盛り上がりの無い笹荻の日常短編を投下します。3レスです。
仕事を始めてすぐの、春の休日のとこ。
笹原が家で午後になっても昼寝をしていると、呼び鈴が鳴った。
しかし起きない笹原。鍵が開く音がして、荻上が入ってきた。
「笹原さん、お疲れですね………。」
布団の中の笹原をみて呟く。
その時、笹原が薄く目を開けた。
「あ…ごめん、荻上さん。おはよう。」
「―――!すみません、起こしちゃいましたね。」
布団から起き上がって、笹原は伸びをした。
「いや〜、寝すぎても疲れるからね。………ありがとう。」
まだ少し寝ぼけ気味の笹原は、はっと思い出した。
「そういえば、おやつ買ってきてあるから一服しよう。」
「じゃあ今、お茶淹れますね。」
台所に荻上が向かうと、草餅の4個入りパックが放置されていた。
勝手知ったる笹原宅。やがて笹原のデスクの隅に、熱い緑茶の
湯呑み2つと、草餅のパックが置かれていた。
「ふぅ…お茶ありがとう。草餅って、春の味だねぇ。」
「そうですね、子供の頃、母が手作りしてくれてましたよ。」
そう言いながら、草餅をぱくぱくと食べる荻上。
「それはもっと、田舎っぽいというか、ヨモギの味が強かったですけどねぇ。」
「やー、これスーパーの特売品だから…。」
お茶をすすりながら、笹原は苦笑いだ。
「そうだ、天気も良いし、ヨモギ取りに行きましょうか。」
「え?今から?…っていうかヨモギって生えてるところ有ったっけ?」
「大丈夫ですよ、雑草が生えてるような所なら。」
大きな河の河川敷にやってきた荻上と笹原。
犬の散歩をしている人や、家族連れでやってきて走り回る子供も居る。
「いい天気だねぇ。」
「黄砂で遠くが霞んでて、なんか幻想的ですね。」
そんな会話をしながら、土手を降りて草地を歩く二人。
「あの辺の、整地されてないあたりが良いですね。」
指差して、綺麗に草が刈られてない辺りへやってきた。
「これ、ヨモギです。裏が白いんですよ。」
「なるほどねぇ。匂いも特徴的だよね。」
「あと、大きいのは固いので、若いのだけ取るんですよ。」
草むらの横の土手の、草丈の低い所のあちこちに、濃い深緑のヨモギが見える。
「ちょっと季節が遅かったですかねぇ。」
「そうなの?まだ春まっさかりだけど。」
そう言う笹原の視線の先には、草丈の高い草むらの中の黄色い小さな花を
転々と巡るモンキチョウが舞っている。
「土筆が終わっちゃってますから、そう思ったんですよ。」
「あー、あれ、大変だけど嵩が減るらしいねぇ。」
「そうなんですけどね(苦笑)。」
二人並んで、コンビニ袋にヨモギを入れる。
「笹原さん、それ大きいですよ。」
「あー、ごめん。」
「でもまぁ、かき揚げにでもしましょうか。」
草むらの向こうの灌木のあたりからは、ウグイスの声が聞える。
「子供の頃に山菜取りしたぐらいで、俺はヨモギを取って食べた事は無いんだよね。」
「私も大きくなってからは全然でしたよ。懐かしい感じでした。」
そんな調子で小一時間、二人はヨモギを摘み終えた。
笹原が荻上の部屋に座っていると、台所の方から電話をする声が
聞えてくる。普段聞くことが無いほどの東北弁だ。
「餡から作るのは、無理だっぺやー。」
「え?や!ちげぇって!そんなんじゃないさァ!」
やがて荻上が部屋に戻ってきた。
「実家に電話するの久しぶりでしたけど、母に作り方聞きましたよ。」
「盛り上がってたね(笑)。」
「いえ、そんなの作るの珍しいって吃驚されて……。」
と、赤面する荻上だった。
その日の夜は、ヨモギ入りのかき揚げと、食後に草の香り高いヨモギ餅。
翌日は春日部さんのお店をデートがてら二人で訪ね、お婆ちゃんっ子だった
春日部さんに、ヨモギ餅の手土産は絶賛されたのだった。
「いい奥さんになれるよ、というよりいいお母さんになれるねっ!」
褒め言葉なのかどうか微妙な台詞を受けて、笑顔も微妙な荻上であった。
以上です〜。最近皆さん長いので、たまには短編でさくっと。
内容無くてスミマセン。
>>ヨモギ
この、二人の和やかな空気いいですなぁ。
荻上さんがリードする展開も個人的にグッときます。
ぜひまた短篇書いてください。
>ヨモギ
日常はいい…癒される…!笹原と荻上さんが仲良くしてる風景って、こっちも嬉しくなっちゃいますね。
よもぎもち食べたくなってきちゃいました。
>ヨモギ
う〜ん、いい感じだぁ。
こんなふうに過ごしてるんだろうなあ・・・。
だからここ数日暑いん(ry
短編、触発されて書いてみました。
ここまで笹荻ラブラブモードを書いたのは初めてかもしれません。
キャラもかなり違うきゃも・・・。
それはともかく5レスで投下っす。
秋も深くなり、徐々に寒さも厳しくなってくる10月。
大分厚着の人も目立ちだし、寒さが目に見えて分かってくる季節である。
しかし、ここは全くそれも関係ないほど暖かい。午後の光のせいだけではない気がする。
場所は小さめのカフェ。ミントティーの香りが漂うオシャレな場所だ。
「面白かったですね・・・。」
そういいながら映画のパンフをうっとりするように眺める頭を後ろに縛った女の子。
荻上千佳さんである。
「だね。でもやっぱり端折り過ぎかな・・・。もっと色々描いて欲しかったけど・・・。」
今日は二人で映画を見に来て、その帰りに、カフェに寄ったのだ。
「ですね。フォウは・・・あれでよかったんですかね?
私としては結構好きなキャラだからもっとスポットを当てて欲しかったような・・・。」
「うーん、まあ、そのあたりは分からないけど・・・。
原作を見てない人なら問題ないんじゃないかな?」
「原作ファンがどう思うか、って所ですね。」
「うん。そのあたりは斑目さんにでも聞かないと分からないよ。」
「あはは・・・。そうですね〜。」
場違いのようにも思えるオタ話に花を咲かせながら、荻上さんは口をあけて笑う。
フォウは陰のあるキャラだからそんな笑い方はしないだろうけど・・・。
うん、やっぱりこの方がいいな。
「それじゃ、出ようか。」
「え・・・?」
不安そうな顔をする。・・・ああ、そういうことか。
「帰るにはまだ時間があるから、ちょっと色々見て回ろうよ。」
「あ・・・。そうですね!」
顔がぱぁっと明るくなる。最近の彼女は良く笑う。
その顔もまた、いいなと思うんだ。
町を歩く。荻上さんが、横にいる。
彼女の歩幅は少し小さいから、それに合わせるように少し遅く。
「あの・・・。」
「え?」
手をもじもじさせながら荻上さんは少し顔を赤らめている。
あ・・・。でも、ちょっと恥ずかしいなあ・・・。
手を繋ぐなんて・・・。
そうやって俺がためらっていると、荻上さんは少しむくれた顔をした。
「・・・手を繋ぎたくないんですか。」
「や、そういうわけじゃないんだけど・・・。」
「だって・・・私たちは・・・。」
言わんとしている事は分かる。分かるよ、荻上さん。
「そういうことをしなくなるのは、
関係が壊れるきっかけにもなるって言われてるんですよ!」
そういいながら少し怒った調子で言葉を紡ぐ。
ああ・・・。やばい。スイッチ入っちゃった・・・。
かれこれ、十分間、事の重大さを説かれた。
「・・・というわけです!分かりましたか!」
「・・・ハイ。ハンセイシマス。」
そういいながら、俺は笑って荻上さんに向かって手を伸ばした。
表情をあっという間に変えて、荻上さんは手をとる。
なんか、最近表情が良く変わるなあ。いい傾向だよね。
すごく、一生懸命生きてる気がする。
手を繋いで道を歩く。周囲の寒さに対して、手の暖かさが心地よかった。
道すがら、ちょっとしたカジュアルショップがあった。
荻上さんはその方向を少し眺めている。
「入る?」
「え!・・・いいっすか?」
「何言ってんの。そういうもんでしょ。」
言いながら、手を引いて店のほうへ向かう。
店内は完全に女性向けの作り。まあ、正直、興味はあまりない。
っていうかあったら怖いよね。
荻上さんが一生懸命ウインドウショッピングをしている間、
ぼんやり考え事をしてみた。
明日からの研修、何すんだろうなあ・・・。
最初はミスをすることが仕事とはいえ、プレッシャーはある。
好きなこと、興味のあることを仕事に出来たのは良かったけど、
自分に対しての自信と言うか・・・。そういうものが足りてない気がする。
と、ここまで考えたところで、目の前に荻上さんがいた。
・・・すごく深刻そうな顔をしてるけど、なんかあったのかな?
「・・・どうかした?」
「・・・笹原さんこそ、何かあったんですか?すごく深刻そうな顔してましたけど・・・。」
プッ。少し噴出してしまった。
「何で笑うんですか!」
「いや、なんでもないよ。ちょっと考え事してただけ。
荻上さんがこの世の終わりみたいな顔してるからさ・・・。」
「だって・・・。笹原さんが・・・。」
「ごめんごめん。」
そういいながら、彼女を再び買い物に促す。
本当に、愛されてるんだなあ。なんて、恥ずかしくて口には出せないけど。
荻上さんと付き合うようになって本当に良かったと思う。
帰りはすでに日も落ちかけ、夕闇が迫っていた。
「夕方、ビルの合間に出来る情景が好きなんですよね・・・。」
そういって、荻上さんは電車の窓から見えるビル郡を見つめる。
作家さんならではなのかな。感受性が高いというか、見る目が違う。
一緒にいると、新しい視線が見えて来るんだ。
いままで、感じたことのない感覚で、とても楽しい。
これが付き合うって事なんだろうか?教えて、春日部さん!(笑)
とか言ったら、多分、ぶん殴られるかもな〜。
『新しいけど、楽しくなんかないわ!わたしゃ!』とかいって。
そう思いながらぼうっと窓を見る荻上さんを見て少し笑った。
俺が最初に付き合った人だけど、この恋は、一生物になるのかな?
正直、この未来がどこに繋がってどうなるかは分からないけど・・・。
今は。この先も一緒にいてくれたらなって思う。
俺の憂鬱を吹き飛ばしてくれる唯一の人だから。
夜になって、帰り道を共に歩く。
三日月が綺麗に浮かぶ日が落ちたばかりの時間。
「今日の月は・・・。なんか目みたいに見えますね・・・。」
なんと。また面白いことを言うなあ。
「何の目かな?」
ちょっとからかうつもりで聞いてみた。
「うーん・・・。神様の目とか・・・。」
「何の神様?」
「恋の神様とか!」
ぶっ。また噴出してしまった。
「何で笑うんですか〜。」
今まで見たこともないような変な顔をして、荻上さんは俺を見る。
「いやいや・・・。そんなことも言うんだね・・・。」
少し恥ずかしそうに顔を赤らめる荻上さん。
「い、いいじゃないですか!聞いたのは笹原さんですよ・・・。」
「いや、ごめん、ごめん。」
謝ってばかり。でも、楽しいからいいんだ。
「・・・笹原さん。」
そういって、少し真面目な表情をして俺を見つめる。
これは・・・。キスの合図ですか?でも・・・。少し・・・。
「やー、今日は楽しかったねえ。」
話をしてはぐらかしてみようとする俺を見て、荻上さんは。
「・・・ハイ・・・。」
何か大きなショックを受けたように打ちひしがれる。
あー、しまった!少しからかおうと思っただけなのに!!
ばっと荻上さんの体に近づき、顔と顔を寄せる。
恋の神様(荻上さん曰く)の見てる下、キスをする。
本当に、愛されてるなあ、俺は。それ以上に、大切にしなきゃ。
そう思った、秋のある日。月は神々しく輝いていた。
479 :
後書:2006/05/04(木) 02:43:12 ID:???
え〜、笹原の前だと素直な荻上さんを書こうとして
全然違うキャラになっていることを反省します。
元ネタは荻上さんも大好きなアニメの主題歌を歌っていた某バンドの
『ラビューラビュー』です。
この歌に出てくるカップルを無理やり笹荻にしたため、
破綻が起こっていることに反省の意をあらわ(ry
笹荻全開のこの2本、この歳になると読んでて恥ずかしい…
>らびゅーらびゅー
んんん!いいですね!甘甘ですね!2人のときはデレになる、ツンデレ荻上さん。
笹荻、成立直後はきっとこんなとろけ〜るような会話してたんじゃないかな〜と考えましたよ!
荻上さんが素直でかわいいっすね。これもまたアリだな!
さて今晩は。
「GENSIKEN VS LABUyan」の中の人です。
実は残り投下量が25kほどあるんですよね。
そしてこのスレの現在容量は465k。
全部書き込んじゃうと明らかに危険水域まで行っちゃいますので、
本日は投下量を控えて、残りは次スレが立った時にでも落とさせていただきます。
図らずも、前・中・後編形式になってしまいましたが、ご容赦のほどを。
投下するまでに時間があったもので色々いじくって、ちょいとリライトしました。
内容にかぶりが出ますが(8)の再投入から行うことをお許しください。
>>458 ヤダなぁ、ちゃんと伏せましたよ。
>>459 うわーんどラブやーん!!
「アフタヌーン史上最低の決戦」はサブタイとして最後に付けるつもりだったのに!
>>460 ごめんね。ローゼン知らないくせに偉そうな事書いてごめんね。
>>461 ボケが二人だと物語が回らないので、原作本編のクッチーより若干『普通補正』をかけています。
>>462 ヒント1:職場で書いてた。 ヒント2:閉店時間が8時。
……ったく、コイツは。今日ちょっと話しただけでも、ラブやんさんの苦労が忍ばれるわ。
「さっきから聞いていれば、不人気不人気と失敬な!
よろしいですか?! 『不人気』と呼ばれるたびに、真紅たんはその小さな胸を痛めてるんですにょ!(*注3)
ワタクシも生きた人間! 同様に傷つくのでアリマすぞ!」
すると、メガネをクイッとかけ直したカズフサ氏は
「別に不人気なんて、どーでもイイよ。だってオレ、銀様派だモン。ボクもうお家かえゆー」(*注3)
―――お?
言い方はムカつく言い方だが、ひょっとしたら俺との接点になりうるか?
それに『ボクもうお家かえゆー』されてしまっては俺の用事まで果たせない。
スンゲー嫌だが、ココはカズフサ氏を引き止めねばなるまい。
「……あ。実はその、ワタクシもメインで好きなのは銀様でアリマして」
こう言うと予想通りというかなんと言うか、メガネをギラリと光らせながらカズフサ氏が食いついてきた。
「ホホゥ。初めて意見が合いそうだねキミィ。やはり、ローゼンは水銀燈たんにかぎるヨネ!」
フィッシュオーン! そうだよ、そう。やっぱオタなら同属性について語りゃ話は通じるんだよ。
「全くでアリマスな。他のドール達とは一味違う、あの気品! たまらんものがアリマすにゃー!」
さァ、乗って来い、カズフサ氏。こっちのエサは甘ぁいぞ!!
「ああ水銀燈たんの事を思うだけで、オレの暴れん棒も暴発寸前……
……理性を抑えるだなんてムリのムリムリさ……いっそブチ込んでやりてぇ!!」
あァ? 無理だろそれは。だって銀様は設定では……
「あのー、カズフサさん? 銀様は胴体無い筈でアリマすが……どちらにブチ込まれるので?」
「ウッソ、マッジ?! だってこないだネットで落とした同人だと陵辱シーンあったんダガネ!
じゃあ、アレか、ウチに昔いたメイドロボのコレットみたいな感じか?!」
同人設定かよ! しかもDLしたことを悪びれず言うなよ!! あと、コレットとか嫌なもん思い出させんな。
……そういや、こないだのオナホールの回で、ラブやんさんに、わざわざビデオとテレビ借りて使ってたな。
つーことは、カズフサ氏は普段はアニメや映画見ないし、アニオタじゃないってことか。……正直、意外だ。
なら、銀様の胴体が無いのはアニメのみ設定だし、知らないのも仕方ないか。
などと、つらつら考えていると、属性話でテンション上がってきたカズフサ氏がしゃべりかけてくる。
「ンン〜〜? 何を考え込むことがあるんダネ、朽木クン? ちなみにオレは本編単行本6巻分も全部ネットで拾ったヨ。
タダで手に入るものをワザワザ買うのはバカのやることダヨネ、HAHAHAHA!」
こ、こ、こ、こ、こ、こ、コイツ……ダメダメ人間だぁ〜〜〜〜ッ!!!
アフタの連載で見た感じ『カズフサの部屋、オタルームの割には随分小奇麗に片付いてんなぁ』とか思ってたが、
全部が全部『DLで済ましちゃう派』だったのか! そりゃ、あんまり部屋にオタアイテム無いはずだわ!!
いっそ、怒鳴りつけてやろうかとも思ったが、忍耐力と自制心にかけた29歳児に辛く当たると、
スネちゃって話にならないのは、さっき解った。
ここは現視研で社会的に揉まれ、大きく成長したこの朽木の度量の見せどころ!!
コイツにニッポンが生み出したリリンの文化の極みANIMEの素晴らしさを叩き込んでやらねば!
まずはジャブ代わりに挨拶だ!
「あーいやいや。特に何を考えていたという訳ではございませんにょ?
ただ、カズフサさんはローゼンのアニメの方はご覧になって無いのかなー……などと思いましてにゃ」
するとカズフサ氏、プイスとむくれながらこんな事を言いやがる。
「だってアニメは容量デカイんだモン。アニメ一話を落とす時間があったら同人10冊落として
日課に励むのが正しい男の在りざまだと思わないカネ、ハニバニ?」
もうヤダ。コイツと話すんの。何がハニバニだ。
しかし、ココで沈黙することは敗北を意味する。なんとしてでも一矢報いねば!!
「いややはり、ローゼンの真の魅力はアニメにアリマすぞ!! カズフサさんも是非とも見るべきですにょ!
なかでも銀様は漫画原作者よりもむしろアニメスタッフに愛されておりますゆえ、アニメ版の美しさは三倍界王拳!(当社比)
そして何より動いて喋る銀様の可愛さは華麗さは凶悪ナリ!! それも田中理恵女史の熱演あってのこそですがにょ!!」
「……いや、その。オレあんまアニメとか見ないから声優の話とかされても……」と、最後の方はなにやらブツブツ言うカズフサ氏。
ハ! りえりえくらい知ってろよ、この雑魚がァ!!
しかし、行ける。この話題の路線なら行ける。カズフサ氏と相対して以来、こっちが押してる空気を初めて感じているっ!
ならばこのまま叩き込むのみっ! 愛だ! 俺の銀様に対する愛を語ってやらねば!!
「アニメはオリジナルストーリーが多いんですがにょ。銀様のツンデレッぷりはまた格別でアリマすぞ!!
悪ぶりながらも、めぐを気遣い、めぐを守るために戦う姿にはただ、ナミダナミダの物語!
……しかしながらそのおココロは、がらんどうの体にも似て、寂しく、そして孤独に弱い!
そんな銀様だからこそ! ワタクシがそばで支えてやらないと! ワタクシが守って差し上げないと!!」
おお、最高だぜ俺……輝いてるぜ俺……
俺が銀様を思うこの心は、必ずやカズフサ氏にも伝わったはず!!
―――しかし、運命があざ笑うかのような展開が俺を待ち受けていた。
この後カズフサ氏は信じがたい一言を口にしたのだ。
≦
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お 本 二 ≦ └; 〈 └; n│ __ ,.、
ら 気 次 ≦ /∧〉 〈/〈/ フ ∠ ヽ>/>
れ. に. 元 ≦ 、−- 、ノレ'⌒Z  ̄ ̄ lニ/ />
る な. キ ≦ , -`  ̄`ヽ、 </ />
!!! っ ヤ ≦ 〃 ,_i_l,、ハl、i_,、 `ヽ ◇ </
て. ラ ≦ l' nVl_V _`Y´'_'_ハlハ ,〉 ◇
に ≦ ll lkj'j ヽ. ̄ 人  ̄丿ハj /
≦ |.lu( ゝu ̄  ̄ 〉' ′ 7
洲 派 | l,ハ `l ゚ u,イ ゝ
洲州州州州派 lノ ヽ. l 門 リ ∧/
ノ>- 、ヽ、 凵 /
/´ `丶7´
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/ ヽ ヽ
―――――――――え?
あれ? このヒト今なんて言った?
「ニジゲンキャラニホンキニナッテオラレル」って?
うん。
そおだね。
本気だよ。
愛してるよ銀様。
いやいやいやいや、今問題にするべきは俺が銀様を愛してるとかどうとか言う話じゃなくて……カズフサの野郎の発言内容だ。
「二次元キャラに本気になっておられる」と、奴は言った。そして言いつつドン引きしてる。
つまり。
カズフサは。
二次元キャラを愛せないという事か?
まさか。
そんなバカな。
こんな極まった変態が?
ありえない。物理的にありえない。
じゃあ俺ってカズフサ以下?
さまざまな思いが浮かんでは消え、浮かんでは消え、そして俺の脳髄は一つの結論を導き出した。
裏切りだ!
裏切りだ! 裏切りだ! 裏切りだ! 裏切りだ! 裏切りだ!
いや、そもそも仲間ですらなかった!!
二次キャラを愛せない変態などただの変態、オタクではない!
奴を『オタク』と認識したのがそもそもの間違いだった!
敵だ!
こいつは敵だ!!
自分の欲望のみを追求し、オタ社会に益する事の無いコイツを敵として認識せねばならないッ!
いまや俺の意識は冴えに冴え、カズフサの毛穴の数までハッキリ見て取れる。
他人から見れば、俺の瞳孔は猫科動物のごとく拡大しているに違いない。
「―――二次元キャラに本気になれぬと申したか」
そんな気持ちからか、おもわず、時代がかった口調でカズフサに問い掛けてしまう。
「なんだソリャ、チュパ衛門の真似か……へぶっ!!」(*注4)
何か言いかけたカズフサのアゴに虎拳を一発。ちなみに虎拳とは手首を用いた当て技の事を虎眼流に置いてそう称する。
本気でぶん殴ったせいか、なんかカズフサの首がエラい曲ってる気がするが、
相手はギャグマンガキャラ、この程度の事で死にはしまい。
「い、いきなり何をするんだねキミィ! いくらチュパ衛門ごっこだからって……アロっ!!」
曲った方向とは逆方向で更に虎拳を一発。うむ。コレで真っ直ぐになった。
「あ、あ、あ、アノー、朽木……サン? セッシャがなにか悪いことしたと言うのですカネ?」
29歳児とは言え所詮は子供同然。やはり子供は叩くに限る。コレでやっと話が通じる状態になった。
「悪いこと……で、アリマスか? まー、アナタの様な方は存在そのものが『悪』だと言えるんですが……
良く良く考えてみれば、アナタは今現在、悪いことをした訳ではありませんにゃ。
ワタクシが勝手に暴走して、ワタクシが勝手に自爆しただけでアリマス。
端から見れば『楽しく談笑していた2人の男のうち一人が、突然キレてぶん殴った』ようにしか見えないでしょうナ」
「ソウダヨ! オレは借りてきた子羊のように大人しい青年なのに、何の言いがかりで……ゴブァッ!!」
こっちが少しでも非を認めたが否や、鬼の首を取ったかのよーに食って掛かってくるカズフサ。
そこにパチキ(頭突き)一発かます俺。いつぞやのコス泥棒の時と違って打ち負けはしない。
何しろこーゆー時の為に鍛えておいた。しかし、こっちの頭も痛ぇ……
「何の言いがかりでもありませんな。カッとなってやりました。別に後悔などしておりませんが。
ああ、そうですな、先に殴ったワタクシが悪うございますな……
……だからなんだ! それがどうした! 逆ギレ勝負なら負けたことねえよ!!」
ぶつけた額を押さえつつ。マジ切れして叫ぶ俺。うわーきまらねー。カッコわるぅ。
「スンマセン。なんかわからへんけどホンマスンマセン」
そして、コメツキバッタのごとくペコペコしながら謝りだすカズフサ。
はっきしゆって100パー俺が悪いんだが、雰囲気に飲まれて向こうが謝ってんなら押すべきだろう!
「あー、はいはい。二次キャラに本気になって悪うございましたにゃー
こちとら真性二次元コンプレックスでアリマスゆえ……
……ですが! アナタのよーなオタクのフリした真性ロリコンが
リアルワールドで事件を犯した時に、ワタシラ善良ないちオタクが
どれだけ迷惑で肩身の狭い思いをしてんだかわかってんですかにょ?!!
ワタクシ達二次オタは、現実社会に迷惑かかるよーなことはしていないというのにッ!!」
ついつい前々から思ってた事を一気に吐き出してしまう俺。
いやまー、カズフサ一人が悪いわけじゃないが、二次オタみんなの総意ではあるだろう、多分。
「イヤデスネ? ソノデスネ? その件に関してましてはこっちもお互い様と言うか、
あんたら極まっちゃった二次オタがアキバ特集とかでテレビに映るたびに、
ママンと一緒に食べているご飯がおいしくなくなると言うか何と言うか、
オタクまで行かないちょっとした漫画好きエロゲ好きにとってはいい迷惑なんダガネ……げぼおっ!」
うっさいわ。分かってるわそんな事。今のは単にムカついたから殴った。
「偉そうなクチは、実際に偉くなってから叩いて欲しいもんですにゃ……この無職がァ!!
悔しかったらげんしけんと同じくラブやんもアニメ化してみろってんですにょ!
そんでワタクシみたく大御所声優つけてもらってみろや!! あァ!(声の出演:石田彰)」
―――そのとき。カズフサの体がピクリと震えた。そして血涙を流しつつ、一気にカズフサが吠え立てる!!
「クフゥ……黙って聞いておれば言いたい放題だなコゾウ。
アニメ化がそんなに偉いんけ?! 偉いんけ?!
ゆっておくがな、ラブやんはアフタ本誌アンケートではかなり上位なんだぞ!!
だのになんで、本誌人気では圧勝してる筈の『夢使い』が先にアニメ化しちゃうんダヨォッ!!」
しまった! 『アニメ化してみろ』はNGワードだったか!
これでカズフサにも俺と同じく『怒り』の感情がインストゥールされてしまった……
そしてこうなっては五分と五分……いや、体格の分だけ俺のほうがはるかに不利だ!!
だからって気圧されてたまるか!! ココから先はむしろ精神力の削りあい、押してナンボの勝負だ!!
「バカ言ってんじゃありませんにょ!! エビとかオナホールとか言ってる漫画をアニメ化できるわけないでしょーが!!」
「コゾウ……貴様、闇の勢力の殺し屋か!! 言葉の暴力でオレを葬り去ろうとしてもそうはイカンぞ!!
田丸漫画キャラの真骨頂は筋肉にあり! 見よ! カズフサ武装化現象(かずふさ・あーむど・ふぇのめのん)!!
バルバルバルバルバルバルバルゥ!!」
どこかで聞いたようなセリフをカズフサが吐くと、それに伴い奴の筋肉が一気に膨れ上がり
奴の体を包む安物のトレーナーが筋力の内圧に負けて破れて吹き飛んでいく!!
クソ、流石はギャグマンガキャラ! こーゆーところがハンパねぇ!!
(*注3)「銀様」「真紅たん」:人気アニメ/漫画『ローゼンメイデン』の主要登場人物。生きた人形。
ちなみにコレを書いた中の人は作内カズフサと同じくらいの知識しかないので、
内容に誤りがあるならガンガンつっこんでください。
(*注4)「チュパ衛門」:残酷無残時代劇漫画『シグルイ』の登場人物「山崎九郎右衛門」の通称。
特技は一人フェラチオ。「ちゅぱっちゅぱっ」と言うその擬音からこの通称が名づけられた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
たしか、スレが落ちるボーダーが480kだったと思うので、一旦ココで切ります。
次スレがあったら、そちらでお会いしましょう。次回、決戦です。
読みながら笑ってましたw続きが気になるので次スレを立ててきます!
>>494 乙です。
>げんしけんVSラブやん
クッチーの逆襲キター!
敵はあーむど・ふぇのめのんで来たか。
クッチーもSSスレ補正かけて餓狼伝化して迎え撃て!
それにしても作者の人、8時閉店ですか。
デパートか電気屋の人かな?
>げんしけんVSラブやん
やっぱこのコンボ面白いですね。昔あった「マダやん」と同じ人が書いてるのかな?
あれもおもろかったw爆笑した。
次回決戦!決戦!!クッチーとカズフサの「史上最低の戦い」期待してますよ〜
497 :
マロン名無しさん:2006/05/05(金) 19:41:41 ID:naviTAMv
>>366-378 >>430-444 待ってました!!遅まきながらの書き込みですがこのスレが消えないうちに、と。
コーサカ出てくるかしら?というのは杞憂でしたね。マダラメカッコよかったのに
ここでもいちゃつけないとわw
まあ原作でもくっつかないのはお約束でしたが。
笹原ここでもイイトコ取りかよ!
個人的に最も絵で見たいのはキタガワ警部です。あとナカジーの戦闘モードコス。
いよいよSSも8スレですかぁ・・・
連載終了後も楽しみですよココと絵板は。
ホント、愛に溢れているよなぁ皆様方。
工エエェェ(´д`)ェェエエ工工
もっもう新スレ?! まだ半月しかたってないよー
日に日に消費ペース加速してませんかw 喜ばしいのですが
私の読むペースを上回っておりますw あやや、新スレもブックマークせんと。
ええと、それじゃあ埋めを兼ねて一つ。
咲たちの卒業後の斑目のお話。
元ネタはオフコースの同名の曲ですが…
かなわぬ恋だと知っていた。
それでも望んでいた。
いつか彼女が自分を振り向いてくれる事を。
多分、俺は出会った時には既に、恋に落ちていたのだろう。
『どこに惚れた』なんていう話が、いかに見当違いなのかが今になってわかる。
俺の好みとは全く違う、現実(リアル)な女性。
多分、だからこそ俺は彼女に強く惹かれたのかもしれない。
数年に渡る彼女との付き合いは、実に楽しかった。
当初、彼女は俺とは、まったく違う価値観を持っていた。
水と油と言っていいだろう。
それでも、様々な出来事を通じて、俺は、彼女は変わっていった。
言うな。
言わなくてもわかってる。
彼女は、彼の、高坂の為に、変わっていった。
…そして俺は、彼女の為に、自分を変えようとした。
彼女がオタクを理解しようとしたように、俺は彼女を知りたかった。
彼女の望む男になりたかった。
彼女の隣に…いや、彼女の『恋人』になりたかった。
俺は彼女を愛していた。
彼以上に。
きっとそうだった、と信じている。
彼女が卒業して、彼女に会えなくなって、伝える事すらできなかった俺の恋は終わった。
今でも思う。もしあの時、自分の思いを伝えていたら。
彼女は、拒んだだろうか。受け入れてくれただろうか。
わかってる。
こんなことは”今更”でしかない事を。
季節が過ぎ、今俺は彼女ではない彼女と付き合っている。
俺は彼女が好きだ。
一人きりで生きていくことに、耐えられなかったから。それがきっかけだったとしても。
それでいて、俺は、彼女と彼女を比べている。
彼女の姿を。声を。心を。
それに気付く度に、俺は哀しくなる。
自分が情けなくて。
いつからだろう。
俺は嘘をつく事が上手くなった。
周りに嘘をつき、自分に嘘をつく。
今も彼女に、大して興味もない、いわゆる”話題作”について熱く語っている。
彼女が笑うたびに、俺は傷つく。
全てをぶちまけたくなる衝動を、必死に堪える。
彼女に嫌われたくなくて。
いや、それも嘘だ。
彼女に嫌われて、一人きりになることが嫌いなだけ。ただそれだけ。
昔を思い出す。
笹原と『ツルペタ』や、『ロリ』や、『幼馴染』などで熱く語り合った日々を。
俺は人生最後の日まで、俺を貫けると思っていた。
だが今の俺は、自分の都合の為に自分を変える、当時最も嫌っていた生き方をしている。
それがくやしい。
ただ、くやしい。
春日部咲さん。
俺は貴方と出会って、変わってしまいました。
そしてそんな自分を、未だに好きになれません。
それでも思います。
『貴方に会えてよかった』と。
『貴方に会えてうれしかった』と。
この想いが彼女に届く事は無いだろう。
想うだけで、言葉にできなかったのだから。
それでも俺は想い続ける。
言葉にできなかった、この想いを。
おまけ
「なあ、斑目。あんた無理してない?」
「え?いや、別に…」
「そう?実は他に好きな人がいるんじゃない?」
「…」
「図星か」
「…ゴメン。どうしても忘れられないんだ…」
「忘れなくていい」
「え?」
「あたしは今の斑目が好きなんだ。”他の人を忘れられない”斑目がね」
「…いいのか?」
「だからって自分に都合のいい想像すんなよ?あたしが言いたいのは、『忘れられないなら、忘れさせてやる』ということだからな」
「…あ〜…」
「んな情けない顔するな。いいか、絶対に、忘れてしまうほど、幸せにしてやる…あたしが。約束する」
「だから覚悟しろよ、斑目晴信!」
うぁぁ〜
マダラメがんばれ!
ちょうがんばれ!!
以上でやんす。
一応おまけの元ネタはFateと、めぞん一刻ですが…
斑目の今の彼女に萌えた。
508 :
ヨモギ:2006/05/06(土) 00:06:40 ID:???
>>470-472 感想…反応、ありがとうございます!
笹荻は今後も書いていきますので、宜しくお願いします。
>>480 この歳になると…僕も31歳なんですがorz
微糖ぐらいのつもりだったんですけど、甘かったですかねぇ
>>らびゅーらびゅー
あまーーーい!!スピードワゴンのネタより甘いです!
ご、ごちそうさまでした。
>>GENSIKEN vs LABUyan中篇
なかなかラブやんも細かく読まれてますね!なるほど…
納得の出来です。続編また是非どうぞ
クッチーがんがれ!
>>言葉に出来ない
斑目話はやっぱり良いですね。どなたの作品も沁みてきます。
しかし現在の彼女が恵子っぽいのが萌えるんですがw
>>言葉に出来ない
くうう…斑目…大人になっちまって…
でもこういうのもありですね。うん。彼女が器の大きい人でよかった。
…斑目がまだ、あの人のことを忘れないでいることが、嬉しいと思ってしまった。忘れられないからツライのだと分かっているけど。
>言葉に出来ない
斑目にとっても、大人になるって脱オタすることなのでしょうか?
彼には両立して欲しいものです、大人になることもオタクであり続けることも。
斑目の隣にいるのが、ちょっといい女になった恵子だったら少し嬉しいです。
自分も斑目にはオタクでいつづけて欲しいなー。
ある意味斑目もオタクであることから「逃げらんね」人だと思うので。
513 :
426:2006/05/10(水) 01:17:40 ID:???
今回も読んでくださった方に感謝。
>>427 いや〜疲れました。誰か投下のコツ教えてくださいorz
>>428 まあ、色々とどんでん返しはあるかもですよ?(何
マムシver.は、今回のラジヲを書いてて一本浮かんだんですが、いつになるやら・・・。
>>429 マムシは書いてて楽しいですね〜。ああいうノリって大切だと思います。
描写、頑張って書いてみました。
>>446 マダラメたちの過去は今後の展開に関わってきます。お楽しみに!とか言ってみます。
マムシさん、喜んでいただけましたか?よかったです〜。
>>448 行き当たりばったりで書いてます。前を読み返してとりあえず辻褄だけ合わせるように・・・。
設定資料は頭の中に。今度書き上げよう・・・。
ラジヲは基本的に単行本のオマケノリで書いているので、そういっていただけると嬉しいです〜。
や〜、でもゴミムシ君はきつくないっすか?w
というわけで新スレに新作投下しています。よろしくお願いします〜。