ネギま萌え統82 悔恨と安らぎの檻にて

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544残酷なネギまのテーゼ
ネギまキャラ萌え統一スレのみなさん、お久しぶりです!
前スレで書いた裕奈小説「残酷なネギまのテーゼ」覚えていてくれました?

なんだか。ずいぶん投下が遅くなってしまいました。
楽しみに待っていて下さった方、スミマセン!
今夜は、続きを書かせていただきに、やってきたんですよ!!
545残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:10:17 ID:LSBnb8Z0
一応前の話は、前スレの>>82>>108にありますが。
前スレが見れない方の為に、一応復習を。

ネギ先生のクラスの明石裕奈嬢は、スポーツが得意な元気娘。
月に一回は、寮から離れて、実家に里帰りします。
その間は大好きなパパとまるで恋人のような二人暮し/////

とは行っても、お父さんが麻帆良大学で教授をやっているので、
実は裕奈の家は、割と麻帆良学園の近くにあるんですね、これが。


前回のお話は、
裕奈とパパの朝食。
土曜日なので、午後のデートに誘う教授に、快諾する裕奈。
しかし裕奈はなんとパパに「フィアンセ」を紹介するつもりらしい。
それを聞いて急にソワソワし出す明石教授。

というお話でした。
今日はその続きからです。
546残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:14:25 ID:LSBnb8Z0
ところ代わって、ここは麻帆良学園沿いの車道。
まだ昼下がりだというのに、道の両脇には、
下校する生徒の集団が鈴なりになっている。
それもこれも、土曜日だからだ。
ある者はカラオケに、ある者は書店に、
ある者は渋谷方面に、ある者はデートにと、
生徒達は思い思いの方向に、散らばっていく。

そんな車道を飛び切りの勢いで颯爽とかける赤いポルシェ。
EAST AND YURIの軽快なラップミュージックを流しつつ、
公道を駆け抜けるポルシェを運転するのは、他でもないタカミチだった。
547残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:15:53 ID:LSBnb8Z0
「きゃー、タカミチ先生、かっこいいー」

 両脇から溢れる黄色い声を尻目に、タカミチは投げキッスを返しつつ、
目的地へと急ぐ。

 傍らにはちぢこまっているネギの姿が・・・。

「いやぁいい天気だねぇ、ネギ君。そういや今日は3−Aで英語の小テストがあったそうだね。
 どうだった、みんなのデキは。」

思わぬ質問に、ネギは一瞬たじろぐ。

「え・・・その、別に、まだ採点してないけど・・・パッとみた感じ結構みんな
 点数良さそうだったよ。」
「そうか、そりゃあ良かった。これも、ネギ君の頑張りの成果かな?ハハハ、
 ところで、アスナ君はどうだった?」
「アスナさんは・・・その、まだ採点してないんで、こういうこと言っちゃ
 いけないのかもしれないけど、白紙に近い状態だった・・・。」
「ハハハハハ、アスナ君は相変わらずだな」

タカミチはプッと吹き出しつつ、ギアをトップに入れた。
548残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:17:16 ID:LSBnb8Z0
「あの、タカミチ。いまのこと、アスナさんには言わないで」
「ハッハッハッ、今頃何を言っているんだいネギ君。僕が口が固いってのは、
 君も良く知ってるじゃないか。ハハハ、どうしたんだネギ君、今日は変だぞ?」
「え・・・そ、そういやそうだね。ごめん、タカミチ。」
「やっぱり、緊張しているんだな、明石教授との会食」
「・・・・・・。そうかも」

そう、実は今日これから、
ネギは生徒番号2番の明石裕奈と、その父親の明石教授と、
三者面談に望むハラつもりなのである。
しかも、ただの三者面談ではない、裕奈とネギが婚約するという、
そういう意味での面談だった。

「はぁ・・・。」

沈鬱な様子でネギがため息をつく。
549残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:18:45 ID:LSBnb8Z0
タカミチが笑いかける。

「やっぱり早かったのかな、僕。10才で婚約なんて・・・。
「そんなことないさ、僕だってしずな君と中学の卒業式で婚約を済ませている。
 まぁその後、15年もたっていまだに籍を入れてない優柔不断な朴達だけどな」
「タカミチ・・・」
「心配したってしかたないさ、なるようにしかならないし、
 それに、明石教授は気さくな方だと聞いている」

そんなタカミチの気休めなど、気休めにもならないことは明白だった。
そして、車は、駅前のオシャレな喫茶店の前の駐車場に入っていく。


駐車場の真ん中で止まる赤いポルシェ。
ネギは助手席から、滑るように飛び降りた。
550残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:20:49 ID:LSBnb8Z0
「どうもありがとう、タカミチ。」
「それじゃあね。気を抜いていけよ」
「電話するから」
「ああ」
「気をつけて」
「じゃーね」

そして、ネギはタカミチに笑顔を返すと、
胸を張って、レストランの入り口にと歩いていく。
ネギが入り口付近まで来た時、突如、後ろの方でクラクションが鳴った。


「!?」
551残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:22:05 ID:LSBnb8Z0
ネギが振り返ると、タカミチがまだいて、
運転席からガッツポーズをしてみせた。

「頑張れよ、ネギ君!!」

「ふふっ・・・タカミチったら」

タカミチのその粋なはからいに、少年は最大限の笑顔を持って、
ピースサインを返した。何だか、肩の荷が降りたみたいだ。

タカミチの車はブォォォンと動き出し、
街の中へと消えていった。さて・・・

これからが本番だ。
552残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:23:00 ID:LSBnb8Z0
ところ変わって、ここは明石邸。
昼下がりの暗い室内。


プルルルル・・・プルルルル・・・

鳴り響く固定電話の着信音が、室内に大きく鳴り響く。
昼下がりとは言え、電気のつけていない邸宅には、
余計大きく聞こえた。
元々広い家なので、着信音自体も大きく設定されていた。

 プルルルル・・・プルルルル・・・

着信音は、無意味に、虚しく、あたりに鳴り渡る。
553残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:23:58 ID:LSBnb8Z0
 その部屋の机の上には、父と娘が二人で撮った写真が写真入れに
入れられて並んでいた。 言うまでもない裕奈の部屋である。

 一枚は去年の冬、二人でスキーに行った時、宿泊したペンションの
談話室での写真。この時はすっかり他の客と打ち解けて、
みんなで集合写真を撮ったりもした。マスターも気さくな人で、
次々と出てくる絶品料理には舌鼓を打ったものである。
関西出身の社長夫妻や、フリーカメラマン、東京のOL、
北海道出身の大学生カップルなど、楽しい人達に囲まれた
あの日の情景がありありと思い出される。
554残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:25:01 ID:LSBnb8Z0
 次の一枚は、今年の春、ゴールデンウィーク時に
二人で行った沖縄の海での写真。日に焼けたガタイの
いい教授の肩に、ビキニ姿の裕奈が
捕まっている。教授は赤面して下を向いている。
同じ観光客の老夫妻に撮ってもらった写真だ。
 晴れた海の白銀の砂浜には、40半ばの大学教授と、
その娘の健康少女のコントラストは実に対照的で艶やかな
コントラストを成していた。

 そういった写真立ての枠には、ことごとくハートマークの
アクセサリーが自己主張していた。そう、この写真は皆、
父の教授ではなく、明石裕奈本人が自室に並べておいたものである。
555残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:26:00 ID:LSBnb8Z0
 プルルルル・・・プルルルル・・・

 当然、その部屋にも、階下から電話のベル音が聞こえる。
そしてその静かな部屋の中に、それは、いた。

 明石教授。彼は人気のない静かな愛娘の部屋で、
ダンディで少しラフな余所行きようのおめかしをした格好で、
鏡の前の椅子に、ただ、座っていた。電話に出ようともせず。

 黙ってピクリとも動かない明石教授。
そして階下からは、相変わらず電話の着信音が、鳴り続けていた・・・。


 プルルルル・・・プルルルル・・・

 プルルルル・・・プルルルル・・・
556残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:27:18 ID:LSBnb8Z0



 落ち着いたバイオリン調のクラシックが流れる店内・・・
明石裕奈は店内の公衆電話を借りて、自宅に電話していた。
しかし20コールしても誰も出なかった為、諦めて戻ってきた。

 席に腰掛ける。
ネギ少年が心配そうな顔で、裕奈の顔を覗き込む。

「あの、裕奈さん。お父様は・・・?」
「出なかった。多分、こっちにもう、向ってると思うんだけどね・・・」
「どうなさったんだろう」
「ホントにごめんねー。きっと、道が混んでると思うんだけどにゃー」
557残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:28:12 ID:LSBnb8Z0
 ネギは口を真一文字にぎゅっと結び、苦虫を噛み潰したような顔を
する。そしてふっと大きく深呼吸をした。

「緊張します・・・裕奈さんのお父様に会うの・・・」
「心配しないでよ。まぁでも、緊張してるネギ君も
 カワイらしいけどね(はぁと」
「あっ、裕奈さん、それヒドイー」
「あはははは、ネギ君。ネギ君はやっぱそっちの方がいい。
 いつもみたいに、あたふたしてる方が」
「もう・・・裕奈さんったら・・・」

 ネギはテーブルの上に並べられた空の食器類に目を落とす。
558残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:29:11 ID:LSBnb8Z0
「あの裕奈さん・・・お父様がいらっしゃる前に一つ聞いて
 おきたかったんだけど、その・・・お父様には、僕に両親がいないこと、
 話しました?」
「え? うん。話したよ、ネギ君がとても素敵なお姉さんに育てられたって
 こともね。それがどうかしたん?」
「で、何ておっしゃってた!?」
「へ・・・・・・? 何で!?(ムクッ」

 裕奈はキョトンとした顔でほっぺに笑窪をつくった。

「だって、親がいない子供って、あんまり日本ではよく思われないことが
 多いんでしょ?」
「心配性なんだからー、ネギ君はぁ。関係ないよ、そんなこと言ったら、
 私だって母親がいないし」
「それとは話が別ですよ、僕の場合、外国人でもあるし。僕・・・その・・・
 何だかとっても、不安です」
「心配しなくていいって、何度も言ってるじゃん。私達の婚約には、
 何の不安もないってばさ!」
559残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:30:08 ID:LSBnb8Z0
 周囲をひときわ明るくする裕奈の笑顔。しかしネギの胸中は
それを見ても、何か晴れやらないツッカエのようなものを感じていた。

「裕奈さん・・・本当にそう断言できる?」
「もちろんだよ」
「でも、会って見ないと・・・」

 裕奈は意味ありげな微笑を浮かべ、ネギの頬に顔を近づけ、
ささやいた。

「パパにね、もし反対するなら自殺する、って言ったんだw」

 そう言って裕奈はニッコリと笑った。




560残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:31:46 ID:LSBnb8Z0



 ところ変わってこちらは暗い昼下がりの室内。
黙っていた明石教授が、突如、立ち上がった。

 そして、卓上にあった、裕奈の化粧品一式を
全部ユカにぶちまけた。

「馬鹿が! ちくしょう! ふざけやがって!
 自殺だぁ? あんな糞ガキの為にかっ!!」

 いきり立った明石教授は、拳を握り締め、鏡を殴りつけた。
鏡にヒビが入り、そして、赤くなった。

 そして男は、床に突っ伏して、泣き崩れた。
561残酷なネギまのテーゼ:2005/11/29(火) 23:33:09 ID:LSBnb8Z0
いかがでしたか、今夜はこれでおしまいです。
次回は裕奈とネギの結婚式編になります。ぼ期待ください。

あと、感想も待ってます。
それと、ここをこすればもっと良くなるとか、そういう、
アドバイスもください!!