女子高生リンチ殺人コンクリート詰め事件 第3回

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223名無しさん@お腹いっぱい。
毎日新聞の記事の全文が手に入ったので載せたいと思います。以下転載

彼女(56)は長男(29)と2人で暮ら
す。長男はかつて「少年D」と報じられ
た。問われた罪は「わいせつ誘拐・略取、
監禁、強姦、殺人」。刑務所を出て6年、
自室に引きこもる。好物はカルビ弁当だ。
床に置くと、ふすまが少し開く。弁当を
取ると、すぐにぴしゃりと閉まる。
 役女のため息は届かない。
 1988年11月、東京都足立区の少年
たちが女子高校生を誘拐し、仲間の自宅
の一室に41日間監禁、暴行を繰り返して
殺害し遺体をコンクリートで固めて埋め
立て地に捨てた。社会を震撼させた女
子高生コンクリート詰め殺人事件」であ
る。事件当時17歳だった「少年D」こと
長男は準主犯格として「懲役5年以上7
年以下」の判決を受けた。
224名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/09(月) 22:22
 私が披女と初めて会ったのは、今年1
月下旬の夜だった。アパートから出てき
たところを恐る恐る声をかけた。役女を
知る関係者から、長男が取材に気づく可
能性のある連絡方法は避けるよう念を押
されていた。電話も手紙も使えず、やむ
を得ず自宅そばで彼女を待った。最初、
役女は私の呼びかけに答えなかった。取
材に応じたのは、桜が咲き始めたころだ。
東北なまりが残る。話し出すとすぐに
涙声になる。壁の黒く煤けたアパートの
6畳間を長男が独占し、彼女は玄関と流
し台の3畳間の床に布団を敷く。ひと
つ屋根の下の「別居」。毎朝、近所の
そば屋へパートに出る。深夜まで狭い
厨房に立ちずくめで自給は昼間800円、
夜間1000円。帰宅は午後11時ごろ。
月収は14万円前後で4万円の家賃を払
い、2万5000円の小遭いを長男に渡
す。「長い間風呂に入っていないはずで
す」。言葉に「はずだ」「ようだ」とい
う推測語が交じる。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/09(月) 22:23
彼女は敗戦直前に貧しい農家に生ま
れ、15歳で地元の美容店に住み込んだ。
小遣い程度の金でこき使われ、体を壊し
た。20歳で上京、都内の美容室で女主人
に気に入られ、勧められるままにその息
子と結婚した。長女と長男を産んだが、
夫は働かない。長男が3歳の備に離婚、
生活保護とパートで2人を育てた。
  ◇  ◇
 「××君いますか」。89年2月、警視
庁綾瀬署の刑事数人が突然訪れ、逮捕状
をかざした。少年たちによる別件の女性
会社員強姦容疑だった。ぽうぜんとして
いると、長男がのっそり現れ、無言で靴
をはいた。
 拘置所で長男は役女のことを「あの人」
 「おばさん」と呼んだ。彼女が接見に行
っても、追い返した。
 なぜ、こうなったのか。長い長い自問
が続く。
 「仕事が忙しくて、あの子を十分にか
まえなかった」 「私が世間体ばかりを気
にして、息子の心を傷つけてしまった…
226名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/09(月) 22:23
小学時代。「お宅の息子が100円の
ガムを万引きした」と近くの菓子店主が
怒鳴り込んできた。役女は長男に確かめ
もせず店主にわび、100円を渡した。
それを見た長男は泣いて抗議した。のち
に万引きしていないことが分かった。学
校でいじめに遭い、択議に行ったことも
ある。でも、教師から「問題児だ」と逆
に丸め込まれた。「そういうところが自
分にはあるんです」と彼女は言う。
 中学3年で家庭内暴力が起きた。食卓
をひっくり返し百科事典を投げる。相談
を受けた学校は警察に連絡し鑑別所へ送
られた。3週間後、帰宅した長男の暴力
はうそのように静まった。
 「役はこの時点で『母に裏切られた』
と思い、母や他者との人間的つながりを
失ったのではないか」。担当の弁護士は
推測する。話しかけると長男は熱心に相
づちを打つ。しかし、血の通う言葉がな
い。事件は「知らない」「見てない」「な
んとも思わない」。他人への無関心。あ
らゆるものへの迎合。弁護士は冒頭陳述
でこう述べる。
 <被告人には他者と積極的にコミュニ
ケートしようという姿勢がない。自分に
攻撃の矛先が向かなければ他人がどうな
ろうと一切関知しない。そして、被告人
はそのことの悲劇性をまったく認識して
いない>
227名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/09(月) 22:25
 それでも弁護士は対話を試みている。
長男にも罪と向き合う姿勢が生まれ、思
いのたけを20校の便せんに書き連ね、弁
護士にぶつけるまでに変わる。だが、刑
が確定し収監されると、心もまた鉄格子
の奥に閉ざしてしまった。
私は、大学時代に事件を報道で知り、
その凄惨さに衝撃を受けた。陵辱のうえ
に惨殺された女子高生の無念。加えて、
少年たちに良心が戻らないとしたら、事
件は何人の人間を殺したことになるの
か。少年たちとその親たちの思いを知り
たかった。
 刑務所から出てきた直後、長男は明け
方に飛び起きてオイオイ声を上げて泣い
た。母は息子の心の優しさを見た。救わ
れる瞬間もある。結婚した長女が小学生
の孫を連れ、アパートに来る侍だ。長男
は姉にだけは甘え、孫と遊ぶ。
 彼女は夜も電灯をつけたまま寝る。暗
闇では、大勢が「死ね、死ね」と叫ぶ幻
聴に今も襲われるからだ。でも、信じた
い。長男はいつか戻ってくれる。必ず母
として言葉を交わせる。世の中の片隅で
呻吟しながらも、一緒に罪を背負える日
が来る。その思いを支えに、きょうも仕
事に出る。  【井上 英介・35歳】

転載ここまで
べたな長文転載で失礼、記事が真実だという確証は持てませんが。