地獄先生ぬ〜べ〜連載中

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9321/2 ミエナイアラスジ
#47 怪談・木登り幽霊 の巻

猛暑である。サウナ同然の教室内ではチョークもふやける。こう暑くては授業にならない。
風を入れようと窓を開けるが、裏の童守寺の工事がうるさく、これはこれで授業にならない。
童守寺の住職は金持ちらしく、駐車場やマンションの経営で儲けているらしい。
その住職から、ぬ〜べ〜にお呼びがかかった。
切ろうとするたびに事故が起きる、一本の木の除霊を頼みたいそうだ。坊さんなんだから自分でやれよw

この木には伝説がある。
この木の下には、400年前にこの地を治めた大名、北条氏の愛妾 佐々姫の墓があった。
姫は政略結婚で輿入れしてきたのだが、若い侍と恋に落ちてしまった。
怒った殿は姫を斬り殺し、侍も七日七晩のむごい拷問の末殺されてしまったという。
それからというもの、毎年二人が殺された7月の終わりの満月の夜、
若武者の霊が恋しさのあまり姫の骨を掘り起こしに来るという。
しかしどうしたわけか骨は見つからず、若武者は泣きながら帰って行く…こんなことが毎年繰り返される。
その証拠に、この木の根元にはいつも穴が掘られていて、いくら埋めてもすぐ元通りになってしまうのだ。

ぬ〜べ〜は霊視で、木からどろどろした怨念を感じる。ぬ〜べ〜自身もどろどろだ。
400年を経ても消えない怨念、ぬ〜べ〜はちゃんと供養するように住職にアドバイスするが、
住職は面倒がってぬ〜べ〜に任せる。
結ばれぬ恋の怨念。この話を聞いて、生徒達は今夜ここでの肝試しを企画している。
が、ぬ〜べ〜は大反対。小学生が夜中に遊び歩くとは何事か!
生徒達は、自分達が小学生である事を忘れていた。そして、霊の恐さも忘れているようだ。
だが、ぬ〜べ〜の忠告もお構いなしに肝試しを強行することにした。
9332/2 ミエナイアラスジ:2006/12/06(水) 23:00:44 ID:???
広・郷子・克也・美樹の4人は一度美樹の家に集合し、夜中に童守寺に侵入した。
日頃霊を見慣れ幽霊グルメになった一行は、ちょっとやそっとの霊では恐がれない。
せいぜい恐い霊が出てくる事を期待しよう。
木に登って待ち構えていると、鈴の音が聞こえてきた。
見ると、木の下に時代劇に出てくるような棺桶が運ばれてきた。
何が始まるのかと見守っていると、中から何かが出てきた。これが、穴を掘る侍の霊か。
 「会いたや…恋しや…会いたや…恋しや…」
涙を流しながら穴を掘る侍の手は、400年も掘り続けた為か骨が露出している。
叫び声もまるで地の底から響いてくるようだ。

もう充分涼しくなったところで、迂闊にも克也が大きなくしゃみをしてしまった。
侍はこれに気づき、一行の方を振り向く。
眼球をはじめ顔中に刺さった釘、裂かれた舌、皮を削がれた顔面。その顔には拷問の跡が見て取れた。
見つかった。ここは木の上、逃げ場はない。
 「会いたや…恋しや…会いたや…恋しや…」 侍は木を登ってきた。上へ逃げるしかない。
克也と美樹は自分が助かりたい為に醜い言い争いをしている。広が侍を説得するが聞き入れられない。
木のてっぺんまで逃げてきて、今度こそ逃げ場はない。ここに来て、美樹が木から滑り落ちた。
パンツ全開で尻から侍に突っ込んでいく美樹は、必死で木にしがみつく。
その力で木に穴が開き、中から姫の白骨が現れた。美樹は失神したが、侍は姫と共に成仏した。
400年の間に死体が木の上に押し上げられていたのだ。いくら掘っても会えない訳だ。
やっぱり霊は恐ろしい。

翌日、ぬ〜べ〜が除霊の為改めて童守寺を訪れるが、一晩あけたら霊気がなくなっている。ま、いっか。
ケチな住職からのお礼はスイカ1個。危険もなくなったし、先生付き添いで肝試しでもやるか。
いえ、もうお腹一杯です。広達は全力で逃げ出した。
事情がわからず一人???なぬ〜べ〜でした。