(o^v^o) ぱにぽに de 学級崩壊 (*゚∀゚*)3日目

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1マロン名無しさん
このスレはいじめやエログロなど、ぱにぽに及び関連作品のダークな話をするスレッドです。
ぱにぽにのダークな話であれば内容に制限はありません。必ずしも学級崩壊にこだわらなくても結構です。
不快感を覚えたり、キャラクターのイメージを損なう表現がある可能性がありますが、ご了解の上でご覧下さい。
最初に「人死に・グロ・エロ」の有無を書いておくと喜ばれます。

【まとめサイト】
ttp://www.pphoukai-matome.com/

【前スレ】
(o^v^o) ぱにぽに de 学級崩壊 (*゚∀゚*)2日目
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1141492696/

【関連スレ】(21禁です)
ぱにぽにエロパロスレッド3時間目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133189321/
2マロン名無しさん:2006/04/25(火) 00:20:29 ID:???
前スレが容量オーバーしたので立てました。
周知の為ageます。
3マロン名無し三鳥:2006/04/25(火) 00:22:15 ID:???
3取りー!!!
4マロン名無しさん:2006/04/25(火) 01:12:57 ID:???
即死判定っていくつだっけ
5マロン名無しさん:2006/04/25(火) 10:46:34 ID:???
>1乙。
正直3日目まで伸びるとは思ってなかったな。
6マロン名無しさん:2006/04/25(火) 13:50:36 ID:???
1さんは乙カナ?
7マロン名無しさん:2006/04/25(火) 14:27:43 ID:???
姫子ハブられるの巻で震えたw姫子ギザカワイスw
8マロン名無しさん:2006/04/25(火) 14:55:44 ID:???
藤巻萌え
9マロン名無しさん:2006/04/26(水) 00:21:20 ID:???
ワタシの名はロボ子!
>>1に言う事がある!
乙!
10マロン名無しさん:2006/04/26(水) 00:38:58 ID:???
即死回避保守乙
11マロン名無しさん:2006/04/26(水) 21:21:02 ID:???
バトルロワイヤルの続きまだカナ?
12今月のGFを読んで:2006/04/26(水) 22:30:01 ID:???
「はぁはぁ……まったく……私はガリ勉なのよ……運動は苦手なのよ……?」
 衣装部で調達した学ランを羽織り、都は全速力で北関東ツッパリ連合からの果たし状で指定された通りの場所にやってきた。
 普段からサマーセーターを着ている上に学ランを羽織ったので暑い事このうえない。
「だいたい私番長じゃないし……でもベッキーを人質に取られたら仕方ないじゃない……」
 額の汗を左手の親指と人指し指の間で拭う。学ランは借り物なのでなるべく丁寧に扱おうという理性は残っていた。
「なのに! なんで! 誰もいないのよ!」
 指定された場所には誰もいなかった。
 それでも都は辛抱強く数時間待ったが、日も暮れてきたので帰る事にする。
「ああもうムカつく! 帰る!」
 辺りはもうすっかり暗かったので、怖さを紛らわすためわざと大声で叫んだ。
13今月のGFを読んで:2006/04/26(水) 22:32:15 ID:???
 それからしばらく経って、宮本研究室宛に南条運輸の宅急便で箱が届けられた。
 カニのマークが描かれているが、特に冷蔵や冷凍はされておらず、常温だった。
「その箱なんなのカナー」
「気になるなら開けてみれば?」興奮する姫子に対して都は素っ気ない。
「……でも……カニだし、ベッキー宛だし」
 かいでみるとなんだか生臭い匂いがする。
「カニかにカニかに……」重さもカニのそれと同じくらいだろう。
「どうしよう…… カニだしなーカニだからなー」
 姫子はカニを愛している。しかしだからこそ、カニが見るに耐えない姿になってしまっていたら大きな衝撃を受ける事だろう。
 姫子自身それがよくわかっているので柄にもなく悩みまくっているのだ。
「……ん?」
 悩む姫子は無意識のうちに箱の上に座ってしまっていた。意外に色っぽいヒップの下で箱がひしゃげる感触がした。
「わっ! なんか変な汁付いたりしてない?」
 立ち上がりスカートを引っ張って確認する姫子に、玲が姫子の方を見ずに適当に答える。
「してないしてない」
「そ、そう? よかった……」
 しかし、少し遅れて姫子の方を向いた玲の口から、首を絞められたような声が上がった。
「姫子……嘘……ついてる……なんかついてる……」
 顔面蒼白で口をつぐんだ玲に代わり、くるみが呻くように言った。
「え?」
 一転強ばった顔の姫子に、みんなかくかくと頷く。姫子のスカートには黒っぽい液体が付いていた。もちろんその液体は箱から沁み出している。
 震える指で姫子が開けた箱にはベッキーの首が入っていた。
 顔は腫れと骨折のため別人のようになっているうえ、腐敗してまさに見るに耐えない姿だ。
 一緒に封筒が入っていた。封はされておらず、入っていた血や滲出液にまみれた便箋には『ごめんなさい。許してください』と書いてあった。
 姫子はうつむき首を振り、そっと箱の蓋を閉じた。
「これは……違う……カナ」
14今月のGFを読んで:2006/04/26(水) 22:36:51 ID:???
 数週間後、貼り出されたテストの結果を見て玲は絶句した。
(……嘘だろ?)
 ベッキー惨殺のショックで自分の成績が弱冠下がったのはいい。
 むしろ魔女などという褒められてるんだかけなされてるんだかわからないあだ名をつけられて、
自分でもその気になっていたのが意外に人間らしいところがあったとわかって少し安心したくらいだ。
 問題は7位のところにある名前だ。
 もちろん彼女がそれだけの努力をしてきたのはよく知っている。しかし玲の知る彼女の成績は良いとは言い難いものではなかったか。
 それがなんだこの成績は。
「都ちゃんスゴーイ! 私なんか追試ダヨー?」
「やっぱり頭は使うものだって事ね。私、自分に合った頭の使い方をやっと見つけられたみたいなの」
「へぇーそうなんだーすごいねー私にも教えてーどうしたらいいの?」
「適度な刺激……かしら」都は額を撫でながら言った。

 姫子も玲も、ちょうどそのころ東京湾の海底で魚達が、
何か固いもので殴り潰されて死んだ北関東ツッパリ連合の死体を食べていた事など知る由もなかった。
15マロン名無しさん:2006/04/26(水) 22:49:27 ID:???
gj
16前スレ埋め用:2006/04/26(水) 22:55:00 ID:???
人死になし、グロなし、エロなしです。

「ありがとうございましたー」
 店員の明るい声を背中に受け、駅前のファーストフード店から桃月学園の制服に身を包んだ三人組が吐き出される。
「美味しかったねー。みんなでお茶するとオメガ楽しいねー」
 満面の笑みの姫子に対し、都は不満顔だ。
「あんたはセットのおまけが欲しかっただけなんでしょ? 私コーヒーとアップルパイのつもりだったのに。ブドウ糖とカフェインは脳にいいっていうから……」
「まあまあ都さん…… おまけを100円で買い取ってもらえて大儲けオブジイヤーですよ。宮本先生も南条さんにチョコエッグのダブりを買い取ってもらってましたし」
「そうなの? あれ南条製菓でしょ? いくらでもありそうだけど……」
「なんでも動物の森を作るとかでたくさん要るみたいですよ。自分でもかなりたくさん開けたみたいですけど……」
「ああ、犬神くんに勉強見てもらった帰りにチョコケーキもらったけど……あれ南条さんだったんだ。道理で美味しいと思った。
 そうそう、ブドウ糖が脳にいいって犬神くんに教えてもらったのよ、その時」
 都の額がほんのりと赤く見えたのは、夕陽のせいだろうか。
 そこに向こうから柏木姉妹のいずれかがやってきた。いずれか、というのは珍しく片方しかいなかったからだ。しかも髪を下ろしていると来たものだ。
 このまま気づかない同士でやり過ごせれば気まずくなくていいなと都は思ったが、あいにくあちらも気づいたようで寄ってきた。
「あ……えっと」
 都がヤマカンで当てようとするのを横目に、姫子があっけらかんと声を上げる。
17前スレ埋め用:2006/04/26(水) 22:56:00 ID:???
「こんにちはー優麻ちゃん。今日は一人なの? 珍しいねーケンカした? ボコボコかな? 家庭崩壊しちゃうかな? ヴァイオレンスカモー!」
 下くちびるをかんだ良い発音だ。なんでこの発音を英語の時間に出来ないのだろうかと都は思った。
「優奈ちゃんはバイト。私は布の買い出しね」
「そっかー、新作期待してるねー」
「じゃあご期待に添えないとね。ごめん、これから優奈ちゃんと待ち合わせなの」
「ああそうなの、引き止めちゃってごめんなさい。さよなら」
「さようなら、優麻さん」
「サヨナラー! また明日ねー」

「姫子さん、よくわかりましたね……」
 優麻が元陸上部の健脚を活かしてしばらくの後、6号が感心した声を上げる。
「え? 何が?」
 キョトンとした顔の姫子に、都が補足した。
「柏木姉妹。髪下ろしてたから全然わからなかった」
「そうカナー? わかるよ?」
「そう…… 私達髪の結びで区別してるから。左側で結んでるのが優麻で……」
「こちらから見ると右側ですけどね」
 都と6号の高尚で学術的な議論に、姫子の頭脳がハングアップする。
「……? え? 私その方がわからない…… 右……左? マホ?」
18前スレ埋め用:2006/04/26(水) 23:00:00 ID:???
「という意見なんですが……」
 委員長委員会開催中の第3会議室。生徒会代表の麻生麻里亜が投書箱の意見を読み上げる。
「北を向いて東側が右よ」
 朝比奈英理子が即答したが、瀬奈雪絵がやんわりと突っ込みを入れる。
「あら、それだと宇宙空間ではどうするのかしら? 太陽はいくつもあるし上下もないわよ」
「お茶碗持……」
 英理子が叫び掛けたところで考え込んでいた大森みのりが口を開いた。
「コバルト60のベータ崩壊で電子が多く放出される方向が右だったと思うけど……」
 みのり以外の視線が今回の立ち会い担当、五十嵐先生に集中する。
「あぁ? 私は化学教師だから素粒子物理は全然わかんないわよ?
 だいたい理論上ではそうだけど実験なんてそう簡単には出来ないんだしさー。
 そんな細かい事気にしないでおおらかに生きなさい、おおらかに。お酒を飲めば超ハッピーよ?」
 五十嵐先生はこれが終われば帰れるという事で、すでに気持ちはメルヘンロードを突っ走っているようだ。
「……そうですね。そのように実証が可能だという事で、いわゆる『右』で納得するのが精神衛生的にもいいと思うわ……」
 みのりの言葉に雪絵が頷く。ちなみに今日の真里亜の髪飾りがついているのも本人から見て右側だ。
19前スレ埋め用:2006/04/26(水) 23:01:15 ID:???
「ところで、初代スレのラストで好きなキャラを全部出したという話でしたが、その片桐姫子さんが出ていなかったじゃないですか!」
 議題が解決したところで英理子が中断された分の勢いも込めてか拳を握りしめ叫んだ。
「なんでも、五指に入るほど好きだという話なのに! こんな事では困ります!
 名前を間違われていた子もいたし!
 二代目スレでも推敲してなかったり誤字脱字があったり、さらにこれは埋め小説のはずなのに容量オーバーしちゃったし!」
「その事なんですが」
 真里亜の影から綿貫が現れてファイルをめくる。生徒会諜報部なので出席時の定位置は生徒会の側になるのだ。
「最近足柄駅周辺でUFOが目撃されており、その影響ではないかと思われます」
「……は?」
「ゆーふぉー」
「……もう少しマシな言い訳はないの!?」
 朝比奈が絶叫する横で、大森みのりは天を仰いだ。
(……UFOって……いるのかしら……)
20マロン名無しさん:2006/04/27(木) 00:45:57 ID:???
ウホッ!こんな面白いスレがあったとはwwwwwww
21マロン名無しさん:2006/04/27(木) 00:54:31 ID:???
そこは「マホッ!」だろ
22マロン名無しさん:2006/04/27(木) 14:05:10 ID:???
なんか過疎ってね?
23マロン名無しさん:2006/04/27(木) 15:10:08 ID:???
これぐらいの速度がちょうどいいよ
24マロン名無しさん:2006/04/27(木) 15:25:28 ID:???
>20見て思ったが今の所 一度もBLな展開のSSは無いな
見たくは無いけど
25マロン名無しさん:2006/04/27(木) 16:47:16 ID:???
>24
ごめんBLの意味がわからない俺がいるorz
この無知馬鹿野郎にあなたの知識をを伝授してください
26マロン名無しさん:2006/04/27(木) 17:15:51 ID:???
>>25
ボーイズラブの略
所謂801って奴だ
27マロン名無しさん:2006/04/27(木) 17:28:26 ID:???
ぱにぽにでBLって言われても男キャラがなぁwww
まぁ、修と犬神だと腐女子向け、それ以外の男ならネタになるなwww
2825:2006/04/27(木) 17:35:54 ID:???
>26
ベリーサンクス
つまり磯辺とズーラのつるみを書けと?
29マロン名無しさん:2006/04/27(木) 17:39:23 ID:???
ズーラは女だ
声はおっさんっぽいが
30マロン名無しさん:2006/04/27(木) 17:50:54 ID:???
>29
分かっていても疑わずにはいられないw
31マロン名無しさん:2006/04/27(木) 20:18:49 ID:???
スレ止まってるなぁ…と思ってたら512KB越えてたのか
遅ればせながら>>1
32マロン名無しさん:2006/04/27(木) 21:04:53 ID:???
五十嵐先生の話まだかな
33マロン名無しさん:2006/04/27(木) 23:59:08 ID:???
生意気な鈴音を生きたまま解剖するSSを書いてもいいですか?
34マロン名無しさん:2006/04/28(金) 01:39:21 ID:???
>>33
承認!!
35マロン名無しさん:2006/04/28(金) 03:22:24 ID:???
>>33
是非
36マロン名無しさん:2006/04/28(金) 07:15:16 ID:???
>>33
賛成
37マロン名無しさん:2006/04/28(金) 19:12:02 ID:???
いつもの鬱漫画キテタ━━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━━━ !!!!
ttp://imgb3.rentalcgi.com/view/pa2d2ch/1145975500.jpg.html
38マロン名無しさん:2006/04/28(金) 20:57:49 ID:???
>>37
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

毎度ながらレヴェルが高すぎるwww
39マロン名無しさん:2006/04/28(金) 21:04:43 ID:???
マジ泣いた(;ω;)
40マロン名無しさん:2006/04/28(金) 21:13:56 ID:???
描いてる中の人に色々インタビューしてみたいすごすご
41マロン名無しさん:2006/04/28(金) 21:22:17 ID:???
酷だが切なさが止まらない。こうゆうのが許されるのが二次創作のいいところだな。
42マロン名無しさん:2006/04/28(金) 21:40:09 ID:???
前スレにこんな話あったよな。あれも泣いた。
43マロン名無しさん:2006/04/28(金) 22:23:25 ID:???
(・∀・)ィィ――ネ!
44マロン名無しさん:2006/04/29(土) 00:23:03 ID:???
>>37
全米が泣いた
45人格改造マニュアル:2006/04/29(土) 05:16:12 ID:???
「なんなのよ、この部屋は…あち〜」
 五十嵐美由紀は、サウナのごとく蒸し暑い部屋に、2時間ほど放置されていた。
減給も停職も受け入れがたく、結局、不良教師職務改善用実習プログラムなる
怪しげな教育措置を受けることで学園側と合意し、最初に連れ込まれたのがこの部屋である。
「忍耐力がどうとかで暑そうだったから一応水着には着替えさせてもらったけどよ〜、
 これは暑すぎだろ〜、ビール出してよビール〜、あ〜、桃瀬でも早乙女でもいいから持って来て〜」

 さらに2時間後
「あー、そう、そういうことー、あたしを乾燥させて、煮干とかピスタチオの親戚にして、
 まとめて酒のつまみにしようって、そういうハラなのね、でも、そうはいかんから…う」
 そうは言っても目はうつろになり、意識はいつ途絶えてもおかしくない領域だった。
「どうぞ」
 そこへ、天窓からみのりがペットボトルを放り投げてきた。
「…もう一杯!」
「…早いですね?」
 美由紀は、みのりが声の届く範囲にいる間にペットボトルを空けてしまった。
これは美由紀の飲む速度が尋常では無かったことを表しているのであって、
断じてみのりがとろくさく、天窓を閉めるのに手間取ったからではない。
「でも、当分は水の追加なんて無しですよ?ちゃんとした実習になりませんので」
「いいじゃん、初日なんだし」
「でも、もうペットボトルもありませんし」
「コレ返すから…、って届かねーな…、ああ、自販機で買ってきてよ」
「お代は後でお願いしますね」
 みのりは容易く美由紀の口車に乗ってパシられてしまった。
「…ところで、私A組の担任だった気がすんだけど、HRとかは?」

1−A教室
「今日からしばらくこのクラスの担任になる長谷川だ…よろしく」
「どうなってるの桃瀬君?」
「…悪い、今回は話せない事なんだ」
 修の目を覗き込んだ優奈は、その視線の鋭さに威圧され、それ以上追及できなかった。
46人格改造マニュアル:2006/04/29(土) 05:18:04 ID:???
「あー、少しは楽になったかな…」
 美由紀は、みのりをパシりに使って手に入れたペットボトルを数本飲み終えていた。
そして、残りはピンチの時のために取っておき、今は暑さよけのために胸に抱いている。
「あれ?こんなところにダイヤルが…?」
 そのダイヤルの取り付け部分は、右半分が赤色で、左半分が青色だった。
「ふーん、これはこれは…」
 何か感ずるところのあった美由紀は、青の方向へとダイヤルを回した。
すると、たちまち室温は下がり始め、過ごしやすくなっていった。
「あいつら、私をバカだと思ってなめてたわね…?」

「ええ、実際そうですから」
 モニタ越しに美由紀の姿を見、音声も聞いている雪絵がつぶやく。
「ここまで想定内の行動を取るとはね…」
 英理子も言う。
「ペットボトルを運ぶの、手伝ってくれてもよかったのに…」
 みのりもなんか言う。

「涼しくなったのはいいんだけど…今度は寒くなってきたわね…」
 室温は少しずつ下がり続けて適温を通り越し、既に一桁にまで達していた。
つい40分ほど前までは水蒸気で蒸しかえるような部屋だったのが、
もうじき霜が張りそうだわねと言いたくなる様な寒さを予感させる低温ぶりだった。
「まさか…」
 美由紀の背筋も寒くなった。
「暖房を入れると暑すぎて、冷房を入れると寒すぎるっていう、
 長距離バスみたいな仕組みなの?」
 ここに来て、ようやく美由紀は自分が決して楽な道を選んだのではないということを
肌に感じ始めていた。たとえこれ以外に選べる道は無かったのだとしても、である。
全身が、無意味に震えて始めていた。

「さて、無様な女の姿が拝めるわよ」
 雪絵は笑っていた。
47マロン名無しさん:2006/04/29(土) 09:40:23 ID:???
よさ気w
48マロン名無しさん:2006/04/29(土) 15:24:29 ID:???
GJ!
長谷川ってセガールだよな?
49マロン名無しさん:2006/04/29(土) 16:23:29 ID:???
いいよいいよー
50マロン名無しさん:2006/04/29(土) 16:23:53 ID:???
おしっこはどうするんだろう。

前スレで、メディアを吊るして放置してついに着衣のまま漏らしたところを
パンツ脱がして水代わりに口元に押しつける妄想書いた俺。
なかなか漏らさないようだったらカテーテルぶち込んで強制排尿でもいいんだけど。
51人格改造マニュアル:2006/04/30(日) 01:24:00 ID:???
「うぅ…」
 美由紀は弱り始めていた。
当初は軽い運動をして寒さを凌ごうとしていたが、
暑さを凌ぐために水着姿で入室した事が仇となり、力尽きた。
「桃瀬…暖かいコーヒー持って来て…」
「早乙女く〜ん、熱燗…」
「ベキ子ちゃんは、え〜と…」
次々と自分が頼れそうな人物の名前を言っては、注文をつけてゆく。
甘えの色は着いているものの、あくまで命令調であった。
身勝手なことは言えても、弱音を吐くこと、他人に懇願するようなことは
したくないというのが、美由紀の信条であるからだ。

「クスクス…」
 雪絵は、薄ら笑いを浮かべながら、その情景を見ていた。
英理子は笑っていなかった。
(もう、そろそろね…、これで音を上げないくらい
 矜持があって自律性の高い人なら、そもそもこんな状況下にはいない…)
「英理子?」
「…もう、放って置いても音を上げるでしょうね…」
「へーえ」
「何よ?」
「何でも…ただ、どうせ音を上げるなら早いうちが良いって事、わからないのかしらね…。
 私は最初に「入れ」とは言ったけれど、「いつまで」とは言わなかった。
 教習の第1段階のカリキュラムは、我が侭な人間特有の、根拠の無い全能感を
 削ぎ落とすために仕組まれたものなんだから、被験者側に勝ちは無いのにねぇ。
 今日耐え抜いたって明日もあるし、明日の次には明後日もあるのに…」
「もう、頭も働かないんでしょ…、私だって、暑さで冷静に考えられなくなること、あるし」
「働いたところで、きっと無理よ。所詮はウスノロなのよ?五十嵐先生は…
 だってそうでしょ?こんなところに放り込まれるまで、自分を改めようとしなかった…
 自分を客観的に見られないなんて、大人失格じゃない?
 そんなんだから最低限のけじめをつけるって事ができないで問題にされる、
 愚痴を言っても早乙女先生や桃瀬君みたいな単純で健気なだけの男にしか相手にされない…」
52人格改造マニュアル:2006/04/30(日) 01:25:08 ID:???
 雪絵の辛口な五十嵐美由紀評を聞いて、英理子は驚いた。
「雪絵がそういうことを言うなんて珍しい…」
「…ああ、勘違いしないでね。私、五十嵐先生みたいな人、好きだから」
「…そう」
 少し刺激的な発言の感もあるが、これは流された。
「え?さっきまでダメ人間だって言ってたのに…
 瀬奈さんはダメな人ほど可愛いってタイプなの?」
 代わってみのりが問う。
「違う違う。人格じゃなくて、それが引き起こす愉快な出来事が好きなのよ。
 自分を客観的に見られない人って、身に余る事をしでかすでしょ?
 揉め事も演劇部と映像研がやってるような内輪での事なら揉み消したり
 こっちだって見逃してやれるけど、大っぴらに騒ぎを起こす人に限って
 後の始末も出来ないし、裏工作も出来ないし、コネも無いんだからねぇ。
 で、仕出かした事に、それ相応のペナルティをつきつけられて初めて、
 どうして考え無しに行動したんだろうって、反省するのよ。クスクス。
 そんな奴らが自分がバカなんだって事を身に染みて理解できたときの顔って
 本当に傑作なのよ?」
「…う」
 笑いながら話し続ける雪絵を、英理子は少し怖いと思い始めていた。

「…助けて、誰でもいいから、助けてよ…」
 3人が話しているうちに、結構な時間が経っており、
モニター越しの美由紀が、ついに意地を捨てて身の安全を求め始めた。
「さ、至急助けに行くわよ、急いで、ね」
「泣きついて早々は助けないで、しばらく放置、ってのがセオリーじゃないの?」
 本心ではもう助けてやりたいと思っている英理子だが、委員長としての責任感が警句を発させた。
「それじゃ教育措置にならないじゃないの。
 あくまでこっちは更正を目的にしているんだから、求められたら、
 それが理不尽じゃない限りは応じてあげなきゃ、ね。それに―」
「それに?」
「あの人のグシャグシャに泣き崩れた顔を生で見るなんて、今しか出来ないでしょ?」
 2人は仕事をするときの顔つきになっていたが、雪絵だけは笑っていた。
53マロン名無しさん:2006/04/30(日) 13:57:01 ID:???
(;´Д`)ハァハァ
54マロン名無しさん:2006/04/30(日) 14:37:10 ID:???
>>51,>>52
GJだ!
…しかし五十嵐先生…ぶーざま ぶーざま
55マロン名無しさん:2006/04/30(日) 14:51:31 ID:???
前スレ崩壊確認
56マロン名無しさん:2006/04/30(日) 16:24:10 ID:???
雪奈…怖すぎ
橘よりヤバそう…
57人格改造マニュアル:2006/04/30(日) 19:47:27 ID:???
「…悪いわね、迷惑かけて…」
「いえいえ、仕事ですから…」
 雪絵は、美由紀をぬるま湯に浸からせ、手足の指先を自分の手で暖めていた。
「初日からこれはさすがに辛かったのかもしれませんね?…先生?」
「…ト、トイレに行きたいんだけど…?」
「はい、今動くのは辛いでしょうから、このペットボトルにしてください。
 あ、大丈夫ですよ。後始末は私がします」
 美由紀は、少しの間考えたが、結局言われたとおりにした。

 英理子は、湯温調整機の前から2人のやり取りを見ていた。
みのりは下手を打つ可能性があるので、美由紀との長期の接触を認められていない。
(被験者を肉体的に追い込んで、形の上だけでも降参させる。
 で、それに素早く対処して、自分は負けたんだということを印象付けてやる。
 打って変わって至れり尽せりの待遇になるから余程の人間以外は、
 さっきまでの苦痛を与えていたのは誰だったのかを忘れてしまう。
 そして、そんな余程の人間は、そもそも規制の網に引っかかるような間抜けでは無い、か)
 英理子は雪絵の横顔を見つめる。
(笑ってる…)
 雪絵の笑顔は、余程悲観的な人間が見ない限りは、美しく、慈愛に満ちて見える。
しかし、その実、その笑顔は、雪絵本人にしか向けられていない。
彼女は、自分が楽しいから笑っているのであって、その場を和ませるためとか、
相手に対しての感情が顔に出るといった事で笑っているのではなかった。

(あーあ、この人、私を「なんていい人なんだろう」って目で見始めてるよ。
 この教習を原案から考えて立案したのは、この私なのになー。
 明日以降も楽しみは楽しみなんだけど、この教習が終わったらまた、暇になるなぁ…)
雪絵は、こんなことを考えつつも、笑顔を絶やさず、美由紀の世話を焼いていた。

第1回教習「対象の自負心と対人優越感を損耗させ、敗北感を刷り込み、謙虚な性格へ志向させる」
瀬奈雪絵「被験者の反応は全て想定の範囲内、特に問題無し」
朝比奈英理子「特に報告する事例は散見されず」
大森みのり「五十嵐先生はペプシ派のようです」
58マロン名無しさん:2006/05/01(月) 22:24:33 ID:???
>>57
GJ
続きガンバレ
59マロン名無しさん:2006/05/02(火) 00:09:25 ID:???
過疎やっぱり過疎ってないか?
60マロン名無しさん:2006/05/02(火) 00:15:48 ID:???
みんなGWを活用して書いてるんじゃないか?
61マロン名無しさん:2006/05/02(火) 11:24:33 ID:???
落ちない程度に存続するのが理想
だって、あんまり投稿数が多いと読むの大変やもんw
62マロン名無しさん:2006/05/02(火) 21:20:56 ID:???
面白いんだがボリュームあるからどうしても
スレ見るのを後回しにしてまうわー
63マロン名無しさん:2006/05/03(水) 00:26:39 ID:???
それが良スレクオリティー
64ぱにぽにバトルロワイヤル:2006/05/04(木) 10:03:39 ID:???
どうも、こんにちは
この頃忙しくて小説書く暇がなかなかありません、全くもって自分勝手だとは思いますが勘弁してくだされ
では
65マロン名無しさん:2006/05/04(木) 10:43:56 ID:???
では
66人格改造マニュアル:2006/05/04(木) 14:20:38 ID:???
こちらも時間がかかりそうです。
GW明けにはまとめて投下しようと思うので今しばらく待っていただきたい。
67マロン名無しさん:2006/05/05(金) 03:50:27 ID:???
まぁまったりと行こう
68マロン名無しさん:2006/05/05(金) 09:24:13 ID:???
ベッキー「なんだよ姫子、こっちは論文をまとめるのに忙しいんだゾ。
      わざわざ屋上まで引っ張り出したんだ、何か他人に言えない悩み事でもあるんだろ?」
姫子「う、うん・・・みんなにも相談しようかと思ったんだけど、どうしても言えなくてさ・・・」
ベッキー「もったいぶるな。こうみえても天才なんだゾ。生徒の悩み事はズバッと解決してやるさ」
姫子「ベッキー・・・ありがと」
ベッキー「こらこら抱きつくなって。で、悩み事ってのは?」
姫子「うん、あたし、実はね・・・・妊娠してるんだ」
69マロン名無しさん:2006/05/05(金) 10:19:00 ID:???
マホーッ!!デキチャッタYO!!
70マロン名無しさん:2006/05/05(金) 12:16:31 ID:???
>>68
ちょwwwwwwwwwwwwwww
おまwwwwwwwwwwwww
71マロン名無しさん:2006/05/05(金) 12:26:09 ID:???
>>68
相手は誰だッッッ!!!
やはり藤巻…うわなにをするやめqあwせdrf;
72マロン名無しさん:2006/05/05(金) 12:47:14 ID:???
もしくは父親に虐待されたか
73マロン名無しさん:2006/05/05(金) 12:52:36 ID:???
悪い、俺の子供だ
74マロン名無しさん:2006/05/05(金) 12:53:32 ID:???
    ̄ ̄ ̄l/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   |/-O-O-ヽ| ブツブツ・・・
   | . : )'e'( : . |
   ` ‐-=-‐
   /    \

っていうのは冗談で、このAAって磯辺にそっくりだなw
75マロン名無しさん:2006/05/05(金) 15:13:42 ID:???
>>68
案外お相手はヤンキーかもな…原作だと仲良さそう(?)だし
76マロン名無しさん:2006/05/05(金) 16:08:18 ID:???
. .: : : : : : : : :: :::: :: :: : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::
    . . : ::: : ::::::::::: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::: :::
    . .... , ' ´`´`ヽ,:::::: :::::::::::: : ::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::
 .∩∩  (〈ハ从ハ,〉 l、.: . :::____::::::::::: : :: ::::::::: ::::::
  | | | |  /彡ミ゛ヽ ヾ仆, /ベッキー./l :::::::::: :::::: ::::::::::: :
 ( 'A`) ./ ::/;;:   ヽ ヽ:l |三三三|/:. ::.:: : :: :: :::::::: : ::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ ̄ ̄ ̄ヽ、ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
77マロン名無しさん:2006/05/05(金) 19:50:24 ID:???
流石のベッキーもこの悩みの解決は無理だな
78マロン名無しさん:2006/05/05(金) 21:01:11 ID:???
天才、遂に堕つ!!!
79マロン名無しさん:2006/05/05(金) 23:36:40 ID:???
天才、遂に堕ろす!!!
80マロン名無しさん:2006/05/06(土) 00:09:17 ID:???
相手は藤巻しかいないだろwwww
藤巻てめえエエえええええええええええええええ
81マロン名無しさん:2006/05/06(土) 00:12:09 ID:???
修が交通事故で重症を負い、頭蓋をえぐった破片が極めて微細な脳神経細胞
の一塊を破壊したことに医師や周りの連中が気づかずに退院。

しかも某人食い博士と出会い、友好関係を深めるうちにカニバルに目覚め
学校の連中を弁当の材料にする修というのが見てみたい

うげ・・・くるみよりえげつない・・・・
82マロン名無しさん:2006/05/06(土) 00:24:12 ID:???
>>81
別に脳を壊したからって基地外になるわけじゃ無いがそれはそれで読んでみたい。
単純にカニバル先生と仲良くなってってのでいいんじゃない?
83マロン名無しさん:2006/05/06(土) 02:46:04 ID:???
>>81ちょっと桐山入ってるな
84マロン名無しさん:2006/05/06(土) 17:37:44 ID:???
>>83
俺もそう思った
漫画の桐山ソクーリだ
85マロン名無しさん:2006/05/06(土) 20:38:22 ID:o6OS92mx
アニメの3話で白骨化した綿貫についてなんかかいてほsぃ
86マロン名無しさん:2006/05/07(日) 00:04:16 ID:???
>85
あー、それはどういう観点で書けばいいんだ?
初めから一条&綿貫視点で

綿貫「で、出られない…」
綿貫は現在、窮地に陥っていた。色々あってベッキー監視の為にC組の黒板裏に隠れたはいいものの、そこから抜け出せなくなってしまったのである。
こんなことならもう少しダイエットしておけば良かったと後悔していたとき、突然教室の扉が開く音が耳に入る。
一条「学級委員の一条です」
黒板裏から自由に視界が利かない綿貫は一体誰かと思ったが、その声の主は綿貫が話しかける前に自ら名前を名乗った。
しかし必死の綿貫はその異常に気づくはずもなく、今こそチャンスと一条に救助を求める。
綿貫「一条さん、いい所に!!お願い、助けて!!」
一条「…これをどうぞ…」
綿貫「…何?」
そういいながら一条がにこやかに取り出したのは、「伝説毒マムシドリンク」とラベルに書かれたいかにも怪しげなビンであった。
一条「…元気一発!」
綿貫「……」
どう見てもまともではないその容器とラベルに、綿貫は息を呑む。できれば他の方法で助かりたかったが、今はそんなことも言ってられない。
しばらく綿貫は一条を何かを訴えかけるような目つきで見つめていたが、帰ってきたのは謎の微笑だった。そして決心する。これしか助かる方法は、無い。
綿貫「……!!」
綿貫は遂に意を決し、一気にドリンクを飲み干した。

87マロン名無しさん:2006/05/07(日) 00:07:47 ID:???

…てな感じで、こっから綿貫が白骨化するまでの苦痛と経緯を書いていくのか?
それとも発見後視点で

早乙女「あー…と、綿貫」
出席を取る早乙女の無駄に大きな声が、B組の教室内に響く。しかし答えは返ってこない。
早乙女「綿貫ー、いないのかー?」
乙女「風邪とかじゃないのか?最近ずっと来てねぇみたいだし」
早乙女「それが昨日家にも電話をしてみたんだが、暫く家に帰ってないらしい…」
乙女の言うとおり、綿貫はここ数日休み続けている。原因は全く不明で、携帯に連絡しても電源が入っていないのか繋がらなかった。
乙女「ふぅん…って、それじゃ学校にも来てるわけ無いだろ!」
早乙女「まぁそれもそうなんだが…ひょっこり顔を出したりしないかな〜、なんてな」
88マロン名無しさん:2006/05/07(日) 00:10:06 ID:???

姫子「ベッキー、なんか変な臭いがしないカナー?」
朝のHRで、ベッキーが教室に入ってくるなり飛びついた姫子が発した最初の一言は、失礼極まりないものだった。
ベキ「なに?な、なんか臭うか…!?」
犬並みの嗅覚をもつ姫子に指摘されて、ベッキーは少なからず戸惑う。
玲「いや、これはベッキーの臭いじゃないな…」
姫子を回収しに歩いてきた玲もその異常に気づく。その場には明らかにそぐわない臭いが、ベッキーの周辺―教壇の周辺に充満していた。
都「…ホント…なんか腐ったような…」
いつの間にか教壇の周りに集まり始めたいつものメンバー。そのそれぞれが異常な臭いに対して感想を漏らす。
ベキ「そ、そんな私は臭うのか!?」
玲「だからベッキーじゃないって。大丈夫だよ」
姫子「うひゃぁ!困るベッキー可愛い!!」
ベキ「や、やめろぉ!離れろ姫子ぉー!」
日常のわずかな異常を感じながらも和やかな空間が保たれていたが、次の瞬間それはごく簡単なことで崩れてしまった。
6号「きゃぁぁぁぁ!!!」
玲「どうした、6号!?」
黒板の横でしりもちをつき叫ぶ6号。異常の原因はそこにあると判断し、玲はじめ一同が黒板の裏を覗き込む。
玲「……!!」
都「…こ、これ…!」
ベキ「…死体か…!?」
玲たちが見たもの、それは白骨化した「誰か」の死体だった。

見た瞬間失神してしまった姫子の隣で、もう一つの異常は存在していた。
一条「……」
白骨死体の手元に転がるビンを眺めながら、確かにその顔に微笑を浮かべる一条。だがそれに気づくものは、この教室に誰一人としていなかった。
89マロン名無しさん:2006/05/07(日) 00:11:58 ID:???

こうして早乙女の予言通り、綿貫は学園に「ひょっこり」顔を出すことになったのであった。

…ってな風に書いたらいいのか。

以下の点に関しては本当にゴメンナサイ…
・一つ目はともかく二つ目はこれ以上つなげるネタが思いつかない
・完全即席で書いたから内容滅茶苦茶
・SSレスでもないのに、4つもスレを消費してしまった
本当にゴメンナサイorz

だれか気が向いたら続きを…
90マロン名無しさん:2006/05/07(日) 01:35:58 ID:???
スレを4つも…すごいな
91マロン名無しさん:2006/05/07(日) 04:15:28 ID:???
>>86ー89
まあ一度普通にSSを書いてみてはどうだ?
結構巧く書けているから、頑張ってみては。
9285:2006/05/07(日) 09:43:42 ID:???
>>89
レス遅れてすまん白骨化するまでの苦痛と経緯wo
キボンだ
93マロン名無しさん:2006/05/07(日) 10:52:59 ID:???
なぁ、疑問なんだけど白骨化って事は骨だけの状態だろ?
SSでリアル求めるのもどうかと思うけど白骨化する前に死体が腐り始めた時点で
異臭騒ぎ起きて発見されないか?
94マロン名無しさん:2006/05/07(日) 11:37:09 ID:???
そこは書きながら俺も思ったけど、ぱにぽにの世界ならありかなぁ…とか甘いこと考えてた。スマン。

まぁ、一応上のやつの続きで書いてみたいと思うが…結構時間かかりそうなのでそこんとこあまり期待はしないでくれorz
95マロン名無しさん:2006/05/07(日) 14:41:35 ID:???
152 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2006/05/02(火) 03:04:55 ID:T8Cn23w+
まだ貼られてないから甜菜
ttp://zip.2chan.net/p/src/1146237150859.png   マホ
96人格改造マニュアル:2006/05/08(月) 03:52:32 ID:???
「今日はここまでです。お疲れ様です、五十嵐先生」
「ふぅ…、今どのくらいまで進んでるの?」
「申し訳ありませんが、それは教えてはいけない決まりでして…、
 私としてはお教えしても問題ないと思っているのですが、規則は規則ですから…」
「あ、あー、ごめんなさいね、無理言っちゃったみたい」
 そう言うと美由紀は教習室を出て行った。
この日の教習は、忍耐力を備えるためと称しての、旧校舎の備品の保守作業であった。
そして、美由紀が立ち去ってから数分後に、英理子が入室してきた。

「英理子、五十嵐先生なら、もう、個室へ戻ったわよ」
「予定より早いじゃないの?」
「あの人さぁ…自分のルールの範囲内では、実直に行動するタイプの人みたいでねぇ。
 この前、気温差責めの部屋で倒れた後、私とあなたで介抱したでしょう?
 あれに感謝の念、持っちゃったみたいで、妙に張り切ってガンコな汚れと戦っていたわ」
(……)
「…クスッ」
 雪絵が、すぐに言葉を返さない英理子を見て、笑った。
それを大して気にも留めず、英理子は問いを発した。
「教習終了の決定を出すのは、雪絵だったわよね…?」

「やっぱバレてたか、英理子は人事でも鋭い」
(そして、私のやり口を察してなお、私を止めようとはしない…
 それは飽くまで定められたルールの範囲のうちで私が事を進めているから…
 英理子は規則に従っている人間を責める事が出来ない…つくづく風紀委員の鑑だなぁ)
「あんたは、まだ終わりにする気は無いんでしょ?」
(雪絵は頭が良すぎるくらい良い、それでも私が雪絵と同じくらい頭が回ると認めてくれている。
 その上で、私が口をはさめないように、既存のルールの枠のうちで企み事を進める…
 この悪癖さえ無ければ、いい友達だし、委員長委員会のまとめ役として
 全く文句の付け所の無い模範的な学園生なのに…)
 雪絵と英理子は、お互いの事を認めあってはいたが、心は通じ合わず、事に当たっては牽制しあっていた。
混沌の中に波紋を生じさせ楽しむ雪絵と、秩序ある静かな学園を望む英理子、
この2人の存在により、個性的な生徒の集う桃月学園は、軽度の騒乱こそあれ、辛うじてまとまりを持っているのであった。
97人格改造マニュアル:2006/05/08(月) 03:55:03 ID:???
「響よ、どこへ行く?」
 ビデオカメラや周辺機器をカバンに詰めて部室を出ようとする綿貫響は、自分を呼ぶ声を聞いた。

「部長!?いや〜、今日もパペットさばきがお見事ですね〜」
「どこへ行くのかと聞いているのだが?」
「仕事、です」
 響は、ごまかしの聞く相手では無かったと自省し、簡潔に答えた。
「委員長委員会からの依頼か」
「…今回は依頼ではなく、指令です。もっとも、生徒会名義でしたが」
「やはり頭越しにお前へと指令が行っておったか。
 私を含む他の諜報部員にも、同じく生徒会から第1種情報統制指令が発せられた。
 例の教習を公正に執り行うため、だそうだ。少数精鋭でやれとのお達しだったが、
 2、3年生だけでやれとの追記が気になって来てみれば、お前には別の指令が、な」

「…すみませんが、部長にも話せませんよ?私の指令内容は…」
「わかっている。新聞部と違い、我らは生徒会の下部組織であるから、
 指令が下れば必ずや従事せねばならんし、守秘義務も課せられるからな。
 つまりは本気だという事だ。そうでもなければ、ただ新聞部の橘にでも依頼すれば済むこと。
 響、これから何が起ころうとも、お前は定められた役割を果たしておれ。
 誰が何のためにこのような茶番を始めたのか、それを知るのは今のお前では見に余る事だからな」
「…わかってます。でも、悔しいです。新聞部にいい顔をされてるよりも、ずっと」
「情報収集能力は新聞部のほうが上…、諜報部が動きやすくなるためのフィクションだ。
 我らの本当の実力は、我らだけが知っておれば良い事だ。
 ただの人間にとっては知らないままの方が良い事もある。殊に我が桃月学園のようなところではな。
 その悔しさを忘れずに胸にたたんでおけ。では、健闘を祈るぞ、響」
 そう言うと、部長はパペット部分を引っ込ませ、本体を見せぬまま何処かへと去った。

「…002も003も巻き込めない。私が1人でやり遂げなきゃ、うん。
 でも、部長はああ言ったけど、玲は本気で諜報部以上の情報網を持っていそうなのよね…、
 たまにはみんなの脚光を浴びられるような、派手で華麗な仕事をしたいなぁ。
 ああ…、こんなんだからストレスが溜まって、食べ過ぎちゃうのかな…」
 響は、下を見ながら、部室から歩み去った。
98人格改造マニュアル:2006/05/08(月) 03:57:17 ID:???
 1年C組教室に、響が現れた。
「突然ですが!第1回チキチキ五十嵐先生好感度調査です!
 カメラが回っていますが、現在職務改善用の教習中である五十嵐先生への
 応援メッセージとなるように、各自五十嵐先生の良いところを言ってください!」
 響はカメラを良い位置へ固定した後、教壇へ手をついて、言った。

「綿貫…、なんというか、そういう広報関係の仕事は私ら新聞部の範疇だと思うんだが…」
 玲はいつになくテンションの高い響を怪しんで言った。
「いーのよ!これも立派な仕事なんですよーだ!」
「ムキになってるよ…」
「ひびきちゃん、疲れてるなら甘い物を食べて寝れば治るよ〜」
「でも甘い物を食べたら、ウエスト周りが心配です…」
「じゃあ、綿貫には無理ね…」
 くるみ、姫子、6号、都達も、響を怪しんだ。

「うるせー!さっさと答えてくれ!さもないと泣く!そして帰る!」
「何だか可哀想だから調査に答えてあげようか…って玲?」
「玲ちゃん難しい顔してる〜、そんなクールな玲ちゃんもステキ〜!!」
「…ってこら姫子、抱きつくな!」
 姫子に抱きつかれ、玲は響へと向けていた鋭い視線を解いた。

「何を騒いでんだ?」
「あ、ひびきだ〜」
 平均水準以上に騒がしくなったC組へ、他のクラスの者達が集まる。
その後は、各員が空気を読んで協力してくれたので、響は調査を順調に進められた。

「終わったわね…」
 他のクラスの者達が協力を終えて去った頃、響は撤収作業を始めた。
「綿貫…」1−C教室を出た響がある程度歩を進めた頃、玲が声をかけてきた。
「協力してもらっておいて悪いんだけど、もう用は無いし、早いとこ編集作業に入りたいの、じゃ…」
 響は、振り返りもせずに、言った。
「お前には無くても、私にはあるんだよ」玲は、響の前へ立ちふさがろうとした。
99マロン名無しさん:2006/05/08(月) 13:13:13 ID:???
ぱにぽにだっしゅ!では芹沢が玲を始めとするC組に恨みを持っていても
おかしくない扱いを受けているよな。(鈴音・ベッキーの替え玉を強要)
だっしゅ!の玲マジ非道
100マロン名無しさん:2006/05/08(月) 17:14:21 ID:???
諜報部は生徒会の下部組織つー地味な設定が活きてて軽く感動した
猫部長カッコヨス
101マロン名無しさん:2006/05/08(月) 18:53:48 ID:???
人格改造マニュアルの後で>18を読むといいんちょも五十嵐も幸せそうで逆に悲しくなる
102マロン名無しさん:2006/05/08(月) 21:49:06 ID:Xz0jr4F1
>>99
小便漏らしたのに学校で明るく出来てるのは凄い
103マロン名無しさん:2006/05/08(月) 22:05:10 ID:???
>>102
原作ではカウント3まで
アニメではロボ子の部品が四散しただけで
芹沢がどうなったかは不明なので
確定したわけではないがな。

でも99%はアウトなほうだろうが。
104マロン名無しさん:2006/05/09(火) 13:32:36 ID:???
桃月学園は10巻で滅茶苦茶にホロン部
105マロン名無しさん:2006/05/09(火) 16:54:23 ID:???
お、スレが再び活気づいてきたな・・・

やはりSSが投下されると違う
・・・ってことで乙
106マロン名無しさん:2006/05/10(水) 05:13:50 ID:???
>>102
なあに
魔法少女のコスプレして登校するようなのと普通に接するようなのばっかりの学校だ
なんとでもなるさ
107マロン名無しさん:2006/05/10(水) 20:32:31 ID:???
部長テラカッコヨス
108マロン名無しさん:2006/05/10(水) 21:05:48 ID:???
部長というと円や麻里亜だな。
かっこいい円や麻里亜を見てみたい。
109:2006/05/10(水) 23:14:47 ID:???
退屈な授業、ウザい級友。こんな学園、消えてしまえばいいのに・・・・。

放課後

・・・MAHO-NOTE・・・・?何よこれ。病んでるわね
110マロン名無しさん:2006/05/11(木) 09:24:11 ID:???
マホ
111マロン名無しさん:2006/05/11(木) 17:35:57 ID:???
このノートに 名前を書かれた 人間は
112マロン名無しさん:2006/05/11(木) 19:08:59 ID:???
なにその俳句
113マロン名無しさん:2006/05/11(木) 19:39:06 ID:jh0KpWEm
>>109-112
鼻水飛ばす勢いで吹いた
114マロン名無しさん:2006/05/11(木) 21:14:47 ID:???
拾うのは都なのかと思ったが姫子が拾っても面白くないか。
面白そうなので続きキボン。
115マロン名無しさん:2006/05/11(木) 21:23:04 ID:???
あとバトロワと鈴音いじめと鈴音解剖とぱにぽに変身物もキヴォンヌ。
116ぱにぽに戦記・星姫:2006/05/11(木) 22:54:19 ID:???
20××年。地球は謎の怪人軍団の魔の手が伸びていた・・・。

桃月学園に通う桃瀬くるみはある日、道端に捨てられていたハムスターを拾う
そのハムスターは空腹で今にも死にそうだった。くるみが御飯をあげると
ハムスターは元気になり突然喋り出した!しかし別に驚かないくるみ。
とりあえず話を聞くとハムスターの名前はルレ。
地球のピンチを知らせに異世界の国からやってきた。だがくるみは信じない。
その時、外でくるみの兄、桃瀬修の悲鳴が聞こえた。
くるみが修の所へ急ぐと怪物が修を襲っていた!
修は気絶し怪物に今にも殺されそうになってしまう。
どうすることも出来ないくるみ。その時ルレがくるみに指輪を与えた
指輪が光り輝きくるみは変身した!!

とりあえずあらすじです。
くるみ以外にもどんどん変身させていきます。話は変身ヒロイン物っぽいですが
バトルとかその辺は特撮ヒーローっぽくなると思います。
それでは出来る限り早く投下します。失礼します
117マロン名無しさん:2006/05/12(金) 00:02:52 ID:???
おう楽しみにしてるで
118マロン名無しさん:2006/05/12(金) 17:53:04 ID:???
くるみ以外はいったい誰が変身するかと思うとワクワクしてきたぞ!!
119マロン名無しさん:2006/05/12(金) 20:11:48 ID:???
くるみ好きとして変身シーンをイメージしてみた
萌えと書かれた段ボールを被ったくるみが浮かぶのは愛故か
120マロン名無しさん:2006/05/12(金) 20:42:51 ID:???
たしかへっきーはウルトラマンアグル好きだったよな
121マロン名無しさん:2006/05/12(金) 21:09:38 ID:???
アグルとはマニアックだなぁ
122マロン名無しさん:2006/05/12(金) 21:15:19 ID:???
>>121
アグルがマニアックとは!
123マロン名無しさん:2006/05/12(金) 23:07:00 ID:???
>>121
原作3巻見る!!
124マロン名無しさん:2006/05/12(金) 23:08:03 ID:???
個人的印象。

南条操:ラー・デウス
片桐姫子:リー・ケフレン
上原都:ビアス
橘玲:ガジャ
綿貫響:ン・マ
メソウサ:ヤツデンワニ
レベッカ宮本:トラン
125灯篭:2006/05/13(土) 00:17:06 ID:???
投下します!

              ぱにぽに戦記  星姫
第一話「宇宙最強!!桃瀬くるみ!!」   登場侍獣・閃熊

「蛇爬妃様、あれが地球です。だいぶ環境破壊は進んでいますが
まだ我々が移住するには許容範囲かと」
「そうだな……我々の星の民も増えすぎた。移住計画はすぐにでも始めなければ
 ならない。そのために地球に住んでおる地球人共を抹殺せよ!」
「その役目、私目にお任せを」
「将軍神無月か。ではそちに最初の作戦を任せよう……」
「御意!この自慢の侍獣、閃熊に行かせます!」

ここは地球の日本という国。そこの高校、桃月学園に通う一人の少女がいた…。
「あ〜あ、今日も地味って言われた…ららる〜……」
桃瀬くるみ、勉強・運動を水準以上こなし、特技も多い。しかしそれ故特徴がなくなってしまった。だがこの話は彼女を中心に回る……。
「あたしもどうすれば地味じゃなくなるかなぁ…はぁ…ん?」
くるみの目に飛び込んできたのはハムスターのような生き物だった。しかしそれは
今にも死にそうで弱々しかった。
「うわぁ、可哀想…あたしんちで御飯あげるからね……」
126灯篭:2006/05/13(土) 00:17:37 ID:???
「えっと、ハムスターの餌ってひまわりの種でいいのかな?ほらお食べ……」
くるみはハムスターに種を食べさせた。ハムスターは驚くほど元気になった
「うはぁ!助かった!なにせここに来てから何も食ってなかったもんで…」
「あ、喋った」ハムスターは喋り出した。しかしくるみは別に驚かない
「あれ?こういう時って普通驚かね?うわぁぁっ!だの、きゃあぁぁっ!!だの」
「だって私の身の回り喋るウサギとかネコとかオオサンショウオとかいっぱいいるもん」
「あっ、そう……ってこんな喋ってる場合じゃない!オイラはルレ!異世界の国からやってきたんだ!」
「あたしは桃瀬くるみよ。ところで異世界とか急に何言い出すんだ?」
「いま地球はピンチなんだ!地球人を全滅させようとしている殺徒衆に狙われてるんだ!その事をオイラは知らせにやってきたんだ!」
「はぁ?そんな嘘でしょ?それに地球が狙われてるなんて映画じゃあるまいし」
「信じてよ、奴等は地球人を一人残らず殺そうと……」
「はいはい、面白いお話だったよ。また今度聞いてあげるから」
そのとき外で男の悲鳴が聞こえた!!
「兄貴の声だ!どうしたんだろ、兄貴ぃー!!」
127灯篭:2006/05/13(土) 00:18:38 ID:???
「兄貴!うわぁ!な、なに、こいつら……?」
くるみが修の所へ駆けつけると、そこには同じ姿をした数人の怪人。
刀を持った武士のような姿をしながらも顔はとても醜い怪人がいた。
「くるみ!来るな!!うぐっ!?うぅ……」
修は怪人たちの繰り出した電撃を食らい気絶してしまった。
「兄貴っ!いったいなんなのよ〜!」
「地球に降り立った瞬間に2人も獲物が現れるとは…運が良いぜ、まったく」
「ああ…(こんな映画みたいな事…はっ!もしかして夢?そ、そうよ!あたしの夢なら
自分が最強よね!よ〜し!)くるみ!ミラクル光線!!」
くるみは必殺技を叫んだ!!……ミス!技は発動しなかった!!
「ええ!?夢じゃないのぉ!?」
「急に何を言い出すんだ?気でも触れたのか?まあ苦しまずに殺してやるよ!」
「(夢じゃない……ああ、終わった…最後に萌え〜って言われたかった〜…)」
くるみが最後の心残りを思っているとルレが飛んできた。
「くるみ!この指輪を着けて!!」ルレはくるみに指輪を投げ渡した。
「え?これを着ければいいの?着けたけど、どうすんのさ?」
「叫べ!光空心と!!」「よ、よ〜し!光空心!!」
128灯篭:2006/05/13(土) 00:19:11 ID:???
その瞬間!指輪が光り輝き、くるみに無数の光が飛びくるみの身体に纏われていく!
光が消えるとくるみは、着物を着ている…それも侍のような姿をしていた。
刀も帯刀している。くるみは変身した。ちなみに変身タイムはわずか0、05秒に過ぎない。
ではその変身プロセスをもう一度見て……
「見んでいい!!なっ何で急にこんな姿に変わったの!?ルレ〜!!」
「戦ってくれ!くるみ!今君は宇宙最強の戦士の一人、星姫なんだ!!」
「戦えってあいつと!?……わかった!このまま死にたくない!!」
そこに怪人が割って入る。
「き、貴様!何者だ!?お前みたいなのがいるというデータは無かったぞ!」
「あたし?そう、心の星姫!桃瀬くるみ!!あんたの思い通りにはいかない!!」
くるみはそう名乗ると刀を抜き、取り巻きを斬り倒していく
「馬鹿な!普通の地球人ならこいつらだけで十分な筈!!」
「雑魚じゃ相手にならない!!さあ勝負よ!!」
「ちぃ、やる気か小娘!」怪人も刀を抜き斬りあいが始まった。
「(凄い…相手の攻撃が分かる!これが変身したあたしの力……!)」
「うおぉぉぉぉ!こんな奴になめられてたまるか!!」怪人は一刀両断しようと
した。しかしくるみはその一瞬の隙をつき胴体を斬った!
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
「とどめよ!!星心破斬!!!」くるみの必殺技が走った!
129灯篭:2006/05/13(土) 00:20:34 ID:???
侍獣は、断末魔も残さず一刀両断にされ爆発四散した。
「終わった……あ!兄貴!!……よかった大丈夫みたい…」
「くるみ、これから地獄のような戦いに君は巻き込まれる……でも、くるみならきっと
この戦いを乗り越えられる!オイラも精一杯支えていくから……」

こうしてくるみと殺徒衆との戦いの火蓋が切って落とされた!
待ち受ける道は棘の道。しかしくるみは戦わなければならないのだ、
どちらかが滅ぶまで……。

次回予告!
最初の作戦に失敗した神無月将軍はさらに腕の立つ侍怪人を呼び出した!
くるみのピンチに現れる新たな星姫!!さあ来週もみんなで見よう!!

うわぁ〜厨っぽい・・・すいませんこんな作品ですがよろしくお願いします。
精一杯頑張って行きます!!
130マロン名無しさん:2006/05/13(土) 00:29:21 ID:???
Z。
敵はぱにぽにキャラじゃないのカナ?
131マロン名無しさん:2006/05/13(土) 01:23:45 ID:???
う〜む、厨とか何だとかそれ以前にダークじゃねえ!
132マロン名無しさん:2006/05/13(土) 03:07:31 ID:???
>>131
ここはこのスレをSS総合スレにするか新しく明るいSSスレを建てるか

このSSをダークにしてもらうかw
133柚子スレ211:2006/05/13(土) 04:35:08 ID:???
>132
「ベッキーとクラスメートのみんなを人質に捕られたくるみは、サカりのついた侍獣達に公衆面前の下、秘肉と性感の全てを暴かれて行く…」



コレか。此処では出来んなw
134マロン名無しさん:2006/05/13(土) 09:51:03 ID:???
厨っぽいって言うか厨の駄文みたいだ
くるみの喋り方がなんか変だし展開が微妙
台詞が陳腐で話進めることしか頭にないみたいだ
135マロン名無しさん:2006/05/13(土) 10:25:26 ID:???
>>134
難しい話はよそでやれ
136マロン名無しさん:2006/05/13(土) 11:03:38 ID:???
どんな良スレもいつかは腐る
137マロン名無しさん:2006/05/13(土) 11:12:29 ID:???
>>135
別に難しくないだろww
俺も134に同感かな
138マロン名無しさん:2006/05/13(土) 11:14:00 ID:???
アニメ20話はちょっと学級崩壊っぽいw
139マロン名無しさん:2006/05/13(土) 12:01:18 ID:???
新年度をはさんだから職人さん達のリアル環境にも変化があったのかな。
落ち着いたらまた書いてほしい。
140マロン名無しさん:2006/05/13(土) 12:09:49 ID:???
>>138
姫子に嫌われてショックのベッキー萌え〜
141ぱにぽにバトルロワイヤル:2006/05/13(土) 15:30:36 ID:???
本当にお待たせしました、待ってる人が居るか自体怪しいですけど
とりあえず今から2話投下したいと思います
142マロン名無しさん:2006/05/13(土) 15:58:59 ID:???
リアルタイム遭遇ktkr
143ぱにぽにバトルロワイヤル:2006/05/13(土) 16:01:41 ID:???
十九話・操り人形


「じゃあ・・・私が窓から出ます。そして敵をおびき寄せますので」
「分かったッス。絶対・・・死ぬなよ?」
「大丈夫です♪」
このような状況だというのに笑ってみせるメディア。余裕のある笑みを見せると、窓を越えて外に出た。
一方、由香は草むらが動く音を聞き取った。何者かが窓から出てきたのである。相手が二人なら、部屋の中には一人。間違いなく突入チャンスではあるのだ。
待て、二人とも草むらから出ていたら・・・!?頭の思考回路がパンクしそうだった。その時だった、銃弾が由香の右肩を貫通した。
「ぐっ・・・!メ、メディアさん!」
メディアは先手を取った。さらに引き金を引こうとするメディアに、由香は焦りからとっさに家のドアの中に逃げ込んだ。
「誰も居ない・・・?!」
気づいたときには遅かった。突如手榴弾が投げ込まれたのだ。一瞬、眩い光を放ったかと思うと、家の中は大爆発に包まれた。
家も粉々に吹っ飛び、勿論由香の死体は跡形も残らず即死だった。ベホイミとメディアは手榴弾の衝撃により吹き飛ばされていた。
「成功・・・ッスね、意外に爆発が強力でビックリッスよ。」
「ベホちゃん〜、もうちょっと丁寧に扱ってくださいよー」
「う、うるさいッス!成功したんだからいいだろ!それで・・・襲ってきた敵は?」
「襲撃してきたのは・・・由香さんでした・・・」
「あ、あいつがッスか!?」
「何があったんでしょうね・・・」
同じD組のクラスメイトの襲撃に二人は困惑した。これも全て、魔女の計画通りだった。
144ぱにぽにバトルロワイヤル:2006/05/13(土) 16:03:52 ID:???
>>143
投稿ミス・・・すみません、↓からお読みください、
「メディア!敵が来たぞ!」
「分かってますって♪」
「そんなのんきにしてる場合じゃないだろ!」
二人は、銃弾の飛び込んで来た家の窓の横の壁に隠れた。
「一体誰だ?それよりこれからどうするんだ」
「ん〜誰でしょうね?窓から逃げますか?」
「出てきて撃たれたらどうするんだ。だからといってもたもたしてられないぞ。そこの扉から入ってきたら撃たれて終わりだろうな。ここはこれを使ってみるか」
そういってベホイミが取り出したのは手榴弾だった。手持ちには2個ある。
「2個しかないからな。確実にしとめさせてもらう」
ベホイミを狙った者の正体は北島由香だった。宮田さんを、そして千夏を殺した者への復讐の為。
家の壁と背中をくっ付け、扉の横に居る。今突入しても、すぐ相手の位置を把握できなければ窓から逃げられてしまうだろう。
あの二人は分かれては居ないはずだ。焦らずもう少し下準備をしておくのだったと後悔する。先手を取られて銃撃される可能性も十分にある。こちらからは攻めない、相手を待つ。
145マロン名無しさん:2006/05/13(土) 21:17:38 ID:???
くるみ魔法少女がいきなり19話目かと思っちゃったYO!!

バトロワって書いてあるのに気付かんかったぜ…
146灯篭:2006/05/13(土) 21:31:12 ID:???
ごめんなさい!!>>134の言う通り、話進めることしか頭にありませんでした!
もっとしっかりまとめます。
というか、このスレから俺は消えた方が良いっぽいでしょうか・・・?
147マロン名無しさん:2006/05/13(土) 21:37:04 ID:???
>>146
消える必要ナッシング

________
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|  / ̄ ̄ ヽ,  |
| /        ', |
| {0}  /¨`ヽ {0}, !
|.l   ヽ._.ノ   ', |
リ   `ー'′   ',|
|              |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
148灯篭:2006/05/13(土) 22:02:50 ID:???
すみません、もっと上手く作ってきます。
それだけの力あるならば・・・。
149マロン名無しさん:2006/05/13(土) 22:25:32 ID:???
コテハンつけてくれてるとNGするの楽だよな
150マロン名無しさん:2006/05/13(土) 23:53:47 ID:???
>>149
つまり、どゆこと?
151マロン名無しさん:2006/05/14(日) 00:44:05 ID:???
その日の放課後、あたしと玲ちゃんはいつものように一緒に下校してたんだ。
今日一日学園で起きた出来事を語らうこのひと時はあたしの宝物。マホ。
商店街のアーケードに差し掛かったときには、既にネタが尽きて会話は途切れちゃったけど
二人はその沈黙の心地よさに浸りながら歩いてたんだ。

横を見上げれば、当たり前のように玲ちゃんの顔がある・・・
・・・玲ちゃん、あたし達こんなにも気を許し合える仲になってたんダネ。

オレンジに燃える綺麗な夕陽に背中を押されて
あたしはずっと秘めてた事を、親友の玲ちゃんに打ち明けようと思ったんだ。

姫子「玲ちゃん、あたしね・・・・」

なのに聞いてヨ!!玲ちゃんってば酷いんだヨ!!

玲「ん?ああ、そういえばちょっと小腹が空いたよな。どっか寄っていこうか?」
姫子「んもうッ!そうじゃないってば!!あたしゃ玲ちゃんに
  どうしても聞いてもらいたい話があるんだヨ!!」
玲「だ〜か〜ら、どうしても蟹が喰いたいんだろ?」
姫子「マホーッ!!玲ちゃん、絶対わざとやってるでしょ!!
   これからあたしが大事な話をしようっていうのに、玲ちゃんってば酷いマホ」
玲「あはは、すまんすまん。そんなにふて腐れるなって。で、話ってのはなんだ?」
姫子「うん、それはね、今度の・・・」
152マロン名無しさん:2006/05/14(日) 00:45:04 ID:???

ちょうどその時、話を遮るかのように、商店街の道先から聞き慣れた声がした。
くるみ「おーい、ちょいとそこの仲のいいカップルさん、ちょっとうちに寄ってかないかい?」
あ、喫茶店「エトワール」でバイトをしてるくるみちゃんだ。

玲「なんだ〜くるみ、今の客引き随分親父臭かったぞ?」
くるみ「うるさいわね〜、これでもエトワールの看板娘なんですぅー」
姫子「くるみちゃん、そのバイト服超かわいいカモ〜」
くるみ「ありがとー姫子。中の人も超イケテルわよ〜」
玲「はいはい」
くるみ「さ、二人とも入って入って。先日ケーキの新商品が入ってさー、
    これが超おいしいのよ!それで二人にも食べてもらいたくてさ。
    あ、財布の心配なんていらないわよ。
    あたしから店長に頼んで、今日は特別友情割引にしてもらうからさ!」
姫子「マホーッ!!今日はツイテルかも〜☆くるみちゃん、店長さんに信頼されてるーッ!」
くるみ「ふふふ、まあね。これも日頃のあたしの甲斐甲斐しい働きが
    認められ・・・って、姫子、携帯出して誰と喋ってんの?」
姫子「いやー、今からベッキーやみんなも呼んじゃおうカナって」
くるみ「うッ・・・・それは・・・(冷や汗)」
玲「ははは、自腹って訳か」

それから店内は30分もしないうちに、いつものC組メンバーが揃って大賑わいだよ。

ベッキー「なんだか、まるでイベントの打ち上げみたいだな」
6号「毎日がお祭りオブジイヤーです」
玲「言い得てるな」

・・・・・。

ずっと、この楽しい瞬間(とき)に浸っていたいと思うことは
あたしの我侭なのカナ?
153マロン名無しさん:2006/05/14(日) 00:45:35 ID:???
くるみ「どうしたの?姫子。珍しく静かね」
玲「確かにさっきから大人しいな」

ギクッ!!柄にも無く感傷に浸ってたよ、あたしってば!!

姫子「それがねー、蟹入りケーキってあったらいいカナーなんて考えててさ」
玲「あはは馬鹿だ」
一条「それは名案です」
都「うげぇッ」

それからは、9時過ぎに散会するまで
どんちゃん騒ぎで、あたしも
随分ハメを外しちゃったカモ。

みんなが各々の帰路について消えていく時は寂しさのあまり、
ちょっと涙ぐんじゃったヨ。結局みんなには言えなかった。
みんなで過ごす楽しいひとときを壊したくなくて・・・・
そして、何よりそれを望んでる自分がいるから。


玲ちゃん、ベッキー、みんな、

あのね、あたし・・・

今度の日曜日引っ越すんだヨ。
154マロン名無しさん:2006/05/14(日) 01:06:54 ID:???
            |.:::/ ̄ヽ
            ヽ厶-- 、
             /      .:\.    Π
.   |二二¨7 /  .::.  ハ 」_   .::ヽ l二 二l
      r‐v / | .::.:∧/ Vrcv`::::::i /〉| |〈ヽ.
     \__〉 | .:::,イ _   ヒノ} .:.:::| 〈/ |_| V
      〈\ |.::l^l、 ⌒   "j .:::リ   
        \`「 l |込__ 冖 ∠.:::/
       〈_jし' `ーく之瓜r=く__
       /i廴7¨´ヽ´  \ハ  h
        /   ̄ノ   \___ヽ}___jハ
        l____厶--、     ヽ:::ハハ
             v       |:.∨ ヽ
             ヽ_     |:.:.:v'⌒ 〉
              /     /:.:.:.:| _/
               ん、    〈.:.:.:.:.|{ 
         __/ / \   ヽ/ ヽ
      r=く  /   ハ   人.  ト、
      /::::::::::ト--、  /∧ ,イ  \|ハ
      {::::::::::/   У   ∨/    vハ
      \:::/     \   /     l  V
       7      /\/    j/´|
155マロン名無しさん:2006/05/14(日) 01:18:09 ID:???
このスレの姫子は泣かせるから困る
156マロン名無しさん:2006/05/14(日) 01:55:14 ID:???
悲しいなあ……
157マロン名無しさん:2006/05/14(日) 03:11:06 ID:???
>>154
このAAで完全にやられたwww
うるって来ちゃったじゃねーかwww

>>146
なんつーかそういう反応すらも厨くさい
批判するわけじゃないが一回まとめサイトを見て
文章の構成とか、台詞の使い方とかを勉強した方がいいかも
作ろうって気持ちは伝わってるから後は頑張りしだいだと思

>>150
要するにNG登録して見えないようにしてるんでしょ
158人格改造マニュアル:2006/05/14(日) 05:11:20 ID:???
「蛇の道は蛇、っていうだろ?もう私にはわかってるよ、綿貫」
「…ふぅ、その手は食わないわよ。いきなり『わかってる』なんて言われてもね〜」
「やっぱり何か隠してるな」
「うっ…、しまった…余計な一言がヤブヘビだった…」

 響が玲に引っ掛けられているころ、職員室にはレベッカ宮本と早乙女がいた。
「宮本先生、近頃元気がありませんが、またゲームですか?」
「…ああ、姫子が昔のゲーム機本体ごと色々貸してくれてな」
「ははは、ああ、そうだ。目が悪くならないようにブルーベリーでも食べたらどうです?
 言っても1日1時間でやめたりはしないでしょうから」
「それならもう、ほら、サプリを1日2錠飲んでるよ」
「それならいいんですが」
「体育教師、お前は元気だな…」
「ええ!」
「…そうか」
(五十嵐先生が全く謎の教習を受けに行ったきり音信不通だってのに、体育教師め、
 こういう所でバカなのは救いようが無いぞ。空元気ってわけでも無さそうだし…、
 玲とかくるみの兄貴に聞いてみたけど、玲の情報はこれからだが…)
 ベッキーはそんな事を考えていた。

 そして日が沈み、美由紀はそれを受け取った。
「今どきVHSて…、DVDに焼くのは大した手間じゃないでしょうに…」
 VHSビデオテープと、再生用の年季の入ったビデオデッキが、部屋にはあった。
「…ふ〜ん、みんな、元気でやってるのか…」
 ビデオの内容は、今日響が撮影した、五十嵐先生好感度調査を編集したものであって、
社交辞令の混じった冗長なものであったが、美由紀は見入っていた。
それは、単に教習によって美由紀の人格が矯正されたからではなく、彼女の本心からのものであった。
「フフ…、こんなの見せるくらいなら、酒でもよこせっつーの」
「柏木姉妹め…、ファッションショー始めやがって…」
「桃瀬の妹…、生徒でいないのは桃瀬だけ、か。6号ちゃんの次くらいにパシられてるからな〜」
 そんな事を言いながら、美由紀は、ただ見続けていた。
159人格改造マニュアル:2006/05/14(日) 05:12:23 ID:???
「終わった…かな?」
 そう言って美由紀はビデオデッキからビデオを取り出そうとした。
「あら?出てこないでやんの」
 そして、それは始まった。

「いい加減、名前覚えてほしいよね…」
「名前だけじゃないでしょ…あいつ、どっちが姉かも覚えてないよ…」

「秋山、今日は危なかったな。気持ちはわかるけど、手を出したら負けだぜ?」
「わかってるけどさ。五十嵐、私達が補習常連だからって、部屋に入るなり鼻で笑いやがって…、
 お前だって晶が涙ぐんでるの見ただろーが?我慢出来ないのは我慢できねーんだよ!」

「あの人が来ると私の動物達のストレス値が跳ね上がって困りますわ…。
 もう少し、節度を持って行動できないのでしょうか?」
「南条、気持ちはわかるが、動物を連れ込んでいるお前の言う事じゃないだろう」

「修…、そんな大荷物で何をしている?」
「いや…、なんでもないよ…」
「行ったか…、確かA組は、次は化学の授業だったな…、あの先生も、
 つくづく度し難い女性だ…。だが、私にもあのような自堕落な要素が無いとは言い切れまい、
 せめて、自分が完璧な人間ではないという事を戒めとしたいものだ…」

「授業でわからなかった事について聞きに行ったら、
 『上原はいつも一番熱心だけど、報われなくて空しくなんない?』だって!
 一言多いんだっつーの!そもそもアンタが真面目に授業する率が低いから聞きにいってんだろ!」
「人の名前もろくに覚えられない人に言われたくないよね〜」
「くるみは元々、ベッキーと早乙女とジジイ以外の先生には名前覚えられてないだろ…」

「魔法少女はもう廃業だっていうのに、しつこく聞いてきやがって!ああああああ!?
 南米の農民あがりの兵士でも、五十嵐よりは気を使えたぞ!あの無神経が!」
「ベホイミちゃん…、聞かれてますよ…」
「いいんだよ!聞き耳立てるような奴を気にするだけ無駄だ!」
160人格改造マニュアル:2006/05/14(日) 05:13:42 ID:???
「え…!?」
 このビデオは、雪絵編集のものであった。
収録してある発言は、諜報部が学園内の溜まり場や穴場へと仕掛けた盗聴器からの収録であり、断じて捏造ではない。
諜報部は平時より非合法的な手段で情報を収集しているのだが、
その多くはプライバシー保護のために生徒会が許可しない限りは封印されたままである。
今回、雪絵の息のかかった生徒会幹部の指令によって動いた響が、雪絵へとこれを渡したのだった。
優秀な人員がいれども、ただの部活動でしかない新聞部にはここまで手の込んだ事は出来ない。

「美由紀ちゃんってば、タバコ臭いし酒臭いし、香水もプンプン匂うし、
 私としては一番嫌なタイプカモ〜、ねっ!玲ちゃん!」
「お前も人の匂いを嗅ぐ癖を直せ!あとベッキーじゃあるまいし教師を名前で呼ぶなよ…」
「6号ちゃんも実は美由紀ちゃんのこと、嫌いでしょ〜?」
「そんなこと、ありませんよ。いい所もちゃんとあります。
 五十嵐先生は格好いい大人の女性です」
「大人の女性が身の回りの世話を人にやらせる?
 くるみちゃんのお兄さん、徹夜で部屋の掃除までやらされたって聞いたよ?」
「ああ、新聞部で裏を取ってるから、確かだ。女王様恐るべしだな…」
「そんな…、不潔です!…ダメな人…だったんです…ね…、
 がっかり…です…、近づきたく…ありません…もう…」

「6号ちゃんまで?私を…、ひどい…」
 美由紀は、音声だけを吐き出すようになったテレビを、ビデオデッキを、
交互に見るようにして、結局はどこにも視線を落ち着けず、ついには目を閉じた。
6号の発言が切り貼りされたものである事に気付く余裕を、既に持っていなかった。

「五十嵐先生は、たまに酷い事を言うよね…」
「芹沢さんもそんな事を言ってました!許せません!自分もダメの人のくせに!」
「私も、本当に具合が悪くて保健室に行こうとしたのに…ズル休み扱いされたよ…、
 確かに私は変なバイトしてるけどさ…体弱いのはホントなんだよ…、
 自分ではどうにもできない事で、バカにされる筋合いはないじゃんか…」
そして、ビデオは続いてゆく。
161人格改造マニュアル:2006/05/14(日) 05:14:36 ID:???
 美由紀への、悪罵、怨恨、嘲笑、不服、それらの声を収めたテープは、回り続けた。
それは、美由紀にとって呪いのテープ以上の効果を持っていた。
「止まれ!この糞テープが!!止まんなさいよぉっ!!」
 何度、停止ボタンを押しても、取り出しボタンを押しても、止まらなかった。
だから、美由紀は、配線に構わずデッキを高く持ち上げ、叩き付けた。
「…ふぅ、はは、ふぅ…、思い知ったか糞が、このあたしを、ふぅうう、ぶっ壊してやる!」
 蹴る、配線を抜く、テープを入れる部分をこじ開けようとする、また蹴る、
そんな作業を美由紀は続けた。泣いていた。流れるものを気に留めずに、続けた。
やがて、デッキだけでなく、テレビまで中の配線やマイコンがあらわになっていた。

「あ、望?お姉ちゃん、今日はちょっと遅くなる…ごめんね、明日は早く帰るから…、
 ………ふぅ、困った先生だなぁ…、今日中にプリント提出って言ったのに、
 当の本人が行方不明だなんて…でも私は学級委員だから皆さんを代表して届けないと…」

「あーあ、また桃瀬くんと遊べないや…、悪い先生はチョップしたいな〜」
「ベキ子や早乙女だから冗談で済んでるけど、五十嵐にはやめとけよ…、
 あの女、自分がやられたら大声出してわめくに決まってるぜ…」

 天井から、引き続いて生徒達の声が聞こえてくる。
どうやら、音声は別室からも送られて来ているらしかった。

「あああぁゅうああぁぁっぁ!!!!」
 もはや、声を遮る術を失った美由紀は、感情に任せて叫ぶほか無かった。
拳を壁に振るい、膝を床に着け、その目は天井を睨んでいた。

「五十嵐先生…好き…だった…けど…、お酒臭かったり…ばっかり…で…き…らい…に
 ダメダメ…オブジイヤーです…、反省…してほしい…です」

 6号はどうしても五十嵐のことを気遣った言い方をするので、ばれない程度に編集してある。
いつもの美由紀ならば、騙されはしないどころか、自分がハメられている事にさえ気付けただろうが、
既に彼女は、将棋でいうところの詰み、となっていた。
162人格改造マニュアル:2006/05/14(日) 05:20:59 ID:???
ようやく山場を越しました。
次の投下で完結させたいと思います。
一条さんを始めとして少々原作としゃべり方が異なっていますが、
「仲間内や1人だけのときの会話を盗聴している」
という設定で書いてるのでこうなりました。
手品に見とれたときの一条さんは敬語無しでしゃべっていたので、
妹に電話をするときは普通にしゃべるだろうと思って書きました。
163マロン名無しさん:2006/05/14(日) 09:05:16 ID:???
>>154

こうゆうSSを待っていたww
続きwktk!
164マロン名無しさん:2006/05/14(日) 09:40:15 ID:eEu69BWn
一条さんが普通に喋ってるところでなんか萌えた
GJ
165マロン名無しさん:2006/05/14(日) 10:29:14 ID:???
色恋がらみの愚痴が鈴音だけって……

エキストラでもいいから男子生徒に人気があるのを妬んだ発言がほしかったかな?
166マロン名無しさん:2006/05/14(日) 10:42:34 ID:???
久々に活気付いてきたw
167ぱにぽにバトルロワイヤル:2006/05/14(日) 19:59:34 ID:???
>>144
パソコンの調子不調です
昨日のSSですが一話投稿後姿を消してしまいました、お詫び申し上げます
やっぱり時間かかりそうです、後々矛盾とか出てきちゃいそうで怖いです

>>151
続き楽しみにしていますよ、では
168マロン名無しさん:2006/05/14(日) 20:47:18 ID:???
>>153
ちょwwwwおまwwwwww











ちゃんと最後まで書いてくれ(;´Д⊂)
169マロン名無しさん:2006/05/15(月) 03:18:30 ID:???
俺も普通喋り一条さんに萌えた(*´д`)
完結編をwktkして待ってますぜ
170差し入れ:2006/05/15(月) 04:32:59 ID:???
670 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2006/05/14(日) 21:54:53 ID:reXdWmiH
ちょいグロ
ttp://rerere.sytes.net/up/source/up12444.jpg
171マロン名無しさん:2006/05/15(月) 08:45:44 ID:???
>>170
でもこのスレの住人のすごさは、ここで顔色一つ変えず、
ただただ>>170に乙したって事なんだ。
172マロン名無しさん:2006/05/15(月) 10:12:33 ID:???
(゚Д゚)ウマー
173マロン名無しさん:2006/05/15(月) 14:19:59 ID:???
同人マフィアに鬱同人誌「世界がこわれそう」が来てる
174マロン名無しさん:2006/05/15(月) 17:57:16 ID:???
なんか>>153のSSに続きとか言ってるけど
これで完結だろ?何で続きがあるなんて思えるんだ?
175マロン名無しさん:2006/05/15(月) 18:33:57 ID:???
はげどう
176マロン名無しさん:2006/05/15(月) 18:35:41 ID:???
別にいいじゃん
177マロン名無しさん:2006/05/15(月) 19:36:17 ID:???
>>173
読んだ。あまりに退廃的でワロスwwwwでも姫子は超カワイソス(´・ω・`)
178マロン名無しさん:2006/05/15(月) 20:41:03 ID:???
まとめサイト更新止まってない?
179マロン名無しさん:2006/05/15(月) 22:02:51 ID:8yTQxibt
>>170
ハーメルンのバイオリン弾きのベースを思い出した。
180マロン名無しさん:2006/05/15(月) 23:50:15 ID:???
個人的には乙女バージョンのも観たいな
181マロン名無しさん:2006/05/15(月) 23:51:18 ID:???
yasu.liveadulthost.com/SekaigaKowaresou/
182マロン名無しさん:2006/05/16(火) 02:36:14 ID:???
720 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ [sage] 投稿日:2006/05/16(火) 01:08:37 ID:mwkn640V
ttp://imgb3.rentalcgi.com/view/pa2d2ch/1147709208.jpg.html

運よくこれだけ保存してあった

鬱になるけど何故か見てしまう、姫子は本当にベッキー好きなんだなって思った

722 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2006/05/16(火) 01:29:20 ID:g/DFDjxt
鬱氏の新作ktkr
ttp://moe-moe.dip.jp/cgi-bin/img-box/img20060516012716.jpg
183マロン名無しさん:2006/05/16(火) 02:37:52 ID:???
>>182
一見いい話に見えるが爆発後の肉片を想像するのが学級崩壊クォリティ。
184マロン名無しさん:2006/05/16(火) 02:49:48 ID:???
>>182
(゚Д゚)極上ウマー
このスレに降臨されないものだろうか。。。
185マロン名無しさん:2006/05/16(火) 02:53:31 ID:???
ちょっと幽遊白書っぽいナ
186マロン名無しさん:2006/05/16(火) 17:26:34 ID:???
姫子「ねぇねぇ、ベッキーはもう生えたのカナ?」
ベッキー「何がだ?」
姫子「決まってるジャン、お股のお毛毛ダヨ」
187マロン名無しさん:2006/05/16(火) 19:08:17 ID:???
姫子の唐突な質問の意味を知り、恥ずかしげに顔を俯いて黙りこんでしまうベッキー

姫子「おや?ベッキーの顔、茹蛸みたいに耳までまっかっかダヨ?やっぱり子供には早かったカナ?」
ベッキ「なッ!!!顔を覗くな馬鹿ーッ!」
姫子「でも、子供なのに意味は知ってるんダ〜。ベッキーってば天才っていうより耳年魔?」
ベッキー「ち、違うぞッ!! 一応そういう知識は教養としてだなゴニョゴニョ・・・
     んなことより、そういうお前は・・・その・・・どうなんだ?」
姫子「ん、あたし?あたしゃ、こうみえてもすごいんだヨ」

ベッキー「すごいって・・・・?」
さっきまで俯いてた顔を心持ち上げて上目遣いに問い返す

姫子「見たい?お姉さんのお股見たい?」
ベッキー「・・・・ちょっとだけ」
姫子「ベッキーのス・ケ・ベ♥」
ベッキー「はうあう…先生なんだぞぉ〜からかうなばかぁ〜」
188マロン名無しさん:2006/05/16(火) 19:18:19 ID:???
この桃色会話にシャーペンを折って苛立つ女生徒が一人、都だ。
都「ちょっと姫子ッ!雑談するなら放課後にしなさいよッ!!」
姫子「あひゃん、都ちゃんに怒られちゃった」
ベッキー「お前が私に嫌がらせするのが悪いんだ」
都「ベッキーもベッキーッ!!姫子に乗せられてるんじゃないのッ!!」
ベッキー「うぅ・・・スマン都」
玲「まぁ落ち着け都。ベッキーは姫子からオトナのレクチャーって奴をしてもらってただけなんだよな。
  思春期を迎える男女にとっての一種の通過儀礼って事で許してやれ」
都「はぁ〜・・・私が言いたいのはそうじゃなくて今が授業中だって事。玲も駄目ね。
  すっかり姫子色に染まってるじゃないの。もういいわ、
  ほら一条さん、出番よ。学級委員としてベッキーに見本を見せてあげて」
一条「見本ですか・・・」
都「そう、見本」
一条「それはとても学級委員らしいですね」
彼女にしては珍しく凛々しい表情で、教壇へと進んでいく。

都「(なんだかんだいっても、やっぱり学級委員ね。頼りになるわ)」
感心したその時、クラス全体が大きなざわめきに包まれた。

「一条さん何を!?」

唖然とするクラス一同の視線を余所に
スカートの下からショーツを脱ぎ取ったのだ


一条「宮本先生、これが見本です」
そう言うと、スカートを両手でたくしあげ(ry
189マロン名無しさん:2006/05/16(火) 19:27:36 ID:???
スンマセン il||li _| ̄|○ il||li
190マロン名無しさん:2006/05/16(火) 20:44:31 ID:???
前スレ
(o^v^o) ぱにぽに de 学級崩壊 (*゚∀゚*)2日目
http://makimo.to/cgi-bin/dat2html/dat2html.cgi?comic6/2/csaloon/1141492696/

前々スレはまきもとでは見つからず
191マロン名無しさん:2006/05/16(火) 22:11:49 ID:???
綿貫は風俗嬢に堕ちるなw
192マロン名無しさん:2006/05/16(火) 22:14:52 ID:???
スマソ誤爆だった。
193マロン名無しさん:2006/05/16(火) 22:19:35 ID:???
ひとつ御意見を伺いたいのですが、スカトロ描写があっても構いませんか?
194マロン名無しさん:2006/05/16(火) 22:20:47 ID:???
耐性は出来ているw
195マロン名無しさん:2006/05/16(火) 22:23:48 ID:???
全然構わない
196マロン名無しさん:2006/05/16(火) 22:24:38 ID:???
是非
197マロン名無しさん:2006/05/16(火) 22:45:07 ID:???
>>194-196
流石にレス早すぎだろ…自演か?
198194:2006/05/16(火) 22:47:13 ID:???
>>197
そうでもないw
199マロン名無しさん:2006/05/16(火) 22:56:07 ID:???
( ゚∀゚)つ●ウンコクウカ? ⊂(゚∀゚ )センキュゥー♪( ゚∀゚)つ●ウンコクウカ? ⊂(゚∀゚ )センキュゥー♪
( ゚∀゚)つ●ウンコクウカ? ⊂(゚∀゚ )センキュゥー♪( ゚∀゚)つ●ウンコクウカ? ⊂(゚∀゚ )センキュゥー♪
アッヒャッヒャ!ヽ(゚∀゚)ノアッヒャッヒャ! アッヒャッヒャ!ヽ(゚∀゚)ノアッヒャッヒャ! アッヒャッヒャ!ヽ(゚∀゚)ノアッヒャッヒャ!
( ゚∀゚)つ●ウンコクウカ? ⊂(゚∀゚ )センキュゥー♪( ゚∀゚)つ●ウンコクウカ? ⊂(゚∀゚ )センキュゥー♪
ウンコ(*・∀・*)ホッカホカ!! ウンコ(*・∀・*)ホッカホカ!! ウンコ(*・∀・*)ホッカホカ!!
ウンチクセー>(゚∀゚ )( ゚∀゚)<ウンチクセー ●ヽ(゚∀゚)ノ● ウヒョー ! ウンコイタダキマース
●ヽ(゚∀゚ヽ)ウン-コー♪ヨイヤサーヨイヤサー♪(ノ゚∀゚)ノ● ●ヽ(゚∀゚ヽ)ウン-コー♪ヨイヤサーヨイヤサー♪(ノ゚∀゚)ノ●
●_(゚∀゚ )≡ モヒョヒョヒョヒョ ヽ(A`)ノ≡ コラァァァ!! ウンコカエセヨー!!」
ヽ(・∀・)ノ●ウンコーヽ(・∀・)ノ●ウンコーヽ(・∀・)ノ●ウンコーウンチクセー>(゚∀゚ )( ゚∀゚)<ウンチクセー ●⊂(゚∀゚ )ウンコセンキュゥー♪
●ヽ(`Д´)ノ●ヽ(゚∀゚)ノ●ヽ(´д`)ノ●ミンナデ ウンコー! ウンコー!(゚∀゚)! ウンコー!(*゚∀゚)=3
ヽ(・∀・)ノヽ(・∀・)ノ●ウンコー●ウンコーヽ(・∀・)ノヽ(・∀・)ノ●ウンコー●ウンコーヽ(・∀・)ノヽ(・∀・)ノ●ウンコー●ウンコー
200マロン名無しさん:2006/05/16(火) 23:06:23 ID:???
>>194-196
ありがとうございます。
それではいずれ投下させていただきますね。

>>197
私も驚きました……
201マロン名無しさん:2006/05/17(水) 00:47:38 ID:???
616 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2006/05/16(火) 15:00:10 ID:P8dL1tYI
0点のテストを父親に見られてぶたれる姫子
「こんなもの読んでるからお前はバカなんだ」と唯一の楽しみの漫画も父親に処分される姫子
髪を切りに行くお金が欲しいと父親に言うがそんな金は無いと言われ無理矢理髪を短く切られる姫子
酔っ払った父親に毎晩のように犯される姫子



それでも姫子は笑います
202マロン名無しさん:2006/05/17(水) 02:17:13 ID:???
「さあ姫子、四つん這いになるんだ」
203マロン名無しさん:2006/05/17(水) 05:12:33 ID:VWAPU46V
>>200
基本どんなSSでもいいと思うけど
人死にやグロ、スカトロ描写は投下前に告知してね
いじめは見たいけどグロとかは苦手って人も結構いるみたいだから

>>201
半分泣いた。半分おっきした。
204マロン名無しさん:2006/05/17(水) 05:13:25 ID:???
sage忘れスマン・・・orz
205マロン名無しさん:2006/05/18(木) 12:18:47 ID:???
       ☆ チン        ハラヘッタ〜
                     ハラヘッタ〜
 ☆ チン  〃 ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ ___\(\・∀・)< ちょっとーはやくしてくれる?
      \_/⊂ ⊂_)_ \____________
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
   |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:|  |
   | 淡路たまねぎ   .|/
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
206マロン名無しさん:2006/05/18(木) 23:17:34 ID:???
>>179
ということは芹沢が本体なのか。
俺も来栖の肉体を乗っ取りたい。
207マロン名無しさん:2006/05/20(土) 01:50:26 ID:???
878 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2006/05/20(土) 01:01:33 ID:IZHf0rmD
虹裏ネタといえばこの夢あふれるコラも
ttp://ccfa.info/cgi-bin/up/src/up28865.jpg
ttp://ccfa.info/cgi-bin/up/src/up28866.jpg
208マロン名無しさん:2006/05/20(土) 02:10:28 ID:???
浮気などしない断じてな!!
209マロン名無しさん:2006/05/20(土) 04:50:04 ID:???
ウェディングドレス着てもアホ毛は立っててほしかった・・・
そして姫子ロングやっぱ違和感www
210マロン名無しさん:2006/05/20(土) 10:06:14 ID:???
>>207
隣の優男は誰だああああああああああ

あ、俺か
211マロン名無しさん:2006/05/20(土) 10:28:57 ID:???
ああ、やっぱり姫子は最高だぜフォォォォォォォォォ
212マロン名無しさん:2006/05/20(土) 12:07:32 ID:???
毎晩姫子とギシギシマホマホ
21394:2006/05/20(土) 16:52:52 ID:???
とんでもなく時間がたってしまいましたが、一応できたんで投下。
>86からの続きで。綿貫白骨化。どぞ。
21494:2006/05/20(土) 16:55:05 ID:???
その直後だった。綿貫の体中を、「異常」を知らせる感覚が襲う。毛穴という毛穴から汗がどっと噴出し、
激しい嘔吐感がこみ上げてくる。そして胃腸に走り渡る刺激が、綿貫をそれ以上に苦しめていた。
綿貫「い…ちじょう…さん…!」
一体何が起きたか分からない綿貫は助けを請うように一条を見つめる。しかし苦しみ身動きをも取れない綿貫を見ながら、
一条の表情は先ほどと変わらず微笑みのままだった。
一条「苦しいですか、綿貫さん…?」
綿貫「なん…で…?」
目を開けているのも辛かったが、それでも一条の瞳を見つめ続ける。その一条の顔は、更に笑みの形に歪められていた。
一条「宮本先生の事を探ろうとした罰ですよ…。先生を探っていいのは宇宙人の方たちだけですから」
綿貫「……?」
一体一条が何のことを言っているのか分からない綿貫だったが、ひとつだけ確かなことがあった。今目の前にいる友人は、
自分のことを助けてはくれない。
笑みを絶やさぬ一条の視線、体に起こっている異常と苦痛、自分が一条に陥れられたという事実。その全てを感じながら、綿貫は絶望していた。
一条「綿貫さん、せいぜい苦しんでくださいね。…それでは私はこれで」
綿貫「一条さんっ!…たす…けて…!!」
そんな綿貫の懇願も無視して、最後まで微笑んだままの一条は教室を立ち去った。後に残ったのは、動けないままあらゆる苦痛にさらされる綿貫だけ。

こうして綿貫の地獄は始まったのだ。
21594:2006/05/20(土) 16:56:32 ID:???
綿貫「く…ぐるじぃ…!!」
綿貫の状態は悪化の一方をたどっていた。これ以上は無いだろうという苦痛が、その更に上を行く勢いで襲ってくるのだ。しかも摂取した直後に
吐いてしまうなどしてしまえば良かったものを、諜報潜伏中に大衆に存在を悟られてはならないという諜報部員としての潜在意識が、見事に裏目に
出てしまっていた。脱出する手立てが見つからない今、確かにこの場で嘔吐してしまえば教室に誰かが戻ってきた時点で感づかれてしまうだろう。
第一その意識は教室に入ってきた一条に助けを求めに声をかけている時点で矛盾しまっているはずなのだが、ドリンクを飲まされた副作用か、
そんな簡単なことも考えられないほどに綿貫は追い詰められていた。
かくしてドリンクに仕込まれていた毒素が、何の障害も無く綿貫の体中に回る事になったのは言うまでもない。
綿貫(や…ばい…、…でそう…!!)
今綿貫が直面していた危機は数々あったが、その中でも一番分かり易く、一番初めに来た峠というのがこれだった。
度を越えた腹痛、そしてそれに伴う便意。
日常的にあり得る苦痛だと思われがちだが、何度も言うようにその苦痛の度が過ぎすぎていた。一度そういった腹痛を経験したものなら分かると思うが、
「腹痛」と言ってもただ単に「痛い」だけではない。何か身体の奥から底冷えするような、全神経を逆撫でする痛みなのだ。
綿貫「うぅ…誰か…」
その苦痛を紙一重の精神で抑制しようと努力する綿貫。しかし元から無理な体勢だった為に踏ん張りが利かないため、気を緩めようものならすぐにでも
「排泄処理」を実行してしまいそうだった。
綿貫「だれ…かぁ…。…たすけてぇ…」
綿貫は泣きたくなっていた。いや、既に目には涙がたまり始めている。
この苦痛に関しては「排泄」してしまえば楽になる。だがもしそれを実行してしまえば、教室に戻ってきた皆の前に無様な格好を曝け出す事になるのは必至だろう。
その葛藤が、綿貫の目に涙を浮かべているのだ。
21694:2006/05/20(土) 16:58:45 ID:???

だが、そんな葛藤も僅か数分で終わりを告げる事となった。綿貫に限界が訪れたのだ。
文字通り「限界」である。今までかろうじて保ち続けていた僅かな抑止はことごとく崩れ去り、代わりに
「処理」を訴えかける脳内信号が全力で綿貫の理性を飲み込んだ。それらがもたらす結果はは当然一つしかない。
綿貫(だ…だめぇ…っ!!)
綿貫「ひぃぃっ…!!」
己の限界を感じた綿貫の小さな悲鳴が黒板裏に響き、きつく目を瞑る。今まで以上に顔を紅潮させ、
諦めと後悔の境を胸の中で行き来しながら「その時」を待った。
…しかし、いつまで待っても「その時」が訪れることは無かった。
綿貫(…なんで…!?)
「排泄」すべき物質は全て綿貫の中に納まったまま、一向に出てくる様子は無い。だからと言って苦痛が無くなる訳ではなく、
本来なら「処理」を実行することで和らぐはずの腹痛は、開放されずに更に激しくなるばかりだ。もちろん「処理」を実行する事すら
かなわない便意は今もなお持続し、綿貫に苦痛を与え続けている。綿貫はこの異常な状況に、体中から嫌な汗がだらだらと流れるのを感じていた。
綿貫「なん…で…。なんで…なんで…!!」
てっきり恥を捨てて「排泄」してしまえば楽になるものだと思い込んでいた綿貫は一向に改善しない、それどころか酷くなる一方の苦痛に
更なる絶望を覚えていた。ならば自分は、どうすればこの苦痛から逃れることが出来るのだろうか、いっその事死んでしまったほうが楽ではないか、
そういった疑問が頭の中を渦巻く。だが、おそらくこの状況のままでは簡単に自殺することもままならないだろう。それどころか、死ぬまで
この苦痛を味わい続ける破目になる可能性すらあることに、少なからず気付き初めてもいた。
綿貫(わたし…どうすればいいって言うの…?)
そんな問いを思い浮かべてみるが、答えを返すものは誰もいない。だからと言って綿貫が自分でここから脱出する手立てを考えられるかと言えば、
今は苦痛に耐え続けることで精一杯、いや、それにすらも耐えられていなかった。
21794:2006/05/20(土) 17:01:23 ID:???

身体の更なる異常に気づいて数分後、新たな苦痛が綿貫の身体を蝕み始めた。
綿貫「痛っ…!いっ…あぁっ…!!…いぁあ―――!!」
突然叫び声をあげる綿貫。叫び声といっても黒板裏に響く程度の声だったが、今の綿貫にとってはそれが精一杯の叫び声だ。
主に関節や筋肉を襲いかかる突然の激痛。しかしそれは先程の痛みとはまた別の、腹痛が声を噛み殺して耐えるような痛みなら、
こちらは声を上げなければ耐えられないような痛みだ。そしてその痛みと言うのが、先程の腹痛の比にならない。
綿貫「あぁあっ!!い―――っ!いやぁっ!!」
いや、「声を上げなければ耐えられない」と言うのは誤りだろう。腹痛は精神力を駆使してある程度まで耐えられたのに対し、
今綿貫を襲うのは声を上げ続けても耐えられない程の痛みだった。
綿貫「ぃっ!あぁ―――!!!」
先程と変わらないのは、痛みが徐々に酷くなるということだろう。痛み始めは捻挫や筋肉痛の酷いもの程度だった痛みが、
今では全身骨折ほどの痛みを伴い、綿貫を苦しめる。しかもその苦痛の増加率が半端なく、ここまで到達するのにものの一分も掛かっていない。
勿論、今の時点で既に激痛が綿貫の限界を超えている。しかし本来なら痛みのショックで失神してもいいものの、
これもドリンクの効果なのか、意識が飛びそうになってもその激痛で意識が覚醒してしまうのである。
もし体に「スイッチ」なるものがあるとすれば、「入」と「切」を交互に繰り返しているようなものだった。しかも耐えがたい苦痛の中で。
綿貫「あぁぁあぁ―――!!」
限界をとっくに通り越し、半分声にならない叫び声を上げる綿貫。そうしている間にも、徐々に徐々にと痛みは激しくなっていった。
体中の筋肉を蝕む、今にもブチブチと音を立てて千切れてしまうのではないかというほどの痛み。全身を覆う皮膚に走る火傷のような疼痛は
着用している衣服でさえも、僅かに動けば激痛への火種へと変えた。関節にはそこにナイフやアイスピックのような、細くて鋭い何かを
突き立てられているかのようだ。しかもそれだけでは飽き足らず、ドリンクには体の細部に至る所まで苦痛に染めた。指先では指と爪の間に
剃刀が食い込んでいるような感覚に襲われ、嫌な汗が絶えず噴出し続ける毛穴という毛穴では、まるでその一つ一つに熱した油を注がれているようだった。
21894:2006/05/20(土) 17:03:10 ID:???
これらの激痛に絶え間なく苦しめられ続ける綿貫の意識の中には、すでに「生きて助かる」という選択肢は残っていない。
極限まで追い詰められた状況は、綿貫に「生きる」ということさえも望ませなくなっていたのだ。
今の綿貫の意識の中に辛うじて残っているのは、「苦痛を感じなくなる」という願望と、そのための「死」という手段だけ。
そして今の状況は、その手段に最も近くもあり遠くもあった。

込み上げてくる腹痛と、全身の激しい痛み。それらが休む間も無く綿貫を襲い続ける。
綿貫「あ゛ぁ゛―――――!!!」
下からは「排泄」出来ないにもかかわらず、全身の毛穴からは冷汗が滝のようにとめどなく流れ続けていた。
そのせいか、綿貫の声は嗄れ始めている。それでも綿貫は叫ぶのを止めないのは、こうでもしなければ痛みが
完全に自分の身体を乗っ取ってしまうような気がしたからだ。
綿貫(熱い…痛い…苦しい…)
誰もいない教室の黒板裏では綿貫が1人悶え苦み続けているが、生徒達が戻ってくる気配は一向になかった。
その原因が自らの体操着を姫子の体操着に偽装し、ベッキーはじめ一同を研究室に釘付けにしている一条にあるなど、
誰かが来てくれる可能性など既に意識から欠落している綿貫が知る由も無い。彼女の頭の中に反芻されているのは、
ただ絶望に染まった苦痛だけなのだから。
21994:2006/05/20(土) 17:04:38 ID:???

綿貫の身体は想像を絶する腹痛、関節痛、筋肉痛、その他諸々の症状によって既に襤褸雑巾のようになってしまっている。
それでも綿貫は不幸にも意識を保ち続けていたので、精神的なダメージも半端な物ではなかった。
綿貫「―――――!!!」
絶叫の形に歪められた口から出る声も、もはや声の形を成してはおらず、ひーひーという空気の漏れるような音しか流れていない。
綿貫(痛っ……嫌…苦し…嫌……嫌…苦っ…嫌…嫌ぁっ…いっ…いyaぁぁあああaaぁ゛!!!)
そして今彼女の頭を埋め尽くす意識も、言葉の原型を留めてはいなかった。この時点でほぼ完全に綿貫の身体は壊れているにも関わらず、
痛覚などの苦痛を感じる感覚だけはまだ生きている現状は正に生き地獄だった。一刻も早く何らかの治療を施さなくては、
恐らく綿貫の命は無いだろう。もっとも、この状態では誰か教室に入ってきたとしても気づいてはもらえないだろうが。
いや、もうその必要も無くなってしまった。物事には何事にも終わりがあるように、遂に綿貫にも結末が訪れたのだ。
22094 一時停止:2006/05/20(土) 17:07:34 ID:???
えーと、大量に投下するのは読みにくいかと勝手に思っているので、今日はここまで。

ところどころ調整忘れて、読みにくくなってゴメンナサイ。

できれば辛口評価とかいただけるとありがたいなーとか思ってます。勝手に。
221マロン名無しさん:2006/05/20(土) 18:53:57 ID:aUShmOl7
>>207
うっわーオメガ可愛い
一枚目最高だなぁ
222マロン名無しさん:2006/05/20(土) 19:06:53 ID:???
>>207
そうか、何で一枚目も違和感があるのか気付いた
隣に姫子が語りかけているはずの主人公がいるのに画面側を向いて喋ってるからだ
普通エロゲではこういうシーン一枚絵で表現しないか?
223マロン名無しさん:2006/05/20(土) 19:59:38 ID:???
>>220
いきなり嘔吐感とか腹痛とか出るから
スカ描写アリなら言ってくれと思いながら見てたら
うまい具合に回避されててGJ。

いままでに投下されたSSでスカ描写のあったキャラは
大→鈴音、小→くるみ、芹沢 他は知らない。
鈴音だけに大とはこれいかに……
224マロン名無しさん:2006/05/21(日) 02:43:34 ID:???
綿貫の脱糞を期待しておっきしてしまったorz
225マロン名無しさん:2006/05/21(日) 14:59:01 ID:???
綿貫の「処理」キタ━━…・・・コネ━━('A`)
226マロン名無しさん:2006/05/21(日) 21:13:00 ID:???
863 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2006/05/21(日) 14:17:34 ID:mLC4jnJ6
鈴音「ちっちゃくなーれ、ちっちゃくなーれ」
乙女「やめろぉ〜そこは下痢ツボだと何度も・・・」(ガシッ)
鈴音「なっ!?」
俺「ほぅ、そんなに下痢ツボが好きか?ならば貴様にも押してやろう」
鈴音「はがっ!う動かない・・」
俺「ちっちゃくなーれ!ちっちゃくなーれ!」ドドドドドドドドドドドドド
俺の指先は秒間1千回の速さで鈴音の下痢ツボを突く
俺「あ、そうそうお前達白鳥鈴音の周りから離れた方がいいぞ、じゃあな・・」
乙女「へ?」
鈴音「お、おなかがぁ〜よじれてもう・・・もう出そうだぁ・・・」
乙女「あ、バカッ!早くトイレ行けよ!」
鈴音「そ、そんなこといっても体が動かない・・・もうダメで、出る!」
ブブォッ!ブリブリブリブリブブブブブブブブブブブブ!
B組連中「うわっ!何だこれ尋常じゃないぞこの量は・・・うぷっ鼻がもげる・・」
鈴音「あはは〜でも凄く快感かも〜乙女もどう?えへへ〜」
乙女「バカそんな事言ってる場合じゃないだろ!・・って鈴音頭の形が変・・だぞ」
鈴音「え!?・・・・・あべしっ!」ドバァ・・・
乙女「うわぁぁぁぁぁっ!何だいきなり鈴音の頭が吹き飛んだぞ・・・」
B組連中「し、白鳥がうんこ漏らしてイキナリし・・死んだ・・・」
227マロン名無しさん:2006/05/21(日) 21:44:36 ID:???
また鈴音かよ……('A`)

っていうかこれどこのやつ?
228マロン名無しさん:2006/05/21(日) 21:53:30 ID:???
鈴音スレみたい
229マロン名無しさん:2006/05/21(日) 23:41:00 ID:???
不覚にも噴いたwwwwwwwwwwwwww
230マロン名無しさん:2006/05/22(月) 16:43:06 ID:???
なんか過疎ってね?

それともいるけど書く事がないだけか?
231マロン名無しさん:2006/05/22(月) 18:40:02 ID:???
高いクオリティを求めすぎたかな・・・?
232マロン名無しさん:2006/05/22(月) 19:07:42 ID:???
どんな感じのSSがお好みなのカナ?
233マロン名無しさん:2006/05/22(月) 20:17:43 ID:???
とりあえず綿貫のだぷうんを待っている
234マロン名無しさん:2006/05/22(月) 20:18:07 ID:???
斬新ないじめ方の提示…カナ?
235ETERNAL BLESS:2006/05/22(月) 23:05:38 ID:???
土日でちょっとえちいのが出来たので、枯れ木も山のなんとやらと投下させて頂きます……
お嫌いな方はNG設定をお願い致します。

エロあり、グロなし、人死にあり、スカトロあり。
236マロン名無しさん:2006/05/22(月) 23:11:21 ID:dFm+F9WP
個人的にスカトロもグロな気がするがwktkwwwwww
237マロン名無しさん:2006/05/22(月) 23:18:16 ID:???
もうみんな精進込めてつくってるだろうし、あまり求めないでおこう・・・。
238ETERNAL BLESS:2006/05/22(月) 23:31:19 ID:???
「らーらーるー」
 風呂上がりの桃瀬くるみはお気に入りの歌を口ずさみながら気持ちよく、だらりとソファに寝そべってテレビを見ている修の前を横切った。
 全裸にバスタオルを巻いただけの姿であるが、修は特になんとも思わない。いつもの事である。
「おい愚妹、邪魔だどけ」
「うわ兄貴ひっどー……」
 桃組っ!!出演中の歌番組は今まさにソロパートでユナがアップで映っているところだ。
「兄貴てば、ここに超美少女がいるのにアイドルなんかに現を抜かして!」
「そういうんじゃねえよ、知り合いが出てるんだ、見るだろ?」
「毎日見てるじゃない! 南条グループのCMとか」
「CMに南条操は出てないだろ!」
 その代わり、南条グループのCMにユナが出る事はままある。
「だったらえーっとなんだっけ……こないだ動物雑誌に載ってたよ、自宅でマンボウの繁殖に成功したとかで!」 くるみが実際に見たわけではなく綿貫の受け売りなのだが、とにかくそうらしい。「だいたい、私も玲も桃月スタイルに載ったじゃない」
「あー、それは悪かったな。どけそして服を着ろ」
239ETERNAL BLESS:2006/05/22(月) 23:32:49 ID:???
 くるみは頬をふくらませてしばらく立っていたが、バスタオルを脱ぎ捨てるや修の上に覆い被さり、顔を近づけ目をみつめて囁く。
「ねぇ……兄貴。兄貴って私をオンナノコとして見てないの?」
「何、言って……」
「こーんな美人が目の前にいるのに、ひっどいなー」
 どっきんこっこと修の心臓が鳴る。
「どけっていってるだろ、どけって……」
 修はテレビを凝視するが、内容はまるで頭に入ってこない。
「そんなに魅力ないかな……? ベッキーよりも?」
「馬鹿、ありゃ小学生だろ……」
「じゃあ私はベッキーより魅力的? みとめる?」
「あ……あ…… そりゃ……な……」
 ここでベッキーの方がと答えれば修はロリコン認定決定だ。
雅に調教され、鯱張った顔の犬神の前で平伏してお義兄様と呼ぶ姿が浮かんできた。
「よかった」
 誘導に成功したくるみが、罠にかけたとは思えないほど無垢な笑みを浮かべて、濡れた髪の香りが修を包む。
 こいつはちゃんとシャンプーやリンスを使っているのだろうか、ナマの体臭がする。自分と同じ匂いだ。
 精神の方では抑えようとしても肉体の方は正直なもので、修の若い肉体は心臓の鼓動が早まり、血液が性器に向かっていく。
 そして性器が体積を増していくに従って、哀しいかな精神の方も引っ張られて行ってしまう。
「ねぇ兄貴……知ってるんだよ、私…… 兄貴が私のパンツを洗う時じっとみつめてるのを……」
「馬鹿野郎、それは……汚れてるからだ…… おまえも……自分のパンツくらい自分で洗え」
「だったら堂々としてればいいじゃない。私が洗面所に入ったらびびって隠したくせに。それから野郎は男で女は阿魔だよ」
「女郎って言葉もある……」
「じゃあ、トイレのごみ捨てる時に私のナプキン開いて見てたのは?」
「そ、それは……」
 くるみは一度立ち上がり、そして兄の頭のところで脚を開くようなかたちで座り直す。
「ちょ……隠……」
 ナプキンの件もそうだが、興奮しはじめた修は目の前にさらけ出された異性の性器から目を逸らす事ができなかった。
なるほど兄妹とは恐ろしいもので、毛の生え具合も同じようである。
240ETERNAL BLESS:2006/05/22(月) 23:36:07 ID:???
「ねぇおにぃちゃん、誰の顔やカラダに私のここを当てはめて……抜いてたの?」
 くるみが問うた。
 この場合抜く対象は、ユナがCMに出ている炭酸飲料の微炭酸でもなければ、
くるみが言う該当部分に生えている縮れた毛でも、ましてや犬神の自転車の前輪の空気や、
酔っぱらって帰って来た父親の財布の千円札でもない。いわゆる精液という奴である。
 そして、精液という奴を抜いてやるために思い浮かべて妹のパンツのしみや生理用品から推測されるものを当てはめたのは、
それは主に柏木優麻です。くるみの性器だけではなく、優奈の衣装やらも取り入れて俺だけの超柏木優麻でした。
時々優奈をそのまま使って三人でやりました。アイコラは当の優奈に教えてもらうまではアイドル・コラージュではなくアイ・コラージュ、目のコラージュの事だと思っていました!
 と正直に言う事などもはや修にはできなかった。すっかり最大体積に達した性器はすでにカウパー氏腺液を漏らしている。
 自分が優麻で妄想してきた事を思い出した事で、もう一つの主要的なおかず
――この場合のおかずとは豚ロース肉を八丁味噌と仙台味噌を混ぜて柚子を輪切りにしたものと醤油を加えた漬け床に付け込んで焼いたものや、
サンマに塩を振って魚焼き器で焼き上げて柑橘類と大根おろしを添えたものの類ではない――
である、空腹によって生命の危機を感じ、それにより本能として生殖衝動が高まった時
一緒に居合わせた白鳥鈴音の無防備な様子や濃厚な体臭が、その時の閾値を越える寸前まで行った性欲を伴って海綿体に宿っていた。
241ETERNAL BLESS:2006/05/22(月) 23:38:04 ID:???
 一方くるみの方も性器を広げて見せるという刺激が興奮をいや増していた。
修の目の前で、くるみの性器からは膣分泌液が湧き出ていた。それが修の性器をさらに興奮させていく。
 くるみの口は半ば理性を離れ、兄に対するというよりも、男を性的に誘惑する範疇の言葉を紡ぎはじめる。
「素直に私で抜けばいいじゃんか」
 小学生の時分に一緒に風呂に入った時には特になんとも思わなかった奥の部分が、今は修の全身を支配する力をもって君臨していた。
 妹の性器を見てはいけないという理性はもはや、性欲の前に打ちのめされ、隷従していた。
「兄貴…… 私って、魅力、無い?」
 地味だ目立たないと言われるくるみだが、実際には非常に優れた人間だという事を兄である修はよく知っていた。少なくとも修といる時には、くるみは背景やその他誰かではない桃瀬くるみとして振る舞えていたと思っている。
しかし今の修からは兄や家族という属性は消えてしまい、くるみの真価を知る数少ない人間であるという自負だけが残っていた。
 ――そもそも、最初は性欲からはじまった夫婦というものが、いずれ家族愛に変化していくもので、その逆もあり得る、いやないはずがない。なくてはならない!――
性欲に忠誠を誓い剣を捧げた理性が告げる。
 禁断のトビラが開く。トビラの奥から覗くは、有性生殖の開始より生物に灯り続ける永遠の炎。
 修は立ち上がりテレビを消して、妹が脱ぎ捨てたバスタオルをフローリングの床に敷き、彼女の肢体にまたがった。
 優麻に優奈が連れ立ってあさっての方にかけてゆく。
 鈴音が乙女を見つけて下痢ツボを押しながら追いかけてゆく。
 くるみだけが残る。
 くるみは少しのあいだ怯えた表情を浮かべ、修を信じるような顔をして、そして勝ち誇ったような顔で、兄を受け入れた。
242ETERNAL BLESS:2006/05/22(月) 23:48:11 ID:???
 それから、くるみはよく修の部屋に入り浸るようになったが、それは以前からの事であり、両親は特に気にも留めてはいなかった。
 事の重大さに両親が気付いた時には全て手遅れだった。

 妊娠臭からいち早く気付いたのは姫子だったが、姫子は百合好きであり、男女のカップリングには興味が無い。それどころかお互いに付着した匂いから相手が修だと知り、修とつるぎのやおいカップリングも破れた姫子は黙殺した。
 そして地味なくるみは子宮が膨らんできても、せいぜい自棄食いだろうとか、いや食い過ぎて太れば目立てると考えたんじゃないか?とか納得されてすぐ意識の外に追いやられた。

 そんなこんなでくるみは子供を産んだ。双子は血筋だったのだろうか。それがふたつ重なれば当然というべきか、女と男の双子だった。
 姉はみるく、弟は修二と名付けられ、修くるみ兄妹の両親、つまりふたりの祖父母に養子縁組された。
 可哀相なのはエトワールの店長で、くるみの両親に誤解からすごい剣幕で詰め寄られ、その日は商売にならなかった。
 魔法少女猫が慰めてくれて、彼も身近な愛してくれる存在に気付いたようではあるが……

 妹を犯した修はさっそく目黒区に借りたアパートに追い出された。
 くるみは常に母親に監視される毎日で、当然修との連絡も禁じられた。
 しかしこの情報化社会においてつながりを完全に遮断する事は難しい。特に、くるみには玲に響と友達に恵まれていた。持つべき者は友達とはよく言ったものだ。
243ETERNAL BLESS:2006/05/22(月) 23:49:45 ID:???
 両親の気が緩みはじめたある夜、くるみはこっそり家を抜け出した。
「みるく……修二……元気でね」
 出る前に最後に抱いた我が子は柔らかくて温かく愛おしかった。
 みるくという名前ではあるが、まだまだ性的な意味で不安定な状態で出産してしまったくるみの母乳は安定供給には至らず、主に南条製薬の粉ミルクで育てられた。もっと母乳を飲ませてあげたかったと思った。
 修二は障子に似ていると思ったが、あいにく寝室は洋室だった。

 公衆電話から玲に番号を聞いた修のアパートに電話し、修との待ち合わせ場所に向かう。
 ハチ公前にしたのは、姫子や都との待ち合わせで実際はモヤイ像前だったのを勘違いしてハチ公前に行ってしまった、言わばその仇討ちである。
「……くるみ」
 くるみがいないのに気付かずにそのまま行ってしまい、別れる段になってようやく6号が気付くまでくるみの不在に気がつかなかった玲、都、一条、6号、そして姫子とは違い、修はちゃんとそこに待っていてくれた。
「修……会いたかった……」
 くるみはみるく達を産んだ頃から、修を『兄貴』ではなく名前で呼ぶようになっていた。
 みつめあった二人はそのまま視線をそらさず、固く抱き合って口づける。褒められた事ではないが、ここではそう珍しい事でもない。
 その姿は兄妹のそれではなく、すっかり恋人の様子である。
244ETERNAL BLESS:2006/05/22(月) 23:55:27 ID:???
 そして二人は、修が目星を付けて補修していた、打ち捨てられたボートの一つに乗り込んで、大海原と漕ぎ出した。
 手漕ぎではあるが、並以上の運動能力を誇る二人の手にかかればボートは滑るように海の上を進んで行く。
 だいぶ沖に出たところで、二人は鞄からSM用の手錠と筋肉トレーニング用の重りを取り出した。手錠で修の右手とくるみの左手をつなぎ、重りは足首に巻き付ける。
 もはやこの世界にいるのは耐え難かった。
 殆どのカップルが憂える事に、一緒に生まれてこなかったという事がある。
 だがしかし、修とくるみは一緒に生まれてくる事ができた。そして、一緒に死ぬ事もできるのだ。
 もっともそれは、時をかけてゆっくりと真綿で首を絞めるが如く、悲しみの記憶を刻み続ける事なのかもしれない。
 くるみは小さな箱を取り出した。今のふたりにはだいぶ小さな、おもちゃの指輪だ。
 いつどこで買ってもらったのだか覚えていないくらい昔に、子供の頃のおままごと遊びで、ふたりは夫婦のまねごとをして、この指輪を交わした。
 こんな陰惨な未来など想像するべくもなく。
 もう指には嵌まらない。水で飲み込む。
245ETERNAL BLESS:2006/05/22(月) 23:57:27 ID:???
「修」
「うん……」こぶりぶりけつからぶー、とギャグを飛ばす場面ではないという事を修は理解している。
「生まれ変わったら……また一緒になろうね」
「……どっちの意味だ?」
 修の問いに、くるみは哀しそうに笑って言う。
「さあ……あたしにもわかんないや」
「……俺もわからん」
 修は真夜中の蒼の中、はるか遠くに光る東京の街の明かりを見ながら答えた。
「みるくも修二も……元気に育つといいね」
「そうだな」
「……私達みたいな事にはならないように……見張っててやんなきゃね」
 くるみの祈りが遥か天空に響いていくが、修はそれには答えなかった。
くるみが付けた名前や、自分達とは逆に姉弟の順だというは知っているものの、
抱いた事もなければ顔も知らない子供達。自分が父親であるという自覚も希薄だ。
 答える代わりに睡眠薬代わりに買い集めた薬を、くるみが家から持ち出したブランデーで飲み込む。くるみも頷いて同じくする。
 薬や酒が回りきってしまう前に済ませなくてはならない。
 最期に口づけをし、ふたりは触れ合う気持ちが離れないようにお互いをしっかりと抱きしめて、一緒にボートを蹴って深夜の海に身を投げた。
246ETERNAL BLESS:2006/05/23(火) 00:08:53 ID:???
以上です。

タイトルは二時間くらい考えました。
くるみの外の人の武器が『祝福の風』だったのでそこからです。ちょっと前回より凝ってみました。

今回もまたくるみが不幸せになる話なのは書いてタイトルを付けてから気付きました。偶然だと思いますが、
でもこの文を書きながら思い出しましたがこれをはじめて生で聞いた時が、たぶん植田嬢をはじめて生で見た時でもあり、
同時にある曲について(やはり『谷和原、佳奈、愛、墨画トド毛に行くよ』に聞こえるよなぁ)
と思った事も考えれば偶然でもないのでしょうか……
247マロン名無しさん:2006/05/23(火) 00:20:37 ID:???
gj
248まとめサイト”管理”人:2006/05/23(火) 00:48:02 ID:???
すげーぶち壊しなこと言うけど、
まとめサイトのサーバー元が小説でもイラストでも性器描写禁止なんで
膣分泌液と海綿体はサイトに載せるときに伏字になると思う。
原文を読みたい奴はこのスレを保存しておいてくれ。
エログロが多いと知りながら借りる前に確認取らなかった俺は間抜けだな。
最近SSも投下してないし重ね重ね申し訳ない。
ETERNALBLESSn作者は本当にGJ。
249マロン名無しさん:2006/05/23(火) 00:50:29 ID:???
すかとろはどこじゃあと思いつつも
感動した
250マロン名無しさん:2006/05/23(火) 01:07:59 ID:???
乙。近親相姦後日談はもれなく鬱になれるな。
251マロン名無しさん:2006/05/23(火) 01:37:04 ID:???
GJ〜!
妙に悲しくなった

響白骨化だけど、いろいろあって今PCがそんなに使えないんで、明日あたりには投下出来る予定
252マロン名無しさん:2006/05/23(火) 03:40:49 ID:???
寝る前にいい物読ませてもらったよ・・・
253マロン名無しさん:2006/05/23(火) 03:46:56 ID:???
何だ…この切ない気持ちは…
GJ
254マロン名無しさん:2006/05/23(火) 07:05:54 ID:???
喉元に込み上げてくる嗚咽に似た感覚、それが消える頃には枕がぐっしょりだ。俺が涙脆いんかな。
『ETERNAL BLESS』、著者も含めて素晴らしい作品だ。感謝する。
255マロン名無しさん:2006/05/23(火) 07:07:17 ID:???
スカトロがないのは突っ込んじゃいけないんだよな?w
人死にもどっちかってーと綺麗だし、感動物になっちまったじゃねぇかwww
GJwww白骨化の作者さんにも期待www
25694 再開:2006/05/23(火) 17:38:02 ID:???
綿貫白骨化投下再開

ではどぞ
25794:2006/05/23(火) 17:39:37 ID:???

もう何度繰り返したか分からない失神と覚醒の繰り返しの中、その時はやってきた。
一条「綿貫さん、気分はどうですか?」
いつの間に教室に入っていたのか、口から空気を漏らし続ける綿貫の前に、一条は唐突に姿を現す。
一条「そろそろ限界のようですね・・・と言っても、たとえ限界が来たとしても完全に死に絶えるまで
   苦痛からは逃れられませんよ」
実に楽しそうに、放心状態の綿貫に微笑みながら話しかける。といっても、綿貫の瞳からは既に光が消え、
話しを聞けるような状態ではなかったのだが。
一条「でも、さすがにちょっとかわいそうですね。…ですからそろそろ終わりにしましょう」
綿貫「―――――」
一条「答えてくれないのですか…?心配しなくても大丈夫ですよ?今までよりは痛くありませんから」
答えないのではなく答えることの出来ない綿貫に話しかける一条の姿は、もしこの教室に人がいたとしたら、
とてつもなく異様で、不気味な姿に写るだろう。
だが一条はそんなことはお構い無しといった様子で懐からビンを取り出す。ラベルは貼っていなかったが、
先程のドリンクに似たそれは、綿貫に何らかの作用を及ぼす為のものであることは明らかだった。
一条「飲ませるので口を開いてください…あ、もう口を開けてくれているんですね。では、失礼します」
まるで独り言のように淡々と喋りながら、ビンの中身を先程から開きっぱなしの綿貫の口の中に注ぎ込む。
綿貫は全く抵抗を示さないので、液体状のそれは何の妨げも無く綿貫の体内に注ぎ込まれていった。
綿貫「―――――」
しばらく綿貫の喉を液体が流れる音のみが聞こえていたが、それも少しの間だった。一滴も残さず投与したことを
確認すると、一条は丁寧にビンのふたを閉め、再度懐に仕舞い込む。その顔は満足そうな笑顔に満ち溢れている。
そして次の瞬間、「それ」は起きた。
25894:2006/05/23(火) 17:41:45 ID:???

ぼやけ、滲み、痛み以外の何も考えることが出来ない中、気づくと目の前に一条がいた。自分に何か話しかけているようだが、
意識を埋め尽くす苦痛のせいでなんと言っているかは分からない。
そして口に液体状の何かを含まされる。それは叫びによって痛み、乾ききった喉に潤いを与え、水分不足を訴える綿貫の身体に深く深く浸透していった。
全身を襲っているのが地獄のような苦しみだとしたら、喉にだけはまるで極楽がやってきたとでも表現できるだろう。

だが、そんな僅かな人間らしい感情を抱けたのも一瞬だけだった。

喉をはじめとする液体の浸透していった体の部位に、「消失」を思わせる感覚が走り、順を追って体の奥に奥にと広がっていく。やがてそれは全身へと浸透しきった。
綿貫の身体に起こった異常に次ぐこの異常を「消失」と表現したが、もちろんそれはただ単に身体の一部が喪失したような感覚などではない。
第一、一条がそんな生易しいものを仕込むはずが無い。その感覚を順を追って説明するならば、最初は僅かに痛みが和らぎ、その後にその部位に喪失感が襲う。
その更に直後、細胞の死滅が信号に変えられ、まだ最低限働き続ける脳の機能によって強烈な痛覚と認識される。これらがコンマ何秒にも満たない間で、
身体のあらゆる部位で繰り返されていたのだ。
しかし当の綿貫の意識はその感覚全てを認識出来た訳ではない。思考の殆どを痛覚をはじめとする苦痛に占められてしまっている今、
綿貫が感じることが出来たのは神経部の欠落と共に訪れる喪失感と、今までと同じく激痛だけだった。
綿貫「―――――!!!」
声にならない声で叫び、身体に更に訪れた激痛を必至で堪えようとする。だが、それすらも長くは続かなかった。
綿貫「――――!!……」
暫く喉から漏れ続けていた空気が唐突に途切れ、全身から力が抜けていく。そしてここでやっと、長い長い苦痛の感覚が薄らいでいき、
綿貫の意識が靄に包まれていった。今まで気を失っていたくても覚醒してしまったのにも関わらず、今回に限って意識が完全に途切れたのは、
同時に綿貫の命も途切れた、いや、途絶えたことを意味していた。
限界を超えた苦痛を与え続けられた綿貫が最後の最期で手に入れた感覚は、皮肉にも、全てが無に変える瞬間の開放感、安堵であった
25994:2006/05/23(火) 17:45:10 ID:???

一条の目の前で、「それ」は起きた。

綿貫「―――――!!!」
一瞬綿貫の口から擦れたような音が出たかと思った次の瞬間、綿貫の瞳からは完全に光が途絶えた。
そして「消失」は静かに、速やかに巻き起こる。
恐らくは体の内部から順に起こっていた「消失」が、一条の目の前で徐々に姿を現す。
それはまるで人が死んでからそれ以降の様子を超早送りして見ているかのようだった。
綿貫の全身が恐ろしいスピードで乾燥していき、すぐに乾物のような有様になってしまった。
そして乾ききった皮膚が、縮みきった肉が、筋肉が、外からは見えないがスカスカになった内蔵が、
段々と色あせ、剥がれ、風化していった。
こうして数分も立たない間に、綿貫の体は特に異臭を発することもなく、白骨死体に成り果ててしまったのである。

一条「フフフ……フフフフフ…」
あっという間に目の前で白骨死体と成り果てた綿貫を眺めながら、ことの原因となった一条は静かに笑い声を上げていた。
一条「フフフフ…これで……」
その僅かに微笑んだ表情には特に違和感は無かったが、一条の発する笑い声には、普段の彼女を
知るものなら明らかに異様と感じる雰囲気が含まれている。
一条「後はこれを…と思いましたが、どうやら時間のようですね…」
誰にともなしにそうつぶやくと、今まで笑っていたのが嘘のように表情を一変させ、
誰もいない教室で自分の席の位置へと戻っていく。
すると次の瞬間、教室の扉が勢いよく開かれた。
26094:2006/05/23(火) 17:49:04 ID:???

そして次の日―――
移動教室のために誰も居なくなったC組に、一条が一人たたずんでいた。いや、白骨化した綿貫を入れれば二人か。
昨日は怪しまれない為にと、やる事を残したまま学校を後にしてしまったが、それも今となってはどうでも良い事だ。
これから全てを済ましてしまえば、目的は何の障害もなく達成できたと言っても良いだろう。
一条「それでは、失礼します…」
誰に言うでもなく、そうポツリとつぶやいて一条が取り出したもの――それは、
側面に「愛媛みかん」とでかでかと書かれた、通称「一条祭り」。
一条「…よいしょっと」
たいそうにその蓋を開けると、その段ボール箱には本来ありえない底なしの闇を持った入れ口を、
痩せたいという願いが過剰に叶ってしまった綿貫へと向ける。
一条「お願いしますね…」
果たして意思があるのかわからない段ボール箱に、小声で話しかける一条。その彼女の周りでは、
常に「一瞬」が大きな意味合いを持っている。昨日の綿貫の件でもそうだったように、
今日もそれに変わりはなかった。
次の瞬間、白骨化した綿貫の姿は消えていた。ついでに言うと、「伝説毒マムシドリンク」と
書かれたラベルの貼られた空き瓶も消えていた。まるで段ボール箱に吸い込まれてしまったかのように。
いや、実際綿貫は一条祭りに「食われて」しまったようだ。その証拠に段ボール箱の蓋は閉まり、
少し開きかけたかと思えば「ゲップ」という音が漏れてきている。
一条「フフ…では私も…」
一瞬微笑んだ後、そう言いながら一条は自ら一条祭りの中に足を踏み入れていく。
すると収まるはずのない一条の体はダンボールの中に納まりきり、完全に一条の姿が
見えなくなると同時にパタパタと段ボール箱が畳まれていってしまった。
何回か畳まれた一条祭りは、今はもう手のひらに乗るような大きさに姿を変えている。
そして中に入ったはずの一条はといえば――ガラッという教室の扉の開く音と共に、
教室に再び足を踏み入れた。しかし、一条が共にしたのは扉の開く音だけではないらしい。
26194:2006/05/23(火) 17:50:50 ID:???
その隣には、白骨死体に成り果てたはずの綿貫が、生前と変わらぬ肉付きの良さでそこに佇んでいたのだ。
この異常に次ぐ異常に常人なら目を回してしまって当然だったが、一条と、何故か隣に居る綿貫は
これこそ当然、世界のあるべき姿だとでも言うように平然としている。そしてこの教室には
彼女たち以外誰も居なかったので、誰一人としてその異常を指摘するものはいない。
一条「では、よろしくお願いします」
綿貫「わかってるわ」
手のひらサイズの一条祭りを回収しながら、一条は綿貫につぶやく。傍目から見れば
いったい何を言っているかわからない筈だが、綿貫はその意味を理解したようだ。
一条「それでは。…世界を我が手に…」
全く意味のわからない言葉をつぶやき始める一条のその表情には、僅かに微笑が
浮かんでいる。見る人によっては、その微笑の中に狂気に似たものを捉えることもできるだろう
綿貫「…世界を我等が手に…」
一方の綿貫はといえば、まるで諜報活動のときのような真剣な目つきで一条を見据え返す。
一体二人の間で、正確にはどんな意味合いのやり取りがなされているというのだろうか。
だが、結局それ以上のやり取りは無かった。この場合は言葉のみを意思の疎通と
解釈して良いのかも疑わしかったが、真実は二人だけ――いや、一条だけにしか
わからない。なにしろ死んだはずの綿貫は、人間なのかすらわからないのだから。

綿貫「遅れてすみませ〜ん!!」
昨日から行方不明だった綿貫がB組に現れたのは、昼のショート・ホームルームの時だった。
早乙女「こらぁ、綿貫!すみませんじゃないだろぉ!」
乙女「お、響じゃん。こんなに遅れてどうしたんだよ」
綿貫「いやぁ、部活のほうでいろいろ仕事がたまっちゃって…」
大して悪びれた様子も無く自分の席のほうへと向かってゆく綿貫。だが、
それを熱血教師の部類に入る早乙女が見過ごすわけが無い。
早乙女「仕事がじゃないだろ!親御さんも心配していらっしゃったんだからな!!」
綿貫「す、すいません…」
鈴音や乙女と違い、普段は至って真面目な綿貫は素直に担任である早乙女に謝る。だが、
至って真面目で無い生徒は決まって彼に茶々を入れるのだ。
26294:2006/05/23(火) 17:52:10 ID:???
鈴音「い〜じゃんせんせぇ〜。それよりも早くほーむるーむ終わらせてお昼にしよ〜よ〜」
乙女「そうそう、こっちは腹へってるんだっつーの。早くしろ早乙女―」
早乙女「…だから秋山、何度教師を呼び捨てにするなと言ったらわかるんだぁ…!?」
簡単に挑発に乗る早乙女はいつも彼女たちの良い玩具だ。早乙女がそんなことにも
気づかないのは、熱血教師であるから故であろうか。
一方発端の綿貫はといえば、いつもの口喧嘩のようなものが始まったのをいいことに
静かに席に着く。ちゃっかりやり過ごした綿貫に早乙女が気づくことは無かったし、
その綿貫の身に起きた変化に気づくものは誰一人としているわけが無かった。
こうして彼女は一条の思惑通り、再び日常に溶け込むことに成功したのだ。

一条「……」
その時の一条はといえば、弁当を前にボケッと窓の外を眺めていた。彼女に見えている
のはただただ青いだけの空のはずだが、実際その目に映っているものは一体何なのだろうか。
ベキ「一条、戻ってこーい」
姫子「あぁ!また一条さんボーっとして、どうしちゃったのカナ?」
そんな一条に気づいたのか、共に昼食をとるために教室の隅に集まった面々が
「向こうの世界」から呼び戻そうと一条に話しかけた。
一条「いえ、何でもありませんよ?」
玲「いや…でも顔は窓のほうに向いたままだぞ…?」
一条「あぁ、申し訳ありません」
くるみ「だから、まだ窓の外見たままだって…」
ベキ「…いちじょぉ〜…」
ベッキーに再度名前を呼ばれてやっと弁当に向き直った一条は、最後に再び
窓の外に目をやりながら、ふとこんなことを考える。
一条(…宇宙人さんには負けませんよ……地球は私が…いただきます…)
一仕事やり終えて弁当を食べ始める一条のその瞳には、確かに空の向こう側が写っていた…
26394 終了:2006/05/23(火) 18:01:08 ID:???
一応ではなく絶対これで終わりです。続きません。
かなりむちゃくちゃなオチにしてしまいました。
一応3話見直したけど、こんな終わらせ方が限界です。
白骨化のリクエスト(?)くれた人、こんな感じでもよろしいでしょうか?
なんか指摘とかいただけると嬉しいです。

それと他にSSを何個か書き溜めてるんで、投下する暇があったらちょくちょく投下するつもり。
(色々ワケあって毎日とか投下できる状況に無いんでorz)
需要とか完全無視ですがw

264マロン名無しさん:2006/05/23(火) 21:23:06 ID:???
ここ最近知ったんだが、読んで鬱になりそうな小説を載せてもいいのか?
265マロン名無しさん:2006/05/23(火) 21:31:19 ID:???
>>264
ぱにぽにの世界を舞台にしているならおk
266マロン名無しさん:2006/05/23(火) 21:44:42 ID:???
>>265
レスサンクスです。もしかしたら投下するかもしれないんで、そんときはよろしくっす。
267マロン名無しさん:2006/05/23(火) 23:27:46 ID:???
48 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2006/05/23(火) 00:57:45 ID:zGLJ/lM3

兄妹の放課後
ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi36635.png.html
このあと、綿貫が現場を目撃してしまい、どっ引きってのを、
もう一枚描こうかと思っていたが、力尽きた・・・
268マロン名無しさん:2006/05/24(水) 03:35:31 ID:MKM0ezgB
>>263
面白かったよ
GJ
また投下してほしいカナ
頑張れ
269Pani-Moon:2006/05/24(水) 21:21:00 ID:???
DVD最終巻発売にあたり、ぱにぽにへの感謝と想いを込めて、
このスレに書きはじめて以来ずっと温めていた話を書いてみました。
おつきあい頂ければ幸いです。

スカトロあり、エロとグロはそれに付随する程度にあります。人死にはありません。
270Pani-Moon:2006/05/24(水) 21:46:05 ID:???
「放課後よ」
 高見沢ハルカはいかにも嫌そうに言った。
「……円も何を考えているのか……」
 自分が演りたかった演劇は着ぐるみいっぱいのファンシーな夢溢れるものではなかったはずだと思う。
 いや、夢溢れるのもたまにはいいのだけれど、ハルカとしては社会の不条理や青春にあがく様を描いて
桃月学園の生徒達の心に訴えるような作品を演りたいのだ。
 しかし折角そんな作品を書いてみても円の趣味で着ぐるみを着せられてはどこか締まらない。
(せめて一回だけでも…… クーデターでも起こしてやろうかしら)
 いまさらながらに、円を部長にしてしまったのは失敗ではないかと思うハルカであった。
「おはよーございまーす」
 芹沢が入ってきて、ハルカを見て息をのむ。
「……えーと、オツカレサマデス、ハルカ姐さん……」
「ちょうどいいところに来たわ、芹ちゃん……」
 ハルカはさらに巨大になったからだをなんとか芹沢の方に向けて、大きな瞳で彼女をみつめた。
「これ、脱がせてくれる?」
 円に着せられた鳥の着ぐるみは、いくら事実上演劇部の首魁である副部長とはいえ、ハルカには一人で脱ぐ事が出来なかった。
271Pani-Moon:2006/05/24(水) 21:47:12 ID:???
 宮本研究室の扉が開き、ベッキーが弾丸の如く飛び出した。
「だーかーらー! 今日は望ちゃん達と帰る約束してるんだよー!」
 続いて飛び出してくるのは上原都、知性にきらめくおでこがとてもチャーミングだ。
 とはいえ成績はあまり芳しくなく、こうして宮本研究室でベッキーに教えを請うているのだが、
度重なる質問についにベッキーが音を上げた。
「ちょっと待って、あと一つ、ここだけでいいから」
 都の左手に裾を掴まれ、ベッキーがいかにも嫌そうな顔で言う。
「さっきからあと一つって十回くらい聞いたぞー? 大体お前地理は私の科目じゃないだろ」
「今度こそ本当に最後だから!」
「うそつけ! もう駄目だ! 今日はおしまい! ごぬんさよならだ!」
 ベッキーは都の腕を強引に振り払い走り去り、振り払われた腕からノートが落ちた。
 拾ってからベッキーを探すと廊下の彼方にいた。
いかに運動が苦手とはいえベッキー相手では追えば捕まえられるかもしれないが、
距離が少々開いていて、今から追っては相当疲れそうだ。
 今日はあきらめる事にする。
 ノートは開いて落ち、下になった面のページはしわが寄ってホコリが付着していた。
「あぁ、もう」
 ホコリを叩き、指でなでつけてしわを除く。ノートが汚れるのは心が汚れるようで、一生懸命叩いて拭いたけれど、元通りにはならなかった。
272Pani-Moon:2006/05/24(水) 21:48:39 ID:???
 鞄を取りに戻ると、傾いた日が差し込む教室にはもう誰もいなかった。
 姫子は部活に、くるみや玲はバイトに行ったはずで、一条は帰ったのだろう。いつも早く帰りたがっている。
 6号は知らないが、教室にはいない。
(勉強虫……か)
 自分の席に座り、自らのあだ名を反芻した。都自身、自分がガリ勉と呼ばれても仕方ないほど過剰に勉強している事はわかっている。
 それなのに自分は結果が上がらず、ろくに勉強しない修や玲はうまい事結果を上げている。
 都だって、遊びにも行きたいしたまにはゆっくりのんびりしたいのだ。
 だが、そんな気持ちを押し殺して刻苦勉励の毎日なのである。
「いい気なもんよね…… 私が勉強している間も小銭を溜め込んで」
 辞書や参考書が一杯詰まった都の机とは対照的に、玲の机はこざっぱりしたものだ。中を覗くと教科書が整頓されて入っていた。
 玲は先輩のお古の教科書をタダでもらって使っている。
(そんな事までして節約したいのかしら。金の亡者が。……そうだ)
 とてもいい事を思いつき、都は口元を歪めて笑った。しかしその目は笑っていないはずだと都は思った。
 ビニール袋を手袋替わりに、玲の教科書を取り出して睨む。
(もともとゴミになるはずのものだったんだし、捨てても文句ないわよね?
 大体教科書なんかなくっても、あんたアタマいいんでしょ? ハンデよ、このくらい)
273Pani-Moon:2006/05/24(水) 21:51:12 ID:???
 ちょうどいい具合に、姫子の机に紙袋がぶら下がっていた。
 外側になっている面には制服をはだけた少女が二人、夕暮れの教室で絡み合っているイラストが描かれている。
 ゲームかなにかの宣伝なのだろうか、左下にはタイトルロゴが、右下にはメーカーロゴが入っているが、
時間帯がちょうど今頃という事で若干の共感を覚えないでもない。
 広げてみると、机に向いていた部分には、抱きついていた側の少女を中心に何人かの少女が、いずれも水着姿で描かれている。
中にはスクール水着の少女もいるようだが、海に行くのにスクール水着というのは恥ずかしくないのかと老婆心ながら思う。
ちなみに彼女の友人であるところの6号鈴木さやかは海でもプールでもスクール水着である。
そこにどんな理由や思惑があるのかはわからないが。
 回してみると横面にはメーカーロゴとサイトURLがでかでかと書かれていた。
 何度か使用した跡があったが、表面はビニールコーティングされているし、もともと頑丈に作られているようだ。
 都は知らなかったが、本来はち切れんばかりに本を入れ、熱気と湿気に満ち満ちた過酷な環境で酷使される紙袋で、
価格に於いても小冊子、プロモーションディスク、うちわ、クリアファイル、ポストカード、
携帯ストラップ込みではあるが五千円する代物である。
高価だから即ち上質だとは限らないが、玲の机のそう多くない中身を入れるには充分な強度がある。
「ごめんね、姫子。本当にごめん。
 姫子の大事なものにこんな事をさせるなんて、玲はなんてひどい奴なんだろう……」
 手際よく紙袋に机の中身を一切合切入れてそのままごみ箱に向かったところで、都は思いなおす。
 この状況で損な事をすれば、すぐに都がやったとバレてしまう。
 やるならやるで、もっと計画を練らなくてはならない。
「フン……命拾いしたわね」
 毒づきながら玲の教科書類を机の中に戻してやった。つい丁寧に入れてしまう自分の几帳面さが腹立たしく、
玲の机を蹴飛ばしたが、これで『間違って机をひっくり返してしまった』と言い訳が出来る事に気付いて満足する。
 続いて姫子の紙袋を、玲との対比として恭しく丁寧に掛け直して、眼鏡拭きで表面を拭ってから教室を出た。
274Pani-Moon:2006/05/24(水) 21:52:28 ID:???
 とぼとぼ歩いて気が付けば昇降口の下駄箱の前。
 玲の上履きは、これももらい物なのだろうか? 古びて薄汚れてほつれているが、下駄箱の所定の位置に綺麗に収まっている。
玲は若干神経質気味の性格で、姫子とはよくそれが原因でいさかいになっている。先程無意識に発揮したように都も同じ性質を持ち、それを玲に感じるのが今はとても腹立たしい。
「……ふざけやがって」
 教科書が駄目なら、上履きだ。
 人通りの多い昇降口にあるし、他人の上履きに注意している者などそう多くはなかろう。
 素早く左右を見回し、誰もいないのを確認する。そして先程のコンビニのビニール袋に玲の上履きを入れて、体操着袋に突っ込んだ。
 再度辺りを見回す。誰にも見られてはいないようだ。
 大きく息を吐き、自分の下駄箱の下段から靴を取り出し、上段に上履きを収める。
(やった! これ、どうしてやろうかしら……ふふふ)
 都の今はまだ若干少しばかり控えめではあるがこれから膨らむ予定の胸が喜びに満たされる。
 しかしその喜びはすぐに冷えて小さくなってしまった。
『ゴキブリみたいにコソコソなにやってんだ勉強虫』
『所詮は上原って事か』
『低次元だなあお前は……』
「……うるさい」
 都は歩みを止めて首を横に振りながら力を込めて呪詛のように呟き、また歩き出した。
275Pani-Moon:2006/05/24(水) 21:53:39 ID:???
 区立図書館で時間をつぶし日もすっかり暮れた頃、都は人気のない公園に向かった。
 女子便所には個室が三つあり、都が一つを占有していても残る二つが普段より数の少ない利用者を受け止めてくれるであろう。
都は一番奥の個室に入り、体操着入れから玲の上履きを、続いてペンケースからマジックペンを取り出す。
 外側のすべらかな布部分に。
「みんなみんな死んじゃえ」
 爪先と靴底のゴム部分に。
「命乞いするような死に方しろ」
 内側のざらりとした布部分に足の裏が触れる少し臭う底に。
「死ね……死ね……」
 ペンが届く範囲を埋めればハサミで切り開き、時に几帳面に細かく、時に感情に任せて大きく荒く、埋めつくすように万感の想いを込めて書く。
「永遠に死に続けろ!」
 全てを埋めつくしたところで、玲や、全ての都を愚弄した者たちを処刑するように、カッターナイフで切り付ける。
「みんなみんな大嫌い……消えて無くなっちゃえ……」
 手指を傷つけないように慎重に……審判者の指はいつのまにか黒く汚れていた。
 切るところがなくなったのを確認し、便器に音を立てないように投入した。上履きよりもさらに汚れた和式の便器である。
276Pani-Moon:2006/05/24(水) 21:54:16 ID:???
「ククク……あんたにはおしっこまみれの上履きがお似合いよ……」
 下着を脱ぎ腰を下ろすやいなや、たっぷりの恨みを込めながら都は放尿した。
音を隠す事なく放尿するのは久しぶりだったが、上履きがうまい具合にクッションになってくれてさほど音はしなかった。
 男のように弾道をコントロールする事出来なかったが、しかし位置設定がよかったのか、右足用の中に尿を注ぐ事に成功する。
 これで玲の上履きはよごれたし、第一けがれているし、なんといってもきたない。
 もはや履く事は出来ないだろう。
 だがしかし、おそらく玲がこの上履きを履く事もない。
 そう考えると、急に虚しくなる。空っぽの膀胱もそれに拍車をかけた。
『相変わらず考えがない奴だなー』
『お前が言うなよ。まあお前の方が余程マシだけどさ』
 修とくるみが右手人指し指を都に突きつけて輪のように取り囲み、周りを回りながら嘲笑する。
『尿自体は汚いものじゃないんだぞ。ほとんどが水と尿素だからな。尿素がアンモニアにならなければ汚くない! お前らおしっこに謝れ!』
 ベッキーがあきれ顔で諭すように言う。
『都お前…… 馬鹿だろ』
 玲に至っては哀れむようにして見る。
 都が一番嫌いな目だ。
277Pani-Moon:2006/05/24(水) 21:55:07 ID:???
(いつも上から見下ろしやがって……!)
 都の怒りは最後の限界を突破した。堪忍袋の緒が切れると言うが、都のそれは大きく膨れ上がって音を立てて破裂するイメージが浮かんだ。
 そして爆発する勢いのままにそれは放出され、上履きに止めが刺された。
 独特の匂いが徐々に室内の空気を浸食していく。下方置換という言葉が脳裏をよぎる。
(あはははは……やった。やったわ!)
 都の心に達成感と興奮が沸き上がる。
 最後にトッピングしてやろうかと思って覗いた汚物入れは空だった。こんなところで換えたくない気持ちは都にもよくわかる。
 残念ながらと思う事などごく稀な事であるが、残念ながら都は本日生理期間中ではない。
もっとも、使うつもりも予定もないが、神聖なる
……と散々一種異様な雰囲気の教室で保健教師に教えられてきた……
能力の片鱗たりともこのような事に使うのは気が引ける。
 それに万が一、玲の上履きや、あるいはこちらの方が確率が高いかもしれないが、
都の今産み落とした『子供』によってなにかが生まれてしまったりしたら……と考えるとおぞましいのでやめた。

 存在は知っていたものの使う事のなかったこのトイレには予想通りトイレットペーパーが置かれていない。体操着入れから図書館のトイレのそれから切り取って持ってきたトイレットペーパーを取り出した。
 汚いトイレはますますひとを遠ざける。このトイレはどうかずっとこの汚さのまま変わらないで欲しいと都は祈った。
 祈り終えた都はトイレットペーパーでその身を清め、パンツを上げ、スカートを整える。
278Pani-Moon:2006/05/24(水) 21:56:04 ID:???
 都が普段通りの姿に戻ったあとには、すっかり汚れ堕ちた玲の上履きが残った。
(これ……流さなくていいのよね……?)
 見る気にならず目を逸らして考える都だが、むしろ流したりすれば配管を詰まらせて却って迷惑になってしまうかもしれないと
そう告げる理性に後押しされて、現状維持を決意する。
 むしろすでに答えは出ていたのだ。踏ん切りを付けるきっかけが欲しかっただけだ、
 鞄を手に取ってから一呼吸し、気配を探ってから、細心の注意を払いながら個室の扉を開け、何事もなかったように公衆便所を後にした。
 周辺には誰もいない。都が公衆便所に入るところも、出るところも、誰にも気付かれてなどいないのだ。
 玲の上履きには、都のものもそうだが名前も何も書かれていない。玲のものだと判別する証拠など何もないのだ。
 込み上げてくる笑いを抑えながら、薄暗い公園の中を都は歩いて行った。
279Pani-Moon:2006/05/24(水) 21:58:33 ID:???
 スーパーマーケットで缶コーヒーを一本買う。ただそれだけの事なのだが今の都にはそれなりの勇気を要する行為だった。
 なぜだろう。うれしいはずなのに。私は勝者のはずなのに。
 蛍光灯に照らされた店内が妙に居心地悪く感じる。自動販売機で買ってしまおうかとも思ったが、それでは負けてしまう気がした。
 確かに自動販売機で買うよりも安いが端金に執着するわけではない。負けたくなかっただけだ。買う事自体をやめるという考えはない。
 人目を避けてわざわざ登った屋上駐車場のエレベーターホールの椅子に座り、都は乾杯した。
杯を捧げるのはもちろん玲の破滅である。
「玲なんて……死んじまえ」

 三口くらい飲んだところで駐車場に出てみると、心地よく吹く風が髪を揺らし肌を撫でていった。
 天高く昇った月は、駐車場を明るく照らす照明にも負けず光を放っていた。
 自らの今の心理を荒んでいると認める都だが、それでも風流を感じる余裕は残っているらしく、気持ちいい風、綺麗な月だなと思った。
 涙が出てきた。
 飲み終えてもなお、しばらくその身を風に吹かれるに任せていたが、駐車場入り口から入ってくるヘッドライトが見えて、
都は逃げるようにエレベーターホールに戻った。
 今は誰にも会いたくなかった。独りにしてほしかった。
 隠れるようにしながら自動販売機の横の空き缶入れに空き缶を入れると妙に大きな音がして身をすくめる。
「……帰ろ」
 綺麗な声は都の自慢の一つだったが、今はなんとも情けない声だった。
280Pani-Moon:2006/05/24(水) 22:00:11 ID:???
そろそろ連投規制がかかりそうなのでここで一旦切ります。
281マロン名無しさん:2006/05/24(水) 22:22:23 ID:???

都好きの俺としては非常に嬉しい(?)SSだわ
282Pani-Moon:2006/05/24(水) 23:47:52 ID:???
 気が重いが、それでもいつも通りに学校に向かう。
 見つかった時に学校を休んでいれば疑われる可能性が高くなるし、その場にいれば誤魔化したり取り繕う事も出来るだろう。
 もっとも、却って馬脚をあらわす事になるかもしれないが……
 朝食が入った胃が重く感じた。
 今日の朝食は都の好物だった。

 ため息を吐きながら考える。
(いっその事、地震でも起こって学校壊れちゃわないかしら。落雷とか火災とか……)
 親父は関係なさそうだ。
(そうだ南条さん! あなたのところで兵器とか開発してないの? 生物兵器でもいいわ。あれだけ動物飼ってるんだから一匹くらいいるんじゃないの? 宇宙大超獣とか)
 巨大な怪獣が破壊光線を吐いたり、尻尾を振り回して街を破壊したりするのを想像した都だが、その南条お嬢さまがとある夜
『もし本当に怪獣がいたらどうしましょう。飼いたいけれどご飯やおうちは……
 あまり大きいようだと散歩も場所を選びますし、小屋も…… 雨ざらしは可哀相だし。
 人間を食べるようだと飼えませんわよね……人工人肉? なんだか妙な言葉ですわ……
 でも人工人肉で飼うとしてそれで人間の味を覚えて万が一、人を襲ったりしたら私に止められるのかしら?
 手を広げて立ちふさがってみたり……心を込めて語りかければきっと……
 あ、でもこういう場合たいてい妙ちきりんな大きなひとが現れて光線技とかキックでやっつけるわよね?
 もう! 私の可愛い怪獣ちゃんになんてひどい事を! ぷんぷん!』
とやたら大きなベッドの上で転がったり、大きな窓から夜空を見上げてみたり、
ペットと一緒に寝ると潰してしまうかもしれないので代わりに一緒に寝ているぬいぐるみを抱きしめたりしながら思い悩んでいた事など知る由もない。
283Pani-Moon:2006/05/24(水) 23:48:28 ID:???
「おはよう都ちゃん!」
 後方から明るい声がして、アホ毛を揺らしながら少女が走ってくる。おそらく、怪獣の話をするのであれば都の知り合いの中では最も適任だろう。
 A組には小学校時代、怪獣の知識では男子を含めて誰にも負けなかった来栖柚子や、
変身ヒーロー特撮をこよなく愛する柏木優麻、姉と一緒に見てコスプレをさせられてきた柏木優奈と、
こと怪獣に関しては姫子を凌駕する人材が集まっているが、親しさやそれゆえの意思疎通のしやすさを考えると、やはり都にとっての一番は姫子という事になる。
 もっとも、今は怪獣の話をしようとは思わないが……
「姫子……おはよう……」
 昨日、都は怒りに任せて『みんな』死ねと呟いた。当然姫子も含まれている事になり、後悔の念がまた一段と強くなる。
 しかし息を切らした姫子は鼻息も荒く、都の気持ちを吹き飛ばさんばかりの勢いで抱きついた。
「はぁはぁ……はぁはぁ……むはー……都ちゃんいい香り……都ちゃんハァハァ……ハァハァハァハァテラモエス」
 テラモエス? 姫子は時々都にはわからない言葉を使う。テラとは一兆を表す接頭辞の事だろうか? それとも地球の事であろうか。
 そのうち姫子に訊いてみよう。却ってわからない説明をされて混乱するかもしれないが、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥と言うではないか。
 もっとも、その態度がベッキーを閉口させているのかもしれないが……
284Pani-Moon:2006/05/24(水) 23:49:22 ID:???
「姫子、今日は早いのね……」
「ん? えへへー、だって今日はほら」
 姫子はマンガ雑誌の入ったコンビニの袋を示して笑った。
姫子の机にはいろいろなマンガがあり過ぎてわからないが、たぶん愛読しているもののひとつなのだろう。
「早く読まなくちゃね」
 なら一人で行けばいいものを、姫子は都の手を取って走り出した。
 いつもなら振り払うところだが、今日の都は姫子に身を任せた。
 朝、最初に会ったのが姫子でよかったと思った。玲だったら逃げだしてしまっていたかもしれないし、姫子といると自分も少し明るくなれる気がする。
「ちょっと姫子、そんな引っ張らないでよ!」
 口ではそう言っているが、実は少しうれしかった。
 と同時に、昨日、玲の教科書を捨てようとした時に姫子の袋を使ってしまった事が都を苛んだ。
「あのね……姫子……」
 嘘を重ねる事になるが、嘘も方便という言葉もある。
「私、昨日……姫子が机から下げてる袋あるでしょ、あれにぶつかって落としちゃって…… ごめん」
「あ、そうなんだ。いいよいいよー。気にしなくていいよー。お姉ちゃん許したげる」
 姫子は拍子抜けするほどあっさりと都を許した。
 そもそも、紙袋のイラストは小冊子の表紙と中表紙に使用され、さらに壁紙がプロモーションディスクに収録されている。そして万が一紙袋が破れたとて、姫子宅には他に同じような紙袋のストックがたくさんあるのだ。
「そう……ありがとう…… えと……あの絵、ちょっと可愛いわね……」
 死ねと思った事も許してもらえた気がして、お礼も込めてほんの愛想のつもりで言った言葉だったが、姫子は予想以上に喜んだようだ。
「え? 都ちゃんもそう思う? いやーそうだよねー、やっぱりわかるよねー!
 しかしそっかー、そかそかそっかー、都ちゃんがなー、うふふふふー」
 姫子はにこにこと満面の笑みを浮かべた。
 ちなみにこのゲーム、完全百合を標榜した成年向けパソコンゲームであり、最近コンシューマ移植が決定した事が姫子を喜ばせている。
285Pani-Moon:2006/05/24(水) 23:49:56 ID:???
「おはよーカナー!」
 左手で扉を開け、右手で都の手を引いて、元気よく挨拶しながら姫子は教室に入り席に着く。ちなみに大事なマンガ雑誌は信号待ちの間にリュックサックの中に収められている。
 都も姫子に引っ張られる形でそれに続く。姫子が開けた扉を閉める事も忘れない。
 どうやら玲はまだ登校していないようだ。こっそり教室を見回した都は密かに胸をなでおろす。と同時に、そんな卑屈な自分が嫌になる。
「じゃ……私予習してるから。それ、楽しみにしてたんでしょ?」
「うん! 次、都ちゃんに読ませてあげるね!」
「そのうちね」
 都は自分の席に着き、参考書を取り出して予習をはじめる。
 しかし、今日はいつにも増して頭に入らない。
(ああ……もう……今日は玲、休まないかしら……)
 姫子の方を見ると、とても楽しそうにマンガを読んでいた。
 羨ましいと心から思った。

 何度目だろうか。教室の扉が開くたびに身をすくめ、玲ではない事を祈ってきた都だが、ついにその祈りが破れる時がやってきた。
「あー玲ちゃんだー」
 姫子が明るい声で呼ぶその名が都の心に突き刺さる。都は痙攣しそうになるからだを意志の力でなんとか制御した。
「やめろ姫子……抱きつくな」
 誰かが教室に入ってきたので反射的にそちらを向く、何気ない仕種を装って玲を盗み見た都は慄然とした。
286Pani-Moon:2006/05/24(水) 23:50:32 ID:???
(上履き……履いてる……!?)
 あれをしてからは確認していないが、確かに玲の上履きを便器に放り込んで尿漬けにしたではないか。
 なぜ、玲は上履きを履いているのだ?
 再生が出来るような状態ではなかった。新調したのか? 新調したとすればなぜ? ない事に気付かれたのか? それとも全ては夢だったのか?
 大丈夫だ、指紋を残してなどいないし、誰にも見られていなかった。
 そう自分に言い聞かせながらも、心拍数が増し、血圧が上がっていくのを感じる。
 深呼吸して、写経のようにひたすらに英単語の書き取りをするが、字は乱れてとても読めたものではなかった。
287Pani-Moon:2006/05/24(水) 23:51:52 ID:???
 頭の中がいっぱいでそれどころではない状態でも号令一つで起立、礼、着席の流れや、出席確認への返事は機械的に出来る。習慣というのは恐ろしいものだ。
 ホームルームに続いて一時間目が終了したが、その内容は頭にとどまらず素通りして行ってしまっていた。
(やっと一時間目終了か……)
 いつもなら短く感じる授業の時間が今日はやたらと長く感じられた。
 ホームルーム中いつものようにベッキーのそばに立っていたメソウサすらも恐ろしげに見えた。あの弱々しい表情の下で何を思っているのかわかったものではない。
(帰りたい……)
 知識欲も向学心も今は鳴りを潜めている。都は俯いて深くため息を吐いた。
(……?)
 俯いた都のからだに人の影がかかる。玲が復讐に来たのだろうか。
 のろのろと頭を上げると6号が近くに立っていた。
「都さん……ちょっといいですか?」
「……なに?」
「ここなんですけど」
 6号が開いたノートには、『昨日の事なら心配しないでください』と書かれていた。
 声を上げかけた都を制して続ける。
「なんて訳したらいいんでしょう……」
 その下には英単語が書いてあり、都は記憶をほじくり返して答える。
「ああ、これ? ……『殲滅する』よ」
「ありがとうございます、都さん」
「……どう……いたしまして」
 6号は一礼して自分の席に戻っていった。
 英単語の下には『いつも通りにしててください、大丈夫です』とあった。
288Pani-Moon:2006/05/24(水) 23:52:51 ID:???
 都はもやもやとした気持ちを抱えながら、その一日を何事もなかったかのように過ごした。
 早く6号から詳しい話を聞きたかったが、一人になる機会がなかった。
 これまでは気付かなかったが、意識して見てみると6号は意外に人気者で、クラスメイトの、時には他のクラスの生徒の用事で忙しいのだと知った。
 都の方も、何だかんだと姫子やくるみに話しかけられたりして一人でいる時間は自分で思っているよりも少なかった。
 結局二人きりになれる機会はないまま一日が過ぎていったのだった。

「それではホームルームは以上! それから上原都!」
 名前を呼ばれて我に返る。いつの間にホームルームが終わっていたのか、まるで聞いていなかった。
(バレた……か……)
 心臓がのどから出るかと思ったが、その一方でどこか落ち着いている自分がいた。
「……なに、ベッキー」
 立ち上がって教卓まで向かうとベッキーはしゃがむように促し、都がそうすると殊勝な態度で頭を下げた。
「昨日は悪かったな…… 私も言い過ぎた。昨日は麻生先生も一緒でさ……」
「それだけ?」
 拍子抜けした都に、ベッキーは上目づかいで続ける。
「それと昨日の問題だけど、現代においては距離はあまり関係ないんだ。交通網や情報網が発達してるからな。詳しくはこの本に書いてある」
 そう言ってベッキーが取り出したのは図書室の本だった。
「……ああ、なるほど。ありがと……」
 ちなみに図書室の本は又貸しが禁止されている。
「うん。たまになら教えてやるから……な。正直すまんかった」
「……よろしく。でも今日は……いいわ」
「そうか……じゃ、気をちゅけてかいりりょ……きをつけてかえれよ!」
 ベッキーは顔を赤くして、メソウサと一緒に教室を出て行った。
289Pani-Moon:2006/05/24(水) 23:53:28 ID:???
「そしたら芹沢さんがやってきてね……
 あれっ? おかしいな…… って、ロボ子を、見たら……」
 由香はそこで言葉を切り、千夏が継ぐ。
「ゆっ……くり、頭を外して…… その下には……」
 千夏はいかにも深刻そうな顔でゆっくりと言葉を紡ぎ、不気味に切った。
「……した……には……?」
 6号が呻くように続きを促すが、千夏はあくまでも自分のペースを崩さず、たっぷりとためてから口を開く。
「……芹沢さんがいたの」
「なんだ、そ……え?」
 一転して穏やかになった千夏の語り口に気を緩ませかけた6号が不整合に気付いたところに、由香がポニーテールを揺らす程の身振りを添えて、畳みかけるように続けた。
「で、ロボ子じゃない方の芹沢さんが、首を、がばっ!と外して」
「……そこからはコードとか機械の部品がたっくさん見えてたんだって……」

 昨日よりは若干心軽く都が昇降口に向かうと、先に教室を出た6号がD組の学級委員コンビと談笑していた。
 都に気付くとまず都に頭を下げ、それから二人にも同じようにする。
「お姫さまが来たみたいね。それじゃ」
「さよならー」
「はい。さようなら」
「さよなら」
 ふたりで話しながら去っていく学級委員コンビに挨拶してから6号に訊ねる。
「……いいの?」
「ええ…… ちょっと世間話をしていただけですから。おふたりも委員長委員会があるみたいですし」
「そう……どんな話をしていたの?」
「芹沢さんの着ぐるみについてです」
「……ああ……」
 都は頷いた。最近メカドジラという好敵手を得たロボ子はパワーアップが著しく、生徒たちの話題に上る事も多い。
「佐藤さんはD組に埋没しないよう着ぐるみを検討してるとか……」
 靴を取り出しながら6号が言い、同じようにしていた都が相槌を打った。
「芹沢さんには勝てないんじゃないの? あれは……」
「だから、やめたみたいです」
「それが正解だわ……」
「そういえば、こんな話を知ってますか? 最近、夕方になると胸にJAXAって書いてあるロボ子さんが……」
290Pani-Moon:2006/05/24(水) 23:54:11 ID:???
 駅へ向かう大通りに出たところで6号が提案した。
「お茶でも飲みながら……お話ししませんか?」
「……そうね」
 一緒に学校を出たものの、歩きながらするような話ではない。
 都は頷き、ふたりは駅前のファーストフード店の三階の、禁煙席の隅で向かい合って座った。
 店内は盛況だが、ここは席の配置や観葉植物のおかげで、他の席からは見えにくい位置にある。
「玲さんが登校する前にお話出来ればよかったんですけど……」
 少し正面からずらした位置に置いた桃月見バーガーとフライドポテトとオレンジジュースのセットを横目で見ながら、6号が口を開く。
「……あなたが……やってくれたの?」
 都の前にあるのはアップルパイとアイスコーヒーだ。
「はい…… 卒業生の忘れ物とかが倉庫にあるんです……
 玲さんの上履きはもともとそこから持ってきたものなので…… 玲さんが名前を書いてなくて助かりました。
 余計な事かもしれませんけど……」
「ううん、助かった」
「そうですか、お役に立ててうれしいです……あ、もちろん……誰にも言ってないですから……どうか安心してください。大丈夫ですから……」
 非があるのは都なのに、6号の口調には責めるようなところはなく、気遣いすら感じる。
「ねえ、なんで? なんでそんなこと…… 私の為に……?」
「都さんは素晴らしいひとです。いつも一生懸命努力していて、真面目で……
 私、頑張り屋さんオブジイヤーの都さんがとても素敵だって思ってました……
 だから……どうか自分自身を傷つけないで……」
「6号さん……」
 都の視界がぼやける。溢れる涙が目から溢れ、頬を伝っていく。
「私……都さんが傷つくのは……悲し……ひっ」
 目を伏せた都は6号が泣いている気配を感じた。
「……6号さんが泣く事ないわよ……」
 都は涙を抑えてなんとかそれだけ言い、まぶたを閉じて溢れる涙を抑えようとする。
「そうですね……」
 自分が泣いては、折角守った都の心が傷ついてしまう。6号もあさっての方向を向いて涙を止めるよう努力する。
 互いに自分の涙を抑えあう、奇妙な沈黙がしばらく続いた後。
「ありがとう……6号さん」
「……はい」
 少女達は言葉と想いを交わし、涙の後のぎこちなさが残る顔で笑いあった。
291Pani-Moon:2006/05/24(水) 23:55:59 ID:???
「……食べましょっか。冷めちゃう……もう冷めてるか」
 紙ナプキンで目許を拭って都がわざとらしく音を立ててトレイを置き直した。
 ふたりはファーストフード店で語らう礼儀としてそれぞれ注文した品に、いまだ手を付けずにいた。
「あ、そうですねっ」
 どれくらい話していたのか、都のアイスコーヒーはすっかり氷が溶けていた。
「……ふにゃふにゃです」
 湿気て腰がなくなったポテトを指で振り、6号も微笑んだ。
「今日の事は……ふたりだけの秘密よ? 泣いてたなんて……恥ずかしいもの」都は外を見ながら言って、6号の顔を見て続ける。
「6号さんに、指に付いた塩をくちびるにこすって移してからなめる癖がある事も」
「え? あ……」
 慌てた顔の6号に、都はいたずらっぽく笑った。
「大丈夫、秘密だから」
 久しぶりに笑った気がした。笑うという行為の気持ちよさを実感する。
 まるで、モノクロの世界がフルカラーに変わっていくようだった。

 それからいろいろな話をして談笑した後、店員たちのやたら明るい挨拶を背に店を出ると、太陽はもうだいぶ沈んでいた。
 まだ少し話し足りない気分だった。丸一日抱いて過ごしてきた6号と話をしたいという思いは、肝心な話をした後もまだ胸の中にだいぶ残っていて、都に送り狼みたいな台詞を言わせる。
「送って行くわ…… 迷惑じゃなければだけど」
「いえ、迷惑なんて…… うれしいです。都さんと二人で帰るのは初めてですから」
「……そういえばそうよね。私……あなたの家がどこにあるかもまだ知らない」
 都はクラスの中でも五指に入るほど親しかったのに、6号の事を全然知らなかった。そしてそれに、今日こうして話すまで気付かなかった。
 メソウサとは違った感じで小動物みたいな事も、髪型の由来が姫子だった事も。
 こんな事でもなければなかなかふたりで帰る機会もなかったかもしれない。世の中何が幸いするかわからないものだと都は思う。
 この際だから、今日の日を忘れない為にも、今日、訊いておこう。都は胸に抱き続けてきた思いをくちびるに乗せた。
292Pani-Moon:2006/05/24(水) 23:57:00 ID:???
「ねえ。前から訊こうと思ってたんだけど…… 6号さんでいいの? それとも鈴木さんって呼んだ方が……」
 数字で呼ぶのは鈴木さやかの人間性を否定しているのではないかと、徐々に親しくなるにつれて思うようになっていた。
 都の問いに対して、6号はゆっくり首を振った。
「6号でいいですよ……ううん、6号がいいです。親しみを感じますから」
「じゃあ……6号さん」
 同じ事を何度も言うのは好きではないけれど、気持ちはまだ伝え足りなくて、これで最後と自分に言い聞かせながら、想いを込めて言う。
「……ありがとね……」
「……はい……」
 頬を赤く染めた6号のツインテールが都の顔に触れた。いつのまにか二人の距離はそれほどまでに近づいていたのだが、6号も都も、この距離に相手がいる事を不快とは思わなかった。
 大通りから入ったところでどちらからともなく、手が触れたのをきっかけに手をつないだ。
 6号の小さな手と都の温かい手。それぞれから伝わってくる優しさがふたりの胸を満たす。

 太陽はもう沈んで久しい。
 寄り添いあって歩くふたりを。
 月がみていた。
293Pani-Moon:2006/05/25(木) 00:06:01 ID:???
以上です。
タイトルはぱにぽに開始以来心の中にあったもので、
このスレに書きはじめて以来、DVD完結記念のタイトルはこれにしようと決めていました。

私の駄文をご拝読頂き、誠にありがとうございました。
よろしければこれからもここで発表する機会を頂ければ幸甚に存じます。

それでは、ぱにぽにと皆様への愛を込めて。
294Pani-Moon:2006/05/25(木) 00:12:20 ID:???
大変失礼しました。

×ご拝読頂き
○ご覧頂き

それでは今度こそ失礼します。
295マロン名無しさん:2006/05/25(木) 00:56:42 ID:???
うん。GJ!
だが第一話目がなんだったのかが分からない…
296マロン名無しさん:2006/05/25(木) 02:19:06 ID:???
みやこ…感動の嵐につき泣いた・゚・(つД`)・゚・
297マロン名無しさん:2006/05/25(木) 02:35:01 ID:???
>>293
予想外の展開になるわ6号がかわいいわ文才に嫉妬する。
298マロン名無しさん:2006/05/25(木) 02:45:30 ID:???
くああ良い話だな
途中、6号に弱味握られたのかと思ってハラハラしたw
GJ
299マロン名無しさん:2006/05/25(木) 15:56:08 ID:GofyC6oc
いい話だ・・・。
GJ
300マロン名無しさん:2006/05/25(木) 16:15:19 ID:???
コレアニメ化決定じゃね?
301マロン名無しさん:2006/05/25(木) 17:16:29 ID:???
( ;∀;)イイハナシダナー
302マロン名無しさん:2006/05/25(木) 22:08:10 ID:???
妬み、憎しみ、それらを晴らしたあとのむなしさ、嫌悪感、
それらの感情によって傷ついた都を包み込む6号のやさしさ。
それらがよく伝わってきました。
GJ
303マロン名無しさん:2006/05/25(木) 22:33:21 ID:???
>>293
感動する話をありがとう…
何だが報われた…そんな気がします…GJ
304マロン名無しさん:2006/05/26(金) 02:33:36 ID:???
ここはイイスレですね。 [壁]_-) チラッ
305マロン名無しさん:2006/05/26(金) 20:48:35 ID:???
GJ
しかし都はやっとアップルパイが食えたんだなwww

>>295
来栖のアサーじゃないか?
306:2006/05/26(金) 21:52:05 ID:TEMyYqIS
今日の深夜、たぶん『うらぽに 第一話』の冒頭、投下します。
「つーかお前誰だよ」って思われるかもですが、エロパロの方で一つ終わったんで、
次はこっちで書こうかな、と。
というかエロパロじゃ書けないネタだと思うんでこちらで…。陵辱もの、カナ?
307マロン名無しさん:2006/05/26(金) 22:46:37 ID:???
よくわらかないががんばれ
308マロン名無しさん:2006/05/26(金) 23:18:20 ID:???
期待
309マロン名無しさん:2006/05/26(金) 23:33:32 ID:???
最近活気づいて来たな。嬉しい限りだ
職人さん、大変でしょうが頑張って下さい
310マロン名無しさん:2006/05/27(土) 01:53:54 ID:???
雫さん
「うらぽに 第一話」とはエロパロの修×ベッキーの続きですか?
「そう思った」ってゆう終わり方だったんで続くのかなと・・・?
311マロン名無しさん:2006/05/27(土) 03:00:05 ID:???
おかしいな…エロパロ板は21禁のはずだが
312:2006/05/27(土) 03:21:29 ID:bnijbC7x
お晩です。
>>310さんへ。
えっと、このスレで投下する『うらぽに』はエロパロスレの『えろぽに』とは方向性の違うものになると思います。
あっちの『えろぽに』はエロ重視ですが、このスレに晒す『うらぽに』はグロ、陵辱、ちょいエロの微妙なバランスの作品です。
読んで頂けたらわかるかと思います。――たぶん交互に書いていくかな?

「よくわかんねーよ、馬鹿」という方、本当にごめんね。
今から晒すのは『うらぽに 第一話』の前半部分です。
313「誰が為に鐘は鳴る」其の一:2006/05/27(土) 03:23:48 ID:bnijbC7x

魔法少女になりたかった。
困っている人を助けたり人の夢を叶える魔法少女に、私は強烈に憧れた。
だから、魔法少女として桃月学園にやって来た。
チヤホヤされたかったわけじゃない。魔法少女になりたかった私は、私なりに理想に近づけるよう、努力するしかなかったんだ。まあ、周囲の反応がイマイチでちょっとさびしかったけれど。
で、紆余曲折を経て――というか結局、この世には分相応というものがあって、それを容赦なく突きつけられた私は――なり損ねてしまった。
そう、完膚なきまでに私の理想は崩されたのだ。壊された、と言っていい。そもそも時代が魔法少女を望んでいなかったように思える。もう魔法少女は必要とされていないのかもしれない、と。だとしたら少し悲しい…。
――なんて、振り返ったところで、私が魔法少女に返り咲けるわけじゃない。その気もないしね。でもまあ、こうして振り返ることができるくらい、吹っ切れたということだ。
今思い返すと、あの頃の私は魔法少女という言葉に固執しすぎていたのかもしれない。それが、私の理想を遠ざけた――そんな気がする。
314「誰が為に鐘は鳴る」其のニ:2006/05/27(土) 03:24:29 ID:???
最近メディアと一緒にいて、自分がいかにとらわれていたのかがわかった。
戦場からの知り合い、丸顔メイドのメディアは言った。
「ベホちゃんはベホちゃんのままで十分素敵ですよ〜♪」
「よせよ、恥ずかしい。お前が言うと嫌味に聞こえるんだよ」
「ええ〜? ほんとのことなのにぃ…ベホちゃんが一生懸命誰かを助けるところ、すっごく好きですよ♪」
「んなっ!?」
――赤面。こういうことをさらりと言ってのけるところが私は苦手なんだ。
「さ、今日の花壇の水やり終了っ! ほら、ジョウロ片しに行くっスよ」
「あんっ…待ってベホちゃーん」
「待たないっス、置いてくっス」
「ふぁあああん!」
「あははっ」
と笑って、そのときは照れた顔を見られたくなくて駆け出したのだけれど。
正直なところ、メディアがそう言ってくれて、すごく……嬉しかった。
そしてありのままの、自然体のメディアにちょっとだけ嫉妬した。私もこういうふうに素直になれたらなあ、とか。
315「誰が為に鐘は鳴る」其の三:2006/05/27(土) 03:25:20 ID:???

――魔法少女は諦めたけど、人々を助ける正義の味方にはなりたいと今でも思う。

これから始まるのは、あくまで私、ベホイミが主役のストーリーだ。ヒロインは別にいるとしても、ヒーローは私。
ストーリー序盤は容赦のない、下劣で最低、見るに耐えない、あるいは読むに耐えない悪行の数々が目に付くかもしれない。あまりの酷さに目を背けることもあるだろう。
もちろん、途中で読むことを放棄してもらっても構わない。それはあなたの自由だ。
でも。
――最後には必ず全てを私が浄化することをここに宣言する。
そして、私が正義の味方であり続けることをここで約束する。
だから――目を逸らさずに、真正面から向かい合って欲しい。
ハッピーエンドを迎えられるよう、がんばるから。
前置きはここまで――プロローグの終わり。
それでは始めよう。最初から結末の見えた茶番劇ほど滑稽なものはないけれど、私が私であるために、私が私であり続けるために、このストーリーを始まりから終わりまで、きっちりと始めて終わろうと思う。


      うらぽに 第一話 「誰が為に鐘は鳴る」      作:雫


316「誰が為に鐘は鳴る」其の四:2006/05/27(土) 03:26:15 ID:???
                    ◆
朝休み――。
いつものように、何をするでもなく私は席に着いてぼーっとしていた。
「ベホちゃん、おはよ〜」
と、後ろから声を掛けられた。この声の主は――
「あ、おはようっス。芹沢さん…」
クラスメイトで演劇部エース、着ぐるみ大好き芹沢さんだ。D組のムードメイカー(トラブルメイカー?)で、見ていて飽きない女の子だ。
「どしたの? 元気ないよ?」
私の顔を不安そうに覗く芹沢さん。猫耳っぽい髪がぴょこんと跳ねた。
「そ、そんなことないっスよ。それより今日はロボ子スーツ着ないんスか?」
「んー…今日、あっちいしね〜。あれ、蒸れるからさ」
熱い〜、と手でパタパタと仰ぐ仕草がかわいいと思った。
「――あ、ベホちゃん。ストップ」
「え?」
「髪、糸クズついてるよ。 とったげる」
「うん…」
芹沢さんは私の耳元に手をやった。ジャスミンの香りがした。
「ん……」
「ほい、取れた」
「ども…ありがとっス」
317「誰が為に鐘は鳴る」其の五:2006/05/27(土) 03:26:51 ID:???
「ベホちゃんさ〜……もしかして相方いなくて寂しいんじゃないの?」
「っな、何のことっすか!?」
自分の顔がみるみる赤くなっていくのがわかった。
「ほら〜、なんか今週からメディア、外国行ってんだろ?」
ニヤニヤと言う芹沢さんは、私の動揺を観察しているようだった。
「……うス。教授の手伝いで一週間だけ、チベットに行くとか言ってたっス」
段々と私の声が小さくなっていく。
あれ? 私、どうしてこんなに寂しい気持ちが沸いてくるの――?
「そっかあ、一週間ねえ。まあ元気出せって」
芹沢さんはそう言うと、ぽんぽんと私の背中を叩いた。
「ぃたたっ。芹沢さん、なんか誤解してるっスよ! 相方とか、メディアはそんなんじゃないっスから!」
「ムキになってるとこが怪しいな〜…」
「ちょ、もう、勘弁してくださいっスよぅ…」
「あはは。あ、来栖ちゃんに本返しに行かなきゃっ。んじゃ、またあとでね〜」
芹沢さんはいそいそと教室を出て行ってしまった。
「ふうっ…あの人、何を…全く……もうっ」
ぶつぶつと呟いていたらしい、丁度私の横を通りかかった犬神くんが立ち止まった。
「今何か言ったか、ベホイミ? 顔赤いぞ?」
「いえ、なんでもないっス……」
「そうか……それならいいが」
私は机に突っ伏した。
――メディアがいなくて寂しい? そうなのかな……う〜、わかんないよ。もう。

318「誰が為に鐘は鳴る」其の六:2006/05/27(土) 03:28:13 ID:???

今日も昨日と変わらない一日でした。少なくとも放課後まではそう思っていたのです。
私は今日も居残って姫子さんに頼まれたジグゾーパズル(三百ピース)を一人、黙々とこなしていました。姫子さんは「マホっ! 蜂の巣を突付いてくるカナー」と言って、出て行っちゃいました。そんな私は置いてけぼりオブジイヤーです。
「んー。この青いピースは………あ、ここだ」
ぱちりっ。
はまった。
ピースを一つ一つはめ込んでいくことは楽しいです。けれど――。
私は夕日が差し込む教室を見渡しました。
「今の私……、ひとりぼっちオブジイヤーですね」
私はくすくすと、誰もいないのに、誰にも聞こえないくらい小さく笑いました。
こんなとき、五十嵐先生がいたら――。
自然と、頬が紅潮します。
私はときどき、「重力を知らんのか、重力をっ!!」と言う格好いい五十嵐先生を想像します。それだけで「よし、私もがんばろう」という気になるのです。
――恥ずかしくてあまり言いませんが、五十嵐先生みたいな女性になるのが、私の夢です。
ぱちり。ぱちりっ。――ぱちっ。
「半分くらいできたかなあ……」
でもまだ半分。先は長いなあ。
私は一息つくために、購買の自動販売機でジュースを買うことにしました。
319「誰が為に鐘は鳴る」其の七:2006/05/27(土) 03:28:51 ID:???
D組の教室の前を通るとき――。ふと、教室の中を目にすると。
「――あ」
思わず声を上げてしまいました。暗くてよく見えませんが、教室の中に、人影があったからです。
人影は私の声に気づいたのか、ガタガタっという音を立てて立ち上がりました。
「え? あの……」
「ふうっ……誰?」
素っ気ない男の人の声でした。同時にゴソゴソ、カチャかチャと音がしました。
この声、誰だっけ――と考えながらも私は答えていました。
「えっとC組の鈴木さやかです。こんにちは…」
と、人影が一歩こちらに歩いたところで丁度、差し込んできた夕日に照らされ、その正体がわかりました。
「い、犬神くん?」
「やあ、6号さん。こんな時間に何しているんだい? もうとっくに下校時間は過ぎているんじゃないか」
そう言って、いつものようにクールを装う犬神くんの様子がおかしいことに、私はすぐ気づきました。
「ふっ……ふうっ…」
彼の呼吸は荒く、シャツの裾がはみ出て、ズボンに目をやるとなぜかベルトが外れていました。それに何より普段の彼とは別人と思えるくらい、目が冷たかったのです。
320「誰が為に鐘は鳴る」其の八:2006/05/27(土) 03:30:37 ID:???
「教室の中で…何をしてたんですか?」
おそるおそる訊いてみると、犬神くんは眼鏡をクイっと持ち上げました。
無言のまま、彼は一歩ずつゆっくりと、私に近づきます。私はゴクっとつばを飲み込みました。
「俺が先に質問したんだけど……」
威圧感。私は射すくめられたように動けません。
「あ、ごめんなさい。えっと姫子さんに頼まれて…その、パズルを……」
しどろもどろになりながら何とか言葉を紡ぎます。
すぐ目の前まで犬神くんがやってきました。
「パズルね……6号さん、俺は何をしていたと思う?」
「……わかりません」
素直に応えました。私には彼が放課後、薄暗い教室で何をしていたかなんて、想像もつきません。
「俺はね……」
あれ? そういえば犬神くんって一人称「俺」だっけ? ちょっと違和感あるなあ、とぼんやり考えていたとき。
がばっと身体を抱き寄せられました。
「――っ!?」
一瞬のことで、何が起こったのかわかりませんでした。
「あ……あのっ?」
犬神くんが私を力強く抱き締めている――それだけなのに、私の身体が震えてきました。
「はあぁっ…6号さん。君は柔らかいね。んんっ……いい匂いもするし」
クンクンと鼻を鳴らす犬神くんに――ようやく私も、身体の震えと共に危機感が芽生えてきました。
321「誰が為に鐘は鳴る」其の九:2006/05/27(土) 03:31:23 ID:???
「犬神くん…やめて…くださいっ」
思い切って言ってみました。私は男の人に抱き締められたことはありませんが、正直、想像していたより、不快だったからです。
「どうして?」
「だって…こんなこと、おかしいじゃないですかっ」
私は大きな声で言ったつもりでした。でもそれは蚊ほどの儚い声で、犬神くんに聞こえたかも定かではありません。
「ていうか6号さん、無用心すぎですよ。こんな誰もいない放課後に、男の前に現れるなんてね――くちゅっ」
「ふぁあっ!?」
犬神くんがっ、犬神くんが私の耳たぶに唇をっ! 私は思わず犬神くんを突き飛ばしました。
ドタァァン、と大きな音がしました。犬神くんが机に背中から当たって、倒れました。
「ううっ…」
いつの間にか、私の鼓動が加速していました。純然たる恐怖による加速。
私は頬を流れる涙に気づく暇もなく、その場を去ろうと――。
「待てよ」
「やあぁッ!!」
足首を掴まれる感覚――! 下に目を落とすと、犬神くんの氷のように冷たい瞳が私を睨み付けていました。
そして、私の足首を掴んだ右手に力を込めてきて…。
322「誰が為に鐘は鳴る」其の十:2006/05/27(土) 03:34:21 ID:???
「い、痛っ! きゃああッ!?」
「痛いのはこっちですよ…いきなり突き飛ばすなんて、6号さんも意外と乱暴だなあ」
ぶつぶつと犬神くんが呟きました。私は怖くて涙が止まりません。
「さて、6号さん。俺から一つ、提案があります」
「……ひっく…」
今ならまだ誰か校内に残っているかもしれない、そうだ、姫子さんが戻ってくるかもしれない――。けれど、声が出ないのです。
「うう…」
呻くばかりの私をまじまじと見つめる犬神くん。その目には狂気が宿っているようでした。
「俺の言うことを聞け」
ぼそりと――しかし、はっきりとそれは聞こえました。
「え?」
「俺の言うことを聞け」
「はぁ?」
私は彼が何を言っているのか理解できませんでした。
「俺の言うことを聞け俺の言うことを聞け俺の言うことを聞け俺の言うことを聞け俺の言うことを聞け俺の言うことを聞け……」
早口でただ繰り返す犬神くんに、私は蛇ににらまれた蛙のように身体が動きません。
その呪詛のような呟きがブツっと途切れたかと思ったら――。
「……やあぁあッ!?」
意思とは関係なく、悲鳴が上がりました。
犬神くんが、私の太ももを舐めてきたからです。
323「誰が為に鐘は鳴る」其の十一:2006/05/27(土) 03:36:18 ID:???
「や、やめてください…っ」
かろうじて、小声を出すのが精一杯。
ペロペロと犬のように舐め、舌を這わす犬神くんに、私はただ身体を強張らせることしかできなかったのです。
「れろれろ…こんなおいしい太もも、久しぶり。南条よりも白くてむっちりしてる…エロいなあ…6号さんはどう? どうせ初めてじゃないんだろ?」
犬神くんの悪意たっぷりの笑み。怖い、怖い怖い怖い怖い怖い………。
「黙ってちゃわからないよ、ペロっ」
「あうッ!!」
「ははっ。新鮮な反応してくれるなあ。まさか初めて? 6号さん。気に入りましたよ」
「な、なんでっ……」
言葉が続きませんが、私はとにかく抗おうと思いました。
「おっと。抵抗しようと思うなよ?」
と、声のトーンを落として機先を制する犬神くん。言葉遣いは普段のものではなく、その瞳には余裕が見られました。
「えっ……」
「くっくっく…」
犬神くんは歪んだ笑みを浮かべています。
「してもいいが…もし抵抗したら、6号さんの友達を代わりに襲うだけですから」
「――っ!?」
宣告するように、犬神くんは言い放ちました。
「確かC組はエロい身体の女ばっかりだったな。桃瀬に橘……は手に負えないかな。ああ、上原がいたな。あの女の声がすっごくツボでさ。あいつと話すたびに犯したくてね、自制するのが大変なんだよなぁ」
「……っ」
何を――この人は一体、何を言っている? くるみさんに玲さん、都さんまで? 私の大事な友達に何をするって言ったの――?
324「誰が為に鐘は鳴る」其の十ニ:2006/05/27(土) 03:37:30 ID:???
茫然とする私をよそに、犬神くんは続ける。
「この前も上原と図書館で一緒になったんだけど、マジであの女、声エロすぎんだよ、ははっ、周りに人居なかったら確実に襲ってたね。仕方なく速攻でトイレでヌいたことは内緒だよ? ははははははっ」
「ううっ……」
私は――この男がわからない。何なの、この男は? どうして、汚い話をしながら、私の太ももをそんなに執拗に舐めるの?
汚らわしい。汚らわしい。
私は舐められている太ももから身体の隅々まで、気持ち悪い「痺れ」が巡るのを感じました。
抵抗しようと試みるが、さっきの言葉が甦る。

            『6号さんの友達を代わりに襲うだけですから』

ぐらぁ、と世界が揺れていくのを感じました。
私は立っていられなくなり、その場にぺたんっとお尻を着いてしまいました。
「うわ。いきなり座るなよ。舐めているのに…」
犬神くんと丁度目が合いました。
この人の目は――濁っている。そう感じました。
「何見てんだよ。よい子ちゃん? …お、そうだ。さっきお前が来たとき、本当は先生が来たと思ってさ、焦ったんだよ。いやー、教室でオナニーはまずいからなぁ…ははっ」
もうこの男に「くん」はいらないと思いました。この男――犬神は私の太ももをべたべた触ったり弄りながら、理解できない、けれど汚いと思われる言葉を吐き続けます。
「俺、優等生で通ってるし、もし自慰してるのバレたらこの学校、辞めなくちゃいけなくなるだろ? まだ上原も白鳥鈴音も抱いてないのによォオ!」
325「誰が為に鐘は鳴る」其の十三:2006/05/27(土) 03:39:13 ID:???
「…………」
「おい。いい加減何か言えよ。いつもの『オブジイヤー』はどうしたよ? ああ?」
そう言って、突然、犬神は私の頬を引っ叩きました。
「っつ!? ……くぅうっ」
再び、涙が溢れてきました。この男に涙は見せたくなかったけれど、あまりの恐怖に止まりません。
「お、今いい音鳴ったな。パチーンって。つーかこれくらいで泣くなよ。ったく。おら、立て!」
「痛っ!」
犬神は私のリボンを乱暴に掴み、立たせました。
「こんな入り口付近じゃ誰かが来たとき、すぐに気づかれるだろが! こっち来い!」
「うああっ…や、やめて…」
「うるさい!」
私はリボンを強引に引っ張られて、廊下へ出ました。
「男子トイレ、行くぞっ」
「え?」
「普段あまり使われてない、古いトイレだよ。歩け!」
「やっ…引っ張らないで……痛っ」
半ば引きずられるように、私はその男子トイレに連れて行かれました。
そこで、私は途轍もない辱めを受けることになるとは、まだ想像もしていなかったのです――。



続く!
326:2006/05/27(土) 03:48:22 ID:???

というわけで、『うらぽに 第一話 誰が為に鐘は鳴る』其の一〜其の十三でした。
これで半分といったところ。今日3時間位で書いたものだから、それほど中身はないですね。
これからの展開は6号さんが犬神くんに×××される、という王道です。
続きの後半は明日以降書いて、たぶん日曜投下……予定。
「鬼畜!」とか「エロパロに帰れ!」とか「てめえ、俺の6号さんにナニしてくれてんだボケ!」とか言われるか心配です。
まあ、言われたら速やかに退却します。
あ、ちなみに冒頭にしか出てこないけど、ベホイミの見せ場はちゃんとあります。
「主役っスから!!」と、本人談。
おやすみなさい。
327マロン名無しさん:2006/05/27(土) 04:29:42 ID:???
暴走犬神キタコレ
328マロン名無しさん:2006/05/27(土) 05:01:18 ID:???
ほっちゃんが好きなのね
329マロン名無しさん:2006/05/27(土) 07:07:17 ID:???
>>328
俺もそれ思ったw
330マロン名無しさん:2006/05/27(土) 07:19:58 ID:???
暴走犬神=科学の子ktkr
331マロン名無しさん:2006/05/27(土) 10:13:22 ID:???
物故割れた犬神は新鮮だ
332マロン名無しさん:2006/05/27(土) 14:24:23 ID:???
やっぱり犬神つるぎも壊れンじゃねェか…
アンソロネタで「ストレスはちゃんと発散してる」言ってたのによ…
333マロン名無しさん:2006/05/27(土) 15:06:40 ID:???
ケロケロ言いながらレイプして欲しかった
334:2006/05/28(日) 16:44:32 ID:???
今日の夜、『うらぽに』続き投下します。
一つ補足ですが、雫が堀江さん好きなんじゃなくて、
犬神くんの中の人が堀江さん好きということで作中であのように言わせたってことです。

犬神の描写について、壊れたというか「本性はこんなものだろうな」と雫が思ったことを書いているんで、そこはご了承くださいl。
335マロン名無しさん:2006/05/28(日) 17:11:35 ID:???
>>334
楽しみにしてるよ

本性か…なるほどね
つまり今まで犬神は学校で「クールで理知的な男」を演じてきたワケか…アリだな
336:2006/05/28(日) 20:38:12 ID:???
お晩です。
『うらぽに 第一話』の続き、其の十四〜です。
337「誰が為に鐘は鳴る」其の十四:2006/05/28(日) 20:39:03 ID:???
「うぅ……っ」
初めて入った男子トイレは女子のそれと違い、妙な異臭が鼻をつきました。少しでもこの臭気を避けようと鼻に手を当てましたが、無駄でした。
――空気が、澱んでいる……。そう、まるでこのトイレが本来の使用とはまったく別のことで使われているような感じがしました。
「臭いけど我慢しろ。お前が大人しくしてりゃすぐ済むからよ」
一つある窓は嵌め込み式で開閉は不可能、そもそも表面が泥か何かで汚れていて、曇っています。出ることはできない――。
と、照らされる室内。
犬神がトイレの電灯のスイッチを押したのです。
「暗いとうまくできないからな・・・っていつまで突っ立ってんだよっオラぁ!」
と、犬神は思いっきり力任せに私を個室の扉に叩きつけたのです。私の側頭部が派手にぶち当たり、ごうぅぅうん、と鈍い音がしました。
「ふんッ。とろい女だな」
「…痛っ……あ?」
――ぽた。
タイルに点々と落ちる赤いものが目に入りました。それは間違うことなく私の血でした。どうやら頭を切ったようです。痺れるような痛みが私を襲いました。
「――何垂らしてるんだよ、汚いな。そこ、後で拭いとけよ」
「ううっ…どうして……こんなひどいこと…」
「黙ってろ!」
犬神は一喝すると個室の一つの扉を開けました。
338「誰が為に鐘は鳴る」其の十五:2006/05/28(日) 20:39:40 ID:???
「ほら、6号。入れ」
「え……」
中を覗くと、洋式の便器が一つ。そこから異臭、というか強烈な悪臭がむあっと広がりました。
「んぐッ……」
「入れ」
「ふぇッ!?」
犬神は私のお尻を蹴っ飛ばしてきました。私は何とか便器の縁に手を掛けて壁との衝突を避けました。
「――う、ううっ」
目の前の便器には見たことのない汚いものがたくさん付着していました。中でも、カルピスのような白い液体が便座の背もたれの部分に大量に飛び散っていて、私はその匂いを嗅いで吐き気を催しました。
……何なのこれ? この白い液体は? うぅ、気持ち悪い。
「おっと、吐くんじゃねーぞ。こっち向け、よい子ちゃん。ひゃはははっ」
普段の彼とはまるで別人のような汚い話し方と耳に残る笑い方――本当に、この人はあの妹思いで優しい犬神くんなの?
私はこの状況に置かれながら、まだ、この男が本物の犬神くんかどうか信じられなかったのです。
「犬神くん…」
「あ?」
339「誰が為に鐘は鳴る」其の十六:2006/05/28(日) 20:40:28 ID:???
「あなたは、本当に犬神くんなんですか?」
私は意を決して訊いてみました。これからどんな仕打ちを受けようとも、現実を見つめよう――そう思ったのです。
「ああ? 何言ってるんだお前、当たり前だろボケっ! 意味不明オブジイヤーだぞ! ――お? つーかおもしれーなァこれ。明日から使わせてもらう、あははっ」
「――っ!」
自分の口癖を取られたことよりも、彼が本物の犬神くんであるということへのショックの方が大きく感じられました。どこかで、これは悪い夢なんだと思っている私がいました。
「ここに連れてきたのはな、今からすることでお前に騒がれても気づかれないためなんだよ!」
ひゃははははは、と下卑た笑いがトイレに響きました。
もうすでに私に「逃げる」という選択肢は皆無です。個室に入れられ、扉の前には犬神が立っているという物理的状況と、私自身が「逃げられない」と深く心に刻み込んでしまったからです。
こんなとき、思い浮かべるのは五十嵐先生のこと――。
先週、私は先生の愛車に乗って夕日の中のドライブを楽しみました。あの日のことが今では遠い、別の世界のことのように思われます。あの日に、戻りたい――。
「五十嵐、先生ぇ……ぐずっ」
途端、涙が溢れてきました。ぽろぽろと。
「うえぇぇぇええんっ…」
「泣くなっ、鬱陶しい!」
――ガコォンっ!
「ひぃッ!」
犬神が足元に転がっていた銀色のバケツを私の方に蹴り飛ばしました。それは私の右太ももに当たり、また犬神の足元に跳ね返っていきました。
340「誰が為に鐘は鳴る」其の十七:2006/05/28(日) 20:41:17 ID:???
「痛い…っ、ひっく……ううっ」
涙で滲んだ目をやると、太ももが赤黒く変色していました。私は手でさすりながら、元凶である悪魔に目を戻します。犬神は腹を抱えて笑っていました。
「かははっ。お前、反応おもしろすぎ、よい子最高っ! はははははっ」
ひとしきり笑い終わると、犬神はまた冷たい視線で私を見据えてきました。
「さて。わかってると思うが下手な抵抗するなよ。さっき言った通り、抵抗しても標的が変わるだけだ。たぶん上原だな……や、でもおいしいものは最後に取っておくか…」
顎に手を当てて、ぶつぶつと小声で呟く犬神。この男、正気じゃない。そう思いました。
「……となると地味か。兄貴がうるさいから面倒だが…あ、あの女の喫茶店行って、バイト帰りに襲っちまうってのもアリかぁ!? ひゃははっ。いいねエそれッ! どう思う!? 名案じゃねっ!?」

「――やめてください」

涙を拭い、私は静かに口を開く。
「私に何をしてもいいから……皆さんを、私の大事な友達を傷つけないでください」
私は犬神の目を見て言いました。
言ったことに後悔はありません。私が自分で選んだことだから――。
「……ほお。おもしろい。6号、じゃあ俺の肉奴隷ナンバー6に認定してやる。今んとこ、三人しかいないから本当はナンバー3だが、お前、6って数字好きだろ? 感謝しろよ」
「………」
彼が何を言っているのか、もはや理解するまでもありません。
この男は、狂っている――それだけ知っていれば十分でした。
341「誰が為に鐘は鳴る」其の十八:2006/05/28(日) 20:42:02 ID:???
「さて、と。ナニしてもらおうかな。ん、それは…」
犬神が指差したのは、さっき私が見た、便器の周りに付着している白い液体でした。
「――ああ、なるほどね」
と一人納得する犬神。その顔にはやれやれ、という気持ちが見て取れました。
「教えてやるよ。ウチのクラスに磯辺っているだろ? そいつが毎日昼休みにこのトイレに来て、ベホイミをオカズにヌいてるんだよ。だからその白いのが奴の精液ってわけだ」
「………っ」
これが男の人の……。初めて見る白濁色の液体に私は茫然としました。
「ん、けどコレまだかなり新しいな……あ、そうか。磯辺の奴、六時間目、体育のときのベホイミの体操着で欲情して、放課後またここ来てヌいたな。やれやれ…さすが『歩く性欲』だ」
D組の磯辺が誰かは知らないけれど、お前に言われたくないだろう――とは例え思っても言えません。
犬神は眼鏡を外して懐に仕舞い、二歩近づいてきました。
「まあ俺も奴のことは言えないな…今日の体育、珍しくB組と合同でな。言っている意味、わかるか? つまりさっき、白鳥を想ってヌいてたってわけだ。 くっくっくっ! それをお前に見られたんだ!! お前がこんな時間まで残っているから!!」
「そんな、私は何も…」
「嘘だッ!! お前は見た! 俺のオナニーをッ!!」
激昂する犬神。
342「誰が為に鐘は鳴る」其の十九:2006/05/28(日) 20:42:50 ID:???
「お前がいけないんだお前がいけないんだお前が見てしまったからお前が見てしまったから…」
――そんな。
ようやく、全てを悟りました。私がこんなひどい仕打ちを受けなければならない理由。
本当に、私は何も見ていないのに。
私は後ずさりしましたが便器があり、これ以上後ろに退けません。
「脱げ」
「え?」
「スカートに手を入れて自分で脱げっつってんだよ!!」
再びバケツを蹴っ飛ばす犬神。
「で、でも…」
「何をしてもいいってのは換言すれば、何でもしてくれるってことだろうが!」
それはさすがに少し違う――とは言えません。言ったら容赦なく殴られると思いました。
「二度三度言わすな。脱げ」
「うぅっ……わかりました」
――こうして、私は悪魔に穢され、汚され、壊されていく。ここから先、私はまた大好きなC組の皆さんと笑い合えるのでしょうか。そして……大切な人――五十嵐先生と、また……ど、ドライブできるのかなあ?
「えっく…ううっ……」
「何泣いてんだよ! 興醒めするだろがっ! さっさとしろよ!」
「ひぅっ……」
私はスカートをゆっくりとめくり上げ、下着に手を掛けました。
343「誰が為に鐘は鳴る」其の二十:2006/05/28(日) 20:44:03 ID:???
「……んっ」
前屈みになりながら、私は下ろしていきます。
男の人の前で、こんな恥ずかしいことをしなければならないなんて――。私は唇を噛みながら、最後まで下ろしました。
「うっわ。エロい下着穿いてるじゃん。はい没収♪」
「ふぇえっ!?」
何て言った? 没収?
「今日の献上品に決まってるだろう? 何を驚いている?」
さも当然と言わんばかりの口調に私は開いた口が塞がりません。
「別にこれオカズにしようってわけじゃねーから」
嘘だ。それは絶対嘘だ。私はそう思いました。
「ほら、6号。どうせ今日はパンツ穿かないで家に帰るんだからさ、今のうちにノーパン状態に慣れとけよ」
「………」
言われてみれば穿いていない状態は非常に落ち着かなく、スースーしました。
「あははっ。今日、風強くないから安心しろよ。うまく押さえれば露出しないですむだろ」
「ひどい…」
「あ? 今なんか言ったか? ほら、早くよこせ」
私は、今脱いだばかりの下着を犬神に手渡しました。
「ん、まだ温もりがある。当然か。ははっ」
と言って鼻を近づけてクンクンする犬神つるぎ。
「うっはぁああ。いい匂い〜」
恍惚の表情を浮かべる変態、犬神は鼻息荒く嗅ぎ続けます。
344「誰が為に鐘は鳴る」其の二十一:2006/05/28(日) 20:45:09 ID:???
私はぞっとしました。
こんな男が――存在するなんて。
「はぁはぁ…んー……っはぁはぁ」
犬神は満足したのか、私の下着をズボンのポケットに仕舞うと、私に向き直りました。
「さて、今日はもうひとつ、言うこと聞いてもらおうか」
「あ……」
ニヤニヤ笑う犬神の手にあるのは――携帯電話。
「今から撮影会するから」
それだけ言ってピピ、と携帯を操作し、そのカメラを私に向けました。
「んー、とりあえずそのスカート自分でめくって、中見せろ」
「――っ!!」
「早くしろよ。それ写真に撮ってネタにするんだから」
そんなこと、できるわけがない。私は身体を硬直させました。
「あ? 拒否権はないだろ? ま、お前が中見せなかったら大事な友達に替わってもらうだけだが」
「や、やります! だから友達はやめてください!」
「――お前次第だよ。6号さん」
恐ろしく優しい声を出す犬神に戦慄を覚えました。
「やります……やりますから」
私はスカートの端を手に取り――
「っくぅ…」
唇を噛み締めながら、ゆっくりとめくり上げていきます。
345「誰が為に鐘は鳴る」其の二十ニ:2006/05/28(日) 20:46:38 ID:???
そして、全てを晒すと――犬神は「おおっ」と驚嘆の声を上げました。
「いいねェっ。6号、ちゃんと生えそろってんじゃねーか! おれはてっきり××××かと思ったぜ? ははははははっ」
××××の部分は聞き取れませんでした。聞いたことのない単語だった、ということもありますが、私は羞恥心から五感全てが正常に機能していなかったのです。視界は揺れ、嗅覚は麻痺し、なぜか舌先に鋭い痛みが走りました。
「そんじゃそのまま持ち上げてろ。……はい撮るよー」
カシャッ。カシャッ。
「あはは、次は局部アップして撮るか!」
そう言ってカメラを私の秘部に近づけてシャッターボタンを押す犬神。新しい玩具で遊ぶ子供のような目で、とても楽しそうでした。
やがて――。
「よしっ三十枚くらい撮れたかなっ? 明日、この写真持ってきてやる」
犬神はさわやかに言ってのけた。
私はその場に膝を着いた。
「ん? 何だよ疲れたか?」
私は答えず、タイルにぽたぽた、と未だに落ち続ける血をぼんやりと一滴一滴眺めました。
「まあいい。俺、帰るから。明日もこの時間、このトイレに集合な。遅れたらこの写真、ばら撒くから。『桃月学園一のよい子の秘密!』みたいなタイトルでさ。ははは!!」
笑いながら、犬神はトイレを後にしました。
346「誰が為に鐘は鳴る」其の二十三:2006/05/28(日) 20:49:01 ID:???
その場に残されて十五分ほど経った頃、ようやく私は立ち上がりました。
血はとっくに止まっており、ハンカチで拭いました。思ったより、傷は小さかったみたいです。
「………終わったんだ」
口に出して言ってみました。
それは、終わっていないということを認めたくない気持ちから出た言葉でした。
明日も、今日と同じ悪夢が待っている――。
「これでよかったのかなあ……」
私は鞄を取りにC組の教室に向かいました。
廊下を歩いていると、スカートの中が気になりました。
「スースーするなあ……もし何も穿いていないってバレたら大変オブジイヤーですね…」
いや、変態オブジイヤーかな、と自嘲しました。もちろん、笑えません。
教室に戻ると。
「あ……」
そこにいたのは――
「マホっ! やっと帰って来た〜、遅いよ6号さん! どこ行ってたのカナ〜?」
姫子さんでした。どうやら蜂の巣を突付きに行って家に帰らないで、戻って来てくれたみたいです。
「パズルまだ途中だね、6号さん。難しかったカナ?」
私に駆け寄り、「マ〜」と顔を近づける姫子さん。
「マホ? どうして泣いてるのカナ、6号さん?」
「ふぇ…?」
言われて気づきました。私はまた、涙をこぼしていたのです。
347「誰が為に鐘は鳴る」其の二十四:2006/05/28(日) 20:49:44 ID:???
「一人で寂しかったのカナ?」
と首を傾げる姫子さんを見て、私は思わず抱きついていました。
「ひ、姫子さんっ…うっ……うう」
「わわっ!? ちょっ、6号さん!? どうしたのカナ!?」
何がなんだかわからない姫子さんは、私の背中に腕を回して優しく抱き返してくれました。
「ご、ごめんね? えっと、一人で寂しかったのカナ?」
「ううっふぇえええん……姫子さぁあああん!!」
「ろ、6号さん、落ち着いて……マホ」
私はぎゅぅうっと姫子さんを抱きしめて、涙を流し続けました。

しばらくして。
「よしよし、姫子ちゃんがついてますよ〜」
と、姫子さんは片手で抱き止めながら、もう片方の手で私の頭を優しく撫で撫でしてくれています。
「ううっ……姫子、さん……ぐずっ」
私は変わらず姫子さんの胸に顔をうずめて泣いています。姫子さんの温かさが私の心に染み入るようでした。
「6号さん、何かあったのカナ?」
「……ひっく…」
その姫子さんの問いかけに、つい、先ほどの出来事を話しそうになりました。
「マ?」
348「誰が為に鐘は鳴る」其の二十五:2006/05/28(日) 20:50:47 ID:???
けれど。
すぐに思い出します。あの男が言ったことを――。
だから。
「……いえ。なんでもないです」
と、それだけ言うのがやっとでした。
ここでもし話してしまったら、姫子さんも含めてC組の皆さんがあの男に汚される――そう思いました。
「えっと、ちょっと暗くなってきたし、怖くなっただけです……」
「6号さんは怖がり屋さんなんだね〜。マホ〜ン」
「はい……」
「じゃ、そろそろ…」
と、姫子さんが私の身体に回した腕を離そうとしました。
「――あのっ!」
「マホ?」
「その……もう少し、撫でてくれませんか?」
かあぁっと顔が赤くなる私。姫子さんはきょとんとした表情を浮かべています。
何を言っているんだろう、私。そんなこと言ったら、変に思われるに決まってるよ。私のお馬鹿さんオブジイヤー……
「――いいよ」
「え?」
「私が6号さんを一人ぼっちにさせたから、6号さんを泣かせちゃったんだよね?」
と言って、いつになく真剣な顔つきで姫子さんは私の頭に手を載せました。
「撫でてあげるから許してほしいカナ?」
にこっと笑う姫子さん。私はその笑顔に癒されていくのを感じました。
349「誰が為に鐘は鳴る」其の二十六:2006/05/28(日) 20:52:06 ID:???
「撫で撫でされるの、好きなのカナ?」
姫子さんが撫でながら訊いてきました。
私は恥ずかしくなり、俯きながら言いました。
「えっと……今日、好きになりました」
「そっかぁ。私も玲ちゃんの胸触るの好きだけど、そんな感じ?」
「たぶん……」
少しだけ、ほんの少しだけですが、姫子さんに好きと言わせる玲さんに嫉妬しちゃいました。いけない子ですね、私。
玲さんと姫子さんがとても仲がいいのは知っています。でも、私だって――その……姫子さんのことが、好きなんです。
その気持ちは、五十嵐先生へのものとは少し違う気がしました。どこがどう、あるいはどちらが上とかじゃなくて、とにかく「好き」なんです。
その気持ちが芽生えたのは――姫子さんからリボンをもらったときかもしれません。
その気持ちが芽生えたのは――五十嵐先生の車に乗せてもらったときかもしれません。
私にとって、五十嵐先生と姫子さんは特別な人なんです。
かけがえのない、大切な人――。
350「誰が為に鐘は鳴る」其の二十七:2006/05/28(日) 20:54:46 ID:???
「――あっ」
その気持ちに気づいたとき、また涙が出てきちゃいました。
「マホ? 6号さん!?」
「ううっ…なんでも、ないです………私、泣き虫さんオブジイヤーですね」
「あはは〜。6号さんに涙は似合わないカナー? ほら、笑って笑って」
姫子さんの極上の笑顔。
私も涙を拭って笑ってみました。
「マ〜、やっぱ6号さんかわいいカナ〜」
「そんなこと……」
私は姫子さんにかわいいと言われて照れてしまいました。
「かわいいってば〜。あ、私があげたリボン、まだ使ってくれてるんだね。うれしいカモ〜」
「はい。大事に使ってますよ。姫子さんに、もらったものだから…」
次第に声は小さくなり、最後の方はたぶん姫子さんの耳に届かなかったでしょう。
「マホ!? 6号さんっ、門閉まっちゃうよ、帰ろう!」
時計はとっくに閉門時刻。
「急ごう!」
「はい」
姫子さんは私の手を取り、下駄箱へと駆けて行きます。私は最初引っ張られる形でしたが、すぐに並びました。
私は姫子さんとつないだ手を愛おしく思い、いつまでも下駄箱に着かなければいいのに――とか、考えちゃいました。
351「誰が為に鐘は鳴る」其の二十八:2006/05/28(日) 20:55:33 ID:???
こうして。
私の一日は終わっていく。
あの男に辱められたことは永劫、私の記憶に残るでしょう。
姫子さんに慰められたことは永劫、私の記憶に残るでしょう。
「なんで……悪いことと良いことって一緒に来るのかなあ…」
今日の出来事は全部夢だったのかもしれない――そんな淡い気持ちも家に帰ると、すぐに打ち砕かれました。なぜなら、スカートを下ろすと何も穿いておらず、全て現実だったことを突きつけられたからです。
そして――。
本当の悪夢はこれからでした。
次の日――私は地獄を見ることになるのです。



――続く!
352:2006/05/28(日) 20:57:48 ID:???

――というわけで『うらぽに 第一話』其の十四から其の二十八でした。
まず謝ります。今回の投下で終われませんでした。ごめんなさい。
次こそちゃんと終わらせるんで。

作中、6号さんが時々、「――なのかなあ」という口調なのは、原作の「どうして私6号って呼ばれているのかなあ」からきています。もちろん皆様、気づきましたよね?
そして今回一番の問題点は6号×姫子の百合疑惑ではなく、彼女です。そう、完璧に忘れ去られている主役(?)、ベホイミです。
「……あのー、私が主役ってのは嘘っスか? つーか↑の主役(?)ってどゆことっスか!?」と、ベホイミ談。

次回更新は火曜か水曜……予定。6号さんのご奉仕とベホちゃんの活躍に期待してください。
353マロン名無しさん:2006/05/28(日) 20:58:36 ID:???
姫子いい香具師だな(つД`)
犬神の他の二人の肉奴隷が気になる。
一人は雅かな?
354マロン名無しさん:2006/05/28(日) 23:29:16 ID:???
パイパンじゃない6号さんに動揺を隠せない俺ガイル
355マロン名無しさん:2006/05/28(日) 23:42:01 ID:???
よりにもよってDVDで11話視聴してる時に読んでしまった俺テラバカスwwwww
356マロン名無しさん:2006/05/29(月) 02:14:49 ID:???
見所はたくさんあるが

この犬神がツボったwww
357マロン名無しさん:2006/05/29(月) 11:35:59 ID:???
>>353
肉奴隷の一人は姫子な可能性を臭わせる
358マロン名無しさん:2006/05/29(月) 21:31:31 ID:???
南条、一条、雅の予感
359マロン名無しさん:2006/05/29(月) 22:52:55 ID:???
ちょwwww雅てwww炉利+近親wwww
360マロン名無しさん:2006/05/29(月) 23:05:25 ID:???
いいんだよ。女なら何でも
361マロン名無しさん:2006/05/29(月) 23:24:01 ID:???
362マロン名無しさん:2006/05/29(月) 23:39:18 ID:???
>>361
あなたは、信じられますか?
363マロン名無しさん:2006/05/30(火) 01:02:32 ID:???
まとめサイトにメールフォームとか、管理人さんに直接コンタクトできる手段が欲しいです。
364マロン名無しさん:2006/05/30(火) 02:20:50 ID:???
>>363
まとめサイトのトップページにアドレスを貼り付けておいたのでコピペしてメールを送ってください。
正直サーバのメールを利用する事を忘れていました。多謝。
365マロン名無しさん:2006/05/30(火) 02:23:17 ID:???
>>364
あなたが管理人さんか?

「ぱにぽに? 学級崩壊? 何のことです?」

いや、ごめん。今某ノート漫画読んでてさ。
ていうか雫氏のss続き気になる。ベホイミが・・・。
366:2006/05/30(火) 23:27:50 ID:???
お晩です。
『うらぽに 第一話 誰が為に鐘は鳴る』続き、其の二十九〜です。
ではどうぞ。
367「誰が為に鐘は鳴る」其の二十九:2006/05/30(火) 23:28:28 ID:???
              ◆
「ふぁ〜あ」
と、あくびを一つ。
「眠いっスねェ…」
私は相変わらず、席に着いてぼーっとしていた。
「ベホちゃん、おはよ〜」
「おはよっス。芹沢さん」
今日も今日とて変わらない日常――。
ただあいつの笑顔が見えないというだけで――。メディアの奴、ちゃんと手伝いしてるのかな……つーか帰って来るんだよな?
「――ってなんでメディアのこと考えてるんだっ、私!?」
私は机にガンガンと頭をぶつけて、冷静さを取り戻す。
「ふうっ………よし」
「ベホちゃん、大丈夫?」
「あ、何でもないっス。あはは」
「そっか?」
「うス……」
――昨日から、私はこんな感じでちょっとおかしい。
原因はわかっている。いつも一緒にいた、あいつがいないから。悔しいけれど、それは認めざるを得ない。
368「誰が為に鐘は鳴る」其の三十:2006/05/30(火) 23:28:59 ID:???
「お? 今日、委員長二人とも休みか。珍しくね?」
芹沢さんに言われて、委員長二人、千夏さんと由香さんの姿が見えないことに気づく。
「ほんとだ。なんかあったんスかねェ…」
「さあ…。仲良く風邪引いてたりしてな」
あはは、と笑い合ったりして。
そのときは――てんで深く考えなかった。
芹沢さんの言うように二人はただの風邪だと、そう思ったからだ。
だから――気づいたときにはもう遅かった。
手遅れだった、なんてのはただの言い訳だけれど、それでも私は気づけなかったことを今でも悔やむ。
事件を未然に防いでこそ、正義の味方――そう思っていたのに。
369「誰が為に鐘は鳴る」其の三十一:2006/05/30(火) 23:29:32 ID:???
              ◇
キーンコーンカーンコーン。
「明日もちゃんと学校来いよ! 愚か者諸君♪」
そう言って、宮本先生は上機嫌で教室を後にしました。
最近の宮本先生は楽しそうです。何か良いことがあったのでしょうか。
「うらやましいなあ……」
ぼそりと口に出していました。
「ん? なんか言った6号?」
隣に居た都さんに聞こえてしまったようです。
「あ、いえ……」
「そう? あんた今日一日ぼーっとしてたみたいだけど、何かあったの?」
都さんが私の顔を覗いてきました。おでこがピカッと光りました。
「何でもないです。ちょっと考え事を…」
「悩みとかあるなら相談乗るわよ。あ、五十嵐先生がいるか」
「ありがとうございます。今度お願いしますね。都さん…」
都さんに会釈して、教室を出ました。
向かう先は昨日のトイレ。
待ち構えるは犬神つるぎ。
まだ約束の時刻まで大分ありますが、先に着いていないと何を言われるかわかりません。
「はぁっ……」
ため息を漏らさずにはいられません。
頭の中で、C組の皆さんの顔と、昨日の辱め、白い液体、下着、写真、犬神の下卑た笑いがぐるぐると巡りました。
370「誰が為に鐘は鳴る」其の三十ニ:2006/05/30(火) 23:30:08 ID:???
「………あ」
男子トイレの前に、一人の男が立っていました。眼鏡を掛けた、丸刈りの少し太った男子です。息が荒く、「こふーっ、こふーっ」と聞こえてきました。
「…あ、6号って、あんた?」
眼鏡の男子はじいっと私を見てきました。ひどく落ち着きません。
「え……はい。そうですけど」
「ボク、D組の磯辺っていいます。犬神くんから伝言を…」
磯辺?
その名前は確か……と、思い至ります。
この人が――昨日の白い液体の…。ベホイミさんを想って…その……している、とかいう……。
「今日は……屋上だって。ぶふぅーっ」
「……屋上?」
「早く行かないと…写真がどうのって……」
「――っ!」
「あ、待って…ボクもっ…」
私は磯辺という男の静止を無視し、すぐさま屋上へ向かいました。
なぜか、磯辺という男も私のすぐ後ろを走ってきますが、放っておきました。
371「誰が為に鐘は鳴る」其の三十三:2006/05/30(火) 23:30:47 ID:???
「――お。来たか」
屋上の手すりに背中を預けて、犬神は文庫本を片手にこちらを見据えてきました。
「遅かったですね。6号さん」
「はぁっ……はぁっ」
全力疾走してきたのに。
「ま、いいや。お前も登校拒否すると思ってたからさ…。来ただけで遅刻は勘弁してやる」
「………」
「――ます、だろ?」
「え?」
聞き取れなかった。今、何て――?
「ありがとうございます、だろ?」
「!」
見下すように、犬神は言い放ちました。いえ、実際、見下しているんですけれど。
「奴隷なんだからさあ、早く言わないと、ほら。この写真、ここからバラまきますよ?」
ひらひらと、文庫本に挟んでいたらしい写真を取り出す犬神。あの写真は間違いなく、私の――。
「ありがとう、ございます……」
「聞こえなーい」
「ありがとうございますっ」
「ふん。まあいい。おい、そんな扉んとこ突っ立ってないでこっち来いよ」
372「誰が為に鐘は鳴る」其の三十四:2006/05/30(火) 23:31:37 ID:???
「………」
私はおそるおそる犬神の元へ歩いていきます。
「あ、そうだ。ご苦労だったな磯辺。鍵掛けて帰っていいよ」
「!?」
そうだった。私の後ろにはもう一人、磯辺という男子が――
と、振り向いたことろで、屋上の扉が閉まりました。
「――な、なんで?」
「そりゃお前と二人っきりになるためだろ。あのデブに頼んでさ、職員室から鍵盗ってきてもらったんだ。なあに、こちらからは簡単に開くし、閉じ込められたわけじゃないから安心しろよ」
「………」
嫌な予感。いいえ、ここに来たときからずっと、そうした危惧は感じていました。
「つーかさ、一日中優等生やってると疲れるんだよねえ。わかるか? 言葉遣いとか、ボケ老人の相手もしなきゃいけねーし。ぺッ」
犬神は唾を吐きました。
「そんなわけで、とにかく疲れたからさ、お前が俺の疲れを取ってくれ」
「は?」
何? どういう意味なんだろう? 私には全然わかりませんでした。
「聞こえなかったか? 奉仕しろっつってるんだけどな」
と言って、犬神はズボンのチャックを下ろし始めました。
ジィ〜〜〜〜〜。
「ふぁ……っ」
思わず声を上げてしまいました。
ぼろん、と。
初めて見る、男の人の……性器が、出てきました。
373「誰が為に鐘は鳴る」其の三十五:2006/05/30(火) 23:32:24 ID:???
私はすぐに目を逸らしました。
「おいおい、なんだよその反応。まさか初めてじゃねえだろ?」
ははっと犬神の笑いました。
私は俯いたまま、答えられません。
「ま、いいさ。実は俺、久しぶりの野外でちょっと興奮してるんだ。くっくっく。ん? 早くしゃがめよ。跪け!」
「え…でも」
「でもも何もねえだろが! さっさとしゃがんで咥えろボケっ!」
「ひぃっ!」
私はその場に跪きました。丁度目の前に、その……性器が突きつけられる位置です。
男性のそれはまるでペットボトルのような形と太さをしていて、まるでそれ自体が生きているかのように、どくどくっと脈打っていました。
「うっ…」
かすかに、昨日嗅いだ白い液の匂いがしました。
「ふうっ……とりあえず先っちょから犬のようにゆっくり舐めろや」
犬神は持っていた文庫本でぽんぽん私の頭を叩きながら言いました。
「ううぅ……ひっく……」
また涙が溢れてきました。私は、なんでこんなことをしているんだろう?
「舐・め・ろ♪ 舐・め・ろ♪」
歌うように、犬神はコールを続けます。
私は舌を出して、そして――

374「誰が為に鐘は鳴る」其の三十六:2006/05/30(火) 23:33:20 ID:???
              ◎
同時刻。
それは――誰にも聞かれることのない、二人だけの会話。
「私、昨日言ったように、今日学校休んだから…」
「私も休んだよ。でも……本当にこれで良かったのかな」
「何言ってるのよ。私達、このままじゃいつまで経ってもあの男の奴隷よ!? もう耐えられないってあんたも言ったじゃん!」
「そうだけど…でも、あいつは私達の弱みを握ってるし……由香ちゃんどうしよう?…私、何時あいつから呼び出されるか不安で」
「私もよ。だから昨日からずっと携帯も切ってるし、家の電話線も切った……今だって、こうして携帯の電源入れてるの怖いんだから…」
「うん…ごめんね。それじゃ切った方がいいね。無理言ってごめん」
「待って!」
「…何?…由香ちゃん?」
「もう少し、話そ?」
「う、うん…」
「ごめん。私、口では強がってるけど、ほんとはすごく怖くて……」
「由香ちゃん?」
「わかってるわよ。こんなの、ただの逃避だってことくらい…でも、もう限界……」

375「誰が為に鐘は鳴る」其の三十七:2006/05/30(火) 23:33:52 ID:???
「……なんでこんなことになったのかな」
「それは……あのテストのときでしょ」
「テスト――あのとき、軽い気持ちで答案を見せ合ってたから……そのカンニングをあいつ…犬神に見られた」
「私達、仮にも学級委員だもんね。はぁ…」
「由香ちゃん、ごめんね?」
「なんであんたが謝るのよ」
「ん…わかんないけど、とにかくごめん」
「わからないのに謝られてもねえ……それよりこの状況を打開する策を練りましょう」
「うん」
「とりあえず――そうね。今夜、10時にまた電話するわ。あんたの携帯に。それまでに各々、何か策を考えること。いい?」
「うん。じゃ、また…」
そこで通話は終了。
千夏と由香が事態に対応しようと決意したとき、すでに物語は次のステージに移行していた。
そう、事態は常に、根源となる加害者と被害者の間で起こっていて――つまり、犬神と6号さんは――

376「誰が為に鐘は鳴る」其の三十八:2006/05/30(火) 23:34:46 ID:???
              ◇
私は目を瞑って、犬神の怒張している性器の先端に唇をつけた。
「ちゅっ……」
「おほっ……」
唇が触れた瞬間、犬神のそれはビクンと跳ねました。
「うう…」
「いいね。お前の唇、結構気持ちいいわ。気に入った」
「ン…」
私は舌を出して先端をちろちろ、と舐めていきます。
「ぅあああっ…! 気持ち、いい。やっぱ一日一回はフェラしてもらわねーとなあ」
犬神の身体が震えているのが伝わってきました。
「ぺろぺろ………」
「っく…お前の舌、たどたどしくて最高ォっ!! オブジイヤーとまではいかねえけどな」
「………れろ………れろれろ」
私はアイスを舐めるように、行為を続けます。もちろん甘くないのですが。
すると。
「んあ?」
「ううっ…悪い。ちょっと先走って出てきちゃったな。それ、舐め取ってくれ」
「……っ」
それ、というのは先端からちょろちょろと漏れ出してきた、昨日見たもの――白い液体でした。
377「誰が為に鐘は鳴る」其の三十九:2006/05/30(火) 23:35:19 ID:???
「で、でもっ、これ…」
「聞こえなかった? 舐・め・ろ♪ ひゃははっ!」
この男に言葉は通じないようです。私は観念して、その白い液体に口をつけて――
「ぺろっ……ぺろぺろっ」
「くおおおっ!」
犬神は天を仰ぐようにして、興奮を高めているようでした。
私はというと――初めて舐める男の人の精液の苦さに、気分を悪くしていました。
「うぐっ……」
「おいおい、吐き出すなよ? ちゃんと舐めて飲み込め」
恐ろしいことを平然と言ってのける犬神つるぎ。その目には正気というものは最初から存在していないようです。ただ、狂気という名の黒い光が宿っているだけでした。
「ん……こくっ…こくっ」
「よぉーし。それでこそ俺の肉奴隷だ! はははっ。そんじゃ次は咥えてもらおっかなあ」
ニタァ、と嫌な笑みを浮かべ、私の頭を両手で固定すると自分の性器に近づけるように持って行きました。
「ふああっ!? や、やあっ」
「いいから咥えてみろって。案外、病みつきになるぞ? くっくっく…」
「…うっ」
眼前に突きつけられた性器からは異臭が漂い始めています。
こんな臭うものを、私の口の中に入れなきゃいけないの――?
「早くしろよ。殴るよ?」
あくまでさわやかに、けれど恐ろしいことを言ってのける犬神に私は怯みました。
378「誰が為に鐘は鳴る」其の四十:2006/05/30(火) 23:36:22 ID:???
――やるしかない。
涙を拭い、私はアーン、と口を大きく開けて犬神のイチモツを――
「ふぁ…んっ」
咥えました。
「うっは〜♪ いきなり咽喉当たってんじゃね!? すっげ、気持ちいいんだけど!?」
ひゃはははは、と耳障りな笑いがすぐ上から聞こえてきます。
私は、口内で暴れる犬神の性器をなだめるように、舌で奉仕を続けます。
「くぅ〜〜、それ、いいッ!! お前、絶対初めてじゃねーだろ! はははっ」
「ン………ちゅぷッ……こほっ」
「うあ〜」
「んんっ……」
次第に性器からさっきの苦いものが出てきました。その液と私の唾液が混ざり、ぴちゃぴちゃと音が響きます。
「は〜。最ッ高!! つーかそろそろ限界かも…」
「ふぇ?…くぷぅ……んんっ……」
犬神の性器が、ビクンビクンと脈動を早めていきます。
「そのまま咥えてろ。そのままだからな。とにかく愛撫し続けろ!」
「んっ……ちゅ………ううっ」
「やっべ。出る、出ちゃうーー」
と。
そこで。
「うっ………はぁあああああああっ!!」
犬神の叫び。
379「誰が為に鐘は鳴る」其の四十一:2006/05/30(火) 23:37:17 ID:???
ドポポっ! ドクンっ!ドクドク……。
私はというと。
「ふあ、やあああああぁぁあぁぁあああああぁあ!!」
犬神の性器が爆発したかのように暴れ出し、口内なので見えませんが、大量の精液を私の口の中で、放出したようです。
「んぐっ!!? ごぽっ…うっ…」
「おらっ! 吐き出すんじゃねえぞ! 飲め! 全部飲み込んじまえ!!」
「んんっ…」
こんなたくさん――絶対無理です。私は咥えたまま首を横に振りましたが、犬神が強引に私の顔を固定して邪悪な笑みを浮かべてました。
「飲・め♪」
極悪のスマイル。
「っぐぅ…ごくっ…ごく……ごく…こくっ…苦ひよぅ…ん、こほっ、げほっ…」
私は、目を閉じて苦い液体を飲み込んでいきます。ドロっとしているので、咽喉に引っかかって中々思うように飲み込めません。
「ほらがんばれ6号ー! フェラ6号ー! ひゃはははははっ」
「ンぐっ…げほっ…ううっ…こくっ……こくっ」
ようやく、なんとか犬神の放出した分を飲み干せました。
犬神もそれを悟ったのか、性器を口から抜き出しました。
心なし、小さくなったそれは犬神に似て汚れている、と思いました。
380「誰が為に鐘は鳴る」其の四十ニ:2006/05/30(火) 23:38:06 ID:???
私は空ろな目で犬神の顔を見上げます。
「ふううっ。あー気持ちよかった。ん…おい6号、アフター処理、ちゃんとしろよ」
「え?」
「まだ俺の相棒、色々付着してるだろうが! お前の唾液とかよォ! 早く舐め取ってくれ」
な、何を――言っている?
「はーやーくー」
「わ、わかりました」
「ふむ。素直でよろしい…ってか? ぎゃはは!」
私はもう一度、犬神の性器に顔を近づけ、精液やら私の唾液やらを舌で掬い取っていきます。
「ん…れろっ………んんっ………」
すぐに硬度と大きさが戻るのを舌で感じ、私はまさか――と思いました。
「よし。そのまま。そのままだ6号……」
「ふぁ……」
犬神のそれが、またビクビクと小刻みに震えて、そして――
ドパァウ、と炸裂しました。
「やああっ!? ふぁああっ! あ、熱いぃっ!」
私の顔面に精液が飛び散りました。熱を持ったそれにすぐさま私は穢されたことを認識しました。
「よっしゃー顔射成功っ!!」
と、犬神は子供のように喜んでいます。
私はぺたん、とお尻を床に着いて、茫然となりました。
381「誰が為に鐘は鳴る」其の四十三:2006/05/30(火) 23:39:28 ID:???
「あー満足満足♪ あそうだ、6号! 俺、今日帰り雅と一緒に買い物があるんだ。だから今日はこの辺で……また明日な!」
そう言い残すと、犬神は笑いながら去っていきました。
犬神が屋上を去った後――私は床に座り込んだまま動こうとしません。
というか、動けなかったのです。
大量の精液を飲んだことにより、私の身体は重く、大量の精液を顔に放射され、私の心は重く――。
「……ううっ…こほっ…どうして? 私が……げほっ」
顔面にぶっ掛けられた精液がゆっくりと、ドロぉっと頬を伝っていくのを感じながら、私は涙を流し続けます。
「…私…もうやだよ………ううっ」
誰かに聞いて欲しいのに、誰にも聞こえないくらいの小さな泣き声を、私はただ屋上に響かせるのでした。

382「誰が為に鐘は鳴る」其の四十四:2006/05/30(火) 23:40:11 ID:???
              ◆
放課後の廊下は冷たい。人気がないせいか、空間そのものが停止しているような、そんな感覚。
私は忘れ物を取りに教室に戻る途中だった。
「ったく……まさか弁当箱を忘れるなんて…」
この時期は一日放置しただけでかなり臭うから、花壇の水やり途中に気づけて良かったといったところか。
それにしても――。
「静かっスね…」
もう誰も残っていないのか。――当然だ。HRが終わってから結構経っている。
今残っているのは、部活や補習がある生徒だけだろう。
D組の教室に入ると。
「――わわッ!?」
思わず声を上げてしまった。
というのも、私の席に――誰かが座っていたのだ。
教室の電灯がついておらず、カーテンも閉めてあるため室内はとても暗いが、そいつが誰かはすぐにわかった。
「お前……磯辺っ!? 何してるっスか!!」
同じクラスの男子、磯辺が、私の机に突っ伏すように座っていたのだった。
「うはあ…。ベホイミちゃん…はぁはぁ……本物だぁ…ぶふーっ……」
――うっわ。気持ち悪い。
ぞくり、と身体中に悪寒が走る。
この男は私の転入当初から、ちょっかいを出してくるのだ。精神安定剤をやったりして、ほとんど相手にしていなかったけれど。
383「誰が為に鐘は鳴る」其の四十五:2006/05/30(火) 23:40:59 ID:???
「とにかくそこ、私の席っスよ。さっさとどけ――」
と言いかけて唖然となる。
そして、目を疑う。
「お前、それ!!」
なんと、磯辺が私の弁当箱を手に持っていた。しかも蓋が開いて、あ、箸を手にしている。
「な、何を……っ」
唇を噛みながら、磯辺の返答を待つ。
「ば、バレたら仕方ないか……ベホイミちゃんの、箸を舐め回してたんだぁ…後弁当箱も…ぶふっ」
――瞬間。
教室に光が走った。
光――そう、それは紛れもない閃光だった。
「――ぶほォォオッ!!?」
まず最初に、何が起こったのか――それを知覚したのは私ではなく、磯辺だった。
顔面に私の右足がめり込み、軽く4メートルは吹っ飛んで行った。
また、磯辺の眼鏡は粉砕して、教室空間から塵となって消え失せた。
そこで。
ようやく。
「あ……」
私は、渾身の蹴りを磯辺の顔面に喰らわせたことを認識する。
窓ガラスに激しくブチ当たり、ぴくぴくっと身体を痙攣させる磯辺を見て、私は荒れた呼吸を正す。
384「誰が為に鐘は鳴る」其の四十六:2006/05/30(火) 23:41:47 ID:???
「はぁッ………はぁッ……豚がッ!」
ちら、と机に目をやる。
穢れた。汚された。ちくしょう。あんな豚に――。
私はお気に入りだった(もうすでに過去形)弁当箱と箸をゴミ箱に捨てた。
「ぶふゅー……ぶひぅー……」
耳障りな呼吸音が教室にこだまする。
「ふん」
と、私は倒れている磯辺を一瞥する。
あの程度の蹴りでこの豚が死のうが知ったことじゃない。むしろもう二、三発入れておくか。
ゆっくりと磯辺に近づき、無言で見下ろす。
「――っ」
うっわ。顔面ぐっちゃぐちゃ。気持ち悪い顔がさらに気持ち悪くなってるし。最悪ー。
「………」
さすがの私も息を飲んだ。
まあ、さして問題じゃないっスね、と一人頷き、磯辺の耳元で囁く。
「次、私に近づいたら今度は玉を潰すっス。本気っスよ」
本気っスからね、ともう一度小さく言って、踵を返そうとした――そのとき。
「ん?」
何かが、目に留まった。キラ、と視界の隅で輝いたのだ。
「……あ」
それは床に落ちていた。手にとってしげしげと観察する。
ていうかこれは――鍵?
385「誰が為に鐘は鳴る」其の四十七:2006/05/30(火) 23:42:42 ID:???
「なんで鍵が……?」
吹っ飛んだ磯辺のポケットからこぼれ落ちた、と見るのが妥当か。
その鍵にはプレートチェーンが付属しており、そのプレート表面には『屋上』と書かれていた。
屋上――?
この豚、なんで屋上の鍵なんか持っているんだ?
「……嫌な予感が、するっスねえ」
もしかしたら、と私は想像を膨らませる。
そこに何かが、否、誰かが居るのだろうか?
現在、何者かが屋上で何かとんでもないことを行っていたりして――。
もちろん杞憂に越したことはない。そのときは職員室に鍵を返して終わりだ。
だが、なぜか胸の奥がチリチリする。
この感覚は以前味わったことがある。あまり思い出したくないけれど――。
「はんッ……懐かしいっスよ」
と、笑ってみせる。
そう、この胸の奥のざわつきを以前感じたのは――「戦場」だ。それも最高級(ハイエンド)の、命懸けの修羅場で――。
「桃月学園に似合わない、相応しくない、この感覚。一体、何が待っているんスかねぇ」
軽い好奇心とかすかな不安から、私は屋上に行ってみることにした。
そこに、かつてない絶望が待ち受けているとも知らずに――。




――続くっス!
386:2006/05/30(火) 23:43:20 ID:???
――というわけで『うらぽに 第一話』其の二十九
前回同様、まず謝ります。ベッキー風に。
「ごめん。終われなかった」
次こそ必ず終わらせるから……次こそ。
ストーリーも遂に佳境に突入。今のところ、三度の投下で「起」「承」「転」を書けたと思います。次の投下で「結」を書いて終わりです。たぶん。
「やっと出番が……嬉しいっス♪」とベホイミ談。
387:2006/05/30(火) 23:46:00 ID:???
ごめん。>>386書いてる途中で書き込んじゃった。
>>386,一行目、「その二十九〜其の四十七でした。」と補完してください。

姫子「次回更新はたぶん金曜カナ?」
くるみ「全然わがんねー」
388マロン名無しさん:2006/05/31(水) 00:12:50 ID:???
ユカチカが……ショックだ
389マロン名無しさん:2006/05/31(水) 01:11:04 ID:???
ベホイミの蹴り…坂本ジュリエッタ並にエゲツナイ蹴りだな…
あと俺的には…

ベホイミ「お、お前は死んだはず!?」
磯部「うむ!良い蹴りだった!だが私の体を破壊出来ても、私の精神(ガイスト)までは破壊出来なかった様だな!」

…とかでベホイミが磯部の亡霊に憑かれて狂っていく展開があれば…あ、まだ磯部生きてるか…orz

と、とにかく!それは別として…この後の続きに期待してます!雫さんGJ!
390マロン名無しさん:2006/05/31(水) 14:50:59 ID:???
むぅ…エロス描写上手え!!おっきっきした
次回も楽しみッス

えっ次回はユカチカの回想ファックシーンが!?YATTAAAAAA
391マロン名無しさん:2006/05/31(水) 20:33:26 ID:???
南条さんも奴隷になってそう
392マロン名無しさん:2006/05/31(水) 21:03:16 ID:???
つか>>389の「坂本ジュリエッタ」って・・・?
393マロン名無しさん:2006/05/31(水) 21:04:05 ID:???
エアマスターのキャラだろw
394マロン名無しさん:2006/05/31(水) 21:21:23 ID:???
>>393
教えてくれてありがとう。気になったんでその後ググッて調べたらこんなヤツって分かったよ・・・
ttp://www.st.rim.or.jp/~r17953/impre/Comic/Air.html
確かにエゲツない蹴りを使う人だな・・・これじゃ磯部じゃなくても死ぬかもw(生きてるけど)

つーかさ・・・この話の磯辺がベッキーが小学校に行った時の女校長っぽい口調な事に気がついたんだけど・・・
395マロン名無しさん:2006/05/31(水) 22:23:27 ID:???
>>394
それはセリフだけでデヴを表現させるための手段だと思う。
396マロン名無しさん:2006/05/31(水) 23:13:16 ID:???
>>395
成る程ね・・・ちょっと残念だな。
これであの女校長と磯辺が実は親戚関係だったらオモシロ・・・クもないか

ま!とにかく続きが気になるな・・・やっぱユカチカが犯られるのか、それとも反撃の狼煙なるものが上がるのか。
397マロン名無しさん:2006/06/01(木) 10:15:37 ID:9wLydkG9
久しぶりに見たら面白いの来てるし。www
犬神のコールが坪った。
398渚 水帆(阪大アイドル):2006/06/01(木) 10:23:10 ID:VEfMsj4Z
3893.夢見る冷蔵庫 返信 引用

名前:渚 水帆 日付:6月1日(木) 9時36分

ダ・ヴィンチに連載されていた岩井志麻子さんの著書「出口のない楽園」
短篇集の中の渚 水帆がモデルでは?と騒動になった「夢見る冷蔵庫」の
ラストに冷蔵庫に閉じ込められた野辺の白百合をこと渚のマミーです♪

年はとってますけど、綺麗でしょ!!?

↓画像は下
http://jpdo.com/a/cgi21/236/joyful.cgi

少年マガジンちばてつや新人賞を獲った天田草太の従姉妹です♪
よろしくね♪♪

399:2006/06/02(金) 16:00:09 ID:???
今夜、「うらぽに 第一話」続き、投下できると思います。
それで一つだけ言っておくと、全然登場させる予定のなかったキャラが登場することになりました。
「名前しか出さないつもりだったのに……なんで?」と雫自身、ちょっと困惑しています。
まあとにかく読んで頂けたら、と思います。もうしばしお待ちください。
400マロン名無しさん:2006/06/02(金) 16:16:13 ID:???
「キャラが好き勝手に動き出す」ってやつですね。
wktkして待ってます
401マロン名無しさん:2006/06/03(土) 00:04:26 ID:???
こりゃあ…面白くなってきたw
402:2006/06/03(土) 02:16:39 ID:???
ごめん。
遅くなりましたが『うらぽに 第一話』投下します。
403「誰が為に鐘は鳴る」其の四十八:2006/06/03(土) 02:17:34 ID:???
              ◇
私はまだ屋上に居ました。
顔にぶっ掛けられた精液をそのままに、夕陽を眺めていたのです。
「あんな嫌なことがあっても、夕陽はきれいですね……」
陽が沈む――それはとても当たり前のことですが、私の目には、やけに眩しく映りました。
「んっ……こほっ、うぇ……げほぉっ…」
口内にはまだドロっとした感触が残っていて、呼吸をするのも辛いです。どうやら咽喉に精液が詰まっているようでした。
「げほっ……こほっ…」
ううっと呻きながら、周りを見渡します。――そういえば、ここ屋上なんだ。
私はゆっくりと立ち上がりました。
「うっ……」
身体が鈍い――あの男の精液が、私の中に満ちているからでしょうか。
強く吹く風に全身をなぶられながら、私は手すりまで歩み寄りました。
「………ん」
錆びた手すりを掴み、ぼんやりと地面を見下ろします。
「結構高い……ここから落ちたら、死んじゃいますね」
あはは、と自嘲したところで。
――ガチャ。
振り返ると、扉が開くところでした。
私はすぐに身体を強張らせます。
犬神が戻ってきたのでしょうか。

404「誰が為に鐘は鳴る」其の四十九:2006/06/03(土) 02:18:31 ID:???
              ◆
「あれ?」
扉は閉まっているものと思い、軽い気持ちでノブを回したら簡単に開いてしまった。
ゆっくりと、開かれたその先には――
一人の少女が居た。
手すりを掴み、こちらを向いているようだった。逆光で表情が見えづらい。
ていうか、この人――
「ろ、6号さんっ!?」
ゴスロリっぽいリボンのツインテールから、C組の鈴木さやかさんだとわかった。
「ベホイミさん…? ごほっ…まだ残っていたんですか」
驚いているのか、少し声が震えていた。
「……ちょっ、6号さん、何してるっスか?」
と、三歩近づいたところで、異変に気づいた。
「――!!」
瞬時に6号さんの元へ駆け出す。
「ふぇ?」
「そ、それ!? まさか…ッ!」
はっきりと見えた。
6号さんの顔にたくさん飛び散った白い液体。それは白い絵の具のようだったけれど、鼻のいい私は、その匂いを嗅ぎ取ることができた。
405「誰が為に鐘は鳴る」其の五十:2006/06/03(土) 02:19:06 ID:???
「なッ、何で…、誰が……」
「なんでもないです。本当に」
そこで顔を伏せる6号さん。ゴホっと妙な咳払いをしていることに気づき、私は無理矢理6号さんの顔をがしっと掴んで、まじまじと観察する。掴んだことで必然的に私の両手に白いものが付着するが、そんなことはどうでもいい。
「い、痛いですよ、こほっ…うぅ」
「その咳、6号さん…あなたまさか――口開けて!」
「え?」
「いいから早く!!」
「うっ……」
かぱぁ、と小さな口が開く。
そこには――
「!!」
予想通り――6号さんの口内は白く汚されていた。白濁色のそれが、6号さんの舌から咽喉まで至る所に点在していた。
「げほっ…もぉ、いいですか?」
辛そうだった。よく見ると、涙が溢れかけていた。
「本当に、なんでもないんです。だから――」
「何言ってるっスか!? これのどこがなんでもないんスか!!」
私の声は屋上に響き渡った。
406「誰が為に鐘は鳴る」其の五十一:2006/06/03(土) 02:19:42 ID:???
「……こほっ…」
「吐き出して! 早く!」
「けど、咽喉に、詰まって…うう……これ、飲み込むしかないと思います」
「そんな…」
唖然となる私。
「平気です。さっきもたくさん、飲み干しましたし…けど、苦いんですよね…はは」
「――っ」
「きゃ!?」
私は――6号さんを抱き締めた。
力強く。思いっきり。
「痛いですよ、ベホイミさんっ」
「馬鹿…馬鹿馬鹿大馬鹿っス!!」
私にもわからなかった。なぜ抱き締めたのか――ただ、ここで抱き締めないと、私は絶対後悔する。そう思ったのだ。
「…ううっ」
6号さんが泣き始めた。その涙は、私が強く抱いて痛いからじゃない。
「えっく…昨日も、姫子さんが、抱き締めてくれたんです…うっ、うぅ」
「大丈夫だから…」
私は抱き締めながら状況を推察する。――いや、するまでもないか。
放課後の屋上で、あろうことか、女の子の口内でゲスな液体を放出し、さらには顔にぶっ掛けた糞野郎がいる。
許せない。許せない。許せない。
407「誰が為に鐘は鳴る」其の五十ニ:2006/06/03(土) 02:20:28 ID:???
「……う、うう」
「誰が――こんなひどいことを?」
直截訊いてみた。
「そ、それは…こほっ……言えません」
6号さんは首を横に振った。口止めされているのか。
「言ってください。つーか警察に言うっスよ、こんなことされて」
「駄目ですッ! お願いします! 警察には言わないでください」
「な、どうして……」
「傷つきますから……言ったら皆が、傷つけられます」
「皆って……」
どうやら6号さんは誰かを庇っているらしい。その誰か(皆というから複数だろう)のために、こんな汚濁に塗れているのか。
ん? ていうか、もしかして――
「皆ってのは、C組の友達のことっスか?」
びくっと反応する6号さん。図星らしい。
「……言わないでください」
「――6号さん、相変わらずのよい子っスね」
静かにそう言った。
「そんなこと、ないです…私なんか」
「けど、よい子であると同時に大馬鹿っス」
遮るようにきっぱりと、私は宣言した。抱くのをやめ、6号さんの両肩を掴む。
408「誰が為に鐘は鳴る」其の五十三:2006/06/03(土) 02:21:08 ID:???
「ベホイミさん?」
「どうして――」
下唇を噛む。血が吹き出るくらいに。
「あ…」
「どうして、相談しなかったっスか!? 6号さんにはたくさん、素敵な仲間が居るじゃないっスか!!」
「――っ!」
「あんな、素敵な友達や先生が……」
以前、私はC組の面々と宮本先生が夕陽に向かって走っていくところを後ろから見ていた。そのシーンが脳裏を過ぎった。
「もし6号さんが……あなたが傷つけられて、泣かされて、汚されて……それで皆が助かると思ってるなら大間違いっスよ!!」
自然と、私の目から涙がこぼれた。
「6号さんはC組の皆さんを想って、黙秘しているのかもしれないけれど、それはC組の皆さんを余計に悲しませて、傷つけるだけだって…どうしてわからないんスかッ!!?」
ほとんど、絶叫していた。
とめどなく流れる涙を無視して、続ける。
「皆さんを傷つけないために自分を傷つけてもいい――なんて、そんなの、自己満足に過ぎないっス!! 仲間なら…友達なら、その嫌なことを相談したりして、一緒に解決すべきなんスよ!! それが、本当の仲間ってもんでしょうッ!!?」
「……っ」
409「誰が為に鐘は鳴る」其の五十四:2006/06/03(土) 02:21:44 ID:???
「だから……大馬鹿って言ったんス」
「――うっ…ううぇええん」
6号さんは泣き出してしまった。私はハンカチで顔全体に飛び散った白いモノを無理やり拭い、そして、最後に涙を優しく拭った。
「……ごめんなさい。ちょっと言い過ぎたっスね」
「…ベホイミさんの言う通りですね…私、大馬鹿です」
「6号さん……あなたは確かに大馬鹿だけど、最高に友達想いの、よい子っスよ。よい子オブジイヤーっス……あれ? はは」
そこで一区切り。
ゆっくりと、言う。
「正直なところ、あなたにこれだけ大切に想われてるC組の皆さんが、とてもうらやましいっスから」
その言葉をきっかけにして、再び6号さんは号泣する。
つられて私も、鼻水に構わず思いっきり泣きじゃくる。
屋上で泣く二人。
泣く理由なんか、あるようでないようなものかもしれない――と思った。
ただ泣くという行為を永遠に続けるように、私と6号さんは泣いた。泣き続けた。
すでに夕陽は沈み、歪に欠けた月がゆっくりと昇ってきていた。

410「誰が為に鐘は鳴る」其の五十五:2006/06/03(土) 02:28:19 ID:???
                ■
自宅にて――。
買い物から帰ってきて、俺はソファでくつろいでいた。
「おにーちゃん」
雅が顔を覗きこんできた。俺はいつものように雅を抱きかかえる。ソファの上で、雅が俺に重なるよう、横になった。
「んん。ちょっと重くなったかな」
「そ、そんなこと……」
「嘘だよ」
と言って雅の頭を撫でてやる。
「んっ……おにーちゃん、やだ…くすぐったいよぉ…」
まんざらでもないくせに。
俺は撫でる手をストップさせた。
「え?」
「くすぐったいんだろ?」
「おにーちゃんのいじわる…」
ぷーっと顔を膨らませる妹をよそに、今日のことを振り返る。
6号の奉仕、なかなかだったな。明日は本番行くか……ん? そういえば今日、奴隷ナンバー1、ナンバー2が休んだな。風邪とか言っていたが、仮病かもしれない。登校拒否か――。

411「誰が為に鐘は鳴る」其の五十六:2006/06/03(土) 02:29:42 ID:???
思考を巡らせていると、雅がもの欲しそうな目で見ていることに気づいた。
「おにーちゃん……もっと撫でて」
雅は小首を傾げた。
「ん。ああ」
「んッ……」
「気持ちいいか?」
「う…あぅ……おにーちゃんの手、あったかいよ…」
「じゃあこういうのは?」
雅の額を寄せて、ちゅっと口づけた。
「ケロっ!?」
「はは。雅はすぐ真っ赤になるなあ」
「おっおおお、おにーちゃんっ!?」
「そんなに照れるなよ。あ、駄目だった?」
「そ、それは……その…」
俯く雅に向かって、そっと囁いてやる。
「かわいい」
「も、もうっ! おにーちゃんったら、もう…」
顔を真っ赤にして、腕をぶんぶんと振る妹を見ながら、ぼんやりと思う。
初潮をまだ迎えていないとはいえ――そろそろ、キスだけじゃさすがに我慢できないな。
412「誰が為に鐘は鳴る」其の五十七:2006/06/03(土) 02:30:21 ID:???
「ぁ…んんっ、おにーちゃん……ほっぺた好きなの?」
「好きだよ」
俺は黒い気持ちを抑えながら、雅のほっぺたを撫でたり、少しつまんだりして弄んでいた。
顎の辺りをくすぐるだけで、雅は猫のように鳴いた。
「やッ……あぅ…」
「雅は感じやすいなあ」
「んっ………おにーちゃん…好き」
「え?」
声が小さくて、よく聞き取れなかった。
雅は上目遣いに俺を見ながら訊いてきた。
「おにーちゃんは私のこと…好き?」
「愚問だな。大好きに決まっているだろう? それとも雅には兄の愛が伝わっていなかったかな?」
「ふぁあ…そんなことないよっ! うん…おにーちゃんが私のこと、一番好きだって、知ってるもん…」
「それならよかった」
と言って、抱擁する。
「んッ…おに…いちゃ……」
「雅…」
「ケ、ロ……おにーちゃんの、匂いがする……」
どんな匂いだよ、とは突っ込まない。雅が胸の中でぎゅっとしがみついてきた。
両親は今日帰ってこない。だから二人っきり――。さて、どうするか。
413「誰が為に鐘は鳴る」其の五十八:2006/06/03(土) 02:30:59 ID:???
              ◆
散々泣いた後、私は6号さんの口の中を洗い流すために水場に連れて行った。
「うがいして、ある程度は吐き出せるはずっス」
「はい」
十五回ほど、うがいをさせて口内を確認する。
「ん、大丈夫。きれいになってるっスよ」
「よかった…」
そして、適当に空いている教室に入り、席に腰掛けた。
「――それじゃ、全てを話してもらうっスよ。6号さん」
私は6号さんの目を見据えて言った。
「……はい。でも」
「大丈夫、私が何とかするっスから」
「ベホイミさん……」
心配そうな6号さんの表情。
私は笑い飛ばすように言った。
「6号さんを虐めた奴は私が成敗するっスから! 安心してほしいっス!」
「……」
私の覚悟を見て取ったのか、6号さんはゆっくりと話し始めた。
「始まりは昨日――」
414「誰が為に鐘は鳴る」其の五十九:2006/06/03(土) 02:31:52 ID:???


――それから。
6号さんを辱めた相手、その経緯を全て残さず聞いた。
聞いている途中、拳を強く握り締めたせいか皮が破れて血が出たが、それどころではない。
「――で、ベホイミさんが屋上に上がってきたんです。とまあ、こんな感じなんですけど…」
と、6号さんが話し終わるや否や、私はD組の教室へと疾走する。
「あの野郎ッッ!」
――ダンっ。
D組の教室に勢いよく駆け入る。もちろん糞野郎・犬神の姿はない。いくら血が昇っているとはいえ、それくらいは理解している。
私がこの教室に来た理由。それは――
「いたッ!!」
窓際に、ぴくぴくと痙攣しながら横たわる男子が一人――磯辺だった。あれからずっと痙攣していたのか……なんていうか、呆れた奴だ。
415「誰が為に鐘は鳴る」其の六十:2006/06/03(土) 02:32:44 ID:???
「おい磯辺ッ!!――あ?」
見ると顔面が血だらけで、鼻が潰れていた。ここまでひどくやったかな? まあいい。
「意識はないか……」
仕方ないな、と私は磯辺の懐を探る。
「――あった」
目当てのものはすぐに見つかった。
手に納まるほどのそれ――携帯電話だ。
「ちっ。豚のくせに最新機種っスか。気取ってるんじゃねェ!」
と言って、磯辺の腹に思いっきり踵をブチ込む。
「ぐぅェええっっ!!」
「黙れ!」
オモチャのように身体を跳ねらせる磯辺を一喝し、私はD組の教室を後にする。
――と、その前に。
振り向いて、一言。
「磯辺。目が覚めたら、お前の血で汚れた教室をちゃんと掃除しとけよ」
びくびく身体を痙攣させているのをイエスと取った。
私は廊下を歩きながら、磯辺の携帯電話から糞野郎・犬神の番号とメアドを引き出す。
「犬神つるぎ……今日がお前の命日っスよ」
416「誰が為に鐘は鳴る」其の六十一:2006/06/03(土) 02:33:31 ID:???
              ■
――さまざまな妄想に耽りながら、三十分近く雅と抱き合っていた。
「ふむ。雅、一つ頼まれてくれるか?」
「ん、なあに?」
「アイス、取ってきて欲しいんだ。さっき買い物したとき買っただろう?」
「オレンジの…?」
「そう」
「わかった。持ってくる」
たたた、と冷蔵庫に駆ける妹。やれやれ。俺も周りくどいやり方が好きだな。
身体を起こし、ソファに座り直す。
「はい。これ…」
「ありがとう」
雅からアイスを受け取る。円筒状の、オレンジ味のアイス。
「持ってきてくれたご褒美、あげないとな」
「え? おにーちゃん、何かくれるの…?」
顔を輝かせる雅。かわいいヤツめ。
「ここ、座っていいよ」
ぽん、と膝の上を叩く。
すると、雅はわーい♪と乗ってきた。
417「誰が為に鐘は鳴る」其の六十ニ:2006/06/03(土) 02:34:35 ID:???
「雅……向きが逆じゃないのか?」
「え?」
俺はアイスを舐めながら言った。
「これじゃ雅の顔が見られないだろう? 私と向かい合うように座りなさい」
「…ケ…ロ。おにーちゃん、今日いつもより優しいケロ…」
「何で顔赤くしてるんだよ。ただのスキンシップだろう? 兄と妹の」
「う、うん……」
雅はゆっくりと向きを変えた。
「さて。れろっ……雅」
「ん?」
「アイスをあげよう」
俺は舐めかけのアイスを雅に突き出す。
「…これ」
きょとんとする雅。
「おにーちゃんの舐めかけ、嫌か?」
「うっ、ううん。嫌じゃないよ全然……くれるの?」
「ほら」
俺はスティックアイスを雅の口に突っ込んだ。
「ふぁっ、冷た…ちゅる……でもおいひい」
「よかった」
「おにーちゃんの、味がするもん…ちゅぽっ」
雅は真っ赤な舌をちょろっと出して、アイスをペロペロと舐め始めた。
418「誰が為に鐘は鳴る」其の六十三:2006/06/03(土) 02:35:51 ID:???
「ちゅぷ……ぺろっ……はむっ…んんっ」
舐めることが楽しいのか、雅は頬を赤らめてアイスをしゃぶる。
「れろ…ちゅぽちゅぽ……んっ、ちゅぱっ……おにーちゃん?」
「ん?」
「ちゅるっ…全部、舐めていいの? ん……」
「いいよ。雅の顔を見られるだけで満足だからな」
――いや、マジで。
「ぺろ……くちゅっ…ぁんっ………ちゅる」
この無防備な妹に今すぐ俺の相棒を舐めてもらいたい欲求に駆られる。いや、駄目だ。初潮を迎えてから、って決めただろう。今はアイスで我慢するんだ! つるぎ!
「おにーちゃん? ちゅぽっ……はむ…んくっ……おいひ♪」
――と。
そこで、俺の携帯電話が鳴った。
「おにーちゃん…?」
「ちょっと、ごめんな…」
雅を下ろし、携帯電話のディスプレイを確認する。
「なんだ。磯辺か…」
豚からのメール。
どうせたいした用じゃないだろう。折角、雅とイチャついてたってのに。明日5発ぶん殴ってやる。
――と、軽い気持ちで本文に目を通した。
「――っ!?」
その内容は信じられないものだった。
419「誰が為に鐘は鳴る」其の六十四:2006/06/03(土) 02:37:25 ID:???

『今すぐ学校の屋上に来い。一時間以内。さもないと全部バラす。』

それだけしか書いていないメール。
磯辺が反逆したのか? 否、あの豚の弱みは完全に握っている。奴が俺に刃向かうとは考えられない。
では、このメールは何だ?
「まさか――」
ある可能性に思い至る。
これは――磯辺が送ったものじゃないのか?
磯辺の携帯電話を使って、俺を呼び出そうとする誰か――。
しかし、その誰かが思い浮かばない。
――本当なら、こんなメールは無視して構わない。ただ『全部バラす』という一文が気になった。
俺のことを知っている?
「おにーちゃん? どうしたの?」
はっとして目を戻すと、雅が棒を咥えて不安そうな顔をしていた。
「ん……雅。用事ができたんで、これからちょっと行って来るよ。一人でお留守番できるか?」
「う、うん……すぐ帰ってくるよね?」
「もちろんだ」
俺はそう言って、立ち上がった。

420「誰が為に鐘は鳴る」其の六十五:2006/06/03(土) 02:40:52 ID:???
              ◆
犬神を呼び出すメールを送ったので、6号さんがいる教室に戻ることにする。
「――の前に」
携帯電話のデータフォルダを開く。
「うっわ。画像ばっかり…中身は、と……」
ちょっとした好奇心だった。だが、すぐに磯辺の携帯を操作する指が止まる。
――体操着。胸のアップ写真だった。『ベホ』というネーム…って、え?
「つーかこれ、私の体操着写真じゃないっスか!? な、あの豚、いつの間にっ!?」
私は携帯を地面に叩きつけた。
「はぁ、はぁ…。――あ。まだ使うかもしれないっスね」
急いで拾い、故障の有無を確認する。
「よし…」
さすが最新機種。少し表面に傷がついただけで壊れていなかった。

421「誰が為に鐘は鳴る」其の六十六:2006/06/03(土) 02:42:57 ID:???
「あの、ベホイミさん…」
6号さんが教室の扉から不安そうな顔を出していた。
「あ。見てたっスか?」
「はい…あの、何かあったんですか?」
「や、何でもないっス。――ああ、そうだ。6号さんはここに居てほしいっス。帰ってもいいけど、アイツと鉢合わせになるかもしれないから…ここが安全だと思うっス」
「はあ…?」
よくわからない、といった表情。まあ、これから起こることを教える必要はない。
終わってから結果だけ伝えればいいだろう。
もちろん、その内容は決まっている。

『もう犬神は6号さんに手を出さないって約束したっスよ』

それだけで十分。
私はただ、その台詞を格好よく言うために努力するだけだ。
「さて、と」
「どこに行くんですか?」
「鬼退治っス」
勝って帰るっスから、と言って私は再び屋上へと足を向けた。


――続く! 次回更新で終了(予定)。
422マロン名無しさん:2006/06/03(土) 02:47:25 ID:???
ベホ   かっこええー
423:2006/06/03(土) 02:47:29 ID:???
というわけで『うらぽに 第一話』其の四十八〜其の六十六でした。
恒例となりましたが、ごめんなさい。終われなかった。
雅が出てきたことが敗因か…。
次こそ決着です。

補足。雅が犬神くんを呼ぶときの表記について。
原作の7巻では『お兄ちゃん』ですが、8巻では『おにーちゃん』となっていました。
7巻の方は犬神くんに対してではなく南条さんとの会話でそう言っており、8巻では犬神くんに対して『おにーちゃん』と呼んでいたので、こちらを採用しました。
や、それだけなんですけど。気になる人、いるかなと思って。
これ書く前に何遍も読み返してみて、結構そういうのあったんで。

ベホ「ついに次回、第一話ラストパート! がんばるっス!」
次回更新は日曜です。
424??????:2006/06/03(土) 02:59:01 ID:???
なんか盛り上がってきましたな。
ガンバレ。期待してますヨ。
425マロン名無しさん:2006/06/03(土) 22:33:13 ID:???
くそぉぉぉぉぉ!!次回が気になって夜も寝られねぇよ!!
426マロン名無しさん:2006/06/03(土) 23:10:13 ID:???
…このままベホイミが犬神に勝って、ついでにユカチカも開放されて、在り来たりなハッピーエンドのか…
それとも………
オオオォォオォオオォ!!!俺も気になって眠れなくいッ!
このままだとエンドルフィンが爆発しそうだッッッ!!!
427マロン名無しさん:2006/06/03(土) 23:38:08 ID:???
やべぇよ・・・久々にかなりの作品だよ・・・。
雫さん、めちゃくちゃ期待して待ってます!!
ぐふぅ、眠れない・・・羊が一匹、羊が二匹・・・。
428マロン名無しさん:2006/06/04(日) 20:01:26 ID:???
更新まだカナ〜?楽しみですっ!

雫さん、頑張ってください!!
429:2006/06/04(日) 21:52:22 ID:???
お待たせしてごめんなさい。
今さっき帰ってきました。今日の深夜、投下できると思います。たぶん2時くらい?
だから待たないで寝てください。お願いします。
明日、暇なときに読んで頂けたら、と。

あともう一つだけ。
読んでくれている皆様、ありがとうございます。
感想とか…すごく嬉しいです。
そんなわけで――今日は無理せず寝てください。
ではでは、追い込み入ります。
430マロン名無しさん:2006/06/05(月) 02:05:46 ID:???
あ〜待ちきれない
431:2006/06/05(月) 02:10:24 ID:???
>>430
や、そんな待たなくていいですってば。

もうそろそろ投下するんで。
今、区切り入れてます。
432:2006/06/05(月) 02:21:41 ID:???
ごめんなさい。まさかまだ>>430さんみたく起きている人がいるとは思いませんでした。
じゃ、投下します。
433「誰が為に鐘は鳴る」其の六十七:2006/06/05(月) 02:22:37 ID:???
              ◆
さきほど見た歪な月は雲に隠れていた。
「つーか、月明かりないと結構暗いっスねえ。星も見えないし…」
――なんて、呑気に夜空を見上げている場合じゃない。
屋上にたった一人、私は立って犬神を待っていた。
メールを送信した後――というか今さっき屋上への階段を上がっている途中、犬神から返信があった。

『すぐ行く』

短いメールだった。呼び出しメールの送り主が磯辺でないことに、奴なら気づいているはず。
言ってみればこれは私が仕掛けた罠だ。
「………ん」
――罠だとわかっていて、来る?
少し、解せない。いくら『全部バラす』と私が脅したとはいえ、そうホイホイと来るものだろうか…。
判然としないけれど、まあいい。臆病風に吹かれて来ない方が困る。
今日、この場所で決着をつける。必ず――。

434「誰が為に鐘は鳴る」其の六十八:2006/06/05(月) 02:23:19 ID:???
深呼吸を二回。
風でめくれるスカートを手で抑える。
魔法少女のコスチュームに着替えてもよかったが……なんか、気が乗らなかった。かといってバケツマンは恥ずかしいし…。
そもそもメディアいないしね、と小さく呟く。
「………あいつ、何してるんだろ?」
あいつの笑顔が無性に見たくなった。ふんわりした柔らかい笑顔を。
その理由はわからないけど、とにかく見たいと思った。
「おっと…」
――思考を戻す。
失敗は許されない。絶対にここで終わらせるんだ。
「……ん。何か見落としているような……?」
何だろう? 違和感というか、この落ち着かない気持ちは一体――。
今朝から――何か忘れているような、そんな感覚。
犬神の実態を知ったのはさっきだから、この妙な違和感は犬神に関係することじゃない?
でも、何かが引っかかる。何だっけ……?
「――って、今は全力で犬神を屈服させることだけを考えよう」
屋上に、強い風が吹いた。

435「誰が為に鐘は鳴る」其の六十九:2006/06/05(月) 02:24:01 ID:???
               ◎
――その頃。
「もしもし……あ、由香ちゃん?」
「うん。私」
「まだ十時になってないよ。どうしたの?」
「いや、ごめん。緊急を要するっていうか、ちょっと困ったことになったの…」
「困ったこと?」
「うん……親が一時間くらい前に帰ってきてさ、それで電話線抜いてたことがバレて怒られたってのはあるんだけど、問題はそのあと――」
「………?」
「先生から電話あったの」
「ジジイ先生?」
「そ。ボケ老人から。…なんか今日のHRで伝え忘れたとか言って、今すぐ連絡網を回して欲しいって……そんなの私、学校休んでたから知るかっての」
「連絡網……」
「うん。私たち学級委員だし、それに北嶋と佐藤なら私が連絡網の先頭でしょ」
「あ、うん。てか今まで一度も回したことないからわかんないけど……」
「そりゃそうよ。私も先生から電話あって、初めて連絡網のプリント引っ張り出したんだもん」
「…で、連絡網がどうしたの?」
「回す順番のことよ。まず学級委員の私からあんたに、その後は名簿順に回すの。――言いたいこと、わかる?」
「えっと……?」
「あんたの次が磯辺だってこと」
「っ!!」
436「誰が為に鐘は鳴る」其の七十:2006/06/05(月) 02:25:06 ID:???
「……あのデブ、犬神の手下でしょ。だから今から電話したら何か言われたり、犬神に何か言うんじゃないかって…心配で…」
「どーしよ……由香ちゃん」
「困ったね…うーん」
「――あ、ねえ! 飛ばすってのは? 磯辺の次の人に回せばいいんじゃ」
「磯辺の次は犬神よ」
「あうっ……」
「それならまだ磯辺に連絡した方がマシか……どう思う?」
「うーん、そうだね…ていうか連絡回すの私だし……やっぱ磯辺かな」
「私が回してもいいけど?」
「いいよ由香ちゃん、私が電話するよ。順番なんだし。磯辺に用件だけ言ってすぐ切るから……」

――というわけで私、佐藤千夏は磯辺に連絡することになった。
でも。
すぐにイレギュラーな事態が発生した。
磯辺家に電話したところ、磯辺の両親が電話に出て、息子がまだ帰って来ないと言うのだ。
困惑する私をよそに、「息子の居場所を教えろ」とか「お前がウチのかわいい息子をたぶらかしたのかっ」などと、一方的にまくし立てられてしまった。
大いなる誤解だ。というか誤解を通り越して不愉快だ。
それで、通話を一方的に切ってしまったのだが……。
受話器を置いて考える。
あのデブが帰って来ていない? 
「これってどういうことなんだろう? 由香ちゃんに電話して相談してみるか」

437「誰が為に鐘は鳴る」其の七十一:2006/06/05(月) 02:26:08 ID:???

「――ふーむ。それはおかしいわね。もうとっくに八時は回ってるのに…」
「だよね? 磯辺って、すぐ家に帰るイメージがあるけど…何かあったのかな。親、すごく心配してたよ」
「ん…まあ磯辺の行方はともかく、これってさらにヤバイ問題が浮上したことにならない?」
「……は?」
「連絡網。磯辺が無理なら、次は犬神に掛けなきゃいけない」
「あ」
「うーん……誰かD組の人に犬神へ電話してもらうってのもアリだけど、それだと私たちが犬神を避けたことになるし……もし知られたら報復が怖い」
「わ、私もう…あんなことされるのヤだよっ」
「私だってそうよ! あの鬼畜、考えること本当に危ないんだから………」
「………」
「………」
「――由香ちゃん。やっぱ私が電話するよ」
「え?」
「大丈夫。何か言われても平気。今日私たち休んだ理由訊かれたら風邪ってことにしておくから…」
「……でも」
「ううん。私、由香ちゃんに迷惑掛けてばっかだし……あのカンニングだって、言い出したのは私の方。ちょっとしたスリル欲しさに……ごめんね?」
「何で謝るのよ! …私たち、共犯じゃない。ていうか友達でしょ? 一緒に泥被るくらい、わけないよ……」
「ありがとう。由香ちゃん。私、がんばるね」
「あ、ちょっと……っ」
438「誰が為に鐘は鳴る」其の七十二:2006/06/05(月) 02:27:18 ID:???
由香ちゃんには悪いけど、そこで電話を切って一呼吸。
「もうこれ以上、由香ちゃんを苦しめたくないし、私だって苦しみたくない……」
私は犬神家の電話番号を押し始めた。
奴の携帯番号は知っているが、あえて家の番号をプッシュする。なぜなら家に直接電話した方が、奴以外の人間が受け取ってくれるかもしれないという可能性が生まれるのだ。
奴の親、あるいは以前一日だけD組の授業を受けに来た雅ちゃんとか――。
「雅ちゃんか…」
プルルルル、という呼び出し音を聞きながら私は思い返す。
犬神の妹、雅ちゃんは素直でとてもかわいい子だった。恥ずかしがり屋さんの小学生で初々しく思った。雅ちゃんはすぐにクラスの皆と溶け込んで、楽しそうだった。
そのときはまだ私も由香ちゃんも犬神の奴隷ではなかったから、素敵な兄妹だな、なんて思ってたのに。
――と。
繋がった。
一気に緊張が走る。あの鬼畜が通話に出るかもしれないと、私は頬を強張らせながら言った。
「もしもしっ、私、桃月学園の…1年D組の佐藤と言って……えと…その…」
言葉が続かない。あまりの緊張から全然出てこない。
「あ、あの……兄に用ですか?」
「え?」
この声は――。
439「誰が為に鐘は鳴る」其の七十三:2006/06/05(月) 02:28:37 ID:???
「…雅ちゃん?」
「そうですけど…」
「………ほっ」
相手が雅ちゃんとわかり、私の緊張が解けていく。
「……あの…?」
少し怯えているような声だった。私は極力優しく、穏やかに話しかける。
「私、犬神くんと同じクラスの佐藤って言うの。学級委員やってるんだけど…忘れちゃったかな。はは、キャラ濃いもんね。ウチのクラスの連中……」
「いえ…佐藤千夏さんですよね。覚えてます……」
「よかった……えっと話戻すけど、犬神くんは?」
「さっき、出て行っちゃいました。呼び出されたとか…でもすぐ戻るって…」
犬神の不在に安堵した私は、ちょっと気になっていたことを訊いてみた。
「なんで、そんなに声震えてるの?」
「…あ……今日、親いないから……今一人で…」
――そのとき。
私の脳裏にあるシナリオが浮かぶ。
440「誰が為に鐘は鳴る」其の七十四:2006/06/05(月) 02:29:28 ID:???
形勢逆転、そして一発逆転の、あるシナリオが――。
天啓と言っていいかもしれない。これは正に、神が私に与えた最高のチャンス――。
「………っ」
でもこれは――マズいような気もする。もし行動に移したら、後戻りはできない。
心臓が高鳴る。鼓動が早まる。
一回通話を切って、この閃きを由香ちゃんに相談するか……否、その間に犬神が帰宅したらどうする?
ドクン。ドクン。
やけに鼓動が耳に響く。

――ねえ千夏……今しかないんじゃないの?
――こんなチャンス、二度と来ないかもしれないよ?
――折角思いついたんでしょう?
――明日からまた奴隷生活が始まるんだよ?

それは刹那の逡巡だった。
結論は最初から出ている。
そして。
ごくっと唾を飲み込んで、私はそれを口にした。
「えっとね、雅ちゃん。犬神くんは……」

441「誰が為に鐘は鳴る」其の七十五:2006/06/05(月) 02:30:59 ID:???
              ■
夜道を歩きながら、俺は呼び出した相手とその目的を推察していた。
思い当たるのは肉奴隷の誰か。あるいは磯辺か――否、磯辺本人説は捨てきれないが、それは低いように思える。
となると、やはり肉奴隷の学級委員二人か6号――。
裏切りが何を意味するのか、わからないほど阿呆ではあるまい。
「ふうっ」
まだ決め付けるのは早い。磯辺でも肉奴隷三人でもない、新手かもしれないからな。
「ま、完璧に罠だろうな……」
そうと知りながら……罠だと理解しながら行くのは勇敢ではなく、むしろ蛮勇だ。
単なる好奇心。
結局、学校の屋上に向かうのは、俺に真っ向から刃向かう阿呆の顔を見たいという欲求を満たすためだ。
校門をくぐり、下駄箱に向かう。
「っと、ドア開いてるのか。ふむ。面白い。ちゃんとお膳立てしてくれているみたいだな」
俺は上履きに履き替え、屋上へと――。

442「誰が為に鐘は鳴る」其の七十六:2006/06/05(月) 02:32:25 ID:???
                ◆
「そろそろかな…」
未だ隠れている月を探すでもなく空を見上げていた。
黒い雲が月と星を覆っていて、全くと言っていいほど光のない夜空。
「光か……私にとって光は何だったのかな」
ぼんやりと口にする。
今回の事件の発端――6号さん。
彼女にとっての光はC組の皆だった。その光を穢されないように、自らを暗黒に捧げた。
けれど、6号さん本人もC組の皆さんにとっての光なのだから、私が今回助けるまでもなく、遅かれ早かれC組の彼女たちで6号さんを助けた気がする。
光と光は照らし合うものだ。片方が少し遠い場所に行けば、もう片方はきっと心配するだろうから――。
ん?……ならば私が今からすることは何だろう? お節介? いや、違う。
これは私が私であるためにやらなければならないことなんだ。
そう、私が私であり続けるために――。
だからC組の皆さんには悪いけれど、早い者勝ち。6号さんは私が救う。救ってみせる。
私は「うん」と頷いた。
「だって、それが――」

ガチャリ。



443「誰が為に鐘は鳴る」其の七十七:2006/06/05(月) 02:33:35 ID:???
屋上の扉がゆっくりと開く。
現れたのは、クールな優等生、犬神つるぎだった。
「……誰だ?」
ずっと暗いところにいた私は夜目が冴えている。奴の方は、街灯や携帯電話の光を頼りにここまでやって来たのだろう。ゆえに、こちらを視認できていないようだ。
私は一歩踏み出して、今さっき言いかけた言葉を犬神に向かって口にする。


「正義の味方じゃねぇの?」


言い切った私の目に嘘はない。
そう、私は正義の味方になるんだ。そのために――この男を屈服させる!
「ハア? その声……お前…」
犬神は手にしていた携帯電話のライトを私に向けた。眩しいが眼は逸らさない。逸らしてたまるものか。
「ベホイミ……か?」
少し驚いた表情の犬神。
「そっス。こんばんわっスね。犬神つるぎ」
「何でお前が…?」
「自分の胸に聞いてみろよ。ゲス野郎」
私の敵意たっぷりの言葉に、犬神は眉間にしわを寄せて舌打ちをした。
「チッ。馬鹿女が。調子に乗ってんじゃねえよ」
「おお〜。普段と全然話し方違うっスね。それが本性っスか。予想以上だ。糞野郎」
感嘆するように、私は皮肉を言ってのける。
444「誰が為に鐘は鳴る」其の七十八:2006/06/05(月) 02:34:52 ID:???
「……用件は何だよ」
ふてくされながら、犬神は訊いてきた。
「6号さんに謝れ。そして二度と彼女に近づくな」
きっぱりと言う。
「ああ!? 何言ってるんだお前!?」
「全部知っているっスよ。クズ野郎。私はお前にもう二度と6号さんを辱めさせないために、ここに呼び出したんだ」
「……ああ。そうかい。くだらねェ」
犬神は携帯電話を仕舞った。ライトはいらないということか。そして首を鳴らしながら三歩、私に歩み寄る。
「今なら6号さんの前で泣いて土下座して謝るだけで許してやるっスよ?」
「冗談言うな。あいつから俺んとこ来たんだぜ? 俺の奴隷になるってよォ! ひゃはははははは」
「黙れ。お前の下卑た笑いは耳障りだ。チキン野郎。自分より小さな者にしか手を出せない、臆病チキンが吠えるな。不愉快っスから」
静かに私は言う。
――大丈夫。私は落ち着いている。
ふうっと息を吐き出す。
いつの間にか、私と犬神は2メートルという距離にまで近づいていた。犬神が近づいただけじゃない。私も無意識ながら、歩みを進めていただけのことだ。
445「誰が為に鐘は鳴る」其の七十九:2006/06/05(月) 02:36:53 ID:???
「ふーん。言ってくれるじゃねえか。馬鹿女」
「語彙の乏しい奴。そのワード、二度目っスよ? やはり、なんちゃって優等生じゃメッキが剥がれやすいっスねエ。はは」
「うるッせーぞ糞女!!」
激昂。この程度でキレるとは――犬神つるぎ、小者臭が漂い始めてきたな。
私は犬神の眼光に構わず、フフンとせせら笑ってやった。
「何笑ってんだよ!? 決めた!! お前もここでかわいがってやる。泣いて謝るくらいによォッ!?」
一方的にテンションを上げて囀る馬鹿。
――もうそろそろいいか。
「何スカしてんだよッ! 犯すぞコラッ!!」
「やれるものならね。…というか、もういいっス」
「ああッ!? 何言ってんだよッ!」
「お前に言葉はいらないっスね」
と言って、
思いっきり、
私は右ストレートを犬神の顔面に――叩き込んだッ!!

「ぷぉオッッ!!?」


446「誰が為に鐘は鳴る」其の八十:2006/06/05(月) 02:38:38 ID:???
犬神の眼鏡に構わず全力で殴ったので、私の拳に眼鏡の破片が刺さってしまったが、どうでもいい。この程度、6号さんが受けた苦しみに比べたら――。
私は拳から吹き出る血をそのままに、犬神に目をやった。
「……わあ」
思わず声を上げてしまった。
円を描くように犬神は吹っ飛び、頭から墜落した。
「――ぐエッ!! ぁああアアアッ!」
ビクンビクン、と二回身体を仰け反らせて、犬神は悶えた。
私はそんな犬神を冷めた目で見下ろす。
「うわ〜。弱いっスねえ…中学まで何か習ってたとか言ってなかったっけ? 剣道? …実はピアノでした、ていうオチは勘弁っスよ。あははは」
いくら武術や武道を学んでいようと、所詮それはお遊戯に過ぎない。
こちとら戦場の経験を持っている生粋の戦士なのだから、姑息なホモ野郎に負けるわけがない。
「おっと……ホモじゃなかったか。てへ♪」
「ぐぅ……はあッ、はぁッ……」
ゆっくりと身体を起こし始めた犬神つるぎ。鼻から血をボタボタと流している。
「はぁ、はぁ…てめえ、いきなり殴りやゴポッ!!?」
最後まで聞かずに、私は犬神の顎を割るように容赦なく蹴り上げた。
形容しがたい、鈍い音がした。
もう一度空に舞う犬神を見ながら、意地悪く言ってやる。
「あ、ごめーん。話している途中だった? 舌噛んじゃったっスか?」
447「誰が為に鐘は鳴る」其の八十一:2006/06/05(月) 02:40:47 ID:???
ドッ……。
犬神は地面に倒れて、大の字になった。
ふん、口ほどにもない。
つーかこれほど弱いとは思わなかった。呆気なさすぎる。
ちょっと私が本気を出したとはいえ、所詮雑魚は雑魚だ。
無抵抗のかわいい女の子をいじめるくらいしか能のないクズだ。
「でも……」
一つだけ褒めておこうか――呼び出しを受けてここまでやって来たことに対して。
こんなに弱いのによくここまでやって来たな、と私は素直に感心していた。
いや、犬神にとって私のような存在は最初から想定外だった、ということかな。自画自賛っぽいが、そう解釈しておこう。
「さーてと…」
屋上に静寂が戻る。
私はゆっくりと犬神に近づいた。
「犬神。生きてる?」
「ヒューっ……ヒュゥー…ごほっ…うう」
犬神は不規則に呼吸を繰り返すだけだった。
私はやれやれと言って、犬神の無防備な腹に踵をブチ込んだ。
「――づあぁッ!!?」
ふむ。磯辺と同じような反応をするんだなあ、とどうでもいい感想を抱きながら、私は犬神の頭に手を伸ばした。
448「誰が為に鐘は鳴る」其の八十二:2006/06/05(月) 02:41:48 ID:???
「うッ……いててててッ!? ギャアァァッ!!」
前髪を掴んで無理やり引っ張り上げてやった。そりゃ痛いに決まっている。が、私は気にせず顔を近づけた。
「さて…これからあと最低百回は殴ったり蹴ったりしようかなって思うんスけど?」
悪意に満ちた笑顔を向ける。
途端、犬神は顔を硬直させたかと思うと、すぐに悲鳴を上げ始めた。
「――ひ、ひィィイイイッ!! ゆ、許してくださいッお願いしますお願い」
「うるさいっス」
「……ッ!」
ぴしゃり、と言い放つ。
犬神は目をパチパチさせながら、口を閉じた。その顔は血みどろで……ていうか磯辺と似たようなものだった。あいつ、まだ教室で痙攣しているのかな…。
――ん? もしかして私、今日だけで二人の男子の顔を潰したってこと? なんか複雑な気分だな…。
ま、いいや。
「ねえ犬神」
「ッ!」
犬神はガタガタと震えている。
「……じゃあ6号さんに土下座して謝る? 今後二度と6号さんに近づかない?」
「は、はいィィイッ! に、二度とォオ!!」
「ちょ、そんな大声出すなって。血ィ飛ぶから。制服、弁償させるっスよ?」
「す、すみまぜ…ごほッ」
咳き込む犬神が、小さく見えた。
449「誰が為に鐘は鳴る」其の八十三:2006/06/05(月) 02:43:05 ID:???
私は立ち上がった。
「じゃあ、6号さんのトコまで行くっスよ。ほら。血拭けって…」
私は予め用意しておいたトイレットペーパーを犬神に投げた。ここに来る前にトイレから拝借しておいたのだ。念のために。
「ん…」
気を抜いたせいか、右手の痛みが戻ってきた。少しだけ顔を歪める。
「……血、出ちゃってる」
右手の流血を見ながら、私はため息をついた。
これで、終わったのかな――。
犬神はというと――泣きながら、トイレットペーパーで鼻を啜っていた。
「………」
何か――。
さっきも感じた違和感が再び湧き上がる。
「犬神……お前、何か私に隠していることないっスか?」
「ひィッ……」
「そんなにビビるなってば……今朝からなんかおかしいんだ。こういうの、お前に訊くのも変かと思うんだけどさ……」
こいつに訊いても無駄だろうな、と思ったが返ってきた答えは意外なものだった。
「……す、すみません…その……実はもう二人、肉奴隷にしてて…」
「はあッ!? そんなの、聞いてないっスよ!!?」
何言っているんだ? この男は? もう二人――?
被害者は、6号さん以外にも二人いるってこと――?
わけがわからない私は犬神の襟首を力強く掴み上げた。
「わわっ!? ゆ、許してッ…」
「誰と誰っスか!? その二人はッ!?」
450「誰が為に鐘は鳴る」其の八十四:2006/06/05(月) 02:44:39 ID:???
私は犬神の身体を宙に持ち上げる――のは今の右手ではさすがに無理だったので、締め上げた。
「ぐうぅううぅッ! ずみまぜ…学級委員のッ二人ッ!! ぐえエええッッ!!」
私は犬神を地面に下ろした。「ぐえッ」と犬神は尻餅をついて、呻く。
「うう……」
「由香さん千夏さんを……そうか、だから二人共休んだのか!」
納得した私は携帯電話を取り出し、由香さんに電話することにした。
もう終わったことを伝えるために――。
「あ、犬神、もちろん二人にも二度と近づかないっスよね?」
「うう……ッ」
犬神が泣きながら頷くのを確認して、電話を掛ける。
「あ、もしもし、由香さんっスか? どうも、こんばんわっス…」
――私は今回の出来事を深くは説明せず、ただ安心してほしい旨を伝えた。
犬神はもう永遠に由香さんに近づかないし、穢さないことを。
「……いや本当っスよ。え? 弱み握られてる? わかったッス。それが何かは聞かないけど、その弱みも永遠に封印するから大丈夫っス…な? 犬神?」
犬神に目をやる。
「は、はい……」
「ええ。封印しました。…はい……じゃ、そういうわけで。えっと、由香さんにも同じことを伝えてください。はいそれじゃ明日学校で……おやすみっス〜」
通話を終えて、私は待たせっぱなしの6号さんの元へ向かうことにした。
「ほら、犬神。歩け」
「うッ……」
「三階の空き教室っス」
「はい……」
私と犬神は屋上を後にする。
451「誰が為に鐘は鳴る」其の八十五:2006/06/05(月) 02:45:46 ID:???
              ◎
「兄が…なんですか? 佐藤さん」
「犬神くんはね……」
私は次の言葉を紡ごうとして、思い留まる。
「……?」
「犬神…くんは……っ」
私は自身の震える声に気がついた。
「あの…佐藤さん、泣いているんですか?」
「――ッ!」
「…大丈夫ですか?」
「…う、うん大丈夫。ごめん雅ちゃん。別に急ぎの用じゃなかったの。ごめんね。あ、犬神くんに私が電話したこと、内緒にしといて…それじゃ!」
「あ」
ピッ。
急いで切って、携帯電話を放り出した。
私は、天井を見上げた。
涙を流さないために――。
でも駄目だった。
無慈悲に涙が頬を伝う。
「な、なんで…なんで言わなかったの? 『犬神は本当は女を弄ぶクズ野郎だ』って!」
私は傍にあったクッションを壁に投げつけた。ぼすん、と音を立ててクッションは落ちる。
「……ううっ」
452「誰が為に鐘は鳴る」其の八十六:2006/06/05(月) 02:47:15 ID:???
――そう、私が思いついたシナリオとは、犬神に一矢報いるために雅ちゃんに本当のことを言って……あろうことか、雅ちゃんを壊そうとしたのだ。
さきほど閃いた数々の暴言が、頭の中で甦る。

『あんたのおにーちゃんは学校じゃクズ野郎なんだよ?』
『毎日、女の子を虐めて、暴力を振るっているんだよ?』
『雅ちゃんは知っているかなあ? 男の人は精子を出すことができるんだけど、犬神くんは女の子にそれをぶっ掛けて喜んでる変態なんだよ?』
『あと性器――ああ、ちんちんのことね。見たことある? それを女の子に舐めさせて射精して、さらには女の子に精液を飲ませてる、最ッ低の男なんだよ!? あの男は!!』
『クズだよねえ? 捕まっちゃえばいいのにねえ。あんなクズなおにーちゃんと血が繋がってる雅ちゃんが可哀想だよ』
『信じられないかもしれないけど…でも本当のことだよ? きゃはははははははは』

――それは悪魔の囁き。
もし言っていたら、間違いなく雅ちゃんの精神は崩壊していたと思う。
雅ちゃんにとって犬神つるぎが最も大切な存在だから、その存在を穢すことは雅ちゃんの世界を穢すことに等しい――。
「ううぅ……ッ」
私は憎しみから、純粋無垢な雅ちゃんを、壊そうと、穢そうと、汚そうとした!!
「はは…最低じゃん。私…」
私は涙と鼻水をティッシュで拭った。
453「誰が為に鐘は鳴る」其の八十七:2006/06/05(月) 02:48:25 ID:???
なんで言えなかったのか、それはあまり考えたくなかった。
ただ、あのとき電話の向こうにいる少女を壊そうとする私は、犬神と同じ、いや、それ以上の鬼だと思ったから――。
「由香ちゃんに電話しようかな……」
と思ったら携帯電話が鳴った。
この着信音は由香ちゃんだ。
「もしもし…」

――そして、私は犬神の肉奴隷生活が終わったことを聞かされた。
初めは信じられなかったけど、電話の向こうで狂喜乱舞する由香ちゃんがあまりに嬉しそうだったので、信じることにした。
ていうか、電話を切った後にベホイミに確認したんだけど。
それより何より。
雅ちゃんを壊さなくてよかった。本当に――そう思った。

454「誰が為に鐘は鳴る」其の八十八:2006/06/05(月) 02:51:08 ID:???
              ◆
「あ…」
教室に入ると――6号さんは机に突っ伏して寝ていた。
窓際の席で、すやすやと寝息を立てていたのだ。
「……よし。犬神」
「え?」
「今日はお前、帰っていいっスよ」
「な、なんで?」
鼻血を抑えながら、犬神は訝しげな表情をした。
「うん。あ、これ書いて。誓約書」
私は生徒手帳の自由記入欄の紙を一枚破り、犬神に手渡した。
「そこに、6号さんに二度と関わらないことを誓って書いて。そしたら帰っていいっス。つーか明日、ちゃんと6号さんに謝らせるッスからね。誠心誠意の謝罪の言葉、寝ずに考えてきて」
「……」
犬神は震える手で書くと、無言で去ろうとする。
「――犬神」
「…何だよ?」
私はどうしても気になっていたことを訊いた。
「普段の…今までの…クラスでクールな優等生も、お前だよな?」
「………当たり前だろ」
「そっか。お前のこと、絶対許さないけど……明日、学校来いよ」
「………」
犬神は深い息を吐いた後、踵を返して廊下の闇に消えていった。
――こうして。
今回のヒール、犬神は物語から退場した。
455「誰が為に鐘は鳴る」其の八十九:2006/06/05(月) 02:53:52 ID:???
残されたのは――教室で眠る6号さんと、私だけ。
「ふう…」
私は6号さんの横の席に腰掛けた。
「痛ッ!」
見ると、さっきの傷が開いたのか、右手が血で真っ赤に染まっていた。
つーか、破片を早く取り除かないといけないなあ。

でも。
それでも今は――。
「はは。いい顔で寝てるっスねえ…」
6号さんの、天使のような寝顔を眺めていたいと思った。
私は微笑みながら、きれいな左手で6号さんの頬を撫でた。
白く、柔らかい頬。ほんのり熱を持っていて、それが心地よかった。
「んん……っ」
あ…くすぐったかったかな?
「6号さん。もう、悪夢に悩まされることはないっスよ」
……ちょっとクサかったかな、と小さく笑う。
照れながら、窓に目をやると――
「わぁ……」
そこには――雲に隠れていたはずの月が、煌々と白く輝いていた。



       『うらぽに 第一話 誰が為に鐘は鳴る』・・・終わり。
456マロン名無しさん:2006/06/05(月) 02:57:24 ID:???
大作 乙です、個人的に神認定
457マロン名無しさん:2006/06/05(月) 03:17:12 ID:???
乙であります!

犬神も得体の知れない相手に会いに行くなら得物くらい持っていこうぜ・・・
ま、切れたベホ相手なら半端な抵抗するだけカウンター食らうから意味ないか
458雫 :2006/06/05(月) 03:18:54 ID:???

というわけで終わりです。先に謝罪を。
>>430さん、本当にすみませんでした。待たせちゃって。つーか寝ちゃったかな?
>>456さん(まさか>>430さん?)もごめんね。ちょっと投下遅れました。「大作」って・・・や、確かに長かった。
あと>>426さんとか、最後まで読んでくれたらわかるけどありきたりなハッピーエンドでごめん。
ストーリー冒頭にあるように、ベホがハッピーエンドを迎えるとか言っちゃってるんで。
まあ、『王道』が一番相応しいかな、と思ったので書き始めた当初考えていた終わりに繋げました。

最後に。
ここまで読んでくれた皆様に本当に感謝です。感想も本当に嬉しかったです。
第二話はメインキャラクターは決まっていますが、どんなストーリーかはまだ未定。
とりあえず充電して帰ってきます。
それでは皆様――ありがとうございました。
459雫 :2006/06/05(月) 03:20:47 ID:???
>>457
驚いきました。まだ起きている人がいるとは…
こんな深夜に読んでくれてありがとうございます。
460雫 :2006/06/05(月) 03:25:44 ID:???
ごめんなさい。文章打ち間違えて自分で書いた>>459、消しちゃいました。
えっと正しくは

>>457さんへ。
驚きました。まだ起きている人がいるとは・・・
こんな深夜に読んでくれてありがとうございます。

です。
461マロン名無しさん:2006/06/05(月) 03:57:02 ID:???
GJだった
起きててよかった
次もガンバレ
462マロン名無しさん:2006/06/05(月) 11:34:46 ID:???
雫さん・・・GJ!
最近はこう、グッとくる作品が無かった。
でもあなたのは王道なオチでも見事に惹きつけた。
次回作も期待して待ってます
463マロン名無しさん:2006/06/05(月) 12:26:24 ID:tykWV58P
今読みました!

いゃ〜、最高ですよ雫さん!!
464マロン名無しさん:2006/06/05(月) 17:03:34 ID:???
雫さんあんたすごいよ!!
泣きそうになった。も、神決定!
465マロン名無しさん:2006/06/05(月) 17:35:49 ID:???
雫さん、すごい、すごいよ!
俺みたいな凡人じゃあ絶対書けない作品でした!
俺としては結局最後はハッピーエンドのパターンが好きなんで本当に良い話だったよ。
雫さんの今後の作品も楽しみにしてます。
てか職業まさか小説家とかじゃないよね?
466マロン名無しさん:2006/06/05(月) 18:47:33 ID:???
あー…もう凄いとしか言えないわァ…
俺はハッピーエンドもイケるけど、『この場合』バッドも見たかったな…
…あ!でもあれじゃ犬神、ベホイミに勝てないか…
まァ…もし…可能性が有るとしたら…犬神が究極のドMで究極のドSの『変態』だったら…

「久しぶりに『絶望』してーよ。マジで。」
「ダメだよ、相手に『痛み』を与える時は気持ちを込めないと。それが相手に対する『最高の思いやり』なんだから。」
by.K

…ハッ!イカンイカン!ンッン〜!…ともかく雫さんGJです。良作…否!極上作品ありがとうございました!
次回うらぽに第二話も期待してます!!!雫さん万歳!!!

チェケラッ!
467マロン名無しさん:2006/06/05(月) 19:02:18 ID:???
GJ!GJ!
あなたの文才に嫉妬する!
468マロン名無しさん:2006/06/05(月) 19:52:34 ID:???
____   r っ    ________   _ __
| .__ | __| |__  |____  ,____|  ,! / | l´      く`ヽ ___| ̄|__   r‐―― ̄└‐――┐
| | | | | __  __ |  r┐ ___| |___ r┐  / / | |  /\   ヽ冫L_  _  |   | ┌─────┐ |
| |_| | _| |_| |_| |_  | | | r┐ r┐ | | | /  |   | レ'´ /  く`ヽ,__| |_| |_ !┘| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|‐┘
| r┐| |___  __|. | | | 二 二 | | |く_/l |   |  , ‐'´     ∨|__  ___| r‐、 ̄| | ̄ ̄
| |_.| |   /  ヽ    | | | |__| |__| | | |   | |  | |   __    /`〉  /  \      │ | |   ̄ ̄|
|   | / /\ \.   | |└------┘| |   | |  | |__| |  / /  / /\ `- 、_ 丿 \| | ̄ ̄
 ̄ ̄ く_/   \ `フ |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |   | |  |____丿く / <´ /   `- 、_// ノ\  `ー―--┐
           `´ `‐' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐'     ̄          `  `´          `ー'    `ー───-′
469マロン名無しさん:2006/06/05(月) 20:09:35 ID:???
連絡網で回そうとしてた事柄が気になるな。
それともここは特に意味は無かったのかな?
470マロン名無しさん:2006/06/05(月) 20:37:28 ID:???
超乙です。一気に読んだら目が覚めた。仕事行く気になった。
第2話メインキャラクターは誰かが気になる・・・・・・今回出てないキャラカナ?
まさか地味な妹ッ!?
471マロン名無しさん:2006/06/05(月) 21:30:17 ID:???
雫さん褒められまくりだなw
まあ俺も褒めてる人達の一人だがw
472マロン名無しさん:2006/06/05(月) 21:47:40 ID:C7GJDNAA
てっきり磯部が通報とかしてベホピンチ!だと思ったら
磯部は死にっぱなしだったのね。GJ
473マロン名無しさん:2006/06/05(月) 21:51:19 ID:???
>>472
磯辺じゃ?
474マロン名無しさん:2006/06/05(月) 22:16:01 ID:???
あらあら磯辺だね
しかもageちまった・・・スマン
475マロン名無しさん:2006/06/05(月) 22:24:27 ID:???
犬神が暴走して少しでも応戦すれば
と思った俺ガイル。

やはりヒロインは一度ピンチになるのが王道カナ?

それはともかくGJ。
476マロン名無しさん:2006/06/05(月) 22:29:10 ID:???
>>468の言う通り映画化・・・とまではいかなくてもOVAに・・・18禁だがねw
477マロン名無しさん:2006/06/05(月) 22:40:08 ID:???
ぶっちゃけここまで絶賛するほどの出来ではないと思う
そりゃ文はうまいと思うけどストーリーが…
まあただの二次創作だし、ストーリーなんてどうでもいいって言ったらその通りだけどね

エロ描写は最高だった。
478マロン名無しさん:2006/06/05(月) 22:48:44 ID:???
絶賛するもしないもその人の価値観による罠
479今月のGFを読んで:2006/06/05(月) 23:44:13 ID:???
気がついたら月が変わってましたが。
人死にあり、グロあり、エロなし。

姫子が強すぎるような気もしますがあまり気にしないで気軽に読みとばしてください……
480今月のGFを読んで:2006/06/05(月) 23:46:02 ID:???
 ここは桃月、メイドカフェエンジェルメイドボム。夕食から閉店までの一番忙しい時間帯だが、合間を縫ってメイドたちはおしゃべりに花を咲かせている。
 今の話題はもっぱら金髪と銀髪の男女ペアの客だ。もちろん、お客様の事を陰であれこれ言うのは禁止されているのだが。
「ねぇねぇ4番テーブルのお客さん見て見て!」
「あの銀髪の男の人? それより、連れの女性に注目!」
 同僚は銀髪に眼鏡の知的な青年にご執心のようであるが、彼女はその連れの金髪の女性の方が気になっている。
 その気品溢れる優雅な立ち居振る舞い。『なぜ金髪なのだろう?』ついでに何故連れは銀髪なのだろうという疑問を抱く余地を与えない美しさ。
 何よりも、彼女相手だと仕事がしやすい。最初は気のせいかとも思ったが、メイドが仕事をしやすいようにさりげなく配慮してくださっているようである。
 きっとこのお嬢さま、メイドを使う事に慣れているに違いない。そう思うと、彼女は自分の中に何やら『メイド魂』のようなものが芽生えてくるのを感じた。
 伊達にメイドカフェでバイトしているわけではない。
 エンジェルメイドボム開店前に何度か秋葉原のメイドカフェに客、いやお嬢様として行った事があったし、
メイド系のオンリー即売会でコスプレをした事もあり、また研究本やネットでメイドについても少しばかり調べてもある。
(私……メイドになりたい!)
 ウェイトレスにメイドの皮を被せただけのものではなく、本物のメイドになりたい。このひとにお仕えしたい。
 彼女が真のメイドとして目覚めはじめる嚆矢の放たれた瞬間であった。
481今月のGFを読んで:2006/06/05(月) 23:53:12 ID:???
 その頃、ベホイミが乾坤一擲放ったケーリュイケオンは、寝ぼけてトイレに向かって歩いていた玲の喉を突き破り、脊椎を貫いてその長さの6割くらいを首の後ろに覗かせていた。
「うートイレトぷしゅ」
「しま」
 ベホイミが玲に気を取られたその隙を、毒島は見逃さない。直接頭を狙って引き金を二回引く。
「っとぁわぶわはぁ」
 帽子の下の頭が吹き飛んで脳と血液が宙に舞う。
「ベホイ」
 メディアの意識がベホイミに向いた隙に、メディアにもばら撒くようにぶち込む。
「ムォヴォェア」
 左胸と腹を撃たれて倒れこむ金髪の目を剥いた頭部に撃つと、ベホイミと同じく脳漿と血液が噴き出した。
 ベホイミもメディアも、一般的な女子高生と比べて格段の戦闘経験は積んできた。
 だが、悲しいかないかな経験も銃弾に耐えられる頑強な肉体を与えてはくれなかったのであった。
 弾倉を交換した毒島竜平はベホイミとメディアの死体を見下ろす。親友という奴だろうか。気の置けない間柄といった感じだった。
 彼は二人と玲の死体を蹴飛ばして死亡を確認した後、一瞬黙祷を捧げて同志二人のところに急いだ。
482今月のGFを読んで:2006/06/06(火) 00:11:29 ID:???
 一分ほど走ったところで、倒れている大久保を発見する。
「大久保!」
 さっきのコスプレがやったのか、気絶して倒れ伏している大久保に駆け寄った毒島の耳に、闇の中から口笛が聞こえた。
 ショパンの12のエチュード・オーパス10の12番ハ短調『革命』という曲だが、毒島は知らない。
 元々ピアノ曲だがうまく口笛にアレンジされていた。もっとも、左手の練習曲だというのに左手はあっさり無視されている。
 そして、原曲通りにどこか違和感を覚える音を和音は無理なので単音で叩きつけて口笛は止み、開け放たれた窓から吹き込む風にアホ毛を揺らしていた少女が口を開いた。
「カゼがデてキたね…… いいカゼだ……そろそろコロアいかも?」
「誰だ、てめえ……」
 少女は毒島を鼻で嘲笑い「正義の味方じゃねぇのカナ」婉曲表現とも否定形とも取れる曖昧な言い方で言った。
「……私の名前カナ? そうだな……Hime-Koとでも呼んでもらおうか。
 姫子……フフフフ。我ながら私にぴったりの名前だね。お兄さんもそう思うでしょ? さて、準備はイイカナ? では……参る!」
 『姫子』と名乗った少女が投げ上げたハートのクイーンは空中で回転したかと思うと「ここですカナ?」高速で落下して大久保の首を切り落とした。
「大久保おおおおおお! てめえよくも! 許さねえ! 絶対だ! ヴッコロス!」
 毒島にとって大久保は仲間であり親友だった。毒島の部屋で、ファミレスで、盗難車の中で、強盗計画を話し合った時間は本当に楽しく心踊る瞬間だった。
 大久保の血に塗れて絶叫する毒島に、姫子は冷たく言い放つ。
「ベホイミちゃんにメディアさん……そして玲ちゃん……礼はキチンとしないとね……」
「ざっけ……」
 拳銃を構えようとした毒島だが、それよりも早く姫子の脚が真円を描いた。その威力は拳銃を弾き飛ばすのみならず、腕がバラバラになるかと思うほどの衝撃を与えた。
483今月のGFを読んで:2006/06/06(火) 00:13:45 ID:???
「おばあちゃんは言っていた……所詮、貴様は流れ星、落ちる定めにあったのだ……望み通り天から堕ちればいいカナ?」
 言って姫子は色っぽい仕種で制服を脱ぎ捨てる。
「楽には死ねないヨ……САНАГИ О ЯБУРЙ ЧИёУХАМАУ(蛹を破り蝶は舞う)」
 姫子がお気に入りのTシャツをめくりあげると、下着を着けていない背中にΩの文字が刻まれているのが見えた。彼女は高らかに宣言する。
「Ωを見るたび思い出せ!」
 思い出すのはいやだからオメガの時計は買わないようにしようと毒島は思う。もっともそれもここから生き延びられればの話になるだろうか。
「……見せてあげよーカナ? やっぱりやめよーカナー……」
 心はとっくに決まっていたが、迷うポーズだけは見せた。それが姫子の習慣というわけではなかったが。
 言い終わると共に毒島のからだを壁にめり込むほどの勢いで叩きつける。
「やっぱり見せてあげるカモ」
 姫子は懐から、自らの手になる桃月学園の生徒たちのイラストが刷られたトランプを取り出し、交差させた両手でそれぞれ扇状に広げた。
「カーネフェルの真髄を」
 闇の中、姫子の瞳とマホだけが妖しく光って見えた。しかしそれが毒島の目に映ったのは一瞬の事で、カードの嵐が視界を覆う。
「さようなら」
 一枚を残して投げ終えたところで姫子は最後のカードを毒島に見せてやり、それから投げつける。
 もっとも、そんな姫子の配慮ももう毒島には届いていないだろう。
 アホ毛がハートを形作る姫子が描かれたハートのエースが毒島の仮面を割り、額に突き刺さった。
 52枚のカードで刻まれた毒島のからだはそれをきっかけに細切れになって崩れ落ちた。
「マホのカードは引導代わりだよ。迷わず地獄に堕ちるが(゚∀゚)イイ!カナ?」
 姫子はハートのエースを拾い、付着した血液を丁寧に舌でなめ取って、血液を咀嚼して唾液と混ぜた後で毒島の死体に吐き捨てた。
484今月のGFを読んで:2006/06/06(火) 00:15:09 ID:???
 それから打って変わって哀しそうな顔でベホイミとメディアの死体のもとに跪き、
ハンカチで血や脳漿を拭き取ってから飛び散った組織を戻してやり、できる限り元通りの形に整えてから指を胸で組ませ、
顔を隠すようにそれぞれダイヤとクラブのジャックを置いて祈った。
 ケーリュイケオンを抜いてやった玲も同じように整えて、こちらはスペードのクイーンを置いた。
「ベホイミちゃん、メディアさん、玲ちゃん……これでみんなの魂も安らぐ事が出来るかな…… また、私自身もね……」
 そして、姫子の手からは魔術師のようにトランプが次々と出て、雨のように降り注ぎ三人の死体を覆い隠した。
 52枚以上ありそうだが、実はこのトランプ、大量に刷ってしまい在庫が姫子のベッドの下に山とあり、姫子も常時10個ほど持ち歩いている。
485今月のGFを読んで:2006/06/06(火) 00:16:54 ID:???
「姫子どこ行ってたんだ?」
 宮本研究室に帰って来た姫子がもらったのはベッキーの非難のまなざしだった。
「おなかすいたから水飲んできたんダヨ」
「そんなハラヘッタなら帰ろうや……」
「ダメダヨ! 私ベッキーに勝つまでは帰らないゼ!」
 帰宅を促すベッキーに対し、姫子はいかにも威張った風に胸を反らして言ったが、
「お前が帰らないなら私だけ帰る」
 それならとベッキーが立ち上がったので、あわてて裾を掴み小犬のような瞳でみつめる作戦に出た。
「えー意地悪ー人殺しー! 殺人鬼ー生徒を誑かして殺して埋めてるなんてヘンタイー」
「殺してねえよ……」
「ベッキーはシリアルキラーカナー私皮を剥がれて刻まれてミンチにされてソーセージになっちゃうのカナあっそうだ今ねー南条製菓のシリアルにねー
おまけのフィギュアが付いてるんだよー私は毎日食べてるゼ牛乳だよカルシウムだよ身長も伸びちゃうね玲ちゃんは牛乳飲めないんだよ子供だからー
可笑しいね笑っちゃうね爆笑だね木亥火暴だねニュートロンジャマーキャンセラーだねベッキーは牛乳飲めるよね天災先生だもんねカラミティエンド
それとねー箱の後ろがねーすごろくになってるんだよー今度一緒にやろうねー私クリアダイスもってるんだよー
6面も10面もあるよーなんと100面なんてのもあれ止まらないんだよねー私は10面かける2がオススメ」
486今月のGFを読んで:2006/06/06(火) 00:18:26 ID:???
「わかったよ……殺れば委員……やればいいんだろ、やれば」
 ベッキーはため息を吐きながらもカードをシャッフルしはじめるが、その動きは突如開いた扉の向こうから投げつけられた言葉に止められた。
「下校時刻はとっくに過ぎていますよ!」
 風紀委員長朝比奈英理子が、宮本研究室に明かりがついているのを見てやってきたのだ。
「少しくらい……いいじゃないですか、そんな警察につかまるような悪いことしてるワケじゃ……」
 姫子は英理子の剣幕に冷や汗をかきながらクラブの10を賄賂のように差し出して
「先輩も一緒にやりませんか……?」誘ったが、「やりません」英理子はにべもなく断った。

 その警察――50人の警視庁特別急襲部隊は桃月学園の校庭で無惨な死体になって転がっていた。
 50人の死体それぞれにはトランプのカードが突き刺さっていたが、その人数は50人。
 使われなかったカードはスペードとハートのエースだった。
487今月のGFを読んで:2006/06/06(火) 00:30:09 ID:???
 元ネタはキング・オブ・ファイターズです。姫子がいおりんの勝ちポーズの三段笑いをやったりしてますし、ちょうどトランプをやっていたのでオズワルドを。
 巻末コメントに刺激を受けてネタをいろいろ仕込んでみましたが、いやはや難しいものですね……精進します。
 もしかして姫子のオメガってオメガ・ルガールから来てるんだろうか?という疑問を抱いたのでジェノサイドカッターを使わせてみました。
 出来るだけ無理のない技を選んでみましたが、『画面全体に光を浴びせる』やブルータルゴッドプロジェクトを使う姫子たんもやってみたかった気もします。

 24日は顔が禍忌さんの『もだえ死ね!』になってる姫子の夢を見て目が覚めました。

P.S.禍忌さんは透明になるだけという超必殺技を持っていたりしますがどう思われますか、くるみさん?
488マロン名無しさん:2006/06/06(火) 00:34:41 ID:???
>>487
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
|  電波が強すぎます。. |
|__________|

             /
           //ビビビビビィィィ!!!
    どかーん!  _
       从";从 /||__|∧,
      (( ; ;"、; :(O´Д`)
     ((;";从.")と ))  ))つ
     `;Y ;"、 Y ノ ノ ノ
          (_ノ、_ノ

いや、話が猛烈すぎてついていけなかった。
元ネタがわかれば面白いのカナ?
489マロン名無しさん:2006/06/06(火) 01:04:15 ID:???
>>487
無茶しやがって(ry
490マロン名無しさん:2006/06/06(火) 03:13:24 ID:???
>>487
なかなか熱い鬱ぽにだったぜ!
491マロン名無しさん:2006/06/06(火) 03:28:48 ID:???
>>487
新ジャンル「熱い鬱」

面白かったヨー
492【桃月ニュース速報】:2006/06/06(火) 20:40:24 ID:???
ネパール東部でマグニチュード8の地震
死者は1万人に達する可能性も
493マロン名無しさん:2006/06/06(火) 22:02:53 ID:???
>>492
震源地に都が居れば面白そうだな
494マロン名無しさん:2006/06/06(火) 22:58:59 ID:???
>>490がネタを受けてのショー・疾風の台詞なのか、純粋に感想なのか迷う俺ガイル
(確かに持ちキャラは(疾風にこの勝ち台詞を言われる)シェンですが)
どちらにしろありがとうございます。

しかし熱い鬱ぽにか……
ケーリュイケオンをメディアがorサイコガンを姫子か都が受け継いだりとか、
C組が皆殺しにされた後、奇跡的に脳だけ生き残ったベッキーが
一条の右脚、姫子の右腕、6号の左足、玲の左脚、くるみの胴体(右肩にメソウサの頭部)
都の頭部をつなぎ合わせたボディに移植されて
どんな状況も愛と勇気と希望で乗り越えつつ仇に復讐するとかそんな感じでしょうか。
495マロン名無しさん:2006/06/06(火) 23:02:07 ID:???
>>494
話飛躍しすぎっ!
でも…それもいいかもな〜…
496マロン名無しさん:2006/06/06(火) 23:04:46 ID:???
打ち間違い……玲のパーツは左手でつ。
まあ、左手が脚になってて長いリーチでパンチ(キック?)するのもずるっこくていい感じですが。
497【桃月ニュース速報】:2006/06/07(水) 00:18:37 ID:???
ネパール東部地震の死者9000人に
現地では余震が頻発 救出作業は難航 夜を徹して行われる見込み
カトマンズ市内のホテルから発見された女性遺体は太田区の上原都さん(15)と確認
498マロン名無しさん:2006/06/07(水) 01:42:02 ID:???
雫さんの作品が全部投下されてから読んだ俺が来ましたよ
みんなベタ褒めだなwwwwいや確かに上手いし王道だったけどさwwwww
褒めることは大事だがあまりにも長く褒めると他の作家さんが投下しにくいんだぜ?
499マロン名無しさん:2006/06/07(水) 01:48:02 ID:???
>>498
だからもうそれは暗黙の了解として、このスレは別の話題に入ってるんだから、
今更蒸し返すなって。

500マロン名無しさん:2006/06/07(水) 02:16:22 ID:???
今だ!500ゲットォォオー!!
 ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ∧ ∧  )
⊂(゚Д゚⊂⌒^つ
     ̄ ̄ ̄
 ズサァァーーーーーー!!

このスレは1000まで使い切れるのカナ?
501マロン名無しさん:2006/06/07(水) 02:40:23 ID:???
保管庫のss読んで思ったんだが、
今まで一回も書かれなかったぱにぽにのキャラって、いるカナ?
伊藤さんとか?
502マロン名無しさん:2006/06/07(水) 19:28:24 ID:???
>>497
都を勝手に殺すな
503マロン名無しさん:2006/06/07(水) 21:34:22 ID:???
どなたか過去の鬱ぽにの画像をもっていないでしょうか?
失礼なのを承知でお願いします。
504マロン名無しさん:2006/06/07(水) 23:24:21 ID:???
ttp://ppd.x0.to/
ここに常駐していればいつかは手に入る。
ただし、あの画像下さい!とか書き込むと嫌がられるからじっくり待つように。
505マロン名無しさん:2006/06/07(水) 23:32:15 ID:???
ttp://imgb3.rentalcgi.com/bbs/pa2d2ch/index.cgi
ここをくまなく探せばあるかも試練
506マロン名無しさん:2006/06/08(木) 00:37:55 ID:???
>>504 505
ありがとうございます。
こんなに親切に教えていただき感激です。
がんばって探してみます。
507マロン名無しさん:2006/06/08(木) 00:48:26 ID:???
>>501
伊藤さんはバトロワに出てる。
1年生で出てないのはもういないんじゃないだろうか。
逆に出番が多いのは誰だろうな。
姫子が多い様な気がするが。
508マロン名無しさん:2006/06/08(木) 00:51:02 ID:???
伴は出てる?
バトロワに出ているなら読もう。
509マロン名無しさん:2006/06/08(木) 06:45:15 ID:???
>>507
玲と姫子が多いかな
特に玲はいつも加害者側だしなwww
510マロン名無しさん:2006/06/08(木) 22:08:59 ID:???
仕方ないっちゃあ仕方ないんだが神原が出てない。
511マロン名無しさん:2006/06/08(木) 23:56:19 ID:???
ミューティレーションなダークネタがあってもよさそうだな
512マロン名無しさん:2006/06/09(金) 02:12:22 ID:???
ミューティレーションってなんなの?
513マロン名無しさん:2006/06/09(金) 02:47:16 ID:???
>>512
宇宙人が牛とかをさらって内臓を取り出したりすること。
また、何か金属片のようなものを埋め込んで帰すこともある。
宮田あたりが凶暴になるチップを埋め込まれて追試組を
ジェノサイドするとかしたらグロいな。
514マロン名無しさん:2006/06/09(金) 02:48:59 ID:???
>>513
なんかおもしろそう。
ていうか>>513さん、そのネタで一本書いてみれば?
515マロン名無しさん:2006/06/09(金) 02:57:24 ID:???
>>514
おk。
じゃあ明日TSUTAYAでヒドゥンとかマーズアタックとか借りて
異星人の行動パターンを把握してみるわ。
516マロン名無しさん:2006/06/09(金) 02:59:32 ID:???
>>515
マジすか!?
ぶっちゃけ今、ミューティレーションについて調べてみて、
これはおもしろいなあって思いましたもん。
517マロン名無しさん:2006/06/09(金) 04:05:40 ID:???
>>515
ガンバレ
期待して待ってる
518マロン名無しさん:2006/06/09(金) 04:56:28 ID:???
511だが・・・言ってみるもんだな!>>515がんばれー
519マロン名無しさん:2006/06/09(金) 17:09:44 ID:???
マジがんばー!>>515
520マロン名無しさん:2006/06/10(土) 19:27:17 ID:???
>>515
あんまり気負いせずに楽しんで書けよー
521マロン名無しさん:2006/06/10(土) 22:20:40 ID:???
そうだな……それが一番大事な事だ。
楽しんで書かれた話はそれと分かるからな。
522マロン名無しさん:2006/06/11(日) 20:56:54 ID:???
メソウサのなく頃に
523マロン名無しさん:2006/06/11(日) 23:51:08 ID:???
>>522
不意討ちかwwwww w
524491:2006/06/12(月) 01:29:00 ID:???
>>522
「バイト隠し編」
「パペット流し編」
「綿貫殺し編」
「ギャグ研潰し編」
525マロン名無しさん:2006/06/12(月) 19:04:10 ID:???
>「綿貫殺し編」

これイイ!
526マロン名無しさん:2006/06/12(月) 19:26:11 ID:???
猫神様の祟り
527マロン名無しさん:2006/06/12(月) 20:40:34 ID:???
>>487
今更ながら面白かったぞw
確かに電波が強いけど俺はついていけたw
528マロン名無しさん:2006/06/13(火) 00:45:55 ID:qA0Pl0rz
すげー下がってるな。
529人格改造マニュアル(久々):2006/06/13(火) 06:14:37 ID:???
 美由紀が怒り、叫び、暴れる限りを尽くし、
ふと個室の出入り口へと目をやると、扉が開き、雪絵が立っていた。
のどが痛いので怒鳴りつけはしなかったが、
女子高生相手には過ぎるほどの殺気をこめた視線で睨みつけた。

「ごめんなさい、先生…」
 雪絵が頭を下げた。
「はぁ?」
 瞬間、意味がわからなかった。
「そのビデオ、私が作ったんです…」
「えっ!?」
 予想外だった。
雪絵は美由紀の目を通して見ても、確固たる自分の世界を持っていそうで、
決して過ちを認めず、糾弾されたとしても理論武装して反論してくるだろうな、
という印象を抱くほどであるのに、今、目の前にいるその少女は、頭を下げて、
謝罪し、許しを請うているのである。
(………)

「どうして返事してくれないんですか?やっぱり、怒ってますよね?
 あんなビデオ見せられたら、うう…、私の想像力が足りなかったんです…。
 このビデオさえあれば、五十嵐先生もきっと自分の問題点に気づいて、
 更正してくれる、って、その一念だけで行動してて…どんな気持ちになるかまで、
 先生の気持ちを、まるで考えていやしなかったんです…、ごめんなさい…」
 美由紀は改めて雪絵の顔を見た。涙があった。顔が濡れていた。
(そういえば…私が倒れた時に介抱してくれたのはこの子だったっけ…)
「いいよ。ごめんね。これもきっと私のためにやってくれた事なんでしょ?」
「先生ぇ…」
 雪絵は美由紀の胸に顔を埋めて泣き始めた。
「…あなたのそういう一生懸命なところ、見習いたいわ」
(計画通り…と。いじめるのはもう飽きたから、後はしつけをして元の鞘に戻すってことで)
泣く事、声を震わせる事など、雪絵にとっては容易いことであった。
530マロン名無しさん:2006/06/13(火) 06:15:39 ID:???
ある日の1年A組の教室では、HRの開始を待つ生徒たちがいた。
そして、長らく姿を消していた彼女が現れた。
「…」
「五十嵐先生!教習は終わったんですか?」
「ええ、終わりました。私がいない間、お元気でしたか、柏木優麻さん?」
「…えっ?」
「今までは、双子の区別を付けられなくて、本当にごめんなさい。
 それもこれも、私の怠惰さが招いた事でした。
 ですが、今後はこのような事の無いように努めます。優奈さんも、今後ともよろしく」
「…え、はい…?」
「桃瀬君にも、今まで迷惑をかけていましたね?
 今日からは、私のやるべき事をあなたに押し付けたりはしませんから、
 今までの事はどうか水に流してください」
「…ハイ」

 そして、HRが終わった。
修は、柏木姉妹、来栖柚子、二階堂光らに美由紀の変貌について
質問の洪水を浴びせられたが、答えることも無く、窓の外に目をやっていた。

そして、昼休みになると、修は屋上へ向かった。
「…あんたか」
 響だった。黙って修の隣に腰を降ろした。
2人は無言で昼食を取り続けていたが、響が沈黙を破った。
「妹さんは、元気?」
「あんただって、くるみの友達じゃないか。本人に聞けよ」
 また、静寂が訪れた。
「ごちそうさまでした」
 2人同時に食事を終えた。だが、そんな偶然も2人の心を引き合わせなかった。
「…じゃ、私はB組に帰るから」
「…ああ、白鳥と仲良くな」
531人格改造マニュアル:2006/06/13(火) 06:17:41 ID:???
「おりょ?ひびき、どうしたの?」
「鈴音、あと、よろしくね…」
 昇降口で響は、鈴音とすれ違った。
屋上へ上がった鈴音は、修の姿を認めると、修目指して駆け出した。
修の顔が目に入った。

「泣いてるの?桃瀬くん…」
 鈴音が修の隣に座り、声をかける。
「…いいや、泣いてない」
「流れてるよ、涙…」
「泣いてない。今は駄目なんだ、泣いちゃいけない。
 だってな、本当に泣かなくちゃいけない人たちが泣いてないのに、
 俺が泣くなんて、図々しいにも程があるだろ?」
「でも、ひびきもさっき泣いてたし…2人で何かしてたの?」
「ただ一言二言話しただけさ。でも、それがいけなかったのかもな」
「どうして?」
「知り合いなのに話し合えないってのは、隠し事をしてるって事だろ?
 で、隠し事をしてるって事は、相手を信用してないって事だ。
 信用してない同士の知り合いってのは気まずいし、会っても悲しいだけじゃないか」
「意味がわかんないよ…?でも、しょうがないから、はい」
 言うなり鈴音は修の頭を自分の太ももの上に移動させた。
「お、おい!?」
「前に言ったよね?膝枕してあげようかってさ。
 今もそんな気分になったから、してあげる」
 修は最初こそ、周囲の目を気にしていたが、10秒もしないうちに、
今度こそ言い逃れが出来ないようなくらい、むせび泣いた。
「空はいい天気で、風も気持ちいいのに泣くってことは、
 誰かに悪さでもされたのかな?言いたくないならしょうがないけどねー」

(さすがだな、桃瀬修。女の膝で泣くという醜態こそ晒せど、機密事項を漏らすそぶりすら見せない、か)
黒猫のパペット人形が、屋上のとある一角に、あった。
事の推移をある程度まで把握している修は、監視対象にされているのであった。
532人格改造マニュアル:2006/06/13(火) 06:21:42 ID:???
「五十嵐先生は、どうしちゃったのカナー?
 お上品になったのは、また別の萌えポイントが加算されてうれしいんだけど、
 6号さんが落ち込んじゃってるのは遺憾な事だよー」
「6号だけじゃなく、学園全体の雰囲気が変わっちゃってる気がする。ね、玲?」

「ああ、私の調べでは五十嵐先生を中心とした人の流れが大幅に変わって、
 急に生徒会系や風紀委員人脈と親しくなって、今までのベッキーや早乙女、
 桃瀬兄とのつながりが単なる付き合い程度のものになってしまってる。
 その波及効果として、新しい人間関係が生まれようとしてるみたいだな…」
「兄貴もさ、A組の雑用をする時間が浮いたら、鈴音と付き合いだしたみたいなんだよな」
「マジで!?」
「それで鈴音と関わりの薄くなった乙女は、宮田や芹沢と組んでなにかやって…、って姫子もその一員だったか」
「そうダヨーン!!陸上部を冷やかしに行ったんだけど、早乙女先生がいつになくマジな目で
 ズーラを指導しててね、あ、私たちも指導してもらったら、少しだけ足、速くなったよ」

「あの2人、いつも屋上にいない?」
「まさか、犬神くんと南条さんより先に付き合いだすなんてね…」
 ユカチカ含む多くの好奇の目を気にも留めず、鈴音と修はべたべたくっついていた。
「随分と大きい弁当箱だな」
「うん、2人で食べるんだから大きいほうがいいでしょ」

 2人を遠くから英理子が見つめていた。
(諜報部からの報告通り、五十嵐教諭の関係者のうち、急な変化の真相を探ろうとするものは皆無、
 もっとも危険視された宮本先生は賢すぎて身動きが取れなくなっているし、
 生徒会で多くの情報を知っている桃瀬修も、色に溺れて腑抜けている、か。
 何か気に入らない…なんだか、五十嵐先生の教習が終わって以来、気分が優れないわ…)
 英理子は、自分では気づいていないが、
問題こそ起こせど自由奔放で明るかった美由紀のことが好きだった。
自分とは対称を成すような相手ではあったが、それでも、好きだった。
むろん、例のテープに吹き込んであったような、不満や怒りの念を全く感じていなかったわけでもない。
五十嵐美由紀先生のことが、好きで嫌い。他の多くの生徒たちと同じ感情を持っていた。
533マロン名無しさん:2006/06/13(火) 06:50:34 ID:???
「お前や学園が、五十嵐先生に何をやろうとしているのかは大体掴んでる。
 好きにすればいい。ただ、6号を泣かせるようなことになったら、許さないからな」
(あいまいな脅し…)
 響は、あの日玲に呼び止められてからの会話を思い出していた。
玲が言うにしては、具体性に欠ける言い方だった。
(本当に守りたいもののためだから、計算が出来なかったんだ)
 魔女とまで呼ばれた玲も、友達のために行動するときは、利害を離れたのだと響は解釈した。
「私も、友達のために心で動くことが出来るのかな…」

 美由紀は以前のような輝ける心を失い、6号たちは愛した美由紀を失い、
そして、響は自身の心の中で友人を失ったのだ。
諜報部である以上、友人の知られたくないであろう事も調べねばならないし、
生徒会の命令には逆らえない。このうえ正気で友人づきあいをすることなど、
響には耐えられないことであった。心を開けないのだから。
響は、なぜ諜報部員がパペットをその証としているのかを理解した。
みな、こんな境遇にあっては、どこか道化を演じなければ正気を保てないのだ。あの部長でさえも。
「さ〜て、一仕事終わったし、宮田さんや乙女でも誘って、スイーツでも食べますか!」
いつまで、後ろめたさを感じていられるだろうか?
いつまで、自分が、必要ではあるが、必ずしも善事とはいえない事をしていると自覚できるだろうか?
それを忘れない限りは、友達でいられる、そう、信じることにした。

雪絵が1人、暇つぶし程度の感覚で「教習」を施した結果、美由紀は、今やカルト宗教の信者のように
雪絵を信奉し、ただ生徒会びいきなだけの、何らの過不足も無い、無難な教員として生まれ変わった。
しかし、その過程と結果によって心に傷を負った学園関係者の数は、数え切れない。
1人、復讐を誓うものがいた。
(次の生徒会役員選挙では、あんたにも出馬してもらう。あんたも一応成績はいいんだから問題ないはずだ。
 でも、本当に良かったのか?手ごわい相手だぞ?先生のような目に合うかも…)
(それは修も同じことでしょ?)
(今だって、恋人のふりまでしてもらって、作戦を練ってる)
(…これはホントでも良かったのに)

人格改造マニュアルCase.1 End
534マロン名無しさん:2006/06/13(火) 13:11:02 ID:???
535マロン名無しさん:2006/06/13(火) 18:46:45 ID:???
乙そしてGJ
鬼畜瀬名いいんちょ大好きだ
536マロン名無しさん:2006/06/13(火) 19:26:44 ID:???
Case2や3も出る可能性があるのか
537マロン名無しさん:2006/06/13(火) 21:33:08 ID:???
GJ!GJ!GJ!
待った甲斐がありましたよ…ふ〜待ち疲れた…

最後の「Case.1 End」と言う事はやはり>>536の言う通り、Case2やCase3も有るのでしょうかね?
だったら…五十嵐ハッピー&瀬奈バッドを期待してしまう俺ガイル…orz
538マロン名無しさん:2006/06/14(水) 21:59:21 ID:???
例の鬱氏の処女作ってなに?
539マロン名無しさん:2006/06/14(水) 22:25:33 ID:???
>>538
何それ?
保管庫にあるの
540マロン名無しさん:2006/06/15(木) 02:06:03 ID:kXBku8TF
>>538
俺が見た限りでは、ベッキーが電車にひかれて死んで
姫子がその皮を被るやつ
541インプランタ晶:2006/06/15(木) 04:45:04 ID:???
 床も壁も、何もかもどこまでも白い世界に、晶は横たわっていた。
その周囲にたむろする者たちは、黒く光る、金属のような肌をしている。
「埋め込み作業はこれで完了です」
「記憶は消した?その他の作業は?」
「完璧です」
「では、シナリオどおり地球へ送り返そう」
 こんな会話が取り交わされていたが、晶の耳には入っていない。

 晶がふと気づくと、そこは桃月学園の校門前であった。
晶には、家を出た記憶こそあれ、歩いてここまで来たという感触が無かった。
確かに、歩き慣れた道であったが、ボンヤリしながら歩いてこられるほど、彼女はしっかりしていない。
何か怖い夢を見ていたような気がしていたが、すぐにその考えを捨てた。
「チャイム…?って!遅刻しちゃう!」
 全速で駆けて行く晶を、校内から見ている者がいた。
「宮田さん…、あんなに走って転ばないなんて珍しい…、
 というか、足、速すぎない?乙女どころか鈴音よりも早いんじゃ…?」
「ま、あれだけ良く育ってたら、運動神経があったって不思議じゃねーし、
 遅刻しそうなんだから、火事場のクソ力って奴が出てるんじゃあねーの?」
(…とは言っても、おかしいわね。ここ最近、諜報部を始めとして学園内の
 無線機器や防犯機器に不具合が出てきているし…関係ないといいんだけど…)
「ひびき、おっはよー!」
 響は、鈴音にバックを取られているのも気づかないほど、諜報部員として考え込んでいた。

 宮田は、急いだ甲斐あって間に合ったものの、すでに教室に着いていたジジイに説教を食わされていた。
「宮田よ…、予鈴とはいえ、チャイムが鳴る前には、せめて教室にいなくちゃいかんぞい」
 いつもなら、ここで晶がごめんなさいと泣きを入れて話は済むのだが、今は違った。
晶は、自分の背中から頭にかけて何か熱いものが走り抜けるような感覚を覚え、
こめかみが痛み、視界が少し赤くなり、無意識に口が動くのを感じた。
「しょうがないだろってんだよ!私にだってわからないの!
 いつも間に合うように来てんのに、今日に限って遅れちゃったんだからさ!
 あ〜!?そこんとこわかって物言ってんのか!?チクショーが!!」
542インプランタ晶:2006/06/15(木) 04:47:08 ID:???
 言い終わって冷静になった晶は、自分の吐き出した言葉を反芻して、胸の辺りが寒くなった。
「…ご、ごめんなさい先生!その、何ていうのか…、つい、カッとなっちゃって…」
「い、いや…、おぬし、今日は調子が良くないようじゃし…、
 わしも詰まらん事で煩わして悪かった気がする…、ホレ、今日は暑いじゃろ?」
 ジジイは、いつも大人しい晶が都並みに顔を赤くして反論して来たのにたじろぎ、
それ以上晶をとがめだてすることをせず、最低限の事を話すと、足早に職員室へ戻っていった。

「ワーオ!ベッキー!それでね〜、ズゴッグはジムを一撃だし、
 ジュアッグはタイガーバウムの夢で、ゴッグのせいで第1話から難しいんダヨ?」
「うるせー、シゴックだか何だかは、そこの地味とでも遊んでろ…」
「また地味って言ったー」
 涙ぐむくるみに一瞥もくれず、ベッキーはC組を後にする。

 ベッキーが立ち去ると、なぜか一条が姫子の持ってきたガンプラに興味を示しだした。
「ところで姫子さん、これは宇宙人さんのお人形ですか?」
「ウチュージンじゃないよ〜、ガン○ムは敵も生身の人間であるところに面白みがあるんだから、
 ま、確かに水陸両用MSは特撮に出てても違和感無いデザインが多いけどね〜、
あ、このモノアイ光るんだけど、見たい?」
「あんたさ〜、いきなり人んちに来て、プラモに発光ダイオード仕込んでって頼むなんて、
 常識外れだと思わないわけ?」
「だってエアコン直せたじゃん!」
「こいつに常識を期待するのは、異星人と初対面で心を通い合わせるようなもんだ」
「とにかく、宇宙人さんでは無いのですか」
「まるで、知り合いに宇宙人でもいるような口ぶりだな」
「ええ、顔の横側に掃除機のチューブのようなものがついている方々です」
「もしかしてシャー専用!?こんな感じ?」
「ええ、結構似てますね。ただ、このような朱色の顔はしていませんが」
「ちょっと玲、こいつら何とかしてよ…」
「姫子と一条の話が合うなんて珍しいな…、何かの前触れか?」
「私は地味じゃなーい…」
 くるみの机の上には、風車のついたガン○ムが置いてあった。あと、両手が龍で緑のとか、ブリッツとかも。
543インプランタ晶:2006/06/15(木) 05:00:36 ID:???
「………」
 ベッキーが職員室へ入ると、五十嵐美由紀が眼光を鋭くし、無言でタバコを吸っていた。

「五十嵐先生の機嫌、物凄く悪いようだけど何かあったのか?教えろ体育教師」
「教室に続いて職員室でもこれでは、心が休まらんわい…」
「…五十嵐先生のバイクが誰かにパンクさせられたそうです。
 どういうわけか全ての職員の車、バイクがパンクさせられてるんですよ。
 こんな自体は僕が赴任して以来初めてです」
「学生運動、校内暴力が華やかなる頃でも、こんな事は無かったわい」
「業者の人は?」
「昼過ぎ…、宮本先生が家庭科で料理を作ってる頃には来るんじゃないでしょうか」
「で、いつもの5人が追試受けてる頃には直ってる、か」
「しかし、犯人がわからん以上は解決せんしのお…」
「明日には、機嫌が直っているといいんですけどね…、ハハ」

「宮田晶の素行調査だが、何の問題も無いぞ」
 響は、念のため諜報部部長と連絡を取っていた。
「やっぱり、考えすぎだったんでしょうか?」
「だが、今朝のD組HRでは、明らかに異常な行動を見せていた」
「何の兆候も見せずにおかしくなるなんて、ありえませんよね?」
「ここ数日どころか、入学以来のの宮田の行動に問題は無い。確かに無いのだ。
 私の調査手帳を何度見ても、何の問題も無い」
「私や、他の諜報部員の調査報告を見ても、彼女はシロです」
「だからこそ、おかしいのだ」
「そんな問題の無い人物を、私たちはここ数日、全力で追いかけていた」
「そうだ。その記録自体はデータとして残っている。
 取材テープも保管済みだ。行った場所ははっきりとわかっている。
 裏を返せば、尾行で行っていない場所もわかっている」
「この、足柄駅近くの空き地ですね?」
「そんな空き地には、我々は足を運んでいない。
 記録の上ではそうであるはずなのだが、今朝寄ってみて肌に感じた空気が訴えかけている。
 我らはここへ来ている、ここで何かがあった、とな」
544インプランタ晶:2006/06/15(木) 05:10:38 ID:???
「ヒビキさーん、ちょっといいですか?」
 誰かが会話に割り込んできた。
「すまんが部外者は席を外してくれないか?今は込み入った話を…」
「え?神原ですよ?新入りの」
「? 何を言ってるんだ、私は知らんぞ? …!!! キサマかっ!」
「…え?」
 響に答える事も無く、そのまま部長は姿を消した。
そして、その場は神原が取り出したレーザーサイトのような物の放つ光に包まれた。

 B組教室では、いつもの2人がだべっていた。
「あ、ひびきが戻って来たよー」
「おそかったじゃねーか響ー」
「? こんにちは…」
 近所のお婆ちゃんに声をかけられた時のような態度で響は返した。
「どうしたんだよ響?」
「お腹でも痛いのー?」
「秋山さんに白鳥さん、だよね?何か用?」
「? 響、何かおかしくねーか?その言い方といい、なんつーか、態度が」
「おかしなひびきにはこうだー。ちょーっぷ!」
「ちょっと、やめてくれない?いきなり人を叩くなんて、あなたおかしいんじゃないの?
 そういうのは、友達同士だから成り立つコミュニケーションでしょ?」
 響は、スムーズに鈴音の腕を掴んで攻撃を阻止し、その声には、困惑と小さな怒りが混じっていた。
「諜報部の訓練か何かで演技してるのか?まるで別人だぜお前?」
「ちょっ…なんで私が諜報部に入ろうとしてるって知ってるの!?」

 ざわ…ざわ…、明らかに普段と異なる響に、教室中の視線が集まる。
(急だったからな、記憶を消しすぎたか…?だが、かく乱要因としては使えるか…)
 いつの間にか教室にいた、トンガリ頭に丸メガネの神原宙は、響を好奇の目で見る一群に紛れていた。
(それにしても…あの部長さん、記憶を持ち越せていないはずなのに、
 私が異変に関わってるととっさに判断して逃げた。ま、関係も何も当事者なんですが…。
 彼は別の機会にデータ取りに使えるかな)
 神原の黒いサングラスの奥には、他の誰とも違った種類の光が灯っていた。
545インプランタ晶:2006/06/15(木) 05:17:15 ID:???
「あらQちゃん、こんなところにいたの…キャー!」
「毛が…むしられている…、そのうえ、羽が折れかかっている、か。
 誰かタチの悪い人種に出くわしてしまったようだな…」
 幸い、ベホイミとメディアが近くにいたため、Qちゃんはすぐに手当てを受けられた。
「う〜ん。これくらいなら、添え木をつければよいかと思います」
「それにしてもおかしいっスねー。犯人は、鳥一匹捕まえるのに
 大騒動したのかと思いきや、よくよく調べてみると、まずこの鳥を
 殺そうとして迅速に捕まえてから、急にビクついて逃げ出したみたいなんスよ」

ここは宮本研究室、ベッキーの私室であるが、生徒もよく出入りする。
今まさに、ドアにノックがなされていた。
「あー、勝手に入れー」
「ベッキー…」
「宮田かー、今日の調理実習んときはよろしくな、で、何の用だ?」
 晶は、今日の朝からの自分の所業を、洗いざらい話した。
「お前が?ジジイにキレたり南条の鳥を殺しそうに…?嘘くせーな」
「…本当、なのにぃ…」
「お前なら、小鳥相手でも、つつかれて逃げられて終了ってパターンじゃないのか?」
「そうなんですけど…、今日はそこから先が違ったんです〜。
 つつかれて、痛いなって思ったら、目の前が真っ赤になって、そして気づいたら、
 Qちゃんを握り潰しそうになってて、それで怖くなってこの近くまで逃げてきたんです…」
「病気かな…」
「え!?」
「お前はそんなうまい嘘はつけないだろうし、本当だとしたら、明らかに
 私の知ってるお前のやる事じゃない。何か化学物質とかで極度のストレスを受けてるのかもな。、
 そだなー、いろいろ調べるから、思い当たる節をこの紙に自分で書け」
「シラベル…?ワタシヲ…?」
 急に晶の声から人間味が失われたが、ベッキーはC組で免疫がついているので流した。
「ほら、これ貸してやるから、書け」
 晶は、無言でベッキーのボールペンを、握り締めた。
「五十嵐先生に化学室のカギを借りなきゃいけないかな…」
 そう言ってベッキーは、晶に背を向け、机の上の携帯を取ろうとした。
546インプランタ晶:2006/06/15(木) 05:33:50 ID:???
とりあえず今日はここまで。
先週から待たせておいてなんだがもうしばらく待ってほしい。
綿貫が宮田のことをなんと呼ぶのか忘れたんで取り合えず苗字にさんづけした。
どういうわけか芹沢や乙女や綿貫はけっこう仲いいはずの奴も苗字でよぶんだよな。
芹沢:円部長、ハルカ姉さん、晶ちゃん、玲、ベホちゃん、南条、片桐、秋山、来栖ちゃんなど
乙女:茶髪とかベキ子とかあだ名をつけたりする以外は基本的に苗字で、響と鈴音なら名前で呼ぶ
綿貫:基本的に苗字で呼ぶ
基準がわからんぜ。
あと、演劇部以外で芹沢茜を名前で呼んでくれる人っていないよね…
547マロン名無しさん:2006/06/15(木) 06:30:29 ID:???
GJ
原作じゃ優麻が呼んでたような気がす
548マロン名無しさん:2006/06/15(木) 14:34:31 ID:???
>ゴッグのせいで第1話から難しいんダヨ?
ワロタwスパ厨乙
549マロン名無しさん:2006/06/15(木) 22:45:27 ID:???
姫子ってゲームだけは上手そうだな
ベッキーよりも上手にSLGプレイしそうな希ガス

どうでもいいがガ○ダムと言えばストフリやデスティニーの姫子のイラストがあったな
550マロン名無しさん:2006/06/16(金) 12:05:35 ID:???
>>549
>ストフリやデスティニーの姫子のイラスト
背中にドラグーンを背負った姫子を思い浮かべたw
551 :2006/06/16(金) 19:29:16 ID:???
                  桃月の土は
あと二度会うこと           二度とふむんじゃねえぞ
はないだろう
じゃーな                  温泉に入って     山奥で一生過ごすんだ
                    アホ毛ふやかすなよ    
       ひゃーな。
     帰ってくんなョ         
      byくるみ             会ったら殺す
                                       やっと離れられます
                    マホマホ                3年間はちょっと・・・ by一条
   いままでいじめられ      いってんじゃねー馬鹿
   た分、強くなったべ               もうこの 
  先生にかんしゃしなさい              桃月には帰って
                                     くるなよ
             1999年
     bye        お前は生きのびるだろう
目の前に来るな!!                      bye
                                  一生会わないでしょうby鈴木
                 桃月から永久追放


                                      それが桃月学園クオリティ
                                    http://www.momotsuki-h.ed.jp/
552マロン名無しさん:2006/06/17(土) 06:46:09 ID:t729jP7K
>>551
それコピペレス向きだよwww
553マロン名無しさん:2006/06/17(土) 06:46:51 ID:???
誤字+sage忘れすまんorz

>>551
コピペスレ向きだよwwww
ここはSSスレだぜ?
554マロン名無しさん:2006/06/17(土) 12:33:22 ID:???

いやでもダークネタとしては学級崩壊でも…
どうなんだろ
555マロン名無しさん:2006/06/17(土) 14:01:23 ID:???
べつにいいんじゃないの
1スレ目はこんなのもあったし特にルールはなかった
556マロン名無しさん:2006/06/17(土) 15:38:27 ID:???
まとめサイトの「無差別短編集」にのりそう

そういえば姫子のネタで、なんか特攻隊の遺書みたいなのも前にあったなw
557マロン名無しさん:2006/06/18(日) 02:26:33 ID:???
そういえば・・・と思い出して初めてまとめサイトを見たんだが
改行忘れが多すぎるwwww管理人さん頑張ってwww
558マロン名無しさん:2006/06/18(日) 05:00:01 ID:???
管理人さん、このスレを毎日見てるのかなー。
559マロン名無しさん:2006/06/20(火) 02:13:19 ID:???
丸一日書き込みがないなんて珍しいな
560マロン名無しさん:2006/06/20(火) 02:14:16 ID:???
エロパロスレは盛り上がってるみたいだが…。
561マロン名無しさん:2006/06/20(火) 03:04:48 ID:???
エロパロスレといえば陵辱をどうするかって話も出てたな
562マロン名無しさん:2006/06/20(火) 15:57:30 ID:???
エロパロスレの住人は陵辱ありの人と駄目な人で分かれてたな…まあ当然だが。
このスレならオーケーなのに…。
563 ◆mpQw6Mq42E :2006/06/20(火) 18:01:04 ID:???
DSO(Dynamic Shared Object)
564マロン名無しさん:2006/06/20(火) 18:02:23 ID:???
【茜を】芹沢茜に投票しまくろうぜ【脱がそうぜ】
http://ex15.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1150793411/
565 ◆mpQw6Mq42E :2006/06/20(火) 18:11:13 ID:???
本文がありません!
566マロン名無しさん:2006/06/20(火) 20:25:19 ID:???
エロパロスレで陵辱がダメとかいうのも勝手な話だな
じゃあ純愛モノ読むと悪寒がする俺はどうなんだっての
文句言わずに我慢してるってのにさ
567マロン名無しさん:2006/06/20(火) 20:29:35 ID:???
>>566
ひとそれぞれ嗜好は違うからね…向こうのあの流れは見てて、折角投下した職人さんに悪い気がした。
あれで書く気なくされたら嫌だなぁと思った。いや、こちらで投下してくれたら嬉しいけど。
あの姫子陵辱結構好き。
568マロン名無しさん:2006/06/21(水) 01:33:14 ID:???
>>567
そう思うなら彼を誘導してあげて!
569マロン名無しさん:2006/06/21(水) 01:38:33 ID:???
>>568
一応、エロパロスレでフォローしてあるが、姫子陵辱の職人さんが

>姫子、陵辱を書いた者です。
>また話を戻してしまうようでアレなんですが、陵辱はこのスレ的には難しい位置にあるみたいですね。
>今後は、もしこのスレが微妙に過疎ってしまうような時が来た時などに、及ばずながら少しでも活力になることを願ってまた少し投下してみたいと思います。
>学級崩壊スレではあまり思いっきり18禁になるような描写の小説はまずいと思いますし。


って言ってるからなあ。あくまであちらの職人さんなのかな?
「思いっきり18禁になるような描写の小説」って…このスレじゃダメカナ?
(個人的にはアリだと思うけど)
570マロン名無しさん:2006/06/21(水) 01:56:45 ID:???
大事なのは何が書きたいのかじゃないかな。
エロが書きたいならエロパロ、ダークさが書きたいならこのスレだと思う。
571マロン名無しさん:2006/06/21(水) 02:01:32 ID:???
>>570
うん。書きたいものを書いてもらって、俺たちは読みたいものを読めばいいと思う。
けど、エロもダークも両方入ってる作品はどうしよっか?
やはり職人に任せるか…。
572マロン名無しさん:2006/06/21(水) 02:09:52 ID:???
まとめサイトが性器描写禁止らしいからな
573マロン名無しさん:2006/06/21(水) 02:11:04 ID:???
>>572
初耳だ。それって結構書く側にとって重荷なんじゃ…
574マロン名無しさん:2006/06/21(水) 02:22:26 ID:???
つーか陵辱ネタはどう考えてもエロパロ板の方だと思うんだが
なんで向こうの人達はあんなに自分勝手なのか
575マロン名無しさん:2006/06/21(水) 03:01:29 ID:???
書きたいものも違えば、読みたいものも違うってか

まぁこっちの板は結構自由度高いからな。
こっち目線だと、過剰に自分勝手に見えるのかもしれん。
576マロン名無しさん:2006/06/21(水) 03:55:50 ID:xMPVl9Jm
このスレ、かなり何でもありだよね。
577マロン名無しさん:2006/06/21(水) 04:22:54 ID:???
18禁も続くなら問題かもしれないけど、たまになら大丈夫じゃないのかな
578マロン名無しさん:2006/06/21(水) 07:36:44 ID:???
南条がさかりのついたペットに輪姦される話マダー
579マロン名無しさん:2006/06/21(水) 16:32:10 ID:???
うぱ子×南条とか。
580マロン名無しさん:2006/06/21(水) 16:45:17 ID:???
嫁が見つからずヤケクソになったヒロスケ×南条で。
581マロン名無しさん:2006/06/21(水) 22:48:06 ID:???
582マロン名無しさん:2006/06/21(水) 23:16:46 ID:???
SSが投下される気配が無いので、流れを無視してSS投下。

随分前にやるといったような、けれどあまり内容があまり面白く無いなと思い、投下する気がなくなってしまったSS。
なので、やっぱりそこまで面白くないかもしれないです。

空き時間の穴埋め程度に。
内容は、鈴音がいじめられます。
エロ要素(超微弱)アリ、人死にはナシ。
「また鈴音か」と思うかもしれませんが、飽く迄穴埋め程度に。

583582:2006/06/21(水) 23:18:11 ID:???
休み時間―1年B組教室

鈴音「こら〜、お〜と〜め〜!」
乙女「うわ、こっち来るなー!!」
B組の教室内を鈴音と乙女が駆け巡る。この行為に理由などは特になく、いつもの様に乙女が遊ばれているだけだ。
鈴音「ま〜て〜!」
乙女「待てと言われて待つかー!!」
つかず離れずで教室内→廊下→教室内と飽きもせずに走り回る2人。ただし行動は同じといえど、2人の表情は
恐ろしく対照的だ。満面の笑みで走る鈴音。恐怖に青ざめながら逃げる乙女。
乙女「うわぁっ!!」
しかし、それもすぐに終わりを迎えることとなった。乙女はいつ飛び掛ってくるかも知れない鈴音に気をとられて
机につまずき、盛大にコケてしまっていた。机を巻き込みながら吹っ飛び、おかげで身動きも取れない。
乙女「いってぇ・・・」
コケたこと自体は身体にそれはさほどのダメージを与えはしなかったし、乙女はまだまだ逃げ切る気でいたのだが、
一番の問題はそこではなく身動きが取れないことである。そして乙女はそれを身をもって知ることになるのだ。
鈴音「お〜と〜め〜」
乙女「すっ、鈴音!?」
素晴らしくにこやかな表情で乙女に歩み寄る少女。その姿に乙女は身体の奥底から恐怖を感じ取った。
理性ではない。本能だ。
鈴音「お仕置きだぞ〜☆」
乙女が最後に見た光景は、右腕を振り上げ、満面の笑みを浮かべた鈴音の姿。そして後には、
鈴音「鈴音チョ〜ップ!!」
乙女「うわぁあー!!」
学校中に響く、断末魔の叫び声。
584582:2006/06/21(水) 23:20:23 ID:???

続・休み時間―桃月学園屋上

玲「ふぅ・・・」
手元の受信機の周波数を調節しながら、玲は溜息をつく。
玲が今受信しているのは、学園のあらゆる場所に仕掛けられた盗聴器から発信される音声である。
一応諜報部の所有物ではあるが、今は玲の大きな情報源だ。だがイヤホンから流れる音声から察しても、
学園内で特に変化は見られず、まさに”平和”そのものである。
だからこそ、玲は退屈だった。今の玲の周りには、玲にとっての楽しみと呼べるものがほとんどない。
あまりにも退屈なので、隙さえあればどんなことでも付け入ってやろうなどと考えながら学園内の喧騒に聞きいっている。
―ガチャン・・・
その時、イヤホンからではない重い音がその場に響いた。先程から聞こえていた足音から察しはついたが、
あえて玲は振り向かない。そうしなくても、その原因はおのずから口を開く。
乙女「・・・橘、ちょっといいか・・・?」
そこには、屋上の扉を開け放つ乙女の姿があった。

玲「・・・つまり、白鳥に仕返しがしたい、と」
手すりにもたれながら、玲が乙女の話を要約する。
乙女「あぁ、今回ばかりは本っっ当に頭に来た!・・・ちょっとでいいから、協力してくれないか?
   橘ってそういうの得意だろ?鈴音にギャフンと言わせたいんだよ」
今の会話からも分かる通り、乙女は相当キレていた。そこで、以前に自分達も巻き込んでいじめを実行していた玲に
協力を求めたのだ。あのいじめを見ておきながらそんな無謀な行動に出る人間はまずいないのだが、今の乙女は普通の
状態ではない。それほど鈴音に怒っていた。
玲「・・・別に構わないが・・・」
乙女「おっ!本当か!?サンキュー、橘!」
玲「・・・ただし」
585582:2006/06/21(水) 23:21:27 ID:???
乙女「・・・ただし?」
興奮状態の乙女を前にしても当然の如く冷静な玲のその一言に乙女は不安になり、声のトーンが少し下がる。
玲「・・・ただし、計画を全て私に一任させること。これが条件だ」
乙女「なんだ、そんなんでいいのか」
玲「そもそも、秋山じゃ計画なんて思いつかないだろうしな」
乙女「・・・ま、まぁな・・・」
今の一言はさすがに気に触るものがあったが、ここは我慢しておくことにした。乙女でも今は自分のほうが立場が
弱いことは分かっていたからだ。だがそこまで分かっていながら、唯一の失態には気づくことが出来ていない。
玲「・・・ま、私に任せてくれ・・・きっと満足いくようにしてやるさ」
まるで自分にも言い聞かせるかのように呟く玲の瞳には、ある種の”渇望”からくる異様な光が宿っていた。
心の底からの快楽に対する”餓え”が、玲を動かす動力源となるのだ。
乙女「じゃ、じゃあまずは何をしたらいいと思う?・・・あ、それとも計画期間とかあったほうがいいのか?」
対する乙女は、そんなことに気づく余裕など全くない。こちらはこちらで、いつもと立場が逆転する様子を想像して
胸を膨らませていたから。
玲「いや、その必要はない・・・そうだな・・・まずは―――」
餌を前にして、いつまでもおとなしくしているような玲ではなかった。そもそも、いつもこういうことばかり
考えている玲に計画期間などというものは必要ないのだ。
そしてさらに、玲は以前の鈴音の裏切り行為を頭の片隅に覚えていた。この機会は報復にもちょうどいい。
魔女が、動き出した瞬間だった。
586マロン名無しさん:2006/06/22(木) 10:51:25 ID:???
>>585
久々のSSGJ
続くのカナ?
ちゃんと最後まで書いてほしい。
頑張れ。
587582:2006/06/22(木) 23:35:30 ID:???
〜昼休み―1年B組教室

乙女(すぅ・・・はぁ・・・)
乙女は一人、心の中で深呼吸をする。時刻はもう授業終了3分前。前の休み時間は玲に相談するだけで潰れてしまったので、
昼休みが初の計画実行となる。
乙女(言われたことを、やればいいんだな・・・)
実際、乙女が自分から実行することはほとんどなかったのだが、それでも少しは緊張する。半分は期待から、半分は不安から。
まるで学校入学前の新入生のような緊張だが、それだけ乙女にとって鈴音は大きな存在だということだろうか。
―キーンコーンカーンコーン
学校中に、授業終了を告げるチャイムが響き渡る。それとほぼ同時に、鳴りを潜めていた喧騒が学校内を包み込んだ。
そしてそれは、乙女の計画の開始を告げる鐘でもあった。
開始といっても、乙女が自分から何か行動を起こすわけではない。だからいつも通りに弁当を手にして、いつも通りに席を立つ。
鈴音「乙女〜!まってよ〜」
歩き始めて少しすると、ターゲットである鈴音の声が耳に入ってきた。ここまでは乙女の狙い通りだ。
乙女「・・・・・・」
しかし声をかけられても、それに対して乙女は何の反応も示さない。そう、これこそが玲の提示した「作戦」なのだ。
玲『こういうことを実行するとして暴力以外の方法で攻めるなら、無視することが一番楽で、効果的だな』
玲の言葉が脳裏に蘇る。
玲『相手が親しい人間ともなると、効果もかなり期待していい。それに加えて、無視なら周りの人間にほとんど不信感を
抱かせないで済む。もし悪口か何かで攻撃するとしても、それに気づいた人間に干渉されかねないからな。まぁ、
  秋山は何があっても白鳥に応じるなってことだ』
玲の言うことは、不思議と説得力があった。だからこそ平常心を保ち、言われたことのみを実行しようと心がける。
鈴音「ほ〜ら〜、そんな速く歩いていかないで、一緒にお昼食べようよ〜」
乙女「・・・・・・」
588582:2006/06/22(木) 23:38:20 ID:???
それにしてもこの方法はもどかしい。自分が拒絶の意を示さなければ、いつまでもこうして鈴音がついてきてしまう気がする。
だがそんな不安も廊下までの話だった。玲は、乙女と鈴音を引き離す方法も用意してくれていた。
玲「お、秋山。早かったな」
乙女「そうか?まぁ、いこうぜ」
鈴音の前で口には出さずに決定的に意思を伝える方法が、それだ。乙女が玲と共に昼食をとる、
それは同時に鈴音と一緒にはいたくないということを伝えた。・・・筈だった。
鈴音「あれ〜?もしかして乙女、さっきのまだ怒ってる?」
しかし鈴音は予想以上にしつこかった。乙女は「当たり前だ!」と叫びたくなる衝動に駆られたが、
今は自分を抑える。ここで計画外の行動を起こせば、今隣で歩いている玲になんと言われるか分からない。
鈴音「ごめん〜、許してよ〜。でないとツボ押しちゃうぞ〜」
乙女「・・・・・・」
下痢ツボを押してくる鈴音に、短気な乙女はそろそろ我慢の限界が訪れようとしていた。
なぜ玲は何も言ってくれないのだろうかなどと他の事を考えることで、何とかそれを紛らわす。
鈴音「・・・・・・」
すると功を奏したのか、今度は鈴音が押し黙った。しかし乙女に浮かれる暇も与えずに、
鈴音は予想外の行動に出ていた。
589582:2006/06/22(木) 23:40:59 ID:???
鈴音「・・・も〜乙女なんか知らないんだから!ひびきとお昼食べるからいいもんね〜」
乙女「・・・なっ・・・!」
逆切れをし始めた鈴音に対して乙女は声を漏らしそうになるが、玲にどつかれたので何とかとどまる。
そんなおさまりきらない乙女に対し、走り去る鈴音の背を眺める玲はぼそりとつぶやく。
玲「秋山、ぱっぱと行くぞ・・・」
乙女「でも、無視してもあんまり意味がないんじゃ・・・」
もう少し高い効果を期待していた乙女は、ある意味がっかりしていた。そのうえ、これでは逆に
自分がのけ者にされたような気さえするではないか。
玲「・・・いや、まだまだこれからだ。いいか秋山、何があっても反応するなよ・・・これから、ずっとだ」
乙女「・・・・・・」
まだ何か言いたげな乙女だったが、今の玲に反論など出来なかった。玲を取り巻く威圧感が、反論させる気さえも起こさせない。
玲「気を落とすなよ・・・策は練ってあるんだから」
乙女はまだ黙ったままだったが、玲は構わず歩き出す。しばらくして、その後をとぼとぼと乙女が歩き始めた。


数日後・昼休み―桃月学園屋上

乙女「・・・はぁ・・・」
弁当を広げながら、乙女は重い溜息をつく。原因はもちろん鈴音だ。
あれからずっと鈴音に対して無視を決め込んでいる乙女だったが、正直辛いものがあった。
どれだけ無視をしようと、鈴音は大した反応を示さないのだ。
大体、乙女が望んでいるのは鈴音に仕返しをすることであって絶交をすることではない。自覚はしていなくとも、
今まで仲の良かった相手と何の関わりを持たないようにすることで精神的にも削られつつあった。
玲「どうした、秋山?」
そんな乙女に対し、共に昼食をとる玲が声をかける。
590582:2006/06/22(木) 23:45:33 ID:???
乙女「んー・・・なんつーか、手ごたえを感じないってゆうか・・・」
玲「ふぅん・・・そうか」
それだけ言うと、2人の間をしばらく沈黙が包む。
一応聞いてみた玲だが、今の乙女の状況はほとんど理解していた。もちろん今の言葉が強がりに似たものだということも。
そこで考える。いろいろな点でなかなか手強い相手だが、このまま乙女に無視させ続けるのも鈴音を追い込むという
点では有効だ。しかし、ただそれを続けているだけでは肝心の乙女のほうが先に参ってしまう可能性も大きい上に、
それでは大して面白くない。そう、玲にとってこの計画は楽しむために加担したのであって、目標の達成は二の次、
場合によっては無視しても構わないレベルのものだ。だとしたら、そろそろ自分が楽しむ為の手を打つべきだろう。
玲「なぁ、秋山」
乙女「・・・ん?なんか浮かんだのか?」
乙女の顔に、わずかな期待を込めた表情が浮かぶ。玲も表に出して笑うわけではないが、前々から考えていた計画を
実行する時がきたと思うと、心の奥底から黒い快感がこみ上げてきた。
玲「もう、無視はやめていい」
乙女「・・・・・・。なんだ、やっぱりほとんど効果なかったのか・・・」
玲「いや、これで下準備は十分だ。結果としてみればよくやったほうだな」
乙女「お、マジか!?」
一度は再度落胆しかけた乙女だったが、玲の一言で活気を取り戻す。もちろん玲のこの言葉の半分は乙女に
やる気を出させるためについた嘘ではあったが。
玲「だから次の計画に移る。その為には秋山にまた別の行動をとってもらうことになるが、構わんだろ?」
そう言うと、玲は計画を事細かに説明し始めた。構わないどころか構う気のない玲に対し、乙女が意見を言う隙はなかった。
591マロン名無しさん:2006/06/23(金) 03:23:50 ID:???
期待期待
592マロン名無しさん:2006/06/23(金) 03:27:57 ID:???
ウホ!
593マロン名無しさん:2006/06/23(金) 15:44:49 ID:???
マホ!
594マロン名無しさん:2006/06/23(金) 21:29:01 ID:???
イヤッホー!
595マロン名無しさん:2006/06/23(金) 22:22:49 ID:???

続・昼休み―1年B組教室

鈴音「ひびき〜、食べるの遅いよ〜」
早く遊びたくて堪らない鈴音は、以前諜報部から奪った人形を弄りながら綿貫を急かしていた。
綿貫「鈴音が食べるの早いのよ」
鈴音「そ〜かな〜?」
綿貫「・・・・・・。そういえば、乙女との件はどうなったのよ」
これ以上食事を阻害されては堪らないと、綿貫は話題を変える。だが聞いた理由はそれだけではなく、
正直気になってはいたのだ。
鈴音「乙女なんてもう知らないもん・・・」
それを聞かれると鈴音の声の調子が少し落ちた。逆ギレしたはいいものの、数日も口すらきかないで
いるのは気分のいいものではない。
綿貫「・・・鈴音にも悪いところはあったんだし、仲直りしたらどうよ?」
鈴音「ぶ〜・・・だって〜・・・」
とその時、視界の隅に乙女の姿が映った。しかもこちらに歩み寄ってきている。
綿貫「ほら、来たわよ」
鈴音「・・・・・・」
その姿を確認すると、気まずさからか鈴音は押し黙ってしまった。
乙女「・・・・・・」
鈴音のちょうど目の前に乙女が立っても2人とも沈黙し続けた。綿貫はほとほと呆れ顔
だったが、一応口は挟まない。
乙女「・・・なぁ、鈴音」
そんな沈黙を最初に破ったのは乙女だ。話しかけられたことで、そっぽを向いたままの
鈴音も乙女の方に向き直る。
乙女「・・・わたしが悪かったよ。鈴音を無視したりして、ゴメン」
鈴音「・・・・・・。え〜?聞こえないな〜」
乙女「だから、わたしが悪かったって。だから許してくれよ」
鈴音が意地悪くからかっても反論してこないところ、本当に悪かったと思っているようだ。
そんな乙女の言葉を聞くと、不機嫌だった鈴音の態度がガラリと変わった。
596マロン名無しさん:2006/06/23(金) 22:24:51 ID:???
鈴音「も〜、乙女はしょうがないな〜。反省のツボ押し〜!」
そう言うと表情を一変させ、にこやかな表情で乙女を抱きかかえながら頭のツボを押し始める。
鈴音も出来れば乙女と仲直りをしたいとは思っていたからだった。
今度はこの態度の変わりように綿貫は呆れたが、この場はこれでよしとする。
乙女「こら!やめろー、デカ女―!!」
鈴音「よいではないかよいではないか〜」
乙女「だーかーらー!そういうところがいやだって言ってんだろ!」
乙女は鈴音の腕の中でもがき回るが、身長差からなにから鈴音に到底かないそうもない。
鈴音「あ〜!そういうこと言うとお仕置きしちゃうぞ〜」
乙女「やれるもんならやってみろよ!」
鈴音はそれを聞くと、今仲直りしたにもかかわらず挑発的な態度をとる乙女に対して、
いつものように右腕を振り上げ”お仕置き”の構えに入った。別段いつもと変わらない
光景なので、綿貫はじめ誰も止めに入ろうとはしない。
鈴音「むぅ〜!お仕置きの、鈴音チョ〜ップ!」
乙女「うぁっ!!」
見事にその一閃は乙女の脳天を捕らえ、沈黙を与える。机を巻き込みながら突き
飛ばされる乙女だったが、今日は少し様子が違った。
鈴音「あれ?乙女?」
乙女「・・・・・・」
いつもなら倒れながらもぶつくさ文句を言ってくるのだが、今の乙女は
ぐったりとして何の反応もない。
597マロン名無しさん:2006/06/23(金) 22:26:30 ID:???
鈴音「乙女・・・大丈夫・・・?」
なんの悪びれもなく鈴音チョップを食らわせた鈴音だが、今の状況にはさすがに焦り始めた。
綿貫「鈴音、もしかして気絶させちゃった・・・?」
鈴音「ぇ、え?気絶?」
今まで何度か人を気絶やそれ以上まで追い込んだことはあったが、身体の丈夫な乙女を気絶
させたことは一度もなかった。しかも、自分から謝ってきた相手をすぐさま気絶させて
しまったとなるとさすがに罪悪感を覚える。
綿貫「だったら早く保健室に運ばなきゃ・・・って言っても少しやりすぎじゃない?」
鈴音「うん、そうだね・・・ちょっとやりすぎちゃったかも・・・」
そういいながら、机と共に崩れ落ちている乙女を担ぎ上げるために歩み寄る。
小さい乙女なら、運ぶのは鈴音ひとりで十分だ。
だが乙女の足元まで来たところで、鈴音はある異常に気づいた。
鈴音「ぁれ・・・?・・・血・・・?」
それ見た鈴音はの顔が、一瞬で青ざめた。そこに倒れる乙女の口の端から、血が流れていたのだ。
綿貫「ひゃぁっ!」
鈴音の言葉に疑問を覚えた綿貫も乙女の姿を見ると小さな悲鳴を上げて尻餅をつく。
2人とも最悪の事態を想像してその場に凍りついて動けない中、その状況は次第に周りにも伝わり始めていた。
生徒「おぃ、あれって血吐いてるんじゃないのか・・・」
生徒「ぇ?は?血って・・・誰が?」
生徒「秋山だってさ・・・。誰か保険の先生呼んできたほうがいいんじゃないの?」
生徒「ってか絶対ヤバイって・・・内臓とか大丈夫、か・・・?」
その様子を遠巻きに眺める生徒達は、口々に何かを呟き始める。そしてそれらは憶測などによって過大に
伝えられ、その事実からなる”噂”はすぐさま教室中、その外にまで広がっていった。そしてその大きく
なってしまった噂を聞きつけた1人の生徒が、こう叫んだ。
598マロン名無しさん:2006/06/23(金) 22:28:50 ID:???
生徒「ひ・・人殺し!」
鈴音「・・・・・・!!」
その言葉に、鈴音は頭の中が真っ白になる。自分が、乙女を殺してしまったのかと。
だが、その言葉が影響を与えたのは鈴音だけではない。教室中の人間が、鈴音から
一歩二歩と距離をとり始めていた。
それは綿貫も同じで、教室中から醜いものを見るような視線が鈴音に集中する。
鈴音は動くことも出来ずにただただ乙女の顔を眺め続けていたが、実際その視界には
乙女の姿は映っていない。あまりのショックに、頭が乙女の姿を見る事を拒絶していた。
玲「おい!秋山、大丈夫か!?」
するとどこで話を聞きつけたのか、玲がいきなり教室に飛び込んできた。
入ってくるなり乙女のもとに駆け寄り、即座に状況を判断して対処を行う。
玲「意識がないな・・・おい、綿貫!ボケッとしてないで手伝ってくれ。保健室まで運ぶぞ」
綿貫「・・・ぁ?・・・わ、わかったわ・・・!」
玲「・・・それと白鳥・・・おまえ、秋山に何をした・・・?」
鈴音「ぇ?わ・・わたしは・・・」
瞳の奥に怒りと蔑みの光を宿した玲に視線を向けられるが、立ち尽くす鈴音は恐怖や緊張から
まともに答えることが出来なかった。そもそも、それを答えたら自分が乙女を倒したことを
再確認せざる終えなくなり、それはたとえ本当に自分がやっていたことだとしても、認めるのは怖かった。
玲「・・・チッ・・・」
質問に答える様子のない鈴音に嫌気が差したのか、玲は一度舌打ちをすると、綿貫と共に
乙女を担いでいってしまった。
後に残ったのは、教室中の人間から冷たい視線を向けられ続ける鈴音だけだ。
鈴音「わたしは・・・わた・・し・・は・・・」
鈴音はいつまでもそこで、答えの出ない答えを呟き続けていた。
599マロン名無しさん:2006/06/24(土) 14:43:26 ID:???
イイヨイイヨー
600マロン名無しさん:2006/06/24(土) 15:58:52 ID:???
マツモトイイヨー
601マロン名無しさん:2006/06/24(土) 22:33:22 ID:???
スゴクイイヨーカイイヨー
602今月のGFを読んで:2006/06/24(土) 23:04:54 ID:???
人死にあり、グロあり、エロなしです。

 その蝶は、メタリックブルーに輝きながら、まさに空を舞うように飛んでいた。
 天女のようなその姿を追って行けば夢の世界に行けるような気がして、私は夢中で追いかけたのだった。
 どこまでも。
 どこへでも。
603598:2006/06/24(土) 23:06:49 ID:???
〜五時間目―保健室

ベキ「じゃぁ、別に吐血してたわけじゃないんだな」
玲「あぁ、口の中が切れてたから、それを多分見間違えたんだと思う」
保健室で、玲がベッキーに状況を説明する。保健の教師が今日は出張だった為、今の時間
偶然授業のないベッキーが代わりに様子を見に来ていた。
ベキ「そうか・・・。こういう時、救急車とか呼ばなくても平気か?それとほら、
   秋山の両親に連絡したりさ・・・」
こういうことを教師が生徒に相談するのはおかしな話だが、ほかの教師達はほとんど授業に
出払ってしまっている今、ほかに聞く相手がいないので仕方がない。
玲「本人の意見を聞くのが一番だと思うが・・・起こしちゃ悪いしな。
  秋山の身体は丈夫だし、大事にされても逆に困るんじゃないか?」
ベキ「じゃ、大丈夫か?」
玲「まぁ多分な・・・っていうかベッキー、連絡とかがめんどくさいんだろ」
ベキ「ぇ?そ、そんなことはないぞ・・・わたしは、ほら、やっぱり親にも余計な心配をかけさせたく
   ないだろう秋山の気持ちを汲み取ってだな・・・べ、別に面倒なわけじゃないからな・・・!」
あからさまに慌てるベッキーに対し、玲は呆れながらも微笑む。
玲「あぁ、分かったよ・・・なら、秋山が目を覚ますまで私が傍についておいてやるから、職員室に戻っていいよ」
ベキ「へ?本当にいいのか!?」
玲「いいって言ってるだろ。私も体育を休めるし丁度いい」
ベキ「・・・・・・。なんだよ、玲もサボりたいだけじゃないか・・・」
玲「・・・悪いか?」
今度はベッキーが呆れていた。玲のその魂胆に対してもそうだが、それを悪びれもなく言うことに対しても。
ベキ「んじゃ、後は頼んだぞ」
玲「はいはい、わかってるよ」
そう言うと、ベッキーは喜んで職員室に向かっていった。そのまま玲はベッキーの去った後の保健室の扉を
呆然と眺めていたが、しばらく経つと乙女のほうに向き直り何かを呟く。
玲「・・・秋山、もういいぞ」
その声は先程ベッキーと会話していた時のテンションが信じられないほどトーンが低い。すると、今まで
気絶していた筈の乙女が起き上がっていた。
604今月のGFを読んで:2006/06/24(土) 23:06:54 ID:???
 円は私にこうして見られてモノローグを付けられている事にも気付かず一心不乱に蝶を追いかけている。蒼く光るあの翅は多分モルフォのたぐいだろう。
 むかし昆虫の展示施設で見ただけだが、南米だか東南アジアだか、外国産の蝶だったはずだ。
たぶん日本には生息しておらず、その特徴的な輝きを見てもにわかには目の前を飛んでいる蝶がそれだと信じ難かったのだが、
おそらく芹ちゃんのクラスメイトのお嬢さまが連れてきたのだと見当がついた。彼女が種々雑多な動物を連れてきては愛でているのは、この学校では有名な話だ。
 一緒に追いかけているのは宮本先生で、こうしていると年相応の子供に見える。
 もっとも、私もあの年頃の頃にはすっかりひねくれた可愛くないガキだったけれど……
605598:2006/06/24(土) 23:08:41 ID:???
ヤバ…ダブった…

他の人の投下が始まったことだし、穴埋めは一時休止
606今月のGFを読んで:2006/06/24(土) 23:10:13 ID:???
「センパイ、なに見てるんですか?」
 私に声をかけたのは一年生で、来栖柚子という。なかなか面白そうな子だったので映研から捕まえてきて鍛えてやっているところだ。
「ああ……丁度いいところに来たわね。あれにモノローグを付けてみなさい」
 私は窓の外を指さした。
「え? えっと……『あははー待てー つかまえてごらんなさーい』」
「ふーん? ほう……なるほど」
 彼女の視線の先、窓から見える下界では、蝶を追う過程で花壇を散々踏み荒らした円と宮本先生が風紀委員長に見つかって追いかけられていた。
「可哀相に」
 追いかけられる彼女らに、私は大仰に十字を切って、わざとらしく肩をすくめて見せてやった。
 一瞬、親指でのどを掻き切ってからその親指を振り下ろして地を指さす形、
いわゆる『死ね』と『地獄に落ちろ』の組み合わせで十字を切ってやろうかとも思ったが、可哀相なのでやめた。
「まあまあね。これからもがんばりなさい」
「はいっ!」
「……そうだ、麻里亜に返しといて欲しい物があるんだけど、持ってってくれる?」
「はいなんですか?」
「教室に置いてあるからちょっと待っててね」
「あ、ご一緒していいですか?」
「いいわよ」
 いいもなにも、教室は私のすぐ後ろにある。十歩も歩けば私の席に到達するだろう、計った事はないので多分だが。
 そして学校という公共空間で後輩に席を見られるのを嫌がるほど私は尻の穴が小さくはない。
 こころよく頷いて窓を閉めると、廊下は途端に静かになった。
607今月のGFを読んで:2006/06/24(土) 23:11:51 ID:???
 そういえば。
 蝶を追いかけるのも、花壇を踏み荒らしてしまうのも、私がむかし円と一緒にやった事だ。
(円……変わんないな)
 まったく……あの無駄にキラキラした瞳、はじめて会った頃から全然成長してないんだから。
 私がひねくれた可愛くないガキになったのも、あんな子供っぽい子がいつも隣にいてお姉さん役を強いられ続けては無理もない話だろう。
 しかし、あの頃から円の尻拭いをし続けているのか、私は。
 ……そうだ違う、さっきのは訂正。
 花壇を踏み荒らしたのは円だけで、私は花壇には入らないように円に注意してさえいたのに、一緒に怒られてしまったんだった。
 今となっては連帯責任にも納得がいくが、当時は『なんで私まで』とやたらと腹立たしかった。
 もっともそれは円も同じだったようで、全ての責任を私に押しつけてきやあがったけれど……
「やれやれだぜ」
「はい?」
「なんでもないわ。じゃ、これお願いね」
「はい!」
 ビデオを受け取り、勢い良く下げた頭の上でリボンが揺れた。芹ちゃんのネコミミのように。
 うちの部と映研はあの通りの仲だけれど、彼女達には部同士のいざこざに関係なく仲良くして欲しいと思う。
(それとも、ケンカするほどって奴なのかしら……)
 麻里亜の姉の真尋さんは、妹と円がかみ合わない言い合いをするのを、底抜けの笑顔でみつめては、麻里亜と円は仲良しだとうれしそうに言っていた。
 まあ、だとしても、今は気付かないまま二重の関係を続けていくのもいいんじゃないだろうか。
 ぴょこぴょこと教室を出て行く弟子に手を振りながら、私はそんな事を考えていた。
608今月のGFを読んで:2006/06/24(土) 23:13:04 ID:???
「待ちなさい! 宮本先生! 藤宮先輩!」
 ふたりは朝比奈英理子委員長から逃げた。力の限り、走った。
「待ちなさい…… !
 待ちなさいっ! 宮本先生! お願い、待って!」
 朝比奈の声のトーンが変わったが、それに気付くベッキーではなかった。
「待てといわれべば」
 校門から勢い良く飛び出したレベッカの肉体はちょうどやってきたトラックに衝突して撥ね上げられ、車体前面によって激しく大地に叩きつけられて、大きなタイヤと道路にはさまれて轢き潰された。
「せん……せ」
「だから……待てって言ったのに……」
 朝比奈は面を伏せて左右に振った。
「……年上の言う事が……聞けないっての……?」
 右腕を朝比奈に掴まれた藤宮円は、固まった顔で右手を振り払う事も、顔に飛んだ血を拭う事も忘れ、絞り出すように言った。
609今月のGFを読んで:2006/06/24(土) 23:14:49 ID:???
「ん? なんか騒がしいな…… なんかあったのかな」
 芹沢が呟く。開け放たれた窓から吹き込んでくる爽やかなそよ風に乗って、普段とは少し違う喧騒が聞こえたような気がした。
「この学校じゃ何もない日なんてないんじゃない?」
「はは、違えねえ」
 千夏の言葉に芹沢が豪快に笑う。
「お帰りなさい、モル雄」
 窓から入ってきたモルフォ蝶が完全に入るのを確認してから念の為少し待って、安全を確認してから由香が窓を閉める。吹き込む風にポニーテールが少したなびいた。
「おー、帰って来たか。このまま帰って来なかったらどうしようかと思ったよ」
「なんで芹沢さんが心配するのかしら…… 私のモル雄はとても賢い子ですもの、迷子になんてなりませんわ」
 南条がしなやかに空中に投げ出した指に、メネラウスモルフォのモル雄がゆっくりと着地して翅を閉じた。
 翅を閉じると、宝石を塗ったような輝きは嘘のように地味でくすんだ色合いになった。
610今月のGFを読んで:2006/06/24(土) 23:18:30 ID:???
以上です。

>>598さん、同時投稿時対応ありがとうございました。
私も楽しみにしていますので、どうぞ投下お願いします。
611582:2006/06/24(土) 23:38:44 ID:???
>>610さんGJ!

たかが穴埋めの超えられない壁を見た。

ってことで、お言葉に甘えさせてもらい、投下再開
612582:2006/06/24(土) 23:42:07 ID:???
乙女「・・・ふぅ・・・。演技ってのは辛いな・・・」
玲「ご苦労、だったな」
気絶の演技の窮屈さから、乙女は一度深呼吸をすると大きく伸びをする。すると何かに気づき、いきなり顔をしかめた。
乙女「・・・橘・・廊下、大丈夫か?」
玲も乙女の表情に何かを汲み取ったのか、椅子から立ち上がると扉を開けて廊下の人通りを確認する。
玲「・・・・・・。大丈夫だ、誰かに見られる心配はない」
乙女「悪ぃ、ちょっといってくる・・・」
そういうと乙女は小走りで保健室を出て行き、玲は再び座り直して待っていると数分もせずに戻ってきた。
乙女「・・・口の中、きもちわりぃ・・・」
玲「・・・まぁ、血糊だからな」
そう、乙女が口に含んでいたのは血糊だった。それは玲がいつ手に入れたのかはわからなかったが
カプセル状のもので、それをチョップを食らったときに噛み砕いて、あたかも血を吐いているように
見せかけたのだ。
乙女「それにしても、聞いたか、鈴音のあの声。めっちゃビビッちゃってさ!」
そう言うなりベッドにどかっと腰を下ろすと、気絶のフリをしていたときに聞こえた鈴音の声を
思い出して、計画の成功を喜ぶ乙女。
玲「あぁ、まさに計画通りに白鳥が殴りかかってきたみたいだからな。
  血糊が無駄にならなくてよかった」
乙女「鈴音の顔が見れなかったのが残念だなー。なぁ橘、鈴音どんな顔してた?」
玲「・・・だいぶショックを受けてたみたいだな。秋山を運んだ後もなんかブツブツ呟いてたよ」
鈴音を見返すという点で目標を達成し、興奮している乙女に対して玲は驚くほど冷静に
会話を進めていた。だがそれを乙女が気にかけることはない。嬉しさの余り、
乙女にもう周りは見えていないのだ。
613582:2006/06/24(土) 23:44:44 ID:???
乙女「はぁー・・・ホントに惜しいことしたよなー・・・」
玲「それはそうと、秋山はこの後どうするつもりなんだ・・・?」
乙女「え?わたしか?・・・まぁ、鈴音の顔を見たいからあと少しは怒ってるフリして、
   その後でまた普通に接して関係を元に戻す・・・みたいな感じか?」
そんなことを言いながら、乙女はふと思う。こんな酷い計画を淡々と話す自分は、感覚が段々玲に
近づきつつあるのかもしれないな、と。
だが、そんなことを考えている乙女に対して玲が放った言葉は、乙女が思う以上に冷酷で、衝撃的だった。
玲「いや、関係を元に戻す必要はないな・・・」
乙女「・・・は?」
玲「だから、鈴音に元の日常は戻ってこないって事だよ」
乙女「橘、何言って・・・」
その玲の言葉に乙女は、何がなんだか全く分からないといった表情と口調で聞き返す。
玲「気づかなかったのか?おまえが血を吐いて倒れたときのクラスメイトの反応。白鳥の奴、
  多分もうクラスの人間、いや、学校中の人間にまともに口も聞いてもらえないだろうな」
乙女「そ、そんなのわたしが許すって言えば・・・」
その乙女の言葉に対し、玲は乙女を睨みつけた。いや、”睨む”というよりは”蔑む”と言ったほうがより
正しい光をその瞳に湛えて。
玲「秋山、本当にそう思うか?いいか、人を1人血を吐かせたともなると、どれだけ弁解しようとも
  一度与えた印象は拭いきれないんだよ。おまえはそれだけのことをやったんだ、それを簡単に許して
  どうなる問題だと思っているおまえは甘すぎる」
乙女「そんな・・・!」
玲「大体、もし秋山が許して周りの人間に白鳥を再び信用させることが出来たとしても、それを私がやらせると思うか?」
乙女「・・・・・・!」
614582:2006/06/24(土) 23:46:36 ID:???
そして乙女はやっと気づいた。この”契約”で、何を得て何を失くしたのかを。得たものなど何もないのだ。
あえて言うなら手に入れたのは一時の快感だけで、後は全て”魔女”に持ってかれてしまった。
だがそれに気づいたとしても、もう手遅れだった。
玲「・・・・・・。秋山は諜報部って知ってるだろ?あそこは諜報させてもほとんど役に立たないが、
  実は機器類は結構いいのがそろってるんだよ。悪いのはそこに所属する人間のほうだ。道具も
  使い方を知っている人間が使ってこそ、その真価を発揮するってものだよな」
そう言うと玲はポケットから今は珍しいカセットプレーヤーを取り出し、カシャカシャと振ってみせる。
乙女「・・・何が言いたい?」
玲「まぁ、このテープを聴いてみろよ。驚くぞ、きっと」
いきなり話題を変えてきた事に戸惑う乙女。それを見ながら薄ら笑いを浮かべる玲がプレーヤーの
再生ボタンを押すと、カセットテープ独特のノイズを含んだ音声が2人だけの保健室に響き始めた。
615582:2006/06/24(土) 23:47:32 ID:???
一応今日はここまでで。
続きはまた明日以降。
616今月のGFを読んで:2006/06/25(日) 00:39:41 ID:???
>>582さん
お疲れさまでした。

今月号は二本立てと言うことで、二本書きました。
寝転がって適当に読んで頂ければ幸いです。
今月号を読んですぐに思いつきました。
目指した物は熱い鬱ぽにです……
617今月のGFを読んで:2006/06/25(日) 00:41:45 ID:???
 野球とは、マウンドにいるピッチャーを倒せば1点を得られるというゲームであるが
 ピッチャーと戦うには一塁、二塁、三塁、そして本塁を守る四天王を倒す必要がある。
 ここに、南条財閥の嗣子南条操が南条印バットを手に出陣した。
 苦戦の末、一塁の柏木優奈、二塁のズーラ、三塁の来栖柚子を倒した南条は綿貫響と対決した。
 綿貫のグニョリボディはバットの攻撃を柔らかく吸収してしまい窮地に陥ったが
 心臓への攻撃で心室細動を起こさせなんとか撃破。
 ついに南条はピッチャー・柏木優麻と対峙する。
 だが優麻は強かった。
 優奈の師としてさらに強力な技を繰り出す上、優奈相手に出した技は全て見切られていたのだ。
 最後のプライドで苦痛の声を上げない南条に、優麻は究極魔球メテオボールを放った。剛速球となり地球に突き刺さる魔星クルイシン(狂神)。
 勝利を確信した優麻の目にQちゃんが映る。
 実はフェニックスだったQちゃんの力により南条は灼熱の劫火の中からよみがえり、バットの南条印に口づけて剣の封印を解いた。
 形ばかりでスポーツはからきし駄目な南条が唯一出来るスポーツは何か。
 自分と優奈がベッドの上でするスポーツかと嘲笑う優麻に南条は答えた。それは狩りであると。
 南条財閥の嗣子、それは獅子でもあった。
 人間を狩る為の最終奥義と優麻のフォトンクラッシャー。宇宙開闢にも匹敵するふたつの超エネルギーが激突する。
 そして、立ち上がったのは……
618今月のGFを読んで:2006/06/25(日) 00:44:12 ID:???
「おい南条」
 芹沢が問う。
「なんですの?」
「信じてないよな?」
「そういう芹沢さんはお信じになられたの?」
 少々憮然とした表情で自社製バットを弄びながら聞き返す。
「そんな奴はいないだろ……」
 芹沢はひとりキャッチボールをしながら呆れたように答えた。
 姫子は興味を示しながら聞いていたようではあるが、信じてはいない。他の面々は言わずもがなだ、
 ただ一人を除いては。
「……ウソ……だったんですか」
「そうよ」
 サングラスに隠れているからよくわからないがとても複雑な表情で訊ねる神原に、
ハルカは漁師が網にかかった魚を見る目でいかにもおかしそうに答えた。

「ねぇ優麻ちゃん」
「なに、優奈ちゃん」
「高見沢先輩、私たちがベッドで腹筋してるの知ってたんだね」
「優奈ちゃん、そろそろ私が脚押さえなくても出来るようにした方がいいよ」
619今月のGFを読んで:2006/06/25(日) 00:57:12 ID:???
以上です。

前回がやたら長くなったので今回はコンパクトにしてみました。
ちなみにクルイシンはケルト民族に由来しており、狂神とはなんの関係もありません。
620マロン名無しさん:2006/06/25(日) 01:48:49 ID:???
目欄うざい
621マロン名無しさん:2006/06/25(日) 02:57:05 ID:???
黒板みたいで俺は好きだ
622マロン名無しさん:2006/06/25(日) 15:01:27 ID:???
楽しそうに書いてるな〜
623582:2006/06/25(日) 23:59:23 ID:???
早乙女『いくぞ、乙女・・・』
乙女『はぁ・・はぁ・・・早乙女・・・早く・・・』
乙女「なんだよ、これ・・・?」
聞こえてきた声は、早乙女と乙女のものだった。だが、当の乙女はこのやり取りがいったい何の事かわらかないという顔をしている。
玲「・・・いいから聴いてろよ・・・じっくりと・・・」
乙女『ひゃぁ・・・っ、・・ぁっ・・・!はぁ・・さ・・おとめ・・・!』
早乙女『・・乙女っ・・どうだ・・・気持ちいいかっ?』
乙女『ばかっ・・ぁぅっ・・恥ずかしいこと・・・言うなよ・・・っ』
早乙女『はぁ・・はぁ・・・かわいいぞぉ・・・乙女・・・っ』
乙女『ん・・・ぁ・・・もっと・・・さおとめぇ・・・っ』
今も流れ続ける音声の中には、会話のほかにもピチャピチャという水音が響いている。このテープを聴く限り、
乙女と早乙女が行為に興じている時にでも盗聴した録音か何かに思えた。
乙女「・・・なんなんだよ、このテープ・・・」
この内容に驚いたのは乙女だ。それはこんなテープが相手の手元にあれば誰だって驚く。だが乙女が驚いたのは、
いつの間に録音されていたのか?なぜ関係がバレてしまったのか?などという普通の理由ではない。乙女はこの会話、
行為、関係、全てに関して身に覚えがなかったのだ。
玲「ははは・・・不思議か、秋山?」
乙女の反応に対し、玲は不気味に笑いながらプレーヤーを停止する。保健室には先程と同じ静寂が戻った。
乙女「だって・・・わたしはそんなことした覚えは・・・!」
玲「そりゃそうだろ。これは私が作ったんだ」
乙女「・・・・・・!」
乙女は一瞬、玲の言っている言葉の意味が理解できなかった。
だが乙女の反応を見越しているのか、玲は説明をし始める。
624582:2006/06/26(月) 00:01:00 ID:???
玲「これが何かわかるか・・・?」
ポケットから小型の機械を取り出すと、プレーヤーと同じように乙女の前で振ってみせた。
玲「これは盗聴器の受信機だ。この学校のいたるところや早乙女のカバンの中、秋山の制服
  なんかにもつけさせてもらってる。これから音声をとったってわけだ」
乙女「そんなこといつの間に・・・!?・・・大体、その盗聴器とさっきのテープ、何の関係があるんだよ」
そう、たしかに盗聴器を仕込んでいれば先程のテープのような音声も拾えたかもしれないが、今回の場合は
その事実自体が存在しない。それにもかかわらず、なぜあんなものが玲の手元にあるのか、それが最大の疑問だった。
玲「まぁ、落ち着けよ・・・。私だってないものを受信したりは出来ないさ・・・姫子じゃあるまいしな・・・。
  だから言ったじゃないか、私が自分で作ったって」
乙女「だからそれが・・・!」
玲「少し手間はかかったが、機械は全て諜報部の所有物で事足りたよ。音声を合成するくらい、今の時代なら
  知識さえあれば簡単だぞ?基本的には元の声を加工をするだけで使えるし、足りないところはオリジナルを
  基にして作るなり、他から持ってきたっていい。そんなビデオやらDVDなんかは簡単に手に入るからな」
乙女「・・・・・・!!・・・そんなこと・・・」
つまり、玲はこのテープを乙女と早乙女の私生活を含める、あらゆる音声をつなぎ合わせて作ったというのだ。
乙女は俄かに信じられなかったが、今の状況を見る限り信じるしかなかった。確かに、動画ならともかく
音声だけであれば玲の言う通り、持ってきて当てはめればいいだけだ。
手間はかかるだろうが、捏造は不可能ではない。
乙女「・・・それを、どうする気だ?」
聞きたくはなかったが、言うしかなかった。
ここで喋るのを止めてしまったら、その事実を受け入れなければならない気がしたのだ。
625582:2006/06/26(月) 00:02:35 ID:???
玲「私は秋山に計画の邪魔になることだけはさせたくないんだ。それに加えて、確実に動いてくれる手駒も欲しい。
  今の私の要求に答えてくれる奴隷が欲しいんだよ。そこでだ、秋山にそれをやってもらえないか・・・?」
乙女「・・・もし・・・断ったら・・・?」
乙女の声は震えている。乙女の脳内では、おそらく玲の考えているであろう計画がシミュレートされていた。
そして、もし断った場合の玲の行動も・・・
玲「・・・そんなこと言わせなくてもわかってるんだろ?・・・まぁ、そんなに聞きたいんなら聞かせてやるよ。
  もし、秋山が断れば・・・全校放送でテープを流そうかと思ってるんだが、どう思う?」
乙女「・・・わたしがそのテープを今この場で奪えばいいじゃないか」
結局予想が的中してしまったが、乙女もこの場ではいそうですかと従うわけには行かない。だからこそ精一杯の
抵抗を試みる。たとえそれが無駄だと、乙女の本能が訴えていたとしても。
玲「やりたいならやればいいじゃないか。第一、私は秋山に負ける気がしないし、もしそうなったとしたら
  今ここでこのテープを全校に流したって構わないんだぞ?」
乙女「そのテープがこの場にあるのに、か・・・?」
玲「ふぅ・・・聞いても無駄だとわかってる相手に説明するのも面倒だが・・・せっかくだから教えてやる。
  既にこのテープの複製は諜報部の機械の中にもセットしてあって、諜報部から直接全校放送が出来る
  ように回線は調整済みだ。後は機械に再生の指示を出せばこの音声は全校に流れ始める。
  もちろんそのスイッチもこの受信機に組み込んでおいた」
乙女「・・・・・・」
全ての悪い予想が的中してしまった今、乙女は今度こそ失望した。それと同時に玲に従わざるを得ない
今の状況に気づく。いや、もしかしたら全てに確認を取ることで自分を諦めさせたかったのかもしれない。
626582:2006/06/26(月) 00:03:58 ID:???
玲「これでも、私に従う気はないのか?」
乙女「・・・・・・」
玲「そうだな・・・もし従うんだったら、そこに土下座して『奴隷にしてください』とか言ってみろよ。
  まぁ、言わなければ私がどうするかわかってると思うが・・・?」
乙女「・・・・・・」
無言の乙女に、玲は再び機械を振ってみせる。そして抗う気力もない乙女は、気付けばその場に膝を着いていた。
玲「・・・どうした?・・・何も言わないのか?」
乙女「・・・・・・ください・・・」
玲「聞こえないな」
乙女「・・・に・・・ください・・・」
玲「聞こえないって言ってるのが分からなかったのか!?」
痺れを切らしたのか意図的なのか、玲は膝をつく乙女の頭を上履きで踏みつけると、その上でぐいぐいと
体重を乗せてきた。しかも次第に力を強めながら、無言で乙女の返事を待つ。
乙女「わたしを・・・奴隷に、して下さい・・・」
玲「・・・それでいいんだよ・・・」
震える声で膝を着く乙女にはもう鈴音をいじめる事に対しての罪悪感も、玲に土下座をする自分のプライドも、
何もかも感じなかった。極限まで追い詰められた乙女の精神はあらゆる思考や行動意欲を止めてしまったのだ。
正に、玲の”奴隷”状態。
その乙女の様子を確認すると玲は脚を下ろす。自分の思った通りに事が運ぶ様を見るのは、
楽しくて楽しくて仕方が無い。
だが想像通りの結果が得られただけでは、まだ玲は満足しなかった。あそこまで追い詰めればよっぽどのことが
無い限り、自分に従ってくる事は分かっていたのだ。人間、様々な状況の中で一番犠牲にしにくいのは日常であり、
逆に犠牲にしやすいものは他人、この場合で言えば鈴音だ。たとえそれが結果として自分を追い詰める事になろう
とも、環境が崩れてしまう事に対しての恐怖は結局拭いきれない。
しかし、そうなることも乙女がそう思うことも玲にとっての”当然”であり、最上級の満足感は更なる”絶望”を
相手に与えなければ得られないものなのだ。
しかしそれでも楽しいことには代わりが無いようで、気づけば玲は笑っていた。その瞳には自分の足元に跪き、
涙で床を濡らす乙女の姿を映して。
その対照的な感情を抱きながらも決して声には出さない2人のいる保健室は、いつまでも静寂が包んでいた。
627インプランタ晶(ここからグロ):2006/06/26(月) 04:37:57 ID:???
 家庭科室にて、調理実習が始まった。
「ベキ子の奴、来ねーなー、私らだけで作っちまうかー」
「うん、ベッキーには悪いけどそうしましょうか」

「カニカニー!玲ちゃ〜ん、私カニが食べたーい!
 カニミソがたっぷり入った天津飯が食べたい!」
「天津丼にカニミソは入れないし、そんな予算は無い!
 餃子の具を作るから、皮に詰めてくれよ。あとタマネギ隠すな!」

「ねえ、魚は天然物の方が養殖より身がしまっておいしいっていいますよね?
 他には鶏とか豚も、広いところで育てたほうがいいっていうし」
「ああ、そうかもな」
「と、いうことは、脳みそは頭をよく使う、頭のいい人の方がおいしいんでしょうか?」
「…中国人は猿の脳みそ食うらしいけど、私はやだな…、怖いよ…、
 つーか、これからメシ作るのに怖い話はやめてよな」
「………」
 晶は黙ってしまったが、乙女は意に介せず、包丁で野菜をばらし始めた。
端から見ている分には、農家の人が廃棄野菜を処分しやすいようにくずにしているようにも見える。
乙女、晶、そして遅刻中のベッキーの班は、まれに見る不器用ぞろいだった。
「晶、そっちはどうよ?って!」
 晶は今日に限って、料理に使う肉をかたまりからきれいにスライスし、
卵もきれいに割り、今は自分の担当の野菜を慣れた手つきで小口切りにしていた。
「今日はなんだか調子がいいんですー。なんというか、どうすれば物が切れるかとか、
 効率的にやれるかっていうのが、自然とわかっちゃうっていうか」
「こりゃ今日はうまいメシが食えるかもな」

「うん、これはよくできたっスね。あ、南条さん、
 私はちょっとナイフの手入れをしてくるんで、味付けを任せるっス」
 笑顔で応じる南条操に手を振り、ベホイミは自分の世界へと向かう。
どこか静かな場所で、今使ったばかりのナイフの手入れをするのだ。
それは、戦闘用のナイフであるが、調理用にも使えるのはベホイミの強みである。
だが、彼女は、彼女以上の腕前を持つ、いや、持たされた存在に、まだ、気づいていなかった。
628インプランタ晶:2006/06/26(月) 04:39:53 ID:???
「全く開かなくなってしまったわけだが…白鳥さん?」
 修と鈴音の所属する班では、小瓶に入った調味料が、開封不能になっていた。
いや、させられたのだ。鈴音が、手加減無し、先の見通しゼロでフタを閉めたために。
「ごめんね、もう私にも開けられないや、あははー」
「コレハモウ開カナイネ。早乙女センセ呼ブシカナイ」
 ズーラが降参したので、もうどうしようもない状態になっていた。
「開かないのはしょうがない、味付けは醤油や塩だけで何とかしよう」
 修は、どこか慣れたような様子だった。
どこか、調味料どころか、冷蔵庫の整理さえなっていないような環境で、
料理を作った、ないしは作らされた事があるのかもしれない。

「お前さ、何でも出来るっつーか、やりすぎちまうんだよな…」
 調理を一時やめて、乙女は鈴音に声をかける。
「たっはー、誰か開けてくれないかな?
 せっかく桃瀬くんがつくってくれるんだから、
 最高の出来のものが食べたいよ…。お礼はするからさ〜」
 甲高い音がした。
「おい…?」
「あ、開いたんだ?やったー」
「…あり得ない」
それを目撃した全員が、驚きを隠せなかった。
「すごい…手品みたいだ…」
「いやこれは…、手品というより、腕力にものをいわせたというほうが妥当…」
 一条と犬神さえ、注目してしまっている。
「驚愕ですニャ…」
 猫神の体温も、少し上がった。

 調味料を入れた小瓶が、開いていた。ガラス片が散っていた。
散々周囲の者たちを手こずらせたフタは、晶の手の中で、原型を留めていなかった。
「思ったよりも簡単に開いたから、びっくりしちゃいました」
 口で言うほど、フタをこじ開けた晶は、顔色を変えていなかった。
いつも通りの笑顔を浮かべていたが、今はそれが作り物のように見えた。
629インプランタ晶(グロ):2006/06/26(月) 04:41:03 ID:???
「そんなことがあったんスか」
「本当に、宮田さんがやってのけるなんて、意外でしたわ」
「メディアさんなら、やっても意外ではないのだがな。
 彼女、顔に似合わず、並外れた握力を持っているからな」
「あいつには、私も組み合ったら勝てないっスからね…」
 ベホイミは、手入れを終えたばかりの得物を握る力を強め、
いつかメディアに気絶させられた時の事を思い起こしていた。

「それよりもお礼がほしい」
 出来上がった料理を持って乙女の所属する飯マズ班に遊びに来た鈴音に、晶はそう言った。
「あっはー、晶、細かい事覚えてるねー、ま、いいけどね」
「肉、ちょうだい。それだけボリュームがあるんだから…ちょうだい」
 晶は、鈴音を指差して、言った。
「晶がそんな冗談言うなんて珍しいな」
「宮田さんは、もう充分お肉が付いているじゃないの!」
「なぜにお前が怒るんだよ」

 会話に割り込んできた南条の相手をする乙女も鈴音も、
晶の発言は比喩を織り込んだ冗談だと思って笑い飛ばした。
晶が、こんな事を言い出すまでは、誰も晶の真意に気づかなかった。
「感触を思い出すと大変なの。抑えられないんです。
 また、皮を剥ぎたいな、肉を抉りたいな、欠片をすり潰したいな、って気持ちが。
 ベッキーは小さいからすぐ使えなくなっちゃったけど、鈴音ちゃんは大きいから、きっと満足させてくれるよね?」

 そのころ、玲はベッキーが来ないのはサボりだと思い、ヤキを入れるついでに、
自分の作った炒飯を、旧校舎の研究室まで持っていっていた。そして、見た。
「…ベッキー?…う、うっ!うううううう!」
その部屋の床は、バケツを蹴飛ばして倒したときのように、濡れていた。
赤い液体が、そして、金色の頭髪も混じった、挽肉単位にまで加工されたベッキーが散乱していた。

「ああ…約束だから、お礼を勝手にもらっちゃうね。ベホイミちゃん、ナイフ、貸して」
 ベホイミは、相手が晶なので、何の疑いも無く、気をつけて扱うように言付けをして、ナイフを差し出した。
630インプランタ晶(グロ):2006/06/26(月) 04:42:01 ID:???
「ベ、ベホ!何やってんだよ!渡しちゃダメ!」
 乙女が、真っ先に晶の異変に気づいた。そして、ベホイミが問い返す前に、言った。
「晶、おかしいんだよ!急に変なこと言い出して!
 しまって!ベキ子が来てないのは晶のせいみたいだし!」
 ベホイミは、乙女の言いたいことは理解できなかったが、乙女の必死な様は確認できた。
「玲さんに聞けば、その確認は出来ると思うっスけど…遅いっスね?」

 玲は、吐いていた。追ってきた姫子も、泣いて、頭を抱えて、それから吐いた。
ベッキーの研究室は、嫌な色と匂いと、半分液体半分固体と、悲しい嗚咽に包まれていた。
ベッキーは、もう、この世のどこにもいなかった。残ったのは、ジューサーにかけたような汚物だけだった。
しかし、彼女の残した研究室は、今の桃月学園では、最高級に安全な場所であった。

「宮田さん、宮本先生で楽しんだとか何とか、トランプでもしていたのかしら?」
「ナイフ…貸してよ。ナイフが無いと、ダメなんだよね…」
 操も、ようやく晶の異常さに気づいた。そして、自分の周囲に起きている異変にも気づいた。
(ヤギ三郎や他の子たちが、いない…?)
 いつもなら、何かしらの動物が彼女の周りにいるはずで、それは例え調理実習で部屋の外で
待機させているとはいえ、彼女が不安を感じるようなときは、さり気なくそばに来てくれるはずなのだが。
「晶…その目、怖いよ?」
 鈴音は本能的に何かを感じ取ったのか、その場から何歩か後退した。
「宮田さん…本当に宮田さんっスか…?」
 ベホイミは、自分の体が、知らないうちに少しずつ震え始めている事に気づいた。
メディアが傭兵時代の因縁の相手だと気づいたときにも、
優麻を助けるためにトラックの前へ身を挺したときにも、震えは無かったのだ。
「何なんだよ、今日は、もー!朝から響はおかしーしよ!ベキ子は来ねーしさ!」
 乙女は、意味もわからず、その場にへたり込んで涙ぐんだ。

 ここまで来ると、さすがに野次馬たちの人ごみが出来始めた。
日本のことわざで言うと、「飛んで火にいる夏の虫」であった。
晶の心に、また、火がついた。自分の身をも、滅ぼしかねない暴力の火が、である。
「ナイフが無くてもいいや。もうどうでもいいや。そうだ、みんなでひとつになろう!」
631インプランタ晶(グロ):2006/06/26(月) 04:44:33 ID:???
 操は、気がつくと、晶に、マリオUSAのごとく持ち上げられていた。
「…ああっ!?何を、するのよ…」
「南条さん、私の頭にボールをぶつけましたよね?野球で」
 そんなこともあった。南条がスポーツをするときは、様にはなるが、ドジを踏むのだ。
「…ごめんね。ごめんね。あ、謝るから…」
「南条さん、犬神くんの事、好きですよね?」
「許して…って、えええええええええええええ!?」
 予想外だった。いきなり持ち上げられたうえ、恋の話題をされるなど、
操でなくとも想定の範囲外であろう。

「お、おい、犬神…これは…まずいんじゃないか…?」
「修…?私の知らぬ間に、何か揉め事か?」
 野次馬根性を発揮せず、黙々と皿洗いをしていた犬神は、ようやく状況に参加した。
「その恋、私がかなえてあ・げ・る」
「きゃあああああああ!!」
 晶は、操を頭の上へ持ち上げ、犬神へ目がけて全力で駆けた。
その道程にいた野次馬たちは、あまりの馬力に弾き飛ばされた。
「…来るな!」
 犬神は、もはや自分の収拾できる状況ではないと察し、警察を呼ぶため、まずは逃げの1手を打とうとした。
(出入り口よりも、窓の方が近い、ここは一階、大丈夫だ)
そう判断した。だが、それが命取りになった。

晶は、操の足首を右手で握り、振り回した。犬神を追った関係上、そこは窓際だった。
「ぐうっ!!」
「犬神くん!」
 バットのように晶に振り回される操が、壁もしくは窓ガラスに当たりそうになったとき、
それを見ていた犬神は、操を助けるために、自らの身を差し出した。
結果、犬神がクッションとなり、操の傷は軽傷で済んだ。
「ゲホッ…」
 犬神は、血を吐きながら操の方に目をやると、満足そうな顔をして、うなだれた。
「嫌あああああああああぁあぁぁぁあああああ!!!」 
632インプランタ晶(グロ):2006/06/26(月) 05:07:16 ID:G+AmLBu5
今回はここまでです。
なるべく間を空けないようにしたいのですが、
時間が取れないもので申し訳ありません。

>>582
乙です。
633マロン名無しさん:2006/06/26(月) 20:03:57 ID:???
ちょwwww南条フルスイングwwwwww
でも人間フルスイングしたのが当たったら吐血レベルなのか?とか冷静に思った俺がいて泣いた
634582:2006/06/27(火) 00:03:55 ID:???
翌日・朝―1年B組

朝、乙女が教室に入ると数人の女子が群がってきた。その中には他のクラスの人間もいるようだ。
乙女「ぉ、おはよ・・・」
綿貫「おはよう乙女。それより、昨日のは大丈夫だったの?」
昨日乙女は結局教室に戻っていなかった。なので皆色々と心配をして声をかけてきたのだが、
見たところ特に何かありそうには見えない。
乙女「いや、頭打っただけだしさ」
綿貫「でも、血吐いてたし・・・」
乙女「あぁ、あれは口の中が切れちゃって・・・だから大したことないって」
綿貫「・・・ホントに・・・?」
昨日の光景を見ていただけに大丈夫だという言葉が信じ難かったが、話したところも特に
違和感を感じない。綿貫はそれにホッとした。
だが、何もかも変わっていないわけではなかった。
鈴音「あの、・・・乙女・・・?」
おずおずと話しかける鈴音に気づくと、おのずと乙女を取り囲んでいた喧騒が収まる。
乙女「・・・・・・」
鈴音「昨日は、本当に・・・」
乙女「・・・ふざけるな。謝られて私が許すとでも思ったのか?少しは自分の
   やったことを考えて行動しろよ」
鈴音「・・・ぇ?」
平然と鈴音の言葉を遮り軽蔑する乙女に、周りは驚きはしても止めに入ることは
出来なかった。たとえ乙女の身体がなんとも無かったといえ、あの時確かに乙女を
気絶させた鈴音に対して軽蔑の感情を皆少なからず持っていたのだ。
635582:2006/06/27(火) 00:08:21 ID:???
乙女「私の前から失せろ」
鈴音「・・・・・・!?」
乙女「・・・本当によくもまぁぬけぬけと前に出て来れたもんだよな・・・おまえいつか
   人殺しでもするつもりじゃないだろうな?」
鈴音「・・・!そんなこと・・・」
乙女「そんな事無い、か?昨日あんな事しておきながら言い切るのかよ・・・まぁ、わたしは
   おまえなんかに殺されるのはゴメンだからな」
鈴音「・・・・・・」
次々と蔑みの言葉を並べ立てられ、鈴音はまともに喋ることすら許されない。更に周りから
向けられる哀れなものを見る視線が、鈴音の胸を更に突き刺した。
乙女「・・・ま、こんな奴放っといて行こうぜ、綿貫」
綿貫「ぇ?ぅ、うん・・・」
乙女はそういい残すとその場を後にする。
愕然と立ちすくむ鈴音は、自分のやってしまったことを悔いていた。しかも自分の一番信頼していた
相手に見捨てられてしまったのは何よりも辛い。実のところ、信頼しあっていると思っていたから
こそ乙女には気を使っていなかったのだが、その相手にすら嫌われるようなことをしたと思うと
自分が憎くて仕方が無かった。鈴音の前を去り、今度は教卓の近くで談笑している乙女の姿を見ると、
更に悲しみがこみ上げてくる。
鈴音はしばらく、その場から動くことができなかった。
636582:2006/06/27(火) 00:11:27 ID:???
続・朝―桃月学園屋上

朝から屋上に佇む人影がひとつ。その人影―玲は盗聴器から流れる音声に耳を傾けながら、薄笑いを浮かべていた。
玲「ふふふっ・・・ははっ・・はははっ・・・!」
薄笑いが次第に声を出して笑うようになり、やがてその声は空に響き渡るようになる。人の前では決して笑おうとは
思わないが、今の屋上には誰もいない。
玲「ははははっ・・・ははっ・・はははっ・・・!」
玲は愉快で愉快で堪らなかった。正に”奴隷”の言葉どおり鈴音を蔑むことを続ける乙女と、鈴音が本当に悪いと
思い込んで軽蔑する周りの生徒、そして悪くも無いのに苛められる鈴音、全ての人間を自分がコントロール
しているのだと思うと、これに勝る快感は無い。
だいいち、昨日乙女を脅すのに使った文句にほとんど真実は含まれてはいなかった。テープを作ったというのは
本当だがそれも途中までしか完成していなかったし、そのまま即座に放送できるわけでもなかった。
そのうえ実際あのテープを放送しようとは思ってなどいない。もし乙女が誰か教師に聞いたこと全てを
話してしまったとしても、それなら証拠隠滅に動く時間は十分に足りるのだ。
そこでテープを全校放送で流してしまえば乙女と早乙女の供述次第で捏造だとばれてしまう可能性や、
それで自分が学校にいられなくなる可能性もある。そんな割に合わないことをしようなどとは思わないし、
これは飽く迄乙女を精神的に追い込む為の道具に過ぎないのだ。
重要なのは、その道具をどのように使うか、どのように追い込むかであって、乙女が相手なら
これで恐怖に押し負けてしまうことは分かっていたことだった。
玲「はははっ・・ははははっ・・・ははっ・・・!」
自分の計画の完璧さとその結果に満足しながら、そして次はどの様にいたぶり、嬲り、踏み
にじってやろうかと考えながら、声高らかに笑い続ける。その玲の笑い声は”魔女”の如く、
屋上に響き続けていた。
637582 中断:2006/06/27(火) 00:14:11 ID:???
>>632
GJ!
その場の全員がどうやって晶に甚振られるのか、はたまた救世主は現れるのか…
どっちにしろ期待大。

さてそろそろSSの投下数も増えてきたことだし、
穴埋めの意味もなくなってきたかと思う今日この頃。
638マロン名無しさん:2006/06/27(火) 00:53:13 ID:???
続けてほしい
639マロン名無しさん:2006/06/27(火) 01:09:09 ID:???
>>637
つーか乙&GJGJです!!
是非、今後もお願いします。
640マロン名無しさん:2006/06/27(火) 01:13:52 ID:???
増えてきたって言うか今月の人は毎月来てるから実質的にはインプランタだけだな
641マロン名無しさん:2006/06/27(火) 08:08:30 ID:???
「艦長、インプラントネタに対抗するため、桃月学園の宮田晶をさらって来ました」
「対抗って…それはパクリというべきだろう?」
「念のため、桃瀬修、上原都、鈴木さやかさんもさらってきました」
「どういう種類の念かね…?」
 艦長は、銀河通販で取り寄せた銀河ミクロマンで遊んでいて、上の空だった。
「それはさておき、頭脳データ、記憶、あらかた抽出し終わりました。
この銀河スマートメディアに銀河シリアル送信で保存済みです」
「こういうときはベホイミちゃんをさらって来てくれんと…空気読めよキミィ…、
そんなわけで、もう帰しちゃってくれ…。手続きが面倒くさい…ポチッとな」
「艦長!まだ事後処理が不完全で…あ〜あ、何かあったら大変ですよ?」

 ここ、喫茶エトワールでは、くるみが丁度バイトに来た頃だった。
「今日もお客がいないね〜」
「最近暑いからしょうがないんだよ!」
「それ逆〜、じゃ、入りま〜す」
 そのときであった。異星人にアブタクションされていた4人が、転送されてきた、この、エトワールに。
なぜここか?なるべく人目につかない所でという条件で銀河ググったら引っかかったからだ。
「兄貴!?いつの間に?都に6号におまけも!?」
「…んぁ…、くるみか…?何か頭が重いな…。たしか、双子の話につきあってて、
それが終わったから帰ろうとしたら、何か光るものに吸い寄せられて…ああ、水くれよ」
「え?何言ってんの…?」
「おいおい、お客に水も出さないのか、この店は?曲がりなりにも、喫茶店だろ?」
「あんた、6号じゃないの…?」

 4人は、エトワールの、インテリアとして置いてある鏡を見て驚愕する。
「どうやら、私がくるみさんのお兄さんと、都さんが宮田さんと入れ替わりオブジイヤーですね」
 今は修になっている6号が、的確な状況判断を下した。
「はわわ〜、どうしましょう〜」
 今は都の晶もいつもの調子で泣き出す。
「私の体ではわわ〜、とか言うな〜!」
「そ、声優的に問題あるよね」
 続くかどうかは銀河国会で審議中です。でも、銀河小泉首相が会期延長に応じません。
642マロン名無しさん:2006/06/27(火) 16:34:39 ID:???
>>641
GJ。面白いと思う。
できれば続けてほしい。
643マロン名無しさん:2006/06/27(火) 16:46:35 ID:xpE0//vF
>>632>>637>>641
GJ
どれも面白いよ
最近大量投下で楽しいよ。みんな頑張れ。
644582:2006/06/27(火) 23:36:27 ID:???
続・朝―1年B組教室

乙女の見た目はほとんど変わっていなかったが、内面的にはほとんど空っぽの状態だった。
鈴音を蔑むのも、気絶していたと嘘をつくことも、何に対しても抵抗を感じない。乙女を動かしているのは、
玲によって植え付けられた恐怖だけ。
日常を捨てきれないがために、自ら日常を壊していく方を選択してしまう。だがそんなことでさえも乙女は気づかず、
ただ言われるがままに行動することしか出来なかった。
それでも、友人との会話だけはそつなくこなす。今も綿貫たちとの会話を”命令”として続けている最中だ。
綿貫「っていうか、昨日頭打って気絶したばかりなのに・・・ホントに乙女って丈夫よね」
乙女「ん、そうか?」
綿貫「うん、十分すぎるくらい」
乙女「ふ〜ん・・・そうなのか」
その時、鈴音のほうが丈夫だよな、と乙女の脳裏に一瞬ちらつく。しかしそれは脳内で”不要な情報”として即座に
隠蔽されてしまった。今の乙女にとっては不要なことを考えないことが一番楽で、植えつけられた命令を阻害する
情報は本能的に拒絶されていたのだ。だからそうやって、自分を偽り続けるしかない。
綿貫「そういえば、1時間目ってなんだっけ?」
乙女「えーと、確か・・・」
友人達と話す乙女の周りは賑やかだったが、それは飽く迄作り物であって、偽りだった。肝心の乙女の心の中には、
服従以外の何も残っていないのだから。

〜数日後―桃月学園

乙女だけならず、誰にも相手にしてもらえない鈴音は日に日に困憊していっていた。そして乙女の方も、自分の感情を
殺しながら鈴音を蔑み続けるのにはいい加減嫌気がさしてきたし、それによって心身ともに、徐々に疲れ始めている。
それでも乙女の場合は普通に振舞えと”命令”されていて、鈴音はそもそも気にかける人間がいなかった。
しかもそれらは全て玲によって乙女を介して常にコントロールされ、周りからは決して変化しているように見えないのだ。
そのようにして計画を進めることで、まるで養分を吸うかの如く玲は快感を手に入れ、鈴音と乙女には限界が近づいていった。
645582:2006/06/27(火) 23:38:46 ID:???

昼休み―1年C組教室

玲「ん?」
玲の携帯に誰かからのメールが来たのは、珍しく教室で弁当を食べていた時だった。
『話があるので、放課後、屋上まで来てください』
一行それだけが記されており、差出人は『白鳥 鈴音』、そう画面には表示されている。
くるみ「どうかしたの、玲?」
玲「いや、別になんでもないぞ」
くるみ「ふ〜ん・・・」
目の前で弁当箱をつついているくるみを適当にごまかしながら、メールの意味を考える。
裏で鈴音いじめを進めているのは玲だが直接いじめていたのは乙女なのだから、鈴音が玲の存在に
気づいたとは思えない。だとしたら、いったい何の話があって呼び出したというのだろうか?
姫子「そういえば玲ちゃん、最近なんか嬉しそうだよネ〜」
ベキ「なんかいいことでもあったのか?」
玲「・・・・・・。いや、いつも通りだと思うが・・・」
物思いに耽っていた玲は現実に引き戻され、一瞬怯みながらも心の内を悟られないように答える。
実際はいつも通りではなく、姫子の言う通り、玲にはまわりに気づかれてはいけない秘密の”娯楽”があった。
しかし心境が絶対に表に出ることがないと思っていたので、気づかれそうになった自分に驚いた。
玲(・・・少し気を引き締めるか・・・。それはそうと、白鳥の奴、いったい何の用だ・・・?)
何か、嫌な予感がした。だが玲はそれを頭の中で掻き消す。全ては自分の思い通りに進んでいる
はずであって、自分にとってマイナスに進むことはありえないのだ。こんなことは単なる考えすぎで、
もしかしたら乙女のように鈴音も自分を頼ってくる気かもしれない。
これから本当に起こることも知らずに、玲は物思いに耽るのだった。
646582:2006/06/27(火) 23:40:29 ID:???

放課後―〜桃月学園屋上

カツン、カツンと、屋上へと続く階段を乾いた音が響く。玲は昼休みに受け取った
メールの通りに、屋上へと歩んでいた。
玲の胸のわだかまりは既に吹っ切れて、今はもう楽観的に屋上へと向かっている。
全てをコントロールしてきた玲は、屋上で何があろうと自分が対処できないはずがない、そう断言できた。
だから屋上での出来事を憶測するのはもう止めていた。憶測は飽く迄憶測であって、それに頼ると予想外の
出来事が起きたときに、逆に自分の判断を鈍らせてしまうからだ。

教室を出てからそれほどかからずに、屋上の鉄扉が見えてきた。そして間もなくその扉の前に立ち、
ギィッという摩擦音と共にそれを開け放つ。そこで玲が見たものは・・・

玲「・・・・・・!」
鈴音「よかった。来てくれて」
屋上に立ち笑顔を見せる鈴音の姿だった。
647582 中断:2006/06/27(火) 23:44:14 ID:???
とりあえず。

GJとかすごいうれしい。ありがとう。
本当に原動力になるものだと思った。
648マロン名無しさん:2006/06/27(火) 23:45:52 ID:???
>>647
GJです!!
毎日読めて幸せです!!なんかすごく盛り上がってきてハラハラしてます!
649マロン名無しさん:2006/06/28(水) 00:13:58 ID:???
>>641
>銀河小泉首相が会期延長に応じません。

ウケたwwwwwwwwwwwwwww
650マロン名無しさん:2006/06/28(水) 00:57:11 ID:???
>>641
銀河臨時国会を銀河招集して銀河書いてほしいです。

ところで都と念仏都が入れ代わったらと妄想したら銀河楽しくなってきました。
651マロン名無しさん:2006/06/28(水) 02:41:48 ID:???
>>650
是非SSに
652582:2006/06/29(木) 00:51:06 ID:???

前・放課後―1年教室前廊下

乙女はもう、限界だった。
玲に植え付けられた恐怖心も僅かながら日毎に薄れていき、逆に自分が何をやっているのかに気付き始めていた。
だが、それでもやはり恐怖心が完全に無くなる訳でもなく、玲の命令に従って鈴音を軽蔑し続けるしかなかったのだ。
しかしこんなことを実行していて気分の良い訳がなく、鈴音に言葉をひとつ投げかける毎に、最初には感じなかった
罪悪感が徐々に乙女の心を埋め尽くしていくのを感じた。
乙女(やっぱり・・・やめなきゃ・・・)
玲の洗脳ならぬ強制を受けてまだまともに働かない頭を、必死に使って考える。だが、止めなければならないことは
わかってもその手段が今の乙女には思い浮かばない。しかも現状としては決定的に玲が主導権を握っている状態であり、
下手に行動すればあのテープを流されてしまう可能性があることくらいは分かった。
とその時、乙女の視界を玲が通り過ぎた。そして、今の自分に出来る最大の方法を思いつく。
乙女(・・・橘に・・・頼んでみよう・・・)
常人ならこんな手段は第一に捨ててしまうが、乙女にそんな余裕はない。それこそが乙女にとって唯一の、
そして最大の努力なのだ。
乙女は玲が階段を上っていったのを確認して、その後を追う。恐らくいつものように屋上で盗聴器でも
いじる気であろうから、誰もいないその時に話しかければいい。
乙女は固い決意を胸に、自らを犠牲にしに行くつもりで、しっかりとした足取りで歩き出した。
653582:2006/06/29(木) 00:53:12 ID:???

続・放課後―桃月学園屋上

玲「・・・・・・!」
鈴音「よかった。来てくれて」
鈴音がこちらに向かって微笑んでいる。それだけならどこにも異常はないが、鈴音の立っている場所が普通ではなかった。
玲「白鳥、何のようだ・・・?それと・・・なぜ柵の向こうにいる?」
鈴音は今、玲と柵を挟んだ位置、普通なら柵を乗り越えなければたどり着けない場所に立っていた。
これが異常以外の何だと言えようか。
鈴音「なんでって・・・わたしもなんか辛くなっちゃってさ〜・・・死んでみようかと思ったんだ〜・・・」
玲「死んでみようかって・・・」
あまりにも予想外の状況に愕然とする。さすがの玲でも、自分の目の前で自殺が起こるなどとは考えていなかった。
第一、なぜ自分なのだろうか?鈴音にはこのいじめの全貌がつかめていないはずで、自殺を見せ付けるのなら
鈴音を直接ここまで追い込んだ乙女を呼べばいい。だが鈴音は表向き無関係の玲を呼び出した。
その理由がいまいち分からない。
しかしその疑問は鈴音によってすぐに明かされる事になる。
鈴音「わたしね、橘さんに頼みごとがあるの。な〜んか最近乙女と仲よさそうだし・・・」
それか、と思った。確かに最近は何かと乙女といることが多かったし、それが乙女を常に気にかけるような
人間に見られていてもなんら不思議はなかった。
654582:2006/06/29(木) 00:54:20 ID:???
玲「まず、落ち着け、白鳥・・・私がそっちに行くから動くなよ・・・?」
疑問がひとつ解けると同時に自分の立たされた状況を思い出し、鈴音の自殺を止めに入るべく一歩一歩近づいていく。
自殺の現場など立ち会ったことのない玲は、もちろん対処法も知らない。とにかく刺激を与えないようにと少しずつ距離を詰めていった。
鈴音「こないでほし〜な〜・・・わたしも頼みを聞いてもらう前に死んじゃいたくはないから・・・」
玲「・・・・・・!!」
さすがにその言葉に動きを止める玲は、そして動くことを止めて初めて、自分の身体が震えている事に気づいた。
自分の目の前で人が死ぬ、そのことがどういうものなのか、直面して初めて知ることが出来たのだ。
鈴音「あのね、橘さんから乙女にわたしの携帯、渡しておいて欲しいんだよね〜」
玲「・・・形見のつもりか・・・?」
鈴音「まぁ、そういうことになるのかな?」
玲「・・・・・・」
震える声の玲は、鈴音の顔もまともに見られない。鈴音の言っていることとその表情とが
あまりにも対照的で、あまりにも不気味だったからだ。
そしてここまで鈴音を追い込んでしまったのは自分だということに気づく。
こうまで鈴音の精神を壊してしまった自分が恐ろしかった。
鈴音「じゃぁ、乙女によろしくね。・・・あと、ゴメンって・・・言っておいて・・・」
玲「おぃ!白鳥!?」
形見として残した携帯を手すりに置くと、次の瞬間鈴音の身体は宙に舞っていた。
結局最後まで微笑んだまま、まっ逆さまに堕ちて行くその姿が、玲の見た鈴音の最期の姿だった。
655マロン名無しさん:2006/06/29(木) 02:07:45 ID:???
鈴音しんだあああああああああああああ
656マロン名無しさん:2006/06/29(木) 02:47:18 ID:???
うおおおお。
ていうか乙!!
すごく面白い!!
鈴音ええええええ!!
657マロン名無しさん:2006/06/29(木) 02:56:57 ID:???
そして鈴音の携帯に冥界から着信が
658マロン名無しさん:2006/06/29(木) 06:30:09 ID:???
着信ありかよwwwwwwwww
659582:2006/06/30(金) 01:12:29 ID:???
玲「・・・・・・!!」
ふらふらとした足取りで今まで鈴音の立っていた場所に歩み寄り、そして絶句する。
下には、長い髪を広げて沈黙する血塗れの鈴音の姿が紛れもなくそこに存在している。
?「・・・おぃ・・・なんなんだよ、これ・・・」
その時、手すりと携帯とを握り締める玲に声が掛かった。
玲は焦点の定まらない目のままに振り向くと、そこには・・・

同時刻―桃月学園屋上

玲の後をつけて来た乙女が見たものは、とても信じられないような光景だった。

乙女が屋上に上る階段に着いたときには玲は既に屋上についていたようで、
誰かと何かを話しているようだったが、乙女のもとまでは話し声が聞こえない。
玲との接触を他の人間にあまり見られたくはなかったのでしばらくそのまま
待機していたのだが、待っているうちに誰と話しているのかが気になってしまい、
気づけば階段を上っている自分がいた。
一瞬戸惑ったが、玲に気づかないようにとすこしづつ近づいていった。
660582:2006/06/30(金) 01:14:08 ID:???

そして、見てしまった。鈴音が屋上から飛び降りる瞬間を。
乙女「・・・おぃ・・・なんなんだよ、これ・・・」
見た瞬間、たった今目の前で起きた現実に愕然とした。信じられなかった、信じたくなかった。
だが乙女の脳はこういう状況にもかかわらず的確に現状を把握し、ある結論を導き出す。
・・・鈴音が、死んだ。それ以外に、今の状況を説明する方法はない。
乙女「なんで・・・鈴音が・・・」
そして、今の状況で乙女の脳では理解し得なかったことがひとつあった。・・・理由だ。
なぜ、鈴音は死んでしまったのか?何が理由なのか?・・・誰が理由なのか・・・?
玲「・・・秋山・・・」
自分の名前を呼ぶ玲の方に向いた途端、それがその不完全な思考の無限ループに、パーツをひとつ収めていた。
乙女には、今まで鈴音の死体があるであろう下を見ていた玲の口元がにやけているように見えていたのだ。
実際に笑っていたのか、疲労しきった乙女の脳が見せた幻想かは分からなかったが、それが原因となって非合理的な、
それでいて乙女にとっては絶対的な結論が導き出される。
乙女(・・・事の発端は、こいつだ。・・・こいつがいなければ私はこんな思いをしなくてすんだ。
   ・・・こいつがいなければ私は鈴音をいじめなくてすんだ。・・・こいつがいなければ・・・鈴音が死ぬことなんてなかった・・・!!!)
自分が始めた事だということも忘れて、理不尽な怒りで思考が一杯になる。そしてその怒りは力となって、乙女を突き動かした。
乙女(・・・こいつがいなければ・・・。・・・こいつを消せば・・・。・・・こいつを殺せば・・・。・・・こいつを殺す・・・!!)
乙女「橘あぁぁぁぁー!!!」
玲を殺せば全てが元に戻ると信じて疑わずに、何の迷いも無く突進する乙女。
マイナスの作用で高ぶった感情が、その勢いに更に拍車を掛ける。
そしてその瞳には、今度こそ理性の欠片も残っていなかった。
661582:2006/06/30(金) 01:16:12 ID:???

乙女の姿を確認した直後、乙女が叫びながら突進してくるのが見えた。
そして乙女が自分を殺そうと思っているのだということも分かった。
このまま動かなければ、押し倒されていいようにされるなり突き飛ばされて落とされるなりして、
きっとそのまま殺されるだろう。あの乙女の瞳に宿る画然たる殺意が、それを物語っている。
だが、玲は殺されるつもりなどなかった。今まさに殺されようとしているにもかかわらず
冷静でいられる自分が不思議だったが、理由を考えるのは後でいくらでも出来る。
今やらなければならないのは、自分の身を守ることだ。そんなことを考えていると、
自分を殺そうと突進してくる乙女の姿が可笑しくも感じられた。
乙女「消えろおぉぉぉ!!!」
玲「・・・・・・」
一瞬だった。まともな思考も働かない乙女が飛びかかった瞬間に玲が身を引き
力の全てを受け流すと、乙女の身体は目標を失い柵に向かって突進していく。
乙女「・・・・・・!!」
玲「・・・・・・」
元から持っている走力と玲の補助で勢いづいていた乙女の身体は、柵を
乗り越え宙に舞っていた。一瞬だけ二人の目が合い、1人は狂った微笑を、
1人は狂った怒りの表情を相手の姿に見る。そしてそのコンマ数秒の沈黙の後、
乙女は玲の視界から消えていった。
玲はしばらく微笑の様なものを浮かべたまま、まるで先程の鈴音のように立ち尽くしていた。
理由を考えるのは後で出来るなどと考えたものの、ひと1人・・・いや、ひと2人
殺してしまった今は何かを考えようとも思わない。
玲「・・・ふふ・・・ふふふっ・・・」
なぜだかは分からないが、不思議と笑いがこみ上げてくる。その声は次第に大きくなっていった。
玲「・・ふふっ・・・ははははっ・・・!」
自分がなぜ笑っているのか理解できなかったが、それでも玲は笑うことを止めようとはしない。
心の奥底から湧き出てくる感情に任せて、ただただ笑い続けるだけだ。
まるでそれが死んだ2人への手向けとでもいうように。そしてそれを楽しんでいるかのように。
玲「はははっ・・・ははっ・・ははははっ・・・!!」
玲の狂的とも思える笑い声はいつかのように、いつまでもいつまでも屋上に、学園に、大空に響き渡っていた。
心の底から、笑い続けていた。
662582 一応。:2006/06/30(金) 01:23:07 ID:???
一応、続いてます。

…が、ここで終わってしまった方が良いかもしれない。
とか思ってるので、BADENDが好みな方は
次以降を読まない方がいいかもしれないです。

出来が良いとは言えないと思うので。

穴埋め程度に。
663マロン名無しさん:2006/06/30(金) 01:25:54 ID:???
携帯電話の未送信メールに乙女に感謝したり謝ったり素直に愛を伝える言葉が並んでる感動の展開かと思った


そしてある日何気なく最初と最後の文字を抜き出してみると

しれちもさいなはりひ
ねだづみまきなしでと
664マロン名無しさん:2006/06/30(金) 02:04:48 ID:???
>>662
582さん、毎日乙です。オメガ続き気になりますよ。
というか読んでて玲ちゃんにハマりそうです。格好よすぎ。
665マロン名無しさん:2006/06/30(金) 08:03:20 ID:???
屋上の柵ってそんな低い物でもないような気がするんだ…


禁句?
666マロン名無しさん:2006/06/30(金) 08:05:52 ID:???
学校によりけりじゃないか?俺の母校では腰までの高さしか無かったが
667マロン名無しさん:2006/06/30(金) 16:37:27 ID:???
乙です。

>>665
勢いあまって転げ落ちるってこともあると思うんだ。
668マロン名無しさん:2006/06/30(金) 17:04:21 ID:???
アニメの桃月学園の屋上は頭上まであったような気が
669マロン名無しさん:2006/06/30(金) 17:12:22 ID:???
細かいツッコミはやめとけよ。
面白い話なんだし、いいんじゃね?
670マロン名無しさん:2006/06/30(金) 17:21:56 ID:???
いいと思う。面白いから。
続き…待とう。
671マロン名無しさん:2006/06/30(金) 18:02:35 ID:ablYFHdX
582さん 毎日楽しみにしてます

672マロン名無しさん:2006/06/30(金) 19:41:36 ID:???
誰か未完のSS把握できてる人はいます?
673マロン名無しさん:2006/06/30(金) 19:45:24 ID:???
>>672
>>1の保管庫は?あそこ保管されてるのって全て完結した作品かな・・・。
わがんね。
674マロン名無しさん:2006/06/30(金) 20:00:50 ID:???
>>673助言どもです

ちょいと見てきた結果、未完なのは

・ぱにめたる・じゃけっとの巻
・鈴音いじめ グッドルート(バッドルートは完)
・ぱにぽにバトルロワイアル
・インプランタ晶
・危機の名前はマーボー!

ってとこ?
最後のはよく分からない
675マロン名無しさん:2006/06/30(金) 20:56:25 ID:???
五十嵐先生のやつもみかんじゃないっけ
とにかく俺は待ち続ける
676マロン名無しさん:2006/06/30(金) 22:13:01 ID:???
>>675
人格改造(だったか?)だったら少し前に続きしてた希ガス。
それとも別の?
677マロン名無しさん:2006/06/30(金) 23:07:14 ID:???
マーボーは未完。
管理人さんの日記に書いてある。
678マロン名無しさん:2006/07/01(土) 00:55:44 ID:???
>>663
それどう読めばいいの?www
679マロン名無しさん:2006/07/01(土) 01:06:42 ID:???
>>678
右から下へと読む
するとこうなる…

ひとりではしなないきさまもみちづれだしね
(一人では死なない、貴様も道連れだ。死ね。)
680582 そろそろ:2006/07/01(土) 02:50:14 ID:???
続・放課後―桃月学園屋上

玲「はははっ・・・ははっ・・ははははっ・・・!」
あれから何分経っただろうか、玲はまだ笑うことを止めていなかった。いや、止められなかった。
玲「ははっ・・・はははっ・・・!」
別に玲の精神がおかしくなってしまった訳ではなく、逆におかしくなってしまった方が楽だと思う程だ。
だがもともと強い精神力を持つ玲は完全に壊れることなどは出来ず、事実から目を背ける為に、
こんなことも考える事が出来ない程におかしくなってしまおうと笑い続ける。
玲「ははっ・・・ははは・・・は・・・」
それでも、その行為が無駄だということにも玲は気づいていた。その声は徐々に小さくなっていき、
やがては笑い声ですらなくなった。
玲「・・・・・・っ」
玲は泣いていた。その顔は現実に抗うかのように笑顔の形に歪んだままだったが、その声は
嗚咽へと変わり、瞳からは狂的な光が消えて雫が流れ落ちている。
玲の思考が完全に元に戻るのには、それからさほど時間は掛からなかった。

玲(・・・私が2人を・・・殺した・・・)
まともに戻った玲は涙を拭いながら考える。延々と涙を流し続けることは、たとえ他に見ている者が
いないとしても玲のプライドが許さなかった。たとえ今自分が普通ではない状況にあったとしてもだ。
そのまましばらく何かを思案するかのように沈黙し続ける。本当に自分がどうするべきか考えて
いたのかもしれないし、何も考えたくなかったのかもしれない。とにかくその場で呆然とし続ける。
そして何を思い立ったのか、玲はまだ充血した目のまま立ち上がると、未だに覚束無い足取りで
どこかに向かって歩き出した。
681582 ぐでぐで化:2006/07/01(土) 02:53:30 ID:???
続・放課後―宮本研究室

玲はベッキーがいるはずの宮本研究室の前に立っていた。
その研究室の扉を叩くとコンコンという乾いた音が廊下に響く。
ベキ「どーぞー」
部屋に踏み入れる事に少し躊躇したが、それも一瞬だった。
玲「失礼します・・・」
ベキ「・・・・・・!・・・玲か・・・珍しいな」
玲「あぁ・・・少し話したいことがあってな・・・」
意外な訪問者に少し驚き気味のベッキーだったが、仕種で玲に席を勧める。
ベキ「んで、なんだ、話ってのは?」
玲「・・・・・・」
数秒の沈黙の後、玲は意を決して口を開いた。
ベキ「・・・ん?」
玲「私、人を殺したんだ・・・」
ベキ「・・・・・・」
玲「・・・・・・。何も言わないのか・・・?」
ベッキーが簡単には信じないと思っていた玲は何も聞き返してこないこと対して疑問を覚え、
それをそのまま質問とする。

ベキ「・・・嘘だとするならその泣き腫らした目は何だ?・・・それに聞いてる方も辛いことなら全部一気に話してくれよ
   ・・・それまで私は逃げるわけにはいかないんだ」
何がいったいベッキーをそうさせるのか分からなかったが、泣いていた事がバレていた恥ずかしさと、何の疑いも持たずに
自分と対峙してくれているベッキーに対しての申し訳なさで玲は胸がいっぱいになった。だが、涙は堪える。
泣くのはベッキーに全て聞いて貰ってからでもいい。
玲「実は―――」
玲はベッキーに向かって、今の今まで起こっていた真実を打ち明け始める。

682582 穴埋め程度に:2006/07/01(土) 02:55:15 ID:???
ベキ「つまり玲の指示で秋山を使って白鳥いじめをやらせていた。だが追い詰めすぎて白鳥は自殺、
   それを目撃して飛び掛ってきた秋山を返り討ちにして・・・殺した、と・・・。玲はそう言いたいんだな」
玲「・・・あぁ・・・。そう言いたい、というよりそうした、と言ったほうが正しいような気もするが・・・」
何事も要領の良い玲は説明にもそれほど時間をかけることは無く、数分後にはベッキーに全てを話し終えていた。
ベキ「・・・・・・」
玲「・・・・・・」
しばらく2人の間を沈黙が包み込む。そして最初に口を開いたのはベッキーだった。
ベキ「・・・・・・。・・・じゃぁ、ついて来い」
玲「・・・?」
普通ならここで教師として説教をするなり玲の心境を聞いたりするのだろうが、ベッキーは
おもむろに立ち上がると、既にどこかに歩き出している。
ベキ「・・・早くしろー」
玲「・・・・・・」
意味が分からず呆然とする玲はベッキーに急かされると、ふらふらとした足取りで仕方なく
ベッキーの後を追いかけはじめた。
ベキ「・・・・・・」
玲「・・・・・・」
移動中ベッキーが玲に話しかけることは無く、玲はうつむいてしまって話しかける余裕も無く、気づいた
ときにはもう昇降口前まで来ていた。ベッキーが足を止めたのだから、ここが目的地なのだろう。
いや、それともここで靴を履き替えて今から自首しに行くぞとでも言い出すのだろうか。
ベキ「玲・・・。・・・玲!外を見てみろ」
玲「・・・・・・!」
すっかり自分の世界に入っていた玲はベッキーの声で我に返る。そして言われた通りに昇降口の前へと
視線を向けた。そして驚愕する。そこに見た光景は・・・
683マロン名無しさん:2006/07/01(土) 04:39:53 ID:???
乙!
乙!
乙!
乙!
684マロン名無しさん:2006/07/01(土) 09:07:32 ID:???
    |┃三
    |┃  、))
    |┃, --" - 、
    |┃〃.,、   ヽ
    |┃ノ ノハヽ、 ヽ
    |┃l'┃ ┃〈リ
    |┃|l、 _ヮ/从 マホ? GJカナー
    |┃/∀_ヽ.
______.| (ゝ   〈、つ
    |┃/___ゝ
    |┃/-/-|
    |┃二) ニ)
 ガラッ
685マロン名無しさん:2006/07/01(土) 20:56:23 ID:???
GJ
686マロン名無しさん:2006/07/02(日) 01:14:01 ID:???
息を呑む展開だぜ・・・
687582 やっぱり:2006/07/02(日) 02:39:53 ID:???
続・放課後―昇降口前

鈴音「鈴音トルネードスマッシュなり〜!!」
掛け声と共に鈴音がラケットを振るうと、持ち前の腕力と背の高さによる位置エネルギーによりシャトルが
音速の速さとなって一条に襲い掛かる。
一条「・・・秘技、トルネードスマッシュ返し・・・!!」
だが一条はその一撃に怯みもせず、華麗なるステップと共に生まれる回転力を利用した打法で打ち返した。
しかし鈴音もそれを黙ってみているわけが無い。
鈴音「と〜りゃ〜!スマッシュ返し返し〜!」
地面スレスレの難しい位置で何とかシャトルを捕らえ、更に打ち返す。そしてまたもや威力を持って
放たれた弾丸の向かう先は・・・
乙女「うわっ!!あっぶねーな!ってかどこ向けて打ってんだよ、鈴音!!」
鈴音「あ〜、ゴメンゴメン」
鈴音が打ち返したシャトルは、乙女の頬をかすめ地面に食い込むように落ちていた。
もし当たっていたなら、せっかくの乙女の命が危なかっただろう。
メディ「・・・あ、宮本先生がこちらに向かって歩いてきてるみたいですよ〜」
ベホ「橘さんも一緒ッス。ってことはやっぱり研究室のほうに行ったみたいッスね」
鈴音たちのやり取りを遠巻きに見ながら、メディアとベホイミはこちらに歩いてくる人影に気づいて報告する。
乙女「何?どこにも見えないぞ」
一条「・・・心眼ですよ」
乙女が気づかないのも当たり前で、メディアとベホイミは常人外れた身体能力を持ち合わせている。
たとえここが戦場ではなくても常に周囲に注意し続けている2人にとっては、一階に降りてきた
ベッキーと玲を発見することなどは容易なことだ。
乙女「心眼って・・・」
鈴音「気にしな〜い気にしな〜い!一条さん、も一回やろ〜」
一条「望むところです」
そんなやり取りをしながら、もうベッキーたちがこちらに向かって来ているというのに
バドミントンを続ける。そんな様子をベホイミが呆れ気味に眺めていた。
メディア「橘さん、驚くかもしれませんね〜・・・」
騒がしい声で叫んだり喚いたりしている鈴音たちのなかでメディアが1人、そうポツリとつぶやいた。
688582 ぐでぐで化:2006/07/02(日) 02:44:26 ID:???

玲「・・・・・・!!なんで、2人とも生きて・・・!」
玲が見た光景、それは目の前で生きてバドミントンをしている鈴音と乙女の姿だった。
ベキ「なんでって・・・まぁ、こういうことだ」
こういうことだと言われても、何がこういうことなのかさっぱり分からずに玲は混乱するばかりだ。
玲「・・・だって・・・2人とも死んだはずじゃ・・・」
ベキ「まぁ、玲にはそう見えただろうな」
そう、玲は乙女の死は確認してはいないものの鈴音の死体はこの目でしっかりと見ている。しかもベッキーでさえ
玲の意見を肯定しているのだ。だが玲は混乱する頭の中、この場で確認できる決定的な矛盾点を見出した。
玲「・・・そう”見えた”・・・?」
ベキ「そうだ、玲にはそう見せたんだよ。ある生徒の頼みでな」
玲「どういうこと・・だ・・・?」
玲はますます混乱した。盗聴器などの機器を駆使して校内のあらゆるやり取りを把握しているはずだが、
誰かがベッキーに何かを頼んだことなど、しかも自分に関わることなど全く気がつかなかった。
特に頼みそうな相手といえば直接いじめを受けていた鈴音か乙女のどちらかでしかなく、
そうともなればなおさら気づかなかったことが信じられない。
一条「恐縮です」
玲「・・・・・・?」
数秒間、混乱する玲の前でいきなりお辞儀をし始めた一条の行為が全く理解できなかった。しかし気づく。
たとえば一条がベッキーと接触していたなら把握できない可能性も十分にありえるし、今の行為も説明が
ついてしまう。俄かにその可能性が信じられなかったが、何しろあの一条だ。
ベキ「なんか結構前から玲の行動は知ってたみたいだぞ。それで何でか分からんが私に協力を求めてきたんだ。
   玲を止めてくれってな」
689582:2006/07/02(日) 02:46:18 ID:???
玲「・・・何で、だ・・・?」
なぜわざわざいじめを止めに入ったのかが分からず、一条に視線を向ける。鈴音や乙女とはそれほど交流が
あったわけではなかった筈だし、いまいち理由がつかめない。
だが一条はそれが当然であるかのように答える。
一条「学級委員ですから」
ベキ「ま、そういうことだ」
玲が一条を突き詰める隙も無く、ベッキーがその話を終わりにさせた。
おそらくベッキー自身も一条を理解することなど諦めているのだろう。
しかし、まだ納得できないことがもうひとつあった。
玲「でも、どうやって・・・?」
そう、手段だ。いったいどんなトリックを使えば玲の目をごまかすことが出来るというのだろうか。
その言葉に対してもベッキーは余裕の表情で答える。
ベキ「まぁ、私は天才だからな。そんな手はいくらでも思いつくさ」
ベホ「今回は結構強引なトリックだったッスけどね」
メディ「成功したんだしいいじゃないですか〜」
そんなことを言われても、玲は何がなんだかさっぱり分からない。
玲「・・・は?」
ベキ「・・・まぁ、どうせ何の事か分からないだろうから説明してやるよ。ちゃんと聞いとけよ」
ベホイミの突っ込みと何も分かっていない様子の玲をを天才らしくスルーして、
ベッキーは先程起こった出来事を説明し始めた。

690582:2006/07/02(日) 02:49:19 ID:???
前・放課後―空き教室内

ベホ「メディア、引くッスよ!!」
メディ「はいぃ〜」
鈴音が飛び降りたのを確認したベホイミがメディアに声をかけると、2人で鈴音の身体に取り付けられた
ロープのようなものを引き上げる。
ベキ「2人ともー、がんばれー」
汗を流しながら下に落ちた鈴音を引き上げる様子を見ながら、ベッキーはいかにもヤル気なさげな応援をしていた。
ベホ「宮本先生もっ・・・少しは手伝ってくれてもっ・・・いいじゃないッスか・・・!!」
ベキ「は〜?わたしはそのワイヤーの開発で疲れてるんだ・・・それに1人分の体重くらい2人でやれば余裕だろ〜?」
メディ「でも〜・・・やっぱり屋上の真下の階から・・・引き上げるのは・・・ちょっと疲れますね〜・・・」
ベホ「って・・・聞いてるんスか・・・宮本先生・・・!」
一条「・・・先生、どうかしましたか?」
だが今までヤル気なさげにだらけていたベッキーの表情が、屋上に仕掛けた盗撮機のモニターを見て硬くなっていた。
その様子に気づいた面々に緊張が走る。
メディ「ふぅ・・・どうかしたんですか、宮本先生?」
やっと鈴音を引き上げ終えたメディアがベッキーに訊ねると、モニターからは目を離さずに一言つぶやいた。
ベキ「・・・ちょっとヤバイかもしれないぞ・・・」
ベホ「はぁ・・はぁ・・・ヤバイって・・・なにかあったんスか・・・?」
そのベホイミの問いかけに一拍の間をおいた後、険しい表情のままベッキーは答える。
ベキ「あぁ・・・乙女が玲の後をつけていたらしい・・・」
鈴音「じゃあ、乙女はわたしが死んだって思っちゃってるってこと?」
一条「・・・一瞬即発ですね」
ベキ「ヤバイ・・・!このままだと、どっちか落ちるぞ・・・!!」
その言葉に、一同は息を呑む。そして次の瞬間、モニターにはもみ合いから落ちそうになる乙女の姿が映っていた。
691582:2006/07/02(日) 02:53:00 ID:???
最悪の事態にその場が凍りつく。しかし1人だけ、即座に動いた人物がいた。
ベキ「白鳥っ!無理だ!!」
おそらく乙女を助けようとしているのだろう鈴音が、教室の窓に駆けていくのに気づいたベッキーが叫ぶ。
今からそこに待機してもよっぽどの事がない限り乙女を助けることは不可能だろうし、下手をしてタイミングを
誤ったりすれば鈴音の身にも危険が及んでしまうかもしれない。乙女を見捨てるわけではなかったが、合理性を
考えてベッキーは鈴音を止めようとする。だがそれでも鈴音は止まろうとはせずに、乙女が自分の目の前を
通過すると同時にあろうことか窓から飛び出していた。
ベホ「メディア!いくッスよ!!」
メディ「はぃ〜!」
そしてその様子をみたベホイミとメディアも鈴音に取り付けられたままのワイヤーに手をかける。
しかしベッキーはもう諦めていた。落下物を後から追いかけても落下速度は同じのはずで、鈴音がどれだけ
がんばろうとも乙女に追いつくことはないことを知っていたからだ。
ベホ「っ!!」
メディ「・・・・・・!!」
だが、奇跡は起きた。ありえない事にワイヤーを握る2人に、2人分の体重がかかっていたのだ。
しかしまだ安心は出来ない。2人の力加減次第で、折角乙女を捕らえることが出来た鈴音もろとも
地面に叩きつけてしまう事になる。それを考えた2人、いや、その場全体を緊張が包んだ。
ベキ「・・・・・!」
鈴音「ギリギリセーフ!!」
だが心配は無用だったようだ。息を切らすベホイミとメディア、脱力して膝をつくベッキー、
そして直立不動の一条の前に、乙女を抱きかかえながら壁をよじ登る鈴音の姿が現れた。
692582:2006/07/02(日) 02:57:19 ID:???
一条「・・・危機一髪ですか?」
ベキ「はぁ〜・・・驚かせるなよ白鳥・・・」
メディ「良かったですねぇ〜」
ベホ「・・・ちょっとは私たちにも・・・感謝して欲しいッス・・・」
口々に安心の言葉をつぶやく中で、1人だけキョトンとする人物がいた。
乙女「・・・なんでわたし、生きて・・・」
鈴音「も〜、乙女はせっかちさんだな〜」
乙女「・・・あれ?鈴音も生きてるのか・・・?」
ベホ「・・・何にも分かってないみたいッスね」
ベキ「まぁ、あんな状況じゃ仕方が無いだろうな・・・。簡単に説明すると、
   全部わたし達の計画だったんだよ・・・って言っても分かんないか」
何が起きたかすら理解できずに呆然とする乙女に、ベッキーが説明を始める。
ベキ「えぇっと・・・秋山は白鳥をいじめるように玲に言われてたんだよな?」
乙女「・・・ぁ、あぁ・・・」
ベキ「わたしはそれを一条に聞いたんだ。んで頼まれた。玲を止めてくれってな」
一条「恐縮です」
ベキ「で、その方法がこれだ」
そう言いながら鈴音の身体から伸びるワイヤーのようなものを引っ張る。
するとワイヤーのように見えたそれは引っ張った分だけ伸びた。
メディア「何度見てもすごいですね〜、このワイヤ〜」
ベキ「当たり前だろ!3日間徹夜して発明したんだからな。白鳥の身体に出来る限り
   衝撃を与えないようにする伸縮性、玲の位置から着けているように見えないようにしたり、
   引っ張るのに便利なような機能性、そして白鳥の体重にも耐えうる耐久性・・・
   乙女の体重の分も支えることは想定外だったが・・・とにかく、無茶苦茶大変だったんだからな!!」
鈴音「はぃはぃ〜、すごいね〜、先生」
ベキ「バカにするなよぉ〜!本当に大変だったんだからなぁ〜!!」
693582 穴埋め程度に:2006/07/02(日) 02:58:20 ID:???
説明をしているといかにも天才っぽく見えたベッキーだが、鈴音がおちょくるといつもの子供っぽい
ベッキーに戻ってしまった。
ベキ「うぅ〜・・・。・・・そんなこんなで鈴音の死体も衣装部の双子に協力してもらったし、
   メディアとベホイミにもこうやって協力してもらって、計画が成功したってワケだ」
乙女「・・・じゃぁ、わたしは意味も無くあんな怖い思いをしたってことか・・・?」
そう考えると、乙女は全身から血の気が引いた。放っておいても解決していたというのに、
わざわざ自ら危険に飛び込んでいった自分はいったい何なのだろうか。
一条「骨折り損のくたびれ儲けですね。・・・くたびれ儲けですか?」
ベキ「でも、どうやって白鳥は乙女を助けたんだ?・・・どう考えても同じ速度なのに
   追いつくなんて不可能な筈なんだが・・・」
鈴音「あぁ〜、あれは壁を蹴って加速しただけだよぉ〜。先生も試しにやってみたら〜?」
さすが鈴音と言うべきだろうか。落下しながら加速する技は、鈴音の運動能力の賜物だろう。
ベキ「いやいやいや、わたしはやめておくよ・・・」
鈴音「ふぅ〜ん・・・残念だなぁ〜」
イヤイヤをするベッキーに対して鈴音は、心底残念そうにつぶやく。
ベホ「まぁ、これで一件落着ッスね」
ベキ「いや、まだ終わってないぞ。本来の目的を考えてこれを見てみろ」
完全に安心しきっている面々に向かってベッキーはモニターを見るように促すと、
そこには屋上で笑い続ける玲の姿が映っていた。
その笑い声が響く室内に、いろんな意味での緊張が走る。
ベキ「仕上げに動くぞ・・・っていってもお前らは適当に外に待機しててくれればいいよ。
   ジャックした玲の盗聴器から行き先は分かるし、そこでわたしが待ち構えていればいいだろ。
   ま、多分研究室のほうに来るとは思うけどなー」
694582 中断:2006/07/02(日) 03:00:41 ID:???
今回は量がかなり長くなってしまった…
ごめんなさい

次回=明日の夜には終わります


穴埋め程度に
695マロン名無しさん:2006/07/02(日) 03:03:42 ID:???
>>694
ディ・モールト乙!!
頑張ってください。
696マロン名無しさん:2006/07/02(日) 03:08:21 ID:???
  、_____,r、  . : :.:.::

   |/     /イ   . : :.:.::
  /____/((ノ   .GJ・・・:
  ヽ二O二ハ /┐  続き・・・気になる・・・ビコ・・・
   ゙ーr── ' n!   . : :.:.:: 
    /|ヽ  :.:.:.:| |!  . : :.:.:: 
    { {:! i; :.:.:ノソ||  . : :.:.::
   ,rヽァ‐ハ´イ:.:|j  . : :.:.::
   |ニゝ、;;;;;ノ_|イ   . : :.:.::
    |三|| ̄|三|:|   . : :.:.::
 . . .| ̄「:::゙「 ̄|:::」: .. . . : :.:.::
697マロン名無しさん:2006/07/02(日) 09:33:37 ID:???
GJ!!!
同じく続きが気になるぜ!!!
698マロン名無しさん:2006/07/02(日) 09:49:58 ID:???
マウス宮本「さあ、行けロボ子!
      思う存分暴れてこい!
      お前は、世界を恐怖で支配するために生まれたのだ!」
ロボ子「…そう、私は、恐怖の支配者。世界中の人間どもがわたしの前にひれ伏す…」

茜「違うよ、ロボ子。お前は私の友達で、『救い』のヒーローなんだよ」
699マロン名無しさん:2006/07/02(日) 10:29:30 ID:???
>>694 
              ,_-_-_ 、 , - 、
                 ∠/  ̄l/メ、!⌒ヽ
                 ∠!  く>   }.| マ〜
                 __ゝ      _,)
           , -‐ ナO/`ヽ!¬ナ゙/
        ,r' ´  /    ミ   |  レ゙
      ゝ、/  乙! / ̄マ
        / ̄\   /  /
    /ヽ , -、 \ /   /
   /  /  /   /ヽ_ ,ノ
    l_/   / ヽ/
      /  /
       └‐ '゙
700マロン名無しさん:2006/07/02(日) 20:27:44 ID:???
>>698-699が一連の流れに見えた
701マロン名無しさん:2006/07/02(日) 20:49:42 ID:???
保管庫、ちゃんと更新して頂いてるのはありがたいんだけど、
改行ミスとかどうにかならんもんだろうか。
702マロン名無しさん:2006/07/02(日) 20:51:30 ID:???
>>701
職人さんですか?


保管庫の管理人さんが、勝手に人の文章いじくるのはどうかと思ってそのまま掲載してると思ってたけど・・・。
703マロン名無しさん:2006/07/02(日) 20:55:56 ID:???
ごめん、リロードしたら直った。
スタイルシートなのかな、うちのパソコンじゃうまく表示されなかったんだ。
704マロン名無しさん:2006/07/02(日) 21:56:47 ID:???
おまけの更新もして欲しいな。

キャラ考察が結構おもしろい。
705582 ラストですが:2006/07/03(月) 02:48:22 ID:???
続・放課後―昇降口前

玲「・・・じゃぁ、私はベッキーの掌の上でまんまと踊らされてたってことか・・・」
ベキ「ま、天才を相手にして勝てるわけがないってことだろ」
得意げなベッキーに完敗して肩を落とす玲だったが、その表情にはいささかの安心が含まれていた。
乙女「でも、いつから鈴音はその計画に参加してたんだ?ぜんぜん気づかなかったけど・・・」
鈴音「う〜ん、私が先生から聞いたのは午前中くらいかな〜」
乙女「げ!よくおまえそんなすぐにこんな計画に乗ったな・・・」
ベキ「それはしょうがなかったんだよ。相手が玲なら早くに知らせすぎても白鳥の態度で気づく
   可能性もあったからな・・・。それはそうと、これで玲も少しは反省しただろ・・・って、玲?」
今の今まで得意げだったベッキーが玲の姿を見ると困りだす。それもそのはずで、玲は皆の前だと
いうのに涙を流し始めていたからだ。
玲「あぁ・・・私が悪かったよ・・・ほんとにごめん・・・みんな・・・」
乙女「・・・橘・・・。いや、わたしも謝んなきゃな。・・・ゴメンな、鈴音」
ベキ「お前ら・・・」
玲は今まで感じたことがなかったような感情を込めて、乙女は前のような偽りを全く込めずに、
謝罪の言葉を口にする。
鈴音「いや〜、わたしは別にいいよ〜。乙女をいじりすぎたわたしも悪いんだしね〜」
だが鈴音のその言葉はその場の雰囲気をガラッと変え、空気を暖かいものにかえた。
しかも極め付けに、たった今悪いと言ったにも関わらず頭を下げる乙女の頭のツボを押し始める。
もうこうなるとしんみりとした空気はどこえやら、先程のように再び騒ぎ始めていた。
次に困ったのは玲だ。まだ涙を流している自分など全く意に介さずに、目の前では鈴音と
乙女のバトルが繰り広げられているのだ。
706582 ぐでぐで化:2006/07/03(月) 02:50:01 ID:???
ベキ「そんなに気にするな、玲。ちゃんと反省はしたんだろ?」
呆然と立ち尽くす玲にベッキーは声をかける。玲はその言葉に暖かいものを感じた。
玲「・・・ありがとう、ベッキー」
ベキ「こ、今回だけだぞ。次にこんなことがあったら退学だからな!!」
教師らしく厳しく指導をするベッキー・・・だったがそれは飽く迄照れ隠しで、その顔は微かに紅くなっている。
玲「分かってる、もうこんなことは二度とやらないよ。次もまたベッキーに痛い目に合わされるのは御免だしな。
  ・・・君子危うきに近づかずってやつだ」
こちらもまた強気な態度だったが、メガネをはずして涙を拭うその姿は普段から想像できない程、反省の色に染まっていた。
玲「そういえば全校につけてある盗聴器、外さなきゃな」
ベキ「・・・いや、それは外さなくても構わないぞ・・・」
今までまともな事を言っていたベッキーのその発言に、玲は疑問を覚える。
玲「は?なんでだ?」
ベキ「それはその・・・わたしもいろいろ情報源が必要だから・・・利用したいなーなんて・・・」
玲「全く・・・とんだ天才だよ、ベッキーは・・・」
その言葉を聞いた玲は表情を一変させて呆れ顔だ。
ベキ「べ、別にいいだろ!教師だぞ!天才だぞ!!」
玲「はいはい、分かった分かった」
ベキ「コラー、バカにしてるなー!?ギャピー!!」
いつものように叫びながら、ベッキーは心底思う。この計画を実行してよかったと。最初は計画の危険さから、
実行は止めて玲に直接指導しようかと思っていたのだ。だが計画は無事成功したし、玲もちゃんと反省している
ようだった。もし玲にいじめを止めろと言っただけでは再発を防ぐような反省を促すことは不可能だっただろう。
707582:2006/07/03(月) 02:50:57 ID:???
メディ「本当に良かったですねぇ〜」
和やかに戻った風景を眺めながら、メディアはしみじみと呟く。
ベホ「わたしには今の状態も問題があると思うッスけどねぇ・・・」
ベホイミはといえば、追いかけっこにまで発展した鈴音と乙女のじゃれ合いを見ながら
素直な感想を漏らしていた。
メディ「これが彼女達にとっての日常なら、これはこれで良いじゃないですかぁ〜」
ベホ「そんなもんッスかねぇ〜・・・それにしても・・・」
鈴音「乙女〜、待て〜!!」
乙女「だから誰が待てといわれて待つんだよー!!」
ベホ「・・・懲りないッスね、2人とも・・・」
乙女がキレた時と同じような事を繰り返す2人を眺めながら、ベホイミは再び漏らす。
ベキ「ま、解決したわけだし良いじゃないか」
玲「ん、そうだな」
いつの間にかベッキーと玲も鈴音と乙女の姿を眺めながら素直な感想を述べていた。
だがどうしても納得できない人物がまだ1人。
鈴音「そ〜だよ〜、だから乙女も逃げるな〜」
乙女「どこが解決したんだよー!わたしだけ前のままじゃんかー!!」
鈴音「んも〜、そんなこと言う乙女にはおしおきだぞ〜!鈴音チョーップ!!」
乙女「うわぁあー!!!」
いつかのように学校中に響き渡る、乙女の断末魔。


一条「一件落着ですね。・・・一件落着ですか?」

708マロン名無しさん:2006/07/03(月) 02:52:59 ID:???
709マロン名無しさん:2006/07/03(月) 02:55:31 ID:???
起きてて良かった。GJ!
710582 終了:2006/07/03(月) 02:59:44 ID:???
終わりです。
今まで見ていてくれた人、本当にありがとうございました。

今まで祭りの方に参加していたもんだから、妙に自分の無力さを感じるww
それはともかく、数日後あたりに書き途中のSS投下開始します

穴埋め終了
711マロン名無しさん:2006/07/03(月) 03:36:58 ID:???
長編乙
次回作も期待してるよ
頑張れ。
712ひろゆき ◆VIPPER/vT. :2006/07/03(月) 04:35:29 ID:???
GJ
713マロン名無しさん:2006/07/03(月) 16:21:26 ID:???
次回作期待! 582感動した
714マロン名無しさん:2006/07/03(月) 20:02:04 ID:???
SSを読んで一番衝撃だったのが
ベッキーの「情報源が必要」発言だったのは俺だけでいい
715マロン名無しさん:2006/07/03(月) 20:07:38 ID:???
そうだな、ベッキーならとっくに自力で盗聴器仕掛けまくってるはずだもんな。
716『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 20:52:16 ID:???

学級崩壊では全くありませんが、ダークな内容なのでこちらに投下させていただきます。
このSSは一人称で進行していきますが、イメージと若干異なるかもしれません。ご注意ください。
717マロン名無しさん:2006/07/03(月) 20:52:33 ID:???
六巻でベッキーに破れた校長の成れの果てを前にした悪の牙城での会話

幹部「これ(校長)はどういたしましょう?」
女首領「知れたこと、尻小玉抜いちゃいな!」
幹部「はっ!」
女首領「あいつめ・・・とうとうここまで・・・」
718『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 20:54:26 ID:???

廊下を歩きながら窓の外をちらと見ると、憂鬱な雨が相変わらず降っていた。
ここ数日は飽きもせずにずっとこんな天気が続いている。
雨自体は嫌いじゃないんだけど、学校に来るまでにどうしても結構濡れてしまうのは、ちょっと困る。
空気が肌に纏わりついて感じられるほどの湿気に、最近では気温も真夏日レベルにまで上がっているらしい。
残念なことにこの学校のエアコンに大勢の生徒が納まる教室を充分に涼ませる力はなく、
室内にいてもある程度の蒸し暑さは受け入れるしかない。
まったく、朝からこんな調子じゃ昼には不快指数が五ケタぐらいになってるんだろうな。
こんな日が何日も続くと、さすがに嫌になってくる。自慢のアホ毛も元気がない。

でも自然に簡単に屈してちゃ人間の名がすたるってものよ。
今日は特別なアイテムを用意してるもんね。

私は扉を開けて教室へ入った。
(やっぱり全然冷えてないよー。エアコンにはもっと頑張って欲しいカナ)
心の中で空調にエールを贈りながら、窓際にある私の席に座る。
「おはよ姫子」
後ろの席の玲ちゃんは既に席についていた。今日も学校の前にバイトに行ってたのかな?

「おはよー。今日もやな天気だねー」
「ほんと、こう雨続きだと気が滅入るよ」

玲ちゃんは雨のことがかなり嫌いなようだ。
服が濡れることや傘を差さなきゃいけないことが、すごく鬱陶しく感じられるらしい。
自分ではどうにもならないもどかしさが苦手だもんね、玲ちゃんは。
そんな玲ちゃんに楽しい気分でいてもらうことが、私のいっぱいある願いの一つ。
もちろん玲ちゃんに限らず、この学校のみんなには幸せでいてもらいたい。
でもそのためには、まずは私自身が今を楽しまなきゃね。
自分で楽しくなかったら、人を楽しませることなんてできないもの。
719『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 20:55:43 ID:???

「実は今日は、嫌な天気をハレ晴レにしちゃうステキなアイテムを用意したんよ」

私はさっそく鞄の中をあさり、そのアイテムを取り出した。
昨日の夜に寝ないでサッカーと深夜アニメを見ながら完成させた自信作だ。

「ジャーン!!」
「……てるてる坊主か。何かと思ったよ」
「ちっちっ、これはただのてるてる坊主じゃないよ。
 ベッキー仕様の特別なてるてる坊主、名付けて"てるてるベッキー"だ!」

説明しよう。
てるてるベッキーとは、ベッキーの格好をしたてるてる坊主である。
点と線だけで顔が表現される普通のものとは異なり、てるてるベッキーは非常に丁寧に書き込まれている。
例えば目は実物を反映して青いペンで大きく描かれ、まゆげやまつげもちゃんとある。
それだけではなく、黄色い布を使って綺麗な髪の毛もしっかり表現されているのだ。
金髪碧眼、これはもうどこからどう見てもベッキーだ。
流石は漫研のホープが丹精こめて製作しただけのことはある。
てるてる坊主にベッキーの天才パワーが注入されることにより、
てるてるベッキーはどんな土砂降りでも一瞬で快晴にする驚くべき力を手に入れたのである!

「また妙な物を…」
「どう? オメガかわいいでしょ」
「うーん、確かに良くできてるな。ベッキーの特徴をしっかり押えてある」

ふふん、私だって伊達にベッキーマニアを長年やってきたわけじゃないもの。
その気になればベッキーの等身大フィギュアも作ってみせるぜ。
なんたってベッキーへの私の愛は無限大なのだから!

「あー早くベッキー来ないカナー」
「授業時間にはとっくになってるんだけどな。どうせまた寝坊だろ」
720『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 20:56:51 ID:???

確かにベッキーは朝が苦手だ(ちなみに私も朝は苦手で、ベッキーとおそろいだったりする)。
これまでも朝一の授業でチャイムと同時に教室入りすることはほとんど無かったし、
数十分も遅れてきたことも何回かあったようだ。
だから今日も私たちは特に心配もせずに、普段と同じようにしばらく話していた。

それから十分程経ったころだろうか。
ちょうど私が「カニも甲羅まで柔らかくておいしければ良いのに」という話をしていた時、
扉をガラガラと開けてベッキーが入ってきた。

「あ、ベッキー!おはよー!……」
私はいつものように元気一杯にベッキーを迎えたのだが、ベッキーの様子を見ると何だか申し訳なくなった。

その時のベッキーは、見るからにやつれた様子をしていた。
目蓋は重そうで、目の下には隈が出来ている。
足取りも何だか弱弱しい。
見るからに疲労困憊しており、睡眠時間も足りてないようだ。

「あ…、その……遅れてすまん」
教卓についたベッキーは一言そう言うと、チョークを手に取り授業を始めようとした。
えー、何も説明が無かったらかえって心配しちゃうじゃない。
私はつかれきった様子である訳をベッキーに尋ねてみることにした。

「寝不足みたいだけど大丈夫? ベッキーも遅くまでテレビを見てたのカナ?」
私の声を聞いたベッキーは一瞬ビクッと体を震わせて、ゆっくりと振り返った。
何かを言おうか迷っているのか、口を少し動かしているものの言葉は出てこない。
視線も私からは逸らしている。
あれ、何かまずいことを聞いちゃったのカナ? そんなつもりは無かったんだけど。
721『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 20:57:49 ID:???

それでも少しの逡巡の後、ベッキーは元気の無い声で説明してくれた。
「あー、実は数学に関する論文の締め切りがもうすぐなんだが、まだ書き終わってなくて……。
 昨日の夜はずっと研究室で執筆や研究をしていたんだ」

なるほど、論文かぁ。さすがだなぁベッキーは。
……じゃなくて。
驚いたことにベッキーは昨日、なんと学校の研究室で一夜を過ごしたのだという。
学校の物置(のようなもの)に小さい女の子が一人で泊り込むと聞いて、心配しない人がいるだろうか。
変質者の侵入も容易いだろうし、何か良くないことが起きたときにベッキーが対処できるとも思えない。
万が一でもベッキーの身に何かあったらと考えると――いや、考えたくもない。

「ダメだよ一人で学校に泊まったりしちゃ。何かあったらどうするのさ」
「問題が起きたらいつでも外に連絡できるから平気だよ」
「姫子の心配も当然だと思うぞ。自宅で論文を書いたらいけないのか?」
「参考文献とかは全部研究室に置いてるからな。うちじゃムリなんだ」
「じゃあ私も一緒に泊まってあげるよ! ボディーガードがいた方がベッキーも安心でしょ」
「お前らがいたら集中できるわけ無いだろ!」

私たちが色々な理屈をぶつけてみても、ベッキーはこんな調子で研究室に一人で泊まることに固執した。
確かにベッキーの研究室は論文を書くには割と適した環境なのだと思う(パソコンや簡易ベッドもあるし)。
結局、窓やドアをちゃんと閉めること、いつでも119や110に連絡できるようにしておくこと、
無理はしないこと、という至極当たり前なことを確認するに留まった。
「でも夜更かしは本当に良くないよ。ベッキー成長期なんだからさあ」
「それはそうだが、お前が言うなよ…」
「私は研究だから仕方が無いんだ。姫子もテレビを見るぐらいならもっとマシなことをしろ」
玲ちゃんもベッキーも手厳しい。まあ当然なのかもしれないけど。
それでも深夜アニメは私のライフワークなのだから、これもまた仕方が無いのだ。
722兄妹愛:2006/07/03(月) 20:59:43 ID:???

「でも昨日はテレビを見てただけじゃないよ。頑張ってこれを作ったのだ!」
私はてるてるベッキーを、この印籠が目に入らぬかとばかりにベッキーに突きつけた。

「はぁぁ? 何だそりゃ」
「姫子お手製のてるてる坊主だとさ」
「ベッキーに似せて作ったんだよ。もうベッキーとこのちびベッキーが揃ったら
 最強だね、最強。そうだ、ベッキーの研究室にこれを飾ってくれないカナ?
 私が一緒にいられないのなら、その代わりにね」

私は特製てるてる坊主をベッキーに差し出した。
ベッキーは"何言ってんだお前"とでも言いたそうな顔をして私とてるてるベッキーを
しばらく眺めていたが、すぐにしっかり受け取ってくれた。
「全く、こんな物を作るぐらいなら勉強しろよ。……でもまあ貰っておくよ。ありがとな」
相変わらず、可愛げの無い可愛らしさである。

「それにしても、あれほど怖がりだったベッキーがよく一人でお泊りできるようになったな」
「昔のことはいいだろ別に…。私も成長したんだ、一人でいても平気に決まってるだろう」
「そんなこと言って、本当はベッキーも怖かったんじゃないのカナ?」
「恐怖ってのは無知から来る感情だ。探究心さえあればそんなものは克服できるんだよ。
 はいこの話は終わり。全く、もう全然時間が残ってないじゃないか」

このベッキーの打ち切り宣言により、雑談は終了しいつも通りの授業が始められた。
そう、いつものようにベッキーの覇気のない授業にやる気の乏しい私たち。
それは誰もが安心して過ごすことの出来る、平和で穏やかな時間だった。
723『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 21:00:17 ID:???




全てが終わった時点から振り返ってみると、ベッキーの魂を邪悪な闇から救いたいという願いをもし持って
いるのなら、それが叶えられる唯一の機会は、全てが始まったばかりであるこの日をおいて他になかったのだ。
ベッキーを冒?的な象牙の塔へと引き寄せた引力も、まだ大いなる力を発揮できていなかった。
全てが日常通りに見える状況だったこの時が、日常を取り戻す最大のチャンスだった。
だが日常という皮の裏でこそ、慄然たる恐怖が生きる身体を人知れず蝕んでいくのである。
破滅はどんな時でも、穏やかな顔をして悠然と近づいてくる。
ただ人間が、それに感付くほど繊細ではないというだけなのだ。
そして繊細ではないということは、決して誰の罪でもないのである。



724『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 21:01:04 ID:???

その日を境に、ベッキーは暇さえあればいつでも研究室に篭るようになった。
私たちが思っていた以上に、よほど論文の執筆が切羽詰っているのだろう。
授業の無い時間や放課後はもちろん、夜を徹した泊まりこみ作業も毎日続けているようだ。
ベッキーは、生徒だけでなく教師も含め、他人が研究室に入ることを強く拒否するようになった。
邪魔になるというだけでなく、論文の内容が流出することをひどく恐れているようだ。
気付くとベッキーの研究室の扉に厳重な鍵が取り付けられていたのは、そのような事情からだろう。
ベッキーが私たちをそこまでして拒むようになったのは寂しく感じられたが、
私たちもベッキーが今回の研究に必死になっているのを感じ取り、深く追及することはなかった。
研究室に遊びに行くことはなくなったが、用があるならベッキーが教員室にいる時に会えばよい。
ベッキーの研究室は元々ベッキーが一人で過ごすための部屋だったわけだし、
本来はこれがあるべき姿なのだろうと、誰もが納得していた。

もちろん私も一応納得はしていたものの、ベッキーの体を心配する気持ちは日に日に強くなっていた。
何しろ一週間以上も、ほとんど眠らずに執筆に励んでいるのだという。
顔をあわせるのは授業かホームルームの時だけになってしまったが、
だからこそ日を追うごとに、少しずつだがベッキーの体調が悪化しているのが良く分かった。
顔色は会う度に悪くなっていき、声にも生気が感じられなくなっていた。
体の動かし方も若干だがぎこちなくなっており、黒板に腕を伸ばすのも辛いように見える。
また不味いことに、ベッキーの変調は身体だけでなく精神にも及んでいた。
前までのベッキーの授業態度は、表面的にはやる気が感じられなくても芯はしっかりしていた。
しかし研究にかまけ過ぎたせいか、教育に対する熱意は心の底から失われつつあるようだった。
板書や説明の仕方も、かつてベッキーが批判していたような機械的なものになっていた。
私たちとの授業中の雑談も、むしろ授業としては好ましいのかもしれないが、途絶えてしまった。
725『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 21:01:59 ID:???

あんな小さな体に鞭打って論文執筆に励んでいるのだから、色々な悪影響が出るのは当然のことだ。
私は今すぐにでも研究を一旦止めて休むように勧めたが、ベッキーは全く聞き入れなかった。
何でも論文に集中しなければならないのはせいぜい二週間程度なので、
それさえ乗り切ればもう忙しいことはないらしい。
逆に言えばその短期間の間に、どうしてもその研究は終わらせる必要があるのだという。
詳しくは教えてもらえなかったが、ベッキーが今回の仕事に一生懸命取り組んでいることは理解できた。
これはある意味では、ベッキーが全身全霊で何かに熱中するという貴重な出来事なのである。
私はベッキーの身体を心配しておろおろするだけで、無理にでも研究を止めさせることはできなかった。


だが私はベッキーの抵抗を押し切ってでも、暴走を止めるブレーキになるべきだったのだ。
ベッキーが私たちに研究のことを教えてくれてから十日ほど経った日のこと、
私が危惧していた事態が現実に起こってしまった。

ベッキーが倒れたのである。
726『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 21:03:30 ID:???

それは月曜日の午後のことだった。
月曜日というのは、短い休みが終わって授業が始まる面倒な日でもあり、
一方では大勢の友達とまた一緒になれる嬉しい日でもある。
もちろん日曜日にも友達と遊びに行ったりはするのだが、やはり学校という空間は特別だと思う。
仲間と一緒に話しや運動や食事といったことをする時の独特の歓びは、学校でしか味わえない。
この日も私は玲ちゃんとマンガの話をしたり、居眠りをしてジジイ先生に取り憑かれそうになったり、
学食でみんなと食事しながら学食総カニ化計画の野望について語ったりした。

だが私たちの心、私たちの学校生活には、耐えられない喪失感が付き纏うようになっていた。
ベッキーが一緒でなくなったことにより、学校の存在価値が否応無しに減退していたのである。
思えば私たちの近くには、いつでもベッキーがいてくれた。
私たちにとってチビっこ先生ベッキーは高校生活における輝く星であり、
もはやベッキーの赴任前を思い出せなくなってしまったほど、かけがえのない存在となっているのだ。
私たちはいつも通りの「愉快な私たち」を演じてはいたものの、それはあくまで空元気に過ぎなかった。

そこで私たちはこの日、休息をとるようベッキーをもう一度説得してみることに決めた。
それはもちろん、私たちの側にベッキーがいないのが寂しかったということもあるが、
ベッキーが日々の過酷な研究により精気を磨り減らしていくのを見るのは忍びなかったのだ。
月曜日は昼休みが終わった次の授業が数学だったので、早速その計画は実行に移されることになった。

そして昼休みの終了を告げるチャイム、すなわち授業開始を告げるチャイムが鳴った。
ベッキーは数分も経ったら来るはずである。
どういうわけか、嫌な緊張が私の体を支配していた。
私は迷った挙句、玲ちゃんに自分の不安を聞いてもらうことにした。
727『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 21:04:23 ID:???

「ベッキー、私たちの言うことを聞いてくれるカナ?」
「どうだろうなあ。ベッキーも頑固だから…。でも最後には分ってくれるんじゃないか」
「でもベッキーも本当にやりたいから研究をしてるんでしょ? そこを説得するのは大変だよ。
 私も遅くまでゲームをやってると『止めなさい』って言われるけど、絶対止めたくないもん」
「それは知らん。
 だが姫子はベッキーのことを一番心配してあげてるんだ。きっと聞いてくれるさ」
「だといいけど……」

私たちが不安な気持ちを吐露していると、すーっと扉を開けてゆっくりベッキーが入ってきた。
(来たな…)
(うん…)

私はベッキーに話し掛けようとした。
「あ、ベッキー……」
あのさ、話があるんだけど、と続けるはずだった言葉は、私の口から出ることはなかった。
なぜなら目に飛び込んできたベッキーの様子に、私の意識は大きな衝撃を受けたからだ。

そのベッキーは、明らかに異常だった。

大きく見開かれた眼は赤く充血し、視線はこの世を超越した遥か遠くを見つめるかのごとく虚ろだった。
顔からは血の気が失せ、土気色の上に青白い色を薄く塗ったような肌の色をしている。
体は全体的に痩せ衰えており、頬や手に骨の輪郭が浮き上がって見えるのが痛々しい。
普段は細やかな手入れがされているはずの長い髪は、今日は艶やかさを失いどこか乱れていた。
肉体は弛緩した様子で、姿勢は心なしか猫背になっていた。体に力が入らないのだろう。
それでいて歩き方は足を引き摺っていると言ってよいほど重々しく、どこか傷めているようにすら見える。
着ている服は全体的に皺が酷く、所々が何か紫がかった泥のようなもので薄汚れていた。
いつものベッキーの姿は、そこには無かった。
728『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 21:05:56 ID:???

「どどどどどどうしたのベッキー! ボロボロじゃない!」
私は冷静に話し掛ける計画を全て破棄し、感情のままにベッキーに駆け寄った。
ベッキーは無感情な顔でぼうっと立っているばかりで、何も言おうとしなかった。
少し遅れて、私よりは落ち着いた玲ちゃんも慌ててやってきた。
「おい、大丈夫か? 体調悪いんだろ、今日はもう」
「いや…心配しなくて…っいい。授業を、始めるぞ…」
玲ちゃんが喋るのを遮ったベッキーの声は、いつもよりも小さく、そして掠れている。
その声は言葉の内容とは裏腹に、ベッキーの身体が限界に達していることを如実に示していた。

嫌な不安を感じた私は、ベッキーに尋ねた。
私は興奮し過ぎてしまっていることを自覚し反省しながらも、声を荒げるのを止めることはできなかった。
「ベッキー、何でそんなになっちゃたの!?」
「研究室で……研究をずっとしてたから……ちょっと疲れてるだけだ」

ベッキーは口ごもりながらも、意外にあっさり答えてくれた。
今度は玲ちゃんが、冷静な口調で問い掛ける。
それでも玲ちゃんの声がかすかに震えているのが、私にはよく分かった。
「それはいつからだ?」
「先週の――、土曜から……。寝ないでずっと…」

言葉をうまく紡ぐことができないのか、ベッキーの話し方は聞きづらいほどに拙かった。
居た堪れなくなった私は、ベッキーの肩を掴み、顔を向き合わせて、言い聞かせるように叫んだ。
「何でそんなに頑張るのさ、何で体を壊してまで……!!」
だが私がいくら叫んだ所で、ベッキーの表情が変わることはなかった。
ベッキーは作られたような無表情を保ちながら、私にも聞き取れないような小さな声で呟いた。


「私は…や……ぁっ…ヨグ、ソト………ィァ……」
729『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 21:06:29 ID:???

すると突然ベッキーの体から力が抜け、膝から崩れ落ちて床へ倒れこんだ。
ガタッ、バタン!という音が響き渡る。
悲鳴の声やざわめきが、途端に教室に満ち溢れた。

「わあああああぁぁぁあああああぁぁぁぁ!!」
目の前でベッキーが倒れ動転した私は、床でうつ伏せになったベッキーに縋り付いた。
「ベッキー、ベッキー!」
私がいくら話し掛けたりゆすったりしても、ベッキーは何の反応も返してくれなかった。
最悪のパターンが頭をよぎる。
「どうしよう玲ちゃん、ベッキーが死んじゃった!」
「落ち着け姫子、気絶しているだけだ。あまり揺らさない方がいい」
そうか、そうだよね。私もちょっと落ち着かないと…。
「じゃあ私たちはどうしたらいいの?」
「とりあえず保健室に連れて行こう、ここに置いておくわけにもいかない。姫子も一緒に来てくれるか」
「もちろん!」

こうして私たちは後のことは学級委員の一条さんに任せて、ベッキーを保健室に運ぶことにした。
玲ちゃんがぐったりとしたベッキーの体を優しく持ち上げる。
とその時、チャリンと何か小さな金属製の物が落ちる音がした。
下を見てみると、それは幾つかの鍵の束だった。ベッキーの服のポケットから零れた物だろう。
私はそれを拾い上げ、ベッキーを抱えた玲ちゃんの後について教室を後にした。

保健室があるのは一階の端の方だ。私たちの教室からは結構遠い。
廊下を歩いている時は玲ちゃんが、階段を下りる時は二人でベッキーを抱え、慎重に少しずつ進む。
急ぎたいんだけど急いじゃいけないのが歯痒く感じられる。
ベッキーの体を持ってみると、二人で抱えているとはいえ、とても軽い。
私はこの長い道を移動しきる前にベッキーが消えてなくなってしまうような、そんな想像に捕われた。
730『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 21:07:59 ID:???

しばらくして、ようやく保健室へとたどり着いた。
私は手が塞がった玲ちゃんの代わりにドアを開けた。
「失礼します」
布や薬品の独特の臭いがする空気が顔を打つ。
安心してベッキーを託すことができる、信頼するに足る空気だ。
玲ちゃんも穏やかな声で部屋に呼びかけた。
「急病人が出たんです。診てもらえますか」

「……あれ?」

私たちのほっとした気持ちは、見事に裏切られた。
保健室には誰もいなかったのだ。
「誰かいませんかー?」
もう一度確かめてみても、返事はない。
何で、どうして? 私たちを助けてくれる人はいないの?
何が嬉しくて世界はここまで冷たく出来ているのだろう?
私はこの追い討ちをかけるような不運に対し、呪い返さずにはいられなかった。

とはいっても、愚痴を言ってばかりいても仕方がない。
私たちはとりあえずベッキーをベッドに寝かせることにした。
意識のないベッキーを、体が変に曲がったりしないようそっとベッドの上に降ろす。
呼吸が非常に弱く、側から見ても生気が全く感じられないため、
その様子はまさに、意思がなく人間に思うがまま操られる不憫な人形のようだった。

「……よし、とりあえずはこれでいいだろう」
「……」
私はベッドの側の椅子に座り、ベッキーの顔を眺めた。やはり状態は酷く悪いようだ。
もし今「ベッキーはもう死んでいる」と言われたら、もしかしたら簡単に信じてしまうかもしれない。
当然、今は息も脈もあるから大丈夫なんだけど。
731『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 21:10:19 ID:???

「姫子」
それにしても何でベッキーは倒れるまで論文に打ち込んでしまったのだろう。
今まではどんなに仕事が溜まっていても、何だかんだ言って要領良くこなしてきたのに。
急に論文の話をしたと思ったら、それからはずっと他の事に目もくれないなんて。
「おい」
そもそもベッキーが思い詰めて何かをすることがあっただろうか。
いや、ベッキーは勉強でも仕事でも、口では嫌々言いながら楽しんでやってきたんだ。
教師になる、バスケが上手くなる、そんな夢を一途に追いかけるのがベッキーだ。
「ひめこー」
それなら、今のこれは好きでやっているのだろうか。
だとすると、それほどその研究は大事ということなのか?
可能な限り早く仕上げなければならないほど重要な……。

「おい姫子、聞けよ」
「………はっ、ごめん全然聞いてなかった」
「私は保健室の先生を探してくる。ついでに教室にも行ってベッキーの様子を伝えてくる。
 私が戻るまで、姫子はここにいてくれ」
「うん…」

そう言うと玲ちゃんは足早に保健室を発っていった。
後にはベッドに横たわるベッキーとそれを眺める私だけが残る。
自然に私は、再びベッキーのことを考え出した。
732『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 21:11:06 ID:???

私たちにとってベッキーはかけがえのない存在だけど、ベッキーにとって私たちはどうなんだろう。
今まで私たちは、若いのに頑張らなければいけないベッキーの支えになってあげられてると思っていた。
私たちがベッキーを大切に思っているように、ベッキーも私たちを大切に思っていると信じていた。
しかし今となっては、ベッキーは私たちのことをこれっぽっちも顧みていない。
それはきっと忙しい今のうちだけなのだろう。

だけど一時でもベッキーが私たちから離れたのだから、今後そんなことが頻繁に起こってもおかしくない。
でもここまで体を酷使するような方向へ、ベッキーには進んでもらいたくない。
今のベッキーはどうみても心に余裕があるようには見えない。
MIT時代の孤独なベッキーを直に見たことはないが、今のベッキーは多分その時と同じ状態に陥ってる。
そしてベッキーにとってそれは不幸なことだ。
一つのことだけに没頭して他の事を全く眼中に入れないのは、絶対良くないことだと思う。
例えその研究が大事なものだったとしても、いくらなんでも限度があるだろう。
体を壊してまでやっていいことなんてない。

それにしてもベッキーの研究はそんなに重要なものなんだろうか。
論文の内容については数学についてとしか聞いていない。
そのことは、ベッキーは数学の教師なんだから、言われなくても想像はつくことだ。
とはいえそんなに急がなきゃいけないことなんだろうか。
ノーベル賞級の発見だったりするのかな?
私たちと会うのを拒否してまで優先しなければいけない研究……。
そう考えると、ちょっと悔しい。
研究に嫉妬するのもバカな話だが、ベッキーにそこまで大切にされる学問がうらやましい。
一体どんなことを研究してるのか、ちょっと知りたいな。
733『姫子と闇の研究者』:2006/07/03(月) 21:11:51 ID:???

ふと私は、教室でベッキーの持っていた鍵を拾ったのを思い出した。
そうだ、あの鍵の一つは研究室の鍵なんだろう。
ベッキーは他の人が部屋に入るのをすごく嫌がってたけど、ちょっとぐらいなら構わないよね。
論文の内容を外に漏らさなければいいんだろうし。
ばれたら怒られるかもしれないけど、ベッキーは寝ちゃってるから気付かないはず。
ベッキーも私たちに全然話してくれないからいけないんだよ。
ちゃんと何をしてるか言ってくれたら心配しないで済むのに。
そうしていれば、こうして保健室にくる羽目になることもなかったもの。
だから私は、自分からベッキーを積極的に手伝おうとしなきゃいけないんだ。
ベッキーには助けが必要なんだよ。

よし、決めた。
ベッキーの研究室にこっそり忍び込んで、私たちを差し置いてまで熱中する論文を冷やかして、
どうせ部屋も掃除してなくて汚いだろうから片付けてあげて、
無理を言ってでもベッキーに私たちが手伝うのを認めさせる。
これでいこう。

決意した私は、鍵の束を手に握り締めて立ち上がった。
「……ゆっくり休んでてね」
私はじっと眠りに落ちているベッキーに別れを告げ、保健室を出て研究室へと向かった。



(多分続くかもしれない)
734マロン名無しさん:2006/07/03(月) 21:19:59 ID:???
文章うまいなー
735マロン名無しさん:2006/07/03(月) 22:16:43 ID:???
すごく続きが気になる。
GJ。
最近良作が多くて毎日このスレ見るのが楽しみだ。
書く人達頑張ってください
736マロン名無しさん:2006/07/03(月) 22:17:04 ID:???
あれ?冒頭で校長を「これ」呼ばわりしていた悪党達は出てこないの?
737マロン名無しさん:2006/07/03(月) 22:20:13 ID:???
続くワクテカして待ってますぜ
738マロン名無しさん:2006/07/03(月) 23:16:14 ID:???
>>714
>>715
説明しよう。

玲の動向をつかむ為、既に設置されていた盗聴器をジャック

事件解決

今回の件で、情報源というものの必要性を感じる

でも自分で設置するのはめんどくさいしなぁ

そこで玲のをそのまま拝借


みたいな。
ゴメン本当は今考えた。

それはともかく>>733GJすぎ!
比べ物にならない文章力に刺激された。
739マロン名無しさん:2006/07/03(月) 23:49:22 ID:???
>>738
いや、その回答はじつにブラボーだ!

>>733
素晴らしい!引き込み力のある文章はまさにセンテンスマジック!じつにブラボーだ!
ただ…>>722の「兄妹愛」はもしかしてエロp…いや…なんでもない…多分違うだろうから忘れてくれ
740マロン名無しさん:2006/07/04(火) 01:40:40 ID:???
ベッキーはヨグ=ソトースと契約しようとしたのか
741マロン名無しさん:2006/07/04(火) 01:57:20 ID:???
>>733
つずき がきになる、、、。
できれば、バッドとハッピーをよういしていただくとありがたい!!!
俺はハッピーエンドじゃないと鬱になるもんで、、。

742マロン名無しさん:2006/07/04(火) 09:33:58 ID:???
このスレに来て何ワガママな事言ってるんだ?
743マロン名無しさん:2006/07/04(火) 10:10:17 ID:???
>>740
んぐあああああ
んぐあああああ
いぐないいいぃぃぃぃ
いぐないいいぃぃぃぃい
744マロン名無しさん:2006/07/04(火) 12:47:01 ID:???
>>741
ヒント:つづき
このスレはダークなSSスレだと思うからバッドエンドが当たり前
鬱になりたくないなら読まないことを推奨
745マロン名無しさん:2006/07/04(火) 13:41:38 ID:???
校長を処分した黒幕との死闘でベッキーが命を落すのか?
746マロン名無しさん:2006/07/04(火) 18:45:52 ID:???
校長の最期はジャンプの悪役みたいなヤラレ方だなあ。
「あいつは我々の中で一番の下っ端だったのだよ」
という感じで
747マロン名無しさん:2006/07/04(火) 18:56:37 ID:???
界王神「フリーザ・・・いえ、女校長は一撃で倒せます」
748741:2006/07/04(火) 19:44:41 ID:???
>>744
正論だな。 たしかにそうだww
749マロン名無しさん:2006/07/04(火) 23:44:02 ID:???
>>748
あんた物分かりいいなw
750マロン名無しさん:2006/07/05(水) 00:03:17 ID:???
>>749
いえいえww  よく考えればそうだなと思って。
ちっと自己中だたwwwwww
751マロン名無しさん:2006/07/05(水) 08:03:38 ID:???
ベッキーが取り組んでいたのはテポドン迎撃ミサイルの弾道計算
752eru:2006/07/05(水) 08:04:48 ID:Qa4P3QRh
55 :学籍番号:774 氏名:_____:2006/07/05(水) 00:10:02 ID:???
教育委設置の選択、特区創設へ=安倍長官と文科相が合意
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060704-00000071-jij-pol

56 :学籍番号:774 氏名:_____:2006/07/05(水) 06:07:02 ID:O7e/MQ5X
>>55
教育委員会の設置の有無を自治体に委ねるという事は
人件費削減のために、教育委員会の維持を廃止してもよいという事か。
それは当然としても、万が一にも「殺人教育に関する特区」を事実上認めた場合、
全国で教育崩壊が進むだろう。

北朝鮮拉致殺人をカモフラージュしている安部官房長長官の逮捕が必要ではないか

============−−

秋田県立大および偽皇室のオウム殺人犯罪容疑
http://society3.2ch.net/test/read.cgi/soc/1137727591/416-423

255 :非公開@個人情報保護のため :2006/06/15(木) 06:59:11
小説救急車殺人企画事件を考える
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/truck/1109449154/463-469
753マロン名無しさん:2006/07/05(水) 08:06:15 ID:???
>>751
な、なんだってー
754インプランタ晶:2006/07/05(水) 08:52:07 ID:???
「くそったれ!」
 操が悲鳴をあげる中、修がそこへ駆けて行く。
「くるみ!上原!みんなを連れて逃げろ!」
「…え、あ、あ…あ、兄貴は!?」
「このまま放っといたら、犬神が死ぬだろ!?まずは職員室へ助けを求めろ!」
 修がそこまで言ったところで、晶が口を開いた。
「いい気分だね…南条さん…。みんな、にぎやか…、
 きっと、2人の恋の成就を祝福してるんだよ。
 そう、愛する2人はいつも、いつまでも…、一緒じゃなきゃね…」
 晶はそう言うと、南条を犬神の上に放り投げた。
「ああ…あああ……」
 操は、犬神から生気が急速に失われていくのを感じた。
彼女の世界は彩りを失い、彼女の意識は途絶えた。

「2人が一緒になるには、こうしなきゃいけないよね?」
 晶は、操と犬神を挽き肉にして一緒くたにするべく、伸ばし棒を手にした。
今の晶の驚異的な握力を持ってすれば、造作も無いことであった。
「南条さん!犬神!今行くぞ!宮田、そこをどけ!」
 修は、そこへ割って入って、晶をパイプ椅子で殴りつけた。
殺意があったわけではない。無論、犬神をこんなにした晶への憎しみはある。
だが、修はあくまで殺すためではなく、止めるために力を振るった。

(みんなは…逃げきれたか…?)
 確かな手ごたえを感じ、修は出入り口の方に目を向ける。
そして、くるみ達を含む生徒たちの群がいなくなったことに安堵した。
「脈はあるな…まずは、気道を確保して…と。
 南条さんは、失神したのか…ショックが大きすぎたもんな」
修は、2人にのみ気を取られ、自分が手を出した相手の恐ろしさを、考えずにいた。
755インプランタ晶:2006/07/05(水) 08:54:29 ID:???
「ハア!?宮田が暴れて、犬神と南条が殺された!?
 バカも休み休み言いなさいよ…ドッキリじゃねーんだっつーの」
 都とくるみの報告を受けても、美由紀は、相手にしなかった。
「朝の宮田は確かに異常じゃったが…そんなまさかじゃのう…」
 ジジイも、聞いてこそいるものの、信じてはいなかった。
「どうせ、宮田や秋山の料理でノックダウンした、そんなオチだろう?ま、行くだけ行くから、案内してくれ」
 早乙女が、一番まともに話を聞いてくれていた。
「嫌よ!行きたくない!殺されちゃうわ!」
「でも…兄貴を助けないと…」
 くるみの表情は、暗かった。
「あんたの兄貴がいるんなら、あたしが出てゆくまでもねー。つーか、桃瀬に任せとけよー」
「そこを何とか…、そうだ!せめて保健室のベッドの準備だけでも…」
「それなら、内線で連絡するとよいぞい」

「…つながらない」
「本当じゃ…おかしいのう」
「そういえば、宮本先生からも連絡がありませんね」
「ふ〜ん…桃瀬、兄貴の代わりに、ひとっ走り行って来てよ〜」
 くるみは、美由紀が自分に向かって手を振っているのを見た。
「…ざけんなよ?」
「はい、行ってらっしゃい〜、って、え?」
 美由紀は、くわえていたタバコを、落とした。
身軽にも、机を飛び越えて眼前へやって来たくるみに驚いたのだ。
「兄貴が普段、あんたのせいでどれだけ走りまわされてるか、わかんねーのか?
 せめて、こういう時くれーは先生らしい事してくれたらどーよ?
 あんたは立派な大人だからよ、ベッキーみたいに手加減しないからな!」
「…ふぅ、あんだと、このガキが!上等だ!今すぐ裏に来い!」
 美由紀は始めこそ目を丸くしていたが、じきに目の色を変えて、机をたたいて立ち上がった。
「よしなよ、くるみ!そんなことしても何にもならないでしょ!?
 修を助けるんじゃ無かったの!?もっと冷静になんなよ!?」
「む?校門の方に、生徒が固まっているな…?」
 早乙女は、女の戦いを見るにたえず、外に目をやり、異変に気づいた。
756インプランタ晶:2006/07/05(水) 09:37:45 ID:???
「これは…異変オブジイヤーです!」
「アウト!」
 6号とその他大勢の生徒たちは、恐怖に駆られて校外へ逃げ出そうとしたが、それができなかった。
「何か見えない壁、バリアーみたいなのがあるっスよ.com」
そう、脱出しようとしても、何か壁のようなものにぶち当たって、出られないのである。
そして、この現象は、塀を乗り越えても、裏から出ようとしても同様であった。
「ヨウシ、デストローイ!!」
 ズーラが、その辺から大きな石を取ってきて、振りかぶって、投げた。
「これは期待できるんじゃね?」
 B組の二階堂光が目を輝かす。

「ストライーク!」
 だが、ボールは、そのまま通過してしまった。
「ムダですよ」
「一条さん!?」
 一条は、その場にいる全員に解説を始めた。
いわく、彼女の試した限りでは、ある速度以上まで加速した物質以外は、
(大体で言うと、不慣れな女子がソフトボールで投げるくらいの球速、60kmくらいだが、
人間単独の力では、自らの肉体を時速60km越えまで加速させるのはまず不可能)
この見えない壁を突破できず、さながら自分たちは、檻の中に入れられているも同然なのである、と。
「じゃあ、五十嵐先生のバイクで!」
「残念ですが、桃月学園内の全ての乗り物は、今朝、破壊されています」
「それも、えーと、来栖の友達の宮田とかのせいか?」
「二階堂さん、それは違います。今の彼女なら、ナイフでパンクさせるような
 まどろっこしい事をしなくても、直接持ち上げて、引きちぎることくらいは平然とやってのけるでしょう」
「へー、う、うらやましいなー…体が丈夫で…」
「タオル、お使いになられますか?」
「ありがとー、って、これは多すぎねえ?」
「…これからは、これでも足りなくなるかもしれません」
(…果たして、今回は私以外に何人が生き残れるでしょうか…?)
 一条の表情は暗かったが、各人は突如凶暴化した宮田への恐怖に心を奪われ、
6号でさえ、ほんのわずか程度の違和感を感じるにとどまっていた。
757インプランタ晶:2006/07/05(水) 09:40:15 ID:???
 柏木姉妹、乙女、鈴音の4人は、校外へ逃げるでも無く、
かといって、教職員の助けを求めるでもなく、中途半端な位置で様子を探っていた。
「ねえ…優麻ちゃん…、逃げて来て、よかったのかな…ハアハア…、
 桃瀬くん、残ってるんだよ…まだ、あそこに…」
「こっちまで死んじゃうじゃない…それに、私たちがいたって何も出来やしないわよ…」
「晶…どうしちゃったの…?誰かに…悪いこと、されたの?」
「桃瀬くん…」
 無事逃げ延びた柏木姉妹に乙女、鈴音であったが、後ろ髪を引かれる思いであった。
身の危険から逃れると、自分たちに、何か出来ることは無かっただろうかと、思い始めていた。
「鈴音…あんたさぁ、普段はいきがってるくせに、ホイホイ逃げて来て、恥ずかしくないわけ?」
「優麻ちゃん…やめなよ…」
「いきがってる?私が?」
「その無駄にありあまったパワーを、こういうときに使ったらどうかって言ってんのよ?」
(なんなの…?なんで急にケンカを始めるの?)
 乙女には理解できないことだったが、優麻は、修の身を案じているうちに、
遭難中とはいえ、鈴音が修と何日も2人きりですごしていた事を思い出し、
余裕を無くしているが故に、当てこすりを始めてしまったのだった。
「人をそうやって責めて、楽しいの?」
「質問を質問で返すんだ?バカ決定ね」
 余裕が無いのは鈴音も同様であった。いくら鈴音でも、修があの晶に挑んで無事とは思っていない。
「やめて!ケンカしないで!私が行くから!」
今にも取っ組み合いを始めそうな2人を見かねて、乙女が止めに入った。
涙ぐんで、肝試しの時以上に弱気になってこそいたが、芯の部分の強さは健在だった。
「じゃ…行くね…」
 乙女は、おぼつかない足取りで、元来た道を戻り始めた。
まず鈴音が、その後に柏木姉妹が続いた。
会話は全く無くなったが、悪い雰囲気は恐怖の前に薄れていった。
そして、乙女を気遣って、鈴音が、家庭科室直近の廊下の角で様子を伺った。
「そんなの…?」
 鈴音は、自分の目を疑った。
修が、五体満足で犬神を背負って歩いてくる。その隣では、操が、彼女に運ばれていた。
「何で…桃瀬くんが、晶ちゃんと一緒に歩いてきてるの…?」
758マロン名無しさん:2006/07/05(水) 10:42:58 ID:???
宮田の続きGJ
ちなみに二階堂はA組だったハズ…
間違ってたらゴメン
759マロン名無しさん:2006/07/05(水) 14:18:34 ID:???
GJ!
宮田・・・すげー。
760マロン名無しさん:2006/07/05(水) 15:03:57 ID:???
修は操られた?てっきり殺されたかとオモタ
761The most calamity:2006/07/06(木) 03:12:26 ID:???
ベキ「あ゛ぁ〜…姫子、ウザイ…」
姫子「そんなこと言わないでおねーちゃんと遊んでほしーカナ!」
日常。そう表現すればいいのだろうか。
毎日授業の合間に例外無くやってくる休み時間、教室の真ん中で天才ちびっ子教師ベッキーに抱きつく天下のオメガ馬鹿少女姫子が
喚いている。そこにはいつもと全く同じで、何の変哲も無い、相対性理論などお構い無しに、常に一定とも思われる時間が流れていた。
ベキ「、姫子…頼むから離れてくれ…」
ベッキーの体調が悪いという一点のみの異常を除いては、ではあるが。
姫子「ベッキーどうしたのカナ?顔色が悪いヨ?」
玲「…心配するならどいてやれよ…」
ため息交じりに呟く玲が観察する限り、ベッキーの顔色は本当に悪く今にも倒れそうだ。辛いのなら学校に来なければいいのにと
姫子以外の誰しもが思うのだが、ベッキーは意地でも授業をする気なのだろうし、姫子はベッキーを労りはしても解放はしないだろう。
早退するベッキーの足元に必死でしがみつきいかないでくれとわめいている姫子を想像したが、玲はそれを即座に振り払う。
そんなことにでもなったら鬱陶しくて仕方が無い。
だが当の姫子は現時点でベッキーを手放す気は無いらしく、ベッキーに抱きつきながら離さなかった。そしてそれがまたベッキーの
様態を悪化させているように思えなくも無い。
くるみ「どーしたのよベッキー」
ここぞとばかりに会話に参加しようとするくるみ。
ベキ「いや…体調が悪くてさ…」
都「そんなのは見れば分かるって…」
天才の癖に見て分かることしか説明しようとしないベッキーに、都がおでこを光らせながら溜息をつく。そのおでこを姫子が
鏡代わりにする。いきり立つ都。迸るレーザー光線。
6号「お薬のみましたか、先生?」
ベキ「あー、一応なー」
薬の苦い味を思い出したのか、はたまた居心地が悪いのか、ベッキーの表情が僅かに曇る。
762The most calamity:2006/07/06(木) 03:15:27 ID:???
くるみ「だから身に覚えは無いの?」
ベキ「うー、あー…」
都以外にもベッキーの身を案じる一同が何かあったのかを聞き出そうとするが、何故か
ベッキーは渋って話そうとしない。
さすがに何かを感じた玲は、声のトーンを落として呆れたように言った。
玲「もしかして、また夜中までゲームやってたのか…?」
ベキ「(ギクッ!!)」
あからさまに慌てる様を見る限り、どうやら図星だったようだ。それに気づいた周りも
次第に呆れムードへとかわっていってしまう。
玲「やっぱりな…そりゃ具合も悪くなるよ」
都「…呆れた」
都が再び溜息をつく。姫子も溜息をつく。その吐息が都のおでこを曇らせる。姫子が
磨き始める。喚く都。迸るレーザー光線。
ベキ「べ、別に遅くまでゲームをやってたから具合が悪くなったわけじゃないからな!
   ちょっと夜冷えたから…、それで風邪を引いたんだ!!」
玲「はいはい。嘘はもっと上手につこうな、天才ちびっ子先生。」
飽く迄認めようとしないベッキーを、玲が冷静に指摘する。玲にここまで言われてしまえば、
もはや天才ベッキーの立場は無かった。
ベキ「はぅはぅ〜…」
姫子「はっ!!ベッキィ〜、泣いちゃダメダヨ〜!スマイルスマイル!!」
都「あんたねぇ…」
こんな状況でもベッキー大好きな姫子はベッキーに抱きついて離さなかった。
一体それが迷惑以上の意味を持つのか分からなかったが、姫子はベッキーの味方を貫き通すようだ。
姫子「ベッキー元気だしてヨ〜」
ベキ「ウザイ離れろ〜!!!」
姫子「嫌だぃ!ベッキーは離さないの〜!」
…味方になっているかは分からなかったが。
玲「姫子、私たちはもう行くよ。次は体育だからな」
姫子「え?あぁ!玲ちゃん見捨てないでほしいカナ!?」
ふれあい動物園の閉館を唐突に勧告された姫子は、今度は玲に抱きつき必死の抵抗を試みる。
玲「じゃまだどけ姫子」
予想外の抵抗に多少イラついた玲の鉄槌が姫子の脳天を貫く。おおいてごめんと姫子は即座に離れた。
763The most calamity:2006/07/06(木) 03:16:57 ID:???
くるみ「はやくついてくればいいじゃない」
姫子「だめー!それはだめカナー!」
気を取り直して再度の抵抗。
都「もう、これじゃ埒が明かないわ…じゃ、置いてくわよ。行きましょみんな」
姫子「あ゛〜!まって〜…」
くるみと都の説得に全身を使って反抗する姫子を見ながら、どうしたものかと玲は
ひとり考える。そして数秒の沈黙後、ちょっとした冗談を思いついた。
玲「ふぅん…しょうがない。じゃぁベッキーを見捨ててついてくるしかないな」
移動教室に間に合わすために放った玲の一言。
冗談交じりで言ったはずのその言葉だったが、馬鹿で、なおかつ必死な姫子には
その冗談が通じるはずも無く、
姫子「・・・・・・・・」
その一瞬で姫子は激しい葛藤を強いられることになっていた。使い慣れない
脳ミソをフル始動させ、必死に結論を導き出そうと試みる。低いスペックで不相応な
処理を呼び出した結果、姫子は遂にフリーズしてしまった。
6号「皆さん、そろそろ移動しないと遅れてしまうオブジイヤーですよ?
   …あれ、姫子さんどうしたんですか?」
皆を呼ぶためにがらがらと教室の扉を上品に開けた6号は、突然目の前に現れた
思案硬直する姫子を見て誰ともなしに問いかける。腕を組んで「考える」体勢の
まま硬直するその姿は、それほど不思議な光景だった。
玲「いや、6号も面白いから見てみなよ。どんな答えを返すだろーな?」
硬直する姫子に何か面白いものを感じた玲は、遅刻という代償を払うつもりでその姿に
見入っていた。その表情は悪巧みをするときのように、僅かに微笑みの表情に歪められている。
姫子「・・・・・・・!!」
そこで姫子がやっと思考の無限ループから脱出したようだ。そして自らが導き出した結論を
発表するべく、確然とした意思をその瞳に宿しておもむろに立ち上がる。
玲「どうするんだ、姫子?」
姫子が息を吸い込む。
姫子「玲ちゃんにも見捨てられたくないしベッキーも大好きだから、私がベッキーを叱ってあげるのカナ!」
764The most calamity :2006/07/06(木) 03:18:37 ID:???
「「は?」」
いくつかの声が見事にハモッたので、誰がどの声を出したのか分からない。
当然と言うべきか、あちこちバグだらけの脳ミソで導き出したその結論とは、実に的外れで、
間抜けで、馬鹿っぽい、最高に姫子らしい答えだった。
恐らく、本気で玲がベッキーのことを怒っているのだと勘違いしているのだろう。
ベキ「ぇ?え?…姫子、なにするんだ…?」
勘違い姫子がベッキーの元へと一歩踏み出す。
姫子「これで玲ちゃんたちにも許してもらえるカナ!」
一歩。
姫子「我慢だよ、ベッキー!」
一歩。
ベキ「ちょ、ちょっと待て姫子!痛いのか!?」
ベッキーに徐々に近づく審判者姫子。
その様子に面々はどこか不安げな表情で勘違いに見入っていたが、玲だけは笑いを噛み殺したままだ。
姫子「ゴメン、ベッキー!!」
最後の大また一歩。
ベキ「やめろぉぉぉおお!!」
恐らく実行している姫子自身が辛いのだろう、あろう事か目をきつく瞑って、全く視界の
利かない状態でベッキーを突き飛ばした。当然手加減というものが全く考慮されない状況で
突き飛ばされたベッキーの体は意外なほどの勢いで吹っ飛んでいき、
ベキ「ギャフン!!」
後頭部を勢い良く黒板の角に打ちつけた。
765761:2006/07/06(木) 03:21:21 ID:???
また失礼します。
今回のSSはまだ仕上がっていないので、前回とは違い数日に一度の投下となりそうです。

今度は矛盾点が生まれないように努力します。


>>757
GJ&乙です。
修が一体どうなってしまったのかに期待
766インプランタ晶:2006/07/06(木) 05:00:02 ID:???
やっべ、ジャイ子のクラス間違えた。
キャラ的にB組のようだと思い込みを激しくしてしまった。
よくよく思い出せばそうだったな。
まとめサイトでは修正されたし。

これから続きを投下します。
晶や修の謎はしばらくおいといて、神原に洗脳された諜報部2人との戦いに入ります。
綿貫も来栖ちゃんも、ガチで戦えば強いと俺は思っています。
767インプランタ晶:2006/07/06(木) 05:03:23 ID:???
>761さん乙です
 4人の脳裏に、共通の疑惑が浮かんだ。
それゆえに、4人は修に無事を確認することを後回しにした。
いや、既に見た限りで修には出血も打撲も見られず、結構背の高い犬神を背負っている。
(どういうことなの…?)
修は、その場の全員が凍りつくような晶の所業を見ても、怯まずに向かって行った。
その勇気を否定する者はいない。だから引け目を感じて、こうして様子を見に来たのだ。
だが、そこで彼女らが見たのは、予想を違えた光景だった。
「助かるよ宮田さん…手伝ってもらえて」
「いえ、いいんですよー。何より、早く運ばないといけないし…」
 意識を失った犬神と南条、そして2人を運んでいる修と晶がいた。
それも、談笑しながら歩いており、何の悲壮感も感じさせない。
(何なの?どーなってんのよ!?桃瀬くん、普段はあんな不景気な笑い方、しないのに…。
 つーか、なんで、あんな事しでかした子と語らってるわけ!?)
(一緒に遭難したときでも…あんな顔はしてなかった…)
(晶も…怪我してる人を見て…笑っていられるような子じゃないのに…)
(…う〜ん)
 優奈は、顔を引き締めて、3人が小声で言う発見に耳を傾けつつ、他には何か無いかと考えていた。
そして、ふと、修たちの歩む先に目をやると、誰かが近づいて来ているのに、気づいた。
(あれは…確かB組の…?)
 優奈が視線を変えたのに気づいた乙女が、次いで目をやる。
(…?響の連れの…黒丸メガネ…!)
 珍しく乙女の頭が知的に動き出した。けっこう勘が混じってもいるが。
(…ね、鈴音。響も…朝…HR後から様子がおかしかったよな…ね?)
 鈴音に確認を取る乙女は、その名が体を表すごとく、弱弱しく見えた。
(うん…、怪しいよね)
(あの黒丸メガネは、普段から怪しーぜ。野球やったときも、野球してるのを、もの珍しそうに見てやがった)
(仕掛ける気?)
(…このまま様子を見てるだけってのは、少なくとも無しだな。とりあえず、お前ら双子は、
 ベホイミか一条のとこに行け。あの2人なら、この状況でも大丈夫っぽい)
 鈴音の後押しを受けた乙女は、いつもの調子で、柏木姉妹に指示を出した。
(それはいいけど、まずはぎゅっと握った手を離してよ。つーか、手、震えてるわよ?あんたが大丈夫?)
768インプランタ晶:2006/07/06(木) 05:05:40 ID:???
(あ、あれ?)
 乙女は、自分がまだ立ち直りきれていないのに気づいて、少し悲しくなった。
(…よりによって、この2人に情けないとこを見られるなんて…)
(フフッ…、後でゴスロリ衣装、着てもらおうかな?…じゃ、またね!)
(…鈴音さんも、桃瀬くんのこと、お願いね…?)
(…うん!何が起きてるのかはわかんないけど、乙女と2人なら、何とかなるよ!)
 乙女が怖がりながらも頑張ろうとするのを見て、3人は、わだかまりを捨てることができた。
「そうは問屋がおろしがね!」
「どこのバカだ!大声出すんじゃねーよ!」
「…あなたは」
 柏木姉妹は、とっさに逃げそこね、この場に残ってしまった。

「ふん、朝から怪しいと思ってたけど、まさかね…?
 調理実習をさぼって、情報収集に努めていた甲斐があるってもんだわ!」
「響ちゃん?そういやいなかったわね…晶ちゃんが目立ってたから、気づかなかったけど…」
 後ろから音もなく現れたのは、朝から様子のおかしい諜報部員、綿貫響であった。
「神原部長の予想通り、あなたたちが校内での破壊工作に関わっているというのは、本当のようね。
 朝から教職員の通勤用車両をパンクさせ、数多くの通信用回線を断ち切り、あまつさえ傷害事件まで…」
「は?黒丸メガネが部長だ?それに、なんで私たちが、んなことしてるって事になるんだよ?」

「今しがた、D組の犬神つるぎと南条操が、保健室へ運び込まれたわ。
 職員室では、C組の桃瀬くるみと上原都が、異変を訴えて出ている。
 そんな中、負傷した犬神つるぎと南条操の救助にあたっていた、
 桃瀬修と宮田晶を尾行しているあなたたちがいる…どう考えても怪しいじゃない?」
「…あなた、おかしいんじゃないの?そもそも南条さんたち2人を傷つけたのは、晶ちゃんなのに…」
「見え透いた嘘を…、それなら桃瀬修が何も言わずに宮田晶に協力している理由がないじゃない?
 あなた達は知らないかもしれないけど、桃瀬修は被害者、犬神つるぎの幼馴染にして、親友なのよ?
 どこのバカが親友を傷つけた加害者の手を借りて、平然としていられるっていうの?」
「それは―」
 それを言われると、乙女や優麻たちにも、答える術が無かった。
何よりその疑問に答えてもらいたいのは、むしろ自分たちのほうなのだ。
769インプランタ晶:2006/07/06(木) 05:18:32 ID:???
「それは、わからないけど…とにかく私たちじゃない…」
「そもそも、お前に怪しい奴呼ばわりされる筋合いも無いな。
 黒丸メガネが部長だとか、茶髪と銀髪が親友なの知ってるか?とか…ムチャクチャだぜ?」

「つくづくあんた達とは話が合わなくて嫌になるわ…、
 実力行使しか無いようね…来栖ちゃん、取り押さえるのに協力して!」
「はい!頑張ります!」
 綿貫の言葉に応じて、そこらの教室から来栖柚子が飛び出してきた。
「もう、考えるのは後回しだな…まずは、まともそうな奴らと合流しねーと…、
 そのためには、取り合えず、敵っぽいのは全員ぶちのめす!」
「誰が敵か味方か…身の安全は確かか…わからない…か。よーし、かかってきなさい!」
 優麻は、特撮ヒーローのような構えを取った。

「…強えー、来栖、強えー」
「…きゃ!響ちゃん…やめて〜」
 予想以上に、響と柚子は強かった。
響は手加減無しで諜報部の闇の技を使ってくる。
すばしっこい乙女でも、かわすのには限度があり、既に優奈は手錠をかけられ、倒されていた。
「ちょーっぷ!」
「…ふー!力だけじゃ、私には勝てませんよ!」
 柚子は、一見小柄だが、メカドジラの着ぐるみを身にまとって、日々宿敵と渡り合っているため、
持久力と純粋な力が半端で無く備わっているのだ。そう、鈴音チョップを受け止めるほど。
「優奈ちゃん!ちょっと、2人とも、同じ土俵で張り合うんじゃなくて、
 相手の弱みに付け込んで、一気に片をつけるとかしなさいよ!」
「お前もな!よし、鈴音!綿貫に普段どおりのきついのをガツンだ!」
「なに、何なのよ?」
「がつーん!」
 鈴音のチョップの直撃を受け、響は体勢を崩す。
「…うう、初めてだから油断した…!鈴音…いつも言ってるけど、手加減してよ?
 ああ…甘いものが食べたいな〜、でも、太っちゃうしな〜、乙女さ〜、お互い上に伸びなくて苦労してるよね〜、
 い、痛い!よくもやったわね!後で後悔しても遅いんだから!」
「…?いよいよ、頭がおかしくなったか?」
770マロン名無しさん:2006/07/06(木) 06:30:44 ID:???
インプラさん乙
野球のところで思い出したが高見沢どうなった?
771マロン名無しさん:2006/07/06(木) 06:45:37 ID:???
怪獣退治を生業とする謎の生命体『ミライマン』に操られて
芹沢と来栖が死ぬまで戦わされるという恐怖の話を
クレヨンしんちゃんの一番つまらない映画を見て思い付いた。
772マロン名無しさん:2006/07/06(木) 07:40:39 ID:???
>>771
是非SSに

>>769
乙&GJです
773マロン名無しさん:2006/07/06(木) 13:57:55 ID:???
インプラさん乙なんですが
状況が把握できない上に思考が多すぎて誰が誰の発言だかわかりにくいです・・・orz
乙女、鈴音、柏木姉妹が黒幕(?)を見つけようとしてる所に逆に犯人容疑かけられて戦闘開始って感じでおkですか?
状況描写ももっと入れてもらえると嬉しいです・・・
774インプランタ晶:2006/07/06(木) 17:41:19 ID:???
>773 ここまでのあらすじ
朝から様子がおかしかった宮田晶が、調理実習中に暴れだした。
ストロングイズビューティフル級にパワーを有り余らせて暴れたので、
狙われた南条と犬神が負傷し、総員驚いて行動できない中、修が止めに入った。
修の残した言葉どおり、その他の生徒たちは逃げ延び、
くるみ、都は助けを呼びに行き、大多数の生徒は学園自体から逃げ出そうとした。
しかし、桃月学園はある種の力場に覆われ、敷地の外には出られない。
半端な場所に逃げていた鈴音、乙女、柏木姉妹の4人は、修と晶の安否が気になり、
不安のあまり内輪もめを起こしかけたが、とりあえず様子を見に引き返した。
すると、話の流れ上死んだっぽかった修が生きていたうえに、晶と協力して気絶した犬神、南条を運んでいた。
そして、現れた黒丸メガネの神原宙と何やら話し出した。
ありえない展開の連続に、脳がフットーしちゃいそうになる中、
とにかく黙っていても何もわからないから、この状況でも自分を保っていそうな
ベホイミもしくは一条と合流し、事態の解決に乗り出そうとした。
すると、こちらも様子がおかしかった綿貫響が登場し、
傷害事件が発生したのにこんなところを徘徊している4人は怪しいから、
ちょっと署まで来い的な事を言い出したが、
さも初対面であるかのように、犬神と修が幼馴染であるとか、周知のことを説明しだしたので、
傷害の容疑をかけられた4人は「怪しいのはお前だろ」と意見を一致させ、そう響に指摘した。
それに対し響は「話してもムダなら仕方ない」と来栖柚子を呼び出して実力行使に出た。
乙女たちは、安全を確保するまで考えるのは後回しで、敵っぽいのは全員ブチのめすことに決め、
響と柚子との戦いを始めた。
響は諜報部の技を手加減無しで使ってくるし、柚子は意外にもパワーキャラだったので、
優奈が早々に倒され、残る3人も苦戦していた。
起死回生の鈴音チョップを響に食らわせると、
響は「初めてだからかわせなかったが、いつも言うように手加減してよ」と
これまた矛盾したことを言い出したので、いよいよ響の正気が疑われた。

大体はこんな内容のことを書いたつもりだった。
一部の()は、小声で話しているのを表現したつもりだったけど確かにわかりづらい。
説明下手でスマソ。
775マロン名無しさん:2006/07/06(木) 21:27:54 ID:???
450KB越えたし次スレ立てていい?
変更事項があればよろしく。
776マロン名無しさん:2006/07/06(木) 21:30:17 ID:???
鬱系の画像も募集してみては。ついでにうぷろだも
777まとめサイト”管理”人:2006/07/06(木) 21:41:55 ID:???
>>775
まとめサイトの規約上、露骨な性描写は禁止と追加しておいてください。
濃厚な性交シーンを書かない限りは大丈夫だとは思いますが。
あと、性器の直接描写も規約にひっかかります。
エロスをかもし出したいときは隠喩や象徴的な描写で。
そして、もう一度規約を読み直したら、
過剰なアクセスが予想されるコンテンツの設置も禁止されていたので
少なくとも、今あるまとめサイトではうpろだを兼ねることはできません。

では、こまめにログを取る作業に移るか。
778マロン名無しさん:2006/07/06(木) 21:43:38 ID:???
>>777
管理人さん乙
779マロン名無しさん:2006/07/06(木) 22:09:00 ID:???
>>774
わざわざありがとうございますwww
小声で表現は前後の流れから一応把握はしていたのですが
ラノベとか読んでいるせいか()内は補足や思考の表現のイメージが強いんですよねorz
執筆活動頑張ってください!
780マロン名無しさん:2006/07/06(木) 22:37:56 ID:???
>>777
管理お疲れ様です

>>774
あらすじ分かり易い上に面白くてGJですw
がんばってください
781マロン名無しさん:2006/07/06(木) 23:10:41 ID:???
>>777
いつも管理乙です

しかしながら露骨な性描写禁止は加えない方がいいんじゃないかと個人的には思います

というのも、元々まとめサイトに載せるのを前提にSSが投下されていた訳ではないから、
SS職人様がまとめサイトの規約に従わねばならない訳ではないと思うんですね

偉そうに言ってすみません
782マロン名無しさん:2006/07/06(木) 23:32:18 ID:???
更に偉そうに横から失礼

確かに禁止事項をつけると表現の幅は狭まり、このスレの特徴でもある
自由性みたいな面が損なわれる可能性もあるように思います…
(実際このスレがそんな自由性を求めているかどうかは定かではありませんが…)

更に更に偉そうに言わせて貰うと、禁止事項を加えるのではなく
どのようにしてその問題を処理するかを管理人さんの方で定め、それを
宣言して貰った方が書き手もやりやすくなると思います。
(そういった描写の入ったSS自体載せない、描写の伏字化等…)


とにもかくにも管理人様、まとめサイト運営頑張って下さい。
どうなろうとも、まとめサイトがあるという事自体がありがたい事なので、
最終的には管理人さんの一番やりやすい方法をとっていただける事を望んでおります。

(たかがいちSS書きが、本当に偉そうに要望ばかり言って申し訳ありません。)
長文失礼いたしました。
783マロン名無しさん:2006/07/07(金) 00:43:04 ID:???
よくわからんのだが、
たとえば、「わーい。桃瀬のチンチン小さいよー」「チンコ出せ桃瀬!踏みつけてやる!」
とか、そういう台詞があったとして、この場合は伏字にされるのかな、かな?

誰か、教えてくれ。
784マロン名無しさん:2006/07/07(金) 02:00:33 ID:???
職人さんの意見も聞きたいな
785マロン名無しさん:2006/07/07(金) 03:17:06 ID:???
スレに投下するSSは露骨な性描写ありでもいいんじゃない?
まとめサイトに載せるときに職人さんや管理人さんどうしで話し合って隠喩に変えるとかの作業があればいい気が
ただこの方法だと手間が掛かって職人さんや管理人さんの負担が増えるのが難点
786マロン名無しさん:2006/07/07(金) 03:25:30 ID:???
書き手の一人です。
私は書きたいように好き勝手ssを書いているだけなので、
上で挙げられているような制約とかあまり気にしません。
自分が面白いと思うものを書くためにエロが必要になったらエロを書きますし、
その結果、まとめサイトに載せられなくても構いません。
(まあそこまで過激なエロssとなったら、エロパロに投下しますし)

>>782さんが書かれているように、
まとめサイトの管理人さんの一番やりやすい方法(最善だと思う方法)を
選んで頂けたら、と思います。

スレの今後の為にもこういう話し合いは必要だと思いました。
偉そうなこと言ってごめんなさい。
787マロン名無しさん:2006/07/07(金) 04:32:12 ID:???
>>783
管理人さんに聞けばわかるんじゃね?
788マロン名無しさん:2006/07/07(金) 06:33:56 ID:???
ヤバイのは載せなければいいんじゃね?俺としては過去スレのdatファイルも一緒にうpってくれると大助かりなんだがw
789まとめサイト”管理”人:2006/07/07(金) 06:49:55 ID:???
>>781

> しかしながら露骨な性描写禁止は加えない方がいいんじゃないかと個人的には思います
> というのも、元々まとめサイトに載せるのを前提にSSが投下されていた訳ではないから、
> SS職人様がまとめサイトの規約に従わねばならない訳ではないと思うんですね
> 偉そうに言ってすみません
私はそれが正しいと思います。
まとめサイトに載せる場合は基本的に伏字にかえさせていただきますが、
書き手の方がこのスレに書き込む時点での規制はするべきではないと思います。
とりあえずまとめサイトにはアダルト規制があるということです。

>>783
Q.アダルトサイトは禁止とのことですが、同人などを扱うのもだめですか。
イラストなどの画像では、局部描写(モザイク処理を含む)、性行為の描写は、弊社ではアダルト画像と判断いたします。
小説など活字で表現する場合は、性器の名称、性行為の名称を掲載は、お断りさせて頂いております。
尚、アクセス制限でパスワードをかけている場合も、上記コンテンツを含む際には同様に判断致します。

また過度のサーバー負荷がかかりますようなコンテンツ等につきましても同様にお断りしております。

※イラスト画像等で判断できない場合は【 お問い合わせフォーム 】よりURLをご明記の上ご連絡ください。

上記のような規約がありますので、2ちゃんねる投稿時点ではチンチンで構いませんが、
まとめサイトに載せる際には管理人の判断で伏字にさせていただきます。
なお、自力で加筆、修正したい場合は、まとめサイトトップにあるメールアドレスから
テキストファイルをお送りいただければ、誤字脱字の類が気に入らないなら正せると思います。
790マロン名無しさん:2006/07/07(金) 07:53:31 ID:???
五十嵐先生が給料日前の金欠状態をデパートの試食コーナー巡りで乗り切る話はどう?
791マロン名無しさん:2006/07/07(金) 08:04:51 ID:???
柏木姉妹が、ねずみ算式に増殖していって地球を危機に陥れるパニックSFを
ケロロの「いきなりだんご」の話を見て思い付いた
792マロン名無しさん:2006/07/07(金) 08:44:04 ID:???
なんでこんな話になったかというと、>>775が「次スレ立てようか?」・・・と話を振ったんだよね。

結局どうするん?
新スレ、>>775が立ててくれるのカナ〜?
テンプレ修正するなら修正してさ。
793マロン名無しさん:2006/07/07(金) 14:24:23 ID:???
>>790
五十嵐先生なら金欠のときに早乙女先生や修にたかるくらいの事はやりそう。
だから、あらかじめこの2人に頼りづらい流れにしておいてから金欠にしたら面白いかも。
794マロン名無しさん:2006/07/07(金) 18:40:39 ID:???
先生のために援助交際する6号とか
795マロン名無しさん:2006/07/07(金) 18:42:48 ID:???
泣けるぜ…
796マロン名無しさん:2006/07/07(金) 18:43:21 ID:???
>>794
良さそう。
すぐに書くんだ。
797マロン名無しさん:2006/07/07(金) 18:58:17 ID:???
        lヽ      ____       ∧
  , ----/  | ,r'´       ´¨'ー、 / |-- 、
, '     >、/ソ:::              ̄`ヾ、  ヽ
!    /  7:::::::/ /   l  l  ヽ ヽ  \ヽ|
! l   T…イ、::::/ ,' , ---|   l--、',  ヽ   ヽ|
l l  |  l::::::/  l' x==y'  ,」z=x ト   ',. / l
l !   |   ト:::|   l/!:::::::l'¨´ l::::::トヽ! /l  ! li   そうだ!
lj    ! | ト、fヽ、イ !: :〔 !   !:〔 ! イ「  !  ! l|
.! l | j  ! ゝ| ト  ̄   ヽ ̄  i !  l  l|五十嵐先生が校長とおねんねして
l  !  ! |  |  l ト     r ァ  .ノ| l  ! l
| j   !    !  ! ! rl丶 ニ. r、´|! j   ! l|   お給料前借りすればいいと思います!
丶!     |  \!´\  〈ヽ|' ! ト、/_」 -'´
  ` …-、. 」'/    ∨´ヽ! l !,_イ
        ハ 丶     ヽ  | { ´  ´ヽ
      / 、 \ ヽ     ヽ l |  z‐、ノ
      〈   ヽ. \ヽ   __'j/   jl | i
      |  ヽ ヽ ,二 ̄/く.__ノ'__! ハ
     |   \「:::::/´ヽ、__ ノ:::::〉l|
798中身がイレカワタ\(^o^)/予告:2006/07/07(金) 19:21:34 ID:???
>>641の宇宙人にさらわれたら修と6号、都と宮田の中身がイレカワタ\(^o^)/
の続きを書こうと思うんだが、話の筋を一直線にするため、

6号⇔修ルート
2人のパシられ属性は共通だが、性別が違うのでいろいろと問題が起こる。
修(体6号)は男の距離感で犬神と接してしまい、南条が嫉妬して自己嫌悪に陥ったり、
ほかにも柏木姉妹や五十嵐先生が絡んで、くるみも地味に苦悩する。
18禁にならない程度にエロくドロドロな展開予定

都⇔宮田ルート
性格も成績も大違いの2人が入れ替わったわけだが、定期テストが目前に迫る。
都(現在宮田の体)は自分のメンツのため、宮田(体は都)に猛勉強を強いる。
宮田(だと周囲は思っている)のガリ勉変貌ぶりに追試組含む周囲も振り回される。

をそれぞれ別個に書こうと思う。
入れ替わってる事実は混乱を避けるため、基本的に隠す方向で話が進む。
まとめて書いてから次スレに投下することになるだろうから、どっちから先に読みたいか教えれ。
799マロン名無しさん:2006/07/07(金) 19:40:52 ID:???
>>798
がんばって下さい。期待大です。

悩むけど…内容が重い方を先にやって貰えると…良いかな…と。
800マロン名無しさん:2006/07/07(金) 21:55:12 ID:???
試食コーナーを荒らされたデパートの店長が、五十嵐先生の暗殺依頼をよりによって「天才ポスト」に投函するところから事態は急変する
801マロン名無しさん:2006/07/07(金) 23:24:12 ID:???
>>775です。

立てましたのでご報告。

(o^v^o) ぱにぽに de 学級崩壊 (*゚∀゚*)4日目
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1152282194/
802マロン名無しさん:2006/07/07(金) 23:30:47 ID:???
>>801
乙カナ?
803マロン名無しさん:2006/07/07(金) 23:35:43 ID:???
乙ダヨ♪
804マロン名無しさん:2006/07/07(金) 23:46:59 ID:???
乙ッス.com
805ぱにぽにゲシュタルト崩壊:2006/07/08(土) 00:20:50 ID:???
「ねえねえ都ちゃん都ちゃん?」
「何よ、姫子……自己採点してるんだから邪魔しないでよ」
「昨日原稿やってたらさー」
「原稿って、あんた…… テストは」
「文字が書けなくなっちゃったんだよねー」
「……文字が? あんた……脳味噌大丈夫?」
「しつれいなーだいじょうぶだよ! なんかねーひらがながへんなかたちにみえてきたんだよ!」
「わかったから、かんじで、しゃべりなさい」
「理解った…… 『ひ』って有るじゃ無い? 彼の文字がΩを逆さに為た文字にしか見え無く成ったんだよ!
 後は『ま』が尻尾の曲がった蜻蛉に見える用に成つたり……色々有るんだけど其の御陰で台詞の写植が出来無く成つちやつたんだ!」
「嗚呼……それは私もときどきあるわ。書き取りなんかしてたりすると無意味な線の集合にしか見えなくなるのよね。おかげで点が一つ多かったりnがmになったりとかさぁ」
「然羽然羽読点其連其連句点良迦都丹読点私丈爾耶無迦都丹无陀句点都茅耶无愛音符无疑問符M疑問符都茅耶无被虐嗜好奈能疑問符覇亜覇亜三点
 (そうそう、それそれ。よかった、私だけじゃなかったんだ。都ちゃんラビュン♪ ん? M? 都ちゃんMなの? ハァハァ……)」
「Mってそういう意味じゃないから……」
806ぱにぽにゲシュタルト崩壊:2006/07/08(土) 00:22:48 ID:???
(万葉仮名の『つ』に『都』を当てた文で固有名詞の『都』が出てくると読みづらいわね。ひらがなって便利なのね)
「という意見なんですが……どう思いますか、ドMの朝比奈委員長」
 朝比奈に問う雪絵の笑顔は慈母のようにやさしく美しい。
(読みづらい事を承知で使わざるを得ない理由があったのかしら。家訓とか、生命の危険があるとか。爆発……名前を書かれると心臓麻痺……逆か)
 英理子は雪絵に負けじとわざとらしい余裕の笑みを浮かべて言った。
(ヒマな人が逆立ちしてマヒ……ここ……東京都)
「瀬奈雪絵さんの委員長解任の緊」
(神奈川は府にならないのかしら? ……神奈川府……神奈川麸……神奈川のお麸って有名なのかしら?
 小学生のころ金沢文庫は石川県の金沢にあると思っていたけれど、石川の金沢はお麸も多そうだわ……)
「却下します」
 雪絵の冬の朝のように澄んで引き締まった声が第三会議室に響いた。
(京都のお麸……修学旅行で食べたわ……もしかして、お麸が美味しいのが府の条件?)
「急動議を」
 それでも諦めず続ける朝比奈を無視して雪絵は今度はみのりの意見を伺う。
「どう思われますか? 大森先輩」
807ぱにぽにゲシュタルト崩壊:2006/07/08(土) 00:24:39 ID:???
「それはゲシュタルト崩壊ね」
 空想の翼を大空に羽ばたかせていた大森みのりだが、その答えについては投書の冒頭で気付いていたので即答が可能だった。
「ゲシュ……タルト?」
 首をかしげた由香にみのりが答えようとするが、側にいた麻生副会長がすでに解説をはじめていた。
「人間が点や線の集合を文字や絵として認識しているのがゲシュタルトの効果によるものなんです。
 これを認識する機能に齟齬が生じて個別の点や線を認識してしまうようになるのがゲシュタルト崩壊です。
 ギャル文字や顔文字が文字や顔に見えるようになるのと逆の現象ですね」
「いま麻生さんが言ったとおりよ。あとお菓子のタルトとは関係ありません」(お麸のタルト……)
「えへへー、私もよくなるから覚えてたんですよー。交ぜ書きすると起こりやすいんですよねー」
 副会長が緩い笑顔で発した言葉に、緩急がきついとよく評されるみのりは急の方に最大に針が振れた顔で口を開いた。
「そうね……図書委員として言わせて頂くと常用漢字から外れてもルビなどで対応して作者の思い描いた表現をそのまま伝えて欲しいかしら。……失礼。話がそれましたね」
「それでは、今日はここまでとします」
 みのりの話が終わったところで、雪絵は自らの解任動議を提出させないまま閉会を告げた。
808ぱにぽにゲシュタルト崩壊:2006/07/08(土) 00:26:14 ID:???
「こんにちはー」
 二回ノックしてから宮本研究室の扉がゆっくり開いて、満面の笑顔が覗いた。
「あー、どーも…… また映研を手伝えってんですか? やですよ、もう……」
「違いますよー、あのねー」
「今日は何です? 監督でもしろってんですか?」
 真尋に担任されて以来麻里亜に対しての接し方を模索中のベッキーは
視線をディスプレイに向けたまま、もったいぶった言葉の続きを促す。
「じゃじゃーん! お届けものでーす」
「『宮本さん』……って、これ…… お姉さんから!?」
 渡された封筒と相手の顔を見比べながら、ベッキーは目の前にいる女性からいつもとどこか違う、しかし懐かしい何かを感じ、そして気付く。
「せ、先生ッ!? もしかして!」
809ぱにぽにゲシュタルト崩壊:2006/07/08(土) 00:27:38 ID:???
「はーい姉の真尋でーす。麻里亜ちゃんは校外で撮影中なのでまんまと潜入成功しましたー」
 真尋はベッキーに封筒を渡して空いた右手を元気よく挙げて左右に振った。
そういえば、今日は映研部員と連れ立っておらず一人である。
「文集を作るので、宮本さんも書いてください。
枚数に制限はないですけど、常識的な範囲でね。そのまま印刷しますから丁寧に書いてくださいね」
「はぁ……」
 封筒の中にはプリントと、原稿用紙が10枚ほど入っていた。
「クラスのみんなも、先生も……宮本さんの事クラスの一人だって思ってますから。
それ……宿題ですからちゃんと提出してくださいね」
 封筒の中身から真尋に視線を移すと、真尋の暖かいまなざしがまっすぐ自分に向けられていて、ベッキーはあわてて目を逸らした。
「……はい」
 飛び級の連続のレベッカにとって、論文ではなく作文を書くなど初めての経験である。
「あと学級新聞もあるんですよー。ヤギを飼いはじめたから宮本さんもよかったら見に来てね。でも0点のテストを食べさせちゃ駄目ですよー」
「しませんよそんなの。うちの生徒にさせそうな奴が一人ほどいますが……」
 そういえば南条がヤギ三郎を連れてきた時、姫子はどうしていただろうか。
810ぱにぽにゲシュタルト崩壊:2006/07/08(土) 00:30:00 ID:???
 歓談を中断させる扉が勢いよく開いた。
「べき子ちゃん飲み行くぞー」
 天下無敵の飲んだくれ美人化学教師五十嵐美由紀その人である。
「麻生もいたんだ。一緒に行くか?」
「あーどうもー。いつも宮本さんと麻里亜がお世話になっております」
「はぁ?」
 いぶかしげに五十嵐に凝視されて、真尋はそうは見えないがあわてて自己紹介をする。
「あっはじめまして、桃月三小の麻生真尋と申します」
「ああ、麻生のお姉さん? うわーそっくりだわー」そして五十嵐は挨拶もそこそこに真尋を誘う。「ねえねぇお姉さん、お酒はいけるクチ?」
真尋は小学校の教師なので間違いなく成年である。もちろん酒を飲む事が認められているので居酒屋に入っても問題はない。
そして麻里亜は真尋にそっくりなのでこれも居酒屋に連れて行っても問題がない。
ソクラテスに見せて聞かせてぶち込んでやりたい程見事な三段論法である。
数学教師でも行けるのではないかとうれしくなった五十嵐は、答えを待たず真尋とベッキーの腕を引っ掴んだ。
811ぱにぽにゲシュタルト崩壊:2006/07/08(土) 00:36:04 ID:???
 そして、1時間の後……
「宮本さん、楽しそうな職場ね」
 ビールを一気に飲み干す五十嵐を見ながら、真尋はうれしそうに言った。
「まあ……そうですね」
 真尋の真似をして鳥の唐揚げに七味マヨネーズをまぶしてみたが、少々辛くて希釈した殺菌済乳酸菌飲料で急ぎ洗い流す。
「小学校に戻ってくるなら、いつでもいいわよ」
「ええ。みんなによろしく伝えておいてください」
 予想通りの笑顔で答えるベッキーに真尋がさらに相好を崩す。短い間ではあったが生徒だった少女はやはりちゃんとやっているようである。
「麻里亜ちゃんをよろしくお願いしますね、宮本先生」
「こちらこそ望ちゃんや雅ちゃんをよろしくお願いしますよ、麻生先生」
 教師二人は笑いあった。
 しかしここは居酒屋であり、教育理念を論議する場ではないので、ふたりはぶつけたコップの中身を流し込んで、教師としての自分を飲み込んだ。
812ぱにぽにゲシュタルト崩壊:2006/07/08(土) 00:45:19 ID:???
以上です。
今回は間に合った……
813マロン名無しさん:2006/07/08(土) 01:58:11 ID:???
乙でした。
814マロン名無しさん:2006/07/08(土) 01:58:44 ID:???
下げミスごめんなさい…
815マロン名無しさん:2006/07/08(土) 11:37:45 ID:???
相変わらず上手いなあ。
816マロン名無しさん:2006/07/08(土) 11:53:54 ID:???
GJ!
817七年後のぱにぽに:2006/07/08(土) 13:17:21 ID:???
僕はメソうさ、ベッキーのともだち。七年前に拾われた、一匹のウサギ。
まっ白な僕は、ふわふわのわたあめみたいだと言われて。
おいしそうだから、抱きしめられた。

あの日から、ずっといっしょ。

「いっていまーす」
ベッキーは家から飛び出していった。
まっ白な白衣をつかんだまま、口に食パンをおしこんでいるところを見ると、
今日もちこくなんだろう。
どんなに背が伸びても、胸が大きくなっても、朝に弱いのは昔から。
特に今日は、ベッキーのお姉さんいわく『月のモノ』というやつだから、
さらに朝が大変になったらしい。
たしかに、ここのところのベッキーは、あんまり僕にかまってくれなくなった。
しかたのないことだとしても、なんだかちょっと、うん。
さみしいかもしれない。




せめてこっちを見てくれないかな、と言う気持ちと、がんばれという気持ち。
その二つがまぜこぜになって、とにかく少しでも何かしたくなって。
小さくほえてみようとしたけれど、出来なかった。
なんだかとても眠たい。
ちかごろ多くなったこの不思議な感覚、ゆっくりと力が抜けていくような。
あくびの出ないまどろみ。
閉じていく瞳の端っこに、ベッキーの茶色い革靴が映って。

ああ今日もおはようを言い損ねたと、どこかで後悔した。
818マロン名無しさん:2006/07/08(土) 15:31:06 ID:???
もともとベッキーはメソウサにあまりかまってないけどなあ
819マロン名無しさん:2006/07/08(土) 16:12:56 ID:???
ついに学校にすら連れて行かれなくなったか…
メソウサカワイソス
820マロン名無しさん:2006/07/08(土) 16:20:33 ID:???
ウサギってそんなに長生きするっけ?
821マロン名無しさん:2006/07/08(土) 16:20:53 ID:???
って言うか、

メソウサ死にそう
822マロン名無しさん:2006/07/08(土) 16:36:19 ID:???
>>820
Gファンタジーの付録によると普通は7-8年、長生きだと12-13年。
でもメソウサは普通のウサギには見えないから人間並みかそれ以上に生きそうだ。
ロボウサはメンテナンス次第では永遠に生きそうだな。
823マロン名無しさん:2006/07/08(土) 17:08:45 ID:???
「月のもの」という事は、生理痛に苦しみながら意地を張って、または生理休みが恥ずかしくて無理に出勤したベッキーが・・・
824マロン名無しさん:2006/07/08(土) 17:21:25 ID:???
>>317
健気なメソウサに泣いたのは俺だけか
825マロン名無しさん:2006/07/08(土) 17:35:24 ID:???
このあと、ベッキーがメソウサの病気を治してくれる医者を探してあちこち駆け回るが、
どこも手の施しようが無くて、メソウサはベッキーに抱きしめられながら息を引き取る
826マロン名無しさん:2006/07/08(土) 17:45:46 ID:???
そしてメソウサは生身の体を捨てロボメソウサに
827マロン名無しさん:2006/07/08(土) 17:53:26 ID:???
innocent scooterの巻の続きを書いた者ですが・・・
作者の許可なしにのせてもいいんでしょうか?
828マロン名無しさん:2006/07/08(土) 18:04:30 ID:???
あらかじめ作者が違うと断っておけばいいとオモ
829マロン名無しさん:2006/07/08(土) 18:07:24 ID:???
innocent scooterの作者とは別人です
ではこれからこの続きをのせます。
830翼の折れたエンジェル:2006/07/08(土) 18:09:38 ID:???
例え、どんなことがあっても俺は頑張った。
例え、どんなハンデを負っても毎日を明るく笑って過ごした。
例え、家庭崩壊が起きても俺は希望を捨てなかった。
例え、くるみが交通事故を起こし記憶喪失と人格障害になったとしても、いつかは治ると思った。

奇跡は起きる、そう信じていた。

だけど、それはただの幻想にしか過ぎなかった…。


くるみがバイク事故を起こしてからだいぶ時間が経った。
あれほどの重傷を負い、意識不明の重体から奇跡的にも回復した。
しかし、脳へのダメージが大きすぎたのか後遺症が残り、今までの記憶を失い社交的で明るかった人格まで変わってしまった。
医者が言うには、それは分裂病型人格障害という人格の病気で「人」に興味がなくなり、社会から孤立してしまうものなのである。
初めて医者からくるみの症状を聞いた時は、頭の中が真っ白になった。
どう反応していいか分からなくなった。
あんなにいつも元気で、何事にも怖気付かない気質。
初対面の人でもすぐ仲良くなれる社交性。
自分を強く自己主張しても途方に終わり落ち込む空回りさ。

そんな今までのくるみはもう見られない…。
831翼の折れたエンジェル:2006/07/08(土) 18:10:13 ID:???
だけど、俺はいつかは治ると信じた。
くるみの付き添いをする事になった母さんの負担を少しでも減らそうと家の事は全て俺に任せてもらった。
父さんは今まで通りに仕事をするだけでいい。
くるみの事を心配して普段の仕事に差し支えては困る。
こうして俺は学業と全ての家事をする事になった。
日頃、家族の弁当作りや家事はやっていたから、それほど苦ではなかった。
いや、これも元のくるみに戻るためなら俺は苦労とは感じなかった。
家族一緒に協力し合えば、どんな困難にでも負けない……はずだった。


ある日、母親が家から出て行った。本当に突然の事だった。
書置きなんてなんも無く、通帳を持ち逃げされた。
母親は俺達家族を裏切り、見捨てた。あいつは今の困難な状況から逃げた。
一緒に頑張ろうと言ったくせにこのざまだ。
所詮、母親はその程度の人間だったということだ。
だけど俺は違う。
父親の事を信じてないわけではないが、例え俺一人になっても絶対にくるみを見捨てない。
世界でたった一人の妹なんだ。見捨てることなんて出来ない。
この手で守り抜いてやる。

そう思ってた……思ってた……。
832翼の折れたエンジェル:2006/07/08(土) 18:11:22 ID:???
放課後、委員長委員会の事で突然瀬奈先輩に呼び出され、色々と話し合いをしていた。
それが終わったのが、夕方の6時。日も沈みかけて、校門にちらほらと生徒が帰っていくのが見える。
この時間帯で帰っていくということは部活帰りの生徒だろう。
早く帰って夕飯の支度をしようと俺は小走りで駆けていった。
ちょうど父親も帰ってくる時間だ。急がないと。
「ただいま」
玄関を開けると父親の靴が置いてあるのを目に映った。
「父さん、今から夕飯の支度するからちょっと待ってくれ」
学校の鞄を無造作に台所のテーブルに置き、そばにかかってたエプロンを付けようとした。
しかし、そこで何か違和感を感じた。
静か過ぎる……。
いつもならすぐに父親の返事が返ってくるはずだ。
確かに母親が蒸発した後の父親は、鬱気味で元気が無い。
それでも家族が帰ってきたら、必ず「おかえり」っと言ってくれる。
それが無い……。
俺は不信に思い、居間の方へ歩いていき、引き出しから取った包丁をテーブルに置いた。
「父さん…?」
声をかけてみる。やっぱ返事が無い。
――ガタ。
くるみの部屋から変な物音がする。
「父さん?」
もう一度声をかけてみる。でも返事が無い。
俺は恐る恐るくるみの部屋へ足を運ぶと扉が半開きになってるのに気づいた。
833翼の折れたエンジェル:2006/07/08(土) 18:12:02 ID:???
――何故だ…?
人格障害でくるみはずっと部屋に引きこもってた。
学校にも行かず、家族と一緒に食卓で顔も合わせない。
部屋から出てくるのは病院に行く時だけ。それなのに何故扉が開いてるんだ…?
部屋の中を確認しようと俺はゆっくりと扉を開けた。
「父さん?くる……」
父親が呆然と立っていたのが目に入った。
その右手には真っ赤な液体が付着した包丁が握られて、刃の先からその液体がポタリポタリ、と滴り落ちていた。
すぐ傍に服の腹の辺りにべったり血を滲ませ、仰向けで倒れてるくるみ……。
一瞬、思考が麻痺した。一体何が起きたのか理解できなかった。
どうしてくるみが倒れてるんだ?どうして父さんが包丁を持ってるんだ?
「……修か」
俺の存在にやっと気づいた父親は、視線を俺に向けた。
父親の顔とシャツにはくるみの返り血が付いてた。
だが一番気になったのは父親の目だ。
死んだ魚の目とは、この事を言うんだな。虚ろで何かに濁った色。
まるで死人のような、もしくは廃人のようなものである。
「……もうこんな困難から楽になろう、修」
今の状況をまだ把握出来てないのに、更に加えて父親の言ってる事も理解できない。
いや、客観的に見ればたんに父親が妹を殺した。
動機は、今の発言から予想すると介護疲れだろう。
今の生活から楽になりたいためだろう。今の苦難から現実逃避したいだけだろう。
834翼の折れたエンジェル:2006/07/08(土) 18:14:04 ID:???
「母さんもいない……くるみもこんな状態じゃ…未来は無い……。」
プルプルと父親の右手が震えた。
「ならさ…俺達全員死んだ方がいいんだよ……」
父親が俺の方へ一歩一歩、歩いてきた。
その動きにやっと呪縛から解け、俺は父親の動きに合わせるように少しずつ後ろに後退した。
「修……」
――嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……。
「修……」
――来るな、来るな、来るな来るな来るな来るな!
その時、嫌な臭いが俺の鼻についた。
どんな臭いか分からなかったが、父親から発生したのは間違いなかった。
本当に嫌な臭いだ。
鼻がもげるとかそういう問題じゃない。
頭のてっぺんから体全体を腐らせる臭い……。そういう心理的な臭いだ。
「修……!」
包丁を握った父親の右手がピクっと動き――次の瞬間、まっすぐ突っ込んできた。
はっ、と気づいた修の面前には、もう父親が迫っていた。
――殺される……!


835翼の折れたエンジェル:2006/07/08(土) 18:15:06 ID:???
気づいた時には、父親は居間で先ほどのくるみのように仰向けに倒れていた。
その父親のシャツから夥しい量の血が染みを作っていた。
腹を中心にどんどん赤く丸い円が広がっていく。
自分の右手には居間に置いた先ほどの――夕飯の支度をしようと引き出しから取り出した包丁が握られていた。
その刃の先には滴り落ちる血―――先ほどの父親と同じだ。
俺は父親が倒れているその光景をしばらくの間、ぼんやりと見つめていた。
そして、何かに誘い込まれるように自分の部屋の方へふらふらと動いた。
――ガチャ。
扉を開け自分の部屋に入ると力が抜けるように座り込み、壁に寄りかかった。
シーンと静まり返った俺の部屋。
それと比べて外では豆腐屋の笛の音。子供達の無邪気な大声。「もう帰る時間よー」っと子供達に呼びかける母親の声。
まるでこの部屋だけが別の世界に思えた。
――もう、戻れない。
あっという間の出来事だった。このあっという間で俺は全てを失った。
――くるみ、父さん、今までの生活…。
まるで夢のように感じたが、これは現実。
何故なら開いた扉から錆びた鉄の臭いがしたから。
その臭いが俺を現実に引き戻した。
836翼の折れたエンジェル:2006/07/08(土) 18:16:25 ID:???
その臭いが俺を現実に引き戻した。
――どうして、こんな結果になったんだろう…。
俺は何も悪いことなんてしてない。
ただ、くるみが元に戻るのを信じ、一生懸命になったつもりだ。
自分なりに頑張ったつもりだ。
でもその結果、くるみが父親に殺され、俺は正当防衛で――言い訳だな――父親を殺した。
――何かを期待すれば、必ず酷い裏切りが待っている。
今、俺はそれを初めて経験した。本当に酷い…。
「もう疲れた……」
無意識にそんな言葉が口から出た。
もう考えるのも疲れた。息をするのも疲れた。何もかも疲れた。
生きる希望を失った人間は、こんな気持ちなんだろうな…。
俺はいまだ握ってる包丁を首に狙いをつけ、手を高く上げた。
急に桃月学園の友達、先生、先輩達の顔が頭の中に浮かんだ。
――五十嵐先生、最低な生徒でごめんなさい。
――柏木姉妹…区別つけれたが、名前で呼んだ事無かったな……ごめんな、優麻に優奈……。
――犬神、上原……俺達兄妹は中学時代からの付き合いだったけど、いつも楽しかった。

――皆、ごめん……。
――くるみ…俺も今からそっちに逝くからな……。

修の握ってた包丁が振り下ろされた。
837翼の折れたエンジェル:2006/07/08(土) 18:23:10 ID:???
まだまだ続きます

修は書き難いといわれるけど、自分は書きやすいと思う
くるみ勝手に殺してごめんな

それでは次回をお待ちください
838マロン名無しさん:2006/07/08(土) 20:52:15 ID:???
>>837
泣いたよ…久方振りの哀愁溢れる鬱だったよ…GJだ
続きがあるんだな…頑張ってくれ
839マロン名無しさん:2006/07/08(土) 22:38:51 ID:???
くるみと修には何故か感情移入しやすい俺としては、
これほど鬱でGJと言える作品は無いな…
頑張って、是非続きを読ませて欲しい。

BGMが欲しぃなー
840マロン名無しさん:2006/07/09(日) 00:46:00 ID:???
『innocent scooter』を書いた者です。
まさか続きを書いて下さる方がいらっしゃるとは思いませんでした。ありがとうございます。
どうぞお好きなように書いてください。楽しみにしております。
841マロン名無しさん:2006/07/09(日) 01:03:07 ID:???
寛大也
842七年後のぱにぽに :2006/07/09(日) 10:33:49 ID:???
目を開くと、もう辺りはうすむらさき色になっていて。
また、まばたきしているうちに一日が過ぎちゃったんだと思う。
ここのところ、ずっとそうだ。何だかもったいない。
辺りを見回して、鼻をひくひくさせる。ベッキーの匂いはしない。

まだ、帰ってきてないんだ。

さっき寄せたはずのおちゃわんのごはんが、新しくなっている。お水も入れ替えられている。
のろのろと体を起こして、お水をなめた。冷たい。
この調子なら、ごはんも食べられるかと思って少しかじったけれど、ダメだった。
口に中に広がるニンジンの味がキモチワルイ。思わず吐き出して、もう一度ねころがる。
夢のなかは、とてもしあわせな世界だった気がする。
僕はまた夢を見る。

ベッキーと最後に話したのは、いつだっただろう。

僕はベッキーを追いかけている。
ベッキーはお姉ちゃんが選んでくれた、白い服と可愛いスカート。小さな手は僕と同じくらい。

『なんと!教員免許が出ちゃいましたよ!』
『マジですか?!職業教師って書いて良いの??』

わたあめでいっぱいのせかいはいつもふわふわでいつもあったかで
いつまでもおいかけっこができる

いつまでも
843七年後のぱにぽに :2006/07/09(日) 10:36:19 ID:???
また朝がきた。
でも、その日はいつもと違っていて。ベッキーのお姉さんが、僕を車に乗せてくれた。
ベッキーのお姉さんの顔は、気のせいか苦しそうだった。

車はまっ白なお家の前で止まって、僕は抱きしめられたまま下ろされる。
そして一回り大きなふくろの中につめられた。まっくらだ。どうしようか。
昔なら、びっくりしてあばれてしまったかもしれない。でも今は、そんな力も出ない。
とりあえず丸くなると、体がゆらゆらとゆれた。
それがしばらく続き、次にゆれが収まって、足もとがひんやりとしてくる。


いきなり辺りがまぶしくなった。
目をぱしぱしさせていると、変なツンとした匂いがする手につかまれ、持ち上げられる。
いっしゅんだけ体が宙に浮いて、すぐに冷たい台の上に下ろされた。
まっ白い服を着た人が、目の前に立っている。そばには、ベッキーのお姉さん。
二人が何かを話している。白い人が、僕の体をべたべた触る。
ベッキーのお姉さんが、泣いている。

どうして泣いているのか解らないけれど、なぐさめなくちゃ。
でも、体が動かない。またあの眠気がおそってくる。起きていなきゃいけないのに。
なんとか目を開けようとしたけれど、ひどく疲れていて。
閉じていく瞳を冷たい台に向ければ、そこに映るのはうすよごれた毛のかたまり。


なんて、みすぼらしくなってしまったんだろう。
844 :2006/07/09(日) 10:38:20 ID:???
845マロン名無しさん:2006/07/09(日) 10:56:33 ID:???
>>844
思わず最後まで読んでしまったじゃないか
846マロン名無しさん:2006/07/09(日) 11:44:21 ID:???
>>842-844
泣けるぜ…
「涙ちょちょ切れる」とはまさにこういう事を言うんだろうな…
847マロン名無しさん:2006/07/09(日) 11:44:34 ID:???
泣いた
848 :2006/07/09(日) 11:51:38 ID:???
「ごめん、ごめんメソウサ。私、何にも出来なかった。」
849マロン名無しさん:2006/07/09(日) 17:35:49 ID:???
↑そんな女々しいベッキー見たくない・・・
850翼の折れたエンジェル:2006/07/09(日) 21:03:49 ID:???
投下した後こう聞くのも遅いんですが・・・
新作を新スレに投下してしまいました
すみません・・・
851マロン名無しさん:2006/07/09(日) 21:41:20 ID:???
852The most calamity:2006/07/10(月) 02:58:02 ID:???
>>764続き


姫子「おはよぉ〜…」
玲「あぁ、姫子か」
くるみ「おはよう姫子」
朝から姫子は見るからにぐったりとしていた。それもそのはずだろう、昨日は自らの手で
ベッキーを気絶させ、病院送りにしてしまったのだ。
責任を感じた姫子は最終下校時刻まで待っていたのだが、結局ベッキーは学校に帰ってこなかった。
玲「まぁ、そう気を落とすな。…って言っても無理か」
自分が遊び過ぎたためにこのような事態に陥ってしまったことに多少なりとも責任を感じて
いるのか、玲のテンションも多少低めだ。
くるみ「ベッキーなら大丈夫だって」
何とか慰めになるまいかと、気休めを言ってみるくるみ。
姫子「本当ー?」
当然の疑問。
くるみ「多分…だけど」
慰めのはずが自分のせいで気力を削いでしまったようにも思えたくるみは、それっきり
黙ってしまった。
暫くその場を包む沈黙。
とそのとき、学校中を朝のホームルームの始まりを告げるチャイムがきんこんかんこん
鳴ると同時に、教室の前扉が音を立てて開いた。
くるみ「あ!ベッキー!!」
ベキ「おはよう愚民どもー。出席とるぞー」
噂をすれば何とやら。いかにもだるそうに教室に足を踏み入れたのはベッキーだった。
853The most calamity :2006/07/10(月) 03:01:14 ID:???


玲「それでなんとも無いのか?」
ベキ「別に。頭打っただけだ。風邪も引いてたからダウンしやすかったんだろうなー」
朝のショート・ホームルーム後の休み時間。一同はベッキーの元に集まり、詳細を聞き出している最中である。
都「じゃぁ、何で昨日は学校に帰ってこなかったのよ」
ベキ「ん?学校に電話したら、風邪引いてるんなら家に帰ってゆっくり休め、だとさ」
飽く迄もなげやりな態度でベッキーは説明を繰り返す。
何か重大な事態に陥ったわけではないと分かり、今まで怪訝な表情だった皆もここでやっと安堵の表情を浮かべ
始める。特に姫子の表情の緩み方は、今まで異常なほどに引きつった表情をしていたのもあり、本当に「安心」
を感じさせる変化だった。
くるみ「もう、心配したんだから〜。姫子なんて心配で昨日…」
姫子「ベッキぃ〜!なんとも無くて良かったカナ〜!!!」
テンションがやっと元に戻った姫子は、話を遮られたくるみなど気にもかけずにベッキーの元に駆け寄る。
その足取りは天にも登る勢いだ。
だがやっと体が浮き始めた姫子には、いきなり落下して地面にたたきつけられるような、悲痛な現実が待ち受けていた。
ベキ「!!く、くるな!!あっちいけ!!!」
姫子「ぇ…?ど、どうしたのカナ、ベッキー…」
姫子が近づいてくるのを確認するとほぼ同時に、ベッキーが叫び声をあげる。
いつもならだるそうな対応で拒絶の意を表すベッキーのその異常性に姫子が、そしてその場にいた全員が
戸惑いを隠せない。
くるみ「ほ、ほんとうにベッキーどうしたの?」
都「いつもの先生らしくないわよ…?」
いつものようなゆるゆるの雰囲気が一気に凍結した空間で、くるみや都がその場を取り繕うと必死に
言葉をつなぐ。内心は冷や汗たらたらなのは言うまでもないだろう。
ベキ「あーうるさい!姫子、お前に突き飛ばされたときどれだけ私が怖かったか分かってるのか!?」
姫子「……!?」
らしくない困惑の表情で硬直する姫子にベッキーは追い討ちをかける。もうここまでくると確信的だった。
ベッキーは完全に、恐怖から姫子を拒絶している。
854The most calamity:2006/07/10(月) 03:04:35 ID:???
ベキ「よくそんな顔して私の前に現れられるな?お前は体格が倍ほどもある相手に全力で
   突き飛ばされたことがあるか?気絶して何十分も意識が戻らなかったことがあるのか?
   そのせいで記憶が欠落したときの恐怖を感じたことがあるのか?お前がこうやって
   楽しくおしゃべりしてる間も、私は精密検査で体のどこかに異常が出てないか、
   不安で不安で仕方が無かったんだよ!!!」
いや誰もそんなのんきな事はしていないし姫子に限ってはずっと思いつめていたぞと言える
ような人間はこの場には誰一人としていなかったし、玲ですらも喉まで出かかった言葉を
吐き出すことが出来なかった。それほどまでにベッキーの表情は今まで誰が見たことが
ないような怒りと恐怖に歪められており、姫子はもちろん、教室中、いや学校中のどの人間も
こんなベッキーの姿は見たことがなかった。
だがベッキーはまだまだ言い足りないとばかりに、更にまくし立てる。
ベキ「だいたいいつも私が迷惑してるってわかってて抱きついてきてウザイんだよ、単純に!
   昨日だってマジで調子悪かったんだからな?お前一体どんな恨みがあって私をここまで
   陥れるんだ?楽しいか?そんなことしてて楽しいんだろ?お前は私が困る姿を見て
   笑ってるんだよな、いつもいつもいつもいつも……!!」
玲「ベッキー…」
玲が合間で止めに入るが、ベッキーの勢いは治まる様子が無い。しかも時間がたつにつれて
徐々に言葉の激しさが増してきていた。まるで、いつも溜め込んでいることを全て姫子に
向けて爆発させているかのように。
ベキ「もうちょっと自覚しろよ、自分が迷惑な存在だって!お前みたいな馬鹿でもその
   くらいは分かるだろ?本当に毎日毎日毎日毎日、私の邪魔ばかりしてるじゃないか!
   それでお前は楽しいかもしれないが、こっちとしてはとことん迷惑な話なんだよ!
   馬鹿で愚図で迷惑な存在だって気づいたなら、いっそのこと…」
855The most calamity:2006/07/10(月) 03:05:52 ID:???
玲「ベッキー!!!」
玲はたまらず、今度はベッキーの名を叫んでとめに入った。これ以上続けさせれば姫子もいつ爆発して
しまうか分からない。そしてベッキー同様に姫子に抱きつき続けられている玲はベッキーの気持ちも、
姫子のその行為が純粋な愛情表現だということも知っていた。
ベッキーも決して姫子が悪気を持ってやっているのではないと分かってはいるのだろう。だが言って
しまった時点でもう引っこみがつかず、その表情は満足感と罪悪感の間を行き来しているようにも見える。
もうひとつ、玲がベッキーを止めた理由があった。玲は次の瞬間に出ていたであろう言葉が予想
できていたのだ。怒りの頂点に達したものなら誰でも感じる感情。それをベッキーに口にされた
姫子が精神を崩壊させかねないことを、玲は最も危惧していた。
ベキ「……!!」
我に返り、我慢できずに教室を飛び出すベッキー。そうでもしなければ再び姫子に暴言を
吐き続けてしまうかもしれなかったし、何よりたった今自分が言おうとしたことに驚愕していた。
くるみ「ベッキー!」
都「先生…!」
そのベッキーの後を追いかける為に、くるみ、都、その場で傍観していた6号、そして意味も無く
一条が続けてばたばたと飛び出していく。
玲「……」
玲は一瞬姫子をどうしようか迷ったが、とりあえずベッキーを追いかけることにした。
そうしてほとんどのメンバーが出て行ってしまうと、先ほどとは対照的に静まり返る教室。
姫子「……マ…」
その中で取り残された姫子はただひとり、何の答えも書いていない床を見つめていた。
856764:2006/07/10(月) 03:08:49 ID:???
容量危なかったが…
とりあえず中断。

こっちで感想もどうかと思いますが…
>>850乙ッス。
どうなるかわからない展開にワクワクします。
857マロン名無しさん:2006/07/10(月) 23:47:03 ID:???
GJ!
858マロン名無しさん:2006/07/11(火) 11:30:50 ID:???
精神的な崩壊イイヨー
859マロン名無しさん:2006/07/13(木) 15:21:26 ID:???
誰かキャラ間の呼称データをうpってくれないかなぁ。。SS書いていると結構悩むんだよね。
860マロン名無しさん:2006/07/13(木) 20:52:05 ID:???
>>859
36 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/13(木) 20:17:50 ID:???
>前スレ859
http://www.geocities.jp/ka_99a/to2.html
861859:2006/07/13(木) 23:04:12 ID:???
>>860
      グッジョブモナ    ∩  グッジョブヨォォォ!
 ゚*:。..   _n        ( ⌒)    ∩__
      ( l.  ∧_∧ /,. /_∧  i ,,E) ..。:*゚
       \ \´∀` ) | | ‘∀‘)/ /∧∧
  . ..。:*゜   \ ⌒  ) ヽ     ,/ (*'∀')b グッジョブゥ
         /    /  |    |   (|  /´   ゚*:。..
862マロン名無しさん:2006/07/14(金) 00:11:25 ID:???
保存した
863マロン名無しさん:2006/07/14(金) 00:23:14 ID:???
>>860
やべ、俺某キャラの一人称を間違えてたwwwwwwww
読み込みが足りなかったようだorz
864マロン名無しさん:2006/07/14(金) 00:34:23 ID:???
あ、自分もだ
865マロン名無しさん:2006/07/14(金) 01:07:03 ID:???
>>860
これ見て思ったんだけどさ、綿貫が桃瀬修呼ぶとき、「桃瀬くん」なのか・・・。
アニメ14話cパート、昼寝してる桃瀬修を起こそうとするとき「桃瀬」って呼び捨てしてた気がするが・・・気のせい?

アニメと原作で微妙に呼び方違う場合はどちらを採用すべきか、とか真剣に悩むんだが・・・。
やはり原作優先カナ?
866マロン名無しさん:2006/07/14(金) 01:21:39 ID:???
>>865
自分がどっちの設定で書いてるかによって変えればいいんじゃない?
簡単なのは一条さんに合わせるってことだなwww
867マロン名無しさん:2006/07/14(金) 01:22:59 ID:???
フィーリングで。
いつも同じ呼び方をするというわけじゃなく気分によって変わるだろうし。

個人的にはアニメとマンガで違う場合はアニメに準拠した方がいいと思う。
マンガの方は長年続く間に絵柄もキャラも変わってきてるけど
アニメの方は再構成して統一してるだろうから。
868マロン名無しさん:2006/07/14(金) 01:23:56 ID:???
>>866
>>867
さんくす!
また一話から見直してみるわ。
869マロン名無しさん:2006/07/14(金) 01:28:06 ID:???
           __
       く_8:::::::::::::ヽゝ
        i::::{Ll」」::l 〉   
        ヾ」 ゚ ヮ゚ノ」   不幸になっていただけませんか?
         /::i:::ヽ/ト、
         ゙ /::::::::::}-'
         ゞ==='
         └'└'

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870マロン名無しさん:2006/07/14(金) 01:30:52 ID:???
_   _...
,≦,彡-─‐‐- 、
´   _: . : . : . : . : . ヽ、 ..、
; -. ̄`'′: . : . : . : . : .\\
/" : : . : . : . : . : . : . : . : .\ヾ
; ; : . ; . ; . : . ; . : . : .:.:. .,   ヽ
i/.:::,/:.;/:.:.:,;.:.l:i、 、   l|i: . : ヽ
".:〃.;i|!:.:.:,ハ :|トi:.: }i i: ..:||ト, : . :i
;.:/i':.リl|!:.:i|' | i||ヽ::.i|;.i;.i.:||;|l : . :|!
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li|''|'|i"「;/′川  l; il`i'サリ|!|:.:. i.i
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  l ''|""        '"!_l _〉!; |
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871マロン名無しさん


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