急いで家を出る典子。気がつくと光太郎が後ろについて走ってきている。
「なんでついてくんのよ」「うるさい!」「みっともないから帰ってよ!」「ええい!はなせ」
「あっ…おとうさんですかこんばんは」もみ合う二人の前に現れた北野。
「うるしゃい!気安くおとうさんと呼ぶな!バカタレ!二度と娘に近付くな!色魔!変態!」
「ご…ごめんね北野くんまた今度ね」「う……うん」
悪態を吐く光太郎を引きずる典子を、背中に血管を浮き立たせて見送る北野だった。
「本当にもう!恥ずかしいったらないわ!!いい加減にしてよね!!!」
「まだ子どものくせに生意気言うな!」「何よ万年平社員!」
言い負かされて病人のように咳き込みながら床につく光太郎。
『ったく自分の立場がヤバくなるとすぐ誤魔化すんだから』
だけど、いつからおとうさんはこんなに厳しく心配症になったんだろう。
小さい頃はとても優しかったのに…。
翌朝、食事中もずっと父を無視する典子。
日曜だからピクニックに行こうと誘ってきたが遮って夕食の買い物に出かけた。
「典子のやつずいぶん機嫌悪いナァ」掃除機をかけながら悩む中年、光太郎。
「そうだ、典子の部屋も掃除してやろう」
『まあお父さまありがとう…さっきはごめんね』
きらきらと目に涙を浮かべながら謝る典子の姿を想像し、歌いながら典子の部屋を掃除する。
「おっ」蛇腹ホースが当たり、机の上の本が落ちた。「なんじゃこりゃ」
【9月13日 今日北野くんが誕生日のプレゼントにAをしてくれた】