で、この辺りは
南斗聖拳の光線技に近いように思います。ゲームの方も是非、一度プレイしてみては。
「モンスターガルド」も面白いですよ。
モヒの心の声ワロス
『再戦』
ソリアは陥落寸前のエリアの門前で仁王立ちしている。既に帝都軍の兵士はいない。
ソリア一人が倒れれば、このエリアは落ちる。だがソリアはこのエリア最後の一人にして最大の難敵である。
向かい合うシュレンとソリアを、やや離れてアーチ状に聖帝兵が囲む。
「…」 「…」二人は無言で向かい合っている。互いのコンディションを確かめている。共に好調と確認した。
「このまえは、邪魔が入った。今日こそ改めてケリをつけるか、シュレン」
「囲まれていてはやりづらいか?」 二人の周りは聖帝兵たちだけ。ソリアにはアウェイ状態である。
「フッ…気にするまでもない。そちらこそ、味方の前で恥をさらしたいか?」
が、シュレンの表情には何の変化もない。シュレンの心…炎は氷に、永久凍土に覆われている。
ソリアは続ける「周りに敵しかいないなら、遠慮はない。逸れた闘気に巻き込まれるのはお前らの兵だけよ」
聞いていたモヒたちが思わず後退りし、二人を囲んでいたアーチが広がる。
するとサウザーが、「我が聖帝の兵たちよ、二手に分かれよ。戦いが見えん」
普通の声量であったが連鎖反応的にモヒたちが左右に分かれてゆく。幾人かのモヒが何かに脚を引っ掛け後ろに転ぶ。
その何か…モヒたちの死骸。多くのカラスが姿を現し始めている。"できたて"の餌。これにやがてはネズミも参加する。
弱者はそのネズミを捕らえて食らう。そいつが死ねば、それをまたネズミが食らう。死の食物連鎖…
ソリアはシュレンの後方にサウザーを見た。脚を組み、拳でほおづえし、傲慢無礼で邪悪な笑み。
『再戦2』
眼前の男、シュレンは決して楽に勝てる相手ではない。まずはこの一戦に全てを賭けねば敗北は必至。
前回の戦いはソリアが優位に進めたが、最後にシュレンが繰り出した奥義はソリアを追い込んだ。
シュレンは元斗皇拳を知った。ソリアもシュレンの底を見た。この戦いは互角の展開となる。ソリアの読みだった。
ソリアは燃えた。ソリアの両手が紫の輝きを帯びる。元斗皇拳の意地、サウザーに一撃を与えたかった。
同時にこうも考えた。聖帝がここで元斗皇拳を知るというのは、ファルコにマイナスに働くだろう。
しかし、聖帝が自分の拳技を見て元斗皇拳を知ったつもりになれば、それはファルコにプラスに働く。
拳士である以上、今でも悔しい思いが消えないが、ファルコの力は自分をはるかに凌ぐ。
聖帝の力を測りたいが、シュレン以下ということは有り得ない。
ソリアは集中に欠けていたことに気付いた。それはスキ以外の何物でもない。だがシュレンはそのスキを突かなかった。
「行くぞ、ソリア」とシュレンは静かに告げた。
注意をこちらに向けよという無言の訴え…ソリアは恥じた。先のことを考える時ではない。
「すまぬ、シュレン」
今集中すべきはシュレンとの戦いのみ。ソリアは両手を紫に輝かせたまま、頭を下げずに謝った。
先のことを考える…先のこと……どう長引いても、そして仮にシュレンに勝利しても、どの道すぐに尽きる"先"だった。
改めてこの戦いに全力で臨む。それだけのこと。ソリアはそう独りごちた。
72 :
マロン名無しさん:2007/05/02(水) 13:12:25 ID:mwehbPwe
西暦2200年の続きを創作して、1さんとメイデンさんへの謝意にかえようぜ。
お前ら、ROMるだけでしまいなのか?
拙作のキャラクター「ミュウ」の魔法発動についてですが、フリーゲームの「闇の花」に似ていると思います。
特殊能力だったら、体術(アッパー)でも回復魔法でも何でも、発動は1ターン後なんです。
元斗を源流に持つ術士の魔法発動も、あんな感じのをイメージしております。
こういうタイミング、ジュウケイとかでも共通すると思います。
そういった溜めが無いのも有ります。高いレベルと強い技になると即時発動で、この辺りは
南斗聖拳の光線技に近いように思います。ゲームの方も是非、一度プレイしてみては。
「モンスターガルド」も面白いですよ。
捕手
捕手
75 :
マロン名無しさん:2007/05/04(金) 02:19:37 ID:UIlV0RS3
上げ
『再戦3』
先に仕掛けたのはソリア。速さで勝るシュレンはソリアの紫の闘気で覆われた突きを軽い、素早い動きで避ける。
シュレンから仕掛けたところでソリアの厚い強力な"壁"に阻まれ、必殺の間合いには踏み込めない。
守に回ることはリスクが伴うが、まともに"打ち合って"勝てる相手ではない。前回の戦いから学んでいた。
ソリアも、シュレンがその戦法に来ることを読んでいる。
総合的な戦力が五分なら勢いで押し切る、ソリアの考えだった。出し惜しみしない、長引かせない。
ソリアの呼吸に微かな変化が生じた。
胸の前で合掌するかのように両手を近付けると、その隙間から閃光がほとばしる!
シュレンの視界は一瞬だけ奪われた。スキを与えたシュレンはバックステップで危険を回避しようとした。
そのスキを見逃さずソリアは間合いを詰める。ソリアは両腕で縦に円の軌道を描く、凄まじく速く。
拳に込めた闘気のオン・オフを激しく繰り返す。その明滅によりソリアの拳は無数に見えた。
クオォー!と闘気が空気を震わせ音を生じさせる。 「!!」
「元斗流輪光斬!」 襲いかかる紫の鋭い剣多数。
受けることは出来ないと判断したシュレンは構えた手を引き、間合いを外すことだけに専念した。
正解だった。だがソリアの紫の剣はシュレンの身体をかすめていた!
幾条もの縦の傷がシュレンに刻まれる。鮮血!飾り程度に着けていた防具など全く意味がなかった。
ソリアは攻め続ける。「縛の輪!」 シュレンの左脚を捉えた。表面だけだがシュレンの膝は凍り付いていた。
縛の輪…シュレンは"爆"の輪と予想してしまった。爆発的な威力に備えたのだ。そのため虚を突かれてしまった。
だがバクが"縛"であるとの理解には到達できていない。気にしてる暇はない。動きは縛られたのだ。
なのにシュレンは、(技名を唱えることもたまには役に立つ)などと、
目の前の危機にも関わらず、どこか人ごとのように考えていた。
『再戦4』
シュレンは両方の肩当てに飾りつけられた黒い羽根をむしり前方にばらまいた。
この黒い羽根はイミテーション、燃えやすい材質でできている。ばらまくと同時に炎を燃え移してある。
さらにその直後にシュレンの発した炎と、激しく燃え上がった羽根は一瞬だけの小さい炎の壁を作る。
この程度では闘気に包まれたソリアにダメージを与えることは出来ない。だがそれでいい。
効かないからこそ、ソリアは強行に攻め込む…。
シュレンの読み通りソリアは炎の壁をものともせずに破壊的な拳を撃ち放った。
炎をかき分けた紫の剣はシュレンのいない地を打ち砕いた。 「!」
飛翔軽功。シュレンは右脚だけで空(クウ)に舞うとソリアに頭上から、
「はう!」と秘奥義を浴びせた。風の中に炎を乗せた!
ソリアもシュレンを見失ってはいたが、反射的に頭上を警戒し、闘気を剣から盾に変え身を守った。
が、遅い。ソリアの身体は先程のシュレンよりも深く多く刻まれた。
ソリアの背後に着地し、すぐに振り返る。氷のような目は変わらないが鋭い視線。その先のソリア。
赤い炎がソリアの刻まれた身体に容赦なく拡がり、紫の服やマントを燃やす。
シュレンは凍った左膝を急いでほぐす。凍ったのは表面だが、そう簡単には動きを取り戻せそうにはない。
炎に包まれた人影は苦しそうにもがいては、いない。
両手を上げ、「ふん!」と気合いを一閃し、上げた腕を空手家のように腰の脇に構えた。
炎が消し飛び、ソリアの姿が露になる。だがそれは壮絶な姿だった。
浅くない数多の傷と、その皮膚の所々は焼け焦げている。頭髪も大部分は焼け落ちていた。
戦える状態である筈がない。だがシュレンはそう考えなかった。
その独眼から発する光は、これまでの紫よりも強い!そう思ったからだった。
ものすごく引きこまれます。本編ではラオウとケンシロウという北斗両巨頭と闘い、いまいち見せ場が足りなかったイイキャラがこんなに生き生きと!決着が近そうですがwktkで待ってます!
79 :
マロン名無しさん:2007/05/05(土) 12:08:41 ID:SQwKkCxU
処刑の運命にある薄命女「傍に居て。そして貴男の手にかからせて・・・」
旧世界の木綿や化繊のカーテンをはずし、掛け布団にしてあげる。
氏化粧を、脱脂綿で少しずつ、拭いてあげる。
もう無命女は何も応えてくれない。輝かない。
サウザー「あの後で特赦する気だったけど、タムラがアホ女の言に従ってやっちまったんだ」
「責任は全て元斗側だ。どういう練成をしてるんだそっちはwwwww」
「でも処刑方法を選ぶ権利という概念は面白い、今後の参考にします」
「帝王が神に二言は無いと言ってから権利を認めれば、下郎端女の服従機制からそれは権利となる。これ世の仕組み」
「鳩は貧民に施しました。次からは飛脚で来ようね」
バウケンはいらない。
81 :
マロン名無しさん:2007/05/05(土) 18:02:47 ID:jNuTxRQM
バウケン不要説が浮上しました!
風雲急を告げる南斗聖拳!
「再戦5」
(見事なものだ、シュレンよ。我が心理の盲点を突き、しかも炎の刃を一瞬にして放つとは…)
風裂拳に炎を融合させる、この名も無い秘技。呼吸を整え、気を集中し、風と炎のバランスを調整する。
すぐに使うことは出来なかった。"タメ"が必要だった。だがシュレンはあの日以来、
一日たりとしてこの秘技の上達のために、時間を割かない日はなかった。
負傷はしていたが、そんなことは気にも留めなかった。
それが生きた。不安があったとすればそれは、飛翔術に気を費やした直後だということだ。だが成功した…
ソリアは自嘲した。シュレンの底を見た気でいたのだ。同時に嬉しかった。敵とはいえ、この戦いに憎しみは無い。
一人の拳士が成長を遂げているのだ。だが…やはり敵には違いない。拳士であるが故の葛藤。
心より認め尊敬する相手への礼は、「この全身全霊の拳!」 思いが溢れ、口から声となって出て行った。
自分の傷の深さ、火傷…もう助からない。それがどうした?
「このソリア、初めからここで尽きる覚悟よ!シュレン!戦いはまだこれからだ!頼む、油断だけはしてくれるな!」
「ソリア、アンタは強敵だ。油断などするわけはない」 シュレンの表情に変化はなかった。
初めてあったとき、シュレンはソリアを"貴様"と呼んだ。(今は"アンタ"か…最高の敬称だ)
相手への礼、敬意…一切の手加減も気遣いもしないこと。まして油断など…
シュレンは自分の拳に闘気を込める。
ソリアとは違い、肉眼で見えるような光は発しないが、その手はどんな刃物よりも鋭い裂気が満ちていた。
『再戦6』
ソリアの動きはほとんど落ちていない。だが速く動く度に傷から血が溢れている。
二人の戦いは振り出しに戻った。ソリアが攻め込みシュレンは間合いを外す。
流れ出る血…この戦いの間だけ保ってくれ。ソリアはシュレンを追いながらも、祈るように自らの身体に語りかけた。
ソリアは両手をやや上方に広げて、さらに強力な闘気を込める。ソリアの手が紫に大きく見える。
「破の輪!」
元斗皇拳には連突きの速さはないが、指の一本一本までが剣と化す。
それが円を描きながら凄まじい速さで向かって来る!
必死の形相でシュレンを追うソリア!ついに避けきれなくなったシュレンは勝負に出た。間合いを詰め、左の突きを撃ちこんだ!
だがソリア右拳、円の守りがシュレンの突きを捉え、外に流す…だけでは済まなかった。
シュレンの肘から先は吹き飛んでいた。ソリアはこの機を逃さない。左の圧拳がシュレンの胸を狙う!
「!!」 シュレンはソリアが自分のどこを狙うかは分からなかったが、ただ右肩を引き身体を捻った。
ソリアの左拳がシュレンの胸を掠めた!その余力が後方に控えるモヒの壁を弾き飛ばす。
シュレン「おおあ!」と右の突き! 全てを賭けた。全てを乗せた。
!!ソリアの右手がシュレンの右腕を掴む!飛ばされた左腕も、胸も、この掴まれた右腕も痛みはなかった。
ただ激しい熱さだけ…もしかしたら極端に冷たいのかも知れない。
ただ…シュレンの右腕は掴まれたが焼き切られることも、凍りついて砕かれもしなかった。
シュレンの手の平がソリアの腹部に触れている。
ソリアは「むぐ…」と声を漏らすと左膝が地に落ちた。
立ち上がろうとしたが失敗し、大の字に転がった。
『再戦・決着』
「シュレン…これほどの拳士だったか」と到着間もないシンはサウザーの玉座の下で言った。
「追いついたか、ローンイーグル」
サウザーの顔に、いつも張り付いている不敵な笑みは消え、かわりに険しい目付きがあった。
倒れたままのソリアはシュレンを見上げ、苦しそうに、だが笑いながら「み、見事だ。内臓を焼いたのか…」
即死の筈だった。だがソリアは話を続ける。とっくに死んでいたのかも知れない。
「感謝する。最後にお前と戦えたことは、誇りだ」 「…」
「悔いは無い」 ファルコのことは心配することはない。天帝のこともファルコが気にかけていただけ。
悔いは無いが唯一の心残り…妻のセリーン。正統伝承者ファルコを援助するため、元斗の掟に従い、子供は持てなかった。
それでも、こんな時代でも幸せだった。もう別れは告げてあったが…
「シュレンよ、お前が(拳士として)どこまで行くか、あの世から見ているぞ」 「…」
声が涸れそうだった。もっと話したかったが…いや、もう十分に話した。拳技にて大いに語り合った。
シュレンの心は凍っていたが、その芯にある炎を見た気がした。
サウザーの顔に不敵で邪悪な笑みが戻る。近くで見ていたモヒたちは、震えあがりそうだった。
シュウも気配でサウザーの表情の変化に気付いたが、その表情は作り物のように感じられた。
このエリアは陥落した。聖帝軍の初戦は完勝。
ソリアは力と命をふり絞って声を出した。「左腕…すまんな… 」
断ち切られた腕からの出血はほとんどない。傷口は焼き付いている。
元斗皇拳が発するエネルギー量は膨大である。長期戦や多数の敵との戦いには向かない。
シュレンと戦ったソリアは既に疲労の極致にいた。シュレンは今、それに気付いた。
二人の激しい戦い、モヒたちはそこに混じり気のない純粋さを見た。誰も声を上げず無言でソリアを弔っている。
シュレンは踵を返し自軍に歩き始めた。
シュレンにも言いたいことはあった。少なくなかった。
一言だけ言った。
「いい戦いだった」
85 :
マロン名無しさん:2007/05/06(日) 15:40:21 ID:nqwpea8q
「永劫たる振り子」、おすすめのパソゲーです。世界観が北斗的ですよ。
乳はshock!おすすめです
登場人物とストーリーが北斗のパクリです
住人達に受け入れられなかったバウケンが粘着している模様。
86は私です
バウケンさんじゃないです
私って誰さ
>>89 1さんでも処女でもバウケンさんでもない私です
そこにツッコミ入れないでください
91 :
マロン名無しさん:2007/05/06(日) 20:12:11 ID:6vTFbZL7
正チャンの野性棒と近所の実業家のパール棒を想い須磨の浦まっ最中のまさゑ。
そしてその膣から世に出る生物の一角・まさゑの孫が電脳世界で出遭うアホ1匹。
それぞ、このバウケンで御座います。86は俺じゃないぞ。
92 :
空想伝:2007/05/06(日) 22:30:19 ID:???
【鉄の処女29】
シンも一人の女を強く愛しているからこそ、目の前にいる若い男の気持ちは痛いほど胸に伝わる…
伝わるからこそ彼の心に【不快感】と言う胃が煮え繰り返るような苦しみが襲う。
今朝の町の男、今自分の目の前にいる男。
そして……
ケンシロウ…。
弱者にしろ強者にしろ愛してる者を守りたいという気持ちは皆同じだと言うこと…。
「サザンクロスの脱走に失敗した若い男女」
男の彼女と思われる女は小さな声を出しながら泣いている。
若い男は尚もシンに祈願する…。自分の命はどうなっても構わないので女だけは助けてくれと。
一人の愛してる女性のためとはいえ幾度となく凄惨な殺戮を犯してきた、関東全域を収める巨大組織を束ねる男シン。
さらに男はシンに同じ言葉を訴えかける。
その時シンは静かに片足を後ろに引き大きく一歩、男から下がったのであった。
93 :
空想伝:2007/05/06(日) 23:21:09 ID:???
【鉄の処女30】
これが彼の本心なのか…
なぜこのような事を彼は繰り返すのか…
これが彼の答えなのか
理由を語れと言われても理由などない…
自分でも自制心が抑えられなくなる瞬間…
【彼は狂っていた】
女『イイィやぁアァアアアアアアアアアーーーーーーーッ』
女の狂った絶叫とも言える悲鳴が雨の降るサザンクロスに響き渡る…
若い男はこの一瞬、いったい何が起きたか全く理解できず目を開き、口をパクパク閉じたり開いたりしていた…男の耳には女の悲鳴もまだ聞こえているようだった…。
冷たい地面の上で。
刀手と化したシンの右手には、男の首を跳ねた時に付いたと思われる血液が微量だが手に付着している。
モヒ達もシンの非道ぶりに内心恐怖を感じていたが逆らえばどうなるかなど、若い男の無残な姿を見れば一目瞭然だった。
男の頭が地面に転がってから15秒程は過ぎただろうか…無言のまま立ち尽くすシン。
男は目を大きく開き、何が起きたかなど理解するすべもなく息を引きとったのであった…
男の切られた首からはドクドクとまだ新鮮な生暖かい血液が大量に流れている…
自分の愛している彼氏の死を目のあたりにして放心状態の女。
シンは三人のモヒに死体を片付けておけと一言、残すと奥の部屋へ戻ろうとしていた…
94 :
空想伝:2007/05/07(月) 00:13:59 ID:???
【鉄の処女31】
強い風と大量の雨が降るサザンクロス。
シンの手よって自分の一番大切な物を無残にも目の前で奪われた女…
シンは女に背を向け奥の部屋へ向かおうとしていた。
モヒが女に一言「おッ、おい…」と話し掛けた。
まだ若く可愛らしい女は無気力な目をし、フラフラとシンの居間を無言で歩き回っていた…
シンも女の様子を静かに伺っている。
女は魂を奪われたかのようにフラフラとガラスの割れた大きな窓の方えと吸い込まれていったのであった。
シン『!!…ッ…』
モヒ達が大きな声で待てッ…と女に呼びかけるものの女の足は止まる事はなかった。
そしてシンの手によって愛する男を殺され、生きる気力を失った女はシンの居城サザンクロスの最上階から身を投げたのであった…。
激しい雨音だけが聞こえる静かな居間。
ただ自由に…そしてただ【幸せ】を求めただけの何も罪のない若い男女。
そんな愛する者達の大切な命を手にかけてしまった彼は今、一体何を思うのだろう…。
95 :
空想伝:2007/05/07(月) 01:21:38 ID:???
【鉄の処女32】
モヒ達にシンは持ち場に戻れと声をかけた。
男の死体と二人きりの広い居間。
息絶えた若い男の目はカッと見開いたまま何も語る事はない…
シンは女がたった今、身を投げた場所にゆっくりと向かう。
そしてその場所でしばらく立ち尽くしていた。
外は暗く土砂降りで景色があまりよく見えない。
激しい雨音を除けば、そこは時が止まったかのような静かな空間だった。
身投げした場所に立ち尽くすシンの足元に一枚の紙切れのような物が落ちていた…
おそらくこれは女が身投げする直前に落とした物だ。シンはその紙切れを拾いあげた。
その紙切れのような物にはこう書かれていた。
●日付1999.3.14.
【ずっと一緒だからね】
リサ・コウキ
それと二人が楽しそうに笑ってる小さな写真数枚。
どうやらこれは核が世界に落ちる前に若者達の間で流行ったシールタイプの写真のようだ。
シンはそのシールタイプの写真を見ていた。
96 :
空想伝:2007/05/07(月) 02:01:29 ID:???
【鉄の処女33】
小さな写真の中で、楽しそうに笑う幸せそうな二人…こんな小さな写真でも今のシンには十分過ぎる程、二人の愛し合う姿が伝わってきた。
そんな仲睦まじく愛し合う二人を引き裂き…殺害した男シン。
シンはまた等身大程ある大きな鏡の置いてある部屋へ行き鏡の前に自分の姿を晒してみた…。
気のせいか先程より目の下のクマが黒くなっているような気がシンはしていた。
彼の手にはたった今生きていたリサとコウキ、二人の写真が握られている。
激しく降り続く雨音がシンの手によって惨たらしく殺害された人々の泣き声のように響き渡る夜だった…。
一方サザンクロスから遠く離れた地、鉄の町ではシン達が去った後、町に訪れた一人の青年と鉄の町に住む初老の男…そして生き残った町の20〜30人の人々でシン達の手によって朝に処刑された町の人々の埋葬が雨の中行なわれていた。
シン達の手によって凄惨な公開処刑が行なわれた町の中央広場のコンクリートの地面にこびり付いた血はこの激しい雨ですら消し去ることは出来なかった。
97 :
空想伝:2007/05/07(月) 02:36:02 ID:???
【鉄の処女34】
地面にこびり付いた血液の後を除けば、鉄の町の埋葬は一通り終了していた…。
150人以上とも言われる大量殺人…
その果てに家族・恋人・親友等、シンの手によって凄惨な処刑で全てを失った鉄の町の人々は今も尚悲しみに暮れていた。
両親を目の前で処刑され残された子供たち…。
自分の息子、娘、孫を失った老人。
時間にしたら今は明け方の4時近くか…
埋葬の時間だけでも7時間以上かかっていた。
その埋葬をほぼ一人でやってのけた鉄の町に訪れた青年に初老の男が食事を差し出した。
青年も「すまないじいさん」と礼を言うと出された食事を残さず平らげた。
初老の男が夕方の話の続きを青年に問いかける。
青年は「ジャッカル」と言う野党集団を追い掛けてる。
青年の話だと、一昨日の晩に自分の住む町が留守中にジャッカルと言う集団に襲われ自分の妹含め、町の数人の女が連れ去られたと…
それを追ってる最中にこの町を訪れたと言う事だった。
青年は初老の男に話を続けた…ジャッカルとは女をさらい、そのさらった女を他の組織に食料と交換する野党集団だと言うこと。
青年は話に熱くなり朝方まで話は続いた。
>>97 >そのさらった女を他の組織に食料と交換する野党集団だと言うこと。
言いたい事は分かるが、表現がちとおかしい。
たまにはそんな事もありますよ
人間だもの
〜てつお〜
100 :
メイデン:2007/05/07(月) 04:29:42 ID:???
>>98 以後気をつけますんで、大目にみてください!
すいません(^o^;
『ユダ』
隠し砦…
朝日がその部屋を、鏡張りの部屋の中を明るく照らし始めた。
ユダは姿見の前に立ち、身体に巻かれた包帯を切り裂いた。痛みはほとんど消えている。
鏡に写る完璧な身体だが、まだ胴体には傷の跡が残る。
シンの放った南斗雷震掌は切り刻むことよりも、むしろ強力な気のインパクトで相手を打つことに目的がある技だ。
そのため傷自体は深くない。この分なら傷跡はきれいに消えるであろう。…消えないのはユダのプライドに付けられたキズ。
敗北がもたらしたキズばかりではない。ユダはシンを美しいと感じてしまったのだ。
レイに対しては、純粋にその造形や水鳥拳の麗舞に美しさを感じ、心奪われているが、シンは違う。
孤鷲拳は南斗源流に最も近いだけに、その本質は実利の拳である。舞の要素は極めて少ない。
シンが持つ内面の激情に、そのまさに烈火のごとき強烈な個性に魅せられてしまったのだ。
そんな自分の感情に戸惑いと怒りを感じている。
ユダはゲイでも男色家でもないが、美しさに心奪われることにおいては男女の区別はない。
マミヤのことも思い出す。容姿だけなら美しい女などたくさんいる。
事実彼の、いわゆる"ユダの女"たちは完璧な容姿の持ち主ばかりである。マミヤ以上の者も少なくはない。
ユダは知っている、気付いている。内面の強さがマミヤを他の女たちと異ならせていたのだ。
何者にも屈しない強さか?南斗紅鶴拳の恐ろしさを前にしてもマミヤはユダを拒否した。ユダを受け入れようとはしなかった。
両親を目の前で殺された怨みもあろう。しかし怨みと同時に、絶対的な恐怖をも植え付けられている筈なのだ。
認めさせたい…屈伏させたい…
「何故…俺を拒否する…」 ユダは鏡の中の自分に問うた。
「貴様は何故!俺を拒否するのだ!?」
ユダは気付いている。自分を最も否定しているのは、自分自身であることに。
そして気付いていて尚、どうにもならないことにも…
ユダは全ての鏡をぶち割った。自分が美しくなかった。醜いとさえ…
「…鏡が歪んでいたのだ!!」
102 :
1ですが:2007/05/08(火) 01:33:24 ID:???
上のユダの話 補足
もっと細かく書きたかったんですが、二つのレスに分けるのが嫌で無理に1レスに収めました。
ユダがレイ、シン、マミヤに思いを巡らす所と鏡をブチ割る所を激しく妄想していただければ助かります。
レイの舞の美しさも内面の反映か?や
鏡を一度に割ったのでなく、それぞれの鏡に写る自分を一回一回否定してゆく的な…
すいませんm(_ _)m
『邪光』
ファルコはジャコウの間に向かっていた…
部屋の前に着くと二人の衛兵がいる。その年配の方の衛兵が告げた。
「ファルコ将軍。ジャコウ総督は、ただ今この部屋にはおられません」
「何?ではどこへ」
その衛兵は気まずそうに答えた。「"あの部屋"です」
「わかった」 そのたった一言だけ残してファルコは"その部屋"へ向かうべく階段を降り始めた。
衛兵たちはファルコの右の義足が出すカシャ・カシャという音が、まるで泣き声かのように、切なく思えた。
"その部屋"…ファルコが扉の前に到着すると衛兵たちが脇に避けピシッと姿勢を正す。
ファルコの訪問を、衛兵が扉の外から告げるが返事はない。ファルコも衛兵たちも返事がない理由を知っている。
呼び続けたところで、中から扉が開かれることはないのを知っている。
ファルコは「ファルコ、入ります」とだけ言って扉を開けた。「失礼します」などとは言いたくなかった。
きつい匂い。大麻や阿片が放つ煙。
ジャコウはこの帝都の総督に"就任"して以来、ありとあらゆる快楽、享楽を貪った。
美酒美食、権力の横暴、宝石貴金属類、女……最後にはクスリに手を出す。クスリの次はない。
何故、次はないのか。クスリが究極の楽しみだからだ、という輩もいようが、本当の理由は違う。
クスリのもたらす快楽と偽りの安堵、その代償は身の破滅。…次はない。
暗所恐怖症のジャコウにしては幾分か部屋は薄暗い。
あくまでジャコウの部屋にしては、だが。それでもこの時代、夜にこれほど明るい部屋は他にないのではないか。
広い部屋の壁面には全て余す所なく、趣味の悪い赤紫の垂幕が掛けられている。
奥のソファー…明らかにイった眼のジャコウがいる。
『邪光』
ファルコは煙と動物的な喘ぎ声に満ちた部屋を無表情で進む。
幾つか置かれたソファーにはクスリでトんだ女たちが、トロンとした眼のまま、意味を成さない言葉をかけてくる。
別の女たちは、互いの身体を貪るように性の快楽にふけっている。…女たちだけではなかった。
ジャコウに上手く取り入って今のポストを得た高級官僚たちや、そして馬鹿息子のジャスクとシーノ。
馬鹿息子たちは、まだしも、官僚たちの醜く肥えた無様な身体に、拳士ファルコは強い嫌悪を覚えた。
普段はファルコを恐れる官僚たちも、クスリがもたらす贋物の勇気を得て、彼を愚弄してくる。
だが、その言葉も、やはり意味を成していない。
彼らも大麻や阿片を吸いながら女たちを貪っている。
クスリと性の快感が合わさると、もう普通の性では満足できないという。
だが、そんな快楽になど全く関心はなかった。
元斗皇拳の伝承者として営々と続く重大な責務を果たすことから来る満足感のがはるかに勝っている…いた。
今は、その責務は果たせていない。ファルコはこの部屋ごと、この汚物のような連中を消し去りたかった。
「総督。…ジャコウ総督」 「ん〜」
裸で横たわる女に寄り掛かりながら、ジャコウは何がおかしいのか笑い始めた。…話になるわけがなかった。
ジャコウは恐怖したのだ。いや、恐慌と言っていい。あのソリアが敗れた。聖帝が迫っている。…ジャコウはクスリに逃げた。
軍備完了の報告と、同時にジャコウの様子を確認に来たのだ。ジャコウがこれでは、天帝の身も危ない。
この部屋にいるということ、それに耐えられなくなり、引き返そうとしたときだった。
ジャコウが寄り掛かっていた女が、ゴロッと向きを変えた。黒い長い髪、見覚えのある体つき。目が合った。
ミュウだった。やむを得ないのは分かっている。充分に分かっている。
ラリった状態のミュウだったがファルコに気がついた。ミュウは激しく泣き出した。
「ん〜?な〜に泣いてい〜るんだ〜ミュウ」
激しい殺意を全力で抑え、ファルコは立ち去った。
ミュウの泣き声は、不気味な笑い声と喘ぎ声に書き消されて、すぐに聞こえなくなった。
105 :
1です:2007/05/09(水) 01:51:53 ID:???
訂正
×書き消されて
○かき消されて
ケン、ミュウが俺の子を…あれ読んだ時、皆思ったよな…邪光のじゃ…、
すみません。いつもお疲れ様です!1さんの手腕に期待してます!
>>106 いや、あれを読んだ時、みんなが思った事はこうだ。
「ミュウが身籠った自分の子が元斗皇拳を継いでくれるって…
伝承者のお前が死んでしまったら、一体、誰が教えるんだよ?」
あ
>>106 えーと、ほら、あれだ
ジャコウは実は宦官だったんだよ
天帝の側近となるために息子ができたからちょん切っていたとか
中華じゃ宦官が実権握って皇帝がお飾りだったことはよくあるしさ
…だめか?
110 :
マロン名無しさん:2007/05/10(木) 13:16:41 ID:/9mMu2Sw
@同時刻サヴァにて
ケン「だめだな」
111 :
ところで:2007/05/10(木) 13:25:40 ID:/9mMu2Sw
細い月を紋章にする拳法集団とか出現しないの?
身近な衛星をネタ(旗印)にする集団は居ないの?
南斗って南十字星だけど、南半球でしか見えないだろw
南斗六星って北半球だし、十字星と違うんだぞw
南斗六星は射手座の一部。
多分、当初作者は六星のこと知らずに南斗を登場させたんだろね。
北斗だから、南斗みたいに単純に。
ところが本当に南斗があってしかも十字星とは別物。
ちなみに西斗の他にも中斗、東斗もあるらしい。
読者はいつもわがままなんだ
だから言わせてもらうぞ
ペースが遅い
>>112 中斗や東斗は儂のネタだぞ!! パクるなや、ボケがぁ!!
115 :
マロン名無しさん:2007/05/10(木) 14:41:11 ID:8jkiMWaY
だから、今になって極星十字とか称して南斗と差別化を図っているのか。
十字拳は、大航海時代に南斗から分派したんだろうな。
史実では、早い時期にもオーストラリアらしきところでの海鼠漁やインドネシア辺りの貿易で、
赤道をまたぐ中国人も多かったらしいが、ノリ的に御大は大航海時代での分派を選ぶんだろうな。
過去レスではバウケンのレスにつき不評だった男女の会話だが、あれもよく読めば正鵠を射ているかも。
116 :
マロン名無しさん:2007/05/10(木) 14:42:44 ID:8jkiMWaY
・・・南斗は、最終的に極星十字拳に乗っ取られる形になるのか??
源流系の南斗は、どうなったの?
世紀末には、その伝承者らはどうしてるの?
それとも、極星を南斗の方が取り込んで、今の南斗が在るのか?
>>114 道教によると、
北斗七星、南斗六星、東斗五星、西斗四星、中斗三星があるとよ
今で言うと、どの星座かはしらないが
118 :
1:2007/05/10(木) 22:43:54 ID:???
>>113やっぱりそう思いますか…
じゃ少し飛ばしますか。内容ペラるけど。
『麗舞』
レイの速い動きにもショウキは冷静に対処できている。
移動速度そのものではレイには到底及ばないものの、レイの遠距離攻撃・伝衝裂波をよけるのに困難ほど遅いわけではない。
ショウキの闘気弾がその両手から発せられる。レイは崩れた建物のコンクリート壁を蹴り、あるいは走りながら気弾を躱す。
ショウキもただ止まったままではない。レイの進行方向をあらかじめ読んで、次の着地点を狙い素早く移動する。
だがその度ごとに華麗とも言える舞でショウキの猛攻を避け、間合いを掴ませない。
初めこそ元斗皇拳の爆発的な闘気に戸惑ったものの、ジャギ戦で経験した、あの異様な気(本人も自覚はないが魔闘気)、
そしてラオウの強力な剛の気を受けていたレイは、この元斗皇拳との戦いを有利に進めていた。
それぞれ性質は違う闘気。ただこのショウキの闘気は南斗と同じく鋭さも兼ね備えている。何であれ、要は同じ。
…捕まらないこどだ。
しかし、こちらの攻撃も赤い服に身を包んだショウキは巧みに回避する。見掛けによらずなかなかに速い。
タン!と、またレイは壁を蹴りショウキの頭上を横切り、伝衝裂波を撃つ。「シャウ!」
ショウキは転がりながら避ける。アスファルトの地面が斬!と刻まれる。
避けながらもショウキは、すぐにレイの着地点に向け、またも強力な闘気を撃ち放つ。
バゴン!と先に着地予定の壁面が壊されたため、レイは身体を捻り、脚を伸ばしてギリギリで壁を捉えて再び空に逃れた。
(この辺が限界か…)この戦い方は、である。疲労を感じた。飛翔軽功術をこれほど尽くしても倒せない男、ショウキ。
しかし今のレイは地上戦でも抜群の自信を持つ。
トキがケンシロウとの最後の戦いで見せた柔の拳は、南斗水鳥拳の理想的戦法をレイに教えてくれた。
レイが自分の拳格を上げるのに必要なヒントはトキが握っていた。トキは死んだが、それは受け取った、盗んだ。
ビタッ…とはまった、その小さなピースは、レイの長年超えられなかった壁を破壊し、次のステージへ押し上げたのである。
「赤光」
ショウキがその両手を赤い光で発しながらレイに襲いかかる。
レイはショウキが詰める分を後方に下がり間合いを保つ。
もちろん、ただ真っ直ぐには下がっていない。ただ引いただけでは飛ばされる気弾に撃たれる。
ショウキが詰める!それをレイが外す。シュレンとソリアの戦いと同じ展開を見せた。
だがショウキは決して愚かな男ではない。レイの狙いを読んでいた。逃げに見せながら突然に間合いを詰める筈だ、と。
(レイが仕掛ける前に…)ショウキが足さばきを変え、レイの虚を突く。
レイ「む」 しかしスピードの開きは大きい。「フッ」とレイは鼻で笑う。悪い癖だった。相手を甘く見る傾向がある。
ショウキが右の圧拳を繰り出す!レイはその恐るべき威力の宿る赤い光が、自分の眼前を通り過ぎるのを見た。
空振り!スキあり!と同時に嫌な予感。
ショウキは空振りの勢いそのままに身体を回転させ、左の拳をバックブローのようにレイを狙った。手の平はレイに向けてある。
「!」 レイは上体を後ろに反らす!ヴワア!ショウキの拳がまたも眼前を過ぎる。
寸でのところで躱した。後ろに流れた身体、両手を地に着き後転しながら間合いを外した。
「ふう…危なかった」 「フフ、よくぞ見切った」
不覚だった。運が良かっただけである。つまらない油断で敗北を、命を落とすところだった。
(だが…もう油断はない!)
レイは両手をやや前方に開き円を描くように動かす。
それを見ていたショウキから意外な言葉が出た。
「ふうぃ〜もういいだろ。俺の負けだ」 「何?」
油断を誘っているのか?レイは疑った。
「俺の負けだ、レイよ。そしてお前を信じよう。聖帝の命令で動いているわけではないとな」
レイはまだ構えを解いていないが、この男ショウキが、そんな卑怯なやり方をするようにも思えなかった。
『聖帝の侵攻』
既に聖帝軍は別のエリアも落とし、さらには帝都への最後の関門とも呼べる市都をも陥落させた。
リハクの軍師振りは見事なものであった。サウザーから甘さを指摘された彼は一転、考えを改めた。
兵の命を惜しむ心に違いはなかったが、敵拠点攻略のためには、多くの犠牲が払われようと躊躇しなかった。
なお、余談ではあるがリハクの作戦に消毒男ことヒノの活躍があったが、それが語られることはないだろう。
七千の兵力も四千にまで減っていた。
「アッサリと落ちたな」 サウザーはいつものポーズでリハクに話しかけた。いや、独り言かも知れなかった。
残すは帝都のみ。しかしリハクは分かっている。こうもアッサリと郡都、市都と落ちた理由。
なんのことはない。帝都に兵力を集中させているのだ。リハクはあえてサウザーには言わなかった。
その必要はないからだ。サウザーは全ての見抜いているに違いない。
サウザー…リハクから見ても全く欠点がない。弱い部分が見当たらない。どこまでも完全に帝王だった。
四千の兵力…帝都には恐らく一万は兵士が控えているだろう。グランドクロスにも、まだ一万近い兵が残っている。
帝都の兵力もそれくらいあっていい筈だ。比較すれば、こちらは寡兵である。
しかし、このサウザーの自信を見ていると負ける気がしない。勇気づけられるわけではない。
何もかもが全てこの恐ろしい帝王の手によって書かれたシナリオの通りに進んでいるようにしか思えなかった。
122 :
才兵衛:2007/05/11(金) 00:39:11 ID:???
>>117 実を云うと、儂も詳しくは知らんのよね(笑)
元斗は中斗にしなきゃいけなかったのかw
124 :
空想伝:2007/05/11(金) 02:37:59 ID:???
【鉄の処女35】
ジャッカと言う野党集団にさらわれた妹を救おうと旅を続ける青年の話を初老の男は彼の瞳をじっと見つめ、静かに耳を傾けている。
初老の男の目に映る彼もまた【深かった…】
理由などないが、澄んだ瞳の奥にどことなく見え隠れする悲壮感。
目の前にいる青年の姿に、吉と出るか凶と出るか計り知れないが、これから大事を成し遂げようとする姿を初老の男は予感していた。
初老の男がテーブルに置いてあるグラスに入った水を一口飲むと、向かい合っている青年に
「おぬし名はなんと言う?」と一言尋ねた…
青年も「レイだ…」と答える。
そうか…レイか…と今度は初老の男が話しはじめた。
「いつの時代にもおぬし達のような澄んだ瞳の男は少なからず存在する…。
ワシはこう見えても目だけは肥えているのじゃ‥。
と微笑を浮かべ話しはじめる。
レイは初老の男の話を黙って聞いていた。
初老の男が「外に出て、少し話でもせんか?」とレイに尋ねると、男とレイは外に出た。
125 :
空想伝:2007/05/11(金) 03:45:15 ID:???
【鉄の処女36】
外はまだ暗いが雨はすっかり止み雲もその姿を消していき晴天を予想させた…
男とレイが前日シン率いる集団によって公開処刑が行なわれた町の中央広場の隅にある、ベンチに腰をかけた。
初老の男が話の続きをはじめる…
お前さんもまた似ている…
遠い過去の話じゃて、その男達は生きてはおらんがワシはお前さんに似てる男達を見てきた…。
レイは初老の男の話しに最初は理解するのが難しく少々混乱はしたが男の長話しを聞いていくうち、どこか不思議と通じる物があった。
2時間以上は語ってであろうか…
男は自分の生まれた場所や身元もレイに話した。
男は日本ではなく中国・上海で生まれたことや、住んでいた事等…
日の出と共にレイと初老の男はなぜか不思議な縁のようなものを、お互い感じ取り打ち解けていた。
空は雲ひとつなく晴天にみまわれていた。
レイも「俺もそんな男達に逢ってみたかった」
と言うと、それを聞いた男は嬉しそうに語った。
「そぅ…ワシの知る男達はレイよ……お前さんのように皆、この空のような一点の曇りない蒼天のような漢達じゃった。」
そう言い放つと初老の男は子供のような無邪気な表情をしていたのだった。
126 :
空想伝:2007/05/11(金) 04:40:35 ID:???
【鉄の処女37】
初老の男の無邪気な表情を目の前にし、男の前で初めて微笑を浮かべるレイ。
雨も上がり、レイは男に食事の礼をすると出発の準備をはじめる。
男はレイに最後に一言伝えた。
ジャッカルと言う野党集団は聞いたことないが、さらった若い女を大量の食料で買い取る組織が存在するという事。
その組織の名は。
【レッドバタフライ】
と言う事をレイに告げた。ジャッカルとレッドバタフライが繋がってるかどうかは知らんが、さらわれた妹を探しているなら覚えておいたほうが良いじゃろ…と男は最後に言う。
レイは男にまだ名前を聞いてなかったな、じいさん…あんたの名は?
とレイは初老の男に尋ねた。
ワシか?ワシの名は子英じゃ…と男も答える。
妹を見つけだしたらまたこの町に立ち寄るとレイは子英に約束すると鉄の町を後にするのだった。
レイの後ろ姿を見えなくなるまで見守る子英とレイの不思議な出会いだった。
時同じくしてレイの去った鉄の町から南に下った遠くの地で野党集団が群れをなし、バギーとバイクにのり爆音を撒き散らし走行していた。
127 :
空想伝:2007/05/11(金) 06:09:53 ID:???
【鉄の処女38】
【レッドバタフライ】
野党集団の運転する、一台の大型バギーに若く美しい女が両手足を拘束され無理矢理押し込まれたかのように乗車していた。
女達の隣には葉巻をくわえた男が席に座っている。
その男が助手席に座っている男に話かけた。
「フォックスよ…お前はあの男に会うのは今日が初めてだったよなぁ…?」
助手席に座るフォックスがアァ…。と答えると。
葉巻をくわえた男はさらに話を続けた。
「まぁ…初めて会うなら、その男の容姿にあまり驚かねぇこった…お前の為を思って言っとくが奴の前で嫌悪の顔を出してみろ。命がいくつあっても足りねえぞぉ…」
フォックスは男に
「ジャッカル…その男はいったいどんな男なんだ?」とさらに会話が続いた。
おれもよくは知らねえが奴ぁ、手品のような妙な拳法を使いやがる…人間を真っ二つに切り裂いたりな‥。
しかも噂によると…奴等【レッドバタフライ】に喧嘩を仕掛けた【ジード】の連中は一夜にして、組織の半数…200人近くが謎の死をとげたらしい…。
ジャッカルの話を聞いてるフォックスは顔を歪めていた。
いいか…フォックスよ俺はお前等に何度も言うが、強い連中には喧嘩は売るな!逆に俺達はそいつ等を利用してやるんだ…
その男に従ってりゃあ喰いっぱぐれはねぇ…
128 :
空想伝:2007/05/11(金) 06:45:18 ID:???
【鉄の処女39】
【レッド・バタフライ】
ジャッカルの話は続く‥
奴は若く上等な女さえ、かっさらって持っていきゃ…食いもんの出し惜しみはねぇ!!
だからそぉ言う羽振りの良い連中に付かず離れずの関係を保ってりゃあこの時代に飢え死にするこたぁねえ…とフォックスに言い聞かせた。
フォックスもジャッカルの話にいつになく耳を傾けていた。
最後に一言お前に言っておくが奴にもし問い掛けられても奴の勘に触るような妙な返答だけはするな。
あぁ見えて奴は頭が切れる
‥まぁ、そんな奴等と対等に取引きしてる俺達も賢いが…
ジャッカルは不適な笑みを浮かべていた。
ジャッカルの話も終わる頃、兵の数1000を越えると言われる大組織レッド・バタフライの居城にジャッカル率いる50の集団が居城の前にバギー・バイクを止めていた。
ジャッカルとフォックス含め、4人の部下とさらってきた女三人が門の前にいるモヒ達に軽く挨拶をして、大組織レッド・バタフライを収める謎の男の待つ場所え向かおうとしていた。
129 :
メイデン:2007/05/11(金) 07:00:53 ID:???
この話は所詮自分の空想(妄想)の中のお話なので、
例では‥ジャギが善良だったり、シンがあまりにも残酷なキャラだったりします。
それとトキが伝承者でケンシロウがそうでなかったりと…。
文章も下手で今から出すキャラ含め今まで出したキャラにいたっては……
「えー?何か違う〜」
プリクラが出ちゃったり(汗)
と……突っ込みどころ満載かもしれませんが、その辺は大目にみてやってくださぃ(^o^;)
1さんの言うように空想のお話ですから…それでは失礼しますm(__)m
130 :
空想伝:2007/05/11(金) 07:54:56 ID:???
【鉄の処女40】
核が世界に落ち人類の9/10が死滅したこの時代には珍しく大型ビルをフルに改造しギリシャの有名な絵画などの背景に出てくる神殿にも見ようによっては、見えなくもない。
一風変わった居城だった…案内人のモヒ二人に連れられて最上階にいる男に会いに行くジャッカル達。
フォックスは少し落ち着きがない様子をしていた。
最上階に近づくにつれて、徐々にだが階段とその周囲に香水の匂いが漂いはじめている…
階段を一段、また一段と上がる度に匂いは増していった。
ジャッカルは額に汗をかきこのキツイ香水の香りに内心はむせ返っていた…
案内人のモヒ二人がこの扉の先に【ユダ様】が居られます。
ジャッカル達にそう告げると自分達の持ち場に走るように去って行った。
目の前の大きな扉のノブを掴みジャッカルが手前にゆっくりと引く…
すると開いたドアの隙間から例えようもない強い激臭がジャッカル含めフォックス・部下達…そしてユダと取引する為にさらってきた女達の鼻をつく。
どうやら何種類もの香水が混ざり合い一つの部屋に充満しているようだ…慣れない人間なら部屋にいるだけで目がしみ、涙が出るような部屋に部下数名と若く美しい女性十数人がその部屋に待機していた。
部屋一面に敷かれている深紅の絨毯。部屋の周囲を囲むように飾られてる悪趣味な銅像達…
131 :
マロン名無しさん:2007/05/11(金) 15:23:35 ID:ih2LiOf0
メイデンの荒野感さいこー!!
仮に貴世界にまさゑが居たら、素直に売却対象になりそうなまでに荒野してますねぇ。
『帝都』
行軍中の聖帝軍。巨大な円陣、人の密度はさらに薄くなった。
聖帝の玉座バイクは比較的キレイな道を往く。円陣の末端に配属されたモヒたちが平坦な道を進むことは少なかった。
瓦礫の荒野…戦争と天災の残骸……その先に見える街…
モヒ(ありゃあ、ファーイーストバベルタワーじゃねえげ?)
極東バベルの塔。そのネーミングの悪さもあり、旧世界では何かと話題になっていた。
バベルの塔とは違い、完成もした。かつては官庁として、放送塔として、観光スポットとして知られていた。
この塔は戦争時にも、その標的とされず、天変地異をも乗り越えていた。奇跡的と言っていい。
太古、神の怒りにより崩れたバベル…
一方、神が見放したこの世界において、他のどんな建造物よりも堂々と聳える新しきバベル…皮肉なものだった。
塔だけではない。街そのものの保存状態も驚くほどに良い。その街が城壁に囲まれ、戦いに備えられている。
(こんなの落とせっこねえべよ) モヒは心の中で嘆いた。
このモヒが知る由もないことだが、城壁も一枚じゃない。三層の城壁、電気を流す鉄柵、塔には砲台まである。
(今度こそ死んだなあ、こりゃあ) モヒは死を覚悟した。だが逃げようとは思わない。
他に行くところなどない。探そうとも思わない。俺は流されるだけの無力な一兵士。
時代の激流の中、自由に泳げるほど強くない。泳げる奴…
(聖帝だげだっぺな)
133 :
マロン名無しさん:2007/05/11(金) 17:16:07 ID:A6lWdqVb
「こーこはー平坦でー遠くまで見えるけどぉー光は当たらないぃーー♪」
突出した瓦礫に腰掛け、歌う髪の長い女。
モヒ(なにやってんだ・・・矢玉が流れでもしたら・・・規律の通りに動くのは歩兵だけ)
(鏃に犯されたら氏んでしまうぞ)
134 :
マロン名無しさん:2007/05/11(金) 17:22:32 ID:A6lWdqVb
>>113が目覚めると、そこは荒野だった。そしてうつむくと、そこに広がる世界は・・・
女体。
「わが妹・セリカの侍女セトゥコ。付き従え、わが妹に」
「待て。コレを二千ジュドルで買おうってブタゴリラが居たぞ」
「そうだな。卸そう、あの元幕下力士で傷害犯で米国籍で故意に括約筋をリラックスさせてる年中フルチンの醜男に」。
>>113がどうやら兵火を逃れたらしい事を悟る、しかし地獄は始まったばかりだ。
しかしまぁ、
>>113には地獄すら生ぬるい。
135 :
マロン名無しさん:2007/05/11(金) 17:26:48 ID:A6lWdqVb
豆知識:「セリカ」というのは「絹の国」という意味。こんにちでは「秦国」と似たような意味合いですな。
セリカは、スレで話題のシンの妹という設定です。いわゆる萌え南斗ですね。リュウケンを家長に一緒に住んでいた女性。
その侍女が短大卒の下衆肉便器セツコ。
>>113の新しい体です。
『決心』
ショウキに案内された。帝都の現実を知った。天帝は幽閉され所在どころか、その生死さえもが確認できないという。
一部、極一部の上流貴族のためにこの国は存在する。塔の近くに住む民は、この時代にあっても贅沢を持て余すほどの生活をしている。
残り…良くて一般兵士、悪ければ、いや、良くなければ奴隷なのだ。
「レイ、ここだ」 「うむ」
あくまで非公式、いや極秘である。南斗との戦闘中に、その南斗の将の一人がファルコに会う…公にはできない。
ジャコウに知られれば、また奴はうるさく騒ぎだし、結果、人が死ぬ。
レイは南斗六将の一人ではあるが、いわゆる外様にすぎない。サウザー、シン、シュウ、ユリアと違い南斗宗家の後盾を持たない。
ユダと同様、実力で宗家に認められた叩き上げであった。
六将の一人にまで成り上がったとは言え、古い体質が残る宗家である。六将にしては冷遇されていた。
ユダは巧みに幾つもの南斗他流派を配下に置いたが、レイはその性格的にも単独行動を好んだ。
それでも幾つかの下流南斗が配下に就いていたが、旧世界の崩壊と、何より両親の殺害に遭い、
さらには消えた妹アイリを探すためにレイは飢狼と化した。
衛兵が両開きの扉を開ける。広い部屋、高い天井。正面にはマントを羽織った石像たち。そしてその前に立つ男。
威風堂々。レイよりも縦にも横にも一廻り大きい男がいる。
「元斗皇拳伝承者ファルコだ。よく来てくれた」
ファルコはレイを全く疑ってはいなかった。ショウキを信頼しているからだ。ショウキが連れて来た男を敵視する理由はない。
「俺は南斗聖拳のレイ」
聖帝サウザーと天帝・実質はジャコウの二人。どちらが世界を征しても変わらないように思える。
だが天帝を見つけることができれば、あるいは…
レイは決めた。南斗は既に分裂している。サウザーと、このファルコ…どちらに付くかは考えるまでもない。
幾人もの外道を見て来た。鏡を見れば復讐に燃える飢えた野獣がいた。
だから分かる。ショウキとファルコ。難しいことを考えるのはやめだ。(俺はこの二人が嫌いじゃない)
137 :
1です:2007/05/11(金) 19:07:13 ID:???
思い付きで書いてゆくと自分でも思いがけない展開になるものです。
レイが元斗の仲間になってしまいました。すんません。
『川』
三人のモヒ、タイガーとトガ、そしてエドリバーはその川を見つけた…帝都の中を通ってこちらまで流れている川だ。
タイガー「?…川だ…水じゃあ!トガ!水じゃあ!」
トガ「何い〜」
エドリバー「ごっついのう」
トガとタイガーは童心に帰ると川に飛び込み水をかけあったりしている。
タイガー「ふう、助かるぜえ。喉がカラカラだったか…うお!このヤロー、トガ!」
はしゃいでいた…
タイガー「うまい水じゃのう」
トガ「にしてもさっきから流れて来る、この麻袋は何なんじゃ?」
「どれ…よっと」とタイガーは流れる袋に飛び付いた。そして無言。
トガ「どうしたんじゃタイガー、青い顔して」
エドリバーは黙って水をガブ飲みしている。
「トガ…こいつは人間だ…」 「何?」 「中に死体が入っとるんじゃあ!」
トガとタイガーは慌てて川から上がった。
トガ「どういうことじゃ…あの街は、帝都ってのはどうなっとるんじゃ」
タイガー「エドリバー先輩!この川ぁ死体が流れてるぜ」
エドリバー「!! ごっついのう」
>>137 そこまで展開させたからには、「責任」を持てよw
せっかく、元斗の仲間になったんだから、元斗流の闘気の技を習得するとか、
ファルコとの絡みをドラマチックに演出するとかなw
期待しつつwktkしながら見守っている。
まあ、妄想なんだから責任とかいわずに気楽に楽しみましょうよ。○塾の名リアクションコンビに、ごっつい先輩!笑わせていただきました。ハードな展開の息抜きにふさわしいです!
>>140 カギカッコでくくりながら、文末に w 付けて言ってるんだから、マジで責めてる訳じゃなかろう。
『帝都攻め』
陽が昇ると共に聖帝軍の攻撃は始まった。高い城壁からは落石やボウガンによる迎撃。
聖帝軍はエリアやシティで手に入れた重装備で臨む。石や矢の雨を鉄の盾で防ぎながら梯子を昇る。
しかしさすがに帝都。油を撒き散らし点火するなど徹底的な反撃を繰り返す。聖帝軍の猛者モヒも士気が下がる。
「いかん!」 リハクは一時撤退ならぬ転進の判断を下そうとした。
それを止めたのはサウザーである。「リハク、聖帝に後退はない。押せ!」
聖帝に逆らうことなどできない。それを承知した上でリハクは諫言した。サウザーの前で右の拳と膝をつき、
「ですが聖帝様!こちらの兵力は相手方ほどは多くありません!まして相手は難攻不落とも言える城塞都市です。
兵は全滅してしまいます!それでも突撃を敢行なさるのですか!?」
サウザーはいつもの座りポーズを崩さずに静かに言い返した。
「リハクよ、敵兵の数はどれくらいと見る」
(こんなときに何を?)「恐らく一万から、多く見れば二万くらいは…」 だからこそ、突撃を強いることは無駄なのだ。
「この戦いの後、その兵力はこの聖帝のものになるのだ。数千を惜しむな!」
「!」 リハクだけではない。隣りの馬上で聞いていたシュウも驚くほどの言葉だった。
シンでさえもが(なんて男だ)と感じていた。
リュウガ、そしてシュレンは違っていた。帝王というものを真に理解しているのは、この二人だけかも知れない。
「し…しかし」リハクは無理に自分を落ち着かせて話を再開した。「先に兵が全滅します」
サウザーの口許が吊り上がる。「こいつらを見ろ」と顎先でリュウガたちを指し示す。
「リハク、お前も兵を動かせば一騎当千だ。だがこいつらは純粋に力で千を凌ぐ。何を恐れる?」
と、サウザーは立ち上がり常人ならぬ大声で叫んだ。
「行けい!聖帝の精兵たちよ!貴様らの勇姿は歴史となり後世に語り告がれよう!
何より!この聖帝自身が!貴様らの働きを目に焼き付けておる!」
モヒたちの士気が上がりはしない。しかし、命を捨てる覚悟を強いる恐るべき帝王の言葉。結果として精兵は死兵に変わる。
死者の群れのごとき聖帝兵に城壁の上から反撃していた帝都の兵たちは逃げだし始めていた。
>>142 一騎当千は個人の戦闘能力に関して使うものかと。
むしろ、そっちの意味。
↓
>純粋に力で千を凌ぐ
『帝都攻め2』
ダッダッダッダッと階段を駆け上がる音、そして乱暴に扉が開く。
「ファルコ様〜!あ、失礼致します!」 焦っているのだろう、言葉の順が逆だった。
「聖帝軍が!第一の門を突破しました。一点集中による敵兵の圧倒的な攻勢に…」
ショウキ「馬鹿な!?早すぎる!これが聖帝の力か?」
ファルコは静かに言った。「どう転がろうとこの戦いは南斗対元斗であり、聖帝対天帝なのだ。
俺が出れば、出なければなるまい。でなくば徒に兵の命が散らされるだけだ」
「ファルコ様…」と十代後半の少年、従者サイヤが心配そうにファルコを見上げた。
レイは何も言わずに腕組みし、険しい顔で壁に寄り掛かっている。
ファルコは決断した。かねてより言うべきだったことを言う時が来た。
「ショウキ…」 「なんだ?ファルコ」
「頼みがある」 「何でも言え。命をくれと言っても断りはせん」
ファルコは心の中で頭を下げた。
「俺にもしものことあれば元斗皇拳をお前に託す」 「!!馬鹿を言うな!何故俺に命を捨てて来いと言わぬ!」
ショウキはファルコの両肩を掴んだ。「お前が伝承者であろう!俺とソリアの誓いをドブに棄てるのか!?」
ファルコはショウキの両腕を優しく払うと、元斗の先人たちの石像を見つめながら言った。
「全ては…このファルコに責がある」
レイが口を挟んだ。「ファルコ、お前のせいで天帝が捕らえられたにしろ、そうでないにしろ、
サウザーの野望は止まらない。どうせ攻め込むことに変わりはない」
「だからこそ行かねばならない。天帝を守ることこそ元斗皇拳の意義」 「…」
「サイヤ」 「はい、ファルコ様」
「お前にも頼みがある」とファルコは布に包まれた箱のようなものを取り出した。
「これは?」 「起爆装置だ」 「ファルコ様!」
「もしこの俺が聖帝に敗れればジャコウは天帝を殺し逃亡するであろう。
ならば全ての責をこのファルコが背負い、天に帰ろう…いや、地獄に墜ちよう」
145 :
1です:2007/05/12(土) 01:07:31 ID:???
>>143 いえ、一騎当千という現実的ではない言葉を現実的に使用した結果です。
仮に現実に一騎当千が成り立つ状況と言えば軍師、あるいは兵を率いる猛将の類と思ったからです。
間違いを知りつつ使ったというよりもリハクの能力を示すために曲解して、この一騎当千という言葉を使いました。
御指摘には感謝します。
>>145 分かっててわざと使うんだったら、" "とかで括った方がいいよ。
そっちの方が、敢えて使っているという意図がはっきりするしね。
『帝都攻め3』
「お待ちを…」
開いたままの扉の方から女の声があった。
サイヤ「ミュウ様!」
「ミュウ…」 痛々しかった。髪も傷み、肌もボロボロだった。ジャコウの玩具にされていたのだ。性奴隷の扱いだったのだ。
「その起爆装置は、この私に押させてもらいます」 はっきりとした意思表示、迷いはない。
「ミュウ…お前」 「申し訳ありません、天帝の居場所を掴むことは…」 ファルコは心が痛んだ。抱き寄せていた。
「お前が謝ることはない。全て、このファルコの犯した過ち、甘さが招いたことなのだ」
ミュウにとって過酷すぎる頼みだった。欲望に醜く歪んだジャコウに身を差し出す…
それを命じたのは自分が愛する男だったのだ。
ファルコとしても他の女に頼めなかった。ジュドル、生活保証などで女はいくらでも雇える。
だがファルコの無駄な高潔さは愛する者をも不幸に巻き込んだのだ。
精算したい。取り戻したかった。己の愚かさに苛ついていた。
腕の中で震えるミュウ。彼女が心と身体に受けた痛みと汚れ。洗い流したかった。どれも叶わないことを知っている。
レイ(女も強いものだ) なぜかミュウとマミヤがかぶって見えた。
「ファルコ、勝手に盛り上がるな。俺が来た意味がない。俺にまかせておけ」 「レイ…」
レイは悟った。これが義星のさだめ。義に生き、そして義に死す。ファルコにケンシロウと同じ、…何かを見た気がした。
「言っておくがお前のためではない。これが南斗義星の宿命だ。ただ宿命のままに」
「レイ」と同時にファルコとショウキ 「レイ様…」とサイヤ。
ショウキ「ならん!まず俺が出るのがスジだ。ファルコ!そうであろう」
レイはニヒルに笑った。「ショウキ…お前では奴等には勝てない」 「な…だが役には立つ!」
「フッ」 レイはまたニヒルに笑った。どこか寂しそうな笑いだった。
「よせ、ショウキ。お前にはファルコの頼みに答える責任がある」
そして真顔で言った。「ショウキ…お前はこの暗黒時代の生き証人になれ」 「レイ…」
ショウキは返す言葉を見つけられなかった。
「ファルコ、別れを惜しめ。時間稼ぎをしてやる」 「何故そこまで…」
レイは笑った。「さあな。…門の守りは南斗にまかせろ」
148 :
1です:2007/05/12(土) 01:51:14 ID:???
>>146 そうですね。私も" "はよく使うのですが使用条件をこれと言って決めていないので…
さて恐れ入りますが今日書かせていただいた話も1レスの容量上、表現やキャラの動きを削っています。
ま、何より全ては私の稚拙さに依るものですが、皆様の御妄想にて補完をお願い申し上げます。m(_ _)m
1さん、お疲れさまです。毎日楽しみに見ていますよ。
無理のない範囲でがんばってくださいね。
あ
152 :
マロン名無しさん:2007/05/13(日) 15:40:46 ID:miMYFVdc
神「日本列島はバトロワのフィールドだったのです。約1名を除き、古流拳法なんかでよく生き残りました。ここからはトーナメントにしましょう」
サウザー「ふざけるな」。
ケン「俺たちはモノじゃない」。
神「これも生き物のサガか・・・」
ファルコ「そーれッ☆」(頭上から光線技を打ち下ろす中段攻撃)
神「あばぁあああ」【戦闘突入】
戦闘は当初、人間側の優勢に進んだが・・・
神は光あれで攻撃!
サウザー「目がぁ目がぁ」
ケン「かつて目が(中略)」
ファルコ「ぬぅぅううん」神を攻撃、269のダメージ。
角田さんはパンチで神を攻撃 ダメージがない!!
神「ぶははははっはは やっと当たったらそれかw フルコンタクトが聞いて呆れるw」
シュゴーーーー
4人「うわー遂に左手きたー」
ファルコはヒーリングを使った 246回復!!
角田さんはチェーンソーで神を攻撃 神はバラバラになった
サウザー「・・・・・・・・・・」
ケン「あのさあ。あんたな?」
153 :
マロン名無しさん:2007/05/13(日) 21:07:45 ID:lKPnXof+
北斗の拳TRPGって無いのかな。
『衛将』
第二城壁の正門…聖帝兵モヒたちは、梯子を壁に架け、頭上に盾をかざしながら昇り行く。
彼らモヒたちに後退は許されない。生き延びる方法があるとするなら、それは前進…ただ前進だけだった。
兵数では圧倒する帝都軍ではあるが、城壁の上、スペースは限られている。
本来なら、兵力で凌ぐ帝都軍は開門して迎え撃てばいいのだが、聖帝軍は聖帝本人をはじめとして魔人がそろっている。キングことシン、天狼星リュウガ、盲目の闘将シュウ、ソリアを倒した黒騎士シュレン…
開門は絶対的な死へと直結している。今はただ粘って、こちら側の魔人であるファルコ、ショウキの出番を待った。
一点集中で突撃する聖帝軍…"蜘蛛の糸"を我先にと必死で昇る亡者たちのようである。
だが梯子を昇り切ってもそこは極楽ではない。絶望的な死地である。なのにモヒたちは一心不乱に進むのである。
あまりにも憐れで惨い有様であった。戦争の現実、知っても語り伝えることはできない。
…ドン!突然だった。
門の前に何かが落ちて来た。その近くにいたモヒたちは強力なGを感じたが、それを誰にも語ることはできなかった。
砂煙が上がる。"爆心地"にいたモヒたち、つまり強力なGを感じた者たちは皆、一瞬で"解体"された。
その異様な出来事に、梯子を上がるモヒも、迎撃する帝都兵も動きを止めている。
砂煙が引いて行く…
男が片膝を着いた状態で、下を向いて座っていた。長い、ややクセのついた黒髪が垂れ、顔を隠している。
「誰?」 双方の兵たちの沈黙がそう問うていた。
男が立ち上がる。頭を後方に振ると髪が流れて顔が顕になる。
整った、美形とも言える顔。目の下のクマ、あるいは窪みなのか、やつれた印象を受けた。
モヒたちは理解した。この登場の仕方。元斗の拳士・将軍ファルコだと。
だが勘のいいモヒは、(南斗顔だ…)などと思ったりもした。
『義…』
そこからは凄惨の一言であった…
素早いが優雅な残像を残す足さばき。地を離れれば、思わず心奪われるほどに美しい空舞。
南斗水鳥拳…
その華麗な舞が残すもの…その麗しさとはとても相容れようのない、無惨な屍の山。
レイはただ斬った。突いた。砕いた。
掠めるようにモヒの顔を掻く。そのモヒの顔が崩れ落ちる頃には、別のモヒが斬られていた。
…実感がある…自分が生きている実感があった。
戦争に善悪などない。そんなこと気にすることもない…
着地。同時にモヒたちが輪切りになる。別のモヒが剣を振り上げて迫り来るが、その動作はスローモーション。
そいつの顔を見る。(何故勝てないと知って俺に挑む?妻子はいないのか?愛する者は?お前の帰りを待つ者は?)
何の痛みも感じなかった。痛くも痒くもなかった。そいつが正中線に沿って二つに分かれていっても、何も感じなかった。
以前、誰かが言っていた。「人を殺した者は、その瞬間から人間ではなくなる。人の形をした異形の者になる」
ならば、この世界に生きる者たちは皆等しく人間ではない。お前もだ。俺に槍を突き出すお前は人間ではない。
「しゅあ!しゃあ!」
耳が飛び、剃り上げた頭部が飛び、モヒカンにした残った頭部がずり落ちる。…何も感じない。
自分の身体が返り血で染まってゆく。吹き出す生暖かい血が口に入る。生臭さが拡がる。
義星…俺は今、天帝守護のために戦っている。南斗のサダメに従っている。殺している。
数秒に過ぎなかった。門の周りには生きた人間は、レイの他に誰もいない。人のカタチをした物もない。
さすがに、もう誰もレイには近付こうとさえしない。後退、逃亡も不可能。聖帝の勇敢な戦士たちは、その場で凍りついていた。
一人を殺す…悲しみと怨みは広がる。多くの人間を巻き込む。それがどうした?
レイは己が身を紅く染めて門の前に立っている。
その指先から血が滴り落ちていた。
『レイ』
七、八歳の頃だった。世界に支部を持つ拳法、南斗流の道場に通っていた。
俺が十一歳のときだった。見慣れない男たちが道場を訪れていた。幾人かいたが、皆共通していることがあった。
目が鋭かった。ありがちな言い方をすれば刃物のように鋭い視線だった。
「レイ、ちょっとこっちへ来なさい」と師範が言ったのを覚えている。
俺は道場一番の強さ…とはいかなかった。まだ子供だから、ということを別にしてもだ。同年代でも並の上といったところだった。
「拳才よりも適性なのだ」
何のことか分からなかった。何故か俺の意識は朦朧としていた。
何故かその後の記憶はきれいに抜け落ちている。
ここがどこだか、分からない。頭が働かない。呼吸を意識的に行なわないと、止まってしまうような、そんな不安に駆られた。
…暗い怪しげな部屋に連れて行かれた。たくさんの書物が俺の前に置かれた。
「これを全部!?無理に決まってます」
目の前の男、後に俺の師匠になる男は笑って言った。「大丈夫だ」
その日から…ときに指で、ときに鍼で、ときに薬品で、俺は恍惚状態、あるいは催眠状態にされた。
膨大な知識が、価値観が俺の脳に刷り込まれた。
脳内が、まるで次々に爆発していくような感覚も味わった。覚醒していった。眠りこけていた何かが、激しく動き出した。
たった五年だった。僅かに五年で俺は南斗水鳥拳をほぼ身につけていた。
「レイ、お前の中には既に南斗水鳥拳の全てが修められている。それを解き放てるか否かは、そこからはお前次第だ」
「この子の宿星は義星、義の星だよ」 一体何百年生きてるかを疑いたくなるような不気味なババアは、俺にではなく師匠に言った。
そのババアはそれだけ言うとさっさと奥へ引っ込んだ。
「レイ、お前は南斗六将の候補に挙がっている」
南斗六将、六星、六聖拳…聞いたこともないのにいつの間にか知っていた。
そして候補…南斗六聖拳の一つを極めているのは俺だけじゃなかった。
兄弟弟子リョウオウ…師匠の実子だった。
あ
い
ゆえに
『レイ』
俺は既に、いくつか宗家からの依頼を果たしていた。暗殺の仕事だ。
組んで仕事をすることもあった。事前の調査・情報収集、陽動、逃走経路や手段の確保などを行なう連中だ。
そいつらも南斗組織に繋がりのある黒い世界の人間だった。
単独にせよ、連携するにしろ、殺しを請け負うのは、いつも俺だった。
まだ少年に過ぎなかったが、南斗水鳥拳の体術を身につけていた俺にとって忍び込むのに困難な所は少なかった。
もちろん脱出に困難なこともなかった。忍び込めないほど厳重な警備が施されている場合は、堂々と客人として入り込んだ。
そんなときは、わざと惨たらしく殺すのだ。
流血なしに殺すことなどたやすいが、あえて酷いホトケをさらしておく。
それが素手によってなされたなんて誰も想像しないだろう?
まして、鋭い目付きとは言っても、たかだか十五、六の少年など大して気にもされなかった。
簡単だった。大人たちが経験によって学び、身につけて来た常識の範囲を、はるかに飛び抜けてしまえばいいのだ。
その場にいた全員が、名前や住所は記録されても、最後まで凶器は発見されない。結局は迷宮入り事件で解決は見ない。
何度か、いや何度も繰り返してきた。それでも心が痛むことはなかった。罪の意識に苛まれることもなかった。
殺した者たちが夢の中、怨みがましい目で睨んできたり、襲いかかって来ることもなかった。
刷り込まれた新たな価値観、リプログラムされた心。それとも、これも適性なのだろうか?今となってはどうでもいい。
…一度だけだ、痛みがあったのは。リョウオウ…苦楽を共にした同門。
南斗の至宝、六聖拳の一つ水鳥拳を極める男が俺の他にいるなんてな。
何故だい?適性があれば誰でも修得できるわけじゃない。なのに何故、リョウオウお前も修得できたんだ?
何故だい?
『聖帝』
無惨な血飛沫を上げ、砕け散るモヒたち…
後方に控えるサウザーたちにも元斗の登場かと思わせる光景だった。
サウザー「ん?」 いつもの座りポーズで戦況を見守って(楽しんで)いたサウザーから笑みが消えた。
「馬鹿なことを!死ぬ気か?」と言ったのは三輪バギーの上で腕を組んで立っているシンである。
「な、まさか…この"気"は…そして声は…」 盲目のシュウも察知した。あれはレイ…だと。
サウザーの目付きが危険度を増す。「レイ…」
「兵たちをどかせろ」と静かに言ったつもりだが、その低い声には凄みと殺気、そしてある種の決意があった。
複数の伝令が大声で駆け回る。「転進!転し〜ん!脇に避けろ〜」
伝令は(しまった!"避けろ"と言ってしまった)と、さりげなく聖帝をチラ見したが、気に留めている様子はない。
さらに何気に上官をチラ見した。上官はこっちをガン見していた。殺されはしないが何かしらの処罰がある。
慌てて目を逸らしたが、もう遅い。too late…
サウザーは実のところ、そんなことなど元から気にしてもいない。周りが騒ぎ、盛り上がる。サウザーの権力…
サウザー「おい、進めろ」 リハクは危険を恐れ止めようとしたが、押し黙った。
聖帝サウザーの前進を止めることはできない。
運転モヒはサウザーの声に従い玉座バイクを前進させた。
ゆっくりとした前進にもノッキングなどの不自然な揺れは全くなかった。運転モヒの高い技術と細心の注意。
多少の振動などサウザーは気にもしないが、周りが勝手に騒ぎ出す。聖帝の威光。
サウザーは憤慨していた。南斗対元斗、聖帝対天帝に、よりによって南斗が、しかも六将の一人が水を注すとは…
ニィ…サウザーの口、特に左側が大きく釣り上がった。
魔王の邪悪なその笑み。両軍の兵は血が凍るように感じた。
「悪帝」
サウザーは後方の馬上の人、シュウに語りかけた。
「シュウよ。俺は、まだお前がこの聖帝に忠誠を誓うかを確かめていない」
こう言われれば何のことかは見当がつく。
「シュウ、貴様の忠誠を見せてみろ。南斗六聖拳の一人として、南斗の帝王、将星に仕える意思があるか否かを示せ」
「な…サウ…ザー」
サウザーは、レイと戦えと、シュウに迫っているのだ。
「断れば無条件で"身請け"した貴様の仲間たちを殺す。負けても殺す」
「サウザー、貴様…」
「無礼者が!ならばこの俺に挑め。…ただし!…そのときは、やはり貴様の仲間たちを殺す。焼き殺す。ガキにいたるまでな」
「な…」 シュウは何かにすがりたくなった。だが神にすがっても救いの手が伸ばされたことはない。
リハクは自分に発言力がないことを知り、沈黙しながら切歯扼腕とするばかり。
シン、リュウガは無言でただ成り行きを見守るだけである。
そしてシュレン、彼ははサウザーの恐ろしさをよく知っている。ヒューイと仲間たちは焼き殺された。
レイとシュウの二人がかりならサウザーも敗れよう。しかし、サウザーは、彼らがそうしないことを知っている。
高潔さなど、戦場では何の役にも立たない。この絶望的な状況、二人組んで戦えばいいものを…所詮は衛星。
仁・義など治世でしか輝けない。
「さあどうする?シュウ」と帝王は邪悪な笑みを浮かべる。
そのときだった。城壁の向こうから歓声が上がり、ほどなくして第二の門が開かれた。ゴゴゴゴゴ…ゴゴン!
サウザー「フフ…ついにお目見えか…元斗皇拳伝承者、最後の伝承者よ」
もう来たのか?と目で告げるレイにファルコは答えた。
「この戦いは元斗と南斗のもの、人に任せるわけには…」
ファルコは右手を上方に掲げ、闘気を込める。金色の闘気がその拳を包む。そして、
「行かぬ!」と離れたサウザーを撃った。挨拶がわりだ。
サウザーは座ったまま頭を動かし、その気弾を避けた。ボン!と、背もたれに穴ができ蒸気を放つ。
「フ、クフフフ…」と笑いサウザーは体勢を戻した。いつもの座りポーズは変わりない。そして、
「レイよ…貴様のことは後回しだ。僅かに伸びた命に感謝しろ」と落ち着き払って言った。
163 :
訂正:2007/05/17(木) 01:18:50 ID:???
×ヒューイと仲間たち
○ヒューイの仲間たち
××ヒューイとゆかいな仲間たち
165 :
メイデン:2007/05/17(木) 19:31:15 ID:???
>>164 メイデンです。
164さんすいませーん!!
仕事が忙しくてなかなか書き込みできないんです。
今週の土曜日は必ず164さんに再開しますんで(T_T)あとほんの少し待っていてくださぃm(__)m
頑張ってください
フー子は風属性だから、冷戦期の火炎放射器なんかで攻撃したら一溜りもないですよね。
でもヒノが居なきゃ苦戦しただろうなあ、対フー子戦。
劣化の炎からも援軍きてましたよね。未成年の女性を、足払いとスリップダウン判定のコンボ17回で医院送致に追い込む
サウザーがいい味だしてました。戦いで身を立ててるのに受身とれない女にも問題は有りましたが。
入院したその日に「俺に恥をかかせた」という理由で劣化の主人公に頃されてましたし、萌えキャラの安易な一軍化には賛成できませんよね。
ホームレスの辰さんをレジスタンスのノウハウで一蹴したシュウも香ばしいですが、乞食に酒を飲ませて連行してくるヒューイには敵いません。
消火器売りの青年も他の観衆と一緒に、観客席に転がり出た辰さんを避けまくってたのが世の厳しさを感じさせます。
フェンシングのサーブルと電熱式の焼印を改造した武器でヒューイのクローカード(ウィンディ)を悶氏させたシンは、南斗以外の全員に
防具を使うのは卑怯とかブーイングされてて悲惨でしたね。あれは防御が主目的ではなかったのに。
少なくとも胴の部分は電気のコードを通すために必要だったし、長髪もクシャクシャしないところに収納しないと不利だったし。
「俺たちの権利は溜め池の底の水草じゃ無い!!」と元レジスタンスに叫ばせたシュウの統率力も凄いですが、誘導に乗って体温低下と
焚き火に転倒したストーム博士もある意味で凄かったですね。未来人の弱さが露呈しているわけですが、どこで博士号とったんだ?
他にも誰か居ましたっけ、ヒューイの愉快な仲間たち。焼かれまくってましたよね・・・。
※ストーム博士のパラグラフは、いつか見たハッカー物の洋画が元ネタです。
『DQN親子』
「どけ!」
ジャスクとシーノは衛士が扉を開けるその間も待てず、邪魔そうに押し退けた。
次いで中にいた衛士たちを外に追い出すと乱暴に扉を閉め、鉄の閂を下ろした
「親父!ファルコと聖帝がついに!」
言うまでもなかった。ジャコウは小刻み震えにながら第二城壁正門を見下ろしていた。
振り向いたジャコウの表情は恐怖に引きつり、青ざめ、生きた人間のものとは思えなかった。
「おお…お前たちか…」 その声はしわがれ、小さかった。
「ど、どうすんだ親父」とシーノが暑苦しそうにマスクを下げながら言った。醜い傷跡が目立つ。
ジャスクも間を置かずに、「ファルコは死ぬぜ。聖帝に勝っても奴等ぁバケモンぞろいだ」
「わ、分かっとる」 醜く、そして恐ろしい笑みを見せた。
「切り札はある。ファルコが負ければ天帝を殺して、…逃げるだけだ。ヒ…ヒヒヒ…そうすれば奴等も追ってはこまい」
何もかもが甘い考えだったが、混乱を来したジャコウにこれを越える考えは浮かばない。
ジャスク「なあ親父…天帝は…あのガキはどこに隠したんだ?もう教えてくれてもいいだろう?」
ジャコウは足を踏み鳴らした。ついに正気を失ったように見えた。
「お、親父…」 「だからここだ…」 「?」
「この下に通路がある。それを辿ればいい」
「その通路にはどうやって入るんだ!」
シーノはジャコウに飛びかかりそうな勢いだった。非力なジャコウは息子のたくましい身体に怯えを感じた。
この息子たちが自分を裏切らないとは言い切れない。ジャコウはごまかした。
「ま、待て…その時までは待て…それよりお前たち、逃げる準備をしておけ」
……柱の陰、高い天井に接した部分…猿のように小さい丸めがねの男が盗み聞きしていたことにジャコウたちは気付いていなかった。
「二千年」
こうなっては、この宿命の対決を汚すことはできない。レイは下がり間を空けた。
近くの聖帝兵は、さすがにたまらず逃げだした。
睨み合う南斗と元斗…。サウザーは邪悪な笑みを浮かべたままだが、その目は射抜く矢のようだ。
いつもの座りポーズのまま口を開いた。
「元斗皇拳のファルコ…その右脚はラオウに許しを請うため、差し出したらしいな。貴様が恐れたラオウは…」
と、ここで「フッ」と笑い、「我が拳の前に崩れ去ったわ」
ファルコが片足を自ら断ち切った本当の事情は知っている。だがサウザーはファルコを挑発したのだ。
ファルコはその右脚を上げ、そして地を勢いよく踏み付けた。ズン!と地響きが起こる。
衛兵「おお!今日は脚が泣いていない!」
ファルコ「天帝守護の拳でありながら、自らを帝(みかど)とし、叛旗を翻す逆賊南斗のサウザーよ。
この狼藉、大罪…万死に値する!」
サウザーはまだ動こうともせずに言い返した。
「元斗皇拳は見せてもらった」 「ソリアの死は無駄にはならん!」
「慌てるな、ファルコ」 サウザーには、どこまでも帝王の余裕が感じられた。
「蛍の光に…熱はないそうだ」 「それがどうした」
サウザーは組んだ脚を高く上げ、逆に組み替えた。
「無駄なエネルギーがないからだ。ほとんど純粋に光に変換されるらしい」 「それで」
「フフッ」 サウザーは笑った。「元斗皇拳など力を浪費するだけの駄拳に過ぎぬ、ということだ。
光るのか、殺すのか、二千年も経つのだ。どちらかに決めろ」
と、サウザーはついに立ち上がり、ラオウとの戦った時と同じようにマントを放り投げた。
「決めたか?しかし、元斗はここで滅す。天帝諸共な」
『激突!』
サウザーは早足でファルコに向かって行った。もちろん構えはない。無防備に歩みを進める。
ファルコは右手を腰に当て、左手を回し始めた。金色の光が円を描く。
「来いサウザー!門番の拳、見せよ!」
「フッ…フフ…フハハハハア!」 シュン!サウザーのスピードが一気に増す!
ファルコはその突進に合わせ、気弾を放つ!左手が描いていた金色の光輪がサウザーに迫る。
サウザーの動きは直線的であったが、そのスピードはファルコとて未経験の領域である。
そのスピードに合わせたのだ。ファルコはサウザーの拳を知っている。南斗鳳凰拳を知っていた。
「!」 サウザーとしては、その自分の速さをもってすればファルコの虚を突ける、と踏んでいただけに、逆に虚を突かれる形となった。
だが、さすがにサウザーである。瞬時に方向を変え、ファルコの光弾を避け流す。その闘気弾の圧力を肌に感じた。
サウザーは方向転換し、またその直後に地を蹴ると、再び神速の軽功術でファルコを狙う。両手を胸の前で交差する。
(速い!)ファルコは気弾を放った直後である。ここは回避に専念した。その義足を軸に身体をよじる。
その前をサウザーが猛烈な速さで駆け抜けて行く!新たに右手に込めた闘気。「おう!」とサウザー撃つ。
ババン!振り向いたサウザーの胴体を捉えた!
サウザーはその威力に押され、敵兵たちの中に突っ込んだ。ドカカカッと兵士たちが倒れ込み、その場が激しく騒ぎ立つ。
レイの暴れ振りを見たばかりの衛兵たちである。チャンス!とばかりにサウザーを狙う者は一人もいなかった。
気弾に押され吹っ飛ぶ…本来ならそのまま気弾は相手を貫通する筈。相手が吹っ飛ぶことはない。
シュバババ!サウザーの近くの衛兵たちがスライスされ血が舞い上がる。
太古の魔神の復活…そんなことを想像させるシーン。あるいは悪魔の誕生か。
ボトボトと落ちる肉片の中にサウザーが立ち上がった。
サウザーはその身体を血で汚しながらも、そしてファルコの一撃を受けながらも、いつもの不敵な笑みを見せている。
「きかんな〜」
172 :
マロン名無しさん:2007/05/18(金) 23:37:44 ID:AV/Vye93
>>メイデンさん
モヒが村人でオブジェを作るなら、硬直する前に破顔(満面スマイル)にするといいと思います。能楽の翁の面みたいな感じで。
もしくはヒョットコ系のフザけた顔ですね。
満面のスマイルと、物凄い状態(無無ッや肉親の損壊板井を含む)の首から下。そのアンバランスが面白そうです。
173 :
マロン名無しさん:2007/05/18(金) 23:39:31 ID:AV/Vye93
2万人近い元斗兵の編入に伴って、浸透戦略をとっていたであろう赤龍党の活動が気にかかります。
聖帝の料理スタッフチームや大奥の壊滅と生き残りに対する疑心発生といったライフラインの破壊から、
鳳凰拳の戦史教育、そしてサウザーの統治経験と手持ちの社会資源(リハクとか)の裏をかくグランドクロス炎上やオウガイ損壊まで、
どんなスリリングな事が起きるのかご期待申し上げております。
174 :
1:2007/05/19(土) 00:05:34 ID:???
あの赤龍党を書いた人、誰だったんでしょうね。
『激突!』
「まるで効かんな〜」 サウザーは再び、しかしゆっくりとファルコに歩を進めた。
「元斗皇拳…こんなものよ。二千年もただ天帝の世話をしていただけであろう。
…南斗は違う。常に最前線で戦い、北斗とも反目し、ときに南斗同士で技を磨いて来た。
幾度も、そう、二千年に渡り研鑚を続けて来たのだ。
フッ…元斗皇拳など旧態依然とした変化も進化もない拳よ」
自分の一撃が効かなかったとは言え、ファルコに動揺はない。自分の拳には絶対的な自信があった。
近い間合い、必殺の間合いなら、この世における全てを滅することができる。
「そうではない!聖帝サウザーよ」とファルコは気を練り直しながら緩やかに両手を動かし円を描く。
「完全なもの、完成されたものには、進化も変化もない。貴様らが変わる必要があるのは、不完全だからに過ぎぬ」
「ぬかせい!」 サウザーの神速!だがその速さは既知!「元斗皇拳破の輪!」
金色の十本の剣がサウザーを迎え撃つ!危険を感じた。急停止!靴底が焦げる。
ブワワワワー! サウザーの眼前ギリギリを闘気の剣が激しく速く往来する。
押された…サウザーの身体が僅かに後方にズレた。「ん?」
ビッビッビビビッ!
サウザーのタンクトップが破れ、すぐに血が溢れ出した。
サウザーは距離を置こうとした。だが間髪入れずにファルコの追い討ち!サウザーの胸が気弾で撃たれる!
その勢いでサウザーは押し倒される。サウザーがその背を地に付けた。
リハク「おお!聖帝様が倒れた!」
ファルコは時間をかける気はない。ここでサウザーのみならず残りの南斗の猛者も屠らねばならない。
ファルコの巨体が宙に舞う。サウザーを空(クウ)から狙う。渾身の闘気を込める。
倒れたサウザーと目が合う。その目は怒りと屈辱に激しく燃えていた。
「むあ!」 サウザーは力を振り絞り、地を蹴るとそのまま倒立し後方に逃れた。
間合いを調節しているわけだが、バックステップ……サウザーの顔からは帝王の笑みは消えていた。
『辱』
着地点を狙った。サウザーの伝衝裂波!
ビシャシャシャ…地が裂ける禍々しい音。だがサウザーは驚くべきものを見た。
微かに、ほんの一瞬だがファルコの落下が止まったのだ。
「な!」 サウザーの撃った衝撃の刃が間を逸し城壁を刻む!
一瞬の動揺を振り払い、着地したファルコにサウザーは襲いかかった。
またもやサウザーは度肝を抜かれることになった。ファルコは浮かび上がるように地を離れたのだ!
南斗聖拳の飛翔軽功術は筋力に"気"の力を加味して動となす。
だがこのファルコの飛翔術は南斗のそれとは違う。筋力は無関係に見えた。それは、ほとんど"気"だけによる空舞!
それとほぼ同時にサウザーが感じたのは、強力な圧力と火のような熱さだった。
サウザーは、空に舞ったファルコを極星十字拳で斬りつけようと、腕をクロスしていたのだが、それが幸いした。
ファルコの闘気に反応し交差した腕をそのまま受けに変更した。その腕には南斗聖拳、裂殺の気が込めてある。
にも関わらずガードの隙間を縫ってファルコの闘気の圧力と熱がサウザーを撃つ。
上方からの圧力、重力に絶え切れずサウザーはクロスアームブロックのまま片膝を地に付けた。
湧き上がる帝都の兵士たち。対照的に聖帝モヒたちは静寂に支配された。焦りの匂いに満ちている。
ファルコはサウザーの前に立つと、膝を付いた帝王を見下ろした。そして見下(クダ)した。
「これぞ元斗皇拳の舞空術、天衝舞」
そしてさらに付け加えた。
「元斗は南斗など知り尽くしている。そして全てにおいて凌駕している。貴様ら闇の暗殺・殺人拳とは格が違う」
背を、膝を地に付け、さらには蔑みの視線を受ける。サウザーにとって、こんなのは未経験である。
極みは南斗への侮辱…師父オウガイより賜る南斗鳳凰拳への恥辱…
怒りが込み上げた。極めて感情的な怒り、王の怒りではない。
口の中で何かが砕けた。だがサウザーは屈辱のあまり、奥歯が砕けたことにも気が付かなかった。
178 :
壱です:2007/05/19(土) 03:56:10 ID:???
>>175 赤龍党…まだ私がトリップ付ける前に、誰かが私になりすまし、1レスだけ書いたことがあったんです。
前スレですけどね。
180 :
マロン名無しさん:2007/05/19(土) 09:50:12 ID:TqHR8z54
アニメ版独自だな・・・。
>>178 そうでしたか。僕の贋者(臨時後継者群)も出現してくれないかなー。
181 :
メイデン:2007/05/19(土) 18:40:27 ID:???
182 :
マロン名無しさん:2007/05/19(土) 23:19:53 ID:gsselNgx
うお、トリップとかつけてませんでしたっけ、メイデンさん。
『ジョーカー(的な役割の人)』
目立たない格好をして忍び込むなら無意味な殺しを避けることはできただろう。
だが彼は、その虚栄心を、ほんの僅かでも削ることができない。
兵たちはサウザーの軍に意識を集中している。裏門の警護は手薄だった。
帝都の"協力者"の手引きでユダは既に第三城壁を超えている。
ユダを怪しんだ者たちは、たちまち輪切りにされた。
協力者は部隊長の一人である。塔を囲む電気の流れる鉄柵も一時的に電源がオフにされた。
そこにいた兵たちは、全てこの協力者の部隊に属している。派手な装いのユダについて質問する者はいなかった。
こうして彼は幾人かの有力な協力者のお陰であっさりとバベルタワーに侵入したのである。
勝利の女神の微笑みと祝福のキス…南斗のものになるか、元斗のものになるかは分からない。彼女はいつも気まぐれだ。
彼は天帝を拉致するつもりであった。保険…備えあれば…だ。
「ユダ様、私はここから先に進む権限を受けていません」
「十分だ。残りの報酬は部下が責任を持って、そなたに届ける。ご苦労」
この階段を昇って行けば総督ジャコウの間、コマクからは天帝につながる隠し通路も聞いている。
天をも揺り動かす知略の星。そこにユダは"美"を加える。
天を握るはこのオレなのだ。
彼にとっても、天帝など過去の遺物に過ぎなかった。
『鳳翼』
シンには信じられなかった。直接見たわけではないが、サウザーはあのラオウをも退けたのだ。
彼自身もサウザーとは軽くやり合ったことはある。シンの拳はサウザーを捉えることができなかった。
その南斗最強の男サウザーが一方的に押されている。
ファルコが、その元斗の紋章が刺繍されたマントを翻して、サウザーに襲いかかる!
必殺の間合いを外しても、完全には元斗皇拳の巨大で強力な"手"を回避することは困難。
サウザーにはダメージが積み重っていく。
ファルコの元斗皇拳は、ソリアをはるかに凌ぐ。それにしてもサウザーは押されすぎている。
サウザーの表情を見れば、それが演技でないことは明白。
もし俺だったら…とシンが考えたとき、「そうか!サウザーは」
ファルコは右手を天に掲げ、そこに全闘気を集中させた。まるで天から力を得ているような姿だった。
「終わりだサウザー。逆賊南斗に天の裁きを!」
とファルコはサウザーに向けて、その猛気を撃ち放つ!
「奥義!元斗黄光滅浄!」 ヴォアン!!
ついに手をさえも地に付けたサウザー目掛けて、眩しいばかりの光弾が!
ファルコからはその自ら放った気弾ゆえに見えなかった、サウザーの笑った顔を。
この奥義、気弾なれども確実に敵を滅殺する。例え強力な闘気を鎧のごとく身に纏うサウザーであっても。
爆発!!
モヒ「ああ!聖帝様!」
砂埃…人影。サウザーがやや顎を上げてファルコを見つめ返している。あのいつもの不敵な笑みで。
「…このファルコの奥義、完全に貴様を…」
遮るようにサウザーが言った。
「元斗皇拳…見切るのに時間がかかったな。南斗は北斗を知り、北斗は南斗を知る。されど元斗はその拳を見せず」
「…」
「その秘匿性ゆえに生き延びて来れたな、元斗よ。誉めてやろう。
そして見せてやろう、この聖帝サウザー真の実力を、その片鱗に過ぎずともな」
(あの体勢からどうやって避けたのだ!?)
ファルコの困惑を余所に、サウザーは両手を開き、「ふぅむん!」と力を込めた。
その身体に刻まれた傷が塞がっていく。
「こちらの番だなあ、元斗よ。鳳凰の羽ばたきを見るがいい」
サウザーカクイイ!!
186 :
壱:2007/05/20(日) 02:30:09 ID:???
ありがとうございます。
ちなみにサウザーの声は「ラオウ伝」の声優さんを意識してます。
あとは特に声はイメージしてませんが、前スレでサウザー対ラオウを書いたとき、
やはりラオウの声は内海賢治(賢二?)氏を意識しました。
大塚明夫さんね。
188 :
空想伝:2007/05/20(日) 04:13:58 ID:???
【鉄の処女41】
部屋に入るジャッカル達に
「ようこそ、ジャッカルさん…今日も上玉を仕入れてきましたねぇぇ…ユダ様もきっとお喜びになられますよ」
妖しい笑みを浮かべながら片方の目に眼帯をした一人の男が現われる。
ジャッカルも内心はこの部屋の異臭は何とかならんのかぁ??そぅ思いながらも
「あぁ、ダカールかぁ…しばらくだぁ。」と軽く言葉を返す。
ダカールが奥の部屋でユダ様がお待ちです…と言うと奥の部屋に案内されるジャッカル達。
フォックスはこの悪趣味な広い部屋に充満する香水の匂いに吐き気を隠すのが精一杯の様子。
他の部下達もその例外ではない。
部屋の奥まで進むと深紅のカーテンで仕切られた部屋が見えてくる。
カーテンの色は薄く中の様子がうっすら覗けた。
そのカーテンで仕切られた部屋に二人の男の姿がジャッカル達に背を向けている。
小柄の男一人と、その男から距離にして3メートル程、前方に大柄な男が全身に何一つ身に付けず全裸の状態でジャッカル一向に背を向けていた。
189 :
空想伝:2007/05/20(日) 04:49:51 ID:???
【鉄の処女42】
強烈な香水の香りが漂う部屋の中、ダカールが紅いカーテンの奥にいる裸の男に
「ユダ様……ジャッカル様御一行が到着なされました」
と伝える。
ジャッカル達にさらわれてきた綺麗な女性達は不安そうな表情を浮かべている。
そしてこの部屋の異臭に耐えられないのか落ち着きのないフォックス…
小規模とは言え、一組織の長たるジャッカルはズシッと、その成りを一つも崩そうとはしない。
ユダ『…………………』
ダカールの声がユダには届いていなかったのかユダはダカールの問い掛けに沈黙を続けている。
ダカールがそのユダの様子をしばらく伺うと“ニヤリ”と笑みを浮かべ、もう一度左手を腰にあてポーズを決め微動だにしないユダに問い掛ける。
「ユダ様……………。ジャッカル様御一行がユダ様にお会いになりたく遠路遥々ご到着なされました。」
190 :
壱:2007/05/20(日) 23:46:17 ID:???
>>187 なるほど。あの声優さんのサウザーは個人的に気に入ってます。
『怒り』
「見切った、というか…面白い!貴様はまだ元斗皇拳の力を知らぬ」と円を描く手の光が徐々に強さを増す。
サウザーの傷は癒えたわけでないにしろ、既に塞がっている。
それよりもファルコを動揺させたもの。それは先程のサウザーがいかにして、自分の奥義を回避したのか、である。
無表情を作るファルコであったが、サウザーはその目に彼の焦りを見た。
サウザーは乱れた髪を直し、タンクトップの切れ端を引き抜き乱暴に投げ捨てた。その切れ端は細かく千切れていく。
「いいや、見切ったのだ、元斗よ。我が身体、我が血、我が闘気は貴様の気を覚えた」
「覚えた?」
「フフ…そうだ。もはや貴様の拳は俺には当たらぬ。貴様の体(タイ)と気の流れは見切った」
「ならば試してみよう!元斗白華弾!」とファルコは間を詰めて右手を突き出す。薄い黄色の光が弾ける。
サウザーを捉えた筈だが、その姿が消えていた。強烈な悪寒!慌ててファルコはそのまま前方に進んで距離を空けた。
振り向くとサウザーがこちらを見て笑っている。ファルコを蔑む目だった。
「元斗よ。逃げ足は速いな。逃げねば死んでいたぞ。分からぬか?フッ、マントを見ろ」
「?」 ファルコはマントを確かめてみた。元斗の紋章が描かれた中央部が十字に斬られていた。
「ンムハハハ〜!」 その高笑いに帝都兵たちの魂は凍った。
「元斗よ。本気になるのは、あのラオウ以来だ。この聖帝が地に背を、膝も手も地に付け、転げたのだ。………この屈辱…」
サウザーの顔が鬼の形相と化す。
「…楽には死なせんぞ…南斗の帝王に、そして南極天の主に地を流させた罪…」
サウザーが前傾姿勢になる。獲物に襲いかかろうとする野獣のよう。
「鳳凰の怒りを受けい!」
>>191 地を流させた罪…
かっこいい言い回しですな。
193 :
マロン名無しさん:2007/05/21(月) 02:06:23 ID:VfybMuZA
194 :
マロン名無しさん:2007/05/21(月) 08:39:47 ID:PqJ9C2OP
195 :
壱:2007/05/21(月) 11:12:15 ID:???
>>192 「はうあ!」
壱は己を恥じた…
(くそ!書き込む前に確認はしていたが)
しかし一度放った矢を止めることはできない。同様に、公にさらしたミスを修正はできないのだ。
壱「せめて、次レスで""訂正"をいれておけば…」
壱は崩れたビルに拳を突き立てた。ガッ…ガッ…何度も何度も。
「"地"を流させた?何だよそれ!?」
壱は、もはや痛みで拳を握れなかった。拳からは"血"が流れ出ている。
痛かった。すごく痛かった。壱はその場に力なくしゃがみこむと、激しく泣き出した。
ここは砂漠と化した誰もいない荒野。
「"地を"じゃないんだ。"血を"…ヘグッ…なんだ」
壱の嗚咽…風の音にかき消され、虚しく響くこともなかった。
196 :
壱:2007/05/21(月) 11:14:43 ID:???
よりによって"訂正"のところが、
""訂正"になってる…
わざとじゃありません………
197 :
メイデン:2007/05/21(月) 12:42:34 ID:???
>>181 は本物??…私です。
いつも返事遅れてごめんなさい↓
今休憩はいりました。前のレスにトリップつけないの?
って質問がありましたけど、自分はいつもつけてません。また書き込みしますのでお手やわらかにお願いしますm(__)m
楽しみにしてるんで頑張ってね!
199 :
マロン名無しさん:2007/05/21(月) 16:35:23 ID:kY3FjMC4
同じく!
>>197 了解いたしました。楽しみにお待ち申し上げております。
>>195 「地を流す、でもいいじゃない」。
セリカは金髪が摺らないよう器用に公園の地面を転げて戯れている。
ざりざり、そういう土の音はする。しかれども、その様は軽やかで暖かい。
一度立ち上がり、土の汚れもはたかずアマレスや柔道のメニューのように、しかし
脱力がスポーツのそれではない倒れ方で地をめざす。それから地に着くと同時に軽功術で5メートルを移動してみせる。
「壱さんが私の父兄ほどの使い手だったら、こんなふうに地を【泳げる】。それもできないほどだったら、
それは地を【流れる】としかいわない」。腕組みをして、セリカを見下ろす壱に追い風が吹く。セリカの金髪が、
内家拳系のオーラも帯びず、無機質の領域でただ街の静かなエリアに吹く風に靡く。広がるセリカの世界。
200 :
マロン名無しさん:2007/05/21(月) 16:44:08 ID:kY3FjMC4
その頃、ヨースケは12階の風を感じていた。11階から更に跳び箱感覚で新記録を目指しているのだ。
「なぁやめたほうがいいよ。岡田ユキコっていただろ。あいつもこれやってて、ああなったんだよ」。
ビルの物理的オーナーはヨースケをなだめるが、それが無駄なことを、
今日は午前中から出勤している派遣デブの方がよく知っていた。
「豚はブタ小屋に帰れ」。それが派遣社員である彼への評価だった。だから、ビルを席巻しているドキュン軍団のリーダーの
金髪ドキュンと、彼の知り合いらしい芸能人のそれぞれの愚行を傍観していた。やる気が徹底的に、無い。
キャスター付きのイスだけが、軋みという明確な変化を刻んでいる。
「時間の無駄だぜー」芸能人のその言は、まるでそいつ自身の人生がそうであるかのような響きを持っていた。
バウケンらしいオチといえばこんなとこですが、地を流すというの、そういう新表現だと思って
喜んでました。まさか誤植だったとは・・・。まぁ、ひでぶ、も誤植から生まれた名言ですし地を流すも良いのではないでしょうかw
>>199 自分も、わざとそんな表現にしたのかと思った。鳳凰が地に手を着いて流れた屈辱かと…
細かいミスなど最近の勢いにかき消されますよ!乙です!1さん!
『劣等感』
元斗皇拳の爆発的な威力と多彩な効果の代償…
ソリアとショウキの二人と比べても、ファルコの闘気持続力は驚異的であった。
そのファルコもついに疲労のピークを迎えた。
一方、サウザーは彼の拳を見切ったと言う。現にファルコの拳は、以降ことごとくを躱された。
だがファルコに勝負を諦める気は微塵もない。元斗皇拳二千年の歴史を自分の代で終わらせることはできない。
もしものときは、とショウキに頼み込んだが、…それは最悪の事態のためだ。
ファルコは防御に徹す意を決めた。元斗皇拳は、その特性上、防御にも長けている。
サウザーの拳は攻撃主体。防御に徹したからといって凌ぎ切るのは至難。同時に疲労の回復も謀らねばならない。
サウザーはファルコが闘気を抑えだしたのを見て、
「元斗よ、受けに回るか?愚かな選択だ。…もっとも、それ以外に道はなしか。そのザマのどこが"完全"だ?」
タタタタタッ!サウザー超速の詰め。しかも先程と性質が異なる。動きが"軽い"のである。
その"軽い"動き…シンには見覚えがある。存在そのものの重ささえ消し去るかのような動き。
北斗の、いや北斗の奥義に到達した者の動き…ケンシロウに似ていた。同じではないが、確かにそれは似ていた。
シンは今もって尚、あの時の、再戦時のケンシロウに及ばないことを知っている。
そして、このサウザーとファルコの二人にもだ。拳士としての劣等…悔しさ、自分への怒り。下唇を噛んでいた。
南斗を統一し、自分だけが"南斗聖拳"の伝承者になること。北斗神拳を、ケンシロウを倒すこと。
シンが切望したのは更なる地獄だった。血に塗(マミ)れることだった。
シンは決意した。"キング"であることを再び棄てねばならない。"あの地"へ行かねばならない、と。
203 :
壱:2007/05/22(火) 02:19:22 ID:???
>>200-201 ありがとうございます。
まさに偶然の産物ですね。
あんな言い回しは私じゃ思い浮かばないですから。
ただ、この偶然が新たな表現の発想になることもあるでしょう。
ちなみにバウケンさん。"セリカ"を登場させたいと思います。
すぐには無理ですが妄想プロフを下さい。
って私もいつまでやるつもりでしょうか…
あと二ヶ月くらいと考えてます。
そうすれば私の妄想も眠りにつくでしょう。
そもそも、この妄想伝を書き出したキッカケですが、何故か私には北斗の拳の、
特に南斗キャラが活躍する妄想癖があり、彼らがあっさり消えたことが小さいトラウマだったのでしょう。
まさに癖なので、どうしよう、と困ってました。
で、ならば私の中の妄想を外に放とうと思ったのです。
極めて単純、利己的ですが、もう少しお付き合い下さい。
それにメイデンさんもいますしね。
バウケンさんの少し跳んだ話(失礼)も好きですよ。
204 :
マロン名無しさん:2007/05/23(水) 00:11:54 ID:6WHYmBTf
名前:セリカ
旧世界での住所:ケンシロウ・シン・ユリア等と同じ
新世界での住所:元斗領内(送信時には聖帝の領域になってるかも)の山(市都の管轄だが、僅かに木を切り出す以外は放置されている)
新世界での生き方:山の雑木林に小さな水田と畑などを作り、自給自足。
家族構成:シンの3コ下の妹だが、シェルターに入居するとき離れ離れになった。
所有物:旧世界製の衣糧(運搬等に用いられるはずの作業服からTシャツまで様々)、サバイバル用品と教本、手拭いなどの簡単な衛生用品、
山で収穫した稗やジャガイモ等の食糧、新世界で入手した生活用品、旧世界製の箱やタンク等の容器、乗用車のシートを分解した物、
ゴーグルやヘルメット、厚手の軍用グローブや軍手と言った装備(作業の安全性向上や体への負担の軽減に欠かせない)、孤鷲拳の正装(難燃性で新世界製の衣料箱に収納)。
特技:南斗孤鷲拳伝習最終段階(リュウケンを強襲した時点のシンに少し及ばない程度)、北斗神拳と南斗聖拳の行旅術、
某大国の空挺部隊のサバイバル術、他免許数種。
住所に関しての懸念:落雷による山林火災の発生、新世界の技術による製鉄の為の大規模で人命を軽視した伐採事業の開始、等。
身体的特徴:金髪、細身。
※展開によっては、市都ではなく修羅の大陸のどこかに移住させといてくださいw
その場合は揚子江とかに近い支流域の山中に住んでたり、山林を縦横に行き来できる修羅にアブダクションされかけたりしそうです。
205 :
マロン名無しさん:2007/05/23(水) 00:17:15 ID:6WHYmBTf
足りない項目があったらどしどしお申し付けください。
とんだ話ご愛好ありがとうございます。北斗南斗元斗ボルゲコウケツハート、とにかくひゃっほーー☆
1さん…バウケンさんがチラリと書いてますが修羅の国を進む聖帝が、弧鷲が、水鳥が見たいです…三羅将対六聖拳。妄想は尽きないものだと信じております。
207 :
壱:2007/05/23(水) 01:21:46 ID:???
バウケンさんありがとうございます。
たしかバウケンさんは、(忘れてしまったのですが)シュウの抵抗勢力の中にも、ある女性を設定してましたよね?
で私的には、まさゑと絡ませても面白いかと思ったのですが、自分自身で展開の遅さに辟易してたので、やめてたんですよ。
ですがこのセリカさんは絡ませて行きたいと思います。一応主人公のシンに近しい人物ですからね。
すぐにではないですけど近いうちに。
208 :
壱:2007/05/23(水) 02:07:33 ID:???
>>206 修羅編…書いてみたい気はしますね。
三羅将を三家拳に置き換えても面白そうです。
ちなみに一年くらい前でしょうか…
漫画板の「蒼天の拳」スレで、ユダ対ハンを書いたことがあります。
まあ、スレ違いなので未完のまま辞めましたが。
それ覚えてるw
>>1さん
修羅国を行くシンをみたい、最近シンの影が薄くなってきているのが悲しい。
211 :
マロン名無しさん:2007/05/23(水) 04:01:28 ID:Wo8o2KaB
212 :
空想伝:2007/05/23(水) 20:52:06 ID:???
【鉄の処女43】
【占星術師コマク】
ダカールが2度ユダに対しジャッカル到着の知らせを伝えた。
……………
時間にして1分程経過してだろうか、ユダが初めてジャッカル達の前で口を開く…
ユダ『コマクよ……オレはいったい誰なんだ??』
とユダの後ろにいる小柄の男にユダが問い掛ける。
コマクはユダの問いに上機嫌に答えた
「……はるか昔、神が人類を創世しアナタ自身をお創りになってしまった神さえも後悔の念に打ち拉がれ、神が嫉妬と言う感情を人類に対し初めて覚えてしまった程の美の持ち主…それがユダ様であります。」
小柄な男コマクは得意気な顔でユダにそう告げた…
ユダ『……神がオレに嫉妬を覚えるほど、オレは美しいと言うのか?』
ユダの声は震えていた‥
コマク『ハァイ…過去、現在…そしてこれから先、ユダ様を超える美の持ち主は未来永劫誕生する事はないと星々が毎夜ワタクシに語りかけています…』
その言葉を聞いているダカールも右手を自分の膝に置きユダに対して忠誠を誓うかのような座り方をしている。
ジャッカルはこのユダとコマクのやり取りを、またか…と言った顔で傍観していた。
どうやらこのユダとコマクの薄気味悪いやり取りは毎度、お約束のようだ…
ジャッカルは内心早く女と食料を交換し、この異臭とも言える香水臭い部屋を後にしたかった。
『狙い』
サウザーのラッシュ!その激しい攻めを防ぐのが、今のファルコにできる全てだった。
ファルコは闘気の壁でサウザーの突きや蹴りの方向を逸らす。受け切るほどの力をここで使うわけには行かない。
ファルコは血塗れの哀れな姿に変わり果てていたが、命に届く一撃はまだ被っていない。
義足も折れてはいない。何より心が折れてはいない。…必ずチャンスは来る。
押して押して押しまくるサウザー。ファルコは下がらざるを得ない。第二の門を突破され最後の第三門も近い。
シンやリハクたちもそれに続くが、それを止めようとする帝都兵はいない。
そんな中、レイはシュウを見つけた。"目"が合う。レイはシュウという男を知っている。二人はやや年が離れて入るが親友なのだ。
サウザー側に付くシュウ…何か事情があるのだろうことを察した。
そしてシュウの表情…レイはシュウの言いたいことを理解した。レイは混乱の中、姿を消した。
ファルコはただサウザーから逃げているわけではない。サウザーもそれは気付いている。
「フン、何を企んでいる?元斗よ」
太いパイプが通っている… ファルコは遂にそこまで辿り着いた。配水管であるが、その直径にして6,70cmはある。
ヴン!ファルコはそれを切り裂いた。ドボボボ…水が勢いよく流れだし、辺りはたちまち水浸しになる。
「何のつもりだ?元斗よ」とサウザーは笑みを浮かべた。
アスファルトの地面だ。濡れたところで、ぬかるみもしない。
何が狙いかは分からなかったが、サウザーはあえて攻めるのを止めた。ファルコが何をするのか知りたかった。
生まれついての帝王サウザーがファルコから受けた屈辱…
ファルコの技、策の全てを受け、打ち破り、完全なる敗北感を与えて滅ぼす。サウザーはそう考えていた。
『奇策』
漏れ出る水の勢いが衰えて来る。帝都側がどこかてバルブを閉めたのであろう。
ファルコは目を閉じ、呼吸を調え、気を集中した。サウザーはこちらの出方を待つ。その心理を読んだ。
ファルコは遠慮なく闘気を増幅した。サウザーに受けた傷とは別に、身体の内面が痛む。皇拳を使い過ぎたのだ。
(結局、聖帝軍を止めることはできなかったが、このファルコ、貴様を道連れにして行く)
元斗皇拳の伝承者として天帝を守り切れなかった。ショウキが奇跡的に天帝を助け出すことを願った。
ありえないことも知っていた。そしてミュウのこと…やりきれなかった。
そんな思いを断ち切るようにファルコは目をカッと見開き、
「はあ〜!」と気を両手に満たした。金色の輝き、一層強い光を放った。命を削っていた。
ファルコはそのまま陸上短距離競技のクラウチング・スタートのようにしゃがみ込むと、数センチの水面に手を浸した。
「元斗滅凍陣!」 ビキ…ビキキキ!
水面は一瞬にして凍りついた。
リハク「これは一体?」
サウザーの足下の水面までもが完全に凍っていた。
「なんのつもりだ?」
サウザーは強引に脚を引き抜いた。
「並の下郎ならともかく、これでこの聖帝の脚、鳳凰の翼を封じることができると思ったか?」
実際、極低温な氷であったが南斗の裂気をまとうサウザーにダメージを与えることはできない。
「それとも…」とサウザーは首を傾げてファルコを見た。
「氷で滑らせ、我が神速を止めるか?」 そしてサウザーは高らかと笑った。
(来いサウザー。帝王の余裕のつもりであろうが、それは油断に過ぎない。思い知るがいい)
215 :
壱:2007/05/24(木) 02:17:13 ID:???
>>213 ×年が離れて入るが
○年が離れてはいるが
216 :
マロン名無しさん:2007/05/24(木) 08:58:23 ID:NSvUroHz
>>207 楽しみにしております。
確かにまさゑじゃ、六聖クラスの人間と何か展開するのって難しそうですものね。追っ手モヒや見張りモヒ、密かに監視している村人などの類ならともかく。
でも、展開が遅くなかったらどんな展開をしていたのか気になります。
二ヶ月といわず、いつでも気が向いたときに、この薄いグレー色のスレッドに星々が瞬く南天の空にお越しください。僕らにはこの2chがございますものw
>ALL
>>202の"あの地"から、修羅の大陸に進むのかと思いましたが、"あの地"ってどこのことなんでしょうね。
また、僕がVSカイオウとかより気になっているのは、機械化ボルゲはどうしているのかという点です。
原作でも多彩な手段を弄してましたが、塩素ガスやアヘン浸透策ぐらいなら使いかねないあのラスボス(?)を「南斗の拳」(仮)ではどう斃すのかが面白そうに思います。
ケンがビッグネームになってなきゃ、あの上さらに目明きなんだし。
217 :
壱:2007/05/24(木) 15:04:30 ID:???
>>216 >>202の"あの地"とはもちろん修羅の国です。
シンが修羅の国に旅立って終わろうかと思ってた(る)ので。
>>217 サガンの元斗琉拳ならぬ南斗琉拳を創始しそうだなw
219 :
マロン名無しさん:2007/05/24(木) 23:10:25 ID:LNvqLU7T
第一部完、ですね。普通の戦いの荒野とかじゃないんですね。
>>207 シュウの抵抗勢力の女性については、サバイバル経験で精神的にも強くなったまさゑだったように思います。
美人薄命系は多くて自分でもよく覚えていませんが・・・・・・。このスレの
>>13等なら、ミカミもどきですし、フザケのオムニバスなのでまた違いますw
蒼天の拳のアニメ版が終わってから、だいぶ経ったように思います。数ヶ月前のはずですが。
赤龍党の人、
>>26とは別の人なんでしょうかね。
南斗VS元斗、佳境ですね。原哲夫の画で想像しちゃうほどエキサイティングです。
>>214読んでて思い出しましたが、過去レスの「西暦2200年」が中盤ぐらいまで進んだら使おうと思っていた案がございます。
せっかくなので、ここで整理&発表しておきます。ご笑覧ください。
220 :
マロン名無しさん:2007/05/24(木) 23:12:07 ID:LNvqLU7T
【フレイム・タワー】
術者の周囲の地面で、円形状に働く技です。半径1mほどの円周から渦巻状に熱波が噴き上がります。
並の人間が直撃を受けたら洋画の「キラー・コップ」の熱線銃の的になったような状態になるほどの威力です。
縦の方向には強力ですが、横にはそうではありません。それでも至近距離で受ければ美浜原発の冷却水の成れの果ての
蒸気ぐらいの威力は有ります。熱波は僅かに光る闘気と微量の煤を含むため目視は可能です。
陽炎や水蒸気で、他にも視覚的スペクタクルがありますがそこは皆さんの創作におまかせいたします。
この技は、内側は安全です。闘気を纏える生物なら、無傷で入っていられるでしょう。
また、地面が柔らかい土砂で出来ていないと威力が激減するのが弱点です。
高さは3m余りになるし上底一面にも高温の水蒸気が噴き昇っていますが、深さは60cm程度で下底は大地だけなので、砂蜘蛛クソには超下段攻撃を許してしまいそうです。
熱波の厚さの方は10cm強と太めですが、噴出時間は8秒弱です。
溜めは他の魔法に比べると長めです。5m程度の四方が、元斗の紋章みたいな形を範囲として、常温なら氷点下になるぐらいの温度低下をします。
これは吸熱によるものです。(※西暦2200年の)ミュウはこれを「冬の到来と超フェーン現象のダブル攻撃」などと解釈していますが、
この原理を正しく理解している怪生物や術者も存在するやもしれません。源流は聖暦1桁(西暦2000年頃)の元斗北斗の南斗への吸収融合です。
『下郎』
シーノ「急げ!先端に爆薬をセットしろ!…早くせんか!タコが!」
ファルコが聖帝軍を退けることはできなかった。だが奴等の主力、魔拳士たちが一所に揃っている。
この備え付けられた数門の砲台は巨大な鉄の矢を発射できる。さらに先端には爆薬を装備できる。
言ってみれば、それはミサイル。これはシーノの独断行動であるが、奴等を打ち倒せば帝都を救った英雄だ。
そうなれば、ジャスクを抑え、次の総督、つまりは王になれる。父親を暗殺してもいい。そこまで考えていた。
「ゴラァ〜!何をチンタラやってんだ!わざと遅らせてねえか!?」
すると一人の衛兵が答えた。
「シーノ様…せめてもう少しお待ちを…今はまだファルコ将軍が戦っておいでです」
「はは〜ん、なあるほど。貴様らファルコ部隊の兵か」
「いえ、私は総督直轄軍の兵士です。しかし…ファルコ将軍を信…」
ガコッ!シーノは殴りつけた。「ボケ共が!この俺の命令が聞けねえのか!」
緩慢な作業を続けていた他の衛兵は、目を閉じ熟考した。ギュッと唇を結ぶ。そして、
「シーノ様…無理ですわ。やれません」 「何〜?」
別の衛兵も「シーノ様、ちょっと手が痛くて作業ができません」
残りの衛兵たちもそれに続いた。
「き、貴様らあ…どけ!」とシーノは衛兵を押し退けた。
この砲台は既にセットが完了している。一斉に撃ち込みたいが仕方ない。
シーノはファルコたちに狙いを定めた。
キラン☆…「ん?なんだ?…だあ!!」
鉄の槍がシーノの胸を通り過ぎて行き、背後の壁に突き刺さった。凄まじい速さであった。
少し前…サウザーは氷の陣を張ったファルコに攻め入らず、「槍を」と告げた。
上級モヒ官が、派手過ぎないシンプルな装飾の施された鉄槍を恭(ウヤウヤ)しく差し出した。
サウザーは右手で受け取ると、ポンポンと弾ませ槍の重心を掴む。
ファルコには都合の悪い展開、投げ槍にやられはしないが、また闘気を消費する。
サウザーは身体全体を後ろに反らす。まるで弓のようだった。柔らかく、しなやかな獣の身体。
「ふん!」 槍はファルコのはるか頭上を超えて行った。
「この聖戦…下郎ごときに汚させん」
『命の一撃』
「さて…続けるとするか、元斗よ」
バリッ!バキッ!とサウザー氷を踏み割りながらファルコに歩み寄った。
「面倒だな…むん!」
地を打ちつける。サウザーを中心に亀裂が拡がり、キレイに凍りついていた表面は細かい氷片の海と化した。
極低温の氷はまだ解けだしもしなかった。光を反射し美しく映える。
氷は砕かれたが、サウザーの神速が抑えられたのは事実。しかし、サウザーと物怖じ(モノオジ)は無縁。
「さあ、何が狙いだ?元斗よ」
ザジュ、ザジュと音を立てながらサウザーは進む。
必殺の間合いまであと一歩…。サウザーの右脚が間合いまでの最後の一歩を踏み出すべく持ち上がった。
脚が下りるまで一瞬…サウザーにもファルコにもとってもスローモーションであった。
ブーツの底面が砕けた氷を"掴む"!氷片がサウザーの後方に飛ぶ!ブァ!サウザーが出た。
開いた両腕、逆式の極星十字拳!
この瞬間にファルコは全てを賭けた。途切れそうな命をさらに削る。激痛が身体の内部で暴れまくった。
ファルコはサウザーの十字拳の交叉点に両手を突き出す!
「ぬ!?」 サウザーの十字拳を闘気で受け止め、凌ぐ!
サウザーに油断はなかったが、トドメは極星十字拳ということに拘りすぎたかも知れない。
それに加えてファルコの力の残量を読み誤った。命を使った、その文字通り捨て身の攻撃の威力を見誤った。
バババ…とサウザーとファルコの気が当たり音を出す。
ファルコが氷を張ったのは、サウザーの突進スピードを遅くするためではない。"逃げ"の速さを抑えるためだ。
ファルコは両腕を拡げ、点でも線でもなく面でサウザーを押す。サウザーの身体が僅かに押されて持ち上がる。
(ここだ!)限界を来したファルコの両の白目が一瞬で真っ赤に染まる。視界をほとんど失った。
身体中の毛細血管が弾けたような激痛が襲う。(保ってくれ!あと二回だけだ!)
ファルコは一歩だけ左脚を強く前に踏み出した!次いで両腕を大きく縦に回す。
二つの金色の光輪がファルコの前で一つになり、サウザーを撃つ!
サウザーはガードをしたが、その衝撃は彼を完全に捉えた!
『執念』
「ムゴ!!」 サウザーは胸を強打され数メートル後方に倒れた。
しかし信じ難いほどのタフさで身を起こし立上がりかけたが、ついにはバランスを崩し前のめりに倒れた。
「か…くか…」 胸を強打されたために呼吸ができなかった。
「元斗皇拳、衝の輪…」と搾り出すように告げるとサウザー同様に前のめりに倒れた。
(あと一撃だ…頼む…)サウザーまでの距離は3メートルほどあった。
サウザーも身動きがとれないが、今のファルコにサウザーまでの距離を飛ばせる必殺の気弾は撃てない。
それにファルコは既にサウザーの正確な位置を把握できない。
だが、これでいい。ファルコの目論見は成った。その口から血を吐きながらサウザーに言った。
「動けまい。そして呼吸ができまい。呼吸ができないなら…闘気はまとえぬ…」
サウザーはもがくが、身体が言うことを聞かなかった。だが指先が、そして手首が…と徐々に回復していく。
ファルコは見えぬ目でサウザーを見ながら「闘気がまとえなければ…熱湯で煮え死ぬだろう」 「ぐ!?」
もはや強烈な一撃は出せないが丁度良い。熱過ぎてはファルコの周りの氷だけが解けだし、蒸発してしまう。
それではサウザーにまで熱が伝わらない。
ファルコは倒れたまま両手を砕けた氷の面に付けた。自分を守る分の闘気は張れない。
先にファルコがボイルされる。だがサウザーを殺るまでは何が起こっても熱を供給し続けるつもりである。
その壮絶なまでのファルコの戦い振りに、多くの者たちが敵味方の区別なく涙した。
ファルコは光を失った目を閉じた。そして両手に最後の闘気を込める。その闘気が放つ金色の輝きはたしかに"見えた"。
そして…目の前に立ち上がった人の形も…
「ふぅ〜 ケツを掘ったあとは小便がしたくなる」
サウザーの声といえば、銀河丈しかありえんだろう。
渋すぎる!
ラオウ役のヘンな俳優の、キャラクター性ぶち壊しの最悪ボイス
に比べたら、なんてことないが。
宇梶の評判最悪のボイスにより、内海ボイスのラオウの素晴らしさが
より引き立って見えるな。
話題優先のアホ起用なんかしないで、作品のクオリティ第一に考えて作って欲しい
まさに本末転倒だな。
>>218 シンなんか海岸警備隊に八つ裂きにされて終わり
南斗鳳凰拳究極奥義・天翔十字鳳マダー?
>>225 禿同!
銀河万丈サウザーいいよね!
どこかにサウザーのアニメのセリフを聞けるサイトがあったんだが、見つからない・・・
お気に入りに入れとけば良かったorz
232 :
マロン名無しさん:2007/05/26(土) 19:43:31 ID:d1EyumFE
南斗とかを補完する人は居るけど、プロボクシング(アミバ編とジャッカル編)や空手(ウイグル編)、
握力(デク狩りに遭ったデブ)を補完する人は居ないだろうな。
最終的に、ジャッカルの組織のボクサーとデク解放のボクサーが激しく闘ったりする。
もしくは第1話でウイグルを撃破して「空手バカ一代」状態で帝都や聖帝・拳王領を征く空手使い。
シュールだなぁ・・・。
元斗皇拳士と古式萌えキャラを兼任するミュウもいいかも。DQN親子の激しいDVを始めとする各種ハラスメントに耐え、
戦闘行為を含む激務をこなす。手下は「女神様」とか崇めるだけで殆ど何もしない。20代半ばで白髪あったりする。
そして牝に手加減しない&微妙に急所を外すケンシロウの攻撃に対処するために、乳房の一部を自分の闘気で焼く。
シュールというか、笑いの領域ですね。「南斗の拳」【鉄の処女】と【光の肉便器】じゃコンセプトもきっと違う。
バウケン氏ねよ。クズ。
>>233 バウケンさんは文章かなり上手い人なんだぞ。
バウケンさんへ
グロ表現を抑えたバウケンさんの文が読みたいです。
確か他スレでジャギのグロいの書いた人ですよね?
個人的にバウケンさんの書いた少し悲しい話とかハッピーな話とか読みたいです。
>>235 テメエが死ねや。クズ厨房。
バウケンさんは生きろ。
『つき動かす力』
サウザーは立ち上がっていた。ファルコは限界を超えていたのだ。代償は命… それでもサウザーを止められなかった。
一方、サウザー自身もかつてない苦戦であった。立っていても身体中が激しく痛んだ。
ファルコを認めざるを得ない。これでまだファルコが戦闘続行可能なら敬意を込め、奥義を尽くさねばならなかった。
「ん?…貴様、まだ…」
ファルコの何処にまだ力が残っているのか?目からは赤い血が流れ出、身体はボロボロの筈だ。
そのファルコが起き上がる。血をボタボタと垂らしながら…
真っ赤な目、瞳孔は開いたまま。サウザーの姿を映してはいない。
「貴様…その身体は既に死んでいる筈…魂のみで、尚もこの聖帝の前進を阻むか」
グボッとファルコは血を吐いた。「聖帝サウザー…よ、お前には分かる…まい」 「…」
「独裁の帝王…その実は…孤独なだけだ。オレは天帝守護の拳…」
ブルブルとファルコの身体は震えている。
「…元斗皇拳伝承者…だが!…義務のみで天帝の前に立つわけではない!」
「何〜?貴様まさか…」
「天帝との…ブッ…付き合いは長い…」と言ったところでファルコはフラフラと後退した。水の止まった配水管に寄り掛かる。
「言わば…我が子への…愛情のようなものだ」
ギラ! 途端にサウザーの目付きが鋭さを増した。
「愛…貴様この聖帝の前で愛を語るか?」
弱々しい呼吸の中ファルコは、「っそうだ。愛の力が…この死んだ身体をつき動かすのだ!貴様には理解できまい!」
ボンヤリとした弱い光、しかし金色の刃!
…ザン!!
サウザーが両手を開いてファルコの前に立っている。
ビシュ…そしてドバ! ファルコの胸に浅くない十字が刻まれた。南斗の帝王に刃向かった者には、この十字の刻印が押される。
険しい顔でサウザーは、「ファルコよ…愛は力を与えはしない」 サウザーは"ファルコ"と呼んだ。
「愛は悲しみと苦しみを生むのだ。現に貴様の"愛"はこの聖帝を止めることできなかったであろう」
『ダンディズム』
ファルコは倒れなかった…
自分の玉座に戻ろうとしていたサウザー。ファルコの倒れる音がない。不思議に思い振り向いた。
「立往生か…ファルコ」
だがファルコの口が何かを伝えようと微かに動いている。
サウザーは好奇心に駆られた。今のファルコには間違っても反撃はできない。
十字の傷は胸骨を超え、心臓にも達している。生きているのが不思議なのだ。あるいはただの痙攣かも知れない。
サウザーはファルコに近付いた。足下の氷はいまだに溶ける様子もない。
痙攣ではない。たしかに何かを呟いている。「…何が言いたいのだ」
だが、そのサウザーの表情は、ファルコを蔑むものではない。
ファルコは近寄ったサウザーにもたれ掛かった来た。サウザーはそれを避けずにファルコが寄り掛かるにまかせた。
もちろん腕でファルコを支えるようなことはしないが。
サウザーの耳元でファルコが囁いた。
「サウザー…お前の唯一の弱点は…油断が過ぎることだ」 「!」
「ここは通さぬ…」
その刹那!ファルコの手に握られていた火花を放つケーブルが!
第三城壁、つまり最後の城壁と塔の間には電気の流れた鉄柵がある。配水管と並ぶ様に送電線も通っていたのだ。
「きさ…!」
ババババババ!!!!
激しい筋肉の暴走!サウザーは吹っ飛んだ!
ファルコも感電により壮絶な死を迎えた。サウザーもピクリともしない。
沈黙が続き、漸く両軍が、ざわつき始めた頃、サウザーの腕が動いた。
サウザーは地に手をつくと、生まれたばかりの子馬のように頼り無げに立ち上がった。そして自軍に引き返し始めた。
モヒたち「何で生きてられんだよ?」とヒソヒソしだした。同時にそれは聖帝への絶対的な畏れと忠誠に即変換される。
サウザーは何度か躓きながらも、自分の定位置についた。周りの者たちは驚きのあまり声も出ない。
脚を組むにも、両腕で持ち上げ脚を重ねる。手すりからも頬杖した手がガクッと落ちた。
忌々しげに腕を戻し、いつもの座りポーズをとる。そして
「どうした?聖帝軍には前進あるのみだろう」
240 :
壱:2007/05/27(日) 01:25:47 ID:???
ファルコの最後の足掻きについてはファルコファンの方々、すいません。
せこいと言うより、それほどの執念と捉えて下さい。
あと、喧嘩はやめましょうね〜
241 :
壱:2007/05/27(日) 01:36:04 ID:???
>>239の補足
最初に書き込んだところ、"改行が多過ぎます"となり後半部分が消えしまい書き直しました。
そうしましたら、重要な文章を入れ忘れましたので補足します。
"サウザーの髪は失敗したパーマのようになっていた"
その姿を想像して笑うと共に、そんな状態でもダンディズムを貫くサウザーを御妄想下さい。
ちょっwそれは勘弁www
それなくて正解
北斗世界に珍しい女拳法家(
>>204のシンの妹)の活躍に期待
244 :
現代南斗:2007/05/27(日) 03:45:44 ID:???
レイとアイリはスーパーの地下でお買い物中
レイ「…」カルピス原液500mlを見てる
アイリ「198円は安いわね。飲みたい?兄さん?」
レイ「!…あ…ああ、いいか?」
アイリ「ええ」(微笑みながらレイの持つカゴへ入れる)
レイ「…」(見透かされたのが恥ずかしいらしい)
「こんにちは!」
アイリ「あ、こんにちは(誰かしら?綺麗な人…)」
レイ「!!…奇遇だな。近所に住んでるのか?」
「ええ、歩いて5分ってとこね。そっちは彼女とお買い物?」
レイ「い、いや…妹のアイリだ」
「えっ!妹さん!?ういういしいカップルみたいだったからてっきり…。可愛い妹さんね。」
レイ「……(さっき見られてたのか)」(赤面)
アイリ「あ、あの…失礼ですが…」
「あ…!ごめんなさい。私は彼の同僚のマミヤ。よろしくね、アイリさん」
アイリ「こちらこそ、よろしくお願いします」
マミヤ「じゃあまた月曜日に会社で!」
レイ「ああ」
アイリ(お辞儀)
アイリ「…」レイの横顔を見てる
レイ「…」マミヤの後ろ姿を見送っている
アイリ(兄さん、あの人が……)
アイリ「……」複雑な顔でまだレイを見てる
レイ「……あと、卵だったな。…ん?どうした?アイリ。」
アイリ「ううん。なんでもないの。(あの人を見る時の兄さんの目…間違いないわ…)」
次回は…湯煙温泉殺人未遂事件をお送り…するかもしれません
245 :
マロン名無しさん:2007/05/27(日) 18:12:34 ID:mmEOW1RK
>>236 お褒めいただき光栄です。
他スレのジャギSSについてですが、前スレの“食虫植物”の話のことでしょうか。
それのことでなかったら、気になるし読みたいので是非コピペしてください。
他には
>>19も気になっているところです。
少し悲しい話はたくさんあると思いますが、「ハッピーな話」がどれのことかお教えください。
ハッピーな要素があったとは意外です。
必ずオチの部分までに、商業誌や二次創作サイトでは見られない面白さを加味しているので、ハッピーと評されるのは新鮮です。
グロ表現については、なるべく無しの方向でチャレンジしてみますね。
>>237 生き続けます。
>壱さん
ドリフアフロというか、シュウが駆け寄って頭とか蹴っ飛ばさないかハラハラします。
>>243 期待していただけて嬉しいです。そんな僕は壱さんに期待。
246 :
マロン名無しさん:2007/05/27(日) 18:18:16 ID:mmEOW1RK
【現代琉拳】
@中国奥地
カイオウ「清朝ってもう無いのか・・・そうだったのか・・・」。
ヒョウ「石炭なんか焚いて、何してるんだろうなぁ、あの建物」。
A沿岸部
カイオウ「邦人はやっぱし体弱すぎるわ」。
ヒョウ「新しい妹さんやな。そうか、交尾に耐えないか」。
ハン「頭も弱くないか?あれで農村部に行きたいって香田レベルじゃね」?
カイオウ「農家が免税階級になってから、人心はだいぶ良くなったと想うけど・・・」。
B琉球
カイオウ「このテレビ大阪のヨーツベ、近海のことやってなーい」?
ヒョウ「与那国以東。旅券(パスポート)なくてもいけるよここ。クジャクが大繁殖してる島」。
どれも険しいなぁ・・・。
247 :
マロン名無しさん:2007/05/27(日) 18:19:49 ID:mmEOW1RK
現代南斗ですが、中2と小6だった頃からガチで恋人同士でもあったという設定にしてはどうでしょうか。
しかもアイリは四年制大学を1年留年した上に中退。20歳から21歳までの間に空いた8ヶ月間の空白(海外へ交換留学)を経て復縁、そして中退と同時に同棲開始。
このときアイリ22歳。そして23歳になった現在も、だらだらと関係を続けている。
そして月収が3万円前後の怠惰なフリーターとして漫然と生きている。
だから、結婚を前提にしてる恐れのある対象、もしくはアイリを振り切る契機になる恐れのある者としてマミヤが出現する。
こういった設定と展開はどうでしょうか。他にも、アイリ18歳ぐらいの時点で、大型商店のベンチでアイリとベタついてきたジャギがバイク3人乗り珍走の先頭として
走行してる鼻先を、レイが手刀の動きで投擲した高速の小石が飛来して掠めて行く等、なんか並の情念じゃない感じを演出するのも面白そうですよ。
248 :
マロン名無しさん:2007/05/27(日) 18:23:54 ID:mmEOW1RK
湯煙編では、レイの出張に強引についてきたアイリがマミヤと仲良く「八」や「11」の字になって寝そべる。
しかし寝込んだマミヤが顔の上部に載せてるお絞りを、起きてるヤツが広げて顔面に展開。
仰向けの姿勢で何十秒も、ぼそぼそ悶えて、かろうじて跳ね起きるマミヤ。犯人は横で、畳んだお絞りを顔に載せて寝そべってる。
顔にお絞りを載せて寝るのは入浴時の事故以上に危険だとか心得て、一抹の不安に近い微かな疑念(正解)を抱きつつもアイリを心配そうに一瞥しつつ、
机にお絞りを置いて再び横になるマミヤ。このような感じでどうでしょうか。暗○者アイリ。
または、いつの間にか男女関係の親バレによって発生する現象を背景にした有利不利が逆転している事を認識して、悔いたり不安になったり焦ったりと
忙しいアイリなんかも面白そうです。しかもそれが、「今日はマミヤが拒みやがったから」という理由で26時(午前2時)前とかに叩き起こされての半強制交尾に
つながった日には、むっちゃ面白いエピソードになりそうです。タイトルは「泣いても遅い」なんかどうでしょう。
しかも終盤になると、マミヤが8〜9コ年下の男女(しかも初対面の時点では小5)と三角関係になってたりする。
ダンディーな性帝サウザーとお色気担当マミヤが熱愛したらいいな
または
ダンディー性帝サウザーと成長したリンの年の差カップル物語もいい
愛を捨てた性帝サウザーに愛を取り戻させてあげて欲しいです
性帝サウザーは愛さえ取り戻せば素晴らしい将となるでしょうに…
>>245 過去スレ見れないんです。コピーも128文字までの携帯厨なんで…。
確かジャギがアイリをなぶり殺しにする話だったんですが、バウケンさんかな?と勝手に思ってました。違ったらすみません。
ハッピーな話、はバウケンさんがハッピーな話を書いたらどんなかな?と思っての希望を書きました。
天の覇王スレかなんかにレイナがエロイ目に合うのを書いたのはバウケンさん?
当てずっぽですみません。
バウケンの作品楽しみにしてます!
ああっ!最後呼び捨てになってますね。ごめんなさい。
252 :
壱:2007/05/27(日) 22:53:59 ID:???
>>19の誤爆した話はほんとに意味ない内容です。
なんとか一発でっかく当てたいアインが戦闘直前の慌ただしいエリアを訪れる話です。
結局なんにも得る物はなく、ふてくされる内容でした。
さてセリカに関しては個人的に金髪設定は変えたいと思ってます。
私の妄想では…
サウザー>白人と東洋人のハーフ(共に国までは指定しない)
シン、シュウ、レイ>東洋人(国までは指定しない)
ユダ>東欧の母(白人)と人種を指定しない夫の子
で妄想してます。
シンの金髪はアニメ設定ということで解釈してます。
妄天においてはシンの髪色は茶褐色です。
染めてるのではなく、なぜか明るい色。眉はかなり濃い茶です。
なので妹もそんな感じになります。
253 :
壱:2007/05/27(日) 23:00:04 ID:???
>>249 聖帝が善人の性帝になることは申し訳ありませんが、ないです。
というのは、彼の覇道は善悪を超越しているからです。
民は苦しみを受けますが、世界はどの道、乱世ですから…
"善人"ラオウのように天下を覇してから愛ある者に敗れて…なんてことは考えていません。
善人サウザー、誰かが書くかも?
『女』
悲しみに崩れ落ちた女がいた。ミュウである。
サイヤには掛ける言葉を思い浮かべられなかった。
やがてミュウは顔をハンカチで拭い、毅然とした表情で立ち上がった。覚悟を決めた顔だった。
「サイヤ、私はこのスイッチを押します。お逃げなさい。すぐには爆発しません。20分の猶予があります」
「しかしミュウ様は…」
「私には…、もう行く所はありません。愛する人と共にこの地で散りましょう」
サイヤは何も言えなかった。それほどミュウの表情は凛々しく、そして澄んでいた。
「大丈夫です。元斗皇拳は滅びません。ショウキ様が次代に継承してくれるでしょう」
ジャコウの性奴隷として扱われてきたため、ミュウの肌も髪も傷んでいる。
一時は、その魂までもが汚染され、眼はただの虚しい二つの穴に過ぎないようなときもあった。
しかし今、サイヤの前のミュウはこれまでのどんな彼女よりも美しかった。悲しいまでに美しかった。
ショウキが入って来た。
ミュウを無言で見やる。そして彼女の決意を見た。
「ショウキ様…お逃げください。コレを起動させます」
「共に逃げるぞ。ミュウ」 「いえ、私は…」
「ミュウ…そなたは、身ごもっておる」 「!」
「オレも元斗のはしくれ。生命の気を感じるのだ。ミュウ、そなたの中にある別の命の気をだ」
ミュウは困惑した。そう、誰の子か分からないのだ。
ジャコウやその息子たち、高級官僚たち…ミュウを辱めた男たちは少なくない。
その困惑を察したショウキは、ミュウの肩に優しく手を置き、
「案ずるな。そなたの下腹部の光は…金色(きんいろ)に輝いている。…ファルコの子だ」
「あ…あ」とミュウは自分の腹部を押さえ、悲しみと喜びの相まった涙を流した。
サイヤはミュウに近寄り慰めるように、しかし明るい声で言う。
「さっ、ミュウ様!生きる理由ができました。ここで死ぬことはファルコ様の望むところではありません!」
ショウキは「逃げ道を確保する。急ぐのだ。まかせたぞ、サイヤ」と部屋から出て行った。
ショウキは嘘をついた。ミュウが身ごもっているのは分かった。だがその"気"が金色かどうかは分からなかった。
『馬鹿息子』
数分後…
「では押します」とミュウは起爆装置のスイッチを押した。
「ミュウ様、では急いで逃げましょう!」
ミュウは怪訝な表情をしていた。
「いかがなされましたか?」 「いえ、これでいいのかしら…なんの変化もなく…」
ダッダッダッダッ!突然に兵たちが部屋に押し寄せた。そして遅れてジャスクが現れた。ニラニラとしていた。
「ああ!ジャスク!」と驚いたサイヤだがミュウを庇うべく彼女の前に出た。
ジャスク「んあ〜?ジャスク"様"だろうが」とニラニラし続けている。
周りを囲む兵たちも邪悪な表情を二人に向けていた。
「ミュウ〜、この部屋はな?、旧世界では会議やらなんだらで使われててな?、んでまああれだ。
盗聴できないようになってる。つまり電波が遮断されんだわ。ハハハア」
「は」とミュウ。
「お前らのなあ、行動は筒抜けよ!」とジャスクはわざと前屈みにして舌を出しミュウに近付いて行った。
周りからも「へへへへ」と嫌らしい笑い声が起こる。
ジャスク「ミュウ〜、殺す前にタップリと可愛がってやるぜぇ」
「そうは行くか!このサイヤ!元斗皇拳の従者!ミュウ様には指いっ…」 ガッ 「どいてろ!!」
ジャスクの強烈な右フック。サイヤとは体格差もある。一撃でサイヤはKOされた。
「ああ!サイヤ…」 「うう…ミュウ様…」
ジャスクは兵の一人に聞いた。念のための確認だ。
「おい、ショウキは大丈夫なんだろうな?」 「はい、ここにはもう来ません。総督銃殺隊が向かいました」
ニタア〜とジャスクの顔が不気味に歪んだ。
「へへ、ジャスク様、さっさとマワしちまいましょうや」
わき起こる残忍な笑い声…
ミュウは神を信じない人間だ。だが祈るしかできなかった。
さっきはファルコの安全を祈った。聞かれなかった。だが無駄と知りつつ祈った。自分の内に宿る新たな命を守りたかった。
…カッ、カッ、カッ…固い床を踏み鳴らすブーツの音が聞こえてきた。
わざと音を響かせているに違いない。
カッ、カッ、カッ…足音が止んだ。
派手な装いの男がそこにいた。
バウケンの自演がキモ過ぎ。
どうしてもやりたけりゃ、他にスレ立てて、そこで勝手にやれよ。
見ないから。
自演じゃないなら、きっと、そこで応援してくれる連中がいるさ!
『異様な男』
紅い髪、紅い服、首にはマフラーのような紫布を軽く巻いている。
ニッカボッカのように太股部分がふくらんだズボンは、茶色の膝下まであるブーツのせいで途中から絞ってある。
化粧を施した顔、唇は薄紫。紅い髪の両側は三つ編みもされ、その上にウェーブがかった豊かな髪が被さっている。
異様な男だった。こんな時代、こんな世界だ。変な男は多い。だが、この男の異様さは際立っている。
…馬鹿な兵士だった。迂闊にも、軽はずみなことを口走った。「なんだこのオカマは?」
この迂闊な兵は、目の前の異様なその男が無表情なまま右手でシュッ、と自分の顔の前を撫でたのまでは理解した。
その光景を見たジャスクは、「ななななな…てててめ…いや、あなたは南斗様…ですか?」
残りの兵たちも一斉に槍や剣を向けるが、それが何の役に立たないことを知っていた。
その男は右手首を鶴のように優雅に曲げ、胸元に置いた。続いて妖艶な(つもりの)笑みでジャスクに語りかけた。
「帝都の総督ジャコウの息子…副総督ジャスクよ」
ジャスクは慌てふためいていた。「はわっ…なぜにワタクシめをご存じでおいでらっしゃりるるますか?」
ユダはその妖艶な(つもりの)笑みに偽りの優しさを込め、「ジャコウ総督の元に案内しろ」と告げた。
「は、はひぃ。すぐに案内致します」 ジャスクには分かった。この奇妙な優しさ…殺意の現れだ。
それでも拒否はできなかった。逃亡も不可能。今度はジャスクが信仰心を持った。…彼の請願…だれも聞きはしない。
ジャスクはユダを連れて部屋から消えた。残った兵たちも、完全に恐怖に征服されている。
ユダが見えなくなると慌てて逃げ出して行った。
残された二人…
「サイヤ、大丈夫?」 「ええ…しかし一体…はっ、ミュウ様!逃げましょう!そして今度こそスイッチを」
ミュウが「さ、つかまりなさい」と差し出す手を男のやせ我慢で「大丈夫です」と拒否し、サイヤは立ち上がった。
「ここを出て一刻も早くスイッチを」とサイヤは促した。ショウキのことも気になる。
「あ!?」とミュウが声を上げた。
「どうしました、ミュウ様」 「起爆装置が…」
ミュウの手の中の起爆装置が二つに切断されていた。
元斗皇拳正統伝承者「白銀のミッシェ」登場の予感・・・!
『経過』
サウザー軍は電気柵のケーブル全てを断ち、柵を倒した。数ではるかに勝る帝都兵もファルコの死と共に逃亡を開始。
事実上、戦闘は終わった。後は"戦後処理"を残すのみ。聖帝と天帝の決着。もっと噛み砕いて言えば天帝の処刑だった。
ついに聖帝軍は塔への侵入を開始した。わずかな帝都兵の反抗も虚しく塔は制圧されて行く。
ショウキは状況が理解できなかった。銃殺隊に囲まれたが、彼らの銃はことごとく暴発した。
それはコマクとユダの"協力者"の仕業であった。
ショウキはミュウたちと合流すると、聖帝軍とほぼ入れ違いに脱出した。逃亡兵のなす大行列に混ざった。
力なく逃げて行く敵兵をわざわざ追うようなことはサウザーもしなかった。
ユダは元々ジャコウの居場所は知っていた。コマクや協力者がいるのだ。
だがユダも覇道を往く男。ジャコウの逃亡を許す気はなかった。息子のジャスク共々葬る。
焦りできつくなるジャスクの体臭。サディスティックで暗い悦びがユダを満たした。
ユダの最後のカード。
"天帝拉致"
サウザーになびくことなど考えもしなかった。
260 :
250:2007/05/28(月) 01:19:13 ID:???
>>256 自演じゃなのに…。
俺のせいでごめんねバウケンさん。
261 :
マロン名無しさん:2007/05/28(月) 10:05:06 ID:UbVatDt7
そうえいば、女装モードのレイって比較対象になるんでしょうかね彼の中では。
あと、元斗皇拳に性病や歯の疾患を癒すすべがあったら面白いかも、と今更ながら感じました。
氷砂糖やラム酒、白いどんぶり飯やゲイラルームに居たような牝といった健康な快楽をたくさんの貴族が享受してたら、必ず健康問題が再浮上するはず。
ミュウが救われる体で居るためにも、元斗皇拳の治癒能力はそういうことも可能じゃなきゃだめな気もする。特に性病。
ともあれ、展開に期待です。ユダがややこしいヤツを擁立したら、拳士を引き止めるためにサウザーはリンに興味を持ちそう。
>>260 どうか御気になさらずに。僕の作風が賛否両論に分かれるのは存じておりますし。
262 :
マロン名無しさん:2007/05/28(月) 10:06:47 ID:UbVatDt7
>>250 気になさらずに。それはそうと、ジャギ×アイリとレイナ受難は気になりますね。いずれも僕の作品じゃないですね。
ハッピーな話というのは、原作やアニメで荒野を生き抜いた漢や女性が文明世界で終わらない日常を生きているだけの話、だと想います。
原作の方がパロロワ的な作品に思えるぐらい、当たり前の日常を過ごすだけの話。オウガイVSシズカとかも発生しない世界。
「夢畑」とかいうサイトのジャギ編なんかは、原作との接続を考えるとハッピーではありません。と同時に、夢ジャギから少し悲しい話を1つ抽出・提供いたします。
263 :
マロン名無しさん:2007/05/28(月) 10:10:05 ID:UbVatDt7
あのエンディングから、原作の時期に至るまでに如何にして銃や火薬が失われたか、ジャギのショットガンが不発しかしない代物になっていったか、
「御名前」という牝キャラはなぜジャギのところに居なかったのか、そして異常さも無い気の良い逞しい好漢・神がかり的に強い北斗神拳伝承者の1名が
歩くリングウィルスみたいな革ジャン男に頃されなきゃいかん理由は何だったのか、そもそもなぜジャギがギミック系の弱者いじりをする方向に荒んでしまったのか、
それらの点が二次創作のハッピー要素を不穏要素に変えてしまっています。経緯というか行間というか、原作とのギャップの発生がネックになっています。
ハッピーな話を創るのは、簡素(日常編)かセミプロ級の腕が要るのか両極端になると想います。だから、ご期待には添えません。夢畑でもダメだったんですから。
>壱さん
アインと髪の色、了解しました。今になって原作について知る事が増えるとは新鮮です。茶褐色だったのですかー。
264 :
壱:2007/05/28(月) 15:02:45 ID:???
>>263 いえいえ、シンの髪の色は、あくまで個人的解釈です。
誤解のある表現だったようですね。
私的にはシンが好きなので、彼により感情移入しやすいように東洋人設定としています。
なもので金髪となると……なんかあまりイメージがよくなく…
黒髪設定にしたいくらいですが、さすがに原作から離れすぎるかと。
で、茶褐色も東洋人ではまずありえない(色素の異常除く)のですが、妄想だからいいかと…。
そんなとこだったんです。
茶髪や金髪に染めてる日本人男性なんて、いくらでもいるから
シンがパツキンでも無問題
>>262 >いずれも僕の作品じゃないですね。
何適当言ってんだ自分…。
いや本当、すみませんです。
バウケンさんの作品に期待しておとなしく待ってますね。
>>263 夢畑は以前バウケンさんが紹介されたのをきっかけに読みました。
原作の設定との矛盾がないようにと考えると中々難しいでしょうね。
自分はジャギの話も他の話も夢畑のは大好きです。
原作とは別のジャギという捉え方をせざるをえませんが。
『醜』
ユダたちはジャコウの部屋の前に着いた。衛兵たちが幾人も押し寄せていた。ジャコウを守るために集まっているわけではない。
逆である。ジャコウを聖帝に引き渡し、自分たちの保護を願い求めるためだった。
衛兵たちがジャスクに気付く。彼らはジャスクを捕らえて部屋の中に投げ込んだ。
次いでユダを見やると、気が立っている男たちが突っ掛かって行く。
「おい、この変た…」「待て待て待て!」と衛兵長と思しき中年の男が慌てて止めに入った。
この男もユダの"協力者"だった。ジャコウの足止めを任されていたのだ。彼が部下たちを煽るのは簡単だった。
「我々が生き残るには、聖帝軍に寝返るしかない。ジャコウを捕らえ差し出せば、いい土産になる筈だ」
うまく聖帝軍に取り入ることができれば覇者聖帝軍の兵士になれる。
逃亡したところで、結局は荒野での厳しい生活しか残されていない。
そういうわけで、彼の部下たちは全員でジャコウの部屋に、殺気立って駆け付けていたのであった。
ユダは自分に絡んで来た男に、「隊長に感謝しろ。最後の"い"を言っていたら貴様の首は胴体と離れ離れになっていた」
チンケな脅し文句も事態が事態。自分の前の異様な男が南斗の男であることを知り、その衛兵は、いや全ての衛兵が固まった。
広い部屋の奥には既に半狂乱と言えるジャコウがわめき散らし、まさに醜態をさらしている。
そのあまりの醜さにユダの殺意は高まった。
絶望の底に沈み、青い顔でうずくまるジャスクを騒ぐジャコウの元に蹴り上げた。
「は、親父、おほ〜やじ」 「ジャ、ジャスク」
二人はしばらく無言で向き合っていたが、ジャスクが、
「南斗さん?あの申し上げにくいことなんですが…」
ユダは優しく微笑しながら「なんだ?」と応えた。
ジャスクの焦りは加速する。その優しい笑み、南斗の男は自分を殺す…
「こここ…今回の件は、すす全て」とジャコウを指し、「この男、ジャコウが画策したことでして…」
「な!ジャスク!?お前!」
ユダは笑いが込み上げて来るのを抑えなかった。
269 :
現代の人:2007/05/28(月) 23:56:04 ID:???
>>247-248 コメントありがとうございます。
レイとアイリが恋人同士で肉体関係もあるというのは、私としては有り!です。
危ない秘密のある美兄妹は魅力ありますね!
それにマミヤが絡むとどうなってしまうのか、とても興味あります。
小悪魔っぽいアイリもちょっと怖いけど可愛いですね。
ですが、私の文章力だと複雑な関係を表現するのは難しいかな…と。
バウケンさんの設定で読みたい気持ちはすごくあるので、誰か書いてくれたら嬉しいです。
私の設定は大体原作通りで、レイとアイリはあくまで清純な関係で、
アイリはレイに心を寄せてはいるけれどそれを気付かれないようにしている(第三者が見ればバレバレ)
レイはアイリを可愛い妹としてきちんと線引きして愛している。ただ少し過保護で女心には鈍感。
こんな感じで行きたいです。
バウケンさんはかなり細かい設定まで考えてから書かれるタイプなんですね。流石です。
私の場合セリフと簡単な説明だけの文なので、場所と会話してる姿を想像しながら行き当たりバッタリで書くんですよ。
バウケンさん、1さん、空想伝さんより格下の単なる落書きとして楽しんでいただけたらと思います。
『優しいユダ』
ジャスクは何とか自分だけは生き残ろうと土下座しながらユダに縋りつく。
そのジャスクの肩をジャコウが掴み、「ジャスク〜おのれは〜」と食らいつく。
だがジャスクは「うるせい!」と一喝し、ジャコウは殴り飛ばした。
「すすそそういうわけなんですよ、南斗様。ですからオレ…ワタクシめには罪はなく…」
一人の衛兵が叫んだ。「ふざけるな!貴様も天帝の名において…な、何をして来た!」
ジャスクの目の星型のペイントも汗と涙で消えかかっている。
ユダは優しい声でジャスクに言った。「おい、服が汚れるだろ」
と、右手人差し指がジャスクの額に触れるほど近付いた。そのまま一本指はスス〜と下がる。
ピタッ…ユダの指が止まった。沈黙… ゴクリとジャスクの喉か鳴った。シュン!次の瞬間、ユダの指は上方を指していた。
ジャスク「は?……い?い、い、いぎぎ…」
元斗皇拳を知っている衛兵たちも、初めて目の前で見る南斗聖拳の鋭さに、冷たい汗が吹き出るのを止められなかった。
「ひぃひゃあ」 ジャコウは恐怖のあまり失禁していた。尿の匂いがユダを不快にさせる。
「さて…ジャコウ総督。天帝はどこにいる?」
この部屋の下に通路があることはコマクを通して知っていたが、改めて聞いた。
「い、言えう、その…あい…」 ジャコウは今にもクソを漏らしかねないほどにうろたえていた。
既に夕刻も近い。暗くなればジャコウの恐怖はさらに増す。ユダは思い付いた。ただ殺しても仕方ない。
「言わぬか…仕方ない。コマク!」
と猿のように小さい丸メガネの男が現れた。
「通路を見つけろ」とユダは命じた。コマク、という名のせいではないだろうが、コマクの聴覚は異常に発達している。
床に耳を付け、コンコンと叩く。そして…「お!ん、ん…ユダ様、この下ですな」
「ご苦労」とユダは気取った足取りで、その床の上に立った。
ユダは呼吸を変え、両手に鋭い南斗の気を集める。ユダは立ったまま、両手で触れずに床を打ちつけ、さらにその場で回った。
「天帝のお顔、拝んで来るとしよう」
ユダの立っていた床がきれいに円くくりぬかれ、ユダを乗せたまま暗闇に落ちて行った。
『義と妖』
ジャコウの間の下の通路……暗いが、意外にも、きれいに整えられていた。
カビ臭い、ネズミやゴキブリのはびこる世界を想像していただけに拍子抜けした。
「ユダ様」と円く空いた穴からコマクが呼び掛ける。
「コマク、灯を」 「はい、ユダ様」 コマクはユダに深く傾倒しているだけに、何かを頼まれることが嬉しかった。
コマクが差し出したものは、バッテリー式の三連ライトスタンド。
ジャコウ専用。薄暗い所でも闇を完全に払うために身に着けるものだった。
ユダは三連ライトの大袈裟すぎる光を頼りに通路を進んで行った。所々、消えてはいるが、数m間隔でライトが備えられている。
この通路は人が頻繁に行き来するのかも知れない。
すぐに通路は行き止まり、代わりに扉があった。鍵があろうがなかろうがユダには無関係だが、鍵はかかっていなかった。
(さて…何が出て来るか) ユダは扉を押した。
塔の通路は複雑に入り組んでいた。もはや抵抗する敵兵はいないが、迷路の様な通路が聖帝軍の進行を阻む。
帝都兵も自分の担当する区域以外の通路には詳しくない。最上階のジャコウの間への道程は意外なほど遠かった。
レイにとっては長い階段も障害にならないが、複雑な通路にてこずり、思う様には進めていない。
シュウが"目"で訴えたもの…(天帝を見つけて、逃亡してくれ) レイは、そのためジャコウの元へ向かっている。
思うにファルコは元斗の拳士として純粋すぎた。
何故にさっさとジャコウを痛めつけ、天帝の居場所を吐かせなかったのか。
彼なりの拘りや、正統伝承者としての自負もあったにせよ、彼の潔癖すぎる行動は何も成し遂げられなかったのではないか?
レイはそんなことを思いながら階段を上がっていた。
「クソ、また…」 行き止まりだった。秘密の通路でもあるのか?レイに焦りが見え始めた。
ショウキから聞いた、総督ジャコウの性格からして、天帝の身に危険が及んでいるのは間違いない。
壁を切りつけてみたが、隠し通路は現れない。レイは別のルートを目指し、魔物のような速さで階段を下って行った。
『老人』
中から差し込む眩(マバユ)いばかりの光…電気の光だった。
広すぎるわけではないが、大理石の柱、白い壁、豪華な装飾……
(天帝は幽閉されていたのではないか?)
「お待ちしておりました」 「!」
ユダはその者の存在に、まるで気がつかないでいた。敵の襲撃も想定していたのだ。警戒は怠ってはいない。
その男…老人はきれいに禿げ上がった頭をしていたが側面と後ろ髪だけは、その白髪を豊かに伸ばしてあった。
「待っていた、とはどういうことだ?その前に貴様は何者だ」
「私の名になど価値はありませんが、ユダ様が望むのでしたらお答えしましょう。私の名は白夜叉。
天帝の最もお近くてお仕えする、付き人のようなものです」
ユダはこの老人を訝った。自分はサウザーやシンほどは知られていない筈だが、名まで知られていた。
名を知られていたことがユダの虚栄心をくすぐる。さらに、この老人は僅かな敵意も見せていない。
白夜叉が穏やかに話した。「世は常に変遷してゆくもの。そして今、時代の趨勢は南斗にあります。
天帝の血が続く限り、それをお守りするのが我が天意。そしてさらに強力に天帝にお仕えし守護するが南斗の宿命」
ユダは鼻で笑って言った。
「何を馬鹿なことを。サウザー、南斗の帝王は天帝を滅し、自らが新しき帝、聖帝として君臨すべくこの地に現れたのだぞ。
そして、このオレ、妖かしの星はその聖帝をさらなる災禍に導かんと、天帝をさらいに来たのだ」
白夜叉はあくまで穏やかだった。「聖帝さえもが天意により動いているにすぎません」
白夜叉の目がほんの僅かに鋭く光って、「南斗は天帝として輝かず」
ユダは困惑を見せないように努めた。
白夜叉は再び好好爺のごとく穏やかな顔を見せると、
「さ、こちらです。誇り高き南斗の衛士よ」
とユダを奥に促した。"誇り高き"…ユダの虚栄心は、また微かにくすぐられた。
273 :
マロン名無しさん:2007/05/29(火) 23:00:58 ID:fHpnoUGU
>>253 覇道というか、基本的なことってどうなったんでしょうね。北斗と南斗は暗○拳ですよね。
剛掌波とか対下郎用の虚とか、何なんでしょう。巨馬や玉座バイクによる移動と、そのためのノウハウってどこにあったんでしょう。
特に鳳凰拳以外不要っぽいサウザーが気になります。双斬拳とか、吶喊モードが普通なのも暗○には不向きだと想います。警報いらないやんww
ユリアの流派に至っては、戦闘術とか医術体系ですらないですよね。
角メットのラオウなんか特に、体がゴツいのと、元斗でもないのに発光するのが良い味出してます。
観る人が観て創ると、30人ぐらいの付き人とバギーという小隊長スタイルで荒野を進むのが似合ってるというヤツも居るし・・・。
暗○拳同士が抗争していたら天文学以前の星ウォッチングの分野で捕捉が可能、北極星近くの星が警報器代わりという点も香ばしいです。
マミヤのは武論尊のミスかもしれませんが。それはそうと武論孤という作家がブロンと何か関係があるのか最近きになってますw
>>264 そうでしたか。265さんが染髪料の使用を示唆していますが、さすがに地毛でしょうねぇ・・・。
274 :
マロン名無しさん:2007/05/29(火) 23:03:29 ID:fHpnoUGU
>>266 楽しみに待っててください。今考えてるのは、原作起源の2作品です。薄命牝と黒事情なんですが、
北斗南斗琉拳の関係者の多数がフタナリである事実が、ボルゲ編終了後のリンの回想で明らかになるという内容と、
双鉤術の牝(鋼棍モヒの元気娘版みたいなヤツ)がユリアハウスに来襲したり、その遺品で後日、ユリアがケンと精一杯闘って愛羅承魂みたいな状態で
安らかに氏ぬという内容を考えております。フタナリ説の方は、コメディの単発なので読み終わったら忘れましょう。ユリア昇魂の方は、
天帰掌も萌えそうですが、フェイントとしての聖極輪とかどうしようかと想っています。反面、武器VS素手ではこちらから仕掛けずに間合いを取るとか、
スタミナで圧倒的に劣る敵への対処とか基本に忠実な戦術で、理に適っている且つ闘いを長時間でユリアが命を燃焼できるものにするケンを
どう描写するかも取り組み甲斐のある難題です。愛情などではなく、北斗七氏騎兵斬をVSラオウ戦で使ったような合理性の発揮を考えています。
活刹孔の使用が無い点、ラストが有情拳である点も持ち味です。「氏」という2ch語を使う点は、縁起の問題だけでなく、情報伝達の上での氏の概念を用いている事の
表れなので、何気にバウケンの持ち味かな、とか想いましたw自分でも意外に気付かないところで持ち味が醸成されてるもんですねw
最近は忙しくなって創作が少なめですが、期待はしておいてください。
>>267 原作はネタの本体・源泉であると同時に、世界観の枠組みもありますからね。
だ が そ れ が い い 。
>>269 どーもどーも。いろんな作り方があっていいと思います。楽しみにしております。
275 :
マロン名無しさん:2007/05/30(水) 01:36:56 ID:GRQ8VGHb
白夜叉とはまた新鮮ですね。照明と部屋がいかしてます。
なんか、帝都で兵たちが捕獲した拡声器搭載の旧ポリ車輌とかを用いて、サウザーが天帝奪還の折にユダを挑発しまくりそうで楽しみです。
記録官や運転モヒが居るぐらいだから、「特定戦時挑発兵」とか言って配備しそう。知略対策でそれをやる価値は大きいw
体育座りで耐えて「おれブルータウンいる」だけを発声し続ける生き物になってたり、サウ軍が去ったらコマクが一緒に泣きそう。
その日は牝1匹をじわじわ壊さないとやってられないだろうなぁユダ。「俺の事はレイちゃんと呼べ!!」・・・ちがった、
「カオの傷なんて気にするなよぉ。こんな時代だ。そうそう、今日はね。キミとスパーリングがしたいんだ。こっちへおいで」。
嬲るというか男女る段階だと、演武の要素もあると良いですね。女の前腕が反対側から裂け、間に砂利をさらっと塗して再び凄い速度と精妙な技巧で
腕を接着しなおすユダ。細胞より微小なレベルで切れただけだからもう、ピタッとくっつく。内側を360度圧迫する砂利が、彼女の前腕を
苦悶専用器官に変える。「神よ彼女は醜い」。そうこうして、夜遅くなってくるとようやく払い下げ。
男男男男男男男男男女男男男男男男男男男られてる間に衰弱でいきたえてそう。
276 :
マロン名無しさん:2007/05/30(水) 01:39:17 ID:GRQ8VGHb
または、美女軍団から払い下げになった以降、モヒ(カブキロックスな感じだけど)の1匹として普通に暮らしてる南斗108派を使う(習熟度は最終段階クラス)牝が、
犠牲者の顔の傷(ユダによる髪摘出や傷増やしで凄く悪化している)に着目して色々と遊びそうですね。
または砂利内蔵の前腕を「スイッチ」と称して遊びに活用したり、モヒらに「極限状態の女心」を伝授しつつ教唆で中心的役割を果たしたり。
女色ファンじゃないし嗜虐ファンといった生ごみでもないけど、ユダのお下がりで「遊ぶ」ことが悦楽になる。
ここで、「今回はルックスも最悪化してるし体調も言動もズッタボロの大ハズレ、いや規格外の超ハズレだけど性器等で適当に遊ぼう。いや、今日は異性嗜虐で遊んでみよう」という
動機で楽しい夜を生きているモヒどもと差別化すると吉。「醜い物」がいよいよ特殊ナマゴミに変わるまで、世紀末の生前葬送は終わらない。
でも翌朝、やや電子的な怒声の「鏡見ろ鏡ぃ!!」で目が覚めたら、ユダがいよいよぶっちぎれていきそうです。
バウケンは氏ね
278 :
マロン名無しさん:2007/05/30(水) 10:32:23 ID:qwS2z+Sd
それはそうと、弱者による群衆リンリンってネタは少ないですね。
ジャギ編の導入とかフォックスの件とか、リンの居た村とか蜂起するボロを見る限り、
弱者の生活共同体というのは侮れないしドラマチックな感じもします。
あと、リアル・アサシン情報拾いました。SSの参考にどうぞ。でもどちらかというと、仕事人スレに貼る方が良かったでしょうかね。
でもまぁ、バウケン的な順位について仕事人はそんなに高くないし。
【殺し屋グループ逮捕、うち警官7人】 CNN
スペイン通信によると、ブラジル連邦警察当局は12日、
同国北東部でこれまでに1000人近い殺人を請け負っていた殺し屋グループを逮捕した。
うち7人が現役警察官という。
警察当局によると、グループは年間にすると約200人を殺害。
警察内部に協力者がおり、犯行現場から証拠を消し去っていた。
警察官の不正や汚職が深刻な国では、殺し屋などを雇ってトラブルを解決することが横行するという。
バウケンさん、
どうせなら現代北斗やって下さい。
280 :
マロン名無しさん:2007/05/30(水) 16:27:55 ID:XoWHKfuc
オウガイVSシズカの歴史軸ですか?
いいですね。
でも、不安なので感想や指摘をコンスタントにお願いします。
『天帝』
部屋の奥に薄い、白い幕に覆われた一画…
人のシルエットが見えた。小柄な影だ。
白夜叉「帝(ミカド)様。南斗の将の一人、妖星のユダ様にございます」
意外なことに天帝自らが薄い幕を開け、その姿を見せた。
小柄な筈だ。天帝は女、それも、まだ十代後半と言ったところだった。
一言で言うなら、「高貴」であった。美形、美少女ではあるが、目の光りに際立つ違いがある。
白夜叉が穏やかにユダに告げた。「天帝、ルイ様でごさいます」
白夜叉にとっても、この美しく高貴な娘が誇らしいのであろう。それが白夜叉の態度にヤンワリと現れている。
部屋の中には白装束の男女が十数人ほど集まって来ていた。天帝の世話係であろう。
皆、薄気味悪いほど穏やかな表情をしている。ユダの心に嫌悪が拡がる。
ついにルイが口を開いた。「な、南斗の聖戦士よ…よ、よく参られました」
声が震えていた。ユダの嫌悪は、その心を満たし、次にはサディスト・ユダが目を醒ます。
怒りにも似た、天帝への嫌悪感。こんな世界にあって、きっと何一つ自分では行なうことができまい。
高貴と感じた眼光も、要は現実世界の残酷さを知らないで育ったお陰であろう。汚れずに済んでいるだけだ。
…実際のところ、幼き頃から擁護されていたとは言え、醜いパワーゲームの中心に置かれていたこと、
その権力闘争を勝ち上がったジャコウに利用され、挙句は暗く汚ない獄に幽閉されたりと、彼女の歩みも安易なものではない。
だが、ユダにはそんなことに興味を持つ気持ちはない。
ユダは高らかに笑った。怯えて薄い幕の中に戻るルイ。うろたえる白装束の従者たち。そして白夜叉は、
「ユダ様…一体どうなされました?」
ユダは笑うのを急に止め、蔑みの視線を白夜叉に向けた。
「愚か者が!何が天帝、何が天意か!」
白装束の男「おお!何と冒涜的な…」
ビシュン!高速で床を走る衝撃がその男を切り裂いた。
『大痴れ者』
白夜叉「何をするのです!?」
白装束従者供の穏やかな表情がユダへの恐怖と怒りに変わる。
「フフフ、そうだそれでいい。その表情こそ人間らしくていい」
白夜叉「ルイ様をお守りしろ!」の一声、従者たちが一斉に懐から短刀を取り出した。
「そうだ!ますます良くなった。穏便という仮面の下に、貴様らの暗い情念。そして…」
とユダはポーズを決めて見せた。鶴の頭部のように手首を曲げ、指をナルシスティックに"飾"る。
「…この強く美しい俺への劣等で歪んだ顔、フフフフ…何よりも貴く、して醜いぞ!」
白夜叉「この痴れ者めが!」
白い壁と床は紅く染まった…
ユダは血のこびりついた薄い幕を払い隅で震えるルイを見やった。
「はあ…あ…」とユダに怯え、耳を塞ぎ目を閉じている。彼女の半生が理解できた。意外に不遇な過去のようだな、と。
お構いなしだった。ルイの前髪を鷲掴みすると「いや〜!」と叫ぶルイを引きずるように連れて行く。
足下の"元"白夜叉を蹴りのけて進み行く。
「フハハハハハ!喚いても無駄だ、ルイよ。見ろ、この者たちを」
ルイに無理矢理、悲惨な屍を見せつける。激しく狂乱したあと、ルイは失神した。
「フッ…どこまでも上品な小娘よ」とルイを肩にのせ、白い明るい、そして血と汚物の匂いが充満する部屋を後にする。
最後に白夜叉の死体に振り向き、
「これが天意だと言うか?貴様の"天"はこの小娘を守ったか?…愚か者が。
天意など所詮は人間が自分たちの行動を都合付けるために考え出した戯言に過ぎん。
強いて言うなら…この俺の存在そのものが天意よ」
暗い廊下、ユダは再び三連のライトスタンドを手に取る。
そして彼の肩に気を失ったまま載せられているルイの綺麗な顔に告げた。
「気が変わった。貴様を、最も望まない男の元に送り届けてやろう。聖帝の元にな」
ユダは自らの足音を楽しむかのように、大袈裟に響かせて歩き出した。
283 :
現代南斗:2007/05/31(木) 05:14:56 ID:???
ユダ「♪」
レイ「ここに居たか、ユダ」
ユダ「!!…なんだ」(化粧直しを中断し急いで顔を背ける)
レイ「1時から会議があるそうだ。3F階段横の会議室な」
ユダ「わかった」
ユダ「♪」(化粧直し再開)
レイ「おい!」
ユダ「!!…今度はなんだ!」(急いでそっぽを向く)
レイ「今5分前だ。もう行った方がいいぞ」(親切)
ユダ「わかったから先に行ってろ!!」
レイ「うむ。遅れるなよ?」(心配そうに去って行く)
ユダ「…ったく!貴様のせいで余計に遅れるわ…」
時間ギリギリに不機嫌な顔で会議室に現れたユダ
それを見てレイは胸を撫で下ろすのでした
284 :
マロン名無しさん:2007/05/31(木) 08:52:19 ID:eiamNHl0
【現代元斗】
ノルウェーの華麗な城砦で、ただ過ごしているだけ。それは俗に観光と称される。それをやる方が、日本円なりの利益供与を為すのが世の倣い。
しかし元斗皇拳のイリアにとって、それは正業だった。天帝の影武者。しかし、護衛官の長と文民代表に「金色のファルコ」「ジャコウ」が
着任しているから、元斗2000年の歴史上、未曾有かつ例外的に時代が良い事もあって、どんなヤングエリートやバリバリキャリアウーマン、もしくは傭兵等をも
超越した頂に、イリアは居た。しかし、必ずしも美衣美食とはいかないし、移動や居住の自由は実質的には凍結状態となった。
通信と性的自由も無い。ジャコウやジャ○コに巣食う総会屋等にマワされるというわけではない。恋愛も交尾も、機会が完全にシャットアウトされているのだ。
もっとも、今のイリアに恋愛は厳しい。入浴を、1年近くしていない。髪は、なんかの養殖グッズとか温床の類と化している。肌は汗で垢が垂れ始める。
手足の爪は「なるほど・ザ・ワールド」級の様相を呈していて、手足を動かすだけでも注意が要る。これは、痛みが教諭となって既に慣れることとなった。
「なるほど・ザ・ワールド」は、イリアが住んでいた国のTV番組だ。決して「ジョジョの奇妙な冒険」ファンの作品とかではない。
美衣だったものは、感触と臭気でイリアに洗濯を迫る。しかし服を着替えるなと厳命されている。清潔を欲するだけでも罪なのか。
美食といえばそういえなくもないが、チーズというのは本来、人の主食ではないはずだ。臭みに慣れまろやかさに浴し、黒パンをバクシャリと断ずるまでになった。
そして、飽きが来た。もちろん、乳清や乳糖に弱い腹もイリアをじょじょに拒食にいざない始める。何かのホール中心に鎮座するだけだから、
膝にきてるし運動もしたい。イリアは本来、拳士なのだ。それは誇りとか形而上のことではなく、文明世界が育んだ肉体が精神を浸食していた。
285 :
マロン名無しさん:2007/05/31(木) 08:53:11 ID:eiamNHl0
イリアは、ふけた。天帝というのは、先代が冷戦下で斃れている。そして次代のヤツが今年度にこの世デビューをするかどうかというところなのだ。
ジャンプーも無ければカレンダーも無い元斗の苑に居たイリアは、星を見たり肌で感じたりする事柄から判断して10月を待たずにふけたのだ。
幸い、フェイントの用を成さない天帝の影武者に直接張り付いている者は僅かで、イリアの手腕なら無血脱走は容易だった。
なぜ早くこうしなかったのだろうかと悔いながら俗世に降臨したイリアは、街のドキュン若者らに熱いシャワーを奢って貰った。
天帝の衣は、後から合流したドキュン女の善意でコインランドリー送致となった。元斗の系譜を基準にすると人間に満たない者が、その価値を解さないのは自然だ。
3ヶ国語の話せるイリアは当初の若者グループと別れて、東ドイツやポーランドの工場地帯から輸入された量産服を着用し、街の体育館に来た。
スカッシュができそうなほどの小型のダンスホールを借り切り、ウォーム・アップを終える。
おもむろに扉から入室する者が有る。自然で忌憚ない音は、初め、イリアにそいつを体育館の係員か何かだと錯覚させた。
闖入者の初弾を、かろうじて回避するイリア。
286 :
マロン名無しさん:2007/05/31(木) 08:56:40 ID:eiamNHl0
フレキシブルウエポンの軌跡の精妙さは、すじにく豚の健康さを喧伝していた。泰山系の鞭術だ。
時速300kmでイリアを舐めに来る馬革は、1トンの岩石を破砕したあの瞬発力ボクサーの右ストレートを遥かに上回る速度。
高速の物体を、腕でブロックする。しかし、馬の革はいよいよ革屑となった。精妙な双鞭術の威力を、80%程度じゃなく全部発揮するためには、
その機能性と操法との相性が世紀単位で立証・研鑽されてきた規格の鞭が必要である。自然素材でなければ、元斗の光とどう反応したかイリアでも
想像するしかできない。腕でブロックしたのは、当たったら厄介だという理由から、首から上のみ。それも、なるべく腕が一方向に偏らないようにした。
障害物の無い室内に佇む、尚且つ超高速の世界にはついていけないイリアの拳士としての勘が、すじにく豚に武器破壊をきめたのだ。
すじにく豚はかがむ。イリアは、「大相撲」という豚の祭典を彷彿とする。だが、呼吸音がするだけで一向に突進してこない。
サッと、豚の色が変わる。イリアは「しまった」と思った。「うわあああああ」「はッ」すじにく豚を避けようとせずに下肢を安定させ、豚を迎撃する。
下肢から指先までが闘気で輝きを持ったイリアが繰り出すは、元斗猛天掌。その奥義が向かう中段には豚の頭部が有る。
しかし、豚は体に捻りを加えて、肩からそれに衝突する。その奥義は、掌底顎打ちと四本貫手による両目への攻撃のためのものだ。
変な形で接触し、火勢が、事故る消防車を停められないみたいに、すじにく豚の質量がイリアの右腕と胴をむしばむ。
闘気を全身に受け、すじにく豚もジャージ上下をボロくしながらヨロヨロと起き上がった。焦げるジャージの化繊がうざくなったのか、一旦、
外を目指す豚。このラストチャンスを活かし、でかい的に3m弱の距離から元斗白華弾をふりしぼる。幸い、豚とイリアが倒れ込んだのは同時だ。
287 :
マロン名無しさん:2007/05/31(木) 08:58:58 ID:eiamNHl0
体育館の人が介抱するイリアは、社会的にもすじにく豚を放置して、手拭いや缶ジュースといった手荷物の忘れ物もしつつ体育館を後にした。
これはもう、旅券を所持してなかろうと何であろうと、国外退去ぐらいしないとまずいだろう。軽率だったと悔いるも遅い。元斗の追っ手が来る。
そして、人ごみを避ける。常人同士のチェイスとは異なり、特定の強くて輝く闘気を察知できたら後は音と常人の群れに混じって接近し、背後に並んだら
歩きながらでもリシン・ボールかあるいは普通の短銃やknifeで連続攻撃をすればコトが済んでしまう。特に、天帝の衛士で暗○拳である南斗の拳士が
動けば、その懸念は大きかった。南斗は層が大変厚いし、中には社会的にも拳士としても弱いヤツが少なくない。内に秘めている強さも輝きも、発揮できなきゃアウツ。
路地裏に入ったときから、イリアは嫌な予感がしていた。でも、恐いので余計に先を急ぐ。その結果、雑居ビルや団地かマンションかわからんような物が四方を囲む
空き地で、剣士と対峙することとなった。イリアは、それが拳士ではないと看破した。ただ単に、拳法の動きとかけ離れている点と、
剣を持っている点から察しただけだが。クロームメッキのロングソードは、雑草を刈る。太いヤツになると、断面や皮は完全に木だった。
足元は雪や草があるものの、地面の状態を含めて移動には支障や懸念が無かったから良いが、剣の長さと緩やかながら休み無い攻撃行動ゆえイリアではいかんともし難い。
288 :
マロン名無しさん:2007/05/31(木) 09:01:23 ID:eiamNHl0
イリアにとっては、3歩ぐらいの距離でイリアの喉に切っ先を向けて様子を見ている丸坊主の黒人という存在、これは攻防一体で背を向けるのもリスキーな強敵である。
こけたらドツボというか終了の予感がするから、無闇に下がれないし目を離せないし、闘気のチャージも一瞬ではないし外したら地獄。
さきほどの豚にヒントを得る。すなわち、フレキシブルウエポンと、硬度に於いて軍用車輌みたいに硬い肉体。突進はさすがに嫌だったが、もう入身転身とかのウルトラCしか
道は無いだろう。背の高い雑草に手を添えて、それは煤と化す。煤が投げた紐のように剣士の上段を落ち行く。足捌きを使わずに避けたから、煤がばらけて顔面に散る際にバッと
スウェイした。イリアは、通常なら指の第二関節から散るような部分を輝く左手でつまむと、少し押して右半身から踏み込む。
剣に添えていた方の手でイリア迎撃を試みる黒人の肋骨をも、闘気で焦がす。少し離れたところで、八卦掌の投げ技をかけると、ついに黒人は動きが止まった。
剣にめもくれないで、路地を抜けるイリア。
289 :
マロン名無しさん:2007/05/31(木) 09:04:33 ID:eiamNHl0
ジャスクというのは、まだ本名ではない。日本でのジャ○コという大型商店の展開に際して、仕事に対する情熱を維持するために改名したのだ。
だから、シンガポールの行政がジャスクについて正式に全ての変更を終えるまでは本名ではない。
文民という豚は、ヘタな猟犬より勤勉で強かだ。ただの豚では、年寄り株が限界、目ざとく10何級かの福祉の手当てを受給するのが常套だろう。
合図の鳴り物を無しに、適当に散らしておいた枯葉や都会のゴミを鳴らす足音がする。泰山豚(キエフ出身)の負傷から、イリアの闘気はそろそろ
美味しいところにきていると判断したのだ。天帝の影武者と言っても、練気をしているわけではない。イリアの力量では、確かにもう闘えなかった。
「お前は強い。強ければ不問に付す。報酬は還付せずとも良い。だが、申し開きはしてもらう」。
大嘘なのだが、百戦錬磨らしき戦士を5人連れたジャスクの金言には、イリアは縋るしかなかった。
銃器があるとか、まだやれるとかいった類のフェイントで道を開ける相手ではない。銃器といえば、
トリガーを引くと感電しかしないギミックの掴ませ銃を所持している者が1人いる。
290 :
マロン名無しさん:2007/05/31(木) 09:08:05 ID:eiamNHl0
「イリアよ・・・・・・」ファルコは語りかける。天帝の威光を維持する者が居ないだけで、天は割れ易くなる。
イリア不在の約2日間の間に、世界は核戦争と滅亡の危機に曝された。核兵器は、惑星内の紛争で使う代物ではない。
その危機を誘発したのは、おそらく南斗無音拳か北斗孫家拳。天文学、いや占星術上の根拠でしかないのだが、イリアはそうなのだろうな、と
確信した。どちらも初めて聞く拳法だったが。イリアには、天帝の巫女としての適性はあった。しかし、覇権、泰平、愛、それらの何も望まない。
器が小さすぎたのだ。イリアは常識から、自分が館を留守にしていたのと、核関連の事件はまったく関連性が無いと反論する。そりゃそうだ。
でも・・・・・・イリアが、ジャスクの甘言が虚言だったと確信するまでそんなにかからなかった。普段からイリアを甲斐甲斐しく傅く男らがしていた用意は、
確かにイリアのためのものだった。しかし、表裏で明王と変な精霊みたいなのが彫ってある像が出てきたのは、イリアが斃れた後だった。
その2色の祭壇を間にファルコと相対して、ジャコウが明王のアタマの装飾部分の尖端部に火を燈す。イリアを送る儀式が始まったのだ。それが終わるまでに、巫女の召喚と影武者の着任が必要だ。
291 :
マロン名無しさん:2007/05/31(木) 09:11:03 ID:eiamNHl0
現代元斗、いかがでしたでしょうか。ヒントは日本史上で実在した「持蓑」というジョブです。結局、薄命牝になってしまいましたが。
イリアは、そんなに強くない拳士です。敵キャラも市都の長ぐらいのレベルです。
あと、イリアを手にかけた日の1ヵ月後、ファルコはリンを救って空輸します。運び屋はショウキと彼の従姉、届け先は勿論、日本。
ジャコウは、これまでの巫女に対する処理の手腕から、ファルコにあの役を任せて、迂闊にもリンを見届けずに去ってしまいます。
ファルコは善良だしイリアとはプチ両想いだったので、ついに心のダムが溢れて、リン間引きを躊躇します。天が割れた原因です。
妄天の拳結構うpされてたから纏めて読んでしまった…
読みやすい文だったのでスラスラ読めましたw続き待ってます。
鉄の処女も南斗六聖拳が好きな自分としては楽しいです。
妄天の拳と比べてうp率が低いので逆に焦らされて気になる…w
>>291 面白かったですよ!
久しぶりに頭をフル回転させた感じがしてやや疲れましたが、想像のつかない展開で楽しめました
294 :
壱:2007/05/31(木) 21:32:08 ID:???
バウケンさん、ついに書き始めましたか。
元々、語彙も知識も豊富な方でしたから、すごいことになりそうですね。
臨場感ありますよ。
『裁き』
コマク「この小娘が天帝だというんですか?」
ユダはコマクにおどけたような表情を見せた。口の横に位置するホクロがエロい。
視線をジャコウに移す。もう完全に憔悴しきった老人がいた。茫然とし一声も発しない。
ユダはジャコウの前に立った。怯えた目でユダを見上げ何かを呟いている。
「ん?何か言いたいのか?」 「い…命ばかりは…」
ユダは、正義などというものに関心はない。善悪とは見方により変化するものと考える。
それでも、優しく諭すように言ってみた。彼の美しかった母の姿を自分に重ねるように…
「貴様は今まで数多(アマタ)の人々を虐げ、犯し、殺し、欲望の限りを尽くして来たのではないのか?」 「は…う…」
「なのに自分の命だけは惜しむのか。ジャコウ?貴様の罪は幾重にも積み重なり、ついには天にまで達している」
ユダは人差し指をジャコウの眉間に近付けた。恐怖でジャコウの身体は身動きがとれない。まさに蛇に睨まれた…だった。
ユダは優しく微笑み、ジャコウに向けた指を銃のように撃つ仕草を見せた。
「だがなジャコウ。天は寛大だ。それにお前の命では何も償えぬ」 「は…はうう」
意外なユダの言葉にジャコウは微かな安堵を見せた。だが、だからと言ってただで済む筈がないのを知っている。
「立て、ジャコウ」とユダはどこまでも穏やかに言った。
恐怖と失禁したことの羞恥もあり、ジャコウは内股で震えながらに立ち上がった。
ユダは今度は理知的な講師のような態度をとり、「では天に代わって君への私からの裁きだ」
ドドドッとジャコウの手足を素早く突く。ジャコウは痛みに悲鳴を上げてその場に崩れ落ちた。
糸の切れたマリオネット…
「鶴嘴穿煩…貴様の両手両足の神経節を破壊した。貴様は二度とそのまま這い上がることはできない」
もがくジャコウの襟首を掴み、"下"の暗い通路に投げ落とした。
暗闇と絶望…ジャコウの叫びが響き渡る。
それをかき消すユダの高い笑い声。そして衛兵たちに、「穴を塞げ」と言い残し、ルイを肩に担ぐと颯爽と部屋を後にした。
コマクはよくしつけられたペットのように、その後に続き姿を消した。
「エピローグ」
ユダはサウザーの前に現れ、ルイを引き渡した。
ユダはサウザーの誘いを「オレは妖星のユダ。誰にも仕えぬ」と断り荒野に去って行った。
「フフ…スカーレットクレーン」とサウザーはその後ろ姿を見送った。
サウザーは天帝ルイが、まだ少女であることを知ると殺すのではなく、別の案を考えた。
天帝と南斗の帝王が子を残す…どうなるかが楽しみであった。
南斗は天帝の門衛だった時代もある。その南斗が天帝を凌辱する。殺すことよりもはるかに彼の支配欲を刺激した。
天帝の血を引くルイは聖帝の三十一人目の妻となった。
奇しくも天帝の血は、その政敵である聖帝によって庇護されることになったのである。
レイは結局、あの後に姿を消したままになった。彼は村に戻りアイリを連れると北に向けて急いだ。
マミヤの村、北斗の軍の本拠地である。ケンシロウ不在では聖帝軍相手に勝ち目はない。
彼らの多くは聖帝の支配を受け入れ、それを拒む比較的少数の者たちは難民となり、さらに北を目指して旅立つ他なかった。
辛い生活になるが、バットにはリンが、そしてレイには妹アイリと、何よりマミヤがいる。
リンは自分に双子の姉がいること、自分にも天帝の血が流れていること、
そしてその姉がサウザーの妃になったこと…何一つ知らないままだった。
シュウはサウザーの右腕として、そして旧友として、聖帝の治世に尽力することを承知した。
死病に侵されていたリュウガであったが帝都が蓄えていた医薬品により快復。旧帝都の太守に任命された。
かつては敵対していた拳王軍の将軍が許されたばかりか、厚遇されたのだ。
サウザーにもリュウガのような有能は男を組織に組み入れたいという願いはあったが、
それとは別に、南斗正統血統の男ゆえに優遇したという側面もあった。
こうして聖帝の支配は広く及び、事実上の国家を形成するに至った。
そしてシンは…
297 :
マロン名無しさん:2007/05/31(木) 23:15:45 ID:8H1sjxUU
現代南斗@バウケン
ユダ「コールドの方(紙コップの飲料)お持ちしました」。
相手側「どうぞお構いなく」。
ユダ(両手で床に触れないでそれを刳り貫く)
レイ「上がって来い。会議に戻れ」。
ユダ「わかった」。
お構いなく→オカマ居なく
@床の断面に電気配線が走ってて、青白い火花が散っているとグラフィカルです。
298 :
マロン名無しさん:2007/05/31(木) 23:19:16 ID:8H1sjxUU
オカルト映像としては、アメリカの無人の夜の公園での足跡増加というものがありますが、
現代北斗だとあれは北斗拳士の自主トレが真相なのでしょうね。南斗の伝衝波の自主トレが捕捉されるパターンのSSつくるひといないでしょうか。
妄天の拳、ついにエピローグとなりましたか・・・。
299 :
壱:2007/05/31(木) 23:57:19 ID:???
>>298 ま、続けちゃいますけどね。
ところでバウケンさん。
バウケンさん自身が書くようになったのであれば、私がセリカを使うのってどうでしょうか?
ご自分で扱いたいのでは?
300 :
メイデン:2007/06/01(金) 04:42:51 ID:???
>>292 ありがとうございます。
確かに最近忙しくて全然書き込み少ないです…m(__)m
近いうちに【鉄の処女】本格的に書き込みいたします。
その時はよろしくお願いいたします。
301 :
マロン名無しさん:2007/06/01(金) 08:37:32 ID:kCoZcYAO
>>299 いえいえ、セリカはもともと、読み切りの薄命牝の一人。
確か、
>>113の新しい体である侍女を侍らせていた、という設定であんまり薄命牝でさえありません。
「地を流す」のあたりで登場した、田舎都市の未舗装な廃墟群に佇む公園で壱さんに出会い、そのまま
壱さんと一緒に北斗世界を旅している、そんな感じで使ってやってくださいw
>>294 書き始めたというか、書く時期にはけっこー創り込みはしますが、次はいつになるか定かではありません。
壱さんはあと2ヶ月ぐらい、とのことでしたが急にエンディングが早まってなんか心配です。
302 :
マロン名無しさん:2007/06/01(金) 08:44:09 ID:kCoZcYAO
>スレ住人
セフィリア(『BLACK CAT』知欠健太朗)の南斗無音拳とか
秘孔突きを腹筋で無力化する5年後(推定)の愚地克己(バキキャラ)とか、
コラボ北斗も面白そうです。皆さん、ご創作ください。
原作のサウザー編ですが、北斗虚無指弾や岩山両斬波はどんな理由で使えなかったのか今更ながら気になります。
勢いの大切さと凄さ、面白さを感じる一考です。なぜか、2007年現在の今になってから、それに頭がまわるんですから。
妄天の拳については、またいつの日にか修羅の国の攻勢を迎撃するサウザー帝国が見てみたい感じもします。
VS拳王の頃にハートがオアシスで使った旧世界の塩の壜が存在するという設定を設けて、モヒの中にそれを携えて勇気を出して皆を誘って、
進駐するバロナとかから、今はもう動かないタムラが治めていた村の住人を守るために戦い始めるとか面白い事態が頻発しそうです。
ハートの生理機能だと、そもそも水をあれだけ摂取して水太りするのに臓器や血管、眼圧がやばそうな気配が無かったし、塩分ごとき不要なのかもしれませんが。
303 :
マロン名無しさん:2007/06/01(金) 08:47:47 ID:kCoZcYAO
幻の第二部ですが、その導入でも、それなりの使い手が室町時代の瀬戸内みたいな木造漁船で沿岸沿いに赤鯱に挨拶に来て、上陸していたマスクド修羅と
急遽、戦いになるというのがよさげです。サウザー夜伽小隊の誰かの仔がそういう風に夭逝して、暫定次代のヤツが
「天才肌だったあいつが」とか「出張前に交尾1回しただけなのにまだッ!!」とか悔しがるとドラマチックです。
それが暫定次代クンへの愛混じりの忠義から無理をおして軽功術を使って帰還した事が原因でムーンブルク兵士状態になった日にはもうw
次世代の愛など要らぬ記念日ですね。
戦乱再開からは、ゲーム版で水鳥にザキという伝承者居ましたが、「ホイミです。レイちゃんとこのメイドです」とか
名乗り出る児童労働者とか居たらよさげですね。南斗の世を挙げて、超ドキュン国家の壮絶な侵略を生き抜く戦い。
現代版では、ネーミング的に北海道北斗市が香ばしいです。集英市や講談市とかでもバーチャルリアリックな良さは同様なところですが。
実在の新興都市だけに、創る気になれば地図から記事まで資料には事欠かないし。
北海道北部自体が、対ソの要害だった時代に遡れば幻の第二部の創作に参加する際にも、1000km単位向けの無線機のスペックとか想像力に良い事項が
わんさか出てくると思います。おすすめです。
304 :
マロン名無しさん:2007/06/02(土) 08:21:19 ID:jFpS/Gem
容量をテスト
あ
『再エピローグ』
コスプレ…なのだろうか?
だがシンはそれを指摘するに気も、そのことについて質問する気もなかった。
赤鯱という名の大男。片手片足で、さらに片目だった。サウザーの部下。
いかにも海賊然とした装いで、しかも彼のみならず、その、船を操るにかけては有能な部下たちまでもが海賊然としている。
赤鯱「順風満帆。シン様、明日には向こう側に着きます」
一年が経過していた。聖帝領特別自治区サザンクロスも一時的に解体、キング組織は聖帝軍に吸収された。
全ては我欲。ただ拳士として強くありたい。サウザーよりも、…ケンシロウよりも。
彼の宿星、殉星とは自分の信念に殉ずる星。言い換えれば、我道の星だった。そして孤高なる鷲の拳。
将星の衛星とは言え、それ自体が長い歴史の中で作られた後付けの宿命。
シンは宿命も運命も信じない。しかし己が我道の星であることは認めていた。
サウザーの覇により、乱世の中にも僅かな治世の芽生えが見え始めた。
王、覇者としてのサウザーには到底及ばない。平和とは呼べないものの、サウザーの平定した"国"を再び掻き乱す気はない。
ただ一人の拳士として…。猛者を求めてこの汚染された海を渡る。
やがて陽は傾き、西の海に太陽が吸い込まれる。
死んだ海だが夕陽の美しさは変わらない。その光は彼の網膜を貫き後頭部にまで沁み入るように感じた。
『襲撃』
赤鯱「シン様、この辺が限界です。これ以上近付けば…敵襲を受けます」
彼の片目片手片足は、かつてこの戦士の国に攻め入った際に失ったものだ。この国の恐ろしさは身に沁みている。
「こっからは小舟を漕いで行ってもらうしか…」 「では頼む」
その時、シンの気に何かが触れた。同時に叫び声が上がる。シンは船室を飛び出した。
赤鯱は厳しい顔で呟いた。「ちっ、もう来やがったのか…」 重い不自由な身体を懸命に動かし外に向かった。
よく鍛え上げられた身体の、高圧的な顔の男だった。髪を全て後ろに撫で付け、下目にシンを睨みつける。
その手にする武器は三節棍だ。そして彼の周りには撲殺されたクルーたち…
その高圧的な態度に相応しい口調で男は、殺気立つシンに告げる。
「貴様らは既に我が国の領域を侵している。この国は鎖国が掟。侵入者は抹殺する」
「ほう…それはおもし…!」 問答無用だった。男の三節棍がシンを殴り殺そうと振り下ろされる!
しかしそのスピードもシンには遅い。左手で掴み取った。だが、男はまるで動じる様子も見せず手元のスイッチを押す。
シンの掴んでいた第一節棍が外れ、タワバ蟹脚部の甲殻から身が抜けるようにして幾条もの細長い鞭が飛び出した!
男の巧みな腕さばき、鞭がシンの右腕を絡め取る。男は眉一つ動かさない。全ては手慣れた作業だった。
次いで男は左手で腰のナイフを抜き、それを逆手に持つと、棍を力強く引く。バランスを崩した相手をナイフで殺る。
「うお!」 バランスを崩したのはその男の方だった。シンに絡めた鞭が簡単に取れたのだ。
シンは絡み取られた右手に南斗の気を込めただけだ。その瞬間、シンの手は鋭い刃と化す。
シンに遊ぶ気はない。超速で距離を詰め、連突きを見舞う。南斗刺鷲斬。
男「うばぶぶ……んぐ…フフ…この程度の打撃では…」
「打たれ強いようだが…我が拳の前には意味がない」 「なに…ん?」 男は"崩れ落ちた"。
赤鯱「おおお!な、南斗聖拳、凄まじい」
驚く赤鯱を余所にシンは口元をほころばせた。「ただの一兵士でここまでやるか。噂に違わぬ国よ」
シンは海岸を見やった。
「修羅の国…か」
『女』
美しい女だった。
薄茶色のやや癖のある頭髪。身体にピタリとフィットした黒いボディスーツ。そのスタイルの良さが際立つ。
しかし、どことなく人を寄せ付けない、近寄りがたい雰囲気はその美しさのせいではない。
その女、喩えるなら氷。冷たく鋭い…そんな目の持ち主だ。
彼女は、自身の手に付いた血を足下に転がる仮面男の服で拭った。
その倒れている男の胸には穴が開いていた。女は死体をまさぐるように調べ、
数枚の干し肉を見つけると、ワイルドにかぶりつき引き千切った。
美しい容姿と野性的本能的なその仕種…紙一重だ。彼女の美貌がその様を紙一重で"絵"にする。
ガスマスクのような仮面のついた大きめの荒布を拾い上げ、歩きながら肉を頬張る。
残った一枚をポケットに押し込み、反対側からは自家製のタバコを取り出し火を点ける。
一度だけ深く肺の奥にまで吸い込む。出来の悪いタバコ、頭がクラつく。
「チッ」舌打ちし、彼女はタバコを投げつけた。「失敗ね」と独り呟く。
と、彼女は別の修羅を見つけ、面倒そうな顔をつくる。これも紙一重の表情だ。紙一重で絵になる。
また舌打ち。悪い癖と知りつつ直らない。
何より…直す気など全くなかった。
彼女は荒布を被ると膝を地に付けてヒョコヒョコと歩き出し姿を消した。
309 :
訂正:2007/06/03(日) 14:15:19 ID:???
>>304 ×『再エピローグ』
○『再プロローグ』
310 :
マロン名無しさん:2007/06/04(月) 00:29:49 ID:ZArSAX4k
西暦2020年。世界は徐々に、化石燃料から原子力にその頼りを移行しつつあった。タダで動くのは地震だけ、タダで輝くのは日照だけ。
日照については、もはや無償平等のものでさえ無くなりつつある。世が世なら覇を唱え氏闘の中で拳を交え合う拳士たちも、平和を享受していた。
通信機能の豊富なテーマカフェで麻製のレプリカメイド帽の従業員をからかい、荒事屋ジュウザへの連絡を待つ現代冒険者・<雲の>ジュウザ。
化繊のマンガチックな代物ではない装備の、秘書検定にも受かったようなヤツのサービスを受けるヤツを敢えて底辺とすると、頂点のヤツは本当に凄い。
北海道北斗市がその成り立ちを通常の人々の営みを起源とするなら、その者は本人自体が市の成り立ちのキーパーソンだった。その超人はサウザー、
南斗市の庁舎で聖帝総務課長を務めるのは、北斗市のことで謂れの無い相談を聖帝から受けたことから練り上がった縁で、サトラ・カキザキだ。
平和が内包する脅威、それは南斗市では細心の注意を払われていた。点在する原発は、広域的に致命的なメルトダウンは設計上抑制されてはいるものの、
国内だけでも数十個の市町村を壊滅させている。原発を巡る民生のレベルでの熾烈な戦いの発生は、拳士にも活躍の場を突きつけている。
311 :
マロン名無しさん:2007/06/04(月) 00:31:41 ID:ZArSAX4k
リハクが南斗市郊外の原発にかかりきりになるという大原則、本日ばかりはサウザーがちらっと省みた。宿泊用に人気のスイートルームを基調にした
機能的かつ快適な会議室に、まるで人類代表拳士部門みたいな人員が集合する。リラクゼーションか窃聴防止かわからんような室内音楽は、
彼らの頭上には流れない。サウザーは、枕が1個しかついていないのに大きな寝台に、腰掛ける。タンタカタンタントゥロロロロロロロ♪
「長谷川真刀流の例の女性(かた)が来週明けに面会を望んでおられます。しかしどう見ても100歳以上の人間には見えませんでした」。
「後にせぃ」ピッ。第3の羅将・ハンが外部との連絡を終える。それが緊張緩和の効果を発揮したのか、紅茶を一服したシュウを皮切りに会議は走り出した。
「なぜ、30年以上前のマンガに俺たちが列席しているんだ」。「今日まで気が付かなかったぞ」。「いいか?俺たちは確実に、30年前までは実在しなかった」。
「この集英社というところと、あと通信競売や国立図書館のとこはちゃんと洗いましたか」?「それは我が草も、元斗の光も確認している。贋情報ではありえない」。
「俺たちが実在しなかったというのはなぜだ」?「このコミックやアニメ、ライトノベル、ゲームソフトみたいな事は何一つ起きなかった」。
312 :
マロン名無しさん:2007/06/04(月) 00:34:17 ID:ZArSAX4k
「まぁ待て。諍うな。それに、マンガの内容がマンガチックなのは良い着眼点だと思う」。「なんで?この武論だって、あの鋼鉄器アボリジニーのブロンとは別人だった」。
「この贋歴史絵巻みたいなのもともかく。俺たちの格闘技術や、体格に不釣合いな重機的な出力。あまりに神秘的だと思ったことは無いか」。
「我らのルーツは紀元前にまで遡るが、正確な記録の類は無い」。「凡人には理解できない。それが帝王というものだ」。「天才もな」。
「俺たちが凡人ですか」?「スペックがアホみたいに高いのは認める。しかし帝王は俺」。「出力に・・・スペックねぇ・・・・・・」。
今まで、円筒形のチェアに着座して照明と天井で影法師遊びに興じていたシュウが呟く。将の思考回路、初期型の古典的官僚の柔軟な情報処理能力。
これらのアンテナは、シュウの呟きを十二分に受信した。「被造物」?「Uu・・・Ah・・・・これはあの四半世紀前のシズカ編・・・終わってないな」。
313 :
マロン名無しさん:2007/06/04(月) 00:36:20 ID:ZArSAX4k
某大国東部の森林に位置するその施設は、これ以上に無い拳士30人のグループによって陥落した。
地上に点在する詭計の蓋も、地下鉄より浅い階の扉も、錚々たる将には通じなかった。
「お師さん!」先頭のヤツはたぶん糠喜びだろうな、と誰かが察した。将の思考回路の成果である。
この地下鉄より遥かに深い階層では、大規模なシミュレーションが行われている。近所のミネアポリスにある農協本部をも、片手間で出し抜けるであろう
シミュレーションの集積場、それがこのセントラル制御室。世界をシミュレーションするのに、細胞ぐらいの微小さはもう要らない。
人間の肉眼で、肌で、見えるもの感じるものだけを設定しておけば良い。入力も、そんなに要らない。ビッグバンの仕組みを解明して、時間の節々の条件を入力する。
あとは、見守る。20年前の日本製のプリンターが、この神の宮廷では預言書製作機としてこんな地下でパシりつつ、遥か地上に君臨している。
「うぬは知らんのか。オウガイ師は、この世界の成り立ちを理解している。昇魂とは、それのことであった」。「そうだ。もともとあの人は人並に、永遠の生命を欲していた」。
「それでか。南斗聖拳を統合して核戦争の回避に務めさせたのは」。「撤収だな。主要そうなのは全部これ」。「この羽ペンは俺が拾おう。各部の垂れ方が写真のやつに酷似している」。
「恩にきる・・・」。「ちぇっ。ハ・・・・・・」。「ふんっ。本人に会えることは確実だというに。」
314 :
マロン名無しさん:2007/06/04(月) 00:40:22 ID:ZArSAX4k
昇魂の眩しいまでに黄色すぎる秘伝は、若い男性プログラマーが握っていた。社会的反響から格闘シーンまでどう見てもとるにたらない文物、職能・職業、こういう発想への共感。
拳士たちの屈託の無い予想は、困難なサーチにひけを取らない成果を導き出した。彼は年齢的にも、輸入作品の一部としての自分たちに心躍らせたくちだろう。
覇王たちの入念で慎重な昇魂を手伝えば、こいつもまた勤め先で職場に面白い加工を施す。それぐらいの知性と、男子児童分を含む個体。
「最初らへんに・・・どこいっとく?」「あの商社や何かの会場なんかも面白そうだけど・・・2007年かぁ。どちらにしろ、まだ南斗市は無いな」。
そこへ、孤鷲の将が印刷物を提示する。「この妄天の拳というのはどうだ?」「よし、【初帰国】する前に西岸で草から送信先を聞いておこう」。
315 :
マロン名無しさん:2007/06/04(月) 00:41:29 ID:ZArSAX4k
現代北斗の完結編です。オウガイVSシズカは「リング」をモチーフにしていたので、今回はいっきに「ループ」をモチーフにしたものに創りました。
オウガイ悲恋編以外にも、現代北斗は幅広いと思います。皆さん、どしどし創作してください。
読みきり(まんがライフ的世界観)や不謹慎作品・絶笑作品(フタナリラオウケツ毛バーガー状態、モヒカンの男と薄着の女がベッドの横で正座、等)も大歓迎です。
オウガイ悲恋編というのは今、命名しましたが、過去レスでも「シズカ」で検索すると現代北斗をすぐに発見する事ができます。おすすめです。
悲恋編も、確かシズカがオウガイから逃げたところか、
北斗門の従卒か雑魚弟子がイベントアイテムを道院に持ち帰ったところで【続く】になっていたと思うので、それ以降の展開も未知数です。
未知数を数多の定数にするのが送信です。ふるってご参加ください。
316 :
マロン名無しさん:2007/06/04(月) 00:46:20 ID:ZArSAX4k
>>309 プロローグでしたか。これからも楽しみにしております。
「タワバ蟹という生物について」
318 :
壱:2007/06/04(月) 15:06:08 ID:???
>>316どうもです。
>>317 タラバ蟹でしたね。書き間違いじゃなく、マジ間違いでした。
なんか変な感じはしてたんですが…
それに加えて「たわば」と言えば「あべし」、「ひでぶ」にならぶ有名北斗断末魔だけに、
「こりゃあ洒落になっていいや」と寝ぼけてもいたので…
ちなみに『ダンディズム』の回でサウザーが自分の座に着く時も、
「肘掛け」という言葉が出ず「手すり」と書いてしまってたし。
ま、所詮は素人妄想なんで、許したってくらはいな。
『村』
海岸から少し歩くと、シンは小さな村を見つけた。
シンの心の中を満たすのは失望、期待外れ、だった。
幾人か遭遇した戦士たちもシンをてこずらすレベルには達していなかった。
小手先の技だけは発達しているが、全体的にキレイすぎる。そんな印象だった。
実際のところ、荒野のモヒたちと総合的には変わらないようにも思える。
この国の戦士たちは喧嘩ではなく、試合に強い。荒野のモヒたちは試合よりもルール無用の喧嘩に強い、と言ったところか。
何にせよ、南斗聖拳の達人であるシンにとっては雑魚ばかり、と言って差し支えなかった。
この国に対する船長赤鯱の恐怖も所詮は彼自身の非力さから来るものに過ぎなかったようだ。
村人たちが驚いたような表情でシンを見る。見慣れないストレンジャーには、警戒心や敵意を表すのがこの時代、世界のグローバル・スタンダード。
だがそれより不思議なのは村人そのものだ。
若者が男女の区別なく一人もいない。さらに男たちは皆極端に背が低い。
だがすぐに、男たちは膝下を切断されているか、脚の腱を切られて、まともに歩けなくなっていることに気がつく。
この村では若いと言っていい、四十絡みの男が話しかけて来た。
「あんた…まさか、海を渡って来たのか?」 「そうだが」
「信じられん?修羅たちが何人もいた筈だが…」
シンは皮肉で冷笑的な笑みを見せ、「修羅?あの沿岸警備の連中のことか?」
「本当か?あの砂蜘蛛も倒したのか?」と男は興奮気味にシンを問い質す。身長が近ければ胸ぐらを掴みそうな勢いだ。
「砂蜘蛛…名前までは知らないが、何人かの男たちは殺さざるを得なかったがな」とシンがその狂気を垣間見せた。
男の興奮は一瞬にして消え、シンに対する畏怖の念が興奮の後釜に据わる。
ざわつく村人たち。やがてこの村の長と思しき老人が身を引き摺りながらシンの前に姿を見せた。
「もしや貴方様は、南斗聖拳サウザー様か?」
「近いが不正解だ。サウザーは一人で旅なんかせん。俺は南斗聖拳のシン」
南斗孤鷲拳とは言わなかった。流派名で言っても理解できないであろうからではない。
彼は既に孤鷲拳の域を超えている。それを自惚れではなく、確かに自覚しているからだった。
『この国』
村長からこの国のあらましを聞いた。
この国の男たちは戦士であることを強要される。
戦いを拒む者、敗れても死に切れなかった者は脚の自由を奪われボロしか纏うことを許されない。
鎖国状態であり、外部からの侵入や外部への脱出には容赦ない罰、死が渡される。
競技場での戦いに連勝した者には修羅の称号が与えられ、さらに格を上げて初めて名乗ることが許される。
「私も若ければ修羅になることを強いられたでしょうな。しかし、戦うことが出来ないと見なされ、すぐコレ…でしたよ」
「誰がこんな国を…?」
「よくは分かりませんが、この国を治める王が、旧世界の終わりとなるや、建国に着手したと言われています」
「…」 「徹底的に銃器や火薬類が取り締まられ、押収されました。
誰かが言うには、この国の王は、かつての、それこそ数千年前の乱世にしたかったんじゃないかなんて言っとりました」
老人はとにかくよくしゃべった。シンは聞いてみた。
「長よ、あんたは俺が怖くないのか?俺も修羅と変わりはない」
「いえ、あなたは修羅とは違います。あなたは凄まじい強さを有していても、人間、だからです」 「…」
「修羅たちからは人の匂いがしません。奴らからは血なまぐさい獣の匂いしか、
いえ、獣に劣る…ええ…その、そうですな…そう!修羅の匂いがするのですよ」
シンは少し白けてしまったが、さらに質問を続けた。
情報収集の他に、この老人の退屈しのぎに少し付き合ってやろうか、などと、らしくない考えも浮かんだ。
「その王とは何者だ?」
この老人はミーハーっ気があるのだろう。それを聞いて欲しかった!とばかりに、その紫外線で黄色くなった目を輝かせた。
「建国の王は分かりませんが、この国には羅将と呼ばれる三人の男がいるんです」
「らしょう…」 羅将…か?修羅の将…羅将でいいのだろう。
「はい、皆恐るべき魔戦士です。見たことはありませんがな」 喜々として老人は熱く語る。
「その三人は互角の強者。戦えば相互完全破滅。そのためこの国は……均衡が保たれているのです」
老人は急に元気を失った。興奮が冷めて現実に気が付いたのだ。
老人の目はただの濁った球体に変わった。
『意味なし・番外・近未来』
「ミュウ」とショウキ様が私(ワタクシ)にお声をかけて来ました。今となっては元斗皇拳を伝えることのできる只一人のお方です。
「お久しぶりです、ショウキ様」 「元気そうで何より…」
ショウキ様は少しぎこちない仕種でありました。…私には分かります。
ですがショウキ様は私の元夫ファルコへの誓いと、友情と申しましょうか、とにかくご自分のお気持ちを抑え込んでおられます。
「いやあ、流石にファルコの子よ。拳の上達ぶりは俺の予想を超えている」
と、ショウキ様は温かい笑顔で語ってくれました。…なぜか今日のショウキ様はいつもよりも気忙しく感じられます。
髪にもだいぶ白いものが目立つようになり、笑い皺も深く刻まれたままですが、
この方の魅力は若い時よりも増してるように思えるのは、それは私も年を重ねたせいでしょうか。
「そうですか。ミッチェが…親とすれば当然なのでしょうけど、心配で心配で」
「大丈夫だ…確かに今は、元斗にとって受難の時代。しかしまた必ず元斗が隆盛を取り戻す時は来る」
と、ショウキ様は何かに気が付きました。「何だこれは?」と足下の何かを拾いました。
「どうしました?」 「こんなものが落ちていた…ダ、ダ、ダイヤの指輪だ」
「まあ、こんなものが何故…」 「ミュウ!」 「はい?」
まさか?と私の胸はまるで若い娘のように高鳴りました。
「ミュウ!もう随分と時は経った。ファルコも分かってくれるだろう…ミュウ!俺にはマロンチックなシチューは無理だ!」
ロマンチックなシチュエーションですよね?栗っぽいシチューってww
「だから単刀直入に言う!ミュウ!俺と結婚してくり、くれ!」
「はい!」 即答、自分でも驚きました。
「お〜い、師匠〜。母ちゃ〜ん」 ミッチェです。手には…え!!
「師匠、元斗マジスゲエよ。見てこれ。犬の首、簡単に取れたよ」
「…ふ〜ん」 ショウキ様もあきれて物も言えず、でした。
ファルコ様…ごめんなさい、あなたに似てなくて…
「つ…」身体が痛みます。若い頃の代償です。
「母ちゃん、ほら!すごくね?」
ミッチェ…年々ジャコウに似て来てます。
南斗琉拳開眼の予感…
323 :
マロン名無しさん:2007/06/05(火) 08:50:21 ID:Q57Z3SVW
【萌畑】@御名前を貴女の実名カタカナ表記に差し替えて保存等して遊びましょう。
三日酔いヌメリの蕎麦や麺とかの具が多いゲロ。卵焼き系の臭さが特徴的な糞。
8時間の肉体鍛錬の後に酒と加工食品をしこたま食ったカメーンズの尿。 それらを御名前が、クチ枷の強制力によって完食する。
「う”えええぇぇ・・・御名前どこー」「こっちや、ここや、御名前おるぞ」ドタドタと足音を立てて、そして、 かがんだヌメリが
御名前の口をエチケット箱と同様に使用する!
またはおもむろにグレー色の作業員ズボンをずりさげたヌケリが。
ぶば ぶちぶちぶち ばふっ 「はー」ケツを拭くと糞で汚れた藁クズを御名前の柔肌に貼る。
赤黒い系の色彩も混じってる尿でグズグズになった糞便が、一筋分ほどこぼれてムネの谷間を垂れていく・・・。最下等食糞女・御名前。
324 :
マロン名無しさん:2007/06/05(火) 08:53:14 ID:Q57Z3SVW
原作に登場した市都の長=男子なぎなた有段+古流薙刀の免許皆伝+真剣使用+一流の体格
よく考えてみたら、それだけでも凄い脅威なんだよな。素手で色んなことが出来る方が異常。というか実在不可能にして本作の醍醐味。
だから、バウケンは氏ねって。
「ヌケリという作業員について」
327 :
現代南斗:2007/06/05(火) 22:28:12 ID:???
>>323 これは酷いよバウケンさん
バウケンさんのすじにく豚とか不思議な話は面白いと思いますが、汚物はネタにしないでください
リアルで気持ち悪くなりました
『将』
宮殿とも呼べる壮麗な城…
城下町のようなものもなく、風の強い荒野に一つだけ目立っている。その城の最上階…
オールバックの黒髪で口髭のダンディーが脚を組みチェス板を睨んでいる。
常時身に纏う防具…常に臨戦態勢であることを部下たちに無言で伝える。
この国は小規模ながら、三人の王により三分割されている。
中でも、海に面したこの男の領土は、修羅の国の本質を真に体現している。
…強さが全て…
下克上、謀反、不意打ち、何でもごされ。ただし、特例を除いて必ず一対一であること。
…強ければそれでいい。それがこの国の基本理念。
この男、羅将ハンにとっては戦いが全てである。チェスに一人で興じるのも只の遊びではない。
戦闘中、相手の立場になり物を考える癖をつけるためだ。
一人の修羅がハンの前に現れ、膝を着く。笠のような物を頭に載せ、仮面を被っている。
「ハン様…カイゼル郡将がお着きになりました」
ハンは、その修羅に一瞥もせず、「通せ」とだけ、静かに言った。
「カイゼル、チェスの相手をしろ」
カイゼル…大柄で中年と言える歴戦の猛者である。現在はハンの領土の内、四つの郡の一つを受け持つ郡将である。
競技場にて実に五百勝〔妄天では時間があんまり経過してないので〕を誇る高クラスの修羅である。
彼は一度、このハンにも挑んだことがある。しかし、カイゼルの目にさえ、ハンの拳を捉えることはできなかった。
五百勝の代償として彼の身体には無数の傷が刻まれたが、ハンに受けた傷は浅くはなかった。後遺症もある。
ハンが止どめを刺さなかったのは、このカイゼルの目があきらめの鈍い光を見せなかったからだ。
ハンにとって自分の命を狙う強敵は最愛の友に等しい。
カイゼルは以前の戦いで圧倒的な力量差を見せられた。だが、正面から挑み、勝利する必要はない。
寝込みを襲っても許される。勝ち方ではない。勝てばいい、強ければいい。
カイゼルはチェス板を置いた美しい彫刻の施されたテーブルを挟み、ハンの正面に座った。
『チェス』
「してカイゼルよ」とハンはポーンを動かす。カイゼルもポーンを動かし、「は」と応える。
「例の侵入者は今どうした?」 「"観光"のつもりでしょうか、ゆっくりと宛もなくうろついている模様」
会話しながら二人はチェスの駒を動かし続ける。
カイゼルがナイトでハンのビショップを取る。局面が動く。「凄腕です。取り込めばパワーバランスもさらに崩れましょう」
とカイゼルはハンの表情を窺(ウカガ)った。ハンはチェス板だけを見つめカイゼルとはまだ一度も目を合わせていない。
「その男、あの砂蜘蛛も倒したのか?」 「いえ、奴は私の郡、闘技場にて二百勝目を挙げたところでした」
ハンは優雅な手つきでワイングラスを口に付け、ゆっくり傾ける。
「奴も変わった男よ。力ではそろそろ郡将クラスに達しように、貴様以外の、な。名前も未だに名乗らずか」
「常に"現場担当"でありたい、と。名前も砂蜘蛛で構わない、名前が強さを決めるわけではないと」
「フフ…若いが見所のある男よ」とやや離れて控えている修羅に空になったグラスを見せ、「替わりを」と静かに伝えた。
「ハン様は例のあの男も准将に据えられた。そろそろですな、ハン様」
「うむ…ところでその侵入者の件だが、凄腕とは言えまだ実力は見極められておるまい」とルークを横に動かす。
「幾人か上級修羅を当たらせろ」 「既に…」 カイゼルはチェスの勝利を確信した。
ハンは動じず、「その男の件が終了次第、先ずは色魔天を刺激する」とナイトを動かした。
突然にチェスの勝負にケリがついた。裏をかかれた。
ハンは無表情だったが、カイゼルは強烈な焦りを感じた。その焦りを顔には全く出さないが、背中を冷たい汗が伝う。
チェスと会話を続けながらもハンとカイゼルは必殺の気を交錯させていた。
スキあらば、とカイゼルはハンを狙っていたが、一分一厘のスキもなかった。
逆にハンの気がカイゼルを"打ち抜いて"いた。チェスの決着と同時に。
ハンはこの日初めてカイゼルを見てダンディースマイルで言った。
「チェックメイトだ」
330 :
壱:2007/06/06(水) 00:32:05 ID:???
331 :
マロン名無しさん:2007/06/06(水) 08:31:52 ID:N9caaPhB
ヌメリ畑については、さすがにむごすぎたかと省みております。m(_ _)m
妄天だと、六聖の最後の将が空いてしまいますね。
ユリアが氏んでる上に、リュウガも崋山に行ってしまっているし。
原作に顔シルエットで登場した、ごつい男性の二次キャラクター化をどなたかなさいませんでしょうか。
ところで、リュウケンがラオウに頃されなかったら、トキはどうするつもりだったのでしょうね。
拳や記憶をむざむざ放棄する気だったのか、動機が何であれ抵抗する気だったのか。
332 :
マロン名無しさん:2007/06/06(水) 08:36:01 ID:N9caaPhB
ちなみに、すじにく豚というのは大兵肥満の拳法家のことです。
バウケンはなんでコテを名乗らないんだ?
『色魔天』
この荒れ果てた世界にあって、まさにそこは奇跡的なほどに美しく緑が栄えていた。
湖畔には立派な屋敷があり、空の青さが穏やかな湖面に反射する。
この辺一帯はここ数年で人工的に美しく整えられた地域だ。それを命じた男が、この屋敷の中にいる。
羅将の一人ながら居城と呼べるものを持たず、のんびりとこの美しい自然の中で過ごしている。
それでもこの地が侵されることはない。この奇跡の地のすぐ周りは屈強な修羅たちが防備を固める街となっている。
その屋敷からたくましい男が現れた。ニヤけた締まりのない面で、長くクセの強い髪をかき上げる。
やけにツヤツヤした肌であった。全裸にガウンを纏っている。
大地の恵に感謝を示すように、且つ自然から力を得るかのように、湖面に向かい両手を広げた。
「ふう〜…なんつうか最高だな」と独り言を言った。
タイユェン…滅びた筈の古代秘拳、北斗曹家拳の使い手である。
「さて」と一息つくと、再び女たちが待つ屋敷の中に戻って行った。
底なしの女好き、羅将タイユェン。人は彼を(陰ながらに)色魔天と呼ぶ。
『暗殺者』
足下は砂地であった。シンは微かな殺気を感じ取る。
彼自身が南斗聖拳という殺気を操る術を使う。殺気を見抜くのはお手のものだった。
気を集中することで、潜む敵の正確な位置を把握する。…珍しく彼の遊び心が目を覚ました。
わざわざ気を練り、近くの岩を幾段かに切断し、敵の潜む砂地の上に投げ、積み重ねて行く。
やがてそこには不揃いにカットされた岩石で小山ができた。
シンはその上を越えて、さらに向かう先、最も近い街に歩を進めた。
郡将クラスなら、彼の"欲望"を満たすレベルの相手にはなるかも知れない。
既にシンの元には上級修羅が幾人も送り込まれていたが、シンの前には為す術なく崩れ去っただけだった。
砂地に潜む修羅…名はソウ。暗殺術の達者だったがシンとはお互い姿を見せ合うことなく、
積まれた岩石の重さと窒息でこの世を去った。
さらに砂地を進むシン…
砂が盛り上がり不気味な化け物が姿を現す。「ガニ〜!」と巨大なカニのように武装している男が現れた。。
シンは間を与えなかった。
右手を左腰に置き瞬時に間合いを詰める!サムライが刀を抜くかのように下から右上に斬り上げた!
カニのような男…名はシエ。交牙断随という武術の使い手。だが名乗ることもなく一瞬で"開"かれた。
「すまん。カニを食うと痒くなってしまうんでな」
336 :
マロン名無しさん:2007/06/07(木) 02:12:53 ID:xRJoyVMZ
OVAでなにげに銃火器蔵が出てきてましたね・・・。
修羅の国編が終わろうと、インフレのしようはあるんですね。
特にアニメ版や原作初期の印象が強いバウケンなので、銃はやっかいだなぁという感じがします。
戦車とか人間砲弾なんかは撃破してましたけどww
クズはいらないよ。
338 :
マロン名無しさん:2007/06/07(木) 08:32:23 ID:8qOZb2Hc
ふと思い浮かんだので、妄天外伝を一つ。三次創作って2chの醍醐味ですね。
【好】
物に反応して痒くなる、という現象は意外に懐かしいものだ。身体の連続性を肌で感じる、それに他ならない。
自分が修練所に居た頃を思い出す。もちろん、この新興の異国に存在するであろうヘンなスパルタ式殺伐スポーツ受験戦争みたいな修練所ではない。
科挙や官僚制を敷く事を、文武が未分離な武力だけで行う三馬鹿。拳や気が肝要だが、将としての頭を使えば汗さえ掻かずにこの国を陥とせるような気がした。
脳筋肉とか脳闘気だったらそうでもなさそうだけど。先ほどの非仮面の、素顔修羅。蟹を思い出した。思春期も終わろうという時期。
そして、ビキニ姿の修行者・ヒーナの存在を思い出す。クーラーのある書斎の隅を遊びや勉強の場にしていたヒーナが、中等学校に上がる代わりに、
こんな超古流の修練所に来たのだ。初夏〜初秋まで、ヒーナは普段着をビキニ姿で過ごす。シンはTシャツに汗を保って高いところに行くという方法をとるし、
他の弟子たちも似たような対策をする。階段登りと高空のびゅんびゅんと豊富な風。この組み合わせは格別。しかしヒーナは、日陰で体育座りをする等して、
半裸状態である事による涼しさだけで生きていた。あの年までは。
339 :
マロン名無しさん:2007/06/07(木) 08:35:16 ID:8qOZb2Hc
弟子たちとて修業をし尚且つ遊ぶ元気がつく頃には、完全に色気づく。しかし不邪淫とかいう戒律とリュウケン師の実力もだが、依然、修業の過酷さがそういった余力は奪う。
そんな中で、ヒーナはゴクボウという修行者と切磋琢磨していた。どうやらリュウケン等の超自我で白い代謝に関するものを抑圧される中での、
ヒーナの存在(特に夏まっただなかと、数日は春頃)がうざかったようだ。ゴクボウの強襲を互角にいなすヒーナ。もはや「ヒーナちゃん、土下座は?」などの
不穏な要求は、(あ、今日は不意討ちじゃないんだな)という程度の宣誓にしかならないほど、「野組手」は日常的なものになっていた。
他人事ながら、この国の修羅もあああるべきだ、とか思ってしまう。自分に由るという自由の状態が、最も実戦に近いのだから。
あれはまぎれもなく実戦だった。
340 :
マロン名無しさん:2007/06/07(木) 08:37:08 ID:8qOZb2Hc
夏のある日、ヒーナはガサガサと低木の中を歩いていた。日よけというより、木と土の匂いが気に入ったのだ。特に甘い香りもしないしフルーツ等とも無縁な低木だった。
その低木のランダムに生えている中を通り抜けてから、ヒーナは困ったような顔をして小川の方へ小走りに去った。
心配してついていくと、濡れ手拭いも放り散らかして、ヘンな生き物と化していた。
肌はほぼ全面が、蟲や葉の作用で腫れ上がっている。それらすべてが非常に痒いのだ。地獄の水玉模様。近寄りがたい。もしうつったらいやだから。
そこへ来るゴクボウ。しかしゴクボウは、ヒーナを一瞥すると「今日は早めに休んでろ」と声を掛けて、小川のとこに座ると手で生水を飲み始めた。
人心地つくと、地面を転がって苦悶から逃れる快に身を任せているヒーナの背中を、蹴りやがった。ゴクボウの猛禽類のような身体能力でヒーナが
透明なゲロを垂らして動きを止めるまで、脇腹でもどこでもストンピングでタキュッ&ボフボフにした。ヒーナも、透明ゲロを垂らしつつも体を折り曲げない。
しかしそれは、彼女の胸をゴクボウの大きな足が地面に固定しているからに過ぎなかった。そして、髪の毛を掴む。
341 :
マロン名無しさん:2007/06/07(木) 08:40:12 ID:8qOZb2Hc
「つ」の字型になって、転倒しそうになりながらもゴクボウの牽引に身を任せるヒーナ。たぶん、転倒してもヒーナの頭皮は蔑ろにされる。
その雰囲気が、ゴクボウとヒーナのペアについて行くことを禁じていた。それは、他に見ていた修行者を含む数人の人間に対しても同じ事。
こんなことが起きても、ヒーナもゴクボウも、何一つ変わらない日常を過ごしていた。ゴクボウは1日も修業を休まず、ヒーナも次の日から修業を再開。
痒さの克服(だとしたら克服というか超越)まで、あの水玉が無くなるまでの日数を要したのか、それともその日に秘孔術の使い手が療治していたのかはわからない。
ヒーナは街の夏物の正装を普段着にするようになった。肌面積に比例して、過酷さが伝わる。どこかでまとめて掻いているのか、そうでないのか不明だが
水玉は不揃いで鈍い紅さを帯びていて、うわぁという思いがした。セーラー服型の子供服じゃなく、どこかの制服らしき物を纏う同年代の女、
見ると同世代ということで意外なほど新鮮な感じがした。それから、シンは寸暇を惜しむようになった。それは修行中の観察眼等も含む。ゴクボウを凹す。
できれば人格も破壊する。それに対する執念が芽生える。
342 :
マロン名無しさん:2007/06/07(木) 08:45:15 ID:8qOZb2Hc
修練所での活動において、ゴクボウへの12割の勝利が確信できた秋口の或る日、シンはリュウケンを訪ねた。
そのときのリュウケンの答えに、今のこの異国に巣食う病巣の根源に在る、拳法の源流とか以上に根深い何かを、今更ながら見い出す。
結果から言うと、あれからゴクボウを凹すことは無かった。なにせ、ヒーナを取り巻くアホどもをタコるための戦友になるのだから。
だいたい、そいつら(牝も居るけど)とヒーナはそういう仲ではないのか。怪しい。雑魚どもが人様を省くのは十生早い。
自分が三度の飯や思春期の交尾より、南斗の闘気が好きな生物らしい事を改めて自覚する。どこで壊れたのかこの生き物。
でもヒーナは好きだよ。
伝習の最終段階になるまでに、シン・ゴクボウ・ヒーナを含む6名までに、篩い落しが済んだ。凹タコツアーは、ダメージというより、
実力差を痛感させるという効果を持った。あれから伝承者になるまでに、「ホク(北斗神拳)だったら、ここまで来たら手と頭つぶされるな」と
誰が言ったか、しかし深刻さも伴わず、他の5人が脱落した。不帰の谷を抜けて、ヒーナは今頃どうしてるかな、という思いも薄らぎ、修羅の国を往く。
343 :
マロン名無しさん:2007/06/07(木) 08:47:09 ID:8qOZb2Hc
☆【好】について☆
※修練所は北斗とかと一元化されているものの、グループ分けはされていると妄想するwので、ヒーナ関連の事とセリカは無関係で考えてます。
そしてヒーナがシンの従姉なのはリュウケンが仏像前の某スポットまで持って行く秘密。リュウケン強襲の動機の一つにするも吉。
関連付けなどされます場合は壱さんのお好みでどうぞ。
あと、基本的にバウケンの作品は全住人に開放しております。皆さんも是非どうぞ。
>>333 固定にして、トリップを紛失するとややこしいからです。
あと、2chに入り浸るキッカケになるようなものを設定するのは、避けてます。
自分に限って言えば、名前を持つとそこに入り浸ってしまうので。
344 :
マロン名無しさん:2007/06/07(木) 08:50:33 ID:8qOZb2Hc
346 :
マロン名無しさん:2007/06/07(木) 13:23:33 ID:mKWh137k
サモト「水道トラブル5千円♪」
ヌメリ「
>>337のトラブル
【中略】
修羅一同「暮らーし安心くらっしあん♪」
347 :
マロン名無しさん:2007/06/07(木) 13:25:31 ID:mKWh137k
というかヌメリにしか心当たりがないですしw
それとなんかふいに、短刀二刀流でアインみたいなポジションと力の由来の萌えキャラクターを発想しました。
無銘のknifeを両方逆手持ちで、突きや払いばっかし。下段とか重厚長大な物にはフットワークや上体の体重バランスで対応。
防諜よりは積極的諜報の任務とかを帯びてるか、そうでなきゃ一匹狼ですね。ふいの発想ですが、せっかくなのでこのスレに
公開チラシの裏をしておきますね。
348 :
ついでにひとつ:2007/06/07(木) 13:27:12 ID:mKWh137k
【VS相撲】
シナモン料理、和風クッキング、手芸、ブラスバンド、華道、ロック音楽、園芸、家事手伝い、電子工学研究活動。
相撲は、居合道までに切り上げれば良いと考えていた。武道の部は一番手の圧拳の次、北斗神拳。素手部門の3分の1、
近年、日本国内での二極化(著しい武道・武芸としての整備・活動展開と、インチキ流派の表面化・跋扈)の激しい中国拳法。
その中国拳法の大将格に、詰め込んであるのが北斗神拳。ただそれだけのこと。
某現役幕内力士には、この世の秘儀を知るすべは無かった。
ただ、料理や裁縫なんかが人に道具を向けることだけでも反則減点であったわけだから、暗○拳は公開の場で技を揮うのは無しかもしれない。
シナモン料理〜圧拳まで10名の仇を、北斗は討てるのか。
349 :
壱:2007/06/07(木) 17:10:43 ID:???
前スレよりも今スレのが1レスの書き込みが多いと思うので、
そろそろこのスレも容量オーバーになるかも知れません。
前スレがオーバーになったとき数日くらいは、ほっぽいたんですが、
いざやっぱりスレ立てようと思った時、"この新ホストでは云々"
と出て、スレ立て出来なかったんですよね。数日したらスレ立てできましたが。
携帯のせいでしょうか?それとも単に漫画サロン板に空きがなかったのでしょうか…
なのでバウケンさん、お願いが…。
このスレがパンクしたら、新スレを立てて下さいませんか?
携帯が原因だったらどうしようもないので。
よろしくです。
>>349 もっと快適に書き込める板に移行すべきかも知れませんね。
わいわいなり、したらばなりなら思い通りにカスタマイズ可能でしょうけど。
351 :
マロン名無しさん:2007/06/08(金) 00:10:02 ID:TE8iVw1U
>>349 僕も新スレが立てられないとやばいですね。でも、その場合はこの板のSS総合スレで落ち合いましょう。
このスレが落ちたときに、あのスレで新スレはどこかたずねていたのも僕ですし。
352 :
マロン名無しさん:2007/06/08(金) 00:12:17 ID:TE8iVw1U
なんか面白いな、とふと思いました。
20年以上に亘る、オフィシャルやファンの間による様々な考察等を抜きに考えた場合。
闘気というのは、光線技の一種。波動拳とかみたいな。
このスレに居ると忘れがちだけど、南斗は鋭さ等の術理による技巧、北斗はツボとか経絡とか経穴の手法の延長上(超人クラスだけど)。
サモトの強さは計り知れない。カイゼルの手下2名が双斬拳の2名と同等だとしたら、
郡将でもサウザー級。ラオウと氏兵数隻分が強いだけで、カイオウ等とその他はあまり大差なし。よって、サモトは強大。
でも、展開を見ると作中最強はカイオウ。砂蜘蛛のくだりでのファルコ不調説は、無理があるけど採用。
無名修羅の強さも、ジャスク等を見るに日本の小ボス級はある。
岩石が飛び回ったりカメハメ波状態の技は、秘孔とかの時代とは完全に別の戦い方。元斗は、弱体化した琉拳かもしれない。
南斗は近未来的な厚いドアや岩石を刻めるから、突出してる。修羅が幾度か南斗みたいな手技を使ってるのはご愛嬌。
修羅の大陸には元プロボクサーは棲息することも不可能。修羅の国編が終わるとインフレが一息つく。
ボルゲ編で妙に弱体化してる。拳法家らしさは出てる。物資は、後になるほど切実。サザンクロスは酒が非常に豊富。
353 :
マロン名無しさん:2007/06/08(金) 00:14:43 ID:TE8iVw1U
こういう世界観で何か創るのも、なかなか味わい深そうです。白髪化さえ、何かの形態とかでしかなかったりもする。
それはそれで、レイがハンの居城で躯&飛影状態になってそうですが。もう仮面修羅じゃ相手にならないなとか言いながら。
サモトが剣等でユダと互角以上に戦ったり、仮面無しのモブ修羅2名(連携的にはバラバラ、モヒ級)に
リュウガが苦戦したりとシュールな光景も展開されそうですが。ケンが「ファルコがB級の中で、同格の輩の密入国を黙認してる!?」とか
幽遊白書状態で切羽詰ったやりとりをする導入もありかな、と書いてる内に思いました。妄想は∞w
『郡将さん』
ウーヨウ…羅将ハンの支配域にある四つの郡の一つを治める凄腕の修羅である。
身長は170cm前後で、かなり太っている。だが見掛けなど、もちろん問題ではない。
現在、彼の唯一の楽しみは闘技場での修羅たちの戦いを眺めることだ。
「今日は何回戦いがあるあるか?」と、そばに控える修羅に尋ねる。
「は、本日の"士合い"は三士合いとなっております」
「そうあるか。思ったよりも多くないあるな」と言い残し闘技場に入場する。
観客たちは郡将の姿を認めると歓声で応えた。
ウーヨウは「よっ」と自分の座に着く。
ざわめく場内…ウーヨウは、サッと右手を挙げ合図を送る。
ジャガ〜ン!と仮面の修羅が銅鑼を鳴らす。
「楽しみある」と、ウーヨウは満面の笑みを見せた。
歓声が上がる。両手に短刀を持つたくましい修羅が入場して来た。
反対側の門を見る。「…」 … 「…」
「どうしたある?なぜ修羅が出て来ないある?」
ウーヨウの不機嫌な顔を見た修羅は急いで修羅の門を探りに行った。
「う!これは?」 彼が見た物、控えている筈の修羅たちが皆生き絶えていた。
「どけ!」と凄みのある声がした。奥から姿を見せた長髪の男。修羅の武具を装着していない。見覚えもない。
観客たちが湧いた。修羅が現れたかに思えたからだ。
「ん?修羅じゃないあるか?」 ウーヨウが言った。
観客たちは静まりかえった。彼らも多くの猛者を見て来ている。その男の放つ妖気に違和感を持つ。
やがてざわめき始め、「修羅じゃない…」 「きっと噂の男じゃ」 「東から来た侵入者のか?」
審判修羅の一人が道を塞ぎ、「何者だ!?」とありきたりに問う。
シンは答えた。「この国は強ければ何でもいいのであろう…俺は我道を往く男。我が道を阻む者は蹴散らす」
審判修羅は素早く道を空けた。修羅だけにやけに素早かった。
『郡将ある』
ざわつく場内。謎の侵入者シンに対する好奇と期待。言わば予想外のイベント。
明らかに、この場で一番権力を持つウーヨウに対し、シンは見向きもしなかった。
わざと、というよりも、まるで眼中にない、というのがありありと分かる。ウーヨウは気に入らなかった。
「気に入らないある」 その後の「かっこいいのがますます気に入らないある」という言葉は口にしなかった。
闘技場中央。シンと修羅が向かい合った。シンの鋭い視線を受けても、その男はまるで動じる気配はなかった。
「仕方ない、始めるある!」 再び銅鑼が打ち鳴らされた。
と、修羅は手に持つ短刀をクルクルと回し、さらにそのまま腕を素早く動かす。
男の目には感情が見て取れない。見事な"プロ"だな、とシンも感心した。
だが力が違いすぎる。修羅が先手を取って襲いかかるも、それをシンの連突きが迎え撃つ!
「ぎ!?」 男の動きが急に止まった。痺れるように動けないでいる。
時間差でその修羅の身体に無数の小さい穴が空き、そこからあらゆる体液を流し出した。
「おお!!」と場内は興奮のるつぼ。確かにこの国は強さが全てだった。
二人の審判修羅がそれぞれに持つ電光尺杖を点灯させる。勝負あり。
ウーヨウは焦った。(すごいある…どうするある…しかし、ワタシもここの郡将ある。威厳を保たなければいけないある)
「んみ、見事ある!さ!この聖酒を受けるある」
そして小声でそばの修羅に伝える。「適当な、いや、きれいな女を連れて来るある」
シンはウーヨウの前に進み出た。
「さ、この聖酒を飲むある。これは名誉なことある」
シンは失望の溜息を吐いた。「貴様は郡将か?それで」
「んな、失礼ある!貴様とは何あるか?いかにもワタシはこの地を治める郡将ある」
ギリッ…シンは奥歯を噛み締めた。せっかく海を越えてこの地に足を運んだというのに…
怒りを込めて睨(ネ)めつけた。
「ならば郡将の地位をかけて勝負しろ!」
『失笑』
「ひょんげ〜」
勝負にならなかった。ウーヨウは郡将になってから、ここしばらく修羅として恥ずべき行ないを続けた。怠惰…
身体はたるみ、その心も美味い酒に溺れた。それでもここは修羅の国、寝首をかくのも許される。
ウーヨウは決して雑魚修羅ではない。だが、流石にこのところの不摂生が祟った。加えて相手が悪過ぎた。
吹き飛び石の床に激突する。「ぶ!」
「ひぃ!ちょっと待つある」と喚くウーヨウの胸元に指を"引っ掛け"強引に起こす。
「おい貴様…」 「は、何あるか?」 「この国には貴様程度の男しかいないのか?」
「いいい、いるある!」 「貴様はそこそこ名のある修羅の筈であろう?なんだこの様は?」
と、たるんだ腹をつまむ。その指がめり込んでいく。
「ひょひょほや〜!ちょちょ…待つある。ワタシこの頃、怠けてて身体鍛えてなかったある」
シンはウーヨウの後頭部を掴み、床にぶつけた。「その話し方、どうにかならんのか」
「わ、わかったある。は?すまないある。あ?わざとじゃないある」 …ガンガンと二回、頭を床にぶつけた。
「貴様をはるかに超える戦士はいるんだな?」 「そんなたくさんはいないあるが…は?またやったある…はわ」
流石にシンは馬鹿らしくなり笑ってウーヨウを解放した。
「その言葉を信じ、期待しよう」と涙目に洟を出したウーヨウを尻目に近くの修羅に声をかけた。
「はい…なんでございましょう」
「今からお前がここの郡将だ。良かったな」
シンは闘技場を後にした。入れ違いに先ほどの修羅が女を数名連れて帰ってきたが、女たちと共に戸惑う他なかった。
『黒い郡将』
シンは人気のない岩場を進んだ。目的地は羅将ハンの居城。
あえてこの人気のない岩場を選んで進むのにはわけがある。極めて単純な理由。
人が隠れるのに都合がいいからだ。無論それはシンが隠れるためではない。
つまりは修羅たちが潜んでいる可能性が高いからであった。
シンとまともにやり合える戦士とは未だに遭遇していなかったが、より多くの敵意、殺気に触れたかった。
北斗神拳奥義無想陰殺… あの秘術を自らのものにするためである。そして拳のより高い領域へ、聖域へ…神域へ…
気配があった。やや離れて岩場をシンと平行する気配がある。向こうもシンの気配を察しているのが感じられた。
そして…高く尖った岩の頂にゴツい男が立っていた。
黒い肌…いわゆる黒人である。その防具も今までの男たちのそれよりも幾分か造りが良い。それでいて実戦用。
赤いマントを纏ったその身体は、鍛え上げられた筋肉を凝縮させたようにムチムチしている。
ちぢれた髭の下の口が開く。「先ずは謝ろう。貴様を退屈させたことをな」
「フッ…そんなところにつっ立ってないで降りて来い。その立ちポーズも"前へ倣え"の最前列みたくて笑えん」
「…"前へ倣え"…フッ」
ズン…男は空中で回転してから地に降りた。着地の際も衝撃を散らす様なことはしなかった。筋力を超えた力の使い手。
「俺の名は郡将アルフ」 「郡将には期待を裏切られている」
「フッ…致し方ない。一年ほど前だ。貴様と同じようにこの地に侵入した者がいる。その者も東の海を越えて来た」
「それがなんだ?」
「その者は瞬く間に郡の二つを制圧。ウーヨウなどはその者のせいで空位になった郡将のポストに就いただけだ」
アルフはわざと深刻な顔を作り続けた。
「困ったものよ…この修羅の国も、ある程度まとまって来るとココではなく」とその太い腕をポンと叩き、
「コッチの方でのし上がる者が増えて来ている」と人差し指で頭をトンと触れた。
「このけしからぬ風潮を打破すべくウーヨウの郡は、討ち滅ぼすところであった。この俺がな」
風で赤のマントが靡(ナビ)く。
「侵入者よ、貴様は俺を楽しませてくれるか?」
『アルフ』
「そこそこ使えるようだが…貴様の流派は?」 「南斗聖拳」
「やはりな。なるほど並の修羅では太刀打ちできぬわけよ」
この地は南斗の発祥の地でもある。南斗を知る者がいてもおかしくはない。
もちろん世界中に支部を持っていた道場拳法南斗流のことではなく、殺人術南斗のことだ。
「知っているのか?」と、あえて尋ねてみた。
「知らぬわけはあるまい」 既に戦いは始まっている。二人は間合いを測っている。
「貴様の前にこの地を訪れた侵入者…そやつも南斗の者よ。知っていよう?」
姿を消してこの地に渡っていたか…ユダ。
「その男はどうなった?」 この辺りの地形を正確にインプットする。
「俺と出会わなかったのが、幸運だった。だが羅将ハンに敗れたわ」
「…そうか」 歓喜と戦慄…羅将クラスはユダを凌ぐ。この国に来た甲斐は、やはりあった。
「だがな…生きておる。実力を認められ、今では准将としてハンの元におる。
…フッ、噂では絶妙な舌遣いが認められたからだと言うがな。キレイな顔もしている」
沸点の低いシン…切れた。ユダを揶揄されたことにではない。南斗を侮ったことに対してだ。
赤い閃光の迎撃!頭をスライドさせてシンはアルフの一撃を躱した。シンの頬に傷が付き、切られた髪が宙を舞う。鋭い!
アルフの拳は赤い光に包まれている。「元斗に似ているな」
「元斗を知っているか…いかにも、我が拳は皇拳の流れを組む、元斗法槃拳!」
頬の血を拭う。調気法により止血した。
「元斗皇拳にも流派があるとは…」
「北斗南斗にも分派はある。ならば元斗にもあって当然。むしろ二千年の時の流れ、分派するは必然」
「何?北斗にも分派があると…」 「呆れるわ… やはり"貴様ら"は東の小国で眠りこけておったようだな」
するとアルフは間を外し距離を取った。ダン!と足を踏み鳴らす。
ヒョコヒョコとボロが姿を現すと、アルフに杖を手渡す。
「…」 シンはこのボロの存在に初めて気が付いた。不覚…自分をなじる。アルフに気を向け過ぎたか。
アルフは、その杖を地に突き刺した。杖の頭は砂時計になっている。
「二分だ…貴様の命、この砂が尽きぬ内に果てる」
359 :
マロン名無しさん:2007/06/08(金) 23:30:39 ID:qrmyAH3M
【大陸の深遠】※妄想スレ名物の三次創作シリーズ
丸太サイズの蚕。おぞましい存在にも破られない冷静さは、かつての臣下を想い出させる。あいつの肉体、あれは結局何だったのだろう。
蚕は、密度だけを見るとそんなにひどいことにはなっていない。しかし溜め池等の水や雨水を吸水すれば、きっと手が付けられなくなる。
シンは蚕に対し徹底的に距離を確保し、ズタズタに弱らせた。南斗六聖拳の必殺の一撃を幾度か打ち込んだが、動きが止まらない。
どうやら全部で5体らしいことを確認するに至る。そして訪れる、上方からのタール臭い火矢と色がやばい毒矢を、何かの予定調和を
迎えるかのように、腕と体の捻り、フットワークで軽く払う。この地に住む奴らを労い、そして蚕に関する情報を得ようとする。
「絹まで怪生物化してるぞ」。すかさず、「福建語を知る者集え!」と返す。とりあえず、何か編成することだ。
「こうみえて離島系の修羅なんだ」。あまり慣れていないが魔性の笑顔で、敗残人類をまとめあげる。
360 :
マロン名無しさん:2007/06/08(金) 23:31:58 ID:qrmyAH3M
無仮面の修羅さえもが、異状事態以上に恐れていたこと。シルクも醸造酒も、将に納付できない。羅将は、強大過ぎて滞納を気にかけることは無い。
一部のボロは見放されて困るだろうが、豊かで文化的な生活を送るボロの方が特異といえば特異だ。問題は郡将。
見せしめを兼ねて、この村を壊滅させるであろう。戦が会議場で起きていればどれだけ楽かというオダウァラ評定、あれに似た寄り合いが始まる。
歯ごたえのありそうな獲物の所在地も聞き出し、そろそろいくかと席を立ったシンが、ふと動きを止める。村の衆もつられて鋭い動きでそちらを見遣る。
逃げていた仮面修羅が3名、歩いて戻って来た。途端に将としてか羅刹系としてかの熱さが降って湧き、音も無く彼らの前に立ちふさがる。
「逃げていた上に戻ってきたのか」。「のか」を言い終わるまでに、3名の胴をダイヤのYが如くに加工する。「「「お見事」」」。
村の支配階級が、服従機制を稼働させた。
361 :
マロン名無しさん:2007/06/08(金) 23:33:14 ID:qrmyAH3M
守護役に仮面修羅1名、行旅に耐えないタイプの奴を含む残存ボロの3分の1を村に残して、ネオKINGは出発した。
痩せた牛と旧世界のオフロードタイヤ。オープンな牛車は敢えてボロや修羅に与えて、シンは轍の中を歩く。
遠方の霞の中に、でかそうな蠢き物を幾度か発見する。雨天が、こんなにうざいと忌んだのは初めて。
将としての基本、いや一般常識がハートを黒歴史中の人物にしている。自壊羅糸や「ミスリル・チョッキ」の原料がアレの繭。
シンは幾度と無く、ネオKINGに円陣を組ませた。予備行動で終わらなかったときに、ネオKINGはあっけなく修羅の大陸の闇から闇へ去った。
闇へ去りぬ。魔闘気は、本物の魔界的存在と氏合わないと、身に着かない。
362 :
マロン名無しさん:2007/06/08(金) 23:35:53 ID:qrmyAH3M
【類似物】
外見と衛生状態。こんな時代に在っては奇跡。タムラの受領している村の上空を、虎縞の半裸が飛来する。のんきに飛んでいるのだ。
「タ村12.9トン、総員110名、異常なし」。巡視の一行が、それを復唱してタ村を後にする。
「ジンさんの次はラム・・・・・・。でもあんなの居たっけ、今まで・・・・・・」。そんなミスミを5秒だけインビジブル・ヒューマンに変えて、
今日も農作業と手工業が始まる。五車雷光拳ヒューナ。あのヒューイの姉で、将器もあるこの国のNo.2を連れて時局を大波乱に陥れる、
はずの人間。何らかの先入観からスルーする人々の日常の空域で、今日も窒素と闘気の永久循環で生き、村の中空を飛行する。
「避雷針レースーーー」「いやまて!チェペルと移動玉座と廟正面の旗に落雷しているぞ!なんかおかしい!」「この皮膚は電気分解!?」
「・・・・・・・・」やがて北朝の根城となる街で、占術士が覘く未来。週明けに診る習慣がついたが、やがて朧げになってゆく。なぜ、朧げになるのか?
『格』
「二分…」 シンのプライドに障る。たちまち南斗の裂気と殺気がシンを満たす。
「面白い!ならば二分以内で殺してやろう!」
シンが出た。殺気を集中させ、気の刃に変える。「ぞあ!」 虚実はないが速い。
アルフはシンの詰めと同時に引いていた。間合いは外したが、シンの突きの速さに驚く。
「速いな…」 「驚くのは速い」と指で摘んでいた何かをパラパラと捨てる。
「む!」とアルフは自分の髭を確かめた。「は!?」 左側の髭が切り取られていた。
「やるんだったら本気で来い、アイパー野郎」 「な!?貴様なぶるか!憤詛熄!!」
アルフは赤いマントを外して左腕に添える。
「誘闘赤円舞!」 バババ… 赤い光を伴った無数の突き!躱すシンに小さい傷を幾多も刻み付けていく。
元斗皇拳の連射速度はソリア、ファルコの二人を見てもさほどではなかったが、このアルフの場合は事情が違うようだ。
だがシンとて"千の手を持つ男" 無数の拳の実体を掴めないなら、虚実全てを受ければいい。
「!」 シンの左拳がアルフの右腕を払うことに成功した。
ギラ!と殺気立つシン。右の突き!
しかしアルフにとって、この一連の動きは想定内。左腕に乗せたマントでシンの突進を避ける。
マタドールのような華麗な捌き。シンの突きがマントを引き裂く!
「ハハハハハ!かかったな。これぞ誘闘赤円舞の狙い!この毒牙を含むマントを突いてはな」 「…」
狭い岩場…本来アルフはシンを中心に回りたい。それだけで毒に侵されたシンの神経はアルフの実体を見抜けなくなる。
アルフは状況ゆえ、左右に素早く動き、"分身"を作る。
「フフフ…時の砂も尽きる… 終わりだ!」
ガコ!…シンの珍しい正拳突きがアルフの顔面を撃っていた。
「ブブ〜ッ」 鼻が潰れている。「ブフ…馬鹿な…」
シンは苛立ちながら答えた。
「おい貴様!遊ぶな。本当に南斗聖拳を知ってるのか。毒牙?そんなものが南斗の拳(コブシ)に刺さるか!」
「んな…」とアルフは慌てて距離を置く。
「何が二分だ。舐めてる場合じゃあるまい。…さっ、やり直しだ」
『脳』
ボキ…ゴキ…アルフは折れた鼻の骨を整えた。
「確かに侮っていたな。見事だ。二分を超えての戦いになるとはな」
「感謝するがいい。俺が本気なら、確かに貴様の言う通り、二分で終わってる」
「フン…ついて来い。ここは狭くて戦いにくい」
ビシャ! シンの裂波がアルフの胴体をヒットする。その防具が断ち切られ地面に落ちた。
「勝手なことをほざくな。まだ分からないか?生殺与奪の権は我が手中にある」 「貴様〜」
仕切り直し。アルフは左腕に赤マントを乗せたままで構えた。
シンの両腕はダランと垂らしたまま。サウザーの真似ではないが、攻撃に特化している状態。
アルフはほくそ笑んだ。隠し持った瓶。その中の液体を密かにマントに染み込ます。
「行くぞ!シン!」と再び赤い光を帯びた突きの連射。長い間合い。
だが、一度見ている拳。シンはその全てを見切り、一歩踏み出し自分の間合いに入る!
流石にアルフ。シンが間合いに入ると同時に横に避け、そしてマントを大きく且つ強くはためかせる。
毒液がミストになり宙に舞う。シンは吸い込んだ。それをしっかり確認したアルフ。
シン「うん?…うう」
「ハハハ〜、今度こそ貴様は我が術中に陥った!」
シンの視界のみならず、あらゆる感覚器がズレを生じていた。だがシンの強気は変わらない。
「だからどうした?毒に頼るとは元斗も墜ちに墜ちたな?皇拳の男たちは、敗れはしたが、潔い誇り高き拳士だったぞ」
ブ〜ン アルフの拳を強く赤い闘気が包み込む。「潔いだけでは、この国で生きては行けぬ」
「やめておけ。下衆な貴様に俺は討てん」
「言っていろ!その様でどうする気だ。滅殺!」とシンに襲いかかる。
シンの感覚は確かに狂っていた。だからあえて自分の五感に頼らなかった。目を閉じ、既に脳に刷り込んだ地形を思い浮かべる。
アルフの突入角度を瞬時に絞り込む。確定!無数の突きを闇雲に撃ち出す!幾らかの傷を負うが、ズビッ!手応えあり。
…毒の効果は短かった。シンの前にアルフが倒れている。
「だから言ったろう。下衆には俺は討てんとな。南斗千手龍撃」
初心者の方へ
【砂時計のアルフ】
・155戦全勝の修羅になり損ねた男を突き一撃で倒す
・その突きは防御する気が無ければ、155戦の男の首を貫通し、大穴が開く
・「愛羅承魂(あらしょうこん)」という北斗の拳の真髄でもある台詞を言う
・様々な強き男達を見ていたリンにすら「こ・・・この国の男たちは違う!!」とまで言わせた
・群将カイゼルとの会話のやり取り中にとくに媚びる様子無し
・滝の裏から逃げた仮面修羅の位置を見抜き、南斗らしき技にて首〜頭をスライス
・仁王立からあふれでる闘気バリアにより滝の流れを跳ね返す
・北斗神拳という流派は知らないふりをする(本当は知っている)
・シャチはボロに成りすまし首を狙っていたが、その実力差に気づきアルフの舎弟となった。
・「憤詛熄 !!(ふんそそく)」という戦士の誇りからでる台詞を言う
・誘闘赤円舞という無数の突き技を出す
・ケンシロウは首を傾けて一発目をかわした後無数の突きに対して2体に別れ避ける動作をするが避けられず両腕で防御をしたが顔から流血
・ケンシロウはパンチで反撃にでるも5発全てマントを使って避けられる
・マントに仕込んだ毒牙により、敵が分身して見えるケンシロウに無数の突きを放つ(幻覚で無数に見えてる可能性大)
・ケンシロウは回転百列拳の様な技で数え切れないほどの突き(この間に秘孔を付いている)を360度に放ち上半身をボコボコに殴る
・ラオウとケンシロウを勘違いしたのか、なぜか不意にケンシロウの名を聞く
・「とぼあ」が爆死中の最後の言葉となった(毒牙マントによるケンシロウの幻覚説あり)
以上の理由、特に目の肥えたリンをビビらせる程の実力者アルフ
これだけでも十分に猛者の仲間入りなのだが、実はフドウが変装してケンシロウ
の成長を確かめに来たと言う説が根強く残っている為、この説をとるとなると
一気に2部最強の男に躍り出る事になる。当然、ファルコや砂蜘蛛、羅将達より上である。
基本的にアルフは描写から推測すればする程、底なしのポテンシャルが浮き彫りになるため
2部最強の男といって全く問題ないだろう
アルフドウ厨がここにまで・・・・
>>359 名物とか自分で言ってんなよ。他所で勝手にやってろ。バカ。
本当に支持者がいるんなら、そいつらがついて来てくれるだろ。
368 :
マロン名無しさん:2007/06/09(土) 13:19:19 ID:T61iKxBf
武論尊原作の『ジャパン』とのコラボなんかどうでしょう。西域を越えたところに分布するネオヨーロピアンが交戦中とかいう情報が
入ってきて、ジャパンと元日本国の区別の問題で混乱しそうです。サヴァの更に北方に注目が集まったり色々面白そうですね。
それはそうと、修羅の国に捕獲中の南斗牝が居たら萌えますよね。弊衣で鎖拘束。肩が痛いと泣く牝を、郡将が胸倉掴んで恫喝。
または布クズ着たきりの胸を掴んで、更にそれだけで彼女の体重を持ち上げようとする生ごみ。もしくは、彼専用の運動場に引きずり出すも、
鎖を解除せずに組手開始。ずじゃあっ、と地面を転がる牝。もしくは鎖と傷んでるけど基本的に白魚のような手、そのすぐ下のケツのあたりが
腰上から前方にかけて汚れてる。特に描写もないけど、その部分の汚れと手の固定位置だけで垂れ流しが判明。
少ない雑穀が盛られた小汚い容器とか、かゆそうに身をよじるとか、腹が痛そう(慢性的な空腹で腸壁が軋む)にうつむくとかの描写も重要。
「ねこちゃん・・・わたしおなかいたいから、これあげる」ぷい「あ、飼料は俺がやってるから。気にしないで」。修羅の出現と猫の無事が両立、しかし餌のクオリティについて。
格子の外の鳩(食用も居る)などにも同じ事がいえるし、飯が硬くて食べられないから粥にしてとか、蟲を駆除したいから手が使えるようにしてとか泣くのも萌え。
壱さんの世界観だと闘気がキーなので、鎖&メーカー不詳のごつい南京錠は抑止力にならなそうです。その場合は、郡将の居室で高手小手や蹲踞の姿勢で待機を強要ですね。
もしシンか誰かが救出するなら、見張りの修羅2匹が何者かに頃されていて、牝はその責任を理不尽にもとらされてノコによる両腕切断の刑が確定。
諦観にどんよりしているところか、闘技場に連行された時点で救出者降臨。実力主義のハンが救えぬとか言って郡将を吹き飛ばすのも有り。
369 :
マロン名無しさん:2007/06/09(土) 13:24:07 ID:T61iKxBf
もしくは、シンや誰かが悪女とスマイルで岩陰に入っていくのも良いですね。しばらくすると牡だけ出てくるのですが。
岩陰については、臭さと妖気で、地元の者がびびるという描写で留めておきます。労災や食品加工のリアル世界知識を使うのも一興だけど、
面白さにかまけてグロ注意を怠るのは×。悪牝のおおまかな運命までをさとり岩をふきとばしたハンが、すべてを知って憤るという描写も面白そうです。
術を仕掛けるも効果が無くて去ろうとする笑顔のクラッカー女。半裸男性の神輿に乗ろうとしたとき、牡が「おい待て」。
「それ(古そうなオフロード靴)、美味しいの?」(舐めろ)とかじわじわ追い込んだり、「DV」と指令を出して神輿の動力にブキュボキュコキュダフバンッブチッと凹らせる。
夫や恋人じゃなかったため、「蹴りメイン」「組み系」「骨狙い」などと命令を更新(神輿にインターバルを与えるため)。頤と握力の関係についても有り得る。手のグローブ(原形系)化も。
しまいに「受身の稽古」との指令で牝に自傷を強いる。筆記用の木片を取り出して、「食べろ」。いろいろしても、ラストには氏周辺の目に遭わせる。合掌バック転を拒んだら項に穿孔。
370 :
マロン名無しさん:2007/06/09(土) 13:26:42 ID:T61iKxBf
命令伝達のプロセスで、闘気を少し焚いたり、牝の耳や指が減ったり曲がったりもし得る。それで汚水が跳ねて着衣が汚れたら、いよいよ削っていく。
どうなるかわかってて、泥か腐敗物をおなかがヴォッコリするほど大量に食わせてから神輿を解散させ、指や髪に括るヒモで街道牽引を楽しむ。気の異変を感じて背後を目視確認すると、牝の生気が無い。
生気については、文章での表現は難しいですね。原哲夫は偉大です。神輿ジャックは、いやすぎるから×。ウイグルとか、アンコちゃんを飼ってても不自然じゃない生物ならともかくw
動かなくなったヤツの服の裏地が、牡と一緒に末永く楽しく暮らす夢や計画の絵図や文言だったら、昔から知ってたヤツらしかったら、英文でLoveとかサザンクロス犠牲者みたいな文化程度な一面もあるヤツだったら、
全泣きしかできない。で、魔闘気が湧き出る(こればっかし
魔界に入るのとか、とにかく修羅の大陸が悪いという風にすると吉。神輿の動力を農作業などに使う事には咎めたりしない牡の香ばしい性向・性格も醍醐味多し。
魔闘気の幻影が濃くて輪郭が揺れない、髪もそんなに長くない女性型だったらシュール。無仮面修羅とかが、見て叫びそう。
丸太サイズの蚕は、あれでもコメディ類ではなかったのですが・・・。
371 :
マロン名無しさん:2007/06/09(土) 15:03:42 ID:hFhI9PD8
SE全然連しねぇ、赤七虹で単発って、、、
『甘さ』
腹部から血を流しアルフは仰向けに倒れている。だが、まだ息がある。
戦いは終わった。殺し合いはしたが、果たし合いではない。
微妙なニュアンスの違いだが、ケリが着いた以上、あえて殺す気はシンになかった。
「ど…どうした?止どめを…」と苦しそうな声を発したアルフ。
「勝負はついた。殺す必要はない」とシンは背を向けてアルフに返す。
「甘い…それではこの修羅の国で…勝ち抜いては…」 「俺は殺人者だが、武人でもある」
「武人…武人か…俺は勝利に執着…するあまり…確かに、俺は下衆よ」と隠し持っていたナイフを投げ捨てた。
「フフ…貴様が止どめに来る…フウ…時を狙っていたが…どこまでも…墜ちて…」 「…」
アルフは安らかに笑った。険しい表情は消えていた。
「シンと言ったな…頼む…殺せ。そして俺の血を…貴様の肌に塗れ…我が魂…真の強者と共に…それが愛羅承魂」
「荒商魂?そんなのは俺の関するところでない」とシンは歩き始めた。
「愚かな…こ、ここは修羅の国、武人の国ではないぞ…」 身体を起こしかけたが、激痛がそれを妨げた。
「待て…甘過ぎる…それでは…つまらぬ死を…迎えるぞ」
シンはアルフを見返して、「この世には、甘くていいものもある。勝利の美酒と、女の笑顔だ」
「甘〜い!」とアルフは自分でも信じられないほど、声を高く上げた。
シンの姿が見えなくなった。それでもアルフは話し続けた。聞いている筈はない。つまりは自分に言っていた。
「このアルフ…借りたものは…返すぞ…シンよ…必ず…」
たった一人…ボロも姿を消していた。今、修羅たちに襲われれば終わりだ。
アルフは初めて神だか何だかは分からないが、何かに祈った。
自分の命が惜しいからではない。ただシンに借りを返したかった。
岩場を涼しげな風が通り過ぎた。
スピードワゴンかよ
>>372 滅茶苦茶パワーアップしてラストバトルに乱入してきて
ラスボスを横からヌッ殺してシンに挑んできそうだな。
>>374 あんま先読みして書くと1さんやりにくくなるだろ
『再会』
ボロがついて来ている。殺気の類は感じない。
膝下のないボロ…ヒョコヒョコヒョコヒョコと忙しくシンについて来る。ついにシンはボロに、
「何の用だ?俺はお前を守るつもりはない」
「そんなつもりはこっちにもないよ」 「じゃあ何のつもりだ…」 「向かう方向が同じなだけさ」
表情が読めないだけに真意は読み取れないが、ヒョコヒョコと忙(セワ)しなくついて来ているのは事実だ。
「…わからないかな〜」 急に声が変わった。女の声…そして聞き覚えがある。
バッ!とボロ布が舞い上がる。シンに被せるように投げ付けられた。シンはボロ布を破らずに忌々しそうにキャッチする。
黒いぴったりとしたボディスーツを着込んだ女。「そのボロ布…臭いんだよね。でも匂いで女って見抜く奴いるから…」
「お前…」 「遅いよ!シン兄(ニイ)」 「セリカ!」
…南斗聖拳百八派にあって、一子相伝は鳳凰拳のみ。だが、大概は正統代表者が他の使い手を廃するのが定例である。
もっとも、六聖拳や上位の流派は、伝承者が出ない代さえある。複数の皆伝者が出ることは稀であった。
このセリカ…女ながらに南斗孤鷲拳の適性を持っていた。南斗の長い歴史の中でも、実に稀有な例だ。
実の妹ではないが、このセリカという女…才能と性質ゆえのシンの孤独を知る、唯一の理解者と言えた。
シンも、彼女にだけは専用の"顔"を持っている。
「遅いって、消えたと思ったら、こんなとこにいたのか…生きてたか」 シンの厳しい顔が和らぐ。
ワイルドな性格のセリカである。嬉しさのあまり抱き付きたいのを抑えていた。
兄妹とは言え、血のつながりはない。セリカがシンに抱く思いは兄妹の関係を超えている。
だが…シンがいつも見つめていたのは…ユリアだった。あの人にはかなわない、どんなに足掻いても、絶対にかなわない。
彼女がワイルドな性格になったのも、殺人術の"価値観刷り込み"に依るところのみではない。
諦めようとした。何度も…だが、彼を超える男など知らなかった。
荒鷲だの、狂気だの言われても彼女はシンの本当の姿を知っている。シンが彼女だけに見せる優しい笑顔…
彼女はシンに黙って里から去ったのだった。
377 :
壱:2007/06/10(日) 01:26:33 ID:???
378 :
マロン名無しさん:2007/06/10(日) 13:59:59 ID:eywFyVqQ
>>374-375 妄想は縦横に自由に。パラレルや三次創作をなさいませ。
>>376 ついにセリカですね。うきうきしています。
不遇の牝たちの分まで色んなことをしてほしいです。
なんか今、エドリバーが白ゴリラの着ぐるみを着て修羅の大陸に来てたら面白いな、と思いました。
「世にも奇妙な物語」です。
あと、【世界の果てで】を投下しときます。久々の力作で、皆さんからご感想を聞けたら嬉しいです。
氏ねコール以外だったら批評も大OK。
379 :
マロン名無しさん:2007/06/10(日) 14:05:58 ID:eywFyVqQ
【世界の果てで】
ブランカより100km余り北方に、微妙に光る空色の壁が存在するのは意外に知られていない。
空色というのは、日照などによって色が変わるからだ。それでも完全に空と同じ姿はしていない。
岩などで阻んであるわけではない。壁面ではないのは、進入は可能であるし、縄も潰れなければ薄命牝も氏なない。
但し、内部には上下左右が無い。まともな空気で満ちてもいない。この極北には小屋が一軒存在する。
亜鉛メッキ鋼板と思しき謎の蓋を中央に擁する、風除け程度の小屋。窓は四方と天井に一つ、内側のセロハンは
旧世界の産物で、防弾の効果をも持つ。雨戸とカーテンに覆われていて、滅多に開かない。しかし空気の流れを完全に
阻む事はできないので、空気はほっといてもそんなに澱まないし、外の音はそのまま小屋を満たす。
暖炉は無いが、それなりの使い手なら濃厚なまでの闘気の存在を確信する事ができる。常人でも、中には違和感を覚える者も居そうだ。
バットは常人かどうか怪しいけど。ケンはそう思った。
380 :
マロン名無しさん:2007/06/10(日) 14:08:06 ID:eywFyVqQ
窒素が黒いとすれば、それはダークマターを何種類も混成させているから濃さだけが溜まって黒いのだ。
不食という技や、それに近い土食は部外者の中にも少なからず存在する。旧世界のテレビ番組をジャギの携帯テレビで覗き見て、知った。
部外者というのは、神拳や錬丹等の業界から比べてのことだ。世のトップが全国の権力者の中から選出されたり、
70年代はCIAの方が政府より権力ありましたとかいう知識が広まったりするずっと昔の世で、神拳等はある意味で人類のトップに居た。
それが雑民たちに知られて居なくて闇とか秘伝とか言われるのは、自然なことなのだ。前近代社会の上層部のノリで生きている。
差し詰め、紫光のエリは僧侶とか巫女とかの類なのかな、となにげなしに思う。窒素と闘気の永久循環で生きているのだ。
薄切りの牛肉(干し肉)にまつわる子供の頃から今朝に至る思い出とか、エリには無いのかな、とバットが気を散らしている。
紫光というのは、雑民にはなかなか信仰の色だという認識が沸かない。知識は普及しているはずなのに。
欲求不満だとか不吉だとか、志摩某とかいうティムポ男だとか、そういったものを先に連想するのだ。
381 :
マロン名無しさん:2007/06/10(日) 14:10:03 ID:eywFyVqQ
小屋の3名とキャラバンの面々が無駄な時間を過ごしているのは、エリの文言の信じられなさだ。
俯いていないのになんか伏し目がちな目元。そのホクロは、実は黒鉛である。少し以前、あまりにソリアを拒むので鉛筆でやられかけたのだ。
あいつが障がいを持って久しくなかったから、エリの左目は0.01や0.02にもならず、こうしているわけだが。
蓋の下は機械の集積地・何らかの動力による起動場所になっていて、そこから「外の世界」「別の世界」に行ける。
謎の大壁面は世界の果て。
おもむろに、ケンが席を立つ。着座から起立までの間に、悟入してそうな拳法家の妄想から蓋探険の価値だけはある、とまで結論を導いた。
だが、その頭脳は言い難いことをサトラに伝える。「また昔日にように、氏んでもいい国民を訓練してくれないか」。
サトラは図星と健全な引け目から周囲を軽く見渡したが、どうやら全員の胸中は自分と同じだった。小屋の外まで拍手の天然サウンドが鳴り渡る。
382 :
マロン名無しさん:2007/06/10(日) 14:12:07 ID:eywFyVqQ
アホどもは知らなかった。蓋の最奥部で気づくことになるのだが、このような蓋は世界に8箇所、分散している。ここは北東の拠点に過ぎないのだ。
キャラバンが小屋を折り返す前に、それは起きた。壁がヘンな色彩の突出を伴って、世界を侵蝕する。
察しの良い隊員(元ロシア人医師)は、コンピューターウィルスの類だとびびる。もう牝乞食の妄言という仮説を肯定しているのだ。
その自覚をする暇やそれ以降は有る。エリが侵蝕を圧し戻しているのだ。疲れが押してきたエリはずざざざと下がりながら「実験どうぞ」。
入れ替わりに前へ出たケンの北斗剛掌波は、侵蝕を薙ぎ払い、壁は元の様相を呈するだけの存在に戻った。
感心するエリ。そしてキャラバンの皆が大して驚いていない事に、さすが寒冷地でも紺の革ジャン姿なだけの事はある、そして名実共に
救世主になっているのだ、と思う。エリも最初は仲間が居て、その頃にボウガン、ロングボウ(弓道)、化学兵器(松明、硫酸、熱湯、タール、雪ダルマの胴)、
ランス(騎馬による)、パイク、薙刀、グレートソード、犬笛が試された。全部だめだった。
これからブランカの通称・最後の街に戻るケン達が蓋を肯定してくれるのは、エリにとっても誰にとっても前向きな事だった。
383 :
マロン名無しさん:2007/06/10(日) 14:14:42 ID:eywFyVqQ
※いかがでしたでしょうか。設定では、コンピューターウィルスの類ではありませんが中の人にはわかりません。
多層世界ネタです。同時に探険ネタにもなります。元ネタは10年前に大流行していたあの某アニメ作品のイロウル編wですが、
どうにか原形は残りましたね。中学に上がって初めての新作ソフトがあのクロノ・トリガーで、折を見てこういうネタに
興味を持つようになっています。あと、ファイヤーエムブレムで辺境のモンスターや住人と戦うのに魔法がむちゃくちゃ有効な点も
少し考えると面白いです。人類が領域を拡張して人間同士の戦争になると、そういったものが兵科の一種になっていて香ばしいです。
蓋スレも参考にしつつw、【世界の果てで】の続きも、皆さんで楽しくご創作ください。
384 :
マロン名無しさん:2007/06/10(日) 14:16:06 ID:eywFyVqQ
タ村、人質居留村、オウガイルームにスペード隊+ジャッカル隊のような集団が来襲、そして原作序盤のケンと同じく野獣狩りを開始。
村なんかは壊滅の悲しさがひとしお。そういう余地の有るのがこのスレですね。皆、ふるってつくろうね。
インフレ等という点では、銃火器や手製のNBCで固めたシェルター民の出現もよさげですよ。早撃ち短銃米国人を「うあッ危ない」とか
必氏な顔で超高速でジグザグに近寄りながら(斬撃属性で)殴り斃したり蹴り伏せたり口をあけた必氏顔で何か投擲して斃す堅実な六聖とか味わい深そうです。
モヒについても予防接種を受けてない世代は、いけない持込菌には弱そうですね。
なんか、俯く手中牝に「虐待と客体って似てない?」って肩ポンする屈強ボスキャラ居たらほのぼのしてるな、とかふいに思いました。
前出のヒューナについてですが、金(キン)を使って来ると煌びやかでしょうね。凄い帯電したり高熱を帯びたりする砂金の塊とアーチェリーモヒを
率いながら迎撃するサウザーの超ジャベリン、うきうきしませんかROM層の皆。ヒューナの視力についての弱点を看破する試みとか、ビル級の高さを
飛翔する奥義と剣や投擲物のコラボとか、拡声器による挑発やキランキラン光まくる監視や狙撃憂慮の慢性化という心理戦も面白そうです。
385 :
マロン名無しさん:2007/06/10(日) 14:18:56 ID:eywFyVqQ
【荒商魂】・・・サザンクロス近くのオアシスの市場で暗躍していた闇商人の矜持。「センゴブタ」という豚種の干し肉と偽り、雑穀を詐取し尚且つ
損壊板井を掴ませていた鬼畜の矜持であり、それを知る者は忌み嫌っている。その矜持は、1VS1で正面から挑み、斃した相手を解体した物以外は
商わないという事。商品製造の過程で出たゴミの一部を凝固させて着衣の下のボディメイクに使用する。市場に出向く際は必ずそのメイクを見えないところに
施す事。解体の最初の一刀は、必ず旧世界日本製の特定メーカーの狩猟用knifeにて為す事。干す工程は天日を重視し、ブロック肉は塩引きにして一面に銘を彫り込む事。
最悪なのは、鍋を用いてモツ部位の煮凝りを造る事だ。煮凝りだけは改めさせて、ブレス加工食品かペースト食品にさせた。皮下脂肪付きの皮を香辛料で美味しくするという
拘りも在庫と一緒に捨てさせた。クラブの遺した矜持はユダが伝来させたのかな、と懐かしい気持ちになると共に、醤油で入念に煮た肉を献上されてもその辺のヤツに与えよう、と固く決意する
シンであった。香料豊富な80年代髪の牝、1瓶のカンパリ。甘くて良いもの。これらに尽きる・・・。甘辛いのは一考の必要が常につきまとう。
>>379 何処に誰がいて何をやってるの良く分からないよ。
難しい漢字ももう少し減らしてくださいよ。
読む人が簡単に描写を想像できるように、言葉を絞り込んでくれれば良いんだが。
女キャラを牝とか呼ぶのもキモい
388 :
マロン名無しさん:2007/06/10(日) 18:32:02 ID:iSYh4NOZ
史実の織田信長VS怪僧の話がありましたよね。どこで読んだかは忘れましたが、確か自称天上界人の僧が故郷が日本でも中国や天竺でもない、
というので怪生物の焼却処分が決まりかけてから、出羽出身なのを怪僧が吐きます。カイオウVSゆうこりん、気になります。
倭牝を滅却してから、久々に街に出たカイオウは煉瓦サイズのストロベリー加工品が大量に出回っているのに気づき、「備えよ!!」とか言って
こりん星からの反撃に備える。芋に近い品種の苺を納付するボロ。それを手で発芽種子除去&鬘剥きにして食べてる修羅が苺をボロにあげて駆けつける。
そういう世界観いいですね。闘気で人工の無重力空間を作る琉拳はいじり甲斐ありそうです。人造ルビーの光線銃や射出ネット(苺繊維)が無力化されそうだし。
「石炭の煙は汽車だと思っていたが・・・・・・工場?」とかマスク姿のボロが観察してると、いよいよプロローグです。
苺由来の人工甘味料(ギョウコ専用)やプロテイン(修羅なら超回復は凄まじい、おいしい)で抱き込まれて普通に働いてる&ボロを稼働させているヤツらの
存在とか夢が広がります。ただ、カイオウは戸籍を整備してるか&国土を全部把握してるかも怪しいので、ゆうこりんは氏なないかも知れない。
妄天サウザーも、なんとなくゆうこりんを生かしておきそうな予感。
389 :
マロン名無しさん:2007/06/10(日) 18:34:51 ID:iSYh4NOZ
メイデンさんの作品の参考になりそうですね。クラブの手工業&小売。脱走未遂アベックのみならず、とにかく男女3組程度を調達して禁断の
実験が開始される。サウザーでも、逆エビ吊りで1日人間ヨーヨーになってる赤飯少女に生きろと叫ぶヤツらの、応援の動機について興味を持ちそうです。
煮凝りを製造しまくって鍋に沈香した何か(priceless)の味が効きまくってる麦飯の粥とか、原作初期系のハードさと重圧的な世界観が
醸されそうです。げらげら笑いながら、そういう鍋を使用するモヒ連中も欠かせない。
反面、レモンや赤唐辛子で二毛作に勤しむ庄屋モードのほのぼのとしたクラブも描けたりします。しかもメインは大豆か玉葱。醸造用の樽もたくさん使ってそう。
荒商魂クラブ以外では、人質居留村やタ村の破壊で六聖分裂を謀るヒューナを、圧倒的戦力差を押して迎撃するまさゑとか面白そうだな、と思ってます。
オーラバリアの上に特異体質で電気の逆流・注入が無効化されてびびるまさゑ、音速以上の弾速が出るスティンギーピストル(再生産の品物)に懸けるまさゑ、
色々夢が広がります。欲を言えば満州国で一般的だった小銃が良いのですが、世界観的に無理そうなので。
農業・土木・水利系については武論も大好きなカンボジアのポルポト時代を見るに、人力でもかなりいけそうですが工業力は別物ですからねー。
『兄妹』
夜…
シンとセリカの二人は適当な場所を見つけ、休息をとる。
パチッ…焚き火の灯がセリカの妖艶な美しさを醸し出す。その美しさをシンは意外な思いで見ていた。
セリカが行方を眩(クラ)ましたとき、彼女はまだ二十歳にもなっていなかった。元から綺麗な娘ではあったが…
セリカが沈黙を破った。明るく軽い口調で昔話に華を添える。
だが沈黙に耐えられないのは誰よりセリカ自身である。話していないとシンへの思いで潰されそうだった。
久しぶりに見る"兄"。精悍さが増している。人間としての深みが加わっている。…シンの魅力が彼女を苦しめる。
ある程度話し込んだ時、会話が途切れた。
「……ねえ、シン兄(ニイ)…羅将には勝てないよ…」 「……なぜそう思う」
「あのアルフとの戦いの時アタシ、シン兄が危なかったら助けようと思ってた。結局すごすぎて入るスキもなかったけど」
セリカは思い詰めたような顔で続けた。
「でも…今向かってるハン…北斗劉家拳のハン…あいつの拳は速くてまるで見えない…」
「そんなことか…超上級者の拳は目で追えぬ。そのくらいは知ってるだろ」 らしくもなく優しい口調。
「お前こそ、なんでこんな国に残ってる?鎖国とは言え、お前なら脱出くらいはできるだろう」 理由は推測できる。
「この国はね…」 パチッ… 「修羅じゃない人間は、人間として生きてはいけないんだよ…」
予想通りの理由。彼もかつて弱き者を家畜として扱った過去がある。セリカはあの後のシンの兇行を知らない。
「でもアタシにできるのは…そんな村人たちを虐げる特にタチの悪い修羅を…殺すだけ」
セリカが一瞬、殺気を帯びる。その長い髪がザワッと揺れた。
「でも、いつかはバレる。…だからアタシたちにできるのは、待つだけなんだよ、救いの王を…」 「救いの王…」
「ねえ、シン兄!本当なの?あのラオウが…どう見たって悪人のラオウが、本当は善人でこの国を助けに来るって!」
「!……奴は来ない…」 「え…」
鎖国…侵入者は抹殺。情報も遮断されていた。
「ラオウはとっくに死んでる」
「そう…」
重い沈黙の訪れ…
修羅の襲撃を受ける方がまだましだった。
『インサイド』
「このままハンの城を目指せば、先に郡将カイゼルの城を通ることになるよ」
風が強い。砂を巻き上げ二人の進行を妨げる。
セリカはボロを纏い砂を防ぐ。シンも襲いかかって来た修羅を返り討ち、奪ったゴーグルを着けている。
「迂回しようよ。無駄に戦うことないよ。それにカイゼルと言えば郡将の中でも随一の使い手だし…」
「まっすぐだ…言ったろ?俺がこの地に来たのは、苦しむ奴等を助けるためじゃない。拳格を上げるためだ」
口に砂が入る。それがシンを苛立たせる。
「強いと聞いて避ける気はない」 「…」
セリカとしてはシンの身を案ずるばかりだ。もうこのまま二人で逃げたい。
踏みにじられる弱者への思い…シンと再会してからというもの、彼らへの思いは薄れてしまっていた。
結局、セリカの心は無力感に支配されている。自分にできること…できないことと変わらない。
進むこと数時間…風も弱まって来た。目的の村を見つけた。今日はここで休む。
強さが全てのこの国…快適な休息が期待できる。
ふと、シンが何かを感じたのか、はるか先、郡将カイゼルの城の方角を見やる。
実際は砂煙で遠くは見えない。
だがその立ち姿、険しい目…
セリカは胸が痛んだ。苦しかった。耐えがたかった。
「どうしたん?」 完璧に"内側"に抑え込んだ。
「いや…この先にゴロゴロいるであろう猛者たちを思ってな。ただ何となくな…」
セリカは「気負ってんなよ。シン兄」とシンの肩を叩いた。
作り笑顔…内側では泣き出したい思いだった。
>>386 そいつは真性だから、言っても無駄かと。
『スムーズな入城』
力が、強さが全ての修羅の国…
二人がカイゼルの城に進み入るのを邪魔する者はいない。
二人を黙って見送るしかできない修羅たち。わざと睨みつける者もいた。シンは腹が立った。
手出ししなければ睨むくらいは許されるだろう、と高をくくっているのが分かる。
力はないが虚栄心だけは一人前、そんな雑魚に多い特徴だ。こういう輩は成長しない。
シンは自分を睨み付けた者を無視しなかった。近寄り見下すように黙って見つめ返す。
郡将・砂時計のアルフを倒した男である。彼らは心底怯えて目を伏せた。
あるいは強さが全てだけに異国の侵入者なれどシンに畏敬の念を払う者までいた。
セリカはボロに扮し、この郡にも幾度か入り込んでいる。中には詳しい。薄暗い、じめじめした石造りの通路を進む。
まだ修羅とは到底呼ばれようのない少年戦士も少なくない。暗い目で二人を見る。
それはただの興味にすぎない。誰かに何かを期待する…、そんな思いはとっくに失くしている。
セリカはそんな少年戦士たちに憐れみを感じるが、シンは違う。
誰もが満足のいく世界などはないという現実を受け入れている。知っているだけのセリカと受け入れているシン…
シンは、まだ小さい防具を身に着けた、その細い華奢な身体を見ても感傷に浸るような心などない。
"刷り込み"によるものではない。愛を受けずに育ったシンの心に、彼らを憐れむ余地などなかった。
鈍重な音と共に門が開く…
…広い円形、やや楕円形の闘技場。
普通の闘技場と違うのは、観客席が取り囲みながら上方に広がっているのではなく、
逆に1.5mほど低くなって広がっていることだ。戦いを見下ろすのではなく、やや見上げる形になっている。
広さの違いはあれ、ウーヨウの城にあった闘技場も観客席は一段低くなっていた。
勇猛な戦士たちの死闘は上から観るものではない…という考えが反映されているのだろうか。
正面…いかつい男が坐している。
「シン兄…あいつ、だよ」
鋭過ぎる眼光。弱い人間ならそれだけで死ぬるような視線。
睨んでいるのとは違う。ライオンが獲物を見る目だ。
「なるほど…最強の郡将か。あくまで郡将としては…だがな」
395 :
マロン名無しさん:2007/06/12(火) 09:07:00 ID:WNpajht6
ボロの来歴についてですが、膝の破壊だけじゃ無力化に程遠い人材も居そうです。名のある修羅で、存命だったヤツとかじゃなくても。
銀槍のヤツが居た時点(フェンシングでも中国武術でもない、中国中央部風の名前の創作武術)で、泰山や崋山、崇山の小ボスクラスのヤツが
たくさん居る。民明書房レベルな補綴術で膝から下を作るヤツ、膝の靭帯が時薬と歩き方の工夫等で治るヤツ(違法)、色々考えられます。
ボロは、やばい。原作の蜂起シーンでも、士気がもつうちは一騎当千のはずの生物を何匹も屠ってましたし。
あと、思いついたのでアイテムを一つ。
【十字紋章の有る、物々しい感じの小振りな袋】
赤鯱が1年前に最初の納税に使ったときの袋。内政隊が一時領置してから、赤鯱に再給付。それを、シンは沖合で1個貰っておいた。
海水塩を確保しておこうと考えていたが思い直して、美味しかったイリコダシの素(煮干し)の方を取った。普通の容器にすぎないこの袋だが、もし
VSハンで負傷して身を癒す時期に、村から薬草等を得る過程でそれを使っているとボロが救世主と間違えて蜂起が起きるかも。
袋には、2-3食分の椀物が作れるぐらいのイワシが残っている。
いいから、バウケンは独立しろ。それなら、誰も何も言わん。
399 :
マロン名無しさん:2007/06/12(火) 23:47:23 ID:lNubG1a1
小さい頃は神様が居て読売夢を適えてくれた 優しい気持ちで目覚めた麻は大人になっても奇跡は起こるよ
雨上がりの庭で 静かな微笑の矢指些に包まれたなら きっと目に映る全てのものはメッセージ
レンファはアニメのテーマソングをリフレインしていた。細胞が潰れる熱さで、幻聴から現実に還る。
前頭10枚目の矢指些関が、巨体でレンファを包括している。サバ折りという通常世界の技が、不発する。
その巨体ゆえに。しかし、それはレンファを更なる地獄へ引きずり込み、そこに固定した。
キムチを常食するゆえに、この豊かな国の一軒家で庭にツボでキムチを漬けている。矢指些関の強襲は、
レンファが異変に気づいた1秒後には完成していた。それから2分ほど、レンファは溺れている。
目に映る全てのものは・・・・・・・・・光を通さない脂質の闇。瞼に電光が散らないのは、脂質がシータ・ゲルか何かのように優しいからだ。
400 :
マロン名無しさん:2007/06/12(火) 23:53:22 ID:lNubG1a1
レンファは、実家が係争中のパチ屋関係のことより先に、夫の通う道場のことに頭をめぐらせていた。
吾妻コート、丹平足袋、そして越中褌というユニフォームで掌から騎兵用サーベルまで取留めも無くほたえる。
バッジが真鍮製の六芒星に奔る十字のあれになる前は、林業用のズボンも穿いていた。しかも最近になって、
夫が奥義を得たからという理由から「南斗流道場」に看板を変えた。あれ関連だ。レンファの氏にぎわの集中力は正解を導き出したが、
それは6時間余り前に知っておくべき情報だった。ハートは、和名を漣太郎という夫の出勤を確認し、稽古に戻り更に飯を食べてからココに
来襲したのだから。静かな微笑の前頭10枚目は、レンファを小脇に抱えると後ろに向き直った。夫が間一髪で駆けつけた。
雰囲気から、サプライズでも何でもなく関取が敵だと確信するレンファ。昼休みに退社した夫は、自分の脱サラの資本となる道場を破壊した
【拳法頃し】を屠るため、奥義を得た表世界支部長の正装姿である。スーツマンとしての自分は、都心のレストランで待たせてある。
401 :
マロン名無しさん:2007/06/12(火) 23:56:06 ID:lNubG1a1
漣太郎は関取に、道場の建物だけの頭金を返せとは言わない。拳士だから、ただハートを屠りたい。
漣太郎は三日月型の投剣を取り出し、ハートの中段にぶち込む。小脇のレンファ、腹を打つという天然自然の誘い、素人が触ると手を怪我しそうな形状。
すべての迷いを断った漣太郎の剣2振りは、壁を打つスーパーボールのようにハートから弾かれて家屋の壁面、
生け垣を貫通して粗くとも舗装された道路に食い込んで止まった。続いて、冷静で合理性に満ちた漣太郎の判断力が、ハートの腹を
エアバック状の物を仕込んだ防刃素材の何かだと見誤る。腕に覚えがあってハートの中段を避けて通るのは、難しい。必ず、連打したくなる。
それを避ける冷静さが無いと、中段に拘って、鍬で抵抗を試みたレンファや、他多数の犠牲者たちの二の舞になる。
袖を詰めたばかりの吾妻コートから出ている腕。中指の指輪で固定している前腕の篭手状の布カバーから、左右に刃が広がる。
手に持つ護拳付きの太い剣と薄いプロペラを先端に付けた棒と合わせて、六刀流だ。
402 :
マロン名無しさん:2007/06/12(火) 23:58:05 ID:lNubG1a1
漣太郎はハートの両太股を薙ぎ払おうとして、左太股で剣を弾かれた。更に、ハートはプロペラを二の腕の贅肉を接触させて高速回転させてから
薄くてしかも何箇所もが5度から88度まで絶妙な曲がり方をしている部分に、腕を当ててグニャグニャにひん曲げるという芸当をやってのけた。漣太郎は知らない。
この生物の脂肪を突き裂けるのは・・・表世界の一支部長の身では、その伝説を知りえるだけで奥義の一つとなる・・・南斗孤鷲拳(キングの南斗聖拳)のみ。
それからハートは20秒もかけずに、戦いを最終局面に運んだ。漣太郎の双刃掌底にブロッキング感覚で張り手を合わせる。
漣太郎の腕の先を作用点にして右半身が300度近く折れ曲がり、庭に倒れ込んだ。ハートはレンファを脇腹から地面に投棄し、彼らに動きが無くなったのを
3秒ほど確認すると、来た道を帰って行った。
403 :
マロン名無しさん:2007/06/13(水) 00:00:36 ID:lNubG1a1
急便というか、これは脂質とか侵蝕という感じですね。詞宝林も、集中力と伝言の原理は、祥作wのレンファに近いような気もしてます。
ジードについては、今まで善人化した作り手は居なかったように思います。学生の頃、スレで水場モヒさえ善人化していたのを見ましたが、ジードもようやく善人デビューですね。
感想お待ちしてます。
ヒノですが、野焼きをする日なんか楽しみにしてたでしょうね。養分と虫害の問題を振り撒く、割り込みどもを、包む浄化の光。
地上に降りた明けの明星。ヒノの学童期〜シュレン隊入隊までのエピソードも気になったりしてますw
いいから、お前は氏ね
何なの?意味わからん? 嵐ですか?(*_*)
>>405 奴は以前から意味不明な投稿で場の空気を壊し続けてきた基地外。
前スレでもボコボコに叩かれてたが、それでも粘着を続けている。
408 :
マロン名無しさん:2007/06/13(水) 08:38:46 ID:UASZdbj/
上のレスでは削り忘れましたが、ジードの分は自主規制にしました。頭部ネタはメイデンさんも愛用されていますが、
その中身については触れない方が賢明のようです。特に現代南斗さん、汚物ネタでさえ拒絶されていましたし。
興味のある方が多数居れば、書き込みしますが。
現代北斗のシズカですが、七つ傷もあると良いですね。原作を見ると、あれは記憶系の秘孔みたいです。
おそらくは伝承者潰しの一種の奥義だとの解釈が、余裕を持ってできそうですね。そう妄想するのが面白いと思いますw
読者視点のネタとして、胴無傷のケンが「萌え版さんですか?」とか「幕張」のノリでたずねてみるとか創れそうです。
シンのタ村訪問の際に目をハート型にしてる牝が居りましたが、シズカの頭上に☆や縦線、もしくは顔面のシンプル化や汗の水滴を投入したいです。
ガチ戦闘等については、あまり考えなくなりました。現代世界なら、世俗の組織等の利用や科学兵器等の使用を抜きにガチの勝負をすることは
ありえないので。
例えば風俗短大生からサウザーの秘密を聞き出したシズカが闘気突きを頼りに来襲するまで。この手の状況、サウザーどころか読み切りの泰山マッチョでも
その来襲まで漫然と待っている、という事は無いでしょう。雑魚でも耳にイヤホンつけて番をしてるのが現代社会です。あまり、北斗南斗は関係なくなってきます。
409 :
マロン名無しさん:2007/06/13(水) 08:42:23 ID:UASZdbj/
ところで、文庫版のゴルゴで、巻末にゴルがその気になれば世界中の金を入手可能とかありました。
ルパン三世にも似たようなエピソードがありましたが、暗○拳で天を目指すラオウでも、あれらをするのか、もしくは範馬勇次郎型のやり方を
する気なのか、ファンの意見はわかれるところでしょう。大切な北斗神拳ですが、それは一要素に過ぎなくなります。それが現代社会という舞台。
>>409 現実の社会にラオウが居たら金を背景にのし上がるのか、
範馬勇次郎の様になるのか?って事を言ってるんでしょ?
文章を全て5行以内にまとめてくれれば判別可能だ
バウケンは完全に気が狂っている。
『試し斬り』
シンは闘技場中心に進み出、カイゼルを待つ。
カイゼルも立ち上がり闘技場の中心へと足を踏み出した。
間合いが近付く…。シンから5mほどの距離でカイゼルは止まった。
5m…シンなら静止状態からでも二歩でカイゼルを倒せる間合い。
だがそのためには身を低くし最初の一歩を強く蹴り出さなければならない。
アルフ以上の実力者…、最強の郡将と言われるこのカイゼル。
いかにシンが素早くともカイゼルに達するまでのモーションの大きさからして反応された上に迎撃される距離。
もちろんカイゼルはそのことを見越してこの距離を保つ。カイゼルに油断、慢心は見られない。
「侵入者よ…何故にこの国へ来た」 「倒さねばならぬ敵がいる。この国ではなく、海を越えたあの地にな」
「フ…それで武者修行というわけか。なるほど…」 そしてまた繰り返した。「なるほど…」
カイゼルはマントと、そして後頭部と側頭部を囲む、左右に角があるヘッドガードが固定された肩当てを外す。
防具というよりも、郡将としての威厳を強調する意味合いが強いのだろう。
元々シンを大きく超える巨体のカイゼルだが、防具を外すと意外とスッキリとした印象に変わる。
「防具など役には立つまい。南斗聖拳なればな」と手を挙げ合図を送る。
車輪の付いた磔台を修羅たちが押して来る。猿轡(サルグツワ)をかまされた一人の修羅がはりつけられていた。
「この男、誇り高き修羅でありながら邪教に目覚めた愚か者よ。愛を唱えおった」
「ん〜」と男はもがくが手足の自由は完全に封じられている。
「我が拳は孟古流妖禽掌…」 「何?」
と、カイゼルの右手が白い液体のようなもので包まれた。それほどはっきりと見える強力な闘気。
「もがが〜」とはりつけられた修羅が暴れる。ヴォウォン!その男の胴体をカイゼルの闘気が通り過ぎた。
男は「ん〜!」と鼻で喚き、身体をのけ反らせたあと、口から鼻から地を溢れ出させ、ガクッと力を失った。絶命。
「南斗の男なら知っていよう。我が拳は表面を傷付けずに"中"を引き裂くことができる」
413 :
壱:2007/06/13(水) 23:27:49 ID:???
カイゼルの孟古流妖禽掌。
いくら漫画とは言っても表面を傷付けず内蔵や骨を抜き取るのは説明が付かず嫌なので、ちょっと設定変えました。
あしからずm(_ _)m
>>412 >地を溢れ出させ
カッコいい表現ですね。
サウザーの時と違って解釈が難しいですが。
『開始!』
磔刑台車が引き上げる。続く血の跡…・‥・・
シンは両腕を前に伸ばしカイゼルに向ける。完全前面集中の構え。重心は真下。攻めにも守りにも対処出来る。様子見…
「ここで、あの孟古流と出会うのも何かの宿命か?宿命など信じぬがな」
カイゼルも重心を真下に構える。利き手の右手が前、左手は胃の辺り。
「千年前の恨み…我が代で晴らせるわ」
「いや、生き残っていたことに驚いたが、千年前の南斗に敗れた流派。現在(イマ)の南斗には尚のこと勝てぬ」
互いにじりじりと間を詰める。完全に"距離"だ。カイゼルから流れ出る闘気がシンの拳に当たり蒸発するように散る。
シンの殺気が増す。二人の間の空気が圧縮される。
フッ…しかしシンが間合いを外す。空気の密度が元に戻るようなイメージ。「!」
一瞬の駆け引きだった。シンの神速が間合いを割る!身を低くし両腕をやや下方に開き、下からカイゼルの喉元を狙う。
サウザーの鳳凰拳を自分なりにアレンジした攻撃。両拳がカイゼルの喉元直前で合掌した。
その瞬間を正確にカイゼルの左手が打ち払う!身体が流れバランスを失うシンにカイゼルの右拳が打ち下ろされる!
シンの動きは軽い。スッとそのままカイゼルの背後に抜ける。
「ぬ?」とカイゼルが怪訝な顔をする。「貴様、我が死角に…」
シンは笑った。「さすがに…最強の郡将と言われるだけはある。この動きの意味を知るか」
シンが自分の拳を打ち払われた時、右の蹴りを狙っていた。カイゼルの腹部を破壊する筈だった。
カイゼルはそれをさせなかった。そしてシンの移動の軌跡、それを理解している。
この国に来て初めて全力で当たることのできる相手。喜び…そして生死の読めぬ緊張感。焦り。嫌な汗が出る。
それでも口が笑いに歪むのを抑えられない。
シンの肌を伝う汗。毒を分泌しているように思えた。
416 :
壱:2007/06/14(木) 00:14:32 ID:???
>>412の訂正
×地を溢れ出させ
○血を溢れ出させ
××乳を溢れ出させ
417 :
現代北斗:2007/06/14(木) 07:25:08 ID:???
シュウ「む、レイのタイムカードに出張とあるが…?」
サウザー「渋谷パルコ前へ行かせた。」
シュウ「ライバル会社のイベントが気になるか?」
サウザー「レイの希望だ。俺はあんな茶番に興味はない。」
シュウ「…そうか」ニコリ
プルルルピッ
サウザー「…ユダか。何だ?」
ユダ「どうも化粧ののりが悪いのだ。休ませてほしい。」
サウザー「今すぐ出てこい。さもなくばその命無いものと思え!」ピッ
プルルルル
サウザー「チッ!今度はジュウザか。手が掛るクソガキ共だ。」
シュウ「フフ、だが可愛いだろう。」
サウザー「……どうだかな。」
418 :
現代南斗:2007/06/14(木) 07:29:54 ID:???
>>417のタイトル間違えました。
現代南斗です。
現代北斗はバウケンさんでしたね。
419 :
マロン名無しさん:2007/06/14(木) 17:04:01 ID:YLLUFZEc
「・・・・・・・・・さっきのプランター」。「うん」。
2人が20歩ほど、元来た道を歩く。蔓系の植物がそれを包んでいる。腐臭も虫害も無いから、最初はそうと気が付かなかった。
氏して久しくともなお安定した立ち方、あるいは何らかの立禅の姿勢なのだろう。大口を開けて硬直し、一個の彫像と化している修羅。
その修羅の口や鼻から、足元の地面と全く同じ材質の土が溢れて、そこに一輪の綿花が咲いている。
あまりに良い綿質だったので、造花かと思ったほどだ。この時代の工業力で、このフザけた損壊の仕方は有り得ない。
内家拳系の何らかの秘儀を用いて、このような状況を作った馬鹿が居るのだろう。それも、長髪にして闘気を適度にアースする
という選択肢の有る自分たちのスタイルとは違い、闘気を直接注ぎ込む系、北斗神拳に近い戦闘法だ。
綿花を根からぶっこ抜くと、普通の汚れや小蟲を伴って、根の部分がぷらぷらと揺れている。
どのような原理か知らないが、この修羅の体内には地が溢れた。どうやら、それ以上でもそれ以下でもない様子である。
>>418 現代北斗が固有名というわけじゃないし、お好みの方でどうぞ。
420 :
マロン名無しさん:2007/06/14(木) 17:10:24 ID:YLLUFZEc
ケトルベルが2個、綱で舫われて空を泳いでいる。その絆は、獰猛な野牛の胴を捉える。そして野牛を捕えるのは、1名のオッサン。
修羅でもないしボロでもない、それでも旧世界で就学と同時に得た名前を今も使う。登仙した爺がかつて育んだ、善良な我流ケンカ拳法使い。
彼の私塾には、修羅やボロの仔が暮らす。フリースクールなのだ。強ければ良い。そんな、統治能力ゼロのアホどものおかげで、
どうにか私塾はもっている。彼らの世話をするのも、主に農作業等をするのも元は侵入者だった者たち(各地の郡将に助命・移送をさせた)だ。
そして、彼らの活動を数人の修羅が護っている。仔の持ち主である修羅が氏ぬと、他の修羅の手前やや粗雑な扱いになるものの、
その保障に大差はない。しかし、愛他利他の思想だけでもこの辺りに確固として普及・定着しなければ、彼らの将来も、老後の自分も無い。
先日、とうとうオッサンの肝煎りの修羅がカイゼルの軍団に捕獲された。カイゼルはまともな組織運営ができる上に、国策に乗り気な大敵だ。
あの修羅も、生存競争の足しにするためにオッサンの軍門に下ったのに、オッサンはあの修羅を守れなかった。
2個のケトルベルが野生の人喰い牛の胴に描いた綱の痕。甲骨文字を使う古典派の占術であれば、これは大吉。前向きな気分になって、オッサンは
牛に数撃の中段突きを加えて、2時間も保たない程度の瀕氏のヨレヨレにすると、牛の頸部に手製の狩猟具を巻いて右手でツノを掴み、
牛を引き摺って帰路に就いた。
『成長』
凄まじい闘気に押される。カイゼルの背後にいる夥しい死者たちの怨念。それらがシンを邪魔するかのようだ。
「虎背熊牙盗。肺を断ち切るか、それとも心臓を抉り出すか…」
ゴッ! カイゼルの右拳が一閃! シンはカイゼルの腕を払いながら回避する。
「こんな拳では…このシンを捕まえることはできん!」
内心…拳の速さに驚いている。元々の体格差に加えて強い闘気を纏うカイゼルのリーチは長い。
間合いを外しての伝衝裂波など、この男には通用しまい。先ずは自分の必殺の間合いに入らねばならない。
ならば…シンの気配が変わる。リュウケンとケンシロウが見せた七星点心。広く障害物のない闘技場。支障はない。
ただ…問題点が二つ。
1 明るすぎること。幻惑効果は薄れる。
2 まだ未完成…。これが問題だった。
だが七星点心は対上級者用の秘術。できを確かめるには、このカイゼルをおいて他にない。
シンが素早く軽い足捌きでカイゼルの周囲を回る。
この戦法は不本意である。シンの拳は全てを力で貫く我道の拳。だが、ただ正面から打ち当たるには、やや非力。
そして何より…、今の彼はそれほど無謀ではない。
彼自身、多くの強敵と戦い、自分の拳の本質を知ることが出来た。
…マダラ、カーネル、ユダとの連戦。加えてソリアとシュレンの戦いを見ている。
それにサウザーとファルコの死闘… ただ眺めていたわけではない。常に脳内シミュレートを欠かさなかった。
見る…それだけでも彼ら異能の天才たちには莫大な収穫となる。
そして何より、ラオウとケンシロウからの敗北。自分に足りないものを思い知らされた。
足りないもの…単純だった。…技術… 才能だけで突っ走って来たシン。それだけでは真の猛者たちには及ばない。
思いを振り払った。今すべきこと…
「奥義!七星点心!」
『開き直り』
「…気配が読めぬ…」
シンの姿は見えているが、実在感に欠ける。動きの予測が出来ない。
だが歴戦のカイゼルである。焦りを見せない。静かにシンが仕掛ける時を待つ。
どのような技かを既に分析していた。経験から裏打ちされた確かな勘…
目での反応のみでは到底間に合わない戦いにおいて最重要なファクター。
そして…技は成った! 気配…失う、そしてまた気配、それも消える。繰り返し…
カイゼルの目にはシンの幻影が自分を取り囲むように見える。だが決して冷静さを見失わないカイゼル。
死角から死角…カイゼルを死兆星の位置に置き、シンは北斗七星の形に移動を続ける。
カイゼルの左後方…シンが寄る!その利き手に裂気が満ちる。
カイゼルは静かに、「そこだ」 ズン!… 「ヴ!」 カイゼルの右拳が左の脇の下から後方のシン目掛けて気弾を放った。
シンの幻影が霧散する。本体は脇腹から流血しながら地面に膝を着いていた。
カイゼルの追い討ち!しかし戦いの経験豊富なカイゼルは自分の脚を止めた。
シンの指が数センチほど地面に刺さっている。迂闊に飛び込むカイゼルを待っていたのは、南斗雷震掌。
シンの狙いが如何なる技かは知らないが、カイゼルの勘が危険を察知したのだ。
カイゼルは楽しそうに笑みを見せた。「抜け目のない…」
シンの七星点心は破られた。未完成ではあったが、カイゼルにとっては初見の筈だ。
「合点がいかぬようだな」 カイゼルがシンの表情から察したのか説明を始めた。
「簡単に言えば、貴様の気配がないとき、それは貴様が我が死角にいる、ということ。
そして貴様が打ち込む時…貴様は殺気を放った。強い殺気をな」
シンの焦り…それはすぐに開き直りの態度に変わる。
シンが以前、二度目の対決でケンシロウの七星点心を破ったときの理由と同じ、
そして殺気を読まれ迎撃されたのも同じだった。
「フッ…これでも通用せんか。それでいい。それでこそ、貴様を殺した後に我が拳格、上がるというもの」
シンは殺気を抑えようとはしなかった。殺気が読まれるのであれば、逆に殺気を押し出すまで。
暗殺拳と言えど南斗聖拳は陽の拳。やはり正面切ってやり合うのが本筋… シンの新しい境地だった。
423 :
マロン名無しさん:2007/06/15(金) 17:15:39 ID:fk2e8lQO
今更ですが、原作で大家族の仔をぺちろうとしていたナベロ(仮)について。
あれに注目するファンが昔から居ないので、今提案しておきます。
火炎放射マン(こち亀ではヘルス・タトゥーで登場、集英社に同じ資料があったのか?)でさえ良く注目されており、
このスレではついにヒノという名前もついたにもかかわらずです。
かくいうバウケンも、今まで気が付かなかったぐらいです。
とりあえず、興味のある方、創作等どうぞ。ナベロ銃(仮称)の性能と始末についてとかでも大歓迎です。
424 :
マロン名無しさん:2007/06/15(金) 17:24:59 ID:fk2e8lQO
ソヴィエト極東部の隠し原子炉のメルトダウンと羆嵐のコンボで世界中が核汚染されたという設定とかどうでしょうか。
シェルターや戦時体制が無い分、また汚染が中世の氏神(牛頭天王とか)さながらに押し寄せる分、
色々と味わい深い設定が出来そうですよ皆さん。
メイデンさんの作品も待ち遠しいですが、作り手が4人+赤龍さんだけなのもさびしす。
『番外・ヒノ』
上級将校専用の綺麗なトイレで…
「フウ〜…人を焼いた後の排尿は…たまんねえな」
ヒノの小さな声での独り言だった。
…聖帝に今もって反乱する小さなゲリラや愚連隊…
その討伐隊が新たに編成され、消毒男ことヒノも一つの隊を任されている。
彼は文字通り火の勢いで自分の仕事を全うしていった。"勤勉"に過ぎると言って良かった。
老若男女、分け隔てなし。反乱分子を見つけては兵を率い虐殺、情無用の消毒。
個人としても幾度となく戦地を駆け巡った屈強の戦士であり、尚且つ兵を率いる将としての才覚も発揮していた。
貴重な燃料も、ヒノの火炎放射器限っては制限が定められていない。
ヒノは次第に仲間からも恐れられる存在になって行った。
そんなヒノを激しく憎悪する男がいる。黒騎士シュレンであった。
彼の仲間(正確にはヒューイの部下たちと家族)を、サウザーの命令とは言え、嬉嬉として焼き殺したのはヒノなのだ。
あのシュレンとヒューイの軽率な一件以来、"炎のシュレン"は死に、同時に氷将シュレンが誕生したのである。
そのシュレンが今の今迄ヒノを生かしておいたのは、意外にも最大の仇敵のサウザーへの忠誠が理由である。
サウザーへの怨みは永遠に消えることはない。だが同時に覇者としての、その圧倒的なまでの冷酷非情さ、
一個の拳士として、また軍を統率する大将として……全てにおいて完全な帝王であることを心から認めていた。
…思い知らされていた…
ヒノは有能である。業績も多い。だから私怨は封印しておいた。
だが最早…ヒノの役目はほぼ済んでいる。人を焼き殺すのを楽しみとしているヒノをこれ以上生かしておくことはシュレンには出来なかった。
ヒノがモノを収め、ファスナーを上げる。次いで鏡に向かいモヒの乱れを直す。
「うん。決まってるぜ。南斗百九個目の流派!南斗火炎放射器取扱じゅ…!」
鏡の中ヒノの背後に黒ずくめのシュレンが感情のない顔で写っていた。
『ヒノよ、永遠に』
「おおわ!…ハハハ…シュレン将軍…ションベンですか?」
ヒノは恐怖した。あの怨みをシュレンが忘れているわけがない。極力近寄るのを避けていたが…よりによって二人きりとは。
しかも、どう考えても状況は悪い。無表情でいつの間にか背後に立つ…。驚かせるのが目的だった…なんてありえない。
分かり切った理由…。ヒノには愛想笑いしかできなかった。
「ハハ…それともでっかい方ですか?ハハ…」 「…」
「んじゃまあ、あっしはこれで…」と去りかけたとき、「待て」とシュレンが初めて声を発した。
「は?なんでしょうかね」
ヒノの声が低くなる。そっちがその気ならやるしかねえ。スキを突いて先に焼き殺してやるぁ!
身体の右半分をシュレンから隠し密かに放射器を手にする。
シュレンは相変わらず感情のない声で、「もう遅い」 「はん?何がっすかねえ〜」
すると鼻を突くガスの匂い。タンクからの供給パイプが切られ、そこからガスが漏れ出ていた。
「あ!いや…ハハ…ハ……あれえ〜?いつ切れたんだろ?直さなきゃな〜」と誤魔化し逃げようとした。
もちろんそれは不可能だった。シュレンの右手がヒノの顎を掴み、そのまま壁に押し当てる。
「モガガ…てっテメエ!」とバタバタ暴れるがシュレンの握力が弱まる気配はない。
ならば!と放射器を手にシュレンに向ける。放射器に残った僅かなガスに期待した。
ヒノ(って今ここでそんなことしたら引火して…終了!)
シュレン「仲間たちが毎晩枕元で訴える…ヒノはまだこっちに来んのか、とな」 「フゴフガ…」
タンクの中のガスは全て出尽くした。トイレの床一面がガスで濡れ、息苦しいまでに匂う。
ゴキ!シュレンの握力がヒノの顎を砕いた。痛みと恐怖で暴れるヒノを奥に投げ込む。
シュレン「お前がよく言う通りだ。汚物は」とシュレンはしゃがみこみ、ガスの油面に触れた。「…消毒だ」
トイレでの火災事故とヒノの焼死…。その報はすぐにサウザーに届いた。
ヒノほどの男が放射器の扱い誤り事故を起こす…考えられない。すぐに真の原因を理解した。
丁度その時、サウザーの前をシュレンが一礼して静かに通り過ぎて行った。
「フフ…炎のシュレン…だったな」
427 :
壱:2007/06/15(金) 18:38:11 ID:???
ヒノの簡素な葬儀はバウケンさんが書いてくれないかな〜なんて…
>>427 サウザーが真相を知りながら「火の不始末で便所を全焼させた」かどでヒノを罪人認定して
まともな葬り方を許さないってのはアリ?
429 :
壱:2007/06/15(金) 19:14:39 ID:???
>>428 あぁ〜一応それはなしで…
ヒノは業績多いんで。
430 :
メイデン:2007/06/15(金) 23:37:47 ID:???
バウケンさんお久しぶりですー!
今はほんとに忙しくて続きがかけないのですが、本当に近いうち続き書かさせていただきます。
えーと…ジャッカルがユダの拠城で捕らえた女を食料と交換…ってとこで終了してるんですよ!
自分の思い描くユダをふるに書かさせていただきますね(^^)
1さん、バウケンさんの作品、時間のあいた時読んでます!
これからも頑張ってください!
来週からまた【鉄の処女】復活させていただきますm(__)m
431 :
マロン名無しさん:2007/06/16(土) 18:13:32 ID:tauw6HR/
>>427 ヒノは牡ですからねー・・・。牝だったら、焦げまくりでも、薪を使うのとか河に流すとか色々ありそうなのですが・・・。
旧世界の燃料目一杯で燃えたら人型の炭も残るか怪しいし・・・。しかも炭化してたら風上数箇所で風葬にしてもあんまり害が無さそう。
ともあれ、インスピレーション不足で申し訳ない。
>>428 サウザーの性格的に、風紀とかを考えて便所を男女分けはしてるでしょうね。将校=モヒなわけだろうし、牝「モヒ」というのもバウケン独自の概念で鮨。
巻き添えで氏んだ牝とか居れば面白いのですが。医療水準や医薬品の貴重さを考えても、モーターサイクル状態で生きてるという事は無いし、
戦力外になったら乞食確定だし。
でもまあ、火焔隊でシュレン・ヒノとタメの凄腕牝(消防系の特技)がもし居るなら。シュレンへの慰撫も兼ねてヒノの放射器の責任について牝をえらいめに
遭わして、元気弾ける若く瑞々しい肉体に面白いターミナル・ケアを施すというのが良いのですが。宋代の都市管理術に起源を持つ焼き討ち戦法だから、どの道、
ヒノが氏んだら用済みになる可能性は大きかったとか色々とまともな設定もつけれそうでしたが。民明ビデオ・・・じゃなくて民明書房ファンの作品に度宮素というものが
ありましたが、火に拘るよりは多彩な生前葬をしてあげたいですね。牝の名前は【御名前】で。よろしければパラレルで御創りくださいませ。
432 :
マロン名無しさん:2007/06/16(土) 18:16:04 ID:tauw6HR/
メイデンさん、応援有難う御座います。週明け、楽しみにお待ちしております。
433 :
マロン名無しさん:2007/06/16(土) 23:53:30 ID:5DKBRQnA
ヒューナ案じゃなくても、ユダは人質根絶をやりかねないですね。
しかもユダは偽装面が超充実しそうです。原作でも、南斗分裂の要員ってこいつじゃなかったっけ。
雷光のヒューナですが、大陸沿岸部の風力発電所のある山を本拠地にしていて、その近くから入れる山脈、
核戦争で変わった地形と旧世界のシェルター・工業都市等の入り乱れる広い地域に展開している【阿修羅】の領域の者がヒューナで、
ヒューナ自身も五車に属しているものの正式には南斗ですらない(数百年前に分派した古流派)という状況。
修羅の大陸に上陸する南斗六聖と大軍。そういったものをイメージしておりましたが、皆さんどうでしょうか。
もしかして、南斗に生存者が居る限り、物語がエピローグを迎えた気がしないのはバウケン特有の感覚なのでしょうか。
南斗最強層10人ぐらいで色々な敵と武論尊的且つ高橋留美子的に戦い続けて欲しいものです。ただ、ユリア以外の蘇生者が出たら男塾化の運命。
ユリアの蘇生だけでも、ケンが何らかの違和感を確信に変えて、焼いた状態で保存してあるのを検分、アタマが逆向きになってるのを正しい位置に戻すとかの
コミカルな場面を経て、ユリアにはありえないイン・プラントを発見。ケンが行く先に鈴生りで南斗勢が進行、というぐらい劇的にいきそうな気配です。
そういった気配がするのが、また味わい深い。
434 :
マロン名無しさん:2007/06/16(土) 23:58:23 ID:5DKBRQnA
>>428 国政につきものの強制移住に関しても、ヒノは見せしめで家屋をやってそうですね。
中に誰か残されていて、屋外で働いてた住人が現場監督を振り切って駆けつけた頃には後の祭り。そんな庶民を小道具として登場させるのいかがでしょうか。
アホなアレンジングで「とっととひっこーし♪」と唄う在りし日のヒノ、「火星にかわってセックルよー」などと新米の宿無し(若い女)をスカウトした挙句、
牝が公衆の中で覚悟を決めたら「嘘に決まってるだろ梅毒(根拠なし)!」と笑いながら前蹴りで2mぐらい押し飛ばす在りし日のヒノ。
洗顔料やコーラのCMばりのフレッシュさで一酸化炭素を戒めたり煤の汚れを笑い合う保湿の凄そうな軽装の牝と、彼女のボス・ヒノの青春。
防具をそんなに着けずに進めた日は、輻射熱で汗ばむ男女の肌が日照の加減で健康&壮健そうで絶妙な良い色合いになってる。あつつ、などと言って軽くスウェイバック。
手かざしで熱を感じるヒノ。
ヒノフォーエバー&各地で塗炭に塗れながら高札に弔問して魂と心と精神が救済される庶民群像。
435 :
壱:2007/06/17(日) 01:46:27 ID:???
バウケンさん、ヒノ関係で煩わせたでしょうか? m(_ _)m
ところでバウケンさんの細かい描写や独特の感性は相当なものだと思いますよ。
いかんせん、味付けが特殊なので毛嫌いする方々がいるのはしかたありませんが、
あえて、"それ"を読んで下さる方にとって読みやすいようにしては如何でしょう。
私自身、自分の妄想に付き合って下さっている方々には、真面目に感謝してますし。
いや、本当に。
味付けを一般受けするように変えれば、私ごときでは到底及ばないモノを作れると思います。
436 :
マロン名無しさん:2007/06/17(日) 20:18:42 ID:DxncvkEW
うお、御進言ありがとうございます。次回からは試してみますね。
そして一応、今日の夕方の作り置きを投下。
スパーリング形式中心の修練を疑問に思い、しかしまともな教練や演習はするアタマなし。
そこでバトロワ形式で修練をさせる修練所々長のグループが出現。
20人の中学生年齢の牡と花嫁要員かつ予備役状態の中学生年齢の牝5人。
状況的に、氏人が出てもおかしくない状態。支給品は3日後の正午までという条件にしては少ない。
武器はボウガンや短弓、長剣からゴージャスな肩当や火口箱、室内用の鞠や先の尖った木片(筆として使われている)まで様々。
数字的には、ここで生き残れば牡は将来安泰。なぜなら、20分の1になればあと数年は、ほぼ生存競争をしなくても済む。少数でもかなり楽。
牝は基本的に牡の従属物だけど、彼女らも参加者という点では対等だし、牝同士の兼ね合いとかもある。特定の牡との淡い恋愛も介在可能ではある。
フィールドとなっている場所からの脱出を試みるのか、数人のグループでボコボコ謀冊ツアーにするのか、適当にスパーリングをしておいて牝まわし合宿にするのか、
生徒間の協定を破るのか、は自由だーーーー!!!!!
例えば文化面が破壊的に遅滞していて、荒挽きの麦とガチ牧場絞り牛乳のシチューもどきを主食にする&ボロに料理番をさせる修羅だけに、彼らを腹痛に誘う細工は容易。
創意工夫は、創作者の数だけあります。修羅=アホ、この原則はなかなか可能性の源泉となっていますよ。子らの可能性は無限(何
『ネクストラウンド』
調気呼吸法にて、シンは脇腹を止血する。
その時間を与えたカイゼル自身も身体の首や肩を回し、気を練る。
カイゼルは強い。あの孟古流だから強いというだけではない。
数々のまさに"修羅"場をくぐり抜けて来た経験・勘・冷静さ…。無論シンもそれは同様と言える。
二人とも十分に身体をほぐし直し第2Rに備えた。
次のRは前回と違った展開になるであるだろうことを、見守るセリカや修羅たちもが察していた。
闘技場には次々と修羅らボロたちが押し寄せて来ている。郡将カイゼルと互角の戦いを見せる侵入者、異国の拳士シン。
カイゼルの拳は元斗同様に多量の闘気を必要とする。軽功術で勝るシンは長期戦に持ち込めば有利である。
…そんな気はない…
正面からぶつかるつもりだった。技術不足を自覚するシンであったが、南斗聖拳の奥義は命と死の見切り…
生死の狭間でこそ得られる境地がある。
「カイゼル…そろそろどうだ」 「よかろう」
カイゼルはやや足を開き直立。リーチに利を持つとは言え、カウンター狙いという戦法を選んだ。
それは自信の現れであり、賢い選択でもある。
移動スピードで勝るシンを追いかけても、それはスキを与えるだけのことになりかねない。
シン(無駄な動きを棄てたか…さすがに巧いな。まるで難攻不落の要塞よ)
シンは構えなかった。ある意味それが構え。初めと同じ、攻撃に特化した構えなき構え。シンも自らのの防御勘を信じた。
ギュン! 低い姿勢からのシンの突撃!直線的な攻め。カイゼルはまだ撃ち込まない。
間合い! カイゼルの胸元から右の裏拳!それに合わせシンも右裏拳を撃つ!
十字型にぶつかり合う互いの腕と腕!互角!こんな裏拳をまともに受ければその部位は吹き飛ぶ。裂の気と爆の気。
直後の二人の行動は同時。シンは左の突きをカイゼルの腹部に撃つ。必殺の距離!
カイゼルは自分の裏拳とぶつかり合ったシン右腕に対し仕掛けた。
自分の右腕を戻しながら同時に左の拳でシンの右腕を下に叩きガードを下げる!
胸元に戻した裏拳を空いたシンの頭部に再び放つ!
『乱脚』
シンを襲うカイゼルの破壊的な一撃。
シンはカイゼルの脇腹を狙った自分の突きを止め、スウェーバックで身体を逸らす!
シンの防御勘。目で見てからでは絶対に間に合わない。
シンはスウェーしたまま後転し、両手を背後の地に着く。軟らかくしなりのある身体。
しなりを利用してカイゼルの顎を下から蹴り上げる!南斗白鷺拳背転脚!
シュウのように脚で敵をスライスは出来ないが殺傷力という点では変わらない。スライスするか、砕き割るかの違いだ。
一方カイゼルも優れた防御勘の持ち主。体の流れからシンの攻撃を読み回避する。
シュバ! シンの蹴りが空振りし空気を裂く!その蹴り足の勢いを利用しシンは後方に跳び体勢を整え直す。
カイゼルの服を引き裂いたシンの鋭い蹴り…そして右の脇腹は出血していた。
シン「あと1センチ深ければ貴様の肝臓を裂いていた」
カイゼル「フフ、その1センチを止めねば貴様の顔は砕け散っている」 「確かに…」
共に微笑を交換する。実力を認め合う二人…
シンが出る!迎え撃つカイゼルの速い強烈な拳を受け、あるいは払う!
シンの身体がカイゼルの左にズレる。シンの左ミドルキック、超速! カイゼルは読み、受ける!
シンは脚を戻さずハイ、ロウ、ハイと軌道を変えカイゼルの防御のスキを狙うが、そのシンの蹴り全ては払われた!
全て虚のない実の蹴り。カイゼルのように強い闘気を腕に纏えなければシンの蹴りはその腕ごと肉、骨、内蔵を破壊する。
シンの左脚が着地、すぐさまシンの右脚がカイゼルを蹴り上げる!その蹴りもカイゼルは下受けで払う!
シンはその脚を胴体に近付け、「シャラー!」とサイドキックを連発する!
カイゼルは後退しシンの連脚から逃れた。シンは逃がさない!距離を置かれれば反撃を受ける。
軸足の左脚で跳び、低空での跳び蹴りを放つ!身体を蹴りと逆に捻ることで蹴りの速さとリーチを伸ばす。後ろ蹴りになる!
シンの身体にも負担がかかる体術の数々。
見切った筈のカイゼルの顔、目の上をシンの裂気が掠め、目の上を浅く斬る。
シンの右脚が地に着く、そのまま左の蹴りと見せ回転、そして狙いは右脚の後ろ回し蹴り!
その速さ、修羅の目でも捉えられない!
439 :
マロン名無しさん:2007/06/20(水) 09:35:17 ID:5sRHWnph
ゾンビスレに投稿したやつですが、こちらにも置いておきますね。
http://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/occult/1171025209/ 廃墟。それでもまだ朽ちていない舗装道路を、巨馬が往く。人類規模の異変、星の異変。
それは、この60億総ゾンビ化にて幕を開けた。宇宙規模で見れば細事だが、人類には大異変である。
改めて、北斗神拳も暗○拳に過ぎないし、自分も人間で、人間は考える葦・猿の進化形である事を認識せざるを得ない。
巨馬が積載しているのは、角メット男。巨躯である。
そして、併走する折りたたみ式自転車を駆っているのは、最近できた長姉のシズカだ。
車体が市販品のそれとは素材的に違う。サドルも特別注文なのか、介護用の物(アルファゲル等を用いた5万円ぐらいする座布団)を
使って改造してある。この二人が目指す先は、中部地方の山中。そこの修練所に向かうのだ。
しかしその前に、霞義太郎(通称・ジャギ)が先日「確保」したビルを目指さなくてはならない。
山奥の修練所には、ヘリコプターで向かうのだ。【続く】
【続かなくていい】
『…』
シンの後ろ回し蹴りをカイゼルは十字受けで凌ぐ!…がシンの蹴りの威力がカイゼルを後方に数mも吹き飛ばす。
焦げ臭い匂い…。軸足としたシンの左足の靴底が床との摩擦で焦げ付いていた。
シンの蹴りを受け切ったものの、カイゼルの右腕は使い物にならない。
シンの左の連脚と右の蹴り上げ、そして後ろ回し蹴りを防いだ十字受けも、右腕が前だった。
カイゼルは「ううぐ」と苦しそうな声を出すが、シンの油断を誘うことはできない。
その右腕は既に紫に腫れ上がっている。そして…… ピ…ピ…バッ…バジュ!と弾けた。
シンは警戒を怠らずに、「カイゼルよ、我が南斗の脚、受け切ることは出来なかったようだな」
カイゼルは激しい痛みを意識から外す。「さすがに南斗聖拳。だが!」と言って立ち上がると、左手に闘気を集める。
カイゼルの左手が、まるで白い液体のようにハッキリと視認できるほど強力な闘気で包まれる。
そして自ら砕けた右腕を切断した。
「一個の修羅として五百勝〔妄天設定〕を上げたこのカイゼル!左手一本あれば! 貴様の命を奪える!」
カイゼルがシンに走り寄る!明らかに捨身の攻め…。逃げていればカイゼルは出血でくたばる。しかしシンにそれは出来ない。
「奥義!伐陀羅!!」
命をかけたカイゼルの一撃。まともに受ければ死体も残るまい。南斗のガードをも打ち砕くであろう。
カイゼルの奥義がシンを捕まえる寸前、シンは間合いを詰める!カイゼルの拳がシンの長い髪を消し去る!
見切った… 伸びきったカイゼルの左腕をシンの右腕が外に払う。シンの左拳を防ぐ右腕はない。完全な間合い。
一閃! だが正確には四発。喉、心臓、肺、肝臓への瞬撃!
カイゼルは目でシンに語った。(見事だ)
倒れながらカイゼルが目を閉じるのをシンはスローで見ていた。
ガタタ…カイゼルの巨体が石床に倒れた。穏やかな、安らかな表情…
シン「…」 興奮し沸き立つ修羅やボロたちの騒がしい声は全く聞こえなかった。
何者かが抱き付く。殺気がなかったからとは言え…などと自分の不覚を笑う。セリカが泣きながらシンを見上げていた。
静かに安らかに横たわるカイゼルの亡骸…ようやくシンに受けた傷から血が流れ出始めていた。
『新将』
…強さが全て…
カイゼルを打ち倒したにも関わらず、シンに敵意を表す者はいなかった。
郡将の間でシンの手当てをしているセリカのすぐ脇を、パシリの修羅たちが料理や酒を差し出すべく忙しく駆け回る。
カイゼルに受けた脇腹の傷、掠り傷なのが幸いだった。まともに入れば致命傷になりかねない。
「…危なかったね、シン兄(ニイ)…」 「だが勝った…」
短い会話。二人の思いはすれ違う。
パシリ修羅を呼び止める。「数日ここで過ごすが、異のある者は連れて来い」と凄む。
仮面のため顔は分からないが、その凄みに押されているのが身体と声から見て取れる。
「シン様は新しきこの地の郡将様に御座います。誰も異議を差し挟む者などおりませぬ」
シンは幾つか命令を下すとパシリ修羅は急いで、その命令を果たすべく消え去った。
運ばれて来た豪華な料理…。この国のお偉方はこんなものを食しているか。この贅に飲まれて拳も鈍りかねない。
「おい!」 「はい!郡将様!」と召使修羅たちが皆、直立してかしこまる。
「俺は美食は好まん。普通でいい」 普通と命令しても粗末な食事が用意されることはないだろうが…。
カイゼルお抱えの毒味人も、そのままシンに仕えることとなった。
"仕事"柄、仮面は着けていないがこれまで様々な毒の免疫を付けて来たのだろう、紫に近い顔色をしている。
侍女たちは、セリカの鋭い視線を浴びながらも、新しい紫の服を来たシンに、さらに防具やマント着付けていく。
シンは荒れ果てた地を眺めながら召使修羅に言った。
「今度は白いマントを用意しろ。そしてそれに赤い…血のように赤い十字を縫い付けろ」
「かしこまりました、郡将様。直ちに…」
と、急いで立ち去ろうとするその召使修羅をシンは呼び止めた。
「それから…俺のことを郡将と呼ぶな」
「は!ではシン様とお呼びしてよろしいでしょうか」
シンの端正な顔が振り返る。
「キング…キングと呼べ」
『イズム』
ハンはワイングラス片手に、いつもと同じくチェスに興じていた。
テーブルの反対側に座る男…准将ユダ…
「そのシンという男…カイゼルを打ち負かしたそうだ」と駒を動かす。
化粧をしていないユダの顔、左右それぞれの頬に二本の傷があった。ハンと戦う度に一本ずつ刻まれたものだ。
戦い…ハンにとってはスパーリング程度のものだが、ユダは殺気全開であった。
それでも、つい先日の五回目の戦いにおいて、ハンはユダの顔に傷を増やせなかった。
ハンはユダの才と野望を認め、命を助けた上に准将に据え、同じ城に置いた。
戦闘美食家ハンにとって、自分の命を脅かすほどの実力の持ち主は、最愛の友と言って良かった。
顔に傷を刻まれる…ユダにとって最大の屈辱。ハンはユダのナルシシズムも見抜き、あえてその顔を刻んだ。
下らない虚栄心が、このユダの拳の成長を押し止どめている。
ややタイプは違えどハンもダンディズムとナルシシズムで生きている。ユダの心情が理解できた。
それ以来ユダは虚を捨て去った。屈辱と共に捨て去った。三つ編みも結わなくなった。化粧もしなくなった。
トン…ユダがナイトを置く。
「シン…あの男なれば驚くに及ばず。かく言うこの私も、かつてあ奴に不覚を取ったことがある」
「ほう…お前がか」とそのナイトをクイーンで牽制する。
「して…奴は今何を?」とナイトをクイーンから逃がす。
「傷を癒している。治ればすぐにここに来るであろう」
「カイゼルに傷を負わされるシンと無傷で退けた貴方とでは…。それに私が知るシンでは到底貴方に及ばない」
チェス盤の上、駒の動きは早くなる。
「そう思っているようでは油断に負ける…む!」
「左様…油断は魔人を素人にさえ落とす。…チェックメイト。私の勝ちです。"初めて"の、ね」
ハンはダンディにニヤついた笑みを見せた。
ユダは席を立った。その去り際、
「しかしながら、さすがにハン様。"気"の戦いでは引き分けですな」
修羅が扉を開け、涼しい顔でユダは去って行った。
ハンは途端に肌が粟立った。
「奴め…"次"はどうなる…フフ」
一方ユダも暗がりで石柱に寄り掛かっていた。疲労の極致だった。
おもしろい!
壱さん、毎回楽しませていただいてます。
がんばってください。
445 :
壱:2007/06/22(金) 01:13:45 ID:???
どうもですm(_ _)m
446 :
マロン名無しさん:2007/06/22(金) 13:26:17 ID:5Ai6rhNk
修羅大陸でキング化してくれると、丸太サイズの蚕のエピソードを思い出して嬉しいです。
ネオキングに期待。
『その者』
シンが新しい郡将になったからとは言え、この街・郡の本質は変わらない。…戦いたいなら戦えばいい…
自分自身も戦うためにこの国に訪れたのだ。
一つだけ変わったこと、戦いを強制はしないことである。
だが、それでも修羅になることを志し、この闘技場を訪(オトナ)う者は後を絶たない。少年の姿も少なくはなかった。
シンは達観している。この世界にいる者は少なからず受け入れなければならない現実…
…強さが全て…力こそ正義…
強さ、力…形を変えて来たとは言え、いつの時代も世を支配して来たのは強さであり力なのだ。弱ければ強者に飲み込まれる。
傷が癒えればハンの元に向かう。その時は戦うことになる。ハンからの召喚の催促を断り続けていた。
セリカも人道主義を根本に持ってはいるがシンに対し救世主の役割を求めたりはしない。
この日の戦いは素手によるものだけである。幸い死人は出ていない。残酷な観客たちのテンションは低めだった。
…その男だけが異質な雰囲気を醸し出していた。若い。凍るような殺気に包まれている。
修羅A「おい、あいつ…」 B「ああ、間違いねえ」
スラリとした長身。冷た過ぎる視線ではあるが整った顔立ちをしている。それを損なうのが髪型。
後ろ髪を結い弁髪にするのは構わないが、前髪が眉の高さにキレイに揃えてある。
「次の者!お前だ!……あなたは…」
男は蔑む目を向けると無言で修羅の門を過ぎ、闘技場の中心に進んで行った。
反対側からも修羅が現れた。ゴツい男。鼻息が荒い。
ゴツい修羅「うら!来やがれ!殺してや…え?」
セリカ「あいつは!」 シンもその男の異様さに気が付く。視線が鋭くなる 「…」
騒ぎ立っていた観客たちにも静寂が訪れた。
ゴツい修羅が審判修羅に言い寄る。「待ってくれ!なんであいつだ?」 審判修羅「わ、分からん」とシンを見やる。
シンも興味を持った、この異様な男に…。顎で(構わん、やれ!)と命ずる。
審判修羅「郡しょ…キングの御命令だ!行け!」と杖でそのゴツい修羅をつつき出した。警護修羅も槍で威嚇する。
実に不運な男だった。だがこの男も相手を殺し、キングに認めてもらうべく闘技場に現れたのだ。致し方なし…
『聖酒』
ゴツい男、名を許された修羅である。
しかし、その名を知られることなく、この男の生涯は閉じる。
なぜなら目の前に立つ男は天才の呼び声高い、いや、それよりも悪名高き最強の"一般"修羅、砂蜘蛛。
ゴツい修羅の目が据わる。この目の前の男を倒さなければ先はない。…修羅の後ろに道はない…
覚悟を決め、踏み込もうとしたとき…「それでいい。恐怖に怯えた獲物を狩るのは我が流儀ではない」 「うるせえ!」
腕力に自信のあるゴツい修羅は砂蜘蛛を捕まえるべく走り寄った!
…「うるせえ!」の一言はフェイク。冷静さを失っているように思わせる狙いがあった。
だがここで重要なのは、そのフェイクが効く効かないの問題ではない。基本となる戦闘力の差だった。
砂蜘蛛はユラリと左に回り込む。何故?実力差は天と地ほどもある。シン(こいつ!)
砂蜘蛛、ゴツい修羅、そしてシン。一直線になる。
襲いかかる男!ズブ! シンにはそのゴツい男の背中しか見えない。その背中が不自然に盛り上がり、そして…
バッ!と砂蜘蛛の貫手が飛び出る。その突きは正確にシンの胸元を指していた。
審判修羅が電灯付き杖を掲げ、勝利の灯を灯す。放心していた観客が残虐な殺戮ショウに一気に騒ぎ立った。
シンの傍らに控えていた修羅が酒で満たされた杯を見せ、
「キング、偉大なる勝利者にはこの聖酒を与えるのが郡将の役割です」 「そうか…」
「この聖酒を飲むがいい」と挑発的にシンは告げた。
砂蜘蛛はフッと笑うような顔をし、足下の死体をまたぐと、かしこまる様子も見せずにシンの元に寄った。
沸き立っていた観客たちに緊張が走り、同時に期待がその腐れた胸の内を満たす。
その期待はあっさり裏切られた。砂蜘蛛はシンの前で片膝を着き、「キング、聖酒を」
シンは立ち上がり砂蜘蛛に近寄った。白いマントには"血の十字架"の紋章。
再び高まる観客たちの期待と緊張…
しかし砂蜘蛛は、慇懃にシンから聖酒を受け取ると、一度シンを見上げてから一気に飲み干した。
「見事だ…」 この言葉の意味…シンと砂蜘蛛、そしてセリカだけが真の意味を知っていた。
その戦いぶりではない。シンでさえもが砂蜘蛛にスキを見出だせなかったからだ。
補足
砂蜘蛛が聖酒を受け取ろうと伸ばした手に、胸を貫かれたあの哀れなゴツい男の血は一滴も付いていなかった。
北斗の戦いにローキックやハイキックなどの実際の格闘技の攻防を、
全面的に取り入れてる事に少し違和感を覚える
シンとカイゼルの攻防を映像化した場合凄いスピードのアクションになるのだろうが、
どうもK1あたりのスピードを想像してスケールダウンしてしまうのです
452 :
壱:2007/06/23(土) 20:17:24 ID:???
>>451 なるほどそれはおっしゃる通りですが、難しいですね…動きを文章で表現するのは。
私としては一度読んでいただき、頭の中でキャラの動きをイメージできたら、それを高速で再生してくれると助かります。
もちろん、たまには真剣による二人の剣士の緊張感と言うべきでしょうか…
勝負そのものは一撃一瞬でも、その一撃に至るまでの心理戦、駆け引きなど、そんな戦いも書いてみたいと思ってます。
個人的にやりたくないのはDB的な戦いやケンシロウ対ハンのような激し過ぎる描写です。
その辺は御容赦を。
こうやって意見していただけると参考になります。
ま、文章の稚拙さや、語彙の少なさは御勘弁を。
思い付きで書いて、その場で送信してるので推敲はしてませんし…
お前が勝手にK1あたりの想像してるだけだろ
雑音に惑わされずこれからも思うままに描いて、楽しませてください
シンは北斗の秘拳・七星点心(もどき)を使ったけど、
水影心(ケンシロウの劣化版?)の類を使える設定なの?
>>452 視点を常人にしてしまえば、全てインビジブルな内に終わってしまいます。
ですので、視点は超人視点でいいんじゃないですか?
>>456 ならお前が見本を見せてみろ
口だけで自分好みの提案するのは簡単だよな
458 :
壱:2007/06/23(土) 21:49:44 ID:???
>>454 m(_ _)m
>>454 水影心…
個人的妄想ですが私の解釈です。
先ず北斗宗家の拳があり、この宗家拳が北斗神拳や三家拳のみならず南斗元斗の大元と考えてます。
(とりあえず西斗は入れてません)
ですので、宗家拳の進化型にして究極型の北斗神拳にはあらゆる拳の要素が凝縮されている、と妄想します。
ですので北斗神拳には南斗聖拳も元斗皇拳も始めから含まれていて、
要は南斗も元斗も北斗宗家拳のある種の能力に特化した流派であると捕らえています。
ですので北斗神拳伝承者は既に゚理゚、゚こつ゚を得ているわけです。
なので後は実際にその流派(南斗にしろ元斗にしろ)と戦えば簡単に理解してしまうわけです。
さてシンですが、彼も"理"を身につけているので、ある程度のパクリはできる設定です。
シンのみならず、レイもユダもサウザーもファルコもパクリはできる設定です。
何故なら彼らは究極の"理"や"気"の扱いができるからです。
できないもの…それが秘孔の術です。これは知識として継承しないと無理かなと…
あと、シュレンの火炎術ですね。体内の燐を使うって…。ですのでシュレンの火炎術の理屈に関しては妄天では触れないようにしました。
ま、元斗にしては原作ではっきりと二千年(千八百年と同意?)の歴史と言ってますが、これも北斗宗家からの分派と考えています。
南斗聖拳ですが誰かのパクリではなく私の意見です。
南斗のルーツは神拳の伝承者争いに負けたものが打倒神拳を目指して編纂した拳、と考えています。
北斗宗家拳の歴史の長さは謎ですが…
460 :
マロン名無しさん:2007/06/24(日) 10:14:10 ID:IR2gyDfr
>>447 テクタイトの指輪やテクヘッドの杖で闘気や治癒系の気を増幅する琉拳系でやや元斗化してるの(FF10-1のユウナみたいなん)と、
1500年前に北斗神拳伝承者が統合した水影心拳の隠れ伝承者(性病や慢性疾患の若い弊衣女)とを考案してますが小説になってません。
弊衣女についてはスウェイバック(近代ボクシング)とチャチャ(現代エアロビクス)のコンボでハンと互角に手刀でチャンバラをするとか考えてます。そのラストは「拳盗謝断」&逃亡を予定。
いずれも、三次創作ではなく原作からの二次創作です。アニメ版のサザンクロス編がかなり面白いのですが、再放送で1度2度観たきりなのでイメージも、そして細部の記憶も乏しいんですよね。
1さん頑張って、というのはハゲドウ。羅聖殿や女人像がどうなるのかは気になりますよね。
聖極輪とか柄杓型の胴穿ち(バウケンの説)みたいな感じで詞宝林もシンが伝承しているのか、
カイオウが斃れて女人像も手付かずで次代に継承され行くのか。
ほんと、商業誌を作ってる巷間の編集者か何かの集団に比べても、僕ら純粋なファンたちの創る話はひけをとりませんよ。
貴方も創作ばなさいませ。楽しいですよ。忙しくなると、設定をメモるだけで得心いくようになってきますが、それも妙味。
外野うるさすぎ
意見や煽りは貰った人以外は流せよ
>>461 自分が○ねと言われる心当たりがあるんだろ
『(時間短縮)』
キング(郡将)の間、長いテーブルの両端にシンと砂蜘蛛。食事。召使修羅たち。
シンに打ち明ける砂蜘蛛の目的…この国の転覆。その理由…目の前に壊すべきものがあるなら壊すのみ。
この国は三羅将の均衡した実力のため動きがない。そこへシンが現れた。この波に乗らない手はない。
シンと手を組みたい。三羅将を倒すため。正義のため、弱者のためではない。ただそこに壊すべきものがあるなら壊すのみ。
羅将ハンがユダという強力な准将を得ることによりバランスは崩れ始めた。
北斗劉家拳に南斗紅鶴拳…最強勢力?
シンは尋ねる。残り二人の羅将とは? 女好きの色魔天タイユェン…北斗曹家拳。
そして建国者…魔王カイオウ。北斗琉拳〔妄天設定:劉家拳の究極、魔闘気に達したことにより自ら新流派琉拳を名乗る〕
さらに…三羅将とは別に修羅国の辺境に組織を構える北斗孫家門の死神レイオウ。
いくらあんたが強いと言っても一人では勝ち進めない。俺を仲間にした方がいい。
砂蜘蛛「だが言っておく、羅将を滅ぼした後は…」
「…いいだろう」
『旧交』
「これに乗れと言うのか?」
これと比べればサウザーの玉座バイクも原付に見える。玉座付きの装甲車と言ったところか…
左右の前輪の前には座席があり、そこに凄腕で知られる兄弟、殺(シャー)と斬(ザン)が乗り込むことになっている。
…ハンの召喚に応じる時が来た。初顔合わせにして戦いの時である。
ハンの居城は、さほど遠いわけではなかった。
さすがに御供の修羅たちには疲れた様子が見えるが、一人平然としている男がいる。もちろん砂蜘蛛である。
シンの隣のセリカ…その目は鋭い。義兄であり片思いの相手、シンがついに羅将と拳を交える………
「セリカ…お前の殺気が刺さる」 「え!」 「…ここで負けるなら、それだけの話だ」
シンは優しかった。セリカだけに見せる顔… もしシンの身が危なくなれば……
ハンの居城が、その壮麗な姿を見せ始めた。
門が開く…そこに立っていた男。以前とは様子が激変していた。
化粧もしていない。紅い服は変わらないが、余計な装飾品を付けていない。頬の傷。長い髪はただ後ろに束ねているだけ。
何より目が違う。あれほど分厚く着込んでいた虚栄心をキレイに脱ぎ捨てている。かつてのユダではない。
先に口を開いたのはユダ。「まさか"ここ"で会うことになるとは…」
「ユダ」とシンは座したまま話す。脚は組んでいない。サウザーの真似とは思われたくなかった。
「貴様が"ここ"に来たのは何故だ?」
ユダはニヒルに笑って、「"向こう"はサウザーが支配した。ならば俺はこの国をわが物にし、対抗しようとしたわけだ…」
「なるほど…」 事情を察した。北斗三家拳、孟古流に元斗亜流…。この国にも強者は存在していた…
「で…」シンの目が鋭さを増す。「俺の前に立つということは…」
「いや、旧交を温めようとしただけだ」と、またニヒルな笑みを見せる。
「来い。案内しよう。羅将ハンの元に。…供の者は別室に控えてもらうことになるが…」
「この二人は連れて行きたい」と、セリカと砂蜘蛛の二人を目で示す。
「俺のボディガードと…」 下らないジョークに砂蜘蛛が冷たく笑う。
「俺のオンナだ」 「……!…え?」 激しい動揺を抑えるセリカ。うまく抑えられなかった。
1さんの作品内では、郡将と准将の関係はどちらが格上なの?
,,、ー '""~~~~~~~ ~'''-、
,-'".. /' レ " //<< い あ 困 さ
な 大 .き / ::::: /ri'ノii " (~ヽr''') .う っ っ っ
ん 事 み. / ::::::: r"ツ人ン ヽ,/ .と. た た. 続
だ な た / ,,,、、、、;;;;ij,//~ 彡,,、-- 、, い .ら こ け
労 ち r"r'"::、、、 '""ヽツ" ,,、 い と な
働 は. rニti 、,,,ー'''''ヽツ(,,--、 'tr''ニ"ニ彡 な が さ
力 リ, '  ̄~)::)r" ミ":::'" ん い
// ;;ッ''"(,」⌒'',"~'' ,,:::::、、、, で
r'ii r"/,、 ヽ-z⌒",, ヽヽ'~ も
A tii `/;;"ヽ`'=zz三zz'7" 't;;|i
r"ヽ ,,、 /:::::| i |;i ii,,ゝ、_,、-''" ,ii |;;i ii
. | ヽi;::ヽ /::::::::| t i;| ~'' 、,,""",、-''" jリ ii'-、
. t ヽ;:ヽ,,,,,,、、-'ーz=-t、r"t i|, ~~~ ノ/ ノ ~' 、
ヽ、,, ~' 、 ::::''";;;/~''i", ヽ;;; j |ii ,,,iij| / ,、 ' ~'''''ー 、ー< ̄~
ーー ゝ、-― ~''ー"、,' | iii ヽ、;;; t、wwwwwwiij"" " '" ~'i::'i
,r ヽ、,,,、-' i| ヽi||;ii ~' 、iiiiii、、,,,、、jjiiiii}iiiiii从ii ,、-''" |:::|
ー 、、,,,,z'' ,,、 '" Aヽ、 |t~' 、;;;;;; ~'''ーー------ー'''" ,,、-''" i::::i:::::
468 :
壱:2007/06/25(月) 01:06:41 ID:???
>>466 私的には、
郡将=准将です。
その人間のタイプや野望で立場変わる、みたいに考えました。
>>467 ハ、ハート様…
>>468 地方の長官と中央の次官みたいなもんですか?
470 :
マロン名無しさん:2007/06/25(月) 11:58:29 ID:QKkLp1Um
北斗孫家門の霊王ですが、冥王せつな以下数名を付き人にしていたりはしないんでしょうね・・・。いやさいってみただけですけぇ・・・・・・。
昔から、北斗戦で星に関連が多いという点で幾度かネタにされてきたコラボだと思います。ほんとに言ってみただけです。
何らかの理由で降格の相次いだプルートが追い詰められた感じで杖攻撃を繰り出してくる。それと、本日は現代北斗のネタを三次創作しました。
お気に召さなければどしどしご指摘くださいませ。
弊衣女VSハン戦にチャチャは過去レスでいう「超人の視点」の世界の中でのものとはいえ、よく考えるとさすがにあれかな、と思っておりますw
>>467 掃除しているように見えて実は机はもちろん、肘掛などあらゆるところにモヒカンの割ったグラスの残骸を配置。
そして部屋の隅でワクテカする家政婦。
471 :
マロン名無しさん:2007/06/25(月) 12:08:50 ID:QKkLp1Um
『(高校格闘伝)』
昼下がりのファミレス、明らかに本来は2人用ではないテーブルの両端に晋二郎と石井。食事。空いている店内。
晋二郎に打ち明ける石井の目的…この界隈の不良高校生たちを牛耳る事。その理由…目の前に壊すべきものがあるなら壊すのみ。
この市は三横の均衡した実力のため動きがない。そこへ二等航海士の子・渚晋二郎が現れた。この波に乗らない手はない。
晋二郎と手を組みたい。三羅将を倒すため。正義のため、弱い奴らのためではない。ただそこに壊すべきものがあるなら壊すのみ。
飯田が小早川という強力な舎弟を得ることによりバランスは崩れ始めた。
空手〔敢えて流派やスタイル、ルールなんかは指定せず空手とだけ表記するのがポイント〕に硬式野球…最強勢力?
晋二郎は尋ねる。残り二人の羅将とは? 女好きの色魔天・泰三…ボクシング〔敢えてどのアマチュア規定かは指定せず種目名だけ表記するのがポイント〕。
そして教護院を出て来た…魔王海山。柔道。
さらに…三羅将とは別に郡部(市のはずれ)でグループを束ねる剣道の寺畑。
いくらあんたが強いと言っても一人では勝ち進めない。俺を仲間にした方がいい。
ムエタイの石井「だが言っておく、羅将を滅ぼした後は…」
「…いいだろう」
〔高校生らしいスポーツをチョイスするのがポイント〕
ゴミクズは消えてね。
473 :
マロン名無しさん:2007/06/25(月) 17:20:14 ID:I1TF4zd7
「もうマスクド修羅では相手にならぬか」。機械的な音声。樹木のところの積み石にマット状の物を敷いて腰掛けているユリアが顔を上げる。
かつてシェルターに於いて宅○守の本懐の一つだったことを成し遂げた細い左腕の手刀から、伝衝烈波を軽く放つ。放つというか、一陣の風の如く涼やかに舞わせる感じだ。
羅将ハンの覆面が裂け、装飾品らしき紙銭が何枚も舞い散る。現れたのは、ハンの侍女。地には、10年ぐらい前によくオモチャ屋で見かけた2千円ぐらいのボイスチェンジャーがカコンと落ちて、転がる。
「主人は相次ぐ二次創作で南斗将を応対しまくり、今朝方遂に倒れました」。そういえば「2ちゃんねる」で強化版ユダが連荘してた奴ってハンだった・・・。
この後、ユリアは「生きていたのシャチ!?」などと驚きながら、色々戦う。まぁ、同人誌といわずどこといわず娼妓化してる牝キャラどもに比べたら、やりがいのある存在だと思う。
名作「北斗の拳」は、他のジャンプ作品ともども、たぶん永久に不滅だ。今日も南斗の将は斗う。
※原作のシェルターの場面ですが、新世界で生きられない者を前近代の奥義で大量安楽処分するという選択肢を選べなかった時点で香ばしい感じがします。まるで三馬鹿。
ユリリン復活が無かったら登場する予定だった顔無しマッチョ将のアンソロジーもいつか創りたいところです。そういえば無病息災トキをメイデンさんが鋭意創作中でしたね。
『やりとり』
ハン…その男は壮大な荒野を背景にビリヤードをしていた。
ユダ「ハン様…郡将のキングことシンをお連れしました」
シンには以外だった。サウザーにさえ恭順の意思を示さなかったユダの、ハンに対する態度がだ。
ユダはそのシンの視線の意味に気付いたが、僅かに口元を上げただけだった。
シンは無言で玉撞きに興じるハンに寄って行った。
砂蜘蛛は無表情で脱力しながらも南斗紅鶴拳のユダの実力を探ろうとしている。
殺気ではなく"察気"の応酬。ユダも無表情、無防備に見せて砂蜘蛛の力を測る。
セリカの頭の中は、先のシンの発言が頭を巡っていた。(単に妹と紹介するよりもオンナと言った方が都合がいいから…?)
シンほどの男であれば女はどこでも手に入れることはできる。しかし妹となれば話が長くなるかも知れない。
この緊迫した状況にあってもシンへの思いを制御できない…。
セリカは自分が"女"であることを自覚した。女を棄てていたわけではないが、強く思い知らされていた。
とは言え、彼女も南斗孤鷲拳の使い手。背後の修羅たちの動向から注意を外していない。ユダたちのやりとりにも気付いている。
ハンは自己紹介もせず、シンが何かを言い出すのも待たずに、落ち着きのある声で、
「ビリヤードはやったことはあるか?」
カッ! ガコッ…勢いよく白の手玉を撞き、Aがコーナーポケットに沈んだ。
「いや…」 「これがなかなかに面白い。特にこのナインボールがな」
トン… 優しくBを落とす。手玉にかけられた弱い回転。手玉がCを落としやすいポイントに止まる。
と、そこでハンはキューを台の上に置くと初めてシンを見た。
「何番を落としても結局Hを入れれば勝ち…。そうではない。@からGは、Hを落とすための権利を確保するための手段。
相手に主導権を与えてはいけない。…もしミスを犯せば、それだけで相手にHを、勝負を取られかねない。
上級者同士ならワンミスも許されない。…しかし、いくら気を張っても偶然という要素が勝負の流ればかりか、
勝負そのものを決めることもある。命のやりとりに似ているとは思わんか?」
シンは台の上のHを手に取り、一気に握りつぶした。
「玉撞きに来たわけではない」
『挨拶がわり』
パラパラとシンの手から粉々になった破片が落ちる。
ハンはクールだった。フッとダンディな笑みを見せる。
「シンよ…。遊びを知らないようでは息も詰まろう」とキューを二つに分け、ケースにしまい始めた。
遊び…ハンの遊びには必ず戦いに通じる部分がある。逆に言えば何が戦いに役立つか分からない。
様々な分野に手を伸ばすことで、ハンはそれらから多くのインスピレーションを受けている。
全ては魔王カイオウを倒すため…
「だがこの世で最も楽しい遊びは… シンよ、何だ?」 ハンの問い。答えは分かっているが、「…」
「フフ…命のやりとり。これ以上の遊びは知らぬ」とハンは"気"で重い鉄扉を開いた。
広い…かつての野球場くらいの広さ。四方の獅子や龍の巨大な石像が闘技場を見下ろしている。
石の床は姿が反射するほど磨かれているが、グリップは最高である。
修羅たちが恐る恐る集まり始めている。ハンは修羅たちが"見学"することを咎めない。
自分の拳を見られるということは、自分の癖や、あるいは戦法、悪ければ弱点を知られることでもある。
もっとも…この城でハンの拳が"見える"のはユダだけである。
「さあ!南斗聖拳よ、この羅将ハンを楽しませてみよ!我が北斗劉家拳を打ち負かしてみよ!」
シンは構えた。両腕をハンに向ける構え。右腕が上、脚は右が前。
ハンは構えない。構えないことの意味…。攻撃主体!「ただし…出来るならな!」
ギュン! 「!」 いきなりのハンの突進から無数の連打!それを迎え撃つはシンの"千の手"!
バババババババ!…バシ! 二人の身体が弾け合い、数mの距離が出来た。
ハンは心底楽しそうに、「ほう…連射速度はユダよりも速いか。それに我が疾風の拳…見えているようだ」
と、その時ピキキ…バカ!とハンの右の肩当てが砕けた。
肩当てはその漆黒のマントも固定していたため、マントがだらしなく垂れ落ちた。
「フフ…」とハンは左の肩当てを外しマントを放り投げた。召使修羅が素早くその落ちたマントを回収する。
「やるな…ところでシンよ。お前の肩当てはどうした?」
パカ…ガランガラン…シンの両肩のプロテクターが地に落ちた…
北斗流拳+孫家拳の狂気=魔闘気
北斗神拳+孫家拳の闘気術=天破活殺
全ての闘気系の奥義は孫家拳に行き着く
477 :
マロン名無しさん:2007/06/25(月) 22:08:27 ID:oW+lGF17
描きたくないと言っていた対ハン戦が始まってしまいましたね、
原作のような派手な戦いになるのか、リアルな渋い戦いになるのか、
勝敗ともどもワクワクしながら読ませてもらいます。
480 :
壱:2007/06/26(火) 21:14:19 ID:???
>>4790 m(_ _)m
ハン戦が書きたくないというよりも、
岩が飛んだりバックドロップで石の床が砕けたりする行き過ぎた描写が嫌なんです。
『高』
足下には割れ落ちた両肩の防具…
「…」
ハンの高らかな笑い声。闘技場の高い壁に微かながら反響するが、まだ昼過ぎの高い空に溶け込んで行く。
楽しくて仕方がない… そんな様子のハン。冷酷さを伝える目に子供のような好奇心が輝く。
「我が拳は疾風。それが疾火煌陣!我が拳は北斗劉家拳を超えている」
「疾風の拳か…。だが貴様も俺の千の手を見切ってはいまい」
「そうではない。我が見切りは完全無欠。防具など飾り、肉体ではない。この身体に触れること誰も叶わず!」
メラメラとシンの闘志が燃え上がる。挑発に弱い。…が、高ぶる感情はシンの能力を研ぎ澄ます。
「面白い!俺の拳も既に我が流派南斗孤鷲拳を凌駕している!」
シンが飛び込む!虚実交えた鋭い突きの連射。だがハンは物理を超えたかのような動きを見せる。
シンの突進を跳躍して躱した直後、一瞬にして頭上からシンの背後に回る!
跳躍の速さからして高く空(クウ)に舞う筈だが、それが自分の背後に回り込まれた。
予想外の瞬間移動と反撃。必殺の秘孔〔妄天設定 破孔は忘れて下さい〕を外したのは未完成ながらシンの無想陰殺。
秘孔は外したが、ハンの強烈な打撃がシンをヒット!
ズキャキャキャ…キュキュ! グリップの良い石床がシンの後退を止める。
ダメージは少ない。逆にシンの闘志がさらに熱くなる。
シンは破れた服を引き千切り、気障(キザ)な仕草で投げ捨てた。胸には十字型の傷、背には鷲の刺青…
「なるほど…今の間合いで秘孔を外すとは。ユダはそれで勝負が決したがな」
「華麗に秘孔を極(キ)める…。キレイに戦おうとし過ぎたな。南斗聖拳なら今の間合いを見逃さない」
シンの胸、ハンに撃たれた部位が凹んでいる。「おお!」と力むシン。バン!とシンの胸は元通りになった。
「浅いぜ…そんな拳じゃ雀も殺せねえな!」
シンへの好奇と殺意、そして友愛に似た感情。「ヌハハ!ならば一気にケリをつけよう!北斗劉家拳、斬風燕破!!」
やっぱり、1さんのシンはかっこよいな
最高
『ハン覚醒』
シンの雀発言に応えた名実共に揃った疾風の一撃!
シンの胸に触れた瞬間!ハンの突きが止められた!ハンの右手首を掴み、そのままねじ上げる。
シンの左拳、そしてハンの左拳は互いに相手のスキを狙い牽制し合う。
「貴様…我が身体に触れるとは…」 ギリ…ギリリ…
「むん!」 ハンが強引に右腕を振りほどく。
!!
ハンの疾風の拳とシンの千手龍撃が撃ち合う!
ドドド!! ハンの身体に龍の牙が食い込む!
「グウ!…馬鹿な!この羅将ハンの身体に突きを当てるなど…!」
シンのテンションは上がりまくりである。
「遊ぶな!上等なワインの飲み過ぎで拳が鈍(ナマ)ってるんじゃねえか?」
と右掌を上に向けて、ハンに伸ばし、クイックイッと指を曲げ挑発する。
「な!」 逆上しそうな感情を制御する。羅将ハン…こんな態度を取られたのは劉家拳を極めて以来記憶にない。
「初めて見たわ…フフ…高ぶり、冷静さを失った方が切れを増す。そんな男はな」
ハンの傷は浅い。だがあと僅かで命に届く突きだった。
「俺が知ってる北斗の男の拳はその程度ではない。それではそよ風だ」
これにはさすがのハンも参った。怒るのではなく、自分の慢心を思い知らされた。
劉家拳を極め、この修羅の国で羅将となり、強敵のいない退屈の中を過ごしていた。
カイオウたちを倒すための修行と称し"遊び"に勤(イソ)しんでいた日々を笑った。
命のやりとり…それもただ、相手の命を弄ぶだけのものだった。
「フッフフ…」とやや下を向き、目を閉じたまま、ダンディにニヤけて首を左右に振る。
「お前が言う北斗の男とは…ケンシロウか?ラオウか?トキか?」
「知っているのか?」 シンの鷲の様に鋭い目。殺気に燃え立っている。
「北斗神拳に伝承者なきとき、劉家拳より、これを出す。あいにく、まだやり合ってはいないがな」
ハンは口髭を撫でた。…虚を捨てた。目付きが変わる。鋭い殺気は同じでも眼光に濁りが無くなっている。
「"遊びはこれまで"…というやつだ。行くぞ北斗神拳と並び称される拳!南斗聖拳よ!」
ハンは低く構えた。
シン「来な。北斗神拳打倒は俺の悲願…南斗の悲願。お互いこんな所じゃ躓けない!」
484 :
壱:2007/06/26(火) 22:46:52 ID:???
『書こうと思ったけどやめたシンの冗談』
ハン「貴様が知っている北斗の男とはケンシロウか?ラオウか?トキか?」
「ジャギだ」
「ジャギ?」
「いや…なんでもない…」
>>482 m(_ _)m
>>484 というか、シンほどの男がジャギごときに馴れ馴れしくされて殺さなかったのは奇跡。
486 :
マロン名無しさん:2007/06/27(水) 10:34:44 ID:IEnSZjpy
>>485 それがあいつのスタイル。伝承者候補という最終段階に残ってて頭脳面は優秀、
更にあの性格は高度な対人交渉能力と引き換えに何かを失ったブルーカラーサイコパス。
しかも六聖分解はユダが後押ししてたみたいだし、将の一角を落とすのは充分可能な感じ。
【イリア伝】
大地を離れること20光年の星。その惑星は、イリアが誕生するよりずっと以前に発見されていた。その星は、イリアが来るのを待っていたのだ。
元斗暦2092年。西暦では2088年だ。その星に、カームベルトやダークマターを、なんと原料にして肥大しつつやって来た艦船が接近する。
その碧い星でも一番大きな海洋部分より、まだ大きい。1光秒あまりの位置を徐行し、重力を掴む。巧く軌道に乗る。
艦船の者は皆、地球帰還まで6年も無いこと、眼前の開拓地が希望と栄光に溢れていることでいつにもまして士気が高かった。
観測用の人工衛星を展開し、艦船専属スタッフを除く全員が揚陸艇に分乗して、その星に降り立った。いいことずくめ。
ラフな格好で野外に出て携帯用のテーブルを囲んでいたときに、それをイリアは聞いた。そいつの故国では「性感群」などと称される不評な、この星間軍。
空軍出身のガリが「この星、地球を追尾でもしてるのか」。ゆとり世代にはわからないだろうが、恒星もまた常に高速で移動しているのだ。
487 :
マロン名無しさん:2007/06/27(水) 10:41:55 ID:IEnSZjpy
その星は、20万年前ぐらいに地球が居たところのかなり近くに位置する。素の知力から艦船との通信まで、情報のリソースは半無限。
未知のダークマターや、量子系ワームホールの発見の可能性に沸き立つ人類。2年間、艦船と共にあった地球からの光が、遂に途絶える。
地球の姿、地球からの電波だけが。戦史がオール1級だったガリの好きなファンクラスも長久小牧も、遠い先のことになったみたいだ。
@北斗の拳と遠未来SFのコラボ、いかがでしたでしょうか。今回のイリアは、前出のイリアのシンクロニシティ存在です。
南斗無音拳の使い手にしようかと思いましたが、具体的な冒険の構想は無いので見送りました。いきなり神話時代の到来となるわけですが。
秘拳も科学で説明がつけられてて、量子空手とかダークマターボクシングの使い手との戦いも考えていましたが、なんか些末になりそうなのでやめました。
488 :
マロン名無しさん:2007/06/27(水) 10:45:48 ID:IEnSZjpy
【イリアV】
帝都で、戦後初の観測気球が揚がった。ヘリウムガスとゴム風船が大小数十個。檜製の風呂桶、いわゆる「ひのきのおけ」。
酸素ボンベや非常食兼重石の蒸留酒、シェルター物の食料や水溜まで積載して、イリアが1人、搭乗する。
北斗の軍の動向を正確に把握すること及び拳王の脂肪確認が、その任務。いうまでもなく、ジャコウの狂気が指示した、壮大な戯れ。
イリアは良い風を捕え、東の空を飛行し始めた。好調だ。ジャスクの督戦隊も、墜落予想地点の隣の市都にさえイリア堕天の痕跡が観られないことから、
偵察システムの大成功を喜んだ。だが、次の週にはようやくイリアロストの悲報に変わるのである。
イリアは出発した日のうちに北東に流れ、そしてかつて海洋だった滅びた大地が遠い眼下を埋め尽くしていて絶望し、または雲海の中を彼岸への回廊だとばかりに
眺めつつ、ただ、生きる。そして食料の底が見え始め、雨の味を甘露に想うようになって来た頃、眼下に白い部分ができ始めた。
489 :
マロン名無しさん:2007/06/27(水) 10:49:10 ID:IEnSZjpy
干上がった海洋は上空の気流の有り様を戦前とは異なるものにしていて、イリアを旧キスカ島から更に奥地、現北米西海岸から数十kmの内陸に届けた。
地に幾何学的な模様を刻みながら、やや膝を曲げて着地。そして、檜の匂いが弾ける機体の破片を闘気で防ぎきる。
それからのイリアは、アメリカ中西部の再生産短銃が主流の地方のファストドロウやタリバン級の精強さにびびったり、シェルター群や南米系のカルトと戦ったり、
いろんな人と共に進んだり、そんなに長くないながらも濃密で涼やかなセカンドライフを送ります。【完】
@このイリアは、前出のイリアが巫女になる前に核戦争が起きたという別設定です。今回は思い切って荒野物と近代文明VS元斗皇拳の大協演でしたが、ラピュタ編も創りたいところです。
いいから、別のスレでやれ。
ほんと出てかないなぁ。
こんだけ嫌がられてるのを自覚してる筈なのに居座るとは
触れられるのが嬉しいんだろうな。基地外だな。
徹底放置がベストですね。皆さん。
壱さんがやんわり忠告してくれたのも完全無視かよ
こりゃ完全に気が狂ってるな
『相性』
北斗と南斗の戦いは噛み合わない…
北斗対北斗であれば秘孔を躱しながらの撃ち合いができる。
南斗対南斗であれば、とにかく被弾を避けるため、ヒットアンドアウェイの攻防になりやすい。
噛み合わない… しかしこれも見方によるだろう。
言えることは、このシンとハンの戦闘は北斗対南斗の本質的な能力を伝えるものとなっている。
…一撃必殺…
派手な撃ち合いではない。両者互いのスキを探り合うも手が出せない。下手を打てば、そのワンミスで勝負が着く。
まさに、先にハンが述べた、上級者同士によるナインボールと同じである。
静まり返る闘技場。実力ではこの二人に遥かに及ばないが、流石に修羅たちである。二人が動けない理由を察していた。
シンはこういう類の戦いを好まない。先ずは間合いを外し、それから一気に勝負に出る…つもりだった。
ハンが狙っていたのはまさにこの瞬間。シンが距離を置くべく、スッと下がった時、ハンが神速で仕掛けた!
サウザーの拳を知っていなければ殺られていた。ハンの速さはサウザーに並ぶほど迅い!
しかし咄嗟のシンの反応も、下がった瞬間では分が悪い。今のハンの闘気は南斗聖拳"陽"の気に近い…秘孔を狙っていない。
ハンの猛攻!数より一撃一撃の速さでシンを撃つ。直線的ながら最短距離。速さに加えてその拳に込められた力!
外に受け流すこともままならない。ならば!…ハンの間合いはシンの間合い。防御を捨て反撃に移るシン。
やっとシンのバックステップした一歩が着地!同時に石床が砕け、シンの靴底が焼け擦れる。
シンが前に出るべくハンに抗力したからだ。
シンとハンの身体がぶつかりあうこともなければ、その拳がヒットすることもない。
ほんの一瞬ながら激しい攻防。セリカにさえ見えてはいない。他の修羅たちは言うまでもない。
見えているのは本人たちの他二人だけ。ユダと砂蜘蛛。見えてはいても自分に対処できるかを考える。
…前向きな思考は出て来なかった。はっきり分かることは、もしこいつらと戦う時、
正面から撃ち合うなら、それは自殺行為であるということだ。
また二人の身体が弾け合い数mの距離が空いた。驚くべきことに、互いに二人は"噛み合って"いた。
セリカが殺されて、シンが魔界に入ると予想。
『目的』
あれほどの撃ち合いを見せながら…ほとんどの"観客"には見えていないが、二人には傷が少ない。
代わりに、ではないが…二人が立つ闘技場の石床は刻まれ砕けている。
「ハン!感じるぞ。実感だ。我が拳格、確かに上がっている!一年前の俺なら既に死んでいる」
シンの闘気が鋭く熱く燃え立つ。
意外な言葉がハンの口から吐き出された。
「シンよ…」 「何だ!?」 シンのテンションは下がる気配さえない。
「分けぬか?この勝負」 「何?…何故だ!」
ハンの闘気が終息を始めた。ここをシンに攻められてはひとたまりもない。…シンがそうしないのは理解しているが。
「貴様が目的を持ってこの地を訪れたように、俺にも目的がある。我らの拳は互角、戦い続ければ勝者なし」
シンは高ぶったままだが、既に戦意を無くしたハンに襲いかかることは出来なかった。
「目的とは?」とシンがイラつきながら問うた。
ハンは鼻から軽く息を吐くと思案に更けるような顔を見せる。
シン「ただ強き者と戦い、散ること…それが拳法家として貴様が望むことではないか?」
「拳法家…か。それは間違いがないが…我が目的は復讐だ」とシンを見つめ返した。「復讐…」
「この国の在り方に不満はない。いや、十分に満足している」
ハンの話すトーンが変わる。「この国を平和の元に統治しようとした男がいる」 「…」
「我が同門にして無二の友、羅将ヒョウ。奴がこの修羅の国を滅ぼし、それが俺自身の滅びを意味しても一向に構わなかった」
シンはあきれた様な顔をハンに向けたが、それはわざと作った表情。
シン「それで?長くなるのか?その話は」
今のハンには僅かな虚さえ見つけることが出来ない。
「ここは死合いの場だ。話すにはもっと相応しい場所があろう。相応しい姿もな」
シン自身もハンが語る"復讐"に興味を持っていた。
シンは背を向けるとハンの元から去って行った。セリカがその後を追う。
ハンは清々しい思いで天を見上げた。全力を出したのはいつ以来か…
召使修羅たちが忙しく動き始めた。
戦いが終わったとは言わない。一時の休戦である。
ハンは闘技場から出て行くシンの背中を遠く見つめ、
「奴もダンディズムを心得ている」
496 :
マロン名無しさん:2007/06/30(土) 18:23:57 ID:i/pa8WLL
現代琉拳とか現代蒼天ってないかな。サクラなし、紫外線照射装置(現代の実在の品)なしで市販品のスプーンもフォークもひん曲げるエンターティナーが出現。
タネが本当に無いのを明確に区別できるプロ連中だけが、孫家拳にびびったり幼き日に欲した魔法の力への憧憬を呼び覚ましたりして冒険を開始する。
バウケンは、専用スレ立てて、そっちに引っ越したら?
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ミ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;[ ̄ ::::::::/ 〉''"::::: ::r'''::::: ̄
ヽ;rー'''''""";;t''''''""""i、|:::r"~ヽ:: :ヽ;;;ノ
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|ヽノ,,,__~,__ヽ ̄ :::(,i==ー ''''"ii,,,,,、-'~ヽ
,,、rri-リ'=、;;((、|',''''""(i;{ ii、;;;"''";;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
ヽ;;;〈'i;;;;;;;;;;;;;~'-、ーz'''':::::::::::::-ー''二;;、、""::
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ヽ;;;| :::::''""::::i | リ ,,、、}:::::''"":::::;;;;;;;;;::::
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ミ;;;t ::::'"~,,,ー '''",,, :::::::
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『その後』
シンは羅将ハンとの"休戦協定"を結び自分の居城に一時引き上げた…
深い傷を負ってはいないが、限界点での戦闘による肉体の損傷や疲労、そして脳にかかる負担。
シンには休息が必要だった。
羅将と互角に勝負したという事実。シンにも羅将を名乗る資格がある。
もちろん彼は、自らを羅将とは称さない。彼は"キング"なのだ。
ハンの言葉を思い出す…
「我が友ヒョウの仇、カイオウを倒すのが我が悲願。…仇討ちだけが目的とは言わぬ。カイオウは強い!」
「勝てるのか?」の問いにハンは答えず、代わりに言った。
「俺とお前の拳力は五分五分だが、お前はカイオウには勝てん」 「……では俺と互角のお前は勝てるというか?」
美しい星空、輝く北斗七星。ハンはクイッと赤ワインを飲み干した。
「カイオウには秘術がある。それが奴を魔王と言わしめる所以(ゆえん)。北斗劉家拳禁断の領域…。
それゆえカイオウは自が拳を北斗琉拳と呼んだ」
ハンは続いて"琉"の字と意味を説明した。琉拳…リュウケン…若き日のシンが敗北した相手。軽いトラウマ。
「だが、奴の拳は光り輝いてなどはいない」
ハンはクールに付け加えた。どこまでも、死ね時さえダンディズムを貫くに違いない。
「カイオウ…奴の拳は暗黒の憎悪。北斗の拳を極めた者が究極の悪に墜ちた。カイオウは絶対悪。
その秘術を知らないお前では確実に負ける。何もできずにな。100パーセントだ」
秘術…秘拳とは言わないことが気にかかる。
ハンの城を去る時、ユダが見送りに来た。嘘みたいな光景だった。
「ユダ…貴様の企み、見えた。魔王カイオウにハンを当て、共倒れさせる。そして貴様がこの国の王に成り代わるか?」
ユダは何も語らず微笑した。懐古的な笑み。装いと顔の疵(キズ)だけじゃない。昔のユダとは明らかに違っていた。
「シン兄(ニイ)」 「どうした?セリカ」
俺のオンナ発言…。自分に向ける優しい顔に動揺しそうになる。一瞬で気を取り直す。
「砂蜘蛛が消えたわ」
元々何かを画策している男だ。驚くことではなかった。
あの男の行動規範…そこに壊すべきものがあるから壊す。嫌いではない。
「いいさ。好きにさせる」
どこまでも優しい顔だった。
『魔王』
魔境…そう呼びたくなるような不気味で険しい渓谷に囲まれた一帯がある。
人はおろか獣さえも寄り付かない様な(獣はいる)その魔境の中心には、高く突き出た断崖がある。
そこに城が断っていた。城と言っても塔に近い形状で総石造りの巨大建造物だ。
古い、それこそ何かの遺跡の様だが、"新世界"になってから造られたものである。
城主に相応しい迫力と禍々しさを醸し出していた。
砂蜘蛛はカイオウの部屋に向かっていた。
石造りの城…。この辺にも地震は起こる。
また天変地異のようなことがあれば…、そこまで行かずとも大地震があった時、この城は保つのだろうか。
もっとも、仮にこの城が崩れ落ちることになっても、この城の主、魔王カイオウが死ぬことはないだろう。
自分の拳技に自信を持ち恐れる物などほとんどないと言っていい砂蜘蛛であるが、カイオウと会う時だけは冷たい汗をかく。
カイオウの部屋の前に来た。鉄扉の下から煙のようなものが漏れ出て見える。
扉の両脇にいる、頭髪をきれいに剃り上げた修羅たちが砂蜘蛛の訪れを告げ、
それから魔界の蓋を開くかのように恐る恐る扉を開ける。魔界の扉…、比喩とも言えない。
ツツーと砂蜘蛛の額から頬を嫌な汗が流れて行った。
片膝と片手を石床に着く。その床面を奇妙な模様が躍動している。魔王の影…。
「お久しゅうございます。砂蜘蛛、報告に上がりました」
暗い部屋だ。蝋燭の光りも頼りなく揺れている。赤黒く燃えるような"気"に包まれた暗黒の鎧姿。
「「貴様は、どこへ行っていたのだ」」
カイオウの第一声。砂蜘蛛の首筋が、脇腹が、太股が粟立つ。いつもこうだ。分かっていても鳥肌が立つのを抑えられない。
人間が生理的に拒否する音声なのであろう。地獄の底から響いて来るようだ。幾つかの声を合成したように聞こえる。
部屋の造りのせいではない。
「御命令の通りこの国をあまねく巡り、真の猛者たちの動向や力を探って参りました」
「「北の辺境、孫家門の地へは行っていまい」」
「は…確かに。あの地は、この修羅国の中でもより排他性が強く、そう安々とは…」
「「良い」」 ボボボ…とカイオウの身体からは魔闘気が絶えず溢れ出ている。
『目論見』
「「それで…二羅将の様子はどうだ」」
砂蜘蛛は額の汗を拭って、「色魔天こと羅将タイユェンには変化ありません。いつも通りの好色ぶりです」
「「…」」 恐怖を誘う沈黙だった。砂蜘蛛は努めて冷静になり、先を続けた。
「ですが、我が主の読み通り、羅将ハンは叛意を宿しております」
「「フフフフ」」 砂蜘蛛の全身が粟立つ。そんな自分への苛立ち。舌打ちを抑えた。
「「読みというより当然だ。我が謀(ハカリゴト)で奴の友であり、そして同門のヒョウは憤死した」」
カイオウ自身も二人とは同門である筈だが、完全に他人事のようであった。
「「ようやくその気になったか」」
その暗黒の兜の下、どれほど邪悪な笑みを浮かべているのであろう。砂蜘蛛は想像してすぐ止めた。
「「二人の侵入者はどうした?」」
やはり気に留めていた。カイオウ打倒の駒として残していたかったが…。
もっとも、その一人ユダはハンの准将。もう一方のシンはハンと互角の強さを見せた。
カイオウの地獄耳に聞こえないわけがない。砂蜘蛛は自分の稚拙さを恥じた。
「二人とも羅将ハンに匹敵する力を有していまぬ、います」
カイオウは黙っている。砂蜘蛛はこの沈黙に耐えられなかった。
「カイオウ様、何故に自ら討って出ないのでございますか」と沈黙を破りたいばかりに質問してしまった。
この若き凄腕の修羅は、魔王を前に完全に冷静さを失っていた。
「申し訳ございません。出過ぎたことを…」
「「このカイオウ自らが動けば、すぐに事態は収拾される。それでは我が目的叶わず」」
この間もずっと鎧の隙間から赤黒い魔闘気は溢れている。
「「今日は格段に機嫌がいい。教えてやろう。北斗の拳は相戦いて、その拳を錬磨する。
この国に北斗が乱立すれば、必ずや我が仇敵、北斗宗家の血をひく男を呼び寄せる。
さらにこの国に訪れた南斗…。南斗乱れる時、北斗現る。
このカイオウが新世界の創造主になるために邪魔な北斗宗家の流れをくむ全ての秘拳は…」」
カイオウから魔闘気が噴き出した。「「まとめてこの地の腐土にしてくれる!」」
ポタタッ…模様が激しく波打つような床面に何かが落ちた。
砂蜘蛛は、それが自分の汗であることに気がつくのに数秒を要した。
>>495 ハンがヒョウの復讐を目的にしていますが、
原作の羅将ハンはもっとドライな性格のように思うんですが?
>>502 しっかり、「帰れーケンシロウー!!」とケンシロウを気遣うセリフを残して死んでいる。
504 :
壱:2007/07/03(火) 01:05:18 ID:???
>>502 かも知れませんが………
ハンが好きなんです…
なので原作にあるクールさの裏にある真意を妄想しました。
それと、原作でハンの亡骸に抱き付くヒョウを見て、
「仲良かったんだな」と思いまして。
ま、妄想ですんで御勘弁を…m(_ _)m
南斗ファンとしては南斗の拳士の活躍が見れて興味深いです。
シン、ほんと魅力的ですね。書き手の想像力で幾らでも膨らみますね。
書き手さん、色々雑音もありますでしょうが、凄く楽しみにしてます。
自分でペースでまったりとあげていくのが一番かと存じます。
506 :
壱:2007/07/04(水) 01:44:23 ID:???
ありがとうございますm(_ _)m
シンはいったい何の為に修羅の国に来たの?
バトルしに来たの
508 :
壱:2007/07/05(木) 01:00:04 ID:???
>>507 拳格を上げるためです。
ケンシロウやラオウに負けて、サウザーやファルコに及ばないことによる劣等感と
そしてシン自身の南斗聖拳へのこだわり、執着です。
妄想なので御勘弁を…
『主従』
黒を基調とした、実戦的ながら、優雅さを漂わせる衣装。きっちりと後ろになでつけた黒髪、きちんと整えた口髭…
ハンは決意に満ちた、爽やかとも言える表情をしていた。
「お呼びでしょうか、ハン様」と現れたのは准将ユダ。
「俺はこれから兵を引き連れカイオウを攻める」 ハンは、遠く荒野を見つめながら背中でユダに語った。
ユダは微笑した。この男ハンは本当に"ゲーム"が好きなのだ。こうしてわざとスキだらけの背中をさらしている。
「この城はお前にくれてやる」
この国は強さが全て。常住坐臥いつでも戦いの内にある。
自分が城を空けるということは、その間に城を乗っ取る者がいたとしても、その者を責めることはできない、ということだ。
並の修羅ならともかく、今やユダは自分に並ぶ力を持つ男だ。次に戦えば、もうハンに余裕のあるスパーリングにはならない。
シン戦と同様、互角の戦いとなるだろう。勝者はない。あったにしても深い傷を負う。とてもカイオウとは戦えない。
ユダは意外な言葉を口にした。
「もう少しお待ちになっては?」 「…何故だ」と、ハンは初めてユダを見た。
「色魔天や、かのシンを先に当てては?」 「…」
ユダは体重をかける脚を替える。かつての虚は既に捨て去っているが、癖と言うべきか、ポーズをとっているかに見える。
「色魔天はともかく、シンならば、あの女を拉致するだけでカイオウに向かわせることはできる。
あ奴自身もカイオウの秘術とやらには強い関心がある筈」
ハンはしばらく真顔で考えた後、ダンディな笑顔を見せた。
「この修羅の国…背後から刺そうが許される。だがその策略は俺の流儀ではない。羅将ハンのやり方ではない」
さすがにこの国の頂点に立つ男の一人だった。ヒョウの仇討ちもあるが最強を目指す男の自負に満ちている。
「そうですか…。ならば私はあなたの留守中、この城を預かりましょう」と言い、ユダはハンに断りなく去って行った。
カツ…カツ…とブーツが鳴らす音。かつてはわざと音を鳴らした。今は自然と出る音だけ。
今日の"気"での戦いは互角。互いにスキなし。奇妙な主従関係であった。
『秘境』
ハンは約五十人の修羅を連れて旅を続けて来たが、もちろん警護の意味は少ない。
雑用と、そして見栄…である。虚栄心であるが、羅将ハンが旅するとなれば数人の供だけというわけにはいかない。
幾つかの村を通り、宿にもしたが、その際もハンは常に優雅に誇り高い言動を崩さなかった。
ハンは"華"を求めた。だが男がもっともその華を咲かせるべき場所は戦いの場。
生死の関わる戦いの場。綺麗事の通用しない場所だからこそ。自身を華で飾りたかった。
そしてカイオウとの戦いこそ最高の華舞台。カイオウは憎き仇ながら感謝さえしたい心持ちだった。
自分の他にも色魔天や死神レイオウがいるが、この修羅国の建国者にして魔王と恐れられるカイオウの存在はありがたかった。
カイオウがいなければ退屈していたかも知れない。
彼の中では色魔天タイユェンは北斗曹家拳の達者とは言え、色にふける男に過ぎなかったし、
孫家拳の死神と畏怖されるレイオウも、奥地に籠る山猿のようなものに見ていた。
北斗劉家拳を極め、あるいは超えたハンにとって、カイオウだけが重い退屈から彼を解放してくれていたのだ。
ユダも確かに強くはなったが、その強さはハンの拳に慣れただけ、とも言えなくない。
ハンは「フッ」と笑った。ハンの疾風の拳に慣れたのであれば誰の拳に苦しむであろうか。
人を拒むかのような険しい渓谷…しかし時に美しい姿を見せ、時に自然の厳しさを教える。
屈強の修羅たちも山登りや谷を下ることに慣れてはいない。幾人もが足をとられた。
ハンを乗せた漆黒の悍馬も足取りが危うかった。
…遂に、カイオウの城のある断崖に辿り着いた。どうやって城まで行く?
…回り込むように反対側に移動すると、北方からだけは緩やかな坂道となっているのが分かった。
陽も大分落ちた。今日はここで野営することになろう。
幸いに河もある。ハンは防具、服を脱ぎ捨てると、完璧な裸体で河に飛び込んだ。
意外に浅い川底に身体をぶつけたが、そんな様子は微塵も見せなかった。
どこまでもダンディズムを貫いていた。
>>508 実際の所は、死に場所を求めているように見えなくもないですね。
負けて悔しいというよりも、負けて死に損なって空しさを新たな戦いにぶつけているような。
512 :
壱:2007/07/05(木) 19:16:41 ID:???
>>508 すばらしい!
そう言った表現は一切使っていない筈ですが、伝わっていてくれてうれしいです。
一応は強くなるためですが、ユリアを死に追いやったことにより、彼の心は乾いたままです。
アンカミスだろ
515 :
壱:2007/07/05(木) 22:16:02 ID:???
いいえ、
>>508も
>>512も私です。
この二つの思考は矛盾しないと思います。
この場合、死に場所を求める、とは自殺に行くということとは同義ではありません。
戦いの結果に死があるにしても、構いはしない、という意味で考えています。
確かに、掘り下げて述べるなら微妙なニュアンスになりますが、それでも矛盾だと言うのであれば、このことを考えて下さい。
人間は自己矛盾を抱えて生きているものです。
例を挙げると馬鹿にしてるみたいだから、それはしませんが、どうですか?
私がこの妄想の中で描きたいもの…
それは人間なんです。超人的な強さを持っていても微かな心情の変化で弱くなる。
そう言うものが書きたいのです。
理屈っぽくてごめんなさい。
>>515 そういう意味でなくて、
>>512では
>>508に話しかけてますよね?
しかし、
>>512も
>>508も両方壱さんを名乗ってるから、
壱さんが壱さんに話しかけている形になっているんですよ。
他の人達が言われているのは、その件についてであると思われます。
508 名前:壱[sage] 投稿日:2007/07/05(木) 01:00:04 ID:???
>>507 拳格を上げるためです。
ケンシロウやラオウに負けて、サウザーやファルコに及ばないことによる劣等感と
そしてシン自身の南斗聖拳へのこだわり、執着です。
妄想なので御勘弁を…
512 名前:壱[sage] 投稿日:2007/07/05(木) 19:16:41 ID:???
>>508 すばらしい!
そう言った表現は一切使っていない筈ですが、伝わっていてくれてうれしいです。
一応は強くなるためですが、ユリアを死に追いやったことにより、彼の心は乾いたままです。
517 :
壱:2007/07/05(木) 23:33:45 ID:???
ただのアンカーミスでしたか…__orz__
『魔殿』
厚い雲が空を覆った暗い朝…
ハンは十分に休んだ。身なりを非の打ち所なく整え、最後にマントを纏う。表が黒、内側が白。光と影…生と死。
「ここからは俺一人で行く。明日の夕刻までに俺が戻らねば、このハンの死。貴様らは好きにしろ」
…馬を駆るハンの前に古代の神殿ような石造りの広場が見えてきた。
ハンは馬を降り、優しく馬の太い首を撫でた。馬は頭がいい。ハンが去るのを、もの悲しげに見送っているようだ。
ハンはついに魔殿へと足を踏み入れた。漂う空気に死の匂いが混じる。
と、不気味な彫刻の施された二本の柱があった。ハンが近付くとその柱の彫刻は巨大なムカデであることが分かる。
だが本物のムカデではない。修羅たちが肩車に肩車を繰り返し、偽の甲羅を背負っただけの虚仮威し(コケオドシ)だった。
一番上の修羅が、「羅将ハンよ、これより先は魔王の宮殿。いかに羅将ハンと言えど、ただでは…」
と話し続けているが、ハンは聞く耳を持たなかった。それより高く連なる"ムカデ"の下方の連中を見る。
必死の形相でムカデの身体を支えていた。
ハンは問答無用に素早く移動し、身体を支える修羅たちの致死の秘孔を点穴した。
支えを失った二匹のムカデは無様に倒れ"一節"ごとにバラバラになった。
「くっ、おのれい!一斉にかかれ!」とハンに襲いかかるが、背負った甲羅が邪魔で動きも、ぎこちない。
ハンは最初に間合いに入った修羅の眉間を突くと、そこからは獣よりも速い動きで残りの修羅たちを点穴した。
ハンは返り血で汚れることを避けるため足早にその場を通り過ぎた。
全ての修羅が同じく眉間を点穴されていた。額に電気が走るような感覚。次いで激痛。一斉に赤い飛沫が上がった。
開け放たれたままの黒く巨大な鉄の扉。カイオウは出て来ない。ここは戦うには丁度良い広場なのだが…。
都合が悪い… カイオウの秘術を破るにはある程度のスペースを確保しなければならない。
「!」 夥しい数の殺気が迫るのを感じた。そして強烈な魔気!
見上げる先、黒い鎧で身を覆ったカイオウがこちらを見下ろしていた。
赤黒い魔闘気が噴出している。
「魔闘気が溢れて…、まさしく魔王よ」
>>517 アンカーミスと誤読の二冠達成おめでとう御座います…OTL
砂蜘蛛…己の中の破壊衝動を抑え切れず、治世を望まず乱世を欲する。
修羅の国に乱世をもたらすに際して障害となる「力の均衡」を崩すため、
いまだかつてない強力な外敵であるシンを利用しようと企む。
シン…唯一の希望であったユリアを失った事で生きる目的を失う。
しかし、全力を尽くさぬ戦いの末の戦死や自殺といった「安易な死」を選ぶ事は
あの世のユリアに顔向け出来なくなる行いであると考え、
敢えて、棘の道を選び、限界まで己を高めた上で相応しい相手に挑み
南斗の将として恥ずかしくない戦いの末に果てる事を本懐とする。
しかし、互いを慈しみ合う名も無き親子の中にユリアを見た事により、
再び、シンの中の殉星が輝きを取り戻す事となる。
続きは?
『二択』
魔王カイオウにとっての不覚…それは、かつての同門ハンに、自分の秘術を見られたことだ。
そしてそのハンがここへ現れたというのであれば、それが意味するところとは?
言うまでもない。だが誰よりも、カイオウ本人が自分の秘奥義の特性を知り尽くしている。
元より、純粋な拳の勝負でも遅れは取らない自信はある。だが、ハンの拳は侮れるものではない。
それゆえにカイオウは一策を投じた。歴戦の修羅たち数百からなる陸戦隊…。重装備を命じてある。
鋼の防具で身を覆う彼ら陸戦隊である。最小のモーション、最小の消耗だけで、つまり秘孔点穴だけでは倒せない。
防具のない裸の部分を狙い秘孔点穴するか、あるいは闘気の発生量を高めての"力技"で戦わざるを得なくなる。
奇しくもカイオウの弟ラオウがキング攻め、シン戦において使った戦法だ。疲労させる目的。
だがハンもそれを見抜くに決まっている。ハンはスマートさを売りにしているような男。無駄な戦いは避ける筈だ。
カイオウの真の狙いは、ハンの望む広い場所での戦闘を避けることにある。
つまりは、場内の、自分の部屋に誘い込むことだった。
鋼の鎧、兜に盾、剣に槍、斧、メイスやフレイルを装備したカイオウの陸戦隊。
ハンを正確な円で取り囲む。その円がジワジワと小さくなる。
これで焦るハンではない。凄腕の修羅たちとは言え、北斗の拳を極めたハンの能力は彼らを遥か下方に置き去りにしている。
カイオウの狙いは読めている。自分を城に誘っているのだ。ハンとしては、この広い場所でカイオウと戦いたい。
そうなれば陸戦隊と闘う必要がある。疲労は免れない。
ハンは目を閉じて気を集中した。そしてカッと目を見開いた。
「よかろうカイオウ!魔王の誘い、断る理由はない!」
ハンは城門に向け走り出した。行く手を塞ぐ修羅たちは、たちまちの内に肉塊と化した。
『色魔殿の色魔天』
「そお〜」と裸にガウンを纏った優男風のタイユェンは大して興味もなさそうに応えた。
「わかった。下がれ」とタイユェンはその伝令修羅に手を向けヒラヒラと扇いだ。
「ん?まだ何か用か?俺はお楽しみがあるんだ」
「ほお〜、そんな女がいるのか?」
「見た目は?」
「どんな性格だ?」
「どこにいる?誰の女だ?」
「ほほお〜、それは興味深いな。あの侵入者、南斗の男の妹か…」
タイユェンの目がエロくなる。
「そいつは奪い甲斐がある。一度見ておくか。まだあるか?…じゃ早く消えろ。お楽しみなんだ」
美しい女たちが屯(タムロ)する部屋。怪しげな香が炊かれ、女たちは酒と薬に酔う。
その部屋に入って行ったのはタイユェンにそっくりな男。
その男、かなりの性豪で女好きではあるが、タイユェンに秘孔の術をかけられているため、女を抱き続けることから解放されない。
当のタイユェンはその部屋を通り過ぎ地下へと下って行く。
修練場…タイユェンの顔が好色なエロ猿から飢えた狼の顔に変わっていた。
タイユェンが壁を殴りつける。ボゴッ…パラパラ…。タイユェンの拳には僅かにも傷はない。
「ハン…負けろよ。カイオウを倒す、殺すのはこの俺だからな」と壁にめり込んだままの拳にさらに力を込める。
ボロボロ…ボロボロと壁が砕けて行く。
表に見せるは偽りの仮面。仮面を外せばその下にあるのはカイオウへの殺意に満ちた怒りの素顔。
だが好色なのは事実。セリカ…どんな女か想像しただけで血が股間に集まり始めていた。
「クソ!集中できねえ!」
タイユェンは階段を上ると女たちがいる部屋に飛び込んでいった。
なんか面白い奴が出てきましたね。
いろんな価値観を持った奴が出てくると展開に幅が出ますね
この話にシャチは出てくるんでしょうか?
>>520 「互いを慈しみ合う名も無き親子」って、どこに出てきたっけ???
526 :
壱:2007/07/07(土) 20:21:07 ID:???
>>524 一応ながらタイユェンとは「蒼天の拳」の太炎です。
シャチは登場キャラが多いので出番はないかも。
>>525 >>520は私が書いたのではないのですが、私もその親子が思い出せません。
バウケンさんかメイデンさんのでしょうか…
ようやくシンの妹(孤鷲拳の伝承者クラスとか)にも出番が回ってきましたね。
ハンVSカイオウの展開と共に、タイユェンとセリカの絡みも期待。
『拉致』
五日が過ぎた…
ハンとカイオウの勝負の行方は謎のままだった。
セリカとシンの間には、不思議な溝ができていた。その溝を作ったのはセリカである。
シンの「俺の女」発言が気にかかる。今では多少の腹立ちさえあった。シンの発言の意味が分からない。
シンも説明をしない。セリカもそれを聞けなかった。
夕暮れ…風が涼しくなって来る。セリカは自分の部屋で切ない思いのまま、風に当たっていた。
…風の中に獣の匂いが混ざる。「!」
部屋の中を振り向いた時…一人の男が立っていた。波がかった髪が肩に届く、ニヤけた男。
身体つきはシンと同じくらいか。顎鬚だけ短くそろえている。
…セリカは、この男の侵入に全く気がつかなかった。
「…いい。なるほどいい女だ。その鋭い目付き、しびれそうだ」
「…」 セリカは黙って、この謎の男を観察していた。殺気は感じない。だが悪意なくこの部屋に忍び込む筈もない。
「だがお前…人を殺めたことがあるな。一度や二度じゃない」 タイユェンの目の奥が怪しく光る。
「あのシンの妹らしいな。奴と一緒に渡って来たのか?物好きな女だな」
「違う…。アタシは"前"からこの国にいた」 「…お前みたいなイイ女…俺が知らないわけもないが…」
「なんだっていい。アンタの目的は?」 セリカが殺気立つ。「アタシを侮らないことね」
タイユェンは目を閉じて、鼻から深く息を吸った。「イイ女だ。イイ女は匂いが違う」
セリカが風を切る速さでタイユェンに詰めた!殺すまではやらない。"軽く"胸を打つ。しかし拳の速さに手加減はない。
ガシ! セリカの突きは目を閉じたままのタイユェンに掴み取られた。
「?」 するとタイユェンは、そのセリカの右手を彼女の背にねじり上げ、その左手も掴み、動きを封じた。
「くっ…」 セリカは南斗孤鷲拳の使い手。この体勢からでも脱出は可能。
だが、この謎の男が放つ妖気が彼女の抵抗を断念させる。
「そうそう、キレイな花には棘がないとな。ところで…失礼ながら、まだ名乗ってなかったな」
「…」 悔しそうな顔を後ろに向けるセリカ。
「その横顔もいいねえ〜。…俺の名はタイユェン。聞いてことくらいあるだろ」とセリカの耳元で囁いた。
『穏やかな話し合い』
セリカの部屋の扉が砕け飛んだ!
「セリカ!」と部屋に跳び込んで来たのはシン。そこにセリカの姿はなかった。
仮面の従者修羅が何かを見つけ、シンに見せた。「なんだこれは?」
二人の裸婦が北斗七星型の柱に絡み付いている、小さな置物。
別の修羅「これは…し、色魔天の…」
シンはその修羅から、置物を奪い取り、一息に握り砕いた。
「何のつもりだ?」 シンが鋭い殺気を放つ。「ひっ」と修羅が下がった。
トロそうな修羅「その列車を使えば、色魔天タイユェンの街まではすぐです」
遥か荒野の地平線にまで線路が通っている。
トロそうな修羅は続けた。「ですがその…列車を運転する男は…気難しい男でして、しかも凶暴です」
シン「俺は誰だ?」 「は?キング様ですが…」
そのトロそうな修羅に質問の意味は分からない。
「凶暴がどうした?穏やかに話し合うさ」
シンはトロそうな修羅を連れ、線路をタイユェンの街とは逆に辿る。
やがて十輌編成ほどの列車が姿を見せた。その脇にポツンと一軒だけ平屋の家がある。
ぐおおぉ…と凄い鼾が響いて来る。シンは馬から降り、その家の大きなドアを開けた。鼾のボリュームが増す。
寝起きの巨漢デブ…ギョウコは不機嫌だった。この男の悪い癖は不機嫌だと相手が誰だろうが構わないことだ。
それでもこの国て生きて来たのだから、それなりに力はあるのだろう。
三分後…ギョウコは家から飛び出ると、急いで発車準備にかかった。
ブクブクの顔、目の周りの刺青…そして殴られたばかりの痣が幾つか。
急ぐギョウコを見てシンは言った。「デブにも二種類ある。陽のデブと陰のデブだ。どうせデブなら陽のデブを目指せ」
…陽のデブ… シンはかつての忠実な部下を思い出した。遥か昔のことのような気がした。
ギョウコが顔を出し、「キング様〜、お待たせしました!」と告げた。
トロそうな修羅はポカンとしている。シンは答えてやった。「穏やかに話し合っただけだ」
馬をそのトロそうな修羅にまかせ、列車に乗り込んだ。まだ見ぬタイユェンとさらわれたセリカを思いやった。
530 :
マロン名無しさん:2007/07/09(月) 01:39:25 ID:dUwu4P5i
テスト
あ
『タイユェンの街で』
「では、お気をつけて〜、へへ、ここでお待ちしてます」
ぎこちない笑顔でギョウコはシンを見送った。列車へ戻り際、「けっ、タイユェンにぶっ殺されやがれ」と呟く。
「何か言ったか?」とシンが目を細めて睨んで来た。
「いえいえ!なんでもごさいません!」 ギョウコは異様に太く、そして短めの腕を素早く動かし、全身で否定した。
「ギョウコ!陽のデブだ。いいな」
タイユェンはお気に入りの女たちを枕にまったりとした昼下がりを過ごしていた。そこに、シン急襲の報せ…
このタイユェンの街は城塞都市である。
一つ変わっているのは、その中心に据えてあるのが、このタイユェンの屋敷であることだ。
青々と繁る樹々に花々、美しい湖畔…。自然の美を損なわないように、自然に溶け込むかのように、この屋敷はある。
タイユェンは穏やかな声で女たちに言った。「お前ら、おっかねえ男が来る。着替えて帰りな」
おっかねえ男…冗談めいた言い方と口調だが、タイユェンが今迄この類の言葉を発したことはない。
女たちは、一応タイユェンに引きつった笑顔を見せつつ、そそくさと退散した。彼女たちに帰る場所なと最早ないのだが。
「さて…と」 タイユェンは闘いに備え身体をほぐし始めた。
シン大暴れ! と言っても、その手には鉄の棒が握られている。長さはシンの身長くらいか。
シンが旧世界で身につけた棒、棍、杖術を活かして次から次へと修羅たちを叩き、払って行く。
修羅たちの抵抗はすぐに終わった。どうやっても絶対に敵わない相手であることを悟ったのである。
この辺の見切りの良さは、さすがに修羅である。加えてこの国は強さが全て…、タイユェンが負ければ、このシンに従うだけ。
「こちらです」 案内された先…。美しさにシンは言葉を失った。この荒廃した世界にあって、これほど豊かな自然があったとは。
「では私はここで…」とその修羅は怯えながらフェイドアウトした。
はるか先に、タイユェンの屋敷を見つけた。その瞬間シンの殺気が炎のように燃え上がる。
足下の可憐な花も、その周りを舞う蝶も、キレイな湖面も既にシンの目に入らなくなっていた。
『粋じゃない』
扉が砕かれる音、近付く燃えるような殺気…
グワシャン! タイユェンが女たちと戯れる広い部屋の扉が砕け飛んだ。
「乱暴な客だ。そんな態度じゃモテないよ。その怖い顔も良くないねぇ」とタイユェンはソファにふん反り返っている。
「セリカはどこだ?」 「まずは自己紹介じゃないかな?」
シンの裏拳が壁を叩き砕く。「セリカはどこだ?」 その声は冷たかった。
「熱い殺気に冷たい声…。お前みたいな男がツボな女、何人か知ってるぜ。紹介しようか?」
シンは答えなかった。かわりに黙って歩を進めた。
「随分とお怒りじゃないか、キング…様。たかだか一匹の女っつっても妹なら話は別か?」
シンはタイユェンから約5mの所で足を止めた。いきなり襲うようなことはしない。
「だがなあキング様。ブラコンは良くない。あんなキレイな娘だから、手元に置きたいのも分からないじゃないが…
それともまさか…近親そ……フッ、冗談だよ」
「セリカを出せ!」
「そればかりだな、さっきから。俺は背徳を徳とする色魔天、許容範囲は広い。が、一つだけ許せないものがある」
タイユェンはその長い脚、左脚を天井に向かって伸ばし、そして一気に下に振り落とした。
その反動でタイユェンはスタッと立ち上がった。
「それは無粋だよ、シン。お前は顔はいいがこっちが良くない」と胸を指し「無粋なもの、ことは許せない」
タイユェンが前に出る。シンもそれに応じる。タイユェンは薄笑いを浮かべたままだ。
タイユェンが右の突きがシンの"こっち"を狙う。
が、シンの左手がその突きを、タイユェンの右手を掴む。…二人は動かない。残ったそれぞれの手は相手の出方を待っている。
「やっぱお前変わってるな。ハンと互角にやり合ったからって言っても、俺も羅将だ。危険は承知だろ?
それを妹とは言え、たかだか一匹の女のために…」
「セリカは俺を待っている」 「うぜえんだよ…兄妹愛ってか?そんなものはこの国じゃ何の役にもたたねえ!」
「少し黙ってみてはどうだ」 「へへ…シン、テメエやっぱり無粋だよ」
『剛の拳』
美しい自然に囲まれたタイユェンの屋敷…放たれる強い殺気を感じ取ったか、虫や小動物が寄り付かない。
「シン、無口な男はモテる…それは間違いだ」 「モテるモテない、それがどうした?」
「フッ、そんなことを言えるのはモテる奴だけだよ。お前…だがイイ女とヤったことねえな?」
「イイ女なら知ってる。俺はそいつを殺してる。だからセリカは絶対に守り切る」
「……そんなイイ女を殺してるのか。フッ全く無粋だねぇ。だがよ、お前のこと少し好きになったよ」
タイユェンの右手が"力"を増す。
「守り切りたい大事な大事な妹のセリカちゃん。そのわりには簡単に俺に盗まれたがな〜」
掴まれたままのタイユェンの右手…込められる気の濃度が上がる。
「北斗曹家拳の極意は圧縮された気による剛拳にある。南斗の破壊の気に対し、北斗の陰の気は通常、体内に染み込む」
ググッ…ググッとタイユェンの右の手がシンの胸に近付く。
「我が曹家拳はその陰の気を破壊に進化させた画期的な拳なんだよ。どうだ?その左手、痛くてたまんねえだろ?」
タイユェンの右手と、それを掴むシンの左手。性質の違う二つの気が反発し合う。
「どうした?キング様。…?」 タイユェンはその右手に痛みを感じた。
「北斗神拳に亜流があったことを知らない自分を恥じたが…知る必要もない、そんなレベルだ」
シンの左手がタイユェンの右手を押し返す。タイユェンの右手からついに血が滴り始めた。
「剛の拳?この程度でそれはないぜ。この程度じゃあ、とても北斗神拳には及ばない」 「あ?」
「それとも"色"を追究しすぎて拳を怠けたか?」 「貴様!」
バッ! シンの左手を振りほどきタイユェンは間合いを空けた。拳を見る。シンの指の跡と傷。
「言ってくれるじゃねえか。北斗神拳の亜流とまで言うか。面白い!南斗聖拳…舐めてたよ」
「羅将ハンと互角にやり合った男を舐めてるなんて…どこまでも抜けた男だな。そんな男にセリカはやれない」
「このブラコンが〜。いいぜ。北斗の神髄、経絡秘孔で地獄に逝きな!」
シンは高く笑った。
「剛拳の看板はもう降ろすのか!?剛拳の追究は南斗が背負う看板だ。来な。本家の力、見せてやろう」
>>526 バウケンにまともな筋書きを書くのは不可能なのでバウケンではないでしょう。
『しなり』
「本家…ねえ?」
タイユェンの余裕が気になる。薄笑いも消えてはいない。
「秘孔点穴を棄てた南斗に、いや北斗の奥義を授かるに値しなかった者たちが編み出した拳なんざ…」
タイユェンは両腕を開き構えとした。「…たかが知れてるよ。油断したのは認めるが、所詮は敗者の拳」
南斗聖拳を侮られることは、それを誇りとするシン本人のプライドを壊す行為である。
沸点の低いシンが切れる。タイユェンはシンという男が、キレてこそ真価を発揮することを知らない。
それまでのシンの殺気など火種に過ぎなかった。タイユェンの挑発に、一瞬にしてシンが燃え上がる。
「おおう!?こいつぁやべえ!」
シンは両腕を下げて身をやや低く構える。良い意味で力が抜けていて、その後の攻撃の激しさを予想できた。
タイユェンは一歩だけ後退することに成功した。この一歩が、シンの攻撃からカウンターを取るための間合いとなる。
「さあ、来な…本家の剛拳とやらを見せてみ。…残念ながら、お前に俺の拳は見切れないがな」
シンがさらに熱く燃えた。僅かな笑みをさえ浮かべている。
バン! シンが跳び出す!凄まじく速いがフリが大きい。タイユェンに反撃の間を合わせられた!
タイユェンはさらに一歩だけ後退する。もちろんその一歩も軽功術を用いた神速である。
一瞬前までタイユェンがいたその場所、シンの突きが空(クウ)を裂く!
タイユェンにとって絶好の間、シンにとっては最悪の魔…。だがシンには絶対的な防御、千手龍撃がある、が。
タイユェンの開いた両腕が鞭の様にしなると、それが不規則な軌道を描きながらシンを撃つ!
千の手を持つシンの防御に狂いが生じた。目で追えない速さの打撃を防ぐのは"気"を読むことにある。
タイユェンのしなるような拳の連射、シンはタイミングを逸した。
それでも一瞬の判断から幕を張るかのごとくに突きを連射し、タイユェンの攻撃を凌いで見せた。
「う!いてえな…。…ったく今の間合いで反撃までするかよ」 タイユェンの服は裂かれ、幾条もの傷がついていた。
「でも、キング様〜。ハハ…俺の拳も一発だけ当たったな」
シンの左胸外側、方に近い部位に指突の跡があった。
『鷲』
「そこは致死点ではないが、貴様の左肩は吹き飛ぶ。勝負ありだ」
「ぐ!」 シンの型が異常に盛り上がる! 破裂する直前、シンは自分の肩を二本指で突き刺し、経絡の流れを断ち切った。
血が吹き出たが肩の破裂は免れた。しかし…肩のダメージは軽くない。
「驚いた…秘孔術の流れを自ら断つとは…。少しは知ってるな」
シンの眼光がタイユェンを鋭く撃つ!
「怖い顔はモテねえって言ったろ?」 シンは答えずに自分の肩の止血孔を突き、出血を止めた。
「へえ〜え、少しの秘孔術は使えるのか。でも…その傷でも力を発揮できるかい?」
タイユェンは腕を何やらと動かし、最後に両手の親指を下に向けた。
「北斗曹家拳堕天掌。死の宣告だ」 次いで再び両腕を広げて構える。
「で、この技は俺が編み出した北斗曹家拳秘奥義、爆龍陽炎突!しなりのある無数の打突が敵の防御の裏をかく」
シンは肩の痛みを意識から取り除いた。出血もほとんど抑えらている。
「剛の拳に見せて、その実、柔かつ変則的な拳か」
「そうだ。相手の意表を突く奇拳だ。だが奇拳が悪いか?命を賭した死合いに二度目があるか?」
両腕を広げたタイユェンの姿は、皮肉にも手負いの獲物を狙う鷲の様に見えた。
「面白い…」シンが狂気がかった笑みを見せる。タイユェンでさえもが一瞬、攻め込むのを躊躇したほどだった。
「何が"面白い"だ。片手の貴様に何が出来る?死ねい!」
タイユェンの読めない軌道を描く打突がシンを襲う!
ドドドドドドドドド!!!
タイユェンにとって、ありえないことだった。タイユェンの突きの全てはシンの突きに合わせられていた!
「あう!」 タイユェンの両手が血を吹く。「嘘だろ…馬鹿な!」
魔王の雰囲気とも違う、罰を下す聖天使とも違う。とにかく鋭さを全身に纏った人の形をした魔性がそこにいる。
「下らねえ拳だな。何がしなりのある拳だ?そんなの南斗聖拳はとっくの大昔に踏んできた。
今頃偉そうに誇るようなもんじゃないわ!」
ブワッ! シンが空(クウ)浮き、獲物を狙う鷲のように舞い上がった。
強烈な跳び蹴り! 全力の気で受けたタイユェン!だが身体は吹き飛び、屋敷の木の壁を打ち破ると湖に突っ込んだ!
「これが南斗の蹴りだ」
サウザー最強
サウザーは修羅国編では出さないで欲しいな
シンが霞むから
まあ、カイオウ対サウザー戦はみたいけど
『仮面』
バシャ…バシャ…と水から上がるタイユェン。
「カイゼルの腕が蹴りを受けて潰されたって話も納得が行く…」と不貞腐れたように独り言を言う。
「野郎…俺の自慢の屋敷に大穴が開いたじゃねえか」
その穴がさらに広く打ち広げられ、そこから魔人の如きシンが現れ出る。
「最初の質問に戻ろう。セリカはどこだ?」
シンの左肩は、シン自らが抉った深い傷がある。タイユェンはその傷の深さからシンの戦闘能力低下を見込んだが、
タイユェンの秘奥義は、あっさりと凌がれてしまった。
自分の経絡を絶ったことにより、秘孔による爆裂は回避しても、その左腕は十分に使えない筈だが…。
「安心しな。セリカは無事だ。つうかよ…逃げられちまったよ。俺も暇じゃない。セリカばかりを見てるわけには行かないしな」
「何?…ではセリカはどこに行った?」
「お前はここまで列車で来たんだろう?行き違いだ」 「…」
「大丈夫だ。ヤってねえよ。無理やりにヤるようなことはしねえし、秘孔で操りもしねえ。
そんなことはまさに俺が嫌う無粋なことだからな。…あのセリカ、お前の妹…お前のこと好きみてえだな、異性として」
「…知ってる」とシンは仏頂面で答えた。その声も低く、まだ殺気を帯びている。
「知ってるか…そうだよな。知らないわけがない。北斗南斗はただの拳法じゃないしな…。で、どうする?」
「何がだ?」 「まだやるのかってことだよ」
シンとタイユェンが睨み合う。
タイユェン(危ねえ目だ。こいつから引くことはねえだろうな…)
「わ〜ったよ。あんたの勝ち。俺の負けだ」 「…先に仕掛けておいて"ごめんなさい"か」
「ああ、そうさ」 実にケロッとした言い様だった。
「いいだろう…」 シンの殺気がおさまりを見せた。だがスキはない。いつでも燃え立つ余力を残している。
「だが話してもらうぞ。貴様の事情を」
タイユェンは間の抜けた顔をさらしたが、その表情も作り物であることをシンは見抜いていた。
「やはりお前もこの国の人間だな。仮面を被っている」
タイユェンは驚いた。"事情"は絶対に、顔に出さない気でいたのだが…。
「見直したよ、シン。あんた…粋だよ。だが…人の屋敷をこんなにしやがって」
『事情』
「俺には一人だけ、ただ一人だけ愛した女がいた」
屋敷の穴は修羅たちの迅速な改修工事により、とりあえずは雨風を防ぐことができる状態にはなっていた。
タイユェンの影武者修羅が二人に酒を運んで来た。
タイユェンは話を止めた。テーブルの上に杯を置くとシンに恐れをなし、すぐさま立ち去る。
「済まない…女たちは帰らせちまっててな。明日にはまた集まるだろうけどな。少しばかり粋ではないが…」
シンは目の前に置かれた真鍮製の杯を見つめている。
「大丈夫だ。毒殺なんて無粋なことはしない。なんなら替えるか?、俺のと…」
シンは杯を取ると一気に喉に流し込んだ。甘さと香り、そして苦みが口の中に広がる。
「話を続けろ…」 そんなシンの飾らない口調や態度…無粋なようだが気取りがなくていい、と、タイユェンは思った。
「その女は…」 タイユェンは酒で満ちた杯を見つめながら話を再開した。遠い目…タイユェンの想いは過去に飛ぶ。
「…ちょっと天然なところはあるが、明るくて聡明で、なんつうかとにかく…可愛い女だった」
タイユェンが愛した女。北斗劉家の血を引くサヤカ…。そして兄はカイオウ。
「ごめんなさいタイユェン…。その想い、受け取れないの…」
「サヤカ…何故だ?俺が北斗曹家門だからか?…それとも好きな奴がいるのか?」
どんな男だろうと構わない。奪い取るだけだ。秘孔術を使えば事故や病気に見せかけるのはたやすい。
サヤカの口から出た、その男の名前…。ヒョウ。
「…だよな…やっぱり…あいつか…」 タイユェンは諦めた、諦めるしかなかった。
拳の腕だけではない。人として、男としてヒョウを認めないわけにはいかない。
「俺は曹家門を飛び出した。殺人を犯してもさざ波すら起きない心が…失恋には耐えられなかった…」 「…」
「それから、少しして、戦争と天変地異だ。だがよ…サヤカは無事だった。ヒョウもな…」
世界の秩序崩壊と同時にカイオウは修羅の国、完全な力の国を建てた。
北斗曹家拳を裏だけで使う時代は終わった。急速に時代は変わった。
タイユェンは曹家門を抜け出したため、正式な伝承者の認可は受けていないが、その曹家門も壊滅。
『穴』
話は終局を迎えた。
「…サヤカもヒョウも…カイオウの奸策で殺されちまったわけさ」
「なるほど…お前が被る愚者の仮面もカイオウを油断させるためか。ハンも、そのカイオウを随分と気にかけていたが…」
「やめとけよ…カイオウには挑むな。正面からあいつに勝てる奴はいない。いいか?…いない」
魔王カイオウ…カイオウに対する興味は増すばかり。羅将の二人、ハンもタイユェンもが、その強さを語る。
底抜けに明るい好色男タイユェン…。だがそれは仮面。タイユェンは、サヤカとヒョウを祝福さえしていたのだろう。
彼にとっての復讐はサヤカを殺された、自分の恨みではない。サヤカの幸せを砕かれた怨みなのだ。
シンにもユリアへの狂気じみた偏愛により、凶行を続けた過去がある。
「シン!俺の料理はヤバいぜ?」 「ヤバい、のか?」 「物凄え美味えってことだ」
タイユェンは召使修羅たちに指示を与え、自らも料理の支度にかかる。
「前言撤回だ。お前にやられた手が痛え。期待はするな」
『穴』
すると女たちがタイユェンを呼ぶ声がする。
「タイユェン様〜」と屋敷に女たちが押し寄せて来た。「なんだお前ら、もう戻って来たのかよ」
女たちにも多少の"計算"もあろう。羅将タイユェンの庇護の元にいるという計算が。
もちろんタイユェンもそのことは知っている筈だが、女たちに囲まれるタイユェンの顔は優しく温かく、そしてエロい。
その表情を見ながらシンは思った。その仮面の下の素顔を…。その暗く深い穴の空いた心を…。
シンにも狂気じみたユリアへの偏愛から兇行に走った過去がある。
そんなタイユェンを見ながら、シンは自分が一人の友を得たことに気がついた。
「タイユェン様、あの方がキング様〜?」 女たちが一斉にシンを見る。
「ああ、そうだ。ちょっと怖いところがあるが…、寂しがりやなだけだ。優しくしてやんな」
「いい男〜」「かっこええやん」「キング〜」 嬌声と共に女たちがシンにワラワラと寄り添って行く。
シンはそれを煩しく思い、追い払おうとしたが…、タイユェンの目が語る。(それは無粋ってもんだぜ)
シンも諦めた。こんな夜があってもいいかも知れない。
セリカが見たら女たちは全員、明日の朝、湖に浮くことになりかねないが…
タイユェン「ん?…おい!みんなそっち(シン)かよ!」
544 :
壱:2007/07/17(火) 23:32:28 ID:???
『穴』の二話…
1レスにおさまらないので二つに切ったら被った内容が出てしまいました。
…シンにも狂気の過去がある…
失礼しました。
というか…内容がアホらしくてすいません。先日『花慶』を読んだ影響受けてます。
1さん乙です。個人的に北斗より好みかもしれない花慶。
原先生が蒼天の拳の拳志郎はケンと慶次と中坊を合わせたって言ってたような。これからも期待してます。
『老人』
セリカはシンの居城に帰る途中だった。あのままタイユェンの元にいればシンが助けに来てくれたであろう。
だが、あの好色男の元からは少しでも早く抜け出したかった。
タイユェンには抜けたところがあるのだろうか。セリカを拘束していた鎖など南斗聖拳の前には意味がない。
タイユェンの街から遠ざかるころ、シンの身を案じ始めた。好色男と言われても羅将のタイユェンである。
セリカは道を引き返し、シンを待つことに決めた。
修羅の襲撃を避けるために怪しげな森を進むセリカ。そこで彼女は薄汚れた沼に黙って向かったままの老人を見つけた。
全身を濃い茶色のローブで包み、頭にはフードも被っている。
こんな希望も安全も安心もない国である。力なき者が人気のない沼地でひっそり暮らしていても不思議はない。
セリカには弱者を思いやる心がある。この惚けたように座り込む老人を無視しなかった。
…それだけではない。この老人が放つ…気…であろうか。闘気や殺気の類ではない、特殊な雰囲気があった。
セリカは話しかける言葉に躊躇した。すると何を思ったかセリカは足下の小石を拾い、軽く老人の背中に投げてみた。
ポン…ポト…老人の背中に小石が当たっただけだった。…反応がない…。生きてることは間違いがないが…。
「無駄さ」 「!」 突然背後から声がした。セリカに気配を掴ませない男。セリカは身構えた。
若い。まだ二十歳になっていないような少年である。もっともこの国、いや、この新世界では立派な戦士である。
髪はただ長く伸びるまま、背はシンほどもあり、裸の上半身も既に十分にたくましい。
「そのじいさんは俺の拳の師匠だった」 「あなたは?」
「俺が誰かなんて興味ないくせに」とその若い男は微笑んだ。しかし決して爽やかな笑みではない。
どこか皮肉めいたような、自嘲的な笑いだった。
「まあ見てな」と若者は小石を拾い上げた。セリカの名を聞こうともしない。美しい彼女の容姿に関心も示さない。
若者は、その老人の背中を睨む。それは明らかに殺気だ。そしてピシュと小石を老人の背中に投げつけた。
セリカ「は!?」 老人の手が背後に回りその小石をキャッチしたのである。
若者は、「な」と顔を向けた。
547 :
壱:2007/07/18(水) 19:01:16 ID:???
548 :
マロン名無しさん:2007/07/20(金) 09:15:07 ID:8tV1rL87
メイデンさんの世界観では、トキ健在にパラレル発生の譚が発しているわけですよね。
児童間引きの拳を揮う3人が観たい所ですね。有情拳はもちろん、ユリアが〜〜拳ならそういう技を有してなきゃおかしい。
でなきゃ〜〜拳でも将星でも何でもないしw そこで気になるのはケン。獲物が無惨に飛び散るだけで、一番不器用なアホになりそうで心配。
アニメ版なら、一工夫が必要です。楽しさを招く必要性。
シスターが、アホで尚且つ短銃か何かを持ち込んでいることが必須条件。3人が近づくと、扉を閉める管制システムが黄信号なのをいいことに、
手動で扉を閉めようとする。そこをアニメ版の体力(陸上移動能力)&虚無指弾で眩ませてチャチャッと3人で滑り込む。
扉を閉め終えてから、まだ外に子供が居る(途中で不在を把握したが故意に連れ戻しに行かなかった)から助けて来てとほざく。
シスターの本音がシェルター内の生活闘争を狙ったものだと最初から看破していたユリアが優しく諭す。
その間にさりげなく周囲警戒と秘孔突きを完了していたケン&トキが「あと6秒つなげ」とか言ったりシスターの前腕をボッと潰したりする。
法衣の上から、シスターが何か持っている事を看破していたケンシロウ、トキ、ユリアが悪党どもを退治します。
そして、荒野で生きられないであろう子どもたちに、有情拳その他を・・・・・・。そして1週間、北条司的世界観でラブコメをしながら過ごす。
549 :
マロン名無しさん:2007/07/20(金) 09:19:16 ID:8tV1rL87
ヲタク用に10歳ぐらいの牝児を残して置いて156時間で心身を破壊する嬲り方をしたり、腐牝子用に二馬鹿が「ユダのモノマネ」「オカマごっこ」と称してジャレ合うのも吉。
もしくはケンが「人を頃したら小便がしたくなる」と称して凄惨な現場で軽犯罪。品が無いと頬に空気を入れて首をすくめて文句を言う萌えユリア。
アンモニアと塩分で物心両面の浄化になったとか言い訳するケン。「水洗いとか言い出したら棒で叩くからな!」と警告しつつ、バケツにワイプノンを入れ、
小脇に雑巾付きモップ3本を構えるように抱えながら戻ってくるトキ。労働か苦かの岐路に立ち、「俺たちなら子供を1匹残しておく余裕があった」と悔いる3人。
でも掃除を終えたら、真面目に拳法の立禅をしたり、素人離れした姿勢で瞑想を始める3人。そして問題浮上。
さっきのゴミを便所に廃棄していたため、既に満杯。しかも、消臭剤が焼け石に水の状態で、二度と扉は開けられない。
「どうするんだよ!?」とオタオタしつつも、入り口のところにペールを置いて、超運動神経でフチに乗ってする。
「雑居房みたいだ」と顔をしかめるトキ。体を「つ」の字に曲げてするケン。官給品の衛生用品(市販品)の低いクオリティに半泣きのユリア。
「ファンの皆様には見せられんな・・・」とドンヨリする3人。
550 :
マロン名無しさん:2007/07/20(金) 09:23:53 ID:8tV1rL87
【職人を顎で使うな】
店番修羅「本日入荷した奴隷
>>521番、ヌメリ様がお買い上げ(^▽^)!」「裏手に搬送しろ」「ハイ!!」
店番修羅「ヌメリ様、伝説の一升飯にチャレンジ(^▽^)!」
ボロ「ヌメリ様、先々日入荷の豚一頭食い切り!しかも脂と豚骨を御下賜いただきありがとうございます」。
店番修羅「ヌメリ様、未加工ヤギミルク1リットルにチャレンジ(^▽^)!」
酒酔い修羅たち「「「ダイキリって普通、ライムは飾りじゃないだろ」」」。「「あうぇあうぇあうぇあうぇうぇうぇうぇ」」。
文民修羅「吐寫物は酸が危ないからっ、飲酒者全員の公共便所使用停止を言い渡すアル!!」
ボロ「すぐに
>>521にクチ枷を付けますんで!」
善良修羅「待て!!!!!!」
マスクボロ「酸性トイレクリーナーは食用ではない。拭け。(チャプ・・・・・・)この雑巾を使え」。
再設置途中の便器「
>>521」。
化学調味料臭の屁をこく修羅「そんなに再設置が待ち遠しいかウヒヒッアヒャヒャヒャヒャヒャ」。
551 :
マロン名無しさん:2007/07/20(金) 09:40:01 ID:8tV1rL87
北条司・桂正和的世界観を護るためには、不邪淫戒という機制が不可欠。「あーもったいねーなー」「そうねー」などと男女3人が、己らの性的抑制を嘆き合う。
学園物にシフトする場合だけど、キャンパス物じゃなきゃきつい。服装は都立高校とか言えば良いとして、20歳か否かといえば20歳以上なのが一番つらい。
浦沢直樹的世界観にしても、それらが展開されるのはシェルターを出てからだと思う。
岡崎京子系統の世界観だと、交尾しつつシェルターを満喫。但し、最高級の拳法家としての自律能力が欠如したら、と思うと安易な生活は懸念。
ウンナンコントのパクリいっても、缶詰の量は大丈夫。缶切り1個に至るまで、シスター連中の毒塗りを暗○拳伝承者の特性とか将の資質とかで柄まで検品できてそう。
南斗も表の世界に伝播したものの暗○拳ということは、ユリアも生まれながらの暗○者ということか。ジヴォ拳の存在意義って・・・インド式の水○対策が源流か?
序盤以外では、もう暗○拳でも何でもない状態になるけどw
腐牝子のアンチ粘着してる萌えキャラクターに近づく、荒野らしい体臭になりつつある3人。「入浴大丈夫かなぁ」と思案を始める3人。
オモチャのボールでキャッチボールをする3人。恋愛の火を熾そうと、複数個のロザリオと食品パックを裂いて採ったスジで器用に豪華下着の代わりを作るユリア。
子どもの黄色い帽子を棒に引っ掛ける半笑いのケン。老幼用であろうペースト食品でフザけようとするも、自分たちの臭さに断念するトキ。
伏臥するケンにユリアが乗り、最上段にはトキが乗る。全裸の三馬鹿の底面が「宇宙人が見たら変わった寝方してると思って撮るかなー」とかほざいてる。シーンとしているシェルター内。
このロゴス、長期連載の妙技ww
552 :
マロン名無しさん:2007/07/20(金) 09:51:21 ID:8tV1rL87
慶次の朱槍攻撃の切先の迅さ=六聖の素手の速さ、ぐらいかな?
掲示も並じゃない
うろおぼえだが、素手で慶事と渡り合ってた外人をいたな。カルロスとかいう
慶次の槍振りはシャチが見たラオウと同じ構図だったよな。カルロスにはタイマンでは完敗だったような…死人の覚悟で勝ちに持ち込んだけど…
『…』
「シャチ」 若者は名乗った。老人は変わらず沼を見つめている。
「何故このように惚けて?」 「希望を失ったから…だろうな」 「どういうこと?」
若者シャチは疑った。この美しい女の存在理由が分からなかった。何故こんな場所に?タイユェンの女か?
だがこの女から不安や恐れは感じない。自分に対しても警戒はしてはいるが恐れの感情は見えない。
「その前にこちらが聞きたい。アンタは何者だ…女一人でうろつく場所じゃない」
次の瞬間、シャチは"撃たれた"!セリカがわざと放った殺気はシャチの心臓を貫いた。
「お前一体?」とシャチが身構え、距離を置く。一方、老人に変化はない。他人への殺気には反応しないのか?
「女だから弱い…」と話すセリカ。わざと強い殺気を放つ。その髪がザワザワと揺れる。「…とは思わないことね」
セリカは殺気を消した。だがシャチの険しい目は変わらない。
「額の疵、そしてあなたほどの弟子…。北斗劉家拳のジュウケイとはこの人なのね」
「何故そこまで知ってる?それにさっきの殺気…いや洒落じゃない。何者だ?アンタは」
「私はボロを装い、この国を行き巡った。羅刹と言えは分かる?」
「アンタが…あの羅刹…」 「でも不思議ね。北斗の拳士が希望を失ったからとは言え心を壊す筈はない」
「…自らの秘孔を突いてる」 「でしょうね…」
シャチは北斗劉家拳の奥義をまだ伝授されていなかった。すなわち秘孔点穴術を。
しかし肉体の潜在能力を引き出すことはできる。並の修羅では相手にはならない。
「この国の災禍…その元凶は自分にある…そう言って師は自分から精神を殺した」
命を断つのではなく、あえて醜態をさらす選択をした、というわけだ。
「災禍の元凶って?」 「詳しくは……なんでも、カイオウを歪ませたのは自分だとか…」
北斗劉家拳の使い手にして、カイオウの師父。カイオウ打倒の鍵かと目されたが…。
セリカが落胆を隠さずに去ろうとした時、
「待ってくれ!あの羅刹ってなら、凄い拳技の達人なんだろ?俺に教えてくれ…下さい!」 純粋な目だった。
「頼む!救世主なんか待ってられない!」 「救世主…ラオウのこと?」 「知って…」「来ないわ…彼は死んでる」
『災禍の中心』
シンは恐怖した。…恐れを抱いたことはある。だが、この種の恐怖とは明らかに異なっている。
ラオウの黒王にも負けぬ巨馬。黒一色の鎧にマント。そして魔王の影。
だが何より鎧の隙間から湧き上がる赤黒い闘気。「これほどか…カイオウ」
ズドド!…ズドド…!巨馬に跨がる魔王が猛スピードで迫る!
「セリカ無事だったか!…済まない!俺が迂闊だった」とシンはセリカの肩に手を置いた。
「シン兄…」 セリカの目から涙が溢れた。シンはその涙を親指で拭った。南斗の、殺人の指。だが…温かかった。
シンの心の中をタイユェンの言葉が巡る。
「実の兄妹なら問題ねえだろ。実の妹でも、こんな時代だ。神は人間に呆れてる。それとも…殺したという女が気にかかるか?」
シンは優しく告げた。「頼りない兄を許せ」 兄……セリカは胸が痛んだ。だがそんな複雑な思いは封じ込めた。
「カイオウは目撃されている…。…ハンは負けた」と告げたのはユダだった。
「そうか…」 "カイオウには秘術がある。お前では勝てん" ハンはそう言っていた。
カイオウに挑んだのであれば、その秘術を打破できる見通しがあったのでなかったのか?
どこまでもダンディだったハン。昔の様に懐かしく感じた。
「で、今はお前があの城の主(アルジ)か?」 「…一時預かりだ」
ユダは信じられないほどに変わった。ユダがハンに抱くものは真実の忠誠に思えた。
「違う。そういうものではない。だが俺が変われたのは、事実ハンのお陰だ」 ユダはシンの心を読んだ。
ユダは席を立ち、去り際シンに告げる。「だがやめておけ、カイオウとはやり合うな」
ユダから狂気的とも言える部分が完全に消えている。
「こう言えば、お前の性格からしてカイオウに挑む。そして戦わずして邪魔な強者を一人消す。…昔ならそう考えたがな」
ハン、タイユェン、セリカから聞いたジュウケイという老人…。
この国のバックボーン…というより中心にカイオウはいる。カイオウを中心にこの国は周る。
背後にいる砂蜘蛛に告げた。「戻ったか…」 「よく気付いたな」
「頼みがある」 シンのマント、血の十字架が夜風に揺れる。
「カイオウの元に案内してくれ」
『魔神』
「シン、お前ともこれでお別れだ」 砂蜘蛛は告げた。
ここはカイオウの居城まで間もない渓谷の始まりだった。不自然に切り立った断崖に不気味な塔がそびえている。
「カイオウに会っても死ぬだけだ。生き残るには俺みたく奴のパシリになる以外ない。お前には出来ないことだろ?」
「…」 「あの娘はどうするんだ?」 シンが砂蜘蛛を睨む。切れるような殺気が向けられた。
「俺は大丈夫だ。俺は"不能者"だ。だが他の修羅は知らん。犯されて殺されるぞ?」
シンは高ぶる感情を抑えた。「心配ない。セリカをヤれる修羅はいない。お前が不能者なら問題はない」
「色魔天は?」 砂蜘蛛は知っている。戦いの末、シンとタイユェンの二人が戦友になったことを。
「語らず…か。ま、いい。じゃ俺はここで…!!」 「!」
バン!!黒!!馬上の魔王!!
「なんでここに!?」 「奴か?」 シンの肌が粟立つ。ズドド!…ズドド!…カイオウが迫る!まっすぐに二人を目掛けて接近して来る!
「なんだあれは?影か?」 「幻魔影霊…カイオウは魔神の影と共に現…」 言い終わる前に砂蜘蛛はその場に膝まづいた。
「カイオウ…これほどか」 シンは恐怖に心を奪われ動けなかった。
ついにカイオウがシンたちの眼前に!カイオウが手綱を引く。巨馬が前脚を上げ、いななく。ナポレオンの絵のよう。
「「うぬか?」」 人間の声ではない。本物の魔神か?「「うぬが南斗の男か?」」
恐怖に動揺する心…落ち着かせるために全力を要した。「貴様がカイオウ…」 分かりきったことを問うた。
溢れ…、いや吹き出す闘気。北斗の陰の気とも違う。元斗の爆発的な気とも違う。もちろん南斗とも…。
「「弱い闘気よ。それでこのカイオウに挑むか。弱き者よ、何故にカイオウに会わんとした」」
"上"から話されている。シンの高いプライドに障る。だがシンの温度が上がらない。完全に呑まれていた。
「「この国の、カイオウの掟…弱者には死を!」」と響くような笑い声を上げた。「「ムハハハハ!」」 シンは動けない。
「「愚かで弱き者よ。雑魚ども相手に遊んでいれば良かったものを。そうすれば"奴"を呼べたであろうに」」
奴?だがシンはそれどころではなかった。
『一撃!』
結局シンは甘く見ていたのだ。
この国を救うことができる男として期待されたラオウ。もちろんラオウは強かった。シンは敗北を喫している。
サウザーに敗れ去ったとは言え、サウザーの身体の謎がなければ勝負を制したのはラオウであったかも知れない。
…明らかにシンより格上のラオウであったが、彼とて敗れたときのままではない。
ラオウを超えたとは言わない。それでも今のシンなら絶対に勝てない相手ではない筈だ。
ラオウが救世主となりうるならば、カイオウはラオウよりも劣る…と捉えるのは至極当然だ。
甘い読みは外れた…
「いや!」 不気味な闘気を纏っていても拳技に優れているとは限らない。力でこちらを凌駕しているとは言えない。
カイオウが馬から降りたとき、漸くシンは本来の自分を取り戻した。南斗の裂気も充実している。
「「ほう…まるで炎の如くだな」」 「貴様の下らん虚仮威し(コケオドシ)に呑まれたわ!」
シンは己の中に残るカイオウへの恐怖を振り払い、拳に殺気を込めた。シンが詰める!
カイオウは油断からか棒立ちの姿勢、必殺の間合い!
カイオウには余裕がある。闘気を扱うにあってカイオウの北斗琉拳は南斗の比ではない。
その身から吹き出す魔闘気は相手の一撃に込められた闘気を霧散する。シンの突きは速いが闘気がなければ鎧で止まる。
シンの快心渾身の一撃! 込めた殺気の鋭さ、体の一連の流れ、間合い…最高の一撃だった。
「!」 突然にカイオウが身をよじった。シンの突きがカイオウの鎧を引き裂き、その胸にも南斗の意地を刻んだ。
カイオウが距離を空けた。追い討ちをかけようとするシンに魔闘気の壁を造り牽制する。
シンは自分の突きに違和感を持った。込めた"気"が散るのを感じたのだ。だが十分に…殺れる!
「「なるほど…見事な突きだ。純粋に南斗の拳を継承している。南斗鳳凰拳でない以上、…孤鷲拳か。
鋭い闘気を指突の"中"に見事に集中しておる。元斗のように派手ではないが、その鋭さは他流の追随を許さぬか」」
カイオウから吹き出す魔闘気の量が増す!「「これだからだ!これだから北斗宗家から派生した流派は侮れん!」」
シンの頬を汗が伝う。「こっからか?魔王全開は」
今、24を観ながら読んでます。
この展開、24に負けてないです!
561 :
壱:2007/07/22(日) 22:48:21 ID:???
『急』
時間は少し溯る…
シンがカイオウの元に発った…それを知ったセリカは激しく逆上した。だがそんな逆上に意味はない。
…シンを助けなければならない…どうやって…
運が良ければシンがカイオウに会う前に止められる。…そうじゃなかったら?まさに戦いの最中なら?
…カイオウがシンにトドメを刺す時だったら?
セリカは凄腕で知られる兄弟修羅、殺(シャー)と斬(ザン)を先行させた。
この二人、旧世界から既にあらゆる殺人術を叩き込まれた非人間である。知能、感情に乏しいが命令には忠実だ。
セリカはプランBも同時に進めた。戦闘中であれば、シンを救い、且つ逃亡を成功させる。
自分だけの力でそれは出来ない。助力を期待できる力を備えている男。
タイユェン…気が進まなかった。自分が拉致されたからではない。彼に"死の壁"に向かうほどの決断ができるだろうか?
…セリカはシンとタイユェンが今や戦友であることを知らない。シンが複雑な事情を考慮し、あえてセリカには伏せていた。
……一人いる!
岩場を流れる川を上流に辿るセリカ。飛翔軽功術。獣のような速さでセリカは行く。
……ドドド…と滝の音が聞こえて来た。(いてくれ!) セリカは祈るような気持ちだった。
滝の裏に洞穴がある。奴の隠れ家。奴が郡将になる前に身を隠すため、そして密かに拳技を磨くために使っていた。
セリカは分厚い水の壁に飛び込んだ。高くはない滝だが、その水の圧力、重さは予想以上だった。…それどころじゃない!
「アルフ!」 セリカは奥に進んだ。「何者だ」 低い声が洞穴に反響した。
アルフは鍛練の最中にあった。セリカ「アルフ!あなたの力がいる!」
アルフの目が侵入者を射抜く。「何者…だ?」 アルフも男、侵入者とは言え、この美しい女をいきなり敵とは決め付けない。
「それに、どうやってここを知った?ここを知っているのは俺と、専属のボロだけだった」
「アタシがあの"杖持ち"だよ」 「…何?」とアルフが訝しむ。当然だ。信じられる理由も、信じる必要もない。
セリカに事情を説明する時間はない。要点から入った。「シンが!カイオウから助けなければ!」 「!」
シンとカイオウの名を聞いたアルフ。困惑を隠せない。
『アルフ』
「シンがカイオウと…カイオウと…」 流石のアルフもカイオウの名を聞き戸惑いを隠せない。
セリカはまくし立てた。「アルフ!あなたはシンに借りがある筈。あなたは必ず借りを返すと言っていた。口だけ!?」
借り…口だけ…アルフは"落ちた"。「30秒だ。30秒で着替える」 時間にうるさい性質だった。
アルフが着替えを済ませ現れた。修羅の戦闘衣。肩当て、軽量胴鎧、小手、ファウルカップ、レガース…。
「急ごう」 相変わらずムチムチした筋肉の持ち主だった。
セリカは"あの杖"と"赤いマント"に目を留めた。「"あれ"はいいの?」
「必要あるまい」と明るい滝の外に一歩踏み出した時、アルフは思い返した。「いや、持って行こう」
「もうアタシは持たないよ」とセリカがきつい視線をアルフに向けた。
アルフもダンディズムの求道者である。気取った。「当然だ。こんな美しいレディと知っていれば、杖持ちなどさせない」
セリカは白けた。いつも気取ってはいたが、平気で自分(ボロ時)の前で屁をこいていた男だ。
さらにアルフは気取って言い放った。「二分だ。二分以内でカイオウからシンを救い出そう。その時まだ生きていればな」
次いでアルフは確かめるかのように両手に闘気を集めた。ブーン…赤い闘気が空気を振動させ低い音が出る。
「我が元斗法槃拳…真価問われる時!」と意気込んで歩きだした。
セリカは呆れ始めていた。(真価…って、もうシン兄に負けてるし…)
だがアルフは非情であっても外道ではない。それをセリカはよく知っている。
アルフが郡将になってからも馴染みのボロ(セリカ)を好んで使っていた。義理堅いところもある。
そのアルフが気を纏う。滝の水が彼を避けて通る。「行くぞ!」
セリカ「アルフ、そっちは遠回りよ」 「フッ…レディをカイオウのところまで歩かすのか?」 「気取ってる場合!?」
アルフは、本人的にはダンディなつもりでニヤけたまま何かを取り出した。「フフ…バイクのキーである」 「である…」
「こっちだ。ああと…名は!?」 「セリカ!」 「いい名だ!」
巨体を軽々とコントロールし、岩場を走るアルフ。気取ったその仕草にセリカが引き気味なのに気がつかない。
564 :
マロン名無しさん:2007/07/23(月) 14:08:09 ID:ec0w0RNh
24ですか。現代の小火器や重火器、乗用車も、アニメ版でしか出てこなくて寂しいですね。
もっとも、原哲夫の画でそれをやるとパワーバランスや世界観的に「惑星を継ぐ者」惑星内時代編(仮)状態になりそうですが・・・。
ニプールや臍も無いし、異なる生物という感じがします。
龍星は厨房の頃にリアルタイムで読みましたが超人ぽくない&現代文明臭かったのが嬉しかったw
それにしても、いきなり急展開ですね。シャチとかもやはりやられてしまったのでしょうか、
それとも南斗を天賦の才で吸収したシャチが助けに来たり赤鯱経由でサウザーを誘致したりするのでしょうか。
565 :
マロン名無しさん:2007/07/23(月) 14:10:03 ID:ec0w0RNh
とある街へとたどり着いたケンシロウ一行。逃げ出した子供を掴まえようとして小屋に突っ込むフドウの天然ぶりに、
バットやリン達はすっかり打ち解けていた。しかし、ケンの眼だけは、この大男が只者ではないこと見抜いていた。
子供を捕まえてもらった商人は、お礼にとケン達に腸詰の乾物を人数分渡してきた。
彼は、劣悪な食糧事情の世に病気で寝たままの娘に肉を腹いっぱい食べさせてやりたいという一心で、貧児買取商になったという男だった。
娘のために頑張るのは親として当たり前。男はそう言うが、そんな当たり前のことが出来ないこの世の中にケンは不幸な時代を見るのだった。
『闇』
シンの鋭さ…全てを裂き、何もかもを穿つ! カイオウの暗黒…全てを飲み込み、何もかもを押し潰す!
「「このカイオウの魔道を阻みかねない秘拳の使い手…この場でその芽を摘んでおくか」」
カイオウがゆっくりと寄る。魔闘気を吹き出し、そして纏う身体…魔神の影に触れた草花が枯れていく。
シンは軽い興奮状態にあるが、脳の片隅では冷静にこの魔王カイオウを分析していた。大量の未知なる闘気…。
たとえば、爆発的な闘気を放出する元斗の拳は長期戦に向かないという欠点があった。使い手の内臓がやられる。
それが当然だ。闘気とは無限に使える便利なものではない。その闘気?をカイオウはずっと吹き出し続けている。
視点を変え、カイオウの拳技を分析する…。シンの最高の一撃を必殺の間合いでありながらギリギリで回避した。
体(タイ)の動きで躱したのではない。羅将ハンもシンとの戦いにおいて不自然な飛翔術を見せた。
ファルコがサウザー戦に使った、南斗の飛翔術とは異なる独特の飛翔術も、シンの記憶に鮮明に刻まれている。。
未知の闘気…それに心を捕われるべきではない。相手が魔王だろうと南斗の裂気は葬り去ることができる。
それはさっきの一撃で理解した。カイオウの鎧、シンの突きで裂けた部位からは一段と多量の"煙"が吹き出ている。
シンは速い。カイオウまでの距離…神速の二歩でカイオウを取れる!今まさにシンが飛び込もうとした時!
踏み込んだ一歩が地面を捉えなかった。「「ヴァジュラ!」」カイオウの声が脳に響く。
地面が"抜けて"しまっている。はるか下方は何も見えない暗黒の虚無。
次いでシンの視界は濃密な重い暗黒によって奪われた。シンの三半規管は上下左右、自分の位置を認識しない。
暗闇に包まれた視覚。シンは暗黒の何もない空間に投げ出された。
「??これは!?」 フラッシュバック! ハンの顔と言葉。"秘術!" 次の瞬間!
暗い赤色の噴出をシンは確認した!恐怖とそして、この虚無の空間の中に視認できる何かを見、安堵さえ感じたが…。
「ぐわあああ!」 自分が叫びを上げたことに全く気付かなかった。かつてないほどの衝撃だった。
『救出1』
赤黒い衝撃はシンの身体を激しく撃ち、それで全身の力を失ったシンは地面に叩きつけられた!
カイオウの一撃でシンは失神していた。地面への当たり方が悪ければそれで致命傷にもなっていた。
「「身体が消し飛ばなかったことは褒めてやろう」」 カイオウの暗黒の兜の下、邪悪な笑みで口が吊り上がる。
倒れたシンに手をかざす。シンの気を探っている。
「「完全にのびたか。今度こそ貴様が消し飛ばしてやろう。跡形もなくな」」
カイオウは右手を開き、そこに魔闘気を集めた。赤黒い炎が上がる。
セリカを後ろに乗せたアルフがバイクで疾走する! 「(瘴気…これが瘴気というものなのだろう)」
「セリカ!間に合いそうだ!」 「(だがこれは…やばい、この俺アルフが恐怖に支配されそうだ)」
アルフは厚い唇をギュッと閉じた。決意! 「セリカ!飛び降りろ!」
何をする気だ? セリカは疑問に思ったが、「…わかったわ!」とアルフに応じ、呼吸を変えた。
疾走するバイクから飛び降りるのである。南斗の体術でもきれいな着地は出来ない。
跳び上がる直前に脳の処理能力を加速し、スローで地面をチェックする。最も安全なポイントを見切る。
ブワッ!セリカが上方に伸び上がりバイクから離脱。狙いの場所への着地。激しくロールしながら衝撃を緩和した。
もちろん、ダメージがない筈はないが想定内のもの。重傷ではない。直ぐさま立て直しアルフを追った。
アルフはカイオウ目掛けて、スロットルを全開にした。舗装された道ではない。バイクが大きく揺れる。
「「……貴様の仲間が救いに来たわ」」 気絶しているシンに魔王は語った。
「うぉおおおお!」 壊れたタコメーターに動きはないが、スピードメーターの針が限界速度で小刻みに震える。
これでカイオウを倒せれば、そんな素晴らしいことはないが…。「食らえい!!」
アルフもセリカ同様に上方に跳ぶ! 制御を失ったバイクがカイオウを襲う!
カイオウは心中で笑った。どこまでも愚かよ、と。全速力のバイクから跳んだアルフは、そのまま谷に落ちるだけだ。
カイオウは迫り来るバイクを苦もなく躱した。谷に落ち行く運命のアルフには反撃の必要はない。
『救出2』
空中へ投げ出されたアルフの賭け。それは思い付きだった。まだ見ぬ魔王カイオウに作戦など無意味と判断した。
彼が信じたものは自分の元斗の拳士としての能力と、修羅の国を生き抜いて来た才覚だった。
空中に投げ出された自分を魔王は討つだろうか? 賭けに勝った。
カイオウはアルフの末路を楽しみながら眺めている。アルフはカイオウの頭上を超えるとき、その目を見なかった。
好奇心、怖い物見たさを抑え、空(クウ)でロープを構えた。ロープの先には四方向の鉤が付いている。
次の賭け! シンに投げつけた。直進性と速さを出すためロープに闘気を込める。
鉤がシンの上腕を噛んだ! 「(保(モ)ってくれ!)」 シンはどう見ても気絶している。常人の肉体強度しかない。
アルフの体重がスピードで何倍にもなっているのだ。シンの腕が引き千切れないか?
上手くいってもシンの左腕は使い物にならないものとなる。だが…命が優先だ!
奇跡か!?鉤がシンの腕に掛かったとき、シンがそのロープを掴んだのである。
アルフがロープに込めた闘気に反応したのだ。無意識無想の反応である。奇跡的に寸前でシンが意識を取り戻したのだ!
シンの身体はアルフに引かれ、共に谷底へと落ちて行った。
落下しながらアルフはシンを引き寄せる。次の賭けは最後。自分とシンの幸運に賭けた。
一方セリカは谷底に落ちて行った二人を見るや、カイオウが彼女を振り向くより先に方向を変え姿を消した。
砂蜘蛛は離れて一部始終を眺めていたたげだった。鮮やかなアルフの救出劇ではあったが、何より魔王の強さ…。
カイオウは谷底を睨んだ。「「してやられた…か」」
『斗の…』
一抹の不安…カイオウの秘術・暗流天破を知られたことだ。
砂蜘蛛は既にこの秘術を知っているが、魔王の眼中にはない。砂蜘蛛は魂までもが魔王の恐怖に支配されている。
「「あの黒い肌の男は…アルフという輩か?」」
砂蜘蛛はカイオウの元に駆け寄り両膝をついた。「はい、奴が郡将アルフです。死んだ筈…シンに殺られた筈でしたが…」
ならば奴も"斗"の拳士ということになる。カイオウは再び谷底を見やった。
やはり二人の姿はない。助かる見込みはないが、それは並の人間の場合だ。斗の拳士ならばあるいは…。
カイオウは自らが谷に飛び降りるかと考えた。カイオウの魔闘気なら落下速度も制御できる。
だがそうはしなかった。兜をずらし指笛で巨馬を呼ぶ。
「「このカイオウにも、まだ興を求める心があるわ」」
そして馬上から砂蜘蛛に、「「貴様に陸戦隊を預ける。見つけ出し、消去しろ。三人ともだ。首を持ち帰れ!」」
そう砂蜘蛛に言い残し馬を駆りカイオウは魔神の影と共に走り去った。
570 :
壱:2007/07/24(火) 05:10:42 ID:???
原作ではカイオウは空を飛べることが描かれています。(リンを拉致し、城に戻ったとき)
ですがやり過ぎ感が強いので妄天では飛べません。大ジャンプは出来ます。
あしからず…m(_ _)m
571 :
壱:2007/07/24(火) 05:13:14 ID:???
書き忘れ…
馬上のカイオウ、去り際。シンに刻まれた胸に手をやる。魔闘気が強くなる…的な描写をプラスして下さい。
原作のケンシロウ救出劇とはまた違うスピード感のあるアクションですね、
実写を観てる様な迫力があります
話は変わりますがこのカイオウ自身にはなにか目標ないんですかね?
原作のカイオウもこれといった目的がなかった様に思うので、
壮大な悪の目的みたいなものがあれば、さらに凄みを増すように思うのですが?
原作のカイオウは北斗宗家の抹殺という目的がある
ラオウ伝説を利用し自分が救世主になろうともしたよ
カイオウのプランとしてはラオウを倒した後は鎧を脱ぎ、自分がラオウ=救世主として修羅国を統治したかったんだろう
(何気にカイオウは人の目を気にする人間)
574 :
壱:2007/07/26(木) 18:57:22 ID:???
>>572 カイオウの目的…
>>573の方が書いた通り、北斗宗家の血を絶やすこと、
そして新世紀の創造主になること。
これらは原作で述べてます。
妄天でも同じです。
妄天でカイオウと砂蜘蛛の会話を書きましたが、
妄天カイオウはケンシロウを待ってます。
だがらあえて修羅国を完全に統治せず、他の羅将(北斗の流派)に自由を与えていました。
ま、所詮は妄想です……
『聞き慣れない言葉』
渓流に沿い必死で二人を探し続けるセリカ…
「あ!」 人影が見えた。アルフに支えられながら歩いているシンの姿を確認した。
三人は岩の陰で小休止した。長くは休めない。カイオウの手の者が自分たちを捜索している筈だ。あの陸戦隊がだ。
悪ければカイオウ自身が現れることも考えられる。
シンは再び気を失っている。骨折の類はどうやら認められないが全身がひどく炎症を起こしている。
セリカはシンを察気してみた。弱々しい生命力ではあるが、それは終息に向かってはいない。一命は取り留めた。
セリカはアルフに深く感謝した。謝礼を望むのであれば、どんな要望にも応じる気だった。
アルフも全身傷だらけである。セリカは谷を見上げた。飛び下りて助かる高さではない。
アルフは岩壁を手で削りながら落下速度を抑え、比較的角度の浅いところを滑り落ちて来たのだ。
その割にシンの傷は少ない…。「アルフ…あなた…」
「フッ…気にするな」と渋いつもりの笑顔を見せるアルフ。いい顔だった。
「アルフ…血が…」 アルフの"鎧の下"から出血がある。救出の際に出来たものではない。「開いたか…当たり前か」
シンとの戦いで負った傷だった。セリカは胸と目頭が熱くなるのを感じた。その感情はあえて制御しなかった。
「アルフ…」とシンが声を発した。「シン兄!」 「気付いたか」 「おぉ…セリカも…いたか」
セリカは気概あるアルフに特別な感情を持ち始めていたが、その気持ちはシンの目を見た途端に露と消えた。
シン「…何故…助けた」 「言ったろう、借りは返すとな」 「借りか…すまない…感謝する」 「……」
腹部を押さえながらアルフは立ち上がり辺りを警戒し始めた。
「どうしたの?突然」 アルフはしみじみと答えた。「この国、いやこの時代で感謝という言葉を二度聞いて戸惑っている」
セリカとシンからの感謝の言葉…。「感謝されたのはいつ以来…か」
「!」 同時に二人が反応する。「殺気だ。だがカイオウの瘴気ではない」とアルフが目を渋め、厚い唇をつぼめた。
数百m先に重装備の一体を見た。「逃げて!」 「何!?お前は?」 ザワザワとセリカの長い髪が揺れる。
「十人くらいね。私が殺るわ」
576 :
壱:2007/07/26(木) 23:12:36 ID:???
訂正
×重装備の一体
○重装備の一隊
××劉宗武の一杯(拳志郎に奢った一杯)
577 :
マロン名無しさん:2007/07/27(金) 00:35:12 ID:8MAInQYA
蒼天も有りということで、第二次世界大戦期のコピー銃や清代の銃の再生産品、もしくは密造の粗悪品の現代銃も出てきたら楽しいですね。
太炎庭園とかで満天の星の下で、ファウルカップをセリカの枕にして太腿をクッション代わりにしていたのが吉と出て、ニューサザンクロスの寝所を吹き飛ばす
第三次世界大戦期のロケット弾から逃れるとか、それを見て何か思い違いをしたギョウコが手製の車載式旋条砲や臼砲で陸戦隊と撃ち合い始めるとか、
色々と楽しみです。ようやくまともなメンバーが居たと思ったら、特異体質でギガスラッシュとかライディン、斗系でベホマズンらしきものまで使うとか
意外に陸戦隊は夢いっぱいです。
578 :
マロン名無しさん:2007/07/27(金) 00:40:33 ID:8MAInQYA
過去スレのハルナ(常人)が寿命を削って(きっと脳から腱まで負担多し)、森羅の恩恵みたいな感じで発動できたことを随意でやれる。
セリカ、なかなかやりますね。斗拳すごす。
砂雲と相対する日が来てしまうのか。恐怖が極限で裏返って、陸戦隊VSカイオウとか夢の対決が起きるのか。
カイオウは慢心や薬品に弱そうなので楽しみです。大砲の砲弾をバカにしていて、陸戦隊本命の塩素系の塵を一身に浴びてピヨりそうです。
579 :
マロン名無しさん:2007/07/27(金) 19:35:10 ID:WLbuCXey
×重装備の一体
○重装備の一隊
××ザク(MS)
××シン「ペダルを漕いでるヤツが7匹、砲手が2匹か」
××セリカ「無駄に無線LANを備えているわね(カチカチカチカチカチ)」←乱視の原因
××セリカ「十人くらいね。私が姦るわ」
××さまようよろい
××アルフ「凄い乱視だったんだなお前」←霊感だけど
核戦争の起きなかった実際の世紀末。
北斗神拳に忍術やガン・カタを取り入れた
「北斗実戦術」を編み出したジャギが
世界中の軍隊から教官として引っ張りダコ。
四兄弟で一番の大金持ちに。
581 :
マロン名無しさん:2007/07/27(金) 19:40:31 ID:WLbuCXey
重装歩兵VS斗、何気に奥深いですね。
対軽装者相手の、掴ませ用の柄に何か塗布したナマクラのロングソードとか柄が接触毒だらけでささくれ立ってる長槍とか、
ヤマアラシ状態の鎧を着ている巨漢とか、素手で勝てるわけの無い戦法を使う敵とか居そうです。斗拳系の手細剣じゃなきゃ打破できないような。
スリーマンセルで、2m以下まで間合いを詰めないとボウガンの装填&射撃をやめないチームとか意外に夢が膨らみますねw
ファイヤーエムブレムでいえば、辺境から帰って傭兵経験のある勇者Lv2桁を相手にしているような感じです。
10匹が釣り野伏せの餌じゃなかったらいいなぁ、とハラハラしつつ楽しく読んでおります。
582 :
マロン名無しさん:2007/07/27(金) 19:42:13 ID:WLbuCXey
584 :
壱:2007/07/28(土) 23:32:59 ID:???
現代北斗、読みたいですね。
主役は人気のジャギで。
極悪人ではなくパラレルでもいいから不器用な男設定。
もちろん善人ではなく、弱き者を助けるのでもなく、権力を傘に威張ってる輩が許せない…みたいな。
もちろんショットガン使用。
原作みたいな超人ではなく、オリンピックのトップアスリートクラスの拳士。
機械や電脳に強いアキバ系の相棒。
警察幹部との浅くはないつながり…
無理ですね…現代は複雑すぎます。
例えば職業にしても普通に働いてる筈はないし、暴力団や政治家とも……
やっぱり北斗の拳は荒廃した世界だから成り立つのかなと。
585 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 00:55:15 ID:09rQFWeq
蒼天みたいに近代世界と競合させるとか、超常的なヤツら同士の戦いにしていくとか、
暗○拳の本分を守るようにするwとか、王道を斜め上にまたぐ工夫が不可欠ですよね。
また、超人じゃなくなれば北斗の拳の醍醐味が激減する上に荒野じゃなきゃ映えなくなります。
やはり、100mを5秒で走る程度のやつにしておくべきかと。
または、アミバ編の瞬発力ボクサーがライバルになりうる程度のバケモノ。
『番外イフ・黒ヘルの男』
少年、タイチはようやく歩き始めた。いくら泣いても両親は生き返らない。
タイチは理解した。人は死んだら…ただ人の形をした肉の塊になるだけだ。
食料も水も、全てあの野党共に奪われた。両親の命も奪って行った。…どうせなら僕も両親と一緒に…。
……「このガキどうする?」 「ほっとけよ、どうせ生きて行けやしねえ」 笑い声が上がった。
「しけたもんしか持ってねえ。おっ、ガスは結構入ってるぜ」 「いただこうや」
…奴等は奪える者は全て奪って行った。僕の命以外は…。でも…もう歩けない…。
少年は泣きそうになった。まだ涙が出るのか。「ダメだ…泣かない、僕は泣かない…死んでも泣かない…」
遠く荒廃した地平線の彼方…微かな砂埃が上がっている。タイチはボンヤリと砂煙を見ていた。
…ドドド…ドドドド…それは大型のバイクだった。単気筒エンジンの太く低い音がタイチの身体に響く。
「ん?おいガキ、どうした?」 黒いヘルメットの男だった。見たことのないデザイン。骸骨のような、牙のような…。
「おい!」 だがタイチにはもう言葉を返す体力がない。「…あ…うぅ…」
「ちっ、死にかけか」と黒いヘルメットの男はタイチを置いて去って行った。
「……」 もう意識が薄れている。しかし怖くはなかった。両親もいない、こんな世界で生きることのが怖かった。
?…ジョボジョボ…うつぶせに倒れたタイチの頬に水がかけられている。
タイチは見上げた。誰かが自分にションベンをかけているのかと思った。
そいつの顔は照りつける太陽と重なって見えなかった。…ションベンじゃない…水?…水だ!
「あ…ああ」 「おっ、まだ生きてたか」 さっきの黒ヘルメットの男だった。
「なるほどなあ…そうつは災難だったな。だがまあ気にすんな。これからの世の中じゃあよくあることだぜ」
タイチ(悪い人じゃないんかな…悪い人が僕んこと助けるか?)
「ヘルメット…熱くないの?」 会話が途切れるのが嫌だった。
「ああこれな」と男はその黒いヘルメットを脱いだ。手櫛で髪をかき上げる。
タイチ(…鋭い目。そしてなんか…なんだろ…なんか…ものすごく強そうだ)
『黒ヘルの男2』
その鍛え上げられた身体の持ち主はバイクに跨がると、
「おいガキ、名前は?」 「え?」 「名前ぐらいあんだろ?犬猫にだって名前ぐれぇあんぞ」 「…タイチ…イシダタイチ」
男は笑ったのか、唇を歪ませた。「タイチか…」
「オジサンは?」 「んあ?」 「ごめんなさい!おにいさんは?」と少年はおどけた。男の"水"が少年に元気を与えたのだ。
「俺か?俺様は…」と男はバイクのキックを蹴りおろしエンジンを始動させる。
「俺様はジャギ。この名前を覚えとけや」 「あ、ちょっと待ってよ。置いてかないでよ」
男はそれには応えずに質問で返した。「タイチ、オメエのトウチャンカアチャンを殺った連中…どんなだった?」
「え?…怖くてよく…」 「どんな髪型だった?」 「え…」 「少しくれぇは覚えてねえんか!?」
「待ってよ。ほんとに怖くて…」 「モヒカンだったか?」 「モヒカン?」
男は言葉とゼスチャーで説明した。「真ん中だけしか髪なかったか?」
そして自分の側頭部をさすり、「この辺の髪ぃなかったんじゃねえのか?」
「あ!うん、そう!…あと、みんなオデコに…」 「Z(ゼット)って書いてあったろ」 「うん!書いてあった」
男…ジャギは黒いヘルメットを被った。「…わかった。じゃあな、タイチ。達者でな」
「え?ほんとに置いてくの?僕のこと…待ってよ、生きていけ」「甘えんじゃねえ!」
突然の男の大声に少年はビクッと身体を震わせた。
「生きていけねえんなら…のたれ死ね!」 タイチはまた泣きそうになった。(飲ませてくれた水が、すぐ涙に変わるものなのかな?)
「このまま西に歩けば街がねえとは限らねえだろが!」 「え?」 「さっきから、え?え?ばっかだな。…あばよ!」
ジャギは砂煙を残して去って行った。
「西?…どっちだろ。太陽が高いからあっちが南かな?…あ!」
少年はバッグを見つけた。あの男…ジャギが忘れたものだった。中身を確かめる。レトルト食品や缶詰…そしてボトルに入った水。
「こんな大事な物を忘れるなんて…結構マヌケだな。あのオジサン」
この時代を生き抜こう!不思議と元気が出た。
そしてこの忘れ物…黒いヘルメットの男は取りに戻らなかった。
終
588 :
訂正:2007/07/29(日) 01:52:22 ID:???
>>586の
×奪える者
○奪える物
××奪える"モノ"
2レスに抑えるため、結構描写を端折りました。
寝る前に読んで興奮したじゃないでしか!1さん本当に乙です。
590 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 11:01:57 ID:uo0vGixm
うっひょおおおお!!
これから読みます、ジャギの冒険!?
本編ではレイに殺されたんだよな>ジャギ
アミバ様とちょっと出たフドウを本編に絡めてくれ
592 :
壱:2007/07/29(日) 13:06:03 ID:???
>>591 今思えばレイvsジャギがパラレル北斗の始めでした。
アミバは未登場ですが、一応ケンシロウにやられた設定にしてたような気がします…。
ただ原作と違い、私の妄天ではキャラがあんまり死にません。六聖はユリア以外生きてますし。
なのでもうあんまりキャラを増やすと消化できず…。
アミバは人気キャラなのでカメオ出演というわけには行きませんしね。
593 :
マロン名無しさん:2007/07/30(月) 14:05:49 ID:MuzpX2vZ
者やモノですが、小柄な第二次性徴し始めの牝ならコテカにされると思った。
ジャギ、夢畑級に超善良ですね。善良を超えて聖生物と化しております。しかも、顔面が正常っぽい。剛拳が白髪化前のトキぐらい得意そう。
でも逆に、文明世界では怪生物として歴史の闇に棲み社会の外郭で生きていくしかできなそうですね・・・。
オウガイ悲恋編みたいに工夫しても、怪生物同士の戦いでしかなかったし・・・。
本編の所業に比べたら別人。
物資が心配になると弱者を頃して手下に器用に加工させて農奴の餌としてサザンクロスに納入しかねないのがジャギなのにwww
端折るの、なんかもったいないですね。細部も読みたいです。
わたくしもジャギ畑で1つ。皆さんも気軽な参加が可能です。皆で創る北斗世界。
594 :
マロン名無しさん:2007/07/30(月) 14:08:14 ID:MuzpX2vZ
20kg余のコップ付きポリタンク(一面には草鞋状の藁製カバーあり)をみすぼらしい少女の足首に枷と紐で接続、そして砂地や荒れた通り道を20km移動させるレース。
重さと恵みの間で揺れ動く体。沿道には卑屈な大衆、人間馬車や輿の貴族階級、牛車や徒歩やサイドカー等の戦士階級、といった様々な観衆。
彼女の横で食べる饅頭(小麦粉のお握りみたいなヤツ)は旨い。水呑みも格別の心地良さ。日傘や濡れ手拭い、ツバの大きな帽子、アロハシャツやTシャツでおしゃれして。
ルールでは、少女は自力で出来る限りのどんな手段を用いて進んでも良い。だから、助けの手や飲食物、日よけの衣糧等を乞う。
でも、いや、だからというべきか・・・。進路上に放尿とか、100mぐらい後方から「こっち来い」と逆に誘惑する鬼畜が続々と登場。
少女はレースの期間は明文法上での通常の市民と同じく保護されているから、奪われる系やボコられる系、約束反故(物資がらみの判例もある)の心配は無い。
その方が、レース面白いから。
丈夫な靴と足袋を貰うために岩塩1カケラを完食するか、その申し出を無視するかで悩む姿とか、面白さ満載。
展開によっては、替えのボロ布とかお握りの差し入れもあり。反面、騒音や退避行動で日陰や日照、もしくは睡眠から遠ざけるコマンドもあり。
汗を保湿するという大切な機能を億尾にも出さず、「キミの服が欲しいなぁ」「その肌着らしき布もちょーだい」などとロリ根を装ってまで奴隷の命脈を脅かす納涼モヒ(飲食物を所有)も居る。
595 :
マロン名無しさん:2007/07/30(月) 14:12:00 ID:MuzpX2vZ
紐が千切れると、水を腕の力で運ぶ脅威が待っている。引き摺り方によっては地獄だが、引き摺り方なんか鍛える機会も無いし殆ど運不運。
重りを体につけるための紐を哀願し、土下座しつつ恵んで貰ったり無駄だったりする少女。
ゴールできたら、公娼等の道が開ける。ゴールできなかったら、乾いた体を胸像みたいに地面から露出させて、お地蔵さんになる。
水による様々な【ターミナル・ケア】と引き換えで、生前に設置するパターンもあり。正面で観覧してるモヒなんか、種を排出してる。腰が震えてる浅い中腰の女も居る。
レースの時期には、木製の札が添えられるし、防虫とかもしてもらえる。たいてい、それにkiss(!)したらお下がりをいただいていいことになっている。
でも、神前に1%超の塩水や漆80%そば粉パンケーキを置いとく外道鬼畜も居る。主催は帝都の中堅官僚グループだけど、ケンシロウが通りかかるまで、毎年続く。
スレの皆さんも、沿道の観客になったつもりでミニSSなど宜しければ御創りくださいませ。
ケンその他の特定妨害者対策ですが、テキが少女を救い出した時点で人混みから突出せずに離脱したらほぼ無害ですw
闖入して最初にすることが競技用奴隷解放じゃなかったら知らん。
596 :
マロン名無しさん:2007/07/30(月) 14:13:38 ID:MuzpX2vZ
御名前様の参加もお待ちしております。20Lの淡水。水を運ぶか、水を捨てるか、決断は命の輝き。
20kmという距離。体格や栄養状態によっては、20kgを引き摺って動くのは不可能。
【ターミナル・ケア】なんつっても、6日だって保たせる気は無い。活けた時点で、明文法上も市民じゃなくて地蔵(公道に附設した何かpriceless)。
高い糖度のネーブルオレンジを絞ったお茶に白パンを漬けて食べるのも、御名前の前だと格別ですよ。ありがとう。沿道は賑やか。
御名前の晴れ舞台です。トトカルチョをしているグループからの支援とか合法的妨害を見極めつつ、歩め御名前の進む道。
沿道ではフルサトソングやウォーキングのBGM(ダイエットコークのCM曲にもなってた)の腹式呼吸ハミングで一緒に頑張る太鼓持ちの姿も。
「走ったら助かるのに」等の虚言で、御名前の極限の心を揺さぶります。心術の勝負。観客は御名前にとって何倍段?
生傷だらけの体もよし、白魚のような手で地面を掴んで進むもよし。普段は半裸で労働する農奴でもよし。
小作農ゆえ、天秤棒などを哀願するなど色んな工夫をするもよし。熱い陽光と粗い柔肌の組み合わせ。Deathがベタベタとまさぐり始める体を、引き摺れ。
前へ。ラスト3行でレイに救われるオチを夢見て20レスぐらいで創りあげるもよし。今年のウォーキング・ガールは御名前。
597 :
マロン名無しさん:2007/07/30(月) 14:15:29 ID:MuzpX2vZ
一般人とかの視点で進むのも何気に味わい深いですね。限界は近そうですが。
例えば、再放送での11歳ぐらいの牝への将来に亘る影響力で「ヤヌスの鏡」に勝てるぐらい、
ヒロインをウイグルらが毎日責めるという内容の二次創作品もあれば嬉しいところです。
天の覇王の萌えキャラがなにやらスレでやられているようですが、あんなんじゃなしに。
非道が起きていても、ラオウにもウイグルにも飯・娯楽物品の要求や酒色女色の無心ぐらいしかせずケンを待ち続けるトキ、
カポーになってヒロイン用の人間安全腹パン器機と化している空手使い、終盤までラスボスとして登場を続けるライガフウガ・・・。
うぉぉぉ読みたいぞ泰山流拳術の使い手・タイチの冒険。そして暑中のボットン便所での粟や稗の食事(拒食したら懲罰)など、
毎回必ずひどい目に遭うヒロインは御名前。ほんっと、夢畑の管理人は良い境地に至った。御名前、これ最高。
『羅刹』
傷ついたシンに肩を貸しアルフは立ち上がり、「しかしセリカ…」 「大丈夫。私の目を見て」
セリカの目は熱く鋭く、そして強い光を帯びている。アルフはセリカの強い目が示すところに気がついた。
セリカがアルフに見せた眼光の意味。死に切れずにボロとなった者の目ではない。激しく未来を撃つような力がある。
「セリカ…お前、俺の杖持ちだった筈…」 「羅刹」 「!…フフ…」
とアルフはその広い鼻の穴から大きく息を吸い、そしてまたその広い鼻の穴から吐いた。
「相手はただの修羅じゃない。だが遅れるなよ。俺は先に行ってる」
シン「セリカ…南斗の名を…け、汚すな」 優しい言葉なんかよりもセリカを鼓舞するものだった。
そして南斗六将の一人であるシンがセリカを南斗の戦士としてはっきりと認めた発言でもあった。
「アルフ、頼んだわ」
渓流を辿る陸戦隊はピッタリ十人であった。
「む、あいつは?」 その修羅の先には黒いボディスーツの美しい女がいた。
十人隊長修羅「……」 さすがに凄腕の修羅で構成されたカイオウ陸戦隊である。セリカの持つ鋭い殺気を感じ取る。
隊長「…手強いぞ…。油断するな」 修羅たちは無言でそれぞれの武器、刀剣や槍を構えた。
隊長「数に恃むな。敵は女ではない。…魔性だ。固まらず、囲め!」
バシャバシャと飛沫を上げながら、凄腕の修羅たちがセリカを取り囲む。
彼らは先を行くシンたちに気がついたが、目は逸らさずセリカに向けている。まずすべきことに意識を集中していた。
「やるわね。さすが…。でも格が違うわ」 「はあ!」 かかれ!の合図などなかった。セリカの背後から修羅が襲う!
その修羅の重い斧がセリカの背中を捉える直前に、彼女は高く飛び上がった。舞い上がる彼女を水の線が追う。
「な?」 高いジャンプに修羅は驚愕した。セリカは空で後ろに回転すると、その修羅目掛けて上から蹴り下ろす!
修羅は鉄の大盾を上に翳し、セリカの蹴りを受け止めた。鉄の盾が歪み、衝撃は男の関節という関節に損傷を与える。
まだ終わらない。ちょうど一瞬だけその盾の上に乗る形になったセリカ「はあ!」
その一撃は盾を貫き、男の頭を守るカブトをも貫いた。
核戦争の起きなかった実際の世紀末。よりもちょっとだけ未来。
戦場の荒野。居並ぶ重戦車とロボット歩兵。その前に立ち塞がる
一人の男。東洋の龍の頭を模ったプロレスマスクと龍の鱗模様を
あしらったカンフージャケット。その男、人呼んで「拳龍(クァンロン)」。
襲い掛かるロボット兵。その攻撃を軽くかわしつつ次々にロボット兵
の装甲の上から軽く掌打を打つ拳龍。次の瞬間、火花を散らし煙を噴き
バタバタと倒れるロボット兵。拳龍がつぶやく「北斗直伝掌(ホクトチョクデンショウ)」
掌打の衝撃が装甲板を突き抜け内部の精密機械を直接破壊したのである。
拳龍めがけて次々に発射される戦車砲。驚異的な跳躍力でそれをかわし、
着地と同時に叫ぶ拳龍「北斗風水孔!(ホクトフウスイコウ)」。地面に手刀を突き立てる。
次の瞬間その辺一帯の地面が爆発し戦車隊全滅。彼はその辺の、風水で言う所の
「地脈の流れ」を気の力で読み取り、その要の部分に強力な気を打ち込んだのだ。
世界各地を飛び回りテロ集団と戦う仮面の戦士「拳龍」。その本名が「ラオウ」
である事を知る者はいない・・・。
600get
『執念』
「!」「!」「!」
凄腕の修羅たち陸戦隊もが恐怖する一撃。素手で鉄の盾を貫通する…。郡将や准将でもこんなことができる者は少ない。
それを鍛えられてはいても細身の女がなしたのである。
だが、彼らは恐怖に支配されはしなかった。彼らは既に、さらなる恐怖を知っている。…魔王への恐怖。
セリカは先に動いた。怖じ気づかない歴戦の修羅たちである。侮れはしない。
しかも水位は膝まである。軽功術であっても大幅にスピードは落ちる。一気にやるしかない。
セリカはこの小隊のリーダーを狙い、柔らかく舞い上がる。だがスピードも乗ってはいない。加えて宙では身動きできない。
隊長修羅は宙のセリカを槍で突こうとする。だが宙にいたとしても南斗の拳にそれを捌く力がない筈もない。
鷲のように舞うセリカは、その槍を右手で左に流すように払うと、その勢いを利用して宙でターン!左の後ろ回し蹴り!
隊長修羅も抜群の反応を見せた。自分の槍を捌くセリカの動きは恐ろしく速いが反射的に盾を上げる!
ゴ!!盾を伝わる衝撃が隊長修羅の左腕を破壊し、彼は水面に勢いよく倒れた。
剣!槍!また別の剣!
セリカは長い髪を振り回すようにしながら、それら修羅たちの殺意を躱し、的確な反撃を入れる。浅い川面が血に染まる。
その動きは優雅な柔らかさを描いていたが、超絶な速さのため、いかに凄腕の修羅でもその優雅さを知ることはない。
セリカ「(残り三人)」 バシャシャ!修羅が分厚い剣を振り下ろすべく上段に構えている!
一瞬速く距離を縮め、セリカはその男の胸を抜く! 「(あと二人!)」 男から手を抜こうとした時!
その胸に穴を空けられた修羅がセリカを強くハグした。その男の五指には鉄の爪。爪がセリカの背中に食い込む!
人間の執念の強さをセリカは甘く見た。絶命し膝が折れながらも、その修羅の爪に込められた力は変わらない。
「見事!」と残り二人の修羅の一方が身動きのままならぬセリカに襲いかかる!手に握るは小刀。腰に構えての玉砕覚悟!
「くっ!」 セリカは執念修羅の腕を断ち、空に逃れる。そうなってようやくに食い込む爪、腕が離れた。
ドスス! 「あう!」 宙に逃げたセリカを二本のナイフが捉えた。
『傷』
セリカの着地は成功したものの右大腿部裏と左の背中にナイフ。
背中の方は幸運にも骨に守られたが、太腿には深くナイフが突き刺さっている。
「仲間のやられ様、ただ惚けて見ていたと思うたか!」
セリカが舞い上がり背を見せたその瞬間を狙い、五本のナイフをばらまいたのである。その内二本がセリカに命中した。
残り二人は間髪入れずにセリカに迫る!先ず腰に小刀を構えた修羅が詰める。自分の命と引き換えての突進!
「う!」 セリカは自分の太腿に刺さったナイフを抜き取り、突進修羅に投げつける。
ガッとあっけない音を立てナイフは川に落ちた。鎧で覆われた身体の隙間、目を狙ったがナイフは外れた。
「うおお!」 この修羅からも凄まじい執念を感じる。しかしその突進修羅はセリカの斬撃で解体された…その時!
ドズ…セリカの腹部に槍が突き立った。先のナイフを投げた修羅である。
突進修羅の背中ごとセリカを突き通すための一撃だった。セリカも南斗の知識を身につけている。致命傷ではない。
「痛いわ」 優しい声でセリカは微笑みかけた。
「不覚だわ…」と自分の甘さを呪うがそれだけではない。陸戦隊の力自体も相当なものだ。
陸戦隊は数百人いると聞く。十人でこれほど傷を受けているようでは見通しも暗い。
アルフ「おおセリカ、追いつい…セリカその傷は」「掠り傷よ」とアルフの言葉を遮った。
とても掠り傷と呼べるものではないが、それでもこの三人の中では最もダメージは軽い。…傷が軽いわけではない。
「でも相当やるわ、奴等。さすがに十人もいると、楽じゃないわね」と強がりを見せた。
シンはそんな"妹"を不憫に感じたが、「俺に構わず逃げろ」とは言わない。
命の危険を知りながらも、あのカイオウから自分を救い出した二人なのだ。
シンが今集中していること…自分の非力さが呪わしいが、今は逃亡のみである。もちろん三人とも無事にだ。
セリカ「は!」 前方に別動隊を視認した。さっきよりも多い。十人を1ユニットとするなら今回は3部隊、三十人。
シンはアルフに寄り掛かりながらも拳に力を集中した。…ただ身体が激しく悶えるだけだった。
「まずいな」 分かり切っていながらアルフは辺りを見回した。当然逃げ場はない。
核戦争の起きなかった世界。東京の下町に一人の指圧師がいた。
彼の名は時任司郎。医者が見離す難病さえも指圧で治してしまう
カリスマ指圧師。しかも貧富の隔て無く治療し、貧しい人からは
「出世払い」として治療費を取らない人格者。人はかれを親しみ
を込めてこう呼ぶ。「トキ先生」と。
604 :
マロン名無しさん:2007/08/01(水) 20:20:41 ID:IuZn8+N3
ラオウが鉄男とか最終兵器彼女とかのレベルに達してる件
まぁ、そうでもなきゃ「天」とかいう発想もしないだろうけど。
対テロというか、近代戦の盲点を容赦なく突きまくることによる強さって感じもする。
陸戦隊が仮に数百人でも1人以上がボールみたいなでかいプラ爆とかで自○テロでもしない限り、
やられそうにない戦車やロボ兵を殲滅して回るラオウだが、陸戦隊数百人には相当苦戦するだろう。
超近代兵制のなかでも、地形の変化に対して強いロボ兵は一網打尽にせず、甲冑組討の超進化形みたいな奥義で各個やってる。
605 :
マロン名無しさん:2007/08/01(水) 20:24:12 ID:IuZn8+N3
そういえば陸戦隊、レーザーサイトだのデジタルの照準機械(ディスプレイとかまじありえねーですよね)だのを
使いながら打ち出される対人機銃でも掻い潜りそうな気配ですね。
となると、赤鯱がサブマシンガンで救出とかはできなくなるわけで、益々どうやって切り抜けるのかうきうきです。
原作で出てきた陸戦隊の強さってよく判らないんだよね、
陸戦隊一人の強さって砂蜘蛛より上なのかな?
だとしたら二人居れば確実にファルコは倒せるわけで。
妄天では指揮を取ってるみたいなので砂蜘蛛の方が上みたいですね。
『僅かな希望でも』
アルフ「引き返すしかない!」 もし引き返した先にさらに別の修羅たちが待ち構えていたら?
かと言ったところで、このまま三十人もの陸戦隊と戦うわけにもいかない。シンたちは重傷を負っているのだ。
陸戦隊が迫る。殺気に最も敏感なのは当然殺気を操る南斗の拳士シンである。「変だ…」 「何が!?シン兄」
陸戦隊の防具・鎧の色に統一性はないが、一人だけキレイな銀色の装備の戦士がいる。相手方のリーダーであろう。
その男が、「待ってくれ!そっちに戻れば本隊が、あの砂蜘蛛が指揮を取る本隊とぶち当たることになる」
と、その銀色の戦士は兜を脱いだ。羅将ハンと同じく髪を後ろになでつけた口髭の壮年。
アルフ「お前はナガト!羅将ヒョウの准将だったお前がなぜ?」 「話している暇はない。そなたたちの逃亡を助けよう」
シンたちには陸戦隊の鎧が着せられた。ダメージの多い彼らには重荷以外何物でもないが、顔を隠せる。
さすがに治療を施す時間はないが、負傷兵のフリをすればいい。カイオウや砂蜘蛛以外なら欺ける筈だ。
「アルフ…お前たちはこのままこの国を脱出しろ」 「…」 「カイオウに目をつけられては、どの道ここで生きていけん」
「ナガト、なぜ…俺たちを助けた」 「俺たちは希望を失った。その希望を失った時、俺は自ら命を絶とうとしたが…」
「したが?」 「希望は他にもあった。カイオウを倒せる可能性を持つ男がもう一人いた」
両脇から肩を担がれたシンが会話に参加した。「北斗神拳…ケンシロウのことか?」
「…そうかそなたは北斗神拳に従属する拳、南斗聖拳の使い手だったな」
北斗と南斗…表裏一体互角の拳… 現実的には北斗に従属する拳とさえ言われる。
悪意はないがナガトの失言…シンの体力が完全なら、その憤りでナガトは殺られかねない。ここでも北斗神拳…ケンシロウ…。
「…それにしても、あのカイオウに傷を負わせるとは…南斗の拳も恐るべき。だからこそ生き抜いてもらいたいのだ」
シンの様子の変化に気付いたナガトは誤魔化すように付け加えたが、誤魔化しだけではない。
南斗聖拳が、僅かでもカイオウを倒せる可能性を持つならば何としてでも守りたかった。
608 :
壱:2007/08/02(木) 04:10:19 ID:???
>>606 "砂蜘蛛の強さは異常"説を採用しました。
弱っていても元斗のファルコをボコった実績は否定できません。
その後の刹活孔ファルコとも互角に戦いましたし。
比べて陸戦隊は、ヒョウ(大ダメージ、普通死んでる)と黒夜叉(こちらも片手が落とされている)
の二人を倒しきれませんでした。(黒夜叉は逝きました)
もし陸戦隊個々の修羅が砂蜘蛛レベルなら誰も生き残れないでしょう。
ま、ケンシロウとラオウだけは主人公特権で返り討ちするかも知れませんが。
609 :
マロン名無しさん:2007/08/02(木) 09:21:43 ID:xNQdiiMa
確かに、インフレを考慮しても実はそれさえも無意味になるほど、砂区は特異点ですものね。
砂蜘蛛とは別に、旧文明の産物の何か塗布してたら勝負が付いてるほど、巧く短刀で闘う修羅が居たのをさっぴいても。
>>603 トキが主人公の独特な趣のある人情物語が出来そうですな。
それにしてもみなさん、今週のレイ伝読みましたか?どう思います?
あとリュウが登場した覇王外伝とかどう思います?
『休息』
アルフは「シン、お前も無謀な男よ」と深い眠りの海に沈むシンに語りかけた。ナガトの屋敷の一室である…。
手当てが終わった三人の、束の間の休息…。
回復次第(快癒ではなく、あくまで自力で歩けるレベル)逃亡を再開しなければならない。
ナガトは約三百と言われる陸戦隊の百人隊長の一人ではあるが、匿うにも限度がある。
百人の部下全てが反カイオウではないのだ。三人の滞在も長引けばカイオウの地獄耳に届く。
ナガト「確かに無謀だ。…北斗南斗元斗を極めた拳士たれば実力は伯仲。勝負は時の運とさえ言える」
アルフは同意し、「だからこそ、確実な勝利を得るために策を巡らすものだ」 セリカは黙ってシンの寝顔を見つめている。
「カイオウは魔王と言われる力があって尚、策略を怠らない。羅将ハンとの戦いにあっても自分に有利な場所まで引き寄せた」
とのナガトの発言に「ハンは本当に死んだのか?」とシンが突然反応した。「シン兄!」
「おお、気がついたか。…ハンか…御遺体は確認していないが…カイオウが健在である以上は…」
御遺体…丁寧な言い様。ナガトはヒョウ亡き後、まだ見ぬ北斗神拳だけではなく、ハンにも期待を寄せていたのだろう。
「船はこちらで用意する。傷が癒えたなら、国へ帰るのだ、シンよ」
「負けて帰るのか?そんなことをするくらいなら…」 「シン兄!死んだら何の意味もないよ」とセリカが涙ぐむ。
涙…セリカはよく泣く。俺のために泣く。いや、俺を失った自分自身を悲しくて泣くのか?
シンが身体を起こした。まだ全身がきしむような感覚が残る。「シン兄まだ動いちゃ…」
「カイオウの秘術とやら…、見せてもらった」 シンの目が斬るような鋭さを取り戻す。
そのあまりの鋭さにナガトは戦慄した。アルフでさえもシンの身体に触れるのをためらうほどであった。
カイオウの秘術…とてつもないエネルギーを要する筈だ。
タメはいるのか?連発できるのか?効果の及ぶ時間や範囲は?幻覚か?現実だったか?
"「やめておけ、お前じゃ勝てない」"閃きのように浮かぶタイユェンの顔と言葉。
「タイユェンに会おう。そしてセリカ、お前が言っていた老人にもな」
その張りのある声は既に負傷者のものではなかった。
『紅』
砂蜘蛛「それは本当だろうな?」 彼は凍り付くような目を向けた。
その視線の先、百人隊長の一人サモトである。
戦士としての能力ではなく政治能力を持って上手く立ち入り現在の地位を得た。
力が全ての修羅の国にあっても異例の存在であるが、自分の部下たちを巧みに操るだけのキレはある。
ギブ アンド テイク…密告とその報酬。地位や立場、配給の増量。
力が全てでも、真の強者は極一部。ほとんどの修羅は"ボロよりはマシ"という程度の生活しか手に入れていない。
時に仲間を痛めつけ、時に殺し、そうやって手に入れた物はチンピラ稼業。修羅たちもペイの多い方へ流れる。
「わかった」 「あっ、砂蜘蛛様」 「なんだ?」 「あっいや、その…」
とサモトは卑しい商人のような顔をわざとらしく演出する。
「わかっている。"給料"には反映されるよう取り計らってやる」
砂蜘蛛は、そんなサモトを強者にたかるゴミ虫のように見ている。サモトはその砂蜘蛛を殺ししか能のない"真性"と笑う。
砂蜘蛛は逆賊ナガトの街を皆殺しにすべく陸戦隊二百人の召集準備に取り掛かろうとした。
まずはもう一人の百人隊長"バケモノ"ヌメリを召喚し、サモトの部隊と共にナガトの街を攻める。
カイオウには三人の首を持ち帰るように命令されている。…命令されたのだ。出来ませんでしたなどと…
砂蜘蛛は基本的に個人で行動する。団体行動など、この特に際立った異能の男には出来ないのだ。
ヌメリとその部隊には、やや遠いところを探らせている。そこまで自分で向かう。それが砂蜘蛛。他人に何かを任せられない。
「…」 陽も落ちかけた夕刻…砂蜘蛛の行く手を阻む男がいる。
「クフフ…ハンの准将か。赤の男よ」
修羅の武具を装備しているが、その武具は赤く、いや紅く染められている。
渇いた魂を感じさせる、しかし静かな目線。紅い長髪。頬に四本の疵(キズ)。
「貴様とはやり合うことになると思っていた。いいや、知っていたと言おう」
紅い男は応えた。「まだ何も言っていない。だが…同感だ」
バシシ!と地面が裂ける!だが砂蜘蛛は軽くそれを躱し不気味な笑顔を返す。
「安心しろ。今のは挨拶だ」とユダも微笑み返した。
あ
614 :
マロン名無しさん:2007/08/05(日) 00:51:00 ID:qvHiFlhu
逆賊じゃなきゃナガトじゃない法則ww
思いつきで進めてる壱さんだからこそ達成できた領域。妙技。さすがナガトw
615 :
マロン名無しさん:2007/08/05(日) 23:57:37 ID:6xryfhQg
「ウエルベールの物語近代変牙」というイリアの話を考えております。ヴォウケンではなく、バウケン。近代ゆえに・・・。
616さん、皆さん、徹底放置で。
『地形効果』
「何故だ?」と砂蜘蛛がナイフを投げる。ユダは苦もなく身を躱しながら伝衝裂波を返す。やはり苦もなく砂蜘蛛も身を躱す。
お互いに自分の攻撃がヒットするとは思っていない。まだアップに過ぎない。とは言え威力は充分。
「何故…か」 ユダが下から手刀を振り上げる。シュバババ!と見えない刃が砂地を裂き進む。
「貴様らにシンは殺らせたくない。それだけだ」と砂を巻き上げユダが浮き、その飛び蹴りが砂蜘蛛を狙う。
砂蜘蛛も高い跳躍を見せ、ユダの蹴りを大きく避ける。あえて戦いの間合いを取らず、又取らせない。
陽はもうじき落ちる。そうなれば砂蜘蛛の秘拳がより活きる。そのため砂蜘蛛は深さのある砂地へとユダを誘っている。
この国は隅々まで知り尽くしている。北斗孫家門の領域を除いては…。
「どこまで行く気だ?」 ユダは、砂蜘蛛に目論見あるを知りながらも"逃げる"彼を追う。
200mほど移動し、目的の砂地に辿り着いた。柔らかい足場である。
スピードを売りにしている砂蜘蛛自身にとっても不利に働く条件と言えるが、ユダの速さを低下させることもできる。
「ここが貴様のお気に入りか?」とユダらしからぬクールな声が、既に暗くなった中、乾いた空気を伝う。
砂蜘蛛の技に詳しいわけではないが、背負う二本の鉄棍が伸縮すること、そして貫通力のある突きの威力は知っている。
飛び道具も扱うようだが、どうということはない。陽はほとんど沈んでいるが完全な闇になるにはまだ時間はある。
逆にこちらの伝衝裂波の方が威力、速さ共に勝る。それを知って尚もこの砂地を選んだわけ…。
「砂蜘蛛よ。"ここ"まで付き合ってやったんだ。楽しませてくれ。もっとも…罠や知略は俺の得意とするところだが」
その瞬間、ユダが一歩だけ、しかし強く速く踏み込んだ!
「ぬ!?ぐあ!」 砂蜘蛛は刻まれた。ウォームアップの時とは比較にならない裂波の速さ!
先程までのユダがわざと速さを抑えているのはわかっていたが、その本気の速さは砂蜘蛛の予想を超えていた。
回避するに充分な距離をとっていたつもりが、まともに刻まれてしまった。
「チッ…この傷が癒えるまで退屈な思いをすることになるな」
『凄腕』
「その心配はいらない。その傷は癒えることなく…」「いや、死ぬのはお前だ、ユダ」と砂蜘蛛は遮った。
「暗闇では俺の秘拳は見切れない!」と砂蜘蛛は呼吸を変え、気の集中を開始する。
さらに何やら怪しげな古代サンスクリット?の呪文を唱え、さらに力を解放する。
もちろん呪文に超自然的な力があるわけではない。自己暗示である。
常時から超人的能力の持ち主である砂蜘蛛だが、この"呪文"がさらにその秘めた能力を引き出す。
「行くぞユダ!俺が砂蜘蛛と呼ばれる所以(ユエン)よ。破魔砂蜘蛛!」 「?」
砂蜘蛛は地面に這いつくばると手足をもがくように動かし始めた。もうもうと上がる砂煙。暗さも相まり視界は遮られる。
ユダは飛び道具に警戒し、前方に意識を集中する。「…」 …砂煙が治まったとき、砂蜘蛛の姿は消えていた。
ユダは察気し地中の気配を探るが、その位置を正確に捉えることは出来ない。この暗がりでは砂の隆起も見逃してしまう。
だが、砂蜘蛛の方はこちらの位置を正確に把握している筈である。
飛び道具を操る以上、必ずしも自分に近い位置から"仕掛けて"来るとは限らない。
ユダは馬鹿馬鹿しくなった。何故にこんな遊びに付き合う必要があるのか?
クルっと踵を返すと、その場を離れ、手を挙げ合図を送ると…、パッ…あるいはボウッとライト光や松明の火が闇を押しやる。
普段は沿岸に配置された凄腕の修羅たち。旧世界での特殊部隊上がりである。
素の砂蜘蛛ならばともかく、ユダと殺気を交換していては、彼らの接近に気がつきようがなかった。
彼らは、三羅将の中では最も忠実に"修羅の国"の掟を敢行していた、あのハンに属していたのだ。
まともにやり合えば陸戦隊の修羅には及ばないとは言え、暗殺やゲリラ戦なら話は別である。
"沿岸警備隊"とは俗称であるが、カイオウの陸戦隊と並び称され、且つ恐れられる屈強の猛者たちである。
地中の砂蜘蛛はユダの気配が離れたことを感知した。呼吸の必要もある。そして突然に現れた数十の存在。
警戒しつつも顔を出す砂蜘蛛。眩(マバユ)い光が闇に慣れた目を眩ます。
光の中に見たのはユダの薄笑い。小馬鹿にした顔。自分がひどく道化に思える。彼は羞恥心を抱えながら姿を消した。
このユダは強そうだ。
この戦いは単なる拳技だけでなく地形や策略が絡んで予測出来ずらいですね。
面白そうです。
621 :
マロン名無しさん:2007/08/08(水) 10:23:22 ID:Z/6m8urh
GORANみたいなのが出てきて、文明的なディティールが好きな人にはツボ!
しかも暗○やゲリラ戦で怪生物を頃すとか面白い能力あるw
622 :
マロン名無しさん:2007/08/08(水) 19:41:05 ID:IqwjWAZG
ハンとのスパーリングにより、どこまでユダが成長したのか楽しみです。
『紅の人』
ユダと"沿岸"の連中を一度に相手しても勝機はない。砂蜘蛛は闇に乗じて姿を消した。
一方ユダとしては、とりあえず砂蜘蛛と陸戦隊百人隊長ヌメリの接触は絶った。…が、それはまさに"とりあえず"である。
"沿岸"の中でもさらに腕利きをヌメリの暗殺に向けた。奴等なら闇に紛れてヌメリを殺るであろう。
ユダが陸戦隊の動向に通じている理由は、彼の常套手段である買収工作のためである。
払うものはきちんと惜しみ無く払う。それで少なくとも、それなりの信用は確保できる。
「もう後戻りは出来んな」とユダは自分に言った。隣で聞いていた沿岸修羅が相槌を打つ。
これで修羅の国は…荒れに荒れる…。今までは三羅将の下、緊張による安定はあったが、たった一人の侵入者がバランスを崩した。
そして掻き回すのは…南斗妖星。
宿命…本当に存在する不可抗力的な力なのか、そう思い込むことによる人間の力か、はたまた偶然か…。
ユダは心中で笑った。どうあれ、今彼は自分が妖星の宿命を背負うことに喜びと誇りを抱いている。
…気になるのはカイオウ…。この国の最高統治者が砂蜘蛛だけを情報武官として使っているわけもない。
ナガトの元には伝令を送ってある。シンはとりあえず生き長らえるだろう。だがやはりそれも"とりあえず"。
砂蜘蛛はどう出る?カイオウに任務の失敗を報告はしまい。俺が奴なら…?自分でシンたちを殺りに行く筈だ。
「ホン」 「はっ」と沿岸組の長が応える。その佇(タタズマ)いには旧世界時代の軍人の名残がある。
「俺は砂蜘蛛を追う」 そして夜空を見上げた。北斗七星が輝く。
「祭りだ…。どう動く?北斗神拳」
『性状』
ユダの読みは当たっていた。砂蜘蛛は今、自らシン、アルフ、セリカの殺害のため、ナガトの街に向かっていた。
修羅忍道…侵入からの暗殺は言わば本職である。
女は問題ではない。問題なのは傷を負っていても砂時計のアルフ、そして何より羅将クラスの実力者シン。
しかし躊躇いはない。彼の異常な性状。破壊殺害衝動。確かな目的・目標。絶対的恐怖カイオウ。
彼ほどの男なら、この乱世どこででも生きていけよう。だが何故か彼はこの国を出ようなどとは考えもしない。
壊し甲斐、殺り甲斐…。疼く…疼く…疼く。血に塗(マミ)れたかった。血と汚物の悪臭に包まれたかった。
『笑い』
カイオウに届いたある報せ。それはカイオウを歓喜させ、興奮させた。シンたちの居所が知れたのではない。
最北の郡が何者かに落とされたという。目撃したのはカイオウの情報収集修羅である。肌は黒く、手足が異様に長い。
「ひ、一人は…」 カイオウの幻魔影霊に怯えながら、その修羅は震える声で話した。
「…一人は、とにかく鋭い…そう…鋭い男でして、幾人もの修羅が、こ、こう…何と申しましょうか…
切断…そう切断としか言えないような有様でして…、あっ、その修羅たちが、です。恐らくハンの元に訪れたという、
南斗聖拳の使い手と…同じ…かと」と魔王を前に流れる冷汗を拭った。
「「また一人雑魚が迷い込んだか。で!もう一人は!」」
「はぅぁ…はい。そうです。はい、そのもう一人なんですが…先に言ってしまえば…北斗の拳、でしょう…です。
あの男に殴られた修羅たちは…皆、内部から…破裂してま、して、しました」
カイオウの吹き出す魔闘気が激しさを増す。
「うぉ」 その闘気に押され、その情報収集修羅ゼブラは、膝をついた姿勢から後ろに倒れた。
「「どうであった」」 「は?い?」 「「その北斗の男は、どうであった!?」」
「えひゃ…はい。不思議な感じでした。鋭くもあり、固くも柔らかくもあり、重そうでもありながら軽いような…。
ただ…これだけは言えます。ものすごい存在感でした」
「「クックックックッ…」」 その押し殺した笑い声。完全に凍った。ゼブラの魂は恐怖で凍った。
「「下がれ」」 そのお言葉!待っておりました。ゼブラは逃げるようにカイオウの部屋を後にした。