しかし披露宴で飲み食いしたばかりの斑目に食欲は無い。
斑目は人の流れに乗って、長く続く地下街を物珍しげに
きょろきょろしつつ、かといって店にも入らず歩き続ける。
地下街の中の噴水広場に少しぎょっとしつつ、さらに歩くと
丸い吹き抜けの空間に出た。
「お、こんな所にジャプンショップ。」
ヲタセンサーが敏感に反応し、ドアをくぐる斑目。
(最近のジャプンはますますその、腐志向が…。)
そう言いつつも、なんだかんだでジャプンは読んでるし、
一般人の人ごみに疲れていたのでオタ空間が心地よい。
奥の棚では女の子3人連れが801会話で盛り上がっている。
(そういやデスの音の映画また観んとなぁ。)
そんなことを思いながら店を出ると、エレベーターが
気になったので乗ってみた。
家族連れに囲まれながら運ばれ、エレベータのドアが開くと
ガラスと水の空中公園に出て、明るい日差しが目にまぶしい。
楕円に広がるガラスと流水から、飾りガラスのように下が
ぼんやりと透けて見える。陽の光が反射して目が眩んだ。
しばらく呆っと眺めていた斑目だったが、ふと我に返り
気付くと周りは男女連ればかり。
さっき参加した結婚式の事も斑目の脳裏に浮かんでくる。
(何で俺、一人でこんな所に居るんだろう…。)
周りはと見ると、直線道路に挟まれた長い公園が続いてる。
100m道路、というものだ。斑目が歩いてきた地下街も
この下に続いているし、まだまだ広がっている。
そして、両側にはデパートや様々なビルが立ち並び、
TVの電波等も塔も近くに見える。
(うーん、せっかくだからあの塔にでも登ってみるか。
東京に行って東京タワーに登るみたいなもんか?)
このカップルや若夫婦の空間から、もっとベタな観光地
っぽいところへ移動したいとの判断が働いた。
東京タワーをこじんまりとしたような三角錐に惹かれて
地上に降りると、そちらに移動しようと横断歩道で信号が
変わるのを待つ。その時、携帯にメールの受信があった。
取り出してみるとスーと恵子からの2通で、お土産の
催促がそれぞれ来ている。
さらに名古屋名物を食べたら写真も送れ!と有る。
「あいつら、我がままお嬢か?(苦笑)」
笹原と高坂が卒業してから、一時は部室へ足も遠のきかけた
が、いつのまにか恵子と疎らにメールのやりとりをするように
なり、来日したスーからも、携帯を持つやいなやアドレス交換
を強制的にさせられ、電話や主にメールで、スーの日本語の
上達の一助となっているような状況だった。
特につきあう…といった感じには全くなく。斑目としては
手の掛かる妹が二人できたような感じに受け取っていた。
とはいえ、それがなければ夏以降の日々がいかに退屈で孤独
だったか。それを考えると二人には感謝していた。
「仕方ねぇな。」
そう言いながら、近くに見えたデパートの地下街で何か
土産物でも無いかと、電波塔ではない側の横断歩道に向かった。
(この俺が百貨店…デパートに入るとはねぇ(苦笑)。)
奇しくもこの辺りは、名古屋では4Mと呼ばれるデパート
密集地帯でもあった。
それから数時間後。斑目はデパートの紙袋を横に置き、
土産物だけでなくゲーセンのクレーンゲームのぬいぐるみも
その中に入れ、漫画喫茶の一室でくつろいでいた。
ドリンクを飲みながら、古典漫画の長編シリーズを読みふけり
目の前のネットで気が向いた時に、気になる掲示板を
チェックする。
(あー落ち着くわ…。)
靴も脱いで、すっかり気楽に過ごしていた。
やがて夜に差し掛かる頃、外に出た斑目は真っ暗になって
いたので少し焦った。
漫画喫茶の充電器に入れていた携帯電話には、親からの
伝言メッセージが残っていて
「晩御飯は、そっちはそっちで食べて自由にホテルに
帰ってきたらいいから。」
ということだった。
「さて、何を食うかな…。」
通りの向こうには、食べなれたカレーチェーン店と、
牛丼のチェーン店が見える。
カレーチェーンの方は、名古屋が発祥なのだが、だから
といって特別変わりがあるわけではない。
慣れというのは恐ろしいもので、自然に足が向いて、店に入り
そうになってしまう。
「いかんいかん、せっかくだから俺は名古屋名物を食べるぜ!」
一人で食事をしやすいチェーン店やラーメン屋の誘惑を
振り切って、さらにキャバレーその他の呼び込みを避けつつ
夜の繁華街を歩き続ける斑目は、いつのまにか完全に道に
迷ってしまっていた。
ふと見ると、前方にとんかつ屋が見える。
「腹も減ってきたし、ここ味噌カツ屋か?入るかな…。」
飲み屋に一人で入るのよりは抵抗が少ない。
カウンターに座ると、隣の席では大きなとんかつに味噌タレが
掛かったものが運ばれてきた。
「わらじカツおまたせしました〜。」
(うぉっ、でかっ!)
それを見て斑目は、腹が減っているもののそこまで
食べられないと悟った。
「えーと、串カツと生ビール中でお願いします…。」
(手羽先か味噌煮込みうどんでも、名古屋駅の
近くで食べてからホテルに戻るかな。)
とはいえ、まだ斑目は道に迷ったままなので、少し不安だ。
そこへ串カツと、よく冷えた生ビールが運ばれてきた。
テーブルの壷から味噌ダレをかけると、携帯カメラで撮影する。
珍しいものを食べたらいちいち携帯カメラで撮って送るなんて
行動は、熱々カップルか新婚夫婦のすることだと思うのだが
斑目は特に気にもせず、撮影している。
そして串カツを口に運ぶと、甘みのある、とんかつソース
とは違った味噌の味と串カツの豚肉、衣を味わう。
(あー、これはこれで美味いな。毎日とは言わんが。)
手持ち不沙汰なので、さっきの写真を恵子とスーに送る。
道に迷った事も書いておくと、「美味そう!」の返信とともに
「清算の時に最寄駅までの道を聞いたら?」と恵子から書かれ
(そりゃそうだ。迷ってると本人余裕無いんだなぁ。)
と、苦笑いを浮かべた。
今日は胃が大きくなっているのか、串カツとビール1杯では
まだまだ余裕のある斑目だったが、とりあえず店を出た。
支払いの時に、最寄の地下鉄乗り口もしっかり聞いたので
矢場町駅から名古屋駅まで、無事に帰りつくことが出来た。
名古屋駅から出るとそのまま下りエスカレーターで地下街に
降りた。衣料店は店じまいの雰囲気が漂っている。
(もう夜8時過ぎだしな。食べ物屋も有るけどもう終わりか?)
そう思いながら歩くと、味噌煮込みうどん専門店「山元屋」
という暖簾の前を通りかかった。営業中の札が出ている。
手羽先で呑もうかとも思っていたが、酒より食事の気分になり
店に入ってみた斑目だった。
「あのー、まだ大丈夫ですか…?」
「はい、こちらどうぞー。」
ラストオーダー間近の店内に通され、味噌煮込みうどんを
頼むと、待ちながら焼酎水割り(レモン入り)をちびちび
と呑む。周りの席の食べ方を見ると、土鍋の蓋を取り皿と
して使っているようだ。
(ふーん、なるほどね…。)
やがて、ぐつぐつと音を立てる土鍋が運ばれてきた。
ビールを追加で頼むと、斑目は土鍋の蓋を開ける。
味噌カツの時と違って甘いわけではない、味噌の匂いが
湯気とともに立ち上る。鍋の中はまだ沸騰していて
いかにも熱そうだ。そしてまた写真を撮る。
(この、乗ってる卵どうするかな…。)
そう考えながら蓋にうどんを取り始めると、うっかり
卵の黄身を割ってしまった。
「あぁ…。ま、これはこれで美味いかな。」
煮込み用の太いうどんと、トロリとした味噌のつゆが
からまり、ずっしりと腹に溜まってくる。
口の中を火傷してそれをビールで冷やしながら、
額に汗を浮かべて食べきったのだった。
食べ終わって、地上に出るとホテルに向かいながら
歩きつつ、またしてもスーと恵子にメールを送る。
スーからすぐ返信が来るが、日本の食べ物の味はまだ
想像が付かないものが多いようだ。特に味噌味は。
『名古屋には、甘いパスタが有るそうだな?是非!』
なんて無茶な要望を送ってきているが、店の場所も
知らないので無理だと苦笑しつつ歩く斑目だった。
ちなみにスーは携帯メールだとそれなりに簡単な漢字も使う。
「あれ?ひょっとして斑目じゃない?」
斑目は不意に声を掛けられてビックリし、ビクンと
飛び上がってしまった。携帯を落としそうになる。
「わたたっ…!」
「あははは、オーバーだねぇ。」
忘れるわけが無い、間違えるわけが無い。
春日部咲その人だった。ちょっと地味目のドレスを着て
同じような女性数人グループから抜けて近寄ってきた。
(え?え?なんで?名古屋だったよな、ココ!?)
「斑目、なんで名古屋に居るの?」
「それはこっちの台詞だね!」
「えー、友達の結婚式だけど、早いよねぇ。同級生なんて。」
「あ、ああ、そう。大安吉日だもんな。」
「んで、斑目は?」
「俺は従姉妹の姉ちゃんが同じく結婚式でネ。」
「ふーん、斑目はどっか観光した?あたし名古屋初めてでさ。」
「したさ!名古屋城に、繁華街で食べ歩きさね!」
「なんかテンション高いなー。酔ってるね(笑)。」
ふふふと笑う春日部に合わせて斑目もはははと笑う。
「いーなー、なんか可愛いものとか有った?」
「俺に可愛いものを聞くかね?まあ名古屋城の掘には
鹿が居たね。親子で。」
「え?ホント!?写真とか無い?」
斑目は春日部の友人が去っているのに気付いた。
「あのー、ご友人が居なくなってますが?」
「ああ、いいのよ。」
その返事を聞きつつ、斑目は携帯写真データを探す。
「ほら、これ―。」
「あー、見して見して。」
ぐっと接近する、斑目と春日部。
(このあと、春日部さん予定無いのかな…?)
(こんな遠くの地で偶然会った縁だし、一緒に飲むとか!)
(てか、俺まだ振り切ってなかったのな!?)
(あとで辛くなるからやめとけ!)
(いや、あくまで友達としてだねぇ――。)
様々な想いが頭の中をぐるぐる回る。
その時、春日部が見ていた斑目の携帯に、メールの受信が
有った。表示で恵子からのものだとわかった春日部は
ニヤリとしたあとホクホクと微笑むと、斑目に向き直る。
「あらー、斑目も隅に置けないねぇ。ほーほー。」
「え?ちょ!」
自分の携帯を手渡され、確認すると焦る斑目。
「やー、なるほどねぇ。お姉さんも安心だよ、うんうん。」
「ば、バカ言ってんじゃねえっての!スーとかあの辺の
現役会員とメールよくするようになってるだけだって!」
「まーまー、最初のきっかけは…そんなんだよねっ。」
春日部も酒が入っているのでノリノリである。
「あー、いい話もあったところで、せっかく名古屋で
会えたけど、私は帰るわ。明日も仕事なんで日帰り
なんだよねぇ。残念!!」
「あ――、ああ、そうなの?」
「東京でそのうち、根掘り葉掘り聞かせてもらうからね!」
「だーかーらー!違うっての!」
そうやって、さっぱりと別れていった春日部だった。
見送った斑目は、考えも良くまとまらないまま、とりあえず
恵子に「今偶然、結婚式で名古屋に来てた春日部さんに
会ってね、俺と恵子ちゃんが付き合ってると勘違いしてたよ。
さっき来たメールでね。また誤解だって言っといてよ。
まぁ迷惑かけるね。」と返信を送った。
とぼとぼろ暗い裏路地を歩いていると、メールでなく電話が
掛かってきた。もちろん恵子からだ。
「斑目、ごめん!ほんとゴメンね!」
「や、それ謝り過ぎだろ(苦笑)。」
「………うん、うん。でも――――。」
「ま、色んな偶然のタイミングだったなぁ。気にすんな。」
「うん、わかった。でもさぁ。でも…斑目が良かったら、
その勘違い、本当にしてみない?」
「……ぶっ!ははははは。あーはいはい、考えとくね。」
「もー、冗談だと思って(笑)。」
「冗談だと思ってだよ!(笑)。」
冗談ということにして二人は話を流してしまった。
電話を切って、ホテルに着くともう家族は戻っていた。
「晴信、大浴場が良かったぞ。入ってきたらどうだ?」
「あー、そうするわ。」
促されて、一人で大浴場に向かう。
体を洗いながら、春日部さんに会ったことや、恵子の
「その勘違い本当にしてみない?」の台詞を思い出す。
(俺が、恵子ちゃんと?ありえねぇっての(苦笑)。)
そう思いながらも、大きな湯船につかり、湯の熱がびりびりと
体に染みてくるのを感じながら、何故か去年の軽井沢合宿で
目撃してしまった着替えを思い出す。
(あー、なんで俺、ドキドキしてんだろ…。)
窓の外にはビルの明かりが見える。
(酒呑んで風呂入ったら心臓に来るわな!そりゃ!)
そういうことにして、名古屋の1日を終える斑目だった。
食べ歩き紀行のつもりが、欝展開になりそうになり、
さらに意外な(?)フラグ発生…と、書き手自身が
この展開にとまどっておりますorz
とりあえず、斑目に名古屋のリベンジ達成させました!
手羽先とマウンテンはまだだけどな!
>>441 斑目に登山は無理でしょw
つーかおかしなフラグばっか立ててるねえ、斑目…w
とりあえずGJ!
>>441 食事の描写が「孤独のグルメ」思い出した。
ウマソス。
色々フラグたててますなぁ。
今一番強いのはヤナフラグ?
斑目今度はどこ行くんだろうかっ?w
>斑目放浪気名古屋編2
感想書こうとコピペしてきたら、このシリーズが彼の本質であることを予感させるタイトルになっていてもうひと笑いできました(すんません)。
結婚式出席!そう来ましたか。俺も経験あるけどトシとってくるとこいつがツラいんだよね。ふらりと別行動したくなる気持ちも解る。
ご本人も書いておられますが展開が暗くなりそうでハラハラした。斑目って一人にすると輝度下がるなー。
咲さんとめぐり合えたのはよかった。……と思いきやおかしなフラグがw
斑目の気持ちを知っていて必要以上に詫びながらも、なんだか悪戯心が湧いて出た小悪魔恵子かわい。
なにはともあれ名古屋リベンジおつかれ〜。
斑恵好きのあっしとしては嬉しいフラグだった。
続きを楽しみにしてます。
え〜と、絵版のナカジ関係の絵群に触発されてSSかいた。
何枚かの絵の話をつなげてしまいました、絵師の方々すいませぬ。
大体7レスで投下します。
昔から一緒にいた私達だから、きっと分かり合えていると思っていた。
暑い夏が過ぎ、この地方の冷え込みは早く。
すでに長袖に変わった私達の制服は、その象徴でもあった。
「なぁ、中島ぁ。」
「ん?」
授業の合間に私のグループの一人であるおさげの少女は、
私に数枚のルーズリーフを渡してきた。
「これ、さ、荻上に挿絵頼もうかと思ってるんだけどぉ。」
「ふーん・・・?」
渡されたルーズリーフに興味もない私は、気のない返事をする。
この子の書く文章の稚拙さは分かっている。
いまさら読むまでもないのだ。
「・・・ほんだら、荻上にも見してみるよ。」
そういって、渡された紙束を机に押し込む。
「・・・そっか。よろしくお願いなぁ。」
その子はそろそろと自分の席に戻っていく。
放課後。
私はその紙束を燃え盛る焼却炉に放り込む。
あの子は気が小さいから、たぶん、こちらから何もいわない限り何もいわないだろう。
・・・荻上はこんなもののために絵を描く必要はないのだ。
私は、あの子をもっと大切にしたい。
「・・・あ、あのさ、中島?」
一週間も過ぎたころ、件のあの子がやってきた。
「ん?」
「わ、わたしてくれた?」
「・・・ああ。」
「なんだって?」
「今他の描いてるから忙しいって。」
「え、そうなんだぁ。じゃあ・・・。」
「でも、後で描くかも知れないから、借りておくって。」
「そ、そうかぁ。わ、わかったぁ。」
このいいわけも考えておいた。
「・・・なぁ、中島?」
「ん?」
荻上がやってきた。
「なんか、頑張ってねぇ、言われたんけど、何か分かるかぁ?」
「・・・ああ、まぁ、特に考えなくていいんでねぇか?」
ははっ、と私は笑うと、前に座った荻上の肩に手をかけ、そっと抱きつく。
「なんだぁ、どうしたべさ、中島。」
「まぁ、いいでない。ちょっとこのままでさ・・・。」
私とこの子は分かり合ってる。
この子はきっと知らないモノがたくさんあるから。
私はこの子を守らねばならない。
しかし、三年になっての初夏。
彼女は、男と・・・付き合いだしたのだ。
私は思った。
これは、いけない。
私はどうするべきか考えた。
あの男は荻上と何も分かり合っちゃいない。
荻上の真の姿を見せればいい。
あとは行動に移すだけだった。
・・・私のしたことは間違いだっただろうか。
いや、きっと間違いではないはずだ。
しかし荻上は教室で追い詰められることとなり・・・。
自殺未遂までするに至る。
私は・・・。
「んー、ナルホドっ。あなたは、何もしてはいないとぉ・・・。んーふっふっふっ。」
東京から来たという刑事が、この事件に興味を持ったらしい。
周りの情報を集めていることは私も耳にも入っていた。
数日前から付きまとっていたこの刑事が、なにを考えているのかは分からない。
「しかしですねぇ、中島さん?」
「はい?」
「あの本が出回る可能性があるのはあなたの所だけなんですよ。」
「なぜそういい切れるんですか?」
自信たっぷりのその口調が鼻につく。私も方便を抑えて返す。
「あの本の原稿が回収されたのは巻田君の家に投函されるつい3日前。
これは荻上千佳さんの証言からも確かです・・・。」
「はぁ。」
この刑事・・・なにを掴んだ?
「この原稿、他の部員さんは一応知ってはいたそうですが・・・。
肝心の中身自体は知らないと口をそろえていました。
荻上さんはあなたに渡した。他の部員は知らない。
ならだれがあの本を作れるというのでしょうか?」
「だから前もお話したでしょう?
一回ためしに製本したあと、私の手元からなくなったって・・・。」
「そこです。」
「はい?」
「発見された原稿、いつ製本されました?」
「そりゃ、もらってすぐ・・・。」
「んー、ん、ん、ん、おかしいですねぇ。」
「なにがですか?」
「この近所でコピーを扱ってる場所は無い。
あなたの家にはPCはあれどもスキャナは無い。
となると、学校のコピー機しかありえません。」
「・・・。」
「しかも、その原稿が渡された日は学校のコピー機は修理中でした・・・。
となるとまず、その日には出来ませぇん。その上ですねぇ・・・。
あなたがコピーをしている姿を、見ている方がいたんですよ。」
「え?」
「んー、ふっふっふっ・・・。しかも、その投函された当日にね。」
「あー・・・。間違えました。そうです、その日に・・・。」
「・・・なるほどぉ。」
「だから・・・その日のうちに盗まれて・・・。」
「そこがおかしいっ!」
「え?」
「あなたがコピー機前で見かけられているのは夕方三時。
投函され、発見されているのがなんと夕方五時なんですよ?
明らかに早すぎます。これはどう考えても・・・。」
「しかし、そうとも限らない。」
「そうですねぇ。
しかし、この状況だと、仮にあなたではないとすると、行きずりの犯行ということになる。」
「そうなんじゃないんですか?」
「・・・となるとおかしいんですよねぇ。」
そういいながら、あごに手を当てる刑事。
「え・・・?」
「指紋ですよ。指紋、あなたと・・・巻田君のご家族のしか付いてないんです。」
「!!」
「行きずりの悪戯をしようとする中学生が、わざわざ指紋を気にするとお思いですか?
それは無いですよねぇ、どう考えてもおかしい!
やはり、どう考えてもあなたが犯人でないとおかしいんですっ!
・・・お認めなられてはいかがですか・・・?んーふっふっふっふっ・・・。」
ここまでいい捲くし立てられ、私は何も言えなくなった。
・・・そういうことか。
この人は全てを知った上でここに来て、私を論破するつもりだったのだ。
「そうですね・・・。」
「やったことは悪戯です。しかし・・・やりすぎです。」
眉を顰め、指を額に当てる刑事。
たぶん、この人は勘違いしてる。
「やった事を認め、反省するのがいいと思いますが・・・。」
この人は、私がここまで言われれば自供すると思っている。
私を、ただの中学生だと思っている。
反省をすると思っている。
人気が無いところを選んだのは、私への配慮だろう。
しかし・・・それが仇になる・・・。
「刑事さん?」
私は、懐に隠していたナイフを取り出し・・・。
「ん?・・・ちょっとお待ちなさい・・・。」
「私ね、自分のやったことに反省なんかしてないんですよ?」
「なにを・・・。」
「荻上はね、あんなのと付き合ってちゃいけなかったんですよ。」
「・・・待ちなさい。」
じわりじわりと刑事との間合いを詰める私。
一歩進むと、刑事は一歩下がる。
「だから、あなたは死ななきゃ。これはばれちゃいけないんですよ。」
刑事の顔が歪む。私は・・・満面の笑みを浮かべて・・・。
「男だから、苦しまずに逝かせてあげますね。」
ザシュッ。
「ねえ、聞いた、中島ぁ。」
藤本が私に話しかけてくる。
「東京から来てた刑事さん、行方不明だってさぁ。」
「へぇ・・・。」
「何か掴んだ風だったんだけども。」
「まぁ、忙しいから帰っちゃったんじゃねぇの?」
「でも、東京の他の刑事さんとかやってきてたよ?」
「まぁ、私達には関係ないべさ。」
「そうなんかな・・・。」
相変わらず、荻上は自分の席で音楽を聞き続けてる。
自殺未遂した時の怪我も癒えてきているようだ。
・・・これでよかったのかな。
外には夏の終わりを告げるセミの声が聞こえている。
まるで、季節よ早く変われと急かすように。
ど、どうなんだんだ、これ。
投下しながらやばいかもと思ってしまいました。
絵師の皆様懺悔します。orz
でも、古○のくだりとか書いてて楽しかった・・・。
>斑目放浪気名古屋編2
これはいい斑目旅でつね!!
というか続編で恵斑展開とかは期待しちゃいけませんかね…??
咲とは…orz うんまあ、それは自分で補完しまつ。
>ヒグラシの啼く頃に
うは、面白かったw絵板を先に見てたから特にw古畑のくだりが…www
多分だいじょぶだとオモウデスヨ、そこまできっつい描写ないですし
456 :
うすじ:2006/10/21(土) 19:14:53 ID:dktjBGLh
そろそろ書くかな
20話くらいたまっているから
>>ヒグラシの啼く頃に
うわあぁぁあぁ(゚∀゚)ぁあははハハハ
「これでよかったのかな。」ってよかねえよ中島ァ!
この中島なら成長してなんでもやらかしそうですね。
本編でもめったに見られないうろたえる古○さんがよかった。万一ドラマ化したらこんな感じでしょう。
……えーっと。合掌。
>ヒグラシの啼く頃に
やぁ、これは良い中荻話ですね(笑)。
しかし中島のナイフ術…恐ろしい子っ!(それどころではない)
>>442-445,455
斑目放浪記名古屋編2の感想ありがとうございます!
名古屋は見所、食べどころの多い街ですよ〜。
しかし、タイトル間違えに全く気付きませんでした。。。うぅ
あと、斑恵展開での放浪記続編か、斑恵での別話かどっちか考えますね。
460 :
458:2006/10/24(火) 19:55:58 ID:???
>>459 斑目ハーレム展開っ!?それはそれでアリかも
タイミングを見計らってるウチに
ハーレム消滅するのがヘタレ斑目クオリティ
>>461 なんかリアルでやーね(´Д`)
でもそれが斑m(ry
ちょっと小ネタを投下しまつ。
最近SS書いてなかったからブランクを感じるゼ…。
「斑目ハーレム」
「え〜〜〜第24回…。
俺のお誕生日会を始めます〜〜〜〜〜〜………。
って、何で俺が言うの?(汗)」
大「は〜いみなさん拍手〜〜。斑目さんは細かいことを気にしないように!
もっと嬉しそうにしてください!!」
大野さんが言うと、部室に集まっていた女子のみなさんがまばらに拍手した。
大野さんのほかには、荻上さん、9月から留学してきたスーとアンジェラ、そして咲。
9月に無事卒業して、就職も決まり順風満帆の大野さんは、あり余った幸せと時間を持て余していたのだった。
そして、「周囲も幸せにしよう!」と閃き、信念のもと活動し始めたのだった。
斑「工エエェェ(´д`)ェェエエ工 もう誕生日とか嬉しいトシでもないんですけど…」
大「ツンデレですね!」
斑「いやそれ違うだろ」
荻「…大野先輩飛ばしすぎですよ、初めから」
大「あ〜〜らオホホ、そうかしら?」
斑「…ところで、何で春日部先輩はすでにできあがってるんですか?」
斑目の横で、春日部さんが赤い顔でへろへろになっている。
会社帰りに校門前で大野さんに拉致られて、何故か酔っ払ってる春日部さんのとなりに座らされ、女子に囲まれた斑目は、ひたすら困惑するのだった。
大「部室に来る前に、咲さんと飲みながら話してたんです☆」
荻「……え、昼間っから?」
大「まあまあ、咲さんを酔っ払わせたのはちゃんと理由があります!!」
荻「……どんな理由ですか。」
大「咲さんはですね………、出来上がると、陽気になるんですよ!!!」
荻「………それで?」
大「陽気になったら…楽しいじゃないですか!!」
荻「………だから?」
大「楽しいのが一番じゃないですか〜。他に何か必要な理由が?」
荻「いえ、もういいデス…」
大「ねッ、楽しいですよね咲さん!!」
咲「いっえーーーーーーー!!」
大野さん、荻上さんと向かいの席(斑目の隣)で、春日部さんがなにやらガッツポーズを作る。
斑「…何このノリ」
咲「おめでっとおーーーーーー!!」
斑「…春日部さん大丈夫か?」
大「ん、まあ、咲さんもね、仕事で色々ストレスためてるみたいですし。
さっきも斑目さんの誕生日会の話してたはずが、いつの間にか仕事の愚痴聞いてましたから。飲みながら」
荻「…そんでこんなに…仕方ないスかね…。」
咲「うひゃひゃひゃ、アンタも大人になったのねーーー!」
斑「…いや、4年前から大人ですけど」
咲「酔ってませーーん!」
斑「まだ聞いてねーーー!(汗)」
…と、不毛な会話をしている間、スーとアンは荻上さんの最近出した新刊をよんで英語でなにやら話していた。
アン「ファンタスティーーーック!エクセレンツ!グラッシーズ!!」
スー「リアルハードコア!!」
荻「………………」
大「あ、すっごい誉めてます」
荻「そ、そうですか…」
大『(英語)ほら、スーもアンもそのくらいにして、ケーキ食べましょケーキ』
スー「イエス!」
スーは荻上さんのほうに向かって、「GJ!!」と言ってからホールのケーキを切り始めた。
大「このケーキ、スーとアンが作ったんですよーーー」
斑「ほほう、これは………目のさめるようなスカイブルーで…(汗)」
大「ああ、このゼリー部分はペパーミント味ですからね。でも味は保証しますよ!」
斑「そ、そう。とにかくありがとう」
スー「アサメシマエ!!」
斑「?」
大「『このくらい朝飯前だ』って言いたかったみたいですw」
斑「スーさんは日本語覚えるの早いなあ…」
咲「はい斑目、あーーーーん!」
斑「!!???」
春日部さんがいきなりケーキを刺したフォークを突き出し、斑目はびっくりした。
斑「え、ちょ、な、ちょ、えええ」
咲「何、ワタシのケーキは食えないってか!」 ギロッ
斑「いやそういうワケじゃ…(目がすわってるよ、コエー…)」
咲「んじゃーーーはいっ☆」 ニッコリ
斑「えーとえーと、あうぅ」
咲「えーとえーと言わない!!」
斑「…ソウデスネ」
斑目が真っ赤になってしどろもどろになっているのを見て、大野さんと荻上さんはひそひそ話をした。
大(どうやってこういう展開にしようか迷ってたんですが…結果オーライですね!)
荻(色々はしょられてる感満載ですけど……というか手抜(ry)
大(そこは流せ!です!!)
咲「ほらあーーーん」
斑「………あーーーー」
斑目が口を閉じようとした瞬間、フォークがさっと引かれて春日部さんの口にしっかりとおさまった。
咲「んまーーーい!!」
斑「………………………うん、分かってたケドね……。そういうベタな罠だって分かってたけどね………!!!
くうっ、思わずつられたっ!!」
…と、横目で悔しそうにしながらもちょっと幸せそうな顔の斑目であった。
OWARI (ぇ
468 :
あとがき:2006/10/26(木) 22:15:51 ID:???
できることなら25日に投下したかった…orz
とにかく斑目ハピバースデー。
絵板でのコメントからヒントを得て書いたモンです。
お粗末さまでした。
469 :
訂正(汗):2006/10/26(木) 22:19:19 ID:???
斑目ハーレム1で。
>斑「…ところで、何で春日部先輩はすでにできあがってるんですか」
先輩!?
…すいません、「春日部さん」に読み直してもらえれば幸いです。ヤッチマッタ…
>斑目ハーレム
斑目…いい誕生日じゃね〜か たぶん男子含みの二次会があるんだろうな大野さんが飲む用の
>斑目ハーレム
春日部さんだけでなく、他の女子たちも斑目に優しくしてあげてくださいw
こんな誕生日だったとしたら、とりあえず最高じゃないですかっ!!
つかのまの救いGJです!
斑目ウラヤマシスw
私の誕生日も祝ってください、現視研の皆さ〜ん。
クッチーでもいいよっ!w
またまたやってまいりましたくじアン面白か(ry
今回は咲さんが次回予告で登場でしたね。
次回は・・・朽木だっ石田クッチーに期待だっ。
というわけで、3レスで投下します。
マ「え〜、第三回くじびきはーとアンバランス、略してやっぱりくじアンよかった本会議〜。」
K「よ、よもや春日部さんがみるとは思わなかったね。」
梟「よりにもよってこの回をなぁ・・・。」
ベ「正直、最初のシーン、予告見た限りじゃ妄想か何かと思ってたんですが・・・。」
ト「ああ、もしくはマッサージとかね、そういう落ちだとねぇ。」
マ「ガチかよっ!ってことでまず盛大にフイタわな。」
ベ「前回に比べると多少作画落ちてますかねぇ。」
梟「まぁ、前回は神作画、神コンテ回だったみたいだからな。アレを毎回期待するのも・・・。」
K「で、でも、一定以上の作画は維持してるね。」
マ「だわなぁ。予想外だわ。」
ト「え、マムシさんはそろそろガタが来ると。」
マ「ちょっと思ってたわなぁ。」
ベ「確かに、息切れしてもおかしくないくらいクオリティ高かったですもんね、二話。」
梟「たぶん、前の二話と比較して動きが多くなってたからな。
ここまで動かすには多少の妥協も必要だろう。」
べ「忍先生大暴走だったな。個人的には・・・ただの猫かぶりになってがっかりだが。」
梟「メガネをはずすと変わる、というキャラ設定はよかったからなぁ。」
K「え、エロイよね、で、でも。」
マ「ガチでブラコンとはなぁ。思い切ったキャラにしたもんだ。
しかも、学校のOGで、反生徒会として活動してたこともあるという設定・・・。
キャラ立ちすぎだな。ははっ。」
ベ「『子供は見ちゃだめぇ〜〜』とか、おいおい、そこまでやる気かいって感じでしたねぇ。」
ト「ハコノリを前回出来ていた理由とか、OPでの妙なほどのドラテクとか、判明した感じですね。」
マ「ヘッドとはね・・・。恐れ入りやした。声優の演技もうまかったなぁ。」
K「き、切り替え上手な人だよね。さ、笹本優子。ゆ、有名どころだとストリートファイターのさくらだよね。」
梟「ワキが多いが、それでも多様なキャラをやってる印象があるな。
少年から少女、大人の女性まで。バッチリな起用だな。」
ベ「鏑木先生に惚れ薬を頼む時の声の変調とか、良かったですよね。」
ト「まさに適役ですね。」
マ「で・・・まぁ、忍先生はいいんだ。まだな。鏑木・・・。」
梟「もはや完全に別キャラだな。専攻も生物→化学か。」
K「お、面白いキャラだけどね。ぜ、前作ではちょっとクールなキャラすぎたからちょっと浮いてたかな。」
マ「主人公以外にああも女性から好意を寄せられるキャラって・・・。」
ベ「明らかに『ラ○ひな』のセタ狙ってましたよね。」
ト「でも、展開的に使いづらかったっぽいですよね。」
マ「そういう意味じゃあ、いい改変かのう。いいコンビになってるからなっ。
『あれ混ぜちゃったまずかったんだなぁ〜」とか、いい感じだぜ。」
梟「今回は忍→鏑木でなくて鏑木→忍だからな。だが、結局また結婚するかもしれないな。」
K「ら、ラストの落ちが先生の結婚ってこと?わ、悪くないね。」
ベ「どう〆るつもりかはわからないですけど、1クールじゃ難しそうですよねえ。」
ト「その辺も含めて今回のスタッフには期待したいですねー。」
マ「蓮子たんは今回かわいさ爆発だったな。山田があまり出てこなかった為かやかましさも少なめだったしな。」
梟「『パンダた〜〜ん』だろ?うまく魅力を引き出していたな。」
K「こ、小雪もよかったよね。先生の妄想シーンは三人とも良かったけど、
特に小雪は力入れすぎ、だ、だったよなぁ。」
ベ「あのアップは反則ですよねぇ。これで小雪に転んだ人も多いのでは?」
マ「いやぁ、今回はどう考えても時乃だろ〜。」
梟「そうか?最後のアレで・・・でもま、色っぽいシーン多かったしな。」
ト「百合風味までバッチリしこむ、この感じ、やっぱり90年代OVAですねえ。」
マ「うむ!最近は細分化されて『ツヨキス』などの作品が目立ち始めていたが、
昔は全て詰め込むものだったよな。そのころのテイストがスゴイするわい。」
K「て、展開のベタさ加減も全てその頃の感じだよね。
こ、今回も、「あ、こうくるな、やっぱりね」という感じで笑っちゃうんだよなぁ。」
梟「惚れ薬、ってもんが出てくる時点でもうな。」
ベ「読めてるんですけど、少し斜め上というか、作画の妙というか、いいですよね。」
ト「細かいところでは、小雪ちゃんが「もう走れない」といった次のシーンではおんぶしてたり。」
ベ「細かいよねー。『守られるキャラ』という形が確立されつつあるよね。」
マ「山田メカの役に立たなさっぷりもな、もうあれはお約束だな。」
ト「あそこにあれだけの作画、そして「カオルコ・ヤマダいっきま〜〜〜す!!」ですからねえ。」
K「た、楽しいよね。「死んだら・・・」ってところとか。」
梟「メカの描写、車やバイクも細かすぎる。エンジンが火を噴くときの描写なんてすごいぞ。」
ト「アニメが好きな人が作ってる感じしますよね。
亜細亜堂は80年代の「ど根性ガエル」とか、ああいうのを手がけてたスタッフが作ったスタジオらしいですね。」
ベ「昔のアニメのアクションっぽいところもあるよねー。」
K「す、少し懐かしい感じがするのはそのせいか。」
梟「地味だし、たぶん本流になることもないんだろうけど、はまる奴にはたまらないだろうな。」
マ「冬コミが楽しみじゃのう!!」
ベ「でも、これの開始、申し込みより後だから、ブース集まってなさそうですね・・・。」
マ「全てマワリャいいんじゃ!!わかったかっ!!いいものは二冊買っとけ!!」
梟「おいおい・・・。まぁ、そういうことだな。」
ベ「で、於木野さんは・・・その・・・。」
於「なんですか?」
ベ「蓮子たんの・・・。」
於「しません。」
ベ「まだ何も・・・。そうですか、はい。」
神「えー、しないんですかぁ?」
於「しません、するわけないでしょう。」
神「そうですか・・・。ニヤリ。」
マ「・・・気になる笑みだがまぁ、いい。というわけで今回はここまでじゃ、また次回でな!」
>>474の、「忍先生〜」の台詞はベでなくてマでした。
たぶん台詞の違和感で気づいていただけたと思いますが・・・。
感想いただいてるかた感謝です。
たぶん、このまま最終回までかけそうですw
くじアン、おもしろいですからw
>>第三回くじびき〜以下略
毎週ご苦労様です!GJ!
先週は凄かったですねー。ギャグ王道シナリオでw今週も楽しみだ〜♪
ところで今回は本会議にクラッシャー花山17歳さんの登場を少し期待してた俺ガイル…
SSって何?
セガサターン!
なるほどーサンクス!