大河内アキラはイラネ
4 :
マロン名無し:2005/11/25(金) 19:34:43 ID:???
>1乙
⊂ニ⊃
⊂⊃ ,r<⌒ヽ ⊂⊃
i 〃⌒ヾi
⊂⊃ | i(|l ゚ヮ゚ノ|<乙〜。
|⊂|l丞l|つ フワーリ
从く/_|〉从
(_/_ノ ⊂⊃
彡
美空ゲットォォォ!
>>1乙だ!
って忠実に俺がやったサブタイトル継いでますね。
>>1さん、お疲れ様です。
美空さんは、出席番号9番かと思われますが・・・・
⌒●__●⌒
ヽ|・∀・|ノ クーフェイマン!
|__|
| |
wwテラモエスwwww
せっちゃんゲトー!
cyaorin
chao
ニンニンGET!!
姉イラネ
番号 名前 生死 ターゲット
02番 明石 裕奈○ → ???
03番 朝倉 和美○ → ???
04番 綾瀬 夕映○ → ???
05番 和泉 亜子○ → ???
06番 大河内アキラ○ → 21番 那波 千鶴
07番 柿崎 美砂× → 19番 超 鈴音
08番 神楽坂明日菜○ → ???
09番 春日 美空○ → 18番 龍宮 真名
10番 絡繰茶々丸○ → 24番 葉加瀬里美
11番 釘宮 円 ○ → ???
12番 古 菲 ○ → 20番 長瀬 楓
13番 近衛木乃香× → ???
14番 早乙女ハルナ○ → ???(10番 絡繰茶々丸?)
15番 桜咲 刹那○ → ???
16番 佐々木まき絵○ → 25番 長谷川千雨
17番 椎名 桜子○ → 27番 宮崎のどか
18番 龍宮 真名× → 02番 明石 裕奈
19番 超 鈴音 ○ → 28番 村上 夏美?
20番 長瀬 楓 ○ → ???
21番 那波 千鶴○ → ???
22番 鳴滝 風香○ → 23番 鳴滝 史伽
23番 鳴滝 史伽○ → ???
24番 葉加瀬里美○ → 14番 早乙女ハルナ
25番 長谷川千雨○ → ???
26番 エヴァンジェリン○→ ???
27番 宮崎のどか○ → 04番 綾瀬 夕映
28番 村上 夏美× → ???
29番 雪広あやか○ → ???
30番 四葉 五月○ → ???
31番 ザジ・レイニーデイ○→???
ハカセの漢字は里美でなく聡美かと
ちう
エヴァ様げっと
12.夢幻泡影
日も暮れてから少し立ったころ。
海岸付近の海の家仕立ての建造物に三人がいる。
「やっぱ、ウチ、探さな!!」
和泉亜子(出席番号5番)が立ち上がり、火がついたライターを握り締める。
元々このライターは根性焼きでもするためだろうか、タバコとセットになって支給されていたのである。
「まあまあ。大体この暗闇でライターじゃ何も見えないよ」
朝倉和美(出席番号3番)が亜子を止めようとする。
「そうです、今はまだ早いです」
四葉五月(出席番号30番)も静止した。
「せやかて…!」
「…今は朝を待つしかないですわ。今出ていって狙われたら…」
雪広あやか(出席番号29番)も亜子をなだめた。
そして、同時にこんなことも考えていた。
(ネギ先生は、本当にご無事でしょうか…)
朝倉もまた同じ様なことを考える。
(ネギ君、無事かねぇ…もしネギ君が気付いてくれれば、
魔法でこんなゲームちょちょいのちょいだと思うんだけど…
…あ、場所が分からない…か…も…?)
思考が途中で遮られた。何かが飛び込んできたからである。
そしてそれをいち早く発見したのはあやかだった。
「手榴弾ですわ!!」
ピンのはずれたそれは、手榴弾以外の何者でもなかった。
暗闇でも、ライターがそれをわずかに照らすのが見えたのだ。
「皆、外へ!!」
朝倉が声をかけた。
亜子は無我夢中で走り続けた。やがて、「もう大丈夫」と朝倉が止める声が聞こえた。
数秒後、ある程度離れた所で爆音と共に海の家が破壊されるのが分かった。
ほっと安堵のため息をつくが、亜子が何かに気付いた。
「!!いいんちょが…いない!!」
「え、えぇぇっ!?」
回りを見渡す二人。海の家を燃やす炎で、辺りはやや明るくなっている。
「あ、あそこ…!!」
やがて、五月があやかを発見した。
「い…いいんちょ!!」
ザジ・レニーディ(出席番号31番)が包丁を手に持ち、海岸の上の絶壁であやかを狙っている。
(くそっ、途中で逸れちゃったのか…こっからじゃ武器が何でも間に合わない!)
「朝倉さん、亜子さん、四葉さん!!聞いて下さい!!」
あやかの声が聞こえる。朝倉が返そうとするがそれを遮ろうというように続けた。
「今から、私はザジさんと海に落ちます!!それが見えたらすぐにどこかへ行って下さい!!
この声を聞いている誰かがいないとも限りませんわ!!」
「や…だめや、いいんちょ!!」
亜子が叫ぶが、あやかの宣言に一瞬怯んだザジにあやかが飛びついた。
ザジはわき腹を刺して逃れようとするも、そのままもつれ海に転落していった。
海が禁止エリアなのは二人とも聞いていた。第一この暗闇で海に落ちて助かるわけがない。
「いいんちょ───!!!!」
朝倉は海の方を睨みつけた。だが、すぐに亜子と五月の手を引っ張って走り出した。
「早く!!何処か隠れる場所を探すよ!!木陰でもいい!!
ライターしかないけど、手探りでもいいからとにかく探すんだ!!」
その目から一粒の涙がこぼれた。
【29番 雪広あやか
31番 ザジ・レニーディ 死亡
─残り24人】
gj
13.針の筵
「桜子!」
円が桜子を発見したのは明朝のことだった。
その時桜子は木にもたれうずくまり、随分衰弱しきった様子だった。
「怪我は…ない…良かった……あれ?桜子?」
だが桜子は顔を上げようとしなかった。
それは日が暮れるかなり前、ゲームが開始したころ。
あの後仲間を求め移動していた彼女は偶然人殺しを目撃してしまう。
長谷川千雨が明石裕奈(出席番号2番)の首に、銃をつきつけていた。
裕奈は咄嗟に飛びのいて、デイパックからナイフを取り出し応戦しようとする。
だがそれを構える間に千雨は、裕奈に向けて発砲した。
赤い、血飛沫が飛んだ。
それから桜子は誰にも気付かれることなくずっと木の陰にいた。
少しずつ削られて行く精神。人を殺す圧迫。殺される恐怖。
(コロスコロスコロサレルコロサレルコワイコワイコロスサレルサレルコワサレル)
彼女は、既に発狂していた。
いつの間にか手に握られていた矢。
目の前の親友の心臓を、躊躇することなく貫いた。
「……………」
やがて桜子は倒れ伏す親友に目もくれず、ふらふらと歩き始めた。
【2番 明石裕奈 死亡確認
11番 釘宮円 死亡
─残り22人】
14.賽は投げられたり
夜が明ける。
耳ざわりな目覚まし音が鳴りやんだ後、最初の放送が始まった。
「えー、皆元気にやってるかな。
この半日で随分死んだ様だね。それじゃ死者の発表だ。
龍宮真名、明石裕奈、村上夏美、近衛木乃香、柿崎美砂、雪広あやか、ザジ・レニーデイ、釘宮円だ。
この調子でどんどん殺してくれよ。」
何の感情もなく淡々と述べる。そして何事もなかったかのように更に禁止区域の説明に入る。
悪夢はまだ、続いている…
本当にいっぱい死んだな・・・
GJ!
15.待てば海路の日和あり
─放送が起こる、少し前のことだ。
「朝になりましたね」
刹那が昇りかけた日を見た。
「うん……」
とにかく一日目は生き残れた。だがまき絵はまだあまり安心はできなかった。
亜子や、皆は無事なのか。そして昨日自分達を狙った千雨はもうここにいないか。
「まき絵、しょげてるヒマはないアルよ。そろそろ皆を探し始めるアル」
古が少し明るくまき絵を励ました。
(お嬢様………)
少し前から。
この二人に会う、少し前から刹那の心に何かちくりと来るものがあった。
アスナたち…そして木乃香が未だ見つからないからだと思っていたが、それは今直続いている。
そしてそれがいわゆる「第六感」という物であったことには気付かないまま、放送が始まった。
『─近衛木乃香』
その名前が呼ばれた瞬間、少しでも和やかになっていた3人の間に戦慄が走った。
「…お嬢…様……?」
いつもの、彼女の口調とは違う震えた声。
「刹那…」
古が声をかけたのが引き金になったのだろうか。
「あああああああああああああああ!!!!!!!」
愛するお嬢様の死。自分が見つけ、保護することができなかった責任。殺した者への怒り──
色々なものが、刹那の頭に渦巻いた。
「刹那さん…」
まき絵はどうしたらいいか判らずにいた。
自分だって泣きたい。親友が死んでいるのだ。
だが、刹那にとってはそれ以上の対象である木乃香の死が与えた影響のことは
まき絵にも十分理解できていた。
「刹那、少し落ち着くアル。また誰か来たら殺されるアル。泣いてたら逃げられないアルよ」
「くーふぇ、やめなよ…!」
古が声をかけても直刹那は止まらなかった。
「私…ちょっとしか知らないけど、刹那さんはこのかが大好きだったんだよ。
分からないけど…両親とか、それ以上だと思う…その人が死んだんだから……」
「その通りだと思うアル。でも…」
平手が飛んだ。乾いた音がした。
「くーふぇ…!?」
「でも、このまま泣いててそれを聞きつけた誰かが来て…
それがアスナたちだったらいいかもしれないけど、殺意がある奴だったらどうなるアル?
このかの敵を討てないまま、死ぬことになるアル。
それで果たしてあの世のこのかが喜ぶとでも思うアルか?」
「…………」
「泣きたいのはきっと皆一緒アルよ」
「古……」
(苦しい………でも、古はもう既に覚悟していた…
それも、私なんかよりずっと重い覚悟を…
なのに私は……ただ泣くだけで……)
『せっちゃん、アカンやろ。くーちゃんが折角励ましてくれとるのやから、それに答えなアカンで』
刹那がゆっくり頭を上げた。
「もし皆で生き残れたら、その時にいっぱい泣くアルよ」
そう言って微笑む古の眼にも涙が浮かんでいた。
やがて、刹那が顔を上げ立ち上がった。眼は赤く腫れていた。
「取り乱して申し訳ありませんでした。さあ、移動しましょう。
私の声を聞きつけた者が来ないとも限りません」
「刹那さん………大丈夫、なの…?」
「はい。これを終らせるまで、私は二度と泣きません
…でも…一つだけ、我侭を聞いて欲しいのです」
「刹那」
「もし、お嬢様の敵が見つかったなら…その相手は私に相手をさせて下さい」
「勿論アルよ」
刹那はふっと、笑顔を見せた。
世にも悲しい笑顔を。
(お嬢様)
刹那は空に青色を浮かべる太陽をもう一度見上げた。
(絶対にこのゲームを終らせ、お嬢様があの世で安心できる為、私は闘います。
ですから、心配しないで見ていて下さい)
太陽の彼方から、木乃香の声が聞こえた気がした。
『せっちゃん、絶対に死なんといてな』
空は今日も快晴だった。
今回の話はかなり気をつかいました…
それでも少し強引な気がする…かな…
(`・ω・´)それでもッ!僕はッ!SSを書き続けるのをッ!止めないッ!!
死ぬほどGJ!!!!!!!!!!!!!
せっちゃんつд`)
一部ちょっとしか読んでなかったからやや楓と古のエピと被ってるのに気付かなかった…OTLモウダメポ
キニスンナ
GJ!!!
40 :
マロン名無し:2005/11/26(土) 16:38:07 ID:???
よしGJ!!!!
作者1様の《振り向くな!》のシーン書いてみるわ。
期待せずに待っててくれ。
乙GJ
なんで千雨は裕奈を殺したんだろ?
投下後のレスの八割がGJばっかなのが気になったり
やはりSSを書いている人たちへの最低限の礼儀だろ?
作者Wさん乙&GJ!!
そうじゃなくてそれしか言うことはないんかいってことじゃん?
作者様もプレッシャーなく書けるだろうし、語弊のあること言って荒れたりしたら嫌だ
まぁ、たしかにどの部分が悪くて、どの部分がよかったかまで書いた方がいいってのはたしかだな。
しかし、そういうことまで書くのも、素人で読んでるだけの自分が書いていいのか・・・
というところまで考えてしまうものだから、いい悪い以前になかなか言えないと思う。
俺も、具体的にどこを修正するべきだとか、どこが最高だったとかなかなかいえないし。
ただ、読んでいて全体の雰囲気がよければGJと言って問題ないんじゃなかろうか。
16.蛇に見込まれた蛙
暗視機能もついている高性能ロボット・茶々丸は森を探索していた。
主人であるエヴァを探しているのは当たり前だが、それ以外の目的があった。
血の匂いがする。茶々丸は食事は出来ないが匂いは分かるのだ。
「まだ、この付近にいるはずです……」
そうこうしている内に、茶々丸の耳に放送が入ってきた。
エヴァの名前こそなかったが、それでもかなりの人数が死んでいる。
殺し合いは既に始まっているのだ。
「……あれは……」
空も明るくなり暗視機能を停止していた茶々丸のレンズが何かを捕らえた。
超とハルナ、二人が対峙している。…ハルナの怯えた表情と超の嬉しそうな表情。穏便でないのは明らかだ。
「手負いの癖に、逃げられると思ったのかネ?」
「………っ……」
手足が動かない。いや、体全体が、超に支配されてる気がしてならない。
「もう明るくなったし、逃げるのは到底無理ヨ。それじゃ、そろそろ死んで貰うネ」
額に銃が突きつけられた。
(私は…ここで死ぬの、か……このか、今そっちに行くからね…)
1 2 3 4 5 【個人内評価】
←┼───┼───┼───┼───┼→
死ね ツマンネ (ROM) 乙 GJ 【書き込み】
こうしろってことか?
直後、超の体が吹っ飛んだ。茶々丸が静かに接近し、蹴りをかましたのだ。
──エヴァが人を殺していた時は、茶々丸は殺された人を助ける気なんてなかった。
だが、この時は違った。─いや、木乃香を埋葬していた時から茶々丸は変わっていたのかもしれない。
「ハルナさん、私に捕まって下さい」
「え…あ…うん……」
思わぬ助けに戸惑いつつも、ハルナは茶々丸に捕まった。
「逃がさないネ!!」
超が立ち上がり茶々丸達を追おうとする。
だが、その直後に超の足元が爆発した。
「申し訳ありません。こうでもしないと、他の方が狙われますから」
「あの…木乃香を殺したの…茶々丸さんじゃ、なかったんだ……その…ごめん……」
「私は気にしていませんよ。それより、マスター達……と、ハルナさんのお友達を探しましょう」
「(マスター?)…うん、そだね」
【19番 超 鈴音 死亡
─残り21人】
17.愛別離苦
「夜が明けたみたいです…今の所、襲撃はありませんでしたね」
今日最後の番をしていた夕映が呟いた。そして皆を起こす。
「ん…もう、朝………」
「…皆無事みたいだね。よかった」
ログハウスの回りを見たが戦闘の跡らしきものはなかった。
食料を広げ微量の朝食の準備をしつつも、夕映は考えていた。
(恐らく、もうすぐ死者の放送とやらがあるはずです。
あっちはこうしてこっちの心理を煽るはずです…)
やがて、夕映の予想通り放送が始まった。
「……ゆーなが…」
「…このか…さん……」
二人から、同時に声が漏れた。
夕映の眼にも涙が浮かぶが、それをこすり、二人に告げる。
「皆さん、そろそろここを出ますよ。
もたもたして襲われたら一網打尽です」
のどかはハッとした様子で夕映を見た。
アキラの方は夕映の考えに気付いた様だ。
「…そうだな…早く、ここを出よう。これだけ死んでるということは
それだけ殺人者がいるんだ」
「…………うん……でも、まって…」
のどかは外に出た後、太陽のある方に向け手を合わせた。
「のどか…」
夕映はそっとのどかに微笑み、同じ様に手を合わせる。アキラもそれに続く。
「生きて帰りましょう。そして、帰ったらちゃんとした墓を作ってあげるです」
「「うん」」
二人が同時に頷いた。
そして歩き始めようとした直後─
「!!!」
咄嗟にアキラが夕映を突き飛ばした。
そしてその足から鮮血が吹き飛ぶ。
「アキラさん!!」
「二人とも、逃げるんだ!!私なら肩をかすっただけだ!!」
夕映は震えていた。
(しまった…もう夜明け前から狙いはつけられていたんです…!!
そして私達が見張りをしていたことを知っていたから…誰もいないと知って
安心して出てきた所を狙ったんです…!!私としたことが……!!)
「フフ……」
出てきたのは長谷川千雨だった。
(超さんじゃ、ない……でも…目つきが異常です…間違いなく、誤爆なんかじゃない…!)
「袋のネズミだな。まとめて死んで貰うぜ」
「いやぁぁぁぁぁ!!」
千雨が、のどかに狙いをつけた。
千雨もまた、狂っていた。正確には理性が残っているのでそうではないが。
生き残りたい、その一心から殺してしまった一人目。ターゲットでもないのに。
しかし千雨は増えた武器を見て、微笑んでいる自分に気付いた。
(そうだ、どんどん人を殺して武器を増やしていけば私は生き残れるんだ…)
その後、自分のターゲットを確認する。近衛木乃香だ。
そして探索するうちに彼女が桜咲刹那のことを心配しつつ食事をとっていたのが目についた。
千雨は悟られない様に近づき、そのまま射殺。再び武器を増やし、プレートも手に入れた。
それでも彼女は殺人をやめようとはしなかった。高畑は第一回戦だとか言っていたが、
そうなる前に私が全員殺してやる。そして首謀者をも殺してしまうのだ。
「死ね……」
千雨が引き金に手をかけた─
「のどか!!」
考えるよりも先に夕映はのどかにかぶさる様に飛び込んだ。
そしてそのまま銃弾を受ける。鮮血が飛ぶ───
「ゆえ────!!!」
「この……このぉぉぉ!!」
アキラがライフルを構えた。だが千雨はそれを察知していたのか先に森の中へ戻って行った。
「…っ……!」
アキラはライフルをその場に投げ捨て、夕映の元へと駆け寄った。
「ゆ、ゆえ!!し…死なないで…!!」
夕映は構わず自分の首についたプレートをのどかに握らせた。
「のど…か…、私が死んだら……これを、取る…です……
……あ……それと……復讐しよう、とかは…考えないで……下さい……」
「ゆえ!!しっかりして!!ゆえっ!!」
「ダメだ、出血が止まらない!!」
「……のどか…これまで……ずっと…………楽しかった、ですよ………
ネギ先生と………上手く……やって、下さいね……見守って……ます……か……ら……」
「ゆえっ、いやだよ…ゆえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
やがて、夕映は目を閉じた。
その目が開くことは、二度となかった。
【4番 綾瀬 夕映 死亡
─残り20人】
ゆえが………ショックでしたが作者様GJです
点数とかで評価したりしないで普通に感想言うだけでいいとおもう
せっかくの良スレがそんなことで荒れたらいやだし…
56 :
マロン名無し:2005/11/26(土) 21:21:39 ID:???
みんなって人がすぐ死ぬ作品となかなか死なない作品どっちが良い?
点数というより「全米が泣いた」とか「古カッコヨス」ぐらいに、
GJより他にもっと何かあるでしょってことじゃないか?
エクセレントゥな文才ですね!!このまま物語をつくり続けてください。
60 :
マロン名無し:2005/11/26(土) 21:51:10 ID:???
いいんちょ又か…責任感の強さだな
GJでした
ネタはあるんだけどBL物書くのは鬱になりそうだ
作者1〜4ほどSS上手くないし
>>52の
>そしてその足から鮮血が吹き飛ぶ。
>「アキラさん!!」
>「二人とも、逃げるんだ!!私なら肩をかすっただけだ!!」
ここは、間違いですよね?
18.臍を固める
「…チッ……」
放送が始まると同時にエヴァは舌打ちした。
ある程度予想はしていたとはいえ。
(茶々丸達の名前はないか…だが半日で八人とは随分だな)
そして明日菜を方を振り向いた。
「そっか……このか、死んじゃったんだ…」
明日菜の目から涙が零れる。
「…悪かったな。状況が状況だった」
「いいの。むしろエヴァちゃんにそんな気があったことに驚いたわよ」
「………」
「私、薄々感づいてたの……
それに、エヴァちゃんちっちゃいから木乃香を隠しきれなかったみたいだし。」
(そういえば、そうだったな…)
「エヴァちゃんがあそこまでしてくれたんだから、
私も大泣きなんかしてられないわよ」
「…成る程、ある程度芯がある見たいだな。少し安心した」
エヴァ安心した様に息をついた。
「…さ、行きましょ。早く他の皆を見つけないと。
…あ、そういえば…何であの時ザジさんて言ったの?適当?」
「あぁ、私のターゲットを適当に言って見ただけだ。お前は気付いてないみたいだったが」
「…え!?それじゃ…ザジさん死んじゃったから…」
「私は、死ぬんだろうな。だがそれまでに茶々丸達を探して首輪を解除するか、
本部を潰してしまえばいいことだ。…では、移動するぞ」
エヴァが歩き始める。明日菜も後に続いた。
(そういえば…ネギ、まだ気付いてないの?っていうか他の魔法関係者も…)
明日菜はふとそんなことを考えていた。
19.閑話休題
司令室。ここには高畑と源しずなしかいない。
「ちょっといいかな。これからルール変更があるから聞いてほしい。
第一回戦の制限時間を今から半日後のものを二日半後にすることにした」
「あら…そんなにこのルールが気に入ったのかしら?
マンガからちょっと拝借しただけなのに」
「いや、いざやってみると中々面白くてね。半日で終らせるのは勿体無い気がしたんだ。
ちなみに生徒達に伝えなくてもいい。その方が緊迫感があるだろ」
「そうね。それじゃ、設定を変えておく様に兵士に伝えておくわ。」
しずなが外に出ようとする。だが高畑が遮る様に続けた。
「それと、放送の間隔を日に二回だったのを日に三回にすることにしたよ。
つまり次の放送は…前回したのが六時だから、午後二時だ。
そして三回目は午後十時。兵士達が混乱しないためにも伝えておいてくれ」
「分かったわ。それじゃ、頑張ってね」」
「フ…そっちこそ」
開きかけていた扉から、しずなが部屋を出た。
高畑は再びモニターに向き直る─
今日はこのぐらいです。でわでわ。
ちなみに内容はノートに書き起こしたおおまかなものを
修正したりしてヒマな時に一気に、五話ぐらいメモ帳に打ち込んで
コピペ投下してます。ヒマつっても受験生だからときたまの休みなんですが。
この調子だと30強で終るような…
作者たま。エクセレントゥですぅ
69 :
マロン名無し:2005/11/27(日) 00:28:00 ID:???
作者フォーーー様ガンガレww
70 :
マロン名無しさん:2005/11/27(日) 02:18:45 ID:8n31SUeK
作者4さん乙です。
ただ気になる点が
エヴァが人を殺していた時代には茶々丸はいないはずですが・・・
ageてしまった・・・
死んできます・・・
作品投下希望者はまず書くということを宣言する。宣言したらなるべく挫折しない。
作品が完成したら書き終わったことと、自分が○番目の作者になってもいいか同意を求めるレスをする。
同意を得たら「よろしくお願いします」。
住民は作者に具体的な感想を言ってあげよう。GJを多用しない。
こんなんどう?
GJを多用しない
じゃなくて
GJのみよりも、どこがよかった、悪かったを簡単に、一部だけでもいいので書いておく
のがよくないか?
うあ、なんか今すごいボケたレスを返したorz
GJを多用しない。 の直前にちゃんと書いてあったな。
寝ぼけたまま読んで最後の部分だけ印象に残ったまま読み返さずに書いてしまったようだ。
本当にすみませんorz
作者Wさんが書き終えたら投下希望しようと思ってます。
(まぁでも作者5さんはすでにいるみたいなので6以降になるでしょうが。)
コテを一応つけておいたほうが、後でどっちが先かって話になったときに有利だぞ。
とりあえず連載中はいい部分と誤植の指摘のみにしとく。
途中で連載が失速するとアカンし。んで終った後に悪いとこの指摘。
いいんじゃね?
ここに作品投下表明(6番目を希望)します。
ちなみに77と同一です。
確か作者5以降の希望者も2,3人いたような……
>>70 エヴァが自分の経歴を茶々丸に魔法で記憶を見せたが
茶々丸は殺された人が可愛そうとか思わなかった。
と解釈してみる
”たぶんsayuさんが第四部。
一応、次が◆FEOEuyLL9I氏で、
その次が45氏。それで562氏、っていう順番だったと思うよ。”(ネギまBRUログ)
この後に予約しようと思ったんだが実質の順番がわからんがな(´・ω・`)
タイトル番号がずれてるみたいなので、直しておきます
12.小事は大事
13.夢幻泡影
・・・
20.閑話休題
はい、書き終わった人手を挙げて。
自分はあらすじと序盤1、2話しか書き終わってないから後回しで。
といっても表明したのが3スレ目の
>>416だから、書き終わっていてもかなり後なようだが。
ゲーム終了まで一気に書き上げちゃったけど、
投下していいかな?ちなみにNBR史上最短です。
89 :
マロン名無し:2005/11/27(日) 17:17:19 ID:???
>>88 一気に投下も面白いけど
少しづつ投下も面白いし
作者の自由だと思う
読んでる側の意見としては
ゆっくり進めると先が気になってもどかしいが
逆に一気に進むと、後で印象に残りにくい気がするな。
まぁ、作者次第でいいんじゃないか?
20.風前のともし火
「…近づいて来てるでござるな……」
一応にと三人のターゲットを確認していた楓が移動しながら呟いた。
もしプレートを殺さなくてもはずせる方法が見つかった時、確かめた方がいいと千鶴が提案したのだ。
ちなみに、楓のターゲットはまき絵、史伽は明日菜、千鶴はエヴァだった。
勿論三人とも、そのターゲットを殺すつもりなんてない。
「お姉ちゃん、ですか……?」
「いや、違うでござる。あそこからは随分離れているから、
あの時からずっと走ってるのでなければ…」
そう言いながら、同じ散歩部だった風香のことを思い出した。
何であんなことになってしまったのか─答えは決まっている。
そしてそれを打倒するため、楓は歩いているのだ。
「…どうやら、悪意のある人達じゃなさそうよ」
千鶴が言った。目の前に出てきた三人─朝倉、亜子、五月。
三人とも手に武器は持っているが、殺意はなさそうだ。
「あ…さ、三人とも!ぶらぶら歩いてる場合じゃないよ!!」
朝倉が焦ったように切り出した。
「あ、ウチらはみんなと殺しあうつもりはあらへんよ」
付け足す様に亜子が言う。
「どういう、ことでござるか?」
楓が尋ねた。─薄々感づいているが。
「さっき、葉加瀬さんと春日さんを見たんです…
二人、何か話し合っていて…でも、その内容をそっと聞いて見たら…
…ハルナさんを殺す、という内容で……」
五月が言った。
『うふふ、その通りよ』
声が聞こえると同時に、地面が狙撃された。威嚇射撃だろうか。
「ひっ…!!」
亜子と、史伽がたじろいだ。
「くそっ、見つかってたのか…!」
朝倉が奥歯を噛み締めた。
「何者だ!出てくるでござる!!」
『その必要はないわ。…最初はハルナを殺そうと思ってたけど…
時間もあることだし、暫くあなた達で遊ぶことにしたわ』
別の声が続けた。
『さあ、おいかけっこの始まりですよ』
22.風の中で育った木は根が強い
「もうお昼よ…何で全然見つからないのかしら…」
「位置が悪かったんだろうな、恐らく」
かれこれ何時間は歩いただろうか。
「ところで、お前のターゲットは何々だ?」
エヴァが尋ねた。
ちなみにプレートは、黒いカバーの様なものがついてあり一目では識別できない様になっている。
「あ、確かめてなかったっけ……えーと……あ……」
刻まれていたのは、10。エヴァの顔が険しくなった。
「…こりゃ、本気で首輪の解除法を探さないとね」
「ふん、当たり前だ」
その時、茂みから一人の人物が出てきた。椎名桜子だ。
「あ、桜子!はぁー、やっと誰かに会えた〜」
明日菜は駆け寄ろうとするが、エヴァはそうはしない。
クラスメートに会ったというのに体を屈めている…様子がおかしい。
「待て!!不用意に近づくな!!」
エヴァが飛び出すが、遅かった。桜子は矢を明日菜の腹に突き刺した。
「がっ……!!な……」
「馬鹿が…くそっ!!」
エヴァが五寸釘を取り出した。
「エヴァちゃん、こないで!!釘じゃ、リーチが…!」
それが耳に入っていないのかどうかは分からない。
しかしエヴァはそのまま桜子に突っ込んで行った。
釘と矢は、お互いの体を貫いていた。
先に倒れたのは首を貫かれた桜子の方であった。
「エヴァちゃぁぁぁん!!!」
「チッ…これで分かっただろ…もう随分時間が立っているんだ…
発狂した奴や乗ってる奴は沢山いるハズだ…それを肝に銘じとけ…」
「エヴァちゃんっ…なんで…包帯は……あの病院に…!!」
「もう遅い…それに、もういいんだ…私は随分長く生きたからな…
サウザンドマスターに会えずに終わったのが心残りだが……
……それと、ぼーやに会えたら言っておけ……『お前は死ぬなよ』とな……」
「マスター!!」
茶々丸とハルナが駆けつけてきた。近くにいたのだろうか。
「茶々丸か……お前なら、後は任せられるな……
…藪から棒に何だが、任せておくぞ……」
エヴァはそのまま息を引き取った。
「マス、ター……」
茶々丸のレンズから、液体が零れた。それがレンズ洗浄液だろうが、
主人の為に流した涙と一緒であることに変わりはない。
「私の…所為だ……私の…」
ハルナは明日菜の頭にそっと手をのせ、慰める。
と、傍に横たわる死体に気付いた。首が釘で貫かれている。
(あれは…桜子…まさか、桜子まで……)
少しして、二人が落ち着いた後三人でエヴァと、桜子の埋葬をした。
「桜子は悪くないよね……」
明日菜が呟いた。
「当たり前よ…こんなことにした、アイツらが悪いに決まってるじゃない!!」
ハルナが断言する。アイツら、というのは高畑らのことだ。
今までずっと好意を抱いていた人物に対する明日菜の想いは、もう好意ではなかった。
「明日菜さん、ハルナさん。この先に病院があるみたいです。
どうやら、そこにパソコンがあるみたいです。それで首輪を解除する方法を詮索します」
「うん、分かった。…っていうか、その病院ってさっきまで私達がいたとこよ」
「あ、それじゃ迷わなくて住むね〜」
ハルナがため息をついた。
その後武器の確認をし、三人は病院へと向かった。
【17番 椎名 桜子
26番 エヴァンジェリン・A・K・マクタヴェル 死亡
─残り18人】
23.負けるが勝ち
「ひゃぁっ……また…!!」
足元への狙撃に亜子が怯える。
「心配しないで。私達が何とかするわ」
千鶴がそれを宥めるかのように言った。
だがその彼女の顔も少し青ざめている。
「攻撃の方向は分かったでござるが…この弾の雨を
皆を守りつつかいくぐるのは…!」
楓は史伽を抱えながら後ろを見た。
「待って!!攻撃の方向が分かったって本当?」
朝倉が尋ねた。楓はやや少し驚いた風に答える。
「あ…ああ、西の方からでござるが」
「成る程ね…ということは大体あの辺か」
朝倉が走りながら頷き、バッグからサブマシンガンを取り出した。
「ちょっ…え……何する気なん!?」
「……や、やめるでござる!!」
亜子と楓が察するが、朝倉は腕が掴まれないうちにと西の森へと駆け込んだ。
「私のターゲットの子、もう死んじゃってるんだ。どうせこのまま死ぬんだったら
一糸報いた方がいいじゃない?」
朝倉はそう言って笑うと、木々の間に消えて行く。そしてやがて銃撃の音が響いた。
「やだよ…嫌だぁ──っ!!!」
史伽が叫んだ。亜子が朝倉の元へ行こうとするが、五月がそれを静止した。
「朝倉さんを、信じましょう」
「……っ……そんな…」
「そうね、今は和美を信じるしかないわ。ここで立ち止まって死ぬわけにも行かないもの。
…和美があそこまで覚悟してくれたんですもの。それに」
顔を伏せながらも、亜子の手を引いて千鶴が言った。
「長瀬さん。自分が行けば良かったなんで思わないでね。
あなたが死んでしまったら誰が皆を守るの?」
「……千鶴殿…」
(和美殿、済まないでござる)
楓の葛藤は未だに続いている。
西の方からの銃撃の音が、止み──
『だめですねぇ、鉄砲玉はもう少し強くないと』
悪魔の様な声が、再び聞こえてきた。
【3番 朝倉 和美 死亡
─残り17人】
24.物は相談
午後二時。三回目の放送が始まった
「えー、今回から放送の時間帯が変わったよ。
察している人も多いけど一回戦の制限時間も延びた。
では死者の発表だ。
綾瀬夕映、椎名桜子、エヴァンジェリン・A・K・マクタヴェル、朝倉和美だ。
半分かー。皆ペースが落ちてるぞ。もっと頑張れよ。では禁止区域の発表だ。」
放送をしつつにやりと笑む高畑。だが彼には誤算があった。
──一方、寮の明日菜達の部屋では。
「兄貴、絶対おかしいぜ…あの嬢ちゃん達が兄貴を置いてくなんて考えられねぇ」
オコジョ妖精─アルベール・カモミールが、3-A担任─ネギ・スプリングフィールドに言った。
「うん…僕もそれをずっと考えていたんだ。それで…」
ネギはフラスコの様な物に入った青色の液体をカモに見せた。
「兄貴…そいつは……」
「転移器具(ゲートアイテム)だよ。師匠とかがやってるのを見て、出来ないかなと思って。
何とか出来たけど…一回しか使えないみたいなんだ。」
「へぇ、こいつは凄ぇな……この量なら俺と兄貴以外にもう一人行けそうだな。
学園長でも連れてくのか?」
「うーん、そうだね……」
その時、部屋の扉が開けられた。そしてそこに立っていたのは…
「何や、随分面白そうな話しとるやん?」
「こ、小太郎君!?」
「聞いてたのか…」
おお! 新展開だ 先が楽しみです
作者様、俺的には続きが気になるんで是非クライマックスまで投下してほしいです
皆さんや作者様が駄目なら構いませんので
エンディングは明日にでも。
プログラム終了は今日の夜にでも落とそうかと思います
ウホッ!!今までになかったパターンがよかったよぅ。そういうばクーフェイってもう出たっけ?
生徒が死ぬ勢いがWは早いな
そろそろ頃合いだな〜、
と思って来たがまだだった。
注意:強引な展開が嫌いな方は四部は似合わないかも、です。
エヴァが普通に死んだのがびっくりした
25.必要は発明の母
「どうしよう…!!禁止区域が…ここだって…!!」
ハルナが叫んだ。友人の死に悲しむ暇さえなかった。
「茶々丸さん、逃げなきゃ!!敵の本部にもパソコンはあるかもしれないし……」
「いえ、解除するにはここのからハッキングするのが一番効率がいいのです」
茶々丸はパソコンの前から動こうとしない。
「恐らく、すぐに禁止区域になるという分けではないでしょう。
ですがその内ここも禁止区域になります。丁度病院の東側に境界線があるみたいです。
そこから首輪解除のためのトランシーバーを投げ渡すので受け止めて下さい。
恐らく首輪はその直後に爆発します。
あと、操作は、アンテナの先を対象に向けてレバーを倒すだけです。」
「……………」
二人は暫く、黙っていた。だが
「…分かったわ……頼むわよ…!」
明日菜が駆け出した。少し動揺したハルナもやや遅れて続いた。
(マスター、ネギ先生……)
茶々丸はもう死んでしまった主人と恋する人に思いをはせながら、最期の作業に移った。
その後、二人は病院の東側で待機する。
数分して黒い塊が病院の窓から落ちてきた。明日菜がそれをキャッチする。
そして、それが合図になったかのように、窓の中から爆発音が聞こえた。
「……茶々丸、さん……」
二人の目から流れた涙が頬をつたった。
「そうだ、首輪解除!…えーと、こうかな?」
暫く東に向けて歩いた後、明日菜が思い出した様に
トランシーバーを取り出しハルナに向けて見た。
すると、ハルナの首輪が青く点滅し─やがて、手錠がとけた様にはずれ落ちた。
続いて自分にもやってみる。同じ様に首輪がはずれた。
「やったぁぁぁ〜!!」
二人は手を取り合って喜んだ。
そして、後ろにまだ見える病院を見る。そしてその区域に眠る三人に祈りを捧げた。
(…ごめん……ありがとう……)
【10番 絡繰茶々丸 死亡
─残り16人】
26.断じて行えば鬼神もこれを避く
「万事休すですね」
葉加瀬が、五人の前に立ちふさがる。
その両手には手榴弾と、サブマシンガン。距離はかなりあり、楓が飛び込んでも
手榴弾で他の四人は皆殺しになってしまうだろう。
「…っ……殺すなら、拙者だけにするでござる」
「そうは行きませんよ。え〜と……最初は和泉さんにしましょうか。」
亜子が恐怖の表情を見せるのと同時に、彼女の体が飛んだ。
「あ……っ!!」
いつの間にか五人は森を背に、海が見える崖の上にいたらしい。
何者かに押された亜子は宙を舞いながら、海に落ちた。
暫くして聞こえてくる、爆発音。
もう楓は迷わなかった。ナイフを構え、葉加瀬に突っ込んで行く。
「な…しまっ……」
楓の速さは通常のそれよりも、数段と上がっていた。
今日の戦闘でデータを取り、それを踏まえて距離をとってから
手榴弾で確実に皆殺しが出来るようにして彼女らを脅し、
一人ずつ殺していく─そんな狂気の遊びを考えていた葉加瀬は、
怒りにより速さが増幅されることを考えていなかったのだ。
葉加瀬の体にナイフが刺される。
「が……くそっ……春日さん……っ……こいつらを……!!」
葉加瀬が美空に助けを求めようとした。
『嫌よ。もう脅しがきかないのなら、一人のこっちが不利じゃない。
それに、その崖の先の岩が目印だったんだけど──そこ、禁止区域よ。』
葉加瀬はもう動こうとしなかった。やがて、息絶える─
ピッ ピッ
楓の首輪から電子音が鳴り始めた。そして赤く点滅している。
「い、嫌だ…楓姉!!」
史伽が駆け出そうとするが、千鶴がそれを止めた。
「駄目よ。美空さんの言うことが本当なら、あの岩の延長戦より
先に行くと……首輪が爆発するわ…」
ピッ ピッ ピッ
間隔は段々と狭くなる。
「済まないでござる。千鶴殿、五月殿、史伽。そして…亜子殿。
こうでもしなければ、あっちが先行してしまうでござる。
……最後まで守れなくて…申し訳ないでござる。」
「長瀬さん…」
泣きそうな顔で、五月が呟いた。
「千鶴殿、五月殿。史伽を任せたでござる。それと美空殿に気をつけるでござる。
それから史伽…風香を目覚めさせてやってほしいでござる」
ピッ ピッ ピッ ピッ
「楓姉……うん、約束する……!!」
涙を流しつつも、決心した顔で史伽が言った。
「私もお手伝いをするわ。そして、このゲームも終らせる」
千鶴が続ける。五月も頷いた。
「それ聞いて安心したでござる」
ピッピッピッピッピッ
「帰ったら、皆によろしく言っておくでござるよ」
最後に、楓は優しく微笑んだ。
ピッ
電子音が鳴りやんだと同時に、首輪が爆発した。
千鶴が史伽の目を塞いだ。
「楓姉ぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」
史伽の悲痛な叫びは、海に吸い込まれていった。
【05番 和泉 亜子
20番 長瀬 楓
24番 葉加瀬里美 死亡
─残り13人】
27.泥中の蓮
雨が降っていた。
それは大した量ではなかったが、視界を少し悪くする。
「……そろそろ、もう一度出て見るか」
千雨は、ずっとつけていた二人の元へと歩み寄った。
「…………!!」
のどかが恐怖の顔を見せた。アキラがナイフを構える。
千雨は構わずベレッタを突きつける。
「逃げて!!」
アキラは叫びながら、美空に照準を合わせた。
「そんなもので敵うと思うのか?」
千雨は嘲りながら、ベレッタの弾丸を発射した。
弾が、胸を貫通した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」
のどかが叫びながら、一度は手落としていたグロックを広い千雨に突進した。
「スキだらけだ」
千雨は容赦なくのどかの首に一発発射する。
「あぐっ…………」
のどかが倒れ伏す。それでも銃は手放さなかった。
最後の力を振り絞り、のどかは千雨に一発を打ち込んだ。
「あ……がっ………!!?」
千雨の体が跳ね、地面に倒れた。
(ゆえ……ごめんね…約束、果たせなかったよ……)
のどかは薄れゆく意識の中で、親友の顔を思い出す。
そして、自分の愛する人の顔も浮かんできた。
(ネギせんせー………もう一度、お会いしたかった…です……)
雨が止む。
葉から雫が二滴、のどかとアキラの目尻に落ちた。
【06番 大河内アキラ
25番 長谷川千雨
27番 宮崎のどか 死亡
─残り10人】
一部千雨が美空になってるOTL
四部は駄だよもう(´・ω・`)
28.破顔一笑
「あそこが本部かな?」
ハルナが呟いた。首輪がはずれているので自分達の存在は気付かれていないハズだ。
「どうも、そうらしいわね。最初から禁止区域だったのも頷けるわ」
元禁止区域だった地域に聳える白い研究所のような施設に二人は到着していた。
「ネギがいれば魔法が使え……あっ」
明日菜は慌てて口を塞いだがもう遅かった。
「魔法?ネギ君?何、何?どういうこと?」
ハルナが興味津々といった顔で聞いてきた。明日菜は諦めて魔法のことを話した。
(ま、状況が状況だから…仕方ないわよね…ネギがオコジョになったら、
誰かに交渉してやろっと)
「へぇ、驚いた〜。…で、ネギ君がいれば明日菜が滅茶苦茶強くなるのね?」
「そうなんだけどね………あいつ、何やってんのかし……」
明日菜が言葉を止めた。ハルナが不思議そうな顔で尋ねようとするが、
それより先に明日菜の服に赤い点がついた。
これはこれで結構好きだ
「アスナ!!!」
……どうやら敵の誰かさんに見つかったみたいね……
私なら大丈夫だから、早くどっかに逃げなさい…!!」
「アスナ、そんなの…私だって武器あるし……」
「いいから!!」
「………分かった……アスナ、死なないでよ…!!」
明日菜の気迫に押されて、ハルナがその場を去った。
(…とか言って見たけど、もう駄目みたいね……
でも、エヴァちゃん達みたいに誰かを守って死ぬなら…)
明日菜を撃った兵士達が姿を現した。一人が無線で何かを話している。
(それで、いいかも……)
三人程の兵士が明日菜に銃を突き付ける。
(今度生まれ変われたら……もうこんな世界じゃないといいよね…)
学園の友のことを思い出し、明日菜はふっと微笑んだ。
【08番 神楽坂 明日菜 死亡
─残り9人】
29.三位一体
「ふみかは、どこ………」
あれから、誰にも会わずに風香は彷徨っていた。
「ふみか…………」
そして、とうとう誰かに発見され、狙いをつけられているのにも気付かずに。
「どこ…………?」
ひょっとしたら、彼女は心の奥底で、殺すという意志以外の史伽に対する意志があったかもしれない。
彼女は、最後まで妹を想いながら、体に赤い色をつけて死んでいった。
「うふふ…まだ、殺し足りないわ……」
美空が、風香の死体を見下ろした。
そして、武器を奪い去ろうとする。だがそれを遮る者がいた。
「美空………」
古、刹那、まき絵の三人だ。
「美空ちゃんまで……狂っちゃったの……?」
まき絵が悲しそうに言った。
「…………あなたが、やったんですか」
刹那が険しい顔で美空に言った。
「そうよ。文句ある?」
三対一であると言うのに美空は余裕の表情をしていた。
「ついでに言えば、あなたの愛するお嬢様をやったのも私よ。
直接殺せなかったのが残念だけど……でも、楽しかったわ」
美空が笑った。それはもう、学園にいた時の顔ではなかった。
そして、それを聞いた直後に、刹那の体が動いた。
日本刀が美空の体を貫通した。
「……人を殺したりしたら、お嬢様が悲しむから殺さない…そういう人だと思ったのに…」
「生憎だが、人を殺める覚悟だったらとっくに出来ている。あの放送の時からな」
「うふふ…あっそ………」
刹那が刀を引き抜く。美空の体が倒れた。
古とまき絵は、目を逸らすことなくそれを見ていた。
「………二人とも。これから本部に向かいましょう。このゲームを止めるんです」
「そうアルね」
「……うん」
ふと、まき絵が倒れている風香の顔を見る。
風香は、もう邪気に満ちた顔をしていなかった。
──その、悲しそうな顔は、まるで史伽に対し謝っている様に見えた。
まき絵はそんな事情は知らなかったが、何となくそんな感じがしていた。
【09番 春日 美空
23番 鳴滝 風香 死亡
─残り7人】
30.まかぬ種は生えぬ
「あそこが、本部なのね」
千鶴が行った。
ほどなくして、三人も本部が見える所に来ていたのだ。
勿論首輪がまだついているので少し距離をおいている。
「あ、皆!」
声がした。ハルナだった。トランシーバーの様なものを持ってこちらに近づいて来る。
「ハルナさん…?」
五月が呟いた。視線はハルナの持つ機械に注がれていた。
「あ、えーと…私は戦う気はないよ。落ち着いて。
んで、これはね…えーと、茶々丸さんが発明した首輪をはずす機械なんだ。
ちょっとやってみるから動かないでよ」
ハルナはてきぱきと事情を説明すると、三人の首輪をはずした。
「首輪が…はずれたぁ……」
史伽が安堵のため息をつく。千鶴と五月も微笑んだ。
「ところで皆、何してたの?」
「…本部に突撃しようと思ってたのよ。首輪があるから動けなかったけどね」
それを聞いてハルナの顔が曇った。明日菜のことを思い出したのだ。
「…敵の兵士達に…バレたら、一網打尽になるかもしれない…のに?」
「大丈夫よ。四葉さんと回りを見て、見張りがいない死角を見つけたから。
……一応、武器もあるわ。」
「…本当にやるんですね…」
史伽が呟いた。
「止めるしか、助かる道はない…からね…」
その時、本部の方から爆音が響いた。
「わっ…何………って、ネ、ネギ君!!?」
ハルナが指差した方には、杖で宙を舞いながら兵士達を死なない程度に痛めつけるネギがいた。
「あらまあ……コタちゃんまで」
おまけに小太郎までもが暴れまわっている。
「…これって、ひょっとしたらチャンスかもよっ!!」
ハルナが立ち上がって拳を握り締めた。
ゲーム終了まではまた後で。すげー強引だと自分でもしみじみ実感してみたり。
GJ。
本当に物凄い勢いで死んでるな・・・
生き残っているメンツが今まですぐに死んだやつらばっかだなぁ
下剋上じゃないの?
126 :
T.N:2005/11/27(日) 21:43:10 ID:???
のどかが・・・
俺、今マジで泣きそう・・・(>_<)
泣いてもいいかな・・・?
今はとりあえずGJです。
31.虎は死して皮を留め人は死して名を残す
「ネギ!!雑魚共は大方片付いたみたいやで!!」
本部の中で気絶する兵士を踏みつけつつ小太郎が言った。
「司令室はどうやらこの先みたいですね」
刹那が言った。まき絵も一応武器を構えながらそっと後に続いている。
刹那達が美空を殺した後、ようやくネギとカモ、小太郎がこの島に辿り着いたのだ。
ネギらは刹那達に偶然遭遇し、このゲームのことを聞かされた。
「そうですか……このかさんまで………」
「…夏美姉ちゃんも、か…………」
その後、ネギの武装解除で首輪をはずし、五人と一匹で本部に殴りこんだのだ。
「おーい、ネギくーん!!」
「なっ……!?」
カモが驚く。六人(?)が来た方から反対の通路から、ハルナ達が駆け寄ってきたのだ。
「ネギ先生、無事でしたのね」
嬉しそうに千鶴が言った。
「な、何でみんなまでここにぃっ!!?もうなんだかわけわかんないよぉ〜〜」
「まき絵、相変わらずバカピンクやってたんですね……」
美空ステキー
惚れそう
その時、放送が始まった。
「緊急放送だ。これが最後の放送になるだろう。だから死者の発表だけをする。
椎名桜子、エヴァンジェリン・A・K・マクタヴェル、朝倉和美、絡繰茶々丸、
和泉亜子、長瀬楓、葉加瀬里美、大河内アキラ、長谷川千雨、宮崎のどか、
神楽坂明日菜、春日美空、鳴滝風香。
沢山死んでくれたのは嬉しいがちゃんと最後まで殺しあってくれなきゃ困るよ。では。」
「そんな……アスナさん…のどかさん…………」
ネギが涙を流した。
皆も、聞きなれた友達の名前が出たことに涙を流した。そして、高畑への怒りは一層増す。
「皆さん、行きますしょう!!」
やがて、涙を拭った刹那の掛け声とともに、皆も涙を堪え本部に突入した。
32.疾風に勁草を知る
「ようこそ、ラスボスの部屋へ…なんてね。
随分と暴れてくれた様じゃないか」
高畑が部屋に集まった十人に言った。
「戯言はそれぐらいにするアル」
ぴしゃりと古が言い放った。
「タカミチ……なんで……?」
ネギがこぼす。
「ネギ君。簡単なことだ。関東の他の魔法使いを全て潰し、
僕が関東の魔法使いの長になるためだ。ゆくゆくは全ての魔法使いを支配するためにね。
そして最初に邪魔な魔法使いのクラスを潰すことにしたまでだ」
「やはり戦場云々はでまかせか」
刹那が言った。
「さて、僕は今絶体絶命だね。でも僕には君達を一斉に殺せる力がある。」
高畑が壁にある、赤いボタンに手をかけた。
「これを押せばこの建物は爆発する。僕も死んでしまうだろうが、
どうせ作戦が失敗して犬死にするなら君らを巻き込んで死んだ方がマシさ」
そしてボタンを押した。
アラームが鳴り、地響きが始まる…
「皆さん、外へ逃げて下さい!!学園長達がいずれ迎えにきます!!」
「そういうわけには行かないな」
高畑が居合い拳の構えを取る。
「ネギ先生、私に戦わせてください」
刹那が刀を構えた。
「………分かりました。古老師と小太郎君は皆を外へ!!」
「了解アル!」
「おう!ネギ、死ぬんやないで!!」
古と小太郎が史伽達を引き連れていく。
「ふふ…敵うとでも思うのかい?」
高畑が笑みを浮かべた。
悪夢に、終焉が近づいている。
33.才子、才に溺れる
「その前に、刹那君には先に死んで貰おう」
高畑がポケットからリモコンを取り出す。
(な…!?あの時、確かに刹那さんの首輪は外したはずなのに…
まさか、はずれてなかったのか…!?)
高畑がボタンを押した。─だが、反応はない。
「何…!?」
高畑に一瞬のスキが出来たのを見逃さず、刹那は一気に接近し、首を撥ねた。
最期の一言なんて言う暇もなく、彼は息絶えた。
「……タカミチ………」
首謀者は死んだ。ゲームは終ったのだ。
「…そういえば、刹那さん。その首輪は一体…?」
「ああ、これですか」
刹那が首輪を取り外した。
「俺が作ったのさ、兄貴。奴を動揺させるのに使えねーかと思って
簡単な魔法で外見だけ取り繕ったんだよ。どうやら作戦通り、才子は才に溺れたみてーだな」
カモが代わりに答えた。
「さぁ、ネギ先生。施設はもうすぐ爆発します。急いで外へ出ましょう」
「…はい」
長い悪夢は、ようやく終了した。
【高畑・T・タカミチ 死亡
─ゲーム首謀者死亡のためプログラム終了】
【生存者】
12番 古 菲
14番 早乙女ハルナ
15番 桜咲 刹那
16番 佐々木まき絵
21番 那波 千鶴
23番 鳴滝 史伽
30番 四葉 五月
エンディングは明日以降になると思います。それでは。
これはGJ何だろうけど、展開早くて、
読む人を選ぶというか何というか。
インスタントSSとでも言うべきですかね?
ともかく良作でしたよ作者さん!!!
すげぇ展開速ぇ でも面白かったですよまあ爆弾解除のは少し動揺したが…
俺は面白かったからこれでいいけど作者様が気にいらなければ
訂正版みたいなのをいつか投下すればいいんじゃないでしょうか?
あ、でも受験生でしたっけ? 頑張って下さい
4部って始まったのかなり最近じゃなかったっけ? 面白かったからいいけど
で次は誰なのかな?
今回は意外なことの連続でよかったです。
それにしても終るのテラハヤス。吊るしか…
確かに展開は早かったかもしれないけど、何より投下のスピードも速かったしね
速かったけど十分楽しめましたよ まだ終わってないけど
このルールだと早く終わってしまうよね。
作者5はもう準備してるのかな できれば明日にでも始めほしいな
もちろん4部が終わったらだけど
う…
>>144の言葉でぶはっと来た俺は…回線切って吊ってきますorz
1部〜4部全エンド合計生存率ランキング(%がはっきりしていないのは2部BADが未完のため。1部は1種類のエンドで3分の1、2部は2分の1でカウント)
1位 桜咲刹那 62.5%〜75.0% 2部BAD 3部 4部
那波千鶴 62.5%〜75.0% 2部BAD 3部 4部
3位 古菲 66.7% 1部 古菲 3部 4部
4位 明石裕奈 54.2%〜66.7% 1部 古菲 2部BAD 3部
5位 宮崎のどか 45.8%〜58.3% 1部 2部BAD 3部
長瀬楓 45.8%〜58.3% 古菲 2部BAD 3部
7位 早乙女ハルナ 50.0% 3部 4部
8位 神楽坂明日菜 50.0%〜37.5% 2部BAD 3部
近衛木乃香 50.0%〜37.5% 2部BAD 3部
龍宮真名 50.0%〜37.5% 2部BAD 3部
11位 朝倉和美 37.5% 2部 3部
12位 絡繰茶々丸 37.5%〜25.0% BAD 3部
エヴァ 37.5%〜25.0% BAD 3部
14位 長谷川千雨 20.8%〜33.3% 千雨 2部BAD
150 :
マロン名無しさん:2005/11/28(月) 00:56:46 ID:rd/RfbQL
15位 春日美空 25.0% 3部
釘宮円 25.0% 3部
超鈴音 25.0% 3部
佐々木まき絵 25.0% 4部
鳴滝史伽 25.0% 4部
四葉五月 25.0% 4部
21位 綾瀬夕映 12.5%〜25.0% 2部BAD
和泉亜子 12.5%〜25.0% 2部BAD
大河内アキラ 12.5%〜25.0% 2部BAD
24位 柿崎美砂 8.3%〜8.3% 1部
25位 椎名桜子 0%
鳴滝風香 0%
葉加瀬聡美 0%
村上夏美 0%
雪広あやか 0%
ザジ 0%
余談ですが・・・
茶々丸ってエヴァからの魔力供給で動いてるようなので
エヴァが先に死ぬと茶々丸は動けなくなるんでしょうかねぇ?
153 :
マロン名無しさん:2005/11/28(月) 17:15:39 ID:P5jg4srB
>>151 えーと、アレですよ。きっと蓄積とかできるんです。うん。
まあそうだろうな。
飛ぶことも出来なくなくなったりと
ほとんど人間状態になるほど魔力がなくなってるエヴァが
供給できてるとは思えない状態でも
普通に動いていたし。
で次の作者さんはどうなッたの?
そもそもまだ4部は完結してない
>>157 そろそろ姿をあらわしてもいいかな〜、って思ったんだよ
34. 始めあるものは必ず終りあり
あれから。
関東魔法協会と関西魔法協会の操作により、
BR法と偽って高畑を支援していた組織が魔法社会に明かされ、撲滅された。
BRで死亡した二十三人の生徒と付き添いの教職員は、他の生徒を始めとする一般人には
旅行先の事故で死亡したと伝えられた。
生き残った七人に、特に外傷は見受けられなかった。しかしそれでも他の生徒らはひどく心配した。
七人(正確には五人)はその後、ネギらにより魔法の存在を聞かされた。
皆は驚いたが、それでもネギはネギだと彼を暖かく迎え入れた。
そして、彼らは今後学園に残党の襲撃が来る可能性があるとして、
関西の総本山に一番近い魔法使いが創始した学園に転校することになった。
その後、出発前に一同は3-Aに訪れ、亡くなった生徒に弔いの意を捧げた。
「こういう理由じゃなければ、嬉しいのにね」
京都駅に到着して、まき絵が呟いた。
「そう、ですね…」
史伽も同調する。あの悪夢で多くの死と、別れを目にした彼女の精神が一番傷ついている。
学園長の話によれば暫く休息が必要とのことだったので、
史伽と付き添いのネギだけが暫くは学校には通わないことになった。
やがて、関西の魔法使いの案内で彼女らは関西の魔法学園に案内された。
新しい生活が、始まろうとしていた──
35.天長地久
「史伽さん」
ネギが優しく、ベッドに座りこむ史伽に声をかけた。
「史伽さんが元気になるまで、皆とずっと学園で待ってますよ」
史伽は答えない。平和が戻ってきた反動で、随分と衰弱してしまったらしい。
(…兄貴、大変だな。色々と)
しみじみとカモが思う。エヴァが死に、チャチャゼロも動かなくなり、彼も一人の飲み友達を失っていた。
その時、扉が豪勢に開いて六人が雪崩れ込んできた。
「やっほー!!元気ー!?」
「ネギ、遊びに来たで!」
「ハルナぁ…もうちょっと空気読もうよ……」
「おぉッ!?ここがネギ坊主と史伽の部屋アルか〜」
「私も住んでますけどね……」
「あらあら、皆騒いじゃだめよ」
「食事でもお作りしましょうか?」
静寂が一気に破られた。
ネギはふとある日のことを思い出していた。
皆が一斉にネギや明日菜らの部屋へ来た時。
直に明日菜に追い出されたけど、その時間はとても楽しかった。
のどか死んどる・・・
「ほらほら、いつまでもショゲずに!!
ゲーム持ってきたから皆でやろーよ!!」
「ハルナ…………」
何故かハイテンションなハルナに、いつもは自分がハイになるはずの
まき絵が半ば呆れ調で冷ややかにハルナを見つめていた。
「でも、余りに優しすぎるようにするよりは、
むしろこんな感じで楽しく接するのも悪くないかもしれないわよ。
クラスメートですもの」
千鶴が微笑んだ。
「皆さん、できましたよ」
暫くしてネギの許可をとって調理をしていた五月が食事を持って現れた。
「うわー!!美味そうアル!!」
「ヒューヒュー!!」
「あっ、俺の分まで取るなやー!!」
「ネギ先生」
食事をとりながら、刹那がネギに話しかけた。
「いつか…本当に、皆で笑えあえる日が戻ってくるといいですね」
少し悲しそうに笑う刹那。
「はい。僕もそう思います」
食卓を囲み、騒ぎまくる皆。メンバーは違うけど、ネギは懐かしさを感じた。
ふと、史伽の横顔を見る。
彼女の顔が、僅かに微笑みを取り戻していた。
【終わり】
おまけ:作中で明かされなかったのを含めたターゲット一覧
番号 名前 生死 ターゲット
02番 明石 裕奈× → 30番 四葉 五月
03番 朝倉 和美× → 11番 釘宮 円
04番 綾瀬 夕映× → 15番 桜咲 刹那
05番 和泉 亜子× → 12番 古 菲
06番 大河内アキラ× → 21番 那波 千鶴
07番 柿崎 美砂× → 19番 超 鈴音
08番 神楽坂明日菜× → 10番 絡繰茶々丸
09番 春日 美空× → 18番 龍宮 真名
10番 絡繰茶々丸× → 24番 葉加瀬里美
11番 釘宮 円 × → 23番 鳴滝 史伽
12番 古 菲 ○ → 20番 長瀬 楓
13番 近衛木乃香× → 03番 朝倉 和美
14番 早乙女ハルナ○ → 17番 椎名 桜子
15番 桜咲 刹那○ → 09番 春日 美空
16番 佐々木まき絵○ → 25番 長谷川千雨
17番 椎名 桜子× → 27番 宮崎のどか
18番 龍宮 真名× → 02番 明石 裕奈
19番 超 鈴音 × → 28番 村上 夏美
20番 長瀬 楓 × → 16番 佐々木まき絵
21番 那波 千鶴○ → 26番 エヴァンジェリン
22番 鳴滝 風香× → 23番 鳴滝 史伽
23番 鳴滝 史伽○ → 08番 神楽坂明日菜
24番 葉加瀬里美× → 14番 早乙女ハルナ
25番 長谷川千雨× → 13番 近衛木乃香
26番 エヴァンジェリン×→ 31番 ザジ・レニーデイ
27番 宮崎のどか× → 04番 綾瀬 夕映
28番 村上 夏美× → 07番 柿崎 美砂
29番 雪広あやか× → 05番 和泉 亜子
30番 四葉 五月○ → 06番 大河内アキラ
うぅぅぅぉぉおおおおおおおおGJ!
最後の斬新なメンツがよかった
史伽(つω`)
おまけ2:余談
・当初生き残る予定だったのは
アスナ、くーふぇ、このか、まき絵、
楓、史伽、エヴァだった。
・つーか最初はマリ○カートみたいなほのぼの風船割りバトルだった。
でも全員が参加しそうもないのであえなくボツに。
・最後に史伽が風香と対峙するつもりだったけど
どーしても話が繋がらなくてボツ。
ザジのターゲットが書いていませんよ。
もう少しじっくりと読みたかった気もするが、全体的にはGJ!
双子が片方だけ狂うのも、読んでいてなかなかよかったです。
確かに今までとは一味違って面白かった
けど、展開が速すぎでしたねorz
GJ!!です。
11番 釘宮 円 × → 22番 鳴滝 風香じゃね?
マジレスするとザジのターゲットはいいんちょっぽい。
っと、大事なこと言い忘れてたorz
本編の修正を始めましたが、投稿したのが最悪な状態だったので、
ほとんどに少しずつですが、手を加えました。
まだのところも手を加えるつもりです。
そこでみなさんに相談なのですが、修正版を投稿しようとすると、
かなりの量になってしまうと思います。
そこで、マナーとして、
わたしも予約し直した方がいいのでしょうか?
1部作者みたいに、htmlファイルにきちんとなおしてでも、txtにしてでもいいから、まとめてzipファイルにして
適当なうpろだにうpすればいいと思うよ
作者4GJ! この言葉に尽きる あと気が向いたらそのマリオカ〇トみたいなの作ってください
ほのぼのな感じのも別に悪くないと思う
麻帆良学園と風華学園で対抗バトロワするようなのはダメかねえ
4部みたいにルールだけ他のマンガからインスパイアするなら話に影響ないが
違うマンガのキャラクターとか出されたらちょっと嫌だ っつーかスレ違い
作者3氏の投稿を待った方がいいんでしょうか
>>180 まだ修正すんでないので気にせずドーゾ
作者5様の光臨だ! 今日はもう寝ようと思ってたが徹夜するよ
ドキドキワクワク徹夜確定だな
やっぱ寝る
修学旅行の班でグループ戦とか面白そうだな。
1班:即全滅w
2班:最強軍団だが古・楓が離反しそう
3班:いいんちょ中心によくまとまる
4班:龍宮隊長とその小隊
5班:バランスはいいが明日菜次第
6班:戦闘力最高だがチームワーク最悪w
昨夜はどうもすいませんでした。
今から、さっそく投下します。
0 ≪使用上の諸注意≫
・「ネギまロワイアル 第五部」は ◆FEOEuyLL9I の処女作です。
服用時に気分が悪くなったり、筆致に怒りを感じることがありますので、
その場合は直ちに服用を止め、近くの本屋でマトモな本を買ってお読みください。
・もちろん、キャラが死にます。予めご了承ください。
・当作品は「HAKAGI ROYALE」に大きくインスパイアされています。
特に某話なんて「登場するキャラ差し替えただけぢゃねーか!」と罵られるかもしれません。
問題があればすぐに書き直させていただきますので、その時は容赦なく言ってやってください。
・全57話完結予定です。
・小児の手の届かないフォルダに保存してください。
・部屋を明るくしてパソコンから離れてお楽しみください。
1 ≪はじまりのおと≫
気付けば、彼女達は教室にいた。
もちろん彼女達は麻帆良学園の生徒であり、教室にいること自体、何らおかしなことはないのだが……。
ただいくつかの違和を挙げるとするならば、
その教室は麻帆良学園中等部3-Aのそれではなく、かつクラスメイト全員に首輪がつけられており、そして誰一人としてその顔に笑顔を浮かべてはいなかった。
「ちょっと、ここどこ!? 何があったのよ!?」
「落ち着いてよ、桜子。私にだって分からないわよ」
「じゃあ、どうすればいいって言うの!」
椎名桜子(17番)が取り乱している。無理もない。楽しみにしていた秋季修学旅行……そのバスの中、突如睡魔に襲われて意識を失い、そして気付いた時にはこんな状況になっていたのだから。
桜子だけではない。教室全体が、ざわざわとした……まさに"不安"と形容すべき雰囲気に包まれていた。
「ねぇ、私たち、どうなっちゃうの? どうすればいいのっ!?」
「だから、落ち着いてって言ってるでしょ!」
柿崎美砂(7番)が耐え切れなくなって叫び返した。
あるいは、「落ち着け」という言葉は自分に対してのものでもあるのかもしれない。
するとその時、教室の空気を断ち切る音が響きわたった。
──ガララッ!
先ほどまで鍵がかかっていたはずの扉が威勢よくスライドする。
「ああ、まったくもってその通りだよ。落ち着いてくれ」
教室に入ってきたのは、見知らぬ男。年齢的には二十代後半といったところだろうか……実に温和そうな顔立ちをしていた。
見たこともない人物の登場に、ざわめく教室。不安に、混乱が入り混じる。
「はいはーい、静かに。今日集まってもらったのはね、他でもない」
そこで男は一呼吸置き、大切な秘め事を口にするかのようにして、言った。
「みんなに、"殺し合い"をしてもらおうと思ってさ」
あまりに簡潔すぎるその言葉に、クラス全員の思考がフリーズした。
──意味が、わからない。
ほとんど全員がそう思ったに違いない。そしてそれが正常な思考だ。
しかしそんな中で真っ先に、椎名桜子が取り繕った笑みを貼り付けながら、ことさらに明るく言った。
「あ、あはは……なんですか急に、殺し合いって。これってもしかして、修学旅行のイベント?
うーん、でもそれにしたって失礼でしょ、私たち初対面なのに。そもそもあなた誰?」
桜子がぺらぺらとまくしたてるが、男はその声を聞いているのかいないのか……ただ無表情でその場に佇んでいる。
「……まぁいいや。ねぇ、それよりホントはどうして私たちこんなことになってるの?
私たちいつになったら家に帰れるの? ちょっと、聞いてる!? さっさと教え」
パァァン!
鳴り響く、銃声。
──それが、はじまりのおとだった。
2 ≪ガイドライン≫
椎名桜子(17番)は、まるで強く突き飛ばされたかのように後ろに吹き飛んだ。
その軌跡を示すは、不気味な赤黒いライン。
始まりを知らせるには、それで十分だった。
「まったく……静かにと言っただろう。人の話は聞け、と教わらなかったのか?」
男は、右手の銃をポケットにしまいながら、呆れたようにそう言った。
地面に仰向けに倒れた桜子は一度だけ「ビクン!」と痙攣する。そして、それきり動かなくなった。
「桜子ぉぉぉっ! 桜子? 桜子、桜子桜子桜」
「五月蝿い。死にたいのか?」
抑揚のない声。桜子の元に駆け寄って泣き喚いていた柿崎美砂はそれを聞き、身を竦ませて静かになってしまった。
「……くっ、ははは! 大丈夫。これ以上、無闇に頭数を減らしたくはないからね」
愉快そうに笑いながら男はチョークを手に取り、やたら遅々とした動作で黒板にこう記した。
榎本 義明
「椎名君が言ったように、僕と君達とは初対面のようだから、自己紹介だ。
僕は榎本義明。一生忘れられない名前になると思うけど、偽名だからあんまり意味ないよ?
30歳、独身。職業は……まぁ、国家機密だ。政府関係者とだけ言っておくよ」
榎本はもう一度黒板に振り返る。自分の名を雑把に消してから、新たにこう書いた。
BRプログラム
「新聞を読んでる人は知っているかもしれないね。最近国会でも話題になってるやつさ。
青少年の風紀保護及び情緒的な生育の促進を目的とした法案……通称、"バトルロワイアル法"。
今回は、そのテストプログラムに何と! 君たち麻帆良学園中等部3-Aが大抜擢されたというわけさ」
榎本が窓際に歩いていってカーテンを開くと、そこには見たこともない景色が広がっていた。
右側は海。左側は森。少し離れたところには小さな山も見える。
「どうだ、豪勢だろう? なんと、この島全域がゲーム場だ。
ここで3日間殺しあってもらって、最後に残った一人が優勝。簡単だろ?
優勝者はもちろん家に帰れるし、その後の生活はもう、世界が変わって見えるだろうね……いや、決して悪い意味じゃないよ。なんせ国全体が保障してくれるんだから」
榎本は、年不相応にニコニコと笑いながら語った。とても、無邪気に。
「さて、具体的なルールに移ろうか。とは言っても、基本的に何でもアリなんだが……。
まずみんな気になっているだろうから、その首輪について説明しよう。ああ、触らない方がいいよ。爆発するから」
首輪に触れていた生徒は、「爆発」という言葉を理解した瞬間に、慌ててその手をサッと離した。
「その首輪は、着けている人間の生命反応を感知して常時こちら側……主催本部に発信している。
だから誰が死んだかすぐに分かるんだ。とっても便利だろ?
そして、首輪は発信機と同時に枷の役割もしている。もし不穏な動きをする輩がいたら、本部のスイッチひとつでその首輪を爆発させることができるんだ。さらに言えば、ムリヤリ外そうとしても自動的に爆発するよ。
まぁ、そんな大きな爆発じゃないから、周りの人もあまり近くにいない限りは安全かな。ああ、もちろん装着者の頭が吹き飛ぶぐらいの威力はあるから安心してね」
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル(26番)は苦々しげに顔を歪めた。
先ほどから無詠唱呪文で榎本を仕留めようとしているのだが、どうにも魔法が発動しない。
首輪のせいか、それともこの島全体に何か仕掛けられているのか……。
「首輪についての説明はこんなところだね。
さて、それじゃあこの後、早速みんなには一人一人ランダムな場所からスタートしてもらうわけだけど……そう、ヘリで飛んでもらうんだ。
それで、ゲーム開始前に全員に荷物を支給する。バッグの中には島の地図とか、食料、水、それと武器が入ってるから。何の武器かは、開けてからのお楽しみね。
ゲームが始まったら何をしてくれても構わないけど、できれば殺し回ってくれると助かるな。
ああそれと、念のために言っておくけど泳いで逃げるのは無理だよ。
詳しい地名は言えないけど、ここから一番近い陸地でも100km近く離れているからね。
説明は以上。何か質問は?」
そんなもの、疑問だらけだ。だが、それを口にする者はいなかった。
質問という形に考えをまとめることができなかったのかもしれないし、あるいは恐怖で聞けなかったのかもしれない。
「……うん、ないようだね。飲み込みの早いクラスで僕も助かるよ。それじゃ、また3日後に会おう。未来の優勝者サン」
そう言い残し、榎本は教室を去っていった。
そしてそれと同時に、防護服とフルフェイスヘルメット、機関銃で武装した男達が教室に入ってくる。
彼らに連れられて、次々とヘリに乗せられていく少女達。
こうして、悪夢が始まった。
【17番 椎名桜子 死亡 残り29人】
今回のところ以上で。
誤字脱字、設定に関するミスなどありましたら是非お知らせ願います。
桜子が最初に死ぬのはお決まりなんでつね(´・ω・`)
リアルで榎本の俺が来ましたよ('A`)
野郎に名前なんざイラネェ('A`)
始まりましたか、第五部。
新田でいいよ新田でwwww
オリキャラか……
せるびこでいいよせるぴこでwwww
どーせネギま以外のキャラ出すんだったら坂持でいいじゃん。
各作品で最初に死んだ人
1部、椎名桜子
2部、雪広あやか
3部、雪広あやか
4部、龍宮真名
5部、椎名桜子→?
いいんちょ…桜子…
25位 椎名桜子 0%
鳴滝風香 0%
葉加瀬聡美 0%
村上夏美 0%
雪広あやか 0%
ザジ 0%
だからな・・・
最初に限らず、生き残らない・・・
この時点で桜子は0%のまま確定か。
桜子やいいんちょは殺しやすいからな。
第5部始まりましたね。
皆さんオリキャラや新ルールで新しさを出そうとしてますね。
そんな中で自分が作ってるのはそんなもの一つもありゃしない・・・
みんなすごいなぁ(涙)
作ってみた
このスレの流れ
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2005/2/8 ネギまバトルロワイヤルスレが立つ
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8/31 作者1が現れ投下。(この時点でスレは60ほどしかなかった)
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10/1 ネギまバトルロワイヤルスレ2へと移行。
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10/2 作者1が全73話(後75話)を書き上げる。
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10/2 作者2登場。投下。
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10/17 ネギまバトルロワイヤル3 〜BRV〜へと移行。
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10/26 作者2が全82話を書き上げる。
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10/26 作者3が作品を投下。
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11/22頃 作者3が全43話を書き上げる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
11/23頃 作者Wが作品を投下。
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11/25 ネギまバトルロワイヤル4 〜NBRW〜へと移行。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
11/28 作者Wが全35話を書き上げる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
11/29 作者5が作品を投下。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1部(全75話、分岐ルートで71話、72話)
この投稿でネギまロワイヤルスレが活性化したと言っても過言ではない作品。
中盤から終盤にかけて住人を驚かせる展開が多く(刹那、明日菜の死など)
クオリティの高さでは1部が強い。そのため未だに1部を支持している住人も多い。
完成後も作者によっていろいろな修正、分岐ルートが追加されている。
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2部(全82話、分岐ルートは未完)
投下当初はストーリーの展開などで批判が多かった。独自の展開で住人を
飲み込んでいくがゲーム終了後なかなか終わらない展開などで批判がまた
再燃焼した。一人の住人いわく「一部は“ネギまキャラを使ったバトロワ小説 ”
だったが二部は“バトロワの舞台を使ったネギま小説”」だそうだ。
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3部(全43話)
首輪のペアバトルという本家の2のシステムを使ったストーリー。
前二つよりも文構成がうまい。最多の16人の生存者を出し全43話を完成させるが
作者本人いわく駄作らしく修正版を製作しているらしい。
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4部(全34話)
受験生が投下。展開スピードが早く、他の作者が約1ヶ月ほどかかったが4部は
わずか1週間ほどと言うスレ史上最速のスピードで終了。
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5部
今後の展開に期待。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こういう総まとめを見ると、文字でもデータでもなんとなくニヤニヤしてしまう俺は少数派だろうか。
それぞれの作品の特徴はなかなかいい感じにまとまってます。GJ
各シリーズの主人公といえるキャラは
1部メインヒロイン(正規ルート) 明石裕奈。
1部メインヒロイン(千雨ルート) 長谷川千雨。
1部メインヒロイン(古菲ルート) 古菲。
2部メインヒロイン(正規ルート) 朝倉和美。
3部メインヒロイン 龍宮真名&超鈴音。
4部メインヒロイン 鳴滝史伽。
という解釈でよろしいでしょうか?
一応1部が始まるよりも半年くらい前にバトロワが投稿されてたんだけどなぁ
すごく短いし適当だったが面白かった
当時は誰も相手にしてないクソスレだったが
あれが開祖といっても過言ではないと思う
>>212 確か最初は糞スレだったけど
後に作者1が投下をしてから
少しずつ良スレに向かって行ったな
その後作者が増えて今に至るわけだ
後…開祖ではなく過疎ではないか?
それに、人は多かったような希ガス
作者1の前のすごい勢いのあるヤツ、あれも結構好きだ
全然話題にも上らないが
>>214 ザジがなんとなく自殺するあたりとかな。
それしか覚えてないが…
あれもっかい見てーな
21 名前:ネギまバトルロワイヤル :05/02/09 05:55:12 ID:???
そのころ、ザジ「私、ネタないし自殺でもしとくか」
ズキューン!!
出席番号31番ザジ・レニーディ死亡
0部
スレ序盤で名無しの誰かが投下した作品。
終了も随一で、展開も超強引。
文もお世辞にも良いとは言えないが、中々味がある。
×終了も随一
○終了の速さも随一
このか「せっちゃん死なんといてやー」
セツナ「このちゃん今までありがとう、、」
セツナ「私はいいから早く!ごぼぉ」
出席番号15番桜咲刹那死亡
このか「せっちゃーん」
超「そんなに一緒がいいなら一緒に死なせてあげるネ!」
パララララララ、
チャオとハカセの新発明マシンガンで
このかの体に大量の穴が空く!
このか「げるぉじょばぁげぉ」
このか「せ、、せっちゃ、、」
パララララララララララ
出席番号13番近衛木乃香死亡
アレエヴァが全部「エウァ」になってるよなwwww
一部〜四部のそれぞれの名シーンでも上げてみるか
一部はこのせつGJに尽きると思っている。
俺も1部はこのせつが一番感動したな。今までのなかでこのあたりが一番好きだ。あと、最近のアキラと裕奈の最後もなかなかいい。
2部は一番印象に残った、という点では双子が死んだ時だな。まぁ、この意見はレアな気もするが。
3部はアキラと美砂のシーン、本編での絡みはないけど、それでもかなりよかった。
4部はゆえとのどかのシーンがわりと好きだったな。
今から全部見直してくる。
関東人の俺には亜子とこのかの書き分けができない…
誰か助言下さい…
このかは「やなぁ〜」とか言わせておけば、それっぽくなるのでは
切迫した場面だと通用しないけど
このかは
「〜するえ」とか言う
何となく自分でこのかっぽくなるようにはしてるが…
>>230-231助言THX!
とりあえずそれで逝ってみるわ。
最終手段としては木乃香と亜子と同じ場面に出さないとか、片方をさっさと殺してしまうとか。
・・・まぁ、逃げてもうまくはならないから、上達目指す場合はうまく書き分けたほうがいいけどな。
どうでもいいけど、名前を45から前スレ45とか3-45とかに変えないと、わかりにくいと思うぞ。
序盤はだましだまし書いてくしかないか…
助言くれた香具師THX.
あとコテはこれでおk?
実際に何部を書くか決まるまではそのコテがいいんじゃないか?
いつ表明したかわかりやすいしな。何部を書けばいいか決まったら〇部作者に変えればいいし
一部のくーふぇ読んでから四部のくーふぇ読むと少し笑えるw
笑顔が凍りつく。デイパックで隠れた左手で放たれた弾丸を食らい
刹那の体はくの字に折れ曲がった。
【残り16人】
323 名前:マロン名無しさん :2005/09/25(日) 00:33:32 ID:???
せっちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
324 名前:マロン名無しさん :2005/09/25(日) 00:34:15 ID:???
せっちゃーーーーーーーーーーーーーーん!!!!
326 名前:マロン名無しさん :2005/09/25(日) 00:51:43 ID:???
せっちゃーーーーーー(;゚Д゚)ーーーーーーーーん!!!!
327 名前:マロン名無しさん :2005/09/25(日) 00:51:47 ID:???
・・せっちゃんorz
まだ、まだ脱落するはずがないと信じます。
328 名前:マロン名無しさん :2005/09/25(日) 00:53:26 ID:???
せっちゃん…
死んだらイヤや
329 名前:マロン名無しさん :2005/09/25(日) 00:54:00 ID:???
滅茶苦茶続きが気になるところで終わるなあ
↑第1次スレ急速活性化
>>229 亜子は普通の大阪弁。
木乃香はそれプラス語尾が「〜るえ、〜うえ」になる場合がある木乃香弁。
(自分京都在住だけど、誓ってこんなしゃべり方の人はいない)
あと語尾を「や〜(やぁ)、て〜、えー、な〜」みたいに伸ばすと、おっとりした感じが出て木乃香っぽくなる。
例)亜子「それでええわ」
木乃香「それでえーなー」
悲鳴は「ひゃああ」、これ絶対。
あと既出だけど
くーふぇ「〜アル、〜アルヨ、〜アルネ、〜ヨ、〜ネ」
超「〜ヨ、〜ネ」
も完全に区別(超はアル言わないの掟)されてるので参考に。
>>229 目安としては、何となく上品に書けば木乃香、普通が亜子
って感じでいいんじゃないだろうか?
でも
>>240がまとめてくれてるのでそれ参考にすると尚良い。
誰か2スレ目と3スレ目のHTML下さいです。。。。
現状でまとめないなら漏れが全部まとめるので…
作者5氏に質問。ネギはどうなったんですか?
本日分、投稿します。
3 ≪迷いと願い≫
村上夏美(28番)は、困っていた。
こんな状況下に一人きりで投げ込まれたことはもちろんだが、さらにそれに加えて彼女を悩ませていたのは……
「これ……拳銃だよねぇ?」
彼女に支給されたデイパック。その中に入っていたのはなんとベレッタM9、つまり"当たり武器"に分類される拳銃だ。
何をすればいいかもよく分かっていないのに、こんな物を手にしても途方にくれるばかりである。
「あー、ちづ姉に会いたいよぉ……」
はぁ、とため息を吐きながら、叶いそうもないその願いを口にする。
那波千鶴(21番)。もちろん夏美の姉でもなければ血の繋がりもない、ただのルームメイトである。
しかし彼女の面倒見のいい性格に惹かれた夏美は、いつしか彼女のことを「ちづ姉」と呼び、実の姉のように慕っていた。
「これから、どうしよう……。……ッ! 誰っ!?」
突然聞こえた物音に敏感に反応し、そして即座に音のする方向へと銃を向けた。
だがよく見ればベレッタには安全装置が付いたままだし、銃口もカタカタと震えて狙いが定まらない。夏美の手が震えているせいだ。
ガサッ、ガサ……
人影が、現れる。
「……あら、夏美。そんなもの人に向けちゃあ駄目でしょう?」
草むらを掻き分けて出てきたのは……夏美が会いたいと願って止まなかった、那波千鶴その人だった。
4 ≪再会≫
海辺の岩場を、明石裕奈(2番)と釘宮円(11番)が歩いていた。
この二人が出会ったのは、少し時間を遡って30分前。
明石裕奈もまた、ゲームに参加する気のない者の一人であり、自分の武器である手榴弾をどうしようかと頭を抱えていた。
と、そこへフラリとやってきたのが釘宮円。
最初こそ警戒していた裕奈だったが、円に戦う気が……というより、気力そのものが無いことが分かると、一緒に行動しようと持ちかけた。
それに対して円は是とも非とも言わず……。ただ、どちらともなくお互いに付いていき、そうして今に至るのだった。
「ね…ねぇ。これから、どこ行こっか? 建物のありそうなところに行ってみる?」
「……」
極力明るい調子で話しかける裕奈の言葉にも、円は無言のまま。裕奈はまだ、円と会ってから彼女の言葉を聞いていなかった。
もちろん裕奈にも、なぜ彼女がこれほどまでに落ち込んでいるのかぐらい分かっている。
椎名桜子。チア仲間として、桜子と円と美砂はいつも一緒に行動していた。
その親友が、一瞬にして命を奪われてしまったのだ。何も悪いことなどしてはいないのに。
もし自分が彼女と同じ立場だったとしても、こうして塞ぎ込んでしまっていただろう……裕奈はそう思っていた。
「げ、元気出して! ほらさ、みんなを励ますチアガールが落ち込んでたんじゃ……」
その先を続けることはできなかった。
溢れかえらんばかりの涙をその瞳に湛えた円が、振り返って裕奈を睨んできたからだ。
「ご、ごめん……。軽薄だった、かな……あはは」
乾いた笑いを浮かべることしかできない。
円はふっと目を逸らし、そのまま、すたすたと歩いていってしまった。
(うぅ〜……参ったなぁ)
そう思いながらも、黙って裕奈は円の後を付いていく。
と、その時、前方から誰かの声が聞こえてきた。
「なぁー、元気出してやー。うちも困ってまうやんー」
その声の主は……
「あ、亜子!」
「あぁっ! ゆーなやないか!!」
裕奈と感動の再会を果たしたのは、和泉亜子(5番)だ。運動部仲間で、学園ではよく行動を共にしていた。
そして彼女と一緒にいたのは、宮崎のどか(27番)。
何かに脅えるようにして、挙動不審に身を縮こませている。
大人しい性格の彼女のことだ。目の前でクラスメイトが殺されたら、こうなってしまうのも当たり前だろう。
再会に胸振るわせる者二人、怒りと悲しみを胸に秘める者一人、そして恐怖と混乱に囚われている者が一人。
アンバランス極まりない四人が、今ここで一堂に会することとなった。
5 ≪急落≫
森の中を一人歩く少女がいた。神楽坂明日菜(8番)である。
左肩にデイパック、右手にはハリセンという、世にも奇妙な出で立ちで木々の間を闊歩していた。
「まったく……ふざけてるわよね」
クラス全員気絶させられた挙句、無人島に放たれて殺し合い。
その状況でも既に十分ふざけていると言えるが、それ以上に支給武器が「ハリセン」とはどういうことか。
もちろんハリセンなんて持っていても邪魔なだけだし、捨ててしまっても問題はないのだが、支給された以上なぜか手にしてないといけない気もする。生来の頑固な性格が難儀だった。
ところで、ハリセンといえば明日菜のアーティファクト「ハマノツルギ」の一形態であるが、仮契約カードでそれを具現化しようとしても何の反応も示してくれなかった。
おそらくは、アーティファクトの具現化だけでなく他の能力も制限されているのだろう。
何せ3-Aには、あの最強の吸血鬼、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルがいるのだ。何らかの対策が講じられているだろうことは容易に推測できる。
「それにしてもネギのやつ……大丈夫なのかな」
自分の担任であり、仮契約の相手でもある魔法使いの少年のことが頭に浮かんだ。
いつもヘラヘラしてて頼りなさそうだけど、たまにすごく凛々しい顔をする。そんな、不思議な少年だった。
修学旅行のバスの中で見たきり、彼の姿は一度も確認していない。
もしかしたら、もう……
「……ううん、そんなことない!」
首を振って、不安な思いを払拭した。俯いていた視線を前に戻す。
すると、少し進んだところに開けている場所が見えるではないか。ちょうど良い休息場所になりそうだ。
「……よしっ」
重かった歩調もちょっとだけ回復して、小道を進む。元気が出てきたかもしれない。
そして、ようやくその場所に着いて最初に目に入ったのは……
早乙女ハルナの、死体だった。
6 ≪逃避≫
そんなの、ありえないと思った。
同時に、ありえると思った。
矛盾。早乙女ハルナ(14番)は、矛盾していた。
この現実に嘆く自分と、この非現実を楽しむ自分。
リアルの自分と、漫画の中の自分。
みんなと仲良く話している時の自分と、夢のように広がる別世界を描いている時の自分。
ほんとのわたしと、うそのわたし。
どっちが、どっち?
分からない。もう、狂ってしまいそう。
……いや、あるいは既に狂ってしまっていたのかもしれない。
どんなに自分を誤魔化そうとしても、桜子が撃たれた時に降り注いだ、"あの液体"は本物だった。
だからやっぱり、分からない。
分からないままヘリコプターに乗せられて、分からないまま荷物を渡されて、分からないままヘリから下ろされて。
呆然としながらデイパックを開けてみると、出てきたのは一袋の顆粒薬。
説明書を読む。毒薬だった。
『ポックリ逝けます苦しまず!』
苦しまずに死ねる。そう知った時、途端に彼女の思考は"逃避"の二文字に支配されてしまった。
──こんなとき、ヒロインならどうしてたんだろうな……
最後にそんなことを思いながら、彼女は薬を口にする。
こうして早乙女ハルナは、何も分からないまま死んでしまった。
【14番 早乙女ハルナ 死亡 残り28人】
7 ≪そして彼女を越えて往く≫
「そんな…パルが……」
明日菜は呆然と立ち尽くしていた。
外傷は、ない。地面に落ちているのは毒薬の説明書。
『ポックリ逝けます苦しまず!』
そんな文字が、陽気に踊っていた。
──つまり、彼女は……。
普段は、あんなに明るかったのに。みんなを笑わせてくれてたのに。
明日菜は理解した。この島がいかに異常かということを。
理解すると同時に、しかし彼女は決意を固める。
自分はオカシクなってはいけない、と。自分は自分のままでいてやる、と。
それが、このゲームを考えた糞みたいな人間に対する最大の報復であり、このゲームの犠牲になったパルに対する最大の慰めであるから。
早乙女ハルナの死体を前に、明日菜は合掌して黙祷を捧げた。
と、その時、
「……あれ? アスナやないの……?」
その場に、近衛木乃香(13番)が姿を現す。彼女は神楽坂明日菜のルームメイトだ。
「えっ、このか!?」
「よかったぁ〜、ウチ、どないしよう、と……」
一度は安堵の表情を浮かべた木乃香も、"それ"を目にした瞬間、顔に緊張が走る。
「あ、アスナ…それ……」
恐る恐る、といった様子でハルナの死体を指差す。
「……私が来た時には、もう……。たぶん、この毒で自殺したんだと思う」
明日菜は空っぽの袋を摘み上げて言った。
「そ、そか……」
お互い、ばつが悪そうに目線を逸らす。そのまま、気まずい沈黙が続いた。
しばらく経ってから、明日菜はハルナの死体を抱き上げ、草陰に横たえた。
そしてハルナのデイパックから水と食料を取り出し、半分を木乃香に差し出す。
「ほら、このかの分」
しかし、木乃香は受け取ろうとしない。
「ねぇ、パルの分まで……私たち、生きよう?」
木乃香は数瞬だけ逡巡した後、
「うん……そやな。ウチらが、頑張らなな」
そう言って、明日菜から受け取った。
水と食料をそれぞれのデイパックに詰め、すっくと立ち上がる。
「よし……っと。それじゃ、行こっか!」
「おー!」
お互いに心を寄り添わせられる親友と共に、二人はまた森の中を歩き出した。
今回はここまでです。
オリキャラに関しては……すいません、ひとえに自分の実力不足のせいです。
最初はタカミチが黒幕で書いてたんですけど、書き進めてく内に
「こいつ誰だよ」
って感じになってきてしまい……結局、オリキャラを設置して無難な道を選ぶことにしました。
ネギまSSだから原作キャラだけで構成した方がいいに決まってるんですけど……申し訳ないです。
オリキャラ嫌な人には悪いですが、第5部終了まで我慢して読んでいただけると嬉しいです。
パル、四部で折角最後まで残ったのに再びこんな役に戻っちまったなw
GJ! キャラ同士の会話のがかなりいい感じです。
GJ!
ところで、自殺って作者0のザジ以来だっけ?
1部のちづ姉も飛び降り自殺。
2部も、灯台にいた人が数人自殺してなかったか?
なんかもうね…
SS上手過ぎとしかいいようがあqwせdrftgyふじこI
何か人が死んでるのにあっけらかんとし過ぎているような・・・?いや、すまん
>>260 原作やゲームだと亜子は精神的に弱いほうで
逆にハルナは図太い感じなんだけどな。
まあ、その辺は作者の個性ってことでいいんじゃないかと思う。
投下マダー?
今日はもう無いんじゃないかな?
今回分、投稿します。
8 ≪駆り≫
「はっ、はっ、はぁっ、はっ!」
綾瀬夕映(4番)は、森を駆けていた。
特に理由があるわけではない。
ただ、怖かった。
目の前でクラスメイトが殺された。それだけで十分だ。
前、後、左、右。どこから何が来るか分からない。
恐怖と、焦燥感に駆られて走る、走る。
ガサリ
夕映の足が、止まった。
ガサ、ガサ
自分の立てている音では……ない。
「ひッ……!」
ボウガンを、物音のする方へと向ける。
ガサッ、ガサッ、ガサッ、
音がどんどん近づいてくる。
「こ、来ないで…です……」
ガサ、ガサガサ、ガサ、ガササッ、
「来な…いでッ!」
引き金を、引いた。
ヒュッ!
トスッ
「かはっ……」
肺から空気を押し出すような声が聞こえたきり、音は近づいてこなくなった。
「あ…あ……」
ガクガクと震え始める夕映。
殺した? 私が? どうして? なんでなんでなんでなんでなんでなんで──ッ!
その恐怖に耐え切れずに、夕映はまた駆け出す。
後には、朝倉和美(3番)の死体だけが残されていた。
【3番 朝倉和美 死亡 残り27人】
9 ≪第一回定時放送≫
あー、あー。
聞こえるかな、3-Aの諸君。
僕だよ。榎本だ。
言ってなかったと思うけど、毎日、朝夕2回ずつ定時放送を入れて死亡者の報告をするからね。
とは言っても、今回はあまり仕事がないなぁ。
死亡者は3番・朝倉和美と14番・早乙女ハルナの二人だ。
……全く、ふざけてるのか?
こんな調子じゃ三日後のタイムリミットに間に合わないぞ。
がっかりだなぁー。せっかく強い武器をあげた子もいるのに。
心当たりのある者は、頑張って殺しまわってくれよ? 期待してるぞ。
それじゃ、また明日の朝に……。
10 ≪吸血鬼の期待≫
「……まったく人間は、いつの時代もくだらないことを考えつくものだ」
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル(26番)がうんざり顔で呟く。
彼女は切り株の上に腰掛けており、そしてその傍らには絡繰茶々丸(10番)が静かに佇んでいた。
「しかし、まだ死んだのが二人だけとはな。……ふん、まあ多少は芯のあるクラスになっているようじゃないか」
そう言うエヴァンジェリンの顔には、心なしか嬉しそうな色が浮かんでいる。
──それに、もしかしたらその二人も自殺しただけで、まだ殺人すら起こっていないかもしれない。彼女はそうも考えていた。
「マスター。これからどうなさるつもりなのですか?」
茶々丸が、しずしずと尋ねる。
「何。こんなゲームに乗るつもりはない。
だが……そうだな。明日の朝の放送までに5人以上殺されているようなら、そんなクラス、私が潰してやってもいいかもしれないな」
苦笑しつつ、エヴァンジェリンはそう言った。
それが彼女の本心からの言葉ではないということぐらいは、機械の茶々丸にも理解できた。
おそらく彼女がゲームに参加することはないだろう。たとえ明日までに5人以上が殺されていても、だ。
「ふぁあ……眠い。私はもう寝る。茶々丸、誰か来たら追い払っておけ。実力行使しても構わん」
「了解、マスター」
そしてエヴァンジェリンはもう一度だけ大きなあくびをかまして、その場に横になって目を閉じた。
姉のチャチャゼロが言うとおり、私のマスターは少し甘くなったのかもしれない。
…………だが、それも悪くないだろう。
茶々丸は、そんなことを思考していた。
11 ≪斜陽≫
三人は、市街地の中でも東よりの、とある民家に集まっていた。
「いやはや、五月と会えて良かったアル。ワタシ腹ペコで死にそうアルヨ〜」
「でも、私が何も作らないで古が死んじゃっても文句は言えないよね。バトルロワイアルだもん」
そう呟きながらも、四葉五月(30番)は民家の中にあった食材と調理器具を使って、手際よく料理をこなしていた。
まぁこんな軽口を叩き合えるのだから、彼女らはまだこのゲームに毒されていないと言えるかもしれない。
「うーん、そうなったら私も困るネ。五月の料理が食べられないくらいなら死んだ方がましヨ」
超鈴音(19番)の言葉にも、古菲(12番)は大真面目な顔をして「うん、うん」と相槌を打った。
この三人の繋がりは、「肉まん」と言っても差し支えないだろう。
麻帆良学園でもかなりの規模を誇る料理ブランド、「超包子(チャオパオズ)」
超はそのオーナーであり、五月はそこで料理を作っている。そして古は、超包子の肉まんの大ファンなのだ。
この三人に葉加瀬聡美(24番)を加えた四人組は「超一味」と呼ばれており、よく行動を共にしていた。
「はい、できあがり」
そう言って五月は完成した料理を机の上に並べていく。
彼女は中学生にして天才的な料理の腕を持っており、殊に点心料理に関しては彼女の右に出る者は麻帆良にいないと言われている。
「あぁ〜、もう我慢できないアル!」
猛烈な勢いで料理を貪り始める古。その様子を、五月はただニコニコと眺めていた。
「それじゃ私、水くんでくるネ」
言って、超は席を立って台所の水道へ向かう。
「私も、いただきます」
五月も椅子に座り、律儀に手を合わせてから料理に手を付け始めた。
「はい、水持ってきたヨ」
超はコップに入れた水を三杯持ってきて、二人に差し出す。
「ありがとアル〜」「ありがとう」
「いやいや、気にしないでほしいネ。それじゃ、私もいただくことにするヨ」
そうして、超も席について料理を食べ始める。なぜかとてもゆっくりと、心から味わうように……。
陽の沈みかけた、夕暮れのことだった。
12 ≪彼女の進む道≫
草木を掻き分け、一人の剣士が森の中を突き進んでいた。
「お嬢様……このかお嬢様……!」
桜咲刹那(15番)の顔に、焦りの色が浮かぶ。誰かに追いかけられているからではない。自分の大切な友達を……守らなくてはいけない人を、見つけるためだ。
彼女と近衛木乃香(13番)とは幼馴染であり、かつ主従関係にある。
刹那は木乃香に内緒でずっと護衛をしてきた。……まぁそれも、あの春の修学旅行でバレてしまったのだが。
しかしそれでも木乃香は「今までみたいに友達で」と自分に声をかけてくれた。
正直、嬉しかった。
だが、だからといってその言葉通りに振舞うわけにはいかない。
自分は神鳴流の剣士で、彼女は近衛一門の一人娘。
そして何より近衛木乃香は、桜咲刹那を救ってくれた恩人なのだから。
──しかしそれが、こんなことになってしまうとは……
もし自分がいない内に、彼女が誰かに襲われでもしたら…そう思うと、更なる焦燥心に駆り立てられる。
が、いくら探しても見つからない。いったい、どこにいるというのか……。
「絶対に、私がお嬢様をお守りしなくては……!」
そして決意も新たに、剣士は黄昏の森を突き進むのだった。
今回はここまでで。
ところで、前回の反省なのですが……
>>260さんの言う通り、7話は確かに展開を急ぎすぎてキャラ描写が適当になってしまっています……。
切り替えの早い明日菜はともかくとして、木乃香が親友の死をすっぱり割り切っているのはキャラクターが破綻してます。改めて読み返したら違和感バリバリですね……。
なので、7-2の訂正をお願いします。
「おー!」 → 「……うんっ」
これからもこんな風に後付けで誤魔化すようなことがあるとは思いますが、どうかよろしくお願いします。
あ、あと
>>260さん、鋭いご指摘ありがとうございました。
GJ!
後の展開が気になりますね…
275 :
260:2005/12/01(木) 20:09:57 ID:???
GJ
いえいえ、私の方こそ失礼致しました・・・
これからも是非頑張ってください。
榎本の名前を坂持あたりや現存しない苗字に変えて欲しい俺ガイル
我侭かもしれないが直視できない…
確かに敵が、しかもBRみたいな残虐な野郎の名前が自分の名前だと少し鬱になるな…
とりあえずGJ
そうだね、坂持でよかったよね
榎本に関してですが、申し訳ないのですが「坂持」などの現存しない苗字に変えることはしたくありません。
一般的な苗字の持つ普遍性。自分達の社会に溶け込んでいるかのような不吉さ、不気味さ。
それらを込めたくて、彼には「榎本」の名を付けさせてもらいました。
ですが、これからも彼にはいかんなく悪役を演じてもらいます。結構ひどいです。
なのでどうしても耐えられない場合には、お手数ですが、テキストファイルにコピペして、置換機能で任意の苗字に変えていただきたいです。
できれば一般性のある他の苗字に置き換えてもらいたいのですが、「坂持」の方がしっくり来るというのなら「坂持」にしてもらっても構いません。
ただし、原作の坂持のキャラクターとは少し違うと思いますが……。
坂持金発はもろあの教師だからな・・・喋り方とか
//,'イ' //〃 〃 ,イ! ‖i | ヽ i! ‐- 、
/ , ' / / イ/イ!i /イ 〃|| l| l l ミ、 || 丶、
. , ' /,〃 ,' ./.|! || |!、,'.| | |i || |! i| '、 ヾ, |! ヽ 丶
′ 〃/ ,' / !L!| |!,ヘ,」 |! ! | ‖ '、 ヤ i| i `、 \
/ ! ,イ i| | レヒ! _」こヾ、 ``┘ ! ヽ, -‐ ミ ,ハ i |ト ヽ ヽ
. ′ i/',i ,〃´! k'´-ー:ェェヮ;::) f';;_-ェェ-ニ ミ / l ! ! '、 ヽ ヽ
! || ハ. リ| !|ヽ"::::''  ̄´.::;i, i `'' ̄ r';' } イく. i|.i l ヽ ヾ
ヾ! ヽi| i!!. l ::. ....:;イ;:' l 、 ,l,"/||ヽ } || ! ! ヽ. ト
i||! ‖ヽ;:...:::/ ゙'''=-='''´`ヽ. ,イリ|| /ノ ||. | ! '、 l ヽ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l|!li |ヤ ::゙l ::´~===' '==='' /ニ´ |レ'" !! |.l `、 l ヽ. | 久々に刹那
‖|| ! ヾ::| 、 :: `::=====::" ,. '`¬´ 1! ‖ !| '、| | オリキャラなしで殺しあってたのが
‖|| | ! ヽ ` , ィ ´ || | || リ < 昔のネギまBRなんだよな
|! !! ! l ィ丶 __ , '´爪ヽ. |! ! . ‖ | 今のネギまBRは簡単にオリキャラとか
|! || | ! / | ,. " i リ | ! | 出してくるから困る
|| || |_, ' メ 人,r─' ´ ト、 / \________
>>282 一般的な苗字をつけよう、と思った理由は本当です。
「榎本」と名付けた理由に関しては、埼玉県(ネギま!の舞台)で多い苗字ベスト100の中から語感の良いものを選びました。
だから「榎本」自体にそこまで執着はないんですが、今から変えるとまとめの人も面倒だと思ったので……。
まとめの方が別に構わないのなら、「遠藤」あたりに変えようかな、とも思っています。
それでは、投下します。
13 ≪裂≫
「でさぁ、見たらこんな銃入ってるんだもん。そりゃもうびっくり仰天」
「あらあら、いいじゃないの。私なんてコレよ?」
笑いながら那波千鶴(21番)が取り出したのは、ハサミ。
「まったくもぅ、何を工作しろって言うのかしら」
「あははっ! 髪が伸びたら切ればいいんじゃない?」
「ふふ、そうね」
仲睦まじく会話をしながら、支給された食料を頬張る。
必要最低限の栄養を練り固めただけの非常食など美味しいはずもない。
だがそれでも、二人で食べる夕食は、ただ楽しかった。
狂った島の中にあっても、ここには"家族"の温かみがあった。
「ふぅ、ごちそうさまー。私……ちょっとトイレ行ってくるね」
食事を終えた後、夏美は少し恥ずかしそうにそう言った。
「あら、そう? 他の人に見られないようにね」
ニコニコしながら忠告する千鶴に対して、「だいじょぶだよー」と返し、夏美は草陰に入っていった。
一人になって、千鶴は思う。
夏美が自分のことを姉のように慕ってくれているのは分かっている。何故なら自分も彼女のことを妹のように可愛がっているからだ。
確かに家事全般は自分がこなしているし、夏美からプライベートな相談を受けたことだってある。
だが、それはただ単に千鶴が一方的に夏美を支えているというものではない。
自分自身、彼女の笑顔に何度励まされ、救われたことか。もはやそれも数え切れない程だ。
特に今回。
実のところ、不安でいっぱいだった。押しつぶされそうだった。
始まって早々に夏美に会えてなかったら、どうなっていたことだろう……
絶望して自殺を図っただろうか? それとも気を違えて殺人鬼に成り果てていただろうか? 想像もつかない。
これからどうやってこのゲームに決着をつけるかまでは考えていない。
だが、それでも今、自分のやるべきことぐらいは分かる。
今の生活を、彼女を、守ること……ただ、それだけだ。
──そう、思っていた。
「いやああああああっ、あぁぁぁっ、あぁっ!!」
夏美の叫び声。
「夏美ッ!?」
手元にあったベレッタを咄嗟に拾い取り、千鶴は彼女が消えた草むらへ飛び込んだ。
そこで見たのは……
地面にうずくまり、ビクビクと痙攣する背中。
その背中から、おかしな突起物が生えていた。
ゆったりと現れたもう一つの人影がその突起物……いや、ナイフの柄に手をかけて、引き抜く。
ドプッ
真っ赤な……それはもう真っ赤な血が噴き出した。
「あっ、かはっ……」
口からも大量の血を吐き出し、苦しむ夏美。
そして彼女の傍らで、血塗れのナイフを手に立っているのは……
ザジ・レニーデイ(31番)。
とりあえず、殺そうと思った。
何が起きたかは分からないけれど、夏美が苦しんでるから。だから。
右手には、ベレッタM9。銃。凶器。人殺しの道具。
安全装置を外した。
ザジのこめかみに照準を合わせる。
だが、銃口が震えて定まらない。
夏美が、あんなに苦しんでいるというのに──!
……と、その時。
無表情に夏美を見下ろしていたザジの口元が、ぐにゃりと歪んだ。
──笑った。
もう迷わなかった。照準をしっかりと合わせ、引き金を引く。
轟音。射出される弾丸。歪んだ笑みを湛えたまま、わずかにこちらに振り向くザジ。
だが、もう遅い。
弾丸はザジ・レニーデイの脳を貫通し、彼女に死をもたらした。
実にあっけなかった。
地面に倒れ伏すザジなどには目もくれず、千鶴は夏美のもとへと駆け寄る。
「夏美っ、夏美! ねぇ、しっかりして、夏美!!」
「ちづ…姉……?」
千鶴が夏美を抱きかかえる。その間にも、夏美の身体からはドクドクと血が流れ出ていた。
「あはは……ごめ、ん、ね……。また、迷惑……かけ、ちゃった、はは……」
「もう、大丈夫だから。ねぇ、お願い、夏美……」
「でも……わた、し……よか…た、よ? ちづ姉に、会え…たから……」
「置いてかないで……私を、一人にしないで、ねぇ!」
「だか…ら、……ちづ姉、」
「なつみ……?」
ありがとう。
大木の根元にある窪みに夏美を横たえ、千鶴はそれを静かな目で見つめた。
「夏美……」
呼びかけても、もうあの笑顔は返ってこない。
千鶴は自らの髪を一房かき上げ、それをハサミで切り落とす。
──あははっ! 髪が伸びたら切ればいいんじゃない?
切り落とした髪は、夏美の胸元にポトリと落ちた。
「……さようなら」
一言だけそう言い残して、那波千鶴は静かにその場を歩み去っていった。
【28番 村上夏美、31番 Zazie Rainyday 死亡 残り25人】
14 ≪遅れて来たヒーロー≫
麻帆良学園中等部3-Aの担任教師はお子様である。
イギリスの有名魔法学校をわずか5年で主席卒業し、「立派な魔法使い(マギステル・マギ)」になるために麻帆良へ就任してきた、若干10歳の天才少年……。
それこそが、ネギ・スプリングフィールドという人物だ。
で、
その担任の先生が倒れていた。
「うぅ〜ん…お姉ちゃん……」
寝ていた。
「うわぁっ、やめてくださいアスナさんっ! パンツ、パンツだけはっ!」
「変な寝言を言うなっ!」
スパァン!と一閃。音の原因は、神楽坂明日菜の振るったハリセンである。
「ほえ……? あ、アスナさん……?」
寝ぼけ眼で起き上がる子供先生。明日菜は呆れて、
「そうよ。いいから、いつまでも寝ぼけてないでさっさと起きなさい!」
「ふあぁ〜い……」
あくびのせいで間が抜けた返事を返しながら、ネギは体を起こした。
「……まったく、死んじゃったんじゃないかって心配してたのに……」
ちらりと窺えば、ネギは茫としながら瞼を擦っている。
辟易して、明日菜はため息をついた。
「ん、んぅ……って、あれ? ここ、どこですか?」
ネギがきょろきょろと周りを見渡すと、そこは森の中。学園都市の外れにある森だろうか?
「ネギ、あんた……? ……、そうか」
ネギは何も知らされていないらしい。いや、知っていたらこんなところであんな幸せそうな寝顔を曝け出していられるはずがない。
だがしかしこの状況。明日菜もさすがに隠し通すことはできないと思ったのか、事のいきさつを淡々と説明し始めた──
「あのね、ネギ。落ち着いて聞いてね……」
「──っていう、ことなの」
「ころ、し……あい? ……冗談でしょ、アスナさん?」
ネギは、信じられない、という面持ちで明日菜を見つめる。
だが、彼女が神妙にかぶりを振る様子を見て、その表情に陰りが差した。
「……本当なんですか?」
今度はこくり、と頷く。
「そう、ですか」
俯き、呟くネギ。やはり10歳の少年にこの現実は重すぎたのかもしれない。
「信じられないかもしれないけど……でも、今は私を信じて」
「……はい、分かりました」
明日菜は大仰に「よし」と頷くと、
「とりあえず、あっちにこのかを待たせてるの。急いで帰るわよ!」
ネギの手を引いて、夕暮れの森を駆けていった。
森の東の外れ、山の麓に、暗い空洞がひっそりとその口を開けている。隠れるにはうってつけの場所だろう。
二人は洞窟にするりと身を潜り込ませた。
「ただいま、このか」
「おかえりー、アスナ……って、ネギ君やないの!」
驚きを露わにして、木乃香は叫んだ。
「どうもこんにちは、木乃香さん」
ネギは生真面目に、ぺこりと頭を下げる。
「さっき、川から帰る途中で見つけたんだ。道の脇に倒れてて」
「えー、ネギ君、どないしてたん?」
「あ、それ私も聞いてなかったわね。どうしてたのよ?」
二人がネギに向かい合う。それに対し、ネギは困った表情を浮かべ……
「実は、僕もさっぱり覚えてないんですよ……すいません」
「へぇ、じゃあアンタ、バスで気を失ってからは何も覚えてないんだ」
「はい、気付いたのはついさっきです」
「ネギ君も、難儀やなぁ。あ、そや……はいコレ」
木乃香がネギにビスケットを分け与えた。ビスケットは、支給食料の中でもかなりマトモな物なのだが……。
しかしネギはデイパックも何も支給されていない。着の身着のまま──首輪は付けられているが──投げ出された以上、食料も何も持っているわけがなかった。
だが逆に、それのおかげでネギの手元にはいくつかの重要なアイテムが残っている。
エヴァンジェリンから貰った指輪型の魔法媒体に、4枚の仮契約カードだ。
「……とは言っても、どれもここじゃ役立たずなのよねー」
そう。ネギの持つオリジナルのカードでも能力を行使できなかったし、媒体があっても魔力を封じられているのでは意味がない。
「うぅ、どうもすいません……。簡単な魔法ならまだ使えるんですが……実際にどこまで役に立つか、っていうと……」
申し訳なさそうにうなだれるネギ。年相応の身体が、縮こまるとさらに小さく見える。
「ネギ君のせいやないって。落ち込んだらあかんえ」
「そうそう、へこんでたってしょうがないんだから。とりあえず、明日になったらどうするかを考えなくっちゃ」
ハキハキとその場を取り仕切る明日菜。この状況においても彼女の明るさは、とても貴重なものであった。
「そやねぇ……うん、学校に戻ってみたらどーや?」
「なんで?」
「あはは、何となくや。ほら、学校ってゆーたらみんなで仲良うする場所やないか。だから、他のみんなも集まっとるかもしれんえ」
木乃香の提案は突拍子もなかった。だが特に方策の無い彼らには、それを否定する理由も無い。
「まぁ、いいんじゃないの」
「はい、僕もいいと思いますよ」
頷き、賛同の意を示す二人。
「ほな、決まりやなー。……ふあぁ。悪いけどウチ、ちょっと疲れてもうたから寝させてもらうわ」
「そうね、今日はだいぶ歩き回ったし……私ももう寝ようっと。おやすみ」
言いながら、二人は寝袋を取り出す。
「あの、僕は……」
「ああ、アンタ何も貰ってなかったんだっけ。……まぁ、私とこのかの間で寝たら?」
それを聞いてネギは少し不満げな表情を浮かべるが、しかしそれ以上の案も考えつかないのだから仕方ない。
ネギは二人の間に入り込み、静かに意識を閉じていった……。
15 ≪クラス委員長のお仕事≫
その頃、市街地北のとある小ビルでは──
雪広あやか(29番)が、屋上へ続く階段を一歩一歩踏みしめて登っていた。
その姿はまるで、十三階段を登る死刑囚の様。
だがしかし、それはある意味で正しいのだろう。
何故なら、彼女はこれから死にに行くのだから。
自殺するわけではない。そんなことは彼女のプライドが許さない。
彼女はあくまで死刑囚。法の道を外れたがために、支配者によって裁かれるのだ。
その右手には、拡声器。支給武器がコレだったのは、偶然だったのか。あるいは必然だったのか。
どちらでもいい。
ただ今は、自分のやるべきことをやるだけ──
そして、あやかは屋上へ通じる扉を開けた。
ザアァッ……
途端に、一陣の風が吹き抜けていった。秋風が気持ち良く彼女の髪をなびかせる。
あやかは少しだけ目を閉じて、その心地よい流れに身を任せた。
そして、思い出される学園での日々。
とても、とても楽しかった……。
おそらく自分はここで殺されるだろう。この忌まわしい首輪によって。
死ぬ。怖い。もちろんだ。震えが止まらない。
……でも、これが私の仕事。
クラス委員長としての、最後にして最大の仕事だ。
あやかは意を決して、屋上へと踏み出した……。
屋上の際にそびえ立つフェンスの手前に立ち、深呼吸。
眼下には黄昏に染まる街並みが広がっている。
あやかは拡声器を持ち上げ……スイッチを、入れた。
「みなさん、聞こえますか? 私です。雪広あやかです。これから私の言うことを、よく聞いてください」
焦る。急がなくては。これは時間との戦いだ。早く伝えるべきことを伝えなくては、いつ殺されてもおかしくない。
「私はもしかしたら榎本に……政府に殺されるかもしれません。
ですが、もし私が殺されたとしたら、その時は私の勝利ですわ」
こう言えば自分は殺されずに済むだろうか。
──ありえない。
甘えた考えを持つ暇があったら、今はただ、この想いを届けなければ……!
「私は、このクラスに誇りを持っています。麻帆良……いえ、世界中で一番のクラスだと信じています。
ですが今、私たちは陥れられ、このようなくだらないゲームに巻き込まれてしまいました。
現に……三人ものクラスメイトが、既に命を落としてしまっています。
ですが、犠牲をこれ以上出すことはありません。それは彼女達に対する冒涜に他ならないからです。
そして、もう仲間を恐れないでください。誰も、こんなことをしたいわけはないのですから。
これは私たちの誇りを守る戦いです。皆さん、手を取り合って、3-Aの
爆発した。
【29番 雪広あやか 死亡 残り24人】
今回は以上です。
正直、榎本の存在がここまでスレの空気を乱すなんて思い至りませんでした。
オリキャラを不用意に適用したことも反省しています。
少しぐらい無理して、黒幕高畑のまま書き続けてれば良かったですね……。
>>283 ネギまの舞台って埼玉だったのか?そんなの初耳だぞ
GJ!
オリキャラはまぁ、キャラモノであるが故に入ってくると変に目立つから嫌ってのはあるけど、
まぁ、やっちゃったのは仕方ないのでがんばってください。
そして、またいいんちょ生存率0%キープ。
>>294 麻帆良学園の外観モデルが埼玉県の深谷駅って事だと思う
それはモデルってだけで舞台ってわけじゃないんじゃあ……
あれ、自分はどっかで埼玉って見た気がするが気のせいか
修学旅行の集合場所は駅は大宮だったな
ミスフルといい、東京以外だと埼玉が舞台の漫画って結構あるんだな
>>298学生証に埼玉県麻帆良市って書いてあった希ガス
うはwww俺埼玉県民wwwwwww
ちょっと麻帆良市探してくる
今日はおいしいシチューよ〜
朝になったのに帰ってきませんね…
誘拐事件かな?それとも非行…?
警察にTELしないと…
も、もうちょっと落ち着けよ。
アイツだってもう子供じゃないんだし・・・
とりあえずアイツの携帯に電話してみようよ。
繋がらない・・・
309 :
マロン名無しさん:2005/12/03(土) 11:54:53 ID:MqbzvJnu
age魔神参上
>>308 ちゃっとこれはヤバイんじゃないの?
警察にTEL入れてみたほうがいいってww
>>310 テラワロスww
>>310 旅勃ちの歌以来のヒットだなw
一見age荒らしでスレ違いっぽいが「♪ハピ☆マテのVIP STAR〜」だから、いいのか?
面白ければ正義なのか?
投下させてもらいます。
16 ≪旧友≫
想定外の展開に一時は騒然となった主催本部だったが、今は仕事を終え、皆一様に安堵の表情を浮かべていた。
「まったく……責任感の強いクラス委員長もいたもんだ」
榎本も懐からタバコを取り出し、口にくわえる。
「義明。これぐらいの事で本部がパニックに陥るなんて、ちゃんと統率が取れていないんじゃないのかい?」
背後から現れた男が、そう言って榎本を揶揄した。
「うーん、痛いところを突いてくるね、タカミチ。まぁ、組んで一週間の即席チームなんだから仕方がないさ」
榎本は苦笑して、タカミチと呼ぶ男の方を振り返った。
高畑・T・タカミチはネギ同様に麻帆良学園中等部の英語科教員であると同時に、3-Aの元担任だ。
今回のバトルロワイアルに関しては彼が政府と学園のパイプラインの役割を果たし、学園内でのBR最高責任者となっている。
更に言えば彼と榎本は魔法学校の頃の同級生であり、当時はよくつるんで悪戯ばかり繰り返していた。
「……ところで、何でネギ君までバトルロワイアルに参加しているんだい?」
高畑は17番モニター……神楽坂明日菜、近衛木乃香、そしてネギ・スプリングフィールドの写るウィンドウを指差して、榎本に尋ねた。
「さぁね。BR法が麻帆良学園中等部3-Aの中の"未成年"に適用された……それだけのことだろ」
榎本はそう答えるが、高畑は疑い深い眼差しを彼に送り続ける。
「……っていうのは建前だ。タカミチ、お前も"賭け"のことは知ってるよな?」
「ああ、もちろん。上の人たちも暇なんだな」
バトルロワイアルは、正真正銘、生きた若者たちがお互いを殺し合うゲームである。
こんなに背徳的で刺激的なゲームを、退屈に飢えるお偉方が見逃すはずはない。
そして、彼らは閃いた。そうだ、このゲームを賭けの対象にしよう、と。
こんな単純な経緯から、政府の重鎮や業界の上役などの間でバトルロワイアルのトトカルチョが行われるようになったのだ。
リアル遭遇
「それで、トトカルチョ参加者の中からネギ君のことを知る人が出始めてさ。なんせサウザンドマスターの息子だ。
『ネギ・スプリングフィールドに賭けてみたい』という声が出るわ出るわ。
賭博参加者の大半がその意見を支持したもんだから、こういう結果になったというわけ」
何でもない、というように榎本は肩をすくめる。訝りながら、高畑は、
「……でも、島全体に対魔力装置が働いている以上、彼はただの10歳の子供に過ぎない。それでも賭けると言う人がいたのか?」
「対魔力装置と言っても万能じゃあない。例えばネギ・スプリングフィールドの魔力できちんと詠唱をつければ、魔法の射手(サギタ・マギカ)の5本や10本撃つことは可能だろう。
……まぁ、そうは言っても彼の実力では勝ち残るのに厳しいのは確かだ。おそらくは興味本位で賭けている者ばかりだろうね……十口以上賭けているのなんて、ほんの数人しかいない」
榎本は、つまらなそうに手元の資料を叩きながらそう言った。
「興味本位で、か……」
そう呟く高畑の声は、本部の喧騒にかき消されて誰の耳にも届くことはなかった。
17 ≪紅の声は染まりゆく≫
市街地の中でも北寄りのとある民家に、長谷川千雨(25番)は潜んでいた。
支給武器はネコ耳。もはや武器ですらない。
こんな状況下でネットアイドルのコスプレをしろとでも言うのだろうか。
「あー、ったく。どうすりゃいいんだ……」
頭を抱える千雨。武器が武器ならゲームに乗ってやってもいいとさえ考えていたのだが、実際はネコ耳なんだからどうしようもない。
考えられる選択肢は二つ。ここで自殺するか、あるいは誰かと一緒に行動してゲームに乗るなり、政府を討つなりするか。
「なんかもう、どうでもよくなってきた……」
考えてみれば、超人じみた強さを持つ生徒が3-Aに多数存在していることは麻帆良祭の時に重々思い知らされていた。そんな奴らを相手に殺し合いをして、勝ち残れるわけがないだろう。
政府を討つにしたって結果は同じ。何の方策も浮かばない以上、あちら側の土俵に立たされている現状でどうにかできるとは思えない。
結論。自殺。
民家奥の台所に入り込み、ガスの元栓を探した。
「あった…」
コンロの裏に元栓を発見する。あとは窓を閉め切って、元栓を開け放てばそれで全て済む。
と、その時。
『みなさん、聞こえますか?』
声が聞こえてきた。
「この声……いいんちょか?」
窓の外から聞こえてくる声に耳を傾ける。
どうやら彼女は、クラスをまとめようと説得を試みているらしい。
「……馬鹿なことしてんじゃねえよ。本当に殺されちまうぞ!」
勢い良く家から飛び出し、声の聞こえてくる方向へ駆け出した。
『現に……三人ものクラスメイトが、既に命を落としてしまっています』
大通りを一直線に駆け抜ける。こんなに目立つところを走っていたら、殺人鬼に見つかってしまうかもしれない。
だがそんなことにも構わず、千雨は走り続けた。
『そして、もう恐れないでください。誰も、こんなことをしたいわけはないのですから。
これは私たちの誇りを守る戦いです』
三つ目の角を曲がる。すると、目の前に小さなビルが立ちふさがる。
見上げると、屋上に雪広あやかの姿が確認できた。
彼女は、拡声器を手に、未だ演説を続けている。
『皆さん、手を取り合って、3-Aの』
「おい! もうやめ…」
ボゥンッ!
雪広あやかの首に、赤黒い花が咲いた。
成す術もなく、千雨はただそれを眺めていることしかできない。
崩れ落ちるあやか。そして彼女は、千雨の視界から消え去った。
だが、それでもまだ千雨は屋上の一点を見つめている。
「ばかやろう……何で、こんな馬鹿なこと……」
どんなに罵りの言葉を吐こうと、雪広あやかの最期の一瞬が目に焼きついて離れない。
──だって、彼女は最後まで微笑んでいたから。
市街地の一画に立ち尽くす千雨。ポツリ、ポツリと雨が降ってきた。
「あーあ……あんなの聞かされたら、自殺も殺しもできねーじゃねぇかよ……ったく」
辟易したように、彼女はそう独りごちた。
18 ≪落日≫
市街地の東地区は、ひっそりと静まっていた。
その中でただ一人蠢く者──超鈴音。
彼女は仲間であるはずの四葉五月のデイパックの中身を漁っていた。
当の四葉五月、そして古菲は仲良く揃って地べたで熟睡している。
そして、超が中から取り出したのは……五月の支給武器、ポケットピストル。
同じく探し当てたピストルの弾を六発取り出し、装填する。
彼女はおもむろに銃口を古菲へと向けた。首筋に照準が合う。
パンッ!
乾いた音が響いた。古は驚きに目を見開くが、超は立て続けに彼女の胸元へと発砲する。
再度、銃声。驚愕の表情に顔を固めたまま、彼女は絶命した。
超は無言のまま、今度は五月の心臓目掛けて撃つ。
小気味のいい音が鳴り渡り、その一発で五月の胸から血が噴水のように噴き上がった。もはや生きてはいないだろう。
超は古と五月の荷物を漁り、水と食料を自分のデイパックに詰め替えた。
よく見ると、彼女のデイパックの奥底に数袋の顆粒がある。支給武器の睡眠薬だった。
さらに超は、古のデイパックの中から小さな黒い箱を発見する。底部に「小型プラスチック爆弾」とだけ書いてあった。
満足げな笑みを浮かべ、それも自分の荷物に押し込む。ポケットピストルは手で持っていることにした。
超はデイパックを担ぎ上げ、二つの死体へ向き直る。
「古、五月、悪いネ。生き残るのは私ヨ」
それだけを言い残して、超は扉を開けて民家から出る。
──外はもうすっかり日が沈み、空からは雨が降っていた。
【12番 古菲、30番 四葉五月 死亡 残り22人】
今回はこれで。
……16話に関しては、色々と言いたいことがある人も多いと思います。
でも、どうか何も言わずにいてやってください……お願いします。
アレが出ちゃったか…アレの出る部分だけ何か名前に
記号入れてもらって透明あぼーんにしたいな…でもそれじゃ話分からんかも…
何も言わずに・・・ROMるか
>>321 テキストファイルに移して、置換すれば?
俺はそんな言うほど気にはならんけどな
この作者5氏のBRに関してはオリキャラが主人公じゃないからまだいい
他のサイトのSSとか見てるとオリキャラが主人公でやたら難し漢字の名前で
すっげー強くてまさにパルの妄想漫画の王子様みたいなのが出てきてるから
オリキャラって苦手なんだよ。それネギま!でやる必要あるんかと。
まぁ個人的な意見だがオリキャラはないに越したことはない。
>>325 メアリー・スーって奴か。オリジナルについては作者の自由だし俺はあまり気にならないが
それはともかくこのスレは創作意欲を湧かせてくれるな。俺も書きたくなってきたw
私は〜ハゲなのよ〜
作者1氏のこのせつマダー?(AAry
>271 榎本 約81,000 榎本連、榎本宿禰、藤原良門流、秀郷流、紀氏など諸流多し。
>紀州、淡路に多し
アゲ
331 :
マロン名無しさん:2005/12/04(日) 17:35:39 ID:rl2iHyA1
かき揚げ
19 ≪狂気≫
森の中。雨でぬかるんだ土の上に、一人の少女が倒れていた。
よほど息を切らしているのか、うつ伏せの背中が上下している。
綾瀬夕映にはどんな力も残されていなかった。
あの後、強迫観念に駆られて、走って、走って、走ってきた末に聞こえてきた言葉。
『死亡者は3番・朝倉和美と14番・早乙女ハルナの二人だ』
ハルナが、死んだ。
図書館探検部の仲間。自分の親友。クラスのムードメーカー。そのハルナが死んだ。
そして私は、"誰か"を殺した。
つまり、それは、もしかしたら──
そこまで考えて、怖くなって泣いた。それ以上は考えられなかった。考えたくもなかった。
あの時、なぜ自分は引き金を引いてしまったのか。
"誰か"を殺す必要なんて、なかったのに。
自分は、圧力に負けてしまったのだ。恐怖に押しつぶされそうになって、この手で人を殺めてしまった。
そこまで弱い人間だったのか、自分は。あるいは気が触れてしまっていたのか?
……いやだ。認めたくない。絶対に私は、狂ってなんかいない!
そしてまた彼女は走り始める。
親友の亡霊を振り払うために。己の狂気を消し去るために。
つまるところ、綾瀬夕映はどこまでもか弱い存在だったのだろう。
そしてそれ故に、彼女にはただ走り続ける他なかった。
しかし今。夕映は気力体力ともに使い果たし、雨に打たれて地面に倒れ伏していた。限界だった。
「はぁ…はぁ……」
休んでいる内に、少しずつだが息は整ってきた。
だが彼女は起き上がろうとしない。起き上がったら、きっとまた走り出してしまうから。
「馬鹿な……女です、私は……」
その独り言にも、諦観したような響きが混じっていた。
ガサリ
夕映の呼吸が、止まった。
ガサ、ガサ
草むらを掻き分け、踏みしめる音。
「ひッ……!」
ボウガンを音のする方へ向ける。
ガサッ、ガサッ、ガサッ、
音がどんどん近づいてくる。
──あの時と、同じように。
ガサ、ガサガサ、ガサ、ガササッ、
「こな…来ないで……」
ガチガチと震える。歯の根が噛み合わない。
引き金に掛かる指に、力を込める。
「こ……来ないでぇぇぇッ!!」
引き金は、引けなかった。
しかし、
ヒュッ!
トスッ
「かはっ……」
空気を吐き出すような声。それが自分のものだということが、すぐには理解できなかった。
見下ろしてみる。
彼女の肺腑には、深々とボウガンの矢が突き立てられていた。
……ああ、そうか。自分は死んだのか。
己の最期を理解した後、夕映は死んだ。
【4番 綾瀬夕映 死亡 残り21人】
20 ≪狂気二乗≫
綾瀬夕映の死体を見下ろす。彼女の胸には、旗印のように矢が突き刺さっていた。
「……フン」
柿崎美砂(7番)は、それを鼻で笑った。
彼女の右手には、ボウガン。奇しくも夕映のそれと全く同じものである。
美砂は、憤怒と憎悪と狂気に身を任せてこの島を彷徨っていた。
この島の奴らはみんな殺す。その後、桜子を殺したやつも殺す。そして最後に自分を殺す。
それが彼女の考える大団円だった。
つまり、何てことはない。
柿崎美砂は綾瀬夕映よりも狂っていた。それが夕映の死因だ。
狂気が、より大きな狂気に食い殺されるのは当然のことなのだから。
美砂は夕映の荷物に目もくれず、その場を立ち去ろうと歩き出した。
が、その時、森の奥からとある人物が姿を現す。
那波千鶴だった。
美砂は無言で千鶴にボウガンを突きつける。
しかし、それに対しても、千鶴はただ笑顔を返すばかりだ。
「アンタ……死ぬのが怖くないの?」
おぞましいものを見る目つきで、美砂は千鶴に問うた。
「あら、おかしなことを言うのね。死ぬのは私じゃないわ。それよりあなた、人を殺すのが怖くないの?」
言いながら、千鶴は懐から取り出したベレッタM9を真っ直ぐに美砂へと向ける。
「……怖い? 殺すのが? 冗談言わないでちょうだい。私は今、現に夕映を……」
尻すぼみに台詞が終わってしまう。
お互いに凶器を向け合っているというこの状況において尚、千鶴がその微笑みを崩す気配がないからだ。
どっと冷や汗が溢れ出る。
美砂はようやく理解した。
自分など到底及ばない領域にまで、那波千鶴は狂ってしまっていることに。
やばい、 まずい、 逃げろ、
──絶対に、殺される。
「どうしたのかしら、急に泣きそうな顔になって……柿崎さんに、そんな顔は似合わないわよ?」
銃を向けたまま、一歩、また一歩と千鶴が近づいてくる。
美砂の心臓は恐怖に鷲掴みにされ、ドクドクと危険を告げていた。
「あぁ……いや……」
首を振って、呻く美砂。だが千鶴が立ち止まる気配はない。
「可哀想な人……でも大丈夫よ」
そして千鶴はついに美砂の目の前に辿り着き、そして彼女の顎を指でくいっと持ち上げた。
「今、私が楽にしてあげるから」
いつの間にか美砂のこめかみに突きつけられていたベレッタ。そのトリガーが、引かれた。
──バァン!
赤い液体と脳漿を撒き散らして、美砂の体は左に吹き飛んだ。
そのまま、雨に濡れてぬかるんだ地面に倒れこむ。一度だけ「ビクン!」と痙攣し、それきり彼女は動かなくなった。
その一部始終を見てなお、千鶴の顔に張り付いているのは聖母のごとき微笑み。
何てことはない。
狂気が、より大きな狂気に食い殺されるのは当然のことだった。
【7番 柿崎美砂 死亡 残り20人】
21 ≪マチビトコズ≫
パチパチ……
川辺の宵闇に、暖かい橙の光と火の爆ぜる音が染み渡る。
長瀬楓(20番)は、枝に刺した川魚を焚き火に晒していた。
「うむ、美味そうに焼けたでござるな。一人で食べるのが勿体ないぐらいでござる」
満足そうに楓は頷く。
確かにこんなところで焚き火をしていれば、ゲームに乗っている者へ「殺してくれ」と言っているようなものだろう。
だが彼女は自分のクラスをそこまで低く評価してはいなかったし、仮に襲われたとしても逃げ切る自信があった。
なにせ、長瀬楓は正真正銘の忍者。それもあの甲賀忍族の中忍である。
エヴァンジェリンや刹那を相手にしたとしても、逃げ足だけならば負ける気はしない。
……まぁもっとも、よりによってあの刹那が襲ってくることなどありえないのだが。
楓は彼女の意志の強さを知っているから……おそらくは、刹那自身よりも。
それに、だ。こうして無防備な姿を晒け出していれば、今の状況に脅えているクラスメイトが来てくれるかもしれない。
困っている友人を助ける。そんな当たり前の事こそが、自分が今やらなくてはいけない事なのだ。
「しかし……誰もやってこないでござるなぁ」
この川辺にずっと留まっているのだが、結局誰とも会わずに日が暮れてしまった。通り雨も、もう止んでいる。
誰も気付かなかったのか……いや、もしかしたら気付いても素通りされてしまっていたのかもしれない。
自分はそんなに信用ないように見られているのだろうか……と、楓は人知れず落ち込んでしまう。
「拙者もまだまだでござるか……」
そう言って楓は、はぁ、とため息をついた。
いつ会えるのか、誰と会えるのかすら分からない待ち合わせ。
それでも、夜は更けてゆく……。
今回はここまでで。
千鶴マーダーは新鮮だなあ、GJ!
夏美、いいんちょの思い届かずかぁ…千鶴発狂は本当予想外だったなGJ!
千鶴の暴走か、なかなかの展開に作者5GJですね。
>>328 最近忙しくて手が付けられない日々が続いていましたが、ようやくゆっくりする時間ができました。
おそらくうp版投下は7日か8日くらいになりそうです。
>>340 GJです!
笑顔の千鶴…怖すぎる…
>>343 乙です。
自分はやっぱりあなたのファンなので期待しています。
投下します。
22 ≪bright≫
学校から東に佇む小さな丘の頂上で、佐々木まき絵(16番)は悪夢の島を見下ろしていた。
夜の帳が下り、より一層不気味な様を醸し出すこの島で、今もなお殺し合いが行われているのだろうか……。
ふと頭上を見上げてみると、ぼんやりとした薄明かりを放つ朧月。
その悲しげな輝きを眺めていたまき絵は、柄にもなく涙ぐんでしまった。
こんな状況だから、感じ入りやすくなっているのだろう。
「ネギ君……私、どうすればいいんだろ……」
そう問いかけても、この場に居もしない彼が答えてくれるわけはない。
まき絵は涙に潤んだ目頭を、ゴシゴシと拭き取った。
「……とにかく今は生き残って、仲間を見つけていくしかないんじゃない?」
言って、大河内アキラ(6番)がまき絵のすぐ隣に腰を下ろす。一体いつの間に現れたのか。
「……アキラ? 聞いてたの?」
「最後のだけ聞こえちゃったけど、今来たばっか。盗み聞きは趣味じゃないから」
「……そっか」
二人してまた、鈍く光る朧月を眺める。
「アキラ。私たち……大丈夫だよね?」
「……うん。きっと」
風が吹く。
夜空を覆う雲は拭われ、目に痛いほどの月の白い輝きが取り戻された。
23 ≪おやすみ≫
闇夜に静まり返る森を、狂気の塊が闊歩していた。
那波千鶴がベレッタM9を片手に、ざくざくと草を踏み分けていく。
三人分の死臭を身にまとい、返り血を全身に浴びて、それでもなお笑みを崩さぬ姿はまさしく狂人のそれ。
どこへ行くでもなく、誰を探すでもなく……千鶴はただ歩き続けていた。
ふと、どこからか波の音が聞こえてきた。
そういえば、たおやかに吹きつける風からも潮の香りがする。
一定のリズムに合わせて流れる海の旋律。誘われるようしばらく歩いていくと、やはり、そこは海辺の岩場だった。
海風が千鶴の頬を愛撫し、そして彼女のしなやかな髪をなびかせる。
普段の彼女ならばここで腰を落ち着けて、しばらくその心地よさに身を任せていたことだろう。
しかし千鶴はそんな情緒にも頓着せず、無心に岩場を進んでゆく。
すると、左手の森の中──とは言っても、すぐ近くの茂みだ──から、誰かの声が聞こえてきた。
「……でさ、……ってことが……」
「あははははっ! そらないわー!!」
「あの、静かに…………他の……見つ……ちゃ……すよ……」
声に惹きつけられるように、一歩、一歩と茂みに近づいていく千鶴。
その顔に貼りついているのは、普段の千鶴からは想像もつかないような壮絶な笑みだった。
亜子が「ふあぁ」とあくびをした。眠そうに目を垂らす。
「あかん……ウチもう眠ぅてたまらんわ」
そう言って、せかせかと寝袋を取り出した。
「そっか、もうすっかり夜だもんねー。私も寝ようかな」
同様に、裕奈も自分のデイパックから寝袋を引っ張り出す。
「そうですね……。あの、釘宮さんも……ちゃんと睡眠はとった方がいいですよ?」
のどかが心配そうに円の顔を覗き込んだ。が、円はぷいと目線を逸らしてしまう。会話する気はないらしい。
それでもなお話しかける勇気など、のどかにあるわけもなく、彼女も寝袋を出そうとデイパックのジッパーを開けた。
その時。
──バン!
鼓膜を突き抜けるかのような銃声。
思わず目を閉じてしまったのどかが次に目を開けるのと、和泉亜子が地面に倒れこむのはほぼ同時だった。
休む間もなく、再び拳銃が咆哮を上げる。その一撃は裕奈の胸を抉り取り、一瞬で絶命させた。
「ひぃっ!」
目の前で繰り広げられる惨状に、息を呑むのどか。情景がコマ送りのように流れていく。
──バン!
三発目の銃弾の犠牲者となったのは、釘宮円だった。
こめかみに暗い空洞が開き、瞬きする間もなくそこから血が噴き出した。
「う、そ……」
数秒の間に、自分の周りに居た三人が"死んだ"。
その事実を嚥下できず、へなへなと地面にへたり込んでしまった。
人はこうも簡単に死んでしまうのか。こんなにも脆い作りをしていたのか。
──自分も。
その時、ドン!と背中を突き飛ばされたような衝撃を感じた。
胸が奇妙に温かい。
手を当ててみると、ぬらりとした感触。
血だった。
「みんな、おやすみ……」
子供の頃に聞いた覚えがあるような……そう、まるで保母さんの声。
最期にその言葉を耳にして、のどかの意識は潰えた。
【2番 明石裕奈、5番 和泉亜子、11番 釘宮円、27番 宮崎のどか 死亡 残り16人】
今回、校正作業があまり進まなかったのでこれぐらいで……すいません。
あと、
>>338の20-3で、
「張り付いて」を「貼り付いて」に訂正お願いします。
すげぇ 千鶴がここまで活躍するとは… GJ!
どんどん死ぬな〜
そういえばまとめってどうなったん?
細かく書いていたら、1キャラにつき2、3レスぐらい消費してしまいそうな勢いで
しかも4部5部の勢いが早くてなかなか時間の取れない俺のペースが遅くてむしろ差が開いている状態。
・・・早い話が、全然出来ていません。
ちづ姉テラコワス。
ひょっとして第1部の千雨の殺害レコード更新もアリか…?
>>355 この時点でちづ姉は6人(ザジ・美砂・裕奈・亜子・円・のどか)殺害。
1部の千雨の記録は9人(五月・史伽・木乃香・刹那・円・裕奈・古菲・美砂・のどか)だから可能性としては高いな。
ニ・三・四部で一人で一番殺したのって誰?
>>354 俺漏れも…
放課後に学校で書くだけじゃ進まん…
パソコン欲しいなあ…
まとめの人はどうしたんだろう
まとめってまとめサイトの人?
それとも、ちょっと前にキャラ別の行動をまとめるとか言ってたやつ?
キャラ別のまとめなら多分
>>354だと思うが。
361 :
T.N:2005/12/06(火) 00:34:52 ID:???
のどかが死ぬのが早すぎるよ・・・(ToT)
なかなかタツミーが出て来ない…(´・ω・`)
千鶴が舞HiMEの静留が発狂した時みたいになってきてるな
いきなりで恐縮ですが質問させていただきます。
この板は人が死ぬのが絶対条件でしょうか?
というのも今自分が考えているのがチャオ企画の優勝賞金がたくさんもらえる
というサバイバルゲーム(テレビ番組 ザ鉄腕DASH! の100人デカ)
みたいなものなんです。で、優勝者以外の人には罰ゲーム(チャオたちの実験台にでもしようかと)
があるからみんな必死に・・・といったもので、殺し合いがありません。
そんな小説はこの板にはあわないでしょうか?
忌憚ないご意見をお願いいたします。
いいんじゃないの?
おもしろそうで俺は好きだが?
悪くないと思う
俺的には、そっちの方が良いかな。
なぜなら、・・・・・(今更ですが)第一の作者さんの書かれた『文』が凄す
ぎて、「殺しの風景」や、「その場面」までも、夢に出てきてしまうぐらいの
≪インパクト≫ありすぎで恐いです...(^_^;;
だから、たまには『殺し合い』じゃなくても良いかな?って思っています。
><
グチュゥ!!
振り下ろされたその刃は皮膚を切り裂き、その下の肉も切り裂き、そして小腸を切り裂いた
「ぁああああああ!!」悲鳴を発しながら倒れこむ
しかし、惨劇は止まらない
ガスッ!!ガスッ!!
足が傷口を蹴る
「ギャァッ!!グッ!!」
ドスッ!!ドスッ!!
拳が振り下ろされる
傷口からはおびただしい量の血が流れ、目は恐怖と涙であふれ、息は絶え絶えである
ヒュッ!!
…グシャッ!!
振り下ろされたハンマーで右手のひじが破壊される
グシャッ!!
「ギャァ!!」
グシャッ!!
「グウゥゥゥゥ!!」
グシャッ!!
「ガァアアアア!!」
三回振り下ろされたハンマーは手足の関節を破壊する
「イ・・イヤァ・・・・グフッ!!」
力を振り絞って助けを求めたが、その願いが聞き入られることは無かった
「アハハハハハ!!」
笑い声が響き渡る
ボゴッ!!
ボゴッ!!
ボゴッ!!
体中を殴られる
一通り体中を殴りつけられた後、声が聞こえた
「・・・そろそろ楽にしてあげる♪」
そういうとそいつは体を持ち上げる
首につめたいものがあたる
お前は自分が死ぬのだと本能で感じた
「さ・よ・な・ら」
そしてその予想どうりにその刃はお前の首を切った
頚動脈が切れる
血が流れ出る
息が出来ない
痛い
熱い
苦しい
意識が遠のいていく…
そしてしばらくお前はもしばらくがいた後…耐え難い苦しみから解放された
笑い声を聞きその場所に来てしまった桜子が見たものは…
血まみれで体中が変形して一目では見分けがつか無くなった釘宮と
体を真紅に染めた……柿崎美沙だった
あまりにもの現実とは思えない光景に呆然としていると
美沙が振り向いた…
「次は桜子の番だよ…♪」
(((゚д゚;)))ガクガクブルブル
やり過ぎなような気が・・・・・(汗)
私は、血の気が多いから良いがよ。ちょいと、このスレ初心者、想像豊
かな人にはキツイのではなかろうか?
多分 368>> の人は、(私の予想だが)この場面を「楽しむ」んでは無か
ろうか? 勝手な見解すみません。
374 :
マロン名無しさん:2005/12/06(火) 21:16:28 ID:rWResXG0
かき揚げ
確かにグロいし怖いんだが、どことなくギャグっぽく見えてしまうのは俺の感覚がおかしいのだろうか。
すいません、371は自分です・・・
馬鹿な事してすいません・・・勉強でむしゃくしゃしてたもので・・・
>>375 調子に乗って書きましたからね・・・ギャグっぽいのは勘弁してください・・・
「いきなり来て勝手に書いてトリつけてんじゃねーよ」
って順番待ちの作者は思ってるんじゃないか?
自分は作品と作品の間のつなぎみたいな物ですからw
まぁ、CMみたいな物ですよw
380 :
彗星:2005/12/06(火) 22:23:04 ID:???
381 :
379:2005/12/06(火) 22:49:43 ID:???
彗星様がいらっしゃったー!
刹那と女性は男に向かって刀を振り上げる。
「「秘剣!残空閃!!」」
「お前には失望した…」
「…それで」
真名は全く表情を変えない。逆に刹那の顔は憎しみで歪んでいる。
「私…このちゃんの……友達で…ほんと…に…よか…た」
「いやや!せっちゃんしっかりして!」
(ありが…と………この…ちゃ…………)
「……せっ…ちゃん……」
穏やかな表情だった。何も思い残すことのないような満足げな表情で静かに眠る刹那。
木乃香の手から水の入ったコップが滑り落ちた。
「……せっ……」
刹那ルートの一部です。うp版の投下は12月9日の夜にします。
さらに追加シナリオと各話の修正と追加での(おまけは未定)集大成になりそうです。
ちょっと急ぎ足でしたがようやく完成の目処が立ちました(その間仕事は地獄だった)。
ネ申キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
そんなおいらも茶々丸ルートを構想していたりする。
作者1様、作者4様、気紛れ作者様、彗星様
初期から現在にかけての偉人がこんなにも光臨なされた 今日は神々の祝宴だ!
>>364 超が首謀者ネタ俺も考えたw
けどここまでの長編だと書くのが難しそうだから構想だけしてやめたw
超は3部以外はせこい悪役というイメージしか持っていない。
ゲームに参加しつつ実は黒幕っていうイメージなんかいいと思うが。
思いついたネタに五月と組んでクラスメイトの顔の皮を剥いでコレクションにするが思い浮かんだ。
ここでちょっとみなさんの意見を聞きたいのですが…
今修正版を作っていて、まだ時間がかかりそうなんですが、
自分も分岐ルートを書いていきたいのですが、
誰か書いてほしいキャラとかいますか?
いれば教えていただければな、と思います。
タッグマッチを続けていく前提なら。
裕奈、朝倉組かエヴァ、のどか組ルートがみたいです。
全滅エンド・・・はちょっと悲惨すぎますかね。
それもひとつの形でしょう
たまにはアキラに生き残ってほしいという願望・・・w
むしろここは、いいんちょ&夏美の生存率0%ペアに花を持たせるべきなんじゃ…
と思ったけど、このペア1番に逝ったからまぁ無理だね…orz
>384
すみませんがパソコンが壊れて今、携帯でみてます。なので前みたいにまとめサイトに掲載してもらえますか?
いいんちょは生き残っちゃだめなんです。
投下です。
24 ≪ひしゃげたメロディー≫
ある時は麻帆良学園の女子中学生。
ある時は龍宮神社の巫女。
そしてまたある時は凄腕の狙撃手。
もちろん、その全てが龍宮真名(18番)の実体である。
だが、今の彼女は麻帆良の女子生徒でも龍宮神社の巫女でもない。
かつてマギステル・マギと共に戦線をくぐり抜けてきた最強の銃使い・龍宮真名に他ならなかった。
この狂った島の中において、スナイパーの彼女にしか価値を見出すことはできないからだ。
──ただ、未だに龍宮は覚悟を決めることができていなかった。
今まで数多く裏世界の仕事を引き受けてきたことはあった。だが、そんな彼女もさすがにクラスメイトに手をかけたことはない。
それがいきなり、無人島に放り込まれて「ハイ、殺し合え」だ。いくらなんでも、戸惑わないわけはない。
ただ、ここで優勝する以外に生き残る手段がないのも事実。
たとえ武器があったとしても、この首輪……政府側の切り札であるコレが取り付けられている以上、まともに戦い合って勝てる筈がない。
過去の日常と今の非日常に挟まれ、龍宮の心は大きく揺れていた。
「……いつからこんなに弱い人間になったのだろうな、私は」
嘲りの形を取った笑みが口元に表れる。
昔の自分だったら迷わずに殺人鬼と化していたはずだ。逆に、数年後の自分はすぐに仲間と手を組んで政府に抵抗したかもしれない。
どちらが正解なのか……いや、今の自分にはきっと分からないことなのだろう。
そう考えて、浮かべる笑みに一層自嘲の色を強くした。
その時。
──バン、バァン!
銃声。立て続けにもう二発……計四発もの銃声が夜の森に響き渡る。
今までの経験での反射から、咄嗟に体を木の陰に隠して、様子を窺った。
距離にしておよそ数十メートルもあるまい。風に運ばれて、顕かな"血の匂い"が運ばれてくる。
「やはり、本当に殺し合いが起きていたのか……」
義務感と興味とに突き動かされ、龍宮は現場へと歩を進めた。
枝葉を払いのけ、進むたびに匂いが強烈になっていく。おそらく、何人かは死んでいるだろう。
支給武器のデザートイーグル44を取り出し、音を立てないよう慎重に進んだ。
そして彼女は、死の舞台へとやってきてしまった。
まず目に飛び込んできたのは、地面に倒れ伏す四人の少女の死体。
各々頭や心臓を撃ち抜かれて絶命している。ここまであからさまな致命箇所を狙われては、助かる見込みもないだろう。
次に彼女が見たのは、月明かりを受けて黒い光沢を放つベレッタM9。その銃口からは硝煙が立ち込めている。
そして次に見たのは……それを手に悠然と微笑む、那波千鶴の姿だった。明らかに狂っていた。
「あら、誰かいらっしゃったのかしら?」
その声に龍宮は情けなくもビクリと反応してしまう。
完全に気配を絶っていたつもりだったのに……狂気は、ここまで人の感覚を鋭敏にさせるものなのか。
龍宮は諦めて、木の陰から千鶴の前へと姿を現した。
「那波。どうして殺した?」
「あらまあ、龍宮さんだったの。……そうね、どうしてって言われても困るけど」
頬に手を当て、思案する仕草。
「みんな眠そうだったから寝させてあげただけよ。それに……」
千鶴が右手の銃を龍宮へと構える。
「たくさん逝かせてあげないと、夏美が向こうで寂しい思いをするでしょう?」
──バァン!
ベレッタが火を吹いた。
龍宮は弾道から身を捻り、その勢いを殺さないままデザートイーグルを千鶴に向ける。
「……っ」
撃てなかった。こうも目前に危険が迫っているというのに。
「くそっ……!」
どこまでも甘さを捨てきれない自分に歯噛みする。
相手はもう四人ものクラスメイトを手にかけた殺人鬼だ。何を躊躇することがある……。
火薬の弾ける音と共に、再度銃弾が龍宮の眉間へと襲い掛かった。
それをすんでのところでかわしきり、今度こそ銃を千鶴に狙い定める。
あとは、引き金を引くだけ。
迷うな。殺さなければ殺される。殺さなければ那波千鶴はもっと人を殺す。
これは……絶対に間違ってなんかいない!
──人殺しが?
「うあああぁぁぁっ!」
雄叫びを上げる。余計な思考を拭い去る。
トリガーにかけた指に力を込め……引いた。
鼓膜を突き破らんばかりの銃声。弾は、先のお返しとばかりに千鶴の眉間へ真っ直ぐに向かっていく。
それまでずっと微笑みを絶やすことのなかった千鶴は、間近に迫る死を認識したその瞬間、圧倒的な恐怖からついにその顔をひずめた。
「ひ、ぁっ」
間抜けな音。
それが、那波千鶴の最後の言葉だった。
【21番 那波千鶴 死亡 残り15人】
25 ≪衝動≫
「はぁ……はぁ……」
龍宮は那波千鶴の死体を前に、神に懺悔するかのようにして地に膝をつけていた。
人を……クラスメイトを殺した。
その事実が、麻薬のように徐々に彼女の思考を侵食していく。
「違う……あれは、」
──襲われて、仕方なく。そう、仕方なくだ。
自分は二回も発砲されて危局にあったし……それに、那波千鶴はそもそも人殺しだ。
あそこで彼女を殺さなければ、もっと大勢の人間が殺されていたはず。
だから千鶴を手にかけた。それだけなんだ。
本当に?
襲われて、仕方なく?
嘘だ。詭弁だ。くだらない保身だ。
相手が銃を持っていたとしても、自分は素人相手に負けるような実力ではない。
それが、こちらにも銃があったのなら尚更。殺さずに戦闘不能にすることだって出来ていたはずである。
全く「那波千鶴は人殺し」だなんてよく言えたものだ……「龍宮真名も人殺し」であることに、間違いはないというのに。
……それに、殺人現場に向かうときに得た、えも言われぬ高揚感。
あれこそが、龍宮真名が掛け値なしの殺人鬼であることの証明に他ならないではないか。
「ははっ…」
自棄になって、乾いた笑いをこぼす。
やはり自分も壊れてしまったのだろうか。そうだ、いっそ壊れてしまえばどれほど楽か……
──シュッ!
突如風を切る音を聞いて、龍宮は反射的に上体を反らす。
すると、先ほどまで頭のあった空間を数本の針が刺し抜いていった。
──カカカカッ!
小気味良い音を立てて真横の木に突き刺さるその針は、裁縫に使うようなものより一回りも二回りも大きい。
「まさかこんな時代に、ニードルガンとはな……」
注意深く右方向へと視線を向けると、そこには確かにニードルガンを手に持ち、虚ろな表情を浮かべる春日美空(9番)の姿があった。
ニードルガンは、拳銃と比べれば殺傷能力に劣る。当然だ。
だがしかし、ニードルガンには軽量で扱いやすいという利点がある。
だからその分、素人が持っていて恐ろしいのは銃よりもむしろニードルガンなのだ。
それにもし針先に毒でも塗られていたなら尚更だ。銃ならばかすり傷で済むところも、毒針にかかれば致命傷になってしまう。
「やめろ、春日美空。私たちに戦う意味はない!」
龍宮は叫ぶが、一方でその声に真摯な色合いは含まれていなかった。
それも当然。彼女は本当に戦いをやめる気などないのだから。
その証拠に、未だニードルガンのトリガーを引いて攻撃を続ける美空を見て、龍宮はどこか安堵を感じていた。
「……仕方がないな。実力行使だ」
龍宮の瞳に、狩りを行う時の捕食者のような光が宿った。
体躯を落とし、緩急をつけた動きで飛び交う毒針の間をすり抜けていく。
コンマ一秒ごとに、ぐんぐん美空との距離を縮めていく。頬のすぐ横を無数の針が風を切る。
油断すれば即、死に直結するであろう。そんな命のやり取り。
龍宮は、自分が昂ぶっていくのを止められなかった。
興奮に圧し延ばされた数秒を経て、ついに彼女は美空の目の前に辿り着いた。
「…らぁっ!」
しゃがんでいた状態から屈伸のバネを活かし、デザートイーグルの銃身でアッパーを喰らわせた。
ゴッ、という鈍い音。美空の目がぐるりと裏返る。
強烈な衝撃を受けて軽い脳震盪でも起こしたのか、美空は仰向けに倒れたままピクリとも動かない。
「……ふん」
やはり甘い、と自分でも思う。仮にも殺されかけたのだ。
だがここで止めを刺したら……自分は後戻りできなくなってしまうのでは、という恐怖があった。
腹の中に燻る欲求に気付かないフリをして、彼女が振り返り立ち去ろうとした……その時。
カッと目を見開いた美空が、ニードルガンを握っている右手を龍宮の背中へ向けた。
己の勝利を確信し、唇を引き上げて狂った笑みを浮かべる。
そして彼女は、ニードルガンの引き金を……
──ドゥッ!
龍宮が、振り返ることもなく美空の肺腑を打ち抜いた。
絶対的な死を叩きつけられ、成す術もなく崩れ落ちる美空。
そんな彼女を、ようやく振り向いた龍宮が見下ろす。
笑っていた。
数瞬前の美空のそれと負けず劣らず壮絶な……だが、全く種を異にした笑顔だった。
嘲りと、何かから解放された時のような清々しさを綯い交ぜにしたような、そんな笑み。
龍宮は確信した。
やはり自分は掛け値なしの殺人鬼である、と。
【9番 春日美空 死亡 残り14人】
以上です。
想像以上に期待を寄せられていた千鶴姉さん、残念ながら退場です。
自分自身も、彼女のイッちゃってる様子を描くのは好きだったんですけどねー……20話とか、筆の進みがやたら速かったですし。
歪んだ母性の行き着く先は、案外あっけないものだったということで……
ちづ姉…ここまでか…
次はたつみーがマーダー化かな?
GJです!
タツミーキター!!
と思ったらマーダー化!?しかも武器はデザートイーグル…最強ジャマイカ(゚д゚;)
息も吐かせぬ展開GJです!
デザートイーグル脳天に喰らったら、脳漿を派手にブチ撒けるな……
ニードルガンキタコレw
そういう系好きだなw
一応自作小説出来たのですが、やはりここは先着の順番待ちですよね?
待ち時間を活かして念のためもう一度推敲しててくれ。
楽しみにしてるからな。
投下します。
26 ≪双子の姉の物語≫
DNAの成せる業か、あるいはただ単に運が良かっただけなのか。
ともあれ、鳴滝風香(22番)と鳴滝史伽(23番)は日が沈みきる前に出会うことができた。
支給武器はそれぞれ防弾チョッキとノートパソコン……こんな装備では、バトルロワイアルを生き抜くにはいささか心許ない。
二人はとりあえず、道すがら見つけた洞窟の中に身を潜めることにした。
「この防弾チョッキは、史伽が着けてなよ」
「でも、それはお姉ちゃんが貰ったやつ……」
「いーんだよ、僕はお姉ちゃんなんだから!」
そう言って風香は、ずいっと防弾チョッキを押しつけてきた。史伽が渋々それを受け取る。
「でも、こっちのパソコンはどうするの?」
「そんなの、バッテリーが空っぽなんじゃどうしようもないだろ。
コードはあるんだから、明日にでも学校の方に行って電源を探すしかないよ」
「うん…そうだね」
史伽は答える。だがその一方、内心は不安でいっぱいだった。
ヘリコプターで運ばれた時間を考えると、ここから学校まで相当な距離があるはずだ。
その道のりで、もしかしたら殺人鬼と化したクラスメイトが襲ってくるかもしれない……そんな懸念が、積もり積もって彼女の精神を圧迫していく。
「とにかく、今日はもう遅いし史伽はしっかり寝ること!」
「え、お姉ちゃんは?」
ビシリと言い放つ風香に、きょとんとした顔で史伽が尋ねた。
「僕は入り口で誰かやってこないか見張ってるよ」
「そんな、お姉ちゃんにばっか悪いよ!」
「いいよ別に、僕は」
「だーめ!」
頑として屈さない史伽に、風香は諦めたようにため息を吐く。
「もう、分かったよ。じゃあ一時間ぐらいしたら起こしに来るから、そしたら交代ね」
眉をきゅっと寄せたまま、無言で史伽は頷いた。
そんな様子を見て、風香はくすっと笑ってしまった。
「それじゃ行ってくるね。ちゃんと寝てるんだよ」
危機的状況は、大きく人を成長させるという。
その時の風香は、立派な"姉"の顔をしていた。
27 ≪masher≫
闇夜に染まる森の中。獲物を求め徘徊する影。
超鈴音はポケットピストルを片手に、森の奥深くを歩き回っていた。
島の人間を狩り尽くすに当たってまず狙いをつけるべきは、人殺しに抵抗を覚えるような人間……つまり、心の弱い人間だ。
そんな者はゲームが始まったらどうするか。
民家なり洞窟なり、身を潜ませることのできる場所に隠れこもるに決まっている。
そう考えた超は住宅街の東をしらみつぶしに探し回ったが、人っ子一人見つからない。
早々に見切りを付けた彼女は、こうして森に手を伸ばし始めた。
そして、見つけた。
漆黒の帳が下りた森で、なお黒々しく口を開ける洞窟を。
その入り口には……鳴滝風香。双子の片割れ。
うってつけの標的を見つけたことで、超は昂ぶりを覚えずにいられない。
ピストルを握る手からも汗が滲んでくる。
そしてその時、風香がこちらに背を向けた。
──殺れる。
決意したその瞬間には既に行動を起こしていた。
抜群の運動神経から繰り出される初速度を利用して、一息でターゲットとの間合いを詰める。
小型ピストルでも十分に命中させられる距離まで辿り着いたところで、銃身を両手で固定。
乾いた銃声と共に、少女の背中を撃ち抜いた。
その一連の動作に全く気付くことのなかった風香は、胸から流れ出る赤い液体を眺めて、ようやく思い至る。
「──あた……し、死ん……じゃっ」
熱に当てられたかのように、くらりと上方を見上げると、そのまま彼女は仰向けに倒れてしまった。
「悪いネ。武器と食料は貰ってくヨ。……と、その前に」
一人で意味もなく洞窟の入り口で突っ立っているなんてことは考えられない。
つまり、中にまだ……
「お姉ちゃん……?」
眠たげに眼をこすりながら史伽が洞窟の奥から顔を出してきた。
「おや、起こしてしまったかネ? 寝ている間に死なせてあげようと思っていたんだけど……」
薄く微笑みながら、超はピストルを史伽の胸元へ突きつけた。
「残念ネ」
──パンッ!
とん、と胸を小突かれる感じ。
だが史伽は数歩よろめいただけで、倒れることはなかった。
「何……?」
訝しむように超が顔をしかめる。と、その背後から凛とした声が響いた。
「超、貴様っ! 何をしている!!」
超は振り返り、声の主を視認すると、苦々しげに表情を歪めた。
「あいつは……ちょっと厄介ネ」
ほんの一瞬、何かを考えるような素振りを見せた超は、その結果に"勝算なし"と弾き出すなり脱兎のごとく逃げ出した。
【22番 鳴滝風香 死亡 残り13人】
28 触るな危険
彼女の探し人は見つからない。
森の中を夜通し探し回っても、近衛木乃香は見つからなかった。
そして気力も体力も底をつきはじめ、夜も明けようという頃。
見つけたのは、誰かに向けて銃を撃つ超の姿だった。
「超、貴様っ! 何をしている!!」
思わずそう叫ぶと、超は慌てて逃げていってしまう。
慌てて追ったものの、元々距離が離れていたこともあり、超が草むらに入り込んだところで見失ってしまった。
声を上げる前に取り押さえておくべきだったと、刹那は歯噛みした。
「……そうだ、それよりも」
超の発砲現場に急いで引き返す。もしかしたら、まだ軽傷で済んでいるかもしれない。
帰ってみれば、確かに一方は、軽傷どころか殆ど無傷で生きていた。
……が、もう一方は完全にその生命活動を停止していた。
「うあぁっ、うっ、お姉っ、ちゃん、ひぐっ……」
姉の死体に覆いかぶさり、鳴滝史伽が呻いている。
声を低める気もないのか、その嗚咽は遠慮の欠片もなく夜空に響き渡っていた。
「……史伽さん」
呼びかけてから、刹那は後悔した。
己の半身とでも言うべき姉を失った彼女にかけられる言葉など、自分は持ち合わせていないのだから。
だが史伽にも周りに気を配る余裕すら無かったのだろうか。相変わらず、泣きじゃくっていた。
「うえぇぇ、んくっ、うぅっ」
全てに絶望し、涸れない涙を流し続ける史伽。
刹那には、そんな彼女を置いてどこかへ行くことなどできやしなかった。
まして、こんな大声を上げていれば超でなくとも殺人者を呼び寄せてしまうかもしれない。
木刀を手元に置き、刹那は史伽の隣に腰を下ろした。
──そして、数十分後。空も白み始め、夜明けが近いことを知らせ始めた頃。
史伽はようやく落ち着きを取り戻し、刹那と話ができるぐらいにはなっていた。これも、思う存分涙を流したおかげかもしれない。
「……つまり、史伽さんはその防弾チョッキを着ていたから助かった、ということなんですね」
確認を取ると史伽は無言で、こくりと頷いた。
「それで、この後どうするつもりなんですか? 良ければ私と一緒に……行きませんか?」
その言葉に、史伽は縋るような視線を上げた。だが、その口は閉ざされたまま答えを返さないでいる。
刹那の提案は非の打ち所など無いし、史伽が生き残るためには最善の策のはずである。
そして実際に、彼女もその提案には反対するところはなかった。
だが姉を亡くし、精神がきわめて虚弱状態にあった史伽には、なかなか返事ができなかった。
少しの間、史伽は落ち着き無さげに視線を泳がせていたが、やがて意を決したかのように、すうと息を吸って……
バガァァン!
すぐ横の岩盤が、音を立てて砕け散った。
「きゃあっ!」
「何だ!」
刹那が咄嗟に森の方向へ視線を走らせると、そこには、両手に銃を携えた龍宮真名の姿があった──。
以上で。。。校正作業が進みません
マーダー龍宮が刹那と遭遇!?双子…(⊃ω・`)
GJです!!
>>409 できれば第0部(さよが優勝するやつ)も入れてくだされー。
アレ結構好きだったんだ。
しかし超はデフォルトでマーダーになってるなあ
彼女が殺人ゲームに積極参加する理由もないはずなんだけどw
まるで水を得た魚のように嬉々としてクラスメイト殺しまくるチャオは
ファンとしては微妙な心境
明日の夜(たぶん22時頃)に刹那ルート投下しようと思いますが。
一番力の入った刹那vs真名のバトルシーンを先行的に投下したいと思います。
勝手ですがいいですか?
零部はまとめのおまけってとこにあるじゃん
投下します。
29 ≪刹那VS真名(前編)≫
数十メートルの距離を空け、桜咲刹那と龍宮真名は対峙していた。
「……何のつもりだ、龍宮?」
刹那のその声に困惑と猜疑の色が混じってはいたが、それはただ純粋に疑問だった。
今まで二人で多くの仕事をこなしてきた。大切なパートナーだと言っても良い。
その相棒である龍宮が、あろうことか自分に銃を向けている……刹那には、どうしてこんな状況になっているのか理解できなかった。
刹那の浮かべる渋面を眺めて、龍宮は嘲るように息を吐いた。
「刹那。説明を聞いていなかったのか? これは殺し合いだ。それ以外の何がある」
「……龍宮」
そう聞いて刹那が納得するわけもない。
だが、龍宮の目にたぎる炎の色が、彼女の言っていることが真実であることを如実に物語っていた。
「史伽さん、逃げてください……龍宮は私が引き受けます」
背後の史伽にひそめた声で語りかける。
恐怖をその表情に刻みながらも、彼女は殊勝に頷いた。
自分のデイパックを担ぎ、住宅街の方へ向かって駆けていく。
龍宮はそんな史伽に目もくれず、ただ刹那へと、熱に融けたような視線を送り続けていた。
「ふふっ、ようやく邪魔者もいなくなったな……さぁ、抜け。刹那」
「もう一度聞く。龍宮、何がしたい」
強く非難するような視線を龍宮に向ける。
「だから、殺し合いだ」
「何故そんなことをしなくてはいけない」
「もちろん、私がそうしたいからだよ」
あっけらかんと言ってのける龍宮に、刹那はその表情を一層しかめた。
龍宮は息を抜き、
「……前から思っていたんだ。刹那、お前は綺麗だ。殊に、闘いの最中に在る時のお前ときたら、芸術と評しても過言じゃない」
──いきなり何をわけのわからないことを。
怪訝そうに刹那は眉をひそめた。
「……それがどうした」
「なあ、刹那。こうは思わないか。つまり、闘いとは研磨なんだ。
自分と同じ……あるいはそれ以上の硬度を持った石と削りあうことで、私たちはさらに輝きを増す」
陶酔した表情で、龍宮は言った。
「そして……刹那。私に相応しい石は、お前しかいないんだ」
唐突に、左手のベレッタが火を吹く。
心臓めがけて一直線に飛んでくる銃弾を、しかし刹那は木刀の一振りで斬り払った。
「私に飛び道具は通用しない……知っているだろう」
「ああ、もちろん。だがそれはあくまでも、普段の話だ」
龍宮の不敵な視線に促され、木刀へと目線を下げる。
亀裂が走っていた。
いくら龍宮の銃弾とは言え、神鳴流剣士の気を込めた木刀がそう簡単に傷付くことはないはず……。
「どうやらこの島では、気の能力が制限されてしまうらしい。
特に体外に気を放出するような、武具強化や術の行使は相当難しいみたいだぞ?」
得意げに説明する龍宮。必要最低限のこと以外では口を開かないいつもの彼女からは考えられない程に饒舌だ。
だが確かに、彼女の言うことが本当ならば銃弾を木刀で返していてもいずれ耐えきれずに折れてしまうだろう。
つまり、長期戦になるほど不利……時間は向こうの味方だ。
悩む時間は、与えてもらえそうにない。
30 ≪刹那VS真名(後編)≫
立て続けに銃声が響き渡る。
弾き出された数多の銃弾を、刹那は身を翻してかわしていく。
しかし不自然な体勢で避け続けていたためか、ついには重心を崩してしまう。
よろめいた刹那めがけて飛んでくる銃弾。咄嗟に木刀で打ち払った。
「くそっ……」
火を見るより明らかな自分の劣勢に刹那は歯を噛み鳴らした。
木刀の刃はどんどん欠けていく上、龍宮の言う通り陰陽術も使えない。
今でこそ持ちこたえていられるものの、得物が折れた時にこそ刹那の敗北は確定するだろう。
「どうした刹那? 本気で来い……死にたくないならな」
龍宮の挑発は、だが確かにその通りだ。
このままでは本当に殺される。
龍宮の目と、今の攻撃にはそれだけの説得力があった。
「……いいだろう」
言葉に出して、刹那は決意を固めた。
ステップを踏み、一息に間合いを詰めていく。
だがもちろん、龍宮が黙ってそれを許してくれるはずもない。
迎えうつように降り注ぐ銃撃を、刹那はダンスを踊るかのように回避していく。
龍宮とは長年の付き合いだ。グリップのクセからフェイントの入れ方まで把握している。
しかし猛然と迫り来る刹那の姿を見ても、龍宮は未だ恍惚とした表情を作っていた。
「いいぞ……すごく、いい」
熱に脳が融かされるような感覚。
トリガーを引くたびに、刹那の舞踏を目にするたびに……思考が煮沸して茫となる。
反対に、神経はどんどん研ぎ澄まされていく。刹那の細かな息遣いですら聞き取れる。
「やあぁっ!」
射程距離まで潜り込んだ刹那が気合一閃、龍宮のデザートイーグルを弾き落とそうと左手を狙ってきた。
デザートイーグルの重量が枷となって咄嗟に動かすことはできそうにない。
龍宮は即座にベレッタを撃ち放ち、太刀筋をずらした。
それに対応して刹那は木刀を支柱に空中で反転。そのまま、龍宮を逆風に斬り上げる。
一方の龍宮は刹那の機転を視認した瞬間、デザートイーグルを発砲する。その反動を利用して、大きく後ろにステップを取った。
──はらり。
斬り落とされた龍宮の前髪が地面に舞い落ちる。
龍宮は、それすらも慈しむかのような瞳で見つめていた。
まるで"戦闘"という行為自体に心酔しているかのようだ。
「……素晴らしいよ、刹那。それでこそ刹那だ」
にやついた笑みを浮かべながら佇む龍宮を、刹那は複雑な心境で見つめていた。
──龍宮はこんな人間ではなかったはずだ。
何か事情があって戦闘狂を装っているのか、それともこの島に来て狂ってしまったのか……
いや、あるいは元々、龍宮真名とはこういう人物だったのかもしれない。
今まで自分が見てきた彼女は、ただ仮面を貼り付けただけの存在に過ぎなかったのだろうか……。
そう考えると何より、刹那は自分自身に対する無力感を感じずにはいられなかった。
一体なぜ、どうして気付けなかったのか、と。
「……龍宮、お前は危険すぎる。悪いが、ここで排除させてもらう」
その宣告に、龍宮はその口元をより一層吊り上げた。
刹那が木刀を中段に構える。応じて、龍宮も二丁の銃口を定める。
一瞬の静寂の後、
刹那がその足を大きく踏み出した。
「せっちゃん!」
その時……求め続けていた声が、暁の空に響き渡った。
31 ≪光の涙≫
明日菜たちは、夕方ごろに就寝したこともあり、夜も明けきらない早朝に目を覚ました。
今日一日を乗り切るために……生き残るためにと、早速三人で朝食をとっていた時のことだった。
バァン!
銃声。洞窟の外から聞こえてきた。
不吉な予感が一同の脳裏をよぎり、そして真っ先に木乃香が駆け出していた。後から思えば、これもある種の第六感だったのかもしれない。
鳴り続ける火薬の弾ける音。その出所を捜し求め、木乃香が走りついた先に見えたのは……
彼女の親友、桜咲刹那がクラスメイトと対峙している姿だった。
そして今まさに、刹那は相手に飛びかかろうとしている。
「せっちゃん!」
木乃香の口から、咄嗟に刹那の名前が飛び出した。
名を呼ばれた親友は、その声に目を見開いてこちらを振り向いた。明らかな驚愕が刻みつけられていた。
そしてその向こうでは……相手のクラスメイト、龍宮真名が侮蔑をその瞳に浮かべていた。
彼女の手の中の二丁の拳銃が、刹那の体を捉えている。
「おじょうさま……?」
「せっちゃん、逃げてぇッ!」
木乃香の絶叫を合図にして、ベレッタとデザートイーグルが火を吹いた。
──何が起こったのか、理解できなかった。
ただ強く体が押される衝撃の後、視界には白んだ朝空が広がっていた。
「──せっちゃん、せっちゃん!」
木乃香が懸命に呼びかけている。
だがそんなことで刹那の傷口が癒えるわけはない。赤黒い液体が、一定のテンポを保ってどくどくと流れ出ていく。
「お、嬢……さま」
弱々しく声を返す刹那。左手を主へ差し伸べようとして、ゆっくりと持ち上げる。
木乃香はその手をきゅっと握り締め、祈るように呻いた。
「生きてぇ……せっちゃん、死なんといてぇ……」
溢れ出した涙が木乃香の頬を伝って、繋いだ刹那の手の甲にぽたぽたと零れ落ちていく。
刹那は泣き暮れる木乃香を見て、こちらも悲しげな表情を浮かべていた。
「刹那……戦闘中に意識を逸らすなんて、自殺志願者のすることだ」
いつの間にか二人のすぐ傍に立っていた龍宮が軽蔑したような目線を向けて、言った。
「立て、刹那。まだ終わりじゃない」
挑発的な龍宮の声に、刹那は体を持ち上げようと右ひじをつく。
「うっ、ぐぅっ……がぁっ、げほっ!」
ぴしゃ、ぴしゃという音とともに地面に赤い水溜りができる。
それでも刹那は、必死に体を起こそうともがいていた。
「せっちゃん、もうええ! これ以上動いたら死んでまう!」
悲痛な木乃香の叫びに刹那はゆったりとした笑顔で返し、なお立ち上がろうとする。
「刹那、聞こえなかったのか。立てと言ってるんだ!!」
脅迫的な龍宮の怒号は、しかしどこか叱咤するかのような響きも含んでいた。
「うぅ…あああぁぁぁっ!」
雄叫びと共に刹那は全身の力を込める。
その咆哮を上げた瞬間、
「魔法の射手(サギタ・マギカ)雷の一矢(ウナ・フルグラティオー)!!」
龍宮の体が、驚愕に身をすくめたかのようにビクッと跳ね上がる。
唖然とした表情を貼り付けたまま、彼女はドサリとその場に崩れ落ちた。
「すみません、龍宮さん……。刹那さん、大丈夫ですかっ!?」
倒れ伏す龍宮にも律儀に頭を下げてから、ネギが刹那のもとへと駆け寄ってきた。
しかし既に刹那の両目は閉じられ、意識も失っている。最後に力を振り絞ったのが、決定的だった。
「このか、これアンタの!」
続いてやって来た明日菜が木乃香にデイパックを手渡した。
慌ててジッパーを開け、中から救急箱を取り出す。彼女の支給武器である。
無我夢中で処置を尽くす木乃香。左腿の怪我は止血したが、右肩の方は血が止まるどころか益々あふれ出てくる。
「刹那さん、しっかり!」
「負けないで刹那さん!」
ネギと明日菜が懸命に声をかける。しかし、閉じられた双眸はピクリとも動かない。
諦めずに……いや、諦められずに、声帯が千切れんばかりに木乃香が叫んだ。
「せっちゃぁん……せっちゃーん!」
零れ落ちる涙。
その慟哭と共に、一面が光で満たされた。
以上です。
ようやく期末が終わりました……今後は、多少ペースを上げて投稿できると思います。
>>422 そうですね……確かに、超は無批判にマーダーキャラを押し付けてしまっています。
「生き残る」という理由だけで超が動くのも不自然な気もしますし……
今後もし追加ストーリーを作るようなことがあれば、是非参考にさせてもらいます。
作者1氏まだかにゃ?
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
早速読んできます!1
ちょwwwwパルwwwww
そのネタここで見るなんて夢にも思わなかったwwwwwwwwwww
>>435 マジで乙。あんたは神だよ!
ちなみに好きなキャラベスト10挙げたらおそらく大半が自分とかぶってる希ガスw
流れ読まないで質問スマソ……携帯でのダウンロードは可能だろうか(;_;)?
>>435 最高すぎます。やばいです。
自分も作者さんの文章を読んでBRを書き始めた口なんで……こうして、改めて貴方様の文章が読めるとすごく嬉しいです。
構成などに関しても勉強になりました。いやはや、精進しなくては。
>435
「2」って、「8年後麻帆良教師となった裕奈に再び襲いかかる悪夢」というフレーズが浮かんでしまった。
これじゃあネギロワじゃねえな。映画の続編ではあるパターンだが。
>>435 なんだこれ
涙もろい俺は普通に泣けるんだが
やばいほどGJ!やはり作者1様は別格でした
見れねぇ('A`)チクショー!!!
あやかがやっと初生き残りかw
今宵茶々丸の夢を見ちゃった俺が来ましたよ
そいで分岐ルートなんだけども、一応
1.茶々丸ルート
2.アキラルート
3.刹那ルート(最初の方から分岐するから長い)
を構想してるんだがどれにしようかな?
アキラルートキボン
>435
見れない…
>446
俺もアキラルートに一票
アキラ!アキラ!
アキラ祭りじゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アキラキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
投下です。
32 ≪スイッチ≫
真暗い部屋に、ディスプレイの放つ薄明かりだけが不気味に浮かび上がっていた。
夜明け前で兵士のほとんどは仮眠を取っている。その静寂の中、カタカタとキーボードを鳴らす音が響き渡る。
タンッ
最後に小気味良い音を立ててエンターキーを押した。画面には、『命令の解除を受け付けました』の文字が表示される。
一見しては無表情に見えるが、だが僅かに満足げな色合いをその横顔に浮かべて、彼は席を立った。
自動ドアを潜り抜けて、廊下に出る。
無機質で、病的と言ってもいい程に何の装飾も施されていない通路。足早に通り抜けて、巨大な扉の前に立った。
電子ロックにカードを通し、暗証番号を入力する。
ピッという電子音がすると、重厚な扉はゆっくりと左右に開いていった。
中に入り、再び目の前に現れる大きな扉。今度は脇にあるセンサーに親指を押し付けて、そのロックを解除する。
しばらく歩を進める。開けた場所に出る。厳重なロックに守られた"それ"のもとへ辿り着いた。
彼は大きく息を吐いて"それ"を見上げ……
「どうした、タカミチ。対魔力装置の見学にでも来たのか?」
ふいに背後から声がかかった。ビクッと跳ねるように、高畑は背後を振り返る。
「義明……」
「おいおい、そんなに驚くことはないだろ? 僕たちは親友じゃないか」
大仰に肩をすくめる榎本。
高畑は、その背後でこっそりと両手を合わせた。心を落ち着けて、気と魔力をしっかり練り合わせる。
「それよりタカミチ、どうしてまたこんなところに? 本当に見学に来たわけでもないだろ?」
コツコツと足音を立てて榎本が近づいてくる。
高畑は繕った苦笑を貼り付けながら、合成が十分にいったことを確認する。
「いや、なんでもない。ただちょっと見に来ただけさ……」
「へぇ、『ちょっと』見に来るためだけにわざわざあのロックを抜けてくるなんて、タカミチ、お前も変わった奴だなぁ!」
年不相応に幼げなその面貌に満面の笑顔を浮かべ、榎本は立ち止まった。
タカミチも背後に回していた両手を、ズボンのポケットに差し入れる。
「……お前こそな、義明」
「ははっ、全くだ。だからこそ僕たちは親友でいられたんだが……残念だな」
榎本は懐から銃を抜き放ち、即座にその引き金を引いた。
高畑はその銃弾をしゃがみ込んで避け、牽制に居合い拳──「居合い抜き」を応用した、高畑の独自の攻撃方法──を数発放った。
だがお互いの距離が十数メートルも離れているせいで拳圧が弱まり、威力が激減している。
榎本の持つグロックの銃口をわずかに跳ね上げるだけで、ダメージを与えるほどには至らない。
しかし、それだけで十分だった。
高畑が巨大な対魔力装置に向き直る。呼吸も置かずに、最大威力の豪殺・居合い拳を叩き込んだ。
ドガアアァァァッ!
断末魔の叫びを上げ、盛大に崩れ去る対魔力装置。
それを見て高畑は、心底から懺悔するように目を閉じた。
──パンッ!
銃声。
高畑の服に、じわじわと赤い染みが広がっていく。
それすらも高畑は受け入れ、なお目を閉じたまま呟いた。
「すまない……ネギ君、3-Aのみん」
パン!
言い終わらない内に、止めの銃弾が高畑の頭蓋を撃ち抜いた。
「くそっ……タカミチめ。出来損ない如きにこうも掻き乱されるとは……。こんなでは、対魔力装置はもう役に立たないな」
榎本は苦々しげにその面貌を歪めた。眉根は寄り、口元から歯軋りの音も染み出ている。
すると、小銃を抱えた兵士が部屋に飛び込んできた。
「榎本様! 大丈夫ですか!!」
「遅いぞ。もっと迅速に行動しろ。僕は島の監視に戻る。お前はアレを片付けておけ」
「"アレ"……? っ! た、対魔力装置が……!!」
「違う。そっちじゃない。高畑・T・タカミチを処分しておけと言ったんだ」
言い残して、榎本は二枚の扉をくぐり抜けて廊下に出た。背後から悲鳴が聞こえたが、無視する。
すぐさま監視モニターの並ぶ部屋へと戻り、13番モニターを見上げた。
「ああ、くそっ。もう終わってるじゃないか。18番には期待していたのに……せっかくの薬が勿体なかったな。
結局、殺してくれたのは三人だけか……まぁ、あの桜咲刹那が死んだだけ良しとしよう。」
榎本が熱心に視線を注ぐモニターには、肩口から血を流し続ける刹那の姿があった。
周りにいる近衛木乃香や神楽坂明日菜、ネギ・スプリングフィールドが応急処置を施しているようだが、あの出血では助からないだろう。
「龍宮の興奮剤ももうすぐ切れるだろうが……まぁ、目を覚ました時に親友を殺した罪悪感から自殺に走るか、あるいは狂って再び殺人に手を染めるのか……楽しみだな、くくっ」
底意地の悪い笑みを浮かべ、榎本は再び13番モニターに注意を戻した。
──と、その時。
瞬時に、モニターが真っ白に染まった。
「な、何だ……何が起こった!?」
数秒経ってから、潮が引くようにモニターが徐々に元の色を取り戻していく。
その画面には、上体を起こし辺りを見回す桜咲刹那と、狂喜乱舞する三人の姿が映っていた。
「──まさか。いや、そうか……近衛木乃香……!」
得心すると同時に、榎本はハッと8番モニターに目をやった。
「くそ……コイツまで……」
憤怒に顔を真っ赤に染めて、榎本は内線の受話器を取った。
「僕だ、榎本だ! 対魔力装置のバックアップは取ってあっただろ! 今すぐに修復しろ!!
……だから、壊されたんだよ! タカミチの奴に裏切られたんだ! ……何、できないだって!?
出力機? いつ出来上がるんだ!? ……それじゃあ遅すぎるだろ! 今日中に調達しろ、いいな!!」
ひとしきり喚き終わって、榎本は受話器を叩きつけるように置いた。
荒々しく息を吐きながら彼は放送用のマイクを手に取る。
物語は確実に動き始めていた。
33 ≪第二回定時放送≫
おい、起きろ。もう朝だ。
今から第二回定時放送を始める。
死亡者を発表するからな。
2番・明石裕奈、4番・綾瀬夕映、5番・和泉亜子、7番・柿崎美砂、9番・春日美空、11番・釘宮円、12番、古菲、21番・那波千鶴、22番・鳴滝風香、27番・宮崎のどか、28番・村上夏美、29番・雪広あやか、30番・四葉五月、31番・Zazie Rainyday。以上14名だ。
……なに、やればできるじゃないか。
この調子なら三日なんてかからないね。まぁ頑張って殺し合ってくれよ。
それじゃ、また……。
以上です。
お騒がせマンの彼が登場してしまいました。
いや果たして、真のお騒がせマンは作者5自身に過ぎないわけですが……。
刹那ルートがみれない・・
投下乙。
作者5氏の文章かなり好みなので毎日ワクテカしてますよー。
苗字で批判されるんならもう表記を苗字じゃなくて名前にすればいいんじゃね?
オリキャラってことが問題にされている。
462 :
マロン名無しさん:2005/12/10(土) 23:12:52 ID:759NmZyT
今順番待ちしている作者って何人くらいいるんですかね?
sage
いまさらだが
>>435乙
このか&刹那エンドが一番お気に入り(あとパルもwwwww)
作者1氏マジで神だ
>>462 多分4〜5人くらいかな?俺もその中の一人だけど・・・
>>465 けっこう厳しいっすね。
まあそれだけ文章が推敲できますけどもね。
投下します。
34 ≪覚醒≫
銃声と、腹部に感じた熱で目が覚めた。
自分の今の状態を理解した時には既に、最初に感じた熱は明確な痛覚となって彼女を攻撃していた。
だが彼女にとっては今まで幾度となく体験してきた感覚。思考はあくまでも冷静に、状況を分析していた。
──エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは不死身である。
なぜなら彼女は吸血鬼。そしてそのカテゴリの中でも最強に位置づけられる"真祖"であるからだ。
よって、その真祖の能力を以ってして大抵の損傷は瞬時に再生できる。
だが今はどうだ。痛みは一向に引く様子はないし、腹の傷口からも未だに血が流れ続けている。
これはおそらく……魔法と同様に、真祖の能力も"何か"に制限されているためだろう。
しかしそれよりも理解しがたいのは、「なぜ今、自分が撃たれているか」だ。
就寝前に茶々丸に周囲を見張っておくように言い付けたのは覚えている。
茶々丸ならば大抵の敵は撃退できるだろうし、仮に龍宮やら長瀬やら手に負えない奴が襲ってきたとしても、自分を起こすぐらいのことはするはずだ。
ならば遠距離から狙撃されたか? ……いや、ここは森の中だ。周りを木々に囲まれている以上、それは絶対に不可能である。
結論。茶々丸を黙らせる能力・方法を持つ人間が襲ってきた。つまり──
「……ハ、カセ……か」
視線を上げる。
エヴァンジェリンの目の前では、葉加瀬聡美(24番)が両手でコルト・ガバメントを構えてガクガクと震えていた。
葉加瀬は茶々丸の製作者であり、契約主である自分同様に茶々丸に対する絶対命令権限を持っている。
きっと茶々丸に「黙って動かないでおくように」との命令でも下したのだろう、相反する命令を入力された茶々丸は一時的なフリーズに陥ってしまっているようだった。
「エヴァンジェリンさん……私、本当は……」
葉加瀬は今にも泣きそうな顔で、喘ぎ苦しむエヴァンジェリンを見つめていた。
恐らくは「殺し合いなんて急に言われて、訳が分からなくって……」とかいうやつだろう。
くだらない。
葉加瀬とエヴァンジェリンはこれでも、茶々丸という共通点を通して結構話した仲だ。
エヴァンジェリン自身も、茶々丸を生み出してくれたことに関しては、並々ならぬ感謝も感じていた。
──それがこのザマか。全く、冗談にもならない。
エヴァンジェリンは、自分の中が急激に冷えていくのを感じた。
出血によって死に向かっているためか、それとも……
「ご、ごめんなさい……でも、でも……」
「黙、れ……。今、殺し、て……やる」
ゼェゼェと苦しげに喘ぎながら、エヴァンジェリンはゆっくりと体を起こそうとした。
だが全くもって力が入らない。己の情けなさに腹が立った。
「く、そ……」
視界が揺らぎ、ぼやけてくる。拍動のリズムがゆっくりとしたものに変わっていく。
遅々として、だがしかし確実に迫り来る死をエヴァンジェリンは感じ……
視界が晴れた。
霧が散るように、周囲の景色が明確に線を結んでいく。
それと同時に、今まで彼女を責め苛んでいた痛みが嘘のように消えていった。
「え……?」
虚を突かれ、呆然とした表情のままエヴァンジェリンは辺りを見回す。
そして、目に付いたのは
恐怖に顔を歪ませる、葉加瀬聡美の姿だった。
エヴァンジェリンが、その口元を歪めた。
──ピキ、パキ……
冷たい微笑を浮かべると同時に、エヴァンジェリンの周囲が凍り付いていく。
冷気の波は彼女を中心に広がっていき、そして遂に、震える葉加瀬の足元を捕らえた。
「いや、本当に、死ぬかと思ったぞ? というよりも実際、一瞬だけ死んだかもしれない……。
だが……約束したからな。『今、殺してやる』って」
その絶望的な宣告に葉加瀬はついに足腰も立たなくなり、尻からへたれ込んでしまう。
先ほどまでとはまるで違う、人間の良心や道徳などとは全く関係のない純粋な恐怖。即ち、人間の恐怖ではなく獣の恐怖。
それに表情を引きつらせる葉加瀬を見て、エヴァンジェリンは満足げに笑む。
……その時ふと、葉加瀬がわずかに尻を動かすのに気付いた。
エヴァンジェリンは訝しむように葉加瀬の股間を注視し、そして……
気付いた。
顔を俯かせ、何かに耐えるように肩を震わせ、そして次の瞬間、頭を跳ね上げ大声で嗤い出した。
「あっはっはっは! 無様だなぁ、ハカセ!?
一度は銃で撃ち殺した相手が! この私が! そんなに怖かったのか!? あははは!!」
片手で面貌を覆い隠し、哄笑を朝空に響き渡らせる。
「ふっ、くく……すまなかったな、ハカセ。そういえば礼がまだだった。
これまで長く生きてきたが、あそこまで身近に死を感じたのは初めてだ。
いや、貴重な体験をさせてもらったよ……ありがとう。そして……」
葉加瀬の足元の氷が広がり、彼女の体を包み込んでいく。
「さようなら、だ」
首元まで進んだ氷の侵食は、その言葉をきっかけにしてピタリと止まったかと思うと……
パキィィン!
葉加瀬の首から下が粉々に砕け散った。ごとり、と彼女の頭部が地面に落ちる。
落下した"それ"の表情は凍り付いていた。氷にではなく、恐怖に。
「オーナー・ハカセサトミの死亡を確認。命令から離脱します」
エヴァンジェリンの背後で、茶々丸がようやくフリーズ状態から復帰した。
と、同時に第二回定時放送が島に響き渡る。
『死亡者を発表するからな……』
死亡者。
眠りに就く前に吐いた言葉を、エヴァンジェリンは思い出していた。
──明日の朝の放送までに5人以上殺されているようなら、そんなクラス、私が潰してやってもいいかもしれないな
『……以上、14名だ』
馬鹿らしくなった。
自嘲して、彼女は空を仰ぐ。
「──幻滅だ」
長きを生き過ぎた真祖は、呻いた。
「もう、何百年も前に理解していたというのに……。人間とは、こういうものだと。
己の欲望のためならば共食いすらもいとわない、愚かな生き物だと。
ああ……なぜ忘れていたんだろう。私は、少し寝惚けていたみたいだ」
エヴァンジェリンは、ついさっきまで葉加瀬聡美の一部だった、丸い塊に足を掛けると……
──グシャッ!
そのまま、力を込めて踏み砕いた。まるで、蟻を潰すみたいに。
「行くぞ、茶々丸」
「……はい、マスター」
茶々丸は、自分の製作者だったモノに一瞥もくれず、主のもとへと歩いていった。
【24番 葉加瀬聡美 死亡 残り12人】
35 ≪目撃者≫
長瀬楓は地獄を見た。
最強の吸血鬼がその本分を如何なく発揮して葉加瀬聡美を屠る、その終始をだ。
恐怖は感じた。だからこそ咄嗟に体は動かず、彼女を助けることはできなかった。情けなかった。
だが、かといってこれ以上、この悪魔の進攻を見過ごすわけにはいかない。
楓は決意と共に、エヴァンジェリンの前に立ちふさがった。
「……エヴァンジェリン殿。全て見させて頂いた」
いきなり現れた人影に一瞬虚を突かれた表情を浮かべたエヴァンジェリンは、しかしすぐに嘲るような笑みを浮かべた。
「長瀬楓か。何の用だ?」
「全て見させて頂いた、と言ったはずでござるよ。お主がハカセ殿を殺す、一部始終を」
「ほう……そうか。なら、"私が殺された"一部始終まで見ていたか?」
「……何を言っているでござるか」
唐突に発せられた言葉を理解できず、訝るように楓は眉をひそめた。
「フン……まぁいい。お前は私を殺しに来た。そうだろう?」
「っ! ……拙者は、ただエヴァ殿を止めようと、」
「御託はいい。やれ、茶々丸」
エヴァンジェリンが右手で合図を出すと、それまで背後でずっと押し黙っていた茶々丸が雷に打たれたかのように反応し、戦闘に移った。
足裏のローラーを使って一息に間合いを詰めてくる茶々丸。楓は「くっ」と息を呑みながら、自分の分身を十体作り出した。
エヴァンジェリンはそれを見て感心し、思わず呼気を吐く。
「なかなか見事なものだ。……いや、それより、やはり術が使えるようになっているな……どれ、試しだ」
掲げられたエヴァンジェリンの右手に、急速に魔力が収束していく。
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック!
氷の精霊(セプテンデキム・スピーリトゥス) 17頭(グラキアーレス)
集い来りて(コエウンテース) 敵を切り裂け(イニミクム・コンキダント)
魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾(セリエス)・氷の17矢(グラキアーリス)!!」
撃ち出された氷の矢が四方八方から襲い掛かる。さらに前方から迫る茶々丸。
分身の九体は魔法の射手を弾くことに専念し、本体は茶々丸と応戦する。
無慈悲なまでに正確に繰り出される茶々丸の打撃を悉く受け止めながら楓は思った。
──強い。いや、強いというよりは隙がない。
完璧にプログラムされた攻撃パターン。それ故に、茶々丸は「隙を作らないこと」を第一に置いた攻めを繰り出してくる。
魔法使いの従者としては最適であろうその動きに、楓は焦りの色を浮かべ始めていた。
「ハハッ、まだ行くぞ! 魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾(セリエス)・氷の29矢(グラキアーリス)!!」
茶々丸の背後で悠々と佇むエヴァンジェリンが、さらに数多の矢を放つ。
受け止め切れなかった分身が数体消滅するのを、楓は茶々丸と交戦しながらも感じていた。
……もはや実力差は歴然。このまま仕留められるのも、時間の問題だ。
「来たれ氷精(ウェニアント・スピーリトゥス・グラキアーレス) 大気に満ちよ(エクステンダントゥル・アーエーリ)
集い来たりて(コエウンテース) 敵を捕らえよ(イニミクム・カプテント) 氷結の枷(フリーゲランス・カプトゥーラエ)!!」
その不安を具現するかのように、楓の周囲に冷気が凝縮し、右腕を凍りつかせる。
肘から先が氷に覆われて、まるで使い物にならなくなってしまった。
しかし茶々丸は容赦なく楓の右側頭部にフックを打ち込んでくる。
楓は咄嗟に右腕でそれをガードし……
その腕が、粉砕された。
『腕の骨が粉砕された』のではない。『腕が粉砕された』のだ。
右肘から大量の血を滴らせ、楓はよろよろと後ずさる。
すぐに背後を振り返り、そのまま森の奥へと駆けて行った。
「逃がすな。追え」
命令を受けた茶々丸が後を追おうとするが、それを楓の分身たちが妨害する。
いくら密度の薄い分身たちと言えど、これほど数が多ければ茶々丸も苦戦せざるを得ない。
全て消滅せしめた頃には、本体の楓は遠く見えないところまで逃げてしまっていた。
36 ≪はやく起きた朝は≫
寝覚めは最悪だった。
人が爆死するのを目の当たりにしているんだから仕方ないのだろうが、それでも千雨は不条理に腹を立てずにはいられない。
だって、よりにもよってモーニングコールが死亡者報告なのだから。
史上かつてないほど気分の悪い朝に、しかし何とか千雨は朝食のクッキーを頬張っていた。
「14人、か……」
呟いたその数字の重さに、彼女はさらに陰鬱とした気持ちになってしまう。
死亡者の中にはもちろん雪広あやかの名も含まれていた。そのことが何より、昨日の出来事を千雨の胸に深く刻みつける。
自分は不幸なんだろう、と千雨は思う。こんなゲームに巻き込まれたこともそうだが、最も不幸なことはあやかの死に様を見届けてしまったことである。
そのせいで自分は人殺しになることもできないし、自ら命を絶つこともできない。榎本とやらに真っ向から立ち向かう道しか、クラス委員長殿は残してくださらなかった。
「はぁ……ったく、迷惑な」
今は亡き彼女に対して悪態をつきながら、クッキーの最後のひとかけらを飲み込んだ、その時だった。
──キィィ
蝶番の軋む音。誰かが、この家に入ってきた。
今、千雨は住宅街でも東よりのとある民家の中、さらに細かく言えばリビングに身を潜めている。
玄関からここまでは大した距離もない。しかも一直線。
ソファの影に油断なく隠れながら、千雨は保身用に拝借した果物ナイフをぎゅっと握りしめた。
近づいてくる足跡。ナイフを握る手にも汗が滲み出てくる。
──ガチャッ
リビングに入ってきた。だが入り口からでは千雨の体は死角になっているはず。
もはや侵入者と千雨の距離は数メートルと離れていない……。
意を決して千雨は飛び出し、侵入者の喉元にナイフを突きつけた。
「動くんじゃねぇっ! 武器を捨て……て」
侵入者の顔は、涙と鼻水と涎でぐじゃぐじゃに歪んでいた。
「──ったく、驚かせるんじゃねぇっての」
「うぐっ、ひぐっ、すびばぜん……」
咽び泣く史伽を前に、千雨はばつが悪そうに頬を掻いていた。
「いや、別に謝らなくても……」
史伽にナイフを向けた時のことを思い出す。
『動くんじゃねぇ』だなんて、それじゃあまるで強盗だ。
急に恥ずかしくなった千雨は、誤魔化すようにティッシュ箱を史伽に差し出した。
「あ、あびがどうございばず……」
鼻声で感謝の言葉を伝えながら、受け取ったティッシュで鼻をかむ。
「……それで、どうしてまたそんなに泣いてるんだ」
千雨の質問に、史伽はびくりと反応し、そのまま俯いて嗚咽まじりに肩を震わせ始めた。
「あ、あぁ〜、いや何でもない。やっぱいいわ。
えーと、そう、お前、武器は何か持ってないか?」
慌てて、千雨は当たり障りのない別の質問を史伽にぶつけてみる。
「防弾チョッキと……ノートパソコンです」
上目遣いで、申し訳なさげに史伽は言う。しかしその言葉を聞いて、千雨は爛々と目を輝かせた。
「ノーパソ!? 持ってんのか、お前!」
「え、あ……はい、一応。バッテリーは切れてるんですけど……」
千雨は口元に手を当て、考え込むようにして何事かを呟き始める。
「バッテリーがないのか……でも電力ならこの家にあるし……いや、そもそも回線が繋がらなくちゃハッキングは……となると……よしっ!」
いきなり千雨は立ち上がり、びしりと史伽を指差して言った。
「学校行くぞ! あそこ結構新しい校舎だったみたいだし!!」
「え? え?」
戸惑う史伽をよそに、千雨はさっさと荷物をまとめ始める。
「おい、何してんだ。早く出発するぞ、準備しろ」
「は、はぁ……」
呆気にとられながらも、半ば連行されるようにして史伽は学校まで連れて行かれることになったのだった……。
以上です。
クオリティ高っ!!
初のエヴァ参戦でどうなるのか楽しみだ
エヴァをここまで美しく作り上げるとは… GGGGGJJJ!!
アキラルート行きます。26のから分岐します。
少しずつ落とすから期間が本編より長くなるかもw
27-A:九死に一生
降り続いていた雨が、唐突に止んだ。どうも通り雨だったらしい。
雨音に身を隠し接近するつもりでいた千雨は、一瞬怯み物音を立ててしまう。
「…誰!」
アキラがナイフを音のした方へ差し向けた。
(この際…どうにでもなりやがれ!)
千雨が弾丸を発射しながらアキラ達の方へ突進してきた。
「伏せて!!」
アキラはのどかに声をかけるとそれを予測していたかのように
銃弾をかわし、素早く千雨の懐に潜りこんだ。
「もう、お前には蔓延らせない…」
千雨の顔が歪んだ。そして何かを言おうとしたが、
胸に深々とナイフが突き刺さり、言葉になることはなかった。
「……アキラさん…」
無事と判断したのか、のどかが起き上がった。
「…これで、私ももう殺人鬼だね」
苦しそうにアキラが微笑った。
「アキラさんは、そんなんじゃありません」
だが、それを遮るかのようにのどかが力強く否定する。
「アキラさんのやった……ことは……
千雨さんがやっていたこととは違います……!
だから……殺人鬼だなんて……違うんです!」
心を射る言葉だった。少なくとも、アキラにとっては。
(…そうだ…私がこの子を守らなくてはならないのに…
心配する様な事を言ってどうする…)
少しの涙が毀れた。それがのどかの言葉から来たのか、この戦いへの怒りから来たのかは分からない。
「…ごめん」
短い返事だった。だが、それには重い意味が込められていることをのどかは悟った。
「皆を、探さなきゃな。もしかしたら、ネギ先生が来てくれるかもしれない」
「はい」
やがて二人は、再び歩き出していった。
本編より長くなるとなると……できれば不肖の投稿が終わるまで待つか、
あるいは作者1様のようにうpろだに上げるかして頂きたいんですが……。
なんで?
作者5氏の決めることじゃないだろう。
前まではふつうにこんな感じで進んでたじゃん。
同時進行で落とされると話がごっちゃになりそうな…
>>486 常に同時進行は避けてたでしょ
だからこそ順番であんなにモメてたんだし
>>488 話の流れわかってますか?それとも最近このスレ来はじめた?
今まで分岐エンドがある時は順番関係無しに進んでたってことです。
作者5氏の主張もわかるけど、誰もがHTMLできるわけじゃないんだから
コテ持ちはもうちょっと慎重な発言をしたほうがいいと思うよ。名無しより。
>>486、
>>489 本編よりも長くなるぐらいの長作、加えてまだ書き終わってない(期間的におそらく)ことを考えると、完成してから投稿してもらった方がありがたいと思ったんです。
ただ、分岐エンドは順番関係なしという決まりに関しては知りませんでした……すいません。
コテが出過ぎた口を叩いたとも反省しています。本当に申し訳ありませんでした。
本編より長い長編じゃなくて、ゆっくり投下するから駆け足で進行した本編より期間が長くなるってことじゃないの。
本編自体35話で終わってるわけだし、27からの分岐じゃどっちにしろそんな長くないと思われ。
作者WGJなんだが受験は大丈夫なのだろうか……無理すんなよ(;´Д`)
まぁ確かに、どうせ数話で終わるならまとめて読みたいっていうのもあるかも
くっ…やっとネット繋がって来てみたら…
>>435が見れねぇorz
>495
お願いします。
>>491氏の言う通りです。ご迷惑をかけて申し訳有りません。
あと千雨死亡表記を忘れてた…
>497
やっぱ携帯じゃあだめだったぁ!
でもわざわざありがとうございます。
携帯で見れるわけねーじゃんw
いや、「あるいは」とおもったので…
作者5氏はまだかな?
刹那ルートの生存者の表記でいいんちょの出席番号が30になっていました。
できれば29に直してもらえるといいのですが。
パスワードはnbrじゃないの?
>497をよく見てみ。
>>506 明日菜「んっ・・・あっ、あっ、あっ・・やぁぁ、ネギぃ・・・パスはnbrじゃ無いって・・あっ・・言ってるでしょ・・
はぁっ・・パスは・・んっ・・・negiよ・・くぅっ・・・あっあっあっ・・・・・」
ネギ 「アワワワワ!!」
明日菜「どっ、どうしたの!!?」
ネギ 「なっ、膣出ししちゃいました・・・」
明日菜「バッ、馬鹿!!何やってんのよ、もう!!」
ネギ 「明日菜さんが凄くきれいだったからつい・・・」
明日菜「・・・もう、しょうがないんだから!!」
木乃香「えらいとこ、みてもうた〜。
ネギ君もあんがいやるもんやなぁ〜w」
何書いてんだ俺・・・orz
>>510 そういう発言は控えたほうがよろしいかと
嫌いな人もおるよ
>497
またDLし損ねた俺ってダメダメorz
>>512 ごめんな、パス何?ってきくヤツがあらわれたら消そうって決めてたんだ
>>513 いやいや、確認するのが遅かった俺が悪いので全然OKです。
>>514 ありがとうございます!! 早速DLしました〜。
>>497でもなぜか見れない…
自分のPCがヘボなせいなのかもしれんが、こうなるとまとめサイトさんに
早めにうpしていただけるよう他力本願かけするしかないのかなあ。
517 :
516:2005/12/13(火) 02:02:44 ID:???
書く前にリロードすべきだった…orz
しかしまとめの方にお早めにお願いしたいのは変わらず。
どうかよしなに…
なんかID云々言われて落とせない。><
投下します。
37 ≪ジャンク≫
佐々木まき絵と大河内アキラは丘の上で夜を明かし、朝になってから麓へ下りて来た。
二人とも今朝の放送は聞いている。13人。その中には、確実に彼女らの親友の名も含まれていた。
お互いのため息がお互いの気分を沈ませる。負の循環に、二人は囚われていた。
これだけ落ち込んでいるのだから丘に留まっていてもおかしくないのではあるが、不思議なもので、憂鬱とした気分であるのに関わらず足は勝手に進んでいく。逆に言えば、何か行動を起こしていなくては更に気が滅入ってしまうからなのだろう。
するとその時、俯きながら歩を進めていた二人の前方に人影が飛び出してきた。
肩で息をしながら挙動不審に辺りを見回している。人影と二人の視線がはち合う。
「あれ、超さん……どうしたん、で……」
アキラが声をかけようとして、そして気付いた。
超の右手に握られた拳銃に。超の服全面に付着した赤い斑点に。
つまり……
パァン!
ハンドピストルの銃弾が、アキラの肺腑を撃ち抜いた。
何が起きたか理解できず、いや、自分が撃たれたことすらアキラは理解できていない。
「え……え……?」
「アキラっ、アキラぁっ!」
まき絵の悲痛な叫びに、ようやくアキラは得心して呟いた。
「そっ、か……わた、し……」
言い終わらない内に、糸がプツリと切れたようにアキラはその場にくずおれた。
傷口からはどくどくと血が流れ続けている。
それを見てアキラは「ああ、もう助からないんだろうな」と、どこか冷静に考えていた。
しかし親友の方が冷静でいられなかった。
まき絵は自分の中で何かが切れるのを感じ取り、その激情の赴くまま超に襲い掛かった。
おでこに穴が空いた。
貫通はしていない。弾丸が、それほどの威力を有していなかったためだろう。
まき絵の後頭部に残留した銃弾は、しかし致命的なまでのダメージを彼女の脳に与えた。
飛び掛った慣性が働き、まき絵の首が滑稽にひねられる。そして重力に引かれるまま、壊れたマリオネットよろしく地面に落下した。
「あ、あぁ……ああぁあぁああぁああぁあぁあぁぁああああああぁあ!!」
無声映画のようなその始終を見ていたアキラは、歪んだ叫びを吐き出す。
「何だ、支給武器大した物持ってないヨ……辞書もトランプもいらないネ。食料と水だけ貰っていくヨ?」
"処理"を済ませた超はそそくさと二人のデイパックの物色に移っている。
「ま、き、え……」
親友の名を呼びながら、アキラはまき絵のもとへと近づこうとする。
しかし体はずるずると這うばかり。二人の距離は絶望的に遠い。
その間にも超は物資の移し変えを終え、アキラたちの方を振り向こうともせずに立ち去っていってしまった。
「ま……き……」
意識が朦朧としてくる。視界が霞む。声を出すのも億劫だ。
それでもアキラは最期までまき絵と共にいようと、鉛のように重い体を引きずっていく。
「ま…………ぇ……」
残った力を振り絞って、アキラは右手を伸ばす。
その指先がまき絵の肩に届く、あと数センチのところで……アキラの意識は途絶えた。
【6番 大河内アキラ、16番 佐々木まき絵 死亡 残り10人】
38 ≪罪業のリフレイン≫
自分はつくづく運がない、そう思った。
まず一つ。エヴァンジェリンと出会ってしまったこと。結果として、片腕で無様に森を彷徨う羽目になっている。
二つ目。超が人を殺しているところを見てしまったこと。殺人現場を二度も目撃したのだ。もはや巡り合わせの一言では片付けられないものを感じる。
そして三つ目。それを黙って見過ごせるほど、自分は人間ができていないわけではなかったことだ。
「長瀬楓……どうしたネ? そんな不格好な体になって」
楓を視認した超が、その頬を挑発的に吊り上げた。
だが甲賀中忍の実力を彼女が知らないわけもない。皮肉に笑む超の表情にも、やはり緊張の色が見てとれる。
「超鈴音殿……アキラ殿とまき絵殿を殺めるところ、しかと目に留めさせて頂いたでござる。言い残すことは?」
楓が睨みつけるが、超ももはや意を決したのか、怯むことなくその瞳を真っ向から見返した。
「残念ながら、言い残すことはないネ」
「……ほう?」
「ただ、言い渡すことはあるヨ。……長瀬楓、お前にはここで死んでもらうことにするネッ!」
超がハンドピストルを素早く持ち上げ、躊躇なくその引き金を引いた。
だが楓は即座に弾道を見極め、体を捻るだけでその一発を回避する。
慌てて超も照準を合わせ直そうとするが、遅い。一足飛びに楓は超との間合いを詰め、片腕で彼女を捻り上げた。一瞬だった。
「ぐ、あぁっ……!」
右腕に走る激痛に、超は思わずピストルを取り落としてしまう。
「超殿……人を殺めた者の罰は、すべからく"死"でござるよ」
あくまでも冷酷に宣告する楓の顔には、しかし苦渋が刻み付けられている。
声音にその色を感じ取ったのか、超は高らかに哄笑を響かせた。
「くっ……は、あはははっ! あははははははっ!! そうネ、確かに殺人者としての責任は取らねばならないヨ。
……だが、長瀬楓? 偽善も程々にするネ。つまりはお前も、私を殺すと、そう言っているヨ。
ならば殺人者・長瀬楓が負う責任とは一体何なのか……分かるかネ?」
超の口上に、楓は苦々しげに顔を歪ませる。
「"死"ヨ。殺人者の罰は、すべからく"死"……」
「……何が言いたいでござる、超鈴音」
「でも安心するネ。その罪もここで終わり……」
「……ッ!」
楓が息を呑んで飛び退こうとする。
しかしその時、既に超の左手はポケットの中のプラスチック爆弾の安全装置を外し終えていた。
「全て、終わりヨ」
スイッチに、手をかけた。
閃光。
──数秒後、爆音が尾を引く森の中。
そこに残っていたのは……もはや誰のものか判別できないほどに焼け爛れ、飛び散った、二人分の肉片だった。
【19番 超鈴音、20番 長瀬楓 死亡 残り8人】
39 ≪その眩しさに≫
薄く目を開けると、瞼の隙間から陽光が差し込んできた。もう日も昇り始めているのかもしれない。
眩しさを堪えつつ目を覚ますと、心配そうに自分の顔を覗き込む刹那の顔が見てとれた。
「龍宮……大丈夫か、龍宮」
「……ああ」
雑多に散らばっていた記憶が次第に繋ぎ合わされていく。
──そうだ、あの時、私は……
「ごめんなさい、龍宮さん。威力は抑えたつもりだったんですけど……痛いところとか、ありませんか?」
おぼつかなさげに気をもむネギの姿を見て、龍宮は思わず吹き出してしまった。
「くっ……はは。大丈夫だよ、ネギ先生。せいぜいスタンガンみたいなものだった」
笑顔でそこまで言って、ふと龍宮の表情に陰が差す。
自分が笑っていていい権利など、どこにもないのだと思い出して。
「……すまなかった、刹那。どうかしていたんだ私も……おかしな情動に身を委ねてお前を襲うなんて」
「龍宮……」
泣きそうな顔になって、刹那は首を左右にふるふると振った。
「……そうだ、傷は大丈夫なのか!? 肩の方はまず、いっ……」
言いながら龍宮は体を起こそうとしたが、力が抜けるようにくずおれてしまう。
「龍宮っ!? どうした!?」
「いや、私は平気だ……ちょっと眩んだだけだよ。それより……」
「私も大丈夫だ。お嬢様が力を使ってくださった」
刹那が視線をわずかに木乃香へと向ける。木乃香は照れくさそうに頬を染めていた。
「……ん? 力が使えるようになったのか?」
「ああ、急にな。ネギ先生の魔法も使えるようになったみたいだし、仮契約カードからアーティファクトも出せるようになった」
「そうか……」
龍宮は気合を入れて上体を起こす。刹那たちが心配そうに声をかけてきたが、無視してそのまま立ち上がった。
「まだ少しだるいが、問題ない。だいぶ楽になった」
その言葉に刹那は渋々引き下がる。と、そこでネギが唐突に声を挟んだ。
「あの、少し気になったことがあるんですけど……龍宮さん、さっきの戦いの時、体が熱くなるような感じがしませんでしたか?」
「ん? ……そうだな。確かにその通りだ」
「じゃあ……あと今、関節痛があったり……?」
「ああ、言われてみれば……少し関節が痛むな」
「やっぱり……」
「……ちょっとネギ、いったい何なの?」
一人得心して黙り込むネギを、明日菜が急かした。
「あっ、すいません。どうやら龍宮さん……魔法薬を飲まされたみたいなんですよ」
一同が怪訝そうにネギの言葉に聞き入る。
「確か興奮剤の一種で……効能は"戦闘に対する高揚感"。副作用として、効果が切れた後の倦怠感や関節痛が挙げられます。
古く、傭兵たちの士気向上に使われていたとか……。遅効性なので、おそらくはこれをゲーム開始前に飲まされたんだと思います」
龍宮がギリ、と唇を噛んだ。千切れた下唇から血が流れた。
「……そうか。私の支給武器がデザートイーグルだったのも、あいつらの意図が働いてのことだったか……」
「だそうだ。そういうわけだからさ、龍宮。何もお前の責任じゃないんだ。気負う必要なんてない」
そう言って刹那が励ますも、龍宮の表情は未だ翳っている。
「いや……確かに薬のこともあるかもしれないが、これも偏に私が至らなかったせいだ。本当に、すまなかった」
刹那の方へと向き直り、深々と頭を下げる。そんな龍宮の姿を、驚いたように刹那は見つめていた。
「……や、別に許すも許さないも……。頭を上げてくれ、龍宮」
だが龍宮の頭は微動だにしない。刹那は呆れて息を吐き、言った。
「許すよ。私達は親友だろう?」
その声を聞いてようやく顔を上げた龍宮の目頭は──誰も気付かなかったが──少しだけ赤くなっていた。
「よっし、これで万事解決! さあさ、さっそく出発しよっ!」
後ろから元気よく声を張り上げる明日菜。それに引き連れられるように、ネギと木乃香は明日菜の方へと歩いていった。
ちょんちょん、と肩を叩かれる。振り返って刹那は、至って深刻そうな表情を浮かべる龍宮と目が合った。
「……龍宮?」
自分の耳に龍宮が口を近づけてきて、そこに手をそっと覆い被せる。聞き取るのが困難なほど小さな声で、こう囁かれた。
「確かにあの時はどうかしていたが、『お前は綺麗だ』って言ったのだけは本当だぞ」
「……何してんのよ、あの二人?」
「僕にはちょっと……」
「楽しそーやなぁー」
三人は不思議そうに眺めていた。
顔を真っ赤に染め上げた刹那が、笑いながら逃げる龍宮を追い掛け回している、その様を。
以上です。
あーんまたアキラ死んじゃったよ・・・
5部は戦闘シーンの描写が素晴らしいと思う
個人的に楓VS超なんか今までみたネギロワの中でもベスト3に入るくらい名シーンですよ
まあとにかく作者X乙!!
涙目龍宮ハァハァ(*´Д`*)
作者VさんGJ!
ちょwwwwwwwwwww銀様かと思ったwwwwwwwwwwwwwwwww
一部→全てにおいて神
五部→戦闘が神
あとは任せた
>>532 確かに1部はは凄いよな…
作者1氏が居なければこのスレは続かなかっただろうし…
それに5氏の戦闘シーンはなかなか乙なもんですね
いあやいや、5氏の設定や煮詰め方は
なかなか、どうして… よく練りこまれてますよ
使おうとしてたネタかぶりまくりだぜ! OTL
予定が入りすぎて書きたくても書けない状況やのんね
二部や三部や四部にも触れてあげてください><
俺のイメージ。
一部→スレ復興神
二部→神への挑戦者
三部→新発想の先駆者
四部→兆速仕事人
五部→言語の魔術師
か、かっこいぃー!
で、タツミーは級友を殺した罪悪感とかにさいなまされたりはしないの?
まぁ殺したのは狂ってたちづ姉1人だからさしたる罪の意識もないのかな…
ちょwwwおまwwwwww美空は今だに空気かwwwwwwwwwwww
ところで、今ふと思い出したんだが。
2部作者ってBAD完結してないよな? どうしたんだろうか・・・受験?
投下します。
40 ≪希望≫
ネギ達一行は、昼過ぎに学校へ到着した。昨夜の木乃香の提案に従ってのことである。
校門をくぐり、昇降口から校内に入る。
刹那が前方を、龍宮が後方を油断なく見張りながら進んでいく。
「……やっぱり、ここには誰もいないかもしれないですね」
ネギが諦観して吐いた言葉を、しかし龍宮が言い返す。
「いや、十中八九ここには人がいるはずだ。気配を感じる」
「気配……ですか」
「ま、有り体に言えば"勘"だな。……、刹那」
ふいに、龍宮が張り詰めた声で刹那に呼びかける。
刹那もその意図を汲み取り、こくりと頷いた。
「みなさん……そこの廊下の角。誰かいます」
全然気付けなかった。
三人は唖然としながらも、同様に身構える。
気を張ったまま、突き当たりへ向かってゆっくりと前進していく。
おそらくは向こうも気付いているだろう。リノリウムの廊下で足音を消すのは至難の業だ。
曲がり角まで十数メートルというところで、意を決し、刹那が飛び掛ろうと……
「!」
人影が飛び出してきた。手に持った刃物を振るい、刹那の木刀を弾き飛ばそうとしてくる。
刹那はそれを木刀を傾けるだけで受け流し、重心を崩しかけていたその襲撃者を拘束した。
「長谷川……千雨さん」
「くそっ、放せっ!」
千雨が抵抗して脱出を試みるが、肩をがっしりと押えられていてびくともしない。
「あなたは私の木刀を弾こうとしてきました……私自身を狙わずに。目的は何です?」
問いを投げかけたその時、廊下の角の向こうから更に誰かが飛び出してきた。
「刹那さん、やめてっ!」
目をやれば、それは今朝方に別れたばかりの鳴滝史伽だった。
刹那はきょとんとした表情を浮かべ、それから納得したように千雨を解放した。
「どうもすみませんでした、長谷川さん。史伽さんを守っていてくれたんですね……」
自由を得た千雨は、不機嫌そうに鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまう。
「それで、どうして学校へ来たんだ?」
刹那の背後から龍宮が声をかける。その問いには史伽が答えた。
「あの、私の支給武器がノートパソコンで……それで、この学校の回線が使えたら首輪を何とかできるかも、って千雨さんが……」
ネギ達は驚き、期待に満ちた視線を千雨へと向ける。
千雨はばつが悪そうに頬を掻きながら、言った。
「……もしかしたら、の話ですよ。絶対ってわけじゃないです。政府のサーバーをハッキングするなんて今までやったこともないし……」
「す、すごいですよ千雨さん! 僕、尊敬します! さっそくコンピュータールームを探しましょう!」
喜色を満面に浮かべて、千雨の周りを跳びまわるネギ。鬱陶しげに千雨は顔を背けた。
オープンスペース──放課後、生徒たちに開放されていた場所だろう──はすぐに見つかった。
コードをノートパソコンに繋ぎ、電源を点けて立ち上げる。
ハードディスクには、残念ながらゲームの進行に有利になりそうなデータは何も入っていなかった。
「まぁ、いいさ。目的は政府のハッキングだし……。邪魔はしないでくださいよ」
主にネギに向けてそう言うと、さっそく千雨は活動を開始した。キーボードの上を彼女の両手がせわしなく動き回る。
六人分の希望が、今、彼女の指先に集まっていた。
41 ≪政府関係者はうろたえない≫
七人が希望を見出し始めていたころ、吸血鬼の心に広がる闇は着実に彼女を蝕んでいた。
「今夜、全て終わらせるぞ。生き残りの生徒を狩りつくして、榎本も殺す。そしてその後は……政府を潰す」
「……了解、マスター」
そう返しつつも、茶々丸の表情には陰りが差していた。
その頃、BR主催本部。コントロールルームは、雪広あやかが演説を始めたとき以来の騒がしさに包まれていた。
「なぜネット回線が繋がっている!? ゲーム開始前に外部から切断したはずだぞ!!」
「分かりません、いつの間にか接続が回復させられていました」
怒鳴りつける声と、事務的に答えながらも焦りの色が見え隠れする声。おそらくは上司と部下の関係にあるのだろうか。
「いいから、早く回線を切断しろ!」
「できません。命令が受け付けられません」
「ああ、ったく! だったら25番の首輪を爆破しろ、今すぐにだ!!」
「分かりました。…………やはり無理です。こちらも命令が受け付けられません」
「くそっ、何だっていうんだ!」
喧騒の中、榎本の面持ちにも焦燥の色が刻み付けられていた。
やられた、と榎本は思う。おそらくは……いや、確実にこれは高畑の仕業だ。
学園側の最高責任者であった高畑ならば、命令の解除パスなんてすぐに調べがつくだろう。
ゆうべの間にネット回線を繋げ、首輪の爆破命令を解除する。ここまでしてやられるとは、正直、想定外だった。
「……逆ハックを仕掛けろ」
ぼそり、と榎本が呟く。
「相手はたかが女子中学生だ。こちらのシステムが乗っ取られる前に向こうの動きを止める。早くしろ」
「分かりました。ハッキングを開始します」
コントロールパネルに向かっていた数名の技師たちが、画面を切り替えて忙しく指を動かし始める。
それでも、榎本の顔つきから不安の残り香が抜け落ちることはなかった。
44 ≪刻印≫
日が傾いてきた。目の前で今も作業を続ける千雨の横顔からは、焦りの色が見て取れる。
「千雨ちゃん、首尾はどう?」
そう尋ねる明日菜に、千雨はあからさまに不機嫌そうな表情を向けた。
「まだまだだ。今、政府のサーバーの最初のロックを外してるところだけど……この調子じゃ、あと2,3個は同じようなロックがかかってるな」
しかも、と付け加える。
「向こうからもハッキングしてきてるみたいだ。何とか対応してるけど、こりゃ明日の昼まではかかりそうだな」
そう言ったきり、彼女はまたパソコンの画面に向き合って作業を再開してしまった。
それにしても、と明日菜は思う。簡単に「対応してる」とは言うが、相手は政府の人間……"大人"なんだ。それを相手にして、なお自分の仕事を果たそうと尽力する千雨の姿に、明日菜はどうも不甲斐ない気分になってきてしまった。
……そういえば、そろそろ見張りの交代時間のはずだ。ネギに言付けてから、明日菜は屋上へと向かった。
窓から差す西日がリノリウムの床を橙色に染め上げている。廊下を抜け、薄暗い階段を慎重に踏みしめながら一段ずつ上がっていく。
目の前に現れた大きな扉のノブに明日菜は手をかけ、ぐっと押し開いた。
──ギィィ……
低く響く音を立てて、扉が開く。涼しげな秋の風が彼女の頬を撫でた。
「龍宮さん。そろそろ交代」
「ん、そういえばそんな時間だな。じゃあ、よろしく頼む」
フェンス脇に佇んでいた龍宮は、そう言い残したっきり屋上を去っていった。
──ギィ……バタン
扉が重々しく閉まり、明日菜一人がその空間に残される。
夕陽までもがいそいそと水平線に潜り込んでいくようだ。
「……はぁーあ」
知らず、ため息を吐く。こんな中であと一時間も見張りをしていなければならないのだ、陰鬱な気分になってしまうのも仕方ない。
でも……同じようにみんなも努力している。自分も頑張らなければ……明日菜はそう思った。
「それにしても……本当に、帰れるのかな」
呟きながら、彼女の脳裏を様々な光景がよぎる。
自分の家と言ってもいい、麻帆良の女子寮。3-Aの教室。
中庭のコーヒーショップでは、ネギとデートの待ち合わせをしたりもした──いや、あくまで予行練習のための付き合いである。
そういえば、バイト先のおじさんやおばさんも心配だ。人手が足りなくて苦労しているに違いない……もし帰れたら、しっかり謝らないと。
それに何より……高畑先生。初等部の頃から自分の面倒を見てくれた、明日菜の恩人であり、そして想い人。
彼は今どうしているのだろうか……昔のプレゼントの鈴の髪飾りにそっと手を触れ、明日菜は思いを馳せた。
「……あ」
感傷に浸っている間に陽はすっかり海の向こうへ隠れ去り、そして夜空には星々が瞬いていた。
海とは反対側に位置する森の向こうからは、既に月が顔を出している。
「……あれ?」
ふと何かに気がつき、明日菜は素っ頓狂な声を上げた。
「何だろう……」
闇に浮かぶ月。その真ん中に、ぽつんとした点が2つ付いていた。
目を擦っても、やはりその点は消えない。それどころか、どんどん大きく……。
──違う。"点"じゃない。あれは……人影だ。
「まさか……」
初めは点にしか見えなかったそれは、大きくなっていくにつれて明確な人の形をかたどっていく。
「……エヴァちゃん! 茶々丸さんも!!」
喜色に満ちたその呼びかけに、月夜に浮かぶ人影が応えた。
「久しいな、神楽坂明日菜」
フェンスを越え、すたりと屋上に着地する。
遅れて茶々丸も、ジェットエンジンの出力を抑えながら着陸した。
「気付いてたならもっと早く来てくれれば良かったのに。もうみんな集まってるんだよ!」
「いや、すまなかったな……こっちにも事情があったんだ」
不敵な笑みを浮かべてそう答えるエヴァンジェリンの姿に、明日菜は微かな違和を感じた。
「エヴァちゃん……どう、したの……?」
「どうしたも何も、今日は用事があってここに来たのさ」
エヴァンジェリンが真っ黒な外套──いつ着替えたのだろうか?──をたなびかせ、背を向けながらフェンスに歩いてゆく。
「用事……?」
明日菜が不安げに繰り返す。
「そう」
振り向いて、エヴァンジェリンは手の平を明日菜へ向けて掲げた。
「お前達を、殺しに来たんだ」
バシュウッ!
勢い良く、吸血鬼の指先から五本の氷の矢が撃ち出される。
驚愕に凍りつく明日菜の顔めがけて飛んでいった矢は、しかし彼女を切り刻む直前で粉々に砕け散った。
「ほう……そういえば神楽坂明日菜、貴様は魔法完全無効化能力(マジック・キャンセル)の持ち主だったか」
──何が、何だか、分からない。
どうして? 攻撃? エヴァちゃん? 敵? 嘘、嘘、嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘──!!
「まぁいい。魔法がなくても貴様ごとき、造作もなく捻り潰せる」
エヴァンジェリンの両手に、細く透明なガットがピンと張られる。支給武器の釣り糸だった。
一瞬の内にそれは縦横に張り巡らされ、さながら蜘蛛の糸のように明日菜を絡め捕った。
四肢が大の字に固定され、動かせるところと言えば首ぐらいしかない。
「なん、で……」
「さあ? どうしてだろうな」
かつかつと歩み寄ってくるエヴァンジェリン。彼女の瞳は透明に澄み切り、何の色も浮かんではいなかった。
「もしかしたら、ただ単純に飽きただけなのかもしれないな。お前達とのおままごとに。
どんなものにでも終わりというものは来る……。それがちょうど、今だっただけのことさ」
冗談めいた口調で説くが、やはりその目は変わらず乾いていた。
明日菜は助けを求めるように茶々丸へ視線を向けるも、彼女の方は決して明日菜と目を合わせようとはしなかった。
……まるで、今の状況から目を背けているように。
「だが……お前達のバカ騒ぎを見ているのは嫌いじゃなかった。
私が巻き込まれるような事件もしばしばあったが、少しも楽しくなかったと言えば嘘になる。
特に神楽坂明日菜。お前やぼーやと係わり合いになってからは、本当に愉快だったぞ」
歩みを止める。エヴァンジェリンは顎をついと上げ、青白い光を帯びた月を見上げる。
「なら、どうして──」
「だからこそ!」
明日菜の言葉を強く遮り、エヴァンジェリンは声を張り上げる。
「だからこそ……私の中にお前の存在を刻み付けて、そして、ここで全て終わりにする」
目線を元の高さに戻し、真っ直ぐに明日菜を見つめる。
明日菜はその時ふと、その瞳の奥深くに見え隠れする悲壮に気付き……そしてどうしようもない憐憫の念に襲われた。自分の命が今まさに奪われんとしているのにも関わらず、だ。
「……神楽坂明日菜」
見つめる視線を逸らさずに、エヴァンジェリンは言う。
「お前の血を、私にくれ」
その言葉を耳にして、明日菜はようやく納得がいった。
つまり……この小さな吸血鬼は、単純に怖がっているんだ。
自分の決断が間違っているのかどうかを。そしてその決断によって、この数ヶ月で築き上げてきた全てが崩れ去ってしまうのを。
それが分からないから。しようもなく不安だから。
だからこうして自分の血を吸うことで、"今"と決別しようと……万事を正当に押し曲げようとしているのだ。
「……」
明日菜が無言で目を閉じる。
そこからどんな意を汲み取ったかは知らないが、エヴァンジェリンもまた無言で明日菜のもとへと近づいてきた。
両手をそっと明日菜の肩に乗せる。その身を乗り出して耳元まで顔を近づけ、エヴァンジェリンは囁いた。
──すまない。
左鎖骨の上の辺りに柔らかな唇の感触を覚えた。
そして、直後に刺すような痛みがうなじに走る。
「う、ぁっ……」
歯を噛み締めてそれに耐えていると、やがて痛覚はじんわりと暖かい感覚へと変わっていった。
しかし体の方は、取って代わったように指先まで冷えていくのを感じる。まるで、真冬の空気に晒されているよう。
体中が冷気に支配されていくのを感じ取りながら、明日菜の意識は薄れ、そして、途絶えた──。
【8番 神楽坂明日菜 死亡 残り7人】
45 ≪第三回定時放送≫
すまなかったね、ちょっと面白いものを見ていたんで放送が遅れてしまった。
じゃ、さっそく死亡者発表に移るよ。
6番・大河内アキラ、16番・佐々木まき絵、19番・超鈴音、20番・長瀬楓、24番・葉加瀬聡美。以上5名……と、言いたいところだけど。
いやぁ、ついさっきもう一人死んじゃったみたいだね。
8番・神楽坂明日菜だ。みんな屋上に急いだ方がいいんじゃないかな?
残り生徒は7人。あともう少しだから、頑張って殺しあってくれよ。
それじゃあ……くく、あははははは!!
以上です。
うおおおおおおおおおお!!!!
GJ!!!!!!!!
また、おいしいところで切っちゃって…
続きが気になるじゃないか!!
アスナ完全シボンヌか?
それともひょっとして新たなバンパイ(ry
うろたえるんじゃあないッ!政府関係者はうろたえないッ!
まさかこの展開になるとは… GJGJGJ!
定期age
今日はまだっすかねー
続きが気になるよ〜
あと七人ですか・・・。
ホントか?
投下します。
46 ≪開幕≫
「嘘、だ……」
到底受け入れることなどできない、目の前の光景。ネギには、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
「ん? ぼーやか……やはり来ていたようだな。もっとも、一足遅かったようだが」
四肢を大の字に広げて佇んでいる明日菜の肩越しに、エヴァンジェリンが小馬鹿にしたような笑みを浮かべている。
そしてその足元には……紅い、紅い、水溜り。
「ネギ先生、明日菜さんは……っ!」
遅れてやってきた刹那と龍宮も、その現状に気がつく。
二人の姿を視認したエヴァンジェリンが人差し指をクイッと動かすと、明日菜の体は血溜まりに崩れ落ちた。
「役者は揃ったようだな。神鳴流剣士に、マギステル・マギの元パートナー、そしてサウザンドマスターの息子……よくもまぁ、これだけ豪快なパーティーが組めたものだ、くく」
心底から愉快そうに、堪えたような笑い声を立てる。
「嘘、ですよ……ねぇ、嘘だって言ってください!」
懇願の叫びを上げるネギに、エヴァンジェリンは侮蔑を込めた視線を向けて言った。
「何を腑抜けたことを言っているんだ、ぼーや。
神楽坂明日菜は私が殺した。そして今から、私はお前達全員を殺す」
その宣告一つに、ネギは怯えたように身をすくませる。
それでも救いを求め、倒れ伏す明日菜に声を投げかけた。
「アスナさん! 起きてください……お願いです……アスナさぁん」
明日菜は動かない。
堪らず走り寄ろうとしたネギの体を、龍宮が押さえつけた。
「ネギ先生、今ヤツに近寄るのは危険だ。一瞬で殺されるぞ」
「でも、でもっ! アスナさんがっ!」
「無駄だな。神楽坂明日菜は血液の4分の3以上を失っている。失血死は免れないぞ」
淡々と答えるエヴァンジェリン。明日菜の首筋からは、なおもとくとくと血が流れ出ていた。
刹那と龍宮も今は確かに冷静を保っているが、それでも必死に情動を抑えているのが、エヴァンジェリンに向けられている視線から窺える。
「……さて、もういい加減お喋りにも飽きてきたな。そろそろ始めようか……ぼーや」
「嫌です! どうして……エヴァンジェリンさんは!」
「私のことは師匠と呼べ、と言ったはずだが? ……いやもっとも、貴様は今ここを以って破門だ。遠慮せずに、全力で来い」
「でも!」
──バァン!
間髪を入れずに真名の右手のデザートイーグルが火を吹いた。
エヴァンジェリンに死を叩きつけるはずのその一発は、しかしいつの間にか彼女の真横に現れていた茶々丸によって弾かれる。
「ネギ先生、躊躇するんじゃない……死ぬぞ」
既に刹那も、得物の木刀で茶々丸に斬りかかっていた。
その隙にエヴァンジェリンは地を蹴り、宙にふわりと浮かび上がる。
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック!
闇の精霊(ウンデトゥオゲンティ・スピーリトゥス) 199柱(オグスクーリー)……」
詠唱を始めたエヴァンジェリンに向けて、龍宮が両手の銃を撃ち放つ。しかし銃弾はエヴァンジェリンの眼前で跳ね返される。
龍宮は舌を打ち、苦々しげに顔を歪ませた。
「くそっ、対物・魔法障壁(アンチマテリアルフィールド)か……!」
「魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾(セリエス)・闇の199矢(オブスクーリー)!!」
容赦なくエヴァンジェリンの両手から百九十九もの漆黒の弾丸が放たれる。
全方位からのサギタ・マギカ。回避も撃墜も不可能……。
絶体絶命の危機に、もはや龍宮は諦観して四肢を弛ませるしかなかった。
──瞬間、
「風花(フランス) 風障壁(バリエース・アエリアーリス)!!」
展開された障壁が、一斉に襲い掛かってきたサギタ・マギカを全て弾き飛ばす。
呪文の主……ネギ・スプリングフィールドの横顔にはもう恐れも迷いもなく、ただ決意だけが刻まれていた。
「分かりました……本気なんですね。なら、僕は……エヴァンジェリンさん、全力であなたを倒します!!」
47 ≪フカカイなプログラム≫
腹を蹴り飛ばされた。
屋上のフェンスを突き破り、重力に引かれるまま空が遠ざかっていく。
羽を広げ、地面への激突を回避。しかしそれをむざむざ見逃してくれるわけもなく、屋上から茶々丸が追い討ちをかけに飛び降りてくるのが見えた。
茶々丸の拳を両腕で受け止める。だが本来の威力に落下速度が上乗せされたそのパンチを受け切ることは敵わず、刹那は強く地面に叩き付けられた。
「か……はっ」
咄嗟に受身を取ってダメージを軽減したが、肺に激烈な衝撃が走って上手く呼吸ができない。
体を捻って茶々丸を振り落とし、刹那は幽鬼のようにゆらりと立ち上がった。
「……強いですね、茶々丸さん」
「恐縮です」
闘いに臨んでも変わらない彼女の礼儀正しさは、刹那に感服の念と恐怖とを同時に味わわせた。
おそらく、と刹那は思う。茶々丸のマスター、エヴァンジェリンの魔力供給が普段の比ではないほど絶大なのだろう。以前の茶々丸の動きとはまるで違う。
燃料源のエヴァンジェリンにももちろん驚かされるが、何よりこの機体精度を作り上げた超と葉加瀬にも舌を巻かずにはいられない。
「……恨むぞ。超、葉加瀬」
ぼそりと呟くが、そんな恨み言を聞いてくれる相手などもはや誰もいない。第一、死者を相手に恨んだって仕方がない。
落ち着いて息を吐き、前を見据える。だいぶ呼吸も整ってきた。
「よろしいようですね、刹那さん。それでは……失礼します」
そう言った直後、茶々丸が驚異的なスピードで背後に回りこんでくる。
仕込刀で斬りかかってくる気配だけを読み取り、右腕を回してその斬撃に木刀を合わせた。
──ガキィィン!
木刀と真剣。この冗談みたいな組み合わせが鍔迫り合いを繰り広げている。
「いいんですか? 刀同士での勝負なら私に分があるように思いますが」
肩越しに首だけを捻り、後ろの茶々丸に目をやった。
「誰が、刀だけで勝負すると言いました?」
その時、茶々丸の瞳が不気味に光るのを刹那は見た。
木刀を頭上に打ち払い、勢いをそのままに前方に転がる。
直後、眩い光線が寸前まで刹那の頭があった空間を薙ぎ払った。
「……そういえば、光学兵器まで装備していたんでしたっけね」
半ば呆れながら、刹那はそう口にした。
しかし、厄介だ。大抵の飛び道具なら無効化できるが、いくらなんでも"光"までは刀で打ち返すことはできない。
それならば……機動力を重視した戦法を取るしかない。
決心して、刹那は先ほど畳んだ翼をもう一度広げた。
たん、と地面を蹴り飛翔。鋭角飛行で狙いを定められないように気をつけながら、茶々丸に斬りかかる。
しかし茶々丸の方の反射神経もさすがのもので、呆気なく刀で受け止められてしまった。
そして再び茶々丸の目からレーザーが発射される……が、刹那はそれを体を反転させて避け、羽ばたきによって体勢を整えた。これなら回避後の隙も少ない。
間髪を入れずに第二撃。三。四。空中を自在に動き回り、じりじりと茶々丸を追い詰めていく。
七回斬り込んだところで、ついに茶々丸の刀が弾き飛ばされた。
「終わりだっ……!」
茶々丸の喉元に深々と突き刺さる……はずだった止めの一撃は、しかし最後の一瞬で勢いが弱まり、その隙に茶々丸はバックステップで間合いを取ってしまった。
「……刹那さん。情けは無用です。殺すつもりで来る相手には、殺すつもりで迎え撃つのが礼儀ですから」
茶々丸の足裏と背中のブースターからジェットが噴射される。
空高く飛び上がった茶々丸を追って、刹那も高く、高く飛翔した。
上空50メートルで攻防を繰り広げる二人。刀と拳が風を切る音が鳴り続ける。
茶々丸の駆動も大したもので、刹那の飛行に負けず劣らず付いていっていた。
「神鳴流奥義・斬岩剣!」
刹那の刀を紙一重で回避し、即座に拳を相手の顎めがけて打ち上げる。
「がっ……」
大振りな一撃の直後、一瞬の隙を突かれた刹那は避けることもできず、脳を強烈に揺さぶられた。
昏倒し、落下していく刹那。数十メートル落ちたところで辛うじて意識を取り戻す。
しかし既に目の前には茶々丸が迫っていた。首元をがっしりと掴まれ、また先ほどのように地面に叩きつけられた。
だが今度は怯むことなく即座に木刀を振るい上げる。その斬撃は茶々丸の脇腹をかすめ、内部の回線をわずかに切断した。
再び飛び上がり、茶々丸に斬りつける。茶々丸の方も拳とレーザーで応戦してくるが、その動きに先ほどまでのキレはない。おそらくはエラーの修復に回線が間に合っていないのだろう。
「神鳴流奥義・雷鳴剣!」
電撃を伴った一撃が、今度は確実に茶々丸の右肩を切り裂いた。
電気信号を狂わされ、茶々丸の動きがガクつく。
もちろん刹那はその隙を見逃さず、止めを差しに再度斬りかかった。
──ガシャンッ!
視界からふと茶々丸の姿が消えた。重心を崩して、刹那の足元に潜り込んでいた。
猛烈なボディーブローが刹那の腹部を捉える。かすれた息を吐き、刹那は軽く十メートル吹き飛ばされた。
「かはっ、ぐっ、げほっ、げほっ! ……く、そ」
油断した……正直に、刹那はそう思った。
決定的な一撃を入れて勝利を確信したその慢心。一瞬の隙を突かれた。
彼女程の手練を前にして、油断こそが命取りになるなんて当たり前だったのに。
心中で自らを戒め、刹那はゆっくりと羽を広げて飛び上がった。
「……茶々丸さん。次で終わらせましょう」
茶々丸のブースターが火を吹く。茶々丸が浮かび上がる。
「和歌、リ、増シタ」
言語中枢も破壊されたのか、もはやその口から吐き出されるのは呪いのような響きを持った低い音だけ。
与えられた命令を遂行するためだけに動くマシーン。
茶々丸という名を持ったソレも、ゆったりとした動作で右拳を前方に構えた。
「……行きます」
「息、間ス」
羽音とジェット音が同時にその音を高くする。
── 瞬 、
二つの 決意が 交叉した 。
「──ます、ター。辛く理、ちゃ、茶、マル……活動ヲ、停止しま、ス」
最後の報告を終えると、ソレは物言わぬガラクタと化した。
切り離され、上半身だけになったドールの末期を、刹那はその傍らに立ってただ悲しげに見下ろしていた。
「なぜ……」
低く、呻く。
「……情けは無用だと言ったのは、あなただったのに……ッ!」
最後の一撃。
実に不可解なことに、茶々丸は、泣いていた。
【10番 絡繰茶々丸 機能停止 残り6人】
48 ≪仕事≫
ネギと刹那と龍宮が飛び出していった後も、千雨はひたすらにキーボードを打ち続けていた。
「……」
カタカタという小気味いい音。そのペースが徐々に上がってくる。
「どいて、史伽ちゃん! アスナが、アスナが死んでまう!!」
「嫌です! このかさんまで行っちゃ、嫌です!!」
背後で繰り広げられる木乃香と史伽が押し問答をを無視して、千雨はただ作業に没頭する……。
「ウチかてアスナが心配や! せっちゃん達だけじゃ嫌や!!」
「駄目です! 私たちは残るんです!!」
「なぁ、千雨ちゃんも……」
「だぁああ! もう、うるせえっ!」
千雨の怒声に、二人がびくりと身をすくませる。
「政府をハッキングすること、それが私の仕事だ! お前らがどうこうしようと構わねぇけどな、ただ、仕事の邪魔だけはすんじゃねえ!!」
木乃香と史伽はしゅんとして、顔を伏せる。
「返事っ!」
「は、はいっ」
綺麗に揃った返事。なんか無性にムカつく、と思いながらも千雨は再び作業に戻った。
兎にも角にも時間がない。ようやく一つ目のロックを解除できるというところなのに、アクセスロックはまだまだ残っているはずだ。
今回の襲撃にはもちろん、明日のタイムリミットまでに間に合わせられるかどうかも……
「……んぁ?」
千雨が呆けた声を出す。それを遮るように、木乃香の声が高らかに響いた。
「ウチ、やっぱり屋上行く!」
「えっ、こ、このかさん!?」
史伽が止める間もなかった。
木乃香はすっくと立ち上がり、一目散に階段へと続く廊下を駆けていった。
以上です。
明日菜復活フラグキタコレ!!
死亡と上に書いてある
なのに、エヴァが失血死は…とか言ってる…
少し矛盾してる希ガス
>>作者5氏
GJ!
やはり続きが気になる…
>>571 きみは沖田十三という人を知っているかね?
42話と43話が欠けてる件
ち・・・茶々丸ぅ〜死ぬな!茶々丸ぅぅぅぅ〜〜〜〜
畜生〜〜〜おまえがいなくなったら私はどうやってスイカを食べればいいんだ!
桜咲刹那、貴様ぁ〜!よくも私からスイカを奪ってくれたな!許さんぞ!!!!
リク・ラク・ラ・ラック・ライラック・・・
……スイカ…?
>>574 ほんとだー! 申し訳ないですが、話数を詰めてカウントしてください。
いやどうもすいませんでした。それと、本当にありがとうございます。
それでは、投下します。
47 ≪幕引き≫
「氷爆(ニウィス・カースス)!」
龍宮のすぐ真横で冷気が収束し、爆散した。
爆風に吹き飛ばされ、無様に床を転がっていく。
だがすぐに体勢を立て直し、障壁貫通能力を持たせた銃弾を撃ち出した。
「馬鹿が」
エヴァンジェリンはただの指二本でいとも簡単にそれをつまみ止める。
つまらなさそうに銃弾を眺めた後、ポイと打ち棄てた。
「くだらん。障壁さえ突破できれば何とかなると思ったか?」
龍宮が下唇を噛み締める。
よもや、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルがこれ程までの化け物だったとは……。
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル!
闇夜切り裂く(ウーヌス・フルゴル) 一条の光(コンキデンス・ノクテム)
我が手に宿りて(イン・メア・マヌー・エンス) 敵を喰らえ(イニミークム・エダット)
白き雷(フルグラティオー・アルビカンス)!!」
かざされたネギの右手から稲妻が放射される。
それを退屈そうに眺めていたエヴァンジェリンは、片手だけ前に突き出した。
「氷盾(レフレクシオー)」
雷撃が跳ね返され、主であるネギに攻めかかる。
「くっ、う……風楯(デフレクシオー)!」
慌てて、対魔・魔法障壁を展開する。
だが、ネギの使う攻撃魔法の中でもかなりの威力を誇る「白き雷」。防ぎきれなかった雷撃がネギを襲った。
「うあぁああぁっ!」
吹き飛ばされ、壁に背中から叩きつけられる。
「ぐぁっ、くぅ……」
「ぼーや。そんな単調な攻めでは私には勝てんぞ?
魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾(セリエス)・氷の17矢(グラキアーリス)!!」
飛来する氷の矢。咄嗟に体を前に倒した次の瞬間、それらが背後の壁に突き刺さる音が聞こえた。
体を起こし、エヴァンジェリンへと向き直る。
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル!
風精召喚(エウォカーティオ・ウァルキュリアールム)
剣を執る戦友(コントゥベルナーリア・グラディアーリア)! 迎え撃て(コントラー・プーグネント)!!」
一度に30近くもの風精が召還され、上空に浮遊するエヴァンジェリンに襲い掛かる。
「なるほど。空中戦は風精に任せて、」
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル……」
「自身は必殺の一撃、ということか。面倒だな」
エヴァンジェリンがまとめて7体の風精を弾き飛ばす。
無詠唱サギタ・マギカで遠距離の5体を貫いた。
「来れ雷精(ウェニアント・スピーリトゥス) 風の精(アエリアーレス・フルグリエンテース)
雷を纏いて(クム・フルグラティオーニ) 吹きすさべ(フレット・テンペスタース) 南洋の嵐(アウストリーナ)……」
張り巡らせたワイヤーが、風精の首を切り飛ばす。
作り出した氷の剣で、次々と生き残りを切り裂いていく。
だがしかし、まだ残っていた数体が一斉にエヴァンジェリンへと飛び掛った。
「くっ……」
「雷の暴風(ヨウィス・テンペスタース・フルグリエンス)!!」
──ゴオォォォッ!
猛烈な旋風と稲妻が、エヴァンジェリンを飲み込む。
「やった……?」
ネギの表情に安堵の色が浮かぶ。
強風によって巻き起こされた土煙が晴れていく……。
そこには、
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック……」
絶望があった。
外套をボロボロにしながら、それでもなお、月夜に厳然と浮かび上がる吸血鬼。
「契約に従い(ト・シュンボライオン) 我に従え(ディアーコネートー・モイ・ヘー) 氷の女王(クリュスタリネー・バシレイア)……」
「っ、その魔法は……!」
京都でリョウメンスクナを仕留めた、広範囲完全凍結殲滅呪文。
今になってようやく、ネギは心の底から理解した。
そっか。エヴァンジェリンさんは、本当に僕達を殺すつもりなんだ。
静かに、瞼を閉じる。舞台の幕を下ろすように。
「来れ(エピゲネーテートー) とこしえのやみ(タイオーニオン・エレボス)……」
わずかに、エヴァンジェリンの声が震えた。
──えいえんのひょうが(ハイオーニエ・クリュスタレ)
48 ≪血≫
ピシ、パキィッ
真暗な視界の中でも、その音で屋上の床が凍結していくのが分かる。
「お姉ちゃん……」
足裏にひんやりとした感触を覚えた。いよいよ足元まで凍り付いてきたのだろう。
「さよなら、」
──ピキッ、キシ
人骨が軋んでいるかのような不協和音。
踝まで侵食が進んだ。
「……お父さん」
ピシッ……
「……え?」
凍結が止まった。
──バァァン!
耳を裂くような破裂音が響き渡る。
瞼を開くと、煙を吹き出すデザートイーグルを両手に構えた、龍宮の姿が目に入った。
視線を跳ね上げれば、上空には腹部を押さえ込んで悶え返っているエヴァンジェリンがいる。
「くっ、かっ、はぁっ……!」
苦しげに血を吐き出す。
「龍宮ぁ……貴様っ……!」
「"障壁突破"に、"強化"、あと"対魔"も施させてもらった。さすがに効いたか?」
「ぐっ、げほっ!」
よろよろとエヴァンジェリンが墜落してくる。
ついには地面に膝を突き、苦しそうにむせ返していた。
「ネギ先生が時間を稼いでくれたおかげだ。感謝する」
「あ、いえ……どうも。でも……」
足元の氷を振り払いながら、ネギは考える。
どうして……魔法が途中で止まってしまったのだろうか?
それにいくら"対魔"の術がかかっていたとしても、真祖の能力ならあの程度の傷は再生できるはずだ。なのに……
「かはっ、ぐっ……」
あれ程まで辛そうにしているのは何故なのか。説明がつかない。
龍宮がデザートイーグルを構えて一歩踏み出す。ネギは思わずそれを止めた。
と、エヴァンジェリンが、氷のベッドに横たわる神楽坂明日菜の死体をキッと睨みつけた。
「かぐ、らざか、あすな……め……!」
再生が間に合わない。血が止め処なく流れ出ていく。苦しい。苦しい。
そうだ、おそらく……
──魔力完全無効化能力(マジック・キャンセル)
神楽坂明日菜の血を取り込んだ際、おそらくその能力まで自分の中に流れ込んでしまったのだろう。
数分のタイム・ラグを経てエヴァンジェリンの身体に回った明日菜の血液は、まるで潜伏期間を経たウィルスのように、発病。
顕現した魔力完全無効化能力はプログラム通り、"魔法・能力の無効化"を体内から働きかけているのだ。
……いや、あるいはプログラムなんてものではないのかもしれない。
それは純然たる、神楽坂明日菜の意志……!
「ぐっ、かふっ……」
決別の意味で血を吸ったことが、まさかこんな結果になるとは。
エヴァンジェリンは自嘲して、笑んだ。
「ふぅっ、はっ……はぁ、はぁ……」
腹の傷口はだいぶ再生できた。何とか、能力を完全に無効化されているわけではないようだ。
だが、魔力もほとんど削り取られている。
次が最後……。
「……ぼーや。そろそろ、終わりにしようか」
投げかける視線に、ネギは強い眼差しを返してくる。
──強くなったものだ。
エヴァンジェリンは大きく息を吐き、空高く翔び上がる。
燦然と浮かぶ満月に、高々と両手をかかげた。
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック!」
「ラス・キル・マ・スキル・マギステル!」
同時に、ネギも詠唱を始める。
「来たれ氷精(ウェニアント・スピーリトゥス) 闇の精(グラキアーレス・オブスクーランテース)」
「来たれ雷精(ウェニアント・スピーリトゥス) 光の精(フルグリエンテース・ルーキス)」
エヴァンジェリンと、ネギ。それぞれの周囲に、魔力が収束していく。
「死を従え(クム・モリ) 彼の者らに安らぎを与えん(イリース・ソンヌム・ブレウェム)……」
「神々の(ピールム) 投槍となりて(エラテリス・ファクティ)……」
雲に翳った朧月が、曖昧模糊な光を降らす。
「混沌よ(カオス・ファクティ) 氷の珠玉となれ(ラピス・クリュスタリザートゥス)!」
「闇夜を喰らえ(エダット・ノクテム) 浄化の曙光(アウローラ・プルガートゥス)!」
二人の視線が、交叉した。
「しっこくの月(ルーナ・ニグリカンス)!!」
「裁きの雷(ダン・フルグラティオー)!!」
ゴゴォォォッ!!
円を描くように吹きすさぶ漆黒の吹雪と、真っ直ぐに迸る白色の稲妻がぶつかり合う。
黒と白は月夜のキャンバスに溶けてゆっくりと混ざり合う。
二つは不気味な灰色の塊へとその様相を変え、そして──
爆発した。
大きな、大きな爆発だった。
コマ送りのようにゆっくりと情景が流れる。まるで再生に失敗したビデオテープみたいだ、とネギは思った。
背後の扉はいつの間にか開いており、飛び出してきた木乃香がしきりに何かを叫んでいた。
あぶない、このかさん。そう言おうとしても、なぜか声は出ない。
最後まで不甲斐ない教師だったな、なんて場違いなことを考えていた時、
──円天結界烏翼錬殻!
声が聞こえた。今さらながら、木乃香は誰かに呼びかけていたのだとに気付く。
木乃香の視線を追った先。そこでは、ちょうど……
桜咲刹那が、閃光に呑み込まれるところだった。
49 ≪ ≫
このちゃんがだいすきだった。
大切な友達。
大切な主。
大切な居場所。
桜咲刹那を受け入れ、そして桜咲刹那の翼をも受け入れてくれた、彼女。
その彼女を守るためなら自分の命だって投げ出せると思っていたし、実際に今までも命懸けで彼女を守ってきた。
でも、もう自分は汚れてしまった。
泣いている茶々丸さんを、ころした。
死ぬことより、ころすことの方がよっぽど怖かったのに。
こんな穢れた私ではもうお嬢様と一緒にいることはできない。そう思った。
使命と、大切な人を同時に奪われた喪失感。
ただ、ただ、呆然としていた、その時。
ゴゴォォォッ!
轟音。学校の方からだった。
視線を送れば、遠く離れた屋上で"黒"と"白"がぶつかり合っているのが見えた。
「あれは……ネギ先生と、エヴァンジェリンさんの……?」
強大な力同士、しかし全く正反対の力。
それらが真っ向から衝突したら、どうなるか。
そんなことは瞭然だった。
相反する力の衝突は、混沌を生み、そして凄まじい爆発を引き起こす。昔、陰陽道を習っていた時に聞いた覚えがある。
吸血鬼の真祖と、サウザンドマスターの息子。その二人分の魔力が暴走したとしたら、おそらくは軽く周囲5kmは吹き飛ばすだろう。
……6人の犠牲者と共に。
考え付くと同時に翼を羽ばたかせ、全速で空中を疾駆する。既に二人の魔法は溶け合い、不吉な色を醸し出していた。
屋上に辿り着く。ふと眼下を窺うと、なんと扉からお嬢様が顔を出していた。
「どうして、こんなところに……」と一瞬、戸惑う。
でもお嬢様が自分の最後を見届けてくれるんだということが分かって、私は少しだけ誇らしかった。
そして、少しだけ悲しかった。
エヴァンジェリンさんと校舎を結ぶラインに身を投げ出す。
目前には、禍々しい混沌の塊。背後には、大切な人。
しかし、守る手段を自分は持っている。神鳴流の絶待防御に烏族の力を合わせた、アレンジ技。
まさかこんなところで使うことになるとは思ってもいなかったが……それでも皆を守るためならば、今までこっそり練習してきた甲斐があったというものだ。
両手を前方に掲げ、全ての気をそこに注ぎ込む。
円天結界烏翼錬殻の全方位全出力展開。持続時間は数秒にも満たない。……タイミングは、一瞬。
機を窺い、集中を切らさぬように気を練り続ける。
黒と白は、もうはちきれんばかりに膨れ上がっていた。
……声が、聞こえる。
──っちゃぁん、せっちゃーん!
どうやら、自分は最後の最後まで幸せ者だったようだ。
両の手に宿る気を、一気に解き放った。
そして……
白。
50 ≪おわりのおと≫
早朝。ようやく太陽が顔を出し始める頃。
浜辺に一艘のジェットクルーザーが着岸した。
楽しげに鼻歌を口ずさみながら、榎本が悪夢の舞台に上陸する。
辺りの木々は放射状になぎ倒され、さながら上空から巨大な何かが降ってきたかのようだった。
「いや、確かに酷い爆発だったみたいだなぁ。しかし──」
榎本が前方を見据えた。
「まさか君が生き残るとはね。25番・長谷川千雨」
榎本の視線の先には、虚ろな目をした千雨が佇んでいた。
「ともあれ、優勝は優勝だ。おめでとう長谷川くん。さーて、さっそくこんなところとはおさらばしようか」
差し出される右手。それを見下ろしながら、千雨はボソリと呟いた。
「ああ、おさらばだ」
──バァン!
腰後ろに隠していたベレッタを引き抜き、榎本の眉間に向けて引き金を引く。
しかし銃弾は防弾ガラスにぶち当たったように榎本の目の前で動きを止め、ぽとりと地面に落ちた。
「無駄だよ。強力な対物・魔法障壁を張っているからね。……でも、残念だ」
カチャリ、と榎本も懐に隠し持っていた銃を抜く。
それを千雨の眉間に突きつけ、言った。
「せっかくの優勝者を殺すことになるとはねぇ。ああ、本当に残念だ……くく」
千雨の顔が悔しそうに歪む。
それを見て、榎本は満足そうに笑んだ。
「それじゃあ、さ・よ・う・な・」
銃声。
……榎本の右手首から先が吹き飛んだ。
理解できていないのか、当の本人はきょとんとして自分の右腕を眺めている。
ふと、何か用事を思い出したかのような顔になって、
「ああぁぁああぁあぁぁあぁぁぁあぁあぁぁっ!!」
狂い叫んだ。
草陰から、ため息を吐きながら人影が現れる。
「どこまでも三流だな、お前」
人影……龍宮が、淡々として榎本の左腕、右膝、左膝を撃ち抜いた。
「ぐあっ、ああっ、ゔぁぁっ!」
「道化。教えてやるよ。この弾には"障壁突破"の術が施されていてな、残念ながらお前ごときのちゃちな障壁ではこの銃弾を防ぐことはできないんだ」
その言葉を理解した榎本の表情が、見る見る内に青ざめていく。
「嘘、だ……お前らみんな、あの爆発で死んだはずだっ!」
「ん……ああ、首輪のことか? それならこいつが、ちょうどあのタイミングで解除してくれた」
くい、と後ろ指に千雨を指差す。
気付けば、近衛木乃香、鳴滝史伽、ネギ・スプリングフィールドまでもが顔を揃えていた。
「……ロックがほとんど解かれてたんだよ。そのおかげで間に合った」
榎本の脳裏を、一人の男の姿がよぎる。
「タカ……ミチぃっ!」
憎々しげに、榎本はその名を吐き出した。まるで呪詛のような声音だった。
そんな様子を、わけが分からないというように肩をすくめながら龍宮は銃口を榎本の眉間へと向ける。
「それじゃあ、そろそろお別れだ。……えーと、名前なんて言ったっけ?」
榎本の口がパクパクと開閉する。まるで陸に揚げられた金魚みたいだな、と龍宮は思った。
「まぁいいや。じゃあな」
パァァン!
鳴り響く、銃声。
──それが、おわりのおとだった。
【主催者 榎本義明 死亡】
【生存者:13番 近衛木乃香、18番 龍宮真名、23番 鳴滝史伽、25番 長谷川千雨、担任 ネギ・スプリングフィールド】
【 ゲーム終了 】
以上です。あとはアフターストーリーを投稿して終了の予定です。
素晴らしい
全米が泣いた
ちなみに俺が死んだ件について(=主催者と同姓同名wwwwwあるあるwwwww('A`))
おぉおぉおぉ、なかなかどうしてマーベラスな展開!
『白。』で一体何が……?
正直な話、作者5は最初まったく期待していなかった
どうせもうマンネリ化した話でだらだら続くんだろうな、とか思っていた
申し訳ありませんでした!! めちゃめちゃ感動しました!!
こんなにも素晴らしい作品だったとは考えてもみませんでした
バトルの書き方なんてマジ半端ないです 本当に乙です 残りも楽しみにしてます
596 :
マロン名無しさん:2005/12/17(土) 00:33:02 ID:kKz2kYCz
このちゃんがだいすきだった
この一言が特にグッときたよ、俺は…
GJ!!!
あげた、スマソ
GGGGGGGGGJJJJJJJJJJJ!!!!これしか言えない俺を許してくれ…orz
んん。
初のオリキャラ登場でどうなることかと危惧していたけれど、杞憂だったようですな。
とりあえずエヴァ様とせっちゃんはどうなったことやら
うん、エヴァ様と刹那どうなったんだろ。
第一部みたいに異空間に行った?
まぁ落ち着いて待とうじゃないか
きっともうすぐ投下だ
602 :
作者?:2005/12/17(土) 19:31:23 ID:???
いいかい?
>>602 まだ早
乙の作者5さんの最後の投下を待ちなさい。
あと、このスレには何人もの作者待ちがいるから、順番来るまで推敲して待つように。
とりあえず、コテをつけといがほうがいいぞ。
後で順番でどっちが先かって問題になったときに解決しやすいからな。
ラスト、投下します。
>>593 ストーリー展開上支障はないので、53話をスキップすることをお勧めします。
51 ≪After : Side Chisame≫
真っ黒な液晶には、やつれて幽鬼のようになった自分の顔が映し出されていた。
それを打ち消すために、パソコンの電源を入れる。
──ヴィィィン
駆動音と共に、パソコンが立ち上がった。
すぐさまインターネットに繋げ、ホームの検索サイトのニュース欄、「女子中学生31人の殺し合い!? 葭原派、恐怖の政策」と書かれた項をクリックした。
開いたページを流し読む……どうやら大方、学園長の説明とは内容が合致しているようだった。
現在、政府ではバトルロワイアル法の可否を巡って未だに対立がある。
賛成の葭原派と、反対の武田派。今回のバトルロワイアルは、その葭原派の幹部連が独自に企画したものだったらしい。
そして主催者として抜擢されたのが、葭原派の若き御大・七々原義明……すなわち、あの榎本義明だったわけだ。
だが今回の事件で先走りすぎた葭原派は非難茫々。学園側からの内部攻撃もあり、もう幾日かで自然消滅するだろうと言われている。
BR法も近い内に否決、撤廃。トトカルチョに参加していた人間の半分以上は既に逮捕されたらしい。
「……はぁ。何だかなぁ」
千雨がため息を吐く。
あの後……榎本を殺した後、ネギの魔法で学園に救援を要請。間もなく学園長を初めとした魔法使いらが迎えに来てくれた。
それからはあっという間だった。学園に連れ戻され、先のような簡単な説明を受けただけで寮に帰された。もちろん、魔法に関しての口止めはされて。
こうもあっけない幕引きだと、現実味を持ってあの出来事を見つめることなんてできなかった。
……そう、本当は何もなかったのかもしれない。千雨はそうも考えた。寝ても覚めても、考えた。
しかし、未だに忘れられない。雪広あやかの死に様が。榎本の、恐怖に凍りつく顔が。
それが彼女の脳裏に刻印されて、逃避することを許さなかった。
「現実、か……」
ぽそりとそう呟いて、千雨はパソコンの電源を落とした。
52 ≪After : Side Fumika≫
あれから数日が経った。
史伽は、部屋の中で一人、窓の外を眺めている。
外は皮肉なぐらいに透き通った星空。澄んだ空気が、冬の訪れを感じさせた。
「……」
今朝、学園から「部屋を変えないか」と申し出があった。
自分の編入先、3年N組にもちょうど一人だけの部屋があるから、と。
丁重に断った。
寂しくないと言えば嘘になる。だが、今の自分にはこの部屋が、この時間が必要な気がしたから。
「……お姉ちゃん。かえで姉……」
星空に呼びかける。しかし、星々は瞬きを返すだけで彼女に答えを与えてはくれなかった。
不思議と涙はこぼれない。学園に帰ってきてから、ずっとそうだった。あの島で流しつくしてしまったのだろうか。
……あるいは、もしかしたら自分は少しだけ強くなれたのかもしれない。
そう考えられる自分自身がおかしくて、史伽はちょっぴり笑ってしまった。
「……お姉ちゃん。私、がんばるね……」
窓の外を、一条の流れ星が軌跡を描いた。
53 ≪After : Side Mana≫
銃を全部捨てた。
榎本を殺したのが正しかったかと聞かれれば……それは、分からない。
果たして、あの時の自分はどうかしていたのだろうか?
だって、榎本を殺す必要なんてどこにもなかったんだから。
ただ動きを封じて、学園なり警察なりに引き渡せば良かったのに。
……でもあの時はそんなこと全く考えてなかった。思いもつかなかった。
ただ、榎本を殺す。それだけが、当然の論理として自分の中で渦巻いていた。
そして……このことを誰も咎めようとはしない。クラスメイトも、ネギ先生も、学園長も。それが余計に辛かった。
だが、責むる存在がいなければ罪は消えるというのか?
否。誰が咎めずとも、罪は罪だ。
自分が3人の人間を手にかけた人殺しであることに変わりはなく、そして、これからも変わることはない。
──だから、とりあえず銃を捨てることにした。
これがせめてもの贖罪になれば、という理由も確かにあった。
でも実際はただ単純に怖かっただけなのだと思う。
銃が。力が。殺すことが。恐ろしくて仕方がなかったのだ。
だから、彼女は全ての銃を捨てた。
そうして今、龍宮真名は日常に揉まれて生きている。
誰にも見えない罪を背負いながら……。
54 ≪After : Side Konoka≫
木乃香は女子寮裏手の土手にやってきていた。
その頂にはひっそりと、石造りの慰霊碑が立っている。
「せっちゃん、遊びにきたでー」
両手に抱えていた花束を、慰霊碑の前に置く。
「あのな、今日おもろい事があったんよ。聞いてやー、せっちゃん」
陽に映え、風になびく草原に腰を下ろす。
「授業中にな、また新田が怒りよったんよ。なんでかってゆーとなー……」
ガラスを張ったかのように透き通った空。他愛も無い話が、とても楽しげに響いていた。
「……ほんまに、新田もあないな事でようカッカできるわなー。疲れへんのかな?」
新田本人に聞こえるわけもないのに、木乃香は声を潜めてくすくすと笑った。
……ふと、唐突にその笑みを止めて木乃香は、
「そんでさ……あの、今日な?」
恥ずかしいのか、そこで言葉に詰まる。一呼吸置いてから、思い切って吐き出した。
「実は、ネギ君にフラれちゃったんよー」
言いながら、あはは、と照れくさそうに笑った。
「……ネギ君に、本契約結んでー言うて頼んだんやけどな?
『すいませんこのかさん、今の僕ではこのかさんを守れないですから……』なんて、大真面目な顔して言うんよー」
ゆっくりと笑みは消え、寂しそうな色が木乃香の表情から覗いた。
「ウチのこと支えられるの、もうネギ君だけやと思ったんやけどなー……ウチ、魅力ないんかな?」
そう冗談めかして、笑おうとした。
──笑えなかった。
「ウチ、ほんまにどうしようもないわ…………ネギ君を助けることもでけへん! アスナも助けられへんかった! せっちゃんも……!」
自分がどんなに力を注いでも開くことのなかったアスナの瞼。
目の前で爆発に呑まれ、跡形も無く消え去ってしまったせっちゃんの後姿。
果てしない、無力感……。
ぽたり、と水の雫が花束にこぼれ落ちる。
「……あ、あれ? あはは……雨降ってきたみたいや」
木乃香が腰を上げた。
「それじゃあ、せっちゃん……またなー」
振り返り、木乃香は土手を駆け下りていく。
目に痛いぐらいに良く晴れた、秋の昼下がりのことだった。
55 ≪After : Side Negi≫
「間もなくー、1番線にー、電車がまいります」
早朝の麻帆良学園中央駅に、到着のアナウンスが響く。
たくさんの荷物を抱えながら、ネギは後ろに向き直った。
ホームには、木乃香、龍宮、史伽、千雨が立ち並んでいる。
「ネギ君……」
木乃香が悲しげな表情を浮かべた。
「……ほな、体に気ぃつけてなー」
笑顔で、しかしやはりどこか寂しげな色の残る表情で、木乃香はぱたぱたと手を振った。
「はい、木乃香さんも……お元気で」
ネギも同様に、寂しげな笑みで返す。
「ネギ先生。強く、なるんだぞ」
ネギのことをしっかりと見据える龍宮の瞳。それを真っ直ぐに見合わせて、ネギは強く頷く。
それを見た龍宮は、ふっと、今までの彼女からは想像もつかないほど和やかな笑みを浮かべた。
「ネギ先生が帰っちゃうと、寂しいけど……」
史伽が、何かを堪えるようにして呟く。
「でも、私たちだって、もう高校生だもんね! ……だから、頑張るよ!」
その瞳にうっすらと光るものを湛えながら、史伽ははちきれんばかりの笑顔を弾かせた。
そんな様子に、ネギは目を細めて思う。
もしかしたら、こんな自分でも少しは良い教師になれたのかもしれない……なんて。
「……あの、さ」
千雨が頬を掻きながら話しかけてくる。
「先生も大変だと思いますけど……まぁ、頑張ってください。一年間、ありがとうございました」
言いながら、照れくさそうに視線を逸らした。
「いえ、僕の方も……本当にありがとうございましたっ」
「……いや、別に……」
深々とお辞儀するネギの頭を、ばつが悪そうに千雨は見下ろしていた。
プシュー!
豪快な呼気を吐き出して、電車が駅に到着する。
重そうな荷物を持ち上げ、ネギはよたよたと列車のドアをくぐり抜けた。
「それじゃ、みなさん……さようなら」
ドアが、ゆっくりと閉まっていく。
「……ネギ君っ!」
悲痛な表情を刻んで、木乃香が呼びかけた。
そして、それと同時にネギと木乃香たちを結ぶ空間が断ち切られる。
それにも構わず、木乃香はネギに喋りかける。
声こそ聞こえなかったが、それでもネギには木乃香のメッセージがはっきりと伝わった。
──また、いつか……
電車が走り出す。
風景が流れていく。
遠ざかっていく四人。
遠ざかっていく麻帆良学園。
遠ざかっていく思い出……。
それでも列車は止まらない。路は果てなく続いているから。
そして、ネギはまた新しい明日へと一歩を踏み出した──。
あとがき
ネギまロワイアル第五部、以上で完結となります。
えー、内容に関してですが……今回はSS処女作ということで、細かい伏線や意外性のある展開を抜いて、比較的王道バトルロワイアルを貫いたつもりです。
何ていうか、「テーマは"少年少女の成長"です!」みたいな。少年マンガみたいですね。
あと、刹那とエヴァのその後ですが、こちらは皆さん個々の判断にお任せします。今のところフォローストーリーを書く予定はありません。
それと、ですね。避けては通れない話題。オリキャラ・榎本義明に関してです。
この場で改めてお詫びします……本当にすみませんでした。
今後もしSSを書く機会があったら、二度と同じ間違いを犯さないようにしますので……。
第一話からいきなりオリキャラが出てきて、正直うんざりしてた人も多いと思います。
にも関わらず、最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
特に、激励の言葉をかけてくれた方への感謝は筆舌に尽くしがたいものがあります。
物を作る側に回って初めて分かったんですが、「GJ!」の一言が本当に心に染みるんですよね。
これからは一名無しに戻って、今後の作者様たちにGJを浴びせかけまくってやろうと思います。
それでは、ウダウダと長くなってしまいましたがあとがきもこれで終わりです。
ありがとうございました。
乙。
GJ!!!終わってみると泣けた!
初リアルタイム遭遇!!
作者5さん本当にお疲れさま!感動しました…涙で前が見えないよ(´⊃ω;`)作者5さんにはこれからも頑張って作品を書いてほしい!俺はあなたのファンだ!
では期待に応えて…GJGJGJGJGJGJ!!!
こんなに感動したのは作者1以来だよ
正直作者1は超えられる者はもういないと思っていた
しかし作者5様は天才的描写で俺を圧巻させて下さった
オリキャラなんかここまできたらなんの障害でもない
それだけこの5部が神だったってことなんだ
先駆者がいることのプレッシャーと
オリキャラに対する非難のあった中、
よくぞこれだけのものを書き上げてくれました!
作者5さんに乾杯! 次回作も頑張ってください!
見事、GJの一言に尽きますね。
オリジナルキャラの時点で前途多難の予感がしましたが、次第にそれは杞憂に過ぎないと思わされました。
一から読み返し、この作品はかなり完成度の高い物だと再認識しました。
作者5さん。これからもがんばっていきましょう。
投稿し終えた身である自分がまた創作意欲を盛り立てられました。
作者5さんに負けないネギロワ2を現在製作中です。
いつ完成になるかは分かりませんが正式に予約させていただきます。
こうやって他の人の作品を見ていると、自分もやる気になります。
5部作者、GJ!
が、そのやる気に比べて進行度が・・・時間がほしいorz
5部作者氏GJです!
俺は学校のパソコンから投稿するので、
今から始めると冬休みに更新出来なくなるので次の作者氏が先に投下して下さって結構です。
乙。
オリキャラがうざかったんで流し読み程度しかしなかったけど
1部〜5部全エンド合計生存率ランキング 矢印の横の数字は
>>149-150での順位。
※数字は左から終了したものだけの生存率、進行中全てで死亡した場合、進行中全てで生存した場合。
※1部は1ルートにつき4分の1、2部と4部は2分の1で計算
1位 8↑近衛木乃香 65.0%(55.0%〜65.0%) 刹那 2部BAD 3部 5部
2位 1↓桜咲刹那 65.0%(45.0%〜65.0%) 刹那 2部BAD 3部 4部アキラ
3位 8↑龍宮真名 60.0%(50.0%〜60.0%) 2部BAD 3部 5部
4位 1↓那波千鶴 60.0%(40.0%〜60.0%) 2部BAD 3部 4部アキラ
5位 4↓明石裕奈 55.0%(45.0%〜55.0%) 1部 古菲刹那 2部BAD 3部
6位 3↓古菲 50.0%(50.0%〜40.0%) 1部 古菲 3部 4部アキラ
7位 5↓宮崎のどか 45.0%(35.0%〜55.0%) 1部 2部BAD 3部 アキラ
8位 5↓長瀬楓 45.0%(35.0%〜45.0%) 古菲 2部BAD 3部
14↑長谷川千雨 45.0%(35.0%〜45.0%) 千雨 2部BAD 5部
10位 8↓神楽坂明日菜 40.0%(30.0%〜50.0%) 2部BAD 3部 アキラ
11位 7↓早乙女ハルナ 40.0%(30.0%〜40.0%) 3部 4部アキラ
15↑鳴滝史伽 40.0%(30.0%〜40.0%) 4部アキラ 5部
13位 11↓朝倉和美 40.0%(30.0%〜30.0%) 2部 3部
14位 12↓エヴァ 25.0%(25.0%〜35.0%) 刹那 BAD 3部
15位 21↑大河内アキラ 25.0%(15.0%〜35.0%) 刹那 2部BAD アキラ
16位 15↓春日美空 20.0%(20.0%〜30.0%) 3部 アキラ
12↓絡繰茶々丸 20.0%(20.0%〜30.0%) BAD 3部
18位 15↓釘宮円 20.0%(20.0%〜20.0%) 3部
15↓超鈴音 20.0%(20.0%〜20.0%) 3部
20位 21↑綾瀬夕映 20.0%(10.0%〜20.0%) 2部BAD
21↑和泉亜子 20.0%(10.0%〜20.0%) 2部BAD
15↓佐々木まき絵 20.0%(10.0%〜20.0%) 4部アキラ
15↓四葉五月 20.0%(10.0%〜20.0%) 4部アキラ
24位 24→柿崎美砂 5.0%( 5.0%〜5.0% ) 1部
25↑雪広あやか 5.0%( 5.0%〜5.0% ) 刹那
26位 25↓鳴滝風香 0%( 0.0%〜5.0% ) アキラ
27位 25↓椎名桜子 0%
25↓葉加瀬聡美 0%
25↓村上夏美 0%
25↓ザジ 0%
いろいろと書きすぎて見にくくなってますね… それに、少しずれてますし
あ、風香の数値が間違っていた○| ̄|_
進行中のルートで生存した場合の生存率は10.0%です。
6部は3回相手をイカせたら首輪が爆発するレズバトルロワイヤルを希望
作者5氏お疲れ様でした。
処女作とは思えない素晴らしい作品になりましたね。
まさか魔力を封じられていたエヴァが活躍するとは思いませんでした。
―――――ここから更新情報―――――
・第五部最終話まで
・
>>435の第一部
・第四部分岐
・絵画展示室
・(このスレの流れ)
>>623-624とかも掲載するかもしれません
はぁ、やっとログ全部探れた・・・順番まとめた。違うとこあったらごめん。
トリ無しの人は残念でしたってことで・・・
作者5氏の次6人目はこの人で2スレ目
>743 名前:sayu ◆58a3gZRgHQ [sage] 投稿日:2005/10/09(日) 15:39:33 ID:???
>今第3部or第4部を書いてます。職人達に刺激されて書き始めました。
(以下略)
その次7人目は同じく2スレ目
>948 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2005/10/17(月) 22:49:39 ID:???
>今控えてる職人が全部終わったら俺も書いていい?
(45 ◆Duc2GLNmmI氏)
その次8人目は3スレ目
>560 名前:416 ◆1Yaa7HQw4U [sage] 投稿日:2005/11/03(木) 02:25:55 ID:???
>ノ
>まだ全体のあらすじを考えている最中なので俺は後回しでいいが。
>あと、一応鳥をつけておく。
その次9人目同じく3スレ目
>671 名前:司書 ◆xLydzXEn7E [sage] 投稿日:2005/11/11(金) 23:03:27 ID:???
>作者3さん、乙。
(以下略)
その次10人目現スレ
>81 名前:作者6希望 ◆c0xf7D8Z0I [sage] 投稿日:2005/11/27(日) 10:28:50 ID:???
>ここに作品投下表明(6番目を希望)します。
>ちなみに77と同一です。
その次11人目現スレ
>364 名前:作者10番目以内希望[sage] 投稿日:2005/12/06(火) 17:58:29 ID:???
>いきなりで恐縮ですが質問させていただきます。
その次12人目現スレ
>410 名前:作者志望No?[sage] 投稿日:2005/12/08(木) 17:47:33 ID:???
>一応自作小説出来たのですが、やはりここは先着の順番待ちですよね?
その次13人目現スレ
>602 名前:作者?[sage] 投稿日:2005/12/17(土) 19:31:23 ID:???
>いいかい?
その次14人目(2回目だけど)現スレ
>619 名前:作者1 ◆0Z3l12M4xM [sage] 投稿日:2005/12/17(土) 23:22:55 ID:???
>見事、GJの一言に尽きますね。
(以下略)
作者5氏GJ!そして乙でした。なんかもうすばらしいの一言ですね!
処女作ってのが信じられないです。
……えーっと、もう書き終えて控えてる作者さんってどれくらいいるんでしょうかね?
他に投下希望がないんでしたら作者6希望したいんですが……
ちょwwwww予約グランドオオスwwwwwwww
作者達からGJを貰える五部作者は羨ましいな
作者5氏GJです!!感服いたしました!
さて、私も投稿をば。28はそのままで。29の七行目から後より分岐します。
29.-A希望と絶望、おもてうら。
突然の銃撃。それは、刹那達三人が風香のまだ血の乾かない死体を発見したのと同時だった。
あっちはどこから攻撃を仕掛けてくるのか。二乗にもなった不意の出来事、
そして襲撃の対応に息をつく暇もない。
古は戦えるが、まき絵は武器なしではさして戦闘力はないのだ。ならば蜂は自分が払いのけるしかない。
その弾く腕に、一瞬の隙が生じた。そして蜂はそれを見逃さず、ピンの外れた手榴弾を投げつける。
「刹那!」
その時、一緒に応戦していた古の体が飛んだ。投げつけられた爆弾に、動揺した刹那はそのままに飛ばされる。
今だと言わんばかりに手榴弾が爆発した。
「古──!!」
刹那が叫び、左腕を差しだそうとする。だが、その手は動くことをしない…というより、「ない」のだ。
いや、「なくなってしまった」というべきだろう、刹那の肩より先は爆風で吹き飛ばされてしまったのだ。
「くーふぇ!!」
危険なのにも関わらず、まき絵は飛び出していった。幸い襲撃者─春日美空は、一人で満足したのか立ち去っていく。
そこに、古の姿はない。
あるのは、黒く焦げた足先と思われるものだけで。
他のものは炭化した布以外、最早それが人間であるとは判別できなかった。
「くーふぇ…!」
まき絵は言葉を完全に失った。刹那も、また。
だが彼女が失ったのは言葉だけじゃない。
(私は……また一人………)
もう左腕がないだなんて、とうの昔に忘れていた。
その眼に映る希望は濁り、黒い絶望だけを映し始める。
刹那は堕ちた。絶望の奈落へ、と。
分岐乙です
自治厨でごめんだが、これから予約する人はトリ必須な・・・。
下のE〜Gも同一人物なのか違うのかわからんし。
それとsayu氏はいないのかな。いなかったらだいぶ繰り上げになるんだが・・・
@ sayu ◆58a3gZRgHQ (消息不明)
A 45 ◆Duc2GLNmmI (学校から投下のため来年以降)
B 416 ◆1Yaa7HQw4U (未完成
>>620)
C 司書 ◆xLydzXEn7E 詳細不明 ←次の作者?
D 作者6希望 ◆c0xf7D8Z0I (投下準備おk)
E 作者10番目以内希望 (詳細不明)
F 作者志望No? (投下準備おk)
G 作者? (詳細不明)
H 作者1 ◆0Z3l12M4xM (未完成)
まだ40%ほどの完成度orz。
よって先にどうぞ。
@ sayu ◆58a3gZRgHQ (消息不明)
A 45 ◆Duc2GLNmmI (学校から投下のため来年以降)
B 416 ◆1Yaa7HQw4U (未完成
>>620)
C 司書 ◆xLydzXEn7E (未完成40%)
D 作者6希望 ◆c0xf7D8Z0I (投下準備おk) ←次の作者?
E 作者10番目以内希望 (詳細不明)
F 作者志望No? (投下準備おk)
G 作者? (詳細不明)
H 作者1 ◆0Z3l12M4xM (未完成)
5部作者様GJ!
そして次の作者様の投下期待
ねえお父さん、なんで彗星さんは来ないの?
-― ̄ ̄ ` ―-- _
, ´ ......... . . , ~  ̄" ー _
_/...........::::::::::::::::: : : :/ ,r:::::::::::.:::::::::.:: :::.........` 、 彗星だからさ・・
, ´ : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::::: : ,ヘ ::::::::::::::::::::::: : ヽ
,/:::;;;;;;;| : ::::::::::::::::::::::::::::::/ /::::::::::::::::::: ● ::::::::::::::::: : : :,/
と,-‐ ´ ̄: ::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::r(:::::::::`'::::::::::::::::::::::く
(´__ : : :;;:::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::`(::::::::: ,ヘ:::::::::::::::::::::: ヽ
 ̄ ̄`ヾ_::::::::::::::::::::::し ::::::::::::::::::::::: :●::::::::::::::::::::::: : : :_>
,_ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: `' __:::::::::-‐ ´
(__  ̄~" __ , --‐一~ ̄
予定では第6部はsayuという人か いるのかどうかはわからんが楽しみだな
644 :
彗星:2005/12/18(日) 18:41:43 ID:???
彗星ですが
誰か私の事呼んだ?
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
作者6マダー? この際気紛れ作者でもいいから投下して〜
>>646 この際って…
一応俺もまじめに書いてる作品ありますよ?
俺も結構前に作者に名乗り出てるんだが↑の方では消えてるな…
>>647 気紛れ氏はいろいろ書いて投下してるから本気じゃないかと思ってました
>>648 いつも投稿してるのは本気のじゃ無いですよ〜
普通にバトロワもの書いてますよ?
と言ってもまだぜんぜん出来てないけどね…w
ここはとりあえず作者6希望 ◆c0xf7D8Z0I さん待ちで
楽しみだが、出来るだけ早く・・・待ち遠しいって
sayuさんの消息が不明となってますね。
作品投下したいけどして良いのか悪いのか……
どうなんでしょう?
>463 名前:気紛れ作者 ◆T6J3cL3e6. [sage] 投稿日:2005/10/30(日) 23:28:01 ID:???
>何か俺も俺なりにバトロワ書いてるんだが(最初のほうだけ)
>それを載せて続きが見たいか見たく無いかの需要が見たいんだけど無理か?
気紛れ氏は3スレ目でこのようなやりとりがあるから順番的にはこうなりますね・・・
@ sayu ◆58a3gZRgHQ (消息不明)
A 45 ◆Duc2GLNmmI (学校から投下のため来年以降)
B 416 ◆1Yaa7HQw4U (未完成
>>620)
C 気紛れ作者 ◆T6J3cL3e6. (未完成
>>649)
D 司書 ◆xLydzXEn7E (未完成
>>638)
E 作者6希望 ◆c0xf7D8Z0I (投下準備おk) ←次の作者?
F 作者10番目以内希望 (詳細不明)
G 作者志望No? (投下準備おk)
H 作者? (詳細不明)
I 作者1 ◆0Z3l12M4xM (未完成)
sayu氏は11月2日以降行方不明となっているので、
◆c0xf7D8Z0I氏が次はじめちゃっていいんじゃないですか?
皆さんの意見を聞いて投下に踏み切ることにしました。
満足していただけるかは解りませんがどうぞ。
1.プロローグ
はじめ目がさめたとき、そこがどこかわからなかった。
いや、今でも完璧にはわかっていない。
解っていることといえば、ここがいつも自分がいるべきである場所ではないということだけ。
神楽坂明日菜(出席番号8番)は自分の置かれた状況がわからず、半分混乱していた。
普段の自分達の教室とは似ても似つかない、コンクリートで固められた無機質な部屋。
目の前には教卓はあるものの、その先にあるのは黒板ではなく真っ白のホワイトボード。
自分達は気づけばそこにいた。
一体なにがあったのだろう?可能な限り記憶をたどってみる。
たしか自分達は、いつもどおりに学園に通っていた。
今朝、親友の近衛木乃香(出席番号13番)と一緒に登校したのを鮮明に覚えている。
そして教室に入って、始業のチャイムが鳴って、いつまでたってもネギが現れなくて、
そしたら急に眠くなって……
記憶はそこでとまっていた。
明日菜はあたりを見回す。
クラスメイトはどうやら全員いるようだ。席順も学園の教室と同じらしい。
まだ寝ているもの、自分と同じようにこの状況に困惑しているもの、それぞれだった。
「……あれ、ウチ、寝てもうとった……」
「あ、このか、起きた?」
「あ、アスナ……て、あれ?ここどこ?」
隣で寝ていた木乃香も目を覚まし、自分と同じ疑問をもつ。
無論、答えてくれるものはいない。
ふと、明日菜は木乃香の首に何かがついているのを見つけた。
「このか、それどうしたの?来るときそんなのつけてたっけ?」
明日菜に言われて自分の首に手を回す。ひんやりとした金属の感触。自分にも身に覚えがなかった。
「て、あれ、アスナも……」
そこで自分にもそれがつけられていることに気づいた。
もしかして。明日菜は周りのクラスメイトを改めて見やる。
思ったとおり、全員首に同じ物をつけられている。
一体何がどうなっているのだろうか?誰か事情を知っている人はいないのか。
と、突然教室(と言っていいのかわからないが)の扉が勢いよく開かれる。
そこにいた全員の視線がそこに寄せられた。
「はい、全員おきてるかー!?おきてない人がいたら隣の人、起こしてあげるんだぞ?
これからとても大事な説明を行う。」
入ってきたのは4人。
軍服をまとい、肩にライフルをかけた男が3人と・・・生活指導員の新田先生。
ますます頭が混乱する。
なぜ新田先生が?ネギはどうしたのだろう?後ろの3人はなに?
クラスのざわめきがひときわ大きくなった。
「コラ、静かにしなさい!さっきも言ったように大事な説明です、静かにして聞き逃さないように!」
新田が手をたたきながらそう言うと、生徒達はしゃべるのをやめた。
教室が静かになるのを見計らって、新田はホワイトボードに何かを書き始める。
「BR法」
ホワイトボードいっぱいにそう書き終わると、新田は生徒達を見やる。
「これ、何かわかるか?」
返事は返ってこない。
「これは今年新政府によって可決された新しい法律です。その内容は日本国民中学生による戦闘実験プログラム。
退廃しつつある日本を再興させるための画期的な新法案です。」
得意そうに一気にまくし立てる。だがそれを聞いてもいまだに状況がわからない。
というか新田の言っていること自体が難しすぎていまいち解らなかった。
「あの、先生、言ってる意味がよくわからないのですが・・・」
突然発せられた生徒側からの声。クラスの皆が声をしたほうを見る。
そこでは雪広あやか(出席番号29番)が申し訳なさそうに手を挙げていた。
「ふむ・・・わかった。もう少し簡単に説明しよう。」
新田はそこで一度区切る。そしてわずかに口元を笑みで歪ませながら言った。
「君たちには殺し合いをしてもらう。」
それは、きわめて短く、簡潔な答えだった。
今日はあと夜中にもう1話投下するつもりです。
もう後には引けませんw
頑張っていこうと思います。
乙です
これから頑張ってくだされ!
ついに6部始動か 頑張って下さい
誰が最初に死ぬかでトトカルチョやろうぜ
俺エヴァ
じゃあ、まき絵
美空かな
桜子に一票(?)w
それではあと2話投下いたします。
2.状況説明
言ってる意味がわからない。みんなの顔がそう語っていた。
だがそれをきちんと説明してくれる人はいない。事態はかまわず進展していく。
「タイムリミットは3日間。優勝者は1名のみ。つまり君たちはこれから最後の一人になるまで互いに殺しあってもらう。
反則はない。何をやってもOKだ。優勝したものは家に帰ることができる。」
そう言うと新田は後ろの兵士に一言二言声をかける。すると兵士は大き目の紙を取り出した。
それを手際よくホワイトボードに貼り付けていく。
みるとそれはどこかの島の全体図のようだった。
「この島は今君たちがいる島です。大陸からは遠く離れた離島で、一番近い陸地でも数十キロあります。
もとはこの島にも住人はいたんですがね、今回のプログラムを実施するために立ち退いていただきました。
なのでこの島にはわたし達以外の人物はいません。」
新田の説明は続く。
「そしてここがわたし達のいる場所。もとはこの島唯一の中学校です。ちょうど島の中心に位置するな。」
いまだ殺し合いをするということにも信じられない生徒達をよそに淡々と説明を続ける。
開始後、生徒一人一人にデイパックが支給されること。
一定時間ごとに放送が入り、死亡した生徒を報告すること、
そのときに同時に禁止エリアというものが設けられること、そして……首輪。
この首輪は自分達の位置をこの中学校のコンピューターのレーダーで映し出す。
そしてこの首輪が、自分達の命を握っているということを知らされた……。
「この首輪は小型の爆弾が内臓されていて、君たちの様子を逐一こちらに報告してくる。
そして君たちがもし禁止エリアとなった区域を歩いていると、識別してこちらから電波を送る。
爆弾はその電波に反応して爆発するわけだ。首を吹き飛ばされる、というわけだな。」
全員の顔がそこで青ざめた。新田はその生徒達の表情を見てニヤリと笑った。
「それと、タイムリミットである3日を過ぎても優勝者が決まらないときも同様に爆発する。肝に銘じておくように。」
新田は付け加えるようにそういった。
「説明は以上だ、何か質問は?」
新田がそういったあと、再度雪広あやかが手を上げた。
「……ネギ先生はどこに?」
それは、そこにいる誰もが知りたがっていることでもある。
ネギ・スプリングフィールドの安否。
新田は少し間を置いてから答えた。
「大丈夫だ、殺しちゃいない。ただ君たちのプログラム参加にひどく反対したんでね。
今はこの島のある場所で監禁させてもらっている。」
彼は生きている。現時点ではそれが解っただけで十分である。あやかはゆっくりと着席する。
「それでは出席番号順にここを出て行ってもらおう。それと最後の人がでてすぐにこの中学校は禁止エリアになるからな。
下手な気は起こさないほうが身の為だ。それでは……ん?そういえばこのクラスは1番がいないのか……
じゃあ2番!明石!!」
ゲームが、開始された。
3.ゲーム開始、2つのケース
神楽坂明日菜(出席番号8番)は校舎を出てから、あてもなく森の中をさまよっていた。
これから一体どうしようか、色々なことを考えてしまう。
ネギは大丈夫だろうか?殺されてはいないらしいが、無事といえる状況とも思えない。
「あいつ……一人で無茶しようとするし……」
嫌な予感がまとわりついてくる。だが現時点で自分にできることなど何もない。
自分達の状況をどうにかするのが先だ。
「とにかく、まずはみんなを探すのが先ね、それ以外のことは後!」
1人意気込むと、明日菜は地図を確認する。
人が集まりそうなところ……近くに住宅街がある。
ここで仲間集めをしよう。このか、刹那さん、図書館組やバカレンジャー……
信頼できる人たちはたくさんいる。大丈夫、なんとかなる。
「こんな馬鹿げたこと……あっちゃいけないんだから……!」
そう言って明日菜は歩き出す。みんなを探すために。
那波千鶴(出席番号21番)は島の商店街を歩いていた。
普段は多くの人でにぎわっているのだろうが、今は物音一つしない。
派手な装飾が施されたアーケードも、今ではただただ不気味である。
いろいろなオブジェなどを見ていると、今にも物陰から誰かが襲い掛かってくるのではと思ってしまう。
千鶴は自分のデイパックの中をあさってみる。
地図、コンパス、あまり美味しそうではないパン、生徒名簿、そして武器。
千鶴のバックから出てきたそれは日差しを避けるために使うサンバイザーだった。武器というには程遠すぎる。
千鶴は落胆と同時に、すこし安心した。銃なんかを持たされても困ってしまう。
「どうせ、わたしには人を殺すなんて……ましてやクラスメートを……」
いや、自分だけではない、3年近くを共に過ごした友達を簡単に殺せるような人間など、ここには一人も……
そう思ったとき、後ろで物音がした。慌てて振り向く。
「龍宮……さん?」
たっていたのは龍宮真名(出席番号18番)。
龍宮はただその場に立ち尽くしているだけで、千鶴を見ても眉一つ動かさない。
「そっちに……行ってもいいかしら?一人は怖いから。」
千鶴は龍宮に話し掛ける。
「あぁ、別にかまわないよ。」
やはり表情は変わらない。
「よかった……誰かに合うことができて。龍宮さん、一人?」
「そうだ。」
「なら、一緒に行動しない?一人より二人のほうがいいと思うけど。」
「いや……」
龍宮の右手が、わずかに動く。
「またすぐ一人になる。」
パン!
突然鳴り響く乾いた音。
千鶴はその場からゆっくりと後ずさる。腹に手を当ててみる。熱い。
掌を見る、赤い。
龍宮を見る。手には銀色に光る銃。
パン!パン!
さらに龍宮は千鶴に銃弾を浴びせた。たまらず千鶴はその場に倒れる。
意識が遠くなる……声も出ない……
「(あぁ……でも……)」
ゆっくりと目を閉じていく。
「(これで……人殺しをしなくて……すむんだ……)」
ここで千鶴の意識は途切れた。
血濡れの千鶴の死体を無表情で見つめていた龍宮は、千鶴のデイパックをあさり、
水と食料をいただくと、すぐにその場を後にした。
「すまないが・・・わたしはこんなところで死ぬつもりなんてないんだよ。」
那波千鶴 死亡 残り29人
今回は以上です。
次回の投下予定は今日の夕方頃の予定です。それでは。
めずらしく龍宮が普通で感動した。
GJ!!
作者6さん乙&GJ!!
リアルタイム遭遇で嬉しかった…いきなりたつみーが参戦だなww
これだけは言える、
龍 宮 は 死 ぬ
乙GJ!
ネギ参戦フラグワクテカ
しかし今回は期限内に1人生き残ってないと皆殺しだからな
嫌でも殺し合うしかねーだろ
龍宮でさえ殺る気満々じゃ、また超は快楽殺人狂者確定だな
もうちょっと投下してほしかった・・・
クールたつみー参戦乙です。
ところで作者6氏、何話ほどの予定ですか?
もし短ければまたとばしてもらうことになりそう。
たぶん年明けには完成する予定(ぉ
作者6氏乙であります。
とりあえずこれだけは確信している
夏美といいんちょとザジは今回もさっさと死ぬ
680 :
679:2005/12/19(月) 03:43:43 ID:???
うわ、
>>678のレスアンカー俺だったのか…見てなかった、スマン
>>677 年明けまでもつれ込むと思います。 全部で45話構成です。
45話って割と少ないな
短いなら一日3〜4話くらい落としてほしいな・・・
1日2〜3話投下のペースで行こうと思ってます。
あまりいっぺんに投下するのもなんですし、1話が結構長かったりする話もあるので。
とりあえず投下です。
4.再会
村上夏実(出席番号28番)は支給武器であったショットガン、スパス12をもって森の中を走っていた。
顔を恐怖でこわばらせ、目には涙を浮かべながら。
「(怖いよ・・・怖いよ・・・誰か助けて!)」
息が切れても走り続ける。恐怖に駆られて走り続ける。
しかし特別運動ができるわけでもない彼女がそんな長距離を走れるわけもなく。
じきに体力が尽きてその場にへたり込んでしまう。
「やだ……やだよぉ…死にたくない……!ちづ姉ぇ……いいんちょ……」
泣きじゃくりながら今一番会いたい人物の名前をつぶやく。
「みんな、どこ行っちゃったの?」
すると、近くの藪が音を立てる。
「ひっ……!」
誰かが近づいてくる。夏実はすぐにショットガンを抱える。
緊張の糸がギリギリまで張り詰める。
全身が恐怖で震える。人影がすぐ近くまで迫る。
そしてついに姿をあらわした……!
「……夏実さん?」
「……いいんちょ?」
姿をあらわしたのはいいんちょこと雪広あやか(出席番号29番)だった。
さっきまで張り詰めていた緊張の糸が完全に切れた。
「いいんちょぉ!!」
夏実はショットガンを持ったままあやかに抱きついた。
「ちょっ、夏実さん!落ち着いて!あ、危ないですわ!」
あやかも再開を喜びたいところだったが、とりあえず夏実をなだめるのが先であった。
数分後。
夏実も泣き止んで落ち着きを取り戻してきた。
現在二人はあの場所をすこし移動したところで休憩を取っている。
支給された水を飲みながらこれからのことを話し合う。
「それでは、夏実さんも私以外の人には会っていないのですね?」
「うん……怖くてずっと走ってたから……」
「困りましたわねぇ……仲間を集めようにも何も手がかりがありませんわ……」
あやかは夏実の話を聞きながら考え込む。
「いいんちょ……仲間を集めて、どうするの?」
「え?決まってますわ、このふざけたプログラムをどうにかして終わらせるのです!」
あやかは力強くそういった。
「クラスメイトが殺しあうなんてふざけてますわ、どうしても止めさせなければなりません!」
「いいんちょ……」
「夏実さんだってそう思うでしょう?」
「……うん。」
ここにつれてこられて、初めて夏実は笑顔を見せる。
それをみてあやかもつられて微笑んだ。
「それでは移動しましょうか。速く皆さんと合流しなければ。」
「うん!」
そして二人はデイパックを持つと、仲間探しへと歩き出した。
5.殺さなければ……
森の中、ひっそりと立てられた小屋の中で。
葉加瀬聡美(出席番号24番)と長谷川千雨(出席番号25番)の2人は何か使えるものはないか探していた。
「ほら、千雨さん、これなんか使えそうじゃないですか?」
「ん…?」
葉加瀬は小屋の奥にあった壊れた無線機を持ってきて千雨に見せ付ける。
が、これがなんの役に立つのか彼女にはよくわからなかった。
「これがなんの役に立つんだい?」
思っていることを正直に口にした。
「うまくいけば、これを使って外の人に助けを呼べるかも!」
「でもこれ、壊れてんぞ?」
「だから、直すんですよ!と、他に何か使えるものはっと…」
そう言ってまたゴミあさり…もとい使える物資の調達を続ける葉加瀬。
手伝う気など毛頭無い千雨は自分の支給武器を眺めていた。
手にひんやりとした感触、ずっしりとした重量感。
千雨は手に握られた銃(取説にはルガーP08とか書いてあった)を、何の気なしに構えてみる。
が、すぐにおろした。さっきから同じ動作を何度となく繰り返している。
「千雨さーん!見張りちゃんとお願いしますよー?」
小屋の奥から声がする。千雨はすこし葉加瀬の方をみた。
葉加瀬の支給武器はマシンガンである。そのマシンガンを葉加瀬は無造作に自分のそばにほったらかしていた。
お互いに武器は大当たり。これなら武器を持った人間と出くわしても対等かそれ以上に戦える。
ここで必要な物資をある程度調達したら、知り合いの超鈴音(出席番号19番)などの頭脳派たちと合流し、
何とかしてこのプログラムからの脱出を図ろう、というのが葉加瀬の提案。
千雨はそれに黙って付いてきていた。
「なぁ…」
「はい?」
急に千雨に話し掛けられて少しびっくりしたが、すぐに返事を返した。
「…よくやるよな、お前。」
いきなりなにを言い出すかと思った葉加瀬はまた作業を再開させながら答える。
「生き残るためには、これくらいしないと…」
葉加瀬がそう言っている間、千雨の視線はずっと傍らに落ちているマシンガンに注がれていた。
自分のルガーと葉加瀬のマシンガン。この2つがあれば、それこそどんな相手とも戦える。
圧倒的に有利になる。つまりは優勝の確率も高くなる。
じゃあどうする?クラスメイトを殺して、武器を奪うか?
決して親しくは無かったが、2年以上をともにしたクラスメイトの命を奪うのか?
人道的に見て、それは許されることではない。千雨も重々承知していた。
だが、今は状況が状況。いつ自分が死んでもおかしくない。
人道的であっても死んでしまえばそれまで。
逆に非人道的でも生き残ればそれは勝利。
そしてそれはこの島では常識である。そう千雨は思い始めていた。
1度そういった考えが頭をよぎると、人間というのは不思議なもので周りがガラッと違って見えてくる。
目の前にいる葉加瀬もそう。
もしかしたら、今でも自分を殺す策略を練っているのでは?
仲間だと思わせておいて、自分が背を向けた時にそのマシンガンの引き金を引くのではないか?
そうだ、この島では甘っちょろい道徳論なんて何の役にも立たない。
最後にはみんな、自分が1番かわいいものなのだ。殺される前に殺さなければ、自分が死ぬ。
殺さなければ死ぬ。嫌だ、死にたくない。なんとしても、生き延びたい。
たとえ1人になったとしても………
「ハカセ…」
死ぬのだけは………イヤだ!
「なんですかぁ?」
葉加瀬はまたか、といったように振り向いた。
みると、そこには自分に向けて銃を構える千雨がいた。
「…え?」
パン!
葉加瀬の思考はそこでとまった。
物言わなくなった葉加瀬の死体をよそに、千雨はマシンガンを手に取り、
葉加瀬のデイパックからマガジンをすべてとると、それを自分のデイパックに詰め込む。
そして千雨は小屋を出て歩き出した。その顔はまったくの無表情のまま。
そうだ、これでいい。こうしなければ、いずれ自分が葉加瀬に殺されていた。
大丈夫、自分は悪くない。この島では、これが日常なのだ。
葉加瀬聡美 死亡 残り28人
乙です!
ハカセたんカワイソス。ちうはやっぱ自己厨殺人者かorz
今日は10時にあと1話投下する予定です。(時間がちょっと足りなくなったので)
5.3人は仲良し
海岸近くにある洞窟。そこに3人はいた。
綾瀬夕映(出席番号4番)早乙女ハルナ(出席番号14番)宮崎のどか(出席番号27番)の3人。
出席番号が離れた3人がうまく合流できたのにはわけがある。
最初に新田から島の全体図を見せてもらったとき、夕映がどこか隠れる場所を探した。
そして海岸の近くに洞窟らしきマークが書いてあるのをみて、隣にいたハルナにまず伝え、
自分が出て行くときにのどかに耳打ちしたのだ。
もしかしたら新田にばれるかとも思ったが、何とかうまくいって現在3人はこうして集まることができた。
「さすが夕映だよねぇ、あんな状態でよくこんなこと思いついたね。」
「……ですが、結局集まっただけでは何もできません。これからどうすればいいのか……」
ハルナは能天気に夕映の肩をたたくが、対する夕映は浮かない表情である。
実際、こうして無事集まることはできても、だからといって何ができるわけでもなかった。
状況は一向によくなってはいない。いまだに自分達は人殺しを強要されている。
命が危険にさらされてる。
「だから、それを今から考えるんじゃないの、くよくよしてたって始まらないよ?」
何故かハルナは無根拠に元気だった。
だが、その元気さに夕映も少し勇気付けられる。
そう、こうやって後ろ向きに何かを考えていても事態が好転することはない。
今することは、自分達がこれからどうするのか、何をしたらいいのかを決めること。
そうと決まればやる事はいくらでもある。夕映はデイパックをみんなの前に出した。
「2人も自分達のデイパックを出してください。装備の確認をします。」
夕映にそういわれて、2人もデイパックを出す。
「新田先生はわたし達に武器を支給すると言いました。つまりこの中に武器が入ってるはずです。
それをまずは確認しましょう。」
「おっけー。」
「うん……」
ハルナ、のどかは自分のデイパックをあさりだす。夕映も武器を探すためにデイパックをあけた。
「うわ、重……これ、銃だよね……」
ハルナがデイパックから取り出したのは一丁の拳銃。銃と一緒に説明書も入ってた。
「えっと、んー……ぶろうにんぐ?ハイパワー……銃の名前かな?」
取説と銃を見比べながらぶつぶつと何かを言っている。
次はのどかがデイパックから何かを取り出した。
大きい、ベストのようなもの……でもごつごつしていて着心地はよくなさそうである。
「ねぇ、これ……何かな?」
「ん?」
隣で説明書と格闘していたハルナにのどかは自分の支給武器を差し出した。
ハルナはそれを受け取ってひとしきりそれを眺めると、のどかに返す。
「これ、多分あれじゃない?防弾チョッキってやつ……」
確かこの前本で読んだ、と付け加えて言う。
そういわれてのどかはしげしげとそれを眺めていた。
「とりあえず着といたら?あ、それで夕映の武器は……」
思い出したように2人が振り向いた先には、広辞苑を片手に固まる夕映の姿があった。
「聞くまでもないかもしれないけど……それが夕映の武器?」
「……はい。」
夕映は短く答えた。
気を取り直して次は今後の予定を決める。床に地図を敷き、それを囲むように3人が座る。
「わたしたちがいるのがここですね。」
「ありゃー……ずいぶんと島の端なんだね……」
夕映が指差した場所は、島のほぼ南東端。スタート地点の中学校からずいぶんと離れていた。
「移動したいところですが、そろそろ日も暮れますし、今日はここで一晩過ごすことにしましょう。」
「オッケー。いいわよ。」
「やる気になっている人がいるかもしれませんから、交代で見張りをつけようと思います。」
「んじゃ、とりあえず今日はここに泊まるってことでいいね?明日のことは明日考えるってことで。」
「でも……」
ハルナが話をまとめた後、のどかが口を開いた。
「本当に……やる気になってる人なんているのかな?本当に、クラスメイトを殺そうとする人が……」
のどかの発言を聞いて、二人も黙ってしまう。答えることはできなかった。
洞窟に、重い沈黙が流れる……
今日は以上です。
作者6殿、乙です。
ところで、
>>685-686は「夏実」じゃなくて「夏美」だと思う。
夏美好きだから、つい口を挟みたくなってしまった(汗)
そこは脳内処理しよう
そんなことをいちいち口に出す必要ない
いや、訂正はしておいた方が作者のためでもあるだろう。
何はともあれGJ
6部中3部でのどかの武器は防弾チョッキ(1部、3部、6部)か
やっぱり私弱いのかな
クラス委員長だからとか、殺し合いなんていけないとか考えたけど
自分が殺されるのが怖いから
正義感や、プライド、自分でもあるほうだと思ってた
でもそんなの考えてられないくらい怖くて
辛くて
苦しくて
だからかな
頭と体が離れたみたいに言う事聞かなくて
クラスメイトに向けたまま引き金を引き続けてるのは
狂っちゃったのかな……
また一人倒れちゃった、死んじゃったんだよね
ちゃんと見えてるのに誰なのかもわかんない
その子を思い出そうとしてるのに
私の目はまた別の子を映して
手の先を向けて
殺してる
殺すことが嫌なのか、それとも望んでるのか
ぐちゃぐちゃで
でも涙が流れてるって事は
多分やりたくないんだよね、こんなこと
でも、もう戻れないよ
あの子、銃持ってる
殺すのかな
でも怖いって思わないのは、矛盾してるよね
殺されたくないから殺してるのに
多分私は、もう、終わりにして欲しいんだ
死ぬことを願ってる
早く逃げたい
この悲しみから
でも、あの子も泣いてる
震えながら何か叫んでる
ごめんね、聞こえないよ
私を撃つのを躊躇してるのかな
だめだよ
早くしないと、私、あなたを……
胸のあたりを何かで押された感じがする
よろめいたけど、後ろの壁が支えになって
ずるずるとお尻が床に乗った
いつのまにかマシンガンは握ってない
痛くはないけど、動けない
お尻の下に、おもらしみたいに血が広がる
体に僅かな振動が響く
私を撃った子が走ってきてるのかな
肩をつかまれて寄せられると頭があがって
その子の顔が映るけど、やっぱり誰だかわからない
何か言ってるけど聞こえない
強く、抱かれる
痛いくらいに抱きしめてきた腕は
凍える私の体にしみて暖かい
耳もとに何か当たる
その硬い何かは
私に最後の音を聞かせてくれた
チリン
目が覚めたように感覚が戻る
だけど体は動かないまま
それでも私はクラス委員長として
一人の人間として
最後の使命を果たすために
今までの想いを込めて
大事な親友に、雪広あやかの全身全霊を懸けて
「ありがとう」
なにこれ・・・
(´;ω;`)ウッ・・・
まったく、マナーを守らんか!
あれ、目から…
気紛れ作者さんみたいに気まぐれに書いたんですが
マナー違反でしたかすみません
以後気をつけます
今日は何時投下だろぅ…?
あー……気まぐれの割にはクオリティ高いですね……(汗)
自分の文章力の無さが悔やまれる。
とりあえず投下です。
7.一つのやさしさと、狂気
「どうしたもんかしらねぇ…」
朝倉和美(出席番号3番)は森を歩きながら思案する。
あまり無用心に見通しの悪い森の中を散策するのも気が引けたが、
状況がまったくわからない上に、今の自分には身を守る術が何一つ無い。
さきほど自分のデイパックをあさって唖然としたものだ。
朝倉のデイパックから出てきたのは、小さな使い捨てカメラ。
フィルムも全部残ってる。
「新田の奴、気を利かしてくれるじゃない。」
たまらず皮肉が出てしまう。
ちなみにまったく笑えない。
まぁそういうわけで、仲間だとか、隠れ家とか、そういったものを探そうと森を歩いている。
幸いデイパックには地図やらコンパスやらも一緒に入っていたので遭難ということはなさそうだ。
「多分もうちょっと歩けば一軒家があるみたいだけど…」
そこで森が途切れ、目の前に建造物が立ちはだかる。
「ホントにあったよ…」
地図に書いてあるとはいえ半ば信じていなかったようだ。
とりあえず今日はここで夜を明かそう、そう思い、扉を探す。
すると、すぐ近くに人影が見える。
どうやら先客がいるらしい。朝倉は用心深く人影の正体を確認しようと近づいていく。
「…まき絵?」
「ひっ…」
そこにいたのは佐々木まき絵(出席番号16番)だった。
できるだけ驚かせないように声をかけたつもりだったが、やはり驚いたようだ。
「いやぁ、まさかこんなところで会うなんてねぇ、奇遇…」
「こないでぇ!!」
今度は朝倉が驚く番だった。
てっきり歓迎してくれると思っていたまき絵が、なんと自分に包丁を向けてきたのだ。
「ちょ、何よ、あたしは別に殺しあう気なんて…」
「う、嘘よ、そう言ってあたしが近づいたところを殺す気でしょ!?」
「まき絵、ちょっと落ち着いて…」
「だまされないんだからぁ!!」
そう言ってまき絵は朝倉に向かって突進してくる。
そしてその距離が完全に埋まると、朝倉めがけて包丁を振り下ろした。
朝倉はギリギリでよけるが、頬を切ってしまう。
切れた箇所から血がたれる。だがそんなことにかまってる暇は無い。
「ちょっと待って!まき絵、落ち着いてって!!」
「いやぁ!人殺し!あたしが、殺してやる!!」
どうやらとうの前にまき絵は正気を失っていたようだった。
どうにか避け続けていたが、何時の間にか建物側に避けていたらしく、後がなくなってしまった。
「しまった…」
「追い詰めたわよ…」
まき絵はゆっくりと距離を詰めてくる。
「(こうなったら…まき絵を…)」
殺す。その言葉が頭に浮かんだ。
セオリーとしては、飛び込んできたまき絵を押さえつけ、包丁を奪えば…。
頭で計算が行われる。
そして、それが終わると同時にまき絵が飛び込んでくる。
「死ねえぇぇぇぇぇぇ!!」
「(…いや)」
朝倉は無防備に前に出た。
ドスッ!
包丁は、深々と朝倉の腹部に突き刺さった。
「(あたしには無理だわ。)」
まき絵の包丁は深々と柄の部分まで突き刺さっている。
朝倉は残る最後の力で、まき絵を…
やさしく、抱きしめた。
「え…?」
まき絵は朝倉の行動に混乱する。
「…大丈夫だから。」
朝倉はまき絵の耳元で、やさしくつぶやいた。
「怖かったんだろ?ずーっと一人で…寂しくてさ。」
「…」
「大丈夫だからさ、何も怖くないよ。みんなまき絵の味方…人殺しなんて一人もいない。」
「…朝倉」
「頑張りな…」
そこで朝倉は力なくその場に倒れる。
まき絵は手に持っていた包丁を落としていた。
「そんな…なんで…朝倉ぁ…」
次第にまき絵の目に涙が浮かぶ。
自分のやってしまったことへの後悔。朝倉を、友人を手にかけてしまった。
「えぐっ…ひっく…」
たまらず泣き出してしまう。ごめんね、とつぶやきながら。
まき絵は、そのときやっと正気を取り戻した。
ひとしきりないた後、まき絵は朝倉の死体を見る。
朝倉は最後、自分にがんばれ、と言った。
「朝倉、私……生きてても、いいのかな?頑張って、いいのかな?」
返事は返ってこない。返ってくるはずがない。自分が、殺したのだから。
迫り来る罪悪感の中で、まき絵は一つの決意をする。
「朝倉……私、頑張ってみる。頑張って……そして、罪を償ってみる…」
クラスメイトを殺した罪。それを償うために。
決意を胸に、まき絵は立ち上がる。が…
パンッ!
銃声。と同時に胴体に広がる激痛。
「…あっ」
まき絵はたまらずその場に倒れこむ。
一体誰が?激痛の中、力を振り絞って後ろを向く。
そこには小さな拳銃を構えた春日美空(出席番号9番)が立っていた。
その顔は狂気に歪んでいる。
「はははははあんた今朝倉殺したわよね見たわよ見たんだからこの人殺し!
あんたみたいな奴には罰を与えないといけないのそうよこれは天罰よ!!」
パンパンパン!
続けて銃を撃つ。それがすべてまき絵の体にめり込んでいく。
まき絵は勢いよく血を吐く。
人殺し…
「(そうだよね…人を殺したんだもんね…)」
まき絵は朝倉を見やる。
「ごめんね…朝倉」
最後の銃声。そこでまき絵の意識は途絶えた。
「ふふ…人殺しはみんな許さない…許さないんだから…」
一人でぶつぶつつぶやきながら、美空はその場を後にする。
終わってみれば、そこにはまき絵と朝倉の死体だけが残っていた。
朝倉和美 佐々木まき絵 死亡 残り26人
8.孤独
「アスナ……せっちゃん……みんな…」
住宅街の一軒家で近衛木乃香(出席番号13番)は一人うずくまっていた。
当ても無くさまよっていた木乃香はこの住宅街にたどり着き、
カギの開いている家を探し当ててからはずっとそこに立てこもっていた。
木乃香は自分のデイパックから武器を取り出す。
黒光りする銃がそこにあった。取説も一緒に。
「こんなん渡されても……どないしたらええんよ……」
銃を手にとってつぶやく。
答えてくれる人はいない。自分は今、1人なのだから。
家の中はとても閑散としていた。
以前はここにも人がすんでいたのだろうが、それがウソのように静まり返っている。
水道もガスも電気さえも止められている。
食料は置いていなかったが、それ以外の小物や衣類などはそのままにされていた。
拝借する気は毛頭無いが。
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
突然、外から何か聞こえてきた。
「……チャイム?」
それはよく学校で聴くチャイムである。
木乃香は窓から外を見る。
「午後6時となりました!第一回目の放送を行います!現時刻までの死亡生徒と禁止エリアを発表します!」
それはマイクを通して聞こえる新田の声。
そういえば一定時間ごとに放送をすると説明していたのを思い出した。
急いで木乃香は地図とペンを取り出す。
「それでは発表します!まずは死亡生徒!
出席番号4番、朝倉和美さん、16番佐々木まき絵さん、
21番那波千鶴さん、24番葉加瀬聡美さん!以上4名!
次に禁止エリア!今から1時間後にF-6とF-5!、2時間後にG-4とG-5だ!そこにいる生徒はすぐに移動するように!」
放送を聞いて、木乃香は安心と同時に驚愕した。ペンを持つ手が固まる。
親しい友人達の名前が呼ばれなかったのは安心したが、同時に4人の同級生が死んだと宣告された。
「そんな……」
本当に、殺しあっている。
あんなに仲のいいクラスだったのに。
本当に、人が死んでいる。
その事実がただただ恐ろしかった。
禁止エリアを地図に書き込むと、どうしようもない不安が木乃香を襲った。
さっきの放送を聞くまで、木乃香は半ばこの状況が信じられなかった。
ただのたちの悪い冗談じゃないかとさえ思っていた。
しかし、さっきの放送ですべてを受け入れざるをえなくなった。
――自分達は今、殺し合いをしているんだ
再度窓の外を見る。日はもう大分傾いていて、もう少しで山の中に隠れようとしている。
もうすぐ夜の帳が落ちる。1人で夜を過ごすことになるかもしれない。
「ウチ、どうなるんやろ……」
その時、窓の前を人影が通った。
木乃香はすぐに身をかがめる。が、ふと思い立って窓に近づいていく。
もし、あれが刹那や明日菜だったら……
その望みにかけて、意を決して窓から外を見る。
「……アスナ!!」
「?…このか!?」
木乃香の願いはかなった。そこにいたのは神楽坂明日菜(出席番号8番)だった。
明日菜もすぐに木乃香の存在に気づくと、彼女のいる一軒家に入ってくる。
「よかった、無事だったんだ!」
「明日菜ぁ……」
再会を喜ぶ明日菜に、木乃香は涙を流してすがりついた。
子供のように泣きじゃくっている。よほど心細かったのだろう。
「本当に、良かった……」
最初は驚いた明日菜も、ゆっくり木乃香の頭をなでてやる。
ここに、親友二人が再会を果たした。
今日は以上です。また明日お会いしましょう。
乙です。
>>714で朝倉和美の出席番号が4番ですよ。
ミスったぁぁ!!
……修正してお楽しみください(汗
作者6さんGJです
>>706さん
えっと、自分は
>>705です
あれはギャグのつもりで言いました。
深い意味はなかったです。 GJでした。
GJ! この一言に尽きる
毎度のことですが作品投下します
今回はあんまりふざけてないです
私は走る
ゴールに向かって
何の為?
走りたいから
―嘘
ダイエットしてるから
――これも嘘
私は今競走していて1番になるため
―――またまた嘘
大好きなタカミチに私を見て欲しいから
――――また私嘘ついてる
もう嘘はつきたくない
私は今バトルロワイアルというゲームに参加させられてる
生き残るにはクラスのみんなと殺し合わなくちゃいけない
でも、そんなの嫌。人を殺したくない
だから走る
人を殺すためでも、
誰かを助けるためでも、
隠れる場所を探してるのでも無く、
人を殺さないために走ってる、人生、運命から逃げてる
ゴールが見えてきた
もう後には戻れない
みんなの顔が心に浮かんでくる
でも…もう会えない
もうちょっとでゴールだ
あと、五秒くらい
これで人を殺さずにすむ…
ネギ!!
なぜかその名を思い出す
気がつけばもうゴール寸前
なぜか私は…止まってしまった
何で?何で止まったの?
わからない
―嘘
何で胸が苦しいの?
わからない
――また嘘、しかも大嘘、本当はわかってる
私…ネギが好きだったんだ
だから、もう一度会いたいから、私は止まったんだ
だけど、だけど、だけど!!
もう無理だよ
会いたいけど、会いたいけど、会いたいけど!!
もう無理なのよ
人を殺してあなたに会うなんて…できない……
ガサッ!!
誰かが近づいてきた
手に銃を握ってる
…ネギ、もう本当に会えないよ
私の頭に銃が突きつけられる
「何か言い残すことは?」
これが私の最後のメッセージです
ネギ、ゴメンね
私あんたのパートナーなのに
あっ!勘違いしないでよ!仮よ、仮!!
まぁ、あんたなら良かったんだけどね…
でも、もう会えないから…無理よね
私ずっと嘘ついてた
嘘つくの上手じゃないから、もうわかってるかもしれないけど
私はネギ、あなたのことが大好き
でも、もう会えない
だから…忘れていいよ私のこと
忘れて幸せになっちゃいなさい
あんたの顔なら良い人見つかるわよ
あんた今泣いてるでしょ?
な〜に泣いてんのよ
元気出しなさいよ!!ネギ!!
最後に一つだけ
あんたの夢
立派なマギ・ステル・マギになるのよ
いい?わかった?
…それじゃ、ネギ、さようなら
「…だそうだ、ネギ先生、
私を恨むのなら恨めばいい
ただ、私はメッセージを伝えに来た…それだけだ。」
龍宮真名はそう言うと、回れ右をして出口に向かっていった
「待ってください!」
龍宮が振り返る
「あの…好きな人殺されてこの発言は無い気がしますが…
…龍宮さん、ありがとうございます。きっと明日菜さんも喜んでますよ。
龍宮さんが殺さなくても、明日菜さんは人を殺せずに死んだでしょう。
それよりは、龍宮さんにメッセージを届けてもらえて喜んでると思います。
本当にと言えば嘘になるでしょうが…ありがとうございます。」
少年は目に涙を浮かべながら、龍宮におじぎをする
「それじゃ、ネギ先生、私は帰るよ…さようなら。」
そういって龍宮はネギの前から姿を消した
「ウワァァァァァァ!!明日菜さんッ!!明日菜さんッ!!明日菜さぁぁぁぁぁん!!」
少年の声が部屋を震わす
―元気だしなさい、ネギ
―立派なマギ・ステル・マギになるのよ
少女の声が少年の動きを止める
そうして、少年は涙を拭き、
拳を握り締め、
悲しみをまとって少年は前へと進む
最愛の者との思い出を心に抱き
そうして少年は少年から大人になる
「明日菜さん、僕立派なマギ・ステル・マギになって幸せになります。」
今、大人になった君の物語が始まる
君は気付かないかも知れないが
君の瞳は愁いを帯びた
その眼で君が見上げた空は
君が幼いころウェールズで見上げた空より
気のせいかもしれないが
なんだか、とてもまぶしかった
THE END
終わりです。
毎回、ルール破ってすいません。
ここをもっとこうしたらよかったなどの意見があったら遠慮せずに言って下さい。
んー、なんていうか、意味がわからないです
気まぐれ投稿が乱立するとややこしくなる気がしますが。
心理描写が無茶苦茶。
表現がゴタゴタしている。
さらに言えば明日菜は「タカミチ」とは呼ばない。
……まぁ、努力は認める。
気紛れ作者GJ まあ正規の作者じゃないから色々言われるけどあんま気にすんなや
気まぐれ作者さんは作者7にあたるのか?
長編作者は順番をきちんと守ってるけど
短編作者はどうしたらいいのかな
それとも短編自体がスレ違い?
気紛れ作者の投稿は止めて欲しい。
正規作者が完結して次の作者が書き始めるまでの繋ぎとかならともかく
あからさまにルールを破って平気な顔をしてるのが気に食わない。
最低限のルールくらい守れ。
気紛れ作者の、というか、順番以外の投稿は作者と作者の間か
連載中の作者が2日以上現れない時、1回の投稿で完結させるみたいなルール決めておくか?
俺が言ったのはあくまで例えだが。
短いのだと自分の好きなシーンだけ書こうとするのが多かったら駄目っぽ
今の1〜6までの作者さんらが苦労して
正直書くほうからしたらなかなかにしんどいだろうし中だるみも起こりそうな
ちゃんと手順をつけてキャラをストーリーにからめてなるだけ矛盾無く殺して行く末に
エンディングの感動があるんだから・・・
俺はべつに
>>699-703みたいなのはべつにイイと思う。
気紛れ作者はクオリティ高ければこんなに文句も出ないんだろうけど・・・
ましてやルール破ってすいませんて書くぐらいなら投下するなと
順番はもう
>>652でまとまってるから、次の作者が2日以上現われないとかはそんなにないんじゃね?
まぁ、正規作者自身も自分の投稿期間中に短編をボコボコ投下されていい気はしないだろうね。
ではどんなに短いものでも予約を入れさせれば文句無いな
つまんないね
時間潰しにはなるぞw
そうか?結構好きだけど
エロパロスレとかでもたまに言われるけど、
こういうところで排除された香具師は、いったん萌え統一スレに投下して、
こっちにリンクだけ貼るってのも手かもな。
スレ冒頭で「当スレにスレ違いのネタは無し」「SS歓迎」を謳っているし。
一応、
>>605-613でSSも投下されてるしな。
9.双子の絆
島にある山の中腹あたり。
そこにある神社の境内で、鳴滝姉妹は沈み行く太陽を眺めている。
二人の間に会話はない。
いつもならこの二人が集まればにぎやか過ぎてうるさいくらいなのに。
今では両方とも一言も言葉を発することなく、太陽を眺めている。
そして、太陽が水平線に消えていってしばらくして、鳴滝史伽(出席番号23番)が口を開いた。
「お姉ちゃん……わたし達、どうなるですか?」
鳴滝風香(出席番号22番)は少ししてから返事をする。
「わかんない……でもきっと大丈夫、助かる方法だってあるよ!」
そう言って努めて明るく振舞った。たとえカラ元気でも、史伽を元気付けるためだった。
その様子を見た史伽の顔もわずかながら笑顔が浮かぶ。
それを見て風香もまた笑顔を返す。
「さ、もう寝よう。これからのことは明日考えよ。」
「わかったです。」
そう言って史伽は境内の奥に入っていく。
ふと風香の方を見ると、自分についてくること無く未だに縁側に座って外を見ている。
「お姉ちゃん、寝ないですか?」
「ん?…あぁ、僕はまだいいよ。外を見張ってる。」
「え……」
史伽が不安そうな顔になる。
「大丈夫だよ、何かあったら伝えるから、お前はそこで寝てな。」
そう言ってまた笑顔を見せる。
史伽は心配ではあったが、姉がああ言うのだからそれに従おうと思い、神社においてあった毛布をかぶって目を閉じる。
精神的にも疲れていたのだろう、すぐに睡魔に襲われ、深い眠りについた。
史伽が寝てしばらくたったころ。時計を見る。夜10時を少し回ったころ。
今のところ誰の姿も認めてはいない。だが油断はできなかった。
ふと、神社の奥を見やる。
明かりは月からの光しかないため見通しはさほどよくは無いが、誰かが立っているようだった。
すぐに自分の支給武器であるシグP226を構える。
すると、向こうも自分の存在に気づいたようだった。
足早に近づいてくる。近づくにつれて、それが誰かがわかった。
長谷川千雨(出席番号25番)。その視線は暗さのために良くわからない。
「と、とまれ!それ以上近づくと撃つぞ!」
すぐに風香は銃を千雨に向ける。だが千雨は止まろうとしない。
「とまれってば!」
風香が言うと同時に、千雨は立ち止まった。
千雨の右手が持ち上がる。
ババババババババババ!!
「きゃぁぁぁあ!」
千雨の右手に握られたマシンガンが火を噴いた。
無数の弾丸が風香を襲う。だが幸いにも直撃することは無かった。
すぐに神社の奥へと逃げ込むと、史伽の元へ向かう。
さすがの史伽もさっきの銃声で起きたようで、境内に入ってきた姉に駆け寄ってきた。
「お姉ちゃん、さっきの銃声……」
「史伽、こっち!」
史伽の質問に答えている暇は無い。風香は史伽の手を引くと、境内のさらに奥に連れて行った。
そしてそこに史伽を座らせる。
「いいか、僕がいいって言うまで絶対にここを出ちゃダメだぞ!」
「え、そんな、お姉ちゃんは?」
「僕はあいつを追っ払ってくる。」
「そんな、無茶です!」
姉の提案を必死に否定する史伽。だが風香に肩を抑えつけられて、無理やり座らされた。
「大丈夫だから。心配しないで待ってて。」
「お姉ちゃん……」
そう言うと風香は外に向けて走り出す。
「お姉ちゃん!!」
「いいか!絶対に出てくるんじゃないぞ!」
風香が境内から出ると、千雨はさっき立っていた場所からまったく動いていなかった。
千雨の視線が風香を捕らえる。
「ん?ツリ目の方だけか?もう一方の奴は一緒じゃないのか?」
「ここには僕一人だ!あっち行け!!」
そう言って風香は銃を向ける。だが千雨は動じない。
「そっか……まぁいい。」
千雨の右手が上がる。
「うわぁぁぁ!!」
パンパンパン!
だがそれより先に風香のシグが火を噴いた。
しかしそれさえも予想の範疇だったかのように、千雨は横に飛んで弾丸をよける。
千雨の避けた方向にむけて続けて撃つが、やはり素人がむやみに撃ってもあたるはずがない。
弾丸は千雨の近くの土を巻き上げるだけだった。
ババババババババババ!!!
「あぁぁあああああ!!!」
銃の腕は大して変わらないだろうが、こちらは無数の弾丸が一気に放たれる。
ある程度狙いをつけて引き金を引けば、何発かは外れても何発かはあたる。
弾丸の雨を浴びた風香はそのままなす術も無く吹き飛んだ。
千雨は神社に上がりこむと、仰向けに倒れている風香に歩み寄る。
落としたシグを拾うと、それをそのまま風香に向けた。
「あばよ……」
引き金に力が込められる。
「いやああああ!!!お姉ちゃあああん!!!」
突然、神社の奥から史伽が走ってきた。
千雨は一瞬驚くが、すぐに平常心を取り戻す。自分に害は無いと判断したのだ。
「史伽……絶対出てくるなって……言ったのに……」
そこで風香の意識は無くなる。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!しっかりするです、死んじゃダメです!!」
必死に姉の体をゆするが、死んだものが生き返ることはない。
それを悟った史伽は、風香を抱いたまま泣きだす。傍らに千雨がいる事などかまわず。
千雨は史伽に銃を向ける。
「……お前バカか?あのまま奥に隠れてりゃお前だけなら助かったかもしれないのに。
なに走り出てきてんだよ。」
死体に向かって泣きじゃくる史伽に千雨は声をかける。
「……うっぐ……お姉……ちゃんと……いつも……一緒だったから……離れたく……ないから……」
途切れ途切れに話し出す。そして千雨の方を向いた。
「見捨てることなんてできない……」
パン!
そこで史伽も倒れた。双子はお互いが重なるようにして死んでいった。
「それで自分も死を選ぶのか?……バカじゃねぇか、お前ら。」
千雨は風香の銃と銃のマガジンを奪い取ると、すぐにその神社を後にした。
鳴滝風香 鳴滝史伽 死亡 残り24人。
10.continues at night
夜もふけようとしていたころ。
海岸沿いの洞窟では、図書館組の3人が夜を過ごしている。
交代で見張りをたて、それ以外の人は寝るというシフトで。
現在外を見張っているのは綾瀬夕映(出席番号4番)。
じっと外を見張っている。
ふと、後ろに気配を感じたので振り向く。
「……のどかですか。」
「あ、ごめん、驚かしちゃった?」
申し訳なさそうに宮崎のどか(出席番号27番)が話し掛ける。
夕映はかまいませんよ、と返事を返すと、また外を見る。
のどかも続いて外を眺めた。
月明かりに照らされた海岸は青白く光っていて、空を見上げれば満天の星空が広がっている。
「きれいだね……」
「えぇ、とっても。」
のどかが空を見上げてつぶやき、夕映もそれに同意する。
「……ん?あれ、みんなおきてるの?」
洞窟の奥から早乙女ハルナ(出席番号14番)もやってくる。
結局3人とも起きてしまった。
「あ、ハルナ……」
「ん?のどか寝てなくていいの?疲れてるんじゃないの?」
それを言うならあなたもでしょう。
夕映はそんなことを思ったがあえて口には出さないことにした。
ハルナが外を見る。
「うわぁ、キレーな空!」
そして二人とまったく同じ感想を言う。その光景が少しおかしくて、のどかはつい笑ってしまう。
「なによのどか、何突然笑ってんの?」
「ププ……ごめん、ちょっとね。」
「のどかが笑うのも無理ないです。」
夕映ものどかに続く。ハルナ一人だけ不服そうな顔をする。いつも通りの平穏な時間だった。
「……こんな状況じゃ無かったら、もっともっと楽しいんだろうなぁ……」
のどかがポロっとこぼした言葉。それに他の二人も沈黙する。
「あ、ごめん……」
「いいのよ、そのとおりなんだから。」
ハルナがフォローする。
洞窟に静寂がおとずれる。
「もし……」
それを破ったのは、またしてものどか。
「もしも、誰かが私たちを殺しに来たら、どうする?」
意を決して、のどかは2人に問い掛ける。返事は返ってこない。
「私…本当に怖いの。殺されることもそうだけど、もしも自分がクラスメイトを殺したらって考えると……」
震えながら、目に涙を浮かべながら、のどかが言う。
自分も、生き残るために殺すのだろうか。クラスメイトを。
そしていつしか、ここにいる親友達も手にかけてしまうのか。のどかにはそれが恐ろしかった。
そんな震える体を、ハルナがやさしく抱き寄せた。
「大丈夫だよ、大丈夫。もしそんなことになったら、私が守ってあげる。なにがあっても。」
「ハルナ……」
「だから、あんたはそんな心配しなくていいの。何もあんたが人殺しになる必要なんて無いわ。」
そう言ってのどかの頭をなでる。
「そうです。のどかはのどかのままでいればいいのです。そんな心配は無用ですよ。」
夕映もハルナに続いて言う。それを聞いて、のどかの顔に笑顔が戻った。
「さ、解ったらもう寝よ?見張りは夕映に任せてさ、明日だって早いよ?」
そう言ってハルナはそそくさと奥に帰っていった。
「ハルナの言うとおりです。のどかも今は眠って。ほかの事は明日考えればいいです。」
のどかは夕映の言葉にうなずくと、洞窟の奥へと帰っていく。
夕映は見張りを続行する。
「そうです。みんなを守るです。なにがあっても。」
夜は続いていく。
11.生き残るために
古 菲(出席番号12番)は灯台にむけて歩いていた。
開始当初は闇雲に歩いているだけだったが、
日が暮れるにつれて今晩寝る場所を確保しなければならなくなった。
それで現地から一番近くにある建物ということで、灯台へ向かっていたのだ。
じきに灯台が見え始める。が、見ると灯台は電気がついていた。
「どうやら先客がいるようアルね。」
古 菲は自分の武器であるトンファーを構えて灯台に近づく。
すると、灯台の窓から一人の生徒の顔が見える。そして、その生徒と目があった。
「……くーふぇい?」
「超アルカ?」
そこにいたのは、超 鈴音(出席番号19番)だった。
お互いがお互いを認識した。しばしにらみ合う二人。
程なくして、お互い警戒を解く。
「入ってくるなら裏口からネ。」
「助かたアル」
古 菲は灯台へと入っていく。
中に入ると、そこは宿直室のような場所だった。
キッチンも設備されて、なかなか居心地のいい場所である。
みると、キッチンの奥に四葉五月(出席番号30番)の姿があった。
五月も古 菲を見ると軽くお辞儀する。
そして奥を見ると、パソコンを前にして座っている超がいた。
「何してるアルか?」
「……」
超は少し間をおいてから振り返り、
「くーふぇい、このプログラムから脱出しようと思うネ。」
そう切り出した。
「……へ?」
「くーふぇいだって、こんな馬鹿げた殺し合い、したくはないでショ?」
「そりゃそうアルが……」
「ならすることは一つヨ。」
そう言ってまたパソコンに向き直り、キーボードをたたき出した。
古 菲は超に詰め寄る。
「で、できるアルか!?」
「この天才少女、超 鈴音を信じるネ。」
超は不敵に笑ってそう答えた。
キーンコーンカーンコーン!
不意にチャイムが響く。定時放送だ。
「はーい定時放送の時間がきましたー!みんな聞いているか?それでは死亡した生徒と禁止エリアだ!
死亡生徒は、出席番号22番、鳴滝風香さん、23番鳴滝史伽さんの2名のみ。禁止エリアは1時間後にC-6とD-5
2時間後にF-1とG-2だ!以上!」
禁止エリアを地図に書き込む。
「どうやらここは移動しなくてもいいみたいアルね。」
「……もう6人も死んでる……」
五月がそうつぶやく。その声に他の二人の表情も暗くなる。
「急がなければいけないヨ」
そう言って超はキーボードをたたき続ける。
今日は以上です。
気紛れ作者さんについての論議が白熱している中で投下していいものか迷いましたけどとりあえず投下しました。
それではまた明日。
乙。
乙です!双子・・・(つω`)
超がいきなり殺さなかったのが新鮮だ!
でも後でサックリ後ろからやるのかも・・・w
乙GJです!
超はどうしても殺す役回りしか想像できん…
乙彼!
今後の超の役回りに期待
千雨 「きゃははははw死んじまえぇ!!ちう様なめんじゃねぇぞォッ!!」
超 「死ぬあるネ!!死ぬあるネ!!死ぬあるネッ!!」
茶々丸「ロックオン、ロックオン、ロックオン、ロックオン。」
真名 「羅漢銭!!羅漢銭!!羅漢銭!!羅漢銭ッ!!」
のどか「こないで、こないで、こないで、こないでぇ!!」
夕映 「もるです!!もるです!!もるです!!もるですッ!!」
刹那 「斬岩剣!!斬岩剣!!ざーんがーんけーん!!」
五月 「肉まん!アンまん!ピザまん!フカヒレまーん!!」
ハルナ「同人誌!!〆切!!美少年!!禁断!!編集者ッ!!」
…何やってんだ俺orz
ほんとに何がしたいのかわかんない
なんかワロスwwwwwwww
とりあえず意味不明な勢いにクスリときた。
なんかハルナにワロタww
短編はコテハンつけなかったら良いんじゃない?
たとえ
>>761が前あったみたいに気紛れ作者だとしても本人が自分から言わない限りわかんないわけだし。
明日菜「バカネギ!バカネギ!バカネギ!!バカネギッ!!!」
千鶴 「あらあら、あらあら、あらあら、あらあら〜ッ♪」
このか「いややわ、いややわ、いややわ、いややわ〜ッ♪」
桜子 「ほにゃらば!ほにゃらば!ほにゃらば!!ほにゃらばッ!!!」
古 「アイヤー!アイヤー!アイヤー!!アイヤーッ!!!」
風香 「うひひひ!うひひひ!うひひひ!!うひひひッ!!!」
楓 「ニンニン!ニンニン!ニンニン!!ニンニンッ!!!」
まき絵「ネギくん!ネギくん!ネギくん!!ネギくんッ!!!」
エヴァ「ハッハハー!ハッハハー!あーっははァーッ!!!」
あやか「ネギ先生!ネギ先生!ねーぎせーんせーい!!!」
どう見ても二番煎じです。ありがとうございました。
>>767 なんか風香が怖いですね……w
作品投下です。
12.襲撃
「風香殿、史伽殿!!」
長瀬楓(出席番号20番)はその定時放送で二人の名を聞いた。
「そんな、まさか……」
楓は力なくうなだれる。頭の中で二人のことが思い出された。
とても中学生とは思えぬ体格の二人。とても仲のよい双子だった。
寮の部屋も一緒で、体の大きい自分をまるで姉のように慕ってくれて。
だから二人と同じ散歩部に楓も入った。
本当にいい子達だったのだ。
楓の手が握りこぶしを作り、震える。
しかし立ち止まるわけには行かない。過ぎたことを悔やんでもしょうがないのだ。
「二人とも……すまないでござる。守ってやれなくて。」
それだけ言うと楓はデイパックを抱えて歩き出す。せめて2人の分まで、精一杯生きようと。
と、その瞬間、自分の視界にある人物が飛び込んできた。
「龍宮……?」
「楓か……」
そこに立っていたのは龍宮真名(出席番号18番)。その目はじっと楓を見据えている。
「無事だったでござるか!」
楓はすぐに龍宮に歩み寄ろうとする。が、すんでで立ち止まった。
なにか、龍宮の発する空気というか、雰囲気がどこかいつもと違う。
「龍宮?」
返事はない。不穏な空気が広がるだけだ。
楓はすぐに取り出せるよう腰に挿しておいた日本刀の柄を握る。
「楓……お前は一人か?」
「そうでござるが……」
「そうか……」
そう言うと龍宮は右手の銃を楓に向け、
パン!
撃った。
「なっ……!?」
楓はそれをすんでで避けた。が、避けきれず左肩をかすめる。
「くっ……!」
パンパンパン!
すぐに追撃がくるが、楓も横に飛んで近くの木に身を隠す。
「龍宮!!どういうつもりでござるか!」
「どういうつもり?見てのとおりさ、それ以外のなんでもない。」
「……このプログラムに乗ったということでござるかっ!」
怒りを押し殺し、楓が問う。
「生き残るにはそれしかない。あいにく、私はこんなところで死ぬ気なぞ毛頭ない。」
「そのために同級生の命を奪うというのか!!」
返事は返ってこなかった。かわりに銃弾が楓を襲う。
木の皮がはがされ、すぐ近くの土がはじける。
楓には絶対不利だった。
「(どうにかして、ここから離れねば……)」
射撃の天才の龍宮に遠距離で戦っても勝てるわけがない。
どこかで隙を見つけて逃げないと……
「楓!そういえばさっき放送で双子の名前が呼ばれたよな?」
不意に龍宮から話し掛けてきた。
「だったらどうしたというのでござる!」
「誰が殺ったか知ってるか?」
「拙者が知るわけがなかろう!!」
ただでさえ双子の死に動揺している楓は神経を逆なでされる気分だ。
そして龍宮はニヤリと笑うと、
「私だよ。私が殺したんだ。
そう、言った。楓は驚いたように龍宮を見る。
彼女が、双子を、大事なクラスメートを、殺した?
楓の体の奥から抗えない激情がこみ上げてくる。
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
楓は隠れていた木から飛び出ると、あらかじめ木でつくっていた簡易飛びクナイを龍宮のいる位置に投げた。
実際のことを言うと龍宮は双子を殺すどころか、遭遇すらしていない。
実際に双子をやったのは長谷川千雨(出席番号25番)であって、龍宮はたださっき放送でたまたま双子の名を聞いたので、楓の揺さぶりに使っただけだ。
しかしそんなことは楓の知ったことではない。すべては龍宮の思ったとおりに進んでいた。
楓がクナイを投げたところに龍宮はいなかった。クナイは森の闇の中へ消えていくだけだった。
「戦闘中に平常心を欠くのは致命的だぞ、楓。」
楓のすぐ横で、龍宮の声が聞こえた。
パン!
弾丸は腹部に命中する。
「ぐぁ……」
楓が体制を崩す。龍宮はさらに弾丸を浴びせようと引き金に力を込める。が。
「くぅ……」
彼女は最後の力を振り絞り、デイパックをもつと高くジャンプする。
そして近くの木の枝に飛び乗ると、そのまま枝伝いにその場を離れていった。
「まだそんな力が残ってたか。」
龍宮はすごい勢いで離れていく楓をただ見送った。
「まぁいい、あの傷ではどうせそう長くはない。」
そういい、自分のデイパックを抱えると、移動しようと前を向く。
そこに、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル(出席番号26番)が立っていた。
一方、龍宮の襲撃を辛くも逃れた楓だったが……
「まずい……血がとまらんでござる……」
しばらく枝伝いに移動し、龍宮のいた場所から離れると、木を降りてその場に座り込む。
「くそ……ここまでか……」
そう言うと楓はその場に倒れてしまった。
13.月下の死闘
月夜に映える金色の髪。怪しく光る両の眼。
その目がとらえるは、目の前にいる殺人鬼。
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル(出席番号26番)は龍宮真名(出席番号18番)をまっすぐに見すえていた。
お互いが牽制するように睨みあう。
だがこの遭遇はむしろエヴァにとって不利だった。
ゲーム開始から今まで、誰とも遭遇せずただ森をさまよっていたエヴァ。
こんな首輪、魔法でどうにでもなると思い、何度も試みていた。
だがどうやっても魔法が発動しない。どうやらこの島にも学園と同じような結界が張られているらしい。
つまり、彼女は今まさに「ただの10歳の女の子」なのである。
そんな状況で、一番会いたくなかった相手が、この龍宮真名である。
龍宮も自分を見ているのがわかる。
「エヴァンジェリン……か。」
「……」
できるだけ隙を見せないようにする。魔力が使えないことを悟られるわけには行かない。
「逃げないのか?」
「何?」
龍宮が問い掛けてくる。
「魔力がつかえない今、あなたはただの10歳の子供だ。私に勝てるとでも思ってるのか?」
「……なぜそう解る?」
「私だって少しながら魔力の類を用いて戦っていたんだ。ここに来てそれがうまく発動しないのには気づいている。」
「……」
エヴァンジェリンは自分の額に汗が出るのを感じた。まずい。動揺しているのを悟られるわけには。
「まぁ逃げないならかまわない。私はあなたを殺すだけだ。」
龍宮の持つ銃がエヴァをとらえた。
引き金にかけた指に力が込められる。
次の瞬間。
ヴォン!
風を切る音。龍宮はとっさに見をかがめる。
龍宮の首がもとあった場所を、大きな力が通り抜けていった。
そしてそれはエヴァの前で止まる。
「マスター、ご無事ですか。」
「茶々丸!!」
絡繰茶々丸(出席番号10番)が龍宮の前に立ちはだかる。
龍宮の眉が動く。
「状況を判断。危険人物と断定。すみませんが排除させてもらいます。」
「やってみろ。」
次の瞬間、茶々丸は一瞬で龍宮に詰め寄る。
龍宮も遅れず銃を構え、発砲する。
すべてが茶々丸の顔面に放たれるが、茶々丸もそれに反応し腕でガードする。
そしてついに射程距離に龍宮を捉えた。
ヴン!
鋭いストレートが龍宮を襲う。だが龍宮もギリギリのところで避けた。茶々丸はとまらない。
そのまま体をひねり、後ろ回し蹴りを放つ。
龍宮は後ろに飛びのき、それを回避する。
「さすがにやるな。」
「ありがとうございます。」
そう言ってまた突撃をする。龍宮も銃を構える。が、今度龍宮が銃を向けた方向は、茶々丸ではなかった。
その銃口は、茶々丸のすぐ後ろにいる、エヴァに向けられていた。
「マスター!?」
茶々丸もそれに気づき、すぐさまエヴァの前に立つ。
それもまた龍宮の作戦のうちだった。
龍宮はすぐに標準を茶々丸に向け、発砲する。
パン!パン!
狙ったのは、茶々丸の右腕の関節。
いくら装甲が堅くても、常に動作することを強要されている関節部分はそうはいかない。
二発の弾丸が正確に茶々丸の関節部分を破壊し、右腕が吹き飛んだ。
「くっ……」
さらに龍宮は弾丸を放つ。今度は茶々丸の左足だ。
弾丸は正確に左足の関節に命中する。そこから煙が上がる。
「茶々丸!」
「マスター、逃げてください。」
それだけ言うと茶々丸は再度龍宮に突進する。
だが片足を撃たれて機動力が大幅に下がってしまっている。
龍宮はゆっくりと従の標準を合わせる。
パン!
今度は右足にも弾丸が浴びせられる。茶々丸が膝をつく。
「く……」
茶々丸は一度飛びのく。そして再度突進する。
今度は龍宮の懐まで飛び込むが、片腕しかないので攻撃力も半減している。
茶々丸の攻撃は難なく避けられ、がら空きの腹部に蹴りを見舞われる。
一発でエヴァの下まで吹き飛ばされる。
「茶々丸!もういい、逃げろ!」
エヴァが叫ぶ。だが茶々丸は闘志を失わない。
「すいません、マスター。その命令は……」
三度の、突進。
「聞けません。」
突進するごとにスピードが落ちていくのがわかる。
龍宮は銃を構え、撃つ。
パン!
茶々丸が、その場に倒れる。
龍宮が狙ったのは、茶々丸の眼。関節と同じように比較的もろく、それでいて重要な機関が集中している場所だ。
茶々丸は立ち上がろうとするが、体がうまく動かない。
どうやらさっきの一撃で姿勢制御が破壊されたらしい。
いくら装甲が堅くても、常に動作することを強要されている関節部分はそうはいかない。
二発の弾丸が正確に茶々丸の関節部分を破壊し、右腕が吹き飛んだ。
「くっ……」
さらに龍宮は弾丸を放つ。今度は茶々丸の左足だ。
弾丸は正確に左足の関節に命中する。そこから煙が上がる。
「茶々丸!」
「マスター、逃げてください。」
それだけ言うと茶々丸は再度龍宮に突進する。
だが片足を撃たれて機動力が大幅に下がってしまっている。
龍宮はゆっくりと従の標準を合わせる。
パン!
今度は右足にも弾丸が浴びせられる。茶々丸が膝をつく。
「く……」
茶々丸は一度飛びのく。そして再度突進する。
今度は龍宮の懐まで飛び込むが、片腕しかないので攻撃力も半減している。
茶々丸の攻撃は難なく避けられ、がら空きの腹部に蹴りを見舞われる。
一発でエヴァの下まで吹き飛ばされる。
「茶々丸!もういい、逃げろ!」
エヴァが叫ぶ。だが茶々丸は闘志を失わない。
「すいません、マスター。その命令は……」
三度の、突進。
「聞けません。」
突進するごとにスピードが落ちていくのがわかる。
777 :
マロン名無しさん:2005/12/22(木) 17:39:29 ID:gWLyJAQn
(;^ω^)
投下ミスすいません。
776は無視してください。(泣)
マロンなめるとこわいお(#^ω^)ビキビキ
それでもなお茶々丸ははいずりながら龍宮へと進んでいく。
「もういい、やめろぉ!!」
エヴァが叫ぶ。だが絶対にとまろうとはしない。
龍宮はそんな茶々丸を見下ろしながら………
パン!
撃った。
その弾丸は残っていたもう片方の目を撃ち抜いた。
「(……すいません、マスター……お守りすることが……できません……でした。)」
茶々丸は機能を停止する。
「茶々丸ぅぅぅぅ!!」
エヴァは茶々丸の元へ駆け寄った。
必死に抱き起こすが、そこには両目をつぶされた人形があるだけだった。
「茶々丸……バカが……」
エヴァの方が震える。泣いているのかもしれない。
龍宮は銃のマガジンを交代すると、ゆっくりとエヴァに標準を合わせる。
「オイ……」
不意にエヴァから声があがる。
「その薄汚い鉄の塊を私に向けるなっ……!」
絡繰茶々丸 死亡。 残り23人
えー、今回は本当にすいませんでした(涙)
とりあえず10時にもう1話投下する予定ですが、
今度はそう言うことが無いように気をつけます。
(泣)(涙)
(#^ω^)ビキビキ
GJ 投稿ミスは誰にでもあることだから、気にしないでいいと思いますよ。
切れたエヴァがこの後どういう行動にでるやら・・・
乙!
>>782まあそう怒るなわざとじゃないんだから
皆さんフォロー有難うございます。
正直救われました……
それでは今日の分の残り1話投下します。
14.吸血鬼
「何?」
「その手を下ろせといっている!」
次の瞬間、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル(出席番号26番)は龍宮真名(出席番号18番)の腕をとる。
手首の関節を決め、流れるような動作で龍宮を投げ飛ばす。
「くっ……!」
とっさに龍宮が同じ方向に自分から飛んだ。
そのおかげで手首が折れることはなかったが、その場に仰向けで倒れる。
間髪いれずにエヴァは龍宮の顔面に正拳を打ち下ろす。
ギリギリで龍宮も避けるが、頬がざっくりと裂ける。
龍宮はその体勢で足を振り上げ、エヴァの顔面に蹴りを見舞う。
エヴァはそれを上体をひねって避ける。が、そのおかげで一瞬龍宮の腕を取っていた手の力が抜ける。
その瞬間にすばやく手を引き抜くと、すぐに立ち上がって距離をとる。
改めてエヴァの姿を見る。
体に、戦慄が走った。
先ほど自分は対峙するエヴァを見て、「魔力のないただの10歳の子供」と評価した。
だがそれは間違いだったことに気づく。
そこに立っているのは、まさに歴戦をくぐり抜けてきた吸血鬼、エヴァンジェリンの姿だった。
「逃がすかぁ!」
エヴァが走って追いかける。
龍宮が銃を撃つ。
だがエヴァも横に飛んで弾丸を避ける。
「ちっ……」
さらに龍宮は後ろへととんだ。エヴァは変わらず突進する。
本気のエヴァンジェリンがここまで手ごわいものだとは思わなかった。
完全に予想外。龍宮の中に少ないながらも焦りが生まれる。
マガジンに入っている弾丸はあと2発。代えのマガジンはすべてデイパックの中だった。
わざわざデイパックから銃のマガジンを取り出して装填している暇なんてない。
つまりこれをはずせば自分の武器はなくなる。
そうなれば恐らく自分はエヴァによって殺されるだろう。それは間違いない。
「(何とかしなければ……)」
龍宮は周りを見回した。近くには片手を失った絡繰茶々丸(出席番号10番)の死体が転がっているだけ。
それ以外は何もない。状況を打開するものは何もないように思えた。
だが龍宮はその間に、頭の中である考えが浮かんだ。
「食らえ!」
何時の間にか目の前に迫ってきていたエヴァを拳を振り上げる。
それをかわすと同時に横にとんだ。案の定エヴァも続く。
次の瞬間、龍宮は足元にあった物体を蹴り上げた。
それはまっすぐにエヴァの元へ飛んでいく。
とっさにエヴァは飛んできたものをつかんだ。
「……!」
それは、先ほど自分をかばって死んだ茶々丸の右腕。
自分がふがいないばかりに殺されてしまった、従者の片割れだった。
エヴァが少なからず動揺する。それが一瞬の隙につながった。
そしてそれが、全てを決めた。
龍宮はエヴァの持つその腕めがけて銃を撃つ。
バチッ!
電気回路がショートし、火花が散った。
「うぁ!」
そしてエヴァが眼をつぶった瞬間。
パァン!
龍宮の弾丸がエヴァの足を撃ち抜いた。
「ぐぅぁ!」
たまらずその場に倒れこむ。
そして龍宮が歩み寄ってくる。
銃に新しいマガジンを叩き込みながら近くまで行くと、さらに追い討ちをかけた。
パン!パン!パン!
一発は右腕を、一発はわき腹を、一発は左足を撃ちぬく。
エヴァは必死に悲鳴をこらえる。
それは、龍宮に対する最後の抵抗。彼女なりの意地だった。
「最強の吸血鬼が、絡繰人形の腕ごときで動揺するとはな……」
「……っ」
エヴァは何も言わず龍宮をにらみつける。その眼にはいまだ殺意がこもっていた。
龍宮は何も言わずに銃を構え、そして撃つ。
弾丸が命中したエヴァは、後ろにのけぞると、ゆっくりとその場に倒れた。
不死のヴァンパイア、最強の魔法使い。エヴァンジェリンの最期だった。
「……哀れなものだ。」
龍宮はデイパックを持ち上げると、今度こそその場を後にした。
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル 死亡 残り22人
今日は以上です。それではまた明日。
/ヽ /ヽ
/::::: ヽ__/ ヽ
/:::::: |
/:::::: ヽ ---6 ---9
/::::: ⌒) i
|:::: |~| |
ヽ:: | | / <エヴァ様がこんな序盤に…
ゝ::: ⌒) /
/:::::::::::::::::.... /
/::::::::: |
さすがに6人目ともなるとマンネリ化してくるね・・・
そうか?俺は1部から読んでるが、そこまでマンネリには感じないな。
それぞれに作者の個性があっていいと思うが。
>>792に同意。
活躍するのが定番のエヴァ様を序盤死させたのは、自分にとっても意外だったし。
ここらにも今回の作者の個性が出ているのでは?
さて、誰が活躍するのかな、とワクテカ
作者6さんGJ!
さて、たつみーは今回
ちうと2大殺戮者に
なりそうだな
えー、それでは今日の分投下します。
15.戦友との別れ
桜咲刹那(出席番号15番)は夜の森を走っていた。
近衛木乃香(出席番号13番)を探して。
「お嬢様、ご無事でいてください!」
最初は刹那も、こんなふざけた殺し合いに参加するものなどいないと思っていた。
だが最初の定時放送で犠牲者の名が述べられたとき、一刻の猶予もないことを知った。
さっきの放送でも生徒が死んでいる。木乃香の身に何があってもおかしくないのだ。
刹那は走る。漆黒の森の中を。
ふと、近くの木陰に誰かが座っているようだった。
敵?刹那に緊張が走る。音を立てずに近くまで行き、ゆっくりと覗き込んだ。
そこに座っていたのは、長瀬楓(出席番号20番)だった。
「楓!?」
「……その声は、刹那でござるな……」
すぐに刹那は楓に歩み寄る。そしてそこで、楓が重傷なのを知った。
腹部から血がとめどなく流れ出ている。楓自身も力なくうなだれていた。
「楓!どうした、しっかりしろ!!」
「ハハ……やられたで、ござるよ……ゴフッ!」
刹那はすぐに手当てはできないかと自分と楓の荷物をあさる。
だがそこに治療に使えるものはなかった。
「かまわん……でござるよ、どの道…拙者はもう長くない……」
「バカ!何を言うんだ!!」
「刹那に……言っておくことが……あるでござる。」
途切れ途切れに、楓は刹那に言う。
「拙者を……襲ったのは……真名。龍宮真名でござる。」
「龍宮が!?」
その名を聞いて刹那は驚きを隠せない。
龍宮真名(出席番号18番)とは一緒に仕事をし、ともに死線をくぐり抜けてきた仲だった。
それがこんな殺し合いに乗ってしまうなんて。
「龍宮は……どうやら……このプログラムに乗ってしまった……らしいっ…かはっ」
再び喀血。楓の死期が近いことを告げていた。
「楓!もうしゃべるな!!」
「刹那に……これを。」
そう言うと楓は自分の支給武器であった日本刀を差し出した。
刹那も黙って受け取る。
「すまぬでござる……後のことは……任せるでござる……よ……」
「バカを言うな!形見のつもりか!楓!」
楓の腕から力が抜け、地面についた。
もう、目をあけることもない。
「楓ぇぇぇぇぇぇ!!!」
その死に顔は、とても安らかだった。
刹那はしばらくそのままの状態でじっとしていたが、すぐに楓の死体をやさしく横たえた。
楓の両手を胸のところに合わせる。
「楓、お前の意志は私が継ぐ。お前の仇は、必ずとる。」
そう言うと刹那は楓から授かった日本刀を強く握り締め、再び走り出す。
その眼は強い決意に燃えていた。
長瀬楓 死亡 のこり21人
16.犠牲
「ほら、夏美さん、急ぎますわよ。」
「ま、待ってよいいんちょ。」
まだあたりが暗いうちから移動を始めているのは雪広あやか(出席番号29番)と村上夏美(出席番号28番)の二人。
あやかが夏美の手をとって連れて行くといった形である。
まだ暗いので視界は悪いが、そうそうゆっくりもしていられない。
今こうしてる間にも殺人が行われているのだ。
「あの……いいんちょ」
「どうしましたの?夏美さん」
「その……ごめんね、色々。」
改まって夏美は言う。それもこれも、第一回目の定時放送がされたときだった。
あやかと夏美が合流して、さぁ今から行動しようと思っていた矢先に、あの定時放送がなった。
そして、那波千鶴(出席番号21番)の死亡を告げた。
それにより夏美が再び泣き出してしまい、結局移動することができずその場で一晩過ごした。
そのおかげで、今こうして日も昇らぬうちに移動することになったのだ。
迷惑をかけていると、思ったのだろう。
あやかは笑顔で首を振る。
「いえ、夏美さんのせいではありませんわ。」
そして再び前を向く。
「悪いのはこの狂った状況、そしてそれを作り出した人間ですわ。」
強い口調で言い放つ。それを聞いた夏美は、これ以上は言わないことに決めた。
森の中を歩いてしばらくして。少しずつ空が白んできていたころ。
「いいんちょ、あれ……」
夏美がある方向を見て立ち止まる。
あやかもそれにつられてそちらの方をみる。
「あれ、あそこに誰かいる。」
「……本当ですわね。」
そこには確かに誰かが立っていた。長い髪を結んだ人影。それくらいにしかわからなかったが。
「仲間になってくれるかな?おーい!」
「あ、夏美さん!!」
握っていたあやかの手を解くと、夏美は勝手にその人影に近づいていく。
人影もこちらの存在に気づいた。
夏美は人影に駆け寄っていく。と、人影が右手を持ち上げる。
「夏美さん!!」
パン!
銃声が響いた。が、その弾丸は夏美にはあたらなかった。
とっさにあやかが夏美を抱えて横に飛んだ。
おかげで銃弾ははるか森の奥に消えていった。
「エ……」
夏美は何が起こったかいまいち理解できていない。
あやかはすぐに人影のほうを向く。太陽が昇り、景色に色がついていく。
そしてやっとその人物が誰かわかった。
長谷川千雨(出席番号25番)は二人に銃口を向けたまま立ち尽くす。
「いいんちょに村上か……」
「クッ……」
あやかは夏美を無理やり立たせる。
「逃げますわよ、夏美さん!」
そう言うと返事も待たずに手をとって走り出した。
長谷川も2人を追う。
森の中を2つの影が走り、その少し後ろを1つの影が追う。
「そんな……長谷川さん……」
あやかの隣で状況を理解した夏美が絶望の声をあげた。あやかも同じ気持ちだ。
本当に殺し合いをしている生徒がいるなんて。あやかは後ろを見る。
依然長谷川は追いかけてきているが、その差は少しばかり広がっていた。
一人の人を引っ張っているとはいえ、武芸百般の心得があるあやかと、演技で終始運動をしている夏美に対し、
千雨は帰宅部である。
体力、身体能力には大きく差があった。
「(このまま行けば撒ける……)」
「いいんちょ、前!!」
夏美に呼ばれて前を見る。道が途切れていた。
「!!」
たまらず立ち止まる。
そこは切り立った崖であった。
「どうしよう、行き止まりだよ……」
隣で夏美が言う。
二人は後ろを見た。
すぐそこに千雨が立っていた。
「行き止まりだな……」
そう言って拳銃を持ち上げる。
「もうだめ……」
夏美がつぶやく。あやかは崖下を見た。
「(高さは結構あるけど、木の枝がたくさんあるからクッションになりますわ……)」
千雨が近づいてくる。あやかは一瞬目をつぶり、見開く。
「夏美さん、ごめんなさい。」
「え……」
夏美にはあやかの言ってることが理解できなかった。
次の瞬間、あやかは夏美を突き飛ばす。
夏美の体は重力に従い、崖下へと落下していった。
「な……」
ガサガサガサ!!
途中、たくさんの木の枝に衝撃を吸収されながら、夏美は藪の中に落ちる。
「いつつ……」
体を強く打ったが、とりあえず無事だった。
すぐにあたりを見回す。そこには自分以外誰もいない。もちろん、あやかの姿も。
「(まさか……)」
自分が落ちてきた崖の上を見る。そこにはあやかの金色の髪がなびいていた。
「いいんちょ!!」
嫌な予感があたってしまった。夏美は急いで藪から降りると崖に近づく。
「いいんちょ!!何してるの、早く降りてきてよ!」
崖を上ろうと必死に手をかけようとする。が、手をかける場所がほとんどないため、無駄に土を引っかくだけだった。
「ヤダヤダヤダヤダ!いいんちょ、いいんちょぉぉ!!」
なきながら崖を引っかき、必死に登ろうとする。だが崖は無情にも夏美を阻み続けた。
「(どこからか、回りこめるところは……)」
夏美はあたりを見回し、迂回できるルートから崖の上を目指す。
「やだよいいんちょ!死なないで!!」
崖の上であやかは千雨と対峙していた。
「(生き残ってくださいね、夏美さん……)」
少し崖下の様子を見て夏美が無事なのを確認すると、千雨のほうを向き直る。
「あんたは飛びおりねぇのか?」
千雨が話し掛けてきた。
「私まで逃げたらあなたも追いかけてくるでしょう?」
それだけ言ってあやかは自分の武器の釘打ち器を握る。
こんなもので抵抗できるはずはないが。
「……だから自分を犠牲にして逃がしたってか。」
あやかは答えない。
「バカが……」
不機嫌そうにそう言うと、千雨は銃の引き金を引く。
それと同時にあやかが千雨に向かって走り出す。
「(夏美さん、貴方だけは……)」
千雨の銃から弾丸が発射される。それがあやかの腹や胸、肩を貫いていく。
「(生き残ってください……)」
あやかはその場に倒れた。すぐにそこに血だまりが出来上がる。
「(最後に……ネギ先生に……もう一度……会いたかった……)」
そして彼女が二度と立ち上がることはなかった。
千雨はしばらくあやかの死体を見ていたが、すぐにまた歩き出す。
少し、手が震えているのがわかった。
雪広あやか 死亡 残り20人
今日はここまでということで。
それではまた明日。
いいんちょ…またも…
でもいいんちょがヒステリックになって殺りまくるのも見てみたい希ガス
あやか「千雨さん!!あなたはいつも勝手な行動で委員長である私を困らせて!!」
パンッ!!
【死亡】千雨
あやか「いつも二人でウザイですのよ!!」
パンッ!!
【死亡】双子
あやか「胸大きすぎなんですの!!」
パンッ!!
【死亡】千鶴
夕映 「いいんちょ…
あやか「しゃべり方がウザイんですのよ!!」
パンッ
【死亡】夕映
ハルナ「いいんちょ!!落ち着いて!!」
あやか「貴様は漫画のなかでネギ先生のアナルの処女とりやがったな!!」
パンッ!!ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!
【死亡】ハルナ
ネギ 「どうしたんですか!!?ウワッ!!いいんちょさん何してるんですか!!?」
あやか「ネギ先生!!?こうなってはしかたがない…ネギ先生を殺して自分も死にますわ!!」
ネギ「え…いいんちょさん…!!?」
あやか「先生がいけないんですのよ…」
パンッ!!………パンッ!!
【死亡】ネギ&あやか
THE END
何か…書いててこっちの方がしっくりくる……orz
(#^ω^)ビキビキ
気紛れ作者イラネ
>>806 もういいんだよ…書かなくて。
君は良くがんばった、皆が嫉妬するほどだ
もうこのスレは君がいなくてもやっていける
それにこのスレでは長編しか認められないんだ
笑いはいらない、人の死を美化する話しか認められないんだ
つまり、君のちょっとぼけた話は理解されないんだ
でも君の話は一つだけ良いことをしてくれた
みなを一致団結させてくれた
だからこれ以上君はがんばる必要は無いんだ
そのぶん勉強をがんばってくれ
そして、りっぱな大人になるんだ、いいかい?
個人的にはGJ
全米が泣いた
>>806しつけえよカス
ルール守れない厨房は半年ROMってろ
全然しっくりきてません。帰ってください
17.変わらざること
「準備はできた?」
「あ、あ、ちょっと待って……」
日が昇り始め、空が白みだしたころ。
綾瀬夕映(出席番号4番)早乙女ハルナ(出席番号14番)宮崎のどか(出席番号27番)が洞窟を出ようと準備をしていた。
夕映とハルナはすでに準備はできている。のどかが慌てて荷物をデイパックに詰める。
「ふぅ、お待たせ……」
ようやくデイパックを持って夕映たちのもとへ駆け寄る。
「んじゃ、出発しようか。」
「待ってください。」
ハルナが元気よく歩き出そうとするのを夕映が止める。
「どうしたの?」
のどかがたずねる。夕映は洞窟の外をずっと見ている。
「誰かいます。」
その言葉で他の2人も洞窟の外を見る。確かにそこには誰かが立っていた。
「夕映……」
「そこにいるのは誰ですか!」
怯えるのどかをハルナが抱きしめると、夕映は洞窟の外にいる人物に呼びかける。
その人物は洞窟の中に歩を進めてきた。
そして、3人の前に姿をみせる。
「龍宮……さん?」
夕映がそう言うが早いか、龍宮真名(出席番号18番)は3人に向けて銃を撃った。
その弾丸は、夕映の胸に直撃する。
夕映がその場に倒れた。残りの二人は唖然としていたが、すぐに状況を理解する。
「夕映ぇぇぇぇぇぇ!!!」
ハルナが夕映を抱え上げる。
パン!パン!
さらに龍宮の追撃が入る。二人は慌てて夕映を抱えたまま近くの岩の陰に隠れた。
「夕映、しっかりして!」
「あれ……撃たれた……ですか……私…」
夕映は焦点の定まらない目でつぶやく。
「夕映!頼むからしっかりして!夕映!!」
「……二人とも……逃げて…ください……早く…」
夕映は最後の力を振り絞って二人にそう言うと、ゆっくりと目を閉じた。
「夕映?夕映!?」
「そんな……」
あまりに、あまりにも唐突に、夕映の命は奪われた。
「そんなぁ、夕映ぇ……」
「ゅぇ……私……戦わ……きゃ……」
何かをハルナは小さくつぶやく。
「ハルナ?」
「あああああああああああ!!!」
次の瞬間、ハルナは銃を手に持って岩陰を飛び出した。
慌ててのどかがそれを止めようと後を追う。
ハルナは龍宮の前に立つと、両手で銃をかまえる。
「あんた!自分が何したかわかってるの!?」
目に涙を浮かべながら、ハルナは龍宮に問い詰める。
「ルールに準じて人を殺した。それだけだ。」
龍宮はこともなげに言ってのけた。ハルナの顔が怒りに染まる。
「そう言うルールなんだ、仕方がないだろう。」
「そんな……ルールだから?仕方がない?そんな理由で、クラスメイトを、夕映を……」
ハルナの目から大粒の涙がこぼれる。その目はずっと龍宮をにらんでいる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
パン!
ハルナは引き金を引いた。だが、それは龍宮とは大きく離れたところにあたる。
そして龍宮は冷静に銃を構えると、正確にハルナの心臓を打ち抜く。
「うぁぁ!!」
「ハルナァ!」
さらに龍宮は後ろにいたのどかに狙いを定め、引き金を引く。
それもまた正確にのどかの心臓に命中する。
龍宮は銃をおろすと、倒れている二人の下へと歩み寄っていく。
「(体が……痛い……)」
のどかは生きていた。支給武器である防弾チョッキを着ていたため、弾丸は心臓まで至らず助かったのだ。
ゆっくりと目をあける。そこにはハルナが倒れていた。
心臓に穴があいて、そこからおびただしい量の血が流れている。一目見て死んでいるとわかった。
「(ハルナ……夕映……)」
すぐそこで龍宮が自分に背を向けて、夕映の死体を物色していた。
そしてそのまま自分達の元へ歩いてくる。
「(2人とも……死んじゃった……)」
じっと、龍宮を睨みつける。向こうはこちらには気づいていない。
「(私……私はっ……!)」
意を決してのどかは近くに落ちていたハルナの拳銃を拾うと、龍宮に向けた。
完璧にしとめたと思っていた龍宮は驚いて固まる。
「よくも……夕映を……ハルナを……」
「……」
龍宮はしばらく動けなかったが、軽く笑みをつくると、両手を広げてのどかと対峙した。
「撃てるのか?」
余裕たっぷりに言ってのける。
「(撃て……撃たなきゃ……)」
必死にのどかは引き金にかけた指に力を込めていく。
龍宮の足元に夕映の死体が。そして自分のすぐ傍らにハルナの死体がある。
(のどかが人殺しになる必要なんかないんだから)
「(ハルナ……)」
(のどかはのどかのままでいればいいのです。)
「(夕映……)」
銃を構える手が震える。
そして……
カシャン…
洞窟に、空しく響く音。
気づけばのどかは銃を落としていた。
「…ゥグッ……ヒック……ウゥ……」
嗚咽をはきながら、のどかは泣いた。
その場に膝をつき、泣き崩れた。
「…めんね……ごめんね……」
一人で何かをつぶやきながら。
「ごめんね……夕映……ごめんね……ハルナ……」
龍宮が目の前までくる。銃口をのどかに向ける。
「ごめんね………」
龍宮は洞窟を後にする。その場所には、3人の少女の死体が並んでいる。
のどかは、のどかのまま、人殺しになることなく、その人生を終えた。
綾瀬夕映、早乙女ハルナ、宮崎のどか 死亡 残り17人
18.大切な人の死
ここは民家の二階。
神楽坂明日菜(出席番号8番)は窓から外を見張っていた。
日が少し昇り始め、周りの景色もはっきりしている。
見張りを始めて今のところ、誰一人として前を通った人間はいなかった。
もう見張りをするにも集中力が途切れてきた明日菜は、先ほど自分のデイパックから出てきたナイフを手に持って玩んでいた。
ふと、明日菜は部屋の中を見る。
そこには、ベッドに横になって眠る近衛木乃香(出席番号13番)の姿がある。
その寝顔は安らかで、見ていて自然と笑みがこぼれる。
お互いに消耗が激しかった2人は、あの後は移動することをやめ、民家で一晩を過ごした。
最初に明日菜が眠り、木乃香が見張りをした後、交代して現在に至る。
明日菜は時計を見た。
「(もうそろそろ六時か……)」
次の定時放送が始まる時間帯である。
それを確認すると、明日菜は再び外を見張る。
「ん……」
「あ、このか起きちゃった?」
「あ……アスナ、おはよー……」
眠い目をこすりながら木乃香が起き上がる。
ベッドから降りると、明日菜の隣に座る。
「今、何時?」
「6時少し前ってところね、もう少し寝ててもいいよ?」
「ううん、もう目ぇパッチリや。」
そう言って笑顔を作る。無理に笑っているように明日菜には見えた。
その証拠に、その笑顔はすぐに憂いを帯びた。
「……少しだけ、期待しとった……」
「え?」
「見張りをアスナに代わってもろうて、ベッドで目をつむったとき……
もしかしたらこれは夢ちゃうんかなって、目が覚めたら、またいつもと変わらん毎日が始まるんやないかなって……」
明日菜は黙って聞いている。残念だが、これは紛れもない現実。
自分達は今、殺し合いを強要され、そして実際に人が死んでいる。そういう状況。
「せっちゃん、大丈夫かな……」
「……」
「無事でおるかな?怪我とかしとらんかな?」
不安そうに木乃香が言う。明日菜は少し考えて、答える。
「当たり前じゃない、私たちがこうして無事なのよ?
あの刹那さんが、そんなことあるわけないじゃない。絶対大丈夫よ。」
努めて、笑顔で。明日菜は返事を返す。
木乃香も、不安が残りながらも笑顔になる。
キーンコーンカーンコーン!
「おはようございます!第3回目の定時放送です!皆さん起きてますか?それでは死亡生徒と禁止エリアを報告します!」
定時放送が鳴り出した。二人はハッとなってデイパックから地図や生徒名簿を取り出す。
「それでは死亡生徒を発表します!
出席番号4番、綾瀬夕映さん、10番、絡繰茶々丸さん、14番、早乙女ハルナさん、20番、長瀬楓さん、
26番、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルさん、27番、宮崎のどかさん、29番、雪広あやかさん、
以上7名!」
生徒名簿に斜線を入れていく。この上なく気分が悪い作業だった。
「いいんちょ……茶々丸さん……エヴァちゃん……」
あげられた名前に絶句する明日菜。茶々丸やエヴァや楓が死ぬとは思っていなかった。
エヴァは歴戦の吸血鬼だし、茶々丸はそんなエヴァの従者としてかなりの強さを誇っていた。
楓も刹那に近い実力を持っていたはずであったのに。信じられない気持ちでいっぱいである。
「そんな……」
そして、雪広あやか。小学生のころからお互い犬猿の仲で、いつもケンカばかりしていた。
互いの趣味をけなしあい、運動会では妨害しあったりもした。
口論だって日に1度はしていたような気もする。とにかくよく張り合った。
でも、今思えば楽しかったのかもしれない。
あそこまで言い合える友達は1人もいなかった。後にも先にも、彼女だけ。
そう、楽しかったんだ。絶対に口には出さない、それどころかお互い気づいてもいないかもしれないが。
そのせいなんだ……彼女の死を知って、こんなに悲しいのは。
「何……勝手に死んでるのよ……」
明日菜の手が震える。涙をこらえる。
泣かない。まだここでは、泣かない。
このプログラムから生き残った後に、全部まとめて泣いてやるんだから。
だから、今は泣かない。
ふと、隣の木乃香をみる。
木乃香も今の放送を聞いて信じられないという顔をしていた。
「のどか……夕映……ハルナ……」
その人物達の名前に、木乃香は唖然とする。
自然と、目から涙が零れ落ちた。
「このか……」
明日菜が声をかける。ゆっくりと木乃香がこちらを向く。
「アスナァ……」
顔をくしゃくしゃにして明日菜に抱きつく。そして、思いっきり泣いた。
「アスナァ!!のどかが、夕映が、ハルナがぁぁ!!」
明日菜の胸に顔をうずめて、泣き続けた。明日菜も木乃香の頭を優しくなでていく。
「このかは今、泣いてあげてね。みんなのために、泣いてあげて。」
お互いの、大切な人が死んだ。ほんの一日少し前まで、こんなことは想像もしていなかった。
二人はただ、その人たちの死を悲しむしかなかった。
「みんなー!!聞こえるー?あたしよー!!」
そんな中、住宅街に突如、聞き覚えのある声が響き渡った。
19.覚悟と友情
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
小高い丘の坂を、3人の影が懸命に登っている。
一人は長いピンクの髪を下ろした大人びた女の子。
一人は黒い髪を短く切ったボーイッシュな女の子。
一人は髪を両側でくくった、目の大きな女の子。
柿崎美砂(出席番号7番)、釘宮円(出席番号11番)、椎名桜子(出席番号17番)の3人は、必死に丘の頂上を目指して歩く。
3人が出会ったのはまったくの偶然だった。
ただそれぞれが適当に歩いていたら、偶然、出会ったのだ。
3人は仲良しだった。いつも3人でチアの練習をしていた。
3人の思いは一緒だった。殺し合いなんてするつもりは毛頭無い。
そんな3人が出会い、そして桜子の支給武器が拡声器だと知ったとき。
行動を開始した。
今、彼女達はある目的のために、歩いていく。丘を登っていく。
じきに頂上についた。
「ふわぁ〜……」
桜子が声をあげる。丘の上からの景色は絶景だった。
遠くでは山が連なっていて、鳥が飛んでいる。
眼下には住宅街が広がっていた。
「さて、と……」
桜子は自分のデイパックから拡声器を取り出した。
自然と、体が震える。
さっきから必死に笑顔でふるまってきたが、ここにきて震えがとまらなくなった。
「……怖い?」
桜子の肩に、柿崎の手が乗せられる。桜子は振り向くと、力なく笑って答える。
「怖いね。うん、怖い。」
今の気持ちを正直の述べる。それは恐怖。
これから自分がやろうとしていること。そしてそれによって訪れるであろう結末が、怖い。
今にも泣きそうな気分だった。
「大丈夫だよ、私たちも一緒だから。」
もう一方の肩に、釘宮の手が乗る。彼女も桜子に微笑みかける。
「さぁ、頑張って。」
桜子は、拡声器の音量を最大にした。
「みんなー!!聞こえるー!?あたしよー!桜子!!」
精一杯の声で、桜子は叫ぶ。そして、柿崎に拡声器を渡す。
「柿崎だよ!みんな、聞こえるー!?」
つぎは釘宮。
「私!釘宮!!みんな、これから言うことをよく聞いて!!」
そして、また桜子に渡す。
「みんな!お願いだから、もう殺し合いなんか止めて!こんなの、絶対間違ってる!
皆で集まって、これからどうするか一緒に考えよう?!皆で考えればきっと大丈夫!何とかなるよ!」
必死に、桜子は呼びかける。皆に届いていることを願って。
「だから、みんな殺し合いなんか止めてー!!」
ババババババババババ!!
そのとき、連続した銃声が響く。
拡声器は破壊され、3人は奇妙なダンスを踊って散り散りに倒れる。
「こんな目立つ場所で、そんな大声でしゃべってたらやられるに決まってるだろ。」
長谷川千雨(出席番号25番)は、冷淡に言い放った。
「(やっぱり……なるようになっちゃったか……)」
かろうじて息があった釘宮は、首だけを持ち上げて周りを見た。
少しはなれたところに、桜子と柿崎がいる。そして、千雨の姿もあった。
千雨は桜子と柿崎のデイパックから食料などをいただくと、釘宮の下へと歩み寄る。
「なんだ、まだ生きてたのか。」
倒れている釘宮に向けて銃を向ける。
釘宮は最後の力を振り絞って千雨に訴えかける。
「お願い……お願いだから、殺し合いなんて止めて……」
「……」
命の灯火が消えようとしている少女の、悲痛な願いだった。
「こんなの……絶対間違ってる……クラスメートを…殺すなんて……こんなの……悲しすぎるよ……」
「うるせぇよ…」
千雨は引き金を引いた。そして、釘宮も息絶える。
「どいつもこいつも……」
怒りのこもった口調でつぶやく。
「イライラするよ、くそっ!!」
物言わなくなった釘宮にそう吐き捨てると、千雨は釘宮の支給武器だった手榴弾を自分のデイパックに詰め込み、丘を降りた。
柿崎美砂、釘宮円、椎名桜子 死亡 のこり14人
今日は以上です。
それとちょっとした訂正。
以前このスレの681で全45話と書きましたが、
修正、加筆している内に話数が増えてしまいました。
というわけで、5話ふやして全50話ということでよろしくおねがいします。
多分これ以上は増えないと思うので。
以上です。
乙GJです!
昨日本屋にふらっと寄ってリアル鬼ごっこを買ってしまった。
あの本がなんで有名なのか知らなかったんだもん・・・
ここの作者さんたちのほうがよっぽど素敵だな〜(気紛れ除く)
828 :
T.N:2005/12/24(土) 18:52:23 ID:???
作者6さんお疲れさんです。
またも、のどかが死んでしまった・・・でも、人殺しはなれなくって本当良かった。
俺は人殺しをするのどかは見たくない!!
GJ!
手榴弾って…
また、爆発したりして……
GJです!
やっぱり拡声器は死亡フラグなのね……(ノД`)
しかし、原作でのレギュラー、準レギュラー陣が結構早々と消えてるなぁ。
セレネさんまであと40分くらい?
832 :
831:2005/12/24(土) 21:09:58 ID:???
ゴバークゴバークキニスンナー
修正と加筆済んだんなら一日の投下量を増やして欲しいと思うよ
同意・・・物足りない
漏れもできればもっと沢山投下してほしい
だから今の作者に投稿数を増やしてくれってことでしょ?
>>839 そういうことすると感動(?)が減るんじゃないか?
まあ作者しだいだな
前の作者が1日の投下量多かったからあれぐらいのペースがイイ
皆さんが投下量に不満を持っていたらしいので、今回は少し多めに。
これからもちょっとずつ多めにしていこうかなと思います。
とりあえず今日の分です。
20.意志は継がれる
「そんな……」
「ひどい………」
明石裕奈(出席番号2番)、和泉亜子(出席番号5番)、大河内アキラ(出席番号6番)の3人は、
そこに広がる凄惨な光景に絶句した。
転がっている死体は3人。
柿崎美砂(出席番号7番)釘宮円(出席番号11番)椎名桜子(出席番号17番)のチア3人組である。
傍らには壊れた拡声器が落ちていた。
裕奈たち3人は、朝に突然流れたチア3人組の呼びかけに応じた者達だった。
そして、柿崎たちと合流しようと思い、声のする丘の方へと向かっていたのだ。
途中で銃声がなり、呼びかけが途絶えたことで嫌な予感がし、急いできたのだが、
どうやら予感は的中してしまっていたようだった。
3人はその場に立ち尽くす。
「……っ!!」
たまらず亜子がアキラに抱きついて泣き出した。
普段から気が弱い亜子に、この光景は耐えられるものではなかった。
アキラも黙って亜子を抱きしめる。
「……」
裕奈は1人で死体が転がっている場所に行く。
そして、1番近くにいた釘宮の死体を抱き上げると、桜子の隣に寝かせ、
同じように柿崎も桜子の隣に寝かせる。
「これからはずっと3人一緒。だから、安心して眠って……」
そう言うと、3人に対して黙祷をささげた。
「……」
あの後3人はすぐに移動を開始した。
柿崎たちが死んでしまった以上、あそこにいる理由はもはや何もない。
「……」
3人の間に会話はない。ただ、黙々と歩を進めるだけだった。
「……あ……」
しばらく歩いて、亜子が沈黙を破った。
「ゆーな、足怪我しとる!」
「え?」
裕奈がふと自分の足を見ると、確かに太ももが切れて血が流れていた。
「あ、本当だ、枝か何かで切っちゃったかな……」
「すぐに手当てせんと!ほら、座って!」
「大丈夫だよ、もうほとんど止まりかけてるし……」
「消毒だけでもしとかな!」
亜子は無理やり裕奈を座らせて、すぐにデイパックから救急箱を取り出す。
これが亜子の支給武器だったのだ。保健委員にはお似合いだった。
さすがにてきぱきとした動作で傷口の処理を行っていく。
2人はそんな亜子をただじっと見ていた。
「……なぁ、ウチらには、柿崎たちがしようとしとったこと、できんのかな?」
「え?」
不意に、亜子が傷の手当てをしながら口を開いた。
「ウチも、柿崎たちと同じ気持ちや。殺し合いをするのを止めたい。皆で集まって、何とかしたい。」
「……」
「なぁ、ウチらには無理なんかな?」
最後に裕奈の足に包帯を巻くと、顔をあげて2人を見る。
アキラはずっと黙っていた。
次に動いたのは裕奈だった。
裕奈は勢いよく立ち上がる。
「ううん、無理なんかじゃない。私達にだってできるよ。」
「ゆーな……」
「そうと決まったら、休んでる暇なんてないよね、速く皆を集めないと!」
そう言って亜子に手を伸ばす。亜子はその手を受け取った。
「……うん、それじゃあ行こうか。」
アキラがそう言うと、2人は力強くうなずいた。
こうして、この3人組にも目的ができた。
仲間を集めるという、殺し合いを止めるという、確固たる目的が。
その目的のために、3人は歩き出した。
21.絶望
時間は少し前後する。
それは朝の定時放送がされたとき。
チア3人組が自分達の命をかける覚悟をしていたとき。
神楽坂明菜(出席番号8番)が近衛木乃香(出席番号13番)の寝顔に微笑をかけていたとき。
その時、1人の少女の願いが、もろくも崩れ去っていた。
「いいん……ちょ……」
村上夏美(出席番号28番)は、物言わぬ骸と化した雪広あやか(出席番号29番)を見下ろしていた。
「いいんちょ……」
もう一度名前を呼ぶ。決して返事など返ってこないとわかっていても。
あやかの頬を触る。冷たい。思わず手を引く。体が震える。
島には定時放送が響き渡っている。
「29番、雪広あやかさん、……」
耳の中に新田の声が入ってくる。
うるさい。解ってるよ、それ以上しゃべるな。
新田の声が、ひどく夏美の感情を逆撫でする。
たとえようの無い悲しみ。どうしようも無い怒り。
2つの感情で頭の中が混乱する。
どうして?どうしてみんな死ぬの?
私の前から姿を消すの?
いいんちょも、ちづ姉も、皆なんで死んじゃったの?
もう嫌だよ、こんなのもう嫌だよ!!
「あああああああああああああああああああああ!!!!!」
頭を抱え、夏美は叫んだ。声がかれるくらい、
もう出てこなくなるくらい。
あらかた叫ぶと、力なくうなだれる。
――嫌なら、壊せばいいじゃん
ふと、頭に響く言葉。
――みんな憎いだろ?大切な人を奪った奴らが憎いだろ?
次々に、夏実の中に入っていく。
これは誰だ?誰の言葉だ?
――だったら壊せばいいじゃん。大丈夫、それは罪じゃない。
抗うことができない。
――いわば復讐さ。自分からかけがえの無いものを奪った奴らに、仕返しするのさ。
――それは、罪じゃない。
「それは、罪じゃない……」
頭の中に響く声と、夏美の声がシンクロした。
夏美はゆっくりとデイパックからショットガンを取り出すと、フラフラと歩き出した。
その目にもう生気は無い。
あるのは純粋な殺意。目の前にあるもの全てを壊すという意思。
以前の村上夏美は、もういない。
22.少年の決意
「……うんっ……」
暗い。目を覚まして一番最初の感想がそれ。
ネギ・スプリングフィールドは、気づけば見知らぬところで眠っていた。
あたりを見回す。幸い、扉の隙間から光が入ってきていたので目が慣れるのは早かった。
一言で言うなら、そこは倉庫のようなところ。
いや、むしろ物置といったほうがいいかもしれない。そんな場所だった。
「僕、どうしてこんなところに……」
自分の記憶をたどっていく。
あれは確か昨日の朝の話。
職員が集まって会議をするというので、その日は明日菜たちより先に起き、学園に向かった。
そこで待っていたのは、タカミチやしずな先生といったお馴染みの人たちではなく、
生活指導員の新田先生、そしてなぜか先生の周りと取り囲む軍服の人たち。
そして、新田先生からある話があるといわれて……
「そうだ、BR法……」
そのときネギが新田から聞いたのが3−AによるBR法の実施。
新田先生はそれをネギに説明したのだ。
もちろんネギは反対した。中学生のクラスメイトを殺し合わせるなぞ、許すほうがどうかしてる。
すると新田は一言、「残念だ……」とつぶやいた後、自分の周りにいた兵士に合図を送って、
そうしたら兵士たちがネギの元へやってきて……布をかぶせられたかと思うと、すぐに眠ってしまったのだ。
「どうしよう、何とかして止めなきゃ!えぇっと……」
急いで外に出ようとする。が、扉にはカギがかかっていた。
「こんなカギ!ラス・テル・マ・スキル・マギステル!!」
そう言って自分の腕に魔力を込める。が、そこで違和感を覚えた。
「あれ?……おかしい、魔力が……込められない……」
あきらめずもう一度ためす。だがやはり結果は同じ。
「そんな……これじゃあ……」
いくら最近中国拳法を使えるようになったとはいえ、
魔法が使えなければネギは体力的には10歳の子供。
もしも学園のときみたいに大人の人たちが大勢いたらかなわない。
「どうしよう……」
ネギの中で考えがいったりきたりする。
皆を助けなければ、でもどうやって?
自分ひとりで何ができる?いや、何もできやしない……
けど、じっとしてるわけにも……
「……あれ?」
ふと、ネギは物置のある一角を見る。
そこには、どこかでみたことある影があった。
「カモくん?」
ネギはその影に近寄る。
やはりそれは、自分の友達のオコジョ、アルベール・カモミールだった。
すぐにカモの元へと歩み寄ると、それを抱き上げる。
「……!!」
すぐにネギは異変に気づいた。
抱き上げたカモには、生き物の持つ温かみが無かった。
「そんな……カモくん!!」
目に涙をためて、カモの名を呼ぶ。
だが返事は無い。当たり前だ。
「そんなぁ……カモくん……」
ネギはうなだれて、泣いた。
いつも自分をサポートしてくれた、大切な友達だった。
その友達の死。それは10歳の少年には辛すぎる経験だった。
「ウゥ……ヒック…」
しゃくりあげて、泣き喚く。誰もいない物置で、一人の少年が泣き続けた。
しばらくして、ネギは立ち上がる。
目はまだ赤いが、もうその目に涙は無い。
「……止めないと…」
ゆっくりと歩き出す。
「僕が、止めないと。」
もう魔法が使えないなんて関係ない。
新田を止めなければ。新田は、自分から大事な人たちを奪おうとしている。
手遅れになる前に、止めなければならない。
ネギは扉に向かって体当たりをする。
ガシャン!!
だが、やはり10歳の力ではそう簡単にこじ開けれたりはしない。
それでもネギは体当たりを続ける。何回も、何回も。
ガス!ガシャン!ガシャン!
連続して同じところに衝撃が与えられる。
さすがにその衝撃に耐え切れなくなったのか、ついにカギが破壊される。
ガシャァン!バガ!
「うわっ……!!」
勢いあまって飛び出てしまい、前のめりに倒れる。
「ウゥ……」
鼻を抑えて周りを見る。どうやら兵士はいないらしい。
「よし……急がないと……」
もう誰も死なせたくない。
その思いだけが、今のネギを支えている。
23.対峙
住宅街では、神楽坂明日菜(出席番号8番)と近衛木乃香(出席番号13番)が出発の準備をしていた。
あれからしばらく泣き続けていた木乃香も、今ではしっかりとした目つきで荷物をデイパックに詰めている。
程なくして準備を終えた2人は、家の扉を開け、外に出た。
朝の空気はひんやりとしていた。空には雲が多く、近い内に一雨くるかもしれない。
「それじゃ、行こうか、木乃香。」
「うん。」
当面の目標は、仲間の確保。できれば信頼のおける、最も親しい仲間。
とはいえ、それももうほとんど失ってしまっているが。
図書館組は全滅。さらにバカレンジャーも明日菜を除けば残り1人。
あとあげられるのは桜咲刹那(出席番号15番)ぐらいだった。
そのためか2人の表情は少なからず、暗い。
だが立ち止まるわけにも行かない。少ないとはいえ、いなくなったわけではないのだ。
希望はまだある。2人は山に向けて歩き出した。
そのとき……
「あれ……」
木乃香が何かに気づいた。明日菜は不思議そうに木乃香をみる。
「どうしたの、このか?」
「あれ……誰かおる。」
そう言って木乃香が前を指差した。
そこには確かに誰かが立っている。その人影がこちらに近づいてくる。
「ん?」
明日菜が目を凝らして人影を見る。そしてそれが誰か判断できたとき。
銃声が、響いた。
ダン!
とっさに明日菜は木乃香を突き飛ばし、自分も反対側に飛ぶ。
すぐに住宅の塀に身を隠す。
「一体なんだって言うのよ!あれ、千雨ちゃんじゃない!!」
明日菜が見たその人影は、まさに長谷川千雨(出席番号25番)だった。
慌てて自分のデイパックからナイフを取り出す。
が、相手は飛び道具を持っている。これで何とかなるとは思えなかった。
勝ち目がない以上、逃げるしか道はない。
だが逃げようと道路に出ればそれこそいい的にされる。
「(どうする、どうする?!)」
必死に頭を働かせて打開策を練る。だがいいアイデアは1つも出ない。
ふと、大事なことを忘れていたことに気づいた。
「このか!!」
自分が突き飛ばした木乃香のことだ。
自分はこうやって塀に隠れることができているが、彼女はどうなったのか。
慌てて木乃香のほうを向くと、道路の真ん中に放り出された状態になっていた。
当然、周りに遮蔽物など一つも無い。
あんな恰好の的を、千雨が見逃すわけが無かった。
すぐに木乃香に標準があわせられる。
明日菜の顔が絶望の色に染まる。
今から飛び出しても間に合わない!
「このかぁぁぁぁぁ!!!」
ダァン!
……そのとき、もう1つの人影が、3人の間に現れた。
人影は疾風の速さで木乃香の前に立つと、流れるような動作で千雨の放った弾丸を叩き落す。
その場にいた全員がその光景に魅入られた。
そして人影は、千雨と対峙する。
「刹那さん……!」
「せっちゃん!!」
桜咲刹那(出席番号15番)は、亡き友の形見である日本刀を千雨に向け、まっすぐに睨みつけた。
「お嬢様、ご無事ですか。」
「せっちゃん……」
千雨を睨みつけたまま、背後にいる木乃香に声をかける。
刹那自身も待ちわびていた声が聞こえる。無事のようだ。
千雨がさらに銃弾を放つ。
ダン!ダン!
ギィン!ギン!
だがそれもすべて刹那に叩き落される。
「刹那さん!!こっち!」
刹那が声をしたほうを向くと、明日菜が塀の裏で手を振っていた。
次に、千雨の方を向き直る。
すると千雨は、先ほど手にもっていた銃をしまい、新しい銃を取り出そうとしていた。
みたところ、それはマシンガン。
「お嬢様!」
それをみた刹那は後ろにいた木乃香に手を伸ばす。
木乃香が黙ってその手をとると、引っ張って立ち上がらせ、急いで明日菜の方へと走り出す。
「くそっ……!」
千雨は急いでマシンガンの引き金を引く。
弾丸は刹那と木乃香の元へと飛んでいくが、どれも命中せず、刹那たちは塀の裏に隠れた。
「刹那さん、無事だったのね!」
「はい、大丈夫です。」
バババババババ!!
うれしそうに明日菜は刹那に話し掛けたが、状況はそれを許してはくれないらしい。
激しい弾幕が、3人の隠れている塀を削り取っていく。
ゆっくりしている暇は無い。
「どうも再会を喜んでる状況じゃなさそうね!」
「お2人の武器は?」
刹那にそういわれて、明日菜は手に持っていたナイフを、木乃香はデイパックから銃を取り出す。
「この装備じゃ太刀打ちできないわよ!」
「そうですね……ここは一旦逃げましょう!」
いくら刹那でもマシンガンの弾幕をすべて弾くことはできない。
対抗できる飛び道具が拳銃1丁では圧倒的不利である。
「でもどうやって!?今出たら蜂の巣にされるわ!」
明日菜が言い終わるより早く、刹那は自分のデイパックから一本のスプレー缶を取り出す。
そして、マシンガンを乱れ打ちしている千雨に向けて放り投げた。
「なにっ!」
マシンガンの弾丸が飛んできたスプレー缶を撃ち抜き、中のガスに引火する。
ボゴォァ!!
スプレー缶が破裂し、破片が回りに飛び散った。
たまらず千雨も近くの物陰に身を隠す。
弾幕が止み、大きな隙が出来る。
「今です!走って!!」
刹那がそう言うと3人は一斉に千雨の居る方とはとは逆方向にむけて走り出す。
千雨は物陰から身を出して銃を構えるが、運悪くマシンガンが弾切れを起こしていた。
すでに3人の影はずいぶん遠くへ行っている。
「チッ……」
舌打ちをする。もう追いかけても無駄だろう。
「……まぁいい。」
千雨はデイパックを抱えると、再び山の中へと姿を消した。
今日は以上で。
基本的には1日3話投下を目安でいこうと思いますので、よろしくお願いします。
それではまた明日。
せっちゃんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
乙です
まさかなっちゃんが狂うとは… GJ!!!!!
いまさら思ったんだが…
みな作者1の文章が凄かったという評価を下しているが…
それが「バトルレイプ」の作者の文章を流用していた事を忘れて欲しくないな…
まぁ中盤ぐらいまでだしだけだし、オリジナルの部分もGJだったから良かったんだが…
作者1と同じように「バトルレイプ」の作者のことも忘れて欲しくないな…
何でいまさらこんな事いったんだろう……
いまさらだが、バトルレイプって
何だ?
しらねえ。
食えるの?
夏美が壊れちゃったなぁ……。夏美が好きな俺にはちょっぴりきつい。
けど話の流れはGJです!! 次回が楽しみじゃ〜。
24.なんとかなる。
神楽坂明日菜(出席番号8番)達は長谷川千雨(出席番号25番)の襲撃から逃れた後、
海の方へと走り、港へ出た。
近くに休めそうな施設があったのでそこで休息をとることにした。
「せっちゃん、せっちゃぁん!よかった、無事やったぁ!」
「お、お嬢様……」
ここに来てから近衛木乃香(出席番号13番)はずっと桜咲刹那(出席番号15番)に抱きついて泣いていた。
よほど心配だったのだろう。そんな親友と無事に再会できて、うれしくてたまらないのだ。
もちろん刹那も木乃香と会えて本当に嬉しいし、ほっとしている。
抱きつかれるのだって嫌なわけではない。
が、今は近くに明日菜もいるため、さすがにちょっと恥ずかしい。
さりとて無下に引き剥がすこともできず、ただ赤面して慌てるだけだった。
対する明日菜は別にそんなこと気にしてないのだが。
「まったく、木乃香はずっと泣いてばっかね。」
「ほんなこと言ったってぇ〜」
「ま、気持ちはわかるけどね。」
結局木乃香はこの後もしばらく離れてくれなかった。
木乃香が落ち着いたところで、3人はお互いの情報を交換し合う。
自分達が合流する以前の話を、それぞれ聞かせあった。
「そんな……龍宮さんが?」
「楓の遺言です。」
そしてその中で、龍宮真名(出席番号18番)がこのプログラムに乗っていることを告げられた。
2人は信じられないと言った風に刹那をみていた。
「先ほどの長谷川さんといい、この殺し合いに乗っている生徒は予想以上に居るみたいです。
一体どうすればいいのか……」
「せっちゃん……」
3人の間に重い空気がのしかかる。
自分達に、何ができるのか。それがわからない。
ひょっとすると何もできないのかも。一体どうすればいいのだろう。
答えが見つからず、誰も一言も発しない状態が続いた。
ふと、そんな沈黙を破る声が聞こえる。
「大丈夫や、何とかなる。」
「え?」
「お嬢様?」
声を発したのは木乃香。
2人は木乃香をみる。
「そんな心配せんでも、きっと何とかなるえ。
ネギ君やっておるんよ?きっとどうにかしてくれる。
だから、2人ともそんな暗い顔せんといて、な?」
それはとても楽観的で無根拠で、穴だらけの意見。
しかし、もしかしたら2人が一番聞きたかった意見だったのかもしれない。
「そう……ね、うん。何とかなる。
希望を捨てちゃダメだよね、このかの言うとおり!」
「そうですね、きっと何とかなります。お嬢様、ありがとうございます。」
改まって礼を言われて照れる木乃香。自分は別に何も特別なことは言ってないという感じである。
だが確実に3人の表情は先ほどとは違っていた。
そうだ、希望を捨ててしまっては何もかもが終わってしまう。
きっと何とかなる。わずかな可能性でも、決してゼロではない。
沈みかけていた雰囲気が、木乃香の一言で払拭される。
まだ、望みはある。
これからのことについて、前向きに話し合う3人がそこにいた。
25.ダメかもしれない
「アイヤー、本当に降てきたアルヨ!」
古菲(出席番号12番)は灯台の窓から外を見てそういった。
外は突然の大雨だった。
今朝から雲行きが怪しかったので、降るかもしれないとは思っていた。
「大丈夫ヨ、ただの通り雨だと思うネ。すぐ止むと思うヨ。」
超 鈴音(出席番号19番)は相変わらずパソコンをいじりながら、古菲に返事を返した。
台所では四葉五月(出席番号30番)が少し遅めの朝食を作っている。
皆生き生きとしていた。それもひとえに、超のこのプログラムから脱出できるかもしれないという言葉に期待を寄せていたから。
殺伐としたこの島で、希望をもって生きていけたのだ。
だが肝心の超はパソコンのディスプレイを眺めながら、少々浮かない表情をしていた。
「(これは想像以上に厄介ネ……)」
彼女の提案した脱出作戦。
それは政府のパソコンにこちらからハッキングを仕掛け、本部が混乱している隙に首輪を解除するといったもの。
首輪さえはずすことができれば、誰も殺し合いをする理由なんてなくなるのだ。
そのために、超はハッキングに必要なソフトを作成し、政府のコンピューターに潜入しようと試みたのだが。
その結果は、失敗に終わっていた。
想像以上に政府のコンピューターセキュリティは強固だった。
出来合いのプログラムでハッキングを仕掛けた程度では到底破ることはできない。
無理に潜入を試みればすぐにばれてしまう。そうなれば自分達がどうなるかわかったものじゃない。
最悪、すべての首輪が爆破という結果もありえる。
それは最も避けるべきシナリオ。超の額に汗が浮かぶ。
こうなったら一度プログラムを組みなおして再度ハッキングを試みるしかない。
多少精度を良くしたくらいではダメだろう。かなりのスペックが要求される。
プログラムを組むだけでもかなりの時間が必要とされる。
それでも成功するかどうかは解らない。
さらに言うと今自分たちが置かれてる状況も、決して楽な状況じゃない。
少なくともそんなゆったりとプログラムを組んでいいような状況ではなかった。
今までこそ誰とも遭遇することは無かったものの、いつ自分達が襲われるかわかったものじゃない。
古菲が外を見張ってくれてはいるが、万一襲われた場合、こちら側の装備で戦えるかどうかは微妙だった。
現在自分たちの武器として支給されたのは、超のボウガン、古菲のトンファー、そして五月の毒薬。
トンファーも毒薬も使い勝手の悪すぎる武器である。
ボウガンにしても、ほかの飛び道具と比べれば数段劣る。
こんな状態でこの脱出計画がうまくいくのか、はなはだ不安であった。
だが超はそんな様子は微塵も見せず、2人には笑顔を送っていた。
「(今さら脱出できるかわからないなんて言えないネ。必ず成功させないと!)」
そう思い、一心にキーボードをたたき続けた。
それから少し経ったころ、古菲が声をあげた。
「あそこに誰か居るアル!」
そう言って超を呼ぶ。超もすぐに古菲の元へ向かう。
2人で窓の外を見やる。降りしきる雨の中、1人の生徒がたっているのが解った。
かなり身長が高く、黒髪のロングヘアー。それは古菲にとっては親しい人物であった。
「真名!!」
古菲が声をあげる。そこに立っていたのはまさしく龍宮真名(出席番号18番)だった。
どうやら真名はこちらに気づいていないらしい。
古菲は窓を開けて真名を呼ぶ。
「真ー名ー!!」
龍宮がやっとこちらに気づく。心なしか動揺したように思えた。
だがそれも一瞬だったので気のせいかもしれないと深く考えなかった。
「古?」
真名が呼び返す。古菲は手を振って答えた。
「そんなところで何してるアル?」
「…いや、突然の大雨でね。雨宿りできる場所を探してたんだ。」
「それなら入ってくるアルヨ!風邪引いたら大変アル!」
そう言って真名を招きいれようとする。
「そこにいるのは古だけか?」
龍宮は少し警戒しているようだった。
「いや、チャオとサツキも居るアル。」
「……そうか。わかった、お邪魔するよ。」
そう言って、龍宮は灯台へと入っていった。
26.殺人鬼はひそかに笑う
現在灯台には4人の生徒がいる。
パソコンをいじる超 鈴音(出席番号19番)
窓の外を見張る古 菲(出席番号12番)
台所で料理をしている四葉 五月(出席番号30番)
そして、部屋の隅でタオルを使って濡れた体を拭く龍宮 真名(出席番号18番)。
龍宮は灯台に来てこの3人の脱出計画を聞いた。
超の作戦を古菲が得意そうに話したのだ。
その様子を超が少し苦笑しながら聞いていた。
それが龍宮の頭に引っかかっている。
龍宮は机の上でパソコンと格闘している超の元へと向かう。
「様子はどうだ?」
突然話し掛けられて少し驚いたようだった。
「大丈夫よ、全部順調に進んでるネ。」
「そうは見えんがな。」
龍宮が超の顔を見てそう言う。
他の人がみてもいつもの彼女の表情だと思うかもしれない。
だが龍宮にはそれが明らかに無理をしているように見えた。
それを聞いて超はため息をついた。
「龍宮サンには言ったほうが良いかもネ……」
そう言うとゆっくりとしゃべりだす。
「目的のハッキングのためのプログラムの作成にしても、まだほとんど手をつけてない状態ネ。
おそらく出来上がるのは翌日になるかもヨ。
その後みんなの首輪を解除して逃げるまでの時間があるかどうかも怪しくなってきたネ。」
超には珍しく、かなり弱気な発言だった。
「そうか……」
そう言うと少し間をおいた。
「まぁ、何とかなるだろうさ。あせらずにやりな。」
龍宮はまた自分のもと居た位置に戻る。
ふと傍らにおいてあるデイパックを見る。ファスナーが開いていて、中身が見える状態だった。
そしてそこに覗く、1つの小ビン。
龍宮は周りを見まわした。超は相変わらずパソコンに集中しているし、
古菲もまた窓から外をみていて自分に背を向けている状態。
ゆっくりと、デイパックに手を入れていく。
そしてその小ビンを取り出した。ラベルを見る。「トリカブト」と書かれている。
龍宮はそれをポケットにしまうと、五月の居る台所へと向かった。
「あ、龍宮さん……」
そこでは五月が料理をつくっていた。
「1人分だけできたんで、持っていこうと思ってたところです。」
「あぁ、それなら私が運ぶよ。サツキは残りの分を作っててくれ。」
そう言って五月の持っていた皿を受け取った。
それはありものでつくったスープだった。香ばしい匂いが漂ってくる。
「(好都合だ…)」
龍宮は五月にばれないよう、そのスープに毒薬を入れる。
そしてスプーンでそれを軽くかき混ぜると、居間に持っていく。
「朝ごはんだそうだ。」
そう言ってそのスープを超に渡した。
「え、他の皆は……」
「サツキがじきに持ってくる。それは超が食べればいい。」
「そうね、先に食べててアル。」
窓を見ていた古菲もそう言う。超はその言葉に甘えることにした。
そしてスープをスプーンですくい上げ、口に運んだ。
「んー、やっぱりサツキは料理の天才ネ!」
口元を緩ませながら、もう一口食べる。
その様子を龍宮は黙ってみていた。
「そうアル、チャオー」
「ん!!」
古菲が超に何か話し掛けようと振り向いたとき、突然超が自分の口を押さえて固まる。
「チャオ?」
心配そうに超のもとへ歩み寄ろうとした、そのとき。
「ゴフ……」
超が、口いっぱいの血を吐いて、倒れた。
「……え?」
一瞬、何が起こったのかわからなかった。
周りの事態に、頭がついていかない。
しばらく動けなかった。だが、じきに脳が状況を判断する。
「チャオ?チャオ!?ねぇ返事するアルよ、チャオ!!」
そう言って超に駆け寄る古 菲。だが超は返事をしない。
「そんな、何で!?」
「毒……だな。」
龍宮はそう言ってスープを見ている。
「え、毒って……」
「どうしたんですか?」
そして最悪のタイミングで、五月がキッチンから出てきた。
その両手に一つずつ、超と同じスープを持って。
古 菲は急いでボウガンを握ると、それを五月に向ける。
「サツキがやったアルか、サツキがチャオを殺したアルか!?」
「え、な、何?何のことです……」
突然ボウガンを突きつけられて五月は混乱する。
「はっきり答えるアル!どうなんアルか!?」
「わ、私はやってな……」
パン!
そのとき、部屋に乾いた音が響き渡る。
その音とともに五月の眉間に穴があき、彼女はそのまま仰向けに倒れる。
手に持った皿は割れ、中のスープがあたり一面に広がった。
「え、ワタシ……まだ撃ってないアルよ?」
自分のボウガンを見る。まだ矢は付いたままだ。
古 菲はゆっくりと隣を見る。
そこには何時の間にか銃を持っている龍宮が居た。銃口からはわずかながら煙が出ている。
「うわあああああああ!!!」
すぐに古 菲はボウガンを龍宮に向ける。
「な、なぜ!?」
「なぜ?みて解るだろう、犯人はサツキだ。」
「ま、まだそうとは……」
「あの状況でほかに何がある?そんなことだから古も生き残れないんだよ。」
淡々と言い放つ龍宮。その言葉に疑問を覚える。
「え?……ワタシ……も?」
と、突然彼女のポケットから何かが落ちる。
それは古 菲にも見覚えのあるビンだった。そう、四葉五月の支給武器。それが龍宮のポケットから出てきたのだ。
そこで古 菲は全てを悟った。
「まさか……真名……」
龍宮は答えない。沈黙が返事だった。
「ああああああああああああああ!!」
トリガーに力を込める。龍宮が動く。
ドシュ!
ボウガンから矢が放たれる。だがそれは龍宮にはあたらなかった。
龍宮はそばにあった超の死体を持ち上げ、盾として使ったのだ。無残にも矢は超の心臓に深々と突き刺さっている。
パン!パン!パン!
3発の銃声。それが全部古菲に直撃する。たまらず後ろに吹き飛んだ。
「ああああ!」
倒れている古菲に龍宮が近づく。そして銃を構えた。
「何で……こんなこと……」
古菲がつぶやく。
「皆で……脱出できるかも……しれなかったのに……」
「確率の高いほうをとったまでさ。」
それだけ言うと引き金に力を込める。
「そんな理由……ないアルヨ…」
パン!
銃声が響き、そこに立っているのは龍宮だけだった。
すぐに龍宮は3人のデイパックから水と食料だけを奪うと、灯台を後にした。
まだ雨は止まない。
古 菲、超 鈴音、四葉 五月、死亡。 残り11人
今日は以上ということで。また明日お会いしましょう〜。
何か龍宮と千雨しか殺してないようか気がするけど・・・GJ
GJ!!
さすがに龍宮は生き残ることに関しての強さが
半端じゃないな
五月の毒入り料理から連鎖殺人のパターンって、原作そのままでハマるんだよね。
>>874 あれはあえて原作意識してつくりました。
初めてバトロワ見たときのあのシーンが衝撃だったので、何とか入れれないかなーと思って。
それでは今日の分投下です。
27.少年の戦い
中学校に設けられたプログラム運営本部。
多数のコンピューターがおかれているその一室では、
兵士達がせわしく動き回っていた。
そんな中で、1人ソファに腰掛けて書類を眺める1人の男。
新田は生き残っている生徒について書かれている書類に目を通していた。
そこに特別な感情は無い。ただ事務的な作業を行っているのと大差なかった。
「残り11名……か。」
目の前にある生徒名簿を見る。死んだ生徒たちには赤ペンで斜線を引いている。
着々と生徒達の数が減っていく。
それはこのプログラムが終わりに近づいていることを示している。
「この様子だと今日中には終わるかもしれませんね。」
いつの間にいたのか、新田の独り言を聞いていた1人の兵士が隣に座った。
「哀れなものですね、優勝しても帰る事などできはしないというのに……」
まるで家畜でも見るかのような目で生徒名簿を見ている。
そんな様子を新田は黙ってみている。
「新田先生!!!」
突然、教室のドアが勢いよく開いた。
そして1人の少年が駆け込んでくる。
それを見た新田はゆっくりとソファから立ち上がった。
「これはこれはネギ先生。」
入ってきた少年とは、このクラスの担任である、ネギ・スプリングフィールド。
「おとなしくしていてくれないと困りますな……」
諭すように、ネギに言った。
「まさか……もう始まってるんですか!?」
新田は答えない。ネギの顔が真っ青になる。
「……いや、まだ間に合う!新田先生、すぐにこのプログラムを中止してください!お願いします!」
必死に新田に詰め寄る。
「何でこんなことするんですか!?こんなの無意味ですよ!だから、新田先生!!」
「……嫌だと言ったら?」
「そのときは……全力で僕が止めます。」
自分でもわかるくらい、声が震えていた。
「自分が何を言ってるのかわかってるのかね?悪いことは言わない。
おとなしくあの部屋に戻ってプログラムが終わるのを見届けたまえ。」
それは新田の最後のやさしさだったのかもしれない。
ネギの心に迷いがよぎる。勝ち目は無い。魔法も使えない、ただの10歳の少年が、
武装した兵士達の居るこの中で反旗をひるがえした所で、どんな結果になるかは容易に想像がついた。
――だが、それでも。
「それでも、引き下がるわけには行きません!」
自分は、みんなの担任だから。
「そうか……」
新田は懐に手を入れる。
「わあああああ!!!」
走ってくるネギに向けて、懐から取り出した銃を向けた。
パン!……
銃声が、響く。
そこには腹部から血を流し、倒れている少年が居た。
「残念だよ、ネギ先生。君はもう少し賢いと思ってたのだが……」
「ゥ……ァ……」
血がとめどなく流れる。それとともに、体の力も抜けていく。
でも、まだ、動く……
「僕は……みんなの……担任だから……」
必死に、はいずる。はいずって、新田に近づく。
「僕が……守らなきゃ…皆……を……」
新田は黙ってそれを見下ろしている。
「お願いです……新田先生……お願いです……」
意識が遠くなっていく。
「もう……こんなの……止めてください……お願いだか……ら……」
その後、小さく何かをつぶやいた後、ネギ・スプリングフィールドは息を引き取った。
運営本部内を、静寂が走った。
「……そこの2人、死体を別のところに運んでくれたまえ。
残りの者達は引き続き作業を行う。計画に変更は無い。」
新田がそう言うと2人の兵士がネギの死体を担架に乗せて部屋から運び出す。
残りの兵士達も、何事も無かったかのようにコンピューターに向き直った。
「すまないな、ネギ君。私はもう後戻りできないのだよ。」
去っていたネギに対し新田はそう言うと、再びソファに腰掛けた。
悪夢はまだ、終わらない。
28.遭遇
大量の雨粒が、山の中に降り注ぐ。
そしてその雨が、とある3人の少女を、ある場所へと引き寄せた。
「雲行き怪しいと思ったら、本当に降ってきちゃったじゃない!!」
「うえぇ〜びしょびしょ〜」
「建物がある……」
大河内アキラ(出席番号6番)が指差した先には、一つの建設物がある。
見上げないと一番上が見えないくらい高い建物。
それが3人の前にそびえ立っていた。
そこは、灯台。
「やりぃ!あそこで雨宿りしよう!」
明石裕奈(出席番号2番)がそう言う。
2人もそれに同調する。一行は灯台に向けて歩き出す。
ふと、灯台の横の扉が開く。
それにアキラだけが気づいた。他の2人は会話をしているため気づいていないらしい。
「ん…?」
目を凝らしてよく見る。だが雨のせいでよく見えない。
その生徒はこちらを向いた。そして、右手が上がる…
――ゾクッ
その瞬間、アキラの体に悪寒が走る。とっさに横にいた2人を突き飛ばす。
――パン!
雨の音に混じって、もう一つ。明らかに異質な音が響いた。
アキラが大きく体勢を崩す。
「アキラ!!」
突き飛ばされた裕奈が駆け寄ろうとするが、続いて放たれた弾丸が行く手を阻む。
急いで近くにある木の影に亜子と一緒に隠れる。
亜子は恐怖と混乱の入り混じった顔で震えていた。
木の陰からアキラの方を見る。
見ると、アキラも無事のようだった。
近くにあった岩陰に隠れて銃弾を避けていた。
少しほっとしたが、それも一瞬。
アキラの様子がおかしい。肩に手を当て、息も荒くなっている。
みると、押さえている手から血が流れ出ていた。
その表情はかなり辛そうだ。もしかしたら重傷かもしれない。
アキラがこちらを向く。裕奈と目が合う。何かを訴えかけているようだった。
必死に何を言っているのか聞き取る。
「に げ て」
明らかに、そう言っている。
「は や く」
自分は、置いて行けと。
「そんなこと!!」
たまらず声をあげる。その瞬間、弾丸が木に命中する。
慌てて隠れ、またゆっくり顔をだし、アキラを見る。
彼女の答えは変わらない。
「逃げて!!」
今度ははっきり聞こえた。
裕奈は亜子の手をとると、一気に走り出す。
「え、ゆーな!?」
「逃げるよ!」
亜子の返事を待たず、裕奈は山道を走りだす。
アキラを置き去りにしたまま、2人は逃げ出した。
しばらく走り、灯台からある程度はなれたとき。
「ゆーな!」
たまらず亜子は裕奈の手を引き剥がす。
そしてもと来た道を走り出そうとする。
だが、それもすぐに止められる。
「待って!」
「離して!アキラが、アキラが死んでまう!!はよ助けに行かな!」
必死に振りほどこうとするが、なかなかうまくいかない。
そんな中、裕奈が口を開く。
「解ってるよ。私も助けに行こうと思ってたところ!」
亜子が裕奈を見る。
裕奈の顔には、何か決心めいたものがあった。
「ほな、急ごう!」
「その前に、一つだけ。」
こんなときに一体何を、早く助けに行かなければ。今も無事かわからないのに。
今にも走り出しそうな亜子に、裕奈ははっきりと言う。
「助けに行くのは、私だけ。」
「…え?」
たまらず声をあげる。裕奈はかまわず続ける。
「私がアキラを助けに行く。だから亜子はこのまま走って逃げて。」
「な、なんで!?ウチも一緒に!」
「亜子は武器も何も持ってないでしょ?それなのに一緒になんて行けないよ。」
「そんな!!」
「亜子はこのまま逃げて。逃げて、新しい仲間を見つけるの。それが亜子の役目。
だからアキラを助けに行くのは私に任せて。」
それはとても力強い言葉。もう、何も言い返すことができない。
うなずくしかできない。
裕奈が微笑む。
そして、もと来た道をにらみつけ、走り出す。
「裕奈!」
走り出した裕奈を亜子が呼び止める。
足を止め、ゆっくりと、振り向いた。
「また、会えるよな!?」
返事はしない。笑顔で、うなずくだけ。
それだけでも、十分だった。もう迷わない。
そして2人は正反対の道を行く。仲間を助ける道と、仲間を集める道に。
29.親友
「また、会えるよなぁ!?」
深く、ただ深くうなずいただけ。それで亜子が前に進めるなら、それでいい。
明石裕奈(出席番号2番)は自分が走ってきた道を、そのときよりさらに早いスピードで駆け戻っていく。
親友である大河内アキラ(出席番号6番)を助けるために。
裕奈は自分の手に握られている拳銃を、今一度強く握り締める。
そして前を見て、さらに加速する。親友の居る地へと向かって。
裕奈と和泉亜子(出席番号5番)が無事に逃げれたのを確認したアキラは、岩陰から相手を見る。
自分達の命を奪おうとしたその人物は、龍宮真名(出席番号18番)だった。
依然銃をこちらに構え、絶えず撃ってくる。
服の袖を破り、肩の傷に巻きつける。気休め程度の応急処置。
「(2人からあの人を遠ざけないと!)」
自分の武器は何の変哲も無いナイフ。これ一本で拳銃相手にかなうはずも無い。
もとより勝負にならない。
自分にできるのは、時と距離を稼ぐだけ。2人が逃げ切れるまで。
銃声が一旦止む。龍宮がマガジンの交換を始めた。
その瞬間、アキラは走り出した。
裕奈と亜子が向かった方とは逆方向に。
案の定、龍宮はアキラを追いかける。
2人の、命をかけた鬼ごっこが始まった。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
2人が山の斜面を走り始めて十数分。
早くもアキラの息が上がり始める。
「(体力には、自信あったつもりなんだけどな……)」
目がかすみ、額からは汗がにじみ出てくる。
いくら水泳部で鍛えていた体力があっても、今は条件が悪すぎた。
負傷した肩からは出血が止まらず、先ほど巻いた布ももう真っ赤になっていた。
その出血がアキラの体力を必要以上に消耗させていたのだ。
「あぅ!」
足がもつれ、その場に倒れる。体力の限界だった。
すぐ後ろに龍宮が近づいてくる。
「終わりだ。」
倒れている自分に銃を構える。
アキラは目を瞑り、逃がした2人のことを思い出す。
「(2人は……生き延びてね。あたしは先に……まき絵のところに……)」
パン!
銃声が聞こえる。あぁ、今自分は死んだんだ……
不思議と痛みは無い。即死だったのかな。
目をあけたらどうなるだろう?ゆっくりと目をあける。
「……?」
そこには、目をつぶる以前と同じ景色が広がっている。
「生きてる?」
体に痛みは無い。降り注ぐ雨の冷たさも、敏感に感じ取ることができる。
どうやらまだ、自分は生きているらしい。
しかしなぜ?
上半身をおこし、周りを見る。
すぐ自分の目の前に、龍宮が倒れていた。
銃から弾が発射された形跡は無い。
じゃあ今の銃声は?
「アキラ!」
聞き覚えのある声が響いた。
すぐに声のしたほうを向く。
「ゆーな!?」
右手に銃を持った親友が、自分に駆け寄ってくる。
「大丈夫!?」
裕奈がアキラを抱き起こす。怪我をしている右肩が痛むが、それどころではない。
「な、何で……」
「親友を見捨てれるわけ無いじゃない!」
そう言ってウィンクをしてみせる。その顔を見て、アキラの顔も自然と笑顔になる。
「ほら、立てる?」
裕奈が手を差し伸べる。アキラはその手をとり、立ち上がる。
「……」
一度、倒れている龍宮を見る。まったく動かない。
アキラには、裕奈が何を考えているのか良くわかった。
「ゆーなは悪くないよ……」
それだけ言う。それしか言えない。
裕奈はアキラに抱きついて、泣いた。
人を殺した罪悪感。ろくな覚悟もない中学生の女の子に、それは重すぎた。
自分の胸で泣きじゃくる裕奈の頭を優しくなでてやる。
……が、次の瞬間、アキラの表情が凍りついた。
裕奈の背後で倒れていた龍宮の右手が持ち上がり、こちらを向いた。
「ゆーな!」
アキラは裕奈と龍宮の間に割り込んだ。
パン!
その瞬間銃声が鳴り響き、アキラの背中に命中する。
「うあ!!」
「アキラ!」
たまらずその場に崩れる。裕奈が銃声のした方を向く。
ゆっくりと、龍宮が立ち上がった。
パン!パン!
続けて2発の弾丸が撃ち出される。
それは正確に裕奈の胴体に命中した。
「……あ…」
腹部に傷を受けて、後ろに後ずさる。
裕奈は足を踏み外し、坂道を転がり落ちていった。
後に残ったのは、アキラと龍宮の2人。
とはいっても、アキラも虫の息だった。
「惜しかったな……」
龍宮が再度アキラに銃口を向ける。
「ゆー……な……」
アキラは裕奈の落ちていった坂を見る。
だがもうそこに彼女の姿はない。
そして、アキラはそこで力尽きた。
龍宮は銃をしまうと、デイパックを抱える。
「備えはしておくものだな。」
服の下に着込んでおいた防弾チョッキを見ながら、龍宮は1人つぶやいた。
……体が、痛い。
腕を動かすこともできない。骨が折れたのかも。
そしてどうしようもなく寒い。
体から血がとめどなく流れ出ていく。もう手足の感覚もなくなっていた。
恐ろしくリアルに襲い掛かってくる、死の恐怖。
「(亜子、ごめんね……もう、会えそうにない……や……)」
そう言って、ゆっくりと目を瞑っていく。
……ふと、再度目を見開いた。自分の顔に影がかかる。
誰かが、自分の近くに立っている。
裕奈はどうにか首だけ動かし、周りを見る。
「長谷川……さん?」
そこに、長谷川千雨(出席番号25番)が立っていた。
大河内アキラ、死亡。 残り10人。
今日は10時にもう1話投下しようと思います。
それではまた10時に。
龍宮・千雨のツートップがついに激突か・・・?
作者6氏GJ
うぅむ何か期待してたのとは別な展開になってしまったが
とりあえずgoodjob
それでは今日最後の1話投下です。
30.対話
一目見てわかった。
こいつはもう助からない。
腹部に2発分の銃創。
そして流れ出すぎた血液。
どう見ても助かる見込みなんかない。
あったとしても、助けるつもりなんてないが。
長谷川千雨(出席番号25番)は目の前に倒れている明石裕奈(出席番号2番)を見下ろしている。
裕奈も千雨を見上げている。
お互いがお互いの顔を見ている。しばらくその状態が続いた。
「…何やってんだ、お前?」
不意に、千雨の口から声がもれる。それに驚いたのは、他ならぬ千雨自身。
話し掛ける気なんてなかったのに。
「……アキラ…」
裕奈がゆっくりとしゃべりだす。
「アキラを、助けようとしたんだけど…ハハ、返り討ちにあっちゃった……」
そう言って笑う。それが千雨には不愉快だった。
「(こいつもか……)」
そんなことを思ってしまう。
自分が殺してきた人たちを思い出してしまう。
誰もが、誰かのために命を捨て、あるいは自分に立ち向かってくる。
それが千雨には理解できなかった。
あいつらは命が惜しくないのだろうか?何で他人のためにそこまでするんだ?
どいつもこいつも……
「どいつもこいつも……」
「え?」
思わず、頭の中の言葉を口にしてしまう。
「どいつも!こいつも!!」
もう止められなかった。
「何で他人のためにそこまですんだよ!?お前も、あいつらも!!訳がわかんねぇよ!!
他人のために命張って!それでこうやって死んじまって、それで満足なのかよ!?」
リアル遭遇キタコレ
心にとどめていた感情をすべて吐き出して、裕奈をにらみつける。
裕奈はそれを黙って聞いていた。
2人の間に沈黙が走る。雨の音だけが、響き続けていた。
「死んで……満足なわけないじゃん…」
少しして、裕奈が切り出した。
「私だけじゃない、みんなだってそう。……もっと生きていたい、死ぬのは怖いって思ってる……」
「じゃあ何で!?」
「だから……だよ」
裕奈の顔は笑顔だった。
「みんな同じなんだと思う……死にたくなんてない。自分だけじゃない、生き残りたいのは。
そんなみんなを見捨てたり、殺したりするなんてできないよ……」
「……」
「だから……どうにかしてみんなで脱出できないかなって、そう思って……仲間を集めようとしたんだけど……」
そこで一瞬、言葉が途切れる。
「結局……無理だった。」
裕奈の目から、涙が零れ落ちる。
「私……龍宮さん…撃ったんだ……みんなを助けたいって……思ってたのに……
アキラを守るため……に……引き金を……引いたの……。」
実際のところ、龍宮真名(出席番号18番)は死んではいない。防弾チョッキのおかげで無傷のままだ。
それでも裕奈は、同級生を撃ったという事実に、罪悪感を抱え続けていた。
どんな理由であれ、クラスメイトを手にかけた。それが、許せなかった。
「みんなを救うのって…難しいよね………」
涙を流しながら、空を仰ぎ見る。しかし、もうその目には何も映ってはいない。
時が、迫ってきていた。
「……ありがとね、長谷川さん」
「…何が?」
感謝されるような覚えはない。
「話を聞いてくれて……。
最後にさ……誰でも良いから、話すことができて…うれしかった。」
裕奈はそれだけ言うと、ゆっくりと目を閉じた。眠りに付くように。
そして二度と目覚めることはなかった。
「……」
妙な気分だった。この島に来てから初めて味わう気分。
言葉にできない。悪いのか、良いのかすらもわからない。
何時の間にか雨は止んでいた。雲の隙間から光が差し込んでくる。
今の自分の気持ちはどちらなんだろう。未だに曇り続けているのか、
それともこの空のように晴れようとしているのか。
「わからねぇよ……わからねぇ……」
複雑な思いを抱え、千雨は歩き出した。
明石裕奈、死亡。 残り9人
今日は以上です。
またお会いしましょう。
お疲れ様です
にしてもちぅが‥‥‥
俺はこれ以上マッドになって欲しく無いな(´・ω・)
>>897 自分で書いてて意味不明チックだな‥‥‥
ちうがどう変わっていくのか見ものだな
結局は死にそうだけど
むしろ千雨には裕奈の話を聞いたことで死亡フラグがたった希ガス
まぁ投下を待とうや
31.変わり始める人たち
「そろそろ正午か……」
桜咲刹那(出席番号15番)は時計を見ながら一人つぶやく。
未だ3人は港の施設から動いていなかった。
今後の方針を決めて、移動しようかとも思ったが突然の大雨により、一旦中断することにした。
中では神楽坂明日菜(出席番号9番)と近衛木乃香(出席番号13番)が休んでいる。
現在は刹那の見張りの時間。
刹那自身は、別に見張りくらいなら自分1人でできると言ったのだが。
「ダメよ、刹那さんだって休まないと!いざって時に動けなかったりするんだから!」
……という明日菜の主張により、交代制となった。
正午になったら明日菜と交代する予定である。
「……」
なんとなく、自分の掌を見る。
そして、いつものように、気を集中してみる。
「…やはり無理か。」
さっきから同じことを何回か繰り返していた。
だが、ことごとく失敗している。
こんなことは初めてである。
この島に来てからずっとこの調子なのを見ると、どうやらこの島自体に何かあるようだ。
気や魔力を制限するような装置。
政府の人間達はどうやらこのクラスに魔法や気を使う人間が居るのを知っているらしい。
それらに対するための物だろう、エヴァンジェリンなどがいたのだ、当然の措置ではある。
それにより、刹那の戦闘能力はかなりダウンしている。
刹那は奥でベッドに横たわっている木乃香を見る。
「(今のこの状態で、お嬢様を守りきれるのだろうか……)」
一抹の不安。
今は亡き長瀬楓(出席番号20番)の話によると、龍宮真名(出席番号18番)はこのプログラムに乗っているという。
このまま行動していけば、遭遇する確率は高い。
そのとき自分は木乃香を守りきれるのだろうか?
楓の形見である日本刀を掲げてみる。
雲間から差し込む光を反射し、美しい輝きを見せる。その輝きを、目を細めて眺めていた。
「刹那さん?」
突然声をかけられて少し驚く。気づけば隣に明日菜がたっていた。
慌てて刀をしまう。
「どうしたの?怖い顔してたけど……」
「い、いえ、何でもありません。」
適当にはぐらかす。明日菜もそれ以上追求はしてこなかった。
「そろそろ交代の時間でしょ?刹那さんは木乃香と休んで。」
「あ、すいません明日菜さん……」
刹那が明日菜に礼を言って中に入ろうとしたとき。
キーンコーンカーンコーン!
あのチャイムが鳴り響いた。
「みなさんこんにちは!といってももう残っている生徒はだいぶ少ないみたいだがな!
予想以上にテンポが早くて先生少し驚いたぞ!テストはダメな割りにこういうのは優秀みたいだな、このクラスは!
それじゃあ死亡生徒を挙げていくぞ!」
新田の声が島中に響く。木乃香も2人のもとへ駆け寄ってきた。
「出席番号2番、明石裕奈さん!6番、大河内アキラさん!7番、柿崎美砂さん!11番、釘宮円さん!
12番、古菲さん!17番、椎名桜子さん!19番、超 鈴音さん!30番、四葉五月さん!以上だ!」
「……なっ!」
「こんなに……」
予想以上の死亡生徒の多さに絶句する。もう生き残っている生徒は10人もいない。
「それでは禁止エリアを発表する!1時間後にC-5、H-4!2時間後にG-3、B-2だ!」
禁止エリアを書き込んでさらに驚く。自分達の居るエリアが、禁止エリアになった。
1時間以内に離れなければ。3人は荷物を取りに中に戻る。
「あー!それと……」
新田の声はまだ響いていた。まだ何かいうべきことがあるのだろうか?
「言うか言わないか迷ったんだが、やはり伝えておこうと思う。お前等の担任のネギ先生のことだ!」
3人の動きが止まった。すぐにその放送に再度耳を傾ける。
「ある場所に監禁してたっていったよな?そのとおりだったんだが、
ネギ先生がそこから抜け出してな、私たちの居るところに来たんだ。それで懲りずにプログラムを中止するように言ってきてな。」
「……まさか…」
明日菜が小さくつぶやく。嫌な予感が膨らんでいく。
「やむなく、射殺した。」
射殺した。その言葉が3人の頭の中に響き渡る。
「そんな……ネギ君……」
「ネギ先生……」
「ネギ……」
木乃香はその場にへたり込み、刹那、明日菜はその場に立ち尽くした。
「あのバカ……結局1人で突っ走って…死んでんじゃないわよ!」
明日菜もその場に座り込む。
「わあああああああああ!!!」
この島に来て、初めて明日菜は泣いた。ネギの死を知って。
今まで気丈に振舞ってきていたが、それももう限界だった。
泣きじゃくる明日菜に、木乃香が抱きつき、一緒に泣いた。
港の施設で、2人の少女が泣き続けた。
刹那は日本刀を強く握り締め、歯を食いしばって泣くのをこらえている。
「(私まで泣いてはいけない。2人を守らなければいけない!)」
深く深呼吸をする。気持ちを無理やり落ち着かせる。
「……明日菜さん、お嬢様、たってください。」
努めて冷静に、そう言い放つ。
「刹那さん……」
「せっちゃん……?」
2人が振り向く。
「あと40分ほどでここ一体が禁止エリアになります。早く移動しないといけません。
ネギ先生の死を悲しむのはわかりますが、今は生き残ることを考えてください。」
一気にまくし立てる。無理をしているのを悟られないように。
「せっちゃん……」
何かを言いたげに木乃香が立ち上がる。が、すぐに明日菜が木乃香の肩を持つ。
「いいのよ、木乃香……」
そう言ってゆっくりと立ち上がる。もう泣いてはいなかった。
「刹那さんの言うとおり。今は生き残ることを考えるの。死んだ人のことを悲しむのは、後にしないと……」
明日菜にそう言われてしぶしぶ引き下がる木乃香。
「ごめんなさい、刹那さん。私はもう大丈夫。さ、移動しよう」
口では大丈夫といっているが、無理しているのは誰の目にも明らかだった。
だが刹那には何もいえない。明日菜には酷かもしれないが、今はとにかく動いてもらうしかない。
「(私が、しっかりしないといけないんだっ……!)」
刹那は気づいていない。自分のその想いが、空回りしていることに。
自分が、変わり始めていることに。
32.湖にて
「う……ゥグ……ヒック……」
和泉亜子(出席番号5番)は泣いていた。
正午の定時放送を聞いて。
「うぅ……アキラ……ゆーな……」
もうこの世にはいない親友の名前を呼ぶ。
仲良しだった運動部の4人組も、もう自分しかいなくなっていた。
「また、会えるって……言うたのに……」
明石裕奈(出席番号2番)と別れるときの事を思い出す。
戦場へ戻ろうとする親友に、最後にかけた言葉。
彼女は笑顔でうなずいてくれた、だから自分は走ってきた。なのに。
結局親友は、戻ることがない。
「ウチ……どうしたらええの?」
答えの返ってこない疑問を吐き出す。もう、頼れる親友はいない。
どうしたらいいのか、わからない。
そのとき、頭の中に声が響く。
(亜子はこのまま逃げて。逃げて、新しい仲間を見つけるの)
別れの時の裕奈の言葉。
(それが、亜子の役目。)
彼女は言った。それが自分の役目だと。
「……ゆーな…」
アキラは自らを囮にして亜子たちを逃がしてくれた。
裕奈はそんなアキラを助けに戦場に戻った。
じゃあ、自分は?自分は何をすればいい?
答えは決まっていた。親友の最後の言葉。それが今の亜子の道。
「…行かな……」
亜子は涙をぬぐうと立ち上がり、歩き出した。
「仲間を、探さな……」
もう泣いてなんていられない。一刻も早く仲間を集める。みんなの意思は、自分が継ぐのだ。
しばらく歩くと、森の中に空けた空間があった。
なんとなく足を運んでみる。遠くだとわからなかったが、どうやらそこは湖らしい。
「(少し、休もうかな……)」
亜子は湖に向けて歩んでいく。ふと岸を見渡すと、そこに誰かが座っていた。
「(わわっ…)」
気が弱いのが災いして、ついつい隠れてしまう。藪の中からその生徒を観察する。
褐色の肌に白い髪、そして独特の雰囲気を持っていた。
「(ザジ……さん?)」
そこにいたのはザジ・レイニーデイ(出席番号31番)。
「(何しとるんやろう……)」
藪から少し身を乗り出してみる。
良く見るとザジの周りにはたくさんの動物達がいた。ザジを囲むようにして眠っている。
そんな動物達を、彼女はやさしく撫でてやる。空からの光がそれらを照らしだす。
「(きれい……)」
学校ではクラスの隅で誰とも話さず1人でいるザジしか知らない亜子には、今見る彼女がまるで別人のようにうつる。
どこか現実離れしたような、そんな光景に見えた。
ザジは動物達を撫でていた右手を、今度は湖に向けてかざした。亜子は黙ってそれを見る。
バサバサバサ!
次の瞬間、かざしたザジの右腕に、たくさんの小鳥達が集まってきた。
腕に止まった小鳥たちを、やさしい顔でみつめている。
「ふわぁ〜」
まるで魔法のようなその光景に、たまらず声が出る。同時に、しまったと思った。
慌てて口をふさぐがもう遅い。ザジの横で寝ていた犬が目を覚まし、こちらを向いた。ザジも亜子の方を見る。
「あ、えと、その……」
突然だったので頭が混乱する。何かを話さねば、それだけ考えた。
「こ、こんにちは!」
混乱した頭で考えあぐねて、出た言葉がそれだった。言ったすぐに1人で凹む。
「(ちゃうねん、こんなん言いたかったんちゃうねん……)」
改めて自分の気の弱い性格を呪う。泣きたい気分だった。
だがザジは存外気にする様子もなくお辞儀を返した。すぐにまた動物達のほうを見る。
どうやら悪い印象はないらしい。別に悪い印象を受けるようなこともしてないのだが。
「(なんかお邪魔みたいやし、行こっかな……)」
そう思ってすぐに思いとどまる。
裕奈との約束。自分の役目。
「あの!」
意を決して話し掛ける。ザジが振り向く。
「そっちに、行ってもいい?」
……ザジは少し考えた後、小さくうなずいた。
33.続、湖にて
森の中のとある一角。湖のある空間。
そこで和泉亜子(出席番号5番)とザジ・レイニーデイ(出席番号31番)は2人で座っていた。
ザジはずっと寝ている子犬の頭を撫でたり、デイパックからパンを取り出して腕に止まっている小鳥達にあげたりしている。
対する亜子は、さっきからまったくしゃべらないザジに向けて、必死に話し掛けていた。
だが、普段から無口の、というよりしゃべったところを見たこともないザジと楽しく会話をするのは至難の業である。
先ほどから何回か話し掛けてみたが、返ってくるのは沈黙。
それでもめげずに話し掛ける。
「なぁなぁ、今の小鳥集めたの、一体どないしたん?」
「……」
「こんなところで、何しとるん?」
「……」
「ここにくるまでに、誰かに会わんかった?」
「……」
「…はぁ」
思わずため息が出てしまう。1人でしゃべり続けるのは想像以上に疲れる。
「(このままでおるわけにもいかんし……)」
亜子は意を決して本題に入ることにした。
「なぁ、ザジさん!」
「……」
例によって返事はない。それでも亜子はかまわず続けた。
「ウチな、仲間を集めてんねん。皆で集まって、一緒にプログラムから脱出しよ思てる。
ザジさんも、一緒に来てくれへん?」
一直線にザジを見つめてそこまで一気に言う。
そして、黙ってザジの返事を待つ。返事を言うまでずっと待つ覚悟だった。
だが、あっさりと返事は返ってきた。
「……行かない」
「え?」
亜子はそのとき初めてザジの声を聞いた。そして同時にその内容にも驚いた。
「な、何で!?」
「ずっと……この子達と一緒に居る……」
そう言って眠っている子犬や手に止まっている小鳥達を見る。
「で、でも!」
「殺し合いを……する気も、ないから。」
そう言って亜子を見る。亜子はザジの向けたまなざしに、妙な既視感を覚える。
誰かに似ている、この目。つい最近見た気がする。
……そうだ。あの目だ。
少し前、自分と別れて親友を助けに行った明石裕奈(出席番号2番)。
彼女がみせたまなざしと、非常に良く似ていた。
決意を固めた人のする目。何をいっても、自分には止めることができない。
それはザジにしても同じ。自分には、何もいうことができない。
「……わかった。」
亜子はゆっくりと立ち上がった。ザジは動物達を見ている。
「ウチ、もう行くな。」
ザジはもう亜子の顔を見ることなく、ただうなずいてみせただけだった。
それを見て、裕奈が最後に自分にうなずいたことを思い出した。
「(ゆーな、今回は失敗してもうたけど、ウチまだあきらめん!)」
自分のデイパックを抱えると、もう一度ザジを見る。相変わらず動物につきっきりだった。
「みんなを集めたら、またここに来るから!」
それだけ言うと、亜子はまた走り出した。振り出しに戻ったけど、望みはある。
次の仲間を探すんだ。
ザジは最後に、亜子の走っていたほうを見た。もう彼女の姿はなかった。
少し、嬉しかったかもしれない。あそこまで自分にかまってくれて。
そんなことを思っていると、隣に居た犬が起き上がる。
何かと思ってみてみると、犬はある一点を見つめていた。
ザジも顔をあげ、犬が見ている方向に目を向ける。
そこには、春日美空(出席番号9番)が立っていた。
34.それはまるで
バサバサバサ!
ザジ・レイニーデイ(出席番号31番)の腕に止まっていた鳥達が一斉に飛び立った。
周りで寝ていた犬達もいつのまにやら散り散りになっている。
おそらくは目の前で自分に銃を向けている、春日美空(出席番号8番)の殺気がそれほどまでに強いのだろう。
ザジはゆっくりと立ち上がると、美空と対峙する。
「あ、あ、あんた、も、どうせ人殺しなんでしょ?ねぇそうなんでしょ?許さないんだから、人殺しは許さない!」
何を言っているのか解らない。自分が人殺し?そんなはずはない。
「……」
「なんか言いなさいよ!わ、わかったわ、図星なんでしょ?!そうよ、人殺しだから何も言えないんだわ!
結局あんたも人殺しよ!ああ、あ、あたしが裁いてやるんだから!人殺しは、死んじゃえば良いのよ!!」
美空の目は血走り、息も荒い。
その形相は、まさに狂気に支配された人のそれだった。話し合いなど通用する状況じゃない。
ザジは、今銃を突きつけられているこの状況にあっても、相手を傷つけるつもりは微塵もなかった。
ついさっき別れた和泉亜子(出席番号5番)に言ったように、自分はこのプログラムが終わるその最後まで、
ただ動物たちと静かに過ごしたい。それが彼女の望み。
だがだからといって今ここで死ぬつもりも、もちろんない。この状況を打開するため、ザジは思案をめぐらせる。
逃げるという考えも浮かんだが、ザジもあのクラスに2年以上在籍している。
クラスの人たちのことはそれなりに知っている。
春日美空は陸上部に在籍していて、クラスでも神楽坂明日菜(出席番号9番)と1、2を争う脚力がある。
その上で彼女は銃を持っている。それを考慮すると、とても無事に逃げ切れるとは思えなかった。
そもそも逃げるにしても今この状況で突然走り出しでもしたら、それこそ撃ち殺されかねない。
とにかく、何をするにしてもあの銃がネックだった。
だがそれは逆に、あの銃さえどうにかできれば突破口が開ける、ということでもある。
しかしそれもどうやら難しい。
ザジと美空との間の距離。大体6〜8メートルほど。
逃げ出すには近すぎ、突撃するには幾分遠い。
無茶を承知で突撃し、銃を奪うか?それは一種の賭け。失敗すれば自分は間違いなく命を奪われる。
一瞬でいい、どうにか彼女に隙はできないだろうか?
それができれば、突破口は開ける。なにか、彼女の気を引くものがあれば……
そのときだった。
ガサ!
「!!」
突然美空の横の茂みが大きくゆれたと思うと、そこから先ほど自分の隣に眠っていた犬が飛び出してきた。
犬は一直線に美空の下へと突進すると、美空の腕に飛びつき、噛み付いた。
「ああああああああああ!!」
美空は悲鳴を上げ、腕を振り回す。
隙が、できた。一瞬と呼ぶには十分すぎる隙が。
ザジは意を決して美空に突進する。距離が詰まる。
あまりの腕の激痛に、美空が銃を落とした。
それを確認すると、ザジの狙いは地面に落ちている銃に向けられる。
ある程度近づいたところで、銃に向かって飛びついた。
そして、決着。
作戦は悪くなかった。犬が飛びついてくれたおかげで美空は銃を落とし、自分は突進することができた。
唯一その作戦に不備をつけるとしたら、それは些細な先入観。
出会い際に銃を突きつけられてしまったために、それしか武器はないと思い込んでしまったこと。
「……」
銃に向かって飛びついたザジの背中に、美空の左手に握られた包丁が深々と突き刺さっている。
全身の力が抜ける。
銃を取るために伸ばした右手は、何も手にとることなく地面に落ち、うつ伏せに倒れる。
美空は包丁を引き抜くと、つぎに自分の腕に噛み付いている犬にそれを突き刺す。
「キャゥ!」
右目に包丁が突き立てられ、たまらず犬は噛み付いていた腕から離れる。とっさに飛びのいたため、
包丁は犬の右目を傷つけただけだった。
「フーッ、フーッ…」
さらに息が荒くなる。あと一歩遅れていれば、銃を奪われていた。殺されていたかもしれない。
そういう考えが美空の頭にいっぱいだった。そして、傍らに倒れているザジに怒りをあらわにする。
「よくもやってくれたなこのピエロが!!」
罵声を浴びせ、ザジを踏みつけ、蹴り飛ばす。何度も何度も。
「お前なんかに殺されてたまるか!この人殺し!人殺し!人殺し!」
―――違う
美空を見上げる。
―――人殺しなんかじゃない
悔しい、悲しい。そんな気持ちが湧き上がってくる。
―――誰一人、殺しちゃいない!
湧きあがってくる感情の激しさとは裏腹に、体はまったくと言って良いほど動かない。
ただ、黙ってけられ続けることしかできなかった。
どれだけ時間がたっただろう。
気づけば美空の姿はそこにはない。いるのは背中から血を流し、倒れているザジ1人だけ。
だんだん背中の感触もなくなってきた。まるで自分の体じゃないみたいだ。
ひどく、眠い。このまま眠ってしまおうか。
「クゥゥン……」
鳴き声がする。すぐ近くで。
閉じかけた目を再びあける。
目の前に、子犬が一匹立っていた。じっとこちらを見ている。
右腕に、何かが触れる感触があった。
目を移動させ、伸びている自分の右腕を見る。
さっき飛び立った小鳥達が、再びそこにとまっていた。
そこで、ザジは気づいた。
自分の周りに、動物達が集まっていること。その皆が、ザジを囲んでいる。
皆が、ザジの最後を看取ろうとしている。
「……」
ザジは、動物達に向けて、微笑んだ。
「……ありがとう…」
もうさっきのような感情は、ザジの中からなくなっていた。
あるのはただただ安らかな気持ち。
ゆっくりと目を閉じる。意識が遠くなる。
そして、息を引き取った。
周りを囲んでいた動物達は、ザジの亡骸に近寄り、
寄り添うようにして横になる。
空からの光に照らされたそれは、さながら一枚の絵のようだった。
ザジ・レイニーデイ、 死亡。 残り8人
今日の分は以上です。
また明日お会いしましょう。
ようやくザジがまともに書いてもらえた…!!GJ!
ザジは生き残れないのか...
GJ!!
あのザジをよくぞここまで… GJ!!!!!
明日菜の出席番号は8番ですよ
921 :
テンプレ案:2005/12/28(水) 20:56:27 ID:???
>>921 1レスにまとめなくても今のテンプレの次に作者順書けばよくね?
支給武器にチェーンソーでてこないかな
たつみーにもたせて黙々と切り刻むとことかみたい
アキラには投げナイフで
俺としてはさよに登場してほしい
………たぶん無いだろうけど…
問題はどうやって物を持たせるかだな
さよが出てきたらやはり倒せるのは
刹那とたつみー、美空の3人だけかな?
928 :
927:2005/12/29(木) 12:51:16 ID:???
ごめ、朝倉は見えるだけだなorz
さよは朝倉にくっついてて(脱出にしろ殺人にしろ)サポートに徹すれば・・
坂持役が新田ならさよは見えないし。タカミチはどうなんだろ・・
35.仲間とともに
「中々……うまくいかんもんやなぁ……」
和泉亜子(出席番号5番)は当てもなく島内を歩き回っている。
ザジ・レイニーデイ(出席番号31番)と別れたときのような覇気はなく、
力なく歩を進めていた。
ザジと別れてから今まで、誰にも遭遇していない。それはつまりやる気になっている生徒と会ってないという意味ではいいことだが、
仲間を集めようとしている亜子にとっては喜べる状況ではなかった。
とはいえ、この決して狭くない孤島で、10人にも満たぬクラスメイト達を見つけ出すのは、甚だ容易ではない。
そして運良く出会えたとしても、先ほどのザジのように、自分についてきてはくれなかったりもする。
思いの他はかどらない「仲間集め」に、亜子は心身ともに疲れ始めていた。足取りも重い。
「みんな、どこにおるんやろ……」
そんな独り言をつぶやきながら森の中を突き進む。
突然、近くの茂みが音を立てる。
静寂の中を歩いていた亜子は驚き、身を縮めて音のしたほうを見る。
一体、誰?
風の音かもしれない、動物が動いただけかも。でも、それ以上にクラスメイトである可能性も高い。
やる気になっていない生徒か、はたまた龍宮真名(出席番号18番)のような殺人に手を染めている人なのか。
体が震える。再び茂みが音を鳴らす。気配が近くなる。人影が、姿をあらわす。
「……村上、さん?」
「……」
出てきたのは村上夏実(出席番号28番)。手にショットガンをぶら下げて、亜子の前に姿をあらわした。
「……えっと…大丈…夫?」
夏実の様子が若干おかしいことを感じながら、恐る恐る声をかける。
別段彼女と仲が良いわけではない。ただ龍宮やザジ・レイニーデイ(出席番号31番)と比べればまだ親しい仲だ。
「……大丈夫だよ、大丈夫。」
夏実は意外にはっきりした口調で、言った。
そして顔をあげて、亜子を見る。その顔は、普段の夏実だった。
その表情を見て安心した亜子は夏実に駆け寄った。
「村上さん、1人?」
「うん、そうだけど。」
「だったら、ウチと一緒に行かん?」
早速、本題に入る。
「実はウチ、みんなを集めようと思ってん。だから、一緒に行かん?」
「……集めて、どうするの?」
「決まっとるやん、この島からどないかして脱出するんよ!」
「……脱出…」
その瞬間、夏実の顔色が変わる。先ほど亜子が感じた違和感が、再び湧き上がる。
「村上さん?」
「ダメだよ、そんなの……」
夏実の口から、意外な言葉が出る。
「え……?」
「だって、ちづ姉もいいんちょも死んじゃったんだよ?なのに自分達だけ生き残ろうなんて、そんなのダメだよ……」
無感動に淡々としゃべる夏実に、少なからず恐怖を覚える。
自然と、亜子は後ずさっていた。
「村上……さん?」
「やっぱダメだ、このクラス……こんなクラス、無くなっちゃったほうが良いかもね。
ちづ姉やいいんちょを殺して、あまつさえ自分は生き残ろうなんて思ってる奴のいるクラスなんか……」
夏実の言ってることがわからない。彼女は何を言っている?
自分が、那波千鶴(出席番号21番)や雪広あやか(出席番号29番)を殺したと?
「ちょ、ちょお待って、一体何を言っとるん?」
「うるさいよ、お前。」
およそ夏実の言葉とは思えない言葉を吐いた後、右手に会ったショットガンが持ち上がる。
ガシャン、と音がなったと同時に、引き金が引かれる。
爆音が、響いた。それと同時に、亜子が後方へ吹き飛んだ。
「え?」
状況が理解できないまま、地面に倒れる。
次第に腹部から痛みが広がってくる。吐き気がする。
その激痛の中で、亜子は全てを理解した。
「(村上さん……狂ってもうとったんや……)」
至近距離で撃たれて、初めて気づく。だがもう遅い。
傷口を見る。腹部が半分えぐれて、そこからとめどなく血が流れ出ている。
素人目にも解る、致命傷だった。
「(結局……ウチ、約束、守れんかった……)」
死の間際に亜子が思うは、ただそれだけ。
親友との約束。それを果たすどころか、何も出来ないままに死んでいくことに対する悔しさ。
亜子の目に、青い空が映る。流れる雲を見ながら、命が消えていくのを待とうと思っていた。
「(やっぱ、ウチには……何も出来んかったなぁ……)」
(そんなこと、無いよ。)
声が、聞こえた。視線を、声のしたほうへ向ける。
(亜子は良く頑張ったよ。)
そこに立っていたのは、明石裕奈(出席番号2番)。
「ゆー……な…」
自分の目を疑う。当然だ、死んだはずだと思っていた。
良く見ると、他にも誰か立っている。
(うん……頑張った。)
「アキラ……」
大河内アキラ(出席番号6番)がいつもの笑顔で亜子を見ていた。
(ほんと。私たちの気持ち、ちゃんと伝えてくれた。)
(頑張ったよ、亜子ちゃん〜)
(本当に、ありがとう。)
柿崎美砂(出席番号7番)、釘宮円(出席番号11番)、椎名桜子(出席番号17番)もそこに居た。
「みんな……」
そこにはみんながいた。意志を継ぎたかった人たち。ともに生きようと思った人たち。
みんなが、亜子を囲んでいた。
(お疲れ様……)
佐々木まき絵(出席番号16番)の手が伸ばされる。
亜子はその手を受け取った。もう動かないはずなのに。
視界が、光に包まれた。とても温かい。
亜子の命が、終わりを告げた。
倒れている亜子の死体を、夏実はひどく冷めた目で見下ろしていた。
「生き残るなんて許さない。みんな壊すの。2人を殺した罪を償わせて。」
これは、復讐なんだよ。
最後にそうつぶやいて、亜子に背を向ける。
「いやああああああああああ!!!」
振り向いた先で、1人のクラスメイトが悲鳴をあげた。
近衛木乃香(出席番号13番)だった。
和泉亜子、死亡。 残り7人
36.全てを壊すもの
神楽坂明日菜(出席番号8番)、近衛木乃香(出席番号13番)、
桜咲刹那(出席番号15番)の3人が移動をはじめてしばらくたった時。
近くで、何かすさまじい爆音が響いた。
「刹那さん……」
「そんなに遠くありませんね……」
すかさず身構える刹那に、明日菜も周囲を警戒する。
「……あかん、嫌な予感がする…」
木乃香はひとしきり周りを見渡すと、ある一点を凝視する。
「こっちや!」
そう言うと突然走り出した。
「このか!!」
「お嬢様、危険です!」
2人の制止も聞かず、木乃香は音のしたほうへと走っていく。
止む終えず、2人も木乃香の後に続いた。
「いやあああああああああ!!」
そこで木乃香が見たのは、血まみれの和泉亜子(出席番号5番)の死体を見下ろす、村上夏実(出席番号28番)の姿。
夏実の体にはおそらく亜子のものであろう血が付着していた。彼女がやったということは容易に想像がつく。
ゆっくりと、夏実が振り向いた。その視線は木乃香をとらえる。
見ているだけで寒気のするような眼光。木乃香の体に戦慄が走った。
「壊す……全部…壊すの……」
夏実のショットガンが、木乃香に向けられる。
避けなくてはならないのだが、今の木乃香はまさしく蛇に睨まれた蛙。
その場から一歩も動けない。
「(あぁ、死んでまう……)」
ショットガンの引き金が引かれた。
ガフォン!
「お嬢様!!」
後からやってきた刹那が木乃香を抱え横にとんだ。もと木乃香が居たところに弾丸の塊が飛んでいき、後ろの木を吹き飛ばした。
「大丈夫ですか!?」
慌てて木乃香が無事か確認する。どうやら怪我は無いらしい。
それを見て一安心する。
「刹那さん!このか!!」
遅れて明日菜がやってくる。それを見て夏実は標的を明日菜に変更する。
「明日菜さん!危ない!」
「へっ?」
ショットガンの引き金が、今まさに引かれようとしている。
「クッ……!」
刹那はとっさに足元に落ちていた石を拾い上げ、夏実に向けて投げつける。
石は一直線に飛んでいき、夏実の頭部に直撃した。
ドバン!
発射された弾丸はすべて夏実の足元に直撃し、土煙が舞った。
「明日菜さん!こっちですっ!」
刹那が木乃香の手をとって呼ぶ。明日菜もそれに続いた。
「逃げますよ!走って!」
そう言うと3人は一斉に走り出した。
土煙が収まる。夏実は3人が走っていったほうを見る。まだ視認できる距離。
「逃がさない……絶対に…」
刹那の投げた石が直撃し、額から血を流しながら、夏実は3人を追って走り出した。
37.断罪
森の中を3つの影が走りぬけ、少し距離をおいて1つの影がそれを追う。
3つの影というのが神楽坂明日菜(出席番号8番)、近衛木乃香(出席番号13番)、桜咲刹那(出席番号15番)である。
そして彼女等を追う1つの影が、いまや狂気の殺人鬼と化した村上夏実(出席番号28番)だった。
明日菜が先行して、刹那が木乃香の手を引いて夏実から逃げている。
しかし、3人と夏実との距離は中々開かない。
「(まずいな……)」
心の中で刹那が舌打ちする。木々の生い茂る森の中では思ったようにスピードが出ない。
特に3人で固まって走っていればなおさらである。
それでも体力は容赦なく奪い取られていく。
「はぁっ、はぁっ……」
木乃香の息が荒くなる。徐々にスピードが落ちていった。
「もう……あかん…」
「お嬢様!」
夏実を撒く前に、木乃香の体力が限界にきた。木にもたれかかり、肩で息をしている。
「2人とも……ウチ置いて…先行って…」
「このか!」
「いけません!!そんなこと!」
ズバァン!
耳をつんざく銃声が鳴り響くと、寄りかかっていた木の皮が削り取られる。
夏実がすぐ近くまで迫っていた。
慌てて刹那は周りを見渡す。どこかに隠れるところは無いか?
すぐそこに大きな岩場があった。
「こっちです!!」
木乃香の手を引くと、すぐに岩場まで走る。明日菜も続いた。
ガァン!
銃声がもう1発響いたと同時に、3人は岩場に転がり込んだ。
刹那が岩陰から外を見る。夏美が近づいてくるのが見えた。
「くそっ……」
うまく物陰に隠れることは出来たが、事態は一向に好転しない。
隣で木乃香が肩で息をしながら呼吸を整えている。
この様子ではもう一度走って逃げることは出来そうに無い。
「(万事休すか……)」
こうなったら、自分が夏実に切りかかるか?
勝てる見込みは無いに等しい。だが刺し違えることぐらいなら出来るかも。
明日菜は最近実力をつけてきてはいるが、それでも実戦経験はほとんど無いに等しい。
ショットガンを持つ人間を相手に戦えるとは思えない。木乃香ではなおさらである。
ここはやはり自分が……
「刹那さん……」
考えをめぐらせている刹那に突然明日菜が声をかける。
明日菜の手にはナイフが握られていた。
「私が飛び出して囮になる。それで夏美をひきつけるから…
あとは刹那さん、お願い。」
「明日菜さん……」
明日菜の表情は、覚悟を決めた人のそれだった。
「そんな、無茶です!」
賛成できるはずが無い。ショットガンをもった人間相手に囮をするなんて。
いくら明日菜の身体能力が高くても、それは無謀でしかない。
死にに行くようなものである。
「大丈夫……何とかしてみせるわ。それにこのままじゃどっちにしろ夏美ちゃんに殺されちゃうわ。
それだったら出来る限りのことはしたい。」
「それなら、私が1人で切りかかります!」
「せっちゃん……」
刹那のその答えに、木乃香が悲しそうな表情をみせた。だが刹那はかまわず続ける。
「刺し違えてでも夏美さんは私が止めます!だからお2人はここに隠れていてください!」
「……いくら刹那さんが強くても、ショットガンを相手に1人で立ち向かったって勝てっこないわ。
「アスナ……」
「大丈夫だよ、このか。すぐに終わるから…」
そう言って木乃香の肩に手を乗せる。
そしてすぐに岩陰から夏美を見据える。
「それじゃ、後頼むわよ、刹那さん!」
明日菜は岩陰から飛び出し、夏美と距離をとりながら走りだす。
夏美は明日菜に向けてショットガンを撃った。
弾丸は明日菜のわずか後ろの土を巻き上げる。直撃はしなかった。
完全に夏美の注意が明日菜にそれたところで、刹那が音も無く岩陰から夏美に向かって走り出す。
そして一気にその距離をつめにかかる。
ガァン!
もう一発、ショットガンの銃声。それとともに、遠くを走っていた明日菜が倒れる。足から血を流していた。
夏美は間髪いれず、もう一度ショットガンの引き金を引いた。弾丸の雨が、明日菜に襲い掛かる。
「アスナぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「はぁぁぁぁあ!!」
木乃香の悲鳴と、刹那の叫び声は、ほぼ同時だった。
ドン!
刹那は夏美の背中に刀を突き立てる。刀身は夏美の体を貫通した。
「ガ……かは……」
夏美が驚きの表情でこちらを向く。刹那と目が合った。
ショットガンが、夏実の手から滑り落ちる。
「(痛い……気持ち悪い……怖い……)」
背中に刀を突き刺された夏美は、すさまじい激痛にさいなまれていた。
声がうまく出ない。意識が遠くなっていく。
「(痛いよ…ちづ姉……怖いよ、いいんちょ……)」
自分の死が押し迫る中、死んでいった親友2人を思い出す。
「(2人も…こんな気持ちだったのかな……こんなに、痛くて、怖い思いをしてたのかな……)」
そんな考えが、頭をよぎる。
「(和泉さんも……)」
ついさっき自分があやめた和泉亜子(出席番号5番)を思い出す。不意に、目から涙がこぼれた。
「(何やってんだろう……私……)」
親友を殺されたことが許せなくて殺しに手を染めた。
それが正しいと思った。これは復讐だと。罪ではないと。
そう言ってクラスメイトを殺した。復讐と称して、無関係な友人を手にかけた。
気づけば、自分もまた、親友2人を殺した殺人鬼とまったく同じことをしていた。
こんなこと、あの2人が望むわけが無かった。
「(バカ……だったんだなぁ………)」
雪広あやか(出席番号29番)が言った言葉。
(このプログラムを終わらせるのですわ!)
(クラスメイトで殺しあうなんてふざけてますわ、どうしても止めなくてはいけません!)
それを、自分は放棄した。悲しみに、怒りに身を任せ、このプログラムに乗った。
「(いいんちょ……ごめんね…私も今から行くから…そっち行って…ちゃんと謝るから……)」
夏実の体から刀が引き抜かれる。支えを失った夏美は、その場に崩れ落ちた。
「(そしたら、2人は……私を許して……くれる?)」
倒れたところを中心に、血だまりの円が形成される。その中で、村上夏美は息を引き取った。
村上夏美 死亡。 残り6人
38.別離
血だまりの中で息を引き取った村上夏美(出席番号28番)を見下ろしながら、
桜咲刹那(出席番号15番)は今、自分のやったことを思い出していた。
とうとう自分は、クラスメイトをこの手にかけた。
自分の手を、改めて眺めた。人を殺めた、自分の手を。
覚悟はしていたつもりだった。
この孤島につれて来られ、人殺しを強要される状況に陥ったとき。
近衛木乃香(出席番号13番)を守ると決めたとき。
いつかはこんなときが来るだろうとは思っていた。
そしてその時が、今まさにやってきたのだ。
そう、覚悟はしていた、つもりだった。
刹那の中の罪悪感が大きくなっていく。彼女の精神が侵食されていく。
「(押しつぶされちゃダメだ、刹那!)」
自分で自分に活を入れる。今はまだ、守らなきゃいけない人がいる。
「アスナぁぁぁぁぁぁ!!!イヤああああ!!!」
木乃香の叫び声が、刹那の精神を現実に引き戻した。
声のしたほうへと駆け寄っていく。
「明日菜さん……」
刹那はそこの光景に、言葉をなくした。
そこにあったのは、血まみれの親友にすがって泣く、木乃香の姿。
神楽坂明日菜(出席番号8番)の体には複数の銃弾による傷。
最後に夏実が放った弾丸をもろに受けてしまったのだろう。
その傷は、もはやどうしようもない状況だった。
「この…か……」
明日菜の手が動く。木乃香の頭を優しく撫でた。
木乃香はうずめていた顔をあげ、明日菜の顔を見る。
「ごめん……私…もう一緒に……居られそうにない……や…」
「そんな、アスナ!!……そうや、ウチの魔法で!」
修学旅行で刹那とネギを治したときのことを思い出した。
必死に明日菜を助けようと、精神を集中させる。
だが、その努力が実ることは無かった。
当然のことだった。この島の中では魔力は完全に封じられている。
仮に魔法が使える状態だったとしても、まだ本格的な魔法の修行も満足にしていない木乃香に、
重傷の明日菜を治すほどの力を出すことは難しい。
傍らで見守る刹那も、それを十分に理解していた。
けれど、木乃香が努力をするのを止めようとは思わなかった。
というより、止めることが出来なかった。
「……なんで……なんでやの!何で出来へんの!あのときみたいに!」
涙を流しながら、叫ぶ。無力な自分が、腹立たしかった。
「このか……」
明日菜が口を開く。
「このかは……生き延びてね……何があっても……」
「アスナぁ!嫌や、死なんといて!!」
「約束……だから……」
明日菜は次に刹那を見た。
「刹那さん……後……よろしく……。
このかを……お願い……。」
「……ハイ。」
短く、それだけ答える。これ以上しゃべると多分、堪えられない。
明日菜はその返事を聞いて微笑んだあと、ゆっくりと目をつむった。
「アスナァァァァァァァ!!」
明日菜の体から体温がなくなっていく。それは命の終わりを告げていた。
木乃香はその場で泣き崩れ、刹那は握りこぶしに力をこめて、湧き上がってくる感情を押しとどめていた。
静寂な森の、凄惨な光景の中。
聞こえてくるのは、1人の少女の悲痛な泣き声のみだった。
「アスナ……アスナァ…」
いまだ木乃香は明日菜の死体にすがり付いて泣いている。
刹那もしばらくはそれを黙って見ていた。親友を失った彼女の気持ちが、痛いほどわかったから。
だがこれ以上はここにとどまるのは危険だった。残酷ではあるかもしれないが、移動しなくてはならない。
刹那は軽く深呼吸すると木乃香に話し掛けた。
「お嬢様……行きましょう。」
木乃香は動こうとしない。
「先ほどの銃声を聞いて、ここに誰かが来るかもしれません。このままだと危険です、移動しましょう。」
「……」
「ここにいては危険なんです!お嬢様!」
少し声を荒げて言ってしまう。自分でも動揺しているのが解る。
それが木乃香の逆鱗に触れた。
「……せっちゃん、ホンマにそう思っとるん?」
「…お嬢様?」
「ホンマに、そんなことしか思ってないん!?」
木乃香は立ち上がって刹那と向き合う。その目にはまだ涙が溢れている。
「アスナが死んでもうたんよ!?もう、目をあけることも無い!笑ってもくれん!なのになんでそんな冷静なん!?
せっちゃんにとっても、アスナはいい友達だったんちゃうん?!なのに……そんなことしか思わへんの!?」
「お嬢様……」
初めてみる気がする、声を荒げて怒る木乃香の姿。
「ネギ君が死んだって知ったときもそうやった!涙1つ流さんと、移動することばっかり言ったり!いつからそんなに冷たい人になったん!?」
「……」
「もう、みんな一体どうしてもうたん!?せっちゃんも、村上さんも、長谷川さんも!!何でみんなそんな冷徹なん!?何で平気で殺し合いやするんよ!!」
木乃香は自分の中に湧き上がる思いを、感情に任せて吐き散らした。
それを聞いた刹那も、確信を突かれてしまっただけに押し黙ってしまう。
この島にきて、自分は変わった。気づかないように、認めないようにしていた事実。クラスメイトを手にかけ、
今こうして大事な友達の死に直面しても涙一つ流さないでいる。木乃香を守ることしか考えれなくなっている。
それを今この場で、大切なお嬢様の前で突きつけられた。
……言い返せるはずが無かった。ただ、木乃香に叩きつけられる罵声を浴びることしか出来なかった。
「もう嫌や!もう……みんな大っ嫌い!!」
木乃香は刹那を置いて1人で走り出してしまう。
「お嬢様!」
パン!
すぐに木乃香を追いかけようとしたが、突然の銃声によって立ち止まった。
背後に、誰かいる!
「ああああさ桜咲ぃぃ!!あんた今村上さん、殺したよねぇぇ!?ねぇ!?
見てたんだから人殺しはみんな殺してあげないとダメなのよこれは天罰天罰天罰ぅぅぅぅ!!!」
刹那が後ろを振り向くと、自分に拳銃を向けている春日美空(出席番号9番)が立っていた。
「春日さん……」
「死ねえええ!!!」
パン!パン!
銃弾が2発、刹那めがけて飛んでくる。刹那はそれを日本刀でなんなく弾き落とす。
「クッ……」
刹那は苦い顔をしながら美空との距離を詰める。あっという間に刀の間合いまで詰め寄った。
さっきの木乃香の声が頭に響いた。
「(また、人殺しをする……か。)」
するりと、美空の横をすり抜けた。
そしてすれ違いざまに、美空の首を刀で切り裂く。
「あ…が…グゲ……」
刀は確実に首にあった頚動脈を切断した。
傷口から血のシャワーが噴き出す。美空はその場で首を押さえてのた打ち回る。
だがそんなことで血がとまるわけもなかった。しばらくもがいた後、白目をむいて美空は死んだ。
顔は青ざめていて、大量の血が付着している。目は白目のまま見開かれていた。
その陰惨なクラスメイトの骸に、思わず刹那も目をそむけた。
そして、木乃香が去っていった方向を見る。
すでにそこに彼女の姿は無かった。
「(お嬢様……)」
すぐに刹那はデイパックを抱えると、木乃香の後を追った。
神楽坂明日菜、春日美空 死亡。 残り4人
きょうはここまでです。
また明日お会いしましょう。
うわ、切な!!!!!!!!!!!!GJ!
今までのバトロワは本部に攻めたりしたのがほとんどだったけど
今回ばかりはそうもいかないっぽいから全滅オチなのかな…? とにかくGGGGGGJJJJJJJ!
GJ!
ラストがどうなるか楽しみだよw
GJ!!!!
お…そろそろ、950になるよ
誰が踏むんだろう…
また、彗星が出てきたりして
次スレか。
おし、立ててくる
埋める?まだ投下する?
こういう時こそ短発ネタを!
「このか悪いけど死んでもらうわよ」
「そうや、うちがこのかやけど殺さんといて」
「でも死んでくれないとあたし困るな」
「うっひゃー、まいったなぁうち死にとうないよ」
「そうなんだ、あはは」
「あはは」
956 :
彗星:2005/12/30(金) 07:17:55 ID:???
やっと次スレか
彗星キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!!
生き残ってるのは
このか
せつな
まや
ちさめ
だね。
どうなるんだろね。
クライマックス希望。
刹那「くらえ!! 龍宮!」
龍宮「こいっ」
刹那「うおおおおおお」
ぐちゅっぐちゅっ
龍宮「ああああああああああああああ」
刹那「……またイッたのか…」
龍宮「だって… 気持ちよかったから…」
刹那「しかし失神するとはな そんなによかったのか?」
龍宮「今後は刹那にやってやるよ」 刹那「えっ…ちょ…」
ぴちゃぴちゃ
龍宮「どうだ 気持ちいいか?」 刹那「あん…はぁ… 龍宮ぁ……」
龍宮「ふふっ 可愛いやつだ」 刹那「うぁっ ぇううっ ディープキスしてくれぇ…」
龍宮「いいだろう ちゃんと唾まで全部飲むんだぞ」
刹那「んふっ… んっ」 龍宮「ふぅっ んんっ」
刹那「!!! ぐあっ! ぎゃああああああ」
龍宮「ほぅ もう効いてきたか…」 刹那「貴様ぁ 口の中にっ…毒を…」
龍宮「すまんな お前を殺すにはこうするしかなかったんだ」
刹那「くっ 卑怯者…めっ…………(死)」
龍宮「こうするしかなかったんだ 許してくれ…
だがな さっきお前の手でイカされたのは演技でもなんでもなかったんだぞ
それだけは本当だ 信じでくれ
そして刹那……… いつまでも愛してる」
完
960 :
彗星:2005/12/30(金) 11:36:48 ID:???
ボヘミア〜ン
次スレ移行時は、短髪職人にとっては、まさに楽園だなw
次からは作品次スレに投下したほうが良いんですかね?
それとももう少しこちらに投下したほうが?
>>962 どうせ埋め展開になるっぽいから、次スレの方がいいと思いますぜ。
>>954 あえてロワイ“ヤ”ルなのが仕様っぽくてGJ!
965 :
954:2005/12/30(金) 13:34:57 ID:???
次スレ立てたのも自分だけど、今更「ア」に直すのも不自然かと思ってそのまま「ヤ」にしたw
お、作者さん登場か
wktk
さっき初めて原作よんだ、なかなかカンドーしたよ。
さぁ、短編作者の腕の見せ所だぞ!<埋め
閑散としたスレに救世主が!!
⌒●__●⌒
ヽ|・∀・|ノ クーフェイマン!
|__|
| |
⌒●_●⌒
フ |・∀・|ノ よい
./|__┐
/ 銚子
""""""""""""""
⌒●__●⌒
((ヽ|・∀・|ノ しょっと
|__| ))
| |
銚子
"""""""""""""""""
969に全米が泣いた
971 :
マロン名無しさん:2005/12/30(金) 18:45:57 ID:7so5MvAv
つづきマダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
もう埋めないか?
埋めようぜ、
短編作者も何もかかないようだし
あと26レスつくのが早いか、あと5KB埋まるのが早いか……?
楓と千鶴は誰もいない丘で対峙していた
「やはり戦うしかないでござるか」
「当然よ わたしたちは永遠のライバルだもの」
「ふぅ… 承知した じゃあ本気でいくでござるよ!!!」
「かかってらっしゃい!!!」
楓はさらしを外して千鶴に突撃する それと同時に千鶴もブラジャーを外す
「ていやっ!」 楓の豊満な胸が千鶴に襲いかかった だが千鶴はすぐさま自分の胸で防御した
「甘いわよ… 私の胸を見くびらないほうがいいわ 大きいだけじゃないんだから」
「ふむ お主の胸はその脅威的な弾力性により拙者の攻撃を完全に遮断してしまうのでござるな」
楓は自分を責めていた 忍であろうというのに千鶴を過小評価していたことを
(ただデカいだけ…) その甘い考えがいかに愚かだったか…
「いくわよ ちちばさみ!」
パチーン!!!
軽快な音とともに千鶴の胸は楓の顔うまく挟みこんだ
「ぐむぅ〜 ぐむぅ〜」
「残念ね この技が決まってしまったらもう助からないわ 窒息死するしかないの」
こうして3分後… 楓は息をひきとった 「敵ながら見事だったわ 油断してたら負けてたかもね」
すると千鶴は自分の胸を揉んで母乳をだす そしてそれを楓にかける
「たんとお飲みなさい」
完
母乳って…WWWWWWWWWW
ちちばさみって、テラワロスwwww
ポケモンのワザっぽいwww
すると龍宮は母乳で羅漢銭するのか
981 :
彗星:2005/12/31(土) 01:25:18 ID:???
ボヘミア〜ン
彗星さんが来たみたいなので
埋めますか 埋めませんか
⌒●__●⌒
( ・∀・) ノノノ
/ つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック
'""''"~~
というか、埋めていいんですか?
まとめのひと来たから埋めよ。
γ´ ̄ソζ⌒ヽ ,.'´ `ヽ
l ノリ√ヽヾ)リ| i Lllノリリ)」〉
(d| ゚ -゚ノl ノノノ | l ゚ ヮ゚ノ| ノノノ
/ つ∪___ ザックザック ノ/ つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
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⌒●__●⌒ ,' ノノノ)))〉
( ・ω・) ノノノ くノ(!|‐ヮ‐ノゝ ノノノ
/ つ∪___ ザックザック / つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
(` _γ
'´  ̄ ヽ ,.'´ `ヽ
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'(||" - "リ ノノノ | § ゚ x゚§ ノノノ
/ つ∪___ ザックザック (/ つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
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i (lノ从リ)〉 i Lllノリリ)」〉
|! l.゚」ヮl゚」 ノノノ | l ゚ ヮ゚ノ| ノノノ
ノ/ つ∪___ ザックザック ノ/ つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
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v '´へ`ヽv , '´ `ヽ
ハミ((ノハ))ハ l((リハ从ハ)
从i| ゚ ヮ゚ノjj ノノノ 从(l ゚ ヮ゚从 ノノノ
/ つ∪___ ザックザック / つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
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//,/((ノ ))))〉 ハミ((ノハ))ハ
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! l〈ノノリノハ l((リハ从ハ)
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`し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック