1 :
◆9rae7Hwib2 :
2 :
マロン名無しさん:2006/01/10(火) 12:41:20 ID:FtWHL09E
3 :
◆9rae7Hwib2 :2006/01/10(火) 12:46:35 ID:FtWHL09E
というわけでたてちゃいました。
新スレ記念・即死回避にSS投下。
「マダやん」笹原編と言う事で、無断使用ご容赦。
4 :
大魔王あらわる(1/4):2006/01/10(火) 12:48:36 ID:FtWHL09E
大阪府平方市、大森カズフサさん(28歳・無職)のお部屋。
「ま、お茶でも」
「……す、すいません」
「で、主人公らしいキャラになりたいと、そォ言う事で?」
「ええ、まぁ……」
「カズフサさんより数段ましな人間に見えるのは気のせいスかね?」
「だまれ金雌(ブロンダー)!!」目突き
「笹原くんは死をも辞さず己を磨くためにここを訪れたのだ!」
「そ、そうスか?それはご大層な覚悟っスねー」
「え、別にそんなご大層な覚悟があるわけじゃないんですが…」
……………………………………………………………………………………………………………………
「なんかラブやんという人に『あんたここ行ってみろりん』とか言われて…」
……………………………………………………………………………………………………………………
(お、俺はどうしたら…!!)
(知んないっスよ!)
「あ、そうだ。これ…」
「はじめて名刺っての作ってみたんですよ!こういうの持つと社会人!とかその気になって来ますよね。」
……………………………………………………………………………………………………………………
「…編集?」
「はい!」
「ま、まぶしい!こ、これが伝説の新卒採用の輝き…ワタクシのような闇の住人には…とても…」
「ち、ちょっと!こんなんでダメージ受けないで欲しいっス!」
「え?あの…カズフサさんて28歳って聞いてきたんですが…」
「…ちょっといいスか?あの、カズフサに聞かれないあのスミの方で話したいことが…」
(ここだけの話…プーで…)
(ええ?そ、それは俺無神経だったかも…)
(…オタ話なら傷つく事はないと思うんで…)
(…)
5 :
大魔王あらわる(2/4):2006/01/10(火) 12:49:25 ID:FtWHL09E
「…あのー、笹原くんとミノっちさん?何かワタクシに対する哀れみのようなものが感じられるのですが…」
「……いやー!!くじアン最高ですよね!!」
「…む?たしかにアレは名作だと思うが…」
「でしょ!いやー俺会長が卒業した時はリアルに一人お別れ会とかやりましたから!」
「ぬう…おぬしできるな!?やはりあの幼女会長は外せないというか何と言うか…」
……………………………………………………………………………………………………………………
「あ…ちょっと待ってください…電話が…」
「…あ、荻上さん?あ、うん。今そこ。え?いや、うん。そうね。じゃ…」
……………………………………………………………………………………………………………………
「オギウエサンて誰?」
「いや、その、後輩の子で…そ、そんな必死にならんでも…今度3年になります…」
「3年…」
「フウやれやれ、ワタクシとしたことが…とんだ取り越し苦労だったようだね」
(ミノっちさん…その…この人って…)
(ええ、ご推察の通り…なぜか幼女を妖精とか呼んだりする危険人物っス…)
「笹原くんはお姉さんキャラが好きとか…ならばこのミノっちは守備範囲なのかね?」
「…何を言い出すんでスかねこのニートオブニートは…笹原さん、答える必要ないっスよ」
「あ、いや…というか…すでにその…そういう人いますし…」
……………………………………………………………………………………………………………………
「…いるんスか?」
「はぁ…」
「彼女?…さっきのオギウエサンって人っスか?」
「まあ…ありていにいえばそのような…」
……………………………………………………………………………………………………………………
6 :
大魔王あらわる(3/4):2006/01/10(火) 12:50:11 ID:FtWHL09E
「おあたあ!!」
「痛!何するんですかカズフサさん!」
「ダマレコゾウ!彼女のいるオタクなんて!こうしてくれるわ!」
「痛!ちょっと!やめてくださいよ!やめてって…」
ピンポーン
「…誰か来たっスよ。」
……………………………………………………………………………………………………………………
「荻上さん?」
「何でいきなり大阪まで来てるんですか…全く…」
「ごめんね、何か『サクシャノヒトガオモシロソウダトオモッタカラ』とかわけわかんない理由でこんなことに――」
「…まあ、会えたからいいです…そっちの人がカズフサさんですか?」
「うん。こっちの人はミノっちさんだって。」
「はじめまして。荻上千佳といいます。」
「ち…」
「ち?」
「千佳たーーーーーーーん!!!!!!」
「ちょ…何してんですか!離れてください!カズフサさん!…!…!」
「何いきなりやらかしてるんスか!こ、こんなことじゃげんしけんとの外交関係にひびが…」
「離れたくなーい!千佳たんと無人島生活すりゅーー!!」
……………………………………………………………………………………………………………………
7 :
大魔王あらわる(4/4):2006/01/10(火) 12:51:10 ID:FtWHL09E
「…落ち着いたっスか?」
「ぼくからだじゅうがいたいの、こぶとかあざがいっぱいあるの」
「自業自得っスよ…」
「…千佳たんは?」
「とっくに帰ったっスよ。…笹原さんと荻上さん怒ってたから謝った方がいいと思うス」
「…いかん…」
「は?」
「そんな…あのような全てを手に入れた男に…このうえ謝ったら…!」
「ワタクシのみじめさが分裂してピッコロリータ大魔王とか出そうな勢いで…グスングスン…」
「ワタクシ涙が止まらないっス…」
8 :
◆9rae7Hwib2 :2006/01/10(火) 12:52:03 ID:FtWHL09E
というわけでスレたて終わりっス
>>4-8 ちょwww・・おまっwwwwwwww吹いたダロッ!!!!!
ああんっ ―― アイスコーシーがキーボードにぃぃ〜〜 トホホ・・・
このコラボはヤバイ、ヤバ杉ーーww 脳内にカズフサさんが降臨して何もかもがラブやん化
しちまった!!こ、このSSは魔物デス。俺の脳内げんしけんワールズが獲って喰われるぅぅ〜〜!!!
11 :
マロン名無しさん:2006/01/10(火) 21:19:15 ID:2wzqoAn0
>>1 スレ立て乙です!
そして
>>4-8 もう笑いはほんと才能ですよねっ!早々の傑作サンクスです。
このコラボはすごいですねw
笹やんのまともっぷりとカズフサのダメっぷりの対比
がすばらしいです
>>1 エロ乙
>>4-8 ヒーヒー言って転げまわってます。笑い殺す気ですか!!エ○臭く無いからおK!
荻上に一番会わせたくないなあwwwwww
14 :
前スレ760:2006/01/10(火) 22:50:19 ID:???
>>4-8 ちょwwwおまwwww
カズフサが「ンゴゴゴゴゴゴゴゴ」という擬音と共にげんしけん部室に居る姿を
想像しちゃったじゃないスか。破壊力ありすぎてカズフサ封印してたのに(w
何か連続ネタの予感がします。クッチー・委員長・ラブやんの三連コンボとか。
>>1 スレたてご苦労様です!
>>4-8 腹がねじ切れるかと思ったYO!
前スレのマダやんも死ぬかと思ったが・・・。
荻上に襲い掛かるカズフサコワスwwwwwwさすがwwwww
しかもぼこぼこにしている笹原超バイオレンスww荻上もやったのか??www
>>14 今度はクッチーに愛の手を差し伸べるラブやんに期待する!ああするとも!
笹荻成立後の話。
夜、二人は荻上の部屋のベッドで共に眠りについていた。
初めて肌を合わせたのは少し前のことで、それから何度かそういう行為を重ねはしたが、
今日になって突然荻上の方から笹原へ「もし良かったら泊まっていきませんか」と切り出されたのだ。
普段は自分を極力抑える荻上の言葉に、笹原は内心驚きながらも嬉しく思い、
当然断ることなどあるはずもなく、その申し出を二つ返事で了承した。
ただその時の荻上の、他に何かもっと言いたい事がありそうで、
それを飲み込んだような表情が少し気になったと言えば言えた。
そして時刻は2時。ふと何かに気付いて笹原が目を覚ますと、
目の前で眠る荻上の顔が苦しそうに歪んでいた。
呼吸は荒く、顔色は青ざめ、うっすらと汗をかいてうなされている。
そんな荻上の様子に、笹原の寝惚けていた頭が急速にはっきりと覚醒していく。
(…荻上さん?)
胸の前で固く拳を握りしめ、何かを耐えるような荻上の姿に、一瞬どうしたのだろうと訝しみ、
「起こした方が良いだろうか」という思いが浮かんだが、すぐさまその考えを否定した。
思えば、あの荻上が自分から笹原に泊まっていくことを勧めたのは、
ひょっとしてこれが原因だったのではないかと薄々感じたからだ。
結果として起こすことになっても、出来るだけのことをしよう。
そう思った笹原は、きつく握りしめられた荻上の右手に、そっと自分の手を重ねた。
(ひどく冷えてるな)
その小ささに内心どぎまぎしながら、優しく手を包む。
少しでも自分の温もりが伝われば、と。
しかし、荻上の苦しそうな様子は変わらない。寄せられた眉根。
きつく閉じられた唇。目元には涙も滲んでいる。
堪えきれず、笹原はそっと囁いた。
「…大丈夫だよ、荻上さん」
少し、添えた手に力を込める。ほんの僅か。思いの分だけ。
「俺は、ここにいるから」
その声が聞こえたわけでもないだろうが、眠ったままの荻上の手が笹原の手をそっと握り返した。
まるで確かめるように。
(起こしちゃったかな)
そう思って様子を窺うも、その心配は杞憂だったようで、
荻上の寝息は次第に穏やかなものへと変わっていった。
あれだけ苦しそうだった表情も、今は子供のように落ち着いている。
冷え切っていた手もいつの間にかすっかり温もりを取り戻していた。
繋がったままの手。落ち着きを取り戻した今も、荻上は笹原の手を離そうとはしない。
その様子に何となく苦笑を浮かべながらも、笹原の心は嬉しさで満たされていた。
改めて見る荻上の寝顔は、笹原を動揺させるに充分な程愛らしく、
思わず頭の一つでも撫でたいところであったが、
さすがにそれは目を覚ますだろうとぎりぎりのところで思いとどまった。
握りしめられた荻上の手から感じる温もりが、笹原を次第に眠りへと誘う。
目を閉じる前、最後に見た荻上の表情は何だか少し微笑んでいるように見えた。
(おやすみ、荻上さん…)
もう一度だけ軽く手に力を込める。
どうか彼女の見る夢が、穏やかで優しく暖かなものでありますようにという願いと共に。
翌朝。荻上は実にすっきりと目を覚ました。自分でも驚くほど静かな目覚め。
こんなに自然な気持ちで朝を迎えるのはいつ以来だろう、と荻上は考えた。
恐らくは中学生の頃の「あれ」以来だろう。
あの一件があってからずっと、眠れば悪夢に襲われ続けていたのだから。
そう思い、そして何故今日に限って悪夢にうなされず目を覚ますことが出来たのか戸惑った。
そんな荻上の目に、ようやくぼんやりと笹原の姿が映る。
寝る時は眼鏡もコンタクトも外しているので、非常に視界が悪い。
ただ、それでもいつも見慣れている笹原の姿を見間違うことはない。
そしてようやく自分が笹原の手を握りしめていることに気が付いた。
意識すると同時に伝わってくる笹原の体温に、改めて赤面する。
(え…? 何で私笹原さんの手を握ってんの? 寝る時はちゃんと離れてたのに、いつの間に)
途端に手の平に汗が滲むのを感じて、焦りつつもそっと荻上は手を解いた。
急速に冷えていく手の平の感覚に、弱冠の寂しさを覚えながら。
改めて笹原の寝顔を見つめる。ややぼやけてはいるが、それでも分かるひよこのような無防備な寝顔。
そのあまりに笹原らしい寝顔に、荻上は少しの間見入っていた。
(可愛い寝顔だぁ…)
そして思った。この穏やかな目覚めは、きっとこの人がいてくれたからなんだろう、と。
期待していなかったと言えば嘘になる。いや、正直に言えば笹原ならばあの悪夢からも助けてくれると、
助けて欲しいとそう思ったからこそ、泊まっていくよう勧めたのだろう。
そして事実助けてくれた。思わず視界が滲む。嬉しさと喜びと愛しさで。
(いつも私は笹原さんに助けてもらってばっかりだ)
些かの罪悪感もある。悪夢を拭い去るために笹原を利用したとも言えるのだから。
けれど、それすらも笹原ならば、「俺で良ければいくらでも手助けするよ。と言っても、
あまり役に立たないかもしれないけどね」などと言って、
いつものように優しく微笑みながら受け入れてくれるのだろう。
知らず、涙が頬を伝う。笹原への思いと、自分への嫌悪で頭の中がいっぱいになる。
(私って本当に嫌な女だ…)
笹原を起こさないよう気遣いながらゆっくりと身を起こし、目元を拭う。
しかし、涙は後から溢れてきて止まってくれない。
何故こんな自分をこの人は選んでくれたのだろう、そんな暗い考えに囚われかけた時。
「ん………」
ごろりと笹原が寝返りを打った。投げ出された手が荻上の膝に落ちる。
そしてむにゃむにゃと口元を動かした後、にこりと幸せそうに微笑んだ。
弛緩しきった、だらしないとも言える幸福に満ちた顔。
「……ぷっ」
そのあまりに明るい笑顔に、思わず荻上は吹き出した。
同時にすうっと心が晴れていくのを感じた。
(眩しいなぁ…。目の前でこんな顔されちゃ、泣いてる自分が馬鹿みたいだぁ)
緩む口元。そっと手を伸ばすと、荻上は笹原の頬を人差し指で軽くつついた。
「うぅ…、ん」
再び寝返りを打ち、荻上のつついた頬の辺りをぽりぽりと掻く。
そんなお約束でとても愛らしい行動に、荻上はくすくすと笑って、もう一度だけ頬をつついた。
笹原は夜中に一度目を覚ましていた所為か、起きるそぶりも見せない。
「さて、と」
ベッドから下りると、荻上は大きく伸びを一つ。そして鏡を見てコンタクトを付けると、
布団にかけていた半纏を手に取り、慣れた様子で上に羽織った。
振り返ってもう一度笹原の寝顔を見つめる。
(せっかくだから、いつも傍にいてくれるこの大切な人のために、
せめて朝食でも用意しよう。精一杯の感謝を込めて)
心の中で呟きながら、台所へと足を運ぶ。
眠ったままの笹原を気遣って閉じられたままのカーテンの隙間から、朝の光が差し込んでいる。
それは今日も快晴である証。まるで台所で我知らず鼻歌を口ずさんでいる荻上の心のように晴れ渡った空。
やがて朝食の支度を終えた荻上は、笹原を起こすためにカーテンを開いた。
瞼に差し込む光と荻上の声に促されて目を覚ました笹原は、窓越しの光に照らされた荻上の笑顔を見る。
かけがえのない大切な物。
それはいつまでも消えることなく心に残る、ある朝の風景。
22 :
10:2006/01/11(水) 01:51:59 ID:???
>>4-8のSSを見た後にしばらくして
>>16-21を見てコレはエロパロVerでも見たいのぉ〜〜
(*´д`*)ハァハァハァアハァ
・・・なーんて脳内で浸っていたんだが、ふと
>>4-8で笹荻がカズフサの元を
怒って去った日に荻んち泊まったンだよなぁ、とか勝手に脳内変換されちゃって
また吹いちゃったよーww
23 :
マロン名無しさん:2006/01/11(水) 02:46:58 ID:Y8dAnUiv
24 :
マロン名無しさん:2006/01/11(水) 05:10:22 ID:ay4eBQpe
>>16-21 GJ!
惜しむべきは、眼鏡でなくコンタクトだったこと…
>>25 笹原の前では、まだ出来るだけコンタクトで居たい、という初々しい乙女心が
それはそれで良いんじゃないか?
まとめサイトの神様、更新ありがとう!
朝食が用意されたテーブルの前に二人座る。
目の前に並んだ皿からは、湯気と共に食欲を誘う香りが漂う。思わず唾を飲み込む笹原。
「あ…、荻上さん、料理上手だね」
「まあ一応。これでも一人暮らししてますんで」
照れているためか、やや赤面した様子で荻上は素っ気なく答える。
何だかまるで新婚家庭のようだ、という思いが脳裏をよぎったのは果たしてどちらだったのか。
落ち着くために視線を逸らしお互いに小さく息をついた後、
二人、いただきますと手を合わせ、笹原はゆっくりと箸をのばした。
(…まさかここで実は見た目はちゃんとしてるけど、本当はそりゃあもうすごい味でしたー、
なんてどこぞのゲームみたいなオチはないよな)
頭の中をそんな妄想が駆けめぐる。そんな笹原の様子を緊張した面持ちで見つめる荻上。
(さっき味見した時はちゃんと出来てたっぽいけど…。笹原さん、美味しいって言ってくれっかなぁ)
微妙な緊張感に包まれながら、ゆっくりと料理が笹原の口へと運ばれる。
自分の箸を動かすことも忘れ、笹原の様子を見守る荻上。
そんな視線にも気付かず、笹原はもごもごと咀嚼した後、ゆっくりと飲み込んで口を開いた。
「うん、美味しいよ。荻上さん」
にこりと笑って言い終わると同時に、箸はすでに次の皿へ伸びている。
実に美味しそうに目の前で箸を進める笹原の様子に、荻上はようやくほうっと息を漏らして安堵した。
「…あれ? 荻上さん、お箸動いてないみたいだけど。食欲ない?」
「あ、いえ! 私、ちょっと食べるの遅ぐっで。ええ」
慌てて箸を動かす荻上。急いだためか、思わず喉につかえて噎せて咳き込む。
「ごほっ、ごほっ」
「だ、大丈夫? そんなに慌てなくても別に誰も取ったりしないよ」
飲み物を差し出しながら、優しく背を撫でる。
辛うじて飲み物で喉のつかえを流し込んだ荻上は、涙目になっていた。
「す、すみません…」
「いや、気にしないで」
苦笑しながらそう言うも、自分の失態が余程気になるのか縮こまったままの荻上の様子に、
何とか場を和らげようと思いつくままに笹原は言葉を続けた。
「でも、あれだね。荻上さん」
「…はい?」
「これだけ料理出来るなら、いい奥さんになれそうだよね」
「――――――ッ!!!!!!」
それはそれは見事な噴水だった。野外でならば虹がかかってもおかしくないくらい。
しかし、もしそうなったとしても笹原が目にすることは出来なかったであろう。
荻上が吹いた水は、物の見事に笹原の顔面に浴びせかけられたのだから。
「う、うわっ! え!? 何? 一体何が!!!?」
「ちょっ! な、何言ってんすか、笹原さん!!!!」
思わず顔を真っ赤にして抗議するも、笹原はそれに答えるどころではない。
毒霧ばりの目つぶしを喰らって、前後不覚に陥り、まるで阿波踊りのように手をばたばたとさせるのが精一杯だ。
その様子を見てようやく我を取り戻したのか、荻上は慌てて何か拭くものを探すために立ち上がった。
「え、えっと、タオル…、タオル」
とりあえず傍の棚にかけてあった物の中から一番近くにあった布巾を取って笹原へ渡す。
「と、とりあえずこれを」
「あ、ありがとう」
助かった、そう思ってひとまず目元を拭い、ようやく人心地ついた笹原は、
もう一度顔を拭おうとして手にした布をしげしげと見つめた。
タオルと一緒に何やら淡い色をした小さな布きれが見え隠れしている。
「…………荻上さん」
「はい?」
「ひょっとしてこれ…」
ぎぎぎ…、と首を回して差し出された笹原の手にあるのは、見間違うはずもない荻上自身の下着であった。
「――――――ッッッきゃあああああああああああああああああああああっっっっ!!!」
文字通り目にも止まらぬ速度で笹原の手から引ったくるようにして奪還を図る。
二人ともこれ以上赤くなる箇所が見当たらない程赤面している。
「そういう行為」に及んだ関係であるにしては、実に初々しい反応であると言えた。
「み、見ましたか?」
分かり切っている答えをあえて訊ねる荻上。
その目は笹原の顔面を突き刺して更に向こう三軒両隣に行き渡るほど据わっており、
ここで選択肢を誤れば確実に即「DEAD END」だ、と笹原のゴーストが囁くくらい鋭かった。
「い、いや…、その」
脳裏にいくつもの選択肢が浮かんだ。しかし、どれもこれも即死の匂いがもの凄い勢いで漂っている。
脳内カーソルがめまぐるしく動く。
(…せ、正解はどれだ)
笹原の背筋に冷たい汗が流れる。
「見ましたよね?」
じり、と迫る荻上。笹原を追いつめているようで、実は自分を追いつめていることにはまるで気が付いていない。
「えーと、その、ね? 見たと言うか…」
「見たんですね?」
(ああっ、タイムテーブルが今にもアウトゾーンへまっしぐらでGO!!)
目の前の荻上から発せられる恐ろしいほどの重圧に、
焦りのあまり頭の中が真っ白になった笹原は、蚊の鳴くような声で答えた。
「…淡いブルー?」
「――――ッッ!!!!!!!!!!!!!!!」
同時にまるで瞬間移動のようなタイミングで窓辺へ駆ける荻上。振り向く間もあらばこそ、
笹原は大慌てで荻上の腰へタックルを敢行した。
「待って! 荻上さん!! だから窓から飛び出しちゃダメだって!!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
そんな笹原の制止の言葉も耳に入らず、荻上は半泣きでじたばたと窓へと手を伸ばす。
そしてやはり窓の外は快晴で、二人を暖かな日差しが優しく見守っていた。
これもまた、一つのいつまでも消えることなく心に残る、ある朝の風景。めでたしめでたし。
>>28-32 お約束の見たいシーン満載ですね!
うまーーい。こんなのどうしたら書けるんだろう…。
>>33 俺ね最近思ったんだけど、SSの神々は皆脳内荻が実体化出来るLVに達してて
一緒に生活出来るんだと思う。第三者からみるとそりゃぁもうシャドー相手に
何かとお話されたり扱いに困ってるお姿が見える。そう、まるで範馬刃牙のシャドーように・・・
そうじゃなけりゃこんなリアルなSSは書けない、うん絶対!
だって漏れの前にもそろそろオギーがくる筈だからね・・・・・・・(ノД`)
>>28-32 ∩
( ⌒) ∩__
/ ,ノ i 、E)
/ / / /"
/ /_、_ /ノ
`/ /,_ノ`)//
( /
ヽ |淡いブルー グッジョブ!!
\ \
>>28-32 おまけ、乙、淡いブルーGJ!早寝したんで今起きて読んでます。
なにやら、内面描写と日常の細微な視点の描写が深まってますね。
日常のやりとりがリアリティ溢れてきてます。あっ俺の隣にもオギーが・・・。
今週号発売前に俺も書こうかなー。
>>28-32 ( ・∀・)イイ!
淡いブルーでピチピチ、ムチムチでお尻がプルルン♪
笹原が羨マシス
前スレでキックオフ(笑)な笹荻、現スレである朝の風景(おまけ含む)を書いた者です。
読んでくださった方、レスしてくださった方、皆さんに心から感謝いたします。ありがとうございます。
現在、また頭の中で妄想が渦を巻いてきましたので、形に出来ればこちらへ貼り付けたいと思います。
それでは、最後にげんしけんという作品ともう一度皆さんに感謝しつつ。
えー、連作乙!GJ!
そろそろ皆さんの荻上も幸せそうなイメージになってきましたねー
俺の中でもそうなってきてます。リレーするつもりは無いですが、
同じ舞台設定として、「タンドリーチキン」と「淡いブルー」
拝借させていただきました。
「小早川伸木の恋」みました。誠実男とトラウマ女。あれは最悪の関係だなと
思いつつ、笹荻にはああなってほしくないと思いつつ、書きました。
はっきりいって特別「何もしない」日を描きました。「何もしない」日常が幸せ
なら言う事ないんですけどねー。
梅雨入りの長雨に笹原と荻上の二人はどこにも出かけられず、せっかくの休
日なのに荻上のアパートで、何をする事無く過していた。
シトシトと霧雨のような雨が降っていた。雨だれがアパートの雨どいをつた
って、ピチャリ、ピチャリと音を立てている。荻上はぼんやりと机に座って、
窓から見える滴り落ちる雨だれを眺めていた。
荻「さっぱりやんでくれませんねー。笹原さん・・・」
荻上は描きかけの漫画の原稿の下書きの上に、エンピツを遊ばせながらつぶ
やいた。
笹「んー、そうね」
笹原はテーブルで漫画を読みながら答えた。
荻「これじゃあ、洗濯もできないし・・・どこにも行けないし・・・、滅入
ってきます・・・」
笹「・・・原稿・・・進まないの?」
荻「はあ、まあ・・・」
笹「気分転換にゲームでもする?」
荻「でも古いのしかないですよ。最近新しいの買ってないですし・・・」
笹「俺もだよ、えーと、プレステ2だよね。あっこの格ゲー懐かしい!」
荻「あー、それ・・・買ったもののあんまりやってないんですよね、得意じ
ゃないし・・・」
笹「いいよ、教えてあげる」
荻「・・・そうですね、ヒマだし・・・」
二人はテレビの前に並んで、格ゲーを始めた。
荻「・・・で・・・やっぱり巨乳女性キャラなわけですね(怒)」
笹「いや(汗)、習慣で・・・はは(汗)」
荻「あれ・・・、こうか!」
笹「そうそう、このコンポはそのボタンで!」
小1時間が過ぎる・・・
荻「やった!また勝った!笹原さん?初心者だからって手をそんなに抜かな
くても・・・」
笹「はは、そうね!でも上達早いよ(強え・・・)」
荻「そろそろ、お昼近いですね、食べるもの何も無いですね。買い物に行き
ましょうか?」
笹「そうだね」
荻「この前食べたタンドリーチキン美味しかったですよね」
笹「うん、でもあそこ今日は定休日だしなあ」
荻「じゃあ、足りない食材だけ買い足して、簡単にすませますか?」
笹「そうだね、スーパー行ってから決めようか?」
アパートの外は雨足は穏やかであったが、長雨で湿った空気が包んでいた。
荻「やみそうもないですね。しばらく・・・」
笹「梅雨だしね・・・」
二人は五月雨がシトシトと降りつづける中を、近くのスーパーまで、一緒の
傘で歩いていった。アスファルトが濡れ、むせかえる雨の匂いが二人を包ん
でいる。
荻「ナスとタマネギとひき肉買い足せば、買い置きのトマトピューレとコン
ソメで、ミートソースとオニオンスープ作れますね」
笹「でも、二人だと野菜余っちゃわない?」
荻「大丈夫デス。使い足せますから」
笹「そうそう、ついでにレンタルでDVD借りていこうよ」
帰り道、公園のそばの紫陽花に目が止まった。
荻「ああ、綺麗ですね!わたしアパート決めるときに、近くに紫陽花のある
事を理由に決めたんですよ!故郷にも紫陽花が綺麗なところがありました
から・・・」
笹「そうなんだ・・・」
荻「雨に打たれながらも、深いあざやかな藍色の色をたたえて耐え忍ぶ姿が
けなげで儚げ(はかなげ)で好きなんです。」
笹「・・・・うん、俺も好きなんだ・・・」
アパートに着くと、二人で台所に立ち、料理を始めた。
笹「俺、何すればいいかな・・・」
荻「うーん、そうですね、じゃあ、水につけたタマネギを切ってもらえます
か?その後でスパゲティー茹でてもらえます?」
笹「んー、分かった!スパゲティーはアル・・なんだっけ?」
荻「アルデンテですね、芯が残るくらいがちょうどいいですよ」
料理が出来上がると、二人は一緒にテレビを見ながら、ミートソーススパゲ
ティーとオニオンスープを食べ始めた。
笹「どんなもん?うまく茹でれたでしょ?」
荻「そうですね!初めてとは思えませんね」
笹「いやだなあ、料理くらい(インスタントラーメンとか・・・)」
笹原は荻上がスパゲティーをその小さい口に運ぶしぐさをぼんやりと眺め
ていた。
荻「どうかしました?」
笹「・・・いや、なんでもない。ところで洗濯物どうしてる?俺はもうまと
めてコインランドリーに持ってくよ」
荻「わたしもですね。こんなんじゃ洗濯できません。家の中になんか干せま
せんし、梅雨は嫌ですね」
笹「気にしなくていいよ・・・俺も淡いブルーは好きなんだ・・・」
荻「なっ何の話してるんですか!いやらしいですね!」
笹「えっ!いや、紫陽花の話!(うっかり口がすべった・・・)」
食後、二人は荻上がレンタルで借りてきた『スクラムダンク』のDVDを一
緒に観た。
笹「最終回の話だよね」
荻「ええ、そうです」
笹「やっぱり主人公のライバルがお気に入りなわけ?」
荻「わたしはそれほど・・・その・・・どちらかと言えば副キャプテンの・・・」
笹「ああ(汗)大野さんはやっぱりキャプテンだろうね」
荻「そうなんですよ!しかもわたしにキャプテンと副キャプテンの話描け描
けって・・・やっぱ趣味合いませんね!あっいやその・・・」
笹「まっまあ、そういうこともあるよね!」
荻「おっお茶入れますね」
笹「うっうん!」
荻上は中国茶の道具を用意し始めた。
笹「へえ、本格的だね」
荻「そんな本格的って言うほどじゃないですよ。・・・酒はコリゴリなんで・・・こういうのに少し興味が出ただけで・・・」
笹「ああ(汗)」
荻上の動作によどみは無かった。言動は相変わらずだったが、以前に比べて、
荻上のしぐさに険しさは無かった。ゆっくりとした手つきでお湯を茶壷に注
ぐ姿にはむしろ穏やかささえ感じさせた。あたりにお茶の芳香が溢れかえる。
笹「ああ、いい香り!」
荻「キンモクセイの花の香りがするお茶なんだそうです」
笹「こういうのもいいよね、空気がゆるりとした雰囲気かもし出してるよ」
荻「・・・そうですね。スクラムダンクの最終回ですけどね・・・」
笹「うん」
荻「主人公って、最初は好きな子の為にバスケ始めるじゃありませんか。」
お茶を入れながら荻上は話続ける・・・。
笹「そうだったよね」
荻「でもバスケが出来なくなって初めて自分にとってバスケが大事なものだ
って気付くんですよね。」
笹「・・・うん、そうだね」
笹原は荻上に入れてもらったお茶をすすりながら話を聞いていた。
荻「大好きで、大好きで・・・そのシーン好きなんですよね・・・」
笹「・・・うん」
笹原は荻上の目が少し潤んだような気がしたが、黙って気付かないふりをし
た。
笹「スクラムダンク見終わったら、また漫画の原稿始めようか!」
荻「そうですね」
と荻上はそう言って、にこりと笑った。
窓から見える雨はやむ事無く降り続け、遠くの景色をかすませていた。
>五月雨
他のSSとも絡みつつ、五月?と思いましたが…笹原は在学中なのか仕事の休日なのか
時間軸が何時とか設定もよくわからないのがいいですね!
そのことによって、過去や未来の予想から切り取られて、幸せな時間の永続性が感じられます。
そしてタンドリチキンの引用ありがとうございます。むしろ嬉しいです。
今、新たに書いてる途中ですけど明日か明後日には僕も出します。
>五月雨
最後のところがいいなあ・・・。
アニメの最終回に感情移入する荻。
いいですねえ・・・。
皆さんが笹荻成立後を書きまくっているので、
あえて成立前をかく俺は天邪鬼なんでしょうかね?
シリアスものですよ。
11レスぐらいで投下しときます。
「さいんぷりーず。」
見られた。一番見られたくない人に見られた。
「い、いや、俺は平気だよ・・・。見ちゃいけないと思って・・・。」
そうは言っても、どう思っているのか。
それを考えるだけで、心が痛む。
If I ever hear you knocking on my door
「・・・。」
誰もいない部室。最近はこういうことも多い。
少しため息をつくものの、どうしようもないことも知っている。
9月に入って、人が集まりにくくなっていた。
高坂先輩はすでに働いていて、缶詰だって言うし、
春日部先輩はあっちこっちで人脈作り。
大野先輩はコスプレのためにいろいろしなきゃならないし・・・。
まあ、そこまでいないっていうわけでもないんだけど・・・。
朽木先輩は知らないし・・・。普段何してんだろ?あまり興味もないけど。
そう、笹原先輩も・・・。
ガチャ。
ビクッ!
「こんにちは、荻上さん。」
大野先輩だ。
「こんちは。」
笹原さんのことを考えてたせいか、彼が来たのではないかと思った。
正直、違ってて良かった。二人きりには耐えられない。
「合宿の話聞きました?」
「・・・ええ、まあ。」
恵子さんがいってたのは知ってたけど、まあ兄のことも良く考えない人だな。
「笹原さんが早く決まるといいんですけどねえ。」
「・・・そうですね。」
今現状としては笹原さん待ちのような状況らしい。
「でも、それで無理して決めても意味がありませんし・・・。
笹原さんがいるときはこの話題は無しで・・・。」
「・・・はあ。」
とはいっても、コミフェス以降、まともに話してない。
だって・・・。
特にすることも無い私は、そのまま買ってきていたコミックを読むことにした。
デスブック。最近ジャプンでネームの深さと美麗な絵によって人気の漫画。
私も好きなんだけど・・・。惜しくらむはメガネがメインであまり出てこないこと。
まあ・・・。それだけで漫画読んでるわけじゃないからいいんだけど・・・。
しかし、読めば読むほどどう締めるのかが気になる。
これ誰もが納得いくエンドにするのって大変そうだ。
Kとロウの話で最後まで突き抜けたらすごいんだけど。
本誌の連載じゃそうはなってないらしい・・・。って笹原さんが話してた。
笹原さん・・・。あれ以来話してないけど・・・。
やっぱり、引いたよなあ・・・。あれはなあ・・・。
・・・それでいいじゃない・・・。そうは思う。
このまま離れられれば私は・・・。諦められる。
諦める?何を?私は・・・。そういうことを考えちゃいけないはずなのに。
でも、そうなったらいいなって考えてた自分は否定できない。
だからかな・・・。本心が見えてしまいそうで・・・。
話しかけられない・・・。
ガチャ。
ビクッ!
「よ〜〜。あっついなあ・・・。」
入ってきたのは春日部先輩。Tシャツ一枚というあまり見ないラフな格好。
「・・・こんちは。」
またも笹原さんのことを考えてたときに扉の開く音。
何でこうも驚かなきゃいけないの・・・。
「こんにちは〜〜、どうですか、調子のほうは。」
「そうね〜、まあまあかなあ。もう少しってところ。」
「そうですか〜。」
私には良く分からないけど、店を開くっていうのは大変なんだろう。
あんなに大変そうにしててもいまだにもう少しってぐらいにしかならないのか。
二人はそのまま会話を始めてしまった。
漫画を読み続けながらも私の思考は別のことに向かってしまっていた。
それでもなるべく平静を装うためにも手放すことはできなかった。
でも、何でああも笹原さんは私の面倒を見てくれるんだろう。
それはサークルの後輩だからなんだろう。優しい人だから。
それ以上は無い。・・・無い。
だから、私が離れておけば、きっと問題は無い。そう、無い。
私が、これ以上そうなりたいって思わなければ・・・。
優しい人だから、私の気持ちを知れば付き合ってくれるのかもしれない。
でも・・・。それは違うんだ。私はそうなっちゃいけないんだ。
結論は出た。これ以上近寄らないこと。
まあ、就職活動で忙しそうだし・・・。このまま卒業してくれれば・・・。
卒業?そうか、あと半年で卒業なんだ・・・。
ガチャ。
ビクッ!
「やあ・・・。」
「おー、笹やんじゃーん。」
「お久しぶりです〜。」
ついに現れてしまった。どうしたらいいのか分からない。
「・・・こん・・・。」
挨拶ぐらいしっかりしなきゃ逆にやばいだろって!
そうは思っても声が出ない。どうしよう・・・。
「えーっとですねえ・・・。決まりました・・・。」
「えっ?」
彼の口から出たのは思いも寄らない言葉。
視線は顔の方に持っていけない。
「ウン・・・。内定・・・でましたよ。」
内容のわりに気弱な声が、彼らしいと思った。
「えー!すごーい!おめでとうございますー!」
「へー、おめでと。」
あ、そうか、こういうときにはおめでとうか。
「どこ?」
「お・・・。」
「編集プロダクションっていってね・・・。」
「おめ・・・。」
やっぱり声が出ない・・・。うう・・・。
何やかんや話をしたあと。
どうも大野さんのあの友達二人に前作った本を送るらしい。
ビクッ!
しまってあるロッカーが私の隣なんだからしょうがないんだけれど。
笹原さんが私の横に移動してきた。
顔はやはり向けれない。
顔が、赤くなっているのが分かる。
逆に、普通にできなくなっている。
「これ・・・、二人に送ってあげてくれる?」
懐かしい表紙を見て、思い出すのはあの数日の出来事。
私がはじめて現視研の一人だなって思えたあの日々。
完成した本を売っていた先輩たちの・・・。
いや、笹原さんの顔はすごくうれしそうだった。
だから、私もやりたくなったんだ。
あれだけ突き放してたことを、いまさらやろうなんて思ったのは。
その後の冬コミでも色々あったしなあ・・・。
と、ここまで考えているうちに、違う話題になっていた。
「じゃあ、すぐに企画たてれそうだね、合宿。」
「ああ・・・。一応あいつにもメールしといたんだけどね。
まあ、おめでとうも無しにいきなり合宿いつにする?
だもんな・・・。」
「あはは・・・。お兄ちゃんはあいかわらずだねえ。」
「まあね・・・。」
「荻上も行けるんでしょ?」
ビクッ!
いきなり話が振られて驚いてしまった。
「え?ええ、ま、まあ・・・。」
「?ま、わかった。でも、高坂行けるのかな・・・。」
「マスターアップがもう少しらしいから・・・。何とかなるんじゃない?」
「え、何で知ってるのそんなこと?」
「メールが来てね、マスターアップが今日から数日後で
締め切りやばいみたいなことが書いてあったんだよ。」
「あ、似たようなの来てた。そういう意味だったんだ・・・。」
「うん、その日までにあげなきゃどっちにしろ出せないから終わりだよね。」
「そっか、なら大丈夫かな。」
「多分ね。」
そんな会話を聞き流していたんだけど、視線がたまにこっちに向いてるのがわかる。
ずっと俯いたままなのはいつものことなのに、何を気にしてるんだろう。
「じゃあ、俺はいったん帰ります・・・。」
「え、早いじゃん。」
「ちょっとやらなきゃいけないこともあるしね・・・。」
「ふーん、おつかれさん。ま、よかったじゃん。」
「あはは。そうね・・・。」
「おつかれさまです〜。」
「おつ・・・。」
ああ、また声が出ない・・・。
「それじゃあね・・・。」
そのまま扉を開けて出て行ってしまった。
二人とも私のほうを見てる・・・。やっぱり不自然だったかな・・・。
それでも何もできず、私は漫画を見てるフリを続けるだけだった。
でも・・・。もし、もしかしてだけど・・・。
笹原さんが私のこと好きだっていってきたらどうする?
考えたことが無かったけど・・・。絶対ありえないから。
あれを見てまでそういってくれるなら・・・。
いや、それでもきっとだめなんだ。
でも、もしそうなったらどうなってしまうんだろう、私は。
考えても結論は出ず。
どうしようもないので、考えるのをやめた。
はあ・・・。
荻上さん何も話してくれなかったよ・・・。
やっぱり本見たのが原因か?
あれは事故だしなあ・・・。
でもあれ以来だし・・・。
嫌われてたら嫌だなあ・・・。
こっちからは声かけずらいしなあ・・・。
合宿で何かできるといいんだけど・・・。
なんか考えてることがゲームの主人公っぽくなってるなあ・・・。
はあ・・・。
一応、正式タイトルは
If I ever hear you knocking on my door
です。某バンドの曲名です。
直訳だと「もしあなたが私のドアを叩く音を聞くことができたなら」
ですが、私は思いっきり意訳して考えて、
私のドアを叩く→告白する、としてこのタイトルをつけました。
曲的にはどっちかといえば笹っぽい感じなんですけどね。
それはともかく、3月号楽しみですねえ。
うまくくっつくと信じてるからこそこういうSS書くんであって。
うまくいかなきゃ困る。書いてて悲しくなっちゃうんで。
>>If I ever hear・・・
乙!
原作とうまくからめてるせいでリアリティが高くすごく良かったです!
>>If I ever here…
読んでて当時の荻上心情をそうだと思ってても、改めて書き出されると
くっきりつきつけられてまた萌え…悶えますね!
3月号でかは分かりませんが、最終的にはうまくいくと信じてます!
(夢を見る方法 みたいな鬱展開書いてるので…でもハッピーエンドですよ!)
63 :
五月雨:2006/01/13(金) 23:24:35 ID:???
>>46 その辺の時間軸や整合性はSSパラレルということでご容赦
むしろ、はっきりさせないほうが、おっしゃるように永遠の一瞬の
余韻にひたれますよね。書いてる俺が気付かなかった・・・。
>タンドリーチキン
ということはリライトの人ですね。アジカンのCD見ました。「筆頭!筆頭!」
って吹いたwwwwww。新作楽しみしてます。
>>If I ever hear・・・
いいっすねー。原作の内面描写の掘り起こしですね。実際、みんなの心は
すでに成立に飛んでるかもしれないですけど、成立前の心の機微やすれ違い
の掘り起こしも十分じゃないし、もったいないですよねー。
細微な心理描写に心打たれ、感銘しましたが、一部だけ笑いとりました。
ここ↓
>惜しくらむはメガネがメインであまり出てこないこと
>デスブック。最近ジャプン・・・。
前スレ埋まった
>惜しくらむはメガネがメインであまり出てこないこと
>デスブック。最近ジャプン・・・。
>Kとロウ
原作には無い設定だよね。デスノをおいしくいただいてる
荻上かわいいよ荻上
>>63 アジカンのまさに「崩壊アンプリファー」、サンデイという曲の歌詞が
成立前(というか現在)のオギーそのものです。是非堪能下さい。
さて、季節柄思いつきやすい看病ネタを書きました。
当然成立後です。いや、3月号予想2つも書くと、成功成立後に頭がワープしてしまってます。
そして自分でもびっくりな明る過ぎるノリに…。
もっとしんみりしたの書くつもりだったのに、しかもえらいツンデレで
こんなオギーは有りなのか?と我ながら思ったので、違和感感じた方はご容赦下さい。
BGMがアジカンDVDだったのが悪かったのか……。
とある冬の日。げんしけんの部室に笹原と咲が居た。
咲 「ねー、笹やん、どう?ラブラブ?」
笹原「やー、はは……まあ、普通だよ」
咲 「あれでしょ、年下の彼女だと甘えん坊で困っちゃうな〜 み・た・い・な?」
笹原「うーん、むしろ全く甘えてくれないんだけど(苦笑)」
咲 「えー、二人の時もあんま変わんないの?面白くないな〜アレ買ってコレ食べたいとかさ」
笹原「何か欲しいものあるか聞いても 特に無いデス で」
咲 「ディズニーランドとかショッピングに休日行きたがるとか」
笹原「……言われたこと無いけど、どうなんだろうねぇ」
咲 「一緒に帰れないとイジケてふくれちゃうとか?」
笹原「それは――」
ガチャ。
荻上「あ、こんにちは」
笹原「やー、今日は授業終わり?」
咲 「オギー、ラブラブかーい?」
荻上「ラブ…!フツーですよ!あ、授業はまだ2つ有りますので、今日は帰っておいて下さい」
笹原「ん、了解りょーかい」
咲 「ほんとフツーだぁ……」
笹原「ねぇ……」
その夜。
荻上『なんか喉が痛いような…』
笹原に「今日は風邪っぽいからもう早寝します。おやすみなさい」とメールを送っておく。
荻上『笑ゴールドでオリエンタルテレビだけチェックしたらもう寝るかぁ』
布団に入ったところから半纏を着て、TVをつける。
荻上『はあ…声ぐらい聞きたいなぁ』
〜〜〜♪
電話の着信メロディーが鳴る。個別指定してあるからすぐわかる。
荻上「あ、もしもし……すみません、ちょっと喉が……」
確かに、ちょっと喋りづらそうだ。
荻上「いえ、いえ、……ありがとうございマス。ではおやすみなさい」
荻上『喋りづらいとはいえ、素っ気無かったかな(汗)』
ちょっと後悔しつつTVを眺めていると―――。
「デンデンデンンデ……」「あっちゃんカッコイー!」「カッキーン」
このコンビ、眼鏡の相方が抱きしめてるんですけど…!
そして軽くワープ。
それから3時間、鉛筆を走らせる荻上だった。
翌朝目が覚めると、喉がふさがっているような感触。暑くて寒くて体が重い。
荻上『本格的に風邪とは…今日一日寝てりゃ治るかな』
引越しの時に実家から持たされた木製の救急箱を押入れの下から出してくると
体温計を取り出した。ヒヤリとした感触にビクッとなりながら脇に挟む。
ボーっとしばし待つと…ピピッピピッという電子音。
37.6度だ。
笹原に
「今日は風邪っぽいので寝ます。感染したらいけないし、寝てるので来ないで下さいね」
とメールを送る。
荻上『迷惑かけらんねぇもんなぁ。風邪をうつしてもいけないし』
今日は風呂にも入ってないし、机には昨日描き散らかした絵が散乱している。
笹原だけには見られたくない状況ではある。片付ける体力は無いし。
そして食パンとオレンジジュースだけ採ると、救急箱の風邪薬を飲んで寝るのだった。
目が覚めると部屋は真っ暗。
荻上「はー……」
トイレに立つが、よろめいている。
布団に戻って携帯を見ると、メールが返って来ている。
「了解です。ホントお大事に。どうしても悪かったら言ってよね。すぐ行くからね」
今までの交友関係では携帯メールに不慣れだったぶん、いつも短文だ。
しかしそれは荻上も同じこと。
荻上『せっかくの休日が……はぁ…寝よ………』
それから、意外なほど深く眠ってしまったようだ。
目を覚ますと部屋は暗くなっていた。
体温計はベッドの所に置いているので測ってみる。
38.2度。
荻上「うっ」
もう日曜も寝込みそうだ。
真っ暗な窓の外を見ると、1日が終わった実感が強くなる。
荻上『寂しいなぁ……笹原さん……』
ピンポーン。不意に呼び鈴が鳴る。
荻上『まさか、笹原さん!?』
一瞬、思わず笑顔で扉の方に振り向く荻上だったが
荻上『いやいや、もしそうだとしてもそんな急に、この状況じゃ駄目だって』
玄関にヨタヨタと歩いていく。
荻上「は…はーい……」
覗き窓から外を見ると、見知らぬ女性が二人。
女性「すみませーん、世界の平和について―――」
荻上「間に合ってます!!」
喉が痛いのに叫んでしまった。
荻上「うう………喉が……」
冷蔵庫からお茶を出すと、コップに注いで飲む。
流石に昨日からの食器が流しに溜まってきた。
荻上『これじゃ駄目だなぁ。でも、仕方ないか、風邪だし』
布団にもぐりこむと、枕元の携帯から歌が流れる。
〜〜〜♪
荻上『笹原さんだ!』
バッと携帯を開くと、息を整えて通話ボタンを押す。
荻上「もしもし……ええ、いえ、いえ……そうです……」
昨日よりも、声は出ていない。
荻上「………は?いえ、駄目ですよ!うつりますよ!」
荻上『うう〜〜〜ほんとは逢いたいのに……でも、お風呂に入ってないし』
荻上「今からまた寝ますけど、合鍵使って入ったりしちゃ駄目ですからね」
荻上『しまった――。昨日描いた絵や、読みかけのBL誌や、流し台が(汗)』
荻上「ええ、ええ、ホントに具合悪かったら……はい、ではおやすみなさい」
電話を切ると、ガックリとうなだれる荻上。
荻上『眠くないけど、体は重いし、なんかあちこち痛いし…』
仕方なく、布団に入るが、TVでもつけておく。
荻上『明日朝には治ってるかなァ』
そうして一晩、寝たり起きたりして、やがて窓からに朝の光が差し込む。
汗びっしょりなのでパジャマを着替えて、体温を測ってみると…。
40度6分!
荻上『えーーーっ!これってまさか、インフルエンザ?』
ガガーーーン!
荻上『病院も日曜じゃ休みか、開いてても救急病院の窓口だろうし、それは嫌だし』
ドサッと布団に倒れこむ荻上であった。
夕方、薄暗くなった部屋に呼び鈴が響く。
しかしベッドの中の荻上は額に汗を浮かべたまま、起きる気配が無い。
枕元の携帯電話は、着信を知らせるランプが点滅している。
ガチャ…ガチャリ。しばらくしてから、玄関のドアに鍵を差し込む音がする。
笹原「荻上さん、大丈夫!?」
姿を現したのは、やはり笹原だった。手にはコンビニのビニール袋を提げている。
部屋の中は寒いとはいえ、荻上の存在によってやや甘い女の子らしい汗臭さが満ちていた。
ベッドの上で目を覚まさない荻上を見ると、荷物をソファの上に投げて駆け寄る。
笹原「すごい汗だし」
右手で汗で張り付いた前髪をかき上げると、そのまま額に掌を当てる。
笹原「熱っ……」
荻上「………んぅ」
額に触れる笹原の手の下で荻上のまぶたが開き、黒い瞳が笹原の方に彷徨う。
荻上『頭に手が……え?笹原さん………??体も汚れてるし、部屋が、は、恥ずかしい―――』
荻上「…だ…め……す……ょ」
笹原「え、何? 大丈夫?じゃないよね」
荻上「はず……しぃ…し」
どうやら上手く声が出せないようだ。乾いた喉に唾を飲み込むと、なんとか声を出す。
荻上「うつりますから………」
そういうと、額に伸びた笹原の腕の肘あたりをぐいと押し返す。
笹原「とりあえず病院に連れて行くよ。すごい熱だし、インフルエンザじゃないかな」
荻上「………スミマセン」
消え入りそうな声で、喉の奥でつぶやく荻上だった。
笹原「着替え手伝おうか?」
全力で首を振り、真っ赤になって拒否する荻上の姿に苦笑しつつ笹原は隣の部屋へ。
着替える荻上を待つ間、下駄箱の横にあったタウンページを見てタクシー会社に電話をする。
荻上はタンスから、服の中でも着易いトレーナーとセーター、カーゴパンツを選ぶと、
もそもそと着ている。壁に掛かったダッフルコートを羽織っていこう。
荻上『はぁ、今回は凄い迷惑かけちまって申し訳ないし、部屋を見られちまうし………』
そして隣から聴こえてくる笹原の電話の声。近場の病院に電話している。
荻上『でも、やっぱりいざとなると頼もしいなぁ……かっこいい〜〜〜』
ちょっと嬉しそうな荻上の笑顔は、笹原に見られることは無かった。
医者「はい、インフルエンザね。熱もまだ41度あるし、隣の処置室へ行ってください」
笹原「わかりました」
ぺこりと会釈する荻上は、病院に来たことで疲労もあるようだ。
医者「あと、解熱剤とトローチ3日分出しておきます。お大事に」
年配の看護士にいざなわれると、先に立ち上がった笹原は荻上の手をとり
隣の処置室へ向かう。と、ここで荻上独りが連れて行かれる。
そう、高熱が出たときは定番の解熱剤は座薬だから―――。
荻上『うう、カーテン2枚の外には笹原さんが……』
看護士さんに服をずらされ、なすがままのうちに薬の処置は終わった。
カーテンから出てきた荻上は疲れと熱だけではなく、恥ずかしさでも顔を赤くして
うつむいたまま手を引かれて受付ロビーに戻るのだった。
笹原「最近話題のタミフルって、やっぱりインフルエンザかかってすぐじゃないと駄目みたいだね」
休日の病院なので受付ロビーや廊下の照明は少ない。
他にも救急で来ている小さな男の子と母親が、待合ベンチの逆サイドに座っているだけで
がらんとした病院は物寂しい雰囲気だ。
受付に呼ばれて笹原は支払いと薬の受け取りをしている。
薬の説明を受けた笹原が、少し赤くなって戻ってきた。
笹原「座薬って冷蔵庫に入れておくんだね」
荻上「もう使いませんから…!」
笹原「う、うん、熱が下がって使わずに済むといいよね(苦笑)」
荻上は部屋に戻ると、着替えで出てもらっている間に微かな抵抗で
昨夜描いた絵などを箱に入れるが、その疲れもあってか飲み薬の作用か、
布団に寝かし付けられるとすぐに眠りについてしまうのだった。
荻上が再び目を覚まし、携帯を見ると0時をまわっていた。
額にはジェルの入った冷却シートが乗っていた。
今日は今まで未チェックだったが、メールと電話の着信が笹原から数件有った事に気づく。
朝からメールが何度か入ってから、電話が何度か有ったようだ。
荻上『そっか、完全にダウンしてたんだなぁ(汗)』
トイレに立とうと真っ暗な部屋の中ベットから起き出すと、笹原が台所の方から入ってくる。
笹原「あ、目が覚めた?具合はどう?」
手に持ったPSPの液晶が明るく光る。
部屋の電気をつけられると眩しくて目が痛い。
枕元の眼鏡を探してかける荻上。
荻上「色々と本当にスミマセン。だいぶ楽になりましたから」
笹原「熱、測ってみようか?」
うなずいて笹原に背を向けると、荻上は胸元を開け体温計を脇に挟む。
38.1度。
笹原「うーん、まだまだ高いね…。今夜は泊まるよ」
荻上「そんな、悪いですよ。うつりますし」
笹原「看病ぐらいするよ。だって俺、彼氏なんだし、こんな時ぐらいもっと甘えてよ(苦笑)」
ボッと真っ赤になってしまう荻上。
笹原「食欲ある?何か作ろうか?」
問われて、少し考える荻上。
荻上「…いえ、まだ食欲は無くって」
笹原「何か食べたいものはある?何でも言ってよ」
荻上「……そんな、いいですから」
笹原「遠慮しないで、ほら―――。」
荻上「………アイスクリームが」
笹原「アイスだね?どんなの?」
荻上「バニラの…できれば、キャラメルのが……」
要望を出すことに対して何故か照れがある様子だ。
笹原「うん、わかったよ。じゃあ寝て待っててね。電気消すよ?」
にっこりと笑顔で答え、笹原はベッドの脇から立ち上がる。
荻上「あ、電気はつけてて下さい。ありがとうございます」
へたりと深々、頭を下げる荻上だった。
コンビニに買いに行くのだろう。笹原は出かけていった。
よく寝たので眠気はあまりない。ふらつきながらトイレに立つと
台所の食器が一応全て洗われている事に気づく。
荻上『優しい―― 笹原さん。もっと甘えてって言われても、どうしたもんか?』
すぐ下の弟のお姉さんとして育てられた荻上は、あまり甘え方を知らない。
やっぱり寝汗がひどいので、ふたたびパジャマを着替える。
荻上『笹原さん、遅いなぁ。大丈夫かな……』
まだ出てから10分ぐらいしか経っていないが、恋する乙女モード発動中のようだ。
そうしてさらに10分ぐらい待つと、笹原が帰ってきた音がした。
荻上『帰ってきた〜〜〜』
ドキドキする荻上。
精神的には玄関にダッシュして飛びつきたいぐらいだが―――。
荻上『いやいや、ありえないし』
飛びつく自分をシミュレーションしてみるが、やはり自ら否定している。
笹原「ただいま、お待たせ」
荻上「おかえりなさい、ありがとうございます」
笹原がソファの上の大きなクッションを荻上の背中側に入れ、起き上がり易くしてくれる。
買ってきてくれたのはハーゲンダッシのカップアイス(キャラメル)。
笹原にしては奮発したようだ。
胸まで布団を被ったまま起き上がった荻上だったが、腕が寒い。
荻上『あ、思いついちゃったけど、甘えすぎのような……』
自分の思いつきに荻上は赤面しながら、布団に腕をしまう。
荻上「あ、あの……」
笹原「ん?どうしたの?アイスどうするの?」
手に持ったアイスを渡そうとしていた手を止めながら、笹原が聞いてくる。
荻上「………」
じっと笹原と視線が合って―――、
恥ずかしくて言えない台詞をテレパシーで送ろうとしているのだろうか?
その口元が、あーんと開いたのを見て笹原はようやく気付いた。。
笹原「あ、ああそうね」
笹原は急いでカップを開け、固くてスプーンが刺さらなくてさらに焦っている。
荻上『ああっ、やっぱりやめときゃ良かった』
後悔し始めたときに、笹原はようやく掬い取ると、照れた笑顔で口元にスプーンを運んできた。
ぱくっ。
美味しいし、食べさせてもらうというシチュエーションが嬉しくて
笑顔がポロリと顔から落ちるんじゃないかといった様子の荻上だ。
笹原「美味しい?」
荻上「はい」
喜色満面で答える荻上。
笹原も、介抱冥利に尽きるというものだ。
荻上『ふふふふふふ 笹原さん大好き〜〜〜』
乙女モード継続中のようだが、言葉には出さない。
小さなカップだが、けっこう時間は掛かった。
背中に入れていたクッションを外すと、荻上はそろそろ再び寝る準備に入る。
笹原から受け取ったホットレモンを飲み干すと、荻上はまだ筋肉痛もあるだろうが
幸せそうに笹原を見続けている。
荻上『ん?笹原さんもこっちを見ている……見すぎたべか(汗)?』
近づいてくる笹原の顔の、その意図に気付いたものの荻上は素直に目を閉じた。
軽い接吻。
荻上『あ…唇の感触が気持ちいい―――』
そして荻上は笹原に頭を撫でられると、そのまま寝そうになる。
荻上『はーーー、幸せ………』
しかし、目をぱちっと開くと荻上はがばっと起き上がった。
荻上『はっ!でも、インフルエンザがうつっちまう』
荻上「だ、駄目ですよ笹原さん!すぐに口を洗ってください!インフルエンザうつりますから!」
笹原「えーーー」
荻上「早く早く!」
洗面台に向かう笹原の背中を見送ると、荻上は今度こそ安心して布団にもぐりこんだ。
戻ってきた笹原が見ると、微笑みを浮かべたまま荻上はもう眠っていた。
それを見て電気を消すと、笹原もソファーと寝袋で眠りに就くのだった。
翌朝、荻上は目が覚めるとすぐに笹原の姿を探す。
スリガラス越しに、台所に笹原の居るシルエットが見える。
ほっとした様子だ。
荻上『トイレトイレ……』
布団から出ると、昨日までよりは体が楽になったような気はするが、まだダルイ。
笹原「おはよう、まだ無理しちゃ駄目だよ」
荻上「おはようございます」
布団に戻ると、荻上は笹原が来るのを待っていた。
笹原「まずは、また熱でも測ってみようか」
37.4度。
笹原「あともうちょっとだね。食欲は?」
言われて荻上のお腹が鳴った。
荻上「あっ…あります……」
荻上『あーもう、私のお腹のバカ!』
恥ずかしさに赤くなるが、笹原には熱のせいだと見えるかも知れない。
笹原「インスタントだけど、おじや作ったんだ。ちょっと食べて薬飲もう」
荻上に半纏を着せてあげると笹原は台所からお盆を運んでくる。
今度は笹原の方から、スプーンを荻上の口に運んでくる。
荻上「あーん」
思わず声が出ているが、気付いてないようだ。
荻上『鼻が詰まってるからあんまり味がしないけど、美味しいなぁ』
荻上が食べたあと笹原も食べ終わり、台所で食器を洗いながら笹原が言う。
笹原「今日はゼミも無いし、ずっと居るからね」
荻上「あ、ありがとうございます。ほんとすみません」
荻上『わーい、やった!』
台詞と裏腹に、荻上から嬉しそうな様子が溢れている。
まあ、笹原は台所なのでそれを見ることは無いのだが。
荻上は、今までにない甘えっぷりだった。
荻上「あの、何か音楽を掛けていて下さい」
笹原「ん、分かった」
荻上「ミルクティー、ロイヤルで砂糖いっぱいのが飲みたいんですけど……」
笹原「うーん、買ってくるよ」
荻上「あ、今日発売のジャプンもお願いします」
さらにトイレに行く時は、半纏は笹原に着せてもらって、手を取ってエスコート。
そんな感じで寝たり起きたりの状態で、暗くなるまで布団で過ごした。
夕方になって体温測定。荻上は体温計を取り出して見てみた。
荻上『あ、36.3度だ。もう治ってる?』
もう筋肉痛は治っている。体も軽くなった。
荻上『もう甘えられないのは、勿体な―――』
そこまで考えると、頭を振って思い直す。
荻上『いやいや、勿体無いじゃなくて、迷惑掛けすぎだし!』
と思いつつ、ガッカリの雰囲気がちょっと漂っている。
荻上『でも、笹原さんもう帰っちゃうんだなぁ。結局居てもらっただけだし』
寂しさが募ってくる。
ソファーでジャプンを読んでいた笹原が顔を上げる。
笹原「ん?もう熱は下がった?」
荻上「はい、おかげさまで、36.3度でした。病院とかほんとご迷惑を……」
笹原「苦しかったし、動けないと大変だったよね」
荻上『さ……!ささはらさーーーーん!』
内心叫んでいる。
その荻上の大きな目が潤んでくる。ちなみに今は眼鏡。
笹原「今晩の夕食は煮込みうどんにするよ。鶏肉でいいよね」
荻上「はい、鶏肉は好きですので」
笹原「荻上さんが寝るまでは居るよ。DVD借りてきてるんだ」
荻上「…嬉しいです」
みるみるうちにニヤケてくる荻上に釣られて、笹原もニヤケてしまう。
荻上『やた!やった!』
荻上は3日も入浴してないし、いくらなんでも流石に今夜は健全に過ごすはずだ。
しかし、今後は二人っきりの時は今までより荻上は甘えるようになるんじゃないだろうか。
……まずはインフルエンザを完治させる事が肝心だ。
ちなみに笹原は、運良くインフルエンザにうつりませんでしたとさ。
徹夜で書くのはやりすぎでした。
そしてアジカン聞きながら書いたのにタイトルは別のバンド。頭おかしいです。
>8823
うわ、なにこの甘え子ちゃんなオギーは!こんな荻上も見てみたいwwwwww
思わず顔がニヤニヤしてしまいましたよ!!俺もかいがいしくお世話申し上げたい!!
笹原がウラヤマシス。
今度は荻上が笹原を介抱するシチュキボン!!そろそろ愛されるだけでなく、愛する
事で変貌した荻上を見てみたい気もします。
超ロングパスが出ました。
>8823
ハヤブサ、いいねえw
多分、付き合い始めはこんな感じ。はじめはそう変わらんでしょ。
甘えること事態にいやだと思ってる部分もありそうだしねえ。
でも、徐々にそれをやっていいんだと思うことで堰を切ったように・・・。
悶え死ぬよ〜〜〜w
85 :
81:2006/01/14(土) 13:27:17 ID:???
あっ!ほんとだ!
86 :
60:2006/01/14(土) 13:35:29 ID:???
読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
>>61 リアリティは最高の褒め言葉w
>>62 話間みたいなSSが大好きですw
どうかハッピーエンドで!はみんなの願いですよね〜。
>>63 掘り下げていくとさらに読めてくるキャラの一面が面白いです。
あと、デスノネタ、笑ってくれたなら満足ですw
>>65 実は、この話のときに荻上が読んでるのはデスノートらしい、
ということからここまで膨らませていきました。コミックご確認くださいw
しかし、甘々もいいね・・・。俺には書けません・・・。
書こうかな?やめとこう・・・・。
>>84 専用ブラウザだとアンカーになってるw
88 :
8823:2006/01/15(日) 01:07:56 ID:???
>>81 デレというより甘え子ちゃん。いくらでも世話しますよね!
介抱かどうかはともかく、尽くすオギーの話も考えてますので、たぶん…
3月号待つ間に書いてしまいます。
>>83 自分で書いたのに自分で楽しめてます(というか書きながら悶えてました←この人おかしい)
大野予想では、がらりと豹変するようなことを言ってましたが、やっぱり普段は
今までどおり素っ気無いぐらいのほうが良いですよ!!
>>86 是非、甘々話も期待してますので!!
みなさん読んでいただきましてありがとうございます。
絵も描き始めましたけど、自分で自分の絵が萌えずにガックリです。
SSだと自分の書いたものに萌えてるんですけどね。ハアハア
やっぱりSS書きまくりたい所存ですのでこのスレの厄介になります。
……ペンタブレットも買ってしまいましたけど。
89 :
前スレの632:2006/01/16(月) 01:25:40 ID:xmlaOaIN
今日は宿直なのでPCが使えますので少しだけ続きを・・・。
とりあえず、このOB会編は回想がメインになりそうです!
あと、斑目目線だけでなく、ほかのメンバーの回想も考えています!!
そんないつもの『オタ話』に咲はさらなるいらだちを隠せなかった。
「いつも疑問に思っているんだけどさ・・・田中は別として
オタクってタバコ吸わないわけ・・・?」
その言葉に笹原は「別に人が吸うのは構わないけど・・・うーん俺は
タバコ買う金あったら、食頑買ってるな・・・。」
「おっ俺は部屋でタバコ吸われるとヤニで汚れるから、いっいやだけど
田中はマっマナーを守ってるし・・・」
「田中の場合、職人気質のオタクだからな・・・そういうのは何故か
咥えタバコがよく似合うんだ・・・」斑目は机に肘をつき両手を顔の前で
組んだ姿勢でニヤリとした!!
「まあ、俺は高校の時から吸っているし、『彼女』でもできたら
わからないけど」
「ふーん、なんか変な拘りがあるんだね・・・・」
咲は呆れたように言い放った・・・。
90 :
前スレの632:2006/01/16(月) 01:46:39 ID:xmlaOaIN
夕方になり、他のメンバーが帰った後、斑目は一人部室にいた
机に置いてあったアパートのカギを取るとその指の先には、
田中が忘れていったタバコの箱が置いてあった・・・。
『田中の奴、捨て忘れたな・・・。』
斑目は箱を手にとると、そこから何かがポロりと落ちた・・・。
よく見るとそれは、最後の一本であろうタバコであった・・・。
斑目はそれを手にとると、おもむろに咥えてみた・・・。
同じく、机の上に置いてあるライターに手を伸ばし火をつける・・・。
『たしか『ろくでもねえ!ブルータス』にはタバコは
吸いながら火をつけないといけないってあったな・・・。』
斑目は内心ドキドキしながら、火をつけると、
タバコの煙を吸い込んだ・・・・・
ゴッ・・・くぁswでfrtgひゅじこlp;「’・・・ゲホゲホ・・・
彼は座り込むとorzの体勢で激しく咳き込むのであった・・・。
とりあえず、グダグダ感になったが斑目の喫煙に関しては次回がラスト
そのあとは斑目を中心にして大野さんや笹・荻の回想も入れていきます。
これから仕事があるのでそれまで、さらばじゃー
91 :
8823:2006/01/16(月) 21:31:23 ID:???
ふむぅ。
orzの姿勢で咳き込む斑目、萌え。
>『ろくでもねえ!ブルータス』
ワロタwww
モトネタはあれですな・・・。漫画の知識信じて実行する斑目いいね。
煙草を吸いながら火をつける?はて?そういや無意識に火を吸い込んでたか。
(ヘビーだったが今はやめた。たまに気休めに吸う)
初めて煙草吸ってた頃思い出すな。かっこつけて、最初はふかしてただけで、ようやく
肺に吸い込んだときは、やっぱ斑目みたいに・・・。ちょっと目を細めて懐かしい気分に
なった。でも煙草は覚えてもしょーないぞー、斑目!!
斑目の職場の場合、付き合いで吸えないとさらに居心地悪くなる予感。
あと、競馬、競輪、パチンコ、パチスロ、マージャン、野球、相撲、飲み屋、風俗etc・・・。
数年後、斑目は別人になってました。ありがとうごさいました。
合宿も終わってしばらく―――。
夕暮れは早くなってきたが山の木々は蒼い、とある初秋のこと。
笹原のアパートの台所に立つ荻上の姿があった。
その背中ごしの動きはギクシャクしていて心なしか、緊張している………
どころではない。横顔は焦っていて、軽くパニック気味のようなのだ。
全ては笹原の「……手料理食べてみたいな」の一言から始まった。
彼はウッカリと本音をダイレクトに言ってしまうところが有る。
それがゆえに、荻上も「じゃあやってみマス」と二人でスーパーに行ったのだ。
二人でスーパーで買い物してる所までは熱々カップル気分でよかったのだが
荻上自身、節約のために自炊はしているものの
荻上『自分の創った料理って食べ終わる頃には飽きているんだけど……』
といった状況だった。つまりは消極的に不味いという事。
それでも惣菜は売っているし、材料を加熱してこの袋を混ぜるだけ、みたいな
ちょっと手を加えるだけで良い物も色々と売っている。
本格的な「一から作る料理」なんて必要性が無かったのだ。
話は戻って。
料理を作る荻上の背中を見ながら、テーブルに座ってデレデレと待つ笹原には
その焦りは幸いにも(?)伝わっていなかった。
荻上『ハンバーグってタマネギ以外に何か野菜入れるべか?』
『混ぜるものってパン粉だったのか小麦粉だったのか……』
『ああっ!表面は焦げが激しいのに、いつまで経っても中が生っぽい!』
この脳内の経路を辿ってみれば、どんな料理が出来たかわかるだろう。
やがて、
テーブルの上に並んだ黒い塊を挟んで沈黙する笹荻ふたり。
笹原『ある意味、これはドジッ子の料理失敗萌えというベタなシチュエーションで美味しい状況?』
笹原「……作ってくれてありがとう。じゃあ、いただきます」
もう笹原の方を見ちゃ居られない荻上。自分でもどう見ても失敗なのは分かりすぎている。
カリッ。ハンバーグらしからぬ音を立てて食べられている。
笹原『お約束どおり、中身は生なんだな……』ごくり
笹原「うん、これは…その………」
荻上「無理しなくていいです!もう食べなくて良いですから!」
笹原「いや、全部食べるよ!」
二人にとって最初の喧嘩がこれだった。
それからしばらく。秋雨がしとしと降る日曜日、荻上の部屋でくつろぐ笹原が言った。
笹原「そろそろ晩御飯だね。雨だけどどこか出ようか?」
荻上「いえ、今日は私が作ります」
笹原「え………」
その気配に少しムッとする荻上。
荻上「こんなこともあろうかと―――ネットでレシピをチェックしてますので!」
笹原「それは楽しみだなぁ」
自分を追い込んでしまう荻上。
荻上『よし、ジャガイモは美味しそうに茹であがったべ』
『キュウリの厚さが色々だけど…不味くはならないはず?』
『マヨネーズ使いすぎはよく無さそうだけど薄味だと不味くなりそう。塩を多めに入れて…』
『ゆで卵を切ったりするのもなんだし、炒り卵でも…ああっフライパンにこびりつく!』
『何か一工夫して…この搾った木綿豆腐を!ヘルシーに!』
そうこうして美味しそうなポテトサラダが、鍋一杯に出来上がった。
今回は成功っぽい。笑顔で丼に山盛りのサラダを受け取る笹原。
ぱくり×2。
笹原「うんおいしいよ」
荻上「ちょっと柔らかいですけどね…豆腐で」
しかし、食べ進むうちに無言になる二人。
笹原『うーん……だんだん食べるのが辛くなってきた(汗)』
荻上『ああ、やっぱり私の料理って食べてる最中に飽きるというか…不味いというか』
添えられたインスタントのコーンスープが救済措置となった。
しかし盛り下がって、その夜は別れた―――。
荻上は本来、長く描いている漫画でもテクニック本をよく読む方だ。
となると料理でも、レシピ本しか有るまい。
翌日のこと。
荻上『笹原さんが優しいといっても、このままじゃ自分に負けてるし』
『だいたい自分で食べる分にも飽きるのって駄目だぁ』
自己弁護してみたりしつつ、簡単とか初心者とかいうキーワードを元に本屋で
1時間近く粘ってしまった荻上だった。
山の緑がところどころ黄色くなってきたのが見える。夕風が冷たい中秋の頃。
そんな夕方、荻上に呼ばれて部屋を訪ねた笹原は、部屋に入る前から美味しい匂いが
外に漂っているのに気付いた。
笹原『なんの料理の匂いだろう?和食じゃないけど』
夕暮れと対照的に輝かんばかりの笑顔で玄関の扉を開けた荻上は
後ろを歩いてついてくる笹原に知られずニヤリとした笑みに変わった。
荻上「ちょっと待ってくださいね、今仕上げますから」
フライパンからはニンニクの匂いが漂ってくるが、まだ空のようだ。
そこへガラッと固い音。次に何か激しくジューっという音が上がる。
しばらくして出てきたものは、何かの貝料理のようだが
荻上「アサリのワイン蒸しです。使った以外の白ワインも飲んでくださいね」
荻上の酌で、普通のグラスに注がれる白ワイン。
そして台所に行った荻上が炊飯器を開ける音。
荻上「秋ナスと鶏肉のトマトピラフです。炊飯器で作ってみました」
笹原「うわ―――。」
今までの失敗料理とうって変わっての本格料理に台詞が出てこない笹原。
笹原「お店で食べるような本格料理じゃない?ほんと凄いよ!」
荻上「まずは食べてください」
笹原「うんうん!ほんと美味しいよ!」
荻上「たくさんありますから、どんどん食べてくださいね」
その日は二人とも、食べ過ぎて苦しくなるまで食べても美味しかった。
荻上が使ったレシピの4人前の分量を守ったので、全ては食べ切れなかった。
荻上『レシピどおりに作っただけで吃驚するぐらい美味しいんだなァ』
イメージを再現する能力が優れているのと、舌が良いのかも知れない。
それからというもの、
荻上「実家から新米が送られてきましたので」
笹原「うわ。このお米、今まで食べたのとか良いお店のより絶対美味しいよ!」
荻上「今日は肉じゃがを作りました。定番ですので」
笹原「良いお嫁さんになれるよっていうのが定番の反応?でもほんと美味しいよ」
荻上「今日はパスタです。カルボナーラに挑戦してみました」
「トンカツってなかなか難しいですね、衣が厚すぎてもいけませんし」
「ゴーヤチャンプルーで沖縄気分ですよ」
「餃子の皮を一緒に作りましょう。具は特製ですのでお楽しみに」
「オーブンレンジ買いました。パンを焼いて見ましたので」
そんな感じで、笹原はいつのまにかほぼ毎日、荻上宅で満腹まで食べるようになっていた。
材料費はけっこう笹原持ちだが、お米は荻上持ちだし、ほくほくの日々だった。
そして数ヶ月。ゼミ発表のために久しぶりにスーツを着た笹原は
…いや、正確には「着ようとした」笹原は、愕然とした。
笹原『ズボンのフックが止まらねぇじゃん―――!』
それはベルトで乗り切ったが、穴は2つも大きくなっている。
上着もどうみてもパッツンパッツンだ。
大学の正門前で春日部さんに会った笹原は、いきなり爆笑された。
咲 「笹やん、ちょっと!!(爆笑)」
「ぶっちゃけ忘年会の時に荻上共々丸くなったと思ったけどさ。久しぶりに見たら、何それ―――!」
笹原「ひでーな春日部さん……」
咲 「あんた、スーツ買いなおすかダイエットするかしなよ」
笹原「この時期に出費は痛いけど、まあねぇ」
咲 「どうしちゃったのさ?運動不足とか今更関係無いでしょ」
笹原「いや、たぶん……荻上さんの料理が美味しくって」
咲 「うわーーベタなノロケ!!」
101 :
パンを焼く:2006/01/18(水) 01:22:28 ID:???
タイトル元になった曲は、男が料理してますけどね…。
こんなんで太るんだったら豚になってもいいよ!もう!!
>>95-100 読んでてニヤけたw 上手いね、そして面白い。刺激された。GJ!
>>95-100 いいねえw
料理が少しづつうまく・・・。それは笹原のため・・・。
ムハア(゜Д゜)
まだ、われわれは戦えますよ!
バレスレ行ったら萌殺された。
このスレすらもう来れないのか。
あでゅー
ここもか!発売前に新作投下したかったけど退散する!
投下済新作感想は後で必ずするよ!
110 :
パンを焼く:2006/01/18(水) 21:53:46 ID:???
>>101 全てがベタです。タイトルも「ベタ」とか「ありがちなシチュエーションに引っ掛かるもんか」
とかにしようとしたぐらいです。
>>103 こんな風に作ってもらえたらニヤケますよね。書いててお腹が空きました。
>>104 まだまだ戦い続けますよ!バレの嵐が吹き荒ぼうとも撤退しません!
>>109 25日以後も宜しくです。書けども尽きませんよね。
皆さんほんとありがとうございます。さて…あと1週間、SSや模写で頑張って乗り切ります。
111 :
パンを焼く:2006/01/19(木) 00:49:40 ID:???
自作で激萌えオギー待ち受け画像も思いのままって、すごいですよね…
あ、荻スレ誤爆 今日はもう寝よう…
113 :
影踏み:2006/01/19(木) 01:48:27 ID:???
>パンを焼く
何のタイトルでしょう?幸せ太りの笹原いいねー。うらやましい・・・。
新婚さんみたいwwwwww
俺もタイトルに歌からとるの好きです。今回は一青窈の影踏み。看病のシーン
の続編のつもりでアイスクリームのシーン拝借しちゃいました。すいません。
しかし、俺の作風はどうしてもセンチに・・・。歌のイメージを引きずっちゃ
って・・・。すごい覚悟ですね。俺はSS書きたし、バレ怖しで・・・。
初冬にさしかかろうという、ある乾燥した日の朝、笹原は唸りながら、目覚
めた。
笹「さむ!!むっ」
喉が痛い。頭痛もする。肩や足も筋肉痛がする。
(風邪か?昨日、ヒーターつけたまま、コタツでうたたねしちまったから
な・・・)
むくむくと布団からはい出し、四つんばいで、がさごそ部屋を漁り始めた。
(体温計・・・あれ、くそ!どこに片付けたっけ?めったに使わねーから
な・・・救急箱・・・。ああ、あったよ・・・はは、押入れのエロゲーの雑
誌の下敷きになってら・・・)
布団にごろんと横になり、体温計で体温を測り始めた。
(・・・38度2分・・・。けっこうあるな・・・)
笹原は布団にもぐりこみ、掛け布団に丸まった。
(寝てりゃ直るかな・・・どうせ講義も無いしな。風邪薬・・・ありゃ使用
期間過ぎてるよ!大丈夫か?)
笹原はそんなに頻繁に病気になる人間ではない。薬関係も大学入学時に購入
したきりだ。服用しても問題ないような気がしたが、不安になってやめた。
汗が止まらない。熱がさらに上がったようだ。
(・・・惠子・・・あいつ今日はどこだ?メールで・・・)
笹原はなれない手つきで、惠子にメールする。
「風邪ひいたみたいだ。動けない。風邪薬とか買ってきてくれ」
なかなか返事が返ってこない。じりじりと笹原は待つ。やっと返事がくる。
「兄貴 悪い 今横浜のダチの家に遊びにいってる 無理」
笹「くそ!」
笹原は携帯を壁に投げつけた。熱で気が立っている。八つ当たりすることで
は無い。最近、惠子もここには寄り付かなくなった。惠子なりに気を使って
いるのだ。しかたがないことだ・・・。
(荻上さん・・・)
荻上の顔が脳裏に浮かんだ。だがすぐにかぶりを振った。駄目だ。かっこ悪
い。最近ようやく、甘えてくれ頼りにしてくれるようになったのに・・・。
こんなことで、迷惑はかけられない。自分でなんとか・・・。
しかし、思ったより笹原の症状は重かった。着替えて、よろよろと外出を試
みようと、扉の鍵を開けた。その時点で立ちくらみして、歩ける状態じゃ無
い事に気付いた。次第に意識が薄れてきた。
(やばい!マジでやばい!こんな一人で洒落にならない・・・)
笹原はかろうじてメールで荻上にメッセージを送った。
「風邪ひきました」
これだけ送信して、普段着のまま布団にもぐりこみ、そのまま寝入った。
次に笹原が目を覚ました時、そばには心配そうな表情の荻上がいた。
笹「荻上さん?どうして?」
荻「どうしてじゃないですよ!メールで風邪ひいたって送られてきたから、
返信して症状聞いても、一向に返事返ってこないし、心配になって見舞いに
来て見たら、ドアは開いたままで、声かけても出てこないし・・・」
笹「はは、そのまま寝入っちゃったみたいで・・・」
荻「死んじゃったのかって驚きましたよ!何回か声かけても目を覚まさなか
ったし・・・」
荻上の顔は動揺して、目は涙目になっている。
笹「心配かけたね、ごめん・・・」
荻上のその表情に胸が痛んだ。
荻「とにかく、着替えてください!汗だらけです。着替えはどこです?」
笹「ああ・・・そこ衣装ボックスに・・・あっ自分でやるから・・・」
荻「こっこれですね、体が冷えると危険ですから、急いで!」
荻上は笹原の下着とパジャマを手に取り、すこし顔が赤らんでいる。
笹「うっうん。」
荻「まだ、熱はありますね。少し寝てて待ってください。必要なもの買い揃
えてきます」
笹「悪い・・・」
荻「まあ、前にお世話になりましたからお互い様デス」
荻上は買出しに出かけた。笹原は布団の中で、ふーと安堵の声を上げた。正
直、一人で病気になった時、これほど不安な気持ちになるとは思ってもいな
かった。目を覚ました時に、荻上がそばにいてくれた事が、どんなに嬉しか
ったか分からない。
荻上は小さい体に両手に大きな買い物袋を抱えて、戻ってきた。
笹「色々買ってきたね!」
荻「ええ、薬のほかに、スポーツドリンク、レトルトのおかゆ、あと食材も
少々・・・」
笹「そんなに・・・悪いよ・・・」
荻「いえ!前に風邪の看病してもらったじゃありませんか。わたしもすこし
勉強しましたから」
笹「薬飲んで寝てりゃ直るよ・・・そんな大げさな・・・」
荻「ヒスタミン系の薬は強いですけど、強い解熱剤は回復を遅くします。飲
んでも漢方薬系の薬で、水分と栄養を補給する事が一番です!水分もただの
水では体力を奪いますから、スポーツドリンクを飲んで汗をかいて安静にす
るんです。寝ててください」
笹「うっうん。わかった」
笹原は荻上の迫力に気おされて、大人しく寝た。
荻上は台所で何かしている。
笹「ゲホ ゲホ 何してるの?」
荻「空気、乾燥してますよね。風邪に良くないですから、やかんでお湯を沸
かしてます。加湿器無いですもんね」
笹「そうなんだ・・・。昨日もヒーター付けっぱなしで、空気乾燥させたし・・・」
荻「何か食べれます?」
笹「そうだね、おかゆとか軽いものなら・・・」
荻「そうですか。じゃあ、これ・・・」
荻上はレトルトのおかゆに添え物にゆずを刻んだものを出した。
笹「これは?」
荻「実家から送られたものです。ゆずを刻んで蜂蜜と砂糖、酢で漬け込んだ
ものです。おかゆとからめて食べると美味しいですよ」
笹「ああ、ほんと!ゆずの香りが食欲そそるね!甘くて美味しい・・・」
荻「あと、生姜湯もあります。それとネギを刻んだ湯豆腐・・・。あの・・・
この前の・・・アイスクリームのお返しで・・・」
荻上は顔を赤らめて、油豆腐をれんげに取って、笹原の口に運んだ。
笹原も顔を赤らめて、それを口にした。
笹「あっありがとう」
満腹になると、笹原は睡魔に襲われて、寝入った。そして夢を見た。それは
合宿の黄昏の空の色だった。浅い眠りの夢うつつの中、笹原は考えていた。
あの時と逆だな・・・。こんなにも病気が人の心を弱くするとは思ってなか
った・・・。荻上さんもこんな不安な気持ちでいたのかな・・・。俺・・・
そんな彼女につけこんだみたいだ・・・。あの時の彼女の寝顔をずっと見守
っていきたいって気持ちには偽りは無いのだけれども・・・。
笹原が目を覚ますと、となりで荻上もうたたねしていた。
荻「あっ!わたしもうっかり寝ちゃってました!」
笹「・・・ねえ、合宿の時、君、俺に『何でここにいる』のかって聞いたよ
ね。こんなこと・・・聞くなんて・・・男らしく無いと思うんだけど・・・
何故君は俺のそばにいてくれるの?」
荻「何故って・・・だって・・・笹原さんは・・・わたしが一番いてほしい
と思った時にそばにいてくれたじゃありませんか・・・それだけです・・・」
笹原は顔を見せたくなくて、背を向けて布団をかぶった。
笹「俺も・・・今そんな気持ちだよ」
荻上は気恥ずかしさに場をはずして、窓辺に目を向けた。
荻「ああ、ここからつつじの木が見えるんですね。春になったら花が咲くん
ですね。今は散ってますけど・・・。わたし夢を見てました。子供の頃です。
幼馴染と影踏みとかして遊んでるんです。キャッキャ飛び跳ねて、夢中にな
って遊んで、黄昏時になってもやめないんです。でもあたりが薄暗くなり、
わたしが振り向くと友達の顔や影が見えなくなってるんです。あんなに仲良
く遊んだのに顔が思い出せないんです・・・」
笹「・・・そうだね。でも俺も君も影じゃないし、今たしかにここに・・・
いるし、消えたりは・・・しないよ。・・・うまく言えないけど・・・二人
でいれば散らない花も見れると・・・思う・・・ははっまだ熱があるみたい
だ!こんな恥ずかしいセリフ!」
荻「そうですね。熱のせいにしましょう。元気になって良かったデス!」
122 :
マロン名無しさん:2006/01/19(木) 02:33:23 ID:0y1u5e5x
このおセンチ野郎めw
GJ
123 :
パンを焼く:2006/01/19(木) 02:38:29 ID:???
日課(といっても3日目)の模写が終わってみたら、ネタバレ回避過疎中にも関わらず新作が!
>>113 パンを焼く/山崎まさよし です。
そして看病の続編、ありがとうございます!
荻上の看病じゃなくて料理で尽くすというか太らせるSS書いちゃいましたので…。
むしろ続きを書かれたりするとありがたいですね。
しかし今月予想SS2本書いて2本とも続編とか書かれてるの僕だけなのは、
未完成感が強い(尻切れ)な印象なんじゃないかとちょっと悩んだりorz
SS書きたい欲求は、まあ書いておいて25日以後に貼れば良いのかも知れませんけど
すぐに張っちゃうんですよねー。
「結局は見せたがりなのが私達のサガ」ですねorz
>>114-121 看病とかの時って女性は迫力出ますよねぇ。
そして湯豆腐を手ずから食べさせてもらう萌えシーンもありつつ、センチメンタルな…。
いつも良い仕事されてますねぇ。この時期に長編、乙でした!
124 :
影踏み:2006/01/19(木) 03:36:19 ID:???
>>122 どもです。
>>123 ありがとございます。俺もうたたねしてました。いやいや誤解無きよう。
あなたのは完成されてますよ。あなたが多作なのと、あなたのシチュが
俺のツボをつくというか、「タンドリーチキンを家で一緒に食べる?くはー」
とか「アッアイスクリームをあーんって・・・ガクガク」とかSSに妄想ふくらんじゃう
わけですよ!
とはいえホントやばい!解禁まで待てばいいのに・・・。書き上げちゃうと、ああ
明日のことは誰にも分からん!俺も影だ、とまあ・・・。そろそろ本当にウロウロ
してると、やばいので撤収します。心静かに待つべし。しかして希望せよ?
うむ!いろいろなSSは見てて面白いものだ!
おセンチばんじゃーい!
おセンチばんじゃーい!
ネタバレ?知るんかんなもん!
>>114〜影踏み
切なさ炸裂GJ!
そしてオギーに叱られながら看護されたいYO…
レス数はともかく書いてる奴らが熱いな、このスレ。
ほんと皆さん凄いですわ…
どうも最近の展開見てたら自分もつい書いてしまって。
笹荻はくっつくでしょう、という想定の元
下手の横好きでこれからの長いスレ汚しスマソ。
しかも時間軸だけ近い内容かも…ネタバレ恐ス…
笹荻が付き合い始めて数日後、笹原の家に遊びに行く事になった荻上。
駅で笹原と待ち合わせして家に向かう。
笹原「ちょっと汚いかもしれないけど」
ガチャ
笹原「どうぞ…」
荻「おじゃまします」
笹原「…」
荻「別に汚くないですよ」
笹原「ん〜、そうかな…今コップとか用意するから、ちょっと待ってて」
荻(やっぱ…少し落ち着かね…)
荻(なんかフィギュアがいっぱいだぁ…)
荻(この箱、同人誌? 別に隠す事無いのに)
荻(あれなんか溢れてて意味なくね、ハハ…)
荻(でも……どんなの見てんだろ…)
笹原「あ、ごめん、座ってていいよ」
荻「は…はい」
笹原、そのままトイレに
荻(んー………)
ガサゴソ 部屋を物色する荻上
荻(あれ? 何してるんだ、私…)
荻(ダメだって、見つかっちまうって…)
荻(………これはゲーム…)
笹原「あのっ、荻上さん…」
荻「あっ…」
笹原「………」
荻「………」
笹原「い……い、いずれは、こういうのは…ちゃんと…」
荻「笹原さんは…」
笹原「………」
荻「笹原さんは…悪くないです…」
笹原「いや…でも」
荻「これは……わ、私が…その…やってみたいなぁとか……思ったわけでぇ…」
笹原「へ?」
荻「だ…だから………やります!」
笹原「いや、それはちょっと」
荻「やり方教えて下さい」
笹原「え、あの…」
荻「笹原さんはいつもやってるんですよね」
笹原「ぐ……と、とりあえずさ、来たばっかりでなんだし、少し落ちつかない?…かな…」
荻「………」
笹原「なんか…怒ってる?」
荻「別に怒ってません」
笹原「………」
荻(なんでいきなり…こんな事になっちまっただ…)
笹原「じゃあ、じゃあさ…ちょっとだけ…やってみる?」
荻「あ…あの…」
笹原「………」
荻「はい…」
ウィーーン
笹原「そんなに新しく無いから、動くまでちょっと時間かかるけども…」
荻「そうなんですか」
笹原「うん、まあ」
ティラリラリラリラリン♪
荻「あっ…」
笹原「あ、この壁紙はその…高坂くんとこのやつで…」
荻「そ、そうなんですか…」
笹原「うん、まあ…」
荻「で…それを、やるんですか?」
笹原「い、いやこれは…ちょっと……そ、そうだ」
荻「はい」
笹原「これとか、いいんじゃないかな…ストーリーも感動系っていうか、初心者にもお薦めっていうか」
荻「お薦め、なんですか?」
笹原「ん…いやいや…そういう意味じゃなくて…」
荻「じゃ、じゃあそれで…」
笹原「うん…」
笹原「別に難しい事は何もなくてね…マウスでクリックすればいいだけだから」
荻「はい」
笹原「飲み物用意するね」
荻「わ、私も手伝います」
笹原「いや、大丈夫だから、荻上さんはゆっくりしてて」
荻「すみません…」
笹原「ん、いいからいいから…」
そしてゲーム開始
荻「学校ですか…これ…」
笹原「ん、まあこういうの…多いよね…」
荻「うっ…」
笹原「ど、どうしたの?」
荻(また…思い出した……)
笹原「…具合悪いの?」
荻「いえ…大丈夫、です…」
笹原「あっそうだ、自動でも見れるんだけど…」
荻「すいません…もう、ほんと大丈夫です」
笹原「ほんとに?」
荻「はい…あ、あと…なんかボタン押すのも、その…楽しいです…」
笹原「そ、そう…なら、いいんだけども…」
カチャ...カチャ...
荻「これ、何ですか?」
笹原「これはこの選択肢の中から選ぶんだけど…」
荻「どれを選べばいいんですか?」
笹原「ん、それは…荻上さんが好きなのを選べばいいと思うよ」
荻「好きなの、ですか…」
笹原「あ、あのね、基本的に一人の子を中心に選ぶと、それで話の流れが決まるっていうか…」
荻「そうですか」
笹原「うん、まあ…」
荻「じゃあこれで…」
1時間後…
荻「………」
笹原「………」
荻「………」
笹原「こ…この辺の台詞回しとか、結構いい感じなんだよね…」
荻「でも、なんかベタじゃないですか」
笹原「うん…まあ、そこが逆にツボっていうか」
荻「確かに自然な感じはしますけど」
笹原「そうそう、変に飾りつけが無いんだけど、十分に深く伝わるっていうか…」
荻「………」
笹原「あ…ごめん…」
荻「いえ、別に…いいんですけど…」
笹原「………」
さらにゲームは進んで
荻「なんだか、やたらと人が倒れますね…」
笹原「ん、そうね。これ出た頃は、斑目さんが神展開だって」
荻「笹原さんは…この先どうなるか知ってるんですよね?」
笹原「ん、まあね…」
荻「……あっ、もう6時…」
笹原「え? ほんとだ…。時間…大丈夫?」
荻「私も明日休みですし、まだ別に…大丈夫です…」
笹原「ん、なんか晩飯でも用意しようか」
荻(…ここって…普通なら私が作ります…とか言うところだよね…)
笹原「えーと、この出前のラーメン屋さんとか、結構いいよ」
荻「…じゃあ…それで…」
笹原「…違う方がいいかな?洋食系とかもあるんだけど…」
荻「いえ、ラーメンでいいです」
笹原「う、うん…分かった」
荻(なんか練習しとこ…)
食後も続く
笹原「………」
荻(こっち…見てるよね…)
笹原「………」
荻「あ、あの…」
笹原「ん? い…いや、何でもない」
荻「もしかして…疲れました?」
笹原「大丈夫大丈夫…全然疲れてないよ、本当に。ただ…」
荻「はい」
笹原「いや、今更ながら…なんか不思議な状況だなー、なんて…」
荻「そうですか?」
笹原「いや…荻上さんが楽しいなら、いいんだけども…」
荻(………そういやまだ何も無いけど、これってああいうゲームなんだっけ…)
笹原「………」
荻「………」
そして物語は終焉に…
荻(さっきから…ほとんど喋んなくなったし…)
荻(やっぱこの後って…)
荻(でも…ここで止めるって、何かわざとらしくね…)
荻(っていうか…なんでこんな事になってるんだろ…)
荻(もうこんな時間だし…)
荻(ほんと…何やってんだぁ…私…)
荻(今日は……こんなんじゃないのに…)
荻(………)
荻(そうだ…素直に謝れば良かったんだぁ…)
荻(でも何て……)
荻(見つけちゃってすみません…そりゃないって…ハハ)
荻(………)
荻(なんか…いまさら全部ダメだ…)
荻(こんな時にも思い出しちまうし…)
荻(料理もダメだし…)
荻(ほんとダメだ…私って…)
荻(もう顔も見れね…)
荻(ヤバ…泣きそう……)
荻(うぁ…無理…我慢が…)
荻「あっ…だ…」
笹原「………」
荻(こんなん……酷いって…)
笹原「グス………」
荻(あ、あれ?笹原さん…泣いてる?)
笹原「ん?あ…ごめん……ここさ、何度見てもいいんだよね…」
荻「あ、あの…あっ…」
笹原「そ、それで荻上さん…このゲームってさ…」
荻「は…はひ…」
笹原「話としては、まあ…ここでほとんど終わりっていうか」
荻「………」
笹原「こういうゲームだし…」
荻「ん…」
笹原「ここから先は…その…」
荻「………」
笹原「だ、だからさ、ここら辺で終わりにしようかなぁ…なんて…」
荻「あっ…」
笹原「………」
荻(……なんか…急に楽になった…)
荻(なんで…なんでムキになってたんだろ…)
荻(素直じゃ無いのは…分かってんだけども…)
荻(昔からいっつも…こうなんだ…)
荻(………)
荻(……そか…ゲームに嫉妬してたんだ…)
荻(いや、それはさすがに変だわ…)
荻(咲さんとは…違うし…)
荻(自分は同じだぁ…あんなの書いてさ…)
荻(笹原さんに…手伝ってまで貰って…ハハ…)
荻(なんも…言える立場じゃないって…)
荻(でも結局…また助けられて…)
荻(やっぱ…笹原さんには…弱いんだ…私…)
荻(ヤバ…また泣きそう…)
笹原「荻上さん?」
荻「う、うっ…」
笹原「えっ?」
荻「ち…ちがっ…違うんです…」
笹原「あ…ごめん! その…変な事言っちゃって…」
荻「だから…」
笹原「最初、その…自分も勧めたりとかしちゃったし…」
荻「ちが…」
笹原「だ、だけど! 別に…そんなやましい気持ちとか……なかったし…」
荻「だか…わ、悪いのは…わた…わたしが…いけね…」
笹原「と…とりあえず落ちつい……あっ!」
荻「…も…ダメ…こっちみ…ないで…」
笹原「お、荻上さん!マウス、マウスを離し…」
荻「わ…わたし……」
笹原「こ、これ以上は」
荻「うぅ…ご…ごめんなさ…」
笹原「あ……」
そして笹原は固まったまま、ゲームは終わった…
荻「ちょっと…顔洗ってきます…」
笹原「あ、うん…」
ジャバジャバ
荻(やっぱ…私に恋愛とか…無理なんだ…)
荻(笹原さんだって…きっともう…)
笹原「あの」
荻「わっ…」
笹原「い、いや、これ…タオル」
荻「あ…ありがとう、ございます…」
笹原「………」
荻「………」
笹原「あの…あのさ…」
荻「はい…」
笹原「今日は…ちょっとその…嬉しかったのもあるっていうか」
荻「え、なんで…」
笹原「本当は、どうしようかなって思ってたんだ、ああいうのとか…」
荻「………」
笹原「でもなんか…今は少し自分を見てもらえたっていうか…その上手く言えないんだけど…」
荻「…なんとなく…分かります…」
笹原「別に…認めて貰えたとか、そんな風に思ってないよ」
荻「はい…」
笹原「ただ、その高坂くんとか見てるとさ、普通はやっぱ、線引きっていうか、必要かなとか…」
荻「線引き…ですか」
笹原「そう、その…えーと…。つ…つき合っている…んだ…し…」
荻「………」
笹原「ゴク………」
荻(な、なんか言わなきゃ…)
荻(なんか…)
荻(………)
荻(自分を…見てもらうって…)
笹原「あ…」
荻「あの…笹原さん…」
笹原「なっ、何?」
荻「隠してましたよね…本とか、色々と…」
笹原「あ、あー…それはその」
荻「………」
笹原「やっぱり…なんかね…」
笹原「そのままの方が、良かったのかな…」
荻「いや、別に…。 でも…」
笹原「うん…」
荻「ほ…ほどほどに…して貰えると……」
笹原「えっ?」
荻「………」
笹原「は、はい…ほどほどに…します…」
荻「…ハハ」
笹原「…ハ、ハハ…」
荻「………」
笹原「………」
荻「……あっ」
笹原「何?」
荻「もうこんな時間…」
笹原「………」
荻「笹原さん」
笹原「は、はいっ!」
荻「そろそろ帰りますね」
笹原「あ…ああ…そうだね…」
帰り仕度をする荻上
笹原「なんか、今日は色々と…その…」
荻「…今日は…楽しかったですよ」
笹原「え?……う、うん…こちらこそ…。 あの、途中まで送っていくよ」
荻「あ、すいません…」
笹原「ん、じゃ行こうか」
荻「はい」
ガチャ
>雪融け
こっ、これは!!
荻上さんが勢いでエロゲやりますって言っちゃう所とか、自己嫌悪で泣いてしまう上に
同時に笹原も泣いてるところとか、全体的にまだるっこしい感じとか………
ものすご上手いデスネ!!
成立直後のシーン美味しく頂きました。
>雪融け
んー、いいw
こういうのが一番おいしくいただけます。
展開的にも自分の好みに一致しててすごくよかったですw
145 :
影踏み:2006/01/19(木) 23:52:22 ID:???
撤収するといいつつ、のこのこ来ちゃいました。自作読み直したら
変換ミスあったりして・・・「油豆腐」?笹原に何食わせようとしてんでしょorz
>雪融け
うわー、いいな、これ。荻上の内面の葛藤も、ぎこちない二人の間も会話だけで
うまく表現してるよ。思わず俺もにやけちゃう。こんないい新作読んで、自制して来ずにすませら
るんでしょうか・・・。自作も期待。
146 :
影踏み:2006/01/20(金) 00:04:34 ID:???
>自作も期待
また間違えたorz 次(回)作も期待します。
>雪融け
あ〜もう!いいね、このじれったい感じ。
GJ!
これで明日も仕事を頑張れそうです。
なんかこんな長いのに色々と感想すんません、感謝です。
個人的にはもっとドタバタとか、淡々としてる話が好きだったりはするんですが…
原作の方はあんまりオタクから離れずに、その両立を願ってます。
今後の他の方の作品も楽しみにしてますので、では。
淡いブルーを気に入って使って下さった方に心から感謝を申し上げます。
次作を投下する際にお礼を言おうと思っていたら、こんなに遅くなってしまいました。すみません。
と言うわけで、公式発売日までもう日もないことから、とりあえず仕上がった分を貼り付けたいと思います。
かなりご都合主義で自己解釈な点が多々見受けられると思いますが、どうかご容赦の程を。
笹荻成立後の話。
「あれ? 笹原じゃん」
大学の敷地内、現視研へ向かう途中で春日部に声を掛けられた。
どうやら帰宅途中らしく、大学を出ようとしたところを笹原と出くわしたらしい。
「何? 今から部室?」
「うん。春日部さんは帰るとこ?」
「そ。忙しいし、コーサカいないなら、顔出す理由もないからね」
そう答える春日部の顔には、何となく翳りのようなものが窺えた。
以前ならば例え気になってもそのまま流して適当な挨拶をし、別れていたであろうが、
何故か笹原は胸に浮かんだ疑問をそのまま口にしていた。
「何か…、春日部さん疲れてる?」
「え? …あー、うーん。そりゃ、何だかんだと最近忙しいし疲れもたまるかな」
「ん、そっか」
改めて春日部を見る。自分の店を出したいという夢を叶えるために、あちこち駆けずり回っているのだろう。
確かに疲れている様子が感じ取れるが、原因はそれだけではなさそうだった。
「…高坂君もやっぱり忙しいのかな」
笹原の言葉に、思わず春日部の体が強張る。
しかし、春日部と高坂の関係を考えれば、春日部に高坂の様子を訊ねることは不自然なことではない。
春日部は何となく空を見上げながら自分に言い聞かせるようにして答えた。
「あー……、コーサカね。うん、かなり忙しいみたい。ほとんど会えないどころか、
職場に泊まり込んでるみたいで家にはいないし、電話はくれるけどあまり長くは話せないみたいだし、
メールの返事も遅れてだしね」
そしてふと覗かせる寂しげな表情。最近の春日部が無意識によく浮かべる表情だった。
「ゲーム業界って相当ハードらしいからなぁ。体とか壊してないといいけど」
気遣うように声を掛ける。そんな笹原の言葉に、苦笑しながら春日部は肩をすくめる。
「本当、顔でも見れば安心出来るんだけどねぇ」
「………………」
「…ん?」
不意に黙り込んだ笹原へ、訝しそうに春日部が顔を向ける。
笹原は困ったように笑うと、出来るだけさりげなく言った。
「会いたい、とかメールしてみたら?」
「はぁ?」
突然の笹原の言葉にぽかんと口を開いたかと思うと、やや眉間に皺をよせて、自嘲気味に笑いを浮かべる。
「そんなの何度も送ってるっつーの」
「次いつ会えるかなとか、休みはいつ取れそうとか、時間が取れた時でいいからとかじゃなくて?」
「それは…」
続けざまの笹原の質問に、春日部は思わず黙り込んだ。
よくよく思い返してみると、確かに笹原が言ったような内容のメールしか送っていないような気がする。
「送ってみたら?」
考え込む春日部に笹原は笑顔で促した。
「え?」
「メール。会いたいって」
「…………は?」
先程から次々と出てくる今までの笹原からは考えられない言葉の連続に、春日部はぽかんとしていた。
「いや、そんな意外なことを言ったつもりはないんだけど」
苦笑しながら頬をかく笹原。
「きっと高坂君も喜ぶと思うよ」
「えぇー?」
春日部は思い切り胡散臭そうな顔をして言い返した。
「こんな忙しい時にそんな我が儘言われても迷惑なだけでしょ」
「そうかなぁ」
笹原はついいつもの癖で腕組みをすると、軽く首を傾けた。
「忙しくてしばらく会ってないのは高坂君も同じな訳だから、
春日部さんの様子を結構気にしてるんじゃないかな」
「んー…」
「仕事に追われて息抜きをするタイミングを見失ってたら、いいきっかけになると思うんだけど」
「息抜きねぇ…」
「ま、気が向いたらだけど、たまにはいいんじゃない?
我が儘言って困らせてみるのも。ダメならダメって高坂君なら言うでしょ」
あまりしつこくならないよう、笹原は切り上げるように言った。
春日部はしかし、尚も考え込んだ様子でぽつりと呟いた。
「でも、もし大事な時期だったら、それで無理させても悪いし…。いや、来てくれたら嬉しいけど」
「無理してでも来たら、それはそれだけ高坂君も会いたかったってことじゃないかな。
その時は、せめて栄養のあるものを食べさせてあげたりとか、ゆっくりもてなしてあげるといいと思う。
職場に泊まり込んでたりしたらろくなもの食べてないだろうし、
ゆっくり眠ったりもしてないだろうしね。あと、のんびりお風呂とか」
「うーん」
まだ考え込んでいる春日部に、笹原は困った顔をして「あ、やっぱり余計なお世話だったかな。ごめん」と謝った。
そんな笹原に、春日部は慌てて手を振って否定した。
「いやいや、そうじゃなくて」
「うん?」
「あー、いや。…まさか、あのササヤンに恋ばなでアドバイスを受ける日が来るとは、
と私も驚くやら感慨深いやらでさぁ」
意地悪そうな笑顔を浮かべて腕組みをしつつ、実にわざとらしくしみじみとした様子で頭を振る春日部に、
笹原は思わず苦笑した。
「確かに。自分でもびっくりした」
思わず頭を掻く。本当に以前の自分からはまったく考えられないことだった。
ただ、高坂と会えなくて寂しそうな様子の春日部を見ていると、
これから自分が卒業して大学に一人残ることになる荻上のことが思い出されて、他人事とは思えなかったのだ。
「ま、それだけ変わったってことなんだろうけど。……誰かさんのおかげでね」
さらに笑みを深めながら春日部が言う。その通りであるだけに何も言えず、笹原は笑うしかなかった。
「で、ササヤンこそ、その誰かさんとはその後どうなのよ?」
「え? ああ、今日もこれから部室で待ち合わ…、あ!」
腕時計に目をやって思わず声を上げる。予定の時間からはすでに30分ほど過ぎてしまっていた。
「いけない、俺、もう行かなきゃ」
「あら。悪かったね、時間取らせて」
「いや、俺が勝手に余計なことを言っただけだし」
「おかげで少し気が楽になったよ、ありがと」
そう言うと、春日部は少し笑った。思わず口をぽかんと開ける笹原。
――送ってみたら?
――え?
――メール。会いたいって
夕日を見ながら歩いているうち、笹原との会話が頭をよぎった。
(…メール、か)
立ち止まってバッグから何とはなしに携帯を取り出すと、手の平の中で弄ぶ。
開いて見ると、メールが何件か届いていた。
チェックしてみるも、全て仕事の関係や友人からで高坂からのメールは一件もない。
(…やっぱり忙しいんだろうな)
最後に会ったのはいつだっけ、と記憶を呼び起こしてみる。
思い出の中の高坂はいつものように笑顔だけれど、随分と印象が薄れてしまっている気がした。
(会いたいなぁ…)
メールの送信画面を開くと、そのまま液晶のぼんやりと光る画面を見つめることしばし。
やがて意を決したのか何度かボタンを押そうとして、しかし硬直した挙げ句やめることを繰り返す。
(あー、もう! 何を悩んでるんだか!!)
今までのストレスもあってか、突然不機嫌になったかと思うと、春日部は大きく一つ溜め息をついて呟いた。
「……よし!!」
再び携帯の画面にに向き直ると、今度は躊躇うことなくボタンを押した。
最後に送信ボタンを押し、携帯を畳んで閉じると同時に大きく息を吐く。
顔を上げて見ると、太陽はさっきより随分と沈んでいた。足下に落ちた影が長く伸びている。
「さて、と」
気を取り直すように胸を張ると、携帯をバッグへ戻して春日部は再び歩き出した。
先程までとは打って変わった穏やかな表情。夕日に照らされたその横顔は、実に彼女らしい魅力に溢れていた。
(そうだ、コーサカが来た時のために夕食の材料を買って帰らなきゃ。何がいいかな。
どうせなら豪勢にいきたいけど、疲れて胃腸が弱ってるかもしれないし、
ササヤンも言ってたけど栄養のあるものの方がいいかな。消化に良くて栄養たっぷりで美味しいとなると、
この時期やっぱり鍋か。何鍋にしよう…)
などということをぶつぶつと呟きながら、まだ来ると決まった訳でもない高坂の喜ぶ顔を思い描きつつ、
春日部は家路を辿るのだった。
同時刻、部室では予定の時間に遅れたことをひたすら詫びる笹原と、
「いいデス。別に怒ってませんから」とどう見ても不機嫌大爆発な荻上がいた。
ぺこぺこと頭を下げる笹原に対し、ぷいとそっぽを向く荻上。しかし、その空気は険悪なものではない。
これもまた、二人としての有意義な時間の過ごし方なのだろう。
夕日に赤く染め上げられた部室の中で、穏やかに二人の時間が過ぎて行く。
「……にょー」
――――訂正、朽木もいたらしい。
……致命的なミスを。すみません。(5/7)と(6/7)の間に下記の文章が入ります。
――――――
「…………何?」
「あ、いや…。そう言ってもらえると、俺も報われるって言うか」
まさか春日部が礼を言うのが意外だったなどと言えるはずもなく、しどろもどろに答える。
「まぁ、いいわ。それよりほら、早く行かないと。荻上のことだから、また一人で何か色々考えて不安になってるかもよ?」
「うわ、それありそうで怖いな。じゃ、俺は行くけど、春日部さんも頑張って!」
言い終わらないうちに走り出す。頑張ってという言葉に何となく苦笑しながら春日部は背中を向ける。
気が付けば、陽はだいぶん傾いていた。寒さの増すこの時期、日が暮れるのは随分と早くなった。夕焼けが綺麗だと翌日は晴れという、祖母の言葉を思い出す。
>>150-157 なんだか最終回ちっくですな〜w。
笹咲の会話シーンも非常に自然でヨカッタですよ!GJ!
>>会いたくて
また朽木オチ!!www
うーん、クッチー愛されてるナァ。
ともかく、他のメンバーも出てきてげんしけんらしくていいですね。
笹やン成長ストーリーとして考えるとホントに最終回っぽい〜
GJです!
駄目だっ……!
ギャグ以外も書ける事を証明したくて荻笹の初体験ネタをエロパロスレに投下しようと
プロットを練ったのですが、どう見てもオヤジ向け官能小説です。
本当にありがとうございました。
ちなみに、つっこまれるのが笹原です(この段階で全て間違っている)。
>>160 ……え―――……
ちょっと見たい……
……ような?
夕闇の住宅街を歩いている笹荻の二人。
手を繋いでないが肩が触れそうに寄り添いながら、笹原の方は
背の低い荻上に合わせるように少し背をかがめている。
笹原「明日はまた雪が振るそうだね。天気予報で言ってたけど」
荻上「そうでしょうね。雲の様子でそうじゃないかと思ってました」
笹原「へーーー流石だねぇ。雪国育ちというか」
雪ン子姿の荻上を想像しながら笹原はクスリと笑う。
荻上「いえ、うちのほうはそんな豪雪地方じゃ無かったんですけどね。まあ東京よりは」
玄関前に着いたので、荻上は自分の部屋の鍵を鞄から探り出している。
部屋に入り、壁のスイッチで灯りを点けようとするが…。
カチッカチッ。
荻上「あれ?あれ?」
笹原「どうしたの?電気切れ?」
荻上「……うーん。どうも点けっぱなしで出ちゃったのが、最後の駄目押しになっちゃったかもです」
蛍光灯の方へと近寄る二人。荻上は背が足りてないし、台所からの灯りだけでは薄暗い。
笹原が少し背伸びしながら確認する。
笹原「うーん、32ワットと40ワットだね」
荻上「あ、そうだったんですか」
笹原「そうだったんですかって……(苦笑)」
荻上「あ、いえその、今まで一度も替えたこと無くって」
そう、荻上は意外と部室に入り浸っているせいもあって、大学入学以来
部屋の蛍光灯を替えた事がなかった。
笹原「一度もって、実家でもまさか……」
荻上「……背が低い私にその役割は回ってきませんでしたけど」
ムッとしながらプイスと荻上が横を向く。
笹原「ゴメンゴメン(苦笑)」
「まだ6時だから、電気店で8時とか9時までやってる所もあるし、買いに行ってこようか?」
荻上「え……」
笹原「暗いけどTVでも見て待っててよ。1時間もあれば―――」
荻上「あ、あの、私も一緒に行きます」
笹原「いや、寒いしわざわざ―――」
寂しそうな荻上の上目遣いに今更ながら胸にグッとくる。
笹原「……いや、一緒に出ようか、うん」
部屋から出る二人は、ちらつき始めた粉雪もお構いなしで、さながら
散歩に出かける少年とじゃれつく仔犬のような楽しげな様子だった。
笹原「実は今日、買い忘れた漫画が有ったんだよね。発売日でさ」
荻上「ふふ、私もですよ」
互いにロリエロ漫画誌とBL誌なのだが、うまく別々のレジに並べるだろうか……。
164 :
ランプ:2006/01/21(土) 02:35:43 ID:???
エロパロスレに誤爆してしまうとは……orz
「会いたくて」を書いた者です。
読んで下さった方、レスを下さった方、本当にありがとうございます。報われます。
感謝の気持ちを込めて、今回もおまけを用意しました。
……本編より長いというのが何ともアレですが、よろしければご覧下さい。
翌日。昼下がりの部室には、笹原と荻上、それに大野、斑目の姿があった。
皆、思い思いに自分の時間を過ごしている。そんなまったりとした空気の中、突然勢いよくドアが開かれた。
全員の視線が向けられた先にいたのは、溢れんばかりの笑顔で挨拶する春日部であった。
「ういーす!!」
心なしか肌がつやつやとしている。そんな春日部の昨日までとはまるで違うテンションと上機嫌ぶりに押されてか、
みんなそれぞれ気圧されたようにぱらぱらと挨拶を返す。
そういった空気を気にした風もなく、当の春日部はつかつかと部室内に入ると笹原へ歩み寄り、
その肩をばんばんと叩きながら喜色満面に言った。
「や! ササヤン昨日はどうもありがとね!」
「……え? あ、ああ。うん」
春日部と共に視線の集中を浴びて、困った笑いを浮かべながらとりあえず相槌を打ちつつ、
笹原は「昨日?」と記憶を掘り返していた。
昨日は荻上の機嫌を直してもらうためにかなりの労力を割いたので、他の記憶がいまいち霞んでいたのだ。
(そう言えば、部室に来る前に春日部さんと話をしたっけ)
ようやく思い出したその時の会話の内容と今の春日部の様子を照合し、脳内で一定の結論を導き出す。
「…何か、うまくいったみたいだね。良かった」
「おかげさまでね。ばっちし!」
にっひっひ、と笑いながらブイサインを作る。周りの者は一体何の話かと全くついていけていない。
「お礼に今度ご飯でも奢るから」
「別に気にしなくていいのに」
苦笑しながら笹原が答える。隣から感じる荻上の視線がちくちく痛い。
(というか気のせいじゃなくて何か本当に痛い。特に荻上さんがいる側の右太ももが痛い って痛い痛い痛たたたたたたたってめちゃくちゃツマまれてるーッ!?)
よく見ると、表情一つ変えずに荻上が机の下で笹原の右足をぎりぎりとつまみ上げていた。ガスコンロであれば火力が最大になるくらい捻り込んでいる。
「お、荻上さん?」
「何デスカ? 笹原さん」
冷や汗をたらしながら問う笹原に、微かな笑顔で応える荻上。目は少しも笑っていない。
(ああ、愛が痛い…)
そんな二人の様子には誰も気付いた風もなく。
「で、何があったんですか? 咲さん」
みんなの疑問を代表してと言うか、我慢出来ずに大野が訊ねると、春日部は笑いながら手を振って言った。
「ああ、そんな大した事じゃないよ。ただ、昨日高坂が会いに来てくれたってだけ」
何故か斑目の眉がぴくりと動いた。そして荻上の手から笹原の足が解放された。
バレないように小さく息を吐く笹原。
大野はそれで合点がいったようで、嬉しそうに重ねて訊ねる。
「わ、良かったですね! それで今日はご機嫌なんですね。
……あ、でも忙しいんじゃなかったんですか? 高坂さん」
「うん、何かマスターアップ? がどうとかで、締め切りが近くてかなりヤバいってさ。
すごく疲れた顔してた」
ははは、と笑う春日部の顔に昨日までの悲壮感は無い。
忙しい中、無理をしてでも自分に会いに来てくれたということで、また一つ関係が深まったのだろう。
聞いている大野もそれを感じてか、自分のことように嬉しそうな顔をしている。
そんな中、斑目と笹原は春日部の言葉から他のみんなと全く違うことを考えていた。
(……マスターアップ? プシュケでそろそろマスターアップと言えばアレか?)
(高坂君、ひょっとしてアレを手がけてるのかな? すごい)
どうやら二人とも新作のチェックはかかしていないようだ。知り合いが関わっているとなれば尚のことだろう。
そんな二人の妄想を余所に、大野と春日部はまだ話を続けていた。
元気になったお祝いに一緒にコスプレをしましょうとどさくさ紛れに持ちかける大野を、
何とか誤魔化そうとしている春日部。
荻上は自分に火の粉が降りかからないよう、出来るだけ関わらないよう努めている。
旗色の悪さを感じ取ってか、春日部はわざとらしく腕時計に目をやると、大きく声を上げた。
「あ! 私、そろそろ行かなきゃ」
「えー、今来たばかりじゃないですか。せっかく一緒にコスプレ出来ると思ったのに」
残念そうに俯く大野の肩をぽんと一つ叩くと、春日部は少し困ったように笑って言った。
「ほら、コーサカも頑張ってることだし、私も頑張らなきゃってね。こっちもいよいよ大詰めだし」
そう言われては大野も引き下がるしかない。
「でも卒業する時は絶対一緒にコスプレしてください」と真剣に見つめる大野に、春日部は苦笑しながら頷いた。
心の中で卒業までに何とか誤魔化す方法を考えないとな、などと考えつつ。
「何かばたばたしちゃって悪いね。それじゃ、また」
閉じられるドア。騒々しかった分だけ、それが無くなると反動で静けさを生む。
皆、何となく小さく息をついた。
「さて、俺もそろそろ戻るかな」
コンビニ弁当の残骸を片付けながら斑目が立ち上がると、軽く挨拶を交わして部室を後にする。
その横顔は相変わらず少し寂しげであった。
(ここに来るのもそろそろ潮時かな)
ふとそんな思いが頭をよぎる。久しぶりに見た春日部の笑顔に、何となく胸の奥がざわついた。
何故笹原が礼を言われたのかも気になった。漠然と感じる疎外感。
(いかんね、どーも)
頭を振って気持ちを切り替える。今日は帰りにアキバへ寄ろうと決意する斑目であった。
「それじゃ、私も田中さんと待ち合わせがあるんでそろそろ」
そう言って大野が席を立つ。
「……お二人はどうされるんですか?」
思い出したように言いながら笹原と荻上の方をちらりと見やる。
その表情は、暖かく見守ってと言うか、生暖かく見定めていると言うような感じだ。
どう答えたものかと荻上が言葉を探していると、笹原が笑いながら答えた。
「あー、うん。もう少しここにいるよ。今日は特に急ぎの用事もないしね」
大野は何となく頷くと、「それでは、ごゆっくり」と言って立ち去った。
去り際の笑顔が何となく含みを感じさせる辺り、さすがは大野と言うべきか。
そして部室には笹原と荻上の二人が残された。
>>150 お美事、お美事にございます!
荻笹成立後の空気って、まさにこんな感じだと思います。
ストーリーの盛り上がり後の残り少ない日常というか、終着にゆっくりと収束していく感じというか…
雰囲気が凄く伝わってきて、少ししんみりしてしまう程でしたよ。 GJ!
窓から差し込む光はまだ色を帯びず、昼と夕の間であることを示す熱を感じさせた。
笹原は伏せてあった本を手に取り、荻上は閉じていたノートを開いて再び絵を描き始める。
何となくまだ二人きりになると思うように会話が進まない。
お互いを意識するぎごちない空気が漂う中、共に会話の糸口を探す。
先に口を開いたのは荻上の方だった。
「……あ、あのっ」
「ん?」
笹原が本から荻上へ視線を移すと、荻上はノートへ顔を向けたまま手を止めて言葉を続けた。
「さっきの、その、春日部先輩の事なんですけど……」
「ああ」
その言葉だけで荻上が何を聞きたいのか伝わっていた。
いつもの癖でつい腕組みをして笹原は答えた。
「昨日さ、ここに来る前にばったり出くわしてね。ちょっと話し込んだんだ」
「はあ」
荻上の顔が笹原に向けられる。
「高坂君としばらく会ってないって言うから、それじゃ会いたいってメールしてみたらって言っただけなんだけどね。
やっぱり相手に気を遣って遠慮してたみたいで」
「遠慮……」
「ま、俺みたいなのが春日部さんにそんな偉そうなこと言うのもおかしな話だけど、
結果として上手くいったみたいで本当に良かったよ」
そう言って軽く笑った。荻上はその隣で何やら考え込んでいる。
その様子に気付いた笹原は気遣うように声を掛けた。
「荻上さん、どうかした?」
「あ、いえ」
慌ててハッと顔を上げると、笹原が心配そうに見つめていた。その目を見て荻上は少し安堵する。
そして一瞬躊躇った後、荻上は笹原の話を聞いて胸に浮かんだ疑問を口にした。
「……その、やっぱり仕事に就いてしまうと、時間が思うように取れなくなったり、
……するんですよね」
言葉を形にするたびに、荻上の表情が少しずつ翳りを帯びていく。
まるで不安が形になって、それに蝕まれるように。
「忙しくて、会いたくても会えなくて、だんだん気持ちも擦れ違っていって、そして…」
気が付けば荻上の目には涙が浮かんでいた。
我慢しようとすればするほどそれは勢いを増し、膝の上で握りしめた手の甲へとぽつぽつ落ちていく。
「……私たちも、そうなっちゃうんでしょうか」
かすれ声で呟く荻上。その姿に笹原は狼狽していた。
いくら何度か経験した場面と言えども、やはり目の前で泣かれて慌てるなと言うほうが無理というものだ。
(ど、どうしよう。何か言わなきゃ。何か)
頭を巡らせるものの、こういう時に限って全く何も浮かばない。何とかしなければと思うほど気持ちだけが空回りする。
このまま何も出来なければ、荻上は放っておかれていることになる。
(それだけは避けないと)
必死に考えた挙げ句、何も思い浮かばなかった笹原は、黙ってそっと荻上の背を撫でた。
ゆっくりと、繰り返し。
俯いているので表情は分からないが、やがて荻上の肩の震えは次第に治まっていった。
「その……」
笹原の声に、荻上の体がぴくりと反応する。
「上手く言えないけど、俺はこれからもずっと荻上さんと一緒にいたいと思うし、
そのために出来るだけのことをしたいと思ってる」
そのまま耳まで真っ赤になりながら、背中に回した手に力を込め、荻上を胸に抱き寄せた。
「確かにまだ先のことは分からないけど、でも、分からないからこそずっと続いていくことだってあるわけで」
まるで自分に言い聞かせるように、必死に言葉を綴る。
しかし、荻上を抱き寄せたことで気力を使い果たしたのか、頭の中はオーバーヒートし、
段々自分が何を言っているのか分からなくなってきていた。
「だっ、だから、その…。えーと、何て言えばいいんだろ。と、とにかく!」
混乱した頭で最善の言葉を考えると、それをそのまま口にした。
「これからも、ずっと俺と一緒にいてくださいっ!!!!」
言い終えると同時に深く息を吐く。そして静寂。荻上は笹原の腕の中で俯いたまま何も言わない。
「……荻上さん?」
不安になった笹原が恐る恐る声を掛けると、荻上は小さく肩を振るわせた後「ぷっ」と吹き出した。
そのまま体を起こすと、くすくすと笑いながら目元の涙を拭う。
「え、えーと?」
「すみません、何か最後の笹原さんの言葉が妙におかしくて」
そう言ってまた笑った。笹原は自分が必死の思いで伝えた言葉がまるっきり効果無しだったことより、
ともかく荻上の笑顔が見られたことで、どっと脱力した。同時に荻上が解放される。
「笹原さん? 大丈夫ですか?」
「あー……、いや。大丈夫。ちょっと気が抜けただけ」
ははは、と乾いた笑いを浮かべて返す。
荻上はようやく落ち着いたのか、椅子に座り直すと笹原を見つめて言った。
「笑ったりしてすみません。でも、笹原さんが言ってくれたこと、すごく嬉しかったです」
真っ直ぐに向けられた視線と言葉を受けて、笹原は再び赤くなった。照れ隠しに何とか笑おうとしながら答える。
「あ、は、はは。そ、そう? いや、それなら良かった。本当に」
「はい」
真剣な面持ちで頷く荻上。そしてふと会話が途切れ、お互いに視線を外す切っ掛けが掴めないまま見つめ合う。
今までの会話の流れの所為か、先程まで体に触れていた所為か、何やらあらぬ考えが浮かんできてしまって狼狽する二人。
(え? え? 何? この雰囲気。イケってこと?)
(笹原さん、何か、目が真剣だぁ…)
黙り込んでいるためか、心臓の音がやたら大きく聞こえる。喉が張り付いて声が出ない。
何を話せばいいかも思いつかない。そうして視線を絡ませたまま、時計の秒針だけが音を立てて回り続ける。
「お、荻上さん……」
「……あ」
二人の距離が次第に近づく。瞼を振るわせる荻上の肩をそっと手で包み、笹原が顔を寄せた。
受け入れるように目を閉じる荻上。夕刻間際の光が二人を照らす。
その影がやがて一つに重なろうとしたその時。
「こーにょにょーちわ〜〜」
音を立ててドアが開かれると同時に現れる芸人朽木。正に「空気を読んだ」仕事と言えよう。
次の瞬間の笹原と荻上の行動は瞬速だった。まず、ドアノブが回される音がした時点で、
二人息を合わせたように机の方へ向き直る。
そしてドアが開かれようとした時にはすでに近づいていた椅子も微妙な距離を取り戻していた。ここまででおよそ2秒。
朽木が姿を現した時、笹原と荻上はそれぞれまるで何もなかったかのように本を読み、絵を描いていた。
「や、やぁ、朽木君」
「……こんちは」
それぞれ挨拶を返す。慌てたためか、若干呼吸が乱れているのが何とも怪しさ抜群だ。
しかし、朽木はまるでそんなことには気付かず、鼻歌など歌いながらそのままいつもの席へ腰掛ける。
こっそりと安堵のため息をつく二人。
そして何故かその様子をぎりぎりと歯ぎしりしながら児文研の部室で双眼鏡越しに見つめている大野。
今にも悔し泣きせんばかりの表情で、口元のハンカチを噛みちぎらんとしている。
「くぅ〜〜〜ちぃぃ〜〜〜〜きぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!」
そのあまりにも禍々しいオーラに、児文研の人達はおろか、無理矢理連れて来られた田中まで声を掛けられずにいる。
児文研の人達に断りを入れている田中の背中が物寂しい。
そしてまさか本当に生暖かく見つめられていたと言うか、覗かれていたとはつゆ知らず、
笹原と荻上の愛のメモリーは今日もこうして一日を終えるのでした。めでたしめでたし。
連投規制に引っかかっていました…。
>>162-163 オギーを抱っこして蛍光灯を交換させてあげたいと思った。いや、GJ!
>>会いたくての人
笹荻の距離感はこのくらいが一番タマラナイですな。
『……私たちも、そうなっちゃうんでしょうか』
↑ ここでかなりズギューンと来たわ。GJ!
>>178 なんとなく平井堅の某歌を思い出した。
ねぇ いつか君も 僕の事を 忘れてしまうのかな
>>会いたくて氏
再読み込みせずに書いたら、おまけの間に書き込んでしまいました… すんません…
おまけ編も楽しく読ませてもらいました!
荻笹だけじゃなく、そのまま原作になっても文句ないぐらいみんなキャラ出てますね。GJです!
181 :
ランプ:2006/01/21(土) 14:10:34 ID:???
>>会いたくてーおまけー
これはほんと、げんしけん本編入りできるクオリティでは?
すごい良い出来…
>>165 日常過ぎて、げんしけんである必要が全く無くなりそうです(汗)。
誤爆するわ話数入れ間違えるわ、大変ご迷惑をおかけしました…。
>>177 ありがとうございます!荻上を抱っこのアイデア、インスパイアさせて頂きました!!
それでは
>>162-163の続きを貼ります
ここは荻上の部屋。夕暮れの中出て行った二人が、外から戻ってきた声がする。
笹原「明日、積もると大変だなぁ」
荻上「凍った道の歩き方を教えましょうか?」
笹原「やー、ははは」
部屋に入ってきたが、蛍光灯が切れているので部屋は暗い。
笹原「じゃ、交換しないとね」
荻上「さっき言ったみたいに、やってみますのでお願いします」
笹原「ん、このストラップのライト使ってよ」
と、自分の携帯ストラップのLEDランプを使うように渡す笹原。
どうやら蛍光灯の交換をやったことがないので、荻上がやってみるようだ。
そしてキャスターつきの回転椅子では不安定だからということで、笹原が荻上を抱えにかかる。
……椅子を支えた方が良さそうなのだが、あえてそこには触れない二人。
まず笹原は後ろから両脇を手で支えて持ち上げようとする。
笹原『うわっ、荻上さんの脇って…細っこいなぁ……』
荻上「くはっ!…きゃ、、、――っ!ははははははは」
笹原「ちょ、ちょっと……」
脇がくすぐった過ぎて荻上は大暴れだ。身をよじり、床に座り込んでしまう。
荻上「はあ、はあ、……すみません、他の持ち方でお願いします」
笹原「うん、そうね(苦笑)」
今度もう少し接近して腰を落とす笹原が、荻上のウエストに両腕を回す。
笹原『荻上さんの、く、くびれがっ!』
荻上『うわ……後ろから抱きしめられてる……位置はおかしいけど……』
笹原「じゃ、持ち上げるよ」
荻上「は、はい」
笹原『俺の胸に……荻上さんのお尻がッ………!!丸くって小さくて(ry(思考停止)』
荻上「……さん、笹原さん!」
笹原「え? な、なに!?」
荻上「重いですか?何度か呼んだんですけど…」
笹原「いや、ご、ごめん(汗) 何かな?」
荻上「内側の蛍光灯が取れたので置きたいんですけど」
そうこうして、悪戦苦闘しながらようやく交換が終わったのは15分後だった。
ようやく明るくなった部屋に嬉しそうな様子の荻上。その一方で―――
40kgぐらいの小柄な荻上とはいえ、15分も抱えていたらさぞかし腕や腰に来そうだが
笹原はむしろ部分的に元気になってしまったようで、今は床に座っている。
荻上「お疲れ様でした。なんだかすごく疲れさせてしまったみたいで」
床に座り込んでいる笹原を見て、さぞかし疲れたのだろうと荻上は思っている。
笹原「ん、いやいや、大丈夫だよ(立てなくなってるけど)」
『ある意味、立っているけどね』というオヤジギャグは言えない。
荻上「今、お茶を淹れますね」
笹原「うん、ありがとう」
しばし、ゆったりとした時間が流れる。
PS2に電源を入れて、笹原から借りていたゲームをやり始めた荻上を
ニコニコと笹原が見守っている。
荻上「アグロってすごい忠実ですよねぇ。もう可愛くって」
笹原「そうだね、ほんと」
荻上「あっ、この像の登りかたは言わないで下さいよ!自分で解明しますから!」
笹原「うんうん、わかってるよ」
荻上「ああーーー握力がーーー」
笹原「弱点の場所、もっと別の場所も探さないと」
巨像を1体倒して、荻上はとりあえずセーブして電源を切った
笹原「あの、良かったら耳掻き貸してくれない(苦笑)?なんか耳の中が急に痒くなっちゃって」
荻上「ちょっと待っててください」
荻上はタンスの小引き出しをゴソゴソと探り始めて
荻上「ふふふ、こんなこともあろうかと!」
某ネコ型ロボットのように棒状のものを片手に高く掲げて振り返った。
笹原「それは何?」
荻上「ランプ付き耳掻きですヨ」
と言いながら笹原の横にぺたっと座る荻上に、笹原はドキッとする。
荻上「さあ、ここに頭を」
笹原「ええっ!?い…いいよ!そんな汚いし悪いってば」
荻上「いえ、私がやりたいんです」
「やりたいんです」「やりたいんです」「やりたいんです………」笹原の頭でリフレイン。
笹原「うん、じゃあお願いしマス」
ふらりと荻上の細いふとももに頭を乗せる笹原だった。
笹原『ああ、荻上さんのふとももが〜〜〜目が回りそう』
うん、もう回ってるから手遅れだ。
不慣れな手つきの荻上の耳掻きは時々危険な感じに笹原の耳に刺さったが
今までの笹原の人生の幸せのピークを示した。
外では雪が積もり始めたが、荻上の部屋の灯りは遅くまで暖かく点っていた。
イーネイーネ。これはSSスレ史の中でも指折りのデキだと思う
続きは是非エロパロスレでw
「会いたくて」を同人でいいから漫画化してほしい・・
聖地に頼めばいいじゃない
むしろ自分で描けばいいじゃない
今すぐ絵板にGO!
「会いたくて」(おまけ含む)を書いた者です。
楽しんで読んでもらえたようで、本当に嬉しく思います。ありがとうございます。
何とか3月号が発売される前に書き上げることが出来たのも、他のSS書きの方や
感想レスを下さる方がいて下さるおかげだと思っています。実に励みになりました。
途中、間を飛ばして貼ったり(本編)、連投規制に巻き込まれて冷や汗をかいたり(おまけ)、
色々ありましたが、いい経験になりました。
後、前回言いそびれましたが、保管庫の中の方、お疲れ様です。いつもありがとうございます。
では、最後にもう一度皆さんとげんしけんという作品に感謝しつつ、この辺で。
(追記。180の方、気にしていませんので貴方もどうか気にされないで下さい)
>>182-183 抱っこオギーキター!! オギー感度いいよオギー。GJ!
ああ、笹やんが羨ましい…。おまけに耳かきまで。また妄想力が溜まりそう。
>会いたくて
「淡いブルー」拝借した人ですー。その節はどうもー。最近、自分の妄想が
人の世界観を侵食してんジャマイカと畏れとります(汗)
原作でも使えるストーリー!ひさしぶりの咲登場ですね。情景描写が念入りですね。
そして続編!「痛い愛」ですねー。荻上になら嫉妬されたい!足もほっぺもちぎられたい!
男は我慢ですなーwwww
>ランプ
くびれ!!くびれ!!壊れたorz ウズウズしちゃうなー。でも人生最高の幸福はまだまだ
これからwwwww 楽しくていいですね。
俺は楽しいの書こうとすると、なぜかエロくなっちゃうんだよなあ。はい!エロパロ行き?!
なんでだorz
194 :
マロン名無しさん:2006/01/22(日) 10:59:39 ID:ZgxNaCNS
>193
じゃ、先にエロパロで待ってます。
>>185、
>>186、
>>192、
>>193 ありがとうございます!インスパイアで作ったネタで、むしろいつもより好評なようですね。
嬉しい限りです。
しかし屈指の寸止めエロでしょうか(汗)?もう限界です…。
発売間近…書くや書かざるや…。
思いついたネタが資料的に難しくて書き進めません。
というか、ようやく明後日か…睡眠不足に向けて体力温存しとこ。
>>196 資料的に難しいだなんて・・・いっ一体何を書こうというのですか?ワクワクドキドキ。
海外編ですか?SFパロですか?まあ、解禁後でもいいですから、楽しみしてます。
成立前の状態でげんしけんメンバーでカラオケ勝負大会 とか思ったんですけど、
その時期の曲をパクる元ネタ、普通曲もオタ曲も情報不足で
というか自分自身1年以上行ってなかったっすorz
成立前が前立腺に見えた。エロパロイッテキマスorz
オカエリナサイッテイッテアゲルワ
今月号読んだ。
妄想原子炉の制御装置が壊れた。
近々核爆発します。
>>201 よし。そのほとばしるエネルギーをこのスレとエロパロスレにぶつけるんだ!
ベタな3月号予想書いたからか、自作の「点灯夫」「夢を見る方法」を
足して巻田引いて割った感じだと思ったけど、やっぱり表現が神過ぎて死にました。
こんな時に限って仕事が立て込んでるとはorz
しかし今の体内崩壊のルツボから生まれる物を書かずに居られない予感
まああれだけ書いてあればどれかしら展開は近いの有るよね
>203
自惚れもいいとこだなオイ
206 :
203:2006/01/25(水) 20:50:30 ID:???
>>205 すいません 最近僕調子に乗っていました
仕事が終わったら、SS辞めます……
ってどう考えても辞められないのでorz
罰として今まで書いたこと無いですが、最初の4月号予想を、エロパロスレに書きます
今日会社で面白いようにネタが出てきたので書いてみたよ
状況:合宿後の文化祭、笹荻は成立済み
手法:マンガの1ページごとの描写と思ってくれれば
後半めんどくさくなってセリフのみになっちゃってるけどまぁ勘弁
1
大野さん登校中、両手にはコスプレ衣装でいっぱいの紙袋。満面の笑みで鼻歌なんか歌ってる。
後ろには田中、田中も両手手提げにリュック。やっぱり荷物はいっぱい。
部室の扉を開ける。「おはよーございまーす♪」中には笹原、斑目、咲、高坂、クッチー。
「おはよー」「おはよーございまーす」という挨拶が。
2(扉)
大野「今日は頑張りましょー♪」
笹原(嬉しそうだー)斑目(うわすげぇ荷物)みんな嬉しそうな大野さんを見て苦笑、
高坂とクッチーは大工道具中、コスプレ撮影用のステージを作っている
3
田中と大野、荷物を机の上に置く。
大野「そりゃそうですよ」「現視研コスプレ撮影会始まって以来のレイヤー2人体制ですからね!」
斑目「うーん」「しかしあの荻上さんが」「よくコスプレ撮影会を決心したな」
咲「笹ヤンのおかげだよねー」
笹原「はは……」
斑目「いったいどうゆう風の吹き回しだったわけ?」
咲「それがねー」
(回想)
大野「……というわけで今回の文化祭ですが!」
4
ミーティング中、参加者は会長席に大野、その右にクッチー、笹原、クッチーの向かいに咲、
笹原の向かいに荻上が座っている。皆それぞれのそれらしい顔。
大野「今年も私のコスプレ撮影会メインという事でよろしいでしょうか」
咲「いーんじゃない?」(もう昔の展示物も捨てちゃったし)
笹のリラックスした顔。荻もいつものむっつり顔。コメントは入れない。
大野「で、咲さん」「今年はとうとう最後のチャンスなんですが」
咲「ぜ―――ったいにやらない」
苦笑する笹、がっかりする大野さん、笹を見る荻
大野さん気を取り直して顔を上げる
5
大野さん笑顔で「あのっ、荻上さ」「やりません!」目を閉じて2倍角で返事する荻
チラッとすがるように笹を見る大野さん、笹は目が合い、(そりゃそうでしょ)という苦笑顔
大野さんはそれを見て目を伏せて超がっかりした顔で「そう……ですよね……」
うつむいて頭の上に落ち込むことを表す縦線が入る。
大野さんを見る荻、口元のアップでおもむろに話す「ですが」
6
荻、目を閉じてちょっと顔を赤らめて「笹原さんが見たいということでしたら」「やらないでもないです」
驚き顔のクッチー、咲、笹、大野
7
ばん!大野さん、机を手の平で叩きつけて立ち上がる。ビクッとする咲とクッチー。
「え!」「ほほほ本当ですか!」
「ですから」「笹原さんが見たければと」「そう申し上げました」
大野さん髪をぶわさと回して笹に向き直る。髪が咲に当たっても気づかない。咲さんこめかみに青筋。
「笹原さん!」「ああ言ってますが!」「どうですか!」大野さん超真剣。
8
「えー」「いや」「その……」突然のことにうろたえる笹。半笑いで荻の方を見るが、
荻は目を閉じてすましたまま。大野さん笹に掴みかかる勢いで「どうなんですか!笹原さん!」
「いや」「その」「えー……」「えーと」「見たいか」「見たく無いか」「で言えば」
てゆうか大野さん、すでに胸倉掴んでます、笹思いっきり目をそらして「……見たいです」
大野さん驚き顔
9
大野さん荻に向き直る。ぶわさ。今度がクッチーにブチ当たる。
「と仰ってますが荻上さん!」ジト目で見つめあう咲とクッチー。
荻やっぱりすました閉じ目で「笹原さんがそう仰るのでしたら」「やります」
「あと笹原さんが苦しがってます」 「……あ、すいません」手を離す
「ででででも、本当ですか!?」
「大野会長、よだれ拭いて下さい」「あ、はい」(じる)「本当ですね!」「しつこいです」
(回想終わり)
10
咲「ってな事があってねー」
斑目「そりゃまた面妖な……」
田中「いやー信じられないよね」「それで大野さん張り切っちゃって」「持ってきたコス過去最多」
咲「それで今回ステージも?」
田中「ま」「ささやかなもんだけど」「ペアでポーズにバリエーションが取れるようにね」
斑目「ふーん……」
11
斑目「……で、その当人はどうした?笹原ぁー」
笹「いやっ……」「なんかせっかくだから髪そろえてくるって」「ちょっと遅れるそうです」顔真っ赤
その横で大工仕事でステージを作る朽木、ふと横にある机に注意が向く
朽木「!あ、そうだ」「この書類自治委員会に持ってかないと」
12
コーサカ「朽木くーん!」「ちょっとこっち手伝って!」
朽木「あ、はーい」(困ったにょ)(早く持ってかないとまずいにょ)
そこにステージ陰から人の気配がする(笹原先輩?)(仕方ないな)
朽木「あ、すいません」「ちょっとこれを自治会室まで持ってって下さ……」
13
現れたのはオギー。髪下ろしだけど、どっかで見た髪形で薄化粧もしている。
(!)(オギチンだー!)(うわーまずい!)超動揺するクッチー。てゆうか怯えている感じ。
荻、クッチーの顔をツンと見て、手にした書類も見る。
「わかりました」「これ持ってくだけでいいんですね?」あっさり了承して書類を手に
再び部屋を出る荻。 クッチーは汗をかいて固まっている。目は描いてない。
14
「朽木くん」呼ぶコーサカ。「うわ!」そこにいたのはコーサカと咲。
咲「今オギー来てなかった?」
「は」「いや」「それがその」「書類を自治会室に」しどろもどろのクッチー。
咲「え?」「クッチーが荻上に頼みごとをして?」「あっさり?」(ふーん)
なんか考え込む咲。コーサカ「朽木君、こっちこっち」「あ、はい」去る2人
咲(……余裕出てきたかな?)
15
時間転調。更衣室で着替える大野と荻。あと咲。
大野さん半分涙目で「荻上さんありがとうございます!」「いっしょにコスプレしてくれて!」
「今まで一人で寂しかったんです!」オギーはちょっと引き気味「はぁ」「まぁ」「えぇ」
咲はニヤニヤ笑いながら見てる。
ちなみにコスプレのキャラは詳しくないので適当に脳内設定して下さい。
16
「じゃ、そろそろ出ますから」「合図があったら出てきて下さい」大野さん出陣。
見送る咲とオギー。「で」「なんでやる気になったの?」
「はぁ…」「大野さんにはコミフェス前とか 合宿でもお世話になったし」
「好きでやっている事なんでしょうけど」
「誰かに一緒にやってほしいっていう感じは前からしてたんですよね」
17
「それだけー、お人よしだね?」
「春日部さんだって昔から大野先輩にコス誘われてたんですよね」「そうは感じませんでした?」
「いやまぁわかってたけど」「あたしはオタクじゃないから」(はは)
「………」「私は」「オタクですから」
微笑む咲。見つめ返す荻。
18
高坂「……では2人目のレイヤーをご紹介します、於木野さんです」
「お、いよいよだね、恥ずかしくない?緊張しない?」
「……そりゃしますよ」「でも」「大野先輩と笹原さんがいますから」
「くっはー!」「言ってくれるねどーも!」
「じゃ」「いってきます」
ステージに出るオギー。
19
撮影会
20
後ろの方で見ている斑目と笹、田中は撮影中。
斑目「おーおー、荻上さん、怖気づいてないじゃん」
笹「そうですね」
斑目「いーのかー?」「カノジョがカメラ小僧の餌食になって?」
笹「変な言い方しないで下さいよ!」「ま」「でも」「変に過激なのじゃなければ」(あの時みたいに)
「いいんじゃないですか?」オギーに見とれている
斑目「…………」(ふん)複雑な表情、主に自分に向けてる感じ
21
撮影会が継続中。更衣室から咲が青い顔して出てくる。気づく斑目。こっちに向かう咲。
斑目「お疲……どうかしたの?」
咲「いや、ちょっと待ってくれ……、アタシは知らないぞ……」
笹「は?」
高坂「では、3人目のレイヤーをご紹介します」そこにいる全員「は?」「沓樹さんです」
22
「にょー」朽木登場、女装コス、会場は一瞬静まり返った後に大爆笑。ハジケる朽木。
ステージ上で抱き合って怯える大野荻。崩れ落ちる部員全員。すましたコーサカ。
斑目「あ、あれはコーサカと朽木君の…」
咲「コーサカあとでシメる……」
笹もあんぐり顔。
2日目―――
部室のすみでまた後ろ手を縛られているクッチー
「ああ!くそう!ほどけ〜〜ええ(棒読み)」
つづく(この話は続かないけど)
ホント朽木オチ愛されてるなぁ……
>>206の約定によりエロパロスレに4月号予想書きました…。
さて、明日からこちらで、調子に乗らない程度で書きます……。
というか 書かせてください! 安生先生!SSが書きたいです!
>>208-212 これってもう、漫画書いたら良いんじゃないでしょうか。たぶん頭の中にコマ割りまで出来てそう。
GJであります。
今月号の展開で鬱、エロパロに逃避した俺がいる・・・。かなりやけくそ・・・。
今月は、もう安心して次回が見れる。
そういう内容だったと思う。
だから、予想SS書けない。
妄想がありきたりだから。
沸き起こるリビドーはかっこよすぎな笹原に吸い取られてしまった。
>>208-212 コーサカ、あとで大野に刺されるぞ〜〜〜。
そこは抑えんといかんだろw
おもしろかったですよ〜〜。
もう朽木オチじゃないと満足できない体になってしまいました
ありきたりでも文章の表現力が有れば読んでみたい
というより
>>216はたぶん書かずにいられなくなるに1000ササオギ
もう来てるぜ予想的SS。
仕事の速さにGJ!
大野さん、怯えちゃダメだよ。
これはこれでアリかもと思えてこそコス研会長だ。
>>214 見てきた。GJだけど、エロパロスレに書くの罰じゃないでしょwww
こっちでも誰か4月号SSキボンヌ
クッチー、愛されてるなぁw
一時期の「朽木くんは知らない」扱いはどこへいったやら
>>222 ある意味、朽木君は知らないも愛されてる証拠な希ガス。
1
斑目、会社にて仕事中。わりとまじめにやっている。カレンダーは土曜日を示している。
時刻はそろそろ5時になろうかというところ。社長らしき人が斑目の肩を軽く叩く。
「じゃあ斑目くん、今日はお疲れ様でした」
「あ、はい」
2
(扉絵)
3
土曜日の定時上がり。会社の都合で残業は無しだという事は事前にわかっている。
帰りつつ、今日のこれからの予定を考えている。
「あー」
(つったって特に予定は無いしなー)
(昨日発売の新作エロゲ「つよすぎ」は既に新宿で購入済みだし)
(帰って早速やるのもいいけど)
(腹も減ったから一度部室に行って、誰かいたらメシでも誘うか)
という事を横顔で語りつつ、斑目の足は自然に現視研部室に向かう。
空もそろそろ暗くなろうかという頃合。途中で缶コーヒーを買う。
4
部室棟を見ると、現視研部室に明かりがついている。(お、誰かいるじゃん)
部室棟に入り、部室の扉をノックし、反応も待たずに扉を開ける。
「ガチャ」
5
扉を開けたすぐ目の前の人物と向かい合わせになる。
「あ、えーと、斑目さん」
「……えーと、笹原妹」
恵子の顔を見るには大分下を向かなければならない。その顔には笑顔と青筋マークが浮かんだ。
「きみねぇ、人の名前くらいちゃんと言いなさい# アニキの付録じゃないんだから」
「……それより何でケーコさんが一人で部室にいるのかその方が気になるんですが」
6
部室には他に誰もいない。恵子も帰り支度を整え、ちょうど部室から出て行こうとした所のようだ。
「いやそれがさぁ、今日アニキの所に泊まらして貰おうかと思ったんだけど
さっきいきなりメールが来て『今日は何も言わずに帰ってくれ』だってさ!
ったく、オギさんとよろしくやってるんだろうけど、失礼しちゃうわよね!」
(オギさん?)と手書き文字で呆ける斑目。
恵子にもそれなりに思う所があったようで、呼び方にも変化がある。
「………っほっほー、そうかー、笹原がなー いやー、そうかそうか」
内心動揺しながら缶コーヒーを口につける斑目。
「まぁ、アタシの布団使ったら殺すとは言ってあるけど」「ぶっ」吹き出す斑目。
「………そこで何でアンタが動揺するの?」
「いやまぁその」口をぬぐう斑目。
(ふーん………ほぅ)ジト目で何やら思う風の恵子。
7
「……まぁいいや、何もしないで帰るのもくやしいし、
せっかくだからメシでも食って帰ろっかな!」
「おぉ? そ、そうか……」
(恵子、上目遣いで「じっ」)(え?)
「斑目先輩!おごって!」(にぱ!)
「はあ!? な、何で俺が!?」
「だって先輩は後輩にメシとかおごるもんなんでしょー?」
「あ、いや、それは一般的にはそうだけど」恵子に見つめられて動揺する斑目
「それにアニキの事でちょっと話したい事もあるし」
「え、笹原の事で?」
「まぁいいじゃない、居酒屋でいいから、安月給なんでしょ?」
ばんばん背中を叩きながらはっきりと言う恵子。
8
「じゃ、行こ!」
とっとと歩き始める恵子。恵子の背中を見守るしか無い斑目。仕方なく恵子の後を付いて行く。
場面転換、チェーンの居酒屋
9
「かんぱーい!」
「……乾杯」
(おかしい、なぜ俺はこんな所にいる。)
(いや確かに部室にいる誰かとメシでも食いに行こうと思った通りにはなった)
(春日部さんがいればいいなーと思ったのも事実だ)
(しかし、なぜ俺はこんな所にいる。)
「ぷはーっ」
無限ループに陥っている斑目をよそに、向かいに座った恵子は中ジョッキの半分を一気に飲んでいる。
「んもー、きみ本当に暗いね! せっかく女の子とサシで飲んでるんだから
もう少し楽しそうにしなさいよ! これだからオタクは!」
「ははは……」力なく笑う斑目「そう言えば笹原の事だとか」話題を変えてみる。
10
「そーなのよ! あのアニキ、アタシの事差し置いて彼女なんか作っちゃって!」
「しかも相手があの筆頭よ!」「全くオタク同士よくお似合いだわ!」
言葉は悪いが口元は例のスイカ口だ。
「はいはいそれでそれで」
「あんなサルアニキに彼女なんてできるのかなーなんて思ってたけどねー」
「そういう自分はどうなのよ」
「え?」
「見たところ合宿でも誰とも話をしようとは見えなかったが?
前に海に行った時のヤツは?」
「うわなつかしー、よくあんなヤツの事覚えてるね!
あんなヤツあの後から一切連絡取ってないよ!」
うんざりしたように話す恵子。
11
「……てゆーかァ、あれから受験とかあって、誰とも付き合ってないし……」
「ほぉ……」
「あー、アタシもアニキみたいなメロメロの恋愛してみたい!」
「……それは無いものねだりじゃないか?」
「うわームカツク、そんな時に女の子にお世辞の1つでも言えないの?」
「彼女ならともかく、後輩の妹じゃなぁ……」
「フン」「で、そーゆーアンタは?」
「ぶっ」
簡単に動揺する斑目。
12
「…………」
「あー、ひょっとして先輩もオギさん狙いだったとか?」
「ないないそれはない」手刀ぶんぶん
「じゃあ実は大野先輩狙いだったとか」
「それもないない」
「じゃ誰なのよー」
(もう一人は)(お前さんから見ても眼中無しか)
「いやいや、オタクの道を極めるのに彼女なんざに
うつつを抜かしている時間は無いのですよ」
「……寂しい青春だねぇ」(うるせー)なんか親密な感じ
13
ザワザワザワザワ、騒がしい店内
二人も酔いが回っている
「……ねぇ、アタシがなんでアニキの事『サル』って呼んでるか知ってる?」
「……は?」「んー、そう言えば別に笹原、猿顔じゃないよなぁ……」
本気で考える斑目。「……なんで?」ビールを飲みながら聞く斑目。
「あのさー」「アニキがオナニーしてるとこ見ちゃったんだよね」
(ブッ!!)
14
「アニキが中学の頃だったんだけどさ」「そんでそれ以来サル」
「あ、これはアニキに言わないでよ、殺されるからね!」「きゃはは」
(ごほっごほっ)むせる斑目さん。「へ、へー」(妹ってこえー)
「しっかしあのコーサカさんもアニキと同類なのかー」「くそー」
「ねーオナニーと女ってどっちがいーのよ!」「そんなに同人誌っていいの!?」
目が据わっている恵子。動揺する斑目さん。
「えっ」「いや……」「その……」「…………」
15
「…………ドーテー?」(ぐさ)
「へー!」「そーなんだー!」思いっきり笑顔の恵子、「あは……」爆笑の用意をするが、
斑目が本気でへこんでいるのを見る、「はー……」「「いや」「その……」「すいません……」
「いいですよ」「本当の事ですから」マジへこみの斑目さん。気まずい恵子。
16
なんか黙りこくってしまう二人。
「……そろそろ出よっか」「あ?ああ……そうだな」
「悪いですけど……本当にお金持ってないんで」「ご馳走になります」
目も合わせずに立ちながら言う恵子。「まぁ……そういう事だったからな」
財布の札を勘定する斑目。
(毎度ありがとうございましたー!)店を出る二人。
17
「ありゃ、もうこんな時間」時計を見る恵子。
「笹原んち……は荻上さんだっけか」「多分ね」「自宅に帰るのか?」「もう終電無いよ」
「へ?」「じゃあどうすんの?」
「泊めて」「はぁ!?」(2倍角)
「いーじゃん、家近いんでしょ?明日休みでしょ?一人暮らしでしょ?」
「ばっ」「だっ」「おま」
18
「なに動揺してんだか、後輩の妹なんだから先輩として面倒見るくらいの事しなさいよー」
「後輩の妹なんか襲おうたって襲えないでしょ?」
「………………」(確かに)
「じゃセンパイ、お邪魔しますよ」
率先して歩き出す恵子
斑目のアパート到着
19
「おー、オタクの部屋だー」
「ま、適当に坐って」
「にしても散らかってるねー」「アニキの部屋と似てるようでなんか全然違う感じー」
「うわこれ全部エロゲ?」
以前持ち回り部室をした時はそれなりの覚悟をして臨んだが、今回は全くの不意打ち。
エロゲやエロ同人誌を漁ってキャーキャー騒いでいる恵子から目をそらして椅子に坐り、
固まっている斑目。
20
しばらくはしゃいでいた恵子だったが、不意に静かになり、斑目を見つめる。
「……何だよ、もう飽きたってか?」
「シャワー借りるね!」「ぶっ!」
「やーだ変な事考えてないでよー」「アニキの部屋に泊まる準備はしてあるんだから」
「じゃ借りまーす」返事も待たずに風呂場に向かい、扉を閉める恵子。
斑目さん憔悴しきってます。
21
風呂場からシャワーの音が聞こえる。斑目さん顔真っ赤。
ふと机の引出しにしまってあった「最後の砦」に気づく。あわてて引出しから取り出し、
引出しの裏にしまう。
22
引き続きシャワーの音が部屋に響く。斑目さん赤面しっぱなし。
椅子に座ったまま、見慣れた部屋のあっちこっちに目を泳がせて固まっている。
引出しの裏側をチラッと見て、再び固まる。シャワーの音が響く。
つづく!(本当に) 但し展開は考えてない(本当に)
いい。面白い。この状況リアルに想像できる。
いいねいいねw
斑目、恵子、二人ともリアル。
本当、斑目って流されやすい・・・。
続きを期待しておりますよw
233 :
216:2006/01/27(金) 01:49:16 ID:???
>>219 1000ササオギさしあげます。
書いたよ!書いたさ!
っていうかあなたのレスを見て書きたくなってしまったよ。
ありきたりだとは思う。
表現力か・・・。表現力は乏しいが・・・。
書いた以上は投下させていただきます。
14レスで投下。
カチカチカチ・・・・。
携帯をいじる音が聞こえる。
笹原が道を歩きながらメールを送る。
『そろそろ着きます。』
『明日私の家に来てくださいませんか?
例のものをお見せしようかと思うのですが。』
保留にしてから次の日に、荻上から来たメール。
少々驚いたものの、早いほうがいいとは思っていた。
しかし、彼女がこうもすぐに見せようとするとは。
(どういうことなんだろうな。)
笹原は合宿から帰ってから一人家で考え込んでいた。
少し、長引くと思っていた。
すぐに見るなんて無理なんだろうとは思っていた。
(少し日を置いてこっちから切り出そうと思ってたんだけど・・・。)
しかし、こうなった以上、悩んでいてもしょうがない。
彼女の真意がどこにあるのか考えるよりも、行動するのだからいいと思った。
(しかし、また・・・。どんなもんなんだろうな・・・。)
多分、いや十中八九大丈夫だろうとは思っている。
見たことがないわけではないし。
しかし、顔が変わらないかといわれれば、変わってしまうかもしれない。
(難しいよな・・・。きっと、ちょっとした変化も見逃さないよ・・・。)
はあ、とため息はついたが、もはや、やるしかない。
受験前の学生のような気分で、寝ることにした。
荻上も、一人家で考えていた。
(あそこまでいっても笹原さんは私と付き合おうと・・・。)
保留にはしたものの、実は心の中では決まっていた。
しかし、やはり自分がしてきたことに対する罰は受けなければならないだろう。
今目の前にあるスケッチブック。
これを見て笹原が目の前からいなくなるというのなら、それは自分のせいだ。
その時は、潔く、自分から離れよう。現視研もやめて。
(大丈夫っていってたけど・・・。無理だよな・・・。)
少し、期待はある。だけど、期待していいものなのだろうか。
それは、押し付けになるんじゃないだろうか。
(笹原さんは優しいから・・・。)
嘘をついてまで引きとめようとするかもしれない。
それが彼のいいところでもある。でも、それはよくないから。
(少しでも、駄目だと思ったら・・・。)
すべては明日だ。大きな不安と、小さな希望を胸に、眠ることにした。
そして、次の日。
笹原はすでに荻上の家の前にいた。
旅行の疲れもあり昼までは寝ていたため、時間はすでに夕方。
ピーンポーン・・・。
チャイムを鳴らす。
少しの間のあと。
扉の開く音。
「やあ・・・。」
「・・・どうぞ・・・。」
笹原は少し微笑んで、荻上はいつもの仏頂面。
しかし、二人の顔は微妙に浮かないのがわかる。
前来た時とそう変わってない部屋。
笹原はテーブルの前に座る。
「・・・何か飲みますか?」
「ん、じゃあ、お願いします・・・。」
荻上は台所のほうに向かう。
そわそわして落ち着かない笹原。
荻上も同様である。
お茶を持って戻ってきた荻上。
「ありがとう・・・。」
「いえ・・・。」
お茶を受け取りながら、視線を泳がす笹原。
妙な沈黙が続く。
「じゃあ・・・。見ようか。」
数分後、笹原が切り出した。
「本当に・・・、見るんですか?見せるっていって呼んだのは私ですけど・・・。」
「うん。そうじゃなきゃだめなんでしょ?」
「いや・・・。そういうわけじゃ・・・。」
「大丈夫大丈夫。」
そういわれて、荻上はおずおずと机の上にあるスケッチブックを渡す。
ページをめくる笹原。
(な、なるほど〜〜〜。)
そこには元気よく二人で絡んだりつながったりしている自分と斑目。
(うは〜〜〜。でてくるでてくる。すごいな〜〜〜。)
その描写は今まで見たことのある荻上の絵とは数ランク上に感じられた。
数もすごいが、描写力もすごいと思った。
(逆に、気合が入るっていうやつか?久我山さんのように・・・。)
思ったほどの気持ち悪さは感じられなかった。しかし、一つ気になることが。
(しかし・・・。俺こんなかっこよく描かれてるのか・・・。)
攻めである笹原は全般的にかっこよく描かれていた。見た目もそうだが、考え方も。
まるで、自分ではないように。
(もし仮に・・・。荻上さんが俺のことこう見てるとしたら・・・。
付き合ったら幻滅するんじゃないか?)
自分がこんなにかっこよく描かれているとは思わなかった笹原。
自分に自信がなくなってきた。顔が少し曇る。
その顔を荻上は見逃さなかった。
「・・・モウイイデス。」
荻上はスケッチブックを笹原の手から引き抜く。
その目には少し涙が浮かんでいた。
「え・・・?」
「やっぱだめだったんですよね?そうだろうと思ってましたから・・・。」
「そんなことないって・・・。」
「嘘はやめてください。顔が変わったのがわかりましたから。」
「いや、それは・・・。」
「もう、帰っていただけますか。私は、大丈夫ですから。」
立ち上がってうつむく荻上を見上げる笹原。
「違うんだって・・・。」
「大丈夫です・・・。笹原さんは優しいから・・・。そういってるんですよね・・・。」
「話聞いてよ・・・。」
そういいながら笹原も立ち上がる。
「もう、大丈夫ですから・・・。」
立ち上がった笹原を玄関のほうへ押していく荻上。
「え、ちょっと待ってって・・・。」
「・・・。」
もう言葉も返さず、押す荻上。
無理に立ち止まることも出来ず、押されていく笹原。
ついに玄関の外まで押しだされてしまった。
「・・・ありがとうございました・・・。もう、現視研もやめますね。」
「本当ちょっと話聞いてよ。」
「いいんです。本当、いい人ですよね、笹原さんは。」
「だからさ・・・。」
「私なんかにかまわなくても、笹原さんならもっといい人に会えますよ。」
「いや、あのさ・・・。」
「それじゃ・・・。」
そこまで捲くし立てたあと、玄関のドアを閉じ、鍵を閉める荻上。
少し呆然とする笹原。しかし、すぐにはっとなり、玄関をたたく。
「荻上さん!違うんだって!そうじゃないんだよ!
あまりに自分がかっこよく描かれてたから、びっくりしちゃってさ!
荻上さんが考えてる俺と実際の俺は違うんじゃないかって思って凹んでたんだよ!」
笹原がいつも出さないような必死な声で荻上に向かって声をかける。
「それでも嘘だと思うのかもしれないけど!
もし仮にそれに引いてたとしても!
俺は荻上さんの前からいなくなったりはしないから!
それだけは信じてよ!」
しかし返事はない。この笹原の言葉を聞いていたかどうかもわからない。
「荻上さん・・・。」
笹原は落ち込んだ表情でうつむいた。
二時間ほど経っただろうか。もうすでに周りは暗くなっていた。
電気もついていない部屋で、荻上は一人塞ぎ込んでいた。
(やっぱりだめだったな・・・。期待しちゃいけなかったんだ・・・。)
しかし、これは自分の罪。
笹原の声は聞こえていた。しかし、それも嘘にしか聞こえなかった。
やさしい嘘。でも、それに甘えちゃいけないんだ。
(でも、これで吹っ切れた。私は一生男の人とは付き合わないんだ。)
少し、心が落ち着いて、買い物でもいこうと考えた。
財布を持って、玄関に向かう。
玄関を開けるとそこには。
「やあ・・・。」
笹原がそこには立っていた。少しの笑みをたたえて。
目を見開き、呆然とその姿を見る荻上。
「な、何で・・・。」
「言ったでしょ、いなくなったりしないって。これで帰ったら俺嘘つきじゃん。」
「で、でも・・・。」
「あはは・・・。言ったこと嘘だと思われたままなんて嫌だからさ・・・。」
「本当、なんですか・・・?」
こくり、と頷く。
「よかったよ〜、このくらいで出てきてくれて。一晩とかなってたらさすがに辛かったかも・・・。」
視線を少しそらしたあと、荻上のほうを見る笹原。
「また、入ってもいいかな・・・?」
「は、はい・・・。」
先に入り、電気をつける荻上。続けて笹原が入ってくる。
「・・・続き、見てていいかな?」
「え・・・。本気ですか・・・?」
「だから言ったでしょ、引いてなんかないって。たださ・・・。」
「あ、それはそれ、これはこれですから。」
笹原の言っていたことを思い出して、答える荻上。
「なら、なおさらだよ。それ、俺には見えないもん。」
「はあ・・・。」
「あそこまでかっこいい俺を期待されると、
付き合いたいなんていえなくなっちゃうなあって・・・。」
「いや・・・。十分笹原さんはかっこいいっていうか・・・。」
「へ?」
「やさしくて、いつも気を使ってて、でもいざとなるときに頼りになって。」
顔が真っ赤になりながら、荻上は言葉を並べ立てる。
「私、何か間違ってますか。・・・私、そんな笹原さんが好きです。」
目を見て告白を返されて、笹原は、顔を真っ赤にした。
「もう、逃げません。ここまでしてくれて逃げたら私は馬鹿だ。」
「え、と、そ、それって言うのはつまり・・・。」
答えを聞きたいのだが、どうも言葉がうまく紡げない笹原。
「・・・私、笹原さんと付き合いたいです。」
「・・・本当?」
「・・・嘘ついてどうするんですか・・・。」
恥ずかしさのあまり、視線を落とす荻上。
「・・・は〜〜。」
長いため息をつく笹原。
「よかった・・・。」
そのまま座り込む笹原。近寄って隣に座る荻上。
「笹原さん、苦労しますよ?」
「ん、いいんだ、一緒にいたいと思っただけだから。」
笹原はにこりといつもの笑みを浮かべて、荻上を見る。
視線が交わる。
(え、えっと、こういう時ってもしかしてとは思うんだけど・・・。)
視線をそらすわけにもいかず、見つめる笹原。
(あ、そっか、こういう時は・・・。わかんねけど。)
とりあえず、目をつぶってみる荻上。
その行動に、もはや答えは見えた笹原。
二人の顔が近づいて・・・。
やることは一つなので、以下略!
次の日。
「やあ・・・。」
「こんにちは・・・。」
二人して部室に登場の笹原と荻上に、にこりと微笑む大野。
「こんにちは〜。
ええーと、見ればわかるんですけども、保留はどうなりました?」
「ま、何とかね・・・。」
「ご迷惑おかけしました・・・。」
その言葉に大野は満面の笑みになる。
「そうですか!よかった・・・。」
「ふーん、よかったね、二人とも。」
咲も、笑顔になって、祝福の言葉をかける。
「そほか、そほか。ムシャムシャ。よかったん、うぐんぐ。」
「先輩、しっかり飲んでからしゃべってくださいよ。」
「んぐんぐ、ぷは〜〜〜、スマンスマン。」
お茶を一気に飲み干して、斑目も少し皮肉な笑顔を向ける。
「まあ、なんだ、よかったじゃねえか。」
「まあ、そうっすね・・・。」
笹原が自然に会話をしてるのを見て、胸をなでおろす荻上。
しかし、笹原も平静を装いつつも、あの描写が浮かんでないことはなかった。
(あれはファンタジー、そう、ファンタジー。)
そうは思っても、受け斑目はかわいく描かれていて・・・。
(いやいや、何を考えてるんだ俺は・・・。)
頭をぶんぶん振って、目の前の斑目とあの斑目を重ねるのをやめようと必死だ。
「?なんだ、どうかしたのか?」
「い、いえ!なんでもないっすよ・・・。あはは・・・。」
そこで朽木がCDROMの束を出しながら発言した。
「あのですね、先輩方。一応合宿で撮った写真をCDROMに焼いてきたので、
お持ちくださいませ・・・。」
「お、クッチー気が利くじゃん。」
「いえいえ、これがまかされた仕事ですから、不肖朽木、全うさせて頂きました。」
「あはは・・・。なんかカッコいいじゃない。」
「朽木君も、本当、丸くなったもんだ。」
束になって置かれたCDROMを、一枚ずつ持っていく皆。
「いやー、いろいろあったけど、楽しかったねー、合宿。」
CDROMを持った手をヒラヒラ動かしながら笑う咲。
「ですねえ・・・。ああいう合宿ならまたやりたいですね・・・。」
「私は嫌ですよ!二日酔いなんて・・・。もう二度と酒なんて飲みません!」
「まーまー、そのおかげで・・・、ね?」
抑える咲に対して、むすっとした表情になる荻上。
「あはは・・・。まあ、来年か。でも、俺行けそうにないなあ・・・。」
「あー、編集だと難しいだろうなあ。」
いいながら斑目が残っているお茶を一気飲みする。
「うーん、私らもどうなるかわからんもんねえ。」
「来年、新入生多く入れませんと、サークル自体立ち行かなく・・・。」
朽木は自分がした発言に、しまったという表情をする。
「・・・来年は、大人しくさせていただきます・・・。」
「まあ、まあ、大丈夫大丈夫。」
「・・・ですね。なんとかなりますよ。」
朽木を慰める笹原、そのあとに、荻上が自信を持った顔で言った。
「・・・なんか今までにない前向き発言。」
「・・・荻上さん、成長しましたねえ・・・。」
咲と大野から口々に感心したような言葉を出され、顔を赤らめる荻上。
「な、なんですか・・・。まったく・・・。ぶつぶつ・・・。」
その恥ずかしがっている荻上を横目で見ながら、笹原は少し微笑んだ。
半月後ぐらいの現視研部室にて
「で?もうやったの?」
「は?いきなりなに聞いてくるんですか。」
「だってさ、あんたらなかなかそういうのしそうにないもん。
だからさ、一応アドバイスでもしてやろうかなーって。」
「大きなお世話です!」
「え、じゃあもうやったの?」
「なんでそうなるんですか!」
「荻上さん・・・。素直になりましょう・・・。」
「大野先輩まで・・・。笹原さんがいないときを狙ってましたね!」
「ニヤニヤ」
「ニヤニヤ」
「・・・じゃあ、やったってことにしときます・・・。
だからアドバイスなんていりませんよ。」
「「ええー!!」」
「え、いつ、いつ?」
「そんな・・・。」
「いや、なんでそんなこと言わなくちゃいけないんですか!」
「読者サービスって言うか、ほら、知りたい人たくさんいるし!」
「嘘・・・。私たちよりも早いだなんて・・・。」
「おー、大野傷ついとる、傷ついとる。」
「いや、だから、嘘ですから!」
楽しかった。
やっぱここで来月号予想書くのは憑き物を落とす儀式みたいなものだね。
幸せになればそれでいいよ〜、笹と荻が。
>>234-246 未来
………ありきたり?
…………表現力が乏しい??
ばかーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!
しょっぱなの正統来月予想SSが、こんなに最高に良い仕事だなんて!
なんかもう、すっきりしたような自分にも妄想溜まるようなもどかしさガッ
書いてくれてありがとう、ありがとうございます!!
>未来
筆者本人がありきたりで表現力が乏しいと思うのは、ネタの多くが既出だからだろう。
だが笹の自信喪失を引いたと勘違いする荻や、ストーカー一歩手前の笹の粘りなど、オリジナリティは十分に入っている。
自信持ちなさい。
古今東西の名人芸ってのは、大体そういうものだから。
〉未来
移動中見てます。GJ!オリジナリティー十分だと思うよ!
結末もそんな感じだといいね。
限定状況だと想定出来る可能性も限られるし、
大体本スレで大量の人間が暴走して予想意見
出すんだから、既出になるのも当然かと…。
むしろ本スレの予想つなぎ合わせただけで
SSになりそう。エロパロにしかならんか…。
俺も書き進めていたけど描写がカブルカブルヾ(^_^;
重複もあるので投下ためらわれるが、自分の心の為にも避けられない。
何と因業な…
納得する内容になたら俺も投下してみるよ。
>>未来
すげぇ萌えました!!
GJっス!!
来月このまんまで良いや
チラシの裏
斑恵をどーするか散々悩んだ挙句、
みかんさせないと俺の気が収まらねぇってんで書き出したんだが、
恵子が酒の勢いで斑目を押し倒すぐれぇしか導入方法が思いつかなくて悩む
しかし木尾絵で斑目の朝チュン絵とか想像しても全然思いつかねー
同じ勢いで笹荻の朝チュンも……こっちは想像付くな
おはようのキスとか、笹荻は有り得そうだー
やっぱ斑恵はイロモノに過ぎないのかな……
>253
酔っ払って隙見せて誘ってる(つもりの)恵子
「これはもしや…いや! ここで勘違いするからオタクはとか春日部さんにいわれんだ!」平然を装う斑目
でも恵子がキレて「だからさあ! あんたも男なんでしょっ?」
「はっ?」焦る斑目
「誘ってんのくらい気付けって!」更にキレる恵子
「えっ、ちょっ」更に焦る斑目
「だから早く押し倒せっつってんの!」ぶっちゃける恵子
「…はい」思わず返事してしまう斑目
朝チュン
「(あー、俺、今なんかすごい春日部さんに謝りたい気分)」
文才もクソもねぇよ、スレ汚しスマソ
>やっぱ斑恵はイロモノに過ぎないのかな
以前に勢いで切ったプロット(箇条書き)なら手元に。
256 :
勝手に続け:2006/01/28(土) 05:02:40 ID:???
>254
恵「ねぇ・・・・」
斑「な、なな・・なんですカ」
恵「アンタ結構ウマイじゃんw」
斑「へ!?・・・ウマイって何が・・・?」
恵「何がじゃねーよ、Hに決まってるじゃん〜!!」
斑「・・・・・・
恵「なーにボーっとしてんのさ?ささ、もっかいヤルよ!ほらっ!!」
バスン、ボフッ
斑「いや、いやいやややや・・ちょーーっよgpふぽhpj
恵『イチイチうるさいな〜・・』「へへ・・それっ!(チュブッ・・)」
斑「!!!!??んーーーーーーー(もごががちゅぼちゃぽ)
恵「ろぉほぉー(はぁっ・・はぁ・・)あらし、きるうまいれしょー♪
斑「
━━━━━━削除されました。続きをご覧になる場合は次の項目を■押してお進み下さい。
この流れなら、エロパロの方の4月予想を
コピペしてきても良いんジャマイカと思えてきた
ああ、書き忘れ、若干内容にエロ入ってますが、表現的にはエロワード使われてないのと
アフタヌーン的には許容範囲内であろうと思われるので、こちらにうpします
エロ過ぎと思われた方はあなたの想像力がエロ過ぎます、お友達になりましょう
1
「上がったよー」恵子は上下ジャージだ
「お、出たか」斑目さん掃除中、とは言ってもゴミをゴミ袋に入れて
床の本を積んで寝るスペースを確保する程度
「……この部屋に女の子入った事ないんだろうね」
「……まぁ、そうですね……」
2
扉
3
「あーさっぱりした」「ビールかなんか無い?」斑目のベッドの上に座る
「……そもそもあなた未成年じゃありませんでしたっけ?」一応つっこむ斑目
「いーじゃん別にー」「お酒無いの?」
「生憎準備しておりませんで」
「アニキと言いアンタと言い、オタクって酒飲まないの?」「ったく、アタシが泊まった男の部屋なんか
みんな普通に準備してあるよー」
「……そーゆーものなのか?」
「まぁ女に酒飲ませて落とすのは基本だしねー」
「…………経験が豊富なよーで」
4
「えー」「まーねー!」「これでも経験はチョー積んでますよー!」
「……どんな経験だよ?」 ・
「んー」「まー」指折り数えて「んーでも 20本くらいかなー」
(本?…………)数秒悩む斑目さん。ようやく何を数えたのか気づく。(!!)
また憔悴する斑目さん。恵子気にせず
「まーでも勢いでみんなで ってのも入れているから」「それ抜かすと10ちょいかなー」
机につっぷして伸びる斑目。「あ、やっぱこーゆー話苦手?」「アニキとおんなじだわ」「アハハ」
最早何も言う気力の無い斑目。
5
「先輩もシャワー使ったら?」「え?」
「『え』じゃなくて、どっちにしろ着替えるんでしょ」「だったらタバコくさいの流したら?」
確かに居酒屋にいたせいでタバコ臭い。汗もだいぶかいた。冷や汗だが。
「……んーそーだな」「じゃ使うか」
「まごゆっくり、マンガでも読ませて貰いますよー」
脱衣所でYシャツを脱ぐ斑目。
6
シャワーを浴びる斑目。
(まーしっかし)(本当に笹原と同じ家庭で育ったとは思えんよな)
(手ー出すっつったって)(あんなのに手ー出せねーよな)
(昔春日部さん、友達に染められたって言ってたけど)(どんなんと付き合えばあーなれるんだ?)
(ま いいか)(今夜だけ泊めてやって)(朝には丁重に追い出して)(エロゲすっか)
7
パジャマに着替える斑目。下を向きながら部屋に戻る。
「はいお待っとさ」「よりによってねーさんかよ」(1.5倍角)
「はい?」顔を上げる
8
「最後の砦」を見ながら椅子にあぐらで座る恵子。斑目の方を向いてムスッとした表情。
「あっ………」巻田君総受け本を見たオギー並みのショック顔
9
「あ――――――――――――っ!!!!!!!」夜の住宅街に響く斑目の悲鳴。
「ったくよー」恵子の口元
10
「人にはコーサカさんの事言っときながら」「自分はコレかよ」「マジチョーウケるんだけど」
斑目を見ながら皮肉に笑う恵子。もう硬直して心臓バクバク汗ダラダラの斑目。
「お、お前!」「どっからそれを!!」
「女の勘」「つーかそんなにアセるほどヤバいモンなの?」
「カマかけよーとしたのに、かける前にそんな白状されると拍子抜けなんですけどー」
11
(ぱくぱく)もう固まるしかない斑目さん。恵子は斑目を気にせず写真を見る。
「……何かムカつくなー」「こいつまでねーさんかよ……」
「……はい?」「……こいつまでって?」(まさか俺以外にも?)
「……いや、ね」
12
「みんなにねーさんの事聞いてみたんだけど」「アニキやオギさんや大野さんや」
「他の男性陣含めて」「コーサカさんは当然として」「みんなベタ誉め」
「ほお……」(まーそりゃね)
「アタシだってそりゃ頼れると思ってるけど」「コーサカさんの事もあるし」「ちょっと嫉妬?みたいな?」
「うわ勝手だ」
「んでアンタまでとはねー」「チョーウケるんだけど」
13
「何ならアタシから言ってあげようか?」「はい?」
「いやねーさんにさ」「するな―――――っ!!」
「はいはいからかって悪かったよ」「見なかった事にするからさ」
写真を机の上に置く恵子。もうなんか興味なさげな感じ。
「……………………」写真を見て何やら考え込む風の恵子。突然ニヤリと笑う。
『……ね――斑目――』
14
ハッと恵子を見る斑目。恵子口元を歪ませながら斑目に近づく。
『最近コーサカが構ってくれなくてさー』『寂しいんだよねー』
うわこいつ 春日部さんの口真似を。
『浮気しちゃおっかなー』『斑目とだったらさー』
斑目に抱きついて胸を当てる恵子。大きいわけではないが、確実に感触がある。
15
『……してもいいよ』妖絶な顔で誘う恵子。
一瞬咲の輪郭が頭をよぎる。何度も妄想した顔。
斑目さんキレそうになり、恵子を両手で突き飛ばす。
「うわ!」床に尻餅をつく恵子
「あ!」「す すまん!」我に帰り謝る斑目。
16
「…………ふ――――……」床に座ってため息をつく恵子。
それを見る斑目、気まずそうな恵子
……おもむろに「帰る!」
「へ?」「本当にお邪魔しました」「え、だって時間が……」
「彼氏はいないけどオトコがいないわけじゃないしィー」「呼び出せば車出してくれるのくらいいるしィー」
「…………」「気にしてんのか?」
「べーつにィー!」「なんとなくでーすゥー!」
17
「ま、人間いろいろあるからさ」「気にしねぇから気にすんなよ」「泊まってけ」
「…………」
「俺は床でいいからさ」布団を敷こうとする斑目。ベッドの上に移動する恵子。
18
「じゃ電気消すぞー」恵子に背を向ける斑目。パチン。電気が消える。
その瞬間、斑目の肩を掴んでベッドに引き倒す恵子。
「うわ!!」ばすん。仰向けにベッドに倒れる斑目。目の上には逆さの恵子の顔が。
「何をするだァー!!」ついついオタワードが出てしまう悲しい性。
(するだぁ?)一瞬引っかかる恵子「……いやね」
19
「アタシが襲っちゃう事にしたよ」「斑目さんを」
「…………はァ!?」「ななな何で!?」
「……まァ……」「酔った勢いって事で、ね……」
「それにアタシの知ってる範囲では」「童貞捨てるといろいろ楽になれるらしいし」
「アンタとだったらさー」「……してもいいよ?」
20
(…………!!)(うわー!うわー!)(…………っこ!)(これなんてエロゲ?)
恵子の顔がだんだん近づいて、斑目の唇を塞ぐ。
(!!)
ベッドの上に仰向けになった斑目、その頭の上方に座った恵子のキス。
21
ジャージを脱ぐ恵子、パジャマを脱がされる斑目。まぁ一応イメージシーンって事で
雑多なカットの挿入。基本的に濃いトーンに潰れてエロっぽい絵が描かれている。
最終コマはトーン張ってない。チュンチュン書いておくか。
22
ベッドで上半身起きて裸の斑目さん。下半身は毛布の中。恵子はベッドの横で
後ろ姿で服を着ている、ほとんど着終わっている。
(うわ――――!)(やっちゃった――――!)(笹原妹と――――!)
汗ダラダラの横顔斑目さんの後方で普通に服を着ている恵子。
「んじゃ」「お邪魔しました」玄関から出る恵子
「は……はは…………」固まって見送る斑目
「あ、そーだ」「3つだけ忠告と言うか、お話を」玄関で後姿で話す恵子
「はい?」
「1つめ、昨夜のは半分は演技だから、まぁ初めてにしては合格ラインだけど」
「2つめ、ねーさんのことはとっとと忘れなさい」
23
ここで半分振り返る
「3つめ、間違ってもアタシに惚れないように」「初体験相手に勘違いすんなよ」
バタン 扉が閉まる
固まっている斑目、いそいそとトランクスとパジャマを着て立ち上がる
机の上の春日部さんの写真を一瞥してから、トイレに向かう
トイレの中でも呆けている、出てパソコンの前に向かう
24
机の上のエロゲパッケージ「つよすぎ」を見て、封を開ける
パソコンの電源を付ける。パソコンがうなりを上げる。
Windowsが起動する。エロい壁紙にエロい起動音。
パッケージを持ったまま固まる斑目。顔は半分しか見えないがにやけている?感じ
具体的に言うとパソコンを買って初めて操作した時の笹顔で
おわり、続くかどうかはわからぬ、感想あれば
265 :
248:2006/01/28(土) 19:24:50 ID:???
読んでくれた皆様ありがとうごじゃりました。
>>249 ごめんなさい、ごめんなさい!もうしません!
…怒ってるんじゃないの?
そんなに褒められるとむずかゆくなっちゃいます。
>>250 本スレの妄想には当てられましたねえ・・・。かなり。
これを書こうと思ったひらめきとしては
・扉をはさんで叫ぶ笹原
っていうのがあったので、このシチュまで何とか持っていこうと四苦八苦。
オリジナリティがあるといわれてうれしいです。
>>251 既出なのはしょうがないと開き直りましたよ、私は。
あなたの作品も待ってます!
>>252 やべ、初めて萌えるって言われたよ・・・。萌え作家に転向すべきかw
この内容の一割でもあったってたらいいなあと思うわけです。
さて、今度はどんなの書こうかなあ・・・。
>>260-263 やっぱり斑目先輩は流され受けだぁ・・・。
完全に攻め込まれてるよ!
弾幕薄いよ!なにやってんの!
しかし…最後の斑目の表情が読めん・・・。
俺もまだまだだな・・・。
267 :
マロン名無しさん:2006/01/28(土) 20:58:34 ID:d6b4SKrv
20本か…ちょっとショックだ
話としてはGJ!
ケーコも斑目もヤっちゃうときはこんな感じかもと思いましたよ
付ける時に
(んー、これなら普通のでいいかなー)
(サイズ2種類持ち歩いてんの!?)
(いや、コーサカさんのってデカそーじゃん?)(念のためにね)
(あー、そーかも……)
というやりとりがあったとゆー
>>258-264 SS1〜2そして今回の「ラストドーテーマ・ダ・ラ・メ」を全て堪能しますた。
全てのシーンが木尾変換されリアルにイメージ出来た。お陰で現代っ子な恵子
に垣間見える萌え要素の可能性にオッキしちゃいましたw
( ´Д`)ハァハァ恵子・・・アンタって子は
笹「おじゃまします・・・。」
荻「どうぞ・・・。」
笹「暑いね、なんか汗かいちゃってさ」
荻「温度下げましょうか・・・。」
笹「いや、ごめん。そういうつもりじゃなくって
・・・気使わせちゃって・・ごめん。」
荻「・・・」
笹「・・・じゃあ、見るとしますか。」
荻「ホントにいいんですか?」
笹「え?」
荻「私の最低な妄想を見て、冷静でいれますか?ホントに気持ち悪いかも。
覚悟は決めたつもりですけど、見せないでいられるなら
見せずに、このまま現視研辞めてもいいって思ってます。」
笹「う〜ん、改めて言われてもねぇ。でも、見るって決めたんだし、
なに、ほら出演者としての特権ていうの?あはは・・・。」
荻「・・・わかりました。コレです。」
笹「(うわぁ・・・繋がってるよ班目さんと。って言うかモロ見え・・・。
俺、こんなに大きくないよぉ〜)」
「(あはは、班目さん可愛すぎでしょ。目、うつろすぎ!)」
「(俺、絵になるとこんななのか?ちょっとイケメンすぎませんかぁ?)」
「ふぅ〜。荻上さんちょっと質問いい?」
荻「はぁ?」
笹「こういう構図ってさ、他の作家さんのとか真似てみたりしてるわけ?」
荻「・・多少はありますけど、大体は頭ン中で思った通りに描いてます。」
笹「すごいね、俺も描いてみた事あるけど
思った通りになんか描けないよ、やっぱプロ目指そうよ、うん。」
荻「・・なんで・・」
笹「へ?」
荻「なんでそんな冷静に見れるんですか!この絵、笹原さんなんですよ
そんな風に勝手に思われてるの、気持ち悪くないんですか!」
「いいじゃないですか私なんかいなくても、気ぃ使わないで
はっきり言ってくださいよ、腐女子の絵なんて吐き気がするって!」
笹「荻上さん・・・。現視研の誰一人いなくなっても俺は嫌だよ。
しかも好きになった子がいなくなるのはもっと嫌なんだけど。」
「それに、なんていうかなぁ俺オタクだから、ついつい絵とか見ると
評価しがちっていうか?あはは・・まぁびっくりはしたけどね。」
荻「ほら、びっくりしたんじゃないですか。私の頭の中、こんなのばっかですよ
そんな女おかしいですよ。気持ち悪いでしょ?変態でしょ?
それでも好きっていえますか!」
笹「俺だって荻上さんの事、妄想しまくりだよ!」
荻「え?」
笹「あ・・・あはは爆弾発言。、ゴメン。」
「そ、ソレは置いといて。はっきり言わせてもらうけど
内容はどうあれ、俺は荻上さんの絵を見て素直に上手いと思った。
気持ち悪く取る人もいるだろうけど、俺はそうじゃない。
荻上さんがデビューしたら、俺が担当になりたいと思ったよマジで。」
「俺が荻上さんを好きなのは変わらないよ。現視研やめないでくれるね。
で、付き合ってくれるともっと嬉しかったりするんだけど・・それは別かな?はは。」
荻「・・現視研続けます。」
笹「よかった〜。」
荻「・・・秋葉原連れてってくれますか?」
笹「はぁ?」
荻「オンリーイベントも一緒に行ってくれますか?」
笹「はぁぁ?」
荻「なんでそんなにニブイんですか?受け入れてくれるんですよね・・・。」
「わたしだって好きですよ、笹原さんの事・・・。妄想されてても。」
笹「あは、あははは最後のは忘れて・・・。」
荻「ズルイですよ、ははっ。」
笹「オタクでもいい?」
荻「オタクですから。」
初めて書きました。
ただの台詞の羅列になってて、ツライですが・・・。
来月号・・・ハッピーに終わってくれ。でないと身悶えるぅ。
>>270-272 初ですか、書きたくなったら書くしか有りませんよね。
素直な展開に好感が持てます。
今後も出来たら書いてみて下さいね。
そして俺もハッピーエンド希望!
>マロン名無しさん(って、これタイトルじゃないな)
まあ基本に忠実というか、話の骨組みはこんな感じじゃないかな?
俺もハッピーエンド原理主義者なんで、GJというより禿同という感じ。
>>272見てたら自分風にアレンジしたくなっちゃいましたよ
荻「……現視研続けます」
笹「よかった…」
荻「……一緒に秋葉原や池袋に行ってください」
笹「……え?」
荻「……一緒にオンリーイベントに行ってください」
笹「ええ!?」
荻「……そして……また一緒に……コミフェスで売り子やってください」
笹「……………」
荻「……………」
荻上を抱き締める笹原
荻「………あ」
笹「……俺で…いいのかな…? (ん?)」
荻「……自分から告白しといて何言ってるんですか (くはー! 当てる胸もねー!)」
笹「……俺…オタクだけど」
荻「私だってオタクです ところでさっきの質問に答えてください」
笹「……よろこんで!」
荻「……うふふ……私で妄想してるんですもんね……」
笹「いやっ……だからそれはね……」
荻「うふふ」
>>276 こういう楽しい〆め方、良いですね。
さて、こちら用に4月号予想を全て出し尽くすぐらいの気持ちで、搾り出しました。
書き切らないと、次に進めません…! 9レス分になる予定です。
まだ夜明けといった早朝、外ではスズメだろうか、鳥の声が聞こえる。
笹原は目を覚まして起き上がっていたが、泣いていた。
笹原『……もう駄目だ、もう――――………あれ??』
涙を拭うと、大きく一つ息を吐いた。
笹原「はぁ〜〜〜、夢、か………よかった〜〜〜」
笹原はさっきまで見ていた夢を思い出していた。
荻上が現視研から去った砂を噛むような日々、そして――――
病院の霊安室で触った、冷たい荻上の遺体。
その冷たくなった荻上に触れた指に残るひやりとした感触。
自分を囲む世界が全て歪んで、肌の内と外が入れ替わるような感触。
それがいまだに笹原の感触としてリアルに残っている。
笹原『よりによって今日、なんでこんな夢をみちゃったんだ………』
『昨夜は予習の為に女性向け同人サイト巡りをしたのに、どうせ見るなら男同士の絡みじゃないの?』
一昨日の夕方、橋のところで荻上から「現視研やめます」と言われた時に感じた喪失感の強さか
荻上が内心思っていた死ぬこと、それが伝わったのだろうか。
笹原「荻上さんが居なくなるのが、ほんとに怖いんだな。俺……」
喪失への不安感に焦りを感じる笹原だった。
荻上にメールを送りたいが、早朝過ぎたので9時まで待つのが長く感じすぎて胃が痛くなった。
「おはよう。今日はお昼過ぎ、13時ごろには行くつもりです。よろしく」
そんなメールを送ると、笹原はさっきの夢のこともあり、荻上から返信が来るのか心配になってしまう。
しかし1分ぐらいでメールが返ってきた。
「おはようございます。わかりました、お待ちしております」
と、返ってきた。荻上はもう起きているようで、笹原は安堵の溜息を小さく漏らした。
笹原『でもほんと、今日は何が有っても……どんな絵でも、俺がいいリアクション出来なくても(汗)』
『荻上さんを受け入れてあげたいんだ。……うん、今日からじゃなくて、これからずっと』
荻上のマンガ(笹X斑)を見て斑目と顔を合せづらくなる笹原
笹原の妹とやっちゃって笹原に顔を合わせづらくなる斑目
そんなびみょ〜な関係の二人がたまたま道でぶつかった・・・
という話を読みたいなんて思ってしまう俺。
トーストを食べていた荻上は、笹原からのメールを返信して朝食も終えると、
とりあえず部屋を片付け始めた。
といっても、夏コミ前に大野と笹原が来たときにざっと片してあったので、
それ以降そんなに散らかっていない。
荻上は机に座ると、その横には今日渡して見せる予定のイラストが積んである。
「荻上さんとつき合いたければ そうゆうのも全部―――」
一昨日の笹原の一言が頭の中で繰り返される。
荻上『笹原さんと、つきあうかも…今日、夕方からか、明日からか………』
荻上の頭の中には、頼り甲斐のある格好良い笹原の姿が思い浮かぶ。
そして、告白の台詞も、俯いていて姿は見ていないが耳に張り付いている。
「好きっ……だから…… ここに居るし 守りたいと 思うし……」
夕日の差し込む放課後の教室に、人影がふたつ。
学生服を着た笹原が汗をかきながら必死に告げている。
笹原「好きっ……だから…… ここに居るし 守りたいと 思うし……」
セーラー服姿で二つ結びに眼鏡、中学生の荻上が顔を真っ赤にして告白し返している。
荻上「私も、笹原さんの事が大好きで、大好きで―――ー」
台詞を遮って、笹原の抱擁。夕日に映るシルエット。
そしてキス―――。
荻上『はっ!こんな時間に!?』
いつの間にか、らくがき帳に漫画を描いてしまっていた荻上は、振り返って時計を見ると
もうお昼前になっている事に気づいた。
鉛筆を置いて台所に向かい、急いでご飯を軽く掻き込むと、着替え始めるのだった。
着替えて鏡台に向かうと、軽く化粧水を付け、薄い口紅だけを載せ始める。
鏡に映る自分を見ながら、笑顔や真面目な顔を作ってみる。
荻上『表情を出すのって、苦手なんだなぁ』
荻上『でも、これから見せるんだ……アレを』
洗面台から部屋に戻って床に座ると、これから起こることに考えを巡らせ始めた。
「うわーーすごい、俺×斑って萌えるね!最高だよ荻上さん!」すごい嬉しそうな笹原。
荻上『なにこの展開!?有り得ないにもほどがある(汗)』
「はは…うーーん、まぁ、こういうのもいいんじゃない(苦笑)」困ったような笑顔の笹原。
荻上『これが妥当な感じかな…でも、これってホントは嫌なのに、無理してるよね、笹原さん……優しいから』
『また今度は、笹原さんを傷つけながら、つきあっていける……??』
「うっ………これ………は………」青ざめて冷や汗をかき、無言になってしまう笹原。
荻上『やっぱり、アレを見たらいくらなんでも、これかな……』
さっきまでは期待感にそわそわしていた荻上だが、背を丸め、うつむき始める。
荻上『……笹原さんが見て、大丈夫じゃなかったらもう現視研やめるんだった。辞めないと――』
『もう笹原さんに自分の趣味を隠すことから逃げない、昔の傷つけたことから逃げないって思っても』
『それで結局、笹原さんに無理をさせるような事は駄目だ。笹原さん、無理しそうだし』
脳裏に浮かぶ笹原の笑顔。そして暗くなり遠ざかる――――。
荻上『嫌!笹原さんともう会えないなんて……でも……そうなったらもう、ここに居場所なんて』
『実家に帰ってヒキコモルか………』
笹原から、現視研から離れ、部屋に閉じこもる日々を想像する。
荻上『胸が……痛い……。生きてても、仕方ないのかな』
時計を見ると、もうすぐ笹原が来る時間になっている。
荻上『今から見せないといけないなんて……絶対、駄目』
顔色が悪く、青ざめてきた荻上は、その細い肩も少し震えてきている。
荻上『恐い…………』
「………っ!!」
そしてはっと気付くと、さっきまで描いていた告白シーンの漫画をラクガキ帳から破ると、
ぎゅっとひねってゴミ箱へ押し込んだ。
キンコーーーン。呼び鈴が鳴る。
玄関に向かわないといけないが、荻上は足がすくみ、ちょっと時間が掛かってしまう。
覗き窓から見ると、笹原が扉の向こうに立っている。
荻上「お待たせしました」
笹原「やあ」
荻上の顔色は非常に悪い。そして、扉を開けたまま、立ち尽くしてしまっている。
部屋に笹原を招き入れるでもなく、数秒の沈黙。
笹原「………!? 荻上さん、大丈夫??」
荻上「―――はい」
目を伏せながらそう答えると、全然大丈夫そうじゃないが、笹原が入れるように部屋に入ってく荻上だった。
それについていく笹原。後ろ手に鍵を閉めると、靴を脱いで奥の部屋へ向かいかけるが、少し足を止める。
笹原『全然大丈夫じゃないじゃん、荻上さん。やっぱり見せるのって恐いんだよね』
『男の子の友達を一人転校に追い込んだってのが、やっぱりあるんだな………男の子の、友達、ね………』
『俺って、荻上さんに好きになって貰えるんだろうかな……昔の思い出より、大きく』
ここに来て、妙な考えが頭を巡る。しかし荻上を待たせるわけにもいかない。
笹原『自分の心配してる場合じゃないな、今は。そうだ、荻上さんが居なくなったら―――』
夢で感じた喪失感を思い出すと、背中がゾクリとする。
目の光に陰りが差した笹原だが、ふたたび決意を固めると荻上の待つ奥の部屋に入った。
そこには、紙の束を両手に持って部屋の真ん中に佇む荻上の姿があった。
荻上「その………これが………………」
荻上の声が震えている。うつむいて居るので表情は見えない。
今日は髪を下ろしているので、前髪も邪魔になっている。
笹原のほうにイラストの束を差し出してくるが、その手もよく見ると震えているのがわかる。
いや、その白い肩も、震えている。クーラーが効いているといってもまだ暑い9月のこと。
尋常な様子ではない。
しかし、今日はこれを見るために笹原は来ているし、荻上も招いている。
笹原『荻上さん……!! ソレを読んで大丈夫だと安心させてあげないと……』
イラストの束に手を掛けて受け取ろうとする笹原。
笹原「荻上さん、見るね? 俺なら大丈夫だから……心配しないで」
しかし荻上の手は固く束を掴んだまま離れようとしない。
荻上「や、やっぱり……やっぱり無理です―――」
顔を伏せた荻上の前髪の下から、床にぽたぽたと雫が落ち始める。
笹原「大丈夫、大丈夫だから―――」
イラストの束ではなく、固く握られている荻上の手の上に掌を添える笹原だったが、その冷たさにはっとする。
脳裏には、夢で見た荻上の遺体の冷たさ、その触れた時の冷たさが掌に蘇る。
笹原『荻上さんが、消えてしまいそうだ………!』
思わず、荻上の肩を抱く笹原だったが、荻上の小ささ、脆さ、そして冷たさが、腕に、胸に伝わってくる。
その腕の中でイラストの束を抱え、荻上は無言で泣きながら震えている。
笹原「俺は今日、荻上さんの全部を受け入れるために来てるんだよ」
荻上「見せちゃったら、今日でお別れです……私……わたし………」
笹原「今日駄目でも、明日大丈夫かも知れないじゃない?人は変わるものだよ」
荻上「ごめんなさい、ごめんなさい………私は、ヤオイ辞められなくて、変われなくて」
笹原「………! 違うって!」
荻上「笹原さん、絶対に無理しそうですよ……私なんかの為に」
笹原「いや無理って……、趣味は広がりこそすれ、狭くなる方にはあんま変わらないでしょ?」
荻上「趣味が広がるって、笹原さんが腐男子になるってことですか?」
笹原「そこまで言っていいのかな…でも、昨夜サイト巡りしてみたんだけど」
「荻上さんが絶対ヤバイとか言うから、過激なの探したけど、なかなか見つからないんだよね(苦笑)」
会話をするうちに、冷たかった荻上の体に温かさが戻ってきたのが笹原の腕に伝わる。
笹原「しかもだんだん、絵が上手くて、過激だったり萌えるシチュエーションに凝ってるのじゃないと納得しなくなるし」
荻上「な、何を言ってるんですか??」
笹原の胸に伝わってきていた荻上の震えも止まっている。
笹原「恐がらないで、荻上さん。俺も恐いんだ」
荻上「……私の絵を見るのが、ですか」
笹原「今朝、荻上さんが居なくなって、死んじゃう夢を見たんだ」
荻上「………!?」
笹原「夢でもあんなに辛いなんて………お願いだよ、荻上さん。居なくならないで………」
笹原『荻上さんは、ここに居るんだ。ここに、腕の中に………』
5分ぐらいだろうか、ひょっとしたら30秒ぐらいかも知れない。
部屋の中には二人の吐息と、外から聞こえるアブラゼミのジワジワジワ……という声だけが響いている。
笹原の腕の中に包まれた中で、今までにない初めての感覚に包まれている荻上。
荻上『これは、安心感?…頼っていいの?笹原さんに……頼るのはいいんだか?これって一体………』
しかし、自分ひとりでは落ち込みの悪循環だった荻上にも上昇する力が生まれてきたのも事実だ。
荻上『笹原さんも、私のアレから逃げないで居てくれる……私も逃げない……!!』
『アレからも、笹原さんからも、私の笹原さんへの気持ちからも、逃げないんだ!』
決意を固めると、荻上はようやく口を開いた。
荻上「笹原さん、ありがとうございます。もう大丈夫ですから」
笹原「え?そう?………あっ!ごめん」
慌てて腕を解いて荻上から離れる笹原だった。
赤くなっている笹原を見て、荻上は逆に落ち着いてきた。
荻上「改めまして、どうぞ見て下さい」
笹原「うん、じゃあ……」
テーブル横のクッションに座ると笹斑のイラストを見始める笹原。
荻上『うわ……見てる、見てる(汗)!』
机の椅子に座って、笹原を斜め後ろから見る格好の荻上。
同じテーブルに座るのは真正面過ぎて無理なようだ。
いくら覚悟を決めたところで、自分の妄想そのもの、荻上の一部といっても良いものを見られるのだ。
しかも描かれているのは当の本人。
笹原「うわ、俺、カッコイイな(笑)」
荻上「………(汗)」
笹原「うん…… うん……… なるほど」
荻上『な、何がなるほどなんデスカ?(大汗)』
数十枚に及ぶイラストをパラパラと飛ばすことなく、じっくりと見ていく笹原。
荻上『きっ、緊張する……ああっ!その絵は納得してないし!………それは、不自然に暴走しちゃって!(汗)』
笹原「うん、今まで見た女性向けの中で、一番良いよ」
荻上『評価キターーーー!(汗)』
荻上「え、いや、そんな」
笹原「出来たら、漫画も見せてもらえるかな?荻上さんの事、もっと知りたいし、漫画そのものにも興味有るし」
荻上「漫画って言われても―――」
笹原「夏コミ前に来たときに、オリジナルの見せて貰い損なったしね」
荻上「あ―――」
笹原はさっきまでの恋愛的な荻上を愛しむ表情から、やや仕事的な熱心さの表情が出始めている。
その雰囲気に流されて漫画の原稿を探し始めた荻上だったが、
荻上『ん―――? 見せるのはいいんだけんども、なんか私の想いはどうしたもんだか』
振り返ると、けっこう集中して荻上のイラストを見ている笹原の姿がある。
部室で一人、熱心に漫画を読んでいる時の笹原の表情だ。少し目が細く伏せられている。
荻上『あんなに無抵抗に熱心に見られるとはナァ……それはそれで嬉しいけど、今日は違うんじゃ?』
ふっと思いつくとゴミ箱から捻ってある紙を1本取り出した。
そう、午前中に描いていた「笹荻告白編」だ。
その紙をガサガサと机の上で出来るだけ平に伸ばすと、荻上はテーブルの笹原の横に座った。
荻上「どうぞ、これ読んでください」
笹原「え?1枚?なんかシワが………」
言いながらそのラフ画の漫画に目を通すと、笹原の顔に赤みが差し、ゴクリと生唾を飲み込むのがわかる。
その様子を微笑みながら見ている荻上は、本当に嬉しそうだった。
笹原「あ、あの―――」
何か喋ろうとするが、軽くパニックになっているのか台詞がまとまらない。
しかし、再び荻上から渡された漫画に目を落とすと、言うべき台詞が分かった。
笹原「好きだから、ここに居るし、守りたいと思うし」
横に座る荻上に真っ直ぐな眼差しを向けながら、一昨日の台詞を繰り返す。
荻上「私も、笹原さんのことが大好きで―――」
そこまで言ったところで笹原がガバッと荻上を抱き締めた。
荻上『ちょ、私の漫画より早いって――(苦笑)』
笹原「ずっとずっと、居なくならないで欲しい。一生―――」
荻上『まるで結婚のプロポーズみたい………』
そんな感想を抱きながら、同時に荻上の口からは返事の言葉が出ていた。
荻上「ありがとうございます………ずっと居ます。居させて下さい」
そして近づいてくる笹原の顔。緊張で真剣すぎて、ちょっと恐い。
荻上『えーーっと、目、目を閉じないと……?』
重なる二人の陰。
部屋の中は夕日には包まれていないが日は傾き、いつの間にか
ヒグラシのシシシシシ……というか細い声が遠く響いていた。
以上です。
>>279さん巻き込んでしまったような形になってすみません。
そのシチュエーションで良い流れが思いついたら書いてみます。
書けない可能性の方が高い気がしますけど(汗)。
恵子をうまく書けるのかな…。いや、出さなくて良いのか?
289 :
279:2006/01/29(日) 20:31:24 ID:???
>>288 はわわわわわ(汗 こちらこそ勝手に入りこんでしまって申し訳ありません。
うまく書けなければ無理しなくていいですよ・・・
こちらも無茶な願いだと思いますし。
しかし、予想SS・・・笹・荻二人の愛しさとせつなさが滲み出て胸がズキズキ痛いです。
よく、こんなに細かく心理描写が描けるもんだ・・・脱帽です。
文章苦手なおいらからすれば神業です。GJ!!
>>289 ありがとうございます!
僕も痛くて苦しいと思いながら書きました。自分の毒落としの為に…。
細かく書ける理由ですが、おそらく時間をかなりかけたからでしょうか(汗)。
3月号を読んで以来、悶々と過ごし、(ここまで脳内)
(ここからPC作業)書きたいエピソードを書き出して、それを運ぶ話の流れを書き、
実際に書き始めるという作業で、PC前で2日で10時間以上掛かってる感じです。
ものすごい遅いので、文章が得意というわけではないような…。
内から湧き出る衝動の強ささえあれば!きっと誰にでも!!
ネタが揃ってるせいか、最新号発売からわずか4日ほどで来るわ来るわ予想SSの数々!
基本的な骨組みは似通っているものの、各々個性出てていい仕事してるなあ。
さあ俺も書きかけのやつを完成させるぞ。
>扉
しんどかったからとりあえず乙!
GJというより…鬱になったorz
いや、痛いの好きだけどね……
>>291 新作期待してます。ガンガッテクダサイ
4月予想SS、今までで3本とは良いペースですね。
しかし骨組みが違うとなると…
笹原ドン引きとか、荻ルーム以外の場面がメインとかっスかね?
>>292 荻ルーム訪問は終わってて学園祭とかな。
背景でラブラブしてる笹荻描写して
「あー、うまくいったんだ」と思わせる。
メインは朽木。
クッチーの最後の使命は
オギーにちょっかいだして笹原に殴られることで、笹原の荻LOVE豹変っぷりを露見させること
がんばれクッチー
>>294 殴られるほどのちょっかいももはや朽木もしなさそうだし、
そんなバイオレンスな笹原はちょっといやだ。
・・・・ちょっと見てみたい。
>扉
うーん、幸せそうな雰囲気いいですwwwww 荻上が死んじゃう夢なんて見たく
無いですね(涙)今回はかなりきつかったですよ、俺も。つらつらHP回遊して
タナトス(自己破壊に向かう死の本能)とかいう言葉に出くわしてはズキと
心痛む日々。癒されました。
大分、描写もかぶっているし、かなり内省的な話になっちゃったんで、投下
ためらわれますが、ヒストリアの主人公のセリフじゃないですが、人に語る
ことで、それは真実になるというので、俺自身の心のために身勝手ながら
投下させていただきます。萌えません!鬱っぽいの嫌な人はスルーして
ください!
1.《えにしだ》(金雀枝、金雀児、Broom) 虚、卑下、清楚、博愛
合宿が終わり、大学に近い最寄の駅で解散してから笹原は直接どこにも寄らずに、
自分のアパートに戻った。惠子も直接実家に帰った。部屋に入るや、荷物をどさ
っと降ろして、着替えも片付けもせずに、ごろりと寝っころがった。
(くたびれた・・・。たった三日なのに、なんか色んな事があった気がする)
笹原は携帯を取り出し、受信メールのメッセージをぼんやりと眺めた。
『明日私の部屋に来て下さいませんか?』
『例のものをお見せしようかと思うのですが。』
「明日か・・・」
笹原はつぶやいた。そして思った。
メールが来たときにはドギマギした。しかし今は少し不安と焦燥を感じる。荻上
さん、少し急いていないだろうか?
(俺にしてはよくやった方だよなあ・・・)
成り行きとはいえ、告白までもっていったのだ。自分の気持ちは伝えたし、そ
の答えも明日わかる。荻上さんの抱えている問題も彼女の口から聞いた。その
すべてを理解しているわけでは無いが、彼女の心に少しだけ近づけたとも思う。
なのに何故か胸につかえるものがある。進展の早さに戸惑っているのか?いや
むしろ遅かったくらいだ。彼女から見せてくれるというのだ。何の問題がある
のか。別に自分をネタにしたやおい本見せられても大丈夫だ。そう思う。しか
し・・・笹原は惠子の携帯に電話を入れた。
荻上もまた、笹原が自宅に着いたのとほぼ同時刻にアパートにたどり着いた。荷
物を降ろして、へたり込んで、ふーと一息つく。
(疲れた・・・。休みてえ・・・。ああ、でも部屋片付けなくてなんねなあ・・・)
よろよろと疲れた体を奮い立たせて、旅行の荷物を片付け、部屋の掃除を始めた。
本だらけにしているので、少し掃除をさぼると埃だらけになる。
「明日だもんなあ・・・」
掃除しながら荻上はつぶやいた。そして思った。
急ぎすぎただろうか?そんな事は無い。意を決してメールを送った時、これ以
上先延ばしする事は自分の為にも笹原さんの為にもならないと覚悟を決めたで
はないか。その決意に変わりは無い。でも・・・。
(どうなるんだろう・・・)
不安がよぎる。怖い。笹原さんがどんな反応をするか・・・。でも彼の気持ちに
応えて勇気を奮わなければならないと荻上は思った。そして携帯を開いて、返信
メールのメッセージを見つめた。
『明日ですね。わかりました。大丈夫です。』
『みんなには言わない方がいいですね?』
『時間は後でメールください』
荻上は明日午後一時にしたいと返信を送った。すべては明日・・・。
2.《わすれなぐさ》(勿忘草、忘れな草、Forget-Me-Not) 実の愛、記憶、私を
忘れないで
笹原は電車を乗り継ぎ、荻上のアパートに向かっていた。駅に降り立ち、以前訪
問した荻上のアパートまで歩いていった。歩きながら、昨日惠子との携帯での会
話を思い出していた。
恵『そうだよ・・・大体それが飲み会で聞いた話の大筋!兄貴、難しいよ、あの
女!あたしにゃ関係無いけど・・・』
笹『うるさいな!余計なお世話だ!』
と言って携帯を切った。
もちろん今日の事は惠子にも言っていない。ずるいとは思ったが、心の準備とい
うか、不安を打ち消す為に惠子に詳細を聞かずにはいられなかったのだ。
(聞いて正解だったのか・・・聞かない方が良かったのか・・・)
だが自分の胸中にわだかまっていた不安と焦燥の正体が分かりかけてはいた。
こんな事に意味があるんだろうか・・・。自分から言い出した事とはいえ、こ
の不可思議な、そして異様な事態に戸惑いを感じていた。彼女の事は好きだっ
たはずである。でも結局分かったのは自分が何も彼女の事を理解していなかっ
たという事だった。
自分の心と言葉がうそ臭く感じられてきた。就職活動に行き詰まってた時に感
じた気持ちに似ていた。俺、何で彼女の事が好きだったんだっけ?コスプレの
衣装見て、可愛いって意識したから?愛してると言うにはあまりにも成り行き
に流されて現実感が乏しかった。
そうこう考えているうちに、とうとう荻上のアパートの前に来た。笹原は心臓
の鼓動が高ぶるのを感じながら、チャイムを押した。
荻上はもうすぐ約束の時間が迫ってくるのにそわそわし始めた。まわりを見渡
し、散らかっているように見えないか気になった。衣装も気になる。おかしく
ないか。以前と違って今日は大野先輩はいない。笹原と二人きり・・・。特別
派手で露出の多い服はさけた。でもパーカーとかの普段着では・・・。結局、
藍系のブラウスにいつも通りのジーンズを選んだ。
他人を拒絶し、女性らしさを否定していながら、こんな時に服装を気にする女
心を隠せない自分が嫌だった。でありながら煽情的な服装を避ける自意識過剰
ぶりもたまらなく嫌だった。鑑を見ながら、心がはずむ気持ちを認めるのが嫌
だった。
(これでいいのかな・・・本当に・・・・)
あの時・・・笹原さんの事をずるいと言った。でも本当にずるいのは自分では無
いのか・・・。彼は自分の事を好きだと率直に言ってくれた。それなのにわたし
は笹原さんが「それ」を見たら・・・と・・・試すようなまねを・・・。そして
わたしは一言も・・・この期に及んで自分の気持ちを口にしていない!なんてい
やらしい人間だろう。わたしはわたしの心が分からなくなった・・・。わたしは
本当に笹原さんの事が好きなんだろうか?夏コミでわたしに見せてくれたわたし
を見守るあの笑顔が素敵だったから?
チャイムが鳴る。
(とうとう来た・・・)
はっとして荻上は玄関に向かった。
3. 《くちなし》(山梔子、梔子、Cape Jasmine) 洗練、清潔、沈黙、とてもうれ
しい
笹「やっやあ・・・」
荻「どっどうぞ・・・」
笹「うっうん・・・お邪魔します・・・」
部屋に通された笹原は緊張した面持ちでそわそわとテーブルに座った。
笹「いつ来ても片付いてるよね・・・俺の部屋とは大違い!」
静寂の間を持たせようと、笹原はうわずった声でしゃべった。
荻「いえ・・・来客があるときだけですよ・・・普段は散らかしてて・・・」
笹「そっそう?」
荻「あっあの・・・今日はわざわざすみません・・・どうぞ、ジュースでいいで
すか?何も無くてすみません・・・」
笹「いや!お構いなく!」
二人だけの気まずさをお互い意識しながら、沈黙の途切れが来るのを恐れて二人
は何げ無い会話を続けた。
荻「あっあの・・・それで・・・例の・・・」
荻上は顔を赤らめ、うつむきながら、スケッチブックを差し出した。
笹「あっ、それが例の・・・じゃあ・・・でもちょっと緊張するなー、はは」
笹原は荻上から『例の』スケッチを受け取り、めくり始めた。
しばらく二人に沈黙が続いた。
荻上はテーブルの隣で正座して、うつむきながら、ちらちらと笹原の表情を見て
いる。
笹原は荻上のそうした視線を傍から感じながらも、表情を変えないでスケッチを
見ていた。ただ時々感嘆の声をあげた。
笹「へえー、俺の特徴とらえてるね。あっ斑目さんそっくり!」
笹「ほほー、なるほどねー」
気まずい間を紛らわすために、独り言のように言葉を発しながら、笹原はスケッ
チを眺め続けた。
そして描写が過激な部分に差し掛かると、荻上は耐え切れず目をつぶってうつむ
き、震えていた。
笹原はその震える表情を見て思った。
(本当に恥ずかしくてつらいんだろうな。自分の裸をさらけ出しているようなも
んだもんな・・・)
笹「うん、見終わったよ」
と言い、笹原はスケッチブックを荻上に返した。
心の準備はしていたので、思ったほどショックや動揺は無かった。しかし緊張か
らか、ひたいに汗がにじんでいた。
(気付かれたか?)
4. 《とけいそう》(時計草、Passion Flower) 聖なる愛、キリストの受難
荻「どうでしたか?無理しないでいいです。ウソは嫌です」
笹「・・・まあ・・・予想していた通りの感想かな・・・」
荻「というと・・・」
笹「まあ・・・似てるけど漫画にディフォルメされてるし・・・気持悪いという
ほどでは無いね。俺ってこんなに凛々しく見えるんだ!はは!まあ、過激な描写
は巷に溢れているし、抵抗力や免疫もあるしね。ただ・・・面白いとか、興奮す
るとかはしないし、よく分からないというのが正直な感想。でも事情を知らない
人が見れば確かに嫌かもね。」
荻「・・・でしょうね・・・。正直な感想、ありがとうございました。」
笹「・・・ねえ、こういう反応は分かりきってる事じゃないの?」
荻「え?」
笹「ずっとわだかまっていた事なんだけど・・・、あの・・・こういう知識の無
い中学の友達に見せた時の状況が、予備知識のある俺に見せて同じ反応になるな
んて・・・ありえないよね。もちろん、中学以来、そういうのを俺以外に人に見
せた事無いと思うし・・・」
荻「そんな事はありません!もちろんアレ以来男の人はおろか、大学に入るまで
他人に見せた事はありませんよ!でも現に笹原さんだって、不快に感じたはずで
す!表情見れば分かります!男の人には無理なんです!ましてや本人が描かれて
いるなんて・・・。だから・・・彼は・・・」
荻上の表情が苦悩にゆがみ、自嘲する表情を見せた。
その表情に笹原は少しひるんだ。だがここで逃げてはいけない。そんな気がした。
笹「その過去はもう変えようが無いじゃない!そうやって過去を気にして生き続
けてもしょうがないよ!そんなに昔した事が悔やまれるんだったら、俺が一緒に
当事者に謝りに行ってもいいよ!荻上さんがそれで気がすむなら・・・。」
荻「・・・会ってくれるわけありませんし、会わせる顔もありません・・・いま
だに懲りずに続けてるんですよ・・・やめられないんですよ・・・」
笹「だったらなおさら今が大事じゅない!俺は別に見ても平気だし・・・。そり
ゃあ理解はできないけど・・・それを言ったら俺ら男の二次元萌えだって興味無
い人には理解できないものだと思うし・・・だから・・・」
荻上は泣いてかぶりを振って答えた。
荻「ちがうんです!そんなことじゃないんです!」
笹「違うって・・・?」
荻「わたしが本当に恐れているのは・・・わたしの妄想が・・・わたしの醜い妄
想を見て・・・わたしの心をおぞましいと思われる事が怖いんです!」
笹「そんな事・・・思ってなんか・・・」
荻「・・・そして・・・そして・・・何よりも!自分が悪いのに!本当は巻田君
を憎んでました!わたしを許さず消えた彼を!そしてわたしを裏切った友人も!
そしてそれを許せない浅ましい身勝手な自分を誰よりも蔑み、憎んでました!わ
たしはこういう人間なんです!」
5.《のいばら》(野茨 Rosa multiflora ) 花− 素朴なかわいらしさ 実−
無意識の美
荻上は顔を手で覆って、泣き崩れた。とてもでは無いが、笹原の顔を見ることはできなかった。
そして思った。自分自身認めようとしなかった心の真実に自分はたどり着いた。
こんな自分に愛される資格があるだろうか・・・。
荻「・・・だからこんな自分を消してしまおうと・・・飛び降りて・・・」
(言った・・・。もうだめだ。自分でまた台無しにした・・・。終わらせてしまった・・・。)
そう思ったから、荻上は笹原の次の行動にとても驚いた。笹原は黙って荻上に静
かに寄り添い、荻上をそっと優しく抱しめ、離さなかった。
荻「えっ!?」
笹「もういいよ・・・何も言わなくていいから・・・一人でそんなに苦しまなく
ていいから・・・だから・・・しばらくこうしていたい・・・」
荻上は笹原の腕のすきまから、笹原の顔を覗きこむと、泣いているのに気付いて、
驚いた。そしてうつむき、静かにそのままでいた・・・。
時間の感覚は無かった。まるでこの部屋の空間だけ別世界のような感覚だ。
静かな静寂が二人を包む。
(本当に小さいんだな・・・)
笹原は荻上を抱きすくめ、そのぬくもりを感じながら、そう思った。結局のところ、笹原自身にとって荻上がどんな存在であるか、笹原は理解した。
触れれば刺々(とげとげ)しく、こっちが傷つきかねない。でもその茨の奥に咲く花と実に大分以前から気付いていたのだ。今それを知った。
その花と実こそ自分がずっと求めていたものだった。自分も柔和な笑顔と愛想
の表情の奥に、心の澱(おり)をずっと溜めていた。時として自分を偽る事へ
の後ろめたさ。この真っ直ぐで素朴な心情がどれほど自分の心を動かすか・・・。
ずっと前から気付いていたのだ・・・。
(彼女は俺の表であり裏だ。そして俺も彼女の裏であり表なんだ・・・)
(大きくて、温かい・・・)
落ち着きを取り戻し、安堵の表情で静かに笹原にもたれかかりながら、荻上は
思った。後悔、怒り、憎しみ、恐怖、これらから解放されたわけではない。自
分の醜い心の面と向き合う事はこれからもあるだろう。
でもそれは誰でもあることで、少なくとも自分は一人でそれに向き合う事は無
い事を知った。そして笹原が自分にとってどういう存在であるかが重要であっ
て、自分の妄想が笹原にとってどのようなものであるかが、重要な事ではない
事を知った。
6.《れんげそう》(蓮華草、Astragalu) あなたは幸福です、私の幸福、緩和す
る、あなたが来てくださると私の苦しみがやわらぐ、感化
時は動き出した。
二人は急に「その」状況に気付いた。
笹「ごっごめん!なっなんか妄想はとめられないみたいで・・・」
荻「あっいえ・・・こちらこそ・・・何言ってんだろ・・・」
荻上は真っ赤になってあたふたと笹原から離れた。
笹「あっそうだ!お腹すいたね!外で散歩がてらに何か食べに行こうか!」
荻「そっそうですね!」
二人は外出した。そしてゆっくりと並んで歩いた・・・・。
荻「笹原さん・・・」
笹「ん?」
荻「故郷に蓮華草がきれいな草原があるんです。花盛りにいくとまるで薄青い雲
の上を歩くみたいなんです。いつか・・・一緒に見に行きませんか?」
笹「そうだね・・・。見てみたいね」
9月中旬の気候はまるで小春日和を思わせるような暖かさで、清々しい晴天はその
蒼さを深めていた。二人は穏やかな表情をしながら、黙って歩きつづけた。
>>花言葉
確かに笹が動揺しないように振舞うことは、荻も感付いているような気がするよな〜
過去の罪に向き合うか誤魔化すか、どちらの道を荻上が選んだのか
ぼかしているのが凄く木尾クオリティっぽくて(意図的でなかったらゴメンナサイ)よかったです
来月号の展開として凄くありえそうな気がするSSでした。GJ!
>>292 すみません読んでくれてありがとうゴザイマスとしか(汗)
>>296 ありがとうございます!
過剰な書き方になってしまって、自分でも「予想じゃないじゃん!」と言ってしまいそうな文ですが
やっぱり書かずには、晒さずには居られませんね…。
>>297-308 花言葉
本誌の読み込みが深いですね!というか、意図的に大きく踏み込んで感情を読み取ってる
ところには唸らされました。GJです。
構成としても花言葉を絡めて凝ってますし、二人の距離感や発言も真に迫ってると思いました。
あと、長いのに読みやすいのも素晴らしいです。
>>296-308 長編乙!
荻のイラストを見た時の笹の感想が、俺が理想としてる展開だったんで(・∀・)イイ!!
やっぱ801趣味が無い人には理解できないよね。どんなに荻が好きでも理解できないものはしかたない。
でもそんなの誰だってそうだし、100%理解し合ってる恋人なんていないわけで、
でも理解は出来なくても、相手の趣味を尊重することは出来るわけで・・・
何か上手く言えないけど、とにかく良かった。 本編もこんな感じだとイイな。
>花言葉
酒飲んでるときに読んじゃったんで、うまい言葉が出てこない。
だからひとこと。
泣かすな。
恵子だとクッチーとも絡めるの簡単だし使い勝手の良い子だと思う
池袋の乙女ロードに同人漁るにくるクッチー
池袋で男と揉めてる恵子
野次馬にクッチー・・・どこかで見た顔だな・・・・会長の妹だ
どうすると悩むクッチー・・しかし殴られそうな恵子を見て仲裁に入る
男に絡まれるクッチー、なんだお前とかオタなファッションを馬鹿にされる
恵子に対しても「お前こんなの付き合ってるの」なんて余所見した瞬間に
クッチーの頭突きが男の鼻に炸裂・・・男戦意喪失
クッチーのほほんとその場を去ろうとする
恵子引き止める・・・そして朝チュン
オタクの彼氏をもつ恵子の完成
誰かSSに仕立ててくれ・・・_| ̄|○
笹原と荻上が結婚して
クッチーと恵子が結婚したら
千佳「私あんな人と親戚関係なるのはイヤです!」
>>314 恵子「ワタシだってあんたと親戚関係なんてイヤだっつーの!」
>>314-
>>315 朽木「まーまーまー、ここは親戚間の馴れ合いで、ね、ひとつ!」
荻・恵「おまえが言うんじゃねーーーーっ!!!!」
笹「はは・・・。」
斑「はははは…。(俺と恵子のSSってスルーなのね…。)」
>>313 クッチーだと頭突きだけでは済まないぞ。
戦意喪失したところを髪の毛つかんで膝蹴り連打。
倒れたところを顔面踏んづけてトドメ。
と思いきや、キレて止まらなくなったクッチー、マウント取ってさらに顔面に連打。
さすがにヤバイと思った恵子、クッチー殴って正気に返らせる。
そして2人でトンズラ…
こんな感じかな。
SSスレでのクッチーってかっこよくされすぎ
>>321 十分伏線になりうる行動、盗難事件で活躍してるし。
キレさせたら一番厄介なのは確かw
先月、クッチー 書くの得意な書き手さん居たよね
「じゃあ ソレ書いてみよう」って言ってくれないかな
………まさか練ってる最中?
324 :
花言葉:2006/01/31(火) 23:36:39 ID:???
読んで感想言ってくださった方々、ありがとうございます。これで俺の中で
物語は真実となりました。でも何回も書き直したから、作中で変な表現も
出ちゃいました。まあいいや。あとヒストリアじゃなくヒストリエでしたね。
>>309 「逃げない」って意味が「過去」からなのか、「今」なのかで意味が違ってきますよね。
「巻田」も人格としてじゃなく「罪の象徴」になってるようで、謝罪とか報復とか
やおいをやるやらないという具体的な贖罪での解決というよりも、心の贖罪が必要な気が
するんで、俺のエゴで書いちゃいました!
>>310 最初内面描写に深入りしすぎて、読むに耐えないものになってました。まるで念仏・・・
慰めに花言葉調べてたら、おお、二人の心そのものだ!!と書き直した次第で・・・
>>311 俺も801だめで・・・orz しゅっ趣味の絆より心の絆だよね!(涙)
>>312 すんません。原作の笹荻が泣けば俺のSSも悲しみ、原作の笹荻が笑えば俺のSSも楽しい
ものになってくれると・・・。今は心のままに・・・。
長々と失礼しました。
大胆予想 来月の展開は…「ラフ・メイカー」(BUMP OF CHICKEN)
単に今聴いて思いついただけorz
>>325 知らないから分かんない。どんなイメージの曲なんだ!まさかああしてこうして・・・
くはーありえねー
そろそろ来週予想の展開も本スレでもネタ切れっぽいね。というかバリエーション
出杉。SSスレより妄想暴走し杉。あれだけ出りゃ当りそうなもんだけど、全部
すかした展開だったりして・・・。まだ25日あるんだよー。予想SS以外の新作
マダー?
SS一つ書くのに数日掛かるから まあ今週中にはなんか出します
コレだけ神SSの連投があると梶先生も大変かも〜w
関連スレは確実に先生のインスピレーションに影響を与えちゃうだろうし
特にこのスレを仮に間違って見ちゃったらもー大変、毎月の笹荻展開に
どうしたものかと四苦八苦するんだろーなー
梶「ふぉっ!そうくるか!?神だな、このSSは・・・っとイカン!危うく嵌るトコだったw」(じゅるる・・)
梶「ふふ・・しかーし!こうしたらどうかな?ケッケッケ」(キュピーンン!!カキカキ、シャーッシャーッ)
梶「俺のササオギ展開はこんなもんじゃ怯まねぇ・・・」(コッコッコッコ・・・)
梶「いいぜ・・・いけるとこまで逝ってやる・・・神を更に越えた領域へ――――」(ずばばばばばばー)
まるでコミックマスターJのようだ〜・・・
となってるか?w・・・でも流石に担当の編集さんはチェック入れてそうだから
打ち合わせや作品の方向性を決めるときにそれとなく被らないように
修正してあげてるのかしら?
>>323 多分俺のことだと思うので、ちと近況報告。
正月早々2本ばかし投下した後、パソコンが老衰でクラッシュ。
新しいの買うまでの1週間ほどの間に、俺の脳内のげんしけんサーガが拡がり過ぎて、ただ今それを整理中。
とりあえず書きかけのネタは3本あるが、本業が残業だらけで忙しいので家に帰ると疲れ切っていてなかなか進まない。
ちなみにこの間の土日も仕事だったので、本日で9日連続出勤。
しかもここ数日は本スレとここ読むだけで膨大な時間使ってるから、なおさら進まない。
そんなわけで、来月号までには何本か投下しますんで、気長に待ってて下さい。
>>330 wktkで正座して大人しく待ってます。
>>325 >>328 昨日PCから見た!ワロスwww
オギルームの窓ぶち破るんですか!笹原www
あの動画作った人うまいねー
絵チャで中学オギーが神社で号泣している
絵があったけど、これをSSに起こしたいんだ。
でも作者に了解もらうにはどこに伝
言書いとけばいいんだろう?
誘導と思われたくないし。
>>333 絵チャで会話して了承済み。
僕も書くから貴方も書きましょう!!
それはありがたい!
サンクス!では後日…。
「淡いブルー」なアレを書き直すために、その前のエピソードを「少し」書こうと思ったはずが、
いつの間にやら随分な長さに…。しかもまだ間にもう一つ話が入りそうだし。
とりあえず、きりのいいところまで貼りたいと思います。もし良ければおつきあい下さい。
笹荻成立後の話。
二人が付き合い始めて少しした頃。
その日、笹原はもう何度目かになる荻上の部屋へ訪れていた。
「あ、どうぞその辺に座って下さい」
「うん。あ、これ来る途中で買ってきたんだけど」
そう言ってコンビニの袋に入った飲み物を取り出す。それと菓子類がいくつか。
「すみません、わざわざ」
「いやぁ、事前にメールで何かいるものがあるか聞いても良かったんだけどね。あ、荻上さんも座ったら?」
落ち着かない様子で空いた袋などを片付けている荻上へ促すと、
「は、はい」と躊躇いがちに笹原の斜め向かいへ腰を下ろした。
真正面でも隣でもない、二人の今の関係を象徴するかのような微妙な位置。
そう、二人は付き合うようになったものの、荻上のその雰囲気は今までとあまり変わらぬぎごちないものだった。
以前のように笹原を拒絶するようなことはないが、距離が縮まったとも言えない態度。
そんな荻上の行動を見てふと考え込む笹原。
(確かに付き合い始めたけど、やっぱりまだ遠慮というか、……警戒されてるのかな)
「……あの、どうかしましたか?」
その様子に気付いて、不安そうに荻上が訊ねる。視線を受け、
自分がやや険しい顔をしていたことに気が付いた笹原は、軽く笑顔を浮かべて答えた。
「ん? ああ、いや。うん、大したことじゃないよ」
そのまま少し黙り込んだかと思うと、おもむろに荻上を見て「そっち、行ってもいいかな」と立ち上がった。
「え? え?」
訳も分からず狼狽する荻上を気にした風も無く、テーブルを回り込んで笹原は荻上の後ろに立つと、
そのまま真後ろに座った。
「ちょっとごめんね」
「あ、あの……、笹原さん?」
赤面しながら慌てて振り返ると、思ったよりずっと笹原が近くにいて、荻上は急いで前を向く。
(うわ! うわ! 近ぇ!! って、笹原さん、一体何で突然そんな……)
あらぬ妄想が頭をよぎり、思わず肩に力が入ってしまう。それに気付いた笹原は、慌てて言い訳をした。
「あ、いや、別にそんな、……やましいことをしようという訳じゃなくて」
そう言いながらも、「そう思われてもしようがないよなぁ、と言うか実際したいし」などと考えているが、
それは口に出さず言葉を続けた。
「その、練習をしようと思って」
「練習?」
聞き返しながら振り返ろうとするが、はっと気付いてまた前を向く。
その様子を微笑ましく思いながら、笹原は荻上を抱えるように手を伸ばした。
「あっ、あの! さ、笹原さん!?」
耳まで真っ赤にして体を強張らせる荻上、しかし抵抗する様子はない。
「あ、ごめん。嫌だった?」
急ぎすぎたか、と思い謝って離そうとする笹原に、荻上は首を微かに振った。
「……別に、嫌じゃないデス」
あくまでそっぽを向いたままそう答える荻上の姿に、
思わず笑みをこぼしながら笹原はほっとして言った。
「そ、そう? それならいいんだけど」
そして少しの沈黙。ほとんど密着している所為か、お互いの体温を衣服越しに感じる。
これでそれぞれの位置が逆ならば、「当ててんのよ」ということにもなるだろうか。
(それにしても、荻上さん、いい匂いだな……。うちの妹とは大違いだ)
初めて身近で感じる異性の匂いに、思わず「ワープ」する笹原。心なしか鼻息が荒くなっている。
すぐ後ろにいる笹原の吐息が首もとに当たってこそばゆいので、気を紛らわす意味も兼ねて荻上は先程の質問を繰り返した。
「それで、練習ってどういうことなんですか?」
「へ? あ、ああ、うん。練習ね」
ようやく現実に戻ってきた笹原は、落ち着くために小さく咳払いをした。
そして考えていたことを真剣に伝える。
「えっと、単刀直入に言えば距離感と言うか、人と関わる練習、かな」
「?」
不思議そうに小首を傾げる荻上に、笹原は言葉を続けた。
「俺、今まで女の子と付き合ったことなんてないから、どう接していいかいまいちよく分からなくてさ。
出来れば、その、もう少しお互いに遠慮しないで話が出来るような関係になれればいいな、と思って。
そういう意味で、練習と言うか、少しずつお互いを知っていく、みたいな」
「……はあ」
「いや、座る位置を変えたのはね? その、向かい合って話すと照れちゃうし、
隣同士で目を合わせず話すのもあれかな、と思って。この体勢だと、
お互い顔を合わせなくても相手を感じていられるからで、って別にそんな変な意味じゃなくて」
荻上の反応が薄いためか、言い訳じみた説明を必死に捲し立てる笹原。
しかし、言葉にすればするほど本来の気持ちから遠ざかっているような気がして段々と不安になってくる。
(いかんいかん。落ち着け、俺)
小さく息を吸って無理矢理気持ちを落ち着けると、笹原は仕切り直すように言った。
「その、荻上さんが不安になったり、遠慮しないでいいように、俺のことを知って欲しいし、
荻上さんのことをもっと知りたい。って、ダメかな?」
笹原の問いかけに、小さく荻上が首を振る。
「ダメじゃ、ないです。私も、笹原さんのこと、もっと知りたいですから…」
俯いたままの小さな呟き。
しかし、笹原の耳にはしっかりと届き、それが耳から脳に達した瞬間、心拍数が一気に跳ね上がった。
(え? 何? これって、もしかして「そういうこと」?)
一方的な勘違いにより理性のタガが外れそうになる寸前、荻上の言葉が笹原を正気に戻した。
「あの……」
「ん?」
我に返った笹原は、自制を失っていたことを悟られないよう出来るだけさりげなく返事をした。
しばらく躊躇った後、髪に隠れていても分かるほど耳を真っ赤に染めながら荻上が訊ねる。
「……笹原さんは、その、こんな私の一体どこを、……好き、になったんですか」
最後の方はほとんど消え入るような声で呟いた。荻上の背中から感じる体温が少し上がったような気がする。
それだけ切実な問いということなのだろう。
それを感じ取った笹原は、ゆっくりと言葉を選びながら答えた。
「んー……、そうだね。感情を言葉にするのは中々難しいけど、それでもいいなら」
「はい」
こくりと頷く。握りしめた手の平に汗が滲んだ。
(我ながらホント図々しい質問だぁ)
穴があったら飛び降りて、いや、飛び込んで消えてしまいたいと思う。しかし、荻上にとってはどうしても聞いておきたいことだった。
自分で自分が認められない。それなのに、そんな自分を受け入れてくれる。
その気持ちはすごく有り難いと思うし、信じたい。
だけど、自分を否定しているためにどうしても認められない。
そのために、どうしても今でも笹原に対して一歩距離を置いてしまう。
このままではいけないと分かっているのに。
(笹原さんも距離感の練習って言ってた。私も、近づく練習をしないと)
そんな荻上の思いに応えるように、笹原はようやくまとまった思いを口にした。
「…俺が荻上さんを好きなのは、いつも一生懸命で、時々暴走しちゃうこともあるけど、でも実は割と周りに気を遣ってもいて、そういう不器用だけど、一途で、……優しいとこかな」
「…………」
笹原の言葉は確かに荻上に聞こえていた。その証拠に何度も頭の中で反芻している。
(優しい? 今、優しいって言った? 私が? 笹原さん、一体誰のことを言ってんだろ)
意外な言葉に動揺を隠せない荻上。そして笹原もまた、何の反応も示さない荻上を見て戸惑っていた。
(あれ? 俺、今まずいこと言ったかな)
そうした突如訪れた気まずい雰囲気の中、何かを堪えるように荻上は口を開いた。
「一つ、聞きたいんですが」
「何?」
「……優しいって、私がですか?」
「う、うん。そうだけど」
その答えで堰が切れた。
「前にも言いましたよね」
出来るだけ低く抑えていたトーンが徐々に上擦っていく。
自分が感情に飲まれていくのが分かる。けれど止められない。
「私は、前に笹原さんに言ったとおり、人を傷つけて……、
それでも自分の欲望のために同じことをやめられずに繰り返している!
そんな人間なんですよ!? それのどこが……」
ダメだ、と思った。こんなこと言いたくない、と。
けれど、一度頭に上った血はそう簡単に抑えられるはずもなく。
「そんな人間のどこが優しいって言うんですか!!」
気が付けば、俯いたまま爆発していた。わなわなと震える細い肩。
(私、また……)
自己嫌悪に苛まされる。笹原の見ている自分と、自分の思う自分との乖離。
そのギャップに寂しさと不安と怒りが入り交じった、例えようのないほどのどす黒い感情が渦を巻く。
高ぶった思いがそのまま涙へ変わろうとした時、後ろから回されていた笹原の手に、そっと力が込められた。
「ごめん、上手く伝えられなくて」
同時に耳元で聞こえる、少し不安そうな優しい声。
ただそれだけで、自分でも驚くほど気持ちが落ち着くのを感じた。
(……笹原さんはずるい)
そう思いつつも、笹原の手にそっと触れてみる。顔は見えなくても、確かにそこにいるという実感。
笹原が最初に言ったことが何となく分かる気がした。
軽く息を吐いて顔を上げる。
「私の方こそすみません。自分で聞いておきながら、取り乱してしまって」
素直に謝る。そうすることで、心が軽くなるのを感じて少し戸惑った。
「あぁ、うん。…まぁ、それは俺の所為でもあるし、気にしないで」
先程より少し離れた位置から笹原の声が聞こえる。
「ただ、俺はやっぱり荻上さんは優しいと思うよ」
自分を責め、嫌ったままの荻上。
そんなことを放っておくことは出来ず、笹原は再び同じ主張を繰り返した。
自分の好きになった人の良いところを、好きだからこそ、その本人に一番分かってもらいたい。そう考えて。
「……それは、どうしてですか?」
今度は冷静に聞き返すことが出来た。
そのことに笹原も安堵し、荻上の肩越しに様子を窺いながら慎重に口を開いた。
「過去のことは、もう起きてしまったことだし、俺は何も言えないし言わない。
けど、荻上さんはずっとそのことを悔いて、人を傷つけたくないって思ってきたんだよね?
そういうのって、……やっぱり俺は優しさだと思うんだ」
笹原の言葉が胸に響く。
けれど、長い間刻まれ続けた心の傷はそう簡単に消えるはずもなく、どうしても素直に受け止めることが出来ない。
「でもっ、やっぱり、また描いてしまってるわけですし……」
そう言ってまた項垂れる荻上に、笹原は諦めず言葉をかける。
「うん、だけど前にも言ったよね。妄想は誰にも止められないって。
それに、今回のは俺が何も言わなかったら、誰にも知られずに済んだわけだし、
荻上さんは人を傷つけたくて描いたわけでもないんだし」
笹原の言葉を荻上はただ黙って聞いている。
「だから、気にしないでとは言わないけど」
「………………」
「そんなに、自分を責めないで」
涙が溢れたのは、笹原の声が優しかったからか。
それとも、それがずっと聞きたかったと望んでいた言葉だったからか。
笹原の腕に手を重ねたまま、静かに荻上は泣いた。その涙は決して悲しさから来るものではなく、
どちらかと言えば久しく味わったことのない、暖かさから来るものだった。
そのまま少しの間、荻上は泣き続けた。やがてその泣き声が小さく治まった頃、笹原はそっと声を掛けた。
「大丈夫?」
「……すみません、何かいつもこんなとこばかり見せて」
まだ少し鼻声のまま答えると、荻上は何かをきょろきょろと探し始めた。
「?」
「あ、あの。ちょっといいですか?」
そう言うと、笹原の腕をそっと外して立ち上がる。
「すみません、すぐ戻りますんで」
そのままそそくさと部屋を出る。笹原は少しぽかんとした後、「ああ」と頷いた。どうやら荻上は洗面所へ向かったらしい。女として泣いた後というのは色々と気になるものなのだろう。
笹原は何となく息を吐くと、買ってきた飲み物が袋から取り出してそのままになっていることに気が付いた。
(コップとか、…いるかな)
自分の分はそのままでいいやと目に付いた一本を手に取る。
蓋を開けて喉に流し込むと、生き返ったような心地がした。
(もっとしっかりしないとな)
一息ついて落ち着いたのか、冷静に自分に言い聞かせる。
何となく、飲み慣れた缶コーヒーがいつもより甘い気がした。
(ブラックにすれば良かった)
そんな事を考えているうち、荻上が戻ってきた。
目元にまだ少し赤みが窺えるが、黙っていれば分からない程度だ。
「おかえり、荻上さんも何か飲まない? もうぬるくなってるけど」
努めて明るく声を掛けると、荻上は「あ、じゃあ私、コップ取ってきます」と再び部屋を出ていった。
コップを持って戻ってきた荻上は、何か迷っているような様子でテーブルと笹原の間をちらちらと見回した。
「どうしたの?」
笹原が訊ねると、「あ、いえ」と口ごもってまだ何かを躊躇っている。
不思議そうな顔で見守っていると、荻上は笹原の隣に歩み寄り、
「失礼します!」とやたら気合いの入った声で断ったかと思うと、そのまま腰を下ろした。
恥ずかしさの所為か、首もとまで真っ赤になっている。
一瞬呆気に取られた後、笹原は荻上の行動の意味を知って赤面した。
触れ合うほどの距離ではないにしろ、確かに隣に彼女がいる。
ついさっきまでは斜め向かいに座ろうとした彼女が。
口にするとせっかくの空気が壊れそうなので、意識して全然関係ないことを口走る。
「あ、ええと、荻上さん、どれ飲む?」
「え、あ、じゃ、じゃあ、私はこれを」
「あ、俺が注ごうか?」
「い、いえ、自分で注ぎますから」
ぎくしゃくとしながらも、確実に距離は縮まっている。
お互いを意識するあまり、会話は途切れ、ふと顔を上げれば目が合い、そしてまた黙り込む。
話を振ろうとすれば声が重なり、相手に譲ろうとすれば相手も譲る。
今だけしか味わえない、特別な空気。意識すればすぐに消える。
けれど、それは今、確かにそこにあった。
緩やかに流れる時が二人を優しく包んでいた。窓の外では夕日が空を染め上げている。
笹原と荻上、二人にとって特別な一日は、けれどまだ続いていくのであった。
>>テーブルの距離
やっぱり人の書いたSSは萌えますなぁ!毎度毎度ありがとうございます!
しかし笹やン、いきなり後ろ抱きに座るの距離感が不自然過ぎて、逆にリアルなのかも。
>テーブルの距離
「淡いブルー」に続いてGJ!!
甘甘wwwwwww 思わず口元が「にひっ」って緩んじゃいますwww
あなたこういうの書かせたら天下逸品ですねー。
349 :
マロン名無しさん:2006/02/02(木) 02:09:44 ID:4Yhty5w8
「淡いブルー」と聞いて
転んだ荻がスカートを押さえて上目づかいの涙目で、顔真っ赤にして
荻「みみみみ、見ました?見ました?」
笹「いやその、みみ、見てない。見てないよ!」
笹(うわ、し、しろ?いや、淡いブルー?)
荻「…ほんとうに見てませんよね?」
って、ベタなラブコメを思い付いたのだが
「淡いブルー」本編はそういう話か?
ここは東北、2000年の春。
中学校の廊下に貼られた紙に、生徒が群がっている。
中島「荻上ー、3年は一緒のクラスだねぇ」
荻上「えー、ほんとー?」
人だかりに入っていけなくて、少し離れた所に居た荻上は、後ろから突然
肩を抱かれたてたものの、同時に手の感触で同じ文芸部の中島だと気付いて、
特にびっくりしたり叫んだりすることも無かった。
中島「なんか文芸部が集まってるみたい。楽しい1年になりそうだぁ」
荻上「2年は私、一人だったからなァ」
中島「寂しかったよねー。カワイソ」
荻上「ん………」
中島「ま、荻上はうちの部の秘密兵器だからね!私としても、手元に置いておきたいわけよ!フフフフ…」
荻上「また悪の黒幕女ごっこ? でも私なんも出来ないしナァ…分厚い眼鏡だし」
中島「ま〜たぁ!爆弾発言と絵、楽しみにしてるよ〜、萌・え・る・の!」
荻上「………!!」
中島「それに眼鏡がいいんじゃないの。眼鏡っ子萌えが最新流行だべ」
そう言いながら、荻上の眼鏡を奪うと自分にかけてみる中島だった。
荻上は中島に眼鏡を抜かれる間は無抵抗だったわけだが…。
中島「うっわぁ、何だコレ、目ぇ痛てぇ」
荻上「け、けぇしてよー」
中島「あははは!ゴメンゴメン。じゃ、またあとで教室でね〜」
眼鏡を荻上に手渡して去っていく中島を目で追い、しばし立ち呆ける荻上だった。
荻上『中島とかぁ。嬉しいな。私なんてちんちくりんで眼鏡で、人とも話せないし、文芸部なのに文もあんま上手くないし』
『その点、中島は美人だし、優秀だし、頼れるし…。そこに痺れる!憧れるゥ!ってかぁ』
嬉しそうにニマっと笑うと、人が少なくなってきたクラス分け表の方に向かっていった。
まだ寒さの残る下校の道すがら、女生徒の一群は騒がしい。
藤本「今日の中島の新作、すごい良かった〜。爽やかに萌えるというか。」
三編「主人と召使の関係かと思ったら熱い友情って設定が中世というかファンタジー?」
藤本「あれは題材アレでしょ、イギリスの……」
三編「指輪盟王物語ね〜。今度、映画になるみたいよね〜」
中島「まぁ私はもう2回読破してるけどね。で、今は荻上に貸してるんだけど」
荻上「………主人の方が攻めかと思ったら受け、というか主人公総受けだべ」
中島「うは!出た!荻上の審判が下ったべな(笑)」
藤本「うわー読んだの?あれ、1巻の途中で辞めちゃったよー。長そうだし面白くなってこないし」
中島「あれはね〜、1巻過ぎると面白いんだよ。荻上は根性あるからね!」
荻上「はは………」
荻上『中島に借りて、読めなかったなんて言えないサァ』
三編「私は映画だけ見る〜」
中島「もー文芸部らしくない発言だァ。世界の名作だよ?」
三編「中島先生には敵いませんわ〜」
藤本「ところでさ、もう1ヶ月経つけど新しいクラスの男子、どう?カップリングできてねぇ?」
中島「あぁ、坊主(仮名)と巻田ねぇ。ずっとつるんでるよね」
三編「二人組みなら他にも居るけど」
中島「ははっ!それは――――」
荻上「……萌えるカップリングじゃないと認定できね」
中島「うん、鋭いね!そうなんだよねぇ。線が細いというか綺麗というか……」
三編「成績も優秀なんだべさ〜」
藤本「お母さんが教育熱心で有名なんだよ!」
荻上「………」
藤本「巻田ってさ、荻上とずっとクラス一緒じゃねぇ?」
荻上「うん、そうだけんども……」
藤本「何かと近いでしょ。仲良く無いの?」
出席番号が、巻田は男子で最後、荻上は一番前なので、行事などの際には近くに居る事が多いはずだった。
三編「荻上ちゃんにもロマンスがっ!?」
荻上「ふへっ??そ、そんな……」
中島「やめなよー 荻上をからかうんじゃないの!私のなんだからね……なーんちゃって」
荻上は赤面して歩みを早めると、自転車にまたがった。別れ道に差し掛かったところだ。
藤本「じゃ、ばいばい」
荻上「んーー」
そうしてまた数日が過ぎる。
昼休みともなると、廊下で、運動場で、遊びまわる生徒が多い中…。
文芸部一派と一部の男子生徒インドア派は教室内に居た。
そこへ戻ってきた、荻上と巻田。
巻田「お疲れ様、次の実験が楽しみだよ」
荻上「え?そう――」
坊主「おかえり、理科係のご両人―――」
中島「オギウエー。早くこっち来なよ〜」
荻上「え?何〜?」
小走りに、女子の一群に向かう荻上を、苦笑交じりに眺める巻田と坊主だった。
中島はといえば、満足げな様子で荻上を迎え入れた。
見ると、三つ編みの子は中島の手によってウェーブがかったポニーテールに改造されている。
中島「こっち座りナよ」
荻上「ちょ、やめてよー」
中島「荻上ー、髪型そろそろ変えないの?」
荻上「えー」
中島「次の文芸部の本の表紙って何の絵にするのさー?」
荻上「それは………」
言いながらも、荻上は大人しく中島に髪を解かれているのだった。
無邪気にじゃれあう女生徒たち…といった風景に、周りの男子達も和んでいた。
しかし連れションの姿に噂を立てられているとは、男子中学生には思いもよらないのだった。
しかしそんな日々も変化を迎える。
夕方、神社にて――――。
巻田「呼び出しちゃったりして、ごめんね(苦笑)」
荻上「ううん」
荻上『え?え?なんで?ひょっとして?でもそんなわけないし』
巻田「その……つ……つき………」
荻上「…………」
荻上『つきあうって?いや、そんな、私の訳が無いじゃない?背が低くて、眼鏡で、地味で、暗くて――』
巻田「いや、うん……と、友達から…友達からでいいから、付き合って貰えないかな?」
荻上『うわーっ!?わ、私で良いの?えーーっ、でも…でも…巻田君なら……いいかな』
『んだども、恥ずかしいべ……みんな、なんて言うか…私なんかに、か、彼氏が出来たら!?』
荻上「……し しばらくみんなに 黙ってんなら」
巻田「ほんと!?良かった〜。ありがとう…」
荻上「ううん」
荻上『まだ、なんか信じらんね』
信じられなかったのも束の間。翌日から帰りの神社での逢瀬は日課となった。
巻田「それでね、昨日のNHKでやってたガイアに乾杯って番組で――」
荻上「へ〜〜〜」
荻上『普通に男の子と話せてるっていうか、巻田君って穏やかで話し易いなぁ…』
巻田「荻上さん、今度、こないだ言ってたアレ持ってくるから貸してあげるよ」
荻上「え?ほんと?読んでみるわ〜」
荻上『これが恋ってもんなのかな?ううん。解からない。けど……』
荻上「ありがとう、巻田君」
巻田「いいっていいって」
荻上「そうじゃなくって、ね」
巻田「うん?何が?」
荻上「ふふ、内緒(笑)」
はははと笑いあう二人だった――――。
しかし……。業の深さか、計略か。
遅い夕暮れ時のこと、ライトもつけず、スカートの捲くれも気にせず
自転車で疾走する女生徒の姿があった。荻上だ。
頭の中には、さっきまでの校長室での先生方の視線の刺さる感覚。
そして巻田の母の台詞が渦巻いていた。
「信じられない!こんな気持ち悪いものを…!」
「可哀そうにもう、寝込んで…部屋から出て来れないんですよ?」
「あなた恥ずかしく無いの?クラスメイトのこんな――」
「全く理解できないわ。なんでうちの子に近づいたの?」
「私はあなたのご両親に会いに行きますけど、絶対うちに来ないで下さいね」
「とにかくもう、このまま転校させますから」
自分の心もぐるぐると渦巻き始める。
『何が起こったの?』
『アーア、最悪ノ事態ダナ。自業自得ジャナイノ』
『これからどうしよう…どうしよう…』
『時間ガ戻レバ良イノニネ。りせっとぼたん探シタラ?』
『なんで巻田君に渡ったの?』
『ソリャ中島に渡シタンダカラ他ニ可能性ナイヨ』
『そんな、そんな、信じられない…信じてたのに…友達なのに…』
『ソーダソーダ、中島を憎メ。楽ニナルゾ』
『描いたのは私だ!なんで?なんで描いたの?私―――』
『自分モ楽シンデ描イタジャナイカ。何ヲ言ッテルンダ』
『そうだ何を言ってるんだ何を考えてるんだもう終わったんだ終わったんだ』
『終ワリジャナイヨ始マリダヨ』
『終わってるよ、明日からの事なんてもう終わってるよ!』
『自分ダケ苦シムノハ納得シテルノ?』
『あーもう!あーもう!あーもう!』
その時、神社の前を通りがかった。
思わず自転車を止める荻上。
自転車のスタンドも立てずに倒したまま、ヘルメットも被ったまま境内へ。
いつものように、そこに巻田が立って、待っている気がした。
頼りないような、ひたすらに優しい笑顔。
荻上「巻田君――」
薄暗い神社に自分の声だけが吸い込まれていく。
声に出してしまって激しく後悔した。
居るわけが無いのだ。
荻上『そうだ、もう二度と会えないんだ。巻田君は転校するんだ』
『私のせいだ。私が傷つけて、私が裏切って、私が―――』
『お母さんじゃなくて、巻田君に謝りたいっ………』
『感謝していたのに、本当なのに』
『もう会えないんだ』
よたよたと歩きながらいつも立っていた手水あたりまで来た。
先週までと同じ光景のはずなのに、何もかもが違っていた。
荻上「………ごめんなさい」
声に出してみた。
何の反応も無い。
しかし、荻上には声に出して、此処で、謝る。それしか出来なかった。
荻上「――ごめんなさい―――ごめんなさい―――ごめんなさい――」
全てを投げ出して倒れても、延々と、それだけを言い続けた。
うわ、すみません(汗)カウントミスで7レス分で終了でした……。
ほんとは飛び降りの時とか、飛び降り後も延々と続けようと思ったけど
精神的に持たないので諦めました。
では失礼しました。
>>テーブルの距離
いいですにゃ〜。
徐々に詰まる二人の距離、か。
>>ブラックアウト
心に刺さる・・・。
この辺のことを考えるだけで結構つらくなる私でありまして。
嫌な思いであるからな〜。中学ん時。
>ブラックアウト
あの原作の中学荻話だけでもトラウマもんなのに、さらに深く掘り下げてどうする!
あんたは東條昭平か!
(褒め言葉の積もりです)
(注釈)東條昭平
「帰ってきたウルトラマン」の「怪獣使いと少年」の監督。
この話は民族差別問題を宇宙人に置き換えて真正面から描いた名作だが、暗い重い救いが無いの三拍子揃った内容ゆえに、特撮オタの間での好き嫌いは真っ二つに分かれる。
東條監督は、脚本の上原正三が「これちょっとやり過ぎたかな」と後で反省した暗い陰惨な脚本を一部手直しし、さらに陰惨さをパワーアップして撮影。
その為初号フィルムはテレビ局側からダメ出しを喰らい、一部撮影し直された。
だってウチ、パン屋だモン!
>ブラックアウト
お見事!!俺が思い描いていた光景にぴったり!ありゃ?早いね。
俺もこの神社の光景、今晩書こうと思ったけど寝ちゃったい!はは(汗)
中島との交友とか、ヤオイ会話とか、巻田とのデートの会話もいいね!
んー、もう十分完成してるから、どうしようかな。少しだけ、神社の光景だけ
食い違わない程度に俺も書いてみていいかな?
365 :
神社0−3:2006/02/02(木) 06:57:06 ID:???
書いちゃった!!小一時間で!自己記録かもしれない・・・。イメージ貸してもらった
から、書き進めやすかったけど。重複、食い違いしないように気をつけたつもりだけど、
荻上の最後のセリフだけは付け足したかったので、ご容赦!SSのさらに
サイドストーリーという事で!(汗)
366 :
神社1−3:2006/02/02(木) 06:58:12 ID:???
先生「・・・んだら、これ、おめが描いたんだな・・・」
荻「・・は・・・い・・、文芸部の活動で・・・」
荻上の視線は校長室のテーブルのイラストから離れない。先生の声も虚ろな
表情で聞いている。
先生「・・・んー、したら、おめここで待ってろ。文芸部の連中にも事情聞
いてみっがら」
担任は困った表情で校長室を出る。荻上は校長室に立ちすくみ、巻田の母親
の冷ややかな視線を感じて、顔面蒼白になっていた。
文芸部のみんなが校長室に入る。皆も緊張し、表情は青ざめている。
先生「別室で一人一人事情聞いでみっがら・・・校長先生、隣の会議室借り
ます・・・」
文芸部のみんなは一人一人呼ばれて、先生の質問を受けている。荻上は最後
だった。部屋越しに途切れ途切れ会話が聞こえる・・・。
「んだから・・・小説が多すぎて・・・先にイラストから試作で作っぺって・・・」
「・・・いつも・・・荻上には文芸部の作品の挿絵書いてもらってますよ・・・」
「・・・んだから・・・あたしも・・・分がんねです!なして・・・」
「・・・試作したのは一部だけで・・・誰がコピーしたのか・・・」
367 :
神社2−3:2006/02/02(木) 06:58:51 ID:???
最後に荻上が呼ばれて質問を受けたが、イラストが自分の描いたものである
こと、中島に手渡してからは、その経緯は分からないとだけしか答えられな
かった。
先生「大体、事情は分かった。この絵は荻上ので間違いは無いんだな」
中島を始めとして、文芸部のみんなは黙りこくり、小さく頷いた。
先生「・・・巻田・・・部屋から出てこねんだと・・・お前らはもう良いか
ら、教室さ戻れ。荻上・・・おめはもう少しここさいろ・・・」
荻「はい・・・」
その後の事は荻上もよく覚えていなかった。巻田の母親は散々荻上をなじり、
とうとう荻上の親まで呼ばれる事になった。荻上の両親は深々と巻田の母親
に頭を下げ、謝罪した。その姿がさらに荻上の胸を痛めた。
荻「・・・あの・・・巻田君さ・・・謝りてえんですけど・・・」
小さい声で荻上はそう言ったが、まわりの声にかき消された。
その日は荻上も下校してよい事になり、両親と校長室から出た。学校から出
る時、中島ら文芸部のみんなが心配そうに声をかけた。
中「・・・荻上・・・大丈夫?」
荻「・・・ん・・・心配しねで・・・おがしな事になったなあ・・」
荻上は精一杯笑って見せた。
368 :
神社3−3:2006/02/02(木) 06:59:41 ID:???
親「したら、あたしたちは巻田さんちさ行って、改めて謝罪してくっから・・・
あんた先に帰りなさい」
荻「あたしも・・・」
親「あんたはいいから・・・もう表に立たなくていいから・・・」
荻「・・・ん・・・」
荻上は自転車で家路についた。
自転車をこぐペダルが段々早くなる。
(あの場所にいる・・・いてくれる・・・あの場所に・・・)
荻上は息を切らせて「あの場所」についた。
荻「いねえ・・・」
荻上はへたり込み、崩れ去るように後ろに倒れこみ空を眺めた。
両目から涙が溢れ出し、止めることができなかった。目がかすみ何も見えな
かった。手で覆っても涙は止まらなかった。
荻「――ごめんなさい―――ごめんなさい―――ごめんなさい――」
静寂が包む「その場所」に荻上の声だけが響いていた。
>>神社
あああああああ
心が痛む・・・。
それでも読むのをやめられないのもまた業か。
>神社
だから掘り下げるなって!
あんたは佐久間良か!
(これも褒め言葉の積もり)
(注釈)佐久間良
「怪獣使いと少年」の登場人物。
病気で故郷の星に帰れなくなった宇宙人の老人を庇って、地元の中学生から陰惨ないじめを受ける。
作品中で、宇宙人が念力で地下深く埋めた宇宙船を延々シャベルで掘り続ける。
>>ブラックアウト
>>神社
読ませていただきました。朝からヘビィなのを二つもw
あま〜いSSが続いていたのでカウンターでダメージ倍増。更に第44〜46話を思い出して泣きそうになる。
が、これがあるからこその現在の展開と思うと…
これで笹荻不成立だったら…梶は神か悪魔か。
372 :
マロン名無しさん:2006/02/02(木) 11:24:27 ID:CWDUooI0
朝っぱらからなんてモノを読ませるんだ!
ナカジとの仲良し描写とかいいな。
ベルセルクの鷹の団の時期というか、
その時がよかっただけあとの悲しさが際立つみたいで。
ふたつ合わせると完成するな、これ<ブラックアウトと神社
374 :
神社:2006/02/03(金) 00:05:48 ID:???
けっこう朝から見てる人いたのね・・・。(汗)
とりあえず、読んでいただいた方ありがとうございます。
落ち込ませる気は無く・・・。俺も書かないと気が狂うんすよ。
ネタの絵考えた人すごいね。あの光景にとりつかれちゃたから。
次は明るいのに挑戦しますんで・・・(汗)
確かにブラックアウトと合作と言ってもいいかも。思えば平和な学生生活との
明暗の対比がいいね、改めて読んでみると。俺は暗に徹してたなー。
>>361,
>>362,>.371,
>>372 読んでくださってありがとうございます。
痛いの好きな人に捧ぐ…って感じですので、ご容赦下さい(汗)。
意図的に明暗を出したので、そうですねベルセルク的ですね。
特撮薀蓄リアクション面白かったです。
>>364-368,
>>374 神社
了解を取り付けたのが3日前なので、既に作り始めて3日目だったんですよ。
書くのすごく早いですね。僕は7レスに3日…。
神社の部分は、僕には書けないところだったので感謝です。
44話「目眩く」で校長室に入った時に右のソファに座ってるのが巻田母かと思ってましたし
荻上さんと巻田君の距離感設定が違うので、神社に向かう描写も違ってきていて、
自分の書いたのにも納得してますけど、貴方の書いたのも楽しめました。
どっちもありですね!
また先月みたいに甘い笹荻を書くか、毒を出し切れてなくてまた鬱なの書くのか
自分でもまだわかりません(汗)。
荻上がガッツか…
さぁ週末!一週間たまりにたまった妄想を解き放つときだ!
絵板に描いた絵に付いたレスにインスパイヤされて書きました。ガンダムネタっす。
舞台は、前線とはいえ敵味方ともに見捨てた地域。
MSは壊れかけのジムが1機、放置されたザクを直したのが1機なんて島流し状態な部隊のお話。
基地とは名ばかりのバラックで今日もまったりな801小隊。
そんなある日、轟音と共にMSらしき物体が上空を掠め、裏山に墜落した。
マダラメ小隊長以下、ササハラ、クチキの3名は偵察および監視のために出動したのだが…
マダ「あー、こりゃ酷いな」
ササ「ザク…じゃないですよねコレ」
クチ「ジオンの新型ですかにょ〜?」
基地から20分ほどビークルで走った谷間にその鉄屑の山はあった。
所々から煙や火花が出ているモビルスーツであっただろうその塊。
上空から落ち、いや、かなりの高速で飛行中に山にぶち当たり、この河原まで落ちてきた事は
山腹からここまで大きくえぐられた山肌と、それに沿って散らばった無数の部品が教えてくれた。
マダ「どーだ、使えそうなモンあるか?」
ササ「なに言ってんすか!生存者捜索が先でしょ?」
マダ「はぁ?この落ち方じゃ助からんだろうフツー。それに落ちて2時間はたって…」
ササ「クッチー、頭部見てきて。コクピットそっちかも」
クチ「イエッサー!あのフデっぽいの付いてるのが頭ですにゃ?うわ、まだ熱いですにょ〜」
ササ「気をつけてね。…くそ、大型工具いるな」
マダ「そんなもん持ってきてネーヨ。大体俺たちの任務は調査団が来るまでの監視…」
ササハラは聞こえないのか無視しているのか、ガレキのあちこちを引き剥がす作業をやめない。
まあ持って来ようにも、連邦から見捨てられたような部隊に本格的な救命工具があるはずもなく、
使えそうな物と言えば墜落した輸送機の部品を改造したタナカ特製ジャッキくらいだ。
マダ「…しょーがねぇなぁ…ほれ、ササハラ!エアジャッキ」
ササ「あ、ありがとうございます!」
マダ「気ぃつけろよ。変なとこ開けて放射線漏れなんてシャレにならんからな」
ササ「…やっぱここが一番怪しいっすね。削れてるけどこれ、強制排出ボルトっぽいし」
マダ「よし、どいてろ。いくぞ」
マダラメはタナカ特製スーパーマトック(どう見てもツルハシです)を力任せに振り下ろした。
ガキーン!ガキッ!ゴリッ!
ササ「あ、そんな乱暴にやったら」
マダ「バーカ、このハッチっぽいやつだけで100キロ以上あるだろ。くそ、クガヤマ連れて来るんだった…」
ササ「あ、動いた。そこです隊長!」
マダ「それに助けるんなら1秒でも…ほれ、ジャッキ挟め!早く」
ササ「あ、はい」
マダ「いっせーの!」
ササ「セイ!」
どうしようもなく堅く閉ざされたハッチが、少しずつ開いていく。
どうにか頭ひとつ入る隙間に飛び込もうとするササハラ。
マダラメはその襟首をつかんで引き戻す。
次の瞬間、金属がちぎれる不快な音と共にハッチは5メートル下の谷川に落ちていった。
マダ「危ねぇ…頑丈なようで結構脆い…」
ササ「誰かいるかー!助けに来たぞ!」
真っ暗なコクピットからヒヤっとする冷気が流れ出す。
安っぽい懐中電灯の照射範囲の狭さに毒づきながらササハラとマダラメは
45度に傾き、配線とパイプが散乱する瓦礫の中に潜り込んだ。
マダ「…返事ねーな…どうだ?何か見えるか?」
ササ「なんで薄目なんですか?」
マダ「俺スプラッタはちょっと苦手なんでナ」
資料で見たザクの内部とは違い、球形に近いその部屋には
あるはずの操縦席はなく、川に水没はしていないだろうにもかかわらず
ハッチより下の部分は水、いや何かの液体が溜まっていた。
なぜかそれを「涙だ」と思ったササハラが視線を上に向ける。
そこにいた。まるで磔られたように宙に浮かんだパイロットが。
ササ「……あ、あれ…こ、子供!?」
マダ「なに?子供!?ちょっとライト貸せ!」
ササ「どうですか?」
マダ「…んー、子供っつーか…女?女の子?女性?」
ササ「え?」
オギ「……ん…」
ササ「生きてます!おい、今助けるからな!しっかりしろ!」
マダ「マジか?ノーマルスーツのおかげかな?奇跡的だな」
ササ「この壊れ方ですからね…」
マダ「ジオンの驚異だな。あ、動かすな。応急処置できそうならしとけ。増援と衛生兵呼んで来る」
一人残されたササハラは、瓦礫を積み上げてパイロットに近付いた。
無残に拘束されているように見えたが、球の中心にフレームでパイロットが固定される、
そういう構造のコクピットのようだ。
脈を診ようと思ったが、配線がからまった分厚いグローブがそれを断念させ、
ササハラはパイロットの胸に耳を当てた。
ササ「うわ…たしかに…女の子だ…」
多分耳まで真っ赤になっているだろう自分を卑下しつつひたる
その感触の余韻は、少女のうめき声によって遮られた。
オギ「…う…うう…」
ササ「しっかりして。助けに来たよ」
オギ「…誰?」
ササ「もう大丈夫だ。すぐ出してあげるからね」
オギ「…また…死にそこねた」
ササ「え?」
オギ「邪魔するなぁ!!!」
ササ「うぐ!?…」
すごい勢いで少女の手がササハラの首に伸びる。
正確に気道を捉えたそれは、多分彼女が正常な状態ならば
ササハラの親族は、彼の遺品と2階級特進の書状を受け取っていただろう。
オギ「お前が…お前みたいなのがいるからぁ!」
ササ「…ははっ…それだけ力が…あるのなら大丈夫だ…よかった」
オギ「…え?……よかった?…」
ササ「うん」
殺されかけているのに、ササハラは嬉しかった。
なんのために戦争をしているのかわからなかった彼に、ただなんとなく毎日を送っていた彼に訪れた何か。
それが何かわからなかったが、ササハラは今、確かに充実感を、そして生きている実感を味わっていた。
オギ「………なんでそんなに嬉しそう…なん…」
ササ「ゲホっ…あれ…君?君っ!…」
再び深淵の中に落ちた少女に、ササハラは呼びかけ続けた。
少女は担架に乗せられ、赤十字のついたトラックに運び込まれていく。
衛生班のオーノはそれを見送りながら、しつこく容態を聞くササハラに
少し意地悪したくなった。
オー「今夜がヤマだ」
ササ「え?えーっ?ちょ、オーノさん、なんとかしてください!そうだ、今度の休暇譲りますから!」
オー「2日」
ササ「え?」
オー「休み2日くれたら考えないでもないです」
ササ「わ、わかりました。隊長!俺の次の休暇いつですっけ?」
マダ「ササやん…必死だな」
オー「ほんと…なんか私、かなり後悔シテマス。からかったの」
ササ「え?ええー?」
オー「クスクス、心配しないでいいですよ。頭部、脊椎にも特に損傷はないようですし」
ササ「よかったー。じゃ、大丈夫なんすね?」
オー「精密検査は必要ですけどね。でもまあ腕一本で済んだなんて」
ササ「信じられないっすよねー」
マダ「よっぽど落ち慣れてんだな」
ササ「…はは」
オー「じゃ、じゃあ搬送しますよ。あとはよろしくです」
マダ「…ん、まああれだ、ササハラ、お前も乗ってけ」
ササ「え?俺?」
マダ「お前が助けたんだから最後まで看取って…いや責任取れ」
ササ「ええー?」
マダ「報告書も書いとけよ。ヒヒヒ」
夕日に向かって走り去るトラックを見送ったマダラメは、ササハラに言った事を少し後悔した。
マダ「ジオンの未確認モビルスーツとそのパイロットか…ウチらには荷が重過ぎるわな。すぐに移送され…」
クチ「たいちょー!こっちにはコクピットナッスィーン!でありますにょ〜!」
マダ「…ふぅ…クッチー!そのまま本隊調査団がくるまで待機!……長い夜になりそうだわ」
おしまい
以上でございます。妄想すぎてゴメンナサイ。
続きは壮大なドラマになりそうなので俺にはムリですw
失礼しますたー
>>第801小隊
そのレス書いたの俺だわさw
いや〜、いい感じですね。
実は、そのあとの展開も異常なほどに妄想が膨らみきってたりしますが、何か?
ガンダムの最終回っぽいテイストで書き連ねたネタがあふれてますよ。
異常に長くなったので、お蔵入りwwww
あはは〜〜。妄想は楽しいな〜〜。
というか自分がちょっと出涸らし…
こんな丸投げは嫌です!
>第801小隊
タイトルだけで吹いたwww
マジ、面白いし描写巧いわ。設定もげんしけんキャラぴったり。
俺も続投キボン
392 :
387:2006/02/04(土) 02:11:37 ID:???
ガンダムパロ書きTEEEEEEEEEEEEE!!
>>386の許可が出れば続き書いちゃうかも。
けども、今は書き上げた斑目ものを投下する。
自分で書いた「未来」の裏ストーリーというか、
斑目さんを書きたかったんですよ。単純に
9レスで投下。
「ムシャムシャ、ムグムグ・・・。」
合宿の次の日、斑目は一人現視研部室にいた。
社会人とはつらいもので、長期休暇をとった後は確実に仕事だ。
いっそのこと四連休にすればよかったのかもしれないが、
新人の斑目にそんな勇気はなかった。
別に誰も咎めはしなかっただろうが。
いつものペースで食事をしている。
「んぐ・・・、んぐ・・・。」
最後にお茶の一気飲み。
「ぷは〜〜〜。」
誰もいない部室で、一人たたずむ斑目。
合鍵は相変わらず持っている。
誰もそのことを注意しては来ない。
(俺が悪いやつだったらどうするんだろうね・・・。)
信頼されているということなのだろうか。
はたまたそんな度胸はないと思われているのだろうか。
残っているお茶をすすりながら、ぼんやりと昨日までの事を考える。
今日は誰も来ないと考えていた。
今日ばかりはそれを望んで来ていた。
(流石にみんな疲れてるだろうからな・・・。)
一人に、少しなりたかった。
昨日までのことは大体聞いた。
まあ、オタクに似合わない恋愛模様だ。
正直、苦手だ。
笹原はいいやつだし、幸せになるならそれでいいと思う。
荻上さんも、一応後輩だし。
でも、驚いた。
笹原が・・・、告白だって?
・・・最初見たとき、情けないやつだと思っていた。
自分らのようにオープンになれないやつだったから。
だけど、入ってきてから変わった。
少しづつ開き直りっていうのかな?
堂々とし始めたなとはおもっていたんだ。
それがはっきり見えたのはあいつが会長就任してから。
最初は、驚きとともに成長したなとうれしく思った。
・・・今は、どっちかというとうらやましく思う。
だからといって嫌うかというとそういうのでもない。
柄にもなく合宿のとき応援しようかとも思ったし。
空気が悪くならないよう気も使ったし。
まあ、なんというか・・・。
追い抜かれたというか・・・。実は違う人種だったのかなって。
「はあ・・・。」
そこまで考えて、斑目はため息をつく。
「ま〜〜、そんなこと考えてもしょうがないんだけどさ。」
独り言をつぶやく。
自分がなんでいまだここに来ているのか。
それを考えるにいたり始めていた。
(まだ、会いたいのかね?俺は・・・。)
いつもいるわけでもないし、そんな会えるわけでもない。
しかし、確率で言えば、ここが一番高いわけで。
最初は職場に居場所がないって言う理由があった。
だが、だんだんとないわけでもなくなってきた。
徐々に打ち解け始める。人っていうのはそういうものだ。
(いつまで・・・。俺は・・・。)
もうすぐ、会えなくなるだろう。
それが、終わりなのかもしれない。
だが、これ以外の道を考えることは出来ない。
もう一歩を踏み出す勇気、それはないのだ。
(どうせ・・・。っていうのもあるしな。俺と笹原は状況が違う。)
あいつが俺の状況ならどうするだろうか?
一回聞いてみたいとも思った。
ほかの連中にも聞けるもんなら聞きたかった。
(まー、それも出来るわけがないけどな。)
少し皮肉めいた笑い方をする斑目。
ガチャ。
ドアが開く。誰かと思ったら。
「あれ?斑目じゃん。今日も来てたんだ。」
咲だ。斑目にとってはよりにもよっての相手。
「・・・ん、んー、ああ、まあ、仕事だしね・・・。」
「え〜、こんな誰もきそうもない日に来なくてもいいのに・・・。」
「いや、まあ、ここがなんだかんだで一番落ち着くんですよ。」
「そりゃそうだろうけどさ・・・。いまだに合鍵持ってるんだ?」
そういいながら咲も椅子に座る。
「ん、まあね・・・。」
「ふーん。」
咲はノートパソコンを立ち上げ、何か作業を始めた。
「どうなの?お店のほうは順調?」
普段聞かないようなことを斑目は聞いてみた。
「ん?まあね〜。あともうちょっとで目途が立つかな。」
「ふーん、そいつはよかったねえ・・・。」
少し皮肉が混じったような言い方。
こういう言い方しか出来ない自分が、斑目は嫌いだった。
「え、なに。うまくいかないとでも思ってた?」
「い、いや〜、私にはその辺のことはよくわかりませんからねえ。」
そのニュアンスを悟られてしまい、とっさに取り繕おうとする。
「まあ、春日部さんならうまくいくのではないデスカネ?」
「う〜ん、ほめ言葉として受け取っとこうかな?」
少しの間。咲が言葉を発した。
「相変わらずアニメみたり、ゲームやったりしてるの?」
「へ?・・・ん、まあね。そう変わらないかね・・・。」
なんでそんなことを聞かれているのかよくわからない斑目。
咲はそれにかまわず言葉を続ける。
「へえ。やっぱそういうの関係ないんだね、性格とかには。」
「は?」
「いやね、会った頃に比べて変わったじゃん、斑目さ。」
「変わった・・・?俺が・・・?」
意外なことを言われて、斑目は驚きで顔が変わる。
「なんか言葉一つ一つにとげあったしさー。」
「それはあなたもそうでしたよ?」
「あはは・・・。お互い様?でもね、今そうでもないでしょ。」
「自分ではよくわからんなあ・・・。」
「そういうもんかもね。私もよくわからないもん。」
少し、咲は笑う。
「丸くなった、っていうのかな?」
「そいつは・・・。ほめ言葉なんかね?」
「そりゃそうでしょ。話しやすくなったのは確かだよ。」
PCの画面から目を離さず、咲は話を続ける。
「ふーん、そりゃうれしいね・・・。」
「あら、何か気に障った?」
「春日部さんが俺をほめてくれるとは思わなかったからね。
驚いたダケデスヨ?」
「あれ?今までほめたことなかったっけ?」
「ないね!一片もね!」
そういいながら笑う斑目。
「あら、そりゃごめんなさいね。」
咲もつられて笑う。
「でも、あんたも含めてここのやつらには感謝してるんだよ?
あの高坂といまだ付き合ってられるのも、分ってきたからだと思うし。」
「分かってきた?」
「うん、ああいうのとの付き合い方。
高坂優しいし、いろいろ気遣ってくれる部分はあるんどけどサ。
ああいう関係のものになるとそっちに夢中でしょ?
最初戸惑ってた部分もあるんだけどさ・・・。」
「あー・・・。」
高坂のことを語る咲はどことなく嬉しそう。
一応相槌は打つもののそれをみる斑目の胸中は穏やかではない。
「言葉で言ってくれない部分があるし、理解も不能なんだけどさ。
まあ、ああいう趣味もあって、それに熱中する気持ちもあるんだなと。
そういう点じゃあんたらのほうがわかりやすくてね。」
「ふーん。」
「そういうものも含めて付き合っていたいかといわれればそうだからさ。
スルーする方向で行くほうがいいのかなってね。」
「まあ、そうだろうね。」
(付き合っていたい。やっぱりそうなんだな。)
最後の望みが立ち消えになったようで。かすかな望みが。
「だから、感謝してるわけ。」
「なるほどねえ。でも、理解は出来なんでしょ?」
「私の感性に合う部分も全く無いわけじゃないしね。
そういうところは多少触れられてよかったかなっていうのもあるね。」
そういって少し作業をする手を休め、PCの上に手を出して、
指で小さいものをはさむようにする咲。
「こ〜〜〜んくらいちょっとだけどね。」
「そんくらいでもたいした変化じゃんよ。」
そういってお互いに斑目と咲は笑う。
「ん、だからね。まあ、ここにいてよかった部分もあるってこと。」
「まー、そういっていただけると私としても嬉しいですケドネ。」
正直、つらくなってきた。
今日は、会いにこようと思ってたわけじゃなかった。
覚悟が出来てなかったといえばそれきりなのだが。
こういう会話を、あとどれだけ続けられるのか。
自分はこのままでいいのか。
葛藤が続く。
がたっ。
立ち上がって咲のほうを見る斑目。
「?なに?どうかした?」
ちょっと様子の違う斑目に、少し驚いた咲。
「あー・・・。そのさ。」
「?なに?」
「・・・も、もう帰るわ。」
「え?いつもより早くない?」
「そうでもないよ?もう昼休み終わりなんだ。それじゃあね。」
「ん、じゃあね。」
斑目はごみを持って外へ出て行く。
入れ替わりに大野が入ってきた。
「今、斑目さん出て行きましたか?」
「ん。昼休み終わるって。」
「え?ちょっと早くないですか?」
「んー、そうは思ったけどね。本人がそういうならそうなんでしょ?」
「まあ、そうですね。」
そういいながら、二人はいつもの会話に戻っていった。
帰りがけのコンビニでごみを捨てていくのが日課となっている。
コンビニのゴミ箱の前で少し立ち止まる。
(ん・・・。やっぱり無理だわ。)
笹原の行動に当てられて、考え込んでいた自分。
しかし、それは無理だ。やったところでどうなるもんでもない。
(まあ・・・。潮時かもしれんね・・・。)
もういい加減、あきらめようか。
あきらめるきっかけは何かないか、探していた部分はあった。
仕事場に行く道に進む斑目。
結局はいつもの自分でいる事を選ぶのだった。
次の日。どうやら二人はうまくいったようだ。
「まあ、なんだ、よかったじゃねえか。」
笹原はすげえな。正直思った。
朽木の持ってきたCDROMを持ちながら、
次の合宿の話題を聞き流す斑目。
(次は・・・。俺もいかねえかもな・・・。)
そして、自分の今後を考える。
(来年の俺は、何してるかな・・・?)
やっぱり私には斑目を幸せにすることは出来ないようです。
そんな斑目が大好きです。
ごめんなさい。
リアルタイム乙
斑目。・゚・(ノд`)・゚・。
>>393-402もう一つの未来
斑目せつないよ斑目…。GJです!
しかし「なろうと思ってなったもんじゃねぇから 辞めることも出来ねぇ」
という斑目自身の名言は、オタクだけじゃなくって咲への想いにも適用されるので………
ウワァ斑目、地獄道。。。
>392
おk!バトンタッチ!丸投げスマンw
おいらもまたなんか思いついたらカキマス
ども、お久しぶりです。
正月早々にクッチーSSを投下した馬鹿野郎です。
恥ずかしながら帰ってまいりました。
久々に投下します。
内容はクッチーの恋愛疑惑です。
5分後に投下しますので、もし先に投下される方いらしたらレスして下さい。
7本ぐらいに分けて投下する予定です。
笹荻無事成就してから2ヶ月ほど後のある日曜日、笹原と荻上さんは神田神保町の古書店街に出かけた。
2人のお目当ては、今度新たにオープンした同人ショップだ。
付き合い始めた頃は、待ち合わせの場所と時間を決め、各々1人で買い物していた2人だったが今ではすっかり打ち解け、それぞれの買い物にもう1人が連れ添う形になっていた。
もっとも目的の同人誌が見つかると、見つけた方も連れ添った方も赤面してるあたりは相変わらずだ。
その店は思ったよりも品揃えが良く、2人ともコミフェス並みの分量を買い込んだ。
2人が戦利品を背負って店の外に出ると、見慣れたひょろ長い男の姿があった。
朽木「おや、これは笹原先輩と荻チンじゃないですか」
2人は一瞬硬直したが、冷静に考えてみれば現視研公認のカップルである2人が慌てることもないことに気付き、多少ぎこちないが挨拶を交わした。
笹原「やあ、朽木君」
荻上「こっ、こんにちは」
朽木「お2人揃って、お買い物ですかな?」
笹原「うん、ここ新しくオープンしたんで様子見に来たんだけど…」
ここまで言いかけた時、クッチーの後方から声がかかった。
「朽木くーん、お待たせ!」
声の主は児童文学研究会(以下児文研)の会長(以下児会長)だった。
クッチーは去年の新人勧誘の一件以降、児文研の部室に出入りするようになった。
児文研の部室からだと現視研の部室の中がよく見えるからだ。
勧誘の一件以来大野さんや荻上さんと気まずくなり、なるべく2人きりにならないようにする為の、彼なりの気遣いだった。
児会長に正直に事情を話してお願いしたところ、クッチーが形だけでも児文研に入会することを条件に部室の使用を快諾したくれた。
(児文研もまた昨年は入会ゼロで存亡の危機に立たされていたのだ)
その後そのことが発覚し、却って大野さんたちの誤解を招いて危機に立たされたクッチーだったが、事情を説明してその危機を救ってくれたのが児会長だった。
(この辺りの詳しい事情はリレーSSのクッチーと児会長の項参照)
一宿一飯の恩義を忘れない男クッチーは、それ以来児会長を尊敬し崇拝するようになった。
珍獣として面白がっているのか、本質的にはいい奴だと見抜いているのか、児会長もクッチーのことを妙に気に入って何かと世話を焼いた。
先ずはこんなアドバイスをした。
児会長「あなたの言動は個性的ではたいへん面白いけど、普段はなるべく大人しく物静かにしていた方がいいと思うの」
朽木「やっぱりわたくしウザいですかね?」
児会長「そういうことじゃなくて、あなたの個性は非日常的なハレの場でこそ生きると思うのよ」
朽木「とおっしゃいますと?」
児会長「つまり現視研で言えば、コミフェスとか、学祭とか、コンパとか、そういう場にエネルギーを取っておいて、普段は出来るだけ自分を抑えるの」
さらに児会長は続けた。
児会長「刀というものは普段は鞘に仕舞っておかないと、いざという時に切れ味を発揮出来ないのよ。分かる?」
朽木「そうか!ギャグもそれと同じで、ここぞというところで言ってこそウケるんだ!分かりました、お師匠様!」
何時しかクッチーは児会長のことを「お師匠様」と呼ぶようになっていた。
次に児会長は、「この機会に、形だけでなく本格的に児童文学に親しんでみては」と様々な本を薦めた。
本のセレクトは、クッチーの趣味に合わせたのか最初は漫画やアニメやゲームのノベライズ版から始めて、次第に本格的なファンタジーや童話に移行していった。
最初はお師匠様からの課題図書という義務感から読み始めたクッチーだったが、次第に児童文学の面白さに目覚めてのめり込んでいった。
こうした児会長の教育により、クッチーのかつてのウザイ意味不明トークは、非日常的なイベントの場以外ではいつしか影を潜め、秋頃には無口な読書青年に変貌していた。
最近では部室で「銀河鉄道の夜」を黙々と読んでいて、咲ちゃんたちを「クッチーが宮沢賢治?」とドン引きさせたりしていた。
話を神保町の4人に戻そう。
笹荻のご両人は、今度こそ本格的に硬直した。
児会長「あら笹原君と荻上さん、お久しぶり」
荻上「こんにちは…」
笹原「ども、ご無沙汰してます」
児会長「今日はおデートかしら?」
笹原「まあ、そんなとこです」
赤面する笹荻。
児会長「よろしいですわね、お若い方は」
笹原「いやお若いって、歳そんなに変わんないですし…」
荻上「あの、会長さんと朽木先輩は…」
朽木「わたくしはお師匠様のお供だにょー」
笹荻「お師匠様?」
児会長「彼、私のことそう呼ぶのよ。大げさだから会長でいいって言ってるのに…」
朽木「何をおっしゃる!わたくしに人の道と児童文学の奥深さを教えて下さった方をお師匠様とお呼びするのは当然ですにょー」
児会長「(苦笑)ハイハイ」
笹原「それでその、お2人は今日は…」
児会長「時々この辺に買い物に来るんだけど、いつもたくさんまとめ買いしちゃうから重くってね、大抵は宅配便で家に送っちゃうんだけど…」
朽木「それを知ったわたくしが荷物係を志願した次第であります」
荻上「そんなに古書を?」
児会長「まあ児童文学系の原書とか買うこともあるけど、メインは矢倉書店よ」
笹原「矢倉書店って、ドラマや映画のシナリオのたくさん置いてあるあの矢倉書店ですか?」
朽木「お師匠様は院に上がられて児童文学の研究をお続けになる一方で、シナリオの執筆もなさっているのです。その為の勉強用の資料として、シナリオを多数買われるのです」
児会長「まあそういうこと」
笹荻「(尊敬)へー」
しばし歓談の後、児会長が切り出した。
児会長「さあさあ朽木君、何時までも若いお2人の邪魔しちゃ悪いわよ」
朽木「そうですな、後は若い方どうしで」
荻上「仲人さんじゃあるまいし」
笹原「ハハッ」
朽木「でもお師匠様、矢倉書店が開くにはまだ早いですな」
児会長「そうね。(同人ショップを見て)朽木君、ここ寄りたい?」
朽木「まあ寄りたくないことも無いですが、お師匠様は興味あるのですか?」
児会長「朽木君の話を聞く限りでは、なかなか面白そうな世界のようですね、同人誌って。ちょうどいい機会ですからヤオイというものを見てみましょう」
笹荻『(赤面し)会長がヤオイ?』
朽木「それならば解説はわたくしめにお任せ下さい。わたくし最近、ヤオイの道にも目覚めましたので」
笹荻『(最大赤面)クッチーがヤオイ?』
児会長「それは頼もしいわね。ぜひお願いするわ」
朽木「お任せ下さい。不肖朽木学、ループで鍛えた眼力でお師匠様にとっての直球ど真ん中の逸品を探し出してみせます」
児会長「それではお二方、わたしたちはこれで」
朽木「それでは朽木学、任務に戻ります」
笹荻のご両人は、同人ショップの店内に消えるあやしい2人を呆然と見送った。
咲「クッチーが彼女とデート?!!」
翌日、部室では咲ちゃんがサークル棟中に響き渡りそうな大声を上げた。
笹荻の2人には、別に昨日のクッチーのことを広める積もりも隠す積もりも無かった。
ただ昨日の笹荻デートの話からの流れでクッチーのことが出てきただけだった。
だが縁結びに異常な執念を燃やす見合い婆さんのDNAを21世紀に引き継ぐ咲ちゃんは、当然この話題に食い付いた。
笹原「いやまあ、まだデートと決まったわけじゃないし」
荻上「彼女と決まったわけでもないですから」
咲「いやそれって普通にデートだろ?なあ大野」
大野「うーん、どうでしょう…何か天変地異でも起きなきゃいいんですけど」
笹原「まさか…」
大野「いーや分かりませんよ。地震や台風は最近あったから…例えばこの冬例年に無い大雪が降って、この辺でも何十センチ単位で積もるとか…」
荻上「やめて下さい!ここらでそんなんになったら、豪雪地帯のうちの田舎だと死人が出ますよ!」
一瞬雪ん子オギーを思い浮かべてしまう笹原。
咲「でも言えてるかも。あたしの店の出資者の1人がデイトレで1発当てたここの学生なんだけど、株暴落したりして…」
咲ちゃんと大野さんの心配は、年末から年始にかけて的中してしまうがそれは後の話。
ちなみに斑目は我関せずと黙々と昼飯を食べていた。
そこへ入ってくるクッチー。
朽木「こにょにょちわー」
咲「(ニンマリと笑い)クッチーあんた、児文研の会長と付き合ってるってホント?」
朽木「何をおっしゃる!わたくしとお師匠様との関係は、そのような世俗的な男女の関係ではございませんぞ!」
咲「じゃああんたは会長の何なのよ?」
朽木「わたくしは、お師匠様が進む真理への道にお供する使徒に過ぎません!」
予想外の回答に戸惑う一同。
咲「じゃあさあ、その真理への道であんたら何やってんの?例えばこの間神田にいた日って他に何してたの?」
朽木「あの日は買い込んだ台本をお師匠様の家まで運んで、晩御飯をご馳走して頂きました」
大野「ご馳走って、それ会長さんの手料理ですか?」
朽木「ええ、お師匠様って料理も上手いんですよ」
しばし無言の咲ちゃんと大野さん。
咲「なあクッチー、会長と2人で会ってたのって昨日が初めて?」
朽木「最近は日曜や祭日のたびにお誘いがありますなあ」
咲「『お誘い?向こうからかよ!』それで誘われて何してたんだ?」
朽木「何とおっしゃられても…図書館や映画館に行くことが多いですな」
咲「2人で映画?」
朽木「お師匠様は脚本も執筆なさるので、その勉強の一環として映画をよく鑑賞なさるのです。それも古い映画がお好きなので名画座で見ることが多いです」
咲「映画の後は?」
朽木「映画の後は、いろんなとこに立ち寄りますよ」
咲「例えば?」
朽木「えーとこの間はレストランで食事、その前は酒飲みに行ったかな。お店はえーと確か…」
クッチーが名前を出した店を咲ちゃんも知っていた。
いい店だが高い店だ。
咲「それでお前ちゃんと金払ったのか?」
朽木「いえ、お師匠様ってけっこうお金持ちで、いつも奢って頂いてます」
咲・大野「……」
朽木「まあ奢ってもらってばかりでは心苦しいですから、せめてものお礼にわたくしもアキバを案内したり、アニメのビデオや漫画をお貸ししたりしてますがね」
突如部室に、甲高い笛の音に似た「ピピピピー!!」という音が3度響いた。
朽木「(携帯を出して)おっとお師匠様が呼んでる」
咲「マグマ大使かよ」
朽木「ではわたくしはこれで」
クッチーが部室を出た後も「第1回クッチーは児文研の会長と付き合っているのか会議」は続いた。
咲「映画に食事に酒に自宅に招待って、これってどう見てもデートだろ?」
大野「まあ後はピーがあるかどうかですね」
咲「あの2人のピーねえ…ちょっと想像しにくいな」
笹原「ハハッ」
荻上「それにしてもあの会長さん、朽木先輩のどこが気に入ったんですかね?」
一同「うーむ…?」
それまで黙々と昼飯を食べていた斑目が口を開いた。
斑目「あそこの会長って、確か俺が1年の時にはもう会長やってたな」
笹原「斑目さんが1年の時ですか?」
斑目「ああ、ドッキリに引っかかった後、初代会長から紹介された。(顔面蒼白で)あっ…」
咲「ん?どした?」
斑目「俺たちが1年の時って、ハラグーロが掛け持ちな関係もあって、ヤナ以外の漫研の会員もよくここに出入りしてたんだよ」
咲「?」
斑目「何かの話の流れで出た話なんでうろ覚えなんだけど、確かそん時3年生だった漫研の会長が言ってたんだよ」
咲「何を?」
斑目「児文研の会長って、漫研の会長が入学した頃から会長やってたって…」
部室に「ザワッ」という音が轟いた。
笹原「ちょ、ちょっと待って下さい」
大野「えーと、斑目さんが1年の時に3年生の人が1年の時に会長ということは…」
荻上「それじゃいったいあの会長さんっていくつ…」
咲「言うな!」
斑目の顔を見据える咲ちゃん。
咲「斑目、今の話忘れろ!(みんなに)私たちも、聞かなかったことにしよう!」
以上です。
当初は笹原卒業後のげんしけんの状況をテーマに書いていたのですが、その中でクッチーの設定が膨らみ過ぎたので、その分だけ独立させてこの話を書き上げました。
元になったその後のげんしけんも、近々投下する予定です。
>>407-413 うわクッチーと………クッチーが……・・・こう来ましたか!
面白れぇ〜〜〜 僕は続編に期待してますよ!!
どうみてもデートですありがとうございました 状態に爆笑
>あやしい2人
最初は自分の事を棚に上げて、えーオリキャラーと思って読んだんだけど、
引き込まれました。けっこうありうるなと・・・。クッチーは年上でインテリジェンス
で温和な女性に面倒見たがられるタイプかもしれない。でも会長はいったいいくつ・・・。
男女の間柄の事など複雑な面もあるしね。高咲にせよ、田大(一見相性よさそうだが、
趣味に偏った関係である意味異常)にせよ、笹荻(汗)にせよ、傍から見たら分からない絆がある
もんだと思うしね。
けっこうガンダムパロとか、いい意味で逸脱した作が出てきたね。来月まで気が遠くなる
ほど長いし、俺も心の慰めに、はめはずしたやつ考えてみよう。
417 :
387:2006/02/05(日) 07:19:50 ID:???
書いたよ、ガンダムパロ。妄想バクハツ。
なんかさ、話膨らみまくってる気がするんだけど、いいのかな〜。
なんか設定をちりばめただけで終わった気がする。
面白いかどうかがよくワカンネw
>>378が書いたものを改悪した気分でいっぱい・・・。
でもせっかくだから投下するよ。9レスだよ。
「なに?墜落だと?」
ここは第801小隊の防衛拠点に一番近い皇国軍の基地である。
「ええ・・・。パイロットの生存も確認できません。」
「くそ!よりにもよって連盟軍のエリアに墜落するとは・・・。」
場所を確認するための大型ディスプレイを見ながら苦い表情をする女指令。
「ナカジマ大佐・・・。どうしましょうか・・・。」
「どうするもこうするもない!回収せねばならないだろう!」
「しかし、それでは連盟との衝突は免れませんが・・・。」
その提言に対してナカジマはにらみながら怒鳴る。
「そんなことはわかっている!しかし、アレを回収されるわけにはいかん!」
「ようやくきやがったか・・・。」
マダラメがそう呟くと、空には一機の輸送船。
「ようやくですな。」
クチキも苦い表情をして空を見上げる。
「・・・あの大きさじゃ持っていけんだろうに・・・。」
目の前にある大物を見つめながら、輸送船にコレを運ぶ許容量がないことを悟るマダラメ。
「とりあえず監視員を派遣してきたと読みますがいかがでしょ〜?」
「まあ、そんなところか。あの報告じゃどんな大きさかわからんものな。」
そんな会話をしているうちに、船が近くに着陸する。
キィィィィィ・・・・・ン。
プシュー。
出入り口に当たる扉が開く。
「ゲ・・・。よりにもよって・・・。」
そこにいたのは恰幅のいい一人の将官。それとともに兵士が4名ほど降りてきた。
「よ〜。マダラメ中尉。久しぶりだな。」
「・・・お元気そうで何よりです。ハラグチ少将。」
そういいながら敬礼をするマダラメ。ともにクチキも敬礼した。
「ん、ははは。そうしゃっちょこばるなって。」
「いえ・・・。」
「こいつか。報告のものは。」
ハラグチはその問題の物を舐めるように見る。
「ええ。」
「そうか。夜通しの番ご苦労だった。基地へ帰り、休め。
ここはわれらが監視することにする。」
「は、了解しました。いくぞ。」
そういわれて、マダラメはクチキとともにビーグルへと向かった。
「まだ、気付かないのかな?」
「ええ。でも、心配はありませんよ。」
ササハラは医務室にて、オギウエの状態を確認しにきていた。
「うん・・・。」
オギウエの顔を見るササハラ。
なぜ、この子はあの新型機に乗っていたのだろうか。
なぜ、死にそこねたと呟いたのだろうか。
初めて触れる敵軍の兵士であるこの女性は謎の塊であった。
「気付いたら教えてくださいね・・・。」
「ええ。もちろんですよ。」
オーノに任せて、自分の仕事へと戻るササハラ。
「あ、ササハラ君、いい所に。」
ビクッ!
「え、ああ、大隊長ですか。いつの間に近くに・・・。」
ササハラがその声に振り向くと後ろにはヒョロっとした男が一人。
このボロ基地の指令である。
「ん?さっきだよ?」
「はあ・・・。そうですか・・・。」
(この人いつも存在感なさすぎなんだよな・・・。)
「えっとね。あの事件のせいで、この付近も物騒になりそうだからって、
新しい補充パイロットと新型MSが到着してるんだよ。」
「え。さっき少将が立ち寄っていたときですか?」
ハラグチは現場に向かう前にここに寄っていたのである。
「うん。みなに紹介しようと思ったんだけど、
タナカ君とクガヤマ君は新型の整備、オーノさんはあの子看てるでしょう?
なんで、先にササハラ君だけでもと。」
「はあ。そういうことなら。」
司令室に招かれたササハラは驚くこととなった。
「コ、コーサカ君じゃない!」
「久しぶりだね、ササハラ君。」
久々の再会に当たるらしい、二人は喜んだ。
「え、知り合いなの?」
「ええ、仕官学校時代の同級生です。」
「まさか、ササハラ君がいるとは思わなかったよ。」
「あはは・・・。で・・・、こちらの方は?」
もう一人いた女性のほうに目を向けるササハラ。
「カスカベ二等兵。通信をおもに担当してもらう。
MS数が増えるからね。連携を保つためにも。」
「ども。よろしく。」
無愛想な顔で、挨拶をするカスカベ二等兵。
「サキちゃん、だめじゃない、しっかりと挨拶しなきゃ。」
「・・・あのね、コーサカ?納得したわけじゃないんだよ?」
「・・・その話は後でね。」
妙な会話をするコーサカとサキ。
「あ、まあ、大丈夫ですよ。これからよろしくお願いします。」
そういって場をなだめつつ、敬礼をするササハラ。
「「よろしく。」」
二人もまた敬礼をかえす。
「では、ササハラ君、二人に基地を案内してあげてください。」
「あ、はい。」
「まー、そんな大した広さじゃないから、すぐ覚えられるよ。」
大体の場所を回り終えたササハラたちは最後にMS整備場へと移動していた。
「はー、ボロっちいねえ。なんだよここ。ほんとに基地?」
「まあ、前線って言うのはこんなもんだからね。」
サキのぼやきにコーサカは苦笑い。
「で、ここがMS整備場・・・・ってうわ!」
ササハラが驚くのも無理はない。見慣れているはずの整備場に、見慣れないMS。
「ああ、コレが僕が乗るMS。」
「うわー。コレって・・・ガンダム?」
「そうそう。あの有名なのとは違う実験機なんだけどね。」
そこにはまごうことなくガンダムと呼ばれる機種があった。
「おー、ササハラ!見にきたのか!」
ひょっこりとそのMSから顔を出してきたのは整備員タナカ。
「あ、タナカさん!この方々が新しい仲間です。」
「おおー、よろしくなー。いいもん持ってきてくれて感謝してるよー。」
遠いためか大きな声を出し敬礼を送るタナカ。
それに答え、敬礼を返すコーサカとサキ。
「新型は一機なんだね。あとは、パーツかな?」
「うん。
あと実験的な補助システム持ってきたっていってたけど、あのジムにでも載せるのかな。」
「ええ!あれ俺が乗ることが多いMS・・・。」
新型の影でひっそりとしている大分ガタのきつつあるジム。
ササハラとしてはかなり愛着があるジムなのだが。
「でも、さっきから気になってたけど、実験的なものが中心なんだね。」
その言葉に少し反応するコーサカとサキ。
「・・・まあ、安心してよ。使えないわけじゃないから。」
「そ、そう?ま、まあ、あとは自由にしてて。俺、行きたいところあるから。」
「うん。わかった。」
そういって、踵を返して基地内部へと戻るササハラ。
基地入り口にやってきた一台のビーグル。
「ふい〜。ようやく戻ってこれたな。」
マダラメはぼやきながらビーグルをMS整備場に近づける。
「ん、なあ〜〜!!?」
「な、なんですにょ〜〜〜!!?」
整備場にあった新型機に驚くマダラメとクチキ。
「も、もどってきたな。」
「おう、クガヤマ!なんだよこのMS!すげえな!」
「し、新入り用のらしいよ。じ、実験機らしいし。」
「はーん。新入りに実験機か。なるほどね・・・。」
その流れで大体のことが読めたマダラメ。
「な、何がわかったんでございますか?」
「ま、気にすんな。」
そういいながらマダラメはビーグルから降り、田中のいるほうへと向かう。
「おーい、タナカ!俺のザクのほうどうだー!」
「ん、おー、帰ってきたか!ザクのほうはパーツ組み換えで調子よくなりそうだ!」
「おー、マジかー。ペイントのほうはー?」
「それもきたからあとで言われたとおりやっとくよ!
味方に撃たれたらしゃれにならんもんな!」
「そりゃしゃれにならん!よろしく頼むぞー!」
笑いながらその会話を終え、マダラメは報告のために司令室へと向かう。
「ただいま帰還しました!」
「ん、ごくろうさま。大変だったでしょ?」
大隊長に向かって敬礼するマダラメ。
「まあ、あの方がくるとは思いませんでしたが・・・。」
「はは。まあ、そういわないでよ。彼も一応任務で来てる訳だし。」
マダラメのほうとは逆に向いたまま、ぼんやりと目の前の地図を見る大隊長。
「あの・・・、少し気になったんですが。」
「やってきた実験機のことでしょ?今は何も言わないでくれるかな。」
「は、はあ。」
「アレについては、詳細がいえるようになったら伝えるよ。」
「・・・了解しました。」
納得はいかないものの、軍人としてはこれ以上突っ込めはしない。
「大丈夫。悪いようにはならないから。」
「・・・はい。では、失礼いたします。」
そういって部屋から出るマダラメ。
そこでばったりとサキと遭遇する。
「・・・だれだお前?」
「・・・先に自分から名乗るもんじゃないの?」
「はあ?お前、二等兵だろ?俺は中尉。どっちから普通名乗るもんよ?」
「はあ、いやだいやだ、こういう軍人。」
「なにいってんだ!?お前も軍人だろ!?」
「別になりたくてなったわけじゃないの!」
にらみを効かせ合う二人。一触即発。
そこに現れるコーサカ。さっと二人の間に入る。
「すいません。私、このたび配属されたマコト・コーサカ少尉です。
この子はサキ・カスカベ二等兵です。」
言いながら敬礼をするコーサカ。
「・・・ん、ああ、お前らか、新入りは。俺はハルノブ・マダラメ中尉。よろしく。」
コーサカの笑顔に押され、マダラメは少し戸惑ってから挨拶を返す。
「小隊長さんですよね。ササハラ君から話は聞いています。」
「ああ。ササハラとはもう会ってるんだな。」
「ええ、それに私は仕官学校時代にササハラ君とは同級で。」
「ほーん。まあ、よろしく頼む。その女の管理もな。」
そういってサキを睨むとマダラメは足早に立ち去る。
「なに、あいつ!」
「今のはサキちゃんが悪いよ。」
「ああいう軍人ってことで偉そうにしてるやつ嫌いだよ。」
「・・・気をつけてよ。目をつけられたくない。僕らの任務はまた別にもあるんだから。」
「・・・だから・・・。」
「納得いかないのは重々承知してる。でも、そうするしか道はないから。」
「まだ、起きてませんよ?」
「はあ、そうですか。」
ササハラが向かっていたのはやはり医務室。
「ちょっと長いかなとは思うんですけどね・・・。」
あまりに長い睡眠時間に、オーノも心配顔だ。
「でも、気長に待ちましょう。」
「そうだね・・・。」
そう入ったもののササハラの心配顔は変わらない。
「ササハラさん、まだ看てますか?」
「いや、今日はこのあと新型システムの指導受けるんだよね・・・。」
そういって苦笑いするササハラ。
「へー、大変ですねえ。」
「まあねえ。どんなものなのか気になるよ。」
そういいながらササハラは医務室をあとにした。
次の日の早朝。
けたたましい警報音とともにみな起こされる。
『みんな、例のポイントにて皇国軍が攻めてきたらしい。
おそらくあの試験機の回収が目的のようだよ。
至急、監視の人たちの援護に向かってください。』
大隊長の気の抜けたような緊急放送。
「ったく、そんな重要なことのんびり言わんでほしいわい!」
マダラメがぼやきながらMS整備場へと向かう。
マダラメがつくころにはすでに全員がそろっていた。
「よし。全員いるな。MSに搭乗するのは俺、ササハラ、コーサカだ。
そのほかの人員はホバートラックに乗り込んで情報処理を!」
「「「了解!」」」
「新入りもいて、昨日の研修ぐらいしかまだこの体制で活動していない。
十分に気をつけろよ!絶対に死ぬな!生きて帰るぞ!」
「へえ・・・。」
サキは少し感心したようにマダラメの言葉を聞いた。
「いいこというじゃん。」
「いつもの決まり台詞なんだよ。隊長、人死ぬのは嫌いだから。」
ササハラがマダラメの言った言葉を解説する。
全員が持ち場につき始める。
「ふー・・・ん。」
「よし、全員OKだな!では、出撃!」
新生第801小隊が出撃した。
最前線に落ちた一つの兵器をめぐり、
連盟軍と皇国軍は衝突を始める。
今まで触ったこともない新型のシステムに動揺するササハラ。
その隙を突き、皇国軍のMSが迫る。
次回、第三話「迷子の兵士」
お楽しみに。
428 :
417 :2006/02/05(日) 07:53:39 ID:???
一応補足
連邦=連盟
ジオン=皇国
ってことで。
なんで変えたかって言うと、このほうが好き放題できそうだから。
>>あやしい二人
児文研会長が出た時点で噴出したおれは負け組みorz
マジで面白すぎです。
うはは、我々はとんでもないネタに手を出してしまったのかもしれんw
ジオンかぶれのマダラメが小隊長なのに捕獲ザクなのがイイ感じっす。
続き楽しみにシテマス
ども、「あやしい2人」を書いた馬鹿です。
いろいろご意見ありがとうございました。
>>415 続編というか、本来のこの話のもとになった話はただ今執筆中です。
いましばらくお待ちを。
>>416 俺の児会長のイメージは、ちと古いネタで申し訳ないが「椿三十郎」の入江たか子です。
日本刀云々という台詞は、その映画の中で三船敏郎に言った台詞が元ネタです。
>>428 何の何の。あなたの宇宙世紀版げんしけんも面白過ぎですって。
影の薄い大隊長が最高!ここでも苦労してるなマダラメ。
さて、児会長との熱愛疑惑を書いた後で節操が無いなと思いつつ、
>>313のリクエストに応えて恵子×朽木話を書いてみました。
前に俺が書き込んだ
>>320的展開です。
その間の書き込みも参考にしました。
5分後に8レスぐらで投下します。
「ここが噂の乙女ロードか。うーむ確かに乙女がたくさん居るにょー」
クッチーは池袋の乙女ロードに来ていた。
彼は最近ヤオイにも目覚めた。
ここ1年ほどの間、部室にはヤオイ同人誌が毎日のように置かれており、1人になるとつい読んでしまい、それで病みつきになったのだ。
「おー空気が乙女の匂いでムンムンするにょー。(深呼吸)おー!」
思わずクッチーのピーが巨大化してしまった。
「まっ、まずいにょー!こんな女の子だらけのとこでピーがこんなことになってたら、変態と思われるにょー!」
幸いクッチーは前掛けのように大きなウエストポーチを股間の前にぶら下げていたので、外からはさほど目立たなかった。
「よし、かくなる上は何処かでトイレを借りて、ピーをピーして鎮めるにょー」
クッチーは乙女ロードから外れて、駅前の方へ歩き始めた。
駅前では大勢の人だかりが出来ていて、何やら騒がしい。
「ムムッ、何事にょー?」
野次馬たちの肩越しに、彼らが見物していたものを確認するクッチー。
野次馬たちの向こうでは、若い男女が何やら揉めていた。
男は長身のイケメンだが、黒のスーツにロン毛のホスト風。
女は茶髪のギャル風、そして見覚えがあった。
「あれは笹原殿の妹君ではござらんか。はてさて、いかがいたしたものか」
何故か時代劇風の口調になりつつ、助けるべきか悩むクッチー。
だが相手の男は、恵子相手に暴力を振るおうとするDQN男だった。
「ムムッ、おなごに手を上げるとは!もはや捨て置けん!」
殴られそうな恵子を見て、ついに仲裁に入ることにするクッチー。
朽木「まあまあまあ、ここはひとつわたくしに免じて、日本的馴れ合いで穏便にまいりましょう」
恵子「こいつ…朽木…?」
DQN男はクッチーを外見からオタクと判断し、甘く見て暴言を吐く。
DQN「ブサイクは黙ってろ!キモイんだよ!」
自分と対局の、イケメンだけで何の努力も苦労もせずにいい思いして生きてきたDQN男に2大NGワードを言われたクッチーは、脳内の制御装置のヒューズが切れた。
DQN「(恵子に)お前こんなのとも付き合ってるの?」
恵子「んなわけねえだろ!」
DQN男が恵子の方を見たその時、クッチーの右手が彼のロン毛を鷲掴みにした。
そして一気に手前に引き寄せて、頭突きを彼の鼻に炸裂させた。
DQN「ぶぎゃあ!」
情けない悲鳴を上げて、DQN男は頭突き1発で戦意喪失した。
まあ鼻がつぶれて鼻血を吹き、歯の何本かを失ったから無理もないが 。
だがキレたクッチーはその程度では終わらなかった。
今度は両手で髪の毛を掴み、一気に下に引き落としつつ顔面に右の膝蹴りを見舞う。
自分の胸の高さまで膝を蹴り上げた、ディーゼルノイばりの見事な天を突く膝蹴りだ。
(注釈)ディーゼルノイ
80年代後半頃に活躍した伝説のムエタイ選手。
タイ人には珍しい180センチの長身(ムエタイの選手人口が最も多いのは軽量級、ちなみに彼は長身なのにライト級)と抜群の強さ(観客にとってのムエタイは競馬のような賭博なので、強過ぎるとマッチメイク出来ない)ゆえに、若くして引退した。
得意技は膝蹴りで「天を突く膝蹴り」の異名を誇る。
歯がさらに数本折れた上に顎も砕け、完全に失神するDQN男。
それを蹴り上げた瞬間に手を放すクッチー。
倒れていくDQN男を、膝蹴りの際に振り上げた足が追って下りていく。
DQN男は膝蹴りの際に完全に気絶していたが、倒れて地面に激突した瞬間、そのショックで一瞬だけ意識を取り戻した。
だが次の瞬間には、後頭部の割れる音と共に再び暗黒の中に落ちていった。
彼が最後に見たものは、クッチーの靴の裏だった。
これでトドメと思いきや、キレて止まらなくなったクッチー、倒れた男の腹の上に馬乗りになり、いわゆるマウントポジションからさらに顔面を殴り始めた。
最初恵子はクッチーの意外な強さに呆然としていた。
だがマウントパンチはさすがにヤバイと思った恵子、クッチーにしがみついて止めようとする。
恵子「おいっ!もうその辺にしとけ!死んじゃうぞ!」
だがイッてしまっているクッチーには誰の言葉も届かない。
恵子はクッチーの正面に回り、往復ビンタを何発も食らわす。
だがクッチーは却って元気になって男を殴り続ける。
恵子は知らなかった。
クッチーが女性に殴られると3倍にバワーアップすることを。
恵子「ちきしょー、素手で殴っても効かないな。こうなったら…」
周囲を見渡す恵子。
野次馬の中に、どこか近くの店で買ったらしいゴルフクラブのセットを持ったオッサンがいた。
恵子「これだ!」
恵子はオッサンに駆け寄ると、クラブの1本をひったくった。
オッサン「おい、何するんだよ?」
恵子「ゴメン、ちょっと借りるね」
恵子はオッサンから無理矢理借りた5番アイアンで、クッチーの後頭部をフルスイングでぶん殴った。
パコーンという快音と共に、クッチーは正気を取り戻した。
朽木「おや、ここは誰?私はどこ?(自分が馬乗りになってるDQN男を見て)にょっ?君々、どうしたんだい?」
恵子「(くの字に曲がった5番アイアンを見つめ)こいつ…気絶させる積もりで殴ったのに…」
朽木「(DQN男に覆い被さり)よかった、とりあえず息はしてるな。待ってろよ君、今救急車を呼んでやるからな。それにしても誰がこんな酷いことしたんだ?」
野次馬一同『お前だ!』
その時、パトカーのサイレンの音が近付いてきた。
恵子「ヤバい、サツだ!」
恵子は5番アイアンを投げ捨てて、携帯を出しかけたクッチーの腕を取った。
恵子「んなことしてる場合か!ズラかるぞ!」
朽木「にょっ?それは何ゆえ…」
恵子「『こいつ、まるで覚えてないな』説明は後だ!」
恵子よりも当然クッチーの方が力は強い。
だが女性に強気に出られるとつい従ってしまうマゾ男属性ゆえに、クッチーは恵子に連れられて走り出した。
朽木「誰か救急車呼んであげてねー!」
心優しい男クッチーは、立ち去り際に野次馬にそう叫ぶことを忘れなかった。
散々遊び歩いた経験からか、恵子は池袋界隈の裏道を熟知していた。
巧みに人目を避けて2人が辿り着いたのはホテル街。
恵子「(ホテルの一軒を指して)ここ、入るよ」
朽木「にょ?」
恵子「今出歩いちゃ捕まるから、夜までここに隠れてるんだ」
朽木「それは何ゆえ…」
恵子「中で説明すっから!」
朽木「そんなことをやったんですか、わたくし」
恵子「ほんとに忘れたんだな、あんた」
ホテルの中で事情を聞いて慄然とするクッチー。
自分のリュックからトランシーバーのような機械を取り出し、何やら操作し始めた。
恵子「?」
やがてその機械から、何やら無線の交信中らしき会話が聞こえてきた。
マジ顔でダイヤル操作しつつ、それを聞くクッチー。
しばらく聞いていて、やがてスイッチを切る。
朽木「どうやらあの人、無事だったらしいにょー」
恵子「それ何なの?」
朽木「小型無線機ですにょー。これ1つでパトカーや救急車の通信が聞けますにょー」
恵子「そんなもん売ってるんだ」
朽木「もっともパトカーの通信は最近デジタル化してるんで、自分で少々改造しましたが」
恵子「…あんた意外と頭いいんだな。あっそうだ、頭って言えば、あんた頭大丈夫か?」
朽木「(後頭部を触り)何かコブになってますな。でもさほど痛くないですよ」
恵子「『あれでコブで済んだのかよ』そう…」
朽木「わたくしよりも、あの彼は大丈夫ですかにょー?」
恵子「死んでねえんなら問題ねえよ。ここいらは毎日もっとエグい事件たくさんあるから、たかがホスト1人殴られたぐらいじゃ、サツはマジにはならねえよ」
やや見当違いな答えを返す恵子。
恵子「まあここいらじゃ、あの程度のことはチャリ泥棒と一緒さ。見つかったら捕まえるけど、見つかんなきゃそんでチャラさ」
朽木「あのー立ち入った質問ですが、さっきの彼とはどのような…」
恵子「あーあいつね。前に行ったことあるホストクラブのホストさ」
朽木「ホストでありますか」
恵子「まあ少し付き合ってたけどね。あいつの顔で1回ツケにしてもらって、別れてからそのまんまにしてたら、さっき会ってツケ払えって絡んできやがった」
朽木「それは払った方がいいのでは…」
恵子「いいんだよ。どうせホストなんて顔だけで楽チンかまして金稼いでるんだから。それにあたし本名教えてないし…」
朽木「そういう問題では…」
恵子「んなことよりあんたさあ、服洗った方がいいよ。血まみれだし」
朽木「(自分の服を見て)にょ?ほんとだ」
恵子「脱ぎな。洗うから」
朽木「ここででありますか?」
恵子「ここのホテル、コインランドリーあるんだよ」
クッチーを脱がしにかかる恵子。
朽木「にょっ?そのようなご無体な…」
恵子「恥ずかしがってるガラかよ!ついでに風呂でも入ってな!」
恵子がクッチーの服を洗いに1度部屋を出て戻ってみると、クッチーはホテルのバスローブを着ていた。
朽木「あのーお風呂先に頂きました」
恵子「あたしも入るかな」
朽木「にょ?」
この段階になって、ようやく女の子とこういう場所に居ることを意識し始めたクッチー。
そんな彼を無視して風呂場に向かう恵子。
恵子もバスローブ姿で戻ってきた。
ベッドに座ってるクッチーの隣に座る恵子。
恵子「さてと準備が出来たとこで、ちょうどいいからあんたへのお礼を済ませとこうか」
朽木「お礼?」
恵子「やっぱオタはこういうことには鈍いねえ。この状況でお礼って言えば、アレしかないじゃん」
クッチーの股間に手を伸ばす恵子。
朽木「にょっ?」
思わずベッドから飛びのくクッチー。
恵子「(ニッコリ微笑み)そっちの方は元気そうね」
実はクッチーのピーは、乙女ロードで巨大化して以来そのままだった。
恵子「それにしてもあんた、ほんとタフだね。見直したよ、喧嘩も強いし。まあ顔はアレだけど、そっちの方は期待出来そうね」
恵子はベッドの真ん中に移動し、バスローブを少しずらして生足や肩を露出した。
見る見る真っ赤になるクッチー。
恵子「(人差し指で手招きし)カモン、年上のチェリーボーイ」
朽木「にょーっ!!」
こうしてクッチーは、今日2回目の制御装置停止と相成った。
そして翌日。
部室でデレデレする恵子とクッチー。
咲「でっ、何でそうなってるわけ?」
恵子「しゃーねーじゃん。だってやったみたら、すげーよかったんだもん。ねークッチー」
朽木「ねー恵子たん」
咲「やってみたらって、お前…それに恵子たんて…」
2人の言葉の語尾にハートマークを感じてたじろぐ咲ちゃん。
恵子「だってすげーんだよ、クッチー。初めてにしちゃすげー上手かったし」
朽木「日頃の訓練の賜物ですな」
咲「何の訓練だよ」
恵子「それにピーも意外にでかかったし」
笹原「お前そういうことを人前で…」
朽木「毎日使ってたから成長したのでしょう」
荻上「下品…」
席を立って部屋の隅に行く咲ちゃん。
咲「恵子、大野、ちょっとこっち来い」
2人が来ると、小さな輪になって何やらヒソヒソ話。
3人はそれぞれ両手を合わせ、一斉に少し広げる
何かの大きさを比べてるらしい。
にこやかに意気揚々と席に戻る恵子。
一方落胆の表情で席に戻る咲ちゃんと大野さん。
大野「いいんです。田中さんは30分もつから…」
恵子「クッチーは1時間はもつよ」
青ざめる大野さん。
咲「いいもん、高坂は最高で連続10回出来るから…」
恵子「昨日は覚えてるだけで20回ぐらいやったよ」
青ざめる咲ちゃん。
不機嫌な表情の笹原が口を開く。
笹原「お前実のアニキの前で、そういう話を露骨に…」
恵子「いーじゃん別に。減るもんじゃなし」
笹原「お前なあ…」
笹原の視線が一瞬クッチーの方を向く。
その大佐そっくりのマジ顔のガンツケにビビったクッチー、爆弾発言をかました。
朽木「こうなったらわたくし責任取ります!笹原先輩!今日から義兄さんと呼ばせて頂きます!」
笹原「えっ?」
一同「えーっ?」
恵子「いーねー、それ。週7日やりまくりじゃん」
笹原「お前の頭ん中はそれ1色か!」
笹原の隣の席では、荻上さんが頭の中で家系図を組み立てつつ考え込んでいた。
やがて1つの結論が出て思わず叫ぶ。
荻上「ダメです!そしたら朽木先輩が弟になっちゃう!」
一瞬固まる一同。
そこで自分が叫んだことの意味に気付いて赤面する荻上さん。
隣では笹原も赤面している。
朽木「おおそうか。よろしく千佳義姉さん」
荻上「やめて下さい!」
以上です。
9レスになっちゃいました。
こんな感じでよかったですか、
>>313の方?
>>431-439 これまた問題作を……!!
トイレでピーしなくてもすぐ収まるだろうと思ったら絶倫だったのね…。
自分の頭にあるのに別カップリングが書けるだけじゃなく、
>>313のリクエストに
完全に答えつつ、多数派と思われる笹荻派をニヤリとさせるオチで〆る。
すごい仕事を目撃しました。偉業と思います。
>>イッツタフ!
相変わらず飛ばしまくりですね〜。
あなたの作品、いつも大好きです。
朽木のキャラがとんでもなく拡大しつつある。
すごひ。
>イッツタフ!
すごいよ、まさるさん!じゃなくクッチーすごいよ!
どんどん自由奔放になりますねー。
ふふふ、クッチーがラブホに行くんなら、この作品もセーフかな?
チャンス!以前本スレにて話題になった男女入れ替えの議論見てて
思ったやつなんだけど、どうしたってエロ表現が避けられないんで
ボツしてたやつです。
昔、そういう内容の映画の話を聞いたことがある。
うろ覚えだが、思春期の中学生が登場人物だから、大学生だから大丈夫
だよね!と一人合点してます。笹荻ですが、ロマンティズムゼロの内容ですから、
気に入らない方はスルーしてください。だめだ、楽しいの書こうとするとエロになる・・・。
オギルームで笹原と荻上は頻繁に会うようになっていた。
二人はキスを交わしている。互いに目をつぶり、うっとりした表情でく
ちびるを重ねている。そしてお互い、ゆっくりとくちびるを離し、閉じた目
を開け、お互いの目の前の顔を見つめた。そして、『その異変』に気付いた。
笹・荻「えっ!」
二人が見たものは、お互い見慣れた自分の顔だった。
荻(笹)「俺?こっこれはどういう・・・」
笹(荻)「しっ信じられない・・・こんな事が・・・」
荻(笹)「おっ落ち着いて!いや!落ち着かなきゃいけないのは俺か・・・」
笹(荻)「落ち着けって言ったって無理ですよ!」
二人は混乱する頭をどうにか収めようと、懸命に状況の判断に努めたが、事
態を理解する事はできなかった。
荻(笹)「とっとにかく、整理してもう一度考えよう。なっ何か分からない
けど、俺たちの体が、もとい心が入替ったと・・・。原因は不明・・・。誰
かに相談は・・・。」
笹(荻)「むっ無理ですよ!こんな・・・漫画かアニメみたいな話・・・。
信じる以前に気が狂ったと思われますよ!」
荻(笹)「だっだよねえ・・・。となると原因が分かるまでこのまま・・・。」
事態を受け入れ、落ち着きを取り戻すと、二人は今後の事を相談し始め
た。まず何時元に戻れるか分からないので、しばらく一緒にいると言う事、
その間、この事は周囲には秘密にしておき、二人の生活を続けると言う事に
した。
とりあえず、笹原は卒論の為のゼミの単位が残っており、それを落とす
わけにはいかないので、荻上に出席してもらう。ゼミの交友関係は事前
に説明した。もちろん笹原にも荻上の出席する講義に出てもらうという
事にした。講義やゼミの内容は後でお互い情報交換するという事もこま
ごま決めあった。
荻(笹)「とりあえず、いのちの危険や生活に支障は無いわけだから・・・」
笹(荻)「大有りですよ!他人の体なんて!それに男の体なんて・・・」
荻(笹)「まあ、それは俺も一緒だし・・・はーこれからどうなんのか・・・。
ってごめん、トイレ行きたくなった」
笹(荻)「!!!!!!!」
笹(荻)「ダメです!絶対ダメです!」
荻(笹)「無茶だよ・・・。漏れちゃうよ・・・」
笹(荻)「大丈夫です!何とかなります!でっでも漏らしたら、呪います!
舌かみます!」
荻(笹)「そんな馬鹿な!つかもう無理・・・」
笹(荻)「あっ!」
バタン ジャー (静寂)
荻上はうなだれている。
笹(荻)「・・・見ましたか・・・聞きましたか・・・」
荻(笹)「(汗)・・・いや見てないよ・・・聞いてないし・・・」
笹(荻)「ウソです!!こっこんな生き恥・・・」
荻(笹)「おっ落ち着いて!いまさらそんな恥ずかしがっても・・・」
笹(荻)「(涙)どんな間柄でも見られたくないもんありますよ!ああもう・・・」
荻(笹)「うわー、窓から飛び降りても、ここ一階だから意味無いって!取
り乱されると、荻上さんの体じゃ、俺の体押さえられないんだ!落ち着い
て!」
ぜえぜえ息を切らせて、ようやく落ち着きを取り戻した荻上はへたり込んで、
グスグス泣き始めた。
荻(笹)「しかたないよ・・・お互い様と言う事で・・・」
笹(荻)「グスグス・・・そうですね・・・。とりあえずトイレの時にはア
イマスクと携帯プレーヤー付けてください」
荻(笹)「それで気がすむなら(あまり意味無いと思うけど)そうするよ。
トイレットペーパーは・・・」
笹(荻)「使うしかないですね・・・。ウォシュレット使用して、紙は多め
に・・・。防臭スプレーも・・・。ううっこんな・・・変態ですよ・・・変
態・・・こんな会話・・・(涙)エロゲーのピーみたいな会話・・・」
笹原は荻上に慰めの言葉も見つからず、途方にくれていたが、自分自身も事
の大変さに気付き始めて、気が遠くなった。とりあえず、今晩は笹原が荻上
宅に泊まることになった。外出する気になれず、夕飯は家にある適当な食事
ですませた。
荻(笹)「・・・あの・・・風呂・・・どうしようか・・・」
笹(荻)「!!もっもちろん、入らないわけにはいきませんね・・・わたし
が洗います!目隠ししてください!」
荻(笹)「ええっ?」
笹(荻)「何か文句でも?」
荻(笹)「いえ(汗)」
目隠しをされた笹原は荻上に手を引かれて、浴室まで先導された。脱衣所で
荻上の手を借りて、服を脱ぎ、目隠しをしたまま浴室に入った。荻上は当然
服を着たまま、一緒に浴室に入った。
(かなり変だ。かなりヤバイ状況だよな・・・)
と笹原は思った。
荻上はボディーソープをタオルにつけて、笹原、もとい自分の体を洗い始め
た。笹原は自分の体じゃないとはいえ、触覚は自分のものなので、タオルが
体をはう感触はしっかり感じていた。
荻(笹)「目隠ししてると、なっ何か変な気分になってきたんだけど・・・」
笹(荻)「わっわたしもですね。なんか腹の下が痛いんだけど・・・。いっ
いやらしいですね!」
荻(笹)「なっ!いやらしいのは君だろう!」
ギャーギャー言い争いながら、どうにかこうにか、笹原は入浴を終えた。笹
原は荻上のパジャマに着替えた。
笹(荻)「次はわたしですね」
荻(笹)「手伝うよ」
笹(荻)「けっこうです!」
荻(笹)「ずるい!」
笹(荻)「はあ?」
荻(笹)「いえ、何も・・・(汗)」
荻上が入浴中、笹原はコンタクトをはずした状態でぼんやりと部屋の様子を
眺めていた。
(うわ、何も見えない・・・。近眼ってこんな感じなのか・・・眼鏡の場所
聞いてなかったな。コンタクトのつけ方も教えてもらわなきゃダメなわけ
だ・・・)
やがて荻上も入浴をすませて出てくる。
荻(笹)「荻上さん、長かったね。眼鏡どこ?何も見えないんだ」
笹(荻)「ああ、ここですね、すみません」
荻(笹)「ありがとう。ん?何その手鏡は?風呂に何を持ち込んでたの(怒)」
笹(荻)「いえ、あの・・・これは・・・その・・・(汗)」
二人はクタクタに疲れて、その日は寝入った。明日になれば元に戻ると、かすかな期待を抱きながら・・・。
だが翌日、目を覚ましても事態に変わりは無かった。戸惑いながらも二人は
入替りの生活を続けた。そうこうしてる内、一週間が過ぎた。
咲「おや、久しぶり!仲のよろしい事で!」
二人は一緒に久しぶりにげんしけんに顔を出した。
咲「一緒に住んでるんだって?早いよね」
笹(荻)「言っておきますが、同棲ではなく、同居!同居ですからね(怒)!」
咲「??笹ヤンらしくないなー、どう違うわけ?」
荻(笹)「(汗)まあまあ、おや、朽木く・・・いや先輩!」
朽木が部室に入ってきた。
朽「おや!お久しぶりですなー。お二方!いえいえ、荻上さんとはわたくし
めが落とした講義でお会いしてますか!」
荻(笹)「そうだ・・・ですね」
朽「それにしても、荻上さん、クラスの最近評判がいいですよ!」
荻(笹)「えっ?」
朽「にこにこ笑顔をわけ隔てなく振舞ってますし、男子達も雰囲気変わった
って驚いてますよ」
荻(笹)「そっそう?普通に振舞ってるだけなんだけど・・・(普段の彼女っ
ていったい・・・)」
朽「ところで、先日も本屋で荻上さんを見かけましたよ!エロゲーの雑誌の
コーナーで立ち読みされてましたよね!荻上さんも興味あったとは知りま
せんでしたな!わたくし!」
荻上は笹原をキッとにらむ。笹原は冷や汗を流して、目をそらした。
咲「それより、笹ヤンの評判が心配だよ。聞いたよ、ゼミの討論で論争吹っ
かけて、相手をけなしまくったとか・・・。それに笹原を乙女ロードで見か
けた奴がいて、笹原の交際は実はカモフラージュで、実はガチホモだっつー
噂が・・・」
荻(笹)「そんなわけないでしょう!」
咲「まあ、荻上が一番知ってるわけだろうけど・・・」
咲はニヤニヤしながら、二人を見た。
笹原が荻上をジッと見ると、荻上は滝のような汗を流してスッと顔をそむけ
た。
帰ってから、二人は口喧嘩を始めた。
荻(笹)「あの時、遅く帰ってきたのはそんな理由で・・・俺の評判が・・・」
笹(荻)「笹原さんこそ!わたしの姿で変な事しないでください!」
結局、その日は二人は口もきかずに寝てしまった。そして次の日の朝・・・
笹(荻)「あれ?どうかしました?」
荻(笹)「なんか・・・おなかの下が・・・痛い・・・気分も悪い・・・」
笹(荻)「あ・・・」
荻(笹)「何なのこれ・・・」
笹(荻)「せっ生理ですね・・・。すみません、ドタバタして忘れてました。」
荻上はいたたまれない表情で、顔を真っ赤にして、表情を歪めた。
荻(笹)「そんな・・・謝らなくても・・・(俺もデリカシーが無かった)こ
んなに苦しいもんなの?」
笹(荻)「普段はそんなにひどく無いですよ。たぶん、ストレスで・・・と
にかく、生理痛の薬とかありますから・・・それと・・・」
笹原は荻上に教えられた通りにしたが、やはりこういうデリケートな事柄は
二人ともいたたまれず、気まずい雰囲気になった。
笹(荻)「じゃあ、寝ててください。わたしはゼミ出席と卒論の資料借りて
くるのに、大学行きますから・・・」
荻(笹)「うん・・・わかった・・・」
荻上が出てってから、笹原はぼんやりと考えた。
(大変だな・・・何と不自由な・・。何も気配りしてやってなかったんだな、
俺・・・)
この不思議な体験を通じて、理解した『つもり』になっていたのに、実
は何も理解してなかったと分かった。変な話だが、笹原は男の自分の体
を見て、興奮するとは思いもしなかった。
女の人もそういうもんかと思ったが、荻上に言うと、傷つけそうなので
言わなかった。最近はそうではないが、やはり自分の汚い面や恥ずかし
い面を見せる事への恐れが荻上にはあったから。
笹原は近眼の目で、鑑に薄ぼんやりと映った荻上の姿を見て思った。
(そういや、まじまじと彼女の『姿』見たこと無いよな・・・一人だし・・
いい機会だよな・・・)
笹原はパジャマのボタンに手が伸びて、一つ目のボタンを外した。だがそこ
で、荻上に申し訳ない気がしてやめた。やがて生理痛の薬が効いてきて、眠
りについた。
荻上は大学に向かう電車の中で思った。
(男というのも、思ってたより不自由なものね・・・)
散々、自分の妄想の中で弄んでいながら、いざ自分が男になってみると、意
外なほど自分が無知であると気付いた。(笹原には悪いが)しげしげと眺め
てみると、想像してたよりも不恰好で、自分の意志に反した部分であるとい
うのも驚きだった。
先ほども、こともあろうに自分の体に興奮していたなど、笹原に知られるの
が怖かった。
(本当にわたし、女子大生?)
自分の無知に呆れると同時に、自分のその抑えがたい欲望と好奇心が妄想に
拍車をかけていたと気付いた。同時に、やおいに対する嗜好とはそれは別な
のだが、そうした生々しい自分の恥ずかしい面を笹原に見せても、考えてい
たよりも平気な自分に驚いた。
(望まずともお互い見てしまったわけだし・・・)
荻上は『その時』の事を思い出し、顔を赤らめた。好奇心を抑えがたく、こ
のまま弄んだら・・・とあの時思ったが、さすがに罪悪感に囚われ、それは
やめた。
笹原が目を覚ますと、目の前に自分の顔があった。
荻(笹)「寝てた・・・」
笹(荻)「もう大丈夫ですか?」
荻(笹)「うん・・・」
笹(荻)「思ったんですけど・・・キスしてこうなったんですから、同じよ
うにキスすれば戻るんじゃないでしょうか・・・」
荻(笹)「戻らなければ?」
笹(荻)「一生このままでもしょうがないですね。お互い隠すものなど、も
う何もありませんから・・・。あるいは・・・さらに先の方法を試すという
手も・・・」
荻(笹)「俺が『受け』で君が『攻め』?」
笹原は荻上に笑いかけた。
笹(荻)「逆でもいいですよ」
荻上も笹原に微笑み返した。
笹原と荻上は目をつぶってキスを交わした。
目を開けると、あるべき姿が目の前にあった。
笹「なんだ、意外と簡単だったんだね!」
荻「悩んで損しましたね!」
もう一度試してみたが、今度は変わらなかった。
笹「たまには変わるのもいいかな?」
荻「わたしはもう嫌ですね!!」
とある二人に起こった不思議な出来事・・・。
分割の目安間違えた・・・。
エロパロ行けって言われませんように・・・。
>>444-455 笹原と荻上の喧嘩描写が多いのが新鮮ですね。
書こうと思ってもなかなかそういう状況が思いつかなくって。
そして中学レベルのドキドキエロスでときめきました(笑)。
でも僕も毎回言われる台詞なので、一応
「続きはエロパロスレでお願いします」(笑)。
いや、楽しくてよかったです。
先月は笹荻が多くて、今月はパロディーが多い流れでしょうか。
これからも楽しみです。
>とりかえばや物語
何故笹荻でこの手の話やると「転校生」になっちまうんだ?!
(褒め言葉の積もりです)
ま、それはともかく、笑わせて頂きました。
2人とも、他人の体で自分の趣味に走ってはいけません。
それと荻(笹)の「ずるい!」は最高。
何かこの話、いろいろなバージョン見たいな。
大野田中だと「これはこれで」とばかりにピー一色になりそう…
咲高坂だと…予想しにくいな。
460 :
428:2006/02/06(月) 05:46:19 ID:???
えーと、続き書き上げちゃったよ。
一日に一作かいてるよ。
前より長くなっちゃったよ。
あ〜もう楽しくて仕方がない。
まだまだ複線張りまくりの第三話、15レスだよ。俺の馬鹿!
「早朝から大変ですね・・・。」
「まあ、戦争って言うのは相手の隙をついてこそだからね・・・。」
日課である早朝ミーティングが出撃のため中止になり、
持ち場に戻るため、二人で基地内を歩くタナカとオーノ。
「皆さん無事に帰ってきてくれるといいんですけど・・・。」
「新型がものすごい性能だから、きっと大丈夫だとは思うけどね・・・。
だけど戦いって言うのは水物でね。どういう結果になるかはわからんよ。」
「それはわかってますけど・・・。」
「うん、無事でいてほしいと思うのは俺も一緒だ。」
ちょうどオーノの職場である医務室前に差し掛かる。
「では、またあとで。」
「ああ。」
医務室に入るオーノに軽く手を振り、整備場へと向かおうとするタナカ。
しかし、そこに後ろから声がかかる。
「タ、タナカさん!」
「え、なに、どうしたの?」
そのオーノのあまりに大きな声に、タナカは驚いた。
「あ、あの子がいなくなっちゃってます!」
「ええ!」
「そろそろだな・・・。」
マダラメはカラーリングを赤に変えたザクに搭乗している。
そのコクピットでぼそりと呟く。
『ですね。そろそろ警戒して進んだほうがいいですね。』
ホバートラックを中心にコクピットでの会話はすべて伝達されている。
その通信をこいにきらない限りは。
マダラメの呟きに反応したササハラがそう進言した。
「ん・・・。そうだな。各機、スピードを落とせ。」
きゅぅぅぅぅぅ・・・・ん。
「・・・どうよ?調子は。」
『ジムっすか?良いですよ。だけど、あのシステム、まだ理解できてませんよ。』
マダラメの問いの対象が自分だとわかったササハラが、率直な感想を述べる。
「ふーん。まあ、無理して使う必要もないわな。」
『ですね。でも、一応ためしにオンしてみますよ。』
隣に並んだ見た目は彼らにとってはおなじみのジム。
あらゆるところがさまざまなパーツで補修されているため、
ヘッドはジムスナイパ−カスタム、腕がジムキャノンといった、
つぎはぎMSと化していた。否、そうせざるをえなかった。
だが、昨日からその内部には実験用の最新システムが組み込まれた。
『成長型のAIだと聞いてるから、なるべく使ったほうがいいよ。」
その会話に割って入ったのはコーサカだった。
「へえ、AIね。」
マダラメが胡散臭そうに言葉を返す。
『ええ。空間知覚を拡大するためのデバイスになるらしいです。』
『?その辺がさっぱりわからないんだよね。』
昨日のミーティングにてタナカから説明されてはいたのだが、
いまいちササハラは理解できてなかった。
『早い話が、目で見る、耳で聞く以上の空間認識が出来るようになるってこと。』
『それって・・・。うわさに聞くニュータイプみたいになれるってこと?』
「そんな夢物語みたいな話・・・。」
ニュータイプ。うわさに聞く天才パイロットたちの逸話。
『まあ、それを目指してみたってことらしいですが・・・。」
「ふーん。まあ、うまく使えるならそれにこしたことはないわな。
で?お前さんの乗ってるガンダムは大丈夫なのか?」
『もちろんですよ。』
裏表のなさそうなはっきりした声で答えるコーサカ。
「期待してるぞ。俺らの中じゃ一番性能はよさそうだからな。」
『了解しました。』
一歩後ろからマダラメ機とササハラ機に追従するコーサカ機。
見た目はうわさに聞くガンダムのそれとは違い、カーキー色のボディ。
肩や膝といった関節が黒で塗られたそのフォルムは、ゲリラ戦向きといえた。
「初陣、ってわけじゃないんだろ?」
『ええ、もちろん。一時期研究室にいましたが。』
『ちょ、コーサ・・・。』
サキがその言葉に反応して言葉を発した。
「ほーん。研究員だったわけだ。」
『ええ。まあ。』
「ほお。・・・そろそろだな。」
マダラメとしては少しその言葉に違和感もあったが、
現場に近くなってきたため、会話はそこで打ち切りとなった。
「クチキ一等兵、現場からの連絡は?」
『一切ないであります!』
「くそ・・・。」
マダラメの頭に最悪の予感が頭によぎる。監視部隊の全滅。
しかし、戦闘中のため発信が出来ない可能性もある。
ようやく現場が視界に入ってくる。
『敵MS反応!八機いるよ!』
サキによる索敵レーダー反応の報告が伝わる。
「!よりによってドダイつきかよ・・・。」
墜落した大物の上空に、ドダイに乗った五機以上のザク。
大物の周辺にはガンタンクUが展開していたが、
撃っている砲撃はまるで当たらない。
すでに、二、三機が撃破されている様子だ。
「ホバーはここで待機!サササラ、コーサカ両少尉は突撃するぞ!」
『『『了解!!!』』』
「射程に入り次第各個撃破だ!ガンタンクのフォローも忘れるな!」
そういって早々に敵の射程の真っ只中へ進むマダラメ。
「ちい、遠距離は得意じゃねえんだけどな・・・。」
今回の補給で得たビームマシンガンを構え、
ガンタンクに注意を引かれているザクの一機に狙いを定めた。
ドダダダダダダダダダダ・・・・。
よもやその方向から攻撃が来ると思っていなかったのだろう。
狙われたザクはそれをかわしはしたものの、バランスを崩しドダイから落下した。
そこに間合いを詰めるマダラメ。ヒートホーク一閃。
武器を持つ腕を切り落とし、戦闘不能状態にする。
「これでもう戦えねえだろう!投降しろ!」
マダラメは外部スピーカーで投降を訴えるが、
かまわずそのザクはヒートホークを残った手に持ち、振り下ろしてきた。
「ちくしょう、やるのかよ!」
マダラメは間一髪それをかわし、もう片方の手も切り落とす。
ついに、ザクはその活動をやめた。
ササハラのコクピットでは、妙な機械音が鳴り響いていた。
「コレ・・・。本当に使えるんだろうな・・・。」
不安はあるものの、やってみない以上には仕方がないとササハラは自分を納得させる。
「・・・よし。」
ササハラはスイッチをいれた。カチ。
キュイー・・・・・・ン。
『始めるの・・・?』
「????声????」
聞いたこともない女性の声が頭に響く。
「え、え、なにこれ?」
頭に妙なビジョンが広がる。自分を中心に一帯の風景が浮かんでくる。
「これが、空間認識?目の前の光景とは別に、頭に浮かぶってことか・・・。」
しかし、その光景が不規則に変化する。
後ろが映ったと思ったら上、下。斜め前方、右斜め45度。
まったく関係ない輸送船の中。ホバートラックのアンテナ。
「うわ・・・。なんだこれ・・・。」
頭を抱えてしまうササハラ。ここが戦場にもかかわらず・・・。
『貴方が見たいものは何・・・?』
再び声が響くものの、そのビジョンに圧倒され、行動がままならなくなる。
マダラメの突撃によって援軍に気付いた皇国軍は、狙いを小隊の方に向けてきた。
「き、気持ちが悪い・・・。」
ササハラはもはや何も考えられず、何も出来なくなってしまった。
『ササハラ少尉!何をしている!』
マダラメの声にはっとするササハラ。
目の前上空には、一機のザクが迫って来ていた。
「く、くそ!」
スプレーガンを向け、応戦の体制をとるササハラ。
二連射するが、あっさりかわされる。
真上に来たザクはすぐさま落下しながら、
ササハラ機に向かってヒートホークを振り下ろしてきた。
「うわ・・・!」
間一髪かわすが、左の手が切り落とされる。
「うあ・・・。」
相変わらずビジョンは続く。
『私を必要としていないの・・・?』
声も響く。
「なんなんだよこれ・・・?」
『ササハラ君、装置をオフにするんだ!』
響くコーサカの声。
「わ、わかった!」
すぐさま装置のスイッチをオフにする。
すると、頭の中に起こっていたビジョンが嘘のように消えた。
しかし、目の前には追撃をしてくるザク。ヒートホークが迫る。
「うおーーーー!!」
ササハラは叫びながら、ビームサーベルを抜き放ち、ヒートホークを真っ二つにする。
「はあ、はあ。」
だが、これでは終わらない。次にザクは体当たりをしてくる。
「うぐ・・・。」
衝撃が体に響く。先ほどの嘔吐感も重なり、少し吐きそうになる。
「くそぉ!」
それも何とかこらえ、ビームサーベルでコクピットを貫く。
ザクの動きは完全に停止した。
「はあ、はあ・・・。やっちゃったか・・・。」
人を殺すのは別に初めてではない。それはマダラメもコーサカもだろう。
しかし、いまだにこの自己嫌悪感は拭いきれない。
「・・・まだ、戦いは終わっちゃいない。気を抜いちゃだめだな。」
『コーサカ少尉、今日のエースだな。』
ササハラがザクを一機撃破したころ、コーサカはすでに三機ザクを撃破していた。
「いえいえ。運が良かっただけですよ。」
『謙遜は良くないな。しかもうまく動きを止めるようにしている。』
事実、コーサカに相対したザクは、すべて手や足がもがれた状態で、パイロットは無事だ。
「まあ、気分の良いものではありませんからね・・・。」
『・・・それはそうだな。』
マダラメも、ドダイを奪い、空中戦にて二機目を撃破したところだった。
「ち・・・、やっちまったか・・・。」
今回はうまくとめられず、相手のザクのコクピットを切り裂いてしまった。
「いまだに・・・。思い出しちまうな・・・。」
『隊長!あと二機ですか!』
「おうよ!」
少し感傷に浸りそうになったマダラメの意識を、、ササハラの声が現場に戻した。
しかし、その二機が見えない。見える範囲にいないのである。
『たいちょお〜〜〜!大きな識別反応が!』
「なんだと!?・・・あれは!」
クチキの報告から例の大物のほうを見やるマダラメ。
その周辺には先ほどの二機のザクが。
そして、空中にいるマダラメは見ることが出来た。
超巨大な、ハラグチの乗って来たものよりも、
数倍はあろうかという輸送船が近づいていることに。
「・・・うそだろ?流石にあれは落とせんぞ!」
ちょうど上空にきた輸送船は、ワイヤーを下に落下させる。
残った二機のザクによりワイヤーがくくりつけられる。
『あのワイヤーさえ切れば!』
叫び、狙いを定めようとするササハラに対し、
「・・・いや、やめとこう。俺らの任務は、監視隊の防衛だ。
下手を打って反撃されたらかなわん。」
そういって、その光景を眺めるマダラメ。
徐々に引きずり上げられていく大物。
『・・・あとで少将に怒られませんかね?』
そういったのはコーサカ。
「・・・しょうがあるまい。出来ないことをやるわけにもいかん。」
輸送船は空中に大物をぶら下げたながら、皇国軍のエリアのほうへと去っていった。
『貴様ら!何をやっている!』
そのタイミングで通信に入っていたのは、大きな怒声であった。
「なぜ、見逃した!あれは皇国の機密であり、
わが軍にとってあれを逃すことは大きな損失なのだぞ!」
基地に戻ってきた801小隊の面々は、ハラグチ少将の怒声を浴びることとなった。
今彼らがいるのは司令室。出撃隊に加えて、大隊長も同席していた。
「・・・われらの任務は監視隊の護衛でしたから・・・。」
「理由になっとらん!」
マダラメの言葉に怒りをさらに膨らませる少将。
「ですが、あれを取り戻そうとしたらこちらにも甚大な被害が・・・。」
「そんなもの知るか!あれには兵100人以上の価値がある!」
マダラメとの問答を続ける少将の言葉にカチンと来たのはササハラ。
「な、なんてことを言うんですか!人の命のほうが軽いですって!?」
「馬鹿、やめろ、ササハラ・・・。」
同じく頭には来てるものの、軍属として上官に反論はしてはいけないと
考えるマダラメは、ササハラの言葉に冷や汗ものだ。
「その通りだ!それによってわが軍が勝利し、
さらに何十万という命が助かるのならば、それも致し方あるまい!?」
「それは詭弁でしょう!」
「貴様!上官に逆らう気か!」
にらみ合う二人。そこに、大隊長が声をかけた。
「・・・まあまあ。落ち着きなさい。」
「はあ・・・。」
「しかしですな。上官への口の利き方も知らんような兵士は切るべきですぞ。」
その言葉にさらににらみを利かせるササハラ。
「それはそうとハラグチ少将。こんなものが出てきたんだがね・・・。」
一つの封筒をハラグチに向かってヒラヒラさせる大隊長。
「はあ?なんですか、それは。」
近寄り、封筒を受け取り、中を見るハラグチ。顔が変わる。
「・・・これ、どこで・・・。」
「ん?たまたま、ね・・・。」
「コピーのようですが・・・。」
「原本はボクの信頼してるある人に預けてあるよ。」
そういってにこりと笑う大隊長。
「・・・何がお望みで・・・。」
ハラグチが、今までにないくらいしおらしい表情を見せる。
「ん。この部隊への補給を忘れないようにしていただけるかな。
今までずいぶんと・・・。」
「はい、はい!わかっております!」
「あと、ガンタンクUとジムキャノンあったよね、置いてってくれる?」
「わ、わかりました。で、では、私はこれで。」
そういいながら、足早に立ち去ろうとするハラグチ。
「ん・・・。そうだ・・・。報告書、まだ出てないようだな。
あと、パイロットが脱出したような形跡、
いや外からこじ開けたような形跡があったんだが、
何か知らないか?」
出ようとした瞬間にハラグチは出撃隊の面々に向かって質問した。
「・・・われわ」
「いーえ、何も知りません。
皇国がパイロットだけ先に救出しにきたのではないですか?」
バカ正直に答えようとしたササハラの言葉をさえぎり、マダラメが答えた。
「そうか・・・。では報告書だけは頼むぞ・・・。」
そういって、ハラグチは面白くなさそうに出て行ってしまった。
「隊長・・・。」
「まー、そういうことにしとこうぜ。俺らしか知らないわけだし。」
「すいません、先ほどはついかっとなって。」
「頭に来てたのは俺もだしな。」
「ったく、嫌なやつだね。ああいうのがいるから軍は嫌なんだ。」
サキがようやくいえると言った様子で文句を並べた。
「ササやんはかっこよかったね。まあ、隊長さんもね。」
「へ。軍属って言うのはいろいろ大変なんだよ。」
サキのほめ言葉も、皮肉で返すマダラメ。
「またそういう言い方をする・・・。」
ササハラが苦笑いをする。
「しかし、大隊長、あの封筒って・・・。」
「ん、気にしないで。これでずいぶん君らにも楽をさせて上げられる。」
(き、気にしないでっていわれてもな〜〜〜。)
そこにいた全員がそうは思ったが、突っ込まないことにした。
「では、解散!ササハラ、報告書、うまく書けよ。」
「了解!」
笑顔でそこから飛び出し、気になっていた医務室へと向かうササハラ。
その途中でオーノと出会う。
「あ、ササハラさん!いいところに!」
「え、あの子目が覚めた!?」
「そうだと思うんですが、行方不明に!」
「ええ!?」
「じゃあ、朝から見つかってないわけね?」
サキがオーノに向かって聞く。
「ええ。皆さんが出撃されたあとに・・・。」
「かー、厄介だねえ。まがりなりにも敵国の兵士だろ?」
そのことをオーノから聞いたササハラはすぐさま皆に捜索の手伝いを依頼した。
「ええ・・・。ですけど、片手骨折してますから、
たいしたことは出来ないとは思いますが・・・。」
一応の装備を固めながら、オギウエの捜索をしている二人。
「ここの連中はお人よしだね。軍人らしくないよ。」
「ええ。だから私はここが大好きなんです。」
「ふーん。まあ、私としても居心地は悪くないかな・・・。」
「そういえば、カスカベさんとコーサカさんはどういったご関係なんですか?」
「サキで良いよ。一応恋人ってことになるのかな?幼馴染でね。」
「へーえ。」
「研究所に勤務してたときに再会してね。まあ、そのままって感じ。」
「え、じゃあ元は軍属じゃなかったんですか?」
「まあ、いろいろあってね・・・。」
「あ、あそこに動く影!」
前に見えた影を追って、サキとオーノは話を中断して影を追った。が。
「なんだ。クガヤマ・・・だっけ?」
「な、なんだよ。み、みつかったのか?」
「いえ・・・。クガヤマさんの影がそうなのかなっておもって・・・。」
「そ、そっか。じ、じゃ、俺あっち見に行くよ。」
「うん。じゃあ、私らはあっちね。」
ササハラはMS整備場に来ていた。
普段はタナカとクガヤマが機械をいじる音を全開にしてるものだが、
今はみなで捜索してるので静かなものだ。
「・・・おーい!でてこーい!!」
一応声を出してみる。
しかし、それで出てくるようなら、もう見つかっているはずだろう。
そうは思いつつも、声を出してしまった。
ガチャ・・・。
音がした。その方向を向くと、廃パーツの山が動いていた。
「そこか?」
ササハラは静かに近寄り、その山を動かしていく。
「ひい・・・。」
そこには、恐怖におびえ、身を丸くしたオギウエの姿があった。
「・・・よかった。意識戻ったんだね・・・。」
満面の笑顔を、オギウエに向けるササハラ。
「!なんで、笑うんだ・・・。私とお前は敵なんだろう!?」
「でも、人の命にはかわらないよ。」
「私は・・・。私は・・・。」
わなわな震えるオギウエ。それを見て、ササハラは言う。
「いろいろあったんだろうとは思うんだけど、聞いたりしないからさ。
ひとまず医務室に戻らないかな?」
「・・・わかった。」
ササハラは、しゃがんでる荻上の手を引き、立ち上がらせる。
「・・・そうだ、名前は?」
「・・・オギウエ。チカ・オギウエ少尉。」
「へー。俺と同じ階級なんだ。」
「・・・別に、気を許したわけじゃないぞ。」
「はは。わかってるよ。じゃあ、いこう。」
「オギウエさんていうんですね。いいですか、オギウエさん。
あなた、一応体弱ってるんですからね。
動いてさらに悪化したらどうするつもりだったんですか?
そういうの、甘く見てる人私とっても腹が立つんです。」
笑顔ではいるものの、棘のある言葉をオギウエに並べ立てるオーノ。
あのあと、ササハラは医務室にオギウエを戻し、みなに発見を報告した。
「別に助けてくれとはいってない・・・。」
「やかましいですよ?腕も骨折してるというのに廃パーツの中ですって?
もしかして持ち上げたんですか?そういうのが良くないんですよ?
いいから助かった命、大切にしてゆっくり治してくださいね。」
あいかわらず笑顔でいるものの、言葉にさらに棘を含ませるオーノ。
「ぐ・・・。」
口では勝てないと思ったオギウエは、布団にもぐりこんでしまった。
「あはは・・・。」
「まったく人に迷惑かけといて・・・。」
「まあまあ。俺らのこと信用はまだ出来ないでしょうから。」
オーノに近づき声を潜め話すササハラ。
「それはそうですけど・・・。」
「元気になるまでは一応そっとしといてあげてね?」
そういって手のひらを縦にして口の前に置き、片目をつぶるササハラ。
「はい、わかりました。
でも、元気にさせるためのことはいろいろしますよ?」
「あはは・・・。お手柔らかに頼むね・・・。」
時間は夕暮れ。第801小隊は、死者を出すことなく今日を終えることが出来た。
「パイロットの生死不明・・・?」
皇国軍基地にて、先ほど回収された兵器の報告書を見たナカジマが眉を顰める。
「ええ。死体はなく、外からこじ開けた形跡が・・・。」
「!?まさか、連盟軍に囚われたのではないのか??」
「その可能性も否定は出来ません。」
「困ったことになったな・・・。大したことを知ってるわけではないが、
やつらに良いサンプルを渡すことになる・・・。」
地図が映し出された大型のディスプレイを見るナカジマ。
「・・・一番近い連盟の基地は?」
「B−801地区の基地ですね。」
「・・・工作員を潜入させてみるか・・・。時間はかかりそうだがな・・・。」
新システムの基盤はある少女の思考パターンが元になっているという。
システムになれるために日々特訓を繰り返すササハラ。
一方で敵国の少女・オギウエと交流するごとに、
戦争がさまざまなものを失わせることを再認識する。
次回、第四話「二人の少女」
お楽しみに。
477 :
460:2006/02/06(月) 07:02:20 ID:???
今週気付いたこと。
次回予告なんて作るから次が書きたくなる。
>第801小隊
自分のSSを投下しようかなと思ってスレのぞいてみたら、とんでもない方向にストーリーが発展してた。
大隊長ステキ!何かパトレイバーの後藤隊長みたい。
初代会長が軍属なら、今回みたいなことやりかねんな。
こんな力作の後ではチトつらいが、やっぱ投下します。
一応来月号の予想的SSですが、何と言うか今までのハッピーエンド予想SSのエピソード1みたいな話です。
5分後に投下します。
タイトルは実はハッタリで、物語は合宿翌日の9月12日、即ち笹原が荻上さんの部屋を訪れる日の、約束の時間の数時間前から始まる。
朝から荻上さんは忙しく立ち働いた。
年末の大掃除並みのレベルの掃除を行ない、念の為に簡単な料理の用意もした。
そして笹原に見せる例のものを整理した。
そしてこういう時にも関わらず、いやこういう時だからこそ身だしなみにも気合が入った。
まずひと通り準備が出来ると、風呂に入って体を清めた。
まさかそんなことが必要な展開にはならないだろうが、気持ちの問題で下着も新品を出し、服装も何時もよりはオシャレっぽい(だけど地味)ものにした。
化粧は迷ったが、結局いつも通りのスッピンにした。
(どのみち化粧するなら買いに行かねばならないし)
そして髪型は…いつも通りの筆にした。
この髪型は心もち顔の皮膚や筋肉が引っ張られる感じがするので、今日のような決戦の日にはピッタリなのだ。
約束の時間より2時間近くも前に呼び鈴がなった。
いくら何でも、こんなに早くは来ないだろう。
じゃあ誰だ?
怪訝に思いつつ、玄関の戸を開ける荻上さん。
扉の前に立っていたのは恵子だった。
恵子「(軽く手を上げ)ちゅーす」
某バスケ漫画のような挨拶をする恵子にあ然とする荻上さん。
恵子「ちょっと顔貸してくれる?」
2人は荻ルームの近所の喫茶店に入った。
コーヒーだけの荻上さんに対し、恵子はしっかりスパゲッティを頼んだ。
注文の品が届く前に、荻上さんの方から切り出した。
荻上「あの、本題に入っていただけませんか?(腕時計見つつ)もうすぐ…」
恵子「でーじょーぶだって。アニキ来る時間まで、まだ2時間はあんだろ」
荻上「何でそれ知ってるんですか?」
恵子「(あっさり)アニキの携帯見た」
荻上「(赤面)なっ、何てことするんですか!」
恵子「しゃーねーだろ。昨日帰りにアニキの部屋寄ったんだけど、あたし居ても携帯チラチラ見てるんだから。気になるだろ、普通」
荻上『そっか、笹原さんも落ち着かないんだ…』
恵子「それよりあんた、今日アニキにホモマンガ見せるんだろ?」
荻上「(赤面)なっ、何故それを!」
恵子「いや、昨日姉さんたちと話してるの立ち聞きしたから。ホモマンガってのはヤマカンだけど、当たっちゃった?」
赤面で俯く荻上さん。
恵子「それもひょっとしてアニキがネタのホモマンガ?」
最大赤面で俯く荻上さん。
恵子「やっぱそうか。中学ん時とおんなしことしちゃったわけだ」
席を立とうとする荻上さん。
その腕を掴む恵子。
恵子「ちょっと待てよ。あたしゃ別に責めてないから。それにまだ本題に入ってないし」
何時に無くマジ顔の恵子を見て、再び座る荻上さん。
恵子「そんで本題だけど…」
言いかけたところで注文の品が来た。
恵子「ちょっと待ってね。すぐ食べ終わるから」
そばかうどんを食べるように、皿に顔を寄せてズルズルとスパを食べる恵子。
早食い競争のような勢いで、あっという間に平らげた。
一方荻上さんはコーヒーに目もくれない。
恵子「ごめんね。マジ腹減ってたんだ。(ナプキンで口をぬぐい)そんで本題だけど、実は合宿に行く前の日、あんたのホモマンガ見たんだ」
荻上「えっ?」
恵子「まあ女のあたしが見る分には、なんつーか萌えーって感じだけど、男のアニキが見たら多分キモイと思うよ」
荻上「(怒って最大値で赤面)そっ、そんなことはあなたに言われるまでも無く分かってます!」
恵子「まあ落ち着きなよ。何も喧嘩売る積もりは無いんだから」
荻上「じゃあ何なんですか?」
恵子「あたしが確認したかったのは、あんたがそのことを自覚してるのかどうかなんだよ。まあ軽井沢ん時の話でそうだとは思ってたけど」
荻上「どういうことです?」
恵子「つまりさあ、あんた自身が他人が見たらキモイと分かってるもんアニキに見せる以上、アニキがキモイと思うことは許してやれって言いてーんだよ、あたしは」
荻上「…」
恵子「だってそうだろ?考えてもみろよ。そういう趣味の無い人間がホモマンガ見て気持ちいいわけねーだろ?」
荻上「…そうですね」
恵子「逆にアニキが、自分がネタのホモマンガ見て萌え萌えしてたらキモイだろ?」
荻上「それはそれで…(ワープしかけて我に返り)何でもねっす!」
恵子「アニキは多分キモイと思っても言わねーと思うし、それで逃げたりはしねーと思う。だけど顔には出るかもしれねー」
荻上「…」
恵子「そこであんたがキレたり逃げたりしたら、全てオジャンになっちまう。うちらが心配してるのはそこなんだよ」
荻上「うちら?」
恵子「春日部姉さんも大野さんも、あとの男連中もひっくるめてみんなだよ!」
いきなり頭を下げつつ、両手を合わせる恵子。
少したじろぐ荻上さん。
恵子「頼むよ。頼むからアニキのこと信じてやってよ。どんな反応しようと、アニキがあんたのこと好きな気持ちはぜってー変わんねーから。あたしが保証するよ」
荻上「保証?」
恵子「泊めてもらった時に聞いちゃったんだけど、アニキ寝言であんたのこと呼んでるんだよ。荻上さんって」
荻上「(最大赤面)えっ?」
恵子「そんだけ惚れてんだから、たとえあんたの趣味がどんなに悪くたって気持ちは変わんねーと思うよ」
しばし沈黙。
荻上「お兄さん思いなんですね」
恵子「(赤面し)そっ、そんなんじゃねーよ。たださあ、アニキが落ち込んでるとこ見たくねーんだよ。昔さあ、アニキが中学ん時ふられて凄く落ち込んだ時があったんだよ」
荻上「(驚いて)笹原さんが?」
恵子「まあそん時はあたしも小学生だったんで事情は知んなくて、後で付き合った彼氏がたまたまアニキの同級生だったんで分かったんだけどね」
荻上「…」
恵子「マジあん時のアニキの落ち込みようはひどかったよ。もうあんな姿は見たくないな」
荻上さんの手を両手で握る恵子。
ひるむ荻上さん。
恵子「アニキ幸せにしてくれよ、千佳姉さん」
荻上「姉さん?」
恵子「(腕時計を見て)おっとそろそろ時間だ。じゃ、あたし行くね。アニキには言わないでよね、あたし来たこと」
出て行く恵子。
荻上さんは恵子の言葉を反芻していた。
言われてみればその通りだ。
自分が自己嫌悪に陥るものを人に見せて平気でいてもらいたいと願うなんて、考えてみれば虫のいい話だ。
それを見てもなお隣に居てくれる、それでいいじゃないか、それ以上何を望む?
恵子に会ったことで、荻上さんの中にわだかまっていたものが解決したような気がした。
もう迷うことなく、部屋で笹原さんを待とう。
そう決心して荻上さんは、冷め切ったコーヒーを飲み干すと喫茶店を出ようとした。
「またやっちゃったか」
恵子は帰り道の途中で、自分の分を払ってないことに気が付いた。
「最近姉さんやアニキに奢ってもらってばっかだったから、クセになっちまってるなあ。まあいいか、千佳姉さんあとよろしく。そしてガンバ!」
1人つぶやく恵子だった。
以上です。
酒飲んでからの送信なんで、正直校正の方は自信ありません。
変な文もあるかもしれんが、何とぞご容赦を。
>>決戦前夜
恵子がいい味出してる!
彼女にもいい役目あげたいよなあ。
おそらく来月号でも絶対描写されないこの時間。
こんなことがあったら良いなと感じるSSでした。
>>決戦前夜
恵子が咲に見えた(笑
こりゃ2代目姐さん襲名か?
ともかくも楽しく読ませていただきました。乙〜
487 :
木尾:2006/02/06(月) 19:09:34 ID:???
ここは本当にネタの宝庫だな
メモメモ
キターwww
「木尾三人衆」の一人がwww
>>457 ああ良かった!セーフなようで!だよねー、このくらいなら中学レベルだよねー。
もっと過激なのもクククク(増長)笹荻の喧嘩は想像すると楽しいですよwww
>>458 ホントにいいものだ!
>>459 そうだよ!「転校生」だよ!映画のタイトル!けっこうこのバージョン色んな
漫画で使用されている気がするのに、名を上げろと言われると意外と出ないねー。
大田は・・・高咲だと・・・少しひねれば面白いかも・・・確信は持てませんが・・・。
ここから感想を・・・
>第801小隊 第三話 迷子の兵士
うん、笹原にはつぎはぎのオンボロジムが良く似合う。ただの独断と偏見です、ええ・・・。
個人的にもミリタリー物のリアリティーあるファーストが好きですね。その雰囲気再現してます。
かなり構成が微に入ってます。ここまで長編になってもストーリーが破綻してません。
すごい。もうこの際だから行き着くとこまで行っちゃいましょうよ〜。コスプレしましょうよ〜。
>決戦前夜
校正の必要の無い文章です。俺なんかシラフでも、投下後読み返してみて、うわっ変な日本語!
直してえ!って思うのに。今後のために惠子の存在も大きく扱ってほしいですよね。
スパゲティーを自然体でゴチになる恵子さん素敵です。とっても素敵です。ずっと
そのままの自然体の素敵な貴方でいてください。でもそのうち・・・
荻「きゅ給料日に合わせて、また来ました!」
笹「きっ来たか・・・タダメシ狙いに・・・」
斑目の「うわ自分勝手」「うわ勝手だ」
咲荻の「いやオタクがどうこうって話じゃないけどね」
「もはやオタクがどうとかいう問題じゃないと思います」等、
木尾士目は意図的に似たセリフを再利用しているので、
SS書くのならピンポイントで投入すると効果的
実践例は密かにこのスレの中に
491 :
木尾:2006/02/06(月) 21:42:54 ID:???
>>487 お、お前は誰だーっ!私のネタを盗るんじゃぁ〜〜〜ないっっ!!
カキカキ・・・
ある一室で、パソコンに向かう男。
何やら書き込んでいる。以下その文面。
「ここは本当にネタの宝庫だな メモメモ」
数分後、再び書き込み。
「
>>487 お、お前は誰だーっ!私のネタを盗るんじゃぁ〜〜〜ないっっ!! カキカキ…」
男の後から、別の男が声をかける。
「何やってんですか、木尾先生!この〆切前の忙しい時に!」
「ゴメンゴメン、エムカミ君。ちと気分転換」
>>492 だとしたら木尾センセーのこと今以上に好きになりそう。
>>461-476迷子の兵隊
連載物で予告つきで…わくわくしますね!
ほんとに楽しみにしてます。
斑目の采配っぷりとか良いですねぇぇぇ。
>>479-483 もう4月号予想は出尽くした(BAD END以外)感が有ったんですけど
これは非常にGJです!!
恵子、これだったら大ブレイクですよー。
また良いタイミング有ったら恵子エピソードお願いします。
495 :
マロン名無しさん:2006/02/07(火) 01:41:36 ID:rm1JxYaH
801小隊面白い!!
特にマダラメ少尉のキャラがたってるなあ…
そのうちなんかのトラブルに巻き込まれたサキを助けたりなんかして
マダラメが意識し始めるとかあったらいいなあ。
…まあ流してください。斑目スキ〜のたわごと(汗)
このスレに触発されて斑目と咲と高坂の話書いてみました
近日中にうpします
ああ緊張する…
496 :
木尾:2006/02/07(火) 02:47:18 ID:???
>>491 にゃにお〜! 偽者の分際で!
カキカキ・・・
うは!ホントに3人出た!!
498 :
マロン名無しさん:2006/02/07(火) 03:08:00 ID:eqvp3Dig
本人たちキター!!
木尾さんたちが来ると、なごむわ〜〜。
500 :
477:2006/02/07(火) 03:54:23 ID:???
読んでくれた方々ありがとうございます。続きもガンバリマス。
>>429 そう、コレは禁じられた遊び・・・。
でも「妄想は誰にも止められないし」
>>430 >>478 大隊長(すなわち初代)は動かしやすくて大好きだったりします。
まえ、この人コンピューターにしたなあ、そういえば。
>>489 入ってるエッセンスは一年戦争の外伝たちですね。
08、戦慄のブルー、コロニーetc...
あとはパトレイバーの特車二課(漫画版)のイメージも混ぜてあったり。
>>494 >>495 マダラメがかっこいい方向性でいきます。
でも報われません。サキとのストーリーは・・・フフフフ
もうこうなったら突き抜けます。
15話とかの分量になって「もういいよ〜」って言われても走り抜けてやる!
2ヶ月ぐらい前に書いた続編SSを思いついて一気に書いてしまいました。
明日も普通に仕事なのに立派な駄目人間です。
では深夜ですので待たずに5レス分いきます。
大学の帰り道、まだ明るい時間帯のこと。
荻上はコンビニに寄ると、またしても弁当コーナーに
「ミニいくら丼 395円」という新商品を発見した。
狼の目で手にとって真剣に眺める荻上だったが
『でも、まだ夕食時間じゃないし…ミニなら夜食かな?』
ちょっと名残惜しそうに棚に戻す。
なんだか前と同じ失敗をしそうな荻上だが…。
夜も更けて。今夜は、夏コミで本を買ってくれた人からの依頼で
くじあん女性向けアンソロ本に寄稿することになって、
2ページ分の原稿に向かっていた。
冬コミではなく他のイベントでだが、マイナーな
盛り上がりに参加できるのは嬉しくも有った。しかし…。
「降りてこないナァ」
1枚物のイラストなのでアイデア勝負なのだが、今日に限って
なかなかコレ!という萌えシチュエーションが降りてこなかった。
右側に描くものが決まらないので、左に描くピーな物の
シチュエーションも決められない。
その時、携帯の着信メロディーが穏やかに鳴る。
BUMP OF KITCHEN(通称バンキチ)の「超新星」。
しみじみと良い曲で笹原への感謝を忘れないように
という自戒の意味もある。
すぐにぱかっと携帯を開いて笹原のフォルダを開く。
「なんか原稿やるって言ってたよね?差し入れしに寄るよ。
あ、泊まらないから気を遣わないでね。邪魔しちゃ悪いし。
今からコンビニだから何か欲しいものあったら言ってね。」
「ありがとうございます。締め切りは遠いので気を遣わないで下さいね。
でも嬉しいです!それで…ミニいくら丼を買って来て貰えれば……。
笹原さんの好きなチャイと角砂糖の準備をして待ってますね。
寒いから気をつけてください。」
返信を送ると、気分転換になると思い、シナモンなど香辛料と茶葉を
ごそごそと取り出しにかかる荻上だった。
しかし、なかなか笹原は来なかった。
30分ぐらいなら気にならないが、40分、50分となると不安が募る。
「夜に来る時は自転車で来る事も多いけんども、今日は歩きなんべか?
それとも交通事故とか…いやいや、心配性過ぎだナァ……」
などと考えていると呼び鈴の音。
荻上は返事もせず扉に走ると、覗き窓も見ないでそのまま扉を開ける。
「あ、ごめん。遅れちゃって……。
あと、もひとつゴメン!いくら丼探したけど無かったんだ」
荻上の憮然とした表情に、笹原は焦って言い訳を続ける。
「今日は自転車だったから4軒巡ったけどどこにもなくって―――」
「いいですから!」
笹原の冷えた手を、荻上の小さく温かい掌が包む。
「イクラ丼より笹原さんが来てくれたのが嬉しいんですよ」
「えっ、でも………」
「心配だったんですから。もう……入ってください」
とりあえず買ってきたミートソーススパ1つを机に置き、
まずは二人で熱いチャイを飲む。
「笹原さん、チャイだけは砂糖山盛りなんですよね」
「ん、まあね」
「それ、食べる時はレンジで温めるから言ってね。
原稿続けてよ。―――調子はどう?」
「やー…その……じょ、女性向け2Pなんですけど、どうも……」
「あ(汗)ひょっとして俺のせい? ほんとゴメン」
「いえ、その前からアイデア出てませんでしたから……」
しばし無言になる二人。
立ち上がると、スパゲティーをレンジに運ぼうとする笹原だったが
「あ―――、ちょっと」
「え?あぁ、ひょっとして…気分じゃない(苦笑)?」
「うぅ……ごめんなさい、せっかく買ってきてもらったのに」
ちょっとへこんで、へにゃっと潰れ気味になる荻上だった。
「いや、前にもいくらモードになると他の食べ物が入らなくなるって事が有ったし
ひょっとしてって思って、これ1つだけ買ったんだ(苦笑)。俺が食べるよ」
「なにから何までスミマセン…ありがとうございます」
ちょっと涙が滲みそうな雰囲気だが、流石にこんなことで泣けないと
ぐっと表面張力で頑張る荻上だった。
『笹原さん、ありがとう……私って、けっこうワガママなんだな……』
笹原はそんな荻上の潤んだ瞳を見て一瞬顔を曇らせたが、次の瞬間
晴れやかな笑顔でこう告げた。
「じゃあさ、二人で探しに行こうか!」
「―――え?」
「だからさ、深夜のコンビニツアーに、探索の冒険に出立さ(笑)」
ちょっとおどけた笹原の口調。
『深夜…ツアー…探索…冒険』
そのキーワードと、笹原の楽しそうな様子につられて荻上にも笑顔が戻る。
「なんか、わくわくしてきました」
「夜明けを待たないで帆を張るんだよ」
「私達、愚かな夢見人ですね(笑)」
二人にしか通じない、歌詞の引用。バンキチの「船出の日」だ。
笹原はもう立ち上がるとコートを羽織り始めている。
荻上も、慌ててコートと手袋とマフラーを準備した。
外に出ると、真っ暗な闇夜に白く雪がきらめいている。
そして笹原が自転車に跨って振り返っている。
「さあ、乗ってよ」
「っはい!」
荻上の頬が少し赤いのは、寒さのせいではなく興奮しているせいだ。
後輪の軸のステップに足を掛けると、荻上はしっかりと笹原の胸に抱きつく。
前に二人乗りした時は、肩に手を付いて離れて不安定になったり、逆に
首を絞めてしまって大変な事になった経験が生かされている。
まあ、笹原もこれで心身ともに暖かくなるだろう。
二人乗りの自転車は重いダイナモの音を響かせながら
雪の夜道に旅立っていった。
「沿線の違うあっちの町に行ってみようか?」
「私、あっちの道は喫茶霊峰までしか行ったことありません」
二人で雪の深夜に出かける、そして探索の旅。そのことで高揚した二人は
きっとすぐに目的のいくら丼と、楽しい記憶の財宝を手に入れるだろう。
荻上が深夜の自転車二人乗りのシチュエーションで原稿を仕上げたのは
また後の話―――。
続編というか別エピソードですね…前に書いたの2ヶ月前ですし(汗)。
なんかすみません。誰に何を謝ってるのか自分でもわかりませんが…。
リアルタイム乙。
深夜の事務作業中になんていいものを読ませてくれる・・・!
心が暖かくなって、作業がはかどりそうじゃ!
>>508 うわ!深夜作業頑張ってくださいor2
そしてありがとうございます〜〜〜。
ども、「イッツタフ!」を書いたタワケです。
いろいろご意見ありがとうございました。
返事の代わりにちょっとだけ自分語り的解説を。
俺実は、荻上さんよりちょっと大きい程度の小柄な男なんです。
ですから、クッチーみたいなノッポさんには凄く憧れています。
俺も格闘家や格闘技アニアが陥りがちな体重の神話、即ち経験や才能が同じならでかい方が強いっていう考え方を妄信しています。
だから俺のクッチー観って、スペックに関しては多少過大評価気味になってます。
ですから今後も「あり得ねークッチー」を量産していくことと思います。
連投スンマセン。
実は「決戦前夜」書いたのも俺です。
いろいろご意見ありがとうございました。
実は俺、これ書いてから少しイヤな予感がしてきました。
と言うのは、来月号の本編もひょっとしてこれのロングバージョンみたいな話になるのでは、てな気がしてきたのです。
タイトルは…そう、「笹荻のいちばん長い日 前編」
合宿からの帰り、家に帰る前に笹原の部屋に寄る恵子。
買い込んだブランド物の大半を笹ルームに置いて行くことにし、ついでに荷物整理。
笹原も荷物を整理しているが、何やらそわそわ落ち着かない。
そして充電器につないだ携帯をチラチラ見ている。
それが気になった恵子、笹原がトイレに行った隙にメールチェック。
笹荻は本編に描かれていた後も何度かメールをやり取りし、具体的な時間まで決めていた。
これを知った恵子、家に帰るとたばかって笹ルームを出ると、咲ちゃんと大野さんにメールの一件をご注進。
深夜のファミレスに3人娘が集結して「第1回笹荻最終決戦支援会議」開催。
その結果、各自それぞれの部屋に行って、伝えるべきことは伝えておこうということに決定。
そして当日、笹ルームと荻ルームに3人が入れ替わり立ち代わり訪問。
しかも実はファミレスの隣の席にクッチーが居て、クッチー経由で斑目や田中にも情報が伝わり、当日の笹荻は決戦以前に来客迎撃に追われる破目に。
それぞれがそれなりにいいこと言って、笹が荻ルームに到着したとこで引き…
まだ引っ張る気ですか、木尾先生!
>>511 自分の中の自然な流れの予想でも、ドン引きしてしまう笹やンで
一回不成立っぽい流れになって、翌月にようやく成立。
っていうふうになってますが、大野さんの「まだ引っ張る気ですか!」を信じて
来月1回で成立する予想を書きました。
たぶん他の予想書いた人の中にも同じ気持ちの人は居るのでは。
なので、引っ張られないと信じて来月を待ちましょう。
(ほんとは引っ張ってくれた方が嬉しい←ドM)
513 :
マロン名無しさん:2006/02/07(火) 23:01:17 ID:rm1JxYaH
くはー!いくらハンターUいいなあ。笹荻が幸せそうだと
すっごく幸せな気分になりますなあ。
毎日スレをのぞくたびに新しいSSが読める…それも幸せ。
ワシも頑張って書かねば…
>いくらハンターU
ほんとほのぼのと幸せの余韻を感じさせますね。
俺は原作の笹荻の引き伸ばしはもう勘弁。
これ以上は疲弊して狂っちゃうよ。キャラの内面に引きずり込まれる
日々・・・。考察は深まっていくんだけどね。
>>513、
>>514 読んでくださり、感想有難うゴザイマス!
幸せな日々を妄想するのは楽しい限りです(とか言いながら
>>512みたいな発言を(汗))
投下頻度、すごいですよね…。いつも楽しみです。
516 :
508:2006/02/08(水) 01:20:02 ID:???
う〜ん、妄想がとまらんね。
作業終了後に書き上げたよ、小隊。
もう頭の中じゃ第9話ぐらいまでの流れが出来てる。
後は私の筆が進むかどうか。
筆だけに、読んでくださる方々におぎおぎ。
517 :
508:2006/02/08(水) 01:20:44 ID:???
あ、レス数忘れてたよ。13ぐらいだと思われ。
「どこだ・・・?」
ササハラはあせるように周囲に気を配らせる。
コクピットのディスプレイを凝視しながら、相手を探る。
周り一帯はジャングル。木は多く、視界が明瞭ではない。
「くそ・・・。」
ガサ・・・。
後ろから響く草を分けるような音。
「そっちか!?」
そちらのほうに機体前方を向ける。しかし、そこには何もいない。
「・・・なんだ・・・?」
そう思った瞬間、後ろから衝撃が加わる。
「ぐは・・・!!」
そのまま前のめりになり、一瞬息が止まるササハラ。
機体自体もバランスを崩して倒れこむ。
「く・・・。」
何とか体勢を整え、その衝撃のあった方向へ向き直る。
「うわ!!」
その瞬間、ササハラの視界は真っ赤に染まった。
「くっそ〜〜。勝てないな〜。」
ジャングルの外、基地を丁度目の前にする道路にて。
ジムから降り、悔しそうにしながら手袋を脱ぐササハラ。
「けけけ。もう何連敗目だ?しっかし、コーサカの奴つえーわ。」
ジャングルの外にて待機していたマダラメがササハラのボヤキを皮肉った。
「はは。まあ、でもだんだんとうまくなってるよ。」
コーサカもジムキャノンから降りてきて、会話に混ざる。
「性能もほぼ一緒の機体でここまでかなわないと、流石にへこむよ・・・。」
そう、今行っていたのは模擬戦であった。
水性塗料の入った水鉄砲のような模擬銃と、白い後のつく模造刀を使い、
801小隊は良くこの近くのジャングルで模擬戦闘を行うのだ。
「いやー、ササハラもそう弱くはねーと思うんだがな。
コーサカが飛び抜けすぎだ。俺でも勝率3割程度だからな。」
「一応、それで生きてきましたからね。
正直、ジムキャノンだと機体が追いついてこないんですよ。」
苦笑いするコーサカ。
「ほう。あのガンダム、相当反応性いいんだな。」
「ええ、僕以外の人だときっと機体に振り回されますよ。」
「すごいね。心強いなあ。」
感心しきり、といった表情をするササハラ。
「よーし、次はクチキとクガヤマでいくぞー。」
「了解であります!」
「わ、わかったよ。」
「ふ〜、暑いねえ。」
「ですねえ。」
医務室にてうちわを仰ぎながら座っているオーノとサキ。
「もう二週間がたつんですね・・・。」
あの事件から、すでに二週間が経過していた。
その間、これといった事件も、戦闘も無く、801小隊は日々まったりしていた。
「最前線って言うから日々ドンパチしてるもんなのかと思ってたよ。」
「そこまでする価値も無いんですよ、この地域には。」
一面のジャングル、交通の便も悪く、特に拠点が近いわけでもない。
皇国にとっても攻める価値も無く、連盟にとっても守る価値も無い。
「いわば、見捨てられた土地なんですよ、ここは。」
「ふーん・・・。まあ、そのほうが楽できるし。」
「ええ、このほうが、私もいいと思います・・・。」
そこに現れた一つの影。
「・・・戻りました。」
「お、オギー。」
「そのオギーっていうのやめてくれませんか?」
「まあ、いいじゃないですか。大分良くなりましたね。」
「・・・貴方がいたらそうならざるを得ません。」
むすっとした表情をしながら、ベッドに入るオギウエ。
「はは。毎日無理やりご飯食べさせられてたもんな。」
「食欲が無いって言っても・・・。」
「食べないと、大きくなりませんよ!」
「もうそんな年じゃありませんから!」
オーノが無理にオギウエの口を開け、食事をねじ込む姿は想像するに難くない。
「それにしても、言葉使いも変わったね。」
「・・・一応、敬意は払っておこうかと思いまして。」
オギウエの口調が変化したのは三日前。その変化に一同驚愕とした。
「まだ、信頼はしてくれないようですね。」
「・・・私は連盟軍を憎むべき敵だと教わってきましたから。
血も涙も無い鬼畜の軍団だと。」
「おいおい・・・。そんな人間だけの集団なんてあるかよ。」
思わず苦笑いのサキ。
「・・・貴方たちは妙なほどお人よしのようですけど。」
「うふふ。それがいいところなんですよ。」
にっこり笑うオーノに対して、赤面して布団をかぶるオギウエ。
「ありゃ。かわいいもんだね。」
「うーん、もう少し心を開いてくれるといいんですけど・・・。」
「ということになっているわけで・・・。・・・ササハラ聞いてんのか!?」
タナカが眠りに落ちそうなササハラに向かって檄を飛ばす。
先ほどの模擬戦も終わり、一同整備場に集まり整備をしていた。
整備員といえる人物は実はタナカしかいない。
クガヤマを初めとして、パイロットも総動員でメンテナンスを行う。
MSの数が多くなったため、みな整備も大変そうだ。
「は!す、すいません!」
ササハラは新システムの講義を聴いていた。
この前の戦いでの事情を聞いたタナカが数千ページはある資料を一週間で読破し、
ササハラにうまく伝えようと開いた講義だった。
しかし、何が何やらで、眠気がたまっていく一方であった。
かれこれ一週間も、講義を繰り返しても半分くらいしか理解できなかった。
「・・・まあ、薀蓄はいいか。
まあ、早い話が、このシステムは人格をモデルにしてる。
それがどこぞのニュータイプの女性、って話だ。」
「はあ。じゃあ、あの声はその人のってことだったんですね。」
「だろうね。」
「うまく、必要な情報を取りださなきゃいけないのか・・・。」
「まあ、慣れだろうな。うまくその人格と意思疎通をしなきゃいかんよ。」
「うーん。じゃあ、そろそろ試してみます。」
そういって、ササハラはジムのほうへと向かう。
「おう。そろそろいいだろ。がんばれよー。」
「えーと、システムオン、と。」
カチ。
機械音が響き、再びあの声が頭に響き渡る。
『・・・何がしたいのですか?』
「あなたの事が知りたいです・・・。」
素直にその声に答えていくことにするササハラ。
つい敬語になってしまうのは、
相手がニュータイプだと聞いてしまったから。
そして、要はコミュニケーションをとればいいのだと判断してみた。
一週間の講義はそれだけしか残っていない。
『・・・私?私は・・・よく解らない・・・。』
「そうですか・・・。名前・・・もですか・・・。」
そういえば、と。このシステムの名前を思い出した。
『こいつはプレジデント・システムといってだな・・・。』
タナカの講義を少し思い出した。
統轄者、という意味らしい。空間をそうする、という意味なのだろう。
しかし、プレジデント、といわれてササハラが浮かぶのはこっちの単語だった。
「・・・会長とでも呼べばいいですか・・・?」
『それが、私の名前?』
「うん。昔知り合いの生徒会長がジョークでプレジデントって呼ばれてまして。
言いやすいし、それでは駄目ですかね?」
『かまいません・・・。』
その声に、少しだけ前進できたことを悟るササハラ。
『他に何かしたいことは・・・?』
今回はなぜかヴィジョンが入ってくることはなかった。
タナカによると、それはササハラ自身が周囲を見ようとしたからだという。
その意思を感じ取ってシステムは映像を送ってきたが、
うまく疎通が出来なかった結果とのことだ。
「・・・ん、今のところありません。また今度よろしくお願いします。」
『はい。また・・・。また、があるんですよね?』
「ええ、もちろんです。」
「ふう。」
ジムから降りてきたササハラは一息ついた。
まるで記憶喪失の人間相手にしているようだった。
「なんなんだろうなあ、このシステム。実験的なものって言っても、
これじゃまんま実験させられてる気分だな・・・。」
腕を組み、少し悩むササハラ。
「ま、気にしてもしょうがないか。」
これがうまく使えるようになったら、この戦いの中でも生き残れるだろう。
他の人を助けることも出来るかもしれない。
大きな力を手に入れるチャンスを、むざむざ逃す手はない。
「おーい、ササハラ〜、飯にすんぞ〜。」
マダラメの大きな声に、笹原は振り向く。
「は〜い、いま行きま〜す。」
食堂では、すでにオーノとサキ、オギウエが食事をしていた。
「ごくろ〜さん。毎日大変だねえ、戦争ごっこ。」
「一応、戦闘訓練なんだがな。」
そのサキの言葉に反応するマダラメ。
「まー、似たようなもんじゃない。」
「なんか遊んでるみたいじゃねえか、それじゃ。」
むっとして、食事を持ってマダラメは椅子に座る。
「ははは。遊んでるかー。そう見えなくもないかな。」
「サキちゃん、やめなってー。」
苦笑いするのはコーサカ。
「・・・遊びだけで終わったらそれでもいいんだけどな。」
そういって、少しマダラメはあきれた表情をする。
「・・・ごめん、言い過ぎた。」
マダラメたちが本物の戦争をして、日々を過ごしている。
それを茶化すような言葉になったことを素直に謝るサキ。
「へ?・・・まあ、いいってことよ。」
素直に謝られて、少し拍子抜けしたマダラメは、皮肉っぽく笑った。
「あはは・・・。本当、そうですよね。
遊びだけで戦争が済んだらどんなにいいことか。」
ササハラがマダラメの意見に同調する。
「・・・ま、まあ、そうはうまくいかないから俺らはここにいるわけだし。」
「しかし、まあそろそろ終結だろうな。」
タナカの言葉にいっせいにそちらを向く一同。
「え、どういうことですか?」
ササハラが一番最初に質問した。
「大隊長に聞いた話なんだがね・・・。」
「そこからは僕が話すよ。」
ビクッ!
声がした方向を見ると、さっきまでいなかった大隊長がいた。
「い、いつの間に・・・。」
「さっきだよ?まあ、それはともかく。」
そういいながら、みんなの座っている中心近くに移動する大隊長。
「戦場が完全に宇宙に移り変わったよ。
皇国軍の大半はすでに宇宙に帰還してる。
一部のゲリラ部隊だけが取り残されてるみたい。」
「マジですか・・・。」
マダラメがその言葉にほっとしたようにため息をつく。
「そ、そんな・・・。」
その言葉に一番反応したのはオギウエだった。
わなわな震えながら言葉を発する。
「そんな馬鹿な!わが軍が撤退してるって!?
そんなわけない!何かの間違いだ!」
「・・・しかし、紛れもない事実なんだよ。」
「お、落ち着いて、オギウエさん。」
ササハラがオギウエを抑えようと近づく。
「・・・落ち着けるもんか・・・。私は・・・。復讐を果たさなきゃ・・・。」
「復讐?」
「そうだ!連盟軍に殺された家族の!」
その言葉に場は凍りつく。
「私はアキバコロニーの住人だった・・・。」
「アキバコロニーってあの・・・?」
オーノがその言葉に反応し、声を漏らした。
「・・・あの大爆発事件か・・・。」
アキバコロニー。
丁度地球圏と皇国コロニーとの中間にあったそのコロニーは、
戦争開始当初、大きな戦場の舞台となっていた。
MS開発において出遅れていた連盟軍は不利な状況におかれ、
使用したのが超大型核ミサイルだった。
しかし、発射されたミサイルは皇国軍を巻き込むと同時に、
コロニーにも大きなダメージを与え、偶発的に爆発へといたった。
・・・というのが大半の見解だが、これに異を唱える者もいる。
「私はその瞬間を見てた!一人で乗った脱出船から!
家族はみな死んだ!私はそれを復讐しなきゃならないんだ!」
「・・・それでも復讐なんて意味ないよ。」
「お前に何がわかる!お前も人殺しだろう!
だったら、あの時私も殺せばよかったんだ!」
バシッ!
ササハラがオギウエの頬を張った。
「・・・!」
無言のままオギウエは走って外へと飛び出していく。
「・・・あ・・・。」
叩いてしまった手のひらを見ながら、ササハラは大きく後悔した。
「オギウエさん、ここでしたか。」
基地の屋根の上、窓から出られるベランダにオギウエはいた。
あの後、皆でオギウエを探すことにしたのだ。
ベランダで体育座りをして一人涙ぐむオギウエ。
「あれは言っちゃいけませんでしたね・・・。」
オーノはその横に座る。
「ササハラさん、ものすごく後悔してましたよ。」
「だって・・・。」
「あのね・・・?一つ聞いてください。」
オギウエに向かって優しい笑みを浮かべてオーノは語り掛ける。
「ここにいる人のほとんどは戦争で家族とか友達を失ってるんですよ。」
その言葉に目を見開きオーノのほうを向くオギウエ。
「サキさんとコーサカさんは最近来られたので分かりませんが・・・。
私も・・・そうですし、タナカさんも、マダラメさんも、クガヤマさんも、クチキ君も。
ササハラさんも、生き別れた妹さんを除いて家族は死んでるんです。」
そういって微笑みを絶やさず、しかし寂しそうにオーノは前方を見つめる。
「それでも、彼らは敵兵をなるべく殺さないようにしてます。
戦争での復讐が何も生まないことを知ってるから・・・。」
オーノはオギウエのほうを向き直る。
「そう簡単に憎しみが消えることはないでしょう。
私も現にそうでした。しかし、ここの生活でよくわかりました。
戦争を早く終わらすこと。
それを犠牲になった誰もが望んでるんだってことに。」
再びにっこりと笑ってオーノは続ける。
「さあ、ササハラさんに謝りに行きましょう。」
「・・・あの・・・。」
俯いたままササハラの前に立つオギウエ。横にはオーノ。
「・・・ごめんね、さっきは叩いたりしちゃて。
カスカベさんに怒られちゃったよ。女に手を出すなんて〜って。」
苦笑いで疲れたような表情をするササハラ。
相当サキに絞られたのだろう。
「いえ・・・。こっちこそ・・・なんていうか・・・。」
「・・・まあ、いろいろあるよ。戦争だからさ。
沢山のものがなくなる。人も、物も、思い出もさ。」
昔を思い返すように遠くを見つめるササハラ。
「・・・戦争が終わるのはいいこと・・・なんですよね。」
「うん。分かってくれたらそれでいいよ。」
にこりと笑ってオギウエを見つめるササハラ。
その顔に思わず赤面するオギウエ。
その変化に、ササハラも赤面してしまう。
その光景をにやりと笑って見つめるオーノ。
「おーい!いつものあれやるぞー!」
大きな声でタナカが外から声をかけてくる。
「あ、はーい!」
近くの窓から顔を出し、答えるササハラ。
「さ、みんなでいこっか。」
「え、え、何を・・・。」
「そっか、オギウエさんは知らないのか。それじゃいってみようか。」
笑いながらオギウエの手を引き外へと向かうササハラ。
オーノもそれに続いた。
シャーーーーーーーーーーーーーーー。
盛大にジムとジムキャノンに向かって浴びせられる水。
「よーし、お前ら、気張って磨けー!」
そういいながら水浸しになって機体を磨く小隊員たち。
常に暑いこの地方だからこその涼み方。
一日一回の水浴び兼MSの汚れ落とし。
「毎日毎日よくやるねえ・・・。」
サキがホースで水を浴びせてるオーノの横で呟く。
「まあ、暑い昼を過ごすいい方法ですからねえ。」
「・・・楽しそうですね・・・。」
小隊員たちの楽しそうな姿を見て、うらやましそうに呟くオギウエ。
昨日までは、この時間はベッドにいたため、このことを知らなかった。
「じゃあ、行ってみれば?」
サキがにやーっと笑って、オギウエをけしかける。
「・・・いいです。別に・・・。」
「まあ、物は試しです、やってみましょうよお!」
そういうと、オーノはオギウエに向けて水をかける。
「な、なにするんですか!」
全身ぐっしょりになって怒りをあらわにするオギウエ。
「うふふ。ほら涼しくなったでしょー?」
「頭きた!」
そういってホースをオーノから奪い、かけ返す。
「な、な、な・・・。」
「お返しです!」
ぎゃあぎゃあいいながらホースの取り合いを始める二人。
「おいおい。お前ら少し落ち着けよ・・・。」
バシャ。
手元が狂ったのか、思いっきりサキに命中する水。
「お、お、おまえらーーー!!」
怒りに燃えたサキがホースを奪い、二人に向かってかけ始める。
二人はまっすぐMSのほうに逃げていく。
「おいおい、ちゃんとMSのほうにかけてくれよー。」
近づいてきた二人にタナカが苦笑いする。
「ご、ごめんなさい。きゃあ!」
謝るオーノに再び命中する水。
「オラオラ、お前らちゃんと磨けー!」
さっきの怒りはどこへやら。笑顔で水をかけ始めるサキ。
「あはは・・・。いやー、今日は一段と楽しいなあ。」
「うん。なんかいいね、こういうの。」
ササハラとコーサカが向き合って笑いあう。
水浸しになったオギウエがそこにやってくる。
「コーサカさん、あの人止めてください!!」
「あはは。わかったよー。」
そういって颯爽とサキのほうに向かうコーサカ。
「・・・びっしょりだね。」
「・・・ええ。散々です。」
「あはは・・・。でも楽しくない?」
「・・・そうかも、知れませんね。」
オギウエは少し笑った。つられてササハラも笑った。
日は下り始め、今日も一日がすぎていく。
皇国軍の任務を受けた一人のスパイ。
第801小隊への潜入に成功する。
しかし、そこには懐かしい顔が。
そして自分の仕事に疑問を持ち始める。
次回、「女スパイ潜入」
お楽しみに。
531 :
516:2006/02/08(水) 02:06:49 ID:???
次回は、あの子が出てきます。
誰かは・・・フフフ。秘密です。
532 :
マロン名無しさん:2006/02/08(水) 02:25:51 ID:Mw4EXYgN
オッス、オラまだ起きてて見てたぞ!
やべ、すっげえ面白くなってきた。
斑目、死なないでね…
>>二人の少女
毎度の長文乙です!!第9話までって…
アフタ4月号を待つ間いっぱいは楽しめる計算に(汗)。
すごすぎます。
次回のスパイ誰なのか、見当も付きません(嘘)。
アニメだと予告で誰かわかってしまう率が高いですが文章だとバレ度低いですね。
ともかく、楽しみっす。
>第801小隊
ますます広がってますな、大風呂敷。
もはや畳むことは不可能。
この話、絵で見たくなってきたな。
どなたか今年の夏コミで挑戦してみては?
おおっと!第801小隊新作来てましたか〜!
出先なんで後でゆっくり見るよ。
まあ、今多分「天啓」が舞い降りてるんですよ!
創作の神が降臨しているんでしょう。もう突き進むのみですね!
536 :
笹荻ラスト予想1/3:2006/02/08(水) 15:51:41 ID:oXzFNfO3
今朝4月号予想考えてたらあることに気づいてしまた。
小説的に書くと時間かかっちゃうので要点だけ。
とおもったのに3回な分けないと送れない量に…
3月号で荻上さんが『あのとき 死んどけば良かった、死に損ねた』と
なげく所ありますね?
あれが伏線だとして、来月号の予想…
笹原、荻上さんちで絵をみせてもらう。予想通り笹原はそんなにひかない。予備知識あるし。
で、そこから荻上さん過去話。
「わたし、自殺しようとしたんです」
おどろく笹原。
荻上さんの話の内容:
学校の屋上から飛び降りたが、おちた所に植え込みがあり奇跡的に助かる。
しかし重症。全治数ヶ月の大怪我。
即入院。学校に行かなくてすむ嬉しさと、助かりたくなかった悔しさに苛まれる。
中島らがよく見舞いに来る。「助かって良かった!」と喜んでくれるが、
荻上は不信感を拭い去れない。でも表面上は普通にふるまう。
537 :
笹荻ラスト予想2/3:2006/02/08(水) 15:54:08 ID:oXzFNfO3
ある日、突然巻田が荻上の身舞いに来る。硬い表情で挨拶する巻田。罪悪感にちぢみあがる荻上。
飛び降りの経緯は友達の坊主からきいたらしい。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
あやまる荻上に、巻田は
「死なないでくれる?死んで許されると思うなよ。これ以上苦しませんな…後味悪いから」
とそっけなく言う。「じゃ、もう会うことはないと思う」
ここまでが過去話。苦しませてしまったことを嘆く荻上。許してはくれなかった巻田。
「だから私自身、許されたいなんて思っちゃいけないんです」
538 :
笹荻ラスト予想3/3:2006/02/08(水) 15:57:19 ID:oXzFNfO3
「でも巻田君は死ぬなって言ってくれたんだよね?」
「死んで許されると思ってんなら甘い、って意味ですよ!そこまで嫌われたんです。それだけ深く傷つけたんです!」
「そこまで嫌っじっと聞いていた笹原が言う。
てたらわざわざ見舞いにこないよ。
俺には巻田君が『もう自殺なんてしないでくれ』って言ったように思える」
「でも、すごい冷たい態度で…」
「そりゃあ、確かにショックだったんだろうけど。でも、きっと心配したんだろう。もともと好きな子だったんだし。」
「でも、でも…」
「巻田くんに許してもらえなかったことより、荻上さん自身が自分を許せないことに問題があるんじゃないかな。過去のことは反省したうえで、そろそろ荻上さんは
自分を許してもいいと思う。もう十分苦しんだじゃないか。
539 :
笹荻ラスト予想おまけ:2006/02/08(水) 16:03:33 ID:oXzFNfO3
「俺は荻上さんが生きててほんとによかった」
泣き崩れる荻上。それを抱きしめる笹原。
「…私っ…笹原さんが好きですっ…!!」
「俺もだよ」
END
540 :
笹荻ラスト予想あとがき:2006/02/08(水) 16:09:07 ID:oXzFNfO3
あわわ…初投稿なのですごいてまどってしまい…
変なとこで文章きれたり…焦
最初文章長すぎて送れなかったり…
すいません×3
>笹荻ラスト予想
まあまあ、初めての時はいろいろあるさ。気にしなさんな。
それにしてもこういう風に細かく掘り下げると、やっぱイタイな荻トラウマ。
本スレで「こんな過去があるのに能天気にヤオイなんか描きやがって」みたいな内容の荻叩きレスを時々見かける。
しかし俺は、それ逆なんじゃない、と思う。
ここまでイタイ過去だからこそ、普段は深層心理の奥に眠っているのでは、と推測している。
だから中島に遭ってそれを掘り起こされた、夏コミ以降の荻上さんのこと考えるとマジ何とかしてやりたいと思う。
何かSSの感想から脱線してしまった。
とにかく乙。
着眼点はいいと思うから、あとは経験あるのみ。
またいらっしゃい。
>第801小隊 二人の少女
読みましたよー。各所に伏線をはる構成なんか本格的ですねー。
続き読みたいですよ。絵板からの発想なんですね。絵描かない
から、最近まで気付きませんでした。ご自身の絵(?)ですか。
最近、絵板から刺激を受ける事しきり・・・。
>笹荻ラスト予想
初投稿、乙 そうなんですよね・・・。俺も原作の重い内容を
乗り切らないと、前に進めない状態・・・。SSは書くが、絵に
関心あっても踏み切れないのも、そのため。行こか、戻ろか、
戻り橋をうろうろ。心を浄化するやつもう一本考えるかな・・・。
>>536-538 なるほど…まだまだ拾いどころはあるってことですねぇ。
そして初投稿、オツカレです。こちら側の世界へようこそ!
是非、今後とも文章に挑戦しての投下を期待しています。
>いくらハンター2
おかげさまで今晩の夕食はいくら丼です
本当にありがとうございました
前回の時もそうだった・・・・・・、
コンビニやスーパーでいくら丼を見掛けると、
我慢し切れなくてつい買ってしまう・・・・・・。
閉店間際の安売りの時を狙って買ってるよw
>>544 ありがとうございます……!!
我慢しきれずに某イレブンで見かけるたびに買って帰って
それでも収まりつかずにSS書いてしまったのがあの結果ですorz
もちろんスーパーの海鮮コーナーも超危険です。
このぶんだと…何故かシリーズ化してしまう可能性も(不可能っぽい)。
>>いくらハンター
PC買い換えて今月金欠なのに
昼食に回転すし屋で1700円も使ってしまいました。
明日からはパン一個生活です
本当にありがとうございました 。
便乗してみた。
前回は我慢できたけど、今回は無理でした。
コンビニでいくら丼が棚に置いてあると、
5巻8P、4コマ目のオギー状態になる俺w
しぱっ
548 :
マロン名無しさん:2006/02/09(木) 15:00:11 ID:C2mJ6T9Q
>>541-543 「笹荻ラスト」かいた者です。感想、励ましの言葉ありがとうございます…!
「イタイ過去だからこそ、深層心理の奥に…」そうですね。
思い出したくないけど801を止められない、荻上さんの宿命というか業の深さを感じます。
これからもSS投下していくつもりです。覚悟完了
「何かが…何かが開きかけてる…頭のてっぺんあたりが!!」
>>548 大丈夫。書けば書くほど楽しくなってテンション上がるから。
気付くと「SSフォルダ」に山のような文章がっ・・・!!
うまい下手はどうでもいいっ・・・!
楽しければっ・・・!!
やること自体っ・・・!!
それこそが実っ・・・!!
それ以外は飾りだっ・・・!!
ざわ・・・。 ざわ・・・。
また若者が1人、SS道という冥府魔道を行く…
「テーブルの距離」を書いた者です。
随分と間が空いてしまって何ですが、例によっておまけを書き上げましたので
貼らせて頂きたいと思います。
今回は小分けするので、合計レス数がちょっと多いです。全部で19あります。
あと、このおまけから、このスレの頭で書いた「ある朝の風景」へ繋がるよう、
修正作業をしています。これに関しては、完全な自己満足ですし、
ほとんど同じ内容なので、ここでは省略致します。
よろしければしばしお付き合い下さい。
ご都合主義満載ですが、少しでも楽しんでもらえれば幸いです。
日が暮れて辺りが暗くなり、街灯に明かりが点り始める頃。
二人は連れ添って、荻上のアパートの近くにある定食屋で食事をした。
荻上が前から一度行ってみたかった店らしい。
何でもいつも帰りがけに近くを通ると、こちらの食欲をこれでもかと刺激する良い香りが漂っていて、
ずっと気になっていたとか。
なるほど、確かに女の子が一人で入るにはなかなか勇気の必要な店構えだな、
というのは話を聞いた笹原が抱いた感想である。
「美味しかったね、値段も手頃だったし」
店を出るとにこにこと満足そうに笹原が口を開いた。隣を歩く荻上まで嬉しくなるような笑顔だった。
思わず見とれかけた荻上は、慌てて視線を外して誤魔化すように言った。
「え、ええ。本当に期待していたとおりで良かったです。また来たいですね」
「うん、そうだね。またそのうち一緒に来よう」
そして返される何気ない一言に、荻上はふと足を止めた。
――――また一緒に来よう
それは自分に向けられたささやかな約束。
人との関わりを拒み続けていた荻上は、久しく交わすことのなかった約束という優しい束縛に、
目眩にも似た感情の動きを覚えた。
(また…、一緒に? 笹原さんと、これからも、ずっと……、一緒に)
「荻上さん?」
荻上が立ち止まっていることに気付いた笹原が、二、三歩先から振り返る。
街灯に照らされたその姿は、荻上がよく知るいつも通りの優しい顔で、
真っ直ぐに向けられた視線に何故か胸が痛んだ。
「どうかした?」
歩み寄った笹原は心配そうに訊ねる。あれ程拒絶したのに自分を受け入れてくれた人。
自分でも許すことが出来ない自分の醜い部分を、それでもいいと認めてくれた人。
改めて笹原への感情が胸に溢れ、荻上はぽつりと言葉を漏らした。
「……私、幸せ者ですね」
「え?」
あまりに唐突な小さな呟きに、思わず笹原は聞き返した。
荻上はその言葉に直接答えずに、再び歩き出しながら言った。
「本当に……。私、こんな風に思える日が来るなんて、考えてもみませんでした」
内容に比べると、やけに虚ろに荻上の声は響いた。二つの足音がそれを掻き消す。
住宅街へ続く小道だからか、他に人気はない。
笹原は何となく追いつくことが出来ずに、荻上の少し後ろを歩いていた。
頭上の月は雲に隠れ、二つ先の街灯が明滅しているのがやけに目立った。
(幸せすぎて……)
「何だか、……少し怖いです」
自分を抱くようにして不意に立ち止まる。
慌てて駆け寄ると、その細い肩が小刻みに震えていることに気が付いた。
「荻上さん、大丈夫? 気分が悪くなった?」
問いかける笹原に、しかし荻上は首を振って答えた。
「すみません、大丈夫です。ちょっと……、色々考えすぎただけですから」
「大丈夫って、いや、顔色真っ青だよ? とにかく、早く部屋に戻ろう」
言い終わらないうちに荻上の手を取った。びっくりするほど冷たい。
「歩ける?」
訊ねると、荻上は黙って頷いた。声を出す気力も無いのか。
笹原は急ぎすぎないよう注意を払いつつ、荻上の手を引いて歩いた。
気は急くが、荻上に無理をさせないようあくまでゆっくり歩く。
荻上のアパートからそう遠くないことが救いと言えば言えた。
それでもこの状況では、行きより遙かに遠く感じたのも事実だ。
結局、部屋に着くまで荻上は無言だった。
部屋に入ると、靴を脱ぐのもそこそこに、荻上をベッドへ連れて行った。
ベッドへ腰掛ける荻上へ心配して声を掛ける。
「無理しないで少し横になった方がいいよ。着替えるなら少し部屋を出てるから。
パジャマか部屋着、良ければ取って来ようか?」
「いえ、大丈夫です。だいぶん落ち着いてきましたから」
そう答える荻上の唇はまだ色を失ったままだ。笹原は小さく息を吐くと、腕組みをして言った。
「荻上さん、昼間の距離感の話、覚えてる?」
突然の話に意図が掴めず、困惑しながら荻上は頷いた。
「だったら、せめて俺の前では無理しないで、もう少し頼ってくれると嬉しいかな」
そして困ったように笑いながら、確かに頼りないかもしれないけど、と付け加えた。
荻上はただ黙り込んでいる。今までは拒絶するばかりだったため、何と答えていいのか分からないのだ。
そんな荻上の気持ちを察してか、笹原はさらに言葉を続けた。
「別に急ぐ必要はないから、俺で手伝えるようなことがあったら遠慮無く言ってね。
少しずつでも、思いついたらでいいから」
優しい言葉。もうずっと自分が手にすることはないと思っていた物。
手にする資格が無いと、手にしてはいけないと思い込んでいた物。
そんな言葉を掛けられて、頷くのが精一杯の荻上に、笹原は言った。
「荻上さん。もう、一人じゃないから」
――――もう、一人じゃない
言葉が胸の奥に広がる。笹原の気持ちが共に伝わってくる。
けれど、理解することが出来ない。どうすればいいのか分からない。
それ程までに今まで築き上げてきた殻は強固なものだった。
「私……」
言いかける荻上を、そっと笹原は首を振って遮る。
「無理しないで。今は横になって休んだ方がいいよ。荻上さんが落ち着いたら、
俺は帰るから。鍵は郵便受けに入れておいたらいいかな? あ、喉は渇かない?
水汲んでこようか」
そう言って背を向けようとした笹原の服の裾を、荻上がそっと掴んだ。
それに気付いた笹原が振り返る。
「ん?」
「……あ、す、すみません」
咄嗟に取った行動に自分でも驚きつつ、荻上は謝りながら手を離した。
そのまま少し考え込んでいたかと思うと、ふと顔を上げて言った。何かを決意したような表情。
「あの、もし良かったら、私の話を聞いてもらえますか?」
強い思いを込めて見つめる瞳に、笹原は「もちろん」と頷いて答えた。
「でも、その前に飲み物を取ってこよう。すぐ戻るから」
出来るだけ明るく笑って部屋を出る。
(話って何だろう。何か、まだ俺の知らないことがあるのかな)
そんな事を考えつつ、「冷蔵庫開けるね」と断って、中からペットボトルの烏龍茶を取り出すと、
戸棚からコップを二つ持って戻る。
荻上は、やや緊張した面持ちで同じ姿勢のままベッドに腰掛けていた。
コップに烏龍茶を注いで手渡す。
「はい」
「ありがとうございマス」
やはり飲み物が喉を通ると少し落ち着く。
コップをテーブルに置いて、笹原は聞く体勢を整えた。
荻上は口も付けずに両手でコップを持ち、それを見つめながらゆっくりと話し始めた。
「……ずっと、夢を見るんです」
「夢?」
「ええ……、正確には悪夢、ですね。笹原さんにもお話した、中学の時のことです」
荻上の顔が自嘲気味に歪む。自分を責めている時の顔だ、と笹原は思った。
「合宿で、二日酔いで寝込んでる時も見ました。あの事があって以来、
寝過ぎた時はいつも決まって魘されて目が覚めるんです」
(あの事? 男の子の友達を転校に追い込んだっていうアレか?)
笹原は口を挟まず黙って聞いている。
「私が描いたのが原因なんですから、全部自業自得なんですけど……」
コップを持つ手が微かに震える。揺らされた液体が幾重もの波紋を浮かべた。
「……ただ」
不意に言葉が途切れる。何かを堪えているのか、手の震えが少し大きくなった。
それを見た笹原は、少し考えてから必要最小限の言葉を口にして促した。
「ただ?」
それで気を取り直したように、荻上は再び口を開く。手の震えは未だ治まらない。
「……笹原さんに絵を見てもらってから、夢が変わったんです」
「変わった?」
聞き返す笹原に黙って頷く。
そこでようやく自分がコップを手にしていることを思い出したのか、
口元に運んで少し含むと、再び元の体勢に戻って言った。
「夢の中で、私の前に昔の私が現れて言うんです。『幸せそうね』って。
最初は笑ってるんですけど、何か怖くて私が何も言えないでいると、さらに続けて、
『あんな酷いことをしたくせに、全部忘れて自分だけ幸せになれると思ってるの?』
そう言って近づいてきて、そして……」
小さく息を吐く音。荻上は俯いたまま、ただその声だけが聞こえる。
「本当ならあんたなんてあの時」
(あのまま、死んでいれば良かったのに)
夢の光景が脳裏にフラッシュバックする。同時に頭の中に響く聞こえないはずの声。
手にしていたコップが滑り落ち、床に当たって軽い音を立てた。
こぼれた液体は荻上の心を蝕む闇のように広がっていく。
「荻上さん!」
慌てて声を掛けながら肩を掴むと、荻上は反射的に身を竦ませた。
その顔は今や紙のように真っ白だ。
「ごめんなさい、ごめんなさい……。私、あんな酷いことしといて、許されるはずなんてないのに、
こんな優しくされる資格なんてないのに、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさ……」
いつの間にか溢れ出した涙と共に、荻上は謝り続ける。
傷つけてしまった誰かに。自分に。目の前にいる大切な人に。
「幸せになんてなっちゃいけないのに、そんな資格なんてないのに、
一緒にいたいって思っちゃいけないのに、ごめんなさい……」
「荻上さん!」
もう一度呼びかけるも、荻上は聞こえないのか、まるで呪文のようにひたすらに謝罪の言葉を繰り返す。
許しを得るためでなく、何かを償うためでもなく、ただ己を責めるそれだけのために。
(何でそんなに……)
笹原は何故か無性に腹が立った。
自分の無力さにもそうだが、荻上をこれだけ苦しめている自分では分からない「何か」に対して。
そして、切れた。
「荻上さん!!」
三度呼びかけると同時に荻上を強く抱き締める。とにかくもう我慢が出来なかった。
自分が彼女を好きになったのは、決してこんな風に苦しめるためなんかではないはずだ、と。
「幸せになるのに資格なんていらない、優しくされることにも、愛されることにだって、
資格なんて必要はないよ」
「でも、私は……」
「いいんだ。荻上さんが自分を許せなくても、俺が全部許すから。俺が知ってることも、
知らないことも、全部俺が許すから。だから」
抱き締めたまま、言葉に思いを乗せて口にする。
「俺と一緒に、幸せになってよ」
お願いだから、と小さな呟き。
その切実な言葉の響きに、荻上は顔を上げようとして、しかし思いとどまった。
まだ自分を否定する心が消えない。笹原の腕の中で荻上は心に浮かんだ疑問をぶつける。
「……何で、そんな」
涙は止まらない。
「こんな私に、優しくしてくれるんですか」
それは言葉こそ違えど、合宿の時に聞いた問いと同じ。だったら、答えも決まっていた。
「……荻上さんのことが好きだから」
だから、今度は躊躇わず言えた。照れや恥ずかしさは多少あれど、胸を張って。
沈黙が流れる。聞こえても、届くのに時間がかかるのだろう。荻上は動かない。
笹原は、ぐっと唾を飲み込むと、これ以上ないくらい赤面しながら言葉を続けた。
「それに俺、……もう、荻上さんじゃないとダメみたいだから」
予想外の言葉に思わずびくりと荻上の肩が跳ねた。見る間に耳や首筋が朱に染まる。
(今、何て……?)
――――荻上さんじゃないとダメみたいだから
笹原の言葉がぐるぐると頭の中を回る。混乱して頭が上手く働かない。何て強烈な告白。
ただ、何処か遠くで、すごく近くで、心を覆う壁にヒビが入る音が聞こえた気がした。
「……あ、あの」
確かめたい、いや、もう一度聞きたい。一番大切な人の口から、もう一度だけ。衝動が荻上を動かす。
「もう一度、今の言葉、言ってもらえませんか」
厚かましい願いだと承知していた。けれど止められない。
俯いたまま、しかし笹原の服をぎゅっと掴んで口にする。胸が熱い。
さっきまでの悪寒はすでに消えていた。
荻上が笹原の服を掴む。その感触は笹原自身へもしっかり伝わっていた。
腕の中にすっぽりと収まる小さな体。この体に今までどれくらいの思いを一人で抱えてきたんだろう。
そう思うと、恥ずかしいなんて言っている場合ではない。
覚悟を決めると、小さく深呼吸をして笹原は言った。
「……俺はもう、荻上さん以外じゃダ」
言い終える前に荻上が笹原に抱きついた。背中の辺りに回される手。
「メ……?」
ぎゅうと顔を押しつけるようにして笹原にしがみつく。
荻上の意外な行動に、笹原は思考停止していた。
「お、荻上さん?」
そう呼びかけるのが精一杯だった。荻上も何も答えず固まっている。
そのまま、しばらく二人とも黙り込んでいたかと思うと、唐突に荻上が顔を上げ、笹原から手を離した。
真っ直ぐに見つめられて、笹原も思わず手を解く。何かを訴えかけるような瞳。
笹原が堪えきれず口を開こうとした時、荻上は頬を真っ赤に染めながら、言った。
「私も……、私も、笹原さんじゃないとダメです。笹原さんのことが、好きです」
ハンマーで殴られたような衝撃というのはこういうことを言うのだろうか。
あまりのことに、笹原の頭の中が真っ白になる。
耳から侵入した荻上の言葉が、つま先から足を上り、やがて全身を伝わって脳内に届く。
ぶるぶると体が震えるのを感じた。かつてない程の喜びで。
「あ、あの、えっと、今……、何て?」
信じられなくて思わず聞き返す。しかし、荻上は顔を背けると、頬を紅潮させたまま言った。
「もう言いません」
「え? いや、だって、俺はさっき2回……」
「ダメです」
ようやく自分を取り戻したのか、いつも通りのつれない素振り。
そんな荻上の姿に、思わず笹原の頬が緩む。
「呪いがかかるから?」
微笑みながらそう言うと、「そうです」とそっぽを向いたまま照れた口調で答える。
けれど、その横顔が少し笑っているように見えて、笹原は力が抜けるのを感じた。
そのまま崩れるように荻上の隣に腰を下ろす。
「笹原さん?」
「いや、ちょっと安心しちゃって力が抜けた」
ははっ、と笑う。
「すみません……、本当にいつも私の所為で」
そう言って再び俯こうとする荻上へ、優しく声を掛ける。
「いや、いいって。俺はそういう荻上さんが好きなんだから」
その言葉に、膝元から笹原へゆっくりと視線が移される。見つめ合う二人。
いつの間にか真剣な表情で向かい合う。
今度訪れた沈黙は、今までのものとはまるで違う柔らかなものだった。
心臓の音が響く。心が目の前の相手を求めている。
吸い寄せられるように、ゆっくりと二人の距離が近づいた。
「ん……」
そっと、けれど確かに触れ合う唇。それは永遠のような一瞬だった。
やがて再び離れ、真っ赤になって俯く荻上へ、笹原がやけに真剣な影のある顔でそっと呟いた。
「床……、拭かなきゃね」
キスをするために座る位置をずらした時、先程荻上が烏龍茶をこぼした水たまりへ
笹原は足を突っ込んでしまっていたのだ。
おかげで貴重なファーストキスの感触は、靴下がじわじわと濡れていく感触に遮られ、
まったく頭に入ってこなかった。
もう一回やり直していい? などと言えるはずもなく、何となくもやもやを抱えた笹原と荻上の夜は
床掃除と共に更けていった。靴下は濡れたまま。
めでたしめでたし。
571 :
マロン名無しさん:2006/02/09(木) 23:01:06 ID:7xkO+ijj
ナニコノ笹原。カッコよすぎじゃねーかw
>>552-570 テーブルの距離―おまけ―
ちょっとも―――――っ!!!
2レス目から既にグッと来て、途中から泣きそうでしたよ。
貴方の文を読むと自分のを全て破棄したくなるぐらい、最高です。
(それでも書いてしまいますけど)
最初の笹やんの「ダメみたいだから」の【みたい】が特に上手いと思いました。
再来月以降予想される成立後も、ひょっとしたら紙面では明るい部分しか描かれなくても
こういう憂いのある展開が秘められてるとしたら……もう辛抱溜まりません。
>テーブルの距離―おまけ―
テレテレしながら読んでました。荻上の悪夢がこのように終わってくれるなら
言う事無いですね。良かったです。
ちょうど、「小早川・・・」見てて、トラウマ女は・・・と顔面蒼白になって
たところでしたから、癒されました。そうした荻上の不幸の要因を拭い去る
物語をもっと見たいし、俺も書きたいものです。
574 :
マロン名無しさん:2006/02/10(金) 00:29:13 ID:DcHt2/0A
>>テーブルの距離―おまけ―
はぁ・・・ ほんとスバラシすぎてため息しかでません(笑
こんなにも荻を思いやる事ができる笹はすごいですね。
思いだけじゃなく行動でも荻を大事に大切にしたい気持ちが
伝わってきますね。
特に8/19の笹が 「冷蔵庫開けるね」と断って と言う
さりげない優しさが、自分的にはかなりキモですね〜
>>テーブルの距離-おまけ-
いいなあ。
いいなあ。
感想それしか出ない。
壁|〃´△`)-3ハゥー
576 :
@自治スレにて板設定変更議論中:2006/02/10(金) 03:47:31 ID:u2049CeH
テーブルの距離-おまけ-
うわあああーん!!感動だァ、素晴らしい…!!!(す○いよマサルさん泣き)
言いたいことは全部>>572さんが言ってくれたのですが、本当に、
さっき書き上げた自分のを読み返すのが恥ずかしいくらい、文章イイ!!!ですね。
ちょいカッコ良すぎな笹やんですが、むしろそのおかげでSSが感動的なものに…!!
この笹やんにあやうく惚れるとこでしたよ。アブネー!
斑目スキーなのに…いっそ二股…?
GJ!<<ひたすら
577 :
531:2006/02/10(金) 03:50:05 ID:???
>>532 面白くなっているといわれると嬉しいですw
>>533 そうでしょう?分からないでしょう?(嘘
頭の中じゃアニメみたいな次回予告が流れてるんですけどねー。
アニメを作る力があれば・・・!
>>534 頑張ってたたみたいところですが、無理でしょうか?w
絵とかマンガとかにしてくれる方がいたらどんどんやってくださいw
私にはする力がないので・・・。どっちかというとお願いですw
>>535 創作の神は最後に私に微笑むでしょうか?w
>>542 もともと私の中にあったぼんやりした妄想が、
絵板のあの絵で刺激され、私のつけたレスになり、
それがその絵師さんに誘爆して第一話を生んだようです。
そして私はそのバトンを受け取り第二話から書いてるわけですね・・・。
絵を描いたのは私ではありませんw
絵板に刺激を受けてるのは、私も一緒ですw
578 :
531:2006/02/10(金) 03:54:01 ID:???
っていうことで続編できました。
ノリノリで書いてます。
ガンダム知らない人置いてけぼりの第五話。
13レスで投下します。
また、読んでくださる方々におぎおぎ。
「はいはい、分かってますって。」
そういって私は通信機の電源を切る。
「ったく、一回聞きゃわかるっつ〜の。馬鹿じゃないんだから。」
そうぼやいてみるが、クライアントに直接文句が言えるわけはない。
「しかしまあ・・・。とんでもない秘境だね。」
周りに広がるジャングルを見つめて、またボヤキがもれてしまう。
「もうちょっとでつくはずだね。まあ、楽な仕事だし。
とっとと済ませてこんなとこおさらばしよ。
うーん、早くお金もらって買い物したいなー。」
私はジープの速度を上げ、目的の場所へ急ぐ。
場所は、B-801地区、連盟軍第801小隊の基地だ。
仕事の内容は、中の詳しい情報と、人員について調査し伝えること。
「ああ、君が今度配属されることになった情報処理担当だね。」
「はい、そうです。よろしくお願いします。」
なんか軍人ぽくないヒョロっとしたおっさん・・・、
って言うかあなた年齢よく分からないんですけど・・・。
ここの大隊長って言う人に挨拶。スパイは初印象が大事だしね。
「最近ここらも物騒なことがあってね。
今のところ何も起きてないんだけど、まあ、いざって時の人員補強だ。
普段はのんびりしてるといい。」
「はい。」
ふーん。物騒なことね。
まあ、よくわかんないけど、それに関係あるのかな、今回の仕事は。
「では、みなにも紹介しよう。」
「いえ、自分で挨拶に回ってきます。」
まずはこの基地の中を一人で見て回らなきゃ。
ふふふ。私こう見えても凄腕スパイなんだから。
まずは情報。それが大事よね。
「ああ、そう。でも、勝手なことはしないようにね。」
「へ?」
その言葉に正直ドキッとする。真剣な目でこちらを見る大隊長。
ま、まさか私の正体が・・・。
「勝手にご飯食べたりすると、怒られちゃうから。気をつけてね。」
「は?はあ。わ、分かりました。」
びびらせるなっつーの!ご飯!?食うかっつーの!
こいつぼけてんじゃないの!?
・・・まあ、いいか。とりあえず基地を見て回ろう。
取り合えず廊下に出て、今もらった地図をみる。
うわ〜、小さ〜。これでマジで基地?
なんか小さな民宿みたいな大きさじゃん。
とりあえず、隊員の個室エリアからかな・・・。挨拶もしといたほうがいいしね。
印象一つで仕事のやりやすさも違うし〜。
・・・結構ストレス溜まんだけどね〜。
私はすたすたそっちのほうに進んでいく。
2分もするとそのエリア・・・、
っていっても何か境があるわけじゃないんだけど。
まあ、それについたわけ。
「・・・お前誰だ?」
ビクッ!
後ろから声をかけられて振り向くと、そこには眼鏡の男。
「え・・・っと、今日から配属になりましたケーコ・ササハラ二等兵です!」
本名は名乗ることにいつもしている。
私はいざというとき偽名に反応できないからだ。
・・・私の唯一といっていい弱点だ。
・・・・・・他にはないからね!
「おう。そうか。おれはマダラメ。中尉で一応小隊長なんつーもんをやってる。
ほかの連中はここにはいねえから、挨拶行くなら他いきな。って・・・ササハラ?」
え?隊長さんなんか聞いたことあるよーな顔してるけど・・・。
もしかして私の名前って知れ渡ってる?やば、スパイってバレちまうじゃんかー!
「は、はい!分かりました!またあとで!」
急いでそこから離れる私。
「お、おい・・・。」
変に思われたかもしれないけど、ここでばれたらかなわないし!
とりあえず駆け足で他の場所へと向かうことにする。
「ふう・・・。何とかごまかせたかな・・・。」
そういって私は食堂の近くに通りかかる。
「ねえ・・・。今日はいいんでしょう・・・?」
「うん。」
ん?女の声と男の声だ。
なんか言葉の響きが妖しいので、食堂を覗いてみる。
ああああ!いい男!
「じゃあ、今日はゆっくりしてようよ〜。」
「えー。僕医務室に行きたいんだけど・・・。」
「またMS話しにいくの〜。たまにはかまってよ〜。」
なんだ・・・。女がいるのか・・・。チィ!
でも、私の魅力があれば落とすことも難しくはないよね〜。
フフフ。仕事以上に頑張らなきゃね。
「おい・・・。」
ビクッ!
声がかかって後ろを振り向くと、そこには小隊長さん・・・。
「シーッ!」
隊長さんに声を出さないように伝えた後、私は中を見るように合図を送る。
声出されたら覗き見してたことばれちゃうじゃん!
「何だっていうんだよ・・・。うあ!」
思わず声を上げてしまった隊長さん。な、何かあったのかな?
そう思って私も中を覗き見る。
「うわ・・・。」
中では先ほどの男女が濃厚なキスシーンの真っ只中だった。
こりゃ声も出るわ・・・。
「おい・・・。こんなもん見せてどうしようってんだよ・・・。」
あ、やばい。隊長さん怒ってる?
怒ったような口調で私に問いかけてくる。
「いや、なんていいますか・・・。」
「・・・まあ、いいか。もう終わったようだし、行くぞ。」
「は、はい。」
食堂の中に入った隊長さんが二人に紹介をしてくれた。
「えー、今度配属されたケーコ・ササハラ二等兵だ。」
「へー。よろしく。」
「仕事的にはカスカベさんの同僚になるから、よろしく。」
「はいはい、わかったよ。」
この女・・・。出来る・・・。
遠目じゃ分かんなかったけど、近いとオーラっての感じるのよね。
むう・・・。無理かな・・・。
「よろしくね、ケーコちゃん。僕はコーサカ。」
「コーサカさんって言うんですか〜。よろしくお願いします〜。」
いや!諦めるには惜しすぎる!
やっぱ男は顔だよね〜。なんといってもさ〜。
そう思いながら私はコーサカさんの手を握る。
スキンシップがまず落とすための第一歩だよね!
「こら、離れんか!」
カスカベさんが私の行動をやめさせようと手を離させる。
「あんた・・・。もしかしてとは思うけど・・・。」
「は、はい!?」
胡散臭そうな目で私を睨むカスカベさん。
やば!またばれそう?うそうそ!?
「よし、次いくぞ。次は医務室だ。」
ナーイス!隊長さん!いやー、空気読めない人って貴重だねー。
隊長さんはカスカベさんの言葉を聞かないで私を次へ案内しようとする。
「・・・はーい!」
隊長さんが外へ出て行くので、私は渡りに船とついていく。
でも、この人終始機嫌悪そうだったけど何でなんだろ・・・。
「だからさ、ジムの駆動系はそこが弱くてさ・・・。」
「い、いや、ドムもそうは変わらんでしょ。」
「なんといっても、駆動系はザクが一番であります!」
医務室の前を通りかかると、にぎやかな声が聞こえてきた。
「ったくあいつら・・・。」
隊長さんがぼやきながら中に入っていく。うるさくしてるのが気に食わないのかな?
結構厳しいんだね、この隊長さん。
「お〜、マダラメきたか〜。ってその子誰?」
「ん、あ〜、新しく配属されたケーコ・ササハラ二等兵だ。」
「よろしくお願いします!」
ビシッと挨拶を決めて、とりあえず印象だけは確保!
「まあ、それはおいといてだ。」
あ、まさか怒るのかな?怒るとかそういうの嫌いなんだけどな〜。
「なぜ俺を待っててくれね〜んだよ〜。」
はあ?
「すまんすまん。クチキが駆動系の話題を出してきたもんだから・・・。」
「だからよ、駆動系に関しちゃザクシリーズが最高、
って言うのは俺とクッチーの共通見解でよ。」
「だがな、マダラメ。ドムの駆動系もまたいいぞ〜。」
「い、いや、お、俺としてはジムを押すね。」
こいつら・・・。MSマニアか!
「あ、あの〜。」
「おう、すまんな、後は勝手に回ってくれ!後二人だけだからよ。」
か、勝手な人〜!もうなんかわけわからん話始めてるし〜。
「うふふ・・・。ごめんなさいね。」
「あ、あの・・・。」
髪の長い女の人が一人話題にも入らずにニコニコしながら座っていた。
「いつもここで話てるんですよ、こんなこと。
あ、私はオーノ。医務係です。よろしくお願いしますね。」
「は、はあ・・・。」
その笑顔に圧倒される私。こ、この人も出来るな・・・。油断ならないね・・・。
「残りのお二人はベランダのほうにいると思いますから」
オーノさんにいわれてあの妙な部屋からやってきたのはベランダ・・・。
ベランダって言っても屋根の上に張った板ってだけ。一応柵はあるけどね。
「ったく・・・。本当にボロだね・・・。」
その入り口に差し掛かると男女の声が聞こえてきた。
「いやー、いい天気だね。洗濯物もよく乾きそうだ。」
「そうですね・・・。」
ん??どこかで聞いたことある声だな?男のほう。
「よし、っと。これで最後だね。」
「はい。・・・でも別に手伝ってくれなくても良かったのに・・・。
これはお世話になってる私の仕事ですから・・・。」
「いいのいいの。この量一人でやるのも大変だろうしさ。」
「・・・アリガトウゴザイマシタ。」
んんんん?やっぱり聞いたことあるぞ?そう思って、ベランダのほうを見てみると・・・。
「あ、兄貴!!!???」
私の驚いた声に反応してこちらを見る男・・・。その顔は紛れもなく・・・。
「け、ケーコ!お前なんでこんなところに・・・!」
「そりゃこっちの台詞だよ!」
やべーよ!やべーよ!仕事にきた場所に兄貴だって!?
「前会ったの1年前か・・・。何してたんだよ・・・。心配、一応したんだぞ・・・。」
「まあ、いろいろあってね・・・。今は軍人さん。」
「ふーん。お前がねえ。まあ、簡単に死ぬようなタイプだとは思ってないけどな。」
ひでー!相変わらず兄貴ひでー!
でも、兄貴がいると私の本性バレバレじゃん!印象とかどうでもよくなっちゃうじゃん!
「まあ、会えて嬉しくなくはないけどな。」
・・・私もね。
「じゃあ、一緒に戻ろうぜ。医務室にみんないるだろ?」
「うん・・・。さっき会った。」
「じゃ、いこうか。オギウエさんも。」
「・・・あ、は、はい。」
今まで私と兄貴の会話に戸惑ってたそのオギウエさん・・・。
その言葉に顔を赤くする。この二人、よもや?
兄貴、こんなとこで女手に入れるってどうよ?
「やーっぱりそうだったのかー。」
隊長さんが私が兄貴の妹だって聞いて納得したような声を出した。
「あのな、さっきも苗字聞いて、
どこかで聞いたことあったなーって思ってたんだけどな。」
医務室に戻ってきたとき、コーサカさんとサキさんも集まっていた。
「あはは・・・。そうだったんですか。」
兄貴がその言葉に苦笑いする。
なんだよ・・・。あの時不思議そうな顔してたのってそういうことだったのかよ。
まったく・・・。逃げて損した・・・。
「まあ、そういうわけで、最強はザオニック系ってことで。」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
兄貴がそこに食いつく。・・・おいおい。あんたもMSマニアになったのか。
前はそういうのあまり好きじゃなかったのに。
士官学校はいるのも人を助けたいからっていってたのにさ。
「だから、ジム系が一番いいって何度言えばいいんですか!」
「そ、そうだよな。サ、ササハラはいいこという。」
「いやいや、ドム。シィマッドの技術はもっと注目されてもいいんだよ。」
ああ〜、もうわけわからん!
まあ、コーサカさんはこういうのには参加しない・・・。
「そうそう。シィマッドいいですよね〜。僕としてもドムを押したい。」
ええええええええ!!!!!?????
コーサカさーん・・・。で、でも顔は良いし!
「まったくいつもの会話が始まりやがったね。」
カスカベさんがあきれたようにため息をつく。
「まあまあ、楽しそうだしいいじゃありませんかー。」
相変わらずニコニコのオーノさん。
「・・・まあ、それもそうですね・・・。」
オギウエって子もうらやましそうな目でやつらを見る。
「で、そうそう、兄貴、聞こうと思ってたんだけどさ。」
「なんだよ。」
「なんで子供が基地にいるの?」
「はあ?オギウエさんのことか?」
兄貴があきれたように私のほうを見る。
「そうそう。私より年下でしょ?」
「私はもう大人です!!!」
あ、やべ〜。そうなんだ・・・。
オギウエさんはかなり怒った調子で私のほうを見る。
「お前の年より一つ上だよ・・・。」
兄貴があせったような顔で私に合図を送る。
あ や ま れ !
そういっているのが分かる。流石は兄妹だね!
・・・とかいってる場合じゃないか。
「すいませんでした〜。」
「・・・まあ、いいですけど。」
つんとした表情でそっぽを向くオギウエさん。
心狭い人だね。それくらいでさ〜。
「しかしま、そろそろ戦争終わるってのはいいニュースだよなー。」
ぼそり、と隊長さんがいった言葉に、みな笑顔を浮かべる。
「そうですねー。ようやくですもんね。」
「一つの戦争が一年近く続くっていうのは、
今までの歴史の中でもそうないことらしいからな。」
兄貴も、タナカさんも、みな嬉しそうに戦争が終わることを語る。
・・・私は、戦争が終わるって事を考えたことがなかった。
「一応、われわれも終わらせるために奮闘してきたようなものですからね!」
「まあ、大した戦果があるわけじゃないけどな。」
クチキさんの発言に隊長さんがこたえ、それに皆が笑う。
「ま、まあ、ち、ちょっとくらい役にはたったんじゃない?」
「そうですね。そうだといいですよね。」
その言葉に、少し、自分の今までを思い返してしまった。
私は、何をしてきたんだろうか。
いたずらに戦渦を広げることを手助けしていたような気がする。
両親が戦争に巻き込まれて死んだ時、
兄貴は士官学校も卒業だから、そのまま軍隊に入ったのは知ってけど・・・。
私は親戚の家に預けられたけど、そこも戦火にまみれて・・・。
そのまま私は独りで生きることになった。
それで手っ取り早くお金を得るためにはじめたのがスパイだったんだけど・・・。
かなり割が良くて、この半年間結構楽しんできた。
あるときはお水になって連盟の交換から情報を引き出したり。
男と仕事のために寝たこともある。
他にも、いろいろ女の武器で切り抜けてきた。
顧客は大体が皇国軍。
それが、自分の国に対する反逆だって知ってはいたけど。
それ以外に私の生きる道はなかったから。
でも、私は正しかったのかな?
私が渡した情報のせいでまた私のようなのが生まれてるかもしれない。
・・・なんか難しくなってきたから、考えないほうがいいのかもしれない。
私は決して頭のいい子じゃない。それは分かってるから。
「ケーコ?どうかしたか?」
兄貴のその声にはっとする私。
「ん、いや。あ、そうだ!」
ちょっと思いついたことがあったので、発言してみよう。
「コーサカさん、戦争終わったらご一緒しません?
いいお店知ってるんですよ〜。」
「やっぱりか〜!」
ゲシッ!
コーサカさんにむかっていった私の発言に、
カスカベさんは私にチョップをくれた。
「いった〜、何すんのさ!」
「さっきも思ってたけど〜。コーサカに気があるね!」
「何が悪いって言うのさ!」
なんだ〜。この人のも違ってたのかよ〜。
やっぱり私って名前まだ知れてないんだね・・・。
「今度コーサカに色目使ったらひどいよ〜。」
「な、何するって言うのさ・・・。」
この人、目がマジだ。怖いよ〜。兄貴助けて〜。
私がヘルプのサインを兄貴に送る私。
帰ってきた兄貴のサインは・・・。
あ き ら め ろ
うあー、やっぱ役にたたねーこの兄貴!
「フフフ・・・。」
カスカベさんが笑う。・・・しかし諦められるか!
しょうがない。兄貴もいるし仕事は適当にやっとこう。
そこまで、私も職業意識が強いわけでもないし。
もう本性ばれちゃったみたいだからやりづらいしね!
こーなったらコーサカさん落とすことだけに専念してやる!
「・・・で、この報告書か。」
皇国軍のナカジマ基地である。
「はい。まあ、あまり腕は良いわけではなさそうですが・・・。」
「潜入できたのがこいつだけってことらしいな・・・。」
報告書を見ながらため息をつくナカジマ。
「人員・・・工作員を除いて9名か。あの規模にしては多いな。」
「・・・何か気になることでも?」
「もしかしたらとは思うのだがな・・・。潜入を続行させろ。」
ケーコのあげた報告書は基地の地図、人員の数とその役目が記入されていた。
名前は全て偽名になっている。彼女が「適当」にした部分だ。
「・・・私の推測があっているなら・・・。」
にやりとナカジマは笑った。
上層部から第801小隊に指令がでた。
「敵新型兵器の場所を特定せよ!」
彼らは敵のいないはずの元皇国領を突き進む。
しかし、そこには皇国軍ゲリラの罠が・・・。
次回、「密林の戦い」
お楽しみに。
592 :
578:2006/02/10(金) 04:38:49 ID:???
今週気付いたこと。
恵子視点て難しい。
593 :
578:2006/02/10(金) 04:44:39 ID:???
うお!誤字発見!
10の、交換→高官
どうもすみませんorz
594 :
@自治スレにて板設定変更議論中:2006/02/10(金) 05:02:44 ID:u2049CeH
>>801小隊
リアルタイム乙!投下中に読めて幸せ。
うわあ恵子主人公の話、おもしろー!
すごく恵子らしさ出てましたよ。
ナカジマが敵で出てきたのには噴いたw
いやあ、宇宙世紀のせかいでもげんしけんキャラ、違和感なくてびっくり。
これからも頑張ってくださいー
>801小隊
とうとう恵子まで参戦したか。
どこまで行くのか801小隊…
596 :
@自治スレにて板設定変更議論中:2006/02/10(金) 14:51:33 ID:VVKFGSba
ヤナ…マダラメの同期。他の部隊のエライ人だが隊内のいざこざに辟易としている。
マキタ…オギウエのせいで最前線に送られ行方不明。
ボウズ…ザクに乗ってる。
オノデラ…801小隊解体後のササハラの所属先の隊長。オギウエにササ×オノされる。
当たってなくても問題無し。
ここを有料にして、金を取って読ませられるんじゃねーか?とスレの最初から読んでオモタ
つここで田中のセリフ
閲覧が有料のSSなんてあっちゃだめだよ
まとめサイトを印刷して同人誌に仕立ててイベントで販売、ならアリかもな。
得た利益をどうやって分配するかが難問だが。
>第801小隊 第五話 女スパイ潜入
面白いwww
最初の入りで、「私」が誰か分からない描写は推理小説のようで、
ドギトキしましたね。新しい表現ですね。まったく違和感無し。
けっこう今回の「主役」の内面キャラがまったく異なる世界なのに
掘り下げられてて、違和感無いですよね。続き!続き!
有料?利益分配?俺もSS投下してますけど、営利目的の場とか、
、社会的評価とかの目的で、みんなSS投下してるわけじゃないんだし、
それはヤボだよwww でも何らかの形で記念で残して、ずっと閲覧できるといいね。
>>801小隊第3話 女スパイ
はらはらドキドキ感が強まってきましたね!
笹荻のラブコメっぽさも良い感じ。
そしてお金の話はまあ野暮と言うか…
ここが、無料で、生きている場所、なのが面白さじゃないでしょうかね。
>>579-592 20台半ば頃に08小隊を見たんだけど、まさかげんしけんSSパロとして
再度お目見えするなんて思ってもみなかったw
でもガンダムシリーズ見てない人はちょっと置いてきぼりかも?
漏れは全シリーズ見てた訳じゃないけど会話の筋は判るので楽しい〜
>>603 ガンダムは友人達の会話の断片しか知識が無くて、全然見てないけど楽しめてます。
605 :
@自治スレにて板設定変更議論中:2006/02/11(土) 01:03:03 ID:9cNqzfTN
>>602 そうですね。無料で気軽にSSが読める&書けるのが
このスレの長所だとワシも思います。
お金からんで荒れるのもやだし。
SS書いてる人たちも、「たとえ文章が稚拙でも、自分の妄想全開でも、気軽に発表できる場がある」ことが喜びなんだと思います。
…というか有料なんかにしたらプレッシャーがかかって投下できぬよー!
…偉そうに言ってすいません。(汗)
「有料」と言った人は、「有料でもいいくらいクオリティーが高い」
と褒め言葉で言ったんでしょうね。
>>801小隊
元ねたは08小隊ですか〜。ん?でもいろいろシリーズ混ざってるのかな…?
ガンダム色濃いほうがむしろ面白いとワシは思うので、そのまま突き進んでくださいー
そうですね。最初にそう言った人は賛辞のつもりで言ったんでしょうからね。
まあでも、良い意味でのアマチェアリズムを維持していきたいですしね。
607 :
嬉し涙:2006/02/11(土) 04:20:34 ID:9cNqzfTN
「テーブルの距離」とそのおまけ読んでいっきに笹荻書いてしまいました。
なのでかなり影響うけてます。
甘甘な笹荻。書いてて楽しかった…!
今日バイトなのにどうすんだ俺わ
11パートに分けて投下。夜中なので待たずにいきます
608 :
嬉し涙:2006/02/11(土) 04:21:38 ID:9cNqzfTN
嬉し涙(笹荻成立後。トラウマ克服後の話)
笹原が部室に顔を出すと、春日部さんがいた。
「よー!笹原。」
「やあ、高坂君は?」
「ん、今日はなんか会社から呼び出しかかったらしくて。もう帰っちゃったよ。」
「そうなんだ。」
(…用がないのに部室に来るなんて、春日部さんも変わったなあ…)
「…で、どうよ?荻上とは。仲良くやっちゃってんの?」
「ハハ…まあ…」
「うわそのデレデレ顔。ムカつくー!!」
最近春日部さんに会うたびに言われる。
嫌味だなあと思っていたが、最近高坂君がずっと忙しくてかまってくれないのが、きっとさみしいんだなと気づいた。
…荻上さんと付き合うようになってからだ。こんなことに気づくようになったのは。
609 :
嬉し涙2:2006/02/11(土) 04:22:28 ID:9cNqzfTN
「でも…」
笹原の顔が少し曇る。
「ん?どしたの?」
「…荻上さんが…よく泣くんだ。」
「…アンタ、無神経なこと言ってんじゃないでしょうね」
「…そんなことしてないと思うんだけど…。ただ普通にご飯食べてて『おいしいね』とか話してる時に涙ぐんだりするんだ」
「へえ?何で泣くんだろね」
「わからない。僕も理由聞くんだけど、『何でもないです』っていうばっかで…」
「ふーん…気になるね。」
春日部さんは、からかいはしても、荻上のことを人一倍心配している。
「でも俺、気づかないうちになんかしたのかも…よかったら春日部さんも聞いてみてくれないかな?」
「わかった。」
610 :
嬉し涙3:2006/02/11(土) 04:23:39 ID:9cNqzfTN
「…て、笹原がいってたんだけどさ」
「……」
またからかわれるのかと身構えていた荻上は、心配そうに荻上を見る春日部さんに、むしろ動揺していた。
「笹原が心配してたけど…『俺なんかしたのかな』って」
「笹原さんは悪くないです!」
荻上はショックだった。また私、笹原さんに心配かけて…
「…じゃあ、なんで?」
「……」
荻上は恥ずかしそうに横を向く。
「…嬉し涙なんデス」
「へ?」
「ああ幸せだなって実感したときに、つい…」
「あー、何だ、そうなんだ。良かった!」
「…え?」
「いやまた一人で悪いほうへ悩んでるんかと思ってさ。…それならそうと、笹原にいってやんなよ。安心させてやりな」
春日部さんは安心したように笑う。この人も、何故こんなに心配してくれるのだろう、そう思うとまた泣きそうになった。
611 :
嬉し涙4:2006/02/11(土) 04:24:10 ID:9cNqzfTN
「…嬉し涙…」
「…だから、笹原さんは悪くないデス」
荻上の部屋で、笹原は荻上に話を聞いた。
「ん、そっか。安心したよ。…荻上さんって意外と感激屋?」
「そ、そんなことないと思いますけど。ただ嬉しくて。笹原さんといられることが」
「……」
(荻上さん…それだけで嬉し泣きしてくれるんだ…)
笹原は胸が熱くなった。
抱きしめたくなった。……でも急にそんなことしたら怖がられるかもしれない。そう思うとできなかった。
今まで何度そう思ったろう。付き合って2週間たつが、未だにこんなんだ。我ながら情けない。
(…手つなぐくらいなら)
そう思って荻上さんの横に寄り、手をつないだ。
何とかして今の気持ちを態度で表したかった。
612 :
嬉し涙5:2006/02/11(土) 04:29:02 ID:9cNqzfTN
笹原が近くに寄ってきたのでどきっとした。
気づいたら手をつながれていた。
(………笹原先輩の手、あったかい)
つながれたほうの手に目が行く。
すると笹原と目が合いそうになり、恥ずかしくて思わず下を向く。
視界の端のほうに笹原のあごや口元がみえる。
(……キスってどんな感じなんだろ)
ふと思った。思ってすぐに赤面する。
(うわーーーーーー!!私何考えてんだァ!?いや別にそんなこと思ったわげでねくて…って誰に言い訳してんだ私!!)
顔がどんどんほてっていくのが分かる。
613 :
嬉し涙6:2006/02/11(土) 04:29:39 ID:9cNqzfTN
(荻上さん嫌がってないな、良かった……ん?)
ふと荻上さんの顔を見ると、真っ赤になってきつく目をとじたままうつむいている。
「お、荻上さんどうしたの?あ、手つなぐの嫌だった?」
慌てて手を離そうとするが、逆に手をつかまれる。
「いや違うっす…嫌じゃありません!大丈夫です!」
予想外の行動にでる荻上に、笹原はびっくりする。
そしてだんだん嬉しさがこみあげてくる。
「…ほ、ほんとに大丈夫?…どうかした?」
変わらず真っ赤になって目を合わせない荻上を見て、心配になる。
「何でもありません!」
「…言ってくれないとわからないよ」
荻上は焦る。(い、言えねーーーーーーー!!)
「…ほ、ほっといてください!」
614 :
嬉し涙6:2006/02/11(土) 04:30:11 ID:9cNqzfTN
(…しまった…)
またやってしまった。またキツい言い方してしまった。
沈黙の中で、荻上は後悔にかられ、うなだれる。
(私はいつもこうだ。変なプライドが邪魔して頑なに拒絶する。)
現視研にくる前を思い出す。孤立しがちな荻上に、手をさしのべてくれる人は何人もいた。
だがいつも頑なに拒んできた。拒まれた側は、ある人は傷ついた顔をし、ある人は怒りに顔を歪め、ある人は誰よりも冷たくなった。
仕方がないと思っていた。私はどうしてもきつい言い方しかできない。変えられないのだと。
(でも)
また泣きそうになる。
(好きな人にさえ、こんな風にしか言えないのか私は)
615 :
嬉し涙8:2006/02/11(土) 04:31:18 ID:9cNqzfTN
(…いや、だめだ。こんなんじゃ)
荻上はぐっと涙をこらえる。
(私は変わらないと。そうじゃないと笹原さんに申し訳ない)
暗いほうにばかり傾いていた気持ちに歯止めがかかる。
笹原さんが、まだ手をつないだままでいてくれるから。
「…さ、笹原さん……」
「落ち着いた?」
笹原は荻上のほうを向く。いつもと変わらぬ笑顔。
ああもう、この人は本当に………
「…あの、私、その…ごめんなさ…」
動揺して言葉が紡げない。
「荻上さん、ごめん」
「えっ?」
何が?と思った瞬間、笹原の顔が近づいてきた。
616 :
嬉し涙9:2006/02/11(土) 04:32:20 ID:9cNqzfTN
「ーーーーーーっ!」
真っ赤になってうつむく荻上を、笹原が抱きしめた。
(………へ?)
「いや…その、泣きそうになってる荻上さん見てたらつい…」
言い訳しながら抱きしめる笹原の言葉が直接頭に響いてくる。
(なんか………すごく安心する)
「だ、だから…急に、ごめん」
「言わなくていいですよ」
「え?」
「何も言わなくていいです…」
荻上の体からどんどん力が抜けていく。笹原にもたれるように体重をあずける。
(伝わってるかな、私の気持ち…)
617 :
嬉し涙10:2006/02/11(土) 04:36:15 ID:9cNqzfTN
荻上の強ばっていた体から力が抜けていくのを感じ、笹原は心底ほっとした。
(…嫌がってないってことかな。というか、甘えられてる…?)
くすぐったいような気分になる。
(こんな簡単なことだったんだな…。勇気出して良かった)
こんなことで、荻上さんを安心させられるんだ。
しばらくして笹原は体を離した。
「ふう…なんか満足した。ありがとう」
「え…」
「ん?」
「いえ…」
荻上はまた何か言いたそうな顔をして横を向く。
618 :
嬉し涙11:2006/02/11(土) 04:39:47 ID:9cNqzfTN
「何?言ってみてよ」
「言いません」
「言わなきゃわかんないよ」
「察してください」
「そんな、ニュータイプじゃないんだし…あ、もしかしてもうちょっと抱きしめて欲しかった…とか?」
「えっいや、そうでなくてあの…………何でもないデス」
(さっき考えたことは、まだ秘密にしておこう…)
「ええーーーー?」
子供のようにがっかりした声を出す笹原に、少しおかしくなって噴き出す。
「ふふっ…」
なぜ笑うんだろう?と思ったが、つられて笹原も笑う。
「あはは…」
ふと見ると、また荻上さんは涙ぐんでいる。
「…嬉し泣き?」
思わず聞くと荻上さんは頷いた。
「そうデス」
END
リアルタイム乙!
あっま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!
以上!(マテ
冗談はこれくらいにして。
いい感じに笹原がへたれてていいですね。
かっこいい笹原も良いけど、へたれな笹原もまたいい!
620 :
嬉し涙あとがき:2006/02/11(土) 04:49:41 ID:9cNqzfTN
すいません、>>614は嬉し涙6じゃなく7です…
ぶはー!いっきにかいてしまた…
ワシもケンプファーなので荻上さんの気持ちがわかる、なんていってみたり。
なんか他の人のかいたのと似通っててすいません…
荻上さん幸せになってほしいという祈りをこめて。
荻上さんも笹原もガンガレ
嬉し涙>>乙です。超尼乙です。
>>620 ケンプファーってハリネズミの様に武装して、その分軽量化の為に装甲極薄の設定ですよね……本当に荻だ……
やべっ……何かすっげえかわいく見えてきた……ケンプ……
>>546 ありがとうございます、が!
明日からパン1個生活って、この時期…給料日遠く無いですか(汗)?
>>547 僕は手に取ったり戻したり、レジに向かいかけたり戻したりしています(大迷惑)。
>>601-618嬉し涙
態度でまずすれ違うさまが、イイ感じにまだるっこしいですね。
そうそう、こういういのが読みたかったし書きたかったんだよと思いました。
GJ!でした!!!
読んでる方が嬉し涙
624 :
@自治スレにて板設定変更議論中:2006/02/11(土) 12:51:55 ID:W/zqHTLL
ヘタレ笹になんだかホッとした。
あんまり超人にならないで、遠くに行っちゃわないでよ笹やん
>嬉し涙
テレテレしながら読んで「もらい泣き」
626 :
@自治スレにて板設定変更議論中:2006/02/11(土) 13:31:16 ID:9cNqzfTN
ども、「嬉し涙」書いたへタレです。
予想外にうけてるみたいで嬉しいです。アリガトウゴザイマス
なんかえらく青春書いちゃいましたねー…あー、手が震えてますよー…
・いいひと春日部さん
・荻上さんの気持ち
・へタレ笹やん
の三つがぜひとも書きたかったので、かなり盛り込めたと思います。
>>619
ス○ードワゴン風乙、嬉しいです!!
まさにそれを言われたかったのですよ!ヒャッホウ!
>>624
へタレスキーが基本の私としてはぜひ、へタレ攻めで頑張ってもらわねと…
…もう一人のへタレ(斑目さん)も、なんとかしてやらんとなあ…
斑・咲・高坂の話、近いうちにまた…
>>626 ヘタレ斑目ストーリー、楽しみにしてますぜ!
では、ちょっくら6レスほど書き込ませて頂きますね。
SSスレは初カキコなんで(本スレにプチSSは書いてますが)、
多少アレかもしれませんがご勘弁を…。
2007年春――――
新入生・山田麻耶(やまだまや)は戸惑いつつも意気込んでいた。
ある種のサークルに入ると決意していたからである…。
『サークル入会の手引き』に載っていた一枚のイラスト。それに惹かれた麻耶は、
勇気を振り絞って、そのサークルの部室へ見学に訪れたのであった。
サークル名は「現代視覚文化研究会」――――。
しばらくの間、黙って会員達の談笑を聞いていた。
しかしやがて会員達は、トイレに行くとか用事があるとか言って出て行ってしまい、
部室には彼女ともう1人、一年生らしい女の子の二人きりになってしまった。
??「2人だけになっちゃったね、山田さん」
山田「は、はい…えと…」
??「あたしは北川ってんだ。よろしく!入会したのは昨日だけどね」
山田「よ、よろしく…北川さん」
北川の話によると、このサークルは今のところ一年生は彼女1人、
二年生は女性2人に男性1人、三年生はいなくて、四年生が1人いるらしい。
初めて部室に入った時、とても綺麗な金髪の外人の少女がいて驚いたのだが、
それが二年生の先輩で、しかも現会長と聞いてもっと驚いた。
さっきまで此処にいたのは二年生の先輩達3人だという。
四年生の先輩には、北川もまだ会ったことは無いそうだ。
着信音「♪シャア!シャア!シャア!」
北川「はいもしもし?」
山田(???何?今の着メロ…)
北川「え?…ああ、はい。すぐ行きまーす」ピッ
北川「ゴメンねー友達に呼び出されちゃって。あたしも失礼するわ。じゃねー」
山田「え…」
1人とり残されてしまった。
しばらく室内を見渡していたが、やがて視線は本棚の一角に釘付けになった。
山田(こ、これはもしかして…噂に聞く「やおい同人誌」…?)
一冊取り出し、パラパラめくってみる。
山田(わ…わ…うわわ…大佐と中佐が…す、すごい…もっとないかな…?)
ごそごそ。
山田(あ、スクダンだ…こっちはおおフリ…くじアンもある…」
ごそごそ。
山田(こっちもすごい…麦男くんと千尋くんが、こ、こんなことに…きゃぁぁ…)
表紙を見てみる。
山田(『あなたのとなりに 於木野鳴雪』…?)
ドア『ガチャッ!』
山田「!!!!!!!!」
勢い良く開け放たれたドアの向こうには、
二年生の先輩方3人と、帰った筈の北川が揃っていた。
山田「……(汗)」
ゾロゾロ
山田「…………(汗汗)」
会長「(ニヤリ)キミ!」
山田「………………(汗汗汗)」
会長「全部見セテ貰ッたヨ!」
山田「…………………はいぃ…」
会長「コノ本が気二入った様ダネ…やッパ同人誌はHardcoreに限ルよナ!」
山田「はうぅ………」
二年女「そんなに気にしないで。毎年やるのよこれ。私も去年引っかかったの」
二年男「俺も去年やられたぜ。ま、もっとも俺様ほどの達人になると、エロ本
読んでるトコ見られようが竿握ってるトコ見られようが全く動じな…」
二年女「あ・ん・た・は・黙ってなさい!!」ドゴォッ!!
二年男「ぶべらッ!」
北川「あたしは引っかかってない♪」
会長「…とマア、 同 類 ッテ事デ!入会シテみちゃドウカナ?」
山田「はうぅ…はうぅぅ…………」
??「おーい。現役揃ってるかー?そろそろ移動の準備を…」
二年女「あ、春日部さん!こんにちはー。」
二年男「姐さん!お疲れさまです!」
春日部「姐さんはやめろっての。…ん?あんたらもしかして新入生?」
北川「昨日入会した北川といいます!よろしくお願いします!」
春日部「(き、北川…?いやまさかね…ブツブツ…)ああ、私は春日部。よろしくね」
…で、こっちの娘はどうかしたの?」
山田「はゅぅぅぅ……」
会長「ククク…根拠ノ無いプライドが崩壊シタのデスヨ」
春日部「スー…あんた最近ホント斑目に似てきたよ」
二年女「春日部さん、もうOBの皆さんは会場にお揃いですか?」
春日部「それを言いに来たんだよ。さあ、みんなも準備して」
山田「…? みなさん、これから何かあるんですか?」
二年女「ああごめん!まだ言ってなかったわね。来月、私達の先輩同士が結婚するの。
今日はそれを記念するパーティーを、現視研の仲間うちだけで開催するのよ。
どう?あなたも来ない?」
会場へ移動する間、春日部が色々と話を聞かせてくれた。
今度結婚する二人というのは、今四年生の女の先輩と、その二年上で今編集者をやっている
男の先輩だという。女の先輩の方は、学生結婚ということになる。
一年半の大熱愛の末、ついに結婚に踏み切ったのだそうだ。
山田「素敵ですね…」
春日部「アハハ。素敵ねぇ…たしかに結果はそうだけど、そこへ至るまでに、
さんざんてこずらせてくれたもんだったよ。あいつらは…。」
苦笑しつつも、楽しかった思い出を懐かしむように言った。最後の方は独り言のようだった。
麻耶は、改めて春日部を眺めてみた。
綺麗な人だ。服のセンスも抜群だし、化粧も自然な感じで決まっている。
山田(とても「そういう趣味の人」には見えないけど…)
その思考が、つい言葉になって出てしまった。
山田「あの…春日部さんも…オタクなんですか?」
春日部『ビキッ!』
二年女「キャー!春日部さんが石化したー!」
二年男「姐さんに対する禁句をサラリと吐くとは…こやつ世界を取るやも知れん!」
スー「マヤ…恐ロシイ子!」
山田「えっ?えっ?ええぇーっ????」
北川(この春日部さんって人…やっぱりお姉ちゃんが言ってた…)
春日部「とほほ…あたしは毎年、コレを言われ続ける運命なのか…」
そうこうしているうちに、結婚記念パーティーの会場である飲み屋に到着したようだ。
OBらしき人達が集まっている。
??「咲さーん!こっちこっち!」
??「おおー!なんか人数増えとるぞ!」
メガネの人、太った人、ひょろ長い人、胸のおっきな人…。
いろんな人がいるが、みんな明るくて楽しそうな顔をしている。
山田(よかった…このサークルでなら、本当の私を出せるかも…)
先輩達に暖かく迎えられて、麻耶もにっこりと微笑んだ。
了
あとがき:最初、ラブひな最終回のパロのつもりだったんだが、なんか中途半端になった…。
>げんしけん近未来
「マヤ…恐ロシイ子」
最初はただの回文ネームかと思ったが、それが言いたくてマヤにしたのか!
まあ、おもろかったです。
春日部さん、石化で済むようになったんですね。
こんなとこにも時の流れが描けてると思います。
惜しむらくは北川さん。
もうちょっと作り込んでもいいかも。
姉と正反対の天然ぽいキャラだったけど、その点もっと強調して欲しかった。
あと下の名前がエリカちゃんとか…
またあーるネタになってしまった、スマン。
実は俺も今、今年の春頃の近未来の話を構想中なんですが、おかげで妄想原子炉が再起動しました。
感謝。
635 :
@自治スレにて板設定変更議論中:2006/02/11(土) 18:33:34 ID:I/RC1pHe
これはこれで…つづきを…えー…
ちょっと読みたい……
……ような?
>>635にも期待
636 :
@自治スレにて板設定変更議論中:2006/02/11(土) 18:45:03 ID:9cNqzfTN
むむむ…ほとんどオリキャラ。
しかし、なかなかわくわくする展開…
主人公のキャラに魅力が出ればいい話できそうですね。
キャラ作るときは、長所と短所をしっかり設定すればキャラに深みが出ると聞いたことがあります。
続編、ワシも読みたい。よかったら書いてみてくだされー
>>634です。
まずい。本格的にキャラ一覧表作って考えてたら、妄想原子炉の制御装置がオーバーヒートして暴走開始してしまった。
来月号までに完成できるかな…
>>げんしけん近未来
先越された〜GJ!
くそう、私がガンダムでたのしんでる合間に未来ネタやられてしまったか・・・。
それはともかくキャラが立ってきそうでいい感じですね〜。
私の妄想回路にも再び火がつきそうですよ!
ええですな、ええですな。げんしけん近未来
オリキャラも悪くないかもしれませんな。
640 :
633:2006/02/11(土) 22:08:02 ID:???
ご意見ご感想ありがとうございます。
「げんしけん」のこれからの展開に対する私の願望&妄想を詰め込んでたら、
なんか大野・クッチーまで卒業後の話になってしまいました。
続編は難しいですね…。そもそもオリキャラ大量使用はかなり反則ぽいしw
あとご指摘頂いたように、キャラの作り込みがまだまだですな…。
リベンジの為勉強してきます。ノシ
>>637 炉心融解前に是非!楽しみにしてます。
641 :
木尾:2006/02/12(日) 00:27:15 ID:???
ふむ、新キャラ大量投入か。
アリかもな…メモメモ。
笹原が部室に行くとなにやら騒いでいるオギーと大野さん。
大野さんはオギーのスケッチブックをやたらと笹原に見せたがる。
顔を真っ赤にして阻止しようとしているオギー。
ぎゃーぎゃー言ってる内にもののはずみで落としたスケッチブックの中身を見て、笹原びっくり。
そこには美化された自分と荻上さんがギシアンしているイラストが…
真っ赤になって「これはただの好きなマンガのキャラで」とかしきりに言い訳をするオギー。
という妄想をして自分で悶えちまった俺が来ましたよ。
ここクオリティ高えなあ
このスレは濃い。
いろんな物が混ざって濃縮されいい感じになってきている。
>>627さんみたいな新規SS書きさんもいれば、
スレ開始当初から常駐してる私みたいのもいる。
まとめながら読み返すとまた味が出てくる。
このスレをまとめるって言いだして良かったな〜と思うのです。
644 :
643:2006/02/12(日) 03:35:29 ID:???
まとめスレってなんだよw
まとめサイトじゃないかwww
自分で自分を突っ込むむなしさよ・・・。
>>643 萌え死ぬところを助けていただきました。激しくGJ!
生まれてくれてwelcome!
SSスレ発のSSじゃないんだけど、ネタバレスレで書かれた
3月号の嘘バレ「うつむく頃をすぎれば」を3月号予想の1つとして
まとめサイト収録キボン
647 :
643:2006/02/12(日) 03:57:51 ID:???
>>646 了解しますた。あれはかなりいい出来のウソバレでしたね〜。
私は信じてましたw
まとめサイトに行ってきた。
最新のSSがもう入ってた。
管理人さんの仕事の速さに脱帽しました。
せめてこの場を借りて、いつもご苦労様と言わせて頂きます。
先月バレ見てないから読んでない。
見たいかも…
まとめサイト行ってきます!
650 :
313:2006/02/12(日) 06:18:21 ID:???
>>440 返事が遅くなってすまん・・・・今読んで笑ってしまいました
思いつきの設定をここまで膨らまして仕立てる手腕に脱毛です
これが噂のウソバレか…くっ…不覚にも萌える…
652 :
木尾:2006/02/12(日) 10:17:20 ID:???
>>641 そのネタはワタシノモノダ。絶対に渡さんぞぉ〜!!
カッカッカッ・・・カカカカカ
653 :
エムカミ:2006/02/12(日) 10:40:16 ID:???
もう木尾先生、遊んでないで仕事仕事!
654 :
木尾:2006/02/12(日) 11:30:28 ID:???
>>652 にゃにおー! 偽者の分際で!
メモメモ・・・
面白くねーからもうやめな
SSスレはなりきりスレじゃねぇんだよ
656 :
木尾:2006/02/12(日) 12:45:17 ID:???
657 :
@自治スレにて板設定変更議論中:2006/02/12(日) 13:08:26 ID:Gam6qPmU
>>655-656 まあまあそう言わずに。
木尾さんたち三兄弟にSS読んでもらえるのも楽しいですよ。
許容範囲だね
>>656 アナタの存在で木尾センセは3兄弟ではなく4兄弟と確認されたワケですが・・・
(あやしい)
大野はあごに手をあてながら思う。合宿直後、けっこういいムードになっていた笹原と荻上。
しかし、今の二人はと言うと、
荻上をちらちらと見ながら漫画を読む笹原
笹原を意識的に無視してイラストを描く荻上
という、まるで夏コミ前の様子だった。
「いったいどうしたんでしょうね?あの二人」
大野の突然の囁きに驚きながら、咲は読んでいた漫画から目線を上げて二人を見て、囁き返す。
「あんなもんだろ、あの二人なら。いきなりベタつきだしたらその方が変だって」
「でも…」
「なら直接聞いてみれば?」
「そうですね…」
「ねえ、荻上さん?これから時間あいてます?」
(決断早っ!)咲の驚きをよそに荻上に話し掛ける。
「あいてますけど」「じゃあ大事な話があるので来てもらえます?」「ここじゃできないんですか?」
「はい、できません」「…いったい何をたくらんで…」「いやですねえ、そんなことしませんよ?」
あとはいつもどおり。押せ押せに荻上は屈し、気が付けば大野の部屋に連れ込まれていた。
テーブルで向かい合う二人。その前にはなぜか缶ビール。
「なんでビールなんですか?」
「あれ?ワインとかのほうが良かったですか?」
「そうじゃなくて!」
「まあまあ、そう言わずに…はい、ちゃんと持って…かんぱーい!!…ノリが悪いですよ、荻上さん」
「帰ります」
「そういわず一口でも飲んでいってください〜。口を開けちゃっているんですから〜」
すでに二本目を開けている大野にあきれながら、口をつける。
「あ、おいしい」
「そうでしょ〜、某所の地ビールなんですけど…」
大野の満面の笑みに押されながら、もう一口。
「これはどうです?」「こっちは?」「こういうのもあるんですけど」
気が付けば回りは空き缶が多数転がり、据わった目の荻上が大野の作った水割りをなめている状況
だった。
「…それで、笹原さんをうちに呼んだんです」
「ほうほう、それで?」
一方、大野は顔こそ赤くしているが、ほとんど変化が無い。
「…最初に中学の頃に作ったやつを見せたんです…捨てたくても捨てられなかった、あの…」
「それで?」
内罰モードに入りかける荻上を引き戻す。
「…受け入れて、くれました。…それで、今まで書き溜めた分を見せる事にしたんです…」
「…最初は笑って見てました…でも、だんだん真顔になってきて…怖くて、見ていられなくなって…」
「…部屋を出ようとしたんです…そしたら手をつかまれて…最後までいてくれ、って…」
「…ずいぶん長い間かかったと…最後の一冊を読み終わって、笹原さんが言ったんです…」
水割りをなめながら、荻上の独白は続く。
大野は内容よりも、どんどん濃い水割りを要求する荻上の体の方が心配になってきた。
「…笹原さんは言ったんです…『うん、読んだ。それで?』って…酷いと思いません!?こっちが聞きたいのに!!…」
「…そしたら、笹原さんは…『俺だって荻上さんでいやらしい妄想をしたことある。最低だと思う。』」
「…『でも、妄想は誰にも止められないし…俺と荻上さんの違いは、それを表現する能力があるか、無いかでしかなくて…ああ、くそ。そんな事を言いたいんじゃなくて』…」
「…『俺は、こんな妄想をして、絵に描いてしまう、荻上さんが、好きです』…」
「…そう言ってくれたんです…」
「よかったじゃないですか!」
大野は心からの祝福を送る。ついでに笹原の評価を少し上げた。
棚からとっておきのブランデーを引っ張り出すと、新たなグラスに注ぐ。
「それでなんて答えたんです?」
「…私も笹原さんが好きだ、って…」
「それで?」
「…そしたら、笹原さんが夏コミで見せたような、本当にうれしそうな顔をして…」
「ほうほう?」
「…私を…抱きしめて…くれたんです…」
「それからどうしたの?」
(いくら酔っていたとしても、ここまでばらされた以上最後まで聞く義務がある。理論武装終了)
大野の追及は続く。
「…そしたら、押し倒されて…」「ベッドに?」「…いえ、床に…」「なんて大胆な!」「…体ぶつけたらしくて、痛かったし、重かったし…驚いたし、怖かったけど…少し嬉しくて…」「ほほう!」
ひたすら盛り上がる大野。しかし荻上はじっとグラスを見つめている。持つ手にも力が入りだす。
「…じっと目を閉じて待ってたんです…でも、何もされなくて…不安になって目を開けたら…」
「目を開けたら?」
さすがに大野も変化に気がつく。荻上のグラスの酒に波紋が起こる。押し寄せる不安。
「…笹原さん…寝てました…」
(あ の ヘ タ レ が 〜 ! ! !)
大野の心に馬鹿な上官の所為で作戦を台無しにされた某指揮官の叫びに似た声が響き渡る。
笹原の評価は地に落ちた。地に落ち、踏みにじられ、消し飛ばされた。
「え〜と、荻上さん?」
心の中で笹原を虐殺しながら、話し掛ける。
「…あの日、私は、年末並みの大掃除をして…三回もシャワーあびて…秘蔵の下着なんかつけて…服なんか半日もかけて選んだんですよ?…化粧だってしたのに…」
「あの〜、荻上さ〜ん」
「…ぐーすかぐーすか、人の上で…寝顔はかわいかったけど…違うさ!!」
「荻上さん!」
大野の声に荻上は顔を上げる。目線が大野の顔から下がって止まる。胸だった。
「んなに、おらにおんなのみりょぐがねえがーーーー!!!」
立ち上がって叫ぶと、一息にグラスをあおる。そして…ばったりと倒れたのだった。
その後。
大野は荻上を吐かせた後、服を脱がして洗濯機にいれ、丁寧に体を拭き、田中謹製の「蓮子ちゃんパジャマ」を着せると、ダブルのベッドに寝せた。
まだ怒っているのか、それとも苦しいのか、荻上の眉間にしわがよっている。
その隣に入り頭をなでてやる。次第にこわばりもきえ、穏やかな寝息を立てだした。
(全く、手のかかる人ですねえ)
まどろみのなかで思う。いつの間にか自分の腕をだいて寝ている荻上に微笑む。
(いずれにせよ、笹原さんにはお仕置きが必要ですね)
一瞬邪悪な笑みを浮かべると、大野も眠りに落ちた。
おまけ。
@【荻上入室禁止】と書かれた張り紙のされた現視研部室。
A大野の説教。(無音)
B恵子のあざけりと、咲の忠告。(無音)
C部室の床に正座している笹原。「わかりましたか?」「はい」という応答
モノローグで「なんで?」
勢いだけで書いてしまいました。キャラが壊れてます。ごめんなさい。
でも、妄想は止められないんだ、ということでご勘弁を。
670 :
@自治スレにて板設定変更議論中:2006/02/12(日) 19:30:56 ID:Gam6qPmU
>>660-668 あはっはっは…クルシー!!!
「あ の ヘ タ レ が −−−!」<激ワラタ
笹原へタレだよ笹原
それにしても、読破した直後に落ちるなんて、どれだけ量があったのか…
全部積み上げたら笹原の身長超えたり…なんて妄想しますた
いや、それだけ集中して読んでたのか…
面白いと思うので是非タイトルつけてください。
>>660-668 いや、面白い!等身大のヘタレ笹原がいい!!タイトルをぜひ!
ちなみにウソバレ投下SS見た。バレという予備知識あったから、違和感
に気付くが、知らずに読めば騙されてたかもしれない。
淡々とした描写に徹してるのに、リアルだ。あまりの出来にウソバレ投下の誘惑に
勝てなかったんだろうなあ。
バレ投下後、荻上のように呆けて、虚ろな表情になった(?)作者に萌え。
木尾4兄弟乙。そろそろ別ネタ挑戦よろしく!
その状況で寝てしまうぐらい消耗するとは、荻上さんいったいどんなのを見せたんだ?
>>660-668 いいですよこれw
寝落ちするぐらい疲労した笹やんと、
魅力がないのか〜と怒るオギに両方萌え。
そして説教する大野さんにも萌え。
そして二人で寝る大×荻にも萌え。
もうなんだがわかんね〜。
タイトル、私もつけてほしいですね!
>>671 >>ウソバレSS
一時期、木尾先生のボツネームなんじゃ?という意見があったくらいですから・・・。
>>660-668 ウケたwwwwwwww
そして荻の準備万端&覚悟完了っぷりに萌ええええええ!!
>田中謹製の「蓮子ちゃんパジャマ」
なぜ大野の部屋にある…いや田中の部屋にずっとあっても嫌だが
676 :
592:2006/02/13(月) 06:08:11 ID:???
>>594 ケーコ視点は難しかったです。
でも、書いててはっちゃけられて楽しかったです。
>>595 どこまで行くんでしょう?今のところ12話ぐらいまで構想だけなら・・・。
>>596 うむう・・・。メモメモ・・・。
>>601 長い連載になりそうなので、飽きさせないような工夫を考えていきたい所存であります!
>>602 今回投下する話はちょっとやりすぎかもしれません>笹荻
>>603 置いてきぼりはこういうパロならしょうがないかなと思ったりなんだったり。小説としてたのしめるようにはしたいですけどね〜。
>>604 本当ですか!
>>605 ベースは08、ササハラの機体はBD。他にもオマージュは多いです。女スパイとか・・・。ミハル・・・(;д;)
677 :
676:2006/02/13(月) 06:11:37 ID:???
って言うことで、801小隊投下します〜。
今回は・・・。ちょっと脳が膿みすぎてたようです。
13レスで投下しますよ。
今回も、読んでくださる方々におぎおぎ。
グオォォォォォォォォォ・・・・。
時は夕方。日もそろそろ落ちかけるころ。
密林の上空を一機の大型輸送船が移動していく。
それには、第801小隊の面々が搭乗していた。
「いや〜。よもや大型輸送船が来るとはな〜。」
マダラメが艦長席にてふんぞり返っている。
「で、でも、じ、人員これだけで行けっていうのもなかなかね・・・。」
ドライバーを担当しているクガヤマがぼやく。
「作戦を成功させたいのか失敗させたいのかがよく分からんよ。」
丁度そこに来ていたタナカも苦言を呈する。
「軍も今宇宙宇宙で人員も裂けん、って言ってただろ〜。
しょうがないだろ〜、頑張るしかないだろ〜。」
わざとおどける風に話すことで自身の不安も消そうとするマダラメ。
「まあ、大きな戦闘も起こらないだろ。
もうすでに皇国軍はほぼ撤退してるわけだし。」
そういいながら、マダラメは先日のことを回想した。
先日のことである。
ハラグチ少将が直々に基地にやってきたのである。
「え〜、今日は貴君らに指令を与えにきたわけだ。」
わざと仰々しく話すハラグチ。
隊の皆は嫌な気分になりつつも体裁は保っていた。
「この前の兵器、あれを追跡するのだ。」
「な!?あれをですか?」
思わず声を上げたのはマダラメ。
「そうだ。せっかくそろった人員にMS隊だ。
軍のほうも宇宙への進軍で忙しい。ようやく戦局がこちらに向いてきた時だ。
あれが脅威になるか、意味のないものなのか、確認する必要性はあるだろう?
どうもこの先の元皇国領に基地が残っているようなのだ。」
「元?」
思わず聞き返したのはタナカ。
「そうだ。いままでの皇国領はすでに我が軍の領となっている。
ゲリラは多少いるかもしれないが・・・。安全だと考えることが出来る。」
「しかし・・・。我々には輸送船がありませんが・・・。」
ササハラが重要なことに気付き発言した。MSの輸送にはそれなりの空母が要る。
「安心しろ。最高級のを用意してやった。
これも私の力の賜物うんぬんかんぬん・・・。」
ハラグチの自慢話が始まってしまった。
嫌そうな顔はするものの、反論できない隊のメンバー。
「少将、その辺でいいかな?」
「・・・でな、え?あ、はい・・・。」
大隊長の言葉がそこで入り、急にしおらしくなり態度が萎縮するハラグチ。
「僕はここを離れるわけにはいかないので、マダラメ君を艦長としてくれ。
大丈夫、君たちなら目的を達成できるだろう。」
「「「「了解!」」」」
声をそろえ、小隊皆そろって大隊長に敬礼を向けた。
「とはいってもだな〜。オギウエさんも数に入れるのはどうかと・・・。」
タナカがいまだ納得いかないように文句を言う。
「彼女自身の進言だ。それに・・・もう、仲間も同然だろう?」
マダラメがにやりと笑う。
「ま、まあね。い、いい子だよ。」
クガヤマも少し笑いながらそれに答える。
「だからこそ、なんだがな・・・。あまり戦場へは行かせたくない。」
「・・・それは一理あるかもな・・・。」
「う、うん・・・。」
この戦争で苦い思いをしてきた男たちだからこそ、
戦場のなにがあるか分からない怖さを知っている。
「一番反対してたのはササハラだったしな。」
「・・・あ、ああ。け、喧嘩凄かったね〜。」
「あいつ、いまだに凹んでるんじゃねえのか〜?」
キシシ、とマダラメは皮肉な笑みを浮かべた。
「お〜い、そろそろ停泊したほうがいいんじゃないか〜。」
タナカが日が落ちたことを確認して、声を出す。
「そ、そうだね。あ、あの川のほとりにするか。」
「OK。では、着陸!」
船は川のほとりのかわらに向かってゆっくりと降りていった。
「・・・はあ・・・。」
ササハラがジムのコクピットにてため息をつく。
(なにを考えてるんだよ・・・。オギウエさん・・・。)
彼女がついてくる、と言い出したときはびっくりした。
正直、戦場には二度と出したくはなかった。
(何でってそりゃ・・・。そういうことか・・・。)
この一ヶ月で大きな存在になっているのが分かる。
だからこそ。離れてでも安全な場所で。
(くそ・・・。喧嘩したままだし・・・。)
いらいらしながらいつものようにスイッチを入れる。
『・・・どうしたのですか?』
いつもと違った調子で話しかけてきたシステム、否、会長。
「え、どうしたって・・・。」
『なにかいつもと様子が違うようですが・・・。』
よもや会長にまで見抜かれるとは思わなかったササハラ。
いや、精神を媒介にしているのなら、それも当然かと思い直す。
「あはは・・・。ちょっと喧嘩をしましてね・・・。」
『・・・あなたの大切な人と?』
「・・・そうですね。」
会長の言葉が寂しそうで、ササハラも少し悲しくなった。
『・・・すぐ謝りに行ってきなさい。』
「ええ・・・?」
意外なことを言われ、ササハラは驚いた。
『仲のいい人ほど喧嘩をします。そう私は教わりました。
あなたがその人を本気で大切に思うのならば、謝るのがよいでしょう。』
「・・・そうですね。・・・ありがとうございます。」
『フフ・・・。笑っているほうがやはりいいですよ。』
「え・・・?」
ササハラはいま自分が微笑んでいることに気付いた。
実はそうしたかった自分の本音をつかれ、笑ってしまったのだ。
「・・・はい。では、いってきます。」
そして、スイッチを切り、急いでコクピットから飛び出した。
オギウエは調理室でオーノとサキとともに調理に勤しんでいた。
「やっぱり10人分ともなると大変ですね〜。」
「・・・。」
「オギウエさん?」
無言で野菜を切り続けるオギウエ。気はそぞろだ。
「お、おい、オギー、あぶねーぞ!」
「えっ!?」
サキの言葉にはっとするオギウエ。
「いた・・・。」
包丁で少し指を切ってしまった。
「だ、大丈夫ですか・・・?」
「・・・すいません、大丈夫です。あまり切れてませんから。
絆創膏とってきます・・・。」
いまだに虚ろに見えるオギウエを、二人は少し心配する。
「本当、大丈夫かな・・・。」
「結構激しくやりあってたからね〜。」
オギウエは医務室に向かいながらササハラとのやり取りを思い出していた。
『だから、残っててほしいんだって!』
『なんでですか!私がいったらまずいんですか!?』
『そうじゃなくて・・・。』
『だったらいいじゃないですか!ササハラさんには関係ありません!!』
『・・・勝手にしなよ!』
「あんな事いいたくなかったんだけどな・・・。」
そこまで思い出して、ササハラの言葉に胸が痛む。
『勝手にしなよ!』
「う・・・。」
立ち止まり、俯くオギウエ。泣きそうになる。
家族を亡くし、皇国軍に入ってからはあまり感じられなかった人の温かみ。
それを失うのが怖い。特に・・・あの人のは。
「助けになりたかっただけなのに・・・。」
そう思ってさらに悲しみがこみ上げてきた。
そこに、誰かが駆け寄る音。
「・・・はぁ、はぁ・・・。オギウエさん・・・。」
オギウエが気付くと、目の前にササハラがいた。
急いできたのだろう。汗をかいて、息を切らしていた。
「ササハラさん・・・。」
「あのさ・・・、この前のことなんだけど・・・。」
少し恥ずかしそうに視線をずらすササハラ。
「・・・ごめんね!」
そういって両手を前に合わせ、頭を下げる。
「え・・・。」
「きついこと言っちゃってさ・・・。」
「それはこっちもです・・・。すみませんでした・・・。」
オギウエも頭を下げる。
「・・・うん。でも、心配なんだってことは分かってくれるよね。」
「はい。でも、私は・・・お手伝いがしたかったんです。」
この人はどこまで優しいんだろう。オギウエは思う。
本当は今の言葉を、『ササハラさんの』と修飾したかった。
「・・・そっか。でも、無理はしないでよ。
それにこうなった以上、君の事は俺が絶対に守るから・・・。」
視線を合わせ、たまにササハラが見せる真剣な表情になった。
オギウエはドキリとする。顔を赤らめ、視線をはずしてしまった。
「はい・・・。」
「うん・・・って、て、手、怪我してるじゃない!」
「あ・・・。忘れてた・・・。」
今の出来事ですっかり忘れていた。痛みも感情に埋もれてしまっていた。
「ああ、もう!急いで消毒と・・・。ええい!」
オギウエの指に口をつけて血をぬぐうササハラ。
「ひゃっ・・・?」
「よし、これで、後は絆創膏だね、医務室へ行こう!」
オギウエを引っ張ってササハラは医務室へと向かった。
オギウエはというと、今の出来事に放心状態になっていた。
「ウマ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
マダラメが食事を平らげて空を仰ぐ。
小隊は、船から降り皆で食事をしていた。
船の照明を利用し、明るくしている。
「これじゃまるでキャンプでありますね。」
クチキも楽しそうに食事をする。
「あはは。それですんだらいいのにね。」
「そうはうまくいかないんじゃない〜?」
ササハラの言葉にケーコは皮肉っぽく返した。
「・・・わかってるよ。」
その言葉に皆、少し気分が沈む。
「あ・・・、私空気読めてなかったか・・・。」
皆分かっているのだ。この先におそらく戦闘があることを。
皇国軍も、全てが撤退しているわけではないだろう。
・・・その先で、生き残れるかどうかも、分からない。
「まあ、まあ。みんな、今を楽しもうぜ〜。」
マダラメが再びおちゃらけた調子で言葉を放つ。
「だね。明日の心配をしても仕方がない。」
「やっぱコーサカさんはいいこといいますね〜v」
「だあ!離れろ!」
ここぞとばかりにコーサカに近づくケーコの邪魔をするサキ。
「まったく・・・。あいつは・・・。」
苦笑いでその光景を見るササハラ。
「・・・。」
その横でその光景を見つめるオギウエ。しかし、先ほどのことで頭がいっぱいだ。
「オギウエさん?」
はっと気付くと、目の前にササハラの顔。
「な、なんでもないです!」
「え。」
あわてて視線をそらすオギウエ。顔は真っ赤だ。
その光景を見ながら安心したように笑うオーノ、タナカ、クガヤマ。
「さってと、私たちはやることあるから〜。」
そう言い出したのはサキ。
「は?」
マダラメがその言葉に反応する。
「み・ず・あ・び。この川綺麗だしね〜。女はそういうの気にするのよ〜?」
「ああ、そういうことね。はい、わかりましたよ。」
いたずらっぽく話すサキに、マダラメは少し顔を赤くして、答える。
「覗くなよ〜?」
「覗くか!犯罪者か俺は!」
「冗談、冗談。あんたがそういう人間じゃないことは分かってるからね。」
サキに、にこっと笑われてどきどきするマダラメ。
「ああ・・・そうですか・・・。」
(なにどきどきしてんだよ俺!)
「まあ、終わったらあんたらも浴びなよ。気持ちよく寝れるよ〜?」
「はい、そうしますよ。」
「じゃあいくよ〜、女共!」
サキは懐中電灯を持って、女三人と連れ立って川のほうへ行ってしまった。
取り残された男たち・・・。妙な沈黙が周りを包む。
そんな中、遠くから声が聞こえてきた。
「・・・オーノやっぱりでかすぎ。」
「サキさんもなかなかじゃないですか〜。」
「フン・・・、年上だっけ?」
「何が言いたいんですか!」
男たちは沈黙を破れない。
(誰か何か言えよ・・・。)
そういう空気が流れていた。コーサカを除いて。
プ〜〜〜〜〜〜。プ〜〜〜〜〜〜。プ〜〜〜〜〜〜。
「警報!!??」
その音に皆立ち上がる小隊員たち。
「熱源探知装置に反応があったようだな。・・・近くに来てるぞ!」
そういったタナカはすぐさま船内に戻る。皆それに続いていく。
「クッチーは?」
マダラメが周りを見ても、クチキがいない。
「遅れたであります!」
「どうした!寝てたか!?」
「そんなところであります!」
そういいながら後ろから駆け足で追いついてきた。
「・・・早くしなきゃ!」
ササハラは真剣な面持ちで走る。
タナカから館内放送が響く。
『3時の方向、数は10。結構来てるぞ、気をつけろよ!」
そのタイミングで格納庫に到着した。
「3時の方向ね・・・。」
そういいながら、マダラメはザクへと乗り込む。
『よし、こっちもOKです!』
『OKです。』
『準備万端であります!』
『よ、よし。』
全員からの連絡が入り、マダラメが叫ぶ。
「よし!格納庫開け!第801小隊出撃する!全員、生きて帰るぞ!」
『『『『了解!』』』』
格納庫が開く。次々と飛び出すMS。
川から戻ってきていた女性陣が、その光景を見つめる。
「頑張れよ〜!」
「頑張ってください〜!」
「・・・頑張ってください!」
聞こえてはいないことは分かっているが、心からの声援を送った。
『チィ・・・。ジャングルの中か・・・。』
マダラメが敵のいる方向を見つめながら舌打ちをする。
『・・・明らかに誘ってますね。』
『あ、ああ・・・。し、しかし、このままでもジリ貧だ・・・。』
コーサカの言葉にガンタンクUに乗るクガヤマが答える。
そう、相手は消耗戦か、得意なゲリラ戦に持ち込もうとしているのだ。
『ですが、突っ込んでもやつらの思い通り・・・。』
クチキがジムキャノンのコクピットで呟く。
「くそ・・・。俺、行きます!」
ササハラのジムが一人、密林へと動き出す。
『ま、待てササハラ少尉!!何を焦っている!』
マダラメの静止も聞かず、密林の奥へと向かうササハラ。
『おい!待てといっているだろう!』
「任せてください・・・。このために訓練してきたんです・・・。」
システムをオンにするササハラ。
『敵・・・?』
「そうです!会長!お願いします!」
『・・・分かりました・・・。』
ヴィジョンが生まれる。敵、ザク迷彩塗装。
「そこか!」
ササハラはその情報から敵の場所を把握し、攻撃に移る。
ビームサーベルを抜き放ち、接近する。
よもや場所がばれてると思っていない敵機は、
直進で接近されなすすべもない。
ジムのビームサーベルがザクの足を切り落とす。
次に手と、動けなくした。
「・・・よし!」
次の敵機の位置を把握しようと、再びヴィジョンを見るササハラ。
「はぁ、はぁ。」
一機を倒した時点でかなり疲労がたまっていた。
このシステムの大きな弱点が、この疲労にある。
多くの情報を集めるシステムから、必要なものだけを取り出す。
その行為はまるで多くの文献から一冊の必要な資料を探す行為に似ている。
つまりは精神力の消耗が著しいのである。
(く、やっぱりきついか・・・。でも、俺がやらなきゃ・・・。)
そのことは知っていた。ササハラはタナカから聞いてはいたのだ。
飛びそうになってしまいそうな意識の中で、ササハラが考えるのは・・・。
(あの子を・・・死なせるわけにはいかないじゃないか!)
そして、次の敵機の位置をつかむと、接近していく。
しかし、今度はそううまくはいかない。
友軍機の撃破に気付いたザクは、すでに臨戦態勢であった。
ビーム兵器にはかなわないと思ったのか、機体そのものをぶつけてくる。
「ぐぅ・・・!」
その衝撃に先ほど食べたものを戻しそうになるササハラ。
しかし、歯を食いしばり機体を立て直すと、サーベルを構えなおす。
『前!』
会長の言葉が響く。ササハラはその言葉にはっとし、前方を見る。
接近してくるザク。手に持っているのはヒートホーク。
振り下ろされる斧。
「うぉおおおお!」
それより先にサーベルを突き出すと、ザクのコクピットに直撃していた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」
動かなくなるザク。二機目、撃墜。
荒い息をつきながら、ササハラの思考は次の相手を探すことに移っていた。
この間も通信にはマダラメやコーサカの声が流れていたように感じる。
しかし、神経をシステムに集中しておかないと、意識が飛ぶ。
「どこだ・・・。」
近くにいることが把握できた。
「そこか!」
『まって!』
会長の静止が入ったにもかかわらず、突進していくササハラ。
神経が削られているせいか、冷静な判断が出来なくなっている。
目の前に現れたザクに対し、サーベルを振りかざす。
シュルルルルルルルル!!!!ガチン!ガチガチガチン!
不思議な音が聞こえたと思うと、ジムの動きが停止していた。
「なに・・・?」
腕が、振りかざした部分で停止している。
もう一方の手も、両足も動かない。
否、動いてはいるのだ。しかし、何かに引っ張られているよう・・・。
「まさか!!?」
ディスプレイで左右を確認すると、ジムを鋏む二体のザクが確認できる。
両手にはワイヤーが伸びており、ジムの四肢に伸びていることが分かった。
先端が超強力な磁気が発生しているようであり、ぴったりとくっついて離れない。
「く、くそ!」
囮の一体が、接近してくる。目の前に振りかざされるヒートホーク。
「う、動け!動けーーーーーーーーーーーーーー!!」
ササハラの叫びが密林の中にこだました。
夜の密林でのサバイバルバトル。
システムの力で二機の撃破に成功したササハラだったが、
精神力低下のため、敵の罠にかかる。
果たして彼は生き残ることが出来るか・・・?
次回、「密林の戦い(後編)」
お楽しみに
691 :
677:2006/02/13(月) 07:08:07 ID:???
今回気付いたこと
資料としてGジェネFの攻略本を読んでると、
ものすごくやりたくなるが、ソフトも時間も見当たらない。
意外と好評だったようで、感謝です。
タイトルは…思いつかないので、「合宿その後」とでもしておいてください。
>蓮子ちゃんパジャマ
大野の部屋には、ほかに咲サイズの「会長パジャマ」も自分サイズの「副会長パジャマ」も
ありますが、何か?w
>801小隊
とうとうマジバトルに突入か、どうなることやら…
ちょっとだけ思いつき予想。
荻上さんって新型メカのテストか何かの失敗で落ちてきたみたいだけど、もしやニュータイプ?
それを知った大隊長がハラグチルートからニュータイプ用の試作機を仕入れてきてて、密かに荻上さんに託していて笹の危機に遂に参戦…
ちと安直かな?
>>693 携帯から見ると801がアンカーになってるwww
出先なんで後でゆっくり見るよ。楽しそうwww
695 :
マロン名無しさん:2006/02/13(月) 15:26:59 ID:gFCyk6WD
>>678-690 いいですねーいいですねー。燃えますね801小隊!!
戦いの様子が目に浮かぶようですよ。
笹原必死ですね。かっこいーーーー!!
そしてピンチ!!ああっ続きが気になるうー
696 :
マロン名無しさん:2006/02/13(月) 15:34:09 ID:h5pM4Y4T
frfekerkjek
relrerle
leww;lewe;lew;
;rlrkeke
fg,fd,derklr
>第801小隊 第六話 密林の戦い(前編)
今、読ませていただきました。面白いwww 最近、このシリーズの鑑賞に溺れて、
自分の創作熱が少し沈静化してますね。まあ、ネタギレなんだけどね。
荻上が、手伝いを申し出て、笹原が拒絶する所なんかは原作の夏コミを連想させる
し、げんしけんの人間関係をうまく、移植してるなって思います。
笹原には凡人のままで、悪戦苦闘する姿が似合うな。このままジムがいい。
で、やっぱり、異能を感じさせるキャラは、(原作でも最も業の深いオタでもある)
コーサカとオギウエにはニュータイプが合うね。あと・・・スーも・・・。
ところで自律AIって何か元ネタあったっけ?
>>699 >自立AI
ガンダム世界でも完全なものは存在しません。
とはいえ外伝(公式で認められていない、乱暴に言えば『オレガン』)で、BDに搭載された
EXAMや、s−ガンダムに搭載されたALICEなどがあります。
詳しくはググって下さい。
801小隊の元ネタが08小隊だとするとEXAMモチーフなのかもね。
>>700-701 なるほど、シリーズに詳しく無いんで参考になりました。
自分でも調べてみよう。
うーむ困った。
今、来年の4月頃の予想(過大な希望的観測妄想)SSを書いている。
新1年生のキャラ設定一覧表を作ってたら、どんどん設定が膨らんで収拾がつかなくなってきた。
こんな調子で来月号までに完成出来るだろうか…
>>703 書ききれないなら小分けに出していけばいいじゃない。
書いているうちに新しいネタに出会うこともあるしね〜w
来年ということは、丸くなった荻上会長とか
見れるんですかね。
ツンデレスキーとしては複雑な気分だ。
何言ってんですか、ついに大いなる収穫期ですよ!
でも、ツンデレに慣れすぎるとツンの段階でデレ妄想する方が楽しくなりますね・・。
ならば少しの寂しさと一緒に、荻の幸せを祝福する事で余韻を楽しみましょうよ。
・・・なんか最終回っぽいな、あいや、まだだ、まだおわらんよ。
>>703です。
完成前からいろいろご意見ありがとうございます。
>>704 申し訳ない。
全部1回書いてみないと話破綻しそうなんで、やっぱ完成してから投下します。
少しずつ進んでますんで、今しばらくお待ちを。
>>705 丸くなったと言うか、会長職の責任と「ある問題」に苦悩する荻上さんを描きます。
>>706 最終回にでも新展開の序章にでも、どちらにでも使えそうな展開を予定してます。
708 :
マロン名無しさん:2006/02/14(火) 23:04:24 ID:JKH7V3Wz
斑目と咲と高坂の話書いてみました。
テーマは「三人の結末」
前編、後編に分けて投下します。
前編は13パート(長くてスマン)
合言葉は「行っきまーす!!」
題名は「卒業式前日」(笹荻成立後。笹原たち卒業式前夜、という前提です)
709 :
卒業式前日1:2006/02/14(火) 23:05:43 ID:JKH7V3Wz
「こんばんはーーーーー!!」
突然笑顔で現れた高坂に、斑目は度肝を抜かれた。
最近斑目は昼休みには部室に顔を出さず、会社が終わってから夜に来るようになっていた。
昼間に来れないのには理由があった。
笹原は卒業を目前に控え、あまり大学には来なくなっていたが、たまに部室で顔をあわせると必ず荻上さんと一緒に来る。
二人は付き合っているのだから当然なのだが、そこに自分もいるとどう考えても邪魔者、というか疎外感を感じるので、昼休みに部室に寄りづらくなったのだ。
それで今は会社帰りに寄っているのだった。未だに部室に来るのを止められないのが悲しい。
何故かまっすぐ家に帰る気にはなれないのだった。
710 :
卒業式前日2:2006/02/14(火) 23:06:40 ID:JKH7V3Wz
(明日は笹原たちの卒業式だ。高坂も、…春日部さんも)
これを機に部室に寄るのは終わりにしようと決めた。
…だから、せめて明日までは、ここに来ようと思ったのだ。
何をするわけでもないが、会社では広げられないエロゲー雑誌を読んだり部室にしか置いてないゲームをやったりして、小一時間ほどで帰る。
(俺は何やってんだろな)
自分でももうよく分からなくなっている。
(…なんだか最近心が重い。何をやっていても楽しくない。
でも、それを誰かに吐き出すことも出来ないまま、今日まで来てしまった。
だれも来ない部室で、いったい何がしたいんだろう。
…ま、それも明日までなんだが。)
711 :
卒業式前日3:2006/02/14(火) 23:07:22 ID:JKH7V3Wz
そこへ、高坂がいつもの満面の笑みで現れたので、それはもうびっくりしたのだった。
「…やあ高坂君、久しぶり」
「お久しぶりですー」
言いながら高坂はカバンを下ろし、一番奥の席(会長席)に座っている斑目の右の椅子に座る。
「…今日はどうしたん?あ、荷物取りに来たとか?」
「いえ、荷物はないですけど、なんとなくです」
「ふーん?」
「ちょっと時間があいたし、部室に来てみたくなって」
712 :
卒業式前日4:2006/02/14(火) 23:08:10 ID:JKH7V3Wz
「そっか。明日で卒業だしな」
「ええ。…やっぱり寂しいもんですね」
「ふむ。まー卒業した後でも来るやつはいるけどな、俺とか(苦笑)」
「僕も来たいんですけどね、ここ居心地いいし。でも、仕事先がけっこう遠いんで。まぁ長期休暇が取れるんで、その時には顔出しに
来ますけど」
「へえ、そんなのあんの?」
「その代わり納期前は数ヶ月休みなしとかですから」
「うわ、キッツイなー。家にも帰れないとか?」
「ええ、実際すでにやりましたしね。夏に仕事入ったときに泊まりこみしたんで」
「あーあー!合宿のときか!
…じゃあ仕事始めたら、春日部さんとあんまり会えなくなるんじゃないか?」
「そうですね…」
713 :
卒業式前日5:2006/02/14(火) 23:08:56 ID:JKH7V3Wz
高坂は言葉を止め、少し考え込んだ。
彼なりに思うところがあるようだ。
「斑目さん」
「うん?」
「咲ちゃんのこと好きですよね?」
「ぶっ!!!」
高坂のあまりに突然な問いかけに、斑目は思わず噴いた。
「え…は?な………………えええええ!?」
「すいません、いきなり聞いたりして」
「は???え??何で知って…じゃなくて!何が?ええ!????」
パニックになり、ごまかすこともできない。
「…なんとなく、そうかなって思ってました」
714 :
卒業式前日6:2006/02/14(火) 23:09:56 ID:JKH7V3Wz
(他の部員には気づかれてないのに、何で高坂は気づいてんだ!?)
焦った頭で考えてみてもさっぱり分からない。
「実は僕、斑目さんが、咲ちゃんのコスプレしたときの写真を買ったことを知ってたんです」
「ええ!?」
「斑目さんがあの後カメコに写真を頼んでいる所を聞いてしまって。…聞く気はなかったんですが」
「ああ…そうなんだ…」
今まで他の部員が気づいてないのを考えると、高坂は誰にもそれを言ってなかったのだろう。
715 :
卒業式前日7:2006/02/14(火) 23:10:44 ID:JKH7V3Wz
「でも確信したのは、斑目さんの家にみんなで行ったときです」
「うっ」
…あの時のことか。
「あのとき斑目さんが必死に引き出しを守ろうとしたんで、コスプレ写真が入ってるのかと思って咲ちゃんを止めたんです」
「………………」
『きっと本当に見ないほうがいいと思うんだ』
高坂の言葉を思い出す。
確かに、春日部さんに写真のことがばれたら顔あわせづらくなってたと思うが。
…あのときにはもう、冗談やごまかしで流せる程度の気持ちじゃなかった。
そうか。だからあの時、久我山や田中の家では止めなかった春日部さんの行動を止めに入ったのか。
「でも、出てきたのはSMのDVDだった。
それで咲ちゃんのことが好きなんだってわかったんです。」
716 :
卒業式前日8:2006/02/14(火) 23:11:25 ID:JKH7V3Wz
「…何で?普通それで結びつかねーじゃん…」
「だってあれ、本当の『最後の砦』じゃないですよね」
「うぐっ!」
「一番隠したいものがあんなに見つけやすいところにあるのは変だし、何より見つかった後の斑目さんの反応が、なんだかホッとし
ているように見えたので」
「うーわーバレバレ…」
「だから、そこまでして隠し通したいんだな、って。本当に、咲ちゃんのことが好きなんだろうなあと」
「も、もう…、その辺でヤメテ…」
斑目は顔から火を噴きそうなほど、恥ずかしかった。
(バレてたのか…いや、写真を買ったことを知ってたんなら当然か…)
高坂の率直すぎる言葉に面食らいながら、もう認めざるを得ないと腹をくくる。
717 :
卒業式前日9:2006/02/14(火) 23:12:18 ID:JKH7V3Wz
「…春日部さんには黙っててくれな。頼むから」
「…それでいいんですか?」
「え?」
「僕は言いません。でも斑目さんは言わなくていいんですか?」
斑目は驚いて高坂を見る。
高坂の顔からは何の表情も読み取れない。
「いや言っても仕方ねーし…だいたい春日部さんは」
「咲ちゃんじゃなくて斑目さんの気持ちですよ」
「そんなこと言って、引かれてもヤだしよ…」
「斑目さん」
高坂は斑目の言葉を遮って言う。
「僕は咲ちゃんを信頼してるんです」
718 :
卒業式前日10:2006/02/14(火) 23:12:52 ID:JKH7V3Wz
「…………はい?」
高坂の言葉がよく分からずとまどう。
かまわず高坂は言葉を続ける。
「だからこそ、エロゲー会社に就職することを決められたし、咲ちゃんも折れてくれましたしね」
「…でもお前、春日部さんはすごく悩んだと思うぞ」
「…分かってます。でもそれは、咲ちゃんが乗り越える問題ですから」
高坂の言葉に再び驚く斑目。
こんな突き放した言い方をするとは思わなかった。
719 :
卒業式前日11:2006/02/14(火) 23:13:23 ID:JKH7V3Wz
「僕は咲ちゃんのやり方を否定しないし、咲ちゃんに好きなものを強要しない。
だから咲ちゃんにもそうであって欲しいんです。」
「……それはお前のエゴじゃないか?」
それは高坂の我が儘だ。
さすがにムッとした斑目は、それを隠そうともせずに言った。
「そうですね。でもそれが僕ですから」
「…春日部さんだってそんなに強いわけじゃねぇだろ」
「そうですね。でも僕は咲ちゃんが好きだから、信じたいんです」
高坂はきっぱりと言い切った。
720 :
卒業式前日12:2006/02/14(火) 23:14:10 ID:JKH7V3Wz
「それが僕の気持ちです」
「…それ、春日部さんにいってやれよ」
「ええ、昨日言いましたから」
「…ああ、そうかい」
斑目はもう苦笑いするしかなかった。春日部さんも大変だな。
「…で?俺にも言えと?春日部さんに」
高坂は黙ってこっちを見ている。表情が読めない。
「…言っていいのか?彼氏としてどうよ?…その、万が一にも…」
絶対にないと自分でもわかってて、こんなことを言ってるのが空しい。
「僕は咲ちゃんを信じてますから」
高坂は再び繰り返した。
「………そうか、わかった」
これ以上何も聞くことはない。
(言うなら明日しかないか…今晩で覚悟決めるか…)
721 :
卒業式前日13:2006/02/14(火) 23:14:52 ID:JKH7V3Wz
高坂はジーパンのポケットから携帯をとりだして時間を見る。
「もうすぐかなぁ」
「…ん?何が」
「もうすぐ咲ちゃんがここにくるんですよ」
「はいぃ!?」
「あ、メールきた。今、校門の前まで来たそうです」
「えっ、ちょお、待て、え!???」
「今日僕がここ来るって言ったら、咲ちゃんも来たいって言ってたので」
(何コレ?ドッキリ?
いやいやいや、高坂はそんな冗談をやる奴じゃねーし。
というかいつも全開で本気だ。
えっじゃあマジ?え?もうすぐ来るって???)
部室の外からかすかに足音が聞こえ、だんだん近づいてドアの前で止まる。
「…咲ちゃんは引いたりしませんよ」
「えっ!?」
聞き返そうとしたとき、ドアをノックする音が聞こえた。
前編 END
722 :
卒業式前日あとがき:2006/02/14(火) 23:20:23 ID:JKH7V3Wz
前編は以上です。
後編は明日か明後日には投下すると思います。
後編予告:斑目と春日部さんが…
そうなんだ。
オレはこうやって高坂に斑目を意識させたかったんだ。
斑目が好きな咲の好きな高坂として。
咲に意識されないよりも、高坂に眼中外される事がすごく斑目を哀れにしているようで。
期待しつつwktk
>卒業式前日
お前ほんま卑怯やなー…
(褒め言葉の積もりです)
誰か萌え死んだらどうする!
て、もしこれ読んで死にそうな人居たら、とりあえず後編までガンバレ!
唐突だが、この話読んで「餓狼伝」思い出した。
主人公で空手家の丹波文七がプロレスラーの梶原に負けた時、負けたこと以上に負けた後梶原たちに無視されたことの方が精神的に堪えたという。
彼はその後関節技を学ぶが、それは梶原に復讐する為と言うより、梶原に自分という存在を認めさせる為だった。
「餓狼伝」では文七と梶原の対決は痛み分けで終わるが、果たして斑目はどこまで食い下がれるだろうか。
>>卒業式前日
斑目ぇ・・・。斑目ぇ・・・。
斑目の心にけりをつける。はっきり言って展開が浮かばない。
どうなるんだろう後編・・・。うあー、なんだ、どうなるんだ?
ちなみに容量ギリですねー。さてさて・・・。
テンプレ出来たので次スレ立ててきます。
>>660-668 おもろいな。先行のSSに、合宿で酔っ払って告白寸前に
ゲロゲーロと戻してしまって失敗、つうのもあったな
「その2」だたかな?
729 :
691:2006/02/15(水) 06:14:07 ID:???
>>693 どきき!かすってる!かすってるよ!
何がかすってるかはお楽しみに・・・。予想を斜め上に行きたいものです・・。
>>694 専ブラでもそうですね〜w
>>695 男はピンチを乗り越えてこそ大きくなります。
これからもピンチの連続でしょう(精神的にも)
>>698 私の妄想エネルギーのひとつですなw
>>699 ササハラは最後まで凡人って言うか、努力の人でしょう。
どうなるかわからんけど。ニュータイプについては大体当たってるかも?w
>>700-
>>702 セがサターンソフト「戦慄のブルー」のEXAMが元ネタです。
マリオンというキャラを個人的に好きなので、オマージュしてみました。
続編、次スレに投下しておきます。
さらば、SSスレその3!
>>708-722 笹×荻 神展開のSSが絶えず連弾投下される中、久々の斑×春展開のSSに
いつも以上にドキドキしてる自分がいる。
想いは決して届かなく、打ち明け手に掴む事も自ら封じ虚しくも青空いっぱいの
虚無感に包まれながらもいつかは自分も――――と、高揚感が高まったり
ヤッパそんな事ありえないダロ?とトーンを落としてみたり・・・
そんな孤独感を漂わせる斑目さんに春はくるのか?
何かもー涙いっぱいです、続きがんばって〜゚(゚´Д`゚)゚。
731 :
マロン名無しさん:2006/02/16(木) 04:44:01 ID:FPS0vi9j
>>730 ありがとうございます。
応援してくれる人がいて、ワシも感激しております。
後編はSSスレ4に投下しますので、よろしくお願いしますー。
気がつくとすでに時間は12時をまわっていた。いつも斑目は、げんしけんの部室で昼食をすませている。しかし、いつまでもげんしけんに依存
はしてはいけないと思い、今日は会社で食べることにした。
「お、斑目。今日はここで昼食を食べるのか」
会社の上司である重松の野太い声が聞える。会社一の体育会系である重松を斑目は苦手としていた。斑目は、「そうです」と、非常に小さな声で返事をする。
「斑目はいつも声が小さいな。そんなことじゃやっていけんぞ。それじゃ俺はラーメンでも食ってくるからな。」
重松は大きな笑い声をだしながら出ていった。気を取り直して斑目は鞄から弁当を取り出した。毎日のように食べているコンビニ弁当だが、食べている場所
のせいかいつもと違って見える。なにか変な気分だな。斑目は戸惑いを感じながらも弁当に箸をのばし食べ始めた。やっぱり味も違うように感じる。
たまには、会社で昼食をとるのもいいものだな。
斑目は昼休みいっぱい使って昼食をとるつもりだったのでのろのろと箸をすすめた。
しかし俺はなんで卒業した後もげんしけんに出入りしているのだろう。
そんな考えが脳裏をよぎった時、斑目の箸は完全に動かなくなった。
そりゃ4年間過ごしてきた部室だし、かなりの愛着がある。しかし、田中や久我山はほとんど出入りしていない。
距離が違うということもあるが、遠いから行かないという理由は説得力があるが、近いから行くというのはあまり説得力を持たない気がする。
げんに俺の他にも学校の近くに就職した奴はたくさんいるが、こんなに頻繁に行ってるのは俺くらいだ。
732=ヘロです
うちはいまだにISDNで回線がしょっちゅう切断するのでコテをつけさせていただきます。
誰か会いたい人がいるから?
そう考えた時何故か真っ先に春日部さんのことが頭をよぎった。笹原達ではなく、何故か春日部さんだった。
なんで、春日部さんのことが頭から離れないんだ。確かに、笹原達とは大学へ行かなくともプライベートで会うことができる。
おそらくプライベートで会うことが出来ないのは春日部さんだけだろう。俺と春日部さんのつながりはげんしけんという場所でしかない。
恐らく春日部さんが卒業したら会わなくなる。それは、ずいぶん前から分かっていた。そして、そのことを考えると胸の奥の方が針でさされたみたいに痛む。
俺は、春日部さんになにをしたいのだろう。高坂とうい完璧な彼氏を持つ、俺とは不釣合いな人に。これから、俺自身はどうしたいのだろう……。
ふと時計をみると昼休みの時間は終わっていることに気がついた。斑目は、食べかけの弁当を鞄に戻し再び仕事へと向かった。……終わりです。
次スレ行ってるのに、なんでこっちに投下するかな。
本スレにも誤爆してるし、ドジっ娘か?
初めてSSを書きました。かなりむずかしいですね。
誤字、脱字等があると思いますが、私は基本的にあほなので勘弁してください。
読んでくれたかたは感想を聞かせてもらえれば幸いです。
>736
すいません
ハ 埋め埋め♪
〃'ハヾヽ
⌒q*・∀・)⌒
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ハ それが意外と書けるものよ
〃'ハヾヽ
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