4.共闘
学園都市の広場を歩きながら、柿崎美砂(出席番号7)はこれからの行動を決めかねていた。
美砂は目に留まったカフェテリアに身を隠し、自分が渡されたデイバックを開けた。
ペットボトルに入った水3本、食料である大き目のパンが3つ、学園都市の地図、全員の名前が書かれた名簿、そして武器。
それを見て隠すようにしてデイパックのジッパーを閉じた。
「…これからどうしようかな」
美砂はゲーム開始前のことを思い出す。
少し離れた場所にいた神楽坂明日菜(出席番号8)が手元で何かを見ている。
それを横の桜咲刹那(出席番号15)に渡した。刹那も渡された何かを見ると、自分の隣に座っていた綾瀬夕映(出席番号4)に渡した。
さっき雪広あやか(出席番号29)が手元で何かを書いていたような気がする。それが回っているようだ。
この事態に対する何かなのだろうか。さすが委員長だ、こんな時でも即断即決の行動。
こっそりと横目で夕映が受け取った手紙を見た。その内容は、全員が出て30分でこの校舎は禁止エリアとなる。
その30分の間に合流し、この狂気に満ちた「ゲーム」を壊すことだった。
それを見た後、夕映はこっそり後ろの古菲(出席番号12)に渡そうとしたその瞬間。
「そこ!コソコソ何かしない!」
迷彩服の1人が銃を向けた。
「綾瀬夕映くん、それを破りなさい」
夕映は躊躇い、モタモタしていた。
「夕映くん」
声に凄みが混ざる。夕映はやむを得ず紙を小さく破り捨てた。
出口を出て中庭付近から窺ってみれば、明日菜は指定した場所に行ったらしい。
そこまで見て他の生徒の顔が目に浮かぶ、誰がゲームに乗るのかは分からない。
取り敢えず学園を離れ、学園都市の道を歩いてはいるがどこに向かおうかは全く不明だ、全く空白、何も考えていない。
「桜子…」