1 :
名無しさんの次レスにご期待下さい:
村上春樹のオサレな文章でデスノートを表してください。
>1に期待。
>1がまず見本を。
4 :
名無しさんの次レスにご期待下さい:04/09/10 01:31 ID:c0Mvad05
何か書いてやろうと思って本を手にとってみたが、
丁度良いフレーズを見つけることはできなかった。
つーか俺の部屋の空き缶専用透明ゴミ袋ん中にゴキが居るんだけど・・
二時半に電話のベルが鳴ったとき、ソファーの上でうたた寝をしていた。
はじめのうち、僕はそれを目覚まし時計のベルだと思った。そして手をのばしてボタンを押し、
ベルを止めようとした。しかしそこには時計はなかった。僕が寝ていたのはソファーの上だった。
僕は起き上がって電話のところまで行った。
「もしもし」と僕は言った。
「もしもし」と男が言った。
Lと呼ばれるその男は、間髪いれずにこう続けた。
↓
>5
殺すんだよ、ゴキブリを。ひたすらに。
これは見事な馬鹿ネタスレですね。
言い出しっぺが一つも例を挙げられないお馬鹿さんなのが、また馬鹿度を増していますね。
「ごきぶりを殺す?なぜ?」
「僕は君がキラかどうかまだ疑っている。だからゴキブリを殺す君が見たい」
「やれやれ」と僕は言った。
11 :
10:04/09/10 01:59 ID:IzIKTtLL
デスノートで殺せるのは名前のある人間だけだ。
キラはゴキブリを殺せない。
しばらく僕はミサの作ってくれたクッキーを食べながらLとゴキブリの関係に
ついて考えてみた。それは考えてみればみるほどつまらないことだった。
僕らは数日のうちにそんなつまらないことは忘れてしまうだろう。
しかし僕にはその出来事が妙に気になった。まるで喉にひっかかった
魚の小骨のようにそれは僕を居心地悪くさせていた。
12 :
名無しさんの次レスにご期待下さい:04/09/10 02:05 ID:MjzIXFHN
やれやれ
>>11 お前馬鹿か?デスノ丸めて叩けばいいだろヴォケ。
ビニール袋の中に居る,…等々、
既に対象の虫(この場合ゴキブリ)の行動範囲を制限できている場合には、
貴方の趣味に応じて色々と楽しめます。
例えば、私なら界面活性剤責め。
ゴキブリやミミズに、食器用洗剤等々を垂らすと、
数秒間のタイムラグの後、気持ち良い位に激しくのた打ち回った挙句に、死んでくれます。
嗚呼、心が晴れる……!!!
村上春樹ってそんなに文章に癖無いからやりづらいと思うんだけどなぁ
ゴキブリ
お前はどこにいるのだ?
僕は目をつぶって想像してみた。
でも僕に思い浮かべられるのは、逆光を浴びた
写真のようなひどく漠然としたゴキブリの像にすぎなかった。
思い出せるそのゴキブリの姿は、まるで失敗した似顔絵のようにいびつで不自然だった。
特徴だけは似ているのだが、肝心な部分が欠落している。
暗闇の中で、僕はゴキブリの黒い影だけを思い浮かべた。
その黒い影は、音もなくどこかの地面を踏みしめている。
どこの地面だ?
買い物から帰ってきて冷蔵庫に食料品を詰め込んでいるときに電話のベルが鳴った。
豆腐をテーブルの上に置いて居間に行き、受話器をとった。
「私たちわかりあえるわね?」
と女は言った。
どうしてかはわからないけれど、その電話をきってしまうことができなかった。
この声を僕は聞いたことがある。それは間違いなく青空ナオミの声だった。
僕は黙り込んだ。
「私のことを想像してみて。声から想像するのよ。私がどんな女かってね。
いくつくらいで、どこでどんな恰好をしているか、そんなこと」
「わからない」と僕は言った。
君から想像できるのは尻の引き締まり具合だけだ。
「試してごらんなさいよ。」
「わからない」と僕は繰り返した。
「じゃあ教えてあげるわ」と女は言った。
「私は居間ベッドの中にいるのよ。さっきシャワーを浴びたばかりで何もつけてないの」
18 :
名無しさんの次レスにご期待下さい:04/09/10 13:20 ID:FMaYqU0E
「かっこう」
19 :
名無しさんの次レスにご期待下さい:04/09/10 13:25 ID:GA+69zCf
「月や、私がいま何をしているか、あててごらん」
とおっしゃった。
「お花を折っていらっしゃる」
と申し上げたら、小さい声を挙げてお笑いになり、
「おしっこよ」
とおっしゃった。
ちっともしゃがんでいらっしゃらない様子には驚いたが、けれども、
私などにはとても真似られない、しんから可愛らしい感じがあった。
こないだ或る本で読んで、ルイ王朝の頃の貴婦人たちは、宮殿のお庭や、
それから廊下の隅などで、平気でおしっこをしていたという事を知り、
その無心さが、本当に可愛らしく、青空ナオミなども、
そのようなほんものの貴婦人の最後のひとりなのではなかろうかと考えた。
村上直樹的デスノート
女とヤりまくった挙げ句夢落ち
斜陽やん…
「どこがどう根本的に間違っているのか、わかりやすく説明していただけますか」とLが挑戦的に言う。
「論理のすり替えや知識のひけらかしは抜きで」と相田がつけ加える。
「わかりました。論理のすり替えや知識のひけらかしは抜きで、わかりやすく正直に説明しましょう」
と月は言う。
「お願いします」と松田が言う。Lはそれに同意するように簡潔にうなずく。
「まず第一に、僕は男性じゃありません」と月は宣言する。
すべての人々が言葉を失い、沈黙する。局長も息をのみ、となりのミサミサをちらっと見る。
「僕は女だ」と月は言う。
「つまらない冗談はよしてください」、Lがひと呼吸置いてからそう言う。しかしそれは誰かがなにかを
言わなくてはならないから言っているという感じの言い方だった。
確信があるわけじゃない。
月はチノパンツのポケットから財布を出し、そこからプラスチックの学生証を抜き出してLに渡す。
Lはそこに描かれている文字を読み、少しためらってから、まるで不吉なトランプの札を引き渡すときのような表情を
顔に浮かべ、学生証を月に返す。
「君もみたい?」
と月はミサミサの方を向いて言う。ミサミサは黙って首を振る。月は学生証を財布に収め、財布をチノパンツのポケットにしまう。
そしてカウンターに両手をつく。
「というわけでごらんの通り、僕は生物学的に言っても、戸籍から言っても、紛れもない女性です。」
「でもー」とLはなにかを言いかけるが、あとの言葉が続かない。
ミサミサはまっすぐに唇を結び、右手の指でブラウスのレースを引っ張っている。
「でも身体の仕組みこそ女性だけど、僕の意識は完全に男性です」と月は続ける。
「僕は精神的にはひとりの男性として生きています。ただ、僕はこんな格好をしていても、レズビアンじゃない。
性的思考で言えば、僕は男が好きです。つまり女性でありながらゲイです。ヴァギナは一度も使ったことが無くて、
性行為には肛門を使います。クリトリスは感じるけど、乳首はあまり感じない。生理もない。
さて僕は、何を白状しているんだろう。どなたか教えてくれますか」
23 :
名無しさんの次レスにご期待下さい:04/09/11 00:50:57 ID:cP1lUcOp
ミサが最初にデスノートを使った若い男は、スポイラーのついた白いニッサン・スカイラインに乗っていた。
日曜日に家の近くを散歩していたら、「ドライブに行かない?」と誘われたので何となく乗ったのだが、
江ノ島近くでむりやりモーテルに連れ込まれそうになったので、傍らにあったデスノートを手にとって
相手の名前を書いた。するとうっという声を出して、心臓麻痺を起こしたのである。
ミサはうんうんとうなって苦しんでいる男をあとに残して車を飛び出し、近くの小田急の駅まで走った。
そして自動券売機切符を買おうとしてその時初めて、自分が右手にデスノートを握りしめていることに気づいた。
ミサは素知らぬふりをしてデスノートをショルダーバッグにしまい、電車に乗って家に帰った。
「それ以来ずっとこのノートをバッグに入れて持ち歩いてるの」と彼女は言う。
「ふうん」
と月はなんでもない風を装って言った。「で、それを使う機会はそのあとあったの?」
「ええ」彼女はバッグミラーに向かって口紅をなおしながら答えた。
「2回ほどね。1回はフェアレディーで、もう1回はシルビア。ねえ、どうして日産の車ばかりなのかしら?」
「どっちもやはり心臓麻痺」
「そうよ、心臓麻痺がいちばん簡単だもの。名前を書くだけでいいし」
「ふうん」と言って、月はもう一度心の中でうなった。心臓麻痺になるのってきっとすごく苦しいんだろうな。
考えただけでゾッとする。
「でもね」
とミサはパチンと化粧バッグを閉めていった。「その中には心臓麻痺にされて当然ってやつもいるのよ」
「そりゃ、ま、そうだろうけど」と月は返事をした。
そりゃ、ま、そうだろうけど
やれやれ。
とんがり焼き!とんがり焼き!
「ねえ、キラの中の人って殺しがひとつ終るとすごく性欲がたかまるって話を聞いたけど、本当?」
「さあどうだろう。そういうことはあるかもしれないな。なにしろ殺しをしているあいだはかなり変った神経のつかい方をするからね」
「そういう時って、誰と寝るの?きまった恋人がいるの?」
「きまった恋人はいない」と月は言った。
「じゃあ誰と寝るの?セックスに興味ないとかホモ・セクシュアルだとか、そういうんじゃないでしょ?答えたくない?」
「そ・・・そんなことないよ(くそーっっ!やられたっっっ!)」
「このスレ、まだあったのね」
とミサは大きな目をくりくりと動かしながら言った。
「前に書き込んだのはいつだったかしら。」
「さあね。」
と僕は言った。
「でも時間なんてものは大した問題じゃない。」
月に帰りなさい、君。
29 :
名無しさんの次レスにご期待下さい:04/09/11 01:38:28 ID:2s0XaHQi
「もしかしてリューク モテないの?」
(・・・・・・)
「・・・なあリュー君、お前何人くらいの女の死神と寝たの?」
と僕はふと思いついたように小さな声で聞いた。
「童貞です」リュークは正直に何故かですます調で答えた。
僕は財布に入れようとしていたデスノートの切れ端を押し込みすぎてくしゃくしゃにしてしまった。
「お前もう最低5000年くらい生きてるんだろ?いったいどういう生活してんだよ、それ?」
リュークは何も言わずにその澄んだ目でじっと僕を見ていた。
「時間がないんです。」
と青空ナオミは言った。
「ねえ、月様、長く時間が取れないんです。なるべく急いで済ませてしまいましょう。
ゆっくりできなくて申し訳ないとは思うんですが、いろいろと事情があるんです。
ここにくるだけでも大変だったんですよ」、そして彼女は僕の方にやてくると、
僕のズボンのジッパーをおろし、ごく当たり前のことのように僕のペニスを取り出した。
そして黒いまつげをつけた目をそっと伏せて、それを口の中にすっぽりと入れた。
彼女の口は僕が思っていたよりもずっと大きかった。
僕のペニスは彼女の口の中ですぐに固く大きくなった。彼女が舌を動かすと、ストレートの髪が
そよ風に吹かれるように小さく揺れた。僕はベッドに腰かけ、彼女は床にひざをついて、
僕の下腹部に顔を埋めていた。
「駄目だよ」と僕はいった。
「だってもうすぐここにLが来るんだろう。鉢合わせしたりしたら大変なことになる。
僕はこんなところであの男に会いたくないんだ」
「大丈夫です」と青空ナオミは僕のペニスから口をはなして言った。
「まだそれくらいの時間はあります。心配しないで」
そしてまた彼女は舌の先を僕のペニスに這わせた。僕は射精したくなかった。
でもしないわけにはいかなかった。それはどこかに呑み込まれていくような感覚だった。
彼女の唇と舌はまるでぬるぬるとした生命体のように、僕をしっかりと捕らえていた。僕は射精した。
そして、目を覚ました。
かっこう。
「アイデアを考えてネーム仕立てにしてみたらどうかな?」
僕は大場つぐみに訊ねた。
彼女は黙って微笑み、小さな音を立ててビーフシチューを飲んだ。
とてもチャーミングな笑顔だ。心地よい沈黙が周りを包む。
「素敵なレストランね」
しばらくしてから彼女は言った。まるで目の前の空間に向かって語りかけている
ようだった。
オーケー、いいだろう。君はネームを作り、僕は絵を描く。
「だいたいこのことの責任は百パーセントあなたにあります。
僕にはなんの責任もない。あなたが始めて、あなたが拡げて、
あなたが僕を巻き込んだんだ。人の頭に勝手に原作のイメージを植え付け、
勝手な漫画を書かせ、読者を裏切らせ、漫画ファンに批判され、
わけのわからない評論の泥沼に僕を落とし、そして僕を終わらせようとしている。
『デスノートはもうだめだ』・・・こんなひどい話は聞いたことがない。
そう思いませんか?とにかくもとに戻してください」
パチン・・・・ スイッチOFF。
夜神局長がドアを開けて入ってきた。
「オレンジジュースとドーナツを持ってきた。
私はドーナツを揚げるのが上手いんだ。
カリカリにね。」
「私はね」夜神局長が言った。「サンドイッチだけは
美味く作れるんだ」
確かにそのサンドイッチは軽く私の(極めて限定的であるにせよ)
平均点を上回っていた。
39 :
マロン名無しさん:04/09/11 13:36:23 ID:tiSdXh+y
なんでもかんでも以来が来たらサロンに移すことしかできないのな。
無能な管理者だ
なぜ移転しなければならないのだろう。
僕らは少年漫画板という小さな宇宙の中で
ただひたすらに、妄想し、夢精していただけなのに。
「はっきりとは申し上げられませんが、たぶん流れが変わったせいえしょう。
何かの関係で流れが阻害されたのでしょう」
「流れ」と僕は言った。
第二十八番目のキラが出てくるまでの流れを僕はぼんやりと考えていた。
死神がどこかの木の上で鳴いているのが聞こえた。
ギイイイイイ、とそれは鳴いた。
キラを探しているに違いない。
自分が今いったい何を求めているのか、これからどこに行こうとしているのか、
あるいはどこに行くまいとしているのか、そういうことが僕にはますますわからなくなって
しまった。
「リューク」
僕は忘れてしまったはずのその名前を追い求め続けていたのかもしれない。
「私はあなたが駄目になっていくところを見たくないし、
これ以上だらだら汗をかきたくないの。
だから私はもう少しマトモな世界に戻ろうと思うのよ。
でもね、もし死神さんにここで会わなかったら、
この家の前で会わなかったら、たぶんこんな風にはならなかったと思うんだ。
月に会おうなんてことはまず考えなかったわね。
きっとあまりマトモじゃないところでまだぐずぐずしていたと思う。
そういう意味では、まあ死神さんのおかげっていうわけね」
と彼女は言った。
「死神さんもぜんぜん役に立たないっていうわけじゃないのよ」
僕はうなずいた。誰かに褒められたのはほんとうに久しぶりだった。
「さよなら、死神さん」
と彼女は言った。
弥ミサは手を離して、物凄く珍しいものでも見るようにしばらくじっと僕の顔を見ていた。
「さよなら、死神さん。またいつかね」
僕はミサに電話をかけ、Lをどうしても殺したいんだ。
話すことがいっぱいある。話さなくちゃいけないことがいっぱいある。
世界中にLの名前以外に求めるものは何もない。Lの名前をデスノートに書いてLを殺したい。
何もかもをLを殺してから最初からはじめたい、と言った。
ミサは長い間電話の向こうで黙っていた。
まるで世界中の細かい雨が世界中の芝生に振っているようなそんな沈黙が続いた。
僕はその間携帯にずっと額を押し付けて目を閉じていた。
それからやがて”L”が口を開いた。『君、今どこにいるんだ?』と彼は静かな声で言った。
僕は今どこにいるのだ?
僕は受話器を持ったまま顔を上げ、周りをぐるりと見まわしてみた。
僕は今どこにいるのだ?でもそこがどこなのか僕にはわからなかった。見当もつかなかった。
いったいここはどこなんだ?僕の目に映るのはどことなく捉えどころのない猫背の男の姿だけだった。
僕はどこでもない場所のまん中からミサを呼びつづけていた。
44の元ネタが思い出せない。
前に読んだことある気がするのに。
>>45 >>44じゃないけど、「国境の東 太陽の西」だったような希ガス。
違ってたらスマソ。
オーケー、繋がっている。
>>40 心がそこにあれば、どの板にいっても失うものはなにもないって1が言っていたのを
覚えてるわ。それって本当?
50 :
夜神局長:04/09/12 08:57:11 ID:???
誤解しないでほしい。
私は自分が不幸だなどとは思っていない。
私は不幸ではない。
私はただ、不幸な要素を人より多少多く抱えているだけだ。
おやすみ、粧裕。朝がくればきっとなにもかもがうまくいくと思う。
51 :
マロン名無しさん:04/09/12 08:59:15 ID:CHqESzD8
「なんですか、それ?」僕は訊いた。
「私がこのスレをageるときはここを煽るのが決まりなんです」とLが言った。
「このスレいちばん好きだから、とくにそうしてるんです。心してageるんです」
デスノートについてもう一度だけ語る。これで最後だ。
「キラ」と僕は口に出して言ってみた。
けれど、その音はまるで他人の声のように響いた。
54 :
マロン名無しさん:04/09/12 21:14:35 ID:CHqESzD8
「このスレのことを、いつまでも覚えていて欲しいんだ」
Lは聞こえるか聞こえないかくらいの声で、だけどしっかりと僕にそういった。
「忘れないよ」僕は言った。「いつまでも忘れないさ」
「一緒にキラを探そう」
とLは言った。
「君がキラかどうかは僕には重要な問題じゃない。
問題は僕の中にあるだけなんだ。」
僕は複雑な、そしてやりきれない気持ちになった。
どうしてわざわざそんなことをやらなくちゃいけないのか、と。
56 :
46:04/09/12 23:11:16 ID:???
>>47 そんな気もしてきた。
不確かなことを書き込んで申し訳ない。
57 :
月:04/09/13 14:45:27 ID:DhSS8X5u
ねえ、俺たち2chでチームを組まないか?
きっと何もかも上手くいくぜ。
僕はただ黙って首を横に振った。「分からない」
「君の言おうとしていることが理解できない訳じゃない。
ただ僕はべつに立派な人間じゃないし
他人に自慢できるほどのものも持ちあわせていない。
第一、僕には別にキラに対していいたいことがあるわけじゃないんだ。
だから君が言うように、僕の言っていることがまともじゃないとしても
それは僕の責任じゃない。
誰の責任でもないんだ。」
そう言ってしまうと僕は、ため息をついた。
こうやって書き連ねられると、銀色夏生のポエムのようだ
よくわからない。そうかもしれない。
「仕方なかったのよ」と、ミサは言った。
「クソスレです」
とLは秘密を打ちあけるように言った。
「漫画サロンのスレ、一生ものです。アホレスするときに便利なんですよ。
煽られないし、内容もしっかりしてます。ケーキの話をしても大丈夫です。」
「僕は清楚な高田さんを愛してきたし、今でも同じように愛しています。
しかし、僕とミサのあいだに存在するものは何かしら決定的なものなのです。
そして僕はその力に抗しがたいものを感じるし、このままどんどん先の方まで押し流されていってしまいそうな気がするのです。
僕が高田さんに対して感じるのはおそろしく静かで優しくて澄んだ愛情ですが、ミサに対して僕はまったく違った種類の感情を感じるのです。
それは立って歩き、呼吸し、鼓動しているのです。
そしてそれは僕を揺り動かすのです。
僕はどうしていいかわからなくてとても混乱しています。
決して言いわけをするつもりではありませんが、僕は僕なりに誠実に行動してきたつもりだし、清楚高田に対しても嘘はつきませんでした。
高田さんを傷つけたりしないようにずっと注意してきました。
それなのにどうしてこんな迷宮のようなところに放りこまれてしまったのか、僕にはさっぱりわけがわからないのです。
僕はいったいどうすればいいのでしょう?
僕にはLさんしか相談できる相手がいないのです。」
僕は速達切手を貼って、その夜のうちに手紙をポストに入れた。
「とにかく嫌いなのよ。理由は訊かないで。
何故かはわからないけれど、匂いが我慢できないの」
「匂い?」
「そう、Lからはある種の、人を避けるような匂いがするわ。
私にはそれがわかるの」
デスノートに書き込むことが癒しに繋がるわけではない。
デスノートでは人々は癒せないのだ。
「自分の仕事が好きじゃないの?」
「ああ、とても好きになれない」
「どうして?」
「僕のやっていることは、<キラ>といって誰の幸せにも寄与しないものなんだ」
「よくわかんないわ」
「まあ、芸術的雪かきみたいなものかな?」
「あなたの比喩ってとてもユニークね」
始めから終わりまで、しみひとつないデスノートを作ることは出来ないかもしれない。
しかし、僕はもう一度このノートを眺めて愕然とし、あきらめの言葉を口にした。
「いいさ、みんな好きなだけ書き込めばいい。」
しかしそれは自分の口から出たものとは思えなかった。
69 :
マロン名無しさん:04/09/14 01:20:19 ID:qHLP8jUc
とにかく、そのようにしてデスノートをめぐる冒険が始まった。
「デスノートを焼く人、焼かない人」=「行動に移す人、移さない人」
このい両者の間に存在する決定的な違いを考察する。
彼は前者。僕は後者。
71 :
L:04/09/14 14:17:18 ID:???
「私の貧乏はチーズケーキの形をしてます。」
「今が問題なのよ」
とミサは言った。
「明日とか、来週とか、来月とかそういうことじゃないの。今足りないの」
彼女は本当に真剣に誰かに抱かれたがっているようだったので
僕はとりあえずその体を抱きしめた。
しかしこうして僕の部屋でその体を抱いていると、それはただの
温かい肉のかたまりにすぎなかった。
僕は彼女の背中に手をまわし、彼女は僕の体に乳房をぎゅっと押し付けていた。
実際に触れ合ってみると、彼女の乳房は思ったより大きくてやわらかかった。
僕らは何も言わずに、長いあいだじっとそのままの姿勢で抱き合っていた。
「これでいいのかな?」と僕は訊いた。
それは自分の声には聞こえなかった。
他の誰かが僕のかわりに喋っているみたいだった。
彼女がうなずくのがわかった。
ミサは黒いシャツにに、チェックのミニスカートをはいていた。
でもやがて、彼女がその下に何もつけていないことを僕は知った。
それがわかると、ほとんど自動的に勃起した。
そして彼女も僕が勃起していることに気づいたようだった。
彼女の温かい息がずっと僕の首筋にかかっていた。
74 :
マロン名無しさん:04/09/15 22:19:37 ID:/Ff2+i0B
「そんなの自分で考えろよ、オバタ」
冨樫さんは顔を歪ませながら言った。
「ビール飲むか?」
いらない、と僕は言った。
「冨樫さん?」
口の中がからからに乾いていた。
「冨樫さん?」僕はもう一度繰り返した。
「要するにね、そこにハンター×ハンターがあると思い込むんじゃなくて、
そこにハンター×ハンターがないことを忘れればいいのよ。それだけ」
「ねえ」と誰かが言った。
僕は慌てて目を開けた。
「ねえ」とその誰かはもう一度繰り返した。
女の声だった。彼女は木の陰から姿を現して僕の方にやってきた。
それは高田さんだった。
「ねえ、そんなところでいったい何をしてるの?」と彼女は言った。
「キラを探しにきたんだよ」と僕は言った。
「本当?」と彼女は言った。
「私にはそんな風には見えなかったけれどな。
それに、そんなところにじっと座って、目をつぶって口笛吹いてたって
キラはみつからないんじゃないかしら。」
僕は少し赤くなった。
ねえキラ。君は実においしそうにハムエッグを食べるね。
79 :
マロン名無しさん:04/09/16 01:16:03 ID:E4QRChRw
デスノートのテープで閉じてある角の他より微妙に
強度が高い部分で執拗に殴りつけて殺す。
80 :
マロン名無しさん:04/09/16 01:39:02 ID:qPRzdpCq
「デスノートか、悪く無いな」
僕は朝食の残った材料で簡単に作ったつまみを肴にビールを飲みながらふとデスノートを手に取りそう呟いた。
「やれやれ、明日からは忙しくなりそうだ」
その時、僕の頭の中で何かのスイッチが切り替わるような音が聞こえ、僕は海よりも深い眠りに落ちて行った。
朝もやに水でとかしたようなデスノートを一面にひろげたくらいの純粋なまどろみ
悪くないな。
うむ、悪くない
>>79 こういうレスはなにかのネタなのかな、と思った。
「こういうレスはなにかのネタなんですか?」僕は正直に言った。
僕は
>>79の言葉についてLに聞いてみた。
「これは煽りのつもりなのかな?」
Lは少しの間考えた後でこう言った。
「たぶんそうじゃないかな。俺にはよく分からないな」
キラさん、朝だ。
やれやれ。
誰かがケチャップをはしたないほどかけたオムライスを真ん中から食べようと
レイバンのサングラスを、コートの襟を立てて身に着けようとも、
朝は勝手にやってくるのだ。
「やれやれ」
そう、僕はこのようにして二人めのキラに出会った。
しかし彼女はまるでキラには見えなかった。
三人めのキラは、四葉にいた。彼はこんなことを喋っていた。
「この人類社会では」と彼は言った。
「みなさんとずいぶんかけ離れた凶悪な犯罪者たちが
みなさんと同じように一所懸命暮らしております。
・・・・・・みなさんもご存じのように、真人間も犯罪者も人間です。
みんなが気持ちよく生きていくためには仲良くしなくてはならない。
そうですね?」
沈黙。
それがどうしたっていうのよ。
だからどうしたっていうのよー!
!|l,:!:.:.:.:|.| |レ/∧:l:メ!:.ヽ:.:|:.|/:.i:.リ:、',:|:.i:.i
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、:.l!.N、:い!. !く:::ソ } |:.:|/:/
!:i、.i!リ ヽ! , `~ /|:ノ:/
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:、l:|ハ 、____ /::i/'′
小| ヽ `''ー‐`'' /|/l
:.:トヽ \ / r‐-、r‐-、r‐-、r‐-、
N|`ヽ ヽ、 , '┌───────┤ || || ||_..._|‐──────┐
``'''‐- ..,_ iT"´ | DEATH. NOTE |_...._|| ||_...._|ヽ_,ノ───────|
、_ ``''‐N、 |田代まさし 射殺 |
`ヽ、 i |9月20日警察に職務質問されてそのまま逮捕後、 |
、 `ヽ、 | |翌日逃亡を試みるも、警官に撃たれ死亡. |
不自然すぎるのでアウトかと。
日本の警察は逃げるもの撃つべからず、だし。
93 :
マロン名無しさん:04/09/22 19:32:50 ID:oKySyT0+
!|l,:!:.:.:.:|.| |レ/∧:l:メ!:.ヽ:.:|:.|/:.i:.リ:、',:|:.i:.i
:|l.|:.:.:.:|!.:|:.//¬i:.{‐、.:|.ト、:l:|、:.!:.:.i:ヽ|:.|:|
i:.:| |:.:.|l:.:.l/ィ示ヽミ !.メ| 〉ヽ!:|_!:.|:i.:N:.|
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、:.l!.N、:い!. !く:::ソ } |:.:|/:/
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小| ヽ `''ー‐`'' /|/l
:.:トヽ \ / r‐-、r‐-、r‐-、r‐-、
N|`ヽ ヽ、 , '┌───────┤ || || ||_..._|‐──────┐
``'''‐- ..,_ iT"´ | DEATH. NOTE |_...._|| ||_...._|ヽ_,ノ───────|
、_ ``''‐N、 |田代まさし 射殺 |
`ヽ、 i |9月20日警察に職務質問されてそのまま逮捕後、 |
、 `ヽ、 | |翌日盗撮を試みるも、警官に撃たれ死亡. |
95 :
マロン名無しさん:04/09/26 02:05:34 ID:T2V2zC8S
僕はこの漫画を名作と呼ぶことにいささかためらいがあった。
「あなたは奇妙な男だな」とLは言った。
「私にはやろうと思えば、あなた達のアドレスを全部公開することもできる
んですよ。そうすればあなた達は2チャンネラーとも言えなくなる。最も
あなた達がやってる下らない煽りやらAAやらのレスが書き込みである
と仮定すればの話ですどね。」
「いいかリュ―ク。
どういうことかと言うと、総体としての僕を単純にタイプファイ
することはできないけれど、2ちゃんねらーが抱く夜神ライトは
おおまかに言ってみてふたつにわけることができると思う。
完全なキラと限定されたキラだ。」
「僕はどちらかというと限定的なキラとして暮らしている人間なんだ。
その限定性の正当性はたいした問題じゃない。どこかに線がなくては
ならないからそこに線があるんだ。でも全ての2ちゃんねらーが
そういう考え方をするわけじゃない。」
限定的なキラだって?
キラなんて物は、マセラティと一緒に海にほうりこんじまえばいい。
「キラなんてものはそもそものはじめからなかったのよ」と彼女は言った。
102 :
マロン名無しさん:04/09/27 00:52:22 ID:IIYAtEpF
やれやれ
103 :
マロン名無しさん:04/09/27 02:28:58 ID:DKX8CSjp
やれやれ。
ぼくは小さなため息をつきながら、デスノートを取り上げた。
104 :
マロン名無しさん:04/09/27 02:46:17 ID:DKX8CSjp
「漫画に」
一言そういってから、Lは口に一気にケーキを押し込んで、空になった皿を勢い良く
テーブルの上に置いた。
「テーマはいりません。それが言い過ぎだというなら、必ずしも必要はない。
ねえ、だいたい世の中には、21世紀になってもあまりにテーマと名のつくものが
多すぎますよ。」
僕は黙って、Lが唇に残ったクリームを、服の袖で拭い取るのを眺めていた。
「すくなくとも僕は、このケーキみたいに、読みながら誰かを良い気分にさせる漫画、
そいつに存在価値を認めるね。」
少し考えてから、僕はこう言ってみた。
「でも、人間は誰だって、ずっと良い気分にだけ浸っているわけにはいかないだろ?
それだけじゃ物足りなくなることだってあるだろうし。」
Lはちら、と僕の方を見て、ひとつ首を振ってから、うんざりしたように言った。
「そのときは簡単です。やめちまえばいいんです。やめちまうんですよ。
そいつの漫画を全部本棚から放り出して、月曜日の朝に資源ゴミの回収にでも出しちまうんです。
それで、オーケー。あなたはもう、キラになる必要も無いし、こんな風に拘束されることで貴重な
時間を割かなくても良くなる。
すべてはシンプルに、いたってシンプルに解決します」
オーケー、正直に認めよう、おそらく僕は拘束されるのが大好きなのだ。
このスレおもろい
このスレが面白いと思っている君と君自身とはべつなものだが
多くの人にとってそれはどうでもいいことだな
オーケー、ビールを飲もう
タルティーニの「悪魔のトリル」を聞きながらリンゴをかじっていた僕は
心臓麻痺で死ぬ。
僕はこっそりと壁紙を弥海砂に設定した。
110 :
マロン名無しさん:04/09/28 03:27:38 ID:G1aVQicj
「どうして盗撮したんだ?」
「個人的なことだよ」
「知ってるよ」と警察官は我慢強く言った。「個人的じゃない盗撮なんて聞いたこともない」
なぜ逮捕されなければならないのだろう。
僕はスカートという小さな宇宙の中で
ただひたすらに、妄想し、撮影していただけなのに
112 :
マロン名無しさん:04/09/28 05:58:27 ID:G1aVQicj
このスレを本物のキラが見たら何て思うだろう。そう考えると絶望的な気分になってくる。でも僕は恐れない。完璧なキラなんて存在しないのだから。
デスノートだ。
デスノートは生まれた時から僕の手についていたように
ぴったりと手に収まっていた。
男が言う。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「これはあなたのカメラですね?」
僕は言った。
「違う。これは僕のカメラじゃないんだ」
そう、違う。
これは僕のではない。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「つまり僕はしばらくは死んだままでいたほうがいいということですか」
質問の意味がよくわからないな。
>>116 それは君の脳味噌から出てきた見解であって、僕らには何ら関係ないし、そして分か
らない。
君、あるいは僕はこの世の中の事象について何も分かっちゃいない、分かったフリを
しているだけなんだ。
僕たちはより沢山の人間について考察しなければいけないんだと思う。
けれども一つだけ確実に近い事がある、それは君がとても「ひとりよがり今井」的だ
と言うことだ。
それは、夜眠って夢を見るより確かで、朝起きて歯を磨くより不確かな事だ、と僕は
思う。
119 :
マロン名無しさん:04/09/28 19:03:25 ID:G1aVQicj
「お誕生日おめでとう」と弥海砂は言って、グリーンのリボンをかけた綺麗な
小箱を僕の前に差し出した。
僕と彼女は高層ビルの三十二階にある素敵なレストランでスコッチの水割を飲
みながら、ロースト・ビーフを食べていた。なにしろそれは僕の誕生日だった
のだ。
「ねぇ、なんだと思う?あててごらんなさいよ」
「デスノート」と僕は言った。でもこれはもちろん冗談だ。
包装紙を取るとキラキラと光るルビー色の小箱が現われ、その小箱の中には英
語の辞書ぐらいの本が入っていた。そしてその表紙には「エルティーン」と書
いてあった。
「いつでも好きな時に、それ使っていいのよ」と彼女は言った。
僕は家に帰ると机のいちばん上のひきだしを開けた。その中には七十八人の
女の子たちからもらった七十八冊の色々な科目の「エルティーン」が収めら
れていた。
僕はそれを全部ひっぱり出すと新しいエルティーンを加えて七十九冊にした。
手ごろな数だ。
僕はスコップで庭に穴を掘り、生協の紙袋に詰めた七十九冊の「エイティー
ン」をそこに埋めた。そしてホースをひっぱってきて、水をまいた。
僕はなんというか、そういう性格なのだ。
120 :
マロン名無しさん:04/09/28 20:07:06 ID:jZO7jnE7
やれやれ...
このスレおもれぇw
この“Lを名乗った男”は間違いなくどこかに居る
“本当のL”と繋がっているのだ。
だからこそ彼はここに来たのだ。
そうだろう?
そうだ。
普段と同じように行動し、そして僕が
キラでは無いと信じさせなくてはいけないのだ。
怖いか?
怖い。
やれやれ。と僕は思った。
123 :
マロン名無しさん:04/09/29 08:57:49 ID:ObYR+paM
たぶんあなたは私のことを頭のいかれた蛙だとお思いのことでしょう。
あるいは白日夢でも見ているのではないかと。
しかし私は狂ってはいませんし、これは白日夢ではありません。
でも、たぶん僕の頭が悪いせいだと思うけれど
時々君の言ってることがわからなくなるんだ。
125 :
マロン名無しさん:04/09/29 09:17:40 ID:ObYR+paM
僕はキラの疑いをかけられ監禁拘束されそうになるといつも記憶が飛ぶフリをして
竜崎をナンパするのだ。
こういうやり方がクールなどとは思わないが長くて退屈な時間を潰すにはこれくら
いしか思いつかないのだ。残念ながら、今のところ
退屈しのぎに竜崎をナンパしたところで僕はどこにも行けないのだ。
「死ぬとはっきり決めたわけじゃない。そういう可能性もあるということだよ」
128 :
マロン名無しさん:04/09/30 00:17:31 ID:GxbvQklT
今はわからない。
でもきっと、晴れた日の午後には僕と竜崎はホテルのメニューの前に座り、本日のお勧めケーキを選んでいると思う。
僕と彼はなんというか、そういう性格なのだ。
僕は外の光が見たかった。少しずつ白んでいく夜明けの空が見たかった。そし
てあたたかいコーヒーを飲み、朝の樹木の匂いを嗅ぎ、デスノートのページを
めくるのだ。
キラや独房や手錠や松田はもううんざりだった。
僕の体の中の全ての臓器と筋肉と細胞は光を求めていた。どんなにささやかな
光でもいい。どんなみじめな切れ端でもいいから独房の蛍光灯から発せられる
光なんかじゃないもっとまともな光がみたかった。
130 :
マロン名無しさん:04/09/30 08:52:29 ID:GxbvQklT
うまく行けばずっと先に、何年か何千年か先に、救済された自分を発見することが
できるかもしれない。そしてその時、キラは平原に還り僕はより美しい言葉で竜崎
を煽りはじめるだろう。
「たぶん君にはわからないだろうな」
とLは言った。
「君にはそういう面はないからね。しかしとにかく、それが弱さなんだ。
どれだけわかっていても、自分でなおすことはできないんだ。
何かの拍子に消えてしまうものでもない。どんどん悪くなっていくだけさ」
「なんに対する弱さなんだ?」
やれやれ、と僕は思った。
Lの言っていることは、ひどく僕を不快にさせた。
それまで僕の考えていたは、どうやら幻だったらしい。
「君はミサとのあいだに本当に特殊な関係を持ったのか?」
と総一郎は訊ねた。
「持ちました」と月は答えた。
しかしその「特殊な関係」というのがいったい何を意味するのかは
誰にもわからなかった。
「本当にあの二人は幸せになれるのかしら?」
しばらくあとで二人きりになった時、ミサが松田に尋ねた。
「少し時間はかかるかもしれないけど、きっと大丈夫だよ。」
「あの親子はとても好きよ」
「僕も好きだよ」
「あなたは十八歳の頃何をしてたの?」
「デスノートに夢中だったよ」 二〇〇四年、我等が年。
「死神とはどうなったの?」
「別れたね。」
「幸せだった?」
「遠くから見れば、」と僕は海老を飲み込みながら言った。「大抵のものは綺麗に見える。」
135 :
マロン名無しさん:04/10/01 08:41:07 ID:GUo84Zbp
それは立派な男だったと思う。
調べ物も上手かったし、正義感に溢れていた。でもトレンディーではなかった。
僕はデスノートのタイトルのコピーをポケットに突っ込み、コーヒーをもう一杯
飲んだ。
僕は松田のことを考えた。生まれながらに失敗の影に覆われたあの不幸な警察官
のことを。
彼にこの時代を乗り切れるわけがなかったのだ。
「トレンディーじゃないんだ」と僕は声に出して言ってみた。
僕はタクシーを拾ってホテルに戻った。
「まともな警察官をつづければよかったんだ。通常業務のやつをさ」
「もちろんそれも考えましたよ。僕もそのとき25だったし、まあこのへ
んでキラ捜査から外れて平和的解決をしても悪くないなってね。
でもやはり結局はダメです。僕はそういうタイプの人間じゃないんです。
僕はなんていうか、そういう風な負け方に我慢ならないんです。
ヨツバとか政治・警察への圧力といったようなわけのわからない理不尽な
ものに降参して、それで自分の生き方を簡単に変更しちゃうということに
対してね。それで僕はとにかくトマホークとパトリオットの最後の一発が
しぼりとられちまうまでとにかく戦ってやろうと決心したんです」
「ふうん」と僕は言った。
「月くんならどうしますか?」
「さあどうするかな、見当もつかないな」と僕は言った。本当に見当がつ
かなかったのだ。
「人を探してるんだ」と汗ばんだ手の平をズボンでこすりながら言い訳するみたいに言った。
「1ケ月ばかり前から本部に戻ってこないんだけど、このへんでみかけた人がいるんだよ」
「どんな奴?」
「背の高い優男だよ。黒髪で、垢抜けない」
「名前は?」
「松田」と僕は答えた。「下の名前は忘れた」
「仲間にしちゃずいぶん適当な名前ね」
「どうでもいいんだ。冗談で探してるんだよ」
「どんな風にどうでもいいの?」
「なんとなく天然なんだ。歩き方とか・・池沼みたいな発言とかがね」
そして、その人はこう言った。
「あのですね、あなた、あなたは今警察官の息子をやっておられますがね、
正直に申し上げまして、まともな人にはそんなことなかなか出来ないんです。
そういうことをお考えになったことはありますか」
ない、と僕は答えた。 そ ん な こ と 考 え も し な か っ た 。
139 :
マロン名無しさん:04/10/02 10:14:52 ID:wugKGRTp
「他の人たちと働くのって楽しい?」と弥海砂が訊ねた。
「わからないよ。まだそれほど長く働いたわけじゃないからね}
彼女はテーブルの上のグラスに手を伸ばして、ほんの一口だけオン・ザ・ロックを
飲み、ナプキンを一枚とって口を拭った。それからたこわさびを注文した。
「私ってそういうのに向いてるかしら?」
「キラ捜査特別班のこと?」
「そう」と海砂は言った。
「どうかな。考えているよりは結構煩わしいことが多いもんだよ。入る時の細かい
指紋・角膜照合とか手錠拘束とかね」
「そうね」と言って彼女はしばらく何かを考えていた。それから僕の目をじっとの
ぞきこんだ。
彼女の目は不自然なくらいすきとおっていた。彼女がこんなにすきとおった目をし
ていたなんて僕はそれまで気づかなかった。ちょっと不思議な気のする独特な透明
感だった。まるで空を眺めているみたいだ。
「でも、そうするべきじゃないかって時々思うの。つまり・・・」海砂はそう言う
と、僕の目をのぞきこんだまま唇を噛みしめた。それから目を伏せた。「わからな
いわ。いいのよ」それが会話の終わりだった。彼女は再びグラスに手を伸ばし、僕
にはやるべき仕事があった。
140 :
マロン名無しさん:04/10/02 11:52:07 ID:wugKGRTp
ある時僕がガムをクチャクチャと噛んでいると、普段僕のことをキモチワルイ
と言って避けている弥海砂が近寄ってきて「私にもガムを頂戴」と言った。あ
まり関わりたくなかったが、僕は無言でポケットからガムを取り出して一枚女
に差し出した。
女は引ったくるように僕からガムを取ると、バカにしたような笑いを浮かべて
走り去っていった。
しかし、僕はふと思った。自分はいつのまにガムを噛んでいたのだろうか、と。
僕はさっきまで確かにキャンディーを舐めていた筈だった。しかしなぜか今、
口の中にはガムがある。女にガムを渡したと言うことは、ガムがポケットにあ
る筈なのだ。
そう思ってポケットを探ってみたが、出てきたのはキャンディーだった。
やれやれ。何かが間違っている。激しく混乱している僕のところに女が戻って
きた。
俺はびっくりして、あわててちょっと離れた。しばらく間があった後、その女
は「マジでするのかと思ったわ」と小声で言って、走り去った。
それから何日かして、その女がガムを食べていたので、今度は僕の方からひと
つくれと言ってやった。そしたら、女は僕はをからかうように、噛んでいたや
つを唇にはさんで口をとがらせた。俺はその女の唇ごとガムをほおばってやった
のだ。
しかし気付くと僕はキャンディーを舐めていた。その時舐めていたキャンディー
はもちろんヴェルタースオリジナル。なぜなら彼女もまた、特別な存在だからで
す。
オチが卑怯だw
142 :
マロン名無しさん:04/10/03 13:32:12 ID:z1R+Ehm7
「もう一度このスレをageるのよ。それも今すぐにね」とミサは断言した。
「今すぐに」と僕は聞き返した。
「ええ、今すぐよ。この空腹感が続いているあいだにね。
1の果されなかったことを今果すのよ」
午前二時、顔色の悪いLがハンマーと手錠をもって僕の部屋にやって来た。
「大丈夫、そんなもので繋がなくても眠れる」
「48の次は?」
「21」
「非常に、完全に、眠っています。」とLは言った。
145 :
マロン名無しさん:04/10/04 18:52:11 ID:6x+7op6/
アンナコトガ デキタラ ドンナニ イイダロウ
2003年の僕はいつもこんなことを思っていた。
あんな夢。こんな夢。この世界は夢だけで出来たアメ細工のようにとてもキレイで
とても壊れやすかった。世界のどこかで、沢山のアメ職人が、出来あがったばかり
のアメ細工を片っ端から壊していくのだ。
なんて素敵な世界。壊れたアメ細工のかけら。
彼女(あえてこう表現をする。でも死神だったのかもしれない。ひどく
出来そこないの)は、アメ細工をすべて本物に変えてくれた。
不思議なノートひとつで。
「つまりね」僕は言った。
「人を殺したいんだよ、小さい頃からそう思ってた」
煙草をつまらなそうに消すと彼女は「バカみたい」と言って、ポケットをもぞもぞ
とやったあと、小さなノートを取り出した。
「はい、これがあなたの欲しいものよ。どう。バカみたいでしょ?」
全く、その通りだった。
◆
「今ね、Lに追いかけられているんだ。信じてもらえないだろうけどね。
でも本当なんだ」
僕が息を切らして言うと、彼女は電話の向こうで黙っていた。
「あと」僕は続けた。「君が好きだ。とっても好きだ」
「バカみたい」と彼女が言って電話は切れた。
「甘い物やめたいんですけどね」と彼は言った。
「この仕事やってる限りやめられないですね。絶対駄目だな。食べずにはいられないんです。神経を使うから」
僕は黙っていた。
「神経を使うんですよ。みんなに嫌われるから。
探偵を何年もやっているとね、本当に嫌われるんです。目つきも悪くなるし、隈もできるしね。
どうして隈ができるのかよかわからないんですけどね、とにかく隈ができるんです。
そして実際の歳よりずっと老けて見えるようになる。座り方だって変わってくる。良い事なんて何もないです」
彼はコーヒーに砂糖を三杯入れ、クリームを入れて丁寧に掻き回し、ゆっくりと美味そうに飲んだ。
僕は時計を見た。
「ああ、そうですね、時間ね」
とLは言った。
「まだあと五分くらいあるでしょう?大丈夫です。そんなに時間はとらせません。
行方不明になっている女性のことですよ。南空ナオミっていう元FBI捜査官」
「南空ナオミ?」と僕は聞き返した。そんなに簡単にはひっかからない。
彼は爪を噛んでにやりと笑った。
「ああ、そうなんです。今行方不明で捜索中です。普段は間木照子という名前で行動しています。
もちろん本名じゃないです。偽名ってやつです。やっぱりキラによる殺人でした。
私の勘に過ぎませんが。自殺じゃなかったです。一見どう見ても自殺なんですがね、でも自殺じゃない。
最近は見分けがつきにくいんです。昔はよかった。一目見れば自殺かそうじゃないかすぐにわかった。
外傷の有無とか、検視結果とか、鑑定結果なんかでね。
最近はだめです。そんなことをしてもわからないことがあるんです。科学的に証明できないこととかね。よくないことです。
それに危険だ。そうでしょう?
司法警察職員や検察官が捜査手順に則って調べてみてもわからないことがあるんです。
世の中にはいろんな奇妙なことがある。神もいるし、キラという顔と名前だけで人間を殺せる殺人鬼もいる。危険ですよ。
そう思いませんか?」
僕は仕方なく肯いた。
「君のぱんつはまだあのままなの?」
と僕は訊ねた。
「私のパンツは・・・・」と言って海砂はにっこりと笑った。
「まだあのままよ。前と同じ」
「もう一度僕にぱんつを見せてくれないかな?」と僕は言った。
「僕はもう一度あの気持ちを味わってみたいんだ。
君がいつかレストランで僕にぱんつを見せてくれた時の、あの、世界が生まれ変わるような気分を。
僕はずっとそのことを考えていたんだ。」
彼女は首を振った。
「いつかね」と彼女は言った。
「でも今日は駄目。あれはいつでも見られるっていうものではないの。
あれは本当に、それに適した時にしか見られないものなの。
あの時はそうだった。
でも今はそうじゃない。いつかまた見せてあげる。
あなたが本当にそれを必要としている時にね」
彼女は立ち上がって、
天窓からまっすぐに差し込む光の柱の中に入った。
そしてそこにじっと立っていた。
強い光の塵の中で、
彼女の身体は今にも分解して消えうせてしまいそうに見えた。
149 :
マロン名無しさん:04/10/04 22:18:21 ID:6x+7op6/
「でもどうしてそんなに田代ばかり目のかたきにするのかしら?」とユキは言った。
「どうしてだろう」
「本当は好きだからじゃないの?」
「今度ゆっくりそれについて考えてみよう」
「虫唾が走ります」
Lはクリームのついた指を舐め終わるとそう繰り返した。
Lが松田の悪口を言うのは今に始まったことではないし、また実際にひどく疎ん
でもいた。L自身にしたところで相当にあれだったが、僕がそれを指摘する度に
Lは決まって「私のせいじゃありません」と言った。
「いや、お前のせいさ」と僕は言って、そして言ってしまった後で必ず嫌な気分
になった。Lの言い分にも一理はあったからだ。
「完璧な警察官などといったものは存在しない。完璧な探偵が存在しないようにね」
僕が大学生のころ偶然に知り合った、何か失敗をしてある事件から外された警察官
は僕に向かってそう言った。
僕がその本当の意味を理解できたのはずっと後のことだったが、少くともそれを
ある種の慰めとしてそることも可能であった。
完璧な警察官なんて存在しない、と。
「あんたは本当にそう信じてる?」
僕はしばらく黙りこんで、ビール・グラスとエルティーンをじっと眺めていた。
「嘘だと言ってくれないか?」
「愛」と月は言った。「僕に必要なものはそれなんだ」
「感動的だ」とリュークは言った。でもリュークにだってそれは必要だったのだ。
「女なんて嫌というほどいっぱい寝た。もう要らない。何人寝たって同じだよ。やることは同じだもの」
とライトは少しあとで言った。
「愛が欲しい。ねえ、大変なことを君に打ち明ける。僕が寝たいのはミサたんだけだ」
リュークはぱちっと指を鳴らした。
「すごい。まるで神の言葉みたいだね。光り輝いている。記者会見をやるべきだね。そして『私が寝たい相手はミサたんだけです』って
宣言するんだ。みんな感動する。
総理大臣に表彰されるかもしれない」
「いや、ノーベル平和賞だってもらえるんじゃないかな。
なにしろ『私が寝たい相手はミサたんだけです』って
世界に宣言するんだぞ。普通の人間にちょっと出来ることじゃな
い」
「しかしノーベル賞をもらうとフロックコートが必要になるな」
「なんだって買えばいい。全部経費で落ちる」
「素晴らしい。まさに神の言葉だ」
僕らはまた黙り込んで、しばらくそれぞれに愛について考えていた。
愛については考えるべきことがいっぱいあった。
「でも、あるいは君は賞なんてもらえないかもしれない」
とリュークは言った。
「変質者だと思われるだけかもしれない」
154 :
マロン名無しさん:04/10/05 04:39:25 ID:dbnBfW6P
このスレおもろいなw
変質者だと思われるだけましかもしれない。
結局のところ、田代を責めたところで僕らは何処にも行けないのだ。
「何故本なんて読む?」
「なぜ風呂場なんて来る?」
そこにあるからだ。
159 :
マロン名無しさん:04/10/05 18:07:36 ID:hYzYi34C
「何故漫画ばかり読む?」
僕はLが手をつけなかった生ハムの最後の一切れをビールと一緒に飲み込んで
から皿を片付け、傍に置いた読みかけの「ハンター×ハンター」を手に取って
パラパラとページを繰った。
「富樫がもう死んじまった人間だからさ」
「生きてる漫画家の本は読まない?」
「生きてる漫画家になんて何の価値もないよ」
「何故?」
「死んだ人間に対しては大抵のことが許せそうな気がするんだな」
(ここに出てくるライトはサンドイッチの中にデスノートしこんでいるに違いない)
(履き古したスニーカーでもいいか)
「ねえ、私この前、彼についてひどいこと言ったわよね」
「松田さんのこと?」
「そう」
「どうしようもない馬鹿だって言った」
と僕は言った。
Lはロードマップをドアのポケットに戻し窓枠に片肘をついて、じっと前方の風景を眺めた。
「今思うと悪い人じゃなかった。私にも親切だったし、とてもよくしてくれた。
サーフィンも教えてくれた。片腕なのに、両腕がある人よりしっかり生きてた。
局長のことだって大事にしていた」
「知ってるよ。悪い男じゃなかった」
「でもひどいことを言いたかったのよ、私」
「知ってる」と僕は言った。
「言わずにはいられなかったんだ。君が悪いんじゃない」
僕は自分の両手を眺めた。
僕の手のひらにもやはり死の匂いがしみついていた。
どれだけ洗ってもそれはおちないのだ、とLが言った。
ねえ、リューク、これが君の世界の繋げ方なのか?
僕は終わることのない死によって世界に結び付けられているのか?
僕はこれ以上何を失おうとしているんだ?
君が言ったように僕はもう幸せになれないかもしれない。
それはそれでかまわないよ。
でもこれはあまりにもひどすぎる。
僕はここに含まれていたのだ。
そして何にも増して、それは現実であった。
僕がそれを求め、リュークがそれを繋げていたのだ。
大丈夫、僕はもう何処にも行かない。
僕はしっかりと繋がっている。
僕は結び目を回復し、そしてしっかりと繋がっているのだ。
「もう少し明るい話をしない?」と海砂が言った。
でも僕に明るい話の持ち合わせがなかった。リュークがいてくれたらなあと僕は残念に思った。
あいつさえいれば次々にエピソードが生まれ、そしてその話さえ
していればみんなが楽しい気持ちになれるのに、と。
仕方がないので僕は監獄の中でどれほど不潔な生活をしていたかについて
延々としゃべった。
あまりにも汚くて話してるだけで嫌な気分になったが、二人にはそういうのが
珍しいらしく笑い転げて聴いていた。
それからLがいろんな精神病患者の物真似をした。
これも大変におかしかった。
11時になって海砂が眠そうな目になってきたので、
Lがソファの背を倒してベッドにし、シーツと枕をセットしてくれた。
「夜中にレイプしにくるのはいいけど
相手まちがえないでね」
とLが言った。
「左側のベッドで寝てるしわのない体が海砂のだから」
「嘘よ。私右側だわ」と海砂が言った。
その固いところをぽりぽりと掻いてやると、死神は気持ち良さそうに目をつぶって
はあはあと息をした。
「名前はなんていうの?」と僕は店の女の子に訪ねた。
「ぺぺ」と彼女は言った。
「ぺぺ」と僕は呼んでみたが、死神はぴくりとも反応しなかった。
「耳遠いから、もっと大きなこえで呼ばんと聞こえへんよ」
と女の子は京都弁で言った。
「ペペッ!」
と僕が大きな声で呼ぶと、死神は目を開けてすくっと身を起こし、
ぺぺじゃねえよと言った。
「ロマンティックだ。失神しそうだ」
ねぇリュ―ク。ここはひどい世界だよ。
「何よりもここはデスノートを語るんじゃなくて騙るスレなんだ。
そういうことがわかる人もいるし、そうでない人もいる。」
「でも、そんなのって不公平じゃない。」
「なんていうか、とにかくデスノートに関してなら、他にもスレがあるんだ。」
「・・・正直、よく分からないわ」
「そうかもしれないな。」
こんな風に、このスレでは、キラはいつもどこかしら孤独なのだ。
結局のところ、大切なことは、自分自身で見つけるしかないし、第一それがこの
2ch世界のルールなのだ。
169 :
マロン名無しさん:04/10/06 23:38:08 ID:XzrWW43I
もしあなたが真の芸術や文学を求めているのなら、デスノートを
読めばいい。
真の芸術が生み出されるためには奴隷制度が必要不可欠だからだ。
古代ギリシャ人がそうであったように、松田が畑を耕し、食事を
作り、船を漕ぎ、そしてその間にLたちは地中海の太陽の下で詩作
に耽り、数学に取り組む。
芸術とはそういったものだ。
「話してもいいかな?」とLが言った。
「いいとも」と僕は言った。
「まったく君はよくやってくれたよ。期待以上だったよ。
正直なところ、私は驚いているんだ。もっとも、君が手詰まりになたら
少しずつヒントを与えていくつもりではあったんだけれどね。
それにしても第二のキラとの巡り会いなんて絶妙だったよ。」
「はじめからわかっていたんですね?」
「あたりまえさ。いったい私をなんだと思ってるんだ?」
「さて」とLはつづけた。
「キラをめぐる冒険は結末に向かいつつある。私の計算と君の無邪気さのおかげだ。」
↑
惜しい!Lの口調にしてほしかった!
Lの口調で書き込むんだよ。
「どうかしたの?」
とミサが訊ねた。
「新しいりんごの芯をみつけたんだ」と僕は言った。
「つい最近誰かがここに座って僕と同じようにりんごを
食べていたらしいね。」
「あなたのお友だち?」
「どうかな。わからないね。でも、僕の知り合いなら
りんごは芯まで残さず食べるはずなんだ。」
174 :
ハンター×ハンター:04/10/07 00:31:14 ID:X9LGjVoZ
「ねえ、ジャンプを愛してる?」
「もちろん。」
「連載再開したい?」
「今、すぐに?」
「来年の…4月ごろによ。」
「もちろん連載再開したい。」
「でも私が訊ねるまでそんなこと一言だって言わなかったわ。」
「言い忘れてたんだ。」
「…単行本はあと何冊出したい?」
「5冊。」
「夏? 冬?」
「夏が2冊に冬が3冊。」
担当者はコーヒーで口の中のパンをのみ下してからじっと僕の顔を見た。
「嘘つき!」
と担当者は言った。
しかし担当者は間違っている。僕はひとつしか嘘をつかなかった。
入口があって出口がある。
大抵のものはそんな風にできている。
郵便ポスト、電気掃除機、動物園、ソースさし。
もちろんそうでないものもある。
例えばハンター×ハンター。
休載はハンタの対極としてではなくその一部として存在している。
「あなたはそんな風に掲載を待ったことある?」
「いいえ」と僕は言った。
「ある限られた時間を待つことに集中してしまうと、もうその後は
どうでもよくなってしまうの。それが5年であろうと10年であろうと
1ヶ月であろうとね。同じことなのよ」
担当者はライトブルーのタートルネックのセーターに、紺色のスカートを
はいていた。耳には小さなイヤリングが2つ光っていた。ぴったりとした
薄いセーターは乳房の形を綺麗に浮かび上がらせていた。そして、それは
僕の胸を息苦しくさせた。
「もっと話してくれる?」と担当者は言った。そしてまたいつもの楽しげ
な微笑を顔に浮かべた。
「何について?」
「あなたのこれからの掲載活動の方針について」と彼女は言った。
「終わったのかい?」
「終わったよ。僕にとってのハンタの何もかもがね」
「それで君は満足なの?」
「満足なわけはないさ。でも、満足であるとか不満であるなんて
ここではたいした価値を持たないんだよ。そういう世界なんだ」
「あんたは本当にそう信じてる?」
「ああ」
月はしばらく黙りこんで、デスノートの表紙をじっと眺めていた。
「嘘だと言ってくれないか?」
「僕も本当は連載なんかしたくなかったんです」
トガシヒロユキは、打ち明けるように言った。
「でもジャンプに出会って、どうしても連載したくなったんです」
「いい雑誌だよ」と僕は言った。
「大抵の漫画は少し生ぬるくて退屈だけど、選択としては間違ってないと思う」
「でも連載するって何だか怖いですね」
「良い面だけを見て、良いことだけを見るようにすれば、何も怖くないよ。
悪いことが起きたら、その時点でまた考えればいいさ」
182 :
マロン名無しさん:04/10/07 22:54:23 ID:X9LGjVoZ
十月の朝に
私は地下鉄にのって
知らない道を
知らない書店へと向かった
買ったばかりのデスノート
色はピンク
小口も見返しも帯も
みんなピンク
カバーを剥がした表紙のタイトルの文字さえ
やはりピンク
183 :
マロン名無しさん:04/10/07 22:59:06 ID:X9LGjVoZ
「キラさん」と竜崎は言った。
「キラくん」とキラくんはまた指を立てて訂正した。
「キラくん、どうして私のことをそんなに詳しく知っているのですか?」
「僕はだてに長くキラをやっているわけではありません。候補生の見るべき
ところはちゃんと見ているのです」
こんなキラばかりだったらいい。僕はそう思った。
「警察官さん」と月は言った。
「警察官くん」と警察官くんはまた指を立てて訂正した。
「警察官くん、どうして私のことをそんなに詳しく知っているのですか?」
「僕はだてに長く警察官をやっているわけではありません。キラの見るべき
ところはちゃんと見ているのです」
こんな警察官ばかりだったらいい。僕はそう思った。
オーケー、正直に認めよう、おそらく私は夜神月を憎んでいるのだ。
「でももういいよ。何もかもなくしたって、もうかまわない。あきらめてもいい。
君の言うとおりだ。僕は疲れている。目の前のLをぶち殺して、殺しを再開する時期だ。
オーケー、何もかもを放り出そう。君と一緒に逃げ出そう。そのあとのことは、一度外に出て
から考えよう。僕は・・そうだな、まともな人間になりたい。もうダメかもしれない。でも確かに
一度試して見る価値はある。君に任せるよ。僕は君を信頼してる。本当だよ。君が僕に
林檎をくれないか、と言ってきた時から、僕はそう思ってたんだ。どうしてだろうね。
君にはひどくまともなところがある。そしてそれは僕がずっと求めていたものだった」
ここに書込してるヤシは春樹の小説読みながら書込してるん?
空で書いてるとしたら凄いなぁ。
このスレの暖かな雰囲気は、
>>187の突然の来訪によって、
ものの見事に破壊されてしまった。
世の中にある破壊を、創造的破壊と破壊的破壊の二つにわけるとしたら、
>>187のしたことは、まさに後者だった。
かっこう。
「ねえリュ―ク。僕は最近、2チャンネルに来るようになって、少しずつ自分が
空っぽになっていくような気がするんだ。」
「少しずつ少しずつ、ね。」
気が付いたら、隣に双子の探偵がいたんだ。
「まあ当分会うこともないと思うけど元気でな」と別れ際に夜神さんは言った。
「でも前にいつか言ったように、ずっと先に変なプロジェクトでお前に会いそうな
気がするんだ」
「楽しみにしてますよ」と僕は言った。
「ところであのときとりかえっこしたアシスタントだけどな、追加要員じゃない奴
の方が良かった」
「同感ですね」と僕は笑って言った。
「でも夜神さん、富樫のこと大事にした方がいいですよ。あんな良い漫画家なかなか
ないし、あの人見かけよりデリケートだから」
「うん、それは知ってるよ」と彼は肯いた。
「だから本当を言えばだな、俺の後を松田がひきうけてくれるのがいちばん良いんだよ。
お前と富樫ならうまくいくと思うし」
「冗談じゃないですよ」と僕は唖然として言った。
「冗談だよ」と夜神さんは言った。「ま、幸せになれよ。いろいろありそうだけれど、
お前も相当に頑固だからなんとかうまくやれると思うよ。ひとつ忠告していいかな、俺から」
「いいですよ」
「富樫に同情するな」と彼は言った。「富樫に同情するのは下劣な編集者のやることだ」
「覚えておきましょう」と僕は言った。そして我々は握手をして別れた。彼は新しい
プロジェクトへ、僕は現実のぬかるみへと戻っていった。
>192
一人称の改変が微妙でわけわからん
僕=松田でしょ?
何がわからんだか。
「何もか終わったんだな」とLは入った。「何もかも終わった」
「終わりました」と僕は言った。
「きっと君に感謝しなくちゃいけないんんだろうな」
「僕はいろんなものを失いました」
「いや」とLは首を振った。
「君とミサとの関係はまだ始まったばかりじゃないか」
「ああ、そうだね」と僕は言った。
部屋を出るとき、Lは椅子の上にしゃがみこんで声を殺して泣いていた。
僕は彼の失われた時間を奪い去ってしまったのだ。
それが正しいことなのかどうか、僕には最後までわからなかった。
196 :
マロン名無しさん:04/10/10 01:55:03 ID:3DMpEVWV
「君が父を混乱させたんだよ」と月は言った。
「とてもいけないことだ。君には何もわかってないんだ。
君は自分のことしか考えていないんだよ」
「八神さんは警察をやめるべきじゃなかったってことだね?」
「そうだよ。父は仕事をやめるべきじゃなかったんだ。
君は自分のことしか考えてないんだよ。」
僕は立ち上がって右のてのひらでテーブルをばんと叩いた。
クッキーの入った皿が五センチばかり横にすべった。
Lはしばらくそのままの姿勢で立っていたがやがて目の輝きが
薄れ、力が抜けたようにソファーに腰を下ろした。
「でもま、それはいいですよ。なんにしても終わってしまったことです。」
とLは言った。
>>197 俺=局長と松田の会話。
ほぼ原作のまんま。「○○に同情するな」のところだけ変えました。
わかりにくかったらごめんなさい。
「あなたはここで何をされているのですか」
黒いスーツに身をつつんだLは突然僕に言った。
「いや、ここに来ればノートが落ちているって松田に言われたんです」
僕はそう答えたが、なんだか遥か遠くのできごとのような気がした。
「ケーキをちょうだいしてよろしいですか」Lは僕の横に座った。
「ケーキ?」僕は答えた。「ケーキって、お店で売ってるケーキのことですか」
「ええ、それでかまいません」
「それなら、そこの通路を右に曲がれば、ケーキ屋がありますよ」
そういってLの方を向くと、そこにはすでに誰もいなかった。
「やれやれ、ノートを拾う前だっていうのに僕は混乱しはじめているようだ」
だれもいない校庭の真ん中でそっとつぶやいた。
200記念age
201 :
マロン名無しさん:04/10/13 00:09:48 ID:gTOhX93N
ほっしゅ
「ねえ、君はスリップを着ないのかい?」
と僕はこれという意味もなくミサに訊ねてみた。
彼女は僕の肩から顔を上げて、ぼんやりとした目で僕を見た。
「持ってないわ」
「うん」と僕は言った。
「でも、もし月がその方がもっとうまくいくっていうんなら……」
「いや、違うんだ」と僕は少しあわてて言った。
「そういうつもりで言ったわけじゃないんだよ」
「でも、本当に遠慮しなくてもいいのよ。
私は仕事上そういうのには結構なれてるし、ちっとも恥ずかしくなんかないのよ」
「何もいらないんだ」と僕は言った。
「君がいるだけで本当に十分なんだ。それ以上は何もいらない」
「時代が変わったんだよ」と僕は言った。
「時代が変わればいろんなことも変る。
でも結局はそれでいいんだよ。みんな入れ替っていくんだ。
キラだってそうだ。文句は言えない。」
「やれやれ」とLはため息をついた。
「あなたの時代はもう終わったってことですね?」
「ある意味ではね」と僕は言った。
「ねえ、私を殺したいと思ったことある?」とミサが訊ねた。
「君を?」
「うん」
「どうしてそんなことを訊くんだ?」
「ただなんとなくよ」
彼女はフォークを口に運びながら言った。
「ないよ」と僕は言った。
「本当に?」
「本当に」
「なぜ僕が君を殺さなくちゃいけないんだ?」
「そうね」と彼女は面倒臭そうに肯いた。
「ただ、誰かに殺されちゃうのも悪くないなってふと思っただけ。
ぐっすり眠っているうちに、心臓麻痺でね。」
「僕は罪のない人を殺すタイプじゃないよ」
「そう?」
「たぶんね」
彼女は笑ってケーキを口に入れ、残っていた紅茶を一口飲んだ。
「二十五まで生きるの」と彼女は言った。「そして死ぬの」
205 :
マロン名無しさん:04/10/15 00:13:44 ID:eaGV+ktI
次に僕たちのやったことはフリー・トーキングだった。
「キラについて何でもいいからしゃべってごらん。」
僕は考える振りをして首をグルグルと回した。
「思いつくことなら何だっていいさ。」
「四つ足の動物です。」
「人だってそうだよ。」
「ずっと幼い。」
「それから?」
「家庭で飼われていて、気が向くと人を殺す。」
「誰を殺す?」
「犯罪者。」
「FBIは?」
「FBIも。」
そんな具合だ。
Lの言ったことは正しい。キラとは病菌である。感染し、伝達すべきことが失く
なった時、キラは終る。パチン……OFF。
206 :
マロン名無しさん:04/10/16 14:17:45 ID:tZ3EUAKm
ほしゅ
死神が消えてしまったのは、
ある意味では仕方のない出来事であるような気がした。
既に起こってしまったことは起こってしまったことなのだ。
僕らがこの数ヶ月どれだけうまくやってきたとしても、それはもう
たいした問題ではなくなっていた。
はぎとられてしまったアルバムと同じことだ。
それと同じように、ミサがLと定期的に寝ていて、
ある日彼のところに転がり込んでしまったとしても、
それもやはりたいした問題ではなかった。
そういうことは十分起こり得ることであり、そしてしばしば現実に
起こることであって、彼女がそうなってしまったとしても、
何かしら特別なことが起こったという風には僕にはどうしても思えなかった。
結局は彼女自身の問題なのだ。
「結局のところ、それは君自身の問題なんだよ」
と僕は言った。
「どちらでもいいということ?」
とミサは訊ねた。とてもゆっくりとしたしゃべり方だった。
「どちらでもいいわけじゃない」と僕は言った。
「君自身の問題だって言ってるだけさ」
「本当のことを言えば、あなたと別れたくないわ」
としばらくあとで彼女は言った。
「じゃあ別れなきゃいいさ」と僕は言った。
「でも、あなたと一緒にいてももうどこにもいけないのよ」
彼女はそれ以上何も言わなかったけれど、
彼女の言いたいことはわかるような気がした。
女の子と寝るというのは非常に重大なことのようにも思えるし、
逆にまるでたいしたことじゃないようにも思える。
つまり自己療養行為としてのセックスがあり、暇つぶしとしてのセックスがある。
僕にとってミサとのセックスは前者であり、高田さんとのセックスは後者だ。
なんというか、僕らの性生活は死神の性生活とは根本的に異っているのだ。
我々は死神ではない−これは僕の性生活にとって、ひとつの重大なテーゼである。
リュークのペニスは、あるときにはひからびた小型のやしの木のように見えたし、
ある時には巨大なもろこしのように見えた。
もしそれがリュークの股間についていなければ、おそらく誰一人としてそれが
死神のペニスであるとは気づかなかったに違いない。
それは南氷洋の産物というよりは中央アジアの砂漠で発掘された遺物のような趣があった。
それは僕のペニスとも違っていたし、
僕がそれまでに見たどんなペニスとも違っていた。
そこにはペニス特有の何かしら説明しがたい悲しみが漂っていた。
僕が最初にミサと性交したあとで思い出したのも、
その巨大な死神のペニスだった。
リュークのペニスがどのような運命を辿り、どのような経緯を
経て僕の目に止まるようになったのかを考えると、僕の胸は痛んだ。
そこには救いなんて何一つないような気がした。
そこで僕はそれ以来こう考えるようになった。
我々は死神ではない、と。
女の子一人一人には綺麗な引出しがついていて、
その中にはあまり意味のないがらくたがいっぱいつまっている。
僕はそういうのがとても好きだ。
僕はそんながらくたのひとつひとつをひっぱりだしてほこりを払い、
それなりの意味を探し出してやることができる。
セックスアピールの本質とは要するにそういうことだと思う。
でもそれでどうなるかというと、どうにもならない。
あとは僕は僕であることをやめるしかない。
だから僕は今、純粋にセックスのことだけを考えている。
興味を純粋にセックスという一点にしぼれば、
パセティックかどうかなんて考える必要もない。
僕は、南空ナオミとのセックスを想像してみた。
きっと、それはミサとのセックスとはまるで異なるものに違いない。
人類が初めて月におりたったときに、感じたある種の新世紀的な
感覚がきっと感じられるだろうと思った。
僕は、南空ナオミを抱かなかったことを少し後悔した。
やれやれ、と僕は思った。
浴室に行って汚れた下着を洗い、
ねっとりとした夢の感触を追い払うために
熱いシャワーで丁寧に体を洗った。
夢精したのはいったい何年ぶりのことだろう。
僕は最後に夢精したのがいつのことだったか思い出そうとした。
でも思い出せなかった。とにかく思い出せないくらい昔のことだった。
そこで、僕は鎖の先にいる月に訊いてみた。
「最後に夢精をいたのはいつですか。」
「昨日かな」と彼は言った。
それは僕の推理にとってとても重要なことのような気がしたが
何が重要なのかは思い出せなかった。
「キラはこの近所にはもういない−それが死神の言っていたことだよ」
「というと、キラはもうここには帰ってこないってこと?」
とミサは言った。
「それはわからないね」と僕は言った。
「言い方がとても曖昧なんだ。全てが暗示的なんだよ。
詳しいことがわかったらまた連絡するって言っていたけれど」
「信頼できると思う、死神のこと?」
「そこまではわからないよ。」
「でも、何も問題はないのよ。お金も取らない、魂もとらない、
お姫様も連れて行かない。失うべきものは何もない。」
やれやれ、と僕は思った。
失ったものは、失ったあとではもう思い出せないものなのだ。
「僕らにとっては、優れた殺戮というのは、
優れた料理と同じなのだ。
準備にかける時間が長ければ長いほど、
その喜びもまた大きい。
殺すだけなら、心臓麻痺でいい。
一瞬で終わってしまう。しかしそれでは−」
彼は指の先でつるりとした顎をゆっくりと撫でた。
「−面白くない。」
「人が死ぬのって、素敵よね」
ミサは僕のすぐ耳もとでしゃべていたので、
その言葉はあたたかい湿った息と一緒に僕の
体内にそっともぐりこんできた。
「どうして?」と僕は訊いた。
彼女はまるで封をするように僕の唇の上に指を一本置いた。
「質問はしないで」と彼女は言った。
「それから目も開けないでね。わかった?」
僕は彼女の声と同じくらい小さくうなずいた。
私は自分がブレスレットをつけたままの高田さんと寝ている様を想像してみた。
彼女の顔がまるで思いだせなかったので、私は部屋の照明を暗くすることにした。暗くて顔がよく見えないのだ。
藤色だか白だか淡いブルーだかのつるつるとしたシックな下着をとってしまうと、ブレスレットが彼女が身につけている唯一のものとなった。
それはかすかな光を受けて白く光り、シーツの上で軽やかな心地良い音を立てた。
そんなことをぼんやりと考えながら梯子を下りていくうちに、雨合羽の下で私のペニスが勃起しはじめるのが感じられた。
やれやれ、と私は思った。
「陰毛がまだ濡れてるのよ」、南空ナオミは言った。
「よくタオルで拭かなかったの。だからまだ濡れてるの。
あたたかくてしっとりと湿ってるの。
すごくやわらかい陰毛よ。真っ黒で、やわらかいの。
撫でてみて」
「ねえ、悪いけど――」
「その下の方もずっとあたたかいのよ。
まるであたためたバター・クリームみたいにね。
すごくあたたかいの。本当よ。
私いまどんな恰好をしていると思う?
右膝をたてて、左足を横に開いてるの。
時計の針で言うと十時五分くらい」
電話から聞こえる声の調子から、彼女がうそをついていないことはわかった。
やれやれ、僕にどうしろというのだ。
月は南空ナオミと連絡を取ったことを少し後悔した。
「デスノート?」と僕は思わず訊きかえした。「デスノートというのはいったい何なのですか?」
・
・
・
「あんたが何を質問するかはそれはあんたの勝手だが、それに答える答えないは俺の勝手だよ」
と小畑は頭のうしろで手を組んで言った。
「中には俺には答えられんこともあるしな。とにかくあんたはこれから毎日、ジャンプに載ってデスノートを使うんだ。
それがつまりあんたの仕事だよ。月曜日の朝にそこに行って、次かその次の週まで紙面に載る。
アンケートは女の子が用意してくれる。
それ以外の時間は自由に使っていい。何の制限もない。わかったかね?」
わかった、と僕は言った。
「ところでその連載はいつまでつづくのですか?」
「さあ、いつまでつづくかな?俺にもよくわからんね。しかるべき時期がくるまでだろうな」
と小畑は言った。そして原稿をつんだ中から適当な下書きをひっぱりだして、またGペンで描きはじめた。
「ここは競いあう激しい世界だからな、ぶらぶらしている漫画を養っているような余裕はない。
みんなそれぞれの場所でそれぞれに働いている。あんたはデスノートで殺人を犯すんだ。
まさかここでのうのうと楽しく遊んで暮らせると思ってきたわけじゃないだろうね?」
「働くのは苦痛じゃありません。何もしないよりは何かしていた方が楽です」と僕は言った。
「それは結構」と小畑はGペンのペン先を睨んだまま肯いた。
「それじゃできるだけ早く仕事にとりかかってもらうとしよう。あんたはこの先〈キラ〉と呼ばれる。
あんたにはもう名前は無い。〈キラ〉というのが名前だ。ちょうど俺が〈神絵師〉であるようにね。わかったかね?」
「わかりました」と僕は言った。
L
Lと
何度も口の中でくりかえしていると
それはある瞬間から
Lではなくなってしまうような
気がすることがある
それはもう緑のいすに座り込んだ
英国の探偵ではなく
実態を失った
ちょうど夢のしっぽみたいな形の
、、
もとのエルという
ただのことばの響きでしかない
そんなただのことばの響きを氷に入れて飲むと
おいしいよ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
○
o
, -‐- 、
<从从ハヾ
八д・リミ、
@ O O~i
ヾ|/. しし乂 ーー「L自身のための広告」より
""~"''"^""'"'"^""'""''" """~"'"^"""'"""""~"'"~"'"^"""'""""~"'"
221 :
マロン名無しさん:04/10/22 21:05:03 ID:tN971qwM
うーん、また調子づいてきたね
222 :
1:04/10/24 00:03:40 ID:???
「そのうちに落ち着いたところで君をひきとりにくるよ」と僕は言った。
「これはたぶん一時的なことだし、いつまでもは続かない。
また二人で一緒になれるさ」
ミサは大きくため息をつき、それから力を失って焦点の定まらない目で僕を見あげた。
午後三時の太陽が我々二人を照らしていた。
僕にはミサがなく、ミサには僕がなかった。
「それはあなたの希望的な推測にすぎないんじゃないかな」とミサは言った。
「そううまくは事は運ぶまい。私にはどうも嫌な予感がするの。
チャンスをみつけてここを抜け出し、二人でもとの世界に戻ろう」
「もとの場所には戻れない。戻り方がわからないんだ。
君にだってやはりわからないだろう?」
「今はね。でも私はこの命にかけてもその戻り方をみつけるよ。
あなたとときどき会って話がしたい。
会いに来てくれるよね?」
僕は肯いてミサの肩に手を置き、それからLのところに行った。
Lは僕とミサが話しているあいだ、広場に落ちている石を拾ってあつめ、邪魔にならない場所に放りなげていた。
223 :
2:04/10/24 00:04:43 ID:???
僕がそばによるとLは手についた白い土をシャツの裾で拭いおとし、大きな手を僕の背においた。
それが親密さの表現なのかあるいはその大きな力強い権力を僕に認識させるためなのか、
僕にはどちらとも決めかねた。
「あなたの恋人は私がちゃんと大事に預かっといてあげますよ」とLは言った。
「食事も三度三度ちゃんと与えますし、一日一度は外に出して散歩もさせます。
だから安心して下さい。あなたが心配することは何もありません」
「ときどき会うことは出来る?」
「そうですね」とLは言った。
「いつでも自由にというわけにはいきませんが、会えないわけではありません。
時期が合い、事情が許し、私の気が向けば会えます」
「じゃあもし僕がミサを返してもらいたいと思ったときはどうすればいいんだ?」
「あなたはどうもまだここの仕組みがよく分かっていないようですね」
とLは僕の背中に手をあてたまま言った。
「このビルでは誰も恋人を持つことはできないし、一度このビルに入ったものは二度と外にでることはできません。
したがってあなたの今の質問はまったく意味をなさないということになります」
そのようにして僕は自分の恋人を失ったのだ。
そんなことをぼんやりと考えながらを監禁を受け入れていくうちに、
囚人服の下で僕のペニスが勃起しはじめるのが感じられた。
やれやれ、と僕は思った、
どうして選りに選ってこんなところで勃起がはじまるんだろう?
どうしてあのモデルの女の子ーーゴスロリの女の子ーーとベッドに入ったときは勃起しないで、
こんなわけのわからない監獄のまん中で勃起したりするのだ?
たった一台の黒の監視カメラにいったいどれだけの意味があるというのだ。
出来れば車の運転はしたくなかったので、Lに車は動かせるかと訊いてみた。
できない、と彼は言った。
「すみません、馬なら乗れるのですが」と彼は言った。
「いいよ、いつか馬に乗るのが必要なときが来るのかもしれない」と僕は言った。
227 :
105:04/10/25 02:55:24 ID:???
違うんだ、と僕は言った。
>>105が繋がっているのは
>>104だけなんだ。
でも駄目だった。226は混乱していた。まずこのもつれを何とか解消しない
ことには僕はどこにも行けない。
僕は、明かりを消した寝室の中で、横になって
天井を見ながら、自分は大場つぐみについて
いったい何を知っているのだろうと自問した。
僕はいつかその全貌を知ることができるようになるのだろうか?
あるいは僕は彼女のことを最後までよく知らないまま年老いて、
そして死んでいくのだろうか?
もしそうだとしたら、僕がこうして送っている作画生活とはいったい何なんだろう?
そしてそのような未知の相手と共に漫画を描き、同じ紙面の上に名前を
連ねている僕の人生とはいったい何なんだろう?
それがそのときに僕の考えたことであり、その後もずっと断続的に
考え続けたことだった。
そしてもっとあとになってわかったことだが、
そのとき僕はまさに問題の核心に足を踏み入れていたのだ。
きょう、レイ・ペンバーが死んだ。もしかすると、昨日かも知れないが、私にはわからない。
異邦人かよっ
231 :
マロン名無しさん:04/10/29 03:39:24 ID:YvR9jOsN
彼女は小さく肩をすくめ、黒いブラジャーの吊り紐を
同じく黒いフリルをあしらったワンピースの中に押し込んだ。
彼女の顔には表情というものがまるでなかった。
それは僕に、いつか写真で見た海の底に沈んでしまった街を
思い出させた。
「昔のちょっとした知り合いだったんだ。君の知らない人だけどね」
「そう?」
彼女の背後で死神が手足をいっぱいに伸ばし、それからふうっと息を吐いた。
「どうして死んだの?」
「交通事故だよ。骨が十三本も折れたんだ」
「女の子」
「……いいや」
僕は口をつぐんだまま煙草の火先を眺めていた。
「渋井丸拓男」
>「渋井丸拓男」
ワロタ
「私はあの人好きよ」とミサは紙コップのオレンジ・ジュースを飲みながら言った。
「あの人?」
「死神よ」
「うん」と僕は言った。「僕も好きだよ」
「それにリュークっていい名前だわ」
キラよ、
お前はどこにいるのだ?
ねじまき鳥はお前のねじを
巻かなかったのか?
「ねえ、キラっていったい何を食って生きてるんだと思う?」
「使用済みのデスノート。」
「まさか。」
とLが言った。
ネームのアイデアが沸いてくる間はとにかく描き続けるんだ。
おいらの言っていることはわかるかい?
描くんだ。描き続けるんだ。
何故描くなんて考えちゃいけない。
意味なんてことは考えちゃいけない。
意味なんてもともとないんだ。
「あんたは本当にそう信じてる?」
「ああ」
大場つぐみはしばらく黙り込んで、原稿をじっと眺めていた。
「嘘だと言ってくれないか?」
「大丈夫です」と担当者は僕のペニスから口をはなして言った。
「まだそれくらいの余裕はあります。心配しないで」
けれども物語はそこで終わっていた。
カバーをひっくり返し、隅から隅まで探してみたけれど、どこにも続編の詳細らし
きページはなかった。
僕は頭をひとつ振って、キッチンに行って冷蔵庫を開けると、よく冷えた瓶入りオ
レンジ・ジュースを取り出して一杯だけ飲んだ。
居間に戻って、ゆっくりと深くソファに身体を沈めてから、僕はそっと目を閉じた。
終わってしまった漫画の余韻は、まるでイタリアの古い教会のベルのように、まだ
僕の身体のどこか奥深いところで、そのくぐもった音色を響かせつづけていた。
多分僕が最期の読者になるのかもしれないな、と思いながら、僕はこの現実世界
で、今まで自分が失ってきた物と、これから手に入れるはずの物のことを考えて
いた。
そうだよ、すべての作品は通り過ぎる。
こうして、最期にそっと、感想を残すことだけが、僕に残された義務なんだろうな。
ありがとう。この漫画に関わったすべての人たちのために。
そして、鉛の箱のような眠気が、ゆっくりと僕に覆い被さってきた。
240 :
マロン名無しさん:04/11/02 15:19:20 ID:nPb8t5i4
でもね、いいかい、君に同情してageたわけじゃないんだ。僕の言いたいのはこう
いうことなんだ。一度しか言わないからよく聞いておいてくれよ。
僕は・君たちが・好きだ。
あと十年も経って、このスレや僕の書いた漫画や、そして僕のことをまだ覚えて
いてくれたら、僕のいま言ったことも思い出してくれ。
面白いな。
他に春樹スレしらねぇ?
「放っておいてくれ」と私は言った。
「ねえ、お願い、起きてよ。お願い」と大場つぐみは言った。
「放っておいてくれ」と私は繰りかえした。
「寝ている場合じゃないのよ」と彼女は言って、こぶしで私のわき腹をどんどんと叩いた。
地獄のふたが開いたみたいに激痛が私の体を走り抜けた。
「お願い」と彼女は言った。
「このままじゃ連載が終わっちゃうのよ」
連載なんか終わってしまえばいいんだ。
と僕は心の中で言った。
編集者は静かに何度か肯いた。
「よく考えてみるんだね。考えるだけの時間はまだ残されている」
「考えてみます」と僕は言った。
まあいい、そのうちに何か考えつくさ。
もっとも、ネームが上手く書ける人間なら漫画を
書く必要もないはずだ。
何故なら自分のネームの中で十分生きていけるわけだからね。
しかしこれはもちろん僕の個人的な意見にすぎない。
作画のないネームだけで生きていくことなんて不可能なのかもしれない。
「完璧なネームなどといったものは存在しない。完璧な下書きが存在しないよう
にね」
僕が大学生のころ偶然に知り合ったある漫画家は僕に向かってそう言った。
僕がその本当の意味を理解できたのはずっと後のことだったが、少くともそれを
ある種の慰めとしてとることも可能であった。
完璧なネームなんて存在しない、と。
「ずっとそこで何してたの?」
「人を探してたんだ。三、四日前からいなくなっちゃったんでね」
と僕は汗ばんだ手のひらをズボンのわきでこすりながら答えた。
「このへんでそいつを見かけた人がいるんだよ」
「どんな人?」
「背中を丸めた痩せた男だよ。ぼさぼさの黒髪で、
目の下に病的な“くま”がはりついてる」
「名前は?」
「名前って?」
「その人の名前よ。名前あるんでしょ?」
少女は、お忍びの芸能人がよく身につけているような、
大袈裟なサングラスの奥からじっと僕の目をのぞきこみながら
――たぶんのぞきこんでいたのだと思う――言った。
「える」
と僕は短く答えた。
「Lだよ。アルファベットの」
少女ははじめてにっこりと笑った。
表情が崩れると、彼女は最初の印象よりずっと子供っぽく見えた。
「人にしちゃずいぶん簡単な名前ね」
「私は貴女の生活に一切干渉しません」
とLは言った。
「貴女の人生なのだから、好きに生きればいいんです」
彼女は肯いた。
「でも一言だけ忠告させてください。
バッグの中にノートを入れるのだけはよした方がいいですよ。
第二のキラと間違えられるから」
それを聞くと彼女はテーブルの上の携帯を手にとって、Lに
思い切り投げつけた。Lは無表情でそれをかわす。
「どうして人のバッグなんかのぞくのよ!」
と彼女はどなった。彼女は腹を立てるとすぐに何かを投げつけるのだ。
だからLはそれ以上刺激しないために――バッグの中を探るのみでなく、
以前こっそり彼女の携帯を抜き取ったことがあることや、
自宅の部屋の隅々まで既に調べつくしてあること、
そして今も彼女の私生活をのぞき続けている、
なんてことは言わずにおいた。
>252
イイッ その話大好き。
254 :
マロン名無しさん:04/11/08 21:25:52 ID:Cmz9j7UZ
hoshu
最近このスレレベル高いよな
表現力ではなくてシナリオが良いね
スレタイと異なってる気もするけど
>>255 例えばどんなのがお好きですか?ちなみに私は253であります。
「疲れてるのか?」
と死神は訊ねてみた。
「少々ね」
と月は言った。そしてしばらく黙っていた。
「そんな日だってあるさ。誰にでもある」
死神は肯いたまま林檎をかじり、月の向いに腰を下ろした。
「雨の日と月曜日には死神の心も暗くなるってな、歌にある」
「まったくね」
月はノートをめくる自分の指をじっと眺めながらそう言った。
「このところ、ほとんど徹夜で犯罪者を裁いてるんだろう?
早く寝た方がいいぜ」
「いや、いいんだ」
と月は首を振った。
虫でも追い払うようなゆっくりとした振り方だった。
「時間はいくらあっても足りない。それに、
世界を正す責務を思うと、どうせうまく寝られそうもないからね」
「何処に行くの?」
「デスノートで殺りに行く。行く先はわからない」
「デスノート?」
「そう、ページに凶悪犯の名前を書いて……、」
「知ってるわよ。でも、何故……、」
「さあね? この世の中には僕達の哲学では推し測れない
ものがいっぱいある。違うか?」
彼女はテーブルに頬杖をついて考え込んだ。
黒いレースのあしらわれた衣装が、空調に煽られて揺れる。
「使い方は上手いの?」
「勿論さ。確かに、僕が誇りを持てる唯一の分野だ。
自慢じゃないが、他の奴が使うよりはずっといいと思ってる。」
「世の中に“確か”なんてものがあるかしら?」
「あると信じてる。君も信じたほうがいい。
いや……信じてくれないか、この僕のためにも」
彼女がもう一度考え込んでいる間に僕は洋梨の残りを
かじった。そして傍らで体を捻る死神に目配せをする。
「努力するわ」
「オーケー。じゃあ――行ってくる」
えるえる、と僕は言った。
えるえる。
もう一度僕は言う。
えるえる。えるえる。
えるえる。えるえる。
飽きることはなかった。
時を忘れ僕は呟き続ける。
えるえる。えるえる。
えるえる。えるえる。
「違う――本当は」
「貴方は何か書く仕事をしているそうですね」とLは言った。
「書くと言うほどのことじゃない」と僕は言った。
「デスノートを埋めるための名前を提供しているだけのことです。
誰でもいいんです。名前が書いてあればいいんです。で
も誰かが書かなくてはならない。で、僕が書いてるんです。
雪かきと同じです。文化的雪かき」
262 :
マロン名無しさん:04/11/23 03:38:57 ID:+6HzpA+N
ほっす
>262
スレはそんなに簡単には消えたりはしないのよ
264 :
マロン名無しさん:04/11/23 06:15:52 ID:+6HzpA+N
僕がキラである事・・・これは真実だった。僕は誰とも結びついていない。
それが僕の問題なのだ。僕はキラを取り戻しつつある。でも僕は誰とも結びついていない。
この前誰かを真剣に殺したのはいつのことだったろう?
sage忘れた・・・すまん
「いたって簡単な話です……ん?」
カップを手に取ったはいいが、紅茶がすでに空になっていたのに気づいて
竜崎は顔をしかめた。
この風変わりな探偵にはなにやら常人にははかりしれない強いこだわりごとがいくつかあって、それが乱されるのをひどく嫌うのだ。
わずかな付き合いしかない僕にもそのことは正確に了解されはじめていた。
松田が気を利かせて立ち上がった。
「ねえ、月はLと寝たの?」
「寝てない」と僕はちょっと迷ってから言った。
「ホントに?」
「本当だよ。そういう肉体的な関係はない」
きゃああああああっ
やめてーーーーーーーー!そーゆー話は…
ノートを拾ってからの自分の行為に対して僕はまったく後悔してなかったし、もしもう一回時間を遡ってやり直せ
るとしても、まったく同じことをするだろうと確信していた。
僕はミサを抱いた。
正直なところ、どうしたらいいのか僕にはさっぱりわからなかった。
でも今ここで弥ミサを抱くことは、消して間違った行為ではないように
思えた。説明はできないけれど、そういう気がしたのだ。
僕はダンスでも始めるような感じでで、ミサのほっそりとした体に
腕を回した。乳房が僕の胃のあたりに押し付けられた。
271 :
マロン名無しさん:04/11/30 14:33:31 ID:wBy0Uh4B
やれやれ
風じゃなくてぱくりじゃねーか
そういえば村上春樹「的」デスノートだったw
274 :
マロン名無しさん:04/12/06 23:54:59 ID:iAqmxWHW
そろそろ誰か作れよ
「つまりあなたの言っているリュークって何なの?」
海砂がジャック・ケルアックの『ロンサム・トラヴェラー』から目を話さずに言った。
こういうときの彼女はどこまでもクールで現実的だった。
「僕にもわからない。リュークが何なのか、そして本当にそれが実在したのかどうかということも。ただ」
僕はひどく混乱していた。
「何て言ったらいいのかな。ときどきとても心細くなるんだ。
引力の絆もなく、真っ暗な宇宙の空間をひとりぼっちで流されているような気持ち。
自分がどこに向かっているかさえわからない。
でも昔はリュークがいた。リュークもたしかにどこかで僕を待っていると思う。
ああ、僕は今とても混乱していてうまく話せない」
「古典的混乱」海砂は相変わらず小説から顔を離さずに事務的に言った。
彼女にとってリュークなんてものは昨日竜崎が食べたお菓子が「きのこの山」だったのか
「きのこの谷」だったのかということぐらいどうでもいいことなのだ。
「リューク」僕はもう一度口に出してそうつぶやいてみた。
「なあ、ミサ・・・信じられないかもしれないが僕はきっとそいつと半年間も一緒にいたんだよ。
・・・いや実際のところもっとかもしれない。
こんなこと竜崎にだってもちろん父さんにだって言ってない。
いいかい、僕がこのことを君に最初に話したのは君がリュークのことを知っているかもしれない、そんな気がしたからなんだ。
それに僕は今いつになく少々混乱していて、第三者の客観的な意見をとても求めている。
だから君の意見を聞かせてほしい」
少し考えるそぶりを見せたあと、彼女はクールに言った。
「それって何かのサナギじゃない?」
なんかのサナギって何だYO〜
「なんかの松田」思い出したYO〜
278 :
マロン名無しさん:04/12/09 00:54:13 ID:grn/M9ny
ある新聞記者がインタヴューの中でLにこう訊ねた。
「あなたの調べているキラは捜査本部で二度消え、ヨツバで一度死んだ。
これは矛盾じゃないですか?」
Lはこう言った。
「君はデパートでお菓子がどんな風に消費されるのか知っているのかい?」
「いや、」と記者は答えた。「でも、そんなことは誰にも興味を持たれりゃしませんよ。」
「誰もが食べているお菓子をワタリに頼んで、いったい何の意味がある?」
一連のキラ事件が解決したあと、いなくなった死神から手紙が送られてきた。
どうやらもう一匹の死神とギリシャあたりを旅行しているらしい。
『リンゴはここでは夢のようにおいしいのです』
と死神は手紙で書いてきた。
『わたしたちはエーゲ海の真っ白な海岸に寝転んで、美しい二対のおっぱいを太陽に向け、
蜜の濃厚なリンゴをいただきながら空を流れる雲をこころゆくまで眺めるのです。
そういうのってすてきだと思いませんか?』
月「なぜキラだとわかった」
ミサ「あっやっぱり目の取引はしてないんですね。
話せば長くなるけどいいですか?」
月「いいも何も、君はそのことについて話すためにこうして僕を訪ねてきたんだろう。気が済むまで話せばいい。
本筋の他に序曲と〈妖精の踊り〉がついているのなら、それも含めて」
死んでこそ 浮かぶ瀬もあれ、デスノート。
デスノートという漫画がそこにあるのに、
どうしてわざわざ今まで捨てられずにとっておいた漫画なんてものを読まなくちゃならない?
それは天使が空から降りてきて美しい音楽を奏でようとしているときに、
テレビの再放送番組をつけるようなものじゃないか。
「その構図が好きなの?」
「好きだよ」と私は言った。
「小学校のとき お絵かき・コンクールでこの構図を描いて優勝して鉛筆を一ダースもらったんだ。昔はすごくポスターカラーが上手くてね」
彼女は笑った。「連載というのはなんだか不思議ね」
「不思議だ」と私は言った。
彼女がもう一度「ネーム」をかいてくれたので、私ももう一度それにあわせて描いた。
二度めにそれを描くと、私はわけもなく哀しい気持になった。
「ボツになってしまっても原稿をくれる?」と彼女は訊いた。
「描くよ」と私は答えた。
「もしそこから原稿を間に合わすことができるならね」
彼女と私は机の上に残った最後の消しゴムを半分ずつわけて使った。
「今何時だろう?」と私は訊いた。
「夜中よ」と彼女は答えた。
286 :
マロン名無しさん:04/12/14 22:32:01 ID:QCHGOIT9
ああああああ げ げ げ
あ あ げげげげげげげ げ
ああ げ げ
あ げ
あ げ
あ げ
Lという名前は、実は本名ではない。
でもそんなことはもうどうでもよかった。
自分がなんて呼ばれているのか、
そんなことは、たいした問題じゃない。
Lはキラの対極ではなく、その一部として存在している。
289 :
マロン名無しさん:04/12/27 01:45:50 ID:Q0ele424
キラがキラであると感じる瞬間があるとすれば、
それはもはやキラという言葉の意味を
誰も理解していないことになるだろう。
290 :
マロン名無しさん:05/01/04 11:04:18 ID:J8P2TZxC
291 :
マロン名無しさん:05/01/07 17:27:43 ID:QP4e162H
僕はとてもつもない嘘つきなんだ。
まったく救いがたいくらい。
たとえば僕がナオミを何とか殺そうと後をつけて歩いていたとするね。
そして彼女に話しかける時、「僕もLの元で働いていたことがあるんです」とかつい言っちゃったりするわけだ。
とんでもない話だよね。
292 :
マロン名無しさん:05/01/17 01:28:38 ID:5a4Ixt7x
あげ
そう、僕には何か致命的な死角がある。
僕は何かを見逃している。
彼女は僕がよく知っているはずの誰かなのだ。
それから何かがさっと裏返るみたいに、僕は全てを理解する。
何もかもが一瞬のうちに白日のもとにさらけ出される。
その光の下ではものごとはあまりにも鮮明であり、簡潔だった。
僕は短く息をのみ、ゆっくりとそれを吐き出す。
吐き出す息はまるで焼けた石のように固く、熱い。
間違いない、大場つぐみはガモウひろしだったのだ。
どうしてこれまでそれに気がつかなかったのだろう。僕は激しく頭を振った。
考えればわかりきったことじゃないか。まったくわかりきったことだ。
ガモウはあの奇妙なネームの中から僕らに向けて死に物狂いで
そのたったひとつのメッセージを送りつづけていたのだ。
「私の名前をみつけてちょうだい」と。
294 :
マロン名無しさん:05/01/25 14:13:01 ID:grUyZD8X
良スレ上げ
読んでて、久しぶりに春樹の本買おうと思った
「死んだってかまわないもの」
「いいよ、わかったよ。つきあうよ、君に」と僕は言った。
「一緒に死んでくれるの?」とミサは目をかがやかせて言った。
「まさか。危くなったら僕は逃げるよ。死にたいんなら君が一人で死ねばいいさ
296 :
マロン名無しさん:05/02/09 21:55:43 ID:RDhOX4tx
どうしたら空を飛べるのかしら。
簡単だよ。目をつぶって想像してごらん。
リュークが教えてくれたこと。
297 :
マロン名無しさん:05/02/11 00:00:32 ID:gIKWcPTC
298 :
マロン名無しさん:05/02/11 00:18:48 ID:V2PiYVCD
最初のほうで書いていた職人さんが「青空ナオミ」って
書いていることが気になる。
Lはむずかしい顔でメニューをひととおり見渡してから、
ぱたんとしめて、テーブルの上に置く。
「本当はメニューなんて開く必要もないんですけどね。
いちおう見ているふりをしているだけです。」
月は何も言わない。
「ここではチョコレートケーキしか食べません。
決まってるんです。私に言わせてもらえば、
デニーズで食べる価値があるのはチョコレート
ケーキくらいですよ。メニューにあるものは
おおかた試してみましたが。
君はここでチョコレートケーキを食べた事ありますか?」
月は首を振る。
「悪くありませんよ。チョコレートケーキと、
あつあつにしたココア。デニーズではそれしか食べません。」
「君は死神との間に本当に特殊な関係を持ったのか?」と上司は訊ねた。
「持ちました」と夜神月は答えた。
以下はそのやりとりである。
Q「特殊な関係とは性行為のことであるのか?」
A「そうではありません」
Q「説明をしてほしい」
A「精神的行為であります」
Q「説明になってない」
A「うまい言葉がみつかりませんが、神になるというのが近いかと思います」
Q「君は死神に何かの力を譲渡されたと言うのか?」
A「そうであります」
Q「おかしくなった一週間、君は君なりに人々を裁いていたんだね?」
A「そうであります」
Q「それは職務逸脱行為であるとは思わないのか?」
A「悪人を裁くのが私の職務であります」
Q「悪人を裁くことが職務とは認められない。以後謹んでもらいたい。
そもそも君は東応大学農学部を優秀な成績で卒業し、入省後も優れた勤務成績を
残している、いわば将来の東亜の農政を担うべき人物である。それを認識すべきである。」
A「わかりました」
Q「死神のことは忘れたまえ。死神はただの妄想だ」
A「忘れることは不可能であります」
Q「事情を説明してもらいたい」
A「私は新世界の神になるからです」
Q「説明になってない」
A「これ以上の説明は不可能であります。お名前をお聞かせください」
302 :
月博士おおいに語る:05/02/26 05:56:13 ID:Qi6m4CEX
上げちゃいますよ
303 :
マロン名無しさん:05/02/26 08:22:35 ID:7IwVS0vP
とりあえずドーナッツだ。
ドーナッツを持ってこい!
304 :
マロン名無しさん:05/03/13 13:07:37 ID:SY+1VhAg
あ
げ
305 :
マロン名無しさん:05/03/16 20:28:07 ID:0vVXGFAZ
カフカage
306 :
マロン名無しさん:2005/03/28(月) 21:37:51 ID:dROrWNlz
あげ
307 :
マロン名無しさん:2005/04/08(金) 14:47:20 ID:3w0rQ9Uv
「いいかい、私は新世界の神なんだ」とそれは大声で語った。
「君のちっぽけな<つもり>など私の前ではものの数ではない。
私はLの結末を見届ける者であり、火口のささやかな夢のなれの果てだ。
私は新世界の神であり、新世界の神であり、新世界の神なんだ。
あらゆるミサミサのパンツ、トイレの時間、生理の日の焦燥の一刻一刻、それらはみんな私のものだ。
デスノートはどのようは規則にも収まらない例外であり、
火口ごときに扱えないものであり、
新世界という料理の薬味なのだ」
ちょっとスレタイから外れてるけど、フィッツジェラルドの「バビロンに帰る」より。
村上春樹訳なので。
うん、いい。
村上春樹か…
あれ?