ネギま!キャラ萌え統一スレ 第35章

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787ライ ◆U3.v4Xwkoc

 桜が緑葉に代わり始める春の半ば頃‥。
ネギは学園からやや離れたところにある、あまり人気の無い小さな公園でまき絵を待っていた。
よく晴れた青空が広がる日曜日。
今日はネギとまき絵は学園都市内をデートです。
この前のテスト結果で、見事に平均点を取れたまき絵。その御褒美にと、ネギとデートの約束をしたのだった。

 ――AM9:58――
チラッと時計を確認するネギ。約束の時間まであと少しだ。
しばらくすると、遠くからパタパタと足音が聞こえてきた。
「ネギ君、お待たせー!」
時間ピッタリに来たまき絵が、手を振りながら駆け寄ってくる。
その姿はいつもの制服姿とは違う。
今日はお気に入りの服を着てきたまき絵。ちょっぴり香水なんかも使ってたり。
「じゃ、行こっか!」
「はい。」

まき絵は嬉しそうにネギの手を引っ張った。


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 二人がまず立ち寄ったのは服屋だった。
入るなりさっそくネギに一度試してみたかったアレをやってみるまき絵。
「ほら、これなんかネギ君に似合うんじゃない?」
まき絵が手に取ったのは花柄のTシャツだった。
服をネギの体に重ねて、『うーん‥』としばらく唸るまき絵。
だが、いまいちと思ったのか、その服を元に戻して、隣のフロアを指差しながらネギに言った。
「あっちの服、見てみよう!」
まき絵はあまり乗り気のしないネギを引き連れて、店内を巡回した。
788ライ ◆U3.v4Xwkoc :04/04/01 04:01 ID:???

 目に付けた服を手に取っては、ネギの体と見比べて、異様に、はしゃぐまき絵。
その一方で、まき絵の差し出してくる服に、ネギは困惑気味だ。
「あ、あのー。・・・これって女の子が着る服ですよね‥??」
目の前で起きる状況に、目が点になりながら、ネギが尋ねた。
(なんで女の子の服を僕に見せるのだろう‥)
(だって僕は男の子なんだし、女の子の服は着れない‥)
悩むネギに対し、まき絵は目をキラキラと輝かせながらネギに言う。
「ふふ。ネギ君だったら女装してもバレないよー♪」
そう、まき絵はネギに女の子の格好をさせようとしていたのだ。
顔をニヤニヤとさせて、ネギを見つめるまき絵。
その視線に危機感を覚えたのか、ネギは急いで否定をし始めた。
「‥?!!ぼぼぼ、僕、女装なんて、できないです!!」
ネギは焦った。ここで否定しなければ、この服を着せられてしまうと思ったのだ。
だが、まき絵はネギの顔をまじまじと見ながら‥‥。自信たっぷりに言った。
「大丈夫だって♪」
いやいやそういう問題じゃない。ネギ君は嫌がってるのだ。
「い、嫌です!女装だけはイヤですぅー!!」
ネギは本気でヤバイと思ったのか、ちょっと目が潤んでいる。
これではさすがにまき絵は諦めるしかない。
「ちぇっ、ネギ君だった似合うと思ったのになー」
残念がるが、かといって無理強いはできない。
気を取り直して食事に誘うまき絵。
「じゃあ許してあげる代わりにお昼奢ってね♪」
まき絵は思った───嫌がってるネギ君もカワイイッ!‥‥。


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789ライ ◆U3.v4Xwkoc :04/04/01 04:02 ID:???

 大通りの交差点に位置する、英国風のレストラン。
 窓際の席で、向かい合いながら食事をする二人‥。

「しかし、よく平均点を取れましたねー」
Sサイズのピザを食べながら、ネギは言った。
まき絵が食べているのはカルボナーラだ。
「私だって、やる時はやるんだよ」
まき絵は‥‥。少し馬鹿だと思われていたのは事実だからしょうがない、と思った。
ネギは褒めたつもりなのだが、ネギの言葉は裏を返せばそういう意味だ。。
だが、まき絵は気にしてないで、素直に褒められたことを喜ぶことにした。

ネギはコップに入ってた水を飲み干すと、少し真面目な顔になって言った。
「そうですね、3月のテストといい、今回のテストといい、まき絵さんはやればできる人です。
  あとは、そのやる気を毎回出してくれたらいいのですが・・・」
ネギはまき絵に期待を寄せた。‥それもまぁ、当然であった。
なぜなら、今3−Aの中で、馬鹿はあとまき絵一人だけなのである。
もしまき絵が、今後もこの調子を維持してくれるなら、バカレンジャーはめでたく総解散となるのだ。
しかし・・・まき絵はやはりというか、勉強が大の苦手であった。
「うぅー。キッツイなー‥‥」
まき絵は、両手で頭を抱えながら、下を向いて‥‥。困り果てた。
一時的ならともかく、いつもいつも勉強に追われるのは、辛い。
790ライ ◆U3.v4Xwkoc :04/04/01 04:03 ID:???

‥だが、しばらくしてまき絵は『これは…もしかしたらチャンスかも!』と思った。
スイッと頭を上げてネギを見たかと思うと・・・。人差し指でネギの鼻先を軽く突きながら、ネギに言った。
「ねえ、もしネギ君が恋人になってくれるんなら‥。私、頑張っちゃうよ!」
ニッコリと微笑むまき絵。
そしてネギはその要求に当然のごとく慌て始めた。
「え゛ぇ?! あ、あの‥そ、それはちょっと・・・・。
  ‥‥‥できないです‥‥その、ゴメンなさい‥」
ネギは細々とした声で申し訳なさそうに言った。
故郷のお姉ちゃんの言いつけを守りぬくネギ君。
それを聞いたまき絵は、肩を落としてガックリするのだが‥‥
「でも、こうやってデートするだけでしたら、テストで平均点取る度に引き受けますよ」
ネギは代わりの餌で釣ってみた。 …女心を利用する悪い奴だ。
そしてそれに釣られるまき絵がいる。
「・・!ネギ君、ホントー!?だったら私、がんばる!!」
ネギとの約束に、まき絵は素直に喜んでいた。

──今は、デートできるだけでもいい‥。
  3−Aの中で私が一歩リードしてるんだから。
  いいんちょなんかに負けない!
  本屋ちゃんにも負けないから!
  アスナにだって‥‥。

「…ねぇ、ネギ君はアスナの事どう思ってるの?」
ふと、まき絵はネギに聞いた。ネギは、よくアスナと一緒にいる‥。
791ライ ◆U3.v4Xwkoc :04/04/01 04:04 ID:???

「アスナさんですか?」
最後のピザを口に運ぶ途中で、ネギが返事をした。
食べられようとしていたピザは、口に入らず、手に掴まれたまま宙にぶらぶらする。
ネギは、まき絵がなんでそんな質問をしたのか、少し不思議に思った。
乙女心がわからない、まだまだ子供なネギ君。
「乱暴だけどいい人です。最近は勉強も頑張ってますし」
アスナのことを思い浮かべながら、ネギは淡々と答えた。
しかし、それはまき絵の求めている答えではない。
「そうじゃなくて!!」
まき絵はバッと立ち上がり、テーブルに手を付いて‥‥。ネギの顔前へと前かがみになった。
「ネギ君自身はアスナの事、どう思ってるの?って、あーもう!」
まどろっこしくなって、まき絵は単刀直入にネギを問いただす。
「ネギ君はアスナの事、好きなの?どうなの?」
まき絵はやや必死だった。 ・・・周りの席に、客が誰も座ってなくて良かったですな。
ネギは…その気迫のこもった質問にビックリして、大慌てで質問に答え始めた。
「え゛!?い、いや…。ア、アスナさんは僕のお姉ちゃんに似てるけど、そんな、す、好きなんて事は‥」
ネギの口から出た言葉は否定だった。…だが、果たしてそうなのだろうか?
ネギは、自覚が薄いものの、たまにアスナのことを意識してるのではないだろうか?
しかし、まき絵はネギの言葉を鵜呑みにして、安心してしまったようだ。
792ライ ◆U3.v4Xwkoc :04/04/01 04:15 ID:???

「──そっか…。アスナって、ネギ君のお姉ちゃんに似てるんだー?」
そうなんだー、とまき絵は呟くように言うと、急に落ち着いてカルボナーラを食べ始めた。
ネギがアスナとよく一緒にいるその理由に、まき絵はクスクスと笑いはじめる。
アスナは、ネギ君のお姉ちゃん代わりであって‥‥。それは恋愛対象とは全く違う…。そう思ったのだ。
同時に、アスナが羨ましいとも思ったが‥‥。まずそれよりも…
「ネギ君。もしかしてこっちへ来る前は、お姉ちゃんにベッタリだったのかなー?」
まき絵が意地悪そうにネギに聞く。
ネギは恥ずかしいと思ったのか、少し顔を赤らめて答えた。
「うぅ‥はい、そうです。故郷ではよくお姉ちゃんに付き添ってました。
  ‥今でもたまに寂しくなる時があります」
ネギはそう言うと、最後のピザを口に入れ、モグモグと食べながら故郷を思い浮かべた。
目はちょっと遠くを眺めている。

 ―カワイイッ!―
そんなネギ君を見て、まき絵の胸がキュンとした。

「だからアスナにお姉ちゃんを重ねてるんだー。
  でも、これからは、寂しくなったら私にも甘えていいんだよ♪」
まき絵はネギ君が自分に甘えている姿の妄想に浸っていた。。


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