地獄先生ぬ〜べ〜連載中 ロウソク4本目

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9471/3 ミエナイアラスジ
  美樹が校庭で柿を食べながら「悪徳の栄え」(マルキ・ド・サド)を読んでいるとぬ〜べ〜に目を付けられた。

#202 メルヘン美樹ちゃん の巻

校庭の柿はぬ〜べ〜が貰う筈のものだったらしく、勝手に食べた美樹をぬ〜べ〜は校長室に突き出した。
校長室のドアを開けると、妖怪にしか見えない強面の男が現れた。
校長の客人のようだが、ぬ〜べ〜がこの男に気を取られている間に美樹は逃げてしまった。
図書準備室に逃げ込んだ美樹は、ほとぼりが冷めるまでここに隠れている事にした。

図書室にはよく通う美樹だが、古い本ばかりが置かれたこの部屋は初めて。
「…をかいて…」 不意にどこからか声が聞こえ、本棚から一冊の本が落ちてきた。
それは「花園の王女」と題された、手作りの絵本だった。

 むかしむかし、花園の国に美しい王女がいました。
 花園の国は小さな国でしたが、花を他の国に売って豊かに暮らしていました。
 しかしあるとき、隣の国の戦争好きの王様がやってきて、
 七色の花びらをもつ花を献上しないと花園の国をつぶすといいました。
 いくら花園の国でもそんな花はありません。王女は国を守るため、決意しました。

ここから先は白紙になっている。ここで再び声が聞こえてきた。「つづきをかいて…」
何度も繰り返される「つづきをかいて」の言葉に気味が悪くなった美樹は本を放り投げた。
すると本から大きな目がのぞき、襲い掛かってきた。美樹は消滅し、後には「花園の王女」だけが残された。
9482/3 ミエナイアラスジ:2007/06/04(月) 23:01:02 ID:???
これを見つけたのはまことであった。何気なく開いてみると、登場人物の王女が美樹とそっくりだった。

 むかしむかし、花園の国に美しい王女がいました。(え?ここどこ?)
 花園の国は小さな国でしたが、花を他の国に売って豊かに暮らしていました。(ちょ、ちょっとなにこれ)
 しかしあるとき、隣の国の戦争好きの王様がやってきて、七色の花びらを
 もつ花を献上しないと花園の国をつぶすといいました。(どーなってんの、これさっきの本じゃない)

話とセリフがちぐはぐで面白いので、まことはこれを教室に持ち帰って皆に見せたのだった。
白紙のページまで読み進むと、やはり「つづきをかいて」と聞こえてきた。
空耳かと思いつつ、広は声に従って続きを書いてみる事にした。「王女はプロレスで王とたたかいました」
突然、ぬ〜べ〜が美樹を探して教室に入ってきた。驚いた広は思わず絵本を閉じる。
ぬ〜べ〜が去った後改めて絵本を開いてまた驚いた。
なんと、先ほど続きを書いたページに絵が描き加えられていたのだ。

ぬ〜べ〜に見せに行こうと郷子が訴えるが、その前に色々試してみる事にした。まずは金田から。
 プロレスで勝てず王女はかいぞー人間になってたたかいました (金田コロス)
口では制止しながら、日頃美樹に困らされている郷子も筆を取る。
 とつぜん ×美樹 王女は胸がマイナスDカップになってえぐれてしまいました。(なにこれ)
話と関係ない、単なる憂さ晴らしだ。すっきりした郷子は法子に勧める。
 とうとう王女は国が救えなくて貧乏農場で毎日死ぬような重労働をさせられボロボロになりました。
おとなしい顔をして本当はこんな事を…。美樹を哀れに思った克也が続きを書く。
 いっぱつぎゃくてん!王女はセクシーダンサーになってせかい中まわってお金をかせぎ
 国を守りました    めでたしめでたし
この後は更に凄い展開に…
9493/3 ミエナイアラスジ:2007/06/04(月) 23:01:59 ID:???
絵本の内容を巡ってケンカしていると、美樹を見つけられずに教室に戻ってきたぬ〜べ〜が
この絵本に美樹が閉じ込められている事に気がついた。
これは20年前に童話好きの5年生によって書かれた絵本で、その子はこの本をとても大事にしていた
のでその心が宿って九十九神化したものだ。しかしその子は突然病気で入院し、童話は途中で中断
したまま卒業してしまった。本は20年間ずっと、話の続きを書いてくれる主人を待ち続けているのだ。

ぬ〜べ〜はとりあえず話の続きを書いてみる事にした。
 でもやっぱり王女は人間ばなれしていたので見世物小屋に売られました。(く、くそ〜)

 「いいかげんにしろ〜」
くだらない話ばかり書かれた絵本が遂にキレた!
ちゃんとした正しい結末を書かないと美樹を返さないと訴える。
鬼の手では美樹を巻き込んでしまうので本の言うとおりに続きを書くしかないが、正しい結末など
作者でなければわからない。それも20年も前の生徒なので今更無理な話だ。

すると校長室にいた強面の客人が興奮した面持ちで迫ってきた。
なんとこの絵本、この男が5年生の時に書いた物だというではないか。
顔に似合ず感涙にむせぶ男。彼は有名な童話作家で童守小OBのメルヘン東郷氏だった。
東郷は絵本の訴えに応え、20年前の続きを執筆する。

 王女は七色の花びらをもつ花をさがして旅にでて、苦労のすえ魔女から虹の種をもらいました。
 虹の種をまくと大空に何百もの虹が出て花の形になりました。それはまさに七色の花びらの花…
 それを見た隣国の王は心を洗われて、戦争をやめ帰っていきました。

感動的な美しい話に納得し、絵本は美樹を解放した。めでたしめでたし。
が、美樹の怒りは収まらないのだった。