楽器塗装ではないけれど、ラッカー系塗料を常用する職種の立場から一言。
ラッカーは基本的に溶剤の揮発によって塗膜が形成される物で、焼き付け等を行なわない
限り、重合反応等は起らない。この点から「乾燥=硬化」っていう>374みたいな
短絡的理解が生まれてしまうんだけど、実用レベル、特に楽器塗装みたいにデリケートな
側面を持つ用途の場合、この理解は単純化しすぎで現実に即していない。
ラッカー系塗料はとりあえずの指触乾燥が終了した後もかなりの溶剤分が残っていて、
それはかなり長期間に渡って徐々に抜けて行く。ラッカーとは少し違うけど、バイオリン
用のニスは安定までに数十年かかる、なんて話もあるみたいだね。
で、前者の指触乾燥(初期乾燥)特性と、その後の除放乾燥(今作った用語)特性
は必ずしも一致しない。通常言われる「乾燥」は初期乾燥の事だけなんだが、
これが速いからと言って、その後の溶剤の「抜けきり」性が高い訳ではないんだね。
通常アクリルと呼ばれる系統のラッカーは、肉持ち性が高い。つまり、同じ厚さの塗膜を
作りたい場合にはNC系に比べて時間が短縮できる事になる。しかしその後の溶剤の
抜けきり性は極めて悪い。NC系はこの正反対で、肉持ちは悪いが抜けきりは
とても良い。リターダー云々についてはこの点がとても重要で、同じリターダーでも
NC系に使った場合は除放乾燥にはほとんど影響しないと言って良いと思う。
>>384 重厚なご意見を有り難うございました。
ラッカーとその奥の深さに恐れ入っております。
これからは演奏に主眼を置き力を尽くして参ります。
386 :
358:02/06/13 20:39 ID:???
>>361 いや実際そうなんです。 下地のはけ目の荒い部分や、途中で傷を付けてしまったところに
修正が15日目にうっすら浮き出ました。これは384さんが言ってた溶剤分が有る程度抜けたものであろうと
思います。ラッカーはニトロセルロースを使用。下地塗りから着色、最終クリア塗まで薄く11回塗りました。
>>367 比較一般論的なことで、ポリVSラッカー(通称ね)のどちらがいいのか分りません。
塗り替えてみないと分らない。
で、実際に経験したことをのべると、私のグレコ製レスポール(多分EG900)に関しては
音が向上したようです。 というレポートのつもりでした。
>>384さんへ
質問です。ニトロセルロースのみの成分のスプレーというのを見たことがありません。
スプレー缶にはかならずアクリル系の添加がされているようですが、
アクリル系は乾燥を若干遅らせる効果があるのでしょうか?
ニトロセルロースのみだと、霧状にしたとたん粉状になって塗装面にうまく馴染んでくれないとか?
実際作業はニトロセルロースのみのラッカーを刷毛塗りしたんですが、スプレーより表面の乾きが早くてびっくりでした。
387 :
358:02/06/13 20:42 ID:???
日本語になってなかった。すいません。
途中で傷を付けてしまったところに修正が
↓
途中で傷を付けてしまったところに修正をしましたが、そこが
>>386 上の方でクラプトンのりふした書き込みした者だけど、
俺も同じ、塗装終わって2日ほど乾かしたんだよ。
それで、細かいペーパーで塗装面を整えて、コンパウンドでツヤを出した。
コンパウンドでつや出し終わったら、表面が鏡みたいに平らになってピカピカだった。
それでパーツ付けて音だししたら、あんまり変化は無かったような感じだったよ。
とりあえず、ボディが塗料の臭いで臭かったんで、まだ乾いていないと思って、
1ヶ月ほど、スタンドに立てっぱなしにしていた。
1ヶ月後、弾いてみたら音&振動がかなり変わっていた。
ボディの塗装面を見たら、コンパウンドで仕上げた時は凹凸など無かったのに、
細かい木の筋が波打ったように細かい凹凸が全体に出来ていた。(塗装が縮んだ感じになっていた)
俺の場合なぜラッカーが好きかというと、ただ単に使っていくたびに味が出てくるのが好きなだけ。
傷もない新品状態に近いギターだったから塗り直しするのにちょっととまどったけど
塗り直ししてよかったよ。
でも市場価値はほとんど0に近くなったけどな。(苦笑)
だいたい手バフで商品レベルまで持っていこうというのが間違い
390 :
341:02/06/13 21:53 ID:???
>>386 >ニトロセルロースのみの成分のスプレーというのを見たことがありません。
>ニトロセルロースのみのラッカーを刷毛塗りしたんですが、スプレーより
表面の乾きが早くてびっくりでした。
世間一般では肉持ちが悪いのは欠点らしいし、
スプレーでも厚塗りし易くする為に入ってるんだと思う。
あと、スプレー缶の物は乾燥遅延剤が入ってるってどっかのサイト
で見た事ある。
それと経験上スプレー缶使った場合は、ギター製作のサイト等に
書いてあるよりも塗る間隔を空けた方が上手く行くと思う。
乾燥したと思って塗り重ねてくと痛い目に遭うし、ボテっとした
感じになる気がする。
391 :
365:02/06/15 09:44 ID:???
素人ですが、素人なりに掘り下げるきっかけになっています、このスレ。
>>384 専門家のレスに感嘆です。
その他の皆のレスも咀嚼しきれないけれど・・・、
「フェンダーUSA新品のねっちょりした感触のネック」がたまにある
というのは、
溶剤抜け切り特性があまりよくないアクリル・ラッカーを、
肉持ち性のよさに任せて仕上げ出荷してしまった結果、ということ
なんだろうか?
現代の‘ラッカー・フィニッシュ’ギターにつきまとう悪評の
原因がこれだとしたら、ちょっと残念ですね。
>>386 >>390 ハンズで買ったNCSラッカーの小瓶を使って、F/Jテレのボディと
ネックのリフィニッシュをしてます。この小瓶にはたぶんアクリル
は入ってないです・・・が、あまり塗膜の感触がさらっとせず
観葉植物の葉みたいな感触で、硬くはないかな、というかんじがしてます。
溶剤を多めに使いかなり薄く7回くらい塗り重ねていて、さいごに塗って
からもう2年くらい経つが、やはり抜け切っていないのか、あるいは
そういう質の(仕上がり柔らかめな)NCSラッカーなのか・・・
ただ、途中で使ってみたタミヤのアクリルラッカースプレーなどよりは
ずっと「ぽい」かな・・・と思ってはいます。
392 :
365:02/06/15 09:57 ID:???
タミヤのは、「アクリル+NCS ラッカー」のスプレーです。
TAMIYA COLOR miniの クリアー という商品。
成分表示は、
合成樹脂(アクリル)、ニトロセルロース、顔料、染料、有機溶剤、DME、LPG
さっと吹く分には、指触乾燥はものすごく速かったような・・・
ただ、仕上がりはちょっとざらつきました。肉持ちはそういえばよかったですね。
ただ、やはりハケ塗りのNCSラッカーの方がさらっとしてましたね。
当たり前のことなんだろうけど、塗装一回おきの間隔はあいてたほうが
仕上がりもいいんでしょうね。F/Jテレはネックでそれにちょっと失敗しました。
あと、一回ごとの塗膜の厚み(溶剤の量による)は、薄ければ薄いほど
重なったときに丈夫になる、と当時は思ってたんですが、どうなんでしょう?