「snow ballet」
ストーブが欲しいねと君がぽつり
手袋ごしに指を温める
窓の外はため息に閉ざされて
二人でいる理由も無い僕等は
沈黙を言葉にしてる
君の口から浮付いた話を
聞かされて僕は上の空さ
近づく事もない君との距離を
窓に落書きした僕の言葉は
すぐ滲んで読めなくなった
外はまだ降り続く乱れ雪
制服の君が踊ってあげると
ああ 雪の舞台で君が踊る
手習い事のバレエ 綺麗なトゥール
ああ 白い舞台で君が回る
燻る煙草の灯が窓に映る
この春から君は「上京するの」と
つまらなそうに呟いて
上京した先ではバレエを捨てて
どこか小さな会社に就職するのだと
雪の空を見つめてる
ほんの少し涙ぐむ小さな君を
軽い冗談で笑わせて
「寂しくなるね」と話を合わせる僕に
最後の日ぐらい見送ってほしいと
物寂しそうに君が笑う
外はまだ身も冴ゆる乱れ雪
涙する君が最後の舞台だと
ああ 雪の舞台で君が踊る
手習い事のバレエ 綺麗なトゥール
ああ 白い舞台で君が回る
燻る煙草の灯が頬に陰る
ああ 雪の舞台で君が踊る
手習い事のバレエ 綺麗なトゥール
ああ 白い舞台で君が回る
君はとても綺麗だった
君はとても綺麗だった