125時間目 ちゃちゃちゃチャチャゼロ
サービス男が砲台を白き布で隠した。
見すぎと言わんばかりの不愉快な表情で、
「ちっ、サービスタイムは終わりか」
朝倉和美は舌打ちと共に、デジカメのシャッター連打を止めた。
サービス男が乗っているメカが大きな四足で、ネギたちの前に迫る。
「隊長を倒したはずなのにまだ活動できるなんてどういう事だ?」
ネギは焦っていた。
暗黒軍基地は隊長の力があって、設備が機能し始める。
だからこそ第二十六部隊隊長であるぎひょうを倒したことで、力が供給されなくなりこの基地は事実上の機能停止になる。
だが、目の前にある兵器がその事実を覆していた。
『奴らを片付けろ! 隊長代理』
ネギは覆された事実を矯正させる答えを導き出した。
なぜ、ぎひょうは今日まで自分の腹の中に閉じ込めていたはずなのに、基地は機能し続けたのか。
基地の動力たる核。暗黒の力を発する器。主となるコアを破壊したにも関わらず、平然と機能し続ける基地。
そして三年前の自分でもあっさりと倒した敵(実際は仲間たちとの協力あってこその勝利)が、アーニャ程の強さを持つ隊員を引き連れることが出来たのか。
隊長代理。確実のぎひょう以上、いや足元にも及ばない敵がこの基地を動かしている。
サービス男が股を広げ、再び砲台をセットし、
朝倉和美は興奮しながら、デジカメのシャッターを押し続けた。
>>116の続き
マシンの砲台がネギたちに標準を合わせる。
「下がって、このちゃん」
桜咲刹那が神鳴流剣士として、幼馴染として近衛木乃香を庇う。
『発射!』
砲台からの砲弾が爆風と共に粉々に砕いた。
砲台そのものを。
中で爆発した砲台は先端を失い、もはや砲弾以前に物を放射することすら不可能に見えた。
だが、出入り口としの機能は消失しておらず、
『ケケケケ、砲弾ヲ逆ニシテミタラ面白イナト思ッタガ、予想以上ダッタナ』
砲台跡から一体の人形が顔を出した。
黄緑色の人工髪、小さな耳飾をつけた少女型の人形に、ネギたちは認識があった。
三年A組出席番号二十六番エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの初代従者、チャチャゼロ。
『人形使い』と呼ばれた彼女が魔力で操る、残酷趣味丸出しの人形。
しかし、現在では機動燃料たる魔力が無く、自分では殆ど動けない状態である。
繰り手無きマリオネットがなぜ平気で発射口から顔を出せるのか、平然とマシンの外から抜け出せるのか、堂々とネギたちの前に立てるのか。
そんな彼らが一つだけ手にした答え。
『俺ハ暗黒軍第二十六部隊隊長代理ニナッタゼ』
今のチャチャゼロは、ネギたちの敵であること。
>>117の続き
チャチャゼロがネギたちの宣告をする。
『ケケケケ、オ前タチノ体ヲ見テミロ』
「何や!」
「何も起こってませんよ」
小太郎とネギが自分の体を確認する。
だが、そこには傷も無ければ、呪いの印とかも無い。
ましてや服の千切れすら無い、本来の姿。
『ソウダ全ク持ッテ健康ナ体ダ、親ニ感謝シロヨナ。俺ハソウ言イタカッタンダ』
小太郎は親という言葉に、心の像を杭で深く刺された。
人間と妖狼からの申し子、実の肉親から存在を放棄された捨て子。
生き残るためにありとあらゆる仕事に手を染めた過去、最高の好敵手と巡り会えた現代。
友と一緒に悪魔と戦い、得た勝利。友との誓いを胸に強敵と戦い、打ちつけられた敗北。
もし、親が自分を捨てなかったら。もし、親が自分を愛してくれたなら。
小太郎は拳を握り締め、
「俺は、自分を貫いたる、何があってもや!」
親という存在に拳を向けた。
>>118の続き
ネギは親という言葉に、心の像に衝撃を与え、活動を上げた。
生まれたすぐに自分の下を去った父親。
今までずっと父の幻影を追い続けた日々。
父を求めた欲望のせいだったと自分を責めた雪の夜。
自分を助けてくれた父親からの贈り物。
少しでも追いつくために、必死で猛勉強した学校生活。
夢への第一歩として、足を踏み入れた学園都市。
時には叱り、励ます乱暴者の女子中学生。
世話焼きで、笑顔を絶やさない大和撫子。
強く華麗なる、白き翼を纏う女剣士。
長き時を経て、教えを伝える吸血少女。
真っ直ぐな目で見守ってくれる、本好き図書委員。
密かな気持ちを胸にしまう、自分と同じ背丈の女の子。
そして、自分という存在を認めてくれる教え子たち。
再び巡り会えた父。それは時計の長針が十回、秒針が六百回動いた間だけの幻想。
どんな巨大な力で波しぶきを立ててもいつかは収まる、決して永遠ではない時間。
でも、その姿、言葉、拳、想いは幻想では無かった。そして、永遠だった。
父親がいたから、父が歩いてきた道を必死で追いかけたから。
ネギは手を胸に当て、
「父さん、ありがとう」
親という存在に言葉を送った。
>>119の続き
チャチャゼロがマイクを手に持ち、
『ジャア親トノ絆ヲ改メテ確認シタトコロデ、歌ヲ熱唱シヨウゼ!』
「おう!」
ネギと小太郎もマイクを持つ。
二人と一体の合唱が始まった。
「愛するあなたのこと 守らずにはいられない〜♪」
突如サービス男が、木乃香の前に立ち上がり、
「目覚めた熱い魂真っ直ぐに届けたい――っ!」
歌詞を言いながら、白い布の内にある熱い魂を木乃香に見せる。
「ひゃあ!」
「見上げた空を曇らせるほど 命は今、燃えてる〜♪」
サービス男が、木乃香に向かって大きく飛び上がり、
「楽しむように炎の中飛び込んでいくっ!」
不気味な笑みを浮かべながら、股を広げる。
「ひゃあああ!」
木乃香はサービス男が飛ぶ姿を眺めながら、悲鳴を上げた。
>>120の続き
『心ガイツモ求メ続ケタ ヒトツダケノ真実〜♪』
サービス男は腰を上下にくねらせ、
「振り向く風にその答えを感じている!」
叫びながら腰ともに布を捲りは閉じを繰り返す。
「ひゃあああああ!」
布か吹く風の答えを知った木乃香が叫び続ける。
「力より強い絆 お互いを信じれば〜♪」
二人と一体のコーラスにサービス男のテンションも最高潮に増し、
「暗闇の中に一筋の光が見えるはずだからぁ――!」
「ひゃあああああああ!」
白き布にある暗闇から顔を出す一筋の明かりに、木乃香は漆黒の驚喜を発っした。
>>121の続き
「愛するあなたのこと 誰よりみつめていたい〜♪」
曲も終わりを向かえ、最後の仕上げとしてサービス男は、刹那を見つめながら、
「目覚めた熱い魂――もう二度と――」
助走をつけ、高くジャンプして、
「眠らな――――い――」
刹那の顔に白き布を纏わせ、眠ることの無い熱き魂を刹那に捧げた。
刹那は両手でサービス男の両足を掴み、足に力を入れ高く跳ね上がり、
「神鳴流奥義“浮雲・流水車”」
技を語り、体重を前へと倒し、空気を水に見立た水車のごとく回り続け、サービス男を床に叩きつけた。
床から軽い振動と同時に、鈍い音がした。
無言で立ち上がる刹那、無言で倒れてるサービス男を確認した木乃香が、
「せっちゃん、ナイスファインプレーや〜」
とびっきりの笑顔で、GJポーズをした。
>>122の続き
一方、暴発して機能停止したマシンから男が出てきた。
全身に黒いタイツを着込んだ姿は、漫画にあるのような謎の影だと勘違いするほどだった。
「いててて、くそあの人形め〜ゲホゲホ」
もし、自分が装着しているタイツが爆発に耐えられる魔術タイツでは無かったらと思うと、腹の虫が治まりきれなかった。
タイツ越しから見る男の視界にはその場を動かない白い布の男、歌い終わったかのような爽快感に浸る基地の器と赤髪の少年、剣士に抱きつく少女。
そして、呆れながらアルバムを整理するツインテールの女だった。
男はふと、彼女もアルバムに興味を持った。誰の写真が写っているのだろう。
慎重に女の背後に回りこみ、女が持っている写真を覗き込むと、
三十代近い男の写真が写っていた。標準的な眼鏡に、細かく生えた髭の男。
女は笑顔でその写真を見つめる。
次に視線をアルバムに移す、
「なっ……」
思わず声を上げてしまった。
アルバムに入ってる写真すべてが同じ人間だった。
三十代近い男の写真、写真、写真。
自分の写真ならまだわかる。だが、女とは性別も年齢も容姿、容貌全てが別物で同一人物。しかも一枚一枚が違う場所、違う姿である事が不気味さを増していた。
「ん? あんた誰?」
声に気づいた女の左右色違いの双眸が、黒い姿を照らした。
>>123の続き
「あんた、高畑先生のブロマイドコレクションに興味あるの?」
女が立ち上がり、男の顔に近づける。
「あるの? ないの? どっちなの?」
動物を威嚇する顔に男の心拍数が不安としての上昇を始める。
「はい、あります……」
男はとりあえず、そう答えた。
一瞬の間、
女の不機嫌な顔から一変、
「じゃあ、この神楽坂明日菜様が集めたブロマイドコレクションを解説してあげるわ」
笑顔へと変わった明日菜が、機嫌よく写真の一枚を取り出した。
「まず、これが高畑先生のブロマイドNo.6、私がここに来たころの若かりしころの先生よ、昔も今も素適よね〜」
「は、はあ」
「次にこれがNo.31 ただ立っているだけのいたって地味な写真だけど、地味には地味なりの……」
饒舌で延々とした説明が続くなか、男は一枚の写真に気づいた。
それは観客席をバックに水の上に立つ姿。
男はアルバムからその写真を取り出し、明日菜に見せる。
「ああ、これ? これは最近手に入れたNo.89、まほら武道会でネギと戦っている最中の写真ね。いやーこの時の高畑先生ってすごく強かったなー」
明日菜の説明に耳など入らなかった。水の上に平然と立っているこの男は只者ではない。
自分たちはやはり敵の巣穴へと左遷されたのど、改めて屈辱をかみ締めていると、
横からの手がその写真を引ったくり、
「ふざけんなや――!」
手で写真破る音がした。
>>124の続き
「あーっ!」
明日菜が破れた一枚のブロマイドに気づいた。
「小太郎、よくもNo,89を〜」
当然犯人である小太郎へと怒りが向けられる。
だが、次の小太郎の言葉が男に動揺させた。
「ちゃうんや、確かにブロマイド破ったんは俺や、でもそれは全てコイツに脅されて……」
右腕で目を押さえながら、左腕で男を指した。
「あとな、さっきの小太郎アーマーの件もコイツに脅されて……うわーん」
このガキの泣き方は明らかに嘘泣きだ。第一自分はそんな事した覚えは無い。
「嘘だ、コイツが勝手に……」
男は法螺を否定す
「へぇ、アンタがやったの」
るが、明日菜は憤怒の顔で男を見た。
「さっきの返事もそういう作戦だったのね……アデアット」
明日菜は持っていたカードを武器に変える。
それは、自分の背丈を越える大剣。
男はなぜかその剣に恐怖した。自分は魔力を込めた装備をしているのになぜか……。
答えはプレッシャーともう一つあった。
彼女には魔力を無効化する力を持っていた。
もう一つの答えに気づくときには男は剣の舞に体を刻まれた頃だった。
自分の役目を終えた小太郎が、ネギと戦う敵へと向かう。
「さて、あの黒タイツは明日菜に任せて、俺はあのハジケリストと戦うで!」
残忍な暴走人形チャチャゼロの下へ。
次回へ続く?
なんじゃこのチャチャゼロはァァァァアァァl!!!!
こんなのやってられ
ます。
はい、消えたーと言いたいところだが、やってられるんかい。
アゲ
129 :
マロン名無しさん:2005/12/06(火) 14:29:41 ID:H80BJ3ex
ネギま!のバトルはボーボボ並み! 魔法世界用語集
No.9 聖魔法装甲(マギステル・アーマー)【聖魔術・防御呪文】
雷風の鎧よ、我に装着し、力と誇りを。”聖魔法装甲”
雷の精霊と風の精霊たちの間に代々伝わる幻の鎧を装着する聖魔術。
それは波状の厚紙を同じ茶色の厚紙でサンドし、ボディにはみかんと書かれている。
どう見てもダンボールです。本当にありがとうございました――と言いたいが、
風と雷の加護を受けているため、見かけによらず敵のあらゆる攻撃にもビクともしない丈夫な鎧である。
かつてサウザンドマスターも、この鎧を愛用してたらしい。
____ .》
|____|〃
|(l ゚ ラ゚ノ |〃
⊂| ̄ ̄ ̄|つ
|みかん|〃
し' し'
マギステルアーマー装着時のネギ
しまった、上げちゃった。
126時限目 平然たる心の持ち主
「ネギ、そいつはハジケリストやで!」
小太郎が会話対象に忠告する。
ハジケリストという言語対象であるチャチャゼロが、
『ケケケ、俺ノハジケヲ喰ラエ』
自分の“空想法”をネギと小太郎の脳内へ送った。
# # # # #
wwww
_,,'´ ,、 `ヽ
\ヘ从从从从
△从@ヮ@ノ △ 職人手作リ、俺ノAAダゼ!
‖⊂/ 介 ヽ⊃‖
/___ゝ
∪∪
# # # # #
「うぐっ!」
「かはっ!」
送られたイメージの衝撃に、ネギと小太郎が激痛を訴えた。
「はぁはぁ……やるやないけ、戦いはそれでこそ面白ないんや!」
「ふわぁ〜まだ終わらへんの?」
闘争渦巻く彼らの戦いを、木乃香は欠伸をしながら見ている。
小太郎も負けじとチャチャゼロの心に“空想法”を送った。
>>131の続き
# # # # #
そこは家具などがきちんと整理された、一般的な女子中学生の部屋。
犬耳の少年がクッションに腰を下ろし、語る。
「夏美姉ちゃん、正直に言ってくれへんか」
目の前にあるドンブリに向かって。
「俺の事、化け物やと思ってるやろ」
醤油色のスープが少年の顔を映し出す。
「子犬が急に男になったり、変なおっちゃんと互角に戦ったり、夏見姉ちゃんと同じくらいの女子中学生を簡単に空へ飛ばしたり……」
即席の麺が、スープを滲みこませながら漂っている。
「……何か言えや! 夏美姉ちゃ――」
少年は割り箸を分け、麺の上のナルトを掴み、我に返る。
「すまん、暴力や何も解決出来へんよな……」
二本の棒に挟まれたナルトが再びスープの底へと沈んだ。
どう見てもラーメンです。
本当にありがとうございました。
by 犬上小太郎
# # # # #
チャチャゼロの体が、一瞬倒れかける。
『ケケケ、ソウ来ナクッチャ』
しかし、一気に体制を立て直した。
>>132の続き
「次は僕だ!」
ネギは息を吸い込み、頭の中でイメージする。
思い描いた世界、それは筋書きが無く、理屈も、常識も、ロジックも無い非公式の空間。
そのハジケた空想を相手の心に送り、精神的ダメージを体へと変換させる“空想法”。
先生として、また魔法使いとしての概念を捨て、ハジケリストへの一線をネギは踏み出す。
「はっ!」
ネギが放った波動が、会場全体を包み込んだ。
# # # # #
赤髪の少年が前に立ち、深く礼をする。
「以前の戦いで、国光師匠に教わった技の一つに“風の如意棒”という技がありましたが、技名を“風の伸槍”に変更いたします」
息継ぎをして、再び謝罪の言葉を述べる。
「それとぎひょうの戦いで、僕は『セグラス』を使おうとしましたが、『セグラス』と言うネーミングはイマイチ捻りが無かったので、使用しませんでした」
次に名称の訂正をする。
「今度使用する時は『セグラス』を『セラグス』と名称を変更いたします。これからも、皆様にこのスレを楽しんでいただくように誠意を尽くしたいと思います」
最後に蛇足を述べる。
「ちなみに『セラグス』を使用しますと理性が崩壊するのは本当です。さらに小太郎君の行動の様に、味方までも巻き込んでしまいます」
赤髪の少年は再度、四十五の角度で頭を下げた。
# # # # #
「うっ、ぐあああああっ」
刹那は全身で激痛を感じた。
「しまった、刹那さんのツボでしたか!」
ネギは自分の未熟さに戸惑った。
>>133の続き
生徒たちを巻き込まないためには、“空想法”に慣れている者との協力が必要だ。
少しでも、自分の力をカバーする親友が。
「小太郎君、ダブルで行くよ!」
答えは即決していた。
「おう!」
小太郎もその答えに賛成した。
# # # # #
娯楽を求めた人間たちが、数多の工事を伴い作成された遊戯施設を貸切にして、それが行われていた。
子供用のグラブを両手で握り、ネギは視線をワイングラスに集中する。
目標は丘の奥、追い風がネギの背中を押し込むとそれが合図となり
「ネーギーまっ!」
グラブの衝撃に押され、赤きワインが入ったグラスが丘へ向かって弾き飛ぶ。
ワインは横回転の勢いで揺らぎ、かつ一滴も零すことなく、丘を越え、目標地点であるテーブルへと降りをはじめ、テーブルの上へと滑り落ちる。しかし、落下の勢いは赤ワインを二三滴グラスの外へ飛んだ。
テーブルの横に立つ小太郎がそれを確認し、
『二三滴零れました。失格です』
スピーカーで、丘の向こうのネギに失格を伝える。
「やっぱり難しいなー、テーブルマナーゴルフ」
その『テーブルマナーゴルフ』の奥深さに、ネギはため息をついた。
# # # # #
バランスを崩したチャチャゼロは、仰向けに倒れた。
>>134の続き
『ケケケ、ヤッパリ戦闘ハコウデナクチャ』
チャチャゼロは立ち上がる。
だが、先ほどのようにあっさりしてはおらず、木製の足をふら付かせながらの直立だった。
「チャチャゼロさん」
ネギが少女型の人形に問う。
「どうして、あなたは暗黒軍に入ったのですか?」
敵としてではなく、師匠との修行での組み手相手として。
「あなたは悪人であることに誇りを持っていることは知っています」
ネギは彼女の気持ちを知っている。
「ですが、師匠はそれを望んでいるのですか? チャチャゼロさんは師匠の従者ですよね?」
だからこそ問う。彼女と同じ主に仕える自分のクラスの生徒を思いながら、
「チャチャゼロさんも、本当はこんな事をしたく無いんですよね」
自分との戦いを望まなかった、機械仕掛けの生徒を思いながら。
『……』
チャチャゼロは、人形其の物として何も答えない。
「それは、そいつが隊長代理だからだよ」
黒いタイツの男が答えた。
>>135の続き
黒いタイツの男はボロボロだった。タイツも破れ、地肌から血が滲み出し、黒をさらに漆黒に染めていた。
「麻帆良祭で、世界樹から奇妙な魔力が発せられ、そのエネルギーを利用して、暗黒的な器や道具がいるかと思って探知をしてみた」
男は力を振り絞り、チャチャゼロを指差す。
「そしたら、その人形を見つけた」
だが、口だけは、真実を告げ、罵倒を発せられる口だけは簡単に動かすことが出来た。
「そいつは主の魔力供給が無いと、自分から動けないくせに毒舌だけは一人前の木偶の棒だったんだよ」
その事情はネギたちも知っている。だが、最近では主であるエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルが作った魔法空間で動けるし、世界樹の魔力が最高潮の時でも動けることが出来る。
つまり、魔力またはそれに近いエネルギーの供給さえあれば動けることが出来る。
「だから俺たち暗黒軍第二十六部隊はそいつに暗黒の力を与えた。するとどうだ」
男の顔に不気味な笑みが浮かび、
「基地はフルに活動、俺やミカン、二千名の隊員たちが強力な力を得たってもんだ」
勝ち誇るように、高々しく叫んだ。
「つまりそいつは俺たちを栄光へと導くための『マリオネット』なんだよ!」
マリオネット、その名詞にネギたちは凍りついた。
今の彼女は表面は残虐を望んでいるが、見えない悪の糸に操られた人形に過ぎないと。
「ようやく帰ってきたぎひょう隊長も目の前で倒された! もうこの基地は首の皮をその人形で繋いでいるに過ぎない!
男の暴言は会場全体と騒音と化している。
「だから我が隊を持続するためにその人形が必要なんだよ! そう俺たちは親切な部隊だ! くだらない主に縛られて、ロクに動けもしない人形を効率よく使っている――」
その声が、小太郎のアクションによって停止した。
「うるへぇ、黙れぇ!」
気づいたときには男は投げ飛ばされ、壁に叩きつけられていた。
小太郎の思惑で、明日菜の手に掛けられた男は、小太郎の手によりトドメを刺された。
>>136の続き
「コタ君……」
男が叫ぶ間、木乃香は始終を観ていた。
小太郎が黙って男のタイツの首を掴み、投げ飛ばす所を。
「ったく、少しは他人の気持ちを考えろよ」
けっと唾を吐くしぐさをしながら、
「お前の叫び声のおかげで、ディグランが寝付けへんやんけ」
ペットであるモグラの下へと戻った。
「サービス風、サービス風」
サービス男が身に着けている布を仰ぎ、モグラにそよ風を送る。
「いいね、いいね」
朝倉和美もそれに合わせて、デジカメのシャッターを押す。
「ペットの方なんや……」
木乃香はあははと苦笑いをする。
「あいつが私情以外で、あんな事するわけ無いでしょ」
明日菜も当たり前の事だと、木乃香に告げる。
『マッ、頑張レヤ』
チャチャゼロは何事も動じない様に、ネギを励ます。
「ゼロちゃん、強えな〜」
木乃香は、その平然たる心の持ち主に笑みを浮かべた。
次回へ続く?
次回予告
千鶴が呪術で、小太郎を苦しめます。
127時限目 悪友百人出来るかな?
チャチャゼロは退屈な表情を浮かべていた。
『アア〜ツマンネ〜オ前ラ何カ面白イ事ヤレ、ソシタラ暗黒軍脱退ヲ考エテヤル』
退屈なあまり、突然の頼み(命令の方が近いが)にネギが困惑した。
いきなり何かをやれと言われて何をすればいいのか分からない。
「ふーん、じゃあ私の出番ね」
だからこそ彼女の行動が、ネギをさらに困惑させた。
携帯を取り出し、誰かに電話をかける彼女、朝倉和美は数秒にも満たない交渉の末、ありがとの礼を述べて電話を切る。
和美の行動は、ネギにとって安心と不安のジレンマ状態であった。
理由は約三ヶ月前の修学旅行二日目に遡る。
自分の素性が和美にバレたその夜、和美はカモと共にネギの唇を生徒たちに奪うというイベントを企てのだ。(決して肝試しを装ってではなく)
だからこそ唐突にイベント企画を発案し、咄嗟にイベント準備をこなす和美の進行能力は、ネギを板ばさみ的気持ちへと落とす。
そのような事を考えてる間にスタッフが疾風のように現れ、ゲートやテーブルといった物の設置を神速な作業でこなし、作業を終えると突風のごとく去っていった。
「それでは、第一回、『悪友たちの宴』を開催します」
制服から上下がピッタリとした司会者チックの衣装に着替えた和美が元気よく、タイトルだけでも奇妙さを感じるパーティーの開演を伝えた。
>>139の続き
「では、今回の男性ゲストの一人目どうぞ」
和美の呼びかけに合わせ、ゲートのカーテンが横開きをする。
背は木乃香より小さく、横は木乃香の倍以上あるメガネから覗くジト目、そして分厚い唇のオタクらしき男が座っていた。
「ボクの名はみっちゃんと呼んでください。趣味は婦警さんのコスプレです」
自己紹介をするみっちゃんの視線が木乃香の方に向いていることに気づく。
みっちゃんの分厚い顔が赤みを増した。
「……」
『ケケケ、アル意味大物ダナ』
ネギは、木乃香の清らかな心がどれだけ汚れるのかと心配するのに対し、チャチャゼロは笑い声を上げた。
「イキナリですが、男性ゲストが二人目で終わりです。でも大丈夫、最後は戦闘系ですよ〜メギドさんどうぞ〜」
カーテンが開く、ネギがメギドという男を凝視する。
「ライオンみたいな人が出てきた――!」
ネギが思わず叫ぶ程の男は獅子の鬣、獅子の牙、獅子の瞳、しかし体系は人型に近かった。
和美はそんな姿など気にしないのか、平然とメギドという名のライオン男にインタビューする。
「メギドさんの愛読書はゲットバッカーズとサムライディーパーですが、メギドさんから一言」
百獣の王の口が開き、威厳ある声を発する。
「我が名は獄炎のメギド。偽りを滅ぼし、真実を求める者」
「何だか凄い事言ってる――!」
『オオッ、決闘ニ最適ナ相手ジャネーカ』
虚偽無き偉大なる自己紹介に、ネギは再度驚愕する一方、チャチャゼロの機嫌が、絶好調に達した。
「次の女性ゲストは……」
(変な人じゃありませんように、変な人じゃありませんように)
ネギは必死に祈り、和美はその名を呼ぶ。
「麻帆良学園中等部三年A組、那波千鶴さんと村上夏美さんです」
カーテンからネギの生徒である二人の少女が出てきた。
「ほっ、良かった。まともな人で」
『オ前、バカダロ』
ネギの反応に、チャチャゼロはテンションを下げた声で指摘した。
>>140の続き
「それでは、各自自己紹介を終えたところで、互いの親睦を深めるためトークをしましょう」
チャチャゼロを筆頭に、ネギ、明日菜、木乃香、刹那、小太郎、千鶴、夏美、みっちゃん、メギドを十名がそれぞれも相手に話を始める。
「それではBGMは私朝倉和美で、『シンデレラになろうよ』」
「オレンジ色の空を見上げて、揺れてるブランコ私も♪」
みっちゃんが木乃香に近づき、唾を飛ばしながら自分の趣味を語る。
そんな語りを他所に、木乃香は相変わらず刹那にベタベタしている。
「誰も誘えないままで、待ってるだけじゃダメなのよ♪」
千鶴は持ってきたレーズンを小太郎に渡す。
小太郎が千鶴の行為を拒否するのに、夏美は恐れを抱く。
「怖がりな一番星、雲に隠れないで♪」
ネギは明日菜に話を求めるが、何の反応も無く困っている。
その明日菜はと言うと、写真に移りし教師がここに来ることを高畑先生のブロマイドNo,10に想いを込めている。
「輝けるよ、信じてlike a star、光の数だけみんながヒロイン♪」
チャチャゼロは、メギドに対して剣を翳す。
メギドもそれに答え、魔力を開放する。
「そう、Girls, be ambitious、心を脱いだら、夢をみせて、ぜんぶ見せて、シンデレラに――」
『ウルセェ――! 決闘ニ集中出来ネーゾ!』
司会者の歌にチャチャゼロがキレた。
「……ゴメリンコ♪」
和美は反省の態度無き言葉で、謝罪した。
>>141の続き
「互いの親睦を深め合った所で、風船割りゲームをしましょう」
和美は二人ずつペアを組み、片方は風船を持ち相手の風船を割り、もう片方はパートナーの風船を守ったり、相手チームの邪魔をするルールを述べる。
「ペアは異性でも、同性でも構いません。さあさあ早い者勝ちですよ〜」
「せっちゃん、頑張ろな」
「は、はい」
木乃香は何の迷いも無く刹那と組む。
「そんな〜」
「……」
ショックを受けたみっちゃんに同情したのか、メギドがみっちゃんの肩を叩き、みっちゃんもペアに同意する。
「アスナさん」
「ちっ、しょうがないわね〜」
明日菜は舌打ちしながら、タロット風に逆位置で持っていた高畑先生のブロマイドNo,10をポケットに入れた。
No.10『運命の輪』の逆位置の意味も知らすに。
「小太郎く〜ん」
千鶴は笑顔で、ペアを組もうと小太郎に寄るが、
「組もうか、夏美姉ちゃん」
小太郎が真っ先に自分ではない同居人と組むのを見ると、
「……あら? 私たち余ったわね」
一体の人形を見つけて、
『アア、別ニ誰デモイイゼ』
「わかったわ」
チャチャゼロとペアを組んだ。
表面上は笑顔のままで。
>>142の続き
チャチャゼロは風船を持ち、千鶴はサポートに廻る。
「それでは、ゲームスタート」
和美が試合開始を宣言して5秒。
「さあ、風船を割らせてもらおうかぁ!」
小太郎が長ネギをを持ち、チャチャゼロに飛び掛る。
『ヘッ、ヤレルモノナラヤッテミロ!』
チャチャゼロもその無謀な挑戦者に刃を向ける。
「レーズン!」
「かはっ」
小太郎がダメージを受ける、
千鶴のパンチで。
「はあっ!」
不意の攻撃に、小太郎は足を支えにして、なんとか持ちこたえる。
「へっ、今のは効いたぜ。だがこれが一つの戦いや、いくら千鶴姉ちゃん言う手も手加減はせんで」
余裕の笑みを浮かべる小太郎に、千鶴は笑顔を絶やす事無く告げる。
「あらあら? 小太郎君は自分の置かれた状況に気づいてないようね」
「ん? 何やそれ……」
小太郎は千鶴の言葉の意味を知った。
>>143の続き
「何や、動けへん……!!」
額面通りの言葉だった。小太郎の足がまるで棒のように突っ立ているかのように、一歩も動いていない。
そして、小太郎は気づく。自分の足元にレーズンが散らばっている事に。
さらにレーズン一粒一粒が線となり、陣となって、小太郎の周りを囲んでいた。
「レーズン陣に入ったら最後、あなたのエネルギーはどんどん奪われるわ」
千鶴は笑顔のままに、レーズンを媒体とした呪術の解説をする。
「安心しなさい。最初は苦しいけど、後で楽になるから」
「や、やめてな……ちづ姉……」
小太郎の助けも空しく、千鶴は指を組み、
「もう遅いわ、私を選ばなかった罰よ。レーズン、レーズン、レーズン、レーズン、レーズン」
一つ単語を連呼し始めた。
「あが、あぐ、がああああああぁぁあぁああぁぁぁぁあああ!!!!!」
小太郎はもがき苦しんでいる。決してふらつく事も無く、倒れることもなく、人柱としての叫び。
「あわわわわ、始まった。ちづ姉のお仕置きが……」
夏美は恐怖で腰が抜ける。腰についている風船の揺れが彼女の恐怖を表している。
「レーズン、レーズン、レーズン、レーズン、レズーン、レズーン、レズーン、レズーンのレズーンのためによるレズーンのためのレズーン」
「アッ、アア、アアアア――」
千鶴の興奮が増し、小太郎は甲高い声を最後に気絶した。
『……』
獲物を取られたチャチャゼロは退屈そうに、怯えている無抵抗の少女の風船を割った。
>>144の続き
それからの戦いは要約せざる終えないほどの恐怖であった。
メギドの足元にヒビが入り、獄炎の熔岩流へと落ち、
刹那は嗚咽を吐きながら、背中の羽を蒸しちぎるような仕草を続け、
明日菜は高畑先生のブロマイドNo.6,46,74の三枚が真っ白になるのを見ながらパニックになり、
それら全て、千鶴のレーズン陣へと足を踏み入れた影響であった。
ちなみにチャチャゼロは、ただ三つの風船を割ってゆくだけだった。
「え〜……優勝、千鶴&チャチャゼロペア」
和美は見てはいけないものを見たかのような表情で結果を告げる。
「我が心、レーズンのままに」
千鶴は敗者の手向けの言葉を送る一方、チャチャゼロは大して満足感を得られなかった。
告白タイムにて、みっちゃんが木乃香に婦警服を着てほしいと頼み、刹那が木刀で峰打ちをするなどして、時間はあっという間に過ぎ、
「色々とありましたが、これにて第一回『悪友たちの宴』を終了します」
和美の企画は終幕を迎えた。
『ケッ、全然面白クネーナ、コレナラ暗黒軍ニ入ッテタホウガマダマシダ』
当然の結果としてチャチャゼロは満足していなかった。
「えっ、そんな、じゃあ次は何をすれば……朝倉さん」
ネギはもう手段は選べないと感じ、再度和美に頼む。
「ええっ、じゃあ次はえーと……」
和美は頭を抱えながら、次のイベントの考察を練る。
『アー、オ前ラノクダラネエ遊ビハアキアキダゼ、モット刺激テキナモノヲ頼ムゾ』
「うーん、うーん」
「朝倉さん、さっきのように被害者が出ることだけは勘弁してくださいよ」
ネギも危害を加えることなくチャチャゼロの起源を取るために、和美に釘を刺す。
しかし、
「ああ、もう我慢出来ないわ!」
神楽坂明日菜は既に我慢の限界を達していた。
>>145の続き
明日菜が苛立ちを覚えながらチャチャゼロの前に立つ。
「さっきから、面白いだの、つまらないだの、我侭ばかり言って、あんたなんか誰も相手にされる価値の無い人形よ! あんたはずっとエヴァちゃんにも、茶々丸さんにも、誰からも相手にされなきゃいいのよ!」
彼女の悪癖が始まった。
怒りが頂点に達すると、物事に対し自分の感情に入れながら喋る、雨にも風にも負けない以前に逆らってしまう逆上癖。
それが悪癖だと証明する様に、チャチャゼロの顔が、凶悪的な感情を一層に高める。
『何様ノツモリダテメー、俺ガソンナニ相手サレル価値ノ無イ人形ナノカ?』
「そんなこと言ってないでしょ! 話を聞きなさい!」
明日菜はチャチャゼロの発言を思いっきり否定する。
「言うてたよな」
「はい、確かに」
木乃香と刹那は、明日菜の今までの発言を確認しあう。
「よく聞きなさい、刹那さんは自分自身との生まれつきの運命と立ち向かう事で剣と幸せを両方選ぶことにした」
明日菜の叫びは止まらず、
「エヴァちゃんも、望まない力を手にしながらもそれから逃げずに必死で生きてきた。でもあんたは違う、楽しみを人に押し付けて、自分から楽しみを求めない。思ったことある? エヴァちゃんから魔力の供給無しで、自分から動きたいって」
『サア、ドウダカ? 元々俺ハ御主人ガ作ッタ人形ダシナ。御主人ノ在ルガママニ、動クダケダ』
彼女の返答に、明日菜は少しだけ興奮を抑え、
「そう、だったら、私と一対一で勝負しなさい」
彼女に決闘を申し込んだ。
>>146の続き
「あんたがやっている事が本当に自分自身の幸せのためなのか、じっくりと見させてもらうわ」
『ハッ、サシデ勝負カ? ソレモマタ面白イ』
チャチャゼロが繊維生地から、小刀を二本取り出す。
「アデアット」
明日菜が手にしたカードから光が放たれ、ハリセンへと変わる。
一体の人形と、一人の女子中学生がお互いに構えて、
『ケケケケケケケケ』
「はぁぁぁぁぁぁぁ」
己の剣を振りかざす。
友情パワー
, '´ バ `ヽ ∩∩ |`ゞ'⌒`く! ドフッ
l リハリ))ヾ |,,゚‐゚) 从ノリl从ノリヾ ' .‥ ∵ ・ . ,,'´ ,、 `ヽ
般(l ゚ ラ゚ノ |⊃ ⊃ ,ハノ_リ_゚ o゚リ、 ヽ, \ヘ从从从从
,.'´ `ヽ ,v,.'´ .iヘくv γ´ ̄ソζ⌒ヽ ’,;∴.'∴.`:,;从@Д@ノ !!
i Lllノリリ)」〉 <<)ミ(リ リ))〉 ノリ√ヽヾ)リ| ,;' . ,. ', /⊃ 介 ヽ⊃
| l ゚ ヮ゚ノ| ノj、(l ゚Д゚ノ、 d| ゚ -゚ノl i’,∴;. ‥ /___ゝ
γ´⌒^ヽ γ´⌒^ヽ、 , ' ,ノハヽ !∴' . ∪∪
J ,/´从、 ハ///^llヽ / ノノノ ハリ
ノ从l.゚_-゚从 'ノリ ゚ ー゚ノ ノ )リ ゚ ヮ゚ソ|
八人と一匹の力が、チャチャゼロを跳ね飛ばす。
その反動により、彼女のボディから大量のどす黒いオーラが漏れ出した。
>>147の続き
明日菜は、決闘に敗北し仰向けに倒れるチャチャゼロを見つめる。
暗黒の力を失ったチャチャゼロは、行動不能寸前と化していた。
「孤独は罪よ、一人で勝てるわけ無いでしょ」
明日菜の言葉にチャチャゼロは最後の力を振り絞り、体を軽く起こす。
『ナンダヨ、真祖ノ初代従者ナンダゾ〜ハウハウハウ……』
彼女に合わない言葉を残し、床から倒れこむ音が響いた。
「ちびっこ先生口調やな」
木乃香は慌てず、叫ばず、冷静に、澄ました顔でツッコミを入れた。
唐突に会場が揺れだした。
「ヤバイ、基地が倒壊するッス」
カモに驚きに合わせて、会場を抜け出すネギたち。
当然チャチャゼロを抱えながら。
暗黒軍第二十六部隊基地は、爆発と共に壊滅した。
「基地ってホンマに爆発するんやな〜」
今度はいつもの調子で感心する。
「いや、そうでしょうか?」
刹那はそんな木乃香を指摘した。
>>148の続き
建物の屋根から炎上を続ける会場を眺めながら、近衛詠春とサービス男は語り合う。
「どうやら、私の取り越し苦労でしたね」
詠春はホッとすると同時に、取り残されたような気持ちを抱く。
「だから心配しなくて言っただろう」
白い布からの声の重みを知る詠春は気持ちを切り替える。
「木乃香、父さんはいつでもお前のことを見守っているよ」
もう親の助けは必要ないという、子供の自立への一歩として。
サービス男は補助として、すでに行動していることを詠旬に述べる。
「これ以降は、ネギたちの監視は俺が務める。お前は関西と神鳴流を頼むぞ」
「ええ、全てあなたに任せますよ」
詠春はサービス男に信頼を込めて、自分のすべきことを心を焼き付ける。
直後、詠春の心配の種が別の花壇へと向けられる。神鳴流という花壇に。
「それにしても彼女が心配だ。仕事のためとはいえ、今度は暗黒軍と手を組むなんて……それに、彼が生きていたとは……」
二つの種の後者について、サービス男が呟く。
「まさか暗黒四天王の座に就いているとはな。さっそく基地に乗り込んで調査をしてみるか」
サービス男の足が屋根から離れ、富士山の方角へ向けて飛び立つ。
その姿を、今だに鳴き続ける相坂さよが見ていることにも気づかず。
次回へ続く?
ネギま!魔法劇場 vol.4 雪広あやか相談所
「さあ、少年。何かお悩み事でもありますか」
麻帆良学園都市の片隅に存在する小さな小部屋。
「……」
学生たちが足を運ぶ街路地を眺める事が出来る大きな窓ガラス。
「あら、そんなもったいぶらなてくも」
その窓ガラスは外側から、金髪の女子中学生と黒髪の少年を映し出している。
「……」
腰まで伸びた髪を寄り直し、その相談所の応対者、雪広あやかが立ち上がり、
「うふ、ゲームなんてやってないで、もっと私を見て……」
携帯ゲーム機に自分の世界を閉じ込めている客人、犬上小太郎の肌に救いの手を差し伸べようとする。
「……」
手で手をはたく音。小太郎は無言で、救いの手を払いのけた。
「くすくす、怖い怖い。ますます相談に乗りたくなるわ」
あやかは動じることもなく、今日こそ彼の悩みを知ろうと試みる。
ここは雪広あやか相談所。
一人の女子中学生が、人生という穴へ落ちた年下の少年に、救いの糸を垂らすための空間。
小太郎は暇な時には、ひっそりとゲームが出来る環境であるこの相談所に入り、
その真意に気づかない雪広あやかが小太郎に向かって、既に序文から独り言と化している会話を続ける。
「 ―― 」
近衛木乃香は、そんな光景を窓ガラス越しで何度も見る度に、言葉も出ない気分になる。
良スレ
↓クリスマス前だけど出しておく
ネギま!魔法劇場 vol.5 雪広あやか相談所のクリスマス
空からの白い妖精たちが、街路地を銀世界へと変え、恋人たちが賑わう聖なる雪の夜。
「寒くありませんか? ネギ先生」
雪広あやかは氷の結晶を瞬時に溶解させる程の、情熱を供給していた。
ぬいぐるみに。
「今宵は相談所を休業してのクリスマス。一緒に楽しみましょ」
子供教師を模したぬいぐるみは、無言であやかの腕に圧迫されている。
ウキウキしながら、普段は悩める少年の言葉を聞くために設置した相談所を通り過ぎようしたあやかの足が静止した。
最初は街中のネオンとは違う光が相談所を照らしていたから、次に窓ガラスからゲームをしている少年の姿が見えたから。
あやかはぬいぐるみを持つ両手の内の右手を口に当てた。
(この子は、愛する家族、心からの親友、大切な恋人をそっちのけで私の相談所へ……)
一途な少年の気持ちに、あやかの心が揺れた。それが自分の妄想を崩壊させ、現実へと引き戻すきっかけとなる。
「……ふん、ぬいぐるみのくせに何様、あんたなんかで私の心が癒せませんわ!」
空想の素材を投げ捨て、あやかは本当の情熱を少年に与えるため、相談所の扉を開く。
「ああ、こんなお寒い中、わざわざ来てくださって申し訳ありません。さあ、少年。何かお悩み事でもありますか」
「じゃま」
あやかの粉雪が混じったコートの温もりを、少年はその一言で払いのけた。
その日は赤き人が幸せを送る聖なる一夜。しかし、全ての人々がそれを幸せだと自覚するとは限らない。
ここにもまた、一人の女子中学生から見捨てられたぬいぐるみが、それをせつない雪の重みだと感じていた。
154 :
マロン名無しさん:2005/12/20(火) 11:39:00 ID:z992ZFJd
このスレが立って、約一ヵ月半経過してるのに、未だにスレ保管(以下略)
155 :
マロン名無しさん:2005/12/22(木) 15:52:10 ID:bMDtb7+k
約一ヶ月の充電期間を経て、ボーボボ第二部スタート
僕からしたら非常に長い一ヶ月だった。
156 :
マロン名無しさん:2005/12/25(日) 01:36:32 ID:ek+cTYZE
>>155 第2部は新キャラが増えて初期に戻った感じですね。
気が早いけどガ王の役は誰がやるんだろう?
高音? 愛衣?
158 :
マロン名無しさん:2005/12/26(月) 22:51:55 ID:Umj/IP5o
四葉五月
>>157 ガ王の扱いにつけもの臭を感じたので相坂さよ
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
ネギま!のバトルはボーボボ並み! 魔法世界用語集
No.10 解除の壷【浄化呪文】
魔法の壷よ、壷に入れし者の呪いを解きたまえ。”解除の壷”
ネギが、ぬいぐるみにされてしまった木乃香を元に戻そうと使用した呪文。
対象者を壷(ミキサー)に入れ、呪文を詠唱してスイッチを押す。
数秒間、壷(ミキサー)内部から聖なる風が刃となり、呪いそのものを切り刻んで、浄化する。
そして壷(ミキサー)のフタを開けると、中から煙とともに呪いをかけられる前の姿を現す。
……ハズだったが、当のネギは治癒呪文はあまり得意とは言えず、ただぬいぐるみがボロボロになっただけだった。
『宮崎のどかの印象をボーボボのみんなに聞いてみました!!』
ボーボボ「基本的にはいらない」「のどか?豚の餌に用はねーッ!!」
ビュティ「別にいなくてもいいかもしれないね!」「いてもいいけど、いなくてもいいっていうか。」
ドンパッチ「のどか?誰だっけ、それ?」
田楽「宇宙のゴミになって欲しいのら〜!」「地球上には必要ないのら。」
魚雷「興味ナシ!!!」
ただのアンチのどかだろ?