#42 第4コースの幽霊 の巻
童守小25Mプール第4コース。ここには昔から水泳部員の霊が出るという。
30年前に小学校と中学校が一つだった時に交通事故死した中学生の霊である。
かなり優秀な生徒で、全国大会にも名を残していた。ぬ〜べ〜がこの霊の除霊を試みている。
強い中学生と勝負したいという思いが未練となって成仏できないでいるらしいが、現在ここは小学校。
中学から連れて来るわけにもいかないが、ぬ〜べ〜には心当たりがあるようだ。2、3日待ってくれ。
翌日は読者サー…プール開き。今年の目標は全員が25M泳げるようになること。
誰か泳げない人いるの?5年生にもなって情けねーなとは広。準備運動を終え、郷子を連れて初泳ぎ。
躊躇する郷子をプールに放り込むと、みっともない顔で溺れ始めた。
郷子がクラス唯一の大カナヅチだったのだ。
授業を受けなくてもいい程泳げる広は郷子の個人レッスンを仰せつかった。
しょうがなく指導を始める広。まずはどこまでできるか見せてみろ。
平泳ぎ:足だけ水面から出して空中を蹴っている。 犬かき:顔は犬なんだけどなー クロール:浮かない
まるでナマコだw広のスパルタ教育が始まった。郷子は不満げだが、広だって皆と泳ぎたいのだ。
嫌々教える広に郷子も嫌気がさして、練習をやめてしまった。
その夜、郷子は一人で練習すべく学校のプールに忍び込んだ。
着替えを終えて更衣室からでると、プールの方から誰かが泳ぐ音が聞こえる。こんな時間に先客が?
オオオオ オ オオオ 幽霊や妖怪特有のオーラを発して第4コースから上がってきた少年。
ひょっとして、これが噂の第4コースの幽霊?逃げ出す郷子に幽霊は気さくに声をかける。
この霊は今までの霊とは感じが違う。ゾッとしないし、生きているみたいだ。意識もはっきりしている。
郷子は昼間の出来事を幽霊に相談した。幽霊も親身になって聞いてくれる。
幽霊が水泳部員だということで、郷子は幽霊に水泳を教えてもらうことにした。
幽霊は広と違ってやさしく指導してくれる。思わず頬を赤らめる郷子。
数日後、夜中の個人レッスンは美樹の耳に届いていた。
ただし少々歪められて、美少年と逢引してあれやこれやしていることになっているが。
美樹はこれをダシに広にアプローチ。広は無言で立ち去る。
心なしか楽しそうな郷子は水泳のない日にも関わらず、夜、水着を持ってプールに向かう。
広が後をつけると、噂通り、郷子が美少年と逢引していた。
「よし、今日はバックに挑戦だ」
「え、いきなり怖いわ」
「大丈夫。力を抜いて僕に身を任せて…」
広はたまらず飛び出した。郷子は幽霊に取り憑かれている!郷子を懸けて俺と水泳勝負だ!!
必死な広を前に幽霊は言う。そんなに大事ならなぜ真剣に悩む郷子を突き放したのかと。
幽霊は勝負を受諾した。ただし、広が負けたら道連れの条件。広もこれを受けてたつ。
幽霊は国体5位の選手だが今更後には引けない。
勝負開始。
流石に速い。広は全然歯が立たない。勝負が見えたと思ったその時、郷子が幽霊に飛びついた。
広を救う為に必死で幽霊の邪魔をする。
二人の絆を見せ付けられた幽霊は、広に一言説教してあっさり成仏してしまった。
あんな中途半端な勝負だったのに。
元のサヤに収まった二人を見届け一安心する幽霊。
しかしあの二人、まさかこの幽霊が幽体離脱したぬ〜べ〜だったとは夢にも思わないだろう。
幽体の量をセーブして中学生の姿で離脱したのは、本物の第4コースの幽霊と対等の条件で勝負する為。
郷子に目撃された為、一芝居うって幽霊を待たせる事になってしまった。
ぬ〜べ〜の中学時代の記録は全国大会5位。成仏しろよ。
一方、真面目に水泳を教えることを約束した広だったが、スパルタは相変わらずなのだった。
マジに教えてなんて言わなきゃよかった…