古畑任三郎VS遊戯王インセクター羽蛾

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1マロン名無しさん
初めて書きますが、よろしくお願いします。
21:2007/01/05(金) 15:12:07 ID:???
デュエリストキングダムへ向かう船の中。
前回大会のチャンピオン、インセクター羽蛾は、あせっていた。
PM8:40
「まずいぞ……このままでは俺は遊戯に勝利することが出来ない。どうすれば遊戯に勝てるんだ!……そうだ、あのカードさえなければ、あのカードさえ捨てさせれば……」
何かを思いつき、早足で遊戯の部屋へ向かう羽蛾。
遊戯の部屋の前へ着くと、ドアを軽くノックする。
羽蛾「武藤遊戯君だね。君の噂は聞いてるよ。少し部屋に入ってもいいかな?」
遊戯「羽蛾君?あのチャンピオンの?ど、どうぞどうぞ、入ってよ!」
何も知らない遊戯は、羽蛾を部屋へ招き入れる。
デュエル・ディスクを机の上に置き、遊戯に話しかける。
「いらっしゃい。次の試合ではお互いベストを尽くそうね。ああ、ちょっと待って。ルームサービルに何か持ってきてもらうよ」
「いや、いいよ。そんな。用事はすぐ終わるし……」
「いいっていいって」
羽蛾の話を聞かないまま、ルームサービスに電話をかける遊戯。
32:2007/01/05(金) 15:13:19 ID:???
「はい、えーっと、紅茶を二つお願いします」
「すまないね。そうだ。……よければ伝説のエクゾディアのカード、僕に見せてくれないかな?」
「うん、いいよ」
カードを手にするなり、エクゾディアの五枚のカードをびりびりに破く羽蛾。
エクゾディアのカードをなくしてしまう。これが羽蛾の思いついた、遊戯に勝つための手段だったのだ。
遊戯「な、何をするんだ、羽蛾君!」
「ヒョーッヒョッヒョッヒョ!これでお前はエクゾディアのカードを揃えることが出来なくなった!エクゾディアなしのお前のデッキなんて、恐れることはないんだよーん!」
「く……ひどいよ、羽蛾君!」
その時、遊戯の心の内側にいるもう一人の遊戯が現れた。
「ククク……羽蛾!カードを破るなんて、デュエリストの風上にも置けない奴だな。お前の自慢の虫デッキ……俺が必ずデュエリストキングダムで真っ先に破壊してやるぜ!」
羽蛾「う、うるさい!僕のデッキを破壊するだと?……やれるものならやってみろ!」
デュエリストとしての自分を傷つけられた怒りから、闇遊戯に襲い掛かる羽蛾。
そして、部屋においてあったナイフで闇遊戯の首元を刺してしまった。
部屋中に血しぶきが飛び散り、羽蛾の顔にも返り血がかかる。
「く……!貴様!」
「ひょーっひょっひょっひょっひょ!」
最初の一撃が聞いたのか、しばらくすると闇遊戯は動かなくなった。羽蛾は闇遊戯を殺してしまった。
「はぁ……はぁ……ざまあみろ……」
冷静になり、ナイフの指紋をふき取り部屋を出る羽蛾。
顔を洗い、服を窓から投げ捨て、自分に疑いがかからないように工作をしていく。
「これで……僕がこの世で一番のデュエリストだ……!誰にも負けないぞ!ヒョーッヒョッヒョッヒョ!」
43:2007/01/05(金) 15:14:05 ID:???
翌朝、遊戯の呼んだルームサービスが昨夜死体を発見し、船の中は大騒ぎになっていた。
海馬の連れ添っているSPが、あせりながら話している。
「す、すぐに瀬戸様に連絡を! 一体、何があったんです? 羽蛾様」
羽蛾「いや、ぼ、僕にもわからないんだ! 今ここに来たばかりで」
あたかもはじめて死体を発見したかのようなそぶりを見せる羽蛾。
それから数分後、急ぎ足で海馬が遊戯の部屋へ駆けつける。
「一体なんだこれは!遊戯が……死んでいる!
「私が昨日、9時にここに来た頃には、もう遊戯様は……」
ルームサービスが答える。
そこへ、眠そうな顔であくびをしながら、ある男がやってくる。
???「ん〜今泉君、なんなのこの騒ぎはぁー」
今泉「え、そんな、古畑さん、僕知らないですよ。今起きたばっかりですし」
部屋にあるの遊戯の死体を見て、頭が捜査モードに切り替わり目が覚める古畑。
死体の状態をチェックする。
「……死んでから結構たってるねえぇ。昨日の晩くらいだろうねぇ」
「おい、こいつは誰だ!」怒鳴る海馬。
54:2007/01/05(金) 15:15:27 ID:???
「あ〜……、私、警視庁の古畑と申しますぅ〜。あの〜、デュエル大会ですかぁ〜?
ん〜ふふふー部下の今泉がどぉ〜しても行きたいというもので〜、あの、観客としてこの船にぃ〜」
海馬「ふん、そうか」
管理者「自殺……っぽいですね」
古畑「ん〜……。とりあえず皆さんは現場から外へぇ〜。今泉君」
今泉「は、はい!皆さんこっちへきてください」
現場をくまなく調べる古畑。
古畑「……ん〜」
羽蛾「……」
しばらくして、それぞれの部屋に帰っていくプレイヤー達。
そして、羽蛾の部屋。
「大丈夫だ。ばれやしない。誰にも見られていないし、指紋も何も残っていない」
すると、誰かがドアをゆっくりとノックする音が聞こえる。
「誰ですか? 今忙しいんですけど」
「あの〜、古畑ですぅ〜」
「ああ、ちょっと待ってくださいよ」
ドアを空けて、古畑を招き入れる羽蛾。
「ん〜……どうもぉ〜すぅ〜みませんー忙しいのにぃ〜」
「いえいえ」
「亡くなった武藤さん、次の対戦のお相手だったようで〜。お察ししますぅ」
「僕もかなり残念ですよ、ほんとに。で、どうですか、捜査のほうは」
6マロン名無しさん:2007/01/05(金) 15:16:06 ID:???
黙れクズ
75:2007/01/05(金) 15:16:09 ID:???
「どうも彼、遊戯君ですかぁ?彼、自ぃ〜殺のようですぅ〜ふふ」
「そうですか……」
「たぁ〜だですね、一つ気になることがあるんです〜」
「気になることですか?」
「ええぇ〜……実はですね、彼昨日8時50分頃に死んでるんですぅ。しかぁしですよ?彼は8時45分にルームサービスをとっているぅ。……ぃ今から自殺しようとする人間が、ルームサービスをとろうとするでしょうかぁ〜んふふ」
「確かに、気になるなあ」
「しかもですよ、彼、紅茶を2つ、注文している〜」
「紅茶が好きだったんでしょうか?」
「ん〜ふふふ。私はそうは思いませんん〜……。武ぅ藤さんが死んだとき、あの部屋に誰かがいたんですぅきっとぉ〜。心の優しい武藤さんは、まぁさかこれから自分が殺されるとはぉ思わなかったー。友達だと思って紅茶を2つ頼んだんでしょうぅ〜」
「確かに、そういう考え方もできる……」
「ちなみに、あぁなたその時間どこにいましたかぁ?」
古畑の質問に動揺する羽蛾。まさか、自分が疑われているのか?
「……どういう意味です?まさか古畑さん……僕が犯人だと思っているわけですか?」
「んふふふふふふ〜そういう意味ではありません。形式的な物です〜」
86:2007/01/05(金) 15:17:16 ID:???
「その時間は自分の部屋でデッキ……ゲームで使う40枚のカードの束のことです……それの最終調整をしていました」
「そうですか〜ありがとうございますぅ〜」

プレイヤーたちを乗せた船は、デュエリストの島、デュエリストキングダムへと向かっている。
船内のデュエル練習場スペースで他のプレイヤーとのデッキの最終調整を行っている羽蛾のもとへ、古畑がやってくる。
「こんにちはぁ〜羽蛾さん。ちょ〜っとだけお時間もらってもよろしいでしょうかぁ?」
「すいません古畑さん。見ての通り僕は今デッキの最終調整で忙しい。あとにしてもらえませんかね?」
「ぃい〜まじゃないとだめなんですぅ〜。ちょっとです〜本当に。終わったらすぐ帰りますので〜。すいません〜」
「……わかりました。聞きましょう。なんですか?」
「武藤さんの自殺の件ですが自殺ではな〜さそうですぅ。か〜れですね〜、ナイフで自分の首を切って自殺したぁ〜。しかしです、ナイフに指紋がついてなかったんです〜。自殺だったら指紋がついてないのはおかしいです〜」
「なるほど。……それを僕に言ってどうしたいんですか?」
97:2007/01/05(金) 15:18:47 ID:???
「いえ〜……私が言いたいのはこっちじゃなくてー、
え〜……んふふふふふ、あぁ〜なた嘘ついてらっしゃった」
「?」
「ん〜…ふふふふふ〜。どうして嘘なんかぁ〜。実はですね〜昨日、
犯行があった時間にあぁ〜なたの部屋を訪れた人間がいましたぁ、孔雀舞さんですぅ」
まさか、あの時間に自分の部屋を訪れた人間がいたなんて……羽蛾に緊張が走る。
「!」
「彼女ですね〜心配してましたよぉ〜?あなた何度ノックしても出てこなかったから〜」
「あぁ、そういえばきましたね。でも、昨日はデッキ作りに集中していたので」
「そうですか〜……すみません。続けてください」
「……」

デュエリストキングダムに到着したプレイヤー達。
それぞれ島の各地でデュエルを繰り広げている。

羽蛾は自分の得意の森フィールドで着々とスターチップを集めていた。
その試合を見ている古畑と今泉。
「ヒョーッヒョヒョヒョヒョ!究極完全体グレートモスだ!」
「く……!この虫デッキ、強いぜよ」対戦相手が押されている。
108:2007/01/05(金) 15:20:08 ID:???
「見てくださいよ、古畑さん!チャンピオンの二人が戦ってますよ!
おーい梶木くーん!」
「今泉君うるさいよ。ん〜私興味ないよぉ〜」
「お前はこのあと2ターンで僕のグレートも巣の餌食になるのだ!ヒョッヒョッヒョ!
僕のターンだ!ドロー!グレートモスの攻撃ぃー!ヒョーッヒョッヒョッヒョ」
「やばいぜよ。このままじゃ俺は……ドロー!真実の眼を発動する!
これでお前は手札を常に公開し続けなければならない!ターンエンド」
「……降参だ」
突然の羽蛾の降参に、対戦相手も驚きを隠せない。
「え?」
「降参だっていってるだろぉ!持ってけ、僕のスターチップだよ!」
なぜ勝利したのかわからないまま、スターチップを持って去っていく梶木。
「おかしいなぁ〜なんで羽蛾君負けちゃったんだろう?
あのままだったら勝てたはずなのにぃー」
今泉も突然の降参に驚いている様子だ。
「……!今泉君、どういうこと、説明して」
119:2007/01/05(金) 15:21:36 ID:???
「さっきのはあのままいってたら羽蛾君が勝ってたんですよ。
でも、急に降参しちゃったんです」
「どうして?」
「わかりませんよーなんであんなところで降参しちゃったんだ?
……真実の眼のカードも、勝利に関係するような効果じゃないし」
「その、真実の眼? それは〜どういうカードなの」
「相手の手札のカードを常に見続けることが出来るというカードですよ。
その代わり、その手札の中に魔法カードが1枚でもあれば相手のライフポイントが……」
「手札を公開……。今泉君、お手柄だよぉ〜」
「え、なんなんですか?教えてくださいよ〜古畑さーん!」

「えー今回の事件の犯人は羽蛾さんでしょう〜間違いありません〜。
か〜れはですねぇ〜、武藤君を殺すときに一つ重大なミスを犯しました〜。
なぁ〜ぜ彼は勝てる勝負を降参したのか〜。ヒントは……ここです」
と言い目を指す古畑。
12マロン名無しさん:2007/01/05(金) 15:56:45 ID:???
エロパロ板でやれ
13マロン名無しさん:2007/01/06(土) 21:42:31 ID:???
ちょっと気になる>>1どうせなら最後まで書いてけよ
14マロン名無しさん:2007/01/07(日) 17:42:31 ID:77yzHiZV
気になるwネタギレ?
15マロン名無しさん:2007/01/07(日) 18:24:40 ID:???
ルームサービス来るのおせぇよw
16マロン名無しさん:2007/01/07(日) 20:14:09 ID:???
ずっと俺のターン期待
1710:2007/01/08(月) 17:00:42 ID:???
羽蛾の部屋へ向かう古畑。
「え〜残念ですぅ〜。負けてしまわれたようで〜」
「あなたに励まされても、仕方ありませんよ。カードのルールも知らないあなたに。
で、何の用なんです?あなたもなかなかしつこい人だ」
「えぇ〜これで最後です、本当に。
あ〜なたさっき私がカードのルールを知らないと言ってましたね〜、実は知ってるんです〜。
さっき1つ今泉君にですね〜、あの〜私の部下です。
1つ、教えてもらいまして〜。し〜んじつの眼ですか?
相手の手札を常に見ていられるというカードらしいですね〜」
「……ええ、そうですよ」
「え〜……このゲームですねぇ〜お互いの体力を削りあってぇ
先になくなったほうが負けというルールのようですねぇ〜。
あなたあの時勝てたそうじゃないですか〜なぜ降参を?」
「それは……」
「今泉が言ってましたぁ〜。勝てた勝負なのになぜ降参してしまったのかぁ〜。
んふふふふふ〜それはですね〜。
そ〜れ〜は〜私に見せたくないカードがあったからです〜違いますか〜。
あなたは、手札を見せることで見えてしまう、ある何かを隠したかった〜そうですね〜?」
1811:2007/01/08(月) 17:01:46 ID:???
「……!」
「あなたが隠したかったもの〜……そ〜れ〜はですね〜」
羽蛾のデッキに手をかける古畑。
「こ〜れですね〜ふふふふ」
デッキの中から古畑が探し当てた1枚のカードには……血が付着していた。
ふっと羽蛾がため息をつく。
「ん〜ふふふふ〜。武藤さんの部屋に行き、殺害するときに着いてしまったんですね〜。
あなたは私達の見ているところで手札を公開することで
血の付着したカードを見せることを恐れた〜ん〜ふふふふふ。そうですねぇ?
だーかーらぁ〜降参せざるをえなかったぁ〜。
この血痕が武藤さんのと一致すれば、事件はか〜いけつです〜」
「……フッ。まさか、こんなカード一枚で僕が犯人だとわかってしまうとはね……。
僕のデッキのカードは40枚しかなかった……だから交換するわけにはいかなかった。
しかし古畑さん、僕は後悔なんかしてませんよ。
僕はああでもしなければ、あいつに、遊戯に勝つことは一生出来なかったのだから」
「羽蛾さん、え〜私、長くこの仕事をやっています。
しかし〜カードのために殺人をした犯人はあ〜なたが始めてです〜んふふふふ」
羽蛾「……行きましょう」
ゆっくり羽蛾を導く古畑。
19マロン名無しさん:2007/01/08(月) 19:50:52 ID:???
ひでーオチだが、とりあえず乙。
20マロン名無しさん:2007/01/11(木) 20:30:28 ID:zsumTveY
おもしろかったですまたおねがいします
21マロン名無しさん:2007/01/12(金) 00:01:33 ID:oF/pdRlX
突っ込みどころ多いな
22マロン名無しさん:2007/01/12(金) 17:34:14 ID:???
面白かった
23マロン名無しさん:2007/01/12(金) 21:28:56 ID:uAs5zfnl
また来い
24マロン名無しさん:2007/01/12(金) 21:45:37 ID:???
ヨカータヨ
25マロン名無しさん:2007/01/12(金) 22:22:16 ID:???
良作とはいい難いが古畑ネタは面白くできると思うから、
単発じゃないならこれからもがんばってほしい
26マロン名無しさん:2007/01/13(土) 01:00:27 ID:???
意外と優しいなお前等w
271:2007/01/13(土) 13:50:07 ID:???
ありがとうございます。
また書いたらここに貼り付けようと思いますのでよろしくお願いします。
28マロン名無しさん:2007/01/13(土) 16:39:11 ID:???
カードが40枚しかないってのはちょっと無理があるな。
なんらかの理由でカード紛失でもしたらデッキ自体組めなくなってしまうし
トレードの事などを考えて、羽蛾なら常時100枚は持ち歩いてるだろう。

こういう展開だったらどうだろう↓
羽蛾のデッキに必要不可欠なカードに血のりがついてしまい、羽蛾は仕方なくそのカードをデッキから取り除く。
しかし、デッキの公開によって、試合を観戦した今泉に「あれれ?羽蛾くんの切り札といえるカードが無いみたいだ」
と指摘され、結局決闘にも手詰まりで負けた羽蛾。古畑はそこを疑問視して追及。
最終的に羽蛾が隠していた血の付いたカードを証拠として提示し、犯行を認めさせる。

古畑「最後に・・・・一つよろしいですか〜?
なぜ、貴方はその血の付いたカードを処分してしまわれなかったんでしょう〜?
そんな決定的とも言える証拠を自分の部屋に隠し持っていたのは・・・」
羽蛾「このカードはボクの魂のこもった大切なカードだ・・・処分するわけにはいかなかった!」
古畑「そのカードへの愛情を他の・・・・そう、武藤さんのカードにも持つ事が出来たなら
貴方はこんな過ちを犯さずに済んだ事でしょう・・・残念です」
291:2007/01/13(土) 22:30:41 ID:???
なるほど。
とてもいい終わり方だと思います。
これならカードを処分できなかった理由もちゃんとありますし、
今泉の発言からヒントを得ることも出来ますね。
ありがとうございます。
30マロン名無しさん:2007/01/22(月) 13:06:39 ID:penCfH+y
ワロタww
期待あげ
31マロン名無しさん:2007/01/22(月) 13:59:02 ID:Dz+5oxKN
頑張って下さい
32マロン名無しさん:2007/01/22(月) 14:20:26 ID:???
いやぁ、家のカミさんがね?
真実の目の時点でオチがバレバレで残念って言ってたんですよ
33マロン名無しさん:2007/01/23(火) 02:06:04 ID:???
>>15
的確な突っ込みにワロタwww
34マロン名無しさん:2007/01/27(土) 09:26:35 ID:???
つーか本物の古畑で似たような話あったよな?
将棋のやつ
35マロン名無しさん:2007/01/28(日) 22:09:33 ID:???
海馬もカードの為に人殺してるけど
36マロン名無しさん:2007/01/31(水) 03:42:05 ID:???
なかなか面白かったぞ>>1
ただ、やっぱりラストがちょっと苦しいな
37マロン名無しさん
古畑 「んー、さすが論理的な方だ。えー、しかし違います。見つけたんです。あなたが殺したっていう証拠。正確に
   言うならば、見つけたのは先生ご自身です。控え室で話題騒然でした。『あなたがなぜあんな手を指したのか』
   って。あそこで飛車が成ってれば、あなたは絶対に勝ってた。何も知らない連中は、平気でそういうこと言うん
   です。しかし、実はあなたあのとき、駒を戻すしかなかったんです。飛車が成れば、裏返しにしなければならな
   いからです。そんなことは死んでもできない。裏返しにすれば、ばれてしまうからです。あるものが。私の勘が
   正しければ」
    古畑、ゆっくりと飛車を裏返す。
    そこに血痕がついている。
    八段、顔をしかめる。
古畑 「血痕です。飛ぶんですよ、血痕ってやつは。えー、これは、鑑識にまわすとしましょう」
    古畑、血痕のついている飛車をハンカチにくるむ。
米沢 「決め手にならない」
古畑 「十分だと思いますが」
米沢 「この駒は、確かにゆうべ私の部屋にあったものです」
古畑 「はい」
米沢 「そこに血痕がついていた。おそらく、大石さんのものでしょう」
古畑 「はい」
米沢 「しかしそれは、犯行現場が特定されたにすぎない。私がやったという・・・」
古畑 「だったら、どうして隠そうとしたんですか? 一生を左右するかもしれない大事な試合に負けてまでも、あな
   たは血痕を隠そうとした。なぜです? 私が問題にしているのはそこです。血痕そのものではありません」
    八段、黙り込む。
古畑 「投了と考えてよろしいでしょうか?」
米沢 「・・・・・・結構でしょう」