2 :
マロン名無しさん:2005/10/09(日) 13:41:23 ID:0HjyXbqf
>1
超乙
荒れるのはやだもんね。
>>1 乙。
なんか一番手はプレッシャーがかかるのでしばらく様子見してるヘタレです。
5 :
マロン名無しさん:2005/10/09(日) 13:55:18 ID:0HjyXbqf
さてはカラオケで1曲目には歌えないタイプだな?
気にすんな来てくれ。
4ではないが初灯火
7 :
降臨1/3:2005/10/09(日) 14:18:45 ID:???
「生きているな。おめでとう。」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
その学生服の男は白昼堂々、椎応大学に現れた。
大野加奈子は自分に当たったはずの矢が存在しない事に混乱し、状況を把握できないでいた。
「えーとえーと…貴方は…」
「ああ、すまない…自己紹介が遅れたようだ…。」
「俺の名は虹村形兆。この…『弓と矢』で素晴らしい力を君に与える者だ。」
「あ…あの…その…形兆さんがどうして私に…」
「…君には…これが見えるはずだ…」
そこにはミニチュアの軍隊…そう、人形やジオラマではなく、統制の取れた「軍隊」がいた!
バッド・カンパニー!この傲岸不遜な男・虹村形兆の幽波紋(スタンド)であるッ!
スタンドとは!戦う意思ッ!強い意志をもつ者だけが制御できる強大な力!!
「フフフ…完璧な統制…美しいとは思わないか?」
「あ、あの…だから…」
「エロカワイイコスプレ美女を見たら誰だって『ああ、この娘が本当に魔法とか使えたらな…』とか思うだろう?
で、自分にその手段があるとしたら…やらずには いられまい!誰だってそうする。俺もそうする。」
「そ、それで私を…?」
「ああ。お前は見事俺の『同類』として生き延びたわけだ…」
「…それって…死ぬ事もありえたってことですか?」
「まあ大体は死ぬ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
空気が変わった。大野加奈子を中心に気とも靄ともつかぬ何かが集まって行く。そして…
ネコミミモード!
8 :
降臨2/3:2005/10/09(日) 14:19:35 ID:???
【Neko Mimi MoDe】
大野加奈子のスタンド。ネコミミキャラになり切ることができる。
それは見た目だけではなく内面や能力も兼ね備えた存在として、である。
ネコミミモード ネコミミモードで〜す ネコミミモード ネコミミモード
ネコミミモード ネコミミモードでーす ネコミミモード(うにゃ〜ん うにゃにゃ)
フルフルフルムーン!(キスキスキス…) ひげのおじさま(キスキスキス…)
や・く・そ・く・よ (キスキスキス…) 私のしもべぇ〜(キスキスキス…)
ネコミミモード ネコミミモード ネコミミモード ネコミミモードで〜す
ネコミミモード ネコミミモード ネコミミモード ネコミミモードで〜す
コスプレ…したくなっちゃった…
電波ソングが響き渡る中、大野さんが…変身…しちゃいました…
ヴェクター社の開発した対グノーシス戦闘システムKOS−MOS
に、ネコミミ。
「そ、そんなのアリ!?」
「ファンデイスクでネコミミつけたんですよ。さあ…」
「半殺しと全殺しどっちがいいですか?」
「ギニャー!!」
邪 神 降 臨
「…ふふふ…やはり俺はいつも正しかった!その力を存分に活用するがいい!」
「…やめてください…」
「ははは!さらばだ!」
小さな兵隊たちに運ばれる形兆!まるでベルトコンベアーで牛肉を運ぶようにッ!!
「あうう…」
9 :
降臨3/3:2005/10/09(日) 14:21:32 ID:???
次回予告
大野加奈子最大のライバル登場!!
「何でそんなにホモが好きなんですか?」
「ホモが嫌いな女子なんかいません!!」
荻上のアルター能力と大野加奈子のNeko Mimi MoDeが火花を散らすッッ!!!
「その無意味に育った胸に反逆する!!」「貧乳が何を言うか!!」
もうナニがナニやら。そしてその2人を見つめる怪しい影…
…次回、「そのヒゲの名は田中」絶対見てくれよな!
大野さんをモッコスにしたくてやった。反省はしていない。
>>10 ここ設立の原因になった張本人だが とても面白い。設定は自由奔放だがキャラクターのセリフがキャラから外れていないと思う。
「あうう」がいい。
つーか生きてたんか虹村兄さんw
漏れもまた久しぶりにげんしけん改変ネタでも
考えようかな?
あ、そうそう。
>>1乙。
>>1 乙。
まあ、色々あるけどこれでよかったんだよ。
みんなもっと遠慮なく妄想を叩きつけるんだ!
たぶんみんな創作中なんだよ。
それに書きたいときに書き、見せたいときに見せる。
それがSSクオリティ。
まあ気楽に気楽に。
17見たいな奴に限って自分は書かないのもSSスレのお約束
だがまあ保守ぐらいの役には立つだろう
荻上ハァハァ
22 :
マロン名無しさん:2005/10/09(日) 23:58:49 ID:UxFchbTj
いままでのSSをこちらで保管すると言うのはありかな?
そのSSの職人じゃない人が勝手に張り付けるのもまずいかな。
それは今まで本スレとかで出たSSの中から転載して貼りつけるってこと?
いいんじゃね?SS書きがいない間の保守も兼ねて。
投下中・投下直後に貼るとか空気読めないまねしなければ。
24 :
マロン名無しさん:2005/10/10(月) 00:28:07 ID:POywscfw
ならいいか。
じゃあ、エロビ見て寝ます。
なんだそりゃw
まあ待て、彼は一度寝て気力充実してから作業を始めるということだ。
荻上「創作SSなんて作家の妄想そのまんまのヘンなのばっかじゃないですか。そんなの書いて投稿するなんて信じられませんよ」
大野「創作SSで表現するのはキャラクターそのものです。それはセリフだけでなく内面も含めての事です・・・」
荻上「へ理屈ですよ。内面がセリフに表現されるわけがない。」
大野「表現できるんですよ!!」
大野「去年あれほど見事に『会長』をSSで表現した咲さん!!何とか言ってください!!」
咲 「終了!!後は流せ!!」
荻上「掲示板を私物化してますね。」
大野「あなたもやってみたらいかが?」
咲 「くはー」
こっちにSS書いて、URLを本スレに書けばいいんだよね。
いやURLは必要ないだろう
>>30 まとめサイトに直接収納だと労力がかかりすぎるでしょ?
本スレ・派生スレ全部見て、その中からSSらしきものを探し出して、
サイトに載せるSSかどうか1つ1つ見極めて、
さらにそれを分類したりしてやっとまとめサイト開始、
また全てのスレをチェックしつづけて…とかな?サイト作るのは大体1人だし。
それよりはおのおのが良SSを持ち寄って(もちろんこのスレでのSS創作が最優先だが)
転載する形のほうが効率的ではないか?その形ならまとめサイトも作りやすいだろうし。
そうか
笹荻ラブラブS投下Sまだー?
間違い
笹荻ラブラブSS投下まだー?
むしろ最近の影の薄くなった斑目クンの心情を
36 :
28:2005/10/10(月) 21:36:06 ID:???
>>29 本スレでもそう言われたが、本スレでの会話の流れからSSを作ったって
場合もあるから、URLを貼ってもいいんじゃないかな?と思ったもんで・・・
>>36 こっちにレスしたよ。という意味での誘導でリンクを張るのはありだろう。
作品の紹介でURLを張るのは自己主張激しすぎだと思う。
「おーい。斑目君、早くしろ」
「はいー!」
ある日、俺はお得意様である市庁舎へ出向いていた。
何で俺が営業の手伝いをせにゃならんのだ。まあ、しがない平社員だから仕方ないけどさ。
やがて応接室に案内されると、鼓動がバクバクと早鐘を打ちはじめた。
やべー、緊張でちょっと吐きそう。そんな事を考えていると、不意にコトンとお茶を差し出さ
れた。
「どうぞ。ただいま担当者が来ますので、少々お待ち下さい」
「あ、ありがとうござい……」
俺は礼を言うために彼女に目を向けた。とたん、言葉を失った。
優しい目。通った鼻。その長髪から漂うシャンプーの香り。この雰囲気はまるであの人そっくり
だった。
「どうかしましたか?」
「い、いえ。何でもありません。大丈夫です」
どうやら俺は彼女を見つめてしまっていたらしい。恥ずかしさもあり、俺はうつむいた。
「そうですか? それでは失礼致します」
そう言うと彼女は、格別の微笑みを残し、その場を去っていった。
「というような事があったわけよ」
久々に来た久我山邸で俺達はくつろいでいた。
「ふーん。営業先で会った事務員が春日部さんにそっくりだったと」
お茶をすすりながら田中が口を開いた。
「で、でも。な、何で斑目が営業に行ったんだ?」
ポテチをほおばった久我山が至極当然な疑問を口にした。
「あー、それはな」
「それは?」
「……ぼうやだからさ」
「それ、関係無いっスから!」
俺のボケにツッコんでくれるのは笹原、お前だけだよ。その証拠に、田中達は『それは流せ』と
か言っている。
「ちょっと言ってみたかっただけだって。本当は営業の手伝いだよ。人手足らないんだと。つーか
さ、本題はそっちじゃ無くて。それだけ似てるの、どう思うよ?」
「どうって言われても、なあ?」
「そ、そうだね。世の中には似てる人が七人はいるって、ゆ、ゆうからね」
田中と久我山は興味がなさそうにお菓子をむさぼっている。
「何だよー。もう少し反応してくれよー。初対面で殴られなかったかーとか。オタク嫌いじゃない
のかー。とか」
「殴られたのか?」
「うんにゃ」
「お、オタク嫌いなのか?」
「知らん」
二人の問いに答える俺。答えになっているかどうかは知らんが。
「……さて、久しぶりに『くじアン』でもやるか」
「そ、そうだな」
俺をそっちのけでゲームを始めるとは! 何て薄情な奴らだ。
「あのー。俺、思ったんスけど……」
おー! 笹原。持つべきものは後輩だな。
「もしかして、斑目さん。その人に一目惚れなんですか?」
ギクッ! こやつ、もしかしてニュータイプか? 心読めますか、あなた。
「そ、そんなわけあるまい! ただネタになるかなーって思っただけさ。第一そうだったら俺が春
日部さんの事好きみたいじゃないか!」
……もしかして俺。とてつもない事を口走ったか?
「それもそうですね」
あ、納得してやんの。やはりお前はオールドタイプか。だから、荻上さんともなかなか進展しな
かったんだっつーの。
三人と別れ、自分のアパートで遅い夕食を取っていた。
俺、やっぱあの人の事好きなのかな? いやいや、そんな事あるまい! 一回しか会わなかった
人を好きになるなんて事、あるわけないじゃないか! まあ、あったんだけどさ。
……でも。俺は大切に保管している例の写真を取り出し、それを眺めた。
このままじゃ、針のむしろなんだよな。だったらいっそ……。
俺はスーツに身を包み、市庁舎の前に来ていた。仕事は有給を取っているので問題ない。
手には花束という武器を装備し、戦闘態勢は万全だ。
「よし、行くか!」
小声で気合を入れると、真っすぐに建物内に入っていく。
彼女は……。いた! 俺は目標を視認すると、そこまで最短で向かっていった。
「あの……」
「あれ? あなたは桜管工事工業さんの……」
彼女がこちらに近づいてくる。くぅぅ、心臓が張り裂けそうだ。
「今、担当者をお呼びしますね」
「あ、違うんです! あの、コレを受け取って頂けますか?」
そう言い、俺は花束を彼女に渡した。
「あら、綺麗な花ですね。ありがとうございます。でも、どうして花束を?」
決めのセリフを言おうと台越しに彼女を見据える。ん? あれ? 彼女の左手に何か光るものが
見える。まさか……。
「……あのー。つかぬ事をお伺いしますが、もしかしてご結婚なされてますか?」
「はい。こう見えても一児の母なんですよ、私。えーと、それが何か?」
その言葉を聞いた時、体中の力が抜けていく気がした。
「あ、いえ。綺麗な指輪だと思いまして。あ、あの。その花束は、今後もうちの会社をよろしくお
願いしますという意味です。いやー、たまにはこういう変り種もいいかと思いましてハハハ」
自分でも何を言ってるのかわからないくらい、早口で口からでまかせを紡ぎだす。
「あ、それでは自分は仕事がありますので」
俺は、足早にその場を後にした。
家に戻り、例の写真を取り出して、それを眺める。
やっぱりこの人の方が好きなのかもしれないと、自分に言い聞かせるために。
「……ハハハ。やっぱ俺、どうしても針のむしろから逃れられないのかもな」
はぁ。俺に春が訪れるのはいつになる事やら、出来れば春の名を持つ人がいいな。例えば。
俺は写真を上に掲げた。
「この人とか。……なーんてな」
終わり
>>38-42 むぅ。ちょっといい話だったし途中の笹原たちとの会話も悪くなかったが、
いきなり花束持って相手の仕事場に押しかけってのは斑目らしくないぞ。
そんな度胸も無いが、それ以前にかなり挙動不審な人だ、それ。
ラストへ持っていくのに花束は不要だろうし、もっとさりげなくいって欲しかった。
いいですね。正統派だ。原作に春日部だから春が好きなのかという会話があったような・・・。
季節的に春を思わせるような情景が思い浮かばれます。
>>43 すまん。確かにそうだ。
「俺に足りないのは、さりげなさか」
と、笹原風に言ってみる。
46 :
38-42:2005/10/10(月) 23:51:06 ID:???
>>44 詩人ですねぇ。ありがたく漏れも浮かばれます。
>手には花束という武器
個人的には武装錬金の合言葉ネタを使って欲しかったorz
でもGJ!
48 :
38-42:2005/10/11(火) 00:05:59 ID:???
>>47 す、すまん。漏れの知識が斑目に追いつけなかったのだ。orz
「連邦の斑目は化け物か!」とか言ってみたりする。
いや、初期の外見の事じゃなくてね?
49 :
笹荻パロディ:2005/10/11(火) 20:16:27 ID:???
異端SS。この健全スレにふさわしいか分からないが、某漫画のシーンを借用した笹荻パロディー。
笹原受け、荻上攻めの内容。無理矢理他の漫画のシーンに押し込んだので、キャラクターが脱線したかも・・・。
50 :
笹荻パロディ:2005/10/11(火) 20:17:18 ID:???
編集者になった笹原 荻上のデビュー用一般向けのラブコメのネームの相談
部室にて
笹原「・・・んー、でもこの場面でこれはベタベタすぎて読者が引かない?」
荻上「いえ!読者は王道をこそ求めているじゃないですか!この主人公たちの二人きりの場面はこうなって当たり前という黄金のパターン!出せば必ずキャッチしてくれる!!王道です!!」
笹原「いや、でもこの場面からこんな展開は・・・荻上さんらしくないというか・・・」
荻上「ここはベタな内容をあえて避けるべきじゃないんです!むしろ逃げちゃいけないんです!」
笹原「せっかくの荻上さんのデビュー作だし、なにも最初から読者に迎合した内容じゃ無くても・・・っていうか荻上さん?何で顔が真っ赤なの?これって漫画のネームの・・・えっえっ?」
荻上「でっですから、こう・・・人間の心の奥底で忘れたフリしている欲望とか願望とか、ドロドロたまっているものを・・・ブワーーーッっと開放してあげるのも必要だとおっ思うんです!」
51 :
笹荻パロディ:2005/10/11(火) 20:18:04 ID:???
笹原「あっあのー、ネームの話じゃなくて、荻上さん?えっ?俺たちの・・・」
荻上「だっだからですね!自分の中の本音の部分にフタをしちゃいけなかったんです!それを開けて・・・人間本来持つエネルギッシュなパワーをドバーーーと全開に開放しなきゃダメなんです!!ここは読者を裏切っちゃいけないんです!!」(赤面全開)
笹原「そそそそそのとおりだよ、荻上さん!!読者を裏切っちゃいけないよね!!俺たち編集者と漫画家は!!」(赤面全開)
笹原「荻上さん!!」
荻上「笹原さん!!」
52 :
笹荻パロディ:2005/10/11(火) 20:18:38 ID:???
朽木「クッチーだにょー」(部室に入る)
笹原・荻上「!」(慌てて離れる)
笹原「やっやあ、朽木君・・・こんにちは」
荻上「・・・・(怒)」
朽木「?」
笹原・荻上「(ベタベタだー)」
了
>>50-52 絶対、オギーの声裏返ってるはず。きっと必死だったんだなぁと
思わせる展開ですな。
しかし、何故に部室?
>>50-52 やべぇw 面白いww
顔を真っ赤にして興奮して喋る荻を想像すると可愛すぎw
なんだっけこれ?吼えろペンだっけ?
55 :
笹萩パロディ:2005/10/11(火) 23:07:15 ID:???
>>53 部室を舞台にするのは不自然と思いつつも、やはりクライマックスで邪魔が入ると
いう黄金のベタの役割はやはりクッチー以外にいないと思っただけです・・・。
となれば部室が彼の登場が一番自然な舞台っすしねー。咲の秘密も・・・。
>>54 元ネタはご推察の通りです。
ドモです。
>>50-52 オモロw 暴走する荻上がヤケにはまってたな 絶対有り得ないシチュだけどw GJ
確か7巻だったかな チンプンカンプンだった人はブクオフかどっかで探してみるが吉
やっぱオチはクッチーだな。
無人島の話でしたか。
6巻だっけ?
クッチーには春は来ないのか・・・。
クッチーは妖精王になる男だ
多分クッチーは最終回に、托鉢僧の格好で修行の旅に出ると思う。
いや、深い意味は無いんだが・・・
>>49 キャラ脱線も、しっかりパロになってるのでこれは面白いよ!
絵で想像するとかなり笑えるww
こういうのは本スレでは読みたいとは思わなかったけど、
ここで読むとすげー楽しいなぁ〜
もっとぶっ飛んだ展開のでも結構楽しめそうだ。
>>62 >こういうのは本スレでは読みたいとは思わなかったけど、
>ここで読むとすげー楽しいなぁ〜
俺が書いた訳じゃないが そういう風に言ってくれる人がいるとは
スレが立った甲斐がありましたな
本スレはねー。あれがもっと過疎ってて人も書き込みも少ないんならともかく、
今は考察と感想だけでも結構な量と速さじゃない。
そこにこういう作品的なものを投下されても正直読むのが辛かったんだよね。
増長です。暴走です。「俺は、俺はやっちまったのか・・・」という遊びです。
ごめんなさい。もうしません。流して!ていうかこんな時間だよ・・・。
第一幕 登場人物 笹原 斑目 咲 大野 荻上 舞台 部室
笹原・斑目「ちーす」
咲 「お前ら、遅いぞ。部室の年末大掃除終わっちまったぞ。」
斑目「悪い、悪い。で聞いたんだけど初代会長の遺物見つかったんだって?」
大野「そうなんですよ。咲さんたら『自分か来るまで開けるな』って言って・・・」
咲 「いや、だって盗聴テープとかカメラだったらまずいし・・・」
斑目「はっ?」
咲 「イヤイヤ、こっちの話・・・。ただのガラクタだったし・・・。」
笹原「何だったんですか?結局初代会長も謎の多い人でしたよね。」
咲 「これよ、これ」(机の上の石の破片を指差す)
じゃあ、俺もいっちょ投下するか。
シリアスもので笑いはない。
ああ、笑いなんてないんだスマン。
ギャグ嗜好の人は読まんほうがいいかも。
状況的には夏コミ後、人の少ない現視研にて。
笹原が就職決まる少し前。
今月号における荻がなぜ赤面緊張していたのかの疑問を
自分なりの答えにしてみた内容です。
笹原「何?これ」
咲 「いや、最初は民芸品の石の仮面でインテリアに使えると思って机に置いてたらさー。大野がドジってカッターで指切っちゃって!!血が仮面に飛び散った途端!!針が仮面から飛び出して床に落っこちゃってガチャーンと・・・。んでこれ・・・。」
笹原・斑目「・・・・・・」
斑目「こっこれの他には何も無かったの?」
咲 「ガラクタだって。古い土器みたいな矢じりとか・・・。あと英語で書かれた古いノートとかあったよなー。大野」
大野「ええ。でもブリティッシュイングリッシュで書かれた『天国』とか『カブトムシ』とか『ドロローサ』とか訳の分からない言葉ばかりの雑記帳でしたよ。表紙にはかすれた文字でD・I・・・とか書かれてましたね。」
笹原・斑目「・・・・・・(滝汗)」
笹原「そっそれは今どこに・・・」
咲 「だから捨てたって。矢じりは危ないから平たい箱に入れて、ノートと一緒に、お前らがため込んでたエロアニメ雑誌に挟んで縛って、ポーンと燃えるごみに・・・。って血相変えて我先に何飛び出してってんだ!!おーいキミタチ?」
あ、ごめん。投下中とは気付かなかった。先にやっちゃってください。
第二幕 登場人物 笹原 斑目 咲 大野 荻上 舞台 部室
(ゼエゼエと息を切らして机につっぷす笹原と斑目)
咲 「もう回収されて捨てられてるって言う前に飛び出すから・・・」
笹原「・・・初代会長の冗談ですよね。あの人そういう事しそうだし・・・。」
斑目「いやあの人だけは分からん!!」
咲 「お前ら何ごちゃごちゃ言ってんだ?ってか、荻上―。さっきから何眉間にしわ寄せて考え込んでんだー?」
荻上「いや、あの矢じりなんですけど、昔どこかで見たような気がするんですよね。」
咲 「どうせお前のど田舎村の古墳遺跡の土産かなんかだろ。」
荻上「失礼ですね!これでも東北じゃ大きい町なんですよ。まあ、昔テレビで行方不明者日本一という不名誉な特集組まれたことありましたけど・・・。杜・・」
斑目「わーわー!!そっその先は頼むから言わないで!!」
荻上「あっ!!思い出した!!何で忘れてたんだろ!!」
笹原「それはどんな・・・」
荻上「中学の頃の変な夢なんですけど、弓と矢を持った高校生が私に矢を打ち込むんです。そしてこう言うんです。『おめでとう。君は矢に選ばれた。君の能力は《さからうことの出来ぬ運命》によって出会った者によって目覚めることになるだろう。』その時の矢にそっくり!!」
大野「ホー、ホー。意味深な夢ですねー。その高校生が荻上さんの初恋の人ですか?恋のキューピットの矢みたいですねー。」
荻上「ちッ違います!!何馬鹿な事言ってんですか!!」(赤面)
咲 「ヒューヒュー」
(女性陣がキャッキャと騒ぎ立てる)
笹原「・・・荻上さん・・・。以前、荻上さんの同人誌ちらっと見ちゃったけど・・・やっぱり呪われちゃうのかな・・・。(しゃ射程距離は?無限?)」
荻上(顔を赤らめてプイッと横を向き)「呪われちゃいます!!」
笹原「・・・・(滝汗)」
第一部完 第二部は続くか分からない・・・たぶん続かない。
あら、こちらこそゴメン
…微妙だ。
別にJOJOネタでもいいんだけどせめてオチが欲しかった。
JOJO読んでたけど・・・。意味がよく・・・。
75 :
67:2005/10/13(木) 02:22:32 ID:???
では、そろそろ投下してよろしいかの。
まあ、シリアスものなんで、笑いは求めないで・・・。
コンコン。
荻上は部室に入るときいつもノックをしている。
ガチャ。
「・・・・だれもいないか・・・。」
最近、こんな日が多い。
「仕方がないといえばそうなんだけど、大野先輩もいないのか。
・・・・上野かな?」
そうか、と思い当たる。今日は火曜日。大野は午前のみの授業なのだ。
とりあえず、しんとした部室の中に入って荷物を置く。
狭いはずの部室が、一人だととても広く感じられる。
「・・・・別にいいか。誰かいたからってなにかあるわけじゃないし。」
落書き帳を広げて、いつものように絵を描く。
お気に入りのキャラを納得がいくまで描き込むのが荻上の絵を描くときの楽しみ方だ。
最近のお気に入りは、某ロボットアニメ主役の親友。
笑顔、怒りの顔、悲しみの顔。
横顔、うつむいた顔、振り向いた顔。
「・・・・・。」
黙々と書き続ける。
カリカリ・・・・。ゴシゴシ・・・・。カリカリ・・・・。
一時間も経っただろうか。
「ふう。」
ふと時計を見、少し、驚く。
(この時間でも誰も来ないのか・・・。)
いつもなら、大野か咲がやってきて賑やかに会話する。
二人は荻上をよくおちょくる。会話のテーマに対しての意見を聞く。
それについて子供っぽい意見をかえす荻上を笑ったりからかったり。
「・・・ないとないで・・・・。」
(寂しい?そんな・・・。)
そう思った自分がとてもらしくないと感じて。
「でも、あるはずのもんがないと、やっぱ寂しいよなあ・・・。」
少し笑って、考える。
(自分は、何でここにいるんだろう?)
(別に絵を書くならここにいなくたって。)
そう思うけど、ついここに来ている。
誰かいるかなって思って、来る。
「なんで、私は・・・・。」
荻上は、知らず知らずのうちに大きな存在になっていたこの空間に気付く。
斑目達がいなくなって、人がいないことが多くなった。
大野は一番いるが、時間があるときは上野へ行ってしまう。
咲はお店のことで大変なようで、たまにしか来なくなった。
高坂はゲーム会社に缶詰で顔すら見ていない。
笹原は、就職活動で大変そうだ。
「みんな忙しそうだあ。しょうがないよな・・・。」
荻上にとって、ここは唯一の人との接点だ。
性格もあって普通の人にも、あれな人の中にも友達はいない。
荻上に関わってくる人がいるのはここだけなのだ。
いつの間にか、迷惑と思ってた彼らの言動を、求めていた自分がいた。
ポタ、ポタ。
描いていたキャラクターがぼやける。
「あれ?なんで・・・・。」
寂しさのためだろうか、自分が情けなくなってきたのだろうか。
本人にもわからないのだろうけど、泣いていた。
「うぇ・・・。ヒック、ヒック。ええぇぇ・・・・。」
止め処がなくなってきて、堪え切れなくて声を上げて泣いた。
五分ぐらいたっただろうか。少し収まってきた。
「・・・・弱いまんまだ。あの頃となあんも変わってねえ。」
中学時代のいやな思い出。一人で強くなろうと上京した日。
自分を変えようと頑張ってきたはずなのに。
「・・・こんなんじゃあ、駄目だぁ。一人でも生きてけるようにしなきゃあ・・・。」
きっ、といつもの表情に戻って心を立て直そうとする。
「・・・そろそろ帰んべぇ・・・。」
その時。
ガチャ。
扉の開く音にはっとする。
「あ、荻上さんだったのか。」
笹原だ。いつのも柔らかな笑顔をたたえてはいるが、疲れは隠せない。
スーツの上着を脱いで、ふらふらと入ってきて座る。
「せ、先輩!どうしたんですか。」
荻上はさっきまで泣いてたことを悟られないかと、ひやひやしている。
「いやー、明日二次面接なんだけどね。時間が出来たから少しよろうかと。」
「そうなんですか。」
なるべく平静を装って。さっきまでのことがばれないように話す荻上。
「まあ、大学でのすべてはここだったからね。願掛けみたいなものかな?」
「それにしては今までは不発だったようですけど・・・。」
「あはは、そうね・・・。」
乾いた笑いをする笹原。しまった。そう思う荻上。
いま必死にやってる人に言ってはいけない事を言ってしまった。
「す、すいません、無神経なこといってしまって・・・・。」
「ん、ああ、いいよ。事実だし。」
少しの沈黙。
「・・・今度も同じ業種ですか?」
「んー、まあ、似たようなものかな。結果が出たら教えるよ。」
「はい。でも、まだあるんですね、募集。」
「うん、なんか新聞に載っててね。まあ、受けてみようかと。」
「そうですか・・・。頑張ってください。」
「うん。」
笑顔で応援に答える笹原。
先輩、頑張ってるんだな。そう思って、少し励まされた気分になった。
「それにしても早い三年半だったなあ。」
笹原はんーっと背伸びをしてぼんやりと回りを見渡す。
「こんなサークル入るなんて思ってなかったしなあ。」
「そうなんですか?はじめからこういうところ入ろうと思ってたんじゃないんですか?」
荻上にとって意外だった。
笹原は他の先輩達に比べるとめちゃくちゃ濃いわけではないが立派なオタクだ。
「入ろうとは思ってたけど、俺隠れオタだったしねえ。」
「え?隠れオタですか?」
「そうそう、高校の頃は自分隠してて本当の友達なんて出来なかったし。」
「え・・・・?」
「俺大学デビューっていうのかな?ここ入るきっかけですらドッキリだったからねえ。」
「毎年恒例って言う・・・。」
「あれで自分が興味があること看破されなかったら今も同じだったかもね。」
(あ、そうか、だから先輩は私に優しいんだ。)
荻上が自分と似た境遇であることを気付いていた笹原。
この難儀な後輩のことを常に気遣っていたのである。
「いやー、一回覚悟決めると後はまあ、知ってのとおり。堕ちるところまでって感じ。」
笹原はあはは、と笑う。
「でも後悔はしてないよ。この大学生活が終わることが寂しくてたまらないんだ。」
就職で必死になっている間に思い出していた今までの生活。
笹原はぼんやりと周りを見渡す。
「本当、色々ありました。」
笑みを浮かべ、懐かしむようにつぶやく。
そのまま、机に突っ伏して、顔を組んだ腕の中にうずめる。
「先輩・・・・?」
すー。すー。
そのまま寝入ってしまったらしい。
「疲れてるんだなあ。」
泣き止んだ頃に帰ろうかと思っていた荻上は、
「先輩をほっといて帰るわけにも行かないし・・・。
いや、そうじゃない。きっと私はここにいたいんだ・・・。」
先輩がいっしょにいる空間。
もう、そう長くあるわけではないこの空間にいられるから。
(寝ててもいい。少しでもいっしょに・・・)
(やっぱ私は弱いのかな?でも、それでも・・・。)
(少し疲れちゃったなあ・・・。)
そう思うと荻上も机に突っ伏して、いっしょに寝入ってしまった。
「・・・うえさん、荻上さん。」
声をかけれられて目を覚ますと、笹原が微笑みながら起こしてくれていた。
「・・・はっ、すいません。私寝入っちゃったみたいで・・・。」
「いやいや、お互い様だよ。俺が先に寝ちゃったからねえ。」
あはは、といつもの笑い方をする。
「あ、もうこんな時間。先輩、帰らなくてよかったんですか?」
「ああ、別に明日まではどこにいても。荻上さんが起きたら帰ろうかなって思ってたけど。」
「す、すいません・・・。」
「だからいいって。・・・・いいもの見れたしね。」
「え?」
「いや、いや、なんでもないよ・・・。あはは・・・。」
(いえないよなあ・・・。寝顔を見てたなんて・・・。)
「そうですか・・・。じゃ、帰りましょうか。」
「うん、そうしよっか。」
荻上は手早く荷物をまとめると、すくっと立ち上がる。
笹原も荷物を持つ。
「あ、荻上さん。」
「なんですか?」
「なにかあったら相談してね。頼りない先輩かもしれないけど、話聞く位なら出来るから。」
「え・・・。なんで、急にそんな事言うんですか。」
「いや、大したことじゃないんだけどね・・・。最近、これないからさ。なにかあっても、わからないし。」
「・・・・大丈夫ですよ、私そんなに弱くないですから。」
「そっか。ならいんだけどね。あはは。」
つっけんどんな荻上の答えに、いつものように、笹原は笑う。
(先輩、泣いてたの気付いてた?・・・でも、突っ込んで聞いてこないなあ・・・。)
それが彼の優しさである事にとうに気付いている。
「・・・でも、一人で手に負えないときは・・・お願いします・・・。」
「ん?ああ、まかせてよ。頼りにならないかもしれないけど。」
「いえ・・・、そんな事ないですよ・・・。」
(きっとそう。私が困っているときに一番頼りにするのはこの人なんだろうなあ。)
(誰よりも、この人に会いたかったのかな、私は・・・。)
自分の中で新しい感情が目覚めていることにはとうに気付いていた。
(先輩が就職が決まったら・・・。この想い、いってみるのもいいかな・・・?)
今はきっと言っちゃいけないから。
(でも先輩、就職決まるんだべかぁ?)
「荻上さん?」
「え、あ、はい!」
「なにか考え事?」
少し笑って、訊ねてくる笹原。
「い、いえ、なんでもありません。就活、頑張ってくださいね。」
荻上は考えを読まれてしまった気がして、真っ赤になってうつむいて答える。
「うん、そうだね。頑張るよ。いろいろ、あるしね。」
「いろいろ?」
「あ、あ、なんでもないよ。さあ、帰ろうか。」
笹原はあわてて扉のほうに向かう。
(いろいろ・・・?考えても仕方ないか・・・。)
荻上も後ろについていく。
ガチャ。
バタン。
帰り道にて。
「そういえば、今日は他に誰も来なかったねえ。」
「そうですね。大野先輩は午前のみだからきっと上野だし。」
「春日部さんと高坂君も忙しそうだしねえ。・・・・朽木君は?」
「あ!」(わすれてたあ・・・。)
>>78 正統派の外伝って感じだ〜。同人誌で読みたいかも。
> 大野は一番いるが、時間があるときは上野へ行ってしまう。
> 咲はお店のことで大変なようで、たまにしか来なくなった。
> 高坂はゲーム会社に缶詰で顔すら見ていない。
> 笹原は、就職活動で大変そうだ。
クッチーはカウントすらされないのかw
と思ってたらしっかりオチに
>>89
やはり無謀な試みであったか。
ひとりぼっちのげんしけんかー。切ない!笹原たち卒業後の荻上が心配です。
これはなかなか。描かれてない一日にはこんな日もあったんだろうなと。
うまく行間を埋めるSSだと思う。
>>76-89 乙&GJ
前に荻スレ4に「合宿の夜に」書いた人かな?作風が非常に似てる希ガス
違ってたらスマソ
しっとりした感じでいいSSだとおも。
こういう地味(って言ったら悪いけど)な話を一話丸々オギー視点で描いた
原作も見てみたいなぁ。
感想、ありがとうございます。
>>90 その部分ははじめ朽木のことも入れてたんですが、
オチにしようと思って変えました。
正直な話、漫画で同人誌にしたいんですが、絵心がなく・・・orz
>>91 卒業後を考えると切ないですよね。その切ない感じの荻上を表現したくて書きました。
>>92 月一リアルタイム進行の漫画だけに語られない部分が多く、
妄想の余地があって面白いですよね。
今度は行間を埋める感じで現視研全体のギャグタッチなものを書いてみたいです。
>>93 あたりです(o^-^o)。作風ってばれるもんなんですねえ。
別に隠すつもりではなかったんですがw
原作でこんな話があったら切なくて死んじゃいそうですな・・・。
>>91 安心しなさい。
クッチーが留年して一緒に卒業してくれるから。
笹原「あのさ荻原さん・・・別に、話しても構わないならでいいんだけど、
コミフェスであの『中学の友達』と会った後、なんか様子がおかしかったよね。
なにか・・・あったの?」
沈黙する荻上だったが、意を決したように話し始めた。
荻「昔・・・私の周りに、同じ趣味の人がいなかったんです。だから、中学で彼女たちと
仲間になれたのがうれしくて・・・しらないうちに、彼女たちに依存するようになった
んです。あの子達のいうことに逆らえなくて・・・
あの子、お金の使い方が結構乱暴で、中学時代からお金を借りたり、学校に内緒で
バイトしたりしてたんです。それでも足りなくて・・・・私に・・・・」
笹「・・・・? なにかしたの?無理やりお金を借りたりとか?」
ふたたび、沈黙があった。そしてその後
荻「彼女は、同じクラスの男子たちからお金を集めたんです」
笹「どうやって?」
荻「私の・・・・・・ストリップ見物料。」
荻上は、トラウマとして封印していた、おぞましい記憶を語り始めた。
BJ!回線切って(略
荻原?
気持ち悪い・・・・。
もう、教師はだれもいなくなっている。
午後8時半、いったん授業や部活を終え、帰っていったはずの生徒たちが、
途中できびすを返してこっそり再度集まった。男子は、どちらかというと不良と
言ってもいい連中。その数は、10人を少し超えているぐらいだった。
「おい、ちゃんと来るんだろうな」
「お前、金とっといて駄目とかいうなよな。その時はお前が責任とってもらうぞ」
「だーいじょぶよ、あいつ私のいうこと絶対に逆らえないんだから。・・・ほらほら、来たじゃない」
荻上は、あらかじめ少しばかり話を聞いていたらしい。恐怖と不安の色が、目に宿っていた。
「・・・・・・」
音を立てないように拍手する男子たち
「おーおー、マジで来たよ」
「荻上、かなりいいっすねーー。俺、前から目ぇつけてたんだよ」
「ふつーはめだたねえけど、こうやって見っとすごくエロくね?」
「やばいヤバイ、」
「俺、もう少しオッパイでけえほうがいいんだけどな」
「おい、もう始めろよ」
荻上の”親友”は、わざとらしく手を合わせた
「今回まじピンチでさ。荻お願い、さっき言ってっしょ。ほんのちょっとで
いんだから。みんなクチ固いし、絶対だれにもバレないって」
荻「ほんとに、これ一回だけっしょ?もうヤだよ」
荻上は、泣きそうな顔で自分のスカートに手をかけた。
>>95 荻上「それはそれで一人より何か嫌です」
>>96 健全SSだよ ここは 内容規制は無いけど・・・。
予想はしてたけど不可避かこういう投稿も。
エロパロでやれ
注意書きとりンクをよく見ていなかったスマソ。
ここで中止する
何だか最近投稿が活発になってきていいですね。自分も書いてみたので投稿させて下さい。
メインは笹原と恵子です。
本スレにあった、
●笹と恵子は以前かなり仲良かったのでは
●恵子ってじつは実兄のこと信じまくり
●恵子の幼稚な恋愛ごっこに興じてる人種→
げんしけんメンバーに出会って大人になる推移に萌え
という考察から妄想して書いた為、恋愛とか抜きの地味〜な話に
なりましたが…少しでも楽しめれば幸いに存じます。
「また落ちた…」
不採用の通知を見ながら、笹原は溜息を吐いた。
今月になって何回目の溜息になるだろうか。
どっと脱力感が押し寄せ、そのまま惰性でベッドに倒れこんだ。
就職活動の過酷さは一つ上の先輩達を見て知っているつもりだったが、
ここまで決まらないとなると、自分があまりにちっぽけな存在に思えてくる。
大学で4年間学んできたとはいえ、実社会においてはたいして役に立たないことばかりだ。
かといえ、目に見える形で何かしらアピール出来る能力など、自分は全く持ち合わせてはいない。
こんな自分を採用してくれる企業がどこにあるのか…考えれば考えるほど泥沼に嵌ってしまう。
こうなっては何も考えられない。いやむしろ考えないにつきる。
こんな時は誰にも会いたくないものだ。
笹原はベッドへ沈み込むように身を任せ、そのまま眠りにつこうとしていた。
"ピンポーン"
そしてそんな時に限って招かれざる客は訪れる。
寸での所で眠りから覚まされた笹原はベッドから重い腰を持ち上げ、
半分も開かない目で玄関へ向かった。
"ピンポンピンポン"
その間にも呼び鈴は容赦なく鳴り続ける。
就活から出た苛立ちがふつふつと大きくなってくるのが自分でも解った。
今ならどんな押し売りでもNHKの集金でも追い返せる気がする。
ドアの向こう側を睨み付けながら、笹原はゆっくりとドアを開けた。
「どなたです、か…」
徐々に鮮明になっていく視界に映ったのは、見覚えのあるヤマンバの姿だった。
「うぃーす」
笹原はすかさずドアを閉めた。
"ドンドンドンドンドンドン"
間もなくドアを連打する音が鳴り始めた。
「ムカツク〜 開けろサル〜」
今が夜であることなどお構いなしにけたたましい声で、相手は叫び続けている。
ドアの音は一向に鳴り止む様子もなく、こうなったらもう中に入れるしかない。
「うるせぇ!!」
「あ、開いた」
恵子は何の悪びれもない様子で言いながら、部屋に入り込んできた。
「声でけーんだよ!近所迷惑考えろ、ったく」
「何それ、ちょ〜感じわる〜い」
明らかな悪態をつく兄に文句を言いつつ、恵子は早くも部屋でくつろぎ始めていた。
恵子が椎応大近くの専門学校に入学してからというもの、
さも当然のように妹が部屋に入り込んでくることが多くなった。
別に寝床を貸す位なら大した問題では無いのだが
何の断りもなく抜き打ちでやってくるのだけは勘弁してもらいたい、と
笹原は頭を悩ませていた。
特に今日のような誰とも会いたく無い日はなおさらだ。
洗面所で化粧を落とす恵子に対し、当たるように話しかけた。
「大体来るなら連絡しとけって何度も言ってんだろ」
「え?今日はアニキんちに泊まるってちゃんと連絡したよ」
「え、マジで」
「実家に」
「俺に連絡来るのが先だろバカ!!」
「何そんなピリピリしてんのさっきから〜」
服を脱ぎ寝巻きに着替えながら恵子が言う。兄妹の前では下着姿になろうがお構いなし。
気にする様子も無く睨み付けながら、笹原は吐き捨てるように返した。
「うっせーよ」
「ほらまた『ウッセーヨ』」
「…早よ寝ろ」
「『ハヨネロ』」
「……ッ!!」
いつもなら軽く流せる子供じみたリアクションにすら、本気で腹が立ってしまう。
苛立ちが頂点に達した笹原は、その場にあった台拭きを思い切り相手の顔に向かって投げつけた。
もっとも、ヒョイっと難なく恵子にかわされるだけだったが。
ヒッヒッヒ、と、自分と似ている顔が薄ら笑うのを見て、余計苛立ちが募る。
〜〜〜〜
一方、恵子は兄に気を遣う様子など微塵もなく、そのまま思っていることを口にした。
「あ…もしかして就活まだ決まってないの?」
ピクッと笹原の動きが止まる。
「大変だね〜…っふぁ…」
恵子は大きな欠伸をしながら、態度と裏腹なセリフを口にした。
兄は次の瞬間、空の1000ml紙パックで思いきり恵子の頭を引っぱたいた。
「イタッ…大変だねっていってんじゃん!!バカザル…」
(うっ)
無言で自分を睨み付ける兄をみて、恵子は言葉を止めた。
こういう場合は黙って引き下がった方がいいと長年の勘が告げる。
数秒の沈黙の後、笹原はベッドに戻った。
「ったく八つ当たりやめてよね…サイアク〜」
ベッドに横たわる兄の背中に向かい、恵子は小声で呟いた。
「恵子」
ギク。もしや今の一言が聞こえたか、と思いながら振り返ると
何時にない真顔でこっちを見る兄の姿があった。
「…お前ちゃんと学校行ってんのか?」
「だいたい小学校の時、夏休みの宿題全部兄貴に手伝ってもらう程
勉強嫌いだったお前が続くはずねーだろ」
「…何時の話してんの?行くときは行ってるよちゃんと」
「…その言い方だと行かねー時は行ってねえんじゃねえか」
「……だってぇ どっちいしぃ」
「…………」
「それにお前やりたいこととかちゃんと考えてんのか?」
「あるに決まってんじゃん、遊び行ったりー買い物行ったりー」
「仕事の話だボケ」
「んなこと言ったらアニキだって大学行くとき考えてたのかよ」
「考えてなかったから言ってんだろがよ」
「自分のこと棚にあげといてさ〜?」
「それに大学と専門学校じゃまた違うぞ? …会計なんかこれっぽっちもヤル気ねえだろ」
「だって大学入れなかったんだもんしょーが無いじゃん」
「…お前大変だなって人事のように言ってるけどな、明日は我が身だぞ?」
「…………」
「このままじゃ何処も雇ってくれんぞお前」
「大丈夫だって、その前にいい相手見つけるし〜」
「男しか頭にねーのかよ、お前は」
「童貞のアニキよかマシでしょ」
「…………ちっとは真剣に考えろよ …俺だって今頃になって出版社希望いったって、
何のとりえもないし、…正直こんなに苦労するとは思ってなかったよ」
「…………」
「内定の有る無しで自分が全否定されるんだぞ?解るか?」
「んー…解らん」
「…人のことバカザル言ってるけど、お前俺より頭悪いのにどうやって」
「バカにバカって言われたくないよねー」
「事実しゃーねーだろ、お前の場合専門だから本来そろそろ就活…」
「何だかアニキ、ますます偉そーになってきたんじゃない?ってゆーかー」
「おい、真面目な話…」
「あーあー、めんどい、もう寝るよ、オヤスミ」
「…………ったく」
翌朝。
もぞもぞと布団から出る。
何回も二度寝を繰り返したせいか、時計はもう十時の針を回っていた。
いつもなら無理矢理兄に起こされる筈だ。どうやら部屋には自分一人だけの様だ。
辺りを見回すと、机の上に書置きが残されていた。
『愚妹へ
就活あるんで先に出る 出る時鍵はいつもの場所へ 布団はきちんと片付けること
昨日寝る前に言ってたこと もう少し真剣に考えてみろ でないと俺みたいになるぞ
どうせ暇で出かけんだったら 資格の参考書でも買って来い 絶対遊びに使うなよ』
「うげ…、アニキしつけ〜な…」
そう呟いたと同時に、昨晩の出来事――寝る前、自分をじっと見つめてきた兄の表情が脳裏に蘇った。
昨日は適当にあしらってしまったが、いつになく真面目な顔に戸惑いすら覚えた。
いままで兄のあんな表情は見たことがなかった。
「…そんなに就活って大変なのかねぇ…。……ん?」
兄のありがたいお言葉に目を通しながら、恵子はあるものに気が付く。
書置きと共に、重しの漫画に挟んであったのはヨレヨレの千円札3枚。
「…マジ?」
…ちょっといざ書き込んで見たらとてつもない分量の
テキストになってしまいましたので一旦切らせて頂きます。
この後まだ展開があるんですがこのままじゃとても投稿できないので…。
>>105−
>>111 いいですね。会話が自然な流れでよどみない。兄妹仲も思春期を過ぎた兄妹のよそよそしさの無いきさくな仲のいい兄妹の会話。
最近、パロディに走って迷走している自分にはこういう正統派が癒される。俺も正統派また書いてみるかな。
本スレでは妹ネタに過剰に反応する人もいて読めなかったSSもここでは読めるし、SSスレ立ち上げて良かったと思います。
ここの住人に申すが、正統派、パロディ、ユーモア、ジャンルを問わず読みたいですね。
でも特に規制は無いけど低俗陰湿な内容は勘弁してほしいな。適切な良否の批評は是だが、批判、誹謗は慎みたいですね。
114 :
113:2005/10/14(金) 01:50:15 ID:???
失礼。なんか俺が立ち上げたみたいな書き込みの内容だった。
立ち上げ人に失礼であった。
なんか傑作揃いで気がひけるんですが、漏れも。
舞台は05年夏コミ三日目の前夜、新宿ってことで。
「キミキミィ、中学生でしょ?家出だね?」
<補導員>の腕章を巻いた初老の男が、いきなり荻上千佳の細い腕をつかんだ。
「は?!えええ!!ち、ちが……」
深夜1時の新宿駅東口。コミフェス最終日の待ち合わせ場所の漫画喫茶に向かう途中だった。
もう二〇歳近い女子大生なのに中学生に間違えられた屈辱感と、いきなり子供のように腕をつかまれたショックでまともな口が利けない荻上に、説教するかのように補導員が畳みかける。
「いくら夏休みだからって子供がこんな時間に盛り場をうろついちゃいけないよ。あのね、東京はとてもこわいところなんだよ。
薬とか売春とか、取り返しのつかないことになる子がたくさんいるんだ。キミくらいの歳の女の子を欲望の餌食にするようなクズ男がいっぱいいるところなんだ」
「わ、わたす、こう見えても大学二年です!椎応大学さ行ってます!(やば!訛りさ出ちまった)」
妙に慌てて、東北弁丸出しで主張する荻上を補導員は露骨な疑いの目で見た。
「大人をバカにしちゃいけないよ。東京にはそんなお国訛りの喋り方や垢抜けない服装の女子大生はいない。キミ、国は東北だろ?この季節の新宿や池袋や上野は、地方から家出してきた子がほんとうに多いんだ。
悪いことは言わない。今朝の始発でお父さんお母さんのところに帰りなさい。東京都には青少年健全育成条例というものがあってだね……」
「いい加減にして下さい!わたしは本当に椎応大の学生なんですっ!」
「じゃあ学生証は?連絡先は?」
「い、今は持ってねっす」
学生証は部屋に置いた通学鞄の中だ。普段持ち歩いている携帯も中学時代の同級生から連絡が入ることが怖くて、電源を切って部屋に置いてきていた。笹原たちにも連絡できない状態だった。
「だいたいこんな時間にどこに行こうっての?」
「……サークル活動の一環として……出かけるところがあって……」
「嘘言っちゃいけないよ。こんな時間にサークル活動って、いったいどんなクラブなんだね?」
(コミフェス三日目に早朝から行列するだなんて、絶対言えないべさ……)
赤面して黙り込んだ荻上を見下ろした補導員は、勝ち誇ったように笑みを浮かべた。
(そんなに子供っぽく見えるんだべか。どうしよう。全然信じてくれないし。携帯置いてきたから笹原さんにも連絡できねえし)
「じゃあ行こうか。警察署の方でゆっくり考えて、お父さんお母さんに電話しよう。そうしたら今朝の始発で国に帰るんだよ」
補導員は荻上の腕をつかんで、力づくで連行しようとした。
慌てた荻上はアスファルトに両足を突っ張って、渾身の力で踏みとどまろうとした。しかし成人男子の腕力に較べて、彼女はあまりにも非力だった。体重も軽かった。
荻上は補導員にあっけなく引っ張られて、警察署に向かって歩き始めた。
引きずられながら、荻上は視線を落として呟いた。
「……帰りたくねっす……」
「え?なんだね?」
「……帰りたくねっす!東京から、現視研から離れたくねっす!国には帰りたくねっす!」
荻上は半ばパニックに陥っていた。前日会った中学時代の同級生にからんだ忘れたい記憶や、つらい思い出ばかりの故郷の風景が脳内でフラッシュバックしていた。
咲や大野や笹原のいる暖かく優しい空間から無理矢理引き離されて、あの暗く冷たい過去に引き戻されると思うと、荻上は自分でも驚くほどうろたえた。子供のようにポロポロ涙が出て、鼻まで詰まった。
外見からして幼い自分。無力な自分。いい歳してまともに身元の説明もできない自分。外側も中身も未熟な自分。そんな自分が情けなくて、さらに涙が出た。このままあの暗く冷たい中学時代に連れ戻されるのだと思った。
「荻上さん……どうしたの?」
涙でにじんだ視界の向こうに、心配げな笹原が見えた。走ってきたらしく息をあらげていた。
「笹原さあん……」
泣き顔を見られるのが恥ずかしくて、顔をそむけた。
「補導!?ええ!?荻上さんが???ええとすいません。この子はうちの後輩なんですが……」
「後輩?この子中学生でしょ?キミは大学生?まさか出会い系とかじゃ無いだろうね?ロリコンは犯罪だよ」
初老の補導員と笹原の間で全然噛みあわない会話がはじまった。
そしてヘラヘラ笑いながらペコペコ頭を下げ、学生証を見せて一生懸命荻上の身元を保証する笹原の説明に納得したのか、補導員は笑顔で荻上に謝罪した。
「まさかほんとうに大学二年だとは思わなかったよ。失礼したね。でも堅気の女の子がこんな時間に出歩くなんて、どっちにしても感心しないことだな」
自分の失敗を棚に上げて偉そうに説教する初老の補導員。荻上は不機嫌な一礼だけでこたえた。
「あ、迎えに来てくれたみたいですね。じゃあ、この後輩の荻上はうちのサークルの方で責任をもって預かりますんで」
笹原は相変わらずヘラヘラペコペコと補導員に頭を下げた。
「ああ、あれがキミの言ってた大学サークルの……現代視聴覚文化研究会……?」
繁華街の向こうからやってくる白人女性が二人。黒髪ロングの女性が一人。どこか挙動不審な長身の男が二人。謎の大荷物を持ち、髪を束ねた男が一人。
深夜に集団徘徊しているそんな異常に怪しい集団に絶句し、白人女性の片割れの年齢にも疑問を感じながら、笹原の説明自体にはおかしなところはひとつもないため補導員は引くことにした。
「じゃあその子は責任をもってキミが預かるんだね」
「はい。責任をもって預かります」
夜の街に消える補導員。自分が涙を拭いている間にあっけなくトラブルを解決してしまった笹原。そんな笹原に完全におんぶに抱っこ状態で、子供のように扱われている自分が恥ずかしくて、荻上は怒ったように言った。
「あの……中学生と間違えられて補導されかけたことは大野先輩に……」
「あ、それは言ってないよ。安心して荻上さん」
「はい……また大野先輩や咲さんや恵子さんにしつこくからかわれるのはいやですから……」
自嘲のように笑う荻上に、笹原は優しい微笑みを返した。荻上はなぜかドキリとした。
「おーい。笹原ぁ、何だよ急に呼び出して?始発まで漫喫で時間潰す予定じゃ無かったの?」
「すいません斑目さん」
補導員から荻上を取り戻すため、漫画喫茶にいた現視研メンバーを携帯で呼び出したのだ。
みんなに迷惑をかけてしまったことで小さくなる荻上だが、大野のセクハラ発言が元のペースに戻した。
「あら?わたしはてっきり笹原さんと荻上さんは、このまま新宿でご・宿・泊!するものとばかり思ってましたけど?をほほほほ」
「やめてくださいよ大野先輩!」
「ポン(笹原の肩を叩く田中)」
「ええと、実は始発までカラオケ大会でもどうでしょ?ってことで、みなさんを呼び出したんですけど」
汗をかきかき、笹原は提案した。
「お、カラオケ、いいねー」
「小生は無駄なエネルギーは使いたくないのでアリマス!」
「悪くないと思うけど、女性陣のご意見はどう?曜湖さん?」
「わたしは賛成ですけど、アンジェラとスーにも聞いてみますね。Angela, Sue, Wanna try Karaoke 'till mornin? How about that?」
「Karaoke! Hell Yeah!」
「Great idea! Way to go!」
「二人とも大賛成だそうです」
「じゃあ行きましょうか」
「笹原なに歌うの?」
「えーと、何にしましょうね」
連れ立ってゾロゾロ歩く現視研一行。その一番後ろにくっつきながら、荻上の大きな瞳は笹原の後ろ姿を追いかけていた。
(この人はどうして、わたしが困っている時や苦しんでいる時に、いつも助けに来てくれるんだろう?)
コミフェス会場では中学時代のトラウマに苦しめられている自分を支え、言葉の通じないスージー相手にパニックになっていた自分に助け舟を出し、今もこうして助けに来てくれる笹原。
そんな笹原の笑顔を思い出すとキラキラ輝いて見えて(そ、そんなわけ無いべさ!)と荻上は真っ赤になった顔を振るのだった。
笹原が、大野が、現視研のみんながいる優しく暖かい空間。その中にいる自分を、荻上は感じた。
コミフェス最後の夜が更けていった。
>>115-
>>118 面白かった。中学生に間違われるとは・・・可哀想な荻上・・・。ロリに間違われるとは笹原・・・。
みんなに支えられ助けられる荻上が実にいとおしい。
方言が少し気になった。山形弁?東北弁の使用は実に難しい。
うまく使うと可愛らしいが、へたするとやぼったくなる。
「堅気の少女」うーむ、一時ぐらいで徘徊すると「堅気」でないのかと思えるが
頭固い補導員だったということで。
やべ、読みふけってるときり無い。もうこんな時間だ。
>>115-
>>118 GJ&乙〜。
こんなことありそうだよねえ。
私は荻→笹へのフラグは常日頃のこんなことの積み重ねだとおもとります。
荻上かわいいよ荻上
本スレでまだSS書いてる人もこっち来ればいいのにね
だよね。っていうか「見られたい」人はやっぱり大所帯への投下の誘惑から逃れられないんだろうなー。
>>115-118 続編を考えた。
帰路のゆりかもめ
斑目「おう笹原、夏コミも終わったわけですが今日の戦果どーよ?」
笹原「はは、尼爪の会長本とか、まあ色々ですよー」
斑目「へー意外だなー。尼爪は絵は巧いけど、ヒンヌーにこだわりすぎだから会長本はださねーと思ってたよ」
笹原「斑目さん、今日は女性陣が多いんだから声大きすぎですって(笑汗)」
斑目「おおー!やっぱグラマーキャラ大好きな笹原クン的には尼爪の会長本は掘り出しもんだよねー」
笹原「嫌がらせデスカ?」
荻上(……まあたカイチョーかぁ。やっぱ笹原さんは、セクシーで大人っぽい女の人が好みなんかなぁ。
それなのにどうしてこんなにわたしに優しくしてくれるんだろ。なんだかんだ言って妹さんにも優しいし、妹が増えたみたいに思ってんのかなぁ。
そりゃ変な下心むき出しでウザい人よりは良いけど、なんだか胸が苦しいなぁ。どうしてだろう。なんでこんなに悲しくて腹が立つんだろ?」
斑目「やっぱ萌えるのは妹キャラだよなー!ツルペタ帝国万歳!」
荻上(ロリキャラが好きなオタクはこんな人ばっかりだし!ムカつく!ムーカーつーくー!)
笹原「はは。長い付き合いなんですから斑目さんの好みのツボはよーく知ってますって」
荻上(わたしの変な妄想をさっぴいても、笹原さんと斑目さんなんか仲良すぎ。ムカつく!ムーカーつーくー!)
斑目「どーせわかんねえって。日本語で猥褻な話しても」
笹原「まーアンジェラさんの場合、本人のファッションがもっと猥褻ですしねー」
荻上(あ!笹原さんがアンジェラさんの胸をいやらしい目で見てる!同人誌だけじゃ物足りないわけ?この男エロ過ぎ!
そりゃ水着みたいなトップで巨乳の谷間が見えてれば男の視線は釘付けデスネ!さすが大野の友達ってだけのことはアリマスネ!
なんかついてくるスーも鬱陶しいし!ムカつく!ムーカーつーくー!)
大野「荻上さん、なんか物凄く機嫌が悪いみたいですけどどうかしたんですか?」
荻上「なんでもないですっ!」
荻上(……やっぱ笹原さんは、セクシーで大人っぽい女の人が好みなんだなぁ。
エロくてオタクだけど優しくて責任感があるから、わたしのことも妹扱いしてるだけなんだろうなぁ。
だからなんだってことは無いんだけど、やっぱり胸が苦しいなぁ。
そうだ。休み明けて大学行ったら、咲さんに化粧の仕方とか聞いてみよう。いつまでも中学生扱いじゃ悔しいもんなぁ)
>>115-118 なんかオギーがホント萌えるよ。かわいくてかわいそうで。
色々妄想をふくらませてくれる傑作SSだと思う。
キャラや設定も生かしてるし、原作のストーリーの狭間に巧く入ってる。いかにもありそうな話だ。
笹原「ちわーす。あれ、誰もいないの?不用心だなー」
部室の中は、一見誰もいないように見えた。
だが次の瞬間、彼は小さな呻き声に気付いた。
声のする方を見ると、床に倒れている人影。
しかもその頭には見慣れた筆毛が・・・
慌てて駆け寄る笹原。
笹原「荻上さん?どうしたの?」
荻上さんは返事することすら出来ず、脂汗を流しつつ腹を押さえて苦悶していた。
笹原「大変だ、救急車呼ばなきゃ!」
荻上「ここ、どこ?わたす、何してるの?」
荻上さんは目覚めると、ベッドの中に居た。
その枕元には、笹原が座ってた。
荻上「笹原先輩?」
笹原「気が付いたようだね。安心して、ここ病院だから」
荻上「病院?」
笹原「荻上さん、部室で倒れてたんだよ。それでこの病院に運んだら盲腸だって言うんで手術してもらって・・・」
荻上「盲腸・・・そっか、あれ盲腸だったんだ」
笹原「あれ?」
荻上「何か数日前からお腹痛かったんです。生理のせいかと思って鎮痛剤飲んでたんですけど・・・」
何気にとんでもないことを口走り、赤面する荻上さん。笹原も赤面してる。
荻上「そっ、そうだ。私部室で倒れてたんですよね。笹原先輩が救急車呼んでくれたんですか?」
何故か少しうろたえる笹原。
笹原「呼んだって言うか・・・」
笹原は荻上さんに、入院までの顛末を語り始めた。
時は救急車を呼ぼうとしたところまで遡る。
携帯を取り出した笹原、しばし携帯を見つめて考える。
笹原「(確か大学から徒歩で5分も無いとこに病院があったな。もし救急車呼んだら、呼んで来るのを待ってるだけでかなりの時間がかかる。その上、そこより遠い病院に運ばれるかもしれない)」
次に荻上さんを見る。体を丸めて腹を押さえて苦悶している。
笹原「(これじゃおんぶは無理だな。この体勢のまま運ぶしかないな)」
意を決して、いわゆるお姫様抱っこの体勢で荻上さんを抱え上げる笹原。
笹原「荻上さん、すぐ病院に連れてくから、も少しだけ我慢してね」
荻上「さっ、笹原先輩が運んで下さったんですか?」
笹原「まっ、まあね」
しばし沈黙する2人。
笹原「(そう言えば運ぶ時は夢中だったけど、俺荻上さんの背中とお尻触ってたんだよな)」
荻上「(笹原先輩にお姫様抱っこで抱かれてたの、わたす?)」
再び赤面する2人。
荻上「あっ、ありがとうございました笹原先輩。私、重かったでしょう?」
笹原「ううん、全然大丈夫」
そう言いながらも、腕を組みつつ腕の筋肉をもむ笹原だった。
そこへ医師が入ってくる。
医師「やあ気が付いたようだね。よかったよかった」
笹原「(立ち上がり)あっ先生。今日はほんとにありがとうございました」
頭を下げる笹原。
笹原「荻上さん、こちらが執刀医の先生」
荻上「あっ、ありがとうございました」
寝たままちょこんと会釈する荻上さん。
医師「いや荻上さん、君ホントついてるよ。虫垂炎になりかけてたからね、あともう少し遅かったらホントヤバかったよ」
荻上「そうなんですか?」
医師「君、盲腸を舐めちゃいかんよ。大分長いこと放って置いたでしょ?もし笹原君が発見しなかっら、えらいことになってたよ」
その後医師は、笹原が先程話したことと重複する内容に加えて、患者に聞かせていいのかなと思えるヤバいネタを交えて喋り続けた。
(笹原があと数分遅れて到着したら自分が帰っていて、当直の研修医では手術など出来ないことや、近頃の救急隊員は融通が利かないから、この病院を素通りして遠くの病院に運ばれた可能性が高かったことなど)
そのクッチーを連想させる口の軽さと空気の読めなさに、かすかに嫌な予感を覚えつつも命の恩人にすげなくすることも出来ず、適当に頷きつつ拝聴する2人。
医師「だけど1番のラッキーはあれだな。手術前の面倒なあれを省けたことだな」
笹荻「あれ?」
医師「うちの看護婦不器用なのばっかりだからな。時間かかるのよ、剃毛。その点荻上さんはツルツルだったから・・・」
医師の言葉はまだ続いていたが、通常の3倍の赤さで赤面してる2人の耳にはもはや届いていなかった。
その代わりに2人は、荻上さんの頭の中で何かがマグマのようにグラグラと煮立っている音を聞いた気がした。
そして煮立っていたそれは膨張し、ついに爆発した。
ベッドから起きて窓際に向かう荻上さん。
その体にしがみ付いて必死に止める笹原。
医師「ダメだよ荻上さん、まだ動いちゃ。傷開いちゃうよ」
笹原「んなこと言ってる場合ですか!いいから彼女止めて下さい!荻上さん!落ち着いて!ここ7階だから!」
おしまい。
駄文失礼。
>>127-129 ちゃんと落ちがついてるじゃん。最高!GJ!
ツルペタは公式設定(笑)?
公式同人誌の甘詰漫画では「ツルペタ」らしいけど。
どうなることやらと思ったけど、ここまで投稿数も増えたね。
投稿も活発になってきたし。独立スレの面目もたったね。
注 立ち上げ人じゃないよ。でもうれしい。
133 :
115:2005/10/15(土) 01:30:37 ID:???
>>119 >>120 >>121 >>124 >>126 ありがとう。
会社で書いて、フラッシュメモリで記録して自宅投稿したので、ちょっと返答が遅れてスマソ。
>>方言
西日本出身者だから東北弁の再現が……大汗
誰か東北弁に詳しい人のSS投稿を待ってますw
>>続編
ありあり。
セリフのみの方がテンポ速くていいかもしれませんねー
134 :
115:2005/10/15(土) 01:37:04 ID:???
>>104 >>本スレにあった、
>>●笹と恵子は以前かなり仲良かったのでは
>>●恵子ってじつは実兄のこと信じまくり
あ、その分析したの漏れですよw
100スレの95の投稿ね。同意してくれる人がいたとは。
ドキュソ男と付き合ってても、最後にあてにしてるのは実兄だったりするわけですからね。
だから105-111のSSはぐっと来るものがありましたヨ!
でも、笹妹萌えの人は少ないっぽいのが難ですかねー、荻や大野とは違って。
いや、漏れは好きですけどね。
次は王道の過去バナ(兄妹の小中学校時代とか)なんてどうでしょ?
135 :
115:2005/10/15(土) 01:40:58 ID:???
>>127 >>荻上さん、入院する
萌えに萌え、落ちに大笑い!
しかし漏れのSSでは中学生に間違えられて補導されかけ、貴兄のSSではツルペタ&入院。
カワイソス
次のSSではどんなひどい目にあわされるんでしょうかw
>>135 >カワイソス
どっちかというとエロカワイソス
なにはともあれ
>>127-129 面白かったです、オチに噴いた。
荻は不幸であればこそか、その魅力が発揮されるのは。
いや、勝手にテンパってるだけなのかもしれん。だが、そこがいい。
>>127 >>その点荻上さんはツルツルだったから
「こんなことまで知られたら、おらもうこの人の嫁になるしかないべ」
(世界でもっとも知名度の高い某東北弁ヒロイン)
モードになるまであとどれくらいでしょう。
温泉付き合宿で、ツルペタの真相がわかるのかな。
>>138 GJGJGJ
ゴメン。参りました。切なすぎ。原作とのキャラの違和感全く無いし。
斑×咲は好きなんだけど斑目の片思い前提っていう あーもー
咲の艶っぽい描写とかも見事に俺の壷突きまくりですよゴルァ!!
折角スレ立てたんだし、そのまま書き込んでみても良いのではないかな。
テキストで上げるのも読みやすくていいんだけど、アプロダだと時間経つと
流れてしまうでしょ? 折角良い文章なのに勿体無い…。
とはいえ"SMOOPY"良いね、読みやすいし。こんなのあるとは知らんかった。Thanks.
自分の書いた稚拙な文章もコレで読んでみると、それなりにらしく見えて良いですなw
ということで自分も投下させて頂きます。
>>105-111の笹原兄妹話の続きです。
長文失礼。
>>113 会話が自然な流れと言ってもらえてよかったです。
結構こちらでも本スレでもこのスレ好意的に捉えてもらってるようで、
本当に立ち上げて良かったなと思います。
でも本スレでそんなに妹ネタ過剰反応されてましたっけ?
>>134 あの投稿見た途端妄想が膨らんでしまいましたよ。あなたのせいで。
俺もずっとオギー萌えだったんですが、いや何か最近ねぇ……恵子がいいんだよね(笑)。
SS書き始めたらげんしけんのそれぞれのキャラにますます思い入れが深くなっていくというか。
ヤバイ泥沼だ(笑)。そこのあなたもSS書いてみませんかとか言ってみるテスト。
時刻は正午を過ぎたころだ。恵子は大型書店に足を運んでいた。
手持ちは兄から貰った三千円のみ。携帯も家に置いて来た。
余計な浪費や気を紛らわせないよう最小限の物を持っていこう、と
恵子なりに決意を新たにした結果らしい。
「ま、どーせやる事もないしぃ…」
『……ちっとは真剣に考えろよ 俺だって…
…正直こんなに苦労するとは思ってなかったよ……』
笹原のいつになく真面目な言動に、何かしら感じるものがあったのだろう。
一歩足を踏み入れると、書店特有の乾いたにおいがする。
参考書など買いに来たのは去年の椎応大受験以来だ。尤も受験は失敗したが。
最後に書店に来たのはあの日だったかも知れない。脳が蘇る感覚。
(もしかして私真面目にやってる?けっこー頑張ってない?)
それが、普段慣れない事をする人特有の勘違いということにも気付かず、
恵子は意気揚々と、参考書を求めエスカレータを上っていった。
参考書のコーナーに辿りついてから数十分程。
専門書から入門書まで幅広く取り揃えてある。
あまりの種類の多さに面食らいながら、軽く中身に目を通す。
「…何これ…サッパリわかんないし…」
早々と次に目を通すのは【三時間でわかる会計】という本。
「書いてるのは解りやすい気がするけど…」
「ぶっちゃけ面白くなさそ〜…」
そもそも会計専門学校へ入ったのだって、勉強するために入ったつもりは毛頭なかった。
試験が簡単な学校だったのもあり、椎応大受験が失敗して
とりあえず時間稼ぎ、のつもりで椎応大に近い学校を選んだのだった。
進学する、と両親に言った際、とうとうヤル気になったのか、と親が喜ぶ手前、
引き下がれないというのもあった。
恵子はこれまでのことを思い出しながら、参考書の字面をぼーっと見つめていた。
「どーせ続きっこないし…」
先ほどの高揚感はどこへやら消え失せてしまっていた。
力なく参考書をその場に置き、エスカレーターを降りていく。
(無理無理…どーせ無理!)
そう思い書店から出ようとして、扉の手すりに手を触れた途端。
誰かと手が重なった。慌てて手を引っ込める。
「あ、すみませ、……ん?」
「…あれ?ねーさん?」
偶然書店で会った恵子と咲は、書店近くの喫茶店で一服することにした。
「…ところでねーさん何買ってんの?」
「ん、ファッション雑誌の発売日だし…てかアンタ何買ってたの?」
「参考書買いに来た」
数秒間の沈黙。
「…何その目は!」
「いや、雪でも降るんじゃないかしら、と思って
…でもその割には何も持ってないよーデスガ?」
「…いやでもちゃんと参考書の前まで行ったよ?」
「でも?」
「…無理、ぶっちゃけ退屈」
「ははっ、そんなコトだろーと思った」
「大体本なんか普段読まねーっての…」
「何だか昨日アニキに言われて来てみたんだけどさ〜…」
コーヒーをすすりながら恵子が言う。
「…あんたら仲良いのね」
「そんなんじゃねーって、けどさ」
「結局専門だって勉強したくて入ったわけじゃないし」
「…あちゃ〜 ま、そうだと思ってたけど」
咲は苦笑いしながら続ける。
「…ま、笹原の言う通りだねー」
「ちゃんとやりたいコトやってないと続かないよ? お金も無駄になっちゃうし」
咲の言い回しから先輩風を吹かされた様な気がして、恵子は少し癪に障った。
「そう言うねーさんはどーなん?」
そう咲に問い返した。
「私?ちゃんとあるよ 大学卒業したら服のお店出す」
てっきり言葉に詰まるものだと思っていた恵子は面食らった。
「もう今あちこち奔走して大変だっつーの …知らなかった?」
「…初めて聞いた」
「英語だって必死に勉強してるし」
「…マジで?」
聞けば聞くほど知らない事実が返ってくる。
今まで咲に同じニオイを感じていた恵子にとって、
それは少なからずショックのある答えだった。
「…何時からやってたの?」
「ん〜大学入る前かな?
ついてけなくて大学入ってからやり直したけどね」
咲は笑いながら話す。一方の恵子は引きつった笑いだ。
「高校出る辺りからもう服のお店出すってのは決めてたから」
「…………ふ〜ん……」
自分と同じ位の時期にこの人はもう将来設計が出来ている。
急に自分が小さくみえる。何やってるんだと思った。軽い危機感を覚えた。
「笹原だって今頑張ってるんじゃないの?出版社」
「ん…でも落ちてるみたい」
「やっぱり厳しいかね〜」
「一般の就職活動だって大変らしいよ? 高坂はもう決まったけど…」
「ああ、エロゲーメーカーだっけ?」
「…それをゆーな」
「まー本人がやりたい仕事ならいーんだけどね…」
(……あ、何かヤな空気)
「で、アンタはどうなの?」
「…え?」
「早いうち専門やめて自分のやりたいことでもやったら?」
「…何も無い」
「無いって、何か特別好きなもんとかあるでしょ、なんでも」
恵子だって服を買ったりもするが、咲のように店を開きたい、
と思えるほど思い入れがあるわけでもない。
「…マジそんなもん無い…」
「…ほんと何もねーなお前…」
「…マジ無い…」
『内定の有る無しで自分が全否定されるんだぞ?解るか?』
昨晩の兄の言葉が思い出される。
これまでの自分が全て否定される気がした。
今までこんな感情など思いもしなかった。
今まで未だ高坂さんとの間に入る余地はある、と思っていた。
顔だけで男に食いつくような自分とは違う。
咲や高坂と、自分との決定的な違い。この人達は自分よりオトナなのだ、と。
兄のことを童貞などと罵っていたものの、
己と闘いもがいている兄に対し、自分が偉そうと言える事などあっただろうか。
「…ずっと何も考えてなかったし…」
声が上ずり始めたのに気付き、咲はカップを置いて恵子の顔を見上げる。
「ヤバ、…アタシなんか泣きそ」
恵子の頬に一筋伝うものがあった。
「お、おい…」
慌てながらハンカチを差し出す咲。
受け取った途端涙が堰を切って流れ出る。
「……ッ…、グスッ……、ヒッ、…スンッ…」
(あちゃ…… 言い過ぎたか…?)
そのまま暫く二人とも無言のままだった。
喫茶店の雑音が耳に入ってくる。
ようやく恵子が落ち着いてきたのを見て、咲が沈黙を破った。
「まーなんだ、まだ20前なんだし…
今からやりたいこと探すのも遅くねーんじゃない?」
「…ねーさん、それ、オバサン臭い…」
(このガキャ…)
「ん…そうね…まだ若いし…私…」
俯いたまま笑いながら、恵子は言った。
「ねーさん、ハンカチありがと…」
「ん?ああ、別に良いよ」
「今度まで洗って返すから」
そういって恵子は席を立った。
「どっか行くの?」
「もう一回本でも探してくる。なんか面白そうな分野の本」
「あ、そ…。ま、頑張って行ってきな」
「…うん。ありがと」
後ろを向き手を振りながら、恵子は喫茶店を後にした。
咲は頬杖を突き微笑みを浮かべて、片手を上げた。
恵子が視界から消えるまで見送った後、
カップに残ったコーヒーに口をつけ、
咲はあることに気付いた。
「………
……しまった会計ツケられた!」
笹原の部屋に戻ると既に兄が帰宅していた。
「ただいま〜」
「ん」
返事に気力が無い。まるで屍のようだ。
やはり大変なのか…と思いながら、恵子は何も言わず腰掛けた。
笹原はふと、恵子が片手に持っている紙包みに目をやった。
「何だその本」
「試験の本。あと他に面白そーな本」
「…熱でもあんのか?」
「アニキが買ってこいって言ったんだろ!?
なにそのジト目すんげームカつくんだけど!!」
「…まあそうだけど」
いつものノリならそのまま遊んで帰ってきてもおかしくない。
正直な話朝に家を出てから、金を置いていくべきではなかったと
後悔した位だ。
「何かあったか?本屋行っただけにしては遅かったけど」
「春日部ねーさんと話してきた」
「…何を?」
「人生について色々」
「…?…ふーん…そっか」
笹原は先ほど咲から来たメールに目をやった。
【To:笹原
今日書店で妹と会ったんでお茶飲んだよ
その時妹にちょっと言い過ぎてしまったみたいでゴメン
あとアイツのツケ1250円溜まってるんで今度ヨロシク 咲】
「そういうことか…」
【To:春日部さん
何だか良く解らないけど愚妹がお世話になったみたいで…
どうもありがとう ツケは……ごめん今度オゴります
…つうか高… 笹原】
【To:笹原
おにーちゃんも大変だあ〜 咲】
送ってすぐ返ってきた咲からの返事に苦笑いしながら、
笹原は携帯を畳んで今日発売のマガヅンに手を伸ばした。
「そういやお前携帯忘れてったぞ、恵子」
「ん」
携帯を見ると咲から怒涛の着信履歴が残っていた。
【To:笹原妹
今日食い逃げしただろお前!
笹ヤンが払ってくれるみたいだから良いけど
まあ頑張んな! 咲】
「あ、忘れてた…」
「お前さぁ、只でさえ今月金欠なんだからよ…」
「ゴメンゴメン」
(金が無いならお前が払えとか言えばイイのに…)
と思いながら、そうしない兄の性格を思って
恵子は何も言わなかった。
「ま、…頑張れ」
「うん」
お互い目も向けないままそっけない言葉を交わして、
兄妹はそれぞれ今日買って来た本を読み始めた。
「アニキー、この問題教えて欲しいんだけど」
「おい、俺が解る訳…ってなんだこの問題?」
【第一回オタク検定試験】
「何か面白そうだったから受験しようかなって」
「ちょっと待て!! お前これ資格でもなんでもねーぞ!?」
「え、そうなん?」
「ちゃんと肝心な所読んで買えよバカ!金返せ!」
>>140-155 何気ない日常で抜けた生活から将来への危機感、現実を知り追われ気味になりその怖さを知る恵子。
木尾節を取り入れつつリアリティに展開、落ちもワロタ。そーくるかw 極めてGJ!!!
これからも新作を期待します。
>>140-
>>155 本屋に行く恵子。そのアンマッチ(?)な状況だけでコミカルに面白いですね。
咲も絡んでキャラが深化してきてますね。
それにしても投稿が活発化してきて読むペースが増えてきた・・・。
喜ばしいような、泡喰うような・・・。新号発売十日前でこの
ペースなら発売直後はすごいことになりそー。
>>157 ミスマッチ、かな。ごめん、余計な突っ込みいれて
>>140-
>>155 お疲れ様でしたー。
リアル妹持ちとしても良い内容だったかと。
実は俺のリア芋は恵子に似てたりする。
ギャルではないが、言動とかが。
>>158 そーでした。「あうう」 (でも帰国子女じゃないよ、俺は)
今夜は投下無いのかな・・・。見てばかりじゃなくて俺もそろそろ創作せねば。
ううっ、ネタ、ネタ、ああっ妖精が・・・。(壊)
SMOOPYってイイねこれ。
めっちゃシンプルだし黒バックで目にやさしいw
>138
亀ですが持ち帰りました。禿げ上がる程GJ!!
163 :
138:2005/10/16(日) 02:42:21 ID:???
164 :
138:2005/10/16(日) 02:47:30 ID:???
>>139 ありがとうございます。向こうのスレでも言われたんですが、
ケータイで覗いてる方も結構居られるらしいですね。
それでは失礼して書き込ませていただきます…
東京郊外―椎応大学、サークル棟。やたらと汚い部室が
建ち並ぶ中の一角、「現代視覚文化研究会」の部室で
スーツ姿の斑目は溜息を付いた。卒業まであと少し、
まだ就職は決まらない。
(どうしたもんだか)
普段はどうとでもない風を演出している彼も、それなりの
プレッシャーを感じているのだった。
部室には誰も居ない。メンバーは就職活動、講義、はたまた
デートか…がらんとしている部室は妙に寂しいものがある。
いつもは誰かが居て、ゲームや雑誌を読み、一人増え、二人増え、
いつもの喧騒が暖かく部屋を、そして部員達を包み込むのだ。
だが今は誰も居ない。斑目一人だけだ。
(いつだったっけなぁ)
いつの間にか居なくなった会長のように、斑目は窓から校舎を眺めた。
灰色の空は何処までも重く、吹きすさぶ風が否応無く部屋の温度を
下げに掛かっている。斑目は暖房もつけずにポケットに手を
突っ込んだまま、思いに耽っていた。
初めて部室で二人っきりになったあの日―
斑目の憧れにも似た咲への叶わぬ思いが、頭を擡げたのだった。
適当な口実を設け、トイレで悪戦苦闘し、もやもやとした思いを
抱えながら家路に着いた。荷物の事なんてどうでも良くなっていた。
恋をしなかったといえば嘘となる。彼も生粋のオタクといえど、
それなりに慕情は抱いてきた…が。その度に彼は「オタクだから」
「ロリだから」という思いを盾に、これまでの道のりを歩いてきたのだ。
(何を今更)
自虐的に首を振ると、「おー、寒…」などとわざとらしく口にしながら、
出入り口傍にあるストーブに歩み寄った。このストーブはかなり古く、
マッチでなければ火は付かない。運が悪い事に、ストーブ足元のマッチの
箱は既に空になっていた。
「参ったね、こりゃ」
ごそごそと辺りを捜すが、マッチの類があるはずが無い。只一人を除いて、
部員は誰一人として煙草を吸わないのだ。
どうしたものか。
そう思案に暮れていると、いきなり扉が開いた。
「おーす。ぐぁ、すげー寒いじゃん…あれ、斑目居たの?」
ぶっきらぼうな口調で入ってきたのは、咲だった。
突然の登場に斑目の身体の芯が熱くなる。先ほどまであれほど寒さを
伝えていた脳が、今度は熱いぞ、と伝え始めた。
「あ、ああ、春日部さん。高坂は?」
「講義の後、アキバ行くって。何が楽しいんだか」
「今日は『萌えとま』の発売日だったか…ショップ限定のヤツが出るんだろ」
がさがさと棚を漁りながら、斑目は咲を意識しないように努める。先ほどここを
探した事は知ってはいるが、それでも何故か身体が動いてしまう。
「ショップ別注なんてのがあんの?」
「ああ。フィギュアやらトレカやら。高坂の事だから、フィギュアの方かな…
或いは両方かもしれん。前から予約してたんだろうな」
『萌えとま』は、ここ最近巷で話題になっている美少女ゲームだ。老舗のソフトハウス、
プシュケが出す事で熱狂的なファンはネットでもあれこれと議論を交わしていた。ちなみに
斑目はあんまり興味が無かった。プシュケのロリキャラにはグッと来ない。ロリキャラとは
つるぺたを差すのだ。プシュケは頭身が高すぎる。
背後で「はぁ」と咲の溜息が聞こえた。それが妙に艶っぽく、顔が見えない分斑目の
妄想が加速をし始めるが、なんとか抑える。我慢だ、我慢。
「ね、さっきから何してるの?ストーブつけようよ」
「マッチがねーんだよ。春日部さん、ジッポだろ?」
咲は鞄を漁ると、どっかの居酒屋のマッチを取り出した。とんとん、と斑目の肩を叩くと、
それを彼の顔の前に突きつける。
「ほら、これ」
「…持ってんじゃん」
「前にコーサカと行ったお店で貰ったの忘れちゃっててさ。使いなよ」
マッチを受け取ると、所々錆びている金網を開けた。ドーム状のセットレバーを
持ち上げたところで、咲は椅子に座ってそれを興味深そうに眺めているのに気付いた。
「…そんなに珍しい?」
「うん。あたしんち、そんなストーブなかったもん。部室来たら大抵付いてるし」
「現代ッコだねぇ」
苦笑しながらマッチを擦ろうとすると、ふと咲が顔を寄せてきた。
ふと香る、香水。
首から落ちていく、艶のある髪の毛。
耳から首にかけての、肌理の細かい肌。
あの髪の毛を触る事ができれば。
あの肌を直に触る事ができれば。
「どうしたの?早くつけてよ」
そんな言葉に、我に帰る。
そうだな。
そんな事は、無理なんだ。
俺と春日部さんの距離はこんなに近くても。
自分の求める距離までは果てしなく遠い。
或いは道すら繋がっていないかもしれない。
いや、たぶんそうなのだろう。
彼女と俺が交わる事が出来るのは、「げんしけん」を介しているからだ。
ただ、それだけ。
そう―ただ、それだけの関係。
「それで、いっか」
「?」
「なんでもない」
「あっ、ヤカンも空じゃん。あたし、汲んでくるよ」
ヤカンを片手に、部屋を出ようとする咲を斑目は呼び止めた。
「いいって、俺が汲んでくるよ」
「いいよ、ついでに煙草も吸いたいし」
そう言い残すと、咲は部室を出て行った。グズグズと音を立て、
古いストーブが特有の匂いを発し始めた。あと数分もすれば
狭い部室は暖かくなり、過ごしやすくなるだろう。
「それで、いいじゃないか」
先ほどの台詞を口にする。
じきに誰か来るだろう。笹原か。大野さんか。荻上さんか。誰だっていい。
そうすればいつもの日々が始まるのだ。それが一番なのだ。それで、いいじゃないか。
「風が吹くな…」
斑目は窓の外を見上げて一人ごちる。
遠くで木枯らしが吹いた。そんな、冬の日。
>>127>>128>>129を書いた者です。
あまり自信は無いですが、続編を書いてみました。
ちと長いが前説から行きます。
入院生活は、荻上さんにとって思いのほか快適なものであった。
同室の患者たちはおばちゃんやお婆ちゃんばかりで、常連の見舞い客たちも年配の者が多かった。
(以下便宜上、彼女たちを「おばちゃんたち」と呼称する)
おばちゃんたちは荻上さんを本当の孫のように可愛がった。
子供の時はお婆ちゃん子だった荻上さんも、その雰囲気を懐かしく思った。
執刀した医師も、口が軽くて空気が読めないのが難点だが、仕事そのものは真面目で腕は確かなようだった。
(以下、単に医師と称してる場合はこの人のこと)
他の医師や看護婦も親切だった。
どうも荻上さんには、年上の者の庇護欲をかき立てる何かがあるようだ。
170 :
138:2005/10/16(日) 02:58:32 ID:???
以上です。
現視研にストーブがあるかどうかは未確認なんですが、
あるなら恐らくこんなのだろうな、と勝手に想像しました。
次は笹荻あたりで書きたいですね。
見舞い客も頻繁に訪れた。
手術の翌日には郷里の両親と弟が来た。
父と弟はその日の内に帰ったが、母は2日間こちらに滞在し、いろいろ入院の手続きや諸々の準備を整えてから帰郷した。
そして大学から徒歩5分という近さのせいもあって、げんしけんのみんなも毎日のようにやって来た。
と言うか、昼間の荻上さんの病室は殆ど第2の部室と化していた。
斑目などは、最近では昼食の頃になると、弁当を持って直でやって来るぐらいだ。
しばらくご無沙汰だった久我山までもが、この病院が彼の顧客の1つだったので、仕事で立ち寄った後に病室にも顔を出すようになった。
そして荻上さんにとって何よりも楽しみだったのは、何と言っても笹原の見舞いだった。
みんなと一緒に1回来るのとまた別に、時間をずらしてもう1回来る。
そしていろんなことを話して帰る。
それが2人の日課になっていた。
1度おばちゃんたちに「げんしけんって何の集まりなの?」と訊かれたことがあった。
答えに窮していると、クッチーが「漫画やアニメやゲームを研究するオタクのサークルですにょー」と答えてしまった。
一瞬焦ったが、おばちゃんたちの反応はと言えば・・・
「あー、電車男のことね」
「あーあれ、萌えーとかキターとか叫んでる人のことでしょ?」
「違うわよ。女の子の場合は不思議ちゃんって言うのよ」
・・・まあ多少誤解や曲解はあるようだが、オタクに対する印象は概ね悪くなかった。
どうもおばちゃんたちの年代の人々にとって、オタクとは単に子供っぽい若者っていう程度の認識らしい。
荻上さんは順調に回復していった。
だが退院の前に、避けて通れない大きな試練が彼女を待っていた。
前説長過ぎ!スンマセン、ここからが本文です。
今日も今日とて見舞いに来た笹原。
病室の入り口から中を見ると、荻上さんのベッドの周りを医師や看護婦が取り囲んでいる。
回診の時間らしい。
少し待とうかと考えたその時、病室の中から小さな放屁の音が聞こえた。
医師「やったー!荻上さんがおならをしたぞー!」
看護婦「おめでとう荻上さん」
周囲に居たおばちゃんたちが、どやどやと集まってきた。
「千佳ちゃん、おなら出たの?」
「よかったわね、おならが出て」
「おならが出たんなら、もうじき退院よね?おめでとう千佳ちゃん」
「よーしみんな、万歳三唱やるぞ!千佳ちゃんのおなら、ばんざーい!」
完全に祭状態の病室内。
人垣の隙間から荻上さんが見えた。
みんな善意と好意でやってることなので怒るわけにも行かず、例によって真っ赤っかで俯きつつ、か細い声で「あっ、ありがとうございます」と応えていた。
これは出直してきた方がいいなと、引き返そうとする笹原。
だが空気の読めない医師は、彼を見逃さなかった。
医師「おーい笹原くーん!いいとこに来た!今ね、荻上さんかおならをしたんだよ!」
笹原の方を見た荻上さんの赤面が、通常の3倍の赤さになった。
ヤバい!とっさに駆け寄って荻上さんを抱きしめる笹原。
笹原「(小声で)落ち着いて、荻上さん。ここ7階だから」
だが荻上さんは、まだ沸点には達していなかった。
その寸前に抱きしめられて我に返ったのだ。
顔の赤みも通常に戻っていた。
笹原の言葉で彼の意図に気付いた荻上さんは囁き返す。
荻上「あの、笹原先輩。私、大丈夫ですから」
笹原「ほんとに?」
荻上「大丈夫ですから、あの、その・・・」
再び赤面する荻上さん。
笹原も、自分が荻上さんをしっかり抱きしめた体勢であることを思い出し、赤面しつつさっと離れる。
笹原「ごっ、ごめん。つい夢中で・・・」
荻上「いっ、いえ。だっ、大丈夫ですから・・・」
その時2人は、ようやく自分たちに向けられた視線に気が付いた。
おばちゃんたちや看護婦たちが、満面の笑みを浮かべて2人を見ていたのだ。
(問題の医師だけは何故か真顔)
「もうこれだから若い子は・・・」
「笹やんって、意外に情熱的なのね」
「婿殿、朝から元気ねー」
完全に喜びの表現で抱きしめたと思われてしまった。
笹荻「あの、これは、違・・・」
何とか弁解しようとするが、まさか荻上さんがダイバー・シンドロームだと言うわけにも行かず、しどろもどろになる赤面笹荻。
もちろんおばちゃんたちは聞いちゃいない。
「さあみんな、野暮は無しよ」
「そうそう、あとは若い方同士で・・・」
見合いの席の仲人さんみたいなことを言って、おばちゃんたちは解散してそれぞれのベッドに戻って行った。
最後の1人は、ご丁寧に荻ベッドの周囲をカーテンで覆ってしまう。
看護婦たちもニヤニヤしながら「お大事に」と声をかけて立ち去る。
最後まで居残っていた問題の医師が真顔で言う。
医師「チューぐらいはいいけど、それより先は退院まで我慢してね。(カルテを見て)まあ体温で見る限りでは多分今日は安全日だから、ちともったいないけどね」
医師が立ち去り、あとには真っ赤っかな笹荻がカーテンの中に残された。
おしまい。
またもや駄文で失礼しました。
自宅のトレス台で、荻上はサラサラとペンを滑らせていた。来るべき夏コミに向けて、
せっせとハレガンの原稿を描いているのだ。
しかしその手が急に止まった。原稿には、『大佐』の絵が顔まで描かれている。
(そういえば先輩、就職まだ決まらないのかな?)
荻上は、考えてからはっとなった。
(なんで先輩の事なんか考えちまったんだ? ただハレガン同人誌描いてるだけだって
のに! こんな事考えちまうなんてきっと、先輩の妹が余計な事言ったからだ! まっ
たく何考えてるんだ? わたすと先輩がつき合うだなんて! 先輩だって先輩だ! 何
が『俺も、遊んでるヒマはないな』だ! わたすにとっては大事な事なんだぞ!)
まるで八つ当たりにも似た思いで、荻上は憤慨していた。
(やめだやめだ! ハレガン描いてると、どうすても先輩の事考えちまう。これじゃ、
描きたいモノなんて描けやしねぇってもんだ!)
一人でイライラしながら荻上は、棚にハガレンの原稿を放り込むと、代わりに描きか
けの『くじアン』の原稿を取り出した。
(昔なんとなく描いたやつだけど、こっちを直して出そう)
くじアンの原稿を読み出す荻上。
(やっぱ眼鏡受けは外せないなから、千尋が受けで麦男が攻めだな。麦男は普段はツン
ツンしてるけど、千尋の笑顔にその心が段々と溶かされていって……キャー! 萌える
萌えるー! でもって攻めのはずの麦男があの時では、千尋に逆に○○られたり、でも
やられっぱなしの麦男じゃないから、千尋の眼鏡に麦男が○○したりして、んでもって
最後には……)
我に返る荻上。
(また、ワープしちまった。でも、これでいってみっか)
納得したのか、自分の妄想を漫画に投影していく荻上。
しばらく描いていたが、荻上はその手を休めた。
(ちょっと休憩すっか)
荻上は、背中を反らせ伸びをした。そして気分転換に近くにあったハレガンの単行本
を手に取った。
(やっぱ大佐ってカッコいいよなー。するどい目線とか、頭切れるし。そしてなにより
厳しい感じとは裏腹に、実は仲間思いで優しいところが……)
荻上は何を思ったか、鞄から愛用のノートを取り出すと、大佐のイラストを描きだし
た。
(大佐の内面はやっぱ笑顔だよなー。笑顔の大佐……いいなぁ)
やがて完成した笑顔の大佐イラスト。しかしそれを見て、荻上は表情を曇らせた。
(……あれ? 何でこうなっちまうんだ? わたすは大佐を描いたはずなのに……)
その時の荻上の脳裏には、笹原が微笑みかけてる映像が浮かんでいた。
真っ赤になる荻上。
(違う! 違う! これは、あくまでハレガンの大佐なの! 断じて! 断じて違う!)
否定しつつも荻上は、そのイラストを破り取り、ハレガンの本と本の間に挟んだので
あった。
終わり
キタキター!!イイ!
>>165-177 三人分まとめて読んだ、すごくGJよ、脳内にもGJね。
てゆーか、貴方達の力量に驚きを隠せない自分がいまつ。
本スレでもたまーに書かれるSSがクオリティ高いなーって思ってたけんだど
SSスレが立った途端にそのLVの高さが窺がえるSSがどんどん投稿されるのは
非常にイイ流れですよねー (^_^)
みんな切磋琢磨、色々な糸口でSSを展開するから私は毎日がハラハラですよー
>>165-177 俺も三話まとめて拝見。投稿賑わしく誰の作家の作品か混乱しつつある今日この頃。
斑咲は正直興味無かったが、読ませる内容で引き込まれました。咲がコスプレして
染まっちゃった時点で二人が対立する意味が無くなったし「茨の道」を咲が歩む
必要も無くなったし、斑目がいやなオタを演じる必要も無くなった。逆に咲を
気遣い、「自分の気持ちを秘める優しさ」を見せる斑目。「針のむしろ」が切ない。
荻上が可愛がられる姿を見るのは癒される。
>どうも荻上さんには、年上の者の庇護欲をかき立てる何かがあるようだ。
そうなんですよ。そうなんですよ。もう「お孫」な気分ですよ。
>我に返る荻上
我に返らなくてもいいです。妄想に浸ってる荻上は可愛い。またオマケで
もいいから妄想シーン原作でもしませんかね(笑)
>>165-177 土曜夜から日曜朝にかけてはSS三本ですか。
なんか週末の楽しみが増えましたよ。ありがたい。
漏れなんか非公式小説読みたさにオフィシャル本買ったりした口ですから、こういうのはほんとうれしい。
でも咲、笹妹、恒例の荻上と来たけどまだ大野メインのSSが無いのね。
漏れ大野好きなんだけどなー。今の黒大野もむかしの「あうー」大野も。
どなたか書いてくれないもんでしょうか。
182 :
マロン名無しさん:2005/10/16(日) 23:23:05 ID:pnYHxBYR
本スレってちょくちょくげんしけんから離れた話題になるから、こっちのスレの方が俺には居心地がいい
ごめ。ageてしまった。
咲はタバコやめたんとちがうの?
荻は夏コミ申込んときに「くじアン」にしたんとちがうの?
ああっここではそういうツッコミはなしですかすいませんすいません
>>184 正論だが確かに無粋な返答。でも謝ってるからいいんじゃな〜い(~ー~)
>荻は夏コミ申込んときに「くじアン」にしたんとちがうの?
知らない人もいるだろうから一応情報として。
コミケ(作品内のコミフェス)は応募のときになにの作品について作るか記すことになります。
そうやってブースの区分けが出来るわけです。
げんしけんの本を出すところはそれで固める感じ。
同好の本が集まるようにし、買いやすくしてくれているわけです。
なので、原作では荻はくじアンブースにいたわけだから、
応募時点でくじアンに変更したことがわかるわけですね。
なので、もしコミケにいったことのないあなたが行くときは、
カタログを買って自分が見たい本がどのあたりに陣取ってるかチェックしましょう。
また、そこを見たあとに全てを見て回るのもまたいいです。
応募したものとは違う内容の本がいっしょに置かれているケースがあり、
掘り出し物が見つかることがあるからです。
とまあ、知ってる人には当たり前、知らない人にとってありがた迷惑な情報でした。
>>184 それ知りながら書いた。つまりわざとなのです。
げんしけん風に言うと、「そこは流せ」
でおながいしま〜す。
だって、書きたかったんだもの。
言い訳としては、コミケではダメでも、コミフェスならいいかも
知れないじゃないか〜って事で。……ダメ?
>>185 あなたとは漏れの事? それとも不特定多数のあなた?
まあどっちでもいいや。とりあえず情報、乙なのだ。
明らかな設定を変えるのはSSじゃないよなぁ
ちらしのうr(ry
188 :
185:2005/10/17(月) 01:41:33 ID:???
>>186 一応、不特定多数に。
別に文句があるわけじゃないです。
面白かったし。
189 :
138:2005/10/17(月) 02:45:02 ID:???
>咲はタバコやめたんとちがうの?
そうでしたね…以後気をつけることにします。
190 :
186:2005/10/17(月) 03:02:54 ID:???
>>188 いや、別に文句つけてるわけではなかとです。
どっちかなと思っただけで。
むぅ、文字だけだと状況が伝わりにくいですのぅ。
>>面白かったし。
謝謝。
大野さんの話のリクエストに応える積りが、クッチーの話になっちまったにょー。
ある日、大野さんが1人で電車に乗っていた時のこと。
隣の車両が何やら騒がしい。
のぞいてみると、2人組の酔っ払いが乗客に絡んでいた。
(隣の車両との間のドアは、たまたま開いていた)
2人とも大柄で強面なので、みんな怖がって見て見ぬふりをしている。
そんな乗客たちを試すかのように、2人は次々と絡んでいく。
やがて2人は、ひとりの若い美人に目を付け、痴漢まがいのセクハラを始めた。
さすがに車掌さん呼んだ方がいいかなと大野さんが考えた矢先、聞き覚えのある声が響いた。
朽木「まあまあまあ、ここは日本的馴れ合いでひとつ穏便に・・・」
ヘラヘラ笑いながら美人と2人組の間に割って入るクッチー。
酔っ払いA「何だてめえは?」
朽木「通りすがりの学生ですにょー。人はわたくしをクッチーと呼びますにょー」
酔っ払いB「そのクッチーが何のようだ、こらっ?」
朽木「いやいやいや、何と言いますか、ここはひとつわたくしに免じて、そのようなご無体な行為は、ご遠慮頂けないかと・・・」
隣の車両では大野さんが感心していた。
大野「(へー朽木君も男らしいとこあるんだ・・・)」
酔っ払いA「何だてめえ、俺たちに喧嘩を売ってるのか?」
朽木「いえいえ、わたくし平和主義者でございますから、あくまでも話し合いで穏便に解決を図ろうと・・・」
クッチーの言葉を遮るように、酔っ払いBがいきなり鼻っ柱にパンチを放った。
大野「(アチャー)」
やっぱりクッチーじゃ無理かと落胆する大野さん。
酔っ払いB「ごちゃごちゃうるせーんだよ、てめえは!」
クッチーは鼻血を出したがダウンはせず、まだヘラヘラしていた。
朽木「そうですか。逆切れですか、そうですか」
次の瞬間、ヘラヘラ笑いが消えてマジ顔に豹変する。
そしてクッチーの右の拳が、Bの顔面に叩き込まれた。
車両のまん中に居たBの体が、(大野さんの居る方と反対側の)隣の車両へのドアの所まで吹き飛んだ。
完全に気絶し、鼻は潰れ、前歯が何本か無くなっていた。
酔っ払いA「てっ、てめえ!」
懐からナイフを出すA。悲鳴を上げる乗客たち。
クッチーの左の手刀がAの腕に振り下ろされた。
ナイフは落ち、持っていた手の前腕部がくの字に曲がった。
さらにクッチーの右のローキックが、Aの左脚を薙ぎ払う。
空中で一回転して、頭から床に落ちて気絶するA。
左脚もまたくの字に曲がっていた。
大野「(朽木君、凄い・・・)」
感心し呆気にとられる大野さん。
クッチーは新入生勧誘の日の翌日から空手を習い始めた。
次に同じ様な事態が起こった時に、絶対に犯人を捕まえてやろうと思ったからだ。
運動神経やスタミナは無いものの、体格はいいのでパワーはこの数ヶ月で急激にアップした。
引き締まった厚みの無い筋肉ながら、体重も90キロ近くまでアップした。
体が硬くてハイキックがあまり上がらない為に段こそ持ってないが、技の威力は黒帯並みのレベルまで成長していた。
そのクッチーの怒りの鉄拳を喰らったのだから、2人組はひとたまりも無かった。
乗客たちは喜び、美人もお礼を言おうとクッチーに近付いた。
だが1度キレたクッチーは、簡単には止まらなかった。
Aを引きずり起こして近くのドアに叩きつけたり、Bを頭上にリフトアップして投げ捨てたり、足を振り上げて2人の腹を踏みつけて胃液を吐かせたり、完全に正当防衛の範疇を逸脱していた。
そしてついにマウントポジションで顔面を殴り始めた。
乗客たちも美人も、恐怖ですっかり引いていた。
さすがにまずいと思った大野さん、隣の車両から乗り込んできて止めようとする。
大野「朽木君!やめなさい!」
だがもはやクッチーの耳には誰の言葉も届かない。
大野さんは最後の手段に出ることにした。
クッチーの背後から首に腕を回し、さらに両脚を胴体に巻きつけ、胴締めスリーパーの体勢で締め上げる。
以前にゲームで見たのを見よう見真似でやってみたのだが、怪力が功を奏して数秒後クッチーは落ちた。
結局、酔っ払い2人は逮捕され、クッチーは大野さんが身元引受人ということで帰された。
多少過剰防衛気味ではあったが、先にクッチーが殴られたことやナイフを向けられたことが乗客たちの証言によって証明されたからだ。
(大野さんが証言することをお願いしたら、みんな彼女を怖がって快諾してくれた)
その帰り道にて。
朽木「今日はいろいろと申し訳ありませんでしたにょー」
大野「まったくあなたって人は、しょうがない人ですね」
朽木「いやー面目ないにょー」
大野「(笑って)でもあの2人を止めようとしたとことか、やっつけたとこまでは、かっこよかったですよ」
朽木「ほっ、ほんとですかにょー?」
大野「あれでキレなかったら、第2の電車男になれたかもしれなかったのに」
朽木「そっ、そうですか?いやー、惜しいことしましたにょー」
大野「その代わりと言っちゃなんですけど、これご褒美」
朽木の頬にキスする大野さん。硬直するクッチー。
大野「それじゃ気をつけて帰るのよ」
立ち去る大野さん。
その数秒後、クッチーの脳は何が起こったかをようやく認識し、今日2度めのダウンをした。
その頬を赤く染めて・・・
おしまい
非難轟々は覚悟の上だ。かかって来なさい!
>>191-194 ……覚悟があるなら言ってやろう。
> 朽木の頬にキスする大野さん。
それは無い! 絶対に無い!
まあ、そこの部分以外は十分楽しめましたヨ。
特にクッチーのキレ具合とかね。
>>191-194 ワロタw
この話は意外とありかもと思ってしまった俺ガイル。
大野さんならあるかもと(帰国子女だし彼氏持ち出し)。荻なら絶対に無い。
しかしまあ、クッチーやりすぎw
クッチーえぐいよクッチー
>>191-194 >非難轟々は覚悟の上だ。かかって来なさい!
こんなこと書いてるからとんでもなくぶっ飛んだ内容かと思ったが面白かったよ。
まあ、電車でのエピソードがアレに似てるかなーと思ったけど、まあそれは置いといてクッチーのキレ方が前のエピソードの延長から自然なキャラクターの動かし方だなと感心しました。
だから結末は電車でのアレには至らなかったけれども、前のエピソードよりもキャラに血肉を与える内容だったとは思う。
クッチーの仲裁の仕方、最初は相手の神経逆撫でさせる話し振りだと思ったから、最初ぼこられると思ったよ。
逆の展開は意外性があったから引き込まれた。過剰防衛はクッチーらしいけど折角の善行にケチがついたのは残念。
正直、クッチーは眼中に無かったけど、これで少し見る目が変わった。荻上と大野との関係改善のエピソードも今後原作でも欲しいとこだね。
>>191-194 さすがはクッチー。自分では止まれぬほどの暴走っぷり。
ってか大野さん、見よう見まねで裸締め決めるとは、最強だな。
ワラタよ。
あのDQN特有の口上ってのも
聞いてる一般人の方が頭に血が上って過剰防衛しそうになるわな
初詣で狼藉してた珍団に、参拝客千数百が一斉に銭浴びせて逆集団リンチの様相になったそうで。
こんなの大野さんじゃないやい(涙
201 :
115:2005/10/17(月) 21:22:36 ID:???
>>171-174 >>荻上さん、入院する
おや、盲腸ネタには付き物の「オナラ」の羞恥展開かと思わせておいて、「基礎体温」ネタですかw
あいかわらずひとひねりして、オチを作ってあるなあ。感心。
面白かったです。
他の方のSS(とかひとまとめにしちゃ失礼だな)も楽しんで読みました。
115の「家出少女荻上」の投稿者ですが、二作目SS。
咲&高坂モノ書いてみました。幼馴染モノの超王道、過去バナってことで。
やたら長くなってスマソ。二晩に分けます。
小学校高学年女子。
この狭い社会でリーダーシップを発揮して女の子の集団を支配するのは、いつだって人一倍美しく、気が強く、成績が良く、人付き合いや家庭環境に問題が無く、同性への面倒見が良い、そんなタイプの子だ。
五年一組学級委員の春日部咲もそんな女の子だった。
「こらーっ!男子ーっ!」
この年頃特有の高く澄んだ声を張りあげて、ほうきを振りかざす。
「やべ、春日部だ!」
「こええ!ぶんなぐられっぞ!」
放課後の掃除をさぼって遊びほうけていた男の子の集団が、蜘蛛の子を散らすように逃げ散った。
教室に残されたのは仁王立ちになってほうきを握りしめた春日部咲と、一人黙々と雑巾がけをする坊主頭の男の子だ。
春日部咲は意味も無く、その坊主頭をほうきの柄で小突いた。
「痛いよ。咲ちゃん」
「咲ちゃん。じゃ無いよ!春日部さん。って呼びなさいよコーサカ!」
「でも昔から咲ちゃんって呼んでたじゃない」
「それは幼稚園のころでしょ!家がちょっと近所だからってなれなれしくするつもり?やーらしー」
「だって咲ちゃんは咲ちゃんだから」
「だーかーらーそういうのがやらしーって言ってんでしょ!いい?!さぼってる男子の分も、あんたの責任で全部掃除しといてよ。そうじゃなきゃ学級委員のあたしの責任になるんだからね」
「うん」
「相変わらずボケっとしてグズなんだから!コーサカは!」
咲は憎まれ口を叩いて教室を後にした。
恒例の腹いせの高坂イジメをみかねて、メガネの女子がおそるおそる声をかけた。
「春日部さん……高坂クンちょっとかわいそうじゃない?」
「なんにもかわいそうじゃないよ。あんなヤツ」
「だって高坂クン、スポーツ万能だし。女子に優しいし。よく見るとすごくかわいい顔してるのに。かわいそうだよ」
「はぁ?あのボーズ頭が?目ぇおかしいよ」
口では呆れたように否定しつつも、咲は幼馴染の高坂真琴が尋常で無く整った顔の造りをしていることは知っていた。
幼稚園のころは、二人揃うとお人形さんが並んだようだと言われた。今の高坂がわざわざ坊主頭に刈り上げているのも、髪を伸ばせば女の子に間違えられてしまうほどの美形だからだ。
女顔の彼が「オンナ男」と呼ばれてイジメのターゲットになったり、下手をすると変質者の標的になったりしかねないと両親が危惧したのだ。
そんな両親の配慮もあって、高坂はすくすくと育っていた。成績も悪くなく、運動も大の得意。この年頃の男の子集団において最も尊敬される「ゲーム名人」の座も獲得していた。
だが小学校高学年の男の子として健全に成長していくことは、同時に、昔は仲の良かった咲との間に距離と壁が出来ていくことも意味した。マイペースな高坂自身はあまり気にしなくとも、咲と周囲が過剰に意識した。それは思春期の必然だった。
「ボーズ頭で、親が買ってきた安物の服しか着ないで、いっつもボケっとしてる、あーんなヤツのどこがいいのかしらねー。まったく。あんなのガキよガキ」
同年代の男の子の幼稚さを激しくこき下ろすのも、女の子の成長の一過程だった。
「春日部さんっ。大変っ!」
おさげのクラスメートが息を切らしながら廊下に走りこんで来た。
「どうしたの?○○ちゃん?」
「大変なの!クラスで花を植えた校舎裏の花壇の上で、六年の男子が遊んでるの!お花が枯れちゃう!」
「センセイは?」
「探してるけど、いないの」
「わかった。すぐ行くね。○○ちゃんはセンセイを探してきて」
「うん」
気が強く、誰に対しても物怖じせず、面倒見が良い咲は、こんな時一番頼りにされる存在だ。
咲はほうきを片手に廊下を走り、階段を駆け下り、靴に履き替えて校舎裏を目指した。
今宵はここまで
うむ。とことんお約束的だが、良い感じかも。
205 :
155:2005/10/18(火) 01:16:11 ID:???
>>156-158 亀レスになりますが皆さん感想有難う御座います。少しでも楽しんで貰えたようで何よりです。
また妄想が膨らみ次第投稿させて頂きますね。
しかし、この数日の投稿ラッシュといったら…嬉しい悲鳴ですが!
本誌発売近くなったら乗り遅れないようにせねば。
みんながんばれ
「こらっ!あんたたち!花壇からどきなさいよ!」
咲は花壇に腰を下ろしている上級生男子の後頭部に、いきなりほうきを振り下ろした。
そして(あ、ちょっとやばいかも)と思った。
「あーっ?なんだてめーわ」
この頃から全国的に社会問題になっていた公立小学校の学級崩壊。
咲の母校においても六年のクラスを学級崩壊させていた男子グループ。そのリーダー格であるひときわ体格の良い少年だ。その彼が、下級生女子にいきなりほうきではたかれてこめかみを痙攣させるほど激怒していることに気づいたのだ。
「XXさんになにしやがんだよ。このアマ」
「こいつ五年の学級委員の女ですよ」
子分格の二人が口々に言った。
内心の怯えを押し隠して、上級生男子三人を相手に咲は胸を張った。
「ここは花壇!そこからどきなさいって言ってるの!聞こえてるの?」
いきなり頬を殴られた。
(え?!)
小学校の男子生徒はおろか父親にも手をあげられた経験の無い咲には、何が起こったのか理解できなかった。
尻餅をついた。口の中が切れて血の味がした。拳で、ぐーで殴られたことに初めて気づいて、咲は呆然とした。
そして続けざまに拳を振るわれ、肩口を蹴り上げられてひっくりかえった。
「ちょ、ちょっと、やめてよお!」
自分の口からこんな弱々しい悲鳴が出ることに、咲は驚いた。
ほうきを振り下ろしたのが、キレて暴力をふるいはじめると男女の見境すらつかなくなるタイプの少年だったことが咲の不幸だった。
美容院でカットし毎晩リンスしている髪を鷲づかみにされて、犬のように引き回された。信じられないほどの屈辱感で頭に血が昇った。なぜ自分がこんな目にあわねばならないのか、理不尽さに涙が出た。助けを求めて視線をさまよわせても、校舎裏には人気は無かった。
(いたいっ。こわいよっ。こんなのやだよっ)
「五年のくせに生意気だよ。おまえ」
「こら、XXさんに謝れよバカ女」
子分が口々に囃したてた。
「ごめんなさい。わ?」
リーダー格がさらに髪の毛をねじりあげて理不尽な謝罪を要求した。艶のある栗色の髪がブチブチとまとめて抜けた。
(ちくしょう。ちくしょう。くやしいよっ)
瞳いっぱいにたまった涙が、頬に流れた。
「ごめんなさい。わ?」
「…………」
「ごめんなさい。わ?」
「……ご……」
それまでの十一年間、ひたすら誇り高く、何の心の闇も無く、日の当たる場所だけをまっすぐ生きてきた咲の魂が、穢されそうになった瞬間だった。
子分の一人がいきなり吹っ飛んだ。誰かに突き飛ばされたのだ。
「咲ちゃんを放せ」
幼馴染の咲もはじめてみる、冷たい瞳の高坂がそこにいた。
「コーサカ……」
「今度はなんなんだよ。このボーズ頭わ」
リーダー格がイラついた口調で言った。
「こいつ五年の高坂ですよ。結構強いって話です」
子分が耳打ちした。
「へーなに、おめーオンナ助けに来たわけ?カッコイイね」
リーダー格がせせら笑った。
「咲ちゃんを放せ」
高坂が繰り返した。
リーダー格は鷲づかみにしていた咲の髪の毛から手を離し、身構えた。
「咲ちゃんを殴ったな」
高坂は拳を握り締めた。
「何?オレって悪役?悪役なの?」
おどけるリーダー格を無視して、高坂は咲に微笑んだ。咲の知るあの優しい笑顔だった。
「咲ちゃん。逃げて」
「え?」
「早く逃げて」
「でも、コーサカは……」
「ぼくはいいから。咲ちゃんは早く逃げて」
「おまえボーズ頭でヒーローのつもり?バカじゃねーの?アニメの見過ぎなんだよおめーわ」
六年生三人と、五年生一人の乱闘がはじまった。
「ごめん!ごめんね!コーサカ!」
泣きながら、咲は校舎裏を走り出た。
女の子に間違えられるような女顔だからこそ、高坂が必要以上に男らしさにこだわっている少年だということを咲は知っていた。それだけが彼にとって男の子である証明だからだ。
それを知る程度には幼馴染として、咲は高坂の内面を理解していた。
職員室に飛び込み、学級委員としての信用で体育教師を引っ張り出して校舎裏に戻るのに一〇分弱かかった。
体育教師の怒号に六年生三人は逃げ散り、地面に仰向けになった高坂だけが残されていた。顔を腫らして空を見ていた。
「ははは。男の子なら喧嘩のひとつやふたつはしないとな。保健室行けよー」
古い体育会系体質を気取っているだけの体育教師は、時間と手間のかかる生徒指導の面倒を無責任に回避して、そのまま立ち去った。学級崩壊が発生するような公立小学校の教諭の、ある意味典型だった。
「コーサカ……」
「ごめん咲ちゃん。負けちゃった」
手ひどく痛めつけられた幼馴染の顔を見つめて、咲は涙を流した。
自分より長く濃い睫毛に縁取られた、ひそかに妬ましく思っていたぱっちりした目は青黒く腫れ上がり、形の良い鼻梁から鼻血を流していた。色白の肌のあちこちが内出血していた。
「ごめんね。ごめんね。ごめんね。コーサカ」
泣きじゃくりながら咲は幼馴染にしがみついた。それは小学校高学年になってからは封印していた幼い頃の行動だった。高坂はその体を優しく抱き返し、「大丈夫だよ。咲ちゃん」といつもの口調でささやいた。
そして続けた。
「負けちゃったけど、でももうあいつらの動きは見切ったから。次は負けないよ」
「……バカ」
咲は呆れた口調でつぶやいて、幼馴染の肩で涙を拭いた。
下校のチャイムが鳴りはじめていた。
「転校?!」
「うん。転勤で引っ越すから、六年の春からは別の学校に通うことになったんだ」
「なんで……そんな……急に……」
五年生終業式の放課後だった。その後何度か高坂と喧嘩していたらしい六年生グループも卒業して学校からいなくなり、咲も安心しつつ『高坂に守ってもらっている』という被保護者意識をようやく下ろした直後のことだ。
いつまでも一緒だと思っていた腐れ縁の幼馴染が、春にはいなくなってしまうと言うのだ。
「なんでそんな大事なこと、もっと早く言わないのよ!」
校舎裏以来の涙が出た。
「ごめんね。咲ちゃん。でもこのことを言ったら、咲ちゃん悲しむから。転校まで悲しんで暮らすから。咲ちゃんは、明るくて元気でまっすぐな女の子じゃないとだめだから」
「わ、わたしは悲しんでなんかいない!バカコーサカ!」
赤面しながら涙をぬぐって、咲は声を荒げた。
「ぼくは悲しいよ。ほんとうに悲しい」
高坂は真顔で言った。
「ぼくは子供で、子供ってほんとうに悲しいな。テレビは一日三〇分まで。ゲームは一日三〇分まで。どんなに好きなアニメでも、どんなに好きなゲームでも一日三〇分までなんだ。
そして大人の都合で転校もしなきゃならない。どんなに好きな女の子とも、遠く離れなきゃいけない。
ぼくははやく大人になりたいな。大人になれば、いつでも好きな時に、好きな時間だけアニメを見たりゲームをしたりできるから。そして好きな女の子とも、いつまでも一緒にいることができるんだから」
高坂がこれほど長いセンテンスを話すことは珍しい。咲は半ばおどろきながらこたえた。
「バカねコーサカは。アニメ見たりゲームしたりするのは子供だけだよ。大人になったらアニメ見たりゲームしたりしないのよ」
「してる人もいるよー」
「そういう大人は、オタク。って言うのよ。コーサカはオタクになるつもりなの?」
「うーん。そうかも」
「オタクは女の子にもてないし、彼女もできないのよ。わたしも相手にしてあげないよ」
「えー。困ったな」
苦笑いする高坂に、今度は咲が真顔で問いかけた。
「ねえコーサカ。コーサカはわたしのことが好きなの?コーサカが好きで、いつまでも一緒にいたいけど、離れなきゃいけない女の子って、わたしのことなの?」
「うん。咲ちゃんのことだよ」
「ほんと?」
「ぼくは咲ちゃんのことが大好きだよ」
その返答に咲の表情が崩れそうになった。また泣きじゃくってしがみつきそうになるのを懸命にこらえた。
「ずっと咲ちゃんと一緒にいたかったよ。六年生も。そして同じ中学に行って、同じ高校に入って、大学も同じところに行って、そしてそれからもずっと一緒にいられたらよかったよ」
「コーサカ、目を瞑って」
咲は幼馴染に命令した。
「え?」
「目を瞑ってって言ってるの」
「うん」
幼馴染は素直に言うことを聞いた。
春日部咲は十一歳のあどけない顔を真っ赤に紅潮させて、高坂真琴の唇に近づけ、優しく触れるようにくちづけた。
「咲ちゃん」
高坂は驚いたように瞳を大きく見開いて、うれしそうに微笑んだ。
「いいコーサカ?これはわたしのはじめてなんだから。はじめてをあげたんだから。だから、絶対わたしのことを忘れちゃだめだよ。絶対だよ」
「うん。ぼくは咲ちゃんのことを忘れたりはしないよ」
「さよならっ!」
恥ずかしさと悲しさがどうしようもなく溢れ出して、咲は身をひるがえした。教室から飛び出して、そのまま通学路を駆け、家に帰って部屋にこもって大声で泣いた。それが二人の別れだった。
そして春日部咲と高坂真琴が再会するのに、その後七年の月日が必要だった。
「……あっ」
「ごめん咲ちゃん。おこしちゃった?」
「大丈夫。ごめんね勝手に部屋に入って寝てて。会社、今日はもう良いの?」
「うん。プシュケの方は作業が一段落して、二三日は出社しなくてもいいって言われたんだ。帰ってきたよ」
「おかえりなさい。コーサカ」
「ただいま。咲ちゃん」
「ベッド……来てくれるんだ……ゲームとかしないの?ひさしぶりに帰ってきたんだから、ゆっくり遊んでてもいいんだよ」
「ううん。いまは、咲ちゃんと一緒にいたいんだ」
「ふふ。ねえ、コーサカ」
「なあに咲ちゃん」
「わたし、夢を見てたよ」
「どんな夢?」
「昔の夢。恥ずかしくってとても言えない思い出。ねえ、コーサカ」
「なあに咲ちゃん」
「コーサカは、運命って信じてる?」
ここで終わりです。長くてウザくてスマソ。
ひたすらお約束ですね(汗
213 :
115:2005/10/18(火) 21:13:38 ID:???
>>204 ありがとうございます。
次回作はまた荻上モノ。
題して「荻上・勝負パンツ」です。
「コーサカは、運命って信じてる?」
「エロゲーがボクの運命だよ。咲ちゃん」
スマソ。つい書きたくなったw
>>202-212 GJ!力作ですね。楽しませてもらいました。
次回作期待しております。
>>荻上・勝負パンツ
ハァハァ
>>202-212 笹原を正拳づきで殴る初期の咲さんからは想像もつかない弱々しさ。暴力シーンはリアリティがありすぎて怖かったですね。
「春日部さんには無敵でいてほしかったな、うん。」とはいえヒーロー登場、ヒロイン救済。定番ながらほっとする展開。
幼なじみの転校・・・そして再会。くー、ベタもベタ、されどこうでなくては。大人の都合で別れる二人・・・。大人になったら好きなことを好きな時に心行くまで!天然コーサカの原点回帰のようなエピソードですね。
エロゲー会社に就職し、好きな道を爆走中、どこへ行く行く天然コーサカ君・・・。
というか連投っすか?書き溜めていたものを出してんですか?それとも次から次へ創作の嵐ですか?
いやいや驚くばかりです。固定したジャンルにこだわらずに満遍なく創作してるんですね。
>>202-212 咲のファーストキスの相手は小学校時代の高坂だった。ってのは素敵な設定かもね。
幼馴染のロリ咲の初キスがゲットできたなら、バージンゲットwはできなくてもいいよね。
ところで咲のバージンゲットしたのは誰なんだろ。あのオサレ系元彼なのか。それ以前の男なのか。
あの元彼の咲に対する執着ぶりから見ると、あれはバージンゲットした男特有の勘違い行動っぽい匂いがするけど。
「オレが女にして、色々開発してやったんだから」みたいな。
いずれにせよ、荻上の初キスからバージンから何もかもゲットできる笹原がうらやましくてならん。
ああ…やっぱハッピーエンドはいいねえ。それもベタなのが。
自分で書くと 暗く、写実的、皮肉っぽく、ただ独特なものになる。うまくいかんね。
初期の木尾と同じ悩みか。
>>202-212 なかなか面白かったけど、高坂にはやっぱり地球外生物でいて欲しいから、三人組とは痛み分けにした方がよかったかも。
>>202-212 やけに長いな。と思ったらSSでツンデレやってたから長くなったのね。なるほど。
字数使っただけあって、ロリ咲の坊主頭高坂に対するツンツンぶりの描き方が中々良かった。
だからこそラストと原作本編でのデレっぷりがひきたつというもの。
>>216 咲は「女子校だった」そうだから、あんまり男遍歴は多くないのかも。
いや、そんなこともないのかw
でも基本的に一人の男と付き合ってるうちは他に目移りしないタイプだよな。一途系というか。
なんなんだここのSSスレわ、皆が皆 ネ申クラスの投稿ぢゃないか!!
ぶっちゃけいい出来のSSってのは今まで1本しかないと思った。
某ファンサイトで言えば、展開予想ショークラスばっか?w
ま、あくまで漏れ個人の独断だが。
>>222 最悪な感想の例だな。こんな書き方だと、お前さんがいい出来だとおもった作者さんまでがっかりするぜ?
まあ指名して「これ以外駄目」とかのたまうのも良い迷惑だろうがな。
いいか、まんせーは一言だろうが無条件で作者にプラスになるんだよ。
だが批判、批評はきちんとどこが悪かったかをきちんと説明しない限り、作者は気落ちする、ファンは不快、スレの空気は悪くなり新規は出なくなる。
お前の書き込みは、誰にとっても無価値だ。意見を言いたいならきっちり組み立てて論破してみろ。
それなら俺はお前を歓迎する。
>>223 ですねえ。一応投下した側なので、この発言はなんか嫌な気分になりますね。
もちろん、ここをこうしたほうがいいとかそういう感想は大歓迎なんですが。
善意が含まれてない感想は・・・・、きついですね。
まーアンチが出てくるのも盛り上がりの一環ってことで。
>>222 いかにも嫌なオタク…SSスレの原口といった感じでしょうか。
「まっ、これは僕の感想だけどね♪」
ところで、あるss探してるんだがG=lNKでも見つからない。
確か、高坂と母親の愛憎劇。非18禁。思わず息を呑んだ作品なんだが。
誰か知らんかね
その特徴として、印象に残った台詞が、大野の
「高坂さんは綺麗すぎるんです…人と思えないほど。だから怖いんです。そういう人はどこか壊れていることが多いんです。
アメリカでもいました、すごく綺麗な子なんですけど、自傷を繰り返してたんです。」ってかんじの。
確かGLINKで行き着いたサイトだったと思うが…
229 :
マロン名無しさん:2005/10/19(水) 21:59:10 ID:xxDRiQi0
お、本スレ100終わった。
230 :
950:2005/10/19(水) 22:04:48 ID:???
すいません・・・・・。
出来たらこっち乗せます・・・・。おwrほfvhうぇhgfhうぇhんt
>>207-213 お約束のアクション想像してたら、高坂が等身大の少年で良かった。
げんしけんならこういうリアリティだよね。
予想はしてたけどハラグーロさんもそのうち出てくるかなとは思ったけど気にしない、気にしない。
万人受けする作品などこの世にありえんし、批判ではなく健全SSの適切な批評の場を維持していきたい
ですよね。せっかく専門スレが立ったんだし。それでも色々な人がいるのが人の世。
恵子「まあ、それもありでね!!」
リアル原口「ちょっと批評みたいなことやってみたりするけどさあw、やっぱりちょっとSSスレの全体的なレベルは低いね」
リアル朽木「はーい。ぼきゅはここのSS全部ダメだと思いまーす」
投稿者としては、あらためてこうやって書くとすげえムカつくなw
なんかげんしけんキャラにも読者にも、この二人が嫌われてる理由がわかった。愛が無いんだよな。
リアル斑目「うおおおおおおお!このSS萌えー!ベタ展開萌えー!」
みたいな感じかなあ。みなさま失礼。
斑目が、げんしけんキャラにも読者にも嫌われず結構好かれてるのはこのへんが理由かな。
斑目には愛があるからな。愛の戦士。やっぱり愛は重要だ。
みんな愛をもってSSを書いているんだから、批判するにも愛をもって欲しいと思っちゃったりするのは贅沢でしょうか。
読んでもらえるだけでありがたいんだけどね。
>>227 漏れも読みたいが、読んだ記憶も無いのです。
>236
確か9月いっぱいで閉鎖されたサイトさんの
小説だと思う。
ぐぐるのキャッシュか何かで探してみたら?
見られるかどうかはわからんが。
238 :
笹荻(1):2005/10/20(木) 01:56:17 ID:???
荻上千佳はその日、時間がなかった。
時間がなかった、というのは自分の責任だ。というのも、昨日はノートにネームを
書き散らし、夜も空けようかという頃に携帯電話のアラームをセットしている途中で
寝てしまったのだ。目を覚ましたのは講義の一時間前。シャワーを浴び、申し訳程度の
化粧をしてから家を出る頃には既に講義は二十分前に迫っていた。アパートから
大学まではそんなに遠くないが、徒歩ではやはり不安がある。ところが―
『心理学(経済学部) 本日休講 補講は下記の日程にて〜』
という張り紙を教室の前で見た時は、思わず溜息をついてしまった。小走りにここまで
来た自分が馬鹿みたいだ。
(…部室にでも行ぐか)
そう思ったが、時間は十一時を少し回ったくらいだ。部員が集まるのは大抵午後を
過ぎてからだし、今行っても恐らく部室には誰も居まい。仮に誰か居たとしても笹原や
咲なら良いが、朽木や大野がいた場合は非常に心苦しい中でノートに向かわなければ
ならない。最近関係が良好になってきている大野はともかく、朽木と同じ部屋に二人きり、
というのは正直耐え難い苦痛である。
239 :
笹荻(2):2005/10/20(木) 01:57:58 ID:???
今日のような事を繰り返さない為にも、校舎の外に設置してある
掲示板へと足を向けた。次の授業は四限目…一時二十分からだ。
食堂で漫画でも読んでいればすぐだろう。
冬はすぐそこに迫り、走った後の肌には寒さを伴った風が心地よい。
自分にとっては突然の休講という、少しだけ開放的になった気分で
掲示板の前まで来ると、よく見知った背中があった。
笹原完二。
何処にでも居そうな背格好だったが、荻上にとっては現視研に入って
からは飽くほど見ている人だ。冴えない性格をしているが、オタクである事を
除けば―否、オタクであるというのに、荻上の心の片隅に偶にひょっこり顔を
覗かせる不思議な男だった。
「どうしたんですか、先輩」
「…あ、ああ…うん。俺の授業休講だってさ」
笹原の一瞬泳いだ目に、荻上は「しまった!」と思った。
自分はというと、いつもの髪型ではなく、普通に髪の毛を下ろし、あまつさえ
分厚いレンズの眼鏡を掛けている。大学に入ったらちゃんと髪形も決め(筆型のヤツだ)、
コンタクトにし、オタクに見えないようにしよう…と心に決めていたのだが、これでは
田舎に居る時と変わらないではないか。
そんな動揺を悟られぬように素知らぬ顔で会話を進める。
「あたしもです。…時間が空いちゃいましたね」
「部室に行っても誰も居ないだろうしね…どうしようかな」
「…あの」
ひどく言いにくそうな顔で荻上は笹原を見上げた。
(先輩となら時間もはやぐ過ぎるかもしんね)
同世代の男子と食事をするなど、今まで考えられなかった。だが自分は決めたのだ。
髪型同様、自分を変えるのだと。そう。笹原先輩を学食に誘うんだ…!
240 :
笹荻(3):2005/10/20(木) 02:00:37 ID:???
顔が赤くなっていないだろうか、ふと不安になるが思い切って誘ってみる。
「がっ…!」
噛みすらもせず、言葉の初めでけっつまづいてしまった。今度は確実に
自分の顔が真っ赤になっているだろう。更に悪い事に、心臓の鼓動に
邪魔されて続く言葉が出ない。
笹原はわけもわからない顔で問い返した。
「…が?」
「あ!いえ…なんでもねっス」
荻上は心の中で自分を毒づいた。
別に先輩とご飯を食べるくらい、どうってごどねえだろ!
実を言うと―時々ではあるが、笹原のことを意識し始めていた。
以前げんしけんでコミフェスに参加する際のひと悶着で、荻上の中での
笹原の株は大幅に上昇していた。だが、好きという感情ではなく、あくまで
年長者に対しての尊敬の念だ。
(それは断言でぎる…と、思う…)
自分の中で弱気ながらも否定する。臭くて、馬鹿で、アニメやゲームの
ことしか頭のないオタクなぞ、自分の心に入る隙間はないんだ。そうに決まっている。
(それに、ホモが好きな女子なんて好きなる男はいね…)
偶に笹原と斑目をカップルとして観察しているのだ。自分でも思うが、酷い妄想だと思う。
ふ、と自嘲気味に笑う荻上の横で笹原が笑いかけた。
「まぁ…いいけど。どうする?俺は学食行くけど…荻上さんも行く?」
「えっ?」
笹原にしては何気ない一言だっただろう、しかし荻上はまたもや素っ頓狂な声を
上げてしまった。一気に混乱の渦が荻上の中でぐるぐると回転を始めた。
(え?え?え?どういう事…?)
「あ、もしかしてお腹空いてない?じゃあ、鍵渡すから―」
「…や、いいデス。イキマス」
「…そう?じゃ、いこっか」
三限目が終わったのか、ぞろぞろと構内から出てきた学生に混じって二人は足を学食に向けた。
241 :
笹荻(4):2005/10/20(木) 02:02:33 ID:???
鼓動が更に早くなり、なんだか周りの音がぐわんぐわん耳に響いている。
見知った顔に会いやしないだろうか、とか、現視研のメンバー…特に咲に
出会いはしないだろうか、と内心びくびくしながら笹原と肩を並べた。
「今日は髪形違うんだね。あと眼鏡も」
「…寝坊したんです。急いで家を出ましたから」
そう言いながらも、心此処にあらず、という感じだ。顔は赤くなっていないか。
変な言動をしやしないか。それだけが頭の中を渦巻いている。
「なんか見慣れないから不思議な感じだよ」
「別に…家ではいつもこんな感じっすよ」
「あ、そうなんだ」
途中で同じ学科の―そんなに仲は良くないが、たまに話す子に手を振られて
思わず荻上は足を止めた。
(…見られた!)
そう思いつつも、苦い顔をして小さく手を振り返した。その女の子は、
時折こちらを見ては一緒に居る子に耳打ちをしている。
「…荻上さん?」
「あ…あの、先輩。あ、あたしと居て…不都合とかねっスか」
「え?」
発言してから、自分が大馬鹿者だと確信した。藪を棒で突っつくどころか、
これでは地雷原を全力疾走しているのと変わらない。
「いや、別に不都合はないよ。だっていつも部室で一緒じゃない」
「あ…そうスね」
どうやら笹原の鈍感さに助けられたようだ。咲が居れば速攻で高坂と
姿を消し、二人きりにされた筈だ。とは言っても現状はその状況と変わらない訳だが。
とりあえずギクシャクしながら歩を進め始めた。逃げたい衝動に駆られるが、
それは駄目だ。自分は何も悪い事はしていない。やましい事もしていない。
ただサークルの先輩とご飯を食べるだけなのだ。それだけ。それだけ…!
242 :
笹荻(5):2005/10/20(木) 02:04:21 ID:???
「実はうちの妹がさ―」
何も知らない笹原は呑気な顔で話をしている。上の空で相槌を打っていると、
不意に少し強い風が吹いた。普段なら髪を纏めているので問題はないが、今は違う。
舞い上がった髪を撫で付けて笹原の顔を見ると、少し顔を赤くして自分の顔を見ている。
何か変な行動でもしてしまったのだろうか?
「…どうかしましたか」
「あ、いや…あのさ。すごい失礼な事かも知れないけど…」
笹原は非常に言い難そうな顔で、鼻の頭を掻いて荻上の顔から視線を逸らした。
「…今の仕草、なんか女の子らしかったなぁって。はは、ごめん」
…?
今の言葉を反芻する。いや、反芻しなくても頭の中でエコーと共に響いている。
女の子らしい?女の子らしいって?
なに言ってんだ、このおどごはー!!!!!!!!
そんな心の叫びと共に、荻上の中の「何か」が限界点を突破した。
「…ッ!!!!」
これまでにない全力疾走だった。無我夢中で校門を目指し、角を曲がり、
横断歩道を渡ってコンビニの前を通り、坂を上ってアパートにたどり着いた。
鞄を放り出し、自分もベッドの上へと突っぷする。
チャーッチャ、ララ!チャーッチャ、ララ!
荒い息でベッドに顔を埋めていると、鞄の中から軽妙な着信音が鳴っている。
先日ダウンロードして、早速着信にした「ハレガン」のOPテーマだ。これを落とした時は
嬉しくて、意味なく何度も鳴らしたものだが、今は妙に憎らしく聞こえるのだった。
おそらく笹原からだろうが、取れるわけがない。此処には逃げ場がない。
243 :
笹荻(6):2005/10/20(木) 02:05:19 ID:???
「…なにしてんだろ、あたし…」
着信が途切れて、ごろ、と仰向けになると読みかけだった「ハレガン」の
最新刊を手に取った。こういう時はワープするに限る。ちらちらと笹原の顔が
大佐と被るが、力ずくで抑え込んで無理やりワープした。途中で咲からも
着信があったが、何を言われたか判ったものではないので見ないことにしてしまった。
これでしばらくは部室に顔は出せないだろう。
結局、午後の講義は全部自主休講し、夜明けまでノートに向かってしまった。
次の日も大学まで走る羽目になってしまうが、頭を筆にすることだけは忘れなかった。
>>238-243 キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━!!
すごくいいです、好みの内容です。
GJ&乙。
惜しくらむは、続きがほしいってことぐらいで。
この後、いかにして部室復帰するのか、笹やンはどうでるかなどがほしいですな。
よければ続きもお願いします。
以前、斑咲で投稿したものです。
時系列としては文化祭前のミーティング前、といった感じでしょうか。
投稿した後で「この時点で大野さんとの関係は良好に向かってたっけ」
と思いましたが、オギーの中ではそうなのかな、と。
>>238-243 GJ!! GJ!!
リアルタイムで見て萌え転がりました!!
特に荻が笹ヤンを誘おうとして、言えなかったところで、
笹ヤンが荻を誘うのがかなりキました。
このままだと生殺しなんでどうか続きをお願いします。
>>238-243 オギ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━!!
普通に読みふけってしまたよ。
GJ!
こういうテイストって、いいなぁ。個人的には、後半をもう少し
書いて欲しかった。食堂での出来事とかね。
やばい、このSSで漏れがワープしそうだ、ハァハァ。
>>244 早(笑 ああ、いや、ありがとうございます。
続きは特に考えてないですね。一応裏の流れは
考えてはいますけど…
笹動揺→項垂れて学食へ→咲と遭遇→急かされて
電話するも撃沈→代わりに咲が電話
と言った感じです。
次々と感想が…ありがとうございます。
食堂の出来事も書こうかと思ったんですが、
あまり長すぎるのもSSとしてはどうかな、と
思いましたので。
自分は単行本派なので、迂闊にオギーの気持ちを
書けないのがもどかしいですね。早く最新刊を読んで
みたいものです。
細かいことだが荻上さん、愛しの彼氏の名前の字を間違えちゃいかん。
完二×
完士○
まあそれぐらい動揺してたということで、ここはひとつ日本的慣れあいで・・・
>>250 失礼しました。
私、色々間違えちゃってますね。前回のSSでも
「現視研には咲以外煙草を吸う人間は居ない」
と書いてましたが、一巻を読み返すと田中はバリバリに
吸ってましたし。いかんな…
SS乙です
今日模試だってのに早朝からこれを読み入ってしまった
咲は珍しく食堂に来ていた。
いつもは恋人である高坂と同じベッドでまどろみ、手を繋いで学校まで行くのが
日課ではあるが、昨日は水曜日だ。水曜日の深夜には「なんとか」というアニメを
放送しており、高坂は咲を見向きもしなくなってしまうのである。そういう日は必ず
自室へと戻り、友達を呼んだりして遊ぶのが常になっていた。
ところが昨日は誰とも予定が合わず、特にする事も無しに早くに床に就いたのが
失敗だった。今日は昼から講義があるのにも関わらず早朝に目が覚め、掃除や
洗濯を済ませても講義の時間はまだ先だったのだ。部室に…と思ってはたと気が付いた。
何故、暇つぶしに私がオタ部室に行かねばならないのか。
最近は薄れてはいるが、咲の「一般人」としてのプライドが首を擡げて―何故か
今、食堂に居る。誰か知り合いが居ないか、という一縷の望みを賭けて此処に来たのだが、
その目論見は見事に当たった。彼女が所属する「現代視覚文化研究会」の部長、
笹原が食堂に入ってきたのだ。
「ササヤンじゃーん」
いつものテンションより少し高めで笹原を呼ぶが、当の本人は
「…やあ」
と、小さな声で返しただけだった。なんというか、背中の後ろに「ズドォォン」という
擬音が浮かんで見えるくらいだ。
この手の雰囲気に敏感なセンサーを持つ咲は、興味半分、心配半分で少し
真面目な顔をして笹原の前の席に座った。
「笹原、何かあったの?」
「いや…まぁ、ねぇ……」
現視研内でも、そして他の人間に対しても姐御的な性格を持つ彼女は無意識、
無自覚ではあるが人に頼られる事が多い。それが裏目に出る場合もあるが、今の
笹原にとってはよき相談相手だった。
笹原はいつも以上に冴えない苦笑いで、先ほどの出来事を渋々話し始めた。
一通り聞き終えた彼女はやたら上機嫌で、身を乗り出して笹原の顔を覗きこんだ。
「で、フォローはしたの?」
「…フォロー?」
「電話とかメールとか」
「…してないよ」
「はぁ!?」
表情が一変し、どん!と机を叩くと、その音の大きさにまばらに席に座った
他の学生が一斉に此方に目を向けた。少しヒートアップしすぎたと感じたのか、
必要以上に小声になって笹原に耳打ちする。
「あんたねぇ、女の子に逃げられたんだよ?そんでフォローもしてないんじゃ、
どうしようもないじゃん。情けねー」
「…いや、ほら。でも…なんか嫌でしょ。あ、俺じゃなくて荻上さんが」
「あのね、こういうのは後始末が大事なの。わかる?とりあえず携帯出して!ホラ、電話する!」
咲の異様な雰囲気に気圧されながらも、笹原は携帯を取り出すとなんとも
言えない顔で電話をコールした。
「…出ない」
「いーの。まだ切っちゃ駄目よ」
たっぷり十コールほどして、ようやく咲のOKサインが出た。だが笹原は先ほど以上に
暗い顔で、携帯電話をテーブルの上に置いた。乾いた音が食堂内に響く。
「あー…参ったなぁ…」
「いいの、これで」
咲のよく判らない言動に、思わず笹原は首を傾げた。咲は鼻を鳴らすと、得意満面に腕を組んだ。
「電話して話をするって言うか、電話をすること自体に意味があんの。
これでグッと荻上は部室に来易くなるでしょ。話す切っ掛けにもなるしさ」
なるほど、と笹原は咲を改めて見直した。
咲は勘違いも多いが、ことトラブルに関しては非常に強い面がある。現視研存亡の
危機を救ったのも彼女であるし、夏コミ前の修羅場を収めたのも彼女が居てこそだった。
当の咲は…というと、実は荻上が可愛くてしょうがない。年下というのもあるし、
自分の話を聞き入れる素直さもある。多少性格に難はあるが、笹原と久我山が
揉めた時も「自分がなんとかしよう」という心根の優しさも垣間見えた。荻上には
放っておけない何かがあるのだ。
「…なんか悪いこと言ったかなぁ。恵子と比べれば充分女の子らしい仕草だと思ったんだけど」
「いいんじゃない?あんたら女ッ気無さ過ぎだから」
ふと咲を見ると、彼女もやおら携帯電話を取り出してコールしていた。
「やっぱ出ない?」
「うん。ま、当然だと思うけど」
パコン、と音をさせて携帯を仕舞うと、咲は再び上機嫌になって椅子に背を預けた。
鼻歌でも歌いだしそうな雰囲気だ。
「…春日部さん、なんか嬉しそうだね」
「そう?っていうかササヤンもやっぱ男の子なんだねぇ。荻上に逃げられて落ち込むなんてさー」
にしし、と意地悪い笑みを浮かべる咲に、笹原は少し顔を赤くして苦笑いを向けた。
「いや…別にそういう意味じゃないけど。やっぱこれが原因で部室に来なくなったら嫌じゃない」
「ま、ね。しかし荻上も可愛いトコあるじゃん、女の子らしいって言われて逃げるなんて」
「はは、捉えようによっては失礼だけどね」
「たしかに」
ちょっとだけ顔色が良くなった笹原を見て、咲は安心した。この調子なら大丈夫だ。
この二人がくっつく可能性はまだ十二分にある。
「さて、あたしはそろそろ行くよ。もう少ししたらコーサカも来るだろうし、一緒に外でお昼食べてくる」
「そう。あ、春日部さん」
バッグを抱えて立ち上がった咲を笹原は呼び止めた。
「なんか…ありがとね。助かったよ」
「まだ終わってないし。いい?メールでいいから、しっかりフォローすんのよ。返信無くても落ち込まない!
あたしも電話したげるから」
指を刺しながら念を押すと、手をヒラヒラさせながら食堂を後にした。
これで一歩、笹原と荻上は近づいたと言ってもいい。咲の経験からすると
牛歩どころか亀の歩みだが、それはそれ、オタクだからしょうがないな、と自分を納得させた。
次の日の夜、咲は荻上に電話して話をした。荻上は相変わらずの口調だったが、
話している内に安堵したモノへと変化していった。彼女の話ではあれから暫くして
笹原からメールが来て、何度かやり取りをしたらしい。その事が咲にとっては微笑ましく、
何度も相槌を打っていた。
面白かったのが、電話の切り際に
「あの…ありがとうございマス。助かりまし…た」
と、消え入りそうな声で礼を言ってくれたことだった。笹原と全く同じ反応をしてくれたことで、
咲の「ササヤン&オギーくっつけ作戦」は徐々に加熱していくことになるが―それはまた別のお話。
それから数日して荻上は部室に姿を見せたが、その日は用事があるとかで一言二言
言葉を交わしただけで帰ってしまった。笹原とも普通に…とまでいかずとも、ぎこちないながら
話していた。会話の内容からして、少しではあるがメールのやり取りもしているようだ。
これでまた、いつもの日常に戻るのだろう。だが、その「いつもの日常」の中に
小さな、ほんの小さな波紋が広がった事を、咲は幽かな高揚感と共に感じていたのだった。
以上です。今日は仕事が休みなので、思い切って仕上げてみました。
咲の荻上観については荻上登場〜からの流れを見て勝手に解釈しました。
咲ちゃん、荻上…だけじゃないんでしょうけど、よく周りを見てるんですよね。
久我山と笹原がやらかした時も、オギーの気持ちを素早く察してましたし。
咲荻、セットだと何気に仲が良さそうですごい好きです。
34話の「妄想特急大暴走」内で「前々からアヤシーとは思っていた」
という台詞がある事から、斑×笹事件以前から咲ちゃんは密かに
複線を引いていたんじゃないかと。
そんな妄想と共に文章を構築していきました。楽しんでいただけると幸いです。
とりあえず家を出る前に一言 GJ!
帰ってきてからゆっくり感想書きますが
朝から楽しませて頂きました
259 :
マロン名無しさん:2005/10/20(木) 15:20:19 ID:gJxEJZsE
GJ!
咲荻ホホエマシィー!
>>253-256 GJ!&乙〜。
続きを所望したかいがあったというものです!
いい感じにまとまっていてGOOD!
咲さんはトラブルメーカー兼トラブルシューターですよね。
騒動を作るけど収めるっていうか。咲さんがいるからお話が面白くなる気がします。
また違うSSも楽しみにしています。
>>253-256 斑×笹事件以前から咲ちゃんは密かに
複線を引いていたんじゃないかと
なるほど…こういう手法は面白い。
リアルタイム進行漫画は先の展開をssにすると、原作の登場による瓦解が必然ですが、これならどこまで進行しても通じる。
色々応用できそう。すぐ思いつくのは田中大野の馴れ初め補完とかだろうか。
>>253-256 今朝はまさしくオギーのように慌ただしく家を出たのでゆっくり見れなかったけど、今ゆっくり読ませてもらいました。
恋愛指南役(くっつけ婆?余計なお世話?)の真骨頂ですなー咲さん。今は小さな波紋だが嵐を呼ぶ女咲殿の活躍に期待。
>それはまた別のお話
この表現は・・・もしかして「○○の旅」の影響でしょうか?
げんしけんは時系列に所々「抜け」が存在しているので、
こういうSSが書きやすいです。「これとこれの連載の間に
こういうイベントがあれば…」というのが作りやすいですから。
>この表現は・・・もしかして「○○の旅」の影響でしょうか?
「王様のレストラン」です(笑 そんなに珍しい表現でもないと
思いますが…ちなみに別のお話、というのは「妄想特急〜」に
続く、と言う意味も込めました。
帰宅したので改めまして。いや〜良いよ!
自分がSSチャレンジしたりするとキャラがずれちゃう場合があるので…
(オギーが片思い乙女すぎたりササヤンが格好良すぎたり)
そんな要素があると笹荻に上手く没入できないんだけど、
荻上のイタさ具合も笹原のヘタレ具合も咲の姉御具合もイメージ通りです。
現視研の仲の良さ(と悪さ)が大変微笑ましかったです。次作も期待してます!
後始末が大事なんか…そうか…俺も同じヘタレ具合 orz
>それはまた別のお話
は○様のレストランでもありましたね確か
265 :
262:2005/10/21(金) 01:12:10 ID:???
そーいや「王様のレストラン」でありましたなー。ずいぶん昔のような気がして忘れてました。
というか「○○の旅」もレンタルで見たっきり、本で読んだこと無いので怪しかったですが。
いやいやなかなかそういう表現は少ないと思いますよ。同一設定多元主観手法の小説や語り部に語らせる手法の小説には見られると思いますけど。
個人的にはこの表現、言い回しが好きなんですよね。
最近人のSS鑑賞ばかりしてるなー。人の見てると自分の創作の手が鈍るんだよな。
とはいえ、自分の好みのジャンルは恋愛系よりも家族関係を主題にした系統が好きなので感化されることは無いし楽しいからいいのだけど。
あれ、昨晩は投稿なかったんだ・・・。残念。
流石に毎日は無いっしょ(笑)
むしろ今までが凄すぎた
平日ですし。
週末には連投があるでしょう。
ところでこれは言うまでも無いことだと思うけど、
*今月号のネタバレ設定を含んだSSは25日まで禁止
ということで、みなさん異論無いよね。
たとえば仮に笹荻がはじめてのチューして、そこから妄想が膨らむとか。
赤ずきんちゃん 荻上千佳
狼 笹原完二
おばあさん 斑目晴信
猟師 田中総一郎
おかあさん 大野加奈子
ナレーション 春日部咲
むかしむかしある村に、千佳という大変可愛い女の子がいました。おかあさんに可愛がられて
いましたが、おばあさんにはもっと可愛がられていました。
千佳は、『髪型がオタクくさいですから』と言って、赤いずきんをよく被っていました。その
ため、赤ずきんとみんなに呼ばれていました。
ある日、おかあさんが赤ずきんに言いました。
「千佳ちゃん。お使いを頼まれて欲しいんだけど。……って何で真っ赤になってるんですか?」
「……いえ、別に。それよりお使いって、何をすればいいんですか?」
「え? ああ、そうそう。隣村のおばあちゃんが病気らしいの。だからお見舞いに行ってきてち
ょうだい」
おかあさんに言われ、赤ずきんちゃんはお見舞い用に出かけました。
隣村に行く途中、赤ずきんは森で狼に出会いました。狼はお腹が空いていたので赤ずきんを食
べたくなったのですが、回りには木こり達がいては手が出せません。
「どこ行くの?」
狼は赤ずきんに尋ねました。
「おばあちゃんのお見舞いです」
「おばあちゃんって、遠くに住んでいるの?」
「まだちょっと歩きますね。隣村に入って最初に見える家がそうです」
「そうなんだ。じゃあ、ちょっと競争しない? 俺があっちの道で、赤ずきんちゃんがこっちの
道。どっちが先に着けるか」
「え? ……いや……いいです。面倒くさいし……」
……。赤ずきんは狼の申し出を快く受け入れました。
(ちょっと春日部先輩! 私は受けないって言ったんですよ!)
赤ずきんは狼の申し出を快く受け入れました。
(だから! 私は!)
赤ずきんは狼の申し出を快く受け入れました。
(……もういいです)
赤ずきんは狼と違う道を歩いて行きました。一方狼はというと。
「すいません。わざわざ車出してもらって」
「い、いや、気にすんなよ。お、俺、これくらいしか出番無いし」
車で送ってもらっていました。
狼は、赤ずきんより早くおばあさんの家に着いていました。
「お邪魔します」
「おや、誰だい?」
病気のためおばあさんはベッドから起き上がれません。
「俺です。赤ずきんですよ」
赤ずきんが俺とか言わないの!
(ご、ごめん)
「……わ、わたしです。赤ずきんです」
斑目も笑わない!
(い、いやだって笹原がカマくせーんだもん。……わ、わかりました)
「そ、そうかい。それで何か用かい?」
「おばあちゃんのお見舞いに来たんです……のよ。おばあちゃん、もっとそっちに
行っても良い?」
「ああ、良いよ」
狼はゆっくりとおばあさんに近づいて……。って、大野! 何すんだ! ちょっ
……やめ!
……。
……。
狼はゆっくりとおばあさんに近づいて行きました。
(あれ? 春日部さんは?)
(トイレだそうです)
(……。そうなの? ……大野さん。その笑顔、何か怖いんですけど)
(そんな事ないですよ笹原さん。さあ早く、狼に戻って下さい)
狼はおばあさんのベッドに横たわると、彼のボタンを一つ、また一つと外してい
った。まるで挑発するかのような狼の目は、ゆっくりと斑目の心を拘束していく。
視線は斑目を見つめながら、笹原の手は下へ、下へとなぞられていった。その指
先が斑目の未知の部分に差し掛かると……。
(ストーップ! ストーップ! 何言い出すんですか!)
(まったくだ! 何で俺が笹原と801せねばならぬのだ! しかも途中から本名
出されてるし)
えー、いいじゃないですか。たまにはそういうのも。
『お願いですから勘弁してください!』
……わかりましたよ。じゃあ、咲さんに代わりますね。
……。ぷはぁ、苦しかった。ってゆーか、大野暴走しすぎ! 身内でそういうの
やるなって。
[これは私の趣味じゃないんだけどな……]
何か言った?
[いえ、別に]
じゃあ仕切りなおすよ。えーっと、狼はおばあさんを食べて、おばあさんに変装
しました。
(早!)
文句言わないの。はい、次のシーン!
赤ずきんはやっと、おばあさんの家にたどり着きました。
「おばあちゃん、お見舞いに来ました」
「おお、赤ずきんや。よく来てくれたね」
身内をあだ名で呼ぶのは、どうかと思うんだけど?
(あ、そうだよね)
「おお、荻上さんや。よく……」
身内を苗字で呼ぶな! ちゃんと千佳って呼びなさい!
「おお、……ち、千佳や。よく来てくれたね」
「……」
「ち、千佳や。もっと近くでお前の可愛い顔を見せておくれ」
「……!」
ちょっと、オギー! 逃げないの! ほら、こっち来る。
……。
……。
大丈夫だって、こんなの台本通りパパッとやっちゃえばいいんだって。
……はい、続き行くよ。
「お、おばあちゃんは何で、そんな大きな目をしているんですか?」
「それは、お前の顔をよく見るためさ」
「じ、じゃあ、何でそんな大きな耳をしているんですか?」
「それは、お前の声をよく聞くためさ」
「じ、じゃあ、何でそんな大きな口をしているんですか?」
「それはね。お前を食べるためさ!」
行け! 笹原! 押し倒せ!
(ちょ! 何言い出すんですか! 出来るわけ無いじゃないですか!)
(そうですよ春日部先輩! それに、わたすだって……心の準備が)
(へ?)
(な、何でも無いです! ついです! 空耳です! 気のせいです!)
……さて、この二人はほっといて。
赤ずきんを食べた狼はお腹が一杯になり、家の外に出ただけで動けなく
なってしまいました。
そこに通りかかった猟師が、狼が人を呑んだ後だと気がつき狼のお腹を
裂きました。
「今、助けてやるからな。……えーと、このお腹にあるチャックを下げれ
ば……」
こらこら、そこ。独り言でタネばらさない。
「よし! 出てきた」
聞いちゃいねーし。もういいや、狼のお腹の中から赤ずきんとおばあさ
んが助けだされました。……ってあれ? 何でコーサカが赤ずきんの格好
してんの?
(笹原君と荻上さん、何かまだ取り込んでるみたいだったから)
……あの二人は……。と、とにかく、めでたしめでたし。終わり!
(そんなんでいいのかな?)
いいの! 終わり!
オモスレーwww
>>270-275 くすくす深夜に笑ってる自分キモスw
なかんじでとてもおもろかったデスw
ネタの入れ方がうまくてグッドでした。
>>270-275 大野&春日部の無理矢理な進行に笑いました。
あとは背景の木の役のクッチーが退屈して「にょにょにょー」とか言い出して、春日部さんに「クッチー!木は喋らないの!」とか注意される、てな展開があったら更に良し。
はぅ〜!オギーに萌ぇ萌ぇー
281 :
マロン名無しさん:2005/10/22(土) 04:55:53 ID:cQn/lCGe
>278
オレモキモスー
おもろかった。
2つ程知りたい謎が、あるので分かる方居たら情報キボンヌです。
コミック6巻の136Pのシーンで、田中くんが言った(オレ的には日暮里がメイン)
って日暮里には何があるんだろう?
もう一つは、オギーが好きなスクラムダンクはスラムダンクって分かるけど
ハレガンって言うのは?何か教えて欲しいです
エロイ人お願いします。(^人^)
>>282 日暮里は布地だったか服飾だったかの店が多かった、てな感じだったと思う。
以前にここのスレで誰かが言ってたが、うろ覚えでスマン。
ハレガンは・・・
釣りかもしれんと一瞬考えたが、一応マジレス。
もちろんハガレン即ち「鋼の錬金術師」のこと、と思われる。
284 :
282:2005/10/22(土) 08:59:45 ID:???
>>283 マジレス 感謝^ 謎が解けてスッキリです。
あーなるほど服飾の店が多いのか フムフム
鋼の錬金術師のことか フムフム読んだ事ないけど、オギーが好きなら読んどくかw
>270-275
キャラが皆立ってて微笑ましいw
GJw
>>270-275 面白い。自然に配役がはまるもんだね。現代児童文学研究会略して「げんじけん」・・・失礼。
笹原完二?細かくて悪い。というか以前同じ間違いをした人とは別人かな。
荻上スレでここの存在を教えてもらいました。
以前、書くだけ書いて、お蔵入りにしてたものを投下します。
「じゃあ俺、久しぶりに秋葉行くから」
就職活動の成功を報告に来た笹原は、そう言い残して部室を去っていった。
あとには4人の女たちが、残される。
「あーぁぁぁ、もう、相変わらずですねえ」
大野がじりじりとした目で、笹原のいた空間を睨んだ。
「どうして、一緒に誰か行く? とか言わないのかしら、あの人は」
「笹やんだから、ねぇ」
大野の言わんとしたことを理解した咲が苦笑する。
「え? 何? うちのサルの面白い話!?」
恵子が身を乗り出してくる。
荻上は、手にした漫画を話すことなく読み続けている。
いや、読んでなんかいない。ただページをめくっているだけ。
笹原が「いろはごっこ」を取りにこちら側へ来た時、
肌にふれる空気が熱くなったような気がした。
(なんだべな……なんだべよぅ)
言葉をかわしたわけでも、目があったわけでもないのに、穴の開いたようなキモチ。
違う。
ただ、いる! と感じただけで、泣きたいほどに顔が火照って、
言葉も、見ることすらも、何もかなわなかった。
「……というわけでね、荻上さんの部屋まで行ったくせに進展がなーいーのーですよー!」
「大野が無理に連れてったようなもんじゃん」
「ふぅん……サルがね」
「ねぇね!」
荻上の漫画本を、つい、と指で下げて、恵子が割り込んできた。
「うちのサルのどこがいいの?」
「……何故、私さ、聞くんですか?」
「だって、みんな噂してんよ?」
「言いたい人が、言ってるだけです」
「あっそう。じゃ、なんもないんだ? まーサル、奥手だからね」
昨日、笹原から電話があった。
「いろはごっこ」を、アメリカの2人に送りたいので、作者の2人に許可を取りたい、という話。
そのついでのように、編集の仕事で内定が決まったという話。
……それだけ。
編集の仕事というのはすごいことだ。なにせプロの漫画にたずさわる仕事だ。
それを話のついでとはいえ、自分に最初に教えてくれるなんて、嬉しい。
けれども、笹原が、遠くへ行ってしまう気もして。
みんな大学を出て、大人になってしまって、自分の手の届かないところに。
自分の気持ちの届かないところに。
本当は。
もっと、何か、言ってくれるのかと思ったのだけれど。
もう、大学を卒業したら……会う事も、ないのだろうか。
そんなの……
そんなの……イヤ、なのだろうか。
わからない。わからない。心の奥がチリチリとくすぶる。
「奥手…つぅが、特に、言うことなんか、なかったんじゃないかと」
「そう?」
恵子はふーん、とつまらなさそうな顔をした。
帰り道のモノレール。
また、恵子とばったり出くわした。
夕方のオレンジに染まった車内、恵子が意外に愛想よく隣に腰かけてくる。
「ねー」
「なんです」
「サルねぇ、ああ見えて、いい奴だよ」
「…………」
「ただサルだからねえ、きっとサルなりに何したらいいか、わかんないんだ」
「…………」
「サルで、キモオタだからねぇ」
「その……お兄さんのことを、『サル』『サル』いうのは、どうかと…」
「いいの! アタシだけはサルのことサルって言っていいの!!」
「……ハァ」
「サルんトコ泊まった時ね、みんなでマンガ描いた時のこととか、すっげ楽しそうに言ってた。
で、二言目には、オギウエさんはこーだったとか。あーだったとか」
「えっ……」
「アイツは兄貴ぶってるから、アタシに本当のことなんか言わないけどね。
アタシにはわかる。お兄ちゃんは、アンタのこと、きっと好きだよ」
声が出ない。もっと夕日が自分を照らしてくれたらいい。
きっと今の自分の顔は、真っ赤だ。
「もうちょっと待ってやって。あのヘタレを」
「え、いや、その……」
「なぁに? それとも自分から言っちゃう?」
「言うって、何を……その……ぅー」
「別にオギから告白したっていいとは思うよ」
「…………」
到着を告げる車内アナウンス。恵子が気がついたように立ち上がった。
「そのっ……」
窓から差し込む光に、目がくらむようだ。
「……待ちます、先輩のことさ」
「やったぁ、やっぱサルのこと好きなんじゃんねー。はっはーん」
「けしてそげな意味でねくて!!」
「じゃあねぇ〜。今度、温泉でも行こ。咲さんと大野さんと」
……電車の扉が閉じた。
日は大分傾いていた。
>>288-
>>292 なかなかやるな(ニヤリ)GJ!
恵子が口は悪いけど兄思いなとことか、恵子に迫られてポロッと本音が出ちゃった荻上さんとかがイイ感じ。
ちょっとだけ苦言を呈するなら、冒頭で恵子が部室に来る描写があった方が、俺みたいな細かいことをネチネチ言う人間にツッコまれずに済む。
(本編では、あのシーンに恵子はいない)
あと最近では、あまりサルサル言わなくなったよ、恵子。
(まあそれは荻上さんに笹やんを庇わせようという、恵子の作戦かもしれないが)
295 :
137:2005/10/22(土) 16:00:15 ID:???
>>288-
>>292 >恵子が部室に来る描写
それは読み進んでして唐突に恵子が登場して俺も驚いた。あれっ?十一月号後の予想SSの時間軸だったよなと思った。
それ以外は良かったよ。
投下のタイミング的にはネタバレの時期で皆ナーバスになっている時の予想SSだから大丈夫かなとは思ったけど、いいんじゃないかな、この内容は。
とにかく、偉い
297 :
115:2005/10/22(土) 20:08:20 ID:???
遅レススマソ
>>214-215-216-217-218-219-233
感想ありがとうございます。励みになりますw
>>215 >>というか連投っすか?書き溜めていたものを出してんですか?それとも次から次へ創作の嵐ですか?
会社で仕事してるふりしながらスタンドアローンのPCで書いて、メモリースティックで保存して自宅回線から投稿しております。
ダメ社員。もはやリアル斑目w
まー漏れ以外にもIPメッセンジャーで世間話してる人間は多いってことはLAN管理者が教えてくれてますが、さすがに2ちゃんねるへの投稿はまずいんで。
>>216 ま、咲と高坂が一緒に中学高校と通ってたら、確実に付き合ってたんじゃないかなーってところからはじまった恥ずかしい妄想です。
>>217 >>自分で書くと 暗く、写実的、皮肉っぽく、ただ独特なものになる
いや、読みたいっすね。貼ってくださいよ。
漏れのも地の文が妙に冗長で理屈っぽくて、初期の木尾作品にやや似てるかもと思うんですが。展開はベタだけど。
>>218 こんなの高坂とは違う。という批判は覚悟の上でした。まあ幼なじみ物の男側主人公のお約束ってことで。
>>219 >>やけに長いな
失礼(大汗
>>233 ありがとうございます。
「やっぱ幼なじみは強えーよな。なんでだろ?」みたいな感じですね。
298 :
115:2005/10/22(土) 20:11:04 ID:???
>>げんしけん童話
なんかいーなあwでは私も対抗。
昔一人の女の子がいて、七年も友達がいませんでした
女の子はヲタクの服を着せられて、絶えずこう言い聞かされていました
東京の大学に行ったら、きっと本当の友達ができるよ
女の子は必死に勉強して、大学に受かろうとしました
とうとう椎応大学に合格し、コンタクトと筆、それにトーンとインクを少し貰って、漫研に入る事になった女の子は、部室の中で腐女子に出会い、何を持っているのかと聞かれました
漫画と同人誌、それにスケブと原稿を少しと答えると、漫研女子は見せてくれないかと言い、ヲタクは嫌いだからと女の子は断りました
漫研女子はヤオイの道とドリームの道の内どちらから行くのかと聞き、女の子が非ヲタ漫画家の道を行くと答えると、自分はヤオイの道を急ぎ、女の子を二階から落としてしまいました
やがて女の子は現視研に着きました
現視研部員さん、開けて
戸を押してご覧。鍵は掛かっていないよ。大野がそう応えました
あれ?終わり?
>>298 どちらにせよ一般人と係りを持ったヲタクの物語には、必ず不幸な結末が訪れる。
ヲタクにはヲタクの物語があるのさ。
>>300 そいつは悲観的だね。君には癒しが必要だ。
>>300 むしろこの場合、より濃いオタク(漫研女子)と関わったら不幸になって、
もうちょっとヌルくて一般人に近いオタクの中でも特に一般人に近い人(咲&笹)に関わることで
人並の幸せを得ている気がするんだけど…
神SS雑談お楽しみのトコ済まぬ、
今バレスレに爆撃開始されたので25日迄非難した方がいいっス。
コッチも来ないとも言い切れないので念のため
304 :
マロン名無しさん:2005/10/23(日) 00:55:53 ID:3A8Yn0Gg
>302
いや、笹は十分過ぎるほどオタクだぞ。
おまえんちタペストリーとかあるか?
むしろゐ`
>>298 「人狼」にも出てきた赤頭巾の原書訳ですね。
おかあさん。戸棚に、黒い猫がゐるよ。
―そんな猫には、靴を投げておやり。
あの流れは素晴らしいです。
>>301 いや「人狼」ネタだと思う。
多分斑目について。
>>298 「人筆」?それとも「筆ずきん」?w
モトネタがわからん!映画か劇場アニメになったやつ?
人狼は劇場アニメだよ
2日後にどう転ぶか分からんこともあって、さすがにこの時期の新作投下は無いな。
314 :
115:2005/10/23(日) 23:41:19 ID:???
ごめん。「人狼」って案外マイナーな作品だったのかな。
アニメで「赤ずきん」というとこれと某チャチャぐらいか。
>>299 いや、一発ネタのギャグのつもりだったんであんまり続けても……
>>300>>309>>311 フォロースマソ(汗
>>313 映像美だけでも見る価値はありますね。
汗とか大汗とかイタス
荻上勝った!
「人狼」借りた。今晩観るよ。感想のコメントは書くかもしれんし書かないかもしれない。
だって明日は解禁日・・・うふ。
荻上かわいいよ荻上
今月号の内容が内容なだけに(思い切り「次回に続く」しかも次回決着的引き)今週末は次回展開予想的投稿多数有りそう。
楽しみだ。
俺も何か書くかな・・・
俺は少し創作に間を置くー。つーか、最近書いてないけど。今回色々新事実も出てきたし、大幅に事実関係や自分の中のキャラの設定変えてかなきゃならないし・・・。パロディ以外は思考停止。
結局、今まで進展無しだったのね・・・。二十万の借金て・・・惠子さんあなた・・・せっかくSSでは株が上がってきたのに・・・。
dfsd
>>319 新事実ってほどの事実は出てないような…
みんな妄想がフライングしすぎなんだよー
まあね。でも妄想ってそのフライングが楽しいというか。
げんしけんって基本的に一話完結のスタイルだから
各話の隙間=Ifを色んな風に解釈出来るんだよね。
あーだこーだ考えた後で原作を見て、「こう来たか!」って
目から鱗を落す。一話で何度も楽しめる。
ちょっと歪んだ楽しみ方かもしれないけど、
魅力的なキャラにあれこれ想いを巡らすっていうのは
何とも幸せな楽しみ方だな、とも思います。
なので、SSの内容が(結果的に)当たったか外れたか、っていうのは
あんまり俺は気にならないなー(無論最初から外れてるのはダメだけど)。
書き手の皆さんにはキャラが外れない範囲で思うようにやって頂きたい。
俺もSS書くけど、原作が絶対的原典な訳だから割り切って、
最近は木尾センセの手の上で転がされるのを楽しんでる。
そういう意味では今回は来月に続いてるので
妄想が挟み辛くて残念ではあるけど。
>319
別に無理に原作に忠実でなくともいいんじゃないかと思うのだが・・・
そもそもSS自体がパロディであってパラレル世界、原作を意識しつつも
自由な発想の元に広がるショートストーリーがダイナミズム〜
皆ソコを踏まえた上でSSの世界に没頭するんだし、原作で新事実が出てきたから
といって今までのSSがアカン事になったとか、心配してぇっケド・・・
そんな事ないからダイジョーブよ。原作も楽しみ、SSで心の隙間を繋ぎ、癒す。
これが通の楽しみ方ネー・・・何はともあれこれからも意欲作を期待します
324 :
322:2005/10/26(水) 02:07:07 ID:???
近い時間帯に同じ様なニュアンスのカキコでびびったw
でもそうそう、SSって大らかに楽しめるものだと思うので。
まぁ、だからこそ本スレで「うぜー」とか言われちゃったりもするんだけどねw
今回は男女の部屋の仕切りがあの程度なのが俺的にヒット。
いろいろ妄想がひろがるわー。
>>326 そこは高坂がジェリコの壁となってるわけですよ
てかヘタレ2人が女部屋に侵入する筈ないし(それならこんな展開になってない)
問題はクッチーだけだろうけど、芸人クッチーは残り3人で止めれるとの判断だろうな。
1番ヤバい恵子は借金で縛ってある上、兄貴まで高坂と同じ部屋にいるしw
328 :
323:2005/10/26(水) 18:19:25 ID:???
>324
漏れも貴方のカキコ見て同じよーに考える人いんだなーって思ってた
しかもそんときは>321が最終レスだたから「おぉぅ!?」ってなw
ビビったとこも同じで吹いたww
329 :
319:2005/10/26(水) 21:58:05 ID:???
>>320-
>>328 うん、そうだね。俺もフライングは楽しい。というかフライングしまくり。でもキャラにのめりこみすぎたかもしれん。
パロも妄想休めにいいから、ジャンル問わず、お勧めの映画や漫画あったら皆さん教えて。
330 :
319:2005/10/27(木) 00:35:54 ID:???
書かないといいつつ、今週号を補完する形のSSを書いてしまった。今回議論が白熱した点が気になったので・・・。ラブコメ要素無し。やや官能的表現あり。気に入らねばスルーして!
荻上が浴室の扉を緊張しながら開けると、中は薄暗く少し怖い感じがした。
暗がりから声がする。
大野「触ってみますかっ」
咲「だからいいっての(怒)」
荻上「何をしてるんですか?もういいんですか?」
咲「ああ、いいよ。男どもは大人しくしてるだろうね。あたしらが着替えたら惠子も呼びなよ」
大野「とっても良い温泉ですよ」
荻上「何か怪しいですね。何してたんですか!」
咲 「別に何でもないよ、大野がやらしいだけだって」
大野「なっ何を言うんですか!誤解を招くような事を!」
そう言いながら二人は浴槽から上がった。薄暗がりに二人の裸体が浮かび上がる。荻上は顔を赤らめながら横を向いて見ないようにした。
咲 「男どもはあたしたちがしっかり見てるからゆっくり入ってきなよ。おーい惠子―。」
惠子「はーい」
惠子も浴室に入ってきた。
咲 「かー、四人も入ると狭いねー、どれ、あたしらは着替えたし、ゆっくりね」
咲と大野は浴室から出て行った。
惠子「きゃー、温泉!温泉!」
そうはしゃぎながら、惠子は衣服をたたみもせず脱ぎ捨てた。
荻上「外からは・・・見えませんよね・・・」
不安げに荻上も服を脱ぎ始めた。
惠子「大丈夫でしょー、あの二人だって入ってるんだし、中の電気つけなきゃ見えないって!」
荻上「ならいいんですれど・・・」
そそくさと荻上は浴槽に身を沈めた。他人と風呂に入るのは修学旅行以来だ。同性同士でも自分の裸をしげしげ見られるのは嫌だった。
惠子「高坂さん!やっぱ、寝顔も可愛いよね!けっこういい買い物もできたし!軽井沢来て良かったよね!んでさー・・・。」
惠子は普段以上にはしゃいでいる。荻上も惠子と二人きりになることがなかったので、気まずい気がしていたが、惠子も同じように感じているらしく、それを打ち消すようにしゃべり続けた。
荻上「・・・すごい買い物でしたよね。春日部先輩からお金借りたとか・・・」
惠子「あっああ、やっぱり、春日部ねーさんはすごいよね。いや、お金があるとかじゃなく、きっぷがいいというか、一生ついてきますみたいなー。えっ返すあて?そんなもんあるわけねーじゃん!いざとなったら春日部ねーさんの店で働いて返すよ!」
惠子はさばさばした様子で言った。だが借金の話はあまり触れて欲しくないらしく、話題を変えた。
惠子「兄貴とうまくいってんの?」
荻上「!・・・ですからオタクと付き合う気はありません・・・。」
惠子「かー兄貴かわいそー。脈無しかー。好きになったらオタクも何も関係無いけどね。あたしや春日部ねーさんみたいに!あっ高坂さんはだめだよ!」
荻上「あの人もオタクです!」
惠子「(むっ)あんただってオタクじゃん!つーか、あたしは自分の気持ちに正直に生きてるけどあんたは嘘つきだよね!」
荻上「私のどこが嘘つきだって言うです!」
惠子「ていうかさ、あんたは女オタクが嫌いっていうけどホントは自分が嫌いなだけなんじゃないの!オタクと付き合わないんじゃなくてオタクの自分は誰にも愛されないと思ってんじゃないの!」
荻上「!・・・あがります・・・。」
惠子も言い過ぎたと思い、口をつぐんだ。浴槽からあがった荻上の肢体は外からさしこむ薄い光にぼんやりと浮かび上がった。それを惠子は見つめて言った。
惠子「あんたさー。けっこう綺麗な体してると思うよー。自信持っていいと思うよ」
荻上「!いっいやらしいこと言わないでください!」
顔を赤らめて荻上は叫んだ。
本編に続く
>顔を赤らめて荻上は叫んだ。
まで読んだ。
>>331-335 まあ先ずは順当なとこで、とりあえずGJ。
「笑点」で言えば、歌丸さんの模範解答。
「あ、こりゃきれいだ。山田君、歌さんに一枚やっとくれ」ってな感じ。
惜しむらくは、恵子のスッピンに荻上さんがドッキリするとこが無いことかな。
>>7-9 の続きを投下します。多作品のパロネタ注意。
荻上は夏コミ以来、積極的にイベント参加をするようになった。最近は売り手としての参加にも慣れ、
その名も少しは知られるようになり、ある種の覚悟が固まりつつあった。
だが…知られるとともに同人の「別の要素」がみられるようになる。
そう、彼に象徴される「自称知り合い」のたぐいのような…
「大野さん声優してみな〜い?知り合いが探してるんだよ〜エロゲだけどねww」
「いえ…やめておきます」
大野加奈子は顔を引きつらせつつ、無難に原口の誘いを受け流した。
(何でこの人ここにいるんだろう…)
何か手伝いをするでもなく、当日ふらりとあらわれて当然のようにスペースに居座る。
することといえば自己満足の「批評」か誰それに会ったとかいう「自慢」だけ。
「あ、荻上さんだっけ?見たよ同人〜」
「なれなれしく触らないでください」
「あはは、そんなんじゃ駄目だよ〜」
「だからオタクは対人能力がないとか言われちゃうんだよね〜。社交的な俺としては心外なんだけどさ〜はは。」
原口はなれなれしく笑いかけると、もういちど荻上の肩に手を置く。
その瞬間。荻上は立ち上がり叫ぶ。もう、我慢の限界はとうに踏み越えた。
「ああ、そうさ!私はただのオタクだ!ちゃんとすた常識もねえ、おめみてえなご立派な人脈ってやづもねえ。
それでもただ一つ、一つだけオメさ勝っているモノがある!
さあ見せてやる!
これが!これだけが!私の自慢の”創作者(かみ)の右手”だぁぁっ!!」
22年前より、東北(ロストグラウンド)に生まれた新生児の約2%に特殊能力が発現するようになった。
周囲の物質を、意志の力で原子レベルにまで分解し、再構成するというその能力を「アルター能力」と言う。
また、再構成されたものを「アルター」、能力者のことを「アルター使い」と呼ぶ。
アルターには様々な形態・能力があるが、それらは能力者の性格や願望を反映しているといわれている。
「ふーん?ならこれでどうかな?僕は変身できるタイプなんだ…」
原口の気が膨れ上がっていく…それはそこにいる全ての人間を圧倒する強さとなって場を制する。
「私の戦闘力は530000です。ですが、フルパワーで戦うつもりはありませんからご心配なく。」
「な、何て気だ!ちくしょう震えが止まらねえぜ…」
「え…い、今の誰ですか?」
某サイヤ人の王子様がいたような気がしたが気にしないことにした。
あまりの力の差に呆然と立ち尽くしたその時!1本の薔薇が空を切った!
「ラ・煙幕ボンバー!!」
小さな爆発とともにしょぼい煙幕があたりに立ち込める!
そして、その中から黒のシルクハットにタキシード、そして怪しげな仮面を被った男が姿を現した。
「タキシード仮面(20%増量中)参上!!」
「…何やってるんですか田中さん」
「わわっ、ちょっと…加奈さん…こっちへ…」
「…こういう時は気付いても黙ってて…」
「はあ…」
「でね…」
「え…本気ですか?」
「うん…やってみない?」
「…そうですね、ちょっと面白そうだし…」
タキシード仮面(20%増量中)は一旦走り去ると、もう一度煙幕をはなち叫ぶ。
「タキシード仮面(20%増量中)参上!!」
「タキシード仮面様!」
大野は指示通りに「タキシード仮面に憧れる美少女戦士」を演じ切る。ノリノリで。
………やってる本人達は楽しそうだが…その姿は、痛々しいカップルレイヤーそのものであった。
「荻上さん、これは…何があったの?」
「あ、笹原さん…って、そ、それは…」
笹原はなぜか青の軍服姿…おそらくハレガンの「大佐」コスであろう――を着て登場、
荻上をかばうように原口と対峙する。
(うわ…予想はしてたけんど…すっげえ似合いすぎだべこれ…)
荻上はあまりの衝撃に――自分の「キャラ設定」も忘れ――いつのまにか笹原をじっと見つめていた。
「…荻上さん?」
「い、いやその、大佐好きなんで――」
「そ、そうなんだ…」
「……………」
初期のげんしけんからは考えられないラヴコメ的空気に、完全に飲まれてしまった原口。
そこから自分が排除されている現実を突きつけられ、彼は――
「初めてですよ…この私をここまでコケにしたおバカさん達は…
ゆ…ゆるさん… ぜったいにゆるさんぞ虫ケラども!!!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!!!!」
さらに気を高め、げんしけんの仲間達に襲いかかる。しかし――
「…笹原さん。」
荻上の呼びかけに無言でうなずく笹原。すでに構築された信頼関係がそこにあった。
「その馬鹿を極める!!その身に刻め!熱情のシェルブリット!!!」
荻上の妄想が―――笹×斑が、田×斑が――そして原×斑が!右手に凝縮し、弾丸のように原口に押し寄せる!
《くっ…原口さん、どうか…笹原だけは…》《ふふっ、わかってるよ…斑目君…》以下略
「ちょ…ぼ、僕が斑目くんと?さ、さすがにそれは…うわ、そ、そんなことまで…」
「か、勘弁してくれーーー!!!」ドカーン(カメラ引き、爆発)
変幻自在の妄想を武器に全てをやおい化し、男同士の恋愛に至上の価値を見出す――
奴の――奴の名は――反逆者(トリズナー)荻上―――!!!
「これが最後の原口とは思えない…いつか第2第3の原口が…」
「あ、いたんですか斑目さん」
「い…いたんですかって…ずっといたわい!」
「それ何でしたっけ…Rですか?」
「ん?ああ、笹原もわかってきたようだな。いかにもこの場合の元ネタはRといって差し支えない。
オタクがしたり顔で第2第3の…と語っているというところがこのパロネタのキモであって…」
「はあ…ま、荻上さんも災難だったね…ホントにあの人はねえ…いつまでも半端者で…」
「いえ、あの位どうってことないですよ」
「はは…ま、大丈夫とは思ってたけどね。今の荻上さんがあの人なんかにどうこうできるとは思えないし。」
集まっていた野次馬も徐々にいなくなり、周囲はいつもの――毎年行われるコミフェスの日常を取り戻す。
荻上製作の本は売れ行きも上々、終了まで余裕を持って、初の完売となった。
初の完売に喜びを隠せない荻上。その様子を見るとこっちまで嬉しくなってくる。
(よかったですね、荻上さん…)
ケンカして、青春して、お世話して――色々あったけど、荻上のオタクとして、いや人間としての成長は、
大野加奈子の心の中にあたたかいなにかを残し――荻上はいまや生涯の友、いやオタク道を極める同志となった。
「我、生涯の友を得たり!!ふふっ」
「お、結城秀康だっけ?大野さん花の一夢庵とかああいうのも見て…あ、当然といえば当然だね。」
「さすが笹原さん、わかってらっしゃる!今の私はまさにそんな気分なんですよ、本当に。」
「うん。わかるよ。こうやって仲間と同じ時間を共有するってのは、何事にも変えがたい財産だよね…」
(笹原さん、言うようになって…もう本当名実共に『大佐』って感じですね…)
「笹原さん、やっぱり似合ってますね。」
「そうかな?」
「ええ、あとはもうちょっと強気っぽい感じが出せればパーフェクトです」
つい演技指導に熱が入り、斑目・田中も巻き込んだハレガン会議が始まってしまう。
時間の経つのも忘れ、撤収を進める手もついつい休みがちとなり…気が付けば周りはほぼ撤収の準備を終えていた。
「あ!おい笹原、もうこんな時間だぞ!」
「うわ!み、みんな撤収!急いで!」
あわてて撤収を進めるげんしけんの仲間達。
「よし、これで全て完了、と。」
既に人の流れのピークは過ぎ去った会場前、ようやくげんしけんメンバーは今回のコミフェス全てを終わらせた。
「と、忘れるところでした、はいご注文の買出しです」
「あ、ありがとう…」
大野加奈子は、笹原に頼まれていた同人誌をカートの中から取り出す。だが――
笹原に手渡そうと振り返ったその時、前に進み出た笹原と衝突。その同人誌を豪快にぶちまけてしまった!
「ぷるぷる魔乳艦長」「お前何党?俺おっぱい党」「第3次スーパー乳揺れ大戦α」
「諸君、私はおっぱいが好きだ」「玉姉の秘密」「こよみかわいいよこよみ」
(ちょ…ふぉ、フォローしないと!えーとえーと…)
「す…すいません!………あ、あの、笹原さんは豊かな胸の女性が大好きなんですね!」
「………」
「や、や、その、これは…そう、2次元の趣味だから!現実とは違うっていうか…はは…」
「………」
「お、荻上さん?」
「何ですか?私には…ぜん゛ぜん゛…関係…ないですよ…」
「ですよね!笹原さんの趣味をどうこう言っても仕方ないですもんね!」
荻上は大野を泣きながらにらみつける。いつもの――殺し屋のような目で。
「…え?わ、私が何か…」
「その無意味に育った胸に反逆する!!」
「え?え?」
荻上のアルターが大野加奈子にせまる!だが!その時!大野加奈子のNeko Mimi MoDeが発動した!
《大野加奈子が生命の危険を感じたその時!Neko Mimi MoDeは零コンマ5秒で発動し、本体を守る!》
《これぞネコミミモード最大の秘儀!抜剣覚醒である!!!》
「そ、その姿は!」
荻上が驚愕の表情で大野に視線を送る。
「私も、まさか荻上さんがネイティブ・アルターだとは思っても見なかったですよ…」
大野加奈子は毅然とした表情で荻上を見つめ返す。だが――
『抜剣覚醒』には1つ難点があった。
それは――変身するキャラを選べないことである。
「…」
「言わないんですか?」
「…何をですか?」
「でじこ、がんばるにょ〜って。にょ〜なんて朽木さんみたいですけど(嘲笑)」
「いいんです言わなくても!キャラを愛する心があれば!」
「内面も表現する!んじゃあなかったんですか?」
「うう…」
「ま、そんなものですよね。…どうせもうコスプレでしたりしてるんでしょう?」
荻上が決定的な一言を口にする。
「…から」
「え?」
「目からビーーーム!!」
「きゃん!!!」
「あ〜らまるで萌えキャラみたいな悲鳴ですね〜!荻上さんってか〜わいい☆」
「………」
「あの…二人とも…」
「「斑目さんは黙ってて下さい!!!」」
「…はい…。」
げにおそろしきは女の争い…そして斑目はどこまで行っても斑目であった。
荻上が妄想を叩きつけ、大野はそれを全て吸収しビームを充填する。
激しい攻防のさなか、大野加奈子はふと荻上の服が変わっていることに気付き、指摘する。
「…それHOLYの制服コスですよね?なのに何でシェルブリット使ってるんですか?」
「う…」
荻上は言葉に詰まるが…
「そ…」
「そ?」
「それはそれ!これはこれ!!」
(言い切った―――――!!)
「でも…あなたは昨日も『コスプレなんて恥ずかしい』とか言ってませんでしたか?」
「そ、それは…」
「ああ、コスプレじゃない、アルター能力の副産物ですか?でも、はたから見ればコスプレそのものですよ?」
「あ、あの…その…」
精神面から切り崩され、荻上は見る見る追い詰められていく。
そして…荻上が限界を超えそうになったその時!
「荻上さん!」
笹原が瞬間的に大きな炎を起こし、あたりは閃光に包まれた!
「うわ!…ってああッ、逃げた!」
全速力で逃げる笹原と荻上。荻上は泣きながら笹原に抱えられている。
「も、もうあんな…なにがなにやら…」
「あ、あれも一つの『フタリノセカイ』な、なんだな。うん。」
「うわ!久我山さんもいたんですか!?」
次回予告
「世界の…敵?」
(伏線なしに)からみあう謎、(後付で)判明する新しい事実!
「ふっふっふ、ワタクシ朽木にセプターとしての才能が眠っていた事には気付かなかったようですね!」
朽木も出るけどたぶん敵でやられ役
うんこにょー
死相が出てる
次回「ステージ名:椎応大学」チャンネルはそのままで!
以上!
シンデレラ 荻上千佳
王子 笹原完士
魔法使い 笹原恵子
姉1 大野加奈子
姉2 田中総一郎
姉3 斑目晴信
付き人 高坂真琴
ナレーター 春日部咲
むかしむかし、あるところにシンデレラという女の子がいました。女の子は三人の姉と一緒に
暮らしていました。ところが、この姉達というのがとても意地悪で有名だったのです。
「シンデレラさん、今日はこのコスプレをしてもらいますからね」
(ちょっ……大野先輩! いきなり台本と違う事言わないで下さいよ!)
(いいじゃないですか荻上さん。私的にはこの方が萌えるんです)
(よくありません! 絶対嫌ですからね!)
(あっ! ちょっと逃げないで下さいー)
……。えーと、シンデレラは姉の強引な行為から逃げ出す毎日でした。
(田中、今日の打ち上げ場所どこだっけ?)
(駅前の○民、予約してるけど)
(そうなんだ、あそこの食い物まずくね?)
(でもそのぶん安いからなー)
(確かに。ところでさーあの大野さんも、やっぱありなわけ?)
(そりゃあ、ありでしょ)
こらこら、そこの女装オタク二人組。ひそひそ話さない。
『好きでこんな格好してるんじゃないわ!』
シンデレラは姉に言われ、せっせと衣装の仮縫いをしていました。当の姉達はというと、お城
で開かれているパーティに出かけていたのです。
一人取り残されたシンデレラは、それでも懸命に働いていました。
やがて一段落すると、シンデレラは呟きました。
「あーあ、わたすもパーティ、行きたかったなぁ」
「その願い、あたしがかなえてあげようか?」
シンデレラは驚いて声のした方へ目を向けるとそこには、とても奇抜な格好をした女性が立っ
ていました。
「あなたは誰ですか?」
「あたしはねぇ、魔法使いやってるんだけど。アンタの願いかなえてあげよっか」
「……いいです、遠慮します」
「ちょっとぉ! それはないでしょ? 願いかなえさせてよー」
「わ、わかりましたから、筆を掴むのはやめて下さい!」
「よーし。それじゃ、まずはその服ね」
魔法使いは呪文を唱えると、シンデレラのボロ服がドレスに、皮の履物がガラスの靴に変わり
ました。
「す、すごい」
「じゃあ次は移動手段ね」
また呪文を唱えると、今度はかぼちゃが、……馬車に、ねずみが御者に変わりました。
「さあ、この馬車に乗ってお城まで行ってきなよ」
「ヒ、ヒヒーン」
(……あのー、これって久我山先輩ですよね)
「馬車よ」
(いや、だから)
「早く乗りなよ」
オギーあきらめな。恵子の奴、目がマジだ。
(絶対乗りませんよ!)
仕方がないなぁ。クガピー、オギーを担いでっちゃって。
(へ、へーい)
(ちょ、ちょっと! おろして下さい! おろしてー!)
シンデレラはかぼちゃの馬車に乗り、お城に向かいました。
お城では、たくさんの人達が参加していました。何故ならば王子様の目に留まるかも知れない
からです。
そんな中にシンデレラは人々の目を引きながら、入ってきました。
「可愛い人ね」「綺麗なドレス」「あの筆は……いいものだ……」
そう人々は口々に囁いていました。
そうこうしている内に、ダンスタイムになりました。パートナーと踊っているもの、相手を探
しているもの、色々な人がいました。そして、シンデレラはと言うと、
「もしよろしければ、俺と踊ってもらえませんか?」
誘われていました。周りの人達は驚いた様子でその人を見ています。
それもそのはず、その人は王子様だったのです。
シンデレラは王子に誘われ、ダンスを踊りました。
(なんか荻上さん、静かすぎないか?)
(なんか、春日部さんに睡眠薬飲まされて眠っているらしい)
(あー、どうりで笹原も踊りづらそうなわけだ)
そこの厚化粧の女装二人組! 余計な事言わない!
(は、はい)
(あ、荻上さんが目覚めた)
(あれ、わたし一体どうして……。! 笹原さん!? 何? 一体どうなって!?)
(あ、荻上さん目覚めた? 今、王子とのダンスシーンらしいから、よろしくね)
(へ……いや、よろしくたって……)
やっばぁー、顔真っ赤だよあの子。あーあ、ついに逃げ出しちゃった。……あ、転んだ。大丈
夫かなぁ、思いっきり顔打ってたけど。
翌日、シンデレラは家でまた姉達にいじめられていました。
「今日はこのコスプレしてもらいますからねー」
「嫌です! よらないで下さい!」
「そんな事言わないで、着るだけじゃないですか」
「そんな、いやらしいの着れるわけないじゃないですか!」
そこに、誰かが尋ねて来ました。
「すいませーん」
「はい、どちら様ですか?」
姉三が出ると、そこには王子の付き人が立っていました。
(姉三って、俺ら名前すらないんかい)
付き人は四人に向かって言いました。
「先日のパーティで王子に見初められた人をさがしています。この中にこの靴が履ける人はいま
すか?」
付き人は、ガラスの靴を取り出しました。そう、シンデレラがあの日落としたあの靴だったの
です。
(正確には転んだ時、脱げただけだけどな)
ガッ!!
……。
……。
まずは長女が挑戦しましたがダメでした。次に次女も挑戦しましたが、やはりダメでした。三
女は挑戦するまでもなく、気を失っていました。
次はシンデレラの番です。シンデレラが靴に足を通すと、すっと入りました。
「おお! あなたでしたか。王子! 王子!」
付き人が呼ぶと、外にある馬車から王子様が降りてきました。
「あなたでしたか、もしよろしければ僕チンと結婚して欲しいにょー」
……。
……。
笹原は?
(何か、急に仕事入っちゃったらしくて帰っちゃった)
……。コーサカじゃダメだったの?
(それでもよかったんだけど、どうしてもやりたかったんだって彼)
……。あーそう。
「さあ! 僕と結婚するにょー!」
「いやー!!! よらないで!!!」
と、とにかく。シンデレラは王子と一緒に幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。
「ぜんっぜん! めでたくありません!!!」
おしまい。
>339-353
SSネ申ーキター!! 二作とも吹いたーwww
思いっきり突き抜けて世界観が違うのにモロにげんしけん風味だぁ〜
本編を切り離してココまでくると逆にネ申の才覚に感動するわぁ・・・
>>339-347 笑った。マジ笑った。そういうノリ好きだ。
フリーザネタなんて、画太郎以来だから懐かすぃ。
>339-353
面白い!赤ずきん、シンデレラときたら・・・人魚姫でも面白いネタ作れるかもよ
パロのモトネタがわからんのもあるけど面白かったよ。
357 :
荻上人魚姫:2005/10/27(木) 22:01:19 ID:???
二番煎じで恥ずかしいけど俺も人魚姫パロ書いちゃった。
今は原作SS書いてもシリアスな内容にしかならないから癒された。
第一幕
むかしむかしあるところに荻上という名のとても可愛らしい人魚のお姫様がおりました。
あるとき嵐が起こり、人間の船が難破して二人の男が海に投げ出されてしまいました。
荻上は可哀想に思って、二人を岸まで運びました。見ると若い男です。荻上はいけない妄想に囚われてちょっとおちゃめないたずらをして去りました。気を失っていた二人は目を覚ましました。
笹「うわっ、侍従長!なんで俺の股間に顔をうずめてるんだ!」
斑「王子こそ私のネクタイで首をしめようとなさってるじゃありませんか!」
二人はギャーギャー騒ぎながらも命が助かったことを喜びました。
荻上は遠目にその様子をうかがい、クスクス笑いながらワープしてました。
しばらくたち、荻上は王子と呼ばれている男の事が忘れられなくなっているのに気づきました。でも人魚の身では会いに行く事もできません。そこで大野という魔女に相談にいきました。
大「じゃあ、コスプレしてください!」
荻「嫌ですよ!どうしてもしなきゃだめですか?」
大「はい!」にっこり笑って答えました。
しぶしぶ言われるままにコスプレしましたがさっぱり人間になれません。
荻「あのー、本当にこれで人間になれるんですか?」
大「いえ!これは私のただの趣味です!前置きはここまでにして、この薬を飲めば人間になれますよ!その代わり欲しいものがあります」
荻「(怒)・・・何ですか?」
大「あなたの笑顔と愛嬌をください!」
荻上はその条件に承知して薬をもらい人間になりました。
第二幕
突然現れた身元不明の女の子に港町の町長のヤナは困っていました。
彼女は港町の女たちとことごとく喧嘩を売り、あてつけに塔から飛び降りるという大騒動をしでかしていたからです。
このままでは女の子の身が危険です。知人の侍従長の斑目に相談し、城で引き取ってもらうことにしました。
斑「荻上さん、君には王子の側付きメイドをしてもらうから。」
斑「まあ、王子には君がぴったりだと思うよ」
荻「なんですか、このハレンチな趣味の悪い服は!こんなの着れません!」
斑「いや、それしか無いし・・・。というかその調子でいいよ」
笹原王子は実はツンデレ好きでした。というよりツンだけ・・・。
荻「ツンデレの嫌いな荻上です!どうしてそんなにツンデレが好きなんですか!」
初対面から容赦ありません。しかし、王子は幸せでした。荻上も言葉とは別に心は幸せでした。
しかし幸せは長く続きませんでした。隣の国の王女が婚礼にきたからです。
ス「アンタバカー?」
侍女のアンジェラと共に嫁いできた隣国の王女のスージーは極めつけのツンでした。王子はすっかりスージに夢中になりました。荻上はとても悲しくなり、海辺に泣きにいきました。
咲「オギー!オギー!」
荻「咲姉さん!どうしたの?」
咲「あんたにかかった魔法は好きな人が心移りしたらあんたは泡になっちゃうんだよ!それを防ぐにはこのあんたの書いた同人誌を好きな人に見せるんだよ!」と言い、荻上の同人誌を手渡しました。
城に戻った荻上は悩みました。恥ずかしい自分の趣味を王子に見られるくらいなら泡になったほうがましに思えました。すると部屋の鏡に魔女の大野が写りました。
大「荻上さんー。もう同人誌見せましたかー?」
荻「本当に見せないとダメなんですか?またからかってるんじゃないんですか?」
大「・・・・そんなわけありませんよー(汗)」と顔をそむけながら言いました。
荻「(・・・あやしい)絶対嫌です!!」
荻上は見せないと決心しました。たとえ本当でも後悔はありませんでした。荻上は王子に別れの挨拶にいきました。涙は見せたくなかったので以前かけていた厚底メガネをかけていきました。
荻「今日でお暇いただきます!」
笹「荻上さん?メガネも可愛いよね。ていうか昔船で難破した時に助けられた時見た夢の女の子にそっくりなような・・・」
荻「ちっちがいます!」と顔を赤らめて言いました。
その時、スージーが部屋に入ってきました。手には荻上の同人誌を持っていました。
ス「グッドジョブ!サインプリーズ!」と同人誌を二人の前にガバーと広げました。
荻上さん?ええ、お約束通りお城の窓からダイブしましたよ。
王子が懸命に捜しましたが、その後一週間ほど行方不明になりましたけどね。
今はどうしてるかって?御伽噺のラストのお約束は決まってるじゃありませんか。
癒されるSSが多いですな〜、ここの所。
まとめてですまないが皆さんGJ!&乙〜!
>>358-363 人魚キター!
漏れ、人魚姫あんま話知らなかったから書けなんだよね。
おかげでまた、創作意欲が湧いてきたゾー。
スゲーなこいつは。うまいし綺麗にまとまってるし
>シンデレラ
クッチーそう来るかー・・・
>人魚姫
ヤナまで出てくるとは・・・
恐ろしいほど原作とシンクロ!
原作の方がわからない…
赤頭巾にシンデレラに人魚姫って……
こんな話だたの?
370 :
荻上人魚姫:2005/10/28(金) 20:25:34 ID:???
>>365-
>>368 ありがとうございます。原作が好進展するまでしばしメルヘンとファンタジーで和んでます。
371 :
笹原浦島:2005/10/29(土) 10:07:18 ID:???
今日は休みなので出掛けに短いやつ一作投下してみます。
最初ダラダラ長くなるばかりでつまらないものになっていきそれは途中で止めた。
結局、こういうラストが書きたいだけなのだという自分の心が分かった。
今は書きたいと思うことしか書けない。
竜宮城で荻上という可憐な竜神族の娘に恋をした笹原浦島。
荻「わたしが人間と付き合うわけないじゃないですか!」
笹原は手ひどく振られ、傷心のまま地上に帰ると乙姫に告げた。
咲「じゃあ、みやげにこの同人誌をさしあげます。絶望したらこれを御覧なさい」と同人誌を手渡した。
地上に帰ると、肉親や友人が誰一人生きていないと知る。地上ではすでに数百年の時が流れていたのだ。
笹「ああ、愛する人が生きていない世界に一人で生きるのは哀しい」と絶望し同人誌を見ようとしました。
すると荻上がゼエゼエ息を切らせながら現れた。
荻「そっそれを見てはいけません!呪われちゃいます!本当に!私に返してください!」
笹「でも乙姫様からいただいた贈り物をお返しするわけにはいきません」
荻「じゃ、じゃあ、それを見ないようわたしがずっと見張ってますから!」
数年後二人はどうしているかというと、荻上は『わたしが人間と付き合うはずが無い』と子供をあやしながらいまだに言い続けている。
そして必ず『絶対見ちゃダメですよ!』と夕食後に笹原にお茶を入れながら念を押している。
笹原はそれにウンウンうなづきながら、お茶をすすってゆるりとした毎日を二人で過ごしているのであった。
昔、何かで「面白い話の基本的パターンは童話やおとぎ話で出尽くしてる」と聞いたことがある。
そのせいか、げんしけんと童話って不思議と相性いいね。
はてさてこのシリーズ、どこまで続くやら・・・
375 :
笹原浦島:2005/10/29(土) 22:21:54 ID:???
>>374 >「面白い話の基本的パターンは童話やおとぎ話で出尽くしてる」
今帰ってきてレス見たところ。そうなんだよねー。実際、書いてみるとはまるはまる。
ハッピエンドに無理やりすりかえてはいるが、割と自然にできるんだよね。
今回のラストも「鶴の恩返し」「羽衣伝説」の方が合ってたかなと思ったりするし。書かないけど。
シリーズ化する気は無いけど、自分でも分からない。とにかく人にはハッピーエンドが必要だよね。
原作もハッピーエンド!ハッピーエンド!
意外と来ないね、来月号の予想的SS。
いろんな可能性が考えられて選択肢が多過ぎて、1つのネタに絞り切れないからかな?
それともその選択肢の多くが過去に何度も語られてきたネタなので、今1つ決定打に乏しいからかな?
まあ来月号まで先は長い。気長に待つこととしよう。
(ちなみに俺自身が書けないのは、前述の理由両方です)
>>376 うむ、密かにそう期待してるのは皆もそうか。
SSならではのパラレル展開を考えるだけで。。拙者の愚息は・・もゥ
378 :
マロン名無しさん:2005/10/30(日) 04:29:55 ID:GlijHtci
>370
メルヘンをメンヘルと読んでしまういオレにがっかり
先に酔っ払った笹原のほうがホンネとノロケをぶちまけ、女子のほうが
聞き耳、オギーが真っ赤になる展開を妄想中
ホンネはともかくノロケって一体どんな…
ドキワク
漏れてきには、今は見守る時期なのかなと。
>>次回予想SS。
話的余白が少ないから今回は。
>>話的余白
上手い言葉やね 俺もそう思う
今回は来月に続くから妄想し辛い
そうだねー、コミフェスのときのように打ち上げとか
来月描写しないだろう終わり方だったら妄想しやすいけどねえ。
それにしてもやっぱ本スレから分離して正解だったよね。
片や本編で語られてることのみを本道として推測と解釈に熱を上げる連中。
片や本編では細部が省略されてることを逆手にとって思い思いに妄想を膨らませる連中。
「そんなの読みたくないんだよ!」と怒られるのも道理ってもんです。
こっちはこっちで思いきり楽しみましょー!
>>376 たまに本スレで書き込まれてるけどな、短いけど
んで足りないところは自分で補完してハァハァしてる
梶氏の漫画はキャラが一人歩きしちゃうタイプなのか?それとも
梶氏らしく(?)キャラの行動は綿密に計算し尽されて生み出されるモノなのか?
この点を考えるとドッチもありっぽいので難しいネ。
まぁソレが梶漫の魅力なんだけど・・・うーん
本スレの皆の推測も解釈もけっこう出尽くした観あり。
そろそろ好転的な期待を含む妄想が膨らんできそうな予感・・・。
>>386 連載が長くなればどんな漫画家もキャラの一人歩きを始めちゃうんじゃないかな。
だんだん初期設定のキャラクターからエピソードが増えるにつれ深まっていく。
特に荻上のキャラは一人歩きが著しい。もう作者の手を離れた感がある。
笹原、斑目に次いで、いや超えて一番内面描写が多い。最近少なくて寂しいけど・・・。
内面描写と言えば、
斑目、笹原、咲、荻上がほとんどだな。それに大野と朽木が少々加わってる。
レギュラーキャラなのにほとんど内面描写が無いのは高坂と田中と久我山か。
>>389 斑、笹、荻、咲は、回によって主役張ってるのが多いからね。
大、朽も、主役張ってる回がある。
つまり、一つのお話で主役を張ってるキャラの内面が描かれてるわけだよね。
回によって主役級になってる人は内面も見れてると。
高、田、久はそれがないからね。
そういえば今月号は主観がどこにあるかわかりづらかったなあ。
っていうか群像的だった。
「絶対嫌です!!」
このセリフもパッと見キツッと思って引いたが、時間がたってくるとあああれはオギーの心の芯からの言葉なんだなと思える。
作者が言わせてるんじゃなくて、オギーの魂(カルトな変な意味ではなく)が言わせてるんだなと思えてくる。
○えよペンの引用だけど「漫画のキャラは言うまでも無く実在しません!」でも「いる」んだろうなー。変な意味で無しに・・・。
ポロポロ予想SSが本スレで出てきてるけど、まとまってないからこっちに投下しないのかな。
俺はまとめる以前の状態だが・・・。
392 :
389:2005/11/01(火) 01:11:19 ID:???
>>390 今月は確かに群像劇だが、強いて言えば大野&斑目視点かな。
(大野:結局そこに突き当たる)とか。そして斑目の回想と、咲への複雑な内心の吐露。
荻上の過去のトラウマをまがりなりにも理解できるのは大野だけなのだろうから、大野視点は正解だと思う。それ以外ありえない。
同人絡みのゴタゴタなんか咲や恵子には想像の範囲外だろうし、性格的にも「なんかウジウジしてる」としか思えないだろうから。
んで女衆と男衆に別れるわけだが、男衆サイドは斑目視点でキャラを動かすと。
来月以降もその路線で行くものと予想。
大野&斑目視点で、笹荻が動くのを見守るような展開になるんじゃないかな。
漏れを含めた男性読者的にも斑目視点に重なってる状態で、大人になっていく笹原を祝福と一抹の寂しさをもって見守るような展開を予想しています。
長文スマソ。
じゃあ、まとまってないけどこっちに予想SS書き込むね。携帯からの乱文スマソ。
咲「最近笹原と喋ってないみたいだけどどうしたの?」
荻「なんでみんなして同じことを聞くんですか!」
大「あー咲さんそれはですねー かくかくしかじかで……」
咲「ほー 同人誌見られちゃったんだ それってイヤなことなの?」
荻「絶対イヤです!」
咲「ふーん で なんでそれが笹原と喋らないことになるわけ?」
荻「……だってアレ以来絶対心の中じゃ私のこと気持ち悪いって思ってるだろうし……」
咲「でも笹原だよ? アイツだってオタクだし」
大「それにそんなこと思うような性格じゃないですよね」
恵「うわ話全然読めないんだけど」
荻「……理解してくれる男なんて……そんな男いるわけないじゃないですか!」
咲「(あー これか)」
大「(そーですねー)」
咲「んー 笹原も大野も最初は似た感じだったなぁ ここまでキツくはなかったけど」
荻「え 笹原さんもですか?」
咲「そ 大学入るまで自分のオタ趣味を打ち明ける友達いなかったらしいよ」
大「まぁ私は日本に来る前にその手の友達いましたけどね」
荻「だ だからなんだっていうんですか! ていうか理解してくれる男がいて欲しいなんて別に思ってませんから!」
咲「昔なにかあった?」
荻「はぁ? べ 別に……」
咲「こういうときはぶっちゃけるもんだよ そのための“女だけ”の“パーティー”なんだし」
荻「…………」
大「話してくれませんか?」
荻「……絶対ナイショですよ?」
恵「ねー何の話してんだよー!?」
荻「特にアナタ!」
恵「はぁ?」
トラウマを吐露しだす荻上
394 :
393:2005/11/01(火) 03:09:46 ID:???
こういうのだと恵子の必要性がイマイチ……
個人的には恵子がキーパーソンだとは思ってるんですけどね
1年半かけても崩れなかったトラウマにしては折れるの早すぎですかそうですか。でもそれがオギークオリティってことで。
うん、恵子がキーパーソンだろうね
それにしても来月だけでどこまで進展するのかな
咲の「じゃあオタクがみんなヤラシーんだ」ってのが次号の伏線かと
荻「私の恥ずかしい妄想を・・・」
咲「あー、大丈夫でしょオタクはみんなヤラシーから。ねっ大野」
大「いや私は黄金パターンをですね」
妄想続かん まーいいや
例えばこんな感じではどうだろう?
荻上さんのトラウマ。
中学時代、初恋の人の似顔絵(かなり上手い)をノートに描いてたら、それを801仲間の同級生(夏コミで会った茶髪ね)に見られる。
そこで茶髪は、それを相手に見せて荻上さんの思いを伝えようと企む。(あくまでも善意から)
だがノートには続きがあった。
似顔絵の次のページには、荻上さんが戯れに描いた初恋の人とその親友との801絵が描かれていたのだ。
それを知らずに茶髪は初恋の人に荻ノートを渡してしまう。
それを見た彼は、荻上さんにこう告げた。
「変態の女オタクは嫌いだ」
こうして荻上さんの初恋は終わった。
そのトラウマを話し終わった荻上さんに、恵子はポツリと言う。
「なんだ、アニキと同じじゃん」
恵子によると笹原は中学時代に、初恋の人にオタであることが理由で振られたらしい。
もちろん笹原はそんなことを恵子に話すわけが無い。
恵子の昔の彼氏の1人が、たまたま笹原の同級生だった為に知ったのだ。
「そんならあんたとアニキ、条件は一緒じゃん。そんでどっちもオタだし、どっちもバージンだし、なんも問題無いじゃん」
こんな感じで恵子が仲立ちするって展開がいいのではと、酔っ払いつつ今即興で考えてみた。
398 :
飲み会の後:2005/11/01(火) 23:36:19 ID:???
飲み会の様子はアレが不明なうちは書けなかった。
笹と斑と荻の飲み会の後の様子を書いてみた。
惠子の活躍も入れたかったが・・・まあ前向きに。
斑「聞き耳立てるなって言ったってなー、あんなに大騒ぎじゃ聞くなって言われても聞こえちゃうよなあ、笹原」
笹「ええ、それも一番騒がしいのはうちの惠子ですし・・・。」
斑「まあ、俺らは俺らでゆっくりやろうぜ、朽木君も高坂も寝ちまってるし・・・」
笹「そうですね」
二人はテーブルに酒やつまみを広げて地味な酒盛りを始めた。
斑「・・・・でどうよ?(お約束をはずさない朽木君は寝てるし今度こそ邪魔は入らんだろ)」
笹「・・・どうって?」
斑「だからこの前のコミフェスでさ・・・荻上さんとは仲良くなったのか」
笹「ははっ、斑目さんまでどうしたんですか?どうもしやしないですよ、それどころかアレ以来荻上さんには避けられちゃってますし・・・全然会話もしてませんよ。」
斑「アレって、アレか?荻上さんの同人誌を見ちゃったとかいう件か?」
笹「ええ、わざとじゃ無かったんですけど、荻上さんわだかまりがあるみたいで、壁作っちゃってるってんですかねー。嫌われてんのかなあ」
斑「(うわーすっかり弱気だよ)いや!そんなことないだろ、もともと難しい子なんだよ!(汗)」
斑「・・・しかし何でかなあ、別に大野さんだってヤオイ趣味公言してるし、荻上さんだってなあ、別に俺ら今更どうも思わんよな。」
笹「ええ・・・」笹原の落ち込んだ様子に慌てて
斑「大丈夫!明日は皆でパーと遊びにいこう!なっ!そん時荻上さんとも仲直りすりゃいいって!」
斑「そうですね。田中さんは明日でしたよね?でもうちら場違いですよね。陸に上がった魚。何して遊びましょう?」
斑「ああ、なんでも田中、車借りてコスプレの衣装用意するって聞いたぞ。」
笹「(軽井沢まで来てコスプレ・・・)まっまあ、いいんじゃないですか!(汗)」
深夜一時。すっかり酔いつぶれた斑目はソファーで寝入っている。
笹原は斑目のメガネをずらして口を開けてヨダレをたらしてソファーにもたれかかって寝入っている姿をぼんやりと見て思った。
いい人だよな・・・。親身になって俺の事心配してくれて。先輩というより友人のような親しみで付き合ってくれた人だった。この人に会えて良かったと思う。
ああ、疲れてんだな・・・社会人は大変だよなあと笹原はメガネをはずしてやり、毛布をかけてやった。
その時、部屋の隅に誰かがいることに気付いて、笹原はビクッとした。相手も同様にビクッとして驚いた様子だった。
笹「荻上さん?びっくりしたよ、気付かなかった!いつからそこに?」
荻「いっいえ、ついさっき、トイレに起きて・・・」と顔を真っ赤にして立ちすくんでいた。
笹「ああ、そうだったの」
荻「何も見てませんから!私、何も・・・あっいえ!違うんです、そういう意味では!」
笹「へっ?えっ!いや!違うよ!」
荻「いやだ!何言ってんだろ・・・。ほだなこったから・・・」と半泣きになっている。
笹「!(ああ、そうかそうだったのか。そういうことなのか。そういうことなんだ。)」笹原は初めて荻上の心にたどり着いたような気がした。
笹「ああ、荻上さん!惠子たちはもう寝ちゃったの?」
荻「えっええ、散々大騒ぎして先に酔いつぶれちゃいました・・・」
笹「斑目さんもすっかり酔いつぶれちゃったよ!しょうがない先輩たちだね!」
荻「えっええそうですね・・・本当に・・・。」何事も無いような笹原の態度にほっとした表情を見せた。
笹「飲み会は楽しかった?うちの惠子うるさかったでしょ」
荻「ええ、いえ、でもまあ、色々話してすっきりしました。昔の事も何だかどうでもいい事だったような・・・。あっいえ別に何でも無いんですけどね。」
笹「・・・それは良かった。俺も眠いから先に寝るよ。じゃあ、お休み。トイレの場所は分かるよね?」
荻「ええ、大丈夫です。おやすみなさい。」
笹原は荻上に余計な気遣いさせぬよう毛布を頭からかぶって寝入った。そして思った。まあ、すべては明日だ。合宿は二泊三日あるんだし。嫌われているわけでは無いと知っただけでもとてもうれしい。とにかく明日だ・・・と自然に深い眠りについた。
荻上もトイレから部屋に戻り毛布をかぶった。感情の高ぶりが、静かな興奮を呼び、すぐに寝る事が出来なかった。隣では惠子がいびきをかいて寝入っている。
恥ずかしかった。自分の心をあんなに無用心に無様にさらけだして、涙を見せたことがとても恥ずかしい。
でも苦悩は無かった。むしろ感情の開放は荻上に穏やかな安心感と涼やかな爽快感と開放感を与えた。
覚醒したこの感覚はすぐに収まりはしなかった。寝なきゃだめだ。とにかく明日だ。
明日の新しい自分を迎え入れよう。そう荻上は思った。
>>398-405 情報の開示の少ない中では、頑張った方なんじゃないかと思う。
まっ、とりあえずGJ。
いかん、酔っ払って手が思うように動かんので、上手い文章が書けん。
と言い訳しつつ、このぐらいの感じで収まって欲しいと願うオイラは酔っ払い。
>>398-405 乙でしたー。
いやー、飲み会でどうなるかわからんから来月の予想はめちゃ書きづらいですよね。
でも、こんな感じがいいかなー。
鬱展開だけは嫌ですからねえ。
例えば結局何も解決しなかった、とか。
GJ!
久しぶりに話した驚きを加えたらもっといいかも
来月は、パーティー・笹斑・和解・田中(コスプレ)
およそ30ページで書ききれるかどうかが不安です
>>401 >>笹原は斑目のメガネをずらして口を開けてヨダレをたらしてソファーにもたれかかって寝入っている姿をぼんやりと
途中まで読んで、笹原が斑目のメガネをずらして口ん中にヨダレをたらしたのかと思ったwww
801展開かと思っちゃったよw ハァハァ・・・
410 :
飲み会の後:2005/11/02(水) 07:19:46 ID:???
今起きてレス見てます。サンクス
>>406 いやホント今回は実際書いてみてキツイ。
>>407 余白も少ないしね。ホント鬱展開だけはカンベンだね。あと進展無しも。
>>408 ああ、そうか一月ぶりに話す二人の会話!今の俺にはこれが限界だー。
>>409 すんません。失敗しました。斑目のヘタレなところ詳細に描写しようとして変な文になった。読み返して後悔。
でもクタクタヨレヨレの斑目さんって何かいいなあ(荻)
結局、俺は逸脱や暴走はできなんだ。他の活発な妄想展開した楽しい作品を期待!
411 :
マロン名無しさん:2005/11/02(水) 16:11:56 ID:a7QEWI+Y
>>409 オレもワープしたw
ハァハァ…マダラメ
>>401 こうしてはどうだろう?
笹原は斑目のメガネをずらして口を開けてヨダレをたらしてソファーに
もたれかかって寝入っている姿をぼんやりと見て思った。
↓
笹原は、メガネをずらし口からヨダレをたらしてソファーにもたれている
斑目の寝姿を、ぼんやりと見ながら思った。
↓
斑目は、すっかり酔いつぶれて眠っていた。
メガネがずれ、口元にはヨダレが光っている。
笹原は、そんな幸せそうな寝姿をぼんやりと見つめ、思った。
でないと、漏れも笹斑でワープしそうに……ハァハァ
……笹やん、何て大胆な……
いくらオギーでも小野寺×笹原ならメガネ攻めにせざるをえないだろ
414 :
飲み会の後:2005/11/02(水) 20:17:22 ID:???
>>412 その表現いいね!その部分は少しやっつけで書いちゃったから。
>そんな幸せそうな寝姿
ヘタヘタヨレヨレな斑目を表現したくて、ヨダレと書いたけど
むしろ眉間にしわよせて、ウーンウーン唸りながら歯軋りした
ほうが、斑目らしいかなあ。ついでにオギーの妄想に拍車をかける
ように、シャツが乱れてたり・・・。
笹「荻上さん?」
荻「(ワープ)!ハッ!」
いずれにせよ、オギーの呪縛の克服に笹と斑が何らかの関与してほしいなとキボン。
>>414 ふと、アニメ版パトレイバーのシゲさん思い出した、その斑目像。
416 :
マロン名無しさん:2005/11/03(木) 15:39:01 ID:GnaTk35e
>413
小野寺が笹原に自分の眼鏡をかけさせる。
「おっ小野寺さんっ。メガネなくても平気なんスか?
アレ? これ度が入ってない…」
「ああ、これはキミみたいなコにかけさせるためにかけているんだ。
ホラ、キミはメガネが良く似合う…」
……うーん
オギーにはなれねえやw
>>416 のネタに便乗してみた。
小野寺は、笹原に自分の眼鏡をそっとかけた。
「お、小野寺さん!?」
動揺する笹原の耳元で、小野寺は囁いた。
「やっぱり思った通りだ、キミには眼鏡がよく似合う。初めて出会った
時からそう考えていた。……とても魅力的だよ笹原君」
「小野寺さん……」
小野寺は、笹原のボタンに手をかけ、そして……。
……確かに難しい。
小「さっ、笹原、何を!?」
笹「何って……クスクス……やだなぁ、凄く気持ちいいことに決まってるじゃないですか……」
小「お、おいっ!?」
オフィスの床に押さえ付けた小野寺のズボンに手を伸ばす笹原
笹「アハハ……なかなか凄いの持ってるじゃないですか先輩」
ササヤン総攻め魔王説
419 :
マロン名無しさん:2005/11/03(木) 22:09:44 ID:GnaTk35e
最近オギーを理解するためにいくつか801本を覗いてみた。
エロマンガを初めて見せられた女の子の気持ちが少しわかった気がした。
ひへっ?いつの間に「げんしけん801SSスレ」に?
>最近オギーを理解するためにいくつか801本を覗いてみた。
がんばるっすね。荻スレに腐女子が801を好きな理由のレスがあったけど、
俺は801は女性の感性で描かれるもので男性の感性ではないと結論。
俺もオギーを理解しようと努力してるが「理解する」のも「理解したふり」するのも断念しました。
あの二人に必要なのはいたわりと思いやりだと思う。咲が高坂に対しているみたいに。
趣味や嗜好を理解することが重要じゃないような気がしてきた。
>>420 そういうのは男女間におけるそういう論争以外にも当てはまるよな。
つるぺた属性から言わせると巨乳はよくわからんだろうし、
逆もまたしかり。
結局は分かり合うんじゃなくて認め合って尊重しあうことしか出来んわけよ。
そういう意味で趣味が結構違うのに現視研メンバーはうまくやってるな、と思う。
むかしむかし、あるところにシンデレラ(荻上)という女の子がいました。女の子は三人の姉と一緒に
暮らしていました。ところが、この姉達というのがとても意地悪で、シンデレラをいじめていました。
1番下の姉(漫研女子代表)はシンデレラを追い込んで2階から飛び降りさせました。
2番目の姉(恵子)はシンデレラを中学生扱いしました。
3番目の姉(中学生の友達:茶髪)はシンデレラがトラウマになって話をするだけで気分が悪くなることをしました。
こうして姉たちにいじめられていたシンデレラですが、彼女には秘密にしていることがありました。
こっそりと801マンガを描いていたのです。シンデレラには夢がありました。
年に2回、開催されるコミフェスで自分の描いた同人誌を売ることです。
でも、貧乏なのと覚悟がなくて、なかなかコミフェスにいけませんでした。
しかし、シンデレラの描いた漫画を盗み見て気にいった魔女(大野さん)がシンデレラがコミフェスに参加できるように魔法をかけました。
大「さあ、これで今度のコミフェスに参加できますよ。あれ?何を悩んでいるんです?」
荻「・・・そうすると本作んなきゃいけないですよね・・・」
大「そうですね。」
荻「・・・ということは・・・マンガ描かないといけないですよね。」
大「そうですね。」
荻「・・・いやもちろん コミフェスにいけるのはすごく嬉しいですし 本はちゃんと作るつもりだし
それは大前提としてあるんですけど ・・・やっぱいいです。」
大「えーなんですか それ! ・・・察するに やおいを描くのが恥ずかしい・・・と『今さら』言いたいわけですか?」
荻「今さらなのはわかってますけど。」
大「腐女子嫌いを公言しながら自分の腐女子っぷりは見せたくないと?」
荻「・・・・・・・」
大「なあんだ そんなのすぐ解決できますよ」
荻「?」
大「コスプレしまくって恥ずかしさに慣れればいいんです。」
荻「・・・・あなたの頭の中にはそれしかないのか。」
その後、いろいろ問答がありましたが、結局、シンデレラは魔法使いの魔法でお姫様のコスプレをしてコミフェスに出ることになりました。
大「このコスプレの魔法は12時になったら消えるので、気をつけてください。」
荻「えっ。そしたら12時前にコミフェスから帰らなければいけないんですか?」
大「いえ。12時前に違うコスプレに着変えないといけません。」
荻「なんですか!!それ!!」
いろいろとありましたが、ともかくシンデレラはコミフェスに参加できました。
しかしコミフェスで同人誌を売っていると、王子様(笹原)がきて見本を読んでしまいました。
シンデレラは男の人には自分のマンガを見せたくなかったのですが、軽くワープしている間に油断して読まれてしまったのです。
シンデレラは恥ずかしさのあまり泣きながらコミフェスから逃げ帰りました。
王子様はシンデレラに一目ぼれしましたが、探すにも手がかりがないので執事の高坂くんになんとかしてくれと頼みました。
執事は何か手がかりとなるものはないかと探してみると、片一方のコンタクトが落ちているのが見つかりました。
「これはあの女の人がはめていたものに違いない。」
そして下僕のクッチーを呼んで、このコンタクトにあう人を探してくるようにいいました。
高「こーゆう恥知らずなことは朽木くんにやってもらいましょう!」
朽「お任せを!!」
こうして下僕のクッチーは相手かまわずコンタクトのあった人を探しにいきました。
しかし、女の人達はクッチーを嫌がってクッチーが説明する前に逃げて行ってしまいます。
そんなこんなで、なかなかシンデレラが見つからず、お城で問題になりました。
斑「え〜 第1回〜〜〜〜『緊急花嫁対策シンデレラほとんど見つかってねえよ会議』を始めます〜〜。都合により私 斑目国王が
議長をつとめさせていただきマス〜〜。え〜〜現在、コンタクトをあわせてみた人は朽木くんによるとまだ2人だけという状態ですが
ここに至る過程はひとまず置いといて!今後どうするかを話し合いまショー!!え〜・・・まず・・・シンデレラをすぐ見つけるのは
・・・ムリ?なのかな?」
笹「3日じゃムリでしょうね。・・・でも期限ぐらいいくら延ばしてもいいんですけど、肝心の朽木くんがやる気がないんじゃ意味ないですよね。」
斑「・・・・ということですが どうですか?朽木・・・あれ?朽木くんは?」
高「さっきトイレって言って出て行きました。」
斑・笹「逃げたな。」
クッチーはこのままでは責任を追求されることになると焦っていました。彼自身、耐えられるプレッシャーの限界を感じつつ、
必死の思いでコンタクトの合う人を探しました。
そして運命の神様が微笑んだのでしょうか。偶然にも最初に訪れた家が、シンデレラの家でした。
朽「こにょにょちわ〜」
シンデレラはコンタクトを失い、貧乏だったので代わりのものも買えず、度の強い眼鏡をかけていました。そのシンデレラを姉達がいじめていました。
姉1「家をだまって抜け出してどこいってたのよっ!!!」
姉2「さっさと白状しなさいっ!!」
シンデレラはやおい本を売っていたと本当のことを言うのは恥ずかしいので黙っていました。
ずっと黙秘しているシンデレラを姉達が攻め続けているところに空気を読まないクッチーが割って入っていきました。
朽「まあまあ!お姉さん方も妹さんもここは日本的慣れあいでまあまあ!ここはもう細かいことはナッシングでいきましょう。
唇かんでナッスィング!!ナッスィイんグ!!アハハ発音嘘くせー!!」
荻「この人おかしい」
一瞬、笑顔のまま固まったクッチーでしたが、だんだんと怒りがこみ上げてきました。
朽「ガー」
両手を振り上げ、怒り顔でシンデレラを見つめます。それをはったと睨みつけるシンデレラ。その眼光にいすくめられたのか一瞬、クッチーの動きが止まりました。
「へえ根性は・・・」と姉の一人がいいかけた時。
ゆっくりと振り下ろされたクッチーのパンチがシンデレラの頭に当たりました。
ゴッ
鈍い音が響き、シンデレラが涙目になったその瞬間、一人の女が家の中に駆け込みクッチーを殴りました。
グワシャー!!!
「そいつにヤキ入れとけ!!女に手エあげやがって。おーよしよし。」
涙顔になったシンデレラの頭をさすっているのは通りがかった町娘 咲でした。
朽「ち・ちがうんですにょ〜。ちょっと行き違っただけですにょ〜。実はかくかくしかじか・・・」
「えっ。王子様の使者?コンタクトのあった人を探しにきた?」
王子様が一目ぼれした人を探しているときいて3人のお姉さんがコンタクトをつけてみましたが、誰も度があいません。
最後にシンデレラがコンタクトをつけてみるとぴったり合いました。
朽「ようやく見つけたにょ〜。」
こうしてシンデレラはお城につれていかれ、王子様と再会することができました。
笹「シンデレラ・・・僕と結婚してくれないか?」
笹原王子の申し出にシンデレラは顔を真っ赤にしてうつむき、涙目になりながらお城の窓から飛び降りようとしました。
慌てて、笹原王子が後ろから抱きかかえて押しとどめるとシンデレラは小さな声で「はい」と返事をしました。
こうして、「・・・オタクは嫌いです・・・でも笹原さんだったらいいです・・・」とシンデレラは小さな声でつぶやきながら、2人は結婚しましたとさ。
めでたしめでたし。
>>422 一行目でシンデレラをツンデレラと空目した俺は重症。
まだ続き読んでません。
>>422-426 乙。
クッチーが生き生きしているせいか、
読んでると、クッチーが主人公に見えてくる俺は重度の精神疾患。
注:コンタクトを複数で回し入れしてはいけません。
つーか、コンタクトに合うってどうやって見分けるのかがわからないのが
気になった。
>>427 ナカーマ
>>422-
>>426 乙。
前にシンデレラ書いた人とは別だよね?作風が異なるもの。今まで童話シリーズの印象が異なるから童話シリーズは初投稿?
コンタクトとガラスの靴のすりかえはキビシーものがあるような希ガス。ラストもひねりが個人的には欲しかった。大胆に壊すのも面白いかも。
最近予想SSが振るわないから、ストーリーに準拠せず破天荒にもっと賑わってほしいね。
>>429 はい。別人です。本スレで短めのSSを幾つか投稿したことがあるだけで、一度、長編に
チャレンジしたかったのです。
で、前の人の書いたシンデレラネタを見て、思いつきで書いてみました。
同じシンデレラネタでかぶるのがちょっと心配で躊躇してましたが、最近、投稿が
少ないので思い切って投稿しちゃいました。
コンタクトは失敗でしたね。今思うとメガネにすればよかったなと。
なぜ、気づかなかったんだろ?
あと、ラストは個人的にハッピーエンドにしたかったんです・・・。
長編物はやっぱ難しいですね。エピソードいれまくろうとすれば長くなりすぎるし
短いとあっさりしすぎるし・・・まだまだ修行が足りませんな。
>>430 げんしけん好きな心があれば、無問題。
長編チャレンジ! チャレンジ!
漏れもチャレンジ!
>>落とすもの
いっその事、荻筆を落としてみたらどうだろうか?
いやいや、自分が言うのもなんだが、躊躇せずどんどん投稿した者勝ちじゃない。
健全SSの範囲でだけど。批判批評も「なんのその!」ウケたりハズしたりしても
ここでは再度挑戦、カムバックできるからね。書くほどにうまくなるもんじゃない。
俺もハッピーエンド大好き!無理やりハッピエンドにしちゃうね。
「登場人物はハッピーエンドのための奴隷である」(出典不明)
>>431 432
激励 ありがとうございます。
また思いついたら長編作って投稿してみます。
お互いがんばりましょう!!
笹原も王子様が似合うほどの男になったか
本筋とあんまし関係無いとこで、次回の予想的SSを書いてみました。
女たちの宴会が続く中、トイレに行く恵子。
用足しが終わり、部屋に戻る途中で外で話す声が聞こえてきた。
そう言えば、先ほどまで部屋のすぐ外にいた笹原と斑目の姿が無い。
(クッチーと高坂は相変わらず寝ている)
恵子は何となく気になって外に出てみる。
外では斑目と笹原がビール片手に話していた。
何気にシリアスな雰囲気を感じ、物陰に隠れる恵子。
斑目「でっ、どうよ?」
笹原「どうよと言われましても、まああの通りですから彼女・・・」
しばし沈黙。
斑目「俺の高校の時のダチがよー・・・」
笹原「?」
斑目「まあこいつも俺とおんなしようなオタでね、別の大学でうちみたいなオタサークルやってたんだけど、そいつが好きになったのが後輩の彼女だったんだ」
笹原「・・・」
斑目「後輩ってのはバリバリのオタなんだけど、何でオタになったのって感じのイケメンでさ、しかも彼女はそいつ目当てでサークルに出入りしてた全くの一般人なんだ」
さすがにこの手のことに奥手な笹原も、それが斑目自身の話であることに気付き始めた。
笹原「(それってもしや・・・)」
物陰に隠れていた恵子も同じことを考えていた。
恵子「(これってひょっとして・・・あいつと姉さんの?)」
斑目「バカだよな。後輩の彼女、それも一般人の女に惚れちまうなんて・・・」
それって斑目さんと春日部さんのことではと言いかけた笹原を止めたのは、池上遼一の漫画のキャラみたいに斑目の頬をすーと伝う涙だった。
ドキンッ!
恵子は斑目の涙を見た瞬間、自分の耳で聞き取れそうなほど自らの鼓動を強く感じた。
恵子「(何、この感じ?)」
斑目「(眼鏡を外して涙をぬぐい)あれっ、俺なんで涙なんか・・・酔ってるのかな?」
苦笑いする斑目。
斑目「まあ何だ笹原、その点お前の場合は相手はフリーだし、お前も相手もオタだ。俺のダチみたいな問題は何もねえ」
笹原「斑目さん・・・」
斑目「(笹原の肩をポンと叩き)まあ後悔の無いようにやれや。上手く行くにしろ、振られるにしろ」
笹原「・・・はいっ」
斑目「(ニカッと笑い)いやー柄にもない説教しちまったなあ。そろそろ寝るかー」
やがて2人は部屋に戻ったが、恵子はそのまま佇んでいた。
恵子「(何であたしが男オタの涙にこんな変な気持ちになるのよ?オタだよ、変な顔だよ。普通キモイだろ?なのに何で・・・)」
恵子の脳裏に、眼鏡を外した斑目がフラッシュバックする。
恵子「(でもあいつ、眼鏡外したら案外きれいな目してて、高坂さんほどじゃないけどけっこうイケメンだったな。背も高坂さんぐらいはあるし、何か最近は前ほどウザクなくなって落ち着いたし・・・って何であたしあいつの良いとこ探ししてんのよ?)」
咲「何してんの?」
背後から咲の声がした。
恵子「わっ!」
オーバーなリアクションで驚いて振り返る恵子。
恵子「(少し慌てて)なっ、何だ姉さんか」
咲「そんなに驚くことないでしょ。どしたの?」
先程の斑目たちの話を思い出して、赤面する恵子。
恵子「なっ、何でもない!」
走り去る恵子。
咲「変なやつだなあ。オギーみたいなリアクションして・・・」
本日はここまで。
まあ結論までは慌てず騒がず、今回は「恋の予感」ということで・・・
>>435-437 クライングフリーマン乙
なかなか良い話なンじゃない―――ッ!
というかこうなって欲しい。
GJ!
班目にも春が訪れますように…(´人`)
GJ!
クライングフリーマン!池上遼一の世界がフラッシュバックしました。
池上風斑目には感動を覚えました。がんばって二人で借金返そう!あっ違うか・・・。
>>435-437 こんな展開でSSが来るなんて想像もせんかった・・・いつもここのSSネ申の切り口には
驚かされますわぁ
いい話だ、希望が持てますな
斑目…
斑目人気あるのう・・・。腐女子以外の圧倒的支持を感じる・・・。
あのヘタレさがいいのか、あのヘタレさが・・・。
446 :
マロン名無しさん:2005/11/06(日) 23:38:34 ID:G8jCFay+
腐女子の男版ってなんていうの?
ホモじゃないんだが最近、頭の中で笹×斑ワープが面白くなりはじめたんだ…
いちいち呼称を付ける必要はないだろ。
そういうのはあまりに人数が増えてうざったくなってきたら付けられるもんだ。
お前はお前。それでいいじゃないか。
仮命名 「壊男子」(快男子)・・・。
悪い!からかってはいない。でもそういう人もでてくるのかね。空想(だけ)なら楽しいかもね。
というか、SS投稿不作だから雑談スレになってない?
という漏れも人の事は言えんが。目下構想中・・・。
高坂ぶりの名言だなオイ
壊男子イイネ!
メル友・インターネットのオフ会・結婚相談所は
幼馴染、許婚、世話好きババアに代わる
現代の三大ロマンではないだろうか!?
しかも、広範囲に同じ趣味を持つ人間を探せるこれらは
ヲタクにとって至宝とも言える文明の利器であろう!!
452 :
451:2005/11/07(月) 02:29:10 ID:???
ごめん。誤爆った;;
いや、いろんなスレで話題になってた
「なぜ女の子はヤオイがすきなんですか」
を眺めてたらこんな小説が出来上がった。
妙に冗長だがまー、流し読みしてくれ。
11個に分けて投下する。
タイトル:女性向け同人における男達の考察
「しかし、女っていうのは何でヤオイが好きなんだろうな?」
それは唐突な斑目の一言から始まった。
「え・・・。なんでまた。」
ちょうど、笹原は少女漫画の名作、『森と嵐の唄』を読んでいるところだった。
その内容は現在における女性オタクたちによるヤオイ、BLの源流とも呼べるものである。
女性向けではあるものの、男も読めなくはない内容ではある。
「ヤオイだけじゃなくボーイズラブっていうのもそうなんだけどよ。
なんでなんだろうなっと。」
「うーん。確かに、この漫画でもそういう描写が主ですからねえ。」
「まあ、なに、そこには俺らにはわからない何かがあるんじゃないのか?」
そこで発言をしたのは田中だった。
「田中はどうなのよ。大野さんは読んでるんだろ?そういうの。変に思ったりはしないのか?」
「いや、別に・・・。
前から交流のあるコスプレイヤーの女の子達は大概多かれ少なかれそういう気はあったからね。
男における「萌え」と似たようなものじゃないのか?」
「いや、それは違うだろ。
仮に「萌え」=「ヤオイ」ならば、そこには決定的に違いが露呈するじゃないか。」
斑目が言った言葉に田中も笹原も考え込んでしまった。
「か、絡みとかってこと?」
そこまで黙っていた久我山が発言する。
「そうだ、「萌え」は単体でも成立するわけだが、「ヤオイ」は男の絡みが必ず入る。
もちろん、「萌え」においても「絡み萌え」が存在するわけだが・・・。」
「なるほど、男同士の絡みを確実に入れているわけですね。」
「うーん、確かに。濃度の違いはあるにせよ確実に描写はされるな。」
一同納得である。
「となると、「ヤオイ」はなぜ女性に支持されるのか。」
「男の「百合」好きとはまた違うんですかね?」
笹原が上げたのは女性同士が愛し合ういわゆる「レズ」を題材としたものである。
「うーむ、「百合」は「ヤオイ」ほどの潮流にはなっていないからな・・・。」
「そ、そうだよね。た、確かに「百合」好きは少なくはないけどさ、
や、「ヤオイ」ほどの人気はないよね。」
田中と久我山により笹原の意見は却下される。
「そう、そこがキーとなるんじゃないのか?
女性の嗜好にそこまでフィットした「ヤオイ」の良さ、それはなんなのか。
ここで「ヤオイ」の特徴を挙げていってみよう。」
立ち上がり、いつもあまり使われることのないホワイトボードを移動させる斑目。
「そうですねえ・・・。「男同士の絡みである」。」
「確かにそうだな。」
「後はそうだな・・・。「実在の人物も取り上げる」。」
「え?マジっすか?」
田中の発言に驚いたのは笹原。
「知らないのか?
ジャージズ事務所あたりからビジュアル系バンド、スポーツ選手、政治家まで幅広くな。」
「うはー、俺そこまでのは知らなかったすよー。」
「まー、比較的マイナーではあるジャンルだよな。」
斑目がそれもホワイトボードに記入する。
「そ、そうだな・・・。け、「決してエロが前提ではない」。」
「ああ、あるね、エロなし「ヤオイ」。」
「そういうのだとまだ読めるのってあるんですよね。」
「まあなー。しかし男が熱烈に絡みだすのだともう読めないがな。」
「そ、それもそんなに少なくはないんだよね。」
「それも特徴だな・・・。」
そこまで意見が出たとき、一人ここまで話してなかった朽木が発言する。
「はーい、はーい、特徴言えますにょー。」
「・・・ま、いってみろ。」
少しうんざりした表情で指名する斑目。許しがきて朽木は嬉々とした表情になる。
「「気持ちが悪い」!!」
「「「「それは特徴じゃない!」」」」
全員から否定されて落ち込む朽木。
「まー、朽木君は置いといて・・・。まあ、こんなところか?」
「そうだな・・・。あとは「ヤオイ」の語源もチェックしておくべきだろう。」
「えっと、「やまなし」「意味なし」「落ちなし」でしたっけ。」
「そう、その通りだな。」
「な、何でそうなったんだろうね。」
「昔の同人で書かれてたころ、そういう系の本が大概4Pぐらいの内容だったからだそうだ。」
「まー、諸説あるからどれが正解かはわからないんだけどね。「萌え」と一緒さ。」
ここまでの内容が記載されたホワイトボードを、斑目が軽くたたく。
「ここまでの内容でどうだ?わかったことはあるか?」
「んー、そうですねえ・・・。」
少し考える一同。朽木は相変わらず落ち込んでいる。
「一つ思ったことなんですが・・・。」
おずおずと声を出したのは笹原。
「なんだ、言ってみろ笹原。」
「俺たちはキャラを見るときにその特徴や正確、容姿や環境で萌えたりするわけじゃないですか。」
「たしかにね。
まったく同じ設定のキャラでも、眼鏡一つで違うものな、感じ方が。」
「だけど「ヤオイ」の場合は、一人一人の特徴とかよりも関係性に重点をおいてるような・・・。」
「な、なるほど。だ、だから、お、男同士が必ず絡むのか。」
「女性は単体の特徴よりも関係性のほうを好む、ってことか。」
そういって斑目は青い色のマジックでボードに「関係性が重要」と記入する。
「確かに、少女漫画には恋愛色、つまり男女の関係性がメインだ。
いや、それしかほぼ無いと言ってもいいだろう。」
「し、少年漫画にもラブコメはあるけど、き、キャラ個性を強く押し出してるしね。」
「ふむ。かといって俺たちがキャラの関係性をまったく無視しているわけではないだろう?」
「それもそうですね・・・。でも、女の人もキャラの個性を無視してるわけじゃないっすよね。」
「どっちよりかってことだろう。比重をどっちにおいてるか。」
「そ、そうだね・・・。あ、あと、何で男のみなのかってこと。
こ、これがわからないと「ヤオイ」には人気があるのかっていうのはわからない気がするな・・・。」
そこまでいって、考え込む男達。
「そうだ、こういうのはどうだ?」
そういったのは斑目。
「物をキャラ化するブームがネットであったじゃないか。」
「ああ。あったね。びん○ょうたんとか。」
「あれの主導は男にあったっていうのに異論はないな。」
「たしかにそうっすね。好むのは男だと思いますけど・・・。」
「そう、男っていうのは極化するとキャラありきで萌えることが出来る。」
「ああー、そ、そういうのって多いよな。」
「そしてそこからキャラ周辺の状況などを生み出していくわけだ。」
「あー、O○たんとかそんな感じでしたねー。」
「逆に、女が極化すると、シチュエーションありきで萌えることが出来るってことなのでは?」
おおー、と歓声が上がる。
「つまり、「ヤオイ」はその語源からもあるように、前後の深い設定や、キャラの描写はなくとも、
ある特徴を持った二人がある一定状況で絡んでるだけで萌えられる、ということか。」
「そうだ、田中が今まとめたとおりだ。「ヤオイ」も、萌えの一種ではということだ。」
「でもそういう関係性を持ってくるのには男同士じゃなくてもいいのでは?」
「あ、き、聞いた事あるんだけどな、お、女の人って男の友情みたいなものが不思議に見えるって・・・。」
「女性は女性の感性を知っているから、好きな状況を考える上で女性性は違和感につながるんだろう。
そこで、久我山がいったとおり未知の領域である男の友情を持ってくる・・・。」
「そしてそれを徹底的に自分が好きな状況にしてしまうわけだな。
なるほど、男に理解できない、女のみが作れる理想世界を構築するわけだ。
もしそうなら人気が出るのもわかる気がするな・・・」
ある一つの結論にたどり着き、皆一端息をはく。
「でも、これって当たってるんですかね・・・。」
「どうだろうな・・・。いいところはついてるとは思うんだが・・・。」
「なあ・・・。」
そういって少し斑目が黙る。そして次に口を開いて出た言葉は。
「本人達に聞いてみるか・・・?」
「本人たち?ま、まさか・・・。」
「お、大野さんと、お、荻上さんにってこと?」
そういうと皆の顔に冷や汗が流れる。
「いやいや、すまん、言ってみただけだ。」
「そう、そうですよね。そんなこと聞けるわけが・・・。」
「大野さんはともかくとして・・・。荻上さんに聞いたらマジ切れされるだろうな・・・。」
安堵の空気が皆を包む。と、そこで誰かがドアを開けた。
「こんにちは。」
入ってきたのは荻上。
「こ、こんにちはー。」
「や、やあ。」
口々にあいつを交わすもののどこかぎこちない男達。
「?なにかあったんですか?」
部員達の態度の異変を感じる荻上。
しかし、その目にホワイトボードの内容が目に入るのは時間の問題だった。
「・・・。」
無言になって席に座る荻上。明らかに不愉快になっているのがわかる。
(やっべーよ、来る事考えてなかった・・・。)
(明らかに怒ってますよ!オーラがでてます!)
しかしここでホワイトボードの内容を消しだすのも勇気がいった。
「あのー。オギチンー?」
そこで空気の読めない男、朽木が荻上に声をかける。
「・・・。何ですか?」
よりにもよって声をかけたのが朽木である。さらに不愉快さを滲み出す荻上。
「なんでヤオイ好きなの?」
かーっと顔に血が上る荻上。男四人がビクッと体を跳ねさせる。
「な、なにを聞いてくるんですか!!!!」
「先輩方が何で女の人はヤオイが好きかって言う論議をしてたにょー。
そこで実際に聞いてみようかなーって思ったにょー。」
「・・・!」
言葉の出ない荻上に対し、朽木はさらに突っ込みをかける。その間も、声を出せないヘタレ四人。
「で、何でなのかにょー?」
「どうしてにょー?」
「答えてほしいにょー。」
しつこく聞かれ続け、ついに荻上の臨界点がマックスを超えた。
ガターンと立ち上がり、息を荒げる荻上。すでに涙目になっていた。
そして窓に向かってダッシュし始めた。
「と、とめ・・・・。」
斑目が言うより早く、笹原が窓の前に立って食い止める。
「お、落ち着いて、荻上さん。」
「いかせてください!もう嫌です!」
捕まえた笹原の腕の中でなおも暴れる荻上。そこに更なる来客が登場した。
「ういーっす・・・。ってなんなんだ、この状況は!」
「あ・・・。」
咲と高坂である。
「あ、春日部さん、いいところに来た。荻上さんがまたダイブを・・・。」
「ええー!なにが原因なんだよー!」
その言葉に合わせて四人の視線は一人に集まる。朽木。
「またお前かー!!」
ばちこーん!!
またもビンタで朽木を屠る咲。くるくる回転しながら朽木は落ちた。
「ほらほら、もう大丈夫だから落ち着きなさい・・・、ってまたすごい状況だね・・・。」
はっと荻上が我に帰ると、自分が笹原の腕の中にすっぽり納まってる状況になっている事に気付く。
「あああああ!も、もう大丈夫ですから!」
顔を真っ赤にして腕から逃れようとする荻上。
「そ、そう・・?ご、ごめんね・・・。」
「・・・べ、別に謝らなくたっていいですよ・・・。」
ようやく落ち着いた荻上は、ゆっくり席に戻る。笹原も。
「ったく・・・。
しかし、だいの男がそろいもそろって何でクッチーがやること黙ってみてたんだよ。」
「あ、もしかして原因はあれですか?」
そういって高坂は目線をホワイトボードにやる。
「いや、荻上さんが来る前に見ての通りの論議をしてたんだが・・・。
そういうことを考えずに盛り上がってしまって。一応来たあとはやめたんだがな・・・。
朽木君がこのことを荻上さんにしつこく聞いてしまって・・・。」
「何でヤオイがすきなのかって?」
「そういうこと。止められればよかったんだが、下手を打って興奮されすぎてしまうのもと思ってな・・・。」
咲はそこまで聞くと、目線を荻上に向けた。
「何で?」
「聞くのかよ!」
そういって抗議の声を上げたのは斑目。
「だって知りたいじゃない。」
そういってニヤニヤ顔になる咲。荻上はうつむいて答えようとしない。
「あー、まあ、そこまでにしようよ・・・。」
「えー、笹やんは知りたくないのー?」
「いや、まあ、興味はなくはないけど・・・。
でも、ここまで嫌がってるのを聞くのはよくないよ・・・。」
「ふーん、まあ、会長様がそういうならね。」
そういって、咲はそれ以上の詮索をやめにした。
「じゃ、大野が来たらきこ!」
「ま、まあ、話してくれるならね・・・。」
「いやー、話すでしょ、あいつなら。ね、田中ー。」
「ん・・・。だろうね・・・。」
そういって苦笑いする田中。そしてタイミングよく来るものである。大野が入ってきた。
「こんにちはー。アメリカの友達から電話があって遅れちゃいましたよー。」
ニコニコ顔で入ってきた大野はその空気がいつもと違うことに気付く。
涙目の荻上、ニヤニヤ顔の咲、冷や汗だらだらの男達(高坂は除く)、落ちてる朽木。
「な、何かあったんですか・・・・?」
「いやね、男供があのボードの通りの議論をしてたんだって。
まー、それでいろいろあったんだけどさ。」
「へ・・・?「第一回なぜ女性はヤオイ好きか会議」?なるほど・・・。」
「まー、あんたの口から回答を、と思ってね。」
「えー、私が言うんですかー?」
大野は、そうはいっても、顔が笑顔である。
「そう。いえるっしょ。」
「えー・・・。でも男の人にはわからない感性ですからねえ。」
「そういうもんなの?」
「私にもよくわからない部分はあるんですよ。口でいくらでもいえるんですけどね。
こういうシチュエーションで、こういう台詞があるとすごいいいとか。
でも、なんで?って改めて聞かれると・・。」
「よくわからないってこと?」
「そうですね・・・。そういうことですね。」
「そういうものって嫌いになろうと思っても無理ってことか。」
「ですね。恥ずかしいことなのかなって思ってた時もありましたけど。
もうはっちゃけちゃいましたし。」
「だなー。最近あんた会ったころよりより生き生きしてるもんねー。」
女達の会話を聞きつつ、緊張が解けていく男達。
「まー、なんだな。本人達にもよくわからん、ってことか。」
「確かに、俺たちも何でこのキャラが好きなのって言われたときに、突き詰めたらよくわからないっすよね。」
「そうだな。嗜好って言うものは何かよくわからんものに左右されてるのかもな。」
「ま、まー、とりあえず、お、落ち着いてよかった。」
荻上は二人の会話を聞いてないフリをして思いっきり聞いていた。
たまに頷きつつ、反論しかけてやめたりしながら。
今日も現視研は、騒動もありつつも、平和です。
「しかし、笹やんよく止められたね。」
「ああ、たぶんそうなるだろうなって思ったからね・・・。
その前に止められればよかったんだけど言葉が出なくて。」
「へー、で、オギーの抱き心地はどうだった?」
「へ?そんなの考える暇なかったよ・・・。あはは・・・。」
「オギーは?抱かれてどうだった?」
「なにを聞いてくるんですか!
そういうことばっか聞いて頭の中ピンク色ですか!」
「あー、それ誰かにも言われたっけな・・・。
そんなにやらしいか?わたし。」
これはいい現代視覚文化研究会ですね
今、
>>260あたりまで読んだが、ここまで読者ファンが盛り上がっていて、
最終的に原作でくっつかなかったら、ササオギ萌え達はどうするんだろう? と思う俺がいる
468 :
マロン名無しさん:2005/11/07(月) 14:29:57 ID:eS2AAoXv
GJ!
なにはともあれGJ!
しかしクッチーはショタぐらいならいけそうな気がする。
>>467 そんな現実があったとしても最後の救済道が脳内妄想やSSなんぢゃないか!
例えどんな結末を迎え、それが耐え難いモノであったとしても・・
ここで現実逃避が出来る!それでイイジャナイカ。
何よりEVAよかマシよ
470 :
マロン名無しさん:2005/11/07(月) 16:07:17 ID:RpK7SGcT
>>422-426 遅レスだが、GJ!!
すげー面白かった。いや、原作からのセリフ引用が予期せぬ方向からばかりで
なんとも楽しかったよ。「げんしけん童話」の赤ずきんといい、一作目の「シンデレラ」といい、
ここに分離されてからのSSは長さを気にしなくてオケになったせいか
生き生きしてレベル上がったね。
-
>>465 乙。GJ!でも頭の中がピンクなのは実は大野さん・・・。
初めての討論形式の考察SSの試みだね。面白かった。別スレでの801考察は俺も参考になったし。
こういう形式もげんしけんというサークル活動を舞台にすればこそ可能だよね。
ここではSSを通してキャラの内面考察や予想がより深い内容で実現してまいか。
このテーマまだ掘り下げられそうな気もするが、それやっちゃうとスレ違いの文化討論になっちゃうか。
別な機会にしてみたいもんだね。そういう場があったら公示してくんろ。参加するから。
>>422-426 GJ!
結構面白かった。あなたのおかげで、こういう討論形式もいいなと
思えた。
ちなみに好きな部分はここ、
「いかせてください!もう嫌です!」
捕まえた笹原の腕の中でなおも暴れる荻上。
……ハァハァ。漏れも頭の中ピンク色。
>>467 どうもしない。笹荻萌えがいるかぎり、漏れらは妄想し続けるのみ。
>>「げんしけん童話」の赤ずきんといい、一作目の「シンデレラ」といい、
ここに分離されてからのSSは長さを気にしなくてオケになったせいか
生き生きしてレベル上がったね。
dクス! by妄想SS書きより
473 :
472:2005/11/07(月) 18:41:32 ID:???
>>454-465 乙&GJ
>>76-89の方かな 番号の付け方、作品のレベルの高さを考えると
違ったら失礼…
やおいは何故腐女子に受けるかという男にとっての謎をテーマに
よく書けるものだと関心します。
475 :
453:2005/11/08(火) 01:23:14 ID:???
おおー、帰ってきたらレスがかなりついてるぞ。
>>466 いい現視研といわれてよかったです。
>>468 ありがとうございます。
言われて気付いた。確かにクッチーは荻がヤオイ本のオンリーいってても
普通に会話してたりするからそういう偏見は逆にないのかもしれませんね。
まー、クッチーが思う「一般的特徴」だったということで・・・。
>>471 ありがとうございます。
男達のまとめた意見は俺の結論でもあります。
こんな感じの会話を皆でよくしてるんじゃないかと考えています。
いままでどんな「〜会議」が行なわれたかを妄想して楽しんでます。
また、そういう部分がげんしけんの面白さであると思ってます。
掘り下げた討論会があれば俺も参加したい!
476 :
453:2005/11/08(火) 01:24:29 ID:???
>>472 ありがとうございます。
討論形式のSSはあまり見たことがなかったので、ちょっと反応が気になってましたが・・。
気に入っていただけたようでよかったです。
俺は笹荻大好きなので、その部分は俺自身も気に入っていたりします。
>>474 ありがとうございます。
すごいな・・・。なんでわかるんだろ・・・。
確かに
>>76-89を書いたものです。
でもわかるってことは印象に残ってるって事でうれしく思います。
たしかに、ヤオイは男にとっちゃ未知の領域ですな。
でも、オタクの世界を考える上でも切り離せないことですよね。
なんで、自分なりの考察を皆に代弁してもらいました。
今後もげんしけんの日常の隙間を埋めるSSを書いていきたいものです。
童話パロも面白そうだけど・・・。
千尋 荻上千佳 カオナシ 朽木学
白 笹原完士 坊 田中総一郎
釜爺 高坂真琴 蛙男 斑目晴信
リン 笹原恵子 杯神様 久我山光紀
湯婆 大野加奈子 監督 春日部咲
銭婆 大野加奈子
「騒ぎが静まったら、裏の潜り戸から出られる。外の階段を一番下まで下りるんだ。
そこにボイラー室の入り口がある、火を焚く所だ。中に釜爺という人がいるから釜爺
に会うんだ。その人にここで働きたいと言うんだ、断られても粘るんだよ。ここでは
仕事を持たない者は、湯婆にコスプレさせられてしまう。辛くても耐えて機会を待つ
んだよ」
白の言葉を信じ、ボイラー室に着いた千佳は目を見開いた。
そこにはコスプレをした金髪の美少年が仕事をしていたからだ。しかも、何故か女
キャラのコスプレなのである。
千佳は驚き、後ずさった。
(ボイラー室で何故にコスプレ? しかも爺さんじゃねぇし。だ、ダメだ。こんなん
でビビッてたら、お父さんもお母さんも助けらんね)
千佳は勇気を振り絞り、室内に入っていった。
「あ、あのー。すいません」
しかし男は気づかない。
「あ、あのー。あの! 釜爺さんですか? あの、白という人に言われて来ました。
ここで働かせて下さい!」
少年はやっと千佳の存在に気づき、可愛らしく微笑んだ。
「んー、ごめんねぇ。今、結構手が足りてるんだ」
「どーも、こう……じゃなかった。釜爺さん。ご飯持って来ました」
がらり、と奥の扉が開いたかと思うと化粧の濃い茶髪の女中が顔を覗かせた。
女中はちらり、と千佳に目をやり、叫んだ。
「あー! 腐女子がいんじゃん! やばいよ、上で大騒ぎしてたもん!」
「僕の孫なんだ。ここで働きたいんだって、でもここは手が足りてるから湯婆婆さん
のところへ連れてってもらえる?」
(……孫って、そりゃ無理ありすぎるって)
千佳はそう思った。しかし女中は、
「やーん、こ、釜爺さんの言う事ならなんだって聞いちゃいまーす」
どうやら、釜爺の顔が勝ったようだ。
「ほら、ついてきなよ」
そう言うと、女中は先に部屋を出ていった。千佳は釜爺にお礼を言うと、後に続き
部屋を後にした。
「グッドラック」
千佳は豪勢な扉の前に立っていた。
ここに来る途中、大きな杯を被った変な人に会ったり、女中と別れたりしたが、何
とか無事にたどり着く事が出来たのは、運が良い。
千佳が扉に手をかけると、扉に付いている『へるなんです』のレリーフが口を開い
た。
「ノックもしないんですか? まあ、いいです。こっちに来て下さい」
その瞬間扉が開き、千佳の身体は見えない力で、部屋の中に引っ張りこまれた。
部屋の中には、とても胸の大きな女性がコスプレ衣装のチェックをしていた。
「あの、ここで働かせて下さい!」
すぐに本題に入る千佳。しかし千佳の言葉は無視された。
「ここはね、八百万のオタクが来るお湯屋なんです。それを何ですか、あなたのご両
親は。お客様の同人誌を片っ端から買いあさって、当然の報いです。あなたも元の世
界には戻れませんよ。蓮子コスさせちゃいましょうか、ベアトリーチェって手もあり
ますねぇ。ところで、あなたをここまで案内した人はどなたですか? 良い人ですね
ぇ、ぜひ褒めてあげたいので、名前を教えて頂けますか?」
「ここで働きたいんです!」
「人の話を聞いて下さい!」
二人のやりとりは、何者かの雄たけびによって途切れた。
「うおぉぉぉ!!! また失敗したぁ!!!」
声を聞くなり、わたわたと奥の部屋に向かう湯婆婆。
「大丈夫ですか? まだスランプ脱出できませんか? 手伝いましょうか?」
湯婆婆は、誰かをなだめるかのように話している。
「働かせて下さい!!」
「分かりましたよ、お願いですから静かにして下さい!」
するとどうだろう、ふわりと紙が一枚舞ったかと思うと、千佳の目の前に落ちた。
千佳は何かを察し、その紙にサインを書いた。書き終ると、不思議な事に紙はまた
湯婆婆のところへ舞い戻っていった。
「於木野鳴雪? ペンネーム禁止です!」
仕方なく書き直す千佳。
「荻上千佳? 贅沢な名ですね。今からあなたの名前は千です」
こうして、千の油屋での生活が始まるのであった。
千は油屋でリンの下についた。リンと言うのは、千を湯婆婆のところに案内した女
中の事である。
千は色々な事を教わった、ブランド物の買い方、お金の借り方、化粧の仕方。特に
兄貴の有効活用法は念入りに教わった。
そんな中、千とリンは蛙男にお風呂番を命ぜられた。
「ちょっと! 風呂番は蛙の仕事だろ? あたし達は女中だぞ」
「キミは女中の仕事はどんなのと考えるかね?」
「そりゃあ、料理運んだり、お酒運んだり」
「見ろそれだ!! そーゆう、ありきたりな偏見を打破するために! 女中にも風呂
番を命じたのだよ!!」
「単に面倒くさいからだろ?」
リンは呆れ顔をした。
「いや、もちろんそうなんだけどね」
「認めんのかよ!!!」
千とリンは、結局お風呂番をする事になった。この後も本当に色々あった。とても
臭いキモオタが風呂を浴びに来たり、キモオタのトラウマを解消してあげると、お礼
にフィギュアを貰ったりした。もちろん捨てたらしいが。
ただその中で、黒い布を纏ったお面の人を油屋の中に招き入れた事が、これからの
事件を起こすことになるとは、誰も予想していなかった。
白が銭婆の『足の小指をタンスの角に打ち続ける』という呪いにかかった頃、千は
カオナシという化け物と対峙していた。カオナシは千をいたく気に入ったらしく、8
01同人誌で千の気を惹こうとした。
「これをやるにょー、千以外にはあげない事にしたんだにょー」
しかし千は決して受け取らなかった。
「要らない、受け取れない」
(この同人誌、はっきりいって趣味あわね。シチュエーションもイラストも並以下。
ジャンルもマイナー過ぎるし、酷いなぁ)
千は、逆にカオナシに同人誌を渡した。
(これ読んで勉強しなおして下さい)
しかし、その同人誌を読んだカオナシは、急に苦しみ出した。
「小娘が、僕チンに何を読ませたんでありますか!」
ガーっと両手を上げて襲い掛かってきた。
必死で逃げ出す千。グネグネと追いかけるカオナシ。
(ちょ、朽木君! 暴れないで!)
カオナシの下の人が悲鳴を上げた。しかし、上の人は気にも留めない。
「千ー!待つにょー!」
気持ち悪い勢いで追いかけるカオナシの”裾”から、蛙男が飛び出した。
「く、朽木君。落ち着けー」
蛙男はそのまま気を失った。
「ま、まだ追いかけてくる」
「ま、待つにょー」
相当疲れているのか、カオナシはヘロヘロになっていた。
「……にょ…………にょ…………」
千は運良く来た電車に飛び乗った。ついでに何故かカオナシも飛び乗った。
電車に揺られながらたどり着いた先は、銭婆の住む『筆の先』という駅だった。
そこには銭婆という湯婆婆の双子の姉が住んでいたのだ。
降りる千。無賃で捕まるカオナシ。千は提灯に案内されるまま、銭婆の家へと向か
った。
千が銭婆と、801同人誌について語り合っていた頃、タンスを捨てる事で呪いを
解く事に成功した白が向かえに来た。
「じゃあ二人とも、気をつけて帰ってくださいね。送り狼になっちゃダメですよ?
笹原さん」
銭婆の言った一言で、白は総毛だった。
「そうだ、俺の名は笹原。笹原完士だったんだ!」
嬉しそうに名乗る笹原、もちろん話しかける相手は千。銭婆は無視である。
(笹原完士? って、白って字どこにもないじゃないですか!)
千は心の中で突っ込みを入れた。
「キミは荻上さんだよね、荻上千佳さん」
(な、なしてわたすの名前を!?)
「あ、だってその着物に名前貼ってありますよ」
銭婆が答えた。
「勝手に、人の心読まないで下さい! って、えええ!?」
千佳は着物に貼ってある名前を見て驚いた。
『……もしかして、気づいてなかったんだ』
千佳と笹原が油屋に戻ると、マスク姿の湯婆婆が待っていた。
「両親を返して欲しければ、この中から両親を見つけて下さい」
湯婆婆が指差す方向には、十匹のハラグーロ似の豚がいた。
引きつる千佳、頭を押さえる笹原。
「馬鹿にしてるんですか? この中には、お父さんもお母さんもいません!」
「『いない』それがあなたの答えですか?」
「当たり前です!」
『大当たり!!!』
急に辺りに隠れていた人達が、大声で叫んだ。何故か湯婆婆までが喜んでいる。
「大当たりです荻上さん! おめでとうございます!」
千佳を残す皆がお祝いの歌を歌い出した。
「おっめでっとおーおっめでっとおー。ぽっぽーぽっぽーぽっぽー」
荻上は目覚まし時計を止めると、眠い目をこすり、額を押さえた。
「なんちゅー夢だ。なんかもう、わけわかんねー」
おしまい。
484 :
おまけ:2005/11/08(火) 02:37:07 ID:???
咲「……この脚本書いた奴出て来い」
笹「俺じゃないです」
斑「俺でもないな」
荻「私のわけないでしょう」
恵「あたしに書けるわけないじゃーん」
田「最近、学校が忙しくて」
大「最近、イベントで忙しくて」
久「な、何で俺だけセリフ無いの?」
高「クー、むにゃむにゃ」
朽「わたくしでもないでありますよ?」
咲「じゃあ、誰が書いたんだよ!」
斑「なんで春日部さんは、そんなに怒ってるわけ?」
咲「だって、だって」
笹「だって?」
咲「私の出番が無いんだもん!!!」
皆『……出たかったのか』
>>477-484 千佳を千ととってジブリネタとはこれ又想定外なり。しかも笹がハクで
荻の「白って字どこにもないじゃないですか!」的突っ込みがマッチし過ぎでワロスw
名作を迷作風げんしけんに置換する神の腕に惚れますた。GJ!!
>>477-484 乙、GJ!! いつかは誰かがとは思っておりましたが、ついにジブリが!
先行予約で「オギーの動く城」も宜しく!
ところで最近、パロディ執筆してたけど、パロ続きで投稿に気が引けるなあ。
ということで、予想SSパロ。モトネタは分かる人は分かるかな。
○ニミツの政・・・。801を揶揄した投稿も多いが一応真面目ネタのつもり。
最近オギー泣かせてばかりなんで今回笑わせてみました。
笹原はこんな夢を見ていた。
小「いいか、笹原!編集者の仕事とは一人ではできん!漫画家の先生は言うまでも無く、印刷会社の方々のご協力あって我々の仕事は成り立つのだ。さあ、社長にご挨拶して!」
笹「はい!社長!笹原と申します!宜しくお願いします!」
社「いや、元気な好青年ですね!ところでさっそくお若い方の力をお借りしたいのだが。機材の搬入の人手が足りなくて・・・」
小「お安い御用です!さあ笹原!」
笹「はい!これですね。おっ重い!」
社「ははっ、それは腰を使って押すんだよ。」
笹「はい!腰ですね、腰を使って・・・」
斑目はこんな夢を見ていた。
斑「社長!事務所の年末の大掃除はここの床のワックスがけで終わりですね!」
社「ああ、悪いが斑目君、事務所の男手が足りないんでね。」
斑「いいえ!(この前無理に休み取らしてもらったしなー文句は言えねー)」
社「ああ、いかんよ斑目君、もっと腰を入れて力強く磨かなきゃ。」
斑「はい!分かりました!」
荻上はこんな夢を見ていた。
笹原と斑目は二人っきりで暗い浴室にいた。
笹「とうとう二人っきりになれましたね・・・。斑目さん。」
斑「笹原!俺はもうお前との関係は・・・。」
笹「そんなこと言わないでくださいよ。せっかく念願の温泉旅行にこうして一緒にこれたんですから。」
斑「笹原、俺は・・・。」
笹「ほら、斑目さんの体が嫌がってませんよ・・・。」
荻「はっ(夢だった!なんて美味しい・・・じゃねって!うわっヨダレまで流してだらしね!んなこっだから・・・)」
荻上は妄想を頭から振り払って、ぼんやりとした頭を覚ましに洗面所に向かった。
まだ皆寝てるんだな。私が最初かー。あれっ、となりが騒がしい。笹原さんと斑目さんもう起きてる!
荻上はふすまをあけた。すると・・・。
笹「腰だ腰イ〜 腰を使って〜!」
斑「はい!分かりました!」
四つんばいになった斑目の背後で笹原が腰をパンパン振っていた。
荻「・・・・・(汗)」
荻「きゃーーーーー!!!」と絶叫が別荘に響き渡った。
咲「なっなんだなんだ!あっ!てめえら!」
バキ!ドカ!ゲス!
朝食の時間・・・。顔をはらした笹原と斑目。
斑「だーかーらー、違うって言ってるでしょ!」
笹「ええ、だから夢で寝ぼけてたって言ってるんです!」
咲「誤解だろうが何だろうが朝から気色悪いもん見せんなよ!」
大野も珍しく怒っている。
大「ホントですよ!サークルの合宿でこんな不埒なマネして!ねえ、荻上さん!」
荻「ええ・・・」顔を赤らめている。
大「?」
惠子「やーい、アホアニー」
笹「惠子!てめえ!」
ぷぷっ。荻上はその様子がツボにはまったのか笑いをこらえて体を震わせた。
笹「荻上さん・・・。もうカンベンしてよー。ああいうの荻上さんだっていつも描いてるじゃない」
と顔を赤らめて言ってから、笹原はしまった!と思った。ところが・・・。
荻「あはは!全然!全然違いますよ!あはははは」と堪えきれずに大笑いした。
笹「ははっ、ははは」とつられて苦笑した。
咲「・・・なんかあの二人雨降って地固まるって感じだよね。もう心配ないんじゃない」と斑目にささやいた。
斑「ああ、なんかそうみたい・・・」
咲「・・・ねえ、斑目」と意味深な表情で顔を斑目に近づけてささやいた。
斑「ん?」顔が赤らむ。
咲「コーサカには近づくなよな!」
斑「だから違うって・・・(涙)」
こんな朝でした・・・。
>>485 サンクス! 迷作にしたら原型があまり残らなくなってしまいますた。
>>486 サンクス! 「オギーの動く城」って、ブリキ仕様の荻型の城が
ガチョンガチョンいいながら歩いてるのが脳裏に浮かびますた。
以下、感想
>>487-493 GJ。笑顔のオギー、原作でも早く見たいわー。
この夢を、『げんしけん総HG化現象』と名づけるか。
(注:嘘です、名づけません)
上げておくか
しもた。自分のノーパソで創作活動してたのにエッジの調子悪い!
家のでは長文SS投稿できんしな。
>>494 見たいね。オギーの笑顔。昔笑わない愛妾を笑わせる為に国を滅ぼしたアホな
ツンデレ王がいたそうだが、(俺はツンデレではないが)今はその王の気持ちが
分かるなあ。
ところで本スレにショートの予想SS投稿してる人いるね。なして?
こっちに発表するほどまとまってないからか?
>>496 一応、単発として書いてるんだろう、向こう人多いから。
さて、このスレもそろそろ折り返し地点だのぅ。
ああ! 今月号が待ち遠しい。
漏れの脳内では、湯上りオギーが未だに焼きついておるよ。
>>496 SSスレが大盛況で完成度の高い力作が集まった為に、思いつきでちょろっと書いてみましたって感じの書き込みにとって、逆に敷居が高いと思えるようになってきたのではと推測してみる。
なんつーかさ、このスレって予想SSを書き込む雰囲気じゃないと思うんだよね。
他漫画や童話なんかのパロや、キャラ固定妄想がこのスレではメインな気がするけど、本スレに書かれてるSSは来月の予想とかなわけで。
ベクトルが少し違う希ガス。
でも本スレで来月の予想的SSを書き込むと、SSスレへ行けと叩かれる。
SSってほど大層なもんじゃない、ちょっと思いつきで書いてみましたな僅か10行足らずの予想でもだ。
>>499 そんな事もなかろうよ、ただ今回は続き物だっただけに予想SS
しづらかっただけだと思われ。
もともと、そんな垣根は無いはずなんだけど……。
他漫画や童話のパロだってここ最近書かれ始めただけだし。
キャラ固定に関しては、笹荻、笹斑、咲斑、が書き易いってだけ
だと思う。特に荻に関しては、原作でも話題の中心だしね。
>>500 風紀委員の過剰反応、もしくはただの煽りかと思われ。
でも俺もそんな雰囲気感じるな
それにここで予想単発SS書いても現に反応薄いしな
むぅ、難しいのぅ
ほらね
ええい、自分のノーパソの回線がつながらん!再開まで家のやつでコメントするくらいしかできんのう。
まあ、色々書き溜めてよ。
>敷居が高い
そうかねえ。俺も含めて素人の集まりなんだから気楽に投稿すりゃいいのに。
>なんつーかさ、このスレって予想SSを書き込む雰囲気じゃないと思うんだよね
ふーん。まあパロディーは正統予想SSが不作の間を埋める座興みたいなもんだし。
そういう雰囲気が自然にできてたのかな。そもそも陰湿なやつや過激なエロ以外は
OKという趣旨だったと思うけど。
ただSS投稿には反応が多いのを期待するのも事実。バラバラの予想を整理して
表現するのにはSSは有効な手段である上、賛否両論の反応から刺激を受けたり、
情報も集めやすいしね。漏れも時々余興で短いの作ってるし。反発や賛同から
創作に刺激を受けるから。
でもこっちのメリットは本スレでは嫌がられる長文投稿が可能と言うことだ。
より多く予想展開の可能性を検討できる。前の討論形式SSみたいな分析も
可能だし。キャラに会話させると、単発で出す予想よりも深いんだよね。
うわっこれはありえない!と自分で妄想したのも書いてみると違和感感じたり。
例えば今予想で出ているのは
@ウェルカムパーティーの描写
A笹荻の進展
B「田中のコスプレ準備」→コスプレイベント
C斑咲の進展
Bにしても2日目に別行動でなぜか合流→電車でこない?
オタサークルらしいイベントが合宿であるのか
実施するなら衣装の移動に車使用の可能性とか30ページで描けるのかとか
色々検討整理できる
こういうメリットもっと活用できそう。
やべ、家の人の目が・・・。長文投稿はしばしできんな・・・。
長くなった・・・。
俺は別にげんしけんSSであればどないなモンでも(俺的にはHなSSも何でもアリのバーリトゥドゥだと思う)
おっけーだと思うんだがねー・・自由気ままに気兼ねなくSSがカキコ出来る。
そんなスレ進行がここにはお似合いだと今まで思うんだけどなぁ。。
コレは良くてアレは駄目みたいなルールをSSを書きもしない輩が(大抵そう、書き手はそんな事イワネ)
勝手に作るってオカシクネ?もっと大らかに憩うぜ?
508 :
507:2005/11/11(金) 01:51:50 ID:???
それにスレタイがただの「SSスレ」なんだからそれこそ何でもアリっしょ。
その中で奇作、駄作、快作っと雑談を交えながら出てくるSSに皆で色々な思いを寄せる。
仮に自分の意に介さないSSであったとしても、そん時はそのSSに共感もてる人たちに
座を譲って感想を述べて貰えばいいだけで、自分は自分でマッチングしたSSに対し
萌え文をSS神に称えればよし。それ以上でも以下でもない
もしもっと明確に分けたいんならば意義を唱える者が納得のいくテンプレでも作って
別のSSスレをたてればいいだけの話。違うかな?みんなはどう思う?
509 :
507:2005/11/11(金) 01:59:00 ID:???
ごめん、エロパロ版は別個にスレあったのね・・・一応テンプレに
>未成年の方や本スレにてスレ違い?と不安の方も安心してご利用下さい。
と、あるんでエロSSはやっぱ無しね(ルール付きバーリトゥドゥ)
>>507 いうとおりだな。別に来月予想がきても、というか来て貰った方が楽しい。
向こうでぎゃーぎゃー言われるくらいならこっちでのびのび書けばいいと思う。
反応薄くてもめげないで頑張ろう。
俺も頑張るからさ。
流浪のSS書きより。
512 :
マロン名無しさん:2005/11/11(金) 02:50:06 ID:HX1woK0+
漫画最萌でわれらがオギーたんの登場が近づいてるよ〜ん☆
投票しないやつはこのスレから出ていってね☆
私との約束よ!うふっ☆
>>500 思いつきで書くから駄目なんだよ。
ただの予想をSSにまで昇華させなきゃw
515 :
マロン名無しさん:2005/11/11(金) 03:03:18 ID:HX1woK0+
>>513 そんな時間的余裕が無い人が単発妄想を本スレに書き込んでる現状は理解しよう。暇人だけじゃないんだで。
へぇ。
某「まんがを見てもらいたいんですが・・・」
笹「私が編集の笹原です」
某「学園ラブコメもので、わりと自信作なんです」
笹「学園ラブコメ・・・かぁ。学園ラブコメねぇ・・・・・」
某「あ、あの」
笹「ダメなんだ!学園ラブコメじゃダメなんだよ!
転校生!委員長!
すぐこーゆーむずかしいラブコメ用語が出てくる!ほらほらほら!
なんなのこの幼馴染みっつーのはなんなの?」
某「いや、だから家が隣どうしで・・・・」
笹「ほら隣どうし!ほら義理の妹!
子供がついてけないんだよ!仲間ウケなんだよ!」
某「し、しかし」
笹「やおいを描きなさい!」
某「い、いやだ!あんなもの描くくらいならマンガやめる!」
笹「まァまァ。やってるうちに気持ちよくなるんだから」
某「た、すけてくれー」
笹「よし洗脳だ」
ズルズルズル・・・ばたん・・・・・
昨日本スレに予想SS書き込まれてたな
某……(つд‘)
519
ワロタ
379 :マロン名無しさん :2005/10/30(日) 05:27:07 ID:???
先に酔っ払った笹原のほうがホンネとノロケをぶちまけ、女子のほうが
聞き耳、オギーが真っ赤になる展開を妄想中
という2行を書いた
>>376でつ。
ほんとに予想というより妄想でつが・・・・・・・・
--------------------------------------------------------------------
大野や咲が、うまく笹荻をくっつけようと画策したパジャマ・パーティは、なかなかの
盛況を見せた。飲み会好きで、フツーにノリのいい恵子も雰囲気を盛り上げていたし、
女同士だと、やっぱり猥談も飛び出す。特にコーサカ、田中という実体験の対象がいる
咲と大野のきわどい話は、他の二人の興味をひくのに十分だった。
「・・・で、田中さんてば、わたしの胸で・・・・を・・・したいなんていうんですよ」
「うわ、すげ。ん〜〜今度コーサカにそれで迫ってみっかな。ヲタクはやっぱ好きなの、
そういうの?けっこうコーサカも、・・・の時は激しいんだよね」
「うわ、マジマジ?」かぶりつくような恵子
「・・・・・」真っ赤になって目をそらしながら、一言も聞き逃すまいと聞き耳を立てる荻上。
その様子に気付いた咲が、うまくパスを回す。
「んー、でも、話きくとやっぱオタク同士のカップルって幸せなのかね。なんかこっちゃ自信なくすわ。
でも、思い出すと田中は結局一歩踏み出すのが時間かかったよなあ」
「あ、そーだったの?」最初のいきさつをよくしらない恵子が意外だという顔を見せる。
「そうでしたねえ。サインは無くも無かったんですけどね。決定的なのはなくて、ちょっとこっちも
いらついて・・・。でも、わたしのほうだって少しは積極的に動いたんですよ。それがよかったんだと
思います。今年田中さんは大学出ちゃったんだし、いい人だったなー、素敵なとこあったなーって今
思ったとしても、進展のきっかけはなかったですからね。一緒の時間を共有できたから、想い出も
できたんですよ」
さりげなく、一面では大胆に話題をふる大野。
「ヒューヒュー、暑い熱い!で、積極的に動いたってどーいうのよ?」恵子が入る。
「コスプレとか、コスプレとか」
「んだよ、それかよ」咲が苦笑した。
「・・・・一緒の趣味だったから、接触多かったんじゃないですか・・・・同じとこにいたって、
そんなに普通はきっかけって無いですよ」ぽつりと、荻が独り言のようにつぶやいた。
「ん、それってこの間、うちのアニ」
(・・・・まだ早い!)と、咲がすかさずグッと肩を抑え、目で恵子を黙らせる。
視線をそらしていた荻上の目には、そのやり取りが入らなかったのは幸いだった。
あくまでも気付かないような、一般論で大野は進める。
「えーとえーと、そうですよね。でも、けっこういるのが、意識してるから逆にふつうの態度が
固くなって、誤解されるタイプ。とくに相手が恋愛経験豊富なら、それを見逃さないで押して
くるんでしょうけど、そうじゃないとねえ・・・あっちが『嫌われてるかな?』と思って、なんか
気まずい雰囲気が漂って、進展どころか後退しちゃうんですよねー」
「それは自分も悪いけんど・・・やっぱ男の人、優しいのもいいっねけんど、少し強引に迫って
ぐんねとダメだぁ。」酒も多少すすみ、ほんのり赤くなった顔で、つい荻が本音をのぞかせる。
そろそろだ。咲・大野のツートップが、偶然にもハモる。
「ササハ」
その時、隣室からの大声が聞こえてきた。
「あの娘の魅力が分からないようじゃ、ダメですよ!!」
「ん、アニキの声?」「何かあったの?」
思わず女性4人は、そっとふすまを、少しだけ開けて男人陣の様子をうかがった。
「いや、ワタクシとしましてはですね、巨乳がやはりいいしドジっ子のほうがツンデレより一日の
長があるのではないかとそう、原則論を展開させただけでして」
「だーめ、ツンデレでスラッとしたコの魅力を分かんないと一人前じゃないよ!
俺も最近、それに気付いたんだ!」
なんと、朽木に笹原が口角泡を飛ばして議論している。珍しい光景といえばいえた。
「・・・・・どうやら、漫画キャラ論らしいですねえ」
「く〜〜〜あいつら、人の苦労もしらないで。ササヤンもあれじゃあ、百年の恋もさめるわ」
咲が_| ̄|○という心境に陥る。
荻上は無表情で、その心は外からでは計り知れない。
しかし、一人恵子だけが、意外だという表情を見せる。
「アニキ、正月に実家に行けばそれなりに飲んでるけど、あんな感じになったことないよ?なんか変だな」
付き合いの長く、笹原の属性を知っている斑目が、軽く突っ込む。
「おんや?お姉さま・グラマー美女属性の笹原クンが転向して、拙者と同様のツルペタ主義になった
というのはいかなる心境の変化デスカノウ?」
フォローを頼まれていたはずの斑目だったが、その時点ではまったく忘れてて、ただのオタ話のノリw
しかし、それがホームランだった。
「それは最近、いろいろありましてね・・・でもツルペタはやめてくださいよ。
荻 上 さ ん は、よく見ればけっこう魅力のあるカラダしてるじゃないですか!!」
折り重なってすき間にへばりついていた女性4人は、いきなりの衝撃発言に体勢をくずし、ガタガタっと
音を立てた。一瞬慌てたものだが、上手いことに男性陣も笹原本人とウツラウツラしている高坂を除き、
同様にガタッとひっくり返っていたので、気付かれずに済んだ。
「いや、あのですね----ワタクシたちのさっきの話はくじアンでありまして」
朽木が言わでもの軌道修正を試みるが、笹原は、演説モードに入ってるようだ。
「こりゃあ、面白くなってきたわ。大野、そっちのすき間も開けて。恵子、座布団人数分もってきて。
そっちに二人、こっちに二人ね」。男子に聞き耳禁止令を出したはすの咲が、完全に自分たちは盗み聞き
モードに入った。(続く)
----------------------------------
けっこう書いてみると、本題に入るまでに時間かかるね。
>>524-527 GJ&乙ー!
やっぱ笹やんが暴走せんと二人の中は進まんかねー?
いろんな予想があるとは思うんだけど、オギー暴走説と笹やん暴走説、
もしくはうまくまとまる説、どれが正解なのか?
それはともかくとして、面白かったデスw
続きもよろーw
「たしかに私、笹原完士はグラマーな、お姉さま系が属性といえば属性です。
ですから大野さんや春日部さんは、そりゃ魅力的に感じますよ!」
「いや、聞いてないし」斑目の困惑は続く。
「でも二人とも、お似合いの相手がいるわけですからね!俺はそういう、幸せな人にはそもそも
変な感情は持たないですし、うまくいくよう応援するだけですよ!!」
ぐびグビッっと笹原は話を中断し、缶ビールを流しこむ。
「うん、とっちゃダメだよーーー」寝ていたはずの高坂が、笑顔で合いの手を入れた。またすぐ寝た。
女性部屋の四人は、集まってひそひそと批評していた。
「私たちにも話がくるとは思いませんでしたね。やっぱりああいう人だから、悪い気は全然しませんけれど」
「まー、酔って悪口出るより全然いいな。でもどうよ、ああ言われてちょっとでもドキっつーか、プラスも
マイナスもないってのは逆に男として足りないんじゃない?あれじゃ合コンでもアシスト専門要員よ?」
「ふがいねーアニキでスイマセン。」
「あ、んなことより前半だよ前半!『荻上さんのカラダ』って何よ?まさか?コラ逃げるな」
咲が荻上のちょんまげをつかむ。
「ひょっとして、あの時のことかしら・・・コスプレの」
「たしかに、荻上さんの胸は人並みよりちょと寂しいですよ!」
笹原の演説は再開された。荻の顔が見る見るこわばり、残り三人もちょっとひいた。
荻上は、ちらりと大野の湯上りのノーブラバストに目をやり、チッと舌打ちする。実は相当、
自分の胸にコンプレックスをもっていたことに、荻上も自分で気付いた。
「でもね、彼女のお尻と、足のライン・・・・。一度見たら、忘れられないっスよ!ほんとにキュッと
かわいくて、清潔感があって、それでけっこういやらしくて・・・コスプレの荻上さんの、お尻の部分は
ホントにいいんですってば!!わかりますか!」
「ああ、分かった、なんとなく想像つく・・・」
「想像しないでください!あげないですよ!」
「笹やんのですか。」
斑目はもう、果てなく続く笹の理不尽ボケと突っ込みを、俺が受けて転がすしかないと覚悟を決めていた。
ぐびぐびと笹原。
またもや対策会議の女性陣営。
咲「うわ、うわ、うわ!ササヤンの中の、オスの本性出てきたよ!しかしこのコの、コスプレなんか見たんだ」
大「ええまあ、いろいろありまして」
恵「同人誌とかエロ本だと、あんまり気にならないけど、実のアニキがエロっぽい話するの聞くってちょっと
ツライわー。あいつ高校でもオクテだったから、余計になあ・・・」
咲「なんだ、恵子もけっこうお兄ちゃんっ子じゃない。」
恵「へへへ・・・」
大「荻上さんの案外のライバルって恵子さんかも、ですね」
萩・恵「なっ、何を」(続く)
>>524-527 GJ!
結果的にはうまくまとまって欲しいが、もう一波乱あるかもしれん。
ポイントは酒が良い方向に向かって欲しいのう。
しかし、やっぱ笹荻って、見ている方が優しい気持ちになれるのは、
何故だろう? そんな思いが浮かぶ内容でした。
続き待ってまする。
532 :
531:2005/11/12(土) 03:05:14 ID:???
うわ! 危うく空気嫁ないところだった。
セ、セーフ?
いやいや、みなさんあんがと。おかげで書く気がでてきて、今日中に最後までかけたよ。
----------------------------------------
「しかしまぁ、よくも悪くもお騒がせなあのコを、笹ヤンが意識するきっかけって何よ?
やっぱりコスプレのエロス?」
斑目は、遅ればせながら、咲に根回しされた「二人の背中を押す」ことに、この酔っ払い
トークが役立つことに気付いたようだ。同時に、純粋に二人の経緯に興味があった。
「人聞きの悪いこと言わんでください(「いや、あんたが大声で言ってたんだって」:斑目)。
たしかに荻上さんで、俺は時々つーかしょっちゅういやらしい想像してます。ぶっちゃけ、
オカズにしたこともありマス! でも、でもね!」
「どんな想像なんかね。」「・・・・・とかでしょうか?」「想像しないでください!」
荻上の顔が、トマトのように赤かった。
「先輩が、わたしをオカズに?わたすの裸とか想像して○○ってるの? んでも、わたすも
2、3回、先輩と夢で・・・」
「夢は不可抗力だァ」自分に言い聞かせようとした言葉がつい声になり、回りに「?」という
雰囲気が流れたが、思わぬ見世物に夢中で深く意味を考えるものはなく、荻上はほっとした。
「結局、荻上さんを、一人にしておけないんですよ!彼女の、寂しさを消したいんですよ!!」
テンションはやはり高いものの口調が、明らかに変わった。笹原は、どさっと椅子に腰を下ろす。
「荻上さんは、大学に入る前の俺ですよ。自分のこと、自分の趣味に自信がなくて、好きなものが
あるのに、それを好きな自分が好きになれない。いろんな可能性があるのに、あったのに、臆病で
飛び込めない・・・。少しずつ、それでも変わっていってますよね。」
「ああ、お前さんの力でな」
「んなことないですよ。春日部さんや、大野さんがやっぱり同じ女性だから、うまくフォローして
くれたんですよ。ウチの妹だけは役に立たないようだけど」
「なんだと!このサル!!」恵子が叫びそうになったが、咲が睨みつけて収めた。
「俺、会長でもあったのに、ほんとに力及ばずで・・・でも、接してればわかりますよ。彼女が
ホントに純粋なんだって。夢も、悩みも、希望も・・・彼女を守りたいっていうには俺はダメダメ
すぎるけど、せめて、一緒に悩みたい。いろんな思いを共有したい。エゴだけど、その役目は俺、
誰にも譲りたくないんです」
朽木もとっくに酔いつぶれている。高坂もまたふたたび寝息を立てている。笹原の宣言を聞いたのは
斑目と、ふすまごしの4人だけだ。
その中で、咲はかつて似顔絵を見て誤解したときの、大野は荻上の買い込んだ同人誌をチェックした
時の、ともに悪辣顔でからかう気満々でオギーを見たのだが・・・・
彼女は、「同人誌できてねえよ会議」の時のように、表情を変えないまま、ぽろぽろと涙をこぼしていた。
自分が泣いていることに、気付いてないようだ。
意外にも恵子が、すっとハンカチを取り出した。
「あ・・・・・・あれ・・・・・・・・・・・・・・。」荻上が、ようやく自分の涙に気付き、とまどう。
「あんなアニキだけど、よろしく」と恵子は言おうとしたが、自分も言葉がでなかった。
残り二人も、黒モードは消え、微笑で眺めている。
そんなみんなを見て、荻上の心の中にじんわりと温かいものが広がった。
「先輩------」そうつぶやくと、その響きが、美しい音楽のように感じられた。
「ククククッ・・・圧倒的じゃないか!笹原軍は・・・」
これだけのノロケは斑目にとっては本来、一種の「逆境」だが、さすがに少しは人間的に成長し、
ガンダムネタで切り返す(それ、成長してるのか?)。自分の、ほろ苦い結末に終わった部室内の
人間ドラマも思い出した。だからこそ、この後輩には、うまくいってほしかった。
だ が。
「でも、それって荻上さんには言ってないよね!言わないと、伝わらないよね!!」
寝ていたはずの高坂が突然、いつもとまったく変わらない態度でさらりと突っ込んだ。
さっきまで強気の姿勢だった笹原が、見る見るトーンを落として、_| ̄|○状態になる。
「いえる訳ないじゃないかぁぁぁぁぁぁぁ。」
「なんで?」高坂が、たった3文字で、残酷なクリティカルヒットを与える。
斑目が、割って入った。
「まてまてコーサカ、ここは一つ古典に学び、先人の知恵を借りよう。二人とも当然、『めろん一国』を
しっているであろうな?あの一巻に・・・」
「酔っ払って、『すきじゃあ』と叫ぶアレですね」とコーサカ。
「うむ。効果がどうなるかしらんが、ここまでくれば最後まで行ってしまえ。笹原、お前は酒が足りんのだ。
主人公にならってもっと酔っ払い、そして大声で思いを叫ぶのだ!」
「分かりました!まず日本酒を!」笹原は一気に紙パックをコップにそそぐと、ぐっと飲み干した。
そして、きっと顔を引きしめる。
「私、笹原完士は!、荻上さんのことを!」
ふすま越しの荻上が、同じぐらいどきどきしている。のこりはワクワクしている。
「おい、このパック焼酎じゃねえか?」斑目が言ったのと同時に
「好・・・すアsdfghjklzxcvbんm、。」ごぼごぼごぼごぼ。
如才ない高坂が、とっさに入浴につかった洗面器でフォローし、被害は無しで済んだ。
そしてそのまま、笹原の意識は暗闇へと引きずりこまれた。
「・・・・・・はあ、だめだわアイツ。もうヲタクとかヘタレ以前の問題!!」
「少し、神様が考え直すチャンスを与えてくれたのもしれないですね」
「あいつと同じ血が流れてるなんて、ほんっとサイアク!!あーっ、もう、のみなおそ!!」
期待が裏切られた反動で、この部屋での笹原はボロクソだった。
荻上は「すいません、疲れたのでお先に横になります」というと、3人は申し訳無さそうに、
「そうだね、少し休んだほうがいいよ」と促してくれた。
その後、3人の、酒を飲みながらの笹原批判を聞くとも無く聞いていたが、荻上はまどろむ中で
つぶやいた。「私たち、自分のペースで、ゴールできますよね。・・・先輩」
おしまい。
駄文だ 妄想だ ご都合主義だ!こんな展開絶対にありえねえから予想SSじゃない!。、
>>524-
>>527 >>528-
>>536 まあまあそう落ち込まないで。
俺はGJだと思うよ、この話。
笹やんの暴走、斑目のあくまでもオタスタンスでのフォロー、眠れる高坂の時々起きての001的活躍など、キャラの転がしっぷりは見事だと思う。
クッチーや恵子も地味なところで頑張ってるし、春日部・大野のやり手婆さんコンビもいい仕事してる。
案外本編もこれに近い展開になりそうな気がする。
ただ、オチがちと弱いと思うから、本編ではその点をパワーアップしたものになりそう。
>>524-
>>527 >>528-
>>536 あんた、もう木尾士目越えてるよ。。。あれでしょゼロの領域・・
もとい!ランナーズハイね、ランナーズハイ。
つまり何が言いたいかってゆーと萌え死にそうなんでつ(*´д`*)ハァハァハァアハァ
まーまー!ここは日本的なれあいで!まーまー!
これまた堂々と
まあ、なんだ。
とりあえず、GJ!
544 :
マロン名無しさん:2005/11/12(土) 18:20:00 ID:ApAqz3Ex
>>537-538 GJ!
おもろかった。お世辞抜きにホント。後半自滅していく笹原が笑える。
後半から文章が乱れたね。キミも書き続けてくうちに自滅していった
様子が手にとるようにわかる。
文章って書いてく内に形にならない自分の心が分かってくるから不思議
だよね。そういう意味でもこのスレの設立の意義を感じる力作でした。
文章って
>文章って
あっ!これ無し!
荻上はツンデレ
本スレで最近SS増えてきたね
ところでこのスレは最萌トーナメントには関与しないの?
なんかリリ姫にはばかすかSSやポエム?が投下されてるけど
荻の方は原作コラとかそんなんばっかだね。
SSもAAも勢いはげんしけんの方が上だと思ってたけど
なまじ活動が本格的なだけにああいうとこに投入しにくい…
(みんなサイズでかいし)
AAスレの方は例の粘着荒らしが午前中のうちに釘刺しにいって
みんなのやる気を殺いできたみたいだ。
午前中じゃない。2日前か。
みんながんばれ
おまえもがんばれよ。
うん、がんばる!って違うって!
ただ今SS執筆中、またパロディ物になる悪寒。
……頭が沸騰しそうだーorz
>>557 ('A`) むぉぉ・・いつまでも待ってるです。
パロディSSは個人的には嫌いなだ
童話ネタも同じく・・・
よほど上手くできてたら別なんだろうが…
SSスレで何を言ってるんだお前は
まあまあ、好みのジャンルはそれぞれ異なるでしょうから、そ・こ・は・スルー!
ご愛嬌、ご愛嬌。というか正統派は不作だし・・・はよ妄想暴走解禁の展開ならないかな。
パロディも好きだが。
まあまあ、ここはげんしけん的馴れ合いでいこーよ。
それじゃ元の流れに戻すか
オギーはオレがもらった!
正直なところ、俺も本スレにあるような予想SSみたいなのの方が好きだけどね。
まぁ嫌なら見なくてもいいんだしそういうことは言わんとこうぜ。
ほら笹原も「作家のやる気を無くさせる事」は一番しちゃいけない事だって言ってただろ。
荻スレにも投下したけど間つなぎの余興に。ひとつ。
荻「大体ですねー、口を開けばコスプレ、コスプレって・・・、聞いてますか!大野先輩! 」
大「はっはいー、聞いてますよー」
荻「さあ、もっと飲んで!私の酒が飲めないんですか!」
大「荻上さん、もうそろそろやめたほうが・・・」
荻「私は大丈夫です!ささ、ぐぐっと!」
咲「あちゃー、大野よりひでえからみ酒だよ・・・。」
荻「春日部先輩!」
咲「はっはい!」
荻「オタクと付き合う先輩の苦労・・・、私だってですね、私だってですね・・・シクシク」
咲「うわっこんど泣き出した・・・(助けてー)」
惠子「だっ大丈夫すかねーこの女・・・」
荻「んー惠子さん・・・」
惠子「なっなに?」
荻「笹原さん、そっくり!きゃはははは」
惠子「あっ当たり前じゃん!兄妹なんだから。次は笑い上戸かよ」
荻「んー(ジーと惠子を見つめる)」
惠子「?」
荻「大好き!!」
惠子「うわっ、ん!くーもがもが、ぷはー」
惠子「うわっこいつ舌入れてからめてきやがった!!」
咲「今夜の事は戒口令な・・・(汗)」
大「アイアイサー(汗)」
>>567 GJ!
あとは、荻上さんが隣に乱入してご乱心の続編希望。
笹やんも同じぐらい酔ってれば面白いことになりそう・・・
>>569 「さっさはらさ〜ん!」
「おっぎうえさ〜ん!」
妙に陽気なテンションで熱烈に絡み合う二人。
「おいおい、なにがあったんだよ!」
「それはこっちの台詞!何で笹やんまであんなに酔ってんのよ!」
「いや、なんか荻上さんのことで悩んでたらしくて・・・。
すごい飲むわけよ。止めらんなくてさ・・・。」
「ああ〜、まずいです、それ以上はまずいですよ〜、ふたりとも〜!」
大野の声に振り向くと二人は床に抱き合ったまま転がり・・・。
ああっと、すいません、これ以上は!みなさんさようなら!さようなら〜!
571 :
続き:2005/11/18(金) 06:19:12 ID:???
とはいったもののぎりぎりまで見てみましょう。
「や、やめんかー!」
「うわ、まじでー!」
咲と斑目の悲鳴がこだまする。恵子はというとその行動を面白そうに見ている。
「ちょ、ちょっとほんとに止めないと・・・!」
大野さんが止めようと近づくと・・・。
「す〜。」
「ぐー・・・・。」
寝息が聞こえる。
「寝ちゃいましたね・・・。」
「寝ちゃったね・・・。」
「寝ちゃったな・・・。」
安心している三人をよそに恵子は一人不満顔。
「ええー!もう終わりかよ。兄貴マジダッセー・・・。」
「お前、それマジで言ってるのかよ・・・。」
咲は呆れ顔でそういった後、二人に奥から持ってきた布団をかぶせる。
「でも、面白そうだから朝までほっときましょ。」
572 :
570:2005/11/18(金) 06:23:04 ID:???
続き勝手に書いちゃった。
良かったのかな?
574 :
570:2005/11/18(金) 08:32:32 ID:???
>>573 OK
とりあえず
>>567から
>>570の続き
「うふふふ・・・・。」
もう手がつけられない状態の荻上。まるで裏時乃・・・。
「せーんぱーいはー、なーにやってるんですかねー?」
そういいながら、向こうの部屋に突入しようとする。
「ちょ、ちょっとまてー!」
咲はそういって止めようとしたが、ときすでに遅し!
バン!
扉の開いた先には、斑目に切々と何かを語っている笹原がいた。
もうすでに相当量飲んでる様子だ。
「あ、先輩ものんでたんですかー?」
「荻上さんもー?」
「もちろんですよー、うふふふ・・・・。」
「あははは・・・・。」
変な笑い声を上げる二人。
誰もその奇妙な光景に手出しもできず、立ち尽くしていた。
そして、次の瞬間!
575 :
マロン名無しさん:2005/11/18(金) 13:58:05 ID:Zhx0SX56
ゴ、ゴクリ…
576 :
マロン名無しさん:2005/11/18(金) 16:55:13 ID:JwMSLw3u
クッチーか
ありゃ、間つなぎのつもりだったけど、続編書いてもらって読んだら
妄想が膨らんじゃったよ!書きかけの童話パロほったらかしで続き
書いちゃった。このくらいのエロ表現は許容範囲?はずしたらゴメン
荻「こらー!笹原完治―!」
バン!ふすまを勢いよく開ける。
笹「あ、おぎうえしゃん・・・どしたの・・・」
荻「あったしの同人誌、見ちゃダメって言ったのに見たでしょー!」
笹原の首に抱きつく。笹原は酔っ払ってろれつが回らない。
笹「ごめんなしゃい。れもわざとじゃないんれすよ、わざとじゃ」
荻「だめー、ゆるさないー」
笹原にさらに強く抱きつく。
笹「おぎうえしゃん・・・、そんなにむねをおしつけられたら・・・おっきしちゃうんれすけど・・」
荻「おっきして!おっきー!肩車!肩車!」
惠子「すっかり、幼児化しちゃってるよ・・・」
咲「荻上ー!しっかりして!正気を、正気を戻して!とんでもないことになった!あー、水!いや!消火器!ああなんかトラウマが・・・(アタフタオロオロ)」」
斑「落ち着くのは春日部さん!キミだって!落ち着いて!」
笹「ちがうところがおっきして立ち上がれましぇーん」
荻上は笹原の首にまたがって飛び上がってせがんでいる。
荻「えー、じゃあ、お馬さん!お馬さん!ささはらさんってえっちなんだー。あたしもささはらさんとまだらめさんのえっちなとこ想像してるもん!きゃははは」
笹「・・・れも俺がえっちなことかんがえるのはおぎうえしゃんらけれす・・・。」
荻上は笹原の正面にしゃがみこんで笹原を見つめる。
荻「ほんと?」
笹「うん、エロゲー以外で俺がえっちしたいと思ってるのはこの先生涯でおぎうえしゃんだけれす・・・。」
荻上は大きな目からハラハラと涙を流して
荻「うれしい!!!」
笹原に飛びつく。そのまま倒れこみ二人とも寝てしまう。
惠子「うわっ、だっせー。エロゲー以外って・・・こんなロマンの無い告白聞いたことねー。あーあ、二人とも涙と鼻水でくしゃくしゃじゃん!ふいてやっか!」
大「やさしいですね・・・」
惠子「こんでも兄貴だしなあ。この人も身内みたいなもんか・・・もう。」
斑「どうなることかと思ったけど・・・でどうする?春日部さん?」
咲「どうするって、目的達成じゃん!なんか問題あんの?」
斑「いや・・・少し背中を押すのが最初の目的だったけど・・・これは予想以上じゃん。二人が正気に戻っても大丈夫?覚えてたらまずいんじゃないの?特に荻上さんが!!ひょっとして、なにも・・・考えて・・・無い・・・とか?」
咲「・・・!(滝汗)けっ惠子!二人を離せ!大野!その辺片付けて痕跡を消せ!これは・・・『夢落ち』!!ということにしよう!しらばっくれろ!何聞かれても!」
惠子「うわっさらにだっせー」
581 :
マロン名無しさん:2005/11/18(金) 22:22:28 ID:W2iOKfRS
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1132163621/68 zahi ◆zahi..6.JA sage 2005/11/18(金) 21:44:36 ID:???
71 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2005/11/18(金) 21:42:01 ID:???
追記
模試の彼女がね
別れ際に「げんしけん知ってる?うちの化学の先生斑目そっくりやねん」って言ったんだけど
その流れの会話でボソっと俺が「斑目には共感しまくりやなぁ」って言ったのね
今思えばこれは自分の状況を斑目の咲への想いに重ねている事を主張した勇気だったのかもしれない
斑目はね今の俺みたいな設定なのこのちゃん
72 名前: ◆C.P.qAcSPY [sage] 投稿日:2005/11/18(金) 21:43:17 ID:???
最後の一文テラキモス
>>570 遅くなったけどGJ!!キミの構想参考になった。サンクス。
ところで581は何?よく分からない投稿だなあ。
584 :
570:2005/11/18(金) 23:36:54 ID:???
>>578-580 乙&GJ!
こっちのほうが面白いねww
じつは、以下のような続きを考えていたりした。
どうせだから投下するよ。
「うーん、一段落したし、飲みなおそうか。」
軽く伸びをした咲が、誰に言うともなく呟いた。
「いいですねえ〜。酔いもさめちゃいましたし。」
「いや、大野さんはのみたいだけでしょ。」
「じゃ、斑目も一緒に飲む?」
そう咲に振られた斑目は、少しあわてた後、
「い、いや、いいよ。もう疲れたし寝ることにするよ。」
「そう?じゃ、私たちはあっち行ってるね。」
そういって三人はにぎやかに奥へ引っ込んでしまった。
「・・・よかったじゃねえか。」
そう眠りに落ちている二人を見てから、窓辺の椅子に座る斑目。
窓の向こうにうつる星を見つめながら、少し、考え込む。
二人のことを聞いたときはびっくりもしたが、両思いなら問題はない。
そういう点で、笹原が自分と同じ思いをしなくてよかったと心から安堵していた。
「・・・針のむしろ・・・か。」
自分が見込みのない恋をしていることはとうに分かっている。
それでも、なにか起こらないかと大学に来る自分。
だからといってなにをするでもない。
「そろそろ潮時かも知れねえなあ・・・。」
飲んでいるときに笹原から聞かされた悩みごとも、
二人が両思いであることを確認した後では、
なんだかすべてノロケだったように思えてしまう。
「・・・だからといって嫉妬するわけじゃねえけど・・・。」
そう思ってまた二人の寝ているほうを見ると、少し離したはずの二人がまた近づいてる。
「あちゃー・・・。ま、いいか。起きた時が見ものだな。それくらいはいいだろ。」
きしし、と少し悪戯っぽい笑いをした後、本当に寝ようと、横になるために立ち上がった。
彼の道が明るく照らされることはあるのだろうか?
それは、天の神様にも分からないのかもしれない。
587 :
マロン名無しさん:2005/11/18(金) 23:51:42 ID:W2iOKfRS
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1132163621/68 zahi ◆zahi..6.JA sage 2005/11/18(金) 21:44:36 ID:???
71 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2005/11/18(金) 21:42:01 ID:???
追記
模試の彼女がね
別れ際に「げんしけん知ってる?うちの化学の先生斑目そっくりやねん」って言ったんだけど
その流れの会話でボソっと俺が「斑目には共感しまくりやなぁ」って言ったのね
今思えばこれは自分の状況を斑目の咲への想いに重ねている事を主張した勇気だったのかもしれない
斑目はね今の俺みたいな設定なのこのちゃん
72 名前: ◆C.P.qAcSPY [sage] 投稿日:2005/11/18(金) 21:43:17 ID:???
最後の一文テラキモス
>>585-586 乙&GJ!!
ひさしぶりの斑咲ですね。いや斑目の独白劇か。最近斑目の内面描写少ないから
さびしいですものね。こうしてリレー形式で連作するとパラレルワールドみたいで
面白いね。とりあえずこっちの世界では「無かった事に」そちらの世界では二人で
朝までお休み。朝のどんな光景が展開されるでしょうね。
ところで587は何をしたいのだろうか・・・。
589 :
マロン名無しさん:2005/11/19(土) 01:19:41 ID:v3qNiVNG
マ、ソレはスルー。
それはそうと>582の語尾は女神さまみたいだ。
荻上が漫画家になれるかという議論が前から出てた。
知ったかぶりの内容と独断の見解も入るが、かなり先走った予想SS書いてみました。
小「ふむ・・・。いいんじゃない。じゃあ、これ預かるから。」
荻「どっどうもお忙しいところ時間を割いていただいてありがとうございました。」
深々と頭を下げて荻上は部屋を出て行った。
笹「ど、どうですか?彼女?」
小「んー、まあ、いいんじゃない。彼女まだ学生だっけ?絵も基本ができているし、デッサンも数こなしているみたいだし・・・。真面目そうで『納期』をしっかり守ってくれそうな子だね。卒業したらプロのアシスタントの口紹介しても支障ないな。」
笹「いや、そういうんじゃなく・・・」
小野寺は笹原の表情を見て、ははーんと納得した顔をした。
小「心配するな。俺の趣味じゃないよ。ああいうしょんべんくさい子は。」
笹「荻上さんはしょんべんくさくなんかありません!!・・・っと、すっすいません!」
小「とと、すまん、すまん。そういう意味じゃなく漫画家としてか・・・」
笹「ええ・・・」
小「それはなんとも言えんよ。言える人なんかいるのかね。インスタントラーメンお前も食うか?」
笹「ありがとうございます。それはそうかもしれませんけど、『才能』みたいなものを感じるかとか・・・。」
小「『才能』?お前、プロの編集者だろうが!そんな幻想みたいな言葉使うな!まあ、必要最低限な技術とかは必要かもしれんが、プロとしてやってくかとかとは関係無いぞ。」
笹「え?でも・・・」
小「・・・なあ、笹原。漫画家といっても色々いるよな。へたくそな絵でプロですってのもいれば、絵がうまいのに全然面白くない漫画家。」
小「はやりの萌え系漫画や劇画とか。ゲームやアニメになる売れっ子や売れないけど実力評価されている漫画家とか。」
笹「ええ」
小「色々な漫画家はいるが、漫画家に限らず創造的な仕事する人間ってのは『業』を持ってんだよ。欲求不満かもしれんし、怒りかもしれんし、罪悪感かもしれん。」
小「好きで好きでしょうがないって人もいるな。それが何かは本人しか分からんさ。本人にも分からんかもな。でもそういう『業』が無きゃ続けられないんだよ。」
笹「よく分かりません。」
小「そりゃ多作な人でアシスタントを沢山使って『仕事』として漫画を描く人もいる。でもそういう人でも激しさは無いが、内面にそういうものをもってんのさ。」
小「逆に一作で消えてく漫画家も沢山いるよな。そういう奴はうすっぺらな自分の内面を一作で全部さらけ出して何も無くなった奴だ。もぬけの空ってやつだ。あるいは『業』が無くなったかだ。うまいへたじゃないんだ。」
笹「・・・なんとなく分かったような気がしますが、俺たちの役目って何なんですか?」
小「それじゃ売れないからだよ!ずれてんだよあいつらは!言い方悪いが、自分の思いだけが満載の漫画なんぞ。それが読者と共感する部分が多けりゃ売れるかもしれんが、そんなのはめったにある事じゃない。『商品』として市場にでなきゃ仕事として成り立たんだろう!」
笹「昔、同人誌ゴロの先輩に似たような事を言われたような気がします・・・。」
小「ははっ、だがな、俺たちはそういうゴロとは違う。俺たちは作家と一緒に苦しんだり悩んだりして信頼関係を築く。コネだけで立ち回る輩とは全然違う。」
笹「そうですよね。じゃあ荻上さんは・・・」
小「まあ、あの娘次第としか言えんなあ。正直少女漫画は苦手なんだよ。恋愛とかやおいとかもな・・・。」
笹「苦手なジャンルもあるんですか?小野寺さんにも。」
小「ああ、男は正義とか友情とか勝利とか分かりやすいだろう。男は信義とか信仰とか『無償の愛』に捧げるが、女は母性に根ざす実利的な人間関係、恋愛とか愛欲とかで人間関係を見るからな。」
小「それだけ女の人の方が人間観察が優れているし、逆に男は幻想を追い求めて変な宗教とかフェチに走る場合もあるがな。」
笹「うっ、心当たりが・・・。」
小野寺の携帯が鳴り出す。ヒーロー戦隊ものだ。
笹「あれ、小野寺さん・・・」
小「うっうるさい、はい、ああ、お前か、日曜日な、分かった」
笹「どなたですか?」
小「ああ、離婚調停中の女房だ。子供の面会日の確認だよ」
笹「えっ結婚してたんですか!」
小「してる!だ!まったく昔は乙女チックな少女漫画描いてたくせに、今じゃ養育費だ慰謝料だの騒いでばかりだよ!編集者の仕事をまったく理解しとらん!お前はこうなるなよなー」
笹「(滝汗)」
>>591-594 乙&GJ。
いいね、毒舌小野寺さん。離婚調停中ウケタw
なんか知りたいようで知りたくない漫画業界の裏側って感じ。
笹やんもこうなっちゃう・・・わけないと信じているがww
同人ゴロは売れるのが分かってる作品だけを選別して商品にするだけのやつ。
編集者は漫画家と一緒になって、作品を売れる状態にまで仕上げていくのがお仕事。
>>595-596 どもです。初の討論形式への試みでした。
こうして書いてみると社会人編もまんざら悪くないというか
現実味のある可能性のような気もしてきた。少なくとも大野
卒業までは・・・。
斑目の仕事してる図は見たいんだよね。かなりw
…クガピーも描いてやってあげて欲しいよなぁ。
社会人のオタライフというのも軽やか?に描いてほしいよね。可能なら。
妙にドロドロにならずともできなくは無いような気もするが・・・。
しかし既に斑目が社会人にもかかわらず部室に入り浸るという不自然な設定になってる。
「部室のある風景」の原則から外れるし、もう別の漫画だよなあ。
普通に笹卒業で終了でいいんじゃない?
木尾氏の次回作は全然別の作品で。
惜しまれつつ終わらせたい希ガス。
続きとしての社会人編は要らないなぁ。
今の話の合間に、1P〜2Pだけ挿入くらいが丁度いい。斑目話とか。
単行本書下ろしでエピローグ一話とかでいいよ。
社会人編も可能かと思ったけどそのくらいがやっぱりベストかな。
ハッピーエンドの余韻を残すくらいで切り上げるのがベター。
欲張ったらだめか。
おまけマンガ『卒業後のみなさん』なんてありそうだな。
本編で全然触れなさすぎだもんな。
専門学校で神扱いな田中
五月病クガピー
職場になじめない斑目
昨日投下されたネタバレが嘘だとしたら凄い出来のいいSSだな。早すぎだからたぶん嘘だろう。
話題にすんなって
俺はオギー卒業までは見たいぞ。
みんな心配で頻繁に部室に来るだろうから、絵的に今とあんまり変らん状態が続くだろうし。
それ以降は新入生が人気キャラに育つか次第だ。
>>607 まー、タイトルは「げんしけん」だし、そうやって続ける手もあるとは思うんだが。
グダグダになる前に終わってほしい気がするのは俺だけではあるまい。
常に現代のオタク最前線的キャラを投入していけば面白いのかもしれんが・・・。
精神的に大人になったオギーがどう立ち回るかとか見たい、というのもある。
現在の笹やんが成長していったようにな・・・。
>>608 >常に現代のオタク最前線的キャラを投入していけば面白いのかもしれんが・・・。
>精神的に大人になったオギーがどう立ち回るかとか見たい、というのもある。
>現在の笹やんが成長していったようにな・・・。
それをグダグダと言う
気をつけよう。どこのスレも荒れ気味になってきました。
斑目玉砕SSマダー?
マダー
613 :
マロン名無しさん:2005/11/23(水) 01:22:44 ID:ZNs7sKwS
今回、斑目分が少なそうなので補給したいオレが来ましたよ。
マダー?
ご期待に背くようですが、編集者の一日のその後をショートコメディで。
以前見た小ネタを元に。社会人編は現実ありえんと思いますが、想像する
と割と楽しい。近いうち斑咲にも挑戦してみたいですね。
小「ところで、イラストサンプルの他に、荻上さん、健全パロディーも置いてったらしいな、その封筒か?」
笹「ええ、初の一般向けパロディーへの挑戦だそうです。何でも連載中の作品の続編を考えて作ったそうです。」
小「ほほー、意欲的だな、どれどれ。」
タイトル「『わしおしゃ』」
小・笹「・・・・・・・・・・・・」
小「さてと!仕事がまだ残ってるんだった!」
笹「まっ待ってください!かっ彼女は成長中なんです!見捨てずもう一度チャンスを!」
小「ええい!離せ、泣くな、すがりつくな!忙しいんだ!俺は!」
笹「あれっ!荻上さん・・・。いつの間に・・・いつからそこへ・・・」
荻「忘れ物をして・・・見捨てずもう一度チャンスを・・・というところから・・・」
小「なーんで、キミそんなに顔を赤くしてるのかなー(汗)」
616 :
マロン名無しさん:2005/11/23(水) 20:49:29 ID:GSu/hgqJ
あのー
『わしおしゃ』ってなんですか?
ごめん、分かりやすいネタじゃなかったね。
笹原の就職内定した会社が「編集プロダクション 鷲田社」なんです。
!あっしもた!「鷲尾社」だとばかり思ってた!
『わしだしゃ』の間違い。
前に「『げんしけん』が終了して『わしだしゃ』が始まります。」って書き込み見て
吹いたことがあったから。
それにしてもここ静か・・・。発売日解禁にはどっとくるかな。
最萌支援の準備で忙しいので・・・
619 :
マロン名無しさん:2005/11/23(水) 22:15:45 ID:GSu/hgqJ
あー、ナルホド。
「鷲田社」も知らなかったからあっててもわかんなかった。w
それではあらためてGJ!
いつまでもそのままの荻w
顔を赤くしてた荻上さんって・・・
荻上さん!原稿見てもらえないことよりも、笹やんがすがり付いてることに反応してどうすんじゃい!
どこまでワープしちまったんだ!
621 :
マロン名無しさん:2005/11/24(木) 16:50:41 ID:TbD73Me7
大野さんの「笹荻くっつけラブラブ大作戦(ハート)」を読みたい。
その後しんみりと斑目の「笹荻くっつけラブラブ大作戦(他人の世話してる場合じゃないよな…ハハッ)」を読みたい。
と書けないオレが希望しているんだが…
>>621 とりあえず今月号がバラしてよくなるまで待って・・・。
25日過ぎたら書きなぐる予定なので・・・。
内容はおそらく、それに沿う。
623 :
マロン名無しさん:2005/11/24(木) 17:34:08 ID:TbD73Me7
ウワアアアイ!ワクテカ
クジあんの小説3巻は、いつでるのでしょ?
エロイ人教えてください
オギー最高♪〜
この週末が楽しみだ。
俺も何か書くかな。
まあ言いたいことはたくさんあるし。
今本誌よんだ俺が来ましたよ
俺も書きたいのが沢山あって困る
どう笹荻が決着つくのかというパラレルストーリーが一瞬にして妄想となって降りてきた
問題はとんでもない文量なので書き上げるのに膨大な時間を要するのと
間違いなくドン引かれるということだ
>>622です
>>626にはげしく同意
ま、それでもかくんですよね。
もう、1/3位書き上げちゃった。
でも、それでこの分量かよ・・・・。
どうなるかな・・・?
今月はもう俺、やばい。色々な思いでいっぱいだー。
どんな量でも読み続けますっよ!だって、まだあと
1 ヶ 月 も 有 り ま す か ら !
>>622 ティンコ膨らまして絶えながら待ってますw
>>626 ドン引きでもいい、むしろ予想も出来そうもないよーな笹荻SSが読めるとわ
コッチは考えるだけでも脳内破裂。が、がまんの限界じゃぁ〜ww
本スレにはSS来たのにこのスレにはまだ何もないな
だいぶできてきたけど、めちゃ長!!
多分、明日の夜くらいに投下かな・・・。
っていうか投下していい分量だろうか・・・?
633 :
マロン名無しさん:2005/11/27(日) 01:36:42 ID:BbkM304Y
いいに決まっているサ!
というか、投下してくれいっ
>>632 念の為に、次スレ立てる用意をしておけば無問題。
>>634 そこまで長いって予想なら何処かのうpろだ使うことを薦めるほうがいいんじゃね?w
うpろだ使われると、日が経ったら読めなくなるじゃないか!
ただでさえ長い作品にタイムリミットまでつけるのはやめてくれよ〜
ここでいいよ、ここで!何のための専用スレなんだ。
あー。大丈夫そう。
次スレ使うほどではないと思うよ。
できたら30レス以上連投するけど、大丈夫だよね・・・?
本数の予告をしてくれればみんな正座してwktkで待ってると思うよ。
勢いで書き上げちった。
レス数は39。
とりあえず、来月号予想というか、妄想。
こんな風になったらいいなって言う願望。
もはやSSでなく、中篇??
長いが、お付き合いください。
「や。」
「あ・・・。」
年の瀬も迫り、凍えるような東京の冬。ここは国際展示場駅前。
夏コミのときと同様に、笹原と荻上は待ち合わせをしていた。
「今回もどうもありがとうございます・・・。」
そういってお辞儀をするも、荻上の顔は相変わらずの仏頂面。
「いや、ま、暇だしね。」
あはは、といつものような会話をする笹原。
「じゃ、行きましょうか。」
荻上はそういうと、先に逆三角形のほうに向かう。
「あ、ちょっと待ってよ。」
それを追いかけて行く笹原。少し駆け足になり荻上の横に着く。
進む道はサークル入場口。その隣の道では一般入場者が列を成していた。
「いやー、今回も人多いねえ。」
「冬は二日間ですからね。集中もしますよ。」
「だねえ。」
「大野先輩たちはあの中ですか?」
「だって。さっき田中さんからメールがあったよ。今回は初日から皆来てるみたい。」
「皆?」
怪訝そうな顔をする荻上。
「ん。斑目さんとか、高坂君とか。咲さんも来てるんだってさ。」
「へ?本当っすか?」
ぎょっとした表情をした荻上に、笹原はにっこりと笑うと、頷く。
「うん。最後だし、ま、記念みたいなものだってさ。」
「まあ、高坂先輩も来てますしね・・・。」
少し話が途切れる。
笹原はいつもと代わり映えのない荻上の様子を見て、少し安心する。
最近、しょっちゅう思い出すのは、合宿のこと。
(・・・・ここで、何とかしなきゃなあ・・・。)
あの日、大野に言われたことを思い出して、少し顔を引き締める笹原。
合宿初日、その夜。隣の部屋でまったり男たちは飲んでいた。
疲れが出たのか、斑目と朽木は早々に潰れてしまい、笹原は一人さらにのんびりしていた。
そこに、女部屋から大野さんが出てきた。
「あ、終わったの?」
「・・・・なに平和そうな顔をしてるんですか!」
酔っ払っている大野は、掴み掛からんばかりの喧騒で笹原に迫る。
「もう、皆寝ちゃいましたから言いますけど!」
「は、はい?」
「荻上さんのこと、どう思ってるんですか!」
冷や汗、赤面満面になる笹原。
「ど、どうって・・・。」
「どうなんですか!?」
「す、好きですよ・・・。」
意外とあっさり答えが出てきて勢いが削られた大野は、空いているいすに座る。
そして、残ってたビールに手をつける。
「グビッ。そうですか。ならいいんですよ。」
(まだのむんだ・・・。)
「でもね、笹原さん?」
「は、はい。」
もう、笹原は恐縮仕切り。
「荻上さんには癒しがた〜いおも〜い傷があるんです!それをどうしますか!」
「ストップ!」
その言葉を聴いた瞬間、笹原はいつもとは違う真剣な表情をして手のひらを突き出す。
「な、何ですか?」
いつもと様子の違う笹原に、今度は大野が縮こまる。
「何かあるのはなんとなく知ってたけど・・。それ、聞きたくないから。」
「なんですってー!!」
ボルテージが再び上がる大野。先程より強い勢いで笹原に迫る。
「なんで、そんな事いうんですか!好きなんでしょ?!好きなら相手の事知りたいんじゃないんですか?
知らないで幸せにできると思ってんですか?!」
フーッ、フーッ。
ここまでほぼノンストップで言って息が上がる大野。
「いや、そういう意味じゃないんだよ。ちゃんと聞いて。」
「は、はい。」
先ほどの表情を変えない笹原に少し興奮した自分を反省する大野。
「大野さんからは聞きたくないって事。もちろん、ほかの誰からもね。」
「それは・・・。」
「うん、本人から聞きたい。だって、そうじゃなきゃまた彼女傷つくと思うから。」
「でも・・・。優しいだけじゃ、うまくいきませんよ・・・。」
笹原の優しさからの発言に、逆にしょんぼりしていく大野。
「それでも、いま俺が聞くことで彼女が傷つくなら・・・。聞きたくない。」
笹原はそういって、目を瞑る。
「知りたくないってわけじゃないんですよね・・・?」
「もちろん。逆に知りたいよ。でも、だめ。今はね。」
「でも・・・、このままじゃ・・・。すぐに卒業ですよ・・・?」
そう、彼に残された時間は後半年。
「もし、ぎりぎりうまくいっても、彼女には一緒にすごす学生生活はなくなっちゃうんですよ。」
「うーん、俺のこと荻上さんが好きとも限らないしね。」
そういって、久々の笑顔をみせて、たはは、と笑う。
「なにいってるんですか・・・。彼女の態度で分かりますよ・・・。」
大野も笑顔を見せる。
「そうかな?実はまだあの発言が引っかかってたりして・・・。あはは。」
今度は少し情けない表情に変わる笹原。
「あー、『オタクと付き合うわけじゃないですか』ですか?」
数ヶ月前の部室でのやり取りを思い出して、大野は少し笑う。
「大丈夫ですよ、それは。きっと・・・。」
自分に向けた嫌悪。おそらく、本当は『笹原さんが自分みたいな』が先頭に隠れてたんじゃないかだろうか。
「そう?なら、まだ希望はあるのかな?」
「それどころか!笹原さんには荻上さんを幸せにしてもらわないと!」
そういって大野はがばっと立ち上がる。
「え、え。幸せに・・・?」
その発言に戸惑いまくる笹原。
「そうです!あんな過去を背負ってるんです!今までもずっと独りだったんでしょう・・・。
いい加減幸せになって・・・ほしっ・・・。」
大野の目には涙が浮かんでいた。
「うん、わかった。」
そういってハンカチを渡す笹原。
「あ、ありがとうございます・・・。すいません・・・。」
興奮しすぎたことか、自分の意見を押し付けてしまったことか、
どちらかは分からないが、大野は笹原に対して謝る。
「ううん。幸せになってほしいって思うのは俺もそうだから。」
「はい・・・。」
「それが、俺でできるなら・・・。」
「はい・・・。」
「でも、12月までは待ってくれないかな?」
「え・・・?」
「冬コミまでに、最悪冬コミで何とかする。また手伝おうと思うから・・・。」
「でも、まだ受かるとは限りませんよ・・・?」
冬コミも抽選によってサークル参加できるか決まる。
荻上は応募はしたが、まだ結果は戻ってきてない。
「なら別の機会に何とかする。だから・・・ね?」
大野は少し考える。この人はあくまで荻上さんに無理に踏み込まないつもりだと。
それがいいことなのか?自分としては少し強引さも必要とは思うのだが・・・。
「・・・わかりました。」
結局、笹原を信用することにした。
「でも、12月過ぎてもだめだったときは・・・。」
「大野さんが思うようにしていいよ。」
強い口調で言って、再び真剣な表情に戻る笹原。
「本気、と思っていいんですよね?笹原さん。」
「あはは、ちょっと似合わないかな。」
再び笹原は笑顔に戻る。
「うふふ・・・。いえ・・・。そんなことないですよ?」
大野は少し、安心してしまった。この人なら大丈夫なんじゃないだろうか?
よくは分からない安心感を笹原は生み出している。
「じゃ、俺は寝るね?そろそろ眠くなってきたし・・・。」
笹原は伸びをして、欠伸をすると、立ち上がる。
「はい。おやすみなさい・・・。」
笹原は高坂の寝てる部屋に入っていった。
「・・・大丈夫、ですよね・・・。」
「ま、大丈夫だろ。」
その声に大野はびくつく。寝てたと思った斑目がムクリと起き上がった。
「お、起きてたんですか・・・。」
大きな声を出しそうになるのを抑えて、声を小さくしてひそひそ話をする。
「まあね。あれだけ大声出されりゃね。朽木君はぐっすりのようだけど・・・。」
斑目は爆睡中の朽木を見る。
「えっと・・・。どのあたりから?」
「知りたくないんですか?あたりからかな。」
少し恥ずかしくなって縮こまる大野。
「ま、荻上さんにヘヴィーな過去があったわけだ。」
「そうなんです・・・。」
「それは後で聞くとして・・・。笹原は大丈夫でしょ。」
妙に自信満々に語る斑目に違和感を感じた大野はつい、勘ぐる。
「なにか、ありました?」
「い、いや?なんか予感よ、予感。」
やはり斑目は自信満々の口調で言う。
「よ、予感といわれても・・・。」
「まー、あいつとの付き合いも長いしな。やるときはやる男だからな。」
「そういえばそうでしたね・・・。」
笹原は会長就任以降、色々やってきたのは周知の事実。
「俺とは違ってな・・・。」
ぼそり、と小さな声でつぶやく斑目。
「え?何か言いました?」
危うくそれを聞き取られそうになり、あわてる。
「いや、いや、なんでもないよ。」
「でも・・・。何かしてあげたい・・・。」
そういって俯く大野。傍から見ればお節介なのかもしれないが、
彼女は心配なのだ。荻上のことが。
「じゃあ、とりあえずは、だ。」
「はい?」
「二人を話しやすい状態にさせよう。」
「あ・・・。」
今現在の二人には会話もない状態だ。一番、今の状況を変えるにはいいだろう。
「さすがの俺でも、今日一日会話なけりゃ気付くよ。」
「ええ・・・。それとなく、ですね。」
こくん、と頷く斑目。
「ふーん、斑目にしちゃよく見てんじゃん。」
声のしたほうを見ると、咲が敷居のあたりに立っていた。
「さっきから一応黙って聞いてたんだけど・・・。
笹やんやる気みたいだし、任せてみようよ。」
大野が暴走しすぎたら止めるつもりだったのだろう。
「ですね・・・。」
「ま、うまくいくといいわな・・・。」
そういって笹原の寝てるほうを見やり、ふいと斑目は天井を仰ぐ。
「疲れたの?」
咲にその姿勢を見られた斑目は、少しあわてる。
「い、いや、別に。」
(いえねえよな。俺の二の舞にならなければな・・・、なんて。)
天井を見上げたのは、咲のほうを見れなかったから。
彼の恋はきっと報われない。しかし、斑目には忘れることはできない。
(告白して玉砕すりゃすむんだろうが・・・。今の関係は壊したくねえ・・・。)
軽井沢の星の元、様々な思いが交錯した夜だった。
合宿二日目。起き上がってきた荻上は完全に二日酔いだ。
先に起きていた笹原はそれとなく荻上に水を差し出す。
びくっとなる荻上。笑う笹原。
恐々、差し出された水を受け取る荻上。
少しの間。感謝の言葉。
影で見ている三人。少し、ホッとする。
それ以降、二人の会話は徐々に前の状態に戻ってきた。
言えなかった内定おめでとうの言葉。
ちょっとした雑談。元の関係に戻ってくる。
でも、何かが引っかかっているように、笹原には感じられた。
おそらく、荻上は本を見られたことを気にしている。
実は、それ以上に、笹原の近くにいていいのか悩んでいる。
彼女の傷は思ったより深い。
ただ、誰かに傷つけられたのならまだ治りも早いだろう。
しかし、彼女の場合は、自分が人を傷つけたという事に対する自戒。
それを解消する方法は、誰かがどうこうする問題ではない。
彼女自身が、それと向き合わなければならないのだ。
そんなこんなで、夏コミと同様、否、少し心構えの違う二人がここにいた。
「いやー、でも本当良かったね。受かって。」
「まあ・・・。駄目なら駄目でよかったんですけど。」
そう、相変わらずの口調の荻上。少し苦笑いの笹原。
「そういわないようにしようよ。落ちた人もいるんだからさ・・・。」
「う・・・。すいません・・・。」
少し、反省した顔になる荻上。ニコリと笑って笹原は言葉を続ける。
「今日は晴れっぱなしのようだね。大野さんや田中さんはうれしいだろうなあ。」
「ですね。この寒空の下でよくやりますよ・・・。」
「それだけ好きなんだろうね・・・。」
そんな会話をちらほら続けながら会場の中へ。
「今回はここ、ですか・・・。」
「前と似たようなところだね。」
自分たちのブースにつく。届いている新刊の包みを見つめる荻上。
「どうぞ。」
笹原は笑いながら荻上を促す。荻上は包みを破り、中身を確認する。
「どう?」
「悪くは・・・。ないです・・・。」
まるでデジャ・ビュを見てるかのような会話。しかし、ここからが違っていた。
「・・・見ていいかな?」
びくっ!
よもや笹原がそんなことを言い出すとは思っていなかったため、鼓動を早める荻上。
「な、何言ってるんですか・・・。呪われますって・・・。」
自分で何を言ってるのかも、荻上は分からない状態におちいる。
「あはは・・・。そんな訳ないでしょ。どうしても駄目って言うならいいけど・・・。」
やっぱり笹原。強くは出れない。
「先輩別に興味ないじゃないですか、こういうの・・・。」
荻上は取り出していた一冊の新刊を抱きしめる。顔はもう真っ赤だ。
「まあね。でも、荻上さんの作品だから、読みたいっていうのはあるよ。」
そんな言葉をかけられ、少しうれしい感情がこみ上げる荻上。
「で、でも・・・。」
それでも。自分の本は人を傷つけるかもしれない。
「大丈夫、大丈夫。俺別にそういうの見たことないって訳じゃないからさ。」
実際、大野が持ってくる本を絵に惹かれて読んだことがあった。
内容はともかくとして、絵を楽しむつもりで読む男は少なくはない。
「う・・・。」
「いいかな。」
それでも意固地になろうとする荻上をよそに、包みのほうに移動する笹原。
返事がないのは了承のサインと判断した笹原は一冊、新刊を手に取り、読み始める。
ぱら・・・。ぱら・・・。
「あ・・・。」
読まれてしまった。もはや荻上は放心状態になる。
しかし、笹原から出た言葉は彼女にとって意外なものだった。
「ん。いいね。印刷もいいし・・・。やっぱりコマ割にセンスがあるなあ・・・。」
「は・・・?」
「え、なんか変なこといった?」
荻上が驚愕するのをよそ目に、笹原は手に持った新刊を元に戻す。
「いえ・・・。あ、ありがとうございます・・・。」
「余ったら一冊買うね。あ、前のも買おうかな。」
ブースの中に入り、準備を始め出す笹原。それを見てあわてて手伝う荻上。
「いいですよ・・・。手伝ってくれてますし。渡します。」
そういって、自分の荷物の中から既刊本を出す。そう、夏コミのときの本。
「そう?ならもらうね。」
笹原は一冊ずつ荻上から受け取る。
「ありがとう、あとでゆっくり読むよ。」
「は、はい・・・。」
ここまで、笹原はかなり頑張っていた。冷静を装いつつ、内心はかなり冷や汗ものだった。
強引に読んだことで、嫌われるんじゃないかと思っていたのだ。
本については、そういう系の本について内容の良し悪しは分かりかねるが、
コマ割や、描写などはよかったと思っていた。
(少し強引に行くことも大切だね、大野さん・・・。)
そう、現会長の言葉を思い出していた。
「じゃ、こんな感じかな。」
「あ、はい。それでいいです。」
飾り付け、ポップなどもうまくでき、準備は万端、といった状態になる。
荻上は荻上で、いまだに少し混乱していた。
平静は装いつつも、笹原のコメント、行動にドキドキしていた。
褒められるどころか、もし本格的に見られたら軽蔑されると思ってたのに。
そんなことをする笹原でないことは分かっているはずなのだが・・・。
(笹原さんは・・・。いいのかな?私ここにいて・・・。)
席に座り、四ヶ月前と同じように、会場の挨拶を聞く二人。
『ただいまより、コミックフェスティバル69を開始いたします・・・。』
ぱちぱちぱちぱち・・・・・。
拍手が会場中に響く。前と似たような、でも違った二人のコミフェスが始まった。
「二人は大丈夫かな・・・。」
コスプレ広場でいつものように撮影をしていた大野はつぶやいた。
「んー、心配しすぎてもしょうがないよ。」
「それはそうなんですけど・・・。」
田中はカメラを抱えながら撮影をする。
「顔に出ちゃうと、せっかく似合ってる衣装が台無しだよ。」
「はい。そうですね。信用したんですから・・・。」
笑顔に戻って撮影を再開する大野。
『ハーイ、カナコ!』
遠くから大きな声がする。
『はいはい、今行くから待っててよ・・・。』
そう、アンジェラが来ているのだ。もちろん、スーも。
スーのお目当ては当然同人誌だが。
『スー、大丈夫かな?』
『前に来たとき、問題なかったじゃない。今度も大丈夫よ。』
相変わらず能天気気味な発言をするアンジェラ。
『まあね・・・。』
(二人のところ行って何かしなけりゃいいんだけど・・・。)
「ありがとうございました・・・。」
島中で、人通りも少ないジャンル。売れる量もさして多くはない。
「よ。」
そこに現れるは斑目。
「あ、ちはっす。」
「あ、ども・・・。」
「どーよ、調子は。」
そういってブースを見渡す。少しそわそわしてるのがわかる。
「ぼちぼちですね。」
「でも、前買ってくれた人がまた来てくれたりしました・・・。」
そういって、少しうれしそうな表情を見せる荻上。
「そか。よかったじゃん。じゃ、頑張れよ。」
そういって、颯爽と去る斑目。
「・・・いなくなるの早かったですね。」
「たぶん、女の人しかいない空間に耐えられなかったんじゃない?」
あたりです、笹原君。
(なんなんだよー。ああいうブースって回ったことないからマジ緊張したー。
コミフェスの男女比が女性のほうが多いってマジなんだな・・・。)
さすがです、斑目先輩。
コミフェスの時間は過ぎる。
他愛もない会話をしたりしながら、二人はこの時間を楽しんでいた。
「あ、ちょっとトイレ行ってきます・・・。」
「うん、いってきなよ。」
そういって席を離れる荻上。
やることもなくなった笹原は、先ほどの同人誌に手を伸ばした。
「ん・・・?」
前回の本を読んでいる時に少し引っかかる。
「これって・・・?」
どこかで見たような会話。描写。
「あれ?この会話・・・。どこかで・・・。」
そして思い出す。自分と斑目のしていた会話にそっくりだったことを。
「もしかして・・・。」
先に進む。それは確信に変わる。
「あ、これ俺と斑目先輩の・・・。」
ネクタイを使ったネタなど、そういうことをしたことが思い出せる。
「なるほどねえ・・・。」
そこに丁度帰ってきた荻上は、本を読んでいる笹原の怪訝そうな顔に緊張する。
「あ、あ、さ、笹原さん・・・。」
「あ、お帰り。」
相変わらずの笑顔を変えない笹原。
「そ、それ・・・。」
「ああ、これね。びっくりしたよー。俺と斑目先輩のでしょ、この会話とか。」
「そ、そうです・・・。」
笹原に指摘され、認めざるをえない荻上。
「へえ・・・。こういう所から作ったりするんだ・・・。」
「あ、あの!すいませんでした!」
「へ?」
急に謝られ、驚く笹原。
「勝手にそんなことに使っちゃって!嫌ですよね?そうですよね?」
すでに涙目になりかけている荻上に、少しためらったあと話しかける笹原。
「ま、座って。」
「は、はい・・・。」
座るよう促され、荻上は席に座る。何を言われるかと、おどおどしていた。
「えーと、まあ、びっくりはしたけど、嫌とか別に・・・。謝る必要はないから。」
「で、でも・・・。勝手にそんな風に・・・。」
「うーん、まあこれは俺たち本人ではないしね。」
俯いたままで荻上は過去のことを振り返る。
胸が、ちくちく痛む・・・。
「で、でも。や、やっぱり、本人とかでやってたら嫌ですよね・・・。」
少しの間があった。
「ぷっ、あはは・・・。」
「へ?」
急に笑い出した笹原に、荻上は怪訝な顔をする。
「はは、ご、ごめん。たぶんね、笑うんじゃないかな?」
「は?」
そういって顔を上げた先には、笹原の満面の笑顔があった。
「今想像してみたけど、冗談にしか思えないよ。
逆にそれで荻上さんに怒られそうな気がするけどね。」
「い、いや、そんなこと・・・。」
「やっぱりそういうのって理解できないから、ギャグか何かかなって思っちゃいそう。」
「・・・そういうもんですか・・・。」
「あ、ごめん、怒ったかな?でも、そういうもんじゃないかな。」
「いえ・・・。」
「でも、そういう想像で楽しむのって言うのはありだと思ってるんだけど・・・。」
「そうですね・・・。」
そういって考え込む荻上。笹原はその態度に少しびくつきながら、あえて話しかけない。
荻上は考える。この人は私を。ありのままの私を受け入れてくれるんだ。
あの時以来ずっと出さないようにしてきた男の人への好意。
自分なんて受け入れてくれるはずもない。そういう思い込みとともに生きてきた。
ここで、変われるのかもしれない。荻上は切り出した。
「あの・・・。聞いてほしい話があるんです・・・。」
「ったく、何でこんなに人がいんのよ。」
「しらねーよ、姉さん。聞かないでよ。」
会場地下のレストランで二人お茶をする咲と恵子。
「皆、まー、必死。よく熱中できるよ、と思う。」
「だねー。少し尊敬できるかも・・・。」
「おまえ何もねーもんな。」
「なんだよー。何もねー訳じゃねーよー。」
そういって恵子は膨れる。
「ふーん、じゃ、何かアンの?」
「う・・・。」
咲の問い詰めに言葉の出ない恵子。
「だからあんたは駄目なんだよ。少しは兄貴見習いな。」
「ええー。兄貴ー?」
テーブルに突っ伏して恵子は不満そうにする。
「しっかりしてるよ、最近の笹やんは。」
「そうだね・・・。」
そういって、遠くを見るような目になる恵子。
「どした?」
いつもと違う態度に少し驚く咲。
「ん。兄貴も色々あったからさ・・・。荻上の話聞いたとき思い出しちゃったんだ。」
「え・・・?」
さすがの咲も、そうくるとは思ってなかった。
「兄貴、大学入るまでオタだって隠してたじゃん。
家ではそういうのもってたから、あたしには丸分かりだったんだけど。」
「ああ。らしいね。」
咲が思い出すのは初体面のとき。ぶん殴ったこと。
「隠してた理由があってさ・・・。ずっと忘れてたんだけど・・・。」
荻上の過去の告白が終わった。
よもやすぐに話してくれるとは思ってなかった笹原は驚きつつも、その話を聞いていた。
「私・・・。巻田君を傷つけたとおもって・・・。いまだに傷ついてたらっておもって・・・。」
泣きそうになる荻上に対して、笹原は言葉をかける。
「うん・・・。それは、大変だったね・・・。」
「私が悪くて・・・。だから・・・。」
「うん・・・。」
「もう、こういうのはしないって決めたけんど・・・。
でも・・・。逃げられるもんじゃなくて・・・。」
「うん・・・。」
「でも・・・。私がこういうことをまたしてたら・・・。誰かを・・・。
傷つけることになるんじゃないかって・・・。」
「そっか・・・。でもね、荻上さん。」
「・・・はい。」
あくまで優しく、傷つけないよう言葉を選ぼうと必死の笹原。
「えーと、なんていうんだろう。確かに、悪いことしちゃったよね。」
「はい・・・。」
「でもね、ずっとそのことを荻上さんが気にしてたら、それもよくないんだよ。」
「でも・・・。」
自戒の念はそう消えない。それは、この五年間感じてきたことだった。
「じゃ、今度は俺の番ね。」
「はい・・・?」
「俺の過去話。ま、あんまりためになるかは分からないけど・・・。」
荻上は意外な笹原の言葉に、戸惑うばかりであった。
「俺が隠れオタしてたことは知ってるよね?」
「ええ、聞きました。」
たしか、斑目がそういっていた。それを思い出す。
「まー、何でかっていうとさ、中学ん時はまだ普通にゲーム好き少年だったんだよ。」
「はい・・・。」
話が見えてこない荻上は、それでも黙って聞こうと思った。
「ガキでさ、あの頃は。ゲームさえあればよかったような生活だったんだ。」
そういって少し俯く笹原。
「だけどね、三年になったばっかりの頃ね。気になる人ができたんだよ。
普通の子だよ。まあ、どこにでもいる。でもね、ちょっとした優しさに惹かれたんだと思う。」
ふふっと自嘲気味に笑うと、笹原は顔を再び上げた。
「でね、放課後教室で友達と話してて、トイレにいったんだ。
そのときにね、女の子達の話している姿が見えたんだ。その子もいた。
会話してるのが聞こえて、それとなく聞いたんだ。そしたらその子とは違う子が、
俺のこと話題に出してね。あいつ、ゲームばっかやってるんだってーって。
そうしたら、みんな一斉に気持ちわるーいって言う訳。」
「え・・・?」
「その子も一緒に笑ってるんだ。その後いじめられたわけじゃないし、
普通に過ごしていけたんだけど、傷ついたなあ、あれは。
自分の好きなものが恥ずかしいものなんだって思いこんじゃんってさ。
それで、高校行っても同じ思いしたくなくてずっと趣味隠してきたんだよ。
普通の部活とかに入って、自分の本当の姿隠してた。
その間も家ん中じゃいろいろ趣味の幅増やしてたんだけど・・・。」
そこまでいうと、ふう、と息をつく。
「でも、大学では素直になろうと思ってね。そういう感じのサークル探したって訳。
最初はやっぱり素直になれなかったけどねえ・・・。」
笑顔に変わる笹原の表情。
「その子のことに対して何か嫌な感情を持ってたわけじゃないんだ。
いわれたこと以上に嫌だったのは自分。
そういう風にいわれた自分がかっこ悪いって思った。
でも、早々変わるもんじゃないしね、自分なんて。」
そういった後、笹原は荻上のほうを向く。
「現視研に入ってすっきりしたよ。別にどう見られたっていいじゃないって。
覚悟決めた。まー、あの頃は中坊だし、そういうところ気にしがちだったよね。」
荻上は、その話を黙って聞いていた。笹原にもそういう過去があることに、驚いていた。
「荻上さんのに比べればたいした物じゃないのかもしれないけど・・・。
聞いてて思ったのは、反省しているなら、それでいいんじゃないかなって。
きっと、本人に謝っても荻上さんはそのこと気にし続けるだろうし・・・。
荻上さんが、そんな自分ごと認めるしかないんじゃないかな・・・。
勝手な、本当に勝手な意見なんだけどね。」
荻上はぶんぶん、と首を振り、涙を流した。
「いえ・・・。本当に・・・。ありがとうございます・・・。」
「荻上さんは、もう少し楽に考えてもいいよ。ね?」
「はい・・・。ちょっと、顔洗ってきます・・・。」
「うん・・・。」
そういって、席から荻上は離れていく。
「ふう・・・。まさかあんなに重い過去とは思わなかったな・・・。
でもまあ、これで何とかなる・・・のかな・・・?」
自分の話がどの程度彼女に届いているかわからない。
それでも、これが最善だと思った方法を、とれたと思った。
『ワオ!斑目じゃない!』
アンジェラが斑目のほうに近づく。
「あはは。ども。」
コスプレ広場に現れた斑目をアンジェラは熱烈に歓迎する。
「どうでした?二人の様子は?」
「ん、まあ、普通。今頃どうなってるかはわかんねえけど。」
それに気付いて近づいてくる大野と田中。
「そうか・・・。どうなってるかな?」
「大丈夫だとは思うけどな。今から皆で見に行くか?」
「そうですね!そうしましょう!」
斑目の提案に、乗る大野。
「ま、こっちも一段落したところだし、いいんじゃないかな?」
『WHATS?何の話をしてるの?』
『荻上さんたちに会いに行こうかって。』
『オー!いいね!早く行こう!』
そういってノリノリで先に行こうとするアンジェラ。
『そっちは出口じゃないわよ!もう!』
「落ち着いた?」
「はい。」
戻ってきた荻上の様子は、だいぶ落ち着いたものだった。それでも笹原は心配で聞いた。
「先輩の話が聞けて、良かったです。」
「そ、そう?なら良かった。すぐにどうこうなるもんでもないと思うけど、頑張って。」
笹原は色々考えていたが、月並みな言葉しか出ない。
しかし、荻上はそれで十分だった。この先、彼女は過去と向き合うことになる。
きっかけがあればすぐに消えるようなものだったら、
彼女はここまで苦しむことはなかっただろう。
「はい・・・。」
荻上は思う。たぶん、これからはそこまであのことに囚われることはないだろう。
だが今後、自分を認め、自分の中にある「弱さ」と戦わなければならない。
そのときに。わがままかもしれないけど、隣にいてほしい。
この人がいてくれれば、きっと・・・。もっと頑張れるから。
「あの先輩・・・。」
「ん?なに?」
さっきとは違った意味で心臓の鼓動が早くなる。
「あ、あの、わたし・・・。」
「やっほー、荻上。」
「あ・・・。」
荻上の顔が強張る。荻上の中学の同級生、中島達である。
(この人達はたしか中学のときの・・・?)
笹原は夏コミのときに会ったこの子らが荻上の過去に出てくる友達であることは認識していた。
「カタログ見てたらまた載ってるからさ?」
「ああ・・・。」
「すっごいねえ。毎回毎回。よく出すよ。」
「うん・・・。」
心なしか荻上のトーンが先ほどとは変わって、沈んでいた。
「なつかしいねー。中学。そういえばさ、三年のときさ、本作ったじゃん。」
「・・・。」
よもやそのことに触れてくるとは思ってなかった荻上。少し緊張する。
「巻田にあの本見せちゃったの私なんだよねー。」
「・・・!」
声にならない驚きを表情に出す荻上。
「ちょっとした冗談のつもりだったんだけどさ、あそこまで話が大きくなるとは思ってなくてー。」
中島は笑顔で、いたずらを告白する子供のように話す。
「ごめんね?でも、荻上も気にしてないんしょ?だって今も書いてるしー。」
「ん・・・。」
中島の告白に沈んだ表情になる荻上。一方笹原は、先ほど荻上の過去を聞いたばかり。
この中島の発言に、かなりきていた。もはやいつもの笑顔はない。
(気にしてないはずねえだろ・・・。なんだ、この人・・・。)
いらつきを抑えるために組んだ腕にさらに力が入る。
「荻上もさー、あの時巻田と付き合ってるんなら正直に言えばよかったのに。
隠したりしてるから、あんなことになっちゃったんだよ?」
「・・・。」
更なるトークをする中島に、荻上はもう声も出ない。
「見せようなんて、ううん、作ろうなんて思わなかったのになー。」
「そこまでにしてくれる?」
さすがに見ていられなくなった笹原が、止めに入った。
「え。」
「荻上さんがその話嫌がってるのわからない?」
「だって・・・。」
「君にとってはどうでもいい過去かもしれないけど、荻上さんはそれ、すごく気にしてるから。」
「・・・へー。あの話聞いてるんですか。じゃ、よく一緒にいれますね。」
笹原の言葉に反発するように中島は聞いてくる。
「いや、関係ないでしょ。」
「だって、付き合った男のやおい本描いてるんですよ?」
「んー、別にいいんじゃない?」
「へー。じゃ、今は彼氏なんですか?」
夏コミのときは荻上が大声で否定したこの言葉。当の荻上は口を挟めない。
「今はまだ違うけど・・・。そうなりたいって思ってるからさ。」
その言葉に驚いたのは荻上。顔はもう真っ赤だ。
「ふーん。わかりました。じゃね。荻上。バーイ。」
そういって中島は踵を返すと、連れの女の子とともに雑踏の中に消えていった。
「大丈夫?荻上さん。」
「ひへ?」
ボーっとしていた荻上に声をかけて、その反応に少し笑う笹原。
「えっと・・・。なんか、色々わかっちゃったね。」
「え?ああ・・・。まあ、そのことはどうでもいいです。」
なんとなくわかっていたことだった。
巻田の手にあの本が渡ったのは誰かがそうしなければ起きえないことだったから。
それくらいは荻上にだってわかっていた。でも、そこが、荻上にとって大切なことではなかった。
人に裏切られたことより、人を傷つけたことのほうがつらかった。
「そ、そう?ならいいんだけど・・・。」
「それよりも・・・。先輩・・・。」
荻上が何を言おうとしてるのか最初わからなかったが、笹原はそれをすぐに悟る。
顔に血が上る。
『そうなりたいと思ってるからさ』
「あ、あれ?売り言葉に買い言葉っていうか・・・。」
「じゃあ・・・、嘘・・・だったんですか?」
そういう荻上の口調は少し沈む。
「・・・いや・・・。嘘ではないよ・・・。うん。俺は、荻上さんのこと、好き・・・だよ。」
笹原は荻上に向かって、しっかりとした口調でいった。
「あ・・・。」
顔中赤くして、もう、言葉が出ない荻上。
「あ、でも、嫌ならそう言って。気にする必要はないしさ・・・。」
「いえ・・・。」
「え・・・?」
「私も・・・。さっき言いかけてたことってそれで・・・。」
少しの間。見詰め合う二人。
「笹原先輩。好き・・・です。これからも一緒にいてくれませんか?」
「・・・!うん・・・。俺なんかでよければ・・・。」
「あら・・・?」
丁度、大野たちが荻上のブース近くに来たときに、中島が離れていくところだった。
「何か長いこと話してたみたいだな。知り合いかな?」
「そういえば、前のコミフェスのときに荻上さんの昔の同級生にあったって聞いてたけど。
その人たちなのかな?」
田中と斑目の会話を聞きながら、大野は中島の進むほうを見やる。
「もしかして・・・。荻上さんが中学のときの友達・・・。」
「でもま、普通にやってるから・・・。あれ?」
田中が普通にやってると思ったブースには、顔を真っ赤にして目を合わさない二人がいた。
「何か様子が変だな・・・。」
「ちょっと様子見ましょう・・・。」
ちょっとはなれたところで二人を観察する一同。
アンジェラは何をしてるのかわからない、といった様子。
「何か変なことがあったわけじゃなさそうだけど・・・。」
斑目が様子をもっと確認しようと見つめるその先に、ある人物が接近していた。
「スー!」
「あ、こんにちは・・・。」
『ハロー。』
相変わらずの無愛想キャラで出現したスー。
前回があったので今回はそこまで驚かなかったが。
『新刊出てるんだね。買います。』
「?な、なんていってるんですかね?」
「ニューとか、バイとか聞こえたから、新刊買います、じゃない?」
笹原はかろうじて聞き取れた単語から、言い当てた。
「あ、な、なら今回もあげるのに・・・。」
「じゃー、いうことはひとつだね。」
にっこりと笑って荻上を見た笹原が促す。はっとする荻上。
「あ・・・。ぷ、プレゼントフォーユー。」
そういって、荻上は立ち上がって新刊本をスーに渡す。
やっぱり驚くスーに対して、笑顔を作ろうとする荻上。どこかぎこちない。
長い間卑屈じゃない笑顔をしたことがなかったのだろう。
その必死な荻上を見て、笹原はこの姿も好きなんだよな、と思った。
「Thanks…。」
荻上の笑顔を見て、スーも少しはにかんだ笑顔を見せた。
そして、やっぱり一番すごいシーンにサインを求め、手を振って去っていくスー。
「あの子、荻上さんのこと大好きだろうね・・・。」
「へ・・・?」
笹原が思ってもなかった事をいったので、荻上は驚きの表情を見せる。
「だってさ、荻上さんの本であんなに喜んでるんだよ。
作った人のことも大好きに決まってるじゃない。
夏コミの時もくっついてまわってたし・・・。
はじめ見つめてきたのも、気になってたんでしょ、荻上さんのことが。」
「あ、あはは・・・。そういうもんですかね・・・?」
笹原にいわれたことは意外すぎて、今まで考えたこともなかった。
「荻上さんの本が、人を幸せにすることもあるんだよ。
だから、ね。使い方さえ間違わなければ・・・。」
「・・・はい。」
すこし、荻上は自分に自信が持てた気がしてきた。
「荻上さんが困るときには一緒に困るから。
俺なんかで解決できそうにもないことが多そうだけど、
一緒に考えることはできるからさ。」
「いえ・・・。それで十分です・・・。私が、頑張らないと・・・。」
一度孤独になった荻上は、この二年間で色々なものを手に入れた。
きっと、それは彼女をこの先も支えていくに違いない。
スーが去ってから少したって、笹原は荻上の方を横目で見る。
荻上の手の上に、笹原の手が伸びる。彼にとっては勇気のいる行動だった。
ドキッとする荻上。その手の平の暖かさに、驚くような、安心するような・・・。
「あら。」
聞き覚えのある声がしたと思ったら目の前にいたのはコスプレ魔人・大野。
ばっと手を離す二人。顔中が真っ赤になり、もう何もいえない。
「あらあらあらあらあらあら・・・・。」
ニヤーと口の端を歪め、二人がとっていた行動に突っ込む気満々である。
「笹原さん。もしかして、もしかしてですか?」
「あはは・・・。」
「荻上さん。もしかして、もしかしてですか?」
「・・・えっと・・・。」
二人は肯定することも、否定することもできなかった。
沈黙、すなわち肯定である。すると、大野の表情は優しいものに変わった。
「うふふ・・・。本当、よかった・・・。」
すこし、涙ぐむ大野を見て、荻上はちょっと驚いた。
このことがばれたら、一番おちょくってくるのは大野だと思ってたから。
「笹原さん、荻上さん。おめでとうございます。」
「えっと・・・。いや・・・。ありがとうございます・・・。」
大野の祝福の言葉に、素直に返事をするしかない荻上。
そして、やっと気付く。今、自分にとっての一番の友はこの人なのだと。
「おー、おめでとう。良かったじゃないか、笹原。」
「やっぱし、お前はやるときゃやる奴だな。」
話を聞いた田中、斑目が次々に笹原に声をかけた。
「いや・・・。まあ・・・。うれしいですね・・・。」
あはは、と弱気な笹原に戻って笑う。
周りは人通りも少ない上に、こういうブースである。何事かと注目を浴びる。
『へえ、そういうことになってたんだ。おめでとう!』
『おめでとう・・・。』
アンジェラとともにいつの間にやら大野たちに合流していたスーも現れる。
「あは・・・。」
そこに、今度は咲と恵子がやってくる、
「おー、メール見て飛んできたけど、やるじゃん、笹やん。」
「彼女いない暦21年でストップおめでとー、兄貴。」
褒めてるのかけなしているのかがわからない恵子。
「お前・・・。ま、ありがとうな。」
あきれたが、素直に感謝する笹原。
「笹原君。」
声がしたほうには、良くぞこのタイミングで、と高坂がいた。
やはり彼はニュータイプなのかもしれない。
「よかったね。」
満面の笑顔で言われ、笹原はうれしくなる。
「うん・・・。ありがとう。」
その後、いったん解散した皆。そして、時間は過ぎてゆく。
ついに、コミフェス終了の時間を迎えた。
「ふー、おわったね。」
「はい・・・。」
色々在りすぎた一日を、振り返る。
「えーと、なんかこんな言い方変かもしれないけど・・・。」
笹原の言葉に疑問符が顔に出そうになる荻上。
「今後とも、よろしくお願いします。」
「あ・・・。はい。よろしく、お願いします・・・。」
そういって二人で頭を下げた後、震えだす二人。
「ぷ、あははは・・・。」
「くす、ふふふふ・・・。」
笹原は初めてに近い荻上の満面の笑顔に、ドキッとする。
「あ・・・。荻上さん、やっぱり笑ってたほうがいいよ。」
「え・・・。」
その台詞がとてもうれしくて。また微笑んでしまった。
「ありがとう、ございます。」
「えーっと、このあと皆で打ち上げか・・・。」
「・・・あの。」
「ん?あ、そうだね。二人でどっかいこうよ。」
「い、行きたいんですけど、後で何言われるやら・・・。」
「うーん、でもそうしなきゃならなそうだよ?」
「え?」
「皆携帯の電源切ってる。誰にも通じない。」
「えええ!」
「大野さんかな?多分、考えたの。」
「まったく・・。あの人は・・・。」
「あはは・・・。それじゃ、行こうか。」
「・・・はい!」
「あれ?」
「どーしたの、マッキー。」
「ん?ああ、中学の同級生に似てる子がいて・・・。」
「まさか、あの?」
「そう、あの。」
「ええー。じゃ、その子、まだやってるってことー?」
「そうじゃないかな。でも、そのほうが安心するよ。」
「そうなの?」
「あの頃はまだよくわからないことが多くて・・・。
あのことはショックだったけど・・・。
今思うと、何か事情があったのかもしれないし・・・。」
「マッキー、優しい!」
「あはは・・・。彼女、ものすごい謝ってたらしいし・・・。
あのことで彼女が思いつめてたりしたほうが嫌だから・・・。」
「ふーん。でも、元気そうだったんでしょ?」
「うん。笑顔だった。ちょっとほっとしたよ。」
「そっかー。じゃ、行こう!」
「あ、ちょっと待ってよー。」
>>639-677 何時もの(合宿の夜に書かれた)方ですね!!(決め付け
あの時(荻スレ4)で書き始められる前に煽った467ですw
違ってたらホントスマソ(毎回言ってるなw )
長い文乙です 徹夜明けで判断力ないし途中までしか読んでないので
感想は起きた@書かせてもらいます。
途中までしか読んでませんがGJ 俺の読みとは全然違いますがw
ツッコミを1つだけ言わせてねw
>>639でSSでなく中篇ってありますがSSってショートじゃなくて
サイドストーリーでつw
680 :
後書き:2005/11/27(日) 07:18:44 ID:???
つかれたんで、もう寝ます。
色々書きたいことがあって、今までの伏線考えたりして・・・。
こんな風になりました。
・笹やんの過去
これに関しては、自分の原体験に元ずいてたりして。
・中島
オギーと巻田がつきあってる事は見抜いてたんだけど、わざとやった。
そういう観点で書きました。
大野さんとかに絡ませてさらしあげるのも考えたんですが、
そこがオギーにとってたいした問題じゃないと思ったんでやめました。
・オマケ2
これは・・・。まあ、こう思ってたらいいな、って言う願望。
長い話でスレ汚しすまん。さ、何でもいってこいやー!
(でも優しくしてホシス・・・。)
681 :
679:2005/11/27(日) 07:22:08 ID:???
あ、ごめ 割り込んじゃった^^;;
>>639-677 GJ!!
なんかこのまま梶先生に渡して原作として使えそうな!
ってゆーか使えw
三ヶ月くらいかけてな。
>639-677
なかなか面白かった。途中で荻上のキャラが変わりすぎなのが気になったかな
後オマケ2は個人的には要らないと思う。 GJ〜
うーん、面白かった。GJ!ただ、オマケ2は要らないんじゃないかな…
でもいいものを読ませていただきました。これからも楽しみにしてます!
おはようございます・・・。
>>769 どもー、いつもありがとうございます。あたりですよー。
>SS まじすか^^; ずっとショートストーリーだと思ってましたw
>俺の読みと違う ならば、あなたも妄想開放w
>>682 ありがとうございます。
>三ヶ月 あははw俺としてはこの内容の一割でも当たればいいかなって感じですねw
>>683 ありがとうございます。
>荻上のキャラ わざと変えました。やっぱり、荻上が変わることがメインだとおもうんで。
まあ、変わりすぎといわれればそうなのかも。
でも、素直なオギーってこんな感じかなって思って書きましたw
>>684 ありがとうございます。
>オマケ2 まーオマケっていうのは要らなければそれでいいんでw(アフタの付録みたいな)
たぶん、そう反応在るんだろうなーって思いつつも、書きたかったんで書きました。
だからオマケって表記、しかも2にしたんですよね。メインには組み込みたくなかったから。
うん、GJ!!本スレでも不評を買っていた大野の某のお節介は極力無くして、笹原の
自力でハッピーエンドに持ってったわけですね。
同人誌のトラウマの再現を自らすることによる荻上のトラウマの克服、荻上の笹原への
打ち明け話、笹原の個人体験、中島との過去との決着、巻田の現在。大体予想で描いて
ほしいと言われていた内容を含んでますね。
意外と巻田の登場が不要という声がありますね。この辺は原作でも必要か不要か迷うとこ
でしょうね。ちなみにマッキーと聞いて「ヨコハマ買出し紀行」のSSに迷い込んだか?
と思いました。というか冬コミにオタップルできてたということは巻田もオタに・・・。
>>639-677 大長編乙!(・∀・)イイヨイイヨ〜
やっぱ荻の過去話は本人から直接聞かないとダメだよね。
大野さんや恵子からの又聞きとかはイカンよ。
荻がしらふで笹に話せるかどうかが大事だと思うよ。
>>639-
>>678 もし俺があーる君なら、炊飯器ごとご飯をあげるGJぶりに感服した。
こんな僅かな時間で、よくぞここまで住人の願望と妄想にリアリズムと折り合いつけて書き上げたものだと感心する。
惜しむらくは、クッチーは何やってたんだろう?
まあいいか。
この話の裏側で、中島に一目惚れして追い回してるってな裏展開を妄想することにしよう。
690 :
679:2005/11/27(日) 15:08:51 ID:???
>>639-678 GJ 相変わらずよく考えられてますね〜
非常に面白かったです 改めてお疲れ様でした〜
俺の読みとは違う点についてですが…殆ど↑↑↑行ってみえるのですが
僭越ながらあえて書かせてもらうと(個人的意見ですので無視の方向でw)
・合宿は多分9月(合宿の話最初に冷房がいらないウンヌンから) そこから3ヶ月何も
しないのは不自然だし大野さんの許容範囲超えてる希ガス(咲ちゃんなら待つでしょうが…)
・田中が2日目から合流(高坂初日寝っぱなしも)って点からみて来月以降合宿2、3日目の
描写があるんじゃないだろうか?
・中島さんをあえて再登場させる意味ってないような…笹と対決させなくても問題の解決
は済む希ガス 《悪いのは荻≧中島 と思ってる荻スレ住人(ヲヒ 》
ま、単なるイチャモンですね^^; @は文句のつけようがない位素晴らしかったです。
次回作も期待しています。
>>690 いや、中島とはどっかで対決して決着付けて置かないと、後々に禍根を残す。
あの手の輩は自分の幸不幸に関係無く、幸せな人を陥れようとする。
本来なら一族郎党1人残らず地上から消し去るのが一番ベストな対処。
だがそういう訳にも行かんから、最低限笹荻に悪さしないように仕置きする必要はある。
その意味では、今回のSSの笹やんの対処では感情論抜きで不完全。
例えば通りすがりのクッチーが、事情を察してレザーフェイスコスで中島追い回すとか、恵子か咲ちゃんか大野さんがマジ殴りするとか、軽い実力行使はやっておいた方がいい。
693 :
692:2005/11/27(日) 17:19:05 ID:???
ああっ!すいません!
荻上スレへの誤爆でした!
694 :
690:2005/11/27(日) 17:32:09 ID:???
>>691 そんなキャラじゃないよw あれは田舎の中学という狭い世界だからおこったこと。
中島が見せなかったとしても伝わってたかも知れないしね。
そういう意味でも悪いのは荻≧中島だと思うんだ。
書く書かないは強制されたわけじゃないし…
逆に折角、狭い世界から抜け出してきて(田舎が悪いという一面的な意味じゃないが)
やっと立ち直るキッカケができたのにそこでのことに拘るってのもどうかなぁと思う。
そこまで長くトラウマになったのは荻の内面の問題だと思うからね。
@夏コミでの「東京さ行った」って発言から考えると中島自身は東京で暮らしてるんじゃない
んじゃないかとも思う。 それなら「東京に来てる」って発言になるんじゃないかな?
そうするとまた態々東京に出てくるのもおかし…くはないのかなぁ?w(同人誌即売会って
行ったことないから判らないけど)
長編イイヨイイヨーGJ
自分でも今後の展開を予想してみたりするんだけど
いっつも「笹原がどうやって荻上を受け入れるんだろう」ってトコで止まっちゃってたんだ。
そうか笹原の過去話持ち出すってのもアリかぁ。
コミフェス終わったあとの皆ケータイの電源切ってるネタはマジにありそうだね
>>691 > あの手の輩は自分の幸不幸に関係無く、幸せな人を陥れようとする。
> 本来なら一族郎党1人残らず地上から消し去るのが一番ベストな対処。
おまwwww そんなやつはどこの社会にも必ず1人以上普通にいるっつーのw
何、無茶なこと言ってますか!
>>694 > そうするとまた態々東京に出てくるのもおかし…くはないのかなぁ?w(同人誌即売会って
> 行ったことないから判らないけど)
普通に来るよ。
関東近辺の人間だけであんな人数にはならんです>コミケ
698 :
マロン名無しさん:2005/11/27(日) 18:21:07 ID:9OlvFlOV
げんしけん が四月からドラマ化っての友に聞いたんだが・・・・・誰か情報ある?
ない
デマ
本当だったらドラマ見てみたい気がするのは俺だけ?
原作とのギャップで失望するだけか・・・。
前に散々議論し尽くした話だ。
ん〜確かに電車男の流れてアリだとは思うけどね。
あんまし興味ないかな
703 :
マロン名無しさん:2005/11/27(日) 20:21:14 ID:wZQk2tYG
ま、僕は見ないかな♪
704 :
マロン名無しさん:2005/11/27(日) 20:23:19 ID:wZQk2tYG
うそ、見る。
見た上でTV局にクレームを入れる
おそらく通常の漫画のドラマ化よりも一番クレームのつきそうな漫画だよなあ。
だってこだわりの強いオタ(広範囲の層対象)が最大の支持者の漫画だし・・・。
大丈夫だ!オタだから大方ここらでごちゃごちゃ言うだけで終わる
708 :
マロン名無しさん:2005/11/27(日) 20:54:30 ID:Hq7DQ5j3
最後まで見ちゃいそうではある
>>707 過去のアニメに対するオタの署名活動の巨大さを知らないな?
ごめん。隠れオタだからわからん
仕事場から覗いたら雑談スレ状態にw
>>687 ありがとうございますー。
>巻田もオタに・・・。 なんかそういうイメージだったので。
たぶん、一緒にいる子は天使のような子でしょう。(適当
>>688 ありがとうございます。
>本人から直接 そうなんですよ。この話を考えてたときに最初にイメージしたのは
又聞きを拒否する笹原だったという。そして直接聞かされる展開を考えたわけで。
そこは大切ですよね〜。
>>689 ありがとうございます。
>ご飯 ありがたくいただきます〜。
>クッチー すいません、レスみるまでマジで忘れてたw
まー、現視研の機動部隊兼お笑い担当の彼なら・・・。
彼ならやってくれるさ・・・!(なにを
たぶん、大手周り、ループってとこだと思いますけど、
それじゃ面白みもなんともないしなあ・・w
>>690=679
またまたありがとおです。
>予想 まー、その展開も考えないでもなかったんですよ。
一応、10レス目の時のイメージ描写は合宿の残りの日程を
サイレント形式で送る感じなんですよね。
夏の状況が三歩進んで二歩下がる状態だったから、
結構元に戻るまで時間がかかりそうだなって思ったんですよねえ。
で、じゃあ冬コミでいいじゃんという安易な発想へ・・・。
中島に関しては、きそうじゃないですか。
サークル名とかわかっちゃったんだし。
来る事を前提で考えて、っていう発想だったモンで。
で、あまり殺伐としないよう気をつけて書き上げたという・・・。
休憩時間終わりだ!残りにもレス付けたいんで、またあとで!
少し時間ができた。
>>691 読んでいただいてありがとうございます。
中島はあとがきで書いてあるよう実力行為も考えました。
でも、げんしけんのメンバーは別に正義の味方じゃねーしなーってことで。
そこまでするとなんか彼らの本質が変わっちゃいそうだなーって。
所詮、ちょっとかっこいいオタクたちですから。彼らは。そこがいいんですけどね。
>>695 ありがとうございます。
>笹原の過去
彼の過去には何かありそうだと思ってるのは少数派かもしれませんね。
でも、隠れていた以上、何かオタクかっこ悪い的な事件には遭遇してそうな気がしたんですよ。
そういうわけで、ああいう事にしてみました。
>ケータイの電源切ってるネタ
これは最後に何も考えずにすらっと書いてしまったネタだったんですが、
今思うと良く考え付いたなって。自画自賛ぽいんですが、本当に思います。
感想へのレスはこの辺にします。
長い物を呼んでくださった皆さん本当にありがとうw今後も妄想が出るたびに書こうかと思います。
うー
長編SSに触発されて俺もSS書いてみました。
長編SSの影響受けてるんで多分ネタかぶったりするかもしれないし、携帯で打ったので本当に拙い駄文ですが……
715 :
(1/3):2005/11/27(日) 23:42:05 ID:???
客「これください」
荻「あ、ありがとうございました!」
笹「……ということはアレですか?」
荻「……アレですかね……」
笹「ささ、先生の口から!」
荻「あ……えっと……か、完売しましたー!」
隣の店から拍手が起こる
荻「あ、どうもアリガトウゴザイマス……」
笹「どーですか、完売した気持ちは?」
荻「いやー……ちょっとまだ自分でも……ああ」
笹「よかった完売できて! うん、俺もホントに感動してきた!」
極上の笑顔を見せる笹原
あのときはこの笑顔から逃げてしまったが、今は――――
―――わかったんだ―――この人なら―――いや、この人じゃなきゃダメなんだって―――
荻「はい!」
あのときから一度も見せることのなかった、心の底からの笑顔を見せる荻上
716 :
(2/3):2005/11/27(日) 23:44:36 ID:???
コミフェスも終わりビッグサイトの外は真っ暗
そんな冬空の下、ベンチに腰掛ける笹荻
笹「今回は在庫無いから荷物が軽くてよかったね」
荻「大野先輩達、完売した後ちょっと来てさっさと帰っちゃいましたね」
笹「片付け手伝ってくれたらよかったのにね」
荻「アハハ」
笹「……今回のコミフェスどうだった?」
荻「……そうですね……まぁ昔の事とかいろいろありましたけど…………あのときの先輩かっこよかったですよ……」
赤面して、うつむき、暖かい缶コーヒーをすする荻上
あのときとは、笹原が荻上をかばい毅然とした態度で中島を追い払ったとき
笹「あ、ああアレね……ほら荻上さん嫌がってたし……とっさにあんな事言っちゃったけど……」
あんな事とは、彼氏でもないのに口を挟むなという中島に対し「彼氏だよ」と言った事
荻「……………」
笹「あ、別に気にしないでね! ホラ、売り言葉に買い言」
荻「……先輩」
笹「え?」
荻上の中でもう覚悟は決まっていた
717 :
(3/3):2005/11/27(日) 23:46:39 ID:???
荻「……私……私の趣味……理解はできないけどそれも含めて私だ、って言ってくれたじゃないですか」
笹「うん」
荻「それは……その‥‥私のこと……なんつーか……」
笹「好きだよ」
荻「え?」
笹「荻上さんも、荻上さんの描く漫画も、荻上さんの趣味も過去も それを含めて今の荻上さんが好きなんだ」
荻「…………」
茫然と笹原を見つめる荻上
荻「……私……先輩でホモネタ妄想しちゃいますよ……?」
笹「いいよ!」
荻「……私……スタイルも良くないし……窓から飛び降りるし……素直じゃないし……」
笹「いいよ! だから、もしも荻上さんがよければ……俺と付き合ってほしいんだ!」
荻「……よかったァ……」
笹「ど、どうしたの?」
何か重荷がとれたかのように笹原の肩に寄り掛かる荻上
荻「……ずっと……恐かったんです……私の本見て私のこと気持ち悪いとか思ってんじゃないかって」
笹「荻上さん……」
顔をあげる荻上
荻「……あの……迷惑ばっかかけちまうと思うけんど……よろしくお願いします……」
荻上を抱き締める笹原
荻「あ……え……」
笹「うん、よろしくね!」
718 :
あとがき:2005/11/27(日) 23:51:14 ID:???
やっぱり読んだSSの影響受けすぎですね。
初投稿なんですが、何レスにも渡る長編を書ける職人様には本当に頭が上がりません。身に染みて分かりました。
携帯からだと時間はかかるわ打ち間違いを校正できないわで効率悪すぎですね。
自分でも何打ってるのか把握できなくなりました。
チカレタ
>>714-
>>718 こんなの携帯で打ったら腱鞘炎になりそうだ。
GJというより乙。
>>714-
>>718 乙。がんばれ。
自分もたまにネタを携帯のメモ帳に入れる。
SS神いつもどなたか乙です
作者がこのスレに、没にしたネタを書き込んでるのではないかと行ってみるテスト
>>722 ああ、童話パロの事か。
たしかに、出来が良かったな。
724 :
722:2005/11/28(月) 04:54:41 ID:???
>>723 いや、単純にみんな出来イイから。
梶神が没にしたけど人に聞かせたいとか思って書いてたらワロスだというだけ。
>>724 ごめん、冗談のつもりで言ったんだが。
童話パロは面白かったけど、本編で出てくることはまず無いからさ。
没なのに何で童話パロなんだよ!っていう突込みがほしかったのだ。
>>639〜678
ごっつえがった!GJ!
げんしけんを最近知ってはまった漏れは、文字バレ見てるような感覚っす!
ありがたや〜
>>715〜717
これもえがった^^ GJ! どつかれさん
727 :
木尾:2005/11/28(月) 09:40:46 ID:???
728 :
木尾:2005/11/28(月) 09:42:43 ID:???
729 :
木尾:2005/11/28(月) 09:43:41 ID:???
730 :
木尾:2005/11/28(月) 09:44:18 ID:???
731 :
マロン名無しさん:2005/11/28(月) 09:54:43 ID:wTRp2l4H
うわ、本人たちキター!
久我山は34才くらいの時に自分と同じようなピザデブオタ女と見合い結婚
3人の子供達も丸々と肥えたピザデブオタに育ち、それなりに幸せに暮らしました。
でもげんしけんの皆とはちょっと疎遠になりました。
彼らが家を訪ねてくるたびに、子供達が両親を比較するからです。
「どうしてパパは漫画家にならなかったの?」と、
かわいい子供に哀しい目で言われた時は死にたくなりました。
長男がどうやらなかなかの絵師になりそうなのが唯一の楽しみです。
でも最近彼は父親を馬鹿にするようになりました…
続かない。
>>732 クガピーにも救済をしたい。
彼女ができる話でも書きたいけど、
どんな子が合うのかわからない
っていうか面白くなるのかもわからない
>>733 タイトル 「ぷーちゃんと呼ばないで」
完
>>718 ごっつう乙。GJ!!腱鞘炎には入浴剤入りの風呂に入って
養生してください。
読んでて顔が真っ赤になるいい展開。俺、内面心理とか内面描写とか
四年生、五年生っぽいのしか、今書けない状態だから何か羨ましい。
もろ暗黒キオリズムの影響受けそうだからまだ人の話だけで四年生
五年生はまだ読んでないけど。また童話に逃げようかな・・・。
咲と斑目によってベロンベロンに酔わされる笹原
咲「じゃー笹やんちょっと立って」
笹「え……ちょ、ちょっと」
笹原の背中を押してパーティー部屋に連れていく咲
ガラガラガラ
中には恵子と大野、そしてうつむいたままの荻上
咲「おーいおまえらー」
恵「あ、もう準備できたの?」
大「うーん……」
部屋を出る二人
咲「じゃあ笹やん入って〜」
笹原を部屋に押し込む咲
笹「え、なに? みんなで飲むんじゃないの?」
咲「じゃ頑張ってね〜」
そういって戸を閉める咲
咲「ふぅ……あとは笹原次第だね ていうか荻上なんでまだ泣いてんだよ! ハイにしとけって言っただろ!」
恵「だってさー、何話してもあの人ずっと独り言言ってんだぜ 『私が悪い……私が……』って」
大「まぁ逆にあの状態の方がいいのかもしれませんしね でも……心配だなぁ」
笹「荻上さんどうしたの?」
荻「私が……あんなことしなきゃ巻田くんは……」
泣きながら独り言を話す荻上
笹「荻上さん!」
荻上の両肩を手をかけ顔のぞきこむ笹原
荻「…………ひっ!!?」
間近に迫っている笹原の顔に正気を取り戻す荻上
笹「どうしたの、元気ないね?」
荻「……あ……えっと」
服の袖で涙を拭う荻上
荻「あ、あれ? 春日部先輩たちは?」
笹「んー……さっきみんな外に出ちゃって……なぜか俺がここに入れられて…… それよりホラもっと飲もうよ!」
缶チューハイを差し出す笹原
荻「(笹原さんって酔うとこうなるんだ……) あ、ありがとうございます」
………………………
荻「そうなんですよ! 妹さんのあの態度なんとかならないんですか!」
酒を入れ直して再び饒舌になる荻上
笹「……でもよかったー……荻上さん、喋ってくれて!」
荻「えっ?………あ………」
もう接しないと決めたはずの笹原と会話していることに気付き恥ずかしくなる荻上
笹「ずっと心配だったんだよ……もしかして嫌われるようなこと何か俺やっちゃったのかなーって」
荻「そ、そんなことないですよ!………先輩のせいじゃなくて……ていうか私が……」
笹「え?」
荻「夏コミんとき……」
同人誌を見られたこと、そしてそれで気持ち悪がられてるんじゃないかと不安だったことを話す荻上
笹「
こっから先の展開が上手く書けないんだよなぁ・・・
おいおい、寸止めなのか!
頼む、がんばって続きを!
どういう話をしたいのか、どいうエピソードを入れたいのか
大まかに計画してから書くとかでもいいから!
741 :
626:2005/11/29(火) 01:49:24 ID:???
SSのSをサイドでは無くショートだと思い込んでた無知な書き手が来ましたよ
以下亀レスながら
>>639-678 俺も自作が30レス位掛かると思ってとんでもない文量とか書いたが
本当に39レス行くとは恐れ入った… 大変触発されました 感謝!
最後のくっついたとは思えぬ初々しさがとても"らしく"て良かったです
超大作GJでした! こっちは違う路線で頑張ってみます
>>715-717 とにかく乙です 携帯から打ち込むその心意気に乾杯
時間無いとか言ってないでそん位せんとな、俺もマダマダだ…
今後にも期待っす
何だかアレですね、本スレや荻スレで色んな感想に目を通したり
諸氏のSSを読んでると色んな可能性が頭の中を駆け巡って収集がつかぬ…
最初の妄想は何処へやらって感じで180度路線が変わってますがとりあえず書き始めますた
巻田と中島を出さずにどこまで収集つけられるかどうか挑戦してみます
>>639-677 GJ。グッドじゃなくて、グレートジョブね。
俺は、可能だたら、笹ヤンと一緒に巻田に会いに行くオギーの話書きたいな
>>741 >>639です。
感想感謝。
そう、スレの感想とか見てると、いろんな意見や自分の意見との違いに驚く。
その上で好きな内容は使わせてもらって、違うな、っていうのは省いていきました。
もうね、人の意見を聞くことがすっごく面白かった。
それはともかく、期待してwktkで待ってますw頑張ってくださいw
744 :
743:2005/11/29(火) 02:04:47 ID:???
>>742 感謝感謝。
それもwktkで待ってますw
いつまでもまつわ
たとえあなたが振り向いてくれなくても
待つわ〜 (待つわ) いつまでもま〜つ〜わ
748 :
626:2005/11/30(水) 02:11:14 ID:???
かわいいふりしてあの子 わりとやるもんだねと〜 (>中島)
さて書き終えた
レス数は見積もったところ23程度
書いてる最中は楽しくて仕方無かったですが
実際どうかは読んで判断して頂ければ幸い
勢いが大事かと思ったので推敲が甘い点があるかと思います
ご了承の程を
それではどうぞ
=====回想=====
笹原 「どうですか先生! 売れましたけど!」
荻上 「い いやあ〜〜何といいますか…」
初めて自分の同人誌が売れた瞬間。
感想を求められて、ろくに纏まりもしない感情を伝える。
荻上 「これは…予想以上に…」
笹原 「うん!」
荻上 「………」
…どうしてこの人は、こんなにも嬉しそうな顔をしてくれるのだろう。
笹原 「ん?」
ふと、笑顔の先にある視線に気付き、荻上は振り返った。
中島 「荻上!?」
荻上 「…………!」
中島 「アーやっぱ荻上だー! こげんトコで会うなんてねー」
五年振りに再会した旧友は、笑顔で荻上の同人誌に手を伸ばした。
中島 「スゴー!! まだ描いてたんだーーー!」
荻上 「えっ……」
荻上は、胸が軽く引っ掻かれるような感覚に襲われた。
最後に感じたのは何時だったか、忘れかけていたどす黒い感情が再び荻上を覆う。
中島 「まいいや 同人誌貰ってくね、あんがと! ほんだら元気で!」
荻上 「ちょっ、待っ…それ…どういう……」
言葉に含まれている意味に薄々気付きながらも、恐怖からかそれを確かめることが出来ない。
その場に呆然と立ち尽くす。
スー 「Excuse me.」
そんな荻上の前に現れた来客は、
スー 「さいん please.」
そう言いながらあどけない顔で、ハードコアな場面を作者の前に開いた。
当然隣りの笹原にも見られているだろう。
荻上 「……!!…ちょ…っ、…さ、笹原さん見ないで…」
巻田 「……………」
振り返ると、そこには笹原ではなく、かつての初恋の相手がいた。
スーが持つ本の場面に釘付けである。
荻上 「ひぇっ!?何で、巻田、く…」
巻田 「…………………………」
本から視線を反らさない巻田。慌ててスーの持つ本を閉じさせる。
無常にも表紙には、「巻田君総受化計画」の文字が並んでいた。
荻上 「……………!☆◎※#@!!……あ…ぁあ…」
脳が一瞬にして沸騰する。声にならない声。巻田の顔などとても見れたものではない。
荻上 「ごめっ…ごめ…な…!!すっ!!……ひっ…っく…」
闇の中に自分のすすり泣く声だけが響く。自分の泣き声で目が覚めた。
荻上 「……… …夢か……」
合宿初日、深夜2時の出来事である。
=====軽井沢・午前9時・合宿所・作戦会議=====
大野 「斑目さん」
斑目 「うおっっ!」
マスクド大野のドスが効いた声に驚かされる斑目。
ただ今午前9時。合宿所に残っているのは現在大野と斑目だけだ。
大野 「昨晩はどうでした?」
斑目 「ああ…笹原の方は間違いないみたいだけど」
大野 「そんなのはもう分かりきってますよ!…告白する様仕向けられましたか?」
斑目 「いや…」
大野 「あーうー!!もー!!何やってたんですかぁ!!」
斑目 「…」
大野の鋭い眼光から目を逸らしつつ、斑目は昨夜の光景を思い出す。
=====合宿初日・男だらけの呑み会パーティー=====
斑目 「そーいや…」
笹原 「ハイ?」
斑目 「…こないだのコミフェス…」
斑目 「荻上さんと二人っきりだったらしーじゃん?」
笹原 「え、えぇまぁ…」
斑目 「どーなん?」
笹原 「ど、どうって…」
斑目 「…それとなく気になっちゃったりしちゃったりしてんの?」
笹原 「そ…そうっすね… って……い、いや、止めましょうよ!
どーしたんすか今日?」
斑目 「いや、…笹原君に恋愛フラグでも立ったりしなかったのかねって
思ったんだがのう…」
笹原 「…ギャルゲーじゃないんすから…」
笹原 「何か一番予想外のセリフっていうか…どうしたんすか?」
斑目 「い、いや、別に…」
笹原 「…もしや斑目さん好きな人でもいるとか……」
斑目 「………(汗」
笹原 「…あ…もしや…図星っすか?」
何で自分が追求されてるのであろうか。
立場が一瞬で逆転し窮地に陥る斑目。
斑目 「俺なんか……か…か…」
笹原 「?」
…ここでもし玉砕覚悟の告白をすれば、笹原を焚きつけるフラグが成立するかもしれない。
しかしそれは今までのコースから外れることを意味する。そして一度進んでしまえば、後戻りは出来ない。
…………
斑目 「……か…彼女なんか持ったらオタクやってられるかっ!!」
笹原 「…はぁ…??」
斑目 「我々一般のオタクは、高坂とは違うのだよ、高坂とは!」
笹原 「…まー高坂くんは特別ですからねー」
斑目 「…ザクとは微妙に意味合いが違うのが悲しいがのぅ」
笹斑 『ハハハハハー』
=====軽井沢・午前9時・合宿所・作戦会議=====
斑目 (すまん笹原…俺にゃー無理だ…)
斑目は後輩への懺悔と共に、己のヘタレ具合に深い溜め息を吐いた。
斑目 「…そっちの方はどうなん?」
大野 「それが…昨日トラウマは判明したんですけど…アレ以来元気が無くて…」
斑目 「…そー…」
斑目 「どうしたものかねぇ…」
大野 「そんな呑気なこと言ってる場合ですか!!今夜しか無いんですよ!?」
斑目 (…何かいつになく鬼気迫るものが…)
大野 「…かくなる上はっ…!!」
=====軽井沢・午前10時=====
恵子 「何でアタシまで迎えに行かなくちゃいけねーのよ〜…」
笹原 「ダァホ!…お前野晒しにしてこれ以上借金されちゃ堪らんからな…」
恵子 「…サイアク〜…」
咲は深い眠りから蘇った高坂と何処かへお出かけ。
特にすることもない残りの者は、散歩がてら、本日合流する田中を迎えに行く途中であった。
面子は笹原、恵子、朽木、荻上の四人。
朽木は既に暴走、先頭をひた走る。尤も誰も追い付こうとしないが。
笹原は横目で荻上の様子を伺う。朝食から一言も喋っていない。
いつもより輪をかけて沈黙を貫く。心なしか視線も落ち込んでいる。
笹原 「…大丈夫?」
荻上 「…え?」
笹原 「何だか元気ないみたいだけど…」
荻上 「イエ…何でも……。…スイマセン、大丈夫です…」
笹原 「あ、荻上さ…」
笹原を避けるように足を速める荻上。心配ながらも何もできない笹原。
そんな兄を後ろから伺う妹。
恵子 (…ちょっと…兄貴にゃ荷が重すぎっか…?)
昨日の部屋で見た荻上の涙を思い出しつつ、頼りない兄を見つめる。
恵子 (…こりゃダメかもね……)
=====軽井沢・午後7時・バーベキュー大会=====
夕食は合宿所のテラスでバーベキューと相成った。
田中が遅れて来た御詫びにと、ドッサリ良質のバーベキューセットを持ってきた為だ。
皆が夕食の準備を進めている間に、参謀・大野が練り上げた笹荻成就作戦を部員へ伝達しに回る。
大野 「いいですか?それとなく一人ずつその場から離れて下さいね!!」
咲 「…ちょっと強引過ぎるんじゃねーの?」
大野 「だ・か・ら! ばれない様に"それとなく"離れるんですよ!
もう今夜のうちにケリを着けないと…」
田中 「せっかく良い肉持って来たんだけどな…」
大野 「…肉と笹荻どっちが大事ですか!?」
田中 「ハイ、スミマセン」
咲 (…なっさけね〜な〜田中…)
かくして笹荻成就作戦は開始された。
斑目はトイレ、朽木は皿洗い、女性陣は料理の下ごしらえ等、
ありとあらゆる方便を駆使し笹荻網を囲い込む。
田中などは良案が思いつかず、準備した金網をワザとらしく地面に落とし
「再び洗ってくる」などといった愚行をやってのけた。
その後残された男女が二人。
色々ありながらも、二人きりの状況は夏のコミフェス以来だ。
開きかけていた距離を埋める絶好の機会である。
先程の騒がしさとは一転した気まずさからか、荻上は重い口を開いた。
荻上 「あの…今更ですけど…就職おめでとうゴザイマス」
笹原 「あ、うん…アリガトウございます」
笹原 「今朝の…体調大丈夫?」
荻上 「あ、ええ…精神的なものですから…」
笹荻 『…………』
大した会話も出来ず言葉に詰まる二人。
ああ、あれだけ淀みなく会話を弾ませていたのが遠い過去のようだ。
笹原 「…みんな何処いっちゃったんだろうね…」
荻上 「…………」
ココまで露骨であれば嫌でも不自然な状況に気付く。
苛立ちを隠せない荻上。
突然立ち上がり、岩陰の裏に歩み寄る。
荻上 「…そんな所で隠れて何やってるんですかっ!!」
一同 「あ…いや…その…」
氷のような冷たい視線を一同に浴びせながら、荻上は踵を返す。
大野 「ま、待ってくださいよ、荻上さ…」
荻上 「いちいち構わないで下さい!!」
大野 「だ、だって…荻上さん達が何時まで経っても埒があかないから…」
荻上 「それが余計なお世話だって言ってるんです!!
…親切心でやってるんでしょうが、…私には辛いだけです!!」
大野 「えっ…!?」
大野は荻上の目が潤んでいるのに気付いた。
昨夜見た、自己嫌悪に満ち溢れた表情だ。
まずい。これでは笹荻どころではない。
荻上 「私なんか…同人趣味だって、あんな事しときながら何度辞めようと思っても、
辞められない様な最低の女なんです!もう放っといて下さい…!」
大野 「そんな…」
堪りにたまった自己嫌悪が爆発したのだろう。自暴自棄になっている。
全てを諦めた口調で、周りに八つ当たるよう荻上はわめき散らす。
笹原 「え…?辞めようって、何の話…?」
荻上 「どうせ笹原さんだって、私の本性知ったらっ…ドン引きに決まってます!!」
何の事情も知らない笹原にも、荻上は構わず切先を向ける。
とにかく荻上に自分を取り戻させなくてはと、笹原も臆せず話し続ける。
笹原 「ちょ…落ち着いてよ、荻上さん!…そんなことないって…!」
荻上 「そんなことあります!!まちげーねーですっ!!…わたす…わだずっ…」
あくまで冷静を努める笹原の態度が逆に荻上には不快だった。優しさが自分を傷つける。
いやこんなのは子供の我侭だ。そんなことは分かっている。知るか、もうどうとでもなれ。
これさえ言ってしまえば誰だって私に愛想をつかすに違いない。これで終わりだ。
荻上はついに切り札を放った。
荻上 「笹原さん攻と斑目さん受で、ホモネタ考えるような女なんですよっ!!」
沈黙。
斑目 「………………(汗」
田中 「…あ、固まってる」
咲 (…あの絵ってもしや………このムスメは…)
恵子 (…まだ懲りてねーんかい…)
咲の脳裏に会室で見た笹斑絵が蘇ってきた。
こんな場所で本来の意味を知ることになるとは思わなかっただろう。
恵子はドン引きである。
笹原 「い、いや荻上さん、だからって…別に…ねぇ…」
荻上 「ホラァ…、口ではそんな事言ったって…、っ引いてるでねすかっ!!」
いかん。ここで引き下がっては自分の負けだ。
荻上が殻に閉じこもってしまう。
考えろ、考えるんだ、笹原完二。
笹原 「お…、」
熱暴走した頭で考え抜いた笹原の言葉は、荻上の殻を打ち破るには十分な破壊力だった。
笹原 「…俺だって荻上さんのコスプレで抜いてるんだよ!!」
さらに沈黙。
咲 「…笹ヤン、…それは…チョッと…」
恵子 「アニキ…それサイアク…」
時よ止まれ。ドン引きなのはもはや恵子だけではない。
集団の目の前でオカズにしていることをカミングアウトされた
筆頭の女子は、頬をまるで燃え盛る木炭のように真っ赤にして言い放った。
荻上 「サッ… …サイテーですっ!!!」
笹原 「い、いや…そういう意味じゃなくて…」
荻上 「他にどういう意味があるんデスカッ!!!」
笹原 「いや、その、その位カワイイコスプレだったなって…」
荻上 「だっ…だからってそんなこと女子の前で言わないで下さい!!
まったく兄妹そろってヤル事しか考えてないんですか!?」
高坂 「それはちがうよ荻上さん」
荻上 「はい!?」
高坂 「セックスとオナニーは別物だもの!」
三度目の沈黙。
まるで「ご飯とケーキは別腹だもの」とでも言わんとする少女のように
曇りの無い笑顔で言う高坂真琴に、反論できる者が果たして居るだろうか
(いや居ない)。
高坂 「僕も咲ちゃんと付き合い始めてからせめて同人誌だけは
やめようかと思ったけどすぐ無理だと分かったしね!」
咲 「コ、、、コ〜サカ〜… (泣」
高坂 「それはそれ、これはこれ! ですよね田中さん?」
田中 「え!?、あ、そ、そう、ね…」
大野 「ちょっ、…田中さんッッ!!」
朽木 「いやぁ〜オタクって本当に困ったモノですね」
全員 『『 お前が言うな!! 』』
水野晴○のマネをすかさず突っ込まれた朽木はその場でイジケしゃがみ込む。
さぞかしお笑い芸人としては本望であろう。
荻上 「と、とにかく…笹原さんも結局そこら辺のヤラしいオタクと一緒じゃないですかっ!」
笹原 「お…荻上さんだって同人誌作ってまで…俺等と変わんないって!!
大体オタクが人にどう思われようが知らないだろ!?」
落ち着かせようとした相手に面と向かってイヤラシイと罵られ(自業自得だが)、
矛先をその相手へと向ける笹原。
荻上 「良くそーいった恥ずかしいことが言えますね!!」
笹原 「かっ…覚悟が足りないんだよ!!荻上さんはっ!!」
荻上 「………ッッ!!」
笹原は荻上にするどい言葉を投げかけた!
痛恨の一撃!
恵子 (そこまで言えんならとっとと告っちまえよ…)
そんな兄へ無言の突っ込みを入れる妹。
笹原 「イヤラしかろうが仕方ないじゃん!俺達どうせオタクなんだから!!」
荻上 「覚悟なんてそんな事言えるんですか!?
…もうこうなったらトコトン言わせて貰いますけどね!!」
そういってヤケになり、テーブルの上にある酒を瓶ごとかっくらう荻上。
大野 「ああッ!!お、荻上さん、駄目ですよ、そのお酒…!」
荻上 「…ぷはっ!!大体去年のコミフェスの時だって…」
大野 「50度の白酒…」
荻上 「久我山さんの…。。。 。うっ…っっ…ぅぷっ…!!!」
…その後の事は、あまり荻上は良く覚えていない。
一気に胃の中が燃やされるような強い酒気だけが記憶にある。
その場にすぐに倒れこんだ、と後から聞かされた。
虚ろな意識の中で、自分の名前を呼ぶ声と、ついさっき迄
言い争っていた人の腕に連れられて、トイレで吐き続けた気がする。
今までの自分の醜い感情も一緒に吐き出しながら、
荻上の意識はその場で徐々に遠のいていった。
=====軽井沢・深夜3時・寒空の下=====
朦朧とした意識のまま、目が覚める。周りは真っ暗だ。
もしかしてさっきのは夢だろうか。
横に目をやると、笹原がうつら…と舟を漕いでいた。
頭には濡れタオル。どうやら夢ではなかったらしい。
笹原が目を覚まして、荻上の様子に気付く。
笹原 「…あの…ちょ、調子の…具合の方…。…大丈夫?」
荻上 「…だいぶ…」
荻上 「…ちょっとまだ火照り気味っすけど…」
笹原 「…外の空気にでも…当たってこない?」
荻上 「…そーっすね…」
重い体を起こし、笹原の手を取りながら立ち上がる。
近くに投げてあった防寒着を羽織って、夜の冷たい風を求め、外へ出た。
笹原 「…うわぁ…」
荻上 「…スゴ…」
空一面に散らばる星の光。
思いがけない軽井沢の夜空に、二人とも思わず声を漏らした。
荻上 「ウチも田舎の方っすけど… ここまでの星空見た事ないっすよ…」
笹原 「…凄いね」
お互いに、先程の毒気はもう残っていない。
星空に見蕩れて言葉をのむ二人の静寂を破ったのは笹原の方だった。
笹原 「…あの…荻上さん…」
荻上 「……あ、……はい……」
笹原 「さっきの…未だ覚えてる?」
荻上 「サイテーっすね…」
笹原 「…ハハ…ゴメンね…ホントに…」
荻上 「あ、いやそんなつもりじゃ…ねくて…」
笹原 「朽木くんのこと恥知らずなんて言えたもんじゃ無いよね」
荻上 「じゃなくて…自分も…サイテーだったっつーか…」
笹原 「いや…確かに…あの絡みは、ちょっとビックリしたけど…」
荻上 「…やっぱり…」
笹原 「…仕方ないじゃん、趣味好みの違いはあるし…
…大野さんのオヤジ趣味とか…みんなバラバラでしょ…?」
荻上 「…まあ確かに…」
笹原 「少し位引いちゃっても…まあ大目に見て欲しいな、なんて…
…別に描くなって訳じゃ全然ないし…」
荻上 「いえ……大目にみて頂くのは…寧ろコチラの方で…」
笹原 「それと…絵、辞めるとか言ってたけど…」
荻上 「…あ…」
笹原 「そんな…無理して辞める必要も…ないんじゃない?」
荻上 「…いや……でも…」
笹原 「ほら、俺だってオタ趣味は辞められないけど…
結局自分の好きなモノに忠実で無いと…
…自分を否定することになっちゃうだろうし…」
荻上 「………」
笹原 「荻上さんだって…描かなくなって…自分を否定するより…。
…描き続けたほうが、良いんじゃないかな、なんて…」
荻上 「…ですかね…」
笹原 「…うん」
荻上 「……」
笹原 「…ここまでやってきちゃったら、今更引き返せないっしょ…」
荻上 「かも知んないっすね…」
笹原 「…三つ子の魂百までって言うし…」
荻上 「…前も言ってましたね、それ」
笹荻 『…ハハッ…』
軽い笑い声を交わしたあと、再び静寂が訪れる。
笹原は続けた。
笹原 「…あと、恥知らずのついでに言うんだけど…」
荻上 「いや、スミマセンでした…」
笹原 「付き合ってくれない…?…かな……」
荻上 「はぁ…。…え?…!!」
荻上 「…………!!…へ…!?…」
笹原 「いや、その…あそこまで言っておいて、もう何でもアリかな、って…」
荻上 「……あっ……」
笹原 「いや、でもいい加減な気持ちでは!決して無いよ!ウン、ほら」
荻上 「………」
笹原 「何だか…最近その、荻上さんのことばっか、…頭から離れないっていうか…」
荻上 「…それって私の…」
笹原 「いや切っ掛けはコスプレだったけど…。それだけじゃなくって…」
荻上 「…………」
笹原 「あんなこと言った後で全然説得力ないけど…」
荻上 「………」
笹原 「もっと荻上さんと、こう…一緒にいたいな、っていうか…」
荻上 「わ、私…。…腐女子っすよ?」
笹原 「や、その…俺だって、オタクだし…」
笹原 「そ、その、荻上さんさえ、良ければ、の話だけど…。」
荻上 「先輩も……モノ好きっすね…」
笹原 「…ハハッ」
笹原 「…ダメかな?…」
荻上 「い、イエ…その…」
荻上 「…し、しばらく、みんなに…黙ってんなら」
恵子 (…バレバレだっつーの)
大野 (シーーッ!!)
夜の静寂に響くヒソヒソ声に二人は振り返る。
そこには笹荻成就作戦実行委員会の面々。
当然今までの会話は筒抜けであろう。
恥ずかしさを吹っ切るように荻上は叫んだ。
荻上 「2回も盗み聴きだなんて、趣味悪いですよっっ!!」
咲 「ハハ、…でも聴かれたくないなら、せめてドア位閉めて外出してくれないかね?」
笹荻 『う…』
恵子 「スキマ風寒くてオチオチ寝てらんねーって…」
カシャッ
荻上 「…どっ…ドサクサに紛れて何撮ってるんですかッッ!!」
朽木 「いや〜なかなかお似合いのオタップルショットが撮れましたデスヨ!?」
大野 (ナイス朽木!!)
田中 (……オイオイ)
咲 「…ま、いーんじゃないの、もう昔のことは?」
荻上 「先輩…」
咲が昨晩の話を受けて、荻上に諭すよう語りかける。
咲 「振り返れば、私もアンタ等のお陰でどれだけ恥ずかしい思いをさせられたか!」
斑目 「…まあコスプレは春日部サンにも一因あるような…」
咲 「…あんだって?」
高坂 「でも可愛かったよ咲ちゃん」
咲 「……!」
高坂 「ですよね、斑目さん?」
斑目 「あ?う、うむ…ソーデスネ…はは…」
斑目 「…ま、辞めようと思って辞められれば苦労せんよ、荻上さん」
諦観を滲ませる口調で、二代目現視研会長は語る。
斑目 「…オタクなんて、気付いたらそうなってるものだからな」
高坂 「そーですね」
田中 「…久しぶりに聞いたなそのセリフ…」
笹原 「…ま…、みんなどうしようも無い、ってことで…」
荻上 「…デスネ…」
そう言葉を交わす二人を、笑顔で遠巻きに見つめる大野の姿に荻上は気付いた。
任務を遂行した充実感からか、それとも祝福の微笑みか。
荻上 「あ…」
先ほどの己の醜態を思い出し、気まずそうに大野に話しかける。
荻上 「大野先輩も…あの…スミマセン…」
大野 「別にイイですよ〜」
荻上 「いや、でも…ひでーこと言っちまって…本当に…」
大野 「!…じゃあ言う事聞いてくれますよね!?」
荻上 「…え」
大野 「コスプレしましょう!」
荻上 「アンタの頭の中にはそれしか無いんですか!!」
何はともあれ、一件落着した安堵感から、咲は苦笑しながら呟いた。
咲 「…全く面倒なイキモノだな、オタクってもんは!」
=====有明・冬コミフェス=====
笹原 「ゴメン!遅くなっちゃった…」
荻上 「長かったっすネ」
笹原 「いや〜高坂くんのメーカーのブースで話し込んじゃって…」
え、もしかしてもう売り切れちゃった!?」
荻上 「あ、ハイ…今ついさっき」
笹原 「…おめでとうゴザイマス!於木野先生」
荻上 「あ、いや…アリガトウございます」
笹原 「どうですか?完売達成のご感想は…」
荻上 「…いや〜…何つーか…非常に……感慨深いというか…」
笹原 「…一度味わっちゃうと…もう抜けられないよね」
荻上 「…そーっすね…」
荻上 「笹原さん」
笹原 「何?」
荻上 「私に足んないもの、分かりましたよ」
笹原 「…覚悟が?」
荻上 「覚悟が」
笹原 「…そっか」
荻上 「しかし…よく言ったモノですね」
笹原 「ん?」
荻上 「三つ子の魂…」
笹荻 『百までって?』
『…プッ…、…ハハハッ…!』
思いがけず同じ言葉を重ねたのが可笑しく、
その場で笑いあう二人。
荻上 「本当、どうしよーもねーなぁ…!」
笹原 「ホントにねー…あ、荻上さん…時間大丈夫?目当ての本売り切れないうちに…」
荻上 「あ、…じゃスミマセン、お願いします」
笹原 「うん、いってらっしゃい」
屈託無く笑えるようになった荻上の笑顔を焼き付けながら、
笹原は完売したブースから彼女の後姿を見送っていた。
斑目 「ウィーッス…差し入れ持ってきたぞって…え、もう完売?」
笹原 「あ、斑目さん…お疲れさまです」
斑目 「おめでとさん…って午前中で完売か…スゲーな…」
笹原 「まあ50部…久我山さん時の1/4ですからね」
斑目 「ちょっと表紙だけでも見たかったケドな」
笹原 「あ、でも何冊か残してるんで」
斑目 「あるんだ、…じゃ…拝見してもいいかね?」
笹原 「ええ、いいっすよ…もう彼女も、大丈夫なんで」
斑目 「どれ…」
パラパラと頁をめくりながら、斑目は最後の後書きに目を留めた。
やおいずきでもいいじゃない ふじょしですもの おきの
斑目 「荻上さんも…随分逞しくなったもんだのぅ、笹原…」
笹原 「…ハハ…登ってんのか堕ちてんのか…」
…巻田くん…ゴメンな…
…あんだけの事しでかしちまったけんど…
…やっぱし私には無理だ…辞めらんね…。
荻上 「…業が深いよナァ……」
諦観めいた苦笑いを浮かべながら呟き、
一人の同人作家が人ごみの中に溶け込んで行った。
=====オマケ・正月の笹原家にて=====
笹母 「先にあんた達食べときなさい」
笹恵 『いただきまーす…』
恵子 (…ニヤッ)
笹原 「…何だよ」
恵子 「別にー」
笹原 「…餅食ってる人の顔ジロジロ見んな!」
恵子 「ドコまで行ったん?」
笹原 「な…」
恵子 「やっぱオタクだとコスプレしながらヤッたりする訳?」
笹原 「ばっ…!声デケーっつの!!…親に聞こえたらどうすんだョ…!」
恵子 「別にいいじゃん!いや〜アニキが童貞捨てれるとは思わなかったな〜!」
笹原 「…まだ捨ててねーヨ」
恵子 「 ハ ァ ? 」
恵子 「サル一体あれから何ヶ月経ったと思ってんだよ!!」
笹原 「だから声デケーよボケ!!大体お前にゃ関係ねーだろっ!!」
恵子 「これ以上焦らすんじゃねーよ見てるほうもイライラするっつーの!!」
笹父 「うるせーぞ!兄妹喧嘩なら外でやってこい!!」
…以上となります
書きたいことは色々ありますがとりあえず寝ます
23レスとかほざいてましたが、どうみても25です
本当にありがとうございました
>>749-
>>773 GJ&乙〜。
いやはや、よくできていたと思いますw
自分的には
・笹荻は喧嘩しなさそう
・笹は荻コスで抜いてないと解釈
っていうのがあってこういうシーン自体が浮かんでこないんだけど、
読んでみるとなるほどなあ、こういうのもいいなあ、と思いました。
何はともあれ、いいものを読ませていただきましたw
776 :
マロン名無しさん:2005/11/30(水) 03:03:59 ID:PRjF3slH
はふぅ〜ん
GJ!
いやいや、荻ヌキは笹ヤンの最後の砦かと思ってたんですが
それをもって荻の砦を崩しましたねえ。
やっぱクガピいねえw
成長したクガピを切れた二人に絡めても変化球的に面白かったかも。
いやいや、乙です。
次回も楽しみだこりゃ。
>>749-773 超大作乙ー♪
笹と荻のぶっちゃけ喧嘩シーン、めっちゃ面白かったwww
周りのツッコミがいいね
>>749-
>>773 思わず泣いてしまいそうなGJっぷり!
とうとうコロニー落としを敢行した笹やん、2回も盗み聞きを見破られるげんしけんメンバー(初代が見たら嘆くだろうな)、適度にボケをかますクッチー、完全に八丁堀の中村さん夫婦化している大野・田中等、見所満載豪華絢爛幕の内状態。
お腹いっぱい通り越して腹壊しそう。
でも笹やん、何やってんだよ!
さっさとメガネかけてもらって押し倒しちまえ!
うはー欲望ロックGJ!!
>>746-773 乙!そして乙。
同じく、抜いてない派なのと、荻は元々笹を悪しからず想っていたけど
カップル化する事を周りに悟られる&介入を受ける事にもトラウマが掛かっていると
分析しているので、解釈は違うんだけど。
でも鬱コースと喧嘩なんかもしっかり描かれていて良作でした!
これでも良いかなと思うぐらい。
しかし書きたくなってきたな。
絵はもう10年描いてないから文章なら…っていうか
今月こそ脳内妄想が止まらん。
かいちゃえばいいじゃまいかw
>746-773
ん、欲望ロックGJ!!、楽しめた
個人的にはいままで出ていた44話後のSSの中では一番しっくりきた
笹原が荻上を全面的に受け止めるんじゃなくて、対抗してイタい発言したり?
ここらへん笹原が兄妹だから、思ったより結構すんなり受け止められた
そしてイケる手ごたえを確実に得たくせに、強く押しにいかない笹原も違和感なかた
こだわりがなければ同じようなクリオリティで別SSも頑張って欲しいなぁ。
GJ!!今起きて読んだとこ。皆さん朝早いね。夜更かししてんのかな。
田中ナサケナサス。まあ、お互い、ぶつかり合ってかっこ悪い頃さらけ出した
方がいいよね。合宿中にけりをつけた事と、笹原自力、荻上も自力で
業を受け容れ、トラウマを克服したところは最高!
個人的に巻田との再会を考えたが、色々人の意見を聞いているとそうは
思えなくなってきてたから、この方がしっくりする。
なんか起きたらもの凄い量の反応が貰えて嬉しい限りです
手が震えとる 皆さんありがとうゴザイマス
以下簡潔ながらお返事を
>>775 喧嘩は当初全く考えてなかったんですが 原案は
ttp://comic6.2ch.net/test/read.cgi/comic/1132947004/242 だったりします(専ブラ持ってない方すんまそん)
俺もVS中島話を書こうと思ってたらここのレス見て
一気に路線変更を余儀無くされました 242には足向けて寝れません
>>776 クガピも好きなんですが今回は何でココにいるの?
って感じになるので召喚出来ませんでした
就職してから書き所が難しくなってしまいましたよね
せめてもと思い無理矢理2箇所名前をねじ込んでます
>>777 ツッコミほめて貰えると浮かばれます
何もすることがない高速バスの中で4時間
部員のやり取りを妄想した甲斐がありました
>>778 泣いてしまいそうな感想どうもです
随分欲張りに色々詰め込んでしまった感がありますが
腹八分目程で美味しく召し上がって頂ければ
つ● とりあえず正露丸置いときます
>>779 thx! タイトルは転がってたサンボマスターの曲名より拝借
電車男のイメージのせいか アキバ系の内容でも余り違和感が無い様子
機会があれば御一聴あれ
>>780 周囲の介入にもトラウマが掛かっているのはあるかもしれませんね
思いの他、笹は荻で抜いてないよ派が多いのも印象的でした
モニターの向うに見出してオギニーするのか それとも
童貞だから気兼ねして抜くまで至らないのか 本当の所はGod only knows
>>781-782 だからこそ君にしか書けないSSがある筈だ 長嶋茂雄
>>783 笹原はやはりヘタレ攻がやっとかなあと思っとります
キャラの違和感がない様にするのが一番気を遣った部分なので感謝感激
一番書きたかったネタ(笹荻)なのと、手前味噌ながら珍しく納得の行く出来だったので
同じようなクリオリティは難しいかもしれませんが また何か書きたいとは思います
>>784 合宿中にけりを〜の下りを読んで、ああそうか、
笹荻強化合宿だったんだなあ、と書き終えてから気付く体たらく
周りのお節介もありながら、それだけでなくて結局は笹原・荻上が自力で克服する、
という様が上手く書けてればいいのですが そう言って頂けると感無量です
さ〜て 来月は一体どうなるのか… 待ちきれん
な〜んだ、エルビスの監獄ロックじゃないんかよ…
って年齢バレバレw
>>749-773 本スレで紹介されてたので読んでみました。
...GJ!さらにGJ!!ただただGJ!!!
読み始めは今さら夏コミの話?と思ってたんですが、
次第にはまっていき25レスという長さも感じないほど一気に読み終えました。
どのキャラもそれぞれ特徴がうまくでているなぁと思います。
特に高坂です。
彼は神キャラがゆえに下手に使うと本当にご都合キャラになってしまうため使いづらいと思うのですが、
話として違和感無くそれでいて高坂は高坂という表現のさじ加減が秀逸と感じました。
一つだけ細かいことを言わせてもらうと、
「舟を漕ぐ」という表現はオサーン臭いかと思いますw
最近の若いもんには分からないかもw
初めは合宿での話ということもあり、ボートに荻と笹ヤン二人きりというラブコメ光景が浮かびました。
ともあれお疲れさまでした。
またいい話浮かんだらお願いします。
790 :
木尾:2005/11/30(水) 18:30:05 ID:???
791 :
木尾:2005/11/30(水) 18:33:12 ID:???
792 :
木尾:2005/11/30(水) 19:07:03 ID:???
794 :
792木尾:2005/11/30(水) 19:11:36 ID:???
orz みんなスマン
795 :
木尾:2005/11/30(水) 19:14:59 ID:???
796 :
マロン名無しさん:2005/11/30(水) 19:15:54 ID:UGyk6qrm
うわ、本人たちキター!
798 :
マロン名無しさん:2005/11/30(水) 19:29:48 ID:PRjF3slH
これはまた面白い賛辞だな。
うおーーーー。
神キターーーー!!
801(σ・∀・)σゲッツ!!
>>801 荻「おめでとうございます。でも側に寄らないでくださいね。
女オタ嫌いですから、わたし。」
>802 そら、抱きしめてやるからこっちゃこい
>>802 こわくない・・こわくないよ。ホラ・・?
ッ!!
ほら・・ね?こわくない。怯えていただけなんだよね
このスレももう800越えかー。
立ち上げからいた身としては感慨深いものあり。
>>1さんですか、今更ながら乙です!
触発されてついに初SS作成中ですが、納得いく流れを練るのに
あと数日かかりそう…。
改めて出ている作品のクオリティに敬服。
>>807 ごめん、ちがうの。
いただけなの。
ごめん。
809 :
807:2005/12/01(木) 04:40:30 ID:???
>>808 早とちりすみません。しかしそれでは同志ですね!
発足当時から…いや発足前に本スレで議論が起きてる時からヲチってます。
そしてSSに初トライしたものの…
来月は田中登場でコスプレ合宿になるというのが本命予想
だけど(カラー映えも良いし)、コスプレ衣装で持ってこれる物で
なおかつ今の流行知識が不足していてリアリティ出なかったので断念。
別の線で明日以後考えます。あと20日以上有りますしね…。
>>809 ガンガレ!
おれは何本か投下済みのものだ。GJとか乙とかいわれるとそれだけでうれしいんだよねえ。
今流行といえば・・・。
エウレカ?TOHEART2?ローゼンメイデン?アカギ?(マテ)まだ種死もいけそうだが・・・。
しかしだ、田中さんの格言を思い出そうぜ!
「いいの!好きなのやるのが一番!」
好きなコスさせて脳内で萌えちゃえばいいんじゃないか?
別路線でもいい。ガンガッテクレ!
ありがとうございます!
溢れんばかりの萌えが必要なことがよくわかりました。
今、脳内はなんか分泌しまくりでえらいことになってますが
仕事もあるので(爆)明日以後ガンガリマス!!
>>788 亀ですが見てるかな? 本スレ確認しますた いや〜誰だか知らぬが 貼られた嬉しさと同時に恥かしさが…
高坂に言及して頂けるとは大変嬉しいっす アリガトウゴザイマス 高坂はハッキリ存在感を保ちつつ主役を喰わぬ様
サイド役だが居ないと味気ない そんなキャラだと思ってますが書けてるかどうか 梶さんは神です
あとご指摘感謝! 勉強になります そうかオサーン臭いか… 俺22なんだけどな orz
>>806 確か本スレ100記念にかこつけてその場の流れに乗じて立ったので果たして
続くかな〜とか思ってたんですが これだけ盛り上がって数々の力作が投稿されるとは
当時は思いもよりませんでしたな >>2-以降皆同志ですよ これからも共に精進しませう
>>807 同志!もう書こうとすると脳汁が溢れ出て大変ですよな アヒャヒャヒャ
ガンガッて下さい 期待しとります!
>812
あー本スレにはっつけたの私ですわ。44話後では一番しっくり言ってたおっさんです。
迷惑だったかい?ごめんなさい
>>813 >>812じゃないんですが、
恥ずかしさよりうれしさが勝ってると思いますよ。(゜ー゜)ニヤリ
俺も張られたときは恥ずかしかったけど、うれしかったなあ。
ちなみに39レスの長い方書いた野郎です。
しかし、
>>812さんとは年齢が近くて親近感が沸きますな。
とおもった23の冬。
>>813 SS書きたるもの誰でも出来るなら沢山の人に見て貰いたいつー欲はある訳で
本スレでは流石に荒しとなるのでわざわざこんなスレまで立ち上げてSSを書き
他の人に少しでも愉しんで貰えればいーなというさながら荻上の様な心境であり
あわよくばコレそれなりにいーんじゃないとリンクを貼ってもらえる位の作品を書ければ
いーなと下心抱きつつ書き上げた作品が実際にリンク貼られた際の喜びたるや
格別であり本当の処はこれ以上ない褒め言葉にモニターの前で小躍りしてた訳で
厭らしい謙遜でああいった文章になりましたがとどのつまりどう見ても照れ隠しです
本当にありがとうございました
>>814 書いてる我々が登場人物である彼等と同じ年代というのも奇妙な心境ですなぁ…w
816 :
マロン名無しさん:2005/12/01(木) 23:04:23 ID:3UyDLI8G
ずうずうしいけど、どういうのを書いて欲しいとかって希望をするのはアリですか?
ほんと感慨深いなあ。ここまで投稿が伸びて自立したスレになったのには。
どうなる事やらとハラハラしてたから。
アリアリ。
では、さっそく自分勝手な妄想を…
恵子と斑目話を希望デス。
なんかね、なぜか二人で行動するはめになって
後輩の妹にどう対処してイイかわからなくてアタフタする斑目。
恵子も普段あんまり話さないからはじめはさぐりさぐり。
でも、そのうち笹原の話で少し盛り上がると、恵子も少しずつ遠慮がなくなり、そのうち「姉さんのこと好きなんでしょ?」と直球。
ずけずけと入り込んでくる恵子に…
「斑目切ない」でも「アレ?なんであたしコイツのこと…」でもなんでもいいです。
この二人が見たいんです!
あー、オレ日本語ヤバス…orz
スルーぜんぜんオッケです。
なんか予想のつもりが、自分が納得したいダケの長文作ってしまいました。
これってオナニー?と思いつつ、載せてしまいます。すみません。
1回の投稿量って感覚的に区切るしか無いんでしょうか?
寝る前にお答えすると、目安としては大体25行くらいですかね。
後は重複しないよう落ち着いて投稿して貰えればOKかと思われます。
>>821 ありがとうございます!
では…たぶんざっと区切ってみて11レスぐらいですので。
次から。
823 :
1/11:2005/12/02(金) 02:22:06 ID:???
荻上『あいたた…昨日、飲み過ぎて…』
女子の寝室から出て、水を探す。
荻上『色々と喋りすぎ…。でも、やっぱり私は―――。』
笹原も起きていた。
荻上『・・・!』
笹原「おはよう、大丈夫?」
荻上「え…ええ、おはようゴザイマス」
ペットボトルの水をコップに注いで手渡す笹原。
荻上「ありがとうございます」
笹原「明日は一緒に全員で飲むみたいだけど、無理しないでね」
荻上「・・・ハイ。」
「・・・・・・・・・あ、遅れましたけど、就職おめでとうございました」
笹原「うん、ありがとう。漫画好きだから頑張れるよ」
いい笑顔の笹原。心なしか荻上と話せてる事を楽しんでるようだ。
しかしさっと顔をそらし移動していく荻上。
荻上「トイレ行ってきますので」
笹原「あ、うん、じゃあ…」
明らかに落ち込み顔で見送る笹原であった。
824 :
2/11:2005/12/02(金) 02:23:57 ID:???
荻上『やっぱり私、笹原さんの事―――。』
『でも、だからこそ、私は傷つけないように離れるしか…』
ロッジの外に出て、朝もやの中うつむき座り続けるしかなかった。
合宿2日目お昼前には、田中が合流した。
田中「よぉー。どう?楽しんでる?」
斑目「ん、まぁね。宅配で衣装、さっき受け取ったぜ。」
笹原「おはよーございます」
大野「お疲れ様です〜」ふふふ
皆、口々に挨拶を交わす。
田中はにこやかに玄関脇に着いた宅配の大箱を開け始める。
咲 「う…それは、ひょっとして(汗)」
大野「現視研の合宿ですから!コスプレ合宿ですよ!」
うっひゃ〜〜〜
全員冷や汗。
恵子「あ、でも興味あるー。アタシのも有るの?」
大野「モチロン!恵子さんにはコレ!」
笹原「おいおい」
なし崩しで全員着替えさせられる。
825 :
3/11:2005/12/02(金) 02:24:27 ID:???
春日部さんは抵抗するも、笑顔の高坂によって別室へ連行。
全員着替えるとなると荻上さんも空気を読んで着替える事になる。
田中「長物を全員分用意するの大変だったよ。」
と言いながら喜々としている。
ナムコの武器格闘ゲーム、ソウルキャリバーシリーズだ。
一同勢ぞろいでじゃれ合いや撮影開始になる。
春日部…ソフィーティア
高坂…セルバンテス
大野…ソン・ミナ
田中…アスタロス
恵子…タリム
笹原…御剣
荻上…シャンファ
斑目…吉光
朽木…ヴォルド
恵子「うわーアニキ、無理有る〜。」
春日部「斑目とクッチーはオチ要員だね(笑)」
斑目「くっそー切腹してりゃ良いのか?」
朽木「コーホー(リアルに喋れません!)」
なんだかんだ言いながらノリノリ。全員やってる事と
身内だけで屋内なのも奏功だろう。
斑目は笹原を、女性陣は荻上を、それぞれ隣に隣にと押しやり
ツーショット撮影など試みるが、荻上は頑ななまま時間は過ぎていった。
826 :
4/11:2005/12/02(金) 02:25:03 ID:???
終わって女子部屋で着替えながら
荻上「ちょっと皆さん、あからさま過ぎますよ!」
「余計なことはしないで下さい!」
小声ではあるが、例の固い表情の荻上。
恵子「アニキの事、嫌い?なわけ無いよね。」
「昨日の話聞いたけど、昔の男と兄貴は違うんだよ。」
荻上「違うことぐらい解ってます!」
「でも私は私を許せないんですよ!
一生801だけ書いて生きていくしか無いんです!」
恵子「好きなものを好きで居て良いじゃん!あたしだって
コーサカさん好きだし、同人誌も読み始めたし。
あんたも801好きで!兄貴にも素直になりなよ。
絶対、兄貴も気があるって。」
荻上「だったら尚更、私は離れるしかありません」
「絶対に、傷つけたくない人だから…」
最後のつぶやきは、しかししっかりと部屋の皆に聞こえた。
荻上「夜まで自由時間ですよね。昼食に出ます。」
部屋から出て行く荻上を追いかけたのは大野だった。
大野「荻上さん、わかりましたから。せっかくの合宿だし
一緒に出ましょ。ね?」
咲 「悪ぃな、あたしゃ高坂と出かけるわ。頼んだよ、大野。」
恵子「あ、あたしも―――。」
咲 「おめーは今日は駄目だ!」
827 :
5/11:2005/12/02(金) 02:25:25 ID:???
結局、田中・大野・荻上、高坂・咲、斑目・朽木・笹原兄妹、
という組み合わせでばらばらと出かけていった、げんしけんの面々。
湖畔の道を歩きながら、恵子が話しかけた。
恵子「兄貴、荻上さんの事、ちゃんとしなよ。」
笹原「ばっ、な、何言ってるんだよ。」
クッチーはヤバイ話になると急速離脱がお得意だ。
恵子「昨日、聞いたんだよ。あの子がああなった理由を。」
笹原「ストップ!それは聞かなくて良いよ。勝手に喋るもんじゃないだろ」
恵子「バカ!もう黙っちゃ居られないよ、兄貴!」
昼食を採りながら、ひとしきり昨夜の事を語ってしまう恵子。
笹原「そうか―――。」
恵子「可哀そうじゃない。あの子、このままじゃ…いつまで引きずれば良いのさ」
「兄貴もあの子も、見てて好きなの見え見えなのに。」
一瞬赤面する笹原だったが、真面目な顔になり
笹原「確かに好きだよ…でも、可哀そうっていうのはどうでも良いんだよ」
恵子「はぁ?ヒドくね?」
笹原「なんていうかな…確かになんとかしてあげたいけど、
俺が今、無理してアプローチしても、余計傷つくでしょ。
彼女の重荷を軽くしてあげたいのと、ずっと見守ってあげたいとは思うよ。」
恵子「…それじゃあ二人とも、平行線じゃん。そんなの納得いかない―――。」
斑目「まぁまぁ、確かに急いでもどうにもならないけど、好きな気持ちってさ
消そうと思っても消えない物でしょ?本物だったら。」
「今日、どうこうしようと結果を求めるもんじゃあ無いよ。」
828 :
6/11:2005/12/02(金) 02:26:36 ID:???
いつもは頼りない姿として恵子の目に映っていた斑目だったが、
今日のこの一言に説得力のある佇まいだった。
恵子「そう、か…。」
斑目「ただまぁ、もうちょっと喋れないと、今の状況は辛いなぁ。」
「ま、そういうわけだ、恵子ちゃん。皆にも、もうしばらくは
見守ってあげるように言っといて。」
笹原に苦笑を投げかけ、笹原も納得したようすで嘆息する。
その二人を眺めつつ、恵子も黙るしかなかった。
夕食は定番のバーベキューだ。
男連中は網や炭の準備だが、流石オタク、手際は悪い。
高坂と田中に任せる形になる。
女性陣は野菜を切っている。
恵子「昨日の話、兄貴に話しちゃったよ」
荻上「なっ!」
咲 「おいおい、お前…」
大野も咲も汗ダラダラ状態。
一瞬焦った荻上だが、諦めにもにた表情を浮かべ冷静になる。
荻上「笹原さんは優しいから、可哀そうとか言ってくれたんですか?
笹原さんを縛ったりしたくないですから―――。」
「前にも言いましたけど、私がオタクと―――。
いや、誰とも付き合うわけないじゃないですか!」
恵子「わかったよ、でも何にも話さないのなんてオカシイじゃん」
大野「そうですよ、全く会話が無いなんて、同じげんしけんなのに」
829 :
7/11:2005/12/02(金) 02:27:35 ID:???
荻上「そうですね、今後は腐女子全開で行きます。」
大野さんも恵子さんも、801話全開でいきますからね。」
大野・恵子「え、私たち(あたしら)も?」
荻上『笹原さんへの想いを吹っ切るんだ、もう―――。』
そしてバーベキュー&飲み会。
本当にカップリング話を繰り広げる女性陣…。
荻上「麦男×千尋が―――。」
恵子「えー、逆の方が萌えねぇ?」
笹原「はは…。」
斑目と田中、クッチーは二つある網のもう一方で半笑い。
笹原は、喋ってくれるようになった荻上に呼ばれてお隣だ。
さらに酒も時間も深くなり、室内に移動しても宴は続く。
完全にリミッター解除状態で全員黒目は白くなっている。もしくは渦巻き。
恵子「ねぇねぇ、今日気付いちゃったんだけど、身近な所でも
カップリング考えない?」
荻上「それは私に対する挑戦ですか!」
恵子「いやマジで!!斑目と兄貴って良くね??斑×笹萌えとか―――。」
荻上「それは逆だァ!」
大野「まあ普通は斑×笹でしょう」
荻上「解ってませんね!ちょっと待ってて下さい!」
スケッチブックを取りに行って、例の絵を披露してしまう。
荻上「ほらコレ!これが萌えるんですよ…これをこうして…」
ネクタイを引っ張る絡みを描き始める荻上。
830 :
8/11:2005/12/02(金) 02:28:49 ID:???
荻上「ほらー見てください!笹原さん!アハハハハハ」
「メガネ君受けじゃないと萌えないんですよ!」
荻上「もう高坂さんなんて魔王ですから!魔王!」
大野「あーそれは禿げ同。禿げサイコー!」
完全にヤケになっている荻上…。
しかしこういう合宿で泥酔すると定番なのが、脱走&徘徊だ。
トイレに行ったかに見えた荻上だが行方不明になる。携帯も置きっぱなし。
生き残った男性陣の斑目、笹原、田中で捜索開始。
高坂は体力低下と咲の絡み酒で、二人して撃沈していた。
意外にも第一発見者は斑目だった。けっこう遠くまで歩いて来ている。
少し距離を置き見守りながら笹原を携帯で呼ぶ。
斑目「なんか飲み会の時、話すようになったっていうより痛かったしさ」
笹原「ええ、落ち着かせて帰りますから」
ふらふらと歩く荻上を呼び止める笹原。
笹原「荻上さん!帰ろうよ」
荻上「あ、笹原さん。私、家に帰ってるんですよー。一緒に行きますか?」
笹原「え?ああ、そうだね、こっちの道だよ」
荻上「私の実家は山奥ですからねー。どんどん歩かないと」
完全に正体を失ってると判断した笹原は、話を合わせつつ帰路に誘導する。
荻上「えーもー引っ張らないで下さい!やらしいですねぇ。」
「って、私の方がエロエロですから!」
笹原「いやいや、俺の方がエロいってば・・・」
荻上「きゃー私、危ないですか、今?」
「なーんて、こんな腐女子ですから。安全ですよね、ごめんなさい」
笹原「まあまあ」
831 :
9/11:2005/12/02(金) 02:29:14 ID:???
荻上「極悪腐女子ですから!
笹原さんも夏に私の本見ちゃったから呪われてますよ!」
笹原「いいから。」
荻上「ハトよめですか?どんどん歩かないと。私の実家は山奥ですよー」
てくてくと歩く二人。
さらにしばらく歩く。酔いはすこし冷めてきたようだ。繰り返し発言は無くなった。
荻上『なんでこんな所歩いてるんだろう〜。
あれ?ロッジで飲んでたはずなのに〜。
それに笹原さんと二人で。キャーやばい!この背中…。』ドキドキ
意識は戻ったもののまだ脳内も酔っている。
荻上「笹原さーん、なんで今歩いているんですか?」
笹原「うん?帰ってるところだけど、疲れた?少し休もうか」
自販機の明かりが見えた。道沿いに屋根とベンチの休憩所が有る。
荻上『そうだった、私は801だけで生きていくんだった。
さっきも自分の絵を笹原さんに見せて―――。』
荻上「なんか、すみませんご迷惑お掛けします」
笹原「はは…今日は凄かったね。意外と笑い上戸だったんだね。」
荻上「ええ、今日から素直に腐女子全開で行きますから!」
その表情はまた固い。
笹原「素直っていうか、辞められるもんじゃないよね。おれも一生オタクだよ」
荻上「なんで笹原さんは私にまだ優しいんですか?」
笹原「何言ってるのさ、荻上さんは荻上さんじゃない。」
まだ笹原は笑顔だ。
832 :
10/11:2005/12/02(金) 02:30:11 ID:???
荻上「話、聞きましたよね。さっきも私の絵を見て…。
笹原さんでも妄想してるんですよ」
笹原「うーん、それを言われると………。
俺も荻上さんのコスプレ姿が脳裏に焼きついてるよ」
荻上「残念でしたね、私がこんなにひどい女で。」
笹原「そんな事ないよ。」
真面目な目でじっと見つめる笹原。
荻上『―――!!』
『ああ、このままじゃ駄目だ、また私傷つけちゃう…。』
目を逸らす荻上。涙がにじんで来る。いや、酔いのせいか早い。
もう雫が落ち始めている。
(私がオタクと付き合うわけないじゃないですか!)
(絶対に嫌です!!)の時並みに強張っている。
荻上「無理しなくて良いんですよ、気持ち悪いに決まってるじゃないですか。」
「可哀そうな子とかじゃないですからね。業の深い801スキーなんですよ」
笹原「うん、そうだね。…それでも今日は荻上さんといっぱい話せて嬉しかったよ」
涙に動揺しつつも、指で涙を少し拭ってあげる。
荻上「そんな…私は…私だって…。」
頬に感じる笹原の指。
荻上『…あったかい。』
荻上「私は男の人を傷つけるんですよ…。801で…。昔も、今も…。」
笹原「…荻上さんは801好きなのが荻上さんでしょ。」
「そういう所も含めて、俺の知ってる荻上さんなんだよ。」
833 :
11/11:2005/12/02(金) 02:31:32 ID:???
荻上『ああ、見なくても解る、笹原さんの笑顔…。』
頬に触れる笹原の手に、荻上の手が重なる。流れる涙の種類が変わる。
笹原「あれ!?荻上さん?」
笹原にもたれ掛かる荻上。酔って寝てしまったようだ。
その表情はいつしか穏やかになっている。
流石に応援を呼ぼうと電話するが誰も出ない。
小柄な荻上といえど、負ぶって帰るには遠い。とはいえ、放置する訳が無い。
途中で休憩を挟みつつ、なんとか背負って帰った笹原だった。
全員寝てしまっているのか?斑目が報告しているから心配はしていないだろう。
荻上さんを空いている女子室ベッドに横向きに寝かせると…
高坂「笹原君、お帰り。」
笹原「あ、起きたんだ?」
高坂「酔ったというより寝ちゃってさ。」
「咲ちゃんと二人で酔っちゃった人の様子見てるから。」
笹原「うん、ありがとう。眠くなったら交代するから起こしてね。」
笹原は広間に戻っていった。しばらくして高坂も広間に戻る。
高坂「どうだったの?咲ちゃんから聞いたけど、告白とかしちゃった?」
笹原「はは…告白なんてとてもとても。」
高坂「そう・・・でも心配なさそうだね。荻上さんの表情も、笹原君の表情も。」
笹原「うん、ありがと。」
翌朝、二日酔いに苦しむげんしけんの面々だったが、笹原を避ける荻上―――。
という姿は無く、そこには荻上の良い笑顔が有った。
荻上の長い冬は終わり、雪溶けと芽吹きが萌える季節が来る。
以上で終わります。なんかひどいというか、げんしけんっぽくないというか…。
ラブコメ好きと、今月号の荻上さんの涙を重く感じてしまった事での納得いく
解決を考えるうちにこうなってしまいました。
>>819 斑目と恵子にも萌えてます。ので考えてみます。
出来なかったらご容赦を。気長にお待ち下さい。
SCとはタイムリーですね〜。
荻はどっちかというとタリム(ペタン)の方があうんじゃまいかとか
クッチー嵌りすぎwとか色々情景が浮かびます。
恵子がちょっとズレてるかな?と思いましたが、合宿中には確かに
告白まで至らないかも。笹のヘタレ具合が出てて良かったと思います。
微笑ましいラブ米ごちそうさまです。GJ、乙でした!
>>823-
>>834 乙&GJ!
結構好きなテイストでしたw
まー、咲ちゃんはコスプレ目の前にしてもしないだろうとか、
オギーがああも腐女子、腐女子連発しないだろうとか、
いろいろあるけど、そこは別段問題なし!
合宿では笹荻はもとの関係に戻る、それより一歩進む位が丁度いいと思ってる
俺にとってはとても共感できる内容ですたよ。
また頑張ってくださいw
初挑戦で、読み返すと身悶えするほど恥ずかしいです。
でも自分の好きなもので構成されてますね。ヤバ…。
絶対脳内麻薬出てます。読んでた時より分泌量かなり多いです!
>>836 コスプレ配役は恵子が髪型的に難しくてああなってしまいました。
恵子がずれてるというのは確かに、変に動きすぎですね…。
>>837 全員コスプレに無理が有るというのは高坂パワーで…と思いましたけど
無理が有りましたね。せめてもう1エピソード入れないと不自然だったかも。
オギーが801、腐女子と連呼してるのも、用語を原作に合わせられなくて
2ch用語のまま使ってしまいました。
でもお二人とも、まだるっこしいラブコメ感覚を理解して頂きありがとうございます!
精進していきます。
うーむ、暇つぶしに書き上げた。
次回予想ではなく、げんしけんのとある一日。
12から13くらいで投下します。
ま、次の予想が出るまでのつなぎとして。
「こ、これで終わり?」
土曜日のマッタリとした夕方、
テレビ画面に向かって唖然とした表情を向けたのは荻上。
「え、え。もうちょっとフォローとかないの?
シンにしろルナマリアにしろまだほら・・・。」
そうはいってもTV画面の映像はエンディングが映っていた。
テレビ欄にも、しっかりと終、のマークがついていた。
「な、な、納得いがねーーー!!」
「やっぱり種死、ひどかったすねー。」
「まあ、トミノ以外のガンダム自体駄目なんだよ。」
斑目と笹原は相変わらずのんびり会話している。
「そういえば。おまえ、就活大丈夫なのか?」
「先輩には言われたくないっすねー。」
就職しても来る斑目。就活中の笹原。
「む・・・。まあ、頑張れや。」
「はは、ありがとうございます。」
「まー、種死、長かっただけにがっくりだわな。」
種死、すなわちガンガルSEED・DESTENYのことである。
SEED=種、DES=死というところから種死という愛称がつけられた。
「途中から作画は使いまわしだし、総集編も何回やるんだって感じでしたね。」
「やっぱ脚本が駄目駄目だったっていうか、遅れまくってたんだろ?」
「らしいっすねー。しかも遅れたわりに面白くなってない。」
「そりゃ問題だ。主人公も途中から誰やら・・・。」
「シンじゃなくてキラになっちゃいましたもんね。」
種死は、当初シン、というキャラだった。
だが、途中から前作種の主人公キラがクローズアップされた。
「とうとう新しいエンディングスタッフロールでも名前は三番目。
話の中でも悪役。可哀想なことこの上ないな、シン、ってキャラは。」
「脚本家が大のキラ好きらしくて・・・。」
「ふーん。まあ、やっぱトミノ以外は駄目だな。」
「この前のZの映画、好評だったみたいですね。」
Zの映画、というのは、昔テレビシリーズで放映された「Zガンガル」という作品を、
ガンガルの生みの親、トミノ監督自身が再構成、三部作として作り直したものだ。
その第一部が先日公開された。
「ふふん。だからいったろ?トミノに外れはねえって。」
「でも、俺Z苦手なんすよね・・・。」
「なんでだよ。傑作じゃねえか。」
「人死にすぎっすよ・・・。」
「それが戦争じゃねえか!わかってねえなあ。」
「でも、エンディング数話でほとんどの主要メンバーが死ぬっていうのも・・・。」
「むう。確かにあれはやりすぎだったかもな。」
「ZZはどうなんすか?」
ZZとは、Zの続編。エンディング一ヵ月後が舞台だ。
「プルとプル2がいるからよし。」
「そこっすか。」
プルとプル2というのは、
ZZに出てくるロリ、つるぺたキャラで、かつ実験で生み出された強化人間で、双子。
これ以上無いほどの萌記号の集合体であり、当時アニメ雑誌はこのキャラ一色だった。
「内容は、まあ、置いとけ。」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。外れはねえ、っていってたじゃないすか。」
苦笑いを浮かべる笹原。
「う・・・。まあ、それも込みでな!」
「意味わかんねっすよ。」
斑目のごまかしに笑うしかない笹原。
「じゃあ、なによ。お前はどれが好きなんだ?」
「えー?そこまでガンガル自体は良く見てないんすけど・・・。」
「素直に言え。」
「クロスボーンガンガル、とかいったら怒りますか?」
「おいおいおいおいおい。」
クロスボーンガンガルとは漫画誌で連載された、
映画ガンガルF91の続きとして描かれた作品。
「あれはガンガルかー?」
「ええー。素直に言えっていったじゃないすか。」
斑目は怪訝そうな顔をした。
「だってよー。あれ一応トミノ原作だけどよ、漫画家の補正入りまくりじゃねえか。」
「でも、少年漫画チックで面白かったすよ。」
「むう・・・。そういう見解もあるのか。」
「それとか、Gとかも好きでしたよ。」
「熱いけどなあ。あれはガンガルじゃないと思ってみる分には面白かったな。」
機動武道伝ガンガルG。熱血アニメを地で行ったこれは、通常のガンガルとは一線を画す物だった。
「そうすね、宇宙世紀があんまり好きじゃないのかもですね。」
「おいおい。ガンガルそのものを否定する発言じゃねえか。」
「あはは・・・。すいません・・・。」
ガチャ。
「こんにちは。」
「あ、こんにちはー。」
「こんちは」
そのタイミングで入ってきたのは荻上。
「斑目先輩、よくいますね。」
「ははは・・・。ツッコマナイデ。」
「そうだ、荻上さん。種死最終回見た?」
待ってましたとばかりに話しかける笹原。
「見ましたよ・・・。本当、納得いきません・・・。」
「あはは・・・。荻上さんから見てもやっぱりそう?」
「そりゃそうですよ!いくらキャラに魅力があってもあれはないです。」
そう断言する荻上は、いまだ消えない怒りを込めていった。
「ステラのあたりまでは面白かったのにね・・・。」
ステラ、とはシンが好意を寄せることになるキャラだが、敵側のパイロット。
実験で強化が行われており、精神が不安定になったり、記憶操作が行われたりした。
そういうキャラのガンガル的定めというか、途中で死んでしまうわけだが。
「そうだなー。ステラあたりまでの評価は高いよな。」
「あの辺が良かったから、見るのやめるわけにもいかねし・・・。」
少しすねた表情になる荻上。
「まあね・・・。俺も同感。」
「一回見始めたらよっぽど悪くないと見ちゃうもんだからなあ。」
種死、確かに脚本は評判が悪いが、作画陣が奮闘し、映像は良いものであった。
「キラ強すぎなんですよ!まったく無傷で勝つなんて面白くもなんともない・・・。」
「まあねー。キラは強すぎだったよね。」
「戦闘におけるカタルシスがないよな、あの展開じゃ。」
うんうん、と頷く三人。
「話的にも無理ありすぎですし・・・。本当、納得いきません!」
「まあまあ。数話前から予想できたことでもあったじゃない。」
「そういえば、そうでしたね。前々回の話のとき・・・。」
そういって二人で話を始められてしまい、入れなくなってしまった斑目。
一応全話見てるので、入れないはずもないのだが。
笹原と荻上の会話が違う日にこの二人が話した内容を踏まえてのことなので、
そのときに会話に参加してなかった斑目は入りずらくなってしまった。
(なんか、いずれえな。むう。)
少し思い当たることがあった。笹原はガンガルがめちゃくちゃ好き、というわけではない。
普通の人よりかは確実に造詣が深いとは思われるが、信者ではないのである。
前作種は一応見たようだが、それもそこまで高い評価していたわけでもなかった。
その笹原が、ここ数ヶ月種死をしっかりと見てるのである。
(なるほどな。)
笹原が荻上さんとの共通話題として種死を見ているとすれば。
先ほど笹原が、荻上が来たとたんに話を振っていたこともわかる気がした。
(ふーん。会話、すごく自然じゃねえか。)
斑目が大学にいた頃に比べて、荻上は良く話すようになっていた。
表情は相変わらずだが、その話し方には当初の棘がなくなっていた。
(笹原、荻上さんと率先して話すようにしてるんだな・・・。)
もちろん、見たくないものを無理やり見てるのではない。
前は眺めるようにみていたものをしっかりと見るようにしたのである。
二人の会話に耳を傾けると。
「そういえば、あいかわらずアスランが好きなんだよね。」
「そうですね・・・。一番、魅力的だと思いますよ。」
アスランは前作種でキラの親友、種死でシンの上司といった形で登場した。
キャラの行動がぶっ壊れかけていた種死において、一番筋の通っていたキャラなのかもしれない。
「そういえばさ。どっちとくっついたんだろ。」
「カガリですよ。メイリンはありえません。」
カガリは前作のラストでアスランとくっついたキャラ。
メイリンは、シンが所属する部隊からアスランが脱走するとき共に逃げたキャラ。
アスランに好意を寄せていたようだ。
「へえ。なんで?」
「そりゃ・・・。前作からそういうカップルだったわけですから。」
「そっか。でも、メイリンと二人のシーンとか見ると・・・。」
「でも、アスランはカガリを裏切ったりしませんから!」
この発言は、ある意味、彼女の願望が表れているようにも思えた。
「だね。そうだと、俺も思うよ。」
そういって、にっこり笹原は笑う。実際、その方がいいと、笹原も思っていた。
「あ・・・。いや、別に・・・。ちょっと熱くなりすぎました。」
自分の発言の恥ずかしさで顔を少し赤くする荻上。
「あはは・・・。」
ガチャ。
「こんにちはー。」
そこに登場するは大野。
「あ、こんにちは。」
「こんにちは。」
「うーす。」
「皆さん、種死見ました?本当ありえませんでしたねえ。」
「あはは・・・。やっぱそう思うんだ。」
大野の口から出た話題も種死のことであった。
「荻上さんも、そう思いましたよね?」
「そうですね。そう思いました。」
「そうですよねー。いくらキャラがいいっていってもあのストーリーは無いですよね。」
荻上とまったく同じことを言う大野。
「さっき、荻上さんも同じこと言ってたよ。」
すこし、笑いながら、笹原はいった。
「やっぱりそうですか。」
「まあ、そうですね。」
この二人の会話も、少し自然になってきた。
「あ、そうだ。荻上さん、この前約束してたもの、もって来ましたよー。」
その言葉にビクッと体を震わす荻上。
「ちょ、ちょっと待ってくださ・・・!」
いうより早く、取り出されたのは数冊の同人誌。
当然、その内容は、推して計らずもかな、である。
「やっぱり私とは受け攻めの趣味が逆ですねえ。」
そう、ヤオイ本である。
「でも、約束どおり、この前のオンリーで出てた新刊、買っておきましたよ。」
「うあ・・・。」
うめき声を上げる荻上。その光景に苦笑いするしかない笹原と斑目。
「そうそう、これはいい出来ですね!「アスラン総攻め本」!
私としてはアスランは受けなんですが、これは良かったですよ!
流石、いいサークル選んでますねえ。」
大野は荻上の同人誌を選ぶ上での目の確かさを評価していた。
「では、どうぞ。」
満面の笑顔で大野にその束を渡され、言葉も出ない荻上。何とか言葉を搾り出す。
「・・・あ、ありがとうございました・・・。」
「いーえ。また何かあったらいってくださいねー。」
笑顔で話す大野、顔がすでに真っ赤で冷や汗だらだらの荻上。
「あはは・・・。でも、来週からもう無いと思うと少し寂しいね。」
「それもそうですね。毎週良くも悪くも話題になる作品てそうは無いですからね。」
「まーな。ガンガルの名前を冠してるだけあって、話題性は抜群だったもんな。」
「そうですね・・・。」
そういって、荻上には少し不安がよぎった。
(今度から何話せばいいのかな・・・。)
話題となっていた種死も、もはや無い。すぐに話題は消えていくだろう。
「今度はなんですかね?エウレカですか?」
「いやー、ローゼンメイデンだろー。」
「色々在りますよねー。でも、いい男が中々出てこなくて・・・。」
「大野さん的にはそうだろうな。」
「荻上さんは?何か注目してるのある?」
話を振られて、少しドキッとする。
しかし、今まで笹原や大野たちと話してきて、分かった事があった。
(別に話題を決めて話さなくてもいいんだ。
種死で始まる会話だったけど、その後色々違うこと話してるもんな・・・。)
そう、アニメだけじゃなく、漫画、ゲーム、なんでもいい。
そのとき気になってるものを話してみればいい。
全てを受け入れる許容量が、この現視研にはある。
「そうですね。私は・・・。」
もうすぐ夏が始まりそうな陽気、今日も現視研は賑やかです。
部室の外、廊下にて
「なんで皆の前でわたすんですか!」
「ええ?何か問題ありました?」
「大有りも大有りでしょう!」
「だって、皆さんあなたの趣味知ってますよ?」
「で、でも、それでも・・・!」
「誰に見られたくなかったんですか?」
「いや、別に、誰ってわけじゃなくて・・・!」
「だって、今更じゃないですか。」
「まあ、それはそうなんですけども・・・。」
「じゃ、笹原さんがいなければいいんですね?」
「誰もそんなこといってないじゃないですか!」
「全く・・・。我侭ですねえ・・・。」
「どっちがですか!」
えーと、今見返したら最初だけガンダムになってたorz
時期的には笹原に荻上がコス見られたくらいの時期。
「オタクと〜」発言前。
種死が終わったのは9月なので、おかしいと思った方もいるともいます。
まあ、夏コミ後にしちゃうと笹荻の会話が出来なくなっちゃうんで、
そこは「ガンガル」の話だと思ってスルーしてください。
GJ!いやぁ、早起きは3億の得だね!
こういうオタク的会話の日常があって、その中でしっかり人間関係が描かれてるのが読んでて凄く楽しかったですよ。
ごちそうさまでした!
>>840-851 いや〜蝶GJ!
最近のガンガル評判悪い程度しか知らないヘタレオタには、こういった詳しい
アニメの描写は出来ないので尊敬します。それが荻上の話の種になっている
のがまたGJです。自分ももの凄く楽しめた。
時期はSSだし、げんしけん内の話なので良い意味で全く気にならんかったす。
キャラも皆違和感なく、よく動いててい〜な〜。
お疲れ様でした。こんな感じなら又読みたいなぁ、マジで。
GJ!
やっぱり本編で描かれてないとこで、こんな風にやってたんだろうね。
「第〜回 今週の種死ここがつまんなかったぞ会議」
>>823-
>>834 乙&GJ!
正統派こそ王道です!!こう言うのを書きたかった!!と亜流SS書きが言ってみる・・・。
よかったです。早く原作でも雪解けと芽吹きを!できればタイトルつけて欲しかった。
>>840-851 乙&GJ!
Zガンダムの最終回で荻上と同じリアクションを取った漏れいる・・・。
オタ話に熱狂するオギーが可愛い。
このSSをみて、改めて最近の本編にオタク要素が足らないことがわかった。
まあでも、こんなんじゃマンガにはならんかw
そうだよな、オタクならこういう話題でずっと話してるんだよなー。
別になんでもないけどなんかそれが楽しいんだよなー。
たいへんGJ!でした。
このスレってリクエストありなんすかね?
さっき本スレで何か言われちゃったんで……
>>856 ありがとうございます!
タイトルは…「雪溶けの前に」(マイナーすぎるインスパイア)で。
>>858 既出じゃないか読んでからならOKだけど、スルーされたら不運と思って下さい。
>>819 書いてみましたけど、思ったより話は深くも長くも出来ませんでした。
申し訳ない。
では、斑目と恵子の昼休み…3レスの短編です。
恵子「ちわー」
斑目「あ…やあ、ちわ。」
恵子「………ども。」
笹原の就職が決まってから数日、いつもの部室の風景だったが…。
恵子「………。」
斑目「………。」もぐもぐ
沈黙が続く。いや、斑目のコンビニ弁当を食べる音だけが聞こえる。
今日はどうやら冷やし中華とサンドイッチのようだ。
なにしろこの二人、今まで会話なんてほとんど無かったし、馴染んでない。
恵子「ねぇ、マヨネーズ使わないんだね。」
斑目「ん?…ああ、まあね。」
先に話し掛けたのは恵子だった。退屈過ぎたようだ。
恵子「っていうか、ほんとよく来てるよね。昼休みに。」
斑目「まぁねぇ。近いし、落ち着くっていうか―――。」
恵子「会社に馴染んでないんだね。」
斑目「うっ。」
「やー、まぁねぇー。」ハハ…
恵子「………。」
また、しばらくの沈黙。斑目の食事は終わったようだ。
斑目「小さい会社だからね。他の社員は作業に出てるし、もう一人の事務員は
40歳のおばさんだから、まぁ昼に出ちゃうんだよネ。」
恵子「大学ってさ、居心地良いんだね。」
斑目「んー、そうとも限らないけど。」
恵子「………。」
やはり会話は弾まない。
斑目「あ、妹さんさ。今度の合宿なんだけど、俺も休み合いそうだから。」
恵子「あ、そうなんだ。おっけー。」
「軽井沢で温泉なんて楽しみ…って、興味あるの?」
斑目「え?え?そんなに不思議?」
ちょっと焦る斑目を見て、何故かニヤける恵子はさらに
恵子「オタクらしくないなぁ。アヤシー!」
斑目「妹さん、ちょ…」
恵子「ストーップ!さっきから[妹さん]って何なのよ。」
「あたしは恵子よ。知ってんでしょ。マ・ダ・ラ・メ・さん。」
赤くなる斑目。
斑目「…恵子…ちゃん。だって、今、名前呼んだの1回目じゃない。」
ちょっと笑う斑目を見て、恵子もつられて笑う。
恵子「ははは、合宿、楽しみだネ。」
斑目「まぁねぇ。」
恵子「さっきから、まぁねぇ。ばっかりじゃーん。」
と、昼休みが終わる時間になったようだ。予鈴が鳴る。
斑目「あ、ヤベ!じゃ、合宿幹事、頼んだよ。恵子ちゃん。」
恵子「あーわかったよー。」
背中にその声を受けて、午後からの仕事に向かう斑目だった。
以上です。まだまだ精進が必要ですね…。ガンガリマス。
865 :
819:2005/12/02(金) 23:26:26 ID:???
アリガトー!アリガトーゴザイマスー!!
なんだかありそうな風景です。
特に何もなく、普通な感じがイイ!
あと、「マ・ダ・ラ・メ・さん」に萌えた。w
あ、どういたしまして!
自分で書いてて萌えどころは「つられて笑う」ところでしたw
また妄想力を溜めます。そして偉大な先人に近づきたいものです。
867 :
840:2005/12/03(土) 01:09:27 ID:???
>>853-
>>857 まとめてですまんですが、ありでしたw
こんなことを妄想したりして日々過ごす俺はきっと駄目人間。
次回は!「RPGにおける傾向と好みの変遷」
お楽しみに!(マジカ
>>861-
>>863 乙〜&GJw
そういえば斑目って恵子とまともに話したことなさそうw
でも、なんかいいなー、こういう雰囲気。またよろしくですよw
書くのに時間がかかり過ぎて、やや時期外れの感もあり、下手するとスレの荒れを招くかもしれない。
だが誰かが1度こういう話を書いて置かないと、収まりがつかない人も多いことだろう。
ならば本スレのこの話題ではおそらく1番の急先鋒の過激派だった俺が、その任に就くべきだろう。
そんな自惚れと使命感、そして何よりも書きたいという欲求からこの話を書いた。
勝手に妄想したキャラの裏設定や、他の人のレスやSSや他の作品からの引用が多いなど、いろいろ不備な点はあると思うが、どうかそれは流して欲しい。
その代わりに荻上さん崇拝主義者や笹荻原理主義者の方々の恨みは、俺が地獄に流す。
12〜13ぐらいに分けて送る予定。
物語は1月号の330P、大野さんの「何としても笹原さんに荻上さんを幸せにしてもらいます、絶対!!」の直後から始まる。
最初はハードなトラウマ話に引いていた恵子だったが、咲ちゃんの「他の女たちはお咎め無し?」という問いに対する荻上さんの答えを聞いたあたりから段々表情が険しくなってきた。
そして荻上さんが泣き出し、前述の大野さんの発言の直後、低い声を出した。
恵子「・・・せねえ」
咲「ん?どした?」
恵子「ぜってえ許せねえ!」
驚く咲ちゃんと大野さん。
荻上さんも泣き止む。
恵子「そりゃあたしゃこれまでいろいろハンパなことやってきたよ。だけど、いじめだけはぜってえやんなかった。あんなことやる奴あ、ぜってえ許せねえ!」
咲「あんたも昔何かあったの?」
恵子の表情の一瞬の変化が、それが図星であることを示していた。
恵子「んなこたあどうでもいいよ!今問題なのは、その中島とかいう糞女はぜってえ許せねえってことだよ!」
咲「で、許せなきゃどうすんのよ?」
恵子「そりゃ当然、ゲンコでボコる!」
咲「こいつこんな熱い奴だっけ?やっぱ兄妹だねえ」
大野「咲さんの影響だと思いますよ」
咲ちゃんは内心少し感心していた。
一見何事にも冷めていて無気力に見えた恵子にも、こういう熱いところがあったことを好ましいと感じた。
だが彼女の怒りは純粋な反面、あまりにも単純過ぎて危ういものに見えた。
それだけで済むのなら自分もひと口乗ってもいいが、そうも行かない以上ここは止め役に徹することにした。
恵子「あんたらこの子の話聞いて何とも思わないのかよ!」
咲「そりゃ腹立たしいし、荻上かわいそうだと思うよ」
大野「あたしもそうです」
恵子「だろ?だったらグダグダ言ってねえでやっちまえばいいんだよ!」
咲「気持ちは分かるけど落ち着けよ。荻上の話聞く限り証拠無さそうだし、今さらそれやっても何にもなんないよ。荻上の心の傷にとっても、巻田君って子にとっても」
恵子「だってくやしいじゃねえか!(荻上に)あんただってそうだろ?」
荻上「・・・だって絵え描いたの私だし、それに・・・友だちだし・・・」
恵子「どこまでお人好しなんだよ!いいか、ダチってのは嬉しい時や楽しい時に一緒に笑い、悲しい時一緒に泣いてやる奴のことを言うんだよ! 初恋をこんな形で潰す奴らなんざ、ダチな訳ねえだろ!」
荻上「(泣きながら)やめて下さい!悪いのは私なんです!私さえあの時描かなきゃ・・・」
荻上さんの涙にたじろぐ恵子、咲ちゃんの方を救いを求めるように見る。
咲「そういうことだ。ここは引けよ」
恵子「(荻上さんの肩を抱き)わーったよ。もう言わないから、あんたも自分責めんなよ」
大野「そうですよ荻上さん。それよりもこれからのこと考えましょう」
そして翌日。
二日酔い気味の荻上さんと、その介抱係の笹原を残してみんなは出かけた。
いや正確には外に出ただけで、荻上さんの寝てる女子の寝室の外壁に集結して聞き耳を立てていた。
(ここから田中も合流して付き合う破目になる)
朽木「ここからなら寝室の物音がバッチリ聞けますにょー」
咲「お前まさか・・・」
朽木「とんでもない、わたくしは聞けるスポットを探しただけで・・・」
斑目「まあまあ、ややこしくなるからそゆことにしとこよ、春日部さん」
大野「荻上さん、がんばって!」
聞き耳を立てる一同。
恵子が怒声を上げた後、女だけの作戦会議が出した結論は、荻上さんのトラウマを笹原に話すことだった。
もちろん荻上さんは拒否した。
そこで3人は彼女に更に酒を飲ませつつ粘り強く説得を続け、「あくまでも先輩に悩みを相談することでトラウマを克服する」という方向で話すことを納得させるのに成功した。
そして荻上さんが酔い潰れた後、笹原に彼女がトラウマを話すことを伝えた。
当初あらかじめその内容を教えようとしたが、笹原はそれを拒否してこう答えた。
笹原「それは彼女から直接聞くよ。彼女から聞きたいし、もし話さないのなら話すまで待つさ。でないと、この問題に決着をつけることが出来ないと思うんだ」
その言葉を「何があろうと荻上さんが好きな気持ちは変わらない」と受け取った3人は納得し、全ての決着を笹原に託すことにした。
ベッドに寝てる荻上さんが体を起こす。
笹原が駆け寄る。
笹原「大丈夫?無理に起きなくていいよ」
荻上「大丈夫です。それより・・・笹原先輩に聞いて欲しいことがあるんです」
そして荻上さんは、中学のトラウマを話し始めた。
話が終わると、荻上さんは昨夜のように涙を流した。
黙って聞いていた笹原、話が終わった途端に星飛雄馬のような怒涛の涙を流した。
その涙を見た荻上さんは、夏コミで笹原の笑顔を見た時のようにドキリとした。
荻上「笹原先輩?」
笹原「(自分の涙に気付き)あっゴメン(袖で涙をぬぐい)かっこ悪いとこ見せちゃったね」
荻上「いえ・・・そんな・・・」
笹原「だけど、ほんと悲しかったんだ。荻上さんが、どんなにつらい思いをしてきたか、いろいろ想像しちゃて、そしたらつい泣けてきちゃって・・・」
荻上さんの脳裏に、昨夜恵子が言ってた「ダチってのは嬉しい時や楽しい時に一緒に笑い、悲しい時に一緒に泣いてやる奴のことを言うんだよ」という言葉が浮かんだ。
笹原「ねえ荻上さん」
荻上「はい」
笹原「君の背負ってきたもの、俺にも背負わせてくれないか?」
荻上「えっ?」
笹原「1人じゃ重過ぎる荷物でも、2人なら何とかなるかもしれないじゃないか」
あの夏コミの時のような笑顔を浮かべる笹原。
再びドキリとする荻上さん。
笹原「俺は頭も良かないし、スポーツだって得意じゃない。背も高くないし、顔だってごらんの通りだ。就職ったって所詮は派遣社員だからバイトと大して変わんない」
荻上「そんな・・・」
笹原「俺はただのオタクだ。君にしてあげられることと言えば、嬉しい時や楽しい時に一緒に笑い、悲しい時に一緒に泣くことぐらいだ」
荻上さんの鼓動が高鳴った。
そしてそれは笹原も同様だった。
笹原「こんな俺でよかったら、ずっと一緒にいさせてくれないか?(不意に背を向けて赤面し)つまり・・俺と付き合ってくれないか?」
笹原の涙と告白で、荻上さんは自分が今まで大きな勘違いをして来たことに気付いた。
自分が男の人と付き合うということは、自分のトラウマと厄介な自分自身を相手に一方的に背負わせて負担をかけることだと、いつの間にか思い込んでいたのだ。
笹原に対する愛ゆえの過大評価と、自分嫌いゆえの自己過小評価のミスマッチが、恋愛関係を保護者被保護者の関係のように錯覚させた為だ。
だが笹原の涙は、それが間違いだったことを悟らせた。
笹原もまた、自分と同じように弱い部分を持った1人の人間だという、当たり前の事実に気付いたのだ。
ちょっと冷静になって考えてみれば分かることに、トラウマで視野狭窄になっていた為に気付けなかったのだ。
そして思った。
自分は今は笹原先輩に助けられなければ前に進めないかもしれない。
だけど笹原先輩だって、この先つらいことや悲しいことはあるだろう。
その時、自分は彼を励ましたり慰めたり出来る人間でありたい。
少なくとも一緒に泣いて上げたい。
そしてその為には、彼と一緒にいなければ。
もっともこんな思考は後付けの理屈だ。
もっとシンプルな、「笹原先輩とずっと一緒に居たい」という欲求を細かく具体的に解析するとこうなるというだけだ。
荻上さんは決心した。
夏コミで自分の同人誌を売ることを決めたあの日、トラウマを抱えつつも一生ヤオイ道を進むことを決心したように。
それに続く2度目の大きな決心。
恋もするしヤオイも続ける、さしずめ乙女道を進むことを。
荻上「昨夜、妹さんが似たようなこと言ってました」
笹原「恵子が?」
驚いて振り返る笹原。
荻上「嬉しい時や楽しい時に一緒に笑い、悲しい時に一緒に泣いてやるのが本当の友だちだって」
笹原「へー、あいつがそんなことを・・・」
荻上「私も恵子さんの言う通りだと思います。友だち以外の人間関係でも、家族とか、仲間とか、(不意に背を向けて赤面し)こっ、恋人の条件も同じだと思いますよ」
笹原「えっ、それじゃあ!」
外のメンバーは、ほっと一安心していた。
咲「やるじゃない、笹やん」
高坂「よかったね、咲ちゃん」
斑目「まあ、よかったじゃないか・・・」
涙ぐむ大野さん。
バンダナを渡す田中。
恵子「ったく、手間かけさせやがって(涙ぐむ)」
ハンカチを渡す咲。
咲「お手柄じゃないか。やっぱ兄妹だな」
恵子「(苦笑して)偶然だよ偶然」
朽木「オロロローン!(男泣き)」
咲「お前もかよ!」
合宿の後、笹荻は今までの遅れた分を取り返すかのようにデートを繰り返した。
もちろん密かにげんしけんメンバーたちも、その度にこっそり付いてきた。
「そこだ、一気に押し倒せ!」「何やってんだ、そのまま連れ込んじまえ!」
決して本人たちには聞こえない野次を受けつつ、何度目かのデートで遂に2人は唇を重ねるところまで進展した。
(何度かお互いの部屋には行ってるが、泊まってないので最後の一線を越えたかは不明。ちなみにクッチーが盗聴を試みようとしたが、さすがに止められた)
そして学祭。
今回は笹荻成就記念という意味合いで、カップルでのコスプレ撮影会となった。
お題は荻上さんの希望を入れて「ハレガン」となった。
大野・田中カップルは、大野さんが巨乳の人造人間コス、田中はハゲヅラを被って大食いの人造人間コスをやることになった。
(ちなみに田中はこの2年ほどで何故か痩せたので、胴体はかなり綿入れしてボリュームを出している)
本来なら咲・高坂にもやってもらう予定だったが、高坂が急ぎの仕事の為に来れないので、結局咲ちゃん1人で目付きの鋭い女性の軍人さんコスで受付をやることで落ち着いた。
(笹荻成就記念の縁起物という名目で、大野さんに押し切られた)
その代わり(なのか?)斑目も殉職して准将になったメガネの軍人さんコスで受付その他を手伝うことになり、上司を密かに慕う女軍人と愛妻家の軍人の珍カップルの受付と相成った。
久我山は仕事だったが、時間があったら立ち寄るとのことだった。
恵子は来る予定だが、寝坊したので後で来るとのことだった。
そして我らが笹原・荻上カップルは、笹原が火とんの術使いの大佐コス、荻上さんは赤いコートに義手の主人公の錬金術師のコスをやることになった。
ちなみにクッチーは、主人公の弟の鎧コスでプラカードを持って学内を練り歩いていた。
そしていよいよ笹荻の出番。
金髪の三つ編みのヅラを被った荻上さんには、自分嫌いを克服したことによる自信に裏打ちされた妙な迫力と、不思議な可愛らしさが同居していた。
笹原も不思議と軍服が似合い、ちょっと顔を引き締めると今にも焔を出しそうな雰囲気を醸し出していた。
田中「いやーここまで似合うとは思わなかった」
大野「2人とも素敵ですー」
咲「笹やん男前が上がったじゃん」
斑目「荻上さんも・・・何か似合うね」
撮影会を待っていたカメコたち(女性もけっこういる)からも歓声や溜め息が聞こえた。
「荻上?」
聞き慣れない声が響いた。
いや、正確には「笹荻2人以外には」と頭に付けるべきか。
声の主は中島だった。
傍には夏コミの時に一緒にいた帽子の女と、肥った眼鏡の女がいた。
中学の文芸部のメンバーだ。
笹荻の顔色が変わる。
他の一同も異変に気付く。
中島「何そのかっこ、コスプレ?もしかしてハレガン?」
帽子「へー似合ってるじゃん」
眼鏡「わーすごーい」
中島「ヤオイの方は相変わらずと思ったら、今度はコスプレ?あんたも好きだねえ」
その口調には揶揄が感じられた。
咲「どうする?追い出すか?」
斑目「まあ待ちなよ、騒ぎになったらまずい。それに・・・」
咲「それに?」
斑目「あいつらの顔見なよ」
笹荻両人の表情は硬かったが、決して中島たちに怯えた様子は無かった。
斑目「ここはしばらく2人にまかせてみよう。(カメコたちに)すんませーん、ただ今取り込み中ですので、大佐たちの方はしばらくお待ち下さい。(大野と田中に)ちょっと間もう1回出ててよ」
撮影会場に再び出る大野さんと田中。
カメコA「あのーすんません、出来たら准将と中尉もお願いできますか?」
斑目「俺?」
咲「准将と中尉って?」
斑目「俺と春日部さんのこと!しゃあない、時間稼ぎだ、出るぞ!」
咲「えっ?ちょっ、ちょっと!」
斑目にしては珍しく、強引に咲ちゃんの手を取ってカメコたちの前に出る。
咲「ちょっ、ちょっとだけタンマ。(携帯を取り出して操作し)あっクッチー、今どこにいる?・・・随分端まで行ったな。まあいいや、急いで戻って来て!・・・後で話すから!今こっち取り込み中で人手足んねえんだよ!急げ!」
撮影会場の片隅で対峙する笹荻と中島軍団。
荻上「今度会った時に訊こうと思ってたんだけど・・・」
中島「なーに?」
荻上「あんたら巻田君のこと、どう思ってんの?」
固まる帽子と眼鏡。
中島「まきた?(しばし沈黙)あー巻田君ね。あれは笑ったわよね。ちょっと洒落んなってねけど」
同意を求めるように連れの2人を見る中島。
帽子「そっ、そうよね。笑っちゃうよね」
眼鏡「洒落なってねよね」
荻上さんの目付きが険しくなった。
この中島たちの返事で、荻上さんの中で5年前の出来事への決着がついた。
あの出来事が中島たちの仕業なのか不幸な事故なのかは、もうどっちでもよかった。
ただ彼女たちが巻田に対して、少しでも反省や後悔や同情の念を持っていてくれていれば、もうそれは問わず全て水に流そう、そして全ての罪は私が負って生きていけばいい、そう思っていた。
中島たちにとっても、巻田は大事な友だちだったはずだ。
その友の為に少しでも泣いてくれる気持ちがあれば、そんな僅かな希望を持っていた。
だが彼女たちにとって、巻田は遠い過去の他人事に過ぎなかった。
荻上「悪いけど帰ってくれる?」
中島「えっ?」
荻上「ここはあんたらみたいな、一般人だかオタだか分かんない半端な腐女子が来るとこじゃない。ここは一生オタク道を行く覚悟を決めた連中の集まるげんしけんなの。もう私とあんたらは、住んでる世界が違うのよ」
さすがに戸惑う帽子と眼鏡。
帽子「荻上―何言うのよー」
眼鏡「そーよー、友だちでねの、あたしら」
中島も明らかに戸惑っていた。
一言二言何か言ってやれば水面の木の葉のように心を揺らす、玩具のような存在と認識していた荻上さんからの思わぬ強気発言は、全くの想定外だった。
中島「(笹原をチラリと見て)何よ、何で今さら巻田君の名前なんて出すのよ。いいの?カレシの前で昔のことなんか言って・・・」
笹原「(中島の言葉尻に被せるように)知ってるよ、荻上さんから聞いた」
中島「何?あんた荻上がヤオイだって知ってて付き合ってるの?」
笹原「いけない?」
堂々とした笹原の態度に、またもや意表を突かれる中島。
ここで「今日はこの辺にしといてやるよ」ってな感じでクールビューティー気取って退散すれば、全て丸く収まったかもしれない。
だが相手を見下して余裕たっぷりな態度の悪役ほど守勢に回ると打たれ弱いという、古今東西多くの悪役に当てはまる法則に中島も該当した。
夏コミで会った時には自分の精神攻撃でどうにでもなると思っていたヌルそうな男と、かつてはその心を玩具にしてズタズタにして楽しんだ女。
その2人が、凛とした態度で受けて立っているという全くの想定外の事態に彼女の脳の冷徹な悪魔回路がショートし、彼女らしからぬ露骨な悪態をつき始めた。
中島「何よ、あんたこの女がどんな女か知ってるの?抜け駆けして男作るような奴だよ!そんな女の言うこと信じてるんだ。男たらし込む為に嘘ついてるに決まってるじゃない!バッカじゃないの?」
笹原「何だと・・・」
笹原の大佐そっくりのマジ顔にビビる帽子と眼鏡。
帽子「なっナカジ・・・」
眼鏡「まずいよ」
中島「荻上も荻上さ。あんたみたいなキモい趣味の腐女子と付き合う男なんて、ただやりたいだけのロリコンの変態に決まってるじゃないか!」
荻上「なっ・・・」
いつの間にか撮影会は中断され、げんしけんメンバーもカメコたちも、ことの成り行きを見守っている。
荻上さんと笹原は、同時に中島との間の距離を詰めた。
格闘技漫画などによく出てくる、双子キャラのように息の合ったタイミングだった。
それを招いたのは他ならぬ中島だった。
彼女は2つ間違いを犯した。
1つ目は先に笹原に噛み付いたことだ。
比較的温厚で落ち着いていて女を殴ることにタブー意識の強い笹原は、言われた瞬間にはキレなかった。
一方荻上さんは言われた瞬間にキレた。
その瞬間に笹原も一瞬遅れてキレたので、結果的にダブルでキレることになった。
2つ目の間違いは、笹原に荻上さんの、荻上さんに笹原の悪口を言ったことだ。
笹原は荻上さんを嘘つき呼ばわりしたことに、荻上さんは笹原を体目当てのロリコン扱いしたことにそれぞれキレた。
自分になら何を言っても構わない、だが、愛する人を悪く言うことだけは許さない。
愛の戦士と化した2人は、凄まじい加速を伴って中島に迫った。
2人が間合いに入り、怒りの拳を振り上げた瞬間、横合いから走り込む影があった。
恵子だった。
それに気を取られ、勢いをそがれて停止する笹荻。
恵子「なかじまー!」
恵子はその走る勢いの殆どを右拳に乗せて、怒りの絶叫と共に中島の横っ面に叩き込んだ。
中島はきれいに壁まで吹き飛んだ。
その傀儡の帽子と眼鏡は完全にビビって固まっていた。
恵子「感謝してよね!あたしが殴んなかったら、あんたあの2人にフクロにされてたよ!」
上半身を壁に預ける格好で、呆然と恵子を見上げる中島。
恵子「2度と2人に近付くな!!今度てめえら見たら、マジブッ殺す!!」
サムダウンのポーズと共に、啖呵をきる恵子。
悲鳴を上げて電流に打たれたように立ち上がり、出口に逃げ出す中島。
帽子と眼鏡も後に続く。
続いて恵子も出口に走り、廊下を走り去る3人に追い討ちをかけるように絶叫する。
恵子「お台場にも来んなよ!!来たらす巻きにして東京湾に放り込んでやるからな!!顔は覚えたからな!!」
その恵子の横を、何故か鎧コスのクッチーが走り去り、3人が消えた方へと向かった。
騒ぎがあった時、クッチーはちょうど撮影会場に戻ってきたところだった。
突然出口から見知らぬ女が3人出てきて走り去り、その後を追って出てきた恵子が何か叫んでる。
構ってもらったり、命令されたりすることに喜びを感じる、そんなクッチーは精神構造が犬に似ていた。
そのせいか物事や人の善悪には意外に鼻が利いた。
新人勧誘の際にコス泥棒に気付いたのもその為だ。
(まあそのくせ自分の言動の善悪には無頓着なのがクッチーのクッチーたる所以だ)
そんなクッチーには、逃げた3人は追うべき対象に見えた。
それに元々犬には、自分の目の前で走る者を追う習性がある。
こうしてクッチーの大追跡が始まった。
中島軍団はライトな腐女子だからハレガンぐらいは知っている。
それでも鎧の弟君コスが「にょにょにょー!!」と奇声を上げながら追いかけて来れば怖い。だから必死で学外まで逃げた。そうなればクッチーも意地になって追う。
鎧コスのハンディの分なかなか追いつけないが、振り切られることも無くクッチーは1時間以上も3人を追い回し続けた。
そして見失った時には道に迷ってしまい、結局近くの交番に保護された。
笹原「恵子・・・」
荻上「あのー・・・」
咲「ほんとにやっちまったな、このバカ」
恵子に近付く笹荻と咲ちゃん。
恵子「おっと、礼も説教も聞かないよ。あたしはあたしの気持ちのまんまのことをやっただけだ。やり方は知んねーけど、気持ちは間違ってない。だから礼には及ばないし、説教される筋合いも無い。」
笹原「そうか・・・ならいい」
咲「お前が後悔してないなら、それでいいさ」
無言で進み出て、義手を模した右手を差し出す荻上さん。
恵子もそれに応えて右手を差し出して握手する。
恵子「痛てて!」
互いに手を引っ込める2人。
荻上「大丈夫?」
恵子の右の拳は軽く出血していて、よく見ると腫れていた。
鍛えていない拳で思い切り殴ったので傷めたのだ。
(空手家ですら、人の頭を殴ると拳を傷めることがよくある)
殴った時はアドレナリンが分泌していたから痛くなかったのだ。
恵子「(拳を見て引き)・・・見なかったことにしよう」
一同「するのか!!!」
廊下の方から喧騒とドヤドヤという足音が聞こえてきた。
恵子「(廊下を見て)やべっ、自治会の連中だな。トンズラしなきゃ。(カメコたちに)いいかお前ら、あたしはたまたま通りがかって話を聞いて、ヤマカンで悪い方を決めてブン殴った部外者だ。ここの連中とは全く関係ねえ。分かったか?!」
カメコA「・・・あれっ、今のってアトラクションですよね?」
カメコB「そうですよね、いやー迫力のある芝居でしたね」
カメコC「そうそう、新手のドッキリだよね?」
ニヤリと笑うカメコ一同。
どうやら彼らなりに事情を悟り、このサークルが迷惑しないようにという恵子の意図を理解したようだ。
恵子「(カメコたちに)サンキュ!(笹荻に)じゃ後はよろしくなアニキ!千佳姉さん、アニキのこと頼んだよ!」
走り去る恵子。
それを笑顔で見送る一同。
カメコたちの証言のフォローもあって、この事件はげんしけんの届け出無しのアトラクションとして、後で自治会から厳重に注意されたが、さしたるペナルティも無く無事に処理された。
これでもう2度と中島たちは笹荻の前に現れることは無いだろう。
仮に現れても笹荻は自力で撃退するだろう。
いや、それ以外のあらゆる障害や困難に対しても、2人は果敢に立ち向かえるはずだ。
何故なら2人は、お互いの為になら何時でも愛の戦士になれるのだから。
以上です。
さすがに疲れたので、もう寝ます。
>>869-883 乙彼。ひょっとしてコピペじゃなくて手打ち??すげー時間…。
同じ題材でここまで違うとは面白いです。
Gガンとか島本好き?少年誌ノリを感じますた。
書かないと収まらないから、っていうのは同じなんで、よく解ります!
↓のシチュエーションおおいに萌えました。誰かこの設定でSS書いてください!!!!!!111ぬ
223 名前:名無しんぼ@お腹いっぱい[sage] 投稿日:2005/12/01(木) 21:34:05 ID:/OGL89t+0
>>220 二日目:
・遅れてやってきた田中と大野が二人でお出かけ
・春日部姉さんオギーのために一肌脱ぐつもりで、断腸の思いで二人っきりデートをあきらめ恵子も連れ出し三人デート
・斑目も空気読んでクッチーを連れ出して外へ
二日酔いでつぶれているオギーの介抱役を笹原に押しつける作戦
ベタなノリだが、回想で斑目に言い含んでいた伏線や、田中が遅れてやってくる伏線も全部活かせる
226 名前:名無しんぼ@お腹いっぱい[sage] 投稿日:2005/12/01(木) 21:43:38 ID:/OGL89t+0
やべえ、書いてたら妄想がむらむらと膨らんできた
二日酔いで意識朦朧としたまま、昨日の状態を引きずっているオギーが、看病してくれてる笹原を巻田と間違えtskwsdpv@:あばばばばば
すまんSSスレにいってくるノシ
つうかこれ以上書くのめんどいから、誰かこの設定でSS書いて。
残暑のひとこま
乙&GJ 知り合いと友人との間の微妙な関係
こそ最も表現が難儀ですよね。
笹荻、怒りの鉄拳乙・・・んー。微妙!!
個人的には報復的エピソードは原作ではありえんし、SSとしても
表現するべきなものかと悩んでいたところでしたが、勧善懲悪のカタルシス
に対する需要も確実にあるのも事実!偽らざる真実の声でさえある。
暴力的報復が解決となるわけでは無いことを踏まえた上で、残忍さを抑え
爽快感を抽出できた点は良かったかなと思います。うわっ評論家くせーこと
言っちまった。スマソ。
>>855 残念ながら自分の妄想に振り回されて人のリクエストに
答えられる余裕無し。スマソ。
俺も笹荻の帰省を一本書いてるが、
話がぶっとんで、オリキャラだすわ、純文学か山田洋次の
「息子」っぽい話になるわ、こんなん投稿できっかなと
考え込む始末。逆に過疎気味の今がチャンスか・・・。
オリキャラは正直勘弁
銅胃
あ、やっぱり?じゃあ割愛すっか。
どうしても地元の友人出さんと荻の学生生活寂しい
もんになっちゃうから自然に作ったんだけどなー。
とーちゃん、かーちゃん、弟(?)くらいは
出してもかまわんかな?ダメなると帰省話は
お蔵入りだな。
同級生は、今月号に絵が出てたら一応良いんじゃないか…?
名前も台詞もなさげだけど。
まあ帰省するなら家族は必然的だし家族構成さえ合ってれば。
と思いますた。
892 :
笹荻の帰省:2005/12/03(土) 19:50:48 ID:???
反対なさそうなんで、投下してみます。
笹荻成立後も二人はけっこう大変だと
思う。そんな二人も見てみたいと
思った妄想です。
東北新幹線は年末の帰省客の混雑で押し合いへし合いのありさまであった。
指定席の取れなかった笹原と荻上は早朝から上野駅に向かい、自由席に乗り
込んだが、その混雑ぶりに疲れきっていた。外の景色をかえりみる余裕さえ
なかった。乗換駅で鈍行列車に乗り換えて座席に座る事が出来て、ようやく
二人はほっとして微笑んだ。
荻「すみません、こんな慌ただしい帰省に付きあわせてしまって・・・」
笹「いや、とんでもない。それにしても綺麗な雪景色だよね。山も綺麗だ。
修学旅行以外で関東平野から一度も出た事無い俺には新鮮な光景だよ。こ
れが見れただけでも・・・」
荻「逆に東京に出てきた時、私には山が無い事が驚きでしたよ」
笹「そんなもんか。でもこれが荻上さんの『風景』なわけだ。」
鈍行列車はゴトゴトと音を立てながら、二人を荻上の生まれ故郷まで運んで
いった。ダイヤは大幅に狂い、予定よりも遅い時間に二人は到着駅についた。
古びた駅の構内。まばらな人。笹原は慣れない寒さにブルッと震えた
荻「寒いですか?もっと厚着してくれば良かったですね」
笹「いや、大丈夫。でもすごい雪景色だね」
荻「これでも昔ほど降らなくなったんですよ。温暖化の影響で。今年は珍し
くこの時期から降ったみたいですね。何も無くて恥ずかしいです・・・」
笹「じゃあ、行こうか!」
荻「すみません、車を運転できる父が用事で迎えにこれねくて。でもタクシ
ー使うほどの距離でもねし。」
笹「いいって。タクシー代がもったいないよ。それに荻上さんの生まれ故郷
ゆっくり見たいしね」
二人はゆっくりと歩き出した。笹原の目からも荻上の表情が段々生き生きと
していくのが分かった。会話も自然にお国言葉になっていった。笹原は荻上
の嬉しそうに話す表情を見るのが心から楽しかった。
笹「けっこう、傾斜が多いね。あれが荻上さんの通ってた中学校?」
荻「ええ、山沿いの町の上、地形が入り組んでて曲がり道も多い上、平地も
少ないんです。寂れて全然変わってません。」
笹「駅前にはコンビニも無かったよね?」
荻「あるにはありますけど、駅前より、街道沿いの方が開けてます。車が無
いと東北の生活は不便ですから」
笹「ふーん」
二人はどんどん歩いていったが、神社の前に差し掛かると、荻上は急に黙り
こくり、足早にその前を通り過ぎようとした。笹原はその理由がわからなか
ったが、何も聞かずに黙って従って荻上について行った。
笹「けっこう思ったより歩くね。」
荻「ええ、でも自転車だとそんなに遠くは感じませんでした。高校はとなり
町の公立女子高でしたから。駅まで毎日・・・始発で・・・」
笹「うわっ、すごいね!」
荻「これでも皆勤賞もらったんですよ。雪が降ると父が送り迎えしてくれま
した。本当に毎日、毎日・・・」
とうとう二人は荻上の実家までたどり着いた。二人は緊張の趣きで顔を合わ
せ、意を決して玄関を開けた。
荻「ただいま!!」
母「はーい、あら千佳ちゃん!遅かったね。悪りかったね、迎えにいけねく
て!ああ、よくいらしゃった。御疲れでしょ!さあ、どうぞ汚いとこです
けど!」
笹「とっ突然押しかけて申し訳ありませんでした!笹原完治と申します!」
母「あんまし、固くなんねで、ゆっくりなすってください」
弟「いらっしゃい!ねえちゃん!土産は?」
笹「??こんにちは!(ええっ、ほんとに弟さんいたんだ!てっきりあの時
の苦し紛れのウソだと思ってたのに)」
荻「(だから本当にいるって言ったじゃありませんか)」
ヒソヒソと二人は話し合った。
荻「おとさんは?」
母「まだ、けえってこねよ。」
荻「んだか、したらあたしたちおとさん帰るまで自分の部屋さいていい?」
母「ええよ、けえってきたら呼ぶから、疲れてるべからゆっくりなさい」
荻上と笹原は自室に入って、荷物をどさっとおろしてようやくハーと安堵の
声を上げた。
笹「いや、疲れた!いや緊張した!会社の面接より緊張したよ!あとお父さ
んへのご挨拶も残ってるよね!はー。持つかな俺・・・。」
荻「ちっ父は無口ですけどそんな気難しい人ではありませんから」
笹「うん・・・それにしてもなんか落ち着くねー、ようやくゆっくりできた
よね。」
荻「全然女の子らしい部屋じゃなくて恥ずかしいです。本ばかり・・・」
笹「いや、荻上さんらしいよ」
しばし、沈黙が続く。二人の顔が赤らんだ。
弟「ねえちゃん!かあちゃん呼んでるよ!」
荻「!ノックしなさい!」
弟「ごめん、なして顔赤いんだ?」
荻「うるさい!」
母「あんた、元旦だけ隣町の宮司やってる伯父さんの手伝いに巫女さんして
ほしいんだけど」
荻「巫女?なして?」
母「当てにしてたバイトの子に逃げられたんだって!」
荻「んーわがった」
母「あと、夕食の支度手伝って。おとさんも今帰ってきたから」
荻上が家事の手伝いが終わり、居間に戻ると、笹原がすでに父親の酒の相手をさせられていた。山盛りに盛り付けられた味の濃い田舎の料理と酒を、勧められるままに苦笑いしながら食べていた。
笹「もう限界です!!」
父「若いもんがだらしない!ささ!!」
そう言いながら先につぶれたのは父の方であった。荻上は笹原に正月
の元旦だけ、隣町の初詣の大きい神社の手伝いに行く事を告げた。
母「したら、父さんに送ってもらうかね。朝早いんだべ、年越しそばはもう
少ししたら、食べるかね。んで笹原さんにはどこで・・・」
荻上は顔を赤らめる。
荻「そしたら、笹原さん・・・」
笹「もも勿論、弟さんの部屋で!!いいよね!!君!!」
弟「せまいけど、どうぞ。うれしいな、兄貴が欲しかったんですよ、俺。」
笹「頼りないお兄さんかもしれないけどね。」
弟「そんなこと無いですよ。編集の仕事されるんですって?いいなあ、俺も
東京に出たいんですけどね。姉貴も地元にいるよりは東京の方がいいでし
ょうし。」
笹「それは例の中学の時、好きな人に同人誌を見られたって話と関係が?」
弟「ええ、俺も小学生だったから、当時。また聞きですけど。親父もお袋も
その件は口を閉ざすし。なにしろネタにされた本人が登校拒否・・・」
笹「いや、ちょっと、具体的な話は聞いてないんだ。根堀葉堀聞く事じゃ無
いし。」
弟「やべ・・・」
笹「大丈夫、詳しく・・・」
笹原は弟の部屋を出て、廊下の窓辺の側を流れる小川を眺めた。
笹「俺って薄っぺらいな・・・」
その晩、荻上は夢を見ていた。
幼い頃、東北でも有名な雪祭りに家族で旅行した光景だった。
夜、無数のかまくらから光がこぼれる。自分はその側にあるかがり火を見つ
めている。その焔は闇夜をこがすかのように夜空に向かって燃え上り、火の
粉は闇夜に吸い込まれて行った。不思議な興奮と畏れに襲われ、不安にから
れて、家族のもとに駆け出した。大きめのちゃんちゃんこと藁の長靴が体に
からまり、トテッと転んだ。父親が自分を抱きかかえ、そして父親にしがみ
つきながら震えていた。
荻上ははっと目を覚ました。両の目からは涙がこぼれている。あの時、あの
時の私が許されない罪を自分自身に対してしたとすれば・・・、あの時私は
罪の意識をしっかりと感じて、畏れを抱きながら同時に身も心も喜悦に包ま
れていた事を自覚していた事だろう。荻上はベットから起き上がり、廊下に
出ていった。すると笹原が窓辺にたたずんでいるのに気付いた。
荻「眠れないんですか?」
笹「ああ、荻上さん・・・。そうだね」
荻「私もです。明日は早いのに・・・。」
笹「俺ねえ、荻上さんのコスプレ姿にいやらしいこと考えたことあるんだよ」
荻「・・・そうですか。私も笹原さんと斑目さんとでいやらしいこと考えた
事ありますよ」
笹「どうしようもないねえ、俺たち」
荻「どうしようもないですね、私たち」
お互いに微笑み合い、自然に二人は手を取り合って握りしめあっていた。
明け方前、父親の車で笹原と荻上は隣町の稲荷大社まで連れて行ってもらっ
た。
伯父「待ってました!!じゃあ千佳が着替えている間、笹原さんにはお守り
とか破魔矢とか業者が搬入してくる奴を運んでもらおうかな!!」
荻「うわっちゃっかりしてるー」
伯父「まあまあ、ささ、こっちこっち!」
父親は一旦家に帰り、笹原は神社の職員の言われるままに社務所で手伝いを
していた。そうこうしているうちに、巫女姿に着替えた荻上が現れた。その
姿に茫然自失となり、白無垢と袴姿に我を忘れ、声をかけられてはっとする
まで気がつかないありさまだった。
笹「・・・綺麗だ・・・天女様かと思った・・・」
荻「馬鹿ですね!」
荻上は恥ずかしそうに小走りに立ち去っていった。