11 :
僕:
朝起きると、三人の小人が台所で、一番大きなボウルと中ぐらいの
ボウルと小さなボウルをそれぞれ抱え込み、ドーナツの生地を作っ
ていた。
一人の小人が突然僕に銃口を向けて、「揚げろ!」と命じた。
@@@
僕は揚げ油を鍋にかけ、ドーナツ型で抜いた生地と、抜いた方の小
さな丸い生地を、180℃で揚げ続けた。
小人は、僕に銃口を向け、「包め!」と命じて、小さな丸い方だけ
を選り分けて箱詰めさせた。
小人たちが出ていった後、ドーナツがあるだけの皿に山となって残
り、部屋は甘い油の匂いに満ちていた。
その時から僕の心はドーナツ化して、中心で物事を考えることがで
きなくなってしまったようだ。
しかしドーナツを揚げさせたら世田谷区一ぐらいの腕になったのは、
三人の小人のおかげでないとは言い切れないと思っている。