だいらんど連載中

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昼 学校 中間試験 英語U

「それでは……START!!」カリカリカリカリカリカリカリカリ
 その中、池田は只一人窓の外に降りしきる雨を眺めていた。
「え〜と池田君? スタートなんですけど…」桜井は控えめに言ってみた。
 池田が一睨みすると桜井はすごすごと退散した。
 清水は背後にやり取りを聞きつつ鉛筆を走らせていた。
3982/6:2005/12/06(火) 20:30:00 ID:???


       Look at ME!!
3993/6:2005/12/06(火) 20:30:56 ID:???
夜 桜井自宅 中間試験採点中

 桜井は池田の怒りをもっともだと思いつつ彼の答案を見た。
きっと白紙だろう。せっかくやる気を出してくれたのに……

昼 学校 中間試験 答案返却

 桜井は明るく元気に平均点を発表した。72点。みなさん頑張ってくれて先生嬉しいです。
「最高点は100点! 二番目の人は95点でした!」ひえ〜 だれだよ〜 生徒たちがざわめいた。
 池田は自分の答案を見ていた。95点。ハッと清水を見る。100点。彼女は「にま…」と笑った。

昼 校庭 体育授業後

「くそっ!」池田はフェンスを殴りつけ芝生を蹴散らした。「ぜったい満点だと思ってたのに!!」
「一年間のブランクは予想以上に大きかったようですね」バレーボールをてんてん突きながら清水。
 桜井はむしろ池田の点数に驚いていた。テストにも答えてくれないと思っていた、と。
それを伝えると池田は怒り出した。あんたに男がいようがいまいがテストには関係ない。
あんたの面倒を見るのはここまでだ。これからはその男に面倒見てもらえ。
 清水がすかさず言った。宇田川先生の試験は平均60を割りました。同じ英語で試験の難易度にも
さほど差はありません。これは生徒の理解度の差なのです。
「自身を持ってください みんな先生を応援してますから!」
4004/6:2005/12/06(火) 20:32:05 ID:???
午後 学校

 そりゃあね。問題を簡単にすれば平均点だってあがりますよ。生徒達もいい気分になって
あなたの人気も上がるでしょう。でもそこまでしてチヤホヤされたいですか。アイドルにでも
なったおつもりですか。だから教師として…

 桜井は聞いてはいなかった。脳裏ではけっこう仮面が宇田川を縛り上げた上で天井から吊るし
鞭で叩こうとしていた。桜井はくくくと笑いはじめた。宇田川はけげんな顔でそれを見た。

午後 廊下

 桜井は笑いながら部屋を出、池田と手を合わせた。池田は自分の手を見た。

午後 学校

 ほう、これは驚いた。赤点ばかりの中でなんでしょう。この95点というのは。もしかして
孤高の戦士池田君の全面降伏の合図でしょうか。でしたら歓迎しますよ。ひざまづいて許しを請う
生徒を見捨てるほど冷たくはないですからね…

 宇田川はくどくどと話し続けた。
(一年間のブランクか)
 池田も聞いてはいなかった。
(オレ…そんなに勉強してなかったっけ?)
 彼は遠い目をしていた。
(そういや中学のころはずっと…)
 彼が思い出したのは中学校の制服を着た清水だった。
(清水とテストで点取り競争してたんだっけな…)
 池田は前を見た。
(一年間…)
 宇田川はまだ話し続けていた。
(オレの…一年間…)
4015/6:2005/12/06(火) 20:32:59 ID:???
放課後 校庭

 池田が校舎を出ると清水が待っていた。待ってろなんて言ってね〜だろ。池田がそういうと
清水は自分達は恋人同士ということになっているのだからそれらしいところを見せる必要があると
言った。池田が周囲を見渡すと木の陰に隠れる加藤がいた。
 清水は聞いた。池田は答えた。
「詫びる気持ちを行動で示せ 次の実力テストで良い成績を残せば謝罪を受け入れてやってもいい」
「それで池田君は?」池田は沈黙した。清水は言葉を重ねた。もし池田君がもう勉強に飽きて
しまったのなら無理にする必要はないと思います。清水は顔を赤らめながら続けた。
「でも もしまだ勉強を楽しいと感じるのだったら…」清水も沈黙した。そして彼女は突然言った。
 約束していた御ホウビがまだでしたね。そういうと清水は池田と唇を重ねた。
それを見ていた加藤はあわてた。写真を撮ろうとしてやめる。二人の唇離れた。池田の胸が高まる。
清水は言った。次の実力テストで私よりいい成績をおさめられたら…と思ったけどやめます。
エサで釣るような真似は。呆然としている池田を残して清水はまた明日、というと帰り始めた。

 彼らを校舎の窓から眺める影があった。宇田川である。
4026/6:2005/12/06(火) 20:33:53 ID:???
夜 池田自宅

 彼は唇の感触を思い出しつついまだに呆然としていた。そこに電話が鳴った。
もう電話するなと言ったのに。

夜 学校 宿直室

「いらっしゃ〜い フラれ女の宴へようこそ」すでに眼鏡をはずし髪も解いていた。
上掛け一枚の全裸である。
「会いたかったよ池田君 彼に電話したらもう会いたくないだって〜」桜井は泣いていた。
「もしかして オレがその男に面倒見てもらえなんて言ったからフラれたのか?」
「ううん その話持ち出す前にフラれた〜」桜井は悲しく踊りながら答えた。
前からおかしいとは思ってたんだ。最近全然デートしてくれないし〜。
 池田は言った。いいよ、今日は好きなだけ踊れよ。オレが見ててやるからさ。

 ねえ。ひとしきり踊り終えると桜井は言った。「見たい?」「へ?」「今まで見せてないとこ」
自制していたけど。いいよもう。桜井は腰を下ろすとゆっくりと足を広げた。「う」ほら…
どお?「あ…ああ」いいのかよおい? こいつが正気に戻ったとき全部覚えてんだぞ?
 池田君ってCherry Boyでしょ? してみたい? (まさかこいつ…)
 私とでよかったら…する?(こいつもう正気に戻ってるんじゃ…)
 ほら…「あ ああ」(だ だったらいいよな? 何も問題はないよな?)
 池田君カチンカチン…… 「うっ うるせえっ」
「安心して このエマニエル夫人におまかせなさい!」(え!?)
 エマニエル夫人? やばいっ 正気になんか戻っちゃいねえ こいつまだ切れたまんまだ!
桜井はくすくす笑いながら池田を押し倒した。

              6話 おわり