「もちろんハンデがありますよ。そのハンデを乗り越えて、この建物内から一歩でも外に出られれば……私の負けです」
ククク、と竜崎が笑う。 月は嫌な予感がした。
「な――なにを……っ」
竜崎の手が月の腰を掴んだ。遠慮のない動きで月の奥まった場所を暴き、手にしているチューブの栓を歯で開けた。
「すぐ済みますから、おとなしくしなさい」
「い、いや――あぁっ?」
プツリとした感触の後、細くてひんやりしたものが月の中に入ってきた。数センチ差し込まれたそれから、次になにかトロリとしたものが月の中に注入されていく。
「や……やめ……」
「――もう全部入りましたよ」
ほどなく、差し込まれた何かは引き抜かれ、竜崎に押さえ付けられていた月の身体は解放された。慌ててはぎ取られたブランケットを掻き寄せ、月は自分を抱き締めるようにして竜崎の傍から離れた。
「さぁ、逃げる準備はいいですか?……速効性ですからね。効き目が出ると同時に、スタートです」
「……?」