>>467 「なっ……!? 俺の魔法が…吸収された……?」
「ふふ…、無駄だと言っているのが分からんのか?貴様ら人間の放つ魔法は、全てこの私の糧となる。
最強の真祖として再び復活を果たしたこの私のな」
「……化け物め。 ―――なら、お前を跡形もなく吹っ飛ばす特大のヤツをブチかましてやるよ!」
ド ォ オ ン !
魔術師の手から放たれた強大な魔力。
全身全霊、持てる力を全てそれに注ぎこんだ、最後の切り札。
もはや、少女が避ける暇さえもなかった。
「……やったか?」
―――――ドクン
「ひゃぁあっ!?は…、ははっ、はははははァーーーー!!」
銅鑼のような、激しい轟音。
けたたましく響き渡る、歓喜の笑い声。
―――見ると、そこには……、
巨大なエネルギーの渦を全て体内に取り込む、真祖の姿があった……。
青白い光は、導かれるかのようにその小さな体に吸い込まれていく。
ドクン、という鼓動と共に少女はぶるぶると体を振るわせる。
……彼女は笑っていた。
涎を垂らし、牙を剥き出しにし、空を見上げ、……恍惚の表情を浮かべている。
更なる力を手に入れる事に完全に酔いしれているのか、最高のエクスタシーを感じているようにも見えた。
「ふむ。まさかこれ程の強大な魔力を持ち合わせているとはな。貴様のおかげで今夜は大分大きな魔力を摂取できたよ。
………ふふ、だがもう茶番は終わりだ。そろそろ遊ぶのにも飽きた」
この時、魔術師は悟った。
自分がいかに無力であった事を。この真祖の前では自分の力など、全くの無に等しいという事を。
ただ自分はあと数秒後、この化け物に、まるで紙屑のように殺されるという事を。