暇がない、金がない、手に入らない、等の事情により、読めない漫画のストーリーを教えてもらうスレです。
次スレは
>>950か、容量が450を越えた時にお願いします。
前スレ:ストーリーを教えてもらうスレ Part15
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1139986600/ まとめサイト(※全過去ログ保管済み)
ttp://malon.my.land.to/ 未解決リクエスト表(※予約&進行中タイトルリスト含む)
ttp://malon.my.land.to/mikaiketu.htm 【リクエストされる方へ注意点】
その漫画が既出である場合があります。要望を出す前に、未解決リクエスト表にてご確認下さい。
どの程度のネタバレを希望するか、一言添えていただけると、書き手も書きやすいです。
(例:科白を含む等、出来るだけ詳しく・大まかな粗筋・←を混成したメリハリの利いたもの・ラストのみ)
この板は一般板なので、18禁の漫画のストーリーの要望はご遠慮下さい。
即レスは期待せず、気長にお待ちください。
【教えてくれる方へ注意点】
要望が出ている漫画のストーリーはどんどん書いて下さい(※解説が終了した作品の加筆・修正も大歓迎)。
ただ、要望が出ていないものは敬遠される傾向にあります。
この板は一般板なので、18禁の漫画のストーリーの紹介はご遠慮下さい。
名前欄に作品名を入れていただけると、まとめやすくありがたいです。
時間を置いて数回に分けて投稿する際には、混交を防ぐため、最後に「続く」とお書き下さい。
書く際は予め予約していただけると、投稿の重複が防げて大変ありがたいです(※必須ではありません)。
また、書くのはよそうと思われた時には、面倒でも予約の取り消しをお願いします。
2 :
ボーボボ ◆HANAGE/QFM :2006/08/06(日) 08:07:46 ID:L8S0hb+I
おちゅ
乙。
魔術士オーフェンはぐれ旅と魔術士オーフェンはぐれ旅MAXのストーリー教えてください
「ぼくらの」と「赤い羊の刻印」教えてください
続きをお願いします
前に書いた人はもういないようなので、
書き方違うし他の板に投下したやつだけど置いとこう
[戦闘四回目]
次のパイロットはダイチ。彼はアルバイトをしながら弟妹三人と暮らしている。
バイトの世話をしてくれている叔父は一緒に暮らさないかと誘ってくれているが、
蒸発した父に帰る場所を残したいと断り、長男として弟妹の世話をする日々を続けていた。
自分が死んだ後に弟妹はどうなるだろうと考えていると、ナカマから電話がかかってきた。
会話の末にナカマは「ごめんね」と謝ってきたが、ダイチは別にいいと答えた。
やがて戦闘が訪れる。死体は元の場所に転送する事も、広いジアースのどこかに
置いておく事もできるという。ダイチは後者にしておいてくれと頼む。弟妹に自分の死を知らせたくはないからと。
巻き添えの犠牲者を極力出さないように戦った後、勝利し、死亡した。
[戦闘五回目]
次のパイロットのナカマは、売春婦の母を持ち、父を知らずに育った。
母は凛々しい人で尊敬しているが、やはり母の職業の事で差別されがちで
そのためか生真面目な性格に育った。掃除をサボったクラスメートを注意すると、
「塾で忙しい。あんたは成績悪くても親と同じ仕事すればいいだろうけど…」というような事を言われる。
戦闘の日、ナカマは作ってきた全員分のコスチュームを渡す。
死んでしまったダイチたちの分は後回しにしたので無いが。
死に装束かよと憤るカコに、私だって死にたくなんか無いとナカマは叫んだ。
戦闘中、ナカマをいじめていた女子が避難しそびれているのを発見する。
ナカマはその女子に「これからちゃんと掃除しなよ」と最後の注意をし、助けた。
その後戦闘に勝利し、ナカマ死亡。助けられた子は掃除をするようになった。
[戦闘六回目]
軍のお偉いさんを父に持つコモにより、
ジアースの戦闘に軍隊も関わってくるようになった。
次のパイロットはカコ。カコはどうせ死んでしまうならと
チズをレイプしようとするが、ナイフをつきつけられ諦める。
戦闘の際、カコは極度の緊張により錯乱。まともに戦えないカコの首筋に、チズはナイフを突き刺す。
カコ死亡。パイロットをチズに変えて戦闘続行。
正統派お嬢様といった容貌のチズは、初恋相手の担任の先生と深い仲にあった。
だが、先生はチズを利用していただけで、チズは行為のムービーを公表すると脅され、
先生の仲間の男たちに売られ、屈辱的な日々を送らされるようになった。
男たちを全て殺すのは無理だから、せめて先生だけでも殺そうと決意するが、
妊娠が発覚する。生まれてくる子供のために一度はやめようと思ったが、
妊娠を知った先生の「それなら出産ムービーが取れるな」との言葉に殺意を再度燃やし、
どうせ死んでしまうならとジアースを使って先生と男たちを殺そうとする。
怪獣を倒すよりも先に、男たちを殺害していく。次に先生を殺そうとしたが、先生は姉と共にいた。
先生はチズの尊敬する姉と交際していたのだった。姉がかばおうとするので断念し、
チズは怪獣を倒した。「お前お姉ちゃんの子になればよかったのに」とつぶやき、チズは死んだ。
ジアースの顔に当たる部分にははじめ、カナを除いてパイロットの人数分、14個の光があった。
チズの腹の中の子供も14個の中に入っていたようで、チズが死んだと同時に2個の光が消えた。
今、光は7個しかない。カナ以外にも誰か一人契約していない者がいるのだ。
[戦闘七回目]
ココペリの戦闘を除いて15体の怪獣が現れるらしいので、
足りない人数を補充するために軍人二名が契約。
次のパイロットはモジ。彼には病を抱えて心臓の移植を待っている友人がいる。
以前ふと検査を受けてみると、友人とモジの心臓の移植成功率は100%だった。
モジは戦闘後に自分の体を病院に転送するようにコエムシに告げる。
自分が死んだ後に、自分の心臓が友人に移植されるように。
戦闘に勝利し、モジは病院に転送された。
[戦闘八回目]
次のパイロットはマキ。彼女は養父母のもとで育った。
養母はもうすぐ男の子を産む。せめて弟が生まれるまでは生きていたいなとマキは思う。
マキはウシロのもとにいき、日常的にカナに暴力を奮うウシロにそんな事はやめろと言う。
「あんたは血が繋がってるって安心感に甘えてる。だからカナちゃんを平気で殴れるんだ」
というような事を言う。やがて弟が生まれないまま戦闘がはじまる。
ジアースのパイロットは地上を拡大して見たりできるのだが、
戦闘の際に見える風景がいつもと微妙に違う。
怪獣だけではなく、見知らぬ戦闘機もジアースを攻撃してくる。
戦闘が優位に進み、マキは以前から密かに抱いていた疑問を調べるために相手の急所の装甲を剥がす。
疑問とは「自分たちはなにと戦っているのか」というもの。
急所の中にはコックピットがあり、人間がいた。敵もこちらと同じくロボットを操る人間だったのだ。
これらの戦闘は、並行世界にある地球同士が互いの可能性を摘みあう、枝木の剪定のようなものだった。
勝利の条件は、急所を潰す事ではなく、敵性地球人のパイロットを殺す事。
パイロットのみならず、負けた側は世界ごと滅びるという。
マキの実の両親はマキを虐待していたという。養父母と生まれてくる弟のためなら、
酷い両親の血を引いている自分になら、人を殺すぐらいできるとマキは決意し、パイロットを殺した。
「ウシロ、あんたカナちゃんを守るためにちゃんと戦いなさいよ」
元の地球に戻ったジアース。マキは生まれてきた弟をジアースから確認後、死亡。
どこの漫画か判らないんですが、【君と僕】の内容を教えて下さい
少年漫画です
白土三平の「サスケ」お願いします。
最初は娯楽系だったのが、途中から階級闘争のシリアス物に変化、
救いようのないラストだと聞いております。
いくえみ綾の「清く柔く」をおねがいします!
「GIRLSブラボー」をお願いします
まとめサイトの「飛べ!イサミ」読みました。面白そう。
書いてくれた人、まとめサイト管理人さん、ありがとうございます。
藤子F不二雄の「カンビュセスの籤」を教えてください。
プリンセスチュチュ 原作:伊藤郁子・佐藤順一 漫画:東雲水生 チャンピオンRED
これを詳しく知りたいです!ちなみにアニメの方も見たこと無いです!
21 :
:吾輩は名無しである :2006/08/11(金) 11:42:36 ID:3CLSnw8S
聞いております。
「コドモのコドモ」と「一陽来福」お願いします
「コドモのコドモ」
小学生同士が性知識のないままセックス→妊娠
子供たちで兎小屋かどっかでポンと産んで育ててたが
ばれちゃってそして数年後(間違った知識書きまくったので打ちきり)
身長が何十cmも伸びた主人公はモデルになった
「一陽来福」
子持ちの男子高校生との育児ラブコメディ
母親は主人公の友人で、中学時代に子供を産んですぐに亡くなった
ドロドロした要素は全くなく、遠足に子供をつれてったり
公園デビューしてたりと周りも子持ち高校生を受け入れてる様子。
「ないしょのつぼみ」
短編連作の性教育漫画。
初経やらを扱っているが、性教育としてはあまり役に立たなさそう。
一巻完結で、一巻と二巻の主役は同じ「つぼみ」という名前だが別人。
一巻では主人公のやがて生まれてくる妹の思念がナビゲート役
二巻では地球人を調べにやって来たイケメンエイリアンがナビゲート役
24 :
マロン名無しさん:2006/08/14(月) 14:27:09 ID:IQ7/6eY7
きゆづきさとこ
「棺担ぎのクロ」
「パノのみに冒険」
この二つを誰か教えてください。
「まじっく快斗」と、「名探偵コナンの中でまじっく快斗が関係する話」を教えていただきたいです。
妙なリクエストですいません。
親父がマジシャン&怪盗
なんたらって宝石を捜していて親父は死ぬ
かいとは偶然親父が怪盗だったことを知り親父が探していた宝石を捜す
もっと詳しく知りたいです・・・
だが断る!
>>27 この前快盗キッドの方売っちゃったんだよな
コナンは漫画喫茶でしか読んでないし
有名作品だからそのうち誰かが書いてくれるだろ
電撃大王に載っていた「まじかる?ぽか〜ん」をお願いします。
まとめサイトに載ってる「Rozen Maiden」が簡潔で、
もっとストーリーを知りたいので、詳細に補完希望です
よろしくおねがいします
十二国記まだー?
つラノベ板
そして夏厨よさようなら
星樹の「破戒神ムハー・ジルーン」と「KURAU Phantom Memory」をお願いします。
37 :
吾輩は名無しである :2006/08/19(土) 09:48:32 ID:LsvlZVb8
吾輩は名無しである
38 :
マロン名無しさん:2006/08/19(土) 10:21:43 ID:StOPjWWb
スクエニの【マンホール】と【ダズハント】ってどんな話なのですか?
40 :
源氏:2006/08/19(土) 15:55:58 ID:???
高河ゆん 1〜8巻 新書館
※この話はタイムスリップものでなく、異世界ものです。
【あらすじ】
第一部(1〜5巻)
最愛の恋人・桜は異世界「日本国」の姫だった。
高校生の克己は桜を追って日本国へ行くが、そこは折りしも源平合戦の真っ只中。
克己を日本国に導いたために記憶を失った桜は、本来源氏軍の人間(源頼朝の許婚)なのだが
偶然春奈城(平家の本拠地)に行き着き、平清盛や副将・嵯峨空也に拾われ、
平家の元に身を置くことになる。
一方、克己は途方にくれる中、源頼朝の通夜の中にある源氏軍の面々と出会い、
自分が死んだ頼朝と瓜二つであることを知る。
戦況の苦しい中でのカリスマ指導者の死に困惑する彼らは、克己を頼朝の身代わりにしようと
目論む。一旦は拒否し単独行動に出た克己だが、桜が平家側についてしまったことと
源氏の顔を持つ影響の大きさに驚き、桜奪還のために共同戦線を張ることに。
いよいよ大きな戦争が始まろうとしていたそのとき、地震の発生により日本国と日本の世界が
急接近し、克己や義経、清盛も含む源氏平氏らが大勢日本に飛ばされる。
彼らを元の世界へ帰すため、記憶亡くした状態ながらも桜は
ガーディアンの能力を発揮し日本国と日本を行き来する船を出し、遂に克己と再会する。
克己と桜は、侍達を乗せ港を出る船を尻目に日本に残る。
第二部(6〜8巻・未完)
戦いを終わらせようと、桜と別経路で日本国に戻った克己は源氏軍に合流する。
その背景には克己らと共に日本に残っていた清盛(兄)の死があった。
克己不在の間、源氏軍は以前よりさらに苦しい状況になっていた。
平氏の目を欺き、戦力増強のために木曽義仲の協力を得るため長野へ出向く源氏軍だが、
平氏も木曽を潰しにかかっており、無人戦車を要した特別部隊が攻め込んでくる。
一方、克己と別行動を取っていた桜は兄の死で狂人化した清盛に捕らえられていた。
41 :
源氏:2006/08/19(土) 16:04:30 ID:???
【主要登場人物】
江端克己 高1。十人兄弟の末っ子。やんちゃ。ワガママ。意志が強い。
長谷川桜 高3。克己の恋人。日本国の守護神の姫。頼朝の許婚。美人。
源頼朝 源氏。鎌倉殿。23歳にして亡くなった源軍の総大将。
源義経 沙那王。頼朝と同い年の弟。源軍一の精鋭遊撃隊隊長。23歳。
武蔵坊弁慶 源軍義経隊参謀。義経一番な人。頭が切れる。22歳。
北条政子 横浜の源軍北条家の長女。15歳。情に厚く可愛い美少女。
平清盛(弟)平家軍の総大将。23歳。頼朝とは幼馴染み。
平清盛(兄)禁忌の双子として生まれたため幽閉されて育つ。凶暴な性格。
嵯峨空也 平家軍副将。清盛(弟)付。23歳。腕も頭も顔も性格も良い人。
江端小太郎 高1。克己を溺愛する異母兄で同じ高校に通っている。
周子 花街の頼朝専属の凄腕鎧師。源氏を愛していたが…
常陸坊海尊 以前弁慶と共に天狗として過ごしていた。24歳。
・二部から登場
友絵 現代女子高生。男性仮性半陰陽だと知って絶望し自殺を考える美少女。
トモエ 友絵の友人で大きな支えになっている。天然で温和。
鷹取遠野 懐古園の主人。桜の影響で貧民への援助活動をしている。
咲博士 弁慶への恨みで平家につき、思考型戦車ケルベロスを開発する。
清水 木曽義仲の息子で瓜二つ。15歳だが大人びている。
・守護神(ガーディアン)について
日本と日本国間を自由に行き来できる不思議な力を持つ一族。魔法使いみたいなもの。
名古屋城が本拠地。戦争で味方につけると勝つと言われている。
二体一組で片方が死ぬともう片方も死ぬ。
・日本国について
現代より発展してるのに、戦いは馬に乗って刀でという変な国。
地形や地名はまんまだが、隅田の辺りに砂漠が広がってたり、横浜スタジアムが
RPGの洞窟みたいになってたりする。
ああ、それまだ未完なんだ
萩岩睦美の「魔法の砂糖菓子」をおねがいします
エスパー魔美に、トゥルーコーリング(米ドラマ)のような内容のエピソードがあると聞いたんですが
それを教えてください
>>40-41 リクした者です。てっきり完結した話だと思ってました。
作品の雰囲気を感じることが出来ました。ありがとうございます。
>>24 クロはストーリーはあるんだけど、4コマだからなぁ…
とりあえず雰囲気がわかるような(1エピソードを詳しく
書くのでない)書き方で構わないなら書くけど、それで良い?
48 :
吾輩は名無しである :2006/08/24(木) 11:32:50 ID:DgALKFOF
りがとうございます
>>45 エスパー魔美は分かるが、トゥルーコーリングが分からんので答えられないw
>>49 45じゃないけど「トゥルーコーリング」は
主人公の少女が死者を助けようとする話。
毎回、無念の死を迎えた幽霊が主人公に「助けて」と救いを求めてくる。
助けを求められるたび、その人が死んだ日の朝まで時間が巻き戻る。
主人公は、今度はその人が死なない一日にするため奔走する。
エスパー魔美が分からないので、俺に出来ることはここまでだ…
>>49-50 >エスパー魔美は分かるが、トゥルーコーリングが分からんので答えられないw
>エスパー魔美が分からないので、俺に出来ることはここまでだ…
ほのぼのしたじゃないかw
52 :
24:2006/08/25(金) 13:42:51 ID:???
高津カリノの「WORKING!」お願いします
『棺担ぎのクロ。懐中旅話〜カイチュウタビノワ〜』
芳文社まんがタイムきららコミックス
既刊1 819円+税
色々と謎の伏線はあるものの、1巻では殆ど明かされていない状態。
ジャンルは西欧風ファンタジー…かな。
●登場キャラクター
・クロ
ほぼ黒ずくめの恰好で、自分の背丈ほどの大きな棺を背負って旅をする少女(?)
外見は黒いスナフキン+丸眼鏡+棺。歌も上手い様子。
棺の中にはクロに従順なコウモリがたくさん入っているが、
本人は他人に「私の棺です」と意味深な発言をしている。
ちなみにクロは本名ではなく、黒ずくめだから。
本名は「可愛らしい名前」らしいが、明かされていない。
・セン
クロと一緒に旅をしている、人語を喋るコウモリ。
クロとは同郷で、旅を始める以前からの付き合いらしい。
・ニジュクとサンジュ
クロが訪れた廃屋の地下牢に(自分達の意志で)居た双子(?)。
外見や喋り方は幼女で、外界の事は何も知らない。
自身が「はかせ」と呼ぶ人間の被験体であるらしい。
名前の意味は29番と30番。
体を手乗りサイズ程度に小さく出来たり、妙に記憶力が良かったり、
自分以外のものの色を体に移したり移されたりする特技を持つ、謎の存在。
・ゼンマイ丘の魔女
クロが訪れた大きな街の郊外に住んでいる美人。
実は魔女ではなく、自然宗教の祭司で薬師。
街ではキリスト教的な神教が信仰されているため、異端者として森の奥に逼塞している。
お客さんが大好きで、立ち寄った旅人達を手厚くもてなす。
・ケイ(K)
クロが出会った旅人。特に目的は持たず、なんとなく放浪しているらしい。
アコーディオンが達者で、たまに辻音楽師をして路銀を稼いでいる。
・輸送屋
プロペラ機で輸送屋を営む若い女性。
以前、「2人組の黒い旅人」に出会ったと言うが…?
●1巻のあらすじ
黒ずくめ大きな棺を背負ってセンと旅するクロは、行く先々で人々に珍しがられたり怖がられたり。
ある日立ち寄った大きな街で、クロは街の人々に「魔女」と呼ばれる若い女性に出会う。
魔女(名前が無いので便宜上)はクロが「何者かに無理やり黒く染められたように見える」と言う。
その何者かを捜しているのか、とある大きな廃屋を訪れたクロ。
廃屋には大きな獣が暴れたような痕跡と、それに殺されたと見られる白衣姿の白骨死体(絵での描写は無し)があり、地下牢には幼い双子の少女が2人。
少女達は「ニジュクとサンジュ」と名乗り「はかせ」に「危ない事があるから待っていなさい」と言われ、帰りを待ち続けているのだという。
双子達は小さくなって鉄格子を抜け、クロと一緒に旅をする事になる。
廃屋を出て、初めて草や花に触れた双子達は喜び、なかなか道中が進まない。
ニジュクは「木の色をもらった」と茶色くなり、サンジュは草の緑に染まっていた。
逆に自分の色を他に移す事も出来るとクロの手をとったニジュクは、あっという間に真っ黒に染まってしまう。
水浴びをして耳と尻尾(そう、双子には尻尾もあるんでした)以外は白くなったニジュク。
悲しそうにしているクロに「白い色をあげる」と頑張るが、クロは「二度とそんな事をしてはいけない」と怒る。
センは「内心、嬉しいんだ」と言うけれど…。
双子達は「クロちゃを白くするには、もっといっぱい白いのが必要なんだ」と眠りにつく。
そんな旅の途中、行き倒れている青年、ケイと出会ったクロ達は彼を助け、成り行きで辻音楽師の手伝いをする事に。
クロは故郷の歌を披露し、意外な才能を発揮。
路銀を稼いだケイと別れ、旅を続ける夏の光の中、暑さに倒れてしまうクロ。
農家の納屋を借り、クロを介抱する双子達はクロの服を脱がせ、真っ黒に染まった包帯を代えてあげる。
目覚めたクロは双子達に体を見られた事に戸惑いながらも、なんとなく嬉しく思う。
納屋を出た双子達は黒い包帯を捨てながら、クロがなぜ棺を背負って旅をしているのかを、気付き始めていた…
【続く】
追記:クロと別れたケイは偶然魔女の家に立ち寄り、
輸送機を壊して魔女の家に滞在中の輸送屋に出会う。
輸送屋は魔女から「黒い旅人さんに出会うことがあったら渡して」
と、小包を受け取り、魔女の家を後にする。
>>57ですが、本を見ながら書いたので、非常に解りにくいですね。
まとめサイト管理人様、11文節め“農家の納屋を借り〜”以降をカットし、以下に変更していただきたいです。
農家の納屋を借りた双子達は、クロを介抱しようと服を脱がせる。
「クロちゃの中、何か変。クロちゃの体、真っ黒だ」
クロは胴体に包帯を巻いていたが、それは黒く染まっていた。
双子達はクロに新しい包帯を巻いてやり、早く目覚めてほしいと納屋の薪を数え始める。
百を何度も数え終えた頃、やっとクロが目を覚ます。
双子達に体を見られたクロは、戸惑いながらも暖かい気持ちになる。
納屋にクロとセンを残し、外へ包帯を捨てに出た双子達は、クロが何故あんな姿で旅を続けているのかを考え始めていた。
【2巻へ続く】
付記:クロと別れたケイは偶然魔女の家に立ち寄り、
輸送機を壊して魔女の家に滞在中の輸送屋に出会う。
皆が偶然にクロに会った事がわかり、話に花が咲く。
輸送屋は魔女から「黒い旅人さんに会う事があったら渡して」
と、小包を受け取り、魔女の家を後にする。
主人公の中学生、天野雪照は独りを好む性格で、
いつも「傍観者」としての立場に満足していた。
雪照の趣味は、「時間」「場所」「出来事」一日で見たものをそのまま記録する
携帯電話に書き記した日記ぐらいだ。
そんな彼にも友達はいた。空想にふける雪照の前に現れる人物、
全ての時と空間を操る神、「時空王デウス」である。
自分の日記は目的の無い「無差別日記」だと寂しげに語る雪照に
デウスは「お前に未来を与えてやる」と言って雪照の携帯電話を差し出す。
その翌日、携帯にまだ書いていない筈の今日付けの日記が書かれていた。
しかも周りの出来事が日記のまま起こるのだ。
雪照の日記は、未来を記した日記「未来日記」へと変わっていた。
デウスは「神なら雪照の空想に現れることも可能」だと言い、
携帯=未来の破壊は、雪照の死になることを警告する。
90日先までの出来事を無差別に記した未来日記。
初めは驚いていた雪照だったが、日記の有効性を受け入れ
テスト満点、トラブル回避、と勝ち組生活を満喫していく。
そんなある日、クラスメートの優等生「我妻由乃」が、
雪照の秘密を知っているような素振りを見せる。
(「みんな悔しかったら心でも読んでみろー」って考えたら振り向いたり、
粘土で雪照の空想世界の住人を作ったり。)
更に日記が急に変わり「通り魔に追い詰められて殺される DEAD END」と表示。
混乱する雪照は由乃から逃げ出すが、常に周り込まれてしまう。
由乃も未来日記の所有者(2nd)だった。驚愕する雪照にキスする由乃。
由乃の持つ日記は、雪照の未来だけを10分刻みで記す「雪照日記」
雪照が"第3の未来日記所有者(3rd)"から殺されることを知り、助けにきたのである。
3rdを迎え撃つ二人。携帯を破壊された3rdは空間に吸い込まれるように消えてしまう。
危機は去ったものの、自分の完璧なストーカーだった由乃に恐怖する雪照。
デウスは未来日記を12人に与えたこと、
そして互いに殺し合って勝ち残った者に、次の神の座を与えると言った。
お互いに知らない所有者を、日記を頼りに探し出すゲーム。
正体がバレて殺されることが確定すれば、日記に「DEAD END」フラグが立つ。
奇跡的にDEAD ENDを跳ね返した1st(雪照)は、
おのずと他の所有者から興味を向けられてしまうのだった。
ここまでが1巻の半分。
漫画の見所は画像のヒロイン由乃。
「何を犠牲にしてでもユッキーを守る」の信念通りに暴走したり、
ユッキーと他の所有者(女)が親しくなったから
「アイツさえ消えれば…」と手斧を持って呟いたりします。
乙w
こえーヒロインだな
なぜ1巻の半分で説明終了?
>>54の依頼だけど、あとは詳しく書くもんでも無いからね。
じゃ一巻続き。
9th:爆弾魔の雨竜みねねに速効でバレる雪照。
みねねは爆弾で学校を占拠。
雪照は由乃の協力で、爆発から逃れていくが、
脅迫された生徒たちに捕らえられ、みねねの前に引き出されてしまう。
絶対絶命の雪照の前に現れたのは、4th:刑事の来栖圭吾だった。
刑事らしく雪照を保護するつもりの来栖と、人質お構いなしに駆けつけた由乃、
二人と力を合わせ、雪照は勇気を振り絞って9thを撃退する。
いじょ。
尼子騒兵衛のデビュー作「田舎押領使一家」をお願いします。
前から疑問に思ってたんだけどまとめサイトのトップの画像は何の画像なんだろう
俺には本棚の間に夕日があるように見えるんだけどにしてはどこか違う気もする
大昔にどっかで拾った。
イギリスだかドイツだかの駅かどっかから見たもので、夕陽の部分だけをトリミングしますた。
おお、たった16分でレスが いつもお疲れ様です
それじゃ本棚じゃなくて建物だったんですね
海外の美術館はすごい建物が多いからなぁ
両親を事故で亡くしたマリーはおばさんの家に引き取られるが、
肺に病を抱える彼女は疎まれ、下働きのような扱いを受けていた。
心の支えは密かに飼っている子猫のラリーだけ。
ある日、猫の毛がスープに入ってたと怒られラリーを捨てられそうになったマリーはついに家出。
両親のお墓の前で泣いていると突然ラリーが走り出す。後を追うと綺麗な家が建っていた。
中に入ると一人の青年が現れる。咳き込むマリーに青年は魔法の砂糖菓子を渡す。
食べると咳がぴたりと止まり、さらに着ていた服が綺麗なドレスに変わっていた。
あなたは魔法使い?と問うマリーを青年は不思議な世界へと案内する。
そこではしゃべる動物達がお茶会の真っ最中で、ラリーもドレス姿でおしゃべりをするように。
不思議に思うマリーだが、その場にいたワニのおばさんの
「目の前にあるもんは信じてりゃいいんだよ」の言葉に一応納得するのだった。
青年の正体は妖精。
妖精はハロウィーンと万聖節の二日だけ地上に降りられるのだが、
珍しいものが多くて、つい帰りそこねてしまったのだと言う。
帰るには、今出ている月が消えるまでに命あるものを一つさらっていくしかない。
それならマリーをさらっていけばいいとマリーは言うが、なぜか青年はそれを拒否するのだった。
青年と一緒に、夢のような時間を過ごすマリー。
しかしただ一つ、空にある悲しい穴だけは覗いてはいけないと言われていた。
もしかしたら両親がいるかもしれないと思ったマリーは中を覗いてしまう。
次の瞬間、暗闇に落ちるマリー。そこには悲しい色の目をした猫がいた。
青年の飼い猫で、子供を亡くして以来赤い長靴をかわいがっているのだという。
一度は猫の怒りに触れ涙の海に沈められるマリーだが、自分も一人ぼっちだから
気持ちはわかる、どうしてあげればいいのと言い何とか解放された。
猫はラリーを自分の子供にさせて欲しいと言う。そうすれば青年も妖精の世界に帰れるのだ。
マリーは一緒に連れてってと言うが青年は断る。
まだ幼いし、何より人間は消えかけた命でないとさらえないのだ。
素敵なものにめぐり合ってと言う青年にそんなものあるわけないと言うマリー。
病気も死ぬほど苦しいし、パパとママもいないのに。
青年は言う。
「君にはさびしい人の気持ちがわかってあげられる。そのあたたかさをみんなにわけてあげなきゃ」
すでに月は消えかけている。青年は苦しい時にお食べと砂糖菓子を渡すとラリーとともに消え、
マリーは一人、何もなくなった空き地に取り残された。
その後、マリーは村はずれに倒れているところを発見される。
砂糖菓子は石の欠片に変わり、ラリーは猫によくある蒸発。全ては夢だったのだ。
マリーは何度か妖精の家を探したが、見つけることは出来なかった。
月日が流れ、大きくなったマリーはお使いの帰りに行き倒れている老人と犬を見つける。
一度は見捨てようとしたが青年が最後に残した言葉を思い出し、買ったパンを一つだけあげる。
家に帰ったマリーは自分が食べたと嘘をつきおばさんに殴られる。
さらに月日は流れ、マリーは領主の息子に見初められ、彼と結婚することに。
しかしマリーは彼のことを心も姿も醜い男と激しく毛嫌いしていた。
何より自分は肺の病でもう長くはないのに。
死ぬ前にもう一度見たかったな……と、マリーは式場に向かう馬車の中で夢のことを思い返す。
式が始まると、かつてパンをあげた老人がお礼を言いに来た。
傍らには一緒にいた犬の子供も。「あんたが命をつないでくれたんだよ」という言葉に、
やっと素敵なものにめぐり合えたとマリーは涙を流す。
そして誓いの口付けに移ったその時、小さな箱を加えたラリーが現れる。
あれから十五年も経っているのに生きているはずは……。しかし箱の中にはあの魔法の砂糖菓子が。
ワニおばさんの言葉が頭に蘇り、マリーは式を放り出してラリーを追う。
やがて目にしたのは、記憶にある家と、ラリーと、そして妖精の青年だった。
「やあ。素敵になったねマリー。…またハロウィーンにもどりそこねちゃった…」
式が台無しになり、面目を潰されたおばさんはマリーを追いかけ、家のある場所に着く。
しかしそこはもう、何もないただの荒地だった。
おわり。
読みきりなのに長くなってしまった……。
>>73-75 依頼者じゃないけど激しく乙!
あらすじうまいね。引き込まれて読んじゃった。
漫画読んでみたくなったよ。買ってみるかな。
おつ
童話みたいだね
>>73-75 乙です〜
読んだことはあるけれど、ぼんやりとしか覚えてなかったなぁ・・・
>77
萩岩睦美は童話ちっくな話が多いよ
「皇国の守護者」と「ヒストリエ」をお願いします。
荒野を放浪していた古代ペルシアの兵士サルクは、奇妙な建物に着く。
自動機械と未来的な住居(サルクには分からないが)の中には、少女エステルが独り暮らしていた。
互いに言葉は通じないが、衰弱したサルクを介護するエステル。食事はキューブ状の肉塊が毎食一個のみ。
やがて回復したサルクは食料を持って去ろうとするが、エステルはなぜかそれを拒み、彼を拘束する。
腹を立てるサルクだが、振る舞いの端々に深い孤独を感じさせるエステルと暮らすうち
サルクとエステルは、言葉も通じぬまま絆を深めていく。
物語はサルクとエステル、双方の視点から交互に描写される。そしてある日、ついにエステルは
自動翻訳機の修理を成功させ、二人は互いのことを語り始めた。
ペルシア王カンビュセスの軍勢は、エチオピア遠征中に砂漠で食料が尽き
十人一組で籤を引き、当たった一人を残りの九人が殺して食べるという行為に手を染めた。
サルクも籤に当たり、死を恐れて逃げるうちに不思議な霧を抜け、ここへたどり着いたのであった。
エステルは「地獄を逃れて別な地獄へ飛び込んじゃったわけね」と言い、己の身の上を語る。
ここは23万年後の未来、核戦争で地上の全生命が失われた地球。
シェルターに逃れた人々は、人工冬眠で1万年後…放射能の消えた時代に目覚めたが
草一つない世界では自給も不可能。人々は一縷の望みを掛け、地球外文明へのSOSを発信した。
だが、冬眠して救いを待とうにも、人工冬眠は一万年が限度、しかも冬眠前には食事で精をつけねばならぬ。
そこで彼らは、籤を引いて当たった者を自動調理器で食肉にし、食べることで生き続けていたのだ。
エステルは籤引きの果ての最後の一人。彼女は、サルクも籤を引いて次の一万年に貢献するよう求める。
恐れるサルクに、自分たちは地球全生命の代表として生き延びる責任があると静かに説くエステル。
一度は籤を引きながらそれを投げ捨て、去ろうとするサルクだが、やがて彼はエステルの元に帰還した。
食べられる覚悟を決めたサルクだが、エステルは笑って「あなたの籤は外れだった。食べられるのは私」と答える。
驚くサルクだが、サルクの出現は計画が成功する証だろうと、恐れる様子もなく語るエステル。
エステルが厨房で服を脱ぎながら、自動調理器の使い方を指示するシーンで物語は終わる。
こわいよ((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
>>80 乙!
食人がテーマになってるのがちょっと「ミノタウロスの皿」に似てるね。
「エスパークス スーパーバトルコミック」と「一発逆転!パワプロクン!」をお願いします。
豊田徹也さんの『アンダーカレント』をお願いします。
神代の昔、人と龍の間に結ばれた<大協約>が世界秩序の根幹を成す「大協約世界」。
最大の大陸ツァルラントに興った侵略王朝は、いくつもの内陸国家や諸部族を併合し、
超大国「帝国」として僅かに残る諸勢力をも睥睨していた。
大陸東端の列島に存在する新興国「皇国」は、帝国の脅威にはならないと見なされ、
24年の間、大規模な戦役もなく平和の中にあった。
だが帝国は戦線布告も無しに皇国の最北端・北嶺に突如来襲し、侵攻を開始。
北嶺の最前線を守る北嶺鎮台3万の軍勢は森原大将の元、帝国を迎え撃つ。
剣牙虎を組み込んだ実験部隊「剣虎兵」第二中隊所属の中尉・新庄直衛もその中に居た。
実戦は野党狩りぐらいだった新庄にとって、まともな軍隊相手は初めての経験である。
数に勝る皇国軍だったが、帝国が誇る戦姫ユーリアの指揮する部隊に大敗。
新庄は撤退中の戦闘で、離脱援護(捨て駒)に当たった盟友・西田少尉を失う。
何とか大隊に合流するも、大敗と帝国軍増援により戦闘継続は不可能と判断した皇国軍は
北嶺からの撤退を決定。最後衛の新庄たちは転進支援にあたることに。
偵察任務にて第二中隊隊長の若菜大尉が戦死。新庄が代理となる。
撤退の途中、中隊は負傷した「天竜」に遭遇。新庄は彼に気に入られるが、
大協約により、天竜は戦況に力を貸すことなく去っていった。
帝国の圧倒的軍勢に対抗するため、新庄の属する第十一大隊は夜間伏襲を敢行。
敵に大打撃を与えるが、指揮官・伊藤少佐を含めた多数の被害により大隊はほぼ壊滅状態に。
野戦昇進で大尉となり、新たな大隊指揮官となった新庄は
転進支援本部指令・笹島水軍中佐から、更に十日の時間を稼ぐよう要請される。
最悪の状況下、帝国の足止めのため新庄は近隣村落を潰す作戦に出る新庄。
帝国衣装で村を襲い、村民を避難させ、村を焼いて毒を撒く。
この作戦は現地挑発を主とする帝国軍、特に騎兵の牽制に効果的であった。
河川陣地に終結し、最後の会戦を開始する第十一大隊。
新庄の目論み全てが上手くいけば、十分な時間を稼ぎ、あわよくば部隊の生還も可能であった。
だが水嶋に依頼していた南部都市糧秣庫への砲撃が失敗していたことで、
騎兵に川を迂回されるという最悪の事態となる。
数少ない兵士と猫を連れ、半ば自殺者のような心境で迎撃に出る新庄。
彼らに帝国騎兵最強の武人・バルクホルン大尉が迫る。
89 :
皇国の守護者:2006/08/30(水) 14:54:39 ID:???
発売済みの3巻はここまで。
細かく書こうとするとどうしても長くなるので
単行本に載ってるあらすじを編集させてもらいました。
原作だとまだまだ序盤らしいです。
ぐへえ。未来日記のときといい間違い多いな俺。
ヒストリエとアンカレも書けるけど、
ちょっと文章で魅力を伝えるのは難しいので様子見。
紀元前343年、ペルシア帝国西端のトロイア遺跡。
世に名の知られた哲学者アリストテレスはそこから海を渡りヨーロッパへ渡ろうとしていた。
と言うのも、スパイ容疑で帝国から追われていたからである。
そこで、アリストテレス一行は一人の青年と出会う。
バルバロイ(蛮人)のような格好をしていながら、知性あふれる不思議な青年。
その青年に助けられてアリストテレス一行はなんとかヨーロッパに逃げることに成功した。
青年の名はエウメネス。後にアレキサンダー大王の書記官になる男である。
アリストテレス一行と別れ、故郷の地カルディアに戻ったエウメネス。
かつて自分が住んでいた家は焼き跡以外何にも残っていない廃墟となっていた。
そこで一人エウメネスは、自分が故郷の街を追われることになった少年時代を思い返していた。
カルディアの街の名士ヒエロニュモス。エウメネスはその息子であった。
活発な兄と違い、エウメネスはいつも図書室にこもっては、書物に広がる世界に想いを馳せていた。
そんなある日。一人のスキタイ人奴隷との出会いがエウメネスの人生を変えることになる。
高利貸しテオゲイトンの奴隷トラクスはいつも主人から虐待を受けていた。
だが、遊牧民族スキタイは世界で最も勇猛で誇り高く、そして残忍である。
奴隷であるトラクスもその例外ではなかった。
ある日剣を手に入れたトラクスはその場でテオゲイトン一家を皆殺しにする。
さあ帰ろう。トラクスはそのまま単身街の門を破って外に出ようとする。
その強さはまるで鬼神の如く。一人で衛兵を次々と惨殺していく。
その姿を見て何故か郷愁を覚えるエウメネス。
多勢に無勢で、さすがのトラクスも一旦退いて街の路地へと姿を消した。
何かに導かれるように逃げたトラクスの跡を追うエウメネス。
路地には多くの衛兵の死体が。そして、体中を切り刻まれ、瀕死のトラクスが倒れていた。
エウメネスは家に戻り、父ヒエロニュモスの片腕ヘカタイオスにトラクスの居場所を教え、そのまま眠りにつく。
しかし妙な胸騒ぎがして、起きて庭に出てみる。
そこには何故かトラクスの死体が。そして隣には父の死体が。
傍にいたヘカタイオスは、瀕死のトラクスがエウメネスの後を付け、ヒエロニュモスを殺したのだと言う。
だがエウメネスはその話が信じられない。
路地に倒れていたトラクスはあの時、瀕死の状態でとてもじゃないが立ち上がることなんかできそうになかった。
誰かがトラクスの死体を庭に運び、誰かが父を殺したんだ。
そしてそれは父の片腕ヘカタイオス。
エウメネスはヘカタイオスを査問会で告発することに。
しかし、ヘカタイオスはその会で衝撃的な告白をする。
エウメネスはヒエロニュモスの息子ではない。それどころか、カルディア市民ですらない。
遊牧民族スキタイ人の子供なのだと。
十年前。奴隷集めのため、スキタイ人の集落をヒエロニュモスが襲った際に
両親が目の前で斬り殺されても泣きもしなかった子供、それがエウメネス。
そのことに感激したヒエロニュモスは、エウメネスを英雄の子だとして養子にしたのである。
カルディア市民ではないことを査問会で暴露されたエウメネスは
市民権を剥奪され奴隷の身分に身を落とす。
そしてそのままオルビアの地に奴隷として売らてれしまったのである。
いつかまたカルディアに戻ってくることを胸に誓いながら。
エウメネスを乗せた奴隷船アルゴ号。だがアルゴ号はボスポロス海峡を抜けた辺りで嵐に遭い沈没する。
パフラゴニアにある辺境の村ボアに流れ着いたエウメネス。
そこで持ち前の機転と知識と知恵を用いて村の人々に取り入ることに成功する。
こうしてエウメネスはボアの村で生活することに。
そして数年後――。
すっかり村にとけ込んだエウメネスは、ボアの村が協定を結んでいるティオス市に使いに出ることに。
そこでエウメネスは、長い人生の中で初陣とも言える“ある仕事”をすることになる…。
以下続刊
>皇国の守護者
乙。これ表紙気になってたけど完全な戦争物なんだね。
悩みどころだ。
>ヒストリエ
知らない作品だったけど面白そう。乙。
ワーグナーが鳴り響くと一日が始まる。
起床の合図と共に一斉に子供達は朝の準備を始める。
食事前はいつもお説教がある。
「君たちは選ばれた子供だ。厳選された精子と卵子から産まれた特別な人間だ。
君たちには国を救う使命がある」
彼らは産まれた時から施設にいた。毎日学習を積み体を鍛えている。
食事以外にも様々な薬を与えられ、強制的に身体機能を強化していた。
劣っている者は容赦なく脱落する。大勢いた仲間達は少しずつ減っていく。
そして17才になった年、最後の7名が選ばれる。
仲良し三人組の女の子、小瑠璃、繭、のばらは未来に行くと誓ってミサンガを作った。
優等生の安居は弟分の茂と一緒に未来に行くと決めている。
しょっちゅう違反を犯して懲罰房にぶち込まれる涼も残っていた。
彼らに家はない。親もいない。帰るところもない。
脱落したらどうなるのかわからない。彼らは未来に行くしかない。
13才になる頃、訓練は本格化した。狩猟、格闘技、炭焼き、水質汚染、
気象、土木建築、生態系、農耕など、学ぶ分野は多岐に渡った。
衣類を作り、家畜を飼い、畑を作った。衣食住は自分たちの手で揃えた。
だが学ばない分野もある。経済、機械、コンピュータは学んだ事がなかった。
今の文明は未来には滅びている。不要な知識は与えられなかった。
ある日、涼と安吾が衝突した。二人は取っ組み合いの喧嘩になり懲罰房に入れられる。
二人になった時、安居は兼ねてからの疑問を涼にぶつける。
「お前は未来に行きたくないのか?先生に逆らい違反ばかりする。脱落したいのか?」
安居の質問を涼は一笑に付した。
「俺は何十回も懲罰房入ったが残っている。何が基準で選ばれるかわからない。
大人しく真面目な優等生が選ばれると思うか?」
安居はショックを受けた。
―真面目で面倒見が良くて優秀。それでは駄目なのだろうか?―
15才になる頃、のばらが脱落した。
彼女は視力が落ちていた。近視の遺伝子は落とされる。
施設を去ったのばらから便りがなく、仲が良かった小瑠璃と繭は寂しそうだ。
授業はますます激しくなった。背後から教官に襲われる。
部屋に毒虫が放たれる。家具が壊され、電気やガスが止まった。
厳しい日々が続く中、安居は花畑であゆを見た。あゆはとても綺麗だ。
しかしつれない。「安居君がそんな事言ったら、またいじめられるわ」
苛めに驚き力を貸そうと言うが断られる。
「先生は苛める側と苛められる側、どっちを残すと思う?」
安居は答えられなかった。
射撃の訓練が始まった。安居は上位に食い込むが途中から撃てなくなる。
的が人に変わったからだ。しかし涼は躊躇なく撃つ。
「人を撃つのか!?」叫ぶ安居に涼は言う。
「ナイフを持った人間は撃っていい。病気の奴も撃っていい」
訓練のトップは涼が獲った。
あゆにふられた安吾を小瑠璃が茶化して慰めた。小瑠璃は安吾が好きだった。
そんな様子を卯浪(教官)が目にとめ、小瑠璃の胸をつかんで罵った。
「こんな貧弱な胸で色気づいてる場合か!お前初潮もまだだろう。
子供が産めない女は未来に行けないからな!」
激怒した安吾は卯浪に襲いかかる。
小瑠璃は部屋で泣いていた。
「どうしたら生理になる?セックスすればいい?そうしたら始まる?」
嗚咽する小瑠璃を繭が慰める。
「あたし達はずっと薬を飲まされている。だから身体がおかしいんだよ。
小瑠璃もすぐ始まるから変な事考えちゃだめ。自分の体は自分で大切にしようね」
教官に刃向かった安居は、特殊な懲罰房に入れられていた。
本来は家畜の血や内臓の貯蔵庫だ。
鼻を突く悪臭に耐え、腐った血と内蔵が混じる中で安居は人の手を見つけた。
その手はミサンガをつけていた。のばらがつけていたミサンガだ。
のばらは外の世界に帰ったはずだ。でものばらの手はここにあった。
脱落した仲間はみんなここで腐っていった。安吾は悟る。
―俺達に外の世界はない。7人に選ばれない限り生き残る道はない―
夜、涼と恋人の虹子は職員室に忍び込み、一つのファイルを見つけた。
7SEEDSプロジェクトと書かれたファイルから幾つかの情報を得る。
人類滅亡は事実であり、自分達は夏チーム候補生で、チームは他にもあると判明する。
教官の名簿もあったが、要についてはどこにも書かれていなかった。
要は不思議な立場だ。教官ではないが子供達を指導している。
教官も要に一目置いている。彼は重要人物らしい。
足音が聞こえた。貴士教官と要だ。
「他のチームは一般から選ぶのか?ここから全部選べばいいんじゃないのか?」
問う貴士教官に要はNOの答えを返す。
「同じ境遇で育った者は一つの原因で絶滅する恐れがある。全体の一部だけ優秀と言うバランスが重要だ。
最終テストでは死人が出るだろう。でも死んだ者は優秀じゃない。生命力が試されるんだ」
懲罰房から出た安居は変わった。常に神経をとぎすませ生き残る術を考え続けた。
安居は人の的を撃つのを躊躇わななくなった。
実習中、激しい船酔いで茂は倒れた。安居は叱咤する。
「本気で頑張れ!脱落したら死ぬぞ!」
「安居は人の的を撃つよね。未来でも人を撃つの?撃たなきゃ未来にいけないなら、僕はいけないよ」
安吾は言葉に詰まる。
船の上からは遠くに町灯りが見えた。とても綺麗だ。
―彼らは幸せに暮らしている。でも彼らに未来はない。未来は俺達の上にある―
17才になった。最終試験が始まる。
いつ試験が始まるのか、みんな気にしている。
安居は考えていた。前もって通達があると限らない。きっといきなり始まるはずだ。
建物の上階で光る物を見つけた。窓際に水を入れた花びんと木彫りの動物が置いてあった。
放置すれば火事になりかねない。花びんを移動させていると、源五郎と涼もやってきた。
二人とも光に気づき、同じ心配をしたのだ。
それ以来、なぜか涼は食堂に現れなくなった。虹子と二人でバーベキューを続けている。
安居は益々注意深くなる。射撃訓練に使う銃にヒビが入っていた。
ロッククライミングに使うロープが変色していた。食材に毒草が混じっていた。
うかつな者は事故に巻き込まれて脱落していく。
安居は気づいた。涼がバーベキューをしていたのはこのためだ。
食事当番が毒草入りの食事を作るかも知れない。食べる物は自分で調達する方が安全だろう。
深夜、宿舎が火を噴いた。不審を抱いて用心していた安吾はすぐに気づく。
慌てて消火器を手に取るが空っぽだ。水道も止まっている。電気もつかない。教官も消えた。
安居は火事を知らせて回る。
パジャマで逃げまどう生徒の中、涼と虹子だけは防寒着に荷物を背負っていた。
安居はやっと気づく。これは最終テストだ。最終テストはもうとっくに始まっていた。
安居は小瑠璃と繭に会う。二人は服に着替え荷物も持っていた。
異変を察した繭は着替えて待機していたのだ。安居は二人に教える。
「これは最終テストだ。教官はどこにもいない。
死人もけが人も出る。生死のかかったテストだ」
安居は他の仲間にもこれが最終テストだと教えた。
反応は様々だ。テストに従って行動を始める者、安居についていこうとする者、
怪我をして動けない者、けが人を見捨てられず手当を続ける者。
安吾はけが人とともに残ろうとする仲間に言う。
「助けは来ない。教師もこないぞ」
「そんなことないだろ。これだけの災害が起こったんだ。誰か来るさ」
安吾は怪我で動けない仲間も手当てする仲間も見捨て、テストが示す方向に歩き出した。
遠くで地響きがした。校舎があった一角が水に飲まれていく。
生き残った仲間はみな飲み込まれただろう。
それでも前に進むしかない。生き残るにはそれしかない。
まとめ
遺伝子の段階から選別されて、特殊な環境で育てられた子供達が
7つの枠を掛けて争奪戦を繰り広げる。
幼い頃から薬漬け、鍛錬、教育だけで育ったが、それでも子供達は明るく生きている。
劣っていると見られた者は容赦なく切り捨てられた。
切り捨てられた者達は、生きることを許されず処分された。
17才になった頃、何の前触れもなく最終テストは始まっていく。
事故に見せかけて生徒が殺される。
それが生命力を試す最終テストだった。
補足
・夏Aだけ他チームと異なる選別をされている。
・一部だけ優秀であると生存率が上がるという立案者の考えによる。
・貴士教官が持っていたナイフは花が父親から譲り受けたナイフと似ている。
・作中内の地位が上がると顔が美形化する。
乙です。グロい話ですね。
>>86ですが、偶然友人が『アンダーカレント』を
持っていたので、借りることが出来ました。
リクエストを取り下げます。
>>92さん、ひょっとして纏めておられるのでしょうか…
すみません。
>>106 それじゃ俺が代わりに『アンダーカレント』をリクします。
108 :
(´_ゝ`)フーン :2006/08/31(木) 12:25:41 ID:Aaxzx1LQ
(´_ゝ`)フーン
安居は時々安吾になってるけど、「やすい」くん?(でもなぜ一人苗字)
>>109 ごめん、安居と書いてアンゴと読む。
名字じゃなくて名前。
子供達は試験管ベビーだから名字はない。
アンゴを変換すると安吾が先に出るので変換間違った。スマソ。
途中で止まっているようなので改めてのリクエストです。
「ドラゴンクエストモンスターズ+」と「ドラゴンクエストエデンの戦士たち」を教えてください。
よろしくお願いします。
藤子F不二雄の
・ウルトラ・スーパー・デラックスマン
・ひとりぼっちの宇宙戦争
を教えてください。
Ark Performanceの「ターミネーター3」をお願いします。
「孔子暗黒伝」をお願いします。
単行本一巻の帯曰く、北海道一危険なファミレスの超ほのぼの四コマ。
北海道某所にあるファミレス『ワグナリア』を舞台に、
あまり働かない変人店員達の日々の姿を描く。ヤングガンガン連載中。
物語は主人公の男子高生小鳥遊がバイトに入ったところから始まり、
病的に小さい物好きの小鳥遊、小学生にしか見えないちびっ子巨乳ぽぷら、
大食らいで働かない元ヤン店長杏子、杏子を盲目的に慕う帯刀美少女八千代、
何事にも動じない自由人風の佐藤、男を見ると反射的に殴る貧乳娘伊波、
人の弱みを握るのが趣味の相馬、立場が弱く影も薄いマネージャー音尾、
小鳥遊の性癖とトラウマの元凶である彼の姉妹四人、などが徐々に登場。
それぞれがランダムに出て来て色々やっているがあんまり働いてはいない。
(店の常連には「病みつきになる危なっかしさ」と称されている模様)
基本的に各人のキャラクター性と絡みをネタにした話が多く、
回を重ねるごとに登場人物達の間に好意その他の微妙に複雑な関係が出来ていく。
ほぼ全員が全員と独自の関係性があるため、説明はしきれないが、
人気のあるネタどころは伊波→小鳥遊のツンデレとも言いがたい微妙な間柄と
佐藤→八千代→杏子(→食物)の不毛な片思い連鎖あたりか。
なお、作者のサイトで同タイトルの四コマシリーズがweb連載中だが、
そちらは同じ北海道の姉妹店という設定でもっと働いていない。
サイトにはヤンガンWORKING!!ネタも多いので、詳しく知りたい人はそちらもどうぞ。
ウルトラ・スーパー・デラックスマン
日星商事の一室、真昼間からもう帰ろうとする男がいる。しかし誰も咎めるどころか恐れおののいている。
彼の名は句楽兼人。トイレから出てきた同期の片山に、久々に飲みにこいよ、と声をかける。
片山は帰って妻に句楽のところへ行くことを告げる。ひどくなじられるが、いかないとあの化け物に何をされるか
わかったもんじゃない、と車で彼の家へ向かう。句楽の家の近所で警官にこの先は廃墟で何もないと言われるが、
句楽の家へ行くと告げると驚きながらも通してくれる。約束の時間が近いので車を飛ばす。と、そこ女性の影が。
よけるが、電柱に激突、車から投げ出される。辺りを見回すが女性は消えていた。あれは幻だったのだろうか…。
車を見ると大破しており、慌てて走り出す。もうだめだ、バラバラだ、と途方に暮れたところ、人が飛んできた。
どうみても句楽です。本当に(ry
「私はウルトラ・スーパー・デラックスマン。弱き人、善良な人を助けるために日夜働いているのです」
彼は片山を連れて自宅へ戻る。「みんな知ってることだけどタテマエとして一応言っておく。”喋るとタダじゃおかない”。」
「お前さ、どうしてそんな体に…?」
「俺にだってわかるもんか」
句楽兼人もどこにでもいる普通のサラリーマンだった。正義感が強く、大きなところでは政治家の収賄、
小さなところではお年寄りに席を譲らないドキュンなどに心底腹を立てるが、当然のことながら手が出せない。
そうした憤りを新聞に投書するのが趣味だった。
ある日目が覚めると飛行能力、透視能力、超怪力、銃弾をも跳ね返す体になんの前触れもなくなっていた。
句楽はウルトラスーパーデラックスマンを名乗り、ありとあらゆる悪を潰していった。
しかし法治国家がそんなことを許しておくわけにいかない。マスコミも徹底的に叩く。
「俺の力は世の不正を正せと神が与えたもうたものだ。
その俺にさからう者はすなわち悪だ
悪を抹殺するのがなぜ悪い!」
警察もマスコミもビルごとぶち壊され、機動隊、自衛隊とエスカレートするが武器はまったく利かないので犠牲が
出るばかり。ついには付近住民をこっそり避難させて超小型核爆弾を打ち込んだ。しかし彼はそれでも生きていた。
世界は諦めた。
「ウルトラ・スーパー・デラックスマンなどという荒唐無稽な人物は存在しない」と公式発表した。
会社は待機室長というポストを新設し彼をあてがい、マスコミは沈黙し全く犯罪を報道しなくなった。
飲みながらテレビを見ているとアイドル歌手が歌っていた。句楽はテレビ局に電話して「お茶飲もうよ」と
その子を呼びつける。ひと心地つくと、人影が句楽を襲った。先ほど片山の車の前を横切った女性だった。
包丁を何度も刺すがウルトラ・スーパー・デラックス細胞は通さない。片手で思い切り放り投げ、今度来たら
ギタギタにするぞ! と恫喝する。句楽の話によると、先日チョイとヒネったケチなカッパライについていた
女で、仇をとろうと何度も何度もやってくるという。
歌手がやってきた。お茶を勧めるが、この後仕事があるのでやることあるならさっさとお願いします、と冷たい。
句楽は片山を放置して歌手と寝室へ向かう。一人でチビチビ飲っていると、放り投げられた女性がハンマーを
持って戻ってきた。やめとけ、今度こそ殺されるぞと止めるが寝室へ向かう。いざコトに及ぼうとしていた句楽にハンマーが直撃。
片山はハンマーの女性を連れて逃げる。廃墟の地下室へ逃げこんだ二人だったが、句楽の透視能力で発見されてしまう。
「女を渡せ。渡さないとお前も虫ケラの同類とみなす。」
「おまえは正義の味方なんかじゃない! 血に飢えたバケモノだ!」
「言ったな! 生き埋めにしてやる!」
天井が崩れ始める。死を覚悟した。が、急に崩壊が止まった。
おそるおそる地上に出ると、句楽が血を吐いて倒れていた。
ウルトラ・スーパー・デラックスマンは公平に言って現代最高の医療受けたといえよう。
しかし、ウルトラ・スーパー・デラックスガン細胞の増殖を抑えることは不可能であった。
>>116-117 乙。
検索したらウルトラ・スーパー・デラックスマンって小池さんなのか!
激しく興味がわいた。
でも古本以外は手に入らなそうだね。残念。
ライトをもっと俗物にしたデスノートって感じだね
自分もデスノに似てると思った
>>118 普通に書店で売ってるはず
手軽な所だと、小学館の文庫版
異色短編集2「気楽に殺ろうよ」に収録されてる
手塚治虫の「ドン・ドラキュラ」と「海のトリトン」をお願いします。
124 :
マロン名無しさん:2006/09/05(火) 20:03:35 ID:gSFKlRQl
スラムダンクについて教えてください。
インターハイ予選(?)で湘北が海南に負け、桜木花道が坊主頭にしたところまでは昔に読みました。
それ以降のストーリーを書いてもらえたら嬉しいです。
125 :
マロン名無しさん:2006/09/06(水) 01:56:06 ID:w3iQ0G++
職業 殺し屋。ってどんな話なんですかね?
けっこうグロなのかな?
126 :
マロン名無しさん:2006/09/06(水) 02:16:10 ID:jbaRzKZ5
ちばてつやの
「おれは鉄兵」について教えてください。
あしたのジョーは原作者がちばてつやじゃないのでシリアス系だったが
他のちばてつやの作品は基本的にギャグ系だと聞いたのですが。
127 :
マロン名無しさん:2006/09/06(水) 03:24:23 ID:XIQM4pue
ひぐらしのなく頃にをお願いします
アンダーカレント予約します。
坂井孝之の「ゴジラvsスペースゴジラ」
130 :
129:2006/09/11(月) 08:01:48 ID:???
タイトルだけ書いてどうする俺orz
坂井孝行の「ゴジラvsスペースゴジラ」をお願いします。
ビオランテの時に戦死した自衛隊員がカギになる話だと聞いて気になってます。
>>125 めちゃくちゃ簡単ですが
職業殺し屋
通称職コロと言われるあるホームページがある。
そこでは殺したい相手に懸賞金をかけ逆オークションが行われる
より低い金額で落札したものが殺しの権利を得ることができる。
標的はどいつもこいつも外道ばかりだが、始末する殺し屋もまともな連中じゃない。
妻子を誤って殺した男は(詳細は未だ語られず)自分から血に飢えた殺人鬼になろうとして殺し屋に。
セックスで相手の男を殺さないと絶頂にいけない女。
普段は優しい妻だが自分の基準で悪い子をおしおき(殺して人肉料理に)する女性
古流殺人武術を継承し、それを実戦で使いたいが、一般人の彼女がいるので職コロに参加してる青年。
多重人格者の少女
十円単位の最低落札をする、シャイと自称し姿を見せない男。
天才数学者だが周囲に妬まれ閑職に追いやられ。殺しで自身の数式を証明、実感しようとする教授。
エログロありだが一般青年誌レベルなんで思いっきり過激な描写はないと思う。
「それがし乞食にあらず」をお願いします。
133 :
:マロン名無しさん :2006/09/12(火) 12:02:43 ID:UJX8PaPA
自由でいい
まとめサイト管理者氏はお忙しいのだろうか。
これまでは1月に一回は更新されていたのが、ここ二ヶ月ほど更新なしで心配。
まとめ、wikiにするといいかもな。
管理人が更新できなくても誰かが代わりにやれる。
管理人さんの負担を軽くするにはいいかもしれないけど、
RPG板のスレの経験から言うとwikiだとやっぱり形式とか混乱するんだよなー。
wikiの鯖って不安定だし。
できればこのまま管理人さんにまとめていってほしい。
wikiじゃなくても管理人さんが複数いるといいんだろうけどね
忙しいときとかあるだろうし
星里もちるの「かくてるポニーテール」と「夢かもしんない」を、
できれば詳しい話の流れも入れてお願いします。
特に「かくてるポニーテール」は小学校低学年のころ読んだ思い出の漫画なんだけど
小さすぎてほとんど内容を思い出せなくて気になってるんです
オレモナニカヤリタイ
藤子F不二雄の宇宙船製造法をお願いします。
デスノートが途中みたいなんで補完いいですか?
おながいします
舞台ははるか未来、反重力エンジン搭載の超光速宇宙船がレジャー用品として存在する世界。
八人の若者を乗せた宇宙ヨットが、ワープ中の事故で無人の惑星へ墜落する。
機関部は無事だったが、機体に穴が開いてしまい宇宙空間の飛行には耐えられない。
救援を求める手段も無く、八人はこの星で自給自足の生活を強いられることになる。
生活拠点を構え、今後の方針を話し合う一同。宇宙船を修理する方法を考えようと言う小山と
あてのない修理法より、永住のための環境確保に全力を尽くそうと訴える、秀才肌の志貴社が対立する。
議論は志貴社の勝ちとなり、小山も含めた全員で食料探しが始まるが
間もなく、暴力的な性格の堂毛が不平をもらし、志貴社を無視して暴れまわるようになる。
元々ケンカが強い上に、唯一の火器である熱線銃を振りかざしてグループの実験を握った堂毛は
王様を気取って、皆が働く中でふんぞり返って食料を食い散らかしていた。
だが、間もなく皆の不満が爆発し、志貴社を中心にグループは反堂毛で団結する。
ケンカ自慢の堂毛もついに袋叩きにされ、グループの実権と熱線銃は志貴社の手に渡った。
理性的な志貴社がリーダーとなり、グループの生活は安定したかに見えたが
やがて、前とは別の不満が溜まり始める。志貴社の労働統制はあまりにも厳格だったのだ。
言っていることは正論だけに、表立って志貴社に反論できる者はいないが
ミスに対する刑罰まで定めるようになった彼に、グループの面々は苛立ちを隠せない。
そんな中、ずっと宇宙船の修理方法を考えていた小山は、ある日ついに修理方法を思いついた。
その方法とは、極地の大きな流氷を、熱線銃で少しずつ溶かしながらそこに宇宙船を埋没させ
氷ごと反重力エンジンで宇宙に飛び立つ、というものであった。
確実性にこだわる志貴社はこの計画を認めようとしないが、不満を募らせていた他のメンバーは
ここぞとばかり小山を支持。特に、堂毛が強く小山に賛同したこともあって、修理計画は決行される。
二日がかりの作業の後、皆が息を飲んで見守る中、彼らの新造宇宙船は見事に飛び立った。
最後まで修理計画に苦言を呈していた志貴社の姿が見当たらないのに気付いた小山が
志貴社の私室を覗くと、彼は帰郷が叶った嬉し涙を流しつつ母親の名を呼んでいたのだった…
乙。
でも志貴社じゃなくて志貴杜ね
145 :
デスノート:2006/09/17(日) 02:25:23 ID:???
ではデスノートいきます。
捜査を進めていくうちに、キラがヨツバグループという企業に
関与しているのではという疑惑が持ち上がる。
同時に夜神父は次長から「キラ事件の捜査を止めろ」と言い渡される。
政府がキラの脅しと金で屈して警察に圧力をかけてきたからだ。
捜査を続けるには警察を辞めるしかないのだが夜神父、スッパリと辞職を決意。
そのことを月達に打ち明けると、同じ捜査員の模木・松田も夜神父に賛同。
だがLのやり方が気に入らない相沢が抜けてしまう。
新たに詐欺師のアイバー、泥棒のウエディを加え本格的にヨツバに探りを入れる月達。
一方ミサのマネージャーも務めている松田は、単身ヨツバ本社に潜入。
会議を盗み聞きするが見つかり、とっさに偽名を使ってミサを売り込む。
しかし話を聞いていたのなら口封じに殺される可能性大。
そこでミサを呼び開かれたパーティーで転落死に見せかけることで助かる松田。
結果、その時会議していた8人にキラの候補が絞られる。
(葉鳥・尾々井・樹多・紙村・火口・鷹橋・三堂・奈南川)
その中の1人、樹多とアイバーが接触しアイバーは探偵としてヨツバに潜入。
L達はウエディの仕掛けた盗聴器とカメラで会議を見る。
だが巻き添えになり捕まるのを恐れた葉鳥がキラによりあぼん。
月は一番話の通じそうな奈南川と交渉し1ヶ月殺しを止めさせることに成功。
そんな中、現キラはミサが第二のキラだと確信し彼女との結婚を企む。
彼に憑いていたレムはミサの身を案じ、ノートの切れ端を拝借する。
翌日ヨツバに面接に向かうミサ。
146 :
デスノート:2006/09/17(日) 02:27:58 ID:???
事前にアイバーやLとの打ち合わせ通りに、順調に面接は進む。
一旦休憩としてトイレに向かったミサ。そんな彼女をレムが後をつけてきた。
レムはノートの切れ端をミサに触れさせ、ミサはレムの姿が見えるようになった。
(普通死神は人の目には見えないが、ノートに触れることで見えるようになる)
レムはミサに全てを話した。月が本当のキラであること、ミサが第2のキラであることを。
そしてヨツバの人間、特に現キラを信用するなと言って去っていった。
面接に戻ったミサはレムの姿が見えるようになったことで現キラが火口と分かった。
そこで採用が決まった翌日ミサは単独で火口に接触。
火口に自分が第2のキラだとバラして「自分がキラだ」と火口に言わせた。
会話の内容を携帯に録音していたので証拠もバッチリ。
あとは火口を確保するだけ。
そこでLはさくらTVの特番を使って火口を引っ掛ける作戦に出た。
出るのは死んだと向こうは思っている松田。奈南川の協力も取り付ける。
火口が犯罪者の裁きを止めて3日後、特番が放送される。
突然かかってきた奈南川の電話で特番を見る火口。
だが特番の途中でキラ対策用に立ててあった擦りガラスが倒れ松田の姿が現れた。
殺すしかないと何とかして松田の本名を知ろうとするが次第に追い詰められていく。
切羽詰った火口はレムと取引をして死神の目を入手。
向かった先のさくらTVは無人で夜神父、ウエディ、アイバー、模木が待ち伏せしていた。
だが銃を隠し持っていた火口は発砲し逃亡。その際にウエディを庇った夜神父負傷。
逃げ回る火口だが突然向こうから無数のパトカーがやってきた。
相沢と同僚の伊出が上に知られないよう影でコソーリと捜査を進めていたからだ。
火口は確保され、Lは殺しの手口であるデスノートの存在を知る。
だがノートを手に取った者は次々とレムの姿が見え悲鳴を上げた。
そしてL、月もノートを手に取ったがノートに触れたことにより月の記憶が蘇った。
しかしノートを手放せばまた月は記憶を失ってしまうので所有権を自分に戻す必要がある。
月は時計に仕込んであったノートの切れ端を使って火口を殺害、所有権を手にする。
147 :
デスノート:2006/09/17(日) 02:29:58 ID:???
デスノートに書かれていたルール「13日以内に人を殺し続けないと自分が死ぬ」と
「ノートを処分するとこれまでノートに触れた全ての人間が死ぬ」のおかげで月とミサの疑いは晴れ
ノートを処分される心配も無くなった。
だがこれは監禁前に月がリュークに書かせた偽のルールだった。
月の手錠は外れミサの監視も解かれ、月はミサに埋めておいたノートを取りに行かせた。
ミサもまた記憶が戻り、あとはLの本名を書いて彼を殺すだけとなった。
だがミサはLの本名をすっかり忘れてしまっていた。月の役に立てないと泣くミサ。
そこに死神界からリュークが戻ってきた。
ミサはリュークに全てを話し目の取引を持ちかけた。
これで最初レムとの取引で減らした寿命がまた半分になってしまった。
その後月と合流しノートの切れ端を彼に触れさせ、リュークが見えるようにさせた。
ミサがLの本名を覚えていないことを知った月は次の作戦に出る。
その翌日、犯罪者裁きがまた始まった。
当然月の指示によるミサの仕業。Lの疑いの目がまた月とミサに向けられる。
Lはノートを死刑に使ってもらうことで13日のルールが本当かどうか確かめようとする。
13日のルールは嘘なのでもしこれが知られれば真っ先に疑われるのはミサ。
月はミサが疑われる状況をわざと作り出し、レムにLを殺させようと仕向けたのだ。
しかしLを殺せばミサの寿命に関わるのでレムも死んでしまう。
Lもレムも両方死ぬ。月はそれが狙いだった。
レムは月の傍にいることがミサの幸せと考え自分のノートにLとワタリの名前を書き込んだ。
40秒後、心臓麻痺でワタリとLの両者は死に、レムもまた砂となって消えてしまった。
Lが死の間際に見たのは、勝ち誇った月の笑みだった。
148 :
デスノート:2006/09/17(日) 02:37:16 ID:???
今回はここまで。
次に書き込むのは8巻以降が見つかってからなのでちょっと待っててください。
149 :
143:2006/09/17(日) 15:15:55 ID:???
>>144 あれ、間違ってたか。手元にあるコンビニ版は「社」になってたんだけど。
文庫版はたった3巻なのに内容てんこ盛りで一から説明してると
キリがないのでかなり簡潔に説明してみる。
超古代文明ムーの生き残りであるポセイドン族とトリトン族は人知れず何百年もずっと海の覇権を争って戦っていた。
怪物のような姿のポセイドン族が人魚の姿をしており容姿端麗なトリトン族に嫉妬して根絶やしにしようとしたからだ。
そうしてトリトン族は虐殺され、ついにはたった一人を残してみんな死に絶えてしまった。
最後の一人になったトリトン族の小さな赤ん坊は一族の長の名前トリトンと名付けられ
身分を隠して陸の人間の元に預けられて育てられる。
しかし、それに気付いたポセイドン一族がトリトンの命を狙い初め、トリトンは陸の生活を捨て海に帰る決心をする。
トリトン族の唯一の味方イルカ達を仲間につけ、トリトンはポセイドン一族と激しい戦いを繰り広げる。
その後、トリトン族の生き残りが他にも一人アラスカで生き残っていることを知る。
それはピピ子と名付けられた小さな女の子だった。
それから何年間もトリトンとピピ子はポセイドン一族と戦い続け、二人は成長し、立派な青年と美しい女性になっていった。
そして二人は結婚し、今は二人だけになってしまったトリトン族を増やすため子供を作り、7人の子供を産む。
暫くは平和に暮らしていたトリトン一家だったが
息子を全てトリトンに殺され、復讐に燃えていたポセイドンが陸の人間達と共謀してトリトン達を襲い始める。
子供達にまで危険が及んだのを知ったトリトンは、ポセイドンと最後の決着をつけるため
海底にあるポセイドンの要塞に単身乗り込む。
そこでは地上を支配するためのミサイル基地が存在していた。
不死身のポセイドンを倒すため、トリトンはミサイルの中にポセイドンを誘い込み、
死を賭してポセイドンと二人ミサイルで宇宙の彼方へと飛んでいった。
こうしてトリトン族とポセイドン族との長い戦いはトリトンの死によって終止符が打たれた。
トリトンの死を知って悲しむピピ子だったが、彼が残した子供達がやがて大きくなり
トリトン族はこれからも生き延びていくだろう。
広い広い海のどこかに、今でも伝説に生きる人魚のトリトン族が暮らしているのである。
おわり
乙です。読んだ事無いからありがたい。
一家しか残ってないんじゃ、トリトン族再興の為には近親相姦しかないな
火の鳥にもそういう話があったけど。
一応トリトン族の女性は完全に人魚だけど
男性は見た目普通の人間なので陸の人間と結婚して子供を作るという手もある。
その場合子供がどうなるのかは不明だが。
「ヴェルバーサーガ」のストーリーをお願いします。
まとめサイトが更新されてましたね。管理人さんお疲れ様です。
それで申し訳ないですが、予約リストの「鋼の錬金術師 盲目の錬金術師」は解説済です。
156 :
マロン名無しさん:2006/09/19(火) 00:55:32 ID:yIhN3j5x
ちばてつやの
「おれは鉄兵」について教えてください。
あしたのジョーは原作者がちばてつやじゃないのでシリアス系だったが
他のちばてつやの作品は基本的にギャグ系だと聞いたのですが。
「AKIRA」のストーリーを教えて下さい。
まとめサイトにすでに載っていますが
もう少し詳しく知りたいです。
るろうに剣心の志々雄が出てくる所のストーリーを教えて貰えませんか?
私情でそこだけ読めていないので‥
160 :
158:2006/09/19(火) 09:30:54 ID:???
>>159重ね重ねすみません
当方携帯厨なものでまとめサイトが見れないので‥
少女マンガのライフの続きをお願いします。
まとめサイトでは10巻までのあらすじがありますがその続きが知りたいです。
んまー
>>163 いや、こいつは謙遜のつもりで厨を名乗って
実は真性の厨であることに気付いてないというたちの悪い奴だ。
^^
>>158 人斬り辞めた検診の後継いでた誌塩が
京都で国家転覆計画してたのでやっつける。
「ジョージィ!」と英洋子の「レディ!!」をおねがいします。
ちょっと古いんですが、
バイオロイドハンター グウ /向上 輝
サンセット・ホラー /遠藤純作
以上の2作品についてストーリーをお願いします。
169 :
名無し物書き@推敲中?::2006/09/26(火) 11:57:50 ID:EvXCSHCR
知りた
電撃ピカチュウのSTORYを誰かヨロシクお願いします。
>>167 「ジョージィ!」の方だけですが。
本は手元に無いんで記憶だけで書くんで
違ってたらどなかた訂正してください。
英洋子の「レディ!!」は読んだ事無いんで
他の方よろしく。
ジョージィは双子の兄と両親に囲まれオーストラリアで暮らす少女。
可愛がってくれた父が亡くなってから
母の態度が微妙に冷たくなりとまどっている。
年頃になったジョージィは
イギリスからやってきたロエルという少年と恋に落ちる。
実は血のつながりの無い双子の兄は
二人ともジョージィを愛していたので
強いショックを受け、家庭内の雰囲気がおかしくなる。
何者かに追われていた訳ありの
美しい女性から託された赤ん坊(女性は死亡)を
引き取る事に最初から反対していた母親は
夫ばかりか二人の息子まで私から奪うのかと
ジョージィをなじり自分達とは他人だと暴露してしまう。
もうここにはいられないと自分の実の父を探すため
また帰国したロエルに会うため
実母の残した品物を手にイギリスへと旅立った。
男装して乗り込んだ客船でおませな少女に惚れこまれたジョージィは
女だとばれるものの人の良いその一家にイギリスで世話になる。
双子の兄アベルはジョージィを追ってイギリスへ単身渡る。
弟のアーサーも、うとましく思いながらもやはり娘として愛した
ジョージィに申し訳ないことをしたと後悔しながら亡くなった
母の気持ちを伝えようと二人を追ってイギリスへ。
イギリスでロエルと再会し一緒に暮らし始めるも
もともと丈夫で無いロエルは身体を壊し
必死に働くジョージィと心がすれ違い始める。
忙しいジョージィに疑心暗鬼に陥り荒れるロエル。
もともとの婚約者とロエルの結婚を熱望するロエルの祖母の姿。
そして医者に見せるお金も無いこの生活では
ロエルが死んでしまうかもと、婚約者に連絡を取り
自分は身を引くのでロエルを救って欲しいと告げる。
ロエルとの別れに悲しみくれるジョージィだが
もう一つの目的、父との再会を果たす。
そして自分を熱愛してくれるアベルと
次第に愛し合いはじめたジョージィ。
実母の死の原因でもある父の敵ダンゲリング公爵の悪事に
アベルとアーサーがそれぞれ巻き込まれる。
アーサーは争いの最中に海に落ち死亡。
アベルは公爵の罠にかかり銃殺刑となってしまう。
いろんな人がアベルを救うため奔走してくれていると伝え
アベルを元気付けようと刑の前夜に牢獄へ忍び込んだジョージィ。
そこで二人は初めて結ばれる。
当日。
目隠しをされいくつもの銃口を向けられながらも
大声で公爵の悪事を暴露するアベル。
慌てた公爵が刑の執行を命令。
刑の中止を告げる声は間一髪間に合わなかった。
公爵はその場で逮捕。
事切れたアベルの身体をかき抱き号泣するジョージィ。
アベルを失って生きる気力を失っていた
ジョージィの元へロエルが現れた。
命を懸けて君を愛したアベルのためにも
元気になって欲しいと力づける。
そして刑前夜のただ一度の逢瀬で
アベルの子を授かった事に気付いたジョージィは
生きる気力を取り戻し周囲に守られながら
無事男の子を出産する。
数年たちアベルJrと名付けた我が子と共に
育ての両親、アベルとアーサーの墓参りをするため
オーストラリアへ帰ってきたジョージィは
墓の前で意外な人物と出会う。
アーサーが生きていた。
海に落ち瀕死の状態だったのを助けられ
故郷に戻り子供の頃から兄妹を可愛がってくれていた
近所の老人に介抱されていた。
肖像画にそっくり!お父さんだ!と喜ぶアベルJr。
Jrを抱き上げ「これからはアベルの分まで二人を守るから」と
アーサーが号泣するジョージィに誓う。
以上。
175 :
マロン名無しさん:2006/09/30(土) 22:21:19 ID:MLgfmaMM
>>172-174 乙です。
でもそれを読む限り、ジョージィは別にアーサーを愛してはいないんだよね
「守るから」とか言われても・・・って感じかもしれない
リクです。
悠久の風伝説(衣谷遊)をお願いします。
>>172-174 説明聞いただけで
実際見たくなってきた。
どんだけ波乱万丈人生なんだよ。
もうリク主さんは見てないかもしれませんが、未解決リストにある『あすなろ坂』を投下します。
かなり長文(全部で40レス弱)です。分かりづらい纏めになってたらすみません。
あすなろ坂 里中満智子 77〜80年連載 文庫版全5巻(単行本全9巻)
幕末〜第2次大戦後にかけての有馬家4世代を描いた物語です。
第1部 夜明け編 第2部 朝やけ編 第3部 若葉編 第4部 うず潮編 第5部 向日葵編
第6部 風花編 第7部 積乱雲編 第8部 春雷編 第9部 蒼空編 となっています。
岡村(有馬)芙美・・・会津藩重臣の娘。
帯刀(橋本)新吾・・・会津藩の武士。(白虎隊の一員?) 母は芙美の乳母。
有馬武史(たけふみ)・・・江戸詰めの会津藩の武士。
1.
幕末の会津。剣や馬を愛する少女・芙美は、近々嫁ぐ事が決まっていた。嫁ぎ先は会津藩でも
指折りの名士・有馬家。周囲から羨望の眼差しを受け、何となく幸せに感じている。
幼馴染の新吾は芙美に惹かれているが、身分の違いからその想いは胸に秘めていた。
遊郭に誘われても、「惚れてもいない女を抱ける男にはなりたくない。惚れた女を抱けないなら
一生誰も抱いたりしない」と答えていた。
ある日、芙美は1人で剣の稽古をする新吾に勝負を挑んでみるが、すぐさま倒されてしまう。
悔しいと思いつつも、新吾との体格の差や新吾の汗の匂いなどを感じ、自分とは違う、と初めて
意識する。
江戸へ発つ前夜、芙美は乳母・梓から子供の作り方を教えられる。嫁入りとはただ綺麗に着飾り
大人しくしていれば良い、と考えていた芙美は結婚が怖いと思い始める。
落ち着かず庭に出てみると、偶然新吾が居た。男女の営みについて知っているか、と芙美は新吾に
聞いてみた。新吾は当然知っていた。
商売にする女性も居ると聞いて、新吾が友人から遊郭へ誘われていたのをふと思い出し、新吾の
汗の匂いを知る人が自分以外に居る……と嫉妬のようなざわめきを覚える。
剣を生きがいにする新吾に対して、「私の生きがいは何か。このままで良いのだろうか」と自分
自身に問い掛ける芙美。有馬家の嫁に1歩ずつ近づいているのが怖くなっていた。
途中、嫁入りをやめるから引き返してほしいと頼むが、同行していた新吾に「武士は1度決めた
事は命をかけてもやり通す。武士の娘が嫁入りを白紙に戻すと言うからには、命を捨てる覚悟は
あるのか」と問われ何も言えなくなってしまう。
到着まであと3日。滞在中の宿で、芙美は嫁入りに浮かれていた以前の自分を恥じる。
道中見かけた貧しくとも幸せそうだった女性を思い出し、「どんな辛い暮らしでも、あなたとなら
怖くはない。身近すぎて気づくのが遅すぎた」と新吾へ想いを打ち明ける。
しかし、新吾の気持ちがどうであれ芙美の取る道はただ1つ、有馬家へ嫁ぐ事である。
新吾は明確な回答を避けてその場を立ち去った。
一行は会津藩邸へ到着した。芙美が邸内に立つ1本の木に目を留めると、それは『あすなろ』で、
「明日は檜になろうと一生懸命伸びている木」だと出迎えた男が説明する。
これが、芙美と夫になる有馬武史の出逢いであった。
芙美が武史と迎える初めての夜。
新吾は、芙美の告白に応えられなかった意気地のない自分を責めながら1人夜を過ごす。
芙美もまた、新吾への想いから武史に抱かれるのを泣きながら拒否し、これからどうやって自分の
人生を過ごせば良いのかと思い悩むのだった。
2.
有馬家に入ってから1ヶ月ほど経つ。芙美は武史の妻という立場に未だ慣れない。
芙美に同行して江戸に来た新吾達は、役目を終えて明日会津へ戻る。武史は知人の医者・園田の
家へ泊まると言って芙美を残し外出した。芙美はお別れを言いに新吾の部屋を訪れる。
幸せにと言われ、芙美は「まだあの人のものじゃない。新吾以外の人の汗の匂いを知りたくない」
と新吾の胸に縋りつく。
想いを断ち切れずにいた新吾は芙美を抱きしめ、2人は結ばれる。
新吾は「一生涯、芙美だけを想い続ける」と約束した。
翌朝、新吾の布団に芙美のお守りを見つけた梓は2人の仲を疑うが、自分さえ黙っていればと
新吾を問い詰めはしなかった。
帰郷する新吾の姿を見送りながら、芙美はより一層新吾への想いを募らせるのだった。
新吾が去った後も芙美は武史に抱かれるのを拒否していた。武史は芙美の気持ちを尊重して
その気になるまで待つ、と寝室は一緒であっても無理強いはしなかった。
そんなある日、吐き気を覚えた芙美は自分の妊娠を知る。そして、武史と園田家を訪れた時に
武史の居る前で園田から妊娠を指摘されてしまう。
不義は死罪。白装束姿の芙美に、武史以外の男の子供を妊娠したと知らされた梓は、やはり息子と
芙美が男女の仲であったと気づいて詫びるが、芙美は相手が新吾であるとは認めなかった。
妊娠話に武史は動揺するが、死を覚悟する芙美に、「あなたを愛しく想っている、身体を大切に
して丈夫な子供を産みなさい」と告げる。
相手の名前を問い質そうとはしない武史の気持ちが芙美には分からなかった。そんな芙美に、
分からなくてもいい、武史の心の広さに甘えて立派な子供を産んでほしいと梓は言う。
その頃、会津はことごとく対立していた薩長を本格的に迎え討つと決めた。
武史は芙美に「戦に参加せず、脱藩して会津を捨てる」と宣言する。
「大切なのは無駄死にせずに生き抜く事だ」と言う武史に、芙美は「私は武家の娘であり、藩と
共に戦う」と反発する。
国を捨てるくらいなら死んだ方がマシだと思っていたが、「お腹の子も死んでもいいのか」と
武史に問われ、「卑怯だ」と泣き崩れる。
結局、鳥羽伏見の戦いで幕府軍は敗退。その後も会津の立場は厳しくなっていく。
戦場の新吾を想うあまり、芙美は寝言で「新吾」と口走る。
芙美は男児を出産した。新吾と同じ場所にホクロを持つその子は、武史が『新之介』と名付けた。
自分の子ではないのに芙美に感謝の言葉を述べ、実父が新吾であるのを知っていてなお、新吾に
ちなんだ名前を付ける武史。芙美はその考え方に驚かされながら、新吾に逢って我が子を抱いて
もらいたいと願うのだった。
元号が明治に改められて間もなく、遂に会津は降伏する。
「心の底から武士である新吾は、仮に生き延びても自害したはず」と手を合わせ嘆き哀しむ梓。
芙美は「新吾は新之介を置いて死んだりしない」と言い放つ。
そのやりとりを園田の娘・あけみが聞いていた。出産に立ち会った際、新吾の名を呼ぶ芙美に
疑問を抱いていたあけみは、新之介が武史の実子ではないのを確信する。
あすなろの木に「希望はいつもなくさない、明日こそ幸せになろう」と誓ったのだ、と芙美は胸に
抱いた新之介に語りかける。新吾は生きている、いつか逢えると思いながら。
3.
月日は流れ、新之介は武史と芙美の下ですくすくと成長していた。
武史は大学教授の職に就いており、新之介に対してはまるで本当の親子のように厳しくも愛情深く
接していた。芙美でさえ時折新之介の父親は武史ではないか、と錯覚してしまうほどである。
武史は立派な人だと思う。しかしそれでも、芙美の心を占めるのは新吾なのであった。
長年、武史を想い続けていたあけみは、他人の子を産みながら武史の妻として生活する芙美が
気に入らず、武史と2人きりの時に嫉妬心から新之介の本当の父親は新吾という男だ、と告げる。
武史はあけみに忘れるよう頼み、「もし、新之介に一言でも話したら殺す」と脅した。
武史が本気だと察したあけみは想いを告白し「抱いて欲しい」と頼むが、武史は「芙美以外の
女性は抱きたくない」と拒絶した。
芙美には敵わないと感じたあけみは、今後は学問に打ち込み医者として父を継ごうと決心する。
そして、芙美や新之介が病気になったら命をかけて直してみせる、と武史に誓うのだった。
最近、芙美が心底明るい表情を見せてくれるようになったと武史は感じ、このまま新吾を忘れて
自分の胸に飛び込んで来てくれるのではないかと期待していた。
しかし、心臓を患い死の淵に居る梓に、「新吾と巡り逢う事が私の生きがい。新吾を忘れる時は
死ぬ時よ」と芙美が語りかけるのを聞いてしまう。
「思い切って芙美を抱きしめてみよう」という決意は早々に崩れてしまった。
後日、芙美は新之介を連れて梓の墓参りをする。目を閉じて新吾を思い浮かべようとした芙美の
瞼に浮かんだのは、何故か武史の顔だった。芙美の心には武史への愛情が芽生えていたのである。
その帰り道、芙美は偶然新吾と再会する。
新吾は人力車の車夫として働いており、既に家庭を持っていた。
芙美から息子は父親にそっくりで首のつけねにホクロがある事、新之介と命名したのは武史で
ある事を聞かされた新吾は、目の前に居る男の子が自分の実の息子だと気づく。
ただ、芙美と新吾はもう別々の道を歩んでいた。2人は「元気で」と別れを告げる。
密かに新吾の行方を探していた武史は、新吾が武士として立派に死ねなかったのを恥じたのか、
姓を橋本に変え、素性を隠して東京に居たと知る。
新吾の生存を知れば、芙美は新之介と共に家を出て行くに違いないと苦悩する武史は、酒の
勢いに任せて有馬家に仕える女中・妙を押し倒してしまう。
帰宅した芙美に、武史が「愛しいからこそ幸せになって欲しい」と新吾の居場所を教える。
いつでも芙美の気持ちを優先する武史に、新吾と再会したが自分はこの家に戻ってきた、今一番
大切なのは武史だと芙美は率直に告白する。結婚して以来初めて結ばれる2人。
芙美は武史の腕の中で、目の前にある幸せを見失う所だったと感じていた。
一方、芙美の留守中武史に抱かれた妙は、「妙を妻にする」と本気で言ったわけではない武史の
言葉に夢を見るのだった。
有馬新之介・・・有馬家長男。芙美と新吾の間に生まれる。
有馬史織・・・有馬家長女。武史と妙の間に生まれる。
おきく・・・新之介が出逢う女郎。
1.
武史は新之介に「この世で一番大切なものは愛であり、愛がなければ人は生きていけない」と
説く。あすなろの木を眺めながら涙を流す芙美。心配する新之介に、幸せすぎると涙が出てくる
ものだと話す。芙美は幸せを噛み締めていた。
その直後、有馬家を訪れたあけみは妙が身篭っているのを見抜く。
芙美は「本当ならきちんとしなければいけない」と相手は誰かと尋ねるが、妙は芙美の夫・武史が
そうなのだとは言えずにただ泣くばかりだった。
立場が違いすぎる一方的な恋に苦しむ妙に同情し、芙美は武史に妙の妊娠を相談する。
一時の苦しみに負けて妙と関係を持ってしまったのを深く悔いていた武史は、その相手は自分で
あり、やけになっていたと正直に告白する。打ちのめされる芙美だったが、同時に、ひたすら
新吾だけを愛して、武史の心をきちんと捕まえておかなかった自分が悪かったのだと嘆く。
翌日、武史宛てに置手紙を残した芙美は、新之介を連れて家を出る。
頼った先はあけみの家(園田診療所)だった。経緯を聞いて芙美が身を引くつもりでいるのを
知ったあけみは、武史がどんなに芙美を愛しているかを語り、「好きならくじけるな」と叱咤する。
新之介は診療所を抜け出し近所の子供たちと遊んでいたが、夕暮れになって道に迷った所を
新吾に助けられる。
今日はいつもと違って両親の様子が変だと言う新之介に、新吾は「好きな人を信じろ、男なら
泣いてはいけない」と語り、元気になった新之介を自宅まで送る。
素直に育った我が子を見ながら、新吾は武史に対して胸の内で深く感謝するのだった。
「今回の件は2人で乗り越えよう」と芙美と武史は話し合う。
妙は夢を見られただけでも幸せだったと身を引き、庭師の耕三と夫婦になると決心する。
数ヵ月後、妙は生まれた女の子を芙美に託し、耕三と共に有馬家を離れた。
史織と名付けられたその子を産んだのは母ではない、と新之介も理解する年頃になっていたが、
妹を守り、愛そうと誓う。
2.
新之介と史織は互いを思いやるとても仲の良い兄妹に育っていた。
ただ、武史との間に子が出来ないのを気にした芙美は、相談する為にあけみを訪ねる。
診療所の近所を通りがかった新吾を、新之介は史織に親友だと紹介する。
実は新之介の成長を見るのが楽しみで、時々この辺りで逢っていたのだった。
最近身体が疲れやすいと、武史は家族に隠れてあけみの診察を受けていた。
家族の為にも長生きしなければと明るくあけみに語るが、その検査結果は思わしくなかった。
あけみは医学の限界に悩み涙を流す。病名は労咳であり、死を宣告されたようなものだった。
武史はあけみに家族には内緒にするよう口止めする。
もう新之介とは逢わない方が良いと思いながら、つい期待して診療所前に足を運んでしまった
新吾は武史と再会する。新吾は新之介を育ててくれた武史に土下座して感謝する。そして、
会津藩が降伏した時に死を選ばなくて良かったと話す。
武史は、もし自分の身に何かあったら新之介の力になって欲しいと新吾に頼んだ。
残された時間が僅かだと知った武史は、家族に苦労させたくないと仕事に打ち込むようになった。
そんな武史に芙美から嬉しい報告がもたらされる。ついに武史の子を身篭ったのだ。
しかし、その待ちに待った子は生まれなかった。新之介の愛馬・ふぶきが病気で暴れ、ふぶきに
掴まった状態の史織を芙美が助けた際、落馬して流産してしまったのである。
武史の子を産みたかった芙美に、武史は「新之介は自分の子だと思っている」と優しく労わった。
その会話を立ち聞きしてしまった新之介はその事実に衝撃を受けるが、自分の手で射殺した
ふぶきを埋めるのを手伝う武史に、父親はやはりこの人しか居ないと思う。
3.
新之介は文学を好む帝大生、史織は2、3年後には婚約してもおかしくない年頃になった。
史織に対して親しげに声を掛ける新之介の友人・光太郎は、いずれ交際を申し込むつもりだ
と言う。史織が少しずつ自分の手を離れていくのか……と新之介は寂しさを覚える。
仲間内で外出した帰り、自分の肩にもたれかかる史織を見て「一生守ってやりたい」と新之介は
思う。血の繋がりはない武史を父と思うように、史織も妹と思っているはずなのだが、「妹だ」と
必死で自分自身に言い聞かせているのもまた事実だった。
ある日、新之介は光太郎達に無理やり連れて行かれた女郎屋・紫楼で、1歳年上の女郎・おきくと
出逢う。おきくは何処となく史織を思い出させる顔立ちをしていた。
今までこの仕事を恥ずかしく不潔だと嫌悪していた新之介だったが、おきくや若くして売られてくる
女性達の境遇を聞かされ不憫に思い始める。
青白くやつれた風情のおきくを放ってはおけなかった。
新之介はおきく目当てで紫楼に通いだす。1度も抱き合う事なく、ただ穏やかな時間を一緒に
過ごしていた。
自分に対する気持ちを知りたい、と告白した新之介へのおきくの返事は「ありがとう」の一言と
微笑みだった。新之介は客の1人でしかないのかと沈んだ表情で紫楼を後にする。
告白は震えるほど嬉しかった。ただ、おきくは夢を見てはいけない立場にあると自戒してひっそり
涙を流していた。
他の客がおきくを抱くのが我慢出来ず、誰にも渡したくないと自覚した新之介は再度おきくの
気持ちを問い質す。そして、本心を知って初めておきくを抱くのだった。
新之介はおきくを身請けして結婚したいと両親に打ち明けた。卑しい仕事に就く女性との結婚は
許さない、と猛反対する芙美を新之介は説得する。同情と愛は違うと言う武史にも思いの丈を
ぶつけた。そのひたむきさを信じ、武史は身請けの金を出してやる。
新之介は大急ぎで紫楼へ向かい、「一緒になろう」とおきくを抱きしめたが、既におきくは病に
蝕まれていた。
酷い喀血で診療所へ運ばれたおきくは、かなり進行した労咳と診断される。しかも身重だった。
おきくの体力ではとても出産に耐えられそうにない。
早く治して新之介の子を産んでほしいと声をかけた芙美に、誰の子かは分からないとおきくは
泣きじゃくった。誰の子か分からない……女にとってこんな悲しい事があるのかと感じる芙美。
おきくの全てを引き受けたのだから、お腹の子の父親は自分以外有り得ないと新之介は優しく語り
かける。芙美は息子のその姿が武史にそっくりだと涙ぐんだ。
おきくは自分の命がもう長くないのを悟っていたが、少しも寂しくはなかった。
人生を諦めていたおきくが新之介に巡り逢い、夢見る事を許される日が来たのだ。
幸せを感じながら、愛する新之介の腕の中でおきくは静かに息を引き取った。
後藤光太郎・・・後藤財閥の跡取りで新之介の友人。史織と婚約する。
後藤珠恵・・・光太郎の妹。新之介へ想いを寄せている。文才あり。
1.
おきくの死から1年、新之介は明るさを失っていた。史織の友人・珠恵は、新之介がきくを未だ
想い続けている様子に望みがないと諦め、ただ見つめるだけでいいと自分に言い聞かせていた。
史織は珠恵の持つ明るさが必要だ、諦めないでほしいと励まし、もし自分に好きな人が居れば、
西洋の女性を見習って自分から好きだと言いたいと語る。
その励ましに勇気付けられた珠恵を見た史織は、自分で言い出したにもかかわらず、もし2人が
愛し合ったら……と想像すると寂しさを覚えるのだった。
外出の帰り道、武史が大量の血を吐いて倒れてしまう。
夫が労咳だと知った芙美は、隠さずに話して欲しかったと嘆き悲しむが、そんなに愛しているなら
何故気づいてやれなかったのか、武史の何処を見ていたのかとあけみは指摘する。
芙美は愛し愛される事ばかり考えていて、病には気づかなかったと情けなさを感じていた。
武史の余命は半年だった。
そんな時、史織は光太郎から結婚を申し込まれる。
少し前から、元庭師の耕三が現れて史織の出生の件で新之介を強請っていた。新之介は1人で
史織を守ろうと金銭を渡して追い払っていたが、このまま強請りに応じていくわけにはいかず、
新吾の居場所を探して逢いに行く。新吾は『会津屋』という店を起こしていた。
新之介は新吾に父と自分、母と妹はそれぞれ血の繋がりがなく、父への恩返しの為に耕三の
件を何とかしたいと相談する。
新吾は「私が君の父親だったら、恩返しなど考えずに人生を精一杯生きて自分の道を持つ男に
なってほしい」と耕三の話を引き受けた。そして、死ぬ時の美しさを求めて生き方を決めるのが
武士の生き方だと語る。
美しく死ぬ為に後悔のない人生を送る。本当に史織を光太郎の所へ行かせて良いのかと思う新之介
だったが、花嫁姿を見せて父を安心させたい、新之介も光太郎との結婚を望んでいるだろう、と
考えた史織は結婚の意思を家族に報告する。
武史は新之介に日本刀を贈った。刀に添えられた「死にざまを考えて生きよ」の言葉に、新之介は
いつ死んでも悔いのない、前向きな生き方をしようと誓う。
新之介と史織は、「離したくない」「離れたくない」という想いを打ち消して結納に臨んでいた。
それからしばらくして、病床の武史は眠るようにしてこの世を去る。
2.
新之介が財産管理を依頼した執事が、自宅以外の有馬家財産を持ち逃げしてしまった。
芙美には「騙される方で良かった」と慰められるが、先の事を考えると今までのような生活は
出来なくなる。母に苦労させたくないと悩む新之介は、文学で生計を立てていけたらと考える。
史織は結婚式への出席をお願いしようと診療所にあけみを訪ね、女性の幸せについて語り合う。
そこへ運ばれてきた急患にあけみは驚く。その人物は史織の生みの母親・妙だった。
手伝いとして手術に立ち会い、妙の病名は子宮ガンで助かる見込みはないと知った史織は、父や
おきくの時を思い出して何故助からない病気があるのかと悲しむ。
誰でもいつか死ぬ。怖いけれども、だからこそ自分達は戦うのだとあけみの弟子に説かれ、史織は
式までの間、人手不足の診療所を手伝いたいと思う。
意識が戻った妙に、妙が産んだ有馬家の長女が手伝いの娘だとコッソリ教えるあけみ。
年のせいか物忘れが酷くなってしまった、と妙は素知らぬ振りする。
あけみが部屋を出て行った後、美しく気立ての良い娘に育てて貰ったと妙は涙ぐんだ。
武史の墓には頻繁に白菊が供えられていた。亡くなった直後だけでなく今でも、自分以外の誰かが
武史を忘れないでいてくれるのを芙美は嬉しく思っていた。
帰りがけ、芙美は白菊を手にした新吾と鉢合わせする。2人は暫くの間並んで歩いた。
その夜、新吾は寝言で芙美の名前を呼ぶ。いつになっても芙美を忘れられないのだった。
あけみを手伝いたい史織は光太郎と意見がぶつかってしまう。説得には全く耳を貸さず、ただ
自分の言う事を聞いていれば良いのだと言う光太郎に、史織の心は寒々としていた。
新之介への想いを綴った珠恵の小説が高評価を受ける。それとは対照的に、新之介の小説の
評価はまだまだであった。
しかも、早く世に出たいが為に焦る新之介は、人間的に未熟だと叱責されてしまう。
珠恵は「あなたの作品が好きだから、くじけずにこれからも書いてほしい」と想いを伝える。
その真剣な眼差しに、新之介は温もりを覚える。
3.
珠恵を可愛いと思うものの、おきくへの想いは残っており、史織への複雑な感情が渦巻いていた。
婚約を勧める史織に、婚約は自然に任せて今は大切に付き合いたいと新之介は言う。
光太郎との間に信頼関係を築けない史織は、考え方について行けないと婚約破棄を申し出た。
史織の意志は固かった。
忘れたいと沈む史織を見て、新之介は「史織を泣かせるなんて許せない」と激しく憤る。
やはり史織を妹以上に見ていたのだと新之介は認めた。
しかし、「ありがとう、兄さま」の言葉に、一生『兄』を貫き通すと誓ったのを思い出す。
たとえ血の繋がりはなくても2人は兄と妹であった。
後藤家が気にするのは世間体だけだった。何とか史織を宥めてほしいと言ってくるが、史織同様、
芙美も後藤家の考え方について行けないと感じていた。
婚約破棄を受け入れる代わりに、新之介と珠恵の交際を含め一切の縁を切るという申し入れを、
「新之介が個人的に誰と付き合おうと口出しはしない」と断った上で芙美は了承する。
史織は婚約解消は後悔していないが、周囲の噂話・陰口に深く傷ついていた。
妙は、史織に世話されている自分は幸せだ、史織なら今にきっと良い事があるだろうと励ます。
生まれてきて良かったと思えるのは史織を産んだ事だけ。娘には幸せになってほしかった。
死の間際、痛みに苦しむ妙は、史織の本当の母親は自分なのだと、「お母さん」と1度でいいから
呼んでほしいと懇願する。
衝撃を受ける史織の様子に、妙は慌てて「つい、夢を口走ってしまった。今のはデタラメだから
忘れてください」と取り消すが、史織は思わず部屋を飛び出してしまう。
妙の目は嘘を言っているようには見えなかった。あけみの反応もそれが真実だと物語っていた。
今まで信じてきた繋がりが大きく揺らいだ。
史織が妙の部屋に戻った時には、妙は既に死亡していた。史織は妙の遺体に縋りついて泣いた。
帰宅した史織を芙美が出迎える。真実を知った事は話さず、自分は生まれてきて良かったのかと
史織は芙美に尋ねた。芙美は生まれてきて悪かった人生などないと諭す。
そこへ、後藤家と縁を切った1人の女として珠恵が訪ねてきた。
珠恵のひたむきさに打たれた新之介は、その気持ちに精一杯応えようと決心する。
甲野昌平・・・あけみの弟子で園田病院の医師。
綾公路秀・・・帝国軍人。華族。
1.
看護婦を目指して勉学に励む史織は19歳になった。
教師には看護婦よりも医者の道を勧められるが、看護婦としての道を貫き通したいと伝える。
外科ではメスを持つ事、内科では病気を見誤る事を史織は恐れた。診断を下す勇気が出ない。
納得して結婚を決めた相手について行けなかった。それ以来、自分の判断に自信が持てない。
昌平は、「何故怖がって殻に閉じこもろうとするのか。それではいつも1歩退いた生き方しか
出来なくなる」と史織に話す。昌平は史織を気にかけていた。
まるで自分を見ている気がする。昌平自身が1歩退いた生き方しか出来ない人間だった。
新之介は尋常小学校の教師になっていた。妻の珠恵は恋愛小説家として活躍しており、間もなく
最初の子が誕生する予定だった。
ある日、新之介を慕う新吾の娘・ふみがケンカで怪我をする。ふみを背負って自宅まで送る
新之介に、新吾の妻は若い頃の新吾の面影を見る。ふみも、新吾と新之介がよく似ていると言う。
娘の名前は夫が決めた、好きだった人の名前なのだろうと語る新吾の妻に、もしかして新吾は
武士だったのではないかと新之介は尋ねた。
しかし、新吾は過去を一切語らないらしい。『橋本』も新吾が適当に付けた姓だった。
新之介は何か引っかかるものを感じていた。
新之介と新吾、芙美とふみ、会津、武士……いずれも母と新吾が結びついてしまう。
加えて、ふみに指摘された首のつけねのホクロ。新吾も同じ位置にホクロがあった。
そう言えば初めて人力車に乗った時、新之介は父親にそっくりで首のつけねにホクロがある、
新之介と命名したのは父・武史だと母が新吾に伝えていた、と過去の記憶が蘇る。まさか……。
その時、珠恵が産気づく。
早産で一時は危なかったが、昌平の努力の甲斐あって新之介・珠恵夫妻に待望の長男が誕生した。
妻と息子を見つめながら、自分もこうして生まれてきたのだと新之介は父を思い浮かべた。
雄々しい武士のように生きてほしい、父のようにとの願いを込め、新之介は息子を『武雄』と
名付ける。
2.
日清戦争が終わり、次はロシアだと世間では噂されていた。
園田病院の婦長として仕事に励む史織は、病院での寝泊りが連日続いていた。
維持費がかかる屋敷から小さな民家に転居した為、今は史織個人の部屋さえ取れない状態で、
芙美は史織が家族に遠慮しているのだと思っていた。
仕事に生きると分かっていても、女性1人で生きていくのは寂しいのではないかと心配する。
史織は未婚の自分が『家庭』の雰囲気を壊すのではないかと、まるで別の人種のようだと昌平に
打ち明ける。結婚せず、子も産まず、1人前の女じゃないという焦りを感じていた。
昌平は、1人前の女である前に1人前の人間であるべきで、立派に能力を生かしている史織
自身を誇るべきだと語る。しかし史織は、昌平の前ではただの女でありたかった。
病院前で誤射騒ぎがあり、軍人・綾公路が負傷した。
ミスが発覚するのを防ぐ為、軍医を呼ばずに銃の暴発事故とした綾公路は入院する。
軍人相手に物怖じしない史織を見初めて積極的な態度に出る綾公路を、自信家で自惚れ屋だと
不愉快に思い、「既に心に決めた人が居る」とはねつけた史織だが、意に介さない昌平の様子に
自信をなくしてしまう。
長い時間をかけてある人を好きだと気づいたが、勇気が出ないと恐れる史織に、珠恵は勇気を
持って素直に飛び込めと励ます。かつて、珠恵の恋を励ましたのは史織だった。
「恐れに負けて心を閉ざすのは、自分の心に卑怯だと思わない?」その言葉に告白を決める。
昌平は長年史織を見つめてきて、強くなって欲しいと願っていたが、強くならなければいけない
のは自分の方だと、自分こそ勇気を出して史織へ気持ちを伝えなければと思う。
往診に出ている昌平を待つ間、史織は部下から綾公路への注意を頼まれて病室へ向かう。
その際、「話があるので待っていてほしい」と昌平へ伝言を残しておいた。
もう後には引けないと緊張する史織。
史織がなかなか戻ってこないと綾公路の病室へ向かった昌平は、ズタズタに引き裂かれた
白衣姿の史織と綾公路を発見する。
昌平はショックで気を失った史織を介抱した。気がついた史織に、何もかも忘れてゆっくり眠れと
声を掛けると部屋を出て行く。史織が呼んでも振り返らなかった。
昌平は泣いていた。その姿を見せれば、まるで悲劇の主人公扱いしているようで余計に傷つけて
しまう。何もなかったように振舞うのが史織の為だと考える。
強く抱きしめてほしかった史織は、昌平が背を向けて去っていってしまったと感じていた。
3.
史織を抱きしめて慰めたいと思っても、男の自分が触れたら嫌な記憶が蘇るかもしれないと
考える昌平。昌平が触れたいと思ってくれるはずがない、昌平に包んでほしいと願うのは贅沢
なのだと考える史織。事件以来、2人は急激によそよそしくなっていった。
退院後、綾公路は有馬家を訪れ、史織を嫁に欲しいと芙美に挨拶した。そして、史織の仕事帰りを
待ち伏せ、自分の妻になればあの時の事は2人にとって良い思い出になると告げる。
綾公路は有馬家の事情を調べていた。新之介は帝大の講師に、珠恵も生活の為ではなく好きな
小説を書く。史織さえその気になれば家族の生活は自分が保証すると言う。
小説家の夢は断念した新之介にもなくしたくない夢はあった。史織の幸せだ。
家の前で見かけた綾公路は冷ややかな目をした男だった。
気に入らないが、もし史織が好きになったのなら兄として祝福してやらなければと思う。
今更ながら嫉妬の感情を覚えるのだった。
忌まわしい思い出を忘れるには、綾公路の言う方法が一番なのかもしれないと思った史織は、
求婚を受けると周囲に伝える。
しかし、浮かない表情の史織が綾公路を好きだとは芙美にはどうしても思えない。
綾公路の「身も心も私のものだ」という発言に、もしや2人の間には何かが起きて史織が結婚に
同意したのではと考えた。
芙美は、自分と武史のように無垢な身体ではなくても気にせず、心が大事だと思ってくれる人が
現れる。いたずらに運命に流されずに納得出来る幸せを掴んで欲しい、と史織に語りかける。
芙美に後押しされた史織が病院へ向かっている頃、昌平と綾公路は史織の件で口論していた。
「行為も立派な愛情表現だ。愛しているから抱いた」と言う綾公路、「無理やり汚したんだ」と
反論する昌平。
侮辱するような綾公路の傲慢な考え方に、「これが俺の愛情表現だ」と昌平は手元のメスを掴んで
綾公路に向かう。
史織は勇気を出して昌平に告白した。昌平も初めて逢った頃から史織に惹かれていたと伝える。
気持ちを確かめ合う2人。しかし、昌平は「馬鹿だった、遅すぎた」と血の付いたメスを床に落とし、
その奥では脇腹を刺された綾公路が発見される。
幸い命に別状はなく、綾公路としては事を荒立てたくなかったが、既に警察へ通報されてしまって
いた。
「女性に対する意見の食い違いであり、あくまで個人的な事だ」と綾公路は裁判で証言した。
人命を助ける立場の医者でありながら、人を故意に傷つける行為は許されるものではないと、懲役
8年が言い渡された昌平に、史織は何もかもこれからだと伝える。
本当に愛しているなら、自分の心に正直に振る舞うしかない。昌平の心が掴めたのだから、8年
なんて史織にとっては短いものだった。
有馬武雄・・・新之介と珠恵の長男。
有馬詩絵(うたえ)・・・新之介と珠恵の長女。
有馬忍・・・新之介と珠恵の次女。
秋月精一郎・・・劇作家を目指す青年。
1.
あれから8年。その間、史織は猛勉強して医師の資格を取り、昌平を待ち続けた。
その昌平と逢える日が遂に来た。
昌平の為に身支度する史織は美しかった。武雄・詩絵・忍の3人は史織と共に昌平を出迎える。
昌平に寄り添う史織の姿に、「叔母ちゃんが今日とても綺麗なのは好きだからなんだ」と思う詩絵。
あけみに挨拶に行く途中の列車の中、史織と昌平は暫し抱き合った。しかし、昌平に触れられた
途端8年前の綾公路との記憶が蘇り、史織の身体は恐怖で強張ってしまう。
小児科医長として昌平を受け入れる予定の園田病院では、既に「前科者の医者が来る」との噂が
流れていた。昌平はあけみに迷惑は掛けられないと申し出を断る。
何もかも解決して幸せになれると思っていた。愛しているのに触れられるのが怖いと思い悩む史織。
詩絵は父・新之介や兄・武雄を、いつも怒らず、自分では何1つ出来ない人間だと不満に思っていた。
父より母・珠恵の方が稼ぎが多いと馬鹿にされた詩絵は、級友と取っ組み合いのケンカをする。
ケンカを止めようとし、怪我がないかを心配する兄には「弱い人は嫌い」と文句を言った。
強くなりたい。父や兄のような優しいだけの意気地なしは嫌だった。
父が居るから小説が書ける、父は太陽、母は太陽に向かって咲く向日葵みたいなものだと母は言う。
父も兄も太陽じゃない。詩絵には理解出来なかった。
実業家として成功を収めていた新吾は、私立病院を建設するとして昌平への就職先を世話する。
昌平はありがたくその話を受けた。
まだ恐怖心が残っていた史織に、詩絵がもう昌平を好きではないのかと尋ねる。近頃は綺麗じゃ
ない、綺麗な方が素敵だと言う。昌平の全てを愛しているのに何を怖がっているのだろう、と
史織は思い切って昌平の腕の中に飛び込んだ。
ようやく結ばれた2人の目には涙が浮かんでいた。
ある日、詩絵と忍は川遊びをしていた。
妹達を武雄が心配そうに見つめる中、忍が足を滑らせて川に落ちてしまった。
詩絵は急いで川に飛び込むが、水は冷たく、忍が身体にしがみつく為に上手く泳げない。
大声で助けを呼んでいた武雄も、2人が流されて行くのを見て、かなづちであるのも構わず勇気を
出して飛び込んだ。必死になって泳ぎ、沈んでいく2人を捕まえると、水を飲みながらも着物の帯を
使って何とか橋の柱に括りつける。
救出が間に合わなかった武雄はそのまま流されてしまう。
武雄はもう目を開ける事なく12歳という短い生涯を閉じた。
「まだ謝ってない! お兄ちゃんは意気地なしじゃない!」と詩絵の泣き叫ぶ声が悲しく響くのだった。
2.
忍はもうすぐ15歳。何があっても挫けないで生きていく。それが、自分を助け、幼くして亡くなった
兄の為に出来る事だと思う。
皆に優しかった兄のように、誰にでも優しい人間でありたいと願っていた。
忍の級友たちは、今や「大和魂の母」と称されるようになった、作家・有馬珠恵の書く「死ぬ事は
美しい」と戦死する軍人の小説を愛読している。
母の作品なら、昔書いていた恋愛小説の方が好きだった。小説にはいつも『優しくて、野心が
なくて、ちょっと気の弱い男性』が登場していた。母は父と自分自身の物語を書いていたのだ。
それが兄が死んで以来、母の書く物はがらりと変わってしまった。何かを守る為に死んでいく
事の美しさ……まるで兄への鎮魂歌のようだった。
母はいつもイライラして八つ当たりをする。詩絵はそれが嫌だった。
小学校教頭の父は真面目一本やり、優しいだけで取り得がない。昔母が言っていた、父が母に
とっての太陽だという話も信じられなかった。太陽はもっと堂々としているものだ。
亡くなった兄は太陽だった。詩絵の為に全てを投げうってくれる人はそうは居ない。もし、そんな
人が現れたら、その人を見つめる向日葵になりたいと思う。
ただ、詩絵にとってあの時の兄以上の人が現れるとは、とても考えられなかった。
芙美と詩絵は武史の墓参りをする。その際、武史は太陽だったか?と聞かれ、芙美はそうだと
答えた。夫に対する愛情は勿論ある。しかし本当の所、この頃新吾の夢を良く見ていた。
生き続けるとは、自分の心の有り様の様々な色を見せつけられる事なのかもしれない。
その後、2人は以前手放してしまった旧有馬邸を見に行った。あすなろの話を聞いた詩絵は、
「檜になりたがるなんて愚かだわ、その代わり檜より良い木だと思い込めばいいのに」と言う。
いつか屋敷を買い戻してみせると意気込む詩絵は、キラキラと眩しくて太陽のようだった。
珠恵は武雄の死を引きずっていた。武雄が取り残されていくようで、詩絵や忍を愛していても
優しくしてやれずに辛く当たってしまう。
新之介が、武雄が却って悲しむからその分娘達を慈しもう、と言っても取り合わなかった。
愛し合っているはずなのに夫婦の心は離れていく。
知り合った劇作家志望の青年・精一郎の招待を受け、詩絵と忍は芝居を見に行った。
2人は、目元や雰囲気に兄の面影がある精一郎に逢いたかった。
世界中の男の目を惹きつけ、その中で一番愛してくれる人を選びたい。全てを捨ててくれるような
人との愛を望む詩絵。
誰も傷つけず、憎まず、穏やかな愛を育てて幸せな家庭を作りたい忍。
兄や家庭の影から離れられない。それなのに、全く正反対の考え方を持っていた。
『まだ分からないけれど、この気持ちはもしかして……』
これが、詩絵と忍に訪れた初めての恋だった。
3.
英語が苦手な忍は、英語で恋文を書くのが良い方法だと級友から聞く。「好きな人にいつか渡す
つもりで書けばいい」と言われて浮かんだのは精一郎の顔だった。
女優を目指す詩絵は、精一郎が所属する劇団の試験を受けて見事合格した。
ただ、演劇を志す事は偏見を持たれていた時代で、特に女は伝統もなく、人前で芸をするのは
恥さらしだと思う人間も居た。
新之介も「はしたない」と反対する。珠恵は反対こそしなかったが、突き放すような冷たい態度
だった。芙美は女優の道へ進む事の覚悟を確認した。
詩絵は「努力したい。女優の道に飛び込みたい」と決意を固くする。
初めての役を貰った詩絵は稽古に励んでいた。
精一郎は、他の劇団員から「ろくな本も書けない劇団の役立たず」扱いされるが腹も立てない。
「今に良い作品を書いて見返してやる」ぐらいは言い返してほしかった詩絵に、「自分の力を
信じていれば、他人から何を言われても気にならない。腹を立てるという事は、自分を侮辱する
相手と同じ次元までおりてしまう事だ」と言う。詩絵には理解出来ない。
「侮辱は侮辱。自分の力に自信があれば、尚更相手を許せない」と思う。
精一郎は、英語は苦手だがシェイクスピアの口語訳をしたいと忍に話す。
同じく英語を苦手とする忍も、何か書いてみてはどうかと言われて、以前級友との話題で出た
英語の恋文を書いて精一郎に渡そうと決心する。
いよいよ初舞台。衣装を台無しにされてしまうというハプニングはあったものの、奮起した詩絵は
機転を利かせて難なく演じてみせた。
「侮辱だと思えば悔しくなる。でも、その人達を乗り越えてみせると思えば腹は立たない」と精一郎の
言った事を理解した詩絵は、「あなたはきっと立派な作品を作ると信じる。だから、私が立派な女優に
なる道のりを見ていてほしい」と精一郎に伝えた。
そのやりとりを立ち聞きして詩絵も精一郎に惹かれているのを知った忍は、姉と争いたくないと
恋文を破り捨てる。
精一郎から初舞台のお祝いを貰った詩絵は、それをいつも控えめで何でも譲ってくれる忍に
あげたいと思っていた。
ただ、譲れないものが1つだけある。もし同じ人を愛してしまったら、それだけは譲れない。
詩絵はきっと全てを賭けて恋をするのだろう、と言う精一郎に、自分の為に全てを賭けて欲しいと
告白する。
詩絵が全てを賭けるなら、自分も全てを賭ける覚悟で答えなければならない。まだその覚悟は
ないが、答える時は全てを賭けるだろう。
これが精一郎の返事だった。
続きは明日にします。
「パラダイスキス」を教えてください
超大作乙
>あすなろ坂
力作乙です。
なんというか激しく女優遇のストーリーだねw
と思ったら女性作家か。納得。
石ノ森章太郎の「ゼルダの伝説」をお願いします。
源宣匠(ウォン・ソンジョン)・・・朝鮮人。新吾の会社『橋本運輸』の専務。
1.
時代は大正に入っていた。
劇場への詩絵の送り迎えは源がしている。源は初舞台以来詩絵を想い続けており、舞台がある時は
毎日最前列で詩絵への拍手を送っていた。
劇団の仲間からは恋人だと噂されていたが、詩絵の愛は変わらずに精一郎へと向けられていた。
精一郎は詩絵を主人公とした作品を書いた。演出家からは、面白いが主人公が個性的過ぎるから
書き直すようにとの指示を受ける。
詩絵は上手くはなったが、まだ芸の幅がない。詩絵への個人的感情を捨てろ、と言われて精一郎は
作品を取り下げる。捨てろと他人から言われて、初めて詩絵への強い感情に気づいたのだった。
満州の奉天にある日本人学校校長就任の話が来た新之介は、家族に相談せずにその話を受ける。
珠恵は日本を離れたくないと拒否し、思わず小説の稼ぎで生活して行けるのにと言ってしまう。
新之介はそれは絶対に嫌だった。
詩絵も女優としてこれからが勝負だと言って同行を嫌がり、結局、満州へは新之介1人で行く事に
した。満州へ同行すると言った忍には、家族の面倒を見てほしいと日本に残るよう頼んだ。
新之介は忍に「お前は優しい子だが、傷ついて強くなる人間も居る。傷つく事を恐れないで生きて
ほしい」と告げる。父自身を言っているのだと思う忍。
芙美は新吾を訪ねて、新之介の満州行きの話をした。見送りに行ってやってほしいという芙美の
頼みを、新吾は武史の位牌が見送るべきだと断った。
勝手な事をした、と部屋を出て行こうとする芙美の背中に、新吾は手を伸ばしかけた。
『ほんの少し手を伸ばせば……私達の人生は……』しかし、そのまま見送る。
芙美は芙美で、一体いつになったら夢から覚め、安らかな気持ちになるのだろうかと思っていた。
新之介は家族4人に見送られて、船で満州へ向かった。芙美の頼みを断った新吾も、少し離れた
場所でひっそり新之介を見送っていた。
精一郎は「自由な立場で書きたい物を書く」と、身の振り方も決めずに劇団をやめた。
ついて行きたいと頼む詩絵に、女優として大切な時期だからと劇団に残るよう説得するが、詩絵は
それなら死ぬと言って聞こうとしなかった。
精一郎は「一緒に生きよう」と詩絵を抱きしめ、2人は口づけた。
その2人の姿を忍が目撃していた。その日がいつか来るのは分かっていたはずなのに……と、
泣きながらその場を離れ、1人で姉の幸せを祈る忍。
精一郎と一緒にやめると報告しに行く途中、詩絵は忍の荷物が落ちているのに気づく。
その中に帳面があり、苦しい恋に悩む忍の想いが綴られていた。
忍の太陽も精一郎だった。自分が妹を苦しめているのかと思うと、まるで心に刃を刺されている
ようだ。それでも、詩絵は精一郎を愛し続けて行きたかった。
詩絵と精一郎は色々劇場を訪ねてみるが、詩絵だけなら大歓迎、精一郎の脚本の内容が良くない
など、良い返事は返ってこなかった。そんな時、銀座に大劇場『20世紀劇場』が建てられた。
それは源個人の資産で建てたもので、2人は劇場所属第1号の女優と作家になる。
源は詩絵の喜ぶ姿、大きく羽ばたく姿を見たかった。
そして、いつか詩絵を振り向かせて見せると思うのだった。
2.
20世紀劇場では作/演出・秋月精一郎、主演・有馬詩絵で舞台が行われていた。
第2幕の用意がされる中、憲兵より中止命令が下る。内容に軍人への侮辱があったというのが
その理由だった。
劇場の最高責任者である源は、客を待たせてはいけないとそのまま舞台の続行を決める。
憲兵は「スパイも多く、外国人は油断出来ない」と、源の生い立ちをネタに軍に楯突くなと言うが、
源は「橋本社長(新吾)には恩があるが、あなたたちには関係ない」と追い返した。
第2幕が始まった。源は詩絵の熱演を見ながら「逆境に強く、なずなのようだ」と忍に語る。
舞台は成功した。脚本が良かったからだと喜ぶ詩絵に、皆が頑張った、主演女優として皆にお礼を
言わないと、と精一郎は言う。詩絵が褒めてもらいたいのは精一郎だけなのだが、舞台にはチーム
ワークが大切だと、公私混同を避けたい精一郎は素っ気無い態度を取る。
詩絵はそんな恋人の態度に不満を覚えていた。早く、結婚しようと言ってほしかった。
戦記物を連載中の珠恵は、〆切りが3日も過ぎてるのに一向に筆が進まない。戦記物はもう書きたく
なかった。新之介が満州へ発ってからというもの、空虚感で一杯だった。
芙美が若い頃の新之介の着物を仕立て直している。それは新之介に良く似合っていた着物だった。
新之介と巡り逢えただけでも生まれてきて良かった、と思っていたあの頃の気持ちは何処へ行って
しまったのか。1人で逝った武雄に申し訳ない、と心を閉ざして愛を育てていくのを忘れていた。
珠恵は新之介に逢って、もう1度やり直したかった。しかし、新之介から便りは来なかった。
新之介は世の中を憂い、満州という土地で一体教育者として何が出来るのかと悩んだが、やはり
全力を尽くし、心を尽くす……それしかない。そして、珠恵に手紙を書き、意地やこだわりを捨てて
歩み寄ろうと決めた。
軍より舞台の上演中止命令が出された。悔しがる精一郎に詩絵は結婚してほしいと頼むが、まだ
自分は劇作家として力不足だと言われてしまう。敵役として軍人を扱わなければ演じられる、と
妥協案を挙げる詩絵に、精一郎は一切応じない。
結局、源の手腕で中止命令は撤回されたが、意地の張り合いで2人の仲は修復されなかった。
詩絵と精一郎を仲直りさせたい忍は精一郎の住まいを訪れる。酔って荒れる精一郎が突然忍に
抱きついた。精一郎への想いはまだ忍の心からは消えておらず、いけないと思いながらもほんの
一時だけ許してほしい、と流されるように抱き合うのだった。
3.
珠恵は意地を張るのをやめ、新之介の居る満州へ旅立った。
やはり女は愛の為に仕事を捨ててしまうと残念がる珠恵の担当編集者に、詩絵は結婚しても
仕事はやめないと言い切る。精一郎との結婚を夢見る詩絵。
詩絵と精一郎は相変わらずギクシャクしていた。
同僚の結婚パーティの席で、精一郎は詩絵に、恋人関係を解消して女優と脚本家の関係で
いようと告げる。愛したのは女優としてであり、女としてではなかったと気づいたのだ。
精一郎の謝罪に、詩絵は女優として堂々と演じなければ、と微笑んで別れを告げた。
詩絵にとって精一郎は全てだった。死ねるものなら死にたかった。しかし、死ぬ気力もなかった。
翌日。いつも通り迎えに来た源の前で、詩絵は無理にはしゃいでみせる。
昨日の事は夢だったのかもしれないと一縷の望みに賭けていたが、やはり夢ではない。
精一郎はもう自分を女優としてしか見ていなかった。
精一郎はいつの頃からか、忍と居ると心が安らぐようになった。
抱き合った一夜の事には全く触れようとはせず、精一郎を責めなかった。それがいじらしく、
女として見つめるようになっていた。そして、結婚を申し込んだ。
忍ははっきりした返答をしなかった。
詩絵と精一郎の別れは周囲で知られるようになった。噂では、スターになった詩絵が精一郎を
捨てた事になっていた。詩絵の耳にもその噂は入っていたが、それでも良かった。
明るく華やかに振る舞っていたい。傷ついていないと思わせたい。
寂しくても、安心してもらう事が最後に残された精一郎への愛の形だった。
忍は詩絵の気持ちを知っていながら、精一郎の愛を受け入れるわけにはいかないと両親の居る
満州へ行こうと考えていた。
それを知った精一郎は、忍に詩絵の件は2人で一緒に乗り越えて行きたいと話す。
詩絵はその会話を立ち聞きしていた。心から2人に幸せになってほしいと願い、髪を短く切った。
詩絵は源が自分に求婚するよう仕向け、見事成功する。
「やっと想いが通じたのよ」と婚約指輪を買いに宝石店へ向かう詩絵と源。
その本当に嬉しそうな詩絵の笑顔に、源を本気で想っているのだと忍は姉の幸せを喜んだ。
全て、忍と精一郎を安心させる為だと見抜いた上で、源は詩絵の芝居に付き合ってくれていた。
何故、何もかも見抜いてて付き合ってくれるのかと尋ねる詩絵に、源は「愛しているからだ」と
キッパリ答えた。
精一杯無理したけれど、もうダメ……と素直に泣く詩絵を源は優しく見つめていた。
秋月(有馬)みどり・・・精一郎と忍の長女。
サーシャ・・・ロシア人の孤児。さくらの家で下働きをしている。
(有馬)さくら・・・精一郎・忍夫妻が満州で身を寄せた家族の娘。
1.
大正8年、女優・松井須磨子が愛人を追って自殺した。取材を受けた詩絵は、愛する人が
死亡したらどうするかの問いに無言で返した。夫・源宣匠を愛しているが、全てではない。
愛する事と後を追って死ぬ事は別だ。
秋月家を訪ねると、精一郎は身重の忍を残して反政府集会へ行っていた。政府を攻撃する作品
ばかり書くせいで仕事は来なかったが、忍は主義主張を貫く夫を見ているだけで幸せだった。
詩絵は女優、夫は実業界の実力者と認められているが、詩絵は忍が羨ましかった。
精一郎にもしもの事があれば、忍は後を追うかもしれない。
詩絵は夫が死んでも強く生きていくだろう。愛が足りないのだろうか……。
庭に植えたあすなろを利用して、夏に生まれる忍の子の為に芙美は離れの部屋でお守りを作って
いた。そこへ、集会中に警察に踏み込まれて怪我を負った精一郎が逃げてくる。
精一郎は、国内に居れば罪人にされてしまう、と仲間の居るソビエトへの亡命を考えていた。
忍は足手まといだから日本に残すと言う精一郎に詩絵は憤る。
忍と子供の未来を守りたい。自分の事は忘れて幸せになってほしい。これが精一郎の望みだった。
詩絵は精一郎と源の会話を聞き、本心を知る。
男には男の愛し方があるように、女には女の愛し方がある。詩絵と芙美はお金とありったけの
金製品、それからあすなろのお守りと詩絵の出国証明書を用意し、忍を連れて港へ急いだ。
満州行きの船の乗客に忍を見つけて驚く源に、「厳しければ厳しいほど女の愛は育つ。私は
恵まれすぎて不幸かもしれない。でも、世界中で一番あなたを愛している」と詩絵が告げる。
忍の生きる場所は精一郎の傍しかなかった。精一郎は忍の決意を知り、2人は抱き合った。
奉天では、新之介と珠恵が監視の目を盗んで精一郎と忍に逢いに行った。新之介は父の形見である
日本刀を手渡し、『武士の生き方』を教えた。子供が男の子なら武士の生き方、女の子なら武士の
妻の生き方を教えると言って、精一郎達は馬車に乗り込んだ。
そして、緑萌える夏の満州で2人の間に長女・みどりが誕生する。
2.
翌年3月。精一郎は町で国境越えの相談をする。その際、郵便局で新之介宛ての手紙を出した。
手紙には「娘が生まれてみどりと名付けた」と書いた。しかし、追っ手はすぐ傍まで迫っていた。
忍は胸に抱いた娘の首にあすなろのお守りを掛け、あすなろの木の話をする。
仲良くなった孤児のサーシャも忍の傍らに居た。
自分達との別れを惜しむサーシャに、精一郎は刀を見せた。サーシャも母親に貰った金の指輪を
見せる。ロシア貴族の母親は、捕まる(ロシア革命?)前にサーシャを列車に乗せて逃がした。
サーシャは当てもなく1人歩き続けて、今の主人に拾われたのであった。
生活は楽ではなく、毎日こき使われて辛い思いをしているサーシャ。
精一郎は、「どれだけ耐えられるか試されている。試されれば試されるほど強くなっていける。
辛い時は、いつも『何かが見ている』と思えば乗り越えられる」と話す。
追っ手がやって来たのに気づいた精一郎と忍は、サーシャに別れを告げて橇で裏口から逃げる。
銃声が聞こえ、サーシャは夢中で吹雪の中を追いかけた。
馬が撃たれて橇が使えなくなった為に歩いて逃げるが、もうこの先は忍とみどりを巻き込めない、
と精一郎は1人先を急ぐ。
忍は追いかけてきたサーシャにみどりを託すと、刀を持って精一郎を追った。そして、精一郎を
助けようと憲兵に斬りかかり、撃たれてしまう。大人数相手では抵抗しても敵わず、精一郎も
銃弾を浴びる。精一郎と忍は寄り添い、みどりを想いながら雪の上で絶命した。
郵便局で出した新之介宛ての手紙がその場で破かれ、風に舞う。
一部始終を目撃していたサーシャは、何も分からず笑顔を見せる生後7ヶ月のみどりを抱え、
「みどりは僕が守る」と幼心に誓うのだった。
精一郎と忍の死は、奉天の新之介と珠恵にも知らされた。もう子供が生まれているはずだ、と
知人や軍関係者を訪ねるが、一向に行方は分からない。
新之介は絶対に孫を探し出して幸せにしてやりたかった。
芙美は武史の墓前で泣いた。忍の子供に逢えたら、忍がどんなに優しい娘だったかを教えて
やらなければ。性別すら分からないその子に巡り逢えるまでは死ねなかった。
みどりにはサーシャしか居ない。サーシャにはみどりと、精一郎・忍の心がある。サーシャは
みどりの為なら何でもする、と働いた。
サーシャは10歳、みどりは4歳になった。日本刀はさくらの母親に売られ、みどりのお守りも、
さくらのワガママで取り上げられてしまうが、代わりにサーシャは自分の指輪をみどりにあげた。
精一郎の残した言葉を胸に、貧しい暮らしの中でもサーシャとみどりは深い絆で結ばれていく。
3.
詩絵主演の舞台初日。詩絵の楽屋に訪れていた史織が、夫婦仲が良すぎて子供が出来ないのでは、
と冗談めかして言う。史織自身、子宝には恵まれなかった。
精一郎・忍の子は今も安否が分からず、詩絵が産まないと有馬家の血が絶えてしまうと長女の
責任を感じている。源は詩絵さえ居ればいいと言うが、詩絵は夫の子が欲しかった。
若くして逝った孫達、忍の子は行方不明、自分が何の為に生き続けるのか芙美には分からない。
武史の墓前で涙を流す芙美に新吾が声をかけた。
「まだこの世でする事が残っているから、神様が生かしてくれるのだろう」との新吾の言葉に、
多少気が晴れる。
昔は芙美が大人ぶっていたが、新吾はいつの間にかずっと大人になっていた。
2人は暫し遠い想い出の中に居た。兄妹のように戯れ、そして愛し合った懐かしい日々。
「もし、もう1度人生がやり直せるなら、何処からやり直してみたい? それから後に起こった
事は、全て2度と巡り逢えない運命だとしたら」新吾が質問する。
人生をやり直したら、武史との出逢いも想い出もなくなってしまう。
芙美は「やっぱりやり直せない」と答える。
「過ぎてしまえばただ夢のような月日でも、その時大切な瞬間がある。人生はやり直せるものじゃ
ない。だから、生きていく意味がある。死ぬ時になって初めて分かるものかもしれない。最期の
瞬間、生きてきて良かったと思えれば、自分の人生は生きる意味があった」
新吾は同意してそう語った。
芙美はこれから詩絵の舞台を見に行く予定だった。新吾も近い内に行くと約束して別れようとした
その矢先、地響きと大きな揺れに襲われる。関東大震災だった。
辺り一面火の海の中、足を痛めた芙美を新吾が抱えて川へ逃げる。川では満員状態の小舟が
出発しようとしていた。新吾は芙美を舟に乗せた。
いつも芙美を守るばかりの新吾は、「そうしたくて生きてきたんだからいい」と舟を押した。
芙美の目の前で橋が崩れ、火の中に新吾は消える。これが新吾の最期だった。
助けを求める子供が居た。その子を舟に乗せ、代わりに芙美が川の中へと入る。
新吾に守って貰った命だが、もういい。充分愛し愛されてこれ以上生きても何の意味もない。
……しかし、死ねなかった。新吾の言葉を思い出して、生きていく意味を探そうと思い始める。
救助活動をする源や詩絵に、朝鮮人達が暴行されていると連絡が入る。
群集心理は理屈では止められない、と仲間の所へ向かおうとする源を詩絵が引き止めた。
「卑怯者、臆病者になれと言うのか」と言う源に詩絵は「なってください、私の為に」と答えた。
源は「エゴイスト」と言って外へ飛び出していった。
愛する人を失いたくないというのは女の本能だと史織に慰められるが、信じ方が足りなかった、
自分1人が愛されたがっていたと詩絵は今までの自分を見つめていた。
これからでも遅くない、信じればいいと史織は励ました。
避難勧告が出た為に建物から脱出する最中、子供を助けて柱の下敷きになる詩絵。
脊髄を強打して半身不随になってしまう。
「たとえどんな身体になっても詩絵は詩絵だ。エゴイストでも気が強くても、そんな詩絵の全てを
愛したんだから」まだ意識の戻らない詩絵を見守りながら源が言う。
皆いつかは死ぬ。それなら、自分の残した血の行方を見届けよう。その傍で芙美はそう決心した。
4.
初秋。あかぎれで痛々しいみどりの手を取り、サーシャは「ダラゴーイ」と言った。小さい頃、
サーシャが怪我したり泣いたりした時に、母親がそう言って撫でてくれたのだった。顔は忘れて
しまったが、この言葉だけは覚えている。両親の記憶がないみどりには羨ましかった。
名前はサーシャも知らなかったし、さくらの母親には思い出したくもないと言われてしまった。
強く優しく温かいサーシャ。みどりとサーシャは、みどりが15歳になったら結婚する約束をした。
2人で理想の温かい家庭を想像する。15歳まであと6年だった。
さくらの母親は体調が悪く、いつも当り散らしていた。さくらは母親や貧しい生活の愚痴を言い、
「本当の母親がきっと迎えに来てくれる」と思い込むようになった。
サーシャは我慢出来る人間になると強くなれると言う。強くならなくていいから幸せになりたい
みどり。幸せになりたいと思えるだけいい、本当に絶望したら幸せになりたいという望みすら
なくしてしまうと語るサーシャを見て、この人にはきっとそういう時期があったのだとみどりは
感じ取った。我慢してサーシャのように強くなりたい、そして幸せになりたかった。
さくらの母親が死亡した。身寄りのない3人は全員、娼家・紅香楼へ下働きとして引き取られる。
サーシャは力仕事、みどりとさくらは掃除や洗濯などの仕事を受け持って懸命に働いた。
それから4年。みどりはあと2年で15歳になる。みどりが大人になってしまう前に、みどりの人生を
支える力を持たなくてはとサーシャは考えていた。
働いて金を貯めたいとサーシャは紅香楼の女将に相談するも、女将の返事は、給料を貰えるように
なるまであと2年は待て、だった。
女将はせっかく育てたみどり達をみすみす手放してなるものかと思っていたのだ。
新之介は骨董屋で何年も探していた形見の刀を発見する。出所を調べさせ、みどり達が住んだ家に
辿り着いた。近所で、住んでいた子供達は娼家へ引き取られたとの手がかりを得る。
無事なら13歳のはず。新之介と珠恵は先を急いだ。
さくらが腹痛を起こし苦しんでいた。みどりは医者を呼ぶよう頼むが、客を取るなら呼んでやると
女将に言われてしまう。サーシャは仕事で留守の為、女将は丁度いい機会だと思っていた。
客を取れば食べ物や着物を奮発すると言われてもどうしても嫌だったみどりは、サーシャに貰った
指輪を渡してどうにか医者を呼ぶ。しかし、盲腸炎だと判明して手術が必要だと知った女将は、
冗談じゃないと言い出した。痛がるさくらを見て、みどりは客を取るからと手術をお願いする。
着物に着替えたみどりは、客の待つ部屋へ連れて行かれた。震えが止まらない。
客に抱き寄せられて、思わずサーシャを呼んだ。サーシャがドアを蹴破って部屋へ入ってくる。
仕事から戻ってすぐにみどりの話を聞かされ、急いで駆けつけたのだった。
サーシャは客を殴り、2人は手に手を取って逃走する。この件はすぐ周辺の店へ伝えられた。
「足抜けしたらどういう目に遭うか見せてやる」
2人を連れ戻そうと、大人達は手分けして後を追った。
加納樹一郎・・・海軍中尉。みどりとさくらの級友・信子の兄。
1.
新之介と珠恵は、紅香楼の女将にみどり達のどちらかが孫だと話す。どちらが孫でも大金を
ふんだくれる損な話ではないと考える女将。
新之介達は入院中のさくらを訪れる。さくらはあすなろのお守りを首に掛けていた。
精一郎・忍のどちらにも似ていないと新之介は内心思うが、確かにそのお守りは芙美が忍に
持たせた物だった。
お守りはさくらが小さい頃から持っていたと分かり、新之介は「君は私達の孫なんだよ」と告げる。
さくらは、「ずっと待ってた」と珠恵と抱き合って泣いた。
橋の下に隠れていたみどりとサーシャは追っ手に見つかってしまった。幸せになんかなれないと
弱音を吐くみどりに、サーシャは夢を逃さないように心の中で育て続けよう、と励ます。
通りかかった小舟にみどりを乗せて、サーシャは追っ手の大人達に抵抗するが、揉み合った挙句
撃たれてしまう。そのまま川に落ちるサーシャ。みどりは紅香楼へ連れ戻された。
女将に折檻された後、みどりは「川下で白人の死体が上がったらしい」と客が話すのを聞く。
さくらから他の2人の話を聞いた新之介は、女将に掛け合ってみどりも一緒に引き取ると話を
つける。サーシャの生存を信じるみどりに、自分を誤魔化してはいけない、サーシャは死んだと
親しくする娼婦が言い聞かせる。サーシャへの想いが一気に込み上げ、みどりは泣き崩れた。
仕事の都合で新之介達は日本へ戻る事になり、みどりは有馬家の養女として歓迎される。
みどりとさくらは楽しい学校生活を送り、特にみどりは美人で成績優秀、そして奥ゆかしいと
級友の間で評判だった。さくらはみどりが褒められるのは悪い気はしなかったが、みどりが
幸せになったのは自分のお陰であり、常に1歩下がっているべきだと感じていた。
芙美はみどりに、あすなろの木や有馬家に嫁入りしてから今までの出来事を話して聞かせた。
そして、夢は叶うことではなく持つことが大切であり、人を好きになるなら「この人の為なら強く
生きられる」そう思える人を選びなさい、と教える。
サーシャと一緒に描いた夢を育てていく、「明日こそ」という気持ちを忘れずに生きていこうと
胸に刻むみどり。
みどり達は宿題で絵を描いていた。みどりが題材に選んだのは、サーシャと夢見た小さな家。
上手く描けないさくらが、みどりの絵の出来がいいから欲しいと言い出す。みどりは勿論断った。
さくらは恩知らずだ何だと騒ぎ立て、無理に奪おうとしたせいで絵が破れてしまう。
「絵の1枚や2枚どうだっていうのよ。あたしのお陰で助かったくせに」とさくらは謝りもしない。
みどりも限界だった。さくらが盲腸になった時の一連の出来事を話し、サーシャがあんな目に
遭ったのはさくらのせいだ、と非難するが、さくらの表情を見て我に返る。
一生話すまいと決めたのに、と怒りに任せて言ってしまったのを後悔する。
寝込んでしまったみどりは、熱にうなされながらサーシャを呼ぶ。
サーシャとの夢が破れ、サーシャがくれた金の指輪も手放してしまった。
「泣くんじゃないよ、これを代わりにあげるから」泣いているみどりにサーシャが指輪を渡す。
何故泣いているのだろう、何の代わりに指輪をくれたのだろう。
「頂戴」とさくらがみどりのお守りを取り上げ、自分の物にしてしまった。あの時の記憶が蘇る。
みどりは目を覚ました。あれは、みどりが身につけていたお守りだった。では、本当の娘は……。
しかし、これ以上さくらを傷つけてはいけないと秘密にしておくのだった。
2.
みどりはさくら、級友の信子と喫茶店で恋愛や結婚について語り合う。15歳という年齢は、早い
人は婚約を決める年頃である。みどりは結婚するつもりはない。今でもサーシャを想っていた。
信子が偶然外を通りがかった兄・樹一郎を呼び止め、みどり達に紹介する。
枕元で小説の読み聞かせをするみどりに、芙美は「あなたが忍の子なのね」と言う。以前から、
みどりの仕草や表情が忍に重なると思っていた。こうして、本を読む時の声もそっくりだ。
珠恵は小説家で精一郎は脚本家、そして忍も文学が好きだった。やはり血は争えない。
「誰かの犠牲になるつもりで自分の心に酔っているのだとしたら、決意が崩れる時が来る」と
芙美が忠告すると、みどりは「自分で決めた時点で誰の為でもなく自分自身の道だ」と答えた。
芙美はみどりの考えに納得して、その件は2人の秘密にした。
新之介もまた、みどりを見ると忍を思い出した。仕草や人に接する態度、雰囲気が良く似ている。
両方とも可愛い、2人の孫が出来たと思って慈しもうと思う新之介であった。
今や製鉄会社と運輸会社社長である源は、稼ぎ頭の軍需部門閉鎖を決めるが、それを考え直すよう
関係者に説得される。源は自社工場で銃や弾丸を作って軍に協力するのに嫌気がさしていた。
みどりは、朝鮮半島での日本軍に関する新聞記事を読む。孤児で小さい頃に日本へ来た源には、
半島の思い出は何もない。それでも自分の故郷なのだと源はみどりの前で涙を流す。
故郷に帰りたいかと尋ねるみどりに、源は「帰りたいとは思うが、愛する人の居る所が一生大切な
場所だ。詩絵の居る場所が俺の天国だ」と笑った。
みどりの方が皆に気に入られていると焦るさくらは、みどりが誰かを愛せば、サーシャを忘れて
自分の負い目もなくなるだろうと考えた。
そこで、みどりが家で樹一郎の話ばかりすると言いふらして、交際話が持ち上がるよう仕向ける。
樹一郎もみどりに一目惚れしたらしく、当のみどりを差し置いて周囲が勝手に盛り上がっていた。
そんな時、みどりと勘違いした芙美が「誰かに有馬家の本当の娘はみどりだと言っておきたい」と
さくらに話す。さくらは真実を確認するのが怖くて余計に焦るのだった。
とんとん拍子に話が進み、樹一郎は新之介達が同席した上でみどりに求婚する。
みどりは樹一郎をいい人だと思うが、結婚そのものを考えたことがないと返答した。有馬家での
樹一郎の評判は上々で、堅苦しく考えずにお付き合いしたらいいと勧められる。
憧れの人の婚約が決まり、自分ばかり惨めだと僻んださくらは、みどりは娼家に売られた身で、
客を取ったこともあると信子に話した。信子は樹一郎には到底話せないと悩み、級友に相談する。
ところが、みどりがそうならばさくらもそうなのでは、という話に発展してしまう。
その噂を知ったさくらは、みどりの仕業だと思い込み、学校帰りの道でみどりを責めた。
みどりは否定し、さくらは自分自身を不幸だと思い過ぎると指摘する。
それに対してさくらは、「幸せを横取りするな」「いつも周りの人間を不幸にする」「みどりを
守る為にサーシャは死んだ」「家から出て行け」と一方的に捲くし立てて走り去った。
その夜、みどりは家に帰りたくないと雨の中を1人ほっつき歩き、警察に保護される。
みどりを迎えに来た源は何も聞かず、「皆がみどりを大切に思っている。それを忘れたら皆が
寂しい思いをする」と言った。みどりはその言葉に救われ、もうこんなことはしないと答えた。
屋敷の前でうずくまる男が居り、何事かと源が自動車から降りて声を掛ける。名前を呼ばれ、男の
目的に気づいた時は既に遅かった。軍需部門の閉鎖決定以来、源への脅迫が続き、身辺には特に
気をつける必要があったのだ。「国賊め」の声と共に銃声が響く。
自動車から出たみどりに「出るな! 隠れて!」と源は叫び、みどりの目の前で銃弾に倒れる。
致命傷を負った源は詩絵に身体を支えられながら、最後に「愛してる、詩絵」と呟いた。
愛する夫を失って泣き叫ぶ詩絵の姿を見て、みどりの頭の中で昼間さくらが言った一言が響く。
「あなたはいつも周りの人間を不幸にするのよ」
3.
みどりはもうすぐ学校を卒業する。級友達の話題は、やはり卒業後の進路である。
信子は樹一郎のみどりを想う気持ちは良く理解しているが、満州の噂に拘っており、2人の
結婚話はなかったことにしたかった。
みどりは誰とも結婚出来ないと思っていた。中国やアメリカとゴタゴタが起こりそうな昨今、誰と
結婚してもその相手は戦死してしまう気がするのだ。
サーシャも源もみどりの為に死んだ。もし誰かを愛したら、その人もまたみどりを守る為に死んで
しまう気がする。
ロシア文学と朝鮮の歴史を一生の勉強にして、サーシャと源の為だけに生きていくつもりだった。
演出家としてバリバリ働く詩絵は、とても生き生きした女性に見える。
詩絵にとって源は生きがいだったはずなのに、何故だろうとみどりには不思議だった。
夫は精一杯生きた。その人生を充実させた何分の1かは詩絵自身だと自負している。
精一杯愛し愛され、2人の人生は何倍にも光り輝いた。今の詩絵は夫が残した遺産であり、詩絵は
遺産を磨いて生き生きと光り輝く事が夫の価値を高める、と断言する詩絵。
話を聞いて、愛とは何て強いものなのだろうとみどりは感じる。
誰かを命がけで愛してみたい、生きる為の愛を知りたいという気持ちが湧き起こるのだった。
学問に生きようと考えたみどりは大学を受験するが、残念ながら結果は不合格だった。
第1歩からつまづいて、自分の生きていく意味は何処にあるのかと悩む。
さくらは縁談で出逢った、男爵家の跡取りでノーベル賞を目指す学者・宮園に人生を賭ける。
卒業式の日、樹一郎が事故で危篤状態になる。みどりは手を握って必死に声をかけた。
やがて峠は過ぎ、樹一郎が目を覚ます。みどりの声が引き戻したのである。
自分が誰かの支えになれたと喜びを覚えるみどり。
信子がみどりの満州時代の噂、今も想い続けるロシア人の男の子が居る事などを話すが、樹一郎は
意に介さず「想い出ごと包んであげたい」とみどりに求婚する。
幸せになってもいいかとみどりはサーシャに呼びかけた。生きる為の愛を掴みたいと素直に思う。
みどりは樹一郎との結婚を承諾した。
さくらの結婚式に出席した新之介は嬉しさで一杯である。
しかし、その後に待つみどりの結婚を考えると、身を切られるように辛かった。
そしていよいよ、みどりの結婚も近づき、家族一同でみどりを祝福した。
各々お祝いの言葉を述べる中、新之介はみどりに持っていてほしいと形見の日本刀を手渡す。
皆、口には出さなかったが、みどりが精一郎・忍の本当の娘であると薄々気づいていたのだ。
みどりは刀を受け取って「幸せになります」と言った。
樹一郎との結婚式当日。式を行う教会に次々と招待客が訪れていた。
みどりは樹一郎の海軍の友人に紹介される。
その中に軍の通訳をしている男性が居た。サーシャだった。
1.
みどりはサーシャとの再会に涙を流して喜んだ。
ある日本人に救出されたものの1ヶ月生死の境を彷徨い、後を追って奉天を訪ねた時には有馬家の
人々は内地へ帰っていた。サーシャもそのまま引き取られて幸せな日々を送れた、との事だった。
「みどりの幸せを祈り続けてきた。祈りが通じた」と言われ、みどりはハッとする。
友人がみどりの想う相手だと知った樹一郎は、黙って2人を見つめていた。
その時、式が始まるとの声がかかる。
思わぬ再会に心が揺れるみどりの様子に、樹一郎は式を少し遅らせるよう頼み、別室に話し合いの
場を設ける。みどりがサーシャを選ぶなら引き下がるつもりでいた。
みどりと2人きりになったサーシャは、サーシャ自身も結婚を控えた身だと嘘をつく。
自分の存在は想い出になってしまったのだと落胆するみどり。
想い出の言葉「ダラゴーイ」は男の子に対して使われるものだった。女の子には「ダラガーヤ」、
ただ、古い言い回しで今は殆ど使われない。言葉、想い出、そして幸せも新しく生まれていく。
サーシャは「ダラガーヤ」と樹一郎の下へみどりを送り出した。
樹一郎が心配な信子、みどりとサーシャの結びつきを知るさくら、結婚を祝福する列席者が
見守る中、みどりは想い出ごと受け止めてくれる樹一郎との人生を選ぶ。
後日、樹一郎はサーシャから結婚話が流れたと聞かされる。みどりをすんなり渡す為の嘘だったの
ではと疑うが、深くは追求出来ず、良い縁談を探してやると約束する。
サーシャの幸せを願うみどりも、相応しい相手を見つけるべく張り切った。
しかし、どんなに良い条件の相手でも好みに合う女性は居らず、サーシャは断り続ける。
「サーシャはみどりを生涯唯一の女として愛しているのよ」さくらはそう言った。
みどりはいつしか樹一郎を心から愛し、生きがいになりたいと思うようになった。
樹一郎にとって、みどりは既に生きがいだった。
「女は愛を守る為に寄り添いたがる。男は愛する者を守る為に、祖国を守る為に出て行く。
この天と地の何処でも、お前の住む処が俺の祖国だ」と告げる。
軍事大国日本の歩む道が正しいかどうかは、いずれ歴史が答えてくれるだろう。
みどりは自分自身の歴史を愛の色で染めたいと精一杯尽くした。
そして、昭和16年12月。太平洋戦争に突入する。
2.
みどり・樹一郎共通の友人として、サーシャは時折加納家を訪れた。
「樹一郎は、みどりを愛すれば愛するほどみどりの為に戦う男だ」と言う。
女の為に戦う男が居るなら、女はその男の為に何をすればいいのだろうとみどりは思う。
出来るのはただ無事を祈って待つ事だけだ。
信子は樹一郎不在時のサーシャの訪問を快く思っておらず、みどりを非難する。樹一郎への愛情が
ないから子供が出来ないのでは、等と嫌味も多く、刺々しくなっていった。
義父(軍人)から突然の電話が入る。樹一郎の乗る戦艦が、海戦で米国巡洋艦の集中砲撃を受けて
沈んだ、という知らせだった。みどりは一時的に不安定になるも、ひたすら樹一郎の生還を信じて
待った。そのみどりの下へ電報が届く。
漂流中、日本船に救助されて基地へ帰着したとの樹一郎からの連絡だった。
戦局は次第に行き詰まり、日本軍は劣勢に傾いていた。
一時休暇で戻ってきた樹一郎も既に日本に勝ち目はないと悟っていた。しかし、国土や国民を守り、
少しでも有利な条件で終戦に持ち込む為には、最後まで徹底的に戦わねばならないとも思う。
「声が聞きたくなったら開けてみてくれ。俺の心はいつでもその中にある」とみどりの懐に遺書を
入れ、再び戦地へ発った。
そして、フィリピン沖で樹一郎が戦死したとの知らせが入る。みどりは今度も絶対に樹一郎が
戻ってくると信じたが、2度目はなかった。
東京も空襲の脅威を受けるようになり、みどりは敵機を見て呆然とする。アメリカに勝てるわけが
ない、もう生きていてもしょうがないと1人彷徨い歩き、駆けつけたサーシャに助けられた。
「私達は2人で1人だった。あの人が死んだら私も死んだのと同じ」と自暴自棄状態のみどりに、
サーシャは「2人で1人なら、君が生き続ければ樹一郎も永遠に死なない!」と力づける。
その腕の中でみどりは泣いた。
みどりは樹一郎の遺書を初めて開いた。その中には、「みどりと巡り逢えた運命へ感謝する」
「肉体は滅びても、みどりが生きる限り俺もその中で生き続ける」「みどりはサーシャと幸福の
道を歩んでほしい。生命かけて幸福になってほしい」などとあった。
樹一郎の心を知り、みどりは生きて行かなければと思うのだった。
3.
年が明けて昭和20年。サーシャが樹一郎の四十九日の為に加納家を訪れた。
信子は相変わらずみどりとサーシャの仲を疑っており、樹一郎の死を待っていたのだろうとなじる
始末。帰り際、みどりはもう家には来ないよう頼んだ。
サーシャは「君が僕の所へ来るか?」と返し、口篭るみどりに「愛している」と告白した。
一生でも待つと言い残し帰っていく。
誰かを愛してもいつかは死んでしまう。なくす事の悲しみに耐えられるのはこれでもう精一杯、と
みどりはこのまま密やかに年老いて、静かに死んでいきたいと思っていた。
みどりは町内での竹やり訓練に空しさを覚える。近所の主婦達は、みどりとサーシャの関係を
好き勝手に噂していた。家では信子が当て擦りを言ってくる。
その様子を見ていた義母は、加納家から籍を抜いて縁を切るようみどりに迫った。
それは、樹一郎亡き後、加納家に縛られる事なく自由に生きてほしいという親心からだった。
結局みどりは有馬家へ戻り、この先未亡人として生きるつもりでいた。以前、さくらに言われた
「周りの人間を不幸にする」という言葉が心に残っている。サーシャは小さい頃から苦労の連続、
源はみどりを守る為に、そして樹一郎も……。
「樹一郎さんはみどりと一緒になって不幸になったと言うの? 若死にしても幸せな人は居るわ」
いつ死ぬか分からないこの世の中、自分の心に素直になれとさくらはみどりに発破をかけた。
東京が大規模な爆撃に襲われる。有馬家の母屋は焼失してしまったが、離れだけは何とか無事
だった。あすなろの木が火から守ってくれたのだ。
みどりはなくす事を恐れすぎていた。なくすより、多くのものを掴もうと努力するのが生きる事で
あるのに生きる勇気を忘れていた。なくしたり、悲しんだりしても、明日こそはまた何かを掴もう。
樹一郎の1周忌が済んだら、サーシャの愛を受け入れて共に生きようと決心する。
8月、広島に原爆が投下される。もし日本が負けたら……と食卓で上った話題に不安になる中、
有馬家にサーシャが現れて、「約束が守れない。君を幸せに出来なくなった」とみどりに別れを
告げた。不可侵条約を結んでいたはずのソビエトが、突如日本に対して宣戦布告をした為だった。
サーシャは敵国の人間としてみどりの目の前で捕えられてしまう。
しかし、みどりはもう泣かなかった。愛した為に悲しみを知っても、愛した事を後悔せずに強く
生きていきたかった。
その数日後、日本は終戦を迎える。
10月末。有馬家の人々もそれぞれ動き始めている。
サーシャの行方は依然として分からない。一生でも待つと言ってくれたサーシャを、今度はみどりが
待ち続けるのだ。
待ち続けて……帰って来なくても、幸せだったときっと言い切れる。幸せは形ではない、明日こそ
と思う情熱こそが幸せなのかもしれない、と笑顔で語るみどりを芙美は眩しそうに見つめた。
『みどりは私の願いを受け継いで生きていってくれる。明日こそ檜になろう。なれないと分かって
いても、明日こそは……』
そう願いながら生きてきた芙美の人生に悔いはなかった。そのまま芙美は永遠の眠りに就く。
あすなろに新芽が出ていた。空襲で熱風に煽られたにも拘らず、あすなろは逞しく生きている。
ふと、みどりがその先に目をやると待ち望んでいた顔を見つけた。
みどりとサーシャは駆け寄り、強く抱き合った。
明日こそは……そう願いながら生きていく。今日も、そして明日も。《あすなろ坂 完》
妻━━━新吾──┬──芙美━━━━━武史──┬──妙━━━耕三 【太字は婚姻関係】
│ │
おきく──新之介━┯━珠恵===光太郎──史織━━━昌平
│ │
│ 綾公路──‐┘
┌───┼───┐
│ │ │
源━━━詩絵 武雄 忍━┯━精一郎
│
みどり━━━樹一郎===信子
│
さくら━━宮園 └────サーシャ
第9部はかなり端折ってしまいました。
>>199 読んでて「心広すぎ」「献身的すぎ」と思う男キャラは居ますね。
>>219 乙です
でも、有馬家の血筋って結局絶えてるんじゃ・・・
221 :
東京命日:2006/10/01(日) 18:00:16 ID:???
島田虎之介 全一巻 青林工社藝舎
12月12日。それは映画監督・小津安二郎氏(代表作・東京物語)が生まれた日でもあり
亡くなった日でもある。
彼の命日に墓参りのため円覚寺に集まるファンがいた。
その様子を撮るコマーシャル制作会社の新人社員、小林清。CF界の帝王安土四十六。
ストーカーの影に怯えるストリッパーの薮木ケイト、自分の母親は誰なのかと悩む戸田ナツ子。
同じ時間を生きる、それぞれの物語が小津の墓石の周りで動き出す…。
墓場を舞台にした群像劇?
>>222 要するに小津ファンの群像劇なんだけど、それぞれが問題を抱えてて
(小津ではない)身近な人の死を乗り越えて行くというお話です。
それぞれの話はバラバラかと思いきや、ところどころで重なったり
最後にはちゃんとぎゅーっと収束します。
難解ではないんですが、小津さんの映画の手法が大量に取り入れられた漫画で
読んだら衝撃受けることは確か。
>>220 まぁアレだ、芙美を起源にした女系の有馬家の歴史って感じだな。
緋の稜線みたいな話だなー
てゆーか、NHK朝ドラ的というか……。
明治あたりから世界大戦前後の話っつーと、
どうしてもこういう展開になっちゃうわなあ。
どのキャラも出生がやたらゴタゴタしてるのは昼メロっぽいな。
そういえば里中満智子の代表作のあした輝くも戦争がらみの話だったっけ?
そう。時代的には第二次世界大戦の始まるか最中か辺りから
戦後復興期くらいかな。
「バビル2世」と「まほおつかいミミッチ」を教えてください。
よろしくお願いします。
風変わりな注文かも知れんが
EAT-MAN16巻 ACT-64 16歳のストーリーを教えてもらいたいです。
その一話だけってんならEAT-MANのスレに言って聞けば誰か答えてくれそうな気もするが・・・
>>231 勿論最初はそう思ったんだが、EAT-MANどころか作者のスレすらない。
今その作者が連載してる漫画のスレもない現状なんだよ。
もう頼れるのはこのスレしかないのです。
>>232 うわっ、ほんとに無いな
仮にもアニメ化された漫画だし当時はガオの中でもそこそこの人気作だったと思うんだが
以前見た記憶があるんだが…と専ブラのログを漁ってみたら、
最後に取得したEAT-MANスレのログが2004年のものだった。
なんかちょっと意外だったな。
古林仁史の「星に願いを」をお願いします。
「男大空」と「CYNTHIA_THE_MISSION」をお願いします。
「金庫だよマリー その中に私たちの全てが入っている」
「あなたが大人になったら・・・16歳になったら見せてあげるわ」
16歳の誕生日を翌日に控えたマリーの前に現れた冒険屋ボルト・クランク
彼はマリーの父親に雇われたと言うが、マリーはあの男は本当の父ではないと否定する
マリーの死んでしまった本当の両親は科学者であり、現在共に暮らす義父アルフレッドはそのパトロンであった
両親の研究成果を軍隊に売っていたアルフレッドは莫大な金になるという金庫の中の情報を欲しがっていた
チェスが好きだった両親はマリーが小さい頃は優しかったが、何時からかとりつかれたように仕事にのめり込み死んでしまった
そんな両親をマリーは軽蔑しており,彼女を守る為に雇われたボルトを金庫の中身を金に変えたら雇い直し彼のからだの相手をすると言う
誕生日を迎えたマリーにアルフレッドは金庫の鍵は彼女自身の身体であり、それを傷つけないためにボルトを雇った事を告げる
更にアルフレッドは両親を薬漬けにして研究を強要させていたことも明かし、マリーに無理やり金庫を開けさせようとする
しかし金庫は開かず、ボルトがアルフレッドをやっつける 彼はマリーの本当の父親に雇われており真の鍵である彼女の代わりの銅像で金庫を開けた
そこにはちいさな頃のマリーと両親が写った写真と記録映像そしてトランクケースが
「16歳の誕生日おめでとうマリー! おどろいてるかな?」 「ほら、あなたったらこんなに小さかったのよ!愛してるわマリー・・・もちろん今も・・・」
「私たちからのプレゼントだ」 「今ならいい勝負が出来るだろ?」 トランクケースの中身はチェスセットだった
感動し涙を流すマリー「一人じゃ出来ないよ・・・・」
ボルトは彼女に上着を掛け「約束だ・・・・相手をしてもらおう」 終わり
こういうの初めてだったから疲れた
しかしなんでこの話を?
>>239 ありがとうございます!本当に感謝。
何故この話のストーリーを知りたかったのかというと
とあるサイトでEAT-MANがプッシュされてたんでコミックを集める事にしたんだが
俺の周りには8巻までしか置いてなかったのよね。んで特にそのサイトで評価が高かったのが
この話だったのでストーリーが知りたい、という訳です。
いやしかしやっぱボルトは格好良いわ
>>172-174 遅レスだけど、アベルとアーサーは双子という記述はありません。普通の兄弟。
あと、アーサーは最後に守るから云々とか言ってないです。
ジョージィが今までのいきさつを話し始めてアーサーと共に歩き出す感じで終わり。
>>241 訂正乙。そういえばちょっと前までやってたアニメでは一つ違いの兄弟だった。
その終わりかただと「ああ、このまま3人は家族になるんだろうな…」って匂わせつつ
あとは読者の想像にお任せて感じか。
それにしても最後の最後でうまくやったな、アーサーめww。
主人公のシンシアは香港マフィア伍龍会の専属暗殺者。
でも普段は背が低いのと若ハゲを気にする普通の女の子。
そんなシンシアと愉快な仲間達が血みどろの残虐ファイトを繰り広げるエログロ格闘漫画。
<高屋香苗>
シンシアが任務のため潜入した高校での友達。
普段は地味で大人しい彼女だが、自分に危険が及ぶと殺人鬼の人格“シイ”が表出する二重人格者。
とある事情で伍龍会の東京支部を皆殺しにしている恐ろしい女子高生。
なので、シンシア的には彼女を消さないと香港に帰れないが、シイが強すぎるので現在様子見中。
しーぽんと呼ぶとキレる。
<久我アラヤ>
シンシアが通う高校の女番長。でも大和撫子。
喧嘩が大好きな上に正義感。そして魔弾と呼ばれる相手の動きを全て見きる特殊能力の持ち主。
でもアマチュアなので、シンシアやしーぽんには及ばない。
<紫水ほたる>
シンシアが通う高校の教師。
でもその正体は相手の目を見るだけで心を支配する破心眼を持つ殺人鬼。
過去に何人も人を殺しているが、のうのうと学校で教師をしている。
と言うかこの学校は殺し屋だの殺人代行者だの殺人鬼だのロクなのがいない。
そんな感じで主要メンバーが色んな変態相手に暴れ回るだけの漫画。
現在はシンシアの無敵お姉ちゃんシベールが高校通って日和った妹を連れ戻すため
刺客を送り込んでみんなとルール無用の残虐ファイトをしているところ。
と言うか女子高生版バキ。
>>240 依頼主じゃないけど乙。かっこいいね。
>>243 乙。チャンピオンっぽい話と思ったけどちがうんだね。
245 :
171:2006/10/06(金) 00:48:03 ID:???
>>241 訂正ども。
数年読んでなかったんで結構脳内で作っちゃってましたね。
マインドアサシンお願いします
248 :
247:2006/10/09(月) 04:58:50 ID:???
この作品って基本的にショートエピソードばっかりなんだけどその辺も詳細に書いたほうがいいの?
わりかし似たような話が多いんでどうしても知りたい話があるとかじゃないのなら、
主要人物絡みの話だけとかに絞ったほうがいいかも。
まあその辺は書き手さんの裁量なんじゃないの?
頼んだ人の注文も特にないみたいだし
モテギ春恵のダーリンズのシリーズ
単行本未収録の結末話があった気がするのですが
どんな話だったかわかる人いますか?
なにせ昔の漫画なので恐縮ですが・・・
>>115 ものすごく亀になりすみません
ありがとうございました
というか4コマだったんですね
サイトの方を見て、本屋で平積みだったわけがわかりました
252 :
:マロン名無しさん :2006/10/11(水) 12:09:57 ID:wpm7eigy
わかりました
・わたしが死んだ夜
・円舞曲シリーズ
この2つを投下します。
クレアとエバは一卵性の双子。2人とも我が強くて仲が悪い。
周囲は羨ましがるが、頻繁に間違えられる本人達としてはとても迷惑な話である。
容姿だけでなく、スポーツも勉強もエバを引き離せない。抜いては抜かれる、これの繰り返し。
クレアはこれが何時まで続くのかとうんざりしていた。
ある時、母親にエバと間違えられた彼女は「見分けがつくのなら」と髪を短く切るが、エバもまた
同じように切っていた。どうして同じ事をしてしまうのだろう……。
高校生になった2人は、金髪が自慢の美人姉妹との評判だった。
クレアは2歳上の他校生・レインと出逢う。彼とは気が合い、デートする仲に。
ある日、姉妹のいとこ・エドウィンが家を訪れる。少し前に亡くなった祖母・エリザベスの遺品を
整理した際、祖母の前夫・ヘンリーの遺品も混じっていた為、彼は届けに来てくれたのだった。
(姉妹とエドウィンは血の繋がりはない)
その中には50年前に書かれた祖父の日記や写真等があり、姉妹は祖父の青春時代に興味を持つ。
美しい娘・エリザベスに一目惚れをしたヘンリー。
2人はデートを重ねるが、弟・アーネストに紹介すると弟も彼女を愛するようになった。
もっとエリザベスの心を掴んでから弟に逢わせるべきだったと後悔する。
今までも兄弟は事あるごとに衝突してきた。何故同じ物、同じ人物に惹かれるのか。
エリザベスが迷うのも無理はない、どうやって選べと言うのか。同じ顔に同じ声、親でさえ見分けの
つきかねる自分達を。このままでは殺し合いさえやりかねない。
兄弟はカードで決着をつける。揉めた時、最終的に使う手段だった。
敗者は永久にエリザベスから手を引く──この勝負に勝ったのはヘンリーだった。
弟は志願兵として欧州へ渡り、戦死する。
その2年後、エリザベスとの結婚を翌日に控えた所で日記は終わっていた。
見知らぬ青年に話しかけられるエバ。クレアが双子だと知らなかったレインが、勘違いをして
エバに声をかけたのだ。これをキッカケに彼女もレインに惹かれるようになる。
クレアはレインに、どちらをより好きになれそうか聞いてみるが、彼の返事はハッキリしない。
レインを取られたくない。エバさえ居なければ……。
写真では仲良く肩を並べているのに、本当は憎み合っていた祖父達。
クレアは祖父の遺品にあった拳銃を持ち出した。実弾を1つ込めて、地下室でエバとロシアン
ルーレットの勝負をする。敗者は永久にレインから手を引かなければならない。
勝者はクレアだった。弾が入っていたのは5発目で、そのまま行けばクレアが当たるはずだった。
残り3発の時、エバが恐怖で勝負を続行出来なかったのだ。
レインだけでなく、何に措いてもクレアと肩を並べる事は許さない、とエバは迫られる。
その日からクレアにとってエバは死んだも同然になった。
エバは髪を短く切り、レインを諦め、クレアより目立たないよう振る舞いだす。
何も知らないレインは気軽にエバに話しかけるが、彼女は「好きな人が出来た」と素っ気ない。
レインは、遊びに来ていたエドウィンとエバが和やかに話すのを見る。
エドウィンがその想い人なのだと察し、エバに尋ねてみた。彼女は否定しなかった。
カップルは暫くの間上手く行っているかに見えたが、クレアはレインから突然別れを告げられる。
彼はエバが好きだと気づき、彼女と同じ顔のクレアと顔を合わせるのが辛いと言う。
クレアは、勝者である自分がエバに劣るなんて許せない。
髪を短く切り、エバの振りをして1人暮らしのレインの所へ逢いに行く。
受け入れかけるレインだったが、目の前に居るのがクレアだとすぐに気づいて拒む。
激昂したクレアは、置時計でレインを背後から思い切り殴りつけた。
彼は頭から血を流し、倒れたままピクリとも動かない。クレアは自分の行為に呆然とする。
「愛していたのに、この手で彼を死なせるなんて……」と雪の中を彷徨い歩いた。
レインは頭に怪我をして入院したものの、命に別状はなかった。
自殺しようとしたクレアをエドウィンが何とか探し出す。興奮状態の彼女はその場で気を失った。
一昼夜眠り続け、目覚めた彼女に母親はホッとして話しかけるが、どうも様子がおかしい。
「あたしはエバよ」と返事するのだ。
エドウィンがエバにある物を手渡す。祖父の日記の続きである。
人目に触れさせる気になれない、と彼が遺品を引き渡す前に破っておいたのだ。
あの勝利はヘンリーがインチキをして得たものだった。
アーネストが欧州へ発った後も、エリザベスの態度はハッキリしない。弟へは婚約して幸福な
生活を送っていると手紙を出し、期待通り、最後の希望を打ち砕いた。
弟の戦死通知が届き、ヘンリーは1人勝利に酔いしれるが、その日から彼は鏡を見る度に不安を
感じるようになる。
『エリザベスと築き上げた平和な家庭。こんなものは幻だ!
鏡に映る死人の顔──私が追いつめて殺した弟の……。この手についているのはあいつの血だ!
アーネストが死んだ時、私も死んでしまった……』
事故で死ぬ前、かなりのノイローゼだった祖父。祖父達と同じ罠に落ちていた、死ぬまでクレアの
影から逃れられないかもしれないと嘆くエバをエドウィンは励ました。
続きを見せた理由は、「強くなって、クレアの分まで幸せを掴んでほしい」という思いからだった。
「レインはあたしが好きだったの。クレアじゃなく、このあたしが」
はずみとは言え、愛する人を殺すなんて可哀相と医者に話すクレア。母親が呼んでも反応がない。
躊躇いがちに「エバ」と呼ぶと、「なあに、ママ」と微笑んだ。
「あなたは今日から死んだも同じ」と地下室で高らかに笑った少女はもう居ない。
【終わり】
円舞曲シリーズ さいとうちほ
1.円舞曲(ワルツ)は白いドレスで
2.ハネムーンはタイフーン *ワルツ番外編その1
3.紫丁香夜想曲(ライラックノクターン)*ワルツ番外編その2
4.白木蘭円舞曲(マグノリアワルツ) *ワルツ続編
5.月下香小夜曲(セレナーデ) *マグノリアワルツ番外編
◎青樹湖都
ヒロイン。洋服屋の娘。ドレス作りが好き。
◎ウィリアム・サジット・アスター
英印ハーフで英国海軍将校。印独立派のスパイ活動をする。
◎鬼堂院将臣
海軍兵学校のエリートで鬼堂院男爵家次男。湖都の遠縁。
鬼堂院龍一・・・勘当された長男。貿易業に就く。
鬼堂院華子・・・長女。極度のブラコン。湖都の同級生。
鬼堂院男爵・・・鬼堂院家当主。海軍大将。
昭和10年5月。湖都は遠縁の幼馴染・将臣と婚約する。
親同士が決めた婚約で本人達の意思は無視なのだが、秀才で氷のような美貌を持つ将臣に幼少の
頃から密かに憧れていた湖都は、ときめきと不満、両方の気持ちを抱いていた。
その夜、龍一、華子と共に英国大使館の舞踏会に出席した湖都は、スパイ騒動に巻き込まれて
窮地を美青年・サジットに救われる。その彼こそ、スパイ活動をする英国将校だった。
怪我を負ったサジットを自宅に匿い、身の上話をするなどして急速に親しくなる2人。
別れ際、サジットは「また逢いたい」と言う。湖都も彼に惹かれており、逢いたいと思うた。
だがそんな時、湖都の父親が特高に目をつけられて暴力を受けてしまう。
結局、約束の時間を守れず、湖都が到着した時にはサジットの姿はなかった。
2ヶ月後、英国大使私邸でのパーティで2人は再会を果たした。
人目を忍んで抱き合い、口づけを交わす。抵抗しなければと思いながらも、ますます惹かれていく。
湖都は婚約者が居る身で、家族の為にもサジットを選べない。彼は別れを告げ、最後にもう1度
口づけをして去った。湖都は胸が潰れるような思いをするのだった。
行儀作法や花嫁としての心得を覚える為に湖都は鬼堂院家へ入った。
男爵には歓迎されるが、ドレス作りは反対だとミシンを送り返されてしまう。
客を10名集めたら認めてもいいと言われて張り切る湖都。
初めての客の紹介で、英国人女性・ダイアナのドレスを仕立てることになった。折り合いの悪い
華子の妨害を受けて服作りに難儀するが、意外にもそれまで冷たい態度だった将臣が協力する。
ダイアナは湖都の服を気に入り、2人目の客になってもらえたが、そこで偶然英国軍が仕掛けた
サジットへの罠に関する話を聞く。
湖都はダイアナの忘れ物を大使館へ届けに行き、その機会を利用して将校の住む建物へ忍び込む。
危険を知らせる手紙を持ってサジットの部屋へ入るが、その場で捕えられてしまう。
手紙は白紙だった。湖都が将臣を裏切っていると感じていた華子が中身をすり替えたのだ。
本物を将臣へ手渡し、裏切りの証拠だと説明した。だがそれよりも、将臣は英国軍内の騒動に
首を突っ込む湖都の行為が危険だと言う。
華子は、将臣が湖都に恋愛感情を抱いていると指摘する。
湖都への愛を初めて自覚した将臣はサジットと逢う。横浜港へ向かったと思われる彼女を助けに、
2人は一時的に行動を共にする。
何とか危機から脱出した湖都は、罠が仕掛けられた横浜港に到着していた。
湖都は再会したサジット達と協力して印独立派リーダーを助ける。軍に命を狙われたサジットは海へ
飛び込み、そのまま行方不明となる。
今度帰宅した時に結婚する、『父の』ではなく『自分の』意思で決めたと湖都の頬に口づけ、将臣は
兵学校へ戻っていった。頬に触れた彼の唇はとてもヒンヤリしていた。
湖都はサジットの生存を信じた。だが、龍一と訪れた外人墓地で彼の墓を発見する。
現実を突きつけられ、他のことを考えようとドレス作りに精を出した。湖都の客は10名になった。
2.26事件の起きた直後、湖都は将臣と結婚する。
自分で作ったウェディング・ドレスを着る夢も、サジットも諦めなければならなかった。
時を同じくして、横浜港に1人の男が降り立つ。上海の宝石商に扮したサジットだった。
初夜を過ごす為に湖都は横浜のホテルを訪れるが、将臣が突然体調を崩す。医者を呼びに部屋を
出た湖都の目の前にサジットが現れ、後を追ってきた将臣と乱闘騒ぎを起こす。
サジットは迎えに来ると湖都に告げてその場から逃走した。
今でも愛し合う2人を許せない将臣。騒動の取材を受け、『サジットが3月17日の日英親善パーティに
来るなら妻を譲る』と新聞に書かせる。
将臣には湖都と離婚する気もサジットへ渡す気もない。目的は会場へサジットを誘き出すことだ。
とことん自分を憎めと言う将臣に、湖都は戦う意思を見せる。戦って勝てば彼を憎まずに済む。
湖都は親善パーティ用に堂々と誇れるようなドレスを縫った。
パーティ当日。将臣の気が変わり、湖都は部屋に閉じ込められてしまう。その湖都を逃がしたのは
華子だった。暴走する将臣や家に縛られる湖都を見ていて、このままではどちらもダメになると
感じたのだ。湖都は華子に感謝して横浜にあるホテルへと急行する。
待ち構える英国軍や白い目で見る招待客。四面楚歌の中、湖都は胸を張ってサジットを待つ。
そこへ堂々と恐れることなくサジットが登場した。湖都の手を取って優雅にワルツを踊る。
物陰から銃で狙う将臣や余裕だと高を括っていた軍の目を盗み、2人は会場を抜け出した。
協力者達が横浜港で待っていた。乗船予定の上海行きの船は30分後に発つ。
追手の動きを警戒する2人の前に将臣が現れた。隙を見て湖都を捕え、銃を突きつける。
ボートにサジットを1人乗せ、湖都を置いてはいけないと言う彼に銃口を向けた。その将臣を制し、
湖都は自分を撃つよう命令した。
憧れていた相手に撃たれるなら幸せだと泣く湖都。将臣は彼女に口づけて愛を告白する。
そして、2人が行くのをもう止めなかった。
湖都が必要なんだと思っていたと話す龍一に、もう先は長くない身体だと将臣は打ち明ける。
彼女を縛りつけるわけにはいかないと諦めたのだ。海を眺める彼の目に光るものがあった。
【終わり】
【番外編 ハネムーンはタイフーン】
詐欺師に引っかかったらしく、湖都とサジットが乗った客船は何故かバンコク行きだった。
おまけにトランクは届かず1文なしになってしまう。2人は部屋を追い出される羽目に。
バンコクまでの10日間、何とか資金を作ろうと湖都は船内で出来る仕事を探す。そこで出逢った
イギリス人・ナイジェルにメイドの話を持ちかけられた。彼はサジットの腹違いの兄だった。
ナイジェルは内心弟に恨みや嫉妬心を抱き、カップルの仲を引き裂こうと企むが、サジットは
その誤解を解いて兄弟は和解する。
弟達のハネムーンの為に、とナイジェルは自分の部屋を提供するのだった。
昭和12年、ハルピン。将臣は松花江で少女を拾い、顔見知りのロシア人医師へと託した。
将臣が消えた後、少女は即効性のある毒薬を作るよう医師に頼む。
同じ頃、将臣の上官・神大佐に、王女・麗香(リーシャン)が日本の華族との結婚式から逃走した
と報告が入っていた。将臣は大佐からその話を聞き、急いで少女の所へ戻る。
男2人と侍女・メイリンの遺体が上がったと伝えると、彼女は震える手で茶を飲もうとした。
ただならぬ様子に、将臣は彼女が茶に毒を仕込んだと気づいて取り上げる。
医師に作ってもらった薬だと分かり、その茶を一気に飲み干した。死にたがる者には眠り薬を、
死期が近い者には胃薬を寄越す、と苦笑する将臣。自分が眠る間に逃げるよう促した。
1年経った今でも駆け落ちした湖都の夢を見る。ライラックの香りが鼻腔をくすぐり、ピアノの音を
聞く……目覚めた将臣が見たのは、ノクターンを弾く髪を切った王女の姿だった。
行く所のない王女は少年に扮して将臣の使用人となる。彼女の存在は将臣に良い影響を与え、
彼女自身も楽しく毎日を過ごした。湖都と結婚した時の写真を見て、2人の時は『こと』と呼んで
ほしいと頼む彼女に、将臣は写真を返すよう言うだけだった。
先日死んだのは麗香王女の方だったと判明した。
街中に居たメイリンは一緒に働いていた仲間・佛格(フーゴ)と再会する。日本と戦おうと言う
彼から逃げ出すが、『メイリン』の名に反応した軍人に捕えられてしまう。
王女の為なら死ねると囮になったのに、彼女を守れず自分だけ生き延びてしまった……。
経緯を大佐に話した将臣は、麗香王女として翌晩結婚式を挙げる予定のメイリンを訪ねた。
彼女は部屋に居た全ての者に眠り薬を混ぜた茶を振舞い、ピアノでノクターンを弾いてみせる。
逢いに来てくれた将臣と2人きりになりたかったのだ。
将臣は逃げようと説得するが、彼女は今が幸せだと拒んだ。
そこへ佛格が現れて銃を放つ。弾は将臣を庇ったメイリンの腹部に命中した。
将臣は佛格に斬りかかり、必死でメイリンに呼びかける。今度こそ大好きな人を守れたと彼女は
笑顔を浮かべた。そして将臣に囁いて口づけると、そのまま息を引き取った。
「あたしのほんとの名前は…霧島こと──といいます…」
胸に抱きしめた彼女を思い、将臣は泣いた。
【終わり】
上海で結婚式を挙げた後、サジットは単独渡印し、湖都は小さな洋服店を営みながら帰りを待った。
友人の1人・シャーロットが、上海の英国社交界の知人を招いてパーティを開いた。彼女の協力を
受け、湖都はパーティで自作のドレスを展示する。
パーティでは龍一と再会した。あれから半年、将臣が海軍少尉になったと知る。持ち込まれる
縁談を、彼は「一生結婚するつもりはない」と全て断っていた。
また、そこで初めてサジットの父で印・総督のアスター卿と対面する。彼は息子と湖都の仲を認めて
おらず、しかも息子が独立運動に関わっていることに責任を感じて、総督の地位を退いていた。
卿の要求を拒否した湖都は英国軍司令部へ連行され、尋問中に倒れてしまう。彼女は妊娠していた。
翌年1937年(昭和12年)3月、長男・真(シン)が誕生する。
その頃将臣は、海軍情報部でサジット・湖都夫妻に接近するよう命令を受ける。印独立運動を後押し
して、英国に打撃を与えたいと上官は考えていた。任務を拒否し、最前線へ行きたいと将臣は望む。
8月、上海事変勃発。間もなく戻るはずのサジットを待って上海に留まる湖都を、アスター卿が
訪ねた。湖都が友人と上海脱出の相談をする隙に、「子供はインドで養育する」と置手紙を残して
真を連れ去ってしまう。
略奪で荒れ果てた店。息子を思いながらへたり込んでいると、その前に将臣とサジットが現れる。
初めて息子の存在を知ったサジットは、必ず父から取り戻すと約束する。
将臣は湖都と再会すれば逆上するかもしれないと考えていた。だが実際は、1年前と同等若しくは
それ以上の気持ちを抱いた。彼は任務を引き受け、2人と共にインドへ行くと決心する。
息子を返してほしければ、独立運動から手を引くこと。英国軍情報部大尉・シモンズが卿の意思を
伝えた。サジットは反英分子としてブラックリストに載っており、インド行きの船に乗っただけで
逮捕もある。
独立運動のリーダーと逢わせることを条件に、外交特権の特別パスを持つ将臣が同行を持ちかけた。
船では3人で1部屋が割り当てられた。将臣はサジットの居る前で今は湖都が大嫌いだと宣言して、
今回はあくまで任務を成功させて昇進するのが目的だと告げる。
独立運動や真の件で一時的に仲違いもするが、湖都とサジットは互いへの愛を確認し合う。
入国審査を何とかパスして、卿の別荘があるアーグラーへ到着。一行はタージ・マハルでネタージ
(指導者の意味)と顔を合わせる。
その夜、父子の問題にケリをつけたいと別荘に忍び込むサジットだったが、逢えたのも束の間、
卿は心臓発作で急死。後を追ってきたシモンズ率いる英国兵に捕まり、アラハバードにある英国軍
本部で激しい拷問を受ける。一方、サジットの帰りを待つ湖都の目の前で将臣が倒れた。
疲れが良くないと医者から注意を受け、湖都は将臣の身体の具合が悪いことを初めて知る。
ネタージの使いが2人を訪ねてきた。湖都はアラハバードへ乗り込み、シモンズと揉み合いになった
所を独立派メンバーを連れた将臣に助けられる。その際、サジットは母の住むシュリーナガルへ
行けと言い残し、シモンズと共に河へ落ちて行方不明になる。
将臣の任務は、独立運動視察および彼らと友好関係を結ぶこと。連中についていき、当分あちこちを
廻らなければならない。1ヶ月後に合流すると告げて将臣は発った。
湖都は案内を雇って単独でシュリーナガルを目指し、真の誘拐事件など色々あった末に、ようやく
家族との再会を果たす。
シュリーナガルに滞在中の家族3人は、穏やかで幸せなひとときを過ごしていた。そこへ、会合での
演説依頼にネタージがやって来る。サジットは話を受け、会合を無事に終えたら必ず運動から身を
引くと湖都に約束する。
だが当日、控え室に居た湖都とサジットをシモンズが狙っていた。銃撃されたサジットは、会場に
駆けつけた将臣に妻子を託し、そのまま命を落とす。
2週間後、湖都達は上海行きの船に居た。サジットの死を湖都はなかなか受け入れられない。
出逢いからわずか2年半。夫を失った苦しさに負けて死を選ぼうとする彼女を、死ぬのは許されない
ことだと思い止まらせたのは将臣だった。
5ヶ月ぶりの上海は日本軍の警備下で復興が始まっていた。何かに熱中していないと気が狂いそうで、
湖都自身と真が生きていく為にすぐにでも店を再開させたかった。
昇進が決まった将臣は、半年前まで居た満州国ハルピンでの諜報活動を命ぜられる。将臣の身体と
湖都との仲を心配する龍一には、死が近い自分が気持ちを打ち明けて、サジットの時と同じ苦しみを
彼女に味合わせるわけにはいかないと告げた。
友人達や真の存在、毎日無我夢中で働いたお蔭で湖都の心は少しずつ癒されていく。
そんなある日、涙を流す龍一の姿を見る。神大佐から将臣が倒れたと連絡が入ったのだった。病を
知るのは大佐と龍一だけ。彼は口止めの約束を破り、将臣は白血病で余命1年と話す。
宣告は2年前、湖都と将臣の結婚式の日。愛していたからこそ、サジットと共に行くのを許したのだ
と知らされた湖都は衝撃を受ける。龍一は軍から身を引くよう弟への説得を湖都に頼んだ。
真を龍一へ預け、湖都はハルピンへ。将臣の拒絶にもめげずに、看護婦見習いの職を得て働き出す。
絶対に彼が同意してくれると信じた。
仕事帰り、将臣の同僚と同車する湖都。男は彼女が将臣の元妻だと気づいており、捨てた男に相手に
されない女と侮辱して襲いかかる。彼女は危うく難を逃れるも、極寒の中に放り出されてしまう。
この件を知った将臣は「湖都は俺の妻だ!」と激怒し、彼女を探しに行った。
このまま死ねば楽になれるかもと1度は考えるが、気持ちを奮い立たせて湖都は歩き出す。そこへ、
彼女を探しに来た将臣が現れる。2人は夏に使われる狩り小屋へ行き、火をおこして冷え切った
身体を温めた。将臣は湖都に対する本心を打ち明け、もう近づかないと告げる。湖都は将臣が
必要だと必死に彼を引き止め、初めて2人は結ばれる。
パーティで正式に湖都を妻だと紹介した将臣は、彼女の為に一緒にワルツを踊った。
その後、将臣は退役する。サジットの時は無理だったが、湖都は今度こそ最後まで看取るつもり
だった。龍一は上海へ戻ってきた幸せそうな2人の姿を見て安堵する。
そして翌年2月、将臣は23歳でこの世を去った。
第二次世界大戦勃発。ワルツも貴族も軍人も、優雅な古き世界は崩壊する。
戦後復興が始まってから6年経過した東京。働きづめで倒れた湖都を見舞いに来た龍一と華子は、
長男・真と次男・和臣が喧嘩をする所に出くわす。父違いで兄ではない、と和臣が真に憎まれ口を
きいたのだ。一番近くで見てきた龍一が、湖都・サジット・将臣の関係について詳しく話してやる。
大人になろう、と仲直りした兄弟は母の部屋を覗き見た。
母と、彼ら家族を長い間見守ってきてくれた龍一の結婚を期待しながら。
【終わり】
1938年(昭和13年)、上海。退院した将臣を湖都と龍一が迎えに行った。
表面上は元気に見えるものの、病は手遅れなほどに進行している。安静を保ち、夜の生活も控える
よう注意を受ける。
香る花を好む将臣の為に、湖都は夏の夜に匂う花・月下香を部屋に飾っていた。彼と2人きりになる
(息子・真も居るが)のは久しぶりだった。
将臣は湖都を求めた。彼にとって大事なのは生きている実感──湖都に触れることなのである。
サジットを決して忘れてはいないが、今は将臣との生活が大事だ。痩せた白い肌を抱きしめる度、
もうすぐ命の灯が消えるかと思うと気が急く湖都。そんな時、妊娠が判明する。
男爵が華子を伴って上海を訪れた。憤慨する彼らは帰国するよう将臣に強く迫る。家に泥を塗り、
他の男の子供を産んだ女を嫁として再度迎えるわけにはいかないとの考えだった。
湖都は妊娠を言い出せない。
家族3人で写真館へ行った帰り、将臣は用事があると言って1人別れた。帰宅した湖都は置手紙を
見つける。これが帰国する最後の機会。父妹のことや湖都の将来を考えて、彼は別れを決断した。
港へ急ぎ、湖都は「子供が出来た」と叫ぶが届かない。何も知らずに帰国してしまった将臣に何通も
手紙を出すも、全て華子の所で止まっていた。拒絶されたと落ち込む湖都。
半年間上海を留守にしていた龍一が湖都を訪ね、切羽詰った時に何をしているのかと叱咤する。
何より怖いのは、離れたまま将臣が死ぬこと。目が覚めた湖都は、子供を抱いてもらいたい、と
龍一と共に帰国する。
将臣の逗留する伊豆へ向かう途中で陣痛が始まる。同じ頃、将臣は湖都の妊娠を初めて知り、
気づいてやれずに辛い思いをさせてしまったと熱を押して馬を走らせた。
覚悟したはずなのに湖都と暮らす内に死ぬのが怖くなっていき、これ以上一緒に居たら無様に
なるからとあの時は逃げた。執着する相手が居るからこんな思いをする。面倒なことではあるが
今の自分自身が好きだと、好きな相手で心を満たせば幸せに死ねる気がすると、再会した龍一に
彼は告白する。
湖都は無事男児を出産し、将臣と互いの手を取り合って微笑んだ。だが、将臣の体調が急変する。
彼は『和臣』と命名した我が子を胸に抱き、「ありがとう」と感謝して息を引き取った。
【終わり】
はげ乙。
少女漫画のストーリー書いてくれる人には長文大作が多くてうれしい
>>266 ども。
もっと簡潔にしたいんだけど、どうしても長文になってしまう・・・
円舞曲シリーズ自分も書こうかと思ってたけど
うまくまとまってて乙。
将臣はツンデレだなぁ。
さいとうちほってもっとのほほんとした漫画描く人なのかと思ってた。
なんとなくイメージで。
レディコミ一歩手前の少女漫画家ですよw
なんというか昼ドラっぽいね。
この間の長編少女漫画と似た感じ。
少女漫画に出てくる男は
男の視点から見るとすごく不自然で
女に甘く、理解があり過ぎる
二股しても簡単に許すし
俺のダディはそんな感じだけど
少年漫画に出てくる女も
女の視点から見るとほとんどエイリアンだがな。
俺のワイフはあんな感じだよ
幻を見て生活してるんですね
この流れにワロタw
そういうこと話すスレがあったよ確か
「ぎるど見聞録」と「ピースメイカー インクピンク」をお願いします。
まとめサイトの未解決欄
「勇午」「源氏」「キャットストリート」は既に紹介されていますよ
ゆびさきミルクティー教えて
未解決の「まにあってます!」投下します。
男所帯の一ノ蔵家に、一千万の借金のカタに売られてきた少女・北野誉(きたの・ほまれ)。
売られてきたと言っても、誉の父とは友人である一ノ蔵のおじさんは、
あくまで、マグロ漁船に出稼ぎに行った誉の両親が一千万を用意して戻ってくるまで預かるだけ。
男だらけの家に、女の子がやってくる、と、ウキウキして誉を迎え入れる。
しかしやって来た誉は、超ゴーイングマイウェイの珍獣不思議系女子高生。(高1)
一ノ蔵家の三兄弟、長男・正宗(高3)、次男・芳水(高2)、三男・初日(中2)は
エリートのイケメン揃いで、誉は「酒池肉林…!」とうっとり。
特に長男の正宗に運命を感じた誉。
メイド服を着て、一ノ蔵家の手伝いをしようとするが、
料理も掃除も壊滅的にだめだめ。
正宗が溺愛している猫の蘭蘭(ブサイクだが正宗は可愛がっている)とは
やってくるなり格闘を繰り広げる。
誉が可愛くて仕方ない一ノ蔵父と、誉がやってきた状況を楽しんでる初日はともかく、
正宗と芳水は頭を抱える。
三兄弟が通ってるエスカレータ式の学校に編入することにした誉。
エリート校の試験に受かるわけない、と思っていた正宗だが、意外にも誉は満点で試験に合格。
かくして正宗たちと同じ学校に通うことになった誉だが、
この学校は最近共学になったばかりで、中高合わせて女子生徒は誉だけだと言う。
誉はまたしも「逆ハーレム!」とうっとり。
そんな男の園に編入した誉だが、折角の女の子が来ても
恥じらいも何もない誉ではいまいち喜べない男子生徒たち。
一ノ蔵三兄弟は学園でも一目置かれており、特に生徒会長で剣道部主将の正宗は、
硬派で女っ気もない、ということで男子たちからも慕われていた。
しかし、誉が一ノ蔵家でメイドをしていると誉が勝手に喋り、
正宗はメイド萌えのレッテルを貼られたり、誉が剣道部のマネージャーになったりで、
学校でも正宗の気苦労は絶えなくなる。
何故か誉を賭けて他校のライバルと剣道勝負することになったり、
そのせいで誉にファーストキスを奪われたり、
誉からの逆セクハラに耐えながらも、次第に誉に対し
愛着が湧いてくるようになったかもしれない正宗。(動物的感覚で)
そんな時、誉の両親がなんでも鑑定団みたいな番組で、
海で拾った壺が一千万と鑑定され、急に借金を返済できることになる。
誉の両親は、親子3人で田舎で農業でもすると誉を迎えに来る。
そうなると一ノ蔵家のみんなとはお別れ。
誉は正宗に未練を見せるものの、あっさりと一ノ蔵家を出て行く。
誉が出て行って、急に気が抜けた正宗。
しかし家に誉の忘れ物の下着が残ってた。
それを届けに行くついでに、一千万を受け取って来い、と一ノ蔵一家は正宗を送り出す。
北野家の元まで出向き、正宗は誉と再会するが、誉は相変わらずマイペース。
肝心の一千万だが、誉の両親はわざわざ現金で用意しており、
なんと受け取る前に、ヤギに札束を食べられてしまった。
かくして、また誉を置いて出稼ぎに行く誉の両親。
誉は一ノ蔵家に舞い戻ることに。
正宗は誉に新しいメイド服を支給する。(前のメイド服は誉がスカートを短くしてボロボロだった)
一ノ蔵家の騒がしい日々はまだまだ続きそうである。
おわり
(ここで一応終わりですが、作者は続きを描くかもしれない、とのことです)
284 :
マロン名無しさん:2006/10/16(月) 12:31:51 ID:BWr/7AAj
乙です。
急いでヤギの腹を裂いて札束だったグチャグチャを銀行に持って行けば
ちゃんとしたお札に交換してもらえるのにな。
>>284 一応、ヤギの糞を漁ってたけど無理だったようです。
冬木るりか「アリーズ」お願いします。
長いのでつらいようならまとめてでもかまわないので、どんな話でどう終わったのか知りたいです。
砲神エグザクソンをお願いします。
ゴルゴ13の第288話「ロンサム・ジョージ」を教えてください。
なんでなんだぜ?
「呪いのホクロ」という漫画のあらすじを希望します。
途中まではうっすら覚えてるんですが、最後にどうなったか…
「聖剣伝説レジェンドオブマナ」まだ未解決でしたら予約します。
ただ、自分が細かい解説を読むのが好きなタイプで、
試しに纏めてみたら非常に長くなってしまったんですがいいでしょうか?
292 :
マロン名無しさん :2006/10/20(金) 10:47:13 ID:4wGVNrCU
いい
パタリロの「忠誠の木」
タイムスリップ物らしいんですが、その手の話が好きなので
わかる方いたらお願いします。
PCじゃないとまとめサイト見れないのかよ不便だな帰るお休み
主人公・マリネラ国王パタリロ8世は、商談でパリを訪れた折に「忠誠の木」と呼ばれる老木に行き当たる。
フランス革命の最中に何者かが「永遠の忠誠をこめて」とのメッセージを幹に刻んだこの木は
メッセージがかすれてしまった今でも、恋人たちが誓いを交わす場として賑わっているという。
これを見たパタリロは、フランス革命と忠誠の木にまつわる小説で一山当てる事を思いつき
自分の持つ「タイムワープ能力」で当時のフランスへ取材旅行に出発した。
お供についたのは、近衛のタマネギ部隊からフランス文学科出身の16号。彼の発案によって
パタリロは革命に巻き込まれる恐れのある市中には泊まらず、郊外のあばら家に宿を借りる。
美形のタマネギ16号が、家主の女性ジェンヌを口説き落として滞在を承知させ
パタリロと16号はその足でパリ市内へ。だが、折悪しくもその日は革命勃発の当日だった。
市民と国王軍の衝突が始まり、16号はパタリロをかばって負傷してしまう。
ジェンヌの家まで戻り、ジェンヌに16号の応急手当を頼むパタリロ。そこへ、革命に参加していた
ジェンヌの弟が仲間たちと転がり込み、ジェンヌの家は革命派と軍が争う戦場と化す。
元の時代へタイムワープで帰ろうとするパタリロだが、ジェンヌがこのまま殺されるのではと恐れた16号は
パタリロを振り切ってその場に残ってしまう。あわてるパタリロだが、タマネギ部隊から援軍を募って
もう一度同じ時間へ飛び、現代兵器で軍をあしらってジェンヌの家は守りぬかれた。
騒動が収まって、改めて帰ろうとするパタリロだが、16号はパリ市民たちを頬って置けないと言い出し
この時代に残ると宣言した。16号の気持ちが、市民云々よりジェンヌに向いていると気づいたパタリロだが
16号の決意が固いのを知って、彼をこの時代に残しパタリロは帰還する。
その後、ジェンヌと共に革命派に身を投じ、パリへ入った16号は、せめてパタリロに自分の感謝を伝えたいと
一本の木を選び、そこに「パタリロ殿下へ 永遠の忠誠をこめて」とのメッセージを刻むのであった。
魔夜峰央「パタリロ!」第37話「忠誠の木」 単行本10巻(文庫版は3巻)に収録
同じく単行本10巻の「FLY ME TO THE MOON」と共に、初期の傑作と呼ばれる一本。
私を月まで連れてって
>>296 あぁ、この話の事なんだ…
パタリロはあんまり詳しくないけどこの話は知ってたわ。
1年以上前の人にレスするのもなんだけど
名探偵コナンを書いてくれた人ありがとう。
黒の組織関係の話を初めて把握した。
あれ結構重宝するよなw
前全巻持ってたけどあんまり間が開くんで把握してなかった
>これを見たパタリロは、フランス革命と忠誠の木にまつわる小説で一山当てる事を思いつき
>自分の持つ「タイムワープ能力」で当時のフランスへ取材旅行に出発した。
すげえ。パタリロはタイムトラベルまでできるのか。
>>301 かなり初期に身につけた能力で、これで色々な時代に飛ぶネタをやっていた。
さらにはこの超能力を応用して「周囲の時間を止める能力」まで編み出すが
ある事件でこの能力を使ってひどい目にあって以来、あまり使わなくなる。
まあその後に身につけた「財産に執着する限り死なない運命」とか
「首を切り落としても蘇生する能力」とかの方がよっぽどひどいがw
>>296読んで自分が「忠誠の木」と
タマの一人がフェルゼン伯爵と入れ替わる話とを
ごちゃまぜにしてる事に気付いた・・・。
304 :
293:2006/10/21(土) 14:44:14 ID:???
>>296 依頼主です。めちゃ好みの話なので是非買ってみようと思います
丁寧に書いてもらってほんとありがとうございました!
無重力少年 お願いします
306 :
マロン名無しさん:2006/10/21(土) 20:39:40 ID:yY0VhNcY
ちばてつやの
「おれは鉄兵」について教えてください。
あしたのジョーは原作者がちばてつやじゃないのでシリアス系だったが
他のちばてつやの作品は基本的にギャグ系だと聞いたのですが。
佐伯かよの「あきひ」(漢字出なかった)と「緋の稜線」お願いします
Y姫?
「錬金3級まじかる?ぽか〜ん」の漫画版をおねがいします
>>309 あれ、Y妃じゃなかったっけ?
姫だったけ…?
>>311 作者名でぐぐればすぐ分かるが、「Y姫」で正しいぞ。
その樹は言った……
『私は全てを限りなく与えます
──私を見つけ、私へと歩いて下さい』
ファ・ディールと呼ばれる世界。豊かな自然の中に様々な種族が暮らしている。
この世界はマナという力で成り立っており、
全てを生み出したマナの女神は、発展し続ける世界を支えるためマナの樹を生み出したのち
姿を隠したと言われている。
太古の妖精戦争によってマナの樹は焼失。
剣士の少年トト(漫画版の主人公。元のゲームでは主人公を男女から選択できる)はある日、
メキブの洞窟で真珠姫と名乗る珠魅の少女に出会う。
(珠魅とはその胸に宝石の核を持つ麗しい種族。男女の別はあるが繁殖能力がない。
基本的に「騎士」と「姫」というペアで行動する。
核を狙う者達との争いを経て絶滅寸前の為、基本的に他種族との接触を避ける傾向にある)
パートナーとはぐれてしまったという危なっかしく天然な真珠姫とともに、洞窟を出るトト。
その頃、ドミナの町では珠魅の少年がイライラしながらうろついている。
彼こそが真珠姫のパートナー、騎士である瑠璃だった。
トトが二人を引き合わせると、二人は礼を言い去っていった。
七賢人の一人、ポキールがいずことも知れぬ地で一人歌う。
「人々は忘れてしまった。
大地の記憶、マナの力。世界はイメージによって形作られていること。
マナの樹……忘却の果てに世界は希薄なもととなってしまった。
創造主たるマナは救いを求めている」
トトは獣人の少女、ガトの町の僧兵であるダナエと出会う。
彼女は七賢人の一人ガイアに会うためやって来たのだが、
(七賢人とは、大昔の妖精戦争にて活躍した7人の英雄達のこと。
そのうち一人は世を去り、現在6人)
「知恵の賢人」と呼ばれるガイアに一人で会う勇気が持てないのだと語る。
同行することにしたトト。
その頃ガトの町では、青年剣士エスカデが寺院の重要人物マチルダと強引に面会を果たしていた。
すっかり老い、立つこともままならないマチルダの姿に驚愕するエスカデは
彼女をそんな姿にした悪魔・アーウィンを倒す為10年ぶりに奈落から帰って来たのだと告げる。
(比喩でなく、死者の魂が行く奈落と言う場所がある。
と言っても生き返るような芸当が可能なわけではなく、エスカデが帰って来れたのは
彼が不慮の事故により生身で奈落に落っこちた=死んでいなかったため)
ガイアへの道中、トトにダナエは語る。
寺院の司祭の一族であるマチルダ、騎士の一族であるエスカデ、僧兵の自分と
悪魔の血を引くアーウィンはかつて幼なじみだったのだと。
しきたりに仕切られる生活を嫌ったマチルダはアーウィンに惹かれ
彼とともに寺院を出る。
が、彼女はすぐに帰って来た。アーウィンに精霊力を奪われた姿で。
そのせいでマチルダは急速に老衰し、今や死の淵にいる。
自分はマチルダを助けたい、一体どうすればいいのかとダナエはガイアに問うた。
ガイア(顔のついた巨大な岩山で、彼の知識はこの世界の知識そのもの)は答える、
「彼女の望むことをしてあげればいい」
「彼女は運命を受け入れようとしているのよ。つまり死を」
「人は自分で自分を決める力を持っている。それを知るべきだ。
彼女があなたに教えようとしていることに耳を傾けなさい」
黙って見ていろとも聞こえるガイアの言葉に、思わずトトは反論する。
「友達が死ぬっていうのを、黙って見てるバカがいるのか!」
その言葉に何かを得たダナエは礼を述べると、ガトの町へと戻る。
遠ざかる二人を見ながら、ガイアは呟いた。
「そうか、あの少年が……マナの選んだ希望」
たとえアーウィンと戦うことになってもマチルダを助けると決心したダナエ。
だがガトの町に戻った彼女の目の前で、マチルダはアーウィン配下の魔物に攫われてしまい
ダナエはエスカデとともにその後を追う。
その頃、ダナエに置いていかれたトトはようやくガトの町に到着。
寺院の修道女に化けた魔物に気付かず、マチルダを封印の間へと運ぶ手伝いをしていた。
ようやく追い付いたダナエ・エスカデの前で真の姿を現し襲いかかる魔物。
それを難なく撃退したトトの技量に二人は驚く。
アーウィンを許せない、倒しに行くと息巻くエスカデにマチルダは語る。
アーウィンは、マチルダが精霊力を失えば司祭にならなくてすむはずだと
しきたりから解放しようとしてくれただけで、自分は今幸せなのだと。
トトが自宅に戻ると、空き家だと勘違いした獣人の双子コロナ(姉)とバド(弟)が居座っていた。
トトが貰い物や拾い物を適当に並べて作った箱庭を見て、二人はトトが
伝説のアーティファクト使いだと言う。
(アーティファクトとは古の世界の記憶を封じたと言われているもの。
持つ者のイメージが現実化するらしい)
感激した双子はトトに弟子入りし、留守番役となる。
次の朝、コロナが大事にしているほうき(親の形見)がなくなり大騒ぎ。
ゴミ山へと探しにいったコロナはアーティファクトクリーチャー
(アーティファクトのなりそこないが思念を持ったもの)に襲われるが、間一髪で
トトがクリーチャーのリーダーである人形を倒し助かる。
ほうきを届けてくれたゴミ山の管理人・ルーイは言う。
「このほうきはずっと持ち主(コロナ)を呼んでいた。
あなたもアーティファクト使いだったらわかるはず」
だがアーティファクト使いという言葉に全く覚えのないトトは首をひねるのだった。
トトは枯れかかった大きな樹の夢を見た。見せたのはポキール。
合流した七賢人の一人セルヴァは言う。
「彼にマナの樹が「見えた」のなら、何も心配することはない。マナの導きだ」
ある日目覚めたトトは、自分が奈落(死者の国)にいることに驚く。
傍にいた獣人・ラルクは、奈落の底で自分の主であるティアマットが呼んでいると言う。
ティアマット(人の姿をしているが、実態は竜)の頼み(というか生き返るため)で
トトは世界を統べる三匹の「知恵の竜」を倒しに行くはめに。
ラルクとともに首尾よく二体を倒したトトは、最後の竜ヴァディスのもとで
ドラグーンでラルクの姉であるシエラに襲われる。
(ドラグーンとは知恵の竜直属の騎士で、主の竜が死なない限り歳をとらず生涯をともにする。
ラルクはティアマットの、シエラはヴァディスのドラグーン)
ラルクの本当の目的は、竜が守るマナストーン。ヴァディスはその在処を教え、
ラルクはマナストーンを持って奈落へと戻る。
トトとシエラはそれを追い奈落へと駆けつけるが、
ラルクはティアマットによりマナストーンの力を無理に注がれ怪物化していた。
姉シエラの手によって倒されたラルクは今際の息で語る。
「間違いだとわかっていても、俺は生き返ってもう一度、姉さんと……」
(ラルクはかつて死んだが、奈落にてティアマットと契約することで地上でも活動していた。
マナストーンの力でちゃんと生き返ることこそが、彼の本来の目的)
トトとシエラは、地上に復活したティアマットを協力して倒す。
城の崩壊に巻き込まれたシエラは「現世と奈落の狭間」でラルクと再会する。
ティアマットが死んだことで自分はまたしばらく奈落に繋がれる、と語るラルクは
シエラに帰るよう促す。主たる竜が生きていればドラグーンは死なないのだ。
地上で目覚めたシエラは、マナストーンがあるべき場所に戻り
トトに倒された知恵の竜二体も無事復活したことを知る。
巷では、珠魅を襲い核を奪う(=殺す)宝石泥棒サンドラが話題になっていた。
ただでさえ少ない仲間を殺され激高する瑠璃に、トトは
狙われる珠魅を先に保護すれば良いと提案、魔法都市ジオへと向かう。
そこで出会ったエメラルドの珠魅・エメロードの頼みで、
トトと瑠璃は彼女の三人の姉(既に死亡し、核のみの姿)を捜すこととなる。
核の共鳴を頼りに、宝石商アレックスの助けを借りてジオ中を捜索する三人は
とある店の倉庫で石化したダイヤモンドの珠魅・ディアナを発見。
ディアナは100年ほど前に滅びた珠魅の集落・煌めきの都市の族長だった。
(瑠璃は非常に若い珠魅で真珠姫以外の同族を知らず、都市の存在も知らなかった)
彼女の口から珠魅の実態が語られる。
「涙が涸れさえしなければ、私達の歴史は永遠の物だったはず」
珠魅は不老長寿、核が壊れない限り生き続けるが、
一度傷つくと「涙石」という特殊な石がないと治せない。
姫を守る「騎士」、涙の結晶である涙石で騎士の傷を癒す「姫」。それが本来の姿。
涙石はあらゆる傷を癒し、核だけとなった者すら生き返らせる神秘の石。
だが自分達だけの集落で安穏と暮らすうち、珠魅は泣くことを忘れてしまった。
唯一人、玉石の姫の蛍姫を除いて……。
(珠魅は核となる宝石のランクで、上から玉石・輝石・半輝石・捨石という階級制があった)
だが蛍姫はあるとき、騎士とともに失踪。
涙石を失い傷を治すことができなくなった珠魅は
身を隠すため都市を放棄し、各地へと散って行ったのだ。
やっと三つの核を集め終わる三人。
「もし私が死んじゃっても、絶対泣かないでね」
騎士になると宣言したトトに対し、エメロードは言う。
「珠魅のために涙するもの、全て石と化す」という言い伝えのためだった。
エメラルド四姉妹が揃うのを待っていたサンドラの罠にはまり、エメロードが捕まってしまう。
「泣いて命乞いをすれば許してあげる」
姫なのにどうしても泣けないエメロードは、トトと瑠璃の目の前で
核を抜き取られ殺されてしまった。
ジュエルビーストを召喚しサンドラは逃走、トトはエメロードの墓に核の奪還を誓う。
アジトで変装を解くサンドラ。その正体は宝石商であり
実はアレキサンドライトの珠魅でもあったアレックスだった。
異形の男・宝石王に取ってきた核を呑ませたアレックスは、
蛍姫の苦しみを思えばこの身を同族の血で汚すなど容易いことだ、とひとりごちる。
ジオにレディパールがやって来た。
(真珠姫のもう一つの人格で、核は黒真珠。有数の力を持つ元玉石の騎士)
合流しアレックスの店を訪ねた三人は、店内の宝石箱から語りかけられる。
中の異次元空間には、失踪したはずの玉石の姫・蛍姫がいた。
珠魅で唯一人「涙」を流せる彼女は死にかけており、その核は傷ついて真っ白。
己の命を削り涙石として、他者に分け与え続けた結果だった。
宝石泥棒の正体を現玉石の騎士であるアレックスだと明かした蛍姫は
彼の同族狩りを止めるようトトに依頼、三人は煌めきの都市へと向かう。
アレックスの目的は、1000個の珠魅の核を宝石王の体内で融合させ涙石と変え
蛍姫を救うことだった。
ディアナをも殺し、集まった核は998個。瑠璃とパールの核であと2個が揃うと、死闘が始まる。
傷つき倒れたパールの核を奪おうとするアレックスに、瑠璃は自分の核を抜き取り
これをやるからパールを見逃せと迫り、死ぬ。見事だと感嘆するアレックス。
宝石王に1000個目を求められた彼もまた自分の核を抜き取り差し出すと、
蛍姫に涙を頼むと言い残し死亡。
だが1000個の核を呑んだ宝石王はその力を暴走させてしまい、煌めきの都市は壊滅。
後に残ったのは傷ついたパールと蛍姫、地面にぶちまけられた珠魅の核のかけら。
皆が皆のことを思っていた。一体何がいけなかったのだろうと、
核の記憶を垣間見たトトは噛み合ない歯車を思う。
「ここ、どこですか? 瑠璃くんは……?」
傷ついたパールの代わりに目覚めた真珠姫は何も知らない(記憶は共有していない)
昏睡する蛍姫を見つけ、仲間だと無邪気に喜ぶ真珠姫に
トトはどうしても真実を告げることができない。
傷だらけの蛍姫を前に「私にも涙が流せれば」と呟く真珠姫を見、トトはついに泣き叫ぶ。
「涙なんて、流そうと思って流すものじゃない!!
心が満タンになった時溢れてくるものなんだ!!!! おさえろって方が無理なんだよ!!」
みるみるうちに石化するトト。その涙が地に落ちたとき、奇跡が起こった。
種族を越えた思いが涙石となり、珠魅の傷を癒す。
瑠璃、エメロード、ディアナ……次々と復活する1000人の珠魅。
「……みなさん、今度は私達が彼に返す番です」
すっかり傷の癒された蛍姫は、そう宣言した。
トトの自宅では双子が留守番中。大雨に、バドは古い言葉を思い出す。
「珠魅が泣くと空も泣くから、嵐になるんだって」
雨が上がったころ、扉とともにトトの元気な声が響いた。
「おーい! 帰ったぞー」
これで半分くらいです。エスカデ編とマナの聖域編の分がまるまる残ってます。
続きは近日中に。すみません。
それから
>>313の「 太古の妖精戦争によってマナの樹は焼失。」という一行は余計でした。
漫画では、今では忘れ去られているものの樹はまだあります。
ゲーム版の設定とごっちゃになってました…_| ̄|○
「Y」って言う字、携帯電話からだと表示されないんだな
>>313-320 乙です。いい話だ
>>322 >※あき=火へんに華 ひ=姫
爆笑した・・・!
気の毒なタイトルだな
>>322 「Y」は正規の文字じゃないから
公式には使っちゃ駄目なんだよ
イスンヨプのヨプの部分の字だな
高橋しんの「いいひと」をお願いします。
ドラマで見た程度の知識しか無いです。
>38 名前:マロン名無しさん :2006/10/23(月) 13:27:35 ID:???
>つまらんスレが立ってもすぐ消えていくから
>最初からやる気のない糞スレ乱立自体はいずれ厨が飽きて止まる
>一過性のような物だよ
>スレッドの数は話題性も関係してくるからDB関連作がどんどん世に出てる以上は
>DBスレはたち続けると思う
>こんな事もわからずDB関連スレにファビョってるアンチはまさに病気
DB厨ってマジ頭おかしいね。
この発言で最近の乱立騒動はやっぱりアンチじゃなく信者の仕業だと判明しました。
だって自分のお仲間のやった乱立行為に開き直っちゃってるもん。
「何か糞スレ乱立させてる厨がいるみたいだがつまらなきゃどうせ自然に落ちるだろ。
一過性だろうからこんぐらいで俺達信者全体を批判すんなや」要はこういう意味です。
そのうち落ちるだろうとはいえこれだけ糞スレを乱立させといて文句言うなとはね。
極めつけは最後の一行。自分達DB信者を批判してる板住人をアンチ呼ばわりし、
乱立の度が過ぎるから注意してる人達をファビョってるやつ扱い。
開き直りの次は普通に抗議してるだけの板住人に喧嘩腰で逆ギレかよ。
どう考えても頭が病気なのはDB厨だね。久し振りにここまでの自己厨を見たよ。
DBのストーリーは既出だぞ
>>299-300 コナン書いてたヤシです。レス頂けて嬉しいです。
あれから何巻か出ているのですが続きほったらかしですみません。
他にも途中でほかっちゃってるのがいくつか…申し訳ないです。
よしながふみ「ジェラールとジャック」を教えてください。
まとめの半熟英雄がおちよしひこの書いたやつだと推定して大雑把なものを投下してみる。
大筋としてはゲーム「半熟英雄」SFC版の序盤を漫画としてまとめたもの。
アルマムーン国当主の主人公、通称若。
親の代には代々伝わる不思議なタマゴの力で統一を果たすほどの立派な国だったが
長年にわたる平和な生活で若君はすっかり平和ボケ。つまみ食いが趣味のだめボンに。
そんな中突然現れたのが完熟軍と名乗る謎の集団。代表格の完熟クイーンと名乗る女性は
アルマムーン以外の国は既に征服済み、お前達も我々に従えと迫る。
そんなシリアスな展開にも「ねーちゃんええ乳しとりまんなぁ」と色ボケで返す若。
大臣に尻を叩かれつつ伝来のタマゴを使用、エッグモンスターを召喚。クイーンも同じく
黒いタマゴを使い、モンスターを呼び出す……のだが若の呼んだモンスターにあっけなく倒され
すて台詞を残して逃げていく。なりゆきに流されつつやる気のない若君と完熟軍との戦いが始まった。
基本はコメディーで、ボケボケで女好きのの若とツッコミ役の大臣、
自軍の花であり天然のヴィーナス将軍を中心に完熟軍の司令官レベルとエッグモンスターをつかった
ギャグバトルを繰り広げる。中にはバトルとは程遠い形で気づいたら倒してたり。
最終的にはゲームでは5話目にあたる完熟大魔王を倒し、エッグマンという
エッグモンスター達の象徴ともいえるキャラ(HP1で全く使えない)から
完熟軍がエッグワールドというエッグモンスターの住む世界に攻めてきたので助けて欲しい、と
協力を要請しにきた所に「そこって美人のねえちゃんいる?」という若のセリフで終了。
ところでまとめに「まじっく快斗」の補完とあるけどどの辺りなんでしょう?
自分に出来る部分があるならやりたいけど、まとめみても項目が見つからなかったので
どこからどこまで書けば良いのかわからなかったです。
話の展開で性愛描写がある漫画って結構あるし
♂×♂系の漫画も既に載ってるし(風と木の詩とかANIMAL Xとか)
成人指定エロ漫画じゃないなら別にここで扱ってもいい気もするけど
微妙な問題だね
別板行きに一票。
335 :
332:2006/10/31(火) 21:01:38 ID:???
>>333 いや、この作品は最初ビブロスから出版なんだよ。今は白泉で再発行だけどw
よしながは最近少女漫画描き始めたけど、基本はBL畑の人。
密林でのレビューではBL薄いとの評価になってるが…。
>>331 半熟英雄乙です。
>まじっく快斗
リクエストはこのスレの
>>25で、応えたのが
>>26ですねw
最初から書き下ろしても問題ないんじゃないかと。
>>331 ×ゲームでは5話目にあたる完熟大魔王を倒し
○ゲームでは5話目のストーリーで出てくる敵である完熟大魔王を倒し
それではまじっく快斗、概要を投下しときます。
単行本化されていないエピソードもいくつかありますがそちらは全く知らないので手付かずです。
黒羽快斗は天才マジシャン・黒羽盗一を父に持つマジックは上手いがごく普通の高校生。
幼馴染の中森青子は警察官の父・銀三がいて、正義感の強い女の子。
快斗の父は8年前に事故死しており、母親と二人で暮らしていた。
そんなある日、数年前に世間を騒がせていた泥棒「怪盗キッド」が久々に世に現れた。
銀三をはじめ警察官達がキッドを捕まえようと作戦を展開する中、快斗は自宅で
隠し扉を発見、そこで父の遺品と共に今話題のキッドのものと全く同じ衣装を発見する。
父親の過去に疑問を抱いた快斗は手がかりを得るべく白いタキシードを身にまとい、怪盗キッドが
予告状にしたためていた場所へ。そこで快斗は予告状のキッドと遭遇、相手はトリックを使い
警官達を翻弄するが彼はそのトリックを見事に暴く。男の正体は父親の付き人であり
幼い頃から快斗の世話もしていた人物だった。名前は寺井黄之助(じい こうのすけ)。
寺井は快斗を盗一と呼び、生きていたのですねと駆け寄る。
「8年前、貴方が殺されたと思い、貴方を殺した犯人をおびき寄せる為にキッドのフリをしたのです」
寺井は快斗にそう語った。驚く快斗は「オヤジは誰かに殺されたのか」と寺井につめよる。
勘違いに気が付いた寺井と混乱する快斗の元に、警官隊がやってきた。ともかくお逃げ下さいと言う
寺井に、快斗は高らかに答える。「ぼっちゃんじゃない、俺は怪盗キッドだ」と。
以上、導入部。
以降の大まかなストーリー展開と転機となるエピソード。
寺井の話も聞き、父親はかつての怪盗キッドであったことと
父親の死は事故ではなく何者かにより故意にもたらされた物だと知った快斗。彼は父の死の
真相を探る為に怪盗キッド(正確には二代目だが、その事実は警察たちには知られていない)
として生きることを選ぶ。その正体に感づき、快斗に惚れて自分のものに
しようとするクラスメイトにして魔法使い(本気で魔術を使います。箒で空飛んだり)の小泉紅子や
キッドを捕まえようとするイギリス帰りの高校生探偵、白馬探の追跡の手から逃れつつ
怪盗として着実に腕を上げていく快斗。途中、青子に正体を疑われる一幕もあったが
それでもなんとか日常生活と両立していた。
そんな折、快斗がいつものように宝石を盗み出したところ怪しげな電話がかかってきた。
キッド宛てのその電話は、これ以上我々の邪魔をするなというものだった。
疑問に思いつつも怪盗家業を続ける快斗。また別の宝石を盗んだ際に彼の前に
怪しげな人物が立ちはだかった。キッドを黒羽盗一と呼ぶその人物はキッドに実弾を打ち込むと
キッドが盗んだ宝石を持ち去っていった。
男は盗一を殺した組織に属する一人で、上からの命令でビッグジュエルと呼ばれる宝石の内
不老不死の力が手に入ると言われている「パンドラ」を探していたのだ。
盗一は組織の邪魔になるということで彼らに殺されたということらしい。
どの宝石がパンドラかは一目には分からないが、月にかざすと中心が赤く輝く。
だが男が持ち去った宝石はニセモノ。本物は快斗が懐で温めていた。
銃弾を辛うじて防いでいた快斗は男の話を聞いて父が殺された理由を知る。
そして組織よりも先にパンドラを見つけ出し、破壊することを誓うのだった。
以降、快斗は宝石しか手を出さないようになります。
また、彼の目的はあくまでパンドラの破壊なので標的が目的のものではないと分かると
盗まず帰ったり、一旦盗んで返したり。コナンでキッドがあっさり獲物を諦めているのは
この設定も関係していると思われます。が、魔法やらロボットやら出てきたりもするので
コナンとは完璧にリンクしているとも言い切れない部分も。
また同作家作品に出てくるヤイバの家にキッドが盗みに入る番外編もあったり。
時間が空いたら、個別エピソードを(覚えている範囲になってしまいますが)書きに来ます。
予約ではないので別に書ける方がおられたらばんばん書いて下さい。
>>335 ビブロスって成人指定だったっけ?
成人指定じゃないならここでいいと思う。
341 :
マロン名無しさん:2006/11/01(水) 16:45:34 ID:PtM3Qzxr
怪盗キッド乙!個別エピソードにも期待してます。
「週末は魔都ロンドン」をお願いします。
個別エピソードいくつかいきます。時系列無視につき注意。
・紅子登場編
クラス、学年問わず学校中の男の憧れの的である少女、小泉紅子。その正体は、魔女。
今日も彼女は男からちやほやされて良い気分。だがそんな彼女にもたった一人
心を奪えない人間がいる。それが怪盗キッド。
ある日のこと、紅子は快斗を次の自分の相手役にしようと彼に近づく。
ところが快斗はそれを一蹴。自分になびかない男はこの世で怪盗キッド一人だけであることから
紅子はキッドの正体を知り、持ち前のプライドの高さから自分の虜にしてしまおうと企む。
彼女は魔方陣と呪いをかけたチョコレート(惚れ薬的な効果があるもの)を使って
(多分仕事帰りの)キッドを罠にかけるが、キッドがチョコを口に含む寸前で雪が降りだし
魔方陣を覆い隠してしまった。結果、魔法の効果は消滅。悔しがる紅子にキザな言葉を残して
去っていくキッド。プライドだけじゃない、純粋な恋心をわずかに感じる紅子だが
魔女としての自分を捨てることはできず、切ない顔でその場を後にした。
・偽キッド編
クリスマスの迫った日のこと。快斗の前でキッドから予告状が届けられたと
ニュースが流れる。予告の対象となったのはあるデパートのツリーの頂上に飾られる予定の
宝石などをあしらった星の飾り。しかし快斗にはそんな予告を出した覚えは無い。
じつはこのデパート会社の社長、なかなかの小悪党。キッドの予告が来れば
客寄せパンダになるに違いないと偽の予告を自らだしたのだ。しかも星に保険までかけて。
予告当日、予想通り人のにぎわうデパートで偽のキッド(社員)が星を持ち去ろうとするが
あっさり中森警部に捕まってしまう。社員は「社長〜」と助けを求めるが
もちろん社長は知らん顔。と、そこに本物のキッド登場。
驚く社長に「クリスマスには奇跡がおきても不思議じゃないでしょう」と一言。
キッドは軽やかに星を持ち去っていくのであった…。
その後、快斗が参加したクリスマスパーティーの会場にあるツリーの最上部には
きらびやかに光る星が飾ってあったとかなかったとか。
・ロボット編
快斗は登校中に謎の老人に拉致されてしまう。老人はマッドサイエンティストで
自立型のロボを作るほどの人物。自分の作ったロボをより人間に近づける為だろうか
本物の人間の記憶などをロボに移植しようと偶然見かけた高校生=快斗を拉致ったのだった。
ところが記憶をコピーされたロボは暴走、自分は機械ではなく人間だと主張して
作り主たる老人を殺害(と思われるが、シルエットなので断定は出来ない)し
快斗を捕まえている研究室の時限爆弾を作動させて「オレが黒羽快斗だ」と言い残し去っていく。
快斗は怪盗キッド。その記憶を移植されたロボは自ら怪盗キッドとなって夜の街に舞う。
盗みを成功させて建物の屋上にいるロボの前に辛くも脱出に成功した本物のキッドが出現。
しかしロボには彼の行動を先読みして真似して動くプログラムが仕掛けており、キッドが
自分のトランプを発射する銃をロボに向けると逆に実弾入りの銃で打ち返されてしまう。
負傷した快斗だが、その機能を逆手にとって自らのこめかみに銃をむける。
ロボは自分を銃で打ち抜き、破壊した。快斗の銃がおもちゃであることを利用した作戦だった。
壊れる寸前のロボは快斗に言う。僕は死ぬのか。だったらやっぱり僕は人間だ。機械じゃない。
(壊れる=修理できる=機械、死ぬ=もう直せない=人間、ということらしい)
その発言を最後に爆発するロボ。複雑な思いを胸中に快斗はその場を後にした。
そしてやっと日常に戻れた快斗。しかし青子の様子が可笑しい。変に思い近づくと
「祝、カップル誕生!」といった事が書かれたくす球が割られた。
実は快斗は知らなかったが、ロボはきっちり学校にも通っていて
青子に「僕は君が好きみたいだ」と告白まがいのことを言ってくれていたのでした。ちゃんちゃん。
・青子とのデート編
ひょんな事から青子の父、中森警部に顔を見られてしまったキッドこと快斗。
はっきりとは確認できなかったものの、警部はキッドの正体が快斗ではないかと疑う。
そんな父親に青子は思わず「キッドは快斗じゃない、だって私はキッドが盗みを予告した日に
快斗とデートの約束をしてるもん!」と言ってしまう。
自分のウソを本当にするため、そして何より快斗の疑いを晴らす為に快斗をデートに誘う青子。
他ならぬ彼女からの誘い、了承した快斗だがもちろんその日は盗みの当日。
二人きりで遊園地での楽しいひとときを過ごすも、予告の時間は刻一刻と迫ってくる。
3D長編映画を見ることにした二人。快斗は青子が映画に夢中になっている隙に盗みに出ようとするが
青子は快斗に手錠をかけてしまう。青子が自分を疑っていることに気づく快斗。
身代わりの風船人形を残して、快斗は心の中で青子に詫びをいれながらキッドとして立ち去った。
そして駆けつけた予告場所。そこには案の定警部達。キッドはワザと捕まりそうになり
中森警部に自分の顔を見せる。ハットから覗いたその顔は――青子のもの。
彼は変装した顔を晒すことで、以前の快斗の顔もまた変装だと思わせることにしたのだ。
その目論見は見事に成功、くやしがる警部を後に、キッドは逃走する。
あとは映画が終わるまでに青子の元に戻るだけ。ぼろぼろになり、ジェットコースターから
ダイブしたりと大変な目に合いながらもなんとかばれずに帰ることができた。
やっぱり快斗はキッドじゃない、と一安心の青子だが、それはそれとして
快斗のどこかそっけない態度にちょっとヤキモキ。映画の後に売店で購入したアイスを食べながら
「快斗はまるでこのアイスみたい。だって冷たいんだもん」と呟く。
そんな青子の食べるアイスを横からひと舐めして、照れ隠ししながら快斗は言った。
「でもよ、アイスって甘いんだぜ?」
個人的に印象的な話だったので長くなってしまいました。
青山先生の漫画は1990年代あたりの物の方が好きです。
今回は以上で。あといくつか覚えてるエピソードを吐き出したら残りは別の方に丸投げさせて下さい。
平野耕太の「BE WILD!!」と「彼らの週末」を教えてください
348 :
マロン名無しさん:2006/11/04(土) 15:27:30 ID:SCuNrzOt
竹宮恵子「天満の血族」のあらすじをお願いします。
できれば10行くらいで(詳しくなくていいです)。
キャラのフィギュアを買うとおまけに付いてきたオフィシャルブックに載っていたと言う
「鋳薔薇マンガ-第6話テレサ編」をお願いします。
>>348 天馬の一族ではなかろうか。読んだ事は無いが。
天満の一族っつーと大阪商人しか思い浮かばない。
今井ひずる「カラオケ戦士マイク次郎」お願いします。
まとめサイト見れないんだが、どうかしたのかな。
お、本当だ
落ちてるっぽい
鯖が完全に落ちてるね。
レンタル元が落ちてる。
うわっ…初めてスレ来たからまとめ見たかったのに…何たる偶然('A`)ウヘァ
藍より青し まとめにもあったのですが、もう少し詳しくお願いします
結婚END?
みんなで色々ラブコメしたあと、花菱家の当主である祖父が遺書を残して病死。
その遺書には桜庭葵ちゃんを娶った者を次期当主と書かれていたからさあ大変。
薫君の義理の弟が次期当主を狙って葵ちゃんを誘拐。自分の妻になれと迫ります。
当然葵ちゃんは拒みますが、勘当されてる薫君よりはそいつの妻になれと桜庭家からも強要され板挟みの状態に。
そこを薫君が葵ちゃんを取り戻しにやって来て、二人でみんなを説得。
色々すったもんだの末二人の仲は漸く認められ、やっと結婚することに。
それから――。
薫君と葵ちゃんは普通のマンションに引っ越して二人でラブラブの結婚生活を。
ティナさんはアメリカに帰りました。
妙子さんやちかはそれぞれ進学。
お嬢様繭は何だかんだ言いながら薫君と葵ちゃんの二人の愛の巣へ頻繁に遊びに来ているようです。
おしまい。
>>358 すごいわかりやすいです
途中で読むの辞めちゃったので少し気になってました
ありがとうございました
360 :
名無し物書き@推敲中?::2006/11/13(月) 12:29:11 ID:Vt8gh9YB
越し
介錯の「鍵姫物語 永久アリス輪舞曲」をお願いします。
「くせになりそう」と「ミラクル☆ガールズ」をお願いします。
363 :
マロン名無しさん:2006/11/14(火) 18:19:01 ID:J6Q7qB9A
「土星マンション」と「たましいのふたご」をお願いします。
だいぶ期間が空いてしまいましたが『アンダーカレント』やります。
作者は豊田徹也、講談社アフタヌーンKCDX、全1巻。
・undercurrent(英)
1:下層の水流、底流
2:(表面の思想や感情と矛盾する)暗流
・本編
亡き両親の跡を継ぎ銭湯「月乃湯」を切り盛りする関口かなえは、婿養子の悟と平穏な生活を送っていた。
だが、ある日突然悟が失踪。失意のかなえは暫く銭湯を閉めるが、程なく再開する。
銭湯組合から派遣された堀という男を雇い、何となく同居する事になる。
堀は防火管理やボイラー技師資格を持つ即戦力の、寡黙で、どことなく不思議な雰囲気の男。
仕事に追われ、失踪事件に何の進展もなく、かなえと堀は食事と銭湯の後片付けを共にするだけの、奇妙な日々が過ぎる。
悟の事が気にならない筈もなく、毎日身元不明の死体や自殺者のニュースに目を走らせるかなえ。
そんな折、スーパーで学生時代のゼミ仲間・菅野に再会したかなえは、悟の事を打ち明ける。
調査会社に勤める菅野の夫のつてで安く調査を頼んだかなえは、探偵・山崎に会う。
山崎に悟の事を聞かれたかなえは、自分が本当は彼の事を何も解っていなかったのではないかと思い始める。
女性や金銭のトラブルもなく、夫婦仲も良好。両親とは既に死別している。手掛かりになるような日記や手紙も無い。
続く
人当たりも面倒見も良く、責任感があると思われていた悟。
しかし山崎は言う。
「話を聞いてる限り、僕には彼が自分の本質を周囲に見せまいとする隠蔽作業を続けていたという絵しか浮かばないな」
会った事も無いのに何が解ると反論するかなえに、山崎は更に言う。
「奥さん、人をわかるってどういう事ですか?」
2人で過ごした日々の中、いつもかなえばかりが喋っていて、悟は微笑みながら相槌を打つ程度であった事が思い出された。
とりあえず3ヶ月の期限を切り、調査を依頼したかなえは山崎と別れた。
その後、山崎からの報告で、かなえは自分が聞いていた悟の経歴が殆ど嘘であった事を知る。
かなえの知る悟は兵庫出身の交通遺児で、幼い頃から施設で育った。
だが実際の悟は山形の出身で、両親は2年前まで存命、高校を卒業するまで同居していたという。
そこから何があったのか悟は山形を去り、両親とは没交渉となり、会社員時代にかなえと知り合う。
かなえと同時期に親しくしていた女性の同僚がおり、彼女に持ち上がった横領疑惑を被って辞職後、関口家の婿養子となる。
辞職後の彼女と悟に接触は無い。
どれもかなえには初めて知る事実であった。
山崎を前にかなえは呟く。
「彼がどういう人間だったか、よくわからなくなってきてるんです。
彼は色んな事を話してくれたけど、本当に大事な事は話してなかったのかも…
時々、彼は私に何かを伝えたがっていたように思うんです。
ちょっとした表情とか間とか…沈黙とか、そういったものを私も感じてたと思います。
でも、日々の暮らしの中で、そういうものも顧みなくなっていたんですね…」
続く
一方、堀は月乃湯の近くに安アパートを借り、通いになったが、仕事がてらに夕飯はかなえ宅で済ます。
常連客はかなえと堀の仲をあれこれと詮索するが、本人達は至ってマイペース。
そんな中、常連客である美奈の娘・みゆが鞄を道路に残し、行方不明に。
幸いにもみゆは無事に保護されたが、恐慌する美奈や周囲の人々を見たかなえは、25年前の誘拐殺人事件を思い出し、倒れてしまう。
被害者の名は「さなえ」という、かなえと仲の良い女の子だった。
名前も年も顔も似た2人は、よく服の取り替えっこをして遊んでいた。
違うのは髪型ぐらいのもので、かなえはロング、さなえはショートだった。
最初に男に腕を掴まれたのはかなえだったが、助けを呼ぼうと大声を出したさなえが口を塞がれた。
かなえは走った。後ろから男の声が追いかけてきた。
「誰にも言うんじゃないぞ!言ったらお前を殺すぞ!!いつでもお前を見てるからな!!」
帰宅したかなえは、さなえの行方を尋ねる母親に「知らない」と答えた。
そうして、さなえの絞殺溺死体が遠くの池に浮かんだ。
その後、かなえは長かった髪を切り、さなえとそっくりになった。
本当は自分が死ぬ筈だったという想いに苛まれ、かなえは繰り返し同じ夢を見るようになった。
夢の中でのかなえは幼かったり、現在の姿であったりするが、いつも誰かに首を締められ、ゆっくりと水に沈められてゆく―――
堀に運ばれ、月乃湯の二階で目を覚ましたかなえは泣きながら言う。
「堀さん…私の首をしめて…私を殺して。お願い…」
堀は無言でかなえの額に乗せたタオルで彼女の涙を拭いてやり、かなえは眠りに落ちてゆく。
続く
暫くは堀が月乃湯を切り回し、2人はかなえの回復を待って散歩に出かける。
「みゆちゃん、昨日お風呂に来ましたよ。元気そうでした」
「そう…よかった」
見つめ合う2人。
「堀さんはどうして時々、そんな懐かしそうな目で私を見るの?」
「…そんな事はないですよ。気のせいです」
月乃湯へと戻りながら、かなえは言う。
「堀さん、一つ約束してほしい事があるんだ。
ここから出ていく時は、黙って出て行ったりしないでね」
そして相変わらずの日々の中、山崎から悟発見の電話が入る。
山崎のセッティングで悟と会うかなえの気持ちは穏やかだった。
久しぶりに見る悟は少し髪が伸び、薄く髭を生やしていた。
責めるでもなく、一番聞きたかった事を聞く。
「どうして黙って消えたの?」
「僕は子供の頃から大嘘つきでね、何の罪悪感もなくスラスラと口からでまかせが出るんだ。
外面がいいから始めの内は皆信じる。でも、おかしいと思う奴が1人2人出てくる。
一つの嘘をつき通すのに、更に10も20も嘘をつき続けなきゃならなくなって…
やがて破綻が来る。そしてその場から逃げる。ずっとこれの繰り返しだよ。
会社を辞めて銭湯の仕事に就いたのは、本当は会社にいられなくなったからなんだ。
会社の子の不祥事を僕が肩代わりしたように見せかけたけど、本当は僕が全部やったんだ。
ひどい男だろう?
なんでこんな男を信じるかって思うよね。
でも、人を信じさせる事なんて簡単なんだ。
僕はその人が何を信じたがっているか、何を言ってもらいたいかが手に取るように解る。
そしてそれを与える事ができる。
人は本当の事より、心地いいウソの方が好きなんだよ。
皆、本当の事なんか知りたくないんだ。騙されたがっているんだよ」
続く
長い告白の後、かなえは尋ねる。
「私の事もそう思ってたの?
結婚したのも、会社の嘘をごまかすためだけだったの?」
「もう僕には何が嘘で何が本当なのか、よくわからない。
…でも、君には本当の事を打ち明けたかった。
君に…助けてもらいたかった。
でも、どうしても駄目だった。何度も君に伝えようとしたのに、怖くて…」
「あなたは私に必死にサインを出していたんだよね。今となってはそれが解る。
私達、お互いの事、何にも解ってなかったのかもしれないね」
「そうだね…」
署名捺印した離婚届を送るからと席を立つ悟。
「まだ、どうして出て行ったのか聞いてないよ」
「…僕は嘘つきだからね。
君のことが本当に好きで、だから一緒にいるのが辛くなった
…っていうのでどう?」
かなえも席を立つ。
「最後に思いっきりひっぱたいていい?」
「いいよ」目を閉じた悟に、かなえは自分の巻いていたマフラーをかけてやる。
「風邪ひかないでね…
私達、もっと前にこんなふうに話せたら良かったね」
「うん…」
少し距離を空けて立ち、二人は互いに「さよなら」と言った。
続く
かなえが悟に会いに出かけて間もなく、堀は小さなボストンバックを提げてバス停へと歩いていた。
堀の将棋仲間でもある、常連客のサブ爺が話しかけてくる。
「この間の連れ去り事件、子供が無事で良かったのう。
…そう言えば昔、もっと酷い事件が起こった事があったなあ」
結局犯人は捕まらなかっただの、被害者家族はすぐに引っ越してしまっただの、被害者には5つ上の兄がいただの、つらつらと事件のあらましを語りながら、サブ爺は堀の後を歩く。
「それで、今頃何をしに来たんじゃね、お兄さん」
堀はさなえの兄だった。
バスを待ちながら、堀は告白する。
堀は特に何をしようと思ったわけではなかった。
さなえの事件後、母親はおかしくなり、一家は離散した。
この町には長らく来なかったが、仕事で訪れた時、かなえを見かけた。
すぐにあの時の女の子だとわかった。
さなえが生きていたら、こんなふうじゃないかと思った。
それからは何度かこの町を訪れて、かなえを見守っていた。
月乃湯の休業で悟の失踪を知った堀は、自分でも解らない気持ちのまま、かなえの下で働き始めた。
普段のかなえは事件を忘れているよいに見えたが、みゆの事件で、彼女もまた傷を負い、今も苦しんでいる事を知った。
素性を明かせば、かなえを更に苦しめる事になるだろうと、堀は黙って去ろうと決めたのだった。
「一人の女の子を挟んで繋がっとる二人だろう?
互いに苦しみをぶつけ合えばいい!傷ついたら泣いて、その事を伝え合えばよい!」
「僕がかなえさんにしてあげられる事は何もないと思います。
僕はここに来るべきじゃなかったんです」
「どうしても行くのか?」「ええ」
「そうか…それもまた人生。達者でな」
サブ爺が去った後、一人ベンチに座ったまま、堀はバスに乗れずにいた。
やがてボストンバックを持ち、月乃湯への道を戻り始めるのであった。
【終】
>>365 ありがとうございます。
長くなりまして、すみません。
おつですよ
考えさせられますな
乙ー
文学的やね