ジュラシックパークみたいだ
>>541 何と無く俺もそんな気がしてへこんだ
なんかもう桜子が活躍してなおかつ生き残る展開浮かばないぜ畜生
>>544 ついでに千雨の髪はみど(ry
桜子であって欲しくないんだけど〜死亡フラグだよな・・・?グレてやるorz
まさかアスナじゃないよね・・・
∩___∩
♪ | ノ ⌒ ⌒ヽハッ __ _,, -ー ,,
/ (●) (●) ハッ (/ "つ`..,:
| ( _●_) ミ :/ :::::i:.
___ 彡 |∪| ミ :i ─::!,,
ヽ___ ヽノ、`\ ヽ.....::::::::: ::::ij(_::●
/ /ヽ < r " .r ミノ~.
/ /  ̄ :|::|アキラ厨| :::i ゚。
/ / ♪ :|::| ::::| :::|:
(_ ⌒丶... :` | ::::| :::|_:
| /ヽ }. :.,' ::( :::}
し )). ::i `.-‐"
ソ トントン
<相違点(第一回定刻放送)>
危機を脱してからすぐにデパートの呼び出しの音と共に「放送」が始まった。
「皆さん、まだ生きているかな?では、定刻放送を始めよう。
綾瀬夕映(出席番号4番)、神楽坂明日菜(出席番号8番)、長瀬楓(出席番号20番)、那波千鶴(出席番号21番)、鳴滝史伽(出席番号23番)、葉加瀬聡美(出席番号24番)、四葉五月(出席番号30番)が亡くなった。
時間はたっぷりある。よく考えて行動してくれ。以上だ」
七人か……、ハイピッチで進んでいるな。
時計を持っていないから分からないが、4時間くらいしか経っていないんじゃないか?
だいたい、私は亜子にしか会ってない。
ということは、出会ってすぐ殺した奴が多数いるんじゃないか?
「千雨さん!!」
耳元で大きい声を出されて少しフラッとした。
「んな大きな声出さなくても聞こえる」
「聞こえてなかったやん」
何度か話しかけたけど難しい顔で考えていたらしい。
「ああ、悪かった。こっちに非があるな。
んで、なんだ?」
ただでさえ小さい身体を縮こませながら、
「この放送、嘘って事はあらへんか?」
「常識だろ、それくらい。んなことしても奴らにとって利益がない」
亜子は「そうやな」と同意すると、また下を向いた。
「クラスを守れなかった、とか思ってるのか?」
真面目すぎるこいつならそんなこと考えていてもおかしくはない。
「違うんや!!違う……」
自身を戒める、そんな悲痛な声。
「ウチは心の中で安心してる。7人のクラスメイトが死んだのにまき絵やゆーな、アキラが生きていることに安心してるんや。
なんて……醜い……」
ふうっ、一息ついた。
「何を言い出すかといったら、そんなことかよ」
自分の力が足りなかったとか言い出すんじゃないかと心配したぞ。
「人を贔屓にする。それくらい普通に生活すればザラにあるだろ?深く考えるな」
「で、でも!!」
「人間なんだから汚い感情くらい持つ。持たない奴はきっと聖人か廃人のどちらかだ」
もう一つ言っておくか……。
「私らは神様でもスーパーマンでもない。窮地に立っても自分の能力に見合った事しかできないんだ。世の中は漫画みたいに全てがうまくいくわけない。
だから自分のできることをするんだ。救えないものを救おうとすれば……二兎を追うもの一兎も得ず、って奴だ」
亜子が顔を上げる。自嘲的な笑顔だった。
「千雨さんは強いんやな、ウチよりもずっと。ウチはそんな割り切れへん……」
合理的に考えられるのも、クラスメイトの死に驚かないのも、
「このクラスに私が守るべきものがない。それだけだ」
私は生きるために抗う、自分自身のために…………。
この時は確かにそう考えていた。確かに……。
【残り21人】
<食糧補給>
こんな時でも人間の摂理は働いている。
つまり一言で言いと「お腹が減った」。
リュックの中の物を食べる方法もあるけれど、町の中心地が近いと地図に書いてあるんだ。どうせなら行ってみるか、ということで亜子の反対も当然なく私達は次なる目的地に向かった。
閑静な(この島ではどこもだろうけど)市街地に着く。
シャッターが閉まっている店はないのに賑わってもいない。
自ずとクラスメイト以外の敵の存在を意識してしまう。
(いないだろう。多分な……)
不思議な島だ。
線路も無いのに駅がある。
車も無いのに立体駐車場がある。
需要がないのにスーパーがある……これは違うか、私達は消費者だ。金は払わんがな。
ということで歩道沿いの大型スーパーに着いた。
中に入るか、
「千雨さん、あのな」
亜子の呼びかけの意味はいつもの雑談ではなかった。
「ウチ、隣の薬局を見たいんやけど」
某チェーン店、誰でも知ってる店が隣にあった。
しかしなぁ、一人にしておくのは気が進まない。
窓から中を覗く。見る限り何もいない。
短時間だ、大丈夫だろう。亜子は銃も持ってるしな(撃てなくだろうけど持っているだけで相手には十分脅威になる)。
「わかった。私はスーパー、お前は薬局な。用が済んだら私から合流する」
そう言い残し、私は自動ドアの前に立った。
普通のスーパーとは流石に違っていた。
その一、
入った直後にあるべき野菜コーナーに生野菜がない。代わりに置いてあるのはビンに入った乾野菜だ。
これってハムスターとかが食ってるやつだよな。水で戻すのか?
その二、
当然ながら精肉や海鮮類も生はない。日が持つ加工品(ハム、ミックスシーフード等)ばかりだ。
これなら普段から食べている物ばかりだから問題ないな。
リュックの空きスペースに詰めれるだけ詰めた。
その三、
日持ちするもの、つまりお菓子やインスタント食品の種類が充実している。
この店だけで大体は一ヶ月ほどの食糧が備蓄されている。
これで食の心配はなくなったと言える。
その四、
これはただのおまけだ。
レジには「すべてタダです」という張り紙がしてあった。
笑えなかった。
……………………、
「おい、帰ったぞ。大漁だ」
「遅かったな〜」
狭い店内に入ると、真剣な眼差しでサプリメントを眺めていた。
「亜子。サプリメントなんか見てどうするんだ?」
亜子はきょとんとした目でこちらを見る。それから胸を張り言った。
「リュックの食事じゃあビタミンと鉄分が取れへん。だからサプリで補給するんや」
何度目のため息だろうか。本当に解っちゃいない。
「明日、明後日まで生きていられるかも分からないこの状況で栄養価なんて言ってるのはお前だけだ」
どうしてこうもネジが抜けているんだ?
私が疲れるからできれば締め直したいぞ。
「ううぅ〜」
あ、拗ねた。
ふてくされた亜子の最後の抵抗。私の手に差し出したものは……、
カルシウムだった。
何故か無性にイライラした。
さあて、これからどうするかな?
薬局から次なる方針を考えているとき亜子にストップをかけられた。
「どうしたの!その傷」
亜子が見ないように見ている、つーか血が嫌いなら見るなよ!
私の左腕から血が滲んでいた。引っかき傷。
「別に大したことねえよ」
今まで気が付かなかったくらいだしな。
「アカン!ばい菌入ったら傷が膿んじゃうんやから」
口を尖らせてまで言う亜子の目はいつになく真剣だ。
手馴れた手つきで救急箱を広げる、マネージャー&保健委員の面目躍如だな。
「腕、見せて!」
ほんとに大した傷ではないが、この先騒がれると迷惑なので従っておく。
消毒液を綿にかけ傷口の血をふき取る、って血は大丈夫なのか?
なんとか大丈夫と言ってるし、顔色も悪くないから平気なんだろう。
頭の中に浮かんだ素朴な疑問、何となく口にした。
「亜子。サッカー部のマネージャーも保健委員もお前の血嫌いからすると適任じゃないだろ?なのに何でこんなことするんだ?」
暫しの沈黙。もしかしたら私は亜子の禁忌の門を叩いてしまったのか?
「…………人を助けたいと思うから。今はこれで堪忍して」
普通のものより大きめのバンソーコーを張る。
話題はここで打ち切りとなった。
【食糧入手 亜子救急箱、サプリメント入手 残り??人】
<思索交差>
駄菓子屋に入った。
そこで今、第一回作戦会議を行っている。
参加者は当然、私と亜子の二人だ。
机の上には店頭でせしめた駄菓子多数。準備は怠らない。
議題は「今後についての方針」。
まず、亜子が口にしたことは早く明石、大河内、佐々木と合流することだ。
実のところ反対だった。口にはしなかったが。
できるだけ少人数(一番良いのは一人)で行動したい。
馴れ合いなんて以ての外、体に合わない。
そうなった時は亜子を押し付けて私はグループから離脱することにでもしよう。
次に挙がったのはパソコンの件。
マンションの一室はディテールに至るまで精巧に作られた建築物だった。
その中で無かった物、パソコンと電話、いわゆる通信手段だ。
当たり前と言っちゃあ、当たり前のこと。敵に塩を遣るようなことはしない。
敵は綿密な計画を練って、実行しているんだ。わずかな綻びすら期待できない。
ゆえに普通に探索を続けたところで見つかることはほぼ無いだろう。
となると、必然と敵の支配区域にしか存在しない。そう考えられる。
どんな形でも、本気でパソコンを手に入れようとするならば多大なリスクが伴う。
パソコン入手の奇策もなく、保留となった。
最後に「早急にすべきこと」って言っても、ぶっちゃけ「ない」。
人が来るまで待つのも策だが、まだまだ外は明るい。
今のうちに地理の確認をしておいたほうがいいかもな。
思い立ったが吉日、30円の冷えてない炭酸抜きコーラを飲み干し会議を打ち切った。
腰を上げ再び外に出る。
あ、暑いな……。
熱と湿気からボイラーの中を想像させる。
太陽が嫌というくらい輝き、陽を燦燦とコンクリートに降り注いでいる。
不快指数は午後になって尚も上がっている(気がする)。
やる気が著しく下がったがダラけていてもしょうがない。
「駅のあるほうに行くぞ」
期待、関心があったわけじゃない。建物が目に入っただけ。
無人島に似合わない鉄筋ビルと駅。その不思議な地へと私達は足を進める。
【水分補給完了 残り??人】
<食む者・前>
昼間から不気味な雰囲気を醸し出す中心地。
日が出ているから余計に伝わる。
夜だったら人が居ないのも解るが、こんな明るい時間帯で誰も居ない街。
当たり前のことだがこんな光景初めて見る。
生命の息吹一つ感じない。人が居ない都市は死の臭いで充満している。
このまま外にいるとどうにかなってしまいそうだったので、亜子を連れてビルの中に入った。
たまたま入ったのは銀行だった(使えるものなさそーだな)。
人工的に冷やされた空気がロビーを包んでいる。
スーパーも冷房完備だったし、私達が話し合っていた駄菓子屋の住まいのクーラーも使えた。
電気の垂れ流しなんだろう、環境に良くないな。
どうでもいいことはそれぐらいにして、状況を打破すべく電気を有効活用できないだろうか?
う〜ん…………挫折。
パソコン以外思いつかん。
銀行のくせして、パソコンひとつ置いてない。
「亜子、ちょっといいか?」
「へっ?」
話しかけて脱力した。
適当に放置されていた100万の束、それで扇を作っていた。
一度はやってみたいが、今は断じてそんな気分にはならない。
聞くだけ無駄と99%結論付ける、残りの1%に賭けて、
「ここ、クーラー付いてるだろ?都心部にいる限り、電気は使い放題なんだと推測される。
そこでだ、この電気を活用する方法は無いか?」
扇を手にペチンペチンさせながら考えている。そして、
「わからへん」
お約束だった。
三つのビルを巡った。
成果はてんでなし。ハナから期待はしてないが、疲労だけ溜まっていくのは不快だ。
ん?目に見えない成果はあったか。
反撃の狼煙になりうるもの(パソコンなど)は島から排除したこと。
パソコン探しは断念したほうが良さそうだ。
もう一つは人工的に作られた無人島であること。
後者は予想から確信に変わった。
根拠
・ 発展地域と未発展地域の格差が激しい
せめて島一周の道路くらい作っておくだろう。なのにそれが無い。
・ 無駄な施設
交通もろくにされていない島に大手会社が進出している。
この島が私達の来る前から機能していたなら利益が見込めない、赤字経営確実なことをどこぞの有名会社が揃ってやっていることになる。
不可解すぎる。
・ 隣接する島も無いのに役場なし。
女は海のど真ん中にある島だとぬかしていた。そうなると、公の施設一つくらいあっていいはずだ。それがないということは……。
この島が殺し合い用に作られた特別仕様の島、完全な治外法権。
何が起こっても疑えない世界に迷い込んだ。
そういえば茶々丸さんが言っていたな。
「魔法の世界に関れば幾分、裏の世界に触れることになりますから」
クラスに魔法使いがいたから、私や亜子のような関係ない人間まで命のやり取りに巻き込まれたのか?
今の段階ではまだわからない……。
大雑把な探査を締めくくる場所は奇怪な駅だ。
何のために作られたのか?意味なんて無いのだろう。
あったほうが都心らしくなる、そんなものか?
亜子の銃を手に入口の階段を無音で上っていく。
中身は期待を裏切らず駅だ。
改札口、切符売り場、キオ○ク、完璧な造りをしていた。
「どうせだ、下も見ていくぞ」
改札を飛び越え……、異変を察知した。
(亜子、隠れろ!!)
かつん、かつん、コンクリートに硬い何かがあたる音が複数。
「…………」
トイレへ駆け込み無言で見守る中、現れたのは学校で見た服装の兵士が3人、そこにいた。
ヘラヘラ喋りながら足を進ませている。
仕掛けるか?いや、やめたほうがいい。
一人がマシンガン(のようなもの)を所持している。あとの二人は拳銃だけのようだ。腕が無ければ武器の質の勝負、分が悪い。
何かの会話の後に私達から30度くらいずれた場所、なんかのポスターが張ってある場所に銃を構える。そして、
バララララララ!!
耳に響く音を巻き散らしながら、弾の無駄遣いが始まった。
見る見るうちにポスターは屑へと変わっていく。
はた迷惑な奴らだ、そんなに銃を撃つのが楽し、
「ひぁああ!!」
素っ頓狂な声を上げる亜子。
ば、馬鹿!音だけパニクるな!!
男達からだらしない顔が消えた。
場所は特定されるのは時間の問題、ならば戦力を減らすのが最良だろう!!
咄嗟の判断で即座に戦闘体勢に入る。
パァン!パァン!
壁から顔と腕を出して放った二発は一人の左腕と、もう一人の胸に当たった。
「やば!」
引っ込めた直後にコンクリート片が粉となり舞い上がる。
マシンガンの雨が止まない。
【兵士一人死亡、一人軽傷 残り??人】
以上です
髪の色は書かないほうが良かったかもです
理由はアニメと原作で色が違う人がいるから、千雨しかり
アニメのオリジナル設定はサッパリなので
GJ
これ、千雨編終わったら全体の話が来るのかな?
GJです。
死んだのはアスナだったかー。
楓は死亡フラグたってたけどどういう死に方だったんだろう?続きwktk!
まだ生き延びた桜子・・・本当にGJ。
やはりオレンジの髪は
アスナだったか・・・・
今回のは何か怖いね。いい意味で。
猛獣が敵だなんて怖!
あと20KB
バイオハザード4みたいだぜ
<食む者・後>
雨が小康状態になったので顔を出し敵を伺う。
無傷の奴がマガジンの入れ替え、腕をやった奴は無線で連絡を取っている。
相手は本部と考えるのが妥当だ。
「脱出口はあるか!」
トイレの奥にいる亜子に呼びかける。
「無理だよ!窓はあるけど、高すぎる」
上ってきた階段を考えると、窓からの飛び降りは無茶だろう。
出口は私のいるトイレの入口のみか……。
運良く敵は爆弾類を持っていないようだ。でも、予断は許されない。
時間が経てば援軍が爆弾を持ってくるかも……。
くそっ、考えろ長谷川千雨!
窮地を脱する方法を!
囮作戦すらできない苦しい立場。
あらゆる計算をして弾き出された方法は。
正面突破、敵が二人なら何とかなる、それしかない……か?
無理は承知、このまま状況を悪くし死ぬくらいなら、刺し違えたほうが悔いが残らない。
乱射音が響く中、再び亜子に一声かける。
「表に出て仕掛ける。隙があったら逃げろ」
ズドン!!
決意に待ったをかける異変。
乱射音とは別の音が三回鳴った。
水を指された気分だ。いや、そんなことより状況を……。
「――――」
目が合ってしまった。
「ふっ、思わず撃ってしまいそうだったぞ」
「お前は、龍宮か?」
制服から褐色の肌を覗かせるその人は出席番号18番、龍宮真名だった。
右手の銃を下ろし、足を早める。
「…………」
惨劇の場と化した駅の片隅。
さっきまで襲っていた男達は二人とも頭を貫かれて目を開けたまま息途絶えていた。
「……うっ、っぷっ」
亜子は一人、トイレに逆戻り。
耐性のない奴にはちとキツイよな……。
私はもっと悲惨な骸を見ているたから平気だ。
マンションのアレより悲惨なものは考えられない。
「さっさと用を済ませるか……」
人目を気にすることなく龍宮は物色を始めていた。
「まあ、上出来だな」
私が確認していたマシンガンと拳銃二丁しか見つからなかったようだ。
ふと屈んだまま私にグリップを突きつけてくる。
「これはお前にやろう」
とりあえず手に取ってみた。
「シグザウアーP239、そんな名前の銃だ」
名を聞いたところで私には何も解らない。
「この二つは私が」
普通なら三つとも龍宮のもんだが、厚意でくれるらしい。
貰って損が無いものは貰っておく。私はファイブセブンを左手に持ち替えた。
「ご、ごめんなさい〜」
(多分)嘔吐を終えた亜子が戻ってくる。
龍宮に会釈をし、一言。
「本当に助かりました……」
死体に目を向けないように一心に龍宮の目を見ている。
龍宮はそうか、と他人事ととれる一言を残し踵を返した。
「おい―――」
離れ行く龍宮の背に話しかける。
「―――なんで、助けたんだ?」
自分自身でもよくわからないことを言っていると解っている。
なのに、こんな言葉をを口にしてしまった。
振り返った龍宮の顔は飄々としたいつもの顔、何の代わり映えもしない。
「唯の気まぐれ、そう思ってくれ」
灼眼からは何も読み取ることができなかった。
左手の銃を強く握っていたことに気付いた。
【真名 ベレッタM92G、IMIミニウージー入手】
【シグザウアーP239入手 残り??人】
<情報通>
恩人の背中を見送ってから、駅を出た。
日はまだ真上、さらに熱くなると思うと……考えないでおこう。
「―――なんで、助けたんだ?」
龍宮と別れる時に口にした言葉が脳内で蘇る。
失言、だったと思う。
どうして言ったのだろう?自分のしたことすら理解できてない。
熱くて脳がやられてしまっただけ、そんなのだったら笑える。
でもそれはない。
奴を見て何かを感じたのは事実だから。
龍宮についての私が知りうる情報。
高校生離れした体型、人間離れした能力を持つことも武道会で確認済み。
そして、冷ややかな赤い目は他人を遠ざける気質がある。
自発的に人と関わりを持とうとしない私とは違っている。
「龍宮さんに何のお礼をすれば……」
だがそれも亜子には関係なかった。
来た道を戻る途中でまた人に会う。
「やあ!」
警戒心無く手をヒラヒラさせてこちらに来るのは朝倉だ。
「止まれよ」
すぐさま私は拳銃で制止を促した。
ポケットに入っていた左手が怪しかったからだ。
「え、何?疑ってるの?
まあ、仕方ないか……。ほら」
ゆっくりと手を取り出す。
開かれた手には何も無かった。
「私、そんな信用ない?」
両手でヒラヒラやれば物騒なことはしなかった。
「けどそれ、かっこ悪くない?」
想像してみる…………。うっ、なんか馬鹿みたいに見える。
でも、保身のためなら……な?
話をシリアスな方向に戻す。
「でもよ、普通銃持ってる奴に無防備で近づいてくるか?
乗ってる人間だったら即、射殺だぞ」
「その点は抜かりないね。なんせ一緒にいるのが和泉なんだから。それにしても珍しい組み合わせだねぇ」
笑いを堪えた目でこちらを見てくる。こいつ、撃っていいか。
「まあ、和泉と一緒に行動してる経緯も踏まえて情報交換ヨロシク〜」
こういった流れで、私は路肩で必要な情報、具体的に猛獣、島について、巡回兵、龍宮について伝えた。
私と亜子の出会いについては亜子に目配せし誤魔化しておいた。
「ほほう、私と違って色々あったんだね……」
お前が感慨に耽ることはないだろ……。
「私はあんたらに見合う情報は持ってないから。
あと、和泉……深く考えすぎないようにね……」
いつも軽妙に話す朝倉の歯切れ悪い言葉、亜子に釘を刺したってことは運動部の奴関連か?
「私が知っているのは柿崎と桜子がおかしくなっちまったこと」
柿崎美砂と椎名桜子が綾瀬夕映を襲い殺した。情けないけど私は逃げてきた。
私には手持ちの情報が増えたとしか思わない。
和泉は予想通りそうもいかない。
「そんな、何かの見間違いじゃ……」
「顔馴染みの奴を見間違うことはないよ」
「で、でも!」
歯止めが効かなそうだな。
「やめとけよ」
朝倉に食って掛かる亜子の肩を掴む。
「桜子も柿崎もそんなこと……」
「朝倉に否定を求めても仕方ねえだろ?」
それきり亜子は黙ってしまった。
「んで、どうするんだ?ついてくるのか?」
「それは遠慮させてもらうよ。
やりたいこともあるし、それに……ね」
私もこんな気まずい状態が続くのはゴメンだ。
「気を付けろよ」
私達とすれ違い、駅のほうへ。
姿が消えた後、亜子は顔を曇らせて私のほうを縋る目で見た。
ほんとに手間がかかる……。
「ったく、一回しか言わないからよく聞けよ。
朝倉が見たって言っただけで、それが事実かどうかは自分の目で見るまで分からない、だからな、ガセを吹聴してる可能性だってある。
朝倉が勝手に他者に殺人鬼のレッテルを貼っただけかもしんねーし。
つまりこうだ。情報の受け取り方なんか、人それぞれ」
一呼吸入れる。
「お前は柿崎と椎名を信じてやれ」
しばらくあっけにとられた顔で固まっていたが、
「……千雨さん、ありがとう」
いつもの顔へ戻っていた。
情報の受け取り方なんか、人それぞれだ。
だから私は亜子の代わりにすべてを疑う。
それが私の役目。
【残り??人】
<傷負い人>
ファイブセブンを亜子に返した。
新しい銃が手に入ったしな。
いつの間にか足は駄菓子屋へ向かっていた。
動物はいつでも帰巣本能に駆られる。
自然に帰れば私達も所詮、動物の一種に過ぎないんだ。
見慣れた場所、旧市街地まで戻ってくる。
安堵感は束の間、吹き飛んだ。
私達が通ってきた時と違い、そこには見慣れないもの。
不吉な跡、不吉な赤があった。
血だ。
道に血痕が多数残っている。
人間どのくらい血を流せば死ぬかは知らんが、これはどう見ても失血死に至るだろう。
卒倒しそうになる亜子を支えて、道標を追った。
血痕は少しずつ液体となり、乾き具合が悪くなっていく。
近いな……。
そして、曲がり角を曲がったところが終着点だった。
路上に倒れるクラスメイト、本来金髪の髪が血に濡れて艶かしくうねっている。
見て直ぐにこれが誰だかわかる。
「いいんちょ!!」
亜子が名を呼び、苦手な血もお構い無しに足元まで駆け寄る。
どうやら生きているようだ。
「あら……和泉さん……、あと……」
「……長谷川だ」
こっちを見ているのに私の名が出てこない。
眼鏡をかけていないからか、それとも“見えていない”のか?
「そうですわね……眼鏡をかけている方はクラスには…千雨さんだけですもの」
後者で確定か……。
驚きを浮かべていた亜子も流石に悟ったみたいだ。
正面には目立った傷はない。ということは……。
亜子がうつ伏せにするように優しく動かす。
「ぅわっ……」
私は声を漏らした。
こんな傷を見れば、声の一つや二つはこぼしてしもう。
目を覆う赤、血紅色の背中。
よく見ると背中が裂け、肉が削がれている。
骨まで見えてもおかしくない深い傷をいいんちょは負っていた。
失明の原因もコレなのか?
私は医学知識などまっさらないからわからない。
知識が無くてもわかること。これは人間が付けられる傷ではない。
凶器:鋭く太い爪を想像できる。
問いかけるとらしからぬか弱い声で、
「熊……ですわ……」
答えてくれた。
肉食獣の揃い踏みか、あとは百獣の王くらいか?
んで、いいんちょはいかにして、その熊から生き延びたのか?
そこらへんを見渡すと立派な銃が放置してあった。
いいんちょの支給品だろう。
「なあ、亜子……。どこかに移動したほうがいいんじゃないか?」
「ダメや!出血が酷いから動かしちゃアカン!」
焦りの表情で手当てを続ける。
―――――言うべきだろうか……。
ありのままの“現実”を
「これも……、ええと、あれも足りない!」
慌しく救急箱を探っている。
「足りない……。ウチ、もう一回薬局行ってくるわ!」
話しきる前に飛び出ていった。
普通の危険度に加え、前科がある私達は兵士にも狙われる確率がある。
解っていながら亜子を止めなかったさ、無駄なことはしない主義なんだ。
あっという間に華奢な体は見えなくなった。
【あやか ステアーAUG所持 残り??人】
投下終了
人がさっきまでいたために遅れました
チア二人が乗ったか…。GJ!後気になる事なんだがパルもハカセも眼鏡では?
580 :
マロン名無しさん:2006/08/27(日) 10:10:19 ID:zRxlOcpk
もうその二人の死をいいんちょが知ってるってことじゃね?
ハカセ死んだな
チア二人が・・・大穴でのってない方に食券10枚とにかくGJ
じゃあ俺はチア3人とものったに50ルピー
<斜日の灯火>
アップテンポの足音がだんだん大きくなってくる。
警戒することはない。誰かなど見なくたって分かる。
両手が塞がった状態で亜子が角から姿を現した。
「いいんちょは!?」
息を整えながら私に答えを強要する。
だから、伝えてやった。ありのままにな……。
「ああ、死んだ」
ガラン!
綿や包帯が床に落ちた。
「……嘘…」
この状況で嘘をつくような奴はそうそういないだろう。
それなりの節度くらい持ってる。
「亡骸を放置するわけにはいかないから、お前はここで待ってろ」
「嘘や……、嘘や!」
いいんちょを担ぐ。
死体は重いと聞いていたがそれほどでもないな。血はもう出切ってしまったためか?
で、そのまま亜子の隣を通過する。
「……おまえだって分かってたんだろ?“助からない”って。
あれ見て助かると思う奴はさすがにいねーよ」
それでも納得がいかないらしい。
「お前は医者か?」
当然首を振る。
「たとえ医者であっても手の施しようがなかった、仕方ねえ。
もう一度言う。雪広あやかは死んだ。それだけだ……」
亜子が納得いかなくても事実は変わらない。
私は近くの住宅兼用の店に入り、ベットに死体を寝かせた。
その上に毛布をかけてやる。
ぶっちゃけ、埋めるのは面倒だったからこれで勘弁してくれ。
…………亜子はついて来なかった。
戻ると亜子は血痕のない路上で体育座りをしていた。塞ぎ込んでいる……みたいだな。
この調子では今後にも引き摺るだろう……。
そう思っていた矢先、
「ごめんな、一緒に行かなくて。
もう少ししたら復活するから……グズグズしていることをいいんちょも望んでないと思う。
でも、まだ整理つかんから……」
そうか、思いのほか強いんだな(こんなこと本人には言えないが)。
柔な精神の奴じゃ、この環境下では狂うか自殺するかすぐ殺されるかだ。
自分を保っていられる亜子、精神力の強さは当然とも言える。
このまま暇を持て余していても仕方がないので、私は傍らにある大きな銃を手に取ってみた。
いいんちょの忘れ形見は使わせてもらおう。見た目からして強力な武器だからな。
私が自分のリュックに予備弾を移し終えると同時に亜子は立ち上がった。
「憂鬱タイムはおしまい……元気出さへんと!」
完全には吹っ切れてない。まあ、気が滅入ってしばらく行動不能になるよりよっぽどマシだな。
私が死んだら悲しんでくれる……そんな人はいるのだろうか?
【雪広あやか 死亡】
<黒翼・前>
気を取り直していつの間にか本拠地となった駄菓子屋へ向かう。
もう旧市街地にまで戻ってきているからすぐ着く。
さすがに疲れたから、私も色々と頭の整理をしたい。
つーか、横になりてえよ……。
ドクンッ!!
突然のことだ。
強く心臓が跳ね上がった。
な、なんだよっ!今のは?
私は足を止めていた。
「どうしたん?」
前を行く亜子が振り向いて尋ねてくる、そんなシチュエーションが想像できるがそうではなかった。
亜子も体を震わせて足を止めていたのだ。
私と同じように違和感を感じ取った、おそらく……な。
なんたって凡人の私も感じ取れたんだから亜子もそうであってもおかしくはない。
お互いに顔を合わせる。言葉は無くても何をすべきかは分かっていた。
素早く交差点を曲がり、ビルの横からチョコンと顔を出す。
暑さで歪んだ空気。蜃気楼で視界がぼやける。
こちらに近づいてくるごとに複数の輪郭がくっきり見えてくる。
正体はあまりにけったいで畏怖すべきものだった。
さすがに驚いた。
悪魔と鬼
そのままの意味で受け取って結構。
西洋のモンスター、デーモンとか言う奴と和的な悪魔?それが数体ほど。
霊符が額に取り付けられている。
ということは、誰か魔法使いが使役している?
詳しくは知らない。だが、私たちにとってあれが最悪の部類に入るのは確かだ。
獣達と違い通常の攻撃の類が効かないかもしれない。
どれくらいの運動能力を持っているかもわからない。
知らないモノは常に恐怖を相手に与える。嫌であるほど実感した。
「あれ、生物なん……?」
魔法関連に足を踏み入れていない亜子には生きている、動いていること自体が信じられない。
「知るかよ……」
近くでも聞き取りにくい小さな声でやり取りしていた。
それでも、奴らは私達を察知していた。
爬虫類系の目がこちらを捕らえる。
まったくもって運がない、いや、クラスメイト同士の戦闘に巻き込まれていないだけマシなのか。
「逃げるぞ……嫌な予感がする」
「うん」
話は打ち切りその場から離れる。
悪魔どもがそのまま素通りしてくれることを願ったが、そうも行かない。
交差点で方向転換し、追跡してくる。
つーか、一部の奴は飛んでやがる。
「あれ、なんでうちらを追ってくるん!」
「知るか!私に聞くな!」
標的にされる理由よりも標的にされた事実のほうが今は重要だ。
戦闘を避けるべく私達は逃亡を続ける。
【残り??人】
<黒翼・後>
どんなに足を早めても、所詮、空中と地上。
機動力が違いすぎる。
翼の付いている連中(3体)に先回りされていた。
後ろからは飛べない連中(4体)が詰めている。
足を止める他なかった。
挟み撃ちでチェックメイトか?
……私は諦めが悪いんだ。
「退きやがれ!」
前方に銃を乱射し、道を作り出せば……。
しかし、強靭な肉体に鉛球は無意味なのか、デーモンどもは被弾しているのにビクともしない。
「……なら!」
目標を変える。
顔に取り付けられている符、コレを撃ち抜けば……。
バララララ!!
軽快に銃口から飛び出していく弾は二枚の紙切れを屑にした。
“ヴォオオオオ”
この世の生物にない叫びを残し、二体が灰へと消えていく。
攻撃が効かないわけじゃない、撃退でき―――
「!!?」
丸太に等しい腕が私の背後から襲った。
後ろにも敵がいたんだ、つい忘れていたよ。
避ける?まったく無警戒だったのに何故そんなことができると言うのか?
超越した腕力は爪で肩を引き裂くだけでなく、私を地面から乖離させた。
肩を心配することもできない。
ボロ雑巾のように軽く中に舞った体はニュートンの法則によりコンクリートに叩きつけられる。
ミシミシッ
骨が軋む音を聞いた。
息もできず、痛覚も麻痺してしまっている、体が動かない。
「……さん……!」
亜子が私の名前を呼ぶ声が耳に入る。
意識を保って状況を把握する。
デカい銃は右手にない。10mほど先に落ちている。
それでも、
負け犬よろしく地面に這い蹲りながら、
シグザウアーを取り出した。
ブロロロロロ!!
懐かしいような、聞きなれていたような、そんな音。
だんだん大きくなっていく。
私はなんとか頭を上げた。
こっちに来るのは……軽トラ!?
しかも運転してるのがうちの生徒だと!
つーか、めちゃ乱暴な運転だな。
邪魔者を轢き倒し、亜子の元まで辿り着く。
キキィッ、とブレーキ音を立てながら暴走車は止まった。
「お待たせ、アル」
期待もしなかった援軍が現れた。
後部座席から現れたのは武道大会に参加していた古菲だ。
古は亜子に二言ほど声を掛けると敵に向き直った。
あいつ、囲まれているのに余裕すら窺える。
「相手してあげるヨ!」
あっという間だった。
古の動きを見ていると、デーモンどもはあまりに緩慢だ。
一体、もう一体と札を取られ消えていく。
“ギィアアア”
怯えとも取れる泣き声を上げ、残った一人が襲い掛かる。
古は難なく流して、
「頂肘!!」
カウンター。
動かなくなったデーモンの霊符を取ると、存在しなかった者のよう粒子へと変わり消え去った。
一人の少女がモンスターを殲滅。どこのアニメだよ。
私は動かなくなった体に鞭を入れ、よろよろと立ち上がる。
これまた奇跡的に無傷だった亜子が「ダメ、安静にしてて」と泣きそうな目でこちらに寄り添って来た。
恥ずかしいからこっち来ないでくれ。
言っているそばから古がニヤニヤしている。
「亜子!無事?千雨さんも」
助手席から出てきたのは佐々木。
そして運転席から出てきたのは大河内だった。
(故意かどうか知らんが)あんな危険な運転してたのが大河内……ねえ。
まあ、その、人は見かけによらないってことか。
私の目は自然と久しぶりに嬉しそうな顔をしている亜子の背中に向けられていた。
【古、アキラ、まき絵合流 残り??人】
<他愛ないこと>
三人は結局合流することになった。
私は反対の二文字を、表に出すことなく心に留めた。
(亜子が元気でいられるなら……)
ちっ、私は何考えてるんだ!
覆水盆に返らず、って言葉があるだろ?
どうせ最後には殺し合うんだ。
死んだ奴もいる、”大団円”なんかもうない。
クラス全員が顔を揃えることもない、少なくとも“この世”ではな。
一方通行の道しか示されてないんだ。
(……私は……何考えてるんだか……)
行き着く結果は変わらないのに、今の和やかな雰囲気に身を置いてもいいと思う私がいた。
団体さんとなった私達は駄菓子屋に戻る。
歩くごとに体中がミシミシと音を立てる状態だったので、近くで本当に良かった。
着くと私はだらしなく和室で横になった。体が痛い&しんどい。
「千雨さ〜ん、起きとる?」
なんだよ、人がまったりしてるのによぉ。
「傷、これから手当するから」
外傷は大したことないんだ、別にいいだろ?
―――――て、痛てててて!!
「何すんだよ!!」
左足の痛みで飛び起きる。
「ウチはただ左足を触っただけや」
勝ち誇った顔をする亜子。
…………言い訳もできないくらい不利だ。
「手当て、するから」
二度目の言葉に私は同意した。
「多分、軽い打撲やな。安静にしとけば直ると思う」
グルグルと手際よく包帯を巻いていく亜子。
「やっぱ、大したこと無かったじゃねーか」
「見るまでそんなんわからへん。だから、具合を見ることは大事なんよ」
痴話みたいだ。
三人もこっちを見て笑っている。
持て囃されるのは嫌いだが、これもこれでイラっとくる。
「治療はもう終わったんだろ?横になるからあっち行け」
シッシ、と仕草をすると亜子は残念そうに戻っていった。
テーブルで雑談する四人と背を向けて横になっている私。
やることも無いので、自ずと会話が耳へ入ってくる。
(…………)
「アキラの運転。なかなかのものだったアルよ」
どこがだよ!!
間髪無く突っ込みたかったが、心の中だけで我慢しておく。
「それにしても、どこで車見つけたん?」
「大きな立体駐車場に一台だけあったアルよ」
「そうそう、出るのが大変だったよね!
アキラさ、何回も壁にゴリゴリ擦ってさ!」
「ちょ、まき絵!?」
大河内の焦る声が聞こえる。