地獄先生ぬ〜べ〜連載中

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8731/3 ミエナイアラスジ
輪廻転生─… 人は死んだ後別人になって生まれ変わる。
その時前世の記憶は失われるが、まれに前世の記憶が残っている事がある。
小学生が初めて筈の町で「ここに住んでいた事がある」と、町の地理を事細かに言い当てたとか、
「死後双子に生まれ変わる」と言っていた友達が死に、数年後、街角でまだ口も聞けないような
双子の赤ちゃんに声をかけられるなど、このような奇妙な話は後を絶たない。

前世の記憶 それはある日突然よみがえる。まるで神のいたずらのように。
立野広─3歳のとき母が病死、今は父親と二人暮しである。今日も元気に登校する広を呼び止める声。
 「しばらく見ないうちに…お大きくなったねえ…」
広の母と名乗るその女性は、さくら組のかとうれいこちゃん。どこからどう見ても幼稚園児だ。

#45 前世の記憶 の巻

突然おかしなことを言い出した女児に、この子の母親も困惑している。広はダッシュで逃げ出した。
3歳で死別した母親の事を、広は殆ど覚えていない。仮に本物が生き返っても実感は湧かないだろう。
母の愛に飢えていると思われる広に、美樹は巨乳でアプローチ。まだあきらめてないようだ。
教室に入ると、先程の園児が広の机を掃除している。
掃除しながら「男手で育てるとだめね」と言い放つその様はたしかに一児の母といった風情だ。
幼稚園はどうしたのと注意するぬ〜べ〜にもしっかりした態度で挨拶。ぬ〜べ〜も思わず納得してしまう。
広が問い詰めると、広に会いたくて生まれ変わってきたのだと言う。
幼児の話にしてはできすぎている。ぬ〜べ〜達は調査に乗り出した。

広が小さい頃住んでいたボロアパートを訪れた。
れいこ曰く、父ちゃんと新婚時代をすごした懐かしのスイートホーム。
空き家になってるので大家さんを訪ねようかと言っていたら、れいこが鍵の隠し場所を言い当てた。
中に入ると部屋の配置から天井のしみの数まで…って、なんでそこまで?
「天井のしみを数える間に終わるよ」 父ちゃんとの初めての夜を思い出し、れいこは赤面する。
とりあえず嘘をついている様子はない。
8742/3 ミエナイアラスジ:2006/12/04(月) 23:00:42 ID:???
れいこは床の傷を見つけた。これは広が台所でいたずらした時のものだ。
調理器具が落下して、広が怪我するんじゃないかとヒヤヒヤしたものだ。
その話なら広も父ちゃんから聞いて知っている。その時、母ちゃんは右肩に怪我をして…
広は目を疑った。上着をはだけたれいこの肩に、しっかりと傷が残っていたのだ。
だが、それが証拠になるわけじゃない。れいこのお母さんと呼んでという言葉を広は拒絶する。
と、ぬ〜べ〜が鬼の手の封印を解き、れいこの頭に触れた。
霊魂の思考を読み取るこの方法は生きた人間にも有効なのだ。
もっとも、プライバシーに関わるから滅多にやらないが。

結果、れいこの言葉に嘘はなかった。
この子は確かに広の母親の生まれ変わりで、しかもその記憶が鮮明に残っている。
となると、これは親子の間の問題で、ぬ〜べ〜が口を挟む余地はない。母ちゃんは広を連れて行った。
 「しかし…あまりにも前世の記憶が強すぎる!これでは幼稚園児としてのあの子の人格が…
  かといって無理に引き離すこともできないし、今しばらく様子を見るか。」

広を連れ出した母ちゃんは、今まで何もしてやれなかった分広を思い切り甘えさせた。
服を買い与え、メリーゴーランドで遊ばせ、豪華な食事をご馳走し、トイレの世話まで。
しかしハタから見ると奇異そのもので、広が妹に横暴を働いているようにも見える。
ひとしきり連れまわして公園で休憩しながら、母ちゃんは改めて母と呼んでと請う。
あくまで拒絶する広。母ちゃんの顔が曇る。そんな母ちゃんに、ぬ〜べ〜が声をかけ何事か耳打ちする。
母ちゃんは、広が元気そうで安心した、思い残す事はないと、ぬ〜べ〜に記憶を消してくれと請う。
前世の記憶が強過ぎると、れいこの人格によくないそうだ。いつまでも広のお母さんでいたいが、
そうするとれいこの母親が悲しむ。一言「お母さん」と呼んで欲しかったがしかたない。
母ちゃんが覚悟を決めると、ぬ〜べ〜が鬼の手で前世の記憶を消す。
思わず止めに入る広だったが、遅かった。母ちゃんの人格は消え、幼稚園児のれいこに戻っていた。
8753/3 ミエナイアラスジ:2006/12/04(月) 23:01:15 ID:???
広は耐え切れなくなり、れいこにすがって泣き出した。
 「ごめん、ごめんよ母ちゃん!俺…恥ずかしかっただけなんだよおぉ」
口に出した事はなかったが、母親がいない事で随分寂しい思いをしていたようだ。
 「ばかね、男の子がメソメソ泣くんじゃありません。
  でも、やっとお母さんて呼んでくれたのね。ありがとう 広ちゃん…」

人は輪廻によって生まれ変わる。しかしそれは前の人生をやり直す為ではなく、新しい人生を始める為。
その為には、冷たいようだが前世の記憶など忘れてしまったほうがいい…

幼稚園から突然姿を消したれいこを引き取り、母親も一安心。
母親に連れられて、れいこは大きくなったら広のような子供を産むなどと言っている。
母親に甘えるのは恥ずかしいことじゃない。とはいえ、流石にあれは恥ずかしい。

前世で縁のあった者同士はひかれあう事が多い…
あなたの親友や恋人も、もしかしたら前世で浅からぬ縁があったのかもしれません…