俺達で「バキ死刑囚編」をつくろうぜ

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331バキスレの567は俺

道場の中は、一種異様な空気であった。 表情は皆一様に暗い。
その沈鬱な空気を破るように克己が口を開いた。
「以前、俺は、我が神心会は更なる高みを目指し、『中国拳法』をパクりまくる、と言った。
事此処に至っては、その言葉、撤回したい」

黒帯研究会の者達の間に動揺が走る。 克己が続ける。
「俺はもしかするとあの男はヤバいのではないか、と思っている」
確かに色グロの中国人のお陰で神心会は多大な損害を被っていた。 口にこそ出さなかったが、
此処にいる皆の共通した意見でもあった。

この一部始終を扉一枚を隔てた場所で聞いていた男がいた。 今日も道場で汗を流そうと、
道場を訪れていた烈海王である。
「いつまでも居られるわけもない・・・、か」
烈は、かつてドイルに言った言葉を思い出していた。

「いや、誤解しないで欲しい。 黒帯研究会は続ける。 神心空手を高める為に、あらゆる
格闘技の要素を取り入れる、という主旨は変わらない。 さぁ、どうぞこちらへ」

332バキスレの567は俺 :03/01/15 00:20 ID:???
練習生などが着替えをするロッカールームから一人のアジア人が出てきた。 全身から奇怪な
オーラを漂わせている。 いや、全てが奇怪すぎた。
我々は彼を知っている。 東京ドーム地下。 しかし闘技場ではない。 選手控え室である。
そこでの前代未聞にして空前絶後のパフォーマンスを我々は忘れてはいない。

「ジャガッタさんだ」

克己が恭しく礼をする。 ジャガッタは既に戦闘体勢である。 一体、この体勢のドコを攻撃
すれば良いと言うのか。 膝の辺りまでに縮んだ身体。 全てが規格外であった。
何しろ、相手の視界にいないのである。 まさに常識外れと言えた。

「控エ室デノ出来事ハ、私ニトッテハ不幸ナ台風ノ様ナモノデアッタガ、オ陰デ、我ガ『ムエ
カッチュアー』ハ、進化ヲ遂ゲタノダ。 オーガニハ感謝シテイル」
足下のジャガッタに対して、克己はあくまでも低姿勢だ。

333バキスレの567は俺 :03/01/15 00:21 ID:???
「サッカーボール・キック・・・ではどうだろうか」 
あまりの異様な雰囲気に臆したのだろうか、空気に耐えられなくなった黒帯の1人が思わず呟いた。
サッと克己の顔から血の気が引いた。
次の瞬間、その黒帯の胸に克己のマッハパンチが炸裂する。
道場の端の壁まで吹っ飛ぶ黒帯。

後にその黒帯は神心会を退会、その経緯についてこう語っている。
「全てが恐ろしかった。 何かとてつもない世界が目の前に広がったような気がしたんです。
いや、正確には目の下かな。 考えてもみて下さい。 人が伸びたり縮んだり、あれはもう格闘技
じゃない」

「ええ、克己さんの突きを喰らった後、ぶっ倒れた私はジャガッタと目線が合ったんです。 偶然。
彼の目線は膝下ですからね。 ハハハ。 その時彼が私に背を向けたんです」

「何だ、知ってらしたんですか。 ええ、異様でしたよ。 こう・・何と言うのかな。 『Z字』、
というのかな。 うっすらとね、ジャガッタの背中に浮かんでいたんですよ」

「え? 男として? 別に憧れはしませんよ。 私は男である前に、人間ですから」