俺たちで「バキ死刑囚編」をつくろうぜ 3

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1パオ氏の代理
「バキ」を始めとする漫画キャラクターのネタを書いていくスレ。職人さん随時募集中。
 ドンドンネタを書き込んでください。他のネタと混ざらない様に工夫して頂ければ誰でも大歓迎。 

パート1     http://comic.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1040997079/
パート1まとめ  http://www.geocities.co.jp/Playtown-Queen/1309/top.html
           ↑ 「バキ」関係のネタスレ。死刑囚編のオマージュ、黒帯研究会など・・。
 
【パート2 無限大トーナメント あらすじ】
  闘技場主催者・徳川 光成と男塾塾長・江田島 平八によって、各世界から強者達を集めた《無限大トーナメント》が
  開催された。16人の強者から準決勝へ勝ち上がったのは4名。陸奥 九十九。前田 慶次。渋川 剛気。そして羅刹。
  羅刹は負傷により、同じ男塾の影慶とバトンタッチ。この4名で優勝が争われる。
  ・・しかし。このトーナメントの真の目的。江田島は来るべき魔界の神・《大魔王・バーン》との決戦の為、強者を
  一同に介するのが目的だったのだ・・。魔界の手が人間界へ伸びる。ついに、光成が魔界へ魂を売ってしまった・・。
  
     優勝者は誰か? 江田島は魔界から人間界を守れるのか? 勇次郎や朧、海原 雄山はどう動く? 
     光成はこのまま人間界を裏切ってしまうのか? 解説対決の決着は? 新キャラの登場は?
     ラスボス(?)のバーンを倒すことは出来るのか? ・・そして何より。この話に収拾はつくのか?  
          
          ↓ 詳細はこちらへ。  スペックオリジナルストーリーも素晴らしいよ。
        パート2  http://comic.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1046305900/
  
2:03/05/07 15:10 ID:fMC1Zvos
新スレ作りました。パオ氏や職人さん、これからもどんどん面白いSS書いてください。
3マロン名無しさん:03/05/07 15:12 ID:bTX8L7Zv
>>1
乙華麗
4__:03/05/07 15:12 ID:???
5マロン名無しさん:03/05/07 16:30 ID:6ZIawQr2
>>1乙!! もういっちょ乙!!
6あげ:03/05/07 20:27 ID:CswH5Cea
風の谷のナウシカのオーマを出しちゃって下ちい
7マロン名無しさん:03/05/07 21:35 ID:fnWTu3+1
ウホッ!!乙!!
見てることしか出来ないけど、応援してます。
8ふら〜り:03/05/07 21:35 ID:X5PPe79c
>>1さん、おつです〜。それはそうと、

>この話に収拾はつくのか?

……う〜む。まあ、わきわきと期待しつつ待ちましょう。
9マロン名無しさん:03/05/07 22:55 ID:???
乙age
10マロン名無しさん:03/05/07 22:57 ID:???
jojoのキャラは出ないんですか?
11マロン名無しさん:03/05/08 00:49 ID:???
光成は美少女オカマよりも、ムキムキマッチョガイな肉体になったほうが
喜ぶと思うんだけどなあ。喪黒福造の趣味か?
>>1つーかパオ物刈れ〜。頑張って風呂敷たたんでくれよ。
12前スレ830の続き:03/05/08 05:16 ID:JV6whm3S
魔界。超特大の鋼鉄製のコンテナを前に喪黒 福蔵が笑う。  「ホ〜ホッホッホ。献上品です、バーン様」
宮廷の謁見の間。豪奢な造りとそれに相反するバーンのプレッシャーが、独特の雰囲気を生んでいる。
バーンの玉座の脇には2人の男が立つ。一人はバーンの右腕、アシュラマン。もう一人は全身黒フードの男。
「余も見たい・・赤カブトとやらの力を」  バーンに喪黒が応える。  「ホッホッホ、お安い御用です」
・・鋼鉄のコンテナが開く。それと同時。魔物が召還される。コンテナの周りに次々と群がっていく。
のっそりと現れた赤カブト。ギロリ。隻眼が妖しく光る。周りの魔物を睥睨する。  「ホゥ、大きいな」
バーンが赤カブトの巨体に感心する。 ・・赤カブトの周りの魔物。ドラゴン。アークデーモン。ギガンデス。
魔界の中でも一級品の実力を持つ、超大型の魔物である。しかし。赤カブトの前では小さく、弱々しく見える。
ブン。赤カブトの無遠慮な一撃。  「ギヤアーンッ」  その大して力を込めたとも思えぬ、爪の一撃で。
悲鳴を上げて倒れるギガンデス。残りのドラゴンとアークデーモン。恐怖の裏返しからか、一斉に襲い掛かる。
・・数秒後。バーンは満足気に笑う。  「フフフ・・。あの3匹を十秒足らずか。余の予想を上回る・・」
赤カブトの足元に転がるドラゴンたちの死体。 ・・しかし、赤カブトは興奮が収まらない様だ。今まで。
狭いコンテナへ押し込まれていたのだ。視線をバーンたちへ向ける赤カブト。 ・・そして急に。ズザッ。
信じられない速度でバーンへ襲い掛かる。バーンまで約10メートル。アシュラマンが叫びながら前に立つ。
「無礼な、バーン様にッ」  ・・だが。強烈な爪の一撃で吹き飛ぶアシュラ。  「なんというパワー・・」
1312の続き:03/05/08 05:17 ID:JV6whm3S
・・バーンまであと少し。だがバーンは玉座から動かない。刹那。黒フードの男がバーンと赤カブトの間に立つ。
「グアァ・・」  赤カブトの動きが止まる。殺気。妖気。黒フードの男のプレッシャーに赤カブトは動けない。
バーンがゆっくりと玉座から立ち上がる。そして赤カブトに近付き、手を差し伸べる。おとなしくなった赤カブト。
そのバーンの手をペロペロと舐めている。屈服の証。 ・・今、忠実なバーンの下僕が誕生した。笑うバーン。
「野生は敏感だからな、自分より強き者に・・。この赤カブトは余とお前のどちらをより強者と見たかな・・ン?」
・・黒フードの男は何も応えない。アシュラマンはその様子を見て疑問に思う。 ・・この黒フードの男、何者だ?
ここまでバーン様が別格扱いをされるとは・・。 ・・この黒フードの男の正体。アシュラマンも知らない。
数ヶ月前、バーンが連れて来たのだ。それ以来、自分と同じ地位に居る。魔界のbQ、バーンの側近の自分と・・。
バーン。喪黒に聞く。  「魔界の門の様子は・・」  応える喪黒。  「ホ〜ホッホ、万事順調、ですが・・」
バーンは喪黒の言葉の先を取る。  「まだ、余や魔界の一級戦士が通れる程で無いか・・」  喪黒はうなづく。
1413の続き:03/05/08 05:36 ID:JV6whm3S
・・魔界の門。人間界と魔界を隔てる門。 ・・天界の神が、2つの世界が容易に交われぬ様、造った門である。
バーンはそれを無理にこじ開けようとしている。今のままだと、バーン達、高レベルの魔力の持ち主は通れないのだ。
「神の封印」によって。しかし、いまやその神の効力も薄れつつある。 
喪黒。  「人間界は今、神への感謝などありませんからな。その人間たちのココロのスキマ・・。悪しき欲望。
      それにより門が開きつつあります。もう少しですぞ、ホーッホッホッホ」  
バーン。 「人間を舐めるな・・かつて余は敗れた、人間の底力に・・奴らから魔界へ攻め込んで来るかも知れんぞ」
喪黒。厳しい顔のバーンにやや恐縮して言う。  「ホッホッホ。ご安心下さい、バーン様・・手は打っております」
バーンはゆっくり言う。  「人間界の強者たちによる・・地上侵攻軍か。だが何時裏切るかも分からぬ奴らだ・・」
バーンの脳裏に浮かぶ数人の姿。 ・・範馬 勇次郎。・・朧。・・そしてその他の邪悪な人間界の強者。
喪黒は笑う。  「ホッホッホ。人間同士で共倒れになればそれも良し。裏切った所でしょせん人間です。ちょうど今」
言葉を切る喪黒。声を落として言う。  「人間界の強者が一所に集まっております。一網打尽のチャンスかと・・」
思案顔のバーン。  「無限大トーナメント、か・・。よかろう。全てをお前に任す・・だがくれぐれも油断するな」
喪黒が一礼をし、踵を返す。そして去り際に言う。  「バーン様は魔界の強者を更にお集め下さい・・私は人間界を」
その背中へ向けてバーン。  「たかが人間とはいえ、江田島とかいう男、油断できぬキレ者よ・・。気を抜くな」
ホ〜ホッホッホ。 ・・かん高い笑い声を残し、喪黒はバーンの王宮を去る。 ・・そして。人間界・地下闘技場では。
準決勝第一試合・前田慶次郎 対 陸奥 九十九が始まろうとしていた。 

 
15パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/08 05:51 ID:JV6whm3S
1さんありがとう。またボチボチ頑張ります。でもパート3の最初なのにこんな地味な
スタートでごめんなさい。ま、次回からグチャグチャになって来ますので、お楽しみを。
>>6さま  う〜ん。ナウシカは映画しか見たこと無いなあ。
>>7さま >>9さま >>ふら〜りさま   ぼちぼちやってきます。期待せず見て下さい。
>>10さま  秘密。    >>11様  パオの趣味、というかラストバトルの伏線(笑)
では、パート3も頑張ります。夜王さんや他の職人さんも来てね。
16マロン名無しさん:03/05/08 17:33 ID:???
黒フードの男って誰だろう?
オレは大穴狙いで、jojoのワムウではないかと予想する。
17マロン名無しさん:03/05/08 17:34 ID:???
テンプレについてひとつだけ。
先が読めないのが、パオ氏の作品の醍醐味なのに、現在勝ち残ってるヤツを書いてしまってもいいのかなあ。
1や2の頃から読んでる者はいいけど、中には3を見て初めて存在を知る新規読者だっているんだし。
まあ、もう立っちゃったので、今更言っても仕方ないけどね。
18マロン名無しさん:03/05/08 18:42 ID:Cjhy68Ec
          . .__          _________
      ヒ    .|大|        /     皆
     ヒ     .|ふ|      /    マ   の
     /     .|へ|     / せ   ラ  者
     ン  ||   |ん|   <   ぃ   を   !!
  _∧ .∧(oノヘ |者|     \ !!   出
 (_・ |/(゚ー゚ { | ̄        \________
    |\Ю ⊂)_ √ヽ
   (  ̄ ~∪ヽ)^)ノ
    .|| || ||  ||
    '~ ~ '~ '~
19夜王:03/05/08 18:42 ID:???
第1話 追憶と狂気

人気のない、昼下がりの海岸。
潮の香りが濃く溶けた風に身をさらすように、一人の男がぽつりと佇んでいた。
四十がらみの男であった。安物の革靴を履き、ヨレヨレのズボンに、ヨレヨレのシャツ。
短く刈り上げた髪に、フレームレスの眼鏡。
一見しただけでは、すぐに顔を忘れてしまいそうな、特徴のない容貌である。
奇妙な点と言えば、胸のあたりに抱えた物であろうか。
骨壷であった。
木箱から取り出した、骨壷を持ったまま、静謐な眼差しで、遥か彼方の水平線を見つめている。
年齢に添わぬ、澄み切った青空のような瞳。その奥に、時折深い悲しみの色が見えるのは気のせいか。
男は、どこまでも広がる大海原を見つめながら、しばし追憶の彼方へと思考を飛ばした。

一一15年… あれから… もう15年…
2019のつづき:03/05/08 19:44 ID:???
目黒勇一。年齢25才 
千葉県松戸市出身日本大学経済学部卒業。

それが、男の肩書きのすべてであった。
その何の意味も持たぬ肩書きを初めて名乗った時から、実に15年が過ぎていた。

(“北から一一… 海を渡り…15年)

目黒は思い出していた。
“敵対国”で初めて口にした、日本語。
その発音を「エクセレント」と評した、“フクロウ”と名乗る男。
そして、便宜上あてがわれた“妻”との出逢い一一

潜入工作員。
通称「スリーパー」と呼ばれる者達。
来る有事の日、敵を内部より攪乱する役目を担う兵士達である。
その時まで、ある者は会社員に、ある者は農夫に。
それぞれ日本人として眠るように生きていく一一
そして、存命中その時が来なければ、日本人として死ぬ。
日本にもかつて“草”と呼ばれる者達がいたというが、彼等はまさに現代の“草”であった。

目黒勇一。
彼もまた、祖国“北”の為に敵陣にて孤独な闘いをつづける、男の一人であった。
21パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/08 19:44 ID:JV6whm3S
>>16様  秘密。でも、強いよ。   >>18様  カワイイ・・
>>17様  テンプレの時、正直あらすじどうしようか迷ったんですがね。うーむ。
>>19 夜王さま  
  お疲れです。ようやく書いて頂き嬉しいです。すみません、私の進行が遅いせいで
  夜王さんに迷惑かけて・・ 期待しておりますが、無理なさらずマイペースで頑張って下さい。

 ところでマロン板へ沢山移住来ましたねェ。ヤムチャスレ、東城スレ、そしてマッドロビニストか・・
 賑やかになりますなぁ。この板も。いい事か悪い事かまだわかりませんが。荒らしが増えるとヤダなー。
 すいません、朝書いたんで今日はちょっと。明日書きます。
2220のつづき:03/05/08 20:02 ID:???
目黒が抱く遺骨は、死んだ“妻”のものである。
目黒は彼女の事を、“花さん”と呼んでいた。
その名の通り、笑顔で人を和ませる、野の花のような女性であった。
工作員の家族にあてられる優遇措置一一それを目当てに、自ら任務に志願した女性である。
すべては、祖国に残した老いた両親と、娘の為だった。
彼女との間には、男女の営みすらなかった。情を交わす事は禁じられていたからだ。
周囲を欺く為の、偽りの夫婦。
しかし、孤独な潜入任務にあって、お互いの存在は一縷の安らぎでもあった。
男女を超えた、同志、戦友としての絆が、2人にはあった。
それが無ければ、15年の長きに渡る敵地での任務には耐えられなかったかも知れない。
その彼女が、ほんの数日前に病死したのである。

追憶を振払うように、目黒が骨壷の中身を、海にぶちまけた。
灰となった遺骨が、パラパラと陽光が煌めく海面に消えていく。

「一一大丈夫… 一人で…上手く演る…」
笑顔で、目黒は“妻”に向かって別れを告げた。
そのとき。

サクッ
砂を踏む音が、後方から聞こえた。
目黒が振り向くと、その表情が驚愕に塗り潰された。

                    ・・・
「海に…還したか…。我らにとって…最高のたむけだな…」
そこに、2人の男が立っていた。
2321につづく:03/05/08 20:27 ID:???
2人の内、小柄な方の男が帽子をとって素顔を見せた瞬間、目黒は凍りついた。
潜入時、初めて遭遇した、“同志”フクロウ。
まさにその名の示す通り、異相の男であった。
禿げた頭頂部、後ろにだけ長く伸ばした髪。大きく垂れ下がった耳。
極限まで削ぎ落されたような頬。落ち窪んだ、暗い淵のような目。
15年という歳月が刻みこまれても、その特徴的な面相は変わってない。
目黒の上官にあたる男とはいえ、逢ったのは潜入時のただ一度きりである。

「15年ぶりか…ククッ…。老けたな…お互い…」
しばし呆然としていた目黒だったが、ある事に思い当たり、背筋を硬直させる。

「有事の日が!」
驚愕と歓喜の入り交じった声で、目黒は言った。
しかし、目黒の言葉に、フクロウはわずかに苦笑しただけであった。

「ハッハ…来るかよ、そんなもん…」
深い絶望を滲ませた声音に、目黒は落胆を隠せなかった。

「今日は…君にヤボ用を頼みたくてね…。ちょっと問題が起こった…」
気を取り直し、フクロウはそう言うと、懐から2枚の写真を取り出した。
そのうちの一枚を目黒に見せる。
それは異様な写真であった。望遠レンズで撮影したと見られる写真。
うずたかく積み上げられた死体の山一一その上に仁王立ちする一人の鬼の姿が映し出されていた。
蓬髪を血風になびかせ、怒りとも悲しみとも歓喜ともつかぬ表情を浮かべる、その男。
それはまさに、人を超えた獣一一鬼のみがなし得る貌であった。
写真を介してでさえ、その男が纏う帯電した磁場のような闘気が伝わってくるようであった。

「その男の…始末をたのみたい…」
フクロウが、ぼつりと、言葉を千切るようにそう言った。


24夜王:03/05/08 20:38 ID:???
新スレ乙です。
今スレより、駄文を書かせていただきます、夜王です。
パオさん、こちらこそ流れを邪魔するようですみません。
全然迷惑だなんて思ってないです。正直、前スレでは書く暇なかったのもので。
つづき、期待しております。

さて、私のネタなんですが、当初予定したのとまた変わりました。
色々考えたんですが、やっぱトーナメントは紛らわしいなと思った次第で。
とりあえず、どんな話かはおいおい分かっていきますので、気長に見て下さい。

しっかし、最後のネタをやる為に、いきなり4レス消費…何考えてんだ自分。
しかも、元ネタ1話の、ほとんど丸パクリです、これ。
先行き不安だなあ・・・。
25マロン名無しさん:03/05/08 20:51 ID:???
魔界編ではバロンゴングは出していただけんものか。
あと漫画版「バトル・ロワイヤル」の桐山和雄も。こいつも相当強いし。
アカギに似たタイプだけど人間性の欠片もない分もっとタチが悪い。
26マロン名無しさん:03/05/08 22:22 ID:???
赤カブト強え〜!
ってか、ギガンテスやドラゴンをぶち殺していく赤カブトは怖すぎだ。
27マロン名無しさん:03/05/09 01:12 ID:???
>パオさん、夜王さん
乙です。
楽しみにしてるんで自分のペースで書いてってください。
2814の続き:03/05/09 11:40 ID:+fnR1LHQ
慶次の従者の捨丸は、その光景に目を細める。主の前田 慶次朗とその友、香取 石松が酒を呷っている。
慶次の盃が空になる。黙ってとっくりを差出し、酒を酌む石松。石松の盃が空になる。慶次はそれに酒を注ぐ。
・・その繰り返し。2人とも何も声を発しない。 ・・静かな酒盛りが始まってから20分も無言のまま。
だがその光景、捨丸は堪らなくうらやましい。 ・・人はここまで、今日初めて出逢う人間と解りあえるのか。
遠くで声が聞こえる。   「準決勝第一試合、玄武の方角より陸奥 九十九、入場だわさッ〜!!」
ビスケの声と観客の大歓声。 ・・闘いが近い。松風がブルルンといななく。捨丸が申し分け無さそうに言う。
「旦那、そろそろ・・」  慶次。涼やかな微笑みで石松を見る。石松。その微笑みに不器用な微笑みで返す。
石松。慶次の肩をポンと叩く。そして一言だけ言う。 ・・万の言葉に勝る、たった一言の激励の言葉を。
「傾くなら、傾く通せ」  ・・ニヤリ、と笑う慶次。松風にまたがる。その姿を見て捨丸。惚れ惚れとする。
捨丸も気を引き締まる。自分は天下一の主人の従者である。堂々としろ、堂々と。 ・・だが捨丸の中の恐怖。
それがずっと消えない。忍び、という者の特性から来る恐怖。忍びという人種。思考に主観を徹底的に排除する。
先入観があればいくさ場で死ぬからである。その特性が結論を出している。あの、陸奥 九十九の闘いを見た。
旦那は・・勝てない。顔に陰がどうしても浮かぶ。駄目だ、こんなざまじゃ・・。慶次。捨丸に笑って言う。
「捨丸・・。いくさってのはなぁ、負けいくさが一番面白いんだよ・・」 ・・その言葉に微笑む石松。
・・ビスケの声が慶次を呼ぶ。  「朱雀の方角、前田慶次郎利益、入場だわさ!!」  ・・さあ、出陣の刻。
2928の続き:03/05/09 12:13 ID:+fnR1LHQ
大歓声の中、威風堂々と入場する松風、捨丸、そして慶次。 ・・しかし。一部の観客が慶次の姿を見て騒ぐ。
「どうしたんだ慶次ッ、いつもの傾奇者の格好じゃねえ!!」  「でも・・なんて見事な立ち振舞いだ・・」  
その裃。艶やかな鶴の刺繍の、真っ青な見事な染付け。その頭髪。いつもの長い髪を無造作に束ねた頭ではない。
丁寧にまげを造り、見るも涼やかな男振りである。いつもの奇矯な姿は一切感じられない、華やかな見事な侍姿。
大柄の体が一層爽やかで、匂い立つ様な見事な男振りである。慶次が本来持つ、教養の豊かさすら感じられる。
ビスケが嘆息する。  「ハアァ・・なんて美々しい・・。完全に観客が目を捕らわれているわさ・・」
九十九。その姿を見てフッ、と笑いながら慶次と見合う。  「前田さん・・。アンタとやりたかったよ・・」
慶次は大きく笑って答える。  「良い面魂だなぁ、陸奥殿・・」  美しい裃の慶次と血だらけの道着の九十九。
対照的な両者。 ・・緊張感が高まる。そしてついに。審判が大きく叫ぶ。   「始めいッッ!!」

(勝てよ、慶次・・)  闘技場の入り口で慶次を見守る石松。石松も出来れば慶次のセコンドに付きたい。
しかし自分もこのトーナメントの参加者の一人である。石松は遠くから慶次の勝利を願う事にした。 ・・だが。
「ホゥ・・まだお遊びが続いてやがったか。自分らの身に何が起こってるのかも知らず、のんきなこった・・」
背後からの声が石松の耳に届く。 ・・バカな。俺が今まで気配を感じられなかった、だと。しかも今の気配は。
先程まで全く気配を感じられなかったとは信じられぬほど、大きく、邪悪な殺気。石松はその声の主に振り返る。
「アンタ・・何モンだ? この通路は関係者以外立ち入り禁止のはずだぜ・・」 その男はニヤニヤとしたまま。 
・・邪悪と殺気を浮かべながら。
3029の続き:03/05/09 12:50 ID:+fnR1LHQ
石松。言葉が荒くなる。  「何モンだって尋いてんだ・・。言わねえんなら無理矢理口を割らせるぜ・・」
そう言いながらその男を見る。・・不吉な。全身にグルグル包帯を巻いている。腰には日本刀を差している。
何より。その邪悪な殺気。これほど禍々しい気配を、石松は感じたことは無い。自然と肉体が臨戦態勢に入る。
包帯の男。嘲笑しながら言う。  「粋じゃ無いねぇ・・。こんなに早く殺されることもねえだろうに・・」
石松。その言葉に反応し、包帯の男に殴り掛かる。ピシリッ。肉体に激痛が走る。今、石松は闘える体ではない。
・・石松の右ストレート。だが包帯の男は避けようともしない。ミシリと顔に突き刺さる石松のコブシ。しかし。
包帯の男は笑う。  「かかってくるなら・・この如何ともし難い実力差を ちったぁ考えて掛かって来いッ!!」
・・石松の胸に包帯男の腕が伸びる。次の瞬間、包帯男の手甲に日本刀がかすり、腕が発火する。 ・・拳と炎。
その2つが石松を襲う。血だらけ・炎まみれになり石松は吹き飛ぶ。包帯男は詰まらなそうに倒れた石松に言う。
「チッ、カスが・・紅蓮腕(ぐれんかいな)一発でお陀仏とは・・まるで復活の為の練習台にもなりゃしねぇ・・」
そして闘技場の慶次と九十九へ目を向ける包帯男。  「やはりあいつらだな・・。俺の餌食に相応しいのは・・」
ゆっくりと歩き出そうとする包帯男。・・しかし。石松が立ち上がるのを見て歩が止まる。石松の目は死んでいない。
「ホゥ。無様で無粋ながらもしぶといじゃねぇか。褒美に俺の名を教えてやる。志々雄 真実・・天下を取る男だ・・」
3130の続き:03/05/09 12:51 ID:+fnR1LHQ
石松。その言葉を聞いて笑う。  「何がおかしいんだ虫ケラ・・」    志々雄は石松を哀れむ様に聞く。
「何が粋だ、笑わせんな・・俺のダチにゃ、てめえより強くてずっと粋なヤツがいるぜ・・丁度今、闘ってるがな・・」
石松の目の光りが強くなる。その言葉に志々雄は楽しそうに笑う。  「なら余計、そいつに挨拶しなきゃあな・・」
石松。志々雄の肩をつかむ。だがその手は、全身のダメージにより震えている。  「死ねてぇのか虫ケラ・・」
志々雄の声が低くなる。だが石松。肉体は臨界点を超えていても、その闘志は衰えない。志々雄に宣戦布告する石松。
「ダチの大切なケンカだ・・誰であろうが邪魔させねえよ・・。例え・・殺されようがな・・」   
32パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/09 13:01 ID:+fnR1LHQ
夜王さま、お疲れです。壮大なドラマを感じさせるオープニングお見事です。
これからも頑張って下さい。でも、元ネタって何?
>>25様  バロンは出ません。「バロン」はね。でも・・。桐山についてはちょっと。
     不良トーナメントでも出るそうですし。でも本当に始まるのかアレ。やって欲しいなあ。
>>26様  赤カブトは強いですよ。バーンの次の次の次くらい。  >>27様  ありがとうございます。

  のんびりと続きます。夜王さんと私以外も参加者が増えるといいなぁ。
33マロン名無しさん:03/05/09 17:09 ID:???
バオ氏>>  毎度お疲れ。いつも楽しみにしてます。
      バロンは出ません。「バロン」はね。>> ゴードン辺り出そうな発言。
      個人的には巨乳の氷使うねーちゃん出して欲すい
      後、いつも面白いのはいいけどちょっと誤字多し。
      他はともかくセリフで間違われるとチョット萎える。石松のセリフとか。
夜王氏>>  ついに始まりましたねー 期待度MAX。パオ氏と二本柱ですね。

 個人的にやっぱりうしおととらから誰か出してもらえりゃ嬉しいっす
34_:03/05/09 17:17 ID:???
35_:03/05/09 19:24 ID:???
36マロン名無しさん:03/05/10 01:00 ID:???
いつも同じの張る奴いるな。他所でやって下さい。
37マロン名無しさん:03/05/10 02:04 ID:???
赤カブト強い。
ドラゴンより大きいって、何十mあるんだ。
38マロン名無しさん:03/05/10 06:59 ID:j7p3/Uvo
>>夜王氏
夜王氏は自宅パソから書き込みですか?だったら勝手なリクエストで恐縮
なんだけど、独自HPで展開してくれた方がありがたいなぁ。
そんな凝ったのじゃなくても、テキストサイトで十分だと思うし。
ご一考下さい。
ともかくパオ氏の作品同様、激しく先を楽しみにしとります。
楽しませてもらうばっかりで申し訳ないけど、がんがって下さい。
39マロン名無しさん:03/05/10 09:52 ID:???
>>38
ここでやるくらいなら他所でやってくれ



って言ってるように見えるが
4038:03/05/10 10:15 ID:???
>>39
おいおい何言ってんだいブラザー!オレはそんな事言ってないのですよ
HPでまとまってた方が読みやすいなぁ・・と思っただけなのに・・
それにパオ氏の時だって、HP作ってコールはあったべ?
>>夜王氏
あの、くれぐれも誤解されませんように。
4139:03/05/10 10:51 ID:???
HPにまとめてくれってことですか。

勘違いしてゴメリンコ
4231の続き:03/05/10 11:47 ID:kmP/S/yA
慶次。始めの声と同時に笑顔が消える。屈強のいくさ人の顔。鋭い視線の中に、どこか爽やかな潔さを感じる顔。
勝敗も生死も考えない。ただ修羅に入るだけである。己の限りを尽くす。結果は、どこかの誰かが決めるのだろう。
対して九十九。体全体から風の様な熱さが噴出している。 ・・千年不敗。その伝説を生きたまま体現する若者。
前田 慶次と陸奥 九十九。 ・・野生の虎と生まれながらの修羅。対峙する選ばれし強者2人。そのまま動かない。
・・しかし。これだけの強さを持つ男たちに、どこか哀しさを感じるのは何故だろう。
慶次。  「やっぱり・・動かなきゃぁ、いくさは楽しくないよなぁ、陸奥殿・・」  ニヤリと笑う慶次。
ニッと笑う九十九に、慶次は大きく体を振りかぶり、そのまま思い切りコブシを放つ。 ・・テレフォンパンチ。
ビスケ。  「威力は大きいけどモーションが大き過ぎ・・えッ?」    ・・九十九。避けようとしない。
その場から微動だにしない。 ・・慶次の野獣のコブシが顔面へ突き刺さり、大きく後ろに吹き飛ぶ九十九。
テリー。  「浮身で後ろへ飛んで威力を逃がした・・という訳でもないな。本当に喰らったようだ・・」
・・何故? ビスケとテリーは顔を見合わせる。確かに慶次のパンチは凄い。あの花山 薫に殴り勝った拳である。
破壊力は尋常では無い。・・だが、所詮膂力頼りの無骨な拳である。神速を誇る九十九がかわせない訳は無い。
九十九。顔を朱に染めながら立ち上がる。  「凄いなぁ、前田さん・・だけどそれじゃ俺は倒せないよ・・」
ビスケ。九十九を見て嘆息する。やはりバカだわさ。相手の力を全て出し切らないと気が済まない様だわさ・・。 
43_:03/05/10 11:49 ID:???
44マロン名無しさん:03/05/10 12:02 ID:???
4542の続き:03/05/10 12:25 ID:kmP/S/yA
九十九が慶次の懐へ飛び込む。2人の身長差は20センチ程もある。深く大きく踏み込まない限り、タフな慶次は倒れない。
神速。呼吸一つする間に慶次との間合いを詰める九十九。無論慶次もその拳で迎撃するが、全く当たらない。遂に懐へ。
九十九。ニッと笑う。  (いくよ、前田さん・・)  慶次も微笑む。  (鉄砲を突きつけられたみたいだなぁ・・)
ピタリ。九十九の右拳が慶次の鳩尾へ沿えられる。ゾクリと寒気が走る慶次。 ・・だが、慶次はこんな寒気は嫌いではない。
刹那の間、慶次は何故かワクワクする。  (何が来るのかな、楽しいな)  ・・次の瞬間。慶次の目の前が暗くなる。
下腹に穴が空いた様な感覚。激痛も走る。九十九が小さく言う。  「陸奥園明流・・虎砲」  ・・慶次の口から血が流れる。
グラリと崩れる慶次。 ・・しかし。  「楽しいのぉ。生まれて初めて天狗に会えるとは・・」  慶次は血を吐きながら笑う。
次の瞬間。  「グフッ・・」  九十九の嗚咽。虎砲。コブシを沿えた状態から一気にパワーを開放する技、それが虎砲である。
瞬間的な破壊力は一トンを超える。だが。そのパワーを開放した直後。九十九の動きは一瞬止まる。慶次。そのスキを見逃さない。
20センチの身長差を活かし、九十九のひたいへ思い切り頭突きを落とした。強靭な肉体と野生のカンを持つ、慶次だけの切返し。
ビスケ。  「ダメージは五分・・。アバラが折れたであろう慶次と、顔へ強烈な打撃を2発受けた陸奥・・。化け物どもめ・・」
九十九。笑って問う。  「凄いなぁ、前田さん・・素手の虎砲を喰らって笑っていられるなんて。どんな鍛え方をしたんだい?」
「フフ・・。虎が日々鍛錬などするかね」  一瞬微笑み合う怪物2匹。九十九が笑いながら言う。  「強いなぁ、前田さん・・」
しかし。笑いながらもプレッシャーはどんどん増大していく。殺気ではない。何か別のモノ。ではないが、観客は震えが止まらない。
「前田さん・・陸奥園明流千年の中で・・虎砲をあんな返し方をしたのはアンタだけだ・・つまり・・」  言葉がそこで止まる。
九十九の目が強く光る。  「前田さんアンタとは・・全てを賭けて闘わなくちゃいけないって事さ・・」  その言葉を皮切りに。
4645の続き:03/05/10 12:41 ID:kmP/S/yA
九十九。神速を武器に前に出る。慶次のレバーへフックが決まる。腕を振り払い迎撃する慶次。だが既にそこに九十九はいない。
斜め後ろ。慶次の反応も速いが、陸奥の神速はその遥か上を行く。下段廻し蹴りがヒザの付け根に入る。体勢の崩れる慶次。そこに。
九十九の右後ろ廻し蹴りが慶次の側頭部を捕らえる。一瞬、意識の飛ぶ慶次。・・そして。再度。ピタリ、と慶次のわき腹に右拳。
一瞬後ろへ流れる慶次の巨体。 ・・ドシンッ!! そのまま慶次は闘技場の砂へまみれる。 ・・ビスケが大きく叫ぶ。
「ダウ〜ンッ!! 前田 慶次、陸奥 九十九の2発目の虎砲の前に、ダウンだわさッ〜!!」  騒ぐ観客。信じられない表情の捨丸。
慶次に駆け寄ろうとする審判。それほど、今の倒れ方が尋常で無かったのである。 ・・だが九十九。審判を制して言う。
「どきなよ・・こんなモンで俺たちの決着は付かない。そうだろ、前田さん・・」   慶次。体が震えている。だが涼やかな笑顔。
どっかり。闘技場の真ん中でアグラをかいてしまう。懐から取り出した扇子でパタパタ顔を仰ぐ。 ・・その様子を見て呆れる観客。
「慶次、傾ぶき過ぎだッ、そんな格好で陸奥の蹴りが着たらどうすんだッ」  しかし九十九は動かない。・・待っている様に。
慶次は座ったまま思案顔。  (あの動きを捕らえる方法・・か) ・・そしてゆっくり立ち上がる。立ち上がりながらマゲを外す。
そう。慶次の第一試合。高槻 巌の自然の動きを捕らえた再現である。九十九に笑いかける慶次。  「すまんなぁ、お待たせして」
九十九。  「これからが本番みたいだね・・」  慶次。  「強いな、陸奥殿・・。でも勝たせてもらうよ、友が待ってる・・」
・・その友。香取 石松は。魔界の幹部・志々雄 真実の手により。今まさに、抹殺されようとしていた。
47パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/10 12:51 ID:kmP/S/yA
>>33様  誤字はすみません。今回も園の字が違います。パソによっては出ないんだよね、国構えに員のエン。
>>36様  同感。最近このスレ狙われているような・・。ま、シカトが一番ですよ。荒しは無視が基本。
>>37様  赤カブトは7、8メートルくらい。ちなみにドラゴンの体長は5メートル位ですよ、確か。
>>38様 >>39様  ま、のんびりやりましょう。夜王さんも随時書いてくれると思いますし。
>>44様  これ本物? ・・ちょっと怖くて踏めないなぁ。本物だったらゴメンなさい。ブラクラ恐怖症なんで。
 ま、トーナメントはマジ6割ネタ4割なんですが、魔界編は5対5なんで。ムチャクチャです。
 後、パオのSSは作品なんかじゃありません。ただのネタです。楽しんでもらえれば結構です。
48_:03/05/10 13:39 ID:???
49マロン名無しさん:03/05/10 14:09 ID:???
ageカキコを続けたらどんどん来るだろうな。こういうやつ
50_:03/05/10 14:46 ID:???
51_:03/05/10 16:12 ID:???
52_:03/05/10 17:40 ID:???
53マロン名無しさん:03/05/10 17:44 ID:oNaAKDD0
せっかくの名スレがこうやって潰されていくのか。
漫画サロンに数少ない見る価値のあるスレなのに。
ホント良心があるなら止めてください
54マロン名無しさん:03/05/10 21:23 ID:???
>>53
広告に反応するな。無視しろ。
潰れる原因の半分は、無視できない人たちにある。
55ふら〜り:03/05/10 21:35 ID:HgIyy6W8
>パオさん
いつもですけど、今回は特に「らしさ」が出てますね〜。 
アグラかいて扇子パタパタの慶次と、待ってる九十九。
目に浮かびます。にしても古武道を使う現代人と、それを
使わない戦国人っていうのは……考えてみるとフシギな気分。

>夜王さん
静かな迫力がありますね。今のところ、私は元ネタが全然
解らないので、丸パクリも気になりませんし(わ
期待してますよ〜♪

そういえばパオさん。本宮作品から、ということで呂布とか
項羽とかはどうでしょう? 
5623?I`?A^?A?《:03/05/11 01:16 ID:???
「君も、この世界に身を置くなら、その怪物を知らぬはずがなかろう。
 曰く、オーガ。 曰く、地上最強の生物。これ以上ない、ビッグネームだ」
冷や汗を流しながら写真に魅入る目黒に、フクロウが言った。
「イラク政権が事実上崩壊し、我が国が核保有を高らかに宣言した今、
 いつ、その男の爪牙が“北”に向けられるか…事態は一刻の猶予もならんのだよ。
 幸い、オーガは現在、日本に滞在中との情報だ。これを期に、憂いを断っておきたい。
 これは君にしか出来ぬ仕事だ。そして、もうひとつ…」
フクロウは、もう一枚の写真を目黒に見せる。
そこに映っているのは、まだ年端もいかぬ十代の少年であった。
「そのガキの名は、範馬刃牙…。分かるだろう、オーガのせがれだよ。
 オーガともども、始末して欲しい。巨凶の血…この世に残してはならん…」
いかに難敵の血縁とはいえ、一般人の少年を殺せ、という。
あまりにも冷酷かつ非道な、フクロウの命令であった。
そんお言葉を聞いた瞬間、目黒の指に力がこもり、持っていた骨壷にヒビがはいる。
怒りが、目黒の声帯を震わせた。
「15年…15年待った仕事が…年端もいかぬ少年を殺す事なのですか…」
押し殺した声。その発言に、今まで沈黙を保っていた、もうひとりの男が、拳銃を取り出し、目黒の前に歩みでた。
「今のは命令拒否ともとれる発言です。発言の撤回と命令の復唱を願います」
男は慇懃だが、有無を言わさぬ口調で、そう言った。冷たい銃口を、目黒に突き付けながら。
目黒は俯きながら、中指で眼鏡を押し上げる。その口から…
「キサマ…」
先程までとはうってかわった、凍りつくような声色が漏れる。
「!?」
「……………」
その突然の変化に戸惑う男。そして、泰然と成り行きを見守るフクロウ。
目黒が貌をあげ、そして言い放つ。

「誰に…銃を向けている…」
5724のつづき:03/05/11 01:42 ID:???
ゾクリ。その瞬間、名状し難い悪寒が、男の背骨を貫いた。
目黒の表情が一変していた。ついさっきまでは、何ら特徴のない顔だった。しかし、今は。
血管が蜘蛛の巣のように顔中に浮き出、その目は男の知るどんな戦場よりも深い地獄を孕んでいる。
凄まじい貌だ。そして、目黒から放たれるのは、本能に根ざした獣の殺気ではない。
完璧にコントロールされ、凶器…否、兵器の域にまで練り上げられた、冷徹なる殺意。
「銃をしまえ…キサマのような若造に指図されるいわれはない……」
聞くだけで凍てつくような声。目黒の底光りするような眼光が、男を射る。
だが、男もまた兵士。ここで臆し、退くワケにはいかなかった。
「……俺は三ヶ月前まで国境線にいた…」冷や汗を垂らしつつ、男は気力を振り絞る。
「最前線だ…。十五年、この平和にただれた国に眠りつづけたあなたに、若造呼ばわりされるおぼえはない…ッ」
男の拠り所となっている、誇り。その矜持が、男に任務を継続させる。
「なお撤回と…命令の復唱を望む」
男が最後通告を言い渡す。フクロウは相変わらず無言だ。
すると、目黒がふいに、奇妙な行動をとった。
骨壷を持った左手を前にかざし、スウッ、と骨壷に右掌で軽く触れる。
男の顔に戸惑いが浮かぶ。目黒が言った。
「学びなさい… ここは敵陣なり」
言うや、目黒の貌に再び、禍々しい血管が浮かび上がった。
5857のつづき:03/05/11 02:16 ID:???
「孔…」
目黒が、無気味な呼気を吐いた。
ピシッ
刹那、ただ右掌が触れていただけの骨壷に、葉脈のごとくヒビが走り、砕けた。
パッカアアッッ
砕けた骨壷の破片が、散弾のように飛んだ。
そのうちのいくつかが、男の目に、鼻に、唇に次々と突き刺さる。
「アギャッ」
男は、顔のそこかしこから鮮血をまき散らし、予想だにしない痛みにパニックに陥った。
……いつの間にか。目黒が眼前に立っていた。右掌が、男の胸に伸びる。
「ヒッ」 男が慌てて、銃を構え直す。しかし、遅すぎた。
目黒の足下が爆発した。火山灰のように砂が舞い上がる。とてつもない踏み込み。
それと同時に、男の内部で火球が破裂したような衝撃があった。
目黒の右掌が、男の胸板を叩いていた。しかし、その表面に一切、外傷はない。
むしろ、触れてもいない背中が衣服ごと爆ぜ、血が噴き出した。
顔からも、刺さった破片ごと大量の血を噴き上げ、男は砂に沈んだ。
男が倒れた周囲に夥しい血が流れ、砂が血を吸い込んでいく。
目黒が右手を戻し、構えをとった。日本武道でいう、残心とでも言うべきか。
奇妙な事に、目黒の右手の袖までもが、ボロ切れのズタズタに破れている。
一体、どのような力が、目黒の右手に、そして男の肉体に作用したのか。
傍目から見たら、まさに魔法のようにしか見えない。
すると、それまで事態を静観していたフクロウが、いきなり強烈な笑みを浮かべた。

「流石だな…我らが誉れ、『黒の技法』……」


5958のつづき:03/05/11 02:36 ID:???
「殺したかね?」
フクロウがそう問うと、目黒は、
「まさか…アバラを三本ほど“斬った”だけです」
そう答えた。その答えに、フクロウは満足したように笑う。
「ククッ…“斬った”か…。何だっけ…筋肉の振幅を一点に集中し、叩きつける…だったか…。
 いやいや…安心した…衰えておらぬな、『黒の技法』」
杖をぶら下げた手で、先程の目黒の動作を真似るように腕を前後させながら、フクロウが言った。
「やはり…“試し”だったのですか…この男…」
フクロウの言葉に、目黒が得心したように言う。
フクロウは答えなかった。肯定の沈黙であった。
「なぜ、わたしなのです? オーガはともかく、その息子とはいえたかが子供を殺るのに…」
「ただの子供ではないからよ…」
「!?」
「この国のどこかに、秘密裏に運営される闘技場がある…。
 武で身を立てる者ならば、誰もがその存在を知る、いわば格闘の聖地…。
 範馬刃牙は、そこで史上最年少の王者であるという…。
 それだけではない…つい数カ月前、そこで行われた地上最大の格闘トーナメント…。
 その道の達人、怪物ばかりが集う祭典でも…そのガキは優勝した…。
 天才少年というやつだ…我々の手には負えんのだよ…
 VIP暗殺セクション一一“黒の性(ナンバー)”を与えられた君以外にはな…」
フクロウの言葉に、目“黒”は慄然とする。
確かにそれが本当ならば、近い将来、祖国にとって恐るべき驚異となるだろう。
だが、しかし。目黒は、葛藤する。その目黒の葛藤を見透かしたように、フクロウは…。

「思い出したまえ…目黒…君の“妻”は、何の為に生き…何の為に死んだのか…」
6059のつづき:03/05/11 03:02 ID:???
目黒の“妻”の遺骨が納められた、骨壷。
それが収納されていた桐の箱を、フクロウは踏み付けながら言う。
「もし…君がこの話を断るならば、この女が祖国に残した家族への優遇措置は…打切られる」
「!?」
「それはそうだろう?命令を聞かぬ兵士の家族などに食い扶持を与えられるような余力は、我が国にはないのだ」
目黒が震えた。慟哭と無念を押し隠すように、手で顔を覆う。
「なあ、目黒…悪い条件(ハナシ)ではないだろ。
 本来ならば、とうに飢えて死ぬはずの家族を、
 オーガとガキを殺ってくれるなら、さらに厚く保護しようというのだ」
目黒の顔に、限りない悲しみが浮かんだ。
「たむけだよ…、なあ…目黒君」

6160のつづき:03/05/11 03:02 ID:???
話はそれで終わりだった。目黒は敬礼すると、全ての命令を承諾し、その場を後にした。
わずかに遅れて、目黒に倒された男が目を覚ました。
目黒の去る姿を目の当たりにし、そして思い知る。格の違いを…
一寸のズレもない、弾丸のごときまっすぐな足跡を見て…。
「わかったかね?」フクロウが男に言った。
「あれが黒の性(ナンバー)……銃を所持した相手の制圧すらわけない連中よ……」
「フクロウ…様…」
「ところで君…戦場で…一番やっかいなものが何かわかるかね?」
「はっー!?」
男はフクロウの言葉の意味が分からない。フクロウは男を見下ろすと、ふいに微笑を浮かべた一一
トスッ
ごく小さな軽い音がした。それが、男の聞いた、この世で最後の音になった。
フクロウの杖が、男の頭部を串刺しにしていた。男の眼球が、ぐるりと裏返る。
フクロウが杖を引き抜くと、頭部から鮮血を溢れさせ、男は絶命した。
「治療に他の者の手をとられる…負傷兵だ…」
すでに男に聞こえるはずもない台詞を、フクロウは呟いた。
「ククッ…踊れ…最強者(つわもの)どもよ………踊れ……」
フクロウの呪詛のような呟きは、無人の海岸に静かに消えていく。
いつしか、天は雨になっていた。
      
             (第1話「追憶と狂気」・・了。第2話につづく)
62夜王:03/05/11 03:17 ID:???
ども、夜王です。ってか…クソ長…。第1話に10レス・・ハハ・・
すみませんね、パオさんにも迷惑かけちゃって、申し訳ないです。
ところで、もしかしすると、元ネタを知ってる人って、このスレに誰もいない!?
・・・失敗したかな、やっぱマイナーすぎたか。
元ネタは、チャンピオンREDってドマイナー雑誌の看板漫画、『フロンティア』って作品です。
作者は、週刊チャンピオンで『刀真』って漫画を描いてた、石渡洋司という人。
ストーリーは、北朝鮮の工作員同士が日本で殺し合う、本格バイオレンスアクション。
ゲップが出るくらい濃いキャラが、濃密なアクションで暴れまくる痛快作。
かなり面白いので、是非読んでみてください。ちなみに、今月の15日に1巻が発売されます。

あと、HPにまとめて欲しいとの声が一部ありましたが…
すいません、実は自分、パソコンについてはまったくと言っていい素人なんで、HPの作り方分からんです。
なるべく、間を置かずに書くようにするんで、御容赦を。さすがに、毎日は無理ですが。
それでは、また。
63フロンティアスレ:03/05/11 04:04 ID:???
6446の続き:03/05/11 04:35 ID:je9jerTd
「ダチ・・?」 志々雄。その言葉を始めて聞く言葉の様に聞き返す。 ・・そして、堰を切った様な哄笑。
「フフ・・ククク・・ハーハッハッハハ・・!!」  石松の視線が太く鋭くなる。殺気が増していく。
「おい・・何がおかしい・・」  絞り出す様な声。志々雄は嘲る様に短く言う。  「弱え、弱ぇなあ・・」
石松の体から、受けた傷の痛みが消えていく。怒りが苦痛を凌駕しているのだ。 ・・だが余裕の表情の志々雄。
「所詮この世は弱肉強食・・。強ければ生き弱ければ死ぬ・・。弱えヤツ同士で群れて何がダチだ・・」
「おい・・俺はともかく、慶次の事を悪く言うのは許さねぇぜ・・」  石松の言葉に志々雄から笑いが消える。
「下らねぇ・・。俺の一番嫌いな人間のようだなてめえは・・。自分より他の人間の為に本気で怒りやがる・・」
・・スラリ。腰のモノを抜く志々雄。無限刀。刃先が細かいノコギリ状になっている。その刃先が鈍く光る。
「この光はな・・俺が今まで斬った人間の油だ・・。俺の弱肉強食の証さ・・」  刀身を舌で舐める志々雄。
「外道が・・」  石松は吐き捨てる様に言う。  「てめえは・・この世にいちゃいけねえ人間みてえだな・・」
「クハハハ・・今まで地獄にいた人間に面白い冗談だぜ」 ・・? 何を言っているんだこいつは・・?
石松はその言葉の意味が分からない。分かることは唯一つ。 ・・この男が凶事を友に運ぶであろう、という事だ。
刹那。目の前に光が閃く。 ・・咄嗟に床を転がり避ける石松。無限刃の居合い。危なかった。少し遅れたら・・。
「おい・・避けれたとでも思ってやがるのか?」  笑う志々雄。ハッとして胸を見る石松。シャツが斬れている。
いや、シャツだけ斬られている。体にはキズ一つ無い。恐るべき精妙な剣。裏を返せば、いつでも斬れるという事だ。
「分かったか、圧倒的な実力差がよ・・見逃してやるから退け。俺はあそこに用事がある」 闘技場を見る志々雄。
6564の続き:03/05/11 05:14 ID:je9jerTd
「後悔するぜ・・今殺さなかった事によ・・」  石松。ファイテングポーズを取る。そしてチラリと闘技場を見る。
(後は頼むぜ、慶次のダンナ)  ・・そして体中のあらん力を振り絞り天高く飛ぶ。廊下の天井ギリギリまで。
「虫けらでもイナゴだったか・・。ホウ・・?」  ・・初めて感心する様な声を上げる志々雄。石松を見てである。
石松の体。天頂に達した後、まるで地球の重力を無視するかの様に、ゆっくり落ちてくる。しかも。グルグルと。
螺旋を描きながらである。石松は悟っている。今のキズだらけの肉体では、この男には勝てないと。・・ならば。
少しでもダメージを与えておく。自分の命と引換えでも。後に志々雄と闘うであろう、友・前田 慶次の為に・・。
「スパイラル・タイフーンッ!!」  ・・香取 石松の最大必殺技。その一撃に賭けた。石松の魂を全て込める。
・・しかし。それでも志々雄の余裕は変わらない。  (避けることも出来るだろうが・・それは粋じゃねえな)
・・ミシリ。志々雄の顔面に石松のコブシがのめり込む。  (やった・・俺の生涯最高のスパイラルだ・・)
6665の続き:03/05/11 05:14 ID:je9jerTd
「ク・・ククク・・虫ケラにしちゃあ・・上等な一撃じゃねえか・・」  ・・サクン。志々雄の無限刃が唸る。
石松の脇腹から血が噴出する。薄れ行く意識。その中で石松は思う。何故だ・・。何故スパイラルが通じない・・。
志々雄。ペッと唾を吐き出す。その中にコロンと前歯が転がっている。  「大したもんだ、俺の歯を折るたァな」
・・化け物め。志々雄を睨む石松。しかし哀しいかな、体が思う様に動かない。床に突っ伏す石松。睥睨する志々雄。
肩に無限刃の峰を置きながら言う。  「俺の歯2本と命の引換えだ・・。いい買い物じゃねえか。光栄に思え・・」
ゆっくりと刀を振り被る志々雄。  「餞別に、秘剣で地獄に送ってやるよ」  刃先を鞘で擦る志々雄。ボッ。
炎が刀身を包む。  「焔霊、だ・・てめえには過ぎた技だぜ」  目を瞑る石松。ここまでか。すまん、慶次・・。
「シャアアッ!!」  ・・志々雄の気合と同時。石松の肩から腰へかけて剣が走る。血まみれになる石松。次の瞬間。
その出たばかりの血を、蒸発させそうな勢いの炎が石松を包む。生臭い匂いが辺りを覆う。  「・・死んだか」
ブスブスと燻りつつある炎。その炎に包まれた石松を尻目に、闘技場へ進もうとする石松。 ・・だが、次の瞬間。
「何・・」  初めて驚いた顔を見せる志々雄。瀕死の。意識の無いはずの石松が。志々雄の前に仁王立ちしている。
・・道を阻む様に。無意識のはずの石松。だがその闘気は。トラの如く猛っている。愉快そうに笑う志々雄。  
「大したもんだ・・。ま、急ぐ事ァねえ。祭りは始まったばかりだ・・」  志々雄。闘技場に目を向け石松に言う。
「アンタの命賭けの粋に免じて・・今日だけは引いてやるぜ。 ・・だが、お友達に伝言は残さねえとな・・」
志々雄。懐から小太刀を出す。そして。それを石松の胸に突き付ける。ギリギリと石松の胸に文字を刻んでいく。
漢字5文字。それが完成し、満足そうな志々雄。  「これでいい・・。お友達も喜ぶだろう、仇が分かってよ・・」
・・石松の胸に刻まれた文字。血が滲んでいる。存外丁寧な字でこう書かれている。 ・・「志々雄 真実」と。
石松。口唇はかすかに動く。三文字。それだけの言葉がもう出ない。 ・・けいじ、と。

一方闘技場。虎砲を2発受けた前田 慶次。いよいよ反撃開始である。
67パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/11 05:22 ID:je9jerTd
いやいや夜王さまお疲れです。10レスは疲れたでしょう。次レスを楽しみに待ってます。
あと、どことなく文体がバキスレは俺さんに似てますね。お二人とも博学ですし。

それからテリーマンどうしよう。いらないなコイツ。ビスケのキャラが強過ぎてテリー目立たない。
消すか・・。
68動画直リン:03/05/11 05:28 ID:AxGWMia1
69マロン名無しさん:03/05/11 14:22 ID:???
慶次vs志々雄が確定か。激しく期待。
70マロン名無しさん:03/05/11 15:02 ID:???
慶次vs志々雄か。すごい楽しみだけどどっちも負けてほしくない・・
パオ>> テリーはビスケに食われちゃってますね。ビスケ一人でいいような。
    ところで斉藤一は出ないんですか? 
71マロン名無しさん:03/05/11 15:57 ID:???
>ギリギリと石松の胸に文字を刻んでいく
何か「黒い天使」を思い出した
72マロン名無しさん:03/05/11 16:15 ID:???
現在、予想される魔界編での因縁対決。

巌vs朧
ロビンvsヒソカ
本部vs雷電(解説対決)
慶次vs志々雄

・・・今のトコ、これだけ。
まだ対戦相手の決まってないキャラもいるし、未登場のキャラもいる。
ク〜〜〜つくづくたまらんの〜〜。
73マロン名無しさん:03/05/11 16:32 ID:???
スレ違いですまないけど、パオが言ってた不良トーナメントってどこでやるの?
このスレも気になるけど、そっちも気になる・・・
7461のつづき:03/05/11 21:37 ID:???
第2話 JUDAS PRIEST

一一ローマ近郊カトリック系孤児院フェルディナントルークス院

都会の喧噪から離れた、静かな孤児院。
その一角で、ささやかな争いが起きていた。孤児院の子供2人が、言い争いをしているのだ。
「コラーーッ、2人ともやめなさ〜〜〜いッ」
その争いは、穏やかだが厳しさを伴った叱責に中止させられた。
一人の男が、ケンカしていた子供2人の方へと歩み寄る。
長身の男だった。ゆうに2メートルは超しているように見える。だが、ひょろりとした印象はない。
筋肉が目立つ体格ではないが、肩幅が広くがっしりとした体格の持ち主である。
年齢は、三十をいくらかでたあたりだろうか。
顎にまばらに生えた無精髭が、男の年齢を相応以上のものに見せている。
短い金髪を丁寧に撫でつけ、眼鏡の奥の目は、柔和に細められていた。
服装と、胸に下げたクルス(十字架)から、男がこの教会の神父である事が分かる。
「いったい、どうしたというのです」
神父が、子供達にケンカの原因を尋ねた。
すると、2人は、お互いが言い終わるのを待たずに、それぞれの言い分を主張し始めた。
「マークの奴が先に殴ったんだッ」「ちがわいッ、ネピスが僕の本を…」「何だとコイツーーッ」
「やめなさいーーーッ!!」
たちまち罵りあいを再開しようとする2人を、神父の怒声が制した。
「暴力を友達にふるうなんて…いけません!!
 そんな事では、2人とも天国に行けませんよ!!」
神父が子供を叱るときの、殺し文句である。
幾度も聞かされた、その文句に、子供達はたちまちのうちに怒りを忘れ、狼狽する。
「えぇぇ〜〜〜〜〜〜〜ッ」「神父さまッ、ゴメンなさいゴメンなさい〜〜〜〜ッ」
2人が大人しくなったのを確認すると、神父はさらに、常套句をつづけた。
「いいですか?暴力を振るって良い相手は、悪魔共(バケモノドモ)と異教徒共だけです」
神父の目が今までとは一転、狂気の色が浮かんでいる事に、子供達は気付かなかった。
7574のつづき:03/05/11 22:27 ID:???
「アンデルセン」
そのとき、ふいに神父を呼ぶ声がした。
声がした方向を見やると、そこに同じく神父服の男が立っている。
まだ若い男だ。長髪を首の後ろで結っている。長身のすらりとした美形の男だ。
「よし、じゃあ2人ともそろそろ部屋に戻りなさい」「はーーい、神父さまーーッ」
人払いをすませ、アンデルセンと呼ばれた男が、もうひとりの神父と向き合う。
「マクスウェル、貴方程の方が、わざわざ何の御用ですか?いったいどうしたというのですか」
マクスウェルと呼ばれた神父は、単刀直入に切り出した。
「“あの男”の居場所が判明した」「!! ほう…」
それだけで、全ては通じたようだった。アンデルセンの表情が険しくなる。
「それで、あの“裏切り者”…許されざる背信者は、いったいどこに?」
「…驚くな、意外な事に……日本だよ」「ほう、それはまた…」
「ここ10年以上、奴の所在は掴めなかった、無理もない。奴は米国の刑務所に幽閉されていたのだからな」
「なるほど、道理で…」
「ところが先日、あの男を含む五名もの死刑囚が、ほぼ同時に脱獄するという事件が起こった。
 奇妙な事に、奴等は全員、なぜか東京への上陸をほのめかしたという。勿論、あの男もだ」
「それでは今頃、無宗教の自堕落な国…糞ゾウキン共の住処は大変な騒ぎになってるでしょうな」
「ああ、一応世界一優秀と唱われている警視庁が、各国とも連係して対策にあたってるそうだが、クク、結果など推して知れようってものだ」
「はは…あんな素人集団、我々に比べれば、まるで幼稚園だ。
 カトリックは!法王庁(ヴァチカン)は!そして『我々』は!!
 有史以前から、有象無象の化物共と闘争を続けてきたのですから!!
 仮にも、そんな我らの『一員』であった男が、警察ごときに遅れをとるはずがないでしょう」


76マロン名無しさん:03/05/12 00:59 ID:???
フロンティア知ってるだけに丸パクリ過ぎて萎え。
7766の続き:03/05/12 10:31 ID:G60+gp/e
九十九の雷光の様な打撃の嵐。先程まで、その神速の動きについていけなかった慶次。 ・・しかし今は。
「かわしているわさ・・。あの陸奥の連撃を大柄な慶次が・・」   ビスケは目の前の光景に驚く。
九十九の変幻自在の突き蹴りを、まるで事前に察知しているかの様にかわす慶次。勿論、全てはかわせない。
下段蹴りやボディへの下突きの何発かは食らっている。だが上段。顔面への決着へつながる致命的な攻撃は。
全てかわす。 ・・慶次の長い髪。サラサラとなびく美しい黒髪が、九十九の疾風の攻撃に後方へ流れる。
慶次。その流れた髪に合わせて顔面を動かす。その後で慶次を襲う九十九の拳。 ・・だが既にかわした後だ。
「いくら陸奥殿の拳が速くとも・・その拳が生んだ風より速く着く事は無いからね・・」   笑う慶次。
陸奥。その言葉にニッと笑うと、更に慶次の上段へ打撃を集め始める。  「馬鹿、下段狙えば良いのに・・」
ビスケは解説にあるまじき行為、仕事に私情を交える言葉を吐いてしまう。 ・・風を察知し、風を避ける慶次。
当たらない。九十九の攻撃が。 ・・野生児である慶次。現代人より遥かに自然に近しい。風すら友と出来る。
・・現代人の誰が風の動きを読めようか。陸奥 九十九とはいえ人である。自然を超える事は出来ない。
だが九十九。頑なに顔面を打つ。 (ヘヘ・・馬鹿だなあ。だが俺は陸奥 九十九・・神に喧嘩を売っているッ)
虚しく空を切り続ける九十九の打撃。・・そして慶次。カッと目を見開く。九十九の上段廻し蹴りをかわした後。
一歩前へ出る。そして無骨な一撃を、思い切り九十九の腹へ叩き込む。あの花山に打ち勝った一撃である。
「ぐふうッ」  体が後ろへズレる九十九。しかし慶次。更に追撃のコブシが顔面へ。ガードする九十九。だが。
慶次の強烈な野獣のコブシは、そのガードを吹き飛ばしそのまま九十九の顔面へ。 ・・ジャストミート。
砂を転がる九十九。 ・・ダウンか? 誰もがそう思った。だが九十九。スッと立ち上がる。顔は血まみれのまま。
「強いなぁ・・俺の攻撃をそんな方法でかわすなんて・・やっぱりアンタは全てを賭けなくちゃ、勝てないな・・」
九十九の気配が変わる。両腕を腰の辺りでクロスする。そう。 ・・陸奥園名流奥義・龍破の構えである。   
7874?I`?A^?A?《:03/05/12 11:02 ID:???
鬼龍vs象山キボンヌ
7977の続き:03/05/12 11:05 ID:G60+gp/e
(あの陸奥殿の構え・・。陸奥殿の最初の闘いの時の・・)   その九十九の奥義。控え室のモニターで見た。
この時代には便利な物があるな、と捨丸に言いながら。襲い来る龍のアギトとその真空破。恐るべき秘技である。
(まあ、待っていりゃあいいや)  慶次はワクワクしている。無益な殺生は嫌いな男であるが、生粋のいくさ人。
生死のギリギリの境が大好きなのである。懐から扇子を出し、パタパタと仰ぐ。どうせ来る瞬間が勝負である。
それまでは気楽なものだ。  「な、なんてクソ度胸だよッ」  観客が騒ぐ。観客も九十九の龍破を見ている。
その龍が迫る瞬間こそ恐ろしい事を知ってはいる。だが、それでも命賭けの闘いの最中にこの余裕は何だ・・。
・・余裕では無い。これこそ慶次という男の生き様そのものである。現代の軟弱な常識では分からぬ戦場の男。
いつ死ぬか分からないから今が面白いのではないか。 ・・その姿を見て九十九。  「いくよ、前田さん・・」
一言言うと疾風になる。慶次の目の前に飛び込む九十九。そして思い切り横に飛ぶ。扇子を投げ捨てる慶次。
九十九。そのまま横転し、慶次の真下へ飛び込む。逆さまの状態で慶次の顔面を狙う九十九。両足を大きく広がる。
ビスケ。 (どう避けるわさ慶次・・。このままだと両足にはさまれ顔を破壊される、それを避けても真空破が・・)
ゼロコンマの攻防。九十九の龍のアギト(左右のはさみ蹴り)が慶次の顔面を襲う。 ・・決まった。観客は思う。
これを避けてもノド元に真空破が・・。しかし慶次の行動。観客の、ビスケの、そして九十九の予想を超える。
・・両足にはさまれる瞬間。慶次は後ろに避けようとせず、前に体を突っ込んだのだ。そう。自ら龍のアギトへ。
己の身を捧げたのである。  (そんな手が・・)  驚愕のビスケ。自ら攻撃を食らうことで、技を殺すとは・・。
本来カカトと足面ではさみ込むはずの龍破。それが太もも辺りが慶次の顔面に食い込んでいる。無論ダメージは甚大。
だが、慶次を倒せる程には至らない。  「今度はこっちからいくよ、陸奥殿」  九十九の両足にはさまれたまま。
80夜王:03/05/12 11:12 ID:???
すいません、上の俺です。時間ないんで、一言だけ書き込んでいこうと思ったんですけど。
陸奥vs慶次佳境ですな。パオさん、楽しみにしてます。
ところで、松尾象山vs鬼龍はかなり見たいです。
この闘いは実現しなくとも、象山の闘いには期待したい。

>76さん
すみません。知ってる人には、そう言われると思いました。
このスレだと知名度低そうなんで、あえてやりました。確信犯です。
あの1話って、非常に密度が濃くって、読者の興味を鷲掴みにする魅力に溢れていた為、
あれを紹介した方が、知らない人にも分かりやすいか、と思った次第です。
2話も、かなり丸写ししてますが、3話からは完全オリジナル展開になるんで、
生暖かい目で見守ってやってください。
夜王でした。
81マロン名無しさん:03/05/12 11:16 ID:???
ブラックエンジェルズでねーかな
8279の続き:03/05/12 11:27 ID:G60+gp/e
九十九の体を天高く持ち上げる慶次。軽量の九十九は人形の様に2メートル以上持ち上がる。そのまま勢い良く。
闘技場の砂に叩き付ける慶次。頭から地面に突き刺さる九十九。  「パ、パワーボム、デンジャラスな角度だわさッ」
ビスケの声が闘技場へ大きく響く。しかし慶次の攻撃はまだ終わらない。倒れた九十九を蹴り飛ばす。転がる九十九。
それを追う慶次。一瞬の勝機、慶次ほどのいくさ人が逃すわけは無い。九十九の背後に回る。 ・・そして。
「終わった・・わさ」  ビスケのため息。 ・・慶次の裸絞め、チョークスリーパーが完璧に極まっていた。
駄目だ。陸奥千年不敗の伝説が今終わった。・・会場内全員一致する思い。完璧なチョークスリーパーは絶対逃げれない。
まして剛力無双の前田 慶次である。しかもこのチョークスリーパー。ただのチョークでは無い。戦場の裸絞めである。
即ち、立った状態で、首を絞めたまま大きく後ろに反り返る。長身を生かした、首絞めと首折り、両方の特性を持つ。
・・要は絞首刑である。  「グウウ・・」  九十九の口から漏れる嗚咽。巻き付く慶次の腕を振り払おうともがく。
だが、ビクともしない慶次。 ・・普段は涼やかな慶次であるが、いくさ人である。勝負の際は非情にもなれるのだ。
影の薄いテリーマンが言う。  「もう止めさせた方が良い・・死ぬぞ・・」  ・・だがビスケは分かっている。
陸奥 九十九にとって敗北はつまり死ぬ事である。死ぬまで闘いを止めないであろう。チラリ、とテリーを見るビスケ。
駄目だコイツ。そんな事も分からないのか。使えない・・。 ・・慶次のチョークにより顔面に血の気が無くなる九十九。
審判が試合を止めようとする。 ・・その時。慶次の脳裏に。友の声が響く。     ・・け、い、じ・・。
石松殿の・・声?  ・・一瞬、試合を忘れる慶次。フッと腕に込められた力が抜ける。九十九。指に力を込める。
九十九の指が慶次の腕に食い込む。 ・・指穿。指で穴をうがつ技。そして指を慶次の腕に食い込ませたまま、思い切り。
「オオオッッ」  慶次の腕を引き剥がす。・・我に帰る慶次。しかし時、既に遅し。九十九のヒジ。虎砲を撃った場所。
慶次の鳩尾に食い込んでいる。 ・・前田 慶次の最高にして最大のチャンス。つかみかけた勝利。スルリと逃げ落ちる。
83bloom:03/05/12 11:28 ID:Kqd+0lgF
8482の続き:03/05/12 11:41 ID:G60+gp/e
「オオオオオッッ」  九十九が咆哮し慶次の間合いへ飛び込む。そして。左コブシをピタリ、と慶次の胸へ付ける。
(虎砲とかいうヤツか。それなら・・耐えれる)  慶次。全身に力を込める。虎砲に耐える為に。 ・・しかし。
ビスケは叫ぶ。   「あれは・・虎砲ではないわさ・・。あれは陸奥園明流の、龍破と並ぶもう一つの奥義ッ・・」
ピタリとつけた九十九の左コブシ。一瞬、大きく上下にブレる。そしてそのまま、全てのパワーをのせ打ち出す。
陥没する慶次の胸。しかし慶次は倒れない。パワーを開放し、棒立ちになった九十九の頭頂を殴りつけようとする。
その時。 ・・ブワン。先程、虎砲を食らった一点から。波の様に衝撃波が体中に伝播する。 ・・内部への打撃。
慶次の動きが止まる。そして涼やかに笑って言う。    「凄い技だなあ・・陸奥殿、なんて技なんだい?」
ニッと笑って答える九十九。  「陸奥園明流・奥義・・。無空波」  ・・慶次。その場にドスン、と座り込む。
驚愕のビスケ。 (あの無空波でも・・慶次の意識を奪えない・・?)  だが慶次。大量の喀血。そして審判に言う。
「参った・・もう指一本動かせんよ・・俺の負けだよ・・。この世には凄いもののふが沢山いるのう、わっはっは・・」
慶次の心から楽しそうな哄笑。 ・・その言葉を受け審判。大きく場内へ宣言する。   「勝負ありッッ」
8584の続き:03/05/12 12:13 ID:G60+gp/e
意識が途切れそうになる慶次。座り込んだまま、大きく深呼吸する。 ・・勝負は終わった。
慶次。九十九に少年の様な顔で言う。  「陸奥殿・・。本当に楽しかったよ、ありがとう」
自分より遥か年下の九十九に深々と頭を下げる慶次。九十九も修羅の表情は消え、微笑んで言う。
「本当に強かったよ、前田さん・・。虎砲2発食らって、なお倒れないなんてね・・」
慶次。ニヤッと笑って立ち上がる。駆け寄る捨丸と松風。涙と鼻水まみれの捨丸に慶次は言う。
「泣くな捨丸・・。最後だ、陽気に舞えい」  その声に捨丸。場内に響く様な声で唄を歌う。
「銭まくど、銭まくど・・ 天下無双の傾奇者・前田 慶次朗の傾き納めじゃあ。陽気に唄わんか」
金子を巻きながら、珍妙な舞いを踊る捨丸。慶次は松風にまたがり、プカリとキセルを吹かしている。
ビスケは目の前の光景に微笑む。  「天下一の傾奇者・・。看板に偽り無し、だわさ・・」
捨丸の陽気な唄、松風の堂々とした姿。そして慶次の雅やかな出で立ち。それに釣られ、観客も唄う。
・・先程までの死闘が夢とも思える様な平和な陽気さ。 ・・その中をゆっくり退場する慶次。
慶次の背中に観客の声。  「慶次ぃッ日本一」  「前田さん素敵ッ」  「忘れないぞ傾奇者ッ」
出口間際。ゆっくりと闘技場を振り返る慶次。まだ、九十九がそこにいる。まるで慶次を見送る様に。
一礼をして出口に消える慶次。 ・・九十九。その姿を見届け、ゆっくりと自分も会場を去る。
観客は九十九にも大声援だ。  「陸奥、必ず優勝しろよッ」  「世界最強だッ、陸奥 九十九ッ」
・・だがビスケ。その姿に不安を覚える。 ・・無空波は使用した九十九の体にも多大な負荷を与える。  
(3回の死闘・・それに禁断の無空波を使ってしまったわさ・・闘えるのか、決勝戦・・)

慶次。松風の上で苦しそうな呼吸を繰り返す。並の人間なら死んでいる体。捨丸は心配そうに言う。
「大丈夫ですかい、旦那・・」  慶次。微笑んで何も言わない。 ・・大丈夫な訳は無いからだ。
・・その時。慶次の目に。ある2人の姿が飛び込んでくる。 ・・松風を飛び降りて駆け寄る慶次。
「どうした・・。何があった、石松殿ッ」  泣いている青年と倒れた男。その倒れた男。慶次の友。   
・・その2人。香取 石松と、石松を慕う剣崎 麟童である。
8685の続き:03/05/12 12:38 ID:G60+gp/e
慶次。石松を抱き起こす。  「大丈夫か・・石松殿・・」  だが捨丸。その様子に理解する。
体の剣傷と火傷。酷い。・・おそらく助かるまい。勿論、慶次もそんな事、一目で分かるであろう。
石松。ようやく気がついたのか口をパクパク動かす。声が出ない。 ・・だが口唇は動いている。
(慶次・・勝負はどうだった?)  石松の問い。慶次は微笑んで答える。 「すまん、負けた」
(アンタに勝つ男がいるなんて・・世の中は広いな)  「ああ、陸奥殿は強かったよ・・」
(慶次・・麟童を頼む、立派な男にしてやってくれ・・)  「分かった石松殿、必ず・・」
そっと麟童の手を握る石松。麟童は大きく泣いている。 ・・慶次は石松に力強くうなずく。
慶次と石松。しばらく見詰め合う。 ・・石松の体重が軽くなっていく感覚を、慶次は感じる。
「石松殿・・あの世でもお元気で」  慶次。彼の生涯の中で、最高の微笑を石松に向ける。
こんな見事な男を。哀しみで送ってはいけない。必死に泣きたいのを堪え、微笑む慶次。
(ありがとよ・・)  目を瞑じる石松。・・石松は逝った。慶次に友情と愛する麟童を託して。
「うわあ、オヤジ、オヤジ」  狂った様に泣き叫ぶ麟童。・・慶次。麟童を思い切り殴り付ける。
叫ぶ慶次。 「泣くのはいい・・だがその前に、真の男の死に様を・・その目に焼き付けろ、小僧ッ」
何時の間にか。背後に江田島 平八と高槻 巌がいる。慶次は傷心している。知らず接近を許すほど。
「これはどういう事だ、江田島殿・・」  殺気。闘っている時以上の殺気が、慶次から放たれる。
ゆっくりと捨丸の持つ大刀に手を伸ばす。もし半端な答なら。 ・・例え江田島とはいえ・・。 
江田島。言葉を選び言う。  「魔界・・。もうすぐ戦争が始まる。石松はそれに巻き込まれた・・」
魔界。その言葉を慶次は噛み締める。そして気付く。石松の体に刻まれた名。 ・・志々雄 真実。
「この者が・・石松殿を殺した・・魔界の者か?」  巌がうなずく。  「地上軍の・・幹部です」
慶次。今まで堪えていた涙が一気に噴出す。そして叫ぶ。   「斬る・・全て斬るッッ」
87パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/12 12:50 ID:G60+gp/e
>>69〜72様  のんび〜り期待せず見守って下さいな。頑張りますんで。
>>73様  ここ。http://comic.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1051843092/l50
>>76様  凄く面白いと思う。まだ序章でしょ。無粋な事いっちゃダメ。私は期待してます。
>>78様  象山は出ます。  >>81様  松田が一番好き。出すかどうかはまだ決めてないです。
>>夜王様 気になさらず、のんびりと。毎日でなくとも定期的に上げて頂ければ嬉しいです。

久しぶりに「銀牙」を読んだ。 ・・私は汚れてしまった様だ。ギャグ漫画にしか見えなかった。
やたら男気とIQが高い犬が喋るわ泣くわ。・・個人的に大ヒットは2つ。11巻の「人」物紹介。
・・人いねえよ。犬ッコロだけだ。 後、その犬か忘れたが「ド畜生がッ〜」とかいう台詞。
う〜ん。子供の頃に戻りたい。  ではまた。 
88マロン名無しさん:03/05/12 14:14 ID:???
>>72     禿げ同。どれもメインイベント級だな。
>>パオ    今回の慶次VS九十九面白かった。後2試合ガンガレ
89マロン名無しさん:03/05/12 15:18 ID:???
>慶次「斬る・・全て斬るッッ」


        
         熱  す  ぎ  る  ッッ  !! 
90マロン名無しさん:03/05/12 17:36 ID:GfRE08a9
北斗の拳からも誰か出してほすぃ〜。ジャギでいいから…
91マロン名無しさん:03/05/12 17:58 ID:???
>>72  >>パオちゃん
魔界編ではロビン様を主役にして下さい。
ロビンサマァァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)ァァ(  ゚)ァァ(  )ァァ(`* )ハァ(Д`*)ハァ(*´Д`*)ハァハァ

 PS 慶次アンド石松、熱くてヨカッタ




92マロン名無しさん:03/05/12 21:00 ID:???
いやぁ〜陸奥九十九が無事でよかった。
対カルロス戦のように、途中で松風が「ガウアー!」って
乱入してくるのでは…と心配で心配で……
まだまだ慶次は活躍できそうですね。嬉しいです。
それでは…パオ様がんばって。
93マロン名無しさん:03/05/12 21:31 ID:???
魔界編に東方不敗とギャラン=ドゥ参戦キボン
94マロン名無しさん:03/05/12 21:35 ID:???
石松の氏について語る香具師が誰もいないな。

怒りに酔う慶次、マジで熱い。
蛍が氏んだときの表情で、石松を抱えてる慶次の姿がまざまざと浮かんできた。
9575のつづき:03/05/12 22:19 ID:???
法皇庁(ヴァチカン)特務局第13課イスカリオテ機関一一
ヴァチカンが持つ唯一にして最強の戦力。「イスカリオテ(ユダ)」の名を持つ存在しないはずの第13課。
悪魔退治、異教弾圧、異端殲滅のプロフェッショナル達……文字通り、教会の牙たちだ。。
その長がマクスウェルであり、その中でも最強の切り札…「鬼札(ジョーカー)」がアンデルセンである。
「聖堂騎士(パラディン)」「殺し屋」「銃剣(バヨネット)」「首斬り判事」「天使の塵(エンゼルダスト)」……
出身・人種・年齢全てが不明。分かっているのは、この数々のアダ名の他に一つだけ。
それは彼が「化物」専門の戦闘屋であるという事だけ……それが、アレクサンドル・アンデルセンという男である。

「で、私にどうせよとおっしゃるのです? まさか、遠路はるばる、あの裏切り者を討ちに行け、と?」
「その通りだ。遠路はるばる、極東の島国まで出向いてほしい。「我ら」が表立って動く事は許されん。
 かといって、あの男を他の誰かに委ねる訳にもいくまい。身内の不始末は、我らがつける。
 だから、お前だ。お前一人で出向き、誰の手も借りず、誰にも悟られず、誰に邪魔される事なく始末する。
 それが出来るのは、イスカリオテの中でも、お前しかいないだろう?」
「どのような手段を用いても?」
「当然だ。聞くまでもなく、至極当然だ、アンデルセン。あらゆる手段を用いて、奴を誅戮せよ。
 そして思い知らせるがいい。己が背徳と背信の罪の重さを。我らが神罰の痛みを」
マクスウェルの狂信を孕んだ殺意に、アンデルセンは口の片端を吊り上げ、ひきつれた笑みを浮かべた。
同時に、無精髭に隠されていた左頬の刀傷が、引き攣れたように歪む。
9676につづく:03/05/12 22:21 ID:???
「だが・・十分警戒する事だ。何せ、あの男はお前や私が生まれるより遥か以前から、
 イスカリオテ最強の牙として、常に死線の中で、その猛威を振るっていたのだからな。
 そして、その恐るべき力と殺意は、今も全く衰えてはいまい。容易ならざる相手だ」
「あの男……今は、何と名乗っているのでしたかな?」
「“スペック”一一それが今の、あの男の名だ。そして、奴が最後に残した言葉を知っているか?」
「いえ…」
「“敗北を知りたい”一一奴はそう言ったそうだ。面白い、すこぶる面白いじゃないか。
 あの男に“とくと”教えてやるといい。甘美なる敗北の味をな。行くがいい、アンデルセン」
マクスウェルが話を終えるや、アンデルセンの口から、ぶつぶつと呪文のような呟きが漏れ出す。
一一祈りだ。聖書の一節を口ずさんでいる。そして、最後に、「任務了解」と言わんばかりに、こう締めくくった。

「聖霊と子の御名において・・・Amen」
 
            
                (第2話「JUDAS PRIEST」・・了。第3話につづく)
97夜王:03/05/12 22:28 ID:???
あり〜?また間違ってますね、上のレスタイ。
「95につづく」の間違いです。これじゃ、ループしちゃんじゃんよ。
一部の方に、また丸写しと怒られそうな内容ですね、これ。
そして、大部分の方には、マイナーすぎると怒られそうです。(正直、ヘルシングはそこそこ有名だと思ってるんですが)
次回は、オリジナル色を出した展開にします。あと、次はかなりメジャーな作品のキャラですので。

>パオさん
慶次と石松、感涙です。爽やかな慶次もいいけど、激怒した慶次もカッコイイ。
早くも、怨敵と対峙する瞬間が楽しみです。でも、その前に残り2試合が楽しみ。
では、また。
98さらに訂正:03/05/12 22:29 ID:???
「95のつづき」です。また間違えた。
99マロン名無しさん:03/05/12 22:36 ID:???
禿しくマイナーだなw
100マロン名無しさん:03/05/13 00:28 ID:???
今回の慶次VS九十九はベストバウトだな。今までアカギVS渋川が最高だったけど。
あと渋川VSヤム(笑)
たまにパオの書くキャラクターと実際の漫画と差異を感じることがあるけど
慶次はそのまま慶次だった。熱くて涼やかで。。石松との友情ヨカタ。
今から慶次VSししおがスゴク楽しみだ。トーナメント残りも頑張れ
>夜王氏  そろそろエンジン全快ですね。とっても楽しみ(゚∀゚)
>>91    巣へお帰り。ここは君が住む所じゃないよ 

101スペック(その22):03/05/13 02:00 ID:???
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1046305900/n473

その腕は、常人の太腿くらいはあろうかと思われる、なんとも常軌を逸したサイズだった。
それだけでも十分に特徴的では合ったが、さらには肘の付け根から先20センチのところに、
蝶をかたどった刺青が施されていた。
突き出された腕が、2人を招くように数度上下に振られた。
その動きは、まるで人形のように生命を感じられない、なんとも不自然なものだった。
現れた時と同様、唐突に店の中に腕が消えたとき、運転席の男が誰にともなく呟いた。
「な、何だ・・・・・・?」
そして、運転席の男は助手席のほうに首を捻じ曲げる。
「おい、今のは」
助手席の男は、背広のポケットからラッキーストライクを取り出し、低い声で相棒にささやいた。
「今のは、俺達のボスだ」
運転席の男は、相棒のその返事に虚を突かれたような表情を浮かべた。
「あ・・・・え?今の、ボスだったのか?」
「ああ。腕の刺青に見覚えがある。間違いない」
そういい捨てるなり、助手席の男はラッキーストライクに火をつけ、ドアノブに手をかけた。
「お、おい。どこへいくつもりだ?」
運転席の男は、慌てて呼びかける。
それにかまわず、助手席の男はドアを開けてさっさと車外に出て行った。おいてけぼりにされた格好の
運転席の男がいくらか遅れてクライスラーの外へ姿をあらわす。

102スペック(その23):03/05/13 02:01 ID:???
>>101
助手席の男―ジャックという名前だった―は、トランクを開けるところだった。
「おい、どうしたってんだよ?」
運転席の男―こちらは、ポールと言う名前だ―がとがめるような声をかけたにもかかわらず、
ジャックはまったく意に介する風を見せない。
ポールの抗議を全く無視したジャックは、上半身をかがめて、トランクルームの奥をまさぐっていた。
ほどなくして、目的のものを見つけたジャックは、かがめていた上半身を起こし、トランクルームから
キャンバス地の大きなダッフルバッグを引きずり出す。
合衆国陸軍が兵士に支給しているものとまったく同型のダッフルバッグの中身が何であるか承知して
いたポールは、さっと表情を引き締めてジャックの腕を押さえた。
「正気かポール。こんなところでそんなもの出すんじゃない!」
ジャックは、ポールのほうをぎろりと睨みつけた
その表情は、普段喜怒哀楽のとぼしいジャックに慣れきっていたポールをギクリとさせ、一瞬押さえていた
力を緩めるのに十分だった。
「お前、今のを見て何も感じなかったのか?」
乱暴にポールの腕を振り払ったジャックは低い声のまま、押し殺すようにポールを詰問する。
「・・・・・?」
「どういうやりかたであれ、ボスは、ミスター・フィルスは、ああいう形で俺達を呼びつけるような真似はしなかった」
ジャックはそこで言葉を切り、ポールをじっと見つめた。

そのとき、車道を走る乗用車のライトから発せられる光が、ジャックの顔をさっと横切り、元から凹凸に乏しい
彼の顔つきを能面のようにライトアップした。
103スペック(その24):03/05/13 02:08 ID:???
>>102
「ミスター・フィルスのあの仕草は、撤収の合図として定められたものではない」
「・・・・・・・・・・・」
すっかり気を飲まれたポールから視線をそらし、ジャックはダッフルバッグの口を縛っていた留め金を
無造作に取り外す。

・・・・・・そういえば、このオッサンはイオージマとオキナワから生きて帰ってきたんだったよな。
ポールは、唐突にフィルスから聞かされたジャックの経歴を思い出していた。
今まで、あまり感情を表に出すことがなく、特にこれといって積極的な部分を見せなかったジャックを、
ポールは正直なところ幾分軽くみていた。
昔はどうだったか知らないが、今はただの昼行灯じゃないか。だからいつまでたってもフィルスの運転手の
ままなんだ。そう思い込んでしまっていたのだ。
だが、どうやらそれはポールの勘違いだったらしい。

そして、ジャックはダッフルバッグの中に手を突っ込み、がちゃがちゃ金属音を立てながら、バッグに入っていた
彼等の武器を取り出した。顔を上げずに、呟くように続ける。
「だから、きっとあのなかでは何かがおこっている」

ブローニング・オートマチック・ライフル、通称BAR。
口径7.62ミリのライフル弾を使用する、分隊支援機関銃。つまりは個人が携行できるなかではもっともパワフルな
小火器である。
ジャックは、同じダッフルバッグからBARの弾倉を取り出し、がちゃんと音を立てて装填した。
いつでも人殺しの凶器となりうるBARを小脇に抱え、ジャックはポールにダッフルバッグを渡した。

「その何かは、きっとこれでないとうまく切り抜けられないんだ。わかったら、お前も自分の道具をもて」
ジャックの口調はどこまでも冷静で、かつまったくポールに反論する余地を与えなかった。
104マロン名無しさん:03/05/13 06:25 ID:2AoG+5zG
最強犬トーナメント希望
 
105_:03/05/13 06:36 ID:???
106マロン名無しさん:03/05/13 08:26 ID:???
スペックさん、復活してる!
相変わらず、イイ!!
107マロン名無しさん:03/05/13 10:30 ID:???
>誰にも悟られず

アンデルセンの性格だと民間人がいる所でもスペックと一戦交えて大事になりそうな気がする…。
まあ彼らにとってはカトリック以外は人じゃないんだからいいんだろうけど。
108マロン名無しさん:03/05/13 10:42 ID:???
スペックさん・・




(>_<)b
109マロン名無しさん:03/05/13 11:07 ID:???
活気ずいてきましたなぁこのスレも

ところでジョジョキャラは出ないんだろうか
ダービー兄vsアカギとか熱いと思うんだが
110マロン名無しさん:03/05/13 12:47 ID:???
うおおおおおおおお
スペックさん祝復帰。
これでパオさん、スペックさん、夜王さんの三本柱か。
しばらく本当に楽しめそうだ。
111マロン名無しさん:03/05/13 13:04 ID:???
>>104  高橋よしひろばかりになると思うが
112マロン名無しさん:03/05/13 14:35 ID:dCULvr8p
>>111 惣一郎さんもでますが。
113マロン名無しさん:03/05/13 14:40 ID:???
>>パオ氏
>>109のネタ超読みたいっす〜 番外編でも何でも良いから書いてくれるとうれしいなぁ
114マロン名無しさん:03/05/13 20:39 ID:MaDyQbM+
ゆうじろうが、みんなぼっとばす。
115ふら〜り:03/05/13 21:05 ID:jcMhKnaZ
スペックさんお久しぶり! 相変わらずハードボイルドっ。
タバコと酒と硝煙と血の匂いがしてます♪
……ところで「スペックさん」でいいんでしょうか?
11696のつづき:03/05/13 21:39 ID:???
第3話 虎と竜

一一大阪府立体育館前

人通りがにわかに減り始めた通りを、2人の男が歩いていた。
若い男と、中年の男の2人組である。2人とも、体格は中肉中背。
しかし、若い男の方が、隣の中年の男よりも一回りは大きく見える。それは男が纏う空気ゆえか。
ギラついた、猫科の大型猛獣のような目をした男であった。全身から、獣臭が迸り出ているようだ。
男の名は、千堂武士。プロボクシングフェザー級の国内トップランカーである。
たった今、府立体育館で試合を終えたばかりだ。これから祝勝会である。
他のジム関係者は、一足先に予約した店に向かった為、今千堂と一緒にいるのは、トレーナーだけだ。
「しっかし、見事なまでに会心の試合やったな、千堂!」
「ああ、もうあんな雑魚じゃ相手にならへん。明日にでも、幕の内と闘りたい位やわ」
千堂は、現・フェザー級王者である、幕之内一歩に、過去2度も辛酸を嘗めさせられている。
一度目は、東西新人王決定戦の時。そして、2度目は、日本タイトルマッチの時だ。
その時は、立場は逆だった。が、あとわずかというところで敗れ、今に至っている。
千堂は、本来ならフェザーという枠に収まらないハードパンチャーである。階級を2,3階級上げても十分通用するだろう。
しかし、千堂はあくまでも一歩に勝つ事に固執していた。千堂にとって、一歩は絶対に避ける事の出来ぬ壁なのだ。
今日の試合で、千堂は国内3位にランクされた。王者である一歩は、もう射程圏内である。
その割には、千堂に目立ったダメージは見られない。顔も無傷である。
そもそも、試合自体が1R2分13秒で終わってしまったのだから、当り前といえばそうであるが。
もはや、国内に千堂と闘って試合になる選手など、片手で数えられる程しかいなかった。
一人、気になる相手がいないではなかったが、当面の千堂の興味は、一歩を倒す事以外にない。
「まっとれよ〜〜ま・く・の・う・ち〜〜ッ。もうすぐギタギタに叩きのめしちゃるからの〜〜ッ」
千堂が、歯を剥き出すように言った、そのときであった。
1人の男が、電柱の影から、闇から分離するように湧き出てきたのは。
117マロン名無しさん:03/05/13 21:55 ID:???
>>109
俺もそれ見てえ!!
禿しく希望
試合前日。星矢のあせりは最高潮に達していた。
パンドラボックスが、開かない。叩いても引っ張ってもビクともしない。
股間部のみは外に出してあったのだが、チンコをガードしたからといって
おいそれと勝てる相手とは思えない。これは本格的に、ヤバい!
急遽メーカーに電話をして新品と交換してもらったのだがそれも開かない。
「かみの毛座ならカギ式なので開閉自在」と乗換えを薦められたが、丁重に辞退した。
とにかく、パーツの一部が箱外にあるということは、一度は開けたことがあるのだ。
それがいつだったのか、どうして開いたのか、記憶の糸を懸命に手繰っていく。

・・・2年前。買ったばかりのペガサスボックスを背中にしょって
意気揚々と中央線に乗り込む星矢。
満員の車内にクソデカイ荷物を持ち込んで3人分の座席を占領する。
周囲の軽蔑の視線が快感となって、小宇宙がどんどん高まっていく。
が、この時点ではまだボックスに目立った動きはない。
しばらくして、勇気ある青年が星矢に歩み寄る。荷物を網棚に上げて
席を空けなさい、と星矢の肩を軽く小突く。
暴力!暴力だ!暴力をふるわれた!と同時にペガサスの聖衣が箱から
飛び出し、車内は阿鼻叫喚の地獄絵図と化したのであった。

思い出した!そうだ、持ち主のオレ自身がダメージを受けることによって
パンドラボックスが開くんだった。なーんだ簡単じゃん、と二の腕に
エンピツを突き刺すが、パンドラボックス、シ〜ン。どうやら自傷では
ダメージと認識されないようだ。しかし大丈夫、すでに手は打ってある。
星矢は明日の勝利を確信した。

翌日、闘技場。万全の刃牙に対する星矢。おでこに「KICK ME」の張り紙。
試合開始のゴングと同時に、ノーガードで突進する星矢。
さあ刃牙君、遠慮なく蹴ってくれ。我にダメージを!KICK ME!!
「KICK YOU」
刃牙の渾身の蹴りが星矢を直撃!星矢、死亡。パンドラボックス、開いた。

刃牙○−●星矢  決まり手:キック
11986の続き:03/05/13 23:32 ID:+PN7FoUs
石松の死は一部関係者以外に知らされることは無かった。江田島がそう指示したのである。
来るべき魔界との決戦。その為に、今は動揺をトーナメントに持ち込む事は出来ない。
そう判断したのである。石松の為に個室が用意され、そこで慶次・麟童・巌が石松を囲む。
「石松殿・・。俺は辛気臭い送り方が嫌いでなぁ。念仏代わりにこれで勘弁してくれ」
慶次は蛇皮線を取り出し、陽気にかき鳴らす。死者の弔いには不釣合いな明るい曲調。
しかしそれが。返って慶次や麟童の哀しさと寂しさを雄弁に物語っている様に聞こえる。
すすり泣く麟童と微笑みながら陽気な音を奏で続ける慶次。巌はしんみりと思う。
(なんて哀しい音色・・この人は虎だ・・その虎が人たらんとするから悶え苦しむ・・
 野獣のままなら苦しまぬものを・・)   ・・慶次は石松の向けて静かに頷く。
最後の願いである麟童。必ず石松殿の様な男にしてみせると。 ・・そして。あの男を。
・・斬る。必ず。哀しみの下から、グラグラ燃え滾るモノが慶次の胸を焦がす。
志々雄 真実。 ・・まだ見ぬその男に、慶次の闘志が熱く燃える。
・・そしてここに魔界への怒りを抑え切れぬ男がもう一人。 ・・江田島 平八である。
すまぬ石松・・必ず魔界の外道どもを・・。貴様の尊い犠牲、決して無駄にはせん・・。

その魔界。新たなる動き。・・強者が続々とバーンの元に集結を始めていたのである。
120119の続き:03/05/14 00:14 ID:cx/ZGlZV
「ホ〜ッホッホッホ。まさか魔界きっての強者2人と、出かけ際にお逢い出来るとは・・」 ・・喪黒 福蔵。
魔界から人間界へ向かおうとバーンの居城・【バーンパレス】の大広間で2人の男と会う。いずれも魔界の重鎮。
2メートルを遥かに超える大男が言う。  「ウム・・。どうやらバーン殿は本気で地上を制圧するらしいな」
その横の年寄り然とした男。人間ではない。どこかギクシャクとした動き。大男に対して陽気に言う。
「バーン様も細心な・・人間如きつまらぬ存在、このパンタローネ一人にお任せ下されば・・」 大男が首を振る。
「人間を甘く見るな・・。体力的に我等に劣れど、誇り高く、そして手強い・・」  パンタローネは大男に言う。
「お前はワシと違い、人間に好意的だな・・。アドルフ・ゴードン・・」  ゴードンと呼ばれた男はうなずく。
「オレがバーン殿の下についた理由・・崇高なる戦士と至高なる激闘を予感したからだ・・。お前とは違う・・」
・・一瞬不穏な空気が2人の間に流れる。殺気。闘気。慌てる喪黒。 ・・だがゴードンは闘気を収めて言う。
「人形には魂は分からぬか・・」  ・・そしてその場を離れるゴードン。胸を撫で下ろす喪黒。喪黒は思う。
(剛炎のネオ・ヒューム、アドルフ・ゴードンと最古の人形・パンタローネ・・強いですよこの2人・・ホ〜ホッホ)

謁見の間に着いたゴードンとパンタローネ。 ・・バーンの側近であるアシュラマンと黒フードの男がそこにいた。
アシュラが2人に怒鳴る。  「遅い!! バーン様をなんと心得る!!」 ・・しかしパンタローネは笑って言う。
「フヒャヒャ・・小僧に怒鳴られる覚えは無い・・」   ゴードンは腕組みをしながら静かにアシュラへ言う。
「オレが忠誠を誓っているのはバーン殿だけだ・・。お前に指図される覚えは無い・・」  アシュラは歯噛みする。
そこへ。ズカズカと謁見の間へ大股で乗り込んでくる偉そうな男。まるで自分はバーンの部下だという自覚は無い。 
121120の続き:03/05/14 00:34 ID:cx/ZGlZV
「この海原 雄山を待たせおって・・。バーンを呼べい、バーンをッ」 ・・。地上最傲慢生物・海原 雄山、登場。
アシュラがその言葉を聞き雄山に叫ぶ。  「バ、バーン様を呼び捨てにするとは・・分をわきまえろ、人間ッ!!」
雄山。カッと目を見開きアシュラを一喝。  「やかましい、愚民がッ!! ゴテゴテと手と顔を付けおってッ!!」
・・訳の分からぬ雄山の迫力にシン、とする謁見の間。 ・・そして、そこへ更に魔界の幹部が2人現れる。
・・魔界の道化師、ヒソカ、到着。周りを見渡して言う。  「なんだ、お偉いさん(バーン)は、いないんだ◇」
ゴードン、パンタローネ、海原 雄山、そしてヒソカ。 ・・バーンに次ぐ、魔界bQの自分をなんとも思っていない。
それどころか。ここにすら来ない幹部連中もいる。地上軍は一人も来ない。こんな奴らを自分はまとめられるのか・・。
悩むアシュラ。 ・・そして。これ以上待っても仕方ない、と判断したアシュラが全員に宣告しようとする。その時。
「いや、遅れてすみません・・」  穏やかな笑顔のその男が謁見の間へ登場する。胸を撫で下ろすアシュラ。
・・この男は結唯一人、アシュラに従順なのだ。だが、弱いものは「デク」と呼び、非情にも実験材料にする男。
アシュラはその男に言う。  「遅いぞ・・ア・・いや、北斗神拳のトキよ」 ・・もうこれ以上待っても誰も来まい。
大きく、全員の前で宣言するアシュラ。 
「バーン様のお言葉だ・・。地上軍は人間界を制圧する。作戦執行は2日後。なお、貴兄達は必ずやって来るであろう
 人間界の刺客を迎え撃ってもらう事になる・・」

122パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/14 00:47 ID:cx/ZGlZV
いやースペックさんが復帰してくれるとは。夜王さんもコマメに書き込んでくれてるし、
このスレの未来は明るいですな。嬉しいよ。これでバキスレさんが復活してくれればなー。
・・あと今日少なくてすみません。しかも明日書けないかも。
>>88・89・92・94・110様 ありがとうございます。  >>90様  出ました。ア・・いやトキが。
>>91様  ロビンは主役の一人。でも真の魔界編の主役はビスケかな、あえて言えば。 
>>93様 あんまり知らない・・。  >>109・113・117様  わかりました。やります。
あと犬トーナメントは無理。  ではまた。
123マロン名無しさん:03/05/14 01:39 ID:???
アシュラ・・・なんか泣けるな・・・
124 :03/05/14 01:40 ID:Y2mWEsGk
125マロン名無しさん:03/05/14 01:54 ID:???
>作戦執行は2日後

ずいぶん早いな。トーナメントの傷が癒える暇もない。・・・苛酷だ。
ところで、俺は魔界編の冒頭はこんな展開を予想してた。

慶次「早いものだな・・・あの『無限大とぉなめんと』から、早一ヶ月・・・」
鷹村「ああ・・俺はなんか、あれは夢だったんじゃねーかって思えるぜ・・」
慶次「夢ではない・・夢ならば、石松殿もここにいるはず・・・」
一同「・・・・」
126マロン名無しさん:03/05/14 02:05 ID:???
魔界編でヤムチャに瞬殺されるであろう敵を予想してみる。

1.デスマスク
2.レオパルドン
3.天花寺和麿老師
127マロン名無しさん:03/05/14 02:12 ID:???
>ゴテゴテと手と顔を付けおってッ!!

ツボにはまった
128101-103:03/05/14 03:28 ID:???
どうもみなさん、お久しぶりです。
一ヶ月ぶりに、スペックのサイドストーリーをアップさせていただきました。
最初は、もう忘れられてるのではと少し不安でしたが、まだ覚えてくださっている方々が
多くいらっしゃってほっとしました。どうもありがとうございます。

さて、この「スペック」ですが、当初酒場のみで話を片付ける予定だったところ、少しばかり
展開を思いつきましたので、いましばらくこの話をアップさせていただくことになろうかと
思います。(公私ともに時間がままならないので、ペースはよくて週1というところかもしれません)

また、時間が許せばですが、スペック以外にも死刑囚のサイドストーリーを考えております。
・シコルスキー:1990年代初頭、旧ソ連、モスクワクーデター
          (シコルスキーが刑務所送りになった経緯)
・柳:1960年代中盤、日本、学生紛争(柳の活躍の一側面)またはベトナム
だいたい、現在頭の中にあるアイデアはこんなところです。
ドイルやドリアンについては、もうバキスレさんが傑作をものしておられますので、なかなか
これはというネタが思いつかないところです。ドリアンについては、ジム・ジョーンズの人民寺院事件を
ネタに何かできないかと考えてますが。

パオさんや夜王さんの作品と比べて、質量ともに劣る部分の多い私の駄文ですが、いましばらく
お付き合いの程をよろしくお願いいたします。

なお、私のハンドルですが、これといって決めてはおりません。「スペック」はあくまで文章のタイトルですので。
もし呼び方を、ということでしたら「外伝担当」ということでお呼びいただければと思います。
129マロン名無しさん:03/05/14 18:11 ID:???
>>遅いぞ・・ア・・いや、北斗神拳のトキよ

俺には招待が読めた。判らないヤツの為にココでは書かないけどな。

>>128  ガンガレ ファンは沢山いまっせ。
130マロン名無しさん:03/05/14 18:40 ID:???
>>129
いや、誰だって分かるだろw

                ・・・と一応ツッコンでみる。
131マロン名無しさん:03/05/14 19:40 ID:???
>128
スペックキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!
続き楽しみにしてます。
132i:03/05/14 20:07 ID:TDcFc9Wh
『無限刃』vs『斬鉄剣』が激しく(・A・)みたい・・・・
133マロン名無しさん:03/05/14 20:15 ID:???
赤カブトvs松風か・・・ワクワク。
134マロン名無しさん:03/05/14 21:38 ID:???
>>121
ア○○か・・・一行で死にそうだな
135マロン名無しさん:03/05/14 23:04 ID:ex/BH69x
ア・・いやトキは戦闘力は低いが、職業がら別な部分で活躍?しそう。 でもヤブだから…(´Χ`;)イカンイカン
136マロン名無しさん:03/05/14 23:06 ID:???
ファンロードの人をバカにするな!最初はケンを押してたんだぞ!
ジャギよりもつよいんだぞ!
137俺のイメージ:03/05/14 23:41 ID:???
地上軍総参謀:海のリハク
138マロン名無しさん:03/05/15 01:06 ID:???
ア・・いやトキ?さっぱり想像もつかない漏れは煎った方が良いでつか?
139マロン名無しさん:03/05/15 01:24 ID:???
指が無くては煎きようが無いな
140マロン名無しさん:03/05/15 01:45 ID:L3ykGUbC
0−KOチャンピオン、城島英児VS鷹村守がみてみたひ…
141_:03/05/15 01:47 ID:???
142マロン名無しさん:03/05/15 01:54 ID:???
>>132
そうか?
慶次vs志々雄は誰にも邪魔して欲しくねーな
143マロン名無しさん:03/05/15 04:42 ID:???
>>135
紅葉とのヤブ対決とか面白そう
144121の続き:03/05/15 05:16 ID:5pXwFXw6
【バーンパレス】の最奥にある、バーンとごく一部のものしか入れぬ【大魔王の間】。
そこに大魔王バーンはいた。極上のワインを傾けながら思案顔のバーン。 ・・視線を感じる。
(見られているな・・)  最近感じるようになった視線。魔界の動向を監視している様に。
(まあよい。いずれ地上を支配した暁には・・) 視線の主の世界。そちらへも侵攻してみせる。
「ほ〜っほっほっほ。やはりここにいましたな、バーン様」  喪黒 福蔵が笑って立っている。
この部屋へ入室を許された数少ない一人である。  「人間界へいったのではなかったか、喪黒」
バーンは静かに尋ねる。ごく自然な振る舞い一つにしても、周りを圧する威厳が漂う。応える喪黒。
「一つご進言がございまして・・。魔界軍の戦力強化についてでございます」 喪黒は話を続ける。
「コマは揃ったとバーン様は仰いましたが・・。もう一人こちらへ取り込みたいと思いましてな」
フム、とグラスに口をつけるバーン。  「誰だそれは?取り込めそうなのか・・」 喪黒は笑う。
「はい。その者は人間界の中でもかなりの実力者・・。しかも。父親は既にこちら側の人間・・」
バーンは誰の事か理解する。  「取り込めるのか?父親とは折り合いが悪いと聞いているが・・」
禍々しく笑う喪黒。  「お任せを。今や彼は欲に狂う毎日。しかも見る所、以外に嫉妬深い・・」
バーンは笑う。  「父親は地上軍・・。息子にはそうだな、魔界の余の親衛隊を任せようか・・」
ニヤリと笑う喪黒。  「ではそのように動きます。ホ〜ッホッホッホ」  そのまま去る喪黒。
・・喪黒の背中を見ながらバーンは思う。  (どいつも信用出来ぬ)  ・・だがそれで良い。
魔王軍は最強の強者集団ではあるが、寄せ集めである。誰がいつ、余に牙を向くか分からぬ。
それも一興よ。それに今、自分はかつての戦いの影響により、老人の姿から変わる事が出来ぬ。
(しかし、この力さえ手に入れれば・・)  ・・バーンはワインを空け、静かに笑う。

そして地下闘技場。準決勝第2試合、影慶 対 渋川剛気が始まろうとしていた。



145マロン名無しさん:03/05/15 05:25 ID:???
バキあっち側かよ(ワラ
146144の続き:03/05/15 05:45 ID:5pXwFXw6
控え室の渋川 剛気。試合前だというのに、物憂げな表情でボンヤリとしている。・・急にドアが開く。
「おうおう、その姿だけ見たらただのじいさんだな、渋川さん・・」  勢い良く飛び込んできた男。
不躾な言葉。だがそれがポンポンと小気味良い。太陽の様な明るさ。  「やれやれお主か、象山・・」
北辰館館長・松尾 象山である。象山は笑って言う。  「達人らしく無いね。何を黄昏てんだい?」
「フム・・」  少し考えながら次の言葉を探す渋川。  「時の流れをの。つい感じてのう・・」
立ち上がって老獪に笑う渋川。  「アカギ戦で感じた・・もうワシらの時代では無いかものう・・」
象山は豪快に笑う。  「アイツは特別だよ。なあじいさん、オイラこれからが全盛期のつもりだよ・・」
少年の様に屈託無く笑う象山。その顔を見て、つい釣られ笑いをする渋川。少し厭戦気分だった渋川だが、
ムクムクと闘志が湧き上がって来る。  「そうじゃのう。ワシもまだ75、まだ老け込むにゃ早いわい」
象山の横で苦笑する姫川。この2人はまだまだトップに居座り続けるつもりですか。困ったものです・・。
パンッ。袴を思いきり叩く渋川。  「ちょっくら若僧2人、叩きのめして優勝してくるわ、象山の」
笑って応える象山。  「おおよ、そんで俺とも喧嘩しようや、じいさん」  笑い合う渋川と象山。
・・ビスケの声が響く。  「白虎の方角より、渋川 剛気、入場だわさッ!!」   部屋を出る渋川。
その背中に象山が言う。  「約束だぜ、優勝したら俺と・・。」   ニコリと振り返り笑う渋川。
闘技場へ向かう渋川。だが、ピタリとその足が止まる。  (ヤバいわ。約束守れんかもな、象山・・)
目の前に封印された門。 ・・ジャック・ハンマーとの闘いの前に現れた、【危険への門】である。 
147146の続き:03/05/15 06:15 ID:5pXwFXw6
医療室。影慶は2人の男が寝るベッドの前にいる。一人は主、男塾総代・大豪院 邪鬼。
もう一人は2回戦まで命懸けでトーナメントを勝ち抜いた盟友・羅刹である。
影慶は2人の前でポツリとつぶやく。  「邪鬼様、羅刹・・」  ・・だが声が出ない。
2人とも現在「死」と闘っている。今、自分に出来ることは・・。意を決し2人に誓う影慶。
「必ず・・優勝を持って帰る。男塾の代表として・・」  その時。ビスケの声が響き渡る。
「朱雀の方角より、男塾・影慶、入場だわさッ!!」  ・・2人へ深く一礼をし、戦いへ。
その背中を見て王 大人。  (いい背中だ・・だが羅刹に止めを刺したのはお主だぞ、影慶・・)

大歓声の中、対峙する影慶と渋川。殺気が高まる。  「さあ残り2試合、大会も大詰めだわさ!!」
ビスケの実況を合図にしたかの様に、審判が大きく叫ぶ。   「始めいッッ!!」
影慶。一気に間合いを詰める。既に毒手は開放している。先手必勝。一撃深く、毒手で傷を負わせれば。
それで勝利は確定する。・・渋川への距離が無くなる。完全に射程距離。毒手が唸る。・・だがその時。
シュポッッ!! ・・影慶の顔面に鋭利な痛み。だが真の驚愕は次の瞬間。  (バ、バカな、水?)
溺れている。闘技場の真ん中で。・・水槽の中に急にブチ込まれたかの様に。 ・・ビスケは叫ぶ。
「涙穴だわさ・・。顔面に点在する急所の一つ。そこを水滴で高速鋭打されると・・。溺れるわさッ!!」
渋川は笑う。  「ホッホッホ。金槌かな、影慶くん? じゃあ、救出せんとなあッ!!」  ガシッ。
影慶のアゴをつかみ、垂直に持ち上げる渋川。そしてそのまま思い切り、影慶を闘技場へ叩きつける。
「ぬしゃあモンスター・・。しからばダメ押しィッ!!」   空中高く飛んだ渋川。そのカカトが、
刃物の様に影慶のノドへ突き刺さる。 ・・だが影慶。そのカカトをつかんでいる。 「ぬ、ぬしゃあ・・」
渋川流必殺のタイミング。それをすんでの所で見切った影慶。 ・・勝負はこれからである。影慶は叫ぶ。
「邪鬼様が、羅刹が見ている・・。貴様とは背負っているものが違うのだ、ジジイッ!!」
148パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/15 06:30 ID:5pXwFXw6
>>125様 それいいすね。しかし2日後はちょっとミス。せめて一週間後にするんだった。
>>132様 ルパン一味は出したいと思いつつも、なかなかアイデアが浮かばない。斬鉄剣は卑怯だし。
>>133様 赤カブトと松風は戦いませんが、人間以外と赤カブトと戦わせたい。皆様方のご要望の強い奴と。
>>126様 全部ハズレ。でもその中から一人出すつもり。  >>140様 城島って誰でしょう?満天のやつ?
>>142様 その対戦は確定。内容もほぼ決まってる。  >>143様 紅葉てヤブだったけ? 
>>外伝担当者様  個人的に凄く楽しみです。特に一番好きな柳。   後、ア・・トキは中途半端に強いです。

 最近ちょっと風邪気味で余り量書けなくてすみません。では失礼します。 
 
149_:03/05/15 06:35 ID:???
150マロン名無しさん:03/05/15 06:50 ID:???
>パオ
メール欄にsageをいれるようにしたほうが(・∀・)イイ!と思う
広告張られるから
151マロン名無しさん:03/05/15 08:44 ID:???
まさか、赤カブトvsと○?ってきり魔界軍かと思ってたら・・・
違ってたらすんません。
すごく期待しています。
152マロン名無しさん:03/05/15 09:05 ID:???
>>143
ア…トキと紅葉はヤブというより人体実験がらみだったらいやだな。
 
153マロン名無しさん:03/05/15 09:53 ID:???
>>118
正直かなりワロタんだが、反応ぜんぜんないね。この板じゃこーいうの
駄目なのかな。

江田島平八対勇次郎とか書いてホスィ。
154マロン名無しさん:03/05/15 10:39 ID:L1FEUt4h
もしかしてバキvs九十九が見れるのかなぁと激しく期待。
155マロン名無しさん:03/05/15 12:11 ID:???
>>153 
ここは職人さんたち腕が良いからな。一発ネタは厳しいかも。ワラタけど。
>>パオ
赤カブトVSとらとみた。希望的観測で。
156マロン名無しさん:03/05/15 12:55 ID:???
>>118
いや、おもろいよ。
157マロン名無しさん:03/05/15 13:51 ID:???
バーン、ドラゴンボールで若返り、とか考えてるのか?
158マロン名無しさん:03/05/15 15:04 ID:OEiZFRmj
>>153
平八VS勇次郎はネタであったよ
勇次郎が男塾出身っていう設定でw
159マロン名無しさん:03/05/15 15:21 ID:0qmv3HTS
皆さん乙です。 魔界編に宮沢静虎でないかなあ(本編では死にそう) でもバーン、アシュラ、赤カブト、勇次郎、ヒソカ、志士雄、皆強すぎてオトン勝てそうな相手いないなあ。 あと、栽培マン!!(出ませんよね…)
160マロン名無しさん:03/05/15 15:51 ID:???
>>158
あ、やっぱり誰かが書いてるんっすね。まあ、ありがちといえばありがちな
設定だからかな。
で、読みました。おもろかった。本部が可哀想(w
161マロン名無しさん:03/05/15 16:00 ID:???
バキ本編が、何やら「兎」みたいな展開になりそう・・・
162なぎさっち ◆Nagi/FmYMM :03/05/15 16:36 ID:???
魔界編にサイレントメビウスのギゲルフ=リキュール(親父)なんてどうよ?

人間側の魔法使い足りないし、時代/舞台設定もいいんじゃん?
163ふら〜り:03/05/15 17:16 ID:???
人間外……ブラックエンジェルズのエルスとか? 

そういえば勇次郎VS後藤(寄生獣)は読んだことあります。



164マロン名無しさん:03/05/15 17:29 ID:OEiZFRmj
>>161
スレ違いだけど同意
世界中にばら撒いた俺の種って・・・
165マロン名無しさん:03/05/15 18:04 ID:???
>パオ氏
いっその事、魔界での2日は、地上の2ヶ月に相当する・・・・というのはどうだろう?
166マロン名無しさん:03/05/15 18:18 ID:???
赤カブトvsとら、には俺も凄く期待してるのだが・・・
そもそもパオは、「うしおととら」を読んだ事があるのだろうか?
そこが問題だ。
167マロン名無しさん:03/05/15 20:22 ID:???
金槌かな?〜
ってのはジャックだからこそ通用する洒落なのになぁ。
168マロン名無しさん:03/05/15 21:55 ID:???
>>118のバキウソバレさんには本編に干渉し過ぎない程度にがんばってほしいw
あとこのスレ住人って少漫のえなりスレとかぶってる?
169スペック(その25):03/05/16 00:34 ID:???
>>103
「いつでもいいぜ、ジャック」
ポールは、ダッフルバッグから彼の愛用銃―レミントンM870ライアット・ショーティを引っ張り出し、
スライドを後退させながらジャックに告げた。
「ポール」
ジャックの言葉に小さく頷いた中年のギャングは、大股で車道を横切りながら押さえた口調で指示を下した。
「お前は店の裏口に廻れ。俺が正面だ。今からかっきり2分後に突っ込む。銃声がしたら入って来い」
「・・・・・待てよ、ジャック!」
若いギャングは、急ぎ足でジャックの背中を追いつつ、抗議の声を挙げる。
「お前に命令される筋合いなんかないぞ。何を一人でいきが」
「いきがるのは結構だ。大いに結構だ」
車道を渡りきったジャックは、不意に足を止め、後ろを振り返った。
どこか楽しそうにポールの抗議を遮りつつ、彼はじっとポールの顔を見つめる。
ほんの数秒間、完全な静寂が支配した大通りで、2人のギャングは物も言わずにらみ合った。

完全な静寂―そう、スペックが店にやってきてから、現代のソドムあるいはゴモラたるホット
スプリングスの、もっとも賑やかなこの大通りはわずか20分ほどで人影が絶え、ほんのちょっとした
物音がいやに大きく響くまでに静まり返ってしまっていた。
170スペック(その26):03/05/16 00:35 ID:???
>>169
「いいかね、若いの」
腰だめに構えていたBARの銃口をわずかな角度で上下に振りつつ、ジャックは諭すように切り出した。
「私はお前が生まれる前からシカゴ・タイプライター(トンプソン・サブマシンガン)を手にして連邦捜査局
やスピーク・イージー(もぐり酒場)のならず者どもと戦りあってきた。
お前がジュニア・ハイスクールでダンスパーティに出席しようかどうか迷っているときには、シスコから
数千マイル離れたちっぽけな島々で、狂信的にバンザイ・アタックをかけて迫り来る東洋のサムライを
こいつでなぎ倒してきた。
お前がこの業界でどんな実績をあげてきたか私は知らないし、知る気にもなれない。
だが、これだけは確実にいえる。
今まで殺してきた人間の数は私のほうが圧倒的に多いし、潜り抜けてきた修羅場の数はたぶんお前が
一生かかっても超えられない。だから私が正面から店を訪問するのだ」


「〜〜〜〜〜ッッッツ!」
ポールは、珍しく多弁なジャックの言葉に、顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。
これまで内心軽蔑してきた男から控えめな、しかし冷酷な評価を下されたから、というだけではない。
その評価が、まったくもって正確そのものであったためだ。
そう、ポールは、みなりこそいっぱしのギャングスターではあったものの、彼自身はまともにガンファイト
を経験したことがなかったのだ。当然、人を殺した経験も皆無である。
痛いところを容赦なく抉られた格好のポールは、目を見開き、唇をわななかせながらジャックを見つめていた。
171スペック(その27):03/05/16 00:36 ID:???
>>170
ジャックは、己の言葉がこの若者に誤りなく伝わったことを悟り、幾分口調を和らげて続ける。
「若いの。経験がないのは恥ずべきことではない」
「・・・・・・・・」
「だが、自分に経験がないことをごまかすのは恥ずべきことだ。それは無謀な振る舞いを招き、
己の力量をはるかに超えた困難を好んで呼び寄せる」
「・・・・・・・・」
「私達がこれからやろうとしていることは、おそらく信じがたいほど困難なことだろう」
おそらく、ミスター・フィルスが仕事に失敗したということだろうからな。内心でジャックは呟く。


クライスラーの中で待機を続けているときも、ジャックはそれとなく店の様子をうかがっていた。
店の構造は、内部でダイナマイトが炸裂しても爆発音が殆ど漏れないといわれるほど堅固なつくり
となっており、常軌を逸した防音・対爆・対衝撃構造だった。
そのため、店の中で繰り広げられていた惨劇は殆ど外にはもれ出ていなかったが、分厚いすりガラスの
向こうで時折爆ぜる光の明滅も、注意しないと分からないほどにかすかな破裂音が―通常の用心棒
業務ではありえないほど―長く長く続いていたことから、ジャックは何が起こりつつあるのか、およその
見当をつけ、一抹の不安を抱いていた。ミスター・フィルスは存外苦戦しているらしい。
(ちなみに、ポールはそのころ運転席に長く伸びてペイパーバックを読みふけっていた)
そして、先ほどの奇妙な光景。

間違いない。ジャックはあれを見た瞬間に確信していた。

ミスター・フィルスは、その長い用心棒のキャリアに、おそらくは最初で最後の黒星をつけてしまったのだ。
172スペック(その28):03/05/16 00:37 ID:???
>>171
「だから、お前は裏から廻り込み、私が店の中に居る"敵"の注意をひきつけている間に後ろから一発
食らわしてやれ。うまくいけば、お前の名前はコロラド、いや、全米に鳴り響くだろう」
そこで口をつぐみ、一瞬言いよどんでから、ジャックは一世一代の演説を締めくくる。
「若いの、お前は確かに経験不足だが、銃の腕前は本物だ。それはまちがいないからな」
ポールの表情が、一瞬にして明るくなる。
「わかったよ、ジャック。ここはあんたに囮となってもらうぜ」
言い捨てて、ポールは店の裏手に廻り込むべく、駆け足でジャックのもとを離れた。
角を曲がり、あっという間に姿を消したポールをほんの少し見送った後、ジャックはBARを構えなおして、
店の入り口に向きなおった。

中に居る大男がどんな手口を使ったかはしらないが、きっと店の中は惨憺たるありさまになっている
だろう。もしかしたら、まだ仲間の生き残りが悪戦を続けているかもしれない。

待っていろよ。ホットスプリングス・ガーズはまだまだ膝を折らないからな。たとえボスがやられても。

ジャックは、ゆっくりと店へと歩を進めた。
スペックが、黒衣の鬼が待ち受ける魔窟に向かって。
173マロン名無しさん:03/05/16 00:48 ID:???
>>153
>>155
>>156
>>168

わーい。
174江田島平八vs勇次郎:03/05/16 00:49 ID:???
「ワシが男塾塾長、江田島平八である!!」
280回目の怒号が鳴り響いた。しかし客席から聞こえるのはため息ばかり。
殴られてダウンを喫するたびに一発叫んで奇跡の大復活、という
黄金パターン。初めのうちはよかったが、100回を超えたあたりから
明らかに観客に飽きられてきている。膝枕&耳かきで、二人の世界に
埋没しているカップルもいる。ちなみにアイツとアイツである。
殴られることはなんでもない。こんな傷、どうせ二コマ先では治っている。
エンターテイナーの江田島にとっては、注目されないことが何より
恐ろしい。イカン、このままでは宮下あきらの二の舞だ!
という訳で、持ち時間を利用して渋谷にやって来た。取材が主な目的だが
たまの休日を謳歌したい気分もある。勇次郎も一緒について来た。

若者文化に馴染みのない二人だが、それなりに渋谷の街を楽しんでいるようだ。
持参した白クマの毛皮をハチ公の前に広げ、赤カブトvs銀を演出する
勇次郎。ビルの外壁によじ登り巨大ビジョンを特等席で鑑賞する江田島。
五島プラネタリウムの閉館を今頃知って大激怒、それじゃあこんなもんは
必要ねえなとばかりにドームをメタメタに破壊して、跡地に設営したテントに
渋谷中のホームレスを誘致して会館の息の根を止めた後、ソニプラでお買い物。
円山町ではラブホを訪問。客室のドアを片っ端から蹴破って、次回公演の
ビラを渡してご挨拶。全裸での応対という超失礼な仕打ちにもあえて目をつぶる
寛大な二人であった。まんだらけには行かなかった。
試合を忘れた訳ではない。駅前のスクランブル交差点をじっと見つめていた江田島が
電流に打たれたように立ちすくんだ。傍らの勇次郎も、なにかを掴んだようだ。
闘技場に馳せ戻る二人。これならイケる。俺達の勝負に、熱狂が帰ってくる!

試合再開。相変わらず拍手もクソもないが、一人として客の帰った様子はない。
対峙する江田島と勇次郎。お互いの手にはピアノ線。裂帛の気合いと共に突進、交差。
数秒後、二人の首がゴロリと落ちる。やがて時間は動き出し、地鳴りのような歓声。
盛大な血潮を吹き上げながら、客席に手を振る二人の胴体。肉塊と化した首には
しかし、満足げな死微笑が刻まれていた。

江田島平八▲−▲範馬勇次郎
175マロン名無しさん:03/05/16 00:57 ID:???
スペック外伝、台詞回しが最高だ。
マジに上手いよ。溜息が出る。
176169-171:03/05/16 01:12 ID:???
>>175
お褒めに預かり、ありがとうございます。私としては、もっと情景描写や会話の流れを練りたい
ところではありますが。
今後とも精進を重ねてまいりたいと思っておりますので、ご指摘ご叱正をお待ちしております。

さて、業務連絡です。
本当は、スペックのサイドストーリーはここで終了するはずでした。この後、エピローグとして
2〜3レス程度アップさせていただくところでした。
ただ、前回申し上げましたとおり、今後の展開を少しばかり思いつきましたので、まだまだ
このサイドストーリーは続きます。
>>パオさん
スペックのサイドストーリー後、柳ないしはシコルスキーの話をアップさせていただきます。
で、ご相談なのですが、現在パオさんが執筆しておられます「魔界編」につきまして、ある程度
リンクさせていただければ、と思っております。(もちろん、全面的にではなく、こぼれ話か
プロローグ的な扱いになろうかと思います)
話の設定を少しお借りしてもよろしいでしょうか?ご返事をお待ちしております。
177116のつづき:03/05/16 01:31 ID:???
その男の姿が目に映った瞬間、千堂と、柳岡トレーナーの足が止まった。
20代半ばくらいの年齢だろうか。背が高い。190センチ近くはあるようだ。
均整のとれた肉体を、夜と同じ色の上下に包んでいる。日本人ではない、欧米人である。
男は、まるで散歩でもするかのようにさりげなく、一直線に千堂たちに近付いてきた。
男がサインをねだるファンの類いでない事は、男の目を見れば一目瞭然だった。
鋭い、剃刀を思わせる眼光が、弾丸のように千堂に注がれている。
目が合ったとき、千堂の身の内に、ぎりっ、と跳ねるものがあった。
それは本能的な敵意だった。千堂の肉体に常駐する野生が、男の殺意に反応したのだ。
しかしながら、男の殺意は、千堂のそれとは種類が違う。
例えるなら、誰かが明確な殺意を持って、ナイフ等の凶器を振るったとき、凶器自体に持ち主の殺気が宿る。
男の存在はまさに、殺意が乗り移った凶器自体が、単独で動いているような、そんな印象を抱かせた。
千堂は一瞬にして、男の危険性を本能レベルで見抜いたのだ。だが、柳岡はそうではなかった。
「なんや、アンタ? 何かワイらに用でもあるんか?」
かつては日本ランキング1位のボクサーであり、現在は優秀なトレーナーである柳岡だが、悲しい事に現役でなかった。
さすがに男が何らかの悪意を持って、千堂に近付いてきたのは察したのだろう。
ゆえに、事前に千堂との間に割ってはいろうとした。が、相手の危険度までは見抜けなかった。
「ま、待つんや、柳岡はん! そいつに近付いたら、アカ・・」
千堂の制止が届かぬうちに、千堂のすぐ横を、重い物体が物凄い速度で通過した。
数瞬後に、千堂の後方で、柔らかい物が何らかの遮蔽物に、したたかに叩きつけられた音が響いた。
千堂が振り向くと数メートル後方に、顔面が陥没した、変わり果てた姿の柳岡が転がっていた。
「柳岡はん!!」
千堂が叫んでいた。弾かれるように、男の方へ向き直る。男はまったく変わらぬ様子で近付いてくる。

178夜王:03/05/16 01:43 ID:???
ども、夜王です。昨日書かなかったのに、今日も1レスですみません。
明日、明後日は書けなさそうですが、日曜には3話を終わらせたいと考えてます。
では、また。

>パオさん
ア・・いや、トキの登場に笑いました(笑)。
パンタローネといい、ゴードンといい、チョイスが絶妙です。

>スペックさん
上手いなあ、ホント。徹底してハードな文章が、パオ氏とはいい意味で対極的です。
私のは、ハードさ、娯楽性ともに、お二方に比べると中途半端ですが、自分なりに頑張らせていただきます。
179マロン名無しさん:03/05/16 05:03 ID:???
>>夜王氏
何つか、悪いんだが。ワガママなんだが。
名前欄、別のにしてくんね? スペック氏みたいに。
パオ氏のと似てるから、混ざって読みにくいんよ。
180マロン名無しさん:03/05/16 20:39 ID:???
>夜王さん
夜王さんのも勿論面白いですよ。
それぞれの職人さんの味が違うって感じです。
例えるならパオさんのは豪勢な中華の満貫全席。
スペックさんのはおしゃれなフランス料理のフルコース。
そして夜王さんのは奥深い懐石料理って感じです。
ファンとしては色々と楽しめて嬉しいな。
181マロン名無しさん:03/05/16 20:39 ID:???
今日は全然レスがないな。定期age
182赤カブトvs愚地独歩:03/05/16 23:02 ID:???
これは、赤カブトがまだ汚れを知らぬ小熊だった頃のお話です。
樹々もとろけるような夏の盛りに生まれた赤カブト。奥羽の山で親子三匹、
貧しいながらも幸せな毎日を送っておりました。
ところが、両親がギャンブルに狂いだしてからは日々の暮らしは荒む一方。
とうとう町のサーカス団にハチミツ三壷で売り飛ばされてしまいました。
お金が欲しいはずなのに蜜壷で手を打ってしまうあたりがいかにも畜生です。
ゴミのようにトラックの荷台に投込まれ、けたたましいクラクションと共に出発です。
思い出のたくさんつまった山が遠くなってゆきます。お父さん、お母さん、お元気で。
今まで迷惑かけてゴメンナサイ。これからは大好きなギャンブルを一杯楽しんでね。
その両親も一年後、漆黒の地底でテニスコート造営に従事することになるのです。

赤カブトの新しい生活が始まりました。ピエロ、猛獣使い、空中ブランコ。
見るものすべてが刺激的です。たちまちサーカスのとりこになりました。
山でのしょぼくれた生活などきれいさっぱり忘れ、厳しい稽古に精を出す毎日です。
ここに、一人の少年がおりました。名前は克己。五歳にして一座の花形という
スーパーエリートの彼が、腕に針を突き刺して恍惚としているのを赤カブトは
見てしまったのです。団長には黙っていてくれと懇願する克己が差し出した袋には
「アナボリックステロイド」の文字。こんなものは要らないのですが、貸しを
作っておけば後々役に立つと判断した赤カブト、彼と固い握手を交わしました。
克己少年と、その弱みを握る赤カブト。二人の活躍で、舞台は連日大盛況です。

しかし、そんな幸せも長くは続きませんでした。愚地独歩とかいう強面のオッサンが
やってきて、「どちらか一人を養子に迎え、東京で贅沢させてやろう」と言うのです。
二人の友情はもろくも崩れ去り、都会者の座をかけて決闘が行われました。
しかし、薬漬けでボロボロの克己など、赤カブトの敵ではありません。勝負は一瞬で
つきました。凱歌をあげる赤カブトの前に、満面笑みをたたえた独歩がやってきます。
「おめでとう。君の名は?」
「赤カブト。ヒグマです!」
「クマかよ!」
独歩の怒りの鉄拳が、赤カブトの顔面を朱に染めるのでした。

愚地独歩○−●赤カブト 決まり手:クマかよ拳
183マロン名無しさん:03/05/17 00:02 ID:???
>>182
ワラタ クマかよ拳 てかギャンブルって……

そういえば、雄山は誰と対決するんだろう?
184マロン名無しさん:03/05/17 01:55 ID:???
>>183
個人的にジャンを希望
185スペック(その29):03/05/17 03:31 ID:???
>>172
・・・・・・・10、11、12、13、14、15・・・・・・・・・・
ジャックは、腕時計の秒針にあわせて歩調をとりながら店の入り口に設えられた大理石製の階段
を上がっていった。
人影がなく、虚ろに静まり返ったホットスプリングス一の繁華街、その大通りにジャックの革靴が
大理石を踏みつけて立てる靴音が意外なほど大きくこだまする。
その靴音と、どこか遠くで大型草食獣の鳴声のように聞こえてくる車のエンジン音が、今のジャックに
感じられる全ての物音だった。
10段とない階段を、必要以上に慎重に踏みしめながら、ジャックは全身の感覚を剃刀のように研ぎ澄まし、
眼前の豪奢な建造物の内部を荒らし尽くしているであろう"敵"、その気配を嗅ぎ取るべく五感をフルに
回転させていた。

む?

ジャックは階段を半ばまで上り、そこで一旦足を止める。
おかしい。ジャックの本能がはっきりと彼に告げていた。あまりにも気配がなさすぎる。
・・・・・・どういうことだ?
ジャックは眉をしかめた。
事前に入った報告では、店内にいた不審者はただ一人。
「身長2m前後、筋肉質、禿頭(剃髪?)、全身黒尽くめ」の男であり、それ以外にはいつもの客−ホッ
トスプリングスの名士、コロラド州行政府の高官、そして彼等のとりまき共ばかり−この店に害を
もたらすことなど想像すらできないような輩ばかりだった。
その後、店内スタッフからエマージェンシーコールがかかり、フィルス等が出張ったときも、その妙な
男以外に新たな闖入者は報告されていない。少なくとも、ジャックのもとにはそうした連絡はなかった。
186スペック(その30):03/05/17 03:32 ID:???
>>185
だが、そのたった一人の男を排除すべく行動を開始したフィルス等は、どうやら失敗したらしい。
それだけではなく、店の中に、いかなる動きも感じられない。
いかに常軌を逸した防音構造を用いた建造物といえ、そのすぐ近くにきてまで、まったく何の動きも
感じられないのはおかしすぎる。これではまるで。

「・・・・まるで、たった一人の男が店にいた連中を全滅させたみたいじゃないか・・・・・・・」

ジャックは思わず独語した。
そして、その言葉が意味するところを悟って愕然とした。
・・・・バカな。店内には、ミスター・フィルスを始め百戦錬磨の用心棒が10人いたはずだし、店の保安要員も
20人かそこらはいたはずだ。
用心棒が逸材ぞろいであることは少なくともこの私がよく知っているし、保安要員も、ホットスプリング
ス一の店にふさわしく、少々頭の回転が悪いことを除けばこの界隈の腕利きばかりだ。
そう、そんな精鋭(と称してもよいだろう)を30人、そして用心棒の中の用心棒であるミスター・フィルス
を全員沈黙させるには、少なく見積もってもよく訓練され、装備も充実した2個小銃小隊は絶対に
必要だ。それは間違いない。

「・・・・・それを、たった一人が?そんな、まさか」
ジャックは、思わず首を激しく左右に振った。
そんな彼に、ホットスプリングスの夜闇が澱のごとくまとわりつく。

この世界の掟に従えば、そろそろ第一線から身を引くべきことを考えなければならぬ年齢に達した
中年のギャングは、しばらく凝固したように階段の中央で立ち尽くしていた。
187スペック(その31):03/05/17 03:33 ID:???
>>186
静寂。
あらゆる思念を飲み込み、無に返してしまいそうな、恐るべき静寂。
その静寂を破ったのは、店の裏手から聞こえてきた音だった。

がらん、がらがらがらがたん。

明らかにポールの立てた音だった。
あの若造め。ジャックは小さく舌打ちする。
きっとすばやく廻り込もうとして、周囲を全然確認していなかったに違いない。そして、うっかり暗がり
に放置されていたダストボックスを蹴っ飛ばしてしまったんだろう。
今の物音は、間違いなく店内の"敵"にも聞かれたと見るしかない。とりあえず、今しがた抱いた疑惑
の詮索は後回しだ。
BARを構えなおし、ジャックは疾風のごとく一気に残りの階段を駆け上がった。

湿った、生ぬるい鉄錆の臭い。
ドアノブに手をかけ、分厚いオーク材のドアを一気に開こうとしたジャックの鼻腔に、それはふわりと
入り込んできた。
もちろん、20年近くにわたって生命のやり取りをしてきたジャックには、それが何であるかすぐにわかった。

血の臭いだ。それも、おびただしい血の。
188スペック(その32):03/05/17 03:34 ID:???
>>187
ジャックは、ほんの一瞬顔をうつむけた。頭に浮かぶ店内の光景。
それは、きっと彼がこれまでに見てきたいかなる殺戮の現場をも上回るほどのものだろう。
ジャックの背中に、冷たい汗がどっと噴き出し、首筋の後ろが一挙にざわめいた。
逃げるべきだ。彼の本能が、無意識が金切り声で絶叫を上げた。
ここからずらかれ、ジャック。この中にいる"敵"は、お前では勝てない。絶対に勝てない。俺を信じろ。
命が惜しければ、逃 げ る ん だ 、 ジャァァァァァァァァッッッッツク!!!!!!!!!!!

「黙れ」

ジャックはうつむいたまま、小さいが断固たる口調で己に釘をさした。
俺は逃げないぞ、この腰抜け野郎。
このドアを俺は開く。
わかったらお前は永遠に黙ってろ。
俺は・・・・・・
顔を上げるジャック。眉をきつくしかめ大きく息を吸い込み、BARのグリップを握る右手にぎゅっと力を
込め、彼は一気にドアを引き開けた。

俺は、前に進むことしかできない大マヌケだからな。
189スペック(その33):03/05/17 03:34 ID:???
>>188
ドアの向こうは、幅5メートル、奥行き10メートルほどの細長いエントランスだった。
両側の壁には程よく古びた旧式の電灯が等間隔で並び、薄暗い通路をうっすらと間接光で染め上げている。
床にはそれだけで平均的な労働者の年収に達するに違いない絨毯が、エントランスの突き当たり、店内
フロアに通じるドアまで敷き詰められていた。
ドアを開けたジャックは、エントランスの様子をすばやくチェックする。
誰もいない。ただ、淡い白熱光がおぼろに揺らめいているだけだ。
しかし、玄関ドアの前で嗅ぎ取った血の臭いは、無人のそこに一層濃厚に立ち込めていた。
いや、血の臭いだけではない。
硝煙の尖った刺激臭。
排泄物の生臭く重苦しい臭い。
木材を焼いたかのような焦げ臭さ。
そうしたあらゆる"戦場の臭い"が、渾然一体となって廊下に溢れていた。
その臭いが意味するところを意図的に脳裏から締め出したジャックは、経験則に従い、右端の壁に
張り付くようにして前進を開始した。
腰を落し、BARを肩の高さに構えて、じりじりとすり足でエントランスを通過する。

・・・・・・114、115、116、117、118、120。
畏怖と憎悪がごたまぜになった精神状態においても、なおジャックの有能な兵士―老獪な殺し屋としての
怜悧な部分は、意識の片隅でかねての打ち合わせに遭った2分が経過したことをカウントしていた。
同時に、ジャックの身体はフロアに通じるドアの1メートル前にまでたどり着いている。
壁に背中をぴったりくっつけたジャックは、少しだけ考えるそぶりを見せた後、ためらわずにドア目掛けて
BARの引き金を搾った。
190スペック(その33):03/05/17 03:35 ID:???
>>189
連続する閃光、そしてミリ秒単位で遅れて続く轟音、噴煙の如く湧き上がる硝煙。

完全な無表情を維持したまま、ジャックはBARの引き金を引きっぱなしにしてドアを破壊しつづけた。
玄関と同様、分厚いオークから作られた非常識なまでに重厚なフロアのドアは、7.62ミリ弾の手荒い
ノックに対し、わずかな時間しか持ちこたえられなかった。
ドアの表面に拳が入りそうな大穴が穿たれ、オークの破片が散り散りに飛び交う。

ジャックのBAR、その特製弾倉に収められた50発の7.62ミリ弾が全て撃ち尽くされたとき、
フロアのドアはもはやドアとしての役目を果たしては居なかった。
ジャックは、穴だらけになったドアを睨みつけながら、用意していた予備の弾倉をBARにセットする。
そして、新たな一発を薬室に送り込むと、ごく自然な動作でぼろぼろのドアを蹴り開けた。

「・・・・・・・グゥッ!」
内側にぐずぐずと崩れ落ちたドアから店内に入り込んだジャックを最初に襲ったのは、暴力的な臭気だった。
先ほどまでひしひしと感じ取れていた戦場の臭い、それの発生源であるこのフロアは、まさしく臭いが
固形化してジャックの嗅覚を責めさいなんでいるかのようだった。
少なく見積もっても30の死。それが一挙に人の神経をかきむしるような臭いをあたりに撒き散らしていたのだ。
予想通りであったとはいえ、これほどのものとは。

ぱん。ぱん。ぱん。ぱん。ぱん。

思わず顔をしかめ、目じりにうっすら涙すら浮かべたジャックを出迎えたのは、何かを叩く音だった。
それが、手と手を打ち合わせる音―拍手の音だと理解したジャックは、反射的に音のする方向―フロアの中央部に目をやる。
フロアの照明という照明がすべて破壊され、外からわずかに入ってくる光を頼りにジャックはフロアの中央
を―そこに何があるのかを見た。
191パオ 147の続き:03/05/17 12:29 ID:VvEaAoCg
渋川と影慶は立ち上がり、再び退治する。しばしの静寂が2人を包む。大歓声の闘技場内。
そのコンストラストが、更に試合の緊張感を増している。渋川は顔をしかめる。
(ヤバいのう・・こやつ明日を見とらん。ジャックと同じだ。この時にだけ身を殉じとる・・)
「渋川・・勝負はこれからだ。貴様に教えてやろう、護身にも勝る、男塾の捨て身をなッ!!」
そして準決勝第2試合は佳境を迎える。 ・・だが。その裏で2つの事件が動いていた。

江田島 平八と高槻 巌。この試合を真剣に見守っている。 ・・ポツリと巌に漏らす江田島。
「闘える陣容は整いつつあるな・・。あの男たちに連絡はついたか?」  巌は応える。
「ええ、大会終了後に合流するそうです。そうだ」  巌は懐から大事そうに包みを取り出す。
「大会前にヤムチャから受け取りました。江田島さんが彼に依頼しておいたモノを・・」
江田島はその包みを受け取る。  「戦闘ではヘタレだが、薬を届けさせたら天下一だな」
包みを開ける。小さな丸薬が5粒。  「たったこれだけか・・。」  江田島はボヤく。
「ですが江田島さん。それでもありがたいです。戦士を5人蘇らせられる。その【仙豆】は・・」
【仙豆】。一粒で10日分の飢えを満たし、全てのケガをたちどころに直してしまう仙薬。
江田島はジッと手中の仙豆を見詰める。沈思黙考の江田島。 ・・巌はその様子に感心する。
(江田島さんは読んでいるのだ。たった5粒の仙豆の最有効利用、それによる戦局の変化を・・)
頼もしく江田島を見る巌。魔界勢は強い。戦力では相手にもならない。しかし、この人なら・・。
仙豆を見て江田島は思う。   (センズ、か・・。後ろに り、を付けるといやらしいな・・)
192パオ 191の続き:03/05/17 13:02 ID:VvEaAoCg
準決勝第2試合の裏のもう一つの事件。それは魔界のアシュラマンに関わることである。
2日後に地上制圧をする事を、バーンの名の元において宣言したアシュラ。 ・・しかし。
その実行部隊である、肝心な魔界地上軍の幹部が誰も来ていない。即ち、人間界の実力者3人。
範馬 勇次郎。朧。そして志々雄 真実。 ・・特に勇次郎は地上軍を率いる司令官である。
怒り心頭のアシュラ。3面全てが怒り面になり、急いで地上軍司令部へ通信する。
「おい、勇次郎はいないか、魔界bQのアシュラマンだ!!」  人間界の通信用大型モニター。
怒りのアシュラマンの顔が満面に映る。震え上がるシルバーデビルやオークたち。 ・・だが。
「暑苦しい・・。相変わらず粋のいの字も理解してねえな、てめえは」  魔界の大型モニター。
そこに映ったのは勇次郎ではない。 ・・志々雄 真実である。志々雄に向けアシュラは怒鳴る。
「なぜ貴様が出る、勇次郎はどうしたッ」   だが志々雄。不敵なふてぶてしい笑みで言う。
「勇次郎も朧も、単独行動が良いとよ・・人の上に立てるのは俺くらいだろ? 俺が今、司令だよ」
「カ〜ッカッカ。早くも地上軍はそんな様か。まあいい。地上殲滅作戦は2日後に決行だ、いいな」
キセルを吹かせてつぶやく志々雄。  「早えな。祭りは準備をしっかりしねえと楽しくねえ」
それを聞きアシュラは更に怒る。   「戦力は充分だろう、これは命令だ、いいなッ!!」
【命令】。その言葉を聞き、志々雄の目は細くなる。モニター越しでも分かる殺気。ビビるアシュラ。
「おい・・俺は別にお前らの部下じゃねえ。生き返らせてくれた義理で、一度だけ協力するだけだ・・」
ブルブル震えるアシュラ。怒りの面は消え、蹴飛ばされた犬の様な顔になる。口調もガラリと変わる。
「で、でもですね志々雄さん、これはバーン様のご命令で・・」   志々雄。アシュラを一喝する。
「うるせえッ!! 黙って任せとけ。俺の流儀に無粋なヤツが口出しすんな。無駄な腕ブッた斬るぞ・・」
「ハイッすみません、全てお任せしますッ」  ・・そして一方的に切られる通信。立ち尽くすアシュラ。
ちきしょう、人間まで俺をバカにしやがって・・。
193マロン名無しさん:03/05/17 13:17 ID:???
194パオ 192の続き:03/05/17 13:34 ID:VvEaAoCg
俺は本当に魔界bQなのだろうか。ただバーンの威を借り、その地位にいるだけなのだろうか。
悩むアシュラ。そんな時、いつも彼は電話するところがある。ここ最近は一時間に1回の利用。
もはや電話版ストーカーだが、彼の心を慰めてくれるのはもう彼女しかいない。そう、あの女神だ。
「ハイ、こちらユグドラシルお悩み相談センター、担当女神のベルダンディです」 ・・美しい声。
癒されていくアシュラ。  「あ、ボク魔界のアシュラマンでちゅ。最近、部下が反抗して・・」
ベルダンディは優しく接する。実はアシュラからこの悩みを受けるのは、今回で23回目である。
しかし純正女神の彼女は、そんな事関係なく優しく言う。  「大変ですね、アシュラさん・・」
アシュラは三面全てが泣き顔になっている。この人だけだ、俺の気持ちを分かってくれるのは・・。
本来、魔界のアシュラが神界のベルダンディに、悩みを相談するなど禁忌である。だがアシュラは。
それ程参っていた。部下のプレッシャーとベルダンディの癒しに。赤ちゃん言葉で甘えるアシュラ。
「ねえベルダンディ、ボクだって一生懸命なんだよう。でもみんな分かってくれないんだ・・」 
・・だが。まさかベルダンディの一言が彼に止めを刺すとは。無論彼女にそんな邪気は無い。
「アシュラさん、みんな仲良くですよ。アシュラさんはその人たちを部下と思ってるでしょうけど、
 その人たちはアシュラさんの事、上司と思ってないみたいですし・・。」
・・ガーン。アシュラは呆然と電話を切る。いや分かっていた。あいつらが俺を軽く見ている事は。
だが、それを俺は認めたくなかった。しかも。憧れのベルダンディさんに言われてしまうとは・・。
三面全てで号泣するアシュラ。 ・・そして。彼は旅にでる。魔王軍を抜けて。後にアシュラが。
人間界、魔王軍に次ぐ第三勢力を率いる事は、この時点では誰も予想しなかった。当のアシュラさえも。

そして舞台は闘技場へ戻る。準決勝第2試合、渋川剛気 対 影慶、ついに全力のぶつかり合い。
195マロン名無しさん:03/05/17 13:50 ID:XjsW9aSD
アシュラマンが情けねえな ワラタよ。
196パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/17 13:55 ID:VvEaAoCg
夜王さんと区別する為に、ネーム欄を「パオ ○○の続き」とこれから表記します。
最近カゼがヒドくて、昨日書けずにすみません。サーズじゃないだろうな。
進行も遅いです。次回は準決勝を終わらせます。早く魔界編にいきたいな。トーナメント飽きた。
>>150様  あんまり下がると見付けられないんで。わがまますみません。
>>151、152、153、154、155、157、159様   ちょっとだけ期待してください。ちょっとだけね。
>>162、ふら〜り様  サイレントメビウスは読んだこと無いなあ。ブラックエンジェルスは誰か出るかも。
>>165様  仙豆を出してみた。DBはパワーバランスが更に狂うから出したくないけど・・。2日はミスだなあ。
>>166様  読んでますがもう一度読みます。後半すごかったな、この漫画。これファン多いから頑張らないと。
>>167様  やっちゃた。そうですね。失敗。   >>180様  感激っす。  >>182様  シュールでグッドっす。   
>>183、184様  雄山の相手は誰も予想できない相手。ちなみにジャンも出ます。
スペックさんは相変わらずシブいなあ。夜王さん3話期待してます。      だらだらすみません。では。
197マロン名無しさん:03/05/17 18:25 ID:???
アシュラ悲しすぎる・・
ベルダンディはもう出ないかなあ。
198マロン名無しさん:03/05/17 18:28 ID:???
>>196
>シュールでグッドっす。

や、どうもお恥ずかしい。
ところで、雄山ってパオさんのネタ出しだったんですね。名前が挙がっていたんで
なんとなく1本書いちゃったんですけど、アップしてもいいのか、なぁ。
199198:03/05/17 18:31 ID:???
×アップしてもいいのか、なぁ。
○アップしてもいいの、かなぁ。
本部以蔵といえば、全裸、日本刀、でらべっぴんのおなじみ三点セット。
それが今日は、でらべっぴんが二冊。武器エロ本使用可とはいえ
ダブルは余りにも危険ということで、審判団が協議に入る。
対する雄山。空腹に耐えかね、味の素をビンから口に流し込んでいる。
おい食通、うまいかそれ?
美食も過ぎれば毒となる。この世のあらゆる珍味を喰らい尽くした雄山は
口に入るものなら何でも食べないと収まりのつかない体となっていた。
ジャンクフードはもとより、ゴキブリ、五寸釘、古新聞古雑誌。TV番組のオファーも
びっくり人間型のバラエティばかり。食材求めて新宿のゴミ箱を漁る日々。
そんな雄山を、本部は何度か見かけている。自分のテリトリーにもかかわらず
ホームレスの先輩として心中エールを送っていた。あの年齢では冬もつらかろう。
いつでも相談に乗ってやる。頑張れジジイ。しかしその正体はグルメのお金持ち。
本部の怒りに火がついた。だったら普通のメシを食え、クソジジイ!
加えて先日の強制退去騒ぎで、機動隊にうっかり生卵を投げつけてしまった。
一週間分の食料を失った哀しみと相まって、本部の殺意は極限までヒートした。

この程度の露出なら問題なし。でらべっぴんにもokが出た。祭りの始まりだ。
試合開始のゴングが鳴り響く。その重低音に空腹をやられて、本部が最初のダウン。
一気呵成に雄山の肥満体が詰め寄るが、持病の糖尿が悲鳴をあげて、これもダウン。
お互い触れることなくダウンの応酬という人智を超えた展開に、観客も固唾を呑んで
戦局を見つめる。
先に立ち上がった本部が、勝負に出た!刀を横ぐわえにして両手にでらべっぴん。
バサバサ羽ばたき、怪鳥のごとく雄山に襲いかかる!

雄山は夢を見ていた。夢の中の雄山はフラフープだった。でらべっぴんのモデルが
それを腰に当て、グルグル回している。目が回る。気持ちが悪い。いかん、出る!
雄山、吐瀉!体内に溜め込んだ悪食の全てを正面から食らった本部、そのまま
会場の屋根を突き破り、故郷のダンボールハウスへと飛んでいった。
毒を吐き出し、己を取り戻した雄山。その目は美食家の威厳に満ちている。
海原雄山の新たな人生が、今始まった。ゆけ、雄山!たたかえ、雄山!

海原雄山○−●本部以蔵 決まり手:雄山ゲロボンバー
201えなりスレ住人:03/05/17 19:53 ID:???
>>200
面白い。ただバキ対星矢のデムパっぷりがもっとほしい。
>>パオ氏
かなり先の展開まで考えてるんですね。
ネタバレは少な目にしてほしいと思ったりもしますが、
逆にえなりスレではネタバレがほとんどないというか
展開をあまり決めずにリレーして矛盾が出たりしているので
これもアリですかね。
202マロン名無しさん:03/05/17 20:12 ID:???
>>201
や、どもです。
この手のネタ文は意識しすぎると絶対カラ回りするんで
パワー不足だったらゴメンチャイ、という他ないんであります。
203マロン名無しさん:03/05/17 20:49 ID:r7WbSBkt
>>601
マツシンとそんなに共有点を持っている人ってそんなにたくさんいるのだろうか?
204パオ 194の続き:03/05/17 21:21 ID:xeeQGn7J
達人・渋川剛気曰く。力の流れが見える。肉の流れ・技の流れ・気の流れ。・・そして意識の流れ。
殺気や怒気等の激しい感情。恐れや迷いの様な負の感情。全てが「力」「エネルギー」の流れとなって見える。
「流れ」を見る事が出来れば、全ての攻撃をかわす事が出来る。例えば愚地 克巳のマッハ突きですら。
渋川は捌く事が出来るであろう。いくら音速のスピードとはいえ、打撃の間際には「打つ」という意識が働く。
その殺気。その流れ。それを渋川は「見」る。それを渋川はかわす。拳が来るのはその後だ。例え音速でも。
そして殺気の後、辿り着いた拳を捌く。投げ付ける。 ・・もし渋川と克巳が闘えばこういう展開になるだろう。
・・その絶技。あの高槻 巌の自然な動き、そして朧の気功の境地と通ずる。ゆえに達人と呼ばれるのだ。
力押しではこの老人、まず倒せない。そう。あの神域の男・赤木しげるの様な「無」の境地にでも立たない限り。

「ダメ・・だわさ・・」   ビスケが静かに首を振る。目の前の情景、準決勝第2試合の展開を見て、である。
静かにたたずむ小さな老人の前に、血ヘドを吐いて倒れる屈強な大男。老人のダメージはゼロ。対して大男。
何度も地面へ投げられ、叩き付けられ、押し潰されている。 ・・老人の名は達人・渋川剛気。大男は影慶である。
必死で立ち上がる影慶。毒手を前面に出し、殺気の塊の様な構えを取る。ダメージは受けていても目は死んでいない。
対して渋川。ごく自然体。まっすぐに立ち、静かに開手を上下に並べまっすぐ胸の前に出す。林の様に静かな構え。
対照的。渋川の構えは自然体ではあるが、脳天から肛門に掛けての正中線に、針金の様な強靭な「気」を通している。
解説のビスケが嘆息する。  「見事、だわさ。一部のスキも無い・・」    一見ただの棒立ちに過ぎぬ構え。
だがその構えに、どれだけの武の深奥が詰まっているか。影慶も確かに達人である。が、あくまで体術のみである。
「流れ」を見るまでの境地には至っていない。 ・・渋川は目の前の殺気に満ちた影慶を見て思う。
(ホッホッホ・・。そんな殺気では、ワシに技を避けて下さいと言っとる様なもんじゃ。どうやら、試合前に見た
 あの門は杞憂じゃったのう・・)
205マロン名無しさん:03/05/17 21:40 ID:???
覚悟完了!!な人は無理でしょうか?
206パオ 204の続き:03/05/17 22:01 ID:xeeQGn7J
影慶。毒手だけで無く、その足も開放する。観客は叫ぶ。  「見ろよ影慶のヤツ、足も毒に染めてやがるッ」
渋川は内心笑う。  (ほっほっほ。無駄じゃ無駄じゃ。お主は動きは速いが、毒手に頼りすぎ動きが単純じゃ)
右手の毒手と左足の毒足。男塾応援団は大騒ぎだ。  「影慶先輩、人が悪いですぜッ、とっておきを隠すなんて」
富樫と虎丸が気勢を上げる。しかし剣 桃太郎と伊達 臣人は厳しい表情のまま。 ・・影慶が仕掛ける。

毒足のローキック。だがこれを渋川はヒザをつかみ止める。影慶は左の手刀で渋川の側頭部を狙う。笑って避ける渋川。
しかしこれはフェイントである。本命は腹への手刀突き。毒手の、である。 ・・だが渋川。そのフェイントですら。
「ぬるいのう、若いのッ」  そう叫ぶと毒手を避け、右ヒジをねじり上げる。ツボ。ヒジの点穴を刺激される影慶。
一瞬電流が走り動きが止まる。   「ほりゃあッッ」  ヒジを極めつつ太ももをすくい、空中へ影慶を放り投げる。
影慶も空中で反撃する。左拳で渋川のコメカミを狙う。その刹那。渋川と視線が合う。ニッ、と笑う渋川。戦慄の影慶。
その左拳を思い切り、後ろに飛んで避ける渋川。一瞬影慶の肉体。空中に投げ出され、なんの支えも無く舞った状態。
今度は渋川。前に思い切り踏み込む。 ・・そして影慶の顔面をつかみ、思い切り下へ叩き付ける。わずか1秒の攻防。
・・結果は渋川の圧勝。満面の笑顔で影慶に尋ねる。   「あれだけ頭打てば、景色ドロドロかの、影慶ちゃん?」
天を見上げる影慶。ライトがグルグル回る。視点がおぼつか無い。上から見下ろす渋川の顔がグチャグチャに見える。
「ほれ、これで仕舞いじゃッ」  ・・何かが俺の顔に降って来る。一瞬そう思う影慶。 ・・バカな、人間の足ッ?
本能的に転がりそれをかわす影慶。しかしまだ視界は完全でない。顔面を必死でガードし、立ち上がる影慶。だが。
渋川の蹴りが金的を襲う。よろけながらも避わす影慶。だが。脊髄に鈍い痛みが走る。 ・・渋川の中指一本拳である。
必死で距離を取る影慶に渋川は言う。   「ほっほっほ。仏さんにでも祈りたくなったじゃろう、影慶ちゃん?」
だが影慶。この期に及んで不敵に笑う。  「この影慶、神仏には最も縁遠い男・・祈りは自分の為にするがいい・・」  
207パオ 206の続き:03/05/17 22:47 ID:xeeQGn7J
「ほっほっほ。若いとはええのう。じゃが、その殺気ではワシに攻撃は当たらんよ・・」  笑う渋川。
確かに。渋川は影慶の技を見、攻撃を避けているのではない。その放たれる殺気。技より先に襲う闘気。
それを見ているのだ。どんな速い攻撃も、技はその後に来る。殺気を見れば技は予測出来る。ゆえに達人。
ゆえに絶対防御である。 ・・殺気の塊の影慶の様なタイプは、渋川にとって一番オイシイ相手なのだ。
しかし影慶の闘志は衰えない。   「ならばこの技はどうだッ、氣慄流 穿凶毒手拳・・幻睨界!!」
影慶の手刀が怪しく回る。   「・・ほう」   渋川の表情が厳しくなる。その手刀の動き。
グルグルと渦を巻き、しかも手刀が無数に見える。   (ほう・・このワシに催眠術を仕掛けるか・・)
「詰まらん技じゃ。沢山見えても、本物の手刀は1つじゃ・・」  「そうだ。だがそれを見切れるか・・」
静かに目を閉じる渋川。   「余計な拳が沢山見えるなら・・まだ一つも見えん方がマシじゃからのう」
「今じゃッ影慶先輩、そのジジイを毒手で仕留めるんじゃッ!!」  叫ぶ虎丸。しかしビスケは首を振る。
影慶の毒手が渋川を襲う。渋川。カッと目を見開き前へ出る。毒手をかわし、影慶の胸へ掌を合わせる。
放物線を描き、吹き飛ぶ影慶。その距離、約10メートル。   「凄いパワーじゃ。独歩の時より飛んだわ」
208パオ 207の続き:03/05/17 22:47 ID:xeeQGn7J
観客席にまで飛び込んだ影慶。アバラを押さえる。   (3本ほど・・折れたか・・)  立ち上がる影慶。
フラフラと闘技場へ歩いていく。目から闘志は失われていない。だが満身創痍。その様子に勝利を確信する渋川。
富樫は叫ぶ。  「そうじゃ、殺気を消すんじゃッ、あのジジイは殺気を察知してカウンターするんじゃ!!」
しかし渋川の前に辿り着いた影慶。再び殺気立つ。   「何故じゃッ影慶先輩、それじゃ負けちまうぞ!!」
殺気に満ちた影慶。視線を渋川に向けながら、富樫に背中越しに言う。  「富樫、貴様は男塾塾生失格だ・・」
「な、何を言う、影慶先輩ッ」 「男塾は狂気と殺気を極める場所だ・・それを捨てて勝てても、勝利じゃねえッ」
シンとする場内。だが渋川。内心その言葉を聞き、ほくそ笑む。もうワシに負けは無い。その殺気のある限り・・。
しかし。渋川の前に。   (な、なんじゃと、試合中に・・。しかも試合前よりも大きく、禍々しい・・)
渋川の目の前。【危険への門】がそそり立つ。 ・・まるで、影慶がその門を呼んだかの様に。 
209パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/17 23:01 ID:xeeQGn7J
準決勝終わんなかった。ごめんなさい。終わらない終わらない・・。ズルズルいくよこのネタ文は。
ところで、「だったらイケるぜ」というサイトが面白いです。管理人さんのまじめさ、サイトの暖かさ、
そしてネタ文の面白さ。文字通りイケてます。お奨めっす。その内そっちでもネタ書きます。

>>195様、197様  アシュラは復活するかなあ。実は決めてないです。ベルは出ないかなあ。実は強過ぎるから。
>>198様  200のネタ面白いですよ。でも訂正はしなくとも(笑)訂正も合ってるか微妙。点は要らないと思う。
>>201様  ちょくちょく聞きますがえなりスレって何ですか? 知らない・・。
>>205様  覚悟は言い回しがね。独自の世界観だから、あの人の漫画。お経の様な。でも出したい気持ちはあります。
210マロン名無しさん:03/05/17 23:25 ID:???
覚悟や散を出すと、2人だけでストーリーを破綻させないパワーを持ってるからなあ、
もし出すとしたら、ボルトとか、血髑髏とか、あの辺がいいと思う、個人的には。
あるいは、1話に出て来た雑魚とかな。
「愛してるわ、愛してるわ、チェリ〜〜〜ッッ!!」
211マロン名無しさん:03/05/17 23:26 ID:???
>破綻させない

破綻させかねない、の間違い。
212bloom:03/05/17 23:27 ID:gzZK6CI7
213aaaa:03/05/17 23:29 ID:QKTOKThW
このゲームどうでしょう?
http://www5b.biglobe.ne.jp/~ryo-kyo/yumesuzuna.html
214マロン名無しさん:03/05/17 23:37 ID:???
血髑髏「思い付いたぜ、陸奥九十九のブッ殺しかた!!」
215マロン名無しさん:03/05/17 23:41 ID:???
>>209
>訂正も合ってるか微妙。点は要らないと思う。
いや、あれはつけるべくしてつけた読点です。そーいうニュアンスで
読んでいただきたい、であります。

それにしても、やっぱ長編は読み応えがありますな。
飽きっぽい私には到底できない芸当であります。
216マロン名無しさん:03/05/17 23:49 ID:???
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1050213697/l50
【リレー小説】えなりの奇妙な冒険〜冨樫の遺産編
少年漫画板のリレー小説スレ。
これはえなり2世の数奇な運命を追った奇妙な冒険である 。
主人公:えなり2世
悪役:矢吹健太郎
その他出演者:ほとんど漫画家
ノリはこのスレよりややギャグよりか?
パオ氏もお暇なら名無しで寄稿して欲しい。
ただだいぶ話が込み合ってきたけど
217マロン名無しさん:03/05/18 00:16 ID:???
リレー小説よりリレー漫画にしようぜ!?
218スペック(その35):03/05/18 02:05 ID:???
>>190
ほんの数十分前まではホットスプリングスでも飛びぬけた調度と面積をほこるこの店も、今や見る影
もなく荒れ果てていた。

銃弾を受け一面痘痕面になった、あるいは何か強い衝撃を受けたのか中ほどから真二つにされて、
そこかしこになぎ倒されているテーブルやスツール、そしてソファ。
流れ弾を浴びて撃ち落されたと思しい、20年代の照明設備だったもの。
床には、大小さまざまな空薬莢やグラスの破片、かつてはボトルであったと思しき色付きの
ガラス片や割れ砕けた食器が、豆をばら撒いたかのように一面に転がっている。
そうした全てを彩るのは、外から入り込む淡く頼りない光と、夥しい鮮血、そして人体の一部。

台風と地震と戦争が一時に通過したかのごとき惨状を呈していた店内の中央に、"それ"はあった。

"それ"に気づいたジャックは、最初何がそこにあるのかわからなかった。
かつて大テーブルが置かれていたはずのそこに、何か奇妙な塚が出来ていた。
30年代にフランスで名のある職人が精魂を傾けて作り上げたシンプルながらも贅沢なつくりの
大テーブルは、その長方形の天板をジャックに向け、倒されていた。

そしてそのテーブルを取り巻くように忽然と生じた塚―それは、積み上げられた死体の山だった。
219スペック(その36):03/05/18 02:06 ID:???
>>218
黒服の店員、一騎当千の用心棒合わせて30人。そしてエドワード・フィルス。
店を守るという義務感、仲間を殺害されたことによる闇雲な怒り、あるいは混じり気なき恐怖に
駆られて、ここで闘った全ての男、その死体が店内フロアの中央に無造作に積み上げられていた。
今は生命を失ってしまった人体の集積に、大テーブルが巨大な卒塔婆のように突き立てられていた。

そして、その死体塚の頂上に、ジャックの"敵"が腰をおろして、ジャックに拍手を送っている。
大テーブルの天板を背もたれ代わりにし、恐怖や憤怒や驚愕に固まったまま白くなっている
男達の顔を無遠慮に下敷き、脚を組んで悠然とジャックを見下ろし、ゆっくりと手を叩いている。

ぱん。ぱん。ぱん。ぱん。ぱん。ぱん。
拍手をやめたスペックは、地獄の底から聞こえるようなしわがれ声でジャックに語りかけた。
「ドアヲ撃チ飛バシテカラ入ルトハ、イイ判断ダ・・・・・」

な、なんだ、と・・・・・・?

その言葉は、眼前の光景、そのあまりにシュールなグロテスクさに半ば麻痺しかけていた
ジャックの心を一挙にかきたてた。
笑みをうかべたままのスペックは、値踏みするような視線でジャックをじろじろと見る。
「君ハモウ少シ楽シマセテクレソウダネ・・・・・?」

「悪いな、私は遊びに来たんじゃない」
ジャックは、奥歯をぎりっとかみ締め、スペック目掛けてBARをぶっ放した。
220スペック(その37):03/05/18 02:07 ID:???
>>219
薄暗がりの中、マズル・フラッシュが盛大に廃墟と化した店内の惨状をくっきりとライトアップし、
轟音が店内に存在する全てのものを激しくゆすぶり、5発に1発仕込まれた曳光弾が、光の矢の
ようにスペックへと襲い掛かる。
「セッカチナ男ダ・・・・・・」
笑みをさらに大きくしたスペックが、死体塚の上からふっと姿を消した。
狙いの外れた7.62ミリ弾が、空しく死体の頭部を砕き、胴体を寸断し、手足を吹き飛ばし、スペックが
背もたれ代わりにしていた大テーブルの天板に大穴を穿つ。

ごとん。

己の攻撃をかわされたジャックの耳に、発砲の轟音に混じって、死体塚の麓から何か落下する音が
飛び込んできた。腰だめに構えたBARを撃ちつづけながら、ジャックはすばやく音のした方を向き、
そこに7.62ミリ弾を叩き込む。

ぶぅぅぅ・・・・・・ん

音のした方から、何か青白く細長い物体が飛んできた。
ジャックは発砲しながら左に飛び、物体はジャックの頬を掠めて後ろに落ちる。
小刻みに位置を変えつつ、スペックが潜んでいると思しき場所に弾丸を送り込みつづけていた
ジャックは、ほんの一瞬その物体に目を向けた。
221スペック(その38):03/05/18 02:08 ID:???
>>220
腕。常軌を逸したサイズの、人間の腕。肩から先を、信じがたいほどの力で引きちぎられた腕。
そしてその腕には、蝶の刺青。

「・・・・・・・・・!!」

その腕が誰の腕で、何のために引きちぎられたかを、神経線維が伝達しうる限界一杯の速度で
理解したジャックは、思わず引き金を引くことも忘れ、その腕だったものに視線を固縛されてしまった。

「ハハ、ハハ、ハハハハハハハハハハハハハァ!」
一瞬固まるジャック。それを見計らったかのような絶妙のタイミングで、暗がりの片隅から毒々しい
哄笑がジャック目掛けて叩きつけられた。
「ヨケテルンジャネエヨ用心棒、オ前ノボスノ腕ナンダゼェェェェェェェェッッツ!!」
「や・・・野郎ォォォオオオ!」
憤怒に駆られたジャックが、BARを声のした方に向けた時だった。

え・・・・・・?

意外なほど近くに、びっくりするほどの至近距離に、スペックが立っていた。
「ドコヲ見テルンダ?用心棒」
短く言い捨てたスペックは、ニコニコ笑いながら、握った拳をジャック目掛けて叩きつけた。
222218-221:03/05/18 02:20 ID:???
皆様こんばんは。外伝担当でございます。
ようやくのことで、スペックを再登場させることが出来ました。
スペック外伝と銘打っておきながら、ここしばらく、ギャングの会話ばかりになってしまってた
ので、これからスペック一色で話を展開できたらなァ、と考えております。
それにしても、1対1の戦闘シーンというのはやはり難しいものですね。素手の戦いではないですが。
それなりに整合性をとるべく、何度も書き直しするはめになりました。こんなことをずっと続けている
パオさんはやはりすごいと思います。いや本当に。

>パオさん
SARS云々はさておき、雨がちで気温も低いですからね。御身お大事に・・・・・。
業務連絡ですが、「魔界編」の設定使用の件につきましてはかまいませんでしょうか。
>ふら〜りさん
挨拶が遅くなりましてすみません。いつもありがとうございます。
ところで、ふら〜りさんは「熱笑!花沢高校」スレッドに書き込みをしておられた方でしょうか?
>応援して頂いている名無しの皆様
いつもありがとうございます。私の駄文にお褒めを頂き、面映くはありますが、皆様の期待に
添えるよう精進してまいりたいと思っております。
223マロン名無しさん:03/05/18 03:44 ID:???
>>216
とりあえず読んできたけど、なんだありゃ(笑)
あまりにも大河すぎて話が追いきれねえ。
読むのに3日はかかりそうだ。
224マロン名無しさん:03/05/18 05:24 ID:???


「それじゃあ試合開始という事で・・・解散しますか。」


その後、再び彼らが出会うことはなかった。
                      バキ 完
225パオ 208の続き:03/05/18 10:21 ID:NDn2naJs
狂った様に攻撃を続ける影慶。毒手、毒足、蹴り、突き、ヒジ、ヒザ・・。肉体のあらゆる部位を使い、
嵐の様に渋川を攻撃する。しかし一発も当たらない。全ての攻撃は避けられ、空かされ、見切られている。
「やっぱり駄目だ・・。影慶先輩の攻撃はカスリもしねえ・・」   失意の富樫。しかし、桃と伊達は。
「勝てるかも知れんな」 「ウム」  桃の言葉に伊達が同意する。 ・・先程までと明らかに違う事がある。
ビスケ。  (返せない、わさ・・。さっきまでと違い、渋川は影慶の攻撃を、避けているだけだわさ・・)
・・ぬうう。渋川は軽やかに全ての攻撃を避わしつつも、内心は焦っている。技の逆を取れない。技を返せない。
影慶の攻撃。確かに嵐のであるが、スピードが上がっている訳では無い。矢継ぎ早の攻撃ではある。だがむしろ、
肉体のダメージと疲労により、技のキレ自体は鈍っている。相変わらず殺気は鬼神の様である。 ・・つまり。
渋川の合気柔術にとって、絶好のカモであるはずである。 ・・だが返せない。   (なぜ、じゃ・・?)
渋川の疑問は大きくなる。 ・・次第に。ほんの少しずつ、影慶の攻撃がかすり始める。衣服の上からであるが、
確実に渋川を捕え始めている。 ・・なぜじゃ・・  なぜこんな単調で、殺気だらけの不細工な攻撃で・・。
影慶の攻撃の狭間、影慶と目が一瞬合う。 ・・影慶のその目。  (成る程のう、そういう事か・・)
影慶は自分を省みていない。 ・・男塾の代表として、例え刺し違えても貴様を倒す・・  その目はそう語る。
・・ついに。影慶の左コブシが。渋川のアゴ下に滑り込む。スウェーで避わそうとする渋川。 ・・しかし。
(な、なんじゃと、か、体が動かんッ!!)  次の瞬間、強烈な影慶のアッパーカットで宙を舞う渋川。
宙を舞いながら悟る渋川。   (そうか・・技返せなんだのは・・ワシの動きが鈍ったからか・・恐怖により・・)
226パオ 225の続き:03/05/18 10:52 ID:NDn2naJs
対極的な両者。片や絶対防御の「合気」により、自分を危険の圏外に置き、敵の殺気を利用する渋川。
片や闇の暗殺術を使い、殺気を武器とし、禁断の毒手により敵の息の根を止める影慶。 
・・相性でいえば影慶にとって渋川は最悪である。自分の武器である殺気を、逆に利用されるからだ。
しかし目の前の情景。影慶のアッパーにより渋川は吹き飛んでいる。   (きちがい集団め・・)
口に出せない禁句が頭に浮かぶ渋川。空中で猫の様に回転し、最小限のダメージで地上に着地する。
「貴様はもう勝てぬ・・。技でどれだけ上回ろうとも、無傷の勝利を望む者に男塾塾生は倒せん・・」
・・そうか。渋川は確信する。覚悟の差。自分は闘技場に立ちつつも、どこか「安全」を求めていた。
いや、それは間違いではない。合気とはそういう技だからである。 ・・しかしこの影慶、いや男塾は。
命懸けどころか・・。命そのものをぶつけて来ている。命知らず。いわば死人と闘っている様なものだ。
渋川の肉体を恐怖が支配する。 ・・毒手を口に近づける影慶。次の瞬間、なんと小指を噛み千切る。
プンッ!! 渋川に発射される異物。影慶の口から何物かが。  (ゆ・・指? 毒手の指かッ!!)
・・か、体が・・動かない? 恐怖に一瞬止まる渋川の肉体。目の前に毒指が迫る。  「クウウッッ」
必死で呪縛を解き、それを避ける渋川。   「渋川・・。まだ指は4本ある。全て避けきれるかな?」
影慶は殺気に満ちて恐ろしい言葉を吐く。 ・・いらぬというのか、勝利のためならその右腕も・・。
渋川は思い出す。2回戦のニコ・ロビン 対 羅刹戦。 ・・羅刹も勝利のため腕を捨てた。そして影慶も。
捨て身。だがその異常な行為すら、男塾塾生にとっては自然な事なのか。それほど重いのか、男塾の看板は。
(うらやましいのう。若さとは・・。もうワシの時代では・・。無い様じゃ・・)  涼やかに笑う渋川。
影慶は薬指を噛み切ろうとしている。・・だがその瞬間。渋川は優しく影慶に言う。
「それ以上指が無ければ決勝戦、大変じゃろう・・。達人と呼ばれた男の首じゃ、お主にくれてやるわッ」
・・そう言うと渋川。ゆっくり大きく両手を広げた。
227パオ 226の続き:03/05/18 11:13 ID:NDn2naJs
罠か・・? 一瞬そう思う影慶。 ・・しかし渋川。両手を広げながら影慶に言う。  
「もう年寄りが出張る時代じゃないわ・・。決勝は若者同士がふさわしい。さあ、やれッ」
その目に真実を見た影慶。一瞬うなずくと、天高く右腕の毒手を振りかぶる。
「アンタの事は一生忘れん・・。渋川 剛気、さすが達人と呼ばれる見事な男よッ!!」
シュンッ。うなる毒手。 ・・渋川の肩から袈裟斬り。  (これでええ。これでの・・)
ゆっくり目を瞑る渋川。見事な年寄りから、見事な若者へのバトンタッチ。受け継がれる意志。
(渋川翁・・。必ず決勝は俺が勝つ)  誓う影慶。 ・・足元に倒れこむ渋川。審判が叫ぶ。
「勝負ありッッ!!」   ・・爆発する場内。富樫と虎丸が抱き合って喜んでいる。
伊達 臣人が珍しく人を褒める。   「敵ながら見事な男よ 達人・渋川 剛気・・」 
剣 桃太郎が応える。   「ああ 時代の違いはあれ 真の男の生き様に変わりは無い・・」
ビスケが大きく叫ぶ。  「無限大トーナメント決勝戦はッ 陸奥 九十九 対 影慶だわさッ!!」
・・その時。会場内にある2人の男女がやって来た。 ・・地下闘技場チャンピオンとその恋人。
範馬 刃牙と松本 梢江である。 ・・そして更にもう一人。あの魔界のセールスマン。喪黒 福蔵も。   
228パオ 227の続き:03/05/18 11:34 ID:NDn2naJs
決勝までのインターバルの間。ビスケは徳川 光成の特別室を尋ねに行こうとしていた。
(陸奥も・・影慶も。闘える肉体じゃないわさ・・)  決勝戦の中止。その進言に。
光成専用特別室の前。ここは江田島ですら無断で入る事の許されぬ、プライベートルーム。
ドアノブに手を掛けようとするビスケ。 ・・その時。部屋の中から知らない女(?)の声。
「あはッ」「やッだ〜」 ・・若い。誰? 光成の愛人か? 不信に思いつつもノックするビスケ。
・・一瞬間があった後。光成の声。  「だ、誰だ」   「ビスケだわさ。お邪魔するわさ」
特別室へ入るビスケ。 ・・誰もいない。光成一人。  「今、他に誰かいなかったわさ?」
問い掛けるビスケに、やや戸惑いながら応える光成。  「ワ、ワシ一人じゃ。女なぞおらん」
「・・女とは言ってないわさ」  ・・一瞬の静寂。  「そ、それでなんの用じゃ、ビスケ?」
ビスケは不信に思いつつも、決勝中止を進言する。しかし光成。一笑に付し、即座に却下する。
「当の陸奥や影慶が、それを受け入れると思うか?」  ・・光成のその言葉に何も言えなくなる。
「わかった、わさ。でもこの大会、今まで死人が出てもおかしくなかったわさ。何がこの大会に
 隠されているわさ? 今考えれば勇次郎の乱入や、世界一のスナイパーの用意もおかしいわさ・・」
光成はクスクス笑い何も応えない。・・ビスケ。何も話さないと判断したのか、退室しようとする。
ドアを開けた間際。ビスケは光成に聞く。   「光成・・。アンタ本当に光成・・?」 
視線の合う光成とビスケ。光成は無邪気に笑う。   「あはッ。やッだ〜ビスケ。当たり前でしょ」
いつもの光成のダミ声。だがその声がやけに色っぽかったのは、ビスケの考え過ぎであろうか。

・・そしていよいよ決勝戦。陸奥 九十九 対 影慶戦、開始。両者入場である。
229パオ 228の続き:03/05/18 11:50 ID:NDn2naJs
「朱雀の方角から陸奥 九十九、そして玄武の方角から男塾・影慶、同時に入場だわさッ〜」
・・いよいよ決勝戦。場内は興奮のピークである。九十九はいつも通り視線をまっすぐ。
顔に「意志」を浮かべ歩を進める。 ・・闘いの前の修羅。その姿は以外に静かである。
そして影慶。殺気が試合前から異常である。しかし。背中に羽織っている奇妙な布。
「お、おい、影慶のヤツ、男塾塾旗を背負ってやがるぜッ!!」   決意の、誓いの旗。
男塾の代表として、文字通り男塾を背負って登場する影慶。男塾名物「大鐘音」が響き渡る。
熱狂の場内。 ・・しかしその様子を寂しげに見つめる男。特に陸奥 九十九を睨んでいる。
・・ちくしょう。ここのチャンピオンは俺なのに。本当は決勝は俺が立っているのに・・。
・・嫉妬を感じる。その者の名は範馬 刃牙。悔しげな顔のバキを松本 梢江が心配そうに見る。
そのバキの前に。不吉な福笑いを浮かべながら。 ・・喪黒 福蔵、登場。喪黒はバキへ言う。
「ホ〜ッホッホッホ。アナタ・・あの陸奥 九十九に、嫉妬されてますね・・」
「だ、誰だてめえはッ」  ・・喪黒に怒鳴るバキ。心を見透かされたからである。喪黒は笑う。
「申し遅れました。私は魔界のセールスマン・・。アナタの心のスキマをお埋めいたします・・」
そしてバキの目の前に。喪黒の人差し指が。 ・・バキの心の闇が広がっていく。
230パオ 229の続き:03/05/18 12:11 ID:NDn2naJs
「アナタは。あの陸奥 九十九に・・嫉妬とライバル心と劣等感を持っていますね・・。
 いえ隠さなくてもいいんです。私たちの仲間になれば、全て解決致します・・」
バキはその言葉に逆らえない。 ・・そうだ。陸奥。アイツさえいなければ、俺が・・。
目の前がグルグルと回る。一瞬、会場で九十九に必死で声援を送る、可憐な少女の姿が。
バキの目に飛び込んでくる。 ・・龍造寺 舞子。九十九を慕う美少女である。可愛い。
・・ちくしょう。俺は不気味な生命体相手なのに、アイツはあんな可愛い子と・・。
やりまくってやがるのか・・。 ・・喪黒が大きく叫ぶ。   「ドーーーーン!!」
一瞬の静寂。 ・・その後。梢江がバキの腕をつかむ。    「バキ君、どうしたのッ」
隣の梢江と、観客席の舞子を見比べるバキ。 ・・家ダニとブリトニー・スピアーズ以上の差。
・・プツン。何かが切れる。ブンッ。うなる拳。インパクトの瞬間、全身の関節を固定させる。
バキの必殺技、剛体術。豪快に梢江に炸裂。しかも顔面。めりこむコブシ。スカッとするバキ。
「テメエ、サカった犬みてえにアタシの体をむさぼったくせに・・。殺してやるからなぁッ!!」
・・そう言い残して気絶する梢江。喪黒は笑って陸奥を祝福する。 ・・魔界の幹部、誕生である。
「ホ〜ッホッホッホ。では魔界へ参りましょうか。偉大なお方がアナタをお待ちです・・」
・・そして喪黒 福蔵と範馬 刃牙。深い闇へと消える。

・・いよいよ。無限大トーナメント最終戦。決勝。審判が叫ぶ。    「始めいッッ!!!!」
231パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/18 12:21 ID:NDn2naJs
とりあえず来週は、書き込む回数が減ると思うので、頑張って決勝まで進めてみました。
疲れた。一日4レスがベストかなあ。週に5日書くとして。それ以上は疲れ過ぎ。
>>210様 まあ、元々破綻しているネタなんですが・・。魔界編は更にヒドいよ。バランス。
>>215様 ありがとうございます。新作期待しております。 
>>216様 ああ、このスレですね。しかしパート6かあ。凄いなあ。全部は読めないっす。時間的に。
>>外伝担当者様  どうしても「スペックさん」と書きそうになっちゃう(笑)
         設定についてはどうぞ。いつも楽しみにさせて頂いてますし。 
232マロン名無しさん:03/05/18 12:41 ID:???
オイオイ・・・・顔面直撃なのに捨て台詞吐く余裕があるのか・・・・

欲を言えば家ダニよりもタコとかの方が良かったかも、
いや、でも面白カタヨ。
233マロン名無しさん:03/05/18 15:04 ID:???
柳やアシュラに続いてバキまでヘタレる予感w
234マロン名無しさん:03/05/18 16:59 ID:???
>>232
「最強」のオーガ
「最解説」の本部
「最愛」の蛸江

こいつらは普通じゃないから。
235ふら〜り:03/05/18 20:00 ID:???
>パオさん
ベルダンディーとは……「勝負の行方が読めない」なんてのを
遥かに超越して、「何が起こるか誰が出てくるか解らない」
ですね〜ほんとに。それにしてもアシュラ惨め。「第三勢力」って、
あのアシュラの下に誰がつくのか? 一応王子様だったのに……。
で。もしSF方面もOKなら、「企業戦士YAMAZAKI」なんか
来ると面白いかなぁ、とか。名刺スラッシュ!

>外伝担当さん
毎度のことながら、緊張感がピリピリ伝わってきます。私、
小説とか読むときは頭の中でかなり明確にアニメ化してるん
ですけど、外伝担当さんのはオリジナルのBGMまで出て
きます。怖〜い雰囲気の。

>>182
赤カブト、可愛い……そして独歩、ボケ過ぎ。

>>180
>例えるならパオさんのは豪勢な中華の満貫全席。
>スペックさんのはおしゃれなフランス料理のフルコース。
>そして夜王さんのは奥深い懐石料理って感じです。
>ファンとしては色々と楽しめて嬉しいな。
ですね♪
236マロン名無しさん:03/05/18 21:45 ID:???
ありゃりゃ、夜王さん来ないなあ。続き楽しみなのに。深夜かな?
パオ氏・外電担当氏お二人とも絶好調ですね。期待しておりやす。
237ふら〜り:03/05/18 22:52 ID:???
>>235は、なぜか>>203までだけ読んだ状態の書き込みでした。
というわけで>>222の外伝担当さん、それは私です。他にも
特板などにおりますので、どこかで見かけましたらよろしく♪ 
前にも言いましたが、私はあの五人ではスペックが一番
好き(怖い)です。なので、本当に楽しませて頂いてますよっ。

>パオさん
時々出てくる「容赦ないっ」が出ましたね。ヒロイン比較で。
個人的には舞子も、それほど好きではありませんが……比べる
相手がアレでは。まあ、そうなりますよね。うん。
238第3話 虎と竜(3):03/05/19 00:26 ID:???
(な・・何や? 今、何をしたんや、こいつ・・・まるで何も見えんかった・・)
混乱する千堂を尻目に、柳岡を虫でも潰すように始末した、その男は悠々と歩み寄ってくる。
近付くにつれ、眼光以外判然としなかった表情があらわになった。
美形、と称してもいい、一見すると女性と見紛うばかりに端正な容姿である。赤茶けた髪を、短くまとめている。
男の顔に、ふいに変化が生じた。唇の片端をごくわずか吊り上げ、千堂の表情を覗きこむような貌をつくる。
その表情を見た瞬間、千堂の中で小さな金属音がした。それは、千堂の野生を抑制していたネジが外れた音だったか。
千堂の目が獲物を喰い殺さんとする、虎の目に変わった。と一一、男めがけ、手に持っていたスポーツバックを投げつける。
一直線に顔面に向かって飛んできたバックを、男はゴミでも払うように片手で弾く。
その刹那、真下から、男の頭部に向かって、もの凄い迅さで何かが跳ね上がってきた。
右足の甲。ハイキック。投げたバックを囮に、瞬時に間合いを詰めた千堂が、男の側頭部にハイキックを放ったのだ。
我流ではあるが、迅さ、体重の乗せ方、どれも申し分のない蹴りだ。千堂をただのボクサーだと思っていた者には、全く予想外の攻撃であろう。
だが、男は微塵も動じた素振りを見せず、ひょいとスウェーバックして、千堂の奇襲を躱す。
男の視界には、まだ浮き上がったままの千堂の右足がある。・・妙だった。宙に浮いているのは、右足のくるぶしより下の部位だけ・・
そう、浮いていたのは、右の靴だけだったのだ。フェイントに次ぐ、フェイント。
男がコンマに満たぬ刹那に、その事に気付くのと、鼻先の大気が唸りをあげたのと、どちらが早かったか。
「むんッ!」
吼えるような気合いとともに、千堂の右フックが吹っ飛んできた。疾い。それはまさしく、虎の爪であった。
当る・・! 千堂は確信した。伏線に次ぐ、伏線。このシナリオは完璧に近い。
千堂の脳裏に、男の切れるような顔が、グシャグシャになっている映像が浮かぶ。
ゴッ・・!! 骨が肉にメリこむ、嫌な音が響いた。  





239第3話 虎と竜(4):03/05/19 01:09 ID:???
奇跡的に、人通りの途絶えた通りに、街灯に照らし出された、二匹の獣の影が浮かぶ。
その二つの影はひとつに重なりあい、奇妙な絵をアスファルトに描く。ふいに、影の片方が崩折れた。
「が・・は・・ッ!」
呻きとともに、大量の血を、男は吐いた。口から溢れ出る赤の中に、白い物が混じっている、歯だ。
男はよろめきながら、たたらを踏んで後ずさる。血を吐いた男は、しかし、千堂の方であった。
赤髪の男は、右拳を前方に突き出したままの体勢で、傷ひとつない顔に、切れるような笑みを浮かべている。
男が、完璧なタイミングで放たれた千堂の拳を、あっさりとカウンターに斬っておとしたのだ。
千堂のダメージは、深い。肉体面もさりながら、精神の傷がより深かった。
(・・アホな・・ワイのパンチを・・こないにあっさりと・・・しかも、また見えへんかった・・)
驚愕の千堂。その動揺を悟られぬよう、赤髪の男を壮絶な貌で睨めつける。すると、赤髪の男が、初めて口を開いた。
「しょせん、スポーツ。・・そう、思っていたが・・私が思うより、あるいはもっと優秀なウォリアーなのかな・・」
「はッ、なんや日本語喋れるんかい、ワレ。そないに誉められたら、照れるやないか」
そう言うと、千堂が血まみれの歯を剥き出し、殺気走った笑顔を浮かべた。今にも噛みつきそうな、虎の貌だ。
赤髪の男は、千堂の貌を見て、ヒュウ、と口笛を吹く。
「今夜は、就寝前の軽い運動だと思ってたのだがな。おそらくは叶わぬだろうが、一応私の望みを言っておこうか」
「ほう、何や、試しに言うてみい・・・聞くだけ、聞いてやるで」
「フフ、キミのような男にしか叶えられぬ願いさ・・・敗北を、知りたい・・・」
その言葉を置き去りに、赤髪の男は風となった。姿が、千堂の目前から、かき消える。
衝撃。 千堂の顔面が、血を巻き上げながら、後方にぶっ飛んでいた。
千堂の耳に、睦言のような男の呟きが聞こえる。
「我が名は、ヘクター・ドイル。 この名に、真の敗北を・・」

 
240夜王:03/05/19 01:20 ID:???
ども、夜王です。更新遅れて、すみません。しかも、全然3話終わらんかった・・
今日は予定外の外出の為、疲れました。中途半端ですが、今日はこれだけでお許しを。
続きは、なるべく早く書きます。
あと、御要望がありましたので、早速レスタイの部分を変更してみました。以後、この形でいきます。

>パオ氏
遂に、決勝! 偉大なるバカヤロウ2名、ファイナル!!
空前の祭典のトリを飾るにふさわしい熱戦、期待します。
それにしても、ヒロインは・・格からして舞子と蛸江じゃ、勝負にならないですねw
片や、健気でひたすら九十九を支えようとする舞子。
片や、読者にとっても、主人公が活躍するにあたっても、邪魔にしかなってない蛸江・・。

>外伝担当氏
ここから、どう物語が動くのか?希代の怪人、スペックの武勇伝はまだまだ終わりそうにない。
大変でしょうが、御自分のペースで頑張ってください。
241葉隠覚悟vs加藤清澄:うーん:03/05/19 12:09 ID:???
「お車でお越しの方は、闘技場横の駐車場をご利用下さい」
注意書き通りに車椅子を停めてきた加藤。酸素マスクに点滴、全身包帯の無惨な姿で
必死に会場まで這っていったが、点滴の針にゲートの金属探知器が反応。
警備員に取り囲まれ集団リンチ、意識不明。病院に担ぎ込まれていった。

深夜の病室。片隅に吊されたサンドバックの中で安らかな寝息を立てる加藤の背後に
音もなく忍び寄る影が一つ。葉隠覚悟だ。零は薬で眠らせてある。
自我を持つ強化外骨格・零。この零が合コンでつかまえた女を覚悟が強奪後
妊娠が発覚。産むと言ってきかない女。責任のなすり合いで、二人の仲はボロボロ。
ケンカの絶えない日々。腹いせに窓ガラスを叩き割る零、枕に顔を埋めて
泣きじゃくる覚悟。もういやだ、こんな生活耐えられない。
しかし、山に捨てても零は必ず自力で戻ってくる。「新しいご主人様だ」と言って
野生のゴリラを連れて帰ってきたこともある。
親父は腰が引けてるし兄の散はハードゲイだし、相談できる相手もいない。
そうだ。ケンカで勝てないなら、零を弱体化させればいい。
3000もの兵士の英霊をその身に宿す零。その中に現代の若者の軟弱な魂を混ぜてやれば
零も少しはヘタれてくれるだろう。
そこで加藤に目をつけた。試合は延期になったものの、対戦予定だった相手である。
敵情視察を重ねた上で、この男は掛け値なしの虫ケラだという結論に達した。
いたいけな老人との喧嘩に凶器を持ち出す。それでも歯が立たずボコボコにされる。
奇声を張り上げるしか能がない。なにがキャオラだバカヤロウ。
腹は決まった。覚悟完了である。加藤の魂、いただきます!押忍!

オペが始まった。兵器開発のノウハウなどある筈もないので、とりあえず
手作りチョコのレシピを参照することにした。まずは零と加藤を湯せんで溶かして
混ぜ合わせる。グラグラに沸かした熱湯に二人を投げ込もうとしたまさにその時
病室のドアが開いた。加藤のセコンド、烈海王だ。
「見舞いにきたぞ、加藤君」
フルーツ盛り合わせと女の生首を持参。それがなんと例の合コン女。認知問題も解決、
覚悟と零との友情も復活した!バンザイ!バンザイついでに加藤にトドメを刺した。

葉隠覚悟○−●加藤清澄 決まり手:友情パワー
242マロン名無しさん:03/05/19 19:04 ID:???
オモシロさはともかく
電波っぷりは過去最高
243マロン名無しさん:03/05/19 19:07 ID:???
いや、個人的にはすげー好きなんですがw
また書いてください、押忍!
244マロン名無しさん:03/05/19 20:01 ID:???
>>241
俺、お前のこと段々好きになってきたよ
245マロン名無しさん:03/05/19 21:00 ID:???
>>241
正直、内容的には三本柱の方々に遠く及ばないかもしれない。
だけどおまえが好きだ。ほっと一息、駄菓子みたいな美味さがあって良い。 
246722:03/05/19 21:57 ID:???
こんにちは。まとめサイトの722です。
しばらく、ここのスレも見てなかったんですが、
久しぶりに見てみるとサイトが4000突破してたんで、
何となく記念カキコ。
>パオさん
色々職人さんが増えたみたいですね。
最初の独走っぷりから比べるとこのスレも華やかになりましたね。
知らない作品が多いのでパオさん第二段は見てませんけど、頑張って下さい。
247マロン名無しさん:03/05/19 22:22 ID:???
>>242>>243

まあ要するに
>この手のネタ文は意識しすぎると絶対カラ回りするんで
ということなんですね。
猪狩vs猪木、渋川vsガンダムなど、多くのネタをボツにして
きたんですが、>>241はどうすべきだったかなぁ。うーんうーん。
せめて、最後の2行を書き直したい。

>>244
バカだな、泣くなよ梢江。

>>245
うわお。
248マロン名無しさん:03/05/19 22:26 ID:???
>>247

ごめん。悪いんだけど
「渋川vsガンダム」
がメチャ読みたくなった。

没にした案をアゲロっていうのは無しなんだろうか。。。


   すいません。
     あげてください。
           おねがいします。
249ふら〜り:03/05/19 22:38 ID:???
>>夜王さん
外伝担当さんの「恐怖」に対して、夜王さんのは
「威厳」を感じます。でパオさんのと同じく、原作のセリフが
時々、ちらりと出てくる。お見事です♪

>>VSさん(仮)
う〜ん……「異次元」を感じます。>>245さんと同じく、
三本柱さんの間のインターバルといいますか。あ、
その、短編として見事というような意味で言って
いるのでして。面白いですよっ。

>>722さん
おめでとうございます! 
250マロン名無しさん:03/05/19 22:51 ID:???
>>248
案ではなくて、猪狩もガンダムも実際に書いた上で
ボツにしている訳です。なんでかって言うと、単純に
「つまんないから」なんですね。

だから、アップはご勘弁願いたい。大体こんな感じのお話です。

ガンダム、ビーチで水遊び→錆びる
アムロに見捨てられたガンダム→酒浸り
渋川の合気、ハロには通じず→酒浸り
アル中同士の戦い→間違ってソーラレイの発動ボタン押す→日本滅亡
251マロン名無しさん:03/05/19 22:59 ID:???
>>249
>その、短編として見事というような意味で言って
>いるのでして。面白いですよっ。
どもです。vsさんてのもちょっといいHNですが、犬のウンコに
いちいち名前などつけないように、私も名無しのままで行こうかと
思っちょります。
他の方の短編も読んでみたい。
252マロン名無しさん:03/05/19 23:32 ID:???
「ガンダム→酒浸り」で既に笑ってしまったんだが・・・・
253マロン名無しさん:03/05/20 02:19 ID:???
>>250
すいませんその四つだけで笑い死にそうです。
254マロン名無しさん:03/05/20 22:15 ID:QtjLI/GE
age
255番外編 その1:03/05/21 00:29 ID:5SBa4Lcr
 【地上最強の生物 対 地上最頂点生物】  範馬 勇次郎各界大物対決・番外編

範馬 勇次郎。「地上最強の生物」といわれる男が、地下闘技場の真ん中にて未知の敵を待っている。
「地上最規格外生物」江田島 平八との激戦。「地上最傲慢生物」海原 雄山との料理対決に勝利。
そして「宇宙最強実力者」と呼ばれるドラえもんを撃破し、最強の名を欲しいままにする勇次郎。
その勇次郎に、謎の男が挑戦状を叩き付けたのである。その男の正体はいまだ謎である。
だが、その男。 ・・「地上最頂点生物」と呼ばれる超大物らしい。真・百獣の王とも呼ばれる男。
・・勇次郎は苛立つ。何が「最頂点生物」だ。俺以外に頂点はいねえ。早く来い。殺してやる・・。
実況。 「解説席には超豪華解説、海原 雄山氏をお招きしております。海原さん、お願い致します」
雄山。 「貴様らブタや牛どもにも分かり易く解説してくれるわッ!! この私に感謝せい、愚民どもッ」
誰だこんな奴呼んだのは・・。実況は思わずそう口に出そうになるが、すんでの所で思い留まる。
今まで雄山に口答えした勇者の家は、何故か原因不明の不審火により全焼しているからである。
実況は雄山に問う。  「雄山さん、地上最頂点生物とは何者なのでしょうか?」  雄山。フッと笑う。
「貴様ら山猿風情には分からぬであろうが・・。この雄山はその正体、既に見破っておるわ、わっはっは。
 その男・・。この雄山を除けば、確かに地上の生物の中で、最頂点である事は間違い無い・・」
実況は驚いて聞く。  「お分かりなんですか、その男の正体がッ!! 誰なんですか、その男はッ?」
雄山は怒鳴る。  「慌てるなこのクズがッ!! 貴様ら愚民はカツオにマヨネーズでもかけておれ!!」
・・雄山の訳の分からぬド迫力に支配される場内。影の薄い勇次郎。その時。 ・・ついに、その男が。
観客は、白虎の入場口に姿を現したその男を見て騒ぐ。  「おい・・。あ、あの人はッ、まさか・・」
256番外編 その2:03/05/21 00:33 ID:5SBa4Lcr
 【地上最強の生物 対 地上最頂点生物 A】  範馬 勇次郎各界大物対決・番外編

そこには。身長わずか160cmほどの老人がチワワを抱えている。そのチワワを頬ずりしながら叫ぶ男。
「いやーかわいい。動物はね、同じ目線で接するのが一番なんです、ほ〜らよしよし、かわいいですね〜」
チワワはすっかり怯えている。その老人に。少年の様な笑顔の下にある邪悪さに。一見ニコニコする老人。
しかし目は一切笑っていない。かわいいかわいいと言いながら、チワワを舌でベロベロ舐める老人。
「舐めるって事はね、犬にとって親愛表現なんですね。人間からも舐めて愛してあげるのが一番なんです」
助けてくれ・・。チワワは目で訴える。しかしその老人。構わず舐め続ける。 ・・ついにチワワ。
恐怖からジョロジョロとおしっこを漏らし出す。一瞬、殺人鬼の目になる老人。だがすぐ冷静になる。
「いや〜漏らしちゃいましたね、でも可愛いワンちゃんのおしっこは、僕には全然汚くありません」 
そう言うとなんとその老人、そのおしっこをゴクゴクと飲み出す。 ・・恐怖と驚愕で凍りつく場内。
その様子を見ていた範馬 勇次郎。ゆっくりとその老人に向かい、言葉を吐く。
「アンタだったのかい・・地上最頂点生物ってのは・・。アンタならその異名、誰も文句言えねえな・・。
 真・百獣の王・・畑 正憲。・・通称、ムツゴロウさんよッ!!」

範馬 勇次郎各界大物対決・番外編。 ・・範馬 勇次郎 対 ムツゴロウ、スタート。 

257番外編 256の続き:03/05/21 01:04 ID:5SBa4Lcr
【地上最強の生物 対 地上最頂点生物 B】  範馬 勇次郎各界大物対決・番外編

騒然とする会場。まさか、勇次郎の対戦相手が、あのムツゴロウさんだとは・・。しかし。このムツゴロウと言う男。
只者では無い。どんな猛獣でもなつけてしまうその魔力。クマでもトラでもライオンでも。全ての動物相手に。
子供の時。誰でも、「ムツゴロウさんってどんな動物でも友達になってスゴいな〜」 と、憧れた経験があるだろう。
しかし今、我々は確信する。あれはなついているのではない。「怯え」ているのだ。トラなどの猛獣が。この老人に。
それにこの男。民主主義の日本でただ一人の「国王」である。しかも国民全てが認める。 ・・只者で無さ過ぎる。
・・雄山がスックと立ち上がる。会場全体をギラリ、と見据え宣言する。 ・・偉そうに。それはそれは偉そうに。
「この対決、3本勝負とする。最初の2本を猛獣相手の演舞とし、最後の1本を直接の決闘にて、決着とするッ!!」
唖然とする場内。実況が雄山におそるおそる言う。   「あの、雄山さん、アナタは審判じゃないんで・・」
雄山。カッと目を見開いて言う。   「私がやると言ったら絶対にやるのだッ!! この雄山にモノ申す気かッ!!」
・・試合方式決定。「地上最傲慢生物」の名は伊達ではない。無理が通れば道理引っ込む、が雄山の座右の銘である。

そして第一試合。勇次郎の前に巨大な白クマが現れる。  「みやがれ、地上最強の力をよッ!!」  ・・鬼の形相。
勇次郎の背中に筋肉の面が浮かび上がる。白クマに必殺の鬼の連撃。 ・・切り刻まれる白クマの肉体。わずか2分ほど。
たったそれだけの時間で、1トンもの白クマが肉隗へと変わり果てる。観客が叫ぶ。   「地上最強だ、勇次郎ッ!!」
・・いくら天下のムツゴロウとはいえ、これは勇次郎の圧勝だろう・・。観客全てがそう思った。しかし、この会場全体。
全てが見誤っていた。ムツゴロウという男の恐るべき実力を。 ・・この第一試合。範馬 勇次郎は生涯初の敗北を知る。
258番外編 257の続き:03/05/21 01:29 ID:5SBa4Lcr
【地上最強の生物 対 地上最頂点生物 C】  範馬 勇次郎各界大物対決・番外編

巨大な白クマを屠る男がいるとは・・。その余りの強さに騒然の場内。これではいくらムツゴロウとはいえ・・。
だがムツゴロウ。慌てず騒がず闘技場の真ん中に立つ。勇次郎の相手は白クマであった。では、この男の相手は?
トラか?ライオンか? ・・巨大鉄製コンテナが開けられる。そこから現れた猛獣。 ・・グロテスクなその姿。
・・それは。体長1メートル以上ある巨大ミミズ。太さは成人男子の手首ほどもある。巨大なヘビの様なミミズ。
その気色悪い姿に失神する女性客が続出。 ・・しかしムツゴロウ。   「いや〜。かわいいですね〜」
巨大ミミズの先をムンズとつかみ、自分のほほに擦り付けている。  「いや〜かわいい。動物はいいですね〜」
その姿に感動する観客たち。 ・・そうだ。気持ち悪いとかは関係ない。地球はひとつ。動物はみんな友達だ。
また大切な事を、ムツゴロウさんに教わった。さすが子供たちのヒーロー。ありがとう、ムツゴロウさん・・。
さわやかな感動に包まれる場内。 ・・しかし。観客たちが感動の涙を拭いていた、その一瞬に、ムツゴロウは。
「いや〜。ミミズはね、こう料理するのが一番なんですよ〜」   ザクザクとミミズをブツ切りにしている。
フライパンでそのブツ切りにしたバター焼きしている。こんがりと。 ・・さっき頬ずりしていたミミズである。
「いや〜おいしい。ミミズはね、漢方の世界では昔から妙薬として・・」  嬉々として解説を始めるムツゴロウ。
邪悪。その笑顔の下のとびきりの邪悪。先程まで友達だったミミズを、美味しく喰っている。 ・・凍りつく観客。
雄山だけがその様子を楽しく見ている。   (フム・・。あのミミズ料理、至高のメニューに使えるな・・)
・・最早、誰も勇次郎の白クマ狩りなど覚えていない。友達喰っちゃうムツゴロウの邪悪さの前では、勇次郎のありがちな
猛獣狩りなど無に等しい。顔面蒼白の勇次郎。審判がゆっくり叫ぶ。    「勝負ありッッ!!」 
   
259パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/21 01:36 ID:5SBa4Lcr
失敗。久しぶりにVSさんみたいに短編書いてみようと思い、今日たまたま見た
ムツゴロウさんの番組見て思いついたが、もう少し練りこみゃ良かった。
でも、ミミズに頬ずりした後、CM明けに喰ってたのは本当。あれ見て絶対この人、
コエえと思った。 ・・敬愛する故・ナンシー関さんも同じ事書いてましたな。
あと、722様お久しぶり。うーん、読んでませんか。確かに知らない作品多いと萎えますなー。うーん。
明日とっとと番外編終わらせて、決勝早めに書き始めます。でも今週忙しいから・・。
260マロン名無しさん:03/05/21 01:38 ID:r8aTWWui
(*`▽´*)うひょうひょ
http://jbbs.shitaraba.com/computer/2364/
261大空翼vs松本梢江:03/05/21 01:52 ID:???
大空翼のポスターを壁に貼る。主演映画の販促ポスターだ。族車にモロに
はね飛ばされながらも最高の笑顔。
「バイクはトモダチ。痛くない!」
吹き出し付きの翼の顔に、出刃包丁を突き立てる。
この手の男が、梢江は大嫌いだ。ヘラヘラ笑いのアホ面を見るだけで反吐が出る。
その点同居人の刃牙は、梢江と出会って以来一度たりとも笑顔を見せたことはない。
殴られてもメシ抜きでもじっと我慢。日本男児の鏡である。
その刃牙にトーナメントの招待状が届いたのは二日前。初戦の相手は大空翼。
幻の格闘技「サッカー」の達人で、ボール型の爆弾を肌身離さず持ち歩く危険人物だ。
生理もなく、久しく血に飢えていた梢江。刃牙の手から招待状をひったくり
出場者変更の連絡を入れる。珍しく不満げな刃牙だったが、悪魔の形相で睨みつけられ
何も言えない。寡黙、それは男のダンディズム。
選手登録完了。ポスターを貼って戦意を高め、サッカーのルールを頭に叩き込む。
殺人スライディング。スカイラブなんちゃら。要はなんでもアリってことだな。
あとはお化粧にお洋服。梢江だって女の子、たまにはオシャレもしてみたい。
一人でもいい、男の人が振り向いてくれるといいな。

翌日、闘技場。バトルスーツに顔面ペイントの梢江。「殺」のタトゥーが腕に光る。
対する翼。ポスターの撮影はノースタントだったと見えて、バイク事故の後遺症が
ありありだ。ボール、トモダチ、コロス。ケケケケケ。
試合開始。白目を向いた翼が、梢江とは反対方向の客席にボールを蹴り込んだ。
ド派手な炸裂音と共に吹き飛ぶ観客。もう試合どころではない。出口に殺到する人々。
しかし翼は逃がさない。必殺のドライブシュートで次々と獲物を仕留めていく。
梢江に対してはまるでノーガード。チャンス!梢江が猛然と突進する。
その時、翼の顔が梢江に向けられた。正確には、梢江の後ろの客席を見つめている。
岬太郎が立っていた。翼の永遠のライバルだ。死ね岬!渾身の力でボールを放つ!
しかし、翼・梢江・岬の位置関係。当然ボールは梢江に命中。ドカーン。

会場を後にする岬。顔面の皮膚をひんむくと、そこに現れたのは刃牙の顔。
首尾よく梢江を葬ったその顔に、久しぶりの笑顔が蘇った。

大空翼○−●松本梢江 決まり手:バキスマイル
262大空翼vs松本梢江:03/05/21 02:03 ID:???
きついきつい。字数制限がきつい。もう死にそう。
しかし、1話1レスに命をかける私はこれからも戦い続けます。

>パオさん。
あ、実在の人間だ。ずるーい。でも面白い。
マンガのキャラと変態勝負で勝っちまう。ムツゴロウの
面目躍如といったところですな。
人間相手にはとことん冷たいムツゴロウ。人間だって動物だぞコラ。
263マロン名無しさん:03/05/21 02:24 ID:f8AL9t6c
>>261は勇者
264あわび:03/05/21 02:26 ID:fxsHIfn6
265マロン名無しさん:03/05/21 03:36 ID:???
ドカーン。
このやる気のない爆発音がなぜかつぼにはまったw
266番外編 258の続き:03/05/21 11:47 ID:5SBa4Lcr
【地上最強の生物 対 地上最頂点生物 D】  範馬 勇次郎各界大物対決・番外編

勇次郎完敗の第1試合。演舞とはいえ、圧倒的な差を付けられての敗北である。恐るべき実力のムツゴロウ。
歯軋りをする勇次郎。猛獣狩り大好きな勇次郎にとって、ムツゴロウは天敵ともいえる存在である。
・・そして。続く第2試合の演舞が開始される。闘技場の真ん中に居座る勇次郎。 ・・そこへ。
「ラ、ライオンだあッ!!」   巨大コンテナから百獣の王、雄ライオンが姿を現す。 ・・しかし観客。
醒めている。 ・・またワンパターンの猛獣狩りかよ、勇次郎・・。勇次郎は観客の冷たい視線にもめげず、
一生懸命ライオンを撲殺しようと鬼の連撃。血まみれのライオン。 ・・だがそこへ。  「やめなさいッ!!」
・・振り返るとヤツがいる。そう。「地上最頂点生物」にして「偽りの動物愛護家」、ムツゴロウ氏である。
勇次郎。なんとムツゴロウの前に尻込みをしている。邪悪なド迫力。 ・・そのままムツゴロウはライオンへ近づく。
「しゃあしゃあしゃあしゃあ・・」   訳の分からない威嚇音を発しながら、ライオンへ近づくムツゴロウ。
・・明らかにライオンは、勇次郎よりムツゴロウの邪悪な笑顔を恐れている。むんずとたてがみを掴むムツゴロウ。
「いや〜かわいいかわいい。動物はね、恐れてちゃ駄目なんですよ。こうやって肌と肌でコミュニケーションを・・」
ライオンに無理やり頬ずりをするムツゴロウ。 ・・凍りつく場内。それ以上凍りつくライオン。唖然とする勇次郎。
ムツゴロウ独壇場。 ・・しかし更にムツゴロウ。観客と勇次郎の想像を超える行動へ出る。
「いや〜動物とボクはね、すぐ心が通じ合って友達になっちゃうんですよ。だから、こんな事をしても平気なんです」
ムツゴロウ。ライオンのアゴをガッと握り、無理やり上下に口を開く。半泣きのライオン。 ・・そしてそこへ。
「しゃあしゃあしゃあしゃあ・・」   独特の遠吠えをしながら、ライオンの口の中へ自分の頭をずっぽり突っ込む。
・・悲鳴の上がる場内。   「いやあ、友達だから出来るんですよね。ボクとこのライオンはもう友達なんです」
267番外編 259の続き:03/05/21 12:08 ID:5SBa4Lcr
【地上最強の生物 対 地上最頂点生物 E】  範馬 勇次郎各界大物対決・番外編

勇次郎、顔面蒼白。2回戦の演舞も完全に負けた。2連敗。審判は大きく叫ぶ。   「勝負ありッッ!!」
・・ムツゴロウ圧巻の2連勝。 ・・だが。闘技場では恐るべき事件が起こってしまった。
相変わらずライオン相手にわざとらしく戯れるムツゴロウ。恐怖で怯えるライオン。 ・・次の瞬間、観客が。
「お、おい、ムツゴロウさんの腕が・・」   ・・ムツゴロウの腕とライオンの口。赤い糸が引いている。
先ほどの上辺だけの笑いが消え、マジ顔を浮かべるムツゴロウ。 ・・恐い。どんな表情も恐ろしいムツゴロウ。
・・ムツゴロウの右腕。小指が無くなっている。そこから赤い糸がライオンの口へ繋がる。 ・・喰われた・・。
思いも掛けない事態に騒然となる闘技場。 ・・いや、誰もがいつかはこんな事になるのでは、と思ってはいた。
しかしあのムツゴロウに限って、と無理矢理に心の奥に封じ込めていたのである。ムツゴロウなら大丈夫・・。
猛獣の口に頭突っ込む男を皆、信じていた。無理に。 ・・「自業自得」という言葉を必死で打ち消す観客。
観客の一人がつぶやく。   「あれじゃムツゴロウさん、好きな麻雀が出来ないぜ・・牌ツモれないもん」 
・・ムツゴロウ。マジ顔から、いつもの決して目の笑っていない笑顔に戻る。そして観客に向かって大きく言う。
「いや〜ライオンを責めないで下さい、皆さん。ボクはライオンになら、全身食べられちゃってもいいです」
そんな事してりゃあいつかそうなるだろ・・。 観客の心の突っ込み。しかしその言葉は決して外に出せない。
ムツゴロウの底なしの妖気が言わせないのだ。 ・・勇次郎は焦る。  (2連敗だと・・。まさか俺が・・)
・・そして。勝負はファイナル、第三試合の直接対決に。
268番外編 267の続き:03/05/21 12:49 ID:5SBa4Lcr
【地上最強の生物 対 地上最頂点生物 E】  範馬 勇次郎各界大物対決・番外編

とうとう迎えた直接対決。審判の声が大きく闘技場に響く。   「始めいッッ!!」
向かい合う勇次郎とムツゴロウ。  (違う・・今までのどんな相手とも。プレッシャーが違い過ぎる)
勇次郎は両腕を大きく広げた本気の構え。既に背中の「鬼」は全開、100%勇次郎モードである。
しかしムツゴロウ。いつもの「ムツゴロウ・スマイル」。 ・・少年の様な無邪気な笑顔を浮かべつつも、
目は決して笑っていない。   「しゃあしゃあしゃあしゃあ・・」   奇妙な威嚇音のムツゴロウ。
そしてそのまままっすぐ。勇次郎の懐へ飛び込んでいく。いや、邪悪な笑みを浮かべ、歩いていくだけだ。
騒然の観客。   「あ、あの勇次郎相手にノーガードかよ!!」  しかし勇次郎。明らかに焦っている。
ムツゴロウは邪悪に笑う。   「動物は恐れてちゃ駄目なんですよ。笑顔で近づくのが一番なんです・・」
恐るべきはムツゴロウ。「地上最強の生物」と呼ばれる範馬 勇次郎ですら、彼の守備範囲内なのであろうか。
勇次郎にかつて無い恐怖が襲う。それを振り払うかの様に必死に攻撃する。シュババッ。音速を超えた鬼の連撃。
連撃で頭蓋骨は陥没し、折れたアバラは内臓を突き破り、背中から出ている。だがムツゴロウ。構わず前進する。
「いや〜。暴れん坊の動物にはね、多少かまれる事もあるんです・・」   血まみれで笑うムツゴロウ。恐い。
観客の一人が叫ぶ。   「おい・・。攻めてるのは勇次郎だが、追い込んでるのはムツゴロウだぜ・・」
なんと。攻めているはずの勇次郎が、ジリジリと後ろへ下がっている。打たれっぱなしのムツゴロウが笑いながら。
勇次郎を追い詰めている。 ・・ついに。闘技場の隅、柵の所まで追い詰められる勇次郎。 ・・その時。
カッとムツゴロウの目が開く。 ・・そして勇次郎の髪をムンズと掴む。 「かわいいですね〜。おお、よしよし」
ムツゴロウ必殺の頬ずり。恐怖で涙が浮かぶ勇次郎。 ・・駄目だ・・勝てねえ、この男には・・ギブアッ・・。
269番外編 268の続き:03/05/21 12:50 ID:5SBa4Lcr
【地上最強の生物 対 地上最頂点生物  最終回】  範馬 勇次郎各界大物対決・番外編

・・しかしその時。勇次郎に頬ずりしていたムツゴロウの動きが止まる。 ・・ゆっくりと崩れ落ちるムツゴロウ。
審判が慌てて叫ぶ。   「勝負ありッッ!!」   ・・何が起こった。騒然の場内。倒れたままのムツゴロウ。
(そうか。俺の攻撃が今ごろになって効きやがったか。 ・・当たり前だ、この範馬 勇次郎の攻撃だぜ・・)
この勝負、勇次郎の1勝2敗。 ・・だが直接対決は勇次郎の勝ちである。未だ「地上最強」は勇次郎の元に・・。
闘技場を去ろうとする勇次郎。だがその時。勇次郎にえらそうな声が掛かる。  「この勝負、貴様の負けだッ!!」
・・「地上最傲慢生物」 海原 雄山である。その言葉に勇次郎は怒鳴る。  「何が俺の負けだッ、雄山ッ!!」
「むう、そんな事も分からぬとは・・見下げ果てたヤツよ。ならばそれを見ろッ!!」  ムツゴロウを指差す雄山。
倒れたムツゴロウを見る勇次郎。 ・・一瞬後、全てを理解する勇次郎。そうか。ムツゴロウのダウンの正体・・。
「やっと分かったか・・。ムツゴロウは貴様に倒されたのでは無い。徹夜麻雀のし過ぎで、眠りについただけだ!!」
ムツゴロウ。スヤスヤと邪悪な寝顔で眠っている。彼はこの対決の前。 ・・7日連続でテツマンをしていたのだ。

範馬 勇次郎各界大物対決。勇次郎無敗。だが実質ムツゴロウに敗北をしてしまった勇次郎。 ・・次の挑戦者は、誰だ?

270パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/21 12:57 ID:5SBa4Lcr
ヒドい出来だ。思いつきで書くものではないな。すみません。
明日から決勝書きます。でも明後日からになるかも・・。
あと、このムツゴロウさん編は実際の出来事を元にしております。
ライオンに食われたのも本当なら、頬ずりしたミミズを食っちゃったのも本当。
フジテレビのムツゴロウシリーズ見てる人なら分かりますね。
ムツゴロウさんの麻雀好きも本当。3日位平気でテツマンするのも本当。
・・人間じゃねえ。あとこの人東大出。なんて無駄な学歴だ・・。
ただ一つこのネタと事実が違うのは、ムツゴロウさんは本当にいい人だって事です。
知らんけど。多分。  ・・ではまた。
271マロン名無しさん:03/05/21 16:55 ID:???
vsはつまりバキスレのネタ作家(略
272マロン名無しさん:03/05/21 17:27 ID:???
バオ>
そんな事ない。十分面白かったよ。
でけどバオの普段のレベルから考えると少し落ちるかもね。
 
273マロン名無しさん:03/05/21 17:50 ID:???
ここ『俺たちで「漫画のSS」を書こうぜ』スレになっとるね。(・∀・)イイネェ…

移ろうかな、ここに・・・
274マロン名無しさん:03/05/21 18:12 ID:???
>>273  『俺たちで「漫画のSS」を書こうぜ』 ←つくろうぜの方がイイと思う
次スレはもうそのタイトルの方が良いと思う。
パオさんや夜王さんのは面白いけど、もうバキじゃないし。
外伝担当者さんのはバキだけど、この方のスペック編イイ(・∀・)けど、
この方パオさん以上に何でも書けそうな気がする。
職人さん無視した勝手な意見だけど、バキ知らない新しい職人さんが
参加してくれるのでは。
住人の勝手な意見すみません。(特にバオ氏)
でもこのスレはもうマロンの名物スレと思うので、ずっと盛り上がって欲しいなぁ

275マロン名無しさん:03/05/21 19:16 ID:???
スレタイはもうちと練った方がいいかもしれんが、そういう方向性でやってくれたら面白いな。
某ヤムチャスレ化するのは勘弁だが。
276マロン名無しさん:03/05/21 19:26 ID:???
子供のころ憧れたよ、ムツゴロウさん。
でもあの人絶対悪人と思うw
パート1からずっとこのスレ見てて、裕次郎大物対決も全部読んだけど
オレ的には今回が一番面白かった。そうだよ、ムツゴロウさんって邪悪なんだよ!!!
でも実在の人物を出すのは今度限りにしてね
277bloom:03/05/21 19:27 ID:HXpJMJLU
278マロン名無しさん:03/05/21 22:13 ID:???
俺も何か書きたいけど作家の方たちの邪魔にならないかな。
勿論、常連作家さんの足元にも及ばないレベルだけど。
279スペック(その39):03/05/22 00:18 ID:???
>>221
破城鎚のような一撃。

雲をつくような長身と、類稀なる膂力と、余人の及ばぬ経験と、人命を虫けら同然に扱える冷酷さ。

その全てがあいまって、さらに最高のタイミングで放たれたスペックの打ち下ろしは、もしそれが
まともに命中してたならばジャックの頭蓋を完璧に粉砕していたであろう。
しかし、スペックの拳は、彼が望む箇所に叩きつけられることはなかった。
ジャックにとっての終わり、スペックにとっての締めくくりをしばし妨害したのは、ジャックの無意識と、
この年老いかけたギャングの永年の相棒である。
ジャックは、スペックの接近を許し、彼が拳を振り上げるのを見た瞬間、理性による判断をかなぐり
捨て、脊髄の命じるままに行動した。
すなわち、ジャックが今手にしている中で最も硬度の高い物体―彼の体の一部と考えても差し支え
ないBARを槍のように構えなおし、己の頭部のすぐ脇に掲げたのだ。
それは、ジャックにとってはまさしく無意識下の反射的行動であった。

上半身がしびれるような衝撃と、くぐもった衝突音がジャックの耳朶に飛び込み、その両者で彼が
我に帰ったとき、彼は自分の命がこの黒衣の鬼によって刈り取られなかったことに気がついた。
スペックの拳―振るわれるもの全てを永遠の沈黙に追い込む悪魔の大金鎚を、ジャックはBARを
盾代わりにすることで切り抜けたのだ。
280スペック(その40):03/05/22 00:19 ID:???
>>279
にやあああり。

己の一撃が、予想だにしなかった手段で防がれたスペックは、その皺深い顔にさらなる笑みを刻み込んだ。
そして、彼はわずかに腰を落し、ぐるりと上体を捻る。

2の手が来ることを悟ったジャックは、機関部―特製弾倉の上部が衝撃によりおかしな形に曲がって
しまったBARをためらいもなく投げ捨て、全身のバネをフル稼働させて後ろへと飛んだ。
丸太のようなスペックの足が、空気を切り裂きながらその後を追う。
スペックの蹴りは、ジャックの右肩をわずかに掠めただけだった。

年齢を考えれば奇跡としか言いようのない距離を―スペックの読みをわずかに上回る距離を、一瞬
にしてジャンプして、必殺の一撃をどうにかかわしたジャックではあったが、掠めただけのはずの
その蹴りは、右肩に強烈な一撃を齎した。
「・・・・・・・・つぁッッッッ!」
「ホウ・・・・コレモカワストハネ・・・・・・」
スペックは、チャシャ猫のような表情と姿勢を保ったまま、いかにもおかしそうに呟いた。

馬鹿な、かすっただけで!

背筋に脂汗がどっと噴き出し、全身に走る悪寒が停まらない。ジャックは、今や恐慌状態に陥りかけていた。
281スペック(その41):03/05/22 00:20 ID:???
>>280
「最近ノ無法者ハ、銃ニ頼リ切ッテ、マトモニ殴リ合イモデキナイカト思ッテイタガ・・・・・」
スペックは、満足そうに頷きながら、ゆっくりゆっくりと間合いを詰めてきた。もちろん、いつでも襲い
かかれるように、左右に少しずつ身体を振りながら。
「ドウシテドウシテ、本当ノタフガイモマダマダイタノダナ・・・・・・」
畜生め、この野郎、楽しんでやがる。
ジャックは、心の中でどうしようもなく膨れ上がる恐怖を懸命に押し殺しながら距離をおこうと後ずさった。
内心では、必死で状況を切り抜けるべく頭を回転させている。
今の言葉からするに、この化物は、俺が素手であると誤解しているかもしれない。
となれば、こいつは、もうこそこそ物陰に隠れたりせず、俺をなぶり殺しにしようと詰め寄ってくるはずだ。
猫がネズミをいたぶるように。
ある程度まで、こちらが素手で応戦しようとしていると信じ込ませて、ヤツが絶対的な有利にたった
―つまり、この俺様が血反吐を吐いてのたうちまわるまでなんとかしのぎ、この化物が止めを刺そう
とこっちに近づいて動きを止めたならば。どうあっても避けようのない至近距離までゆっくり近づいて
きたら。そのときに、血路が。
ジャックは、不意に足を止めてスペックを睨みつけた。
「いいだろう、この化物め」
鈍い痛みが走る肩をごまかし、全身の感覚器官を責めさいなむあらゆる要素を意図的に頭から締め
出し、脳内にある「演技」と描かれた部分を全力で動員しながら、ジャックは堂々と聞こえる(と彼が
願っている)声音で告げた。

「殴り合いの専売特許はチャック・デンプシーだけじゃないってことを教えてやるぜ」
282スペック(その42):03/05/22 00:20 ID:???
>>281
どうかこの化物がだまされてくれますように・・・・・・!
ジャックがそこまで計算を組み立て、かつ祈りながら宣戦布告を叩きつけても、スペックは面白
がるような顔つきを改めなかった。

「面白イ事ヲ言ウネエ・・・・・ガンマン。見タトコロ、マダマダ懐ヤ背中ニ重イモノヲ沢山忍バセテイル
ヨウダガ、アクマデ拳デクルノカイ・・・・・・・?」

くそっ、読まれていたか!

ジャックは、声に出さずに罵った。
ある程度までわざと素手で戦い、「身動きもままならないまでにやられた」ふりをする。
それに乗じてこいつが無防備に接近してきたら、隠し持っていた拳銃を総動員してある
ったけの鉛弾をぶち込む。そのプランをこの怪人はあっさり見透かしていたのだ。
今や顔一杯に吹き出るまでになった脂汗を拭おうともせず、ジャックはさらに一歩足を下げた。
肘をまげ、腰のあたりに挙げた両手から、わずかに力を抜く。こうなれば私の抜き撃ちが
こいつの反射神経を上回っていることを祈るしかない。
「無理スルナヨ、ガンマン。オ前ノ得意ナヤリ方デコイ」
ジャックの心を読んだかのように、スペックがありがた迷惑な忠告を投げつけた。
「俺ハ、ソレヲ打チ負カシタイカラナ・・・・・・」

行くぞ・・・・・・・・・・っ!

ジャックが、ふっと両手をジャケットのうち懐に伸ばそうとしたときだった。

「ウウウウウウワアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァアアアア!!!」
突如、店の奥から野獣のような絶叫が響いた。
何が起こったのかと、スペックは素早く左に飛びながら体ごとそちらをむく。
次の瞬間、その絶叫が響いたあたりから、重い銃声が轟き、ほぼ同時にスペックの体が吹き飛んだ。
283マロン名無しさん:03/05/22 13:36 ID:???
スペックさんは相変わらず読ませるなあ。オモロイ
毎日更新期待というのは、職人さん達に酷なのだろうか。。
284マロン名無しさん:03/05/22 14:10 ID:FqAa3HWV
パオって変わっちゃったね
ここで小説が認められる様になってから態度でかくなった
調子こき過ぎ
よその板で自分の事棚に上げて某コテハンに説教かましてた時は何様かと思った
正直かなりウザいわ
285なぎさっち ◆Nagi/FmYMM :03/05/22 14:18 ID:???
>284
とりあえずどのスレよ?
286マロン名無しさん:03/05/22 14:45 ID:o8gboWbA
>>285 相手にするな。ただの荒らしだろ 
287マロン名無しさん:03/05/22 17:24 ID:???
っつーか言い負かされた某コテハン本人の憂さ晴らしだろ
288マロン名無しさん:03/05/22 17:50 ID:???
パオ氏が変わったかどうかなんてどうでもいい。
彼の書くSSが面白いという事が俺にとって重要。
>>284の言ってることが本当がどうか知らんが
少なくとも284のレスを待ってるヤツはこの世にいない。
だがパオのSSを楽しんでいる人は沢山いる。それだけ。
289マロン名無しさん:03/05/22 21:08 ID:bwluFnQP
期待あげ
290マロン名無しさん:03/05/22 21:15 ID:???
>>288
ハゲドウ パオ氏にしてみれば面白くない言い方かも知れんが、SSさえ面白ければ
別に人格破綻者だとしても来るし、詰まらなければどんな善人のスレでも黙殺するだけ。
291マロン名無しさん:03/05/22 21:23 ID:XXsyN4tz
まあ、>>284に吊られるのは俺までということで。 ここ住人はパオさんのレスを楽しみにしてるし応援してる、パオさんはそれを感じて応えてくれる。 俺はそれで満足だな。ダメ?
292第3話 虎と竜(5):03/05/22 22:20 ID:???
槍のように突き出した拳が、一直線に千堂の顔面を打ち抜いた。
瞬間移動したかと思える程の踏み込みから、身体ごとぶつかってくるような突きだ。
まともに喰らえば、顔面が陥没するであろう、凄まじい衝撃。
咄嗟にバックステップとスウェーバックで威力を軽減できた。それでも、千堂の意識が瞬間的に消し飛ぶ程の破壊力である。
折れ曲がった鼻から、夥しい鼻血を噴き出させている千堂に、ドイルが追い撃ちの前蹴りを飛ばした。
千堂はかろうじて踏み止まると、その蹴りを左にサイドステップして躱し、さらにドイルの蹴り足に右肘を落す。
尖った肘が脛に刺さり、蹴り足を叩き落した。それだけで止まらず、さらに千堂は左足を踏み込んだ。
懐に忍ばせていた刃を抜き放つように、左拳が弧を描いた。スマッシュ。フックとアッパーの中間に位置する、スリークォーターのパンチ。
アスファルトに穴を穿つような踏み込み。親指、膝、腰、背骨、肩、肘。回転が連動していく。
ドイルの腹筋に、深々と虎の爪が食い込んだ。ドイルの表情が初めて苦悶のそれに変化する。口から唾液が飛び出ていた。
両足が地から引き剥がされ、ドイルの身体がふわりと浮き上がった。今度はドイルが後退する番だった。
その好機を、千堂は見逃さない。虎が獲物に飛びかかるように、肉迫した。両者の間合いが瞬間離れ、瞬時にゼロに戻る。
千堂の鍛えに鍛え抜いた強靱な脚力があってこその、十をゼロにするダッシュ力。
虎は牙を剥き出した。ドイルのガードの上から、右フックを叩きつける。ゴキン、という鈍い音。
ドイルの身体が「ズレた」。ガードの上からだろうと、当る部位を考えてないかのような、千堂のラッシュが始まった。
嵐のような連打。圧倒的な突進力。密林の王者を彷佛とさせる、破壊力という名の爪牙。
ヘビー級に近い体重のドイルを圧倒する、フェザー級。それが千堂武士という男だ。
(圧されている……ッ、80キロを超える私が、この男より20キロ以上も重い私が、前に出ることも出来ないッッ)
半分は捌いた。さらに半分近くはガードした。しかし、それでも避けきれない拳のいくつかが、ドイルの顔や腹に当る。
拳打の嵐は、千堂の怒りをあらわすかのように、いまだ収まる気配を見せない。虎の狩猟は始まったばかり。
293スペック(その43):03/05/22 23:37 ID:???
>>282
左に飛び、予想外の事態に対応しようとしていたスペックは、さながら見えない乗用車にぶつけら
れたされたかのような勢いで後ろにはじけとんだ。

「ジャック!」
銃声がとどろいた方向−店の裏手に通じるカウンター脇の暗がりから、ジャックの窮地を救った男
―そして、今の今までジャックがその存在を半ば失念していたポールが姿をあらわす。
「ポール・・・・・・・・」
ジャケットの内懐に手を突っ込んだままのジャックは、半ば呆然としながら、彼にとっての救世主の
名前を呼んだ。そして、自分がまさに生き長らえたことを悟り、全身の力が一挙に抜けかける。

ジャキン。

冷たい金属音を立て、レミントンのスライドをポンピングしてたったいま発砲したばかりの空薬莢を
排出させたポールは、慎重な足取りでポールの方へ歩み寄る。
「すまない。打合せの時間をだいぶ過ぎてしまった・・・・・・・」
決まり悪げにジャックをみながら、ポールはもごもごと口の中で呟くようにジャックに詫びた。

ポールの上等な三つ揃い、そのズボンのすそに吐瀉物と思しき白いしみが点々とへばりついて、
黒の布地に奇妙なコントラストを醸し出している事に気付いたジャックは、あえてポールの不手際を
とがめようとはしなかった。
おそらくポールは、予定時刻どおりに裏口から店の中に入り、店内の惨状にショックを受けていたのだろう。
胃の中身をたっぷりとぶちまけ、眼前の情景への理解を拒否し続ける理性を懸命になだめすかし、
そしてしばらくうずくまってありとあらゆる物に悪態をこっそりつく。しかる後に混乱する頭を振り絞って
己の任務を思い出し、店内の様子を観察し、相方と戦りあっている怪人めがけて手にした得物をぶっ放したと
いうわけだ。むしろ、戦闘処女がたったの数十秒で己にかけられた呪縛を解いた事が驚嘆に値すべき
ことかもしれない。
ジャックは、あらゆる言葉を尽くしてもまだ足りぬであろう酸鼻を目の当たりにし、それでも自分の果たす
べき義務をどうにか履行しえたこの若者に、ほんの数分前とは明らかに異なる評価を下しかけていた。

「やるじゃないか、若いの。見直したぜ」
294スペック(その44):03/05/22 23:40 ID:???
>>293
ジャックは、それだけを早口で告げ、ポールの肩を軽くたたいた。
「・・・・・・いや、もう少し早ければ、と考えているよ。ジャック。もう少し早く、俺が我に帰っていれば、
あんたのBARをお釈迦にすることもなかったのに」
悔しそうに表情を歪めながら、ポールは屑鉄と化したBARに視線を向けた。
中央部から飴のように曲がったままのBARは、どこかさびしげにフロアに転がったままである。

「まあ、気にすることはない。お前は十分に仕事をこなしたんだ」
肩の痛みに眉根のあたりをしかめながら、ジャックは決して取り繕ったようには見えない快活さで応じた。
「そういってくれるとありがたいよ、ジャック」

ふと黙り込んだポールとジャックは、示し合わせたかのようにスペックへと視線をやった。
ほんの数十秒前まで、さながら魔王のように暴虐の限りをつくし、ジャックを死の一歩手前まで
追い込んだこの怪人は、煤と血と埃でべとべとに汚れた店の床に、長く長く大の字を描いて横たわっている。
動きの止まったスペックを見下ろしているジャック達を、決して夜の帳が齎すだけではない静寂が、名状
しがたい圧迫感を持って包み込んだ。
開け放たれた入り口からかすかに聞こえてくる外界の息吹が、ひどく幻想的にさまよいこんでくる。

ジャックは、つかの間瞑目し、深く息を吐いた。
これで・・・・・終わった。
295スペック(その45):03/05/22 23:44 ID:???
>>294
ポール・アンダーソンは、未だに自分の成し遂げたことが信じられなかった。

ホットスプリングスでも一頭地飛びぬけてハイクラスの格式(どちらかといえば、成金趣味と紙一重
ではあるが)と調度を誇るこの建造物。
ホットスプリングスを、ひいてはコロラド州のあらゆる力を一手に影から握り締める者−ジャック、
ポール、そしてフィルスの雇い主が、その権力と権威を一手に具現せしめ、己の権勢を誇るべく
途方もない大金を投じて作り上げた店。
ホットスプリングスの王者たる"彼"が、自らの力の源泉である各種不法行為を最も安全に行えるよう
作り上げた、小さな大要塞。
万人に開かれたようでいて、実はほんの少数のパワー・エリートのみを対象とした悦楽と欲望の館。

その、あらゆる意味においてホットスプリングスでは特別なこの店を完膚なきまでに荒らしまわり、
それを防ごうと奮戦した31人の男たちを、まさに暴力的な手段で殺戮した黒衣の大男。
禿頭で、作り物めいた微笑を絶やさない、年齢不詳の怪物。

それを、俺はやっつけたのだ。この、レミントンで。信じられないけれど、これは本当なんだ。
ポールは、彼の腕の中で鈍く光る散弾銃をいたわるように抱えながら、ともすればふらつく足取りを
懸命に維持しつつ、スペックが倒れている場所へ歩を進めていた。

ポールの心には、高揚も興奮も熱狂もなかった。ただ、漠然とした脱力感だけがあった。
今夜を迎える前―それこそ、まだ道理もわからぬ幼児のころから無数に想像した戦闘後の気分とは、
はるかにかけ離れた無常観。それが、ポールにとっての現実だった。
296スペック(その46):03/05/22 23:45 ID:???
>>295
ジャックの旦那と、あのバケモノが戦りあっているとき、俺は何十という死体と、廃屋かと見まごうほど
に荒れ果てたこの店に打ちのめされて、隅っこにうずくまってガタガタ震えているしかできなかった。
ゲロを床にぶちまけ、汚れきったこの店に新たな汚濁を付け足すことしかできなかった。
だが、何が俺の背中を押したのか、ジャックの旦那がBARを叩き潰されて絶体絶命の窮地に放り込まれたとき、
俺は自分でも意識しないうちに立ち上がり、己を奮い立たせるべくわめき散らしながら、このレミントンをぶっ放した。
ジャックの旦那がいみじくも言ったとおり、俺は銃の扱いにだけは長けていた。
小さいころ、ようやく物心がついたときから、俺は毎日毎日親父と一緒に射撃場に行き、猟場に行き、どこかしらで
開催されている射撃大会に行った。もう、何万発の弾をターゲットに当ててきたか、数え切れない−もっとも、
当てたのは全部紙や粘土、あるいは空き缶だが。
だが、今日生まれて初めて生身の人間に弾を当てた。それも、心臓に一発。
とっさの射撃としては、自分で言うのもなんだがこれ以上は望めないほどのオン・ターゲットだろう。

ポールは、そんなことをとりとめもなく考えながら、仰向けに倒れているスペックの脇に立った。
用心のためか、あるいはただ意味なく行った動作か、ポールは靴先−埃や血や脂でぎとぎとに汚れてはいるが、
イタリア製の高級品だった−で、スペックのわき腹を軽く蹴った。
ポールの足元に延びている怪物は、ピクリとも動かない。
見れば、怪物が身にまとっている黒い僧衣(ポールには、そう見えた)の胸部中央、心臓のある
あたりに破口がささくれ立ち、周囲に焦げ跡が広がっていた。文句なしのワン・ショット・キルだ。
それを確認したポールは、わけもなくため息をつき、レミントンを抱えなおし、怪物の枕もとに
しゃがみこむ。

・・・・・・いったい、こいつは何者なんだろうか。どうしてここを狙ったのだろうか。

ふと、ポールの脳裏にそんな疑問が沸き起こり、生涯初めての生きた獲物―野生動物ではない、
生身の人間の顔を見ようと、ポールが屈んだまま身を乗り出した。

そして、怪物の顔を見た瞬間、若きギャングは凍りついた。
297スペック(その47):03/05/22 23:46 ID:???
>>296
コールタールで塗り込められた上から石灰をばら撒いたようになっていた床に、人形のように長く伸びて
いたスペックが、首だけを動かして頭を持ち上げ、ポールをまっすぐ見つめていた。
一瞬、ほんの一瞬の間、能面のような無表情を維持するスペック。
と、スペックの顔がくしゃりと歪み、次いで大きく口が開かれ、子供用スリッパのごときサイズの舌がべろり
と突き出される。

「 バ ア 」

中世の魔導師が必殺の意思をこめて唱える呪詛にも似た声音を伴って、スペックから発せられた言葉は、
余りにも幼児じみた悪ふざけの言葉だった。ピーカーブー、イナイイナイバア。

ポールが、咄嗟に後ろへと下がろうとしたときには全てが遅すぎた。
彼が抱えなおしていた―左腕で包みこむようにして持っていたレミントンが、突如として強い力で引っ張ら
れる。スペックが、その短い銃身をがっちり握っていたのだ。
そして、信じがたいことに、人力ではビクともしないはずのその銃身が、まるで粘土細工か何かのように
グニャリと捻じ曲げられ、次の瞬間には銃そのものがポールからあっさり引き剥がされる。

「〜〜〜〜〜〜〜〜ッツツツツツツ!!!!」

衝撃のあまり声も出なくなってしまったポールが、銃をもぎ取られて茫然自失となってしまう。
バネ仕掛けの人形が枷を外されたかのように、上半身だけをありえないほどの速度で引き起こした
スペックは、失態を見せた若きギャングにまったく容赦しなかった。

接吻するかと思われるまで顔をしゃがんだままのポールに近づけ―そして、固く固く握り締めた拳を、
絶望的な風斬り音と共にポールの肉体にめり込ませた。
298293-297:03/05/23 00:17 ID:???
皆様こんばんは。外伝担当でございます。
大変申し訳ありませんが、>>294>>295の間に1レス入れ忘れましたので、
↓に再録いたします。

「心臓に一発、たいした腕前だ」
耳鳴りのようなかすかな音が鼓膜を優しくゆすぶるのを聞きながら、ジャックは呟いた。
同時に、くるりときびすを返し、ポールに背中を向け、店の出口へと歩みだす。
「おい、ジャック。どこへ行くんだ?」
「俺たちの雇い主に報告と、今後の指示を仰ぎにな。外で電話を借りてくる」
ジャックは前を向いたまま、左手を軽く上げて答えた。
「ポール、お前は店の中をもう一度チェックしてくれ。このバケモノについての手がかりがほしい。
今後どうするかについても、まず奴が何者であるかを掴まないと策を立てられないだろうからな」
「わかった。ここで待ってるよ」
ジャックの背後でポールが答え、やや遅れて遠ざかる靴音が響いた。どうやらポールはまずあの男
の所持品を漁ってみるつもりらしい。
「頼む。・・・・・・・それとな、ポール」
「何だ?」
「お前は、たぶんこの一晩で他の人間が一生かかっても無理なくらいの経験をつんだ。お前の
銃の腕と併せれば、もう誰もお前のことを若造呼ばわりできなくなるだろう」
ポールが何か言いかけたが、あえて耳には入れず、ジャックはゆっくりと出口に向かった。
299パオ 230の続き:03/05/23 06:08 ID:???
・・いよいよ。無限大トーナメント最終戦。決勝。審判が叫ぶ。    「始めいッッ!!!!」

動かない。両者とも3メートル程、間合いを保ったまま動かない。10秒・・20秒・・30秒。
虎丸。影慶の右腕に気付く。  「な、何してるんじゃあ影慶先輩ッ、毒手を使わない気かッ!!」
影慶の右腕。毒手を封印したままである。勿論、毒足もだ。 ・・影慶は体術も超一流である。
だが相手は。あの陸奥 九十九である。全日本異種格闘技トーナメント優勝。ヘヴィ級ボクシング王者。
そしてヴァーリトード世界大会優勝。 ・・即ち、素手の闘いなら、全世界の頂点に立つ男である。
その男相手に。武道・格闘技で挑もうというのか。彼の中国拳法、「氣慄流」で。桃が言う。
「影慶・・暗殺術より中国拳法家として挑もうとしているのか・・」  伊達が肯定する。 「ウム」
「そのままで・・いいのかい?」   両腕を顔の前に置く、彼独自の構えで九十九が影慶に聞く。
影慶は黙って頷く。  「じゃあ・・いくよ」  九十九がそう言い、前へ出ようとする刹那。影慶が。
九十九より早く前へ出る。一瞬で詰まる間合い。影慶の右中段廻し蹴り。九十九の脇腹に吸い込まれる。
・・超反応でかわす九十九。その瞬間、影慶のヒザが鋭角に曲がり、中段から上段へ変化する。しかし。
九十九、ニッと笑いながらそれをかわす。  「詰まらないな・・。そんな古い手は流行らないよ・・」
再度間合いを取り、影慶に言い放つ九十九。影慶は無言のまま。 ・・そして再度間合いに飛び込む。
「あ〜ッと影慶、陸奥に打撃のラッシュを仕掛けるわさッ〜」   ビスケが叫ぶ。 ・・ちなみに。
もう一人の解説のテリーマンは、決勝前にリストラされこの場にいない。実況席はビスケだけである。
「キャラが弱くて使えない」 ・・という理由である。しかし、テリーマン。この屈辱をバネに。
ある男と手を組むことになる。かつて死闘を繰り広げたあの男と・・第三勢力を旗揚げする事になる。
  
300マロン名無しさん:03/05/23 06:20 ID:b+fsP764
301パオ 299の続き:03/05/23 06:37 ID:???
影慶のラッシュ。拳・蹴り・ヒジ・ヒザ・手刀・・肉体のありとあらゆる部所を使い、
九十九を攻める。素人目には全く拳道を追うことが出来ない。 ・・しかし陸奥 九十九。
紙一重で全て見切っている。「舞い」と呼ばれる動き。影慶の技は超一流である。 ・・だが。
陸奥 九十九の神速がそれを上回っているのだ。焦る影慶。体術でここまで差があるとは・・。
九十九。ついに攻撃へ転じる。 ・・九十九の右足が唸りを上げ影慶を襲う。狙いは左側頭部。
速い。しかし影慶、この蹴りをしっかり左腕でブロックする。 ・・その時。 「な、何いッ!!」
何時の間にか。影慶の右側頭部がハジけている。バカな・・ヤツの蹴りは確かに右上段だったはず・・。
何故、左の蹴りが・・。解説のビスケが叫ぶ。   「で、出たわさッ〜 そ、双龍脚だわさッ!!」
双龍脚。左右の蹴りを瞬時に叩き込む技。九十九は右の蹴りを止められた瞬間に、左を蹴り込んだのだ。
一瞬体の崩れる影慶。 ・・九十九が前に出る。影慶の間合いに深く踏み込む。右コブシを前に出す。
「こ、虎砲? 決勝戦、陸奥 九十九の圧勝だわさッ〜!!」  ビスケだけでなく、誰もがそう思った。
だが、九十九が完全に影慶の懐に飛び込んだ刹那。まるで磁石が反発するかの様に、九十九の体が後ろに。
・・観客席の烈 海王。その光景を見て唸る。  「あの影慶・・中国拳法を使うというが、アレまで・・」
「たいしたもんだね、影慶さん・・。虎砲の間合いに入ったと思ったのに、そんな技で返すとはね・・」
九十九は笑う。ゾクリ、とする観客達。 ・・とうとう修羅が目覚めたのだ。 ・・ビスケが嘆息する。
「まさか・・。影慶のヤツ、虎砲を・・。発剄、短剄・・またの名をワンインチパンチで返すとは・・」
302パオ 301の続き:03/05/23 06:43 ID:???
ワンインチパンチ。中国拳法で発剄、短剄と呼ばれる技。文字通りワンインチ(約3センチ)の間合いから、
体の捻り・腕の速度を利用して相手を吹き飛ばす打撃技。 ・・虎砲の間合いはゼロである。この3センチ。
このわずかな差が、影慶を虎砲から救った。 ・・だが。その代わり、影慶は九十九の修羅を呼び覚ました。
「楽しませてくれそうだね・・影慶さん」  笑う九十九。シン、とする観客。影慶。ゆっくりと外す。
毒手の封印を。  「やはり貴様は・・全てを賭けねば勝てぬ相手らしい。男塾魂、しかと見せてやる・・」
「ここからだね・・。本当の闘いは・・」  九十九は笑う。修羅と鬼。いよいよ全てを賭けたぶつかり合い。
・・だがビスケ。目の前の2人を見て不安に駆られる。本当にこのまま・・続けさせていいのか。
(2人とも限界だわさ。特に陸奥・・。ベストの状態ならさっきの虎砲、決まっていたはず・・下手すれば・・
 この決勝、取り返しの付かない事になるわさ・・)
特別席の光成を見るビスケ。光成は笑っている。試合を楽しんでいるように。いや。試合でなく、殺し合いを。

303パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/23 06:50 ID:???
外伝担当さん、リキ入ってるなあ。量も多いし質も高い。それに比べ私は3レス。
しかも決勝だというのに、飛び飛びで書いてスイマセン。トホホ。
あとまあ、変わったと言われてもなあ。昔の方がずっと評判悪いよ、私。
>>284氏の説教と言うのが心当たり無いのだが、あるとすれば一尺 八寸氏との
やり取りだけだ。でもあれを説教と読むのなら、相当読解力低いぞ。
それに284氏、パオのは小説ではありません。ただのネタです。
パオの人間性は別に高くない。(特に低くも無いと思いますが)
でも、ネタに関しては必要以上に真面目に書いてる。ネタで判断して下さい。
この件に関してはこれで最後。擁護してくれた方、ありがとうございます。では。 
304鉄腕アトムvs渋川剛気:03/05/23 12:05 ID:???
結果から書く。この勝負、渋川剛気の勝ちである。
鉄腕アトム。定価2,800円。量販店に行けば、店頭在庫が
500円で手に入ることもある。単3電池で2時間駆動。前後に動き
ボタンを押すとガーと音が鳴るだけのブリキのスクラップである。
空を飛ぶ?10万馬力?ラララ?そんなものは漫画やアニメの絵空事。
現実は厳しいんである。
そんなアトムとの2時間にも及ぶ死闘を制した達人。電池切れで
動きが止まったところに必殺の合気を叩き込んで辛くも得た勝利であるが
こいつはまだまだ強くなる。ワシが鍛えなおしてやる!

という訳で、アトムの改造に着手。女とメカにはいまいち弱いシャイな達人だが
ピンポン玉から義眼を創り出した実績がある。なんとかなんべ。
アニメのアトムは、足の裏から火を噴いて空を飛ぶ。実現不可能かと思われたが
ロケット花火を背中にくくりつけることで対応。達人の科学力、恐るべし!
実際に火をつけたら爆発して落ちるだけだろうが、そんな苦境も
アトムならきっと乗り越えてくれるに違いない。
60ヶ国語にアンテナの鼻。ラジオを口に押し込んで鼻の穴からアンテナを出す。
人間の1000倍もの聴力。特大のメガホンを耳にくっつけた。こんだけでかけりゃ
多分なんでも聞こえるだろ。
さて、ここからは達人のオリジナル。電池が動力ではいかにも頼りない。
そこでバイクのエンジンを搭載。ケツから伸びたヒモを引っ張ると
力強い駆動音が響き渡る。このパワー、もはや達人のかなう相手ではない。
ロボットだから故障もする。そんな時、いつも達人がそばにいるとは限らない。
腹部に大きなポケットを縫いつけ、修理道具を詰め込んだ。多少のガタなら
自分で直せ。甘えるな、強者は常に孤独であれ。
ヒゲを生やして童顔にハクを付け、ボディを青に塗り替えてクールな闘気を
演出する。テグスで落とされたら大変だ、耳はやっぱりとっちまおう。
ついに完成。史上最凶の無敵ロボ、NEWアトムの誕生だ!

ttp://briefcase.yahoo.com/bc/usobare/vwp2?.tok=bcmYYmRBk6FGBNIj&.dir=/&.dnm=atom.gif&.src=bc

渋川剛気○−●鉄腕アトム 決まり手:合気だがそんなのどうでもいい
305マロン名無しさん:03/05/23 15:28 ID:???
相変わらずここはレベルが高いな
いつも楽しみにさせて頂いてます
御礼まで
306マロン名無しさん:03/05/23 18:25 ID:???
>>305
レベル高杉ってのも考えもの。参加しづらい。
三本柱はもちろん>>304なんか突き抜けてるぞ。キユみたく。
307ふら〜り:03/05/23 19:41 ID:???
>夜王さん
何というか、描写が肉体的に細かくて、痛そうな気持ちが
伝わってくる(変な日本語)感じです。今の段階でこの
調子だと、キメの時(殺す時)にはどこまでいくんでしょうっ?

>パオさん
う〜、遂に実在の人物にまで手を出されましたか。でも、
相変わらず面白い。パオさんが二人いてくれれば、本編と
大物対決とが毎日のように読めるのになあとか思います。
で、テリーマンが……なるほど。そう来ましたかっ。
にしてもトーナメント。私にとっては馴染みのないキャラの
方が多かったにも関わらず、決勝に来てみれば全話読んだ
作品同士でした。う〜む。

>外伝担当さん
原作がちゃんとあるのに、オリジナル(ですよね)の人物に、
ここまで感情移入させてしまうのは凄いです。本気で今、私、
ポールたちを応援してしまってます。
もちろん、それを叩き潰すスペックを期待しつつ、ですけど♪

>VSさん(名無しは寂しいので、やはりこれで)
本編を読んで何度もコケて、絵を見に行ってまたコケました。
一体どういう脳ミソをしておられるんですか、あなたはっ!?

>>305 >>306
どちらも、ど〜いです。
308マロン名無しさん:03/05/23 20:13 ID:???
ふら〜りさんて本当にいい感じの方だな。
職人が素晴らしくて、住人のマナーの良いここは本当に名スレだ。
309マロン名無しさん:03/05/23 23:47 ID:Ai0TPyui
応援アゲ
310マロン名無しさん:03/05/24 05:34 ID:???
>>306
だそうですよキユ先生。家宅捜査ってロックなんですか板垣先生。

>>307
こんな脳みそです。
ttp://www.meikatanbou.com/saku/sa27/sa27_1.jpg
311722:03/05/24 12:31 ID:???
読んでないとか言っておきながら、まとめちゃいました。
少しずつまとめますが、今回はもしかしたら途中で放置しちゃうかも
しれません。その時は誰かが引き継いでくれたりすると報われます。では。
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Queen/1309/ss/top.html
312マロン名無しさん:03/05/24 12:53 ID:YjUHYNVr
722>>
あなたいい人過ぎる。パオ氏も喜ぶでしょう。
 
313外伝担当 ◆uuMg1iXKpg :03/05/24 14:53 ID:???
皆様こんにちは。外伝担当でございます。
本日の更新は夜当たりになるかもしれません。
>>307さん
おっしゃるとおり、ジャックとポールは私のオリジナルキャラです。
少なくとも、他の漫画に登場したキャラクターではありません。
ただ、モデルとなったキャラクターはありまして、漫画ではないのですが、
ジャック=コンチネンタル・オプ(ダシール・ハメット「血の報酬」など)
ポール=フレンチー・ショート(スティーヴン・ハンター「悪徳の都」など)
です。両方ともギャングではなく、話し方や考え方もオリジナルとはだいぶ違うのですが、
私が話を作る際にイメージしたキャラクター、ということで・・・・・。

ところで、BARとレミントンM870の画像を見つけました。ジャックたちは、こういう銃器でもって
スペックに立ち向かった次第でございまして、ご参考になれば・・・・。
BAR:http://www.rt66.com/~korteng/SmallArms/browning.htm
(私の駄文では、この弾倉がもっと縦に長いものだとイメージしていただければ)
レミントンM870:http://www.republika.pl/giwerlandia/STRZELBY%20htm/remington.HTM
314302の続き:03/05/24 23:38 ID:YjUHYNVr
観客席の隅にいる江田島 平八。闘技場の九十九と影慶の2人を見て思う。この2人の内の勝者。
つまり無限大トーナメントの優勝者こそが、魔界へと乗り込む精鋭部隊のリーダーとなる。隣の巌に聞く。
「巌・・。魔界へ転送できる人間は何人が限界だ?」  巌は答える。  「一度には5人が限界です」
・・5人。そのメンバーこそが、人間界と魔界との命運を決める。いや、正確には6人か。更に巌に聞く。
「魔界の・・あの男とは連絡は取れているか?」  「ええ。しかしあの男が、我々の味方をするとは」
江田島と巌は言葉が詰まる。本来、魔界の住人である6番目の男。本当に信頼できるのか・・。
巌は言う。 「あの男は、魔界で合流するそうです・・」  江田島は思案顔で頷く。もう時間は無い。
魔界と人間界の門は開きつつある。今は魔界にゆかりのある人間しか、人間界に来る事は無い。しかし。
完全に門が開いてしまえば、人間以外の、そして人間以上の力を持つ強者がやって来る。そう、最後には。
あの、大魔王バーンさえも・・。 
・・その前に精鋭部隊を魔界へ送り、大魔王バーンを倒す。その為の人間界の強者の団結。精鋭部隊の選抜。
そして大会優勝者。その者こそ精鋭部隊の中心となる。それに相応しい人物の選出・・。
その為の「無限大トーナメント」である。言うなれば、この大会は来るべき戦争の為の準備に過ぎないのだ。
全てはバーンに対抗できる戦力を整える為の物である。 ・・しかし。江田島には誤算が2つあった。
一つは予想以上のケガ人の続出。手元の「仙豆」を見る。たった5粒。これでは全ての人間を全快という訳に
いかない。大豪院 邪鬼など予想外の離脱もある。だが仙豆、やはり魔界精鋭部隊へ多く投資せねばならない。
すまぬ、邪鬼・・。心で詫びる江田島。 ・・そしてもう一つの誤算。江田島が未だ予想出来ぬ誤算。
人間界の実力者、徳川 光成の裏切り・・。魔界との密通である。

・・決勝戦。修羅の目覚めた陸奥 九十九と毒手を開放した影慶、中盤戦へ。
315314の続き:03/05/25 00:17 ID:fWrIaRCO
「覚悟しておけ・・。ここからは殺し合いだ・・毒手の暗殺術、見せてやろうッ!!」  影慶は九十九に言う。
「陸奥園明流は人殺しの技だ・・。1000年、そんな闘いを繰り返して来たよ・・」  九十九は影慶に返す。
・・会場の空気が変わる。どこかお祭り騒ぎの様だったこの「無限大トーナメント」 ・・今は違う。静寂の会場。
目の前の2人。明らかに今までの闘いと違う。修羅と鬼。時代の影に生きた武術と、闇で極まった暗殺術。
ゾクリ、と背中に冷たい物の走る観客。怖い。恐い。 ・・これから起こるのは本当に「試合」、なのであろうか。
永遠とも思える静寂を切り裂く影慶の絶叫。   「勝負だ陸奥ッ!!」   ・・そして一気に距離を詰める。
ニッと笑い迎撃の態勢を取る九十九。影慶の毒手が目の前を過ぎる。九十九、まばたき一つせず、それを見切る。
「スゲえ・・今の見切りなんかミリ単位だぜ・・」   観客の溜め息。しかしその溜め息すら聞こえなくなる。
影慶の技が余りにも速いのだ。観客の目では全く追いつかない。毒手の手刀を主に、あらゆる打撃を繰り出していく。
(この攻防を完全に目で追えるのは・・。強者が沢山いるこの会場でも、アタシ含めて10名いないわさ・・)
ビスケクラスの達人で、やっと影慶の技を追えるレベルである。観客席の男塾の面々でも、完全に見切れるのは、
桃と伊達とJ、明石位であろう。それ程の影慶の攻撃。しかしビスケ。  (影慶以上に・・陸奥がすごいわさ・・)
・・見切っている。影慶の超速の連撃を紙一重で。   (どうなっているのだ、コイツは?)  焦りの出る影慶。
影慶が右廻し蹴りを放つ。。 ・・イケる。この蹴りは俺の生涯の中でも最高の蹴りだ・・。だが次の瞬間。
「ダ、ダウ〜ンッ、影慶ダウ〜ンッ!! い、いや影慶、すぐに立ち上がったわさッ」  ビスケが慌てて実況する。
攻撃状態にあった影慶の方が吹き飛ばされた。立ち上がりながら影慶。驚愕と共に九十九を見る。
(俺の生涯最高の蹴りすら・・上回るか、陸奥・・)  九十九。影慶の右廻し蹴りに合わせ、自分自身も放っていた。
影慶を上回る、右廻し蹴りを。 ・・強い。体術では適わぬか・・。そう思った影慶に突っ込んでくる。陸奥 九十九が。
316315の続き:03/05/25 00:52 ID:fWrIaRCO
あの技は・・。九十九のヒジが光って見える。かわすか。瞬間的にそう考える影慶。 ・・いや。これをかわしては・・。
勝てぬ。おそらく勝利と敗北、紙一重の間の勝機。 ・・こい。貴様のその技受けてやる・・。 実況のビスケが叫ぶ。
「き、極まったわさ〜!! 陸奥園明流肘技・裏蛇破山、朔光(さくこう)だわさッ!!」  踏み込んだ九十九のヒジ。
深々と影慶の鳩尾に突き刺さっている。上から下へ突き上げる様に。血を吐く影慶。ボトボトと血が九十九の髪へ垂れる。
「いくら完璧な貴様でも・・。攻撃の決まった瞬間だけは・・動きが止まるものよ・・」  影慶が血を吐きながら笑う。
シュッッ ・・影慶の右腕が鈍い音を立てて唸る。  ・・シュパッ・・  乾いた音が響く。その音に一瞬凍る場内。
静寂をビスケの声が破る。  「ど、毒手だわさッ・・毒手で陸奥の右腕を引き裂いたわさッ!!」   よろめく両者。
(こ・・この為に陸奥のヒジを喰らったわさ?)   ビスケの驚愕をよそに闘技場の両者。よろめきながら距離を取る。
大騒ぎする男塾応援団。富樫は叫ぶ。   「か、勝ったぁ〜、影慶先輩、肉を切らせて骨を断つの大逆転じゃあッ〜」
だが桃と伊達は厳しい顔のまま。桃が言う。  「このまま終わりとは思えん・・あの陸奥が」   伊達がウムと頷く。
「その毒は即効性の高い特別製よ・・速く治療を受けねば・・な、何いッ!!」  影慶。九十九のその行為を見て叫ぶ。
・・九十九。喰い千切っている。自分の右腕側腕部、毒手で斬られた所を。己の血で口を汚し笑う修羅。肉を吐き捨て言う。
「1000年殺し合いをして来た一族だよ・・。この程度で倒せるなんて思わない方がいい・・」   ゾクリとする影慶。
317316の続き:03/05/25 00:53 ID:fWrIaRCO
(た、例えすぐ患部を喰い千切ったとはいえ・・全ての毒を除く事は出来ぬ。動きは鈍るはず・・)  恐怖を振り払う影慶。
勝機。 ・・影慶はそう思い前へ出る。勿論鳩尾は痛む。だが、このチャンス逃さん・・。その時。影慶の右目に痛みが走る。
(に、肉の塊?)  一瞬の驚愕の後の思考。目に入った異物。九十九の肉片。先程、九十九は全ての肉を吐いたわけでない。
ほんのわずか口に残し、九十九はそれを影慶の右目に吹いた。 ・・その技。陸奥園明流・訃霞。自分の唾や歯を相手の目に吹く。
動きを止め、目を奪うのに効果的な陸奥の裏技。影慶の動きもちょうど今止まっている。痛みでなく、その驚愕と恐怖の為に。 
・・そしてもう一つ。訃霞の「訃」の文字には。「死」を告げる、と言う意味がある。    
318パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/25 01:00 ID:fWrIaRCO
長文エラーは難しいな。文字制限のため変な区切りになってしまう事が多い。困ったモンす。
あと722様、本当にありがとうございます。頼めた義理ではありませんが、是非お願いします。
出来れば夜王さんや外伝担当者さんのも・・。厚かましくてごめんなさい。
ところで、久しぶりに大笑いした。>>304さんに。ネタであまり笑うことって無いんですが、
今回は笑った。この方って、バキ本スレの電波系ネタ毎週書いてる方?あの伝説の烈祭りの?
悔しいが1レスギャグネタでこの方にはとても勝てないなあ。ま、ネタなんて勝ち負けじゃないですが。
とにかく悔しい。悔しいので、>>304さんはどんどんネタ書いて下さい。楽しみにしてます。では。
319スペック(その48):03/05/25 02:00 ID:???
>>297
緊張から解放されたためか、全身がようやくのことで感覚を取り戻していた。
歩くたびに、足の裏から頭のてっぺんにかけて鈍い痛みが走り、攻撃を受けた箇所には絶え間なく
疼痛が走る。そして、何よりも、たった数分の戦いなのに、フルマラソンを走りぬいたかのような重い
疲労感が体の内側からべっとりと染み出していた。

でも、生きているだけありがたい。
ジャックは、フロアへの入り口へと歩を進めながらそう思った。
まったく、あのバケモノには本当にひやりとさせられた。
私も、いろんな人間を相手に命のやり取りをしてきてはいたが、あんなヤツは初めてだ。
身のこなし、人を壊す技術、そして決して鍛錬によるものばかりではない純粋なパワー。
ポールが、どうやらものになりそうなあの若者が土壇場で我を取り戻してくれたから、結果的には
私が囮になるという当初の計画を果たせたものの、もし彼がいましばらく店の隅で蹲ったままで
あったならば、私の首がバケモノの新たなトロフィーになっていたところだ。

それにしても。
ふと立ち止まり、ジャケットのポケットからラッキーストライクとマッチを取り出しながら、彼は疑問を
抱いた。
あのバケモノは、どういう手段で、ここにいた31人を皆殺しにしたのだろう?
ジャックは、ことさらにゆっくりとした動作でラッキーストライクを銜え、マッチを擦った。
思い当たる可能性の、あまりの深刻さに手が震えて、緩慢な動作でもない限り確実にタバコとマッチ
を無駄にしてしまいそうだったからだ。
ああ、いや、答えはもうわかっている。まったくの徒手空拳だ。さっきの動きを見る限り、あのバケモノ
は、己の四肢のみをもってこれほどの殺戮を成し遂げたのだ。
なんて奴だ。こんな常識外れは見たことも聞いたこともない。本当のモンスター、悪魔の手先だ。
320スペック(その49):03/05/25 02:01 ID:???
>>319
だが。

どうにかマッチを無駄にせずタバコに火をつけたジャックは、深々とニコチンを吸い込み、呟いた。

「私達は、奴を倒した。それは間違いない」
誰かに対してではなく、自分に言い聞かせるように、小さいがはっきりとした口調で断言したジャックは、
再び歩き出した。
倒したとなれば、もう奴のことを恐れる必要はない。店は滅茶苦茶になってしまったが、再び奴が店を
荒らすことは金輪際ありえないのだ。
外の光が薄く差し込むフロアの入り口を睨み据え、ジャックは次第に確かなものとなりつつある足取りで
歩みながら、決意を固めていた。

まずは、私達―正確に言えば、ミスター・フィルスの雇い主である"彼"に現状を報告して、当面の指示を
仰がなければならない。
"彼"がコロラド州政府やホットスプリングス市当局に及ぼす絶大な影響力により、今夜のこの事件は、
何らかの事故として処理され、闇に葬られるだろう。ガス爆発あたりが適当かもしれない。
だが、"彼"は自分の権勢と富の象徴であるこの店を叩き潰されたことを絶対に許さないだろう。
後は、誰がこの人外たる黒衣の巨漢をここに送り込んだかつきとめて―"彼"の持つネットワークを
フルに活用すれば、誰がこのバケモノを送り込んだかすぐに判明するから、そいつに報復する。
もちろん、報復の先陣は私とポールで切るのだ。

待っていろ。ミスター・フィルスが味わった苦痛、用心棒と店員に降り注いだ災厄、ポールが乗り
越えた恐怖、そして私が感じた絶望。その全てを100倍にしてたたきつけてやる。
このバケモノを倒した私達だ。今なら、たとえ合衆国大統領が相手でも報復を成し遂げてみせる。

ジャックがそこまで思いをめぐらせ、士気を高揚させた時だった。
321スペック(その50):03/05/25 02:02 ID:???
>>320

「 バ ア 」

息を呑む音。靴底を勢いよく引きずる音。重いものが肉を叩く音。そして、水分のたっぷり詰まった
袋が打ち倒されるときに発する音。
全てが終わった今、ありえないはずのその音が、立て続けにジャックの背後でおこった。
しっかりとした足取りで、そのときまさにフロアを出て、エントランスに踏み込もうとしたジャックが、
その音を耳にして立ちすくむ。さながら、電撃を受けたかのように。
まさか。
声にならない声でうめき、ジャックは首筋に怪我をした者のような緩慢さで首を後ろに巡らし
―そして、見た。
あの怪人が、ポールが散弾を打ち込んだはずのバケモノが、店内の暗闇に溶け込むように
立ち上がっているその姿を。
暗闇からわずかに覗く顔の下半分に、見まごうはずもない、例の不吉な微笑を浮かべているのを。
怪人の足元に、今夜の殊勲者であるはずのポール、もしかするとジャックのよき後継者たりえた
かもしれない若きギャングが、あらゆるもので汚された床に這いつくばり、ピクリとも動かないでいるのを。
「馬鹿な、馬鹿な。どうして・・・・・?」
ありうべからざるその光景に、ジャックはそれだけを搾り出すのが精一杯だった。馬鹿な。何故こいつは
生きているんだ。

ジャックはそのとき、彼の中の世界がぐにゃりと歪むのをはっきりと感じた。
322スペック(その51):03/05/25 02:03 ID:???
>>321
「ドコヘ行クンダイ、ガンマン?俺ハマダコノトオリ健在ダゼ・・・・・」
半ば思考停止に陥りかけたジャックを蔑むように見下ろし、スペックは尋ねた。
「馬鹿な、何故貴様が生きている!」
悲鳴じみたジャックの反問が、店の暗闇に空ろに吸い込まれる。
スペックは、掌ほどの破口がぽっかり開いた黒い衣服、そこを左手で軽くなでまわしてニヤリと
笑みを大きくする。
「ダブルオー・バック・ショット・・・12ゲージノ9粒弾・・・・・コレヲマトモニ喰ラエバ、確カニ助カラナイ」
スペックの右手は、衣服の腰のあたり、上着のすそからベルトのあたりをまさぐっていた。
「ダガ、コノ弾ハ、20mデ30センチノ散布界ヲ描ク・・・ツマリ、9粒ノ鉛弾ハ、10mデハ直径20センチ
以下ノ円内ニ全テ命中スルトイウコトデ、コノ若者ガ私ヲ撃ッタ距離ハ、10メートル以下ダ」
何かをまさぐっていたスペックの右手が、ずるりと上着のすそから引きずり出される。
「ツマリ、ソノ20センチヲ守ッテサエイレバ、ダブルオー・バック・ショットガ私ヲ倒スコトハデキナイ」
その手には、飲食店では極めてありふれた物ーいや、どこの家庭にもまず間違いなく存在するものが握られていた。

「フ、フライパン・・・・・!?」

スペックの手に握られた台所用品―鉄製の丈夫な直径40センチのフライパンを目の当たりにし、
ジャックは何か悪い冗談を目の当たりにしているような感覚に襲われた。
もしもこんなときでなければ、そう、例えば、第3者としての視点からこの情景をみていたならば、
間違いなくジャックは腹を抱えて笑い転げていたであろう。
黒衣の怪人と鉄製の調理機器の取り合わせは。それほどまでに滑稽な、シュールな取り合わせであった。
「31人ヲ片付ケタ後、モシカスルト次ハソコソコノ手錬ガ来ルカト考エテ、念ノタメニコノ店ノ厨房カラ
持チ出シタモノダガ・・・・・」
そこで言葉を区切り、スペックは、ぶんっと手にしたフライパンを振り回した。
フライパンの中央、半径20センチ前後の円内に収まるように、小さな窪みがきっちり9つ付けられている。
「思ッタ以上ニ、役ニ立ッテクレタヨ」
323マロン名無しさん:03/05/25 02:16 ID:???
>>318
たとえリップサービスでも、パオさんにそこまで言っていただけると
嬉しさもひとしおです。ええどうせ私ゃ単純です。出世はもはや絶望的です。

「パンチいたい」があそこまでウケるとは思いもよりませんでした。
その後も調子に乗ってダラダラ書き続けてまいりましたが、あいも変わらず
長編には縁がありません。能力もありません。もうパオさんはじめ
3本柱のお歴々にお任せ。毎回楽しく拝見しておりますですよ。

対決ネタ、バキキャラで未登場は死刑囚・花山・千春・烈、ぐらいかな。
324外伝担当 ◆uuMg1iXKpg :03/05/25 02:22 ID:???
皆様こんばんは。外伝担当でございます。
相変わらず話が進まなくて大変申し訳ございません。自分でも呆れておりますが、
なんとかその100に行くまでは話を終わらせたいなァと考えております。
(さすがに、あと50もジャック対スペックで話を続けるというわけではありませんが)

ところで、散弾(12ゲージ・バック・ショット(鹿弾))についていくつか補足を。
まず、弾の種類ですが、鹿弾(または鹿撃弾)とは、その名前が示すとおり、大型獣用の
散弾のことをいいます。口紅ほどの大きさの薬莢に、1/12ポンドの重さの鉛弾(直径8.6ミリ)
を9発詰めたもので、射程距離は概ね75メートル。人間が喰らえばまず助かりません。
散布界という言葉ですが、イメージとしては20メートル離れた標的に発砲したとして、
半径30センチの円内に9つの鉛弾が着弾する、といったところです。つまり弾の散らばり具合ですね。
ならば10メートルでは半径15センチでは?という疑問を抱かれた方もあろうかと思います。
この数字は、昔読んだ書籍のデータをうろ覚えのまま引き写したもので、その本によれば、
射撃時の距離と散布界は単純に比例するものではないのだそうです。
で、実際に観測してみたところ10メートルで20センチ、20メートルで30センチとなったとか。

まあ蛇足といえば蛇足ですが。
325パオ 317の続き:03/05/25 10:10 ID:fWrIaRCO
訃霞。「死」を告げる、という意味の陸奥の裏技。一瞬、右目を奪われた影慶から九十九の姿が消える。
「グフッ・・」  次の瞬間、影慶の体が九の字に折れる。前蹴り。九十九はまっすぐ前に出ただけである。
しかし余りにその動きが速過ぎ、片目だけでは一瞬追い切れなかったのだ。  (まさか、毒で動きが・・)
患部を喰い千切ったとはいえ影慶の毒手である。動きが緩慢になるはずだ。しかし、今の九十九の動き・・。
速くなっている。試合開始直後より。そして喰らった前蹴り。重い。今まで自分が味わった蹴りの中で一番。
(つ、強い・・邪鬼様より・・)   この男は戦闘レベルが違い過ぎる。男塾でこの男に勝てるのは・・。
(塾長だけ?)  そんな言葉が頭を過ぎる。その刹那の思考の間にも、九十九の蹴りは影慶を削り続ける。
速い。ガードの速度が九十九の蹴りの速度に間に合わない。神速。九十九の攻撃の前にメッタ打ちになる影慶。
(勝てぬ・・なら)  打たれながらも影慶、足の封印を解く。毒足。右腕の毒手と左足の毒足。差し違える。
相打ちならば負けでは無い。何故なら・・男塾には、邪鬼を始め、自分より強い人間がいるのだから。
影慶。毒手と毒足をメチャクチャに振り回す。技巧も無い。ただ手足を振り回しているだけである。それゆえに。
九十九は間合いを取らざるを得ない。隙だらけではあるが、毒手・毒足は日本刀を振り回すのと同意である。
急所を一度斬られれば、そこで勝負は終わる。例えば毒手で首筋を斬られれば、今度は食い千切る訳にはいかない。
再度距離を取る九十九。ボロボロの影慶。実力差ははっきりしている。しかし、影慶には一撃必殺の毒手がある。
分からない。勝負はまだわからないハズだ。 ・・祈る様な気持ちの男塾応援団。ビスケは思う。
(影慶の肉体はボロボロ・・。しかし陸奥も毒が効いてない訳じゃないわさ。勝負の決着は・・近いわさ・・)
326パオ 325の続き:03/05/25 10:40 ID:fWrIaRCO
対峙したまま動かない影慶と九十九。影慶の構え。毒手と毒足だけに重きを置いている。一撃。ただそれのみに。
全てを賭ける。九十九もそれは分かっている。影慶は勝利を望んでいない。自分を捨て、ただ刺し違える事のみ。
影慶の集中力が増大していく。最早、男塾応援団の大鐘音も聞こえない。世界にあるのは標的の九十九のみ。
毒手と毒足が九十九を狙う。九十九の呼吸音すらハッキリ感知できる。 ・・狙いは、首筋。そこへ叩き込む。
毒手・毒足を。 ・・いや、己の全てを。カッ。影慶の目が大きく見開かれる。   「勝負だ・・陸奥ッ!!」
ニッ。一瞬笑う九十九。互いに前へ出る影慶と九十九。影慶。なんのフェイントも無い蹴り。だが気迫は凄まじい。
大きく天を突く蹴り。速い。今まで地に在った毒足が、一呼吸後に九十九の頭上にある。 ・・だが。それは即ち。
その毒足は「かわされた」という事である。神の領域の「見切り」。ほんの1ミリで、その蹴りは空を切っている。
327パオ 326の続き:03/05/25 10:41 ID:fWrIaRCO
だが影慶。集中力が異常に増している。 ・・世界の全てがゆっくり見える。その神速の九十九の見切りさえ。
(そうなるのは・・わかっていたッ)  ここまでのお互いの動き、わずか0.3秒ほどである。 ・・しかし。
影慶にはスローモーションの様に、ビデオのコマ送りの様に見える。 ・・おそらく、影慶の闘いの生涯の中でも。
おそらくこの一瞬、ただ一度のキラメキ。 ・・男塾代表という重い看板、責任。陸奥 九十九という至高の相手。
それが自分をここまで引き上げた。 ・・生涯ただ一度の「最高」の境地へ。「神」の境地、と言い換えても良い。
この激闘の最中。何故か九十九への感謝が沸いて来る。この相手でなければ、俺はここへ辿り着けなかった・・。
・・ここまでで、影慶と九十九が動いてから約0.4秒。無論、観客たちには疾風の様にしか見えない両者の動き。
しかし相変わらず、影慶にはスローモーションに見える。九十九が毒足をかわしている。ならば。次はこの・・。
毒手の手刀。 ・・ゆっくりと、コマ送りで九十九の首筋へ近づく。九十九の動きは止まって見えている。
首筋へ近づく毒手。あと数ミリで首筋を捕らえる。 ・・ここまでで約0.5秒である。首筋に到達する毒手。
相変わらずスローモーションに世界の全てが見える。 ・・そして毒手が九十九の首に触れる。 ・・勝った・・。
だがその刹那。 ・・影慶の世界が破られる。今までコマ送り、いや止まっていた世界。急に動き始める。目の前の。
九十九が急速に動いたのだ。今までコマ送りだったのに。確かに九十九に触れていた毒手。後はほんの少し前へ。
出れば九十九の頚動脈を切っていた、はずだった。 ・・しかし止まっていた世界は急に動き出し、影慶を裏切った。
九十九は避けている。影慶の毒手を。影慶はその様子を、どこか他人事の様にこう思っていた。
(俺の生涯最高の境地も・・お前にとっては既に手の内か、陸奥・・) ・・ここまでわずか0.7秒の出来事である。



328パオ 327の続き:03/05/25 11:25 ID:fWrIaRCO
九十九はかわしている。影慶の毒手を内側へ。ニッと笑う九十九。その瞬間、影慶も笑う。
フッと寂しげに、そしてどこか幸せそうに。ポツリ、と九十九が言う。  「いくよ、影慶さん・・」
毒手を九十九がつかむ。そのまま腕をひねる。外側に体を入れ替えながら、影慶のヒジを肩口へ乗せる。
そのまま肩で影慶のヒジを叩き折る。 ・・だがそれで終わらない。そのまま空中へ投げ飛ばす。
ちょうど、柔道の一本背負いを裏返した様な形。空中へ頭から放り投げられる影慶。九十九からは。
影慶の体は背中を向け、地面へ落ちようとしている。 ・・そこへ。 ・・ベキィッ!!・・ 衝撃音。
闘技場へ響く鈍い音。 ・・空中で無防備になった影慶の延髄。その首裏へ、九十九は叩き込んだ。
ローキックを。 ・・闘技場の床と平行に吹き飛ぶ影慶の肉体。腕を折られ、延髄を蹴り飛ばされ・・。
今、人形の様に砂にまみれている。 ・・影慶が毒足を仕掛けてから、わずか1.5秒ほど。
その一瞬の間に、全てが終わっている。 ・・シン、とする闘技場内。しかし観客の心の内で育つ思い。
・・まさか、死んだ?・・  数秒の間、誰も何も言わない。響くのは呼吸音だけ。急にビスケが叫ぶ。
「な、何やってるわさ!! 担架、タンカだわさッ!!」   その声に急に弾かれた様に騒ぎ出す観客。
審判が腕を上げようとする。    「し、勝負あ・・」   だが。九十九は審判を制して言う。
「まだだよ・・影慶さんは立とうとしてる・・」   モゾモゾと動く影慶の肉体。そして立ち上がる。
「ま・・待っててくれたのか・・陸奥?」   黙ってうなずく九十九。影慶は笑い、そして再度構える。
だが最早、立っているのがやっとの状態である。   「恐ろしい技だな・・なんという技だ?」 
影慶の問いに短く答える九十九。  「陸奥園明流・・雷(いかづち)」   九十九の闘気は衰えない。
329パオ 328の続き:03/05/25 11:25 ID:fWrIaRCO
お互いまだ闘おうとしている。   「もういい、止めてくれぃ陸奥、影慶先輩を殺さないでくれぃ!!」
虎丸が哀願しながら叫ぶ。富樫は柵を乗り越え試合を止めようとしている。しかし桃は2人に言う。  
「影慶先輩から目を逸らすな。俺たちに伝えようとしている。男塾三号生として、後輩の俺たちに何かを・・」
影慶は毒手を九十九に放つ。 ・・だが、もう子供にも避けられるスピードである。九十九はかわしながら、
上段右廻し蹴りを、全力で影慶の顔面へ叩き込む。容赦は無い。首が折れているかも知れぬ影慶に、である。
ガクリと首が曲がる影慶。だが倒れない。 ・・九十九は懐に踏み込む。  「影慶・・この名前は忘れない」
そう言うとピタリ、と左コブシを影慶の胸に付ける。  「すまんな・・陸奥」  そう言って目を閉じる影慶。
「バカな・・あれは陸奥の最大の奥義・・今日2発目だわさ!! あれをやったら影慶は・・そして陸奥も・・」
九十九の左コブシが高速でブレる。波・・。振動波が影慶の肉体を内部から破壊する。次いで。拳が肉体を壊す。
1トンもの物理的な衝撃が影慶を襲う。 ・・陥没する影慶の胸。アバラが何本もヒシ折れる。意識が飛ぶ影慶。
・・ゆっくりと闘技場の砂へと沈む影慶。だが九十九。 ・・限界を超えた2発目の「無空波」で自らも倒れる。
両者ノックダウン。 ・・数秒後。片方がゆっくり立ち上がる。全ての激闘を制したその男。 ・・陸奥 九十九。
ビスケが叫ぶ。   「決まったわさ〜!! この大会を制した男の名は・・陸奥 九十九だわさッ〜!!」
そして審判。長い無限大トーナメントの、終わりを告げる一言を叫ぶ。     「勝負ありッッ!!!!」
330パオ 329の続き:03/05/25 11:54 ID:fWrIaRCO
熱狂の場内。だが、闘技場では激闘を終えた2人の男がたたずんでいる。限界を超えた九十九。
そして生死不明の影慶。医療班が駆け込んでくる。九十九と影慶を見る。医者の顔に暗い影が刺す。
男塾応援団の一号生の多くは泣いている。負けたからではない。影慶の様子が・・どう見ても・・。
「泣くな虎丸。影慶先輩は教えてくれたのだ。どんな強大な敵にも屈せぬ、真の男塾魂を・・」
桃は虎丸の背中を叩く。涙を拭く虎丸と一号生たち。 ・・後に。この影慶の姿が大きく影響する。
そう。魔界との全面戦争。今見せた影慶の男塾魂を、塾生全員が魔界の怪物に対して発揮するのである。
・・だが今は。影慶の様子を会場全てが心配している。無論九十九も。 ・・だが医者は、影慶の姿に。
(駄目だ・・もって一時間だろう・・)  ・・その医者、ブラックジャックがそう判断したのである。
誰もこの男を助けられない・・。優勝が決まったというのに、どこか心寒い雰囲気の闘技場。
ビスケが江田島の姿を観客席の隅に見つけ、その場に駆けつける。ジッと闘技場の2人を見る江田島と巌。
「どういう事だわさ・・江田島?」  ビスケから殺気が放たれる。 「祭りじゃないわさ、こんな大会・・」
江田島。ビスケの言葉に雄々しく答える。   「見事である、影慶!!」   プツン。ビスケの切れる音。
思い切り江田島をビンタで張り飛ばす。  「それでも教育者かッ!! 教え子が死に掛けてるわさッ!!」
江田島の口元から血が流れる。   「・・ビスケよ。これからなのだ。本当の地獄の戦いは・・」 
そしてスッとビスケに差し出す。2粒の小さな豆。   「これは・・仙豆・・」   江田島を見るビスケ。
「それを行って早く2人に飲ませいッ!! あの2人は、来るべき戦いに・・無くては成らぬ者たちよ・・」
【来るべき戦い】・・。その言葉が不吉にビスケの頭に響く。しかし今はそれどころでない。走り出すビスケ。
「殴って悪かったわさ、江田島・・。埋め合わせはするわさ」  フッと笑う江田島。そしてあの台詞を叫ぶ。
「ワシが男塾塾長、江田島 平八であるッ!!」  ・・隣の巌が厳しい顔で言う。  「あと3粒ですか・・」
江田島はその問いに答える。  「あの2人を失う訳にはいかん・・特に陸奥。ヤツはこの戦いのカギを握る・・」 
331パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/25 11:58 ID:fWrIaRCO
多めに書いて決勝を終わらせてみた。もう少し「最大トーナメント編」ですぐ「魔界編」。
お楽しみに。魔界編ではシリーズ毎にタイトルをつけようかな、と思ってます。
ところで、結果を変えた2試合ですが。九十九で一試合、(対鷹村だったかな?)
アカギ対渋川で一試合。だと思った。確か。九十九が負ける姿は中々難しいですな。失敗。
アカギは勝たすと贔屓が露骨になるので負けさせた。あと一試合変えた様な気もする・・。
では、また。
332マロン名無しさん:03/05/25 14:16 ID:???
終わってみたら順当に陸奥かぁ、バキとはえらい違いだな
四門で勝つと思ったけど、いや、名勝負だった
333マロン名無しさん:03/05/25 14:34 ID:???
四門開いちまったら確実に死んじゃうだろうがw
334マロン名無しさん:03/05/25 17:26 ID:???
陸奥の扱いはパオも困っていたようだな。でも名勝負ばかりで楽しかった。
魔界編は九十九対バキをやりそうだ。慶事対獅子緒と並んで楽しみ。
魔界期待アゲ
335マロン名無しさん:03/05/25 17:30 ID:PAqgQanU
期待し過ぎないように期待してます。
ところで夜王さんは来ないな。なかなか。
336マロン名無しさん:03/05/25 17:50 ID:???
ビスケかわいい過ぎ
337名無しさん@Emacs:03/05/25 18:02 ID:???
影慶が負けちまった(TT)
338マロン名無しさん:03/05/25 19:49 ID:???
ビスケ…あんたがマトモな事を言ってもなあ…。
339ふら〜り:03/05/25 23:48 ID:???
>>308さん
ありがとうございます。実はちょうど、「長すぎ。ウザい」とか
言われるのではと心配してたところでしたので……感謝です。

>>外伝担当さん
銃、見てみました。こんなもの使っても尚、倒せないスペック
はやはり凄い。うん。そしてそれを描ききる外伝担当さんも。
でフライパンというのがまた、非常ぉ〜にスペックらしくて♪
「バア」のとことかも、スペックのあの笑顔が目に浮かびます。

>>パオさん
スローモーションのところ、本当にハラハラできました。これが
普通の漫画なら、バキでも修羅でも男塾でも、決勝で主人公が
負けることはあり得ないので結果は読めますが……読めないのが
パオさんの作品。商業では味わえないスリル、味わわせて
頂きましたっ。
魔界編も、誰がどう活躍するのか? また、これからどんな作品の
どんなキャラが登場するのか? 本当に先が読めなくて、楽しみ
です♪

>>722さん
ありがとうございます! ここに書き込んでいない方も含めて、
きっと物凄くたくさんの人が(無論私も)、あなたに大・感謝
してますよっっ!

>>三本柱、もとい四天王のあと御二人
ご無理のないペースで、これからも書いて下さい。待ってます♪
340マロン名無しさん:03/05/25 23:57 ID:???
作中で不敗の九十九がここでも優勝しちまうってのがなんだか出来すぎ。
サイコロの意味ねーじゃん。
341マロン名無しさん:03/05/26 01:02 ID:???
>>341
失せろ
342マロン名無しさん:03/05/26 01:03 ID:???
間違えた・・・・俺が失せるか・・・・
ほら、一緒に帰るぞ>>340
343パオ 330の続き:03/05/26 01:30 ID:MBKju5MA
無限大トーナメント終了2時間後。 ・・祭りの後の寂しさが会場を包んでいる。静寂。しかし闘技場には。
江田島の命により、大会出場者及びその関係者が集められている。 ・・つまり、一般観客以外の人間がまだ。
残っている。九十九たち選手の面々。ビスケたち関係者。男塾の面々や愚地 独歩や松尾 象山などの戦士たち。
そして光成・江田島の主催者。江田島が一同を前に言う。   「大儀である。よくぞ激戦を勝ち抜いた、陸奥ッ」
陸奥 九十九。 ・・仙豆の効用に拠り、影慶とともに元気な姿を見せている。拍手し、陸奥を称える一同。
しかし。その拍手が終わった時。江田島の気合が響く。   「だが、本当の戦いはこれからであるッッ!!」
・・その言葉に動揺する一同を前に江田島は話す。この大会の本当の目的。来るべき魔界との戦争の為の準備。
人間界の実力者の一致団結。そして。 ・・魔界征伐精鋭部隊の人選。いわば、精鋭部隊は人間界の希望である。
戦力的に圧倒的に上の魔界。その懐に飛び込み、首魁である大魔王バーンを倒す。江田島はシンとする一同へ言う。
 「近いうちに魔界は人間界へ戦争を仕掛けるであろう・・。だが、この地上戦は我々にも勝機であるッ!!
  その戦争の間・・。魔界の戦力は、魔界と人間界の2つに分断されるのだからな・・」
江田島の言葉に、男塾死天王・センクウは大きく頷く。江田島の真意を見抜いたのである。
 「なるほど・・。地上での攻防戦の間に、精鋭部隊が魔界へ忍び込み、一気に敵の本陣を叩くのですな・・」
・・2極作戦。精鋭数名が魔界へ行きバーンを倒す。その間の人間界での侵略戦争を残りのメンバーで守り抜く。
 「厳しい闘いだ・・。特に魔界征伐精鋭部隊。魔界ではワシの力も及ばぬ。だが、バーンを倒さねば未来は無い」
・・滅多に見ぬ江田島 平八の苦悩の顔。だが江田島。キッと表情を引き締め、気合の入った声で叫ぶ。
 「魔界討伐精鋭部隊・・。計6名。だが2名は既に決定している。そして・・。その精鋭部隊のリーダーが・・
  この大会の優勝者、貴様だ、陸奥 九十九ッ!!」
 
344パオ 343の続き:03/05/26 01:59 ID:MBKju5MA
陸奥 九十九。闘う為に生まれた彼が、この江田島の申し出を断る訳は無い。魔界征伐精鋭部隊、1名決定。
 「リーダーは決まった・・。残り3名。貴様らの中で立候補は無いかッ!!」  ・・江田島の怒号。
その江田島の言葉に、いつもの2人が大声で言い争いをしている。 ・・勿論、男塾の富樫と虎丸である。
 「カカカ、精鋭部隊じゃとッ ワシの出番じゃあ〜」  「ぬかせ虎丸、お前じゃ無理じゃ、俺がやるッ」
・・立候補しても1秒で却下されるであろう、悲しい言い争い。だがその2人の声を引き裂く様に、ある男が。
 「押忍ッ。塾長、自分にお任せ下さい」   男塾から立候補した凛々しい男。驚き役の富樫と虎丸が叫ぶ。
 「お、男塾一号生筆頭、剣 桃太郎ッ〜!!」   ・・残り2名。そこへ。出場選手の中から美しい声が。
 「魔界ね。学者として体がうずくわ。それに・・待たせている人もいるしね」   ・・女性である。
その知的で美しい女性。富樫と虎丸が同時に叫ぶ。   「ち、地上最女神、ニコ・ロビンさまッ〜」
江田島は満足そうにうなずく。 ・・陸奥 九十九。 剣 桃太郎。 ニコ・ロビン。 江田島とっておきの男。
そして魔界で待つ切り札のあの男。 ・・計5名。このメンバーならば、魔界の強者にも十分に対抗出来る。
 「最後の枠だ。 ・・あと1名。だれが行くのだ?」   江田島の声に全員の目が光る。だがその時。
 「塾長。精鋭部隊6名と言いましたが、既に決まっていると言う2名は、どんなヤツなんですかい?」
虎丸の疑問が江田島に飛ぶ。 ・・その疑問、虎丸だけでない。ここにいる全員の疑問である。江田島は笑う。
 「フフ・・。一人は魔界の住人なので、ここにはまだ来れぬが・・。もう一人は今ここへやってくる」
・・その時。闘技場の白虎の方角へ現れる人影。その人影は言う。   「待たせましたね、塾長・・」
驚き役の富樫と虎丸。その人影の男を見て叫ぶ。   「き・・貴様は・・ところ天の助ッッ!!」
345キン肉マンII世vs花山薫:03/05/26 02:13 ID:???
「侠客立ち」があるのだから、「侠客座り」があっても不思議ではない。
キン肉マンII世・万太郎は、この侠客座りの第一人者である。
とにかくよく座る。試合中に座る、バイト中に座る、小便時に座る、
浜崎あゆみのライブでも最前列で座り続ける。万太郎のゆくところ、常に
シットダウンの嵐が吹き荒れる。
周囲とのいさかいも絶えない。ことあるごとにオヤジの牛丼の
食いっぷりを引き合いにだすトレーナーだが、万太郎は歯牙にもかけない。
立たないスクワット50回に動かないウサギ跳び3分、8時間休憩ののち
貧乏ゆすり300回という超ハードなトレーニングを愚直に繰り返す。
よく晴れた5月のある日、突如としてジムから火の手があがった。火事だ!
運悪くその場に居合わせた万太郎だが、しかしこんな時こそ侠客座りが炸裂し

ねーよ!死んじゃうよ!逃げるに決まってんだろバカ!
一目散にかけ出す万太郎。煙と轟火をかいくぐって必死に出口を目指したが
ついに炎の壁に四方を囲まれた。
熱い。息が苦しい。覆面してんのに有毒ガスを吸い込み放題。なにこれ、不良品?
絶体絶命かと思われたその時、煙の向こうから一人の男が現れた。花山薫だ。
助けに来たぞ、もう安心だ。拳を突き上げ雄叫びをあげる。男花山・侠客立ち!

それっきりピクリとも動かなくなった花山。倒れた柱が後頭部を直撃、
スーツに引火し燃え広がる。放水車が間違ってぶっかけたガソリンで
あっという間に火ダルマ。火事場泥棒に財布もすられた。もうなすがままである。

子供が川辺ではしゃいでいる。釣り糸を垂らした老人が心地よげにまどろむ。
そんな光景を河原で見つめる2人。万太郎と花山である。
満身創痍の花山を助け出した万太郎だが、その顔はどこかうかない。
結局、侠客座りは修羅場で何の役にも立たなかった。考えてみれば、座り込んだ
試合は全敗だしバイトはクビになるし痔は悪化するし。オレは間違っていたのか?
そんな万太郎の横で、花山がサックスを奏で出す。頬肉がないので音はスカスカだが
柔らかなメロディに包まれて、いつしか眠りに落ちる万太郎。おやすみ、よい夢を。

花山薫○−●キン肉マンII世 決まり手:薫の子守唄
346マロン名無しさん:03/05/26 02:16 ID:???
あれ?数が合わないぞ?
魔界の誰かを含めて、全部で6人じゃないの?
347マロン名無しさん:03/05/26 02:41 ID:???
サイコロ振りなおした所ってどこだろう
348パオ 344の続き:03/05/26 02:43 ID:MBKju5MA
唖然とする一同。この男が・・2名の切り札のうちの1名? プルプル震えている、ところ天の助。
江田島に右腕を差し出す。   「塾長・・微力ながらこのところ天の助、力になりましょう・・」
江田島は顔が紅く染まっている。天の助。テレ笑い。  「握手しようにも、俺、指無かった・・」
 「貴様でないわッ!! バカタレがッ!!」   江田島の鉄拳により、観客席に吹き飛ぶ天の助。
良かった・・。闘技場内の全員がそう思っていた。一瞬こう思っていたのだ。人間界終わったな、と。
ザワザワとする闘技場。誰だ? 5番目と6番目の戦士は? まだ一人決めなくてはいけないのに・・。
その時。朱雀の方角から人影が来る。 ・・今度は2人である。その男たちが闘技場にいる者に言う。
 「相手は魔界の者だ・・。もう貴様ら甘い連中の出る幕じゃない・・」   小柄の男が言う。
 「ソウダ。闇ノ者ニハ、裏社会ノ我々ガ、相手ヲスルノガ一番ダ・・」   外人の男が言う。
富樫と虎丸が棒読みで驚く。    「さいきょうしけいしゅうの、やなぎ(略)とシ(略)だ〜」
江田島の鉄拳。一瞬で吹き飛ぶヘタレブラザーズ。   「ヤムチャのケツでも舐めとれ、アホが!!」
・・バカ3匹を相手にして怒り狂う江田島。 ・・この世で怒りの塾長ほど恐ろしいものは無い。
ビビりまくる一同。 ・・そこへ。江田島の背後から声。  「随分と騒がしいですな、江田島殿・・」
349パオ 348の続き:03/05/26 02:44 ID:MBKju5MA
 「また冷やかしのバカかッ〜!!」   江田島はその背後の声に向かい裏拳を放つ。 ・・だが男。
 「気が立ってますね、江田島殿・・」   なんと江田島の剛拳を受け止めている。富樫と虎丸が叫ぶ。
 「あ、あんたが秘密兵器かッ・・影道総帥ッッ!!」   その男。「スーパースター」、剣崎 順の弟。
一説には黄金の日本ジュニアより強いと言われている男である。 ・・この男なら、精鋭部隊に相応しい。
 「すまんのう。色々ジャマが入ってな・・」   江田島は総帥に言う。 ・・富樫は江田島に聞く。
 「なるほど。天下の影道総帥が精鋭部隊なら、誰も文句はありませんや」 ・・しかし江田島は首を振る。
 「総帥は巌と同じく、地上軍におけるワシの補佐役だ。精鋭部隊ではない」  ざわめく一同。では誰が? 
総帥が江田島に告げる。   「あの男は遅れるそうです。魔界にいる男と2人で、かの地で合流する、と」
そうか。江田島はうなずく。2人とも魔界での合流になるか。では、その前に、最後の1人を決めねば・・。
 「聞いての通りだ。2人とは後の合流となる。その前に、精鋭部隊の最後の1人。誰かいないかッ!!」
一斉に立候補しようとする一同。 ・・だがその中。ある男が大きく声を上げる。  「最後の1人は私だッ」
その男の名は。 ・・烈 海王。最後の実力者が名乗りを上げ、魔界討伐精鋭部隊の6名が決まる。
陸奥 九十九。剣 桃太郎。ニコ・ロビン。烈 海王。 ・・そして魔界で待つ2名。この6名が魔界へ旅発つ。
だが烈 海王。不吉な予感。彼が最後に名乗り出た理由。自分の前に、あの男が立候補すると思ったからである。
(何故だ・・バキ。何故お前はこの場から消えたのだ・・)   ・・不吉な予感。範馬 刃牙、不在。
350パオ 349の続き:03/05/26 03:27 ID:MBKju5MA
大会終了後の深夜。影道総帥は屋敷にて調べ物をしている。無論、魔界の事についてである。
静かに筆を紙に走らせる総帥。 ・・その時。背後に気配を感じる。知っている気配でない。
邪悪な気配。   「この屋敷に忍び込むとは・・。余程の手練だな。魔界の者よ・・」
総帥の言葉にククッ、と笑うその男。   「自己紹介しておこうか。影道総帥よ・・」
その言葉に、総帥の不吉な予感は確信となる。 ・・内通者、裏切り者がいる。人間界に。
例え大会を魔界が監視していたとしても、自分の事を知っているわけは無い。あの大会後の。
江田島収集の場にいない限り、自分(総帥)が人間界のメンバーである事を知る訳が無いのだ。
その不審な男が言う。   「オレの名は・・元ゴールドセイント、蟹座のデスマスク・・」
そう言うとデスマスク。総帥にヒュッと巻物を投げ渡す。   「見るが良い。それを・・」
その巻物の内容。総帥は思わず声を出す。   「これは・・」  それにはこう書かれている。
 
 魔界 大魔王バーン直下メンバー  
  アドルフ・ゴードン   ヒソカ   海原 雄山   パンタローネ   アミb・・トキ
  島 耕作   鉄鍋のジャン   デスマスク   赤カブト   バーン親衛隊   
 魔界 地上軍メンバー
  範馬 勇次郎   朧   志々雄 真実   ベガ   ハート   宮沢 鬼龍  地上殲滅隊 

ぬうう・・。そのメンバー表を見てうなる総帥。実力者揃いである。意味の分からないヤツもいるが。
それにおそらく、このメンバー表は全ての主要幹部を網羅してはいまい。未知の強豪もいるはず・・。
総帥。デスマスクの方に向き直り言う。   「もう・・戦争は始まっていると思っていいのかな・・」
笑うデスマスク。   「オレと貴様で決戦の幕を開けるか・・。やっぴぃ、そ〜れファイト〜」
・・人間界と魔界の戦争。その前哨戦。 ・・影道総帥 対 蟹座のデスマスク、スタート。  
351パオ 349の続き:03/05/26 03:34 ID:MBKju5MA
>>347>>331で言ってますよ。
 陸奥優勝に関しては言われても仕方ないなあ。ま、陸奥で振り直したのは鷹村だけですが。
 鷹村が陸奥に勝つのを30分考えたが、どうしても皆様にお見せできる程のものが出来なかった。
 陸奥の相手って、リュウ、鷹村、慶次、影慶。この中で陸奥負けて納得のモノ書けるのは
 慶次だけ。私の力量では。すいません。
 それにしても相変わらずVSさんは突き抜けてるなあ。アッパー系ですな。キノコかハッパか。
 本当は総帥とデスマスクの決着まで書きたかったけど、眠い。次々回から魔界編へ突入です。では。
352マロン名無しさん:03/05/26 06:11 ID:???
このスレもういいよ
ただの妄想スレじゃねーかw
お前等モーヲタと同じだよ
353マロン名無しさん:03/05/26 06:40 ID:???
島耕作なんでいんだろう?
354マロン名無しさん:03/05/26 09:48 ID:???
>>352
それがいいんじゃないかw
それを楽しめる者だけが集うスレだよ、ここは。
355マロン名無しさん:03/05/26 10:40 ID:rHarJRuK
今あせりまくっているのは、倉本、坂東、平野、田代、平井、田中
大竹、すべて、女教師もしくは教師の妻。

定年退職までたどり着いた学校教師が自分のレーベル、プロダクションを
もって、ドームコンサート、映画のプロデュースまでしている。

「冷静に考えたら、越権行為を飛び越して詐欺よね。」
356マロン名無しさん:03/05/26 10:50 ID:rHarJRuK
>>355

「今までの悪行が全部、バレそう。しばらく地下にもぐりましょう。」

というわけで、松稜中学、敦賀高校の校長は坊主。
357マロン名無しさん:03/05/26 13:37 ID:???
>>350
単純な強さなら、一応黄金聖闘士であるデスマスクが圧倒的なハズなのだが・・・
なぜだろう、奴が勝つ絵がまったく想像できない。
龍極破→冥王拳の黄金パターンでやられるのが目に浮かぶ。
358マロン名無しさん:03/05/26 17:29 ID:???
ああ、影慶負けたのか
しかし負けるのは仕方ないとして、始終陸奥圧しっぱなしで見せ場が無かったのは悲しいのお

359マロン名無しさん:03/05/26 19:32 ID:bnpfQnD1
葉隠覚悟がいないぞ、散様も出してくれい。

360俺のイメージ:03/05/26 19:49 ID:???
ジャンとの料理勝負の相手ってだれだろ?
山岡士郎・味沢匠・荒岩一味・北方清三・グルマンくん・OHmyコンブ……
駄目だ!予想できない

361マロン名無しさん:03/05/26 20:10 ID:SK+P82Yj
>>352
 このスレ無くなったら寂しがるヤツが100人はいるだろうが、
 おまえが死んでも寂しがるヤツは家族だけだろうなw
362マロン名無しさん:03/05/26 20:19 ID:???
>>361
そいつは母親以外の女性からは優しくされたことのない
可哀そうな奴なんだよ。そっとしてあげなさい。
363なぎさっち ◆Nagi/FmYMM :03/05/26 21:35 ID:???
>360
ミスター味っ子の味良陽一との対決キボーン。

ってか、ミスター味っ子出す真の目的は、海原 雄山vs味皇の料理頂上対決。
364マロン名無しさん:03/05/26 22:20 ID:???
島 耕作がいる理由と赤木の相手が気になる
365最凶死刑囚vsゴレンジャー:03/05/26 23:25 ID:???
何がおこったのか、誰にも分からなかった。観客は無論、当の選手達も
呆然として立ち尽くすばかり。巨大モニターにリプレイが映し出される。

スペック・ドリアン・シコルスキー・ドイル・柳の死刑囚に対するゴレンジャー。
ゴングと同時に死刑囚が突進する。アカレンジャーの鞭がスペックを
捕らえるが、構わず間合いを詰めて無呼吸連打。ガードを固めて相手の
隙をうかがうアカレンジャー。柳の暗器を辛くもかわしたアオレンジャーだが
着地点目がけてシコルスキーの拳が唸りをあげる。絶妙のコンビネーションに
押され気味。距離をとって弓で応戦。オリバがキレンジャーに性転換手術を施す。
モモレンジャーのイヤリング爆弾にもノーダメージのドリアンがドイルにライターを
手渡す。アラミド繊維を天井の梁にわたして宙に浮かんだドイル。ミドレンジャー
目がけて急降下、エルボーカッターを薙ぎつける。ミドレンジャーの刃も同時に
ドイルの頬を切り裂き、このニアミスは痛み分けか。
キレンジャーは女になっていた。
驚愕の両陣営を尻目に、スカウトが殺到。その場でアイドルデビューが決定する。
みんな、山野楽器で私と握手。CD買ってね。キレンジャー、戦線離脱。

リプレイをみても謎は解けない。とにかく気を取り直し、試合再開。
アカレンジャー、パンチ。ドイル、かわす。スペック、凶器攻撃。モモレンジャー、
白羽取り。ミドレンジャー、ブーメラン。シコルスキー、鷲掴み。オリバ、採用通知。
柳、受け取る。ドリアン、足払い。アオレンジャー、ジャンピングニー。
熱戦のさなか、柳の就職先が決まった。小さな町工場だが工員はやさしい人ばかり。
感動の涙、充実の笑顔。今日も柳は旋盤を回し続ける。柳龍光、戦線離脱。

何かがおかしい。勝負の裏で何者かが暗躍している。ようやく気づいた8人、お互いを
観察しあって異変があれば一時休戦で原因究明、ということになった。
目まぐるしい攻防から一転、足音一つ立てない。集中力を研ぎ澄まし、全身を目にして
そろ〜りそろりと闘う。そ〜っと頭突き、そ〜っとガード。そ〜っとオリバ。
ゆ〜っくりみんなに近づいて、静かに手錠を取り出して、さりげな〜く全員逮捕。
手錠でつながった8人とオリバ。抜き足、差し足、こっそりと、連行。

最凶死刑囚▲−▲ゴレンジャー
366マロン名無しさん:03/05/27 01:14 ID:???
凡ミスかと思ったらちゃんとオチ。
やるなvsのひとw
367マロン名無しさん:03/05/27 02:45 ID:???
>>365
この脱線具合が癖になってきた(w)
「大槻教授」VS「ゆでたまご」の物理学対決とかやって下さい。
368パオ 350の続き:03/05/27 07:05 ID:s+2Ed2OI
全身を包むマントを放り捨てるデスマスク。その身に纏う不可思議な鎧、聖衣(クロス)。
そこで総帥は気付く。本来、ゴールドセイントのクロスはその名の通り金色に光輝くはずである。
だが、今その蟹座の黄金聖衣は赤黒い。まるで血を浴びたかの様に。デスマスクは総帥に言う。
 「ククク・・貴様を今、殺しはせん。江田島に伝えてもらわねばならぬ事があるからな」
デスマスクの手が一瞬、金色に光る。 ・・気付くと10メートル以上も吹き飛んでいる総帥。
 「ぬううッ」   ファイテングポーズを構えて、デスマスクに飛び掛る。ジャブを放つ総帥。
・・しかし。目の前からフッとデスマスクの姿が消える。次の瞬間。デスマスクは背後にいる。
 「オレの動きは全て光速の動き・・。そんなカメの様な鈍い拳では一生追いつけんわッ!!」
光速の突きや蹴りが一気に総帥に降り注ぐ。一方的に打たれまくる総帥。上機嫌のデスマスク。
 「クッククク・・なんという弱さよ。デス様と呼べ、デス様とッ」  血まみれの総帥が聞く。
 「デスマスクよ・・。先ほどお前が言った、江田島殿への伝言とは、何だ・・」 
防戦一方の総帥。だが目はまだ死んでいない。鋭いまま。その眼光を見てデスマスク、怒りが沸く。
 「気に喰わぬ目だ・・。2日後の正午、魔界軍は貴様らと雌雄を決すべく、総攻撃に出る。
  志々雄からの伝言だ。関が原で決着を付けようと。だが・・貴様は今ここで死ねッ!!」
デスマスクの攻撃が更に威力を増す。デス様、ご立腹。吹き飛ぶ総帥。ゆっくり右手の人差し指を。
総帥に向ける。 ・・積司気冥界波・・。相手の霊魂をあの世に送る技である。笑うデスマスク。
369パオ 368の続き:03/05/27 07:54 ID:s+2Ed2OI
・・しかしその時。  「な、何いッ、これは・・総帥の周りにバリヤーの様なものがッ!!」
総帥を球状に包む光のオーラ。   「制極界を使うとは・・これでは冥界波が打てんッ!!」
制極界。達人にして初めて成し得る攻防一体のバリヤー。制極界に拳を打ち込むものは、必ず倒される。
自ら放った攻撃がカウンターとなって・・。   「クッ。これでは手出し出来ん。引き上げか・・」
背を向け立ち去ろうとするデスマスク。しかし総帥。ボロボロのまま立ち上がりデスマスクに言う。
 「キミをこのまま帰す訳にはいかんな・・。決戦までに、1人でも敵が少ない方がありがたい・・」
ホウ、と振り返るデスマスク。   「制極界を消したか・・。また一方的になぶり殺されたいか?」
フッ、と消えるデスマスクの体。一瞬で総帥の目の前に移動し、拳を叩き込む。光速に翻弄される総帥。
 「貴様如きが、光速の動きを持つオレ様に勝てるかッ!!」  ・・その言葉に総帥。眼光が光る。
 「フッ・・使い走りとはいえさすが魔界の幹部の1人・・。キミにはとっておきの必殺拳を見せる
  必要がありそうだ・・」  ・・総帥から一気に殺気が放出される。一瞬金縛りになるデスマスク。
総帥が構える。   「あの世へいってバーンにつたえるがいいッ!! 影道奥義中の秘拳・・!!」
恐怖で凍るデスマスク。   「な・・なにぃ!!」  ビカッ!! 閃光が走り、全てが一瞬止まる。
 「影道・鳳閣拳ッ!!」  ・・総帥の左コブシがデスマスクの胸に突き刺さっている。しかし。
クロスも肉体もなんとも無い。   「バカな! なんだそのパンチはッ 痛くもかゆくもないわ!!」
総帥を吹き飛ばすデスマスク。   「この程度で実力者と呼ばれるとは・・終わったな、人間界・・」
370パオ 369の続き:03/05/27 08:04 ID:s+2Ed2OI
そして笑いながら消えるデスマスク。  ・・血まみれの総帥に、不穏な気配を感じこの場所へ来た
江田島 平八が駆け寄る。   「どうしたんじゃ、総帥ッ!!」   総帥は体の汚れを払い笑う。
 「フッ・・なんでもありません。さっき魔界の幹部の1人が、これを届けに来ただけですよ・・」 
魔界軍のメンバー表を見せて笑う総帥。   「やられたまま帰したのか、総帥?」  江田島が聞く。
 「まさか・・。安心してください、明日になれば魔界の幹部は1人減ってますから・・」
江田島。総帥のその言葉に大きくうなずく。そうか。あれを使ったのか。恐るべき影道・鳳閣拳を・・。
 「江田島殿。魔界との戦争は2日後正午。関が原古戦場にて。事態は思った以上に逼迫しています・・」
江田島。腕組をして唸る。戦力を2日で整えられるか。戦争には幹部だけでは無く、魔界のモンスターも
数多く参戦するだろう。自衛隊には話を通してある。だが、結局頼れるのは江田島の用意した戦力だけだ。
・・それに。江田島にも総帥と同じ嫌な確信。   「・・内通者がいるな」   黙ってうなずく総帥。
偶然過ぎる。戦争が2日後というのは。無限大トーナメントが開催されたのは今日の日中。 ・・そして。
魔界征伐精鋭部隊が、魔界へ旅立つ日時も2日後の正午である。 ・・圧倒的な戦力差と情報の漏洩。
 「厳しい・・地獄の戦いになるな・・」   江田島はつぶやく。 ・・全ては。2日後。

・・総帥とデスマスクの闘いから5分後。影道の館から約2キロ。デスマスクが胸を押さえ苦しんでいる。
 「うえーん痛いよぅ苦しいよぅ・・。なんだあのパンチは・・。今になって心臓が爆発しそうだ・・」
ついに大量の血を吐いてその場に倒れこむデスマスク。    「鳳閣拳とは・・い・・一体・・」
デスマスク、絶命。 ・・そのデスマスクを見下ろす男。  (心臓周辺の気が・・狂わされていますね)
その男。 ・・世界最強の氣法師、朧である。遠く影道屋敷を見据え、心の中で静かにつぶやく。
 (影道総帥・・ まさに恐るべし・・!!)
   


371パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/27 08:16 ID:s+2Ed2OI
相変わらずVSさんはやるなあ。麻薬の様な面白さがある。
話は変わります。このネタのラスボス(?)は大魔王バーンなのですが、勿論、名作
「ダイの大冒険」のキャラです。この漫画はバーンを倒して終わったのですが、
続編の話もあったそうですね。その名も「魔界編」。舞台はバーンを倒した5年後。
竜騎将となったダイが魔界を舞台に、陸戦騎ラーハルトと海戦騎クロコダイン(笑)を
お供に大暴れする話。流れたらしいが。スゴく読みたい反面、読みたくない気がする。
あ、ソースはコンビニで売ってる280円位のダイの漫画ね。  では。
372マロン名無しさん:03/05/27 17:06 ID:???
板違い、スレ違い失礼致します。
ただいま、サンヨー主催のプロ野球オールスターにて【川崎憲次郎祭り】を開催しております。
是非お祭り好きの皆さんのご協力をお願い致します。

□投票方法
http://allstar.sanyo.co.jp/vote にアクセス!
セントラルリーグ先発の「チーム」に「D」を入力!
セントラルリーグ先発の「背番号」に「20」を入力!
後は個人情報を入力し、投票!
一日に、1人5票まで投票できます

現在、1位井川との差は約5万票あり、毎日2000票程縮まっています
ですが、敵はあまりに強力強大であり、皆さんの協力無しに井川陥落は困難なのです。

是非とも!皆さんの力で川崎を1位にして、奇跡の復活劇を目撃しましょう !

プロ野球板 http://ex3.2ch.net/test/read.cgi/base/1054005529/
祭板 http://live5.2ch.net/test/read.cgi/festival/1053932866/

私はこのスレが出来た当初からいる住人です。
‘どうかご協力願いたいッッ’
373マロン名無しさん:03/05/27 18:40 ID:???
>>372
氏ね
374マロン名無しさん:03/05/27 19:01 ID:???
鉄鍋のジャンが出るなら烈 海王と中華料理対決とか見てみたいかも・・・
烈がドイルに出した料理見るとかなりの腕前だろうしw
375マロン名無しさん:03/05/27 19:51 ID:???
ジャンってスプリガンのジャンだと思ったけど違うんだ
376マロン名無しさん:03/05/27 20:01 ID:???
>>371
まじっすか続編があったとは。
今度捜して見ます。
377376:03/05/27 20:40 ID:???
と思ったらそういう話しもあったってだけか。
首吊ってくる
378マロン名無しさん:03/05/27 22:30 ID:???
播磨灘って無傷のはずなのに、全然触れられてないなw
単純な強さだったら、16人中でもトップクラスなだけに、魔界編でも活躍の場をたのんます。
379ふら〜り:03/05/27 22:59 ID:???
>>VSさん
凄すぎ……パオさんとは違う意味で、次はどんな作品(展開)を
見せてくれるのか? 予測つきません。
今回のは、ドリフの忍者ネタの「暗闇の中、そ〜っと棒でどつく」
を彷彿とさせますね。

>パオさん
デスマスクにしては、充分強そうなところを見せたというところ
ですね。でもやっぱりデスマスクでした。痛がり方が。

>>378
個人的に嬉しい発言。パオさん、何卒。
3801985 ◆8BVPwsPs7s :03/05/27 23:01 ID:???
フェニックス一輝でそうスね
381370の続き:03/05/28 00:11 ID:g9HVehU5
魔界の赤ちょうちん、「居酒屋 織場」。今、この場末の飲み屋で、人間界・魔界に続く第三勢力が生まれようとしていた。
 「魔界のプリンスだとか言われててもよ・・ただの中間管理職だったんだよ、俺はッ! わかるか、テリーマン・・」
 「ミーも散々キン肉マンの犬だの、ロビンやラーメンマンに適わないヘタレだの・・。ビスケにもバカにされて・・」
負け犬超人同士の悲しいキズの舐め合い。異様に腕回りの太い黒人のオヤジが、陽気な笑みでおでんのこんにゃくを出す。
一人は部下に馬鹿にされ、愛しのベルダンディ様にハートブレイクし、魔界から逃げ出した元魔界bQ、アシュラマン。
もう一人はビスケから「キャラが立ってない」、という理由で解説を下ろされたテリーマンである。 ・・哀愁漂う2人。
 「実は俺さ・・。一度お前とタッグを組んでみたかったんだ・・。どうかな、テリ−マン・・?」  アシュラが聞く。
 「引き立て役ばかりにミーを使うキン肉マンより・・ユーの方が気が合うかな、って昔から・・」  テリーが微笑む。
正義超人と悪魔超人として、激闘を繰り広げた事もある2人。しかし今は、超人でなく負け犬である。心が通じ合う2人。
 「やろう、2人で見返してやろう、アッくん・・」  「嬉しい、テッちゃん・・」   ジッと見つめ合う2人。
オヤジがサービスのハンペンを出して言う。   「仲良き事は、美しいデース」  ・・照れてホホを染める2人。
アシュラが懐から包みを取り出し、テリーに手渡す。   「これテッちゃんに・・コンビ組めたら渡そうって思って・・」
ウキウキと包みを開けるテリー。   「まあ、素敵・・」   思わずうっとりと頬に手をやり、プレゼントを見詰める。
382381の続き:03/05/28 00:40 ID:g9HVehU5
 「ボールペン・・。ペアで買ったんだ・・」   アシュラが優しくテリーに微笑んで言う。 そのボールペンには。
【テリー アンド アシュラ・・フォーエバー】 ・・と刻印されている。   「これ、本当にミーが貰っても・・?」
テリーが目を潤ませながら聞く。アシュラは応える。   「勿論だよ、テリー・・。今日、コンビを組んだお祝いに・・」
自然に抱きしめ合うテリーとアシュラ。「居酒屋 織場」の筋肉質の黒人オヤジも、その様子についもらい泣きをしてしまう。
 「いけまセーン・・おでんのワサビが利き過ぎたようデース・・」     ・・第三勢力、ここに誕生す。
テリーマンとアシュラマンは確信する。この友情は永遠に続くと。 ・・そして。オレたち2人が手を組めば、バーンだろうが。
ビスケであろうが。ヒソカであろうが。江田島 平八であろうが。 ・・全て敵ではない、とも確信していた。

  
383382の続き:03/05/28 00:41 ID:g9HVehU5
・・微笑ましい様子に、つい2人に話し掛ける「居酒屋 織場」の筋肉主人。  「2人の出逢いは、どうだったんデース?」
エヘッ。悪戯っぽく笑うテリーが、テレながら話す。   「最初は敵同士だったんだ・・でも運命を最初から感じてて・・」
 「ねー」・・とハモるテリーとアシュラ。オヤジは笑う。  「ゴチソウサマデース。で、勝負はどっちが勝ったんデス?」
アシュラは笑って言う。   「無粋だよオヤジさん。オレたちの間に勝ち負けなんて・・まあその時はオレが勝ったケド・・」
 「・・ちょっと待て」   ・・先ほどまでのラブラブ感がテリーから消えている。   「あれは引き分けだったはずだ」
 「何いってるテリー・・。結果は確かに引き分けだが、誰が見たって実力的にはオレが・・」  「汚い手使ってな・・」
・・ベキン。テリーとアシュラの手元のボールペンのヘシ折れる音。一瞬にして殺気立つ2人。テリーが吐き捨てる様に言う。
 「悪魔将軍に大魔王バーン・・。バックがいないと何も出来ねえヘタレ悪魔が・・」  プチッ。アシュラの中で何かが切れる。
 「キン肉マンの御付きの者が良く言うよ・・。ロビンやラーメンマンの靴磨きは楽しいか?」  ・・立ち上がってしまう2人。
 「闘る気かてめえッ!!」  「上等だッ 昔から気に入らなかったんだてめえはッ!!」   ・・一気に阿鼻叫喚の居酒屋。
 「このままではシリアスプロブレムデース」   オヤジが立ち上がり、ヘタレ2人を店から叩きだす。 ・・第三勢力、崩壊。
ほんの10分ほどの同盟であった。この後、テリーマンはテキサスへ帰り、アシュラマンはもう一度バーンの部下としてやり直す。
・・勿論、ヒソカたちのずっと下、使い走りとしてである。アシュラは思う。 ・・オレは人に使われるほうが気楽で良いなあ。
やっぱり人の上に立つ器じゃないや。エヘッ。
384魔界編スタート:03/05/28 01:22 ID:g9HVehU5
【第1話 決戦前夜】

 「ここにいらしたのですか」   高槻 巌は思わず漏らす。今までこの男を捜していたのだ。前田 慶次。その男を。
無限大トーナメント翌日、午後9時。影道屋敷。情報の漏洩を恐れた江田島 平八は、15時間後に迫った決戦を前に、
全ての戦士と関係者をこの場に集めた。準備は万全でないにしろ整った。 ・・自衛隊の配置、決戦地関が原の拠点築製。
そして巌。江田島から託された物を持ち、慶次を探していたのである。 ・・託された物。仙豆、である。 ・・残り2粒。
5粒在った仙豆は、大会終了時に九十九と影慶に与えた。 ・・そしてその後。江田島は医療室で容態の良くならない2人。
大豪院 邪鬼と羅刹に半粒づつ与えてしまったのである。生死の境にいた2人も、仙豆の効力により窮地から脱する事が出来た。
だが半粒であるため、いまだ意識は戻らない。 ・・残り2粒。その貴重な仙豆の振り分けを、江田島から任されたのだ。 
巌。自分自身も腕を骨折している。 ・・世界一の氣法師、朧との決着の為にはどうしても自分が服用したい。 ・・だが。
その前に、是非とも飲んで欲しい人物がいる。 ・・それが前田 慶次。おそらく明日の地上決戦。カギを握るのはこの男だ。
今度の決戦は、敵大将は・・、志々雄 真実である。ならば間違いなく。慶次は誰にも志々雄のクビを譲らない。そう、誰にも。
いくさは敵将のクビを取れば、大方勝ちである。 ・・おそらく明日の決戦の後も、まだ闘いは続く。バーンを倒さぬ限り。
だからどうしても。 ・・初戦は勝たなければならない。 ・・元々戦力では、圧倒的に魔界の方が上なのだから。
・・慶次。石松の遺体を前に、静かに盃を傾けている。総帥が石松の為に用意した離れの一室。そこで花山 薫とともにいた。
 「よう、巌どの」   慶次がニコやかに巌を向かえる。   「お2人で・・呑んでいたのですか」  巌が尋ねる。
慶次はさわやかに、しかしどこか寂しそうに言う。   「いや・・3人だよ」   ・・見ると。石松の前にも盃がある。
 「どうかね、巌どのも一献」   慶次がそう言うと、花山が無造作に盃を巌に放る。慶次は盃になみなみと酒を酌む。
一気にあおる巌。   「・・美味いですな」   ・・美味い。心の底からそう思う。明日は生き死にの戦場に行くのに。
   
385384の続き(1話):03/05/28 01:50 ID:g9HVehU5
月明かりの下。3人の男が酒を淡々とあおる。 ・・誰も何も言わない。だが、全員素晴らしく満たされた気分である。
 「月は美しいな。この時代でも変わらず」  慶次がポツリと漏らし、巌の方を向く。  「何かあるのだろう、巌どの?」
ハッと我に返る巌。余りにも心地良い平穏に、自分の仕事を一瞬忘れていたのである。「静かなる狼」と呼ばれる男が。
・・そっと懐から丸薬を取り出し、慶次に差し出す巌。    「・・飲んで下さい」   不思議な顔でそれを見る慶次。
 「・・これは?」   「仙豆といいます。どんなケガもたちどころに治る。明日の決戦、志々雄 真実との対決の為に・・」
志々雄 真実。その名を聞くと慶次の肉体から、炎の様な殺気が噴き上がる。巌や花山ですら一瞬、身が凍るほどの。だが慶次。
いつもの涼やかな笑顔にすぐ戻る。  「・・いらないよ」   「何故ですッ 相手は地獄から黄泉返ったバケモノですよッ」
巌の怒声が響く。しかし慶次。ジッと石松の方を見ている。 ・・そうか。この人は・・。 巌は慶次が飲まぬ理由を理解する。
慶次がしみじみ言う。   「地獄から、死から黄泉返った、か・・。そんなに生きていたいかな」  花山はそれを聞き言う。
 「クソだな。死の無い人生なんて・・」  「ああ。明日死ぬかも知れないから、今日が楽しいんだ・・」 慶次の言葉が続く。
 「生きるだけ生きたなら死ぬだけよ・・。ある日、ふと木陰で休む。そしてそのまま目覚めない。俺はそんなふうに死にたい。
  醜いな。与えられた生をまっとう出来ないヤツは・・。なあ、石松どの・・」   慶次。花山。そして石松。3人を見る巌。
ああ、この男たちとヤツらは正反対だ。欲望の為に魂を売ってまで、この世に黄泉返った志々雄 真実。 ・・人間を捨ててまで、
不死の存在を求めようとする朧。 ・・この者たちと、ヤツらのどちらが正しいかは分からない。 ・・だが、この男たちと。
今、こうして酒を呑むのが楽しくて、誇らしくて堪らない。  ・・巌は心底そう思った。そして慶次たちに向かって笑って言う。
 「ならば私も、これ(仙豆)を飲むわけにいきませんね・・。これは魔界征伐精鋭部隊に全て渡しましょう・・」
決戦の時は近づく。 ・・前田 慶次 対 志々雄 真実。高槻 巌 対 朧の宿命の対決の時も。    

386パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/28 02:07 ID:g9HVehU5
この魔界編を最後にパオはいなくなりますので、あと1ヶ月ほどお付き合い下さい。
ま、すぐ復活するかもしれませんが。
ところで1話毎にタイトルをこれからつけます。区切りとしてね。
後、1985さん。偉そうに1つだけアドバイスします。SS屋職人の先輩としてね。
1スレを全て埋めたいのなら、毎日書くこと。出来るだけ。マイペースで毎日。
習慣付けしないと飽きる。それ程1スレって長いよ。1人でやると。ま、私のときは
バキスレさんとか助けてくれましたが。頑張ってね。応援してます。
あと川崎選手にネタで投票してるヤツら。余りふざけた事するなよ。例え1位になっても、
川崎選手は辞退するに決まってるだろう。「面白い」ってだけで恥ずかしい真似はするな。
本気で応援して彼に投票してる人はすみません。  ・・ではまた。 
387幕之内一歩vsミスター:03/05/28 04:24 ID:???
「ボクシング・我が最愛の友」「最強ボクサー伝説」
ミスターのサイン色紙には、近頃そんな言葉が添えられる。ボクシングスタイルを
頑なに否定してきたミスターだが、何やら様子が変わってきた。
ボクシングにしか見えねーよバカ、と揶揄され続け、精神に変調を来したらしい。
僕ミスター。特技はボクシング。アライ流拳法?何それ?パンチ凄いよ!ニポン最高!
瞳孔ひらきっぱなし。大量のみりん干しを体に貼り付けてロードワークに出かける。
しばらくして、前方からヨボヨボの老婆がやってくる。ヘイ!ミスターのボクシングが
今からババアをぶち殺すヨ!
ファイト!先制はミスター。挨拶代わりのジャブを相手の顔面に叩き込む。
対する老婆の武器はマグナム44。轟音と共にミスターの頭が吹き飛んだ。ダウン!

偉大なるチャンプの息子が殺害された。すぐさま捜査本部が設置され
一人の男が出頭要請をうけた。対戦相手の幕之内一歩である。
事情聴取の場に現れた一歩、大きな風呂敷包みを背負っている。広げてみると
一歩のブロンズ像だ。天国のミスターが寂しくないように、これを墓前に
供えてくれと涙ながらに訴える。一同、感動の嵐。ミスターの遺族も了承した。
ミスターほどの男になると、葬式も国家レベルである。数十万の民衆に見守られる中
広場中央の幕が落とされる。ちっぽけな墓石と巨大な一歩像が姿を現した。
万雷の一歩コール。手を振って応える本人。一歩を抱擁するマホメッド。マイサン!

その時、広場の一角から大きなどよめきが上がる。人の波をかき分け男が走ってくる。
ミスターだ!ミスターが生きていた!カチカチのみりん干しが、銃弾の威力を
緩和してくれたのだ。同時に正気も取り戻した。
迎え撃つ一歩。デンプシーロール、発動!激しく体を回転させる。
しかしミスターは動じない。慌てず騒がず、一歩の目の前にヤシの木をおっ立てる。
一歩は急に止まれない。そのままグルグル回り続けてバターになった。
戦いは終わった。一歩の遺品の中にサイン色紙を発見。ミスターが書いたものだ。
オレのファンだったのか。万感の思いで色紙を手に取る。「最強ボクサー伝説」
「ボクシングじゃねーっつってんだろ!」
ミスターの怒りが爆発した!

ミスター○−●幕之内一歩 決まり手:Jr.じゃない、ミスターだ
388マロン名無しさん:03/05/28 04:40 ID:???
どうしよう。電話してたらこんな時間になっちまった。
仕事メンドクサイ。シャチョサン、頭ウスイネ!

>パオさん
魔界の赤ちょうちんって。笑っちゃいました。
ミーだのシリアスプロブレムだの、日本語使用率が
妙に低いあたりが魔界チックではあります。

>ふら〜りさん
「志村、うしろうしろ〜」ですね。パクッた訳ではないのですが
無意識にドリフ的展開を指向している部分もあるかもしれません。
ひょうきん族派の自分にとっては由々しき事態であります。
389マロン名無しさん:03/05/28 05:29 ID:???
悪魔に魂を売った拳法家、ということで仮面ライダーSPIRITSのアスラ登場きぼん。
390山崎渉:03/05/28 09:54 ID:???
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
3911985 ◆8BVPwsPs7s :03/05/28 10:15 ID:???
アドバイスありがとうございます
毎日書けるように頑張ります
392マロン名無しさん:03/05/28 14:11 ID:???
パオ最後か。冗談だと思うけど本当なら寂しいなあ
393マロン名無しさん:03/05/28 15:25 ID:???
デスマスクがスペクター化していたということは他のスペクターもでるのかな?
394マロン名無しさん:03/05/28 17:05 ID:cOXz47Of
アシュラ、ヘタレ過ぎです。(でもワロタ) しかしキン肉キャラは描きにくいのかなあ。ラーメンマンやウォーズマンなら描きやすかったかも・・・。
395マロン名無しさん:03/05/28 20:33 ID:???
>>393
だとしたら、冥界三巨頭を希望。
396マロン名無しさん:03/05/28 20:57 ID:???
「実際には状勢に何の影響も及ぼさない『神界からのメッセンジャーボーイ』」
として、ラッキーマンの登場キボン
397マロン名無しさん:03/05/28 23:03 ID:???
第三勢力って10分で崩壊かよ!ちきしょう、めっさワラタ。
398ふら〜り:03/05/28 23:15 ID:???
>>396
なるほど。ラッキーマンは大好きだけどさすがに反則だな〜と
思ってたんですが、そういうことなら。
あ、でも、ラッキーマンや天才マンはダメでも、勝利マンなら
何とかいけるのでは? 奇策メインですし。

>>VSさん
ひょうきん族派でしたか。では、その内あみだババァとか?

>>パオさん
オリバが赤ちょうちんやってるだけでも笑えましたが、テリーと
アシュラの薄すぎる友情っぷりが素敵過ぎです。普通はかなり
盛り上がる「決戦前夜」なのに……なんだか、赤ちょうちんの
方に目がいってしまって。なんとも。
399385の続き(2話):03/05/28 23:26 ID:nZVUf9KW
【第2話 開戦そして旅立ち】

決戦当日、午前11時。関が原の地。男塾の面々、無限大トーナメント出場者、徳川光成やビスケ。
それぞれが緊張した面持ちで時を待っている。 ・・自衛隊の戦車や戦闘ヘリも準備されている戦場。
・・だが。敵はまだ現れない。志々雄 真実を首領とする、魔界の地上制圧舞台は姿を見せない。
そして。江田島 平八、陸奥 九十九、ニコ・ロビン、剣 桃太郎、烈 海王もまたこの場にいない。
今この5人。富士の樹海の奥深くの「魔界の門」に立っている。江田島は桃に、ある機械を手渡し言う。
 「これからの貴様らが赴く魔界は、何が起こるか分からぬ所・・。その通信機は魔界で起きた事を
  全てワシの元へ伝えてくれる機械だ。戦闘力だけでは、超えられぬ場所や敵もあるやも知れん。
  ワシはその都度、その試練に相応しい助っ人を貴様らに送る・・。では武運長久を祈るッ!!」
「魔界の門」は江田島が造らせた「次元転送機」の力で、正確に4人を魔界へと送るであろう。
ロビンが微笑みながら言う。   「じゃあ、お先に失礼するわ」   門の中へ飛び込むロビン。
次は烈の番だ。童貞の烈は、ロビンにほのかな思いを寄せている。主人を追う犬の様に門へ飛び込む。
九十九はニッ、と笑って門へ飛び込む。闘いの化身である彼に、恐れの感情はない。 ・・最後の1人。
剣 桃太郎。江田島の前で直立不動のまま、「押忍ッ!!」と気合を発し、門へ飛び込もうとする。
江田島。その後姿に向け、餞別の言葉を送る。    「ワシが男塾塾長、江田島 平八であるッ!!」
・・魔界へ旅立った4人。江田島は静かに思う。   (頼んだぞ・・全ては貴様らに懸かっている・・)
そして江田島も歩き出す。 ・・戦場へ。人間界を守る為に、関が原へ。
 
 
400マロン名無しさん:03/05/28 23:37 ID:kM+zt6+A
テリーやアシュラマンはそんなにヘタレでも無いでしょう。
キン肉マン作中でのヘタレといえば、ウルフマンだぁ〜!!
・・・新シリーズが来るたびに死に続けたウルフは、ヤムチャよりもヘタレだと思う。
401399の続き(2話):03/05/29 00:32 ID:GihNM2O0
まだ、関が原には静寂に包まれている。江田島不在の今、人間界のリーダーは影道総帥である。
総帥をビスケが補佐する形の指令形態。もう一人のリーダーに相応しき男、高槻 巌は。
いち戦士として、この戦いに参加する心積もりである。予感がある。あの男が来る。巌の宿敵。
・・世界最強の氣法師、朧の気配。片腕の折れた今、正直勝てる相手では無い。万全の状態で
互角の相手だ。 ・・だが。   (あの男は・・。私が止めねば)   巌の悲壮な決意。
朧と巌。究極の達人同士。一方が生き残り、一方が消えれば両軍のパワーバランスは崩れる。
・・この戦いを決してしまう程に。   (例え、刺し違えても)  あの男は、私が・・。
もう一人。宿命の戦いが近づくのを感じているいくさ人。 ・・前田慶次。愛馬・松風にまたがり、
ボンヤリ目の前の決戦地を見つめている。  ・・だが。現在、11時58分である。動きは無い。
未だ敵の気配は感じない。極度の緊張感からか、逆にザワザワとした落ち着きの無い雰囲気となる。
江田島が招聘した世界最強の傭兵部隊、スリーピングシーフのB・Bと呼ばれる男が言う。
 「本当にくるのか? 魔界の軍団とやらは・・」  ・・そしてついに正午。まだ、変化は無い。
・・と、その時。   「せ、戦闘ヘリがッ!!」   突然、スカイドラゴンとガルーダの急襲。
戦闘ヘリは真上と真下の同時攻撃を喰らい、炎上して落下する。   「まさか、気配は全く・・」
・・彼方から飛竜(ワイバーン)を駆り、キセルを吹かしながら舞い降りる、全身包帯の男が現れる。
前田 慶次。全身の血が沸騰する感覚に襲われる。 ・・その男は初めて見る。だが、肉体は感じている。
この男だ。 ・・この男こそ、倒すべき・・。 ・・キセルを吹かしながらその包帯の男。睥睨して言う。
 「良く来やがったな・・。俺が明日からこの天下の主になる、志々雄 真実だ・・」  
402401の続き(2話):03/05/29 00:48 ID:GihNM2O0
急に地中から巨大な筒が何本も現れる。 ・・そして志々雄が笑うと。その筒が割れる。すると中から。
数百、いや数千の魔物が。 ・・ガーゴイル、シルバーデビル、腐った死体、悪魔の騎士、フレイム・・。
・・人間界の勢力は精々500程度である。10倍近い戦力差。しかも相手は屈強のモンスターである。
 「ダメじゃあッ 敵が多過ぎる!!」   虎丸が叫ぶ。だが。その言葉を聞いて前田 慶次は笑う。
 「ふふ・・分かってないな・・。いくさってのは、負けいくさが面白いのよッ!!」  駆け出す松風。
慶次は吼える。  「オオオオオッ!!」  ・・戦場に響き渡る慶次の咆哮。それを受け松風がいななく。
 「ヒヒヒヒ〜ンッッ!!」   ・・その松風の怒号を聞き、震え上がるモンスターたち。怯えている。
巨馬とはいえ、魔界の魔物が、松風相手に。 ・・魔物とはいえ動物である。より強者には逆らえないのだ。
・・数千もの魔物の前に飛び降りる慶次と松風。ぶうん。慶次の、天下無双の朱槍がうなる。 ・・次の瞬間。
ガーゴイルの、アークマージの、パピラスの、ブリザードの。 ・・首が、体が、真っ二つになって宙を舞う。
慶次と松風は切り込む。松風が魔物を踏み殺す。慶次の朱槍が瞬く。その度に、幾匹の魔物が斬られて舞う。
慶次の目指すのはただ一人。敵陣最深部にいる、大将。そして友の仇。志々雄 真実のみ。 ・・突き進む慶次。
見ると。数千もの敵陣が2つに割れていく。割っていくのは慶次と松風である。まるでモーゼの十戒の様に。
総帥がうめく。  「一騎駆け・・恐ろしい。魔物が地獄の馬を駆り血の雨を流す、との噂は本当だったか・・」 
・・慶次の眼前にあの男の姿が近づいてくる。血がたぎる。 ・・不思議な事に、敵陣をひた走る慶次には、
まだ大したケガは無い。慶次は遠くに見える志々雄に叫ぶ。    「前田 慶次、参るッッ!!」  
  
403パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/29 00:55 ID:GihNM2O0
しばらく地上決戦。一騎打ちを4カード以上書きます。
あと播磨も出ます。ウルフマンも出ます。覚悟、他セイントは検討中。
出来るだけリクエストに沿いたいと思います。色々書き込んでね。
しかしシコル祭りさんはスゴいね。すみません、勝手にあなたの名前付けました。
凡俗の及びもつかぬ発想。もしかして懲役喰らってます? ・・ゴメンなさい。では。
404スペック(その52):03/05/29 00:56 ID:???
>>322
「サア、ガンマン。ゲームヲ続ケヨウジャナイカ」
死刑宣告に等しい言葉を吐き、その分厚いブーツで、ざらついた音を立てて店の床に
ばら撒かれた埃や砂礫を踏みしだき、右手で握り締めたフライパンを左手に軽く打ち
つけながら、スペックが一歩一歩前に出る。

じりじりと視界の中で大きくなるスペックの姿を前に、ジャックは全身の力が抜けそうな
虚脱感に囚われていた。

くそ。倒したと思ったのは甘かったか。

絶望的な気分と共に、ジャックは店の中にあてもなく視線をさまよわせるが、目にはいる物は
瓦礫か残骸か、あるいは床に倒れ付した人間のみ。
少なくとも、ジャックの窮地を救ってくれそうな存在は、今この店には何一つとして存在していなかった。

「ガンマン、オ前ハモウ、一人ダゼ」
ジャックに向けて笑いを浮かべ、スペックが言い放つ。
ジャックは、その言葉にびくんと肩を振るわせた。

私は・・・・・そうだ、今は一人だ。私はたった一人でこのどうしようにもなく圧倒的なバケモノと対峙している。
たぶん、私がいかにあがこうともこいつは私をボロ雑巾のように叩きのめし、命を奪っていくだろう。
今の私には、人生の4分の1を預けたBARもなければ、頼りになる相棒もいない。
どう考えても逃げる以外に、命以外のあらゆるものを放り出して逃げる以外に方法はない。
そして、こいつは私をけして逃がさないだろう。それはさっきみせたあの動きからみても確かだ。

405スペック(その53):03/05/29 00:57 ID:???
>>404
だが。

スペックとの距離が10メートルをきったとき、スペックが口から唸り声とも笑い声ともつかぬ音を吐き出したとき、
ジャックの心に何か神託めいたものが浮かんだ。

だが、こいつも所詮は人間だ。ダブル・オー・バック・ショットを、フライパンで防いだのがその証拠。
もしこいつが本当の悪魔ならば、人外であるならば、そんなものに頼らずともよかったはず。
そう。こいつも、すくなくとも撃たれれば怪我をするし、当たり所がよければ倒せるのだ。

ならば。

ジャックは、ジャケットの前ボタンをゆっくりと外した。
ジャケットの中には、両脇に2挺、腰に2挺、背中に3挺の拳銃が納まっている。
我ながら呆れるほどの重装備で、普段はこの尋常じゃない重さを毒づいていたものだが、今度
ばかりはそれなりに正解の判断だったようだ。

「いいだろう、バケモノ。決着をつけようじゃないか」

表情を引き締め、吐き捨てたジャックは、何の予備動作もなしに左脇からリボルバーを抜いた。
406マロン名無しさん:03/05/29 10:21 ID:???
お、外電さん復活か。夜王さんはまだかな。
デンパさんは昨日は来なかったな。
パオさんは最近、ピッチが上げってるね。期待
407なぎさっち ◆Nagi/FmYMM :03/05/29 10:28 ID:???
トーナメント参加者の怪我の度合いのおさらい、漏れてる人いるかな?

【Aブロック】
範馬刃牙   魔界側へ寝返り(取り込まれる?)
花山 薫    軽傷?
前田慶次朗  重傷も志士雄との因縁あり
高槻 巌    片腕骨折(脱臼?)朧との因縁あり

【Bブロック】
陸奥九十九  魔界討伐隊
リュウ    重傷も戦闘可能?
香取石松   志士雄との戦いで死亡
鷹村 守   片腕骨折(脱臼?)ボクサーとしては戦線離脱?

【Cブロック】
赤木しげる  片腕骨折(脱臼?)他満身創痍も戦線復帰?
グレート巽  絞め技でおとされる、ほぼノーダメージ?
ヤムチャ   ダメージ回復?魔界の助っ人の予定
渋川 剛気   毒手にて重傷、戦線離脱?
 
【Dブロック】
播磨灘    絞め技でおとされる、ほぼノーダメージ?
ニコ・ロビン 魔界討伐隊
羅刹     片腕切断+毒手、仙豆半分も戦線離脱?
ガルシア   背中を貫かれる。重傷?

リザーバー・その他
影慶     瀕死も仙豆にて復活
邪鬼     瀕死の重傷、仙豆半分も戦線離脱?
本部     解説対決は魔界へ持ち越し
408マロン名無しさん:03/05/29 10:29 ID:???
>>406
今日はチャンピオン発売日だから
電波ネタさんはそっちの方のネタを書いてると思われ。
てか、外電さん復活記念投稿。
409マロン名無しさん:03/05/29 10:52 ID:???
>>402
「筒が割れる。」よりも『デルパ!』の方が…w
ま、志々雄がそんな呪文言う方がおかしいけどね
410マロン名無しさん:03/05/29 11:02 ID:???
さりげなくB.Bいるのが嬉しい。期待age
411722:03/05/29 16:49 ID:???
一回戦アップ終わりました。
しかし、パオさんよく死刑囚編から休まずに書いてるなぁ。
あと思ったんですが、漫画喫茶で書き込んでるのは、
元ネタの漫画などをすぐに確認するためでもありますよね。
そうでないと、漫画詳しすぎですし。
412通りすがり:03/05/29 17:08 ID:???
仕事忙しくてここ1ヶ月2ちゃんねる見てなかったけど、
相変わらず面白いな、このスレ。
必要以上にwレベルが高くて素晴らしい。
職人さんこれからも頑張って下さい
413マロン名無しさん:03/05/29 19:54 ID:jQPdcNTY
やっぱりドラゴンが来たりしたらベルセルクのガッツの出番か?

414722:03/05/29 20:17 ID:???
そういえば、前の死刑囚のをバキリングに登録してもいいですか?
いろんな人に見てほしいし
415マロン名無しさん:03/05/29 22:46 ID:???
刑次が凛々しくて良い
BBが活躍すると良いな
期待アゲ
416マロン名無しさん:03/05/29 22:50 ID:ZMOyEijd
417赤木しげるvs烈海王:03/05/29 22:50 ID:???
烈は麻雀を知らない。ラーメンも食べない、ドラゴンボールも読まない。
中国的にはまったく張り合いのない男である。
人数合わせで無理やり卓を囲まされることはある。「ポン!」だの「チー!」だの
訳の分からない掛け声が飛び交う中、烈も負けじと「転蓮華!」で面子の首を
逆さにへし折るのだが、罰符をとられていつもボロ負け。
この日も身ぐるみ剥がされ、東2局にして早くも前張り1枚。ほとんど全裸で
悶々とする烈だが、後ろの卓がざわざわ騒がしい。振り向くと、アカギと呼ばれた
若者の前に山盛りの点棒。大勝ちである。どす黒い嫉妬の炎が烈を焼く。若いくせに
白髪なんか生やしやがって。このガキ、殺す!
アカギの面子の一人がトイレに向かう。それに合わせて烈も席を立つ。
戻ってきたのは烈一人。完璧なメイクでアカギ面子に変装、何食わぬ顔で
アカギの卓に腰を下ろすが、ボディは前張りルックのままである。本来の卓は
特別ゲストのアナコンダ君に代打ちをお願いした。
地獄の半荘が始まった。起家はアカギ。毒針をしこんだサイコロをアカギに渡す烈。
さあ振れ。そして死ね!アカギ、卓内蔵の電子サイコロのボタンを押す。失敗。
烈の山が7:10に切られ、3人が順番に取っていく。アカギの番というところで
すばやくピアノ線を張る。アカギの手首、グッバイ!
まだドラをめくっていなかった。指摘をされた烈、先に山に手を伸ばす。自爆。
対面のアカギがダブルリーチ。どうせこいつは一発でツモあがる。そこが狙い目だ。
点棒を鼻の穴に押し込んでやる!同巡、下家に国士を放銃の烈。トビ。半荘終了。
こうなったらなりふりかまっていられない。実力行使だ!卓の下からキック。
捨て牌のどさくさにヌンチャクを振り下ろす。ゆくぞ必殺・転蓮華!

マスターにつまみ出された。出入り禁止。もうアカギとは闘えない。
前張りが風に飛ばされる。全裸に寒さが身に染みる。たまらずマッチをすって暖をとる。
光の中に劉海王が現れた。烈や、元気をお出し。私が麻雀を教えてあげよう。
「十三不塔」これを何と読む?
「じゅーみんあ」
ペッと唾を吐き消え去る劉海王。もはや死を待つのみの烈であった。
キシャー!怪鳴ののち、ガラス窓が吹き飛ぶ雀荘。がんばれアナコンダ君。

赤木しげる○−●烈海王 決まり手:クククの舞
418スペック(その54):03/05/30 01:50 ID:???
>>405
ジャック・スペンサーは、少なくともひとたび腹をくくったら怖気つくような男ではなかった。

スペックに向けて決別の言葉を吐き捨てたとき、彼は脳髄の深奥―もしも脳内にそう分類される
部分があるのならば「戦闘態勢」と銘記されるべき部分のスイッチを入れ、意識と理性を司る神経
繊維の効率を最大限に発揮し、戦いには不必要な心的作用―すなわち、先ほどまでジャックを
支配していた怯えや躊躇といった感情を極限まで押さえ込む。
そして、ジャックは左脇から音も立てずに彼の愛用するリボルバー―スミス・アンド・ウェッソン
モデル1911A1を抜き放ち、一挙動で前進を続けるスペックの顔に照準を合わせ、呼吸をわずか
に吐き出しながら、かっきり3回引き金を絞った。
スペックに比すれば遥かに劣るが、それでも常人以上の筋力を有するジャックの右腕は、4半世紀に
わたる銃撃戦の経験と、40年近くになる鍛錬の成果を遺憾なく発揮し、撃発時に発生する反動を
最小限に食い止める。

よく使い込まれ、ことによるとBARよりも長くジャックとともにあったこの拳銃は、まったくもって射手の
命令に忠実であった。
銃の構造上の限界ぎりぎりの速度で連射された3発の.38スペシャル弾は、1発たりとて逸れることなく、
スペックの顔面目掛けて音速で飛翔する。

しかし、ジャックの眼前にたつこの怪人は、彼にとっての―いや、全てのガンマンにとっての常識や
限界を遥かに大きく超えたモンスターであった。
発砲しながら、ジャックが確かな命中への手ごたえを感じたまさにそのとき、スペックの右腕がふっと
揺らめき、次の瞬間、スペックの顔面から脳髄を抉るはずであった3発のホローポイント弾頭は、
奇怪な金属音と盛大な火花と共に、スペックの10センチ手前で弾けとぶ。
419スペック(その55):03/05/30 01:51 ID:???
>>418
フライパン。直径40センチ、底の厚さ1センチほどの、業務用の高価な調理器具。

スペックの顔を守り、ジャックの一撃を完膚なきまでに粉砕したのは、本来の用途からまったくかけ離れ
て用いられた、無骨な鉄製品だった。

自らの一撃が不首尾に終わったことを目の当たりにしたジャックは、その事実を理性が受け止めるより
も早く、次の狙いをスペックの胸部―心臓にむけて、さらに3回発砲する。
今度も、狙いは過てることなく、3発とも正しく標的へのコースをまっしぐらに駆け抜ける。
そして、その3発もやはり何時の間にか移動していたフライパンに阻止されてしまった。
「・・・・・くそったれが・・・・・・・!」
愛用の拳銃による、おそらくは本人にもこれ以上は臨むべくもないトリプル・タップ・シュート。
その全てを立て続けに挫かれたジャックの理性は、リボルバーの弾丸を全て撃ち尽くしてから、
ようやくその事実を受け入れた。
しばし、発砲後の姿勢―スペックに対し半身をとり、右腕をやや曲げながらしっかり伸ばす姿勢を
とりながら、ジャックは魂を搾り取るかのようなうめき声を漏らす。

「ガンマン」

暫時足を止めたスペックは、ぶんぶんとフライパンを振り回しながら、からかうように口を開いた。
「イイ射撃ダ。私デナケレバ、キット勝ッテイタノハオ前ダヨ・・・・・・」
「貴様も、たいした芸を持っているじゃないか。サーカスで仕込まれたのか?」
なかば強がりの口調で、ジャックは返した。
しかし、スペックは、ひどく真面目な表情をつくって言った。

「サーカスデハナイ・・・・生憎トナ。私ガコノ技ヲ学ンダノハ、マジック・ショーダ。ブレット・キャッチダヨ」
420スペック(その56):03/05/30 01:52 ID:???
>>419
ブレット・キャッチ―弾丸受け止め。スペックが言った手品は、大きなショーではそれなりの頻度で
演じられる上級の手品だった。
演じるマジシャンは、皿一枚を手にして壁の前に立つ。
観客から無作為に選ばれた一名が、マジシャンのアシスタントから銃(たいていは古式蒼然たる
マスケット銃かいかにも曰くありげなライフル銃だった)と実弾をうけとり、確認の上銃に弾丸を
装填する。
そして、口上を述べて大観衆をさんざん盛り上げたマジシャンが射手たるその観客に合図を送り、
射手は(例外なくさんざんためらった後に)マジシャン目掛けて発砲する。
だが、その弾丸は、マジシャンの手にした皿、そこで食い止められて、マジシャン自身を傷つけたり
死に至らしめたりしない。まさしく奇跡。そういう手品であった。
「幼イコロ、ソノ手品ヲ演ジテイタマジシャンニ、タネヲ教エテクレトセガンダコトガアル」
スペックは、あっけにとられた表情のジャックを見ながら、ゆっくりと話した。
まるで、いつでもお前を殺せるが、今は生かしてやっているのだとばかりに。
そして、ジャックも、本来なら間髪いれずに次の一手を繰り出すべきところを、硬直したまま、
スペックの次なる言葉を待っていた。全ての話を聞くまで、身動きがままならないかのようだ。
「スルト、ソノマジシャンハ、コウ言ッタ
 『ボーイ、この手品はとても簡単だよ。
いいかい、銃が狙っているとき、銃口がどう見えるかをよく観察するんだ。
銃口がまん丸なら、まっすぐ顔目掛けて狙いをつけている。
少し楕円なら、胸か腹か、あるいは手足か、ともかく顔以外のどこかに狙いをつけているんだ。
慣れれば、楕円の形でどこを狙っているかがすぐに分かる。
次に、撃ち手がいつ銃をぶっ放すかだが、これは目と肩の動きを見るんだ。
何かしようと決意したとき、人は目にそのしるしを表す。それをしっかり読み取れば、銃を撃つ直前
の目つきがわかる。
また、肩にほんのちょっとだが、銃を撃つとき特有の筋肉の動きが現れるから、それも参考に
するんだ。
この2つがわかれば、あとはどこにこの皿を持っていけばいいかだから、この手品はうまくいく。
たったそれだけだよ』
 私ハ、今デモコノマジシャンノ顔ヲ覚エテイルヨ・・・・」
421スペック(その57):03/05/30 01:52 ID:???
>>420
「それを・・・・・信じたというのか・・・・貴様?」
ジャックは、神を冒涜する言葉を吐かれた聖職者のような表情を浮かべていた。
「ソウダ、ガンマン。モノニスルノニ、少シ時間ガカカッタシ、ケガモシタガネ」

そのマジックのタネ―現実はもっと俗なもので、直前に弾丸をロウ製の安全なものにすりかえたり、
あるいは射手である客そのものがサクラであることを知っていたジャックにとって、スペックの言葉は
どうにも受け入れがたいものだった。
おそるべき純真さと、かたくななまでの愚直さ。
スペックの外見からは遥かにかけ離れているそれらの要素が、数十年前スペックに嘯いたマジシャン
の大法螺を、このホットスプリングスの街で現実のものと化さしめたのだ。

そして今俺は、どこの馬の骨とも知れぬ手品師の出任せが原因で、黒く巨大なバケモノがイージスの
盾を振りかざしているシーンを目撃したというわけだ。
何と言うことだ。
「ガンマン。ゲームヲシヨウ」
棒立ちになったジャックに対し、スペックは猫なで声とも表現しうる口調で話し掛けた。
「私ハ、今カラ逃ゲモ隠レモシナイ。コノフライパンノミデ攻撃ヲ防ギツツ、オ前ノトコロニタドリツク」
オ前ガ逃ゲヨウト隠レヨウト、一切自由ダ。オ前ガ私ノガードヲ破ッテ弾ヲ当テタラオ前ノ勝チ、
ソウデナケレバ・・・・・私ノ勝チダ」
スペックはそこで口をつぐみ、笑みをこれまでよりさらに大きくした。
入り口から差し込むか細い光が逆光となって、スペックのその顔をいやらしく照らし出す。
ジャックにとってその顔は、悪魔を具現化したそれであった。

「デハ、行クゾ。ガンマン」
422外伝担当 ◆uuMg1iXKpg :03/05/30 02:10 ID:???
皆様こんばんは。外伝担当でございます。
どうやら、スペックのサイドストーリーも終わりが見えてまいりました。
ということは、いまがクライマックスのはずなのですが、どうにも地味で地味で
しかたがない気がいたします。もっと精進いたしたく思いますが・・・・。

>パオさん
あと一ヶ月ですか・・・・・残念です。
パオさんのたてたこのスレッドがなければ、私もこうして漫画サロンに入り浸って
楽しいときを過ごすこともなかっただろうなあ、と思うと・・・・。
まあ、死刑囚編からこのかた、ずっと走りつづけてこられたのですから、ここらで
しばらくお休みになられるのもいいかと思います。
(しかし、個人的には、やはりパオさんの作品を今後も読みたいです)

>VSさん
はじめまして。ご挨拶が遅くなりまして申し訳ありません。
毎回の1レス1ネタ勝負、楽しく拝見いたしております。
個人的にもっともツボであったのは、アトム対渋川の
>ラララ?現実はきびしいんである。
の一文です。ゲラゲラ爆笑いたしました。
だらだらとした長文しか能のない私のようなものにとって、こうした
「贅肉を殺ぎ落とす」才能は大変うらやましく思います。
423402の続き(3話):03/05/30 03:16 ID:iW5Z6Vbb
【第3話 それぞれの死闘】

圧倒的な戦力を誇る魔界の軍勢を相手に、人間界の精鋭たちは良く闘っている。現況は五分以上。
元々戦力差は10倍近い。数は勿論、単体の戦力も魔界軍が上回る。 ・・相手は魔物である。
体力差から言えば、一部の超人を除き一対一でも厳しい相手だ。 ・・しかし、覇気。気概。
その部分で圧倒的に人間側が上回っているのだ。所詮、命令通りにしか動けない魔物が主力の軍。
命懸けで戦う事は出来ない。 ・・本能は「生き延びる」事を選択する。ゆえに、劣勢になれば。
戦いに尻込みしてしまう。 ・・魔物の戦気が萎えた原因。それは、慶次の「一騎駆け」である。
・・最前線。人間界の強者たちが魔物と交戦中。 ・・その前線の魔物、氷河魔人。氷の魔物。
氷河魔人が呪文を唱える。ブリザードが生まれ、人間たちを襲う。氷の上位呪文、ヒャダイン。
・・しかし、すっと。眼帯をした空手着の男が前に出る。そして、右腕を内に、左腕を外に。
大きく旋回させる。するとなんと、ブリザードが霧散してしまう。ニヤリ、と笑う眼帯の空手家。
 「マ・ワ・シ・受け・・。見事です、父さん」   若い空手家がそう言い、氷河魔人を倒す。
 「たりめえだ、こちとら空手だぜ・・イオでもヒャドでもベギラゴンでも持って来いやぁ・・」
若い空手家は愚地克巳。そして眼帯の空手家は愚地独歩。 ・・開戦から20分余りで、既に。
2人で30匹以上の魔物を屠っている。まるで、競い合っている様に。

424423の続き(3話):03/05/30 03:37 ID:iW5Z6Vbb
 (予想以上に戦えてはいる・・でも正面衝突では、やはり勝ち目は無いわさ)  ビスケのため息。
ここは人間軍の総司令部。江田島・巌がいない今、影道総帥とビスケが、この戦争の責任者である。
確かに現在は人間側が勝っている。だが、少しずつ、少しずつ。戦力差による、物量攻撃が響き出す。
この人間側の最深部、総司令部まで魔物たちが、攻め寄せ始めているのである。勿論、今は迎撃できる。
 「影道・龍極破ッ!!」  ・・影道総帥の秘拳。相手の肉体機能を麻痺させ、動きを封ずる拳。
魔物たちがその場で金縛りになる。 ・・そこへ、真・ビスケの鉄拳が炸裂する。吹き飛ぶ魔物たち。
・・ある程度仕方が無い。この戦力差では、防衛力をある程度放棄し、攻撃に賭けるしか勝ち目は無い。
だがもし。 ・・敵陣を破るより先に、この総司令部が破れたら。自分(ビスケ)と総帥が殺られたら。
 (早く、早くするわさ、慶次、みんな・・。早く敵将の・・。志々雄 真実を倒すわさ・・) 
だがその時。ビスケと総帥に、不吉を告げる声が。   「なるほど。貴様らか、こっちの首領は・・」
・・宮沢 鬼龍。禍々しい闘気と共に、戦線参加。魔界側の刺客として。 ・・ビスケは総帥に叫ぶ。
 「総帥、アンタはここを離れるわさッ!! コイツは、アタシが刺し違えても倒すわさッ!!」
 「しかしビスケ殿ッ」  「江田島と巌がいない今、人間界を引っ張れるのはアンタだけだわさッ」
ビスケは思う。総帥が鬼龍に負けるとは思わない。だが万が一、敗れたら。 ・・この戦争は負ける。
戦力差が明白な戦いで、大将を失くして勝てる訳が無い。なら、いっそアタシが・・。その時。
 「おうおう。ツイてるねえ、姫川。面白えケンカにありつけそうだぜ・・」   太く明るい声。
振り返るビスケ。そこには。岩の様に太い男と、女性の様に妖艶な男。   「来てくれたわさ・・」
太い男。ニッと笑って鬼龍に向く。   「その死神はオイラが闘るぜ・・。この、松尾象山がなッ」
425424の続き(3話):03/05/30 04:07 ID:iW5Z6Vbb
 「さ、ここは館長に任せて、我々は戦列に復帰いたしましょう」  ・・女性の様に美しい男、姫川 勉。
その男がビスケと総帥を先導する。 ・・ビスケも総帥も無傷ではない。ビスケは無限大トーナメントの時。
範馬 勇次郎に叩き伏されている。総帥も倒したとは言え、デスマスクに甚大なダメージを喰らっている。
その上、2人とも多数の魔物と交戦したばかりだ。 ・・いや、ビスケたちばかりでない。そう、あの慶次も。
巌・花山・九十九という強豪との死闘で限界に近い。 ・・いや、トーナメントに参加したほとんどの選手が。
本来なら入院してもおかしくない重傷者ばかりなのだ。 ・・だが慶次は駆ける。心を通じた友、香取 石松の。
仇である、志々雄 真実を「斬る」ために。    (もう少しだ、もう少しであの男にたどり着く・・)
松風を駆りながら、魔物たちを蹴散らし進む慶次。肉体が悲鳴を上げる。 ・・だが、後300メートルほど。
宿敵・志々雄の顔がもうハッキリと確認できる距離。 ・・あそこまでは死ねぬ。ヤツを斬るまでは・・。
志々雄は慶次を見て言う。 「誤算だな。ヤツの一騎駆けが無けりゃあ、このいくさはとっくに終わってた・・」  
言葉とは裏腹に、全く動じる様子の無い志々雄。   「オレが斬っても良いが、あまり調子に乗られてもな」
・・そして。傍らにいる奇怪な4人に言う。   「出番だぜ・・。ヤツを葬ってきな・・」  4人の内の一人。
幽鬼の様にやせ細った男が言う。   「勘違いするな・・。俺たちはお前の部下ではない・・」  笑う志々雄。
 「ククク・・確かにそうだ。でもよ、このままじゃこのいくさ、アンタら出番の無いまま終わっちまうぜ・・」
フン、と鼻で笑い出陣する幽鬼の様な男。その後に巨大な肉の塊の様な男。亀の甲羅を担いだ眼帯の男。最後に。
明らかに人間では無い、両手が巨大なプレス機の様な男が続く。 ・・異形4人、出陣。弾かれる様に笑う志々雄。
 「フハハハハ・・あの男も終わったか・・。残念だがオレにゃあ届かねえ。てめえ如きじゃな・・」
426マロン名無しさん:03/05/30 04:17 ID:fNaO9Fbe
慶次が悲壮感出しちゃダメでしょ
427425の続き(3話):03/05/30 04:37 ID:iW5Z6Vbb
斬る。ひらすらに斬る。鬼神の如く。目の前の魔物の群れを紙くずの様に。 ・・そして進む。
あの男、志々雄 真実の前に立つ為に。肉体は既に限界を超えている。しかしそれが何だと言う。
・・石松殿は・・。俺の為に闘い、死んだ。決して適わぬ相手と知りながら、重傷の体で。
あの男が近づく。もう150メートル程。松風なら一息の距離。手を伸ばせば届きそうな距離。
斬る。待っていろ、そこで・・。肉体の痛み・軋みはたぎる熱情で消えている。 ・・しかし。
ビュンッ。奇妙な手槍が慶次を襲う。 ・・違う。魔物ではない。洗練された一級の突き。
すんでの所でかわす慶次。次の瞬間。松風を包み込む巨大な肉体。身動きの取れなくなる松風。
なんだ、この2人は・・。だがまだいる。異形の者が。次は。両手から巨大な鉄板の様なモノが
生えた不気味な男。その鉄板から鋭いトゲが生えている。   「ジャンクッ!!」
その鉄板男はそう叫ぶと、慶次に襲い掛かる。反射的に松風から飛び退き、ゴロゴロ転がる慶次。
・・何とかかわした。しかし。まだ最後の一人がいる。転がる慶次の胸に、鍛えられたカカトが。
ビュン。今度はかわせない。メキリ。カカトが胸に突き刺さる。   「グフッ・・」
血を吐く慶次。 ・・アバラが折れただろう。慶次から生気が失せていく。ダメだ、まだ・・。
カカトを落とした幽鬼の様な男に、必死に裏拳を放つ。ムササビの様に素早く飛び退く幽鬼。
歴戦の強者である慶次には分かる。 ・・強い、この4人・・1対1でも苦戦する相手が4人・・。
チラリと志々雄の方を見る。距離はもう100メートルないだろう。しかし、遠い。余りにも・・。
志々雄は余裕の表情で飛竜にまたがり、プカリとキセルを吹かしている。 ・・異形の4人を見る。
・・すまぬ、石松殿。あの男にたどり着けぬかも知れん・・。ジリジリと慶次に近づく異形の4人。
・・いっそ暴れるだけ暴れて最後の意地を見せるか。そんなに悪い死に様であるまい・・。
その異形たち。 ・・幽鬼の様な男。久我重明。 ・・亀の甲羅を背負う男。心眼剣、盲剣の宇水。
・・巨大な肉塊。ハート様。 ・・そして鉄板の様な腕を持つ人間外の男。ジャンクマン。
魔界から地上を制圧するために派遣された、腕利きの戦士である。 
428427の続き(3話):03/05/30 05:03 ID:iW5Z6Vbb
 「ふはははッ!! これだからいくさは止められんなあ、松風ッ」  慶次は急に大きく笑い出す。
命の是非など、いくさの前に思ったことは無い。自分はただ修羅に入るだけである。おそらく自分は。
・・ここで終わるだろう。それでいい。ならば。 ・・ここでこの4人を一人二人道連れにして。
 (石松殿に土産話が出来るかな)   ・・窮地においてなお、にこやかに笑ういくさ人、慶次。
朱槍を構える。4人を見据える。すう、と一呼吸をして切り込もうとした、その時。 ・・ぽん。
ジャンクマンの肩を背後から叩く巨漢。   「・・遊ぼうか」   慶次。その男を見て息を呑む。
 「花山殿・・」   一瞬呆気に取られる慶次。その喉元を宇水の朱槍が襲う。  キィィィン。
・・槍と刀のぶつかる金属音。   「何してやがる、さっさと大将首を取りにいかねえかッ!!」
・・巨大な「斬岩剣」が宇水の朱槍を止めている。 ・・男塾ニ号生筆頭、赤石 剛次である。
幽鬼の様な男を、山の様な筋肉の男が捕らえている。 ・・幽鬼・久我 重明と日の下開山・播磨灘。
・・そして。肉の塊の様なハート様の前に立ちふさがる、日本刀の様に研ぎ澄まされた眼光の男。
ベスト・ボクサーにして素手で敵を倒してきた傭兵、B・B。 ・・慶次を守る様に敵を抑える4人。
花山 薫が慶次に言う。   「ここは俺たちに任せていって来い・・石松の仇をとってきな・・」 
・・4人に一礼をし、松風にまたがる。走り出す松風。 ・・もう目前のあの男。志々雄 真実の所へ。 
429428の続き(3話):03/05/30 05:42 ID:iW5Z6Vbb
最早、慶次と松風の疾走を邪魔するものはいない。目の前の魔物など障害物にもならない。
朱槍を小枝の様に振り回し、斬り進む慶次。その鬼神の様な姿に、もう魔物も近づけない。
目の前にいるのはついに。飛竜を駆る志々雄 真実のみ。松風が跳ねる。慶次の朱槍がうなる。
シュバッ。一閃。風を切る朱槍。 ・・飛竜の首が胴からポトリと落ちる。ついに。あの男が。
志々雄 真実が。慶次と同じ地に立つ時が来た。 ・・スタン、と器用に着地する志々雄。
変わらず余裕の表情。 ・・慶次。沸騰しそうな怒りを抑え、静かに志々雄に聞く。
 「香取 石松、という男を覚えているか」    志々雄は笑う。慶次のまゆがピクリと動く。  
 「フハハ・・あの男か。試し切りにも使えねえ・・クソみたいに弱え、下らない男だったな」
 「志々雄・・。貴様の所業、もののふと思えぬ。ゆえに、野の獣のように斬って捨てる!!」
腰の大太刀をスラリと抜く慶次。 ・・志々雄も腰の「無限刃」を抜く。そして不敵に笑い言う。
 「出来ねえよ、てめえごときじゃ・・」   殺気が二人を取り巻く。  ・・大将戦、開始。

丘の上。1人の男がこの戦争を見下ろしている。圧倒的な戦力差にも関わらず、人間側が押している。
 「情けないですね、志々雄も・・。仕方ない、私がいって終わらせますか・・」   その男の名。
地上最強の氣法師、朧。 ・・戦場へ降りようしたその時。背後の気配に何者かの気配を感じる。
 「また腕を上げた様ですね・・。この距離まで、この私に接近を気取らせないとは。・・巌・・」
背後の男。世界最高の戦士の一人、高槻 巌。 ・・仙人と静かなる狼。緊張感が高まる。巌が言う。 
「お前を戦場に行かせる訳にはいかんのでな・・ここで私と消えてもらう・・」  微笑を浮かべる朧。

 松尾 象山 対 宮沢 鬼龍。赤石 剛次 対 盲剣の宇水。B・B 対 ハート様。播磨灘 対 久我 重明。
 花山 薫 対 ジャンクマン。前田 慶次 対 志々雄 真実。そして、高槻 巌 対 朧。

・・関が原決戦はいよいよクライマックスへ。 ・・そして。地上ではもう一つ、激闘が行われていた。
我らがヒーロー、柳 龍光が強敵と闘っていたのである。
  

  

430パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/30 05:49 ID:iW5Z6Vbb
少し書きすぎた。これから少しペースが落ちます。3レス位じゃないと持たない。
まあ、魔界編書いて最後と言うのはね。もう無理なんです。時間的に、体力的に。
このスレ始めてから平均睡眠時間が2時間は減ってる。ヤバい。フラフラ。
割合好評のスレと思うので、頑張ってきたけど。私以上の外伝担当者さんや夜王さん、
シコル祭りさんがいらっしゃるのでもういいかなと。ま、ちょくちょく書くかもしれませんが。
あと722様、どうぞお使い下さい。私がここで書いたネタは誰がどうしようと構いません。
あと>>726様。慶次は「無念の人」だから。  ・・では。
431赤木しげるvs烈海王:03/05/30 07:25 ID:???
>>422
どもども。スペックってホントはあんなに怖いハゲだったんですね。
唸りつつも楽しく拝見しております。

>だらだらとした長文しか能のない私のようなものにとって、こうした
>「贅肉を殺ぎ落とす」才能は大変うらやましく思います。

実際のところ、贅肉をそぎ落とすことによって
駄文でも何とか読めるようになっておる(と自分では思っている)訳で。
まだまだ修行です。

などと書きつつ、バキの主要キャラもひととおり出揃いました。
次回、とりあえず最終回。
432マロン名無しさん:03/05/30 13:14 ID:???
>>429
出し惜しみしてないな。スゲエ。超期待。特に像山vs鬼竜。
でもジャンクマンだけちょっと違和感
 

433マロン名無しさん:03/05/30 15:06 ID:???
ハート「様」ってなってるところが、さすがパオ氏よくわかってらっしゃるw

>>432
ジャンクマンは強いよ。あのロビンマスクでさえボロボロにされたからな。
434マロン名無しさん:03/05/30 17:34 ID:???
デンパさん次回最終回か。パオさんもあと一ヶ月の命らしいし。
夜王さん最近来ないし。外電担当さんも忙しそうだ。
マロン板屈指の名スレも廃れてしまうのか。。
それとあの7カードはスゴい。手抜きせず書いてください
435第3話 虎と竜(6):03/05/30 19:10 ID:???
もうどれだけ殴っているのか。少なくとも1分以上は経っている。
ラッシュは無酸素運動だ。例えボクサーといえど、これだけ続ければ、勢いが落ちる。
なのに止まらない。休まない。にもかかわらず、虎の猛撃は衰える気配を見せない。
まるで、無尽蔵に湧いてくる怒りのエネルギーを、酸素の代わりに消費しているかのようであった。顔から血を滴らせながら、連打をくり返す千堂の姿は、さながら1個の修羅だった。修羅の連撃に、ドイルは少しづつ後退させられていく。
20キロ以上も重いドイルが、さらに防御を固めているのにだ。しかし。
千堂は気付いていなかった。ドイルの表情に。笑っていた。
亀のように固めた防御の隙間から、薄い笑みを浮かべて、ドイルは千堂を見ていた。
“見る”というより“観る”。
それは、プレデター(肉食獣)を観察する、冷徹なハンターの視線であった。
徹底して守勢を貫き、冷静に獲物の生態を観察している。そして窺っていた。機会を。
いきなり、来た。千堂の右。その一撃が、ほんのわずか、大振りになった。
といっても、好機とすら言えぬ程の、ごく小さな綻びである。
だが、ドイルはそれを見逃さなかった。刹那、ドイルの右手が、鞭のように振られた。
ピシャ。ドイルの手が、千堂の目を打った。指で、ではない。
手の甲で、ごく軽く、だが鋭く、千堂の目を叩いたのだ。
少林寺拳法に伝わる、“目打ち”と呼ばれる技法であった。
威力にしてみれば、女性の平手打ちほどもない。それでも、効果は絶大だ。
千堂が、両手で顔面を押さえていた。たったの1発で、千堂の猛ラッシュが止まった。
攻守交代。ドイルの右足が、跳ね上がった。
千堂の鳩尾に、全体重を乗せたドイルの膝が突き刺さった。
436第3話 虎と竜(7) :03/05/30 19:11 ID:???
腹部への重い衝撃に、千堂の内臓が悲鳴をあげた。
横隔膜が収縮し、嘔吐感が胸をせりあがる。千堂の口から、吐瀉物がまき散らされた。
試合直後だった為、ほとんど胃液しか出ない。ドイルが、ふわり、と宙を舞った。
飛び上がった瞬間、両足で一発ずつ、千堂の顔面に蹴りこんだ。
千堂が、背から派手に倒れた。そのまま腹を押え、のたうちまわる。
それでも、その目だけは、なおもドイルを睨んでいる。なんとか、立ち上がった。
(強い……マジに強いわ……この男…。鷹村さんより強いかも知れへん……)
目の前のドイルが、自分の何倍も大きく見える。弱い考えが千堂を支配する。
このまま、誇りも何もかも投げ出して、背中を向けて逃げる。
千堂の本能が、全力でその指令を送ってきている。しかし、千堂は。
(逃げへん…ッ!ここで逃げたら、ワイは一生、負け犬や…ッッ!)
強くなる。誰よりも強くなる。消防士として、最後まで人を助けた、父。
その父の遺体を見たとき、誓ったのだ。誰よりも強くなる。
まだ自分は強くない。まだ強さというものの形すら見えていない。
だから、負ける訳にはいかない。
目の前の“強さ”がいかに強大であろうと、自分は逃げられない。
なぜなら、自分以上の強大さこそ、千堂が目指すべき物なのだから。
「ほう…逃げないか…。たいしたものだ」
見透かしたように、ドイルが言う。千堂が、ばりっ、と歯を噛んだ。
「君は予想以上に、私を楽しませてくれた…だから…」
ふいに、ドイルが構えをとった。今までの無構えではない。
それを見た瞬間、千堂の胸に、怒りが突き上げた。それは千堂のよく知る構えだった。
「どうした?君のダイスキなボクシングだ」
ドイルが笑っていた。
437夜王 :03/05/30 20:02 ID:???
実に、実にお久しぶりです。サボりまくって、申し訳ありません。夜王です。
私の駄文をわずかでも楽しんでくれている方々には、おわびいたします。
ここのところ、やけに忙しくてろくにネットやる暇もありませんでした。
あと、自分は勢いとノリで書くタイプなので、気分がのらないときは、全然書けなくなります。
時間があって、筆がノってるときは10レスくらい一気に書けたりするんですが、なかなか……。
むしろ、最初の方の勢いは、珍しい部類に入ります。本来の私は、かなりの遅筆なんです。
これからも、不定期になったりするでしょうが、御容赦くださいませ。

>パオさん
お忙しそうですね。無論、いつかはそういう時が来る事は分かってましたが、いざとなると寂しいものです。
残り一ヶ月、パオ氏渾身の作品を、楽しませていただきます。
あと、象山vs鬼龍のリクエストを叶えてくださって、感謝感激です。
それにしても、凄すぎるカード。もはや言葉もありません。

>外伝担当さん
いよいよクライマックスですか。ハードな世界観を楽しませていただきました。
あと少し、がんばってください。次回作も期待しております。

>vsさん
本スレで、クスリ系のウソ予告書いてる方ですね。
こちらでも、相変わらずの狂いっぷりが素敵です(褒め言葉)。

>ふら〜りさん
よく自分の文章は、「くどい」と言われます。描写がしつこすぎると。
おかげで、他の人なら1レスで終わる内容が、2,3レスくらいかかる事もしばしばです。
438マロン名無しさん:03/05/30 20:54 ID:???
久々にここに来たら、魔界編盛り上がりすぎだな、マジでおもろい。
ひとつだけ残念だったのが、江田島が精鋭部隊を送りだすときは、
「貴様らの勝利を信ずる!」って言って欲しかった。
439ふら〜り:03/05/30 21:45 ID:rgVInrwJ
>>VSさん
烈が卓を囲んでいる姿……ある意味壮絶ですね。しかも全裸。
しかも前張り。相変わらず、どこまでイッてしまうのか不安に
させてくれましたっ。
でも最終回……あ、別シリーズを書き始められるということなん
ですよね? そうですよねっ?

>>外伝担当さん
最近、某作品で思いっきり肩透かしを食らって失望させられた
「道化の怖さ」。それを、思いっっっっきり堪能させて頂きました! 
スペックはスペックで、才能100%ではなくちゃんと努力も
している。が、その内容はというと……単純に強いとか残酷とかだけ
ではない、この微妙な怖さが、スペックらしくて凄く好きですっ♪

>>夜王さん
「ゲロ吐いた」の一事に対して、なんとも執拗と言いましょう
か……読んでて吐き気を実感しつつ、胃やら肺やらが「ぐにょり」
と動くサマが目に浮かぶ思いでした。写実的で重みのある文章だと、
私は思いますよ。

>>パオさん
播磨! 出てきてくれた〜! 出してくれた〜! と踊ってる
私がいます。大感謝♪ ……ただ一つ残念なのは、敵四人衆の中で
唯一、私が知らないキャラが播磨の相手だということ。はぅ。
でも今までだって知らないキャラでも充分楽しませて頂きましたし
(対ロビン戦もそうでした)、期待してますっ。
で。ジャンクマンというのは渋いチョイスですねぇ。戦闘の
バリエーション、広げられそうな広げられなさそうな。パオさんが
ヤツをどう動かすのか、こちらも期待大ですっ。
440柴千春vs???:03/05/30 22:32 ID:???
闘いは終わった。
長きに渡ったトーナメントも幕を閉じ、しばしの眠りにつく闘技場。
柴千春が一人、リングの上に立つ。音も動きもない、静寂の中で目を閉じる。
昂奮の熱闘、息詰まる死闘がまざまざと蘇る。足元に視線を落とす。敬愛する
花山、そして多くの戦士の血と汗を吸ったマット。記念に剥がして持って帰ろう。
持参の長ドスを抜き放つと、マットの中央に突き立てた。

マットの下には刃牙がいた。ギャッと叫んで血しぶきあげて息絶えた。
驚いた千春がロープだと思ってもたれかかったのは手錠の鎖。繋がれた死刑囚と
ゴレンジャーがバランスを崩してリング脇の落とし穴に落下。敷き詰めた竹槍で
全員串刺し。駆け出す千春の足元にサッカーボール。邪険に蹴り飛ばしたその軌道は
大きく弧を描き、野球に鞍替えした翼を直撃。死亡。トモダチを裏切った酬いである。
力任せにドアを開け外に出る。必死の形相に驚いた本部がゆで卵を喉に詰まらせ
窒息死。振り返りもせず無我夢中でバイクにまたがる。キーを回す。
江田島平八扮するバイクが発進した。直後トレーラーと正面衝突。さしもの江田島も
再起不能。
無傷だが顔面蒼白の千春。近くの公園でベンチに腰掛けタバコに火をつける。
隣りの海原雄山が泡を吹いて卒倒する。食通にタバコは大敵だ。
悲鳴をあげて再び走り出す。後ろから星矢が追ってくる。前方には達人。
ダメだ、死んだ!観念した千春の頭上でアトムのロケット花火が爆発した。
見とれる星矢と達人を尻目に逃げ出す千春。アトムのエネルギーは原子力。双方被爆。
一体どうなってんだ。俺はマットが欲しかっただけなのに。
自宅に戻り鍵をかけ、大きく肩で息をつく。シャワーでも浴びようと
給湯パネルに目をやると現在使用中。温度設定150℃。おそるおそる浴室を覗くと
全身ヤケドの烈が最後の力でトリートメント中。髪のうるおいを取り戻し、絶命。
もはや驚くことも忘れた千春、呆然として部屋の明かりをつける。勇次郎がゲーム中。
クリア目前でスイッチを切る千春。あまりのショックに勇次郎、憤死。
こうなると花山の動向が気にかかる。受話器を手に取り花山の番号をプッシュする。
壁の中から着メロが。突き崩すとそこには花山。鉄骨となり柴家を支える侠客立ち!
「花山さぁ〜〜〜〜ん!!」

優勝:柴千春
441マロン名無しさん:03/05/30 22:52 ID:???
てな訳で、バキキャラのストックも尽きたので、一旦おしまいです。
ズール、天内、ガイア、女子部井上。そりゃ他にもいることはいるんですが
どうもインパクトが。別にバキにこだわる理由もないんですが。

>夜王さん
どもども。「パンチいたい」以来、ニポンじゃなくてクスリが怖いとか
電波がかゆいとか様々なお褒めのお言葉を頂戴してきた訳ですが
本人、まったく自覚がありません。バカはバカなりに一生懸命
ストーリーを考えてるのに。えーん。うそうそ。やっぱ嬉しいですよ。

>ふら〜りさん
こんばんは。あんまり褒められると調子こいちゃいますよ。ポートレート集
だしちゃいますよ。
新シリーズというか何というか、ネタになりそうなマンガがあれば
是非ともアップさせていただきたいんですが、うーん。何かありますかね?
442マロン名無しさん:03/05/30 22:55 ID:???
いいなぁ。ほんといいなぁ
443マロン名無しさん:03/05/30 23:06 ID:???
>>440
ワラタ。けど、千春じゃ似合わん気も
444マロン名無しさん:03/05/30 23:22 ID:???
>>440
赤木は?
445マロン名無しさん:03/05/30 23:33 ID:???
>>443
そうなんすよね。まあ、千春も世間の波にもまれて
角がとれた、ということで一つ。

>>444
すんません、32行930文字では全キャラ詰め込むことなど
到底できませんでした。赤カブトも覚悟も未登場。
446マロン名無しさん:03/05/30 23:53 ID:???
ふら〜りさん、「餓狼伝」読みなよ。久我さん、最高だからさ。
最近では、バキより、むしろこっちの方が板垣のライフワークだしな。

447スペック(その58):03/05/31 01:53 ID:???
>>421
それから10秒ほどの間にジャックが発揮した連続射撃の技量は、独立以来連綿として受け継がれて
きたアメリカの銃文明が齎した一つの奇跡だった。

長年使い込み、BARと並んで彼の一部とも言える立場にあったモデル1911A1を無造作に投げ捨て、
右脇のホルスターから左手でハンマーをコック済みのコルト・ガヴァメントを抜き、セフティを親指で
解除し、今度はスペックの四肢と胴体を狙ってトリガーを引く。
同時に、モデル1911A1を投げ捨てた右手は、それ自体がまるで別の生き物のようにしなやかに動き、
背中のホルスターに納められた2挺目のコルト・ガヴァメントをするりと握り締め、火を吹かせる。

無造作とも言えるスピードで.45ACP弾を叩きつけたガヴァメントが、装填された8発を打ち尽くした
所で石くれのように放り出され、新たに背中のホルスターからスミス・アンド・ウェッソンM10リボルバー
が踊り出る。

弾切れになった2挺目のガヴァメントが大きな弧を描いて店の闇に吸い込まれていきつつある中、
それを放り出した右手は、腰の右側のホルスターからコルトM1873シングル・アクション・アーミー
・リボルバー"ピースメイカー"を繰り出し、ほぼ同時にスミス・アンド・ウェッソンM10を打ち尽くした
左手がまったく自然な動きで撃鉄に伸び、このシングル・アクション・リボルバーの発射速度を機関銃
のそれに匹敵させるべく、ひらひらと撃鉄の上で6回にわたって閃く。

右手に収まった"ピースメイカー"の弾が切れると同時に、今度は腰の左側のホルスターから飛び出し
たもう1挺の"ピースメイカー"で、全く同じ動作が繰り返される。
448スペック(その59):03/05/31 01:54 ID:???
>>447
床に根を生やしたかのような安定を生み出すわずかな腰の落とし方と、それぞれ独自の意思を持って
行動しているかのような両腕のうねり。
モデル1911A1を放り投げてから、6挺目の"ピースメイカー"の.45LCOLT弾を撃ち尽くすまで、
寸毫もの乱れを晒さずに、機械のような正確さと風にしなう若木のような柔軟性、そして肉食獣の
ような獰猛さを見せてジャックは攻撃を繰り出しつづけた。
発砲の閃光が、弾丸の数―34回だけ店の中をストロボのように浮かび上がらせ、立ち込める硝煙が
霧のように、あるいは靄のようにあたりを漂う。
そして、ガンパウダーの炸裂する轟音は、あまりにも速い感覚で発生するため、まるで一挺の機関銃が
射撃を行っているかのように店一杯に鳴り響いた。

まさしく神技。まさしく電光石火。まさしく―余人の到達し得ぬ領域。本物のガンマン。
ジャックが成し遂げた射撃には、およそあらゆる賛辞をつくしてもなお足りぬほどの意味があった。

しかし。

幼児のような無邪気さと、鬼神のような能力と、悪魔のような冷酷さをすべて矛盾なく併せ持つ
黒衣の怪人には、その攻撃は、まったく通用していなかった。
449スペック(その60):03/05/31 02:00 ID:???
>>448
顔、首、胴体、腰、両腕、両足。
あらゆる部位を狙って、ただの一発として外れ弾のない軌跡を辿って放たれた34発の弾丸は、
もしその軌跡の先にいたのがスペックでなければ、全弾が狙いどおりに命中していたであろう。

だが、スペックは、弾雨の中を一歩一歩悠然と前進し、己を狙う凶弾の全てを、そう、まぎれもなく
全ての弾丸を、手にした無骨なフライパンで弾き落してしまったのだ。

スペックの影が一秒刻みに大きくなり、瓦礫や砂埃を踏みしめる音がじりじりとジャックの鼓膜に忍び寄る。

どこからか風が舞い込んできたのか、窓を覆っていたカーテンがわずかにめくれ、外界の―今の
ジャックには月面よりもなお彼方にある外界の光が、ほんのわずかな間、暗渠と化した店の中に
差し込む。
そのかぼそい光がスペックの姿を舐めまわし、この怪人の影を店の奥に長く、長く、そして大きく
伸ばしていた。

弾丸を撃ち尽くした"ピースメイカー"を床に落としながら、ジャックは奇妙に冷静な心で思った。
ダメだったか。やはり、私では、このバケモノを止めることなど無理だったというのか。
死の化身たるスペックを、その吐息が感じられるほどの至近距離で目前にし、右手を背中に―ベルトに
差し込まれた最後のリボルバー―コルト・ニューサーヴィスに廻しながら、ジャックは己の努力が最後
まで実を結ばないであろうことを半ば確信していた。
450スペック(その61):03/05/31 02:03 ID:???
>>449
もはや1メートルを切った距離にいるスペックめがけ、コルト・ニューサーヴィスの初弾を放つ。

いかな鉄製品とはいえ、凶暴な威力を有する銃弾を30発以上も浴びて金属組織が疲労しきっていた
フライパンは、コルト・ニューサーヴィスの攻撃に持ちこたえられなかった。
ばこん、と表現しうる異質な音と共に、スペックのイージスの盾たるフライパン、そのもっとも弱くなって
いた中央部分に、指が3本は入りそうな大穴が開く。

しかし、それは、ジャックに希望を抱かせるにはあまりにも遅すぎた。

フライパンを打ち抜かれたとき、スペックは、すでにフライパンの抗弾力に頼らなくても十分目的を
果たしうる―ゲームに勝利しうるまでの距離に迫っていたのだ。
ジャックが打ち抜いたのは、スペックが放り出し、従って、ちょうど視線の高さで宙を舞っていた
フライパンであったのだ。
.45ACP弾の持つ強大極まりないストッピング・パワーを、支えるものなくもろに浴びたフライパンは、
きりきりと宙を舞い、店の奥に消えてゆく。

やや遅れて、がらんという空ろな音が店の奥でこだました。

そのことにジャックが気がついたとき、スペックは、ジャックの右側に回りこんで、彼の右腕をがっしり
と掴んでいた。
451スペック(その62):03/05/31 02:04 ID:???
>>450
ばき。ぼき。ぐしゃ。
「〜〜〜〜〜〜〜ッッッッア!」
つま先から脳天まで筆舌に尽くしがたい激痛が突き抜け、右腕全体から急速に力が抜けてゆく。
握り締めた手に力をこめることでジャックの右腕を粉砕したスペックは、ジャックの苦痛に歪む顔を
さも面白そうに見つめていた。
もちろん、スペックの右手は、なおも力をこめ、さらに雑巾を片手で搾るかのようにぐいぐいと捻られる。

せめて。せめてもう一撃を。この・・・このバケモノに手傷だけでも。

ぶち、ぶち、ぶちと右腕のあらゆる組織、筋肉、繊維がねじ切られる薄気味悪い感覚をたっぷりと
味わい、ともすれば激痛とともに薄れかかる意識を懸命に繋ぎとめながら、ジャックは左手を大きく
振りかぶった。
もちろん、その手でスペックを殴りつけるためではない。それが何の効果も齎さないことは明白だ。
ジャックが試みようとしている最後の一撃は、左腕に仕込んだ小型拳銃だった。
カーテンレールと簡単な金属部品、そして銃を括るためのゴムバンド。その組み合わせで左腕の内側
に仕込まれた小型拳銃―デリンジャーが、左手を一振りすることで袖口に飛び出してくる。

神様。私はもうすぐ地獄に落ちます。ですが、せめてそれをこいつに・・・・!

ジャックは、声にならない声で絶叫しながら、振りかぶった左腕を勢いよく下ろした。
452スペック(その63):03/05/31 02:05 ID:???
>>451
どすん。

ジャックの左半身を、名状しがたい衝撃が襲った。

え?

ジャックの視界の片隅に、何か細長いごわごわした見かけの物体が宙を舞うのが見えた。
同時に、体の左側が、何かを失ったかのように安定を欠く。
いや。そんなことはどうでもいい。私は、私は、このバケモノに一撃を加えるべく左手を振りかぶり、
隠し持ったデリンジャーを取り出そうとして・・・・・取り出そうとして、取り出そうとして。
どういうことだ。
私は反撃をしようとしていたはずだ。
私は反撃をしようとしていたはずだ。
私は反撃をしようとしていたはずだ。
私は敵わぬまでも、こいつに鉛弾を。せめて一発でも。
私はそう考え、実行に移そうと。
一体何が。

「ガンマン」
笑いをかみ殺しながら、スペックが痴呆じみたありさまになっているジャックを哀れむように見やった。
「私ガ厨房カラ持チ出シタ道具ガ、フライパンダト思ウノカ?」
スペックの右手には、刃渡り30センチ前後の肉切り包丁が握られていた。
包丁といっても、分厚い刃を持つ、さながら大鉈のような逸品―蓄獣の骨付き肉をつくるための、骨ごと
肉を分断してしまえる頑丈な代物だ。
そして、その包丁には、たったいま何か生き物を切り裂いたかのように真っ赤な液体が一面にぬめって
いる。もちろん、その液体はジャックの血だ。
「ガンマン、ゲームハ終ワリダ」
解き放つはずであった最後の一撃を、左腕ごと切り離されてしまったジャックの眼前に、スペックのあの
笑顔が一杯に迫ってくる。人に災厄を齎す、猫のようなあの笑顔が。

「サヨナラ、ガンマン。ナカナカ楽シマセテモラッタヨ」
453外伝担当 ◆uuMg1iXKpg :03/05/31 02:09 ID:???
皆様こんばんは。外伝担当でございます。
まずは連続投稿をしでかしてしまったことにつき、皆様に深くお詫びを申し上げます。
いや、本当はもっと短いレスでまとめるはずだったんですが、どうしてこうなって
しまったのか、我ながら不可思議でございます。まったく。

次に訂正をば。
>>452のスペックの台詞は
「私ガ厨房カラ持チ出シタ道具ガ、フライパンダケト思ッタノカ?」 です。
ここはチェック漏れでした。まことにもってあいすみません。
454外伝担当 ◆uuMg1iXKpg :03/05/31 02:31 ID:???
業務連絡を忘れておりました。
ええと、ながらくご愛顧いただきました「スペック」編ですが、ひとまずはこれで区切りとさせて
いただきます。
後は、エピローグ的なレス(前フリの泥縄的な回収ともいいますが)をいくつかアップさせて
いただくことになるでしょう。

>>431 vsさん
>あんなに怖いハゲ
そう仰っていただいて、まことにうれしく思います。
チャンピオンでは早々に退場してしまったスペックですが、あれは相手がグラップラー業界の猛者
ばかりだったからと思っておりまして、鉄砲こそすべてというところであれば、スペックもヘタレたり
せずにすんだのではないか、そう思ったのが今回の話を書くきっかけでした。
ホラー風にまとめてみたつもりではありますが、その意図を汲み取っていただけたようで、
感謝に耐えません。

>>437 夜王さん
お久しぶりです。いつも楽しく拝読いたしております。
ふら〜りさんがご指摘のように、緻密な描写がなんとももう、これはすごいなと。
私も、この半分くらいきっちり書き込むことができれば・・・と思う次第です。

>>439 ふら〜りさん
いつもいつも過分なお言葉、まことにありがとうございます。
スペック編は、これにて一応の区切りとなりますが、お楽しみいただけましたでしょうか。
455マロン名無しさん:03/05/31 10:14 ID:???
パオさんヤムチャの活躍はまだでつか?
やむらーとしては待ち遠しくて待ち遠しくて。
456429の続き(4話):03/05/31 11:40 ID:+LP9jFBU
【第4話 犬死と復活】

松尾 象山 対 宮沢 鬼龍。赤石 剛次 対 盲剣の宇水。B・B 対 ハート様。播磨灘 対 久我 重明。
花山 薫 対 ジャンクマン。前田 慶次 対 志々雄 真実。そして、高槻 巌 対 朧。

・・命運を決める7つの決闘。だが、この華やかな一騎打ちの陰で、ある男が地味ィ〜な闘いをしていた。
最凶死刑囚・柳 龍光が、戦場の片隅で凶悪な魔物と、激闘を繰り広げていたのである。
 「ぬうう、なんという強さよ、この化け物が・・。恐らく魔界でも一、二を争う強豪であろう・・」
その緑色の魔物に、苦戦を強いられる柳。 ・・ぷるぷると震え、武の究極「柔」を極めたそのボディ。
愛くるしい笑顔の下に潜む底知れぬ狂気。 ・・先ほどから一進一退の攻防を続ける柳と未知の魔物。
  やなぎのこうげき!  スライムに1のダメージをあたえた  スライムのこうげき!
  やなぎは164のダメージをうけた   やなぎのこうげき!  かいしんのいちげき!!
  スライムに4のダメージをあたえた!!       ・・・スライムをたおした!!!
 「グ・・恐るべき魔物よ・・。全てと引き換えにせねば勝てない・・。紛れもない強敵だった・・」
ふらふらになりながらも強敵(柳にとっては)のスライムを倒した柳 龍光。 ・・だがその時。
 「何いッ・・さ、三匹だとッ・・」  ・・目の前に。一匹でもやっと倒した凶悪なスライムが3匹も。
どうする、逃げるか・・。チラリと戦場を見る柳。 ・・不利な状況ながらも、必死で戦う人間たち。
今。ここでこの凶悪な魔物を3匹も戦場へ放てば。 ・・この戦争負ける。魔界に人間界は制圧される。
フッと笑う柳。 ・・私も人間か。最凶死刑囚と忌み嫌われた私が、人間の為に・・。魔物へ叫ぶ柳。
 「かかって来い、化け物どもッ。柳 龍光の名に賭けて、ここから先は一歩も通さない!!」 
457マロン名無しさん:03/05/31 12:12 ID:HrIMR4Fm
>
柳カクイー!!
458456の続き(4話):03/05/31 12:29 ID:+LP9jFBU
ダメでした。
・・倒れた柳を踏み越え、戦場中枢へ急ぐスライム3匹。ついに最も激戦地へ辿り着く3匹。スライムたちの目が光る。
そこには男塾の虎丸の姿が。スライムは虎丸に襲い掛かろうとする。意識も絶え絶えの柳、必死に声を出そうとする。
 (逃げろ虎丸、その魔物はお前では・・)   ダメだ。声が出ない。このままでは虎丸は・・。目を背ける柳。
 「なんじゃあ、この小動物どもは〜!!」   ・・サッカーボールの様に、遠くにスライムたちを蹴り飛ばす虎丸。
それを見て、ついにカクンと事切れる柳。 ・・柳 龍光、戦線離脱。柳のリタイヤにより、この戦争への影響は・・。
一ミリたりとも無かったという。 ・・いや柳がこの戦争に参加している事すら、誰も知らなかった。

 (か、勝てるかもしれないわさ・・)   戦力差はあれど、覇気が違う。撃墜率でいえば人間側の圧勝である。
後は、慶次が志々雄を討ち取れば・・。ビスケと総帥は、鬼竜に狙われた司令部から離れた場所で、必死で指示を出す。
少しずつ人間側が押している。 ・・全ての人間が満身創痍である。だが、勝勢はその傷の痛みすら感じさせない。
・・だが。戦場の遥か上空を浮いている小柄な老人。いつの間に現れた?不吉な予感が走るビスケ。老人は不気味に笑う。
 「クヒヒヒ・・情けないのう・・。どうれ、このザボエラ様が手を貸してやるわ・・」   ・・妖魔司教ザボエラ。
魔界からこの戦争の監視役として、バーンに派遣された魔術師。ザボエラの周りに大筒が現れる。   「デルパッ!!」
459459の続き(4話):03/05/31 12:40 ID:+LP9jFBU
・・ザボエラが叫ぶと大筒が消え、地上へ大量の魔物が降り注ぐ。 ・・鉄球魔人、アークマージ、突撃魚、インプ・・。
 「くそったれッ!! どうなってやがんじゃあ・・」    富樫の悲痛な叫び。500匹以上も新しく現れた魔物。
それを見て、今までの覇気が崩れていく人間軍。    「ダメ、だわさ・・」    ビスケがつぶやく。終わった・・。
・・江田島の不在が痛い。江田島にあって自分や総帥に欠けている物。強烈なカリスマ性。父性、と言い換えても良い。
今、戦士たちは、突然の増軍に打ちひしがれている。こんな時、江田島が後ろにいれば、どんなに安心できるだろう。
悔しい。 ・・若い総帥や女性の自分では、今ひとつ前線の戦士たちに、安心感を与える事が出来ない。空を睨むビスケ。
ザボエラは大声で笑いながら消えていく。 ・・その笑いをきっかけに押されていく人間側。 ・・一度均衡が崩れたら。
戦力で差があるこの戦いは、あっという間に終わってしまう。 ・・無論、人間側の敗北である。 ・・何か策を・・。
その時。ビスケの背後から。 ・・強大なオーラの塊が、新しく増えた敵兵に向かって飛んでいく。巨大なコブシの形。
数十の魔物が吹き飛ぶ。   「こ・・これは・・中国拳法最大奥義、千歩氣功拳・・」   この技を使えるのは・・。
後ろを振り向くビスケ。   「遅いわさ・・。埋め合わせはきっちりしてもらうわさ!!」   背後の巨漢が叫ぶ。
 「待たせたな・・。ワシが男塾塾長、江田島 平八であるッッ!!!」 ・・やはり人間側の大将が務まるのは。
この男、江田島 平八しかいない。鎧武者の勇ましい姿。 ・・その姿を見て、倒れた人間側の戦士が次々と立ち上がる。
総帥が微笑する。  (頼みましたよ、江田島殿。戦争は大将で決まるものです・・)  ・・戦場全体に響き渡る声。
 「気合入れんかぁッ貴様ら!! ワシは貴様らの必勝を信じておる!!」   その気合に呼応して覇気の戻る戦士たち。
ビスケがその姿を見て笑う。   (遅れてきておいしいわさ・・。悔しいけど、ワタシや総帥とは役者が違うわさ・・) 
・・江田島 平八の復活。関が原決戦、最終局面へ。 
460パオ ◆rQ8IySfmBE :03/05/31 12:46 ID:+LP9jFBU
シコル祭りさん早く帰ってきてくださいね。バキキャラで無くてもいいから。
外伝さんも次回作を是非。個人的にはひいきの柳をば。夜王さん祝復活。
・・でもこのスレちょっとヤバいかな。レベルは手前味噌ながら、漫画板の中でも
トップクラスと思う。客観的に見て。でも、夏くらいに書き手がいなくなりそう・・。
引き続き職人さん募集。 ・・私も出来るだけ書くようにします。頻度はガタ落ちでしょうが。
461マロン名無しさん:03/05/31 15:09 ID:???
柳の情けなさと塾長のカッコよさの対比がw
でもあと一ヶ月でひょっとするとこのスレ終わっちゃうの?
マジで続けてほしい。住人のわがままと分かってるけど。
462マロン名無しさん:03/05/31 18:00 ID:???
応援age
ガッツ出ないかな
463マロン名無しさん:03/05/31 18:58 ID:J12nqchv
ガンツの星人を出してほしいです。
田中星人か仏像星人なら雑魚キャラとして出しやすそうですし
464マロン名無しさん:03/05/31 19:10 ID:???
合戦シーンでSAKONの島左近を出して欲しかったな。
まあ前田慶次とキャラが被るんですが。
465ふら〜り:03/05/31 19:41 ID:dxENoGaE
>>外伝担当さん
お疲れ様〜! かちん! (←脳内慰労パーティーの乾杯の音)
元々スペック好きでしたが、外伝担当さんのおかげでもっともっと
好きになれました♪ 特に今回はジャックの連射&最後の一撃、
そして夜王さんに負けず劣らずの痛そうな「腕捻り」が
良かったです!
私は、他の四人が歩んだ道を考えますに、むしろスペックは
「魔のヘタレ時空」がバキ世界を覆い始める前に退場できて
良かったのではと思ってます。普通に、きちんと、負けることで
負けて終われたといいますか。
まあ、原作のことはさておき、もう一度……「お疲れ様でした!」
次回作も期待してますよっ。

>>パオさん
塾長かっこいい……「父性」という日本語は「母性」に比べると
お目にかかる頻度が非常に低いですが、それがこんなにぴったりと
ハマるとは。塾長の登場で鼓舞され、士気を上げる戦士たちが、
またかっこいい。男の世界っ。普段、アニメやゲームはおろか
推理小説にまで触手を伸ばして多方面の美少女キャラに萌え
まくってる我が身と比べると。はう。

>>夜王さん
前回書き忘れましたが、元少林寺拳士として「目打ち」は凄ぉぉく、
嬉しかったですよっ。

>>455さん
>やむらー
……世の中には、いろんな呼称があるものですねえ……
466マロン名無しさん:03/05/31 20:15 ID:Zn+RAXzd
柳、HP170以上もあったのか
467マロン名無しさん:03/05/31 20:51 ID:AtMrtFLr
>>パオ氏
いや、書いてみたいなぁと思ってるのは、自分含めて腐るほどいると思うけど・・
チトこのスレのレベルじゃぁおっかなくて書けませんがな。
まぁいよいよ職人さん達がいなくなって多少廃れてから・・でしょうな。
それまでは楽しませて貰うだけで勘弁してくだされ。
468マロン名無しさん:03/05/31 21:20 ID:5vFHRwMf
「神はゼウスのみ!悪魔の使いども 滅びよ!」
で、花慶のカルロス参戦キボンヌ…って、もう遅いか。
469スペック(その64):03/05/31 23:04 ID:???
>>452
--------エピローグ・21世紀初頭、アメリカ合衆国----------

「あなた、もう時間ですよ。起きてくださいな」
肩を優しく揺すられ、彼は午後の心地よいまどろみから現実に引き戻された。
目を開けると、老齢に達してもなお魅力を失わない妻のジェニファーが微笑みながら
こちらをのぞきこんでいる。
彼は、寝起きのためいまだはっきりしない意識のまま、ジェニファーに微笑み返した。
それからいくらか時間を置いて、午睡を楽しんでいたソファからゆっくりと身を起こす。
「そうか、そういえば今日はナンシーの入学祝いだったな」
合衆国のなかでも難関と言われている大学にただ一度の受験で合格した彼の孫娘が、
今日両親―つまり、彼の息子夫妻とともに彼の家へ遊びにくるのだ。
彼の家の庭で、バーベキューを楽しみながら、とっておきのプレゼントを―ナンシーがずっと
欲しがっていたジェニファーの指輪を贈る。
それは、彼の生涯において最良の一時、そのひとつになるはずだった。
「そうですよ、あなた。忘れてもらっちゃ困りますよ」
笑いながら、ジェニファーが軽く彼の肩を叩く。
「さっきロナルドから電話があって、あと1時間くらいでこっちにこれるんですって。
私は、これから料理の盛り付けにかかりますから、あなたはテーブルとチェアを庭に出しといて
下さいね」
ジェニファーは、少女のような身のこなしでリビングを抜け、キッチンへと消えていく。
その後ろ姿を見送った彼は、ふと彼女と始めて出あったときのことを思い出していた。

―あのころ、私は、やることなすこと何もかもがうまくいかなくてやけになっていたっけ。
毎日が酒びたりで、来る日も来る日もままならない日常に毒づき、事あるごとに荒れ狂っていた。
もしも彼女に会わなければ、私はずっと身を持ち崩したまま、なんとも情けない生涯を送っていた
ことだろう。
470スペック(その65):03/05/31 23:05 ID:???
>>469
彼女とほんのささいなきっかけで出会い、そして彼女に相応しい人間になるべく研鑚に励み、
いろいろと紆余曲折はあったものの、彼女とささやかだが幸せな家庭を築いた。
そして今、私は人生の秋をなんと言うこともなく穏やかに、心安らかに、ゆりかごに眠る赤子の
ように過ごしている。

だが、「あのこと」がなければ、私はおそらく、彼女に出会うことすらなかっただろう。
そう、「あのこと」がなければ、私はずっとあの街―ホットスプリングスに身も心も絡めとられたまま、
そのことに疑問をいだきさえせず、ずっとずっと根無し草の人生を送っていたことだろう。

「人生とは、わからぬものだな」

一人苦笑しながらつぶやき、彼はリビングに据え付けられた大型TVのリモコンを手に取った。
ジェニファーの指示に従い、庭にテーブルその他バーベキューセットを持ち込むまで、まだ少し
時間がある。そろそろニュースの時間だから、一応天気くらいはチェックしておこうか。

彼は、年相応の動作でソファから立ち上がり、彼はリモコンのスイッチをオンにする。

ブラウン管の向こうに映し出されたのは、遥かな昔に目の当たりにした悪夢であった。
471スペック(その66):03/05/31 23:06 ID:???
>>470
「凶悪犯脱走」と極太のゴシック体で打たれた番組のテロップと、表情を引き締めたキャスター。
そしてキャスターの後ろに合成映像で映し出された顔写真―スペックの、いくらか皺深くなった以外は
50年前と殆ど代わらぬあの笑顔が、彼の網膜に飛び込んできた。
『・・・・・特設刑務所から脱走したこの囚人、通称"スペック"なる凶悪犯の消息については、依然として
明らかになっておりません。州当局及び連邦捜査局の発表に拠れば、『敗北を知りたい』という謎の
言葉を残して脱走したとのことであり、それ以上のことは何も分からないのが現状です。
なお、一部の情報ではすでに国外に脱出したとの見方もあり・・・・・』

彼は、キャスターの言葉を最後まで聞いていなかった。
大きな音をたててソファに座り込み、放心したような表情でブラウン管を眺める。
「どうなさったの、あなた?」
物音を聞きつけたジェニファーが、エプロン姿のままキッチンから出てきた。
彼の眺めていた視線の先、ブラウン管に映し出されている映像を見つめ、顔をわずかに曇らせる。
「物騒な話ね・・・・。だいじょうぶですよ、あなた。この凶悪犯が脱走したのは、ここから何千マイルも
離れたところですし、警察も優秀だから、きっとすぐに逮捕されますよ」
違う。
彼は、思わずジェニファーにそう叫ぼうとした。だが、声が出てこない。まるで喉を潰されたかのように。
違う、違うんだ、ジェニー。私は、私は、昔この男に。
彼の脳内で、遥か昔に味わい、ジェニファーと出会ってからというものずっと封印したままになっていた
あらゆる映像が一挙に噴き出してきた。
バーカウンターに腰をおろすスペック。
用心棒のボス―フィルスといったっけ?―を叩きのめすスペック。
遠巻きにする用心棒や店員が一斉に発砲する中、フィルスを盾に猛攻を凌ぐスペック。
30人以上はいたはずの男達を、手足だけで次々と殺戮してゆくスペック。
男達の死体を無造作に放り投げ、店の中央に積み上げ、死体の玉座をつくるスペック。
そして、最後に店を訪れた2人の勇者を、笑いながら虐殺したスペック。
472スペック(その67):03/05/31 23:07 ID:???
>>471
彼は、あの時、店の雇われバーテンダーとして、たまたまそこにいたがために、ことの次第を
最初から最後まで見届けるはめになってしまった。
全てが終わり、スペックに歯向かうものが字義どおり誰一人としていなくなってしまった店の中で、
バーカウンターの背後、粉々に砕けたビンやグラスにうずもれてあちこちに切り傷を負いながら、
ガタガタ震えて目を開いていることしか出来なかった。
そして、ジャックの頭蓋骨を拳で粉砕したスペックが、ゆっくりと彼の方に歩み寄ってくる。
殺される。
抵抗の無駄を見せ付けられ、観念して目を閉じた彼の頭上から、スペックはしわがれ声で告げた。
「ボーイ・・・・ビールヲクレナイカ。喉ガカワイタ」

店内を必死で探し回って見つけた、奇跡的に銃弾を浴びていなかったバドワイザーを恐る恐る
差し出すと、スペックは親指で栓を弾き飛ばし、たった一息ですべて飲み干してしまった。
「アイニク、持チ合ワセガナインダ・・・ツケテオイテクレルカナ?」
オイルの切れた機械のようなぎこちない動作で何回も首を盾に振る彼を面白そうに眺めるスペック。
「トコロデ、ボーイ・・・コノ店ノオーナーハドチラニオ住マイカナ?」

彼がうろ覚えの記憶を必死でまさぐり、もつれる舌を懸命に操りながら住所を告げると、スペックは
軽く頷いた。そして、なにも言わずにスペックはふわりとたちあがり、店を出てゆく。
「た、助かった・・・・・・」
ばたんと音を立てて閉じられたドアを見つめ、彼は思わずへたり込み、ややあって、声をあげて
泣き出した。

店のオーナー―すなわち、ホットスプリングスの影の支配者が、居宅でくつろいでいるところを
何者かに襲われて殺害されたという情報を彼が知ったのは、数時間後のことである。
あの夜を境に、ホットスプリングスの支配者は州の外からやってきたギャングに代わってしまった。
そして、事件こそ表ざたにならなかったものの、世代交代にともなう粛清のとばっちりを受け、
彼は店をクビになり、無一文でホットスプリングスを追放されてしまった。
その後は・・・・・・
473スペック(その68):03/05/31 23:08 ID:???
>>472
「ねえ、どうなさったの、あなた?」
肩を激しくゆすぶられ、彼はそこでふと我に返った。
見ると、ジェニファーが心配そうな表情でこちらをじっと見つめている。
「あ、ああ・・・・いや、なんでもない。ちょっと、まだ寝たりなかったようだ・・・・」
彼は、そう答えるだけしかできなかった。
ジェニファーは、何も知らない。余計なことを言って、彼女が心配するところを見たくはなかった。
それに、あのバケモノが私を狙う理由は何もない。きっと、大丈夫だ。
彼は無理やり自分を納得させ、ゆっくりと再びソファから立ち上がった。
「さて、そろそろバーベキューの準備に取り掛かるよ。テーブルをまず出せばいいんだね?」

※       ※       ※

・・・・・・これよりしばらく後、彼の人生を大きく変えた黒衣の怪人―スペックは、極東のとある島国
において、19歳の喧嘩士と闘い、彼が望んでやまなかった「敗北」を手に入れることとなる。
だが、そのニュースが海を越えて合衆国に齎されたとき、元バーテンダーである彼は、家に押し入って
きた白人の強盗団と銃撃戦を繰り広げ、70余歳の人生に幕を下ろしていた。
家に備え付けていたレミントンM870で強盗をことごとく撃退し、その代償として強盗の放った9ミリ
パラベラム弾を胸部に受けた彼は、救急車の中、死の間際に
「あいつじゃなかった・・・・・」
と呟いたという。

その理由は、誰にもわからない。
474外伝担当 ◆uuMg1iXKpg :03/05/31 23:16 ID:???
皆様こんばんは。外伝担当でございます。
先日申し上げましたとおり、エピローグをアップさせていただきました。
これにて私の駄文「死刑囚外伝1"スペック"」は終了でございます。
長い間、お読みいただき誠にありがとうございました。

蛇足ですが、本当はスペックが店のオーナーを暗殺(?)しにゆく部分も
みっちりと書き込むつもりでおりました。
といいますか、本来はオーナーのからくり屋敷で傭兵部隊やら野生生物を相手に
スペックが暴れまわると言う部分を本筋にするつもりだったのですが。
そうならなかったのは、書いているうちに書きたいことが変わって来たからなのですね。
一言で言えば「最高の技量を持つ常人が、常人にあらざるスペックを相手に繰り広げる
絶望的な戦い」という部分をきっちり作りたかったということです。
一言じゃないですね、申し訳ございませんです。

スペック編で当初やるつもりであった部分(強大な敵に立ち向かう死刑囚)については、
次にアップさせていただく「柳龍光」編である程度再現する予定です。
一応、スペック編とはいくらか毛色の変わったお話にいたしますので、何卒今後とも
よろしくお願いいたします。

それでは。
475459の続き(5話):03/05/31 23:51 ID:fcbB+RZ5
【第5話 剛剣 対 盲剣】

風が凪いでいる。決戦が終わりに近づくに連れ、空模様は穏やかになっている。だが戦争は佳境である。
190センチはあろうかという大柄の男が、その体格以上の長刀を背負っている。その男、赤石 剛次。
猛者揃いの男塾の中でも随一の剣豪。背負うは斬岩剣。「この世に斬れぬものはなし」の剛刀である。
対峙するは奇怪な風体の男。体格は赤石より一回り小さい。だが異様な雰囲気。 ・・格は負けていない。
着物一面に「目」を模し、両目を隠す眼帯をしている。その眼帯には「心眼」の文字。背中に亀甲を背負い、
右手に鉄球付の手槍を持つ。 ・・その男、盲剣の宇水。異名通りの盲人。だが、「心眼」の使い手である。
「心眼」。 ・・その正体は異常な聴覚。筋肉の軋み、骨の摩擦音。全ての「音」を聴き、攻撃を見切る。
互いに譲らぬ剛の者同士。 ・・そして2人ともが剣客である。 ・・ゆっくりと手槍を構える宇水。
 「んー? 昂ぶっているな、小僧・・。ククク・・私には貴様の全ての心理が読めるぞ・・」  宇水が笑う。
 「フン・・。確か昂ぶっている・・。貴様の確実な死にな・・」  チャキン。 ・・斬岩剣を構える赤石。
・・間合いが少しずつ詰まる。呼吸を細くし、互いに互いを狙い合う。 ・・剣の間合いに到達する2人。
但し、2メートル近い赤石の斬岩剣の間合いである。カッ。赤石の目が見開く。   「ぬりゃあッッ!!」
ぶうん。まるで竜巻の様な斬岩剣の剣閃。 ・・だが。宇水はその大振りの一閃をかい潜り、赤石の懐へ入る。
 「これが貴様の剣かッ!! ぬるいわッ!!」   ・・宇水の手槍がマシンガンの様に赤石に襲い掛かる。
 「宝剣宝玉・百花繚乱ッ!!」   ・・宇水の手槍の槍先の刃と、槍の尻の鉄球。赤石を刻み、叩く。
血だるまになりながら赤石。振った斬岩剣を内に返す。しかし宇水。既に赤石の懐から後ろへ飛び去っている。
476475の続き(5話):03/06/01 00:14 ID:c9yBK9Tn
 「大した事ないねえ、赤石とやら・・以前闘った斉藤という男は傷3つだったが、7つも受けるとは・・」
赤石の肉体に刻まれた7つの傷。 叩かれた場所は腫れ上がり、斬られた場所は流血する。だが赤石は笑う。
 「笑わせんじゃねえ・・。こんなにわか雨の様な攻撃では俺は倒せん・・」   それを聞き笑う宇水。
 「フハハハ・・つまらん強がりを・・貴様の攻撃など、我が心眼の前では掠りもせんわッ!!」
赤石。フンと笑う。   「掠りもせんだと・・めでてえ野郎だ。てめえの胸元がどうなってるか・・」
その言葉に宇水。胸元を触る。 ・・着物が斬られている。まさか、完璧にヤツの剣をかわしたはず・・。
 「一文字流奥義・烈風剣・・。てめえと違って一太刀で良い。次は斬岩剣、着物でなく命を斬るぜ・・」
笑いの消える宇水。背中の亀甲を下ろし、自分の前に構える。丸みを帯びた盾。そして手槍が赤石を狙う。
 宇水。  「確かに予想よりは出来るようだ・・。ならば、私の真の技でブチ殺してくれるッ!!」  
 赤石。  「命惜しさに人間界を裏切る外道が・・。俺がきっちり地獄へ送り返してやるぜ・・」
赤石。猛然と宇水に斬り掛かる。   「けりゃあああッ!!」   袈裟斬りで振るう斬岩剣。だが宇水。
ニヤッと嘲笑すると、斬岩剣の前に亀甲を晒す。衝突する剣と盾。斬岩剣と亀甲が重なる瞬間、赤石が叫ぶ。
 「無駄だッ!! 一文字流斬岩剣、この世に斬れぬものはなしッ!!」   だが、斬る手応えはない。
ぬるり、という感触の後、赤石の斬岩剣は右に流れる。 ・・本来なら盾ごと宇水を真っ二つにするはず。
 「ぐうッ」  ・・地に下りた剣をひるがえし、宇水をなぎ払おうとする赤石。だが。   「ぬッ?」
目の前に亀甲の盾。完全に視界を奪われている。次の瞬間。 ・・宇水の手槍が赤石の胸を貫いている。
 「ぐふうッ・・」   急所は避けた。だが赤々とした鮮血がだらだらと血を濡らす。宇水は笑う。
 「不思議か? 自慢の剛剣が当たらぬのが・・心眼で動きを見切り、亀甲の丸みで剣を滑らし、捌く・・」
ギラギラとした目で宇水を睨む赤石。    「ぬうりゃあッ!!」    立ち上がり再度斬りかかる。
477476の続き(5話):03/06/01 00:43 ID:c9yBK9Tn
 「何度やっても同じ事よ!! 貴様にこの亀甲の盾は破れん!!」   ・・捌かれ、足を斬られる赤石。
勝利を確信して宇水は笑う。   「つまらん・・。この程度の男が、私の復活して最初の相手とは・・」
赤石。斬岩剣を杖にし立ち上がる。  「確かにてめえは強い・・だが斬岩剣、必ずてめえをぶった斬る・・」
ホウ、と笑う宇水。   「死に損ないが吼えると・・痛い目を見るよ・・」   赤石が刻まれていく。
辛うじて急所だけは守り、必死で猛攻を耐え凌ぐ赤石。ギラリ。赤石から、この闘い最高の殺気が放たれる。
反射的に飛びのく宇水。 ・・目が見えない分、殺気は常人より敏感なのだ。 ・・こいつ、まだ?・・
赤石。斬岩剣を背中に納める。 ・・チャンスは一刀。その一刀で心眼を斬り、亀甲の盾を斬り、宇水を斬る。
 「ほう・・居合か・・。だがその一発勝負をかわされたら、どうなるかな・・?」   余裕の宇水。
赤石。背中の鞘に納めた斬岩剣を右手で握り、中腰で左手を大きく開き前に出す。 ・・赤石流の居合の構え。
来るな・・。宇水も全神経を「心眼」に注ぎ込む。 ・・この一刀さえかわせば、自分の勝ちで勝負は終わる。
・・数秒の緊張の後、赤石の裂帛の気合が響き渡る。   「けええええッッ!!」     斬。
478477の続き(5話):03/06/01 00:43 ID:c9yBK9Tn
一陣の風を巻き起こし、一瞬で鞘から放たれる斬岩剣。 ・・しかし。赤石必殺の居合も「心眼」の前に。
 「ククク・・終わったな。貴様の全てを込めた剣も狙いを外した・・」  宇水はギリギリでかわしている。
赤石の放った斬岩剣は、ぐさりと地に突き刺さっている。宇水は笑う。   「どれ、止めを刺してやる・・」
だが赤石。その宇水の言葉にフンと笑う。   「誰が狙いを外したって? 寸毫も狙いは狂っちゃいねえ・・」
赤石。地に刺さった斬岩剣を抜かず、そのまま更に深く突き刺す。  「ぬあああ!!」  赤石の腕の筋肉。
めちめちと盛り上がる。  ・・宇水。全てを理解する。   「き、貴様まさか、最初から地面を狙って・・」
次の瞬間。一気に下の岩盤ごと、地面が吹き飛ぶ。勿論、赤石の仕業である。赤石の狙いは地下の岩盤であった。
地に刺さった斬岩剣を、地盤ごと持ち上げたのだ。・・空中へ吹きばされる岩盤。宇水の肉体も宙に浮き上がる。
空中で態勢の崩れる宇水。   「待っていたぜ、この瞬間を・・」   宇水の絶望の声。  「き、貴様ぁッ」
シュン。再度うなる斬岩剣。 ・・空中で成す術の無い宇水の肉体が、2つに分かれる。 ・・盲剣の宇水、絶命。 
・・フウ。息を吐いた後、赤石は言う。   「一文字流斬岩剣・・。この世に斬れぬものはなし・・!!」 
魔界 対 人間界、関が原7大対決。第1戦。・・赤石 剛次、勝利。
  
479パオ ◆rQ8IySfmBE :03/06/01 00:48 ID:c9yBK9Tn
外伝さん、スペック編終了おめでとうございます。いやあ、面白かった。
柳編大変楽しみ。柳は死刑囚の中で一番好きなんで。頑張って下さい。
あと、宇水という盲人の剣豪が出ましたが、実は実際の剣豪の中でも
盲人の人はいます。戦国末期にいた中条流の冨田勢源という達人。
いやー人間の能力は凄いですね。この人全盲なってから、
殿様の前で試合したんですが、相手が攻撃する前に試合を決めてしまった人。
漫画よりスゴい人はいるんです。本当に。  ・・では。
480マロン名無しさん:03/06/01 01:53 ID:gCGXpJ7h
なんか読んでいて斉藤一も出してほしくなった。
悪即斬の精神を見せてほしい。
481マロン名無しさん:03/06/01 02:26 ID:???
>>479
パオさんて、山田風太郎のファン?
482マロン名無しさん:03/06/01 07:06 ID:???
本編はもちろんだけど、
>>479みたいな小話も面白くてイイ!!
483名無しさん@Emacs:03/06/01 07:20 ID:???
赤石先輩〜〜〜〜
484マロン名無しさん:03/06/01 13:36 ID:???
すごく面白いけど、岩盤ごと地面吹き飛ばす赤石先輩は計次や獅子尾より強いんじゃ?
485名無しさん@Emacs:03/06/01 14:31 ID:???
でも彼ならやりかねない
486マロン名無しさん:03/06/01 18:06 ID:???
>>480
たぶん、魔界で合流する2人(?)ってのが、斉藤一と●●なのではないか・・・と言ってみるテスト。
487マロン名無しさん:03/06/01 18:28 ID:???
>>486
どうせなら予想2人とも書いてよ。
でもパオは斉藤厨スレでふら〜りさんに斉藤出すっていってたな
488マロン名無しさん:03/06/01 19:46 ID:Mpq769Tu
一人は対雄山のキャラだろう。
489ふら〜り:03/06/01 20:35 ID:4TdOXdLy
>>外伝担当さん
エピローグまで、恐怖にハラハラさせられました。スペック自身は
回想にしか出ていないのに……。
にしても、常人がバケモノ相手に絶望的な戦いをするというのは、
確かにホラー作品の形ですね。で、バケモノの方が勝ってしまう
ところがスペックたるユエンですな。ふっ。
別の意味でハラハラしたのは、読み始めた時に「この回想してるの、
ジャックなのか?」という思いです。あれで殺さなかったら
スペックじゃないよなぁとか思ってたら「2人の勇者を、笑いながら
虐殺」……お見事っ! 予想は裏切り期待は裏切らない、とは
正にこのことですっっ! 柳編も、楽しみに待ってます♪

>>パオさん
さすがはパオさん、赤石先輩の必殺・闘場斬りでキメるとはっ。
こんなやられ方をしたとあっては、宇水も本望でしょう、きっと。
しかしアニメ版では少し描かれてましたが、強い宇水っていうのも
見てみたかったりする私です。外伝担当さんのスペックみたいに。
普通の達人を、ざくざく斬り刻む宇水、とか。
490柳龍光(予告編):03/06/01 20:55 ID:???
1960年代―空前の繁栄を達成しつつあった日本で、一つの戦いが行われていた。

応接室。窓辺に立つ眼鏡の男。テーブルをはさんでソファに腰掛け、その男を見上げる柳。
「あの村で何が起こっているか、さっぱりわからない。生きて帰ってこれるか、保証はしないぞ」
「生命の保証など、私の仕事にあると思うのか。全く、問題は、ない」

田舎の県道。年老いた農婦が手ぬぐいを握り締め、顔をしかめて首を振る。
「お兄さん、あそこに行くのはよしときなさい。あの村は呪われとるんよ」

正体不明の"敵"に襲われる警官隊。燃え上がるパトカー、輸送用バス。
次々に現れる"敵"の群れに飲み込まれ、落命しつづける県警機動隊の猛者たち。
無線機の向こうから絶叫する指揮官の声。
「馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な。ここは日本じゃないというのか!」

少し大きめの神社、その本殿から現れる一つの影。光量が足りないためその姿形は判然としない
「苦戦しておるようだな、柳。助太刀に用はないか?」
その人影を睨みつけ、犬歯を剥き出しにする柳。その周囲には"敵"が群れをなしている。
「何故貴様がここにいる。これは私の仕事だ」

暗がりから響く声。まるで亡霊のような、生気に欠ける声だが、断固たる決意と確信に満ちている。
「この国を、我等の餌場にする。目的はそれだけだ」

「貴様等の脳味噌に刻み込め。私の名前は―」
唇の端を吊り上げて笑う柳のアップ。振り回している鎖鎌の速度が一層上がる。
「柳龍光。この名前を、貴様等の信ずる地獄へ携えていくがよい」

日本史の裏で死闘を繰り広げた男―柳龍光。
彼は、日本を脅かした男でもあり、同時に日本を救った男でもあった。

死刑囚外伝2「柳 龍光」Coming Soon!
491マロン名無しさん:03/06/01 20:56 ID:???
>>487
と●・・・ではないかと。ほら、リクエスト多かったし。
492マロン名無しさん:03/06/01 21:00 ID:???
>>490

映画みたいだ!
激しく期待
493マロン名無しさん:03/06/01 21:03 ID:???
>>491
私を●●と呼ぶな。
494マロン名無しさん:03/06/01 22:36 ID:???
柳はスペック爺さんとは違って外見通りの年だと思うから60年代にはまだ小学生だったような…。
でもすげー面白そうだ。
495478の続き(6話):03/06/01 23:33 ID:???
【第6話 鬼神 対 幽鬼】

黒い。その男は全てが黒かった。 ・・靴。ズボン。シャツ。鋭い眼光も、放つ闘気も、呼吸さえ黒い。
いや、黒色というより、闇。まるで全身に闇の気配を浴びた様。 ・・その男、闇の空手家と呼ばれる。
久我 重明。 ・・空手に生きる者なら、その名を聞いた事はあるだろう。不吉な響きの、その忌み名を。
・・空手とは元々、中国の唐から琉球へ伝わった戦闘術である。 ・・そこへ「道」という概念。
精神的な要素が加わり、現代の「空手道」となる。 ・・現代の空手は精神性を重んじる傾向にある。
だが、この男の空手。一言で言えば「空手術」である。 ・・如何に敵を倒すか。如何に相手を壊すか。
純粋な戦闘術としての空手。そこに精神性は介在しない。 ・・命を賭けた立合いに卑怯は無いのだ。
「強さ」のみを追求した空手。この久我という男、そういう空手を極めている。故に表には出ない男。
その強さを。危険性を。表の武道界が許さないのだ。 ・・例え、彼の空手こそが本来の「唐手」でも。

めきめきッ・・めきいッ・・。久我重明の背骨が悲鳴を上げている。当然である。古今無双の大横綱。
日の下開山・播磨灘のサバ折りを極められているのだ。 ・・そろそろ20秒。常任ならとっくに。
背骨がバキバキと折れている。 ・・だが、重明。不敵に笑みを浮かべている。まるで測っている様な。
・・自分の耐久力と、播磨灘の戦闘能力を。鬼神・播磨灘が怒鳴る。  「何がおかしい、貴様ッ!!」
重明は言う。    「つくづく甘いな・・表の格闘技は・・。俺の前でこんなに急所を晒すとは・・」
・・現在の2人の態勢。播磨は重明のわきの下から、太いかいなを回しギリギリと締め上げている。
 「俺の腕が自由になっている・・。お前の顔や頭が目の前にある・・。俺ならこんな態勢は怖くて
  出来ねえよ・・甘いッ!!」    ・・急に叫ぶ重明。そして右手の指を狐状の形に作り上げる。
496_:03/06/01 23:33 ID:???
497495の続き(6話):03/06/01 23:51 ID:???
親指・中指・人差し指の腹を合わせる形、鶏口。先端は鋭い凶器と化す。   ・・びゅんッ・・
その鶏口が一瞬消える。次の瞬間、播磨の首の裏・・俗に言う延髄に突き刺さっている。 ・・ぐらり。
山の様な体が一瞬揺らぐ。延髄は人体の急所中の急所である。そこへ刃物の様な指撃を落とされたのだ。
・・効かぬ訳は無い。だが播磨。その一撃にも耐え、再度ギリギリ締め上げる。 ・・後、ほんの数秒。
もう少しでこの男の背中は折れる。 ・・しかしその状況でも重明。顔から余裕は消えない。
 「ホウ・・少しは修羅場はくぐってる様だな・・表の人間にしちゃあよッ!!」  今度はゆっくり。
ゆっくりと左手を真上に上げる。手刀。この男の場合は正に「刀」。 ・・そのままの意味で刃物なのだ。
シュンッ!! ・・一気に振り下ろされる重明の左腕。次の瞬間、播磨のかいな力が抜けている。
今まで重明の胸に密着されていた頭は、ほんの少し後ろに反り返る。 ・・痛み。肉体を削がれる痛み。
そのほんの隙間。重明にとってはそれで十分である。播磨の髪の毛をつかみ、一気に前に押し出す。
播磨にとっては後ろへ反り返る形。隙間が広がる。 ・・播磨の目の前に火花が飛ぶ。その隙間から。
重明の鉄拳が滑り込み、播磨の鼻を潰したのだ。さらに緩む播磨の腕の力。重明、追撃の鉄拳、連打。
完全に潰れる播磨の鼻。 ・・顔面は血だらけである。そして、重明は脱出する。播磨のサバ折りから。
後ろへ飛び退き、距離を取る重明。    「貴様・・!!」   憤怒の表情の播磨灘。その顔面。
重明の鉄拳により血だらけである。だが顔面以上に。 ・・顔の右側面。そちらの方が出血が酷い。
地面には血まみれの耳が転がる。 ・・先程の重明の手刀により、播磨は右耳を斬り落とされたのだ。 
498497の続き(6話):03/06/02 00:47 ID:???
播磨は呼吸を整え、仕切りの形を取る。重明は播磨より3メートル程、間合いを取っている。
播磨。相撲の立合いの呼吸である。何時、誰が相手でも彼の闘い方は変わらない。何故ならば。
彼は横綱、しかも史上最強と呼ばれる横綱だからである。 ・・対して久我 重明。自然体のまま。
やや体を斜めにしているだけ。棒立ちといって良い。 ・・しかしこの重明。異様な妖気を放つ。
余計な肉を削ぎ落としている。それ程、ガッチリはしていない。その代わり、全体の造りが鋭い。
日本刀・・それも妖刀の様な男。    「残念だな・・相撲は決して地上最強じゃねえよ・・」
巷に溢れる相撲最強説。重明は一言で断ずる。   「相撲にゃあ決め技が、必殺性が無え・・」
 「ぬかせッ!!」   弾丸の様に頭から突っ込む播磨。ブチかまし。ミサイルの様な迫力。
だが重明。通じねえよ、とポツリと言うと左の蹴りを叩き込む。狙いは顔面や腹ではない。
その場所ならば播磨は跳ね返し、ブチかましを重明に叩き込むあろう。狙いは、播磨の右足。
いや、正確に言うと足の甲である。恐るべき正確さとスピードで、播磨の足の甲を踏み潰す重明。
使う部位はカカトである。メキリと右足の甲が悲鳴を上げる。播磨のブチかましのスピードが緩む。
 「いくらでもあるんだよ、相撲殺しなんざ・・」   重明が体を思い切り捻る。勢いを付け、
播磨の顔面へヒジを思い切り叩き込む。先程潰れた鼻。 ・・そこを集中して叩き付ける重明。
ヒジで、コブシで。 ・・顔面につま先蹴りが決まる。グラリと揺らぐ播磨。 ・・崩れ落ちる。
しかし播磨は踏み止まる。相撲取りの意地として、この体を地に付ける訳にはいかないのだ。
 「死に腐れッ!!」  播磨のグローブの様な張り手が次々と重明を襲う。 ・・大振りの掌。
重明は体を小さく構える。そして張り手をかわしながら、速く刻む様なショートパンチを連打する。
・・威力は小さい。しかし全てがカウンターになっている。パンパンパンと小気味良い音が響く。
全て重明の播磨を打つ音である。   「終わらせるぜ・・。他にも殺らなくちゃいけねえからよ」
重明の右足が唸る。一呼吸で播磨のノド元、そして側頭部を襲う。 ・・そしてコメカミへ。
右中指立ち正拳。 ・・鋭い突起がコメカミに突き刺さる。 ・・そしてその拳を一気に振り抜く。
499498の続き(6話):03/06/02 01:08 ID:???
いや・・振り抜け・・無い? コメカミの所でピタリと止まっている重明の拳。血まみれで笑う播磨。
 「チカラビトの首の力を・・舐めてもらっちゃこまるのう・・」  コメカミで止まった重明の拳。
その手首を取る。重明の右腕をカンヌキに極める。  「詰めが甘いのう・・こう極めるんじゃ!!」 
ビキン・・。  重明の右ヒジが枝の様に折れた。  「ぬうう・・」   痛みからの声ではない。
驚愕。 ・・播磨のあまりの生命力に声を上げたのである。 ・・折った右腕を極めたまま、
重明の首をつかみ上げる。ギリギリと締まっていく。恐るべき握力。   (こ、このままでは・・)
落ちる。つまり気絶してしまう。首を締め上げられ。 ・・必死で左腕を上げる重明。薄れいく意識。
人差し指。 ・・その指を、思い切り。潰れた播磨の鼻の穴に突っ込み、ギリギリとかき回す。
 (ク・・。目玉ではなかったか・・)   重明の本来の狙いは目玉に指を突っ込む事であった。
しかし意識の混濁のため、狙いを外す。それでも幸いに、鼻の穴に突っ込めた。指をかき回す重明。
・・だが播磨。それでも首を極めた腕を放さない。どころか、更に力が籠もっている。焦りの重明。
 (まさか・・負けるのか、俺がこんな力攻めで・・)   左の手刀を必死で播磨の右腕に落とす。
それでも播磨は右腕を首から放さない。 ・・青ざめていく重明。 ・・しかし播磨の肉体も。
限界が近付いて来た。 ・・最後の力を振り絞り、播磨の腹を踏み台に、後ろに飛び退く重明。
なんとか脱出できた。 ・・いや、自分の力というよりも、播磨のダメージに助けられたのだろう。
 「さっきまでの余裕が消えたのう、空手使い・・」  播磨。フラフラながら最後の仕切りの態勢。
 「いいだろう、次の一撃で決めてやる・・」   重明は天に向けてまっすぐ、手刀を伸ばす。
攻撃する播磨と迎撃する重明。 ・・勝負を決める一発勝負。 
500マロン名無しさん:03/06/02 01:24 ID:???
カッコよく500get
501499の続き(6話):03/06/02 01:31 ID:???
 「見さらせ、これが日の下開山・播磨灘のブチかましじゃあッ〜!!」   肉の弾丸が飛び出す。
一呼吸で重明との間合いを詰める。巨体からは信じられない動き。だが重明、その動きに良く反応している。
2メートル以上の高さから、重明の手刀が高速度で落ちてくる。まるでギロチンの様。播磨の肉体が近付く。
・・播磨のブチかましが重明に届くよりも一瞬早く、重明の手刀が播磨の鎖骨にめり込む。 ・・そのまま。
重明の手刀は「斬る」様に地面まで到達する。   「並みの空手家の技とは違う・・終わったな・・」
最も鍛えた部位で、最も人体の弱い部分を破壊する。 ・・単純ながら空手の極意である。今の重明の技。
・・手刀鎖骨打ち。空手の基本稽古で習う技。 ・・だが、極めて鍛えた空手家が放つと、必殺の威力を持つ。
勝利を確信し、止めを指そうとする重明。だが、次の瞬間。 ・・天から巨大なモノが降ってくる。 何だ?
それが。播磨の掌と分かった時は。重明は地面に叩き伏されていた。 ・・天下無双の張り手の凄絶なる威力。
更に。転がった重明の眼前にもっと巨大なモノが降って来る。 ・・それが播磨のカカトだと分かった時には。
重明は完全に意識を失っていた。 ・・天下無双の四股踏みである。  ・・播磨は重明を指差して叫ぶ。
 「命を賭けた勝負で、ベラベラとしゃべりおって・・。ワシの稽古相手にはとてもならんわッ!!」
魔界 対 人間界、関が原7大対決。第2戦。・・播磨灘、勝利。
502パオ ◆rQ8IySfmBE :03/06/02 01:40 ID:???
やべえ、播磨対重明、あんまり出来よろしくない・・。ま、次は面白いの書きます。
斎藤はなあ。実はシシオと斎藤は迷ったんですよ、どっち出すか。でも斎藤出すと、
某スレの某厨が、「斎藤ならバーンを瞬殺」だの、「斎藤さんがこんな相手に苦戦する訳ない」
だの暴れられたら困ると思って。気の回し過ぎかな。ちなみにあのスレで新撰組のウンチクたれたの私。
いくらなんでも斎藤>ヒコ・シシオは無いだろ。作者がヒコ最強・シシオ一番お気に入りと言ってるのに。
外伝さん柳うれしいです。柳大好き。今私のネタで柳がヘタレてるのは、最初のスレであまりにも
柳をひいきし過ぎたので。こないだスライムとの死闘で死んじゃいましたが。
503実験1:キャラ知識0対決:03/06/02 02:09 ID:???
暴力大好き、テニスの王子様。ガット越しにのぞいた瞳が少年のように輝いている。

衆院予算委員会も大詰め。閣僚席には険しい顔が並ぶ。金融担当大臣、財務大臣、
総務大臣。もちろん王子様のリョーマもいる。特製の閣僚ベッドにもぐりこんで
早売りのジャンプをパラパラやっている。
野党の怒号が飛び交う中、壇上の総理が熱弁をふるう。あーもーうるせーな。
王子様の読書の邪魔をする。オッサン当然覚悟はできてるよな?
黄色のペンキをぶっかける。巨大なテニスボールと化した首相のハゲ頭目がけて
殺人ラケットを振りかぶったリョーマだが、殺気の風を背中に受けて立ちすくんだ。
「王様ハウス」の看板。議場の隅に建てられたほったて小屋が地響きと共に
倒壊し、巨大な白象が姿を現した。象の背中に乗った男の視線が、リョーマを
一直線に射抜いている。政界の名物男、シャーマンキング葉である。
テニスの王子様vsシャーマンキング。メンツと予算をかけた闘いの火蓋が
切って落とされた。
リョーマの攻撃。渾身の力で放たれたサーブが葉に襲いかかる!
折りしも野党のペーペーが書類の束を片手に銀行への公的資金注入を糾弾中。
興奮のあまり身を乗り出したところへボールが直撃。四方に散乱する書類。
ぜ〜んぶ根本はるみのグラビア。
葉が攻勢に転じる。火の玉と化した巨象がリョーマ目がけて突進する!
辛うじてかわしたリョーマの後ろに陣取るソフトランディング路線の議員連中が
超ハードにテイクオフ。天井にぶち当たって床にハードランディング。
ここでリョーマが勝負に出た。ベッドの下から超巨大ラケットを取り出すと
傍らの総理の首根っこをつかんで天高く放り投げ、ジャンピングスマッシュ!
今度は見事に命中。致命傷を負った象と総理。総理の胸ポケットからコントローラーが
こぼれ落ち、倒れる象の下敷きに。ん?コントローラー?
その瞬間、制御を失った議員達が狂ったように暴れ出した!スーツを引きちぎり
共食いをおっぱじめ、遂には議場を飛び出して太平洋の彼方へ消え去った。
彼らが無人島で興した新国家が後に「猿の惑星」のモデルとなったのは、有名なお話。

呆然と立ち尽くすリョーマと葉、衆議院議長。
議長が決議を促す。賛成の議員は起立をお願いします。2名。反対の議員、0。
予算案、可決。
504マロン名無しさん:03/06/02 02:45 ID:qaw/kRPO
葉はともかくリョーマはやりかねない気がする
505マロン名無しさん:03/06/02 10:42 ID:???
「YAIBA」の「鬼丸」なんか出してもらえませんか・・・
506マロン名無しさん:03/06/02 13:41 ID:???
お、デンパさん復活してる。。
ところで赤石先輩vs斉藤一がハゲシクみたい
507501の続き(7話):03/06/02 15:46 ID:sJWLA0yA
【第7話 魔界潜入】

激闘続く関が原決戦。だが、ここで魔界へ潜入した精鋭部隊、陸奥 九十九、剣 桃太郎、ニコ・ロビン、
そして烈 海王について語らねばならない。話は関が原決戦、開始直後までさかのぼる。
・・魔界への門を抜けた精鋭4名。空中に歪んだ空間を超え、そのまま魔界の地へと転がり落ちる。
 「暗いわね・・」   ロビンがつぶやき、周りを見回す。 ・・途放もなく広い。地平線も見える。
案外、体に悪い環境では無さそうだ。どころか、心地よい風がロビンを包み込む。  (いい風・・)
気持ち良さそうに右手で髪を掬い上げるロビン。 ・・だが。辺りに建造物は見えない。目的。目標。
その為の自然物も少ない。不意に後ろから声が掛かる。   「全員、無事の様だな」 ・・烈である。
何故かロビンに話し掛ける時、烈の顔は紅くなる。 ・・いい年して童貞の烈に、ロビンは眩し過ぎるのだ。
・・これからどうする? 4人は意見を出し合う。ただ、九十九だけはゴロンと転がり話を聞いているだけ。
この広大な地で、大魔王バーンを探し出せるのか? ・・勿論、答えは出ない。いきなり閉塞感に満ちる4人。
・・その時。   「フン、貴様らか、人間界の精鋭どもは・・」   ゆっくり近づいて来た小柄な男。
その男が発した言葉である。勿論、烈や桃は既に戦闘態勢に入っている。 ・・ただ一人。九十九だけは。
相変わらず寝そべったまま。その九十九が言う。  「大丈夫だよ、烈さん・・。その人は多分敵じゃない」
 「フン、コエンマに頼まれて助っ人に来て見れば・・大層な出迎えだな」   ・・小柄の男が言う。
その男。全身黒尽くめの格好。髪は逆立ち、目はヤブにらみ。 ・・だがその取り巻く妖気が雄弁に語る。
・・彼が人間でない事を。その男が言う。     「飛影だ・・。今回だけ貴様らを手伝ってやる・・」
その男。魔界の腕利き妖怪、邪眼師・飛影。 ・・新戦力、パーティに加入。   
508女性にお勧め:03/06/02 15:47 ID:kjZc5xxo
・・・・見るべし見なけりゃ存しますよ〜イチオシ
http://www.asamade.net/cgi-bin/pc_i_j_ez-index.cgi
1ヶ月30P万V女性の方も訪問してね
509マロン名無しさん:03/06/02 15:59 ID:???
飛影だったのか(笑)
こいつは予想外だった。
510マロン名無しさん:03/06/02 16:01 ID:???
どうでもいいが、烈の変な設定はどうにかならんのか
正直、あれは寒いぞ
511507の続き(7話):03/06/02 16:18 ID:sJWLA0yA
 「あなたが魔界からの助っ人という訳ね・・。でももう一人、人間の助っ人が居るって聞いたけど?」
ロビンが飛影に聞く。   「知らん・・。オレは一人で来ただけだ・・」   素っ気無い返事の飛影。
 「では質問を代えるわ。バーンはどこに居るの?」  飛影。無言で天空を指差す。一斉に空を見る4人。
遠く天高く。何かが飛んでいる。途轍もなく大きい建造物。 ・・あれがバーンの居城、バーンパレス・・。
烈が飛影に問い詰める。   「おい、どうしたらあんな場所に行けるのだッ」   「叫ぶな、バカが」
飛影が五月蝿そうに烈に言う。顔の紅くなる烈。   「私は貴様を信用出来ん・・。魔界側の者なぞッ」
不穏な雰囲気が流れる5人。だがロビンがその場を救う。   「でも拳士さん、魔界に一番詳しいのは彼よ」
・・その言葉に冷静になる烈。飛影。懐からソフトボール大の光玉を取り出す。   「これだ。これを使う」
美しい玉である。だがこれをどうするというのか。どうすればこれで、あの天空まで辿り着けるというのか。
・・考古学者でもあるロビンが叫ぶ。   「これは・・まさかあのオーブ?」   飛影は黙って頷く。  
桃がロビンに聞く。   「何なのだ、オーブとは?」   ・・ロビン。目を閉じてゆっくりと説明する。 
 「オーブ・・。別名、とら魂ボール・・。この玉を7つ集めると、伝説の大妖と破邪の槍を封じてある、
  ダンジョンに辿り着けるらしいの・・。その大妖は雷と炎を自在に操り、天を駆けるというわ・・」 
512511の続き(7話):03/06/02 16:19 ID:sJWLA0yA
飛影のオーブには星が4つ光っている。ロビンが言う。   「これは4星球ね・・あと6つ揃えれば・・」
 「伝説の大妖とやらに乗り、あそこへ行けるという訳か」    桃が天のバーンパレスを見てつぶやく。
だがまだ球は一つ・・残りはどこ?  ・・その時。天空に、偉そうなオヤジの顔がドアップで映し出される。
 「わはは・・愚民が。人間界からわざわざやって来たか。貴様らの欲しがるオーブの一つはここにある・・」
海原 雄山。 ・・その男が偉そうに言葉を吐く。   「これが欲しくばここへ来いっつ。我が五珍の塔にッ」
・・天空を睨み付ける4人。雄山は偉そうに言葉を続ける。無論、人の視線などこの男に関係無い。
 「今より12時間後・・。北は10キロの五珍の塔で待つ・・激辛カレーで顔を洗ってかかって来いッ」
・・一方的に言葉を吐いた後、天空の映像は消える。12時間後か、と気を引き締める烈・桃・九十九・飛影。
だが唯一人。ロビンだけは違う事を思っていた。    (やはりいるわね・・。内通者が・・)  
513パオ ◆rQ8IySfmBE :03/06/02 16:22 ID:sJWLA0yA
今日は忙しい。短い3レスで失礼。
割合ハードな地上に比べて魔界はグチャグチャです。真剣勝負ばかりだと疲れるの。
烈はヤムチャ・柳・アシュラと続いた系譜の伝承者です。これでいい。
烈の場合はラストの伏線でもあるの。   ・・では。
514マロン名無しさん:03/06/02 20:17 ID:???
ラストの伏線・・・なんとなく嫌な予感が。
パオのネタは面白いと思ってるし、ロビンを持ち上げすぎてたまにキモイ時があるからなあ。
515マロン名無しさん:03/06/02 20:17 ID:???
×思ってるし
○思ってるが
516マロン名無しさん:03/06/02 20:20 ID:???
>伝説の大妖と破邪の槍
うしおととら参戦かよ!人間側のもう1人は魔界側にパンタローネいるから梁師父あたりっだったりして。
517マロン名無しさん:03/06/02 20:24 ID:z8AobiQo
ここのせいでオナニーしすぎだよまったく・・・
         ↓

 http://www.dvd-yuis.com/
518マロン名無しさん:03/06/02 21:33 ID:???
>>516
マニアックすぎだろ、それは。メインキャラじゃねーし。
個人的には、烈vsパンタローネってのが、美しいのではないかと。
519実験2:さて誰でしょう?:03/06/02 22:24 ID:???
爽やかな朝。小鳥のさえずりが樹々にこだまし、ボンネットの上の猫が
気だるげなあくびを漏らして2度寝を決め込む。
初夏の日差しを窓越しに浴びた○○。今日は日曜日、家に閉じこもってなんか
いられない。真っ赤な上着に尻尾のアクセサリーをふりふり、街に繰り出した。

親友の▲▲と水族館へやって来た。男2人でお魚見物。日本の将来は安泰だ。
少年期を山で過ごした○○にとっては、見るもの全てが好奇心の対象である。
ガラスに顔を押し付けて、あちこち指差しては「あれ食えんのか」「これキンタマ
ついてんのか」を繰り返す○○にいら立ったのか、▲▲のチョビヒゲがプルプル
震えている。他人のふりをしてキノコの山をむさぼり食う。
「うっひょ〜!」ひときわ大きな○○の喚声に思わず振り向いた先には、水槽に
張り付いたオニヒトデ。▲▲の目の色が変わった。星だ!無敵だ!俺のもんだ!
▲▲の右手にはいつの間にやら巨大ハンマー。乾坤一滴、水槽目がけて振り下ろした!
ガシャーン!
怒涛の水流。溢れ出す魚の群れ。たちまち館内はパニックに陥った。
混乱の波に呑まれて身動きのとれない○○。そこに狙いすましたかのように
黄金のバフンウニが飛んできた。必死に身をよじるも、あえなく全弾命中。
7つのウニが頭にささってツンツンヘアーと化した○○だが、トゲの1本が
禁断のツボにヒット。○○、パワーアップ!黄金の戦士が誕生した!
サメに行く手を阻まれた女性客。食事中だったのか、ユッケジャンクッパの丼を
後生大事に抱えている。今助けてやる!華麗なジャンプでサメに詰め寄った▲▲が
女性の丼をかっさらう。クッパ救出成功!▲▲とサメの空腹は満たされた。よかったね。
客に向かって亀を投げつける○○。かめはめ!かめはめ!その客を亀もろとも踏みつける
▲▲。1UP!1UP!最後の仕上げだ。両手を広げる○○と▲▲。みんな、オラ達に
現金を分けてくれ!あふれんばかりの小銭を抱えて脱出。直後、大爆発する水族館。

作戦は成功した。固い握手を交わす○○と▲▲。▲▲のくわえたタバコに○○が
ライターで火をつける。火力ツマミは最大。火柱があがり、黒コゲになる2人。
「んもー」
「バーロ」

答:○○=かりあげクン ▲▲=課長
520マロン名無しさん:03/06/02 22:33 ID:???
悟空とマリオ?
521マロン名無しさん:03/06/02 22:43 ID:???
魔界都市ハンターのドクター・メフィスト登場キボン。
522マロン名無しさん:03/06/02 23:02 ID:???
>>514
 書き手にも好き嫌いがあるので仕方ないのでは。
 これだけ多くのキャラを出して、あまり破綻せず面白いのは流石と思う。
 でも、今は魔界よりも地上の決戦を集中して書いて欲しい。
 せっかく盛り上がってるだから、魔界の事書くのは関が原の後で良いと思う。
>>519
絶対にわからんだろそれは。でもVSさんが新ネタ書くのは嬉しいなァ
523マロン名無しさん:03/06/02 23:21 ID:K+Ph24YT
>>522
 ハゲドウ  赤石先輩VSめくらは最高だった
 雄山もイイケド早く朧と高槻パパの激闘がみたい  
524ふら〜り:03/06/03 00:00 ID:6nv3rpnE
>>パオさん
迫力ありました! 播磨の異種格闘技戦は原作でも少しやって
ましたが、あちらは楽勝ばかりでしたしね。血まみれの播磨って、
想像すると凄いです。あと、原作ではさすがにやらなかった
四股踏み付け。ここでは容赦なく解禁、見せてくれましたっ♪
で。飛影とはまた、灯台もと暗し。九十九や桃とどう絡んで
いくのか、楽しみです。
……そして内通者。はたして?

>>外伝担当さん
492さんと同じです! 本当に映画の予告編みたいだと思い
ました! イメージ的には、「ギース・ハワード外伝」の
孤島の鬼みたいな感じですかね。「国家と契約した殺人鬼」
っていう。
でも柳本人もさることながら、敵がどんな奴らなのか、も楽しみ
です。あぁ〜早く続きが読みたいっ。

>>VSさん
あ、相変わらずですね。内容も凄いですが、文章のテンポも
いいです。語呂をちゃんと意識されてますね。よっ、職人芸!
……意識されてなかったら、それはそれで天才ですよVSさんっ?

>>パオさんにもう一つ
前に柳をひいきし過ぎたから今度は、って……プロ意識というか、
何というか。さすがパオさん、と思いました。だからこそ今、
こんなに大勢のファンがいるんでしょうね。私もその一人です。
525予知(1):03/06/03 00:38 ID:???
ヨークシンシティ。
年に一度大規模なオークションが開かれることで有名な都市である。
この街にとけこもうとしながらも馴染めない、そんな雰囲気の男がいた。
世界に革命を起こそうとしたが、昔の仲間である掃除屋に阻止された星の使徒クリードである。
完膚なきまでに敗北を喫し、毎日あてもなく過ごしていた。
そんなクリードの前に、魔界のセールスマン、喪黒福蔵が現れた。
「ホ〜ッホッホッホ。アナタ・・今の境遇に不満をもっていらっしゃる」
「・・・」無言で刀の柄に手をやるクリード。
「おーっと、切らないで下さい。クリードさん。」
「何故名前を知っている?」ややいらついた様子でクリードは誰何する。
「私は魔界のセールスマン。アナタの心のスキマをお埋めいたします・・」眼は決して笑っていない邪悪な笑顔で喪黒は話し続ける。
「アナタは、先日敗れた。何故だか分かりますか・・。決してアナタが劣っていたわけではありません・・。」
完膚なきまでに敗れた後も認めることができず、ただ過ごしてきたクリードの心に言葉が浸透していく。
「予知能力。この街にいる少女の力です・・。彼女さえいなかったらアナタが・・。」
そうか、クロノスと掃除屋どもに敗れたのは・・。そいつさえいなかったら・・。
見たこともない少女へ怒りと憎しみをつのらしていく、その時。
「ドーーーン!!」
526予知(2):03/06/03 00:39 ID:???
「どうしてかしら・・。スミレ」
ヨークシンシティ近郊の浜辺で、右手にペンを持ちくるくると回している少女がつぶやいている。
そばにはやはり同じ年頃の少女が一人ついていた。
「そのうちできるようになりますよ。きっと。」
5分前と全く同じ会話を繰り返す二人。
先の少女はノストラードファミリーのネオン。
百発百中の予知能力者として評判だったが、ある時から全くその能力を発揮できなくなっていた。
最初の頃こそボディガードがついていたが、徐々に一人減り二人減り、今ではスミレという少女だけが残っていた。
「それよりほら、せっかく気分転換にでかけたんだからしゃきっとしないと。」
ネオンを励ますスミレ。そんな二人に近づいてくる男が一人、クリードである。
「クロロ? いえ違うわ。彼はもっと・・」昔知り合った男を思い出すがすぐに間違いにきづく。
「もっと? 何かな。僕は贋物(パクリ)だとでも言うのかな。予知能力者ネオン。」過剰な反応を示すクリード。
「よくも邪魔をしてくれたね。」己の技量によるのであるが、敗北をネオンのせいと思い込んでいるクリードは刃なしの刀の柄に手をかけ、上段にかまえる。
常人であれば、何のことか分からず切られてしまっていただろう。
しかし、少女は叫んだ。「逃げてっ!!ネオン。」転がりながらも間一髪で避けるネオン。「早く警察を!」躊躇しながらも街のほうへかけていくネオン。彼女とクリードの間に少女が立ちふさがった。
「あなたの事はわかっていたわ。クリード。夢で見たとおりよ。」ネオンに叫んだときとは違い、冷静に話す少女の声がクリードの耳に届く。
527予知(3):03/06/03 00:41 ID:???
「何っ。バカな、お前が僕の邪魔をする魔女だったのか。」一度はあのトレイン=ハートネットを傷つけた剣をかわされ事にプライドが傷つき、思わず叫んでしまう。
「あなたの邪魔なんてしたことないわ。私は待っているだけだもの」スミレが答えるが、今の自分の境遇を目の前の少女にぶつけようとする男の耳にはもはや届かない。
狂ったように刀を振り、突くクリード。「お前さえいなければ、お前さえっ!!」必死に避けるが追い詰められていくスミレ。
かわしていくうち、砂に足を取られて転んでしまう。
「これでトレインはまた帰ってくる。魔女め、死ね!!」哄笑しながら、刀を振り下ろす。
スミレが思わず眼を閉じたその時。刃同士が交わったときにしか生じない金属音が鳴る。
少女を守ったのは、異形。
腕からは刀のようなものが生えている。

我々はこの男を知っているっ!!
528予知(4):03/06/03 00:41 ID:???
感じる!スミレの「におい」を。
身体全身にッ
彼女は今、傷ついている。
誰のせいで!
そうだ!スミレは僕を迎えに来たせいで傷ついているのだッ!
スミレを助けなければッ!

「バルバルバル、ウォームッ!」突然現れた男が人とは思えない叫びをあげ、クリードに襲い掛かる。
手首より生えた剣は硬く、重い。
くっ、このままでは・・。道(タオ)を魔界の力で強化しているクリードだが、両腕の剣をを用いた闘いの前に防戦一方となってしまう。
両腕の剣を防ぐことをあきらめ、片手に絞ったその瞬間。
一つの腕と首が宙を飛ぶ。一瞬遅れて倒れこむ首のないクリード。
右腕を失ったが勝利を収めた異形がゆっくりスミレに振り返るが、その時にはまだ高校生と言っても良い少年の姿になっていた。
529予知(5):03/06/03 00:42 ID:???
ドレスとの闘いが終わり十年ぶりの再会である。
(育朗・・)涙を浮かべながらスミレが走りよってくる。
バオー・アームド・フェノメノンを解いた育朗がスミレに近づこうとしたとき。
何だっ!この嫌なニオイはっ!!
育朗の頭の中で警戒音が鳴り続ける。
まさかっ!急いでバオー・アームド・フェノメノンを起こす。
だが、嫌な音がすると同時に残っていた左腕が落ちる。
「首を落としたぐらいで死んだと思ったのかい? 全身を燃やすぐらいのことをしないと今の僕は倒せないよ」と笑いながら育朗を切りつける。
「今度こそ邪魔が入らないようにしないとね」まだ人間の姿のままの育朗の両足を切断する。
「ククク、ダルマのようだよ。そうだ、眼を入れないとね」すっかりサディズムを全開したクリードが右目をえぐる。
「片目は残してあげるよ。魔女を殺すところが見れるようにね・・」両手両足、そして片目までを奪われた育朗。
文字通り手も足も出ず絶望しかない状況において、少年はまだあきらめていなかった。
530予知(6):03/06/03 00:48 ID:???
誰に誓った?自分に誓った。この少女を助けると自分に誓った!
望みは捨てない!自分は最強の生命力を持った生物なのだ!
あいつは何と言った?
そうだ。全身を燃やされでもしないと倒せないとっ!
途中で止まっていたバオー・アームド・フェノメノンを再開し、クリードに硬質化した髪の毛を飛ばす。
全身に刺さるが意に介さないクリード。「もう動けないのに無駄なことを。死に様をゆっくり見ていおオオオォッ!!」
言葉を吐き捨てる途中で絶叫する。刺さった髪の毛が発火したのである。
全身を炎に包まれながら倒れこむ。今度こそ少年の勝利であった。

育朗(バオー)○ x ● クリード
531マロン名無しさん:03/06/03 00:48 ID:KfyS4APN
バオさん達たのむ
ここにも書いてくれhttp://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1050213697/
リレー小説だから提起させた話を自分ひとりで完結する必要もない。
ここよりギャグ多めだから気分転換にでも。ただし戦うのはキャラではなく漫画家達だ。
板垣も宮下も登場して主人公「えなり二世」と共に戦っている。
この文章力をみせてくれ。
532予知(7):03/06/03 00:48 ID:???
言葉にならない。ずっとずっと言えなかったこと、いろいろな言葉がある。
やっと言えた言葉。
「おかえり。育朗」
533マロン名無しさん:03/06/03 00:52 ID:KfyS4APN
>>531
言い忘れたが書き込むときは過去ログ読んでくれ。
近頃そういうのが多発している。気をつけて。
534マロン名無しさん:03/06/03 00:53 ID:???
パオさん すいません。
設定お借りしました。
これからもがんばってください。
535第3話 虎と竜(8) :03/06/03 01:00 ID:???
ドイルがとった構えは、まぎれもないオーソドックスなボクシングスタイルだった。
両の拳を顔の前に持ち上げ、ゆるく拳を握る。相手が蹴りを使うのを度外視した、拳闘用の構え。
その構えの隙間から、ちらりとドイルの嘲るような笑みが見えた瞬間、千堂の意識が沸騰した。
瞳孔が吠えるように見開かれ、歯が獣の牙のごとく、血と唾液の糸を引きながら剥き出される。
この男は……この外道は、ボクサーの目の前で、ボクシングを侮辱した。
ボクサーである自分など、本来の己を出さずに勝てると、
所詮自分の極めんとする技は遊戯に過ぎぬと、タカをくくったのだ。
ぶちん。今度こそ、千堂を最後の最後、人たらしめていた鎖は完全に断ち切れた。
疾、と千堂が地を蹴った。すべてを解き放たれた野獣が、猛る本能の命に従い、疾駆する。
轟、と拳が咆哮した。スリークォーターから、弧を描く独特の軌道。虎の牙、スマッシュ。
しかも。千堂はその一撃を放った刹那、立ち位置を瞬時に変化させた。クイックシフト。
つまり、右構えから、サウスポースタイル(左構え)に移行したのだ。当然、右の拳が前に出る。
右!! 千堂の利き腕。虎が持つ、最大の牙。それが殺意を帯びて、鈍い閃光を発する。
(右の一一スマッシュ!?)
ドイルの背筋に、疼きが走る。
(死にくさりゃあああああッッッ!!!)
歯は限界まで食いしばっている。声など出ない。心の中で、千堂の怒りが破裂した。

一一一死風が、逆巻いた。
その音は、虎の断末魔に似ていた。最後に放たれた虎の牙。
その一撃は、血の替わりに、それと同じ色の髪を数本、千切りとっただけであった。


536マロン名無しさん:03/06/03 01:08 ID:VIxGDBXB
バオー来訪!!
537柳 龍光(その1):03/06/03 01:29 ID:???
.-------------プロローグ・1960年代・日本・東京------------

街が燃えていた。

その原因がどこにあり、誰がその責めを負うべきなのかは、はるか先の歴史が判断すべき事柄では
あったけれども、おそらく本当の所は永遠にわからないだろう。

敗戦からの復興−そして後に高度経済成長と呼ばれることとなる、世界のいかなる国も経験した
ことのない航路に乗り出したこの国の、基本方針ともいうべき様々の政策に異議を唱える人々が、
あるいは止むにやまれぬ感情から、あるいは何がしかの政治的勢力の扇動を受けて、己の意思を
主張すべくこの街に集まったことが始まりだった。
当初、その行動は集団による隊伍の形成とデモ行進、そしてシュプレヒコールという、手段だけに
限ればそれなりの正当性を有したものであった。
だが、数千人、あるいは数万人の人間、その集団をたった一つの意思のもとに統御するなど容易な
ことではない。ことに、その集まった人々の中にが自らの思想信条を実力で現実のものとせんとする
勢力が一定数混ざっていたならば、なおのことである。

そして、この"名もなき市民"の声に対して、行政をつかさどる者たちがとった対処は、彼等がその時
動員しえた手ごまの数から言えばあまりにも現実を無視したものであった。
―当該集会は無届であり、法令に違反する。従って、この集会に参加しているものに対し解散を命令せよ。
彼等が応じぬ場合は実力でもってこれを阻止すること。
明らかに、政権を担うものたちの面子のみを最優先したと見られるこの命令によって、その尖兵たる
警察官たちの対応も否応なしに決定させられることとなる―すなわち、徹底的な威圧と居丈高な応対。
実力行使もいとわぬその覚悟に、市民たちが激昂するのはもはや公理といってもよかった。
538第3話 虎と竜(9) :03/06/03 01:30 ID:???
自らが振るった牙に、顔をこすりつけるような位置に、その顔は笑っていた。
恋人同士が、睦言を囁きあうような距離で、女性と見紛うばかりの笑顔が浮かんでいる。
視界に、闇の中で浮かび上がる艶やかな笑みを見た瞬間、千堂は冷水を頭から被ったような錯覚に陥った。
最高の1発。それを難なく躱された、という絶望的な現実。そして、嵌められたという思い。
この男は、最初から千堂にこの一撃を出させる為に、わざと挑発を行ったのだ。
そして、こいつは、それを陳腐なスリル一一そう、バンジージャンプでも楽しむかのような気軽さで、
軽々としのいでみせた。速度・タイミング・角度・威力。すべてにおいて、千堂の、恐らくは生涯最高の一撃を。
本来なら、最高のライバルとの試合で、目指す男にぶつけるべき一撃を。
蹂躙した。陵辱した。白雪を泥靴で踏み荒らすように。処女の純潔を錆びた鉄杭で突き破るように。
凍った時の中、ドイルの赤い唇が、愛撫するように動いた。官能を刺激するように、ドイルが囁いた。

「本当に……人がいいんだな、君は」

コンマ1秒にも満たない永遠、千堂を埋め尽くしたのは、“敗北”という逃れられない現実だった。
絶望と無念に満ちた千堂の魂を、死神の鎌が撫でる。
同時に時は動きだし、千堂の視界を、黒い帳が覆い尽くした。
闇の向こうに、千堂は、光を見た。それは走馬灯でもなく、生理現象で流れた涙の雫でもなければ、
高みにて自分を待つ、宿敵の拳の煌めきでもなかった。
(金属……?)
自らを屠った男の、破れた衣服の肘の部分からのぞく、冷たい輝き。
光の正体は、ただそれだけであった。


539柳 龍光(その2):03/06/03 01:30 ID:???
>>537
夕刻。

平穏な日々であれば、勤めを終え、家路をたどる人々の醸し出す空気によって、曰くいい難い解放感
に満ちていたこの街には、この国の縮図−都市部に限った話ではあるが−とも言うべき人々が、
路地に繰り出し、群れ集い、辛うじてデモ行進の形態をなしている隊列を組み、投石を行い、そして
荒れ狂っていた。
彼等の"活躍"によって交通インフラ―国電、都電、バスを破壊され、帰宅の足を奪われた人々も
行き場のない怒りをエネルギーに替え、彼等の主催する混沌の祝祭へ飛び込む。

対する警察も、成り行きに任せるほど無思慮ではなかった。
当初動員した頭数では足りないと見た現場指揮官は、ひとまず手持ちの戦力にて可能な限り
現状を維持すべく勤めると、すばやく事態に係る自らの分析及び上層部に対する要望を無線で連絡
する―どんどんデモ隊は増えている。もっと人数を遣してくれ。さもないと食い止められない。
治安の維持について、過剰なまでの使命感を抱いている警察上層部は極めて的確に対応した。
違法な騒擾状態を静めるべく、近在の自治体警察から続々と待機中の増援が押し寄せ、煮えたぎる
大釜の中に自ら望んで飛び込んでいく。

轟音。爆炎。警笛。怒号。罵声。悲鳴。そして狂気と情動。

日本最大級の歓楽街たるこの街は、炎とそれ以外のあらゆるものによって今まさに燃やし尽くされよう
としていた。
540柳 龍光(その3):03/06/03 01:30 ID:???
>>539
その、市民と警官隊が激突を繰り広げる街路から少し離れた雑居ビル。
この国で大東亜なる仰々しい冠が被せられた戦争が始まったころに立てられた、いささか老朽化
が進んでいる6階建てのビルの屋上で、一人の男が混沌と混乱と狂熱渦巻く街を見下ろしていた。
体格はこのころの日本人としては平均的―いや、それに比べてもいくらか小柄である。
年齢は、外見から判断する限りではおそらく20歳代。もしかすると、もっと年若いかもしれない。
服装は、彼の年代に属する男であれば誰でも身につけているようなありふれたもので、顔立ちも
ごくごく平凡―そう表現して悪ければ、これといって特徴のないつくりだ。
しかし、そんな彼の目つきは、同世代の人間に比べて明らかに異質の、まったく感情というものを
感じさせないガラス球のような冷徹なものである。おそらく、この目つきのみが彼の唯一の特徴と
表現してよいかもしれない。
そして、彼は今、その猛禽類にも似た眼差しで、眼下の光景を見下ろしている。
2度、3度。視線が右から左へと、ゆっくりだが隙のない動きで移ろい、彼の求めるものを探している。

いた。

距離にして、雑居ビルから100メートル前後。
位置からすると、今しがたこの戦場に参着したと思しき中規模のデモ隊―その先頭だ。
そこには、彼と同じくらいの年齢の若者が行進していた。
ジーンズ、デニムシャツ、ヘルメットに手ぬぐいという、この時代ならでは自称革命者にとってのモードを
それなりに着こなし、手にした角材を振り回し、何か大声で叫んでいる。右腕に一人だけ腕章をつけている
所を見ると、どうやら彼がデモ隊の指揮者のようだ。
彼が率いているらしいデモ隊は、寄せ集めの勢力なのか、それともほかに何か理由があるのか、
ひどく動きが緩慢なうえにバラバラだった。
541柳 龍光(その4):03/06/03 01:32 ID:???
>>540

所詮は、ガキの遊びか。

雑居ビルの男は、哀れみとも侮蔑ともつかない笑みを口元に浮かべ、内心で思った。
男自身も、世間の常識に従えば十分にガキと呼ばれるべき年代なのだが、彼が全身から発散する雰囲気
は、そうした類型化を真っ向から否定するだけのものを秘めている。
「馬鹿馬鹿しい。・・・・・だが、これも仕事だ」
男は吐き捨てるように呟くと身を翻し、非常階段へ向けて歩き出した。

デモ隊の先頭。
今年で20歳になる神岡竜一は、生まれて初めての"革命的闘争"に参画した喜びと興奮で舞い上がっていた。
富山県の片田舎、豪農といってよい家系の次男坊としてこの世に生を受けた彼は、幼いころから殆ど
束縛というものを受けず、限度はあるにせよ、気ままにくらしていた。
そこそこ頭のよかった彼は、東京の比較的名の通った私立大学を一回の受験で合格し、そこで彼の人生
の転機になる(と本人が思い込んでいた)さまざまの思想を学ぶことになる。
それは、主に"社会主義"だの"世界同時革命"だのといったあまり現実性の見られない代物ではあったが、
その空想性というか理想の高さゆえに―もちろん思想性云々だけではなく、流行たる社会主義思想に乗る
ことは女子学生との色々な交流を深めるきっかけであったこともあり―彼はそれに飛びつき、大学2回生に
なる今、いっぱしの革命家気取りで戦後日本史上最大級の"街路闘争"に繰り出すこととなったのだ。
だが、彼が忠誠を誓う組織から任された兵力は、彼の理想と意気込みに比し、あまりにも脆弱なしろもの
だった。
組織の上層部は、このデモが警官隊との武力衝突になると予想し、それに見合った頭数をそろえることに
腐心してはいたものの、その質にまでは気が廻らなかった。
そこで、かき集めた兵力を分析し、使えそうなのは組織の中でも発言力が大きな幹部が片端から独り占めし、
神岡のような"幹部見習"にはそのあまりモノしか与えられなかったというわけである。
542柳 龍光(その5):03/06/03 01:32 ID:???
>>541
だが、彼は内心で毒づいたものの、それを口にするようなことはしなかった。
むしろ、この兵力で何かを成し遂げることにより、組織内での発言力を飛躍的に高めよう、そう考えていた
のである。
だからこそ、まともに隊列すら組むことができないデモ隊を、声を嗄らして統制し、あっちへふらふら、
こっちへよろよろしながらもどうにか"闘争の場所"へとたどり着かせることが出来たのだ。

みてろよ。
角材を振り回しすぎ、いい加減くたびれてきたはずなのに、それでもなお意気だけは天をもつかんばかりに
神岡は思った。
この闘争で、俺は名をあげてやる。見ろ。俺をないがしろにしていた幹部連中め。あんなところで警官隊
相手に苦戦してるじゃないか。俺たちは無傷だ。ははは。これはいけるぞ。
俺の名前が、組織の中で―新しい日本の指導体制となる組織のなかで、重く見られるようにしてやるんだ。
今日はその絶好のチャンスなんだ。
そうすれば、一旦俺を捨ててあいつと逃げた久美子だって、きっと俺のことを見直して戻ってきてくれるに
違いない。そうだ。俺の思いをもてあそんだあのあばずれとチンピラに思い知らせてやるんだ。
はは。そういえばあいつは今日の闘争に参加してないじゃないか。いいぞ。全て片付いたら徹底的に糾弾
してやる。狂うまで革命的に追い込んでやる。そうすれば、きっと久美子も俺のことを見直して。

だが、彼は所詮田舎の次男坊だった。
543柳 龍光(その6):03/06/03 01:34 ID:???
>>542
いきなり耳元で、スピーカーの割れきっただみ声が炸裂する。
「そこのデモ隊に告ぐ!本日この区域での集会は許可されていない!全員、ただちに解散して―」
なんだって。
彼は声のしたほうを見た。そこには、警備服に鉄兜のいでたちで、そして投石防御用の盾をずらりと
揃えた警官隊が並んでいた。距離にして20メートルもない。
そして、なお悪いことに、彼の率いるデモ隊は、警官隊に対して長い長い横腹をさらけ出している。
馬鹿な。いつのまにここへ。だいたいおまえ等はもっとあっちに展開していたはずでは。
いや、いや。落ち着け。冷静になるんだ。いいか。訓練してきたじゃないか。
そう、こういうときの手順は、まず、隊列を組替えて―
彼が惑乱する頭で必死にそこまで考えたときだった。
まったく唐突なタイミングで、デモ隊の中央部から瓶がくるくる回りながら警官隊へと放物線を描く。
警官隊のど真ん中に落ちてくだけたその瓶は、次の瞬間不自然なほど真っ赤な炎を上げて燃え盛った。

火炎瓶だ。

「バカ!まだ俺は命令を―」
事態を悟った神岡が、青ざめた表情で絶叫したときだった。

「鎮圧せよ!」
一瞬だけ混乱した警官隊、その背後に据え付けられたスピーカーが、破局をもたらした。
神岡のデモ隊とは比べ物にならないほどの錬度を誇る警官隊は、火炎瓶の投擲による被害を最小限に
押さえ、次の瞬間、紺色の津浪となって神岡たちを襲う。
あっという間に、彼のちいさな戦力は、彼の野望とともに雲散霧消してしまった。
544柳 龍光(その7):03/06/03 01:35 ID:???
>>543

「みんな落ち着け、落ち着くんだ!俺の―」
神岡の絶叫は、瞬時にしてちりぢりになったデモ隊の中でかき消されてしまった。
畜生、畜生、畜生。なんでこんなことになるんだ。まだ俺は戦場の端っこにしかたどりついてないんだぞ。
なんでここで俺たちがぼろぼろにやられなければいけないんだ。
精神錯乱の一歩手前に追い込まれた神岡は、もはや叫ぶことしか出来ず、指揮官に必要な状況の把握
と混乱の建て直しなど到底出来るような状況ではなかった。
ただただ、己の不幸を嘆き、永遠に消え去ってしまった栄光のかけらにしがみつくしか出来なかった。
そのため、神岡は、彼のすぐ背後に迫っていた人影、逃走と混乱のなかにあるデモ隊の中で、ただ一人
冷徹な表情を保っている人影に、まったく気づかなかった。
「神岡さん。ここはひとまずひきあげよう」
その人影が、かるく神岡の肩を叩きながら声をかける。
振り返った神岡の表情は、悪鬼もかくやとばかりに、絶望と憤怒でぐしゃぐしゃになっていた。
「何だと!引き上げるだと!まだ俺は―」
その人影は、神岡の言葉を最後まで聞いていなかった。

ふわり。

まったく気配を感じさせない動作で、人影は軽く右手を神岡の側頭部にもっていく。

ぱん。

その場に全く不釣合いな、何か紙風船がはじけるような音が一瞬小さく響いた。
と、思うまもなく、神岡が白目をむき、首をがくんと垂れ、地面にぐずぐずとくず折れる。
人影―先ほど、雑居ビルの屋上にいた男は、いかにも慌てたような表情と声音で大声を上げた。
「お、おい、神岡さん、どうした!」
545柳 龍光(その8):03/06/03 01:36 ID:???
>>544
わざとらしさすら感じさせる大げさな動作で、神岡の身体を担ぐ男。
「いかん、意識を失っている。早く救護所へ!」
誰かが、その叫びに反応した。
「救護所はあっちだ!」
「わかった、俺がつれていく。お前は隊の指揮を頼むぞ!」
「ああ?なんだって・・・・・・」
その誰かの台詞を、男は最後まで聞いていなかった。
小柄な体格のどこにそれほどの膂力があるのか、男は比較的大柄な神岡の身体を軽々と背負い、
救護所のあるほうへと走り去る。

もちろん、男は救護所になどいかなかった。
途中でビルとビルの隙間に飛び込み、それから幾度も路地を曲がって走りぬく。たっぷり1キロ近くも
走ったところで、男はようやく足を止めた。少しだけ、呼吸が乱れている。
さすがにこのあたりまで来ると、警官もデモ隊もおらず、薄気味悪いほどに静まり返っていた。
男は、わずかにあたりを窺うように見回すと、路地をでた車道の端に停められていた大型の乗用車に
向けて、軽く手を振った。
乗用車のドアが開き、男が2人のっそりと姿をあらわす。いかにも堅気には見えない風体の男達だ。
「こいつだ。間違いない」
神岡の顔を検分した男が、相棒に向けて小さく頷いた。
それを受けた相棒が、上着のポケットから札束を取り出し、無造作に男に突き出す。
「つまらない仕事を頼んで悪かったな、柳。あとは我々に任せてくれ」
札束を受け取り、数を数えもせずにスラックスのポケットに突っ込んだ男―柳龍光は、薄く笑って答えた。
「あんたたちはお得意様だからな。まあ、たまにはこういう仕事もいい」
546外伝担当 ◆uuMg1iXKpg :03/06/03 01:42 ID:???
皆様こんばんは。外伝担当でございます。
まず始めにお詫びを申し上げます。

「プロローグごときで8レスも費やして誠に申し訳ございませんでした。平にお許しを」

いやその、柳最初と最後にしか出てないですし。うわあ一体何やってるんでしょうか私。
レスを分断する格好になってしまった夜王さんに対しては、モウ本当になんとお詫びしていいやら。
本当に申し訳ございませんでした・・・・・。はあ。
547第3話 虎と竜(10) :03/06/03 02:05 ID:???
ドイルの肘に鈍く光る、金属片。それを見た感想が、千堂最後の思考だった。
虎と呼ばれた猛勇、歴史上唯一無敗を誇った王者と同じ異名を冠せられた英雄。
猛々しく、地上最も純粋な野心を持った男にしては、あまりにも呆気ない断末魔であった。

噴水のように血を噴き上げながら、己の流した血だまりの中に、千堂は仰向けに倒れこんだ。
水溜りに漬かったような、空虚に湿った音が、小さく谺する。
猛気が消え果てた、空っぽの亡骸を、ドイルが屠殺場の豚に向けるような目で、見下ろしていた。
小さく、鼻から息を吐き出し、ひとりごちる。

「君は活きがいいからね。だから、首から下を動かなくさせてもらったよ」

答えはない。すると、ドイルは懐から、奇妙な物を取り出した。
それは一見すると、スプレー缶のようなものだ。
そこから、緑色のクリーム状の物体を捻り出し、千堂の身体にうずたかく塗り付けていく。
たちまち、奇怪なデコレーションに覆われた物体が、出現した。
ドイルが、マッチを擦り、口に加えた煙草に火を灯す。ゆるりと、紫煙をくゆらせて呟く。

「そいつはね、プラスチック爆弾だ。TVや映画で、名前くらい聞いた事があるだろう?
 さっき、首から下を動かなくさせたと言ったが……君は首だけでも噛みついてきそうだから一一」

煙草を口から離し、下卑た笑みに美貌が歪む。

「それすら一一一残さない」

言い捨てると同時に、ドイルが持っていた煙草を、指ではじいた。
闇に小さく浮かんだ光点は、儚い放物線を描きながら、緑色の物体に触れる。

瞬間、夜が砕けた。
小さな模造太陽が、ひとつの命と、60キロ弱の質量の肉体と、
そして、その周囲のアスファルトをこの世から完全に消滅させた。
548夜王 :03/06/03 02:20 ID:???
夜王です。ここに、ようやく千堂vsドイルの完結編をお届けいたしました。
実を言うと、当初千堂は、ドイルに1レスくらいで瞬殺される予定でした。
ドイルの怖さを見せつける為の、デモンストレーションとして。
ところがどうして、自分は、この千堂というキャラにかなりの愛着があったらしく、
仮にも最凶死刑囚相手に、フェザー級のボクサーがなんと8レスも闘いを繰り広げる結果になりました。
まあ、見ていた方は、かなりの違和感があったと思います。自分でもそうですから(笑)
本当は、この後の2レスの内容が、本当に書くべき内容だったんですけどね。
長くなったので、この辺にしときます。


549感想、忘れてた:03/06/03 02:24 ID:???
>パオ氏
とら魂ボールってw・・・人を笑い殺さないでください。
それとは別に、久我vs播磨、見ごたえがありました。
「暗器」が出てくるかなーと期待してましたが、まあ序盤戦にあまり費やす訳にもいきませんものね。
あのくらいの分量が、ちょうど良いのではないかと思います。あと、烈vsパンタローネ、希望です。

>外伝担当氏
スペック編、お疲れさまでした!……という間もなく、早くも第2段!
しかも、待望の柳編とは。まるで、チャンピオンの米原秀幸氏なみのハイペースです。
パオ氏とはまた違う、柳の真骨頂を期待しております。

>vs氏
新シリーズですか。でも、中身は相変わらずで、面白いです。

>来訪者氏(勝手に命名)
バオー!なつかすぃーー!!バルバルバルーーーッッ!!
実を言うと、バオー出そうかなあとか、ちらりと考えてたんですよ。
でも、自分の望んだ結末を書いていただいたので、止めにしました。
感動を汚すことなかれ。また何か、書いてくださいね。
550もうひとつ:03/06/03 02:26 ID:???
あと、ふら〜りさん、及び数名の方々。
自分の文章を褒めていただき、ありがとうございます。
おかげで図に乗ってしまい、さらに描写がくどくなりましたw
551マロン名無しさん:03/06/03 12:27 ID:9iPbVbZ+
応援あげ。
あと、そろそろスレの容量やばいんじゃない?
552マロン名無しさん:03/06/03 12:38 ID:???
柳外電なげーよ。読む気なくす。話し地味だし。漫画キャラほとんどでてこねーし。
ちょっとはパオや夜王の派手さとかVSのまとめ方見習えよ。
553マロン名無しさん:03/06/03 12:43 ID:???
>>552
漫画大好きの君には物足りないかも知れないが、外伝はかなり面白い。個人的には一押し。
554マロン名無しさん:03/06/03 12:49 ID:???
つか、このスレって漫画キャラ同士でバトルさせるスレだろ。外電はスレ違いじゃないか?
555マロン名無しさん:03/06/03 12:54 ID:???
「漫画キャラ同士でバトル」なんてルールはないよ。柳やスペックが出ているだけで十分。
556マロン名無しさん:03/06/03 16:30 ID:???
漏れ的には柳外伝は結構好き。
バキでもたまにあるじゃないか、全然関係無い一般人を軸に話を進める事がさ。
557マロン名無しさん:03/06/03 18:31 ID:???
他作家さんのは「ネタ」って感じだけど、
外伝さんのは「小説」って感じがするんだよな。
いや、どっちも好きだけど。
558マロン名無しさん:03/06/03 21:22 ID:7xbQ7CL+
パオさんが烈をヤムチャと同系列の扱いにするとは・・・。
ものすごく意外でしたよ。
私の勝手なイメージで申しわけありませんが、
パオさんは烈みたいな渋い感じの風貌かと思ってるので。
でも、パオさんの作品には期待しています。
559長渕剛が局で大暴れしたらしいよ!!:03/06/03 22:00 ID:Z38UL0Fx
560ふら〜り:03/06/03 23:03 ID:uYUer+VQ
>>夜王さん
どこまでグロく(?)なるのかと思いきや、終盤はドイルの
艶めかしさと、それとは対照的な乾いた意識……といいますか。
どちらも、原作では「あるのに描けてなくて残念」と私が思ってた
ポイント。個人的にツボでした♪

>>外伝担当さん
プロローグの長さについて。
確かに、客観的に見れば賛否両論ありそう、とは思います。でも、
とりあえず私は重厚感があって好きですし。で、嫌いな人は
読まなければ済みます。という訳で、無問題ですね。
……問題なのは、どうふんばっても柳の若い姿が想像できないこと。
貧困なり、我が想像力。

>>来訪者さん
凄くかっこいい、と思います。ヒーローがヒーローしてて、
ヒロインがヒロインしてて、モノローグは必要以上に熱くて。
なのに……元ネタを読んでないので、絵が浮かばないのが残念な
トコロ。どうもこのスレにいると、自分の知識のなさがよく
解ります。はぅ。
561実験3:レシピ:03/06/03 23:04 ID:???
「工程1:みじん切りにした玉葱を、キツネ色になるまで炒めましょう」
烈の投げた玉葱を、独歩が手刀で切り刻む。抜群のコンビネーションで瞬く間に
みじん切りの山ができる。こんなもんでいいだろうと手を緩める独歩だが
構わず全力投球を続ける烈。
カーブを織り交ぜる。5〜6個いっぺんに投げつける。変幻自在のピッチングに
独歩の手刀も押され気味。もういいから!いっぱい切ったから!必死の叫びも
烈の耳には届かない。ついに150km/hの爆速玉葱が独歩の顔面を直撃した!あとはもう
なし崩し。玉葱のピラミッドに埋もれた独歩。まったく気づかぬ寺の小坊主が
枯葉もろとも掃き集め、サラダ油をかけてサツマイモを忍ばせて火をつける。
玉葱はカリカリ、サツマイモはホコホコ。そして肉汁がジューシーな独歩ちゃん。

「工程2:ひき肉、卵、パン粉、玉葱を混ぜ合わせてよくこねましょう」
我に返った烈がゴメンと言って頭を下げる。笑って許した大人の独歩。さあ調理だ。
卵OK。パン粉OK。ひき肉の包みが見当たらない。あれ肉は?お肉はどこ?
「肉は貴様だ!」烈のハイキックが後頭部に炸裂、悶絶する独歩をチョッパーに
放り込んだ!出てきたミンチに卵、パン粉、玉葱を混ぜ合わせ、一心不乱に
こねくりまわす烈。

「工程3:適量に取り分けて形を整え、フライパンで焼きましょう」
天国の独歩。己の甘さが悔しい、恨めしい。せめて烈を道連れにしないと
気がすまない。神様に頼み込んで下界に降り立った独歩の霊魂が向かった先は少林寺。
烈の帰りを待ちわびる劉海王に乗り移った。
鼻歌交じりで肉塊をちぎって丸める烈。和風おろちハンバーグ。なんつって。
爆笑するその肩に手が置かれる。振り返るとそこには懐かしい劉海王の顔。
師匠が日本に来てくれた!感激の涙を流す烈の首がゴロリと地に落ちる。劉海王の手刀が
血に濡れる。残った胴体を適当な大きさに切り分けて打岩で形を整えて、フライパンで
焼き始めた。

「工程4:ソースをかけてお皿に盛り付けて、はいできあがり!」
行列ができる。老若男女が舌鼓を打つ。烈と独歩の命をかけたハンバーグはおかげ様で
大好評だ。雲の上で微笑む2人の姿がすっと消えた。生まれ変わっても友達でいようね。
でも忘れないで。烈のはハンバーグじゃなくて、ただの肉だんごだぞ。
562マロン名無しさん:03/06/03 23:23 ID:???
>和風おろちハンバーグ。なんつって。
ワラタ。
563愛しりそめしころ:03/06/03 23:35 ID:EdSLSwIr
初めまして、ドラえもん編のオチは素晴らしいと思いました。
・・・そこで、思いました・・・。

「オーガ」と「喪黒 ふくぞう」はどっちが勝つんだろう?・・・と。
オーガは「誰かに思いっきり甘えたい」という心のスキマを持っている気がする・・・。

今週のお客様は・・・・「範馬 勇次郎」

「魔太郎」とオーガで互角、変奇郎は瞬殺かな・・・?
564>>512の続き(8話) :03/06/03 23:50 ID:ENO0DSwd
【第8話 静狼 対 仙人】

 「な、なんじゃあ、あの闘いは・・」    男塾一号生の名物コンビである田沢と松尾。目の前の光景を見疑う。
世界最高のエージェント・高槻 巌と地上最強の氣法師・朧。 ・・その2人の動きが全く尋常ではないのだ。
速い、という事もある。だがそれだけではない。速さだけならば、男塾にも、彼らの今のスピード並みの人間はいる。
例えばJ。その高速のフットワーク。例えば飛燕。その華麗な体捌き。 ・・しかし。「速さ」では無いのだ。
実体が全く感じられないのだ。先程から。まるで夢の世界の住人が闘っているかの様に。 ・・展開はこうである。   
  間合いを取る→ 高速の踏み込み→ ぶつかり合い→ お互いダメージを与えられない→ 再度間合いを取る
そんな攻防が延々と繰り広げられている。 ・・だが実体が感じられるのは、お互いが間合いを取った時のみである。
双方が動くと。人間の体が「固体」として感じられないのだ。例えるのならば、「液体と気体」の闘い、である。
 「どんなレベルの闘いをしとるんじゃあ、こいつら・・」    田沢は偶然この場に来てしまった事を後悔する。
目下の戦争に早く合流したい。だが、こんな闘いを見てしまったら。この場を動けなくなってしまうじゃないか・・。
・・何度目かのぶつかり合いが始まる。 ・・朧の肉体が気体と化す。巌の肉体が水と化す。極限まで互角の闘い。
人としての頂上レベルにいる究極の達人2人。 ・・朧の掌が巌を襲う。ぬるり、という手応えを感じながら空を切る。
巌の蹴りが朧を払おうとする。ふわり。 ・・舞い散る木の葉を攻撃する様な錯覚を覚える巌。 ・・当たらない。
極め尽くした達人同士の闘いは、結局ゼロへ戻る。 ・・お互い究極の矛と盾を装備し、最高の技を持っている状態。
100手先の攻防を何パターンも読みながら、結局お互い決めの一手を発見できない、もどかしい名人戦の様な闘い。
・・最高の技と境地が、返って彼らを苦しめているのだ。 ・・このまま決着は付かないのだろうか。田沢は息を呑む。
見ると。あれだけ人間離れした攻防をしたというのに、お互い傷一つ無い。 ・・永劫に続くと思われた闘い、だが。
565マロン名無しさん:03/06/04 00:02 ID:???
>夜王氏
うわ、千堂死んじゃった。この後の2レスというのが
楽しみであります。

>外伝氏
もう殆どオリジナル。でもだからこそ本編以上に死刑囚が
輝くんでしょう。私もいつかはこんなお話を書いてみたい。

ところで実験3、やりすぎ?
566564の続き(8話):03/06/04 00:24 ID:RAP7/B2S
 「大した物です、巌・・技術の攻防で私と互角に渡り合えるのは、この世であなただけですよ・・」   微笑する朧。
しかし続く言葉。 ・・朧から巌への、死刑宣告に等しき内容であった。 ・・額から汗がポタポタしたたり落ちる巌。 
 「私は仙人となるため、江田島をはじめ多くの人間を葬らねばならぬ身・・。あなた一人にそう時間は裂けません。
  不本意ですが、折れた腕を攻めさせて頂きましょうか・・」  ・・先程までの速さと違い、ゆっくり巌に近づく朧。
・・互角の状況とはある意味、危うい。何故なら一旦均衡が崩れ去れば、そのまま一気に勝負が決まってしまうからだ。
まさに、朧と巌はその状態である。 ・・慶次にトーナメントで折られた右腕。 ・・朧はその右腕目掛け、左へ左へと
体を流し、攻撃を巌の右側面に集め始める。 ・・当然、巌の折れた右腕は上がらない。 ・・防戦一方になる巌が言う。
 「見下げ果てた男だ、朧・・」   「何を言うのです・・。相手の弱点を攻めるのは、闘いの初歩の初歩・・」
 「そんな事を言っているんじゃない!!」    ・・冷静なこの男に見合わず、巌は朧に叫ぶ。
・・巌の自然を模した水の流れの様な動きと、朧の己を消した「無」の動き。 ・・技量なら極めて高いレベルで互角。
だが哀しいかな、このレベルに腕一本のハンデは厳し過ぎる。 ・・次第にメッタ打ちになって行く巌。朧に巌は叫ぶ。
 「仙人だと・・そんな物になる為に、今までお前を育んだ人間界を裏切るのか・・」   ・・朧の拳撃が決まる。
吹き飛ぶ巌。転がる巌を見ながら朧が言う。   「虚しくなりませんか、巌・・」  「・・?」 意味の分からぬ巌。
 「あなたも私も・・。人としての頂点のレベルにいます。だがそれ故・・。人の限界も身に沁みて分かるはず・・」
 「それで仙人になろうとするのか、人を超える為に・・」   血を吐き立ち上がる巌。勝てない。やはりこの体では。
だがこの男を。止めねば、人間界は負ける・・。  「そう。人間以上の、永遠を生きる存在の仙人。それが私の目的・・」
 「それは人間以上ではない・・。人間以外の存在だ。それに」   「それに?」   興味深げに次の言葉を待つ朧。
567解体(1):03/06/04 01:07 ID:???
漆黒の闇の底でも暗い欲望は続いていた。
ニクヲ。ツカミタイ。ツカミタイ。ニク。ツカム。チカラヲ。イレル。チギル。ステル。マタ、ツカム。
オトコ。オンナ。オトナ。コドモ。ニク・・。
幾度となく繰り返される呪詛。
命を落としてからも残る意思。
この邪悪な思念が甦る。

ふと気づくと男は暗い部屋の中に立っていた。
眼の前には笑みを浮かべた丸い男がいる。おなじみの喪黒福蔵である。
確か、ハンター試験でガキに心臓を・・といぶかしむうちに喪黒が話し出す。
「ホ〜ッホッホッホ。私は魔界のセールスマン、喪黒です。生き返ってよかったですねぇ。ジョネスさん。」
眼の前の男の話を聞き状況を理解する。そうか、またニクヲツカメルノカ・・・。
「そいつはありがたいな・・。」暗い欲望を満たせる喜びに思わず口元がゆがむ。
「礼を言わないとな」と握手を求めながら喪黒に近寄る。
「お客様の喜びが私の喜びですからね。ホ〜ッホッホッホ。」と喪黒も右手を差し出す。
ミチリ、ブチッ。「ーーーーーッ!!」珍しく驚きの表情を浮かべる喪黒。

ニクヲツカム。恍惚としながら眼の前の男を解体していく。
腕。頬。太腿。腹。尻。ありとあらゆるニクヲ・・・。
数時間後、全身を朱に染めた男が部屋を出る。
ツギノニクヲツカミニ。

だが男は知らない。男が去った部屋で笑い声が響き渡ったことを。
568解体(2):03/06/04 01:09 ID:???
近年、東京では温泉がブームとなっていた。
そんな新たな温泉地である後楽園に二人の男がいた。
二人とも一見ホームレスのように見えるが、眼光は鋭い。
やや長いざんぎり頭をした年長の男が、ノッポさんのような帽子をかぶり無精ひげをたくわえた片腕の男に話しかける。
「いいか。外で暮らすときに一番重要なことはわかるか。」片腕の男が返事をするのも待たずに話し続ける。
「それは水だ。人間水がなくては生きていけない。」どうやら本物のホームレスのようだ。
「だから、ここラクーアは俺たちみたいなやつにとって天国みたいな所だ。」
確かに・・と頷く相手の姿に思わず嬉しくなってしまったのは、限りなくホームレスに近い解説者本部である。
久しぶりの会話のキャッチボールに心が弾むが、急に周りの空気がゆがむ。

ニク。ツカム。フタリ。モ。ツカメル。

「あんたっ、逃げろ!!」現れた男の只ならぬ殺気に本部が叫ぶ。
ゆっくりと歩んでくるジョネスに対して構えを取る本部。冷静に男を見つめる。
身の丈185cm、体重は100kg前後。歩みを見る限りは素人のよう。しかし・・。
男は花束でも持つかのように両手で血まみれの人間の脚を持っている。
オーガよりは強くないだろう、だが・・。

恐怖を押し殺しながら、本部 x ジョネス スタート。
569566の続き(8話):03/06/04 01:17 ID:RAP7/B2S
 「人間は・・そんなものには負けやしないさ」  ・・息を整える。朧を見据える。ダメージが回復しつつある。
だが朧は言う。優しい微笑で。   「勝てませんよ・・。人間界は魔界に、そしてあなたは私に・・勝てません・・」
タン。 ・・急に朧が踏み込む。地面を「震脚」で大きく踏み鳴らし、掌を巌の腹に叩き込む。 ・・内臓に深刻な一撃。
 「朧・・人間は決して負けないよ。魔王軍にも、仙人とやらになったお前にも・・いや、最初は負けるかも知れん。
  だが、意志を受け継ぐものがいる限り・・人間は必ず最後には勝つ。・・そして私もお前に負けるかも知れん・・。
  それでも私の後に、影道総帥が、ビスケが、江田島が・・。必ず意志を継ぎお前を倒す。人間としてな・・。」
朧。その言葉を聞き、ゆっくり言う。    「ならば・・。今あなたが挙げた人間から、取り合えず殺しますか・・」
巌は思う。人間界で朧に適う相手はおそらく、江田島 平八と陸奥 九十九だけであろう。 ・・だが九十九は魔界。
江田島は人間界の大将である。 ・・もし、江田島が朧に敗れたら。人間界は求心力を失い、あっという間に崩壊する。
この男を無傷のまま、ここから放つ訳にはいかない。この腕では勝てないまでも。せめて、一太刀。一傷を与えねば・・。
 「私はこの戦争を終わらねばなりません・・すみませんがもう殺しますよ、巌・・。」  ・・最後のチャンス。
この瞬間に巌、無念無想の域に到達する。 ・・朧が近づく。巌。その瞬間を・・。相打ちに出来るタイミングを待つ。
朧の掌が巌の左胸に密着する。 ・・まだだ。朧が「氣」を放つ一瞬。ほんの少し無防備になる刹那。そのタイミングのみ。
朧が掌に「氣」を込める。 ・・巌の心臓に「氣」が大量に注ぎ込まれる。次の瞬間。 ・・巌の肉体が内側から爆ぜる。
目から、耳から、口から、鼻から、汗穴から、下穴から。体中のありとあらゆる、穴という穴から。大量の出血。噴水の様に。
止めど無く流れる血。 ・・巌の心臓の音が一瞬で途絶える。
570569の続き(8話):03/06/04 01:18 ID:RAP7/B2S
・・一瞬で奪われる巌の命。静かに巌の胸から掌を外す朧。その時。  ・・・熱ッ・・・  異常な熱を感じる朧。
脇腹から左足にかけて。   (な、何が起こったのです?)   見ると。ボタボタと出血している。まさか、いつの間に?
巌を慌てて見る朧。 ・・何時の間にか。巌の左手に握られている異形の黒爪。  (ジャバウォックの爪? まさか・・)
斬られていた。 ・・自分の知らぬ内に。それはそのまま、その一瞬の間、巌の技量が朧を上回ったことを意味する。
斬られて始めて、斬られたことに気づく。いや、もし。 ・・自分があと数センチ。体勢が前のめりになり、掌を放っていたら。
斬られた事に気付かず死んでいただろう。 ・・まるで居合の、武道の理想ではないか。 ・・畏怖の眼差しで巌を見る朧。
だが。既に巌は・・。   (人間はそんなものに負けない、ですか・・)   巌の言葉を反芻し、斬られた腹を押さえる朧。
 (この体ではすぐには闘えませんね。仕方ない、獅々雄に任せますか。傷が治ったら・・最初は、影道総帥・・ですか)   
呆然とする田沢たちの前から消える朧。 ・・高槻 巌、絶命。だが巌の最後の一撃は、後に重要な意味を持つ事になる。
魔界 対 人間界、関が原7大対決。第3戦。 ・・世界最強の氣法師・朧、勝利。  
 
571来訪者:03/06/04 01:22 ID:???
今回はジョネス VS ホームレスです。
明日か明後日に終わる予定。
おろちハンバーグから思いついたのかもしれない(w

>>ふら〜りさん
前回の元ネタは、バオー来訪者と黒猫です。
前者はお奨めですよ。
572パオ ◆rQ8IySfmBE :03/06/04 01:28 ID:RAP7/B2S
急に書き手が増えてきましたねえ。いい傾向です。でも互いのネタが分かる様にしましょう。
今のところ大丈夫ですか。えなりスレは面白いけど、6スレ目だけ読むと意味が分かりませんね。
1スレ目から今度読んで見ます。
外伝様、夜王様、VS様、楽しませて頂きました。ありがとうございます。
モグロやバオーのヤツも面白かったっす。
後、気になったのがロビンひいきし過ぎッてレス。仕方ないです。はぐれロビニストだもの。
でも主役はビスケです。ビスケ書いてる内に可愛くなってね。今はロビンより好き。  では。
573動画直リン:03/06/04 01:28 ID:nCx5vIgD
574柳 龍光(その9):03/06/04 01:54 ID:???
>>545
2週間後、東京都文京区本郷、某所。

東京オリンピックを境に急速な近代化が進んだ首都において、未だ古きよき時代をそこかしこに
残しているこの界隈の、メインストリートと呼ぶべき街路から少し外れた所に、一軒の民家がある。
少し大きいが、ずいぶん古びたその民家―表札には、どこか稚拙な筆致で「国松」と記されてい
る―の、こればかりは贅沢な庭の半分ほどを潰して立てられた平屋建ての道場から、いささか
奇妙な笑い声がした。

「ヒャヒャヒャヒャ。それで、どうしたんの?」
笑い声の主は、道場の中で上座に当たる位置に正座している40がらみの男。
表札に書かれた苗字が偽名でなければ、国松という名前のこの男は、中肉中背の、これといって
人目を引く体形ではないが、言い方を変えれば、それ以外の全てが異様であった。
まず、その眼光。
鋭くはあったが、日本刀というよりトラバサミの刃を思わせる油断のなさを秘めたその双眸は、左右
がひどく不自然に離れていた。
眼鏡ごしのその視線の片一方は、道場で彼に向き合って鎮座する一人の若者に向けられている。
「デモ隊の中に紛れ込んで、火炎瓶を一本かすめとりました。着火の必要がない物を選びましてね。
警官隊が街路を封鎖すべく回りこみかけていたことは分かっておりましたので、そばにくるまで放っ
ておき、十分に引き寄せたところで、その中央に向けて投げました」
若者―柳龍光は、常人であればよほど鈍いものであってもどこか落ち着かない気分にさせられる
視線をまともに浴びても眉ひとつ動かさずに、半月前にこなした半端仕事の内容を手短に要約した。
「それは、どうしてかのう?」
手にしたハイライトをせわしなく吸いつけつつも、ひどく間延びした口調で、国松が尋ねる。
わからないからではなく、柳がどう答えるかを楽しみにしているかのようだ。
柳は、質問の意図を読み違えなかった。

「我々の仕事は、人に知られてはならない性質のものだからです。あの状況でただ神岡を拉致した
のでは、あまりに目立ちすぎます」
575柳 龍光(その10):03/06/04 01:55 ID:???
>>574
「ヒャヒャヒャヒャ。それで?」
「混乱の只中に放り込まれれば、大抵の人間は自分のことしか見えなくなります。特に、
あのような烏合の衆ではなおさらのこと」
5本目のハイライトを、あっという間に灰にした国松は、吸殻を灰皿にねじ込みながら大きく頷いた。
「合格点じゃ、柳。ヒャヒャヒャヒャヒャア」
当然だ、といわんばかりの無表情で柳は軽く頭を下げた。あの状況で、それ以外にどんな判断を
しろというのだ。

「じゃがのう、柳。まだ甘い部分もあるわな」
なんだと。一瞬だけ眉を挙げた柳は、キッとなって国松を見つめた。
そんな柳の表情の変化を面白がるように、国松は6本目のハイライトに火をつける。
「甘い部分とは、先生・・・・・?」
「それを簡単に教えたら修行にならんじゃろうが。ヒャヒャヒャヒャヒャア」
からかうような国松の言葉に、柳の表情が、ほんの一瞬完璧な無表情になった。
どこか作り物めいた無表情、とりすました無表情ではない。
心の奥底にどす黒いものを飼っているものが、ふとした弾みで見せたその本性をなによりも
雄弁に物語る無表情であった。

後になって、国松はこの時柳がつかの間見せた表情、その奥に潜むものを軽んじたことを
少しばかり後悔することになる。
柳の深奥にひそむ粘ついた感情を読み違えたがために、彼は十数年後左腕を根こそぎ失い、
商売替え―歴史の闇に息づく暗殺者から、桧舞台に立つ人々を守るための護身術、その
教導者への転身を余儀なくされたからである。
576柳 龍光(その11):03/06/04 01:57 ID:???
>>575
だが、そうした自分の過ち―というには、国松が責められるべき過失は全くないのだが―に頓着せず、
国松はそれから数秒間、あの奇妙な笑い声を上げつづけていた。
「まあ、はぐらかすばかりでは面白くないじゃろうから、さわりだけいっておこう。・・・・柳、お前は
自分で何もかもをやろうとしておる。これがようないわな」
端座したまま、柳は次の言葉を待っている。
「ええかの、柳。わし等のような職業のものにとっては、あらゆるものを自分に都合のええように
もっていかせる。これが大事なんじゃ」
「具体的には」
「そうじゃのう・・・・例えばの、デモ隊を混乱させるとき、火炎瓶以外にも方法があるかもしれん、
とは思わんかの?」
「先生。私にはあれ以外の方法があったとは思えません」
「それが青いんじゃア・・・ヒャヒャヒャヒャ」
柳は黙り込んでしまった。ほんのかすかに、額に静脈が浮いている。
「ま、人は筋肉と骨と皮だけでできとるわけではないわな。目で物を見、頭で物を考え、それから
体が動く。優れた暗殺者ちうのはな、柳。その過程をうまいこと操って、相手をこっちの都合いい
ように動かさせるのよ。それこそ、火炎瓶なんぞ使わんでも、指先の動き一つ、咳払い一つ、
目線の動き一つでじゃ」
「・・・・・・・・」
「物に頼らんでも、己の身体だけで状況―相手に手をかける以前に、相手をこっちの仕事が
しやすい位置や環境にもっていく。それができて一人前じゃよ。ヒャヒャヒャヒャヒャア」

何かの発作を起こしたかのように奇怪な笑い声を上げつづける国松と、彼の言葉をじっと反芻する
柳。2人の影が、彫像のようにしばしの間固まって見えた。
初夏の道場の中を、庭の樹木に宿ったアブラゼミのけたたましい鳴き声が刺し貫くように聞こえてくる。
険しいとも形容できる外の日差しは、道場の中の薄暗さを一層強調しているかのようだった。
577柳 龍光(その12):03/06/04 01:58 ID:???
>>576
永遠にも思える数分後。笑いを不意にピタリを止めた国松が、今度は打って変わって
真剣な表情で柳を見つめた。
「ま、お前もここにきてはや2年・・・・正直、なかなかの成長振りだわな」
先ほどまで、有体に言えば愚弄に近い言辞を吐きつづけていた師範の豹変振りに、
少し戸惑ったような表情を浮かべていた。
そんな柳にお構いなく、国松の独白が続く。
「わしが一ヶ月ここを留守にしとる間に請けた仕事が3件。うち1件はまあ、半端仕事ながら
3件とも一応の合格点じゃ。柳よ、何故にわしがお前にこないな半端仕事を任せたかわかるか?」
「・・・・わかりません」
決してわしが楽をしようとしておるわけではないぞ。
正直に前置きをつけてから、国松はゆっくりと10本目のハイライトに火をつけた。
「そろそろ、お前も一人で仕事をやってけると思うての。今までわしと2人で請けとったあの得意先
の仕事を任せてみたんじゃア。一人でもできるちゅうことを知らしめとけば後々の顔つなぎになる。
そうすりゃ、このわしも隠居して楽ができようというものよ。ヒャヒャヒャヒャヒャア」

隠居して楽、か。つまり、あんたはこれから俺の稼ぎを毟って生きていくことを選んだんだな。

国松の本心を完全に誤解した柳の顔つきがほんのかすかに険しくなる。
それは、柳のもって生まれた性癖というよりは、国松というこの異形の暗殺者が弟子を育成
するときに用いた数々の卑怯とも言うべき手法が原因であった。
そんな柳の表情の変化に気づかないか、あるいはまったく意に介していないかのどちらかで
ある国松は、ひとしきり笑ってからゆっくりと腰を上げた。
「どれ、口稽古はこれまでとするか。柳、今日から毒手の稽古にかかるぞ」

そのとき、道場の片隅に置かれた黒電話が陰鬱な音を立てて鳴り出した。
578外伝担当 ◆uuMg1iXKpg :03/06/04 02:10 ID:???
皆様こんばんは。外伝担当でございます。
本日は、>>552さんのレスをよんだ直後、正直アップさせていただくかどうか、本気で迷いました。
私の駄文は、やはりスレ違いであったのか・・・・そう思ってしまったのです。

ですが、>>553さん、>>555さん、>>556さん、>>560=ふら〜りさん、>>565=vsさん、
>>572=パオさん。あなたたちのお言葉のお陰で、再びアップさせていただきたいと思うように
なりました。ありがとう、ほんとうに、ありがとう。

で、長いというご批判に対してですが、今後は、冗長な部分を可能な限りけずり、
テンポとリズムをうまく考えられたらなあ、と思っております。
ただ、私の駄文はある程度世界観などについてご説明申し上げないといけない(そうでないと
なにがなんだかわからないということになってしまう)ことはどうぞご了承ください。
それでもなお、長いのが不愉快である・・・・そのときは、私の駄文のタイトル及びハンドルを
NGワードに指定していただければ、と思います。
そのほうが、おそらくはそういう方々と私の双方にとって益するところ大ではないかと思われますから。
579556:03/06/04 02:20 ID:???
いや、気にする必要無いだろうよ。
別に俺たちは金払って見てるわけじゃないんだからさ。
職人が書きたい物を書いて発表する場だろ?
そりゃあどうしようもなく低レベルなヤツが職人を自称してオナニーしてたら
それはハッキリ言って迷惑だけど、今現在このスレにおいて活動してる職人は
アマチュアとしてはかなりのレベルだと思うよ。
特にスペック編から続いてる外伝さんの文章は俺のお気に入りだからな。
むしろ萎縮して文体が悪い方向に変わってしまう事の方が心配だ。

って事で今のままでの連載きぼん。頑張ってくれ。楽しみにしてるから。
580マロン名無しさん:03/06/04 02:38 ID:SGgfGR74
来訪者さんのホームレス、ひょっとしてBAのキャラ?
581マロン名無しさん:03/06/04 02:56 ID:???
個人的には凄く読みやすいんだけどな、外伝さんの作品。
582マロン名無しさん:03/06/04 11:02 ID:???
他の人のは、1話の中にバトルや見せ場を
毎回盛りこむ連載型形式なのに対して
外伝さんのは、一回一回より話全体で考えてる
書き下ろし形式って感じか?
まあ、個人的な雑感だけど。
583マロン名無しさん:03/06/04 11:35 ID:AJVQKTqZ
≫all・外伝さま
外伝さんってレベル高いぞ。良く練られてて。面白い。
世界観の設定とか、かなりの労力を使っておられると思う。
だから逆に、>>552のようについていけないヤツも出てしまう。
そんなヤツは別に読まなけりゃ良いだけだ。変なレス上げるな。
自分で一度書いてみろよ、大した論拠無く人を非難するなら。
何も出来ないくせに楽しんでいる人間や、一生懸命書いてる人間を
貶める事言うバカは何処にでもいるから、気にしなくても良いですよ。
逆にプロローグで期待させておいて、もし外伝さん逃げちゃったら、
ちょっと外伝さんを恨むかも。勝手いってすみません。
外伝さん・パオさん・夜王さん・VSさんには全員長く頑張って欲しい。
誰がなんと言おうと、このスレのレベルの高さだけは間違い無いから。
長文スマソ
≫パオさん
 巌が死ぬとは・・  面白かったけど、一番好きなキャラなのに・・

584マロン名無しさん:03/06/04 13:27 ID:IcWvk7/f
巌敗れるか・・・・まあ朧が相手なら納得できるんだが。
でもジャンのように後から蘇生してほしいなあ。
死ぬには惜しいキャラなんで、パオさん頑張ってください。
585マロン名無しさん:03/06/04 16:47 ID:???
それはパオが決めることっしょ。
「○○を出してくれ」というのはともかく、
「○○を殺すな」とか「○○を生き返らせてくれ」ってのは禁句。
586マロン名無しさん:03/06/04 18:43 ID:???
巌が死ぬのは悲しいけど安易に蘇るとあの酒宴の意味が無くなっちまうからな。
587570の続き(9話):03/06/04 23:37 ID:RAP7/B2S
【第9話 絶望】

関が原の決戦は急速に終結へと向かっている。最早、双方とも残存戦力は少ない。6割以上の兵が戦線離脱している。
しかし。趨勢ははっきりと人間側に傾いている。戦争開始後は圧倒的な戦力差から、魔界側圧勝かと思われたこの戦争。
だが蓋を開けてみれば、覇気と戦略・戦術に勝る人間側が序盤は圧倒した。中盤、妖魔司教ザボエラによる増軍により、
一時的に魔界軍に戦況は傾く。 ・・しかし、人間側の総大将・江田島 平八の復活によりこの苦境を人間側は逆転。
そして人間側優勢のまま、戦争は終盤に突入していく。 ・・数の不利を物ともせず、優勢を積み重ねていく人間側。
兵の士気・戦闘技術の差もあるが、それ以上に江田島・影道総帥・ビスケの、作戦指揮の的確さが違いすぎる。
 「勝つ・・わさ・・。兵数的にも人間側が上回り始めた・・」     司令部から最激戦地を見てつぶやくビスケ。
最激戦地。 ・・江田島たちがいる人間側司令部と、志々雄 真実と前田 慶次が交戦中の魔界側司令部。その中間点。
この戦いの中で、主力同士がぶつかり合っている最も重要な戦局である。そこには。愚地 独歩・克巳親子。渋川剛気。
ガルシアやストリートファイター・リュウ。そしてこの戦争の正しく要となっている、男塾塾生たちが戦っていた。
・・影慶、卍丸、センクウ。いまだ重体の羅刹を除く死天王や、Jや富樫・虎丸などの一号生代表。月光・飛燕の
三面拳もいる。但し雷電は海原 雄山にさらわれて、魔界に旅立っている為不在。 ・・男塾の腕利きたちが勢揃いだ。
勿論、一般の塾生たちも奮戦している。いや、表立ちはしないが、この戦争の最殊勲は名も無き彼らたちである。
戦争は剛の者がいれば勝てるという訳ではない。 ・・彼らの支援があってこそ、主力が生きてくるのだ。
・・ともかく、戦争の大方の決着はついた。勿論、人間側も戦力は激減している。 ・・無傷の者は誰もいない。
負傷者はかなりの数に上る。死者が奇跡的に出ていないのが救いだ。 ・・だが、それ以上に魔界軍は痛んでいる。
最初からの戦力は勿論、ザボエラの増軍すら今は半数以下。 ・・もう一押し。あと少しで、この辛い戦いは終わる。
・・しかし。このまま終局か、と思われたこの戦いに、またあの男が現れた。 ・・妖魔司教ザボエラ、再降臨。 


588名無しさん@Emacs:03/06/05 00:13 ID:???
伊達臣人と泊鳳ちゃんも出してほしいな。
タイドウサツの法はかなり強いと思う。
589587の続き(9話):03/06/05 00:16 ID:X9EqBag8
 「キヒヒヒ・・本当にしぶといのう、クズの様な人間の分際でぇ・・」   空中で大きく笑うザボエラ。
その両脇にはまたも大筒が浮いている。   「デルパァッ!!」   ザボエラの声とともに一瞬で弾ける大筒。
またも。またも数百匹の魔物の群れが、地上に降り注ぐ。ヒザの抜け落ちる虎丸。呆然とその様子を見呆ける富樫。
 「なんじゃあ・・一体何度倒せば終わるんじゃ、この戦争は・・」    ・・一度は終わったと思った戦争。
それが何時終わるかも知れない、いや終わらないかもという疑念に変わる。 ・・心が折れそうになる虎丸と富樫。
その頬を卍丸が張り飛ばす。   「甘えんじゃねえッ こいつは戦争だぜ。決着が付くか死ぬか、それだけだ・・」
 「あの老人がいる限り、増援は終わらない様ですね」    ポツリとそう言うと、飛燕はビュンと千本を投げる。
一直線にザボエラに向け飛んでいく千本。   「な、なんじゃあこりゃあッ」   それに運良く気付くザボエラ。
しかし遅い。見事、右目に突き刺さる千本。 ・・命には別状が無い様だが、まっ逆さまに地上へ墜落するザボエラ。
 「覚悟は出来ていますね、ご老体・・」   飛燕の目が紅く光る。ザボエラはちょうど、飛燕の足元近くに落ちた。
虎丸と富樫もザボエラの周りを囲む。 ・・だが死天王たちは、新しく現出した魔物たちと交戦を強いられている。
 「貴様も終わりじゃ、じじいッ!!」   富樫が殺気立ちドスを構える。だがザボエラ。周りを見渡し薄く笑う。
 「調子に乗りすぎたかのぅ、小僧たちに右目まで奪われるとは・・だがワシに終わりとは、100年早いわあッ!!」
ザボエラの体が怪しく光る。 ・・次の瞬間、その光が弾け四方八方へ飛び散る。 ・・その光は球状に輝いている。
人間を狙ったのではない。 ・・狙いは、横たわる無数の魔物の死骸。放たれた光球が、死骸にズブズブ沈んでいく。
 「パーツたちに玉は行き渡ったようじゃのう・・」   ザボエラは笑う。   「何をするつもりじゃあ、貴様ッ」
飛び掛ろうとする富樫・虎丸。飛燕の千本がザボエラを貫こうと準備される。 ・・しかし、一瞬早く。ザボエラは叫ぶ。
 「超魔ッ!! 合成ッ〜!!」   ・・その声と同時に、玉を埋められた魔物たちの死骸が、ザボエラに集まってくる。
590589の続き(9話):03/06/05 00:41 ID:X9EqBag8
吹き飛ばされる人間たち。 ・・しかし、驚くのはそれからであった。死骸はザボエラに絡み付き、どんどん数が増える。
ザボエラの体は完全に死骸の中へ埋没してしまう。 ・・死骸は次第に人型をなして行く。ついには。死肉で出来た巨人が。
目の前に雄々しく、しかし禍々しくそそり立っている。大きい。先ほどまで戦った、どの魔物よりも。ザボエラの声が響く。
 「終わりなのは貴様らじゃあッ!! これがワシの切り札・・。超魔生物・・いや、超魔ゾンビじゃあッ!!」
超魔。 ・・あらゆる魔物の長所だけをかき集め、それを結集させた、竜(ドラゴン)の騎士と並ぶ、究極の戦闘生命体。
自らの肉体を媒体にし、その改造を試みた物を「超魔生物」といい、死体から超魔の鎧を創り出す物を「超魔ゾンビ」という。
・・今、富樫たちの目の前にはその「超魔ゾンビ」が立っている。富樫・虎丸は震えて声も出せない。恐怖に時の止まる戦場。
生物の根源的な恐怖が辺りを包む。 ・・自分より圧倒的に強い存在が、今自分を殺そうとしている。 ・・ゾンビの中から。
ザボエラの声が響く。    「キ〜ヒッヒッヒ。どれ、ワシがこの戦争を終わらせ、バーン様にお褒めに預かるとしよう」
ぶうん。巨大ゾンビの。腕渡り4メートルもあろうかという豪腕がうなる。 ・・一気に吹き飛ばされる飛燕や塾生たち。
 「で、デケエくせになんて速えんだよッ・・飛燕が!!」   ・・飛燕は吹き飛ばされ、強く地面に体を打ち付けられる。
・・それから。超魔ゾンビ・ザボエラは暴虐の限りを尽くし暴れ回る。人間だけでなく、魔物までも一緒に吹き飛ばすザボエラ。
 「ダメだ・・勝てねえ、あんな化け物・・。」   絶望。 ・・・先程までの勝利への希望は、皆の顔から消えかけている。
だがその時。 ・・その絶望を切り払うかの様に、力強く戦場に響き渡る、ある男の怒号。その声の方に振り返る富樫と虎丸。
591名無しさん@Emacs:03/06/05 00:44 ID:???
おおー、塾長ですかー!!
592590の続き(9話):03/06/05 00:47 ID:X9EqBag8
 「弱音を吐く位なら最初から戦場に立つんじゃねえッ!!」   ・・その男を見て叫ぶ虎丸。   「だ、伊達 臣人ッ!!」
 「男塾は相手がどんなに強大でもケツ見せることはねえ・・。羅刹や影慶は、それを身をもって教えてくれたはずだぜ・・」
伊達。神業と呼ばれる槍を構える。そして富樫に言う。  「こいつは俺が殺る・・。おめえたちは増えた魔物を片付けろ・・」
 「頭が悪いガキじゃのう・・。ここにいる全員掛りでも勝てんのに、お前一人でどうするんじゃ?」   ・・冷笑するザボエラ。
伊達は殺気を放ち、ザボエラに言う。   「クセえ息を吐くのも今日限り・・。俺がしっかり引導を渡してやるぜ、ジジイ・・」
・・7大対決、残り5つ。現在人間側の2勝1敗である。そしてこの伊達 臣人 対 超魔ゾンビ。 ・・戦争の帰趨を決める一戦となる。 
593名無しさん@Emacs:03/06/05 00:49 ID:???
塾長と思ったら、
伊達キターーーーーー(゜∀゜)ーーーーーー!!
594パオ ◆rQ8IySfmBE :03/06/05 00:52 ID:X9EqBag8
関が原決戦は一日一戦と決めてたけど、無理でした。
伊達はどこかで戦わせなくてはアカン、と思ってたのでここで超魔ゾンビと。
塾長はタイマンが勿論あります。でもかなり先。塾長に見合う相手です。
巌はなあ。完璧すぎて使いづらいんだよな、この人。トーナメントの時から。
巌対朧はお互いベストの時にやったら、ずっと決着付かないような気がする。
あと外伝さま。一つのレスを気にせず気楽に、でも出来るだけ長く書いて下さい。
支持者の方が圧倒的に多いと思いますので。私もあと一ヶ月と言いましたが、
今年一杯位は頑張ろうかな、と。7月からカキコミの数が激減しますが。 ・・では。
595名無しさん@Emacs:03/06/05 00:54 ID:???
よかったですー、ここ見るのが非常に楽しみですからがんばってください。
596柳 龍光(その13):03/06/05 00:59 ID:???
>>577
ところどころエボナイトが欠け、全体的にくすんだ色合いの黒電話は、生命の灯が消えかけた虫の
音にも似た、なんともかぼそくはかない調子でベルを鳴らしていた。
わずかに首を動かし、電話のほうを向いた国松が、次の瞬間、まったく物音を立てずに黒電話の
そばまで移動し、その受話器を取り上げる。

一般社会の常識に従えば、本来、電話の取次ぎなど門下生である柳が行うべきところではあったが、
この黒電話の番号が極限られた一部の人間にしか知られていない―つまり、国松への仕事の依頼
を行うときにのみかけられる番号であったため、道場主でもあり空道の現当主でもある国松が自ら
応対をするのだ。

「もしもし・・・・」
さすがに、仕事の依頼ともなれば、国松もあの奇怪な笑い声を発しない。

ふむ。ふむ。ああ、それはそれは。うん。うん。いや、ちょっとした要件でな。一月ほど道場を
空けとったんじゃ。うん。・・・・柳?ええよ。今ここにおるでな。ちょっと待っとれ。

その言葉を聞くだけならば、どうということはない世間話にしか聞こえない会話を少しの間続けた後、
国松はのっそりと受話器を柳に差し出した。
「柳ィ。さっき話しておったお得意様じゃ。お前に話があるとよ」
国松が電話に応対している間、ただ黙然と端座していた柳は、その言葉についと顔を上げた。
正座から、国松と同じく体重をまったく感じさせない動きで師のもとににじり寄った柳は、押し頂くよう
に受話器を受け取る。
597柳 龍光(その14):03/06/05 01:01 ID:???
>>596
「はい、柳です」
『ああ、柳さんかね。わしゃあ、大河内というもんじゃが、こないだはどうも、助かったよ』
「いえ・・・・仕事ですから」
わずかに眉をしかめつつ、柳はそつなく答える。だが、内心には疑念があった。
大河内といえば、お得意先―東日本で指折りの勢力を誇る組織暴力団・大河内組の組長と同じ
苗字ではないか。
これまでの仕事のうち、大河内組からの依頼は、すべて組頭の渡部か若頭の近藤から齎されていた。
それは、国松と組んで仕事をしたときも、半月前の半端仕事のときもかわることはなかった。

なのに、なぜ組長自らが電話を?

柳の内心にふと芽生えた疑問は、大河内自らが解き明かしてくれた。
『いや、本当なら渡部か近藤から話をさせるところなんじゃが、ちょっとどうしてもそうはいかん事情が
あっての。わしが直接話をさせてもらうことにした』
大河内の言葉は、細部はよくわからないものの、少なくとも柳に対する一定の説明にはなっていた。
聞かれもしないうちから、それなりに状況を要約して見せるところをみると、この大河内という男は
ただ腕っ節と度胸だけで任侠渡世を潜り抜けてきたわけではないようだ。

『で、話というのはのう、柳さん。実は、そのこないだの仕事に関してなんじゃ』
「と、いいますと・・・・・?」
思わず、柳の声のオクターブが心持ち上昇する。まさか、あの仕事は失敗だったというのか。
いや、それなら大河内自ら電話をかけることなどありえない。今まで失敗したことなどないため
お得意先がどう反応するかはわからないが、まずは渡部か近藤が怒鳴り込んでくるのではないか。
そうした柳の疑念は、やはり大河内の気取るところとなったらしい。いささか急いた口調で大河内は
付け足した。
598柳 龍光(その15):03/06/05 01:02 ID:???
>>597
『いや、あんたの仕事にケチをつけようということではないんじゃ。あんたの仕事は完璧じゃった。
それは間違いない。じゃが』
「ですが・・・・・?」
『もっと厄介なことが吐き出されたんじゃ。ヤツの口からの。でだ、その厄介ごとをなんとかできそう
なのはわしの知る限り国松先生のところのお人だけで、そのうち経緯をよう知っとるのは』
そこで、大河内はいったん言葉を区切った。
柳が耳に当てている受話器、電話線を通じて接続している大河内の世界からいくらか荒い息遣いが
聞こえてくる。
軽い咳払いを2度ほど行った大河内は、すうっと息を吸い込んでから、きっぱりとした口調で断言した。

『あんただけなんじゃ、柳さん。だから、あんたに新しい仕事を頼みたい。おそらく、これまであんたが
請けてきたどの仕事よりもきついものになるじゃろう』

仕事の依頼か。
表情を引き締めた柳は、思わず国松のほうを見やった。
柳に受話器を渡した後、少し離れたところでハイライトを吹かしていた柳の師匠は、かれの視線を
真っ向から受け止め、大きく頷く。
そして、やれ、というように口を動かし、ニンマリと柳に笑って見せた。
返すように小さく頷いた柳は、受話器に顔を戻した。

『どうかの、柳さん?』
「わかりました、組長。お引き受けします」
599外伝担当 ◆uuMg1iXKpg :03/06/05 01:10 ID:???
皆様こんばんは。外伝担当でございます。
昨日からあれこれと皆様にご心配をおかけしておりましたが、まずは
そのことについて。

結論を申し上げますと、やっぱりどうあっても短くできませんでした。
いやその、やはりなんといいますか、段取りを踏まないと、アクションを表現
できないかなぁ、ということがわかりまして。

ええと、本当ならばそろそろ第1の殺陣にかかってもいい頃合だったのですが、
やはりそこに至るまでの過程を抜かしてはいけないなあと思いまして。
従いまして、今後もこのようなペースで時間のあるときにちまちまアップさせて
いただきますので、今後とも変らぬご指導ご鞭撻を賜りたく、まずはご報告まで。

しかし、この調子だと柳編はスペック編を越える大長編になりそうな予感がしております。
一応、ラストシーンはもうまとめてありますが。
600外伝担当 ◆uuMg1iXKpg :03/06/05 01:18 ID:???
連続投稿相すみませんです。

>>579さん
ありがとうございます。
リズムとテンポは今後とも心がけていきたいところですが、本日あれこれ努力してみまして
「私が短くまとめるのは不可能」ということがよくわかりました。
従いまして、今後もこんな調子でアップさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
>>581さん
そうおっしゃっていただくと、私としては感謝の極みでございます。
やはり、自分ではどうもくどい文章かなァ・・・なんて思っておりますので。
ですが、ここがわかりにくいとかここはこうしたらとか、そういった部分がありましたら
是非ご教示をいただければ、と思います。
>>582さん
そうですね。私は、書き始める前に大まかな話の流れを考え、その流れに沿う形で
レスをまとめております。
スペック編のように、途中で方向性が変ったりもしますが、今回については当初予定した
とおりに話を進めるつもりでございます。
(目標は、予告編のシーンをすべてぶち込むことでございますので)
>>583さん
お褒めいただき恐縮でございます。
ええと、私はしがない勤め人にて、これから先今までと同じペースで話をアップさせていただけるか
どうかは保証の限りではございませんが、このスレが続く限り、完結を諦めずにやりぬく所存で
ございますので、よろしくお願いいたします。
601解体(3):03/06/05 01:20 ID:???
今日出会ったばかりのまだ名前も知らず、友ともいえない男を守ろうと決意する。
それがし、本部以蔵と申す・・。名乗る必要はまったくない。しかし、あえて己を明かすことにより、闘いを己の領域である死合いへと変質させようとする。
だが、眼の前の男をどうやって倒すかという事に心が捉われ、本部が守ろうとしている男が静かに怒りを燃やしている事に気づかない。

ジョネスの持つ人間の脚、これを使うとなると振る・投げる・突くのどれかであろう。どれを選ばれてもダメージは小さい。
また、蹴りを放つにも体勢は不十分である。
両手がふさがっているうちに・・、と本部は動く。
ジョネスが紅く染まった脚を投げつけてくるが、予想の範疇であり難なくかわす。
そのまま相手の左側に回りこみ、鋭いローキックを飛ばす本部。
一瞬よろける隙を見逃さず、顎に掌打を入れる。投・極という事だけでなく、打・蹴に関しても一流である。
そのまま腕を取って極めようとする。が、ぞくりと頭の先から足先までを悪寒が貫く。大きく飛びのく本部。
「生きが良いな・・。」先ほど投げ捨てた脚を拾い上げ、ぶちぶちとちぎりながら笑みを浮かべる。
人の身体は思ったより丈夫であり、簡単には壊れない。であるからこそ、敵を倒すための技術、すなわち武術が生まれているのである。
それを眼の前の男は膂力のみで壊すことができる。
分の悪さを痛感する本部。一流の域に達している打・蹴とはいえ、、列・バキには遠く及ばない。
相手をつかんでこそ真価を発揮する己が勝てるのか・・。額に脂汗を生じる本部にジョネスが近づく。
「お前は断末魔さえ上げていればいい・・。」
ゆっくりと両手を伸ばしてくるジョネスに対して、防戦一方となってしまう。速い突きであればかわしてカウンターを取ることもできるが、遅い動きだからこそ避けることしかできない。
せいぜい、細かなローをあてる程度であるが、間合いに入れないためその効果もない。
本部は次第に追い詰められていき、もう後ろは噴水があるだけである。
「鬼ごっこはもうやめようじゃないか」とジョネスの両手が更に近づく。
触れるか触れないかのその時、取ったっ!と歓喜する本部。本部流柔術”指取り”である。
602来訪者:03/06/05 01:27 ID:???
パオさん
先日は間に入ってしまいすいません。
これからは気をつけます・・・。
巌が負けたのは残念ですが、伊達キターーーと楽しみにしています。

>>580さん
えー、予想通りです。
BA一の良い人というか、むくわれない人というか。
603マロン名無しさん:03/06/05 06:03 ID:8N6A0kaC
次に一本新作きたら新スレ立てようよ。容量ヤバイ。
604マロン名無しさん:03/06/05 09:16 ID:???
>>603
そんなにヤバイの?前スレ近く850まで大丈夫だったのに。
でも余裕残さないと保守できないからまずいな。
じゃ、次に誰か職人さんの作品が上がったら有志がスレ立てるということで。
ところでスレタイは現行のままでいいの? 
「バキ」の名外してキャラネタ作ろうぜって話が出てたけど

 
605ふら〜り:03/06/05 09:24 ID:nE1RIgBM
>>VSさん
「おろちハンバーグ」は大ヒットでした。もしかしたら今までの
VSさんの作品の中で、一番笑ったかも。パオさんの方もそう
でしたが、烈って元が元だけに、うまく崩すと面白いですね。

>>パオさん
伊達。これもまた、塾長と同じく安心感を与えてくれますね〜。
どこかで書かれてましたが、桃は大抵苦戦してますが、伊達は
楽勝が多いですしね。塾長と同じく、戦況をひっくり返して
くれそうですっ。

>>来訪者さん
本部が頑張ってまともに戦っている姿、それだけで新鮮に見えて
しまいますな。本人も相手もシリアスで。互いにヘタれてなくて。
……ここでしか見れないものだろうなあ、とか思います。

>>外伝担当さん
来訪者さんのと同じく、「師弟の礼をとり敬語で喋る柳」が新鮮
です。「仕事の依頼か」なんてハードボイルドっぽいモノローグ
も吐いてますし、どんどん原作にない顔を見せてくれそうですね。
その点、スペックらしさが溢れまくってた前作とは対照的かも。
……ちなみに、柳の若い姿を想像する努力は放棄しました。
606マロン名無しさん:03/06/05 09:28 ID:???
>>604
スレタイは考えたほうがいいな
もうバキも死刑囚もほとんど関係ない話もあるし
607マロン名無しさん:03/06/05 13:59 ID:???
今んとこ465KBです
608夜王:03/06/05 15:34 ID:???
ども、夜王です。なんか容量ヤバそうなんで、次レスまで待つ事にします。
というわけで、誰かスレ立てよろしくおねがいします。
パオ氏、外伝氏、来訪者氏、みなさん面白い。
俺も、早く忘れられないうちに、つづき書かないとな。

それと、以前、宣伝に来てたえなりスレの方。
実は以前、俺もあそこの住人だったんですよ。
確か、ゴッドハンドが出て来たあたりで、ちらっと書いた事がありました。
で、久々に見て、何か凄い事になってるんで、急いで全部読み、続き書いてみようと思ったんですが・・・

なんか、512キロバイト超えていて、書き込む事が出来ませんでした。
なので、早急に次レスをお願いします。
609マロン名無しさん:03/06/05 15:36 ID:???
age
610マロン名無しさん:03/06/05 19:50 ID:Jh6kSxMy
age
611マロン名無しさん:03/06/05 20:04 ID:???
そうか、ザボエラって変身できるんだった。
単行本持ってるのに忘れてたw
612実験4:多元中継:03/06/05 23:23 ID:???
アメリカ:花山vsスペック。花山がマウントから連打。
フランス:ルパンvsうしお。獣の槍にルパンはどう立ち向かう?
ブラジル:初号機vsハイジ。体格差にものを言わせる初号機。
南極  :近藤静也vs虎丸。氷の扱いはお手のもの。虎丸優勢。
日本  :ケンシロウvsラオウ。ノーガードの殴り合い。
アメリカ:スペックの目潰し!ひるむ花山に短刀を突き刺す。
フランス:ルパンの腕を槍が貫く。その腕が肩から抜ける。フェイクだ。
ブラジル:相手を観察するハイジ。エントリープラグ、あれが弱点か?
南極  :ハイジがガソリンを口に含む。虎丸目がけて火を吹いた!
日本  :ついにラオウの拳がケンシロウの秘孔を突いた!
アメリカ:脇腹に食い込んだ白刃。しかし花山はひるまず突進!
フランス:ワルサーP38を構えるルパン。隙を窺ううしお。
ブラジル:華麗な体術でプラグに飛びついたハイジ。扉を開ける。
南極  :虎丸、放屁!燃え上がる炎がハイジを逆襲。
日本  :同時にハイジの指がラオウのこめかみに食い込む。相打ち。
アメリカ:逃げ腰のスペックを捕え、頭突き連発の花山。
フランス:弾丸の雨をかいくぐり背後をとったハイジ。チャンス!
ブラジル:暴走する初号機。ハイジがパイロットを引きずり出す。
南極  :ハイジの姿が消えた。どこだ。虎丸の頭上だ!
日本  :最後の攻防。ハイジとラオウ、互いに奥義の構え。
アメリカ:ハイジの頭突きは止まらない。スペック失神。勝者、ハイジ。
フランス:ハイジの槍が一閃!パンツ一丁となったルパン。勝者、ハイジ。
ブラジル:パイロットは生身の人間。ハイジの敵ではない。勝者、ハイジ。
南極  :巨大な氷塊を上から落とす。またも下敷きの虎丸。勝者、ハイジ。
日本  :ハイジ岩斬掌!敗北を悟ったラオウ、自刎。勝者、ハイジ。
観客のハイジが総立ち。喝采を浴びるハイジ。大会委員長のハイジが
トロフィーを授与。カメラマンのハイジの目にも涙。レフェリー、ハイジ。
解説、ハイジ。スポンサー、ハイジ。ウイニングランだ!一斉に動き出すハイジ。

スイス :クララは立つことを諦めた。もういいの、私は一生車椅子のヒロイン。
「クララのバ〜〜カ〜〜!!」
100万人のハイジが地響き立てて襲来!脱兎のごとく逃げ出すクララ。クララが立った。
613実験4:多元中継:03/06/05 23:25 ID:???
さ、これで容量ギリギリかな。

>ふら〜りさん
実験3は、ワタクシ的には一番不満の残る出来なんです。
なんといってもオチが弱い。ダジャレでウケをとったら
あきまへん。工程4を全面的に書き換えて自己満足。
614名無しさん@Emacs:03/06/06 00:14 ID:???
うぉー。そろそろ伊達の勇姿が見られるぞー。楽しみだー。
ダイ・ヒュンケル・ラーハルト・クロコダインたちは出てくるのかどうか、
強い武器防具が登場するのか、、などなど今後の展開が楽しみでしょうがないです。
615解体(4):03/06/06 00:44 ID:???
通常であれば、指をとった後に投げ・間接などに攻めをうつすのだが。この指がやばい・・折るっ!と力を入れる。
勝利を確信した本部であるが、指が動かない。いや、それどころか指一本で本部の体が持ち上がっていく。
馬鹿な・・愕然とする本部であるが、焼きゴテでも当てられたかのように右のわき腹が熱くなり、遅れて痛みが走る。
咽喉もとまであがってくる叫びを必死に押し殺すが、思わず指を離してしまう。
そのまま噴水へと落ちる本部の後をジョネスが追いかける。「まず一つ・・。」
左の手のひらで、ちぎりとった本部の肉を堪能する。
鍛えられた筋肉の繊維一つ一つをすりつぶすように味わう。
「もっと・・・。ニクヲ・・。」水音を立てながら本部へ歩み寄る。
心が折れそうになるのを必死に耐えながらも立ち上がる本部。
そんな本部に両手を広げながら再びジョネスがゆらりと近づいてくる。
右・左・右、右。繰り出される腕に対して、外から腕を当てて捌き、もう一方の腕からも遠ざかる。
空手の廻し受けとも違う捌きである。が、両の腕に意識を集中しすぎたがために、水音を立てながら放たれた蹴りに反応が遅れる。
鈍い音が負傷しているわき腹で生じ、本部は動きが止まってしまう。
「さあいい声で鳴いてくれ・・」本部の左肩にジョネスの右手が置かれる。
「〜〜ッ!」
616来訪者:03/06/06 00:50 ID:???
思ったより本部が粘ってます・・。
もう一人の男が登場しているはずだったのですが。
遅くて申し訳ありませんが、明後日には終了します。
617マロン名無しさん:03/06/06 12:41 ID:RXGmWW0P
新スレ誘導 「俺たちでオリジナルストーリーをつくろうぜ」
http://www.2ch.net/2ch.html
618617:03/06/06 12:43 ID:RXGmWW0P
>>617
 あれ? 出来ないや。誰か誘導スレ張って下さい。
619マロン名無しさん:03/06/06 13:06 ID:???
新スレ「俺たちでオリジナルストーリーをつくろうぜ」

http://comic.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1054870798/
620マロン名無しさん:03/06/06 13:33 ID:???
>>617
名前にバキをいれといた方が良かったんじゃあ。。
621マロン名無しさん:03/06/06 16:44 ID:cmHNviqQ
俺たちで「女バキ死刑囚編」をつくろうぜ
622マロン名無しさん:03/06/06 17:25 ID:???
エルメス ジョリーンがダントツでトップなわけだが
623マロン名無しさん:03/06/06 17:49 ID:Y2tI5YJh
いや、梢江。
624バキスレの567は俺:03/06/06 21:46 ID:???
むちゃくちゃ久しぶりっす。
Part3にもなってて思わず感動、懐かしカキコでございます。
スレの流れを把握していないので、後でゆっくり読んでみます。

ちなみに、黒帯研究会から逃げてそのままになっておりました。
え?続き?それがぜ〜んぜん出来とらんのですよ。
あまりにも長く離れていたんで、どうやって良いのかさっぱり分かりません。w
625マロン名無しさん:03/06/09 23:28 ID:Dj6C5mFp
保守age。
大分下がっていたので。
626マロン名無しさん:03/06/09 23:38 ID:???
俺もage
627マロン名無しさん:03/06/10 01:03 ID:???
>>624
御帰りなさいませ。
級に姿が消えたので寂しかったです。
黒帯研究会個人的に気に入ってたんで
再開してくれると嬉しいっす。
628マロン名無しさん:03/06/13 06:30 ID:???
やばい…柳面白過ぎ
629マロン名無しさん:03/06/13 06:31 ID:???
誤爆だ…こっちだた

次スレ「俺たちでオリジナルストーリーをつくろうぜ」
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1054870798/
630マロン名無しさん:03/06/15 19:44 ID:???
保守
631マロン名無しさん:03/06/20 01:51 ID:???
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1054948174/l50
塾長とオーガが手を組んでヤムチャに挑むスレ

このスレにも職人さん降臨きぼん


632マロン名無しさん:03/06/20 17:32 ID:wtN3hB52
バキの本スレってなくなっちゃったの?
少年漫画板行っても分からなかったよ。
633マロン名無しさん:03/06/24 19:06 ID:???
hoshu
634マロン名無しさん:03/06/24 19:10 ID:???
保守
635マロン名無しさん:03/06/28 13:13 ID:???
パオ応援あげ
636マロン名無しさん:03/06/29 00:57 ID:???
ひさびさにこのスレ見たけど、過去に死んだ悪役キャラが魔界の力で復活、
って所で魔界転生を思い出してしまった。
もしかしてパオさんて山田風太郎ファンですか?
もしそうだったら、同じ山風原作という事で「バジリスク」の忍者衆登場キボン。
637マロン名無しさん:03/07/05 22:33 ID:???
保守
638マロン名無しさん:03/07/13 23:56 ID:???
hoshu
639山崎 渉:03/07/15 09:01 ID:???

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
640マロン名無しさん:03/07/16 14:13 ID:???
hoshu
641マロン名無しさん:03/07/18 18:01 ID:???
俺も保守
642マロン名無しさん:03/07/20 11:17 ID:f0JBJDyF
hoshu
643マロン名無しさん:03/07/24 23:30 ID:???
ほしゅ
644マロン名無しさん:03/07/29 18:41 ID:???
HOSHU
645山崎 渉
(^^)