かつては、世界的にはVISAが優勢であるのに、日本だけはMasterの方が優勢であった。
住友クレジットが嫌われ者で、DCやMCやUCは全てMasterと提携していたからだ。
これを憂えたVISAインターは、郵貯と提携することにした。郵貯は直接
カードを発行することは認められていなかったので、提携カードとせざるを
得なかった。銀行は郵貯と犬猿の仲だったので、VISAインターは信販会社の
日本信販から日本信販・郵貯のVISAカードを発行することにした。
住友は激しく抵抗した。VISAインターは、「Masterは既に郵貯提携カードを
出している。Masterが郵貯提携カードの発行を止めればVISAも発行しない。」
と、住友を退けた。
住友は、加盟店に日本信販・郵貯カードを取り扱わないように通達した。
このため、ユーザに混乱と迷惑を与えた。VISAバイロー違反であった。
VISAインターは住友に加盟店の開放を要求した。VISAバイローに従えと。
住友は、VISAを脱退するか、加盟店を開放するかの選択を迫られた。
また、VISAインターは住友銀行に住友クレジットの社長を解任させようとも
していた。
同じ頃、DCが直接VISAインターに提携を申し入れた。DCブランドを護るためで
あった。DCはVISAジャパンと対等であり、加盟店の扱いも対等であることが、
DCとVISAインターとの間で確認された。
この後、UCやMCもVISAインターと提携した。住友もVISAに留まった。かくして
VISAとMasterの勢力図は逆転した。
以上は、「サムライカード、世界へ」湯谷昇羊著(文春新書)の第6章「VISAが
Masterを逆転」の稚拙な要約です。この本は、JCBについての本です。スレ違いな
本ですが、第6章はJCBについてではなく、VISAが日本でMasterを逆転する経緯に
ついて記述されています。とても面白い本で、クレカオタ必読です。JCBの本だから
読まないというのはソンです。