83 名前:44話「目眩く」[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 23:38:53 ID:???
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表記ルール:
通常のセリフは「 」
手書きセリフは「 」内に( )
モノローグは。oO『 』
ナレーションは【 】
シーン説明は( )
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■冒頭柱:東北の片田舎……荻上千佳の中学生時代……中学んときのアレ……。
■煽り:逃げることのできない記憶……。
■作者近況:久保と小野は本大会に間に合うのか……?
<前フリ>
初登場キャラなどが多いので、ネタバレ本編入る前に軽く人物紹介。全て荻上の中学時代クラスメイト
・中島:コミフェスに来た茶髪
・藤本:太ったメガネ女子
・三つ編み:コミフェスで中島と一緒にいた連れ。名前不明
・巻田:クラスメート男子。
・坊主:巻田の友達。名前不明
</前フリ>
↓以下本編───
84 名前:44話「目眩く」その1[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 23:39:24 ID:???
(中学の校舎)
【5年前─────】
(教室の光景。荻上含む腐仲間数人の姿。カタログらしきものを読む者。
JUNE小説らしきものを読む者。大学ノートに絵を描く者←これは荻上)
(続いて、3人の人物のセリフなしアップ絵が並ぶ。絵を描いている荻上、中島、巻田。
そこで巻田友人の坊主が、巻田に声をかける)
坊主「巻田トイレ行くべ」
巻田「ん」
荻上含む腐仲間4人「!」
(連れションに立ち去る男子2人を見送り、目配せを交わし合う4人)
中島「…………」(ニヤニヤ)
他の友「…………(クスクス)」
荻上「巻田受け確定だァ」
他「荻上──ヤベ──」(きゃああ───ああ)
85 名前:44話「目眩く」その2[] 投稿日:2005/11/22(火) 23:39:54 ID:3rqYZgWU
(場面転換。学校からの帰り道。腐仲間4人で下校。荻上、中島、藤本(太ったメガネ)、三つ編み。
ちなみに荻上のみ自転車通学。頭にヘルメット)
藤本「な──中島ぁ──」「次の本 巻田総受け本にしね?」
中島「はあ? 文芸部の本?」「それヤバすぎだァ」
藤本「でねくて」「突発本みてーにさぁ」
中島「ん〜〜いや やりて事はやりてぇけど……」
「したら荻上」「挿絵描く?」
荻上「……小説がよっぽど面白かったら」「描いてもいい」
中島「バカァ冗談だ ヤバすぎんべ!」
(以下セリフだけのコマのため発言者は不明)
「じゃあオリジュネにすんべ」
「名前変えんの?」
「意味ねぇソレ」
(仲間と別れる荻上)
荻上「んじゃ」
仲間「んじゃ」
(ヘルメットのヒモをしめ、自転車に乗って帰宅。その途中、巻田の友達の坊主男子に呼び止められる)
(以下セリフなしのサイレント。荻上に何かを伝える坊主。赤面する荻上。
神社で誰かが待ってるようなことをゼスチャーで言う坊主)
(神社の中、うつむいて赤面する荻上。困った笑顔で赤面しながら何かを言っている巻田。
それを物陰からニヤニヤ見ている坊主)
荻上「……し しばらくみんなに」「黙ってんなら」
87 名前:44話「目眩く」その3[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 23:40:32 ID:???
(場面転換。再び教室。セリフなしのコマが続く。巻田&坊主と、荻上の腐仲間2人たちが談笑。
荻上は会話の輪に加わらず、一人で絵を描いている。荻上、ふと巻田のほうへ目を向ける。
目が合う二人。赤面しあわてて目を伏せる荻上)
(それを教室の外から、かんぐるような目で見ている中島)
(場面転換。神社らしき場所で下校デートしている荻上&巻田。ここでもセリフなし。楽しそうに会話している様子の二人)
(場面転換。再び、腐仲間たちとの下校シーン)
荻上「え?」
中島「んーだから前 言ってたべ」「巻田総受け本」
「原稿プリントアウトしたから読んでみ?」「面白かったら挿絵描くんだべ?」
荻上「え」「あ」
中島「みーんなノリノリでさぁ」「藤本の書いた体育の木村に犯される話なんか最高だァ」
荻上「えっ……いや あの……」「あんま……描きたく……」
(荻上の様子を見て邪悪そうな含み笑いを浮かべる中島。そして一転して笑顔で)
中島「面白くなきゃいいんだ描かなくて」「読むだけ読んでけろ」
「絵無しでも発行するけんど どっちにしろ流通すんのは私達の間だけだしサ(あはは)」
(無理やり原稿を荻上の自転車のカゴに入れる中島)
荻上「!」
中島「んじゃ──」
88 名前:44話「目眩く」その4[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 23:41:08 ID:???
(場面転換。荻上の部屋。渡された原稿を手に困り顔で考えこむ荻上。ちなみに部屋着は白いセーターとジャージの下)
荻上「…………… ……………」(原稿を読む荻上)
「!!」
(びっくりしたようにあわてて原稿を投げ出す)
荻上。oO『……何だコレ』
。oO『みんな いつも書いてんのと全然違う……』
(見てはいけないものを見たような顔のアップ → 一転して、熱っぽい表情で、
タブーを侵しているような面持ちで原稿を再び手に取る荻上)
(気がつくと熱心に読み耽ってしまっている荻上。そしておもむろに鉛筆を手にし──)
(場面転換。授業中の教室。考えごとに耽る荻上。以下荻上の回想)
中島「あっ 描いてくれたんだ──」「うわ いっぺーだ──」
「ありがと じゃ本にしてみんよ」「楽しみにしててな」
(回想終わり)
(ふと横に目を見やる荻上。視線の先は空席のままの巻田の机)
(休み時間。クラスメイトの噂話)
「もう3日か? 来てねぇの」
「そんくらいか」(ヒソヒソ)
「何だべ巻田」(ヒソ)
(その様子をぼーっと眺めている荻上)
89 名前:44話「目眩く」その5[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 23:41:38 ID:???
(廊下にて、坊主に巻田の様子を聞く荻上)
坊主「……いや 俺もよくわかんねぇんだよ」
「家さ行っても出てこねぇ」
「部屋こもってるみてェなんだ」「おばさんもワケわかんねって」
「……荻上さんも聞いてねの?」
荻上「……………ん」
(一瞬、荻上の表情固まる)
荻上。oO『……何かすごく』『すごく嫌な感じが』
(教室に戻る荻上。そこにいたのは、荻上が戻ってくるのを待ち受けていたように、
冷たい表情で荻上を見つめる4人の腐仲間(中島、藤本、三つ編み、と名前分からない1人)。
ぎょっとして固まる荻上)
中島「どしたァ荻上?」(一転してニコニコした表情)
三つ編み「止まった」
荻上「……何でもね」
(そこに教師が入ってきて、荻上に声をかける)
教師「あ 荻上」「ちょうどいたか」
荻上「! 先生……」
教師「あ──…… ちょっと……」「校長室来てくれっか」
(何だろう?という表情の荻上。その背景には他の腐仲間の姿。中島だけが冷たい笑みを浮かべている)
90 名前:44話「目眩く」その6[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 23:42:09 ID:???
(場面転換。校長室。入室した荻上の目に止まったのは、テーブルの上に投げ出された巻田本。
タイトルは「巻田くん総受化計画 準備号」。表紙は裸の巻田を後ろから襲う坊主の絵)
(天地がひっくり返ったような表情で青ざめる荻上)
91 名前:44話「目眩く」その7[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 23:42:39 ID:???
(突然場面は現代へ。合宿所女子飲み部屋)
荻上「そこには私の絵がメインで使われて小説が全く載っていない」
「イラスト本が置いてあったのです!! (コピー本が)」(据わった目で)
咲&大野&恵子「…………… …………… ……………」(汗)
荻上「(ぶはぁーー)」(ビールを飲み干す)
咲「あ〜〜じゃ 巻田くんはその本を見てショックを受けて不登校になったわけか」
荻上「そうゆう事なんでしょう!」
「ちなみにそのまま二度と学校に来る事なく転校していきました!!」(言いながら新しいビールの缶を開ける)
(咲&大野、ひそひそ話)
咲「……オイどうする? 藪をつついたら大蛇が出たぞ?」
「後で笹原に告白させる下準備のはずだったのに……」
大野「……いや ある意味 大ヒットですよ」
「何で荻上さんがこうなったのも理由がほとんどわかりました!」
荻上「(そんで私のアダ名がホモ上になりましてね! 全校生徒の間で!!)」(ゴキュゴキュゴキュ)
恵子「(汗)」
92 名前:44話「目眩く」その8[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 23:43:14 ID:???
(男子部屋)
斑目「……何 話してんだろな」
笹原「最初はずいぶん盛り上がってましたけど……」
(再び女子部屋)
大野「……つまり荻上さんは」
「女オタクの勝手な妄想で男の子を傷つけてしまったのが」
「今も心に引っかかってるわけですね?」
荻上「ん……ま……」
「一言で言えばそうゆう事なんですが……」
「……………」
咲「他の女たちはお咎め無し?」
「元々そいつらの発案でしょ?」
荻上「いや……そんな雰囲気じゃなくて……(むこうのお母さんにすげえなじられて)」
「イラスト本も……小説が多すぎっから先に試作として作っただけって言うし……」
「何で巻田くんとこ本が行ったのかわかんねって……」
咲&大野「……………」
荻上「そっ…… それに……」
「結局 描いちまってるわけですから……!」
「巻田くんが見たのは私の絵で……」
「それ見て……転校して……だから……」
(荻上、涙ぐむ)
荻上「私がいけねくて……」「そんで……」
「巻田くんが今でもそれ気にしてたら……」
「どうしよう……」
「…………」
93 名前:44話「目眩く」ラスト[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 23:43:46 ID:???
(湿った沈黙。大野&咲は神妙な表情。恵子は後姿のみ)
(また咲と大野がひそひそ話)
大野「咲さん」「私」
咲「ん?」
大野「何としても笹原さんに荻上さんを幸せにしてもらいます」
「絶対!!」
(男子部屋、何も知らずにお茶を飲んでいる笹原のアップ)
■次号予告:次回,カラーつきで笹荻が急接近! また会おうな!
■巻末柱:忘れていい思い出なんて、ひとつも無いと思いたいから。いつか、尊い記憶となるように。