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/////// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄
/////// (~) チリンチリン
/////// ';/^l ノ,,
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/////// ヽ ´ ∀ ` ゙': ( 厨 ) )) 負け犬の夏もさ
/////// . ミ ,,'"~) ,,,.
/////// ':; ミ;,,.,.,) ,ミ .. ,;'"'゙';,/
/////// ミ :; . ハ,_,ハ. ヽ、ノ
/////// //△ ミ゙゛';:, ~) :,, ~) ,;:' ´∀`;'っ┴
////// l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `゙ "`'''~^"~'''゙"''"  ̄ ̄ ̄l :: っ ,;;
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暑中お見舞い申し上げます、だな。
かき氷食いたくなった。
負け犬の部屋にはクーラーあんのかな。
ないだろ?ないと言ってくれ負け犬
俺の部屋にだってないんだ。
夷隅さんの手合い料が入ったら、買ってもらう予定ですが何か?
>344
がんがれ
負け犬、ヒモかよ!
けど夷隅さんは押しが弱いから
ねだれば買ってくれそうな気がするな
クーラー無しの部屋に棲む俺様がホッシュ!
あるところに、ひとりの若者が住んでいました。
その若者はときどき、お年寄り相手に、指導碁を打つことで生計をたてておりました。
昼前に、若者が家に戻ると、一匹の犬が訪ねて来ていました。
若者は犬を見ると言いました。
「おうワンワンや、今日も来てくれたのかい?」
すると、シッポを振って犬は言いました。
「オレのことは縮めてワヤでいいよ。伊角さん、今朝も お年寄り相手に碁を打ってきたんだね。
言葉使いが年寄り臭くなってる」
「そうか? ワヤ、今日も暑いな」
「伊角さん、はやく扇風機のスイッチ入れて!」
若者がスイッチを入れると、犬はたちまち扇風機を抱え込むようにもたれかかり、その風を独占しました。
「う゛ぅーう゛ぉう゛ぉ伊角さん、ほら扇風機に向かってしゃべると、こんな変な声がぼべみでぼらああ゛っ!」
若者は、そんな犬を見てニコニコしておりました。
「ワヤは扇風機が好きかい?」
「大好きさ!」
「そうか、良かったよ。オレの家にはクーラーないし……」
「…クーラーってなに?」
「部屋全部が涼しくなるものさ」
若者はクーラーについて説明しました。
犬はそれを興味津々に聞いていましたが、やがて
「ようし、それならオレがクーラーを持ってきてやるよっ」
と言うと、若者が止める間もなく、パッと飛び出していきました。
*
犬が最初に訪ねたのは、この町いちばんの金持ちの家でした。
犬は、この家の子となじみでしたので、時々お手伝いさんから骨を貰ったりしてました。
「おーい、メガネキノコォー、オレだー」
「あ? なんだ犬か。何の用?」
メガネキノコはもったいぶって訊きました。どうせ骨をもらいに来たのだと思ってました。
しかし、犬の要望は違ってました。
「クーラーくれよ。わんわん」
「クーラー?」
「な、いいだろ?」
犬は期待に胸を膨らませシッポを振りながらメガネキノコの返事を待ってました。
「犬…遅いよ。確かにボクの家は、部屋数も多いし、毎年1台はエアコン買い換えているけれど、
今年のは もうフクにあげちゃったよ、本格的に暑くなる前に来てくれなくちゃ」
「え、フク?」
犬は後ろも見ずに、フクの家にダッシュしていきました。
*
「ぉぅぃ… フク…」
「え?」
フクは、誰かが窓をコツコツたたく音に気づきました。窓を見ると、犬が合図をしています。
フクは急いで窓を開けました。
「あ、やっぱり犬くんだ。来てくれたんだー」
「クーラーおくれよ。わんわん」
「クーラー?」
「メガネキノコにもらっただろ?わんわん」
フクは困った顔で言いました。
「犬くん、ボクね、彼女が出来たんだ。彼女、とっても暑がりだからクーラーはあげられないんだ、ごめんね」
犬はがっかりしました。
「そうか、いいよ… じゃフク、またな…」
「うん、犬くん。バイバーイ」
犬が、伊角の家まで戻ろうと、トボトボと道を歩いていた時でした。
縁側で碁に興じている2人の男の子を見つけました。
その2人は、山のような数のトロフィーや盾に囲まれながら、碁を打ってました。
犬は驚きました。
「あ!金ピカがいっぱい!? 伊角さんの家にあるのより大きくて、しかも数も100倍くらいある!
あれが貰えれば、きっと どこかでクーラーと交換できるんじゃないか!?」
犬は足取りも軽く縁側の2人に近付きます。
犬が入ってきた事に気づいた前髪金髪の子が言いました。
「あれ、塔矢、おまえんち、犬飼ってたっけ?」
おかっぱの男の子が、それに答えました。
「進藤、キミもいいかげんボクの家のことくらい覚えたらどうだ」
クーラーキタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(` )━(Д` )━(;´Д`)ワンワン!!!!!
…いや、まだ伊角さんちには来てないけど<クーラー
負け犬ついにホントに犬ダターーーー!! 縮めてワヤってどうなのw
今日もツボ押されまくりだーーーー!!
あんな雑談が、すごいぞ、すごいよ、楽しいデース!!
本当にしあわせなスレだな〜。自分はこのスレが大好きだ。
神、ありがトン ! ありがトン !
続きも楽しみにしてるよ〜。
「ぼべみでぼらああ゛っ!」って何かにものすごく効きそうな気がする…何かに。
ピンチになったら今度から心の中で唱えることにするよ。
アリガトン
思いつきで始めちゃったので、長くないわりにはマターリすると思います。
新作キター!!
扇風機を抱え込むようにして風を独占する負け犬w
俺の部屋でやられたら引っぺがすが
伊角さんはさすがおだやかだな。
何気にフクに彼女できてるのにワロタ。
フクの彼女、誰だろう。内田とか?
よく憶えてるな、内田とか
キャラブックで見たけど育ったら萌えキャラになりそうな子だな
クーラ-キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
出だしから禿げしくワロタw
犬の口調がなんだか可愛い
とくに扇風機w
今後に期待満々で常にホシュりまつ
がんがってくだちぃ!!!
/^l
,―-y'"'~"゙´ |
ヽ ´ ∀ ` ゙':
ミ ミ., γ⌒'ヽ
':; ミ;,,.,.,) (,.,ミ 〜i ミ(二i
ミ :; 〜ヽ、,,_| |ノ
ミ゙゛';:, ~) :,, ~) r-.! !-、
`゙ "`'''~^"~'''゙"''" `'----'
扇風機ホッシュ!
359 :
マロン名無しさん:04/08/11 09:58 ID:+sDtjOy3
ほっしゅり
犬は、縁側の2人の会話から、ここが おかっぱの家だと判りました。
「塔矢……、うしろ、うしろ」
「あっ、なんだキミは!?」
アキラは、のし掛かってくる犬に驚きました。
犬はアキラにマッサージをしようとしていました。アキラに取り入って、トロフィーを貰うためです。
「金ピカおくれよ、わんわん」
「金ピカ?」
アキラにとって、塔矢家の盾やトロフィーとは、人に譲れるものではありません。
アキラは犬を振り払って正座をすると、静かに犬の顔を見据えました。
それはそれは恐い目でした。
犬はその目を見て、かつて自分がパンや魚を盗んでは追いかけられた過去を思い出しました。
まだ伊角と出会う前のことでした。
「(……うー、なんて恐い目なんだ)」
とっさに犬は、アキラに愛想笑いをしてみました。するとアキラもニッコリと微笑み返すではありませんか。
犬は少し安堵しました。
「(ずいぶん… 騙されやすそうな人だな)」
ヒカルが犬を呼びつけます。
「なんだ お前、トロフィーが欲しいのか? じゃ、オレのをやるから、オレの肩たたけよ」
犬は早速、アキラの頭上を飛び越えてヒカルの背後に着地すると、にこやかに唄いながらヒカルの肩をたたき始めます。
「 ♪ たん とん たん とん たんとんとーん 」
「ちょっと待て進藤、キミの持ってるトロフィーを渡す!? ボクとの決勝戦を侮辱するのか!?」
「い、いやトロフィーといっても、実は、前から将棋部に修理しとけって云われたままのやつで…」
「将棋部?」
「そー、将棋部のトロフィー。(加賀は、いらないって言ってたし、あげちゃってもイイよなぁ?)」
犬は今まで伊角に碁を教わってきました。この間はネコとも対局しています。
とても賭け碁が好きなネコで、石をズラしたりもしました。
この対局で、犬は、初めて伊角以外の者と打ったのでした。
そのため、最初はビクビクしながら打ち始めたのですが、結局ネコには完勝しました。
いま犬は、ヒカルの肩をたたきながら、盤上の石を見ています。
「へー、詰め碁やってたんだね」
「分かるのか?これ、オレが考えた詰め碁なんだぜ。どうだお前もやってみるか?」
さっきまでヒカルは、自分の考えた詰め碁を、アキラに見せていたのです。
犬も、これまで詰め碁はたくさん解いてましたし好きでした。
さっそくヒカルの問題に取りかかります。
「えーと、まず黒がここ、白はツイだら死ぬからハネる、コウにさせないように黒はここ。
白下がったら黒のウッテガエシ」
「へー、やるじゃん! じゃあ これは?実戦であったやつなんだけどさ……」
*
トロフィーを並べてるアキラの前でも、ヒカルと犬の検討が続きます。
「わんわん、だからオレは、ここに打つほうが好き」
「そうか。うーん、やっぱり、そう考えるヤツが多いのかなぁ」
「裏の裏まで狙っても、きっとノゾかれてしまうと思う、わんわん」
「お前、なかなか やるな。……なんつうか定石にこだわりが窺える!」
ヒカルが、犬の実力に感心し始めた頃でした。
ようやく塔矢邸に芦原がやって来ました。
「あ、進藤くんも、手伝いに来てくれたのかい?」
「ちょっとだけ」
「芦原さん、一応トロフィーは並べておきましたよ」
トロフィーを並べ終ったアキラが芦原に言いました。
「ようし、じゃあ棋院に頼まれていたものを、さっさと選り分けてしまおう」
「進藤、キミはもう手伝わないのか?」
「ああ。 もう最初に約束した分は手伝ったろ? …この犬おもしれえんだ」
「その犬、進藤くんのかい?」
芦原の質問にはアキラが代わりに答えました。
「勝手に入ってきた犬なんだけど」
「ハハハ。ねー、芦原さん、聞いて。 コイツ、トロフィーが欲しいんだって」
「トロフィー?犬くん、キミがかい」
「わんわん、ダメならクーラーが欲しい」
「クーラーが欲しい? キミ名前は?」
「ワヤ」
芦原は、少し腰をかがめて犬の目線になって言いました。
「残念だけどワヤくん、クーラーはね、電気屋さんに売ってるんだ」
芦原は、真面目に言っていました。
犬は芦原の目線の高さに安心しました。そして訳を話します。
「……実はオレ、毎日 仲間のお年寄りと打ってる人から碁を教わったんだけど。
今年はとても暑いのに、その人の家にはクーラーないんだ。だから、なんとかしてやりたくて、あちこち尋ねて廻ってるんだ」
芦原は、生活保護を受けている老人から、犬が碁を教わっている、そんな光景を思い浮かべました。
「(そうだったのか…… なんて健気な犬なんだろう。)」
芦原は、ワヤから離れたところに、アキラとヒカルを呼んで提案しました。
「みんなでお金を出し合って、ワヤくんにクーラーをプレゼントしようじゃないか。
(ついでに僕は、そのご老人に指導碁も打ってあげようっと) うん、そうしよう」
アキラは芦原の意見に賛成でした。しかしヒカルは、そこに新たな提案をしました。
「いや、そうじゃなくてさ、いっそ勝負ってことにしない?」
*
犬は、その後のヒカルからの説明に驚きました。
「ペア碁?」
「そう、オレとお前、そして塔矢と芦原さんのチームで勝負するんだ。賞品はクーラー。
あ、オレはクーラー要らないから勝ったら お前の物な」
「えっ、本当に!?」
「エヘン、どうだワヤ?」
「すげえっ! ナイスだ!!」
犬の張り切りようを見て、芦原は感心しました。
「たしかに進藤くんのいうとおり、対局によって手に入れた方が良いのだろうな……」
「さ、準備はいいぞ、進藤」
アキラは既に碁盤の前でスタンバッてました。
「……アキラも張り切ってるし」
対局前に、犬は芦原にも確かめました。
「ホントに勝ったらクーラーくれる!?」
「ああ、そうだよ (本当は健闘するだけでも、その ご褒美ってことにするけどね。
健闘ぐらいなら進藤君も いるし大丈夫だろう) ところでワヤくん、キミの棋力はどれくらい?」
犬は胸をはって答えました。
「この間、ネコに勝った!」
「ネコ? ほおーう?」
犬はシッポをパタパタと振っています。
その横でヒカルは、一人ほくそ笑んでました。
「へへへっ、(実はこのルール、ワヤとオレのチームが勝てば、オレだけクーラーのお金を出さなくてもいいんだよね)」
また、アキラも笑みを浮かべてました。
「フフッ、(ボクにはお見通しだぞ進藤、キミは本気で勝ちにくるつもりだな) まあ、いい。勝負だ!」
「いよっしゃあ!さぁー勝負だ! よかったな!ワヤ」
「おう、やってやるぜ!!」
さて、ニギる時になってアキラが言いました。
「ところで進藤、ボクたちが勝った場合、(キミは)どうするんだ?」
犬はハッとしました。「(そうだ、オレどうするんだろう?)」
ヒカルは、犬から見えないように、ウインクをして言いました。
「そのときは、ワヤが2人のドレイになるってことでいいじゃん。もう煮るなり焼くなり好きにしてよ」
その時、美しい音が流れてきました。
それは、管楽器と弦楽器を限りなく近付けたような音色でした。
どこか郷愁を帯びて、暑さをも忘れさせる伸びやかな音。
皆の心に、しみいる音でした。
その音の発生源は犬でした。
犬が怯えて「クゥ〜ン クゥ〜ン」と鳴きはじめたのでした。
ヒカルの「煮るなり焼くなり」という言葉から、「犬鍋の話」を思い出し、犬は怖くなったのです。
「( ナベになるのはイヤだ…… どうしよう… これが罠だったら…… きっと今ならまだ、大暴れすれば間に合うけど、 でも… )」
もう犬には、3人の笑顔さえもが、だんだんと悪魔の微笑みに見えてきて仕方ありませんでした。
その悪魔の笑顔で、アキラが犬に言いました。
「さ、キミの番だよ」
本当に犬だ
∧_∧ ∧_∧ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ・∀・) (・∀・ ) |< 今日の鍋パーティーは
( )__( ) _| │ 猛獣が出てくるらしいですな
_∧ ∧_∧ ̄ ̄ ̄/.//| \__________
) ( ) /┃.| | |
 ̄ ̄ ̄\ )_/ |__|/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|| ┃ < 夏の風物詩ですな
|_) \__________
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
∧_∧ ....伊角さん、元気だせよ ..: : :: :: ::: ::::::
( ´∀`) オレは.伊角さんの血となり肉となったんだよ
( ).. この夏は精力つけて乗り切ろうぜ! ::..: . :.
..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄
367 :
366:04/08/14 18:22 ID:???
最初はこんな感じのを怪談ぽくやろうとしてました。
ただ、なんとなくズレてるなと思って結局変えることにしました。
待ってたぞ!!
愛想笑ったりシッポ振る負け犬がチョト可愛いなwネコは三谷か。
絵本か童謡みたいなのんびりした語り口が良いな。
>366
夷隅さんしばらく立ち直れなさそうだ…
369 :
マロン名無しさん:04/08/15 05:12 ID:tptAY+qF
今度は絵本か
誕生日には誰もカキコしてないんだな
「ワヤワヤムチャチャチャ、ワヤムチャチャャ」
∧_∧ ∧∞∧
( ・∀・ ) ( ・∀・ )
( つ⊂ ) ( つ⊂ )
ヽ ( ノ ヽ ( ノ
(_)し' (_)し'
楽平 & しげ子
「ハッピーバースデイ,大楽平!」
∧_∧ ∧∞∧
∩ ・∀・)∩∩ ・∀・)∩
〉 _ノ 〉 _ノ
ノ ノ ノ ノ ノ ノ
し´(_) し´(_)
「…ケーキおごって」
キャラブック見ちゃったよ
8月12日生まれかぁ…
8月6日だったらヤムチャっぽくて憶えやすいのにな
和谷としげ子ってアニメの最終回じゃ
けっこう良い感じにしてたよな
代わりに加賀の表情は意味深だった
>>373 加賀はアテレコするとしたら「アチャー」って感じだった
おれは「ホアアァ!
・・・ハァ」
という感じだったかな
「ガッ!
…ちょ〜ん」
ここ掘しゅれワンワン!
皆の心に、しみいる音でした。 その音の発生源は犬でした。
すっかり怯えてしまった犬が、「クゥ〜ン クゥ〜ン」と鳴きはじめたのでした。
ヒカルの「煮るなり焼くなり」という言葉に、犬は すっかり怖くなったのです。
「( 煮…煮られるのはイヤだ…焼かれるのも……どうしよう… もし、もし……
きっと今逃げれば、まだ助かる…… でも… )」
もう犬には、3人の笑顔さえもが、何かをたくらむ悪魔の微笑みに見えてきて仕方ありませんでした。
その悪魔の笑顔で、アキラが犬に言いました。
「さ、キミの番だよ…」
しかし怯えきった犬には、一手目が、なかなか打てません。
「早くしろよ、ワヤ」
「うーううーうううう……」
もう犬には盤面が見えてませんでした。
仕方がないので、犬は、ヒカルにお伺いを立てます。
「…パス、 しようかな……」
「ええっ!? 一手目から何言ってんだよ、お前!!」
「きっとオレは不味いし!ホントだよ!」
「一手目から、マズイもウマイも、あるもんか!」
ここでヒカルはハッとしました。
「(ワヤが言ってる不味いって……そうか!)」
食い意地の張ったヒカルだけに通じた「不味い」の意味……
そうなのでした。ヒカルは、犬の心のS・O・Sをキチンと酌み取ったのでした。
「(ワヤって、面白いやつだなー) ふーん、そーか、ワヤ。ここから逃げたいんだな」
犬はパッと顔を向けて うなずきました。
ヒカルも うなずき返して言いました。
「でも、ダメ。 さ、早く打て」
そんなヒカルの頑なな態度に、アキラは感心しておりました。
「(…さすがだな、進藤。立ち向かわない限り、いつか負け犬になってしまうものだ……)」
実はヒカルは、犬のビビリように、内心ウキウキしてました。
芦原だけは、犬に助け船を出してみます。
「まあまあ、進藤くん。ワヤくんには、僕たちの相手は、荷が重いようだね。対局は無しでも良いということで……」
芦原の言葉には、ヒカルもアキラも、同時に反発しました。
「ダメダメ!オレはワヤの一手目も楽しみなんだから!」
「芦原さん、ここはワヤくんの一手を待ちましょう。 …ワヤくん。最初の一手、期待しているよ」
2人のコンビネーションに、芦原は思い直しました。
「OK、分かった。 (この2人……碁に関しては、本当に似たもの同士だよなぁ)」
「…おいワヤ、クーラーを手に入れるんじゃなかったのか?」
ヒカルの問いかけに、当初の目的を思い出した犬は、ようやく真剣に盤上を見始めました。
そして、その目には、少しずつ気迫が宿ってきてました。
しかし、どんなに気迫のこもった目になっても、「クゥ〜ン クゥ〜ン」という犬の生理現象は止まりませんでした。
そんな犬によるBGMの中で、対局は進んでいきました。
*
「終った・・・・・みじかい夢だった」
まだ序盤でした。犬は、そうつぶやくと肩を落としました。
「まだ終ってない!よく見ろよワヤ!」
ヒカルが活を入れます。
さっきから、芦原には犬の態度が不思議でした。
「(やれやれ。ワヤくん、悪くない手を打っているのにな。ここまで気持ちが負けてしまっているとは……)」
もう、芦原は指導碁のつもりで打ってました。
その後、ヒカルの勝負手をアキラが冷静に受けるだけでも、犬の気持ちは、どんどん挫けていきました。
「だめだ・・・もう・・・」
「まだ、だめじゃない!がんばれよ、ワヤ」
いまだ犬の鳴き声は、テンポを変えつつも続いていました。
「クゥ〜ン クゥ〜ン」「クゥ〜ン クゥ〜ン」
そのためか、犬の次に打つ芦原の手も、次第に気の抜けたものになっていきました。
「クゥ〜ン クゥ〜ン」「クゥ〜ン クゥ〜ン」「クゥ〜ン クゥ〜ン」
「なあ……ワヤ、もう少し静かにできないのか?」
ヒカルにたしなめられますが、犬の鳴き声は止められません。
「ムリなんだ…… シャックリと同じで、止めようとしてもオレには止められないんだ……」
*
早くも対局は中盤を迎えてました。
ヒカルの打ち込みに構わず、アキラはホウリコんできました。強手でした。
「うわああ!もはや これまでかああー!!」
「落ち着けってば!ワヤ!!」
実は、これまでも犬は、なかなか良い手を打ってきてました。その上、ヒカルとの呼吸もピッタリでした。
「今、大丈夫なんだから!あきらめるなよ」
そんな、ヒカルの言葉の直後でした。
ヒカルもアキラも、ハッとする一手を、突然、犬は繰り出してきたのです。
「(ワヤ……落ち着いて来たのか!)」
それは両ニラミに出来そうな、良い位置でした。
もともと犬をパートナーにしたヒカルは、その鋭い打ち筋にも、さして驚いてませんでした。
また、アキラも、ヒカルが勝負を言い出した時点で、きっと強い打ち手なのだろうと思っていました。
しかし芦原だけは、犬の強さを、ネコに勝ったことしか知らないまま対局を進めていました。
「(芦原さんは、どうするだろうか?)」
アキラは何気に、芦原に注意を呼びかけます。
「芦原さん、油断しないでください」
しかし芦原は、これまでよりも、大きく響きだした犬のBGMに気をとられてました。
そして気をとられたまま、この手を受けてしまいました。
瞬間、アキラの顔色が変わりました。
「……(この失着を、進藤が見逃すとは思えない)」
アキラの予感は当たりました。すかさずヒカルが、それにつけこんだ一手を放ちました。
「さあ、あとに続けよ、ワヤ!」
せっかくのアキラの気迫も、芦原に伝わりきってなかったのが、チームにとって誤算でした。
アキラは、芦原の打ち回しを予想しながら、自分の次の一手を打ちます。
「(ここは捨てて、こっちに廻った方が良いと思うが。 芦原さんは、どう思っているか)……」
そんなアキラの、一歩引いた打ち込みに、ヒカルはチャンスだと思いました。
「(ワヤ。あそこだ、あそこに打てよ!頼むぞ!!)」
急に押し黙ったヒカルとアキラのプレッシャーに、犬は押しつぶされそうになりました。
「クゥ〜ン クゥ〜ン(知らなかった……勝負がこんなにも苦しいものだなんて)
クゥ〜ン クゥ〜ン(……苦しい。でも、でも今のオレは、胸がこんなにも躍っている!だけど……)クゥ〜ン クゥ〜ン
(苦しいよ、どうしよう、伊角さん……オレ…オレ、このまま打ってもいいのかな?)クゥ〜ン クゥ〜ン」
ふいに犬の鳴き声が止まりました。
そして犬は、ヒカルの希望通りの所へ、次々と打ち込み始めたのです。
ヒカルは喜びました。その後の犬の打ち回しには、不満は全くありませんでした。
「へへッ、ワヤ。 何か、いいパートナ−だな。オレたちって。 ……ようし、ついて来いよワヤ!」
ヒカルと犬のチームワークは、芦原を感嘆させるものになっていきました。
ほどなく盤上は、ワヤチームの優勢になったのでした。
昔犬飼ってたから負け犬のクゥ〜ンクゥ〜ンが
よく想像できるよ(´Д⊂
胸を躍らせつつもクゥ〜ンクゥ〜ンが止まらない負け犬にわらた。
まあ、がんがれ。
素直な気持ちだ。
384 :
381:04/08/23 07:53 ID:???
>382>381トンクス
次回、このままストレートに行くのです。
385 :
384:04/08/23 07:55 ID:???
まちがえた >382>383
よろぴくね
負け犬どうしちゃったんだ。眠れる力が覚醒?
おだやかな心を持つ、スーパーヤムチャ人になった。
ここから奇跡の大逆転負けだろ。
がんがれ!