320 :
名鉄本線:
視線を遮断機に目をやった時
そのおっさんがこっちを振り返っていた
目が合った と思った瞬間
おっさんは自転車を道路に倒して
いきなり踏み切りのバーをくぐって
踏み切り内に入ってしまった。
特急のファーーーンという音が聞こえたと思ったら
そのおっさんの残像が見えたか見えないかの一瞬で
瞬きしたらくぐった場にはいなくなっていた。
あっけなかった
電車が急ブレーキを掛けて結構遠いあたりで急停車した。
親父もなにやら「おいおいおいおいおい」と声を出していた気がする。
路肩に車を寄せ、俺が車を降りたら
なんか電車の車両の先頭の横に
白い色に黒いまだらがあった。
あたりが騒然としてきて
親父は電車の方に向かったのでついていったら
なんか石でもない何か踏んだ感じがした。