☆宇宙全体で地球にしか生命体が居ないとしたら…

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249>>247  良い物を…有り難う。<<1
宇宙人は存在するのか?
 宇宙人の存在は、霊とかテレパシーのようなオカルトとは違う。そもそも私たち自身が宇宙人なのだ。
地球は特別でないという地動説を拡張すれば、地球外に多くの文明があることは、科学的に必然のようにも思われる。
 しかし、40年以上続く地球外文明探査では、地球外文明の形跡は皆無である。
来訪はおろか、人工的な電波信号ひとつ検出されていない。
 地球人の初歩的な科学技術ですら、宇宙空間に通信電波をまき散らし、太陽系外へ宇宙船を飛ばしている。
地球より少し進んだ文明なら、すでにあちこち行き来しているはずではないか。なのに宇宙は沈黙を守っている。
理屈と観測とのこの矛盾は、地球人自身の宇宙開発が進むにつれ、ますます謎を深めてくるのだ。
 この謎を解くと称する既成の仮説を、本書は3種類に大別する。
「彼らは実は地球近辺に来ている」「たまたままだ遠くにいて連絡がない」「地球以外に文明は存在しない」。
 この3種がさらに細分され、49個もの諸説として大配列。呆(あき)れるほどの壮観だ。
UFO、恒星間飛行、文明の寿命、仮想現実、惑星形成論、地質学、進化論、言語起源論等々、
自然科学はもちろん政治学や心理学や哲学にわたるあらゆる知が読み直される。「宇宙人」は、
すべての学問分野の鍵を握る最も深遠なテーマであることを、これでもかと畳み掛けるのだ。
 そうそうたる諸説を検討しつくしたあげく、著者自身が割り出した50番目のファイナルアンサーが
3種のどれに属するかは、途中でだいたい見当がつく。しかし改めて明言されるとやはり慄然(りつぜん)。
「地球以外に文明は存在しない」。
 これは人間中心主義だろうか? いや逆だと著者は言う。知性は普遍的な現象などではなく、
知性自身が思っているより偶然的な、2度生ずる保証のない揺らぎにすぎないのだと。
人間とは何かについて、無垢(むく)な常識をひっ掻(か)き回されたい人に最適の科学哲学書だ。
             松浦俊輔訳   ◇S・ウェッブ=英・オープン・ユニバーシティーの物理学者。