竜崎にキラだと決めつけられて、牢から出されたと思ったら、監禁されて。
毎日尋問と、強姦の繰り返し。
ただそれだけの毎日。
もう何度犯されたか覚えていない。
ただ痛くて。
ただ辛くて。
けれどそれが、ずっと月の支えになっていた。
痛みと、辛さ。
それを感じているうちは、まだよかった。
今、月はそう思う。
痛くても、辛くても。
それは、月が正気を保っていられる証だった。
竜崎の暴力に屈しないだけの精神力を保つために必要な苦しさだった。
──なのに。
もうだめだ。
と、月は思う。
あの日。
ゲームに負けたあの日。
あの日を境に、竜崎は変わった。
いや、違う。
竜崎はなにひとつ変わってなどいない。
変わったのは、竜崎の手管。
月を犯す、やり方。
それまではわざと痛みを感じさせるようなやり方で、いたわりなどまったくないやり方で、竜崎は月を犯した。
それなのに。
あの日、ゲームに負けて、媚薬を使って犯されたあの日以来。
竜崎は犯し方を変えたのだ。
より、月の自尊心を奪うやり方に。
より、月の自制心を奪うやり方に。
つまり、快楽だけを与え続けるやり方に。
優しさだと、愛情だと勘違いしてしまうような抱き方に。
竜崎は変えた。
月を、貶めるために。
月を、壊すために。
キラを、見つけだすために。
そして月は──変えられてしまったのかも、しれない。
そう、思っても………もう、悔しさからの涙も出てこないのだ。
ドアの向こう、廊下を歩く足音が聞こえる。
特徴的なその音は、姿が見えなくても竜崎であることがすぐにわかる。
──あぁ、またか。
月はぼんやり思う。
また、犯しに来たのか。
また、抱きに来たのか。
ただ、それだけ。
やがて扉が開き、予想に違わぬ人物が部屋に現れる。
「気分はいかがですか? 何か話す気になれましたか?」
毎日毎日、同じ言葉を吐く。
ベッドに力無く横たわる月の身体を支配しながら、表情のない顔で。
「……気分は最悪だよ。それから僕はキラじゃない。だから、いくらこんなことをされても、絶対に認めることはないし、なにも話す事なんてない」
毎日毎日、同じ言葉を吐く。
足を開く竜崎の手にされるままになりながら、表情のない顔で。
「そうですか。かまいませんよ、別に」
そして、同じ答え。
竜崎は淡々と月の身体に準備を施して、行為を開始する。
そして、月は。
されるままに、与えられるままに、行為を受け入れる。
それが変わらない、始まり。
変わるのは、その後。
行為を始めた後──それは艶を帯び、熱を帯び、妖しく変わる。