「ちょっ・・・な、何言ってんだよテメェ!」
赤面して食って掛かる千雨にエヴァは
「今から普通に修行しても及第点・・・図書館組レベルすら望むべくも無いぞ。」
「いや、つーか・・・」
「相手は10歳のガキなんだし大したことないだろ?」
覚えのある言葉を投げかける。
「ずいぶんデカい口を叩いてきたようじゃないか。我が部に口先だけの奴がまだいるとは思わなかったぞ。
特にお前はリアルじゃ何もできんからな。神楽坂明日菜以上の口だけ女だな。」
「なっ・・・」
「でも・・・教師と生徒が・・・。」
ネギが言葉につまった千雨をかばおうとしたが
ドッッ・・・・
「・・・ッ!」
エヴァの一撃を腹部にマトモに喰らい、千雨は両膝をつき,うずくまる。
「千雨さんっ!」
「今、わたしは何か魔法を使ったか?奥義を使ったか?」
あわてて駆け寄る治癒術を施そうとするネギに問う、エヴァ。
「いえ・・・なにも・・・」
師匠ではなく千雨のほうを向いたまま返答するネギ。
「そう、今のは何の変哲もないただのパンチだ。だがこいつは避けることも、耐えることもできない。
当然だ。いままで何もしてこなかったんだからな。」
寝室の絨毯では夕食と胃液の混合物が異臭を放ち始めていた。
「でも、これはやりすぎです!」
「ナギを目指すなら従者を選べ。私の経験から言わせてもらえば、
優秀な魔法使いの早死にはいくつかのパターンがあってな典型的なのが
情に流されて無能を従者にしてしまったというやつだ。こいつみたいな無能をな。」
エヴァは抗議などお構いなしに、まだ立ち上がれない千雨の頭を脚で踏みつけ、嘔吐物の海へと沈める。
「師匠ッ!!」
これ以上続けるのなら師匠といえども一戦辞さずとばかりに構えるネギ。
「戦るのか?上等だ。私に勝てるくらい強くなっているのならこの無能が従者でも大丈夫かもな。」
一端、脚を離して解放するが、今度はその脚で頭を小突くエヴァ、ネギはこらえ切れずに拳を放つ。
ドガッァァ!!!
しかし、次の瞬間、ネギの身体は宙に舞い、床に叩きつけられていた。
エヴァの合気柔術にあっさりと投げ飛ばされ、糸で受身も虚空瞬動も封じられ、なす術もなく叩きつけられた。
「やれやれ、激情に任せて闇雲に突っ込むとは、そんなことを教えた覚えはないぞ。」
エヴァは弟子に失望の一言を発すると、次は千雨を詰問した。
「さて、今お前は何をしていた?私の脚にしがみつくなりしてアシストしていれば
ぼーやの一撃が決まっていたかもしれなかったぞ。少なくとも無様に瞬殺されることはなかったはずだ。
わかっているのか!?お前は既に魔法使いの従者なんだっ!いつまで一般人気分でいるつもりだっ!
実戦ならお前もお前の主も死んでいたぞ!!」
「・・・・」
何も答えられない千雨。その数秒間の沈黙はエヴァを苛立たせるには十分だった。
「だからお前は無能なんだっ!!」
千雨は再び脚で沈められた。