「だけどナァ最近典子のやつ何もしゃべらなくなってな…
昔はいろんなことたくさん話してくれたのに…
もしかして非行に走るんじゃないかとわしは心配で心配で…
だから門限を厳しくしたり男の子との交際を禁じたんだ…」
「!」おとうさんが心配症になったのは私のせいだったの?
そういえば私ったら昔はいろんなこと話し合ったのに今じゃ面倒になって何にも話してない。
だからおとうさんは心配症になったんだ!それなのに私ったらおとうさんを異常者扱いにして、
「典子のやつ出て行ったよ、フフフみじめだな」
「フフフフ」「フフアハハハハハ」「ヒーヒッヒッ」
「ヒーヒッヒッエヘエヘエヘエヘエヘエヘ」
本当に異常者だったりして……………。
「エ?」笑ってのけぞった勢いで後ろに倒れ、典子に気付いて起き上がる。
「典子!」
「あ…あのごめんなさい私知らなかったの、だっておとうさんたら何も言ってくれないし」
「典子!」「ハ…ハイごめんなさい」
「よく帰ってきてくれた…ほんとうに……あり…とう、ありが…う」
典子にすがりつき、泣き出す光太郎。
やだおとうさんたら、まるで子どもじゃない。心配かけてごめんね…おとうさん…
「さっ立って」「のりこ…」「ちくしょう涙のやつ…」神々しい父娘の光景に背を向け泣く北野。
少年は青春ドラマが大好きだった…。