終身刑制度の設置に危機感を訴えるスレ

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1傍聴席@名無しさんでいっぱい
8月末日、議員連盟「量刑制度を考える超党派の会」が終身刑を創設するための刑法改正案の骨子案を明らかにした。
〈1〉現行法で死刑が設けられている現住建造物等放火罪、殺人罪、強盗致死罪などに終身刑も設ける
〈2〉終身刑に恩赦を認め、減刑して有期刑とする場合は、30年以下とする
――などの内容であった。
これらは来年の5月から始まる裁判員制度の開始に合わせて、仮釈放のない終身刑(絶対的終身刑)を創設し、死刑と無期懲役の格差を埋めるためとしている。

絶対的終身刑の実情を全く理解せず、このような刑罰制度を成立させてよいのでしょうか?


ここで絶対的終身刑の実情を少し紹介します。

まず本来終身刑とは仮釈放を認める終身刑(相対的終身刑)でなければ人権を著しく損なうとして各国では運用をされていないことを念頭に置き、その上で絶対的終身刑の実情を考察してください。

現在絶対的終身刑を採用している国はアメリカ、オーストラリア、イギリス、中国などのわずか数カ国しか存在しません。
(このうち、イギリスなどでは終身刑の判決が出る場合、タリフ(最低拘禁期間)が定められますが、現在平均寿命を上回るタリフが判決に出ておらず、仮釈放が認められないというケースは発生していません。)

絶対的終身刑は仮釈放が無いために、一旦収監されると二度と外の世界には出られないことから、希望もなく、ただ単に毎日を過ごしていくことになります。
希望がないため「生きる」ということさえ無意味に感じるため、罪に対する悔悟だけが増大し、ストレス過多が現れます。
その結果、ストレスにより精神病になる人、人格破壊が起きてしまう人が多数発生しています。
また、精神的に病んで医療施設に移され治療したとしても回復すればまた刑務所に戻されるため再発が起こります。
このことにより、自殺者が多数発生し、終身刑受刑者の死因で自殺が上位にあるほどです。
受刑者たちは寿命まで健康で生きることはほとんどなく、途中で自殺するか正気を失ったまま廃人となって生かされるといった結末を迎えます。

これらを目の当たりにした他の終身刑受刑者らが、刑務所で暴れるなどの問題行動を起こすことがかなりの確率で発生しています。
また、受刑者から死刑にしてほしいという嘆願が往々にしてあります。
過去にカナダやフランス、イタリアなどでは受刑者の半数以上から連名で死刑にしてほしいと政府に嘆願書が提出されたとこもあります。
更に、イタリアでは受刑者が死刑にしろと暴動にまで発展したケースもあります。

このため、絶対的終身刑は「緩慢な死刑」と呼ばれ、死刑以上に残虐な刑罰だと言われEUをはじめとする死刑廃止国では運用されていません。


更に財政面、刑務所事情においても負荷が大きく、運用を続けるとこの難しさが挙げられます。

本来、無期懲役では仮釈放が認められており、作業報奨金が仮釈放後、出所直後の生活基盤となるため懲役が認められますが、絶対的終身刑では仮釈放が認められることがないため、懲役を科すことは明らかに強制労働を強いることになると言わざるを得ません。
(強制労働は憲法において禁止されています。)
このため、終身刑受刑者は生産性がなく、費用のすべてが国民の税金によって賄われることとなります。
(現在受刑者1人当たりの費用は年間でおよそ250万円〜300万円と言われています。50年収容するとすればその費用は1人当たり1億数千万円の費用がかかることとなります。)
更に、現在の無期懲役においても年々受刑者の数が増え続け、刑務所の飽和状態を招いていることに更に拍車をかけることとなるでしょう。
2傍聴席@名無しさんでいっぱい
今年5月に「量刑制度を考える超党派の会」が発足された際に参加した議員がこれらの実情を理解しておらず、欺瞞に満ちた発言を繰り返していたことをここに追従させていただきます。

会の発足時のたたき台で「囚人は一生を「生きる屍(しかばね)」として刑務所で送ることになり、死刑より残虐な刑になるとの批判が出る。
ただし、「仮釈放」に代わって、病気の場合やきわめて高齢な場合など、一定の条件で「恩赦」を設ける方法もある。」などといったことが話し合われたようです。
これは、明らかに現在無期懲役があるため仮釈放という言葉を使わず、恩赦を出すという言い方をした言葉遊びに過ぎません。
また、病気や高齢を理由に恩赦を出せば、当然仮出所後の生活は安定とは程遠いものとなることは明白です。
受刑者のことなど一切考えないこの発言は明らかに人権侵害とわざるを得ません。

またこの会において議員らの発言で現在の刑罰制度の実情に対する理解の浅はかさが見受けられます。
 「何が何でも一生刑務所というのが憲法違反になるのは理解できる。仮釈放を認めるにしても、やはり20年は入っているような制度にしなくてはいけないのでは」
「出所を許すには30年くらいは刑務所にいなくては。25〜30年後には恩赦もあり得る、という例外が盛り込めるのであれば、終身刑の導入もいい」
といった意見が出されました。
しかし、1997年から無期懲役の平均収容年数が20年を超え、2007年には30年を超えたことをを知っていればこのような発言がなされることはないのではないでしょうか。
また、現在の刑法において、有期刑の上限が20年から30年に引き上げられており、30年の量刑を受けたも者も無期懲役と同等の10年で仮釈放が認められるようになっています。
有期刑と無期刑の量刑の比重を考慮し、また今までの実際収容年数を知っていれば、議員たちの発言がいかに浅慮であるかがうかがい知れます。

そして、この会の会長である加藤紘一議員はオフィシャルサイトにおいて裁判員制度批判とそれに追従する形での蛇足としてこの会に参加をしたことを自ら明らかにしています。
(加藤紘一オフィシャルサイトhttp://www.katokoichi.org/videomsg/2008/080503_2.html
このサイトにおいて、加藤紘一議員はまだ運用されていないにもかかわらず裁判員の先入観や量刑決定の公平性に対する疑問、また客観性に対する疑問などを列挙し、この裁判員制度が正常に運用されないことを前提にした発言がなされています。
そして、正常に運用されないことを前提として「死刑廃止を推進する議員連盟」や「量刑制度を考える超党派の会」に参加したと述べています。
これは明らかに妥協をすることを前提とした発言であり、司法に対する軽視及び侮蔑と言わざるを得ないのではないでしょうか。

また、加藤紘一議員は「量刑制度を考える超党派の会」の場において以下のような発言をしています。
「(出席議員の)意見を聞いたところでは、仮釈放のない100%の終身刑よりは、(恩赦など)何らかの例外を設ける方向で一致していると思う。党派による思いの違いはあまりないし、国会の委員会審議はスムーズに進むのではないか」
この発言は果たして現在の刑罰制度を理解した考え方なのか疑問を持たざるを得ない。
有期刑の最長年数である30年と無期懲役の仮釈放が認められる年数が10年と同一であることを鑑みて、無期懲役の仮釈放が認められる年数を15年、または20年に延長する方がより妥当ではないだろうか。
何より恩赦などという不確定な言葉遊びで仮釈放基準を設けることによる各受刑者の仮釈放における公平性が本当に保たれるのか甚だ疑問があると言わざるを得ない。