【ハレンチ】ネギま!萌え党カルメン’77【パンチ】
今までのお話。
授業に参加するエヴァを見て、改心したと確信するネギ。
しかしエヴァは自分の魔力を封じる結界の源が電気である事を突き止め、
メンテナンスのために長時間停電する今夜、ある作戦を決行する。
そして学園は停電し、まき絵が吸血鬼と化し、ネギをエヴァの元へ誘う。
それに対し、ネギは明日菜たちに迷惑をかけまいと単身、戦いに赴く。
しかしそれが裏目になる。
何故ならエヴァはまき絵の同胞を増やし、その戦力に加えていたからだ。
そこに、イギリスにいたはずの、ネギの姉、ネカネ・スプリングフィールドが
助けにやってきた。
水を得た魚のごとくはしゃぐネギ。
一方、エヴァはネカネの登場によりいよいよマジになり、内心不安を抱えつつも、
アスナ攻略に茶々丸を向かわせた後、まき絵以下全員の総力を挙げて、
ネギ姉弟に襲い掛かってきたのだ。
まき絵達使い魔相手なら負けないはずのネカネ。
しかし、ネギはネカネに自分の生徒である彼女らを傷つけないように哀願する。
これではさすがの大魔女・ネカネでも不利だ。
途中、ハプニングで亜子の戦線離脱があるものの、防戦一方のネギ姉弟。
とうとうネカネが倒れ、続いてネギも倒れる。
しかし執念のネカネはボロボロになりながらも、立ち上がったのだった・・・!
その鬼気迫る表情にさすがのエヴァも気圧される。
ネカネの強大な魔力により、アキラ、まき絵がアッケなく陥落。
果敢に挑んだ裕奈も一撃で討ち取られる。
一方の茶々丸は未だ健在。
明日菜、楓などの動きなきコトを確認し、エヴァ軍の後方を固める。
いよいよ、ネカネ・茶々丸、両雄の天下分け目の合戦の時が迫っていた・・・!
>>167 茶々丸が立っていた。無表情なその裏に、強い殺意が
感じてとれる。
エヴァ「茶々丸・・・! 戻ってきて、くれたんだ、ヒクッ・・。
ゆ、夢じゃない・・・よね。ははっ、茶々丸ーっっ!!」
エヴァは迷子になった幼稚園児が、2時間ぶりに母親(若しくは姉)に
見つけてもらった時のような表情になった。茶々丸にかけよろうとして、
足元の石につまずいた。また、起き上がり、再びかけよろうとするが、
茶々丸は視界から消えていた。
エヴァ「ちゃ、何処? 茶々ま・・・」
右手後方から、激しく何かがぶつかる音がした。
見ると、ネカネと茶々丸がぶつかり合っていた。
ネカネ「ぐっ」
茶々「・・・・・!」
>>172 ネカネは、後方に跳んだ。今の立合いで、わかった。
最大能力値ではわずかに私の方が上だ。しかし、体力を既に
すり減らしている私とはスタミナが違う。
長期戦になれば、状況は極めて不利だ。
バン!耳をつんざくような音がしたかと思うとネカネは
右腕に激痛を感じた。袖口が切れている。
どうやら、茶々丸がロケットパンチを放ったようだった。
ネカネは痛む腕を押さえつつ天高く飛び上がった。
魔力を溜める時間を稼ぐため、間合いを取ったのだ。
一方、茶々丸は水平方向に飛び、ターンしてきた自分の左腕を回収し、
再び装着した。
>>173 ネカネは茶々丸との間合いを目算で測った。
いける・・・この距離なら。
一瞬、魔力を温存して連射しようとも考えたが、
その考えを捨てた。
全魔力をこの一発に集中する・・・!
失敗すれば、後が無い。しかしそれ以外に方法がない。
これは最善策よ。
ネカネ「ごめんなさい、あなたに恨みはないけど、私は
ネギの、弟のために、あなたを殺さなくてはいけない」
茶々「・・・・・・」
>>174 突然、視界から茶々丸が消えた。
ネカネ「なっ・・・」
ガシッ。ネカネは突然強い力で組み敷かれた。
茶々丸が一瞬のうちに背後に回りこんでいた。
ネカネ(しまった。それにしても、何てスピードなの…)
しかも、茶々丸はネカネが最も力が出にくいフォームで、
組み敷いていた。魔法使いの低い体力値では、
人造人間の腕力にかないようがない。
茶々「申し訳ありません。ネギ先生の姉君」
ネカネ(ぐっ。ま、負けた・・・ごめんね、ネギ。私、
あなたを守れなかった)
>>175 ネカネが勝負をあきらめようとした時、
前方に、あどけない顔をした、不安げな少女の姿が目に映った。
ネカネ(いける・・・!この体勢では茶々丸とかいうこのロボットには
当てられないけどエヴァンジェリンには、命中するはず)
ネカネは丸腰のエヴァンジェリン目掛けて彼女の全魔法力を集中した
光弾を放った。前方が白く輝き目が眩む。
茶々「マスター!!」
突然、茶々丸の腕の力が抜け、ネカネは開放された。
ウゴシドボァッッ!!!
轟音が轟き、ネカネは少し距離を取って地面に降り、伏せた。
光は七色に輝き、その向こうから悲鳴か怒号か区別のつかない叫び声
が聞こえたような気がした。嵐のような風が襲い、ネカネの髪が
風圧でほとんど垂直に、ついで水平方向にたなびいた。
眩しくて目も開けられず、強い風により、息もできない。
彼女はそのままの体勢で嵐の収まるのを待った。
>>176 ・・・・・・・
1分程そうしていただろうか。煙が晴れ、視界が良くなって来た。
眼前には彼女の予想通りの光景が広がっていた。
晴れた煙の中から呆然とするエヴァンジェリン、そしてその手前に、
あの茶々丸が倒れていた。あちこちが破損し、左足部分はショートしたか
のように、ジジジと鈍い音と電力線を漏らしている。
やはり・・・!あの瞬間茶々丸はエヴァをかばったのだ。
エヴァ「おい、しっかりしろ。茶々丸ッ!!」
エヴァは、半壊状態になった茶々丸を抱き起こし、
ワナワナと震えている。
ネカネは、そんなエヴァの横に立った。
手には、魔法薬を握っていた。
エヴァ「そ、そんな・・・」
私にはもう魔力がない。だが、私の手にはまだ魔法薬が
残っている。大学の般教で「魔道薬学」を取っといて良かった。
人気が無い講座だったし、単位が取りやすいから受けただけだった
のだが、まさかこんな所で役立つとは。
>>177 茶々丸がうっすらと目を開けた。
茶々「…マスター。私のことは、かまわ…ず、早くお逃げ下さい」
エヴァ「バカ!そんなこと出来るか。私はお前がいなくなったら
どうやって生きてけばいいんだよ!私を、ひと、一人に
しないでよぉ・・・」
茶々丸は微笑んだかと思うと、目を閉じた。
エヴァ「た、頼む。助けてくれ。わかったから、大事な人を失うことの
辛さが、だから、もう、許して。」
ネカネは迷った。エヴァンジェリンは、既に2度、弟を殺そうとした。
簡単にこいつの言葉を信じるべきではない。
>>178 エヴァ「いらないから。もう永遠に10歳のままで、学園に閉じ込められた
ままでいいから、私は、もう…どうなってもいいから、こいつだけは
助けて・・お願いだ、お願いします、うぅっ」
ネカネは手を止めた。目の前で必死に哀願する少女の目は、
駅前で二度と戻らない飼い主をいつまでも待ち続ける子犬の目にそっくりだ。
こいつの茶々丸を想う感情は、私の弟へのそれとなんら変わらない。
そんな、気がした。
>>179 ネカネは、エヴァンジェリンの頭に手を伸ばし、
そして優しく撫でた。
エヴァは、最初はビクッと身を固くしたが、
ネカネに敵意が無いのがわかると安心してそれを
受け入れた。
ネカネ「わかったわ。もう、戦いは止めましょう」
ネカネはエバの額を撫でながら、もう片方の手で
魔法薬を茶々丸に使った。
ネカネ「ショートした部分と、破損したオイルタンクの引火が
起こらない様にしたわ。これで後はハカセって子
にでも修理してもらえば、大丈夫」
そう言ってネカネは、エヴァを胸の中に抱き寄せた。
その瞬間、エヴァの瞳から大量の涙が堰を切ってあふれだした。
エヴァ「うぅっ、ありがとう、こんな私を、うぐっ、ふぅ・・・う」