「ふんふんふ〜ん♪」しょりしょりしょり
桜井和代は入浴中。足のスネ毛を処理していた。
「やだわ…ここ伸び放題じゃない」チョキチョキチョキ
「どうせまた池田君たちに見られるんだからちゃんとお手入れしておかなくちゃ」
そこでハッと自らを省みる桜井和代であった。
「私ったら 私ったらいったい何をしているの〜」
頭を抱えてうずくまる桜井和代であった。
382 :
2/7:2005/12/02(金) 20:52:25 ID:???
Look at ME!!
383 :
3/7:2005/12/02(金) 20:52:59 ID:???
午前 学校
「はいこれ いちおう焼いてみたんだけどさ!」
その写真にはラブホテルから手を繋いで出てくる池田と清水が写されていた。
「やるじゃんこのう〜」加藤は池田を軽く肘でつつくと去っていった。
(おれは何にもやってねえ!)心中で叫ぶ池田であった。清水は写真をごそ…と懐に入れた。
午前 学校
まあね、新鮮で楽しいのはわかりますよ。年齢的にもむしろ彼らに近い、友達気分になって
しまうのも当然です。ましてあなたは美人だしプロポーションもいい、生徒達にチヤホヤされて
勘違いなさるのも無理はない。でもね、楽しくては勉強にならんのです。苦労して手に入れてこそ
本当の知識なのですよ。生徒の人気とりに専念なさるのも結構ですが、この学校には他にも教師が
いることを忘れてもらっては困りますね。我々は教師なのです。”師”なのです。
師であることの重みをもう一度考えてみてください。
昼休み 学生食堂
「ストレスをためないことが無理だということはよくわかった」池田はラーメンを食べながら言った。
桜井は弁当を前にしてうつむいていた。清水はカレーだった。
「で あんた自身の考えはどうなんだよ 宇田川のいうとおりだと思うのか」
桜井は沈黙した。目つきは何よりも雄弁だった。
「だったらいいじゃねえかよ」池田は言った。自分が正しいと思う通りにすりゃさ。
「宇田川のいうことにいちいち付き合ったってバカ見るだけだぜ ほっときゃいいんだよあんな奴」
清水は池田をじ〜〜〜〜〜〜っと見つめた。池田は狼狽した。何だよ。別に。
池田の助言は以前と変わらなかった。中間テストを待て。生徒はみなちゃんと見ているから。
しかし桜井の表情は晴れない。そこで池田は視点を変えることを提案した。あんたはその気になれば
いつだって変身して宇田川の野郎をやっつけることができる。生殺与奪を握っているのも同じだ。
それは桜井のお気に召したようだった。彼女はくっくっくっと笑った。
384 :
4/7:2005/12/02(金) 20:54:29 ID:???
午後 廊下
気を取り直して授業に向かう桜井は宇田川とすれ違った。脳裏に宇田川をやっつける図を思い描く、
それでなんとかなった。ただ笑い声が口から出てしまい宇田川は違和感を覚えたようだが。
午後 2-B
「は〜い 今日も張り切って 授業を進めましょう!」久々の笑顔だった。池田はそれを見て
ホッとしていた。考えてみたら なんでオレこんなに一生懸命になってんだろ。教師なんかのために。
「え〜と では次の部分を」桜井は指名した。「池田君! 読んでください」
池田は桜井をぎろっと睨んだ。桜井がひるむほど本気だった。だが彼女は退かなかった。池田は
一瞬の沈黙の後、立ち上がると、周囲が驚くほど流暢な発音で教科書を読み進めた。クラスメイトは
みな意外な顔をしていた。清水を除いて。
放課後 校庭
桜井は顔面蒼白だった。新しく出た学校新聞を見たのだった。そこにはラブホテルの窓から
顔を出すけっこう仮面、つまり桜井が載っていた。
「この種のホテルには一人では入れない所から共犯者がいるものと思われる」清水が読んだ。
「自らけっこう仮面と名乗ったことよりこの新聞を読んでいる可能性も大」池田も読んだ。
「大丈夫よね 顔もはっきり写ってないし」桜井は自らを励ますように言った。
清水が後ろの木の陰に加藤がこちらを伺っていることを告げる。手にしっかりとカメラを持っていた。
「彼女 勘はいいんだけど隠れるのはヘタだな」池田はつぶやいた。
そのときスピーカーからピンポーンとチャイムが鳴った。お呼び出しを申し上げます……
385 :
5/7:2005/12/02(金) 20:55:39 ID:???
放課後 校内
いやまったくたいしたもんですよ。優秀な学生ばかりのわが高の中にあったここまで赤点を
取り続けるとは。その根性だけは認めてあげますよ。さあ、もう満足したでしょう。あなたのその
幼稚なプライドも満たされたのではないですか。そこであなたに今一度社会復帰のチャンスを
あげましょう。どの科目でもけっこう、一科目だけでもいいですから平均点以上を取りなさい。
そうすれば謝罪する意思があるものとみなして今までのことは大目に見てあげましょう。一科目
だけです。あなたのふやけた頭でもなんとかなるでしょう?期待していますよ、私の親心を
裏切らないでくださいね。
放課後 帰宅路
「宇田川先生がおかしな挑発をするものだから池田君が答えを書けなくなってしまうのです」
「それであの成績表」桜井はようやく納得のいった顔をしていた。
「本人の前で噂話すんなよ!」池田は怒鳴った。
宇田川先生はわかっていてやっているふしがある、と清水は言った。そして池田に声をかけた。
「やっぱりまた全科目赤点ですか?」
沈黙の後、あんたのテストだけはちゃんと答えてやるよ、と桜井に言った。清水は額面通りには
受け取らなかった。それだと宇田川先生の期待に応えてしまうことになりますよ、と言い返した。
ふたたび沈黙の後、「それでもだっ!」池田は言った。宇田川なんて勝手に喜ばせときゃいいさ。
清水は池田の頭をなでた。ゆっくりと、いいこを褒めるかのように。池田は驚いた。なんだよ。
「自分の正しいと思う通りにすればいい」清水は言った。池田自身の発言だった。
「宇田川の言うことにいちいち付き合ってたらバカを見るだけだ」
池田本人が驚いた。さらに清水はテストでいい点が取れたら私からもゴ褒美をあげましょう、と言った。
「残念ながら池田君が期待していることとは違います!」「オレがなに考えてるのかわかるのかよ」
二人を見ながら桜井和代は私もがんばらなくちゃ、と思った。
386 :
6/7:2005/12/02(金) 20:56:27 ID:???
夜 桜井自宅
桜井和代と清水は二人で向かい合っていた。池田には秘密でストレスを分散させるためだった。
つまり清水を観客として桜井が裸で踊るのだった。当初は桜井の発案だった。しかし彼女は
やめたがっていた。
「やっぱだめ〜 正気だと恥ずかしいだけ〜っ」
しかし清水は頑固だった。
「最近感じた嫌な出来事をいろいろ考えて下さい」
桜井は考え始めた。やぱり宇田川先生、イヤだわ! 教え子に頼りきってる自分とか…
情けなくって涙が出る。そうだ電話! 昨日かかってきた電話! 仕事で忙しいって…
久しぶりに会えると思ったのに…
夜 池田自宅
「はい池田 なんだ清水かよ」
「試験勉強中申し訳ないんだけど来てもらえないかしら 桜井先生が手に負えなくなって」
「勉強なんかしてねーよ」池田は電話を机から取っていた。彼は椅子に座っていた。そして
机の上には教科書とノートが広げられていた。
387 :
7/7:2005/12/02(金) 20:57:06 ID:???
夜 桜井自宅
「来たぞ なんで清水が桜井のアパートにいるんだよ」池田は驚愕した。全裸の桜井が清水を
押し倒していた。清水の服は半ば脱がされていた。「見てないで助けてくださらない」
・
・
・
「女二人で何してたんだよいやらしい」「相談に乗ってあげてただけです」
桜井は自分の部屋をうろつきまわっていた。
「それで? あんたはなんで切れてんだよ」池田は桜井に尋ねた。
桜井は手を上げて応えた。拳が卑猥な形に握られていた。「エッチがしたいっ!」
池田はあっけにとられた。「それで清水が相手をしていたわけか」「違います!!」
池田はベッドに座った。「こいつ 切れてるときはやたらと素直になるんだよな」
そして再び尋ねた。「なあ 誰とエッチしたいんだ?」
桜井は両手を胸の前で重ね合わせた。「もちろん彼と 最近ちっとも抱いてくれないんだもん」
池田はぶるぶると震えていた。「お…男がいたのか?」
「うん」桜井和代は素直に答えた。
「…だったらなんで俺達に頼ったんだよ そいつに面倒見てもらえばいいだろ?」
「あらぁダメよ! こんなところ彼に見せられるわけないじゃない!」
桜井はあっさりと言った。
「ぜったい! 秘密にしておかなくちゃ!」
勝手にしろ、帰る。そう告げて池田は出て行った。
5話 おわり