ネギま萌え統 最終回

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576マロン名無しさん
『無題2』 長門有希

その時まで、私は一人ではなかった。多くの私がいる。集合の中に私もいた。
氷のように共にいた仲間たちは、そのうち水のように広がり、ついには蒸気のように拡散した。
その蒸気の一粒子が私だった。
私はどこにでも行くことが出来た。様々な場所に行き、様々なものを見た。しかし私は学ばない。見るだけの行為、それだけが私に許された機能だ。
長い間、私はそうしていた。時間は無意味。偽りの世界ではすべての現象は意味を持たない。
しかし、やがて私は意味を見つけた。存在の証明。
物質と物質は引きつけ合う。それは正しいこと。私が引き寄せられたのも、それがカタチをもっていたからだ。
光と闇と矛盾と常識。私は出会い、それぞれと交わった。私にその機能はないが、そうしてもよいかもしれないことだった。
仮に許されるなら、私はそうするだろう。
待ち続ける私に、奇蹟は降りかかるだろうか。
ほんのちっぽけな奇蹟。