──広げた足の奥、痛み続けている場所に、竜崎の指が触れた。
乾いた場所を押し広げるように動く指に、月の悲鳴が上がる。
(助けて、助けて、誰でもいい、誰でもいいから、僕を───)
竜崎の指に浸食されながら、月は叫び続ける。
──本当は、月だってわかっている。
竜崎の言っていることは本当なのだろう。
自分はキラだったのだろう。
竜崎が言うなら、間違いない、そうも思う。
けれど、認められない。認めるわけには行かない。
月にはキラの記憶がないのだから。
だから。
月は、叫ぶ。
救われることはないとわかっていても。
誰も助けに来てくれないと知っていても。
それしか、今の月に出来ることはないのだから──。