『摩天楼』
天井を泳ぐ蝶を見下ろして
目を閉じたなら綺麗に見えるでしょう?
幻覚の花びらが天井へ舞い落ちて
耳を塞げば少しは楽でしょう?
見飽きた情景の色
叙情に呆れて残像の記憶と
静かに眠りましょう
今にも崩れ落ちそうな
桜が揺れる耽美な夜に
零れる花びらを埋めて
記憶を掘り起こされないように
儚く静かに立ち尽くす声
奏手をかざせば今を感じれるでしょう?
隠しきれず漂う香りに
消えてしまえば楽ですか?
曖昧な瞳に映る
螺旋の季節忘れないように
そっと抱き抱えたまま
数え切れない空
震えて手放した景色を巡り
微かに差した光
風の隙間から穏やかに
きつく締め付ける偽りの無い今を見下ろして