徳島新聞 2011年1月1日(土曜日) 一面
テレビのアナログ放送が7月24日に終了し、地上デジタル放送(地デジ)に完全移行する。
総務省四国総合通信局によると、完全移行時にNHK総合と同教育、四国放送の県内3波をアンテナで受信できる世帯は100%に達せず、94.7%にとどまる見込みだ。
このため、県内各地で1万5千世帯余りが、衛星放送やケーブルテレビ(CATV)による視聴を余儀なくされる。
アナログ波で視聴できた県外の民放各局の放送ら「地デジ移行後は保証できない」(総務省)としており、県内でCATVの普及に拍車が掛かっている。 (2面に関連記事)
四国総合通信局によると、県内29万7千世帯のうち山間部を中心に約1万5千世帯が地デジをアンテナ受信できない。
これらの世帯の多くはCATVに加入するか、既存の共聴施設を改修して対応する。
しかし、吉野川市の美郷と山川町の計21地区61世帯は、CATVの幹線が延長される見込みがたっておらず、当面は暫定措置として衛星放送で視聴する。
アンテナ設置費用などは国が負担する。
■極端に悪化
県内では現在、関西や香川・岡山の民放の放送を視聴できているが、デジタル波の特性から受信状況は極端に悪化する。
総務省は、県内648万カ所で関西の民放各局の受信状況を調査。
この結果、電解強度60デシベル以上の安定した状態で受信できる地域はなく、アナログ波で視聴てきた地域の7割で、受信困難になっていることが分かった。
総務省の保証はないが、県外民放がまったく視聴できないわけではない。
県内の電器店などによると、鳴門市から阿南市にかけての沿岸部などでは、関西方面からの電波をアンテナ受信できる地域もある。
香川、岡山の放送を視聴している三好市では、標高の高い地区のごく一部なら可能な場所があるという。
アンテナ受信の場合、アンテナやブースターの性能、周辺の地形など、いくつもの条件に左右されるため、内陸部で視聴できるケースがある反面、沿岸部でも視聴できない世帯もある。
総務省は「県外民放の視聴は保証できない。アンテナ受信はリスクを知った上で検討してほしい」と注意を促している。