北海道に転任した先生から、職員室に大量のジャガイモが届いた。
たくさんあるし調理実習にでも使おうかと思ったが、貧乏なぬ〜べ〜に譲る事となった。
そんなぬ〜べ〜は、ジャガイモの中に一匹の色気づいた精霊を見つけたのだった。
#133 お色気妖怪・精霊パウチ の巻
このパウチという精霊、ヤバイ精霊らしい。特に小学校には。
さっさと退治しようとするぬ〜べ〜の攻撃をすり抜け、パウチはリツコ先生に憑依した。
途端、リツコ先生はエッチな気分になり火照った肢体を衆目に晒すのであった。
※パウチ:北海道に生息する精霊。これに取り憑かれると、とっても淫らで
意志とは無関係にHな気分になる。いわゆる淫魔である。
思わず喜ぶぬ〜べ〜だったが、そんな場合じゃない。
リツコ先生から祓われたパウチは、校内へ逃げ出した。こんなのが校内をうろついたらマズい。
その頃、5年3組では女子生徒が恋愛談義に花を咲かせていた。
クラス一大人しい法子に、誰が好きなのかと話がふられる。
だが法子にはこれといって好きな相手はおらず、それを告げると美樹から
「だから脇役で、後ろの方でいーかげんな顔しか描いてもらえないんだ。
恋をしないキャラなんて魅力ないもんね。」
とバカにされてしまった。
5年生にもなって好きな子の一人もいないなんてと、皆それがおかしい事のように言う。
法子が図書室に本を返しに行くと、図書委員の亀山が必死にアプローチをかけてきた。
だが当の法子は彼の想いに気づかず、天然でスルーしてしまう。
校庭に出ると、ぬ〜べ〜がなにやら暴れている。春だから?
そんな法子に、パウチが取り憑いてしまった。不意に体が火照りだす。熱でも出たかと思う法子だった。
翌朝登校してきた法子は、まるで人が変わったようだった。こころなしかスタイルがよくなっており、衣装も
露出が多く下着のラインのくっきりと出るようなセクシーな物を着、しなを作って色気を振りまいている。
美樹がこれに対抗して男の目を引こうとする。全裸で。
しかし男共の目は法子に釘付けで、美樹になど見向きもしない。
法子も法子で、今日から自分がこのマンガのヒロインと言い切り、美樹や郷子を脇役扱い。
男子たちは今まで気づかなかった法子の可愛さに気づき、クラスのアイドルの素質があったと認める。
自らスーパーアイドルを名乗り、男を侍らす法子。脇役仲間だった静も泣いてるぞ。
法子は借りていた本を返しに今日も図書館に向かう。そこには昨日アプローチをかけてきた亀山がいた。
今まで何とも思わなかったのに、今日は顔を合わせた途端に胸がドキドキと高鳴り始めた。
法子は亀山に、今日は一緒に帰ろうと誘った。
ぬ〜べ〜がパウチの行方を気にしながら教室に入ると、法子が色気を振りまいていた。
パウチが取り憑いているのは一目瞭然で、ぬ〜べ〜はこれを除霊しようと法子に迫る。
美樹や郷子もしてやったりと法子を押さえに回る。だが、法子はこれから逃げ出した。
放課後、法子は待ち合わせしていた亀山に抱きついた。
このドキドキは悪い精霊の所為、それは法子にもわかっていた。
だが、この気持ちを失いたくない、一生このままでいたい。
内気な自分では、パウチを除霊すると二度とこんな風にはなれないだろう。
(きっと…こんな幸せな気持ちにはなれない…こんな気持ちには…)
下校中のデートを楽しんだ二人は公園のベンチに腰をかけた。
高まる気持ちを抑えられず、亀山に唇を近づける法子。
その時、法子の体を白衣観音経が包んだ。美樹達の通報でぬ〜べ〜が駆けつけたのだった。
パウチを祓って封印すると、法子の体は元のスタイルに戻り、大胆な気持ちも消えうせた。
途端に、自分の恰好を恥ずかしく思い亀山から距離を置く。亀山は一人事情がわからず戸惑うばかり。
美樹から事情を聞かされ、立ち去る一行を一人寂しく見送る亀山だった。
次の日、もう二度とあんな気持ちになることがないと残念がる法子は、今日も図書室を訪れた。
カウンターには今日も亀山が立っている。
少々気まずいながらも、まんざらでもない表情を浮かべる法子でありました。