第十二話「銚子工業の秘密兵器」
桑本の大きなタテのカーブ「三階カーブ」は、しり上がりにキレがよくなり、達郎も三振に切ってとられます。
方やあすなろも気迫のこもった投球を続けますが、銚子工業打線が粘ります!
それでも守備陣がなんとかふんばり、3-0のまま、6回を終了。
不気味なことに、桑本は、2回以降まったくバットを振ってきてません。
しかしこの時点であすなろの投球数は164。
逆転されるのはこの回あたりだと達郎は言います。
銚子工業ナインの余裕の笑みと、打者のタイミングが合ってきていることが証拠です。
「逆転の銚子工業」の異名どおり、
7回裏、打者はバットを短くもち、シャープに叩くことを意識して3連打。
無死満塁です。ここで迎えるのは3番志野塚。
海堂は、恐れずにミットに向かって投げ込むよう、あすなろを元気付けるのですが、
「 コ ン 」
初球スクイズでとうとう1点を許します。
次は指宿。チャンスになればなるほど燃えるという男は、
(打つ!オレは打つぞ!!)「必ず打ってやる!!」
と意気込みます。苦手の内角高目をつかれても
(オレは打つ!!)「うおおおっ!!」
すごい眼をしながら、バットに当てます。
そして根っこにあたり、内野フライかと思われたあたりは
指宿の執念そのままに伸び、右中間を破る二塁打で二者生還。同点になってしまいました!
5番一塁手、久田はあすなろの球を狙い打つ安打。観客の運動部員も盛り上がります。
1死1、3塁で迎えるのは、6番桑本。
「この場面を待っていたぜ・・・
二回の裏の借りを、のしつけて返してやるっぺよ〜〜!」