【いじめ】ネギま!【問題】

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682マロン名無しさん
「あっ‥‥」
一人の少女が小さな声を出した。
それは蚊の鳴き声のように、小さくか細い。
少女は机上を見て、呆然と立ち尽くしている。

昨日まではピカピカだった机には、殴り書きの文字で、口汚い罵りの言葉が綴られていた。
その罵詈雑言は生きているかのようにのびのびと、机上ところ狭しと書きこまれていた。
机の端には雑巾がぶら下がり、そこからは腐臭が漂ってくる。
よく見ると机はテカっており、牛乳に浸した雑巾を擦り付けられたであろうことが伺える。

「うわっ キモッ」どこからともなく、机に書かれた言葉と同類の声が聞こえてくる。
「デブは汗臭いから学校くんなよ」聞かないように心がけるが、どうしても聞こえてくる。
心無い言葉は容赦なく心を抉る。自分の負い目であることを言われるとなお更だ。
少女は表面上何も感じていない風を装い、着席した。そして弾かれたように立ちあがる。
おしりに手をあてると、ジワリと濡れていた。手を鼻の近くに近づける。牛乳だった。
683マロン名無しさん:2005/04/02(土) 03:46:58 ID:???
少女、四葉五月はふくよかな体型をしている。
そのことについて悩んではいたが、自分の夢は店を持つことであり、その上で太っていることは支障にならないと思う。
料理とは試行錯誤の繰り返しだ。味見、試食。これを繰り返していれば、人より少しふくよかになってしまうのは道理だろう。
いわば職業病とも言えるわけであり、そのことで恥じたり気に病んだりする必要はないのだ。
五月自身はそう思っているのだが、現実的な夢を持たない子供には、そんな考えは通用しないのだろう。
ただ太っているだけ。それだけで十分攻撃の対象へと成り得るのだ。
「デブ」という卑しめの言葉に変換され、彼女らの口からそれは吐き出される。

「おい、近づくなよ、デブが染るだろ!」
年頃の少女にとって、太っていることは致命的な欠点だ。
そして太っている人間は無条件で自分より下の存在とみなし、優越感に浸る。
五月とて例外ではない。太っていることは恥じることではない、と頭で理解していても、感情がそれを否定する。
言葉として非難され、初めて劣等感を覚えるのだった。

「やめて‥‥」
人からよく“可愛い”と形容される口調と声量。しかし同性から見てそれは違った映り方をする。
「は?死ねよ。何その声?ツクってんの?」
「デブがツクリって、マジウケるんだけどwww」
やがて五月は声を出すことが怖くなる。
普段から小さなその声はより小さくなり、そしてフキダシを無くすのであった。