【×】ネギま4番綾瀬夕映ファンクラブ【人】

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796テンブラ
昔あるところに『まっちゃ』という宝物の噂がありました。
まっちゃを使えばどんなことでもできる。 人はそう信じていました。
しかし、まっちゃは所詮空想の産物、実際には存在しない。 そう思う人もいました。

穏やかな太陽の下、畑仕事を糧とする村のある家。
すずめが囀り、一斉に羽ばたいて空に舞い上がりました。
その音を聞き、少年は目をさましました。

今日もいっしょうけんめい畑仕事をし、日に一度の食事をとる。
決して美味しくはない芋煮をのどに流し込んで、血とする。
それからまた畑に行き、耕して帰ってきて寝る。
単純で、単調で、あくびが出そうな毎日。
しかし、あくびを出すこともままならない過酷な仕事。

自分は何のために生まれ、何のために生きるのか。
体を起こした少年は考えました。
思い出すだけでも滅入る毎日の繰り返し。
そこに新たな発見はない。
このままでいいのか。
一生農夫として生き、死んでいっていいのか。
少年は首を左右に強く振り、唇をかみ締めました。
村をでる。そして夢をさがし、自分の存在する価値を確認する。
そう決心しました。
797テンブラ2 :03/10/02 01:47 ID:???
少年は村を出て、ひたすら歩きつづけました。
道がある限り、その上をなぞれば次の村につける。
自分の人生と同じで、途中で変わることのない道。
自分が感じた焦燥感とは違い、どこか安心感がありました。
安定した変化も変哲もない日々、それを道に置き換えただけでずいぶんと印象がかわりました。

だいぶ歩きました。
日が沈み始め、影が長く伸びています。
少年は休憩することにしました。
整備されていない、自然そのままの大地に腰を下ろしました。
家の隅々からかき集めて作った握り飯を大事そうに口に含みます。
味気のない飯。味気のない道。味気のない人生。
少年の周りには少年を彩るモノは何もありませんでした。
少年は寂しそうに顔を伏せました。
そこには一つの小石がありました。
こちらも変哲のない小石。
世の重みに耐え兼ねたかのように小さく小さく身を縮めています。

少年は小石を掴み、持てる力全てを解き放って投げました。
小石は風を切り、思ったよりも遠くへ飛んでいきました。

小石に新しい人生を歩ませた。
そう思い、少年は満足げに微笑みました。
小石にとっては迷惑かもしれないその行為。
その行為の善悪など考えることもなく、微笑みます。
少年は人生を変えること、それはどんな時でも正しいことだと思い込んでいました。

少年は一頻り微笑むと、立ち上がり、再び歩き出しました。

そのころ、ある少女が泣いていました。
川へ釣りにいった父親が頭から血をながして倒れている。
突然の父親の死に少女は泣くことしかできず、近くに転がっていた石に八つ当たりをしました。