サラ金10件を相手に過払い金返還訴訟をします。

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662本人訴訟
Tさんが提訴した不当利得金返還支給事件において、ニッシンが提出した準備書面から抜粋。

貸金業者である被告(ニッシン自身)は法律により定められた義務の履行として、債務者の入金履歴等の開示要求に応じなければならず、交付した入金台帳等の書面を証拠資料として提出した時は、原告の意思次第で制限超過部分につき、元本充当又は返還請求が認められるようでは業務規制の実効性を危うくし、登録を受けずに貸し金業を営む者が続出する恐れもあり、また、貸金業法により、貸金業者に契約書面や受取証書の作成交付を厳しく義務づけることにより、債務者は利息制限法に基づく制限超過利息の元本充当の主張や過払い分返還請求のための決定的な証拠資料を用意に取得できる訳であるから、貸金業規制法第43条は、これらのバランスにおいて、貸金業者が法令に基づく契約書面や受取証書の作成交付をきちんと厳守すれば、受領した超過利息については債務者からの返還請求を拒否できるという「特典」を与えたもので、いわば、貸金業規制法第43条は、利息制限法の制約に反し、貸金業者は債務者が支払った利息制限法の超過利息を政党に利息として受領できる権限を得ることについて正面から認めたものである。
また、「利息支払の任意性」とは、あくまでも債務者個々の意思判断問題であって、本件のように、初回の貸付以降、10回に亘って追加借入を繰り返し行っている原告が、被告との間の本件限度借入契約に基づき、支払った元利金がどのように利息・元金に充当されたか、その認識が出来ない筈がないし、原告が被告との間の限度借入契約利率に基づく利息として充分認識した上で任意に支払ったことは明らかである。
即ち、本件包括契約における借入限度額は金50万円であるから、原告が返済の途中で追加して借入を希望する時の借入可能額は、頭書の借入金残金部分と借入限度額(50万円)との差額部分に限られる訳であるから、原告は少なくともATMや支店への問い合わせによって、限度額50万円までの差額が幾らなのか、又は、幾らであれば引き出せる(利用できる)のか、或いは、利息等として支払った金員がどのように元利金に充当されたかを認識していなければ、原告が、都合、10回に亘り、繰り返して、追加して、借入を行うことは不可能である。
従って、本件限度借入契約について、原告は原告の自由な意思に基づき、利息と認識した上で任意に支払ったことは明らかである。
しかしながら、貸金業規制法第43条のみなし利息の規定については、限度借入契約書自体が17条書面としての要件を充たさず、貸金業規制法第17条書面とはいえないという判決もあり、みなし弁済の主張はともかく、被告は原告との間で円満妥当な解決を望んでおり、被告が相当額を返還することを前提として和解を希望するものである。